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男「…へ?」 魔娘「だから…」 Part2 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/19(土) 00:49:23.78 ID:dxDLgvSzo
前スレ: 男「…へ?」 魔娘「だから…」

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1357829885/

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1358524163
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少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714054765/

渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/

二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713861164/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 00:50:50.86 ID:mfr9JLvr0
>>1乙です
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 00:53:42.70 ID:ONkRM54Mo
1乙
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 00:55:00.44 ID:/i+Eoq8Fo
1乙ー
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 00:56:01.00 ID:oT8odWFAO
>>1乙。

ちょっと早いけど2スレ目おめです。
なんか幼女並のボリュームになりそうですね。
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 00:59:44.92 ID:dxDLgvSzo
男「そっちこそ!いい加減にっ!!倒れろってーの!!!」ブォン!ブォン!ブォン!

黒竜「衝撃波!?ぐおっ!」ドンッ ドンッ ドン!

黒竜(ま、まずい…一旦下がって体制を…)バサバサッ

シュイン

男「もらった!」

黒竜「な!?後ろに!?」
7 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/19(土) 01:00:31.90 ID:dxDLgvSzo
>>6は誤爆…orz
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 01:10:04.72 ID:SZaku/iSO
>>1
乙乙
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 01:11:12.15 ID:ElaAONsao
はいwwwwww
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 01:12:11.12 ID:ElaAONsao
はいww
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 01:13:31.67 ID:ElaAONsao
はいwwww
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 01:13:38.76 ID:6xhNPFIMo
>>1

13 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/19(土) 01:13:43.22 ID:dxDLgvSzo
〜泉の畔〜

赤竜「…ここでいいでしょう」

ボワン

魔娘「“人変化の術”…」

シスター「…」

男「シスター!」ダッ ダキッ

シスター「…久しぶりですね。男」

男「うん…うん!シスターだぁ!!うわぁああん!!」

シスター「どうしたのですか。こんなに大きくなったのに大声で泣いたりして」

男「うわぁああん!!うわぁああん!!」
14 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/19(土) 01:14:19.19 ID:dxDLgvSzo
子竜「…ねえ」

魔娘「なあに?」

子竜「なんでないてぅの?」

魔娘「あれは嬉し泣きよ。ずっと離れてたから、また会えたことが嬉しくて涙が出るの」

子竜「ふーん…じゃあ、おねえちゃんはなんでないてぅの?」

魔娘「…もらい泣きよ」

子竜「もぁいなき?」

魔娘「好きな人が嬉し泣きをしているのを見ていると自然に涙が出てくるの。それがもらい泣きよ」

子竜「ふーん…」
  ・
  ・
  ・
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 01:14:57.76 ID:ElaAONsao
はいwwwwwwwwwwww
16 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/19(土) 01:15:40.23 ID:dxDLgvSzo
男「うぅ…」

シスター「落ち着きましたか?」

男「うん…あのね?あの後いろんなことがあったんだよ?村の人たちが引っ越して行っちゃったり…」

男「あ、でも肉屋のおばちゃんは優しかったんだよ?食べ物とか畑とか自由にしていいって言ってくれて…」

男「それから賢者様が一緒にすんでくれたり…ほかにも〜〜〜」

魔娘(男ったら一気にしゃべってる…シスターは優しい顔でそれを聞いてるし…)

魔娘(男のあの表情…小さかったころに戻ってるみたい…)

シスター「そうですか…男も苦労したのですね。私が居なくなったせいで…ごめんなさい」

男「謝らないで。僕、シスターに教えてもらったことのおかげで生きていけたんだよ?だからすごく感謝してるんだ。それからね?〜〜〜」
17 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/19(土) 01:16:06.24 ID:dxDLgvSzo
魔娘「…ね、あっちに行こう?」

子竜「え?どーして?」

魔娘「お話はまだまだ続くみたいだから。卵、見せてもらいたいなぁ。いいでしょ?」

子竜「おねーちゃん、やさしいかぁいーよ!」

魔娘「ふふ。じゃあいこっか」
  ・
  ・
  ・
18 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/19(土) 01:16:46.32 ID:dxDLgvSzo
〜卵の近くの岩陰〜

トテトテトテ

子竜「あ、おとーさま!」パタパタパタ

黒竜「ぬ?」

魔娘「ここに居たのね」

黒竜「…ああ」

魔娘「お邪魔していい?」

黒竜「…勝手にしろ」

魔娘「ええ。勝手にするわ」
19 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/19(土) 01:17:12.63 ID:dxDLgvSzo
子竜「ふぁああ…」

黒竜「眠いか?」

子竜「…んん…だいじょーぶ…」

黒竜「初めて魔法を使ったのだ。無理せず眠るがよい」

子竜「でも…ごはんまだだし…」

魔娘「御飯は逃げないわ。安心して」

黒竜「我の膝に乗るがよい」

子竜「ん…おやすみ…おとーさま…」モゾモゾ…

黒竜 ナデナデ

子竜「…スー…スー…」
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 01:17:17.51 ID:ElaAONsao
はいwwwwwwwwwwww
21 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/19(土) 01:17:39.56 ID:dxDLgvSzo
魔娘「…ふふふ。もう寝ちゃったわ。相当疲れたみたいね」

黒竜「ああ…」

魔娘「…ねえ」

黒竜「ぬ?」

魔娘「どうして赤竜を連れていったの?」

黒竜「…我は妻として赤竜を選んだ。それだけだ」
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 01:17:58.56 ID:ElaAONsao
はいwwwwwwww
23 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/19(土) 01:18:13.57 ID:dxDLgvSzo
魔娘「なぜ?黒竜人家と赤竜人家は反目していて、顔を合わせる機会なんてなかったはずよ?」

黒竜「…我は以前、家を出て諸国を旅していた。そこで美しい竜に出会ったのだ」

魔娘「それが赤竜?」

黒竜「…そうだ。我は赤竜に心を奪われ、求婚した。だが…」

黒竜「お前がいったように、その頃我ら黒竜族と赤竜族は反目し合っていた。赤竜は我を嫌い、避けるようになった」

黒竜「だが…それでも我は赤竜に近づこうとした。その結果…赤竜は国を飛び出し行方を晦ましてしまった」

魔娘「それで赤竜は人間界に行ったのね」
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 01:18:50.26 ID:ElaAONsao
はいwwwwwwwwwwww
25 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/19(土) 01:19:07.34 ID:dxDLgvSzo
黒竜「…そのことを知った我は親父殿に人間界に行くと告げた。しかし…」

魔娘「だめだったの?」

黒竜「そうだ…それで我は使い魔を使い、人間界で赤竜を探した。そしてようやく見つけたのだ」

魔娘「そう…それで禁を破って人間界に行って赤竜を連れていったのね」

黒竜「そうだ…」

魔娘「ふーん…」
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 01:20:37.54 ID:ElaAONsao
 ゙"  "''"  "゙"  ゙"/::ヽ____ ヾ"
 ゙" ゙"  "  ゙"'' ゙" |ヽ/::        ヾ''"
゙"  ゙'"  "゙"   ゙" .|:: |:::    ○    | ゙ "     >>1のお墓の前で 泣かないでください
  ゙" ゙  ゙"  ゙"''  |:: l:    ○    |      そこに私はいません 眠ってなんかいません
 ゙"  ゙"   "゙" ゙"|: :|:    ○    |  ''゙"
゙"  ゙"  ゙""'"Wv,_|:: l          |、wW"゙"
゙" ゙"''"  ".wWWlヽ::'ヽ|:::::_::______:.|::\W/ ゙"゙''"
"'' ゙"''"゙"  V/Wヽ`―――――――――lV/W  "'
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27 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/19(土) 01:21:07.24 ID:dxDLgvSzo
黒竜「…あいつは何者だ?赤竜が育てた人間か?」

魔娘「…少し違うわ。赤竜が育てたって言うのは合ってるけど…男は人間とダークエルフとのハーフよ」

黒竜「なるほど、ハーフエルフか…それで合点が言った。我は人間は弱い者と聞いていたからな」

魔娘「そうね…男の強さは人間離れしているものね」

黒竜「ああ…ところで」

魔娘「なあに?」
28 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/19(土) 01:21:33.42 ID:dxDLgvSzo
黒竜「お前は何者だ?お前からは嗅いだ事の無い匂いがするが…」

魔娘「…私は魔娘。竜人達は私のことを“姫”って呼んでるわ」

黒竜「“姫”?…まさか…先代主王様の!?」

魔娘「…ええ。娘よ」

黒竜「し、失礼しました!」ガバッ

魔娘「しっ!静かに!!子竜ちゃんが起きちゃうじゃない…」

黒竜「はっ…し、しかし…」
29 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/19(土) 01:22:01.79 ID:dxDLgvSzo
魔娘「…今は主王の娘じゃないわ。わたしはただの“魔娘”よ」

黒竜「…はい」

魔娘「で?どうするの?」

黒竜「どうするとは?」

魔娘「赤竜のことよ」

黒竜「それは…」

男「よっ」

魔娘「あら?」

黒竜「ぬ?」

シスター ペコッ
30 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/19(土) 01:22:28.63 ID:dxDLgvSzo
男「お前ら、こんなところで何してたんだ?」

魔娘「ちょっとお話を。ね?」

黒竜「…うむ」

男「ふーん」

魔娘「それで?もうお話はいいの?」

男「ああ。話したいことは色々あるけど、いつでも会えるんだし、追々な」

魔娘「え?」
31 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/19(土) 01:22:55.23 ID:dxDLgvSzo
男「…シスター。こいつが魔娘だ」

シスター「魔娘さん。男は貴方に随分助けられたようで…ありがとうございます」ペコッ

魔娘「あ、いえ…」

シスター「男はあなたのことを大切に思っています。これからもよろしくお願いします」

魔娘「あ、いえ。こちらこそ」

黒竜「…」

シスター「どうなさったんですか?」

黒竜「いや…」
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 01:23:35.49 ID:ElaAONsao
 ゙"  "''"  "゙"  ゙"/::ヽ____ ヾ"
 ゙" ゙"  "  ゙"'' ゙" |ヽ/::        ヾ''"
゙"  ゙'"  "゙"   ゙" .|:: |:::    ○    | ゙ "     >>1のお墓の前で 泣かないでください
  ゙" ゙  ゙"  ゙"''  |:: l:    ○    |      そこに私はいません 眠ってなんかいません
 ゙"  ゙"   "゙" ゙"|: :|:    ○    |  ''゙"
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33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 01:24:08.48 ID:ElaAONsao
はいwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 01:24:35.59 ID:ElaAONsao
はいwwww
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 01:26:20.22 ID:ElaAONsao
はいwwwwwwww
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 01:26:20.90 ID:C5C4cG+E0
>>1頑張れー
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 01:26:50.80 ID:ElaAONsao
>>36
はいwwww
38 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/19(土) 01:27:23.88 ID:dxDLgvSzo
魔娘「…ねえ、男」

男「ん?」

魔娘「さっき“いつでも会える”って言ってたけど…」

男「ああ、そのことな。シスターたちはあと3年、この島に居なきゃいけないんだってさ」

魔娘「そうなの?」

青竜人「10年間の島流し。それが罰であったからの」

魔娘「青爺!」

男「今までどこにいたんですか?」

青竜人「水の中じゃ。ちょっと乾燥してきたのでな」

黒竜「…タヌキ爺め」
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 01:27:38.19 ID:ElaAONsao
はいwwwwwwww
40 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/19(土) 01:27:54.39 ID:dxDLgvSzo
魔娘「…それで?」

男「ん?…ああ。でも、エルフ母さんにもらったこの転移符を使えば、いつでもここに来れるからさ」

青竜人「それは…エルフの転移符かの?」

男「あ、はい。そうです」

青竜人「エルフの転移符は結界をも通ると言う…おぬし、それをどこで手に入れたのじゃ?」

男「エルフ族の町です。そこに俺の身内が住んでて…」

青竜人「なるほどの…」
41 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/19(土) 01:28:32.98 ID:dxDLgvSzo
男「あ、そうだ!エルフ母さんがシスターに会いたいって言ってたよ?」

シスター「私も会ってみたいですね。男のお婆さんに…」

シスター「そして…男の母親のことをお話ししたいです…」

男「うん。3年たったら迎えに来るよ」

シスター「…ええ」

黒竜「…して、お主らはこれからどこに行くつもりだ?」

男「それは…」チラッ

魔娘「な、なんでこっちを見るのよ…男はどうなの?」
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 01:28:49.13 ID:ElaAONsao
はいwwwwwwww
43 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/19(土) 01:28:58.86 ID:dxDLgvSzo
男「俺は…なにもなければエルフ族の町に行こうと思うんだ。けど、魔娘は行きたいところはないのか?」

魔娘「わたしは…」

青竜人「…ひとまず、黒竜人のところに行かれてはいかがですかな?」

魔娘「どうして?」

青竜人「礼を言わねばなりますまい。あの者、姫たちをここに来させるために、あちこちに頭を下げておりましたからなあ」

黒竜「矜持の高い親父殿が!?信じられん…」

魔娘「…そうね。そうするわ」

男「じゃあ、一緒に行くか」

魔娘「え?」
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 01:29:12.05 ID:ElaAONsao
はいwwwwwwww
45 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/19(土) 01:29:25.12 ID:dxDLgvSzo
男「え?じゃねえだろ?今更約束忘れたなんて言うんじゃないぞ?」

魔娘「約束?…あっ!//」

男「まあ、魔娘がイヤだって言うんなら仕方ないけどさ」

魔娘「い、イヤじゃないけど…//」

男「なら決まりだな」

シスター「これ、男。無理強いはいけませんよ?」

男「あ、はい」

魔娘「む、無理じゃないけど…心の準備が…//」
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 01:29:51.52 ID:ElaAONsao
はいwwwwwwww
47 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/19(土) 01:29:54.26 ID:dxDLgvSzo
黒竜「ふっ…して、いつ出立するのだ?」

青竜人「明日にしてくれんか?久しぶりに動き回ったせいで腰が痛くての…」トントン

魔娘「大したこともしてないくせに」ボソッ

青竜人「何か言いましたかな?姫」

魔娘「ううん。なんでもないわ」

青竜人「姫…まあええ。ところでの、男」

男「あ、はい」
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 01:30:40.92 ID:ElaAONsao
はいwwwwwwww
49 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/19(土) 01:31:02.34 ID:dxDLgvSzo
青竜人「お主…顔つきが変わったかの?幼さが抜けてきたみたいに思うが…」

男「え?そうですか?」

魔娘「…あ…本当…どうしたの!?」

男「あ、いや…俺に言われても…」

青竜人「…お主、黒竜との戦いでその…特殊な能力を使わんかったか?」

男「あ、はい。“転移”と“念動”を…」

青竜人「やはりな…負担が大きかったじゃろ」

男「ええ。あ、でも、“転移”のほうは全然なんともなかったです。“念動”のほうは…かなり辛かったですね。それが何か?」
50 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/19(土) 01:31:30.03 ID:dxDLgvSzo
青竜人「お主…その力の源が何か、知っておるのか?」

男「え?いえ。知らないですけど…」

青竜人「…姫」

魔娘「わたしも知らないわ」

青竜人 チラッ

シスター・黒竜 フルフル

青竜人「…まあええ。男よ。お主のその力は…お主の生命力を消費しておるのじゃ」

男「…へ?」
51 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/19(土) 01:31:56.15 ID:dxDLgvSzo
青竜人「かつて“エルフの悪夢”を引き起こしたハーフエルフは…500年分の寿命をたったの10日で消費した」

青竜人「じゃからの、お主のその力…負担が大きいときは、あまり使わぬほうが良いぞ?」

男「…わかりました」

青竜人「とは言ってもの、負担が軽けりゃ大したことは無いじゃろ。要は加減じゃな。ふぁっふぁっふぁ」

男「加減…か」

魔娘「…男、ごめんなさい」

男「なんで謝るんだよ」
52 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/19(土) 01:32:22.66 ID:dxDLgvSzo
魔娘「だって…そんなことだなんて知らなかったから…何度も“転移”とか使わせちゃったし…」

男「あれは殆んど疲れなかったし、どうってことないよ。さっきの戦いのほうがよっぽど大変だったしな」

男「それに“転移”ぐらいじゃ殆んど疲れないし、大丈夫だって。な?」

魔娘「…」

青竜人「…さて、わしは水の中に戻るとするかの?明日、また迎えに来るでな」

男「あ、はい。ありがとうございます」

魔娘「…」
53 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/19(土) 01:32:58.59 ID:dxDLgvSzo
今日はここまでにします

おやすみなさいノシ
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 01:33:21.78 ID:pTMtzhkxo
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 01:33:55.88 ID:ONkRM54Mo

やっと寝れる
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 01:34:04.73 ID:ElaAONsao
>>53
はいwwwwwwww
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 01:34:36.02 ID:Xk4lX4WAO
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 01:34:39.93 ID:ElaAONsao
>>53
はいwwwwwwww
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 01:35:11.74 ID:ElaAONsao
>>53
はいwwwwwwww
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 01:35:37.86 ID:ElaAONsao
>>53
はいwwwwww
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 01:35:55.92 ID:aDaSQAQvo
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/19(土) 01:36:03.29 ID:Pr+b18DDO
乙!!
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 01:36:04.20 ID:ElaAONsao
>>53
はいwwwwwwww
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 01:36:50.40 ID:ElaAONsao
>>53
はいwwwwwwww
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 01:36:56.61 ID:C5C4cG+E0
乙ー。
続き待ってる
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 01:37:24.47 ID:ElaAONsao
>>53
はいwwwwwwww
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 01:37:52.48 ID:ElaAONsao
>>65
はいwwwwwwww
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 01:38:20.39 ID:ElaAONsao
>>53
はいwwww
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 01:38:49.12 ID:ElaAONsao
>>53
はいww
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 01:39:19.53 ID:ElaAONsao
>>53
はいwwwwwwww
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 01:39:46.75 ID:ElaAONsao
今日はここまでにします

おやすみなさいノシ
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 01:40:37.33 ID:/i+Eoq8Fo
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 03:23:07.34 ID:YxMtgj5ho
NGでスッキリ
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 04:49:34.27 ID:DEbjyxtpo
これ結局シスターは拉致られてレープされて孕まされたって事だよな?
再会を楽しみにしてたから、すげえショックというか胸糞が……
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 04:59:34.71 ID:sPML2+uqo
レイプというより風習と考えた方がいいと思われ
まあ男が居たためシスターが負けた(正々堂々ではなかったという意味で)下りがあるので何とも言えん節はあるけど
ともあれ乙
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 06:09:03.55 ID:Pevp74gGo
いやだって母親同然の人が目の前で拐われて、苦難の末に再会したらその連れ去った男との間に子供が出来てたってのは辛いわ

しかもシスターはストックホルム症候群か何かにかかってるみたいな雰囲気だし
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 06:50:07.95 ID:CZ9z6QeDO
無理矢理つれてかれて、結局孕ませられてたとか

せっかく男必死に修行したのにね^^
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 07:36:36.29 ID:xODpvdzpo
ニスレ目乙

シスター…軽くNTRた気持ち
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 07:42:00.75 ID:8La1wG1Vo
仕方ないにしろ子供がいたのはショックだは
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 09:20:01.26 ID:EnWIafwYo
黒龍さんが、なんとか振り向いてもらおうと頑張ってる姿が思い浮かんだぉ
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 10:17:18.01 ID:6ngFZqfAO
昔は、日本でも夜這いをかけて無理矢理嫁にする風習もあったぐらいだからな

人間界の常識<竜族の風習と言うか本能で、それがシスターをあんな感じにしたんじゃないの?
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:01:38.42 ID:Yu8g8Rl8P
乙です
子竜が過去の作品に出てきた幼女っぽくて不覚にも萌えてしまったw
事情は何であれ子供に罪は無いわな
子竜には大きく育って欲しいと願うばかり
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:18:33.67 ID:HK9q4beHo
>>74
はいwwwwwwww
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:19:00.81 ID:HK9q4beHo
>>75
はいwwwwwwww
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:19:31.53 ID:HK9q4beHo
>>76
はいwwwwwwww
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:20:01.67 ID:HK9q4beHo
>>77
はいwwwwwwww
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:20:36.25 ID:HK9q4beHo
>>78
はいwwwwwwww
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:21:06.29 ID:HK9q4beHo
>>79
はいwwwwwwww
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:22:02.76 ID:HK9q4beHo
>>80
はいwwww
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:22:30.81 ID:HK9q4beHo
>>81
はいwwwwwwww
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:22:58.04 ID:HK9q4beHo
>>82
はいww
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:23:41.43 ID:HK9q4beHo
はいwwwwwwww
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:25:03.16 ID:HK9q4beHo
はいwwwwwwww
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:25:30.98 ID:HK9q4beHo
はいwwww
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:25:58.95 ID:HK9q4beHo
はいwwwwwwww
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:26:25.94 ID:HK9q4beHo
はいwwww
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:26:54.56 ID:HK9q4beHo
はいwwww
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:27:04.06 ID:htuxOde20
2スレ目乙ですー。
毎度の大量投下&なんか変なのが湧いていて大変とは思いますが、
頑張ってくださいー。

99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:27:15.74 ID:HK9q4beHo
はいwwwwwwww
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:27:44.36 ID:HK9q4beHo
>>98
はいwwww
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:28:11.85 ID:HK9q4beHo
はいwwwwwwww
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:28:49.14 ID:HK9q4beHo
はいwwwwwwww
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:29:23.95 ID:HK9q4beHo
はいwwwwww
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:30:13.24 ID:HK9q4beHo
はいwwwwwwww
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:30:53.51 ID:HK9q4beHo
はいwwww
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:31:21.46 ID:HK9q4beHo
はいww
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:31:49.95 ID:HK9q4beHo
はいwwwwwwww
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:32:21.33 ID:HK9q4beHo
はいwwwwwwww
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:35:49.23 ID:hqSs826zo
はいwwwwwwww
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:36:16.21 ID:hqSs826zo
はいwwww
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:36:46.63 ID:hqSs826zo
はいwwww
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:37:24.32 ID:hqSs826zo
はいwwwwwwww
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:37:52.89 ID:hqSs826zo
はいwwwwwwww
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:38:21.14 ID:hqSs826zo
はいwwwwwwww
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:38:59.38 ID:hqSs826zo
はいwwww
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:39:35.78 ID:hqSs826zo
はいwwwwwwww
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:40:35.48 ID:hqSs826zo
はいwwwwwwww
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:41:07.65 ID:hqSs826zo
はいwwww
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:41:45.47 ID:hqSs826zo
はいwwww
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:42:35.32 ID:hqSs826zo
はいwwwwwwww
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:43:05.65 ID:hqSs826zo
はいwwww
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:43:33.00 ID:hqSs826zo
はいwwwwww
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:44:00.54 ID:hqSs826zo
はいww
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:44:34.09 ID:hqSs826zo
はいwwwwwwww
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:45:03.02 ID:hqSs826zo
はいwwww
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:45:32.17 ID:hqSs826zo
はいww
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:46:01.91 ID:hqSs826zo
はいwwwwwwww
128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:46:34.12 ID:hqSs826zo
はいwwww
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:48:07.31 ID:1RS6CPlBo
きたかと思ったら、キチガイだった
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:48:43.46 ID:pnP12pOho
>>129
はいwwwwwwww
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:49:15.03 ID:pnP12pOho
はいwwwwww
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:49:47.29 ID:pnP12pOho
はいwwwwww
133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:50:17.58 ID:pnP12pOho
はいwwww
134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:50:49.28 ID:pnP12pOho
はいwwwwww
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:51:27.19 ID:pnP12pOho
はいwwwwwwww
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:51:55.77 ID:pnP12pOho
はいwwww
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:52:50.90 ID:pnP12pOho
はいwwwwwwww
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:53:21.50 ID:pnP12pOho
はいwwww
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:53:51.27 ID:pnP12pOho
はいwwwwwwww
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:54:19.42 ID:pnP12pOho
はいwwww
141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:54:47.90 ID:pnP12pOho
はいwwww
142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:55:15.79 ID:pnP12pOho
はいwwww
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:55:45.91 ID:pnP12pOho
はいwwwwwwww
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:56:17.82 ID:pnP12pOho
はいwwwwwwww
145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:57:19.79 ID:pnP12pOho
今日はここまでにします

おやすみなさいノシ
146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 12:58:51.61 ID:6ngFZqfAO
永久に休め
147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 13:06:09.16 ID:rIV4D9K2o
>>146
はいwwwwwwww
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 13:06:36.09 ID:rIV4D9K2o
>>146
はいwwww
149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 13:07:04.20 ID:rIV4D9K2o
>>146
はいww
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 13:07:32.46 ID:rIV4D9K2o
>>146
はいwwwwww
151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 13:08:22.96 ID:rIV4D9K2o
>>146
はいww
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 13:08:53.05 ID:rIV4D9K2o
>>146
はいwwwwww
153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 13:09:21.49 ID:rIV4D9K2o
>>146
はいwwwwwwww
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 13:10:04.84 ID:rIV4D9K2o
>>146
はいwwwwwwww
155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 13:10:45.66 ID:rIV4D9K2o
>>146
はいwwwwww
156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 13:11:12.95 ID:rIV4D9K2o
>>146
はいwwwwwwww
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 13:11:40.90 ID:rIV4D9K2o
はいww
158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 13:12:12.97 ID:rIV4D9K2o
はいwwwwww
159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 13:12:41.09 ID:rIV4D9K2o
はいwwwwww
160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 13:13:30.85 ID:rIV4D9K2o
はいwwwwww
161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 13:14:01.40 ID:rIV4D9K2o
はいwwwwwwww
162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 13:14:29.72 ID:rIV4D9K2o
はいwwww
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 13:14:55.53 ID:rIV4D9K2o
はいwwww
164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 13:15:29.59 ID:rIV4D9K2o
はいww
165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 13:16:03.52 ID:rIV4D9K2o
はいwwwwwwww
166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 13:16:34.56 ID:rIV4D9K2o
はいwwwwww
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 13:17:01.71 ID:rIV4D9K2o
今日はここまでにします

おやすみなさいノシ
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 13:25:58.04 ID:1RS6CPlBo
何というか凄いな…
これ態々ID変えてるんだろ?
何が彼をここまで突き動かすのか
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 13:33:33.92 ID:+NOLxem0o
>>168
まぁ>>1がキモいからしょうがない部分もある
「はいwww」は確かに苛つくし、いちいちレスするのもウザイからな
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 13:49:01.05 ID:1RS6CPlBo
PKか
いやー面白い試合
171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 13:49:30.34 ID:1RS6CPlBo
誤爆
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 14:20:05.93 ID:d5KWhkKeo
レス返すのは別にいいと思うが
やはり「はいwww」はアレ
173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 14:24:45.44 ID:dxDLgvSzo
>>80
前スレ>>85を見る限り黒竜は赤竜に付きまとってはいるものの、
力づくでは迫っていないように思われ
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 14:33:54.16 ID:WhZmBffoo
>>172
確かにな
まぁ「はいwww」をNGワードにすれば解決する話
175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/19(土) 14:35:40.38 ID:xlImYSJKo
はいwwwwwwww
176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/19(土) 14:36:06.53 ID:xlImYSJKo
>>169
はいwwwwww
177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/19(土) 14:36:37.60 ID:xlImYSJKo
>>172
はいwwww
178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/19(土) 14:37:03.95 ID:xlImYSJKo
>>173
はいwwww
179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/19(土) 14:37:33.02 ID:xlImYSJKo
はいwwwwwwww
180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/19(土) 14:38:01.08 ID:xlImYSJKo
はいww
181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/19(土) 14:38:27.95 ID:xlImYSJKo
>>168
はいww
182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 14:38:51.30 ID:w2oRS8Qpo
NTRなんか書くから荒らされたんじゃ……
183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/19(土) 14:38:53.02 ID:xlImYSJKo
>>174
はいwwwwww
184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/19(土) 14:39:37.19 ID:xlImYSJKo
>>182
はいwwwwww
185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/19(土) 14:40:03.28 ID:xlImYSJKo
>>173
はいwwww
186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/19(土) 14:40:30.29 ID:xlImYSJKo
はいww
187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/19(土) 14:40:58.69 ID:xlImYSJKo
はいww
188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/19(土) 14:41:24.29 ID:xlImYSJKo
はいwwwwww
189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/19(土) 14:41:51.38 ID:xlImYSJKo
はいwwww
190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/19(土) 14:42:21.33 ID:xlImYSJKo
はいwwww
191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 14:48:22.79 ID:2M+gF2eSO
笑え
192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 14:51:17.51 ID:6ngFZqfAO
>>182
これはNTRとは言えないんじゃ…
193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 15:08:16.16 ID:w2oRS8Qpo
>>192
NTRと言えなくてもNTRと同じ位良く思わない人もいるかもね

自分が子供の頃に目の前で母親を誘拐されて、10年程探し回った末に
「あら、大きくなったわね」なんて誘拐犯とその間に生まれた血の繋がらない兄弟、そして妊婦腹の母親が現れたら
俺なら発狂するわw
194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 15:27:16.95 ID:e/ghaXvqo
>>193
正直黒竜を[ピーーー]展開を望んでた
195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 15:34:43.19 ID:6ngFZqfAO
>>193
ぶっちゃけ人間界の常識ならそうだけど、種族とか文化の違いだからこういうもんかって感じで見てた
196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 15:40:59.36 ID:nOKKgI2io
 ゙"  "''"  "゙"  ゙"/::ヽ____ ヾ"
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゙"  ゙'"  "゙"   ゙" .|:: |:::    ○    | ゙ "     >>1のお墓の前で 泣かないでください
  ゙" ゙  ゙"  ゙"''  |:: l:    ○    |      そこに私はいwwwwません 眠ってなんかいません
 ゙"  ゙"   "゙" ゙"|: :|:    ○    |  ''゙"
゙"  ゙"  ゙""'"Wv,_|:: l          |、wW"゙"
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197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 15:41:50.25 ID:nOKKgI2io
 ゙"  "''"  "゙"  ゙"/::ヽ____ ヾ"
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198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 15:48:12.29 ID:ZAjGXZDso
いや、普通に考えて赤竜は風習に反するから黒竜から逃げたってだけじゃないの?
好きだとか嫌いだとかいうのは一つも書かれてないし
199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 15:59:00.47 ID:MeGfeJP40
このスレ面白い
200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 16:09:27.85 ID:6ngFZqfAO
まあ議論この辺で止めとこう
必要なら>>1が書いてくれるだろうし、無駄にスレ埋めることになる
201 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/19(土) 16:17:49.90 ID:ohIjCakx0
赤竜『…』

黒竜『…久しぶりだな』

赤竜『まだ諦めていなかったのか』

黒竜『お前以上の雌などいなくてな』

赤竜『それでわざわざこんなところまで探しに来たのか。ご苦労なことだ』

黒竜『…赤竜よ。我が妻となれ』

赤竜『笑止!貴様も竜ならその力で我を従えさせればよかろう』

黒竜『貴様も変わらぬな…致し方なし…か』

赤竜『そっちが来ぬなら…行くぞ!!』

っていうやり取りもあるし、人が感じる無理やりとは違いそう
異文化の風習だから理解出来んとこもあるだろうし
202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 16:40:34.35 ID:w2oRS8Qpo
人とは違うドラゴンだから致し方なしと見る人
ドラゴンだけど母親だからショックと見る人

って事かねえ?
俺個人的にはドラゴンだけど頑張って人間の子供を育てた母親として見てしまうなあ
203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 17:21:46.08 ID:6S+9h0uDO
未婚だし、黒竜の事好きとも嫌いとも言ってない
子供が居ても良いじゃない
204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 18:24:24.77 ID:8La1wG1Vo
種族の違いなんだろうな
205 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/19(土) 23:48:00.28 ID:dxDLgvSzo
うお!すごいスレが伸びてる!
206 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/19(土) 23:48:49.10 ID:dxDLgvSzo
〜深夜・テントの外〜

リー…リー…

魔娘「…」

ガサッ

男「なにしてんだ?こんなとこで」

魔娘「…べつに」

男「そっか…よっと」ドサッ
207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 23:49:11.65 ID:pTMtzhkxo
伸びてるっていうか荒らされてるだろwwwwwwwwwwww
208 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/19(土) 23:49:16.54 ID:dxDLgvSzo
魔娘「…なによ」

男「なんでもいいだろ?」

魔娘「…へんなの」

男「お互い様だろ」

魔娘「…」

男「…ありがとな」

魔娘「え?」
209 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/19(土) 23:49:43.05 ID:dxDLgvSzo
男「魔娘のおかげでシスターに会えた。それにエルフ母さんにも会えた」

魔娘「…いいわよ。そのために男についてきたんだし」

男「けど…お前は…お前の父親は…」

魔娘「…」

男「…ごめん。俺、今まで自分のことしか考えてなかった…」

魔娘「…謝らないで?」

男「けど…」
210 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/19(土) 23:52:24.04 ID:dxDLgvSzo
魔娘「いいの。覚悟はしてたから」

男「そっか…」

魔娘「ええ…」

男「…それでさ、魔娘はこれからどうしたいんだ?」

魔娘「わたしは…」

男「…なにかするんだったら手伝うぞ?」

魔娘「…え?」
211 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/19(土) 23:52:51.09 ID:dxDLgvSzo
男「…で?」

魔娘「…わからないの…」

男「…」

魔娘「確かにお父様の仇討ちはしたいわ。でもそのために戦争になって…国民が苦しむことになるのは…」

男「…」

魔娘「それで…それよりも男と二人で静かに暮らすって言うのも有りかな…って」

魔娘「でも…考えれば考えるほど分からなくなって…」

男「そっか…」

魔娘「…うん」
212 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/19(土) 23:53:19.11 ID:dxDLgvSzo
男「…」

魔娘「…」

男「…あのさ」

魔娘「なあに?」

男「それ…両方やっちまおっか」

魔娘「…え?」

男「だからさ、仇討ちをして、二人でのんびり暮らすってのは?」

魔娘「…はあ?」
213 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/19(土) 23:53:57.39 ID:dxDLgvSzo
男「俺と魔娘の二人で仇討ちに行けば戦争にはならないから、国民は苦しまなくてすむだろ?」

男「で、その後どこか静かなところで二人で暮らす。どうだ?」

魔娘「…はあ?本気なの?」

男「ああ」

魔娘「相手の戦力も分からないのに?」

男「何とかなるだろ」

魔娘「二人だけで?」

男「その方が気が楽だろ?」

魔娘「男が“転移”や“念動”を使うほど寿命が短くなるのよ!?」

男「ちゃんと加減はするさ」
214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/19(土) 23:54:28.29 ID:Oleh5u9jo
お、来てた!頑張れ
215 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/19(土) 23:54:33.52 ID:dxDLgvSzo
魔娘「…死ぬかもしれない…というより、死ぬわよ?」

男「まあ、そんときは二人一緒だろ?まあ、死ぬ気はないけどな」

魔娘「…はあ…時々男がとんでもない大馬鹿者に見えるわ…」

男「なんだと?」

魔娘「でも…嫌いじゃないわよ?大馬鹿者は」

男「…へ?」

魔娘「だから…」

魔娘「…そのときは…フリだけでもいいから守ってね?」スッ…

男「おう!絶対守ってやるからな!!」ギュッ
216 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/19(土) 23:55:04.62 ID:dxDLgvSzo
魔娘「うふふふ。…えい!」

男「おわっ!」ドサッ

チュッ

魔娘「…ねえ、どうする?」クスッ

男「…せいっ!」グルッ

魔娘「きゃっ!」トサッ

男「…」

魔娘「…どうしたの?」

男「…変化するなよ?」

魔娘「……ばか」
  ・
  ・
  ・
217 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/19(土) 23:55:37.35 ID:dxDLgvSzo
〜朝〜

魔娘「スー…スー…」

男「zzz…」

赤竜・子竜・黒竜「「「…」」」

子竜「ねえねえ。なんでふたぃともはだかなの?なんでおそとでねてぅの?」

赤竜「…あら?せっかく直した長鉈を忘れてきたみたいだわ?子竜、一緒に取りに行きましょ?」

子竜「はーい」パタパタパタ

赤竜『二人を起こしておいて下さい』コソッ

黒竜『わ、わかった』コソッ
218 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/19(土) 23:56:03.59 ID:dxDLgvSzo
黒竜「…」

黒竜「…おい、起きろ」

男「zzz…ん…ん?」

黒竜「起きたか?」

男「ん…おはよ…」

黒竜「寝ぼけてる場合か!さっさと服を着ろ!!」

男「…服?…ん?…あっ!やべっ!!」アタフタ
219 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/19(土) 23:56:30.78 ID:dxDLgvSzo
魔娘「ん…なあに?」ゴシゴシ…

男「服!服!」

魔娘「…服?…え?…きゃあああ!!!」ババッ

男「ほらこれ!」

魔娘「ちょ、ちょっと!あっち向いててよ!!」

黒竜「う、うむ…」
  ・
  ・
  ・
220 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 23:56:39.70 ID:jPqjx45H0
レス伸びてると思ったら
おいおい

2スレ目乙
221 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/19(土) 23:56:58.08 ID:dxDLgvSzo
魔娘「…」セイザー

男「…」セイザー

黒竜「…」アグラー

黒竜「落ち着いたか?」

魔娘・男「「はい」」

黒竜「それで…何故こんなことになったのだ?」

男「それは…」チラッ

魔娘「…//」チラッ

黒竜「…まあよい。もうすぐ子竜達もここに来る。言い訳を考えておけ」

男「ははは…」
222 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/19(土) 23:57:31.10 ID:dxDLgvSzo
〜海水湖〜

男「これで終わりだな」

魔娘「はい。積み終わったわ」

男「食料と調味料はおいていくから、食べてください」

シスター「ありがとう」

男「…それじゃ」

シスター「…いってらっしゃい。必ず無事に帰ってくるんですよ?」

男「…はい!」
223 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/19(土) 23:58:03.83 ID:dxDLgvSzo
魔娘「…じゃ、行きましょう。青爺」

青竜人「はいはい。…そうじゃ、姫?」

魔娘「なあに?」

青竜人「…いきなり3発はヤリ過ぎですぞ?」

魔娘「なっ!?//」

シスター・黒竜「「…」」

子竜「ねえねえ。“いきなぃさんぱつ”ってなあに?」パタパタ

男「あははは…」ポリポリ
224 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/19(土) 23:59:01.07 ID:dxDLgvSzo
青竜人「それと声がおおきs」

魔娘「わーっ!わーっ!!だ、“大氷結呪”!!」

青竜人 カチーン…

一同「「「「…」」」」

男「…見事に凍ってんだけど…大丈夫か?」

黒竜「…た、タヌキ爺!?」

赤竜「か、“火焔呪”!」

ジュー…
  ・
  ・
  ・
225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 23:59:27.92 ID:jPqjx45H0
きたー!
とうとう結ばれたか
よかった
226 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 23:59:40.34 ID:OjMzqwj1o
まさに出歯亀。竜だけど。
227 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/19(土) 23:59:41.68 ID:dxDLgvSzo
青竜人「まったく…ひどい目にあったわい」

魔娘「あ、青爺が変なこと言うからよ!」

黒竜「…怒らせると怖いな」

男「ああ…」

男(魔娘の魔法は“回復”、“解毒”、”変化“の3つ以外は封印されていたはずなのに…まさか…)

男(封印が解けたのか!?いつから?どうやって?)

魔娘「どうしたの?」

男「いや…なあ、魔娘」

魔娘「なあに?」

男「いつから魔法が使えるようになったんだ?」

魔娘「…」
228 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:00:23.33 ID:DMYanI4ro
男「…黙ってるところを見ると、昨日今日の話じゃなさそうだな」

魔娘「…白竜人の菩提所からでて…その後から…」

男「え!?」

魔娘「あの時…魔力が一度に抜けてなくなったでしょ?そのときに封印も壊れたみたいなの」

男「え?…へ?」

魔娘「あの封印はわたしの魔力を使って作動するように仕掛けてあったみたいなのよ」

魔娘「だから、わたしの魔力がなくなったときに消えたみたいなの」

男「えっと…つまり…今、魔娘はいろんな魔法が使えるってことか?」

魔娘「いろんなって言っても、元々覚えてる魔法以外はつかえないわよ?」
229 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:01:02.96 ID:DMYanI4ro
男「じゃあ、どんな魔法を覚えてるんだ?」

魔娘「大したことはないわ。火炎に凍結に雷撃に風圧に地殻に…」

男「攻撃魔法ばっかじゃねえか!!」

魔娘「失礼ね!他にもちゃんと覚えてるわよ!!睡眠に混乱に肉体強化に…」

男「…やっぱり攻撃魔法じゃねえか」

魔娘「…あら?変ねえ…あ、あと転移も出来るわよ?」

男「あ、それは便利かも」
230 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:01:35.38 ID:DMYanI4ro
コンコン

青竜人「…姫。そろそろ出発してもよろしいかな?」

魔娘「あら、ごめんなさい。ええ。」

青竜人「では、ドアを閉めてくだされ」

魔娘「はいはい」

パタン

青竜人『では、行きますぞ?』

魔娘「はい」

ザバーン ゴボゴボゴボ…
231 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:02:04.33 ID:DMYanI4ro
シスター「…」

黒竜「…」

シスター「…ありがとうございます」

黒竜「なにがだ?」

ボワン

赤竜「…最後に大雷撃を放ったとき、男を直撃しないようにしたのだろう?」

黒竜「…何故それを?」

赤竜「男が言っていた。そうでなければ鉈を投げたところで稲妻を避けれなかったとな」

黒竜「あやつめ…分かっていたのか」
232 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:03:04.59 ID:DMYanI4ro
黒竜「…あのとき、すでに決着はついていた。あれは我の意地で放った雷撃だ。当てるつもりはなかった」

赤竜「ふふふ」

黒竜「何がおかしい?」

赤竜「黒竜は相変わらず優しいのだな」

黒竜「なにがだ」

赤竜「我ら竜族は力ずくで嫁どりをする。しかしお前は『嫁になれ』と言うだけだった」

黒竜「…ふん。力ずくは性に合わん」

赤竜「私はそうではなかったぞ?」

黒竜「なに?」
233 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:03:34.34 ID:DMYanI4ro
赤竜「ほかの竜のように雄に攫われたかったのだ。なのにお前はそのようなことを言って一向に攫う気配はなかった」

赤竜「そんなお前にしびれを切らして人間界に逃げたのだ」

赤竜「だから…攫われた時は嬉しかったのだぞ?」

黒竜「…そうか」

赤竜「わたしは今幸せだ。男はひとり立ちし伴侶を見つけ…」

スッ

子竜「おかーさまのだっこだー♪」

赤竜「ふふふ…お前や子供たちと共に過ごせるこの時を幸せと思わずにいられないのだ」

黒竜「…ありがとう」

赤竜「こちらこそだ。ふふふ」
234 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:07:32.47 ID:DMYanI4ro
〜海岸〜

ザバーン!

青竜人「着きましたぞ」

パカッ

魔娘・男「「…」」ボロボロ…

男「いてて…行きに比べて帰りは荒っぽいなぁ…」

魔娘「あちこちぶつけて痛いわ…青爺、ひょっとして根に持ってるの?」

青竜人「ナンノコトデスカナ?」

魔娘「やっぱり…」
235 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:08:04.92 ID:DMYanI4ro
男「ところで…ここは?」キョロキョロ

魔娘「…海岸みたいだけど…行きとは違うところみたいね…」

青竜人「スパイに知られると面倒なのでな、念のため場所を変えております。しかし…」

魔娘「…どうしたの?」

青竜人「いや…なにやら予期せぬ事態があったようですな。迎えが居りませぬ」

魔娘「え?」
236 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:08:31.09 ID:DMYanI4ro
男「…まあいいさ。おかげで気楽に旅が出来るって。なあ?」

魔娘「…そうね。じゃあ上陸しましょ?」

男「おう。まかせとけ。“転移”」

シュイン

ザッ ザザッ

男「っと。上陸成功!」

ザザーン…
237 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:08:59.07 ID:DMYanI4ro
青竜人「…お気をつけください。なにやら嫌な臭いがしますぞ」

男「ああ…」チャキン

魔娘 ヒクヒク

男「どうした?」

魔娘「いえ…何かが焼ける匂いと…血の臭いがするわ」

男「血の?」
238 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:09:55.65 ID:DMYanI4ro
魔娘「だけど…気配がないの。どういうことかしら…」

男「…とりあえず行ってみよう。その匂いがするほうにさ」

魔娘「…ええ。じゃあ青爺、ありがとう」

青竜人「ほっほっほ。また会える日を楽しみにしておりますぞい。では」

ザッブーン

魔娘「…男、行きましょ」

男「ああ」
  ・
  ・
  ・
239 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:10:22.03 ID:DMYanI4ro
〜海岸近くの廃村〜

魔娘・男「「…」」

死屍累々

メラメラ…

男「…ひでえな…」

魔娘「…」ギュッ

男「一体…なにがあったんだ?ここは…建物も壊れてるし…村が壊滅してる…」

魔娘「これは…“雷撃呪”ね」

男「…へ?」
240 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:11:36.62 ID:DMYanI4ro
魔娘「誰かがこの村に“雷撃呪”を使ったんだわ。それも何回もね」

男「なんで…いや…誰がそんなことを…」

魔娘「わからないわ…」

男「…とにかく生存者を探そう」

魔娘「…うん」
  ・
  ・
  ・
241 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:12:03.29 ID:DMYanI4ro
男「ほら、しっかりしろ!」

モブ竜「ヒュ…ヒュ…」

男「もう少しだからな?魔娘、頼む」

魔娘「はあ、はあ…“中回復呪”」パァアアア…

モブ竜「ヒュ…はぁ…はぁ…」

男「もう大丈夫だ。けど…」

モブ竜‘s ハァ…ハァ…

男「結局生き残ってたのはこれだけか…」
242 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:12:31.62 ID:DMYanI4ro
魔娘「はあ…はあ…」

男「大丈夫か?魔娘」

魔娘「はあ…大丈夫よ。それより水と食料が必要だわ」

男「わかった。村の中にあったから持って来る」

パタン

男(魔娘は“雷撃呪”だって言ってたけど…首がない死体もいくつかあった…)

男(誰が?一体何のために?…わかんねえ。わかんねえぞ畜生!)
  ・
  ・
  ・
243 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:12:59.38 ID:DMYanI4ro
魔娘「つまり、モブ竜たちの話をまとめると…4人の人間が昨日一晩泊まって、今朝、村を出て行った途端、雷がいくつも落ちてきたらしいの」

男「4人の人間って…新勇者様一行か?」

魔娘「おそらくね。あのパーティーは新勇者以外はまともじゃないから」

男「そうだな…」

魔娘「本当ならわたし達を迎えに行くはずだったんだけど、こんなことがあったから行けなかったって謝ってたわ」

男「それどころじゃないだろ。そうだ!竜人たちにも知らせないと!!」

魔娘「わたしに任せて。転移魔法を使えばいいから」

男「じゃあ頼む。俺はここで怪我人の介護をしてるから」

魔娘「分かったわ」
244 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:13:26.47 ID:DMYanI4ro
〜翌日・廃村の近くの天幕〜

魔娘「今すぐ国を出ろって…どういうことかしら?」

白竜人「ですから、先ほどから申し上げてますように」

黒竜人「あの村を襲ったのは4人組の人間です」

赤竜人「追跡者を放ちましたのでいずれ住処などは分かると思いますが…」

魔娘「それと男が、どう関係するの?」
245 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:13:53.39 ID:DMYanI4ro
青竜人「…姫よ。あの者は人間とエルフのハーフじゃといっとったな?」

魔娘「え、ええ…」

白竜人「あの村での出来事は今、竜の国中に広がりつつあります。すでに近隣では人間排除の声も上がっている始末」

黒竜人「よって、お連れの方の身を案じ、竜の国を出られることを提案しているのです」

赤竜人「聞けば、姫とお連れの方はやんごとない関係だとか。であればなおさらこの国にいるのは…」

青竜人「…みな、姫の身を案じておるのじゃ。ここはひとつ、わしに免じて従ってくださらんか?」

魔娘「…分かったわ」

バサッ

男「お、やっと出てきたか」

魔娘「っ!?」
246 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:14:19.90 ID:DMYanI4ro
男「なんだよ。そんな湿気た顔して」

魔娘「うるさいわね…」ジロッ

男「…で?次はどこに行くんだ?」

魔娘「…え?」

男「実はさ、聞こえちまったんだ」

魔娘「そう…そんなことだと思ったわ」
247 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:14:46.79 ID:DMYanI4ro
男「…ごめんな?」

魔娘「なんで謝るのよ」

男「え?だってさ…ハーフとは言え俺が人間だからこの国に居られないんだろ?」

魔娘「そうよ。でもそれは男のせいじゃないわ。あの新勇者達のせいよ」

男「…あの新勇者様は話が分かる人だと思ったんだけどなぁ」

魔娘「お付きの連中が良くないんでしょ?きっと」

男「そっか」
248 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:15:17.64 ID:DMYanI4ro
魔娘「それで…荷物は?」

男「ああ。食料品以外はまとめてある。で…どうする?」

魔娘「そうね…とにかくちょっと休みたいわ。わたしもいろいろあって疲れちゃったし」

男「そうだな。のんびりできるところがいいな」

魔娘「のんびり…か。じゃあ、温泉に行かない?」

男「おんせん?」

魔娘「地下から沸いてくるお湯のことよ。温泉なら鬼の国が有名ね」

男「鬼の国!?名前からして物騒な国だな…」
249 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:15:56.82 ID:DMYanI4ro
魔娘「はあ?」

男「いや、だって…鬼って言うとさ、力が強くて乱暴で…ってイメージがあるし」

魔娘「それは人間の勝手な思い込みよ。確かに怒ると怖いけど…」

魔娘「彼らは基本的に温厚でおとなしい種族よ?背丈も私達とほとんど変わらないし」

魔娘「ただ、彼らは…妙に凝り性というか没頭しやすいって言うか…とにかく変わり者なの。魔法も変わったものが多いし」

男「そっか…で、そこに行ってどうするんだ?」

魔娘「温泉は心と身体を癒す効果があるんだって。だからそこで気分転換しましょ?」

男「…ん、了解。で、どこにあるんだ?」

魔娘「このまま海沿いに歩いていって5日ってとこかしら?」

男「じゃあ、行くか」

魔娘「ええ」
250 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:16:31.00 ID:DMYanI4ro
〜鬼の国・小さい村〜

男「なんと言うか…」

魔娘「…のどかね」

男「この草はなんだろう?麦じゃないみたいだけど…」

魔娘「これは“米”っていうのよ」

男「へえ…これ全部“米”なのか…あんな山の上のほうまで…」

魔娘「鬼の国の特産品なのよ」

男「今日はここで泊まるか?」

魔娘「…そうね。今までずっとテントで寝泊りだったものね」

男「とりあえず飯にしよう。保存食には飽きたしな」

魔娘「ええ。楽しみだわ」
251 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:16:58.83 ID:DMYanI4ro
〜飯屋〜

男「米ってうまいな!」

魔娘「この煮物もおいしいわ。きっとこの…ショーユ?のおかげね」

男「ミソスープも美味かったしな!」

魔娘「しかもヘルシーだし」

男「食いものは気にいった。ここはいいな」

魔娘「そうね」クスッ
252 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:17:29.13 ID:DMYanI4ro
〜宿の部屋〜

男「部屋に入るときに靴を脱がなきゃいけないとは思わなかった」

魔娘「これは畳ね」

男「たたみ?」

魔娘「鬼子族独特の文化で、鬼子族はこの上で生活するの」

男「ふーん…ベッドもないんだな」

魔娘「“布団”っていう寝具があるわ」

男「この扉の裏にあるやつか?」

魔娘「そうよ。寝るときはその布団を畳の上に敷いて寝るの」
253 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:18:18.35 ID:DMYanI4ro
男「ふーん…習慣なんかは種族によって違うってことか」

魔娘「そうよ。人魚族に“ベッドで寝ろ”なんて言えないもの」

男「そりゃそうだ。じゃあ風呂に入ってくる」

魔娘「綺麗に洗うのよ?」

男「わかってるって」

パタン

魔娘「…さて、布団を敷いて…バスタオルも忘れずに…ティッシュはどこかしら?」
254 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:18:47.67 ID:DMYanI4ro
〜数日後・大きな温泉町〜

男「やっと着いた…まずは宿屋だな」

魔娘「そうね…早く休みたいわ」

男「安いところがあるといいんだけどな」

魔娘「まだお金はあるから大丈夫よ?」

男「いや、どれぐらいここに居るか分からないからさ」

魔娘「…そうね。でも、せめて温泉がある宿にしましょ?」

男「了解」
  ・
  ・
  ・
255 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:19:14.12 ID:DMYanI4ro
〜宿の部屋〜

男「やっぱり畳だな」

魔娘「でも、これはこれでいいわよ?ゴロゴロできるし」

男「アレのときに落ちる心配もないしな」

魔娘「え?」

男「…いや、分からないんならいいんだ」

魔娘「?」
256 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:19:40.11 ID:DMYanI4ro
〜町の中〜

男「大きい町だけあって、さすがに活気があるな」

魔娘「色々なお店があるわね」

男「ん?あれは…口入屋か?」

魔娘「そうみたいね」

男「覗いてみるか」
  ・
  ・
  ・
257 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:20:06.79 ID:DMYanI4ro
魔娘・男「「…」」

男「…極端だな」

魔娘「田んぼの作業が多いけど…」

男「こっちのほうは…ニンジャコーナー?ニンジャってなんだ?」

魔娘「凄腕のスパイよ。もっとも、今では伝説の存在なんていわれてるわ」

男「でんぜつのそんざい?」

魔娘「ええ。ニンジャは情報収集、破壊工作、暗殺なんかも行なう、隠密のプロだって言われてきたけど…」

魔娘「…誰も見たことがないの」

男「ふーん」
258 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:20:59.56 ID:DMYanI4ro
口入屋「何かご用でしょうか?」

男「あ、いえ。この国は初めてなんで、どんな仕事があるのか見てるんです」

口入屋「そうですか。何かありましたらお呼び下さい」

男「あ、はい」

魔娘「…ねえ、この依頼見て」

男「ん?どれどれ?…え?」
259 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:21:33.77 ID:DMYanI4ro
口入屋「何かご用でしょうか?」

男「あ、いえ。この国は初めてなんで、どんな仕事があるのか見てるんです」

口入屋「そうですか。何かありましたらお呼び下さい」

男「あ、はい」

魔娘「…ねえ、この依頼見て」

男「ん?どれどれ?…え?」
260 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:22:15.51 ID:DMYanI4ro
魔娘「…“調査依頼。ニンジャの方。詳細は面接で”」

男「ニンジャってやっぱりいるんだ…」

魔娘「依頼があるからって本当にいるわけじゃないわよ?」

魔娘「第一、こんな適当な依頼を受けるニンジャがいるのかしら…」

?「いるでござる」

魔娘・男「「え?」」

シュン
261 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:22:50.01 ID:DMYanI4ro
男「…い、今、声がしたよな?」

魔娘「ええ…」

男「なんか…不気味だな…」

魔娘「早く出ましょ?ね?」

男「…そうだな」
262 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:23:17.03 ID:DMYanI4ro
〜飯屋〜

男「食べ過ぎた…」

魔娘「わたしも…けぽっ」

男「この国は食いものがうまいな!」

魔娘「そうね。それだけでも来た価値があったわ」

男「あははは。そうだな。じゃあそろそろ宿に戻るか?」

魔娘「そうね。宿に戻ってちょっと休んだら、温泉に入ってのんびりしましょ?」

男「そうだな」
263 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:23:43.86 ID:DMYanI4ro
〜宿の温泉・男湯〜

カポーン…

男「気持ちいいな…」

チャポン

男「…」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  男「だからさ、仇討ちをして、二人でのんびり暮らすってのは?」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

男「…仇討ち…か…」
264 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:24:46.97 ID:DMYanI4ro
男「かっこつけて言っちまったけど…」

男(…どうすりゃいいんだろ…第一どうやって魔王に近づきゃいいんだ?)

男「…けど、魔娘のためなら…やってやるさ)

男「…はぁ、あっちぃ…」

モブ鬼人「おい兄ちゃん、湯あたりする前にあがんなよ」

男「あ、はい」ザバァ
265 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:25:13.72 ID:DMYanI4ro
〜女湯〜

チャプン

魔娘「はぁ〜…気持ちい〜」

パシャン

魔娘「…」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  男「俺と魔娘の二人で仇討ちに行けば戦争にはならないから、国民は苦しまなくてすむだろ?」

  男「で、その後どこか静かなところで二人で暮らす。どうだ?」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

魔娘「…二人で…か」
266 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:25:40.68 ID:DMYanI4ro
魔娘(仇討ちも静かに暮らすのも男と二人で…)

魔娘「そのためには…仇を…」

魔娘(そりゃあ…お父様を殺されて憎いけど…わたしは仇を討ちたいの?それより男と二人で…)

魔娘「二人で…」

魔娘(…きっとここで仇を討たないと後悔するんだろうな…だけど…そうなったら二人とも…)

魔娘「…死んじゃうかもね…」

魔娘(でも…男となら…それもいいかな…)

魔娘「はあ…そろそろ上がろ」ザパァ
267 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:26:10.27 ID:DMYanI4ro
〜夜中〜

男「そろそろ寝るか」

モゾモゾ

魔娘「もう寝るの?」

男「ああ。温泉に入ったら眠くなってさ。たまには早く寝るのもいいだろ?」

魔娘「…」
268 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:26:37.10 ID:DMYanI4ro
男「ん?どうした?」

魔娘「…お話があるの」

男「話?なんで?」

魔娘「ここに来るまで…ゆっくり話をする時間なんて無かったでしょ?だから…」

男「そうだな…で、どんな話だ?」

魔娘「うん…男はこれからのこと…どんな風に考えてるの?」

男「封印の島で話したろ?」
269 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:27:08.92 ID:DMYanI4ro
魔娘「…本気なの?」

男「魔娘の仇討ちに手を貸して、その後はのんびり二人で過ごしたい」

魔娘「…わたしも…男と一緒に暮らしたい…」

男「…」

魔娘「で、でも…お父様の仇も討ちたい…」

男「手を貸すよ」

魔娘「…お父様は強い人だったわ…」

男「…」

魔娘「だけど…こ、殺されたの…」
270 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:27:41.24 ID:DMYanI4ro
男「…相手は相当強いってことだな」

魔娘「うん…わたしは…そんな強い種族なんて知らないし…もしかしたら…卑怯な手を使ったのかも…」

魔娘「そう思うとね?…その相手のことが憎くて…殺してやりたいって思うの」

男「そっか…」

魔娘「で、でも…わたし達じゃ太刀打ちできない相手かもしれない…もしそうなら…」

魔娘「男は…寿命を削ることになるかもしれないし…最悪、わたし達二人とも死んじゃうのよ?それでも…」

魔娘「…男は…その…わたしに力を…貸してくれるの?」

男「…いやだな」

魔娘「…え?」
271 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:29:06.51 ID:DMYanI4ro
魔娘(やっぱり…死ぬのはいやだよね…)ウルッ

男「俺は…魔娘も死んだりしない。必ず生きて仇討ちをするんだ」

魔娘「あ…」

男「最初から“負ける”とか“死ぬ”とか考えるなって。な?」

男「第一、相手がどんなやつかよく分からないって言うんなら調べりゃいいんだよ」

魔娘「…」ポロッ

男「時間はあるんだ。慌てずにやっていこう?な?」

魔娘「うん…うん!」
272 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:29:33.67 ID:DMYanI4ro
男「じゃあ今夜はぐっすり寝て明日、やっていくことを考えよう。お休み」

魔娘 ゴソゴソ…

男「…なんで俺の布団に入ってくる?」

魔娘「えへへへ」ギュッ

男「抱きつくなって」

魔娘「えへへへ…えぐっ…ヒック…ありがと…ヒック…」

男「…俺のほうこそ…ありがとな…」
273 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:30:07.78 ID:DMYanI4ro
〜翌日〜

男「で?なんで口入屋なんだ?情報を集めるんなら酒場か飯屋だろ?」

魔娘「そんなところで手に入る情報なんて、どこにでもあるような内容でしょ?」

魔娘「わたし達が欲しいのは、もっと手に入りにくい情報なの。だからここで依頼するのよ」

男「誰にだよ」

魔娘「“ニンジャ”よ」

男「にんじゃあ!?」

魔娘「しっ!声が大きいわよ!!」

男「ご、ごめん…」
274 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:30:34.90 ID:DMYanI4ro
魔娘「わたし達だけじゃ集められる情報は限られるでしょ?だからここに来たの」

魔娘「口入屋は仕事を受けることも出来るけど、依頼することも出来るわ。だからここで情報を集めてくれる人を頼むの」

男「いや、それは分かるんだけどさ…大丈夫なのか?その…魔王側に情報が漏れるとか…」

魔娘「それは…否定できないけど…」

口入屋「そこはうちを信じてもらうしかないですね」

魔娘・男「「!?」」
275 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:31:06.68 ID:DMYanI4ro
口入屋「なにを調べるのかは分かりませんけど、調べ物なら馴染みがいるんで頼んでみましょうか?」

魔娘「…馴染みって?」

口入屋「そういう調べものが得意なヤツですよ。口も堅いし。ただ…ちょっとお高くなりますが」

男「どれぐらいですか?」

口入屋「それは…ちなみに費用はいくらぐらいまで出されますか?」

魔娘「そうね…全部込みで金貨5枚ってとこかしら」

口入屋「そうですか。なら本人と話してみてください。それじゃ」

男「あ、ちょっと!話すったって…どこに居るんだよ…」

くの一「…なにを調べるの?」

魔娘・男「「えっ!?」」
276 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:31:36.00 ID:DMYanI4ro
くの一「しっ!大きな声を出さないで!!」

魔娘「ご、ごめんなさい」

男(まったく気配を感じなかった…この女、一体…)

魔娘「…調べて欲しいのは…魔王のことなの」

くの一「…」

魔娘「どんな種族で、特長とか…あと、周りにいる取巻きなんかも知りたいわ」

魔娘「とにかく、どんなことでもいいから知りたいの」

くの一「…これよ」パサッ

魔娘「え?」
277 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:32:03.68 ID:DMYanI4ro
くの一「この町で手に入る情報。これより詳しい情報が欲しいなら…正式に依頼して」

パラッ…パラッ…

魔娘「…わかったわ。あなたに依頼します」

男「お、おい…」

魔娘「男、この情報みて?」

男「…」ペラッ

魔娘「どう?これだけでもわたし達が調べようとしたら10日以上掛かるわ」

男「そうだな…」

魔娘「でも、この人はこの程度の情報には価値がないって思ってるの」

くの一「ふふっ。その通りよ」
278 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:32:30.08 ID:DMYanI4ro
魔娘「依頼内容は魔王の調査。費用は金貨5枚。どう?」

くの一「…調査期間は2週間。金貨10枚、前金で」

魔娘「高いわ。7枚」

くの一「8枚。これ以下なら受けないわ」

魔娘「くっ…し、商談成立ね」

男「おいおい金貨8枚って…手持ちの半分だぞ?」

魔娘「それぐらいどうってことないでしょ!?」

男「いや、でもさ…」
279 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:33:04.12 ID:DMYanI4ro
魔娘「…きっと彼女ならわたし達よりも効率的に情報を集めてくれるわ。それに…」

魔娘「わたし達じゃ王の国で自由に動けないしコネもないから、きっとすごく大変よ?」

男「…」

魔娘「…王の国までの移動は?」

くの一「転移符を使うわ」

魔娘「それも込みの費用?」

くの一「ホントは別料金にしたいけど…おまけしておくわ」

魔娘「ありがと。じゃあ…はい。金貨8枚」チャラ

くの一「…確かに。2週間後にここで会いましょ。わたしの名は“くの一”」

魔娘「わたしは“魔娘”よ。楽しみにしてるわ」

シュン

男「消えた…」
280 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:33:30.88 ID:DMYanI4ro
口入屋「…話はまとまりましたか?」

男「あ、はい」

口入屋「それはよかった。ヤツは腕は確かなんですが…仕事を選ぶもので…」

魔娘「そうなのね」

男「あと、2週間後にここでって言われたんだけど…」

口入屋「ええ。心得てます」

魔娘「助かるわ」

男「じゃあ…一旦宿に戻るか?」

魔娘「そうね。さっきもらった情報に目を通しましょう」

男「それじゃ、また」

口入屋「はい。また御贔屓に」
281 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:34:46.78 ID:DMYanI4ro
〜宿の部屋〜

ペラッ…ペラッ…

男「すごい…箇条書きでまとめてある」

魔娘「分かりやすいわ…」

男「説明してくれないか?」

魔娘「“反乱について”、“魔王に関する噂”、“魔王国の政策方針”…どれからにする?」

男「俺はこっちのことは何にも知らないからさ…どれからでも一緒かな?」

魔娘「じゃあ…順番に行くわね。まずは…“反乱について”ね…」

男「これによると…
282 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:35:14.60 ID:DMYanI4ro
   ・反乱は軍の過激派と反乱軍によるもの。

   ・首謀者は軍内部のもの。詳細は不明。

   ・従者のゴブリン族たちを人質に取られ、前主王様が投降して反乱が治まる。

   ・人質になったゴブリン族は前主王様を裏切って反乱軍に寝返った。

   ・投降した前主王様は処刑時に竜族によって連れ去られた。

   ・前主王様の御遺体は白竜人の菩提所にある。

   ・姫様は反乱のあと行方不明のまま。死亡説など諸説あるがどれも信憑性にかける。

   ・魔王は軍を動員して姫様の捜索に当たっている。
283 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:35:42.43 ID:DMYanI4ro
魔娘「ほぼその通りね」

男「まあ、黒竜人や白竜人に聞いたことがあるから、この辺は分かるな」

魔娘「…じゃあ、次。“魔王に関する噂”」

魔娘(敬称抜きで書くなんて…魔王にあまりいい印象はないようね)

魔娘「どんな噂かしら…」

男「魔娘も知らないのか?」

魔娘「ええ。だってわたしは反乱が起こったその日のうちに転移で人間界に飛ばされたもの」

男「そっか。じゃあ…“魔王についての噂”」
284 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:36:10.23 ID:DMYanI4ro
   ・元々軍内部にいた。

   ・但し、過激派ではない。

   ・身長は2mとも。

   ・がっちりした体系らしい。

   ・魔法もつかえるようだ。

   ・従者が居るらしい。

285 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:36:36.68 ID:DMYanI4ro
男「最初の二つ以外はホントに噂だな…」

魔娘「そうね。でも、こういう情報はくの一さんに頼んであるから、そっちを待ちましょ?」

男「ん。で、最後。“魔王国の政策方針”」
286 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:37:04.35 ID:DMYanI4ro
   ・魔王国は軍事力を増強している。

   ・また、スパイを各地に派遣し、反乱分子を洗い出そうとしている。

   ・軍隊維持のため、近々増税される。

   ・公共事業は今のところ問題なく実施される。ただし、予定はいつ変更になるか分からない。

   ・武器や防具の発注が多い。また、輜重部隊も整備されている。

   ・そのため、現時点では国内の景気はよい。

   ・魔王は人間界を戦闘目標にしている。そのため、勇者が攻めてくるのを待っている。

   ・勇者が攻めてきたら、それを口実に人間界に乗り込むつもりである。

287 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:37:31.55 ID:DMYanI4ro
男「…これって…」

魔娘「明らかに人間界に攻め込もうとしてるわね。でも…どうしてかしら?」

男「どうしてって?」

魔娘「だって、主王国から見れば人間界に攻め込んでも、何も得るものはないわ。土地ぐらいなものよ」

魔娘「でも、それだと軍隊を動かすほどのメリットは無いわ。だって大赤字だもの」

男「じゃあ…なんで人間界に?」

魔娘「それが分かれば苦労はしないわ。くの一さんが調べてくれるといいんだけど…」
288 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:37:58.41 ID:DMYanI4ro
〜2週間後・口入屋〜

パタン

男「こんにちは」

口入屋「あ、あんた!」

魔娘「くの一さん、帰ってきてるかしら?」

口入屋「…あんたら、やつに何を頼んだんだ!?」

男「なにって…魔王のことを…」

口入屋「じゃあなんであいつが!なんでこんな目に!!」

魔娘「ちょ、ちょっと!話が見えないんだけど…」
289 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:38:36.05 ID:DMYanI4ro
口入屋「…こっちにこい!」

男「は、はい」

ガチャッ

くの一「ひゅ…ひゅ…」

魔娘「くの一さん!?どうしたの!!」

口入屋「…昨夜帰ってきたんだ。体中傷だらけだ。しかも毒にも侵されてる…」

男「おい!魔娘!!」

魔娘「わかってる!“解毒呪”!“大回復呪”!!」パァアアアア…

くの一「ひゅ…ひゅ…はっ…はっ…はあ…はあ…」

魔娘「…呼吸が落ち着いてきたわ。あとは意識が戻れば…」
290 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:39:02.87 ID:DMYanI4ro
口入屋「あんたら…上級呪文が使えるのか!?」

魔娘「ええ。とりあえず様子を見ましょう」

口入屋「…助かった…」

男「いったい何があったんだ?」

口入屋「分からない…こいつがこんなひどいことになったのは初めてだ…」

魔娘「ずいぶん心配してるけど…どういう関係かしら?」

口入屋「…こいつは幼馴染でな、俺の…婚約者なんだよ」

魔娘・男「「え?」」
291 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:39:51.82 ID:DMYanI4ro
口入屋「俺達は…お互い一人前になって稼げるようになったら結婚しようって…」

口入屋「こいつは腕がいいからすぐに稼ぐようになって…俺のほうも最近やっと稼げるようになってさ…」

魔娘・男「「…」」

口入屋「次の仕事がうまくいったら…結婚しようって言ってたんだ…それなのに…」

男「その…ごめんなさい」

魔娘「わたし達があんな依頼をしたばっかりに…」

口入屋「…いや、あんたらは悪くない。すまない、八つ当たりしてしまって…」

男「いや…」
292 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:41:25.20 ID:DMYanI4ro
魔娘「…くの一さんの傷、あれは魔法でやられたのね」

口入屋「魔法で?」

魔娘「ええ。火傷に炭化痕に凍傷…火炎魔法と電撃魔法と凍結魔法だわ。しかも一度にかけられてる…」

男(ん?似たようなことがあったような…)

魔娘「相手は相当な手練ね…」

男「けど、おかしくないか?」

魔娘「なにが?」
293 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:42:14.09 ID:DMYanI4ro
男「だってさ、今の魔王のことを調べるだけで、何で魔法で攻撃されなきゃいけないんだ?」

魔娘「よっぽど知られたくないのよ。魔王は自分のことを…ね」

口入屋「…確かに。魔王様に代わって随分経つが…未だに姿を見たっていう人に会ったことがない…」

くの一「…魔王はハーフエルフよ。見た目は碧眼族だけどね」

口入屋「お前!目が覚めたのか!?」

くの一「ええ…わたしの荷物は?」

口入屋「あ、ああ…ここにある」ゴソゴソ
294 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:42:41.72 ID:DMYanI4ro
くの一「持ってきて」

口入屋「…ここでいいか?」

くの一「ありがとう。ねえ、魔娘さん」

魔娘「なあに?」

くの一「これが調査報告書よ」ゴソゴソ パサッ

魔娘「あ、ありがとう…休んでて。まだ体力までは回復してないでしょうから」

くの一「でもまだ仕事は完了してないの。布団の中からで悪いんだけど、簡単に説明するわね」

魔娘「無理しないでね?」

くの一「ええ。じゃあ…まずはそれを読んで。補足するから」

魔娘「分かったわ。じゃあ…」
295 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:43:08.53 ID:DMYanI4ro
  ・魔王は碧眼族のハーフエルフ。

  ・20年ほど前から軍内部で仲間を増やしていった。

  ・10年前には裏で過激派を操るまでになった。

  ・魔王の特殊能力は不明。

  ・とにかく人を遠ざけたがる。

  ・しかし従者とは寝食を共にしている。

  ・従者の詳細は不明。引き続き調査中。
296 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:43:35.78 ID:DMYanI4ro
くの一「…まだ情報が足りないところもあるけど、このザマだから…」

魔娘「いいえ。この短い期間でここまで判れば大きな進歩よ。さすがね」

くの一「全然ダメよ。こんなの…」

口入屋「…」

男「…あの〜…」

魔娘「なあに?」

男「これ見ても良くわかんないんだけど…」

くの一・口入屋「「…」」
297 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:44:22.54 ID:DMYanI4ro
男「そ、そんなビックリしなくていいだろ?」

魔娘「…そうね。男は人間界で育ったから、こっちのことは殆んど知らないものね」

口入屋「見た目は人間っぽいと思ってたが…」

くの一「でも、純粋な人間ってわけでもなさそうね」

男「はあ、俺、ハーフエルフなんです」

くの一「道理で…きれいな顔立ちしてると思ったわ」

男「はあ…」ポリポリ

魔娘「…」ツネッ

男「いたっ!なにすんだよ!!」

魔娘「べーつにー?」

くの一「ふふふ」
298 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:44:50.47 ID:DMYanI4ro
魔娘「…じゃあ、最初から説明するわ。ちゃんと聞くのよ?」

男「う、うん」

魔娘「まずは碧眼族。彼らは文字通り青い目と髪を持つ種族よ」

魔娘「彼らは魔法に長けてるわ。性質はいたって普通ね」

魔娘「ただ、矜持は高いわ。彼らの多くは上級魔法の使い手だし」

男「ふーん。で、母親がエルフか…」

くの一「そうとは限らないわ」

男「え?」
299 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:45:18.21 ID:DMYanI4ro
魔娘「父親がエルフだって可能性もあるってことよ」

男「え?…あ、そっか。俺、自分の母親がエルフだから、みんなそうだとばっかり思ってたわ」

くの一「そこまではまだ調査が進んでなかったの…」

魔娘「…話を進めるわよ?」

男「あ、うん」

魔娘「20年ほど前っていうと…先代勇者が魔界に来てから2〜3年後ぐらいね。まだ私たちは生まれてないわ」

魔娘「この頃から軍内部で魔王は力をつけていったって…」

くの一「この頃にね、“反乱軍”が出来たの。その中心人物が…」

男「魔王?」

くの一「…そう」
300 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:45:57.49 ID:DMYanI4ro
魔娘「…どうして反乱軍が出来たのかしら…」

くの一「そうね…主王様は主王国の民から慕われていたのに…」

男「そりゃあどんないい人でも嫌うやつは居るだろ?そういうことなんじゃね?」

魔娘 ジロッ

男「うっ…ごめん…」

くの一「でも、あながち間違いじゃないと思うわ」

魔娘「どういうこと?」
301 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:46:28.78 ID:DMYanI4ro
くの一「前主王様は平和のために、争いごとは一切禁止していたでしょ?」

魔娘「え、ええ…」

くの一「平和っていいものだと思うわ。でもね、中には…狩猟種族みたいに餌場を確保するために縄張り争いをしたり…そうやって常に戦っていた種族も居るのよ?」

くの一「そんな種族の中には、戦いのない日々に不満を持つものが居たとしてもおかしくはないわ」

魔娘「…」

くの一「いろんな種族がいるんだもの。全部の種族が満足する世の中なんて不可能じゃない?」

くの一「それよりはもっと規律を緩めて、小競り合いや喧嘩ぐらいは黙認する世の中のほうがうまくいきそうに思うのよ」
302 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:47:00.45 ID:DMYanI4ro
口入屋「おい、お前喋りすぎだろ」

くの一「あら、ごめんなさい。ついお喋りに夢中になっちゃって」

魔娘「…別にいいわ」

くの一「でも、わたしがさっき言ったことは本心よ?」

男「あの…そろそろ続きを…」

魔娘「…そうね。それから10年ほどで、魔王は裏で過激派を操るまでになった…」

男「その10年で勢力を伸ばしていったのか…」

くの一「勢力を伸ばしたって言うより…裏工作って感じね」

男「うらこうさく?」
303 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:47:27.75 ID:DMYanI4ro
くの一「ええ。過激派は反乱のその瞬間まで、国軍としての責務は果たしていたの。ねえ?」

口入屋「ああ…それが突然寝返って…」

魔娘「え?」

口入屋「俺はそのころ修行の旅をしてて、反乱が起こったとき、ちょうど王の国の城下町にいたんだ。で、反乱を目撃してしまったんだ…」

魔娘「そうなのね…それで?」

口入屋「びっくりしたさ。今の今まで反乱軍に向かっていってた国軍が、いきなり向きを変えて反乱軍と一緒に城に向かっていったんだ」

口入屋「俺は身を隠しながら様子を見て、反乱軍が城内に入った隙に転移符で帰ってきたんだ」

魔娘「…」
304 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:47:56.31 ID:DMYanI4ro
男「…大体分かった。で、次なんだけど…」

魔娘「…」

男「…もう止めるか?」

魔娘「え?」

男「いや、なんかさ…辛そうだし?」

魔娘「…大丈夫よ。次は…魔王の特殊能力ね」

くの一「これは不明って書いたけど…洗脳術だと思うの」

男「洗脳術って…人に自分の思い通りのことを信じ込ませるっていうやつか?」
305 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:48:23.15 ID:DMYanI4ro
くの一「そう。しかもその洗脳はあっという間に行われるみたいなの」

魔娘「それって洗脳って言うより…催眠術みたいね」

くの一「そうね。それでわたしは、魔王はその力で反乱軍や過激派を洗脳していったって思ってるの」

魔娘「その可能性はあるわね。でも…反乱軍と過激派、合わせて数万人を洗脳するなんて…本当に出来るのかしら…」

くの一「出来るわ。だって魔王は…ハーフエルフだもの」

魔娘「!?」

男「あー…」

魔娘「…そうね。そうだったわ」

男「…ハーフエルフの力…か」
306 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:49:05.48 ID:DMYanI4ro
魔娘「次は…わたしにもよく分からないんだけど…」

男「どうした?」

魔娘「…ねえ、くの一さん。この3つは…」

くの一「魔王は人に会うことを避けてるとしか思えないの。お城の奥に従者と一緒に引き篭もってて…」

魔娘「…どうして?」

男「…へ?」
307 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:49:32.33 ID:DMYanI4ro
魔娘「どうして?反乱を起こして魔王になったのに、なんで引き篭もってるの!?」

男「お、おい、落ち着けって。な?」

魔娘「どういうことよ!じゃあ何のために反乱を起こしたのよ!!」

くの一「…分からないわ」

魔娘「どうして!どうしてよっ!!魔王になりたかったんでしょ!?どうして引き篭もるのよ!!」

男「もうっ…この…落ち着け!」ブチュッ

魔娘「!!」

くの一・口入屋「「…」」

魔娘「んー!んー!!んんーっ!!」ジタバタ
308 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:50:05.32 ID:DMYanI4ro
男「…ぶはあ!」

魔娘「はあ…はあ…」

男「落ち着いた?」

魔娘「はあ…あのねえ…くの一さん達が呆れてるじゃない」

くの一「…若いっていいわねえ…」

口入屋「俺たちもするか?」

くの一「…ばーか。ふふっ」
309 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:50:45.53 ID:DMYanI4ro
魔娘「ごめんなさい。取り乱しちゃって…」

くの一「いいの。落ち着いた?」

魔娘「ええ。じゃあ…魔王は人目を避けて従者とともに城の奥に引き篭もってる」

魔娘「従者の正体は不明。以上よ」

くの一「そこに書いてあるとおり、魔王は表立って活動はしていないわ」

魔娘「じゃあ、行政は?」

くの一「大臣が全て取り仕切ってるわ。魔王は山のように詰まれた書類にサインをしたらまた引き篭もるの」

魔娘「なにそれ…」
310 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:51:35.62 ID:DMYanI4ro
くの一「それで、魔王と従者のことを調べようとして城の奥に潜り込んだのよ」

くの一「魔王はエルフ族と碧眼族の特徴を併せ持った顔をしてたわ。だからハーフエルフだって分かったのよ」

くの一「それで、従者のほうを調査しようとしたら黒い霧に攻撃されて…何とか城の外まで逃げて、転移符で帰ってきたの」

男「えっと…その傷はその霧の魔法でやられたんですよね?」

くの一「ええ…」

男(黒い霧って…菩提所で魔娘が出してたのと同じものか?)
311 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:52:45.00 ID:DMYanI4ro
魔娘「毒はどこでやられたの?」

くの一「城から逃げるときに毒の吹き矢でやられたのよ」

魔娘「毒の吹き矢って…警備兵が!?」

くの一「…ええ。今は警備兵に毒の吹き矢を装備させてるの」

男「それは…厄介だな…」

魔娘「そうね…」
312 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:53:11.91 ID:DMYanI4ro
口入屋「…とにかく、お前が生きてて良かった」

くの一「縁起でもないこと言わないでよ。わたしはあんたの嫁になるまでは死ねないんだからね?」

男「惚気ですか…」

魔娘「お熱いことで」

くの一「あら。あなた達には負けるわよ?人前で接吻なんて、私にはできないもの」

魔娘「えっと…//」

男「ははは…」ポリポリ
313 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:53:38.90 ID:DMYanI4ro
口入屋「…で、どうしますか?」

男「…へ?」

くの一「わたしは…こんな中途半端で終わりたくない。報酬分は働くわ」

魔娘「え?でももう依頼した仕事は終わってるでしょ?」

くの一「そんな中途半端な報告書だけなんて、わたしが納得できないの。お願い」

男「…どうする?」

魔娘「わたしに聞かないで!男も考えてよ!!」

男「じゃあ…碧眼の国に行かないか?」

魔娘・くの一・口入屋「「「…へ?」」」
314 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:54:06.54 ID:DMYanI4ro
男「もちろん、くの一さんの怪我が治ってからだけどさ」

魔娘「…そんなところに行って何をしようって言うの?」

男「いや、魔王が碧眼族のハーフエルフだって言うから、じゃあ行っとく?みたいな?」

魔娘・くの一・口入屋「「「…」」」

男「…エ、エルフ族の町ではみんな俺のことは知ってたけど、他にハーフエルフが居るみたいなことは言ってなかったし」

男「だったら、碧眼の国に魔王の肉親が居るんじゃないかなーって…な?」
315 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:54:37.69 ID:DMYanI4ro
魔娘「…仮に肉親が居るとして、どうやって探すつもり?」

くの一「見つけることは出来ると思うわ」

魔娘「え?」

くの一「但し、大金を積めばね。それと調査期間も必要よ」

魔娘「じゃあ無理ね。だいたい、肉親を見つけたからって何かあるの?」

男「あ、いや…どんな人か教えてもらえるだろ?」

魔娘「…そんなことのために時間とお金を使いたくないわ!」
316 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:55:05.95 ID:DMYanI4ro
くの一「…あなたは何でそんなことを知りたいの?」

男「あ、はい。あの…スッキリしなくて…」

魔娘「なにが?」

男「いや、反乱軍を作ったり勢力を拡大したりするような人が、何で今さら引き篭もりになってんのかが分かんなくてさ」

くの一「…確かにそうね。わたしが見た魔王はごく普通の碧眼族って感じだったし、何より覇気がなかったわ」

魔娘「…それで?」

くの一「つまり、反乱を起こすような人物には見えなかったの」

魔娘「でも実際に反乱は起こったわ。そしてヤツが今の魔王よ」

男(魔娘、言葉を選んで話そうとしてるな。冷静になろうとしてるのが分かる…)
317 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:55:32.44 ID:DMYanI4ro
くの一「…ねえ。わたしもスッキリしないわ。碧眼の国に行きましょ?」

魔娘「はあ?」

くの一「肉親を探すんじゃないわ。魔王の情報を集めるためよ。それなら契約の範疇でしょ?」

魔娘「それは…そうだけど…」

男「なら、決まりだな」

魔娘「…じゃあ、男はくの一さんの怪我が治るまで、働いてお金を稼いでね?」

男「…へ?」

口入屋「今ならこんな仕事もありますが」

魔娘「どれどれ?…あら。いいじゃない。男、この仕事やりなさいよ」

男「俺の意思は無視かよ!」
318 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:56:01.58 ID:DMYanI4ro
〜その頃・魔王城〜

従者「城内を探索しましたが、もう賊はいません。魔王様」

魔王「そうか…」

従者「お前達も下がってよい」

警備兵「はっ!失礼します」

パタン

魔王「…」バサッ
319 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:56:28.33 ID:DMYanI4ro
従者「…もう大丈夫よ、勇者。あなたには指一本触れさせないから」

魔王「ああ…すまないな、魔法使い」

魔法使い(従者)「ううん。勇者のことが好きでしていることなんだもの。あたしのほうこそ感謝してるのよ?」

魔法使い「…ありがとう。あたしを傍に置いてくれて」チュッ

魔王「ん…」

ドサッ

魔法使い「あ…あん…」
  ・
  ・
  ・
320 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:56:55.07 ID:DMYanI4ro
魔法使い「スー…スー…」

魔王「…」ナデナデ

魔王(軍も洗脳した…官僚も洗脳した…商人たちも洗脳した…)

魔王(名も無いハーフエルフだった俺が…今じゃ魔王だ…)

チラッ

魔王(魔法使い…お前に出会って…恋をして…俺の運命は大きく動き出したんだ…)
321 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:57:40.65 ID:DMYanI4ro
〜〜魔王の回想〜〜

  俺は小さい頃ひ弱だった。

  腕力もないし強力な魔法も使えない。

  俺は臆病者だった。

  うちは貧乏だった。

  母さんは娼婦をしていた。

  俺には父さんはいない。

  娼婦をしている母さんと、母さんの客だったエルフ族のオトコとの間に生まれたのが俺だ。
322 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:58:10.74 ID:DMYanI4ro
  …そう、俺は悪名高いハーフエルフだ。

  あの“エルフの悪夢”を引き起こしたハーフエルフと同属だ。

  ハーフエルフは寿命を消費することで巨大な力を得ることが出来る。

  それぐらいは知ってる。

  でも、死ぬのが怖いから使うことはなかった。

  そんな風に…情けないほど臆病だったんだ。

  そんな俺にも友達がいた。幼馴染だ。

  幼馴染は母親が母さんと同じ娼館で働いていたから、俺たちはいつも二人でいた。

  俺たちは姉弟のように育った。あの事件が起こるまでは…

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
323 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 00:59:34.04 ID:DMYanI4ro
魔王「…」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  俺が15歳、幼馴染が…16歳のときだ。

  その頃俺は、幼馴染を“女”として意識していた。

  幼馴染は…かわいかった。

  ある日の夜中、幼馴染の母親が家に駆け込んできた。

  幼馴染がどこに行ったか知らないかと。

  その日の夕方、俺は幼馴染に会っていた。

  幼馴染は夕飯の買い物に行くといっていた。

  母親は、幼馴染はいつもなら起きて自分の帰りを待っているのに、今日は家に居ないのだと。
324 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 01:00:09.12 ID:DMYanI4ro
  俺は全身に鳥肌が立った。

  俺は…最後に幼馴染にあった場所に向かった。

  大声で名前を呼んだ。

  通行人にうるさいと怒られた。

  俺は---初めてあの力を使った。

  周りにいた人…200人ほどを洗脳し、幼馴染を探させた。

  やっとのことで見つけた幼馴染は…似蛇族独特の臭いの体液にまみれて死んでいた。

  俺は幼馴染の身体を綺麗になるまで拭き、家につれて帰った。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
325 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 01:00:39.54 ID:DMYanI4ro

魔王「あれは辛かったな…」ポロッ

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  俺は似蛇族の溜まり場に行こうとした。

  けど…行けなかった。怖かったんだ。

  幼馴染を辱め殺した似蛇族に復讐することも出来ない、情けない俺…。

  俺は…現実から逃げるために家をでた。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
326 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 01:01:28.26 ID:DMYanI4ro
魔王「でも…」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  知らない土地で十日ほど何も食べずに歩いていたら、いつの間にか意識を失っていた。

  気がつくと建物の中にいた。

  傭兵達が助けてくれた。

  彼らは名前と年以外、余計なことは聞かなかった。

  けど、数日後、費用を請求された。

  お金を持ってなかった俺は傭兵になって稼ぐしかなかった。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 
327 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 01:01:55.66 ID:DMYanI4ro

魔王「そのおかげで…」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  傭兵生活は悪くはなかった。

  喧嘩や小競り合いはあるものの、割と平等に扱われた。

  しばらくして、俺たちの部隊は獣の国と妖精の国の国境に近い小さな要塞に派遣された。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
328 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 01:02:22.76 ID:DMYanI4ro

魔王「そこで…初めて魔法使いと出逢ったんだ」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  要塞で見張りをしていると、森の中の道を魔法使い達が歩いていたんだ。

  俺は目を疑ったよ。

  だって…魔法使いは…髪と目の色以外は幼馴染にそっくりだったんだ…。

  俺は仲間に言われて後方の師団に伝令に行って…その師団に斥候として同行することになった。

  師団は大きな損害を受けたけど---“勇者”を倒した。

  そのとき、俺は気を失っている魔法使い達の近くで、仲間を牽制していた。

  そして魔法使い達は転移で消えて…何とか無事に逃げてくれたんだ。

  そのあと俺は軍曹になったけど、相変わらずあの要塞にいた。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
329 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 01:03:14.37 ID:DMYanI4ro

魔王「そして…奇跡が起こったんだ」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  それから数年後、俺はいつものように周辺の見回りに行った。

  そこで…魔法使いに巡り合ったんだ。

  魔法使いは俺を見て攻撃しようとした。

  俺は…何もしなかった。出来なかった。

  防御するでもなく、攻撃するでもなく…俺は…魔法使いを見つめているだけだった。

  魔法使いは攻撃しなかった。

  勇者を知らないかと尋ねられた。

  俺はとりあえず安全な場所に魔法使いを連れて行った。

  そこで俺は、勇者が死んだことを魔法使いに告げた。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
330 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 01:03:41.33 ID:DMYanI4ro

魔王「それで…」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  魔法使いは信じなかった。

  怒って立ち去ろうとしたので、俺は洗脳呪を使って魔法使いに俺が勇者だと信じ込ませた。

  それから魔法使いは優しくなった。

  魔法使いは俺の言うことは何でも聞いた。

  俺は魔法使いを抱いた。

  俺は魔法使いを要塞の自分の部屋に軟禁した。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
331 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 01:04:08.11 ID:DMYanI4ro

魔王「結構幸せだったなぁ…」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  けれどそんな日々は長くは続かなかった。

  魔法使いは俺に、主王様を倒しに行かないのかと言ってきた。

  困った俺は一計を思いついた。

  俺は洗脳呪で要塞の中にいる者全てを、主王様に反発する反乱軍として洗脳した。

  その上で魔法使いに、今はまだ兵力が足りないと説得した。

  魔法使いは喜んだ。

  魔法使いは一度軍隊と戦ったことがあるせいか、兵力を増強することに同意してくれた。

  俺たちは辺境の要塞で反乱軍ごっこをしていたんだ。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
332 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 01:04:34.79 ID:DMYanI4ro

魔王「この頃はまだよかったんだ…」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  けど、軍の過激派が反乱軍ごっこに気付いた。

  要塞に来た過激派の使者は、全員俺が洗脳した。

  そのうち使者は来なくなった。

  そして過激派が行動を起こした。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
333 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 01:05:01.37 ID:DMYanI4ro

魔王「あの時の魔法使い、すごかったなぁ…」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  俺は夜中に轟音で目覚めた。

  見ると横で眠っていた魔法使いは…頭に天井から落ちてきた柱が直撃していたんだ。

  慌てて助けだし気を失っていた魔法使いを起して、窓の外を見たんだ。

  要塞はすでに囲まれていた。
334 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 01:05:28.20 ID:DMYanI4ro
  俺は焦った。

  もうおしまいだと思った。

  俺たちの要塞にいる反乱軍は弱小部隊で、過激派の師団になんか敵うはずなかった。

  そのとき、窓の外から閃光と耳を劈く轟音が聞こえた。

  魔法使いが大雷撃呪を使ったんだ。

  そのすさまじい威力に、過激派の師団は退却していった。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
335 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 01:05:55.36 ID:DMYanI4ro

魔王「それから…急展開だったな…」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  過激派のリーダーが面会に来た。

  反乱軍のことを知って協力したいって言われたんだ。

  それで魔法使いが乗り気になって、なだめるのに苦労したんだ。

  情報を集めるほうが先だという俺に魔法使いは…本当に勇者か?って尋ねたんだ。

  正直、ビビッた。

  魔法使いに、一刻も早く平和な世界を作るのが勇者の役目じゃないか?とか、

  もう何年も待ったとか、

  士気も高まってる今がチャンスだとか。

  そんなこと言われて詰め寄られて…もう開き直るしかなかったんだよなあ。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
336 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 01:06:22.27 ID:DMYanI4ro

魔王「あの時は我武者羅にやってた…」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  反乱を起こすことが確定して、俺は出来るだけ多くの兵士を洗脳した。

  みんなで話し合った結果、夜襲することになったんだ。

  夜襲は見事成功した。

  そして…主王様が投降した。

  従者を人質にしたとか、ゴブリン族がどうしたとか行ってた気はするけど。

  主王様の処刑は、俺には性に会わなかったんで、リーダーが行った。

  嬲り殺しにしている途中で竜人たちに主王様を奪われたと聞いたけど、もう生きてはいないだろう。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
337 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 01:06:49.10 ID:DMYanI4ro

魔王「そして…」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  しばらくして、誰が王になるのかって話になったとき、魔法使いがおかしいって言い始めたんだ。

  やっと主王様を倒したのに、どうして次の王を決めるのかって。

  あの時は説明するのに疲れたよ。

  今は治安も行政も、いろんなことが混沌としてるから、誰か号令をかける人が必要なんだって。

  一番手っ取り早いのは、誰かが王になって号令を掛ければいいんだって。

  そうしないとみんな身勝手な行動をしちゃうだろ?って。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
338 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 01:07:17.64 ID:DMYanI4ro

魔王「そのとき…魔法使い、君はとんでもないことを言ったんだ」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  魔法使いは俺に魔王になれと。

  いきなりそんなこと言うもんだから、思わず君のおでこに手を当てちゃったね。

  だけど君はちょっと怒りながらこう言ったんだ。

  “わたしは人間界に戻ってもお尋ね者だから、勇者さえよければ、一緒に魔界で暮らすのもいいよ”

  それを聞いて俺は決心したんだ。

  “俺が魔王になる”

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
339 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 01:07:53.03 ID:DMYanI4ro

魔王「あれは殆んど自棄だったよなぁ」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  それからは軍だけじゃなく、従者や城下町の住民の洗脳をしたんだ。

  そのときにかなり疲れちゃったから倒れて…。

  そしたらリーダーが、ゆっくり養生しろって、仕事は任せとけって言ってくれたんだ。

  そうしてゆっくり養生することが出来た。

  そして…久しぶりに魔法使いと二人っきりの時を過ごせたんだ。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
340 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 01:08:19.65 ID:DMYanI4ro

魔王「ホント、リーダーには感謝だな…」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  体調も大分よくなったけど、リーダーは無理はしなくていいって言ってくれた。

  リーダーはいつの間にか大臣になってて、仕事の大部分をこなしてくれていた。

  おかげで俺は書類にサインをするだけでよかった。

  おかげで今もこうやって魔法使いと一緒に過ごすことが出来る。

  しかもスパイとかから俺を守るために別邸を作って、警備兵までつけてくれてる。

  リーダーは本当によくしてくれてる。

  俺みたいな、何も出来ないやつが魔王をやっていけてるのもリーダーのおかげだな…。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
341 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 01:09:06.71 ID:DMYanI4ro
魔王「…zzz…」

魔法使い パチッ

ムクッ ゴソゴソ

魔王「zzz…」

チラッ

魔法使い「…もうすぐ…全てが動き出すのね…」
342 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 01:09:33.38 ID:DMYanI4ro

〜〜魔法使いの回想〜〜

  このオトコと出会ってからもう何年になるのだろう…

  森の中で初めて出会ったとき、このオトコは驚いていたようだった。

  わたしは攻撃しようとしたのに…このオトコはただわたしを見つめていた…

  敵対する様子もなかったので勇者のことを聞いたらここは危険だから安全なところに行こうって…

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
343 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 01:09:59.96 ID:DMYanI4ro

魔法使い「信用したわけじゃないけど何か知ってるみたいだったから付いて行ったら…」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  勇者は死んだと…

  もちろんわたしは信じなかった。

  そしてこのオトコの許を離れようとしたら洗脳されて…このオトコを勇者だと…

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
344 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 01:10:26.80 ID:DMYanI4ro

魔法使い「…」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  それからわたしはこのオトコを勇者だと信じて行動を共にした。

  オトコはわたしを要塞の自分の部屋に連れて行って…わたしを抱いた…

  しばらくは要塞のオトコの部屋に潜伏して様子を伺っていたけど…

  一向に魔王退治に行かないオトコを不審に思って聞いてみた。

  『魔王を倒しに行かないの?』って…

  このオトコは魔王を倒すため、反乱軍と行動を共にしているって…

  今はまだ勢力が小さいから、勢力を拡大中なんだって…

  このオトコを勇者だと思い込んでたわたしはその言葉を信じた。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
345 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 01:11:04.54 ID:DMYanI4ro

魔法使い「あなたは知らないでしょうけど…あのとき、わたしは洗脳が解けたのよ?」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  寝ている間に頭に衝撃を受けたわたしはまどろみの中にいた。

  意識がはっきりしてくると、このオトコがわたしの顔を覗き込んで心配していた。

  目の前には“勇者”と名乗る碧眼のオトコ。

  わたしが知っている勇者は黒目なのに…
346 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 01:12:22.85 ID:DMYanI4ro

  わたしが混乱しているとオトコは窓の外を見て絶望的な声をあげた。

  わたしも窓の外を見ると…魔族の軍隊が押し寄せてきていた。

  身の危険を感じたわたしは大雷撃呪で軍隊を蹴散らした。

  このオトコは…心底喜んでわたしに抱きついた。

  驚いたけど温かかった…頼りないけど優しくてわたしを包み込むような温かさだった。そして慣れ親しんだ…

  その時…わたしはこのオトコに初めてを捧げたことを理解した。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
347 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 01:12:49.51 ID:DMYanI4ro

魔法使い ギリッ…

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  このオトコが憎かった。

  この男を殺そうとした。

  でも、このオトコはあまりにも無防備だった。

  わたしが殺気だって睨んでもこのオトコは身構えることも無く…

  まるで母親に甘える子供のように無邪気に微笑んだ。

  わたしは…この男を殺すことを諦めた。
348 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 01:13:17.07 ID:DMYanI4ro
  わたしは冷静に考えた。

  このオトコの言う通りなら勇者はすでに死んでいる。

  なら…わたしは勇者の遺志を継ぎ、魔王を倒そう。

  そしてわたしたちを犯罪者に仕立て上げた人間の国の国王もこの手で…

  そのためには…私一人では無理。魔王や国王には強い軍がついているから。

  このオトコは自らを勇者と名乗り、小さいながらも反乱軍を率いている。

  だからこのオトコの協力は必要であり不可欠。

  ならば…このオトコを利用しよう。

  そして魔王と国王を倒した暁には…

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
349 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 01:13:43.35 ID:DMYanI4ro
魔法使い「…」

ガチャッ パタン

大臣(リーダー)「従者殿」

魔法使い「どうしたのですか?大臣」

大臣「今仕事が終わったところです」

魔法使い「そうですか…ご苦労様です」
350 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 01:14:15.91 ID:DMYanI4ro
大臣「…魔王様は?」

魔法使い「部屋でお休みになっておられます」

大臣「そうですか。来月の一般参賀についてお話を…と思っていたのですが…」

魔法使い「来月…ですか」

大臣「ええ。魔王様は今まで殆んど表舞台に出てこられなかった。そのため周辺国では魔王様の存在を疑うものまで出る始末」

大臣「このままでは魔王様の威厳が保てなくなりますので、今回の一般参賀を企画したのですが…」

魔法使い「それは大事なことですが…またの機会にしていただけますか?」

大臣「…しょうがないですね。では明日にでも時間を作っていただきたい」

魔法使い「分かりました…では、ごきげんよう」

トテトテトテ…

大臣「…ふん。人間風情が」
  ・
  ・
  ・
351 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/20(日) 01:14:22.16 ID:9a2F2LQ20
女の恨みってのは怖いねぇ・・・
352 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/20(日) 01:14:32.35 ID:ID5wCMTeo
レイプは国技ニダー
353 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 01:14:56.57 ID:DMYanI4ro
〜城の最深部〜

コツッ コツッ コツッ…

ギギギギ…

ウオオオオオン…

「あと少しだ…あと少しで新勇者が来る…」

ウォオオオオン…

「新勇者よ…早く来い…その時こそ…」



----最も優秀な我が民族が世界を治めるために----
354 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 01:15:33.96 ID:DMYanI4ro
〜〜大臣の回想〜〜

  俺は以前、この城の清掃係だった頃、サボるために身を隠す場所を探していて、最深部に迷い込んだことがある

  そこには結界に守られた扉があった

  俺がその扉にもたれかかりサボりの言い訳を思案していたら急に景色が変わり…目の前にはこの武具があった

  武具が長い歳月を掛けて作り上げた結界の綻びに俺は落ちたのだ

  武具は俺の頭に直接話しかけてきた

  ---魔力をよこせ---と
355 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 01:16:11.19 ID:DMYanI4ro
  俺は寝ぼけているんだと思った

  夢なら何があっても怖くないと思った俺は尋ねた

  魔力と引き換えに、何をしてくれるのかと

  武具は俺に力をくれると約束した

  武具は剣を取れと

  言われるままに剣を取った

  そのとき武具全体が鳴動した

  すると魔力を全て吸われた

  目眩がして倒れそうになったが、元々持っている魔力が微々たるものだったこともあり、何とか意識を保っていた

  ---力を与えよう---
356 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 01:16:37.51 ID:DMYanI4ro
  俺は体中に力がみなぎるのを感じた

  武具から力をもらったのだ

  そのとき俺は、今までの出来事が夢ではなく現実だと知った

  そして…俺の中の野心に火がついた

  この国を…この世を支配したいと

  我が民族を虐げてきた者共を見返し、支配したいと

  優秀なる我が民族がこの世の全てを牛耳るのだと
357 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 01:17:22.02 ID:DMYanI4ro
  俺は武具を元に戻し、封印を避けるようにして抜け道を作ってその部屋を出た

  封印を破ったり武具を持ち出したりすると騒ぎになるからだ

  そして野望の実現のために軍に志願した

  最初は馬鹿にしていた将校達も俺の剣捌きを見て黙り込んだ

  俺は軍で力を見せ付け、過激な発言で注目を集めた

  腑抜けた連中を尻目に俺はトントン拍子に出世した

  気がつけば過激派と言われ、軍の中でもそこそこ大きな勢力になっていた
358 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 01:18:10.73 ID:DMYanI4ro
  そして反乱軍ごっこなどと生意気なお遊びをしている連中をからかうつもりで進軍したら…魔王たちが居た

  奴らは強かった

  いや、奴等の特技がすごかったのだ

  魔王は一瞬で多くの群集を洗脳し、魔法使いはその強大な魔力で数々の強力な攻撃魔法を繰り出した

  俺は思った

  “これを利用しない手はない”と…

  奴らを隠れ蓑にして俺の野望を実現してやるのだ

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

大臣「…もう少しだ…もう少しで我が悲願が達成する…ふふふふ…ふはははは…ははははは!!」
359 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 01:18:56.68 ID:DMYanI4ro
今日はここまでです

おやすみなさいノシ
360 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/20(日) 01:20:55.93 ID:GjF0pmXHo
おやすみー
これで寝れる
361 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/20(日) 01:21:38.56 ID:XgEl7ts4o
ほう
それぞれの思惑が……って、感じだな

些かの説明感は否めないが
362 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/20(日) 01:22:47.90 ID:spOZTOhJo
おやすみー
漸く魔法使いが出てきたか
363 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/20(日) 01:24:54.83 ID:9a2F2LQ20
乙。続き楽しみにしてる
364 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/20(日) 01:25:26.48 ID:nc5q2WS+o
365 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/20(日) 01:25:50.78 ID:WFmCPNkno
>>352
そんな事言うとまた荒らしがファビョるんじゃないか?
366 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/20(日) 01:32:04.61 ID:QC/vQFJWo
母親がわりの竜は拉致られて孕まされる
そして前の勇者の仲間は洗脳されて犯される

>>1のSS好きだったってのもあって鬱や
367 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/20(日) 01:35:35.33 ID:8JIOXR/1o
へぇ、そっすか
368 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/20(日) 01:39:59.88 ID:D9B8EUR0o
はいwww
369 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/20(日) 01:42:07.65 ID:Xtw1k2Kao
いや前から>>1のSSで鬱描写はあったろ
370 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/20(日) 02:17:41.75 ID:9a2F2LQ20
誰か親切な人俺に前作を教えてくれ
371 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/20(日) 02:21:13.16 ID:XglP+p3So
前スレくらい読め
372 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/20(日) 02:35:16.68 ID:p1iGrV1no
みみず族をこらしめてやってくれ
373 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/20(日) 03:43:13.46 ID:6LlkgT7DO
なんか一気につまんなくなったなぁ…
374 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/20(日) 04:47:32.75 ID:WH+3qToDo
今回鬱展開多くないっすかねえ
はいwwww
はい…
375 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/20(日) 09:13:14.33 ID:m+hawxOIO
鬱やねぇ
376 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/20(日) 09:28:08.98 ID:Ksxw7tLAO
初めてのファンタジーだから色々挑戦してるんだろ
377 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:04:32.58 ID:DMYanI4ro
では行きます
378 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:05:49.85 ID:DMYanI4ro
〜碧眼の国〜

男「…見事なまでに青い髪と目だな…」

魔娘「でも、それ以外はわたし達とほとんど変わらないわ」

くの一「そうね。ここではわたし達のほうが珍しいんだけどね」

魔娘「それで…どうするの?」

くの一「わたしは情報を集めてくる。だから…夜に宿屋に戻るわ」

魔娘「別行動ね。分かったわ」
379 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:06:24.67 ID:DMYanI4ro
くの一「じゃあ」

シュン…

男「…で、俺たちはどうするんだ?」

魔娘「そうね、とりあえず…町をブラブラしましょ?」

男「…買い物か?」

魔娘「そう。必要なものを買い揃えなきゃね。市場はどこかしら?」
  ・
  ・
  ・
380 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:06:51.50 ID:DMYanI4ro
〜数日後・路地裏〜

くの一「こっちよ」

男「薄暗くて不気味なんだけど」

魔娘「変な臭いもするし…」

くの一「文句言わないの」
  ・
  ・
  ・
381 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:07:18.28 ID:DMYanI4ro
くの一「ここよ」

魔娘「ここって言われても…」

男「…廃墟?」

くの一「…入るわよ」

ギギィ…

男「真っ暗だな…」

魔娘「やっぱり変な臭い…」

ガタッ

魔娘「ちょっと!」

男「悪い、足元が見えないから…」
382 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:07:44.63 ID:DMYanI4ro
?「…誰だ」

一同「「「!?」」」

くの一「…ある人を探してるの」

?「…ここには私しか居ない…帰りなさい」

魔娘「!?」

男「どうした?」

魔娘「その声…喋り方…側近なの!?」
383 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:08:11.32 ID:DMYanI4ro
?「…側近など知らない。帰りなさい」

魔娘「…じゃあいいわ。回復魔法と変化魔法と解毒呪以外使えないような封印をわたしにかけた側近かと思ったけど…」

?「っ!?」

魔娘「帰るわね」

男「え?マジで帰るのか?」

魔娘「ええ。あとはよろしくね、くの一さん」

くの一「…」
384 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:08:41.09 ID:DMYanI4ro
?「…お、お待ちください!!」

カッ コツッ カッ コツッ…

男(この人…足が悪いのか?杖を突いて…)

?「…すみません。フードを取ってお顔を見せてください」

魔娘「…」

パサッ

魔娘「…これでいい?」
385 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:09:07.60 ID:DMYanI4ro
?「おおぉ…姫様!御無事で!!」ギュッ

魔娘「やっぱり側近なのね?」

?改め側近「はい!」

魔娘「…ごめん、ちょっと離れて」

側近「え?」

魔娘「臭いが…ね?」

クンクン…

側近「…身支度をしてきますので今しばらくお待ちください」
  ・
  ・
  ・
386 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:09:36.44 ID:DMYanI4ro
側近「そうですか…ご苦労をされたのですね…すみませんでした」

魔娘「もういいわ。それに…」チラッ

男「…へ?」

魔娘「そのおかげで男に会えたんですもの」

側近「姫様…」

男(この人…さっきはわかんなかったけど…髪をちゃんと梳かしたら優しそうなおばさんだったんだ…)

魔娘「じゃあ…今度は側近のことを聞かせて?あの後…わたしを人間界に送った後、何があったのか」
387 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:10:27.86 ID:DMYanI4ro
側近「…主王様のことではないのですか?」

魔娘「お父様のことは…もういいわ」

男「俺たち、白竜人の菩提所も行ってきたんですよ。そこで前主王の亡骸と…」

側近「そうでしたか…申し訳ありません。私がもっと警戒をしていれば…」

魔娘「それはしょうがないことよ」

側近「しかし…」

魔娘「しょうがないことなのよ…」

側近「…申し訳ありません」
388 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:10:54.12 ID:DMYanI4ro
魔娘「それで、どうして側近はこんなところに居るの?どうやって暮らしていたの?」

側近「はい。今は代書屋などをして暮らしております」

魔娘「え?なんで?側近ならもっと他に仕事があるんじゃ…」

側近「…姫様、私の左目を見てください」

魔娘「左目?…眼帯?」

側近「あの反乱で…主王様とともに戦っているときに矢が刺さりまして」

側近「それ以来、魔法を使おうとすると頭の芯が痺れて…魔法が使えなくなってしまったのです」

魔娘「そうだったのね…」
389 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:11:20.56 ID:DMYanI4ro
側近「それに…矢が刺さって倒れている間に、足に毒を喰らってしまい…」

側近「何とか解毒はしたのですが…思ったように動かなくて…」

魔娘「それで私を探しにこれなかったのね」

側近「申し訳ありません!必ず迎えに行くと言っておきながら!!」

魔娘「もういいわ。謝らないで」

側近「しかし!」

魔娘「側近が人間界の一番いい場所に飛ばしてくれたから…わたしはこうして戻ってこれたの。だからもういいのよ」ニコッ

側近「姫様…」
390 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:11:46.82 ID:DMYanI4ro
男「ところで、どうやって主王城からここまで逃げてきたんですか?」

側近「…姫様。こやつは?」

魔娘「わたしの伴侶よ」

側近「…はい?」

男「魔娘の夫です」ペコッ

側近「…いやいや!姫様にはもっと相応しい伴侶をですね!!」

男「俺じゃダメだってんですか?」

側近「当然です!姫様は主王様のお血筋!!それがこんなわけの分からないオトコとなんて!!」
391 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:12:15.86 ID:DMYanI4ro
魔娘「まあ、確かに大馬鹿者ね」

側近「やっぱり!」

男「フォローする気もないの!?」

魔娘「お人好しでマザコンで、わたしのために命さえ投げ出そうとするような大馬鹿者よ」

男「えらい言われようだな…」

側近「し、しかし…このような貧弱な身体では…」

魔娘「男はね、クラーケンを撃退したことがあるのよ?」

側近「クラーケンを!?」

魔娘「ええ」

男「いや、あれは腹が減ってたから食おうとしただけだって。結局逃げられたし」

側近 アゼーン
392 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:12:59.01 ID:DMYanI4ro
男「…って、ちょっと待った。話が逸れてる」

魔娘「そうね。どんな話してたっけ?」

男「側近さんはどうやってここまで逃げてきたんだ?って」

魔娘「そうだったわね」

側近「…主王様です」

魔娘「え?」

側近「矢が刺さり…毒に犯された私を主王様は…転移魔法で碧眼の国まで転移してくださいました」

魔娘「そう…」
393 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:13:25.16 ID:DMYanI4ro
側近「私は…主王様をお守りすることも出来ず…姫様をお助けすることも出来ず…申し訳ありません!」

魔娘「もういいってば…」

側近「ひ、姫様ぁああ…」グスッ

魔娘「ちょっと!いい大人が泣かないの!!」ナデナデ
  ・
  ・
  ・
394 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:13:56.50 ID:DMYanI4ro
くの一「〜〜〜と、こっちで調べたのは大体こんなものね」

側近「分かりました。では、こちらの情報ですが…大体同じようなものです。すみません…」

魔娘「ううん。側近は良くやってくれたわ。そんな身体なのに…」

側近「勿体無いお言葉…ありがとうございます」

男「…ちょっと気になったんだけどさ」

魔娘「なあに?」

男「俺たち、魔王や従者のことばっか調べてるけど、他に気になることって…ないのか?」

くの一「他にって?」

男「いや、なんとなく言ってみただけなんだけどさ」

魔娘・くの一・側近「「「…」」」
395 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:14:23.54 ID:DMYanI4ro
魔娘「何かあるのかと思ったら…」ジトー…

くの一「ただの思いつきだなんて…」ジトー…

男「うぅ…視線が冷たい…」

側近「…」

魔娘「側近も呆れて言葉が出てこないみたいだわ」

側近「…いえ。実は…気にかかることがありまして…」

魔娘「どんなこと?」
396 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:14:49.45 ID:DMYanI4ro
側近「はい…実は…獣の国にレジスタンスがいるとの情報が」

魔娘「レジスタンス?」

くの一「あ、それはあたしも聞いたわ。軍がゲリラに攻撃されてるって」

男「ゲリラ?」

側近「それで獣の国に軍が移動しているんです」

男「それって…チャンスじゃないのか?」

くの一「そうでもないわ。王の国の軍隊は移動していないもの。移動しているのは周辺の国の軍隊だけよ」

魔娘「じゃあダメね…」
397 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:15:16.86 ID:DMYanI4ro
側近「そのことに関連して…憂慮していることがあるのです」

魔娘「どんなことかしら?」

側近「はい。軍を動かすと費用が発生します。先の反乱で国庫の資金はかなり減っているはずなのですが…」

くの一「資金源が分からないってこと?」

側近「はい。それで憂慮しているのは…城内のものを売却しているのではないかと」

魔娘「装飾品とか?」

側近「いえ、装飾品であればそれほど気にすることはないのですが…」

魔娘「じゃあ…なあに?」
398 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:15:43.70 ID:DMYanI4ro
側近「はい…わたしが憂慮しているのは武具…“呪いの武具”のことなのです」

くの一「“呪いの武具”だって!?」

男「物騒な名前だな…」

くの一「ホントにあったのね…」

魔娘「くの一さん、知ってるの?」

くの一「あくまで噂だけどね」

側近「姫様が御存知ないのも無理はありません。あれの話は忌諱に触れますから…」

魔娘「…どういうことかしら?」
399 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:16:09.58 ID:DMYanI4ro
側近「…姫様」

魔娘「なあに?」

側近「姫様は…“エルフの悪夢”をご存知ですよね?」

魔娘「え、ええ…」

側近「しかし、どうやって事態が収束したか…御存知ないですよね?」

魔娘「それは…ええ。知らないわ」
400 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:16:39.48 ID:DMYanI4ro
側近「あの時のハーフエルフは…その寿命を魔力に換えて、無差別に攻撃していました」

側近「そこで当時の主王様が、“呪いの武具”を身に纏い、ハーフエルフの魔力を吸収して倒したのです」

魔娘「すごい武具じゃない。それがどうして“呪いの武具”なの?」

くの一「噂では…“呪いの武具”は魔力を“力”に換えるって聞いたわ」

魔娘・男「「…え?」」

側近「そうです…“呪いの武具”は相手の魔力だけでなく、それを纏ったものの魔力までも貪欲に吸い取ってしまうのです」

側近「そのため、ハーフエルフを倒した当時の主王様は武力は上がったものの…二度と魔力が回復することはありませんでした」

男「恐ろしい武具だな…」

魔娘「ホントね…一体誰が、何の目的で作ったのかしら…」

くの一「噂では人間が作ったって話だけど…」
401 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:17:18.32 ID:DMYanI4ro
側近「…その噂は正しいです」

一同「「「え!?」」」

側近「“呪いの武具”は今から遙か以前…勇者が身に纏っていた武具なのです」

男「勇者様が!?」

側近「…その頃の勇者は魔法を使えなくて、主王様の魔法に対抗するために人間達が生み出したのが“呪いの武具”だと聞いています」

男「人間が…」

側近「“呪いの武具”は兜、鎧、盾、剣の4つです。しかし、魔力を吸収しなければ普通の武具と変わりはありません」

側近「結局、当時の主王様は魔法を使わず剣での戦いになり、勇者は討たれました」
402 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:17:51.58 ID:DMYanI4ro
側近「それでもその武具は近づくものの魔力を吸い取ろうとしたと…ですので、主王様は“呪いの武具”として城の奥深くに封印していたのです」

男「なるほどなぁ…」

魔娘「お城の奥には近づいちゃいけないって言われてたけど…そういうことだったのね」

側近「私の懸念は、彼らがその“呪いの武具”に手を出していないか…ということなのです」

魔娘「…でも、封印してるのよね?」

側近「それは…はい。結界でおいそれとは近づけないはずです」

魔娘「じゃあ大丈夫じゃない?王家の結界ならちょっとやそっとじゃ解けないでしょ?」

側近「そうなのですが…なにやら胸騒ぎがするのです…」

魔娘「え?」
403 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:18:17.68 ID:DMYanI4ro
側近「王家の結界は生半可な魔力では解けません。それこそ全盛期の私の様な術者でないと…」

側近「しかし…もし魔王側に力を持った術者がいたら…」

魔娘「そ、そんな術者はそうそういないわよ。ね?」

側近「そうですね…それにもし結界を破ったとしても、部屋の中に入った途端、“呪いの武具”に魔力を吸い取られるでしょうし…」

側近「…私の杞憂であればよいのですが…」

一同「「「「…」」」」
404 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:18:43.72 ID:DMYanI4ro
男「あの〜」

魔娘「なあに?」

男「もしさ、元々魔力を持ってない人が“呪いの武具”に近づいたら…どうなるんだ?」

魔娘・くの一「「え?」」

側近「それは…なんともなりませんね」

魔娘「どういうこと?」

側近「“呪いの武具”は近づくものの魔力を吸い取り、力に換えます。ですので魔力のないものが近づいても…」

くの一「何にも起こらないって事ね…」
405 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:19:42.57 ID:DMYanI4ro
側近「ですが…主王国の民でそのようなものは殆んどおりませんし…」

側近「それこそ杞憂だと思いますよ?」

男「そっか。じゃあさ、魔力を吸い取られたらどうなるんだ?」

側近「…一瞬で魔力を吸い取られるため、気を失ったり動けなくなったり…最悪、死ぬこともあります」

男「物騒だな…」

魔娘「そんなものを持ち出されたら…大変ね…」
406 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:20:23.94 ID:DMYanI4ro
男「…まあ、“呪いの武具”については封印してあるってことで後で考えるとして…」

魔娘「そうね。今は…出来ることを考えましょ?」

側近「そうですね…もし術者がいたら、すでに結界は解かれているでしょうし…」

魔娘「そうよ。だから今ここで悩んでたって仕方ないもの」

男(もし結界が解かれていたら…魔法は使えない上に接近戦もダメってことだよな…)

側近「では…これからどうするか…ですね」

魔娘「ええ…」
407 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:20:49.87 ID:DMYanI4ro
側近「その前にお聞きしたいのですが…姫様はどうなさるおつもりですか?」

魔娘「わたしは…」チラッ

男 コクッ

魔娘「…お父様の仇を討ちたい。このままじゃ…お父様がかわいそうだもの」

側近「そうですか…では…どのようにいたしますか?」

魔娘「え?」
408 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:21:17.12 ID:DMYanI4ro
側近「仇を討つとして…相手は過激派を中心とする屈強な軍を持っています」

側近「主王様の仇を討つためには、その軍を相手にすることを念頭に置かねばなりません」

魔娘「そんなもの!わたしの魔法で蹴散らして!!」

側近「それに、首尾よく仇を討ったとして…反乱軍が残っていれば、混乱が生じると思われます」

側近「姫様は反乱軍を全滅するおつもりですか?」

魔娘「そ、それは…」

側近「…仇を討つのであれば、そのあとのことも考えるべきです。混乱が生じれば…苦しむのは民なのですから」

側近「主王様は…民の幸せを第一に考えておられました。ですから姫様も…」

魔娘「…」
409 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:21:43.03 ID:DMYanI4ro
くの一「あたしはレジスタンスのことを調べたほうがいいと思うよ?」

魔娘「え?」

男「俺もそう思う」

魔娘「なぜ?」

くの一「レジスタンスの目的が分からないからね」

男「それにさ、レジスタンスってことは魔王に反発してるってことだろ?もしかしたら味方になるかもしれないじゃないか。な?」

くの一「それはどうかわからないけど…場合によってはレジスタンスも相手にする可能性があるわけだし…」

男「え?なんで?」
410 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:22:08.97 ID:DMYanI4ro
くの一「もしレジスタンスの目的が、自分達が王になることだったら?」

男「あ…」

くの一「だから、情報を集めておいて損はないと思うわ」

側近「ふうむ…私もそう思います」

魔娘「…そうね」

男「じゃあ決まりだな。次の目的地は…」

魔娘「ええ。獣の国よ」
411 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:22:45.68 ID:DMYanI4ro
〜獣の国・小さな町〜

ジロジロ…

男「なんか…見られてるな…」

魔娘「ええ…」

男「初めて“辺境の港”に行ったときみたいだ…」

くの一「気をつけたほうがいいわね…」

ザザッ

男「!?」チャキッ
412 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:23:12.78 ID:DMYanI4ro
馬人「お前ら、この国のもんじゃねえな」

牛人「怪我したくなかったら有り金全部置いて行けや」ニヤニヤ

くの一『二人とも、逃げるわよ』コソコソ

馬人「おっと。逃げようったってそうはいかねえぞ?俺ぁ脚が早いんだぜ?」ニヤニヤ

牛人「俺ぁ力はあるぜえ?」ニヤニヤ

男「頭悪そうな連中だな…」

馬人・牛人「「なに!?」」
413 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:23:41.87 ID:DMYanI4ro
牛人「てめぇ!」ブン!

男「おっと」ヒョイ

馬人「せいっ!」グワッ!

男「よっ」ヒョイ

馬人「…俺のけりをかわすたぁ…やるじゃねえか」

男「大したことないな。動きが遅い」

牛人「…てめえ」ジロッ

馬人「俺たちを本気で怒らせたようだな…」ジロッ
414 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:24:08.60 ID:DMYanI4ro
魔娘「何やってんのよ!」

男「いや、だってこいつらが…」

くの一「もう!どうするのよ!!もう逃げられないじゃない!!」

モブ獣人 ゾロゾロ…

くの一「ほら!仲間が出てきたじゃない!!」

魔娘「何とかしなさい!」

男「何とかって言ってもなあ…」ポリポリ
415 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:24:39.27 ID:DMYanI4ro
「お前ら何をやってる!」

馬人「…ち、牙狼族の奴らだ」

牛人「引き揚げだ」

ゾロゾロ…

狼男1「大丈夫か?」

男「ああ。ありがとうございます」

魔娘「助かったわ。あいつら、いきなり絡んできたから」

くの一「あなたたち…さっきの連中が“牙狼族”っていってたけど…」

狼男2「ああ。一応、この町で自警団をやっている」

男「自警団?」

狼男1「ああ」
416 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:25:05.43 ID:DMYanI4ro
魔娘「さっきの連中はなんなの?」

狼男1「…軍の兵士だ」

魔娘「今のが!?確か軍は規律が厳しかったはずよ?あんな連中がいるなんて…信じられないわ!」

狼男2「…魔王軍は今、軍を大きくしようとしている」

狼男2「それで傭兵だけじゃなくゴロツキどもも取り込んでいるんだ」

くの一「どうりで。ところで…あなたたちは大丈夫なの?」

狼男1、2「「ん?」」
417 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:25:31.66 ID:DMYanI4ro
くの一「わたしたちを助けたら、貴方たちがあいつらに狙われるんじゃない?」

狼男1「その心配はいらない。自警団は族長直属の組織だからな。たとえ魔王軍と言えど、風紀を乱すものは遠慮なく罰する」

男(族長って…確か各国を統治している人だよな?)

男「あの…それで軍と対立したりしないんですか?」

狼男2「…軍の中にも我等の同族はいるのだ」

魔娘「そうね。自警団に反抗すると軍内部の同族が黙っていないものね」
418 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:26:06.36 ID:DMYanI4ro
狼男2「そう言うことだ。それよりお前達、旅人のようだが…この町に留まるのか?」

魔娘「そうね。少なくとも今夜はね」

狼男2「そうか。なら、この通りの三つ目の十字路を左に入って3件目の宿に泊まるといい」

くの一「安いの?」

狼男2「値段は普通だが、俺の同属がやっているから少しは安全だ」

男「そうですか。ありがとうございます」

狼男1「早くいけ。また面倒なことに巻き込まれないうちにな」

魔娘「わかったわ。助けてくれてありがとう」

くの一「…さ、急ぎましょう」
419 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:26:32.67 ID:DMYanI4ro
〜宿の部屋〜

男「わりといい部屋だな」

魔娘「その分ちょっとお高いけどね」

男「このダブルベッドも毛がついてるかと思ったけど、そうでもないし」ポン

魔娘「獣人は他の種族の体毛には敏感なのよ。だから丁寧に掃除してるのよね」

男「そうなんだ」

コンコン

男「!?」チャキッ
420 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:26:58.49 ID:DMYanI4ro
くの一『あたしよ。入ってもいい?』

男「あ、はい。どうぞ」

ガチャ

くの一「一応周りも確認したけど、とりあえず安心していいわ」

魔娘「そう。ありがとう」

くの一「もう少ししたらあたしは情報を集めてくるわ。あなた達は?」

男「あ、そうですね…道具とか買い物してこようかと」

魔娘「あと保存食もね」
421 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:27:24.61 ID:DMYanI4ro
くの一「気をつけてね?さっきみたいに自警団の人が助けてくれるとは限らないから」

男「いざとなったら逃げますよ」

くの一「そうね。それがいいわ。それじゃ」

シュン

男「…くの一さん、頼りになるなあ」

魔娘「男も十分頼りになるわよ?」

男「そうか?」

魔娘「トラブルも多いけどね」

男「ははは…」

魔娘「…さ、わたし達もそろそろ行きましょ?」

男「そうだな」
422 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:28:04.36 ID:DMYanI4ro
〜町中〜

オラオラネーチャンアソンデコウゼ サワンジャナイヨ ツレネエナー ワハハハ

男「…ガラが悪いなぁ…」

魔娘「何処も彼処もチンピラだらけね…」

男「さっさと買い物を済まして帰ろう」

魔娘「ええ」
  ・
  ・
  ・
423 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:29:15.92 ID:DMYanI4ro
男「これで大体のものは買ったかな?」

魔娘「えっと…そうね、早く帰りましょう」

男「よし。じゃあ荷物を抱えて…」

魔娘「あ…男…」

男「どうした?…ん?」

兵士1「へっへっへー」ニヤニヤ

兵士2「よお姉ちゃん。俺たちといいことしようぜぇ」ニヤニヤ

兵士3「俺たち似蛇族は血交じりはできねえからよぉ、中に出しても安心なんだぜぇ?」ニヤニヤ
424 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:29:43.15 ID:DMYanI4ro
魔娘「…」ジリジリ

兵士4「おっと。逃げようったって無駄だぜ?おい!」

ゾロゾロ…

男「なんだなんだ?いっぱい出てきたぞ?」

魔娘「…鬱陶しいわね…」

兵士‘s「「「「へっへっへー」」」」ニヤニヤ

男「…どうする?逃げるか?」
425 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:30:08.30 ID:DMYanI4ro
兵士1「おい、お前」

男「ん?俺か?」

兵士2「さっきから目障りなんだよ!消えろ!!」

男「…と言われてもなあ…」ポリポリ

兵士3「…おい」

ザザザ

魔娘「…取り囲まれたわね」

男「そうだな」
426 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:30:34.58 ID:DMYanI4ro
兵士4「なに余裕こいてんだゴルァ!てめえら気にいらねえ!!」

魔娘「あら、奇遇ね。わたしもあなた達のことが大嫌いよ?」

兵士1「っんだとお!」

魔娘「それに臭いわ。似蛇族特有の臭いね、これは」

兵士2「…てんめぇ!」

魔娘「あ、そうそう。似蛇族が血交じりが出来ない理由って知ってる?種が根本的に違うかららしいのよねえ」

兵士3「それ以上言ったら許さねえぞ!」

魔娘「どんな風に許さないのかしら?種が違うのはあなた達が元々…ミミズだからなのよねぇ」

男(魔娘のヤツ…よっぽどこいつらのことが嫌いなんだな…)
427 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:31:00.65 ID:DMYanI4ro
兵士4「やつらを捕まえろ!!女はみんなで姦すぞ!オトコのほうは遣っちまってもかまわねえ!!」

一同「「「おるぁ!」」」ドドドド

男「一斉に押し寄せてきたな…“転移”」

シュイン

兵士1「え?ちょっ!と、止まれー!うわあぁぁぁ!!」グシャ ペキッ
  ・
  ・
  ・
428 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:31:26.94 ID:DMYanI4ro
〜宿の前〜

シュイン トサッ

男「周りの様子は…」キョロキョロ

魔娘「…どう?」

男「…大丈夫みたいだ」

魔娘「そう。良かった」

男「早く宿に帰ろう」

魔娘「ええ」
429 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:31:55.73 ID:DMYanI4ro
〜宿の部屋〜

ドサッ

男「買い物もとりあえず終わったな」

魔娘「そうね。荷造りしておきましょう」

男「ああ。それにしても…魔娘って似蛇族が嫌いなのか?」

魔娘「似蛇族が嫌いっていうか…弱いものには強く出るけど強いものには媚び諂う奴は嫌いなのよ」

魔娘「そういう奴に限って、ひとりじゃ何もできないくせに大勢集まると傍若無人な振る舞いをするの。さっきもそうでしょ?」

男「あー、確かにな」

魔娘「あれなら、この町で最初に絡んできた馬人や牛人のほうがマシだわ」

男(いや、どっちもダメだろ…)
430 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:36:15.87 ID:DMYanI4ro
魔娘「ついでに言っておくと、似蛇族を軍に登用することはないわ。だってすぐに逃げるし寝返るし…身勝手なんだもの」

男「え?でもさっきの連中って…兵士じゃないのか?」

魔娘「ええ…正規軍の兵服を着ていたわ…」

男「ってことは正規軍の兵士だろ?」

魔娘「そうね…何があったのかしら…」

コンコン

魔娘・男「「!?」」チャキッ
431 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:36:42.11 ID:DMYanI4ro
くの一『あたしよ。入っていい?』

男「なんだ…どうぞ」

ガチャ

くの一「帰ってきてたのね」

魔娘「ええ。買い物も終わったし」

くの一「なんだか通りのほうが騒がしいけど…何かあったの?」

男「あー、ちょっとね」

くの一「ちょっとって?」
432 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:37:23.18 ID:DMYanI4ro
魔娘「似蛇族の兵士に絡まれただけよ。なんてことないわ」

くの一「あら。それはちょっと厄介かもね…」

男「なんで?」

くの一「この町の軍のトップがじじゃぞくらしいのよ」

魔娘・男「「はあ?」」

くの一「そうだよねー。あたしも思わず耳を疑ったわ」

魔娘「まあ、大丈夫でしょ。この宿屋の主人は牙狼族だもの」

くの一「そうね。でも、気をつけるに越したことはないわ」
433 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:38:10.81 ID:DMYanI4ro
くの一の台詞が…orz

○くの一「この町の軍のトップが似蛇族らしいのよ」

×くの一「この町の軍のトップがじじゃぞくらしいのよ」
434 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:38:50.87 ID:DMYanI4ro
魔娘「それより、何か情報はあったの?」

くの一「ええ。信じられないことが起こってたわ」

男「どんな?」

くの一「ここ何年かの間にね、軍の幹部や兵士が大量に解雇されたらしいの」

魔娘「…え?」

くの一「どうやら現魔王は自分に都合のいい軍隊を作ろうとしているらしいわ」

魔娘「どういうこと?」
435 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:39:17.15 ID:DMYanI4ro
くの一「解雇された人たちは…親主王派だったのよ」

魔娘「!?」

くの一「魔王の目的は人間界への侵攻。そのために自分達の言うことを聞こうとしない人達を解雇したのね」

男「うわあ…」

魔娘「…解雇された人たちは?」

くの一「それが今のレジスタンスよ」

魔娘・男「「え?」」
436 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:39:44.28 ID:DMYanI4ro
くの一「それで…レジスタンスの幹部にコンタクトを取ったんだけど…」

魔娘「今日一日でそこまで出来たの!?」

くの一「あたし達ニンジャは単独で行動するけど、情報は共有するようにしてるの」

くの一「まずはこの国に居るニンジャにコンタクトを取って、会って来たの」

くの一「この国に居るニンジャは優秀な人でね。レジスタンスの幹部にコネクションを持っていたのよ」

男「すごいんだなニンジャって…」
437 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:40:13.53 ID:DMYanI4ro
くの一「…どう?会ってみる?」

男「また唐突だな…大丈夫なのか?」

くの一「それは分からないわ」

男「おいおい…」

くの一「コネクションを持っているからと言って、そこまで深い付き合いじゃないの」

魔娘「…」
438 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:40:39.57 ID:DMYanI4ro
男「どうする?嫌なら辞めてもいいんだぞ?」

くの一「でも、会ってみないと分からないでしょ?敵なのか、味方なのかは。ね?」

男「そりゃそうだけど…」

魔娘「わたしは…6:4で会ったほうがいいと思うわ」

男「また低い割合だな…」

魔娘「だって、相手がどんな人か分からないのに手放しで信用はできないでしょ?」

男「…そうだな」

くの一「じゃあ決まりね。連絡してくるわ」

シュン
439 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:41:05.64 ID:DMYanI4ro
男「…ホントに大丈夫なのか?」

魔娘「ここまで来たらやるだけやってみるわ。行動しないと何も変わらないもの」

魔娘「それに…いざとなったら男の転移で逃げれるでしょ?」

男「魔娘って…ホントに割り切るのが早いな。さすが姐さん!」

魔娘「どういう意味よ!」
440 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:41:34.91 ID:DMYanI4ro
〜夜・レジスタンスの隠れ家の近く〜

魔娘・男「「…」」

くの一「どうしたの?」

男「いや…すごい森だな…」

魔娘「…ねえ、ホントにここなの?」

くの一「ええ」

男「でもさ…建物も何もないじゃん!」

魔娘「しかもいろんな魔物の匂いがするわよ?」
441 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:42:01.14 ID:DMYanI4ro
くの一「ここで間違いないわ。あなた達、エルフの結界って知ってる?」

魔娘「ええ、知ってるわ」

くの一「この森はエルフの結界で守られてるの。見た目はただの森だけどね」

くの一「そして隠れ家に行くためにはエルフの結界を抜けなきゃいけないの」

男「でもさ、森に火を着けられたら一発でばれるんじゃ…」

魔娘「そんなことをしたら族長が黙ってないわね」

男「なんで?」
442 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:42:27.21 ID:DMYanI4ro
魔娘「獣の国の民にとって森は狩りや山菜なんかを得るために重要な場所なの。だからむやみに手出しできないのよ」

魔娘「そして軍の兵士の半数ほどが獣人族よ。だから獣の国の族長を怒らせるようなことはしちゃいけないの」

男「なるほど」

くの一「…こんなところで長居したら危険だわ。さ、行きましょ」

男「そうだな。じゃあ…」

くの一「待って。そっちじゃないわ」

男「え?でも道はここしかないんじゃ…」
443 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:43:07.05 ID:DMYanI4ro
くの一「入口はこっちよ」

男「え?そこって茂みじゃ…あれ?あそこ、なんか揺らいでるような…」

くの一「あなた、見えるの!?あたしは“エルフの目薬”で何とか見える程度なのに…」

男「ええ、まあ…」ポリポリ

魔娘「男はハーフエルフだからね」

くの一「そうだったわね…ほら、手を繋いで」

男「じゃあ…魔娘を真ん中にして」

魔娘「…ありがと」

男「俺は後ろを警戒する」

くの一「そうね。じゃあ…行くわよ」
  ・
  ・
  ・
444 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:43:33.21 ID:DMYanI4ro
男「ずいぶん歩くんだな…」

魔娘「もう15分ぐらい歩いてるわ…」

くの一「もうすぐ出口よ」

パァアアア…

くの一「…着いたわ」

男「ここが…」

魔娘「レジスタンスの隠れ家ね…」

男「すごい…ちょっとした村だな」

「とまれ!」

魔娘・男 ビクッ
445 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:44:00.24 ID:DMYanI4ro
熊男「…お前ら、どうやってここまで来た?」

くの一「“エルフの目薬”を使ってきました」

熊男「“エルフの目薬”だと!?お前ら…誰から手に入れた?」

くの一「わたし達、地元ニンジャさんの紹介で来たんです。これが紹介状です」

熊男「紹介状だあ?貸してみろ…ふん、確かに。軍師に会いに行くのか」

くの一「ええ。それじゃあ」

熊男「おっと、その前にお前達の匂いを嗅がせてもらう」

男「…匂いフェチ?」
446 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:44:27.07 ID:DMYanI4ro
熊男「誰がだ!お前らが武器や毒なんかを持ってないか調べるんだよ!!」

男「そう言うことですか」

くの一「じゃあ、あたしから行くわね」
  ・
  ・
  ・
447 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:44:53.64 ID:DMYanI4ro
熊男「…よし、行っていいぞ」

くの一「ありがとう。さ、行くわよ」

熊男「妙なマネはするなよ?女子供を牙に欠けるのは性に合わないからな」

男「女子供って…」

魔娘「あなたが子供に見えるってことでしょ?見た目だけじゃなくて中身も」

男「おいどういう意味だそれ」

熊男「騒ぐんじゃねえ!」

魔娘・男 ビクッ
448 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:45:20.11 ID:DMYanI4ro
くの一「はぁ…ごめんなさい。さっさと連れて行くわ…」

熊男「ああ、そうしてくれ。軍師はここをまっすぐいった先のでかいテントの中にいる」

くの一「ありがとう。あなたたち、ちゃんと付いてきなさいよ!」

魔娘・男「「はーい」」
  ・
  ・
  ・
449 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:45:46.33 ID:DMYanI4ro
くの一「…ここね」

魔娘「軍師って言ってたけど…どんな人なの?」

くの一「さあ?」

男「おいおい…」

くの一「とにかく、会ってみないと分からないでしょ?行くわよ」

魔娘「…そうね」

男(なんだろう…くの一さん、なんか焦ってるような…)
450 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:46:14.63 ID:DMYanI4ro
〜軍師のテント〜

バサッ

ラミア「失礼します。軍師さんにご面会ですわ」

軍師「相変わらず艶っぽいなぁ♪こっちにおいで♪」

ラミア「うふふ。だぁめ。ちゃんとお仕事してくださいな」

軍師「ははは。ラミアちゃんは真面目だなぁ。ところで…誰だ?」

ラミア「こちらの方々ですわ」
451 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:47:21.83 ID:DMYanI4ro
くの一「あ、くの一といいます。地元ニンジャさんの紹介で…」

軍師「ああ、話は聞いている。立ち話もなんだし、そこの椅子に座ってくれ」

くの一「ありがとうございます」トサッ

男(なんか…軽そうな黒豹だな…)

魔娘「…」トサッ

軍師「…そこの人、顔が見えないからフードを取ってくれないか?」

魔娘「…」

パサッ
452 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:47:48.91 ID:DMYanI4ro
魔娘「…これでいいかしら?」

軍師「…その角、まるで先代の主王様みたいだ…名前は?」

魔娘「魔娘よ。あなたはおと…先代の主王様を見たことがあるの?」

軍師「…あるよ。俺はこう見えても城での作戦会議に出たこともあるんだぜ?」

魔娘「そう…」

軍師「そうそう。城には姫様がいてなあ。俺を見かけると声をかけてくれたんだよなあ」チラッ

魔娘「…“黒猫”」ボソッ

軍師「猫じゃねえ!豹だってーの!!」

魔娘「…やっぱり“黒猫”なのね」
453 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:48:15.24 ID:DMYanI4ro
スチャッ

軍師「お久しぶりです、姫様」ヒザマヅキー

魔娘「ちょっとやめてよ。もう姫じゃないんだもの。さっきみたいに普通に話をしましょ?」

軍師「はい…では、失礼して…なんでここに来たんだ?」

男「変わり身すごっ!」

くの一「まさに豹変ってやつね…」

魔娘「そのほうが話しやすいわ」クスッ
454 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:48:42.05 ID:DMYanI4ro
軍師「まあな。いつもこんな感じで話してたもんな。で、目的は?」

魔娘「レジスタンスの目的を探るためよ」

軍師「レジスタンスの目的かぁ。それを知ってどうするんだ?」

魔娘「どうもしないわ」

軍師「…へ?」

魔娘「わたし達に敵対するのかどうかが知りたいだけよ。どう?レジスタンスはわたし達をどう扱うの?」

軍師「…」
455 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:49:08.51 ID:DMYanI4ro
魔娘「どうかしら?」

軍師「…まず、我々の目的は軍の傍若無人な振る舞いによって苦しんでいる民を救済することだ」

くの一「今の軍の兵士は殆んどゴロツキだものね」

軍師「…そのために障害になるものであれば敵対する。たとえそれが姫様であってもな」

魔娘「そう…ならいいわ。わたし達は軍にもレジスタンスにもつかないから」

軍師「…何を考えてるんだ?」
456 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:49:35.59 ID:DMYanI4ro
魔娘「なんてことない、ただの仇討ちよ」

軍師「仇討ち!?…3人で?」

くの一「あたしは違うわよ?」

軍師「それじゃあ…」

魔娘「…わたしと男の二人でね」

軍師「馬鹿な!死ぬつもりか!?」

魔娘「死ぬつもりはないわ」
457 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:50:20.58 ID:DMYanI4ro
軍師「魔王の城には常時衛兵が居るんだぞ!?」

軍師「竜人ならともかく、そこの優男なんか姫様の足手纏いになるだけだろ!!」

男「えらい言われようだな。もう慣れたけどさ」

くの一「あなた、見た目は普通だものね」

魔娘「…男はね、黒竜に勝ったことがあるの」

軍師「…はあ?」

男「いや、あれは引き分けだって」
458 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:50:49.06 ID:DMYanI4ro
軍師「…いやいやいや、さすがに嘘だろ…黒竜って言ったら竜人の中でも一番の強さじゃないか!」

くの一「クラーケンを撃退したり黒竜と引き分けたり…さすがハーフエルフね」

軍師「ハーフエルフだと!?」

男「はあ、まあ…」ポリポリ

軍師「…なるほど。そういうことか。“エルフの悪夢”の話は俺も聞いたことがある」

魔娘「わたしにとって仇は魔王ひとり。他の人とは戦いたくないの」

魔娘「だから男と二人で魔王のところに行くわ」

軍師「そうか…何かできることがあったら言ってくれ」
459 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:51:22.23 ID:DMYanI4ro
魔娘「ううん。これはわたし個人の問題なの。だから他の人を巻き込みたくないのよ」

軍師「いや、そういう訳には行かないだろ」

魔娘「なぜ?」

軍師「…もし仇討ちが成功したとしよう。そうすると主王国は混乱するだろうな」

魔娘「え、ええ…」

軍師「いきなりトップが居なくなるんだ。秩序は乱れ、法は破られ、民は苦しむことになるだろう」

魔娘「…」

軍師「そうなったとき、誰が民を守る?姫様一人で守れるか?」

魔娘「そ、それは…」
460 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:51:58.02 ID:DMYanI4ro
軍師「…軍のほうは俺たちで抑えることはできる」

軍師「けど、混乱を沈めるためにはカリスマが必要だ。それも、誰もが認めるような…カリスマがな」チラッ

魔娘「…」

バサッ

ラミア「失礼します。森の中に侵入者を確認しました」

軍師「軍の兵士か?」

ラミア「いいえ。4人組の人間のようですわ」

軍師「またあいつらか…」

男「あー…」
461 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:52:24.48 ID:DMYanI4ro
軍師「ん?あいつらを知ってるのか?」

魔娘「たぶんね。新勇者一行だと思うわ」

軍師「新勇者だって?なんでまた今頃…」

魔娘「現魔王のせいで人間界にも影響が出ているみたいよ?」

軍師「それでか…まあ、新勇者のほうは放っておいてかまわないだろ」

魔娘「どうして?」
462 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:52:51.31 ID:DMYanI4ro
軍師「この森は“エルフの結界”で守られてる。この隠れ家に近づいたら迷ってもとの場所に戻るだけだ」

ラミア「もう2回もこの森で迷ってるのに、また来るなんて…御馬鹿な人たちねえ」

魔娘「それは否定しないわ」

男「ひでえな…あ、そう言えばさ」

魔娘「なあに?」

男「ここに来るまでの間エルフ族を見てないんだけど、誰がこの結界を張ってるんですか?」

魔娘「そんなのエルフ族に決まってるでしょ?」
463 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:53:17.92 ID:DMYanI4ro
軍師「…いや。この結界を張ってるのは…鬼子族だ」

魔娘・くの一・男「「「え!?」」」

軍師「元々俺の部隊にはエルフ族がいたんだ。そいつは優秀で…いろんな魔法が使えたんだ」

軍師「しかも人格者だったからな。そいつを慕う奴は大勢いた」

軍師「今、この森に結界を張っているのはそいつの弟子だ。エルフ族とほとんど同じ結界を張ってくれている」

男「その…エルフ族の人は…」

軍師「…反乱の時にな、死んじまったよ」

男「そうですか…」
464 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:53:44.17 ID:DMYanI4ro
魔娘「男…もしかして…」

男「うん、たぶん…」

軍師「それがどうした?」

男「あ、いや…なんでもないです」

魔娘「…」

男「ありがとうございました」ペコッ

軍師「…変なやつだな」

男(お爺さん…すごい人だったんだ…)
465 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:54:10.62 ID:DMYanI4ro
〜夜・宿の部屋〜

ドサッ

男「よし。これで荷造りは完了っと」

魔娘「…」

男「…どうした?」

魔娘「え?う、ううん。なんでもないわ」

男「そうか?腹でも減ってるんじゃないのか?」

魔娘「そ、そうね!早く行きましょ!?」

男「そうだな」

ガチャ
  ・
  ・
  ・
466 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:54:44.25 ID:DMYanI4ro
〜食事中〜

モグモグ…

魔娘・男「「…」」

男(魔娘…さっきのことを考えてるんだろうな…)

魔娘(カリスマ…か)

男(軍師さんは魔娘にカリスマになれと言ってるんだ…)

魔娘(軍師の言ってることは分かるわ…でも…わたしは…)

男(軍師さんの言っていた条件に合うのは魔娘だけだろうな…)

魔娘(わたしは…男と一緒に…しがらみを捨てて…)

男(誰が考えても…やっぱり魔娘がカリスマになるべきだろうな…)
467 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:55:12.21 ID:DMYanI4ro
くの一「…あなたたち暗いわよ?」

男「あ…食べるのに夢中になってたよ。あはは…」

魔娘「そう言うくの一さんも最近暗いじゃない?どうしたの?」

くの一「…なんでもないわ」

魔娘「そう言えば…鬼の国を出てからそろそろ一カ月になるわね」

くの一「…」
468 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:55:38.57 ID:DMYanI4ro
魔娘「くの一さんはよくやってくれたわ」

くの一「それは…最初の依頼が中途半端になったから…」

魔娘「もう十分だわ。あとはわたし達の問題だもの」

くの一「そりゃそうなんだけど…」

魔娘「…くの一さん。今までありがとう」

男「ありがとう」

くの一「…うん」
469 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:56:08.92 ID:DMYanI4ro
〜翌朝〜

くの一「じゃあ、出発するわ」

男「今までありがとうございました」ペコッ

魔娘「ありがとう。おかげで随分助かったわ」

くの一「いいのよ。全部契約のうちなんだし」

魔娘「ううん。くの一さんは契約以上のことをしてくれたわ。調査期間だって随分と延びちゃったし」

くの一「それはあたしがちゃんと仕事を終わらすことが出来なかったからよ。ごめんね?」
470 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:56:35.24 ID:DMYanI4ro
魔娘「謝らないで。すごく感謝してるんだから。ね?」

男「そうだよ。俺たちだけじゃここまで出来なかっただろうし」

くの一「でも…」

魔娘「口入屋さんが心配してるわよ?とっくに契約期間は過ぎてるのに、あなたが帰ってこないから」

くの一「あ、知ってたんだ…」

魔娘「ええ」ニコッ

男「…あ、そうか!それでくの一さん、焦ってたんだ」

くの一「焦ってたって言うか…ちょっとイラついていたのは確かね」

魔娘「だから、早く帰って安心させてあげて。ね?」

くの一「…分かったわ。それじゃ…」

シュン
471 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:57:03.42 ID:DMYanI4ro
男「…行っちまったな」

魔娘「ええ…」

男「これからが本番だ」

魔娘「ええ、そうね」

男「それじゃ…俺たちも行きますか!」

魔娘「…ええ!王の国に向けて!!」
472 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/20(日) 23:58:33.42 ID:DMYanI4ro
今日はここまでにします

次からはようやく王の国だ…

おやすみなさいノシ
473 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/20(日) 23:59:14.23 ID:bopuSKLBo

脅威の勢い
474 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/21(月) 00:00:19.29 ID:wvV/38gAO
乙です
475 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/21(月) 00:00:25.69 ID:wrz0zD77o
似蛇の読み方がやっと分かった
476 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/21(月) 00:00:32.46 ID:I27LR9zGo
477 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/21(月) 00:09:08.21 ID:P8ZrcaDMo
478 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/21(月) 00:09:59.61 ID:sqLK/Dkz0
479 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/21(月) 00:48:53.03 ID:JPw3/Lcx0

「にだ」じゃなくて「じじゃ」だったんだな・・・
480 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/21(月) 01:23:32.43 ID:NXg5AEdqo
俺もニダ族って読んでた
481 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/21(月) 01:40:54.31 ID:MSaFBjEFo
名前も特徴からもニダと読むと思っていた
482 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/21(月) 02:45:47.33 ID:orhZ6SLFo
乙乙!
483 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/21(月) 03:36:54.31 ID:m+98KPS6o
こんなところにまでニダー持ち込むなよwwwwwwwwwwww







ごめん、俺もニダ族って読んでたよ………
484 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/21(月) 04:37:15.36 ID:dtZ/ZR8n0
ニダでも間違いない種族みたいだしな
自然とニダ族と読むよなww
485 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/21(月) 11:53:20.50 ID:ux9czCuuo
<丶`∀´>クックックッ
486 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/21(月) 14:45:05.80 ID:XEXX43pIO
俺もニダ族って読んでたわ
487 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/21(月) 19:13:26.11 ID:O42TyY1So
変換時に「じじゃ」って打ってるだけで読み方は「ニダ」じゃね?
488 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/21(月) 19:18:19.27 ID:d3jcUNMqo
それ以上はいけない
489 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/21(月) 22:32:45.48 ID:kppPkjqIO
奴がくる
やめてとけ 乙
490 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/21(月) 23:08:31.99 ID:/JdfTSIKo
あれは…じじゃぞくです…orz

では、行きます
491 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/21(月) 23:08:58.29 ID:/JdfTSIKo
〜王の国と獣の国の国境・関所〜

番兵1「…よし!次!!」

男「あ、はーい。俺です」

番兵1「うむ。では、鞄の中のものを全て出せ」

男「はいはい。えっと…」ゴソゴソ

番兵1「ん?」

白スライム(魔娘)「ぴい?」

番兵1「…くくく」

プークスクス…
492 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/21(月) 23:09:24.36 ID:/JdfTSIKo
男「な、なんですか?」

番兵1「くくく…お前、そのスライム…」

男「…コイツが何か?」

白スライム プルルン

番兵1「そ、そんなに白くなるまで…この好きモノめ!わははは!!」

ワーハッハッハ!ワカイッテイイヤネエ!

男「え?…え?」
493 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/21(月) 23:09:54.63 ID:/JdfTSIKo
番兵1「わははは!…スライムとヤルのもいいが、さすがにこれはヤリ過ぎだぞ」

番兵2「スライムは体内に取り込んだものの色に染まる。こんなに白くなるまでヤルとは…このスケベ!わははは!!」

男「…あ」

番兵1「この先の町に娼館がある。そこで抜いてもらえ。ほら、さっさと行け!わははは!!」

男「あ、はい…」コソコソ…
  ・
  ・
  ・
494 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/21(月) 23:10:22.99 ID:/JdfTSIKo
男「…おい」

白スライム『なあに?』

男「お前、知ってたんだろ!白スライムの意味!!」

白スライム『ナンノコトダカ?』

男「とぼけんな!おかげですんげえ恥ずかしかったんだぞ!!」

白スライム『あながち間違いじゃないでしょ?。するときは最低でも3回はするくせに』

男「そ、それとこれとは別だろ!?」
495 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/21(月) 23:10:50.26 ID:/JdfTSIKo
白スライム『いいじゃない。おかげで大した検査も受けずに関所を通れたんだから。ね?』

男「そういう問題じゃねえ!!」

白スライム『しょうがないわねえ。今夜はサービスしてあげるから機嫌を直してよ。ね?』

男「………ふ、ふん!誤魔化されないぞ!!」

白スライム『一瞬、間があったけど?』

男「…サービスかぁ…確か荒縄があったよな?」

白スライム ヒキッ
496 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/21(月) 23:11:19.66 ID:/JdfTSIKo
〜数日後・王の国・首都の手前の小さな村〜

魔娘「今日はここで休みましょ?」

男「え?まだ日は高いし、夕方には首都につくだろ?」

魔娘「…ちょっとね…気になることがあるの」

男「気になること?」

魔娘「…魔王はわたしを探しているわ」

魔娘「だから…一旦この村に拠点を置いて、男に調べてきてほしいの」

男「調べる?」
497 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/21(月) 23:11:46.16 ID:/JdfTSIKo
魔娘「そうよ。首都の雰囲気とか、街の様子とか…軍の規模や城の警備なんかもね」

男「…ちょっと用心しすぎじゃないか?魔娘も人間に変化してるし、見つからないと思うぞ?」

魔娘「…ここまで来てミスはしたくないの。用心するに越したことはないでしょ?」

男「…まあ、魔娘がそう言うなら…わかった」

魔娘「そうと決まれば今日はここでのんびりしましょ?きっとこの先はのんびりなんてしてられないでしょうし。ね?」

男「のんびりか…夜もか?」

魔娘「…綿ロープ買ってくれる?荒縄だと跡が付くし擦れて痛いのよ」

男 ヒキッ
498 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/21(月) 23:12:16.11 ID:/JdfTSIKo
〜朝〜

男「そろそろ行ってくるわ」

魔娘「無理はしないで、危険だと思ったらすぐに帰ってくるのよ?」

男「俺は子供か!信用ねえのな…」

魔娘「男のことは信用してるわ。だからこそ無事に帰ってきてほしいのよ」

男「…うん。分かった。じゃあ行ってくる。帰るのは夜中になると思う」

魔娘「…うん。気をつけてね」
499 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/21(月) 23:12:50.09 ID:/JdfTSIKo
〜首都・魔王城の近くの広場〜

ガヤガヤ…

男「…」

ガヤガヤガヤ…

男「…なんなんだこの人混みは…」

リンゴーン リンゴーン…

男「鐘の音?」

ガヤガヤ シーン…

男(急に静かになった!?)キョロキョロ
500 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/21(月) 23:13:15.37 ID:/JdfTSIKo
聴衆 シーン

男(みんな城のベランダを見て動かない…どうなってるんだ?あそこに何が…あ、誰か出てきた)

『魔王様だ!』

マオウサマー! ワレラガマオウサマー!!

男(あれが…魔王か…)

魔王「…」スッ…
501 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/21(月) 23:13:54.16 ID:/JdfTSIKo
大臣「…偉大なる我らが魔王様に忠誠を誓う民よ」

大臣「優秀なる我らが民よ」

大臣「貴公等の忠誠は確かに魔王様に届いておる」

大臣「新たなる勅命が下るまで、日々精進せよ」

大臣「魔王様は貴公等と共にあるのだ。魔王様、万歳!」

ウォオー! マオウサマー! マオウサマー!!

マオウサマバンザーイ! マオウバンザーイ! マオウバンザーイ!…

魔王ノシ

男(なんなんだこいつら…目が死んでる…気持ち悪い!)
502 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/21(月) 23:16:02.35 ID:/JdfTSIKo
〜夜・小さな村の宿〜

男「…と言う訳でさ、とにかく気持ち悪くて…」

魔娘「そう…」

男「ちょっと町の人にも魔王について聞いてみたんだけどさ、“魔王様ばんざーい!”って感じでな?まともに話にならないんだ」

魔娘「話を聞いてるだけでも気持ち悪いわね…」

男「ああ。だから町中で情報を手に入れるのは難しいな…」

魔娘「じゃあ…どうするの?」
503 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/21(月) 23:16:42.16 ID:/JdfTSIKo
男「うん、考えたんだけどさ…魔王城に侵入してみる」

魔娘「え!?それは危険よ!!」

男「まあ、大丈夫だろ。いざとなったら転移で逃げるし」

魔娘「ダメよ!城の中で迷子になるだけだわ!!」

男「くの一さんに見取り図をもらってるから、それはないって」

魔娘「ダメだってばぁ…男に何かあったらどうするのよぉ…」
504 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/21(月) 23:17:10.30 ID:/JdfTSIKo
男「危ないことはしないって。それに情報を集めるためには必要なことだろ?」

魔娘「でも…男に万が一のことがあったらわたしは…」

男「無理はしないから大丈夫だって。明日の夜にでも行ってくる」

魔娘「…絶対、無事に帰ってくるのよ!でないと許さないんだから!!」

男「ああ、分かってるって」
505 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/21(月) 23:17:39.92 ID:/JdfTSIKo
〜翌日の夕刻・魔王城〜

警備兵1「うぅ…寒くなってきたな…」

警備兵2「そうか?そんなことないだろ」

警備兵1「お前はアヒルだから自前の羽毛のおかげで温かいんだろ?…いいよなぁ。ちょっとモフらせろよ」

警備兵2「ちょっ!おまっ!!猫の癖にそんな趣味があったのか!?」

警備兵1「ちげえよ!温そうだからモフらせろ!」

警備兵2「こっちくんな!」

ヤイノヤイノ
506 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/21(月) 23:18:06.58 ID:/JdfTSIKo
男「…隙だらけだな。簡単に城内に進入できたぞ」

男「えっと…くの一さんにもらった見取り図によると…あっちか」

コソコソコソ…
  ・
  ・
  ・
507 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/21(月) 23:18:36.45 ID:/JdfTSIKo
男「…ここが魔王と従者が住んでる離れか…警備兵は…」

警備兵3「…」

男「入口を見張ってるのか…けど変だな。何で離れのほうを向いてるんだ?」

警備兵3「ん?」

男(やばっ!)

警備兵3「…誰かいるのか?」ガタッ

コツッ コツッ コツッ…

男「…」
508 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/21(月) 23:19:07.16 ID:/JdfTSIKo
ガサガサッ

スライム「ぴい!」

警備兵3「なんだ、お前か。よしよし」ナデナデ

スライム「ぴいぃ…」

警備兵3「…ちょっとぐらいならいいだろ。来い。トイレでスッキリしよう」

スライム「ぴい♪」

男「…助かった…今のうちに離れの中に…」

コソコソコソ…
509 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/21(月) 23:19:33.42 ID:/JdfTSIKo
〜離れの中〜

男「見取り図によると…奥が寝室みたいだな」

ミシッ ミシッ…

男(ナニの最中に出くわしたりしないだろうな…)

カ…チャッ ソー…

男(…誰も居ないみたいだな…他の部屋に行って見るか)

ミシッ ミシッ…
510 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/21(月) 23:20:04.32 ID:/JdfTSIKo
男(手前はリビングって書いてあるけど…)

ガチャッ

男(中から人が出てきた!?)

魔法使い「っ!?誰!?」

男「あ、怪しいものではないんで!すぐに帰りますんで!!」アタフタ

魔法使い「…大雷げk」

キラッ
511 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/21(月) 23:20:34.38 ID:/JdfTSIKo
魔法使い「え?…それは!?」

男「ははは、はい!?」

魔法使い「その鉈についているのは…盗賊のお守りでは!?」

男「え?…あ、はい。そうですけど…」

魔法使い「あなた…盗賊と知り合いなの?」

男「はい。盗賊さんは俺のお師匠さんで…父親代わりなんですけど…なんで盗賊さんのことを?」
512 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/21(月) 23:21:01.62 ID:/JdfTSIKo
魔法使い「…わたしは魔法使いよ」

男「…へ?あなたがあの“生意気な小娘”さんですか!?」

魔法使い「…小雷撃呪!」バチバチバチ!

男「あ痛!しびびびれるううぅぅ!」

魔法使い「まったく…そんなことを言うのは賢者ね?あなた、賢者とも知り合い?」

男「は、はい。賢者様は俺の母親代わりですが…」

魔法使い「賢者が!?…あなた、性格が捻じ曲がってない?大丈夫?」

男(えらい言われようだな…)
513 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/21(月) 23:21:35.35 ID:/JdfTSIKo
魔法使い(賢者と盗賊…あの二人はきっとわたしには協力しない…でも…)

魔法使い「…ねえ」

男「なんですか?」

魔法使い「…久しぶりに賢者と盗賊に会いたいわ。連れて来てくれないかしら?」

男「…はい?」

魔法使い「だってもう20年ぐらい会ってないんだもの。どうかしら?」

魔法使い(このオトコ…お人好しっぽいからたぶん大丈夫…)
514 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/21(月) 23:22:08.92 ID:/JdfTSIKo
男「は、はあ…あ、その前に聞いておきたいことがあるんですけど…」

魔法使い「どんなことかしら?」

男「はい。あの…魔法使い様は何でこんなところに居るんですか?」

魔法使い「…賢者達に会えたら話すわ。それを言うなら…あなたはなぜここに居るの?」

男「はあ。それはちょっと複雑な事情がありまして…時間があるときに説明します」

魔法使い「そう…」
515 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/21(月) 23:22:53.15 ID:/JdfTSIKo
男「それで…魔法使い様は賢者様たちに会いたいんですよね?」

魔法使い「ええ。…どう?」

男「とりあえず…一旦帰って聞いてみます。俺だけじゃ判断できないんで…」

魔法使い「…そうね。それじゃ、建物の外まで送ってあげるわ」

男「あ、いえ。勝手に帰りますんで」

魔法使い「警備兵に見つかると厄介でしょ?」

男「あー…そうですね。お願いします」

魔法使い「…ふふふ」
516 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/21(月) 23:23:31.02 ID:/JdfTSIKo
〜小さな村の宿〜

魔娘・男「「…」」

男「俺は…正直言って、これは俺たちだけの問題じゃないと思うんだ」

魔娘「…そうね。これは賢者様たちに相談する内容だわ」

男「そうだな…」

魔娘「賢者様達と別れた魔法使いがなぜ魔界へ行ったのか。魔界で何をしていたのか。そして…」

男「なぜ今、魔王城に居るのか…」
517 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/21(月) 23:24:12.64 ID:/JdfTSIKo
魔娘「それらを知ることはきっとこの先、わたし達がとるべき行動を決める手がかりになると思うの」

男「うん…」

魔娘「…わたしも男も、魔法使いのことは詳しいことは知らないから…よく知っている人に聞くのが一番だわ」

男「そうだな」

魔娘「だから…明日、わたしの転移魔法で賢者様達のところに行きましょ?」

男「ああ。そうしよう」

魔娘「それと…今夜は用心したほうがいいわね」

男「なんで?」
518 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/21(月) 23:24:41.41 ID:/JdfTSIKo
魔娘「魔法使いがなにをしてくるかわからないもの」

男「いや、その心配はないんじゃないか?魔法使い様は賢者様達に会いたいって言ってるんだし」

魔娘「念のためよ。ここまで来て何かあったら…今までの苦労が水の泡よ?」

男「魔娘がそう言うんなら…そうするか」

魔娘「ええ。じゃあ私は先に寝るわね」

男「あ!おい!!」
519 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/21(月) 23:25:07.98 ID:/JdfTSIKo
〜翌日・賢者たちの家〜

賢者「なるほど…」

男「魔法使い様は賢者様達に会いたがっています。目的は分かんないですが…」

盗賊「…怪しいなぁ。こりゃあ罠の可能性が高いぜ?」

賢者「…」
520 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/21(月) 23:25:34.48 ID:/JdfTSIKo
魔娘「ちょっといい?」

盗賊「ん?なんだ?」

魔娘「魔法使いってどんな人だったの?」

盗賊「一言でいやあ…ガキだな」

男「ガキって…」

賢者「身も蓋もない言い方ですね。純粋と言うこともできます」

魔娘「純粋…なの?」
521 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/21(月) 23:26:04.45 ID:/JdfTSIKo
賢者「ええ。あの小娘は…もういい大人でしょうが、思い込んだら一直線なところがあります」

賢者「ですから今の小娘の状況は大変危険だと言うこともできます」

男「危険?」

賢者「…ええ。あの小娘には目的があり、そのために今現在、魔王城に居ると考えるべきでしょう」

魔娘「目的って?」

賢者「それは分かりません。ですが…魔界の権力の中枢にいることで可能になる目的…」

賢者「私にはそれが良いこととは思えないのです」

盗賊「そうだな。そう考えると…俺たちに会いたいってのもその目的のためってことになる」

魔娘・男「「…」」
522 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/21(月) 23:26:38.62 ID:/JdfTSIKo
賢者「…会ってみましょう」

魔娘・男・盗賊「「「え!?」」」

賢者「あの小娘の目的が分からない以上、ここで議論をするのは時間の無駄だと思います」

賢者「であれば、会って直接聞くほうが早いと…そう思うのです」

賢者「魔娘、男。私達を連れていってください。小娘のところに」

魔娘「…はい」
523 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/21(月) 23:27:18.11 ID:/JdfTSIKo
盗賊「へへっ。久しぶりの魔界だな」

男「…なんか楽しそうですね…」

盗賊「最近刺激がなかったからよ、久しぶりに血が騒ぐぜ」

賢者「盗賊。戦いに行くわけじゃないですよ?」

盗賊「分かってるって。こちとら旅行気分なだけだ」

賢者「まったく…暢気ですね、盗賊は…」
524 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/21(月) 23:27:45.81 ID:/JdfTSIKo
盗賊「鬼が出るか蛇が出るか、行ってみなきゃ分かんねえんだ。それに魔界の中心ってのも見てみたいしな」

賢者「…まあ、それぐらいリラックスしているほうがいいでしょう。では、今から準備をしますので、明日にでも出発しましょう」

魔娘「はい」

男「じゃあ俺はちょっと出てきますね」ガタッ

魔娘「あ、わたしも行くわ」
525 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/21(月) 23:28:12.11 ID:/JdfTSIKo
賢者「どこへ行くのですか?」

男「お墓と…村の様子を見に行ってきます」

賢者「お墓はいいですが村まで行くのは…もうすぐ日が暮れます。またの機会にすればいいのでは?」

男「最後に…いえ、なんでもないです」

盗賊「…おい賢者」

賢者「…あまり遅くならないようにね?」

魔娘・男「「はい」」
526 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/21(月) 23:28:39.85 ID:/JdfTSIKo
〜ダークエルフの墓〜

男「お母さん…俺、エルフ母さんに会って来たよ」

魔娘「…」

男「エルフ母さんはエルフの村でさ、俺のこと待っててくれるってさ」

男「俺…すごく嬉しかったんだ…エルフ母さんは今でもお母さんのこと忘れずにいてくれててさ…」

男「お母さんのことも…いっぱい教えてもらったんだ…」
527 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/21(月) 23:29:20.85 ID:/JdfTSIKo
男「…あ、そうだ。これ…」

男「お母さんが作った転移符。エルフ母さんにもらったんだ」

男「これ…お母さんだと思って大事にするよ」

男「それからシスターにも会ってきたよ」

男「元気にしてたよ。子供も居たんだ。かわいい子だったよ」

男「…じゃあ、また来るからね。お母さん」スッ…

魔娘「男…もういいの?」

男「ああ」
528 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/21(月) 23:29:47.88 ID:/JdfTSIKo
魔娘「じゃあ…私にもお参りさせて?」

男「いいよ」

魔娘「…お母さん。出来れば御存命のうちにそう呼びたかった…」

魔娘「わたしは…あなたの大切な男を危険な目にあわせてしまうかもしれない…」

魔娘「もしもの時は…私も死んでお詫びをします。だから…」

魔娘「男のこと…見守っててください」スッ…

男「魔娘…」
529 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/21(月) 23:30:15.11 ID:/JdfTSIKo
〜近くの村〜

男「…この村、相変わらず誰もいないんだな…」

魔娘「そうね…ひっそりしてて寂しいわ…」

男「もうあそこの家なんて壊れ始めてる…」

魔娘「人の住んでいない家はすぐに壊れちゃうものね…」

男(これで見納めになるかもな…)

魔娘「…そろそろ帰る?」

男「…そうだな」
530 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/21(月) 23:31:17.83 ID:/JdfTSIKo
今日はここまでです

おやすみなさいノシ
531 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/21(月) 23:31:46.37 ID:cs16nTMro
おやすみん
532 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/21(月) 23:32:06.24 ID:HH05uiYEo
乙乙
533 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 22:33:33.70 ID:phNK7tMlo
〜王の国・首都の近くの小さな村〜

シュイン ドサドサッ

盗賊「…ここが王の国か…あれは?」

魔娘「あそこが宿のある村よ」

賢者「…見た目は人の町と変わりませんね」

男「じゃあ、行きますよ」
  ・
  ・
  ・
534 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 22:34:01.21 ID:phNK7tMlo
〜小さな村・宿の部屋〜

盗賊「荷物も置いたし…そろそろ行くか?」

賢者「待ってください」

盗賊「なんでだ?」

賢者「そうやってすぐに動こうとするのはあなたの悪い癖ですよ?盗賊」

盗賊「じゃあ…どうすんだよ」

賢者「まずは段取りを決めましょう」

盗賊「段取りだあ?」
535 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 22:34:32.68 ID:phNK7tMlo
賢者「はい。男、小娘のところへは簡単に行けますか?」

男「あ、はい。けど、4人となると…番兵に見つかる可能性が高いです」

盗賊「番兵だって!?あいつ、どんなとこにいんだよ…」

男「魔法使い様は魔王と一緒に離れに住んでます。番兵はその警護をしてます」

盗賊「あー、そういやそう言ってたな。魔王と一緒だって」

賢者「…男だけなら問題ないですか?」

男「あ、はい。一回行ってるし大丈夫です」

魔娘(魔王の従者…仇の一人…)
536 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 22:35:14.91 ID:phNK7tMlo
賢者「魔娘」

魔娘「…」

賢者「魔娘?」

魔娘「…あ、は、はい!」

賢者「どうしたのですか?」

魔娘「う、ううん。なんでも…」
537 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 22:35:41.32 ID:phNK7tMlo
賢者「…小娘と争うことも予想しておかなければなりません。魔娘、近くに多少暴れても迷惑にならないようなところはありませんか?」

魔娘「それなら…首都の近くに湖があるわ。そこなら人も居ないと思うけど…」

賢者「なら、そこにしましょう。男、小娘をそこに連れてきてください」

男「分かりました」

盗賊「じゃあ、移動するか」

賢者「そうですね」

魔娘「…」

男(魔娘…難しい顔してるな…)
538 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 22:36:11.74 ID:phNK7tMlo
ポン

魔娘 ビクッ

男「大丈夫か?」

魔娘「…ええ」

男「…具合が悪いんだったら宿に居ていいんだぞ?」

魔娘「…ううん、わたしも行くわ。相手の顔も拝んでおきたいし」

男「そうか…無理するなよ?」

魔娘「…うん」
539 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 22:36:38.78 ID:phNK7tMlo
〜首都近くの湖畔〜

シュイン スタッ

男「っと。着きました」

魔法使い「ありがとう」

男「えっと…あ」

魔法使い「…あっちにいるのね」

男「ええ。行きましょう」
  ・
  ・
  ・
540 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 22:37:05.70 ID:phNK7tMlo
男「連れてきました」

魔法使い「…」

賢者「…久しぶりですね」

魔法使い「そうね…」

盗賊「ちったあ大きくなったか?」モミモミ

魔法使い「…」

賢者「…」

魔娘「…」

男「…えっと…」

モミモミ
541 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 22:37:36.82 ID:phNK7tMlo
魔法使い「…ちょっ!なにすんのよ!!」ジタバタ

盗賊「いい具合に膨らんだじゃねえか。へへっ」

魔法使い「このスケベ親父!あんた全っ然変わってないじゃない!!」ブンッ

盗賊「ふん。そうそう簡単に変わるかよ」ヒラリ

魔法使い「もう!賢者!ちゃんと躾けなさいって言ったでしょ!!」

魔娘・男「「…」」

男「…俺の中の盗賊さんのイメージが…」

魔娘「粉々に砕け散ったわね…」

賢者「コホン…盗賊?」ニッコリ

盗賊 ビクッ
  ・
  ・
  ・
542 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 22:38:08.31 ID:phNK7tMlo
盗賊 ペチャンコー

魔娘「だ、大回復呪!!」パァアアアア!!

盗賊「かはっ…はっ…はっ…はあ…サンキュー。助かった…」

男「よかった…賢者様が竜になって盗賊さんを踏み潰したときはどうなることかと思ったけど…」

賢者「これに懲りたら大人しくしてなさい」

魔法使い「…あ、相変わらず怒ると怖いわね。賢者は…」

賢者「どういう意味ですか?」

魔法使い「言葉の通りよ」

賢者「まったくあなたと言う人は…」

魔法使い「ふん」
543 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 22:38:35.21 ID:phNK7tMlo
賢者「…ところで…元気そうですね」

魔法使い「ええ。あんた達もね」

賢者「心配していたんですよ?」

魔法使い「…」

賢者「懐かしいですね…旅をしていた頃を思い出します」

魔法使い「…回りくどいことはやめましょ?」

賢者「…」
544 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/22(火) 22:38:51.76 ID:Xm0cqbDgo
きたか!?
545 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 22:39:02.18 ID:phNK7tMlo
魔法使い「以前の賢者だったらすぐに本題に入ったはずよ?」

賢者「…それだけ年を取ったと言うことです」

魔法使い「…それで?」

賢者「…魔法使い。あの頃のあなたは目的に向かって真っすぐに突き進む純粋な子でした」

賢者「あなたは今…魔王城に住んでいますね?」

魔法使い「ええ」

賢者「では、率直に聞きます。あなたの目的はなんですか?」
546 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 22:40:06.37 ID:phNK7tMlo
魔法使い「…目的は二つ。一つは魔王討伐。これは実現したわ」

魔娘 ギリッ…

魔法使い「わたし達勇者パーティーの旅の目的よ?わたしはそれを実現したわ。反乱軍を使ってね」

男「…魔娘。ちょっと…」

魔娘「…大丈夫。ここにいるわ」

男「けど…すごい顔になってるぞ」

魔娘「平気よ」

男(魔娘が何かしようとしたら一緒に転移で移動しよう…)
547 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 22:40:44.00 ID:phNK7tMlo
賢者「…」

魔法使い「みんな勇者と一緒に誓ったでしょ?魔王を倒すんだって」

魔法使い「だからわたしはそれを実現した。感謝してよ?」

盗賊「…で?もうひとつは?」

魔法使い「…あんた達、悔しくない?」

賢者・盗賊「「…」」
548 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/22(火) 22:40:45.54 ID:JzwbS/NMo
>>544
はいwww
549 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 22:41:17.10 ID:phNK7tMlo
魔法使い「わたし達は国王に頼まれて魔王討伐に向かった。でも…魔王の軍に…」

魔法使い「わたし達は全力で戦った。なのに…勇者ひとりを魔界に置いてきた責任を押し付けられて…」

魔法使い「人間界を追われたわたしは一人魔界に来て勇者を探した…」

賢者「魔法使い…勇者は死んだのです」

魔法使い「分かってるわよそんなこと!」

魔娘・男 ビクッ
550 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 22:43:35.84 ID:phNK7tMlo
魔法使い「なぜ勇者は死んだの!?なぜわたし達は汚名を着せられて逃げ回らなきゃいけないの!?」

賢者「魔法使い…あなた…」

魔法使い「…そうよ。もうひとつの目的は国王の討伐。そのために魔界で準備をしているわ」

盗賊「なるほどねぇ。人間界に喧嘩を売るんだ。魔王に取り入るのも当たり前か」

魔法使い「…ええ、そうよ」

魔娘 ギリッ
551 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 22:44:07.35 ID:phNK7tMlo
賢者「…勇者はそんなことは望んでいません」

魔法使い「それで?」

賢者「勇者は極力戦いを避けようとしていたではありませんか。それなのにあなたは戦いを始めようとしている」

魔法使い「…関係ないわ」

賢者「あなたは…自分の復讐のために戦争を始めようとしているのですよ?」

魔法使い「それの何が悪いの?」

賢者「…復讐をするのなら、他人を巻き込むのはやめなさい」

魔法使い「…」
552 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 22:44:40.10 ID:phNK7tMlo
賢者「あなたがしようとしていることは魔族や人間を巻き込んだ戦争です」

賢者「あなたは…戦争で犠牲になる民のことを考えたことはありますか?」

魔法使い「…やっぱりね。あんた達には分からないのよ」

盗賊「なにがだ?」

魔法使い「…わたしは人生の半分以上をこのために費やしてきたの。それを無駄に出来ると思う?」

賢者「間違っていることはやり直すべきです」

魔法使い「当事者じゃなければなんとでも言えるわ!」

賢者「わたし達は当事者ではないと?」
553 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 22:45:13.03 ID:phNK7tMlo
魔法使い「…最後通告よ。あんた達とは戦いたくない。だから黙って見てなさい」

賢者「どうあっても辞めないのですね…」

魔法使い「今更…あとには引けないわ」

賢者「…」

盗賊「…お前、やっぱりガキだな」

魔法使い「スケベ親父に言われたくないわ。それじゃ」

ピラッ シュイン

盗賊「あいつ…転移符使って帰っちまいやがった…」

賢者「もう…わたし達も宿に帰りましょう」

魔娘・男「「…はい」」
554 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 22:45:39.73 ID:phNK7tMlo
〜魔王城〜

シュイン シュタッ

魔法使い「…」

トテトテトテ ガチャッ

魔王「魔法使い!」

魔法使い「ただいま帰りました」

ダキッ
555 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 22:46:06.26 ID:phNK7tMlo
魔法使い「…どうしたんですか?急に抱きついたりして」

魔王「何も言わずに居なくなるから…心配してたんだ…」

魔法使い「そうですか…」

魔王「ああ…お前が居なくなったら俺は…」

魔法使い「…大丈夫ですよ。わたしはあなたについて行くと決めたのですから…」

魔王「魔法使い…」

魔法使い「…大臣はどこ?」

魔王「今は仕事中だと思うけど…」

魔法使い「魔王を討伐しようとする連中が来るわ。準備をしなきゃ」

魔王「…え?」
556 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 22:46:33.73 ID:phNK7tMlo
〜小さな村・飯屋〜

ガヤガヤガヤ…

店員「お待ちどう。人食い魚のバター焼きだよー」ドンッ!

盗賊「お、来た来た。うまそうな匂いだぜ」

店員「これで注文の品は全部そろったかい?」

賢者「魔牛の串焼きに怪鳥の唐揚げに野菜サラダに…はい。来ています」

盗賊「あとは綺麗どころがいりゃあいいんだがな」
557 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 22:47:01.86 ID:phNK7tMlo
店員「あら、二人も連れてるのに?」

盗賊「どんな御馳走でも毎日だと飽きるだろ?」

店員「あははは。じゃあ化け猫族のあたしでよけりゃ相手しようか?」

盗賊「あと10年若けりゃあな」

店員「あははは。言ってくれるじゃないか!じゃあね」

魔娘・男「「…」」
558 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 22:47:28.71 ID:phNK7tMlo
賢者「ふふふ。ではいただきましょうか。…おや?二人とも、どうしたんですか?」

男「あ、いや…」

魔娘「さっきまで深刻な話をしてたっていうのに…」

盗賊「腹が減ってたら碌なこと考えねえからな」

賢者「そうですね。それだけは盗賊の意見に賛成します」

男「そうですね」

魔娘「じゃあ…いただきます」
  ・
  ・
  ・
559 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 22:47:56.42 ID:phNK7tMlo
〜小さな村・宿の部屋〜

盗賊「さて、腹もふくれたし…そろそろこれからのこと考えるか?」

賢者「そうですね…魔娘」

魔娘「はい」

賢者「貴女は…これからどうするつもりですか?」

魔娘「…お父様の仇を…討ちたい」

賢者「と言うことは小娘と対峙する…と言うことですか?」

魔娘「…」
560 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 22:48:59.52 ID:phNK7tMlo
賢者「出来れば…争いは避けてほしいのですが…」

魔娘「…わたしの目的はお父様を殺した仇討ちよ。もし魔法使いがお父様を殺したのなら…そうなるでしょうね」

賢者「そうですか…しかしあなたは封印が…」

魔娘「もう封印は解けてるわ」

賢者「え?」

魔娘「あの封印は私の魔力を使うようにできていたの。でも…魔力が無くなったことがあって…」

魔娘「その時に封印も解けたの」
561 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 22:50:27.47 ID:phNK7tMlo
賢者「そうですか…白魔法だけ使えるようになっていたのはそう言うことだったんですね」

賢者「魔力を使い切ってしまうほどの出来事…それはすなわち魔娘の危機と言うことですからね」

賢者「しかし…魔法が使えるようになったから仇討ちをする…それでは魔法使いと同じではないですか?」

魔娘「…でも!」

男「…魔娘と魔法使い様は違います」

盗賊「どういうこった?」
562 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 22:50:59.33 ID:phNK7tMlo
男「はい。魔法使い様は目的のために軍を動かそうとしています。それは大きな犠牲を生みます」

男「でも魔娘は…犠牲は最小限にしようとしています」

盗賊「ふーん。で、お前はどうすんだ?」

男「…俺は魔娘のサポートをするつもりです」

賢者「…でもそれでも犠牲は発生しますよ?」

男「…賢者様たちは魔王を討伐するために勇者様と旅をした。そうですよね?」

賢者「ええ…」

男「魔娘の仇討ちも同じじゃないですか?」

賢者「!?」
563 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 22:51:30.85 ID:phNK7tMlo
男「魔娘の目的は仇討ちですけど、魔王を倒すっていうところは賢者様達と同じだと思うんです」

男「そう考えれば勇者様と同じことをしようとしてるって考えられますよね?」

盗賊「ははは。こりゃ一本取られたな。なあ、賢者?」

賢者「男。あなたはそんなことを考えていたのですか…」

男「そりゃあ…魔法使い様と戦うことになるかもしれないけど…それは俺の役目だと思ってます」

男「俺は魔娘と魔王の戦いに邪魔が入らないようにする…それだけです」

魔娘「男…」
564 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 22:51:59.65 ID:phNK7tMlo
男「それでいいよな?」

魔娘「ええ…ありがとう、男」

盗賊「…よし!男、ちゃんと魔娘を守るんだぞ?」

賢者「盗賊!あなたはまた無責任なことを…」

盗賊「…なあ賢者」

賢者「なんですか?」

盗賊「なんかよぉ…変だと思わねえか?」

賢者「変?」
565 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 22:52:30.85 ID:phNK7tMlo
盗賊「そうだ。そりゃあ魔法使いは強え。けどな、あいつ一人でここまでやるって考えるのは…いささか無理があるんじゃねえか?」

賢者「それは…きっと協力者がいるのだと思いますが…」

盗賊「いや、そう言う意味じゃねえ」

魔娘・男「「?」」

賢者「…どういうことですか?」

盗賊「…さっきあいつと会ったとき、あいつは昔のまんまだったろ?」

賢者「…ええ」

盗賊「ってことはだ。あいつが何年もかけてこんなまどろっこしいことなんかするはずがねえ。そうだろ?」

賢者「!?」
566 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 22:53:33.47 ID:phNK7tMlo
盗賊「あいつの性格だったら…ひとりで魔王城に切り込んでいきなり魔王と対決ってのが一番しっくり来るだろ?」

賢者「…確かにそうですね…」

盗賊「だからよ、なんかこう…得体の知れねえ何かが俺らを動かしてるような気がするんだ」

魔娘・賢者・男「「「…」」」

盗賊「だからよ…俺ぁこいつらについて行くわ」

魔娘・男「「え!?」」

賢者「…そうですね。私もついて行きます」

魔娘・男「「ええっ!?」」
567 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 22:54:00.46 ID:phNK7tMlo
賢者「私も何か違和感を感じていたんですが、盗賊に言われて気がつきました」

盗賊「へへっ。これで4人だな」

男「…へ?」

賢者「そうですね。あの頃を思い出します」

盗賊「勇者…じゃなくて魔娘パーティーだ。よろしくな」

魔娘「あ…」

賢者「そうですね。しっかり導いてくださいね。魔娘」

魔娘「…はい!」
568 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 22:54:57.85 ID:phNK7tMlo
〜2日後・王の国・首都〜

盗賊「道具の準備を済ませて来てみりゃあ…なんだこりゃ?」

賢者「軍の兵士でしょう。バリケードを築いていますね…」

男「すごい数だな…何人ぐらい居るんだろ?」

魔娘「そうね。ざっと見たところ…三千ってとこかしら?」

盗賊「けっ。こっちは4人だってえのによぉ」
569 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 22:55:24.69 ID:phNK7tMlo
賢者「魔娘、あそこ以外に街の入口はありますか?」

魔娘「あるけどどこも一緒でしょう。兵士が居ると思うわ」

男「じゃあ、一気に飛び越えますか」

賢者「そうですね。とりあえず街に入りましょう。“竜変化呪”」

ボワン

男「すごい…シスターが竜になったときとそっくりだ…」

賢者『わたしの竜変化は赤竜を模写していますからね。そっくりなのは当然です』
570 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 22:55:51.46 ID:phNK7tMlo
魔娘「男、早く背中に乗りましょ?」

男「そうだな」

ワーワー! ドドドドド…

盗賊「お、あいつら出てきやがったぜ」

男「“転移”」

シュイン

魔娘「盗賊さんも早く!」

盗賊「“お土産”渡してからだ。そらよっ!」ポイッ

シュン
571 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 22:56:19.48 ID:phNK7tMlo
盗賊「よし。いってくれ!」

賢者『では、行きますよ』

バッサ バッサ バサバサバサ…

ドゴォオオオオン!!!

盗賊「もういっちょ!」ポイッ ポイッ

ヒュー… ドゴォオオオン!! ドゴォオオオン!!

盗賊「これでちったあ足止めできるだろ」
572 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 22:56:46.37 ID:phNK7tMlo
賢者『弓や魔法攻撃が来る前に出来るだけ城に近づきます。しっかり掴まってなさい』

ギュオオオン!

賢者『城が見えてきました』

ヒュンヒュンヒュン!

男「!?」

盗賊「弓矢だ!男!!」

男「はい!“念動”!!」

ピタッ
573 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 22:57:13.54 ID:phNK7tMlo
賢者『出来るだけ城に近づきます!』

ピカッ!ゴロゴロゴロ!!

盗賊「ちぃ!魔法か!!」

賢者『あの広場に降ります!』

バサッバサッ バサァ

盗賊「よっと」ピョン

男「“転移”」

シュイン スタッ

男「大丈夫か?」

魔娘「ええ」
574 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 22:57:50.45 ID:phNK7tMlo
ボワン

賢者「…ふぅ。城まであと少しです」

盗賊「周りから近付いてくるぞ!」

魔娘「“氷壁呪”!」

メキメキメキ!

盗賊「氷の壁か。こりゃいいや」

魔娘「これで少しは時間を稼げるわ」

賢者「魔娘、貴女はこの先で大仕事があるのですから、あまり魔法を使ってはいけませんよ?」

魔娘「はい」
575 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 22:58:18.92 ID:phNK7tMlo
男「で、どうするんだ?城のほうからも出てきてるぞ?」

盗賊「へっ、楽しめそうだなこりゃ」

賢者「何を呑気なことを…」

ピカッ!ドドドドォオオオン…

「うわぁああああ!!」

「雷だあ!!」

一同「「「「!?」」」」
576 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 22:58:52.67 ID:phNK7tMlo
黒竜人「姫様!」

魔娘「黒い小父様!」

ゴォオオオオ!!

「あああ熱いぃいい!!」

「水を!水をくれぇええ!!」

赤竜人「ここは我々が引き受けます!」
577 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 22:59:26.52 ID:phNK7tMlo
ヒョォオオオ…

カチコチコチコチ…

白竜人「一言ぐらいおっしゃってくれればいいのに」

魔娘「赤兄さんに白姉様も!」

「堀の水が押し寄せてくる!?」

「お、溺れるぅう!!!」

青竜人「久しぶりの戦闘じゃわい」

魔娘「青爺まで!」
578 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 23:00:19.96 ID:phNK7tMlo
青竜人「今回は間にあった様じゃの。ふぉっふぉっふぉっ」

盗賊「でけえ竜が4頭も…すげえ眺めだなおい」

賢者「彼等は味方ですか?」

魔娘「ええ!」

青竜人「あんたらが姫様を預かってくれておったのか?」

賢者「はい。魔娘はわたし達の子供も同然です」

青竜人「そうか。姫様が世話になったの」

賢者「いいえ」ニコッ
579 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 23:00:46.19 ID:phNK7tMlo
青竜人「おっつけ竜兵たちもつくじゃろう。ここはワシら竜人族が引き受ける。さ、早くいきなされ!」

魔娘「え?で、でも!」

黒豹「俺達もいるぜ」

男「黒豹さん!?」

子淫魔「わたしもー!」パタパタパタ

魔娘「子淫魔!?なぜあなたがここにいるの!?」
580 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 23:01:13.89 ID:phNK7tMlo
子淫魔「あたし達淫魔族は町民を安全な場所に避難させてます!」

魔娘「どうしてそんなことを!?」

子淫魔「黒豹さんにお願いされたの。ね?」

黒豹「ああ。俺たちレジスタンスの人数じゃ兵隊を逃がさないようにするのが精一杯でな」

黒豹「それで、淫魔族に町民の誘導を頼んだんだ。みんな洗脳されてるみたいだったからな」

子淫魔「『町民を傷つけずに避難させるには”淫魔の魅惑“しかない』って言って…ね?」

黒豹「広場への道は俺達が封鎖した。混乱した兵隊が町中にいかないようにな。これで戦場はこの広場だけだ」
581 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 23:01:42.27 ID:phNK7tMlo
魔娘「みんな…どうして!?これはわたしの仇討ちなのよ!?」

シュン

くの一「あら、余計なことだったかしら?」

男「くの一さん!」

黒豹「…俺達は民を守るためにここに来たのさ。先代主王様ならそうしただろうしな」

子淫魔「わたしはお姉ちゃんや男さんから受けた恩を返したかったから…」

青竜人「ワシら竜人族一同、主王様の時に失った誇りを取り戻したいのですじゃ。どうかわがままを許して下され」
582 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 23:02:59.61 ID:phNK7tMlo
魔娘「みんな…馬鹿よ!」

黒豹「ああ。姫様のために命をかけられる大馬鹿野郎たちが集まったんだ」

青竜人「ワシらは姫様が大好きなんじゃ。その気持ちを汲んでくだされ」

男「魔娘…みんなの気持ち、わかってやれ」

魔娘「…ありがとう。頼んだわよ。でも!決して無理はしないで!!」

子淫魔・くの一・青竜人・黒豹「「「「御意!」」」」

魔娘「それと!無益な殺生はしないこと!!」

黒豹「元よりそのつもりだぜ!」

子淫魔「じゃあわたしは町のほうに行ってきます!」パタパタパタ…

くの一「わたしも一緒に行くわ!」
583 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 23:03:26.52 ID:phNK7tMlo
青竜人「さーて。一波乗ってくるかの?」ヒュン

黒豹「俺も行くぜ!」タタタタ…

賢者「竜達のおかげで攻撃が分散しました。男、城門の上まで転移できますか?」

男「あ、はい。あれぐらいなら」

賢者「では、出来るだけ兵士を引きつけてからお願いします」

男「分かりました」

盗賊「よし!男!!」

男「はい!“転移”!!」

シュイン
584 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 23:04:51.31 ID:phNK7tMlo
〜城門〜

シュイン スタッ

賢者「兵士が向かってきますよ」

ゾロゾロゾロ…

男「衝撃波!」

ブォン!

「うわあああ!!」

盗賊「ほらよ」ポイッ

「ば、爆弾だああ!!」

「さがれ!さがれぇええ!!」

ドォオオオオン…
585 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 23:05:57.00 ID:phNK7tMlo
賢者「道が開けましたね」

魔娘「あそこが城の入り口よ!」

盗賊「男!転移だ!!」

男「はい!」

シュイン
586 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 23:06:24.67 ID:phNK7tMlo
〜城の入り口〜

シュイン スタッ

賢者「“氷壁呪”!」

ピシピシピシ…コチーン

賢者「入口を凍結しました。もう外からは入ってこれません」

盗賊「今のうちに回復しておけ」

賢者「はい。“全体回復呪”」

パァアアア…

男「魔娘、玉座はどっちだ?」

魔娘「こっちよ」

盗賊「よし、行くか」

賢者「はい」

タタタタ…
587 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 23:06:51.66 ID:phNK7tMlo
〜大広間〜

魔娘「ここを抜ければ玉座のある謁見の間よ」

タタタタ

盗賊「っ!待て!!」

男「え?」

盗賊「おい。そこの柱の陰に隠れてるやつ。出て来い」

? ユラァ…
588 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 23:07:18.48 ID:phNK7tMlo
盗賊「…てめえ、何もんだ?」

?改め大臣「…初めまして。私はこの国の施政を担当している大臣です」

男(なんだこいつ…戦いの最中だって言うのにまったく戦意が見られない…)

魔娘「大臣ですって!?」

大臣「初めまして姫様。それに皆さんも」

魔娘「あなた…似蛇族ね?」

大臣「お察しの通りです」ニヤッ
589 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 23:08:10.34 ID:phNK7tMlo
賢者「あなたは…丸腰みたいですね」

大臣「まさかこんなに早くここまで来るとは思ってなかったですからねぇ」

賢者「逃げるなら追いません。ですが…」

盗賊「邪魔するんなら…」

大臣「おおこわ。私は今、戦闘モードじゃないのでね、ここはひとまず退散しますよ」

賢者「…」
590 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 23:08:47.90 ID:phNK7tMlo
盗賊「…てめえ…また来るってのか?」

大臣「ふはははは。では、失礼」

バッ

賢者「…急ぎましょう。盗賊、後ろを警戒してください」

盗賊「任せろ」
591 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 23:09:16.16 ID:phNK7tMlo
〜謁見の間〜

バタン!

魔王・魔法使い「「…」」

魔娘「…あなたが…魔王?」

魔王「…」コクッ

男(やっぱり…威厳も威圧感もまるでない…)
592 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 23:09:46.14 ID:phNK7tMlo
魔娘「あなたのせいで…お父様が!“大火炎呪”!!」

ゴォオオオオ!!

魔法使い「“対魔壁呪”」

シュゥウウ…

魔娘「っ!?」

魔法使い「ふふふ。慌てないで。時間はあるんだから。ね?」
593 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 23:10:13.24 ID:phNK7tMlo
賢者「魔法使い…あなたの相手はわたし達です」

魔法使い「…結局こうなるのね。覚悟はしていたけど」

シュン

盗賊「ん?寸胴だったのに括れが出来てるじゃねえか」サワサワ

ウゾゾゾゾ…

魔法使い「やめなさい!このスケベ親父!!」ブン!

盗賊「おっと」ヒョイ

魔娘・賢者・男「「「…」」」
594 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 23:10:46.56 ID:phNK7tMlo
魔法使い「まったく…雰囲気が台無しじゃない!」

魔王「だ、大丈夫か?魔法使い」

魔法使い「…ええ。平気よ」

賢者「ごめんなさい。あとで煮るなり焼くなり、好きにしていいですから」

魔法使い「今すぐ引き裂いてやりたいわ!」

盗賊「…お前ら、分かったか?」

男「あ、はい」

魔娘「…ええ。一瞬空気が変わったわ」

賢者「…え?」
595 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 23:11:14.53 ID:phNK7tMlo
盗賊「よう寸胴」

魔法使い「寸胴じゃない!」

盗賊「おめえ…自分で変だと思わねえか?」

魔法使い「何がよ!」

盗賊「おめえは昔から猪突猛進娘だったろうが」

魔法使い「む、昔のことはどうでもいいでしょ!?」

盗賊「おめえ…いつからこんなまどろっこしいことするようになったんだ?」

魔法使い「…え?」
596 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 23:11:41.19 ID:phNK7tMlo
賢者「小娘、昔のあなたはいつも目的に真直ぐだったではありませんか」

賢者「こんな風に何年も計画的に進めていくなんて…貴女らしくないとは思いませんか?」

魔法使い「わ、わたしだって何時までも子供じゃないわ!」

賢者「盗賊が空気を変えるまで…わたし達は互いに戦うことしか頭になかった」

魔法使い「当然じゃない!わたし達は敵対してるのよ!?」

賢者「…私はここに来る直前まで、どうすれば小娘と戦わずにすむか考えていたんです」

魔法使い「小娘言うな!」
597 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 23:12:19.55 ID:phNK7tMlo
賢者「それが…この部屋に入った途端、戦うことしか考えていなかった。盗賊が空気を変えるまでは」

魔法使い「わたしたちは戦うしかないのよ!」

賢者「…そちらの人は戦意は無いようですが?」

魔法使い「え?」

魔王「…」

魔法使い「…大丈夫よ。あなたはわたしが守ります」
598 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 23:12:46.85 ID:phNK7tMlo
魔王「…違う」

魔法使い「何が違うの?わたし達は奴等を倒して世界を統一するのよ。勇者」

魔娘・賢者・男・盗賊「「「「勇者?」」」」

魔王「違う!」

魔法使い ビクッ

魔王「…もう止めにしよう。俺は勇者じゃない」

魔法使い「…」
599 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 23:13:55.42 ID:phNK7tMlo
魔王「…俺はハーフエルフだ。洗脳しか能がない…無力なオトコだ」

魔王「俺は君を洗脳して勇者だと思い込ませた。でもそれは全部嘘なんだ!」

魔王「俺が嘘をついたせいで魔法使いが仲間と争うなんて…」

魔法使い「…それがどうしたの?」

魔王「…え?」

魔法使い「あなたが誰であれ、私にはあなたが必要なの。だから…」

魔法使い「…そんなこと言わないで。ね?」ニコッ

魔王 ゾクッ
600 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 23:14:39.10 ID:phNK7tMlo
「ほっほっほ。間にあったようですねぇ」

男「誰だ!?」

カチャン カチャン カチャン…

大臣「一度お会いしましたよねぇ」

魔娘「誰!?」

大臣「先ほどは失礼しました。丸腰でしたのでねえ」

男「…さっきの奴か?」

賢者「あの武具の文様…」

盗賊「ああ…“勇者の紋章”だ…」

男「勇者の!?」

魔娘「まさか…」
601 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 23:15:05.33 ID:phNK7tMlo
魔法使い「大臣…来てくれたのですね」

大臣「ええ。たまたま奴等を見かけたものですから」

男(また空気が変わった…嫌な空気だ)

大臣「さあ、奴等を仕留めるのです!」

魔法使い「ええ。最大の攻撃魔法でね」

ゴゴゴゴゴ…
602 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 23:15:45.60 ID:phNK7tMlo
盗賊「なんだありゃあ!?」

賢者「黒い靄が魔法使いから出ています…あんな魔法は見たことがありません!」

男(あの靄…魔娘が菩提所で出してたのと同じだ!)

魔娘「みんな気をつけて!あの靄に近づくといろんな魔法で攻撃されるわ!!」

魔法使い「ふふふ。これは近づくものすべてを攻撃する魔力のきr」

ドスッ

魔王「…え?」

魔娘・賢者・男・盗賊「「「「!?」」」」

大臣 ニヤッ
603 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 23:16:18.14 ID:phNK7tMlo
魔法使い「…なにこれ?」

魔王「え?…え?」

魔法使い「…なんで剣が刺さってるの?」

魔王「何をするんだ大臣!!」

大臣「力を得るためですよ」

魔王「力を!?どういうことだ!」
604 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 23:16:44.78 ID:phNK7tMlo
大臣「わたしは若い頃、この城の奥に封印されていたこの武具に出会ったんですよ」

大臣「武具は魔力を与える代わりに、わたしに力をくれました」

大臣「そしてわたしは手に入れたんですよ」

大臣「…優秀な我が民族がこの世を支配するための力を…ね」ニタァ

魔王 ゾクッ
605 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 23:17:29.25 ID:phNK7tMlo
大臣「魔族も!人間族も!!全ての頂点に優秀な我が似蛇族が立つんだ!!」

大臣「この世の全ての富と名声は我が似蛇族のものになるんだ!!」

大臣「全てはこの武具が!俺を導いてくれるんだ!!」

オオオオオン オオオオオン…

魔王「な、なんだ!?」

大臣「武具の声だ。魔力を吸って喜んでいるのだ」

魔法使い「力が…抜けて…もう…だめ…」
606 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 23:18:00.75 ID:phNK7tMlo
大臣「そうだ!一滴残らず吸い取るんだ!!少しでも多く魔力を吸い取るために、わざわざ魔法使いが魔力を開放する瞬間を狙ったんだからな!!」

魔王「あああ…」

魔娘「あれが…“呪いの武具”…」

男「封印は解かれていたんだ…」

盗賊「見ろ!黒い靄が!!」

賢者「消えていきます…」

魔法使い「…ま…お………」

ドサッ

魔王「魔法使い!」ガバッ!
607 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 23:18:27.36 ID:phNK7tMlo
大臣「…もうお前らは用済みだ」

ブンッ

魔王「うわぁあああっ!?」

男「片腕でふたりを投げ飛ばした!?」

ヒュー…ドサドサッ

魔王「うぅ…魔法使い…」

魔法使い「ひゅ………ひゅっ………」

盗賊「ちぃっ!男!!あいつらを連れて来い!!」

男「は、はい!」

シュイン
608 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 23:18:55.53 ID:phNK7tMlo
魔王「しっかりしろ!おい!!おいぃいい!!!」

男「一緒に来い!」

魔王「え?」

男「魔法使い様をしっかり抱えてろ!」

魔王「な、なんで…」

シュイン ドサドサッ

魔王「くぅ…腰打った…」

賢者「魔法使い!最大回復呪!!」パアァアア!!!

魔法使い「ひゅっ…ひゅっ…はっ…はっ…はあ…はあ…」
609 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 23:19:22.37 ID:phNK7tMlo
賢者「…一命は取り留めたようですね…よかった…」

盗賊「ああ…けど安心はできねえ」

魔王「あんたら…なんで…」

盗賊「…仲間を見殺しにするのは…もうたくさんだ」

賢者「そうです」

魔王「でも…俺は…俺達は…」
610 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 23:19:48.91 ID:phNK7tMlo
賢者「貴方には戦意はありません。であれば、争う理由はないです」

盗賊「ああ。“無益な殺生はしない”。それが俺達勇者パーティーの掟だからな」

魔娘「…」

魔王「…俺は姫様の仇だ。この首を差し出してもいい。だから…魔法使いだけは助けてくれ!」

魔娘 ギリッ…

男「魔娘…」
611 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 23:20:15.96 ID:phNK7tMlo
魔娘「…男」

男「なんだ?」

魔娘「あなただったらどうする?このオトコの命を奪う?」

男「…俺ならまずあいつを倒す」

魔娘「…え?」

大臣「ふはははは!力だ!!力が漲ってくるぞ!!」

男「あいつが来た途端空気が変わった。あいつは危険だと思うんだ」

魔娘「…」
612 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 23:20:49.96 ID:phNK7tMlo
男「いつか魔娘が言ってたろ?優先順位を間違えるなって」

男「このオトコは戦意はない。魔法使い様は動けない。だったら一番最初にやることは…」

賢者「魔娘…私もそう思います」

魔娘 チラッ

魔王「…」

魔娘「…あなたへの仇討ちは後にするわ。まずはあいつを倒す!」
613 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 23:21:20.00 ID:phNK7tMlo
盗賊「よしきた!賢者!!」

賢者「はい!」

盗賊「そのオトコと魔法使いは頼んだぜ!」

賢者「任せてください」

盗賊「へへっ。頼りにしてるぜ。男!魔娘!!行くぜ!!」

魔娘・男「「はい!」」
614 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/22(火) 23:23:14.42 ID:phNK7tMlo
今日はここまでにします

平日は投下量が少なくてすみません

では、おやすみなさいノシ
615 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/22(火) 23:25:06.01 ID:MpZxj+/No
616 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/22(火) 23:36:27.12 ID:4Sruy2yI0
いよいよか
乙!
617 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/22(火) 23:39:56.97 ID:hGBVMFNZo
おつ
ただ思惑が深かったぶん展開がずいぶんさっぱりしているような気もする
618 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/23(水) 00:22:45.70 ID:9k+UeWyko
619 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/23(水) 00:28:29.85 ID:E79EkI7bo
今更なんだけどさ
このじじゃぞくのモデルって
お隣のアレだよな?
620 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/23(水) 00:41:31.09 ID:xtBJ+uRDO
>>619
うん。そう思う。
621 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/23(水) 03:02:51.90 ID:jfmLgvr5o
>>619
それ以上はいけない
荒らしが発狂する
622 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/23(水) 03:05:48.24 ID:1UqyVdAbo
鷹娘に見えた
623 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/23(水) 06:55:45.39 ID:xt2hMtMIO
(お、Jか?)
624 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/23(水) 06:56:37.82 ID:ra/OjqzBo
優秀とか言っちゃってるからな…
ニダー
625 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/23(水) 07:50:31.96 ID:GMF5iUTIO
大抵のやつは自分の民族が一番だとか思ってんだろ
なにもお隣の国に限ったこっちゃねぇ
626 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/23(水) 09:31:52.86 ID:WeZkVW7Qo
その話題はあれるからやめれ

お隣の国は全然関係ないだろ
627 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/23(水) 10:56:10.24 ID:awj3aIaAO
この小物感漂うラスボスもある意味王道だよなww
628 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/23(水) 14:29:55.96 ID:IgXdQXtco
まっまだかー!!!
629 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/23(水) 17:14:23.01 ID:lT0E9NUD0
キャラ総出やな
630 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/23(水) 19:32:06.40 ID:MX8ZLPZH0
新勇者一行が見当たらないな
まだ森で迷子にでもなってるのか
631 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/23(水) 23:32:25.53 ID:0UjCwjyzo
うーむ…名前がまずかった?
でも、動物に似た虫って蛇とミミズしか思い浮かばなくて…orz
632 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/23(水) 23:32:55.93 ID:0UjCwjyzo
〜玉座の前〜

オオオオン…オオオオン…

大臣「すごい!すごいぞ!!体中に力が湧いてくる!!」

盗賊「魔娘。あいつはどんな魔物だ?」

魔娘「ミミズよ」

盗賊「弱点は?」

魔娘「火に弱かったはずよ?」

盗賊「んじゃまずはコイツだな」ポイッ!
633 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/23(水) 23:34:52.64 ID:0UjCwjyzo
大臣「ふははは…ん?」

シュー…ドォオオオン!!!

男「爆弾が直撃した!」

魔娘「やったの!?」

盗賊「…いや」

「ふふふ…ははははは!」

盗賊「無傷だ」
634 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/23(水) 23:35:19.15 ID:0UjCwjyzo
大臣「なんだ今のは?そよ風か?」ニヤニヤ

魔娘「なっ!?」

盗賊「あの武具が爆風を無力化しやがった…なんてヤロウだ」

魔娘「くっ!“大雷撃呪”!」

バリバリバリ…シュゥウウウ…

魔娘「魔法がっ!」

盗賊「吸い取りやがった…」
635 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/23(水) 23:36:12.42 ID:0UjCwjyzo
大臣「無駄無駄無駄あ!魔法は全てこの武具が吸収する。魔法では俺に傷ひとつつけられない!」

男「なら…“衝撃波”!」

ブォン ドォオオオン!

大臣「うおっ!?」ヨロッ

盗賊「お!?」

大臣「…きさまぁ…」ジロッ

男「魔法がダメなら魔法以外で戦えばいいんだろ?」

大臣「…ふふふ。確かにな。だが…果たしてそううまくいくかな?」
636 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/23(水) 23:36:49.02 ID:0UjCwjyzo
ブォン!

男「なっ!衝撃波!?“転移”!」

シュイン

大臣「…ほう?今のを避けるか」

盗賊「背中がお留守だぜ?」ヒュンヒュンヒュン!

大臣「なんの!」カンカンカン

盗賊「ほう?そんなナリのくせに結構いい動きをするじゃねえか」

大臣「ナイフごときでやられるか!」ブィン
637 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/23(水) 23:37:56.03 ID:0UjCwjyzo
盗賊「おっと!」

大臣「この…チョロチョロと鬱陶しいやつめ!」

ブォン

盗賊「おっと」シュン

男「せいっ!」ブンッ

大臣「なんの!」ガキィン

男「盾で防がれた!?くっ…」ギリギリギリ…

シュゥウウウ…

男(ま、魔力が吸い取られる!一旦離れて…)バッ

大臣「隙あり!」チャキッ

男「っ!?」

ザクッ

男「ぐっ!あ、足が…」
638 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/23(水) 23:38:26.36 ID:0UjCwjyzo
大臣「ふんぬ!」ブンッ

男「て、“転移”!」

シュイン

魔娘「男!」

男「はあ、はあ…回復してくれ」

魔娘「はい!“大回復呪”」パァアアア…

男「…よし。ありがとな」

魔娘 ギリッ
639 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/23(水) 23:38:52.90 ID:0UjCwjyzo
男「どうした?」

魔娘「だって…悔しいじゃない!私は魔法でしか攻撃できないのに、魔法を使えば使うほどあいつを強くしてしまうのよ!?」

男「仕方ないさ」

魔娘「わたしの仇討ちなのに!わたしは何も出来ない!!悔しい!!」

男「…何もかもが俺たちの都合のいいように運ぶことなんて無いんだ」

魔娘「でもっ!」
640 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/23(水) 23:39:19.15 ID:0UjCwjyzo
男「それに攻撃だけじゃないだろ?魔娘に出来ることは。な?」

男「こうして俺たちを回復してくれる。すっげえ助かってるんだぞ?」

魔娘「でも…」

男「…あいつ、防御力も攻撃力も、スピードだってハンパじゃない。一体どれだけの魔力を吸い取ったんだ?」

魔娘「…直接攻撃ならできるのよね?」

男「ああ」

魔娘「…“変化呪”」ボワン

ゴーレム(魔娘)『これならどう?』

男「おお!なるほど」
641 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/23(水) 23:39:50.38 ID:0UjCwjyzo
ゴーレム『行ってくるわね』

男「あ、おい!ちょっと待てって!!」

大臣「ふんっ!」ブォン!

盗賊「うおっ!?」

ゴロゴロッ ドスン

盗賊「うぅ…」

賢者「盗賊!」
642 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/23(水) 23:40:27.40 ID:0UjCwjyzo
大臣「とどめだ!」チャキッ

ゴーレム『…せいっ!』ブンッ!

大臣「っ!?」ガキィ!

シュゥウウウ…

ゴーレム『…え?変化が…解けてく!?』

大臣「…ひぃいめぇええ!」ヒュン!

魔娘「っ!?」

ガキィイイン!!

大臣「…貴様」

男「間に合ったな」
643 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/23(水) 23:40:53.56 ID:0UjCwjyzo
大臣「邪魔をするなぁああ!!」キィイイン!キンッ キンッ

男「そうはっ!いかないっ!っての!!」キンッ キンッ キィイイン

大臣「がぁあああ!!」ブンッ!

男「っ!?盾を投げた!?」

大臣「はっ!!」ブンッ!

男「蹴りが!?」ベキッ

ゴロゴロ ドスン

男「ごふっ…」
644 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/23(水) 23:41:19.92 ID:0UjCwjyzo
魔娘「男!“最大回復呪”!!」パァアアアア!!!

男「…ふぅ。手強いな」

盗賊「ああ。魔法使いの魔力ってぇのはどんだけすげえんだよ…」

魔娘・男「「…」」

大臣「ふふふ…もう終わりか?ふははは…は?」メコッ

男「誰が!!」グッ
645 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/23(水) 23:41:46.11 ID:0UjCwjyzo
魔娘「待って!何か変よ!?」

男「なんかってなんだよ」

大臣「うがっ…はうっ!がはっ!!」メコッ メコッ バキッ

男「…苦しんでるみたいだぞ?」

大臣「うぅう…うがぁああああ!!!!」メキメキメキメキ…

盗賊「…なんだありゃあ?」

化物(大臣だったもの)「ぐるるるる…」
646 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/23(水) 23:42:12.74 ID:0UjCwjyzo
魔娘「おそらく…武具の肉体強化に大臣の身体が耐え切れなかったんだと思うわ…」

男「武具ごと巨大化してる…」

魔娘「まるで竜人並ね…」

化物「ぐるるる…」ギロッ

盗賊「来るぞ!」

バターン!
647 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/23(水) 23:42:53.16 ID:0UjCwjyzo
戦士「ふははは!魔王!!覚…悟!?」

女魔導師「…なにあれ…」

僧侶「すごく…大きいです…」ゴクリ

男「新勇者様!?」

新勇者「み、みんな!一旦体勢を立て直して…」

化物 ブォン!

新勇者・僧侶・女魔導師・戦士「「「「うわぁああ!!…」」」」

バタバタバタッ!

新勇者「み、みんな!くそお!!」
648 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/23(水) 23:43:20.34 ID:0UjCwjyzo
魔娘「下がりなさい!“大睡眠呪”!」

新勇者「え?あ!あんたら…は…」バタッ

魔娘「弱いくせに…邪魔よ!」

化物 ブォン!ブォン!

盗賊「くっ!衝撃波の連続攻撃かよ!!」

男「おわっ!」

ドゴォオオオン ガラガラガラ…
649 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/23(水) 23:43:48.29 ID:0UjCwjyzo
魔娘「城が崩れてる!」

盗賊「このままじゃやばいぞ!」

賢者「天井が落ちてきますよ!」

男「早くケリをつけないと!」

化物「ぐぁおおお!!」ブォン ブォン

ドゴォオオオン ドゴォオオオン ガラガラガラ…

盗賊「あんにゃろ…近づこうにもめちゃくちゃに暴れてやがる…」

男「迂闊に近づけない…」
650 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/23(水) 23:44:14.61 ID:0UjCwjyzo
盗賊「ちっ…何とか懐に飛び込めりゃあ武具の内側にコイツを放りこめるのによぉ」

男(…内側に?そうか!)

男「二人とも!」

盗賊「なんだ!」

男「少しだけでいいんです!あいつの気をそらして下さい!!」

魔娘「何をするつもり!?」

男「いいから!」
651 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/23(水) 23:44:44.18 ID:0UjCwjyzo
盗賊「…なんか知らねえが、気をそらしゃあいいんだな?」

男「はい!」

魔娘「わかったわ」

盗賊「行くぜ!」シュン

男「魔娘、無理はするなよ?」

魔娘「分かってるわよ」

盗賊「…おらっ!こっちだ化物!!」ポイッ

ドォオオオン

化物「ぐるるるる…」ジロッ

ブォン!

盗賊「おっと!」
652 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/23(水) 23:45:11.50 ID:0UjCwjyzo
魔娘「“少火炎呪”!」

化物「ぐる?」

魔娘「ほらほら!こっちよ!!」

ドスッ ドスッ

魔娘「魔力が欲しいんでしょ!?“少凍結呪”!!」トテテテテ…

化物「ぐああああ!!」ドスッ ドスッ

男「今だ!“念動”!!」

化物 ピタッ

男「くっ!き、きつい…“転移”!!」

シュイン

ドクン ドクン

魔娘「…え?」
653 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/23(水) 23:45:48.24 ID:0UjCwjyzo
盗賊「心臓!?………………まさか!!」

化物「ぐあおおお!!!」ドスン ドスン

ドクッ…ドクッ………ドックン!

化物 ユラァ…ドシーン!

賢者「…倒したのですか?」

魔娘「あ…」ヘタリッ
654 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/23(水) 23:46:14.93 ID:0UjCwjyzo
盗賊 ハッ!

盗賊「男!!」シュン

ザクッ ザクッ

盗賊「男!男!!ちきしょう!!どこだ!!」

魔娘「盗賊…さん?」

賢者「まさか…おとこぉ!!」ダッ!

盗賊「腕が見えた!賢者!!魔力を吸い取られるぞ!!そこで止まれ!!」

賢者「は、はい!」
655 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/23(水) 23:46:41.65 ID:0UjCwjyzo
盗賊「引っ張り出すぞ!せえの…てりゃあああ!!」

ズルズル…ドサッ

男「はっ…はっ…」

盗賊「賢者!」シュン

スタッ ドタッ

男「はうっ…はっ…はっ…」
656 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/23(水) 23:47:08.37 ID:0UjCwjyzo
盗賊「賢者!回復呪だ!!」

賢者「はい!“大回復呪”!!」パァアアア!!

男「はっ…はっ…はあ…はあ…た、助かった…」

魔娘「男!あなた一体何をしたのよ!!」

男「はあ…はあ…ちょっ…ちょっと待って…はあ…」

盗賊「まったく…とんでもねえ事を考えやがるぜ」

賢者「盗賊…あなたは男がなにをしたのか分かっているようですね」

盗賊「ああ。こいつ、化物の心臓の位置に転移しやがったんだ」

魔娘・賢者「「え!?」」
657 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/23(水) 23:47:40.23 ID:0UjCwjyzo
盗賊「忘れたか?男の“転移”は物質入れ替えだ。ほれ、そこにある肉塊が化物の心臓だ」

魔娘「…これが!?」グニュッ

盗賊「ああ。無茶な野郎だ。いくら魔力を使わないからって、一歩間違えりゃ化物の中で窒息死だぜ」

魔娘「本当なの!?あなた…転移で…」

男「ああ…思ったより疲れたよ…魔娘、もうちょっと回復してくれないか?」

魔娘「え、ええ…“大回復呪”」パァアアア!!

男「…ふぅ。よし、仕上げをしよう。盗賊さん、手を貸して下さい」

盗賊「ほれ」グイッ
658 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/23(水) 23:48:09.17 ID:0UjCwjyzo
男「すいません。よっと」

賢者「仕上げと言っていましたが…何をするんですか?」

男「盗賊さん、化物の首を取ってきてください」

盗賊「なんでだ?」

男「新勇者様に持って帰ってもらいましょう」

盗賊「…なるほど。コイツを“魔王”だってことにしようってか。よっと」

ザシュッ

盗賊「ホレ、男」

男「はい。魔娘」
659 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/23(水) 23:48:36.03 ID:0UjCwjyzo
魔娘「いや!そんな気持ち悪いもの近づけないでよ!!」

男「そうじゃなくてな?新勇者様の目を覚ましてくれないか?」

魔娘「え?」

男「頼む」

魔娘「男がそう言うんだったら…“覚醒呪”」パァア…

新勇者「zzz…ん…ん?…ここは?」

男「新勇者様」

新勇者「…あ!さっき魔王と戦ってた!!」

男「えっと…魔王は倒しました。これが首です」

ドサッ

新勇者「…え?」
660 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/23(水) 23:49:02.28 ID:0UjCwjyzo
男「これを持って王都にお帰りください」

新勇者「…いやいや!ちょっと待てって!!これはあんたらが倒したんだろ!?あんたらが持って帰るべきだ!」

男「いえ。これは新勇者様のおかげで倒せたんです。ですから新勇者様が持って帰ってください」

新勇者「俺は何もできなかった!それぐらい覚えてる!!」

男「新勇者様がヤツの気をそらしてくれたから倒せたんです。だから新勇者様のお手柄です」

新勇者「…そ、そうなのか?」

魔娘・賢者・盗賊 コクッ
661 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/23(水) 23:50:13.86 ID:0UjCwjyzo
新勇者「そ、そういうことなら…じゃあ…もらうよ」

男「はい。ところで新勇者様はどうやってこの城に入ったんですか?」

新勇者「いや…この街に入ったら竜と軍が戦ってたから…その隙をついて城壁を上ってきたんだ」

新勇者「城内には魔物はいなかったから、この部屋まですんなり着いてさ、ドアを開けたらこの化物がいて…」

魔娘「…運がいいわね」ボソッ

新勇者「…あ!俺の仲間は!?」

賢者「そこで寝てますよ」
662 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/23(水) 23:51:31.61 ID:0UjCwjyzo
新勇者「え?あ、ホントだ…」

盗賊「呑気なもんだぜ」

新勇者「…あ!あんた達!竜が出た村に居た人じゃないか!!」

賢者「そうです。私は賢者です」

新勇者「賢者だって!?あの手配書の!?」

盗賊「俺ぁ盗賊だ。で、あそこで気を失ってんのが魔法使いだ」

新勇者「手配書の三人が揃い踏みじゃないか!あんたらがこの化物にとどめを!?」
663 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/23(水) 23:51:58.12 ID:0UjCwjyzo
賢者「それはもうあなたのものです。どうぞお持ち帰りください」

新勇者「でも!あんたらがこれを持って帰れば…手配書も取り消せるだろ!?」

賢者「…どうでもいいのですよ。そんなことは」

新勇者「け、けど…」

盗賊「それより早く帰ってくれねえか?そいつらが目を覚ますとややこしいことになりそうだからよ」

新勇者「それは…はい。そうですね…」
664 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/23(水) 23:52:25.63 ID:0UjCwjyzo
賢者「転移呪で送りましょうか?」

新勇者「あ、いや。転移符があるから…」

男「じゃあ、ここでお別れしましょう」

新勇者「う、うん…いまいち釈然としないんだけど…」

魔娘「…わたしはまだそこの戦士に襲われたこと、忘れてないわ」

新勇者「そ、そうだったな…じゃあ、帰るとするよ」

男「はい。気をつけて」

新勇者「ああ。“転移”!」

シュイン
665 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/23(水) 23:52:52.30 ID:0UjCwjyzo
男「…行ったな」

魔娘「ええ…」

男「面倒なことならなくてよかった…」

魔娘「ねえ、男?」

男「ん?」

魔娘「今すぐ抱きしめてキスをしたいところだけど…とりあえずその血だらけの体を洗ったら?」

男「あー…そうだな。どこかに風呂かなんか無いか?」

魔娘「大丈夫よ。“降水呪”」ザー!

男「おわっ!」
666 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/23(水) 23:53:19.08 ID:0UjCwjyzo
魔娘「とりあえずその雨の中で体を洗いなさい」

男「ちょっ!降り方が激しすぎるだろ!!」

魔娘「水も滴るいい男になってね?」クスッ

魔王「…」

賢者「落ち着きましたか?」

魔王「ああ…」

盗賊「…おめえ、どうすんだ?魔娘に殺られちまうのか?」

魔王「…」
667 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/23(水) 23:53:45.81 ID:0UjCwjyzo
賢者「こういう言い方は卑怯なのですが…貴方がいなくなると悲しむ者がいますよ?」

魔王「しかし…俺が姫の父親である主王様を殺したことには変わらない」

魔娘「いい覚悟ね」

賢者・盗賊「「魔娘!?」」

魔王「…魔法使いはまだ意識を取り戻していない。殺るなら今のうちだ」

魔娘「そうね。それじゃ…」

賢者「魔娘!」

男「まあまあ」
668 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/23(水) 23:54:12.35 ID:0UjCwjyzo
賢者「男!貴方からも言ってください!!無益な殺生は…」

男「見てましょうよ。魔娘を信じて…ね?」

賢者「…え?」

盗賊「へっ。一端の口を利くようになったじゃねえか」

魔娘「…“大雷撃呪”!」

ピカッ!ゴロゴロゴロ…バチバチバチッ!!

魔王「っ!?」ギュッ

バチバチ…シュゥウウウ…

魔王「…え?」
669 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/23(水) 23:54:53.56 ID:0UjCwjyzo
魔娘「…」

魔王「…なぜ止めた?」

魔娘「止めたわけじゃないわ」

魔王「じゃあなんで!」

魔娘「…あれよ」

魔王「え?」

オオオオン…オオオオン…

魔娘「さっきのわたしの魔法はあの武具が吸い取ったわ。つまり、あの武具が近くにある限り破壊力のある魔法は使えない」

魔娘「そしてわたしには魔法以外に貴方を殺す手段がないわ。だから…」

魔王「…」

魔娘「…悔しいけど…貴方を殺すのは諦めるわ」ギュッ

賢者「魔娘…」
670 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/23(水) 23:55:20.50 ID:0UjCwjyzo
盗賊「これで一件落着かあ?」

魔娘「…まだよ」

男「そうだな。コイツを何とかしないと」

オオオオン…オオオオン…

賢者「そうですね…全ての原因はこの武具のようですし…」

バタン

黒豹「お?静かになったんで見にきたら…終わったのか?」

黒竜人「…なんだその醜い肉塊は?」

魔娘「大臣の成れの果てよ。叔父様、黒猫」
671 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/23(水) 23:55:47.36 ID:0UjCwjyzo
黒豹「猫言うな!これが大臣だと?」

黒竜人「して、魔王は?」

魔娘「そこにいるわ」

黒豹「なに?」

魔王「…」

黒竜人「…姫。こやつは討たないのですか?」

魔娘「…ええ。もう仇討ちは終わったから」

黒豹「へ?いや…まだ魔王は生きてるじゃないか…」

魔娘「全てはそこにある武具のせいなの。その…“呪いの武具”のね」

黒竜人・黒豹「「呪いの武具!?」」
672 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/23(水) 23:56:14.00 ID:0UjCwjyzo
黒竜人「…どういうことですか?」

魔娘「簡単に言うと、“呪いの武具が大臣を操ってお父様を…そして人間界にも侵攻しようとしていた”ってところかしら?」

黒豹「なんでそんなことに…」

賢者「…その武具はおそらく何代も前の勇者が身につけていたものでしょう。古い勇者の紋章があります」

黒豹「お前は誰だ?」

賢者「申し遅れました。私は賢者と言います。こちらは盗賊。私の夫です」

盗賊「へっ」
673 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/23(水) 23:56:49.33 ID:0UjCwjyzo
魔娘「このふたりが人間界でわたしの面倒を見てくれたの」

黒竜人「そうですか…姫がお世話になりました」

賢者「いいえ。私たちのほうこそ魔娘のおかげで楽しい時を過ごせましたから」ニコッ

黒豹「で、そろそろ謎解きしてくれないか?」

魔娘「そうね。その武具は賢者様の言うとおり、随分昔の勇者が身に着けていた武具よ」

魔娘「その武具は魔力を吸い取って力に変える…そういうものなの」

黒豹「魔力を力に?そんなことできるのか?」

黒竜人「いや、それ以前に…武具が魔力を吸い取るなどという話は聞いたことがない」
674 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/23(水) 23:57:17.61 ID:0UjCwjyzo
魔娘「でもそうなの。この武具は勇者が死んだ後もなお、近づく者の魔力を吸い取ろうとしたと聞くわ」

魔娘「だから城の奥深くに封印されていたのよ」

黒竜人・黒豹「「…」」

魔娘「…あなたたち、“エルフの悪夢”は知っているわよね?あれはどうやって収束したか知ってる?」

黒竜人「聞いた話では…そのハーフエルフは10日後に老衰で死んだと…」

魔娘「…当時の主王がね、この武具を纏ってハーフエルフの魔力を吸い取ったからよ」

黒豹「なんだと!?これがか!?」

黒竜人「…“エルフの悪夢”ではハーフエルフは500年の寿命をわずか10日で消費したと…」

黒竜人「それだけの魔力をこの武具は…」
675 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/23(水) 23:57:46.20 ID:0UjCwjyzo
魔娘「そう。ここからは私の推測だけど…」

魔娘「そのあと何百年も城の奥深くに封印されたこの武具は…何らかの方法で大臣をおびき寄せて操った」

魔娘「大臣は武具の命ずるままお父様を…そして人間界に侵攻しようとしてた」

黒豹「ちょっと待った。それだと大臣側にしかメリットがない。武具側のメリットはなんだったんだ?」

魔娘「これも推測だけど…存在意義の明確化ね」

男「???」

盗賊「…おい、もうちょっと簡単に説明してやってくれ。男が…」
676 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/23(水) 23:58:13.19 ID:0UjCwjyzo
魔娘「…魔力を吸収して力に換える…それがこの武具の存在意義よ」

魔娘「なのに封印されて碌な手入れもされないまま何百年も…このままじゃ何もせずに朽ち果ててしまう」

魔娘「だから戦乱の世になれば、この武具も役割を果たせる。それが武具側のメリットよ」

黒豹「なるほどなあ」

魔娘「だから…わたしの仇討ちは…この武具を破壊すること。でも…」

魔娘「魔力を持ったものが近づくとこの武具は…魔力を吸い取ろうとするわ」

魔娘「だからこの武具に近づけるのは…」チラッ

賢者・男「「…」」チラッ

盗賊「…な、なんだよ…」
677 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/23(水) 23:58:39.69 ID:0UjCwjyzo
賢者「…確かに。この中で魔力がないのは貴方だけですね、盗賊」

盗賊「俺か?俺なのか!?」

男「他の人はみんな魔力があるから…」

盗賊「…わーった。わーったよ!おい男。その鉈を貸せ」

男「はい」

盗賊「よっと…相変わらずクソ重てえ鉈だな。せーのっ!」ブン!

バキィ!

盗賊「固えな…こりゃ骨が折れそうだ。せ−のっ!」ブン!
  ・
  ・
  ・
678 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/23(水) 23:59:07.57 ID:0UjCwjyzo
賢者「“回復呪”」パァア…

盗賊「はあ…ありがとな」

賢者「いいえ」ニコッ

魔娘「もう魔力も吸い取られないわ」

盗賊「ったりめーだ。こんだけ粉々にしたんだからな」

ボロボロ…

男「お疲れ様でした」

魔娘「これで…」

男「ん?」
679 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/23(水) 23:59:34.36 ID:0UjCwjyzo
魔娘「これでようやく終わったのね…」

男「そうだな…魔娘…」ダキッ

魔娘「男…」ギュッ

黒竜人「うぉっほん!」

黒豹「お取り込み中悪いんだが…」

魔娘「…無粋ね」ボソッ

黒豹「…なんか言ったか?」

魔娘「なにも?」
680 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 00:00:02.48 ID:Yh4M43ixo
黒豹「…まあいい。今度はこっちのほうを何とかして欲しいんだが」

魔娘「なんとかって?」

黒竜人「外では未だ魔王の軍が抵抗しているのです」

黒豹「こっちの希望としては魔王の敗北声明と姫様の勝利宣言で十分なんだが…」

魔娘「勝利宣言?」

魔王「…いいよ」

魔娘「え?」

魔王「敗北声明を出そう。どこに行けばいい?」

黒豹「そこのテラスでいいだろ。広場にいる連中に向かって言ってくれ」

魔王「分かった」

魔娘「…」
681 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 00:00:28.24 ID:Yh4M43ixo
〜テラス〜

魔王「…皆のもの」

オオ!マオウサマダ!ワレラノオウ!!マオウサマー!!

魔王「…私はもう魔王ではない」

エエ!?ナンダッテー!?

魔王「私は戦いに敗れた敗者である。よってこれからは一魔族として生きる」

ソンナー!ドウスルンダ!コレカラドウスレバイインダー!!

魔王「これからは新しい王の下で力を発揮してほしい」

魔王「…今までわたしについて来てくれたものたちよ…心から礼を言う。ありがとう」

シーン…

魔王「…“洗脳解除呪”」

…ザワザワ…オレハイママデナニヲ…?ナンデコンナコンナトコロニ?…

魔王「…」バッ

スタスタスタ…
682 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 00:00:55.40 ID:Yh4M43ixo
〜謁見の間〜

黒豹「…まあ、こんなもんだろ」

魔王「…もういいか?」

黒竜人「我々としてはお主の罪についても追及したいところだが…」チラッ

魔娘「もういいでしょ?魔王も“呪いの武具”の被害者ですもの」

黒竜人「…ということだ」

黒豹「…じゃあ次は姫様だな」

魔娘「え?」
683 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 00:01:23.43 ID:Yh4M43ixo
黒豹「“え?”じゃねえよ。姫様の勝利宣言だよ」

魔娘「それは別に…」

黒竜人「先ほどの魔王の敗北声明で兵や民は動揺しています。彼らの不安を取り除くためにもお願いします」

男「ほら、行って来いって」

魔娘「え?で、でも…勝利宣言をわたしがしたら…わたしが新しい王になってしまうのよ?」

魔娘「わたしに施政や統治が出来るわけないわ!勉強も殆んどしてないのに!!」

魔娘「それでまた混乱が起こったら…そうなったら…二人でのんびり過ごすことができなくなるのよ?そんなの嫌よ!!」

男「…お前の父親は民のための政治をしてたんだろ?お前も戦争になると民が巻き込まれるから嫌だって言ってた」

男「もし魔娘が民のことを思うんだったら…不安な民のためにも、やっぱりちゃんと勝利宣言するべきだと思うんだ」

魔娘「で、でも!」
684 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 00:01:52.26 ID:Yh4M43ixo
男「施政や統治に不安があるなら、協力者に頼めばいいんだ。何もかも一人でやろうなんてしなくていいんだって」

魔娘「でも…」

男「だから、勝利宣言しろって。な?」

男「それにさ、王になったからってプライベートが無くなるわけじゃないだろ?」

魔娘「それは…そうだけど…」

男「だったら…ほら、テラスに出るんだ」

魔娘「…うん」
685 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 00:02:51.69 ID:Yh4M43ixo
〜テラス〜

魔娘「…」

ザワザワ…ダレダ?…オンナ?…

魔娘「…わたしは先代主王の娘…魔娘です」

魔娘「わたしはここに…魔王に勝利したことを宣言する!」

ザワザワ…センダイサマノムスメ?…ヒメサマ?…ヒメサマダ!ヒメサマー!

魔娘「…わたしの父は主王国を争いの無い国にしようとしました」

魔娘「そのためにすべての国を同じ法で統治しました」

魔娘「…でもそれは…歪みを生みました」
686 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 00:03:18.90 ID:Yh4M43ixo
魔娘「それぞれの種族で文化や習慣は異なるもの…」

魔娘「それらは決して同じ価値観で測れるものではありません」

魔娘「わたしは…各国に自治権を認めます!」

魔娘「これからは各族長の下、それぞれの種族に合った法を整備し」

魔娘「各国の問題などは各国の代表が集まる評議会を開き解決することとします」

魔娘「これを新主王国の方針とします」

魔娘「…みんな、力を合わせて頑張りましょう!」

オォオオ!ヒメサマー!ガンバリマショウ!バンザーイ!バンザーイ!!…

魔娘 ノシ
687 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 00:03:45.31 ID:Yh4M43ixo
〜謁見の間〜

魔娘「…ふぅ。慣れないことはするものじゃないわね」

男「いい演説だったぞ」

賢者「ええ」

盗賊「やっぱおめえは王の器だな」

魔娘「…そ、そうかしら?」

黒豹「にしても…とんでもねえ事をかましやがったな」

黒竜人「“各国に自治権を認める”とは…これは各族長の慌てる姿が目に浮かびますな」

魔娘「今までが無理を押し通そうとし過ぎてたのよ。それこそ人魚族に“ベッドで寝ろ”って言ってるようなものよ」

黒豹「ははは。ちがいない」
688 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 00:04:14.65 ID:Yh4M43ixo
黒竜人「これから忙しくなりますな。我々もですが」

魔娘「みんな、協力してくれるかな…?」

黒豹「ああ」

黒竜人「何事も新しく始めるときは問題が出るものです。それらを一つずつ解決すれば、自ずと良い方向に進みます」

賢者「そうです。焦りは禁物ですよ?」

魔娘「…はい」

男(…これでホントに一件落着だな)
689 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 00:04:42.59 ID:Yh4M43ixo
賢者「ところで…貴方達はどうしますか?」

魔王「…え?」

盗賊「お前らはどこで、何をするつもりかって聞いてんだ」

魔王「…俺達は…」

賢者「行くところがないのなら…私たちといっしょに来ませんか?」

魔王「え?」

賢者「小娘の身体が回復するのに、まだしばらくはかかります」

賢者「その間だけでも私たちの家で休めばいいでしょう」

魔王「し、しかし…」
690 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 00:05:18.02 ID:Yh4M43ixo
賢者「小娘が元気になったら…その後のことはそれから考えればいいでしょう」

盗賊「すぐに出て行きたがると思うがな。へへへ」

賢者「…盗賊?」ニッコリ

盗賊「…へ?」ビクッ

魔王「…行くなら早いほうがいい。魔法使いを早く休ませたいんだ…」

賢者「そうですね。では…」

魔娘「え?もう行くの?」

賢者「ええ。もうやるべきこともないですし」

魔娘「そう…」
691 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 00:06:47.99 ID:Yh4M43ixo
男「またいつでも会えるって」

盗賊「それにだ、早く帰ってゆっくり休みたいってのもあるしな」

魔娘・男「「…」」

盗賊「…ってことで、元気でな」

男「はい…」

賢者「ふふ。それじゃ…“転移呪”」

シュイン

男「…行っちまったな」

魔娘「ええ…」
692 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 00:07:14.47 ID:Yh4M43ixo
黒豹「んじゃまあ、こっちもやることやらないとな!」

黒竜人「うむ。宴の準備だな」

男「え!?それ!?」

黒豹「当たり前だろ?敵も味方も戦いの後は飲んで騒いで、諍い事を忘れるもんだろ?」

黒竜人「頭の悪い飲み方ではあるな。」

黒豹「ほっとけ!」

魔娘「…ふふっ」

男(やっと魔娘が笑った…よかった)
693 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 00:08:44.13 ID:Yh4M43ixo
〜数ヵ月後・主王城・執務室〜

男「…」

妖精従者1「ツギノショルイデス」

バサッ

魔娘「はいはい。これは…評議会に掛けましょう。こっちは…側近にまわしておいて」

妖精従者2「コレハ?」

魔娘「どれ?…堤防の補修ね。これは軍にやってもらいましょう」

妖精従者2「ハーイ」

魔娘「んーっ!やっと終りが見えてきたわね。みんな、あと一頑張りよ!」

妖精従者‘s「「「ハーイ」」」

男「…」

パタン
694 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 00:09:10.90 ID:Yh4M43ixo
〜鍛錬場〜

黒豹「打ち込み始め!」

セイッ!ヤアッ!トオッ!

男「ここはいつ来ても活気があるなぁ」

黒豹「お?誰かと思えば旦那じゃないか」

男「“旦那”はやめてくださいよ」

黒豹「じゃあ王様でいいか?」

男「もっと嫌です!第一この国の王は魔娘でしょう?」
695 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 00:09:38.05 ID:Yh4M43ixo
黒豹「あんたはその旦那だろ?だったら姫様が女王でお前は王様じゃないか」

男「頼みますから“男”って呼んでくださいよ…」

黒豹「何言ってるんだ。さすがに名前を呼ぶ訳にはいかないだろ?“王様”」

男「…旦那でいいです…」

黒豹「観念したか。ははは。で?今日は何の用だ?」

男「…分かって言ってるでしょ…」

黒豹「まあな。お前、暇そうだもんな」

男「…」
696 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 00:10:05.27 ID:Yh4M43ixo
黒豹「…姫様にはお前が必要だぞ?」

男「え!?」

黒豹「お前、何考えてるか分かりやすいな」

男「…」

黒豹「…ま、お前の気持ちなんて俺には分からないからな」

黒豹「とりあえずあそこの白熊族の連中と手合わせしてみるか?体を動かせばちょっとはすっきりするだろ」

男「…そうですね」
  ・
  ・
  ・
697 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 00:10:31.92 ID:Yh4M43ixo
黒豹「…ま、分かっちゃいたけどな…」

白熊族‘s ボロボロ…

男「ちゃんと手加減はしましたよ?」

黒豹「とりあえず回復魔法をかけといてやってくれ」

男「はい」

黒豹「あ、それからこれを側近さんに渡しておいてくれないか?練習用のヒノキの棒の領収書だ」

男「あ、はい」
698 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 00:10:58.86 ID:Yh4M43ixo
〜財務室〜

コンコン ガチャ

男「お邪魔します」

側近「こっちにこれだけの金額を振り分けると…これは後回しにして…」

側近「まったく…粉飾決算だらけじゃないですか!これでよく国家運営が出来てましたね…」

側近「巨人従者、そっちの収支はどうなってますか?」

巨人従者「これです」

側近「ありがとう。あら、珍しいですね」

男「これ…黒豹さんからの預かりものです。ヒノキの棒の領収書だそうです」

側近「わざわざありがとうございます。にしても…あなたは王様なんですから、こんな雑用しなくても…」

男「いえ、俺に出来ることならしますから、なんでも言ってください」

側近「ふふふ。こんな王様、他にはいないでしょうね」

男「はあ…」ポリポリ
699 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 00:11:25.51 ID:Yh4M43ixo
〜食事中〜

モグモグ…

魔娘「あ、そうそう。人間界に送った“草”からの情報だけど」

男「ん?…ああ、ニンジャか?」

魔娘「ええ。賢者様達の手配書、取り消されたらしいわ。さっき報告書が届いたの」

男「そっか…よかったな。でも誰が…」

魔娘「新勇者みたいね」

男「新勇者様が?」

魔娘「ええ。“先代勇者パーティーの3人と協力して魔王を倒した”って報告して、王様が手配書を取り消すことにしたらしいわ」

男「そうなんだ。やっぱりあの新勇者様はいい人だったんだな」

魔娘「そうね。連れの3人は残念だけどね」

男「ははは…」
700 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 00:11:53.80 ID:Yh4M43ixo
魔娘「それから…」

男「ん?」

魔娘「…魔王と魔法使いは“封印の島”にいるって…」

男「え?なんでまた…」

魔娘「やっぱりね、魔王のことを許せない人たちもいるのよ。それで…魔王自ら“封印の島”に行くことにしたらしいわ」

男「それで魔法使い様もついて行ったのか?」

魔娘「ええ…」

男「大丈夫か?魔王は初級魔法しか使えないし、魔法使い様はあれ以来魔法が使えなくなったし…」

魔娘「そうね…でも、自分たちで決めたことなんだし…わたし達がとやかく言うことじゃないわ」

男「そっか…」

魔娘「黒竜たちと仲良くしてくれればいいんだけど…」

男「え?」
701 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 00:12:20.29 ID:Yh4M43ixo
魔娘「なあに?」

男「いや…魔娘は魔王のこと…」

魔娘「…許したわけじゃないわ。でもね…いつまでも憎んでても仕方ないでしょ?」

魔娘「それに…あれは“呪いの武具”のせいなんだし…ね?」

男「…やっぱ魔娘は男前だな!」

魔娘「なんでそうなるのよ!」
702 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 00:12:46.77 ID:Yh4M43ixo
〜深夜・魔娘と男の寝室〜

魔娘「スー…スー…」

男「…」ムクッ

ソロリソロリ…ゴソゴソ…

男「…魔娘…ごめんな」

カチャ ソー…パタン

魔娘「ん…スー…スー…」
703 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 00:13:16.46 ID:Yh4M43ixo
〜テラス〜

ドサッ

男「エルフ母さんから貰った転移符はっと…あったあった」

男「…これでこの景色も見納めか…」

男「…はぁ…」

男「魔娘はやっぱり王の器だな。最初は不安がってたのに…今じゃすっかり王として仕事をこなしてるし…」

男「それに…みんなに好かれて…」

男「みんな、魔娘の下で生き生きと仕事してるもんな…」

男「それに比べて俺は…」
704 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 00:13:43.10 ID:Yh4M43ixo
男「なにも出来なくて…城の中をうろつくだけで…黒豹さんの言うとおり暇を持て余してるだけだもんな…」

男「このままじゃ…魔娘にも迷惑かけるから…」

男「だから…これでいいんだ…」

男「…さて!そろそろ行きますか!!“転移”!」

シュイン

黒豹「…馬鹿が」
705 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 00:14:13.31 ID:Yh4M43ixo
【エピローグ】

〜3年後・水の国のとある村〜

女「あ、そこの人」

鰐村人「ん?あたいかい?」

女「ええ。わたし、人を探してるんだけど…この人を知らない?」

鰐村人「ん?…ああ。この人ならあの森の中の一軒家に住んでるよ」

女「そう…ありがとう」
706 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 00:14:39.85 ID:Yh4M43ixo
鰐村人「この人に何か用かい?というか、一目で分かるねそりゃあ」

女「…ええ」

鰐村人「人は見掛けによらないってことかねえ」

女「…あの人は優しすぎるのよ。大馬鹿の癖にね」

鰐村人「…あんたも結構辛辣だねえ」

女「ふふっ。それじゃ」

鰐村人「ああ。気をつけて行ってきな」
707 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 00:15:06.92 ID:Yh4M43ixo
〜森の中の一軒家〜

女「…ここね」

コンコン

ガチャ

?「…あら?」

女 ペコッ

?「久しぶりですね。どうぞ中に」

女「ええ。お邪魔します」
708 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 00:15:33.71 ID:Yh4M43ixo
女(綺麗に整理されて…落ち着いた部屋だわ…)

?「どうしました?」

女「…なんだか甘い匂いがするわ…」

?「ふふふ。今クッキーを焼いていたんですよ。後でお持ちしますね」

女「…あ!そ、そういう意味じゃ…」

?「お茶を入れてきますね。ふふふ」

女「…」
  ・
  ・
  ・
709 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 00:16:04.82 ID:Yh4M43ixo
女「このクッキーおいしい…」

?「ふふっ。ありがとう」

女「お茶のおかわりをいただけるかしら?」

?「はい」

コポポポポ…

?「…そろそろ来る頃だと思っていました」

女「え!?」
710 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 00:16:43.00 ID:Yh4M43ixo
?「はい。どうぞ」ニコッ

女「あ、ありがとう」ニコッ

?「もうそろそろ帰ってくると思います」

女 ギュッ

バタン

女「!?」

?「…帰ってきたみたいね」

女 ドキドキ…

ドタッ ドタッ ドタッ ガチャ

男「ただい…ま?」

?「お帰りなさい。お客さんが見えてるわよ?」
711 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 00:17:10.97 ID:Yh4M43ixo
女「…おかえり男」

男「ま、魔娘!?」

女改め魔娘「そうよ!」

トテテテテ バチコーン!

?改めエルフ母「あらあら」

男「いってぇ!?」

魔娘「当然よ!男!!」

男「は、はい!」
712 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 00:17:38.84 ID:Yh4M43ixo
魔娘「あなたねえ!何にも言わないで突然いなくなって…どんなに心配したと思ってるのよ!!」

魔娘「今まで行ったことのあるところを全部探して!それでもいないから使い魔をいっぱい放って!!それでも見つからなくて!!」

魔娘「旅商人から聞いた噂を頼りに!ようやくここまで来たのよ!?」

エルフ母「お茶を入れ直しましょうね」

魔娘「い…今まで!…ヒック…ホントに…ヒック…心配したんだからねっ!!」

男「魔娘…」ナデナデ

魔娘「さ…さびしっ…かった!…ひ…ひとりはっ…もう嫌だって!!…ずっと…一緒に居てって!!」

男「…ゴメンな?」

魔娘「うわぁあああん!うわぁああああん!!…」
  ・
  ・
  ・
713 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 00:18:06.33 ID:Yh4M43ixo
男 セイザー

魔娘「ホントにもう!どれだけ探しまわったと思ってるの!!」

男「すいません…」

魔娘「朝起きたらいなくなってて…どこかに出かけたのかと思ったけど夜になっても帰ってこなくて…」

魔娘「心配で心配で…ホントに…寂しかったんだからね!」

男「いや、書き置きしようかと思ったんだけどさ」

魔娘「そう言う問題じゃないの!」

男「はい…」
714 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 00:18:32.90 ID:Yh4M43ixo
魔娘「…ねえ…」

男「…」

魔娘「どうして…いなくなったの?」

男「…」

魔娘「わたし、男に何かした?もしそうなら謝るわ」

男「そうじゃないよ」

魔娘「じゃあどうして?」

男「…居場所がなかったんだ」

魔娘「…え?」
715 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 00:19:10.23 ID:Yh4M43ixo
男「魔娘も他のみんなも…毎日すごく生き生きして働いててさ…」

男「けど…俺、何もすることがなくて…それで毎日ブラブラしてたんだけどさ…」

魔娘「…それで?」

男「そしたら魔娘と旅をしてた時のことばっかり思い出して…あの事もさ…」

魔娘「あの事?」

男「ほら、封印の島で話したことがあったろ?仇討ちをして、二人でのんびり過ごすって」

魔娘「え、ええ…」

男「けどさ、魔娘は…やっぱり主王国に必要な人だし…魔娘を一人占めしたいって言うのは俺の我儘だって思ってさ…」

魔娘「そんなことないわ!」
716 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 00:19:38.60 ID:Yh4M43ixo
男「それで…毎日やることもなくブラブラしてるだけの俺が城に居てもさ…悪い噂が立つだけだろ?」

魔娘「悪い噂?」

男「“女王様の旦那は毎日遊んでるだけのゴクツブシだ”って…そう言う噂」

魔娘「誰がそんなことを!」

男「…このままじゃ魔娘に迷惑かけてしまうってさ…そう思うようになって…」

魔娘「迷惑なんかじゃない!わたしには男が必要なの!!」

男「…ありがとう。そう言ってくれるのは素直に嬉しいよ。けど…」
717 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 00:20:22.70 ID:Yh4M43ixo
魔娘「…あのね、男」

男「…」

魔娘「…わたしのお腹にはあなたの子供がいるの」

男「…へ?」

魔娘「あなたは父親になるの。わかる?」

男「俺に…子供が!?」

エルフ母「あらあら。わたし、曾お婆ちゃんになっちゃうのね」

男「…い、いや!ちょっと待て!!最後にしたのは…3年ぐらい前だろ!?」

魔娘「わたしの妊娠期間は4年半なの!」
718 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 00:20:49.52 ID:Yh4M43ixo
男「え?魔族はそれが普通なのか?」

魔娘「寿命の長い種族はね。ねえ、エルフ母さん?」

エルフ母「ええ。わたし達エルフ族も同じぐらいよ」

男「そ、そうなのか…」

魔娘「だから男はわたしの傍にいなさい!」

男「え?けど…」
719 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 00:21:15.69 ID:Yh4M43ixo
魔娘「…エルフ母さん。この家に空き部屋はある?」

  ---小さい頃、友達はいなかった

エルフ母「ええ、あるわよ」

  ---ある日、友達が出来た

魔娘「じゃあ、わたしもここに住むわ」

  ---ずっと一緒だった

男「ちょっ!おまっ!…城のほうはどうするんだよ!仕事は?」

  ---成長しても一緒だった

魔娘「もう施政は落ち着いたわ。これからは評議会なんかの会議の時だけ城に戻ればいいようにしてきたの」

  ---あるときから異性として意識しだした

男「…え?」

  ---目的があった
720 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 00:21:42.58 ID:Yh4M43ixo
魔娘「今は各族長がそれぞれの国を統治して、王の国は各国間のもめごとの調停ぐらいしか関与しないわ」

  ---実現するために旅立った

魔娘「王の国の施政だって、側近や妖精従者たちだけで出来るようにしたし…」

  ---困難があった

魔娘「だから今はそれほど忙しくはないの」

  ---けれど、いろんな人が助けてくれた

男「お前…すごいな」

  ---目的は達成した

魔娘「そりゃあね。だって…わたしだって男といっしょにのんびり過ごしたいもの。だから頑張ってきたのよ?」

  ---することがなくなった

男「そうだったのか…ゴメン。俺、自分のことしか考えてなかった…魔娘がそこまで考えて頑張ってたなんて…」

  ---いたたまれなくなった
721 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 00:22:12.04 ID:Yh4M43ixo
魔娘「だって…男と約束したもの。仇討ちをしたあとは二人でのんびり過ごすって」

  ---ひとりになった

魔娘「それに…この子もこれから大事な時期になるわ」

  ---追いかけてきた

魔娘「だから落ち着いた環境で過ごしたいって思ってるの」

  ---もう心配することはない

魔娘「精神的にも落ち着いた環境で…そのためにはね、男がいないとダメなの…」

  ---これからはずっと一緒だ

男「…へ?」

  ---もう離れない

魔娘「だから…」

  ---だから…

魔娘「ずっとわたしと一緒にいなさい!」

男「は、はい!」


〜END〜
722 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/24(木) 00:22:37.83 ID:mvZ75axAO
何じゃこりゃ
723 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/24(木) 00:23:56.10 ID:3CeArxPEo


エピローグマダー
724 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/24(木) 00:24:17.40 ID:kRpSLERdo
最後までいい話だった!
乙乙

後日談マダー?
725 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/24(木) 00:24:54.36 ID:ApdBBVefo

将軍にでもなればよかったのにー
726 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/24(木) 00:24:57.53 ID:X5uw7yhyo
おつつ
後日談期待
727 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/24(木) 00:27:23.87 ID:MUKqMLmLo

今までのとは毛色が違ったけど良かったよー
後日談待ってる
728 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 00:27:47.22 ID:Yh4M43ixo
やっと終わったー!
初ファンタジーなので今までしなかったことをいろいろ試してみました
なので、いつもとは雰囲気が変わったものになってしまったかもしれません
正直、疲れましたorz

このスレは、おまけを2,3個投下したら終わりにします。

ちなみに過去作品は↓においてます

http://blog.livedoor.jp/ssdobin64/

気が向いたら訪ねてみてください

今日はこれで終わりです
それでは、おやすみなさいノシ
729 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/24(木) 00:29:20.27 ID:XeCiZv1AO
乙です

後日談待ってます
730 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/24(木) 00:48:27.16 ID:OdzDYiHSO
乙乙
731 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/24(木) 01:19:19.81 ID:2bp8ehw8o
732 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/24(木) 01:22:32.51 ID:+2Oq9LHuo
733 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/24(木) 01:25:31.45 ID:0zEp12vDO
乙。
734 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/24(木) 01:28:57.58 ID:y2tkTnG/o

旧勇者は死んだのか
735 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/24(木) 01:54:37.54 ID:VGPi4zFoo
736 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/24(木) 03:56:58.83 ID:wlzka9Rvo
737 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/24(木) 04:10:55.32 ID:Nc/qhgvDo
おつかれ
勇者は…
738 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/24(木) 05:54:10.49 ID:0lo0+vBDo
まぁ今回は設定が広すぎたな、ポカーンってしたわ
しかも勇者普通に死んでるのかよwwwwwwwwww
739 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/24(木) 07:08:24.42 ID:1iQB1QGdo

後日談も楽しみにしてる
740 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/24(木) 11:09:52.60 ID:raDhabwYo
乙!!
741 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/24(木) 11:19:29.12 ID:sotupSiSo

あっさりだな
742 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/24(木) 12:46:42.06 ID:s+Rdtr6uo
おつ
だがまだ男の出生のあれがよくわからんのだが
旧勇者は周りに気づかれずにダークエルフと色々あったん?
743 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/24(木) 13:29:33.09 ID:rO1ISziAO


その辺はいつもの番外編で書いてくれるさ
744 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/24(木) 20:57:50.37 ID:Z561ooK0o
ハーフエルフ(勇者×ダークエルフ+竜)×魔王=?
あれかドラゴンボールの悟天トランクス状態になるのか
745 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 23:01:04.36 ID:Yh4M43ixo
>ALL ありがとうございます

おまけ行きます

746 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 23:02:23.87 ID:Yh4M43ixo
【冒険の書】

〜新勇者旅立ちのとき〜

いよいよ明日、魔王討伐のために旅立つ。

思えば10年前、「勇者の血筋で有望な人材を探している」って言う騎士長さんが俺を迎えにきて、この日のためにずっと訓練をしてきたんだもんなぁ…

最初は何人かいたけど、体を壊したり怪我をしたりで一人減り、二人減り…気が付いたら俺だけしか残ってなかったんだよなぁ…

俺は簡単な魔法と斧を武器に戦う。

勇者と言えば剣だけど剣術は…はっきり言って苦手だから…

今日は王様に準備金をもらって、一緒に旅をする仲間を紹介してもらった。けど…

彼等は優秀だってことは分かるよ?けど、“命に変えても新勇者様をお守りします!”って…

守るのは勇者の役目のはずなんだけど…

そんなに頼りないかなぁ、俺…

747 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 23:03:12.11 ID:Yh4M43ixo
〜港町〜

初めての船旅で船酔いしてしまった…

港に着くと豪華な宿に案内された。なんでも王様からお達しがあったらしい。安宿で十分なのに…

宿に荷物を置いて町を散策した。

みんなはそれぞれに買い物なんかの用事があるって言うから別行動だった。

ブラブラしてるうちに港に居た。そこで俺は…アレを見てしまった…

船着き場で大勢の人が船に乗って行くんだけど、みんな荷物も持ってなければ旅行って雰囲気でもない。

付添い人に聞くと…船に奴隷を載せているところだって…

俺は驚いた。

奴隷なんてお伽噺の中にしかいないと思っていたからだ。

生き物はみんな平等だって村の牧師様は言ってた。だから奴隷なんているわけない。そう思ってた。

でも奴隷は実在して…いま自分の目の前で船に積み込まれている。

俺は気分が悪くなって宿に戻った。
748 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 23:04:04.87 ID:Yh4M43ixo
夜、仲間に奴隷がいることを話した。けど、みんなはそれがあたりまえだと言う。

奴隷になるのは重犯罪者だと。奴隷になって、一生を掛けて罪を償うのだと。

そんなの変だ。罪を償うなら被害者の役に立つようなことをさせればいいのに。

奴隷として売り払っても、得をするのは国と奴隷商人だけ。被害者は置いてけぼりじゃないか!

すると僧侶が「今のは聞かなかったことにします」って…

「奴隷制度は国が定めた制度です。それを批判することは王様を批判することになります。新勇者様は王様を批判するのですか?」って…

俺はもうそれ以上言うことができなかった…情けない…
749 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 23:04:56.58 ID:Yh4M43ixo
〜砂漠の都市〜

本当に助かった。

この町に来る途中、戦士の提案で近道をしたらサンドワームに襲われた。

先頭を歩いていた戦士が毒にやられ、2番目を歩いていた俺にサンドワームが襲いかかったとき、僧侶が俺を庇って毒に侵された。

僧侶に押されて転倒した俺はかろうじて逃げられた。

女魔導師が凍結魔法で攻撃してサンドワームの動きを鈍らせた隙に体制を整えてサンドワームを討ちとった。

戦士と僧侶は意識がなかったんで俺が二人を背負うことになった。

女魔導師も手伝うと言ったけど、彼女も軽傷とはいえ毒を受けているので断った。

町一番の有力者の商人の家に行き手当てを受け、俺と女魔導師は回復に向かったけど、戦士と僧侶は手の施しようがないって…

俺は自分を責めた。俺がもっとしっかりしていれば戦士も僧侶もこんなことにはならなかったはずだ…

商人が言うには解毒魔法でないと戦士と僧侶は助からないって…
750 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 23:05:33.51 ID:Yh4M43ixo
もし二人が死んだから俺の責任だ。そう思っていたら商人が解毒魔法の使い手を連れて来てくれた。

効果は 抜群だ。

戦士も僧侶も、女魔導師もみんな毒が消えて回復に向かっている。

僧侶にどうして自分達は助かったのか聞かれたんで、解毒魔法使いのお嬢さんが助けてくれたんだと言うとなぜか僧侶の機嫌が悪くなった。

女魔導師が“あれはヤキモチです”と耳打ちしてくれた。

“新勇者様が、僧侶が使えない解毒魔法を使いこなすオンナのことを楽しそうに話すから”って言われたけど…

俺、そんなにニヤけてたのかな?

それにしても…普段は冷たい感じの僧侶がヤキモチを焼いてるのって…なんか普通の女の子みたいでかわいいな。

それから、今回のことで自分達のレベルはまだまだ低いってことを思い知らされた。

だから、レベルアップのために先に国内で修行してレベルを上げようと提案してみた。

するとみんなも同じことを思ってたらしくって、全員一致で賛成してくれた。

とりあえずいったん王都に戻って魔物の拠点の情報を手に入れようってことで話はまとまった。

751 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 23:06:15.92 ID:Yh4M43ixo
〜辺境の港〜

王都に戻るための船を待って三日目。

俺は砂漠を戻るつもりだったんだけど、他のみんなが砂漠はイヤだと言うんで一番近い港町まできた。

ここで伝書鳩を飛ばして船を待つことになったのはいいけど、やることがない。退屈だ。

と、思っていたら戦士と女魔導師が冒険者といざこざを起こしたみたいだ。

いつもなら放ってるんだけど、女魔導師から聞いた話では相手は砂漠の都市で俺達を助けてくれた人らしい。

あの時のお礼も言いたかったから話をしに行ったんだけど驚いた。

“男”って言う人はお人よしだし、“魔娘”って言う人(この人が俺達を助けてくれた人らしい)は美人だし…

何より驚いたのは淫魔の子供を仲間にしていたことだった。

けど、俺にもスラりんがいるからなあ…元気かなぁ、スラりん…

とにかく、話してみたら悪いのは戦士たちのほうなんでひたすら謝ったら許してもらえた。

宿に帰ってから戦士と女魔導師には大人しくしているように注意したけど、戦士はまったく反省してない。

それどころか“魔物を切って何が悪い!”って開き直ってるし…

僧侶が戦士をたしなめてくれて何とかなったけど、この先が思い遣られるなぁ…

752 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 23:07:07.16 ID:Yh4M43ixo
〜竜が出た村〜

ここは数年前に竜が出たという村だ。

今のこの村は無人で人っ子一人いない廃村だっていう話だったけど、目に飛び込んできたのはきれいに耕された畑だった。

これは誰か住んでいるに違いないと思い、俺たちは住人を探した。

けど、結局どの家にも人はすんでいなかった。ふと畑に目をやると、中年夫婦が作業をしていた。

俺たちは物陰に隠れて警戒したけど、その夫婦は畑仕事をしているだけだった。

そして夕方になると森のほうに歩いていった。

俺たちはその夫婦の後をつけていった。すると森の中に家があった。
753 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 23:07:41.45 ID:Yh4M43ixo
相手は魔物かもしれないので用心しながらノックをしたら、出てきたのは柄の悪そうな中年親父だった。

あやうく戦士と喧嘩になりそうだったけど、品のいい中年女性が出てきたおかげで戦士も大人しくなってくれた。

どうも戦士は上品な女性が苦手らしい。そういう人の前ではバツが悪そうにしている。

その女性によると竜はここ最近は出ていないらしい。

僧侶が退去命令が出ているから避難すべきだというと、その女性は…娘の墓があるからいやだと。

たとえ竜が出たとしても、ここで墓守をしていくと…

それを聞いて俺たちはもう何も言えなかった。

最後に僧侶がお墓に祈りをささげ、俺たちは次の目的地に向かった。

754 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 23:08:20.55 ID:Yh4M43ixo
〜辺境の港〜

この港に来るのは2回目だ。

相変わらず雰囲気が悪い。

ここは人間界最期の地として足跡を残すだけにしておこう。

明日は魔界に向けて船出だ。

755 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 23:09:28.38 ID:Yh4M43ixo
〜妖精の国・港〜

いよいよ魔界だ。

気を引き締めて…と思ったがドワーフと妖精ばかりでやる気を削がれた。

ここにいる魔物…魔族は小さい上に温厚で、とてもじゃないけど戦う気にならない。

それにこの港の雰囲気…まるで御伽噺の中にいるみたいだ。

戦士はなんだか落ち着かないみたいだけど、僧侶と女魔導師は装飾品を見てキャーキャー騒いでる。

そういうところは普通の女の子みたいでかわいいと思う。

今日はここでゆっくり休むことになった。主に女性陣の意見が強かったわけだけど。

晩飯の後、みんなと相談して、ここを拠点に魔界を探索することになった。

756 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 23:10:16.97 ID:Yh4M43ixo
〜巨人の国〜

俺は今巨人商人の馬車に乗り込むところだ。

ホントは行きたくないんだけど…

二日前、拠点で情報収集という名の観光をしていると王様から手紙がきた。

見ると“竜を討ち取り名を上げよ”と書いてある。

ふーん、竜か…

…竜?

…………竜だって!?

ムリムリムリムリ!絶対無理だ!!

けど戦士たちは“王様の命令は絶対だ!”と言って頑として譲らない。

仕方なく竜の国に向かうことになった。
757 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 23:11:10.13 ID:Yh4M43ixo
獣の国を通るルートと巨人の国を通るルートがあるけど、獣の国には軍隊の本隊が常駐しているらしい。

なので、巨人の国を通るルートで竜の国に行くことになった。

そして巨人の国に入ったら、巨人商人に声をかけられた。

話を聞くと最近人間の冒険者と一緒に旅をしたらしくて、俺たちに声を掛けたのもその冒険者達に世話になったからだそうだ。

その人に感謝しなきゃいけないなと言うと僧侶達が王都の決まりに背く反乱分子だと言った。見つけ次第処罰が必要だと。

その人たちのおかげで馬車に乗ることが出来たんだから感謝してもいいじゃないか…

途中で似蛇族っていう種族に襲われたけど、女魔導師の凍結呪で撃退した。

あんな弱い種族もいるんだな…

758 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 23:12:00.13 ID:Yh4M43ixo
〜竜の国〜

巨人の国から海岸沿いに竜の国に入った。

昨日、小さな村を発見したのでそこに宿を取った。

さすが竜の国だ。村人はほとんど竜だった。

けど、想像とは違って、彼らは温厚で文化的な生活を送っていた。

普通に家に住んで、服を着て、会話をして…見た目以外俺たち人間とさほど変わらない暮らしをしていた。

なぜこんなことを書いてるかっていうと、この後にとんでもないことをしてしまったからだ。

今朝、その村を出てすぐ、女魔導師が覚えたての雷撃呪で村を攻撃した。
759 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 23:12:40.31 ID:Yh4M43ixo
あっという間だったので止めることもできなかった。

俺は女魔導師に文句を言おうとしたけど、僧侶たちは何事もなかったかのように村に入り、王様に報告するためだといって黒焦げになった竜の頭を切り落として袋に詰めていた。

狂ってる…

昨日はあんなに楽しそうに竜と話をしていたのに…今は楽しそうに竜の首を切り落としてる…

俺は何もできなかった…

竜を倒したことでみんな自信をつけたようだけど…これでいいのか?

なんだかここにきてみんなの心が壊れてきているように思える…

760 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 23:13:36.06 ID:Yh4M43ixo
〜碧眼の国〜

竜の国から碧眼の国に入って一週間。

以前、王都の使者から碧眼の国には魔法効果のある武器や防具、魔法札などが豊富にあるとの情報を入手していた。

魔界に来てから、実力の低さからか戦闘になると戦士が真っ先に戦線を離脱する。

苛立ちを隠さない戦士のおかげでパーティー全体の雰囲気が悪くなっている。

そこで、武器の強化も必要だと言って、碧眼の国に行くことを提案してみた。

戦士や女魔導師は否定的だったけど、これは当りだった。

戦士用の剣と転移符を数枚買った。
761 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 23:14:11.80 ID:Yh4M43ixo
戦士は戦闘力が上がり、機嫌が直ったようだ。

ただ…剣を振り回しているときは別人のように高笑いをするようになったけど。

そういえば僧侶が“バーカーサーの剣”とか言ってたような…

何はともあれ、ここには欲しいものがいっぱいありすぎる。

一旦拠点のある妖精の国に戻って王都の使者にお金をもらってまた来よう。

あの魔斧と盾を手に入れたらもっと強くなれるはず…

転移符のおかげで行ったことのある場所への移動がずいぶん楽になった。

762 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 23:14:47.93 ID:Yh4M43ixo
〜獣の国〜

力試しのつもりで獣の国に来たのはいいけど…この国の獣人は強い。

何度か戦いながら様子を見ていたけど、相手が2,3体なら倒せるようになったので、軍隊を避けながら森の中を用心深く進む。

俺は山仕事をしていたから森で迷うことなんて滅多にないんだけど…

この森は迷いやすくて、5回目でようやく通り抜けることができた。魔界の森、恐るべし…

763 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 23:15:24.36 ID:Yh4M43ixo
〜王の国〜

関所を避け、ついにここまで来た。

この国の中心に魔王が住む城がある。

魔斧や魔法具で武装し、獣人をも倒せるようになった俺たちなら、きっと魔王も倒せるはず。

今夜はゆっくり休んで、明日からはさらに慎重に進もう。

もうすぐこの旅も終わりだ。

待っててくれよ、スラりん…

764 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 23:16:35.51 ID:Yh4M43ixo
〜王都〜

魔王の首を持って王様に会見した。

王様はすごく喜んだ。

俺は魔王を倒したのは先代勇者様の仲間達だと話そうとした。

けど、女魔導師が魔法で俺の口をふさいだ。

俺の代わりに僧侶が話をしたが、先代勇者様の仲間たちと力を合わせて、俺が魔王を討ったことになってしまってた。

王様は先代勇者様の仲間達の手配書を取り消すことを約束してくれたので、それ以上は何も言わないことにした。
765 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 23:17:07.02 ID:Yh4M43ixo
僧侶は俺が魔王を討ったことにしないと王様のメンツがつぶれるからと言っていたが、俺が怒っていると思ったのかしおらしくしている。

かわいいやつだ。

怒ってないと言って笑うと抱きついてきた。

ついでに唇も…今夜は僧侶の家に泊まることになった。

“今夜は寝かしませんよ?”って…やっぱそう言う意味だよな?

スラりん、ごめん。しばらく帰れそうにないや。

ミ・ナ・ギ・ッ・テ・キ・タ・ー!!
766 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 23:18:04.12 ID:Yh4M43ixo
〜王都・夜中〜

もう誰も信じられない。

僧侶のやつ、「ヘタね」って…「司祭様のほうが上手だわ」って…

…でも俺にはスラりんがいる。

最後の転移符を使って帰るよ。

そしてまた二人で静かに暮らそう
767 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 23:21:04.88 ID:Yh4M43ixo
〜新勇者の生れた村〜

やっぱり帰ってきてよかった。

スラりんはずっと待ってくれたんだ。

やっぱりここが一番だ。

もう冒険なんてしない。

人間の仲間もいらない。

これからはスラりんといっしょに、穏やかに暮らすんだ…



【冒険の書が 消えました】


〜END〜

768 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/24(木) 23:21:31.05 ID:Yh4M43ixo
今日はこれで終わりにします

では、おやすみなさいノシ
769 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/24(木) 23:24:22.31 ID:6Y5t2J4DO
デロデロデロデロデロデロデロデロデ〜ロ
770 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/24(木) 23:30:37.86 ID:MUKqMLmLo
771 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/24(木) 23:46:57.57 ID:oydVMUINo
乙でした

新勇者…
772 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/24(木) 23:54:57.11 ID:epv2Trayo
おつつ
新勇者苦労人すなぁ…
773 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/25(金) 00:28:57.85 ID:+tkpSEsCP
乙です

新勇者は男と魔娘のパーティーにいれば強くなりながらも幸せな旅になったと思う
場合によっては子淫魔ちゃんと…的な
今回ばかりは仲間に恵まれなかったな…
774 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/25(金) 00:35:12.30 ID:9qqMAiKqo
それにしても暗い話ばっかだなwwwwww
775 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/25(金) 00:42:05.31 ID:US8sPww1o
うわー……あの効果音思い出した
776 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/25(金) 00:58:22.24 ID:RQ1oojv9o
ニダ族は最強の種族ニダ!
777 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/25(金) 00:59:48.89 ID:x2AkBVCXo
スラりんが真っ白になっちゃう…
778 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/25(金) 03:37:00.84 ID:UGJwIzwao
おつおつ
スラりんって、温めてからやるのか?
そのままだとヒンヤリしてて、萎えそう
779 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/25(金) 06:41:05.60 ID:r2mdtdpAO
僧侶まさかのビッチww
780 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/25(金) 07:53:13.77 ID:D9P95NeUo
乙乙!
781 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/25(金) 10:37:26.68 ID:+tkpSEsCP
>>778
おそらくスラりんと風呂にも入ってるだろうから後は分かるな?
782 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/25(金) 18:09:07.06 ID:fjfNP0xv0
竜のでた国ってなんだっけか?
783 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/25(金) 19:57:24.78 ID:YRWPc2QIO
>>782
頭から読み直せ
784 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/25(金) 22:52:26.24 ID:5euQrzcuo
勇者も救済したほうがいいのかな…
785 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/25(金) 22:52:59.10 ID:5euQrzcuo
<赤竜と賢者の出会い>

バサッ バサッ

赤竜「黒竜め…ここまで追ってくるか見ものだな」

バサッ バサッ バサッ

赤竜「森か…少し休むとするか」

バサッ バサッ バッサ バッサ

赤竜「ふぅ…さすがに人間界まで来ると疲れたな」

グゥウ…

赤竜「…食事にするか」
786 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/25(金) 22:53:25.20 ID:5euQrzcuo
ドスッ ドスッ ドスッ

赤竜「…ん?」

クンクン…

赤竜「…イノシシか。捕まえて焼いて喰らおう。気配を消して…」

ブヒブヒ…

赤竜(意外と大きいな…十分引き付けて…)

…ブヒ?

赤竜「ふんっ!」

ブヒイ!ドドドド…

赤竜(疲れのせいで仕留めそこなった!)

ドスドスドス

赤竜「もう少しで…」

ブォン!

赤竜「うぐぁあああ!」
787 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/25(金) 22:53:52.32 ID:5euQrzcuo
ジタバタ

赤竜「こ、これは…結界!?なぜこんなところに!?」

赤竜「これしきの結界!ぐぐぐ…」

ギュイン!

赤竜「ぐおっ!」

ギリギリギリ…

赤竜(み、身動きがとれぬ!)
  ・
  ・
  ・
788 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/25(金) 22:54:18.56 ID:5euQrzcuo
〜翌日〜

賢者「昨日、大きな影が飛んできたのは確か…この辺りですね」

ガサガサ

賢者「ん?これは…足跡ですか。あっちに続いていますね…」

ガサガサガサ
  ・
  ・
  ・
789 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/25(金) 22:54:45.40 ID:5euQrzcuo
赤竜(このまま朽ち果てるのか…禁を破ったわたしにはお似合いの最後かもな…)

ガサガサガサ

赤竜「ん?」

賢者「…」

赤竜(此奴は人間か…)

賢者「…何をしているのですか?」

赤竜「…」

賢者「これは…古い結界ですね…」

赤竜「…」

グゥウウ…

赤竜「!」

賢者「おなかが空いているのですね?ちょっと待ってて下さい」

ガサガサガサ…

赤竜「…なんだ今の人間は?」
  ・
  ・
  ・
790 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/25(金) 22:55:13.29 ID:5euQrzcuo
賢者「パンとベーコンなのですが…食べれますか?」

赤竜「…」

賢者「ダメですか…生肉のほうがいいのでしょうか」

赤竜(そんなわけないだろう…わたしは魔物のような動物ではないと言うに…)

賢者「それにしても…先ほどからまったく動いていませんね…もしかして結界のせいですか?」

赤竜「…」

賢者「これは…見たことの無い結界ですね…調べてみましょう」

ゴソゴソゴソ

赤竜(…此奴は何をしているのだ?)

賢者「…なるほど。魔法陣を踏んだものを拘束する結界ですか。ふむ…」

赤竜(何を考えこんでいるのだ?)

賢者「…今日はこれで帰ります。また明日、来ますから」

ガサガサ…

赤竜「…わたしは明日までの命か…」
791 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/25(金) 22:55:39.81 ID:5euQrzcuo
〜翌日〜

賢者「ほら」

赤竜「…」

賢者「口を少し開ければいいんです。わたしが口の中に入れますから」

赤竜(毒でも入れているのだろう)

賢者「ほら。あーん」

赤竜「…」

賢者「…こんなにおいしいのに…」パクッ モグモグ

赤竜(此奴…毒は入っていないのか…最後の晩餐とするか)
792 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/25(金) 22:56:06.65 ID:5euQrzcuo
賢者「ほら。あーん」

赤竜 グイッ

賢者「ちょっと口が開きましたね。はい、ベーコンです」ポイッ

赤竜(…おいしい)モグモグ

賢者「ふふっ。まだありますよ?」

赤竜 グイッ

賢者「はい」
  ・
  ・
  ・
793 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/25(金) 22:56:33.72 ID:5euQrzcuo
賢者「全部食べてくれましたね。では…」

赤竜(いよいよ最後か…)

賢者「…“古解放呪”」

シュゥウウ…

賢者「…ダメですか。家にある文献で一番古いものを試してみたのですが…」

赤竜(此奴は…何をしているのだ?)

賢者「では、次です。“近古解放呪”」

シュゥウウ…

赤竜(…わたしを攻撃しているわけではなさそうだな…)

賢者「これもダメですね…では次は…」
  ・
  ・
  ・
794 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/25(金) 22:57:00.66 ID:5euQrzcuo
賢者「家にあった文献の解放魔法はすべて試したのですが…」

赤竜(解放魔法?此奴はわたしをこの結界から解放しようとしているのか?)

賢者「…すみません。今日はこれで帰ります。明日、また来ます」

赤竜「…」

賢者「では」

ガサガサ…

赤竜「…どういうつもりだ?」
795 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/25(金) 22:57:28.00 ID:5euQrzcuo
〜翌日〜

賢者「食事も済みましたし…では」

赤竜「…なぜだ?」

賢者「…はい?」

赤竜「「なぜこんなことをする?」

賢者「話せるんですね…」

赤竜「…人間は魔族を敵視しているのでは無いのか?」

賢者「そうですね…あなたが綺麗だから。ではダメですか?」

赤竜「…綺麗?」

賢者「ええ。とても美しいですよ?」ニコッ

赤竜「…」
796 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/25(金) 22:57:54.95 ID:5euQrzcuo
賢者「異生物と意思の疎通ができることがこれほど嬉しいとは…新発見です」

赤竜「…変わったやつだな」

賢者「そうでしょうか?」

赤竜「ああ」

賢者「ふふっ。それはそうと、今日は自信があるのです」

赤竜「…」

賢者「昨日、あれから王都に行って古文書を調べていたのです。そこでよく似た魔法陣を見つけました」

赤竜「…王都と言うところは近いのか?」

賢者「普通に歩けば2カ月はかかりますね」

赤竜「なに!?」
797 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/25(金) 22:58:21.83 ID:5euQrzcuo
賢者「でも私は転移魔法が使えますから」

赤竜「上級魔法の使い手か…」

賢者「そんな大した物ではありませんよ。では…“古代解放呪”」

ブォン!シュルルル…

赤竜「ぬ?」

バサッ バサッ

赤竜「動ける!動けるぞ!!」

賢者「よかったですね」ニコッ

赤竜「…お前は怖くはないのか?」

賢者「なにがですか?」

赤竜「わたしは竜だ。お前を殺すかもしれぬのだぞ?」

賢者「そうですね」ニコッ
798 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/25(金) 22:58:48.28 ID:5euQrzcuo
赤竜「…何故そんな風に微笑むのだ?」

賢者「貴方からは殺気を感じませんから」

赤竜「お前は…変わったやつだな」

賢者「ふふっ。それより三日も拘束されていたのですから、いきなり体を動かさないほうがいいですよ?」

赤竜「…ふん。余計な気遣いだ」

バッサ バッサ バサッ バサッ バサッ

賢者「…ちゃんと飛べるようですね。これで一安心です。さて…私も帰りましょう」

ガサガサ…
799 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/25(金) 22:59:15.28 ID:5euQrzcuo
〜空の上〜

バサッ バサッ

赤竜「空を飛ぶのが久しぶりに感じる!」

赤竜「あの人間のおかげだな」

赤竜「風が気持ちいい…」

赤竜「…」

赤竜(…あの人間はなぜわたしを助けたのだ?)

赤竜(“綺麗だから”だと?わたしは誇り高き竜だぞ!?それを“綺麗”などと…)

赤竜(はじめてわたしを見たときからあの人間は臆することなく近づいて…)

赤竜(文献を調べて結界を解放して…)

赤竜「魔法の腕は相当なものだ…しかし…不思議な人間だ…」

赤竜「…」

赤竜「…なんにせよ、主王国に帰る前に礼をせねばなるまい…」

赤竜「…よし」
800 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/25(金) 22:59:42.38 ID:5euQrzcuo
〜賢者の家〜

ペラッ

賢者「…ふむ」

カリカリカリ…

コンコン

賢者「…おや?誰か来たようですね」

ガチャ

?「世話になるぞ」

賢者「…その前に、貴女はなぜ裸なのですか?」

?「人間の衣服について知識がなかったのだ」

賢者「知識が?」

?「そうだ」

賢者「…とにかく服を着たほうがいいですね。中に入ってください」

?「うむ」
  ・
  ・
  ・
801 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/25(金) 23:00:11.24 ID:5euQrzcuo
?「胸が苦しいな」

賢者「我慢してください。貴女の胸は私よりも大きいものですから」

?「これか?」モミモミ

賢者「…あとで服を買いに行きましょう」

?「すまぬな。また借りが出来てしまった」

賢者「また?」

?「うむ。私はお前に命を救われた。誇り高き我が種族は恩を返さないわけにはいかない」

賢者「…私はあなたを助けた覚えはありませんが?」

?「わたしは赤竜だ」

賢者「…え?」

?「だから…」

?改め赤竜「わたしは先ほどお前に助けられた赤竜だ」ニコッ


〜END〜
802 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/25(金) 23:00:42.89 ID:5euQrzcuo
今日はここまでです

おやすみなさいノシ
803 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/25(金) 23:07:01.44 ID:dbppbPMDO
鶴の恩返しならぬ赤竜の恩返しか

804 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/26(土) 00:17:22.54 ID:Th/A8tiDO
乙!
えろいよ!!赤竜。
805 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/26(土) 21:07:24.44 ID:G49LJXcYo
今作はつまらなかったからもう新しいの書いてくれ
806 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/26(土) 23:40:44.33 ID:l/PkxSUQo
>>805 次のは…まだ何も考えてません…orz
807 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/26(土) 23:41:17.84 ID:l/PkxSUQo
<先代勇者とダークエルフの出会い>

〜エルフの森〜

賢者「…ここが入り口のようですね」

勇者「ここか…」

魔法使い「道なんてないじゃない」

盗賊「へっ」

魔法使い「…なによ。言いたいことがあるならはっきり言いなさいよ!」

盗賊「いんや?何にもないぜ?」ニヤニヤ

魔法使い「ムカつくわねぇ…」

盗賊『胸も括れもねえじゃねえか』ボソッ

魔法使い「何か言った?」

盗賊「いんや?」
808 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/26(土) 23:41:45.54 ID:l/PkxSUQo
勇者「それにしてもいいものが手に入ったな」

賢者「”エルフの目薬”のことですか?」

勇者「ああ。けっこう高かったけど、買っといて正解だったな」

魔法使い「…ごめんね?勇者」

勇者「いいっていいって。これからの旅のことを考えたら魔法の札も欲しいもんな」

賢者「エルフの村にはいろいろな魔法の札が売っているとの話ですからね」

盗賊「”淫魔の札”でも買うのか?へへへ」

魔法使い「そんなわけないでしょ!」

盗賊「なんだ。その幼児体型を何とかしてえのかと思ったぜ」

賢者「小娘はまだ14歳ですからね。まだまだ成長する可能性はありますよ?」クスッ

魔法使い「二人ともムカつく!」

勇者「ま、まあまあ…みんな、先に進もうよ。な?」
  ・
  ・
  ・
809 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/26(土) 23:42:46.47 ID:l/PkxSUQo
勇者「…ここか」

賢者「ええ。エルフの村のようですね」

ヒソヒソ…ヒソヒソ…

魔法使い「…なんか様子が変ね…」

盗賊「ああ…まるで避けられてるみたいだな」

魔法使い「そりゃあねえ…」ジトー

盗賊「どこから見てもガキだもんな」ジー

魔法使い「わたしじゃない!あんたのことよ!!」

勇者「ま、まあまあ。こんなところで言い合いしないで。ね?」

賢者「とにかく村の中に入ってみましょう」
  ・
  ・
  ・
810 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/26(土) 23:43:19.29 ID:l/PkxSUQo
〜エルフの村〜

勇者「…やっぱり…」

賢者「避けられてますね」

盗賊「…」

魔法使い「買えるのかしら。魔法の札…」

「おい、あんたら」

勇者「はい?」

エルフ中年「どうやってここまで来たんだ」

賢者「この村の人ですね?私達は冒険者です」

エルフ中年「そんなことはどうだっていい!」
811 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/26(土) 23:43:59.25 ID:l/PkxSUQo
勇者「落ち着いてください。俺達はこの村で売っている魔法の札を買いたくてここまで来たんです」

魔法使い「そう。そのために“エルフの目薬”を買って…」

エルフ中年「…やっぱりそうか。まあ、お客なら仕方がない。せいぜい金を落としていけ」

魔法使い ムカッ

勇者「落ち着け、魔法使い」

エルフ中年「それから、用がすんだらすぐに出て行けよ」

賢者「そのつもりですが、もう日が暮れます。宿の場所を教えていただけれるとありがたいのですが」

エルフ中年「…宿はない」

勇者「え?」
812 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/26(土) 23:44:30.22 ID:l/PkxSUQo
エルフ中年「俺達は他の種族とは出来るだけ交わりたくないんだ」

賢者「では、泊めていただけそうな方はいませんか?」

エルフ中年「そんなモノ好きはこの村にはいない」

魔法使い「…泊まれなくてもいいわ。魔法の札を売っているところはどこ?」

エルフ中年「…村の外れの一軒家だ」

魔法使い「そう。分かったわ。ありがとう」
  ・
  ・
  ・
813 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/26(土) 23:45:29.63 ID:l/PkxSUQo
〜村外れの一軒家〜

魔法使い「ここね。ごめんくださーい」

?「はーい」

魔法使い「魔法の札を買いたいんだけど…」

エルフ母「あ、お客さんですね。はいはい」

賢者「私達は冒険者です。ここで魔法の札を売っていると聞いたものですから」

盗賊『…おい』コソコソ

勇者『な、なんですか?』コソコソ

盗賊『すっげえ美人だな』

勇者『そうですね…』

盗賊『もう…涎もんだな』

勇者『…賢者さんに言いつけますよ?』

盗賊『…涎垂れてんぞ?』

勇者『…あ』ゴシゴシ
  ・
  ・
  ・
814 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/26(土) 23:45:58.02 ID:l/PkxSUQo
魔法使い「ありがとう。いい買い物ができたわ」

エルフ母「どういたしまして」

賢者「…ちょっといいですか?」

エルフ母「なんでしょう?」

賢者「他の村人は私達を避けていたのに、貴女はなぜ私達に親切なのですか?」

エルフ母「…エルフ族はもともと臆病なのです。ですので他の種族のことを怖がっています」

エルフ母「でも主人と私は他の種族のところに行って魔法の札を売る商売をしていますからね」

エルフ母「他のエルフ族よりは、他の種族に慣れているのですよ」

賢者「そうですか。おかげで助かりました。ありがとうございます」

エルフ母「いいえ」ニコッ

盗賊「…ちっ。亭主持ちかよ」
815 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/26(土) 23:47:05.44 ID:l/PkxSUQo
エルフ母「…ところで皆さん、もう日も暮れますが…どうなさるおつもりですか?」

勇者「この村には宿が無いんですよね?」

エルフ母「ええ」

勇者「だったら、もうこの村から出て行きます」

エルフ母「あら、それは危険ですよ?」

賢者「でも仕方ありません。先ほど村人にも用がすんだら出て行けと言われましたから」

エルフ母「そうですか…でしたらうちに泊まりませんか?」

勇者「え?」

エルフ母「うちには商人さんが寝泊まりする部屋がいくつかあります。幸い今は空いてますし…どうですか?」

勇者「それは有難い!けど…大丈夫ですか?勝手に泊めたことが村の人にばれると…」

エルフ母「大丈夫ですよ。貴方達は商人だったって言うことにしておけば。ね?」

勇者「そう言うことでしたら…お世話になります」

エルフ母「はい」ニコッ
816 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/26(土) 23:47:55.29 ID:l/PkxSUQo
〜夜・エルフ母の家〜

ギシギシ アンアン

勇者「…」ギンギン

勇者「今夜も激しいなぁ、あの二人…」

勇者「魔法使いはまだ子供だからなぁ…部屋を離しといてよかった…」

勇者「耳栓して寝るか…」

勇者「…」

ギシギシ アンアン

勇者「…」

ガバッ!

勇者「ダメだ!寝られない!!」

勇者「…しょうがない。ヌいてくるか…」

ガチャ
  ・
  ・
  ・
817 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/26(土) 23:48:30.68 ID:l/PkxSUQo
勇者「…ふぅ」

勇者「さて、部屋に戻るか」

ガチャ

ダークエルフ「あ」

勇者「あ」

ダークエルフ「…」

勇者(エルフ母さんが言ってた娘さんかな?…すごく綺麗だ…真っ白な髪と肌に赤い目…吸い込まれそうだ…)

ダークエルフ「…あ、あの…」

勇者「あ、ゴメンゴメン…この家の娘さんだよね?」

ダークエルフ「ええ…冒険者さん…ですよね?」

勇者「あ、ああ」

ダークエルフ「うわぁ…いいなぁ」

勇者「え?」
818 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/26(土) 23:49:06.59 ID:l/PkxSUQo
ダークエルフ「わたし…この村から出たことがないんです。よかったらお話を聞かせてくれませんか?」

勇者「話?」

ダークエルフ「ええ。いろんなところを冒険してこられたんでしょ?そのお話を聞かせていただきたいんです」ニコッ

勇者「えっと…」

ダークエルフ「…あ。もう寝るところだったんですか?」

勇者「…いや、いいですよ」ニコッ

ダークエルフ「やった!ありがとうございます」ペコッ

勇者(うわぁ…すっげえかわいい!)
819 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/26(土) 23:50:44.07 ID:l/PkxSUQo
ダークエルフ「じゃあ…あ」

勇者「どうしたの?」

ダークエルフ「その…部屋だと声が…」

勇者「あー…」

『ギシギシ アンアン』

勇者(あの二人…もうちょっと静かにヤればいいのに…)

ダークエルフ「…ね。外に出ませんか?」

勇者「え?けど…」

ダークエルフ「…わたし、太陽の光に弱くて…だから夜しか外に出られなくて…」

勇者「そうなんだ…」

ダークエルフ「今日は満月だし、外は結構明るいし…外でお話を聞かせてください」

勇者「…うん。いいよ」ニコッ
820 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/26(土) 23:51:18.66 ID:l/PkxSUQo
〜家の外・ベンチ〜

ダークエルフ「綺麗なお月さまですね」

勇者「そうだな…」

ダークエルフ「…あ、自己紹介がまだでしたね。私、ダークエルフって言います」

勇者「俺は勇者って言うんだ」

ダークエルフ「勇者様?いい名前ですね。うふふ」

ドキン!

勇者(微笑んだ顔がすごく可愛い…)

ダークエルフ「…私の顔に何かついてますか?」

勇者「あ、いや…ダークエルフさんがすごく可愛くて…つい…」

ダークエルフ「…え?」

勇者「あ…」

ダークエルフ・勇者 //
821 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/26(土) 23:51:48.68 ID:l/PkxSUQo
勇者(やべえ!つい本音が…)

勇者「…え、えっと…旅の話だったよね!」

ダークエルフ「え、ええ!ぜひお願いします!」

勇者「じゃあ…俺が住んでたところは〜〜〜」
  ・
  ・
  ・
ダークエルフ「すごいなぁ。勇者様はいろんなところに冒険に行ってて…」

勇者「ダークエルフさんも行けるよ」

ダークエルフ フルフル

ダークエルフ「私は…この村の外には行けないんです…」

勇者「え?なんで?」

ダークエルフ「…私は太陽が出ている間は外に出られません。だから旅なんて…」

勇者「あ…」
822 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/26(土) 23:52:20.56 ID:l/PkxSUQo
ダークエルフ「私は忌子で…私に関わる人はみんな不幸になるんだそうです…」

勇者「そんな馬鹿な!」

ダークエルフ「ううん。太古の昔から…ダークエルフは厄災をもたらす存在なんだそうです…」

ダークエルフ「だから…このままこの村で…誰にも会うことなく暮らすしかないんです…」

ダークエルフ「それが定めなんですよ…」フッ

勇者「…なあ。顔をあげてくれない?」

ダークエルフ「え?」

チュッ

ダークエルフ「な、なにをするんですか!?」

勇者「…俺さ、ダークエルフさんのことが好きだ。一目惚れってやつかな?」

ダークエルフ「…え?」
823 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/26(土) 23:52:54.55 ID:l/PkxSUQo
勇者「だから…この冒険が終わったら…またここに来るよ」

ダークエルフ「…ど、どうして…」

勇者「それでさ…一緒に暮らそう?な?」

ダークエルフ「…うぅ…ヒック…」

勇者「ど、どうした?俺、なんか気に障ること言った?」

ダークエルフ「ううん…嬉しいんです…こんな私のこと…好きだって…一緒に暮らそうって…」

ダークエルフ「そんな人…初めてなんです…ヒック」

勇者「…」

ダークエルフ「…ねえ、勇者さん」

勇者「“勇者”って呼んでくれ」

ダークエルフ「…勇者。信じていいですか?」

勇者「ああ。俺はこんなやつだけど…信じてほしい」

ダークエルフ「…はい。信じます」
824 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/26(土) 23:53:20.74 ID:l/PkxSUQo
勇者「じゃあ…」

ダークエルフ「…お願いがあります」

勇者「なんだ?」

ダークエルフ「今度は…おでこじゃなくて唇に…」

勇者「ん」

チュッ

ダークエルフ「…はぁ…」

勇者(愛おしい…)

ダキッ

ダークエルフ「きゃっ!」
825 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/26(土) 23:53:50.59 ID:l/PkxSUQo
勇者「ダークエルフ…お前が欲しい」

ダークエルフ「え?」

勇者 ジー…

ダークエルフ「…はい//」

勇者「じゃあ…ダークエルフの部屋に…」

ダークエルフ コクン
  ・
  ・
  ・
826 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/26(土) 23:54:27.79 ID:l/PkxSUQo
勇者 ナデナデ

ダークエルフ「…うふふ。くすぐったいですよ」

勇者「…ゴメンな?」

ダークエルフ「なにがですか?」

勇者「いや…初めて…だったんだな…」

ダークエルフ「謝らないでください。私は初めてが貴方で嬉しいんですから」

勇者「…ありがとう」ナデナデ
827 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/26(土) 23:54:54.63 ID:l/PkxSUQo
ダークエルフ「…勇者は…冒険を続けるんですよね?」

勇者「…ああ」

ダークエルフ「だったら…これを持っていってください」ガサゴソ

勇者「これは…転移符?」

ダークエルフ「私が作った転移符です。3枚あります」

勇者「え?でもこれは売り物だろ?」

ダークエルフ「いいんですよ。これを使えばいつでもこの村に戻ってこれますから」

勇者「…へ?」

ダークエルフ「だから…」

ダークエルフ「…また…顔を見せてください…寂しいから…」ギュッ


〜END〜
828 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/26(土) 23:58:56.29 ID:l/PkxSUQo
もういっちょいきます
829 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/26(土) 23:59:22.75 ID:l/PkxSUQo
<後日談>

魔娘「あ、動いた」

男「え?どれどれ?」サワサワ

キュル

男「あ!ホントだ!!」

魔娘「ね?」

男「元気だな。オトコのコかな?」

魔娘「どうかしらね。ふふふ」

ガチャ

エルフ母・子淫魔「お茶が入りましたよ」

魔娘「あら、ありがとう」
830 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/27(日) 00:00:21.31 ID:0FE2G++ro
子淫魔「どうですか?」

魔娘「さっき動いたわ」

子淫魔「え?ホント?」

男「ああ。お腹を撫でたら“キュルッ”ってな」

子淫魔「いいなぁ…わたしが撫でても動いてくれないんだもん…」

魔娘「大丈夫よ。そのうち動くわ」

子淫魔「わたしも欲しいなぁ・・・子供」チラッ

男(うわぁ…子淫魔もいい具合に成長してるから破壊力がすさまじいぞ!)

魔娘「ごめんね?」

子淫魔「え?」
831 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/27(日) 00:00:48.52 ID:0FE2G++ro
魔娘「せっかくお見舞いに来てもらったのに雑用ばっかりやらせちゃって…」

子淫魔「ううん。結構楽しんでやってますから♪」ニコッ

エルフ母「おかげで助かってるわ。ありがとう」

子淫魔「いえ!わたしが勝手に居座っちゃってるから…」

男「子淫魔、淫魔母さんたちには言ってあるのか?」

子淫魔「うん。“しっかりヤってきなさい”って」

男「そ、そっか」

男(なんか言葉に別の意味が含まれてるような…)

男「じゃあ、そろそろ釣りに行ってくる」

魔娘「気をつけてね」

子淫魔「大物、期待してますよ♪」

エルフ母「いってらっしゃい」

パタン

男「大物か…今日は南の磯に行ってみよう」

シュイン

832 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/27(日) 00:01:19.50 ID:0FE2G++ro
〜南の磯〜

ザッパーン

男「…よし。あの岩場にしよう」

シュン

男「釣竿の準備をしてと…」カチャカチャ
  ・
  ・
  ・
男「…」

ザッパーン

男「…釣れないなぁ」

ボコン ベコン

男「ん?何の音だ?」

ボコン ベコン

男「…あの岩場の向こうから聞こえるな…行ってみるか」

シュン
833 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/27(日) 00:02:06.06 ID:0FE2G++ro
男「よっと。確かこの辺りだと思ったんだけど…」

ボコン ベコン

男「…あ、手漕ぎの舟だ。あれの音だったのか…ん?あれは…人が舟に!?」

シュン

男「あっ!新勇者様!?」

新勇者 グッタリ

男「大丈夫ですか!?しっかりしてください!!“中回復呪”!」

パァアアアア!

新勇者「…うぅ…」

男「…もう大丈夫みたいだな…ん?」

白スライム デローン

男「酷いな…あちこち切られてて形が歪んでる…“中回復呪”」

白スライム「…びぃ…」

男「こっちもなんとか生きてるみたいだな。とりあえず二人とも連れて帰ろう」

シュイン
834 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/27(日) 00:02:35.52 ID:0FE2G++ro
〜家〜

新勇者「うぅ…」

〜〜新勇者の夢〜〜

〜新勇者の家〜

  騎士長「ですから、城の方にお戻りいただいてですね」

  新勇者「もういいだろ?俺はここで静かに暮らしたいんだ」

  騎士長「お気持ちは分かりますが、それでは王様の命に背くことになりますよ?」

  新勇者「どうしてほっといてくれないんだ!」

  騎士長「それはあなたが英雄だからですよ」

  新勇者「俺は英雄なんかじゃない!」

  騎士長「あなたがどう思おうと、我々にとってはあなたは英雄なのです」

  新勇者「だからあれは!」
835 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/27(日) 00:03:02.53 ID:0FE2G++ro
  従兵「騎士長殿!」

  騎士長「なんだ。いま新勇者殿と話しておる最中だぞ?」

  従兵「は!申し訳ありません!実は…そこで白スライムを発見しまして捕まえたところであります!」

  騎士長「スライムなd」
  新勇者「スラりん!!」ダッ!

  騎士長「新勇者殿!どこに行かれるのですか!!」グイッ

  新勇者「は、はなせ!!」

  騎士長「ふうむ…どうやら新勇者殿はその白スライムに操られていたとみえる」

  従兵「こんなに白くなるまで…新勇者殿は性欲も桁はずれと見える」

  ワハハハハ

  新勇者「う!うるさい!!」

836 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/27(日) 00:03:31.23 ID:0FE2G++ro
  騎士長「…なるほど。道理でいくら説得しても城に来てくださらぬわけだ。おい!従兵共!!」

  従兵’s「「「はい!」」」

  騎士長「その白スライムを殺せ!」

  従兵’s「「「はっ!」」」

  新勇者「や、やめろぉおお!!」

  ブォン!

  騎士長「うわぁああ!!」

  従兵「き、騎士長が投げ飛ばされた!!」

  新勇者「スラりん!大丈夫か!?」

  スラりん「…びぃ…」グッタリ

  新勇者「こんなに切られて…痛かったろう?ほら、薬草だ。ちきしょう…こんなとき回復呪が使えたら…」サスサス

  スラりん「…びぃ…」
837 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/27(日) 00:03:59.47 ID:0FE2G++ro
  騎士長「…新勇者殿…」ユラァ

  ヒュン

  新勇者「!?」

  ガキィイイイン!!

  新勇者「何をするんだ!」

  騎士長「その白スライムをよこすのだ!」

  新勇者「イヤだ!スラりんは大事な友達なんだ!!それをこんなに傷つけやがって!!」

  騎士長「わたしがスライムより人間の方が何倍も気持ちいいことを教えてあげます!」

  新勇者「い、イヤだ!俺はスラりんがいいんだ!!」

  騎士長「…さっきもずっと私の胸を見ていたではありませんか!?気になるのでしょう?この胸が」ユサユサ

  新勇者「…う、うるさい!スラりん!行くぞ!!」ダッ

  騎士長「追え!追うんだ!!」
    ・
    ・
    ・
838 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/27(日) 00:05:27.13 ID:0FE2G++ro
  新勇者「はぁ、はぁ…とりあえずこの舟の中に隠れよう」

  ザザーン…

  新勇者「海か…なあ、スラりん」

  スラりん「…びい?」

  新勇者「…魔界に行こう?」

  新勇者「魔界を旅して思ったんだ。“ここは人間界より住みやすいかも”ってさ」

  新勇者「このまま人間界に居てもスラりんは住みにくいだろ?だからさ…な?」

  スラりん「…びぃ!」

  新勇者「よし!そうと決まれば転移符で…あ」

  ボロボロ…

  新勇者「破れてる…使えるのかな?これ…」

  ヒュン カッ!

  新勇者「弓矢!?どこから!?」

  王都の戦艦 ザザーン…
839 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/27(日) 00:05:55.95 ID:0FE2G++ro
  新勇者「うそだろ…軍艦まで持ち出してきたよ…」

  ドォオーン

  新勇者「え?マジ!?大砲!?」

  ドォオーン

  新勇者「仕方ない!この転移符で…“転移”」

  ぐにゃあ

  新勇者「うわぁあああ!!」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
840 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/27(日) 00:06:23.47 ID:0FE2G++ro
新勇者「うわぁあああ!!!」ガバッ!

子淫魔「ひっ!」ビクッ

新勇者「はあ…はあ…はあ…」

子淫魔 ビクビク…

ガチャ

男「お、目が覚めたみたいですね」

新勇者「!?」バッ

男「あ、そんな身構えなくていいですよ。新勇者様ですよね?」

新勇者「…あ!あんた!!」

男「思い出してくれましたか?」

新勇者「魔王を倒した人じゃないか!」

男「はい。それだけ動けるんならもう大丈夫みたいですね」
841 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/27(日) 00:06:51.00 ID:0FE2G++ro
新勇者「え?…あ、手当てをしてくれたのか?」

男「ええ。そこにいる子淫魔が付きっ切りで看病してたんですよ」

新勇者「そうなのか…ありがとう」

子淫魔「あ、いえ…」

新勇者「…ん?この子って…」

男「はい。辺境の町であってますよね?あの淫魔です」

新勇者「え!?あの子が!?もうこんなに大きくなったんだ…」

子淫魔「えっと…子淫魔です」ペコッ

新勇者「あ、新勇者です」ペコッ

男「それと…一緒にいた白スライムなんですが…」

新勇者「…スラりん!スラりんはどうなったんだ!?」

男「大変申し上げにくいんですが…」

新勇者「!?」

男「…」
842 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/27(日) 00:07:20.47 ID:0FE2G++ro
新勇者「…そうか…」ガクッ

男『入っておいで』コソコソ

白バブルスライム ソー…

新勇者「…ん?」

白バブルスライム「…ぶく?」

男「彼があなたと一緒にいたスライムです」

新勇者「…スラりん?」

白バブルスライム「ぶくー!」

ピョン

新勇者「やっぱりスラりんか!生きてたんだな!!」

男「すいません…回復呪をかけたんですが元には戻らなくて…バブルスライムになってしまって…」

白バブルスライム「ぶくぅ…」

新勇者「…いいんだ。スラりんが生きていてくれただけで俺は…」

男「…」
843 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/27(日) 00:07:47.41 ID:0FE2G++ro
新勇者「スラりんって言うよりバブりんだな。あははは」

白バブルスライム改めバブりん「ぶくく♪」

子淫魔「“ホントだね”って言ってるよ?」

新勇者「え?きみ…バブりんの言ってることが分かるのか?」

子淫魔「うん」

バブりん「ぶくぅ…」

子淫魔「“ごめんなさい”だって」

新勇者「謝るのは俺のほうだよ。バブりん。俺がしっかりしてればこんなことには…ごめん」

バブりん「ぶくぶくぅ!」

子淫魔「“そうじゃないの”」

バブりん「ぶくぶく…ぶくぶくぶくぅ…」

バブりん「“こんな体だから…もう新勇者のお相手が出来なくなっちゃった…”」

新勇者「…え?」

バブりん「ぶく…ぶくぅ…」

子淫魔「“だから…ごめんなさい…”」
844 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/27(日) 00:08:16.50 ID:0FE2G++ro
新勇者「…いいんだ。バブりんは俺の大切な魔物だから。これからも一緒にいような?」

バブりん「ぶくー!」

ピョン

新勇者「あははは。そんなに這いずるなって。くすぐったいだろ?」

バブりん「ぶくぶくぶく」

新勇者「…なんて言ったんだ?」

子淫魔「…“今度から新勇者のお相手はこの子に頼んだからね”って…」

新勇者「…え?この子って…まさか…」

子淫魔 コクン

新勇者 コウチョクー
845 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/27(日) 00:08:44.21 ID:0FE2G++ro
子淫魔「…いや?」ウワメヅカイー

新勇者「いや…いやいや!そうじゃなくて!!きみはそれでいいのか!?」

子淫魔「わたしは淫魔だから平気だよ?」

新勇者「そ、そうか…けど!見た目はまだ子供じゃないか!」

子淫魔「でももう精を吸えるよ?」

子淫魔「それに、わたしにとって精は食事みたいなものだから。私も助かります」

新勇者「そ、そうなのか…」

子淫魔「はい♪」ニコッ
846 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/27(日) 00:09:22.01 ID:0FE2G++ro
〜夕食〜

エルフ母「今夜は子淫魔ちゃんがね、“新勇者さんに食べさせたい”って頑張ってくれたのよ?」ナデナデ

子淫魔「えへ♪」

魔娘・男・新勇者「「「…」」」

男「…見事に精が付くものばっかだな」

魔娘「わたし達はエルフ母さんが作ってくれたものを食べましょ?」

男「そうだな。子淫魔作ったものは新勇者様に食べてもらおう」

新勇者「…いやいや。みんなで食べればいいだろ?」

男「まあ、子淫魔も新勇者様に食べてほしくて作ったんだし?」

魔娘「わたしは妊娠中だから…ね?」

新勇者「けど…」

子淫魔「…食べたくないの?」ウルッ

新勇者(その表情は反則だろ!)

新勇者「…食べるよ。ありがとな」

子淫魔「うん!お代わりもあるからね♪」

新勇者(大丈夫か?俺…)
847 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/27(日) 00:09:50.36 ID:0FE2G++ro
〜夜〜

バブりん スピー…スピー…

新勇者「…」

ギンギン

新勇者(興奮して寝られねえ!)

カチャ

新勇者「!?」

子淫魔「…もう寝た?」

新勇者「…まだ」

子淫魔「そっか…えへへ。そっちに行っていい?」

新勇者「…あんまり近づかないでくれよ?」

子淫魔「どうして?」

新勇者「どうしても!」
848 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/27(日) 00:10:17.67 ID:0FE2G++ro
子淫魔「じゃあ…ベッドの横に行くね?」

トテトテトテ

新勇者(すんげえいい匂いだ…あ、いかん)

子淫魔「どうしたの?」

新勇者「い、いや…なんでもない」

子淫魔「そう?でも苦しそうだよ?」

新勇者「…え?」

フッジサーン
849 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/27(日) 00:10:47.31 ID:0FE2G++ro
子淫魔「吸い取ってあげるね?」ニコッ

新勇者「いや!ちょ…あっ!!」

パクッ ジュルッ ジュルッ…

新勇者(で、でる!喉の奥に出したい!!)

ガシッ グッ!

子淫魔「ん!」ビクッ

新勇者「はっ!…はっ!!…はあ…」

ドクッ ドクッ ドクッ

子淫魔「ん!…ん!!…ん…」ゴクッ ゴクッ ゴクン
850 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/27(日) 00:11:17.83 ID:0FE2G++ro
新勇者「はぁ…はぁ…」

チュポン

子淫魔「はぁ…濃くておいし♪」

新勇者(子淫魔、いい匂いがする…あ、いかん。また…)

子淫魔「どうしたの?…あ」

新勇者(どんだけ精が付いたんだよ…また…)

子淫魔「ふふっ。また元気になってきた♪…ねえ。今度は中に…ね?」

新勇者(脱力感がすごくて…起きれない!)

新勇者「ああ…」
851 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/27(日) 00:11:46.11 ID:0FE2G++ro
子淫魔「上に乗るね?ん…」

新勇者(暖かい…俺のを包み込んでるのが分かる…)

子淫、あ「あ…あん…ふぅ…奥まで入ったよ?」

新勇者(め、めちゃくちゃ気持ちいい!)

子淫魔「ふふふ。動くね?」

グチュ グチュ…

新勇者(やべえ!もう出そうだ!!)

子淫魔「あ…ん…ふふふ。いっぱい出してね?」

新勇者(も、もう我慢できない!)

ググッ

子淫魔「あ!」

新勇者「ん!」

子淫魔「あ!…ぅあ…あ…」ビクンビクン ビクン…

新勇者「はぁ…はぁ…」

子淫魔「すごい…まだ濃い…」ウットリ
852 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/27(日) 00:12:15.04 ID:0FE2G++ro
新勇者「…子淫魔は何も言わないんだな」

子淫魔「なにが?」

新勇者「だってさ…俺、こんなに早いんだぜ?ヘタだとか…早漏とか…」

子淫魔「そんなこと言わないよぉ。こんなにおいしいの、いっぱい出してくれるんだよ?」

子淫魔「それにね、淫魔相手にそんなに長続きする人なんていないよぉ」

子淫魔「だから…わたし、すごく嬉しいんだよ?」ニコッ

新勇者「!?」

新勇者(いい子だ…愛おしい…)

子淫魔「…ねえ。しっかり吸い取るから、このまま抜かずにじっとしててね?」

キュウー…

新勇者(すげえ締まる!吸い取られてる!!)

子淫魔「あ…中でまた元気になってきた。あは♪…ねえ…もう一回…」

新勇者「…ああ…任せるよ」
  ・
  ・
  ・
853 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/27(日) 00:12:44.21 ID:0FE2G++ro
〜朝〜

新勇者 スッキリー

子淫魔 ツヤツヤ

男「おはよう」

子淫魔「おはようございます♪」ニッコリ

魔娘「ご機嫌ね。どうしたの?」

子淫魔「はい!新勇者さんに美味しいのをいっぱい貰いました♪」

新勇者「ははは…」

魔娘・男「「…」」

男「…ま、まあ、淫魔にとっては滋養だし?」

魔娘「そ、そうね」

ガチャ

エルフ母「みんな、朝御飯の用意ができたわよ」
854 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/27(日) 00:13:29.98 ID:0FE2G++ro
〜数日後・家の前〜

新勇者「じゃあ…」

男「ホントに行くんですか?淫魔の町に…」

新勇者「ああ。そこでこの子とバブりんの3人で暮らすんだ」

バブりん「ぶくー!」

新勇者「…今更人間界に戻っても疲れるだけさ。だったら魔界で暮らすほうがいいなって…な?」

男「けど…そんなことしたら王都が黙っていないんじゃ…」

新勇者「王都の連中に魔界にまで来る度胸はないさ。討伐の時だって拠点に来てたのは商人たちだったし」

新勇者「それに…王都の連中は俺に居てほしいんじゃない」

男「え?」
855 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/27(日) 00:16:41.05 ID:0FE2G++ro
新勇者「…奴等は俺が王都に反旗を翻さないように手元に置いておきたいだけなんだ。だから…」

魔娘「…“脅威は手元に置いて制御する”…狡賢い考え方ね…」

男「ひでえな…」

魔娘「…この国なら自由は保障されてるし、新勇者がそうしたいって言うんならそのほうがいいかもね」

男「そうだな…」

子淫魔「…ねえ。そろそろ…」

新勇者「そうだな」

エルフ母「これを使いなさい。転移符よ」

子淫魔「ありがとうございます」ペコッ

男「じゃあ…気をつけて」

新勇者「ああ」

魔娘「また遊びに来てね?」

子淫魔「はい!」

エルフ母「いってらっしゃい」

新勇者「じゃあ…子淫魔」

子淫魔「はい。“転移”」

シュイン
856 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/27(日) 00:17:07.70 ID:0FE2G++ro
男「…行ったな」

魔娘「そうね」

男「幸せになってくれるといいな」

魔娘「それは大丈夫じゃない?」

男「なんで?」

魔娘「だって、子淫魔をあんなに満足させてるのに新勇者は全然平気だったでしょ?」

男「ああ」

魔娘「淫魔相手に満足させるって、相当精力がないと無理なの。普通の男ならげっそりしてるわ」

魔娘「なのに新勇者は全然平気だったでしょ?相当精力がある証拠よ」

男「なるほどなあ。心配することじゃないか」

魔娘「ええ。そろそろ私達も家に入りましょ?」

男「そうだな。コケないように注意しろよ?」

魔娘「ええ」

パタン

  ---その後、淫魔の町で新勇者と子淫魔は幸せに暮らしたとさ


〜END〜
857 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/27(日) 00:20:56.92 ID:0FE2G++ro
これでこのスレは終わりにします
ファンタジーは難しいです…orz

html化依頼は来週の日曜日に出す予定です
それまでに1000いてなければ、ですがw

それまでは絵を投下するなり雑談するなり、好きにしてください

それでは、またノシ

858 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/27(日) 00:21:04.58 ID:CBQiDgnbo
バブりん「」
859 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/27(日) 00:22:00.64 ID:iMbBVDXAo

新旧ともに勇者もげろ
860 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/27(日) 00:24:39.91 ID:UhpYeLUjo
乙ー
まあファンタジーでは、絡ませ方とかは今までのとはちょっと違ったな。
でも最終的にはハッピーエンドってことでよかった。また書いてくれなー
861 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/27(日) 01:22:57.11 ID:SJbFlVObP
乙です
新勇者とスラりん改めバブりんが幸せになってくれて良かったよー
そして子淫魔が入る事でお世話に通訳と至れり尽くせりだな
今まで新勇者の周りがゲスばっかりだったのが泣ける…
862 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/27(日) 02:22:17.83 ID:SJmQdGfQo
旧勇者その後はないのか
863 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/27(日) 04:16:34.44 ID:EsjwesRKo
バブルはバブルで良さそうだがな・・・
子淫魔が幸せならそれでいいか
864 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/27(日) 04:18:11.64 ID:NVbL30d1o
乙でした
865 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/27(日) 04:28:55.10 ID:0IeC9/nIO
今までとは異色だったけど好きだった。面白かった。
新境地開けましたな。
次回も期待してますぞ
866 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/27(日) 07:50:05.74 ID:kKvD8Tvho
>>1

勇者・ファンタジーもの大好き且つ>>1の作品も大好きな俺得な話ありがとうございました!
みんな可愛く格好いいキャラばかりで更新が毎日の楽しみでした。

次回作もきっとあると思いますが、厳寒の折り、ご自愛くださいませ。
867 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/27(日) 11:41:19.22 ID:91jNzVPWo
シスターとエルフ母の話があるかなぁとか思ってたけどなかったか

乙した
868 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/27(日) 19:36:40.77 ID:9dMDbgLvo
869 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/28(月) 12:49:29.88 ID:NyVgzDwPo
870 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/28(月) 19:49:41.24 ID:KpHM2dFx0
楽しませてもらったよ
871 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/29(火) 22:08:28.15 ID:Zz/qtQi+o
>>858 バブりんはローション代わりに(ry

>>859-870 乙ありがとうございます。

>>862 勇者は獣の国で…

>>867 シスターとエルフ母は賢者の家のお墓で(ry
872 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/29(火) 22:32:46.45 ID:RxfrkKHwo
ローションワロタ
873 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/29(火) 23:26:05.18 ID:1EMmQDxAO
乙です

次回作楽しみにしてます
874 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/30(水) 23:36:46.04 ID:bqaMY5Eno
>>1
乙、ファンタジーも面白かった!!
875 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/01/30(水) 23:43:32.16 ID:ChxKnLsLo
>>872 バブりん大活躍ですw

>>873-874 乙ありがとうございます
ファンタジーは難しいですね…
876 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/31(木) 22:05:05.49 ID:FoyFKiaxo
乙乙!
877 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/01(金) 02:15:24.66 ID:o02+bdd/o
外見はドラクエ的なスライムなんだよね?
答えなくてもいいけど
878 : ◆doBINqA5W6 [saga]:2013/02/01(金) 22:50:24.10 ID:zKnCIxY5o
>>876 乙ありがとうございます

>>877 まあ一応…
879 : ◆doBINqA5W6 [sage]:2013/02/03(日) 22:24:08.26 ID:I2KPNI23o
男「…へ?」 魔娘「だから…」

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1358524163/

完結しましたのでHTML化お願いします。
880 : ◆doBINqA5W6 [sage]:2013/02/03(日) 22:24:51.66 ID:I2KPNI23o
間違えた…orz
881 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/03(日) 22:32:58.43 ID:wIV5QhMLo
まあまあ
882 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/03(日) 23:00:02.97 ID:IxynWH6ro
ワロタ
883 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/03(日) 23:04:45.19 ID:VDI5v65to

次も期待する
884 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/03(日) 23:21:02.24 ID:gdgdZaRDO
乙!次も待ってます
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