とある後日の幻想創話(イマジンストーリー)4

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132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/06/22(月) 00:13:43.74 ID:T93YvcF00
>>131
レミリアやフランドールが事件の被害者であるを信じている状況ならば、
パチュリーの言葉を素直に聞いて大人しく引き下がったでしょう
その言葉とは逆の、二人が魔術師で捕縛されて処刑されるかもしれないと知ってしまったからここまで来てしまったわけです
そしてその真実を彼に告げたのは……




これから投下を開始します
133 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/06/22(月) 00:14:58.25 ID:T93YvcF00

レミリアとフランドールがこの学園都市にやって来たのは、今から大体10年前のことだ。


何故こんなイギリスから遠く離れた場所に来ることになったのかと言えば、
それは父親から突然極東の島国へ留学するように言い渡されたからである。
その留学の話は突如降って湧いたものであり、話を聞いた二人は当然の如く大いに驚いた。
何せ唯の一度すらも相談されずに、父親の独断で決められてしまっていたのだ。
更にはその時点で出立の日が明後日に迫っており、殊更二人を驚愕させた。


『何故留学しなければならないのか』。『どうしてこんなに急なのか』。
未だ幼かったフランドールはただ驚くだけで終わったのだが、姉のレミリアは直ぐに疑問を父親に投げかけた。
当然父親もそれを予想しており、レミリアに対してその理由を口にしたらしい。
『らしい』という曖昧な表現なのは、フランドールはその内容を全く知らないからである。
何故知らないのかと言えば、聞く前に父親の命を受けた執事の手で部屋を連れ出されてしまったからだ。
故に、父親の意図を知るのはその場にいた姉と母親だけである。

134 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/06/22(月) 00:16:35.09 ID:T93YvcF00

どうして父親は急な留学の理由を告げなかったのか。
今となっては、フランドールがそれを知る術はもう無い。


ただし、一つだけ言えることはある。
それは話を聞き終えた姉が、部屋から出て来た時に一瞬だけ見せた険しい表情。
そこから読み取ることができる事実。それは、その話は『決して良い話題では無かった』ということだ。
その時の記憶は、今でも彼女の記憶の片隅に残っている。


そしてその数日後、二人は父親の知人らしき男に連れられて英国を旅立ち、
遥か1万キロメートルの彼方にある極東の島国に降り立つことと相成った。


彼女達にとっては初めて踏みしめる異国の地。
文化、言語、街並み、そしてそこに住む人々……
自分達が住んでいた国と同じものなど殆ど無く、まさしく『異世界』と呼んでも過言ではない場所。
見聞でしか知らなかったその光景を実際に目の当たりにした時、
フランドールの異国に対する不安は風が煙を吹き飛ばすかのように霧散した。


何せ、目につくもの全てがある種の新鮮さを感じさせるものであり、
そして彼女の興味を強く引き付けるものばかりなのである。
あの小奇麗に振る舞っている姉ですらも隠しきれない『興味』の感情を顔に覗かせていたのだから、
天真爛漫な性格であるフランドールの心の内が、『憂慮』から『好奇心』へと傾くのは自然なことと言えた。


しかし異国の文化をじっくり堪能する間もなく、二人は自分達の留学先である『ある街』へ向かうことになる。

135 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/06/22(月) 00:18:14.60 ID:T93YvcF00

その街の名は『学園都市』。
世界でも一、二を争う敷地面積を持つ『学園』であり、それと同時に世界最高峰の科学技術が集約されている『街』である。
そして何よりも特筆すべきことは、『超能力』と呼ばれる一昔前までは空想上の存在でしか無かった異能を、
街に住む学生達を被験者として開発を行っているという点だろう。


空想上の存在をどのようにして現実の物としたのか。
理論の基礎すら存在しなかったはずのものを、瞬く間に現実のものにするという謎の技術。
『宇宙人から技術を供与された』と冗談交じりに評しても、それを真実として受け止めてしまいかねない程の異常だ。
そしてその異常を解明するために様々な人々が挑戦を繰り返しているが、真相は未だにコンクリートの壁の向こう側である。


時代を数十年先取りしていると評されている『科学技術』と『超能力』という名の異能。
それらをほしいままにできるその街は、いつしか母国ですらも手玉にとり、
既に一つの国家として事実上成立している状態となっていた。

136 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/06/22(月) 00:19:28.48 ID:T93YvcF00

そんな科学の総本山の街に、『科学』とは真逆である『魔術』の世界で生活を送ってきた少女二人が住む。
それは本来であれば、絶対にあり得るはずの無い状況である。
他の魔術師がそのことを聞いたならば、衝撃のあまり茫然自失となるか、もしくは戯言として嘲笑するだろう。
もっとも科学と魔術の確執など、幼いフランドールにとっては与り知らぬことなのだが。


兎にも角にも、少女二人は遠い異国の地にて生活をすることになった。
そこには父親も母親も、自分の身の回りを世話してくれる召使いたちもいない。
生きていく上で必要なことは、全て自分達の手で行わなければならないのである。
今まで親の庇護の下で暮らしてきた二人が、その状況に不安を覚えないはずが無い。


しかし幸運なことに、彼女達には『父親の知人』という存在がいた。
少女達の父親から依頼されたのだろう。彼は暫くの間ではあるが、彼女達の世話を焼いてくれたのである。
仕事の都合上、頻繁に出会えるというわけでは無かったのだが、それでも少女達にとってはこれ以上に無い心強い存在だった。

137 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/06/22(月) 00:20:42.97 ID:T93YvcF00

そしてもう一つの、彼女達にとっての強い味方がいた。それは学園都市で生活する大人――――教師達の存在である。
彼らは学園都市の仕組みがよくわからない少女二人のために、子供では如何ともしがたい問題を代わりに解決してくれた。
住居の問題だとか、交通機関の利用法だとか、学校への編入の手続きだとか、様々なことを手とり足とり教えてくれたのである。


無論、教師達がそのように親切にしてくれたのは、何も少女二人が特別だったからではない。
未だ発展途上にある学園都市。その今後の成長の要となる学生達を徐にするなどあり得ない。
つまりは大人達が彼女達に親切にしたのは、個人的な感情を抜きにすればあくまでも仕事上のことでしかない。
しかし、例えそうだったとしても、少女二人にとっては助けとなる存在であったことには変わりなかった。


こうして二人は、知り合ったばかりの大人達の手を借り、学園都市にて第二の人生を歩み始めることになった。
当然、彼らの助力があったとして、何事も無く平穏に暮らすことができたわけではない。
何せ彼女等はまだ子供。『社会』と呼ばれる汚濁をよく知らぬ、うら若き乙女たちである。
余り治安が良くない学園都市。騒動に巻き込まれることもあったし、誰かに傷つけられることもあった。
それは『学園都市』で生きていく上で必ず経験することであり、そして避けられないことである。

138 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/06/22(月) 00:21:31.75 ID:T93YvcF00

親の加護の無い、二人だけの学校生活。
辛いことは多々あった。だがそれでも、フランドールにとっては充実した生活であったことは間違いない。
異国の友達と一緒に遊ぶのはとても楽しいし、先生達も自分に対して優しくしてくれる。
今まで見たことも無い、お掃除ロボといった最新鋭の機械がそこかしこで動き回っていて、
外をただ歩きまわっているだけでも退屈するなどということは無い。
そして極めつけは、『超能力』と呼ばれる摩訶不思議な力である。


彼女の子供心を擽るものが溢れかえっているのだ。
故にそんな些細な不安など、一々気にする余裕などなかったのである。
姉のレミリアも、本人から直接聞いたわけではないが、内心は同じだっただろう。


こうしてフランドールとレミリアは、極東の島国に於いて新しい生活を始めることになった。

139 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/06/22(月) 00:22:53.06 ID:T93YvcF00










――――その数年後。


学園都市の生活に慣れ、その街の不思議が当たり前になり、少々生活に物足りなさを感じ始めた頃。
フランドールの身に『ある事件』が降りかかることになる。










140 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/06/22(月) 00:30:28.69 ID:T93YvcF00
今日はここまで
というわけで、これよりフランドール(+レミリア)の過去編(in学園都市)を始めます


質問・感想があればどうぞ
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/22(月) 00:33:35.68 ID:zzxngEjbO
乙です
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/22(月) 07:49:44.55 ID:bAVsorjO0
乙!
果たして、何がどう今に繋がっているのか
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/23(火) 19:06:02.14 ID:5DZcr9oE0

気絶しながら昔の夢でも見てんのか
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/23(火) 19:59:03.98 ID:G0HQfcE40
目が覚めた時が楽しみですね?
145 : ◆A0cfz0tVgA [saga]:2015/06/29(月) 00:49:57.51 ID:nViWSLwi0
これから投下を開始します
146 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/06/29(月) 00:51:25.81 ID:nViWSLwi0





――――7年前 7月中旬





147 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/06/29(月) 00:52:09.07 ID:nViWSLwi0

本格的な夏が始まり、蝉達が木陰でけたたましい合唱を奏で始める季節。
その日、とある学校で行われた『身体検査』において一人の超能力者が誕生した。


その者の名前はフランドール・スカーレット。
3年ほど前に学園都市に来た留学生の少女である。
外国人留学生が集う第14学区で、同じ留学生である姉――――レミリア・スカーレットと共に暮らしていた。


フランドールがどこで生まれたのか、どのような経緯で学園都市にやってきたのかは誰も知らない。
彼女の同級生や学校の先生は勿論のこと、当人ですら良くわかっていなかった。
そしてそのことについてどんなに調べて回っても、情報が全くと言っていいほど見つからないのである。
その不可解なほどの情報の少なさが故に、一部の人の間では彼女の出自についてまことしやかに噂されていた。

148 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/06/29(月) 00:53:03.98 ID:nViWSLwi0










――――曰く、戦禍によって孤児になっていたところを、外部の学園都市の関係者が保護した。


――――曰く、学園都市が秘密裏に提携している組織から、試験的に編入させられた。


――――曰く、外部の著名な人物の娘であり、その身分を隠すために情報が伏せられている。










149 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/06/29(月) 00:54:29.07 ID:nViWSLwi0

他にも色々とあるが、いずれも信憑性が無いため、その全てが『突拍子もない噂』として片付けられていた。
つまり、たまに話題にあがることがあっても、結局はそれっきりという程度の知名度だったのだ。


だが今回の『身体検査』によって、彼女は否が応にも多くの研究者達から注目を浴びることになる。
その理由は、『弱冠10歳という年齢で、レベル4相当の能力を身につけた』という事実だ。
彼女のような幼い年齢で突然高レベルの能力を修得する事例は少なく、非常に珍しい。


超能力の『強度』を決めるのは、『自分だけの現実の確固さ』と『演算能力の高さ』。
つまり高レベルの超能力に目覚めるということは、『強力な妄想力』と『並はずれた頭脳』を持っていることと同義なのだ。
何れの力も、伸ばすためには『本人の才能』と『鍛錬する時間』が必要であることを考えてみると、
この二つを突然手に入れてしまうことがどれだけ稀有なことなのかがわかるだろう。


学園都市の超能力開発の歴史に於いて、非常に稀少な事例。
それは超能力開発に携わる研究者が興味を引くには十分な要素である。
故に、彼女に注目が集まってしまうのは致し方ないことと言えた。

150 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/06/29(月) 00:56:01.24 ID:nViWSLwi0

しかしこれ以外にも、フランドールの注目度が上がる事になった原因がある。
それは彼女の能力が今まで前例のない、特殊な能力であるということだ。
分類上は『念動力』に属していると考えられている代物ではあるが、
その実態は『念動力』に分類するにはあまりにも特異で、かつ強力すぎるものだった。


『物質崩壊』。それが、フランドールの超能力が授かった名である。
その能力でできることは、『物質を構成する原子同士の結合を強制的に解裂する』こと。
ざっくりと言ってしまえば、『触れたものを分解する』ということである。
物質中にある脆い部分――――傷や歪みといった部分に集中して念動力を作用することで、
どんな頑丈な物質も簡単に破壊することができる。
単純ではあるが、それ故に非常にわかり易い力。それが『物質崩壊』という能力であった。


学園都市に数多く存在する超能力者の中でも、高位に位置するレベル4の誕生。
それを前にして、能力の持ち主であるフランドールが通う学校の教師達は喜び半分、戸惑い半分という心境だった。
では何故素直に喜べなかったのか。

151 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/06/29(月) 00:57:33.98 ID:nViWSLwi0

基本的に高位の超能力者というものは、それ相応の超能力研究の設備が整っている学校に通うのが普通である。
高位になる期待がかかった能力者も、青田買いによって優秀な学校に引き抜かれてしまうのが常であった。
故に、格としては平凡でしかないその学校に入学し、そして卒業していく生徒の殆どはレベル0かレベル1の能力者であり、
レベル2やレベル3ともなれば、学年で一人か二人いればいい方という状態だったのだ。
つまり、その学校にとって『レベル4』という存在は規格外の存在であり、
扱い方というものがわからず困惑してしまったのである。


加えて、周囲を取り巻く環境の変化に警戒したということもある。
低レベルの超能力者しか在籍していないその学校は、超能力開発を重きに置く学園都市にとって見れば、
『無価値なものしか存在しないゴミ捨て場』のようなものだ。
大きな研究所から能力開発の提携を相談されることはなく、学園都市上層部から御眼に叶うこともない。
『有用な鉱石(超能力者)』を発掘する際に出てくる、『無用な廃石(無能力者)』を隔離するためのボタ山でしかない。


無論教師達は、自分達の学校がそのような眼で見られていることをよく知っていた。
ただその立場を覆すような気概はなく、半ば諦める形で甘受していたのだった。

152 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/06/29(月) 00:59:22.88 ID:nViWSLwi0

しかし今回の出来事は、その状況を一変させることになる。
フランドールの登場は、言ってしまえば『ゴミの山』の中から『ダイヤモンドの原石』が発見されたようなものだ。
間違い無く、それを手に入れようと多くの人間がこぞって手を伸ばし始めるだろう。


つまり学校外から一気に注目が集まり、フランドールを巡って争奪戦が繰り広げられるということ。
学園都市の超能力研究に於いて、実用的とされている超能力のレベルは3以上である。
そして超能力の希少性は、レベルが上がると共に増していくのだ。


その中でレベル4の存在は『それなりに希少』な部類に入るが、
フランドールの場合はそこに『能力自体の特異性』が加味される。
彼女の能力は、彼女以外に持つものが存在しない、言うなれば『唯一無二(オンリーワン)』の能力だ。
その特徴は能力に対し、他とは一線を画する大きな価値を付加する。


彼女の能力を公開した数日の内に、超能力開発の名門校や最先端の技術研究所などと言った、
各々の方面からオファーが殺到することは想像に難くない。
高位の能力者を受け入れるということは、学校にとってはそのまま自身のブランド価値を高めることに繋がり、
研究所にとっては新たな研究分野を開拓することで、更なる研究費を獲得して設備を潤沢することにもなる。
どちらにとっても得られる恩恵は測り知れず、彼女を欲する者達があの手この手を使って勧誘し始めるだろう。

153 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/06/29(月) 01:01:22.22 ID:nViWSLwi0

無論そんな状況を、学校側が容認するわけがない。
偶然ながらも己の手中に入った『ダイヤモンドの原石』を見す見す手渡すようなことはしない。
既に諦めていたはずの彼らの野心に火がついたのである。故に彼らは、外野から横槍を刺される前に手を打った。


教師達は『身体検査』の結果を公に公表する前に、フランドールを自分たちの下へと呼び出した。
公表する前に呼び出したその理由は、無用な騒ぎが起こるのを避けるためだ。


何も知らぬフランドールに対し、教師達は『能力開発』の個人授業を設けて能力の使い方を訓練することを提案した。
能力に目覚めたばかりの彼女に直接指導することで、能力によるトラブルや自己を抑え、
そしてさらに磨きをかけて昇華するという名目である。


勿論それは表向きの理由で、『レベル4の超能力者を手放したくない』という邪な考えが絡んだものだ。
各方面から呼びかけがあったとして、最終的に行くかどうかを判断するのはフランドール本人。
ならば先に当人に対して媚びを売り、学校側へ引き留めようとしたのである。


様々な欲望が渦巻く中で、教師達は呼び出したフランドールに対し事の顛末を説明した。
真の意図は影に隠しつつ、諭すような優しく、そして暖かな口調で。
『君の能力は素晴らしい可能性を秘めている。先生達の下で訓練すれば、更に素晴らしいものにできる』と告げたのである。


普通の子供であれば、彼らの言葉をそのまま鵜呑みにして首を縦に振っただろう。
『先生達は自分の身を案じてくれている。そして、自分に対して期待してくれている』。
誰だって自分を大切に思ってくれれば嬉しいし、期待してくれれば悪い気はしない。
ましてや『教師』と『生徒』という、ある種の上下関係が成り立っているのだ。
教師達の提案を断るなど『本来であれば』あり得るはずの無いことである。


そうであるはずなのだが……

154 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/06/29(月) 01:02:57.84 ID:nViWSLwi0

フラン「……やだ」



教師達から個人授業の説明を聞いた時、フランドールはあろうことか露骨に嫌そうな顔を浮かべ、
先生達に向けて冷ややかな目線を投げつつはっきりとした拒絶の意思を口にしたのだ。
予想外の反応に対し、教師達は半ば唖然とした表情で棒立ちになった。


しかし『予想外』とは言うものの、それは教師達の『大人の立場』から見た意見であり、
『子供の立場』と『能力開発の内容』から考えてみれば、至極真っ当な感情だったりする。


実はこの『能力開発』の授業、物凄くつまらないのだ。
やることと言えば、よくわからない薬剤を服用したり、奇妙な模様が蠢く映像を視聴したりすることのみ。
時たま小道具を使ったゲームらしきことをすることもあるが、それを差し引いても退屈なことこの上ない。
勉強嫌いな子にとっては夢のような授業であるが、暇が嫌いなフランドールにとっては苦痛でしかないのだ。

155 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/06/29(月) 01:03:57.01 ID:nViWSLwi0

そんな授業を、彼女に対して個別で設けるというのである。
個人授業を受けるということは、『他の子供達とは別に教師達の監視下で一人授業を受ける』ということに他ならない。
他の子供達と一緒だから何とか耐えられているというのに、それから引き離された上、
大人数の大人に囲まれた条件下で受けなければならないのである。


正直に言って、そんな環境に放り込まれてしまったら退屈過ぎで死んでしまうだろう。
だから彼女は非常に露骨なまでの嫌悪の表情を浮かべたのだ。
合理性よりも己の感情に流されてしまうあたり、彼女はまだ精神的に幼いと言えるだろう。
ただそのおかげで、一部の教師達の陰謀を阻止することができたのではあるが。


結局その日はフランドールが教師達の説得に応じることは無く、話は一端保留という形で落ち着くことになった。
いくらなんでも話が急過ぎるし、無理矢理従わせることなどできるはずもない。
彼女にも考える時間は必要だろうということで、『その場に於いては』そのように話が決着した。


勿論、教師達に悠長に構えていられるような時間は無い。
何故なら、期限までに『身体検査』の結果を纏めて上層部に報告しなければならないからだ。
その期限が過ぎてしまえば、否が応にもフランドール名は世間に知れ渡ることになる。


それだけは何としても避けなくてはならない。
そしてそれを避けるためにも、フランドールの返答をただ待っているわけにはいかない。
教師達は本人の知らない所で、次の手を打つべく動き始めたのだった。

156 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/06/29(月) 01:04:56.13 ID:nViWSLwi0
今日はここまで
質問・感想があればどうぞ
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/29(月) 01:31:38.00 ID:KAASFW3XO
乙です
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/29(月) 19:17:37.32 ID:6w5Ni/gF0

オンリーワン能力(定義が少々難しいが)って実際どのくらいいるもんなのかね
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/29(月) 23:10:59.37 ID:LcsnK34H0
紅魔邸冷蔵庫「俺のポテンシャルを活かせる日は来ないだって?さて、それはどうかな」
160 : ◆A0cfz0tVgA [saga]:2015/07/13(月) 00:12:13.58 ID:Of7k0Iw+0
これから投下を開始します
161 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/07/13(月) 00:13:26.67 ID:Of7k0Iw+0





――――PM 5:12





162 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/07/13(月) 00:14:24.84 ID:Of7k0Iw+0

フラン(面倒くさいことになっちゃったなぁ……)



学校からの帰り道。
フランドールは学校専属のスクールバスの椅子の上で、一人心の中でごちた。


窓から見える空は蒼く澄み渡り、白く輝く太陽が『まだまだ働け』と地を這う人間達を睨みつけている。
それに対して哀れな労働者達は、己の食い扶持を稼ぐべく疲れた体を引き摺って歩き回っていた。
そのおかげなのか、街の活気は未だに衰えることを知らず、寧ろこれから来る夜へ向けてさらに白熱してきているようにも見える。
おそらく労働者達は、このまま一日が終わるまでひと時も休むことは無く、
家に帰った後は布団に入って泥に沈むように眠ることになるのだろう。


そんな『社会の奴隷達』の様を、フランドールは何の感慨も抱くこと無く茫然と眺める。
就労の義務の無いフランドールにとっては、目の前であくせくしている有象無象など何の関係も無いことだ。

163 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/07/13(月) 00:15:55.86 ID:Of7k0Iw+0

フラン(個人授業、か。 やだなぁ……)



道行く光景を見飽きた彼女は、視線を地に落としながら自身に降りかかった災難を嘆く。
その災難とは、今日の昼に起きた一つの事件――――それ程仰々しいものではないが――――のことである。
突然自分に宿った『超能力』。それを『制御する為に個別でカリキュラムを組む』と先生達に持ちかけられたのだ。


学園都市にやって来てから早5年。今になってようやく手に入れることができた力。
周囲の子供達が、低位であれど超能力を持っているという状況に歯噛みをしていた彼女にとって、
今回の知らせは内心飛び上がらんばかりに喜ばしいことであった。
その超能力のレベルが破格の『4』であることには、流石の彼女も現実感を覚えることができなかったが。


しかしその喜びもつかの間、『個人授業』の話をされたことで彼女の喜びは冷や水をかけられたかのように冷めてしまった。

164 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/07/13(月) 00:16:50.87 ID:Of7k0Iw+0

フラン(能力開発のお勉強って、いつも同じことばっかりでつまんないんだよね)

フラン(注射されるか、簡単なミニゲームで遊ぶだけだし……それだったら勉強してた方がまだマシよ)

フラン(男子は勉強しなくてもいいって大喜びしてるけどさ)



幼少の頃から自宅で勉学をさせられていたフランドールにとって、
『勉強をする』という行為自体に対する苦痛というものはあまり無い。
喜びを感じているというわけではなく、ただ慣れてしまっているだけなのだが。


それよりもむしろ、彼女にとってこの上なく嫌なことは、つまらないことを永遠と続けさせられることである。


拷問に一つに『単純作業の反復』というものがある。
これは無意味なことをひたすら行わせることで、対象に精神的苦痛を与えるというものであるが、それと似たようなものだ。
超能力を会得する為には、能力開発の授業を受けることは致し方の無いことなのだが、
それを加味しても、あのつまらなさは正しく拷問である。
もう少し工夫を凝らせば幾分か改善できそうなものだが、教師達にそのようなことをする気配は見られない。
勉強嫌いの子供ができる原因は、実はそこにあるのではないかと思う。

165 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/07/13(月) 00:18:02.45 ID:Of7k0Iw+0

フラン(とりあえず『何日か猶予をやるから、良く考えてくれ』って言われたけど……)

フラン(やりたくないものはやりたくないし……どうしよう)

運転手「スカーレットさん? 着きましたよ?」

フラン「え? あ、はい」



ふと気が付くと、バスはいつの間にか自宅の前に停車していた。
どうやら随分と考え込んでいたらしい。


周囲からは、『早く降りろ』という非難の視線がこちらに向けられている。
フランドールはそれをさらりと受け流しながら、そそくさと荷物を纏めてバスを下車する。
そして背後で扉が閉まる音がしたと思うと、バスはそのまま後腐れなくその場を走り去っていった。

166 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/07/13(月) 00:20:35.17 ID:Of7k0Iw+0

フラン「さて、と」



目の前に聳え立つのは、一戸建てのマンション。その建物こそがフランドールの自宅である。
総階数15階。壁面の色は純白であり、太陽に照らされている姿は目が眩むほど眩しい。
フランドールはその光に目を焼かれないよう、視線を地に落としたまま建物の中に入って行った。


中に入ると、1階のエントランスの奥には3台のエレベーターが備え付けられているのが見える。
その機械の箱こそが、地上と学生達の部屋を結ぶ唯一の道だ。


このマンションには階段が存在しない。
避難用のものは存在するが、無論普段は鍵がかかっており、学生が利用するのはこのエレベーターだけである。
何故そのような構造になっているのか。災害等の緊急時を考えれば、階段はあった方がいいはずだ。


そんな当たり前の常識を逸脱した建物になってしまっている理由。
その答えは単純、この建物を設計した人物の常識がずれていたからである。
実はこのマンションのエレベーター、夜の9時を過ぎると『ある仕掛け』が作動する。
その仕掛けとは、『次の日の朝までエレベーターが完全に停止する』というものだ。
簡単に言ってしまえば、『門限』のようなものである。

167 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/07/13(月) 00:22:22.98 ID:Of7k0Iw+0

何でも、学生が夜中にこっそりと街へ繰り出したりしないように、
そしていつまでも夜更かしをする学生へのお仕置をするために考案されたらしい。
設計者としては学生達には真っ当に育ってほしかったのだろうが、その気遣いは間違った方向に発揮してしまったようである。
学園都市では時折、『常識は投げ捨てるもの』と言わんばかりの奇天烈な製品が出回ることがあるが、
こんな所にまでその非常識さを発揮しなくてもいいのではないか。



ヴゥゥゥゥゥゥン…… ピンポーン!



低い唸り声のような音が聞こえた後、周囲に明るい電子音が響き渡る。
フランドールが呼んだエレベーターが1階に到着した合図だ。
エレベーターは静かにその口を開け、自身の召喚者をその身に受け入れた。



フラン「……」



引き上げられる鉄の籠に揺られながら、フランドールは備え付けられた鏡を見る。


そこに映るのは自分自身の姿。
白色の帽子に紅色の服。帽子には大きなリボンが結ばれており、少々頭でっかちな印象を受ける。
足には白色のソックスと、同じく白色の子供靴。
白人特有の色白な肌も相まって、遠目に見れば一着のタイツを履いているかと勘違いされるかもしれない。
頭から足にかけて白、紅、白と、何やらおめでたい配色になっているが、
日本人では無いフランドールにとっては全く関係の無い話である。

168 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/07/13(月) 00:23:29.26 ID:Of7k0Iw+0

フラン(……疲れてるのかな)



鏡の中の自分の顔を良く見ると、目のあたりに少し疲れが見て取れた。
いつもより瞼が下がってきており、明らかに眠そうな表情をしている。
昼間に先生達との濃密な面談があったのだ。疲労してしまうのも無理からぬことだろう。



フラン「う〜……ん」



フランドールはその眠たげな目を擦り、そして大きく背伸びをする。
このままぼぅっと鏡を見つめ続けても良かったのだが、彼女の部屋がある階は建物の上部に位置する為、
エレベーターの遅さも相まって、到着するまでには少々時間時間がかかる。
それまで何もしないというのも暇なので、少しでも疲れを紛らわせるために軽い運動をすることにしたのだった。

169 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/07/13(月) 00:25:08.18 ID:Of7k0Iw+0

何度かその場の思いつきである我流のストレッチをすると、再び鏡面へと向かって見る。
完全に、というわけではないが、先ほどとは大分マシになったようで、筋肉の強張りが若干解れた。
もうそろそろ自分の部屋がある回数に到着する時間である。続きは家に帰ってからにすることにした。



フラン(家に帰ったら外さないと……)



再び電子音が鳴り響き、鉄籠の扉が開け放たれる。
フランドールはエレベーターの外に出ると、自宅に向かって歩いていった。

170 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/07/13(月) 00:33:17.89 ID:Of7k0Iw+0
短いですが今日はここまで
質問・感想があればどうぞ
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/13(月) 00:48:59.41 ID:vW/4CYpYo
乙です
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/18(土) 20:06:07.19 ID:hMCuFB3w0
姉は隣りの部屋?
173 : ◆A0cfz0tVgA [saga]:2015/07/21(火) 00:45:08.87 ID:lrL69xBH0
>>172
レミリアとフランは相部屋です
レミリアにはフランの保護者としての立場もあるので


これから投下を開始します
174 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/07/21(火) 00:46:19.38 ID:lrL69xBH0





     *     *     *





175 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/07/21(火) 00:47:20.85 ID:lrL69xBH0

フラン「ただいま〜」



フランドールは帰宅の挨拶をするが、それに対する返答は無い。
ただ彼女としては予想通りのことだったらしく、気にする様子は皆無だ。



フラン(おねえさまは、まだ帰ってきてないみたい)ドサッ!



自室に入ってランドセルをそこら辺の床に放り投げると、部屋にある少し大きめのベッドの上に腰を下ろす。


フランドールとレミリアは一つ屋根の上に暮らしている。
本来であればあり得ないことであり、普通は学校の寮で暮らすのだが、
レミリアは『保護者』の立場であり、彼女の強い要望もあって特別に例外が通されていた。
ただしレミリア自身も学生であり、彼女一人だけでは当然不安が残るため、
何か異常が起こっていないか定期的に教師が訪問に訪れている。

176 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/07/21(火) 00:49:48.04 ID:lrL69xBH0

フラン「さて、と……」



少しの間ベッドの上で呆けていた彼女だが、ふと思い出したかのように立ちあがると、そのままトイレへと向かう。
そして備え付けられた洗面台の前に立ち、鏡を凝視したかと思うと、その指を自身の目へと差し入れた。



フラン「んっ……」



目を大きく見開き、目じりを抑えつつ数回瞬きする。
すると目の中から黒色の何かがぽろりと落ち、彼女のもう片方の手のひらへと吸い込まれた。


その物体の正体とは、黒色のカラーコンタクトレンズ。
ただし度は無く、瞳に色を付けるためだけの娯楽用品である。
何故彼女がそんなものを付けているのか。その理由は、再び鏡に映る彼女の顔に示されていた。

177 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/07/21(火) 00:51:17.41 ID:lrL69xBH0

フラン「んー……ちょっと紅くなってきてるなぁ、『眼』」



彼女の眼球。その瞳孔の部分が紅く染まっていた。
完全な真紅というわけでは無く、ただ若干紅く濁っている程度のものだが、
それでも普通の人間には無い違和感を際立たせている。


その眼はフランドールが気付いた時には、いつの間にかそうなっていたものだ。
常日頃からそうなっているというわけではなく、一ヶ月に一度の周期でこうして瞳孔が変色するのである。


突然目の色が変わるなど、普通の人間であれば何かの病気ではないのかと不安になるだろう。
しかしその異常を前にして、フランドールが動揺することは無かった。
それもそのはず、同じように眼が紅く、しかも日常的にそうなっている人間が彼女の身近にいたからだ。

178 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/07/21(火) 00:53:34.81 ID:lrL69xBH0

その人間とは他でもない、彼女の姉のレミリア・スカーレットである。
レミリアの眼は妹と同じく紅いが、周期的にではなく恒常的にそうなっている。
故に姉はその眼を周囲の人間から隠すために、日頃から黒のコンタクトレンズを付けていた。


フランドールが姉と同じようにコンタクトレンズを付けているのも、同様の理由によるものである。
コンプレックスを抱いているというわけではないが、それでも他者の好奇の視線は気になる。
それに同学年の友達に知られでもしたら、しつこい冷やかしを浴びせられるのは想像に難くない。
彼女にとって、そんな面倒臭い状況は真っ平御免だった。



ガチャッ!



「ただいま」



フランドールがコンタクトレンズを仕舞おうとしていると、玄関口から来訪者の声が聞こえて来た。
少し低い、コントラルトの声色。聞き間違えるはずもない、姉のレミリアの声だ。
どうやら学校での勉学を終えて帰宅したらしい。

179 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/07/21(火) 00:54:34.67 ID:lrL69xBH0

フラン「おかえり」

レミリア「あら、フラン。 帰ってたの?」

フラン「うん、ついさっき」



わざわざ玄関先に出て出迎えるようなことは無く、フランドールは声だけで挨拶を交わす。
姉妹の会話にしては、少々素っ気なく感じられるやり取り。
その理由は、フランドールは堅苦しい礼儀作法が好きではないからである。
レミリアも妹の心情については理解しているようで、そのことについてはあまり気にしているようには見えなかった。


一通りの作業を終えたフランドールは、洗面台から居間へと移動する。
そこには荷物をテーブルの上に置き、制服から私服に着替えている途中の姉の姿があった。

180 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/07/21(火) 00:56:06.72 ID:lrL69xBH0

フラン「今日は早いのね」

レミリア「部活が休みになったからね。 中間テストも近いし……」

レミリア「他の子達もテスト勉強に専念すると言っていたから、テストが終わるまでは遊ばずに勉学に勤しむつもりよ」

フラン「ふーん……そうなんだ」



中間テスト。そう言えば、もうそんな時期だったか。


確か数日前に、学校の先生から中間テストの出題範囲について説明があった気がする。
今回のテストは前回の内容が簡単だったこともあり、少し難しめにするらしい。
当然生徒たちからは非難轟々であり、それを鎮めるために先生が苦労していたのを覚えている。


『自分もそろそろ勉強しなきゃ』等とぼんやりと考えていた時、
レミリアが突然真顔になって質問を投げかけて来た。

181 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/07/21(火) 00:58:04.47 ID:lrL69xBH0

レミリア「……そう言えば貴方、私に先ず言わなきゃならないことがあるんじゃないの?」

フラン「え?」

レミリア「貴方、超能力を身につけたらしいじゃないの。 それを報告するべきじゃないのかしら?」

フラン「!? どうして――――」

レミリア「『どうして知っているのか?』、ね。 簡単なことよ、貴方の学校から連絡があったからよ」

レミリア「授業中にいきなり呼び出されたから、何事かと思ったけどね」

フラン「……そうなんだ」



話を聞くに、学校側が勝手に姉に対して情報を漏らしたらしい。
何か色々と言われるだろうと予測し、その話は姉には教えないようにしようと思っていた矢先のことだったので、
その事実はフランドールの心を大きく揺さぶることになった。


『なんてことをしてくれたのよ』と心の中で悪態をつくが、学校側の判断は間違っていない。
レミリアはフランドールの保護者だ。何かあった時、生徒の情報を保護者に伝えるのは当然のこと。
『フランドールが超能力を得た』という報せをレミリアに入れるのは、学校側にとっての義務である。

182 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/07/21(火) 00:59:29.11 ID:lrL69xBH0

レミリア「それにしても、フランが能力者に、ね……先を越されちゃったわ」

レミリア「それで? 貴方の先生からある程度の大まかな話は聞いたのだけど、
どうやら個別授業を受けるように言われたみたいじゃない?」

レミリア「それに対して貴方は難色を示したようだけれど……それは何故かしら?」

フラン「何よ、お姉さまも同じことを言うの?」

レミリア「『同じ』?」

フラン「授業は私のためだとか、もっと強い能力者になれるとか……」

フラン「そんなの、もう聞き飽きたんだけど」

183 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/07/21(火) 01:00:59.02 ID:lrL69xBH0

『この授業は君のためになる、とても素晴らしいものだ』。
『授業を受ければ、君はさらに上へと目指すことができる』。
それらの言葉は、教師達から耳にタコができるくらい聞かされた言葉だ。


確かに、その言葉は偽りのない真実であろう。
その授業を受ければ、フランドールの超能力はさらなる高みに登ることができるかもしれない。
彼女に可能性を見出した者にとって、それをただ腐らせるようなことはしたくないはずだ。
その考えは学園都市の常識に沿うならば至極尤もなことであり、そこに異論を挟む余地はない。


しかし、そんなことはフランドールにとっては全く興味の無いものだ。
現時点での彼女のレベルは『4』だが、その格は学園都市の能力者の中でも上層に食い込む位置にある。
学園都市に住む子供であれば、誰もが憧れるだろう高みに辿り着いているのだ。
これで不平不満を言おうものなら、それこそ他の者達に眼の敵にされるだろう。


それに、これより上の領域であるレベル5になるためには、天賦の才と途方もない労力が必要だ。
四六時中研究所にすし詰めとなり、研究者の手で身体のあちこちを弄り回されるのである。
そこに自由など無く、待っているのは『超能力を調べるための実験動物』という待遇しかない。
そんな扱いを受けてまで、彼女は更なる力を付けたいという気になれなかった。

184 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/07/21(火) 01:02:36.76 ID:lrL69xBH0

レミリア「……」



一方指摘されたレミリアは、此方を見たまま一言も言葉を発しない。
それが意味することは何か。言うまでもなく『図星を突かれた』ということだろう。
自分がこれから言おうとしたことを先んじられたのだ。それで思わず、言葉が詰まってしまった。



フラン「……やっぱりね」



そんな姉を見て、フランドールは蔑むような眼を向けながら呟く。
姉が敵であるということを見抜いた優越と、そして僅かながらの失望。その感情が彼女の顔に酷薄な笑みを浮かべさせる。
それはあたかも、小悪党を心底見下す人の顔のようであった。


しかし、彼女は決して『善人』などでは無い。
自分が我儘を言っているだけであり、そこに『正義』などという孤高なものが存在するはずがない。
第三者が見れば全員が全員、我儘を言うフランドールを『悪』と見なすだろう。
だが、今の彼女にとって自身の善悪のことなどどうでも良いこと。
重要なのは『姉が敵である』ということであり、『敵の謀略を見抜いた』ということだけである。


185 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/07/21(火) 01:04:08.45 ID:lrL69xBH0

フラン「友達から聞いたんだけど、レベルが高い能力者ってずっと研究所に缶詰になってるみたいじゃない」

フラン「体を好き勝手に弄られて、何も無い時はずっと監視されるとか……」

フラン「そんな面倒でつまらないことなんて、絶対にしたくないから!」



フランドールは口を閉ざし続ける姉に対し、畳みかけるようにして
そして最後に明確な否定の言葉を叫ぶと、そのまま外へと飛び出してしまった。


姉と一緒にいることが耐えられなくなったのだろう。
これ以上の追及を避けるために、彼女は半ば衝動的に行動したのだ。
当然、行く先など決めているはずない。その周辺をぶらぶらと徘徊することになるのは目に見えている。

186 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/07/21(火) 01:05:08.82 ID:lrL69xBH0

レミリア「……はぁ、仕方ないわね」



開け放たれた玄関の扉を見やり、レミリアは呆れるように小さく溜め息をついた。
自身の言葉に対してフランドールが何かしら反発することは予想していたのだが、
話の展開が全く自分の思い描く通りになるとまでは思いもよらなかったのである。
少しくらいはこちらの話を聞いてくれるとは思ったのだが、わき目もふらず飛び出してしまうとは。



レミリア(ま、暫くすれば戻ってくるでしょ。 それよりも……)

レミリア(説得は失敗、か。 まぁ、元からあまり期待できなかったのだし……)



『それほどのことでもないわね』と、心の中で一人ごちる。
元々期待薄だったのだ。彼女がその事実に何かしらのショックを受けることはない。
強いて言うならば、心の中に残っているのは無駄骨を折らされたことに対する徒労感くらいだろうか。

187 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/07/21(火) 01:05:58.07 ID:lrL69xBH0

レミリア(それにしても、どう報告しようかしら? 期待されているのだし、
     『はい、無理でした』なんて簡単に済ませるのも私の威厳に関わるし……)



レミリアがフランドールを説得しようとしたのは、彼女の善意によるものだけでは無い。
そのもう一つの理由。それは、フランドールが通う学校から依頼されていたからだ。


その依頼がされたのは、フランドールが超能力を修得した知らせが来た時と同時。
つまり、学校で授業中に呼び出しされた時のこと。
勉学を途中で打ち切られて何事だろうと職員室に向かった先、
教師から手渡された電話越しにそのことを伝えられたのである。



レミリア「はぁ……まったく、面倒なことになったわね」



彼女は大分傾いた太陽を眺めながら、人目を憚らず大きな溜息をついた。

188 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/07/21(火) 01:07:02.27 ID:lrL69xBH0
今日はここまで
質問・感想があればどうぞ
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/21(火) 01:28:20.93 ID:aGwhGSsuO
乙です
190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/21(火) 01:54:21.26 ID:MWvu+h/h0
体を好き勝手弄るつもりなんでしょ?同人誌みたいに!同人誌みたいに!
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage sage]:2015/07/21(火) 16:09:38.88 ID:uGNb0NvY0
虹彩が紅い程度、学園都市なら普通に居そうだけど……ww
192 : ◆A0cfz0tVgA [saga]:2015/07/27(月) 01:19:53.09 ID:rwjASv/Y0
>>190
薄い本が厚くなるな……これ以上は厚くならないか

>>191
虹彩が赤い人の数は人類の人口の0.001%程度。アルビノの人間がそれ該当するそうです
スカーレット姉妹はアルビノではないので、それにも拘わらず虹彩が赤いのは非常に珍しいということですね
193 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/07/27(月) 01:20:58.71 ID:rwjASv/Y0
これから投下を開始します
194 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/07/27(月) 01:22:39.29 ID:rwjASv/Y0





――――PM2:13





195 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/07/27(月) 01:25:49.86 ID:rwjASv/Y0

『授業中、申し訳ありません。 至急お伝えしたいことがあり、ご連絡させていただきました』

レミリア(……いきなり何かしら)


レミリアが通う学校の職員室。
教師から受け取った受話器を耳に押し当てたその時、フランドールが通う学校の人間は不意にそう口にした。


何が起こっているのか上手く飲み込めないこの状況。
此方の質問を待たずに話を進めようとする相手に文句をぶつけたくなるが、レミリアは済んでの所で留まる。
周りに教師達がいるのだ。変に騒ぎ立てれば碌でもないことになるのは目に見えている。
彼女はふつふつと湧き上がる怒りを収めつつ、相手の言葉を待つ。



学校側『本日行われた『身体検査』の結果、フランドールさんが超能力を修得していると判明しました』

学校側『能力名は『物質崩壊』。 念動力系の能力に分類され、『強度』は『4』です』

レミリア「……そうですか。 ご連絡ありがとうございます」

196 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/07/27(月) 01:28:47.38 ID:rwjASv/Y0

矢継ぎ早に説明する相手に対し、レミリアは努めて冷静に返答する。
何故なのかはわからないが、察するにどうやら学校側は相当焦っているようだ。
社会人としては考えられない礼を失する態度から、そのことを読み取ることができる。
いや、直接レミリアの学校へ連絡してくること自体が既に異常と言えるだろう。


だが、そのことを指摘するのは尚早だ。
相手の不可解な反応に違和感を覚えながらも、レミリアは静かに話を聞き続けた。



学校側『はい。 ですが、本日貴方にご連絡させていただいた理由はそれだけではございません』

学校側『フランドールさんの今後について、保護者でいらっしゃる貴方にご協力をお願いしたいのです』

レミリア「協力……?」

学校側『フランドールさんの能力ですが、少し危険なものであることがわかっていまして……』

学校側『使い方を間違えると、大事故に繋がる可能性が示唆されています』

学校側『フランドールさんは能力に目覚めたばかり……能力を使う上で注意すべきことをしっかり理解しているとは言い難い』

学校側『そしてもう一つ、彼女の能力は今後も伸び代があると判断されております』

学校側『以上のことから、私達の方でフランドールさんに超能力を扱う上での必要な教育を施すこと、
そして超能力の向上を図るために個別のカリキュラム考案したのですが……問題が生じまして』

197 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/07/27(月) 01:31:42.10 ID:rwjASv/Y0

そこで電話口の人間は声のトーンを低くして言い淀む。


何故、学校側がなりふり構わず自分に連絡をしてきたのか。
その理由を、レミリアは今までの話の流れからある程度察することができた。
学校側の行動とフランドールの性格。それから導き出される答えは一つ。



レミリア「……妹がその案を拒絶した。 そういうことですか?」

学校側『! ……お察しの通りです』

レミリア「まったく、あの子ときたら……要件というのはあの子にその案を飲むよう、
     私に説得して欲しいということですか」

学校側『そうです。 ある程度の猶予を与えるので、もう一度よく考えるようには言い渡したのですが、
    このままだと返答の内容が変わるとは思えませんので』

学校側『フランドールさんのためでもありますから、おいそれと引き下がるわけにも参りませんし……』

学校側『出来るだけ早めに、良いお返事を頂きたいのです』

レミリア(なるほど……)

198 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/07/27(月) 01:33:14.80 ID:rwjASv/Y0

レミリアはここで学校側が言いたいことを完全に理解する。


要は、学校側は自分達の口では説得できなかったから、その役目を自分に任せようというのだ。
確かに自分はフランドールの保護者である。保護者の立場を使って、フランドールを説得することは可能だろう。
都合良く利用されているようで少し気にいらないが、だからと言って断ってしまうのも考え物だ。


レミリアはフランドールの姉であると同時に、保護者としての立場も有している。
ここで学校側の提案を拒絶するということは、その立場を放棄することと同じ。
そして、レミリアとフランドールが同じ屋根の下で共に暮らしていられるのはその立場があってこそ。
本当であればフランドールは、学校付属の寮に暮さねばならないのだから。



レミリア(向こうの提案を断るのは無理ね。 あの子が私の眼の届かない所に行ってしまうのは危険だわ)

レミリア(ここは科学の街。 私たち魔術側の人間にとっては、敵地の真っただ中にいるようなもの)

レミリア(わざわざ孤立するような状況を造るのは愚策もいいところね……)

199 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/07/27(月) 01:34:22.96 ID:rwjASv/Y0

レミリアは静かに、そして素早く考えを巡らせる。


レミリアとフランドールは、元を正せば魔術の領域に属する人間だ。
超能力開発を受けた時点で魔術を捨てたも同然なのだが、それでも立つ位置が変わったというわけではない。
例え魔術を使えなくなったとしても、『魔術を知っている』という点は変わらないのだ。
彼女達はどう頑張っても、『魔術を知らない真っ当な科学側の人間』になることはできない。


それを考えると、『科学』と『魔術』の間にある確執は避けられない問題だ。
この二つの陣営が長年にわたって戦争状態にあるということは、レミリアも父親からよく聞かされていた。
今でこそ互いに不干渉を貫いているが、過去に於いては血生臭い争いを何度も繰り返していたと聞く。
レミリアにとっては心底どうでもいいことなのだが、だからと言って無関係を貫くことなどできはしない。


『科学』と『魔術』が敵対している以上、本人に意思とは無関係に彼女達は『学園都市の敵』である。
今は平穏を享受しているが、実際はいつ学園都市の尖兵に攻撃を仕掛けられるかわからないのだ。
レミリアは自傷覚悟であればある程度身を守ることができるが、フランドールは何の力を持たない一般人に等しい存在。
互いに離ればなれになるのは、二人にとって何の良い結果も齎さない。


故に、レミリアに学校側の要求を断るという選択肢は存在しなかった。

200 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/07/27(月) 01:34:55.78 ID:rwjASv/Y0

レミリア「わかりました。 その依頼、お受けします」

学校側『おぉ、ありがとうございます!』

レミリア「いえ、妹のためでもありますし、私は無能力者ですから……能力関係についてはお任せします」

レミリア「あの子が私の言うことを素直に聞いてくれるかはわかりませんが」

学校側『説得できなかった場合についての対処は考えておりますので、例えそうなっても気に病む必要はございません』

レミリア「えぇ」



電話越しでも伝わるほどの大袈裟な感謝の言葉を聞きながらも、レミリアの心中は冷静そのものであった。


他者に感謝されることが嫌いというわけではない。
寧ろ他者からの好意は自身のパラメータとなる重要なものであり、
一族の名を背負っている彼女にとっては『名声』の面で好ましいことである。


それにも拘らず愉悦を得ることができなかったのは、心にしこりの様なものが残っていたからだ。
話の始まりから抱いていた『あの疑問』。それを解消するべく、レミリアは電話越しの相手に質問をぶつける。

201 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/07/27(月) 01:36:45.18 ID:rwjASv/Y0

レミリア「……一つだけ、尋ねてもよろしいでしょうか?」

学校側『何でしょう?』

レミリア「貴方の言動から、何やら随分と急いでいる印象を受けたのですが……それは何故?」

学校側『いえ、それはですね……』

レミリア「私としては、本来なら個別授業を受けるかどうかはフラン本人が判断すべきことだと思います」

レミリア「あの子も馬鹿ではありませんから、そちらの厚意には気付いているはず……」

レミリア「じっくり話し合いさえすれば、自分から納得して個人授業を受けるでしょう」

レミリア「それなのに貴方達はあの子との対話を早々に諦め、私という身内に縋りついた」

レミリア「傍から見れば、教師としての義務を放棄したようにも捉えられますが……?」



相手の言い訳を許さないかのように、レミリアは言葉を覆い被せていく。
こうして自身の考えを口にしていくにつれて、学校側の行動の中にある不可解な点が徐々に明白になってきた。


そもそも、話の展開が急過ぎるのだ。
フランドールが超能力を会得していることが発覚したのは、恐らく昼頃のこと。
それから数時間の内にフランドールへの個別授業の案が学校の中から出て、
それを本人に提案した所拒絶され、さらにその説得の御鉢がレミリアに回ってきたのである。


普通であれば、数日かかって展開される話であるはず。
それを考えると、学校側がどれほど焦っているのかが改めて理解できるだろう。

202 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/07/27(月) 01:37:30.04 ID:rwjASv/Y0


学校側『えー、それは……』

レミリア「……」



言葉が詰まり、中々二の句が継げない学校側。
その様子に対し、レミリアの心の中にある猜疑心が急速に膨れ上がっていく。


質問に答えられない時というのは、『答えると自身の都合が悪くなる』、
そして『その場凌ぎの言い訳を考えている』時と相場は決まっている。


つまり、学校側はレミリアに対し何らかの後ろ暗いものがあるということだ。
無論、それなりに歳を食った大人であれば息を吐くように嘘八百を並べることができるのだろうが、
レミリアと相対している大人はそれだけの機転は持ち合わせていなかったらしい。
ただ単純に、子供であるレミリアに急所を突かれるとは予想していなかっただけかもしれないが。

203 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/07/27(月) 01:38:19.72 ID:rwjASv/Y0

レミリア「……結構です」

学校側『はい?』

レミリア「先ほどの質問については、お答えしなくて結構です」

学校側『し、しかし……』

レミリア「答えられないというのであれば、これ以上詮索はしません」

レミリア「貴方も組織に属する人間です。 しがらみで思うように動けないこともあるでしょうから」

学校側『……』



レミリアは電話越しの相手に労わり言葉を投げかける。
しかし実際の所、その言葉に相手を思いやるような感情は乗せられていなかった。


今の彼女の内にあるのは、学校に対する『不信』のみ。
『相手は自分達に何かを隠している』という、断定こそはできないが半ば確信めいた考えがあり、
そして彼らが隠しているであろう『何か』についても、彼女はある程度察知していた。

204 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/07/27(月) 01:39:05.97 ID:rwjASv/Y0

レミリア(大方、フランの能力を狙っているんでしょうね)



学校側が今、何を考えて行動しているのか。どうしてこれほどにまで焦っているのか。
学園都市に蔓延する『超能力至上主義』。全てにおいて超能力を優先するその価値観を鑑みれば、理由など容易に推し測れるだろう。


『一人の超能力者の価値』は『幾千の無能力者の価値』よりも遥かに勝る。
学校側にとって能力者の生徒が居るのと居ないのとでは、得られる恩恵は雲泥の差があるのだ。
つまり彼らとしては、能力者であるフランドールは垂涎ものの存在なのである。


故に彼らはどんな手を使ってでも、彼女を手に入れたいと考える。
――――例えば、『身内を利用して彼女を説得する』等の方法を使ってだ。

205 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/07/27(月) 01:39:55.86 ID:rwjASv/Y0

レミリア(何ともまぁ、随分と姑息な手を使うものね。 倫理に欠けた狂人には相応しいのかもしれないけど)



レミリアは相手の愚劣な考えを、心の中で侮蔑した。
妹を、フランドールをただの『超能力を持った人間』として扱うとは。


本当であれば自身の手で八つ裂きにしてやりたいところだが、無能力者である彼女にそんな力があるはずもない。
正確には手段はあるのだが、諸刃の刃であるそれを使ってまで奴等を粛清するのは余りにも危険過ぎる。


直接指摘して釘を刺すことも考えたが、狂科学者たちがこちらの発言を意に介すとも思えない。
加えて、此方の不信は明確な根拠が無い直感的なものであるため、指摘してもはぐらかされるだけだろう。
故に、彼女はその意思を声色に乗せることだけでしか表示することができないのだ。

206 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/07/27(月) 01:40:37.58 ID:rwjASv/Y0

レミリア「フランの説得は、先ほど申し上げたようにきちんと行います。 断るつもりはありませんのでご安心を」

レミリア「能力を手に入れた人が道を踏み外すのを、私も何度か見てきていますので……」

レミリア「それと、あの子のことをいち早く教えてくれたことには心から感謝しています」

レミリア「今後も、『あの子のことを大切にしてくださいね?』」

学校側『……了解しました。 それでは吉報をお待ちしております』

レミリア「えぇ。 それでは」ガチャン!



レミリアは相手が通話を切るのを待たずに、少々乱暴に受話器を置く。
プラスチック同士がぶつかる軽い音が職員室に響き渡った。

207 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/07/27(月) 01:41:38.09 ID:rwjASv/Y0
今日はここまで
質問・感想があればどうぞ
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/27(月) 11:56:38.24 ID:OYltEQ6yo
乙です
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/27(月) 13:55:07.67 ID:kP7yTTno0
ギスゥ
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/27(月) 19:46:34.81 ID:UICO+1DR0


16歳フランが能力を使えていた以上何らかの訓練はやったものと推測できるが‥無能教員が説得したとはちょっと考えにくいな
211 : ◆A0cfz0tVgA [saga]:2015/08/09(日) 23:54:57.82 ID:3HuzRGYm0
これから投下を開始します
212 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/08/09(日) 23:57:27.58 ID:3HuzRGYm0





――――PM 7:23





213 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/08/09(日) 23:59:24.28 ID:3HuzRGYm0

レミリア(……帰ってこないわね)ジュー



レミリアはフライパンを揺すりながら、未だに帰ってこないフランドールを考える。


彼女は今、料理の真っ最中。
部屋の中には香ばしい肉が焼ける匂いが漂い、そこにいる者の胃袋を刺激する。
彼女がフライパンを勢い良く振り上げると、中から挽肉の大きな団子が宙へと舞い上がった。


今日の料理はハンバーグ。フランドールの好物の一つである。


本当であれば、今日造る料理をハンバーグにするつもりは全く無かった。
そもそも無能力者(フランドールは本日晴れて能力者になったが)であり、
奨学金をあまり多くもらえない彼女達にとって、肉料理などそう頻繁に食べられるものではない。
貧乏学生の例に漏れず、もやしやキャベツ、そして特売の卵を用いた健康的とは言い難い格安料理を作る予定だった。
勿論亡くなった両親の遺産はあるにはあるが、それについては成人するまでなるべく手を付けないようにしていた。

214 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/08/10(月) 00:00:43.56 ID:Ns/1g1At0

では何故路線変更をしたのかというと、言ってしまえばフランドールのご機嫌取りのためである。
反抗期なのかは定かではないが、フランドールは最近目立って姉に不平不満を漏らすことが多くなった。
言葉上は普通であるが、声の端々に棘が混ざり始めている。


一応保護者の立場であり、彼女の親代わりを務めている以上、
フランドールとの仲が悪くなるのは絶対に避けたいことであり、何とか仲を取り持ちたい。
しかし反抗期の子供の対処法を、同じ子供であるレミリアが知るはずもなく、
精々できることと言えば物を使って釣り上げることぐらいであった。



レミリア(変な意固地を出して門限までに帰ってこない、なんてことにならなければいいけど)

レミリア(あの子ったら、ケータイも持たずに出て行ってしまったし……)



フランドールが部屋に携帯電話を置いていってしまったことから、今彼女と連絡を取る術は皆無である。
不機嫌な状態のまま家を飛び出してしまったことを考えると、連絡が取れないというのは不安要素でしかない。
変な気を起こして危険地帯に入り込み、事件に巻き込まれてしまったとしても、彼女は姉に助けを求めることができないのだから。

215 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/08/10(月) 00:02:35.46 ID:Ns/1g1At0

こちらからフランドールを探しに行くことはできる。
しかし彼女がどこにいるのかわからない以上、門限まで見つけることができないか、入れ違いになる可能性の方が高い。
それよりであれば、こちらは動かずに待っている方が賢い選択だろう。
無論、これはフランドールに今日中に家に帰ってくる意思があればの話になるが。



レミリア「結局、無事に帰ってくるのを待つしかないか……っと」



程良い焦げ目が付いたハンバーグを再びひっくり返しながら、レミリアはそう結論付けた。



レミリア(そろそろかしら……)



火の通り具合を見るべく、レミリアはハンバーグを爪楊枝で少し突く。
すると穴が空いた場所から、透明な肉汁が弾けながら飛び出してきた。
どうやら良く火が通っているようだ。これ以上焼くと表面が焦げてしまいそうなので、そろそろ頃合いだろう。


少し大き目の皿を棚から取り出すと、予め刻んでおいたキャベツを手早く敷き、
さらに惣菜のマッシュポテトとミニトマトを数個添える。
そしてフライパンをコンロから引き上げると、中に入っている大きなハンバーグを静かに皿に移した。
仕上げに残った肉汁をその上に少しかけて完成。パチパチという軽い音と共に、微かな白い蒸気が立ちあがる。

216 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/08/10(月) 00:04:05.47 ID:Ns/1g1At0

レミリア「ん〜〜〜……我ながらカンペキね」



料理の出来栄えを見て、レミリアはそう自賛する。思わず写真に撮ってしまいたい衝動に駆られた。


今でこそ彼女は人並みに料理を作ることができるが、学園都市に来た当初といえば、それはもう散々であった。
何故かと言えば、イギリスに居た頃は館のメイドが作ってくれていたこともあり、
彼女自ら料理をしたことなど一度も無かったからである。
そして学園都市に来て間もなく、『ここで暮らすためには自炊することも必要だろう』と考えて行動を起こした結果、物の見事に失敗。
施行錯誤の末できたヨクワカラナイモノを、冷たい目線を向ける妹の前で泣く泣く食したのは今でも鮮明に覚えている。


そんな時代と比べれば、今のレミリアの料理の腕は格段に向上している。
少なくとも、友人を呼んで料理を振る舞う位は出来るだろう。



レミリア(今度、誰かを呼んで料理を御馳走するのもいいかもしれないわね)



そんなことを考えつつ、彼女は料理が入った皿を運んで行った。

217 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/08/10(月) 00:06:22.90 ID:Ns/1g1At0





――――PM 8:35





218 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/08/10(月) 00:07:57.40 ID:Ns/1g1At0

レミリア「……遅い」



8時半頃を指し示している時計を見やり、レミリアは少し苛立ちながら呟く。
眼前に据えられたテレビには、中年の男性が黒板に向かって文字を書き連ねる様子が映し出されている。
内容は高校数学。レミリアはその番組を見つつ、今日自身に課せられた宿題を片付けていた。


学園都市のテレビ番組は、外部のそれと比較して教育系のものに偏っており、
その反面娯楽番組は非常に少なく、放送時間も限られている。
特に小中高それぞれの学校で学ぶ授業を解説する『教育番組』が一際多く存在し、
ゴールデンタイムと呼ばれる時間帯でも平然と高校の数学解説をやっていたりする。


教育番組がテレビを席巻してしまっているのは、学園都市の方針によるところが大きい。
この街では教育には関係の無い、娯楽に関わる商品には法外な税金がかかる。
しかしその代わり、勉学に関わる商品についてはほぼ無税と言っても差し支えないほど税金が低い。
詰まる所、教育番組は無料で視聴できるが、本格的な娯楽番組を見たい場合は別途で受信料が必要となるのである。


『学生の本分は勉強である』という、大人にとって至極真っ当な正論を反映した結果であった。

219 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/08/10(月) 00:09:38.69 ID:Ns/1g1At0

レミリア(宿題が終わっちゃったから、やることが無くなってしまったわ)ピッ

レミリア(それに、料理もすっかり冷めてしまったし……)



レミリアは味気のない番組を流し続けるテレビを消すと、テーブルの上に広がる料理を見て眼を細める。


料理をテーブルに運び、フランドールの帰宅を待つこと1時間。
折角作った妹用のハンバーグはすっかり冷めてしまい、油が固形化して白くなっているという有様だ。
電子レンジを使って温めればそれでいいのだが、彼女としては出来たてを食べさせたかったこともあり、
何とも言い難い無念を心の中でひしひしと感じていた。



レミリア(門限まで後少し……まだ余裕はあるけど、どうしたものかしら)



マンションの中央エレベーターが休止するまで残り30分。妹が帰ってくる気配は未だに無い。
少し待てば頭を冷やして戻ってくるだろうと考えたのだが、どうやら見通しが甘かったらしい。
フランドールの心中は、レミリアが思ったよりも荒れていたようだ。

220 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/08/10(月) 00:10:30.85 ID:Ns/1g1At0

これは非常に不味い。
門限を過ぎたら最後、フランドールは明日までこの建物から閉め出されることになり、
逆にレミリアはこの建物から一歩も外に出ることができなくなるのだ。
果たして、家に帰ることができなくなった妹は一体どのような行動を取るのだろうか。



レミリア(最悪、『警備員』に連絡した方が良いかしら……?)



レミリアは最終手段として、『警備員』を利用する案を思いつく。
もしもフランドールが帰ってこなかった時は、『警備員』に保護してもらおうという考えだ。
最も安全で確実な方法である。しかし、その案を考えた当人の表情は優れなかった。


彼女としては、出来るだけ『警備員』や『風紀委員』といった公安機関のお世話にはなりたくない。
理由は様々ではあるが、敢えて挙げるとするならば『自身が魔術師の端くれだから』である。
科学と魔術は互いに相反するもの。彼女の立場で考えると、敵陣のど真ん中に入り込んでいるようなものだ。
そんな場所で目立つ行動を取るのは、どう考えても賢いとは言えない。

221 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/08/10(月) 00:12:15.12 ID:Ns/1g1At0

彼女の用心深さをただの杞憂だとする人がいるかもしれない。それは一理ある。
科学が全てを占めるこの街に於いて、『魔術』などただの空想上の産物に過ぎない。
現に、レミリア達が街に住み始めてから一度も『魔術』という言葉を耳にしたことは無かった。


おそらく、この街に『レミリアが魔術師であること』を見抜ける人間はいない。
彼らにとって、魔術は『存在しないもの』なのだ。魔術が存在しないのならば、当然魔術師も存在しない。
『存在しない存在』を見抜くことなどできはしないのだから。


だがそれは所詮『おそらく』であり、絶対確実とは言えないものだ。
もしかしたらこの街の何処かに、自分達と同じように潜入している魔術師が居るかもしれない。
そして、その人物とばったり出くわしてしまったら。そうでなくとも、自分達のことを知られてしまったら。
その時点で今までの平穏は脆く崩れ去り、最悪破滅を迎える可能性すらある。


故に、例えそれがほんの僅かな可能性であったとしても、ゼロでは無い以上用心するに越したことは無い。



レミリア(でも、万が一の時に何も出来なかったら本末転倒だし、今回ばかりはしょうがないかしらね)



しかし『警備員』の手を借りなかったがために、フランドールの身に何かがあってしまっては意味が無い。
本当に必要な時に限っては、多少のリスクには眼を瞑る必要があるだろう。


そう判断したレミリアは、『警備員』に連絡を取るべく受話器を手に取ろうとした。ところが――――

222 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/08/10(月) 00:13:53.53 ID:Ns/1g1At0

ガチャッ!



その行動を遮るようにして、玄関先から扉が開く音が聞こえてきた。



レミリア(……帰って来たみたいね)



音を出した人物に当たりを付けた彼女は、受話器にのばした手を引く。


おそらく、フランドールが戻ってきたのだろう。
彼女が家を飛び出してから3時間余り。その間何をしていたのかは知る由もないが、
おそらくこの周辺をただ歩き回っていたのだろうとレミリアは想像した。


フランドールは財布も持たずに飛び出していっていたので、何処かの店で暇つぶしをすることは出来ない。
ホテルに泊まって一夜を過ごすなど、尚更あり得ないことである。
また特別に親密な友人を持たない彼女が、その友人の家に転がり込むとは思えない。
何よりも、彼女の友人が居るであろう学校の寮と自宅は、歩いて向かうには距離が離れ過ぎている。


故に家を飛び出したフランドールが最終的に取る行動は、次の日の朝になるまでこの街の何処かで野宿をするか、
もしくは大人しく自宅に戻るかのどちらかに帰結するのは必然であった。
もっとも、野宿をした場合はレミリアから依頼を受けた『警備員』が彼女を補導し、
自宅に連れてくることになっていたはずなので、どちらにしても結果は変わらなかったのだが。

223 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/08/10(月) 00:14:49.00 ID:Ns/1g1At0

レミリア「フラン、今までどこに――――」



レミリアは玄関に赴き、帰宅したフランドールを迎え入れる。
感情のままに行動した不出来な妹を刺激しないように、穏やかな口調を装いつつ。
しかしその言葉は、最後まで紡がれることはなかった。



フラン「……」

レミリア「フラン、貴方……」



レミリアはフランドールを見て、その場に棒立ちになる。
目の前に立つ妹の姿は、自身が想像していたものとはかけ離れたものだったからだ。


顔、腕、足……全身に見られる擦り傷と打撲。
血こそは流れていなかったが、赤く腫れ上がったそれは元から色白の彼女の肌にはあまりにも目立ち、
特に顔の傷は実際の怪我の度合い以上に、見た目の痛々しさを強調している。
彼女が着ている服は何故か灰色に染まっており、何処かに引っかけたかのように破れている箇所もあった。
これではもはや、その服を着ることは二度と出来ないだろう。


しかしそれ以上に、レミリアの視線を引いたのが『眼』だ。
普段の快活な彼女の様子からは考えられない『座った眼』。家を飛び出す前とは違った、覇気のない眼だ
それが生み出す周りの全てを拒絶するかのような眼光は、レミリアの体に深く突き刺さり、その場に縫い付けた。

224 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/08/10(月) 00:18:27.90 ID:Ns/1g1At0

レミリア「何が――――」

フラン「――――」ダッ!



数瞬の後、金縛りから解かれたレミリアは重苦しくその口を開く。
しかし事情を聞くより先に、フランドールはその追求から逃れるようにして足早に姉の脇を通り過ぎた。


そして彼女は自身の部屋に飛び込み、そのまま部屋の鍵をかけてしまう。



レミリア「フラン! 何があったの、フラン!」



レミリアは慌ててそれを追いかけ、フランドールに対し扉越しに声をかけるが時既に遅く。
部屋に閉じこもった妹は、沈黙を保ったまま取り合おうともしない。
姉の侵入を拒む木製の扉は、その時に限っては重く頑丈な石扉のように思えた。

225 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/08/10(月) 00:19:04.08 ID:Ns/1g1At0

一体、妹の身に何があったのか――――
扉の前に立ち尽くすレミリアの頭の中に、様々な仮定が思い起こされる。
しかし仮定が確証に至ることはなく、その思考は濃霧の中を歩くかのように定まらず、彷徨っていた。


妹の口から語られない限り、真実を知ることは出来ない。だが、少なくともこれだけは言えることがある。
それは彼女の身に起こったことは、『決して良いものではない』ということ。
どの程度『良くない』のかはわからない。ただ、それが軽いものであることを願うしかない。



レミリア「……」



どうすることも出来なくなったレミリアは、妹をそのままにして居間に戻る。


戻って眼に付いたのは、テーブルの上に並べられた2皿の料理。
一つは自分の、もう一つは妹の分。すっかり冷め切ってしまった料理の姿は彼女の心に寂寥をもたらした。
無言のまま椅子に座ってナイフとフォークを手に取り、ナイフでハンバーグを丁寧に切り分け、その一切れを口に含む。

226 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/08/10(月) 00:19:38.32 ID:Ns/1g1At0

レミリア「……冷たくて、美味しくないわね」



口の中に入れた肉塊を噛みしめながら、ぽつりと言葉を漏らす。


不味い。とてもではないが、『美味しい』と言える代物ではない。
口の中に広がる塩の味と、凝固した油のぬるぬるとした舌触り。
もそもそした食感のそれを、しっかり味わって食べようとは到底思えなかった。


ただ、この料理を『不味い』と思える理由には、味や食感以外にも何かある気がする。
レミリアはその理由をぼんやりと考えつつ、冷めた料理を最後まで食し続けた。

227 : ◆A0cfz0tVgA [sage saga]:2015/08/10(月) 00:20:16.21 ID:Ns/1g1At0
今日はここまで
質問・感想があればどうぞ
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/10(月) 00:25:21.81 ID:pIzWBcAOo
乙です
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/10(月) 01:50:28.49 ID:a8CJG0uw0

マジで何してきたんやらな
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/10(月) 08:06:21.12 ID:7B7qUe+D0

一人、冷や飯を食う破目になるとは哀しいもんだ
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/11(火) 07:59:31.10 ID:a9/8UjU60
破壊系の能力ってのは狂わせるねぇ
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