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春香「私、今日でアイドルを辞めます」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/02(日) 02:15:21.77 ID:PNptwFkC0

「いらっしゃいませー、おひとり様ですかー?」

春香「あ、いえ、先に来てる人が」

「それは、失礼いたしました。ではごゆっくり」

店員に促され店の中に足を踏み入れる。二、三度視線を動かすと、店内に多くはいないスーツを着た一人の男性を見つけた。

春香「プロデューサーさん、お待たせしました!」

P「ん、おお、春香か、そんなに待ってないぞ」


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諸君、狂いたまえ。 @ 2024/04/26(金) 22:00:04.52 ID:pApquyFx0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714136403/

少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714054765/

渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/

二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/02(日) 02:21:08.86 ID:PNptwFkC0

「ご注文はどうなさいますか?」

店員からメニュー表を受け取ったが、大して目は通さず、結局お店に着く前から決めていたメニューに決める。

春香「私はカフェオレで。プロデューサーさんは」

P「俺はコーヒー残ってるからいいよ」

春香「あ、わかりました。じゃあ、それで」
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/02(日) 02:22:04.29 ID:PNptwFkC0

春香「いやぁ、昼間だっていうのに結構混んでますね」

P「そうだな、平日の昼過ぎだってのに」

春香「実はこの前高校の友達と来たんです。話題のお店らしいんですよ」

P「なるほど、俺が場違いな気がするわけだ」

春香「そうですか?」

P「見てみろ周り。こんなくたびれたおっさんが居てもいいのか?って思えるよ」

言われて、店内を見渡してみる。確かにお客さんの年齢層は若い方が多い。
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/02(日) 02:23:04.37 ID:PNptwFkC0

春香「くたびれたおっさんて…そんなにプロデューサーさんは年取ってないですし、別に年輩の方はいらっしゃるじゃないですか」

P「それにしたって清潔感あるし、俺以外はみんな女性といるだろ? 春香が来てくれて一人ではなくなったが」

春香「別にプロデューサーさんは不潔では…」

P「見てみろ、このよれよれのスーツを。こんな服着てるのなんて俺ぐらいじゃないか」

春香「まあ、それは確かに否定できませんけど…」

P「俺には眩しすぎるよ、この場所は」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/02(日) 02:24:12.89 ID:PNptwFkC0

P「俺には眩しすぎるよ、この場所は」

春香「でも、様になってましたよ?」

P「冗談きついぜ」

春香「本気です」

P「…まあ、テラス席に案内されなかっただけでもよかったとするかな」

春香「あ、それは確かに笑えるかも」

P「おい」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/02(日) 02:25:14.97 ID:PNptwFkC0


春香「あはは、ごめんなさい。でも、プロデューサーさんがここのテラス席で優雅にコーヒー飲んでたら絶対笑いますよ」

P「くそっ、否定できねえ。俺も絶対笑う」

他愛無い話。その途中でプロデューサーさんが一瞬内側の胸ポケットに手を伸ばし、気付いたように手を戻す。

春香「プロデューサーさん、別にタバコ吸ってもいいんですよ?」
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/02(日) 02:26:03.56 ID:PNptwFkC0

P「いや、遠慮しとく。ここ禁煙だし」

春香「じゃ、喫煙席に移動しましょうか? そっちの方が空いてますし」

P「俺がアイドルの前でタバコ吸ってるの見たことあるか?」

春香「確かにないですね」

P「そういうわけだ。気持ちだけもらっとくよ」

春香「…でも、そんなの関係ないんじゃないですか?」



春香「私は元アイドルなんですから」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/02(日) 02:27:40.11 ID:PNptwFkC0

P「俺に言わせてみれば復帰予定のアイドルかな」

春香「だから、アイドルに戻るつもりはないって言ってるじゃないですかー」

P「今そう言ってても、いつ心変わりするかわからんからな。それだったら春香だって、俺をプロデューサーって言うのは変じゃないのか?」

春香「ん〜、でも、プロデューサーさんはプロデューサーさんですし」

P「なら、復帰の意思があるとみてもいいんだな?」

春香「もー、今はプライベートの時間なんですから、そういう話はよしてください」

P「…そうだな、悪かったよ」

そう言い、プロデューサーさんは少しさびしい顔をしながら、コーヒーをすする。一息つくと思いだしたように喋り始めた。
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/02(日) 02:28:42.50 ID:PNptwFkC0

P「大学はどうだ? 楽しいか?」

春香「はい! とっても楽しいですよ!」

P「さすがに春香だったら、大学内ではすでに有名人だろう?」

春香「ん〜、まあ、確かに視線は結構感じるんですけど…」

P「けど?」

春香「話しかけるとびっくりされるのはちょっと困るかなあ、なんて」
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/02(日) 02:29:50.88 ID:PNptwFkC0

P「ははははっ、なるほど」

春香「うぅ〜、笑わないでくださいよ。真面目な悩みなんですから」

P「悪い悪い。でも、それはしょうがないかもな」


P「春香は少し前まで、そういう存在だったんだよ」
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/02(日) 02:31:03.12 ID:PNptwFkC0
思いつきで書いたんでここまでです。
ごめんなさい、明日早いんでもう寝ます。
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/02(日) 02:38:42.93 ID:POmdcDzDO
おう、ゆっくり休んで英気を養ってくれ
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/02(日) 03:14:37.93 ID:kv/6PpN/0
待ってるぞ
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/02(日) 08:13:09.98 ID:f1tf1FD6O
才能の欠片すらないんだし辞めて正解だわな
15 :>>1 :2015/08/02(日) 08:25:31.44 ID:5rvgGlTXO
あ、一応明日には再開するんでちょっとだけ待ってちょ
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/02(日) 08:31:46.31 ID:tO+rZkiZo
期待外野は気にすんな
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/02(日) 13:17:30.99 ID:7Qvzfg99o
期待
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/02(日) 17:56:25.12 ID:IMHRFeKRo
待ってる
俺の嫁さんに来てくれるのを
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/02(日) 22:27:37.81 ID:uzgJ6ejeo
大学で変な㊚に捕まるのかと思うとゲロが止まらん
20 :おまたせ また3日間は更新できないからいけるとこまでいきます :2015/08/03(月) 23:15:31.70 ID:qn00XvFc0

春香「……」

プロデューサーさんは続けて言いたい言葉を飲み込むように、コーヒーカップを口に運ぶ。

P「それにしたってもう3日経つんだ、友達くらいは出来ただろう?」

春香「あ、それはもちろん! 入学式で隣に座ってた子と仲良くなって、今は大学内ではいつもその子といます!」

P「それはよかった。学科は同じなのか?」

春香「はい。だから、これから履修を組むのもお揃いにしようって」
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/03(月) 23:16:51.73 ID:qn00XvFc0

P「友達と仲良く授業を受けるのもいいが、自分の向き不向きをよく考えて授業組めよ?」

春香「うー、そんなのわかってますよ。あ、写真見ます? すっごい可愛い子なんですよ!」

春香「はい、これこの前大学で撮った写真です」

P「どれ…ほう、確かに可愛いじゃないか。その気があるならスカウトしてるかもな」

春香「あ、プロデューサーさん、この子に手を出しちゃだめですよ!」

P「そんなんわかってるよ、春香がいるんだし」
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/03(月) 23:17:42.72 ID:qn00XvFc0

春香「……え?」

P「ん?」

春香「そ、それってどういう…」

春香(まさか、え?)

P「春香がいるのに、せっかく仲良くなった友達を取り上げるのはかわいそうだろう?」
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/03(月) 23:18:45.32 ID:qn00XvFc0

春香「……」

P「なんだその目は」

春香「…何でもないですよう」
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/03(月) 23:19:30.28 ID:qn00XvFc0



P「ただいまー」

律子「お帰りなさい」

P「小鳥さんは?」

律子「備品の買い出しです。プロデューサーこそ外回りにしては遅い帰還ですけど」

P「ちょっと、スカウト活動をな」
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/03(月) 23:21:03.22 ID:qn00XvFc0

律子「どうせまた、春香とお茶でもしてたんでしょ?」

P「そうとも言うな」

律子「そうとしか言いませんよ。どうでした、様子は?」

P「相変わらず元気そうだよ。大学生活を満喫してる」

律子「それは何よりです」
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/03(月) 23:22:15.18 ID:qn00XvFc0

律子「…でも、いつかは戻ってきてほしいですね」

P「……」

律子「プロデューサーもそう思うでしょう?」

P「まあ…そりゃあ、な」

P「でも、春香にとって今の生活が望んでたもの。それが実現できてるならそれに越したことは無いさ」
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/03(月) 23:37:43.56 ID:qn00XvFc0


〜〜〜

P「よし、皆いるな」

真美「全体ミーティングなんて久しぶりだね!」

真「どうして、今日は全体ミーティングなんです?」

P「今日、皆に集まってもらったのは大事な話があるからだ」
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/03(月) 23:38:35.50 ID:qn00XvFc0

響「大事な話? 大きな仕事でも入るのか?」

P「いや…仕事なんかよりも、もっとずっと大事な話だ」

亜美「兄ちゃん、さっきからテンション低いね〜。あんまり嬉しくない話なの?」

P「…まあ、な」
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/03(月) 23:39:07.38 ID:qn00XvFc0

律子「……」

千早「…律子、どうしてさっきからそんなに暗い顔してるの?」

律子「…すぐにわかるわ」

P「春香、前へ出てくれ」

春香「…はい」
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/03(月) 23:43:39.49 ID:qn00XvFc0

やよい「? どうして春香さんが前に?」

春香「……」

貴音「…もしや、春香」

春香「…私、皆に言わなきゃいけないことがあるんだ」

雪歩「春香ちゃん…?」
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/03(月) 23:44:21.14 ID:qn00XvFc0


春香「こうやって言葉にして、皆に伝えるのはすごい怖いんだけど…でも、言わなきゃ納得しないと思うから」

伊織「あんた、まさか…!」

春香「私…私ね」

美希「……」
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/03(月) 23:45:00.49 ID:qn00XvFc0



春香「私、今日でアイドルを辞めます」


33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/04(火) 00:35:13.41 ID:jqlASXy/0

千早「……うそ」

真「……は?」

春香「多分活動できるのは今年の夏まで。そこで引退ライブをするつもり」

真美「……う、うっそだ〜はるるん。いくら4月って言ったって、エイプリルフールはとっくに過ぎてるぞー!」

亜美「まったく、はるるんはドジっ子なんだから〜。まったく、亜美達としたことが騙されるなんてはるるんも油断できませんなあ〜!」

亜美・真美「あはははははははっ!」
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/04(火) 00:36:14.28 ID:jqlASXy/0

春香「……」

亜美・真美「はははは…はは…」

春香「……」

亜美・真美「……」

亜美「…嘘じゃ、ないの?」

春香「ごめんね、二人とも」
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/04(火) 00:39:25.49 ID:jqlASXy/0

伊織「ちょっと待ってよ! ついこの前ドームライブを成功させたばかりじゃない!」

響「そうだよ、春香! 自分たちこれからもっともっと活躍していくんじゃないのか!?」

春香「…そうだね、ドームライブは本当に楽しかった」

春香「でも、あのドームライブがあったから、私はアイドルを辞める決心ができたの」
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/04(火) 00:42:26.86 ID:jqlASXy/0

真「何を言ってるんだ春香、あのドームライブよりも高いステージには上がれないと思ってるのかい!?」

やよい「確かにすっごく大変でしたけど、私達の力はまだまだこんなもんじゃなくて! ええっと…なんていうか、その…とにかくすごいところまでいけるはずなんです!」

春香「…うん、私もそう思うよ」

春香「私達は、このままずっと成長していけるはずだと思う」

真「じゃあ、なんで!」

春香「……」
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/04(火) 00:43:28.17 ID:jqlASXy/0

伊織「プロデューサー!律子!社長! あんた達、なんで黙ってるのよ! 所属アイドルが辞めるって言ってるのよ!? 何とかするのが仕事でしょ!?」

高木「……」

律子「…そんなの、とっくにしてるわよ」

律子「でも、駄目。私と社長がどんなに説得しても春香の心は少しも揺らがなかった」

律子「この子は…本気なのよ」
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/04(火) 00:44:34.92 ID:AUQ11R9p0
>何とかするのが仕事でしょ!?
いや、仕事じゃないでしょ
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/04(火) 00:45:05.87 ID:jqlASXy/0

貴音「春香、もしかしてこの事務所に、私達に何か問題があったのでしょうか?」

春香「ううん、そんなことないよ」

貴音「ならば、何故、誰にもその決心を教えてくれなかったのですか」

春香「…ふふ、貴音さんは痛いところつくなあ」

貴音「もし、私達に不備があったなら…! いえ、春香のその心持に気付けなかったこと自体が私達の落ち度です」

貴音「どんなことでも悔い改めます。ですから、もう一度だけ考え直してはもらえないでしょうか…?」
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/04(火) 00:47:11.21 ID:jqlASXy/0

春香「…貴音さん」

貴音「なんでしょう?」


春香「私ね、この事務所が大好きなんだ」
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/04(火) 00:48:08.09 ID:jqlASXy/0

春香「学校が終わって、電車に乗って、事務所に着くと誰かが居て」

春香「それで、私が挨拶する前に皆が挨拶してくれて」

千早「春香…」
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/04(火) 00:49:15.59 ID:jqlASXy/0

春香「アイドルのお仕事して疲れて帰っても、同じように疲れてるはずの誰かが『お疲れ様』って言ってくれて」

春香「時にはぶつかりもするけど、そのたびに仲直りして」

春香「お互い高めあって、ステージが大きくなるたびにお互い喜んで」

律子「……」
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/04(火) 00:50:49.86 ID:jqlASXy/0

春香「決心を固めた時、生きてきた今までで一番すごいことに気付いたの」



春香「私は、すごい恵まれてたんだなあって」
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/04(火) 01:24:42.96 ID:jqlASXy/0

「……」

春香「私ね、アイドルを辞めたら本格的に受験勉強を始める」

春香「今まで走り抜けてきたアイドルの世界。そのまま息が切れるまで走り抜くのもいいけど」

春香「私は立ち止まって、別の世界も見ることにしたの」

春香「その為にはアイドルを辞めなきゃならないんだ」
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/04(火) 01:27:39.66 ID:jqlASXy/0

あずさ「春香ちゃん、一つだけ…いい?」

春香「なんですか? あずささん」

あずさ「春香ちゃんはアイドルをするのが嫌になったから辞めるわけじゃないの?」

春香「いえ、アイドルは今でも私の中でかけがえのない大切なもの」

春香「でも、私はそれと同じくらい大切にしたいことがあります」

春香「だから、アイドルを辞めるんです」
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/04(火) 01:28:56.59 ID:jqlASXy/0

千早「…春香」

春香「どうしたの、千早ちゃん」

千早「正直に言っていい?」

春香「うん」

千早「確かに、こんなデリケートなこと人に簡単に話すことなど出来ないわ」

春香「……」

千早「でも、それでも…」

千早「私にだけは…伝えて欲しかったっ…!」
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/04(火) 01:29:55.81 ID:jqlASXy/0

春香「…ごめんね、千早ちゃん」

千早「…でも、私がそんなことを知ってもどうにも出来ないことは今、分かったわ」

春香「……」

千早「春香、それがあなたの決断なら」

千早「私はあなたが望むべき道に進めることを願うだけ」

春香「…うん。ありがとう、千早ちゃん」
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/04(火) 01:31:11.58 ID:jqlASXy/0

美希「春香」

春香「美希、なあに?」

美希「美希的にはさ、どんなに残念なことでも、春香がきちんと決めたことならとやかく言う権利はないと思ってるの」

美希「だから、一つだけ言いたいこと言うね」

春香「うん」
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/04(火) 01:32:22.64 ID:jqlASXy/0


美希「絶対、負けないから」


春香「……うん!」


50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/04(火) 01:40:12.72 ID:EQPlwxWDO
アイドル仲間も大切だけど友達も家族も大切だから、アイドルをやってきた分応援してきた友達や家族に恩返しするために辞めるってことかな?
よく言われてることだけど春香の夢はアイドルになることだから叶っちゃってて「次」を見出だせないとか
これはそんなifな物語か
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/04(火) 01:42:18.23 ID:jqlASXy/0



〜〜〜

律子「国立競技場ワンマンライブ、チケットは完売、一日の動員人数歴代最高」

律子「人気絶頂の中の引退ライブという付加価値がついているとはいえ、もはや伝説ですね」

P「ああ、きっとこの先アイドルで成し遂げるのは不可能だろう」

律子「うちのアイドルでもですか?」

P「はっきり言って無理だな」


52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/04(火) 01:43:33.55 ID:jqlASXy/0

P「国立競技場をライブ会場に使えたことも、多少延びたが5か月間という圧倒的に短い期間で下準備が出来たことも、会場のキャパが埋まったことも」

P「全部、春香が手繰り寄せた幸運さ」

律子「…幸運で済まされるレベルではないですね」

P「まあ、強いて言うなら…」
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/04(火) 01:44:24.73 ID:jqlASXy/0

P「絶頂の真っただ中のトップアイドルがこの先、手にするであろう栄光の数々を全て犠牲にする」

P「きっと、そんな覚悟が目にとまったんじゃないかな」

律子「誰にですか?」

P「……アイドルの神様に、さ」
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/04(火) 01:47:50.50 ID:jqlASXy/0
今回はここまでです
明日から三日間地獄に行ってきますので、生きていたら更新します
それまで待っていただけたら幸いです
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/04(火) 03:34:14.70 ID:huGJ41dq0
待ってるよー
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/04(火) 04:09:31.31 ID:EQPlwxWDO
>>55
sageる事を覚えて発言しようね
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/04(火) 17:26:02.37 ID:oogiLXOxo
たのしみ
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/04(火) 22:54:08.58 ID:IE/UxPZ8o
まってますよー
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/05(水) 05:02:03.99 ID:/GdNSVHDO
日高舞越えちまったかー
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/07(金) 05:58:15.96 ID:p/1e6ShDO
日高舞どころかオーバーランクさんもこえてね?
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/07(金) 23:06:47.95 ID:W01DkUTW0
お待たせしました再開します
今気付いたけど、スレタイおかしいね
正確には「今日」ではないね
ま、御愛嬌ということで
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/07(金) 23:07:39.69 ID:W01DkUTW0



〜〜〜

春香「っていう話があるんですけど、プロデューサーさんはどう思います?」

P「決まってるじゃないか」

入学から一カ月経とうとしているある日の午後。私とプロデューサーさんは、一月前と同じカフェで一月前と同じように他愛ない話をしていた。

P「どう考えても合コンだろ、それは」
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/07(金) 23:09:26.56 ID:W01DkUTW0

春香「ですよねえ」

P「嫌なのか?」

春香「ん〜、どうしても嫌ってわけでもないですけど」

P「まあ、進んでいくほどでもないって感じか」

春香「まあ、そうですね」
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/07(金) 23:10:17.71 ID:W01DkUTW0

P「だったら、断ってもいいと思うぞ」

春香「でも、誘ってくれた友達も必死な感じがするから…」

P「友達ってのは例の?」

春香「はい、この前話してた子です」

P「ふむ、断ってしまったらメンツが潰れるか心配で曖昧な返事している、と」

春香「曖昧な、っていうか…」
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/07(金) 23:11:26.72 ID:W01DkUTW0

P「もう行くって返事はしてしまったのか」

春香「だ、断定はしてないんですけど」

春香「多分行く、とは…」

P「それは失言だな。その子の中では、もはや春香は人数にカウントされてるぞ」

春香「っぽいんですよね…その、最近の会話の流れ、というか」

P「その子もその子で、本気で合コンとは思ってなさそうだしな」
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/07(金) 23:12:09.44 ID:W01DkUTW0

春香「そうなんですか?」

P「春香は合コンってのはどんなもんだと思ってる?」

春香「そうですね…出会いの場、というか、気に入った異性を見つける場?」

P「そうだな。じゃあ、気に入った異性が見つかったとして、その人に気に入ってもらうにはどうすると思う?」

春香「ん〜、自分をアピールする?」
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/07(金) 23:13:13.24 ID:W01DkUTW0

P「その通り。だけど、合コンってのはあくまで男女の人数がそろってなきゃ始まるケースは少ない。それもある程度まとまった人数でな」

P「つまり、気に入った異性が他の誰かと被ってしまった場合、その誰かとのアピール合戦が始まるわけだ」

P「誰がそんな場に元トップアイドルを呼びたいと思う?」

春香「はあ。まあ、そうかもしれませんね。でも、だからって、私なんかが…」

P「反応が薄いな。じゃあ、春香、今好きな人はいるか?」

春香「うええ!? ど、どうしてそんな話になるんですか!」
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/07(金) 23:14:00.87 ID:W01DkUTW0

P「いるのか?いないのか?」

春香「え、いや、その…」

春香「い、いますけど…」

P「そいつが参加する合コン。春香は参加したいか?」

春香「え、そりゃもちろん」
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/07(金) 23:14:53.23 ID:W01DkUTW0

P「ところが、あと一人女の子側の人数がいません。その穴埋めに呼ぼうとされているのが、もし日本で一番可愛い女の子だとしたら、春香は来てほしいと思うか?」

春香「…いやぁ、来て欲しくは」

P「つまり、今春香が考えたことを他の人は考えるはずなんだよ。その友達が合コンだって理解していればな」

春香「ど、どうして、それが今回の話と…」

P「決まってるだろう」

P「春香はちょっと前までそういう存在だったからだよ」
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/07(金) 23:16:04.05 ID:W01DkUTW0

春香「……」

P「少なくとも俺だったら、自分が意気揚々と参加する予定の合コンに、何万人も客を集める超人気トップアイドルの男なんて呼びたくはないね」

P「それが、例え元アイドルでもな」

春香「じゃ、じゃあ、もし私がその合コンに行ったら…」

P「間違いなく注目の的さ、男性陣のな」

春香「女性陣からは…」
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/07(金) 23:17:38.17 ID:W01DkUTW0

P「まあ、少なくとも合コンだと理解してる人達からは総スカンを食らうだろうな」

春香「う〜、じゃあ、私は女の子と仲良く出来ないかもしれないのか〜」

P「でも、もしかしたら春香に会えたってことで案外気にしないかもな女の子も。むしろ仲良くしようとしてくれるかもしれん」

P「ま、どっちにしろ決めるのは春香さ。好きにしたらいい」
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/07(金) 23:18:27.19 ID:W01DkUTW0

春香「……」

春香「あの、プロデューサーさん」

P「ん? なんだ?」
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/07(金) 23:20:22.83 ID:W01DkUTW0

春香「プロデューサーさんは、どう思いますか?」

春香「私、行った方がいいと思いますか?」

P「俺だったらあまりお勧めしないかな。数合わせなら、その友達にも他の候補はいるだろうし」

P「わざわざお金かけて刺さるような視線や下心満載の視線を浴びる必要もないだろ?」

春香「……」

春香(違う、この人にはもっと直接的じゃないと…)
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/07(金) 23:21:48.42 ID:W01DkUTW0

P「どうした、黙りこくって」

春香「いえ、あの…」

つばを飲み込む音、なかなか言葉が出てこない感覚、とても居心地が悪い。
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/07(金) 23:23:10.25 ID:W01DkUTW0


春香「ぷ、プロデューサーさんは、私にそういうところには行って欲しくない…とか思ったりは」


春香「したりしてるのかな…って」


76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/07(金) 23:24:18.97 ID:W01DkUTW0

P「……」

波打つ鼓動、にじみ出る汗、気付けば周りの喧騒など耳には入らなくなっていた。

春香「わ、私としては、別に行っても行かなくてもいいんですけど!」

春香「もし、なんか、プロデューサーさんが私がそんなところに行くの心配だったり!」

春香「そんなこと思ってたりしたら…なんて」
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/07(金) 23:25:20.39 ID:W01DkUTW0

P「……」

春香「あはは…」

P「…ふう」

プロデューサーさんは一度視線を下にずらし、一息ついてから私の目を見つめて言い放った。

P「さっきも言ったろ? 好きにすればいい」
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/07(金) 23:26:07.87 ID:W01DkUTW0


P「俺はもう春香のプロデューサーでも何でもない。春香のしたいことに意見はしないし」


P「春香のしたくないことにだって意見はしないさ」


79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/08(土) 00:29:56.58 ID:e3hRpxPxo
(´;ω;`)
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/08(土) 01:47:16.02 ID:e3hRpxPxo
早く続き投稿しろ●すぞ
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/08(土) 23:01:35.79 ID:wfiJKNzNO
支援
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/12(水) 12:42:33.96 ID:/XHAvSgS0



春香「……」

昼下がりの午後、自室に西日が射しこみ始める時間、私は自室で枕に顔をうずめていた。

春香(…私の、馬鹿)

〜〜〜

春香「…プロデューサーさんは私の心配なんてしてないってことですか?」

P「心配されるようなことなのか?」
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/12(水) 12:48:00.70 ID:/XHAvSgS0

春香「そ、そうなるかもしれないじゃないですか」

P「そこまで分かってるんだったら、俺に意見を求める前に行かなきゃいいだけの話だ」

春香「だ、だから、それは…」

P「なあ、春香、俺もそこまで暇な人間じゃないし、春香だってもう子供じゃないだろう?」

P「アイドル時代みたいな春香のプライベート管理はもう俺の仕事じゃあない」
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/12(水) 12:49:31.88 ID:/XHAvSgS0

春香「……」

P「春香ももっと自分の考えをもってだな…」

春香「わかりました!」

胸に込み上げた感情を吐き出すようにテーブルに衝撃をぶつける。近くのテーブルからいくつもの視線を感じ取るが、そんなのは関係ない。

春香「どうせ、プロデューサーさんは普通の私なんてこれっぽっちも興味ないんですよね」
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/12(水) 12:51:08.56 ID:/XHAvSgS0

P「春香、場所を考えろ」

春香「だったら、もう私とは会わなきゃいいだけじゃないですか」

P「一旦落ちつけって…」

春香「中途半端に優しくして…ああ、そうですね、そういえばプロデューサーさんは私をスカウトしてるんでしたね」

春香「結局、興味があるのは元アイドルの私、普通の大学生の私には用は無いっていうことですか」
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/12(水) 12:52:38.72 ID:/XHAvSgS0

P「……」

春香「…何とか言って下さいよ」

やがて、集まった視線が散らばっていくころ、さっきまでの熱が嘘のように引いて行くのがわかる。それを察してか、プロデューサーさんも熱を冷ますかのように沈黙を続けた。

春香「…帰ります」
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/12(水) 12:54:38.25 ID:/XHAvSgS0

P「…行くのか?」

春香「関係ないじゃないですか」

P「酒はやめとけよ」

春香「…今更心配ですか?」

P「…さあな」
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/12(水) 12:56:26.23 ID:/XHAvSgS0


〜〜〜

春香「もう、あのカフェには行けないなあ…」

春香「……」

春香(確かに、私も悪いけど…でもプロデューサーさんだって…)

春香「いや、やっぱ全面的に悪いのは私か…」

そんな思考を繰り返している内に流れ出す携帯電話。その着信画面を見てまた少しだけ落ち込む。
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/12(水) 12:57:44.38 ID:/XHAvSgS0

春香(そんなわけないよね…)

春香「もしもし」

「あ、春香? どうかな、この前の話」

春香「あれ、まだ私行くの決定してるわけじゃなかったんだ」
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/12(水) 12:59:07.42 ID:/XHAvSgS0

「あ〜、確かに私は来て欲しかったけど、やっぱ大事なのは春香の気持ちだから」

春香「……」

「春香、正直乗り気じゃなかったでしょ? 無理させるのもな〜って思って」

春香「…うん」
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/12(水) 13:00:43.17 ID:/XHAvSgS0

「じゃ、今回の話は無かったことで」


春香「…ちょっと待って」

「ん、どうしたの?」

春香「…やっぱり、私も行く」
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/12(水) 13:02:09.35 ID:/XHAvSgS0
遅筆でごめんなさい、今回もここまでです
ちょくちょく更新していくんで、気長にお待ちを
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/12(水) 13:04:11.61 ID:4/uOQkSvo

待ってる
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/12(水) 13:21:29.87 ID:7IvnLpPfO
おっつー
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/12(水) 15:39:17.51 ID:bxghipk20
おつおつー
まってるぜ
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/12(水) 18:00:53.87 ID:BNYT8/Y/o
はるるん、ハイエースでお持ち帰りされてビデオ撮られちゃうん?
97 :ちょっとだけ更新 :2015/08/15(土) 01:25:31.74 ID:BwI6PkRnO


〜〜〜

P「お疲れ様でーす。ただ今帰りました」

真美「ただいまー!」

小鳥「二人ともお疲れ様ー」

真美「はぁー、今日も働いたぜー」
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/15(土) 01:31:18.94 ID:BwI6PkRnO

P「小鳥さん、あとの書類は俺が取り次ぐんで今日は上がりでいいですよ」

小鳥「そうですか? なら、お言葉に甘えようかしら。ちょうど約束があるし」

真美「お、ピヨちゃんこれからおデートかい?」

小鳥「そうねぇ、トップシークレット、とでもしとこうかしら」

真美「なぬ!? 」
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/15(土) 01:36:11.46 ID:BwI6PkRnO

真美「兄ちゃん!我らがピヨちゃんがどこの牛の骨とも知らぬ奴に取られちゃうYO!」

P「馬の骨、な。それにその可能性はないから心配するな」

真美「断言!?」

小鳥「ないんですか!?」
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/15(土) 01:37:50.39 ID:BwI6PkRnO

P「じゃあ、ほんとにデートなんですか?」

小鳥「いや、違いますけど…」

P「ほらな?」

真美「それにしたってその断言は酷いと酷いと思うよ…?」
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/15(土) 01:40:08.22 ID:BwI6PkRnO

P「どうせ、律子とでも飲むんでしょ?」

小鳥「あれ? 言いましたっけ?」

P「明日はオフで律子はすでに上がってますからね。それに」


P「小鳥さんがこれからデートなのに悠長に仕事してるはずがない」

真美「確かに!」

小鳥「二人とも酷い!」
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/15(土) 01:51:28.88 ID:BwI6PkRnO

小鳥「そんなことないもん!私だってデートを前にしてウキウキで私服を選んで結局後悔するような選択しちゃうほど余裕がないわけじゃないもん!」

真美「やけに具体的だね」

P「そんな見栄張る暇があるなら実際に相手を…」

小鳥「うぇ〜ん!もういいです!このこと律子さんに言いつけてやる!お疲れ様でした!」ガチャ!バタン!



真美「ガチ泣きしてたね…」

P「本当はただ単に律子から知らされてただけなんだけどな、言いそびれてしまった」
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/15(土) 01:52:40.89 ID:BwI6PkRnO

真美「でもさー、実際ピヨちゃんに彼氏が出来たらどう思う?」

P「祝福すべきじゃないか?」

真美「まあ、それはそうなんだけど。それで結婚して仕事辞めたりしたら寂しくない?」

P「寂しくないさ、小鳥さんが幸せになるならそれが一番なんだし」

真美「…なんか兄ちゃんってそういうとこドライだよね」
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/15(土) 01:54:05.93 ID:BwI6PkRnO

P「どこが?」

真美「なんていうか、自分本位じゃなくて他人本位に考えるところ」

P「どういう意味だ」

真美「例えばさー、今、真美に死ぬほど好きな相手が出来て、アイドルやめるって言ったら引き留めないでしょ?」

P「そんなことない。本当にそれでいいのか?みたいなことは聞くよ」
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/15(土) 01:55:41.22 ID:BwI6PkRnO

真美「それでもいい!って答えたら?」

P「まあ、諦めるな」

真美「ほら、そうじゃん」

P「だって、それが願望なんだろ?」
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/15(土) 01:57:04.09 ID:BwI6PkRnO

真美「そうだけど!…でも、そうじゃない場合だってあるじゃん」

P「どういう場合さ」

真美「こう…なんか、説明は出来ないけど…とにかく、こんなに仲良くしてるのに、そうやって冷めた対応されるのは悲しいの!」

P「仲良くなってるからこそ、相手のことを思って引くんじゃないか」
107 :今回はここまでっす :2015/08/15(土) 01:58:03.79 ID:BwI6PkRnO

真美「むきー! 兄ちゃんの分からず屋! そんなんだからはるるんに愛想尽かされたんだよ!」

P「……」

真美「…あ」
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/15(土) 10:05:23.98 ID:nJDqfZXU0
乙です
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/16(日) 02:28:56.53 ID:l5hEJO5do
楽しみだ
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/29(土) 17:21:23.45 ID:zPDnRA6l0
マダー?
111 :再開 :2015/09/08(火) 05:55:45.77 ID:GDC9iQol0

真美「えっと、その、これは違くて…」

P「何が違うんだ?」

真美「別にはるるんが言ってたとかじゃないってこと」

P「……」

真美「はるるん、昨日落ち込んでたんだよ。そういう話を千早お姉ちゃんから聞いたんだ」

真美「昨日、はるるんは兄ちゃんと会ってたっしょ? だから、そこで何かあったんじゃないかって」
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/08(火) 05:58:04.51 ID:GDC9iQol0

P「探りを入れたわけか」

真美「だ、だって、気になるんだもん!」

P「別に悪いことしてるわけじゃないんだから焦ることないさ。事実、愛想尽かされてるんだし」

真美「……本当にいいの?」

P「いいよ」

真美「そうじゃなくて、本当にこのままでいいの?」
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/08(火) 05:58:40.08 ID:GDC9iQol0

P「……」

真美「さっき様子聞いたら、投げやりな感じだったよ? これから友達と居酒屋行くんだって」

P「ああ、行くことにしたんだな」

真美「知らない男の子も来るって言ってたよ。それって合コンってことじゃん」

P「そうかもしれんな」
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/08(火) 05:59:36.43 ID:GDC9iQol0

真美「ガラじゃないって兄ちゃんだって思ってるっしょ? お酒飲むかもしれないんだよ?」

P「春香だって馬鹿じゃない。まだマスコミの探りが残ってるこの時期に未成年飲酒なんてしないよ」

真美「でも、万が一ってことが…」

P「そんなの春香の自己責任だし、俺が干渉することじゃない」

真美「……」

P「なんだその目は」

真美「…兄ちゃんの分からずや」
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/08(火) 06:03:12.31 ID:GDC9iQol0



春香「ふぅ…」

一通り質問攻めされた後、席を外した私は部屋に戻るなり一番端っこの位置に座った。

春香(こうなることは分かってたけど)

春香「やっぱり、ガラじゃないよなあ…」

ため息をつきながら普段あまり飲まないウーロン茶を飲む。消去法で選んだ飲み物ではあったが、妙な味がする気がしてあまり進まない。
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/08(火) 06:04:12.72 ID:GDC9iQol0

「ね、君って本当にアイドルの天海春香なの?」

春香「え? はい、そうですけど…」

さっきの質問攻めの時には見なかった顔。落ち着いた感じの雰囲気が少しだけあの人に似ていた。

「やっぱりそうなんだ。いや、俺、遅れて入ってきたんだけど、向かってる途中に知り合いから『アイドルの天海春香が来た!』って連絡が来てさ」

「何バカなこと言ってんだ、って思ってたけど。まさか、本当にいるとは…」
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/08(火) 06:07:20.64 ID:GDC9iQol0

春香「そう、ですか」

第一印象で予想していたよりも気さくな人、というよりかは口が回る。でも、嫌な感じはしない。

「あ、自己紹介が遅れてたね。俺の名前は…」
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/08(火) 06:08:12.83 ID:GDC9iQol0



P「……」

真美「……」

P「いい加減帰れ」

真美「今日は兄ちゃんと帰るって家に言ってあるもん」
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/08(火) 06:08:50.40 ID:GDC9iQol0

P「…別にそんなことしたって、何の意味もないぞ」

真美「意味なんてないもーん…あ、はるるんから返事来た。画像も送られてる」

P「……」

真美「興味ないの?」

P「少なくとも、今やってるデスクワークの方が興味はあるな」

真美「…はぁ」
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/08(火) 06:09:19.40 ID:GDC9iQol0

真美「…まあ、でも、はるるん楽しそうではあるよ。意外と上手くやってそうだね」

P「そうか」

真美「お酒も飲んで無いみたいだよ。ウーロン茶飲んでる」

P「…ストローは刺さってるか?」
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/08(火) 06:09:47.92 ID:GDC9iQol0

真美「ストロー? 別に刺さってないけど…」

P「……」

真美「それがどうしたの?」

P「いや、別に…」
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/08(火) 06:13:00.52 ID:GDC9iQol0
今回もここで終わりです
スローペースすぎワロエナイ
放置でHTML化という最悪のケースは絶対避けますので気長に待ってて下さいな
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/08(火) 06:20:21.63 ID:NWXSfHSDO
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/08(火) 07:03:46.25 ID:Ox167fQVo
おつ

>妙な味がする気がしてあまり進まない
あっ……(察し
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/08(火) 07:06:25.33 ID:0hvQ0qWj0
>P「なんだその目は」

この台詞はどんな人間関係も瞬時に破壊し、ほぼ修復不可と聞いたことがある
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/08(火) 09:31:40.22 ID:9yd2UmROo
ストローが刺さってない時点でフラグだな…
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/08(火) 10:24:46.36 ID:NWXSfHSDO
烏龍茶は烏龍茶でもお酒の方ぽいな
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/08(火) 10:37:47.36 ID:OieK61XKO
あーあ
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/08(火) 18:36:25.54 ID:J6U6VZ8So
ウーロンハイでしたー
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/09(水) 06:38:53.54 ID:AUbHG9uro
>>126-129
みんな優しいなぁ。
お持ち帰り用のお薬入りを想像した俺が穢れてるだけか……。
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/14(月) 11:02:24.06 ID:IiIJB5Tp0
居酒屋だとソフトドリンクには大体ストローさす
あんま飲みたくないときはソフドリ頼んで、来た瞬間ストロー外して酒飲んでる風に見せたりもする
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/13(火) 09:45:26.30 ID:mxDq+wl40
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/26(月) 01:08:39.93 ID:e04BUzb5o
まだかね
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/11/06(金) 11:44:11.62 ID:mA6Et5Wo0
まだかね
135 :>>1です [sage]:2015/11/07(土) 23:10:57.67 ID:vYFVX8TH0
本当にごめんなさい水曜まで死んでます待ってくださいなんでもし(ry
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/11/07(土) 23:17:49.64 ID:uCleSWqi0
お?
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/08(日) 01:28:13.10 ID:nc+LwaXjo
>>136
待て、落ち着け。何でもするとは言ってない。
もしかしたら「何でもしまかぜ」かもしれないんだ。

あと、sageろ
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/20(金) 04:24:00.60 ID:c2tqwerDO
本当に>>1なのかも怪しい
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/05(土) 11:52:59.84 ID:Kcu8mqYDO
いつ書かれるのかね
140 :>>1です。遅くなってごめんね(テヘペロ :2015/12/13(日) 06:13:27.16 ID:20ho8tl+0

春香「……ん」

誰かに肩を組まれている感覚で目を覚ます。組まれている、というよりかは私が一方的に寄りかかっている感覚に近い。

春香「……誰?」

小さな声で呟く。返答は無い。
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/12/13(日) 06:14:11.75 ID:20ho8tl+0

春香「…あ…うん」

「忘れ物はない?」

春香「…ん、多分」

目の焦点が合わない。自分が何を言っているのかも曖昧。ただ、ふわふわした感じが頭の中を張り巡る。
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/12/13(日) 06:15:49.90 ID:20ho8tl+0

「……春香」

春香「……なに?」



「…俺は春香のこと」
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/12/13(日) 06:16:58.43 ID:20ho8tl+0




春香「……んん〜…」

目を覚ますと温かい感覚に包み込まれている事に気がつく。そのままの体勢で周囲を見まわすとそこが自室であることを理解する。

春香「……ん?」

春香(なんで私布団の中にいるの?)
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/12/13(日) 06:18:34.20 ID:20ho8tl+0

記憶を探る。自分で寝床に着いた記憶がない。というか、家に帰ってきた記憶すらない。

春香「…何時?」

(…11時か。…今日は日曜だから、学校ないよね)

ほっと一安心して、二度寝をしようと布団にくるまる。が、抜け落ちた記憶をぼんやり探ってみると重大なことを思い出した。

春香(……あれ、私、昨日誰かに抱えられてなかったっけ?)

春香「それも何か…とんでもないようなことを言われたような…」
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/12/13(日) 06:22:07.08 ID:20ho8tl+0


ものすごい勢いで上半身を起こす。先ほどまでの眠気は全て消えてなくなった。

春香(だ、誰!? あの時の人!? た、確か頭が変な感じで自分でも何言ってるか分からなくて…)

春香「私、あの時何て返事したっけ…?」

身震いがする。言われた記憶は思い出せても、自分がなんと返答したかも思い出せない。

悩み抜いた末、ハッとするように携帯を探す。鞄の中にしまってあった携帯にはいくつかの着信が知らされていた。
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/12/13(日) 06:22:46.90 ID:20ho8tl+0

「…もしもし、春香?」

春香「も、もしもし…」

「今、家にいるの?」

春香「う、うん…」

「はー、よかった。無事に帰れたのね」
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/12/13(日) 06:23:39.18 ID:20ho8tl+0

「春香、すごい酔っぱらってたから、まともに歩けてなくて…」

春香「え、酔っぱらう…? ってことは私」

「知らないうちにお酒飲んでたっぽいのよね。自覚なかった?」

春香「私、ウーロン茶しか飲んでな…あ」

春香(妙な味のウーロン茶…もしかしてあれは)
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/12/13(日) 06:24:24.37 ID:20ho8tl+0

「…間違えたのね」

春香「た、多分…」

「……」

春香「ご、ごめん、心配かけて…」

「謝るのは私よ。私が無理やり誘ったから…」

「アイドルを辞めてるとは言っても、春香はまだまだ有名人なのに」
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/12/13(日) 06:26:14.16 ID:20ho8tl+0

春香「だ、大丈夫だよ! 一応、感じは変えていったし! あの場にいる人はみんな知ってるけど」

「……でも」

春香「そ、それよりもさ! 聞きたいことがあるの!」
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/12/13(日) 06:26:45.97 ID:20ho8tl+0

「なに?」

春香「わ、私さ…すごい酔っぱらってたみたいだけど、誰かに担がれたりしてなかった?」

「えと…名前は分からないけど、ずっとしゃべってた男の人いたでしょ? その人に店を出るときに…」

春香「ずっとしゃべってた人……あ」

春香(あ、あの人…プロデューサーに雰囲気が似てた人)
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/12/13(日) 06:27:25.40 ID:20ho8tl+0

「すごい、春香のことを気に入っててさ、気がついた時には二人で店を出ようとしてたの」

「会話は聞こえてなかったけど、間違いなく口説かれてたわ」

春香(やっぱり…)

「心配してたんだけど、私も酔いが回ってて頭が働かなくて…」

春香「そ、そうだったんだ…」
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/12/13(日) 06:27:52.47 ID:20ho8tl+0

春香「あの…もしかしてさ、その人が私を家まで送ってくれたのかな?」

「あ、それは違うよ」

春香「え?」

「春香を送ってくれたのはきっと…」
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/12/13(日) 06:39:27.07 ID:20ho8tl+0




P「待たせたな」

春香「お疲れ様です。仕事は大丈夫なんですか?」

P「ああ、ひと段落ついたところだよ」

陽気な昼下がりの午後、プロデューサーさんが軽く背伸びをしながらこちらに歩み寄ってくる。
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/12/13(日) 06:40:04.20 ID:20ho8tl+0

春香「吸わないんですか?」

P「吸わないよ」

春香「いつもここで吸ってるじゃないですか」

P「灰皿がないんだよ」

春香「前に使ってたバケツは…」

P「なくなった。というか、移動した」
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/12/13(日) 06:40:36.04 ID:20ho8tl+0

春香「そうなんですか?」

P「いちいち屋上まで上がって吸ってる俺を見かねて、社長が喫煙所を作ってくれたんだよ。非常階段にな」

春香「そうなんですか…」

P「そうなんだよ」

春香「……」

P「……」
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/12/13(日) 06:45:24.24 ID:20ho8tl+0

やがて気まずい沈黙が二人を包む。プロデューサーさんはそれを察してか、私の心の準備を待つように遠くのビルを眺める。

春香「…昨日、どこかでお酒飲んでました?」

P「ああ、飲んでたよ」

春香「もしかして、…って名前の居酒屋ですか?」

P「ああ、そうだ」

春香「偶然ですね、私、昨日そこにいたんですよ」

P「偶然だな」

春香「ええ、本当に…」
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/12/13(日) 06:46:02.40 ID:20ho8tl+0

春香「ええ、本当に…」

春香「…どうしてわかったんですか?」

P「何が」

春香「私がいた居酒屋です」

P「別に、ふらっと入ったらたまたま居合わせただけさ」

春香「すごい偶然ですね」

P「すごい偶然だな」
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/12/13(日) 06:54:56.25 ID:20ho8tl+0

春香「…ありがとうございました」

P「何がだ?」

春香「家まで送ってくれたみたいですね。友達と母に聞きました」

P「別にどうってことないさ」

春香「……どうってことなんか、ないです」

P「……」

春香「私にとってはどうってことなんかじゃないんです」
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/12/13(日) 06:55:38.53 ID:20ho8tl+0

ばつが悪そうな顔をするプロデューサー。それでも私を言葉を続ける。

春香「私、やっと気づいたんですよ。本当にやっと」

P「何にだ?」



春香「プロデューサーさんが鈍くないってこと」
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/12/13(日) 07:07:56.78 ID:20ho8tl+0

P「……」

春香「鈍くないからこそ、それを知った時のショックも大きいですけど。でも、そう考えるといくつか納得することが出来て」

春香「昨日のこともただ、純粋に心配して様子を見に来てくれたってだけじゃないことにも気付けて」

春香「私の気持ちを分かっても、それでも駆けつけてくれたことがすごい嬉しくて」

春香「例え、届かないとしても…」
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/12/13(日) 07:11:23.78 ID:20ho8tl+0

P「……」

春香「あはは…ほんとすみません、私ったらプロデューサーさんを困らせてたみたいで」

P「……もういい」

春香「今まで私、散々迷惑かけてたことにようやく気付きました」

P「……いいから」

春香「あ! でも、私諦めるつもりじゃな…「いいかげんにしてくれ」



春香「……え」
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/12/13(日) 07:11:55.22 ID:20ho8tl+0

P「うんざりなんだよ、もう」




163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/12/13(日) 07:14:14.99 ID:20ho8tl+0
割と真面目に遅くなってごめんなさい(土下座
ぶっちゃけて言うと次回の更新も遅いです
でも絶対に落とさないです
それだけは信じて下さい
ではでは
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/13(日) 07:28:55.44 ID:x5dzKOMDO
なら生存報告を一ヶ月に一回はやろうぜ
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/13(日) 13:35:20.33 ID:OA2X6Trxo
おつ
166 :>>1です。再開します :2016/01/05(火) 08:02:32.43 ID:Mv0b+5DF0


〜〜〜


春香「…もう夕方か」

外の景色が紅みがかってくる頃、私はベットで横になっていた。

何も今に始まったことではない。一日中、いや、昨日の夜からずっとこの状態である。

春香(…初めてだな、大学さぼったの)

ふと上半身を起こし起床した時のように背伸びをする。目をこすると少し腫れぼったい感覚がした。

春香「……」
167 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします :2016/01/05(火) 08:03:31.72 ID:Mv0b+5DF0

〜〜〜

春香「そ、それって…どういう」

P「どうも何もないよ」

P「そう思われるとうんざりする、それだけだ」
168 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします :2016/01/05(火) 08:04:10.20 ID:Mv0b+5DF0

春香「迷惑ってことですか?」

P「迷惑? いまさら何を言ってるんだ」

P「そうに決まってるだろ」

春香「っ…!」

胸が痛い。言葉が出ない。想定していた返答とはおよそ正反対の言葉が私の体を貫いてゆく。
169 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします :2016/01/05(火) 08:05:02.30 ID:Mv0b+5DF0

春香「…わ、私、プロデューサーに何かしましたか?」

P「してきた…? もちろん、してきたじゃないか」

P「数えきれないほどの受賞、TV出演、ミリオンヒット、そして伝説となった国立競技場でのライブ」

P「春香はたくさんの夢を俺に見せてくれたさ」

春香「ち、違います!」

P「何が違うんだ?」

春香「そうじゃなくて…私がプロデューサーさんに何か気に障ることをしたのかどうか…」
170 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします :2016/01/05(火) 08:08:33.30 ID:Mv0b+5DF0

P「……」


P「春香が…俺を好きになったことだよ」


春香「……!」
171 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします :2016/01/05(火) 08:10:00.01 ID:Mv0b+5DF0

P「…いつ気付いたのか。それすらも覚えてない。ただ、気付いた時にはもう遅かったな」

P「春香がアイドルを辞めると言いだして。途端に自分のしでかしたことに絶望したよ」

P「俺はとんでもないことをしてしまった、と」

春香「そ、そりゃあ、残念に思うことはあるかもしれませんけど、それは少し大袈裟じゃ…」

P「大袈裟じゃない」

P「俺の中では…この世の終わりみたいなもんさ」
172 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします :2016/01/05(火) 08:10:41.39 ID:Mv0b+5DF0

春香「ど、どうしてそこまで…」

P「…俺はな、春香」

P「春香のことが世界で一番好きだったんだぜ」

P「『アイドルの天海春香』がな」

春香「……!」
173 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします :2016/01/05(火) 08:11:30.00 ID:Mv0b+5DF0

P「どこまでも輝いていて、どこまでもまっすぐで、見た人すべてを虜にする」

P「このままどこまでもいけると思ってた。春香を止める存在なんていないと思ってた」

P「日本中が、いや世界中が天海春香の持つ力に夢を見ると思ってたさ」

P「それがまさか…俺自身の所為でこんな結末になっちまうとはな」
174 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします :2016/01/05(火) 08:12:21.12 ID:Mv0b+5DF0

春香「…だから、プロデューサーさんは」

P「迷惑だって言ってんだよ」

春香「……」

P「俺自身思い出したくないんだ。やっと、踏ん切りがついてきた頃なのに」
175 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします :2016/01/05(火) 08:12:58.99 ID:Mv0b+5DF0


春香「…居酒屋で助けてくれたのは」


P「復帰した時に未成年飲酒なんてバレたらまずいからな」

176 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします :2016/01/05(火) 08:13:30.11 ID:Mv0b+5DF0


春香「…いつも、私の相談に乗ってくれたのは」


P「そのうち気持ちが変わって、アイドルに復帰することにならないかなって」

177 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします :2016/01/05(火) 08:14:00.86 ID:Mv0b+5DF0

春香「…私の進路に熱心になっていたのは」


P「スムーズに大学に行けば、その分心にゆとりが持ててアイドルとの両立を考え始めるかも知れないだろう?」

178 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします :2016/01/05(火) 08:14:45.33 ID:Mv0b+5DF0


春香「…アイドルを辞める、と言った時に反対しなかったのは」


P「決意が固いようだったし、無理に引きとめたら逆効果だと思った。復帰させる方が確率が高いと思ってな」
179 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします :2016/01/05(火) 08:15:20.21 ID:Mv0b+5DF0




春香「……『アイドルじゃない天海春香』には」




P「興味は無いよ」



180 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします :2016/01/05(火) 08:16:34.56 ID:Mv0b+5DF0
今回の投下はここまでです!
次の投下で終わらせることを目標に頑張ります!(終わらせるとは言ってない)
181 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/05(火) 11:22:29.67 ID:rvL22N7ro
乙です
182 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/14(木) 20:14:29.61 ID:EVj3b/HcO
おつつー
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/12(金) 17:03:34.87 ID:oE/kLlrX0
184 :>>1です :2016/03/10(木) 16:47:13.25 ID:BQisDtT2O
今日続き書きます
夜まで待っててちょ
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/10(木) 16:57:52.39 ID:jzNkq/qDO
他のSSは二ヶ月たてはHTML化になるのにここはなんでなってないんだろう…

真美スレや貴音スレはなったのにな
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/10(木) 17:01:07.90 ID:3qXArtUro
単純な理由だ、誰も2ヶ月で依頼してないからだよ
その挙げられた2つのスレはかなり前からあるしレス数も多いから目に付きやすい

たまたま見過ごされたにせよこのスレ生きてたなら何より
待ってる
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/10(木) 18:07:03.39 ID:jzNkq/qDO
もう何ヵ月?分も溜まってるから最近のはまだ大分先になると思ったのにな
188 :>>1 :2016/03/11(金) 00:28:09.96 ID:eN4VV6ut0
帰宅、今から書き始めます
189 :>>1 :2016/03/11(金) 00:46:36.43 ID:eN4VV6ut0

小鳥「は〜、今日も頑張ったし今日はゆっくり休もうかしら〜…ん?」

小鳥「あそこにいるのって…春香ちゃんかしら」


春香「うっ…ぐすっ…ひぐっ」

小鳥「春香ちゃん、こんな遅くに公園で…」

小鳥「って、どうしたの!? 何で泣いてるの!?」
190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/11(金) 00:47:44.47 ID:eN4VV6ut0

春香「ぐすっ…小鳥さん…?」

小鳥「と、とりあえず、鼻かみなさい! ほら、これ!」

春香「こ、小鳥さああああああああん!!!」

小鳥「ぴ、ぴよお! 春香ちゃん! 私百合は大好きだけど、私自身をカップリングするのは考えてな…」

春香「うわああああああああああん!!!」

小鳥(あ、これ意外と捗るかも…)

小鳥「じゃなくて! 春香ちゃん、一回落ち着いて! 胸ならいくらでも貸してあげるから! 胸に自信があるとかじゃなくて! いや、意外と自信はあるんだけど!」
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/11(金) 00:49:09.91 ID:eN4VV6ut0


〜〜〜


春香「ひっく…ごめんなさい、みっともないとこ見せて…」

小鳥「ぴよお…」

春香「小鳥さん…?」

小鳥「あ、いや、妄想なんかしてないわよ! ただ、ちょっと未経験なゾーンだったからびっくりしちゃって!」

春香「…そうなんですね、よくわからないですけど」

小鳥(な、流された!)
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/11(金) 00:49:43.46 ID:eN4VV6ut0

春香「……」

小鳥「…春香ちゃん、何があったの?」

春香「…いえ、何でもないんです」

小鳥「何でもないわけないじゃない。こんなに目を腫らして…」

春香「……」
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/11(金) 00:50:08.41 ID:eN4VV6ut0

小鳥「なんだったら今からプロデューサーさんに連絡して…」

春香「だ、だめ! だめです!」

小鳥「……」

春香「あっ…うぅ」

小鳥「プロデューサーさんに関することなのね」

春香「……私が悪いんです」
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/11(金) 01:23:23.36 ID:eN4VV6ut0


〜〜〜


小鳥「なるほどねぇ」

春香「私が軽率な判断をしたからプロデューサーさんを苦しませる結果に…」

小鳥「ん〜…」

春香「私、これから何を目標に生きていけばいいんでしょう…」

小鳥「いや、違うな…そうじゃなくて」

春香「こんなこと聞いても迷惑なだけですよね、ごめんなさい…」

小鳥「……うーむ、これしかないか」
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/11(金) 01:23:53.64 ID:eN4VV6ut0

春香「……小鳥さん、また妄想ですか?」

小鳥「ち、違うわよ! 今はちょっとまじめに考えてて!」

春香「まじめに考えるって一体何をですか?」

小鳥「……やっぱり見せた方が早いわね」

小鳥「よし! ちょっと律子さんに電話するから待ってて!」

春香「律子さんに…?」

小鳥「…あ、律子さん! ちょっと、頼みがあるんですけど…」
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/11(金) 01:24:29.24 ID:eN4VV6ut0


〜〜〜


律子「じゃ、今日もお仕事お疲れさまでした!」

P「……」

律子「かんぱーい!」

P「俺を事務所から連れ出してどういうつもりだ?」

律子「私はプロデューサーを飲みに誘っただけです」

P「有無を言わさず、パソコンをシャットダウンしといて何を言ってるんだ」
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/11(金) 01:24:55.65 ID:eN4VV6ut0

律子「データはきちんと保存してから電源落としたじゃないですか」

P「先に俺の手を拘束しておいてな」

律子「まあまあ、とりあえず飲んで下さいよ」

P「……」

律子「また、春香と喧嘩したんですって?」

P「…喧嘩で済めばいいんだけどな」
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/11(金) 01:25:41.64 ID:eN4VV6ut0

律子「まったくもー。プロデューサーも本当に頭が固いですよねぇ」

P「律子に言われたくないな」

律子「あら、私はいつでも柔軟に生きてますよ。誰かさんの無茶ぶりに応えるぐらいには」

P「いつまで根に持ってんだその話」

律子「そうですねぇ…プロデューサーが私と同じ経験をするまでですかね」

P「馬鹿言うな、俺に衣装着てステージで歌って踊れってのか」

律子「見てみたいですね。意外と歌うまいし」
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/11(金) 01:26:37.72 ID:eN4VV6ut0

P「馬鹿馬鹿しい…」シュボッ

律子「…プロデューサーって私の前ではためらいなくタバコ吸いますよね」

P「嫌だったら消すよ?」

律子「職業柄慣れてますよ。ライターは常備してますし」

P「さすが律子」

律子「意外と喫煙所での情報は頼りになりますからね」

P「それはよく分かるよ。俺がタバコを止めない言い訳の一つだ」


P「それに律子はアイドルじゃないしな」
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/11(金) 01:27:31.03 ID:eN4VV6ut0

律子「…そう言われると少しだけ感慨深くなりますね」

P「復帰を考えるって言うなら今すぐ箱ごとゴミ箱に捨ててくるよ」

律子「禁煙するなら考えますね」

P「そりゃ無理だ」

律子「諦めはや!」

P「…でも、本当に考えるって言うなら止めれるかもな」
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/11(金) 01:27:57.53 ID:eN4VV6ut0

律子「……」

P「どうだ?」

律子「……ちょっと揺らいだけど、復帰はやっぱり無理ですね」

P「まあ、そうだよな」

律子「今はプロデュースをしている自分以外の姿をイメージできませんから」
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/11(金) 01:29:31.34 ID:eN4VV6ut0

律子「きっと春香も同じ想いなんでしょうね」

P「……」

律子「…プロデューサーは春香のこと、好きですか?」

P「…好きだよ」

律子「『アイドルの天海春香』が?」

P「……」
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/11(金) 01:30:30.53 ID:eN4VV6ut0




P「…『一人の女の子としての天海春香』がだよ」




204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/11(金) 02:21:33.31 ID:eN4VV6ut0


〜〜〜


春香「どうして事務所に…」

小鳥「いいからいいから、ちょっと待ってて」

春香(さっき律子さんに電話してたのは、プロデューサーさんを連れ出す為だったのかな…)

小鳥「確かここら辺に…あった!」

春香「? なんですか、この段ボール箱…」

小鳥「開けてみればわかるわ」
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/11(金) 02:22:08.56 ID:eN4VV6ut0

春香「……これって」

小鳥「何だかわかる?」

春香「……大学のパンフレットです。それも全部私が受験しようか迷ってた大学の」

小鳥「プロデューサーさんには捨ててくれって頼まれてたんだけどね」

春香「……」

小鳥「ページも開いてみて」
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/11(金) 02:22:38.87 ID:eN4VV6ut0

春香「……」

どの冊子にもところどころ赤いペンで書き込みが書かれていた。
207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/11(金) 02:23:05.92 ID:eN4VV6ut0


『キャンパスが綺麗で開放的。学生も非常に活発で明るい雰囲気』


『女の子の比率が多く春香とも仲良しになれそうな明るい子たちばっかりだ』


『少し硬い印象。春香のイメージの考えていたイメージとは少し違うと思われる』


『伝統を感じる年季が入った学内。校舎の中や設備は綺麗で最先端』

208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/11(金) 02:24:01.61 ID:eN4VV6ut0

小鳥「オープンキャンパスが開かれてた頃、春香ちゃんとても忙しかったでしょ? 時間を見つけてはプロデューサーさん足を運んでたのよ」

小鳥「さすがに女子校に立ち入るのは気が引けたみたいで私に泣きついたわ。まあ、それで私も初めて知ったんだけど」

春香「……」

小鳥「少し心配だったんだけど、意外と入れるものね〜。私って今でも女子高生で通用するのかしら」

春香「……」

小鳥「春香ちゃん、ここ突っ込むところよ」
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/11(金) 02:24:47.68 ID:eN4VV6ut0

春香「ご、ごめんなさい、ちょっと言葉が出なくて…」

小鳥「まあ、無理もないわよね。箱の底も漁ってごらんなさい」

春香「底、ですか?」

言われて大量のパンフレットに隠れた部分を探ってみる。すると見慣れた赤い本が何冊か見つかった。

春香「赤本…私が受験した大学の」
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/11(金) 02:25:33.93 ID:eN4VV6ut0

私が持っている赤本とは違い、数えきれないほど付箋がされた赤本。開いてみるとそこには事細かにその大学の出題傾向や似たような問題の案内が記載されていた。


小鳥「全問解いたんですって。さすがに律子さんの手も借りていたみたいだけど」

春香「……」

春香(これなんて、私にはレベルが高すぎて全然活用しなかった本だ…)

小鳥「プロデューサーさん、かなり良い大学出てたみたいだけど、受験勉強なんて十年数年ぶりだからすごい苦労したって言ってたわ」
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/11(金) 02:35:46.26 ID:eN4VV6ut0


〜〜〜


P「俺は邪魔なんだよ。春香の世界にとって」

P「春香がアイドル以外の道を見つけた。複雑な気持ちではあったが、新しい道を歩んでくれるのはすごくうれしかった」

P「でも、その中心が俺じゃ駄目なんだよ。もっと、春香には広い世界を見てもらいたい」

P「トップアイドルの春香は俺みたいなつまらない男にかまってちゃ駄目なんだ」
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/11(金) 02:36:15.09 ID:eN4VV6ut0

律子「その結果がこのザマですか」

P「返す言葉もないな」

律子「ほんっとにつまんないですね! プロデューサー!」

P「その通りだよ。俺は…」

律子「そんなこと言ってるんじゃないんですよ、私は!」


律子「人のノロケ話聞いてるのが退屈でつまんないって言ってるんですよ!」
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/11(金) 02:37:19.92 ID:eN4VV6ut0

P「お、俺がいつノロケ話なんて…」

律子「いいですか、プロデューサー! そのつまんない男に惚れたのはどこの誰ですか!」

律子「あんたは知らないけど、春香にとってはプロデューサーが世界のすべてでこれ以上ないくらい広い世界なんです!」

P「あ、あんたって…」

律子「それをぐちぐち俺なんかにかまってちゃいけないだの春香の為にならないだの」

律子「そんな話を聞かされる独り身の気持ちも考えて下さいよ!」

P「す、すまん」
214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/11(金) 02:37:50.12 ID:eN4VV6ut0

律子「あーもう! 私に謝ってどうするんですか! ほら、行きますよ!」

P「行くってどこに…」

律子「そんなん決まってるでしょーが!」

律子「店員さん、お会計! お釣りはいらないから!」

P「律子、もしかして酔ってる?」

律子「いいから、行きますよ!」
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/11(金) 03:04:26.06 ID:eN4VV6ut0


〜〜〜


小鳥「一回同じ電車に乗り合わせた時なんか英単語帳持ってたのよ」

小鳥「必死に暗記してるプロデューサーさんの姿を遠くから見てたら私吹き出しちゃって…」

春香「そう…だったんですか」

小鳥「休みの日には自宅のパソコンに向かってサテライト塾の授業を受けてたんですって」

小鳥「その話聞いた時なんか、私笑い通り越してドン引いちゃって」

小鳥「あっけにとられてる私の顔を見て『何かおかしなこと言いましたか?』なんて言ったのよ」
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/11(金) 03:05:06.44 ID:eN4VV6ut0

春香「……」

小鳥「アイドルに復帰させる算段だとしても、果たしてここまでする必要なんてあるのかしらねぇ」

春香「……馬鹿だなぁ」

小鳥「本当に底なしの馬鹿よねぇ、いくら春香ちゃんに勉強を教えたいからってここまでするなんて」

春香「…いや、違うんです」

春香「私、本当に馬鹿だなぁって…」
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/11(金) 03:06:01.80 ID:eN4VV6ut0

小鳥「……」

春香「知った気になって、納得した気になって、私プロデューサーさんのこと何にも分かってなかった」

春香「何で気付かなかったんだろう…」

小鳥「春香ちゃん…」

春香「……グス」
218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/11(金) 03:06:47.46 ID:eN4VV6ut0


P『ちょっ! そんなに押すなって! 酒癖悪いな律子!』


律子『いいから…「入りなさいっての!」ガチャ!ドサァ!


P「いてて…」

小鳥「あらま、噂をすればなんとやら」
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/11(金) 03:07:26.42 ID:eN4VV6ut0

春香「…プロデューサーさん」

P「……春香、とりあえず場所を移そう」

春香「…そうですね」
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/11(金) 03:59:59.35 ID:vBVhBzjDO
早く続きが見たいよなぁ!?
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/04/01(金) 02:16:40.05 ID:zbdLog2A0
待っているぞ
222 :>>1です :2016/04/26(火) 13:12:55.95 ID:2jWjyTbOO
えー、生存報告もあるんですけど文章見直してたらとんでもない誤爆してたことに気づいたんで訂正します

>>166のレスは無かったことにしてください(テヘペロ

間空きすぎて展開変えてること忘れてましたごめんなさい

完結は…もうちょっと待ってください(土下座)
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/26(火) 21:32:23.01 ID:znZ85qC6O
遅すぎんだよダボ
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/27(水) 00:01:25.14 ID:quOuaGD30
まぁ頑張ってくれや
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/11(水) 20:02:02.19 ID:QCf4dJfd0
気長に待ってるけど月毎に生存報告は欲しいな
226 :sage :2016/06/11(土) 15:26:43.23 ID:1ZirrDmd0
ほしゅ
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/12(日) 01:45:47.84 ID:XSzbrjnw0
確かに月イチくらいでいいから生存報告があらまほし
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/13(水) 09:22:05.22 ID:z/xV+Wg/o
1ヶ月レスなしで落ちるの回避
望み薄だろうけど、もしもまだ見てるなら今からでも生存報告頼むよー
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/15(金) 22:02:55.40 ID:qw1Toxnpo
作者とISP・地域が同一の書き込みがあるため保留
春香「私、今日でアイドルを辞めます」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1438449321/
2016/06/11(土) 15:26:43.23
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/15(金) 22:14:02.54 ID:ERUlRZ3nO
>>226
匿名で書き込むなカス
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/04(木) 22:36:57.96 ID:6B7pumM50
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/23(火) 22:43:28.97 ID:/bDFjG0N0
期待薄っぽい?
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/25(日) 17:30:56.00 ID:ri9rTYZUO
待つわ
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/26(月) 15:07:32.00 ID:ocGbtSua0
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/09/29(木) 19:26:40.63 ID:tGTGsmNC0
236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/09(金) 22:35:21.32 ID:y54+OEdk0
237 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/20(火) 01:44:06.32 ID:1n4SxxKCo
気長に待ってるよ
238 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/22(日) 01:39:44.26 ID:p+WB6j4Uo
…まだー?
239 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/20(月) 18:05:25.05 ID:7QA2TG1no
もう来るわけないとは知ってる
だけどもしかしたらと思うと保守をせずにはいられない
240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/27(月) 13:07:52.31 ID:JUJkI0ido
誰か乗っ取れよ
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/28(火) 21:21:41.13 ID:vhnt7hq+0
やめろ
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/05/13(土) 01:18:34.30 ID:LlbzE6q5o
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/13(土) 07:53:31.42 ID:fOEO7+smO
もういくら保守しても無駄だろ
244 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/21(日) 02:21:05.01 ID:VonQs1ahO
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