野原しんのすけ(15)「歯を食いしばれサイジャク、オラのサイキョウはちょっと響くゾ」

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143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/09/03(土) 19:18:55.99 ID:tVk+yRXq0
>>140
阪口大助はよしりんという……大人になってよしりんと似た(同じ)声になったしんちゃんの心境を考えるとなんかなぁ……
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/03(土) 20:01:27.15 ID:3JPqKG6Yo
急にオティヌスとかだして何がしたかったのかわからん
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/09/05(月) 22:19:40.73 ID:EJp9pHa70
藤原啓治さんが心配だゾ
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/08(木) 20:46:25.24 ID:z8IBhIhAO
秘書アプリってホラー系の話に出てたやつか
こりゃ殴られウサギも出るか?
上条さんの右手で消してもすぐ復活しそうだけど
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/30(金) 14:32:37.03 ID:R6LU8yxi0
1週間以上経ってるが...大丈夫か?
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/30(金) 15:33:42.91 ID:njNgkpJuo
何時もの感じだと11月頭頃には来るだろうし平気でしょ
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/30(金) 15:55:27.76 ID:jpR2mg0eo
ここはじめてか?力抜けよ
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/17(月) 17:09:55.03 ID:Xa/PmrQN0
待ってるよー
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/26(水) 02:27:20.03 ID:iuHBqP6Y0
はよ!( ˙-˙ )
152 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/11/02(水) 00:40:11.73 ID:kKbmWtA30
遅れてすみません。1です、これから投下します。
>>133
そういう描写は入れるつもりです。ちなみに大原ななこと神裂火織、酢乙女あいとローラ・スチュアートは中の人が同じです
>>136
彼ら(妹達自身も含め)も内心彼女達を『人間』だと思っているのかもしれません
『とある』の世界は
「なんで大多数の人間がそんなおかしな認識を(矛盾にも気付かず)しているんだ?」って謎は全部
「『アーキタイプコントローラー』です」って答えで説明がつくんですよね
>>139-143
矢島さんもトリコの二代目メルクとか(中性的な)成人男性の声もできるわけですし
映画『ホーム・アローン』の吹き替え和訳のショタボイスや、しんのすけもアニメ初期では今とはちょっと違う声だったりと、声色に幅のある人ですね
1的にはこのSSのしんのすけは変声期途中の逆に高くなる時期で、ふだんは『悪魔が憑りついていそうなショタボイス』で、時々原作アニメのしんのすけと同じ声や神奈ボイスになる
というどうでもいい裏設定がありますが
読者の皆様それぞれが思う声を脳内であてていただき、その全てが正解だと思っています
>>146
はい、その秘書アプリです。そしてこのSSでは原作19巻のターミネーターパロでの未来で世界を支配したコンピューターはコイツが進化した存在という設定です。
153 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/11/02(水) 00:40:49.74 ID:kKbmWtA30
アレッサンドロ・フランチェスカ・デ・ニコラと称する人物からのメールは、以下のものだった。

『会いに行きたいが今は忙しい。とりかかっている事が終えたら直ぐに会いに行く』

「……ふ〜ん。まあ、アイツにとっては十年ぶりのって言うか、初めてのシャバだからな」

やりたいことも色々あるだろう。それに会いに来る気が有るのなら、そうそう後ろめたいこともしないだろう。
そう思いしんのすけはスマホを仕舞おうとし、その途中でそもそも何のためにスマホを取り出したのか思い出した。

「あ、もしもし操祈ちゃん?」
154 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/11/02(水) 00:42:06.55 ID:kKbmWtA30
とある研究所、そこに警備分野でのアドバイザーとして雇われている男『カイツ・ノックレーベン』はその日起こった事件の報告を受けていた。
学園都市内で幾つもの研究施設がたった一晩で破壊されたのだ。
まず品雨大学付属DNAマップ解析ラボ第T棟から第W棟は全焼並びに第X棟からも火の手が上がった。
その他にも磁気異常研ラボ、蘭学医療研究所、バイオ医研細胞研究所、動研思考能力研究所……計十六ヶ所もの施設が再起不能となった。

「あとは消化試合だけだというのニ……同じ『絶対能力進化』開発の対立グループか、あるいハ……」

犯人は何処の誰か、翌日には確定した。
新たに三ヶ所の施設が破壊されたのだが、その際に監視カメラも隔壁も襲撃者に対し意味をなさなかった。
そのことから、また前日のハッキングによる機材の爆破と合わせて、これらが個人で可能な能力者はただ一人のみであった。
勿論現時点ではそれをしめす物的証拠も無く、そうと思わせる為の対立グループの工作という可能性もありえる。
何より問題なのはカイツ達には、本当にその人物が犯人であった場合に対応できる戦力が無いことであった。
その後も謎の襲撃者による破壊活動は続き、残る研究施設がわずか二ヶ所となった頃、カイツは上層部に二つの意見を申請した。
一つは学園都市外部の施設への研究の引き継ぎ、もう一つは……
155 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/11/02(水) 00:43:18.44 ID:kKbmWtA30
「製薬会社からの依頼〜?」

学園都市第四位の超能力者『原子崩し』【メルトダウナー】にして、暗部組織『アイテム』のリーダー『麦野沈理』は、仲介人からのいつもと少し違った話に疑問を持つ。
今までのアイテムの主な仕事は不穏分子の粛清や要人暗殺だ。
しかし今日、仲介人でありある意味直属の上司とも言える相手『電話の女』が持ってきた依頼は『謎の侵略者からの施設防衛戦』という、どこかのFPSシューティングゲームか何かのステージにでもありそうなものだった。
詳しい話を聞く前に、自分の他三名のアイテム構成員達に集まるよう声をかける。
その構成員達はと言えば『今の仕事』をこなしながら、海だのプールだの水着だのと女子トークをしている。

「はーい、お仕事中にだべらない。新しい依頼が来たわよ」

「それがさー、聞いてよ麦野。滝壺に彼氏ができたんだって」

お調子者のフレンダが麦野に話しかけてきた。
それを受けて、麦野も件の少女滝壷理后に確認する。

「彼氏?滝壺、わかっているとは思うけど……」

「うん、はまづらは暗部の人間じゃ無いし、巻き込むつもりも知らせるつもりも無いよ」

「良し、そこをわきまえているんなら、私から言うことは特にないわね」

「それで麦野、新しい依頼って?」

滝壺に彼氏ができたのは自分がセッティングした合コンがきっかけだと麦野に知られたく無い少女、絹旗最愛が話を戻す。
   インベーダー
「謎の侵略者からの施設防衛戦……らしいわよ?詳しいことは今から皆で聞くから、ホラ全員車に乗った乗った」
156 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/11/02(水) 00:44:49.77 ID:kKbmWtA30
仲介人から語られた内容は、以下のようなものだった。
三日前から学園都市内部の研究施設が幾つも破壊されている。
その手口から襲撃者は発電能力者と思われる。
依頼者は既に犯人を特定しているようだが、こちら(アイテム)はターゲットの身元の詮索をしてはならない。
他にもターゲットへの手出しはターゲットが施設内に侵入してからに限定するなど、理解しかねることも多く、フレンダが文句を言ったら仲介人から怒られてしまった。

「はあ、来るかわからない相手を待つだけってのも、結局退屈って訳よ」

今夜は襲撃を受けると予想される施設の片方、病理解析研究所。
フレンダはその床に寝そべり、多様な爆弾を仕込んだ特製ぬいぐるみ数十体に囲まれて愚痴をこぼしていた。

「施設はここを含めた二基、結局ギャラは侵入者をツブしたメンバーが半分持ってくんだから何とかこっちに……」

その時、コツコツと人の足音がフレンダの耳に聞こえてきた。

(キタキタキタぁ〜〜結局日頃の行いな訳よ!!)

彼女は喜々として侵入者の迎撃に向かった……その数十分後、襲撃者である御坂美琴の前に全身を痺れさせて倒れていた。
前もってはってあった罠は次々に突破された。
陶器爆弾の破片は標的に届く前に彼女の放った電撃に粉砕された。
スタングレネードで目と耳を一時的に麻痺させ、その隙に仕留めようとすれば電磁波で周囲を把握された。
気体爆薬『イグニス』で部屋を満たした、電撃を使うと誘爆するぞ。と言うハッタリも自身のウッカリから見抜かれた。
もはやフレンダは絶対絶滅のピンチであった。
157 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/11/02(水) 00:45:36.88 ID:kKbmWtA30
(舌が痺れて!?)

御坂からの尋問に、素直に答えることで延命をはかったフレンダだったが、運悪くそれすら叶わなかった。

「そう、仲間は売れないって訳ね。そういうの嫌いじゃないけどね」

そんなフレンダの様子を勘違いした御坂が、言葉の途中で異変を察知し飛び退く。
その直後、フレンダと御坂の間を光線が通過していった。
壁を破ってなお全く衰えなかったソレは、部屋の反対側にも大穴を開けた。

「静かだからもう殺されちゃったかと思ったけど、危機一髪だったみたいねフレンダ」

破られた壁の向こうから、麦野沈理と滝壺理后が姿をあらわす。

(麦野ぉ〜!!)

フレンダは助かった事に安堵するが、続く麦野からの説教に身を小さくする。

「まったく、私らが合流するまでは足止めに徹しろって言っておいたのに、深追いした挙句返り討ちにあって捕まっちゃうなんて……」

ハア、と麦野はため息を一つつく。

「ギャラの配分、考え直さなきゃねー」

とどめの一言にうなだれるフレンダを滝壺が慰める。

「大丈夫だよフレンダ、私はそんなフレンダを応援してる」

「滝壺も甘やかさない、さっきの仕事中のおしゃべりもそうだけど、最近皆たるんできてるわよ。特にフレンダ」

彼氏ができたという滝壺に対しては特に言うことは無いと言っていた麦野だったが、他二名もそれを祝福している様子など『仕事中の暗部に似合わない温い雰囲気』には思うところがあるようだ。

「わかっているでしょうけど、この仕事が終わって帰る時にはちゃんと仕事道具の回収とか忘れずにね」

コクコクと、未だ痺れのとれていないフレンダがうなずいた。

「それで、アイツがインベーダーってことで良いのよね?」

麦野が御坂に顔を向けて言い、フレンダがまたうなずく。
今、二人の超能力者が、互いをそうとは知らずにぶつかり合おうとしていた。
158 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2016/11/02(水) 00:46:20.84 ID:kKbmWtA30
今回はここまで。
もうじき映画のDVD・BDが発売されますね

原作では無かったぬいぐるみやテープの回収を麦野がフレンダに呼びかけたのは
滝壺に彼氏ができたことによるバタフライエフェクトってやつです。
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/02(水) 01:34:17.27 ID:PogAMiqwo
おつおつ
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/02(水) 02:16:53.26 ID:SVcPxxBDo
   インベーダー
>>「謎の侵略者からの施設防衛戦……らしいわよ?

ダークカブトムシとかご立派砲ジアとか出てきそう
おい誰かAIS乗れ!バリア貼れ!回復とっといてんじゃねーよlastwaveだぞ(錯乱)
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/02(水) 08:56:31.09 ID:wdp+if//o
乙です
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/07(月) 20:19:07.22 ID:EtEAFoyYo
二代目メルクは女性やで……(乙です)
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/08(火) 17:25:09.85 ID:vOZLPGir0
たったこれだけ笑
もうやる気ないだろ
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/08(火) 19:02:45.64 ID:/8XJRTcDo
煽りへたくそすぎ
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/08(火) 20:30:07.77 ID:+zqgTBSeO
>>164
下手くそ
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/27(日) 17:08:24.04 ID:k7L2YuXE0
保守
禁書三期決定してくれないかなぁ。
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/27(日) 18:01:02.41 ID:xtGYwndjo
>>166
あれ以降クッソ背景とか設定がややこしくなるしアニメでそれを説明しろっつーのも酷だからいっそこのまま廃れればよろしい

レールガンの方も旭日旗の表現そのままだとうるさい連中が居るし、かといって修正したらファンの不興を買うし
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/22(木) 22:57:09.45 ID:Zx1Dc/AS0
>>167 同意。
ただまぁ、近木野漫画版禁書目録は期待してる。浦上(上条さんに液体ぶっかけられたポニテの子)の出番がアニメよりも増えて嬉しかったし。
まだ一方さんが木原くゥゥゥンとやりあって黒翼出してないとこだけど、そのまま続いてレッサーとオッティーが動いてくれるなら俺は満足。
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/23(金) 03:58:17.72 ID:RR7RjlgAo
そういや漫画レールガン見る限りムサシノ牛乳じゃない真の巨乳御手は存在する感じです?それも一般JCJKが再現できる程度のお手軽制作で
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/02(月) 21:54:40.25 ID:snyKO9XA0
ところでこぶしウェーブって今のしんのすけにも効くんだろうか
こぶしと同様の技法は世界中にあるそうだからステイルとかにも普通に効きそうだけど
171 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2017/01/02(月) 23:47:29.94 ID:BvXHWMOq0
あけましておめでとうございます、1です。これから投下します。
>>162
まあそうなんですけど、コマツは全く疑っていなかったので
>>169
或いは本当にムサシノ牛乳こそが巨乳御手で、あのオーバーオールの娘さんは常飲するようになって結果が表れたということなのかもしれません。
これなら普通の学生にも巨乳御手の恩恵があることの説明にもなりますし
>>170
ロボとーちゃんのですか?しんのすけは勿論アレイスターにも効くと思います
172 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2017/01/02(月) 23:48:12.95 ID:BvXHWMOq0
麦野沈理と滝壺理后、敵に二人の加勢が来て以降、御坂は苦戦をしいられていた。
相手がフレンダ・セイヴェルン一人であった時から一転してのピンチであった。

「くそっ……やっぱりコッチの位置がばれてる」

御坂は今、戦闘よりも本来の目的である施設破壊を優先するべく、敵に背を向け走っていた。

「読心能力か透視能力か知らないけど……あの時感じたヤバさはこれか」

麦野が何かを滝壺に渡し、滝壺が自身の手の甲に落とした粉末状のソレを舐めとってから、彼女の雰囲気が変わった。
その様子に何か危険なものを感じ取った御坂は、三対一は分が悪いと判断して走り出した。
しかし御坂は連中が追って来ても各個撃破できるように、あるいはルートを読まれて先回りされないようにとランダムで迂回して移動していたというのにもかかわらず、ソレは真っすぐに御坂めがけて飛んできた。
173 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2017/01/02(月) 23:48:50.43 ID:BvXHWMOq0

「ひゃ〜相変わらずスッゴイわ、壁も天井も関係なし!!」

フレンダは麦野の能力によって破壊された痕を見ながら感想を述べる。
未だ痺れがとれないために口の中でつぶやくだけだったが、そんな素直な感想は十分に麦野沈理の持つ能力の凶悪さを物語っていた。
学園都市超能力者第四位『原子崩し』【メルトダウナー】それは電子を粒子でも波形でも無い『曖昧な状態』に固定するというものだ。
簡単に言えば麦野沈理は、あらゆる物を粉砕する砲弾を放つ事も、あらゆる物を遮断する壁を創り出す事も可能だ。

「かわされた、対象の信号は消えてない」

加えて、滝壺理后の持つ『能力追跡』【AIMストーカー】は、一度対象者のAIMを記憶すれば例え地球の裏側まで距離が離れてもその位置を把握できる。
今はまだ意図的に能力を暴走させた状態でしか、そこまで高い性能は発揮できないがそれは『アイテム』での活動においては問題にはならない。

「チッ、立体的に動き回る相手は面倒ね。ま、逃がさないように追い込んでいきましょ」

「滝壺が標的の居る場所を麦野に知らせて、麦野が『原子崩し』で間にある遮蔽物ごと粉砕するこの連携は無敵って訳よ」

フレンダは勝利を確信しながら、御坂の後を追う二人に続く。
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/02(月) 23:48:58.37 ID:KC12wOGe0
あけおめーーー!!やったー!!
175 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2017/01/02(月) 23:49:44.23 ID:BvXHWMOq0
「しまっ……避けられない!?」

御坂がフレンダの仕掛けた爆弾から回避するために空中に飛んでいる隙をついた原子崩しの砲撃に対し、とっさに腕をのばし能力を使用する。

「やっぱり……」

そのビーム状の砲弾は御坂の腕の前で急に軌道を変え、彼女の背後の壁に当たった。

「自分から試す気にはなれなかったけど、アイツの能力は根っこの所では私と同種のもの」

『曖昧な状態』だろうとも電子は電子なのだから電撃使いはそれに干渉出来るということなのだろうか。
詳しいことまでは判らないが、確かなことはこれで砲撃は気をつけていれば直撃しないということだ。

「私の『原子崩しを曲げた』……!?」

一方の麦野は数秒の間、たった今しがた自分の目の前で起こった事が信じられなかった。
だが、彼女疑問は直ぐに確信と納得へと変わる。
176 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2017/01/02(月) 23:50:39.71 ID:BvXHWMOq0
「プッ、フフ……なるほどね」

薄く笑みを浮かべた麦野は、表情を引き締めるとフレンダと滝壺に自分一人を置いて撤収するように指示を出した。
能力を暴走させての長時間行使は滝壺の身体に負担を強いる、今既に膝をついている彼女は限界に近いと見ていいだろう。
更にフレンダも先の戦闘でのダメージが抜けておらず、標的が攻勢に転じた場合に麦野一人で他二人を守り切るのは難しい。
個人的に別の理由もあったが、そう判断してのことだった。

「ごめんね、足引っぱって……」

謝るフレンダに、麦野はしかし礼を言う。

「別に責めてやしないわよ。むしろよくやってくれたわ、二人のお陰で相手は虫の息だしね」

その場に二人を残し、一人麦野は御坂を追い奥の部屋へと進む。

(アイツがここまで逃げ回っているってのに撤退しないのは、無理してでもここを破壊したい理由があるからだ。なら、目的地で待ち構えていれば奴は必ず現れるはず……)

獰猛な笑みを麦野は浮かべる。

「なあそうだろ?学園都市第三位……『超電磁砲』!!」

二人を先に帰らせた『個人的なもう一つの理由』それは自身より格上とされる超能力者を一対一で破ることで『順位の否定』を、そして本人は認めないだろうが『劣等感の克服』であった。
177 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2017/01/02(月) 23:51:17.82 ID:BvXHWMOq0
「あれから追撃がなくなって気になってたけど、待ち伏せされたか」

御坂が目的地とする部屋の前で、麦野は腕を組み背を柱に預けて堂々と立っていた。

「こっちに策は無いし、あの二人が見えないのも気になるけど……ここを避けてもあの部屋には行けない」

御坂が麦野の前に姿を現す。

「やーっと来たか」

「他の二人は?」

「帰したわ、アンタとはサシで勝負したいしね『超電磁砲』」

(バレてたか……)

正体が、つまり能力が相手に知られているということは能力者同士の戦闘において大きな不利となる。
しかし御坂も、先程までの逃走劇の中で相手の能力はある程度は把握出来ていた。

(コイツの能力は弾幕を張るタイプじゃない、なら……)

誘いの一手として、御坂は麦野に向け電撃を放つ。
それは御坂の予想通りに難なくそらされる。

「わっかんねえかな!?コッチもお前の能力に干渉できんだよ!!」

お返しとばかりに、今度は麦野が御坂に向け『原子崩し』による砲撃を放つ。

(ここだっ!!)

今までの麦野からの攻撃に連射はせいぜい最大5連発、それも数が増えればその分正確さが失われていた。
故に御坂が取った行動は、『一発デカいのを撃たせてその隙に近付きしとめる』である。
施設破壊の為に温存する分を考えれば、そう何度も相手のビームを曲げてもいられない。更に空中放電である『電撃の槍』より直接相手に触れて電気を流す方が体力を消費せずにすむ。
そう考え走り出した御坂の選択は、概ね正しかった。
178 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2017/01/02(月) 23:52:52.51 ID:BvXHWMOq0

「あがッ、ぐッ……うぇッ」

腹を蹴り飛ばされ、御坂は床に転がる。
彼女の選択に誤りがあったとしたら、それは相手を麦野沈理と知らなかったこと。
そして麦野は超能力者達の中で、能力による強化無しでのフィジカル面において一位二位を取るであろう肉体性能を持つ人物だったことだ。

「ほら立てよ、もうおねんねか?」

えづき、咳き込む御坂を麦野は挑発する。

「くっ……今度こそ」

「それと、私の能力が弾幕を張れねぇって思ってるなら大間違いだ」

麦野が、服のポケットから数枚のカードを取り出す。
そしてその内の一枚を放り投げるとソレを撃ち抜くようにビームを放った。

「な!?」

カードを通り抜けた一本のビームは拡散して十数本のビームとなった。
御坂は慌てて自分に向かう数本のビームをそらす。
  シリコンバーン
「『拡散支援半導体』ってんだ。弱点を補うのは当然だ……『アイテム』を舐めるなよクソガキ」

カードを手にした手を、銃口のように御坂に突き付けて麦野は言う。

「悪いがゲームセットだ」

その時、御坂には聞きなれた二人の声が、その場に響いた。

「あらぁ、助っ人の登場シーンでイイ感じにピンチなんて、御坂さんもなかなかヒロイン力が高いわねぇ」

「あら、それを言うならこの場合はむしろ、私達の主人公力が高いと考えるべきですわ」
179 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2017/01/02(月) 23:54:26.57 ID:BvXHWMOq0
今回はここまでです。短くてすみません
続きはできるだけ早く投下します。
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/02(月) 23:56:34.05 ID:FlV0FSKKO
あいちゃんと食蜂さんかね
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/03(火) 00:40:22.05 ID:5jz4M35mo
続き来てたー。うれしい!
乙!!
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/03(火) 12:59:05.39 ID:fKRN7EjOo

×沈理 ○沈利
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/04(土) 22:43:48.97 ID:e/M/2yw30
保守
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/25(土) 23:12:46.87 ID:WM9m72XI0
しばらく音沙汰がないから心配。
何かあったのだろうか?
185 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2017/03/03(金) 00:08:51.94 ID:06TOtBLx0
お久しぶりです、1です。これから投下します
>>182
やってしまった……滝壺さんが滝壷さんにならないようには気をつけてたのに
しかも結構前から間違えてるみたいですorz

ご心配おかけしました
ノロっぽい下痢、腹痛、嘔吐と戦っていました。いまだに腹部に違和感が残ってます
186 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2017/03/03(金) 00:09:34.13 ID:06TOtBLx0
声質も口調も異なるその声は二人分……しかし頭上から降り立ち、御坂と麦野の間に新たに現れた人物は一人であった。
ライダースーツの様な服にバイザー付きのヘルメットで顔を隠したその姿は、さながら日曜朝の集団戦を得意とするヒーロ−の一人の様にも見える。

「食蜂?……酢乙女先輩?」

聞き覚えのある口調に、先程の声の主はどちらだろうかと、御坂がいぶかしげに問う。
するとその人物は、人差し指を己の口元に運び『静かに』というジェスチャーで答えた。
187 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2017/03/03(金) 00:11:03.15 ID:06TOtBLx0

「なんだぁ?てめえ……」

麦野が乱入者をにらむ。
実質、既に勝負はついていたというのに、それに水をさされたのだから内心穏やかでは無い。

「先に私から自己紹介させてもらうわぁ……」

件の人物が首からさげた板状の端末を麦野に向ける。
どうやらその声はそこから出ているようだ。
                        メンタルアウト
「私は超能力者序列第五位にして精神感応系最高位『心理掌握』。そしてそこに立っているのは第六位の『藍花悦』……っていうことになっているわぁ」

学園都市超能力者第六位は性別年齢、能力の詳細等多くの情報がつかめない存在だ。
これは彼あるいは彼女が行っている他人に『名前を貸す』事業が関係する。
名前の貸与、つまり特定の状況下でその名を名乗ることを許可をだすことで顧客に「自分は超能力者である」と言うブラフ、ハッタリを与えている。
そしてブラフという商品の価値が下がらないように、徹底して自身の正体を隠しているという訳だ。
188 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2017/03/03(金) 00:12:25.12 ID:06TOtBLx0
「はん、それで五位六位が揃ってここに何のようだ?」

そのことを知っていたのかまでは判らないが、麦野は挑発するように訊ねる。
延長戦ならそれでも構わないと言った様子だ。
そんな彼女に呆れたように端末から音声が返ってくる。

「私は『ある人』から御坂さんが無茶な行動力を発揮して妙な事にならないように頼まれててねぇ」

しかし御坂をサポートしようにも、幾つも在る襲撃予定施設をピンポイントで予測はできず、合流に今日までかかってしまった。

「実は今夜も当初はもう一方の施設に張っていましたわ」

バイザーの、体格から女……と言うより確実に御坂が良く知る先輩OGと思われる人物が口を開く。
先程とは違い、機械で合成したような声色だ。

「状況を整理すると、御坂さんはこの施設を破壊したい。そちらの方はそれを阻止したい、と……御坂さんの捕獲や殺害は依頼内容に含まれていますか?」

今度はバイザーの女が麦野に訊ねる。

「なめてんのか?暗部の人間が依頼内容を話すわけ無いだろ」

「そこら辺から落としどころを探れるかと思いましたのに、残念ですわ」

バイザーの女は端末を首から外して御坂に投げてよこした。

「五分も休めば御坂さんも充分動けるようになるでしょうし、つまりその間私が貴女の足止めをすれば良いわけですわね」

麦野に向け、ファイティングポーズをとる。
189 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2017/03/03(金) 00:13:29.46 ID:06TOtBLx0

「先輩気をつけて!!そいつかなり強い!!」

自分を護る様にして立つ彼女に御坂が心配して声をかける。
しかし、つい先程わたされた板状の端末から出る食蜂の声が御坂の心配を杞憂と一蹴する。

「大丈夫よぉ。何のために私が先輩と組んだと思ってるの?」

今、御坂の目には瞬く間に麦野との距離を詰め、その膝頭を相手の鳩尾にめり込ませるバイザーの女が写っていた。

「今の先輩は、私の能力でドーピングましましなんだから」
190 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2017/03/03(金) 00:14:44.01 ID:06TOtBLx0
久しぶりなのに短いですが、今夜はここまで。
続きは約二十二時間後を予定しています。
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/03(金) 00:16:27.15 ID:tk8chnrXo
おつ。お体に気を付けて
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/03(金) 00:17:23.15 ID:2VLU187yo
おつおつ
海苔とか怖いよな
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/03(金) 00:19:48.97 ID:0z73XY800
乙ー。吐くときは、ポカリか水をガボガボ飲むと結構楽に吐けるから試してみ。

つか愛ちゃんパネェwwww
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/03(金) 15:56:39.33 ID:rldOYZMMo
乙です
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/03(金) 16:44:46.61 ID:cuwMR1bNO
吐くなら軽いぬるま湯かな。胃にも優しい
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/03(金) 23:56:41.69 ID:xKhQxvxB0
更新乙です。お体を大事にしてください。
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/13(月) 20:21:19.25 ID:vouIFSatO
作者の22時間後って俺らが過ごす時間の何ヶ月分に相当するんだろうか…
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/15(水) 12:38:08.53 ID:GHYt3QPdo
>>197
精神と時の部屋在住なら一年ちょい前からいかな
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/18(土) 10:31:41.38 ID:PRXwWEQT0
まあいつものことだ
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/02(日) 12:18:23.36 ID:GdbU1WMN0
体の調子を治すのが最優先だからゆっくりやってほしいね。こじらせたらマズイし
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/28(金) 00:47:04.34 ID:hjradhfm0
なんか現状報告のような定期的な連絡があると少しは安心する。
長いこと返事がないと心配。
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/29(土) 10:24:22.91 ID:Ip6EGLfYo
まだ2ヶ月か(混乱)
ハーメルン辺りの作者は平気で1〜2年更新しなかったりするから待ちなれてる
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/01(月) 01:59:57.18 ID:aEowpuG20
突然消えないか不安がよぎるんだよなぁ
204 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2017/05/02(火) 19:43:32.43 ID:uVfUmh030
1です。重ね重ね遅れてすみません。
あたたかい言葉の数々ありがとうございます。
これから投下します。
205 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2017/05/02(火) 19:44:39.60 ID:uVfUmh030
端末から聞こえてくる、おそらく食蜂操祈の声が続ける。

「火事場の馬鹿力って言葉は、御坂さんも聞いたことがあるでしょう?」

問われ、御坂も理解する。
人間は普段自身の脳や筋力ですら完全には扱えていない。
そもそもその『使われていない脳機能』を使えるようにすることが、学園都市における能力開発の基礎理論の一つだ。
マユツバ物の情報ではあるが、学園都市の外部でさえも催眠術や暗示といった手段によってごく普通の成人女性が硬貨を握り潰すことに成功した例もあるらしい。
精神感応系最高位である食蜂の『心理掌握』ならば、それと似たようなこともできるのだろう。

「まあ元の身体能力が高くないとやったところで効果は低いけど、その点先輩は言うこと無しよね」

食蜂の言う通り、今も御坂の目の前ではバイザーの女、恐らく酢乙女あいが麦野沈利を翻弄していた。
常に麦野の背後や側面につけるように彼女の周囲を移動しながらの攻防、ほぼゼロ距離での殴り合いに蹴り合い。
いや正確には麦野の攻撃は全て紙一重で避けられ、逆にあいのそれは的確に急所に入っている。
ワンサイドゲーム
一方的な蹂躙だ。
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/02(火) 19:45:28.08 ID:iwQ0V2pO0
ここのしんちゃんは劇場版の経験は全てしている設定なんだよね?
戦国時代の話とか熱海サイコの話も出たりするのかなはてな
207 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2017/05/02(火) 19:45:39.54 ID:uVfUmh030
「『万物を粉砕する』という性質上、この間合いでは貴女の能力は使えないようですね」

「ちくしょうがっ、てめえ私の能力を知ってやがったな!?」

あいが麦野に言い、麦野は悪態をつく。
正確には『原子崩し』を使うことはできるだろう。
しかしその射線上に自分を置かないようにすることが難しいのだ。

「このっ……チョコマカしやがって」

「それはごめんあそばせ、その丸太のような脚で蹴られたら一発で意識を失いかねませんもの」

相手のコンプレックスを刺激するように挑発をしながら、あいは考える。
 ・・・
(やはりこのままでは私が先に倒れますわね……では、そろそろ……)

一見あいが有利に思える両者の攻防だが、その実勝率は互角といえた。
まず両者には体力の差がある。
あいは同世代のアスリートに並ぶ程の体力があるが、麦野のそれは彼女を大きく上回っている。
次に攻撃力の差だ。
あいはたった一度でも攻撃を受けてしまえばそれで勝敗が決してしまいかねない。
一方あいは麦野からのカウンターを警戒して、最初の一発以外は掌底による軽い攻撃しか打てていない上に、常に移動しているので自分も疲れる。
勿論食蜂の能力により、さながらランナーズハイのように彼女が疲れを感じることは無いが、その身体には確実に疲労が蓄積されていく。
このまま続けていけば、先に限界が来るのはあるいはあいの方ということも充分にありえた。

「……先程、私は『貴女の足止めをすれば良い』と言いましたが……」

故に、彼女は仕掛ける。
208 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2017/05/02(火) 19:46:50.55 ID:uVfUmh030
「別に、倒してしまっても構わないのでしたわね」

ひときわ強く踏み込み、麦野の左鎖骨の僅かに下、乳房の上の比較的肉が薄い箇所に掌打を叩き込む。

「ぐっ!?」

先程までのそれとは違う、『重い』一撃に虚を突かれた麦野は身体を一瞬こわばらせる。
そしてその一瞬の隙こそが酢乙女あいの狙いだった。
相手の胸元に伸ばした手はそのまま襟を掴み、もう一方の手で相手の手首を掴むと、くるりと自分の身体を反転させ、相手に背中を向けた状態で腰を少し屈める。

「がっ!?」

直後、麦野の腹部に更に重い衝撃が走る。
あいが腕を引きながら屈めた腰を戻すことで、麦野の腹を打ったのだ。

「覇ぁっ!!」

あいはそのまま腕を引き、麦野を投げる。
209 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2017/05/02(火) 19:48:21.58 ID:uVfUmh030
「すご……」

あいの一連の動きを見ていた御坂の口から感嘆が漏れる。
御坂の目には、あいがきれいに背負い投げを決めた様に見えた。
しかし麦野の背が床に叩きつけられることはなかった、あいが途中で手を放した為だ。
あいは手を放すと直ぐにその場から飛び退き距離を取った。
その直後に、今まで彼女が立って居た位置に突風が吹きつけた。
直撃でこそなかったものの麦野の髪が後ろに大きくたなびき、離れた場所に居る御坂もその髪が揺れる。

「風?室内なのに……?」

新手でも現れたのかと疑問に思い風上を見れば、背中から白い翼を生やした男が立っていた。
210 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2017/05/02(火) 19:49:53.99 ID:uVfUmh030
今夜はここまでです。
続きもできるだけ早く投下します。
いつも遅くなってごめんなさい。

>>206
劇場版のネタは基本的に全部どこかしらで使います
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/02(火) 19:55:45.08 ID:iwQ0V2pO0

昔、緒方さんが合うといった奴だけど、しんちゃんって坊主頭じゃなければ見た目の特徴がない普通の少年になりそうだから
苗木くんや球磨川(ある意味似ている)の声優をしている緒方さんが浮かんだ。最近、は梶も浮かんだが微妙


ここのしんちゃんの見た目がこんな感じなら違う人が脳内再生される
http://neta-reboot.co/wp-content/uploads/2016/02/sintyan.jpg
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/02(火) 21:03:15.34 ID:72BbpEyr0
乙!
まさかのメルヘンも参戦か!?
すげぇ、ワクワクするww三期の希望も見え始めて、禁書ブーム再来の予感がするのよな!
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/02(火) 21:56:51.72 ID:EBDDg9gYo
乙です
214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/05/03(水) 18:17:58.55 ID:qvNL5v5J0
シリリ面白かったわ
沢城やっぱ上手いな
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/10(水) 20:49:11.63 ID:OVesbm1D0
今は懐かしきメルヘンか。
そして禁書最新刊でローラが何者なのか出てきたが……色々とヤバイことになっておる。
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/13(土) 17:11:42.02 ID:+w/4OICI0
ひろしとアレイスター…娘を持つ父親同士、お話してほしいなあ…
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/19(月) 19:03:03.48 ID:aN/r9ImY0
一ヶ月ルールはまだ健在だろうか?
とりあえず保守
218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/06/22(木) 02:36:45.88 ID:FQZJTdqe0
まだ?
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/23(金) 14:21:18.11 ID:xHdL4DLw0
>>218
ageんなks
もう少しだろうから待ってろ
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/02(日) 07:13:19.34 ID:0WCZGclX0
2ヶ月かのん?
221 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2017/07/02(日) 22:21:35.80 ID:6csJsKPe0
1です、お久しぶりです
遅くなってすみません。これから投下します
222 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2017/07/02(日) 22:22:36.22 ID:6csJsKPe0
「コレは一体どう言う事かにゃーん?」

麦野が苦々しく、しかしそれを誤魔化すかのようにおちゃらけた口調で翼の男に訊ねる。

「おいおい、それがたった今助けられた奴の態度かよ?可愛気の無え女だな」

「チッ、さっさと答えろ」

ホストのような風貌通りの態度で麦野をからかう翼の男に、今度は苛立ちを隠す事無く彼女は言った。

「聞いて無いのか?今回の仕事はオレら『スクール』とお前ら『アイテム』で協力して当たれだとよ」

「聞いてねえよ……あの仲介人、いい加減な仕事しやがって……」
223 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2017/07/02(日) 22:23:33.64 ID:6csJsKPe0
忌々しそうにつぶやく麦野を横目に、御坂は二人のやりとりから得られた情報を頭の中で整理する。
どうやら麦野と翼の男は顔見知りらしく、さらに言えば男も『スクール』という名の暗部組織に属する人間らしい。

「……まずいわねぇ」

御坂の手の中の端末から、食蜂の声が漏れる。

「あの男の人、御坂さんより上位の超能力者よ……確か能力名は『未元物質』」
 ダークマター
『未元物質』と食蜂が呼んだ男は、麦野との会話を切り上げると翼を消し、御坂とあいの立つ方に体を向ける。

「そちらの御嬢さんがたには自己紹介が必要かな?俺は『垣根帝督』……知っている奴も居るみたいだが、第二位の超能力者だ」

垣根と名乗った男、いやよく見れば彼もまだ少年なのだろう。
御坂よりは年上だろうが、成人はしていないように見えた。

「提案なんだが……」

垣根はあいを半ば無視するかの様に、御坂を真っ直ぐに視て言った。

「抵抗せずにおとなしく捕まってくれないか?襲撃犯を依頼人へ引き渡しさえできれば、俺としてはなんの問題も無いんだ」

傲慢な提案、いや提案という名の降伏勧告。
しかしこの状況では、それも的を得たものなのかもしれない。
なにせ向こうには非常に攻撃力に優れた能力を持つ第四位と、能力こそ詳細不明だがこの場に居る誰よりも高位である第二位がいるのだから。
224 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2017/07/02(日) 22:25:05.09 ID:6csJsKPe0
「そんな提案、こちらが受けるとお思いですか?」

あいが垣根に返す。
元々彼女の目的は御坂の回復の為の時間稼ぎなのだから、勝てずとも良い。
それ故彼女は絶望的な戦力の逆転を経てなお、思考を回転させることができていた。

「このまま争っても、そっちの勝機は第六位が本物かつその能力が俺と第四位を完封しうるものだった場合だけだが、それはどちらも在り得ない。違うか?」

「聞かせてもらいましょう」

戦っても御坂達に勝利は無いと言う垣根に、あいはその詳細を問う事で時間稼ぎに徹する。

「まずそもそも、お前は第六位じゃない。第六位は自分の個人情報を徹底して隠しているからな、ハッタリとして使うならおまえみたいに顔隠して声変えてやるのが、まあ正解だ」

垣根が続ける。
                 藍花悦
「変装もしてない、顔丸出しの奴が『第六位』を名乗っても説得力が無いからな。その点お前はよく考えた方だろ。だがなあ……性別も隠さねえと意味無えぜ?」

あいの今着ている服は、デザインこそ男女どちらが着ていてもおかしくはないものだが、ボディラインがでて一目で性別が判るものだった。

「性別だって重要な個人情報だからな。加えて言えば、第六位の能力がいくら詳細不明と言っても、それが戦闘向きじゃ無いことくらいはこちらも掴んでる」

「なるほど、それで『どちらも在り得ない』と……」

あいが降参した様に両手を上げ言った。
225 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2017/07/02(日) 22:26:14.26 ID:6csJsKPe0
「先程の提案ですが……そちらの、麦野さんとおっしゃいましたかしら?」

「あ?私がどうした」

話を向けられ、麦野が不機嫌な様子でかえす。

「仮に御坂さんが、垣根さんとおっしゃったかしら?そちらの男性の提案を受けた場合、麦野さんの立場からすれば、手柄を横取りされたようなものですわ……」

貴女はそれでもよろしいのですか?とあいは続けた。
それに対し、麦野は舌を打ち答えた。

「良いもクソもテメエらを仕留め損ねた時点で、こっちは贅沢が言える立場じゃ無えんだよ」

「そうですか、そちらがもめないのであれば、私からも言うことはありません。提案を受け入れるか否かは御坂さんの判断に任せることにいたしますわ」

それだけ言うと、あいは手を下して御坂の方に顔を向ける。

「決まりだな」

すると未だ御坂が何も言っていないにも関わらず、垣根が御坂に近づいてきた。
     コレ
「悪いな、捕縛も仕事なんだ。思えばお前も哀れだな、クローンなんざ何人死のうがほうっておけば良かったのによ」

ザワリと、その言葉に己の内から怒りが湧いてくるのが御坂にはわかった。

「クローン?」

「ああ、『アイテム』はそっちの情報も知らされていないのか」

麦野と会話する垣根に、御坂は決意する。

(かなわないとしても、せめて一矢……)

御坂が抵抗を示そうと垣根に対して身構えたその時、手にした端末から食蜂の声が聞こえた。

「……待ちなさい」

その声からは、御坂に匹敵或いは上回る程の怒気が感じられた。
226 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2017/07/02(日) 22:27:05.68 ID:6csJsKPe0
今夜はここまでです。
次こそそう間を空けずに投稿したいです
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/02(日) 22:39:54.46 ID:1QL4cWm7o
乙です
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/02(日) 23:08:27.22 ID:Gyilitoi0
思ったけど、レベル5勢でブチ切れたら怖いのみさきちの様な気がする。
そぎー除いて皆大抵切れてるから見慣れてるし。
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/02(日) 23:56:39.31 ID:4mBsdJtjo
乙です
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/15(土) 02:17:49.17 ID:RABrZ+Kh0
乙です
やっと追いついた…
期待してます
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/18(火) 20:48:24.32 ID:Tab3P0JZ0
>>230
このスレは間違いなくエタるから期待しないほうがいいよ
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/13(日) 11:53:50.34 ID:gq21lZ+g0
保守するって訳よ
ゆっくり体調崩さずやっていってね
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/09/02(土) 23:24:12.98 ID:f1eMX5Uz0
お久しぶりです、1です。
これから投下します。
234 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2017/09/02(土) 23:25:43.94 ID:f1eMX5Uz0
「なんだ?この場に居てすらいない第五位風情が、何か言いたいことでもあるのか?」

面倒臭そうに返す垣根に答える事も無く、端末からはブツブツ呟くと食蜂の独り言が途切れ途切れに聞こえてくる。
  エクステリア
「『外装代脳』に接続……任意逆流開始……q範囲に……を送信……」

食蜂に答える気がないと判断した垣根が告げる。

「まあお前に文句があろうと、俺がする事は変わらないけどな」

御坂をつかまえようと伸ばされた垣根の手を、彼女は振り払った。
眉をひそめ垣根が言う。

「ちっ、めんどくえから抵抗するなよ。それとも格下が、まさか勝てると思ってるのか?」

「勝てないまでも、一矢報いるくらいはやってやるわよ!!それに食蜂、アンタも何か考えがあるんでしょ!?」

垣根に対して身構えた御坂が、啖呵を切り端末に向かって問いかける。

「ええ!!御坂さん、一分……いえ数十秒で良いわぁ。抵抗力を見せて時間を稼っ!?」

食蜂の声をさえぎる様に、鈍い爆発音と共に部屋全体いや建物全体が激しく揺れた。
235 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2017/09/02(土) 23:26:47.82 ID:f1eMX5Uz0
            ヤツ
「フレンダが回収し忘れた爆弾が誤爆したか?いやここまで揺れるってことはあの子のじゃないわね」

「……ってことは、だ」

垣根は、御坂が手にした通信端末を忌々しそうににらむ。

「第五位……テメェ、何をした?」

得意げな声で食蜂は答えた。

「私の能力が及ぶ範囲を甘くみたわねぇ。その中に、ここから逆転できる人が居たから助人力を求めただけよ」
        オレ 麦野
「ここから逆転?二位と四位を相手にか?」

そんな人物がいる訳がない言外に言う。
           一人だけ
「ええ、私も心当たりは野原さんだったのだけど……」

「その一人が、運良く範囲内に居たってか」

「いいえ、そういう意味ではこの賭けは私の負けかしらねぇ。でも……十分な戦闘力は引き当てられたと思うわぁ。予想よりも速く到着してくれたみたいだしね」

食蜂と垣根の会話の最中にも、爆発音と振動の間隔は短くなりその発生元が近づいてきていることが判った。
236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/09/02(土) 23:27:45.19 ID:f1eMX5Uz0
「ああ、それと……」

食蜂が垣根に言う。

「『何か言いたいことでもあるのか?』だったかしらぁ……なら一つだけ言わせてもらうけれど」

おそらく息を大きく吸っているのだろう。
そこで一度言葉を切り、その後今日一番の大きな声で食蜂は言った。

「二度と私の前で、『クローンだから死んでもいい』なんて言うな!!」

その言葉の直後、あらかじめ食蜂からその能力で指示を出されていたのだろう、あいによって御坂はその場に伏せる様に押し倒された。
一瞬困惑する御坂だが、壁の向こうから聞こえてきた声で事態を把握する。
あの爆発と振動を起こしていた人物が、ついにこの部屋まで来たのだと。
237 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2017/09/02(土) 23:30:55.89 ID:f1eMX5Uz0


「よし!!ここが最後の壁だな!?いくぞおおおお!!『すごいパーンチ』!!」

238 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2017/09/02(土) 23:35:18.54 ID:f1eMX5Uz0
砕かれ勢いよく飛んだ壁の破片が、反対側の壁をも砕き突き破っていくほどの爆発の中から、彼は姿を表した。

「俺を呼んだのはお前かヘルメット!?お、お前は以前公園であった電撃使いの娘じゃねえか!?」

ハイテンションで一気にまくしたてるその男に、垣根が訊ねた。
彼も麦野も、とっさに能力で防御したのか先の爆発によるダメージは見られなかった。

「テメエ、何者だ?」

「俺か!?俺は根性の自警団員!!学園都市第七位の超能力者!!『削板軍覇』だ!!」
239 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2017/09/02(土) 23:37:55.59 ID:f1eMX5Uz0
短くてすみませんが、今夜はここまでです。
毎度エタルエタル詐欺の執筆速度でごめんなさい
240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/02(土) 23:57:14.59 ID:BOvHSycJo
きたか、ソギー……
更新乙でーす
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/03(日) 06:49:48.38 ID:mRjBHNfbo
乙です
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/08(金) 04:11:17.09 ID:J0nshuszo
今全部読んだ
インとペンが何かに似てるなーと思ったらミサカと打ち止めだ
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