【ガンダム00】沙慈「僕の義兄はフラッグファイター」

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1 : ◆AvaUNpQJck [saga]:2016/08/23(火) 06:22:32.70 ID:fDdQR3td0

――西暦2307年・経済特区・日本――


――JNN・オフィス――

「はぁあああ??!!」


ザワ……


デスク「絹江、声! 声が大きい……!」

絹江「は、あ、いや、ごめんなさい……じゃなくって!」

絹江「い、いきなり【来週アメリカ飛んでお見合してこい】って言われたら誰だってそうなりますよ……! 説明を求めます!」

デスク「いやな……話せば長くなるんだこれが……はぁ」



 ・
 ・ 
 ・


デスク「……というわけなんだ」

絹江「なあるほどお、じゃあしかたないですね。いってきます!」

絹江「ってなるかぁ!!」バァンッ

デスク「抑えろ絹江!! 気持ちはわかる! 痛いほどに分かる、だから!!」

絹江「ただのオジジ(会長とか偉い人とか)連中のおせっかい焼きに部下を巻き込むんですか!? 記事にして糾弾してやるんだからぁ!!」

デスク「重役からの名指し使命なんだ、仕方ないだろ」

デスク「うちの部署で都合のいい年齢の子ってお前くらいしかいなかったんだ……!」

絹江「親戚にせっつかれるならまだしも、職場絡みってひどすぎやしません?!」

デスク「そう言うな……一回だけ顔合わせて、愛想笑いして、ご縁がありませんでしたで良いんだから……な? な??」

絹江「ふぐ……ぬぬぅ……!」

デスク「こっちで泊まり先や色々便宜は図ってやるから。ほら、お相手の資料。持ってけ」

絹江「……貸しですからね!」バシッ



絹江(……お相手の名前は……)


「グラハム・エーカー」


――――


グラハム「 断 固 辞 退 す る 」

ビリー「そういうと思ってたよ、フラッグファイター」ハハハ

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1471900952
2 : ◆AvaUNpQJck [saga]:2016/08/23(火) 06:44:31.24 ID:fDdQR3td0


――MSWAD基地――


ホーマー「辞退は許さん。必ず、当日、現地にて見合いを敢行しろ」

グラハム「辞退いたします、司令。私は誉れあるユニオン軍人でありフラッグファイター、何より一人の男です」

グラハム「今日び見合い結婚などという老人がたの好意の強制、二つ返事で享受できるほど蒙昧ではないつもりであります」


ホーマー「貴様……」

ビリー「グラハム、気持ちは分かるが言い過ぎだよ。中将閣下の旧知の仲の、報道関係者というじゃないか」

ビリー「事を荒げると色々面倒だよ? 君はただでさえトラブルを渦のように吸い上げる御仁なんだから」

グラハム「……失礼しました。ですが、ユニオンにおいて【見合い】などという発想が出てくる事自体解せぬのが本音」

ビリー「僕らニホンの文化に多少明るい者同士だから伝わる会話なのは確かだね」


グラハム「更に、如何に私が結婚適齢期を過ぎつつあり、女性関係が壊滅的であり、かつ仕事の虫で所帯を持つことが絶望的であろうとも」

ビリー「グラハム、言ってて辛くはないかい?」

グラハム「……スレーチャー少佐との一件で上層部からは蛇蝎の如き扱いのこの厄介者へ、寝耳に水と舞い込んだこの縁談。裏を感じるのは私だけでしょうか?」

ホーマー「…………」



「そのことならば、わしから説明させてもらおう」


グラハム「!?」

ホーマー「む……」

ビリー「あなたは……!」


「プロフェッサー・レイフ・エイフマン!!」


エイフマン「ふっふっふ……」
3 : ◆AvaUNpQJck [saga]:2016/08/23(火) 07:05:49.67 ID:fDdQR3td0
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 ・
 ・


ビリー「――成る程、つまりこういうことか」

ビリー「教授がニホンに遊びに行って久しぶりに旧友と飲みに行ったら、なんか意気投合しちゃって」

ビリー「気づいたら【お互い気に入ってる若いのくっつけるか】と縁談の話がフルブラストで決まっちゃってたと」

エイフマン「おおむね、正確には100%当たっておる」

ビリー「概ねどころじゃないじゃないですか教授、何やってんですか」

エイフマン「いやな、最初わしのフラッグを十全に操る男の話をしていたら、つい浮いた話がないことを漏らしてしまってな」

エイフマン「そこからトントン拍子に……こう……なるようになれとな、こうなっておった」

ビリー「多分今初めて教授のこと軽蔑してます、僕」

エイフマン「老人とは若者のらぶすとーりーを食って生き永らえる生き物だからのう」

ホーマー「かくいう私も教授のせいで今の女房を、な」

ビリー「今二回目の軽蔑最短記録です。記録更新ですよ教授」


グラハム「私になにかいうことはありませんか、プロフェッサー・エイフマン 」

エイフマン「ごめん」

グラハム「端的な謝罪の言葉ありがたく受け取らせていただきます」


グラハム「……はぁ……プロフェッサーの頼みとあっては、酔った勢いの縁談とて無碍には出来んか」

ビリー「え、行くのかい?」

グラハム「こう見えて回避できる非礼は避けてみせる主義でね」

グラハム「なに、適当に愛想笑いでもして頷いていれば良いのだろう? 簡単なことよ」

ビリー「グラハム、聞いている限り君にとってもっとも難解な部類に入る行為だと思うんだけれども……」

グラハム「お相手には悪いが、談笑のみのささやかな会になることをお約束するとしよう……これか」ピッ


「絹江・クロスロード」
4 : ◆AvaUNpQJck [saga]:2016/08/23(火) 07:12:02.36 ID:fDdQR3td0
今夜早急に続きを。
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/23(火) 07:20:41.70 ID:2zBzEzqr0
いいんじゃないの、続きはよ
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/23(火) 07:37:26.51 ID:r8MO8QmUO
グラハムの優先度が嫁>ガンダムになったら本編が静かになるな
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/23(火) 08:11:30.39 ID:EfeHBbh8o
アルトとシェリルか

つまりエクシアの声優は 中島 愛 
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/23(火) 10:25:34.57 ID:NcqjGwfQO
公とアルトのテンションが違いすぎて気付かん買ったわ声優同じなんか
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/23(火) 10:40:51.89 ID:G2jDkhIAO
ハム語が素晴らしい
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/23(火) 10:55:12.41 ID:nbi6C5HlO
私のお見合い相手がこんなにかわいい訳がないっ!
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/23(火) 11:47:38.26 ID:yPZCq+pDO
>>6
待って映画版でハムがせっちゃんスルーしちゃう
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/23(火) 17:05:15.37 ID:IH2lvbeUO
傭兵は出てくるのか
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/23(火) 17:31:13.35 ID:F11ysCEXo
傭兵いたら絹江さんがぎっちょんされてしまう
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/08/23(火) 19:57:28.52 ID:vPnvEObZO
そしてグラハムがサーシェス絶対殺すマンに
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/23(火) 21:38:14.29 ID:CN7CGQ/zo
ハム公は一回結婚したらきっちり操立てそうだしなあ
本編の刹那関連の動機が全部サーシェス対象になりそう
16 : ◆AvaUNpQJck [saga]:2016/08/24(水) 03:44:43.55 ID:lfGXqz9z0


――日本・マンション――

沙慈「へー、姉さんがお見合い。ふーん」ジュゥゥゥゥ

沙慈「………………」ジュゥゥ

沙慈「OMIAI?!」ボゴォンッ

絹江「沙慈、お肉焦げてる! 」

沙慈「わわわわ!!」カチカチ

沙慈「……ふう、で?」

絹江「で、って?」

沙慈「受けるの? この縁談」

絹江「はあ、あんた私の話聞いてたの? 受けるわけ無いでしょ」

沙慈「結構……っていうか相当かっこいい部類じゃない? この人」ピラ

絹江「面食いの気はないわ。第一ね、その人相当な食わせ者よ」

沙慈「そうなの?」

絹江「ええ……」


 ・
 ・
 ・
 ・

イケダ『グラハム・エーカーか。ああ、知ってるよ。というかユニオンの軍部に詳しい奴に知らん奴はいないだろう』

イケダ『なんたって現ユニオン・エアフォース最強の呼び声高いトップガン。最新鋭機【ユニオンフラッグ】の筆頭エースだものな』

絹江『そ……そんなに凄いんですか? 彼』

イケダ『別格だろうな。一部の評論家からは馬鹿みたいに嫌われているが、一般論ではまず彼の名が挙がる』

イケダ『2302キューバ派兵で初めて戦果を出してから、以降狂ったように空を飛び続けてる。毎回酷い目に合わされてる人革の対空専門部隊の的には、彼の写真が毎回貼られてるって三文記事も上がったけな』

絹江『へえ……』

イケダ『んー……だがなあ、人間的には絵に描いたような偏屈だそうでな』

イケダ『何より、2304のコンペの模擬戦でかつての上官を撃墜させ死亡させたという曰くから、ブンヤの間でも良い噂は聞かん男だよ』

絹江『【上官殺し】……あ、彼が……?』

イケダ『聞いたことあったか。まあ噂は噂、裏が取れんものは多い。あんまり気にし過ぎない方が良いとは思うが』

イケダ『叩いて損をする橋はない……この世界の鉄則だな』



イケダ『あ、女絡みの噂は驚くほど出ないらしいぞ。同性愛者かもって向うの特派員がな』

 

 ・
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 ・

絹江「……」
17 : ◆AvaUNpQJck [saga]:2016/08/24(水) 03:58:02.47 ID:lfGXqz9z0


沙慈「……それ、大丈夫なの?」コト

絹江「婚約するわけでもあるまいし、気にすることじゃないわ」

絹江「と、言うわけで。来週少し空けるから家のことはよろしくね」

沙慈「いつものことじゃないか、こっちは気にしないでよ」

沙慈「でも……少し残念かな」

絹江「……何がよ……」ズズ


沙慈「だって、姉さんこういうのでもないとどうせ結婚出来ないだろうし」

絹江「 」ブフォ


沙慈「父さんの後を追って、ジャーナリストになったのはいいけど、僕の世話もあって学生時代だって男っ気皆無の日干し生活」

沙慈「社会に出ても上から睨まれて、書く記事全部攻撃力高すぎて同僚には女傑扱い、出逢いらしい出逢いも飛び回ってる生活じゃあ期待も出来ず」

沙慈「弟の僕から見ても……何ていうか、地味というか……もう少し彩りがあってもいいと思うんだけどねえ」ハァ……

絹江「…………で……!」

沙慈「……ん?」



絹江「なぁんで養われの身のあんたにそこまで言われなきゃあならんのじゃあああああああ!!!」ドンガラガッシャーン

沙慈「わぁあああああああ!!!」ガシァーン


沙慈(でもね、姉さん)

沙慈(もしね、誰か、姉さんの夢と一緒に姉さんも幸せにしてくれる人が出来たのなら)

沙慈(僕のことなんか気にしないで、一緒になってもらえたらって)

沙慈(――本当に、そう、願ってるんだよ)
18 : ◆AvaUNpQJck [saga]:2016/08/24(水) 04:31:42.15 ID:lfGXqz9z0


――前日・MSドック――


グラハム「……」

「眠れんかね?」

グラハム「!」


エイフマン「爆風吹きすさぶ鉄火場を生き抜くユニオンのトップエースも、自身の未来の掛かった出会いの前では、緊張もするか」

グラハム「……プロフェッサー」

エイフマン「ふふふ、良い良い。まだ若い証拠というわけだ、老骨には眩しい限りよ」

グラハム「その様子ですと、謀られましたな。教授」

エイフマン「んー?」

グラハム「……貴方には感謝をしています。この若輩者をフラッグのテストパイロットに選定していただけたことも、今なお有能な整備班を預けてくださることも」

グラハム「我が戦果の半分以上は、その頭脳と見識よりもたらされたもの。そう日々肝に銘じ飛び続けているほどに」

エイフマン「……」

グラハム「ですが今回ばかりはお節介が過ぎるのではありませんか、教授」

グラハム「私は期待に応えるべく、そして自ら望みこの空を飛び続けている。その妨げを自ら我が眼前に置かれるとは、悪戯にも度がありましょう」


エイフマン「……くく、まだまだ、青いな」

グラハム「なんと?」

エイフマン「青い青い。出逢いを妨げと突き放し、繋がりを鎖と遠ざけ、知らぬ世界を書割と称し見向きもしない」

エイフマン「成る程、確かに君は弱卒だ。【飛ぶこと】が人生の全てと言い切るならば、なぜ今怯える必要があるというのかね」

エイフマン「何処へなりとも迷わず飛んでいけばいいだけなのに、今、何故か眠れない。それそのものが君の致命の弱点だと何故気付かない」

グラハム「っ……」

エイフマン「君は強い。君がへりくだった先ほどの言葉、私はその全てに否と答えよう」

エイフマン「君と同じ機会を、君と同じ待遇を与えたとして、果たして何人がそれに【近しい結果】さえ出せるというのかね」

エイフマン「君は強い。おおよそ、君が飛ぶことを妨げられるものなどこの世には存在し得ない、そう言い切れるほどに」

エイフマン「だが、君の【弱さ】がその矛先を狂わせる。一人で飛び続けたとして、君は……」


エイフマン「――決して、君の望んだ空を飛び続けることは出来ない。だから、君は、弱い」

グラハム「……!」
19 : ◆AvaUNpQJck [saga]:2016/08/24(水) 05:26:33.64 ID:lfGXqz9z0

グラハム「ならば敢えて問い返しましょう、この縁談の真意を」

グラハム「よもや貴方ほどの叡智を持った人物が、伴侶を得ただけで真の強さを得られるなどという世迷い言を申されるつもりでは……!」

エイフマン「ないない。第一断られること前提の人選じゃ、【お互い】な」

エイフマン「だから明日も遠慮なく断ってきたまえ。逃げさえしなければ何してもいいぞ、セクハラと犯罪以外でな」

グラハム「ッッッ……!!?」

エイフマン「なんというかな、そろそろ教えとかんといかんと思っただけのことよ」

グラハム「な……何を、でしょうか」


  スッ


エイフマン「【空の広げ方】じゃよ」


グラハム「そらの……広げ方……?」

エイフマン「あぁ……分からなくてもいい。今はまだ、な」

エイフマン「じゃ、おやすみ。遅刻するでないぞ、フラッグファイター」スタスタ

グラハム「あ……!」

エイフマン「俗世のことを知るのも勉強じゃ。空と違って、ここはままならぬものだから、のう」

グラハム「……!」


――――

ホーマー「……まさか本当にやるとは思いませんでしたよ」

ホーマー「しかしよろしいのでしょうか。貴方の株を下げるようなことを……」

エイフマン「なぁに、年寄りの道楽であることに間違いはあるまい」


エイフマン「あれはなあ……このまま行けばきっと何処かで道を踏み外す」

エイフマン「強すぎるのだ。一人で立ち続けることが出来てしまう。だから、あれの膝を折れるものこそいないものの」

エイフマン「対等にでも張り合われたら、それだけで奴はどんどんねじ曲がっていく」

ホーマー「……」

エイフマン「まあ、俗世間に染めて弱くするのがいいこととも思えんが、狂うよりは幾分マシじゃろうて」

ホーマー「上手くいきますかね」

エイフマン「断っていいとはいったが、ちゃんと断ってくれるか不安だの」

エイフマン「お前としては、あれがただの【力】であるままのが良いのかもしれんがな」

ホーマー「明言は避けさせていただきます」

エイフマン「ふん……」
20 : ◆AvaUNpQJck [saga]:2016/08/24(水) 05:35:58.83 ID:lfGXqz9z0
また今晩、早急に続きを
しばらくは眠れぬ夜の道楽ですが、休みが来たらまとまってお送りいたします
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/24(水) 07:18:58.41 ID:notREI9DO
ハムはほっとくとガンダムの所為でどんどん歪んじゃうからね

身持ちが堅いな!絹江!!

しちゃうのか……
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