西住みほ「シン・ボコラ 〜 君の名は進撃のボコ。」

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106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/19(金) 20:25:58.87 ID:sIsVphMH0
カチューシャ 「……行こう、ノンナ。私達が生き延びないとクラーラが無駄死に……」

ノンナ 「……カチューシャ?」

カチューシャ (フラッグ車が……さっきよりも平たく……)

カチューシャ (完全にペシャンコになってる)

カチューシャ (カチューシャが出ていった後、あいつらの誰かが踏んづけていったんだ)

カチューシャ (カチューシャのプラウダってこんなに弱かったの?)

カチューシャ (違う……)

カチューシャ (違う、違うわ!)

カチューシャ (カチューシャは弱くなんかない。弱いプラウダなんて認めない!)

アリーナ (隊長、悔しそうに泣いてるだ)

ニーナ (おら、きっと今の隊長の顔忘れねえべ……)

カチューシャ 「粛清してやる。ボコラ共を……」

カチューシャ 「この世から……一匹残らず!」

《プラウダ学園艦、巨大海洋不明生物の駆除を断念。全住民の本土疎開を決定》
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/19(金) 20:46:00.88 ID:sIsVphMH0
【茨城県 冷泉久子宅】

リポーター 「先程、巨大海洋不明生物が人間を捕食しました! 信じられない光景です! 繰り返します――」

沙織 「今、テレビに映ってたのってボコだよね……」

ボコ 「オイラはここだぞ」

優花里 「西住殿の姿でそう言われると不思議な気持ちです」

華 「この映像、画面隅に「LIVE」って出てますよ」

沙織 「それって……まさか!」

優花里 「有り得ません!」

優花里 「西住殿が人間を食べるなんて有り得ません!」

沙織 「そうだよね、ごめん」

麻子 「もうじきご飯が出来……どうしたんだ?」

麻子 (部屋の空気がおかしい)
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/19(金) 20:47:21.94 ID:sIsVphMH0
今日はここまで。
読んで下さった皆さんありがとうございました。
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/19(金) 20:56:36.46 ID:+aWnIZ77o
信じて送り出したみほが人肉の味を覚えて返ってくるなんて
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/19(金) 21:41:03.62 ID:tWatO8ZRo
これもう、誰が死んでも驚かない
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/23(火) 21:59:17.44 ID:342I8/pr0
沙織 「チャンネル変えるね」

ピッ

アナウンサー 「次のニュースです。プラウダ学園艦に巨大海洋不明生物が侵入した件について政府は閣議を――」

ピッ

リポーター 「甲板から艦内部のシェルターに向かって大勢の住民が殺到しています!」

警察官 「撮ってないで早く逃げて!」

プラウダ学園艦住民A 「早く逃げて!」

プラウダ学園艦生徒A 「キャー! キャー!」

麻子 「きっとテレ東以外どこも特別報道だろ」

華 「もうテレビの電源切った方が……」

沙織 「うん」
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/23(火) 22:07:28.49 ID:342I8/pr0
華 (折角のお夕飯なのに)

沙織 (雰囲気が暗くなってる)

久子 「うちの孫娘にこんなに沢山ムスビが出来るなんてねえ」

ボコ「ムスビ?」

麻子 「人と人との繋がり、今の場合は友達が出来たってこと」

麻子 (おばぁは西住さんとボコの入れ替わりを知らないから能天気だ、いやその方がいい)

久子 「土地の氏神様をな、古い言葉で産霊って呼ぶんだよ。この言葉には深ーい意味がある。人を繋げることもムスビ、時間が流れることもムスビ、全部、神様の力」

久子 「寄り集まって形を作り、捻れて絡まって、時には戻って、途切れ、また繋がり。それがムスビ。それが時間」

ポロッ

優花里 「すみません、里芋落としちゃいました」

ボコ 「気をつけてね、優花里さん」

パクッ

優花里 「あっ?」

優花里 (テーブルに落ちた私の食べかけを西住殿、いや、ボコが)

華 「お行儀悪いですよ、みほさん」

ボコ 「そう?」

華 (言葉遣いはみほさんっぽく振る舞ってますがこういうところはボコですね)

久子 「それもムスビ。アハハハハ! 水でも、米でも、酒でも、人の体に入ったもんが魂と結びつくこともまたムスビ」
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/23(火) 22:16:29.24 ID:342I8/pr0
麻子 「私は今晩家に泊まって寄港期間が終わる前に学園艦に戻る」

沙織 「また学校でね」

華 「今日はありがとうございました」

沙織 「ご馳走様でした」

優花里 「失礼します」

ボコ 「また来る……来たいです」

久子 「また皆でいらっしゃい」

麻子 「バス停まで送るよ」
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/23(火) 22:27:56.31 ID:342I8/pr0
【茨城県 冷泉久子宅付近 バス停までの道】

ボコ 「婆ちゃんいないからようやく素のオイラに戻れるぜ」

ボコ (あの日、全国大会の決勝戦以降、オイラはあんこうチームの前でだけは素のオイラで話してる。みほとの入れ替わりもこいつらだけには打ち明けた。みほにもそのことは伝えている)

ボコ 「どうした、皆?」

優花里 「ボコ殿に聞きたいことがあります」

ボコ 「何だよ、改まって」

優花里 「ボコ殿は人を食べたことはありますか?」

ボコ 「無い」

華 「本当ですね?」

ボコ 「ねぇよ」

ボコ 「こうしてお前らとつるんで楽しい思いしてるのに人間喰ったら寝覚めが悪いだろ」

華 「それを聞いて少しホッとしましたが新たな問題が……」

優花里 「自分は西住殿を信じます」

優花里 「誰よりも心優しい西住殿があんなおぞましいことをする筈がありません」

華 「だとしたらテレビに映っていたのは……」

優花里 「それは……きっとボコのそっくりさんです!」

沙織 「いるのかな? そっくりさん」

優花里 「踏み込んだ話になりますが、ボコ殿には生き別れの親兄弟はいないのですか?」

ボコ 「分かんねえ」

ボコ 「そもそもどこで生れたかとんと見当がつかねえ。何でも薄暗い海の底でガォーガォー泣いていた事だけは記憶している」

優花里 「すみません……」

ボコ 「どうして謝るんだ?」

麻子 「ボコにとって親の顔を知らないのは当たり前のことなんだろう。十数年から二十数年親に養って貰う人間の方が生物としては特殊だ」

麻子 「それとプラウダに居たのはボコじゃない可能性は十分ある」
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/23(火) 22:41:16.52 ID:342I8/pr0
優花里 「どういうことでしょうか?」

麻子 「仮にもプラウダだ」

麻子 「ボコ相手にやられっぱなしとは考えにくい」

麻子 「プラウダは戦車保有台数でサンダースに次ぐ物量を誇る学校だ。戦えばボコだってタダでは済まないだろう」

ボコ 「オウ、オウ、オウ? オイラを舐めてんじゃねえぞ?」

華 「少し静かにして下さい」

麻子 「ボコが負傷すれば西住さんとの入れ替わりが起きるが、ボコは昼過ぎに私達と会ってから一度も入れ替わってない。とすると今プラウダに居るのはボコではない可能性がある」

麻子 「勿論仮説だ。真実は西住さんから話を聞くまでお預けだ」

麻子 「そしてもう一つ、プラウダがボコ達を倒せなかったことで重要な問題が出るぞ」
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/23(火) 22:49:27.15 ID:342I8/pr0
【大洗女子学園 生徒会室】

桃 「ウエエエエン!」

柚子 「こんなの……あんまりです」

杏 「だよねえ」

杏 (丁度寄港期間だし久しぶりに陸に上がろうか)

《文科省、大洗女子学園に対して再度廃校を通達》
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/23(火) 22:57:10.69 ID:342I8/pr0
今日はここまで。
前回更新分はプロットを書き始めて最初に思い付いた話なのに対し、今回はふと思い付いて追加しました。
読んで下さった皆さんありがとうございました。
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/28(日) 19:23:55.57 ID:0HeY/FZe0
【都内 文部科学省庁舎】

杏 「大洗は約束通り戦車道全国大会で優勝しました。なのに廃校とはどういうことですか?」

辻 「当時と状況が変わった。これは従来の統廃合を目的とした廃校では無い」

辻 「千葉に寄港地を持つ知波単。青森に寄港地を持つプラウダ。この2校が被害に遭ったということはボコラは東日本近海を回遊しているということだ」

杏 「ボコラ?」

辻 「政府は非公式に巨大海洋不明生物をそう呼称している。近々ニュースになって一般に広まるだろう」

辻 「話が少し逸れた。つまり茨城に寄港地を持つ大洗が今後被害に遭う可能性が高い」

杏 「なら一時的に寄港地を変更して航路も日本海か東シナ海にします。そもそも国が自衛隊を動かしてくれればここまで被害が拡大しなかった筈です」

辻 「動かすよ、君の望み通りにね」

杏 「だったら――」

辻 「住民が疎開した後、大洗に自衛隊を常駐させ現れたボコラを倒す」

杏 (!)

杏 「大洗が戦場になるんですか?」

辻 「そうだ」

辻 「あの生物は比較的知能が高いことが分かった。一度襲撃を受け、住民が避難した後の船にはもう手を出さんだろう。だから言い方は悪いが知波単やプラウダの学園艦では囮にはならない」

杏 (囮って……)

辻 「自衛隊が武器の無制限使用で戦闘出来るように全住民を予め疎開させる」

杏 「それって戦闘による学園艦の沈没も辞さないってことですか? 怪物が海に居る時に海自が潜水艦で攻撃すればいいじゃないですか!?」

辻 「自衛隊の防衛出動は総理から下命されるしその運用は防衛省の管轄だ」

辻 「文科省の私が決められることではないし、ましてや君が口を挟むことでは無い!」

辻 「それにこうしている間にもボコラが大洗を襲撃する可能性がある」

辻 「疎開が遅れたことで学園艦から犠牲者が出た場合、君はどうやって死没者や遺族に詫びるつもりかね?」
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/28(日) 19:34:30.65 ID:0HeY/FZe0
【大洗学園艦 講堂】?

みほ (大洗が廃校……)

華 (全校生徒に告げる前にまず戦車道履修生だけに伝えたかったのですね)

梓 「私達の戦いは何だったんですか? 学校が無くならない為に頑張ったのに」

杏 「言いたいことはあるだろうがここに怪物達が現れてからでは遅い」

杏 「プラウダでは人肉の味を覚えた怪物達によって知波単の時より悲惨なことになったそうだ」

あや 「プラウダが勝てなくても隊長なら――」

杏 「プラウダが50両投入して一体も倒せなかった奴らを大洗の8両だけで殲滅させられると思うか?」

杏 「私は……自分が意地を張ったせいで、この学園艦の人間が怪物に追い詰められて甲板から身投げしたり、生きたまま食われたりするところを見たくない」

杏 「済まなかった」

優花里 (全長7kmを超える学園艦です。自衛隊の火器使用でも沈まないことを祈りましょう)

優花里 (しかしながら自宅や大勢の方々の家や建物が全壊するのは辛いです。校舎も残るのでしょうか?)
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/28(日) 19:46:14.98 ID:0HeY/FZe0
【某県 避難所】

ノンナ 「黙祷、止め」

プラウダ隊員A 「グスッ……」

プラウダ隊員B 「ウウウ……」

カチューシャ 「みんな辛いとは思うけど今は耐えなさい」

カチューシャ 「プラウダを奪還するまでの辛抱よ」

プラウダ隊員C 「……耐えてどうするんですか?」

プラウダ隊員C 「どんなに耐えたって、例え学校を取り戻したって、もう妹は帰って来ません……」

カチューシャ 「同じ思いをした人間はここにも大勢いるわ。冷たいかもしれないけど、ここは自分のことだけ話す場じゃない」

プラウダ隊員C 「ウウ……」

プラウダ隊員D 「隊長、プラウダ奪還ってまたあの生き物と戦う気?」

カチューシャ 「当たり前じゃない。あいつ等から受けた屈辱は3倍にして返してやるわ。あいつ等をボコボコにしてピロシキの中のお惣菜に詰めてやるのよ」

プラウダ隊員D 「私は……もう嫌だ。あいつ等相手に戦いたくなんかない」

カチューシャ 「好きにすれば? カチューシャのプラウダに腰抜けは必要無い」

プラウダ隊員D 「そんな言い方!? 私だって自分の命の値踏み位したいわよ!」

カチューシャ 「何? 文句あるの?」

プラウダ隊員E 「私からも言いたいことがあるわ」
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/28(日) 20:00:16.32 ID:0HeY/FZe0
プラウダ隊員E 「元はと言えばフラッグ車がいきなり撃破されたのが原因じゃない」

カチューシャ 「口答えする気?」

プラウダ隊員E 「あんたと私は同期よ。多少のことは言わせて貰うわ」

カチューシャ 「あの時点で二重包囲は完成してたし、敵の遊撃は足止めしたわ。誤算だったのは連中の回復力の高さだけよ。それから……」

カチューシャ 「カチューシャのことは隊長と呼びなさい!」

プラウダ隊員E 「ならば隊長……」

プラウダ隊員E 「フラッグ車の生き残りが隊長だけだったのは何故ですか?」

カチューシャ 「それは……」

プラウダ隊員E 「自分だけ真っ先に逃げ出しといて何が隊長よ」

プラウダ隊員A 「知波単の隊長は跪いて泣きながら遺族に懺悔したんだって」

プラウダ隊員B 「それに引き換えうちの隊長は……」

プラウダ隊員D 「こんな人の為にクラーラさんは……」

ノンナ 「全員その位にしなさい」

ノンナ 「カチューシャが寛大なうちに詫びを入れるべきです」

カチューシャ 「そうね……今なら土下座すれば許してあげるわ」

プラウダ隊員C 「ちびっ子隊長が……」

カチューシャ 「言ったわね! それを言ったらシベリア送りよ!」

プラウダ隊員C 「ふざけるな……」

プラウダ隊員C 「ふざけるな、妹を返せ!」

プラウダ隊員F 「そうよ、悪いのは隊長よ!」

プラウダ隊員G 「革命よ!」

プラウダ隊員H 「革命だわ!」

プラウダ隊員D 「元凶の独裁者を引きずり下ろせ!」

カチューシャ (え、大勢こっちに殺到して来る!?)
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/28(日) 20:11:43.02 ID:0HeY/FZe0
ノンナ 「排除します」

ゴスッ!

プラウダ隊員C 「キャッ!」

ドゴッ!

プラウダ隊員A 「ゴフッ!」

ノンナ (数が多すぎる……)

プラウダ隊員F 「捕まえた!」

プラウダ隊員D 「日頃の恨みよ」

カチューシャ 「放せぇ! 放しなさい!」

ノンナ (カチューシャが捕まった!)

バキッ! ビシッ!

プラウダ隊員D 「ギギィ……」

プラウダ隊員F 「痛っ……」

ノンナ (カチューシャを放しなさい!)

ゴスッ!

ノンナ 「グゥッ!?」

ノンナ (後ろから?)

プラウダ隊員I 「ノンナさんが
悪いんですよ」

プラウダ隊員B 「エイッ!」

ドゴッ!

ノンナ 「グッ!」

プラウダ隊員j 「ヤアッ!」

バキッ

ノンナ 「アガッ……」

カチューシャ 「ノンナッ!」

カチューシャ (いくらノンナでも多勢に無勢)

ノンナ (このままではカチューシャを守れない……今ここで取れる行動、取るべき行動は……)
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/28(日) 20:26:44.10 ID:0HeY/FZe0
ノンナ 「……」

カチューシャ (ノンナ、あなた大馬鹿者よ……)

カチューシャ (カチューシャを地面に踞らせてからその上に覆い被さって、カチューシャを庇って……)

カチューシャ (カチューシャの分まで皆にボコボコにされて……)

カチューシャ (そういえばカチューシャがノンナに膝枕するのは初めてね)

カチューシャ (ねえノンナ、私達二人だけになっちゃった)

カチューシャ (カチューシャってこんなに……)

コツ、コツ、コツ……

カチューシャ (足音……)

ニーナ 「……」

アリーナ 「……」

カチューシャ (ごめんねノンナ、少し待ってて)

カチューシャ 「何よ、まだ気が済まないの」

カチューシャ 「カチューシャが相手になってあげるわ」

カチューシャ 「そのかわり……」

カチューシャ 「ノンナには指一本触れさせないんだから!」

アリーナ 「隊長、済まねえだぁ」

ニーナ 「許してけろ」

アリーナ 「皆がおっかのぐて隊長が最後までクラーラさん助けようとしたごど言えなかったじゃ」

ニーナ 「二人が心配で……人の居のぐなたのば見計らって戻って来ますたぁ」

カチューシャ 「あなた達……」

カチューシャ 「後で思いっ切り軽蔑してやるからノンナを運ぶのを手伝いなさい。医者に診せたいのよ」
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/28(日) 20:27:43.29 ID:0HeY/FZe0
今日はここまで。
読んで下さった皆さんありがとうございました。
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/03(土) 19:24:01.80 ID:UpMx7pUa0
【大洗学園艦 校内 生徒会室】

杏 「それで大洗を頼って来た訳?」

カチューシャ 「そうよ。カチューシャ達の大洗短期入学、あなた達にとって悪くない話よ」

桃 (プラウダがそんなことになっていたとは)

柚子 「それでノンナさんボコみたいに包帯だらけ……ごめんなさい」

ノンナ 「いえ、気にしないで下さい」

杏 「『悪くない話』って具体的に何を指すのかしら?」

カチューシャ 「あなた達は大洗に居ながらにしてカチューシャの戦術を学ぶことが出来るわ」

杏 「プラウダの基本戦術はある程度戦車の数が揃ってることが前提だからウチ向きじゃないし、そもそもうちは西住ちゃんがいるからね」

カチューシャ 「ぐぬぬ……でもノンナの砲手の腕は欲しいでしょ?」

杏 「来年も居てくれれば助かるけど高3だから今年度で卒業しちゃうでしょ?」

カチューシャ 「ぐぬぬ……なら戦車は欲しくない?」

桃 「戦車?」

カチューシャ 「ノーマークだった今年と違って来年の大会では各校が大洗対策を練ってくる」

カチューシャ 「その時に大洗が突かれるのは戦車の絶対数が足りないところ。特に重戦車が少ないのは弱みよ」

カチューシャ 「カチューシャ達を受け入れればIS-2が手に入るわ」

柚子 「持って来たんですか?」

カチューシャ 「そうよ」

桃 「よく持って来れたな」

カチューシャ 「このカチューシャに不可能なんて無いわ」
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/03(土) 19:38:57.19 ID:UpMx7pUa0
【継続高校 連絡船】

ミッコ 「プラウダのおかげでソ連製戦車が選び放題だよ」

アキ 「プラウダの隊長太っ腹だね。大洗にIS-2を1両と隊長他数名を送り届けたら好きな戦車持っていっていいって」

ミカ 「倉庫の鍵もこうして貰えた」

アキ 「ただ、IS-2をこの連絡船に載せる為にプラウダに寄った時、流石に誰もいなかったね」

ミッコ 「怪物のせいでみんな疎開したんだよ」

アキ 「そう思うと戦車が手に入るからってはしゃいでられないね……」

ミッコ 「借りた戦車は大事に使わせて貰おう」

アキ 「そうだね」

ミカ (人だけでなく怪物達も忽然と姿を消していた。怪物達が次に現れるのはどこだろう?)
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/03(土) 19:48:34.38 ID:UpMx7pUa0
【大洗学園艦 校内 生徒会室】

カチューシャ 「廃校!?」

ノンナ 「廃校は取り消しになったのでは?」

杏 「それがね、再度通達が来て……」
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/03(土) 20:07:13.00 ID:UpMx7pUa0
カチューシャ 「そうだったの……」

杏 「そう……疎開をさせるということはその人の生活を奪うっていうことだ。簡単に言わないで欲しいなあ」

カチューシャ 「会長、文科省との交渉内容とあんた達の目的が知りたい」

杏 「交渉? そんなものは無い。命令され従った。私達の目的は『全てを失わない為に命令に従う』だ」

カチューシャ 「それは分かるけど……そんな馬鹿共に大人しく学校を明け渡していいのか、会長?」

杏 「あ?」

杏 「バカだが最高権力者共だ。あんたらだって服すら着れねぇバカに食い殺されてんじゃん」

柚子 「会長!」

カチューシャ 「なるほど、確かにそうね。でも私達はボコラを殺すこともできる。ボコラと同じだ。どうせ廃校になるなら試してみればいい」

カチューシャ 「自力でのボコラ撃破を」

杏 「駄目だ」

カチューシャ 「何故?」

杏 「失敗して死ぬ生徒が増えるだけだ」

カチューシャ 「今回は随分諦めがいいのね」

杏 「次はこっちが話を聞かせて欲しい」

杏 「プラウダで何があったか」

カチューシャ 「分かったわ」
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/03(土) 20:17:42.02 ID:UpMx7pUa0
柚子 「ボコラってどれ位大きいの?」

カチューシャ 「100メートルちょっとよ」

桃 「何!? 私は学園艦を跨いたと聞いたぞ?」

カチューシャ 「いや、そこまでデカくなかった」

杏 「どんな顔してたの?」

カチューシャ 「顔はそれぞれ違っていて……ウプッ……」

柚子 「みんな、もう質問は止そう。思い出したくないこともあるでしょう」

杏 「すまん、色々聞いてし――」

カチューシャ 「違うわ!」

カチューシャ 「カチューシャに言わせればボコラなんてのは大した事無い。カチューシャは大洗に入ってボコラを粛清する」
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/03(土) 20:37:50.95 ID:UpMx7pUa0
カチューシャ 「その為にノンナ達とIS-2をあなた達にやるわ」

杏 「は?」

ノンナ 「カチューシャ!?」

カチューシャ 「但し、条件を3つ受け入れなさい」

カチューシャ 「1つ。大洗女子学園は今後プラウダと共に文科省やボコラに刃向うこととする」

杏 「な…!? 戦争始めようって言ってんの!?」

カチューシャ 「2つ。大洗女子学園はカチューシャ達を心の底から信用すること」

杏 「信用? 最近じゃ冗談を言う時にしか使われない言葉だと思えるようになったよ?」

カチューシャ 「カチューシャは今あんたと……角谷杏と話をしているの。あんたの生き方を聞いてるのよ。あんたはどんな奴なの? あんたの生徒と街の住民を死なせて敗北するか。国家権力と化物を相手に戦うか。どうせ正解なんか分かりゃしないわよ。あんたの好きな方を選びなさい」

杏 「は……素人が。条件を全て聞かずに契約するバカはいないって」

カチューシャ 「おっと失礼。3つ目よ。私とノンナは昼休みを長く取らせなさい」

杏 「えっ? 何で?」

ノンナ 「お昼寝の時間を確保する為です」

杏 「あんた、私よりも欲が深いらしい。気に入ったよ」

カチューシャ 「あんたは頭がいい」

杏 「交渉成立ね」
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/03(土) 21:21:19.73 ID:UpMx7pUa0
ノンナ 「これで新しい居場所が出来ました」

カチューシャ 「ねえ、ノンナ」

ノンナ 「はい」

カチューシャ 「ミホーシャも同じ気持ちだったのかな」

ノンナ 「そうですね……」

ノンナ 「気にしているのですか?」

カチューシャ 「そんなんじゃないわよ! 只……」

ノンナ 「只?」

カチューシャ 「今更ながらあの子は強いと思ったのよ」

カチューシャ 「今、カチューシャにはノンナがいる。アリーナとニーナもついて来てくれた」

カチューシャ 「それに対しミホーシャはたった一人で黒森峰から大洗に転校してきた」

ノンナ 「確かにみほさんの強さは賞賛に値します。しかし今のカチューシャと当時の彼女との間には決定的な違いがあります」

カチューシャ 「それって?」

ノンナ 「みほさんは人の死を背負わずに済みました」

カチューシャ (……)

ノンナ 「それは彼女自身の英断の結果によるもので、それと引き換えに彼女は失った物も多かったですが……」

ノンナ 「少なくとも人の死を背負わずに済んだいう点においてはみほさんは私達よりも救われていると言えます」

ノンナ 「だからこそ今、私は思えるのです。昨年みほさんが黒森峰の勝利よりも仲間の救助を優先させたことを」

ノンナ 「『良かった』と」

ノンナ 「みほさんも彼女の運命蹉跌となった私達にだけはそんなこと言われたくないでしょうけど」

カチューシャ 「そうね、私達があの時のミホーシャの行動を讃えても皮肉にしかならないわ」

ノンナ 「はい」

カチューシャ (去年の全国大会で黒森峰のフラッグ車車長だったミホーシャは、川に転落した仲間を助ける為に戦車を降り、その隙を突いて私は車長不在の黒森峰フラッグ車を撃破した)

カチューシャ (ルールの範囲内で戦った。審判からもお咎めは無かった)

カチューシャ (只、その結果あなたはずっと辛い思いをしたのね、ミホーシャ)

カチューシャ (今まで負けた相手のことなんて考えもしなかったのに……)
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/03(土) 21:30:46.98 ID:UpMx7pUa0
【大洗学園艦 戦車倉庫】

アリーナ 「装填手から操縦手に転換かぁ」

ニーナ 「KV-2からIS-2に戦車ば変わるから砲弾は軽ぐのらばって、装填手と通信手兼任だぁ」

カチューシャ 「ノンナ!? このIS-2のエンブレムは何!?」

ノンナ 「イカです」

カチューシャ 「それは見れば分かるわよ! カチューシャが言ってるのはどうしてイカなのかってこと!?」

ノンナ 「大洗のフラッグ車のエンブレムはあんこうです。インパクト負けしない為にもこの位はしないといけません。それともカチューシャは……」

ノンナ 「イカが嫌いですか?」

カチューシャ 「嫌いじゃないわよ」

ノンナ 「なら問題ありませんね」

カチューシャ 「ちょっと、話は終わってないわよ!? ノンナ!」



こうして、火力、装甲共に大洗最強を誇るイカさんチームが誕生した。
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/03(土) 21:33:56.07 ID:UpMx7pUa0
今日はここまで。
読んで下さった皆さんありがとうございました。
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/03(土) 21:35:12.24 ID:A5Q5bWVJo
海の家で働きそうなイカですね

135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/03(土) 23:08:49.06 ID:b9/vTG0d0
まほさんに絶対勝てそうに無いイカさんチームじゃなイカ
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/08(木) 22:07:26.52 ID:81L04H4g0
【大洗学園艦 校舎 食堂】

華 「みほさんを前にして言い辛いことですが……」

華 「ボコがみほさんの身体に興味を示していないか気になります」

みほ 「種族が違うから大丈夫とは思うけど」

華 「会話や行動から察するに彼の精神年齢は第二次性徴期の少年のそれです」

華 「つまり異性の身体を最も意識する年頃です」

優花里 「西住殿、もっと危機感を持って下さい」

優花里 「西住殿の魅力は種の違いすら凌駕するものです」

みほ 「大袈裟だよ、二人とも」

沙織 「大袈裟じゃないよ」

沙織 「以前ニュースになってたけど、撮影でヌードモデルに抱っこして貰ったアライグマが、それ以来人間の女性の胸に異常に興味を示すようになったんだって」

麻子 「どんな撮影だか」

沙織 「只の広告!」
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/08(木) 22:15:42.38 ID:81L04H4g0
【大洗学園艦 みほ寝室】?

ボコ 「ん……」

ボコ (……また入れ替わったか)

ボコ (オイラそっくりのぬいぐるみ……。ぬいぐるみは沢山あるのに、あいついっつもこれ抱いて寝てるよな)

ボコ (ところどころほつれてるし、何年使ってんだ? どんだけ好きなんだよ)

ボコ (何だ……? 何で今日はこいつブラ付けて寝てんだ?)
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/08(木) 22:21:47.39 ID:81L04H4g0
ボコ (取り敢えず日記読まねえと)

ボコ (オイラとみほが入れ替わりの間に起きた出来事を情報共有する為の日記)

ボコ (どれどれ……新しい情報は………)

ボコ (!?)
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/08(木) 22:28:05.58 ID:81L04H4g0
【大洗学園艦 通学路】

優花里 (あれは西住ど……あの走り方はボコ殿ですね)

ボコ 「ハヒッ、ハヒッ、ハヒッ、ハヒッ……」

優花里 「おはようございます。どうしたんですか? そんなに慌てて」

ボコ 「優花里ッッ!」

優花里 「ヒャイ!?」

優花里 (顔が近いです。それに何ですかその真剣な表情は!?)

ボコ 「今朝、みほとの交換日記読んだらよ……」

ボコ 「廃校ってどういうことだよ?」
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/08(木) 22:45:28.54 ID:hhUil4jv0
【大洗学園艦 校舎 教室】

ボコ 「チキショウ、オイラが居ながらこんなことに……」

ボコ 「こうなったら入れ替わりが解けた後、オイラが東京に乗り込んで……」

華 「止めて下さい」

ボコ 「このままじゃ学校無くなっちまうんだろ!? 悔しくねえのかよ?」

華 「そんなことをしても余計ややこしくなるだけです」

沙織 「ここ教室だよ。他の子も居るんだからもっとみぽりんらしく喋って」

ボコ 「うるせえっ!」

卜ンッ!

沙織 (麻子がペットボトルを持った手でボコの肩を叩いた?)

麻子 「まずは君か落ち着け」
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/08(木) 23:14:23.89 ID:hhUil4jv0
【大洗学園艦 校舎 空き教室】

華 「あなた自身が手を染めていないことは理解した上で言います。元はと言えばあなたの同族が引き起こしたことです」

ボコ 「それは分かってる」

ボコ 「オイラもみほもあいつ等を止めようとしてるが上手くいかない」

沙織 「そもそもどうして人間を食べるの?」

ボコ 「あいつ等『旨い物を食うのにいちいち理由が居るか?』って言ってた」

麻子 「私達は餌か……」

優花里 「せめて『いつ』『どこに』現れるか分かればいいのですが」

沙織 「ボコ、次の襲撃スケジュールを聞き出せる?」

ボコ 「それは……無理だ。オイラ達はそこまで計画的に日々を過ごしてない」

ボコ 「海の中はカレンダーも無いし毎日夏休みみたいなもんだぜ」

ボコ 「あいつ等が学園艦を襲ったのもたまたま学園艦を見つけたからで、綿密な計画を立てた訳じゃない。そもそもオイラもあいつ等も学園艦の航路を知らない」

麻子 「駄目か……」
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/08(木) 23:17:28.41 ID:hhUil4jv0
今日はここまで。
読んで下さった皆さんありがとうございました。
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/10(土) 17:13:50.05 ID:1dmd3ouf0
【大洗学園艦 校舎 生徒会室】

柚子 「大洗を廃校から救う為にやることは2つね。1つは大洗をボコラから守ること。もう1つは文科省から廃校取り消しを勝ち取ること」

桃 「ボコラさえ倒せば文科省は大洗を廃校にする口実を失う。実質目標は1つじゃないのか?」

杏 「ボコラの襲撃が廃校日より後だといくらボコラ迎撃作戦を練っても水の泡なんだよねー」

桃 「言われて見ればそうですね……」

柚子 「桃ちゃんはどっちをやる?」

桃 「両方だ、両方進めよう」

杏 「決まりだね、まあ、私でもそう言うよ」

桃 (会長が生き生きしている。大洗の廃校が決まってからは少し様子がおかしかった)

桃 (亡命して来たプラウダの元隊長と話してた時も言葉が辿々しいというか、いつもの会長じゃなかった)

桃 (カチューシャが会長の心に火を点けてくれたんだ、感謝しないとな)

杏 「河嶋ぁ、何ニコニコしてる?」

桃 「何でもありません!」
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/10(土) 17:45:13.06 ID:1dmd3ouf0
【大洗学園艦 通学路】?

ボコ 「優花里、これからエクレール行かねえか?」

優花里 「止めましょう」

優花里 「西住殿が気にしてました。体重が増え過ぎないようにしたいって」

ボコ 「そうか……分かった。あいつに悪いもんな」

優花里 (今日はボコ殿と入れ替わってますが、こうして西住殿と下校出来るのも何時まででしょう? 生徒会は学園艦存続に向けて動いていると言いますが……)

ボコ 「なあ、優花里」

優花里 「何ですか?」

ボコ 「オイラとのデートの約束だけど……あれ、優花里はまだオイラとみほの入れ替わりを知らずに誘ったんだろ?」

優花里 「ええ……」

ボコ 「安心しろ」

ボコ 「当日入れ替わっててもちゃんとオイラが相手してやるぜ」

優花里 「ハハ、それはどうも……」

ボコ 「優花里、お前、これから頑張れよ」

ボコ 「オイラも出来る限りのことをする。只……」

ボコ 「オイラはみほと一緒に行動出来ねえんだ」

ボコ 「その時はお前があいつを支えてやれ」

優花里 「ボコ殿……」

優花里 「勿論です!」
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/10(土) 18:10:47.47 ID:1dmd3ouf0
【大洗学園艦 みほ寝室】
みほ (向こうでボコられてこっちに戻って来たらもう夜中か……。これからお風呂に入って……)

や〜ってやる♪
や〜ってやる♪
や〜ってやるぜ〜♪

みほ (電話の着信?)

みほ (誰から? ……お姉ちゃんからだ)

みほ 「もしもし」

まほ 「私だ」

みほ 「どうしたのお姉ちゃん?」

まほ 「どうもこうもない」

みほ (お姉ちゃん少し怒ってる?)

まほ 「お前にだって言いたいことはあるだろう」

まほ 「たが、お母様だって好きでお前を勘当した訳じゃない」

まほ 「だからこそ今日、お母様はお前に電話をかけたんだ」

みほ (今日、電話があったんだ。入れ替わってる間に)

みほ (もう、嫌な予感しかしない)

まほ 「きっとお母様も大洗が廃校になると知って居ても立ってもいられなくなったんだ」

みほ 「知ってたの?」

まほ 「西住流家元ともなれば色々情報も入って来るだろう」

まほ 「その時お前とお母様の間でどんなやり取りがあったか詳しくは知らん。私もお母様から話を聞かされただけで。だが……」

まほ 「『うるせーババア!』と言って電話ガチャ切りは無いだろう」

みほ 「!?」

まほ 「お母様はカンカンだぞ。『二度とみほには家の敷居を跨がせない』と言っている」

みほ (やっぱりボコが電話に出たんだ!)

まほ 「みほ、聞いているのか、みほ?」

みほ (ああ……そんな……)
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/10(土) 22:36:48.74 ID:1dmd3ouf0
みほ (お姉ちゃんとの電話が終わってから交換日記を読んでみたら……)

みほ (何が『お前はもっと堂々としてればいい』よ!)

みほ (余計なことして!)
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/10(土) 22:46:30.84 ID:1dmd3ouf0
みほ 「私の人間関係勝手に変えないで!」

ボコ 「そんなんだからお前は甜められるんだよ」

みほ 「ボコだって甜められっぱなしじゃない」

ボコ 「オイラは甜められちゃいねえよ! ふざけたことばっか言ってるとお前がいつも抱っこして寝てるぬいぐるみに落書きすっぞ!」

みほ 「そう……。それやったらオッドボールの刑だから」

ボコ 「頼むからそれだけはマジで止めて」



ボコ (でもその後オイラがオッドボールにされることは無く、優花里とのデートも実現せず、何故かもう二度と、オイラとみほとの入れ替わりは起きなかった)
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/10(土) 23:01:47.20 ID:1dmd3ouf0
今日はここまでですが話自体は今後も続きます。起承転結の承が終わったところです。
読んで下さった皆さんありがとうございました。
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/11(日) 00:55:08.45 ID:TqorjZXx0
おつおつ
これで承かあ
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/16(金) 19:32:16.46 ID:CdT4syJ+0
【太平洋 東日本沖】

ボコ (入れ替わりが途切れ、連絡の取りようも無く、だからオイラは直接みほに会いに行くことにした。あいつに会ってみたかった。でも―― 詳しい場所はわからない。手掛りは町の風景だけ)

ボコ (兎に角、どデカい船を見つけたら乗り込んでやるぜ)
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/16(金) 19:38:21.03 ID:CdT4syJ+0
【大洗学園艦 住宅街】

ボコ (でっかい船を見つけて甲板までよじ登ってみた……)

ボコ (間違いない……この校庭、周りの景色、この高校だって、はっきり覚えてる!) 

ボコ (なのに……町が瓦礫の山。それに誰もいない)

ボコ (ひょっとしてもう廃校になって艦の解体作業が始まってるのか)
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/16(金) 19:44:21.75 ID:CdT4syJ+0
ボコ (そんな……オイラは間に合わなかった?)

ボコ (大洗の皆は? 戦車道の仲間は?)

ボコ (お別れすら言えなかった……)

久子 「あんたぁ!」

ボコ (あれは麻子の婆ちゃん!)

ボコ (大洗に住んでるだと? 引っ越したのか?)

ボコ (改めて見ると人間の図体って小せえなあ)

久子 「どの面下げて現れたんだい?」

ボコ 「え?」

ボコ (そっか、麻子の婆ちゃんはオイラが人間食わないことを知らないんだ)

ボコ 「オゥ、オゥ、オゥ言ってくれるじゃねえか」

ボコ 「オイラは何もやってねえぜ」

ボコ 「オイラがこの姿でここに現れたのは今日が初めてだ」

久子 「実際この目で見るまでは半信半疑だったけど本当に喋るんだね。そんなことより……」

久子 「3ヶ月前にここをメチャクチャにしといて今更しらばっくれる気かい!?」

ボコ (3ヶ月前?)

久子 「あれから生き残った人間は皆、本土に避難したよ」

久子 「私は被災者の一時帰宅許可が出た時に遺族として本土からここに来て……帰りの船に乗らずに姿を晦ましたのさ」

久子 「それからは誰もいないスーパーやコンビニで缶詰やらペットボトルやらを拝借して暮らしてる」

久子 「悪いことだとは思ってるさ。只せめてここで孫娘を弔いながら最期を迎えたいんだよ。子供にも孫にも先立たれた天涯孤独の年寄りの最後の我儘さ」

ボコ (麻子が死んだ!?)
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/16(金) 19:54:50.03 ID:CdT4syJ+0
ボコ 「弔うって……死んだのか?」

久子 「私は聞いたんだよ。麻子の友達……沙織の嬢ちゃんが……同じ戦車に乗っていながら自分だけ生き残ってしまって申し訳ないって」

ボコ 「!」

久子 「こっちが見てられなかった……。その娘も自殺した。顔に残った火傷の跡を気にしてね、まだ若いのに可哀想に……」

ボコ (あんこうチームが全滅!?)

久子 「麻子やあの子の友達が何をしたって言うんだい? うちの孫娘は遅刻や居眠りこそ多かったけど……」

久子 「熊の姿をしたバケモノに生きたまま喰い殺されなきゃいけない程、罪深くはなかった筈だよ!?」

ボコ 「!?」

ボコ 「知らねぇ……オイラは人間なんて食ってねぇ。何も知らねぇ!」

久子 「待ちな」

久子 「私を食っていきな」

ボコ (何言ってんだ……)

久子 「麻子……。痛かったろうに、怖かったろうに……」

久子 「私に出来ることといったら、せめてあの子と痛みや苦しみを分かち合うこと位だよ!」

久子 「それとも、年寄りなんて食いたくないとでも言うのかい!?」

久子 「逃げ惑う人間や命乞いする人間をこれまで散々喰い殺してきたんだろ?  今更一人増えたところでどうってこと無いだろ! お前らはただの人殺しだ。何の罪も無い人を大勢殺した大量殺人鬼だ! この世界を地獄に変えたのはお前らなんだぞ! わかってんのか人殺しが!」

ボコ (く、狂ってる……来るな!)

ズシン、ズシン、ズシン、ズシン、ズシン

久子 「待てえええッ! 逃げるなあああ!」

久子 「私も殺せえええッ!」

久子 「私も麻子と同じ様に死ぬんだああああッ!」
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/16(金) 20:04:35.98 ID:CdT4syJ+0
ボコ 「ハヒッ、ハヒッ、ハヒッ……」

ボコ (負けたことはあっても逃げたことの無いオイラが……生まれて初めて逃げちまった……)

ボコ (オイラが麻子を食った? 大洗を襲った?)

ボコ (そしてあんこうチームは皆死んだ……?)

ボコ (そんなことない! きっと麻子の婆ちゃん、ボケておかしくなっちまったんだ)

ボコ (……でも町には人っこ一人居ない。学園艦解体の為なら、たとえ住民は居なくなっても産廃業者や最低限の作業員は残るだろ)

ボコ (それにこの大量の瓦礫。街中で試合したにしてもここまで酷いことにはならねぇだろうし……)

ボコ (そうだ! あの場所に行けば確認出来る)
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/16(金) 20:11:22.56 ID:CdT4syJ+0
【大洗学園艦 大洗女子学園女子寮】

ボコ (ここだったな)

ボコ (さっき麻子の婆ちゃんが一時帰宅があったって言ってた)

ボコ (もしみほが無事なら部屋を綺麗にしてから引き払ってる筈だ)

ボコ (この身体じゃ中に入れねえ。すまん、みほ。天井壊すぞ)

バリバリバリバリバリバリバリ!

ボコ (みほの部屋は……)
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/16(金) 20:20:36.91 ID:CdT4syJ+0
ボコ (残ってる……部屋の中の物が全部残ってる!)

ボコ (あいつなら最低限ボコグッズは持っていく筈だ。それがそっくりそのまま残ってるってことは……あいつが寝る時にいつも抱いてるぬいぐるみまで残ってるってことは……)

ボコ (やっぱり、みほは死んだのか……)

ボコ (ここ最近入れ替わりが起きなかったのもそのせいだったんだ)

ボコ (きっと優花里も、華も……)

ボコ (麻子の婆ちゃんが言ってたことは本当だったのか)

ボコ (オイラは取り返しのつかないことをしちまった。なのに……)

ボコ (何でオイラはそんな大事なこと覚えてないんだ……?)
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/16(金) 20:21:29.04 ID:CdT4syJ+0
今日はここまで。
読んで下さった皆さんありがとうございました。
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/16(金) 21:38:03.33 ID:zc75iNBs0

急転直下でまさに転だな
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/16(金) 22:25:49.04 ID:hYPphbREo
どのような結末になるか
ある程度の覚悟は必要そうだ
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 19:37:28.45 ID:7PgEJZoz0
ボコ (麻子の婆ちゃん、前にみほの姿で会った時は人のいい婆ちゃんだと思った。それが鬼のような形相で半狂乱になって……)

ボコ (以前、ニコニコしながら話してたのが嘘みてえだ)

ボコ (『より集まって、形を作って、捻れて絡まって、時には戻って、また繋がって。それがムスビ。それが時間』)

ボコ (『水でも、米でも、酒でも、人の体に入ったもんが魂と結びつくこともまたムスビ』)

ボコ (!)

ボコ (オイラの身体に入ったもんが魂と結びつくなら、それが入れ替わりを引き起こしたなら……)

ヒョイ

ボコ (ちっこいから摘むの難しいな……)

ボコ (あいつがいつも抱いて寝ていたオイラそっくりのぬいぐるみ)

ボコ (時間が……ずれてた?)

ボコ (あいつの汗と匂いを何年もかけて吸い続けたあいつの半分……。ムスビ。本当に時間が戻るんなら。もう一度だけ……っはぁっ!)

パクッ
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 19:42:19.03 ID:7PgEJZoz0
ボコ 「ぬあぁっ!……はっ! オイラ!」

ボコ (目まぐるしく景色が変わっていく!)

ボコ (これは……みほの記憶か……)
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 19:44:51.09 ID:7PgEJZoz0
ボコ (産まれたばかりのみほ)

しほ 「あなたの名前はみほ」

常夫 「まほ、みほ、二人は父さんの宝物だ」
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 19:51:32.32 ID:7PgEJZoz0
ボコ (大洗に来る前のみほ)

みほ 「勝てなかった……」

しほ 「貴方がそんなことでどうするのです」

みほ 「戦車道など続けたところで」

しほ 「黒森峰敗退の戦犯が何を言う!」

みほ 「私が愛したのは共に戦車道に励む仲間です。西住流ではありません!」

しほ 「出ていけ!」
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 19:55:04.36 ID:7PgEJZoz0
みほ (さようなら……私はもう戦車に乗りません)

しほ 「まほ、今日からずっと母と二人で西住流を守るのです」

まほ 「はい、お母様」
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 19:58:06.37 ID:7PgEJZoz0
ボコ (大洗に来たみほ)

みほ 「『オイラ、ボコだぜ』って本当にあのボコなの?」

みほ 「自惚れないで、彼女も居ないくせに」
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 20:00:49.72 ID:7PgEJZoz0
ボコ (この記憶は……)

みほ 「ボコ……ボコ……ボコ……!」

ボコ 「え……?」

みほ 「あの、私。あー……覚えて……ない?」

ボコ 「……誰? お前」

みほ 「はっ……!」

みほ (ボコなのに……)

ボコ (誰? 変な人間)

みほ 「あぁ……」

ボコ 「あのさあ! あんたの名前……」

みほ 「みほ! 名前は、みほ!」
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 20:07:29.95 ID:7PgEJZoz0
ジークン 「何、知り合い?」

ボコ 「いいや」

ドーラ 「だったらあいつ等食っても文句言うなよ」

ボコ 「好きにしな」
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 20:11:50.92 ID:7PgEJZoz0
沙織 「みぽりん、気持ちは分かるけど……」

麻子 「腹を括るんだ。あれは西住さんの知ってるボコじゃない」

華 (みほさんを悲しませたこと、高くつきますよ、ボコ)

優花里 (以前ボコ殿が自分に言った『その時はお前があいつを支えてやれ』という言葉は……)

優花里 (これだったのですか……)
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 20:20:37.76 ID:7PgEJZoz0
みほ 「相手が硬いです。もっと接近します」

沙織 「レオポンさんチーム撃破されました!」

優花里 「大洗だけでの事実上の殲滅戦。分が悪いです」

華 「諦めてはいけません」

麻子 「そうだ。誕生日が命日なんて洒落にならん」

みほ 「はい、勝って麻子さんのお誕生日会です……撃って!」

ドゴォン!

エリガン 「グアッ!」

華 「命中! ……まだ動いてます」

みほ (もっと接近しないと……)

みほ 「!」

みほ 「麻子さん、右に避けて!」

麻子 (間に合え!)

キュラキュラキュラキュラ!

ドオオン!

ジークン (躱したか)

麻子 (ギリギリ避けた。あの石投げてくる奴厄介だ)

ドグシャアッ!

バラバラバラバラバラ!

麻子 (今度は家屋の破片か!)

優花里 「西住殿!」

沙織 (まさか今のでキューポラから頭を出していたみぽりんが!?)

ドゴオッ!

優花里、沙織、華、麻子 「キャアアアッ!」

ボコ (景色が真っ暗になった……)

ボコ (戦車から投げ出されて気絶したのか……)
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 20:29:41.48 ID:7PgEJZoz0
ボコ (景色が復活した)

ボコ (あれはオイラ!?)

ボコ (何でオイラが華を食ってんだよ!)

ブチブチィ!

ボコ (ああ、オイラが華の下半身を食い千切ってる……)

みほ 「お母様……お姉ちゃん……」

みほ 「私は何も……なんっにも出来なかったよ!」

みほ 「うあああああああ!」

優花里 「そんなことありません、西住殿」

優花里 「西住殿聞いて下さい。伝えたいことがあります」

優花里 「私と一緒にいてくれてありがとうございます」

優花里 「私に戦車道を教えてくれてありがとうございます」

優花里 「私とデートに行ってくれてありがとうございます」

みほ 「デートなんていくらでもしてあげるよ」

みほ 「現世(これまで)も」

みほ 「常世(これから)も」

ボコ (オイラがみほと優花里をいっぺんに捕まえた……ああ!)

ボコ (止めろぉぉおお!)

バクンッ!
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 20:35:34.73 ID:7PgEJZoz0
ボコ (3ヶ月前のあの時、まだお前を知る前……!)

ボコ (お前はあの時、オイラに食われたんだ!)

ボコ (優花里も、あんこうチームの他の面子も……)

ボコ (この後……入れ替わったら……)

ボコ (今度は絶対に死なせるもんか!)
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 20:36:45.91 ID:7PgEJZoz0
今日はここまで。
読んで下さった皆さんありがとうございました。
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/19(月) 01:19:37.28 ID:aDFiK3ko0
はえー
すごい展開
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/16(日) 23:50:35.90 ID:nVs+grkq0
【大洗学園艦 演習場】

華 「優花里さんが気を失ったみほさんを咄嗟に受け止めてくれてホッとしました」

麻子 「まあ、入れ替わりだろう」

沙織 「ゆかりん、みぽりんのことお願いね」

優花里 「任せて下さい」

優花里 (気を失った西住殿、こうして抱き抱えていると本当に愛らしい寝顔で……)

優花里 (普段、戦車の中では凛々しい西宮殿ばかり見ているので新鮮です)

華 「ボコにも困ったものです。こうして紅白戦の最中に入れ替わられても面倒ですね」

麻子 「気持ちは分かるが、考えようによっては4号という密室内で入れ替わってくれるのは不幸中の幸いだ」

華 「みほさんの秘密を守る上では確かにそうですね」

ボコ 「ハッ!」

優花里 「入れ替わったようです」

ボコ 「はああぁっ……みほだ……生きてる……」

優花里 「どうしたんですか、ボコ?」

沙織 (何か様子が変?)

ボコ 「はあああぁ……優花里……生きてる! 優花里いいっ!」

ガシッ!

優花里 「ひっ!? ひいいいいいっ!」

華 「優花里さんに何してるんですか!? 離れなさいスケべべア!」

ボコ 「優花里ィ……優花里ィ……良かったあ……」

優花里 (西住殿に名前を呼ばれながら骨も折れんばかりに抱き締められてます……これで中身がボコでなければ……)

麻子 「こっちは操縦で手が放せない。沙織、何とかしてくれ」

沙織 「ボコ、何があったの?! 落ちついて。ホラ鼻水出てるよ……。ゆかりんは鼻血出てる!」

ドオオン! シュポッ!

麻子 (やられた……)
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/17(月) 00:01:09.74 ID:RykOpB6Y0
ノンナ 「命中……赤組フラッグ車からの白旗を確認」

カチューシャ 「ハッハッハッ! 紅白戦は私達白組の勝ちね。カチューシャの戦術をもってすればこんなものよ!」

ノンナ (あんこうチーム、こちらの動きに気づかなかったようですが何かあったのでしょうか?)
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/17(月) 00:08:56.93 ID:RykOpB6Y0
左衛門佐 「紅白戦はイカさんチームをフラッグ車とした我ら白組の勝ちか」

エルヴィン 「彼女らの加入で紅白戦の組み合わせのバリエーションが増えた」

おりょう 「この前のIS-2、ポルシェティーガー、我ら三突の3両とそれ以外の6両の紅白戦は面白かったぜよ」

左衛門佐 「さらにノンナ殿の指導で大洗の砲手は皆腕を上げているし、戦力以外の部分でも頼りになる」

カエサル 「まさかカメさんチームの砲撃精度も上がったのか?」

左衛門佐 「前言撤回……」
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/17(月) 00:15:34.65 ID:RykOpB6Y0
沙織 「落ち着いた?」

ボコ 「そんなことより! このままだと……」 

ボコ 「みんな死ぬ」

優花里、沙織、華、麻子 (えっ!?)

ボコ 「だからオイラ達で!」
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/17(月) 00:25:14.85 ID:RykOpB6Y0
沙織 (ショッキングな話聞かされちゃった)

華 「つまり、このまま学園に残れば私達は全員死ぬと?」

ボコ 「そうだ。死にたくなければお前ら早くここから避難しろ」

麻子 「その話が本当だという証拠は?」

ボコ 「証拠は無い……でもオイラは見たんだ! 人が居なくなった学園艦を。さっき話した通りお前の婆ちゃんにも会った」

麻子 「にわかには信じられない」

華 「もし貴方の話が本当なら、貴方は同族を裏切ってまで私達を助けようとしていることになります。そこまでする動機は何ですか?」

ボコ 「動機もヘッタクレもねえ! お前らの為に言ってんだぞ、分からずや!」

優花里 「ボコ殿」

ボコ 「?」

優花里 「私はこの学園艦で生を受け、今日まで生きて来ました」

優花里 「物心ついてから今まで、この大洗には沢山の思い出が詰まっています」

優花里 「ボコ殿はその私に、戦わずに生まれ故郷を捨てて逃げろと言ってるのです」

優花里 「納得のいく説明をして下さい」

沙織 「ゆかりん……」
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/17(月) 00:31:12.63 ID:RykOpB6Y0
久し振りの投稿ですが今日はここまで。
読んで下さった皆さんありがとうございました。
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/17(月) 13:50:41.76 ID:RykOpB6Y0
>>174でミスがあったので以下と差し替えて読んで下さい。すみません。

【大洗学園艦 演習場】?

華 「優花里さんが気を失ったみほさんを咄嗟に受け止めてくれてホッとしました」?

麻子 「まあ、入れ替わりだろう」?

沙織 「ゆかりん、みぽりんのことお願いね」?

優花里 「任せて下さい」?

優花里 (気を失った西住殿、こうして抱き抱えていると本当に愛らしい寝顔で……)?

優花里 (普段、戦車の中では凛々しい西住殿ばかり見ているので新鮮です)?

華 「ボコにも困ったものです。こうして紅白戦の最中に入れ替わられても面倒ですね」?

麻子 「気持ちは分かるが、考えようによっては4号という密室内で入れ替わってくれるのは不幸中の幸いだ」

華 「みほさんの秘密を守る上では確かにそうですね」

ボコ 「ハッ!」?

優花里 「入れ替わったようです」?

ボコ 「はああぁっ……みほだ……生きてる……」?

優花里 「どうしたんですか、ボコ?」?

沙織 (何か様子が変?)?

ボコ 「はあああぁ……優花里……生きてる! 優花里いいっ!」?

ガシッ!?

優花里 「ひっ!? ひいいいいいっ!」?

華 「優花里さんに何してるんですか!? 離れなさいスケべべア!」?

ボコ 「優花里ィ……優花里ィ……良かったあ……」?

優花里 (西住殿に名前を呼ばれながら骨も折れんばかりに抱き締められてます……これで中身がボコでなければ……)?

麻子 「こっちは操縦で手が放せない。沙織、何とかしてくれ」?

沙織 「ボコ、何があったの?! 落ちついて。ホラ鼻水出てるよ……。ゆかりんは鼻血出てる!」?

ドオオン! シュポッ!?

麻子 (やられた……)
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/16(水) 01:12:56.16 ID:9RoNFDS90
絹代 「本日はお招き頂きありがとうございます」

杏 「悪かったねえ。元々話を聞きたいって言ったのはこっちなのにわざわざ来てもらって」

絹代 「いえ、私としても久しぶりに生の戦車戦を見たかったので。試合を観戦させて貰い、勉強になりました」

絹代 (叶うことなら大洗と練習試合をしたかったが避難所暮らしの身としてはそうもいかない)

絹代 (今試合を組むということは、現在知波単の戦車を預かってくれているサンダースの手を煩わせることになる)

絹代 (サンダースのケイ殿は懐の広い方だが、だからといって甘え過ぎるものではない。隊員達の練度が下がるのは気になるが今は我慢だ)

杏 「後で干しイモ食べながらゆっくりと話そうよ」

絹代 「はい、ご馳走になります。ところで西住殿は?」

杏 「4号内で敗因分析中」
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/16(水) 01:15:06.90 ID:9RoNFDS90
沙織 「ボコを一人4号に残しておいて良かったのかな」

麻子 「他のチームが4号に乗ってくることは滅多にないだろう」

華 「お互いに頭を冷やす時間が必要です」

優花里 「……」

麻子 「秋山さん?」

優花里 「はい」

麻子 「しばらく黙り込んでたから……思うところがあるなら言って欲しい」

優花里 「はい、……ボコ殿が嘘をついているとはどうしても思えないんです」

優花里 「それに西住殿が信頼している相手なら私も信じたいですし……」

麻子 「悪いがその考えは危険すぎる」

麻子 「諸々類似点はあるが、西住さんが好きなクマのマスコットと自然災害に匹敵する巨大海洋不明生物はまるっきり別物だ。尤も、片方がもう片方の名前の由来くらいにはなったのかもしれないが」

華 「改めて思うと何の因果でしょうね。みぽさんとボコが不定期で入れ替わるなんて」

優花里 「西住殿のボコへの想いが奇跡を起こしたのでしょうか?」

華 「そういえば入れ替わりの話をみほさんが初めてしたのは神社へのお参りの後でした」

沙織 「だったら私も神社の階段で叫べばいいのかな? 『東京のイケメン男子にして下さーい!』って叫んだら私もハンサムな都会っ子と入れ替わってそこから大恋愛に発展とかしちゃうかも?」

麻子 「流石にそれは無理があるだろ」

沙織 「もー! ヒドイよ」

華 「ボコがあの海洋不明生物の中で最弱というのが難点です。彼がボコラ達の中で最強だったら他の人喰い生物共を大人しくさせたでしょうけど」













カチューシャ (ミホーシャに会いにいこうとしたらとんでもない会話を聞いた……)

カチューシャ (あいつら……よくも!)
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/16(水) 01:44:24.68 ID:9RoNFDS90
ボコ (オイラはあいつらを助けたいだけなのに……)

ボコ (死んでしまったみほの記憶を知って……いや……違うな)

ボコ (みほは死んだんじゃない、オイラが殺したんだ)

ボコ (麻子の婆ちゃんの言う通り……オイラは大量殺人鬼……)

ボコ (嫌だ、もう人間を喰いたくない。ここで未来を変えないと――)

カチューシャ 「ミホーシャ」

ボコ 「ウォッ!?」

カチューシャ 「何ビビッてんのよ」

ボコ 「いや……いえ、急に声かけられたから」

ボコ (こいつ誰? パンツァージャケット来てるってことは大洗の生徒か?)

ボコ (流石にこの小っこいのが高校生っておかしいだろ?)

ボコ (しまった! 今回入れ替わってからまだ交換日記読んでねえ)

カチューシャ 「何顔引きつってんのよ、とりあえず入るわよ。あんた達もいらっしゃい!」

ノンナ、ニーナ、アリーナ 「はい」

ボコ (色々4号に乗り込んできやがった。こいつらの情報がねえ……どう切り抜ける?)
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/16(水) 02:12:53.88 ID:9RoNFDS90
【大洗学園艦 校舎 生徒会室】

杏 「西住ちゃんそのうち来るだろうからちょっと待っててね」

絹代 「はい、ところで話というのは……?」

杏 「申し訳ないけど……知波単で何があったか聞かせて欲しい」

絹代 「……察しはついてました」

杏 「他校の生徒に傷を抉るようなことを聞くのもどうかと思うけど、こっちも余裕が無いのよ」

杏 「カチューシャは断固戦うべきだといった。ボコラとも、文科省とも。そして彼女の決意に絆されて私もその気になった」

杏 「でもね、その目的を達成する為に何人犠牲が出るのかなと思ってね」

杏 「目的の為なら逆らう相手を退学にするって脅す位ならやるよ。でも学校の為に死ねなんて相当テンション上げても言うのはキツイ……」

絹代 (戦うべきか戦わざるべきが……判断材料が欲しくて私から話を聞きたかったということか)

桃 「会長!?」

杏 「今取り込み中なんだけど」

桃 「すみません、一大事なもので」

杏 「何?」

桃 「カチューシャ達が西住を拉致しました!」

杏、絹代 「!」

桃 「先程会長には電話したのですが出て頂けなかったので……」

杏 (そっか、知波単の隊長と話す前に携帯の電源切ってたから)

絹代 「西住殿の行方は?」

桃 「紅白戦で撃破されなかった戦車が追ってはいるが……」

杏 「すまない、聞いての通りだ、話はまた今度聞かせて欲しい」

絹代 「分かりました、私もウラヌスでカチューシャ殿を追います」

杏 「生徒会もヘッツァーを出すよ」

桃 「はい、柚子が先に倉庫に向かっています」
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/16(水) 02:28:14.20 ID:9RoNFDS90
カチューシャ 「あんたがミホーシャじゃないって少し会話すれば分かるわよ!」

ノンナ 「最初にカチューシャから話を聞かされたときは半信半疑でしたが、私の名前を『ナンノ』と聞かされてそのまま納得した時点で明らかにみほさんではありません」

ボコ 「フガガ、フガガガガ!」

ボコ (チキショウ! おいらを拘束する時に猿轡しやがって! 口が聞けねえ!)

カチューシャ 「今は大人しくしてなさい。後で好きなだけ話させてあげるわ。あんた達プーガロのこと全部ね!」

ボコ (あんこうチーム以外の連中に入れ替わりを知られただけでもマズいってのに。このままじゃ大洗を助けるどころか……)

アリーナ 「攫うどこばを見きゃれたのは失敗だ」

カチューシャ 「フン、そんなの大洗の戦車を全部やっつけちゃえばいいのよ」

カチューシャ 「こんな大事なことを隠してた大洗の奴らなんか……」

カチューシャ 「『地吹雪のカチューシャ』の恐ろしさをたっぷりと味わうといいわ!」
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/16(水) 02:29:22.03 ID:9RoNFDS90
今日はここまで。
読んで下さった皆さんありがとうございました。
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/31(木) 00:39:24.96 ID:wRscRV4K0
ぴよたん 「 めちゃくちゃだっちゃ……」

ねこにゃー 「イカさんチームは何で暴れてるにゃー……」

ももがー (呆気なく撃破されたナリ……)

みどり子 「紅白戦が終わった直後で動ける戦車が少ない時に不意討ちなんて校則違反どころじゃないわよ!」

ツチヤ 「せめて4号が紅白戦で無傷だったら……」

ホシノ 「4号は車長を人質に取られてる時点で詰んでるって」
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/31(木) 00:47:32.70 ID:wRscRV4K0
桃 「柚子!」

柚子 「ごめん、私もやられた……」

桃 「砲手無しじゃ逃げ回るしかなかっただろう」

杏 「河嶋が乗ってても当たんないじゃん」

桃 「会長!」

柚子 「それよりも……もう動ける戦車が残ってません」
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/31(木) 00:55:49.99 ID:wRscRV4K0
優花里 「西住殿を返して下さい!」

カチューシャ 「こいつはミホーシャじゃないでしょ! 知ってんのよ!」

優花里 「!」

麻子 (私達あんこうチームの会話を聞かれてしまったか、迂闊だった)

カチューシャ 「生徒会、よくもこのカチューシャを騙したわね!」

桃 「何を言っている!?」

杏 「話が見えないんだが」

カチューシャ 「しらばっくれる気!? こんな大事なこと隠しといて!」

沙織 「カチューシャさん、生徒会は本当に何も知りません! あんこうチームだけの秘密だったんです!」

カチューシャ 「カチューシャがここに来た経緯は知ってるわよね!? カチューシャ達がどんな思いでここに流れ着いたか」

カチューシャ 「それが……不倶戴天の敵がこんな近くに居たなんて……」

華 「みほさんだって悲劇を繰り返さないようこれまで必死に動いてました。皆さんに打ち明けなかったのは無用な混乱を避ける為です!」

カチューシャ 「事前に打ち明けてくれたら今の混乱は避けられたでしょうね」

華 「クッ……」
190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/31(木) 01:04:43.91 ID:wRscRV4K0
優花里 「西住殿を返して貰います」

カチューシャ (生身でIS-2の前に? フン、どうせハッタリよ!)

カチューシャ 「そこを退きなさい」

優花里 「退きません」

カチューシャ 「退かないとキャタピラの錆になるわよ!」

優花里 「……」

ビシッ!

絹代 (あれは陸自の敬礼!)

優花里 「自分は既に戦車道に心臓を捧げた者!」

優花里 「戦車によって死ぬるなら本望!」

カチューシャ 「だったら……」

カチューシャ 「もしこいつらが喰ったのがミホーシャでもあなたは同じこと言ってあいつ達を庇うの?」

優花里 「それは……」
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/31(木) 01:15:06.26 ID:wRscRV4K0
カチューシャ 「カチューシャはプラウダで……クラーラがこいつらに喰われるところを見たわ」

カチューシャ 「大勢の仲間が喰い殺される姿を見ておきながら、おめおめと引き下がるしかなかったカチューシャの気持ちが分かる!?」

カチューシャ 「この辛さを知らない人間なんかに、カチューシャを悪く言う資格なんて無いわ!」

ナカジマ 「カッちゃん……」

絹代 「ならば……」

絹代 「私にはその資格が有る筈です!」
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/31(木) 01:16:32.59 ID:wRscRV4K0
今日はここまで。
読んで下さった皆さんありがとうございました。
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/31(木) 11:45:38.44 ID:2IAHRs6/0
めっちゃおもろいやん
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/12(火) 16:16:30.30 ID:TyQg+cDPO
追い付いた
1レス目見たときは元ネタの多さにゲッってなったけど読んでみたら面白かった
ケイさんが似合ってる。バッコーラでワロタ
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/13(水) 20:40:04.27 ID:i3CXSKLT0
優花里 (西殿!)

絹代 「知波単で、共に戦車道に励んできた仲間が英霊になったことをご遺族にお伝えした時、私はその場で泣き崩れました」

絹代 「私も死んでいった仲間やご遺族の悲嘆にくれる姿が瞼に焼き付いて離れません」

絹代 「その度に自責の念にかられ、生き恥を晒す位ならあの時散っていればと何度も思いました」

絹代 「それでもこうして生きているのは、英霊とご遺族の方々に対して生き残った者として責任を果たす為です」

絹代 「そしてそれは他者を憎むだけでは成しえない。仲間と手を取り合い、何が出来るか、何をすべきか見極めることも大事な筈です」

優花里 「そうです!」 

優花里 「西住殿はこれまでボコと絆を築いてきました。だからこそボコは私達を助けようとしてるんです」

優花里 (そう、今なら分かります)

優花里 (何故自分がボコ殿の言葉を素直に信じられなかったか、いや、信じたくなかったか)

優花里 (自分はボコ殿に嫉妬していたのです)

優花里 (彼が西住殿を救うことで、西住殿の中で彼の存在がこれ以上大きくなることを恐れたのです)

優花里 (西殿、感謝します。おかげで目が覚めました。自分は危うく道を踏み外すところでした)
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/13(水) 20:54:16.60 ID:i3CXSKLT0
優花里 (自分はもう迷いません)

優花里 「彼が提供する情報こそが、西住殿の齎した成果です!」

優花里 「それを活かすも殺すも今後の私達の行動にかかっています!」

優花里 「それを端から否定すると言うのなら、彼の持つ情報の価値を説きます!」

カチューシャ 「で、その情報が虚偽だったら、奴が私達を裏切ったらどうするつもり?」

絹代 「その時は刺し違えてでも彼を討ちます!」

カチューシャ 「ミホーシャはあんたを恨むわよ」

絹代 「それでも……責任を果たします。特攻も覚悟の上です!」

カチューシャ 「……」

カチューシャ 「プラウダの全隊員に命令するわ」

カチューシャ 「私から新たな指示があるまで絶対にミホーシャにもボコにも手出ししないこと」

カチューシャ 「背いたらカチューシャの名の元に粛清よ、いいわね」

ノンナ 「仰せのままに」

アリーナとニーナ 「分かりますたぁ」

絹代 「カチューシャ殿……」

カチューシャ 「今回だけよ! このカチューシャが話を聞いてあげたんだから感謝しなさい!」

優花里 「ありがとうございます!」
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/13(水) 21:02:51.42 ID:i3CXSKLT0
みほ 「ンーッ、フグ……フーッ!」

ノンナ 「カチューシャの寛大な処遇に感謝して下さい。猿轡を外します」

みほ 「……プハァ、ハァ、ハァ……あの……」

ノンナ 「何ですか?」

みほ 「ノンナさん、どうして私縛られてるんですか?」

ノンナ 「……みほさん?」
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/13(水) 21:15:29.25 ID:i3CXSKLT0
【大洗学園艦 校内 戦車倉庫】

ナカジマ 「カッちゃん、そこの工具箱取って来て」

カチューシャ 「ノンナ、聞こえたわね」

ナカジマ 「私はカッちゃんに頼んだんだけど」

カチューシャ 「カッちゃん言うな!」

ナカジマ 「カッちゃんのせいで自動車部の仕事が無駄に増えたんだけど。あー今夜は徹夜かな」

カチューシャ 「分かったわよ」

トボトボ……

スズキ 「1年生が2人も自動車部に入ってくれるなんて嬉しいね」

アリーナ (今回の騒動ば不問さ附す為の条件が、わんど二人の自動車部加入のんて)

ニーナ (プラウダさ居た時かきや戦車の整備さは慣れてたばって、わんどの意思はあって亡きが如しだ)

ノンナ (私はバレー部への入部か……)
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/13(水) 21:25:36.16 ID:i3CXSKLT0
【大洗学園艦 校内 生徒会室】

桃 「会長、プラウダへの処遇甘過ぎませんか?」

杏 「でもこれで3年生3人が卒業したら自動車部が1人になってしまう事態は避けられたじゃん。それにバレー部にも恩を売れたでしょ」

柚子 「バレー部の皆、泣いて喜んでたわね。これで対外試合が出来るって」

杏 「それに今はもっと他に片付けたい問題があるからねー」

杏 「と言う訳で今まで秘密にしてたこと、全部話して貰おうか」

杏 「西住ちゃん」

みほ 「……」

優花里 「……」

華 「……」

麻子 「……」

沙織 「……」

絹代 「あの……私がこの場に同席してもよろしいのでしょうか?」

杏 「頼むよ、遠慮無く意見を聞かせて欲しい」

みほ (ボコの馬鹿……)
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/13(水) 21:31:32.28 ID:i3CXSKLT0
今日はここまで。
200レス到達するのに4.5ヶ月、筆が遅スギィ!
それでも年内には完結させたいです。
読んで下さった皆さんありがとうございました。
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/14(木) 02:13:23.04 ID:I46zf05Lo
完結するなら来年内まで延びても良いよ
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/14(木) 07:45:34.70 ID:0AGU/yv5O
乙ラ
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/18(月) 22:16:32.78 ID:a8+DvgQT0
柚子 (信じていいのかしら? 嘘をついてる様には見えないけど)

杏 (たまげたねえ……)

絹代 (さっきは状況がよく分からないままカチューシャ殿を止める為に声を上げたが……そんな驚天動地な現象が起きていたとは……)

桃 「そんな大事なこと、何故今まで黙っていたッ!?」

みほ 「すみません。……話したらきっと大騒ぎになると思って」

桃 「だからと言って! 今回の騒ぎが無かったらお前はずっと隠し事を続けるつもりだったのか!?」

華 「失礼ですがそれはお互い様ではありませんか?」

桃 「何だと?」

華 「生徒会も、試合に負けたら廃校という話を長い間隠してました」

桃 「そんなこと話せる訳無いだろう! もし話していたら……」

華 「話していたら?」

桃 「それこそ……騒動に……」

華 「私達も同じです」

桃 「チッ!」

華 「……」
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/18(月) 22:32:00.07 ID:a8+DvgQT0
華 「それにボコは生徒会に不信感を持っていました」

杏 「言うねえ」

華 「私はボコに言われました」

華 「次の生徒会長になって今の生徒会長をボコれと」

桃 「貴様!」

優花里 「今の話は本当です」

麻子 「そんな状態でボコを生徒会に引き合わせたらトラブルになっていた可能性が高いです」

みほ 「ただ、これだけは信じて下さい」

みほ 「ボコは我々人類の味方です!  ボコをよく知る私に言わせれば、彼は見た目よりずっと単純なんです!」

麻子 (見た目より?)

沙織 「ボコは生徒会の西住さんへの仕打ちに怒っていました。先輩方にも事情がお有りだったとは思いますが、ボコは子供なのでそこまで推し図れないんです」
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/18(月) 22:42:49.49 ID:a8+DvgQT0
柚子 「私達生徒会失格ね」

桃 「柚子……?」

柚子 「学園存続の為に憎まれ役になるのは厭わなかったけど……」

柚子 「だからと言ってそれが西住さんの優しさに付け込んだ免罪符にはならない」

柚子 「西住さん、今まで本当にありがとう。そしてごめんなさい」

みほ 「いえ、そんな……私は大洗で戦車道が出来たことが嬉しいんです」

みほ 「もしここで戦車道をやってなかったら、私はずっと自分の過去に背を向けたままでしたから」

みほ 「私は大洗で皆さんと戦車道が出来たことに感謝しています」

優花里 「西住殿ォ……」

杏 「……」
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