アンチョビ「助けてくれ西住! まほが口をきいてくれないんだ!」

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1 :※百合注意 [saga]:2017/06/01(木) 23:54:36.33 ID:saY3d3iWo

みほ「きゅ、急に電話がきたと思ったら……」

みほ「何があったんですか?」

アンチョビ『うう……』

アンチョビ『もう3日も口をきいてくれなくて……』

みほ「……同じ大学だったからルームシェアするんだー、って言ってから、いつも仲良くしてましたよね」

アンチョビ『ああ……』

アンチョビ『その、一緒に住む内にこう、絆が深まったっていうか……』

アンチョビ『毎朝おはようの囁きからはじまって、朝食に対しても褒めてくれてて……』

アンチョビ『そういう日常が崩れてしまうのかと思うと、どうしたらいいのか……』

みほ「何かあまり聞きたくないし知りたくもなかった身内の一面が見えそうなので切りますね」 ピッ

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1496328876
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 00:00:10.16 ID:y+SaLuxPo

みほ「ふう……」

みほ「お姉ちゃん、女同士で付き合うのとかは全然いいんだけど……」

みほ「……イメージ崩れるというかなんというか……」

みほ「身内のそういう意外な一面的なのはなあ……」 ハァ

ピンポーン

みほ「……」

ピンポーン

ピンポーン

みほ「……まさか……」 ノゾキー

覗き穴の向こうの人影「……」 チョビーン

みほ「……」

みほ「ボコの円盤見なくっちゃ」

アンチョビ「うぉーい!? 西住ーっ!?」 ドンドンドン 
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/02(金) 00:21:12.65 ID:SxVjnodQ0
期待
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 00:25:28.50 ID:y+SaLuxPo

アンチョビ「ほら! お土産も持ってきてるんだ!」

アンチョビ「手ぶらじゃ悪いと思って……!」

みほ「……」

アンチョビ「皆で食べられるように赤福餅と……」

みほ「……」

みほ(キオスクで買えるやつだ……)

アンチョビ「前に地元に帰った時に買ったドラゴンズユニフォームボコストラップ」

みほ「いらっしゃい汚いところですがどうぞ上がって下さい飲み物紅茶でいいですか?」 ガチャ

アンチョビ「あ、ああ……」

アンチョビ(変わり身早すぎてちょっと引くな……やっておいてなんだが……)
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 00:36:45.29 ID:y+SaLuxPo

みほ「アールグレイでいいですか?」

アンチョビ「ああ、すまんな気を使わせて」

みほ「大丈夫ですよ」

みほ「毎週のようにダージリンさんから届く紅茶の処理に困ってた所ですし」

アンチョビ「ああ、あの部屋の隅のダンボールの山って……」

みほ「……」

みほ「確かに大学生の方や聖グロリアーナと戦えるのは大洗にとって大きなプラスですけど……」

みほ「こうも頻繁に対戦申込みと贈り物を貰ってしまうと……」

アンチョビ「アイツ、西住にご執心だもんなあ」

みほ「特にダージリンさんのツテで大学生と練習試合をする度に、大学の良さをアピールされてしまって……」

アンチョビ「一緒の大学に来てほしいんだろうなあ……」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 00:50:10.21 ID:y+SaLuxPo

みほ「それで……」

みほ「お姉ちゃんと喧嘩でもしたんですか?」

アンチョビ「ん……まあ……」

アンチョビ「詳細はちょっ……と語りにくいんだが……」

みほ「……?」

みほ「でも詳しく聞かないと、アドバイスが難しいような……」

アンチョビ「うーん、まあ、そうなんだけどなあ……」

アンチョビ「こう、まほならコレやればすぐ仲直り!みたいなのは――」

みほ「えー……そんなのさすがに……」

みほ「っていうか、そんなのある人の方が少ないんじゃ……」

アンチョビ「うーん、やっぱりそうだよなあ」

アンチョビ「アンツィオの連中なら、どんなに不機嫌でもパスタを茹でたらニッコニコだったのになあ」

みほ「飼いならされきったチワワ以上のチョロさ……」
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 01:06:23.56 ID:y+SaLuxPo

アンチョビ「いや、まあ、私としては、こうなっちゃった原因を言ってもいいんだけど……」

みほ「けど……?」

アンチョビ「いや、西住が嫌な思いするかもなあ、って」

みほ「へ……?」

アンチョビ「ほら、その、なんだ」

アンチョビ「自分の姉の、こう、なんていうか、その」

アンチョビ「ちょーっと、こう、性的な面的なのを知ってしまう可能性が」

みほ「あ、はい言わなくていいですさすがにそれはちょっと聞きたくないので」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 01:27:05.55 ID:y+SaLuxPo

みほ「それで、お姉ちゃんと何やかんやあって、口をきけてないんですね」

アンチョビ「ああ……」

みほ「それでわざわざ都心部から大洗まで来たんですか」

アンチョビ「うう……」

アンチョビ「だってあの空気が辛くて……」

みほ「……そんなにピリピリしてたんですか?」

アンチョビ「ああ……」

アンチョビ「逸見とブリザードのノンナとアッサムを足して割らないような感じのピリピリ具合だったんだ」

みほ「地獄か何か?」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 01:55:49.67 ID:y+SaLuxPo

みほ「でも、珍しいですね」

みほ「アンチョビさんなら、なんとか上手く仲直りしそうなのに……」

アンチョビ「……いや、なんだ、私も、一応どうにかしようとはしたんだよ」

アンチョビ「そりゃ、喧嘩みたいになっちゃったし、気まずかったけどさ」

アンチョビ「でも、だからって、まほのことが嫌いになったとかじゃないし……」

みほ「アンチョビさん……」

アンチョビ「だからちゃんと夕食も普段通り作ったし、お風呂のときも着替えの準備もしてあげたりしたんだ」

みほ「へえ……そうなんですね……」

優花里「いい彼女というよりも、もはやいいお母さんに近いですね」

アンチョビ「うわぁぁ!?」

優花里「おじゃまします」

アンチョビ「び、び、びっくりした……」 バックンバックン

みほ「身内以外からの意見もあった方がいいかと思いまして……」

優花里「秋山優花里、参上いたしました!」
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 02:20:29.93 ID:y+SaLuxPo

優花里「まあ話は大体通話状態にしてもらってた携帯越しに聞かせてもらってましたよ」

優花里「……でもそこまでしてあげてるなら、さすがにあの西住まほ殿といえど、話をしてくれるんじゃ……」

アンチョビ「……それが……」

アンチョビ「食べて、くれなかったんだ……」

みほ「え?」

アンチョビ「折角頑張って作ったのに……」

アンチョビ「手をつけてくれないし、理由も言ってくれないし……」

アンチョビ「気付いたらテーブルの上に、サイゼリヤのレシートが置いてあって……」

みほ「何それ、ひどい……」

アンチョビ「ミラノ風ドリアが食べたいなら言ってくれたらいくらでも作ったのに!!」

優花里「あ、そこなんですね」

アンチョビ「勿論サイゼリヤに負けたこと自体もショックだ!」

アンチョビ「……いや、やっぱり、一番ショックだったのは、一生懸命作ったのに食べて貰えなかったことだ……」

アンチョビ「あれは……堪えた」

アンチョビ「堪えすぎて……」

アンチョビ「その……」

みほ「?」

アンチョビ「まほの部屋の前で、私だってもう絶対口きいてやらないし二度と話かけてやらないって言っちゃったんだよおおおおお!」 ウワーン

優花里「怒ることに慣れてないからたまに怒ると暴走しちゃうんですかねえ」

みほ「でも普段怒ってる逸見さんも平気で暴走して超えちゃいけないライン超えちゃってたよ」
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 03:09:29.33 ID:y+SaLuxPo

アンチョビ「そんなわけで、私から喋りかけ辛くって……」

優花里「なるほどー」

みほ「お姉ちゃんの言い分を聞いてないし、喧嘩の発端も分からないけど……」

みほ「でもアンチョビさん視点だと、お姉ちゃんに非があるよね……」

アンチョビ「うう……」

アンチョビ「仲直りはしたいけど、でも、その、悪くない所まで謝るのもなあって思ってさ」

アンチョビ「……私だけが一方的にへりくだるんじゃなくて、二人で謝罪し合いたいなd」

アンチョビ「そのためのアドバイスがどうしてもほしくてさ」

みほ「うーん……」

みほ「お姉ちゃん、ナチュラルボーン勝者って感じだから、その辺謙虚になれるかな……」

優花里「完全無欠って感じですし、謝罪とか慣れてないイメージ有りますよね」

アンチョビ「い、いや、さすがにそんなことはないと思うが……」

みほ「でも、こっちから折れて、味をしめられても困るかも」

優花里「確かに、何か揉めたらアンチョビ殿が折れる、というのがパターン化すると、向こうはそれを見越してしまって今後謝ってこなくなる恐れがありますもんね」

アンチョビ「そ、そうかあ?」

優花里「そうですよ!」

優花里「私なんて、何か揉める度に地べたに額をこすりつけるのが習慣になってしまってますし!」

アンチョビ「うわぁ何それ聞かなかったことにしていいやつ?」
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 03:34:04.10 ID:y+SaLuxPo

優花里「こうなれば徹底抗戦するしかないのではないでしょうか」

優花里「持久戦に持ち込めば、なんとかなるかもしれませんし……」

アンチョビ「ちょ、長期戦はダメだ!」

優花里「「……と、言いますと?」

アンチョビ「……」

アンチョビ「その、一緒に住んでるんだし……」

アンチョビ「そんなに長いこと会話しないなんて不可能だだろ!」

アンチョビ「そ、それに……」

アンチョビ「寂しくて、こう、耐えられるわけないじゃないかあっ///!」

優花里「大丈夫ですよ、2ヶ月誰とも口をきかずにいたことがありますが、全然余裕でしたから」

みほ「私も黒森峰でやらかしちゃった後はそういうことになったけど……」

みほ「3ヶ月くらい誰とも話さないと、声の出し方を忘れるメリットが――」

優花里「確かにそうなんですよねえ」

優花里「私の場合は利便性が高い「ありがとうございました」だけは店員さんとかに使ってたので、そこまででしたね」

アンチョビ「胸が痛くなる新情報がポコポコ出てきてついていけないんだけど」
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 03:37:10.90 ID:y+SaLuxPo

みほ「長期戦は駄目、こちらから謝罪も難しいとなると――」

みほ「お姉ちゃん自ら声をかけさせるしかありませんね」

優花里「……そんなことができるでしょうか?」

みほ「……」

みほ「とりあえず明日、東京に出ましょう」

優花里「え?」

みほ「ケータイでアンチョビさんに指示を出したり現地の状況を伺います」

みほ「でも、電話のやり取りには限界がありますし……」

みほ「いつでもアンチョビさんのフォローが出来るようにしておかないと……」

みほ「ボコカフェもやってますし……」

アンチョビ「目的そっちなら無理しなくていいんだぞ?」

みほ「いえ」

みほ「交通費まで出してもらうのにそこまで甘えるわけには……!」

アンチョビ「何かしれーーーーっと私持ちにされてるんだけど」

アンチョビ「いやまあ助けてもらうからいいけどさ……」
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 03:45:10.92 ID:y+SaLuxPo

みほ「そうと決まれば作戦会議ですね」

優花里「思わず西住まほ殿が喋りかけたくなるような何かを考えるんですね!」

みほ「はい」

みほ「心の岩戸に閉じこもったお姉ちゃんを引っ張り出すために、ついつい気になることをする――」

みほ「名付けて、どんちゃん作戦です!」

アンチョビ「お、おお……?」

優花里「天岩戸のためどんちゃん騒ぎをした神々のようなものですもんね、私達!」

みほ「うん」

みほ「実際にどんちゃん騒ぎをするわけじゃないけど……」

みほ「気になって声をかけさせればいいんだったら、方法はありますから」
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 03:48:11.75 ID:y+SaLuxPo











まほ「…………ん」

まほ「うー……頭が痛い……」

まほ「サイゼリヤでワインなんて飲むもんじゃないな……」

まほ「安斎も絶対怒って夕飯なんて作ってくれてないと思ったのに、まさか作ってくれているなんてなあ」

まほ「食べすぎて腹いっぱいだったから手をつけられなかったのはもったいなかったな……」

まほ「口を開くと吐きそうだったから、直接食べれない旨は言えなかったが――」

まほ「レシートを置いておいたから伝わってるはず……」 ノソノソ

まほ「安斎……?」

まほ「まだ居ないのか……」

まほ「……」

まほ(少し――私も大人気なかったかな……)
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 03:51:36.77 ID:y+SaLuxPo
あまりに眠いので一端中断します
今夜の透華で終わらせたい
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/02(金) 04:25:33.25 ID:w5Z8nrsUo
やっぱり対話は大事やな
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/02(金) 06:19:34.90 ID:MMxT0brb0
逸見に辛辣で笑う
今夜楽しみにしとるで
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/02(金) 08:24:36.64 ID:KtH4y6dSO
咲スレだったかな?
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/02(金) 10:33:42.00 ID:mD9U4/uyO
姉妹電話で探り入れればええのに
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/02(金) 12:37:12.19 ID:FTFBfsUKO
乙です!
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/02(金) 21:06:57.60 ID:yrXWJM9eO
まほもコミュニケーション下手そうだから、すべてはアンチョビ にかかっている
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 22:30:50.38 ID:y+SaLuxPo
眠気で結構誤字ってるけど、脳内補完してもらえればと思います
>>12のメリットはデメリットの間違いです
投下します
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 22:43:53.92 ID:y+SaLuxPo

まほ「……」

まほ(広いな……)

まほ(一人になると、ルームシェア用の部屋はこんなに広く見えるのか……)

まほ「……」

まほ(ま、まさか帰ってこないなんてことはないよな……!?)

まほ(いや、でも、突然出ていって向かうところと言えばアンツィオの学園艦か実家だよな……)

まほ(どちらだとしても、まさか長く帰ってこないんじゃ……)

まほ「……」

まほ「安斎の写真……」

まほ「うう……このまま写真相手に一人遊びをする寂しい人生になってしまうのか……?」

まほ「うう……安斎ぃ……」

まほ「さみちいよう」 メソメソ

ガチャッ

まほ「ッ!!!!」

アンチョビ「……」

まほ(か、帰ってきた!?)

まほ(いかんいかん、威厳とかイメージとかあるし早く写真を戻して――)

バラバラバラ

まほ(うわああああああ棚の上の物が!ああ!)

アンチョビ「……」

アンチョビ「!」

アンチョビ(棚の上の物が落とされてる……)

アンチョビ(二人で取った写真まで落とされてて……)

アンチョビ(ぜ、絶対まだ怒ってるけど……)

アンチョビ(で、でも、物に当たるくらいなら、不満を真正面から言ってくれればいいじゃないかっ……!)

アンチョビ(もう! こうなったら絶対向こうから謝らせてやるんだからなっ!)
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 22:48:51.88 ID:y+SaLuxPo

まほ(と、とりあえず、あとで片付けるとして……)

まほ(ま、まずは振り返って、おかえりを言おう……)

まほ(多分安斎は怒ってる……ただいますら言ってないもんな……)

まほ(まずはおかえりを言って、それで――)

まほ「――――――――!?」

アンチョビ「……」

アンチョビ「……」 スッ

まほ(え、ちょ、何ッ……!?)

まほ(顔がちょっと悲しそうかつ怒ってるのは、予想はしてたけど……)

まほ(安斎のやつ、なんで――)

まほ(なんで頭にチョココロネをつけているんだ……!?)
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 22:54:40.18 ID:y+SaLuxPo

優花里「それにしてもさすが西住殿、軍師ですね……」

優花里「まるでドリルヘアーのようにチョココロネを頭に装備する」

優花里「突然喧嘩中に同居人がそんな行動に出たら、何があったか声をかけずにはいれませんよ!」

みほ「お姉ちゃんは、そう簡単には素直になれないと思うんです」

みほ「ずっとお母さんに西住流後継者としてのあり方を強いられて来たから……」

みほ「常に未来の西住流後継者として相応しいようクールぶらされてるし……」

みほ「そんなお姉ちゃんを正攻法から破れるかどうかは怪しいです」

みほ「アンチョビさんの対人火力があれば可能そうですが……」

優花里「我々は、二人の間柄を詳しく存じ上げてるわけじゃありませんもんねえ」

みほ「スペックも分からないのに、真っ向からは仕掛けられない」

優花里「そこで搦手! 頭にチョココロネを装備することで、思わずツッコませようというんですね!」

みほ「はい」

みほ「名付けて、ぱくぱく作戦です!」

みほ「仲直りして、頭につけた2つのチョココロネを2人でぱくぱくするのがゴールですから!」
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 22:58:34.89 ID:y+SaLuxPo

アンチョビ(う、うおおおおおおおおおお)

アンチョビ(恥ずかしいいいいいいいい)

アンチョビ(こっちも声かけてくれたら返事するし、会話出来るようになったら2人でごめんなさいすればいいから!)

アンチョビ(だから早くツッコんでこいッ!)

まほ「……」

まほ(とりあえずリビングまで追いかけてきたが……)

まほ(いや、あれ、やっぱり何度見てもチョココロネだよな……)

まほ(ええ……どうしたんだ……?)

まほ(こんなこと、生まれて一度も経験したことないが、陽気なアンツィオなら普通なのか?)

まほ(いや、それとも黒森峰が陰気で堅物すぎるだけで、世間ではああいうのが普通なのか?)

まほ(だ、だめだ、分からなさすぎて下手に突っ込めない……)

まほ(変に突っ込んで地雷を踏むわけにはいかないからな……)

まほ(西住流に撤退はないが、しかし知波単とは違うんだ、知波単とは)
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 23:06:56.71 ID:y+SaLuxPo

アンチョビ(おおおおおおおおい、全然触れてこないぞ西住ぃぃぃぃぃ!?)

アンチョビ(むしろなんか目をそらされてる気がするぞ!?)

アンチョビ(い、いや、でも西住のアドバイスだしな……)

アンチョビ(間違いないよな……?)

※西住みほは対人コミュニケーションにおいては無能軍師である

アンチョビ(と、とりあえず……)

アンチョビ(やはり食事は最高のコミュニケーションというし……)

アンチョビ(朝ご飯にしよう……) モギッ

まほ「!?」

まほ(も、もいだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!)

まほ(一応髪型気取りなのかと思ってたけど、もいだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!)

まほ(い、いや、まあ、学生時代の髪と違って今回のは100%ウィッグというか地毛じゃないのは分かってたけども!)

アンチョビ「……」 モキュッ・・・モキュッ・・・

まほ(そして食べたぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!)

まほ(ええええええええ!?)

まほ(あれ食用なのか!?)

まほ(いやチョココロネなのは分かってたけども!!)

まほ(すぐ食べるのに頭につけてたのか!? なんで!?)
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 23:09:59.05 ID:y+SaLuxPo

アンチョビ「……」 ゴックン

まほ(た、食べ終わった……)

アンチョビ「……」

まほ「……」

アンチョビ「……」

まほ「……」

アンチョビ「……」

まほ「……」

アンチョビ「……」 モギッ

まほ「!?」 ビクッ

アンチョビ「……」 ソッ

まほ「!?」

まほ(な、なんだ……!?)

まほ(もいだコロネをこちらに差し出してきて……)

アンチョビ「……」

アンチョビ(うう……全然リアクションがないから思わずこちらから歩み寄ってしまった……)

アンチョビ(とりあえず食べてもらおう……)
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 23:16:31.16 ID:y+SaLuxPo

まほ(ど、どういうことなんだこれは……)

まほ(いや待て、考えることから逃げるな)

まほ(西住流に逃げるなどという概念はない)

まほ(確かに対人関係においては悪し住流などと揶揄されることが多い我が一族だが……)

まほ(しかし、相手の意図を見抜く洞察力や頭の回転ならば他に引けを取らない)

まほ(この理解不能な局面を、なんとしても乗り切るんだ!)

アンチョビ(うう……)

アンチョビ(何のリアクションもないせいで、どうしたらいいのか……)

まほ(差し出したまま動かない……)

まほ(このコロネを差し出したポーズに何か意味があるのか……?)

まほ(安斎が握っているのはチョココロネの太い部分の方)

まほ(この形に意味が?)

まほ(……いや待て)

まほ(それならば、袋を開けて本体を持った方が分かりやすいはずだ)

まほ(つまりパッケージに何か意図があるのか……?)

アンチョビ(うう……今更引っ込めるのも気恥ずかしいし……)

アンチョビ(や、やっぱり、この作戦失敗だったんじゃないのか西住ぃ〜〜〜〜……)

※西住みほは対人コミュニケーションにおいては無能軍師であり、当然のように失敗である
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 23:37:34.36 ID:y+SaLuxPo

まほ(パッケージ……極々普通で手は加えられていない……)

まほ(……)

まほ(いや待て!)

まほ(手は加えられていないが――)

まほ(手は添えられているじゃないか!)

まほ(手で商品名の『チョココロネ』の『チョコ』部分が死角になっている……)

まほ(つまり伝えたいメッセージは『コロネ』……?)

まほ(しかしこれだけでは意図が――)

アンチョビ(うう、完全に黙りこくられた……)

アンチョビ(やっぱり袋から出してないとはいえ、頭から外したコロネなんていきなりは食べられないよな……) スッ

まほ(引っ込めた……?)

まほ(もう十分だと判断したのか……?)

まほ(……)

まほ(なるほど、そういうことか)

まほ(これは安斎に“差し出された”もの――)

まほ(つまり“差し出した”という動作にも意味がある……)

まほ(しかしそれでも行き詰まるな……)

まほ(……)

まほ(差し出す時のオノマトペか……?)

まほ(そっと差し出す――つまりキーは『そ』か……?)

まほ「……」

まほ「!」

まほ(いや、違う!) ガタッ

アンチョビ「!」 ビクッ

まほ(昨日までまで歩み寄ってきた安斎が、ここに来て急にそっけなくなったことこそがヒントッ!)

まほ(そっけない――つまり『そ』や『け』ではないッ!)

まほ(となると他の候補オノマトペは、「す」ッ!)

まほ(そしてこの音を「コロネ」に添えると――)

まほ(『コロスネ』――『殺すね』ッ!)

まほ(なんてことだ、これは安斎からの徹底抗戦のメッセージだったのかッ!)
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 23:57:24.28 ID:y+SaLuxPo

まほ(クソッ、たしかに私も悪かったが……)

まほ(まさか殺害予告まで回りくどく出されるなんてっ……!)

まほ(……)

まほ(安斎と争いたくなんてないが……)

まほ(西住流に、逃走の二文字はないッ!) ギロッ

アンチョビ「!?」

まほ(確かにこちらにも非はあるが――宣戦布告をしてきたのはそちらだ)

まほ(これが口をきかないという冷戦なのだとしたら!)

まほ(その勝負、乗ってやろうじゃないかッ)

まほ(1年生エース扱いで贔屓等と陰口を叩かれ一人で学生生活を送ったことで身につけた鋼の心を見せてやるッ)

アンチョビ(な、なんか睨んでるぅ〜〜〜〜……) ヒーン

※西住まほも、心酔する逸見エリカを戦場外でまるでコントロール出来てないくらいのに渉外をほぼ投げてるくらいには、対人コミュニケーションが苦手である
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/03(土) 00:15:32.50 ID:moDsQwa5o

アンチョビ「助けてくれ西住! まほが口をきいてくれないうえに睨んでくるんだ!!」 バーン

みほ「ええ……おかしいですね……」

優花里「さすがは西住流次期後継者……」

優花里「一筋縄では行きませんね……」

アンチョビ「うう……」

アンチョビ「自然なドリルヘアーに見えるようにって、ここでセットしてからそこそこの距離を歩いて行ったのに……」

優花里「うーむ、であれば、不肖秋山優花里、作戦の第二弾を提唱させていただきます!」

みほ「えっ」

みほ「でも私以上に友達居ないんじゃ……」

優花里「うっ、そ、それはそうですが――」

優花里「しかしだからこそ!」

優花里「友達を作るために、鉄板で話が盛り上がるやつなんかも調査したんですよ!」

優花里「……結局戦車の話がしたすぎて、それで会話を切り出してもすぐ戦車ネタに走っちゃうからずっと孤立してましたが……」

優花里「ともかく!」

優花里「私を信じて下さい!」

優花里「昨年救っていただいた恩を、今こそ返させて頂きますっ!」

アンチョビ「あ、ああ」

アンチョビ(この子は人懐っこい感じだし、戦車ネタさえ控えれば普通の子っぽいから、信頼しても大丈夫だろ……たぶん……)
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/03(土) 00:25:48.17 ID:QltxXatQo
かわいい
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/03(土) 00:31:18.37 ID:moDsQwa5o

ガチャッ

アンチョビ「……」

まほ(……また帰ってきた……)

まほ(距離を置くため実家に帰ったりはせず、あくまで徹底抗戦というわけか……)

アンチョビ「……」 ゴト

まほ(なんだアレは……)

まほ(ラジカセか……?)

アンチョビ「……」 ポチ

ラジカセ「ゆぅめ〜じゃあない〜あれもこれもぉ〜♪」 ズンチャズンチャ

まほ「?」

ラジカセ「その手ぇ〜でドアを〜開けましょぅおぉ〜う♪」 ブンブカドンドン

まほ(なんだ? 突然爆音で音楽をかけ始めたぞ!?)

ラジカセ「しゅうく〜ふぅくが〜欲しいのならぁ〜♪」 ズンドコズンドコ

アンチョビ「……♪」

まほ(体を揺らしてビートを刻んでる……)

ラジカセ「悲し〜みを知り独ぉ〜り〜で泣ぁきましょ〜う♪」 ブンチャカブンチャカ

まほ(なんだ……何を企んでいる!?)

ラジカセ「そしてぇか〜がや〜くウルトラソウッ!」 ハァイ!

まほ「!?」 ビクッ

アンチョビ「……」

ラジカセ「キュルルルルル」

まほ(巻き戻っている……?)

ラジカセ「ゆぅめ〜じゃあない〜あれもこれもぉ〜♪」 ズンチャズンチャ

まほ(ま、また流れ始めただと……!?)
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/03(土) 00:34:20.37 ID:moDsQwa5o

優花里「思わず皆で合いの手を入れたくなる音楽を流す……」

優花里「これなら、あの西住まほ殿といえど、思わずハァイ!と合いの手を入れてくれるはずです!」

優花里「そして口をきかないという行動が崩壊し、意地を張る必要がなくなった二人は素直に謝れるんですよ!」

みほ「…………」

優花里「あっれー!? 何かゴミを見るような目で見てませんか西住殿!?」

みほ「いや、別にそんなことはないけど……」

みほ「でも排水口に溜まった髪の毛を見るときみたいな目にはなってたかも」

優花里「ゴミですよねソレ!?」
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/03(土) 00:43:05.97 ID:moDsQwa5o

みほ「でも、そんな上手くいくのかなあ」

優花里「いきますよ!」

優花里「ウルトラソウルはすごいんですよ!」

優花里「給食のとき、クラスの男子も女子も揃って合いの手を入れて騒いでましたし!」

みほ「へえ……そんなことが……」

優花里「まあ私は特に合いの手を入れず、その次に流れた軍歌に合わせて砲撃音の声帯模写を披露して教室中を静まり返しちゃったんですけどね」

みほ「へ、へえ……そんなことが……」

みほ「何だか少し、お友達が少なかった理由の一端が見えたような……」

優花里「うっ、で、でも、あれは結構一部で密かにウケてたんですよ!」

優花里「おかげで、中学一の戦車馬鹿として有名になりましたし!」

みほ「そ、そうなんだ……」

優花里「その後はクラスの皆が私のことをパンツァーキチガイという愛称で呼んでくれるようになったんです!」

みほ「目を輝かせてくれてるから凄く言い辛いんだけど、それって愛称じゃなくて蔑称なんじゃ……」

優花里「そ、そんなことありませんよ!」

優花里「いわば私は中学のパンツァーガール代表ということなんですよ!」

優花里「パンチパーマ秋山パンツァーキチガイ、略してPPAPとして幅広く親しまれたんですよ!」

みほ「そ、そう……なんだ……」 オォン・・・
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/03(土) 00:51:00.55 ID:moDsQwa5o

優花里「まあPPAPであることが広まったからか、戦車関係のことで誘われることはほぼ皆無になったんですが……」

みほ「あ、戦車関係のことでは誘われたんだ」

優花里「いえ、そんなイベントは一度もなかったので推測です」

みほ「あ、うん、なんかごめん……」

優花里「まあでも、卒業式のあとは、クラス全員でカラオケに行って、それには誘ってもらえたんです」

みほ「おお」

優花里「そこでもウルトラソウルを歌われたんですが……」

優花里「さすがに周り全員が歌っていてマイクを向けられたら、私もついハァイ!と叫んでしまいまして……」

優花里「最終的にはクラス全員でハモってましたよ」

優花里「そのくらい、ウルトラソウルはつい歌いたくなっちゃう曲なんです!」

みほ「そうなんだ」

みほ「……」

みほ「でも、アンチョビさんも口をきかないって姿勢なら歌うことはできないし、周りが歌ってるから〜って条件は作れないんじゃ……」

優花里「……」

優花里「あっ!」
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