千歌「カタストロフィ…か」

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114 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/09(日) 00:19:56.87 ID:lsJt8RtU0



ダイヤ「…ルビィ……ル…ビィ……」ガタガタ

エマ「…妹さんはきっと大丈夫だと思いますよ?」

ダイヤ「……気休めは…いいです…よ?」

エマ「そんなつもりで言ったわけじゃありません」


エマ「あの場にはイザベラさんが居ました。彼女は私達のチームでリーダー的存在だったんです……そんな彼女が簡単に諦めるはずがありません!」


エマ「きっと…いえ、絶対に二人ともあの部屋から脱出して助かっています!」

ダイヤ「…信じても……いいんですか…?」

エマ「…私はイザベラさんを信じます」

ダイヤ「……」
115 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/09(日) 00:21:35.23 ID:lsJt8RtU0





果南「……っ」キョロキョロ

曜「……果南ちゃん」カチャッ



異変を素早く察知した二人は静かに全員へ目で合図する。

…目の前に何かが転送され始めた

その数、18体




曜「全員撃って!! 完了前に倒す!!」ギョーン!ギョーン!




曜の指示でメンバーは一斉に発砲した

Zガン、Xガンの特有の発砲音が辺りに鳴り響く。


数秒のタイムラグの後、破裂し、押しつぶされた星人の屍が18体並ぶ

――ハズだった



エマ「何で…当たらない!?」ギョーン!ギョーン!

善子「違う! 効いてないのよ!!」ギョーン!
116 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/09(日) 00:23:06.35 ID:lsJt8RtU0



転送が完了し、ゆっくりと近づいてくる



梨子「ダメだよ…こっちの武器が通用しないよ!」

ダイヤ「それでも撃ち続けなさい!!」ギョーン!ギョーン!



曜「――まだだよ!!」カチャッ



Zガンを放棄し、ホルスターからYガンを取り出す



鞠莉「っ!! その手があったわね!」

曜「倒せなくてもこれならっ!!」ギョーン!



射出されたワイヤーアンカーが星人に巻き付く



曜「やった! これなら――」



――ブチブチブチッ!!!



善子「んな…ワイヤーが引き千切られた!?」ゾッ
117 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/09(日) 00:24:09.00 ID:lsJt8RtU0
花丸「Yガンでもダメなら完全にお手上げだよ!」

梨子「逃げよう…早く逃げなきゃヤバイ!!!」

理亞「逃げるってどこに!!?」

聖良「逃げ場なんてありませんよ!」


曜(――どうする…)


果南「いいの!? まだ撃ち続けるの!!?」ギョーン!ギョーン!

鞠莉「分かんないよ! でも他に手段がない!!!」ギョーン!

エマ「はぁ……はぁ…!!!」ギョーン!



曜(――どうする……)



千歌「……っ!!」シュッ!

ダイヤ「お待ちなさい!! ガンツソードでの接近戦は危険すぎます!!!」

千歌「銃がダメならこれしかないです! やれることは全部やります!!」

ダイヤ「ですが…!」




曜(――――どうすればいい!?)





118 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/09(日) 00:25:26.00 ID:lsJt8RtU0

〜〜〜〜〜〜〜〜〜


イザベラ「……い、生きてるか?」

ルビィ「………う、うりゅ…生きて、ます」

イザベラ「…ならいい」


イザベラ「…ふぅ、強引に窓から放り投げたから少し不安だったが……お互いスーツの機能に助けられたな」

ルビィ「あの高さから落っこちても大丈夫なんですね。助かりました……」
119 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/09(日) 00:26:14.88 ID:lsJt8RtU0




イザベラ「……ガンツを失った」

ルビィ「っ!? そうだよ…ガンツはどうなったの!!?」

イザベラ「その辺に黒い破片があるだろ? これ全部ガンツの残骸だよ…」

ルビィ「そ、そんな……それじゃあ、宇宙船にいるみんなはどうなったの!?」

イザベラ「分からん…恐らく中に取り残されているだろうな」


ルビィ「『コンタクト!!』……なんで…誰か応答してよ!!!」

イザベラ「故障か…あの爆発でやられたんだな」

ルビィ「…あ……あぁ……」ゾッ

イザベラ「助けに行くにも手段が無い…打つ手なしだ」

ルビィ「そ……そん、な……」
120 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/09(日) 00:27:07.52 ID:lsJt8RtU0





『――シャイニーー♪』





ルビィ「ぴぎぃ!? ま、鞠莉さんの声!!?」

イザベラ「その腕の端末から聞こえたぞ!」

ルビィ「ま、鞠莉さん! 無事なんですか!?」


鞠莉『この音声は録音されたものだから返答は出来ないわ。ごめんなさいね』

ルビィ「……録音なんだ」


鞠莉『…これを聞いているって事は、ガンツに何らかのトラブルが起きたんだよね?』

鞠莉『仮に他の機能が使えなくなっていたとしても、これから伝える指示は問題無く実行できるから安心して』

ルビィ「……」


鞠莉『この端末にはガンツを操作するためのプログラムが保存されているの。ガンツ内部にある端子にこれを繋げば自動的に実行されるようにしておいた』

鞠莉『他の場所にあるガンツ見つけて……頼んだわよ!』ブウゥゥン…
121 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/09(日) 00:28:59.62 ID:lsJt8RtU0



イザベラ「…なるほどな」

ルビィ「まだ…まだみんなを助けられる……!」

ルビィ「あ…でも、他のガンツがある場所なんて知らないよ……」


イザベラ「ガンツならある」

ルビィ「…あ!」

イザベラ「ああ、私達が今まで使っていた部屋に残っているハズだ。それを使えば――」

ルビィ「――転送機能が使える!!」


イザベラ「場所は名古屋市内の高層マンションだ。案内は任せろ」

ルビィ「よし! 急いで――」


イザベラ「いや…その前にやる事があるんじゃないか?」

ルビィ「何? 何があるって言うの?」

122 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/09(日) 00:29:31.35 ID:lsJt8RtU0
イザベラ「あー、その、何だ……黒澤妹は覚えていないのか?」

ルビィ「…何を?」キョトン


イザベラ「だから……お前は何をしに部屋に戻って来たんだ?」

ルビィ「何をしに……戻って来た……?」ウーン




ルビィ「――――――…あっ」サーッ




イザベラ「……まあ、そのなんだ…状況が状況だ。同じ立場だったら私もそうなっていただろう。恥じる事じゃないさ」

ルビィ「〜〜〜〜〜〜っっ////」カァーッ

イザベラ「体調を崩されても困るから、まずは着替えようか。出発はそれからにしよう」

ルビィ「は、はい…すみません///」


123 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/09(日) 00:30:57.15 ID:lsJt8RtU0

〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「――オラアァァ!!!!」ガキンッ



歩み寄ってくる敵に、何者かが側面から斬りかかる

それを合図に曜達と同じ装備をした人間が続々と現れた



「おい、大丈夫か!?」

曜「あ、あなた達は…?」

「富山チームの者だ! あんた達も突然ここに転送されたんだろ!?」

曜「は、はい!」
124 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/09(日) 00:32:13.95 ID:lsJt8RtU0
「一先ず、ここは俺らが何とかする! お前らは態勢を整えるんだ!!」



「ぎゃああああああああああ!!!!」ブチブチブチッ



斬り込んだ一人が、星人の攻撃を刀で防いだのだが

上半身ごと引き千切られたのだ



梨子「い、一撃でやられた!?」

エマ「防いだらスーツごと持っていかれる…!」


「クソッ……とにかく早く行け!!」ギョーン!ギョーン!


曜「ごめん! お願いします!!!」ダッ




富山チームに任せ、その場を離れる静岡チーム

改めて周りを見ると、所々で戦闘が行われている事に気が付く

中には救出するはずだったであろう一般人も紛れていた

スーツ組も一般人も次々虐殺されていく
125 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/09(日) 00:33:17.17 ID:lsJt8RtU0




千歌「くっ…また人が死んだ……!」

果南「今は生き残る事だけ考えて!」

千歌「……分かってる! 分かってるけど…」ギリッ



善子「なんか、敵の種類が多くない!?」

理亞「そんな事どうでもいい! よそ見しないで走りなさいよ!」

善子(……あの敵、どこかで…)

梨子「…曜ちゃん、もしかしてここに転送されてきている星人って……」

曜「…うん、見覚えのある星人が何体か混じっている」

梨子「…つまり」



曜「――ここにいる敵は、これまでミッションで出現した星人なんだよ」



善子「なんですって!? 奴らは全員倒したでしょ!?」

ダイヤ「…以前から気になっていた事があります」

ダイヤ「ミッション中に倒した星人の遺体やYガンで転送した星人は一体どこに行ったのか……」

エマ「まさか…全部私達みたいにデータとして保存されていたの?」ゾワッ

曜「ガンツが乗っ取られた今、そのデータも使いたい放題ってわけか」

鞠莉「当然っちゃ当然よね。相手は地球外生命体、研究対象としてこれ程にも魅力的な素材は無いわ」
126 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/09(日) 00:33:57.32 ID:lsJt8RtU0


果南「幸い、最初に現れた敵以外はこっちの武器は通用するみたいだよ!」

聖良「今まで倒した星人か……遭遇したくない奴も結構いますよね」

花丸「私達の知らない未知の星人もいるんだよね…最悪だよ……」



逃げる彼女たちの前に、三体の星人が立ちはだかる

以前、曜が死亡した時に戦った星人である
繰り出される攻撃の中にはスーツの耐久を無視する即死級のものがある強敵だ

迂回ルートはなし
戦闘は避けられない




果南「――早速お出ましか…曜!」

曜「…うん!!!」
127 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/09(日) 00:34:38.70 ID:lsJt8RtU0



果南、曜は前に飛び出す

口から吐き出される水圧カッターをガンツソードで逸らし
反撃の隙を与える間もなく素早く切り伏せた



エマ「は、速い…ほんの一瞬で……」



曜「……あの時、胸を貫いた攻撃は痛かったよ。これで仕返しは出来たかな」

果南「この星人…こんなに弱かった?」

曜「私達も成長してるって事だよ。もっと強い敵とも戦って来たからね」

果南「……出来ればこれくらいの強さの星人とだけ遭遇したいな」ボソッ

曜「…果南ちゃん?」


ダイヤ「二人とも、次が来ない内に行きますわよ!」

果南「行こう、曜」

曜「う、うん…」


曜(妙だな、果南ちゃんにしては随分と弱気な気がする…)



128 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/09(日) 00:35:34.60 ID:lsJt8RtU0


――――――

――――

――


梨子「――星人の姿が無くなったわね…ただ……」

聖良「この場所は戦闘が終わった後のようですね…死体の数が多い。戦闘員も非戦闘員も関係なくやられていますね…」



花丸「血の匂いが凄い…殺し方も惨い……ずら」

善子「こいつら、人の命を何だと思っているのよ!」ギリッ



鞠莉「この死体が着けている装備って」

千歌「はい…100点の武器の一つのハードスーツですね」

曜「これって耐久力がとんでもなく高い装備じゃなかった?」

千歌「そうだよ。そう簡単に壊されるものじゃないんだけど…」

果南「スーツごとへし折られているね…触れられたら即死って訳か……」


花丸「ねえ…もし、最初に遭遇した敵にまた襲ってきたらどうするの?」
129 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/09(日) 00:37:04.93 ID:lsJt8RtU0


理亞「それは…逃げるしかないんじゃない? こっちの武器は全く通用しなかったんだし」

花丸「ずっと逃げるの? そんな事が可能だと本当に思うの?」

理亞「そんな事言ったって仕方ないじゃない!」イラッ

聖良「理亞、落ち着きなさい」

理亞「でも!!」


果南「あの敵に関わらず、敵との戦闘は出来るだけ避けるべきだと思う」

鞠莉「転送で帰れない以上、休息も食事も満足に出来ないし取れない。戦えば体力も使うし、ケガなんかしたらそれこそアウトよ…」


梨子「帰れるのかな…私達……」

曜「……」

130 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/09(日) 00:37:45.41 ID:lsJt8RtU0





エマ「……っ」キョロキョロ

ダイヤ「エマさん? 余り遠くに行くと危険ですよ」

エマ「す、すみません…でも、ここで倒れている人に見覚えがあるんです……」

ダイヤ「なんですって?」

エマ「いやでも…もし私の予想が正しかったら……っ!!」

ダイヤ「エマさん? どうしま――」
131 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/09(日) 00:38:37.10 ID:lsJt8RtU0





エマ「…………あ、あぁ……あああああああああああああ!!!!?」ガバッ





エマはそこにあった一人の少女の遺体を抱きかかえる。

ダイヤは激しく取り乱すエマの様子を見て悟った

この人が、エマが探していた親友なのだと……



エマ「そんな!! どうして…どうしてよおおお!!!!」

ダイヤ「……」

エマ「ねえ起きてよ……もう一度…お願い……だから…」ポロポロ


ダイヤ「エマさん、その方はもう……」

エマ「うるさい!! 私は…私は絶対に認めない!!!!」


エマ「死んでいない……あぁ、これは夢なんだ。悪い夢なんだよぉ…あははは!」ポロポロ

ダイヤ「っ!!」

エマ「あはははは!! ……早く、覚めて――」




――グシャ



ダイヤ「……は?」
132 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/09(日) 00:40:19.58 ID:lsJt8RtU0



ダイヤの目の前に巨大な何かが落ちてきた

丸太の様な腕と特徴的な長い赤い鼻
それは妖怪の本に登場する天狗そのものだった


ダイヤは今起きた状況をすぐに理解出来なかった

今の今まで、自分の目の前にはエマとその親友の遺体があった。
でも彼女達がいた場所には天狗がいるのだ


ダイヤは恐る恐る目線を下に向ける

天狗の足元には、エマとその親友の体だったものがグチャグチャに散らばって――




ダイヤ「――うあ、あああああああああああああ!!!!!!!?」

ダイヤ「エマさん!!! エマさああああん!!!!!」



ダイヤの悲鳴を聞きつけ、駆け付けるメンバー



鞠莉「ダイヤ!! どうし……んな!?」ゾッ

ダイヤ「エマさんが!! エマさんがぁ!!!」ポロポロ


果南「コイツは…秋葉原の時の……!」

梨子「この雰囲気……強いんですよ…ね?」

果南「うん…私は一瞬しか戦ってないけど、曜と千歌が穂乃果さん達と一緒に戦って何とか倒した敵だよ!」

善子「それってかなりの強敵じゃない!?」
133 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/09(日) 00:42:53.87 ID:lsJt8RtU0



理亞「どうすんのよ! 逃げるの、戦うの!!?」

聖良「さっきから敵は私達に目線を合わせません…逃げるなら今だと思う!」

千歌「曜ちゃん! どうするの!!」

曜「……」

千歌「……曜…ちゃん?」



曜は天狗を凝視したまま反応しない。

最初は目を大きく開き、動揺の表情を浮かべていたが
徐々にそれは憤怒の表情へと変貌していった

正確に言えば、曜は天狗を見ていなかった
天狗の右肩の上の空間を凝視していたのだ。



千歌(こんな顔見た事無い……エマさんを殺されたせい? でも、出会って間もない人の死にここまで怒れるものなの?)

千歌(そもそも曜ちゃんは…何を睨み付けているの?)
134 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/09(日) 00:44:05.25 ID:lsJt8RtU0



曜は怒りと殺意が入り混じった、低いトーンで喋りだす



曜「――何となく、そんな気はしていた」

梨子「曜ちゃん?」ゾッ



曜「それはそうだよね、目の前にいる“貴様ら”はどっちも天狗なんだもん」

善子(貴様ら? 曜さんには何が見えているの?)



曜「でもさ…くそっ! 最悪だ……お前なんか二度と会いたくなかったのにさ!!!」

果南「よ、曜…一体誰に向かって喋っているの?」



曜「さっさとステルスモードを解除しろ。姿を見せろよ!!!!」
135 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/09(日) 00:45:28.24 ID:lsJt8RtU0







「――いやー、驚いた。まさか一瞬で見破られるとは予想もしなかったよ」







千歌「……え?」

花丸「この声って…」



「でも、会いたくないんでしょ? 姿を見せてもいーの?」クスクス


曜「すべこべうるさいんだよ……ぶっ殺すぞ?」ギロッ

千歌「!!」ゾワッ



「おー怖い怖い、相変わらず敵意剥き出しだね。姿形は曜ちゃんの大好きな子だって言うのにさ」



136 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/09(日) 00:46:38.98 ID:lsJt8RtU0
何も無かった空間にバチバチと電流が走る

するとそこに、一人の少女が現れたのだ。

曜、千歌、鹿角姉妹を除くメンバー全員は
奴に与えられた恐怖を思い出し、硬直した


セミショートヘアに特徴的なアホ毛
浦の星女学院の制服の袖口や首元には
ガンツスーツ特有のレンズ状のメーターが見える

その顔立ちや姿はまるで――



千歌「――“私”…なの?」

曜「このっ……!!!!」ギリッ!










チカ「あはっ♡ また逢えたね、よーちゃん♪」ニコッ
137 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/09(日) 00:48:31.12 ID:lsJt8RtU0
今回はここまで
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/07/09(日) 00:50:02.71 ID:iCUjHAen0

今の生きる糧だわ頑張ってくれ
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/09(日) 00:58:42.29 ID:PrapaR3Fo
乙!
この展開面白い
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/09(日) 02:41:56.47 ID:3rlj7gECo
なんか既視感
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/09(日) 09:03:18.04 ID:mWsXHZHZO
気のせい気のせい
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/07/09(日) 21:19:18.94 ID:auHilfst0

超楽しみ
面白いし頑張って下さい
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/07/17(月) 22:49:25.64 ID:+XMG7rVe0
お願いだから更新やめたとか言わないでね!(´;ω;`)
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/18(火) 01:00:24.33 ID:e1QYYNQVo
お願いだからそんな気持ち悪いレスしないでね
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/07/18(火) 07:17:12.21 ID:zNoKpJ7B0
申し訳ございません
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/18(火) 08:32:56.79 ID:uQLV+2CHO
ガンバー
147 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/18(火) 16:44:05.21 ID:90zge43E0
遅くなりました。

週一ペースで投稿するよう心掛けていますが
基本は不定期更新なのでご了承ください。
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/07/18(火) 16:46:17.53 ID:3swfFtV10
最近、思うんだけどさ。
HACHIMANとかいうタグ付ける奴うざくね?
八幡tueee!が嫌いとか言ってる奴、多すぎ。
「キリトの活躍奪うんじゃねえ!」
「ハチアスとかやめて!」
「上条さんの役割奪うなよ!」
「デレマスのヒロインNTRさせんな!」
これ、マジでキモいからね。
いやさ、お前らの気持ちも分かるよ?
何でも出来て、最強の八幡に嫉妬してるんだよね。お前らは葉山みたいな性格だもんね。
でも、落ち着いて考えてみろよ。
お前らが何と言おうと八幡が最強なのは誰の眼に見ても明らかんだから仕方ないじゃん。
ヒロインを奪われる〜とかさ、クソみたいなキリト、上条辺りに救われるよりも八幡に救われる方が幸せに決まってるよね。
まずは誰よりも八幡が強い事実から目をそらすなよ。それは誰の目にも明らかだろ?
それを劣っている立場の奴等が「俺達の役割を奪うなよ」っていうのは成り立たないでしょ。
いやね、作品を汚すなってのは分かるよ?
例えばキリトが総武高校に転校してきてヒロインNTRしたなら、俺もキレて潰しにかかるわww
でもさ、八幡なんだから仕方ないじゃん。
もうワガママ言うのやめろよな。
八幡が主人公なら皆が救われるんだって。
キリトも上条も士道も必要ないからね?
あんなん好きな奴等はガイジだからね?
もうさ、他作品をsageするなとかいうガイジの話なんか聞くのも飽々してるんだわ。
あのね、sageしてるんじゃないの。
八幡が最強だから、周りが雑魚に見えてしまうのは仕方ない事なんだよ。
八幡が最強なのが気持ち悪いとか言うけど、実際にその世界に八幡がいれば最強なのは間違いないんだから当たり前だよね。
ゴミみたいな作品なんて八幡に蹂躙されて然るべきなんだよ。それによって俺達の目に触れる機会も増えるんだから感謝しろよ。
以上、クソアンチ共を完全論破。全員、速やかに砕け散れよ。
149 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/18(火) 16:48:20.92 ID:90zge43E0



千歌「あれは…一体誰なの!?」

鞠莉「あれが本来この部屋に居るべきはずの…本物の千歌っちよ」

千歌「!? あ、あれが…でもなんで星人側に!?」

鞠莉「星人に身体ごと乗っ取られたのよ……以前、ミッション外であのチカに曜さん以外全員殺されたわ。数年前に静岡県の病院で起きた大量殺人事件、覚えている?」

千歌「…まさか!?」ゾッ

鞠莉「ええ…その犯人がアイツよ」



ダイヤ「なん…で……このチカさんがここにいるのです!?」

チカ「私が星人の精神と一体化したからねぇ。ガンツのデータには星人側として保存したんでしょ」

鞠莉「ここにいた人々は…あなたが?」

チカ「そうだよ♪ あ、でも正確にはこっちの元本体がやったんだけどね」

チカ「今日まで生き残った猛者なだけあって、何十回も倒されてさー。そのおかげでとんでもなく強くなったよ。触れただけで即死だから気を付けてね〜」


善子「攻撃を仕掛けてこないのは…何故?」

チカ「え? 攻撃して欲しかったの!? だったら早く言ってよー」ニヤッ

善子「ひっ!?」ビクッ



チカ「……冗談だよ。最初からあなた達と戦うつもりは全くない」

曜「…なんだと?」

チカ「一回殺した相手なんかに興味ないしー、別に私がやらなくても他の同士がサクッとやるでしょ?」

曜「馬鹿にするな!!」


チカ「勇ましいね。でもさ、他のメンバーの様子も気にした方がいいと思うよ?」

曜「!」
150 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/18(火) 16:50:34.60 ID:90zge43E0



善子「…うっ、うぅぅ……」フラッ

梨子「…あ、あぁ……」ガタガタ

聖良「ど、どうしたんですか!?」

理亞「顔が真っ青じゃない!」



メンバーの様子がおかしい
特に顕著だったのが果南だった



果南「うっ、おええええぇぇ」ボトボト

ダイヤ「か、果南さん!?」

鞠莉「落ち着いて! 大丈夫だから!!」



千歌「みんなに……何をしたんだ!!」

チカ「何って…殺しただけだよ? 強いて言えば、出来るだけ精神的に苦しめてからトドメを刺したくらいかな」


チカ「特に果南ちゃんには二度と戦えないように痛めつけたつもりだったんだけど…いやー、凄い精神力だねぇ」

チカ「まあ、私の顔を見て吐くくらいだから、相当無理していたみたいだけど」クスクス

果南「はぁ……はぁ…」ガタガタ



チカ「さっきも言ったように、私に戦う意思は無いよ。さっさと私の前から消えて。なんなら私達が移動しようか?」

曜「ふざけるな!! 偽物のお前がこの世に居続けるなんて…私が認めると思うか!!」


チカ「…偽物ねぇ、どちらかと言えばそっちの子が偽物なんじゃないのかな?」

千歌「……っ!」

曜「いい加減に――」

果南「曜!!」ガシッ

曜「何! 邪魔しな……っ!!?」


果南「…見逃してくれるって言うなら……逃げよう…お願い…ですから……」ガタガタ

曜「……か、なん…ちゃん」


花丸「戦う必要が無いなら…それでいいんじゃないかな」

鞠莉「そうよ…とても戦える精神状態じゃないわ」

梨子「ここは引こう…いいね、曜ちゃん?」


曜「……くっ!」ギリッ

チカ「ま、精々頑張って生き残りなよ〜〜」ヒラヒラ

千歌「……」ジッ



151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/07/18(火) 16:51:06.77 ID:Xt/p/pTP0
最近、思うんだけどさ。
HACHIMANとかいうタグ付ける奴うざくね?
八幡tueee!が嫌いとか言ってる奴、多すぎ。
「キリトの活躍奪うんじゃねえ!」
「ハチアスとかやめて!」
「上条さんの役割奪うなよ!」
「デレマスのヒロインNTRさせんな!」
これ、マジでキモいからね。
いやさ、お前らの気持ちも分かるよ?
何でも出来て、最強の八幡に嫉妬してるんだよね。お前らは葉山みたいな性格だもんね。
でも、落ち着いて考えてみろよ。
お前らが何と言おうと八幡が最強なのは誰の眼に見ても明らかんだから仕方ないじゃん。
ヒロインを奪われる〜とかさ、クソみたいなキリト、上条辺りに救われるよりも八幡に救われる方が幸せに決まってるよね。
まずは誰よりも八幡が強い事実から目をそらすなよ。それは誰の目にも明らかだろ?
それを劣っている立場の奴等が「俺達の役割を奪うなよ」っていうのは成り立たないでしょ。
いやね、作品を汚すなってのは分かるよ?
例えばキリトが総武高校に転校してきてヒロインNTRしたなら、俺もキレて潰しにかかるわww
でもさ、八幡なんだから仕方ないじゃん。
もうワガママ言うのやめろよな。
八幡が主人公なら皆が救われるんだって。
キリトも上条も士道も必要ないからね?
あんなん好きな奴等はガイジだからね?
もうさ、他作品をsageするなとかいうガイジの話なんか聞くのも飽々してるんだわ。
あのね、sageしてるんじゃないの。
八幡が最強だから、周りが雑魚に見えてしまうのは仕方ない事なんだよ。
八幡が最強なのが気持ち悪いとか言うけど、実際にその世界に八幡がいれば最強なのは間違いないんだから当たり前だよね。
ゴミみたいな作品なんて八幡に蹂躙されて然るべきなんだよ。それによって俺達の目に触れる機会も増えるんだから感謝しろよ。
以上、クソアンチ共を完全論破。全員、速やかに砕け散れよ。
152 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/18(火) 16:51:28.12 ID:90zge43E0

〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ルビィ「――お、お待たせしました」

イザベラ「ああ、ちゃんと綺麗にしてきたか?」

ルビィ「……むぅ!」

イザベラ「…済まない、もうからかわないよ」



ルビィ「それで、今は何をしているんですか?」

イザベラ「移動手段を探しているんだが……質問してもいいか?」

ルビィ「何ですか?」


イザベラ「車の運転は出来るか?」

ルビィ「ええっと、AT車の仮免許なら持っていますけど…」

イザベラ「仮免かぁ…なら、あの部屋のバイクの運転経験は?」

ルビィ「練習で何回か…上手ではありませんが」


イザベラ「ふむ、ならこのバイクの運転は出来るだろう。丁度キーが刺しっぱなしだしな」



イザベラは道に倒れていた赤色の普通二輪バイクを起こし、エンジンをかけた

目立った損傷も無く、エンジン音も正常
使用するのに問題は無さそうだ

153 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/18(火) 16:52:03.38 ID:90zge43E0


ルビィ「ええっ!? 私が運転するんですか!?」

イザベラ「当然だろう。片腕の無い私じゃ運転は無理だ」


ルビィ「で、でも普通のバイクの運転なんてした事無いよ? まだ車の方が…」

イザベラ「あのバイクが運転できるなら大丈夫。それにバイクなら小回りが利いて勝手がいいし」


ルビィ「んー…大丈夫、かな?」

イザベラ「ほら、早く乗りな。いつ敵が来るか分からない。急がないと仲間の命だって危ないだろう?」

ルビィ「…よし! やってみるよ!」



バイクにまたがり、アクセルを回すルビィ



イザベラ「ふむ……」ジーッ

ルビィ「どうしたんですか? 早く乗って下さいよ」


イザベラ「いや、何て言うか…全然似合わないな」

ルビィ「はぁ!?」ガーン

イザベラ「今後はバイクに乗るのはおススメしないよ」ケラケラ

ルビィ「う、うるさいなぁ!! いいから乗って下さい!!」プンスコ


154 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/18(火) 16:52:46.58 ID:90zge43E0


〜〜〜〜〜〜〜〜〜


チカ、天狗のいた場所を立ち去った曜達は数体の星人と鉢合わせていた。



ダイヤ、ルビィ、花丸が初めて参加した時のボス敵だった“ひょうほん星人”

秋葉原戦で千歌と曜を苦しめた“鬼星人”

アメリカ戦で花陽を死に追いやったオオスズメバチベースと凛に重症を負わせたタスマニアン・キング・クラブベースの“キマイラ星人”


どの星人も一筋縄では倒せない強敵だが――




理亞「はあ!? コイツ速過ぎでしょ!!?」ギョーン!ギョーン!


ダイヤ「この星人は見かけ以上に素早い! それと吐き出してくる液体は絶対に避けて!」


花丸「このまま銃で牽制しつつ、囲んじゃおう!」ギョーン!ギョーン!



あの時は初参加だったことと狭い空間の教室での戦闘だった為、苦戦したダイヤだが

敵の行動パターンや攻撃方法が分かっている今、冷静に対処しながら
ひょうほん星人を三人で追い詰めていく。



ダイヤ「よし! 逃げ場を潰しましたわ!!」ギョーン!

155 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/18(火) 16:53:53.78 ID:90zge43E0






鬼星人と戦闘中の果南、梨子、善子

その巨体から振り下ろされる金棒は受ければスーツの耐久値を大きく削る事は明白
しかし避けられない速さでは無い。

それに過去に果南は単独でこの星人を複数体相手取り、撃退している。

仲間の力を借りなくても倒せる敵
…なのだが、今の果南は動きが極端に鈍かった。


避けられるはずの攻撃を刀で防ぎ、防御で空いた隙に拳を叩きこまれる
何とか反撃を試みるも、その攻撃も大雑把でキレがない

逆にカウンターを浴びせられ吹き飛ばされる始末だった。



果南「がはっ!?」ドサッ


善子(どうしたって言うの!? いつもの果南さんの動きじゃない…)


梨子「一旦下がって下さい!! ここは私達が何とかしますから!!」

果南「…ごめん」ギリッ



梨子「私が接近して敵の動きを止める。よっちゃんはZガンで仕留めて!」

善子「任せなさい!!」



梨子は態勢を低くして接近する

金棒が梨子の頭目がけて振り下ろされるも
それよりも早く足元まで潜り込む

そして、鬼星人の右アキレス腱を斬り裂いた


支えを失った鬼星人は態勢が大きく崩れる



梨子「――今よ!!!!」


善子「っっ!!!!」



――ギョーン! ギョーン!



156 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/18(火) 16:54:50.59 ID:90zge43E0



鞠莉と曜はキマイラ星人と戦っていた

鞠莉は得意の格闘戦に持ち込む



――下段前蹴り


――上段後ろ蹴り


――上段回し蹴り


怒涛の足技で反撃の隙を与えずに攻め続ける

だが、表面を覆う甲殻が予想以上に硬く
態勢を崩す事は出来ても、有効なダメージが通らない。


曜による後方からのXガンやZガンの攻撃も同様だった

一時的に甲殻の一部を破壊できるが、すぐさま再生されてしまう。



鞠莉(厄介ね…何発か蹴り込めばヒビは入るけど、すぐに再生されちゃうわ。それに……)

曜「あの蟹の爪みたいなやつ…挟まれたらヤバイよね?」

鞠莉「でしょうね。接近戦は得策じゃない…かと言ってXガンでの攻撃もあの甲殻と再生力の前では効き目が薄いとなると……」


曜「Yガンの出番ってわけだね」

鞠莉「That’s right♪ もう一度格闘で体勢を崩す。決めに行くわよ、曜!!」パシンッ

曜「…うん!」カチャッ!
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/07/18(火) 16:55:08.02 ID:Xt/p/pTP0
最近、思うんだけどさ。
HACHIMANとかいうタグ付ける奴うざくね?
八幡tueee!が嫌いとか言ってる奴、多すぎ。
「キリトの活躍奪うんじゃねえ!」
「ハチアスとかやめて!」
「上条さんの役割奪うなよ!」
「デレマスのヒロインNTRさせんな!」
これ、マジでキモいからね。
いやさ、お前らの気持ちも分かるよ?
何でも出来て、最強の八幡に嫉妬してるんだよね。お前らは葉山みたいな性格だもんね。
でも、落ち着いて考えてみろよ。
お前らが何と言おうと八幡が最強なのは誰の眼に見ても明らかんだから仕方ないじゃん。
ヒロインを奪われる〜とかさ、クソみたいなキリト、上条辺りに救われるよりも八幡に救われる方が幸せに決まってるよね。
まずは誰よりも八幡が強い事実から目をそらすなよ。それは誰の目にも明らかだろ?
それを劣っている立場の奴等が「俺達の役割を奪うなよ」っていうのは成り立たないでしょ。
いやね、作品を汚すなってのは分かるよ?
例えばキリトが総武高校に転校してきてヒロインNTRしたなら、俺もキレて潰しにかかるわww
でもさ、八幡なんだから仕方ないじゃん。
もうワガママ言うのやめろよな。
八幡が主人公なら皆が救われるんだって。
キリトも上条も士道も必要ないからね?
あんなん好きな奴等はガイジだからね?
もうさ、他作品をsageするなとかいうガイジの話なんか聞くのも飽々してるんだわ。
あのね、sageしてるんじゃないの。
八幡が最強だから、周りが雑魚に見えてしまうのは仕方ない事なんだよ。
八幡が最強なのが気持ち悪いとか言うけど、実際にその世界に八幡がいれば最強なのは間違いないんだから当たり前だよね。
ゴミみたいな作品なんて八幡に蹂躙されて然るべきなんだよ。それによって俺達の目に触れる機会も増えるんだから感謝しろよ。
以上、クソアンチ共を完全論破。全員、速やかに砕け散れよ。
158 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/18(火) 16:55:45.60 ID:90zge43E0



キマイラ星人「……」

千歌「……っ」ギロッ



千歌と星人は一定の距離を保ったまま動かない

周りでは爆発音や怒号が鳴り響いているにも関わらず
この二人が睨み合っている空間だけ防音室にいるかのように錯覚する



聖良(な、何てプレッシャーなの!? 見ているだけなのに、こっちの精神がゴッソリ削られていく…)


聖良(この勝負は…一瞬で決まる)ゴクリッ




先に沈黙を破ったのはキマイラ星人だった

右腕を前に出す構えをしていた星人は
ノーモーションでその右手から生えていた大きな毒針を発射する

以前、花陽が避けられなかった奇襲攻撃だ
その射出スピードは弾丸に匹敵する

常人では見てから避けるのは不可能

そんな攻撃に対し、千歌が取った行動は――




――ガキンッ!!!




キマイラ星人「!!!?」


聖良「き、斬った!? あのスピードの物体を!?」

159 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/18(火) 16:56:36.70 ID:90zge43E0



避けるならまだ分かる

だが、千歌は寸分の狂い無く弾道を見切り
構えていたガンツソードで斬り落としたのだ。


これには星人も動揺を隠せなかった

すぐさま次の行動に移さねばならない状況で思考が停止してしまう。



千歌「――遅いよ」



――ザシュッ!!!



気付いた時にはもう遅い

キマイラ星人の首は跳ね飛び、そのまま地面に倒れて動かなくなった



千歌「ふぅ、同じ敵に二度もやられて堪るもんですか」


聖良「私の出る幕は全くありませんでしたね…」シュン

千歌「気にする必要は無いよ。任せてって言ったのは私なんだからさ」




曜「千歌ちゃん! 終わったの?」

千歌「今終わったところだよ。他のみんなも無事みたいだね」


ダイヤ「ええ、以前倒した星人ですから…それ程脅威ではありませんでしたわ」

花丸「伊達に長年戦っていないずら!」

理亞「この程度の星人なら余裕よ」


鞠莉「誰もダメージは受けていない?」

梨子「それが…果南さんだけ少し…」

鞠莉「なんですって!?」

善子「あのチカさんに会ってから様子がおかしいのよ…暫く戦うのは――」


果南「いや、大丈夫だよ。ちょっと昔の事を思い出しちゃっただけだからさ…」

ダイヤ「ここで無理する必要は無いのですよ?」

果南「分かってる。でも、本当にもう大丈夫だからさ」ニコッ
160 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/18(火) 16:57:38.00 ID:90zge43E0



千歌はみんなの顔を見渡した

戦闘自体は特に苦戦を強いられた様子は無かったようだ

体力の消費も最低限で抑えられていると思われるのだが…



千歌(大した事無かったって言っていた割にみんな汗が凄いし呼吸も荒い……いつ帰れるか分からない不安で想像以上に体力の消費が激しくなっているんだ…)


千歌(この調子だと、未知の強敵と遭遇したら間違いなく誰か死んじゃう…)


千歌「ねえ、みん――」

曜「みんな、聞いてくれる?」


全員「?」


曜「色々考えたんだけどさ…やっぱりアイツだけは倒さないとダメだと思うんだ」

梨子「アイツって、チカちゃんの事?」

曜「……コクン」


果南「!!? ど、どうして!!」

ダイヤ「そうですわ! 相手は私達に興味が無いと言っているのですよ!?」

鞠莉「わざわざリスクを冒して戦う必要は無いと思うわ」

曜「分かってる。だからみんなはここで休んでいて?」





曜「アイツは、私一人で倒す」



161 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/18(火) 16:59:10.67 ID:90zge43E0



花丸「しょ、正気!?」

曜「私だって前に戦った事はある。あの時は負けちゃったけど、今の実力なら勝てる」

善子「だとしても、無傷で済むはずがない! 一人で戦うなんて危険すぎるわよ!!」


曜「アイツの前で怖がらずに立ち向かえるのはアイツと戦った事の無い理亞ちゃんと聖良ちゃん、それと私しかいない」

曜「でも、二人は連れて行かない」

理亞・聖良「……」


曜「この戦いは私のワガママ。誰かを巻き込むわけにはいかないよ」



梨子「千歌ちゃんは…どう思うの?」

ダイヤ「そ、そうですわ! 千歌さんからも曜さんに何か言ってあげて下さい!!」


千歌「……」

曜「止めても無駄だよ。私は本気だから」



千歌「…確認したい事があるんだ」

曜「何?」


千歌「曜ちゃんが戦おうとしているのは、千歌そっくりの星人じゃなくて、本物の千歌の体を乗っ取った奴なんだよね?」

曜「…そうだよ」

千歌「そっか……」




千歌「――なら断言できる。曜ちゃんにアイツは倒せない




曜「なんだって?」ピクッ
162 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/18(火) 17:00:05.63 ID:90zge43E0

千歌「聞こえなかった? 曜ちゃんじゃ勝てないって言ったの」


曜「……言ってくれるね? いくら千歌ちゃんでも怒るよ…?」ギロッ



曜と千歌は睨み合う

二人とその周囲は異様なまでに重苦しい空気が漂っていた

他のメンバーはその空気に圧倒され、何も言えない



曜「私の実力を知らないからそんな事が言えるんだ! 絶対に負けない」

千歌「いいや、無理だね。そもそも実力の問題じゃない」

曜「は?」


千歌「確かに曜ちゃんの実力なら勝利目前まで追い詰められる。でもトドメは刺せない。乗っ取られているとは言え、相手は本物の千歌なんだよ?」


千歌「――本当に殺せるの?」

曜「っ!」

千歌「どうなの?」

曜「……それでも、それでも私がやるしかない! 千歌ちゃんを奪ったアイツを…私は許せないんだよ!!」

曜「例え刺し違えてでも必ず――」

千歌「なら、私が戦う」


曜「…え?」

千歌「刺し違うって言葉出るあたり、確実に勝てる自信はないんだよね?」

曜「ぐっ!」ドキッ

千歌「私なら倒せるだけの実力もあるし、躊躇もしない」




千歌「だから…私がやる」

163 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/18(火) 17:00:54.71 ID:90zge43E0



千歌のこの発言に他のメンバーもようやく反応する



梨子「で、出来るの!? 相手は千歌ちゃん自身と言ってもいい。自分で自分を殺めるようなものよ!!」

千歌「私自身か…それはちょっと違うかな」

梨子「違う?」


千歌「……いや、何でもない。でも、曜ちゃんが一人で戦うよりもずっと勝率が高い」


曜「で、でも! 千歌ちゃん一人で戦わせるわけには……」

千歌「それも違う。別に一人で戦うつもりは無いよ」

曜「…?」


164 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/18(火) 17:02:54.44 ID:90zge43E0

〜〜〜〜〜〜〜〜〜



チカは少し高い場所に腰を下ろし、暇そうにパタパタと足を振っていた

曜達が立ち去った後、すぐに別のガンツチームが現れたのだが
天狗が全て片付けてしまったので、退屈な時間を過ごしていた。


そんな時、目の前に一人の少女が現れる



チカ「へー、てっきり曜ちゃんが来ると思っていたのに」

チカ「初めまして、偽物さん♪」ニコッ


千歌「…その言葉、そっくりそのまま返すよ」

チカ「だって事実でしょ? あなたはガンツに保存されていた旧データの私。イレギュラーで生まれた紛い物だ」


千歌「どこで調べたのさ?」

チカ「さあ? どうだろうねー」ニヤニヤ

千歌「イライラする顔だな…私ってここまで憎たらしいが出来たんだね」



チカ「…それで? 一応聞くけど、何しに来たの?」



千歌は無言でXショットガンの銃口を向ける

やれやれといった表情を浮かべ、ゆっくりと立ち上がった



チカ「……本気?」

千歌「正直言って、あなたの存在は邪魔なんだよ。私が私であるために、ここでキッチリ決着をつけなきゃダメだと思うんだ」


チカ「偽物が本物になるには、本物を殺すしかないって事か…」

千歌「……」
165 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/18(火) 17:04:20.14 ID:90zge43E0

チカ「いいねぇ! そう言う事なら、テストしてあげるよ。あなたが“高海千歌”に相応しいかどうか!!」


チカ「さあ、かかって来――…っ!!!?」



言い終わる直前、チカは身を屈めて近くの物陰に飛び込んだ

直後、先ほどまでチカがいた周辺が連続して爆発する



千歌(この不意打ちを躱すか…!)ギリッ

チカ「はっ! 案外姑息な手を使うんだね!! 一対一と見せかけて、後方の仲間に狙撃をさせるとね」

チカ「でも残念、撃つ直前に殺気がダダ漏れだよ!! 曜ちゃんを選んだのが間違いだったね!!」



無線機で連絡が入る



曜『ごめん! 外した!!』

千歌「問題無いよ! 曜ちゃんはそのまま援護をお願い」

曜『…分かった!』ピッ



166 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/18(火) 17:05:35.64 ID:90zge43E0
チカ「そっちがその気なら……」



そう言うと、チカはパチンと指を鳴らす
すると――



――ジジジジジ



秋葉原戦で鞠莉と善子が最初に戦ったオオカミ型の星人が転送されて来た

その数、五匹



チカ「別に構わないよね?」

千歌「…どうしてこんな雑魚を呼んだの?」


チカ「ははっ! この子達に失礼だよ。まあ、天狗と比べれば単体戦力は劣るだろうけどね」

千歌「その自慢の天狗はどこに行った!」


チカ「さぁーね? ついさっきスーツを着た人間を皆殺しにするように命令して解放したから、その辺にいるんじゃなーい?」

チカ「この近くにガンツチームは何組いるのかなん?」ニタァ


千歌「…なるほどね」ギリッ

チカ「天狗の力は最大まで強化されている。もう再生は出来ないけど、スピードもパワーも桁違いだ。残りのメンバーじゃ倒せない」

チカ「戻るなら今の内だよー」



千歌「!!」ギョーン!ギョーン!


チカ「っ! だろうね!!!」


千歌の発砲により、星人が一斉に襲い掛かる

二人の千歌による戦いが、始まる




千歌「絶対にあなたを……倒す!!!」





『千歌(クローン)&曜 vs チカ(天狗憑依)&オオカミ型星人×5』
167 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/18(火) 17:07:22.42 ID:90zge43E0
今回はここまで
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/07/18(火) 17:09:58.58 ID:zNoKpJ7B0

ゆっくりでいいから頑張ってください
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/07/18(火) 17:10:51.72 ID:tzWEuNX00
最近、思うんだけどさ。
HACHIMANとかいうタグ付ける奴うざくね?
八幡tueee!が嫌いとか言ってる奴、多すぎ。
「キリトの活躍奪うんじゃねえ!」
「ハチアスとかやめて!」
「上条さんの役割奪うなよ!」
「デレマスのヒロインNTRさせんな!」
これ、マジでキモいからね。
いやさ、お前らの気持ちも分かるよ?
何でも出来て、最強の八幡に嫉妬してるんだよね。お前らは葉山みたいな性格だもんね。
でも、落ち着いて考えてみろよ。
お前らが何と言おうと八幡が最強なのは誰の眼に見ても明らかんだから仕方ないじゃん。
ヒロインを奪われる〜とかさ、クソみたいなキリト、上条辺りに救われるよりも八幡に救われる方が幸せに決まってるよね。
まずは誰よりも八幡が強い事実から目をそらすなよ。それは誰の目にも明らかだろ?
それを劣っている立場の奴等が「俺達の役割を奪うなよ」っていうのは成り立たないでしょ。
いやね、作品を汚すなってのは分かるよ?
例えばキリトが総武高校に転校してきてヒロインNTRしたなら、俺もキレて潰しにかかるわww
でもさ、八幡なんだから仕方ないじゃん。
もうワガママ言うのやめろよな。
八幡が主人公なら皆が救われるんだって。
キリトも上条も士道も必要ないからね?
あんなん好きな奴等はガイジだからね?
もうさ、他作品をsageするなとかいうガイジの話なんか聞くのも飽々してるんだわ。
あのね、sageしてるんじゃないの。
八幡が最強だから、周りが雑魚に見えてしまうのは仕方ない事なんだよ。
八幡が最強なのが気持ち悪いとか言うけど、実際にその世界に八幡がいれば最強なのは間違いないんだから当たり前だよね。
ゴミみたいな作品なんて八幡に蹂躙されて然るべきなんだよ。それによって俺達の目に触れる機会も増えるんだから感謝しろよ。
以上、クソアンチ共を完全論破。全員、速やかに砕け散れよ。
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/19(水) 01:12:54.63 ID:ajVgBYGOo
完全にお話のおもちゃだな
マジで何一つ原型残ってないじゃん
絵もついてないから名前以外何にも繋がる材料がない
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/07/21(金) 18:33:33.12 ID:rpnJYdbsO
天狗ってこんな強かったっけ?補正ありにしても
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/07/26(水) 13:32:11.52 ID:6YLN23WX0
毎回続きが気になるほど面白いです
頑張って下さい!
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/27(木) 06:34:30.20 ID:IKDUt2qGo
乙!
174 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/30(日) 01:58:31.26 ID:kzjjcNWL0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


千歌が戦闘を開始したのとほぼ同時刻

残されたメンバーの前に天狗が姿を現した



天狗「ガアアアアアアッ!!!!」ブゥン!!



接近を試みた鞠莉に殴りかかる

上半身を後ろに大きく反らして何とか回避するも
頬が少し裂けて出血する



鞠莉「危なっ!? 意外と動きが速いわよ!!」

梨子「接近戦は避けてください! 危険すぎます!!」

ダイヤ「相手は一体だけですわ、数で押し切りましょう!!」ギョーン!


善子「で、でも…コイツ!」ギョーン!ギョーン!

花丸「全然当たらないよっ!!!」ギョーン!


果南「っ!!」ダッ!

理亞「!? 果南さん!?」

梨子「ダメ! アイツの攻撃を受けたら――」


果南「うおおおおおおお!!!」

天狗「ガアア!」



果南は二本のガンツソードを操って戦う

以前、短い間ではあったが一緒に戦った海未の剣術を参考にしたこのスタイルは
果南自身も驚くほど自分に合っていた。

ただ、その弊害としてホルスターにはXガンは入っておらず
銃系の武器の扱いは他のメンバーと比較してやや劣る。

鞠莉以上に接近戦に特化しているのだ



果南(いつまでも昔のトラウマを引きずるわけにはいかない! 足手まといには…なりたくない!!!)カチャッ!



――ズババッ!!



果南に向けて振り下ろされた右腕をバラバラに斬り落とす



善子「おぉ!」

果南「もう一撃っ!!!」



ダメ押しに足も斬り落とそうとするが…



天狗「!!!!」ダッ!!
175 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/30(日) 02:01:14.02 ID:kzjjcNWL0

果南「くっ! そっちに行ったよ!!」


梨子「分かってます!」

花丸「ひぃ!」

善子「ずら丸、下がりな――」



飛び掛かってきた天狗は、三人のいる場所の少し手前で落下し
地面に向けて拳を叩きつけた



――ドゴオオオ!!!



善子「んな!? 地面が!」

梨子「こんな場所に落とし穴!?」ゾッ

花丸「き、きゃああああああ!!!」



理亞「マズイ…三人とも落っこちて――」

ダイヤ「よそ見しないで! 今度はこっちに来ていますわ!!」ギョーン!

鞠莉「それだけじゃない…最悪だわ…」

理亞「何が!?」


鞠莉「アイツらよ…最初に遭遇した、武器が効かない星人達が来た!」


理亞「どうするの!?」

果南「戦うしか…ないっ!!」




聖良「な、なんで…これは一体……」

ダイヤ「どうかしましたか?」

聖良「端末のレーダー機能を使ったんだけど、この下に落ちた三人が全然違う所にいる! 端末の故障…?」

鞠莉「三つ同時に壊れるなんてあり得ない…この一瞬で移動したとなると――」


ダイヤ「転送…でしょうね」

鞠莉「落とし穴に何か仕掛けがあったのか…もし自由に使えるなら厄介ね」




176 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/30(日) 02:02:02.16 ID:kzjjcNWL0





果南「理亞、聖良、今すぐ三人がいる場所に向かって」

鹿角姉妹「「っ!!?」」


果南「ダイヤ、鞠莉、天狗の相手をお願いできる?」

ダイヤ「…はい?」

鞠莉「どうするつもり?」


果南「このまま敵を全員相手にするのは無理。それに罠に嵌った三人も助けに行かないといけない」

果南「奥の星人は…私が引き付ける」


鞠莉「…出来るの?」

果南「当然…でしょ? 私はこのメンバーの中で一番強いんだよ。一人で強い敵を複数相手に出来るのは私しかいない」

ダイヤ「し、しかし……」


理亞「ついさっきまでビビッて吐いてたクセに、随分と強気に出たわね?」

聖良「理亞! どうしてそんな言い方を!!!」

果南「あはは、全くその通りだよ」

果南「正直言ってさ…凄く不安だよ。もしかしたら、一瞬で殺されちゃうかもしれない」

果南「だから……早めに仲間を連れて戻って来てね?」ニコッ


理亞「……ええ、分かったわ!!」




果南「――さあ、ついてきな!!! お前たちの相手は私だ!!!!!」

177 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/30(日) 02:03:04.17 ID:kzjjcNWL0

〜〜〜〜〜〜〜〜〜


善子「痛てて…いや、スーツ着てるから痛くは無いか」

花丸「ここは…どこずら?」

善子「一面真っ白でだだっ広い場所ね…まるでどっかの製薬会社の本社みたい」


梨子「…おかしいわ」

善子「何がおかしいの?」

梨子「私達は落とし穴から落ちてここに来たのよね?」

花丸「まあ、抜けた地面に落っこちたのは確かだけど…」

梨子「だったら…どうしてここの天井に穴が無いの……?」


善子「はあ? そんなわけ……ってあれ?」

花丸「どこにも開いてないずら!?」

梨子「私達はここに落っこちてわけじゃない。つまり……」




――ジジジジジ




善子「なるほど、あんな風に転送されてきたって事ね」

善子「ガンツが乗っ取られたなら不思議じゃないか…」

花丸「あれは…うちっちー?」


梨子「あの星人かぁ…スーツ無効系の敵はしんどいよ……」

善子「それだけじゃない、見た事がない星人もドンドン転送されてきてる!」


梨子「やるしかない…か。二人とも、奥に出口があるのは見える?」

梨子「私達で全員倒して、あそこから脱出するしかない」


善子「構えて! 来るわよ!!」



178 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/30(日) 02:03:59.17 ID:kzjjcNWL0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


千歌「はぁ…はぁ……はぁ!!」ギョーン!ギョーン!

チカ「あはは! 走れ走れ! 止まったら噛み殺されるぞー」ギョーン!


千歌(この星人…獣型なのに知性が高い! こっちの武器の特性を理解している)

千歌(倒すには時間が掛かる…結構ヤバイ!?)


オオカミ「バウウウゥゥ!!!!」ガブッ!

千歌「しまっ!? 武器が!!?」


チカ「デカい銃を失ったね! 頼りの援護は全く機能していないみたいだけど、大丈夫なのぉ!!」ギョーン!ギョーン!

千歌(狙撃を警戒して常に動き回っている…この速さじゃ、例え真姫さんでも当てるのは無理!!)



千歌は星人攻撃を避けながら、落ちている小石を拾う



千歌「おりゃあああ!!!」ビュン!



千歌が投げた小石はチカのXショットガンの銃身を貫く



チカ「くっ! そう言えば、投げるのは得意だったね!!」

千歌(これでお互い遠距離攻撃は出来ない…なら!!)



千歌は進行方向を急変更
周りにいる星人は完全に無視してチカに向かって走り出す



チカ「はっ! バカなの!! 嚙み殺されるのがオチだ!!」



五匹の星人は一斉に襲い掛かる



千歌「……ふふっ」ニヤッ

チカ「!?」ピクッ



――バン! バババン!!!



星人は全員空中で爆発四散した



千歌「流石曜ちゃん!! 完璧な射撃だよ!!!」

チカ(なるほど…援護射撃はそっちに……)

179 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/30(日) 02:05:18.51 ID:kzjjcNWL0

チカ「だが! 接近戦は一番得意だ!!」シュッ!

千歌「奇遇だね、私もだよ!!」シュッ!



――ガギィィン!!



凄まじい斬り合いが繰り広げられる
絶え間なく金属がぶつかり合う音が響く

チカのトリッキーな剣術に翻弄されることなく正確に捌き
蹴りや拳による打撃でダメージを与えていく



チカ「やるねぇ!! タイマンで挑もうとしただけの事はあるよ!!」ギン!ガキン!

千歌「当然でしょ? 何年あの人に鍛えられたと思っているの!!」ドゴッ!

チカ「ぐふっ…! ウラアアァァァ!!!!」バキッ!

千歌「痛っ!!!」



実力は拮抗していた

互いにこれ以上ダメージを受ければ、スーツが故障してしまうだろう


二人は大きく距離取った



チカ「はぁ…はぁ……ねえ、偽物さん」

千歌「ふぅ……ふぅ…何?」


チカ「同じ顔の人間と殺し合いするってどんな気分なわけ?」

千歌「…聞いてどうするの?」

チカ「別に、単純に興味があるだけ。殺しちゃったらもう聞けないからさ」


千歌「…いい気分では無いのは確かだね」

千歌「何が面白くて自分と同じ人に刃物を向けなきゃいけないんだよ…」


千歌「――だからさ」



千歌はガンツソードを構え直し、軽く呼吸を整える



千歌「……そろそろ終わりにしようか」ギロッ

チカ「へー…やってみなよ?」ニッ



千歌「行くよっ!!!!」ダッ!

180 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/30(日) 02:06:28.77 ID:kzjjcNWL0



千歌はスーツの力を足に集中させ、一歩踏み出す。

距離は5m弱

次の一手で勝敗は決まる



チカ(さあ、あんたはどこを斬る!? 首、胴、胸、はたまた手足を斬り落とすか?)

チカ(どこを狙おうと、こっちの攻撃の方が一瞬速い! 先にスーツを壊せるのは私だ!!)

チカ(一撃でその首を――…は?)



そこで異変に気が付く

一歩目を踏み出した直後、右手に握られていたガンツソードが消えていたのだ。

いや、消えたのではない
剣先をこちらに向けたまま前方に放り投げたのだ。



チカ(武器を放棄した…?)

チカ(視線誘導? でもこの距離では早すぎる…タイミングを誤ったの? いやこの局面でそれはあり得ない……)

チカ(一体何を――)



千歌「いっっっけえええぇぇぇぇぇ!!!!!!」



二歩目を踏み出した直後

千歌は力を溜めた右足で放り投げたガンツソードの柄を力一杯蹴り飛ばした。
蹴り出されたガンツソードはチカの顔面目がけて一直線に飛んでくる。



チカ(刀を蹴り飛ばすだと!!? 危なっ!!!?)ガキンッ!



間一髪で弾く

この一瞬が命運を分けた


三歩目
蹴りに使ったスーツの力をそのまま前方への推進力にして
チカの懐へ一気に潜り込む



千歌「ッッ!!!!!!!」ダンッ!

チカ「しまっ――」ゾッ


181 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/30(日) 02:07:56.69 ID:kzjjcNWL0

――

――――

――――――


穂乃果『――星人に操られた仲間の救い方?』


穂乃果『うーん…確かに、星人の中には不思議な力で人間を操る奴もいるよね』


穂乃果『他のチームから聞いた話でいいなら教えるけど――…うん、じゃあ教えるね』


穂乃果『確実なのは、その星人に能力を解除させる方法だよね。ただ、力尽くでやらせるしかないし、解除してくれない事がほとんどだけど』


穂乃果『次の方法はその星人を倒す。それで解決するなら簡単だけど、この手の能力のほとんどは倒してもダメな事が多いのが現実なんだよね…』


穂乃果『後は、操られた本人が自力で解く方法かな』


穂乃果『それでもダメだったら? そうだねぇ…』


穂乃果『これは最も確実で最も成功率が低い方法なんだけど……え? 矛盾してるって?』


穂乃果『まあまあ、最後まで聞けばこの言い回しに納得するよ』


穂乃果『その方法はね――』


182 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/30(日) 02:09:25.02 ID:kzjjcNWL0
――――――

――――

――


チカ「かっ……かはっ……こほおっっ!!!!」ドサッ



苦しそうに胸をあたりの服を掴み、その場に跪く



チカ「な、何で…スーツは……まだっ…!!?」コヒューッ、コヒューッ

千歌「知らなかった? このスーツは関節技とか内部に直接力を与える攻撃とかは防げないんだよ」

チカ「内部に…直……接…?」

千歌「この技を習得するの結構大変だったんだよ? 八極拳の達人にボコボコにされながら体で覚えたんだから」



千歌「今の一撃であなたの心臓を止めた。苦しいのはそのせいだよ」

チカ「!? ば…バカ……な…!?」

千歌「勝負はついた。あなたこのまま死ぬ」

チカ「くっ…そん……な……こ…と………が………」



――ドサッ



仰向けに倒れたチカは薄目を開いたまま動かなくなった

口元に頬を近づけて呼吸を確認する。



千歌「――完全に止まっている……条件は整った!」


千歌「待ってて…今助けるから!!!!」



183 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/30(日) 02:10:22.47 ID:kzjjcNWL0

〜〜〜〜〜〜〜〜〜


梨子「このっ! 倒しても倒しても数が減らない!!」ザシュ!ズバッ!


善子「大丈夫よ! 今までは増えていたけど、新しく転送はされていないわ。ここにいる敵を全滅させれば終わりよ!!」ギョーン!ギョーン!


花丸「はぁ……はぁ…や、やっと終わる…ずら……?」ギョーン!


星人「――!!!」


善子「!? ずら丸後ろ!!!!」



――ゴキッ!!!



花丸「〜〜〜〜〜〜〜っっっ!!!!!?」ドサッ
(こ、後頭……部…!!!!)



後ろからの不意打ちを受け、うつ伏せに倒れる

善子は花丸を攻撃した星人を撃破し、急いで駆け寄った。



善子「ずら丸! しっかりしなさい! ねえってば!!!」

花丸「…だ、大……丈夫…ずら」

花丸「でも…もう、体力的に……立ち上がれない…や」


梨子(無理もないわね…花丸ちゃんはメンバーの中で一番体力が少ない。寧ろ今まで戦えていた事自体不思議だった)


善子「本当に立てないのは頭を殴られたせいじゃなくて、ただ疲れただけなのね?」

花丸「う、うん……ごめん」

善子「ならいいわ。ずら丸はこのまま休んでいなさい。この場はリリーと二人で何とかする!」


梨子「ええ! もうひと踏ん張りで――」



――バンッ!!



突如銃声が響くと、梨子の持っていたガンツソードが吹き飛んだ

音のした方向に目を向けると拳銃のような武器を構えた人間そっくりな姿をした星人が立っていた。
この宇宙船の兵士である。


いつの間にか他の星人は消えており、部屋にはこの星人と梨子達しかいない。

184 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/30(日) 02:12:11.55 ID:kzjjcNWL0

梨子が次の行動に移ろうとした瞬間
星人は再び発砲する



梨子「ぐ、ぐうぅ!!!」ドスッドスッ

善子「リリー!!」



善子はXガンの銃口を星人に向ける



善子「…は? どこに行っ――」
梨子「目の前!!!!!」



――ドンッ!!!



急接近した星人は善子の腹部に散弾銃を押し付け、引き金を引いた



善子「ごおっ!!?」



被弾による衝撃で空中に浮いた善子の体を蹴り飛ばし、壁に叩きつける



梨子「よっちゃん!!!」ギョーン!ギョーン!ギョーン!

星人「――!!!」ザッ!ザッ!


梨子(は、速い!! 全部避けられた!!?)




Xガンでの攻撃を全て回避
梨子の目の前まで接近した星人はサマーソルトキックで武器を吹き飛ばす



梨子(ヤバイ!! 接近戦じゃ勝ち目は無い!!!)ゾッ



星人はホルスターから新たな銃を取り出し、梨子の額に突きつける。

反射的に銃口を掴み取る梨子だったが…



――ザクッ!!!



梨子「がああああああああ!!!!!?」キュウゥゥゥン

梨子(あ、足……足を刺された!? 銃はフェイクか!!)
185 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/30(日) 02:13:23.00 ID:kzjjcNWL0



太ももに深々とマチェットが突き刺さり、ドクドクと血が溢れ出る

逸らされた銃口を再び額に戻し、引き金に指を掛けた
スーツは壊れ、次の弾丸はもう防げない。



梨子(マズい…撃たれ――)



花丸「ダメええええええええ!!!!」ドンッ

星人「っ!!!?」


花丸「り、梨子…さんは……絶対に死なせない!!」キュイィィィン!!



花丸は星人の脇腹にしがみついて離さない
スーツの力で締め上げているので星人も必死で振りほどこうともがく。

186 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/30(日) 02:15:06.05 ID:kzjjcNWL0
星人「っ!!!」ドンッ!ドゴッ!

花丸「ぐ、ぐぅぅ……」



梨子(このままじゃ花丸ちゃんが星人に殺されちゃう! )



――ガチャン



梨子の目の前に何かが投げつけられて転がってきた



梨子「っ!! ガンツソード!?」


善子「――リリー!!!! 早く使って!!」


梨子「っ!! おおおおおおおおおお!!!!」



――ズバッ!!!



花丸の拘束から逃れるのに手間取っている星人の急所を斬る
スーツのパワーアシストは失っていた為
斬り裂くまでは出来なかったが、致命傷を与えるには十分だった。



星人「……」ドサッ

梨子「ふぅ…ま、間に合った……」

梨子「助けてくれてありがとう。花丸ちゃん、よっちゃん」

花丸「へへ…やっと役に立てて良かった…ずら」グッタリ


善子「痛てて…流石にあの距離で受けたら凄まじい衝撃だったわ」

善子「私のスーツはまだ壊れていないけど…リリーのはもう……」

花丸「足のケガも酷い…早く手当しないと」

善子「これ、引っこ抜いた方がいいの?」

花丸「それはダメ。そんな事したらもっと血が噴き出して死んじゃうよ」


善子「な、なるほど…」

花丸「肩を貸すよ、立てる?」

梨子「ありがとう……痛っ!?」ズキンッ



――ジジジジジ



善子「また敵の転送が始まった!?」

花丸「痛いと思うけど、我慢して!」

梨子「だ、大丈夫よ…」

善子「あの出口まで急いで! 敵は私が倒すから!!」ギョーン!ギョーン!
187 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/30(日) 02:15:50.11 ID:kzjjcNWL0

〜〜〜〜〜〜〜〜〜


果南「……っはぁ、はぁ!!!」ドクンッドクンッ!!

星人「……」ザッザッ


果南(よし! ちゃんと引き付けられた)

果南(星人は二体…銃の類は効かないし攻撃は即死級の威力)

果南(最初に遭遇した時より数が減っている…あの人達が倒してくれた?)

果南(なら、無敵って訳では無さそうだね。そうじゃなきゃ困るけど)

果南(凄く危険だけど…接近戦でやるしかない!!)



果南は星人の脇腹へ斬り付けるが…



――バキンッ!!!



果南「硬っ!? 刃こぼれした!!?」



果南の攻撃に反応し、星人も反撃する
もちろん、当たっても防いでも即死



果南(当たったら死ぬ当たったら死ぬ当たったら死ぬ当たったら死ぬ)ゾワッ

果南「うわあああああああああ!!!?」



攻撃の速度はそれほど速くない
常人でも問題無く避けられる速さだ。

しかし、そんな攻撃を果南はギリギリで回避している。
死の恐怖が果南の動きを鈍らせていたのだ。
188 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/30(日) 02:16:49.33 ID:kzjjcNWL0


果南(何で…何でこんなに怖いの!? 即死級の攻撃をしてくる星人とは何度も戦ってきたじゃん!)


『――分かってるくせに』


果南(!!?)


『私は最初から怖くて怖くて堪らなかった。誰よりも部屋から解放されたいと願っていた』

『他の人より体力や運動神経がいい私は、すぐに戦闘慣れして他の仲間から尊敬されるようになった』

『“果南ちゃんがいれば大丈夫”“果南ちゃんならどんな星人も倒せる” みんなにそう言われるのが心地よかった』

『そして、自分は誰よりも強いと思い込むことで折り合いをつけていたんだ』


果南(…違う)


『部屋の仕組みも一役買っていたよね。多少無理をしても生き残れば再起不能の大ケガをしても大丈夫だし、仮に死んでも頼れる仲間に再生して貰えるんだから』

『でも、今違う。ケガは治らないし死んだら終わりだもんね』

『だから街の人を救うこの作戦だって本当は参加したくなかった。自分の知らない赤の他人なんてどうでもいい』

『でも、他の仲間はそうじゃ無かった。みんながやるから仕方なく参加したんだよね』


果南(違う! 私は……)


『やっぱり自分の命が一番大切なんだよ。本音を言えば鞠莉やダイヤ、仲間がどうなったって構わない。自分が助かればそれでいい』

『それなのに無理してこんな危険な敵を一人で相手をする選択をした。本当に馬鹿だよね』


果南(うるさい!! そんな事思ってない!!!)


『間違えじゃないでしょ? 私はあなたの“心の声”なんだもの』


果南(っ!!?)


『でもいいの? 戦闘中に自問自答なんかしてさ。隙だらけなんじゃない?』




――ポキッ




果南「――――は?」
189 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/30(日) 02:17:40.76 ID:kzjjcNWL0



星人攻撃をかすめた左腕があり得ない方向に折れ曲がっていた

この程度の痛みは何度も経験している
しかし、今の果南の心を挫くには十分すぎる痛みだった。



果南「や…止め……」



――グシュ!!



今度は左足の脛を踏み潰される



果南「あ゛っ、う゛があああああああ!!!」



残った手足で這うように逃げる



果南「来るな……来ないで…来ないでよおおおお!!!!」



以前までの勇ましく戦っていた彼女の面影はもうない

恐怖で顔を歪ませ
ただただ逃げ惑うだけだった



果南「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…もうやりませんから!! おねがいですからやめてください!!」



この星人に言葉は通じない
ゆっくりと近づき、果南の足を掴んで持ち上げる



果南「―――ッ!! いやだああああああああああ!!! だずげで!! だずげでおどうざん!! おがあ゛ざん!! いやだあああああああ!!!」



果南の助けが両親に届くはずがない
無駄だと分かっていても、追い詰められた彼女は必死に叫ぶ

星人はそんな果南の命を絶つため
その手で果南の頭部を握り潰――






鞠莉「―――かぁぁぁぁなあぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!!!」



190 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/30(日) 02:18:47.58 ID:kzjjcNWL0

鞠莉の飛び膝蹴りが星人の顔面に炸裂
怯んだ星人は掴んでいた果南を地面に落とした



ダイヤ「天狗がいきなり絶命したので急いで駆け付けたんですが…これは……」


果南「しにたくないしにたくないしにたくないしにたくないしにたくない」ガタガタ

鞠莉「果南!! 果南ってば!!!」ユサユサ

果南「こんな敵倒せっこないんだよ!! みんなこの敵に殺されるんだ!!! もうおしまいなんだよ!!!」

果南「こんな化け物を短時間で作り出せる敵に勝てるはずがない! 私達は虫けらみたいに殺される運命なんだ…戦っちゃいけなかった、誰かを救う余裕なんて無かったんだ!!」

果南「チカの言う通りだった……私は……」


鞠莉「…もういいわ」

ダイヤ「ま、鞠莉さん?」

鞠莉「果南はもう十分戦ったわ。どのみちそのケガじゃもう戦えない。後は私達が何とかする」

鞠莉「安心して、私達が果南を守るから」ニコッ


果南「ま…り……?」


鞠莉「だからさ…もうお終いなんて言わないで?」

ダイヤ「そうですわ。勝手に諦められてもらっても困ります」

果南「だ、ダメ…こいつと戦っちゃ…!!」

ダイヤ「果南さんはここで見守っていて下さい。必ず勝って見せますから」カチャッ


鞠莉「ダイヤはXガンで敵の足元を撃って。体勢が崩れた所を私がぶん殴る!!」

ダイヤ「Xガンが効かない以上仕方ありませんわね…その作戦で行きましょう」


果南「何で…何で二人は戦えるの!? どうして怖くないのさ!!?」

鞠莉「…愚問ね。果南だって同じ理由でしょ?」
191 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/30(日) 02:19:58.00 ID:kzjjcNWL0


そう言い残すと、二人は駆け出した
生き残る為にはこの敵の撃退は必至
鞠莉がいかに早く弱点を見つけ出せるか
全てはそこにかかっている



果南(同じ理由…? 私は今まで…自分が死にたくないから戦って……)



鞠莉「おりゃあああ!!!」

星人「…!」グラッ

鞠莉(打撃は通じる! 攻撃さえ当たらなければ大丈夫!!!)

ダイヤ「後方にも気を付けて!」ギョーン!ギョーン!



果南(……違う、私が戦っていた理由はそうじゃない)



鞠莉「くっ! 段々と動きが速くなってない!?」

ダイヤ「一旦下がって!」



果南(最初は自分が生き残れればそれでよかった。でも、曜が私を庇って死んだとき思ったんだ…私の目の前で大切な人が死ぬところを見たくないって)



鞠莉「ダイヤ!! 危ない!!!!」

ダイヤ「がはっ!!!?」グシャ!

鞠莉「このっ!! お前たち! 私を…見ろおおおお!!!!」バキッ



果南(死にたくないって気持ちは嘘じゃない。噓じゃないけど、それ以上に――)グググ




――グラッ



鞠莉「んな!? 足元が!!?」

星人「――!!!」ブンッ!

鞠莉(ヤバ……これ避けられない!?)ゾッ

ダイヤ「鞠莉いいいいいいいい!!!!!」



――ドスッ!!!



鞠莉「……え?」



足場が悪かったせいで体勢を崩した鞠莉。
回避不可能のタイミングで繰り出された攻撃だったが
その攻撃は鞠莉には当たらなかった。

尻餅をつく形で地面に座り込んだ鞠莉の足元には
うつ伏せに倒れている果南の姿があった。
寸前で駆け付けた果南が鞠莉を突き飛ばしたのだ。

一方、ダイヤは鞠莉と果南から敵を離すため
奴らの気を引き付ける。

192 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/30(日) 02:20:37.89 ID:kzjjcNWL0


果南「……」

鞠莉「か、果南! どうして……どうして出てきたのよ!!」

鞠莉「どこ!? どこを攻撃されたの!!?」



抱きかかえるように起こし上げる
果南の背中に手を回すと、ドロッとした生暖かい感触があった。

確認するまでも無い
背中から大量に出血しているのだ。



果南「ま…り……無事?」

鞠莉「何で庇ったりしたの!? 私ならあんなの余裕で避けられた!! 余計な事しないでよ!!!」

果南「えー…決死の覚悟…だったのに……酷くない?」

鞠莉「守るって言ったのに……どうして…!!」

果南「……鞠莉が…死ぬかもって思ったらさ……自然と体が動いたんだ…」

果南「さっきまで無様に…死にたくないって喚いていた…くせに……不思議だよね?」

鞠莉「そうよ!! 果南は生きたかったんでしょ!?」


果南「そう…だよ。でも、それ以上に……鞠莉やダイヤを守りたいと……思ったんだ」

鞠莉「そんなの私やダイヤだって同じよ!! 私達が果南を想っている気持ちを軽く見ないで!!」

果南「へへ…なんか、照れる……な」

果南「それに、私は死なない…よ? 死ぬほど痛いけど…大したケガじゃない、唾でも付けとけば治る…って」ニコッ

鞠莉「果南…」

果南「私は大丈夫…だから、早く…ダイヤの所に……」



ダイヤ「鞠莉さん! 果南さんの容体は!?」

鞠莉「だ、ダイヤ!? 頭をケガしたの!!?」

ダイヤ「ちょっと擦り剥いただけですわ。それより、果南…さん……は…」ゾッ

果南「大丈夫…だってば……!」ニッ

193 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/30(日) 02:21:50.98 ID:kzjjcNWL0



鞠莉「ダイヤ…お願いがあるんだけど」

ダイヤ「お断りしますわ」

鞠莉「えー…断るの早くない!?」

ダイヤ「どーせ、果南さんを連れて逃げろって言うつもりなんでしょう? だったらお断りします。戦うにしても、逃げるにしても、三人一緒ですわ」

鞠莉「…ふふ、ならわざわざお願いする必要も無かったって事ね? 初めからそのつもりよ」


ダイヤ「それで、どうするのですか?」

鞠莉「……逃げよう。このままじゃ三人とも死んじゃう」

ダイヤ「賛成ですわ。ただ、そうやってこの場を逃げるか……」





「――大丈夫、この敵なら私が倒すよ!!!!」




――ザシュッ!!!




星人「!!!?」



一人の少女が後方から飛び出し、敵の肩を斬り落とした。

今までどこを攻撃しても全く効き目が無かった敵に目に見えるダメージが入ったのだ
これだけでも驚愕だったが、それ以上に驚いたのは攻撃した少女の容姿だった。



鞠莉「う、ウソ…でしょ?」

ダイヤ「な…何故、…ええっ!!?」

果南「…はは、久しぶり……だね?」



194 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/30(日) 02:22:34.49 ID:kzjjcNWL0

――

――――

――――――


曜はスコープ越しに戦闘の一部始終を見ていた。

浦女の制服を着た千歌が倒れ込むのを確認した曜は
急いで現地に向かった。

途中、数体の星人と戦闘を余儀なくされた為
駆け付けた時には戦闘が終わってから数分が経過していた。



曜「千歌ちゃん…何を……しているの?」

千歌「見て…分から、ない!?」



千歌は心臓マッサージを施していたのだ



曜「どうして…何の為にそんな事……」

千歌「前に穂乃果さんに聞いたんだ! 星人に操られた仲間の救い方を!!」

曜「!!」

千歌「その中で最も確実な方法を試しているんだよ!」

曜「確実な…方法?」


千歌「精神操作や憑依は生きている生物にしか効果を発揮しない。だから対象者が仮死状態になれば強制的に解除される!!」

千歌「だから、私が戦った。私なら心停止させて仮死状態に出来るから!」

千歌「止まった心臓がもう一度動き出す可能性は高くないのは分かってる…でも、この方法なら千歌を確実に取り戻せるんだ!!」



…曜は喜べなかった。
この事実を知ったタイミングが遅すぎた。
いや、むしろ変な期待をしなくて済んだ分良かったのかもしれない

195 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/30(日) 02:23:38.50 ID:kzjjcNWL0


千歌「ふっ、ふっ、ふっ、ふっ!」グッグッグッグ!


曜「…千歌ちゃん」


千歌「ふっ、ふっ!」グッグッ!


曜「千歌ちゃん!!」


千歌「なに!! 邪魔しないで!!」


曜「戦闘が終わってから……意識を失ってからもう三分以上過ぎている」


千歌「…だから?」グッグッ


曜「前に講習で習ったんだ…」

曜「仮に今心臓が動き出しても……これだけ無呼吸状態が続いたら…脳に重い後遺症が残っちゃう……」


千歌「……残らない!」グッグッグッグ


曜「そもそも、止まった心臓が心臓マッサージだけでもう一度動き出す可能性なんてほとんど無いんだよ」


千歌「……っ」グッグッグッグ


曜「………だから…だからもう、やめ――」

千歌「やめない! 絶対にやめるもんか!!!!」



千歌は曜の制止を無視して心臓マッサージを続ける

曜の言う通り、再び心臓が動き出したとしても
意識を取り戻す可能性は極めて低い。

心臓マッサージはかなりの体力を消耗する行為だ。
今後の事を考えれば、少しでも体力は残しておくことが重要なのは
千歌自身も重々承知している。


――それでも千歌は、やめない


196 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/30(日) 02:24:47.12 ID:kzjjcNWL0

曜「どうして…」


千歌「はぁ、はぁ……私じゃダメ…なんだよ……」

曜「…?」


千歌「このメンバーにとって“千歌”の存在は私が思っていた以上に大きかった! みんなは優しいから口には出さなかったけど…それでも分かっちゃうよ」

千歌「例え姿形が一緒でも……偽物の私じゃ意味が無い!」




鞠莉『ええっと…つまり、この“高坂千歌さん”は私達の知っている千歌っちとは別人なのね』

花丸『そっか…この千歌さんはマル達の事知らないんだね』

ルビィ『ちょっと寂しいです…』




千歌「――私は…私じゃ“高海 千歌”の代わりになれない!!!!」


曜「…っ!!」


千歌「起きろ…起きてよ!! 目を覚ませばそれでいいんだよ!!」



千歌の体力も限界に近かった
もう一定のリズムでの心臓マッサージは行えず、押し込みも不十分

既に行為として成り立っていなかった。



千歌「……なんで、なんでよ…どうして目を覚まさないの?」ハァハァ

曜「……うぅ」ジワッ


千歌「いい加減帰って来てよ……高海 千歌あああああああ!!!!!!」


千歌「うあああああああああああああああああ!!!!!」




周囲には、少女の悲痛な叫びと
ドン、ドンと拳を叩きつける鈍い音が響くだけだった

高海千歌が、再び意識を取り戻す事は――


















――ドクン…




197 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/30(日) 02:26:18.42 ID:kzjjcNWL0

〜〜〜〜〜〜〜〜〜



善子は壁にあるボタンを見つける度にそれを叩いてシャッターを下す。

負傷した梨子、体力の限界が近い花丸
この二人と一緒に逃げる為には少しでも時間を稼ぐ必要がある。

しかし、追手はそのシャッターを爆破しながら迫ってくる
爆発音はまだ遠いが、その音はどんどん近づいていていた。



善子(このペースじゃ間違いなく追いつかれる……三人で逃げ切るのは不可能ね……)


花丸「はぁ、はぁ……ま、マズいよ……追いつかれちゃう」

梨子「……二人とも聞いて?」

善子「……」

梨子「このまま逃げても、脱出する前に追いつかれるのは目に見えるわ。持っている武器が少ない今の状況じゃ間違いなく三人とも死ぬ」

花丸「そう…だよね……」

梨子「…私は足を怪我しているし、スーツも壊れている。だから――」

善子「リリーを置いて逃げろって言うの?」

梨子「……ええ、その通りよ」

花丸「っ!! それは駄目だよ! 今私達が生きているのは梨子さんが命懸けで戦ってくれたおかげなんだよ!?」

梨子「でも、私のせいで二人も死ぬのなら意味が無いのよ! 逃げ切る体力があってスーツも無事のよっちゃんが花丸ちゃんを連れて行けば助かる。今なら…まだ間に合う……!」

花丸「…い、嫌だ……梨子さんを見捨てて逃げるなんて出来るわけない!!」

善子「……リリーはそれでいいの?」

梨子「…ええ、とっくに覚悟は出来ているわ」


善子「そっか……説得しても無駄みたいね」

花丸「善子ちゃん!? 本気で置いていくつもり!!?」

善子「リリーの言う通り、このままじゃ追いつかれて三人とも生き残れない。誰か一人が犠牲になる必要があるのは間違いない」

花丸「だ、だったら私が――」



198 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/30(日) 02:28:40.58 ID:kzjjcNWL0
善子は花丸が話し終わる前に首根っこを掴み、遠くへ放り投げる
続けて梨子も同様に投げ飛ばした。

スーツが壊れている梨子は全身を強打し、一瞬意識が飛びそうになる



梨子「…がはぁっ……よ……ちゃん……?」

花丸「…え? 何?? 何が起こったの?」



動揺する二人

少し遠くには壁のスイッチを押す善子の姿がある

すると、ガシャンと目の前のシャッターが勢いよく降りた。



花丸「……は? 善子ちゃん!? 何をしているの!!?」


花丸はシャッターに駆け寄る
梨子も少し遅れて追いついた

操作ボタンは善子により破壊されているので開閉は不可能となっている


善子「全く……ここでわざわざみんなで死ぬ必要は無いでしょ?」

花丸「なんで…なんで……」

善子「私がここで追手を食い止める……花丸は梨子を連れて逃げなさい」

花丸「そうじゃない!! 聞きたいのはそれじゃないよ!!!」

善子「…二人を守りながらじゃ無理だけど、私一人なら可能性はある。三人とも生き残るにはこの方法しかない」



梨子「ふざけないで!! よっちゃん一人で勝てるハズないでしょ!?」

善子「……リリー、めっちゃ怒ってるわね? でも顔が全然見えないから、ちっとも怖くないよーだ」ニシシッ

梨子「ここを開けなさい!! 早く開けてよっちゃん!!! ……開けろ善子おおおおおおお!!!!」ドンドン!!!


善子「花丸、力尽くでも梨子を連れて行きなさい。頼んだわよ」

花丸「……でも」

梨子「嫌よ!! 絶対に行かない!!!」



善子「――花丸!!!!」



花丸「……っ」グイッ



花丸は梨子の腕を強引に引っ張る

スーツの機能がまだ残っている花丸の力に梨子は抵抗することは出来ない



梨子「花丸ちゃん!? 何するの!!?」

花丸「早くここから逃げないと善子ちゃんの行為が無駄になっちゃう」

梨子「でも!!」

花丸「信じよう…善子ちゃんは必ず追いついてくる!!」ジワッ

梨子「嫌よ……よっちゃん……よっちゃああああああん!!!!!」


199 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/30(日) 02:29:47.48 ID:kzjjcNWL0


梨子の叫び声がどんどん遠ざかっていく
反対に、爆発音はすぐそこまで近づいていた。

距離的に最後のシャッター前まで迫っているのが分かった



善子(…梨子、花丸、ごめんね? 二人のどっちかを見捨てて生き残るくらいなら、私は二人が生き残る方を選びたかったのよ)

善子(…大丈夫、私なら切り抜けられる。それだけの力は付いているハズ……自分を信じなさい!!)



状況は絶望的だ

武器は僅か
頼れる味方の増援は絶対に来ない
生き残れる確率は極めてゼロに近いだろう

それでも、善子は恐怖に怯える事は無かった


――そして、最後のシャッターが破壊され、大勢の敵が目の前に現れた


敵は禍々しい武器を携えている
どの武器もスーツの防御力以上の威力があるだろう


唯一の武器であるXガンを構えた



善子「――かかって来なさい、あんた達の相手はこの堕天使ヨハネ様よ!!!!」


200 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/07/30(日) 02:31:25.47 ID:kzjjcNWL0
今回はここまで。次回も不定期更新ですがよろしくお願いします。
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/07/30(日) 02:33:15.75 ID:AUhIOKrs0

めっちゃ面白くなってきた。次回も超期待しめるわ
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/07/30(日) 02:36:57.14 ID:AUhIOKrs0

初代ラスボスも時が経つと意外とアッサリやられるんやな
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/30(日) 07:48:43.51 ID:c+YzgRd0o
乙!
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/07/30(日) 08:51:42.00 ID:WtO1jNsL0
乙!
すごく面白いです!
超期待
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/01(火) 02:30:16.67 ID:S/7jZp+To
面白いけどもはやラブライブキャラではないな
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/07(月) 14:00:34.12 ID:reRamU/l0
乙!
やっぱり面白いです
千歌ちゃんどうなるんだろう…
気になるから、超期待です
207 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/08/12(土) 00:41:53.07 ID:J7Obj3h10
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜豊田ジャンクション付近〜


イザベラ「おいおいおいもっとスピード出ないのか!? 追いつかれるぞ!!」

ルビィ「無茶言わないで! 障害物避けながら運転しているんだから!!」

イザベラ「クソッ…あと少しで着くっていうのに!!」



T-レックス「GIGAAAAAAAAA!!!!!」



イザベラ「どうして高速道路に恐竜がいるんだよおおお!!!?」ギョーン!ギョーン!

ルビィ「早く倒してよお!」

イザベラ「やってる!! でも、こんな運転で狙いが定まると思うか!?」

ルビィ「でも真っすぐ進むのは無理だって!」

イザベラ「ならこのまま逃げ切るしかない!!」



――ボンッ!!!



イザベラ「ッ!!? 左に避けろ!!!!」

イザベラ「口から火を出しやがった!!」



この恐竜型の星人のブレス攻撃が近くの車に当たり、爆破
その周囲の車も連鎖的しさらに大きな爆発を生み出した。



ルビィ「うわあああああああああ!!!!」

イザベラ「まだ追ってくるか…仕方ない」


イザベラ「しっかりハンドルを握れ! 次の分岐点を右だ!」

ルビィ「み、右!? 高速を降りないの?」

イザベラ「そうだ! 目の前の高いマンションが見えるか?」

ルビィ「あの一番高いあの建物を言っているの?」

イザベラ「あれが目的地だ! 高速を降りて街を走るよりこっちの方が早い!」

ルビィ「早いって…どうやって降りるのさ!?」


イザベラ「……あそこの壁が丁度壊れているな?」ニヤッ

ルビィ「――――ウソでしょ?」ゾッ



イザベラは後ろからバイクのハンドルを乗っ取り、進行方向を固定した
アクセルを全開にして壁の穴から勢いよく飛び出した
208 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/08/12(土) 00:44:52.16 ID:J7Obj3h10

ルビィ「ギャアアアアアアアアアア!!!!!!??」ジタバタ

イザベラ「お、おい! その体勢じゃ――」



空中で体勢を整えたイザベラは着地に成功
一方のパニックで冷静さを失っていたルビィは顔面から地面に叩きつけられた



ルビィ「ぐへぇ!!!?」ドシーン


イザベラ「顔面着地って…しっかりしてくれよ」ズーン

ルビィ「う、うりゅ……///」

イザベラ「直ぐ立て! あの恐竜が来る前に――」



――ドスッ……



イザベラ「この……場…から……離れ………え?」

イザベラ「……ごふっ」ボトボト


ルビィ「あ…ああ……」ガタガタ



予期せぬ攻撃だった

背後から何者かの手がイザベラの脇腹に突き刺さる



キマイラ星人「…その服装をした片腕の無い女にはいい思い出が無いんでね。悪いが死んでくれ」ズボッ

イザベラ「……」ドサッ


ルビィ「イザベラさん!!」

キマイラ星人「おいおい、人の心配をしている場合か?」

ルビィ「っ!!?」ビクッ


キマイラ星人(この女…どう見ても雑魚だな。先に片腕の方を仕留めておいて正解だった)

キマイラ星人「下手に抵抗するなよ? 余計に苦しむだけ……」



――ガシッ!!



キマイラ星人「……あ?」

イザベラ「何……勝手に倒した気でいるんだよおおおおおおお!!!!」



イザベラは星人の足を掴み、少し先の自動車へ叩きつけた
すぐさまXガンで自動車を撃って爆発させる。
209 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/08/12(土) 00:45:53.53 ID:J7Obj3h10


イザベラ「くっ…痛っうううう」グラッ

ルビィ「私の肩に掴まって下さい! 早くここから……」


イザベラ「…黒澤妹……よく聞け」

イザベラ「この道の突き当りを…右に曲がって、道沿い進め……」

ルビィ「な、何言って…」

イザベラ「暫く進めば正面にマンションの入り口がある……最上階奥の部屋が例の部屋…だ」

ルビィ「…嫌だよ……一緒に行くんでしょ…?」

イザベラ「……私がここで奴の足止めをする」

ルビィ「そのケガじゃ無理に決まってるでしょ! 一緒に逃げるよ!!」



――バチバチッ



イザベラ「ッ!! どけ!!!!」



星人の攻撃を察知したイザベラはルビィを突き飛ばす

直後、高圧電流が彼女の体を襲った
スーツが無ければ一瞬で黒焦げになっただろう。

この電撃を受けてスーツも機能を停止
白目をむいて立ち尽くしていた



210 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/08/12(土) 00:46:43.07 ID:J7Obj3h10


イザベラ「……が、……がが……」プスプス

キマイラ星人「……逃がすと思うか?」

ルビィ「ば、爆発に巻き込まれても…死なないの……!?」

キマイラ星人「お前たちに俺は倒せない。諦めるんだな」



イザベラ「――…ルビィいいいいいいいいいい!!!!!!」

ルビィ「ひっ!?」ビクッ

キマイラ星人「ほう…まだ意識があったか」


イザベラ「仲間を…救いたいんだろ! なら、お前は生き残らなきゃダメなんだ!!!」

イザベラ「今すぐ行け…走るんだよ!!!」

ルビィ「で、でも……」



キマイラ星人「ごちゃごちゃうるさい……もう――」



――バンッ!!!



星人の頭部の半分以上が爆発で吹き飛んだ
時間差でその他の部位も連鎖的に爆発し、一瞬でバラバラになった。

Xガンによる狙撃なのは明らか
ただ、攻撃したのはイザベラでもルビィでもない。



ルビィ「だ、誰がやったの…?」


「――間に合いましたね」


二人の背後から、使用人の服装をした女性がXガンを構えながら歩み寄る


イザベラ「……あ、あんた…は?」

「あなたは…イザベラ様ですね?」

イザベラ「どうして名前を…」

「ルビィ様の通信機から声は聞こえていましたので。…遅くなって申し訳ありませんでした」



執事「――ここからは、私に任せて下さい」


211 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/08/12(土) 00:48:04.60 ID:J7Obj3h10

――

――――

――――――


鞠莉『――やった…やったわ!! 遂に伊波から一本取れたわ!!!』ワーイ

執事『ふぅ…負けたー。強くなったね、お嬢様』

鞠莉『まあ…“左手しか使わない”“防御不可”“一発でも当てれば勝ち”のルールで10回目にしてやっと勝てたわけだけど』アハハ…

執事『ふふ、本気の私と戦うにはまだ三年早いよ♪』

鞠莉『むぅ…この化け物めぇ』

執事『誉め言葉、として受け取るよ』


鞠莉『それで…約束は覚えている?』

執事『私が何故、鞠莉ちゃんと同じ“黒いスーツ”を持っていたかだったよね』

執事『簡単に言えば、私も鞠莉ちゃんと同じであの部屋のメンバーなんだよ』

鞠莉『…まあ、そうなるわよね』

鞠莉『でも、スーツをまだ持っているって事は部屋から解放されていないんだよね?』

執事『ええ、昨夜もミッションを終わらせてきました』

鞠莉『Really!? 全然気が付かなかったわ…』


執事『――日本に初めてガンツが置かれたのは、北海道、新潟、東京、静岡、大阪、福岡なの。私は、静岡チームに所属していたんだ』

鞠莉『伊波は初期メンバーだったのね』

執事『そうなるね。でも、特別に選ばれたわけじゃないよ。他の人と同じようにミッションが行われる日に偶然死んであの部屋のメンバーになったんだ』


鞠莉『…ん? でもおかしくない?』

鞠莉『伊波は静岡のガンツチームなのよね? だったらどうして今もあの部屋に居ないのよ? 静岡にガンツは二つ置いてあるの??』

執事『うんん。ガンツは東京を除いて各都道府県に一つしか設置されていないよ』

鞠莉『東京を除いて?』


執事『鞠莉ちゃんはこんな事態を想定した事ある?』

鞠莉『?』


執事『ミッションで設定された星人に参加者全員が殺害された場合だよ。出現する星人の強さのランダム性は実感していたでしょ?』

鞠莉『…確かに。目をつぶっても倒せる時もあれば、全滅を覚悟する程強かった時もあったわね……』

執事『それほどの強敵を倒し損ねたミッション……一体誰がその後始末をするんだろうね?』

鞠莉『……考えた事なかった』

執事『そんな緊急事態に対処する為に、ある一定の条件を満たした強者が招集されるガンツの部屋が東京にあるんだよ』

執事『メンバーは大体5、6人ってところだね。いくら強くても死ぬ時は死ぬから、欠員が出ては補充の繰り返しだったからさ』

執事『あー…でも、最後に召集された東京チームの二人は別格だったね。特にサイドテールの子が凄くてさ! 今まで出会ったメンバーの中でもトップクラスの強さだったね』ウンウン


執事『まあ、結論から言えば私は凄く強いんだよ! だから、カタストロフィでは私を上手く使ってね?』ニッ

鞠莉『…頼もしい仲間が身近にいたものね♪』


212 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/08/12(土) 00:49:31.08 ID:J7Obj3h10


――――――

――――

――


ルビィ「――い、伊波さん……どうしてここに…?」

執事「皆さんが着けているその端末には、リアルタイムでバイタルチェックする機能が備わっています」

執事「万が一、ピンチに陥った時にガンツの転送機能を使って駆け付ける算段でしたのですが……ルビィ様以外の反応が一斉に消失するという異常事態が発生しました」

ルビィ「それは……」

執事「ああ、大丈夫よ? 事態の経緯は把握済みです」

執事「でもここまで来るのは本当に大変でした…道中至る所で星人や侵略者に絡まれましてね。予定より大幅に遅れてしまいました」



――グチュ…グチュ……



Xガンによりバラバラになった星人の肉片が奇妙な音を立てながら徐々に大きくなっていく。次第に肉片は生物の形となり元の姿を取り戻しつつあった。



ルビィ「!? さ、再生してる!?」

執事「…まあ、想定通りですよ」

イザベラ「お、おい…どうする……つもりだ?」ゼェ…ゼェ…


執事「ルビィ様は今すぐ目的地に向かって下さい。私はあの星人を出来るだけ早く処理して、イザベラ様の治療を行います」

執事「――皆様を救えるのはルビィ様だけです。さあ、行って!!!」

ルビィ「…はい!!」ダッ


ルビィはマンションへ向けて走り出す。

鞠莉の執事である伊波がどうしてXガンを持っていたのか
そもそも、ここまで来るまでに遭遇した敵はどうやって倒したのか

分からない事は沢山ある



ルビィ(それでも…今は信じるしかない! 私は、自分のやるべき事を絶対にやり遂げるんだ!!)



最初の角を曲がり、姿が見えなくなった所で
執事は星人の方向を向きなおす
213 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2017/08/12(土) 00:50:56.71 ID:J7Obj3h10


執事「……さて、そろそろ再生は終わりましたか?」

キマイラ星人「舐めやがって…この俺を処理するだと?」



バチバチと電気を帯電させながら怒りの表情をあらわにする。
そんな星人を見ても執事は顔色一つ変えないどころか、笑みを浮かべていた



執事「貴様“程度”の星人とは何度も戦っている。脅威でも何でもない」

キマイラ星人「――コロスッ!!!!」




激怒した星人は一瞬で執事との距離を詰め、殴りかかる

人間では到底反応できるはずのないスピード
勿論、加減などしていない

そんな攻撃を、執事は避けるのでもなく防ぐのでもなく
その拳に合わせて上段蹴りのカウンター攻撃を繰り出したのだ

スーツのパワーと星人のスピードが合わさり
その蹴りの威力はキマイラ星人の上半身を引きちぎる程


しかし、星人の攻撃は終わらない
引き千切られ、吹き飛ばされる直前に指先から電撃を繰り出す

当たれば即死級の電流
スーツを着ていても無事で済む保証はない
そんな攻撃をほぼゼロ距離で繰り出す



執事「――ふふっ」

キマイラ星人(……おいおい、コイツ本当に人間か!? この距離の電撃を避けるだと!!!?)



そう、避けたのだ。
放電を認知してから反応しては到底間に合わない
執事は敵の攻撃パターンを出会って直ぐに完璧に把握していたのだ

今まで世界中の残党処理、それも毎回100点級の超強敵との戦闘を何年も繰り返し勝ち残ってきた彼女。その経験と技術は並大抵では無かった。



執事「あなたのその再生能力…脳や心臓といった急所の再生にはかなりの体力を使うようですね? さっきバラバラにした時とは明らかに再生スピードが落ちている」

キマイラ星人「…っ!?」

執事「それに血液からの再生は不可能と予想します。Zガンで全身を肉片も残さず一撃で消滅させれば終わりなのですが……生憎、今は持っていません」


執事「――仕方ない、少々時間はかかりますが再生が出来なくなるまで殺し続けましょう」

キマイラ星人「…くっ」ゾワッ



執事「さぁ…残機はあといくつかな?」ニヤッ

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