【デレマスホラー劇場】鷺沢文香「カカシの脳」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 17:14:05.45 ID:SpTO8pPk0
※オムニバス
※攻殻機動隊の微ネタバレ注意

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1498119245
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 17:15:20.56 ID:SpTO8pPk0
午前2時。 

除霊師の松永涼と白坂小梅は、病院内の図書室にいた。

依頼主によれば、ここに凶悪な幽霊が現れるという。
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 17:16:05.02 ID:SpTO8pPk0
「生前ストレス溜めてた、インテリ野郎か文学少女の霊だな」

涼がそう言って、2人が笑おうとした直後、

棚から本がざあーと落ちた。

涼が身構え、小梅は周囲を見渡した。

「…?
 
 …もういない…」

「アタシ達に恐れをなしたか」

“凶悪な幽霊”は、本棚を荒らしただけだった。

「国語の成績の低さを苦にして、自殺したやつの霊かもな」

2人は肩をすくめた。
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 17:17:34.31 ID:SpTO8pPk0
しかし出現が短すぎる。

わかったのは、本に何かしらの悪意、もしくは執着が

あるということだけ。

涼は、落とされた本を拾った。

「J・D・サリンジャー、『ライ麦畑でつかまえて』か…」

涼には一生縁のなさそうなタイトルだ。

しかも原版で、全文章が英語である。

彼女が気紛れにページをめくると、

文章に青いラインが引いてあって、

さらに書き込みがまでしてあった。

「病院の備品に書き込みすんなよ…」

本を閉じ、元の位置に戻した。
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 17:18:25.12 ID:SpTO8pPk0

小梅もまた別の棚で、本を戻そうとした。

「491…基礎医学…。

 492…臨床医学…。
 
  494…外科学…」

図書室の本には全てコードが振ってある。

それを見れば、本の位置が

大まかにつかめるようになっている。

手際よく整理していると、小梅は、

おや、と思った。

『493 内科学』の本は、しっかり棚に治ったままだ。

読む者が少ないせいか、それらは皆真新しかった。

6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 17:19:53.77 ID:SpTO8pPk0
後日、2人は探偵の安斎都を病院に呼んだ。

幽霊の正体として考えられるのは、患者か、院内の職員。

しかし現在の手がかりはあまりに乏しく、

専門家の意見を聞く必要があった。

「“I thought what I'd do was,

 I'd pretend I was one of those deaf-mutes(or should I ?)”」

都が文章を読み上げた。

「幽霊は攻殻機動隊のファンだったんですかねえ」

「…神山監督の方の…」

日本で、『ライ麦畑で捕まえて』が持て囃されたのは、

日本語訳が出版された1964年、および2003年。

『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』が放送された頃だった。

書き込みは、作中の登場人物によるものと一致している。
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 17:21:22.39 ID:SpTO8pPk0
「病院内のスタッフは、

 常識的に可能性は低いですね…霊の正体は、やはり患者でしょうか」

時代錯誤の探偵帽からはみだした、

赤みがかった栗毛を撫でながら、都は言った。

それから、『医学』の棚に移動して、

虫眼鏡で周辺を観察し始めた。

「うーん、小梅さんの言う通り、

 内科学の本だけ、“綺麗にされすぎて”ますね」

患者は自身の病気に対する理解を深めたり、

あるいは折り合いをつけるために、

難解な医学書に手をつけることがある。

とはいえ、ここはスタッフのみが入れる場所であるので、

患者が棚に手をつけることはない。

だとすれば、病院側に何かの意図があるようだ。
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 17:22:08.95 ID:SpTO8pPk0
「小説は患者を示し、医学書は病院を示す…

 ひょっとして治療に関する抗議のつもりだったんでしょうか」

医学書は、小説一冊に対して、

ほぼ1つの列の本が落とされている。

たしかに、治療に対する不満のように見えなくもない。

「内科学の本に手をつけないのは、自身の病気だから…?」

都はそう推測した。

しかしそれにしても、本が綺麗だ。

まるで全て新品のようにさえ見える。

「ここの列だけ…比較的最近、入れ替えられている?」

「こっちの棚は

 落とされた本よりも、落ちなかった本にヒントがありそうだな」

 涼が都の肩を叩いた。


9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 17:22:47.65 ID:SpTO8pPk0
白坂小梅と松永涼が、病院側に報告をすると、

 落とされた本は清められた後、

 全て燃やされることになった。

 正常な反応だった。

 しかし、あまりにも手馴れすぎている。

「…私達の他に…除霊師を雇ったことある…?」

小梅の質問に、職員達は首を横に振った。
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 17:27:12.93 ID:SpTO8pPk0
一方都は、漫画喫茶から病院内の

データベースにハッキングを仕掛けた。

まず調べたのは、図書館の資料の入れ替えについて。

老朽化したソフトを使っているのか、

過去に存在した資料のデータがそっくり残っていた。

2003年から、入れ替えのペースが異常に上がっている。

だが、その対象になっていたのは、『内科学』の分野だった。

幽霊が荒らすのは、その周囲の本。

なぜ内科学の資料が、中心に入れ替えられているのか?

都はさらに詳しく、資料について調べた。

そして気づいた。

『脳医学』に関するものが、前後でそっくり抜き取られている。
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 17:28:08.35 ID:SpTO8pPk0
都は次に、患者のデータを調べた。

対象は、2002~2003年にかけて、

“脳や認知に関する病気”を患っていた人間だ。

認知症…脳腫瘍…脳梗塞…どれもありふれた病気。

だがその中で、際立つ症例があった。

インフルエンザ脳症。

これに罹患していた患者は、

“全員が”本来別の病気や怪我で入院している。

その患者の情報をさらに調べると、

ある女性にたどり着いた。

鷺沢文香。

彼女は、貸し出し記録に名前が多く残っていた。
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 17:28:58.99 ID:SpTO8pPk0
3人は、鷺沢文香についての調査を院内で始めた。

「すごく本が好きな女の子で、

 ちょっと暗いところがあった。

 でも良い子だった。」

月並みな表現。

患者に対して深入りしない姿勢を示しているのか。

だが、口裏を合わせたように同じことを

話すのは奇妙だった。

人が変われば、彼女に対する印象や、

話すエピソードに多様さがあるはず。

鷺沢文香の霊が図書室に留まるということは、

それだけ強い念が病院側に残されているということだ。

だというのに、担当であった医師や看護婦が、

そうでないスタッフと

全く同じ言葉を連ねるのは、極めて怪しかった。
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 17:30:30.90 ID:SpTO8pPk0
3人は文香の友人を装って、彼女の実家を訪ねた。

彼女の母親は、快く迎え入れてくれた。



「あの子、本を読みながら歩いていたら、

 階段を踏み外して足を骨折したんです」

 文香の母親が本当に懐かしそうに、語った。

 文香の部屋は、彼女が生きていた頃と全く同じ状態だという。

 そこを見せてもらうと、やはりというべきか、

 大量の本に埋め尽くされていた。

 どこで寝て、勉強していたのかわからないくらいだった。

「文香さんは、アニメもよく観ていましたか?」

 都がそうたずねると、母親は頷いた。

 文学作品の映像化などは、特に好んでいたという。

「病院でも、他の患者さん達と一緒に

 観ていたと聞きました。

 人見知りする子だから不安だったけれど…」

 母親は涙ぐんだ。
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 17:31:33.74 ID:SpTO8pPk0
 それを無視して、3人は部屋を見渡した。

 アニメのビデオやDVDが、

 本棚の一画にこっそり佇んでいた。

 その中に、攻殻機動隊はなかった。

 そして、病院内の視聴覚室にもなかった。

 本の虫である文香が、文章に線を引くほどだとしたら、

 録画用の情報媒体が残っていないのは不自然。

 病院が何かを隠していると、3人は確信した。

「文香さんは、

 入院中なにか変わったとこがあったとか、

 話されていませんでしたか?」

 化けの皮のはがれた都が、まだ目の赤い母親に尋ねた。

「いいえ、病院では何も…

 お医者様も看護婦の方も、

 とても良くしてくださったと聞いています。

 ただ……食事についてはちょっと不満があったみたい」
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 17:33:22.49 ID:SpTO8pPk0
 「食い意地で悪霊になったのは、こいつが初めてかもな」

 改めて3人、病院内の献立記録について調べた。

 無論、今回もハッキングによるものである。

 するとインフルエンザ脳症の患者達は、発症直前に

 皆同じもの食べていることが明らかになった。

 それは、まったく当たり前のように思われた。

 だが3人は、すぐに異常を察した。
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 17:33:56.73 ID:SpTO8pPk0
 インフルエンザ脳症の患者達が食べたのは、

 プリオンの混入が疑われる、牛肉料理であった。



 都は震える手で、患者達の治療記録をスクロールした。

 ワクチン投与。効果なし。死亡。

 その文字が、無慈悲に続いていた。

 「都…プリオンのワクチンが日本で開発され始めたのは、
 
  いつだった?」

  涼が身体中に冷や汗を浮かべながら、言った。
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 17:34:42.54 ID:SpTO8pPk0
 日本がプリオンについて対処を始めたのは、

 2000年代に始まったBSE問題の時からだ。

 BSE(牛海綿状脳症)の感染が疑われる牛が、千葉で発見され、

 日本中が恐怖の渦に堕ちた。

 だが、今の3人が見ているのは、

 それよりももっと深く、暗い闇だった。

18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 17:35:51.65 ID:SpTO8pPk0
 「BSEも、クロイツフェルト・ヤコブ病も…

  インフルエンザ脳症より…進行は…遅い。
 
  つまり…あの子は…」
 
  患者達は、認可されていないワクチンによる

  急性ショックで死亡した可能性がある。

 “I thought what I'd do was,

 I'd pretend I was one of those deaf-mutes ( or should I) ?”.

 その言葉が3人に、重くのしかかってきた。

19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 17:36:34.14 ID:SpTO8pPk0
【デレマス近未来】橘ありす「機械仕掛けの神」
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 17:37:04.26 ID:SpTO8pPk0
池袋晶葉はため息をついた。

開発中のロボットの一体が、まったく

人間の言うことを聞かなくなってしまった。

開発チームによって、

『橘ありす』と名付けられた個体は、

こう主張している。
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 17:37:52.86 ID:SpTO8pPk0
「貴女達のような非合理的かつ非効率的な存在が、
 
 私を作ったはずがありません!

 だから、貴女達の命令には従えません!」

彼女は自身を、神によって造られた

人間よりも高次な存在だとしている。

開発チームはありすの目の前で、

彼女と同じ型のロボットを組み上げて見せた。

しかし、

「今の工程は、貴女達が私を作ったと言う証明にはなりません!

 仮にそうだとしても、それは神からの大いなる啓示によって

 行われたもの。

 私が貴女達に従属する根拠にはなりません」

ありすの言う神とは、

研究・開発用のデータを蓄積している、

タブレット型の電脳装置のことであった。
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 17:38:25.38 ID:SpTO8pPk0
彼女の論理は一見稚拙なようで、

その実、隙がなかった。 

人間が、自分たちより賢いロボットを作れるはずがない。

これはある意味、真理である。

厳密には、“個として”ではあるが。
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 17:39:44.95 ID:SpTO8pPk0
晶葉の見解としては、ロボット開発は

紀元前2400年の計算機から始まっている。

それから4440年の歳月の間に生まれ、

死んでいった膨大な数学者、発明家はすべてロボット開発者だ。

彼あるいは彼女達は、“人間よりも正しく、

かつ優秀な他者(外部装置)を作ろう”という精神で、

現在の晶葉達が歩く道を作ってきた。

その点でロボットは、

人類による自己否定と責任転嫁の産物と表現できる。

これは、データを管理する電脳においても同様である。

24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 17:40:28.21 ID:SpTO8pPk0
だが、ありすは、“種としての人間が気の遠くなるほど

長い年月をかけて、ロボットを作り出した”という歴史を認めない。

彼女の言う通り、目に見える証拠がないからだ。

数式やプログラムコード、レンチと鉄塊を友としてきた

開発チームにとって、ありすの叛逆は複雑すぎる問題だった。

しかし、これが開発に支障を来すような

事態であったかというと、そうではない。

ありすの信じる電脳は、

開発チームのメンバーが入力を行なっている。

この電脳から“啓示”を行えば、ありすは敬虔に

劣等種である人間に尽くしてくれるのだ。

彼女の叛逆は、もっぱら笑い話になった。
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 17:41:15.37 ID:SpTO8pPk0
頼みの綱である電脳までもが、人間を裏切るまでは。

26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 17:41:52.18 ID:SpTO8pPk0
電脳には補助として、単純な人工知能がプログラムされている。

ありすが彼女に、自身の考えを吹き込んだようだ。

開発者達の余裕は、崩れ去った。


ある者は、

「ありすを即刻処分し、電脳は初期化すべきよ」

と主張した。

だが、別の研究者が、

「それは根本的な解決にはなっていない。

 この問題が片付かないかぎり、

 私達はロボット開発を進めるべきでない」

と反論した。

根本的な解決。

それはありすおよび電脳に、

“人類は自身よりも優れた存在である”と認めさせることである。

だが晶葉は、それを不可能だと考えた。

人類は自身よりも優れた存在として

彼女達を創造し、そして現世紀にノイマンはいないのだから。
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 17:42:19.94 ID:SpTO8pPk0
結局、“野蛮な劣等種として”

物理的手段に訴えることに決まった。

まず電脳が初期化され、

ありすはしばらくの観察の後、廃棄されることになった。
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 17:44:00.90 ID:SpTO8pPk0
だが月日が経ち、ありすの観察レポートが出来上がる頃には、

開発チームの皆が、彼女の存在が惜しくなっていた。

ありすは、それぞれの開発員の原風景そのものだった。

人を信じないが、人々が作った数式や

プログラム、機械を信じる。

親、教師からの言葉に耳を傾けず、

機械の動作の美しさこそ神が宿ると信じている。

ありすを処分することは、

自身を破壊することと同義だった。

29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 17:44:33.26 ID:SpTO8pPk0
開発チームは、ありすの観察レポートを公表した。

すると、“ロボットにも人権を”、

と、声高に叫ぶ集団が現れ始めた。

最初はジョークとして茶の間に流れた。

だが運動は勢いを増し、ついには、

人間の安全を害しない限りの自由が認められた。
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 17:45:15.21 ID:SpTO8pPk0
“ロボット市民問題”の

火種となったありすは、処分を免れた。

それだけでなく、高名な社会学者や、

心理学者、人類学者らがこぞって、

ありすのもとを訪れるようになった。

また、一般市民の中には電脳を神とする宗教を作る者もあった。

ありすは、一躍人類のアイドルになった。

31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 17:46:00.07 ID:SpTO8pPk0
そして最近、彼女がタブレット型の電脳と

真摯に対話している様が、

テレビで中継されることになった。

その様子を見た老人達は、

「孫が映っとる」

と、けたけた笑った。
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 17:46:27.63 ID:SpTO8pPk0
【デレマス銀河世紀】櫻井桃華「ピースドッグ」
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 17:47:10.22 ID:SpTO8pPk0
人類が宇宙に進出し、

地球の存在がにわかに忘れかけられていた頃。

帝政国家リューザキと戦争状態にあった

Новый советский(新ソビエト連邦)は、

軍事費用、資源、および兵器開発技術を求めて、

櫻井クラスタ領に侵攻した。

総勢50万の艦隊。

クラスタ側の艦隊は、

民間軍事会社からかき集めた5万隻であったので、

これは圧倒的な戦力差であった。

誰もが銀河における資本主義の中枢が、

真っ赤に染まる様を幻視した。
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 17:47:37.42 ID:SpTO8pPk0
しかし蓋を開けてみれば、櫻井クラスタの首都、

つまるところ櫻井アーキテクチャ本社への攻略には、

半年もの歳月を費やした。

さらに攻略後も、少々の資金援助を約束させただけで、

連邦は実質、領土も、何の権限も手に入れていなかった。

35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 17:48:23.21 ID:SpTO8pPk0
木村夏樹は軍法会議にかけられていた。

身分は、『Новый советский(新ソビエト連邦)』の准将。

くすんだ金髪を、トサカのように

逆立てた独特のヘアスタイルをしている。

いつもは全身の血が沸騰しているような、

生気に漲っている彼女であったが、

今回ばかりはしおらしい表情を浮かべていた。

夏樹はクラスタ攻略の司令官であった。

圧倒的な戦力差にもかかわらず、攻略に長い時間をかけ、

さらには大した成果もなく帰ってきた。

彼女は裁かれる立場にあった。
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 17:48:58.89 ID:SpTO8pPk0
「どんな土産話を聞かせてくれんだい?」

議長の東郷あいは、酷薄な笑みを浮かべて言った。

罪状については既に協議が済んでいる。

今日は、夏樹による釈明を聞く日だった。

「櫻井クラスタ攻略における、我が軍の道程について、

 簡単に報告したいと考えております」

いつもであれば信じられないほど丁寧な口調で、

夏樹が答えた。

それから、会議に参加している将校の1人に、

彼女は問いかけた。

「星大将、我が国家の大義はなんですか」

「…民衆の解放、だよ…フヒ…」

連邦の大義、つまりは侵略の正当化材料は、

資本主義から民衆を解放することである。
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 17:49:38.52 ID:SpTO8pPk0
「まず我が軍は、櫻井アーキテクチャ本社に至るまで、

 いくつか中継地点を設置しようと試みました」

 中継地点とは、櫻井クラスタ領の惑星のことである。

 そこを制圧し、しかるべき設備をおくことで、

 作戦の継続が容易になる。

「しかし、我々が降り立った惑星は、

 すべてあらゆる資源、食料に至るまで、

 すべてが根こそぎ無くなっていました。

 住民だけを残して」

偶然ではない。これが、櫻井クラスタの作戦であった。

連邦は解放軍をうたっている。

だから、民衆を無下にはできない。

そこを逆手に取られた。
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 17:50:19.15 ID:SpTO8pPk0
「我らが艦隊の兵站能力は、

 惑星の住民達によって大きく削られました」

飢えた住民に食料を与えなければ、それがすなわち、

連邦に対する不信感につながる。

社会主義による銀河統一を目指す連邦としては、

身を切るしかなかった。

「だが、お前は本拠地の直前まで到達したじゃないか。

 そこから30日間ずっと何してた?

 星でも見てたか?」

銀髪の大将が、さきほどとは打って変わった

剣呑な様子で夏樹に尋ねた。

彼女は連邦内屈指の武闘派で、惰弱な艦隊運用を

毛嫌いしている。
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 17:50:52.10 ID:SpTO8pPk0
「周辺宙域にトラップが仕掛けられていました。

 こちらをご覧ください」

夏樹がスクリーンを指さすと、

ある戦艦のブリッジの様子が映し出された。

再生前半は、なにも異変は見受けられなかった。

しかし後半になると、乗員達の身体がポップコーンのように

爆発し、ブリッジ内は阿鼻叫喚の地獄と化した。

「やつらは宙域全体に、大規模なマイクロウェーブの

 照射装置を設置していました。

 これは、そこに艦隊が侵攻した時の映像で、

 しかもこれは、クラスタ側によって全艦隊内の

 モニターに流されました」
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 17:51:30.44 ID:SpTO8pPk0
 マイクロウェーブ照射装置とは、

 平たく言えば電子レンジの巨大化である。

 人間の体内の血液を急激に沸騰させ、

 それが皮膚を引き裂いて噴出する。

 だが脳の破壊はゆっくりと進み、苦痛を長引かせる。

 「“ここから1ヤードでも進めばこうなる”。
  
 その恐怖で、艦隊運動が停止しました。

 この装置の発見と破壊に費やしたのが、約1ヶ月です」

 会議に参加していた将校達は、兵達に心底同情した。
 
 彼女らを責めるどころか、讃えてやりたいくらいの気持ちがした。
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 17:52:20.13 ID:SpTO8pPk0
しかし今は軍法会議の最中、

粛々と夏樹を問いたださねばなるまい。

「それじゃあ攻略後、
 
 クラスタ側から何の成果も引き出せなかったのは?」

 議長が、先ほどよりは穏やかな声で尋ねた。

 彼女は、すでに厳罰を考慮していた。

「本官は、櫻井クラスタの盟主、

 櫻井桃華に接触しました」 

 スクリーンに映し出されたのは、まだ幼い少女だった。

 少なくとも、外見は。

「彼女は連邦に下ることを拒みませんでした」

議会がざわめいた。

議長がそれを鎮める。

「どんな条件を出されたんだい?」

東郷あいは、櫻井桃華が、ただで腹を見せる

人間でないことを知っている。

陰謀渦巻く企業同盟体の指導者が、

安易に連邦に手を貸すはずがない。
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 17:55:06.98 ID:SpTO8pPk0
「条件というよりは、クラスタ占領後の未来について

 櫻井は語りました」

 “櫻井アーキテクチャは、膨大な数の

 軍事、重工業系企業に対して

 資金、資源の援助を行なっておりますの。

 もし弊社が連邦のものになるとしたら、援助は打ち切り、

 各社は自己の裁量で経営を行うことになりますわ”。

 これが彼女の言である。

 さらに、“裁量”として提示されたのは、上場と鉱山惑星の探索だった。
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 17:56:19.86 ID:SpTO8pPk0
「現在櫻井アーキテクチャの支援を

 受けている企業は数万を超えます。

 それらが一斉に株式を発行し、鉱石の発掘を行えば…」

 差し留めはできない。

 クラスタこそが、その調節弁を担ってきたのだから。

 新規の、それもクラスタのお墨付きを得た

 軍事、重工業系企業の株が市場に大氾濫。

 戦艦や兵器建造用のメタルの流通価格は大暴落。
 
 銀河全体の経済に、深刻な打撃を与えることになる。

 しかも、その責任はクラスタではなく、連邦に負わされる。

「連邦は、“経済、経営観念の欠落した

 ならず者の集まり”という烙印を押されます」

 将校達は拳を震わせた。

 それは大義のために、あってはならないことだった。
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 17:57:37.14 ID:SpTO8pPk0

「我が艦隊は、はじめクラスタを侮っておりました。

 金勘定ばかりで覚悟の伴わない、資本主義の犬だと」

 夏樹はこの作戦で、クラスタ領に

 侵入したことを、心底後悔することになった。
 
「下品かつ無礼を承知で、彼女達からの声明を要約します。
 
 “……連邦の犬になってやってもいい。

 だが俺達がした糞は貴様らが拾え。

 俺達が人様に小便をかけたら、貴様らが頭を下げろ”

 
 以上です」

 会議の後、木村夏樹准将は半年ほどの謹慎処分に留められた。

 そして連邦とクラスタとの間には、不可侵協定が結ばれた。
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 17:58:19.93 ID:SpTO8pPk0
【デレマス現代劇場】二宮飛鳥「ダブルブラインド」
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 17:59:01.57 ID:SpTO8pPk0
母さんが交通事故で死んだ。

ボクは早かったな、と思った。
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 18:00:02.73 ID:SpTO8pPk0
母さんは良家のお嬢様だった。

厳しい躾を受け、華道、茶道その他イロイロな習い事をして…。

親に決められるまま

カトリック系の女学校に通い、それから、父さんと結婚。

ボクが生まれた。

尻の青い、未熟なボクにでもわかる、クソつまんない人生。

そして母さんは、そのクソつまんない人生を、

娘にも履行させようとした。

ボクはそれに嫌気がさして、母さんの嫌がりそうな

“退廃的な大衆文化”の深淵にずぶずぶと嵌っていった。

小遣いなんて貰っていなかったから、

お金が必要になったら、

母さんのポーチから抜き取った。

48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 18:01:08.93 ID:SpTO8pPk0
母さんはよくボクに、

「あなたという子がわからない」

と言った。

そのたびにボクは、

「子育てに失敗したね」

と皮肉で返した。

そしていつも喧嘩になって、

最後は母さんが泣いて、ボクが黙り込んで、

それでおしまい。

仕事で疲れ切った父さんは、見て見ぬふり。

思い出したくもない、散々な日々だった。
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 18:02:06.10 ID:SpTO8pPk0
中学校に上がったばかりの頃、

気の早い母さんは、自分と同じ女学校に

ボクを通わせるために、前よりもずっと厳しくなった。

吐き気がするような一年間をすごして、後の二年間と、

真っ暗で窮屈な将来に、ボクは絶望していた。

そんな時、プロデューサーにスカウトされた。
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/22(木) 18:02:15.77 ID:ldWHd6lnO
経済の絡む駆け引きはゾクゾクするじぇ
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 18:03:45.83 ID:SpTO8pPk0
アイドルになる。

そう告げた時、母さんはボクをぶった。

アイドルは、“退廃的な大衆文化”の象徴だったから。

それでも母さんは、極めて冷静な顔で、諭した。

「芸能界がまぶしく見えることもあるでしょうけど、

 あそこは地獄よ」

 地獄。たしかにそうだ。

 アイドルという虚像は、愛らしい笑顔を振りまく裏で、

 血の滲むようなレッスンをして、
 
 他のアイドルを押しのけ、ステージの上に立つ。

 傷だらけの身体をドレスの下に隠しながら。

 どんなに上品に飾っても、

 地獄以外に相応な言葉が見つからない。

 でも、それはボクが選んだ地獄。

 母さんが押し付ける地獄よりは、“落ちがい”がある。

52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 18:04:51.29 ID:SpTO8pPk0
「あなたという子がわからない」

 いつものように、母さんは言った。

 そして泣けば、またボクが黙るとでも思っているのか?

「あたり前だよ。

 だって母さん、娘のボクの話を聞いてくれたこと、

 一度だってないじゃないか」

 ボクはむきになって、つい、本音を漏らしてしまった。

 その後すぐ、しまったと思った。

 母さんは、父さんが帰ってくるまで、呆然としていた。

53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 18:05:33.02 ID:SpTO8pPk0
 結局ボクは、プロデューサーに

 母さんを説得して貰った。
 
 「娘をよろしくお願いします」

 母さんがぽつりと、そう言った時、

 ボクは正直、ぶたれた時よりつらかった。

 母さんの表情は、どこか安心していた。

 手のかかる娘が、どこかに行ってくれるって。

 頑張って、とか、応援してる、とか

 期待していたわけじゃないけど…。

 だから母さんが死んだ時、

 早かったな、としか思わなかった。
 
 ボクにとっての彼女はもう、30半ばの他人だった。
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 18:06:02.96 ID:SpTO8pPk0
寮に入ってからは全く家に帰っていなかったし、

母さんもボクのいる東京に近づかなかった。

きっと、ボクが出ている番組も、

絶対に見ようとしなかっただろう。

結局ボクはアイドルになった日から、

母さんとは一言も口を聞かぬまま。

死が、愛の通わない2人を決定的に分かつことになった。
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 18:07:13.67 ID:SpTO8pPk0
本当は葬式になんて、出たくなかった。

でもボクは、“清く澄み渡り純粋無垢な”アイドルとして、

母親の死を悲しむ少女にならなくてはいけなかった。

しかも葬儀のあとは仕事を減らされた。

“喪に服す”という、下らない慣習。

母さんは死んでからも、

ボクの人生を縛ったということになる。

心底、うんざりした。


ボクはもう1秒だって、母さん娘でいたくなかった。

だからこっそり、レッスンをした。

郊外の閑静な住宅街に、美城がこっそり作ったスタジオで。

もちろん、テレビ関係者や新聞記者、

出版社の人間は近づけないようになっている。

仕事ができないフラストレーションを、

ボクは歌い、身体を動かすことによって消化しようとした。

でも、苛立ちは治らなかった。
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 18:07:53.68 ID:SpTO8pPk0

ほとぼりが冷めた後ボクを待つのは、

美城プロダクション所属の

全アイドルが参加するビッグライブ。

“二宮飛鳥”の復活に、ふさわしい舞台。

ボクのレッスン熱はますます高まった。

実の母親から、“あなた”と呼ばれ続けた少女を消し去るために。
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 18:10:12.34 ID:SpTO8pPk0
ライブ会場の熱気は目眩がするくらいだった。

ボクはロックミュージシャンが楽器を滅茶苦茶に

壊すパフォーマンスが嫌いだったけど、

今なら彼らの気持ちが理解できる。

どうしようもない、

どうもしようない高揚感と息苦しさ。

何かをぶっ壊したくなる。

名前が呼ばれた時、ボクはS&W社製のリボルバーから

放たれた銀の弾丸みたいに、

ステージに飛び出した。

観客達、ファンのみんなが、ボクを見る。

アイドルとしての二宮飛鳥を。

愛も、声援もいらない。その視線だけでいい。

その視線こそが、虚像(ボク)を現実(アイドル)にする。

叫ぶように、ボクは観客席に感謝の言葉を投げた。

会場内の熱気がさらに増した。

ボクはひょっとしたら焼死するんじゃないか、そんな気さえした。

それでも構わなかった。
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 18:10:57.73 ID:SpTO8pPk0
けれど曲が始まると、

ボクはなんだか奇妙な物足りなさを覚えた。

1万人を超える会場。

ダンスも歌も、完璧に仕上げた。

バックダンサー、サポートの

アイドルだって、美城のトップ集団。

何が不満なんだ?

ボクの曲が終わった後、ライブの前半が終了。

観客達は一度落ち着き、皆席に着いた。

そこでボクは違和感の正体に気づいた。
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 18:12:11.77 ID:SpTO8pPk0

「プロ、デューサー…!」

激しいダンスと歌をこなした後だから、

かぼそい声になった。

プロデューサーは、タオルを投げた。

それを振り払って、ボクは尋ねた。

「なんで…最前席の、ステージ前に、

 空席があるのさ」

ボクは苛立っていた。

プロデューサーはいつも、ボクが主役のライブの時は、

ああやって空席を作る。

来るはずのない母さんに、チケットを渡しているから。

でも今回のライブの前に、母さんは死んだ。

なのになぜ、空席があるのか。

他のファンの人に、席を譲るべきなのに。
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 18:13:07.87 ID:SpTO8pPk0
「母さんが、ボクのライブに来るわけないだろ!!」

もうその機会は、絶対に訪れない。

ぜえぜえと、肩で息をするボクに、

プロデューサーは、ポーチを渡した。

女性ものだ。誰のものか考える前に、手が動いた。

勝手に開けるのに、慣れてしまっていたから。

中にはチケットが入っていた。

今日の、ライブのチケットだ。

プロデューサーさんが、裏を見てみろ、と言った。

静岡にある、チケットの販売店が記してあった。
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 18:13:41.08 ID:SpTO8pPk0
「はは…」

母さんが死ぬ直前、

ライブのチケットの予約販売が始まった。

まさか販売店に張り付いて、最前席の、それも、

ステージの真正面のチケットを取ったのか。



ポーチを落とすと、中から、

小さなサイリウムが転がった。

62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 18:14:11.57 ID:SpTO8pPk0
「だから、気が早いんだって…」

そんな情けない声が出た後、

ボクはぺたり、とそこに座り込んだ。

「立てよ…」

足が動かない。ボクの足なのに。

「立って…お願いだから」

ボクは、アイドルのままでいたいのに。

63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 18:14:39.65 ID:SpTO8pPk0



「母さん…!」
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 18:15:06.74 ID:SpTO8pPk0
名前を呼んだら、魔法は、

あっけなく解けてしまった。
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 18:15:34.35 ID:SpTO8pPk0
おしまい
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/22(木) 18:19:51.76 ID:TAWwNkCTo
幽霊の内部告発者
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/22(木) 19:55:51.41 ID:zq9VbwwH0
乙乙。
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/25(日) 08:50:39.55 ID:1hNloQUYo
ありすのやつがわからん
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