【艦これ】地獄艦娘4【胸童邂逅編】

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/09(日) 21:24:55.95 ID:+GzDlNvx0
イベント開始を目前に控え、各提督たちが資材の備蓄に励んでいる頃。


特に仕事の依頼が無いぬいたちは、家で穏やかな日々を過ごしていた。


胸童「みんなーおやつやでー」

ほっぽ「ワーイ オヤツオヤツ♪」

胸童「姫、ちゃんとおもちゃ片付けたか?」

ほっぽ「カタヅケタ! テモ アラッタ!」

胸童「姫はええ子やなー。ほな、ちょっちフスマ開けてくれるか」

ほっぽ「ソォイ!」


ガラッ


胸童「お待たせやで。今日はお嬢の好きな間宮羊羹……って、なんやのこれはーっ!」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1499603095
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/09(日) 21:26:23.36 ID:+GzDlNvx0
閻魔ぬい「間宮羊羹ですか。まあ頂いておきます」

胸童「お嬢、おやつの前に部屋片付けぇって言うたやろ」

閻魔ぬい「……」

胸童「こんなに折り紙やらお手玉散らかして」

閻魔ぬい「……」

胸童「ちょっ、ウチの大事なお笑い大全集DVDまで出しっぱなしやないの!」

閻魔ぬい「…羊羹」

胸童「あかん。ちゃんと片付けるまでおあずけや」

閻魔ぬい「…青目蓮、よろしく」

青目蓮「はい、お嬢」

胸童「甘やかしたらあかん!お嬢、自分でするんや!」

閻魔ぬい「…なんでしょうか。不知火に落ち度でm」

胸童「ちょい待ちぃぃぃ!!!」


いや、決して穏やかではないのかも知れない。
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/09(日) 21:27:48.12 ID:+GzDlNvx0
胸童「は〜びっくりした…」

青目蓮「あっはっは、お嬢も冗談が好きですねー」

胸童「あれ冗談なんか?とてもそうは見えんかったで」

閻魔ぬい「…愛乳道」

愛乳道「はいお嬢。膝枕よ」

閻魔ぬい「…飯女」

飯女「はいお嬢。あ〜んして」

閻魔ぬい「…レロレロレロレロ」

胸童「お嬢、行儀悪いで」

閻魔ぬい「……」ギロッ

胸童「ひっ…!」

愛乳道「あら、膝枕はもういいの?」

閻魔ぬい「ええ、座って食べることにするわ」



胸童「…………フフフ、怖い」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/09(日) 21:29:23.51 ID:+GzDlNvx0
青目蓮「いやー胸童さんが来て以来、お嬢も随分と感情豊かになりましたね」

胸童「はぁ?」

愛乳道「そうねぇ。すぐに顔に出ちゃうからわかりやすいわ」

閻魔ぬい「……」

飯女「お嬢、そんなに照れることじゃないですよ?」

閻魔ぬい「……」

ほっぽ「ヌイヌイ ウレシソウ」


胸童(……全然わからへん)


青目蓮「やっぱりあれが切っ掛けですかね。お嬢がマジギレしたあの…」

飯女「胸童さんと初めて会った時ですね?」

胸童「ウチからしたら、あれが標準やと思ったけどなぁ」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/09(日) 21:30:43.31 ID:+GzDlNvx0
話は少し前、北方棲姫が仲間になったすぐ後くらいの頃まで遡る。


麿提督「はい……はい……承知いたしました。全て麿にお任せあれと、総司令にお伝えくだされ」

龍驤「邪魔すんでー、って電話中やったか」

麿提督「構わぬ。今済んだところじゃ」

龍驤「なんや?今度はどんな悪だくみしとるんや」

麿提督「阿呆ぅ。新しい任務の確認じゃ」

龍驤「ふーん、まあええけど。それより第四艦隊が戻ったで」

麿提督「おおそうか!すぐに通すが良い」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/09(日) 21:31:44.23 ID:+GzDlNvx0
潮「あの……艦隊、戻りました」

麿提督「おうおう、よう戻った。怪我はせなんだか?問題は無かったかえ?」

潮「ひゃあぁっ!あ、あまり触らないでください」

龍驤「こーらキミ、堂々とセクハラしとらんと早う休ましたり」

麿提督「ふん、古参面だけは一人前じゃの……さあ潮や、褒美じゃ。間宮券を取らせる」

潮「いいんですか…?ただのお使い遠征なのに」

麿提督「よいよい。浜風、長波と共にたーんと味わってくるがええ」


龍驤(ひのふのみ……3枚だけ?まーた悪いクセが出とるみたいやな)
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/09(日) 21:33:01.57 ID:+GzDlNvx0
夕立「…ちょっと提督さん?夕立も同じ艦隊で頑張ってきたっぽい!」

麿提督「なんじゃ煩いのぅ。下がって次の命があるまで待機しておれ」

夕立「ずるいずるいーっ!あたしも間宮券欲しいっぽい!」

麿提督「田分け!褒美が欲しければさっさと練度を上げてこぬか!」

夕立「むぅぅ〜っ」

麿提督「成長して良き肉付きになれば、存分に可愛がってやるのじゃがのぉ」ワキワキ

夕立「提督さんのバカーッ!スケベーッ!改二になっても触らせてなんかあげないっぽいーっ!」


ダダダダ…バタン!


潮「あ、あの、私…」

麿提督「気に病むでない。能力に応じて差をつけるのは当然のことじゃ」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/09(日) 21:34:28.84 ID:+GzDlNvx0
龍驤「夕立、ちょっとええか?」

夕立「ぐすっ、龍驤さん…」

龍驤「あのな、司令官のことやけど」

夕立「あたし、もう我慢の限界っぽい!噂に聞いた地獄通信を使って、お仕置きしてもらうっぽい!」

龍驤「アホなこと言うとらんと落ち着いて聞き。預かりもんがあるんや」

夕立「え?これって……伊良湖最中?」

龍驤「あんたの分や。司令官は表には出さへんけど、ちゃんと見てるんやで」

夕立「じゃあ、提督さんは夕立のこと嫌ってないっぽい?」

龍驤「せやで。ハッパかけるためにあんな言い方するけどな、全ては期待を込めてのことなんや」

夕立「そうなんだ…」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/09(日) 21:35:44.22 ID:+GzDlNvx0
龍驤「あんたは甘えたやからなー。ちぃと厳しくいかなあかん、て思ってるんやろな」

夕立「あーっそれひどーい!」

龍驤「あっはっは。ま、そういうことやから、シャキッとしーや」

夕立「うん!あたし、もっともっと頑張るっぽい!」


龍驤(ハァ……また買い足しに行かんと。小遣い残っとったかな)


山城「龍驤…」

龍驤「ん?ああ山城か。お疲れさん」
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/09(日) 21:37:11.50 ID:+GzDlNvx0
山城「相変わらずね。あなたはそれでいいの?」

龍驤「艦娘たちが不平不満を持たんようにするのが、ウチみたいな古株の仕事やからな」

山城「損な役割ね。あの提督が考えを改めるとは思えないけど」

龍驤「ウチは信じてる。いつか司令官もわかってくれるはずや」

山城「……」

龍驤「山城、あんたも少し肩の力抜いてみ?いっつも気ぃ張りつめとったら持たへんで」

山城「…そうね。ありがとう龍驤」


山城(本当に、余計なことで悩まされることが無ければいいのに…)
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/09(日) 21:38:24.09 ID:+GzDlNvx0
コンコン


山城「…失礼します。山城、参りました」

麿提督「待っておったぞ。例の件、今日こそは良い返事を聞かせてもらえるかの?」

山城「ケッコンカッコカリなら、何度もお断りしているはずです」

麿提督「やれやれ、頑固な奴じゃ。せっかく我が鎮守府に、扶桑が配属される目途が立ったというのに」

山城「姉さまが!ほ、本当ですか!?」

麿提督「新たに依頼された任務の成功報酬としての。本来は正規空母の予定じゃったが、そなたの為に無理を通したでな」

山城「……」

麿提督「麿の気持ち、伝わったかの?」

山城「だったら尚の事。姉さまを差し置いては…」
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/09(日) 21:39:43.67 ID:+GzDlNvx0
麿提督「あくまで麿を拒否すると申すか」

山城「提督には潮や浜風たちがいるじゃないですか!まだケッコン艦が足りないというのですか!」

麿提督「仕方ないのぉ。そこまで嫌がるのであれば」

山城「分かっていただけましたか?」

麿提督「ああ、じゃがこのままでは、フラれたショックで艦隊運用に支障をきたすかもしれんのう」

山城「え…?」

麿提督「誤って1‐5に入手したばかりの戦艦を単独投入したり、うっかり大破進軍なども…」

山城「…っ!あ、貴方という人は…!」

麿提督「ふほほほっ……扶桑が来るまでの間、今しばらくの猶予を与えてやろうぞ」


山城(姉さま……私はどうすればいいのでしょう)
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/09(日) 21:41:26.87 ID:+GzDlNvx0
午前○○○○


閻魔ぬい「あなたが本当に怨みを晴らしたいと思うなら、その赤いマフラーを解けばいい」


山城(地獄通信……これを使えば、提督は地獄へ流される。でも…)


閻魔ぬい「人を呪わば穴二つ。契約を交わしたら、あなたも轟沈後に地獄へ落ちる」

山城「ひどいわね。困っている人を助けてくれるんじゃないの?」

閻魔ぬい「…私はただ、依頼を受けて遂行するだけ。あとは、あなたが決めることよ」


山城「行くも地獄、引くも地獄…」


山城「私さえ我慢すれば、姉さまと一緒に過ごせるようになるのね…」
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/09(日) 21:42:37.30 ID:+GzDlNvx0
翌日、執務室


山城「提督のお申し出、受けさせていただきます」

麿提督「おお、まことか!よう言うてくれた」

山城「ですから、どうか姉さまの事は…」

麿提督「うむうむ、心配は無用じゃ。二人ともきちんと愛でてやるでの」

山城「え?あの、私だけでは…?」

麿提督「せっかく姉妹が揃うのじゃ。片方だけ放っておく事はあるまい」

山城「そんな…」


山城(この男、始めからそのつもりで…!)
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/09(日) 21:43:55.12 ID:+GzDlNvx0
山城「ね、姉さまには手を出さないと約束してください!」

麿提督「それは良いがの。ただ、先日の大破進軍の話を扶桑にすればどうなるかのぉ」

山城「卑劣な……ですが、提督がそうおっしゃるのなら、こちらにも考えがあります」

麿提督「…地獄流しか。そんなものが麿に通用するとでも?」

山城「な、なぜそれを!?」

麿提督「くかかっ、やってみるがいい!出来ねばそなたたちは一生、麿の慰み者じゃ!」

山城「くっ…!」


『怨み、聞き届けたり』


煽られるまま、マフラーを解いてしまう山城。契約は成立し、麿提督の姿は地獄へと送られた。


山城「これで……良かったの?姉さま、私はこれからどうすれば…」
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/09(日) 21:45:26.32 ID:+GzDlNvx0
麿提督「むう、ここはどこじゃ?」

愛乳道「ぱんぱかぱーん、クラブ【閻魔堂】へようこそー」

麿提督「クラブ?酒場のことかの」

青目蓮「その通りです!今なら大型建造一回分で食べ放題飲み放題、プラス女の子2人がお酌しますよー」

麿提督「なんじゃそれは。ぼったくりではないか」

飯女「相場の半額ですよ?早く注文して私にご飯食べさせてください」

麿提督「いいや高い。酌の相手が魔物ともなれば尚更じゃ」

愛乳道「お、お客様?一体何を…」
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/09(日) 21:47:03.80 ID:+GzDlNvx0
ペタッ…


青目蓮「え?身体が……動かない!?」

麿提督「その札は魔物の動きを封じるものじゃ。早々に正体を現したの」

愛乳道「うふふっ、凄いわね〜私たちのことを見抜ける人間がいるなんて」

麿提督「それだけではないぞ?ヌヌヌ……出てまいれ龍驤!」


バシュゥゥゥ…


龍驤「うわわっ、ちょ、なんやのいきなり!」

麿提督「任務じゃ。準備せい」

龍驤「あのなキミ、呼ぶときは時間と場所をわきまえ、って言うたやろ?ウチ食事中やで」

麿提督「田分け!呑気に食うておる場合ではない。ここはいくさ場じゃ!」

龍驤「そういや何かけったいな場所やなぁ」
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/09(日) 21:48:42.68 ID:+GzDlNvx0
愛乳道「…さすがに驚いたわ。艦娘まで召喚してくるなんて」

青目蓮「この人、何者ですか?ただの助平提督だと思ったのに」

麿提督「くくく、麿は式神型発艦術を編み出した、由緒正しき陰陽師の一族!そなたたちの命運、ここに尽きたと知れ!」

龍驤「新しく受けた任務って、この子らを退治することなんか?魔物とは言え、深海棲艦よりやりにくいなあ」

飯女「敵艦載機、来ます!」

愛乳道「私と飯女さんで迎撃するわ。ほっぽちゃんはその間に青目蓮さんの札を剥がして!」

ほっぽ「ワカッタ!」

青目蓮「あ、あの、優しくお願いしますね?優し…あああああああ!」
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/09(日) 21:51:01.33 ID:+GzDlNvx0
飯女「続いて艦爆隊発艦!」

愛乳道「目標に向けて前進、ヨーソロー」

青目蓮「ひどい目に合いました……お返しさせてもらいますよ!」

ほっぽ「ナガシチャエ♪ ナガシチャエ♪」


ゴォォォ…


龍驤「な、なんやのこの子ら、めっちゃ強いやん!」

麿提督「こんな小物相手に何を手こずっておる」

龍驤「見とらんとキミも手伝ってや!多勢に無勢やわ!」

麿提督「ふん、未熟者めが。そいっ!」


撒かれた札は麿提督を守るように、フワフワと浮かぶ。
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/09(日) 21:52:28.95 ID:+GzDlNvx0
青目蓮「さっきのお札があんなに……厄介ですね」

飯女「近づくのは危険です。ここは距離を取りましょう」

麿提督「くくく、もう終いか?ならばこちらから行こうかの!」

愛乳道「札が追いかけてくる!?」

青目蓮「か、数が多すぎて迎撃が間に合いません!」

ほっぽ「ナニコレ… キモイ」

飯女「真上……直上!?」


無数の札は次々と貼りつき、瞬く間に三ぬいプラスほっぽの動きを封じていった。


麿提督「他愛ないのぅ」

龍驤「最初からキミ一人で良かったんちゃう?」

麿提督「未知の敵に囮を使うのは当然じゃ」

龍驤「…ウチ、もう帰ってええか?」
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/09(日) 21:54:33.27 ID:+GzDlNvx0
龍驤「ところで、この子ら捕まえてどうするんや?」

麿提督「検体はいくつあっても良いからの。ふむふむ」

愛乳道「ちょっと、どこ触ってるの!」

麿提督「むほほっ、魔物にしておくには惜しい身体じゃの」

青目蓮「ううっ、私が被写体の立場になるなんて…」

飯女「一航戦の誇り、こんなところで汚されるくらいなら…!」


閻魔ぬい「……」


愛乳道「お、お嬢!?」

ほっぽ「ヌイヌイ!」
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/09(日) 21:56:01.45 ID:+GzDlNvx0
麿提督「そなたが地獄艦娘か。もっとこう、良きおなごかと思うたが……貧相じゃの」

閻魔ぬい「……」

麿提督「まあ良い。早う任務を終えて、こやつらで楽しませてもらおうぞ」

青目蓮「お嬢、逃げてください!この男には我々の力が通じません!」

閻魔ぬい「…迎撃開始」

麿提督「ほう、下僕どもに比べて、少しは骨があるようじゃの」


ターゲットに向かってゆっくりと歩を進めるぬい。群がる札は、ぬいに触れる前に青白い炎になって消滅する。


麿提督「地獄艦娘よ、麿がその力、全て暴いてくれる!」

閻魔ぬい「……」
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/09(日) 21:57:05.85 ID:+GzDlNvx0
麿提督「麿の目は誤魔化せんぞ?弱点が見えてきたわい」


駆逐艦 閻魔ぬい

耐久16 火力10
装甲 6 雷装24
回避44 対空 9
対潜24 索敵 6
運 ?? 魔力??

物理無効 魔力無効 神通力ほぼ無効


麿提督「くくく、やはり麿の力には弱いようじゃの」

閻魔ぬい「……」

麿提督「では根比べといこうか。いつまで耐えられるかの?」
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/09(日) 21:59:04.26 ID:+GzDlNvx0
次々と繰り出される札を迎撃しつつ、前進するぬい。


それでも撃ち損じた数枚が鋭い刃となって、襲い掛かってくる。


麿提督「ほれほれどうした?もう息が上がってきたのか?」

閻魔ぬい「…っ!」

愛乳道「お嬢が……押されてる!?」

飯女「あの男の力が、お嬢を上回っているというの?」

麿提督「くかかっ、その通りじゃ!日ノ本の加護を受けし麿の力は無限!個で一国に抗うなど愚かの極みよ」

青目蓮「それじゃ、勝ち目無いじゃないですか…」

ほっぽ「ヌイヌイ…」
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/09(日) 22:00:54.39 ID:+GzDlNvx0
閻魔ぬい「ゼェ…ゼェ…」

麿提督「麿の前までよう来たの。じゃが、もはや力尽きる寸前のようじゃな」

愛乳道「もうやめて!これ以上お嬢を傷つけないで!」

麿提督「…良い下僕を持っておるの。跪き、許しを乞うなら命は助けてやろう」

閻魔ぬい「……」

麿提督「麿に屈服せよ!履き物に接吻をし、絶対の服従を誓うのじゃ!」

閻魔ぬい「…沈め」


ゴシャッ!


麿提督「ぷお!?」

愛乳道「あれ?」

青目蓮「え?」


為すすべなく、降伏するかと思われたぬいから、まさかの鉄拳が繰り出された。
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/09(日) 22:02:27.27 ID:+GzDlNvx0
麿提督「あががが…」

閻魔ぬい「沈め……沈めっ!」


ぬいのターン。人中、眼窩、天突、鳩尾などに、特に容赦のない攻撃が叩き込まれていく。


愛乳道「お、お嬢…?」

ほっぽ「ボッコボコ」

青目蓮「ぅゎ ぉι゛ょぅ っょぃ」

飯女「慢心ですね……魔力が尽きたからって、お嬢が攻撃(物理)できないと思ったのでしょうか」

龍驤「あ、あわわわ…」
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/09(日) 22:03:50.37 ID:+GzDlNvx0
青目蓮「あっ、身体が動きます」

飯女「魔力も神通力も、操るには強い精神力が必要…」

愛乳道「ぶん殴って心を折れば、後はただの人間ってことね」

青目蓮「…ところで、お嬢はいつまで殴ってるんでしょうか?」

ほっぽ「サア?」

飯女「青目蓮さん、止めてみます?」

青目蓮「またまた御冗談を」


龍驤(あ、アカン。これウチも詰んだわ)
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/09(日) 22:05:51.52 ID:+GzDlNvx0
麿提督「た、助へて……許ひて……」

閻魔ぬい「闇に惑いし哀れな影よ……艦娘を傷つけ貶めて……」


ぬいが麿提督の顔面を鷲掴みにして吊り上げると、横に果てしない断崖絶壁が現れる。


閻魔ぬい「罪に溺れし業の魂……」

麿提督「ひ…っ、ひぃぃぃっ!」



閻魔ぬい「 し ぬ が よ い 」



麿提督「ひぎゃぁぁぁぁ!!!」


ほっぽ「ポイ シチャッタ」

青目蓮「あの決め台詞、やばくないですか?」

愛乳道「…黙ってなさい」
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/09(日) 22:06:40.00 ID:+GzDlNvx0
無数の燈籠が浮かぶ静かな水面


その中を一隻の駆逐艦が進む


麿提督の足に、直接繋がれた牽引ロープを引きながら…


麿提督「ブボボボボボ」


閻魔ぬい「この怨み……地獄へ流します……」


チリーン…
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/09(日) 22:08:09.02 ID:+GzDlNvx0
龍驤「あ、あの〜、つかぬことを伺いますが、ウチはどうなるんやろ?」

青目蓮「えっと…」

飯女「地獄、来てしまってますよね」

愛乳道「お嬢、なんとかなる?」

閻魔ぬい「…無理」

龍驤「ですよねー」

青目蓮「逆恨みで流される人も可哀そうですが、巻き添えって形も酷いですね」

閻魔ぬい「……」
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/09(日) 22:10:38.24 ID:+GzDlNvx0
龍驤「ウチが甘かったんやろな……裏で支えていれば、いつかわかってくれるって思っとったんやが……ここまで怨み買うてたなんて」

閻魔ぬい「……」

龍驤「ウチも地獄逝きか……どうせなら、海で沈みたかったな……」

閻魔ぬい「…一つだけ、回避する方法があるわ」

龍驤「ほぇ?」

閻魔ぬい「私に付いてくるなら、少なくとも地獄逝きは逃れられる」

龍驤「司令官を流したあんたに従え言うんか?」

閻魔ぬい「無理強いはしない」

龍驤「………わかった。どの道、グズッても仕方ないことやな」

閻魔ぬい「では軽空母龍驤、今から……【胸童】と名乗り、閻魔ぬいに仕えなさい」

龍驤改め胸童「今、どこ見て名前決めた?」
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/09(日) 22:12:31.95 ID:+GzDlNvx0
大本営、会議室


総司令「彼が行方不明になって一週間か…」

参謀「残念ながら、生存は絶望的かと」

総司令「やはり不確定要素が多すぎたな……やむを得ん。地獄艦娘の鹵獲計画は無期限の凍結、関係書類は厳重に秘匿せよ」

参謀「はっ!今回の件を引き起こした山城の処分はいかがいたしますか?」

総司令「轟沈後の地獄逝きは決まっているのだろう?ならば口外無用とだけ伝え、そっとしておいてやれ」

参謀「では、そのように」


総司令「……」


総司令「地獄艦娘……戦局を覆す力になり得るかと思ったが、我々が扱うにはまだ早過ぎたようだな」
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/09(日) 22:16:20.61 ID:+GzDlNvx0
〜現在、ぬいの家〜


胸童「…考えてみたらウチは、お嬢のお情けで救われとるんやな」

愛乳道「ふふっ、私たちも同じよ?」

胸童「すんませんお嬢、いろいろ生意気なこと言うてしもて」

閻魔ぬい「別に構わないわ。あなたには、私が忘れてしまった人の心を思い出させて欲しいから」

胸童「そ、そうなんか?」

閻魔ぬい「仕事は別として、私が間違ったことをした場合、それを正すのがあなたの役目よ」

胸童「そっか……わかったで。ほな早速やけど、おもちゃはちゃんとそこの棚へ。自分が使った食器は自分で流しに持って行ってな」

閻魔ぬい「……」

胸童「あと、服は脱ぎっぱなしにせんと、脱衣カゴへ。パンツは個別にネットに入れるんやで。ホンマだらしないんやから」

閻魔ぬい「……」

胸童「えーっとそれから…」

閻魔ぬい「…ぬいを怒らせたわね」

胸童「ちょ、なんでやねん!」
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/09(日) 22:20:02.55 ID:+GzDlNvx0
青目蓮「そういえばあの時のお嬢の力、あれってやっぱり運営が…」


ガシッ


青目蓮「えっ?おああああ!」

愛乳道「あらあら、死にたい艦はどこかしら?」


愛乳道の両拳が青目蓮のこめかみにあてがわれ、メキメキと音を立てて締め上げる。


青目蓮「も、もう言いません!もう言いませんから神戸牛はやめてぇぇぇ!」

ほっぽ「コウベギュー?」

飯女「こうべ(頭)をぎゅーってするから神戸牛よ」

ほっぽ「ほっぽモ オテツダイ♪」

青目蓮「ああああ!ワレアオバ!ワレアオバぁぁぁぁ!」



『あなたの怨み、晴らします』


地獄艦娘4【胸童邂逅編】〜完〜




※神戸牛…静かなるドン〜最終章〜参照


地獄少女4期をご覧になる皆さんの脳内でも、不知火が再生されるよう、お祈りしておきます。
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/12(水) 01:55:13.75 ID:l1q9ZAg50
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/12(水) 18:58:55.86 ID:mXp8+v6SO
乙です
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/11(火) 22:50:43.30 ID:RFXOEotC0
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