ことり「花になろう」

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178 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 02:11:59.67 ID:Ohmi38x40
穂乃果「ことりちゃんだって…もう一生会えないってなった時、何も言わずに一生離れ離れなんていう…そんなさっ…」



穂乃果「そんな最悪の最後/最期はイヤでしょ!?」



穂乃果「お願いだよことりちゃんッ…!受け止めてよ…!」


穂乃果「受け止めてよぉ…!!」


ギューッ


ポロポロ…

ことり「……ぁ」

ことり(穂乃果ちゃんの本音、そして心からの叫びだった)

ことり(一生隣にいてくれると思ってたことりの太陽、ことりはそれをただの打ち上げ花火と錯覚してたのかもしれない)

ことり(ことりはずっと朝の来ない夜を見てたから、夜だからこそ打ちあがって弾ける花火はとてつもなく明るく感じたのかもしれない)

ことり(もし、夜の来ない朝を今まで描いてたっていうなら穂乃果ちゃんは笑ってくれるかな)

ことり(儚く散る打ち上げ花火を太陽だと思ってた話をみんなに聞かせたら、みんなはどう感じてくれるのかな)

ことり(分からない、分からないよ)
179 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 02:12:44.49 ID:Ohmi38x40
ことり(そしてことりはこの太陽が消えることを受け止められるのかな?)



ことり(答えは無理、そんなのできっこないよ)



ことり(…ただ、ことりがどうにか出来る問題じゃなかった)

ことり(助けたいのに、離れたくないのにことりはそれをただそんな今にも消えそうな泡沫の穂乃果ちゃんの傍にいることくらいしかできなかった)

ことり(そうこうしてるうちにこの何とも言えない二人だけの時間に楔が打たれた)




希「なに…して…るん……?」


180 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 02:14:02.39 ID:Ohmi38x40
ことり「!」

穂乃果「!」

希「きょ、今日バイトやったからここでお仕事してたんだけど急に怒鳴り声が聞こえて…」

穂乃果「あ、えっと…」

ことり(希ちゃんがやってきた、ここにきて場の空気の悪さに気付いたのか目を泳がせながらしゃべってた)

穂乃果「…ごめんなんでもない、ただちょっと喧嘩しちゃっただけ」

希「そ、そっか…仲直りはしたの?」

穂乃果「…まぁ」

ことり「ひぐっ……」

希「…してないよね?」

穂乃果「…まぁ」

ことり「ぐすっ…」

希「………」
181 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 02:16:23.04 ID:Ohmi38x40
穂乃果「…とりあえず今日は帰るよ」

穂乃果「ばいばい、希ちゃん、ことりちゃん」


穂乃果「ごめんね、ことりちゃん」ボソッ


ことり「ま、まっ…!!」

ことり(声がでなかった、足が震えてどこかに穴でもあるんじゃないかと思うくらいにスーッと力が抜けてった)

ズキッ

ことり「っ!!」

希「ことりちゃん?!」

ことり(胸が、心臓がすごく痛かった)

ことり(これが今のことりの傷の痛みとでもいうのかな)

ことり(溜まりに溜まってたのに気付かないふりをしていた分の傷が沁みてるのかな)
182 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 02:17:58.12 ID:Ohmi38x40
ことり「ま…まっ…て…!」

ことり(胸が痛いから下を向くたびに、雨に濡れる穂乃果ちゃんが遠ざかっていった)

ことり(ことりはその後ろ姿を追うことが出来なかった)

ことり(枯れた落ち葉がひらひらと飛んでた)

ことり(次第にことりの視界は黒くなった、穂乃果ちゃんがいなくなって意識を保とうと頑張る必要がなくなっちゃったから)

ことり「あ…ぁ…」

バタッ

希「こと…ちゃん?!…と…ちゃ…!!」

ことり(希ちゃんの声が遠ざかっていった、それだけでことりの意識も遠ざかっていく自覚が持てた)

ことり(そこからは何も知らない、ことりも完全に意識を切り離しちゃったから何が起こったのか全く分からないままだった)
183 : ◆iEoVz.17Z2 [sage]:2017/09/13(水) 02:19:23.72 ID:Ohmi38x40
一旦中断します
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/13(水) 02:38:18.55 ID:+L8tcpPz0
よく長時間投下したな
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/13(水) 07:48:57.60 ID:1FSjnviyO
相変わらず長いなおい
186 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 19:53:48.79 ID:Ohmi38x40
ことり「ん……」

ことり「ここは…」キョロキョロ

ことり「…どこ?」

希「あ、目が覚めた?」

ことり「希ちゃん?!」

希「ここはウチの家、今日は泊まってっていいよ、ことりちゃんのお母さんにも言っといたから」

ことり「えっ…でも…」

希「大丈夫大丈夫、それに」


希「何があったか聞きたいし」


ことり「……」

希「ま、ゆっくりしてって?何かあったら言ってね、出来る限りのことはするから」

ことり「う、うん……」

ことり「…」

ことり(目が覚めたら希ちゃんの家にいた)

ことり(急に意識を失ったからきっと希ちゃんの家にまで連れてってもらったのだと思う)

ことり(可愛いお人形さんが置かれてるベッドで目覚めて、周りを見渡せば可愛らしい小物がいっぱいあって正直希ちゃんらしくないな、でもなんだか可愛いなって微笑んでた)
187 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 19:54:39.52 ID:Ohmi38x40
希「や、やめてやあんまり部屋じろじろ見るのは〜」

ことり「ご、ごめん…でもなんか可愛いね、希ちゃん」クスクス

希「も、もー!からかうの禁止!」

ことり「はーい」

希「そ、それでさ話をぶった切って単刀直入に聞くけど」

ことり「…!」


希「何があったん?」


ことり「………」

ことり(穂乃果ちゃんの本当のこと、もとい後一週間しか生きられないという事実を話そうか迷った)

ことり(だってこれは空白の一年に創られた記憶が埋め込まれてる希ちゃんにとってはあまりにも無理矢理すぎる話、それに穂乃果ちゃんのためにも話すのは危ないこと)

ことり(そう頭の中で収束させたことりは希ちゃんにこういった)

ことり「…希ちゃん」

希「何?」

ことり「…ちょっと前に本を読んだんだ、一週間前」

希「…?う、うん」
188 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 19:56:16.87 ID:Ohmi38x40
ことり「その本にはね、こう書いてあったんだ」


ことり「後一週間しか生きられない親友がいたら、あなたはその親友と何をするのか」


ことり「…希ちゃんなら何をする?」

希「…ふむ」

希「んーと、その親友はもうどうしようも出来ないの?例えば過酷な山奥にある果実を食べたら寿命が延びる!みたいな」

ことり「そ、そんなファンタジーな話じゃないよ、ただ…そうだな…不治の病みたいなものだよ」

希「あーなるほどね」

希「じゃあ場所は現実世界なわけだ」

ことり「そうそう」

希「そっか、それならウチはその親友と残りの一週間、出来ることで精一杯楽しむかな」

ことり「えっ…」

希「ん?何かおかしいこと言った?」

ことり「悲しくないの…?」

希「うーん…悲しいけど、そこで立ち止まってたらその子の最期は最悪やん?」

ことり「!!」


穂乃果『そんな最悪の最後/最期はイヤでしょ!?』


希「その子のために、残りの一週間を一緒に楽しむのが親友としての役目じゃない?」


ことり「…うん」
189 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 19:58:20.48 ID:Ohmi38x40
ことり「どうしてそんな早く決められるの?」

希「そんなの簡単じゃん、答えがそれしかないからだよ」

希「今言った通りその子のために残りの一週間を楽しむことが親友の役目、逆に聞くけどことりちゃんはそれ以外に答え、あるの?」

ことり「えっ…」

ことり(答えなんてなかった、だから希ちゃんに救いの手を伸ばした)

ことり(それなのに希ちゃんはいとも簡単に答えを出してきた)


ことり(この差はなんだろう)


ことり(何が影響してこの差が出るんだろう)

ことり(それに、答えが一つしかないっていうのも驚きだ)

ことり「ことりは…答えなんてなかった…」

ことり「ただ…希ちゃんに聞きたくて…」

希「…そっか」

希「…分かった、ご飯にしよっか!」

ことり「え?」

希「もう言わなくてよしっ!ほらほら明日もダンスレッスンあるんだからよく食べなよー?」

ことり「あ、うん」

ことり(ことりの顔を見て察したのか、それとも話の内容で何かを感じ取ったのか、とにかくよく分からないけど希ちゃんはキッチンの方に向かっていった)
190 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 20:00:09.75 ID:Ohmi38x40
ことり「…!」

ことり(ふと、枕に下に写真があることに気付いた)

ことり(中学時代のことりたちの写真だった、みんな幸せそうな笑顔をしてた)

ことり(そんな写真を見てふと思ったんだ)


ことり(穂乃果ちゃんが消えてなくなるまでにことりと穂乃果ちゃんは何回笑いあえるんだろうって)


ことり(分かりそうで分からない疑問がことりの頭を駆け巡ってた)

ことり(だって答えなんて簡単じゃん)



ことり(答えは分からない、で済むはずなのに)



ことり(その答えさえも疑ってしまうほど、今の状況と心境は深刻なのかもしれない)

希「その写真、懐かしいね」

ことり「!」

希「勝手に人の枕の下を見ちゃダメだよ?」

ことり「ご、ごめん…」

希「別にいいよ、とりあえずもうご飯は作ってあるから食べよ?」

ことり「う、うん!」

スタスタスタ

ストンッ

希「今日はことりちゃんもいるから頑張ってカレー作ってみたんよ、召し上がれ」

ことり「いただきます」
191 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 20:02:16.09 ID:Ohmi38x40
希「はいっいただきます」

ことり「…」パクパク

希「どう?」

ことり「おいしいよ!」

希「えへへ…ならよかったよ」

ことり「ん」パクパク

希「ねえことりちゃん?」

ことり「ん、何?」

希「…ウチ今という一瞬でちょっとだけ考えたんだけど、話していいかな?」

ことり「…何を?」

希「あ、ごめんごめん、さっきことりちゃんが言った親友のお話」

ことり「あ、うんいいよ」

希「ありがとっじゃあ話すね」

希「まずさことりちゃんに聞きたいんだけど」

ことり「?」


希「その物語は最終的にどうなっちゃうの?」


ことり「……分からない、最後まで読んでないから」

希「…そっか、なるほどね、うんうんなるほどっ」

希「つまりことりちゃんは今、展開の読めないストーリーにもどかしい気持ちを抱いてるわけか」

ことり「…うん」
192 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 20:04:15.21 ID:Ohmi38x40
希「…そっか、それならやっぱりそうだよ、ことりちゃん」

ことり「何…?」

希「例えばさ、ことりちゃんが今からウチとそこのベランダから身を投げたとしよう」

ことり「…うん」

希「ことりちゃんとウチは地面に叩きつけられて即死、つまりこの世界にはもういないんだ」

ことり「…」

希「じゃあもし来世があるとしよう」

希「ウチとことりちゃんはほぼ同時に死んだから来世で産まれる時もほぼ同時で産まれる、という理屈で話を通したとして」



希「そこでウチらが出逢う確率って何%なんかな?」



ことり「なんぱーせんと…」

希「小数点はおろか、もっともっともーっと低い確率だと思うよ」

希「そうと分かって、来世で逢えるなんて確証がないのに今を無に帰させてるなんてただのバカがすることやん?」

希「残り一週間しかないなら、その出逢い/出会いに感謝しなきゃ」


希「その一週間を全力で楽しまなきゃ」

193 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 20:06:30.79 ID:Ohmi38x40
希「悲しいことなんて後回しでいいんだよ、夏休みの宿題だって最後の日にやればいいんだよ」

ことり「…!」ウルッ

希「…なんて、物語に夢中になっちゃったけど」エヘヘ


希「もし、本当にそういうことが起こったらウチはそうするかな」


希「それが相手のためでもあるし、自分のためでもあるから」

希「…これがウチの意見の全てかな!」

ことり「ありがとう…ありがとうっ!」

希「おおぅ…よ、よくわからんけど何かになったならよかったよ」アハハ

ことり「うんっ!」

ことり(全体的な解決になってないけど、気持ち的な面では救われた気がした)

ことり(希ちゃんにだいったんに背中を押してもらった)


ことり(これが希ちゃんのすごさだよ、これが希ちゃんのチカラだよ)


ことり’(改めてそう感じた)

希「さてっご飯に戻ろっか」

ことり「うん!」

希「ことりちゃんセンター頑張ってなー?」

ことり「う、うん!」

希「練習は真剣にやって本番楽しめばいいんよ」

希「ウチらも結構順調だから、ことりちゃんはことりちゃんの問題を抱えて頑張ってな?」

ことり「う、うん」
194 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 20:09:10.21 ID:Ohmi38x40
希「よーしっ!この後お風呂!ちゃちゃっと食べてちゃちゃっとお風呂入っていっぱいあそぼっ!」パクパクッ!

ことり「は、はやいよ〜…」

ことり(その後、お風呂に入った)

ことり「ふう〜…」チャプンッ

ことり(そして入ってる時に考えた)

ことり「…今思えば、自分のこと…全然見てなかったな……」


穂乃果『…ことりちゃんはさ、小さい頃から自分が弱いって分かってるくせに人のことばっか心配してたよね』


ことり「…」

ことり(ホントのこと言えば別にそんなつもりはなかった)

ことり(ただ単に、穂乃果ちゃんが、みんなが眩しくて綺麗で明るくて、そんな何かに魅了されてしまって自分のことになんか目も当てられなくて)

ことり(ふと下を見ても自分の足元さえ見えずに、ただ…ただただみんなの背中を追いかけてきたから自分の心配なんて出来るはずがなかった)

ことり「…よしっ」

ことり(とりあえず覚悟を決めて、明日…明日穂乃果ちゃんと真剣に話し合う…いや、違う)


ことり(明日は穂乃果ちゃんと全力でぶつかり合おうと思う)


グッ

ことり(今はちゃんと全身に力が入る、あの時みたいに置いていかれる心配もない)
195 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 20:10:28.51 ID:Ohmi38x40
ことり「………」

ガララ

希「おっじゃましまーす!」

ことり「?!」

希「いやー待てなくてきちゃった!」

ことり「い、いや来ちゃったじゃないよ?!」

希「いいやんいいやん女の子同士なんだから!」

ことり「そ、そういう問題じゃ!」

希「裸の付き合いっていうやろ?せっかく今日はお泊りしてくれるんだからお風呂だって一緒に入りたいやん」

ことり「そ、そうかなぁ…?」

希「そうやで?」

ことり「ま、まぁいいけど…」

希「よしよしっ」

ことり(希ちゃんが突然裸でお風呂に入り込んできた)

ことり(希ちゃんは一度心を開示するとどこまでも突っ走ってくるから、こういうところではデリカシーの欠片もない)

ことり(まぁとりあえず希ちゃんとお風呂に入った、日常会話をしてあははと笑いあってそんな中でやっぱり希ちゃんはすごいなってそう思うばかりだった)


ことり(だからみんな、そんなすごいチカラを持ってるんだろうな、なんてちょっと考えてた)

196 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 20:12:26.10 ID:Ohmi38x40
ことり(それでお風呂から出て勉強したり何気ないことをしてたらあっという間に深夜だった)

ことり(ベッドは一つしかないから希ちゃんの隣で寝ることになった)

ことり(そんな家の明かり全てを消して眠りにつこうと思った時のこと)

希「…ことりちゃん、起きてる?」

ことり「ん…何?」

希「今日、聞きたかったこと…実はもっといっぱいあったんだ」

ことり「…」

希「…でも、今はいいよ」

希「きっとことりちゃんにも事情があると思うから、今は聞かなくていい」

希「…だけどいつか聞かせてほしいな、いつか」


希「ウチもことりちゃんの言ってたストーリー、続きが、終わりが超気になるからさ」


希「完結したら、それも是非教えてな?」

ことり「…うん」

ことり(背を向け合ってたからあまり細かいことは分からないけど、希ちゃんは多分無理した笑顔をしてたと思う)

ことり(希ちゃんの声は実に儚げで、何故か切なく感じてしまう笑い混じりの声だった)

ことり(そう感じていると、希ちゃんも心底ことりと穂乃果ちゃんのことを心配しているようで、空元気ではないけどそれにものすごく近いものをことりはみせられてるのかもしれないと思った)
197 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 20:14:27.57 ID:Ohmi38x40
ことり「…ありがとう、希ちゃん」

ことり「でも…大丈夫だよっきっと明日には…解決してるから」

希「…そっか」

ことり「ことりの読んでた物語はね、ものすごく短いけど…でも一日にちょっとしか物語を進められなくて…読み終えるのに最低でも後一週間はかかるんだ」

希「分かった、じゃあそれまで待つよ」

希「聞きたいことも、ストーリーのことも」

ことり「…うんっ!」

ことり(希ちゃんも安心してくれたみたいで、無理してる感はなくなった)

ことり(だからことりも安心しちゃって今日の疲れがどっと押し寄せてきてすぐに眠りについちゃった)


ことり(そして気が付けばもう朝だった)

ことり「おはよう!」

希「おはよ〜」

凛「あ、ことりちゃん希ちゃんおはよっ!」

花陽「おはようことりちゃん希ちゃん」

ことり「今日も練習頑張ろうねっ」

凛「もちろんっ!!」

希「ごめん、生徒会関係でちょこっとお仕事あるからウチは先にいくね」

ことり「あ、うん!」

凛「いってらっしゃい!」

花陽「いってらっしゃい」

希「あーいよ!」

タッタッタッ!
198 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 20:15:49.39 ID:Ohmi38x40
ことり「ことりたちもいこっか」

花陽「そうだね」

凛「うん!」

スタスタスタ

花陽「…あ、真姫ちゃんだ」

凛「ホントだ!おーい!真姫ちゃーん!」

タッタッタッ!

ことり「あ、ちょっと!」ダッ

グイッ

ことり「!」

花陽「待ってことりちゃん」

ことり「どうしたの?」

花陽「ねぇことりちゃんってさ」

ことり「…?」


花陽「何か問題を抱えてるでしょ?」


ことり「?!」
199 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 20:18:12.75 ID:Ohmi38x40
ことり「ど、どうしてそう思うの?」

花陽「なんか…苦しそうに笑ってるから」

ことり「苦しそうに…」

花陽「うん…私も何かあってもみんなの前じゃ普通を演じてたいから…ことりちゃんの気持ちは痛いほど分かるんだ」

ことり「そ、そっか…」

花陽「…何があったの?」

ことり「……」

ことり(返答に困った、穂乃果ちゃんと喧嘩したなんて言って花陽ちゃんに不安を抱かせたくない、そのためにはどう返答すればいいんだろう)

ことり「…あのね」

ことり(だからこう返答した、勘のいい花陽ちゃんならすぐ察してしまうかもしれないけどことりはこう返したんだ)

ことり「一週間前、物語を読んだんだ」

花陽「物語…?」

ことり「うん、親友が残り一週間しか生きられないとしたらあなたは何をするのかっていう物語」

花陽「余命一週間か…」
200 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 20:20:41.66 ID:Ohmi38x40
ことり「…うん、花陽ちゃんならどうする?」

花陽「え…私か…」


花陽「うーん…私は最後の最期まで楽しく過ごしたいかな」


ことり「!」

花陽「悲しいことは全部後にして、その人が死ぬまではずっとずっとずーっと!楽しい時間で一緒にいたい」

花陽「きっとその親友の人だって、最悪な最期は望んでないから…」


花陽「それに、その親友の人のためだけに出来ることなんてそのくらいしかないから」


ことり「!!」

ことり(ビックリした、希ちゃんと全く同じ答えを返された)

ことり(心の中だけに溜めておくことが出来なくて思わず目を丸くしてた)

花陽「…?もしかしてことりちゃんの友達にはそういう子がいるの?」

ことり「…その…えっと…どうだろうね…」

花陽「…そっか、なら答えは一つしないと思うよ」
201 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 20:22:55.92 ID:Ohmi38x40
ことり「えっ…」


花陽「その人のために最後の最期まで全力で走ることがその人に出来る唯一のこと」


花陽「無理なんて重々承知でとにかく前へ進むこと、むしろ限界なんて恐れないくらいに突っ走ること…」


花陽「いなくなっても悔いのないように楽しく過ごすことがことりちゃんにとって最高の選択だと私は思う」

ことり「最高の…選択…」

花陽「そうだよ」

花陽「…これが私の勘違いだったらただの痛い人だけどもしこれが違っても、ことりちゃんが別のことで悩んでいても私は…ううん…」


花陽「小泉花陽はことりちゃんを全力応援したい!」


ことり「!!」

花陽「私、いつもは言いたいことが言えなくて…心の内に溜めとくけどもし言いたいことが言えるならその人と本気でぶつかり合いたい、本気でぶつかって本気で笑いあって本気で怒り合って本気で泣きたい!」

花陽「だから…本気でことりちゃんに言うけど、私はことりちゃんのこと死ぬほど大好き!いいやみんなことりちゃんのことが超大好きだと思う!」

ギューッ

ことり「えっ…」

花陽「えへへ…もちろんそんな変な意味はないよ?でも私の大好きなお米より好き、だからそんなことりちゃんに悲しい顔をしてほしくないの」

花陽「ことりちゃんが今悩んでること、失敗とかそんなの恐れずにとにかく前へ走ってほしいの」

花陽「だってみんなが隣にいるんだもん!私たちは死なないから!死なないからこそ、失敗したんだったら、迷ったんだったらいつでも隣にいる私たちに頼ってほしいの!」

ことり「っ!」ウルッ
202 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 20:24:22.83 ID:Ohmi38x40
花陽「…えへへ、だから…頑張ってことりちゃん」




花陽「“本当の”小泉花陽は、みんなに“本気の”エールを送る人だから♪」




ことり「花陽ちゃん…!」

ギューッ

花陽「わぁ…苦しいよぉ」

ことり「ありがとう…ありがとう…!!」

ことり(これが花陽ちゃんのチカラだと思った、穂乃果ちゃんにも負けない前向きな心と素直な言葉で相手の背中を押す優しい心の持ち主だ)

ことり(このチカラは花陽ちゃんだけにしかないチカラだよね、本気で相手を思う気持ち、本気で相手を応援する気持ち、相手のこと本気で理解する気持ち、本気で何かをしてあげる気持ちを持ってること)


ことり(それは実に花陽ちゃんらしくて、花陽ちゃんの最高のチカラだと思う)


ことり(感受性がすごくて人を理解する心があって観察眼が凄まじくてとにかく心の広い持ち主だから、ただそれを表に出さないだけでもしいつでも表に出してる状態だったらきっと穂乃果ちゃん並みの名声があったと思う)

ことり(…だからちょっとだけもったいないな、なんて思っちゃった)

ことり(まぁとにかく希ちゃんに、そして花陽ちゃんにも背中を押してもらってことりという自分に自信が持てた)

ことり「ありがとう、花陽ちゃん」

ことり(だからこの背中を押してもらって進んだ二歩を無駄には出来ない)
203 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 20:26:02.71 ID:Ohmi38x40
タッタッタッ

ことり(急ぎ足で、そして走ることりの向こう側にいる穂乃果ちゃんの背中にぶつかってみようと思う)


希『その子のために、残りの一週間を一緒に楽しむのが親友としての役目じゃない?』


ことり(ことりも気持ちは同じ)


花陽『無理なんて重々承知でとにかく前へ進むこと、むしろ限界なんて恐れないくらいに突っ走ること…』


ことり(花陽ちゃんに勇気をもらったんだから、失敗なんて、限界なんて恐れない)

ことり(場所は正門ら辺から人気のない廊下へ移った)

ドンッ

穂乃果「ことりちゃん…?」

ことり「ご、ごめん前見てなくて…」

穂乃果「そ、そっか…」

ことり「うん…」

穂乃果「………」

ことり「………」

ことり「あのね」

穂乃果「あのさ」

ことほの「!」
204 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 20:27:30.99 ID:Ohmi38x40
穂乃果「…先いいよ」

ことり「……じゃあ先言うね」

穂乃果「うん…」

ことり「昨日のことで…いっぱい考えたんだ」

穂乃果「…」

ことり「ことりはこれからどうするべきなのかって、ことりは穂乃果ちゃんとどう向き合えばいいんだろうって」

ことり「…正直、ことりだけじゃよく分からなかった」

ことり「けど、ことりには仲間が、親友がいたから分かったんだ」

ことり「穂乃果ちゃん」

穂乃果「…はい」

ことり「ことりは…ことりは…」


ことり「ことりはこの一週間を穂乃果ちゃんと全力で楽しみたい!!」


穂乃果「!」

ことり「穂乃果ちゃんと本音でぶつかり合いたい!やり残しがないように精一杯遊びつくしたい!最後の最期まで突っ走っていたい!」

ことり「これがことりの答えだよ!どう?!」

穂乃果「…バッチリだよ、ずっと…ずっとそう言ってほしかったんだ…」

ポロポロ…
205 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 20:28:39.36 ID:Ohmi38x40
穂乃果「やっぱり…ことりちゃんが一緒にいてくれてよかった…!」

ギューッ

ことり「ことりも…!ことりも穂乃果ちゃんが一緒にいてくれてよかった!!」

穂乃果「私ね…怖かったんだ、ことりちゃんをまたイヤな気持ちにさせて…この二週間が最悪なものになっちゃうんじゃないかって…」

ことり「違う…!そんな、そんなことない!ことりだってあんなわがままみせちゃって…穂乃果ちゃんがイヤイヤになってると思ってずっと悩んでて…」

穂乃果「ううん、私だって違う」

穂乃果「…でもある意味私はことりちゃんを信じてたのかもしれない」

穂乃果「きっと私のこと受け止めてくれるって、きっと本当のことりちゃんに気付いてくれるって」

ことり「本当のことり…?」

穂乃果「うん!気付いてなくても、まだいいよまだ…」


穂乃果「きっと近いうちに気付くから」


ことり「う、うん…?」

穂乃果「…あはは、なんか安心して、嬉しくて涙が出ちゃうよ」

ポロポロ…

ことり「えへへ…ことりも…」

ポロポロ…
206 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 20:29:51.51 ID:Ohmi38x40
穂乃果「あははははっ」

ことり「えへへへへっ」

ことり(その時は本気で笑いあえてたと思う、それに本気で泣けてたと思う)

ことり(本気でうれし涙を流したとことりは思う、このことりの想い…届いたと思う)

ことり(穂乃果ちゃんも嬉しそうだった、だからとにかくその時は泣きながら笑いあった)

穂乃果「ことりちゃんがその気になら私も、精一杯楽しむ!」

穂乃果「ことりちゃんには本音でぶつかり合うし最後の最期まで突っ走るよ!」

穂乃果「だから…この残りの一週間…ホントに…ホントに…ほーんとに悔いのないようにしよう?」

ことり「…うんっ!」


穂乃果「残りの一週間、精一杯楽しめるようどうぞ、よろしくね」


ことり「もちろん!よろしくねっ!」

ギューッ

ことり(抱き合ってた状態だけど、抱き合うことりと穂乃果ちゃんに再び力が入った)

ことり(窓の外をチラッと見ると赤い花びらがひらひらと飛んでた)

ことり(すごく幻想的で、また誰かの心情を表してるようにも感じた)
207 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 20:31:17.80 ID:Ohmi38x40
キーンコーンカーンコーン

穂乃果「あ、いけない早く戻らないと!」

ことり「う、うん!」

ギュッ

ことり「!」

穂乃果「いこっ!」

ことり(強く手を握られた、ほのかな高揚感がことりの全身をかけて太陽の温かみを直で感じてた)

ことり(それからは昨日よりもずっとずっと明るい時間だった)

ことり(精一杯楽しむからには疲れるなんて概念はどこにもないんだから、悔いのないようにするってことはやれるところまでやるってことなんだから)


ことり(そこからのことりと穂乃果ちゃんはいつだって本気モードだった)


海未「…?何かありました?」

穂乃果「ううん!何もないよ!」

海未「しかしですね…ダンスのキレも歌唱も昨日とは別人レベルで…」

絵里「それはことりも同じよ」

ことり「えへへ」

真姫「なんかあったの?」

ことり「ううん!ただやる気が昨日よりあるだけ!」

穂乃果「そうそう!私もそんな感じ!」
208 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 20:33:10.56 ID:Ohmi38x40
希「…ふふっだってよみんなーウチらも負けてられんよ?」

花陽「その通りです!私たちも頑張りましょう!」

凛「おぉ…!二人ともやる気にゃ…」

にこ「闘志を感じられるわね…」

海未「ですがやる気があるのはいいことです!みんなもやる気を出していきましょう!」

のぞことほのぱな「おー!」

真姫「お、おー?」

凛「おー!」

にこ「あーい」

絵里「ふふふっ」クスッ

ことり(練習はより楽しい時間に変わってた)

ことり(コンディションがバッチリだからダンスも歌もよく出来るし雰囲気もすごくいい、この上ないくらいに今を楽しんでた)

ことり(そして気付けばあっという間に帰りだった)


穂乃果『今日は希ちゃん絵里ちゃんにこちゃんと死ぬほど遊んでくるから先帰るね!』


ことり(穂乃果ちゃんはそう言ってあの三人を強引に引っ張って帰ってった)
209 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 20:35:33.74 ID:Ohmi38x40
ことり(だから、今日は海未ちゃんと二人だった)

スタスタスタ

海未「今日のことりはいつもとは段違いで輝いてましたよ」

ことり「そ、そう?」

海未「ええ、何かいいことありましたよね?」

ことり「まぁね」フフンッ

海未「私に教えてはくれないのですか?」プクー

ことり「んー秘密!」

海未「あ、酷いです!教えてくれてもいいじゃないですか」

ことり「だーめっ」

海未「もう…」

海未「…でもことりはホントにスッキリとした顔になりましたね」

ことり「え?」

海未「一週間前からでしょうか?なんとなく違和感を感じてたんです、ことりの顔に」

ことり「ことりの…顔?」

海未「感覚的な問題ですよ、いつものことりとはなんか違うなって思ったんです」

海未「歪がある…というかしこりがあるような顔をしてて、ですがことりは何か面白いことが会った時は本当に嬉しそうに笑うんです」

海未「ですが違和感は消えませんでした、あんないい笑顔をしてるのにどうしてでしょうと思いました」

海未「…ですがいい顔になりましたね、ことり」

ことり「えへへ」
210 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 20:38:12.37 ID:Ohmi38x40
海未「まったく…挙句の果てには穂乃果までことりとおんなじ違和感を感じさせてたんですから心配させないでください」

ことり「あはは…ごめんね」

海未「…ことりと穂乃果の間での問題なんでしょう?」

ことり「…うん、そうだね」

海未「ことりと穂乃果の顔が晴れたのは嬉しいですが、穂乃果とことりの問題に私が関われないのは少し……残念です…」

ことり「あっ…」

ことり(泡沫の笑顔をして下を向いて両手の人差し指を合わせツンツンしてた)

ことり(少し、という言葉の後の海未ちゃんは何か言いたげだった、喉にまで上がってた言葉だったけど次に出た言葉はその言葉じゃなくて残念という言葉だった)

ことり「あ、えっとそういうわけじゃないんだよ?そんな巻き込みたくなくて」

海未「分かってます、ですが何故か心にきてしまって…」アハハ

ことり「海未ちゃん…」

海未「ふふふっ私の悪いクセなんです」

海未「迷惑だって分かっていてもどうしても関わりたくなってしまって…穂乃果にはこんなこと言えませんけどね、私は二人の仲がこじれるのがとても怖いんです」

ことり「…!」
211 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 20:40:45.46 ID:Ohmi38x40
海未「…普段は穂乃果にあーだこーだ言ってますけど、正直いってあれも言った後に激しく後悔してしまうんです」

海未「考えすぎかもって思うんですけどやっぱり同じ事を毎回考えてしまうんです」


海未「明日穂乃果がいなくなったら、私は一生後悔してしまうのではないのかと」


ことり「!!!」

海未「でも、もし明日死ぬって分かってたなら話は違うんです、縁起でもない話ですけどもし穂乃果が明日死ぬとしてそれが分かれば私は穂乃果に精一杯のお礼をします、もちろん言葉だけじゃなくて態度でも行動でもお礼をします」

海未「ただ…もちろん穂乃果は明日に死なないですし私もそんな素直なことを穂乃果にさらけ出すなんてことは出来ません、もちろんそれはことりにもみんなにも」


海未「だからこそ私はみんなの役に立ちたいんです」


海未「正直に言えば今回の件は悔しいです」

海未「こんなのただの痛い勘違いだって分かってるんですけど私はこうあるべきだ、と思うんです」


海未「お節介なくらいが私らしいと」


海未「ですから私は無理やりにでも穂乃果とことりの問題に介入したかったです」
212 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 20:42:55.39 ID:Ohmi38x40
海未「…そしてこれはことりにだけお話するのですが」


海未「本当の私というのは、全てを元通りにしたがる平和主義者なのではないか、と思います」


ことり「平和主義者…」

海未「逆にそれが私のチカラでもあります、これは私自身小さい頃から自覚を持ってきたことなので自信を持って言えますが私は―――――――」


海未「あのメンバーの中では誰よりも相手を思う気持ちと相手を理解する気持ちを持っていると思ってます」


ことり「………」

海未「私は友達もあまりいませんでしたしそういう人間関係はかなり大切にしてきたつもりでしたから」

ことり「う、うん…」

海未「…ってなんで私こんな話してるんでしょう…すいません」

ことり「…」

海未「…まぁ何が言いたいのかというと」



海未「困った時は、泣きたい時は、縋りたい時はいつでも頼ってください」



海未「私はことりの困り果てた姿なんて見たくありませんから、もちろんみんなのもそうですけど」
213 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 20:44:49.58 ID:Ohmi38x40
ことり「海未ちゃん…!」ウルウル

ギューッ

海未「もう…ことりも穂乃果に似てきましたか?」クスッ

ことり「からかわないでよぉ…」ポロッ

海未「何があったかはわかりませんが、とりあえず解決したみたいでよかったです」


海未「これから頑張っていきましょうね?」


ことり「うんっ!」

ことり(海未ちゃんのチカラ、それは優しすぎること)

ことり(みんなのチカラ、形程度ならなんとなく分かってるつもりだったけどいざ触れてみて分かるんだ)


ことり(みんな眩しすぎるチカラを持ってるんだなって)


ことり(穂乃果ちゃん言ってたよね)


ことり(こんな数えきれない花びらがあるのにそんな中で穂乃果ちゃんはことりという花びらを掴んだ、と)


ことり(つまりはそういうことなんだ、ことりと海未ちゃんが出逢ったのだって、ことりがみんなと出逢ったのだって奇跡なんだ、夢みたいな出来事なんだ)


ことり(こんな夢みたいな出来事が起こってることに驚きと喜びを感じ続けたんだ)

214 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 20:46:12.70 ID:Ohmi38x40
ヒラヒラヒラ

ことり「!」

海未「花びら…?ここら辺にこのような花びらが散る花は…」

ことり(ふと、ひらひら落ちる花びらを掴んだ)


ことり(これがみんなとの出逢いなんだろう)


ことり(何気ない感じだけど、その何気ない感じにとんでもないほど低い確率の奇跡が存在して人生の一生を変えてしまうほどの運命がそこにはある)

ことり「ふふふっ」

ことり「ねえ海未ちゃん!」

海未「なんでしょう?」

ことり「近いうち…うーんと後一週間以内に穂乃果ちゃんと海未ちゃんとことりの三人でどこか遊びにいこうよ!」

海未「いいですね!是非行きましょう!」

ことり「うんっ!」

ことり(一週間後、そこには二度目の人生最大の悲しみが待ってるというのにことりは呑気だった)
215 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 20:47:37.33 ID:Ohmi38x40


ことり(ただ、これでいいんだ)


ことり(これが穂乃果ちゃんの望んだこと、海未ちゃんの望んだこと、希ちゃんの望んだこと、花陽ちゃんの望んだこと)


ことり(ことりが望んだこと)


ことり(この一週間、悔いのないように楽しむことが今ことりのやるべきことだと決心がついたんだ)

ことり(だからこそ後一日と後一日と時間を求めてしまうから、時の流れは無情にも早く感じるようになっちゃうんだ)
216 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 20:49:05.82 ID:Ohmi38x40
〜次の日

にこ「ああぁ……」ゲッソリ

凛「うわー…にこちゃんどうしたの…」

ことり「随分疲れたみたいで…」

にこ「当たり前よ…あいつよ…あいつのせいよ…」

凛「あいつ?」

にこ「穂乃果しかいないじゃない…あいつが昨日放課後から私たち三年生三人を連れてかっ飛ばしたせいで今日にまで影響してるのよ…」

ことり「かっ飛ばしたって…」

凛「バイクにでも乗ってきたの?」

にこ「まさかそんなわけないでしょ、デザート屋でなんか食べたりアクセサリーショップで色々見たり…あぁそうよゲーセンで暴れまくったせいだわ…」

ことり「暴れまくったって…」
217 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 20:56:46.39 ID:Ohmi38x40
にこ「そのままよ…エアホッケーをするつもりが希と穂乃果が闘志燃やして空中戦始めるしクレーンゲームでは絵里があまりにも下手すぎて取ってあげようかって言ってるのにあいつプライド高すぎるせいでなんとか自分で取ろうとするのよ!」

にこ「おかげで1000円程度で取れる景品を5000円かけて取る超無駄遣いをしてたし、しかもそれで何が酷いって絵里本人は全然損した気分じゃないってとこがあまりにもひどすぎたわ」

にこ「それに聞いてよ、ダンスゲームでは穂乃果が最高難易度でやったせいで絵里も対抗心燃やして遊びでやるつもりがまさか息切らすほどにまでなるなんて思わないでしょ?しかもその後すぐにマリカーを四人でするのがまた滑稽なこと」

にこ「全員アイテムはランダムなはずなのに希にだけ強いアイテムが来るからもう全然勝てなくて!!」

にこ「でも希を一位じゃなくて二位にしたときはざまあああ!って思ったわこの私のアイテムで二位に引きずり落としたんだから!」

にこ「……あっ」

凛「楽しそうだねー」

ことり「ねっホントに楽しそうだね」クスクス

にこ「ち、違うのよ!」

凛「うんうん知ってるよー疲れたとかいいながらにこちゃんが一番楽しんでるんでしょー?知ってる知ってるー」クスクス

にこ「だああああ!違う違うちがーう!!」

ことり「ふふふっ」
218 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:00:37.96 ID:Ohmi38x40
希「朝から盛り上がってるやん」

凛「あ、希ちゃん!」

希「学年の違う三人がここの廊下に集まってお話してるのもなかなか無いシチュエーションやね」

にこ「言われてみればそうね」

ことり「そうだね」

希「にこっちの声聞こえてたんやけど昨日は楽しかったなぁ、あそこまで盛り上がったのも久々だったなぁ」

にこ「ことりや凛も誘いたかったわね」

希「そうやね、すごい盛り上がりやったんよ?」

凛「えーそんなにすごいなら凛も行きたかったなー」

にこ「…でもまぁ行かないほうがよかったわよ、おかげさまで私は疲労がやばいし……」ドヨーン

希「体力がないなぁにこっちは」

にこ「なによ…というかなんで希はそんな余裕そうなのよ」

希「そりゃあバイトで体力は使ってるしそれなりにはあるんよ?というかこれ前に行ったやん」

にこ「いやまぁね」
219 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:01:37.94 ID:Ohmi38x40
凛「今度凛たちも連れてってね!」

ことり「あ、ことりも!」

希「そうやね、今度はみんなで行こうか」

ことり「うん!」

キーンコーンカーンコーン

希「あ、いっけないもうそんな時間なんや…」

にこ「じゃあね、二人とも」

凛「うん!ばいばーい!」フリフリ

ことり「ばいばいっ」

希「ばいばーい」フリフリ

スタスタスタ

ことり「はぁ」

ことり(時の流れは実に早いモノだった)

ことり(チャイムが鳴り席についた、席について次時計を見た頃にはもう終わりの時間だった)

ことり(その間は瞬くほど一瞬のこと、ことりはただポカーンと唖然をしてるのみだった)
220 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:03:18.28 ID:Ohmi38x40
ことり「イメージの貧困は、イメージが過剰なことだけではなくて、例えばテレビを通じてみんなが同時に同じイメージを受け取っていることからも生じている」

ことり「どんなイメージも共有されているような世界ではあらゆることが“あ、あれだね”“知ってる知ってる”“もう分かってるよ”で済まされてしまうことになる」

「はい、ありがとうございました」

「次園田さん読んでください」

海未「はい」

海未「そこではそれぞれの人が持つ単独性は失われて、みんなが―――――――」

ことり(ただの授業なのに過ぎる時間はは早かった、時間というのはことりたちに楽しむ時間を中々与えてくれなかったんだ)

海未「誰でもない、なんとなく“みんな”みたいな存在になってしまう」

ことり(今日、想像力についてという授業をした)

ことり(ことりにはあまり関係ない話のような気がしたけどことりは真剣に聞いてた)

ことり(なんだかためになる話のような気がして真剣に聞いてた)
221 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:04:09.35 ID:Ohmi38x40
海未「想像力、というのは“実際に経験していないことを、こうではないかと推し量る“ものである」


海未「いくら同じイメージを共有していても、他の人の経験やその時の気持ちは、本当は見えていないのだ」


ことり「…!」

ことり(心のグサッときた)

ことり(ことりの全てを全否定された気持ちになった)

ことり(ただ教科書に書いてある文ってだけなのに、何故かことりの喉元に何かが突き刺さる感覚がした)

ことり(そうするとどうだろう、ことりが次の瞬間何をしたか、答えは簡単だった)


ガタッ


海未「!」

穂乃果「ことりちゃん…?」



ことり「そんなことない!」


222 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:07:25.47 ID:Ohmi38x40
〜その後

ことり「うー…うぅ…」

穂乃果「よしよしことりちゃん」ナデナデ

海未「まったく…考えすぎなのですよ」

穂乃果「そうだよ!」

海未「ことりは想像力が豊かすぎです、あの短い文で自分のことを指してると想像するのはことりくらいですよ」

ことり「だってぇ…」

穂乃果「…ふふっでもその豊かさがことりちゃんのいいところだと思う!」

海未「…まぁそうですね」クスッ

ことり「ふぇ…?」

凛「やーやー!三人ともー!」

穂乃果「あれ?凛ちゃん?」

海未「どうしてここに…」

スタスタスタ

ことり「どうしたの?」

凛「どうしたのもこうしたのも今日は凛のクラスとことりちゃんたちのクラスの合同体育だよー!」

穂乃果「え?!そうなの?!」
223 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:09:36.68 ID:Ohmi38x40
「ええそうよ」

ことり「!」

穂乃果「真姫ちゃん!」

真姫「合同体育って何するものなのかしら…」

海未「合同…ちょっと想像できませんね…」

ことり「合同…なんかみんなでわいわいやるんじゃないかな?」

真姫「まさか…」

花陽「二人ともー!」

凛「あ、かよちーん!」フリフリ

花陽「もー…なんで授業が終わったと同時にことりちゃんたちのところへ駆け出すのさぁ…」

凛「だって合同じゃん!」

真姫「ご、ごめんなさい花陽」
224 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:11:09.43 ID:Ohmi38x40
花陽「別にいいけど…」ツンツン

海未「あれは気にしてますね…」

ことり「う、うん」アハハ

花陽「そ、それで…」



ヒューン!

ズサー…


花陽「なんでドッジボールなんかやってるんですかー!!!」


凛「かよちんこれは遊びじゃないよ!」


凛「授業だよ!」


花陽「なんでドッジボールが授業?!」

穂乃果「忘れたの花陽ちゃん?!今日は合同体育だよ?!」

花陽「合同体育なら体育してくださいよ!」

穂乃果「もう走ったじゃん!残って時間でドッジボールをするのは当然だよ!」

花陽「小学校か!」
225 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:13:34.24 ID:Ohmi38x40
海未「どこを見てるんですか二人とも!まずはあなたたちから外野送りにしてあげましょうか!」ブンッ!

穂乃果「うわぁ?!」

花陽「ぴゃっ…」

凛「もー海未ちゃん手加減してあげてよー!」

海未「敵に情けをかけるほど私は優しくありません」

ことり「あははは…」

ことり(ホントは超優しいクセに…)

穂乃果「くっ…ことりちゃんと海未ちゃんと真姫ちゃんが敵なんて…!」

凛「ここはとりあえず敵の主力の海未ちゃんを落とそう!」

穂乃果「もちろん!」

花陽「そ、そうだね」

シュッ

凛「はいキャッチ!」

凛「そしてこれを海未ちゃんにー…」


凛「と見せかけて真姫ちゃんにシュート!!」


シュッ!!

真姫「うぇえ?!?!」
226 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:14:42.08 ID:Ohmi38x40
スッ

穂乃果「あ、しゃがんだ」

凛「ちぇー今度から足狙おっと」

真姫「なんで私なのよ!」

凛「だって隅っこでずっと逃げてるんだもん!」

真姫「そりゃあ得意じゃないから逃げるのは当たり前でしょ!」

ことり「ま、まぁ二人とも落ち着いて」

ことり(昼前、ドッジボールをした)

ことり(童心にかえってのことらしいけどたまにはこういうのも悪くはないと思う)

海未「ことり、はいどうぞ」

ことり「えっ?!ことりが投げるの?!」

真姫「そうよ!ぶちかましてきなさい!!」

ことり「えぇ?!」
227 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:15:49.23 ID:Ohmi38x40
ことり「じゃ、じゃあ…えいっ!」

穂乃果「よっと!キャッチ!」ニヘヘ

凛「おー!穂乃果ちゃんも投げてきなよ!」

花陽「うん!頑張って!」

穂乃果「うん!ほいっとー!ことりちゃーん!」ブンッ

ことり「きゃっ…」キャッチ

海未「ことり!これは穂乃果からの挑戦状ですよ!穂乃果に投げましょう!」

ことり「う、うん!」

ことり「えいっ!」

穂乃果「にひひーキャッチー!」

ことり「あうぅ…」

穂乃果「これでも食らえー!」ブンッ!

ことり「わわわ」キャッチ

花陽「おお…」

真姫「いい勝負してるわね…」
228 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:17:18.69 ID:Ohmi38x40
ことり「えいっ!」

穂乃果「とお!」

ことり「やあっ!」

穂乃果「それっ!」

海未「熱いですね…」

凛「これは邪魔出来ないにゃ…」

ことり「ふふふっ!」

穂乃果「あはははっ!!」

ことり(久々に汗水流す体験をしたと思う)

ことり(ダンスをしてる時以上に盛り上がってそれは熱かった)

ことり(そして不思議なことに空気中に散乱する汗が煌いてた)

ことり(その光景は他の人にとってどう見えてたんだろう、答えはすぐにやってきた)

穂乃果「ほいっとー!」

ことり「ひゃっ…」ドンッ

真姫「あっ」

花陽「あっ…」

ことり「あちゃー…負けちゃった」

穂乃果「よっしゃー!勝ったー!」
229 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:19:23.37 ID:Ohmi38x40
凛「おお、おめでとう!」

海未「残念でしたね…」

ことり「う、うん…」

海未「ですがあの時のことりの姿、最高にかっこよかったです」

真姫「ええ!見てるこっちにまで熱気が伝わってきたわ!」

花陽「うん!すごかった!」

凛「ことりちゃんも結構やるねっ!」

「お疲れ様!」

「頑張ったね!」

「めっちゃ燃えた!」

ことり「あは…えへへへ…」

ことり(穂乃果ちゃんとの勝負には負けちゃったけどみんなが歓声をくれた)

ことり(みんながくれる歓声が心地よくて、なんだかクセになっちゃいそうで)

ことり(もしかしらライブっていうのもあんな感じなのかなって想像してたらなんだか高揚が止まらなくて、お腹の辺りからすーっと力が抜けていくような感覚に陥ってた)
230 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:20:29.38 ID:Ohmi38x40
穂乃果「えへへ、ことりちゃんやるね」

ことり「穂乃果ちゃんこそっ」

穂乃果「あははっ」

ことり「えへへ」

ことり(もちろん最後は笑顔、後一週間しかないっていうのが分かってるから)


ことり(その“楽しさ”がより身に沁みた)


ことり(楽しいがすごく楽しいに変わって、悲しいがすごく悲しいに変わっていった)


ことり(お昼は三年生のみんなと食べた)

希「それで大丈夫なん?」

ことり「大丈夫って?」

希「衣装だよ、お金もかかるし第一大変やん」

ことり「大丈夫だよ、絵里ちゃんとかにこちゃんも手伝ってくれてるし」

にこ「まぁ悪くはないわよ、もう何人かは完成してるし」

希「そっか、ならよかったよ」

にこ「…でも私と絵里はただのアシスタントだからね、ことりはあまり無理するんじゃないわよ?」

ことり「分かってるよ」
231 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:21:40.95 ID:Ohmi38x40
絵里「…空、青いわね」

希「急にどうしたん?」

にこ「そうよ」

絵里「…自分語りだけどいい?」

ことり「うん、いいよ」

にこ「別にいいわよ」

希「うん、ウチもいいよ」

絵里「じゃあ…言うわね」

絵里「…私、みんなと出逢ってからこの青い空と、オレンジ色の空しか見てない気がするのよ」

絵里「あ、あと曇り空も」

ことり「どういうこと?」

絵里「夜に空を見上げる時がないの、ふと空を見上げるとその空は毎回青色なのよ」

にこ「なんか…深そうね…」

絵里「…そうね、深いかも」

絵里「私ね、空って何も考えてない時に見上げるものだと思ってた」

希「思ってた?」

絵里「ええ、昼休みはよく見上げてたわ、何も考えてなくていい時間だったから」

絵里「でもそれは夜も同じだったはずなの、宿題してご飯食べてお風呂入って後は自由だったはずなの」


絵里「それに夜の空には綺麗な星があるでしょ?この青空とは違う美しさがある」


にこ「ふむ…」
232 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:22:52.91 ID:Ohmi38x40
絵里「条件は夜も昼も同じであるはずなのに、何故私は夜空を見ないの…いや見なかったのかしら」

絵里「…ねえなんでだと思う?」

にこ「えっ…私に聞くの…」

絵里「ええ、というかみんなに聞きたい」

希「そうやねぇ…単純に昼の空が好きだった、或いは夜はえりちも他にやりたいことがあったから、とかかな?昼休みはほーんと仕事もないし遊ぶ道具もないしなーんもしなくていいからね」

絵里「なるほどね」

にこ「じゃあ私はこう、昼は何も考えてなくていい時間とか言ってたけど本当は悩み事がめちゃくちゃあって、だからこそ無限に広がる青い空を見て忘れたかった、私が空を見る時は何かあった時何か忘れたいがために見るのよ」

絵里「なるほど、いい回答ね」

にこ「違うの?いやそもそもこれはクイズなの?」

絵里「…まぁクイズみたいなものかしら」

絵里「ことりはどう?」


ことり「…太陽が見たかったから、かな」


絵里「…!へえ面白いわね、どうしてそう思うの?」
233 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:25:10.64 ID:Ohmi38x40
ことり「半分は希ちゃんと同じかな、太陽がある昼が大好きだったというのが大まかな答え」

ことり「そもそもことりは絵里ちゃんと全く逆だった、夜によく空を見上げてた」

ことり「理由は簡単、月が好きだったから」

希「月が好きだった?」

ことり「そうだよ、あの静かに光る感じが“今の”ことりにはお似合いだと思ったから」

ことり「…ただこの昼頃にある太陽という存在はもっと好きだった」

ことり「どんなに曇っていても光を見せてくれる太陽が好きだった」

ことり「…まぁことりは太陽を見ようとはしなかったけど」

にこ「どうして?」

ことり「それは…なんでだろうね」

ことり(にこちゃんの問いをことりは軽く流した)

ことり(見ない理由なんて簡単だ、穂乃果ちゃんがこの世にいない昼で太陽を見るとどうしてもあの忌々しい記憶が脳裏を過るから)


ことり(ただ、それでも太陽は大好きのままだった)

234 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:26:20.13 ID:Ohmi38x40
ことり「でもね、最近は絵里ちゃんと全く同じ」

ことり「この時間帯に黄昏るように空を見てる」

ことり「だから絵里ちゃんのそのどうしてそう思うという質問に対して返す答えは」


ことり「ことりも太陽が大好きだから、かな」


ことり「ついでに言えば絵里ちゃんは夜、空が見れる状況下にいなかったんじゃないの?」

絵里「というと?」

ことり「簡単に言えば、気付いたらもう朝になってたというのが毎日あると言えばいいのかな」

絵里「…なるほどね、ことりはすごいわね、全部正解よ」

にこ「えっ…」

希「わーお」

絵里「そうなの、夜の空って何故か見れないの」

絵里「時間の流れが異常に早くてね、さっきも言ったけどふと思い見上げればその空は青かったの」

希「確かにウチもその感覚は分かる気がする、夜なんて一瞬でさっ…気付いたら朝になってるもん」

にこ「あー…まぁ私の家はちびもいるから忙しいってのもあるけど確かに夜の空は全然見ないわね…」
235 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:27:19.33 ID:Ohmi38x40
絵里「最近になるまで全然分からなかったけど、その最近になってようやく分かったの」

にこ「何に?」

絵里「この時間が異常に早く感じる理由は」


絵里「みんなと会うのを楽しみにしてるからなんだって」


ことり「!」

希「おぉ〜いいこといいやんえりちー!」ツンツン

絵里「やめっつつかないでよ!」

希「あははーごめんって」

にこ「へぇ…い、いいこというじゃない」

希「突然の告白に、にこっち困惑してるやん」クスッ

絵里「ごめんなさいね、にこ」

にこ「ふんっいいわよ別に」

ことり「ふふふっ」クスッ

にこ「何よ!」

ことり「なんでもないよー」ニコニコ

にこ「なんでもなくないでしょ!」

ことり「なんでもないって〜!」
236 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:29:41.65 ID:Ohmi38x40
絵里「やれやれ…」


希「今が最高、やね」


ことり(絵里ちゃんの話にはとても共感できた、絵里ちゃんも強ちことりと似た心境をしてたのかもしれないなんて親近感がわき始めてた)

ことり(ちょっと真面目な話もしたけどそれを押し止めるように明るい話もすぐに流れ込んできた)

希「それでな!えりちがにこっちのことばっか狙っててな」

にこ「ホントよ!私の事ばっか狙ってるのは何なのよ絵里!」

絵里「だ、だって希のところ行ったらボコボコにされちゃうし穂乃果も一応経験者っぽくて私で太刀打ちできるのがにこくらいしかいなかったのよ!」

にこ「それで私だけ狙うのはおかしいわよ!」

ことり「まぁまぁ」アハハ

希「でも、意外にその行動は賢いんよね」

ことり「確かにそうだね」

絵里「で、でしょ?」
237 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:31:20.71 ID:Ohmi38x40
希「うむっえりちは考えて動けるから意外にセンスあったりするんやない?」

絵里「ほ、ホント?!」

にこ「今はへたくそだけど」

絵里「あうぅ…」

ことり「ふぁ、ファイトだよ」

ことり(そんな話をしてたら昼も終わってた、午後の授業も同じようにすぐ終わった)

ことり(こんなにも誰かと会うのを、誰かとお話するのを楽しみにしてたなんて当たり前の事すぎて逆に自覚が持ててなかったんだ)

ことり(絵里ちゃんのあの一言で気付かされた、今思えばすごくその通りだと思った)

ことり(放課後はいつもと変わらずダンスレッスンだった)

海未「はい、わん、つー、すりー、ふぉー」

凛「ほっほっほっほ」

海未「凛、駆け出し過ぎです、ダンスはもっと遅くていいんですよ」

凛「はーい」

絵里「ことり、そこもうちょっと胸張って」

ことり「こ、こう?」

絵里「そうそう、それを忘れないで」

ことり「う、うん」
238 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:32:47.37 ID:Ohmi38x40
にこ「ふー…相変わらずダンスっていうのは疲れるわね…」

花陽「で、でも始めたての頃と比べると大分マシに…」

にこ「ええそうね…」

穂乃果「まだまだこれから!がんば」

ポツンッ

穂乃果「わっ…?」

ポツ…ポツ…

ポツポツポツ

ザーザーザー…

凛「わわわ!雨だー!」

真姫「うぇええ?!は、早く室内に入らないと!」

花陽「待ってー!」

絵里「最悪ね…放課後はここくらいしかダンス練習で使える場所ないし…」

海未「ダンスレッスンは中止ですかね…」

ことり「そうだね」

スタスタスタ

ことり(突然の雨にダンスレッスンは中止、発声練習かなと思ったけどは今日は解散になった)

ことり(多分真姫ちゃんとか海未ちゃんは残って発声練習すると思うけどことりは傘を持ってきてなくて雨が酷くなる前に帰った)
239 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:34:04.35 ID:Ohmi38x40
ことり「…嘘つき」

ことり(下駄箱から出ようとした時、ふと呟いた)

ことり(昨日見た天気予報に騙された)

ことり「はぁ…」

ことり(下駄箱からことりの家までびしょ濡れマラソンの開幕が見えてきてなんともやるせない気持ちになった)

凛「ことりちゃん!」

ことり「ん?凛ちゃん?」

凛「そ、その…」

ことり「…?」


凛「か…傘、入る?」


240 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:35:19.73 ID:Ohmi38x40


ことり「ふふふっありがとう、凛ちゃん」

凛「ううん、これくらい当然だよ」

ザーザーザー

ことり「雨…すごいね」

凛「突然だったね」

ことり「そうだね」

ザーザーザー

凛「………」

ことり「………」

ことり(会話が長く続かなかった、実はいうと凛ちゃんとことりの二人っきりっていうのは滅多になくてこういう時、何を話していいんだか全く分からない)

ことり(お互い中学生カップルの成り始めみたいに前とは違う方向を向いてなんだか気まずかった)

ことり(そんな気まずさを振り払ったのは凛ちゃんの方だった)
241 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:36:51.60 ID:Ohmi38x40
凛「…今日、かっこよかったよ」

ことり「あ、ありがとう」

凛「見てたらね、心が熱くなったんだ、穂乃果ちゃんとことりちゃんの熱気を感じ取ったって凛は思った」

凛「思わず弾けたくなるような、応援したくなるような気持ちになった」

凛「あ、それにね、感じ取ったのは凛だけじゃない、多分あそこにいた人のほとんどが熱気を感じ取ってたと思う」

凛「そうすると自然に凛は思ったんだ」

ことり「思った?」

凛「うん、そう」


凛「これ、この気持ちってもしかしたらライブに通ずるものがあるんじゃないかなって」


ことり「…そっか」

凛「そう!だから凛、早くもライブの日が楽しみになってきちゃって」エヘヘ

ことり「…うん!ことりもとっても楽しみ!」

凛「でしょー?!そう考えたらなんか心が踊っちゃってね」

ことり「ふふふっ凛ちゃんらしいね」

凛「えー?凛らしいって何さー」

ことり「可愛いって意味だよー」クスッ

凛「もーからかわないでよー!」

ことり「からかってないってー」
242 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:39:11.95 ID:Ohmi38x40
スタスタスタ

凛「…あ、凛じゃあ学校戻るね!」

ことり「が、学校…?!」

ことり「…あっ」

ことり(そうだった、凛ちゃんの家とことりの家は方向が真逆、凛ちゃんが帰りにこっちの道に来ることはないんだ)

ことり「ちょ、ちょっと待ってじゃあここまで来たの?」

凛「それはことりちゃんに濡れないように送るためだよ」

凛「あ、傘は月曜日の明々後日返してくれればいいから!」

凛「じゃあねっ!」ダッ

ことり「あ、ちょっと!」

ことり(大粒の雨に打たれながら大きい水たまりの上を駆けていった、傘を貸してくれるというのなら尚更凛ちゃんがここまでくる理由が分からない)

ことり「…なんだったんだろう」

ことり(そう思いながら黄色の傘をさして帰った)

ことり(今度凛ちゃんにはお礼をしないと、そうことりの責任感が強く警告してた)
243 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:42:48.17 ID:Ohmi38x40
ことり(そして時刻は次の日の昼)

ことり「…」ダダダダ

ことりママ「それが例の出し物の衣装ってやつ?」

ことり「そうだよ、後絵里ちゃんと希ちゃんとにこちゃんのだけなんだから」

ことりママ「あら、もうそんなに進んで…というか絵里ちゃんや希ちゃんも出るの?」

ことり「うんっそうだよ」

ことりママ「何するか…聞いていい?この間も聞いたけど」

ことり「…いいよ、ライブをする」

ことりママ「ライブ?」

ことり「ダンスを踊りながら歌を歌うの」

ことりママ「えっ…そんなことできるの?」

ことり「うんっなんとか出来てるよ」

ことりママ「そう…ならいいけど」

ことりママ「というか歌って?何の歌?」

ことり「オリジナル曲だよ、音ノ木坂祭りのためだけに作ったオリジナル曲」
244 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:45:30.45 ID:Ohmi38x40
ことりママ「あらまぁ…どんな曲なの?」


ことり「…これから未来を進む人たちに向けての歌かな」


ことりママ「…?なんか深そうね」

ことり「…どうかな」

ことりママ「とりあえずことりたちが順調そうなら私は何よりよ、私も見に行くから頑張ってよね」

ことり「えー…見に来なくていいよー!」

ことりママ「ダメよ、愛すべき我が娘のステージを見ない親がどこにいるのよ!」

ことり「はぁ…」

ことりママ「まぁ頑張りなさい、海未ちゃんや穂乃果ちゃんもいるんでしょ?」

ことり「う、うん!」

ことりママ「そういうダンスとかっていうのはみんなで協力しないといけないんだから」


ことりママ「互いが互いを本当に信頼できる関係であるのが重要なのよ」


ことり「わ、わかってるよー」

ことりママ「ならいいけど」クスッ
245 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:51:31.23 ID:Ohmi38x40
ことりママ「そういえば…」

ことり「ん?」

ことりママ「凛ちゃんいるじゃない?」

ことり「あ、うん」

ことりママ「凛ちゃん風邪ひいちゃったらしいわよ、凛ちゃんもきっと見せ物の中のメンバーでしょ?練習の方はちゃんと体調管理とか出来てるんでしょうね?」

ことり「え…」

ことりママ「別にことりたちのやり方にケチつけるつもりはないけど」


ことりママ「あまり無理しないようにね…?」


ことり「う、うん分かってる」

ことり「ちょっと凛ちゃんの家行ってくるね!」

ことりママ「いってらっしゃい」フリフリ

ことり(ことりのせいだ、と思ってミシンを止め黄色の傘を持ち水たまりに青空が映る外に飛び出した)
246 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:01:47.08 ID:Ohmi38x40
ことり「じゃーんぷっ!」ピョーン

ことり(水たまりなんてなんのその、高く跳んで乗り越えた)

ことり「ふぅ…はぁ…」

ことり(息を切らしながらも走った、急ぐ必要なんて全く無かったのにことりの体はものすごく急いでた)

ことり(車のよく通る街中を超えて、音ノ木坂高校を通り過ぎて、小さな子供たちがボール遊びをしてる住宅街を抜けた

ことり(途中花屋に寄ってお花を買ったりスーパーでリンゴをいくつか買った)

ことり(そしてまた走ってようやく…)

ことり「ついたぁ…」

スタスタスタ

ピンポーン

「はーい」

ガチャッ

ことり「あ、こんにちは」

凛ママ「おー!ことりちゃん!どうしたの?」

ことり「風邪をひいたときいて凛ちゃんのお見舞いに…」

ことり「あ、これどうぞ…」

ことり(凛ちゃんのお母さんにお花とリンゴを渡した)
247 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:03:39.00 ID:Ohmi38x40
凛ママ「あらー悪いわね…でも大丈夫?風邪移っちゃうかもよ?」

ことり「大丈夫です!」

凛ママ「そ、そう…なら行ってきな、二階だよ」

ことり「はい、お邪魔します」

スタスタスタ

トントン

「いいよー」

ガチャッ

ことり「お邪魔します」

凛「あれ…ことりちゃん…」

ことり「ご、ごめんね…ことりが傘持ってきてなかったばっかりに…」

凛「ち、違うよ!凛が好きでやったことだから!」

凛「だから…別にことりちゃんは悪くないよ?」

ことり「…凛ちゃんは優しいね」

凛「……ううん」

ことり「え?」

凛「とりあえずどこか座ってよ、そこの凛のイスでもいいよ」

ことり「あ、うん」ストンッ
248 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:05:16.56 ID:Ohmi38x40
ことり「熱とかは大丈夫?」

凛「うん!そこまで酷いやつじゃないから大丈夫!」

ことり「そっか、ならよかったよ」

ことり「…」

凛「…」

ことり(凛ちゃんのお部屋にきては如何せん会話が続かない)

ことり(だから凛ちゃんの部屋をきょろきょろと見てた)

ことり(凛ちゃんの部屋は何年前というレベルで久々だったけど昔とさほど変わってなかった)

ことり(…いや、変わってるのかもしれない)

ことり「これ…」

凛「…あ、それは……」アセアセ

ことり(縦長の鏡の横にはそれはそれは綺麗な)


ことり(純白のワンピースがあった)


ことり「…凛ちゃんが着たらきっと可愛いよ」

凛「えっ…」

ことり「まだ着てないでしょ?」

凛「ど、どうしてそう思うの?」
249 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:06:52.49 ID:Ohmi38x40
ことり「値札がついてるもん…」


ことり「…18900円」


凛「!」ギクッ

ことり「凛ちゃんは可愛いよ?」

凛「…ずるいよ、ことりちゃんは」

ことり「えっ?」

凛「ことりちゃんに言われたら本当に凛が可愛いって錯覚しちゃいそうなんだもん!」

ことり「錯覚なんかじゃないよ!本当に可愛いから!」

凛「っ……」

ことり「…」

凛「…はぁ、あのメンバーの中ならことりちゃんが一番女の子らしいって思ってたんだ」

ことり「ことりが?」

凛「うん、手芸とかお菓子作りとか出来るし頭もいいし何より可愛いし」

凛「そんなことりちゃんに、そして後にかよちんに背中を押されたんだからみんなと一緒にステージたたないとって思ったんだ」


凛「…だからお礼がしたかったんだ」


ことり「お礼?」
250 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:09:01.24 ID:Ohmi38x40
凛「凛に出来ることなんて限られてるからさ、絵里ちゃんのような頭脳はないし穂乃果ちゃんのような人を喜ばせる天性の才能もない」

凛「真姫ちゃんのような歌を作ったりする特技があれば海未ちゃんのように強い人でもない」

凛「だから昨日みたいに身近で、凛でも出来そうなことでお返ししたかったんだ」


凛「凛のチカラは、そのくらいのことしか出来ないから」アハハ


ことり「…!」

ことり(凛ちゃんの控えめな笑いに心が震えあがった、自分をよく理解しているから、理解しているからこそ分かる自分の限界に絶望してる顔だった)

ことり(この時ことりの頭に凄まじいほどの電流が走った、思わず目を丸くしてしまうような、何か大切なことを思い出す…いや気付くような感じだった)

ことり(だから次の言葉を喋る時はまず口を“い”にしてから喋った)

ことり「…凛ちゃん」

凛「なに?」

ことり「もしかしたらだけどさ…」

凛「…うん」

ことり「凛ちゃんって…凛ちゃんがあの時ライブをしようと思わなかったのってさ」


ことり「自分と他の人に存在してる差を見たくなかったからじゃないの?」


凛「!!!」
251 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:11:14.06 ID:Ohmi38x40
ことり「…違う?」

ことり(違うのか、と疑問形で聞いたけど凛ちゃんの目は既に丸くなってた、だから確信したよ)

ことり(この問いに間違いはないってね)

ことり「…それは結果的に自分が可愛くないからっていう建前でもあって本音でもある理由を盾にして」


ことり「本質的な理由をいえばそれは他の人との差に絶望したくなかった、そうでしょ?」


凛「………」ウルウル

ことり「あ、やっ…ち、違うのこうじゃないの?って思って…あ、えっと…」

凛「どうして…気付いちゃうのかな…」ポロッ

ことり「!」

ことり(凛ちゃんは泣くことはなかったけど頬に一粒、そしてまた一粒と涙を流してた)

ことり(ことりのインスピレーションは間違ってなかったみたいだった)

凛「…そうだよ、ことりちゃんの言う通りだよ」

凛「今は、一番可愛いって思ってたことりちゃんに可愛いって言ってもらってなんとか首の皮一枚繋げてる状態なんだ」

ことり「…」
252 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:13:23.78 ID:Ohmi38x40
凛「…あ、でもね!ちゃんとライブはやるよ!昨日言ったけどすごく楽しみにしてるし」

ことり「りん…ちゃんっ…」

ことり(違う、凛ちゃんの本心はそんな簡単な言葉だけじゃ振り切れない)


ことり(ことりは凛ちゃんの本心を聴きたい)


ことり(聞いて、みんなが最高の状態であのステージにたてる状態にしたい)

ことり(ここまで話してくれた凛ちゃんを、連れていかないと)



ことり(ここで凛ちゃんの中にある輝きを気付かせてあげることが今の“ことりの役目”であるんだから)



ことり「凛ちゃん」

ナデナデ

ギューッ

凛「にゃっ…」
253 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:14:53.31 ID:Ohmi38x40
ことり「…凛ちゃんはね、誰かと一緒にいてあげることで凛ちゃんのチカラは発揮されるんだよ」

ことり「凛ちゃんがいうこれくらいのことっていうのは力量の問題じゃなくてそのチカラがそれであるっていう意味なんだ」

凛「ん…?」

ことり「つまりはね」


ことり「凛ちゃんのチカラっていうのは誰かと一緒にいることで発揮される、傷を舐めるようなくすぐったい優しさなんだよ」


ことり「きっとこれから凛ちゃんと一緒にいる人全員はこう思うよ」


ことり「凛ちゃんと一緒にいるだけで救われるって」


凛「そ、そんなことないよ…」

ことり「そんななの!」

ことり「凛ちゃんはとにかく可愛いの!愛らしいの!見てるとギュッと抱きしめたくなるの!」

ギューッ!

凛「うぐっ…」

ことり「だからもっと自分に自信を持っていいの!凛ちゃんが他の人と劣ってるところなんて少しくらいしかないから!」

凛「そ、そうなの…?」
254 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:15:53.16 ID:Ohmi38x40
ことり「そう!この前もいったけど凛ちゃんが一番可愛いの!」

ことり「だから、もっと本気で楽しも?」


ことり「ことりはみんなと不安なんて持たずにあのステージに立ちたいの!」


ことり「あそこで本気で楽しみたいの!!」


ことり「憂鬱なんて全て後々!イヤなことなんて全て投げ捨てて笑顔で、汗が無限に出るくらい動いて、心いっぱいに表現してあそこで本当の本気で楽しみたい!」


ことり「凛ちゃんは違う?」


凛「…違わない」

凛「凛もそうしたい…」


凛「凛もそうしたい!」


ことり「でしょ?だからいこうよ、やろうよ!」
255 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:17:11.28 ID:Ohmi38x40



ことり「本気で!」


256 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:17:59.41 ID:Ohmi38x40
凛「うんっ!」

ことり(凛ちゃんは決して他の人と劣ってたりはしない、それは何を比べても劣りはしない)

ことり(凛ちゃんのチカラは直接的な強さは持たないチカラだとことりは思う、誰かといることで、誰かといるだけで発揮される癒しのチカラ)


ことり(凛ちゃんにしかない“可愛い”のチカラ)


ことり(…ホントにずるいチカラだよ)

凛「えへへ、ことりちゃーん」

ギューッ

ことり「もお…風邪が移ったら凛ちゃんが責任とってよ?」

凛「ことりちゃんからくっついてきたらことりちゃんが悪いもーん」

ことり「まったく…」アハハ

ことり(凛ちゃんが元気になって何よりだった、その後ちょっとだけお話をして帰った)

ことり(凛ちゃんが自分の良さに気付いてくれただけで今日凛ちゃんの家にきた甲斐があったと満足してた)
257 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:20:20.12 ID:Ohmi38x40
ことり(帰り、小さい時よく穂乃果ちゃんと海未ちゃんとで遊んでた公園に寄った)

ことり(ブランコが空いてたからブランコを軽くこいでた)

「わー!待ってー!」

「こっちこっちー!」

ことり「…ふふふっ」

ことり(小さい子たちが鬼ごっこをしてた、ことりはそれになんとなく懐かしさを感じて自然とほほ笑んでた)

キィコ キィコ

ことり(ブランコが揺れて軋む音が寂しく響いた)

ことり(またこの音も、懐かしさにめり込むような音だった)

「わっ!そこ水たまりあるからみんな気を付けてよー!」

「分かってるよー!」

ことり「…水たまりか」

ことり「そういえば昔穂乃果ちゃんが…」

ことり(昔穂乃果ちゃんがこの公園で水たまりを跳び超えるって駄々こねてた時があった)

ことり(何回も跳びこえようとして十何回目でやっと跳べた、当たり前だけど今のことりならあのくらいの水たまりは簡単に跳べると思う)
258 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:21:45.78 ID:Ohmi38x40
ことり「…よしっ」

ダッ

タッタッタッ!


ことり「跳べるっ!」


ピョーンッ

ことり(そして何を思ったのか小さな子たちに紛れて水たまりに向かって高く跳躍した)

ことり(無意識だったのかな、その行動はことり自身でも理解出来ないくらい突然だった)

ビシャッ!

ことり「ひゃっ?!」

ことり「!」

ことり(まず、結果からいってことりはびしょ濡れだった)

ことり(そして、次に気付いたのはことりの落ちた水たまりは公園の水たまりではないということ)

ピチャッピチャッ

ことり「これ…」


ことり「この花びら…この花…」



ことり「この花畑…!」



ことり「…間違いない、あの時の……」

ことり(あの時のお花畑だった、穂乃果ちゃんが連れてきた…のかは分からないけど穂乃果ちゃんがいたあのお花畑)
259 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:23:42.24 ID:Ohmi38x40
ことり「あ、いけない」

ことり(カバンが水たまりのど真ん中に置かれてるのに気付いて取りに行った)

ピチャッピチャッピチャッ

ことり(この水たまり、実際歩いてみると分かるけど結構深くて正直いえば水たまりというよりかは湖に近い感じなような気がした)

ピチャッピチャッ

ことり(カバンを取り後ろを向くと赤い花が大々と広がり、よくよく見ると花の無い道には穂乃果ちゃんが踏みしめたと思われる足跡があった)

ことり(そして前を向くと地平線の彼方まで広がる白い花々が見える)

ピチャッピチャッ

ことり(濡れたカバンを抱きしめてその白い花畑に向かった)

ことり(何枚、何十枚、何百枚、何千枚の花びらがひらひらと飛んでた)

ことり(その何枚もの花びらがことりの服や肌、顔にぺたぺたとくっついてきた)

ことり(ただおかしなことにその花びらは一定以上経つと勝手にことりの元から離れていくんだ)

ことり(…別に変なモノは感じてないけど、何も感じてないと言えばそれはウソになる)
260 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:26:59.26 ID:Ohmi38x40
ピチャッピチャッ

ことり「よしっ」

ことり(まぁとりあえず白い花畑に足をつけようとしたんだ)

ことり(ただ、次の瞬間ことりは後ろを振り返ることになる)

ことり(そしてこれまた結論から言ってことりはその白い花畑に足を踏み入れることはなかったんだ)

ことり(その“出来事”が起こったせいで…)


「ダメっ!!」


ことり「?!」ピクッ

ことり「誰?!」

ことり「…あれ?」

ことり(後ろから声が聞こえたからすぐに後ろを振り向いた、だけど後ろに人はいなかった)

ことり(この花畑は広すぎるからもしかしたら目に届かないところにいるのかも、そう思ったけどことりが聞いた声の声量はかなり大きく近かった感じがした)

ことり(だけど、そんな人影はどこにも見当たらない)

ことり「…何なんだろう」

ことり(声が気になって白い花畑の逆方向である赤い花が咲く花畑を目指して歩いた)
261 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:28:19.32 ID:Ohmi38x40
ピチャッピチャッピチャッ

ことり「…びしょびしょ」

ことり(真ん中にいけばいくほど深くなっていって、おかげで靴下はびしょ濡れ、そのせいもあって足がなんとなく重い気がした)

ことり「よいしょ…よいしょ…」

ことり(なんとか足を進めて今度は赤い花の咲く地に足をつけようとした)

ことり「よい…しょ」

ことり(足をつけた、ただその地に降り立った瞬間、声が聞こえたんだ、大きな声が後ろから)


ことり(そして聞こえてきたその声は紛れもない“太陽の声”だった)
262 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:29:27.87 ID:Ohmi38x40



「よーしっ!もう一回!」



ことり「!!」

ことり「穂乃果ちゃん?!」

ことり(後ろを振り向いた…と同時に)


ことり(ことりの視界はブラックアウトした)


ことり(ただ、そのブラックアウトする前に微かに見えたんだ)


ことり(白い花畑に立って手を振る穂乃果ちゃんが)


ことり(だけど、それをことりの記憶に留めておくことは出来なかった、あまりにも瞬間的すぎてすぐにその景色は記憶に残らなかった)

ことり(またしても不思議体験をした、あの世界は一体何だというのだろう)

ことり(全てが謎すぎて一つの解明にも繋がらない)
263 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:32:13.71 ID:Ohmi38x40
ことり「ん…んっ…?」

ことり「ここは…」


ことり「…家だ」


ことり(目を覚ませば案の定、家のベッドで寝てた)

ことり「…あれ?濡れてる……」

ことり(足が濡れてた、靴下は履いてないし勉強机に置かれてるカバンもあの世界ほどではないけど濡れてた)

ことり「…どういうこと?」

ことり(あまりにも難解すぎる現象で混乱した、あの花畑の世界は何?現実なの?現実ならなぜことりは濡れてるの?なぜことりは家で目を覚ますの?)

ことり(…分からない、分からないことだらけで思わず後ろ髪をかいた)

ことり(それであの世界の謎に戸惑ってると突然お母さんの声がした)

「ことりー!ご飯よー!」

ことり「あ、うん!」

ことり(ことりの思考が、なのかな、それとも運命が、なのかな…一度あのことは忘れるようにと促されているようだった)

ことり「…ま、いっか」

ことり(ただことりはそれに従った、理由は分からないけど強いていうなら難しいことは全部後回しにしたくてとにかく今は穂乃果ちゃんがいる日常を楽しんでいたかった、というのが理由かな)

ことり(だからとりあえずこの件は後回しにしたんだ)

ことり(後に色々思ったこともあったけどことりの考えが後でいいっていうならそれは後でいいんだ)
264 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:34:57.25 ID:Ohmi38x40
ことり(そして次、時間を意識する頃はもう既に次の日だった)

ピンポーン

ことり「はーい」

ガチャッ

穂乃果「やっほー!」

海未「こんにちはことり」

ことり「あ、あれ穂乃果ちゃん?!海未ちゃんまでどうしたの?!」

海未「いえ今お暇ですか?」

ことり「あ、うん大丈夫だよ」

穂乃果「なら遊びにいこうよ!」

ことり「遊びに?」

穂乃果「うん!そうだよ!」

海未「言ってたではありませんか近いうち私たち三人で遊ぼうと」

ことり「あ、うん!そうだったね!」

ことり「ちょ、ちょっと待ってて準備するから!」アセアセ

タッタッタッ

海未「まったく…ことりは突然のことだとすぐ焦るんですから…」

穂乃果「アドリブに弱いもんね」クスッ

海未「ええホントですよ」
265 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:36:32.18 ID:Ohmi38x40
ことり(日曜日、穂乃果ちゃんと海未ちゃんとことりの三人で遊ぶことになった)

ことり(突然でちょっと驚いたけどすごく嬉しかった)

ことり「…そうだよね、後少ししかないんだもん」


ことり「たっぷり遊ばなきゃ…!」


ことり(そう思ってありったけのお金を持ってさいっこうに可愛いと思うファッションをして外に出た)

穂乃果「わお…ことりちゃんその服…」

海未「随分と…は、破廉恥で…」

ことり「えへへ」

ことり(気合いをいれる方向を間違えて胸元をちょっと見せつけるような服を着てきちゃった、これじゃあ可愛いとは別で、なんというかデートに行くときみたいな感じになっちゃって)

ザワザワ ヤザワザワ

ことり「うぅ…」

穂乃果「すごーい!ことりちゃん注目の的だよ!」

海未「そりゃあことりがそんな服着たらなりますよ…」

ことり「着てくる服間違えたぁ…」
266 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:37:14.60 ID:Ohmi38x40
穂乃果「私も着てくればよかったー…ん?いや着てくればいいんだ!」

海未「な、なんでですか!」

穂乃果「えっ…いやー…だってね…?」チラッ

ことり「!」

ことり(穂乃果ちゃんの言いたいことはよく分かった、もう数日後にはいなくなっちゃうんだから何をしたって後悔なんてないんだよね)

ことり(だからことりは穂乃果ちゃんに助け船を送ることにした)

ことり「そりゃあ気の変わりようだよね?穂乃果ちゃん」

穂乃果「そうそう!よしっ!そうと決まればせくしーな服を着よう!私の家にごー!!」

ことり「おー!」

グイッ

海未「なんでですかぁ!」ズルズル
267 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:39:36.88 ID:Ohmi38x40


穂乃果「わー!すごいすごい!」


穂乃果「大人だよっ!」


海未「……」

ことり「ん?海未ちゃんどうしたの?」

海未「…あ、いや二人ともなんかすごく大人っぽくて魅了され…ってなんで私まで着てるんですか!」

穂乃果「そりゃあ三人いるんだから三人着るものでしょ!」

ことり「でも二人ともすごく可愛い!いや綺麗なのかな?」

穂乃果「なんかこういうの初めてだからすごい楽しいね!」

ことり「ねっ!」

海未「…まぁ」

穂乃果「よーし!これで街中に出発だー!」

ことり「おー!」

海未「はぁ?!」

ことり(ことりほど派手じゃなかったけど二人もセクシーな感じの服を着て街中に飛び出した)

ことり(もちろん街中に足を踏み入れれば大量の視線を感じるし辺りがざわつき始める)

ことり(そんな街では色々なところに寄りそして遊んだ)
268 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:40:36.34 ID:Ohmi38x40
ことり(ゲーセンに寄った、ただのゲームに命をかけた感覚で遊ぶほどのノリで盛り上がった)

ことり「おらおらおらぁ!!」ドドドド!

穂乃果「ことりちゃん左は任せたよ!!」ドドドド!

ことり「了解!」

海未「ふ、二人熱くなりすぎでは…」ドドド

穂乃果「このくらいが普通だよ!」

ことり「最初から最後までクライマックスだよ!!」

海未「は、はぁ…」

海未「…っ?!ひぃ?!なんですか気持ち悪い生物は…」

穂乃果「いくよ!ことりちゃん!海未ちゃん!」

ことり「うん!」

海未「は、はい!」


穂乃果「よーし!ここで負けたら死だからね!」


海未「はいっ!」

ことり「うんっ!」
269 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:41:16.98 ID:Ohmi38x40
ことり(ゲームセンターで遊んだ、疲れることを知らないままで限界に挑戦した)

穂乃果「よーし!もちろん最高難易度の最難関やるよ!」

海未「はぁ?!無理ですよ!これダンスゲームですよ?!」

ことり「いいじゃんやってみようよ!」

海未「なんでさっきからことりは穂乃果寄りの意見なんですか!」

ことり「いいのっ!今日は遊びつくすって決めたんだから!」

穂乃果「そうだよ海未ちゃん!遊びつくすよ!」

海未「え、えぇ…」

穂乃果「ほっよっ!」

海未「はっふっ!」

ことり「二人とも頑張れ!」
270 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:41:59.79 ID:Ohmi38x40
ことり(ゲームセンターで知った、限界なんて存在しないこしないことに)

ことり「すっごいすっごいよ穂乃果ちゃん!」

海未「こ、こんな大量のメダル何に使うんですか!!!」

穂乃果「まだまだ増やすよー!!」

ことり「次はこれやろうよ!」

穂乃果「いいね!!もうどんどん増やしていこう!」

海未「いくらなんでも増やし過ぎですよ!!」

海未「なんですか50000枚って!!」

穂乃果「この強運の穂乃果に限れば余裕だよ」キリッ

海未「今日帰れますかこれ…」

穂乃果「いざとなったら預ければいいじゃん!」

ことり「そうだよ!」

海未「ま、まぁそうですけど…」
271 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:42:54.93 ID:Ohmi38x40
ことり(その後も色んな場所に寄った、カラオケにいった、ボーリングをした、ダーツをした)

ことり(アクセサリーショップに寄った、コスプレをした、動物園にいった)


ことり(ずっと楽しんでた)


ことり(帰り、海辺によった)

ことり(水平線の彼方に見える夕日を見ながら歩くとピチャっという音がした)

ことり「ふふふっそれっ!」

ビシャッ!

穂乃果「きゃっ!やったなー!それそれっ!」

ことり「あはっ!海未ちゃんも食らえ!」

海未「ちょっ!やりましたね…」

海未「ほらほらほらっ!」

ビシャビシャッ!

穂乃果「あははっ!」

ことり「えいっ!」

海未「もうびしょ濡れになったって知りませんからね!!」
272 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:44:03.43 ID:Ohmi38x40
ピチャピチャッ!

穂乃果「あはは!あは…あははは……」

穂乃果「あはっ…うぅ…ぐすっ…あははっは…」


ポロポロ…ポロポロ…


海未「穂乃果…?」

ことり「…あはっ…あはは…」ポロポロ

海未「ことりまで…どうしたんですか…?」

ことり「う、ううん…!なんでもない…よっ!」ニコニコ

ポロポロ…

海未「いやそれでなんでもないわけないじゃないですか!」

ことり「なんでもないったらなんでもないの!」

ことり「ねっ!穂乃果ちゃん!」

ポロポロ…

穂乃果「うんっ!」

ポロポロ…
273 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:45:17.02 ID:Ohmi38x40
ことり(いよいよことりの心も感極まってきちゃった)


ことり(この三人でこんなに楽しく遊べるのが嬉しくて、でも悲しくて)


ことり(今という今がホントに面白くて、でもそんな面白さももうじき消えてしまいそうで)


ことり(もう、ことりは何を感じればいいのか分からなくなっちゃって、ことりの頭の中がもうぐっちゃぐちゃで)


ことり(笑いながらも泣いてちゃって、そんな中で感情の波でぐちゃぐちゃに心荒らされたことりはどうすればいいのか分からなくてただ、時の流れで動く何かに身を任せてた)


ことり「えへへへへ…!」

穂乃果「あははは…!!」

海未「ふ、二人ともどうしたんですか…」

ことり「なんでもない!ただ、楽しくて!」

穂乃果「そうそう!楽しくて!」


ポロポロポロ…


海未「穂乃果…ことり…」

ことり(今が楽しすぎて、今日の…ううん今までの幸せを一つ一つ意識して数えていく度にこれから変わっていく未来に恐怖を覚えてしまって、自分が何考えてるのかよくわからなくなっちゃって)
274 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:47:19.22 ID:Ohmi38x40



「ねぇ!ことりちゃん!海未ちゃん!」



ことり(そんな時声がしたんだ)


ことり(再臨する恐怖に怯えていたら、太陽に等しい眩しい声が聞こえたんだ)

ことり(ことりはその声の生る方向へ顔を向けた)


穂乃果「四日後のライブ!ぜーったいに楽しくやろうね!!」


海未「は、はい!」

ことり「…うんっ!」

穂乃果「私ねー!ライブまでの四日間、何に対しても本気でやるよー!」

穂乃果「だからー!二人も本気でやろー!!」

ことり(穂乃果ちゃんはことりたちにじゃなく夕日に向かって叫んでた)

ことり(だからことりもそれ同様に夕日に向かって叫んだ)

ことり「分かったー!!ことりも本気でやるねー!」
275 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:49:07.21 ID:Ohmi38x40
穂乃果「あはは!」

ことり「えへへっ!」

キラキラキラ…

ことり(涙はもうさよなら、涙が無くなれば残るのは笑顔だけ)

ことり(今日、お出かけしてほんと良かった)

ことり(もうこの感動は言葉じゃ表しきれないよ、幸せ過ぎて…楽しすぎて…!)

海未「…仕方ありませんね」


海未「私も本気ですよー!!」


海未「本気で穂乃果とことりが好きですー!!」


穂乃果「おー!海未ちゃん言ったなー!」


穂乃果「私もことりちゃんと海未ちゃんが本気で好きー!!!」


ことり「ことりもっ!」


ことり「ことりも穂乃果ちゃんと海未ちゃんが好き!本気で好きだよー!!!」


穂乃果「あははっ」

ことり「えへへっ」

海未「うふふっ」

ことり(あぁ…この出逢いに感謝しないと、そう思ってしまうんだ)
276 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:50:09.32 ID:Ohmi38x40
ことり(ことりの真横にいる太陽がいつか無くなるとしたら、もっと感謝しないと)


ことり(無くなることが分かってるなら、ずっと感謝しないと)


ことり(その後びしょびしょになりながら帰った)

ことり(お母さんに怒られた、でもことりは怒られてすごく嬉しかった)

ことり(お母さんに心配された、でもことりは心配されて嬉しかった)

ことり(感じたもの全てが“素晴らしいモノ”に変わってた)


ことり(ことりは、もう穂乃果ちゃんが消えてしまうことを受け入れたんだ)


ことり(後は楽しむだけ、違うかな?)

ことり(不安なんてないよ、もう楽しむだけ)

ことり「…おやすみなさい」

ことり(今日は色々やって疲れちゃったから早くも明日へとトリップした)
277 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:51:00.78 ID:Ohmi38x40
ことり(そして次の日に聞こえてくるのはうるさい目覚まし時計の音)

チリリリリリリーン

ことり「…!」

チリリリリ ガチャッ


ことり「おはようっ!」

278 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:53:02.24 ID:Ohmi38x40
〜学校、昼

キーンコーンカーンコーン

ことり「はぁ…疲れたぁ…」

にこ「あんたも人気者ね」

ことり「違うよぉ…」

にこ「パソコン開いたらびびったわよ、ことりたち二年生の写真がネットにアップされてて何事かと思ったら超美人が街中を歩いてるとか書いてあってなんだと思ったわよ」

ことり「まさか話題になるなんて…」

にこ「いいやあの二人はまた別の方向だけどあんたは話題になると思うわよ」

ことり「な、なんで?」

にこ「その無自覚なのが腹立つのよ」

ことり「無自覚…?なんか…ごめん…」

にこ「…はぁ別に良いわよ、そうよねことりってそういう人だものね」

ことり「…?」

ことり(次の日の昼、にこちゃんとお昼を食べることになった)

ことり(穂乃果ちゃんと海未ちゃんは絵里ちゃんと真姫ちゃんとでライブの話し合いをするみたいでことりはひとりぼっちだったから丁度よかった)

ことり(暇なお昼に話し相手が出来るのはすごく嬉しいんだけど、話の雲行きがちょっと怪しかった)
279 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:54:54.23 ID:Ohmi38x40
にこ「ことりは小さい時から控えめだったわよね」

ことり「うん、そうだね」

にこ「私はもっと自分を出していけばいいのにってずっと思ってた」

ことり「え?」

にこ「だって昨日話題になったみたいに可愛いんだもの、ああいう服こそことりの良さがよく映えるしなんで前からああいう服を着なかったのか不思議が仕方がないわ)

ことり「だ、だってそれはそんな…ことりには…」

にこ「それ!それなのよ!」

ことり「…?」

にこ「それのせいでダメダメなのよ、ことりは」

ことり「えっ…」


にこ「とても今のことりのままじゃセンターなんて任せられない」


ことり「!」
280 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:56:23.63 ID:Ohmi38x40
にこ「まずね、気迫がない」

ことり「気迫…」

にこ「練習中見てて何にも感じられないの、ただ踊ってるだけで」

にこ「絵里も言ってたでしょ?」


にこ「練習は真剣にやって本番は楽しめばいいって」


にこ「あの程度がことりの真剣だっていうならセンターなんてやめて、あんなんじゃ私はやりたくない」

ことり「…」

にこ「それにね、ことりの一番って教えられたことをちゃんとやろうとする義務感でしょ?」

にこ「義務感が一番だっていうなら尚更センターなんてやる資格はないわ」


にこ「おとなしく絵里か海未にでもセンターを譲っときなさい」


ことり「…」

ことり(にこちゃんの言うことが最もだなと思った)

ことり(だからことりはこう言った)
281 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:57:37.45 ID:Ohmi38x40
ことり「…うん、分かった」


ことり「じゃあ…その二人のどっちかにセンター…譲るね…」


ポロポロ…

にこ「っ!?ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」

ことり「…?」

にこ「今の場面は私センターやりたいって奮いをたてる場面でしょ?!なんでそんなすぐに認めちゃうのよ!!」

ことり「えっ…だってにこちゃんが…」

にこ「違うの!あ、えっと…その…」

ことり「…?」

ことり(にこちゃんにきっついことを言われてものすごくへこんだ、けどその後にこちゃんが慌ただしくして何かを言おうとしてたんだ)
282 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:59:38.37 ID:Ohmi38x40
にこ「ん、んん!」

にこ「…私はね、小さい時からアイドルになりたかった」

ことり「…うん、知ってるよ」

にこ「笑顔って言葉に惹かれてアイドルっていう職業にものすごく憧れを感じた」

にこ「でもまぁ私の家庭ってホント無理が出来るような家庭じゃなくて、ちびたちもいるからお金を無理して使って不自由な生活は出来ないし、私がいなかったら家にはちびたちしかいないから時間も取れないの」

にこ「それだけで諦めるような夢だったっていったら違うけど、人の命かかってるくらいなんだから諦めるしかなかった」

ことり「…」

にこ「そんな時、私の近くに南ことりというさいっこうに可愛いのに、アイドルとして最高のポテンシャルを持ってるのにそれを無下にするじんぶちゅ…がいた」

ことり「じ、じんぶちゅ…?」

にこ「うるさい!人物よ!悪い?!」

ことり「い、いやーあはは…」

にこ「…まぁいいわ、私は当時ことりに対して腹が立ったわ」


にこ「アイドルじゃなくても、他の事に対しても活かせる個性を持ってるのにそれを使おうとしないから」


にこ「私には持ってないもの全てをことりが持ってたのにそれを使おうとしないから」


ことり「…」
283 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:01:08.44 ID:Ohmi38x40
にこ「中学校の頃、学年全体でやる劇にヒロインとして抜擢された時あったわよね」

ことり「あ、うん…」

にこ「私はやっとことりが輝ける時が来るのねって思った、実はいうとね、イライラしたのは最初だけ、もう後はずっとことりを応援してた」

ことり「え?」

にこ「こんなにもすごいチカラを持ってる人が近くにいて、それに対して私は夢を追いかけることも出来ないんだからそりゃあ夢に追いつける人を応援するしかないでしょ?」


にこ「口では言わないけど何か私でもしてあげられることをするの、それが私なりの優しさだから」


にこ「…でもね、ことりはそのヒロイン抜擢のやつでさえも他の人に譲った」

にこ「流石に頭にきたわね、あの時は」

ことり「えっ…ご、ごめん…」

にこ「別に良いわよ、昔のことだし」

にこ「ねえことり、あなたってものすごいチカラを持ってるのよ?」

ことり「ものすごいチカラ…?」


穂乃果『…ふふふっことりちゃんの持ってるチカラはすごいんだよ?』


ことり(穂乃果ちゃんも言ってた、一体何なんだろうことりのチカラって)
284 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:02:33.08 ID:Ohmi38x40
にこ「それに気付けないのがことりの最大の弱点なの」

にこ「最高に可愛いし頭もいいしまず人としての個性もバッチリある、それなのにその自分のステータスに気付けないし気付いたとしてもそれを使わないのがことりの最大の失敗なの」

ことり「ことりの…失敗…」

にこ「そうよ、だからねこの際包み隠さず私のスタンスを切り離していうけど」



にこ「今度のステージ、あんたがセンターやるんだから思いっきりことり自身という“自分”を出しなさい」



ことり「自分を出す…?」

にこ「ええそうよ、やっとことりが主役になってステージに立てるの、だからこそこの主役というステージではことりがいつも演じてる脇役のような控えめな感じはいらない」


にこ「今回はことりが主役なんだから遠慮は必要ないの」


ことり「…」

にこ「きっとこんなこと誰も言ってくれないと思うから私が言った、絵里は気付いても多分何かを恐れて言わないだろうし希は気付いてもあえて言わない、穂乃果も同じだし海未や花陽はことりのやり方に任せるだろうし凛や真姫ちゃんはそもそも気付かない」

にこ「だから私がいうの、私がことりの背中を精一杯押すの」


にこ「ことりを応援するの」


ことり「!」

285 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:04:29.71 ID:Ohmi38x40
にこ「さっきダメダメっていったのはことりにもっと頑張ってほしかった、もっと自分を出してほしかったの」

にこ「技術的な面でならもう問題ない、けどまだ最後に、ことりの良さを出し切れてないから」


にこ「それをにこが出させてあげたかったの」



にこ「私のチカラは、誰よりも強く相手の背中を押してあげることだから」



ことり「…!!」

にこ「…この大人気アイドルのにこにーに背中を押されたんだから絶対に頑張りなさいよね?」


ことり「うん…!うんっ!!」

にこ「まったく…ことりが泣くから私まで泣きそうになったじゃない…」

にこ「後…ごめんなさいね、こんな不器用で」

ことり「ううん…いいの、ありがとう」


ことり「ことり…自分を出してみる!」


にこ「ええ!頑張りなさいよね!」

ことり「うんっ!」
286 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:06:12.08 ID:Ohmi38x40
ことり(にこちゃんのチカラ、それは他の人に言えないことをハッキリ言えること)

ことり(それは悪い意味にも繋がっちゃうかもだけど、本音が言えるっていうのはすごくいいことだと思う)

ことり(にこちゃんは根っから優しい人だから、どんなに強くっていっても優しいんだ)

ことり(ことりはにこちゃんの言葉を聞いて心底安心した、そしてにこちゃんに背中を押してもらったんだからこれは頑張らないといけないってそう強く思った)

ことり(なんか不思議だな…きっとこれがにこちゃんのチカラの強さなんだと思う)


ことり(にこちゃんに背中を押された瞬間体が軽くなるようなそんな感覚を覚えちゃって)


ことり(練習も頑張れそうな気がした)

ことり「ほっほっほっ!!」

絵里「はい、そこで決めポーズ!」

ことり「はいっ!」ビシッ

海未「おお…」

絵里「腕をあげたわね…なんか前と全然違うわ…その…気迫っていうか…」

海未「ええ分かります、なんか自然と魅せられるような感じになりました」

にこ「…ふふっ」

希「なんやにこっち急ににやけて気持ち悪い」

にこ「ぬぁんでよ!笑ったら悪いの?!」

希「急に笑うから奇妙さがあるんよ、にこっちの場合は特に」

にこ「私の場合って何よ!」
287 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:06:58.32 ID:Ohmi38x40
凛「いやーことりちゃん輝いてるねー」

穂乃果「そうだね!私も感激しちゃった!」

真姫「なんかもう…オーラを感じるわよね」

花陽「あ、分かります!なんかものすごいピカピカなオーラですよね!」

真姫「そうそう」

ことり「ふふふっ」

ことり(ことり、少しは変われたかな、心の中で自分に、誰かに問いかける)

ことり(にこちゃんのおかげであのステージを更にいいものに出来そうだよ)


ことり(あのステージは九人の本当の本気の想いを乗せて踊るステージだから)


ことり(また一つ、ことりは想いを紡ぐんだ)

ことり(センターの役目はしっかり果たすよ、にこちゃん)


ことり「よーしっ!もうちょっと頑張る!絵里ちゃんやろ!」

288 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:11:04.59 ID:Ohmi38x40
〜その後、家

ガチャッ

ことり「ただいまー」

ことりママ「おかえりなさい、練習の方は順調?」

ことり「うん!順調だよ」

ことりママ「そう、ならよかったわ」

ことりママ「今から何するの?」

ことり「衣装を作るよ」

ことりママ「じゃあ私にも手伝わせてくれない?」

ことり「…え?」




ことりママ「手芸なんて久しぶりね」

ことり「ほんと、さっき聞いた時は出来るか不安だったけど意外に出来るじゃん」

ことりママ「当たり前よ、これでもことりのお母さんをしてるんだから」

ことり「伊達にね」クスッ
289 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:13:19.08 ID:Ohmi38x40
ことりママ「…みんなとは上手くやってる?」

ことり「うん、上手くやってるよ」

ことりママ「そう、希ちゃんとかとはどう?」

ことり「仲良くしてるよ、希ちゃんは小さい時から頼り甲斐があってみんなのお姉さんだよ」

ことりママ「ええそうね…希ちゃんはそうだったわね」

ことり「どうしたの?急に」

ことりママ「いや昔のことりとはもう違うんだなって」

ことり「昔のことり?」

ことりママ「昔のことりは引っ込み思案で、友達も中々作れずにいたじゃない」

ことりママ「…我が子が成長してる姿を見るのは意外と泣けてくるのよ」ウルッ

ことり「お母さん…」

ことりママ「最近のことりはね、すっごく楽しそうなの」

ことりママ「朝は元気な声でおはようって言ってくるし帰ってきたら楽しそうな声でただいまって言うからなんだか私まで嬉しくなってね」

ことりママ「小さい時のことりを思い出したの、無邪気でいつも泥だらけになって帰ってくるから、何をしたんだろうって毎回思いながら洗濯をしてたわ」

ことり「あぁ…えっと…そんな時もあったね」アハハ
290 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:15:18.30 ID:Ohmi38x40
ことりママ「でも中学生になって身の丈を知ったのかしら?急におとなしくなっちゃって」

ことりママ「私は最近の元気なことりが好きなんだけど?」

ことり「むー…身の丈を知ったって学校の理事長が生徒に向かっていう言葉じゃないでしょ」

ことりママ「我が子だからセーフ」フフッ

ことり「困った理事長だね…」

ことりママ「いいのいいの♪」

ことりママ「…まぁきっとことりの近くにいるみんながことりの毎日を楽しくしてるんだって思って、感謝しなさいよ?みんなに」

ことり「それはもちろん!」

ことりママ「ならいいけど」クスッ

ことり「…ねえお母さん」

ことりママ「何?」

ことり「音ノ木坂祭りのステージ…来なくていいって言ったけど、やっぱり…見に来ていいよ」


ことり「…最高のステージにするから」


ことりママ「…!」パアアア
291 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:16:51.57 ID:Ohmi38x40
ことりママ「言われなくても行くわよ!カメラもバッチリ持っとくから任せておきなさい!!」

ことり「そ、そんなことまでしなくていい!」

ことりママ「いいや、可愛い我が子のステージをカメラに収めないなんてもったいなさすぎるわ!」

ことりママ「待ってなさいことり、高性能のカメラでことりのステージをおさえとくから」キラキラ

ことり「はぁ…」

ことり(親バカとはまさにこのこと、まぁそれがお母さんのいいところでもあるんだけど)


ことり(ことりの晴れ舞台、みんなの晴れ舞台を本気で見てほしい、それがことりの想い)


ことり(その想いの強さに、ことりの持ってた針も形を歪ませた)

ことり「あれ…」

ことりママ「あら…珍しいこともあるものね」

ことり「そ、そうだね」アハハ

ことり(お母さんが一緒にやってくれたから衣装作りはかなり捗った)

ことり(ここまでくるとホントに本格的で、本番がより楽しみになってきた)


ことり(不安も悲しみもない、楽しみだけがあるんだから)

292 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:18:58.38 ID:Ohmi38x40
ことり「…さあ、出発だよ」


ことり(ふと呟いた歌詞のワンフレーズ)

ことり(ことりの心は既に乗り気だ、衣装作りをやめ、一日にやることをやってすぐに寝た)

ことり(その日が待ち遠しくて、みんなと会うのが楽しみで)


ことり(早く太陽が見たくて)


ことり「おやすみぃ…zzz」


ことり(誰もいない部屋に一言、おやすみの言葉をかけて今日を終えた)


ピピピピピピ!


ことり(そしてすぐに次の日はやってくる)



絵里「みんなっ!音ノ木坂祭りまであと二日よー!!」

希「おー盛り上がってんなーえりち」

海未「テンションがハイですね」

絵里「当然よ!ここまで頑張ってきたんだから本番は楽しんでいくわよ!」

穂乃果「おー!」

花陽「お、おー!」

真姫「おー?」
293 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:20:45.09 ID:Ohmi38x40
凛「おー!」モグモグ

にこ「こらっ食べながら大声を出さないこと、口から出るわよ?」

凛「えへへごめんごめん」

希「おーにこおかあさーん!」

穂乃果「私を養って〜!」

ギューッ

にこ「どわぁ?!急にこっちくんなっ!」ペシッ

穂乃果「ぶーにこちゃん酷いなー…」

海未「ふっふふふふ…」

にこ「あ?何よ?」

海未「い、いや…にこがお母さんって聞いたらなんか笑っちゃって」

にこ「はあああ??!それバカにしてるわよね?!」

海未「い、いえ…ぷっふふふ…」

にこ「あぁ!いっちょやるかこの破廉恥野郎!」

海未「破廉恥野郎ってなんですか?!」
294 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:21:56.00 ID:Ohmi38x40
希「ネーミングセンスバツやね」

凛「海未ちゃんだかららぶあろ」

海未「凛、死にたいですか?」ニコッ

凛「い、いえ…」

絵里「海未が怖い…」ビクビク

ことり「絵里ちゃんが怯えてどうするの…」

キーンコーンカーンコーン

花陽「あ、あれ?!もうそんな時間?!教室戻らないと!」

にこ「このチャイムは昼の始まりよ?授業がみんな思った以上に早く終わったらこうやって集まったんじゃない」

花陽「あ、あれ…?」

ことり「ふふふっ」クスッ

穂乃果「あはは…」

花陽「うぅ…」カアアア
295 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:24:05.64 ID:Ohmi38x40
凛「はぁ〜今日も疲れたねー」

希「ホントやね〜…」

海未「特に何もしてないような気がするのですが」

穂乃果「いやいやもう座ってるだけで疲れるじゃん!」

海未「それは穂乃果だけです!」

凛「いや〜凛は頭の方が疲れたよ〜」

花陽「あ、私はお腹が疲れたかな…」グウウ

ことり「あはは…花陽ちゃん食いしん坊だね…」

真姫「色々疲れすぎでしょ…」

絵里「そうよ、今日はまだまだあるわよ?」

穂乃果「まぁね」


穂乃果「…後二日か」


ことり「…!」

ことり(控えめな笑みを浮かべて穂乃果ちゃんはそう言った)

ことり「…そうだね」

ことり(後二日、それは色んな意味で後二日)

ことり(でも、もう振り返らないって決めたから)
296 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:25:36.32 ID:Ohmi38x40
ことり「はい、タッチ♪」

海未「はえ?」

ことり「むふふー海未ちゃんが鬼−!」

凛「わー!逃げろー!」

希「お、鬼ごっこやね!屋上だからちょうどいいやん!」

穂乃果「お、やるやるー!」

花陽「え、え…みんな待ってよー!」

絵里「楽しそうじゃない!海未は10秒数えなさいよー!」

にこ「きゅ、急すぎない?!」

真姫「ほんとそれよ!なんで急に鬼ごっこなんか!」

ことり「気分だよー!!」


海未「ええええ?!なんで私が鬼なんですか?!」


穂乃果「早く早く!」

凛「こっこまでおいでー!!」
297 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:26:23.54 ID:Ohmi38x40
海未「え…お、お昼はどうするんですか?!」

希「そんなの後ででいいよー!」

海未「むぅ…仕方ありませんね…」

海未「じゃあ手始めに真姫!あなたを捕まえます!」ダッ

真姫「っ?!なんで私?!」

海未「まてまてまてー!」

真姫「ちょ…まっ…ここ狭い!!」

にこ「狭いくらいがちょうどいいのよ」

真姫「くっ…ここは誰かになすりつける!」

穂乃果「うわっこっちきた!」

凛「逃げろ逃げろー!」

ことり「おー!」

花陽「ま、まって〜…」

ことり「あははははっ!」

ことり(無理矢理にでも流れを変えるのがことり式、もう残りの二日は悲しい思いはしたくないからね)
298 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:27:47.13 ID:Ohmi38x40
にこ「あっつ…」

ことり「ぶふぅ〜…」

希「いやー走った走った」

海未「結局お昼食べれてないじゃないですか!」

凛「いいんだよ海未ちゃん!楽しみは放課後にとっておこう!」

海未「もう楽しみでもなんでもないですよ!」

花陽「うぅ…ぐすっ…お昼がぁ…!」

真姫「よしよし…」ナデナデ

絵里「あははっまぁ残りちょっとあるし食べたい人は急いで食べちゃいなさい」

穂乃果「今日もパンが上手いっ!」パクッ

にこ「はっや…」

ことり(お昼が終わる頃にはみんな汗びっしょびしょだった)

ことり(お昼は急いで食べて昼の終わりのチャイムがなれば一斉に自分の教室に戻っていく)

ことり(ただ、もう残りの時間は音ノ木坂祭りでやることをまとめるような時間だった)
299 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:30:58.97 ID:Ohmi38x40
「ことりちゃんたち出し物するんだよね?」

「頑張って!」

ことり「う、うん!」

「何するのー?」

ことり「それは秘密っ!」

ことり(ここのクラスは学校のお祭りの定番中の定番、メイドカフェをする)

ことり(接客や呼び込み、何か作る人などの係決めをしそれに対して何が必要かなどの確認をした)

ことり(元々そういうのはもっと前から話し合ってたんだけど最終確認って意味で最後にひとまとめ)

ことり(明日は朝から飾り付けや品の準備をしたりで忙しくなりそうだ)

ことり(話し合いが終われば今日のHRは終わり、明日は大変な一日になるからそれの備えだね)


ことり(明後日はもっと大変だけど…)


ことり(そんなHRの終わり、穂乃果ちゃんは凛ちゃんと遊ぶらしくて海未ちゃんは弓道部に顔を出すみたいでことり一人、廊下を歩いてた時)

ことり「あ、絵里ちゃん」

絵里「あら、ことり」

ことり「何してるの?」

絵里「生徒会の仕事よ、こんな早く帰れる日でも生徒会はやることがあるっていうのはホント憂鬱よ…」
300 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:32:27.29 ID:Ohmi38x40
ことり「じゃあ手伝うよ」

絵里「いいわよ、大変よ?」

ことり「ううん大丈夫!」

ことり「ほらっ!やろっ?」

絵里「え、ええ」

スタスタスタ

絵里「あら、あれは」

ことり「真姫ちゃん!」

真姫「二人とも…」

絵里「真姫は帰り?」

真姫「ええ、まぁ」

ことり「じゃあことりたちと一緒に生徒会のお仕事しよ!」

真姫「…えっ?」



スタスタスタ

真姫「ことりって生徒会だっけ?」

ことり「ううん違うよ、今日は絵里ちゃんのお手伝い」
301 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:35:11.77 ID:Ohmi38x40
絵里「ごめんなさいね、真姫まで巻き込んで」

ことり「えっ?」

真姫「えっ…」

絵里「…あ、違うの!わざとじゃないの!」

真姫「お、面白いわね」

絵里「やめて!面白くないなら面白くないって言って!」

ことり「絵里ちゃん強く生きよう…」

絵里「当たり前よ!」

ことり「…」

真姫「…」

絵里「…ぷっ」

絵里「あはははは!」

ことり「ふふふふっ」

真姫「まったく…」
302 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:36:47.85 ID:Ohmi38x40
絵里「私たち、小さい時からこのノリね」

ことり「ねっ」

真姫「そうなの?」

絵里「ええそれは仲良しこよしだったわよ」

真姫「そうなの…」

真姫「…私ね、ことりや絵里たちの輪に入れてすごく嬉しい」

ことり(突然真面目な顔をし、丁度空いてた窓辺から外に顔を出して真姫ちゃんはふとそう言った)

絵里「ええ、私も真姫と出会えてすごく嬉しい」

ことり「ことりも!」

真姫「ありがとう」

絵里「私もあのグループに入れたこと、いつ思ってもすごく嬉しかったわ」

ことり(絵里ちゃんは真姫ちゃんの隣の壁に背中を寄せながら、優しい声でそう言った)
303 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:38:55.30 ID:Ohmi38x40
絵里「私ね、すごく思うんだけどもしみんなに会ってなかったら今頃どうしてたのかしら」

ことり「うーん…分からない…」

絵里「ええそうね、分からないのよ」


絵里「でも怖いの」


真姫「怖い?」

絵里「私は小さい頃から接し方が不器用不器用って言われ続けてきた」

絵里「だから希やにこ、穂乃果やことりと逢ってなんとか人との接し方を学んだの」

絵里「そんな中で私は一つの到達点に辿り着いた」

ことり「到達点?」


絵里「私、みんなが頼ってくれるような賢い人になればいいんだって思った日があった」


絵里「だから超勉強して今では生徒会長!」

絵里「今の私がここにこうしているのはみんながいたからなの」

絵里「だからこそ怖いの」


絵里「みんなと出逢わずに、人との接し方を、歩き方を知らない私が今ここにいたらどうなってたのかが」


ことり「…」

真姫「…」

絵里「…ふふっごめんなさい、こんな話になっちゃって」

ことり「ううんことりも同じようなこと思ったことある分かるよ」

真姫「やっぱり…そういうものなのね」

絵里「ええそういうものなの」
304 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:40:27.29 ID:Ohmi38x40
絵里「だからさっき言った通り、困ったことがあればなんでも相談しなさい?」



絵里「私のチカラはその人にしてあげられることに全力を尽せることだから」



絵里「みんなにいじられたりしてるけどこれでも私は」


絵里「賢い可愛いエリーチカ、なんだから♪」フフンッ


ことり「ふふふっそうだね」

真姫「珍しく頼り甲斐あるじゃない」

絵里「なによ珍しくって!」

真姫「冗談よ、絵里がしっかりしてるっていうのは全員が知ってるから大丈夫だと思うわよ」

絵里「そ、そう…」

真姫「…ねえついで私の話も聞いてくれない?」

ことり「うん、いいよ」

絵里「分かったわ」
305 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:42:36.30 ID:Ohmi38x40
真姫「私もさっき言った通り、みんなに出逢えてホントによかった」

真姫「…元々私って友達とか全然いなくて、小学校も中学校もほとんど一人で過ごしてきた」

ことり「そ、そうなんだ…」

真姫「ええ、だからついこの前、約一週間半前、穂乃果に出会った時は身体が火照るような“熱さ
”を感じた」

絵里「ふむ…」

真姫「話っていってもね、ほんの少ししかないの」

真姫「私が言いたいことはただ一つ」


真姫「これからも、どうぞよろしくお願いしますってね」


絵里「ええ!」

ことり「もちろん!」
306 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:44:00.05 ID:Ohmi38x40
真姫「それで、私みんなと一緒にいて分かったの」

ことり「?」


真姫「私の出来ること、それは私にか出来ないことでみんなを輝かせること」



真姫「それが本当の私のチカラ」



ことり「…!」

ことり(真姫ちゃんの目は輝いてた)

ことり(穂乃果ちゃんのような自分という存在だけで輝く瞳をしてた)

ことり(絵里ちゃんもそうだった、ピカピカな笑顔をしてた)

真姫「だから私にだって頼っていいんだからね、これでも頭はかなりいい方なんだから」

絵里「知ってるよわよーそれ、学年一位らしいじゃない」

真姫「当然よ!」

ことり「す、すごい…」
307 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:45:52.39 ID:Ohmi38x40
絵里「ふふ、こんなところに出逢えて私たち、幸せね」

真姫「ええそうね」

ことり「うんっ!」

絵里「…大切にしていきましょう、このグループを」

真姫「そりゃあね」

ことり「それはみんな同じだよ」


ことり「みんな同じ気持ちを持ってる、それは間違いないよ」


海未『いくら同じイメージを共有していても、他の人の経験やその時の気持ちは、本当は見えていないのだ』


ことり(あの言葉は違う、そうことりの経験が物語ってる)

ことり(絵里ちゃんも真姫ちゃんも、みんな同じ)


ことり(みんながみんなに、出逢えてよかったって思ってた)


ことり(その言葉が、何よりの証明だ)

ことり(本当は見えていないなんてただの屁理屈だ)

ことり「…」ギュッ

ことり(胸元にあるリボンをぎゅっと掴んだ)


ことり(ことりの心はもう、折れない)


ことり(一つの矢だと簡単折れてしまっても、九つ束ねれば折れない)

ことり(もう、本番はすぐそこなんだ)

ことり(残りの二日、ただ楽しむだけじゃ終わらせない)


ことり(この二日間にことりの一年分の、ううんもっと一生分の元気を込めるよ)

308 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:47:03.24 ID:Ohmi38x40
絵里「明日は音ノ木坂祭り準備よ?明後日もだけどちゃんと体調管理はするのよ?」

ことり「もちろん!」

真姫「分かってるわよ」

絵里「…ホントに生徒会の仕事手伝うの?」

ことり「それはそうだよ!」

ことり「…あ、なんかまずかった?」

絵里「い、いやホント時間かかるわよ?今日早く帰れるしもったいなかなーって」アハハ

真姫「別に私は家に帰っても暇だし」

ことり「私も大丈夫!」

ことり(その後真姫ちゃんと絵里ちゃんの生徒会の仕事を手伝った)
309 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:48:08.89 ID:Ohmi38x40
ことり(三人だったからすぐに終わった、外に出て正門を抜けた)

スタスタスタ

ピタッ

ことり「…」

ことり(立ち止まり後ろを振り向いた)

ことり(学校のまたその奥に見える藍色の空が今の時間の遅さを示してた)


ことり(すぐってどのくらいだろう、一日かな、一時間かな)


ことり(ことりのすぐっていうのはホントに、何時間だろうと一瞬のことだった)
310 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:49:36.69 ID:Ohmi38x40
ことり(だからすぐに時間は過ぎ、気付けば学校は祭りの準備で大騒ぎだった)

ことり「わわわわわっ!」

穂乃果「こ、ことりちゃん落ち着いて運ぼう!」

ことり「う、うん!」

穂乃果「よいしょ…よいしょ…」

ことり「ふう…」

穂乃果「やっぱり機材系は重たいね…」

ことり「ねっ…」

希「おーやってるか諸君たち」

穂乃果「あー!希ちゃんどうしてここに?」

希「ちょっと必要なもの取りに行くついでに」

ことり「そっか、そっちは順調?」

希「まあまあかな、まぁやるのはなんてたって平日だからお客さんも文化祭ほど大量にくるわけやないし隅から隅まで完璧にする必要はないんやないかな」

ことり「まぁ確かに…」
311 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:50:59.30 ID:Ohmi38x40
穂乃果「でもでも出来るところまではやるよ!」

希「そうやね!じゃあウチはいくね!」

ことり「うん!わかった、ばいばい」

希「ばいばーい」

スタスタスタ

穂乃果「さて、メイド服は…ってあれは…」

ことり「…!!」


海未「ちょ、ちょっとカメラこっちに向けないでください!」


ことほの「海未ちゃん!」

ことり「おーい!海未ちゃーん!」

穂乃果「何やってるのー!」
312 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:53:12.36 ID:Ohmi38x40
海未「ほ、穂乃果…ことり…」

ことり「きゃー!!可愛いー!!!」

モギューッ

海未「ぐふぅ…」

穂乃果「すごいすごい!海未ちゃんメイドだ!!」

穂乃果「…ところで何でこんなに人がいるの?」

海未「た、試しに着てみてって言われてきたらいっぱい人がきちゃって…」

ことり「そりゃあ海未ちゃん可愛いんだもん!いつもは凛としててカッコいいのにメイド服を着た時の可愛さギャップ萌えがすごすぎるんだよ!!」

海未「は、はぁ…?」

ことり「これはお客さんの数も期待できるね!」

穂乃果「おお!」

ことり「とりあえず海未ちゃんもそこで突っ立ってないで早く準備に移るよ!」

海未「は、はい!」

海未「で、では失礼いたします!続きは明日のお祭りでさせていただきます!」

「きゃー!!」

「絶対行きますー!!!」

穂乃果「すごい人気…」

ことり「海未ちゃん後輩にも先輩にもモテモテだから…」アハハ
313 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:55:03.51 ID:Ohmi38x40
スタスタスタ

「ねー!ことりー!」

ことり「あれ?絵里ちゃん?」

絵里「今こっち体育館の飾りつけしてるんだけど、出し物の確認とかあるの!」

絵里「だからちょっと来てー!」

ことり「あ、うん!」

ことり「ご、ごめん行ってくるね」

穂乃果「うん!行ってらっしゃい!」

海未「いってらっしゃい」

タッタッタッ

絵里「よしっ行きましょう?」

ことり「うん!」
314 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:56:23.22 ID:Ohmi38x40
タッタッタッ!

絵里「お待たせ!連れてきたわ!」

「あ、ことりちゃん!」

ことり「ごめん待たせちゃって」

「ううん!大丈夫!」

絵里「えっとさっき言った通りことりを中心とした九人で歌とダンスを披露するの」

絵里「CDはもうそっちにいってるでしょ?」

「はい!」

絵里「衣装とかもこっちで準備してあって、今日の朝ことりから預かったわ」

絵里「それでお願いがあるんだけど」

「お願い?」

絵里「私たちのやるステージは本物よ、だから最後にしてほしいの」


絵里「私たちが最高のパフォーマンスをするから」


ことり「えぇ?!絵里ちゃんちょっと?!」

「はい!分かりました!超期待してます!」

絵里「ふふふっ任せときなさい」
315 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:57:52.80 ID:Ohmi38x40
絵里「よーしっ!MVP取るわよ!」

ことり「えむぶいぴー?」

絵里「出し物で一番すごいと思ったところに送られる称号よ!これ取って最高の思い出にしましょう!」

ことり「す、すごいね気合いが…」

絵里「当然よ!でもそういうのを取る取らないの前に」


絵里「思いっきり、本気で楽しみましょう?」


ことり「…!」

ことり「うんっ!」

「リハーサルしまーす!出し物を出す人たちはこっちに集まってくださーい!」

絵里「はーい」

ことり「は、はーい!」

ことり(体育館の内装を見れば分かるけど、この空間は“本気”だった)

ことり(私たちが躍るにさいっこうの舞台、さいっこうの熱気を集められる空間だった)
316 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:58:55.58 ID:Ohmi38x40
「スポットライト準備おっけー!」

「音楽いいよー!」

「マイクもバッチリ!」

ことり「……」


ドクンッ


ことり(私、ここで踊るんだ、そう胸が高鳴った)


ことり(今日はただのリハーサルでみんな出し物を披露するわけじゃないけど、そのリハーサルでさえ見ようとギャラリーが少し来てた)

ことり(ざわざわと聞こえる喧騒に緊張感を感じた)

「最後−ことりさんたちのーえっとー…」


絵里「μ’s!希命名!グループ名はμ’sよ!!」


「最後はみゅ、μ’s!」

絵里「さっことりいくわよ」

ことり「う、うん」
317 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 00:01:02.73 ID:2Lo9u+rk0
スタスタスタ

ことり「!」

ことり(いざ本気の場所で本気のステージに立つと分かる)

ことり(ここで踊る偉大さと難しさが)

ことり「…」

プルプル

ことり(足が震えてた)

ことり(ものすごく怖くなった)

「はい、そこでμ’sの出し物が終わってそこで少し間を開けてMVPの発表に移る、という感じで!」

絵里「ことり、戻るわよ」

ことり「あ、うん!」

スタスタスタ

ことり「………」

ブルブル

ことり(まだ足は震えてた)

ことり(あのステージに立ち、スポットライトに照らされた時、ことりは緊張感のあまり爆発しそうになった)

ことり(これで当日はあれを、あのダンスをたくさんの人の前で踊るんだ)

ことり(ずっと踊るつもりで頑張ってきたけど、今になってその踊ることが果てしなく遠く見えた)
318 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 00:03:32.75 ID:2Lo9u+rk0
ことり「…」

ドクンッ

ことり「!」

ことり(胸に両手を当てると聞こえる鼓動、あのステージに対して混乱やどよめき、後は恐怖を覚えてる証拠だった)

ことり「…」ゴシゴシ

ことり(額に流れる汗、ことりは何かに焦りだしてた)

ことり(あのステージに怖気ついちゃったのかな、とにかくことりの心が今のままじゃダメって危険信号と警告を鳴らし続けてる)

絵里「…どうだった?あのステージ」

ことり「…!あ、えっと…ものすごく緊張した…」

絵里「でしょうね、だってあのステージに立ってたことりは全然笑顔じゃなかったもの」クスッ

ことり「絵里ちゃんは…ああいうの平気なの?」

絵里「もちろんっ仮にもバレエをしてたのよ?人前で踊ることくらい慣れっこよ」

ことり「…」
319 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 00:07:41.27 ID:2Lo9u+rk0
絵里「…答えはすぐに見つかるわよ」

ことり「え?」


絵里「さっきステージには欠けてるものがある、だからことりはあそこで笑うことさえ出来なかった」


ことり「欠けてるもの…?」

絵里「その答えはすぐに出るから、今は今に集中しなさい」

ことり「う、うん…」

ことり(リハーサルを終えて教室に戻った)

ことり(そしたら穂乃果ちゃんがとんでもないことを言いだした)


ことり「お泊り?!」


穂乃果「そう!学校にお泊り…出来ないかな…?」

海未「む、無茶かと…」

ことり「…ううん!無茶じゃない!お母さんに頼んでみる!」

穂乃果「うん!お願い!」

海未「ええ?!大丈夫なのですか?!」

ことり「大丈夫!お母さん優しいから!」

タッタッタッ!

海未「あ、ちょっと!」
320 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 00:08:25.39 ID:2Lo9u+rk0
ことり「絶対説得しないと…!」

ことり(やってそうでやってなかったお泊り、とても楽しそうだと思った)

ことり(穂乃果ちゃんと過ごす時間も残り少ないんだ、さいっこうに楽しめる時間を作らないと)

ガチャンッ!

ことり「お母さん!!」

ことりママ「ど、どうしたのことり…」


ことり「今日学校でお泊りさせて!!」

321 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 00:09:54.43 ID:2Lo9u+rk0
〜夜

凛「んにゃあああ!!!ごきぶりいいいい!!!」

花陽「ぴゃああああああ!!!?」

海未「きゃああああああ?!?」

にこ「うっわ…」

穂乃果「な、なんか早いね…出るの…」

希「まぁ廊下なのが救いやん、早く調理室にいこ?」

穂乃果「あ、そうだね」

ことり「…」キョロキョロ

希「ん?どうしたん?」

ことり「ご、ゴキブリもういないかなって…」

穂乃果「あははは!大丈夫だよ!」
322 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 00:11:11.21 ID:2Lo9u+rk0
希「あっ!ゴキブリ!!」

ことり「っ?!」

ことり「きゃあああああああああ?!?!」ピョンピョン

希「あっははははは!嘘だよウソ!」

真姫「ぷっくくく…ぷはっ…」

穂乃果「ことりちゃんか〜わいい〜」クスクス

ことり「も、もー!希ちゃんっ!!」プンプン

絵里「からかうのも大概にしときなさいよ希は…」

希「あははごめんって」

にこ「あ、ゴキブリ」

絵里「ひゃああっ?!」ビクゥ!

絵里「っていないじゃない!」

にこ「ふっ…」

絵里「にこ!あなたねぇ…」

穂乃果「あはは…でもやっぱり学校でお泊りするのはなんかワクワクするし楽しいね!」

凛「ねっ!」
323 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 00:11:50.83 ID:2Lo9u+rk0
海未「まさか本当に受諾するなんて…」

ことり「お母さん、なんだかんだすごく甘い人だから…」

プワプワプワ


ことりママ『お泊り…?!そういうのは事前に報告を入れないとダメなんだけど…?』

ことり『えっ…じゃあ…』シュンッ

ことりママ『……でも今回は特別よ?いいわよお泊りして』

ことり『ホント?!』キラキラ

ことりママ『教室とかは飾りつけやらなんやらでごっちゃだろうし寝る時はここを使いなさい、料理は調理室を使いなさい』

ことりママ『食材とかは大丈夫?私が持っていこうか?』

ことり『あ、うんじゃあお願い』

ことりママ『ええ分かったわ』


プワプワプワ…

ことり「…甘いなぁ」

ことり(改めて感じる親バカさ、でもこの甘さに感謝しないといけない)

ことり(ことりもいいお母さんを持ったなって悔しいけどなんだか誇りに思ってきちゃって、今日だからこそ言えるけどことりのお母さんは最高のお母さんだった)


ことり(そして今、学校の薄暗い廊下を歩く九人の姿がある)

324 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 00:13:04.70 ID:2Lo9u+rk0
にこ「料理は私主体でやるからちゃんとやりなさいよ、食べるものなんだから」

凛「わかってるよ〜」

穂乃果「もちろん!本気でやるよ!」

ことり「ついたね、ちょっと待ってて鍵開けるから」

ガチャッ

ガララ

にこ「そこに食材置いといて、作るのは無難にカレーよ」

花陽「おお!!」

希「定番やね!」

凛「テンションあがるにゃー!」


絵里「よしっ!料理作るわよー!」


「おー!」


ことり(みんなでカレーを作った、こんな経験滅多にないと思う)
325 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 00:17:25.88 ID:2Lo9u+rk0
にこ「だー!にんじんの皮向きはもっと丁寧にやりなさい!」

穂乃果「ご、ごめんなんか難しくって」アハハ

絵里「こ、こう?」

ことり「そうそう、そんな感じ」

希「ふふふっ玉ねぎの切り方も知らんの?えりちは」クスクス

絵里「だ、だって玉ねぎを切ることなんてないから仕方ないじゃない!」

真姫「ことりは流石ね」

ことり「ま、まぁお料理好きだからね」

花陽「ご飯炊けたよー!!」

希「お、いいね」

にこ「こっちももう出来てるわ、後はあいつらだけね」

ことり「ことりのはもう大丈夫だよ」

絵里「うぅ…ぐすっ…」ポロポロ

希「玉ねぎ切っただけでそんな泣くんか…」
326 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 00:18:26.27 ID:2Lo9u+rk0
凛「凛もいいよー!」

穂乃果「私もー!」

にこ「んー…あんたらは相変わらず雑だけどいいわ、妥協するわ」

穂乃果「やったー!」

凛「いえーい!」

ことり(みんなと一緒にいる泡沫の時間の中で感じるものは些細なことでも膨張してとても大きなものに感じた)

ことり(息を吸うタイミングが重なったり、連鎖するようにあくびをしたり、喋るタイミングがかぶったり、そんな些細なことが嬉しく楽しく照れくさく感じた)

ことり(まぁ結局何を思っても最後に感じるのは)


ことり(ホントに楽しかった、ということ)


ことり(カレーを食べ終わったら次はどうしようという話になった)

ことり(色んな案が飛んだけど採用されたのはこれだった)
327 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 00:19:30.27 ID:2Lo9u+rk0


穂乃果「屋上に行かない?」


ことり「屋上?」

穂乃果「うんっ!星とかあると思って!」

希「いいやん、みんなで夜空を見に行こうや!」

絵里「そうね、そうしましょう」

凛「よーしっ!いっくにゃー!」

花陽「おー!」

真姫「お、おー」

にこ「おー」

ことり(屋上に上り夜空を見ることだった)

ことり(食器を洗ってやることをやって調理室から出た、如何せん廊下にはゴキブリがいたからドタバタ走りながら屋上についた)
328 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 00:22:40.49 ID:2Lo9u+rk0
ことり「うわあ…!」

穂乃果「すごーい!」

海未「…綺麗ですね」

ことり(まず屋上に出て放たれた言葉は、驚きと魅了の言葉だった)

絵里「幻想的ね」

にこ「…そうね」

希「ええなぁこういうの」

凛「…」

花陽「どうしたのそんなぽかーんとしちゃって」

凛「あ、ううんすごく綺麗で見惚れちゃって…」アハハ

真姫「綺麗ね…」

ことり(幻想的な空に全員が見惚れてた)

ことり(ことりの瞳には満天の星が映ってた、久々の夜空で夜の景色も忘れてしまってた)

ことり(月が光ってた、白く黄色く光ってた)

ことり(月が綺麗で、星が綺麗で、次第にその夜空が滲みだした)

ことり「…」

ポロポロ

穂乃果「わぁ?!ことりちゃん泣いてどうしたの?!」

ことり「あ、ううん…綺麗で…」

海未「ふふふっ想像力豊かなことりは何を想像したのですか?」クスッ

ことり「も、もーからかわないでよ」

海未「すいませんね」フフッ

ことり「もー…」
329 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 00:23:55.20 ID:2Lo9u+rk0


穂乃果「…明日、頑張ろうね」


ことり「もちろん!」

海未「はいっ!」

絵里「超頑張るわよ!」

希「精一杯楽しもな!」

にこ「弾ける準備は出来てるわよ!」

凛「凛もっ!」

花陽「頑張りましょう!」

真姫「本気でやるわよ!」


「おー!」


穂乃果「…ふふっ」

絵里「あはは」

ことり「えへへっ」

凛「んふふふ」
330 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 00:25:39.46 ID:2Lo9u+rk0
にこ「さっ理事長室に戻るわよ」

希「戻ったらトランプとかジェンガとかで遊ぼっか!」

真姫「いいわね、負けないわよ」

凛「凛もいくいく!」

花陽「私も!」

スタスタスタ

ことり(夜景と夜空に満足したのか、みんなは帰っていった)

ことり(そして三年生、一年生のみんなが屋上から離れた時のこと)

海未「穂乃果とことりはどうしますか?」

ことり「ことりはもうちょっとここにいたいかな」

穂乃果「私も」

海未「そうですか、じゃあ先行ってますね」

穂乃果「うん!後でいくよ」

ことり「ことりも!」

海未「はい、それでは」

スタスタスタ

ガチャンッ
331 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 00:26:52.99 ID:2Lo9u+rk0
ことり「…」

穂乃果「…」

ことり(海未ちゃんも理事長室に戻り穂乃果ちゃんとことりの二人っきりになったんだ)

ことり(だからこそ、話す内容もちょっぴり切ない話だった)


穂乃果「……“明日”だね」


ことり「…そうだね」

穂乃果「さよならは…言わないよ」

穂乃果「私とことりちゃんはいつでも一緒、そうでしょ?」

ことり「…うん」

ことり「いつ…消えちゃうの?」

穂乃果「分からない…けど、ダンスを終えるまでは消えないと思う」

ことり「そっか…」

穂乃果「私ね、みんなで、みんなと一緒に何か大きなことをするのが夢だったの」
332 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 00:28:18.18 ID:2Lo9u+rk0
ことり「…」

穂乃果「欲張りをいえばもっともっと大きなこと、たくさんしたかったけど私が生きれるのは二週間だけだから、あのステージでみんなで踊れるっていうのはホントに嬉しかった」


穂乃果「だからあのステージに悲しみはいらない」


穂乃果「例え私の命日だとしても、あのステージだけはさいっこうのステージにしよ…?」ウルウル

ことり「…!」

ことり(穂乃果ちゃんの潤んだ瞳をみてこっちまで泣きそうになった)

ことり(ことりは穂乃果ちゃんと別れること、人生で最大の不幸だと思ってる)


ことり(ただ、穂乃果ちゃんにとっては明日という日を迎えることが全ての終わりであることにことりとの差を感じるんだ)


ことり(一番泣きたいのは、一番悲しいのは穂乃果ちゃんであることをことりは知ってる)


ことり「…泣かないでよ」

穂乃果「えへへ…ごめんね…」
333 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 00:29:55.98 ID:2Lo9u+rk0
ことり「悲しいことはやめよう?もうみんなのところいこうよ!」

タッタッタッ

ことり(本番前に辛い思いなんてしたくないから、穂乃果ちゃんの泣き顔なんて見たくないから、また別れに怯えるのが怖いから)

ことり(無理矢理話をぶった切ってみんなのところへ行こうとした)


ことり(そんな時、聞こえた)


ことり(後ろから、響くような叫ぶような囁くような声が聞こえた)


穂乃果「ことりちゃん」

ことり「!」

フワァ…

ことり(振り返った瞬間、浮遊感を感じた)

ことり(そして次に感じるのは生暖かい風と無数に飛び散る花びらの舞)

ことり「穂乃果…ちゃん?」

ことり(そして次第に見えるのは大きな水たまりのその向こうの白い花畑に凛々しく立つ穂乃果ちゃんの姿)
334 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 00:31:24.01 ID:2Lo9u+rk0


『よーしっ!もう一回!』


ことり『!!』

ことり『穂乃果ちゃん?!』


ことり「!」

ことり(あの時の続きなのかな、あのブラックアウトした視界の続きなのかな)

ことり(全く頭になかったあの記憶が突然脳裏を過った)

ことり(空は、夜でもなく昼でもなく)


ことり(日が沈もうとしてる夕方だった)


穂乃果「ねえことりちゃーん!」

ことり「穂乃果ちゃん!」

穂乃果「ちょっとお話しようよー!」

ことり「お話ー?!」

穂乃果「そうだよー!」
335 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 00:32:47.00 ID:2Lo9u+rk0
ことり「何なの話ってー!」

穂乃果「えっとねー!ことりちゃんはねー!」

ピチャピチャッ

ことり「!」

ことり(喋りながら、あの水たまりを歩いて穂乃果ちゃんはこっちへ向かってきた)

穂乃果「みんなに信用されてるんだよ!」

穂乃果「この二週間、みんなの想い聞かなかったー?!」

ことり「みんなの想い…」
336 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 00:34:22.18 ID:2Lo9u+rk0


希『もし、本当にそういうことが起こったらウチはそうするかな』


花陽『“本当の”小泉花陽は、みんなに“本気の”エールを送る人だから♪』


海未『困った時は、泣きたい時は、縋りたい時はいつでも頼ってください』


凛『…だからお礼がしたかったんだ』


にこ『私のチカラは、誰よりも強く相手の背中を押してあげることだから』


絵里『私のチカラはその人にしてあげられることに全力を尽せることだから』


真姫『これからも、どうぞよろしくお願いしますってね』

337 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 00:35:05.40 ID:2Lo9u+rk0
ことり「…聞いたよ!聞いた!」

穂乃果「どう思った?どう感じた?」

ピチャピチャッ

ことり「ことり、頑張らなきゃって思った!困った時は手を貸してくれて!相手が悩んでる時はことりが手を貸す!ううん!手を差し伸べる!」


ことり「今あそこにいる九人がさいっこうのメンバーだと思った!」


ことり「その人にしか出来ないことを尊重して!本気で笑いあって本気で何かをして本気で今という日を走り抜ける!」

ことり「本気の集団だよ!いつだって!ずっとずっとことりたちは!」

穂乃果「そうでしょー!だからこそことりちゃんはもう大丈夫なんだよ!」

ことり「大丈夫?」

穂乃果「私がいなくてももう大丈夫!」


穂乃果「ことりちゃんは強いから!」
338 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 00:35:37.01 ID:2Lo9u+rk0




穂乃果「ことりちゃんのチカラは既に輝きだしてるから!!!」



339 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 00:36:40.47 ID:2Lo9u+rk0
ことり「ことりの…チカラ…?」

穂乃果「うん!」

ピチャッピチャッ

穂乃果「ことりちゃん、この前はこの水たまり飛び越えられなかったでしょ?」


ことり『跳べるっ!』


穂乃果「あの時のことりちゃんにはみんなの想いがなかったら飛べなかった!」

穂乃果「ことりちゃんがまだ自分のチカラを発揮出来てなかったから飛べなかった!」


穂乃果「でももう“翔べる”よ!」


穂乃果「翼なんていらない!ことりちゃんの足だけで!駆けて翔んで!」


ギュッ

ことり「!」

ことり(ことりの手と穂乃果ちゃんの手が合わさった)

ことり(その瞬間花びらは空高く舞い上がった、下から上へと突き抜ける風と花びら)

ことり(それはどこまでも、空高く空高く宇宙へと舞い上がっていく)
340 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 00:38:37.82 ID:2Lo9u+rk0
ことり「と、翔ぶって」

穂乃果「そのままだよ!この水たまりを翔び越える!」

ことり「え、えぇ?!無理だよ!」


穂乃果「無理じゃない!」


ことり「!」

穂乃果「もう、明日この空になる頃には私はいない」

穂乃果「今度はことりちゃんの番」



穂乃果「ことりちゃんがみんなを引っ張る、みんなの太陽になる番だよ」



ことり「!!」

穂乃果「ほらっ!あそこに足跡があるでしょ?」

ことり「う、うん」

ことり(ことりの後ろの坂にはこちらへと向かう足跡がしっかりと残ってた)
341 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 00:39:21.79 ID:2Lo9u+rk0
穂乃果「あれが私の足跡、あれが私の翔んだ軌跡」

穂乃果「次はことりちゃんが翔ぶんだよ、ことりちゃんがその道に」



穂乃果「新しい軌跡/奇跡を生むんだよ!!」



ことり「!」

穂乃果「だから走って!」

穂乃果「あの坂のてっぺんから!あの坂のてっぺんから走って翔んで!」

ことり「…うん!」

ことり「ことり翔ぶよ!」

穂乃果「うんっ!」

スタスタスタ

ことり「すー…はー…」

ことり(坂のてっぺんに上り目を瞑って深呼吸をした)
342 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 00:40:31.74 ID:2Lo9u+rk0
ことり「…よしっ」

ことり「行くよ!」

穂乃果「うん!」

ダッ

タッタッタッ! タッタッタッ!


穂乃果「いっけええええええええええ!!!」

ことり「はああああああああああああッ!!!」


ピョーンッ!


ことり(浮いた、空高く翔んだ)


ことり(空へと続く花びらと一緒に翔んだ)


ことり(翔び空中に浮いてる間に聞こえた)

ことり(穂乃果ちゃんの言葉)


穂乃果「ことりちゃん」


ことり「!」

ことり「穂乃果ちゃん?」
343 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 00:41:37.17 ID:2Lo9u+rk0


穂乃果「私のチカラはみんなを本気にさせること」


穂乃果「みんなを引っ張ってやる気を出させてみんなで楽しめる場を作ること」

穂乃果「ことりちゃんが翔んだ今、私の役目はもう終わった」

穂乃果「…頑張れ!ことりちゃん!ずっと応援してる!」

穂乃果「後は楽しもう!後は笑おう!」

穂乃果「ことりちゃんのチカラで!」


穂乃果「ことりちゃんはホントにすごいチカラの持ち主だよ!」


ことり「何それ?!ことりのチカラって何なの?!」


穂乃果「ことりちゃんのチカラは―――――――!」


ことり(その声が耳に届いた瞬間ことりは白い花畑に足をつけた)

ことり(そして同時に視界が)


ことり(ホワイトアウトした)

344 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 00:42:06.99 ID:2Lo9u+rk0
「正解は、一つじゃないよ」


「ことりちゃんがそう思ったなら、それが正解なんだから」


「明日、頑張ろうね」
345 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 00:42:34.44 ID:2Lo9u+rk0



「私とことりちゃんの“最後の日”」


346 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 00:43:31.35 ID:2Lo9u+rk0
ことり「…はっ!」

絵里「おきなさーい!朝よー!」

海未「絵里、もうちょっと静かにした方が…」

絵里「こうでもしないと起きない人がいるのよー!」

穂乃果「むにゃむにゃ…あと五分…」

絵里「ほらっ!」

海未「まったく…」

ことり「…朝」

ことり(気付いたら朝だった、あの水たまりの場所を翔んでから記憶がない)

ことり(もう、本番は目の前だった)

にこ「うるさいわね…」

真姫「ホント何よ…」

絵里「やっと目が覚めたわね、今日よ!音ノ木坂祭り!」

花陽「うぅん…?もう朝…?」

海未「おはようございます花陽」

花陽「お、おはよう」

凛「ぐー…ぐー…zzz」
347 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 00:44:50.16 ID:2Lo9u+rk0
ガチャッ

希「お、みんな起きてるやん!」

ことり「希ちゃん、起きてたんだ」

希「ウチはいつも早起きやからね、それより早く着替えよう?みんなそれぞれクラスで使う服あるやろ?」

海未「そうでした…メイド服って意外に着るの大変なんですよね…」

ことり「ふふふっじゃあことりが手伝うから」

海未「す、すいません」

絵里「こらっ!穂乃果おきなさーい!」

穂乃果「うわー!遅刻ー!!?」

穂乃果「…て、あれ?」

にこ「なにやってんだか…」

ことり「あはは…」

凛「んん…」

海未「おはようございます、凛」

凛「あぁおはよう…」

真姫「凛には珍しいひっくいテンションね…」

花陽「凛ちゃん寝起きには弱いから…」アハハ
348 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 00:45:40.68 ID:2Lo9u+rk0
海未「じゃあ穂乃果、ことりメイド服に着替えますよ?」

穂乃果「あ、うん!」

ことり「はーい」

海未「あ、お手洗いに行くので先に行っててください」

ことり「分かったよ」

ガチャッ
349 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 00:47:42.11 ID:2Lo9u+rk0
スタスタスタ

穂乃果「…もうすぐだね」

ことり「そうだね」

ことり「…!穂乃果ちゃんそれ…!」

穂乃果「…ん、あぁ大丈夫、ステージが終わるまでは持つから」

ことり「う、うん…」

ことり(穂乃果ちゃんの体が透けてた)

ことり(少ししたら元に戻ったけどなんか実感しちゃったんだ)


ことり(本当に終わりが近づいてるんだって)


ことり「…よしっこれで大丈夫」

穂乃果「うわー!メイド服ってかわいいね!」ヒラヒラ

海未「ええお二人ともすごく似合ってますね」

穂乃果「海未ちゃんも似合ってるよ〜!」

海未「そ、そうですか?ありがとうございます」テレッ

ことり「ふふふっ」クスッ

ことり「じゃあ穂乃果ちゃんは今日、呼び込みお願いね」

穂乃果「うん!任された!」
350 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 00:50:40.25 ID:2Lo9u+rk0
ことり「私はお料理作る係と接客の兼業だからよろしくね」

海未「分かりました」

穂乃果「海未ちゃんは何係だっけ?」


海未「…マスコット係と接客の兼業です」


穂乃果「マスコット係?」

海未「お客さんと写真を撮ったりご奉仕する係だそうで…」

ことり「海未ちゃん可愛いからマスコットに選ばれて当然だよ♪」

海未「うぅ…」

ことり(朝早くから三人で盛り上がった)

ことり(時間が立てばクラスのみんながきて各自準備に取り掛かってた)

希「お、メイド服いいね〜後でお客さんとしていくな〜」

穂乃果「おお!そのなにその恰好!」

希「魔女やで?ウチらはお化け屋敷をするんだけどウチは呼び込み係やから怖くない恰好でも大丈夫!」

ことり「ふふふっ可愛いね」
351 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 00:52:28.78 ID:2Lo9u+rk0
凛「にゃー!ソーラン!ソーラン!」

海未「あれは…」

真姫「ちょ、ちょっと待ちなさいって!」

穂乃果「おーい!凛ちゃーん!」

凛「えっへへー!みんなー!」

ことり「その服ははっぴ?」

凛「そうそう!凛のクラスは無難に射的とかそういうのをするから!」

海未「なるほど…」

ことり「真姫ちゃんも凛ちゃんも似合ってるね♪」

真姫「あ、ありがとう…」

凛「えへへっ!」

ことり(みんなも準備万全のようでことりたちに顔を見せに来てた)
352 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 00:55:50.26 ID:2Lo9u+rk0


絵里「音ノ木坂祭り、始まりよ!!」


ことり(そして始まった音ノ木坂祭り、平日とはいえどお客さんの数は文化祭と勝るとも劣らないほどの大盛況だった)

ことり「いらっしゃいませ♪」

海未「い、いらっしゃいませ!」

ことり(ここのクラスには海未ちゃんもいて、穂乃果ちゃんの元気いっぱいな呼び込みもあってお客さんが行列を作るほどだった)

海未「ことり!ご指名入ってますよ!」

ことり「え、またことり?!」

「いいよ!私たちで作っとくから行ってきな!」

ことり「う、うんごめんね」

スタスタスタ

ことり「いらっしゃいませ♪今日はどうなさいますか?お料理ですか?写真撮影ですか?」


ことり「それともわ・た・しですか?」ニコッ


ことり「…ふふふっなんて冗談です、どうなさいますか?」

ことり(不思議なことにことりが人気だった)

ことり(それに海未ちゃんもいたからホントにホントに休める時間が無くて、大変だった)

ことり(でも、この時間が楽しくて楽しくて仕方がなくて、呼び込みを終え帰ってきた穂乃果ちゃんも接客に参加して更なる混沌の渦を巻き起こした)
353 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 00:56:33.09 ID:2Lo9u+rk0
穂乃果「いらっしゃいませ!」

海未「いらっしゃいましぇ…ううぅ…!」

穂乃果「あははー!海未ちゃん噛んだー!」

海未「う、うるさいです!」

ことり「あはは…」

ことり(時計を見るたびに小さい方の針が大きく動いてて、気付けば昼が過ぎてた)

海未「ことり!ご指名入ってます!」

ことり「い、今いく!」

ことり「ごめん任せるね」

「いってらっしゃい!」

穂乃果「ことりちゃんご指名きてるよー!」

ことり「ま、待ってぇ〜!」

絵里「ことり!そろそろ準備しないと間に合わないわよ!」

ことり「え、えぇ〜?!」
354 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 00:57:29.07 ID:2Lo9u+rk0
穂乃果「じゃあそっちいこっ!」

海未「す、すいません!私たち穂乃果、ことり、海未は体育館の見せ物ステージでダンスと歌を披露させていただきます!よかったらそちらの方でもよろしくお願いします!」

ワーワーワー!

海未「いきましょう、ことり、穂乃果」

ことり「うん!」

穂乃果「ほいさっさ!」

絵里「よしっ行きましょう」

タッタッタッ!

絵里「というかそっちは大盛況ね!」

ことり「お客さんが全然減らないよ!」

海未「ホントですよ!もう休める時がなくて」

穂乃果「ねー!」

絵里「いいじゃない!人気の証拠よ?」

穂乃果「そうだね!」
355 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 00:59:44.98 ID:2Lo9u+rk0
絵里「衣装は理事長室に置いてあるからそこで着替えましょう」

穂乃果「うん!」

海未「分かりました」

ことり「了解!」

ことり(理事長室で衣装に着替えた、事前にサイズは確認してことりが完璧に仕上げてきたから衣装問題は特になかった)

凛「うわー!すごいよこれ!」

穂乃果「ねっ!すごいすごい!」

にこ「いい衣装じゃない」

花陽「そうだね!」

ことり「…よしっ」

海未「頑張りましょうね」

希「楽しんでいこうな?」

穂乃果「超盛り上げちゃうよ!」
356 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 01:00:43.01 ID:2Lo9u+rk0
ことり「よしっ!体育館に向かうよ!」


「おー!」


ことり(体育館のステージ裏に向かった、今ちょうどことりたちのラストステージから一つ前の出し物が行われてる)

ことり(来るなりなんなりで曲や人数の最中確認をし、後は待つだけになった)

ことり「…」


ドクンッ


ことり「…っ」

ことり(そして襲うはあの時の恐怖)

ことり(怖くて喋ることも笑うことも出来なかったあのステージ、緊張感、圧迫感、失敗出来ないという気持ちから生まれる強い念)

ワーワーワー!

ことり「うっ…」クラッ

ことり(耳の奥にまで響き渡る歓声で目が眩んだ)

ことり(ここで踊れるのかな、ここで歌えるのかな、ここで楽しめるのかな)

ことり(そんな三つの思いが心の中でくるくるくるくる回ってる)
357 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 01:01:48.54 ID:2Lo9u+rk0
トンッ

ことり「!」

ことり(そんな時肩に何かを感じた、何かが置かれるようなそんな感覚)


穂乃果「ことりちゃんはもう、一人じゃないよ」


穂乃果「みんないる、みんないるから怖くない」

穂乃果「みんながついてるから失敗だって恐れない」

穂乃果「みんなを信じることで乗り切れるんだ、ことりちゃんはもう一人じゃない」


穂乃果「ことりちゃんには信じる相手がいるから、大丈夫」


絵里「…分かった?ことり、あの時の答え」


絵里『さっきステージには欠けてるものがある、だからことりはあそこで笑うことさえ出来なかった』


ことり「!!」
358 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 01:02:56.82 ID:2Lo9u+rk0
ことり「…」チラッ

海未「ふふふっ任せてください」

にこ「私が背中を押してやったんだからぜぇったいに楽しくするわよ!」

花陽「この機会を逃していつ楽しむんですか!今しかありません!」

希「その通り!お客さんをウチラの本気《カオス》の渦に巻き込んじゃうよ!」

凛「ことりちゃんが教えてくれたんだからね!輝くことの楽しさを!」

真姫「ここまで来たんだから頑張りましょう、最後の最期まで、本気よ」

「頑張れ!」

「応援してるよ!」

「期待してるぞ〜!」

ことり「みんな…!」

ことり(あの時の答え、分かったよ絵里ちゃん)

ことり(そういうことなんだね、欠けたものって)

ことり(…そうだよね、あの時はなかった)

ことり(いなかった)


ことり(みんな、という存在がなかったんだもん)


ことり(みんなとならどこまでもいける、みんなとなら笑いあえる)



ことり(みんなとならこのステージで踊れる!)


359 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 01:04:23.81 ID:2Lo9u+rk0
ことり「よーしっ!みんな頑張ろう!」


「おー!」


穂乃果「始める前に何かしよ!」

海未「何か?」

穂乃果「みんなピースして!」

凛「ピース?」

穂乃果「そうそう!これをこうやって繋げるの!」

絵里「おお」

希「なんかいいねこれ」

穂乃果「でしょー?この状態でえっと…ことりちゃん耳貸して!」

ことり「え?あ、うん」

穂乃果「えっとね―――――」ゴニョゴニョ

ことり「…うん!分かった!」
360 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 01:05:12.78 ID:2Lo9u+rk0
ことり「μ’s!番号言っていくよ!」

にこ「番号?」

真姫「なにそれ?」

ことり「いち!」

穂乃果「に!」

海未「え、あ、さんっ!」

凛「じゃあ凛はよん!」

花陽「じゃあ私も続いてごっ!」

真姫「ろ、ろく!」

希「じゃあななもーらい!ななっ!」

にこ「じゃあはち!」

絵里「きゅう!」



ことり「μ’s!ミュージックスタート!」



「おー!!」

361 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 01:06:38.03 ID:2Lo9u+rk0
穂乃果「あはは!みんなノリいい〜!」

真姫「何かするならちゃんと言いなさいよ…」

希「でもでもいいやん!ウチららしくて」

絵里「そうね、とにかく何も考えずに前へ突っ走る姿勢はちょっと合ってるかも」

ことり「えへへ」

「μ’sのみんな!もうだよ!」

ことり「!」

にこ「きたわね」

海未「楽しみましょうね!」

絵里「ええ!」

凛「よーしいっくにゃー!!」

真姫「すー…はー…よしっ準備おっけーよ!」

花陽「私も!」

希「みんな見といてよー!ウチらのステージ!」

「続きましてラストステージを飾るのは、この学校の生徒九人で結成されたグループ」


「μ’sの皆さんです!」


ウオオオオオオ!
362 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 01:07:54.98 ID:2Lo9u+rk0
ことり「よしっ!いくよ!」

タッタッタッ

ことり「皆さんこんにちは!μ’sです!」

ことり「私たちμ’sは今日のために!今日のこのステージのためにダンスを練習し歌を作り、それを歌えるようにしてきました!」

ことり「笑いがあってちょっぴり涙があって、時に問題があったりしました!」

ことり「そんな大量の想いが詰まった今日の一曲、聴いてください!」



ことり「Wonderful Rush!」



ことり(辺りが静まった、スポットライトの光とことりたちの想いだけが輝くこのステージ、注目はもちろんステージに立つみんなと、センターのことりだった)
363 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 01:09:42.75 ID:2Lo9u+rk0
「Dan dan ココロ!Dan dan アツク!夢いっぱい叶えてみせるっ!」

「Dan dan ススム!Dan dan ハジケル〜!」


ことり「未来をしっかり見てっ!」


「Hi hi ススメ!まだまだLet's go!Hi hi ススメ!ほらほらlet's go!!」

ことり(歌が始まると同時に歓声が沸きあがった、一部の人はサイリウムを持ってたみたいで観客の間にはちらちらと光が見えた)

ことり(まだ始まりだというのに会場のボルテージはMAXといっていいほどだった)

ことり(ダンスも歌も完璧、このステージは見る人を魅了するパフォーマンスそのものだったと思う)
364 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 01:10:48.11 ID:2Lo9u+rk0
「これからのWonderful Rush!みんな幸せになるため〜!」

「新しい世界♪探し行こうよ〜!」

「迷ったらWonderful Rush!僕は〜輝きを信じて〜♪」

「遥か遠くの虹だけど…そうきっと掴んで!」

「uh〜hi!」

ワーワーワー!

ことり(会場の熱気は更に熱くなった、このステージでは汗も煌いて何もかもが輝きだしてたんだ)
365 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 01:11:24.30 ID:2Lo9u+rk0
「Hi hi ススメ!まだまだLet's go!Hi hi ススメ!ほらほらLet's go!!」


ことり「未来をつかまえて!」

にこ「人生気分で上下左右♪」

真姫「運命ときに急展開!」

花陽「最低↓!」

穂乃果「最高↑!」

希「最大↑!」

海未「最新↑!」


えりりん「Let's go!遠くに Super jump!!」ピョーン!


ことり(よく見れば観客の数は体育館じゃ入りきらないほどのフルだった、熱気が、歓声が、私たちの声が体育館の外にまで聞こえて、それにみんなつられてくるんだ)

ことり(時々歌って踊ってるとみんなと目が合う、それに合わせてウィンクをするんだけど、それだけで伝わってくるんだ)


ことり(今がどんなに楽しいか、見える瞳が全てを語ってるんだ)


ことり(それは言わずもさいっこうの、さいっだいの、さいっしんの本気のステージだった)

366 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 01:12:23.50 ID:2Lo9u+rk0
海未「大事だよ♪」

ほのえり「なんだっけ?」

花陽「小さな努力!」

のぞりん「そうだった!」

にこ「いまが好きで♪」

ことまき「愛なんだ?」

穂乃果「ぶつかるんだ!!」

うみえり「そうなんだ!」

希「勢いよくね♪」

りんぱな「大胆に?」

真姫「一生懸命!」

ことにこ「そうだった!」

絵里「勢いつけて♪」

ほのうみ「大胆に?」


「一生懸命だっ!!」


ことり(瞳と瞳を合わせて掛け合いのバトンタッチをした、笑顔も忘れてないよ)

367 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 01:12:57.83 ID:2Lo9u+rk0
「始まりのWonderful stage!みんな次の場所立つんだ〜♪」

「めぐり逢う季節〜新鮮な景色〜♪」

「胸はずむWonderful stage!ぼくが〜目指すのは綺麗な〜♪」

「遥か遠くの虹だから…さぁ、出発だよっ!!」


パチンッ


ことり「!」

穂乃果「?!」

真姫「うそ…」

絵里「こんな時に…!」

ことり(歌が止まった、照明が消えた、何かのトラブルだと思う)
368 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 01:13:54.13 ID:2Lo9u+rk0
ザワザワ ヤザワザワ

ことり(ざわつく観客とステージの上のみんな)

ことり「…」


ギュッ


ことり(ただ、ことりは焦らなかった)


ことり(心の中にあるのはただ一つの未来と答え)

ことり(口から出たものはことりの執念と想い)


ことり(あぁ、これなんだ、これが私のチカラなんだ)

ことり(なんで気付かなかったんだろう)

ことり(ことりのチカラって、こんなにもすごいものだったんだ)
369 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 01:16:10.52 ID:2Lo9u+rk0
ことり「すー…はー…」

ことり(ことりのチカラは)

ことり「…よしっ」

ことり(誰よりも明るく)

ことり「いくよっ」

ことり(誰よりも優しく)

ことり「はー…」

ことり(誰よりも楽しく)



ことり「Wonderful…♪」



ことり(みんなを幸せにすること!)



ことり(無理矢理を押し通して不可能を可能にすること!)


ことり(みんなを引っ張って楽しい未来を作ること!)


ことり(真姫ちゃんごめん、ここのWonderfulは真姫ちゃんのパートだったけど…今は…仕方ないよね)
370 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 01:16:38.40 ID:2Lo9u+rk0
ことり「…」チラッ

真姫「!」パチパチッ

ことり「ふふっ」

ことり(真姫ちゃんの方に向いたらウィンクをしてくれた、いいよって瞳が語ってた)

ことり「…」チラッ

にこ「!」コクンッ

ことり(次のパートはにこちゃんだ、にこちゃんに顔を向けてバトンタッチをした)

ガタンッ

ことり(スポットライトも照明も回復した、音楽は出ないけど熱気ならまだまだある)

ことり(もう、輝ける準備は出来てるよ)


ことり(もう、本気でやれる準備は出来てるよ!)

371 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 01:19:00.84 ID:2Lo9u+rk0
にこ「Wao!どうしようか?Dreams Come True!」

にこ「当然!Let's go!」


「Three!Two!One!ZERO!」


「Hi hi Super jump!Oh yeah Super jump!」

「Life is Wonder!まだまだ Let's go!」

「Hi hi Super jump!Oh yeah Super jump!!」


ことにこまき「Life is Wonder!Wonderful Rush!」


「はいっ!」

372 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 01:21:18.17 ID:2Lo9u+rk0
ことり「もっと近くで〜語りあいたいな〜♪」

ことり(ことりの想いはみんなに、観客に届いてるだろうか)

ことり「頷いた君とどこまで♪走ろうか〜?」

ことり(ことりの瞳は輝いてるだろうか)

真姫「果てまで〜♪」

ことり「走ればいいさっ♪」

ことり(ことりの心は限界を迎えてるのだろうか)

にこ「限界なにそれ?No Thank you!OK!」

ことり「Oh Yeah〜♪」

ことり(…うん、そうだよね)

ことり(限界なんてないよ、どこまでもずっとずっといける)

ことり(みんなとなら、出来ないことなんてないよ)

ことり(ことり、もう決まってたよ、穂乃果ちゃんがずっと傍にいてくれたから、辛い時にそっと支えてくれたのは穂乃果ちゃんだったから)

ことり(この出逢いに再び感謝して、この出逢いに一生の運命を感じて、この出逢いを無駄にしない)
373 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/14(木) 01:21:49.75 ID:RcfUbAUSO
正直歌詞そのまま載せるのはどうかと思うんだよな
374 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 01:23:43.90 ID:2Lo9u+rk0


ことり(ことりは一生、幸せでい続ける!)


ことり(絶望にも負けない!一人じゃないから!みんなを笑顔にしてみせる!一人じゃないから!)

ことり(穂乃果ちゃんがいなくても笑ってみせる!一人じゃないからっ!!)


ことり(だから…ことりの隣、ずっと歩いてくれるよね?)


ことり「みんな…」


「心配いらない All right!!」


ことり「!」

絵里「当たり前でしょ?」

希「いつでも一緒やん♪」

にこ「しょうがないわねぇ…」

凛「凛はいつでもみんなと一緒だよ!」

花陽「私だって!」

真姫「多少の無理くらい突っ走ってやりましょうよ!」

海未「私たちは、九人で一つですから!」


穂乃果「ことりちゃん、私もずっと一緒だよ!」

375 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 01:24:31.80 ID:2Lo9u+rk0
ことり「えぇ?!みんな…どうして…?」

海未「ことりの考えてることくらいわかりますよ」

絵里「ねっ」

希「ねー」

ことり「えぇ?!そ、そんなわかりやすかったかな…」

にこ「ええわかりやすすぎよ」

真姫「…でもわかりやすすぎるからこそ」

凛「ことりちゃんの本心が聴けた!」

花陽「私たちも後に続くよ!」

穂乃果「いこう!」


ことり「みんなっ…!」


ポロポロ…


ことり(このみんなのところが、ことりがいるべき場所だってこと、痛いほど感じた)

ことり(幸せすぎて涙が出てきた、涙を流しながら思ったんだ、誓ったんだ、決意したんだ)
376 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 01:26:18.78 ID:2Lo9u+rk0


ことり「このステージ、踊り切るよ!」


「うんっ!」


〜〜〜♪


ことり(歌が流れ出した、さいっこうのタイミングだよ)


ことり(これなら、精一杯輝けるねっ!)


「これからのWonderful Rush!みんな幸せになるため〜♪」

「新しい世界〜♪探しに行こうよ〜♪」

「迷ったらWonderful Rush!僕は輝きを信じて〜♪」

「遥か遠くの虹だけど〜」


「いつか手にする!」

377 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 01:27:03.91 ID:2Lo9u+rk0
「Wonderful stage!みんな次の場所立つんだ〜♪」

「めぐり逢う季節♪新鮮な景色〜♪」

「胸はずむWonderful stage!僕が目指すのは綺麗な〜♪」

「遥か遠くの虹だから…さぁ、出発だよ!」

「uh〜hi!」


「Dan dan ココロ!!Dan dan アツク!!夢いっぱい叶えてみせるっ!!」

「Dan dan ススム!!Dan dan ハジケル〜!!」



「未来をしっかり見てっ!!」



「Uh〜Hi!!」


ワアアアアアアアア!ウオオオオオオオオ!


ことり「ありがとうございました!」

アンコール!アンコール!アンコール!

ことり「ええ…アンコール…?!」

真姫「歌用意してないわよ?」

絵里「困ったわね…」
378 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 01:27:53.57 ID:2Lo9u+rk0
ことり「どうする…?穂乃果ちゃん…」

穂乃果「…ふふふっもう決まってるんじゃない?」

にこ「え?」

穂乃果「ことりちゃんはもうどう答えるか、心の中で決心がついてると思うんだけど違うかな?」

ことり「…ふふっ正解」

海未「なんだ、でしたらそれを言ってくださいよ」

ことり「…いいの?」

希「渋る必要なんてないよ、主役《センター》はことりちゃんだよ?」

ことり「…うん!」


ことり「皆さん!」


ことり「大変申し訳ないのですが今日はアンコール用の曲を用意してなかったのでアンコールをすることは出来ません!」


花陽「えぇ?!そういう?!」

凛「意外にゃ…」
379 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 01:29:00.50 ID:2Lo9u+rk0


ことり「ですが!安心してください!」



ことり「次回のステージは文化祭!」



ことり「文化祭で皆さんが楽しめるパフォーマンスをご用意しておきますので、文化祭も是非!」


ことり「私たちのステージを見に来てください!」


ワアアアアアアアアアアア!!


ことり「えへへ」

希「なるほど」

絵里「いい答えじゃない」

凛「おお!ってことはまた出来るんだね?!また踊れるんだね?!」

真姫「ええ」
380 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 01:29:37.33 ID:2Lo9u+rk0
海未「あはは…ことりらしい…んですかね」アハハ

花陽「これはまた頑張らないといけませんね!」

穂乃果「ことりちゃん、やっぱりすごいよ」

ことり「えへへ、そうかな?」

穂乃果「うんっ!」


「μ’sの皆さんありがとうございました!素晴らしいダンスと歌でしたね!」


ことり「いこっか」

穂乃果「うんっ!」

海未「はいっ!」

スタスタスタ

ことり(ステージ裏に戻りほっと一息をついた)
381 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 01:30:39.35 ID:2Lo9u+rk0
絵里「お疲れ様!最高のステージだったわ!」

希「ねっ!」

海未「歌とかが無くなった時はどうなるかと思いましたがことりのおかげで助かりましたね」

真姫「ありがとう、ことりのおかげで乗り切れたわ」

ことり「ううんいいのいいの!」

凛「次回も頑張るよー!」

にこ「ええ!」

花陽「もちろんだよ!」

絵里「次回は三曲くらいやっちゃう?」

海未「えぇ?!それは負担が大きいのでは…?」

真姫「私は別にいいわよ?」

希「おっじゃあやっちゃう?」


「あははははは!」


ことり(みんなで笑うのも束の間、とうとうの魔法が解ける鐘も間近なようだった)
382 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 01:31:50.70 ID:2Lo9u+rk0
穂乃果「!」

ことり「穂乃果ちゃん…!それ…!」

穂乃果「…終わりが近づいてるんだ」

穂乃果「…行かなきゃ」ダッ

絵里「あ、穂乃果?!」

ことり「っ!」ダッ

海未「こ、ことり?!」

タッタッタッ!

ことり「どこいくの?!」

穂乃果「神社だよ!帰りはあそこだから!」

ことり「…!行っちゃうの…?」

ピタッ

穂乃果「…うん、ごめん」

ことり「……そっか、じゃあ最後までついてっていい?」

穂乃果「……うん、いいよ」

タッタッタッ!

ことり(穂乃果ちゃんの背中を追いかけた)

ことり(ライブ後だというのに穂乃果ちゃんの足は速くて、時々追いつけなくなりそうな時があった)

ことり(ことりの後ろにみんなの姿はなかった、Wonderful Rushの衣装を着たままで街中を二人で駆け抜けてた)

ことり(出し物の方はどうなったのかな、MVP取れたかな)


ことり(…取れてるといいな)

383 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 01:33:12.49 ID:2Lo9u+rk0
「えぇ〜MVPの発表です!」

ザワザワ ザワザワ

「MVPは…」


「μ’sの皆さんです!」


オオオオオオオオ!!


「それではμ’sの皆さんに登場していだきましょう!」

「どうぞ!」

シーン…

「…あれ?」

ことりママ「うふふふっごめんなさい、ちょっとμ’sの皆さんは席を外してて」

「理事長!?」

ことりママ「代わりに、センターの南ことりさんから皆さんへ向けてのメッセージを預かっています」

ことりママ「えー今回はMVPになった感想の代わりとしてこれを読ませていただきますね」
384 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/14(木) 01:33:31.52 ID:2Y+zrNoY0
台詞に歌詞を使うのやめた方がいいよ
385 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 01:34:02.45 ID:2Lo9u+rk0
ペラペラ

ことりママ「では読みます」


「皆さん、この度は私たちμ’sのステージを見ていただき誠にありがとうございます」

「大変申し訳ないのですがおそらく今この場には私たちμ’sはいないと思います」

「ですから感想をいうことは出来ませんが、ちょっとしたお話を皆さんに聞いてもらおうと思ってこのメッセージを残しました」


ことり「穂乃果ちゃんまってぇ〜…」

穂乃果「ほらほらっ!速く速く〜!」

386 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 01:35:00.99 ID:2Lo9u+rk0
「今回歌ったこのWonderful Rushという歌はみんなに楽しい未来があるんだよ、という想いを込めた歌です」

「だから曲も歌詞もとにかく元気で、明るいモノにしたんです」

「ですが元々、この歌にはちょっとした秘話があるんです」


穂乃果「後半分!」

ことり「速いよぉ〜…」

387 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 01:36:11.52 ID:2Lo9u+rk0
「始まりは二週間前、私はとある大切な親友と出逢いました」

「久々の再開に胸をはずませました、そしてその親友がいたことにより毎日がものすごく楽しくなって、いつしか時を忘れてしまったんです」

「そんな中で丁度再開してから一週間が経ったとき、その親友からこんなことを言われました」


「私は後一週間しか生きれない、と」


ザワザワ ザワザワ


穂乃果「…クレープ買ってこうか!」

ことり「い、いいの?」

穂乃果「うん!いいよ!私が奢るよ!」

388 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 01:36:50.14 ID:2Lo9u+rk0
「私は酷く絶望しました、その一週間の余命に私はどうすることも出来なくてただ死に近づく時間に恐怖を感じていました」

「そんな時、私の他の親友がこんなことを言ってくれたんです」


「残り一週間しかなくてどうにもできないなら、その一週間で精一杯楽しむのがその人の為でもあって自分のためでもある、と」


「その言葉は心にグサッと刺さりました、そして同時にこれだ、と思いました」

「その後、その親友と思いっきり遊びました」

「カラオケにいってゲームセンターによってコスプレをしてそしてこうやって歌とダンスをして…」


穂乃果「…もうすぐだね」

ことり「…そうだね」

389 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 01:37:28.26 ID:2Lo9u+rk0


「…それでお気づきの方もいるかもしれません、その親友の命日は今日なんです」


ザワザワ ザワザワ


「だから、その親友のためにさいっこうのステージを踊りたかった」

「そしてその親友のさいっこうの舞台を用意したかった」

「ここまで聞いて何の話だ、って思うかもしれませんがこの会場を皆さんが盛り上げてくれたこと、大いに感謝します」

「皆さんのおかげで親友のために、さいっこうのステージでライブをすることが出来ました」

「だから、このメッセージを聞いてる今はきっと私はその親友と会ってるのだと思います」

「勝手ながら申し訳ないありません、今ここにμ’sがいないのは私の我が儘です」

「ライブの最後に言った通り、次のステージは文化祭です」


「その時にまた、皆さんに会えるのをお待ちしております」


ことりママ「…以上です」

390 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga !red_res sage]:2017/09/14(木) 01:38:26.40 ID:RcfUbAUSO
歌詞載せるのはアウト
391 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 01:40:02.20 ID:2Lo9u+rk0
タッタッタッ!

穂乃果「…ついたね」

ことり「…うん」

穂乃果「…!」

ことり「ほ、穂乃果ちゃん…!」

ことり(穂乃果ちゃんの体は更に透けてた)

ことり(まだ触れられるけどもうちょっとしたら、完全に消えてしまいそうだった)

ことり「穂乃果ちゃん…!」


ことり「ほのがぢゃん!!」


ポロポロポロ…


穂乃果「ことりちゃん…!泣かないでよ…ッ!!」

穂乃果「いきなり神社にきて…そんな…泣かれたら…私だって…」ギリッ


ポロポロ…

392 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 01:41:27.50 ID:2Lo9u+rk0
ことり「ふぇええええええええん!!!」

穂乃果「うわああああああああ…!」

ギューッ

ことり「もっと一緒に…!もっと一緒にいたいよぉ…!!」

穂乃果「私だって…!私だってもっといたいよ…!」

ことり「ねえ行かないでよ…!!行かないでよ!!」

穂乃果「無理なんだよぉ…うえええぇぇん…!!」

穂乃果「この二週間…さいっこうに楽しかったね…!」

ことり「うんっ…!」

穂乃果「いっぱい遊んでいっぱいバカやっていっぱい本気を出した…!」

穂乃果「もっともっと遊びたかったね…!!」

ことり「うんっ…!!」

ことり(涙を堪えようとしても無限に出てくる涙を止めれなかった)

ことり(もう泣かないって密かに決めてたのにどうして別れというのはこんなにも切なくて心にくるんだろう)

ことり(段々と感触が薄れる穂乃果ちゃんの体、それでもことりはまだ穂乃果ちゃんの体を必死に掴んでた)
393 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 01:42:40.70 ID:2Lo9u+rk0
ことり「穂乃果ちゃん…穂乃果ちゃん…!」

穂乃果「ことりちゃん、私ことりちゃんのことだいっすきだよ…!」


穂乃果「世界で一番好き…!宇宙で一番好き…!!前世でも前前世でも来世でもずっとずっと一生いっちばん大好き!!!」


ことり「ことりだって穂乃果ちゃんのことが大好き!!」


ことり「世界で一番!この世で一番!宇宙で一番!どこの時代の誰よりもずっとずっとずーっと大好き!!!」


ヒラヒラヒラ


ことり(花びらが舞ってた)

ことり(もう、終わりなのかもしれない)

ことり(ただ、皮肉にもこの若干オレンジ色の空に赤い花びらが舞うこの光景は綺麗だった)

ことり(ことりたちの叫びも“何か”と共鳴してどこまでも木霊してた)
394 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 01:43:36.39 ID:2Lo9u+rk0
穂乃果「この世界での出逢い、ずっと忘れないよ!」


穂乃果「私という花とことりちゃんという花が出逢った奇跡!」


穂乃果「花びらとして舞い、その花びらが重なった奇跡!!」


穂乃果「私は一生忘れない!来世になっても絶対に忘れない!」


ことり「ことりだっておんなじだよ!!」


ことり「穂乃果ちゃんはことりの運命の人だよ!」


ことり「来世でも絶対に会おうね!」


穂乃果「もちろん!」

タッタッタッ!

ことり「あ、穂乃果ちゃん!」

ことり(突然走り出して門の下をくぐりことりと穂乃果ちゃんが出逢ったあの場所に辿り着いた)
395 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 01:44:55.14 ID:2Lo9u+rk0
穂乃果「…えへへ、もう時間みたい」

ことり「…!」ウルッ

穂乃果「さよならは…言わないよ」


穂乃果「来世でまた逢うんだもん…でも、やっぱり言うよ」


穂乃果「さようなら」


ことり「!」

ポロポロ…

ことり「うぅ…ぐすっ…ひぐっ…」ゴシゴシ

穂乃果「…勘違いしないでね、さようならっていうのは」


穂乃果「いつかまたねの意味だよ」


ことり「えっ…」

穂乃果「きっと私が消えたら世界はまた、私が死んだ世界に戻ると思う」


穂乃果「でも、消えないよ」


穂乃果「私がこの二週間に残した軌跡と想いは、どこにもいかない」

穂乃果「ことりちゃん自身が持ってくれてるしこの世界にも形として残ってるし」

穂乃果「ことりちゃん、最後にもう一度だけいうね」



穂乃果「大好きだよ、ことりちゃん」


396 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 01:45:23.68 ID:2Lo9u+rk0
キラキラ


ことり「!!」

ことり「ほ、穂乃果ちゃん!」

穂乃果「ありがとうことりちゃん、この二週間は私の宝物」

穂乃果「あ、あとこれだけは忘れないで」


穂乃果「私はいつでもことりちゃんの傍に――――――――」

397 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 01:46:12.94 ID:2Lo9u+rk0




「いるからね♪」



398 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 01:47:05.71 ID:2Lo9u+rk0
キラキラキラ…


ことり「穂乃果ちゃん…!」

ことり「…うああああああああ…!」

ことり「ああああああああああああああ!!!」

ことり「うぅうおぇっ…ひっ…うぐぅ…!!」

ことり(穂乃果ちゃんは消えた)

ことり(穂乃果ちゃんと踊って歌って最高に楽しんだのにどうしてことりの心はこんなにも悔しがってるんだろう?)


ことり(なんでこんなにも涙が出るんだろう?)

399 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 01:48:46.82 ID:2Lo9u+rk0
ことり「ひっ…ぐすっうっ…」

ことり「うはあはあああああん…」

ギューッ

ことり「!」

ことり(大きな声を出してただ泣いてた時、後ろから誰かが肩に手をかけるよう優しく抱きついてきたんだ)


ことり「海未…ちゃん…?」


海未「何があったかわかりませんが、きっと辛いことがあったんでしょう?」

ことり「うぅ…うん…!」

海未「そうですか…」


ギューッ


ことり「…」

海未「今は…何も言いません…」

海未「今は…」


海未「本気で泣いてもいいですよ…?」


ことり「…うぅ…うああああああああ…!」

ことり(その時は海未ちゃんに抱き着いてずっと泣いた)
400 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 01:50:36.56 ID:2Lo9u+rk0


海未「…パーティーでもしましょっか!」



ことり「…ぅえ?」



海未「泣いてたら穂乃果も悲しみますよ!ほらっ!早く早く!」



ことり「わわわー!」



ことり(その後はみんなでパーティーをした、あまりことりは盛り上がれなかったけどそれでも楽しさだけは伝わってきた)

ことり(だから、穂乃果ちゃんがいない今でも楽しいという感情を感じられるのだから)



ことり(ことりもまた、この人生を楽しく生きないとね)


401 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 01:51:43.91 ID:2Lo9u+rk0
〜一ヶ月後

キーンコーンカーンコーン

ことり「さよならー!」

タッタッタッ!

海未「あ、ことり!明日忘れないでくださいよー?」

ことり「はいはーい!」

タッタッタッ!

凛「あ、ことりちゃん!」

ことり「凛ちゃん!どうしたの?」

凛「えへへーねえ見てよ見てよ〜この白いワンピースの凛!!」

ことり「おお!可愛いいい!!」

凛「えへへ…ことりちゃんのその言葉が聞きたくって〜」デレデレ

ことり「可愛いよ!凛ちゃん!」

花陽「ま、待って〜!」

真姫「こらー!その姿で学校中を走り回るなー!」

凛「えへへ〜ごめんねことりちゃんに見せたくて!」

真姫「まったく…」
402 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 01:52:39.59 ID:2Lo9u+rk0
花陽「ことりちゃんは今帰るところ?」

ことり「ん?んーまぁ10分程度だけど用事があってね」

花陽「…?よくわからないけどそっか」

絵里「あ、ことり!」

ことり「あ、絵里ちゃんどうしたの?」

絵里「…今日何の日か分かる?」

ことり「…え?分からない」

真姫「なんかあったっけ?」

花陽「なんかの記念日とか?」

凛「あ、誰かの誕生日?!」

絵里「ちっがーう!今日はお泊り会する約束だったでしょ!真姫の家で!」

真姫「…あ、そうだった」

ことり「そうだったー?!」

凛「え、みんな忘れてたの?」

花陽「私も度忘れしてた…」
403 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 01:53:37.16 ID:2Lo9u+rk0
絵里「もー!せっかくの楽しみが無に帰すところだったわよ!」

ことり「あははごめんね?家に帰ってすぐ準備するね!」

絵里「え、ええ」

凛「じゃあ凛も準備してこよっとー!」

真姫「あ、その着替えてから外に出なさいよね!」

凛「わかってるー!」

花陽「じゃあ私も準備するね、そのまま真姫ちゃんの家向かえばいいかな?」

真姫「え、ええいいわよ」

花陽「分かった、じゃあね」

ことり「うん!ばいばい!」

絵里「よしっこれで」


希「後は希だけね!」


絵里「そうそう!」

絵里「ってあれ?!」

希「ふっふ〜んえりちの探してるのんたん登場やで〜」
404 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 01:54:03.12 ID:2Lo9u+rk0
ことり「希ちゃん!」

希「お泊りならバッチリ覚えてるから安心しとき〜」

絵里「ならいいけど…」

ことり「じゃあとりあえずことりはいくね!」

希「ほーい」

絵里「真姫の家よ〜」

ことり「はーい!」

タッタッタッ!
405 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 01:54:29.77 ID:2Lo9u+rk0
希「…最近のことりちゃん、変わったね」

絵里「ええ、ものすごく変わったわ」

希「まるで穂乃果ちゃんみたいやん」

絵里「ええ、穂乃果みたい…だけど厳密にいえば違うのかしら」

希「…そうやね、ウチもそう思う」

絵里「なんか、ことりの姿をみてると私も頑張らなきゃって思うのよ」

希「奇遇やね、ウチもそうなんよ」


絵里「…あれがことりのチカラなのかしらね」

406 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 01:54:57.23 ID:2Lo9u+rk0
ことり「ふふふっ」

ことり(穂乃果ちゃんがいなくなって一ヶ月が経った)

ことり(穂乃果ちゃんが消えちゃったのは悲しかったけどもう大丈夫、今ではみんなと仲良く過ごしてる)

ことり(そして一ヶ月経った今でも、あの二週間を鮮明に覚えてる)


ことり(忘れるはずのないさいっこうの二週間を)


ことり(喜怒哀楽だけじゃ表現出来ない多すぎて激しすぎる感情の数々とみんなで笑いあったあの光景)

ことり(寂しくなったらその二週間を思い出してる)

ことり(それだけ大事な人との記憶だったから)
407 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 01:55:37.54 ID:2Lo9u+rk0
真姫「ことり!」

ことり「!」

ことり「真姫ちゃん?」

真姫「ねえ突然だけど話を聞いてくれない?」

ことり「う、うんいいけど」


真姫「私ね、このグループにはもう一人、誰かがいたような気がするのよ」


ことり「!」

真姫「そう考えると心にぽっかりと穴が空いたような感覚がするの」

真姫「それでこの感覚は何なんだろうと思って…」

ことり「…」

ギューッ

真姫「うぇっ?!どうしたのことり…」

ことり(真姫ちゃんは感覚で覚えてるんだ)

ことり(あの二週間を、本物ではあったけど幻でもあったあの二週間を)

ことり(だから、ことりはそっと抱きしめた)
408 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 01:56:54.87 ID:2Lo9u+rk0
ことり「…九人いたのかもしれないね」

ことり「九人…うん、でも今は八人だから」


ことり「真姫ちゃんのその心の穴はことりで埋めて?」


ことり(ことりはそう言った、この世界に穂乃果ちゃんはもういない)

ことり(だからことりが頑張っていく)



ことり「…お参りしてこっと」

スタスタスタ

ことり「…よしっ」

ことり(真姫ちゃんと別れ、正門を抜け少し歩いて階段を上り境内に入った)

ことり(もう、悲しさなんてないよ)

ことり(今でも穂乃果ちゃんが近くにいてくれるから、何も悲しくなんかない)
409 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 01:58:10.19 ID:2Lo9u+rk0
ポツ…ポツポツ…

ことり「ひゃっ?!あ、雨?!」

ことり(デジャヴを感じる突然の雨、梅雨も終わったと思うんだけどそれはそれは奇妙な雨だった)

ザーザーザーザー…

ことり「…ふふふっ」

スタスタスタ

ことり(ただ、今日の、今のことりは違う)

ことり(雨も素直に受け止めることりだから、“歩いて”お賽銭に向かった)

ことり「うひゃあ…結構濡れちゃったなー…」アハハ

ことり「ま、とりあえず!」

チャリン…パン…パン!

ことり「………」

ことり「…うん、これで穂乃果ちゃんも安心だね」

ことり「…」

ことり(“隣、いいですか?”という言葉を待ってたことりがいたのかもしれない)

ことり(あの時はそうだった、穂乃果ちゃんが突然現れてそれでそれで…)

ことり(…ふふふっなんでこんなに焦ってるんだろう)
410 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 01:59:23.53 ID:2Lo9u+rk0
ことり(穂乃果ちゃんには感謝しないといけない)

ことり(穂乃果ちゃんがことりに残したもの)



ことり(それは“今”という現実の宝物)



ことり(今がすごく楽しい、今がすごく面白い)

ことり(さいっこうの人生だよ、ことりの人生は)

ことり「…」

ことり(ねえ穂乃果ちゃん、今ことりの近くにいるのかな?)

ことり(ことり、すごく楽しく生きてるよ)

ことり(“あの時”とは違うよ)

ことり(それもこれも全て、穂乃果ちゃんのおかげだよ)
411 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 02:00:28.27 ID:2Lo9u+rk0
ことり「すぅ…」



ことり「雨、止めー!!!」



ザー…ポツポツ……ポツッ…

キラキラキラ…

ことり「わぁ…?!」

ことり(ことりの想いよ、時を超え永遠に響け)

ことり(喜び、悲しみ、怒り、楽しみ、全ては花びらであること)

ことり(ことりはまだ“花”であること)


ことり(これから咲き誇っていこう)


ことり(これからまた花を咲かせよう)

412 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 02:01:47.76 ID:2Lo9u+rk0
ことり(そして明日も)

ことり(明後日も)

ことり(来週も)

ことり(再来週も)

ことり(来月も)

ことり(来年も)

ことり(十年後も)

ことり(来世も)

ことり(来来世も)

ことり(来来来世も)

ことり(来来来来世も)

ことり(その先の未来時代永劫にずっとずっとずっとずーっとずーっとずーっっと!)
413 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 02:02:31.02 ID:2Lo9u+rk0



ことり「たまたまだよね、きっと」


414 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 02:02:59.79 ID:2Lo9u+rk0


ことり(穂乃果ちゃんの傍で――――――――――――)




ことり(――――――――花になろう)




END
415 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 02:05:25.07 ID:2Lo9u+rk0
ということで終わりです
ここまで見てくれた方本当にありがとうございました
次回もまたよろしくお願いします
https://i.imgur.com/ejtUfum.jpg
416 : ◆iEoVz.17Z2 [sage]:2017/09/14(木) 02:06:11.77 ID:2Lo9u+rk0
それと歌詞の指摘してくれた方ありがとうございました
以後気を付けます
417 : ◆iEoVz.17Z2 [sage]:2017/09/14(木) 02:09:56.52 ID:2Lo9u+rk0
最後に、良かったら前作と前々作もよろしくお願いします

凛「天使と悪魔…?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1500395007/

海未「二つの光に導かれて」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1496426196/
418 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/14(木) 02:24:40.52 ID:MPtMXzQ2O
ORANGE RANGEかな?
419 : ◆iEoVz.17Z2 [sage]:2017/09/14(木) 02:30:41.43 ID:2Lo9u+rk0
<<418 そうですそうです!
言い忘れてましたがORENGE RANGEの「花」という歌と「いま、会いにゆきます」という作品から色々もらってます
展開はオリジナルなのでネタバレにはならないかなと思います
420 : ◆iEoVz.17Z2 [sage]:2017/09/14(木) 02:32:44.88 ID:2Lo9u+rk0
>>419 失礼>>418
421 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/14(木) 06:41:54.54 ID:i7WcVoaqo
1ヶ月で400レス分か
筆早いな
422 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/14(木) 08:02:35.31 ID:9IYr4pszO
長すぎて読んでないけどこんだけ書けるのは羨ましい
423 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/14(木) 15:41:59.60 ID:tkIbcBcUO
面白い。またよろしく。
424 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/14(木) 19:37:34.33 ID:0EuLcdhzo
読んでないけどよかったよ
425 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/15(金) 01:23:48.05 ID:aC1HG+qDO
×再開
○再会
426 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/15(金) 13:08:36.05 ID:KsHMd3V30
乙でした
気が早いけどまたss書き頑張れ
427 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/18(月) 10:21:53.64 ID:vMbqJo+uO
乙です
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