ミリオンデイズ

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14 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2017/09/25(月) 23:35:34.42 ID:53XBMd0+0

「――で、お嬢さんはわざわざなんの用だい?」

扉を入ってすぐの壁際。静かに佇んでいた志保が、彼の問いかけに口を開く。

「途中でやって来た私より、静香を追いかけた方が良いんじゃないですか」

ところがそう言う志保の口元が微かに笑っていることを、彼は見逃したりなんてしなかった。

「またまたそーんなこと言って。順番、待ってたんだろう?」

「……私がここで聞いてたから、怒って出て行ったんですよ?」

呆れたように肩をすくめ、志保がプロデューサーの前までやって来る。
すると彼は、椅子の背もたれに持たれるようにして頭の後ろで手を組むと。

「だからさ。わざとからかって切り上げたの……じゃないと忙しい志保が、いつまでも用事を話せないし」

「私は別に、待つことぐらい苦じゃないです」

「志保に割り込んで来るだけの図々しさがあったなら、俺もこーゆーことなんてしないけどな」

「だから、その気遣いが余計だって。……大体、こっちの用事は最悪メールで済ませられますから」

余所行きの素っ気なさを装った、志保の言葉にプロデューサーがくっくと笑う。
「一体何がおかしいんです?」と、彼女が眉をひそめて訝しそうな顔になる。

「私、ワケもなく笑われるってイヤなんですけど」

「ああ、ごめんごめん。あんまり志保が可愛くてさ」

「……そう言う軽口を叩かれるのはもっとイヤです」
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