W号戦車「ドゥルルルルルルン……!?」 エリカ「貴女の名は」

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88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/28(土) 23:22:08.81 ID:pMImErVXo
 





絶望と爆炎を乗せて、203高知へと着弾した。






 
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/29(日) 00:23:28.63 ID:v++O7ijAo

一体どこで間違えたのか。

一体何が悪かったのか。

一言で言えれば、何か一つに押し付けられたら、きっともっと楽なのだろう。

今まで使用が禁止されていたものを、ロクに練習もせず軽率に持ち出したことも悪かった。

今まで使われなかったのも納得な高すぎる威力もいけなかった。

一応危険性は認識し、発射前にこちらの様子を双眼鏡ででも見て、それから着弾点を決めたのだろう。

それでも発射から着弾までラグはあるだろうし、双眼鏡で見ている人間と発射した人間もしくはその護衛が別人なら、更にラグは大きくなる。

それも、きっとこの悲劇の一因だ。

だが、まあ――一番の原因は、自動車部の連中の存在だろう。

試合中、高所を陣取った状況で、突然車外に出て整備を始める。

まともに動く戦車を使っている大学選抜チームには、出てこない発想だ。

移動中何か起こって足を止めたわけでもないのに、整備が必要となり外に出て来るなど、想定していなかったのだろう。

だから、工具を取ろうとしていてか、キューポラから身を乗り出してなかったポルシェティーガーが狙われたといったところか。

他にもM3など顔を出してない戦車はあったが、真っ先に潰すならポルシェティーガーあたりだろう。

まあ、だから、一言で言うと、不運が重なりすぎた。

そんな簡単な言葉で片付けられないけど。

いや、そもそも、言葉なんて何も出なくて、ただ叫び声を上げるしかできなかったのだけど。

とにかく、私の目の前で――



ポルシェティーガーに跨った自動車部の連中が、爆炎に巻かれ、何か言葉を発することもなく肉塊へと成り果てた。
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/29(日) 00:24:15.16 ID:jARwkN5eo
ええ…
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/29(日) 00:31:23.77 ID:v++O7ijAo

麻子「っ!」

麻子「よせソド子!!!」

最早誰だか分からない、炎に巻かれた人間の悲鳴で我に返った。

きっと他の連中もそうだろう。

不幸にも、大洗の連中は、人が良すぎた。

区別のつかないおかっぱの奴らが戦車を飛び出し、炎に巻かれた人間を救おうとする。

他にも何人か、反射的に飛び出したヤツがいたようだった。

みほ「ダメ……」

みほ「戦車から出たら――――」

声は届かない。

空から降ってきた流れ星は、あまりにも威力が高すぎた。

爆発による土煙は、肝心要の爆心地を覆い隠す。

恐らく想定していなかったであろう地獄が展開されていることも。

あの爆発を見てなお戦車を飛び出す阿呆がいるということも。

全て全て、覆い隠してしまう。

そして――二発目。
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/29(日) 00:33:05.47 ID:vTQuqJbCo
という夢を見たとかだったらつまらんぞ
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/29(日) 00:41:03.30 ID:jARwkN5eo
唐突な君の名は要素
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/29(日) 00:41:29.62 ID:jzgCx/GxO
ワロタ
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/29(日) 00:44:06.87 ID:v++O7ijAo

悲鳴。絶叫。また悲鳴。流星。悲鳴。爆音。悲鳴。

みほ「あ、ああ……」

助けようとする者。逃げようとする者。動けない者。

様々だった。そして、例外なく、地獄であった。

優花里「に、西住殿!」

沙織「ど、どど、どうしたら……」

血と、死と、絶望の臭い。

戦車道では無縁のはずだった、肉が焼けるような臭い。

もう、どうしようもない有様になってしまっていた。

それでも。

エリカ「――――――っ!」

エリカ「また次が来るッ……!」

エリカ「次はこっちよ、早く中に入――――」

せめてあの子には。

自分に乗っている連中くらいは、生かしてやりたかった。

それでも。

優花里「西住殿――?」

みほ「……ごめんね……」

最後に見たあの子の顔は、黒森峰から消える日の前日と同じ、諦めと絶望に満ち溢れていた。
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/29(日) 00:56:32.71 ID:v++O7ijAo

何を言えばいいのか分からなかった。

どうすればこの絶望から一時でも立ち直らせてあげられるのか分からなかった。

何かを言った所で、あの子の耳には届かなかったのだろうけど。

エリカ「――――――――」

轟音と共に、全身が引き千切れたかのような痛みに襲われる。

きっとこれが人間の身体なら、痛みだけで泡を吹きのたうち回っていただろう。

カーボン加工されていても、痛いものは痛いのだ。

エリカ「…………!」

でも――カーボン越しの爆破なんかよりもずっと。

胸の辺りで引き千切れ、炎を纏ったあの子の体を見せられた時の心の方が、ずっとずっと痛かった。

みほ「…………」

炎の隙間から覗く、生気のない、絶望に満ち溢れた瞳。

それが、更なる一発による痛みで意識を失う直前に見た、最後の光景となった。
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/29(日) 00:56:43.37 ID:3bhB0X3RO
始めて生で見たけどやっぱ面白いな
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/29(日) 00:57:53.00 ID:v++O7ijAo






 ☆  ★  ☆  ★  ☆





 
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/29(日) 01:02:55.11 ID:v++O7ijAo

エリカ「あああああああああああああああああああああああああっ!!!」 ガバッ

小梅「うわあっ!」 ビクッ

エリカ「……はあ……はあ……」

小梅「……大丈夫?」

小梅「うなされてたけど……」

飛び起きると、見慣れた自分の部屋だった。

……特殊カーボンに守られ、いつものように、私一人だけ生還したのだ。

W号戦車が守ってほしかったであろう大洗女子学園どころか、あの子達の誰ひとりとして守れずに、一人だけ。

エリカ「……っ!」

最後の光景がフラッシュバックする。

せり上がってくる胃液に絶えられず、弾かれたようにベッドを飛び出した。

足に力が入らずに、ガクリとその場に崩れ落ちる。

激痛の記憶がまだ残っている。

体にはダメージがないはずなのに、意識としてダメージを認識してしまっているため、肉体的にもダメージが現れてきたということか。

エリカ「うっ……うぇぇぇ……」

せり上がってきたものを、堪えきれずカーペットへと撒き散らした。

入れ替わり中に散々吐いていたのか、出てきたのは透明な液体が少々だけだった。
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/29(日) 01:10:43.72 ID:v++O7ijAo

小梅「だ、大丈夫……?」

大丈夫なはずがない。

それは赤星にも分かっているのだろう。

普段ならあんな花京院みたいな飛び起き方をしてたら小ボケでも挟んでくるところだ。

それをしないということは、それ相応に大丈夫そうじゃない顔をしているのだろう。

エリカ「……」

全身が痛い。

記憶も鮮明。

胃袋の中身も恐らく空っぽ。

激痛のあまり緩んだのか、恐怖のせいか、パジャマとぱんつもぐっしょりだ。

何もないのに、そこまでの醜態を晒すはずがない。

エリカ「……テレビ……」

――間違いなく、あの惨撃は夢じゃない。夢じゃないのだ。

エリカ「テレビを……つけて……」

ならば――確認しなくては。

あの子は死んでしまった。

それでも、W号の中には、まだ四人もいたはずだ。

私は――W号は、せめてその四人だけでも守れたのだろうか。

確認しなくては。逃げずに、確認、しなくては。
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/29(日) 01:31:27.97 ID:v++O7ijAo

テレビ『パワフルニュースの時間です』 ティロリーン

テレビ『本日の試合は10対1で横浜ベイスターズが33−4へと一歩近づく結果となりました』

テレビ『注目選手となっていたパワプロ選手は5打数4安打2HRと絶好調も、打率を下げています』

エリカ「ちゃ、チャンネル……」 ピッ

テレビ『今日のわんこ♪』

テレビ『今日のわんこは、秋田県の銀ちゃん』

テレビ『凶暴な人食い熊・赤カブトに立ち向かうほど、とってもわんぱく』

エリカ「……」 ピッ

テレビ『次のニュースです』

テレビ『不動高校で起きた殺人事件に関して、校長は』

エリカ「……」 ピッ

テレビ『本日の天気予報です』

テレビ『福岡県は晴れ、佐賀県と長崎県では曇り、熊本県は曇りのち雨、思い出はいつの日も雨となることでしょう』

エリカ「……」 ピッ

小梅「……」 オロオロ

エリカ(……テレビではやってない……) 

エリカ(ネットニュースなら……) スッスッ

エリカ「……」

エリカ「……」

小梅「あ、あの……」

エリカ「……どういうことなの……」

小梅「……え?」

エリカ(あの事件が……記事になってない……?)
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/29(日) 01:38:01.43 ID:v++O7ijAo

エリカ(もみ消し……?)

エリカ(いや、それが可能な規模なんかじゃない)

エリカ(少なくとも、試合を観戦していて、戦車道のお偉方とも密接な関係にあり、被害者の保護者である家元には伝わっているはず……)

エリカ(家元正式襲名前から影響力を持っていたのに、今では名実ともに西住流の家元よ……)

エリカ(もみ消すとしても、家元には絶対に伝わる……)

ガチャッ

小梅「あ、た、隊長!」

まほ「……ん。なんだ、起きたのか、エリカ」

エリカ「隊、長……」

エリカ(家元に伝わった以上、隊長にも何らかの形でアクションは絶対にあったはず……)

エリカ(そして、隊長は、そんな大事なことを、一人隠し通す人間じゃあない……)

エリカ(隠した方がいい、と判断するには、規模が大きすぎるもの……)

エリカ(絶対に……切り出してくるはず……)

まほ「……ひとまず、着替えるか?」

まほ「腹も減っただろう、朝食を持ってきた」

まほ「……相当うなされていたらしいからな、心配したんだぞ」

エリカ「……っ」

エリカ(この反応……)

エリカ(まるで、あの惨撃を知らないかのような……)
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/29(日) 01:45:23.15 ID:v++O7ijAo

エリカ「……」

エリカ(あれは、夢……?)

エリカ(いや、そんなわけがない……)

エリカ(痛みはしっかり刻まれてる……)

エリカ(それに、入れ替わりの時特有の状態だったのも間違いなさそう……)

エリカ(じゃあ、これは一体……)

エリカ(まず食事をさせて落ち着かせたら話を切り出すつもりかしら……)

エリカ(さすがに、秘密にされることは、ないと思う……)

エリカ(今はきっと嫌われてるし、こちらだって敵対しちゃっているけど……)

エリカ(それでも、去年は同じ釜の飯を食った、同じ副隊長なのだもの……)

エリカ(通夜は無理でも、葬式に顔を出させてくれるくらいは……)

エリカ「……」

エリカ「……」

エリカ「葬、式……?」 ハッ
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/29(日) 01:49:36.37 ID:/BEFeI2DO
Deファンのワイ、憤怒と共に糞でかため息
今日こそはネタにされんよう勝ってほしい…
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/29(日) 02:03:25.17 ID:v++O7ijAo

そこに思考が至ったのは、全くの偶然だった。

ひょっとすると、W号戦車に宿る魂のようなものが、そこに導いたのかもしれない。

エリカ「……隊長」

エリカ「ひとつ、お伺いしてもよろしいでしょうか……」

まほ「?」

まほ「なんだ?」

エリカ「……以前、私が長期的にこの病気で倒れた際……」

エリカ「お葬式をする所にまで、発展してしまってましたよね……」

まほ「あ、ああ……」

まほ「……お、怒ってるのか?」

エリカ「いえ……」

エリカ「ただ……」

エリカ「死んだと思った人間が生きていたので葬式中止、なんてことしたら、大事になったんじゃないかと思いまして……」

まほ「……まあ、そうだな……」

まほ「死因が死因だから黒森峰の関係者しか呼んでなかったから、外には漏れていないが……」

まほ「それでも各方面に訂正の連絡を入れたりで、しばらく大変だったらしい」

エリカ「……そうですよね」

エリカ「しかも学内で死んだと思われてたわけですし、家元としては、黒森峰のメンツに関わる問題なのもあって、色々大変だったと思うんですよね……」

エリカ「……」

エリカ「家元って……」

エリカ「その騒動があったのに、翌日お家に帰れたのでしょうか?」

エリカ「死亡届の撤回やらもあったでしょうし、私の親にも多分改めて事情説明なんかに行ったと思うんですけど……」

まほ「……そうだな」

まほ「まず各方面に頭を下げて、エリカのご実家にも頭を下げに行って――」

エリカ「……」

エリカ「かなりバタついてたみたいですけど……」

エリカ「その状況で、その――」

エリカ「廃校で転校手続きをしなくちゃいけなくなったあの子が帰省した時、ちゃんと書類にサインできたんでしょうか……?」
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/29(日) 02:06:00.42 ID:v++O7ijAo

まほ「…・…?」

まほ「何を言っているんだ?」

まほ「……まあ、たしかに、色々とあって二人は顔を合わせてはいないが……」



まほ「みほが帰ってきたのは、 あ の 葬 式 の 翌 日 じ ゃ な い ぞ ? 」



エリカ「――――――――!!」
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/29(日) 02:34:44.70 ID:v++O7ijAo

一度至れば、後はすぐだった。

それまで何となくの引っ掛かりにすぎなかったものが、次々と繋がっていく。

一つ一つが、やたら鮮明にフラッシュバックする。

エリカ「……隊長」

エリカ「以前、大会の反対のブロックの視察、みたいなことを言って私と飛行船に乗ったことがありましたよね……」

エリカ「あの後入院したりでバタついて……結局聞き損ねましたけど……」

エリカ「あれって、反対のブロックの、どこの偵察に行っていたんですか……?」

まほ「……ああ、言っていなかったか?」

まほ「大洗と、サンダースの試合だ」

まほ「みほがどんな戦いをするのか見ておきたかったし、決勝まで来る本命であるサンダースのことも調べられる試合だったからな」

エリカ「……」

エリカ(くそっ、もっと早く聞いていれば、もっと早くに気付けたのに……!)

エリカ(継続との二回戦の時に、大洗のプラウダ戦と入れ替わったときも、おかしいとは思っていたのに……!)

エリカ(二回戦と二回戦ならともかく、二回戦と準決勝が同じ日にあるってスケジュールはさすがにガバガバすぎると思ったのよ!)

エリカ(今思えば、私の視点じゃとっくに決勝は大洗って決まってたのに、赤星あたりがそれを知らないかのような口ぶりのことがあったり……)

エリカ(細かな部分がおかしかった……)

エリカ(やっぱりアレは夢じゃない……)

エリカ(入れ替わって、実際に起きていたこと……)

エリカ(でもそれは、今日起こっていることじゃあないッ!)
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/29(日) 02:36:19.40 ID:v++O7ijAo






エリカ(私は、“未来の時間のW号戦車”と入れ替わっていたんだッ……!)






 
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/29(日) 02:37:30.97 ID:v++O7ijAo
ようやく君の名は。要素が始まったので、きりもいいので寝ます
君の名は。ネタバレ回避で人が死ぬシーンがあることを伏せてたけど、描写を削りに削ってマイルドにしたから勘弁してください
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/29(日) 02:40:28.79 ID:Jy96IDgzO
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/29(日) 08:33:56.97 ID:8vzxwIhD0
もっと丁寧に描写してよかったんやで

エリカみほ死んだのに割りと冷静やな(´・ω・`)
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/29(日) 08:51:53.69 ID:8QwssI6C0
203高知…
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/29(日) 10:50:43.87 ID:gEQaJXlSO
>>88
高知に203号線なんてあったっけ(目逸らし)
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/29(日) 12:00:05.41 ID:1+pdhXnYO
おつ
普通に負けて廃校決定とかいうレベルじゃなかった…
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/29(日) 12:08:33.35 ID:vTQuqJbCo
でも未来変えちゃうんでしょ?
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/29(日) 15:45:28.38 ID:uaUmpGPJ0
な阪関無
なDe関無
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/29(日) 18:34:54.19 ID:JD1dJJfZ0
盛り上がってまいりました
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/29(日) 18:48:24.60 ID:0mdKSOnGO
ようやく本編か
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/11(土) 05:22:54.58 ID:T3mqf/Oho

「何だ、なんて言い方をされては、さすがの私も少々傷ついてしまいます」

そう言うニルギリの表情は、どこか楽しげに見える。
それでも、遠巻きにきゃあきゃあと騒ぐファンの少女達とは違い、どこか凛とした雰囲気を纏っていた。
オレンジペコからは大きく遅れたとはいえ、さすがは一年坊にして紅茶の名前を賜る未来の幹部候補と言った所か。

お上品極まりないお嬢様にとって細やかな楽しみが幹部の追っかけなのか、試合を応援し、その時だけは目一杯はしゃぐ生徒は多い。
ちやほやされるのは悪い気はしないし、紅茶の名を賜る前から応援してくれた生徒には感謝もしている。
本当にルクリリを慕っている生徒は勿論、単にルクリリの経歴を見て映画でも眺める気分で応援しているような生徒も、変わらず感謝の対象であった。
そんな存在に苛立ったこともなくはないが、今では素直に感謝出来ている。

そんな追っかけ連中に、ニルギリも含まれていたのだが――しかしながら、彼女は異質な存在であった。

紅茶の名を関する少女を追っかける者の大半は、一般生徒か或いは戦車道を半ば諦めている二軍以下の連中だった。
自分には出来ないことをする姿に憧れているのか、自分自身では見ることすら叶わぬ夢を託しているのかは分からない。
だがとにかく、追っかけから幹部になれる者なんて、早々存在していない。
居るとすれば、それこそオレンジペコのように、憧れの背中を冷静に着実に追いかけられる者くらいだ。
ただ騒いでいるだけの少女にソレは出来ない。
ニルギリも、オレンジペコと同じタイプなのだろう。
その憧れの対象が、よりにもよってルクリリであるせいで、かなり異質な存在となってしまってはいるが。

「あー悪い悪い。でもほら、他の娘だったら、言葉遣いとか態度とか気をつけなきゃいけないしさ」

言葉遣いが未だに完璧ではないような平民丸出しの身ながら、紅茶の名前を冠した。
再三言っているように、ファンの大半はそこに惚れ込んでくれたのだろう。
少なくともルクリリはそう思っている。

しかしながら、大股を開いて空を仰ぐ姿を見せられるかと言うのは別問題だ。
物には限度というものがあるし、コレがファンの許容範囲を越えているであろうことくらい自覚している。
それに、「じゃあやるなよ」と言われると「この姿勢が楽だし、醜態晒した直後に姿勢まで気を使えるかよ」と思ってしまうルクリリだって、出来ることなら優雅にやりたいとは思ってるのだ。
今でもダージリンの姿には憧れるし、聖グロリアーナらしからぬ態度も改めたいとも考えている。
こういう姿は、隠すべきものであり、決して自ら見せていくものではないのだ。

「今ちょっと気分的に取り繕うのしんどくって」

それでもニルギリの前でだけならいいかと思えるようになったのは、ニルギリの前で醜態を晒し慣れたからか。
同じ小隊で無様な姿を見られたことだってあるし、偉そうに先輩風を吹かせていた相手が瞬く間に追いついてきた焦りでおかしな態度を取ってしまったこともある。
言葉遣いだって、先輩相手なら敬語を使わざるを得ないのでどうとでもなるが、後輩相手だとどうしても砕けてしまう。
にも関わらず同じ紅茶の名前を関する者であるせいでやりとりする機会が多く、淑やかさに関してもニルギリの前ではボロを出しまくっていた。
それどころかフォローされてしまうことが度々あり、自分のプライドを保つためにも、何時しか「ニルギリなら、まあいいか」になっていたのだ。
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/11(土) 05:23:30.06 ID:T3mqf/Oho
誤爆しました申し訳ない
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/22(水) 09:14:13.50 ID:mxugDhwe0
>>1の生存報告がほしいな
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/23(木) 18:40:17.86 ID:deaM9/rAo
すみません生きてます
劇場版のテレビ放送の合間にでもちょっとだけ進めます(概ねCMでしか目を切れない名作なので投下ペースはお察しでお願いします)
123 :CM少なすぎない? [saga]:2017/11/23(木) 19:52:31.19 ID:deaM9/rAo

エリカ「……」

エリカ(未来の自分と入れ替わっていたとして……)

エリカ(猶予は一体何日ある!?)

エリカ(というか、私に何が出来る……?)

エリカ(W号戦車が私にコレをなんとかさせようとしたのだとして……)

エリカ(私に何が……)

エリカ「……」

エリカ(試合開始前に廃校を決定させる?)

エリカ(いや無理だ)

エリカ(あの子は諦めつつあったけど、あのクソむかつく会長がおそらく諦めるわけない)

エリカ(じゃあ、どうすれば……)
124 :CMなかった。申し訳ない。 [saga]:2017/11/23(木) 20:28:36.30 ID:deaM9/rAo

まほ「……エリカ?」

エリカ「あ、ええ、と……」

小梅「……」

小梅「逸見さん、お疲れでしょうし、隊長はお部屋にでも戻っていてください」

まほ「む、そうか?」

小梅「逸見さん、隊長が居たら見栄張って気も張るでしょうから……」

まほ「……そうだな」

まほ「確かに、同輩しかいない環境の方が落ち着くということもあるかもしれないな」

エリカ「え、あ、いや、その……」

まほ「何かあったら連絡をしてくれたら駆けつけるからな」

エリカ「……ありがとうございます」

まほ「それじゃあな」 ガチャ

バタン

エリカ「……」

エリカ(いくら隊長といえど……この状況をどうにかできるはずがない……)

エリカ(そもそも大洗廃校となっても動かずに見守ってる隊長を動かせるはずが……)

小梅「……」
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/23(木) 20:44:41.86 ID:deaM9/rAo

小梅「……何か手伝おうか?」

エリカ「え?」

小梅「またいつもの顰めっ面してる」

エリカ「……それは……」

小梅「何でも自分で解決しようとするのはすごいことだけどさ」

小梅「たまにはチームメイトを頼るのも大事だよ?」

小梅「……隊長だって、チームメイトをちゃんと頼ってる」

小梅「仲間に仕事を任せ、きちんとこなすと信じたうえで、隊長は自分にしか出来ないことをやってるんだなーって、最近思うんだ」

小梅「……私には、隊長みたいに、他の人には出来ないことをする能力なんてないけど」

小梅「頼りにされた分に応えるくらいは、するつもりだよ」

エリカ「……」
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/23(木) 20:45:28.17 ID:deaM9/rAo
予想外に劇場版がノーカットで全然透過できてないんですが、ちょっと用事があるので一旦投下を終了します申し訳ない
今月はばたついてるので、次に投下できても日曜日かな、と思います
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/23(木) 20:46:37.09 ID:WpYSyp8jo
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/23(木) 20:49:38.96 ID:lfiexg5io
おつー
待ってるぜ
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/12(火) 10:05:07.10 ID:2Akfzvuq0
果たして風呂シーンカットをノーカットと言えるのか
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/12(火) 21:54:44.12 ID:FXss+KB8O
(ボン)ノーカット
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/21(木) 04:08:24.98 ID:EC1dGWv9o
最終章めちゃ面白かったので、今めちゃ多忙ですが気合で進めます
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/21(木) 04:24:55.24 ID:EC1dGWv9o

エリカ「……」

エリカ(わかってる……)

エリカ(赤星の気持ちは有難いけど、でも、受けるわけにはいかない……)

エリカ(こんなこと、言っても分かってもらえるわけがないし……)

エリカ(黒森峰の影響の大きさを考えると、軽率な行動を取るわけには……)

小梅「……」

小梅「黒森峰の看板とか、そういうこと、気にしてる?」

エリカ「……」

エリカ「そりゃあ……そうよ」

エリカ「私達はあの黒森峰の一員なのよ」

エリカ「その名前に泥を塗るような行動を、軽率に取るわけには……」

エリカ(そう……泥を塗ると、私だけでなく、隊長を始めかなりの人に迷惑をかけちゃう……)

エリカ(だから……だから……)

小梅「……」
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/21(木) 04:50:06.31 ID:EC1dGWv9o

小梅「私はとっくに泥を塗りたくっちゃったよ」

エリカ「うっ」

小梅「……私だって、みほさんみたいに転校したかった時期がある」

小梅「今では直下さんとかと普通にお喋り出来るようにはなったけど、それでも当時はとてもつらかったよ」

エリカ「……」

小梅「……今だって、やっぱりどこか居心地が悪いときもある」

小梅「どうしても、泥を塗ったって事実は消えないし」

小梅「やっぱりまだ恨みの目線や蔑みの視線を感じる日もある」

小梅「……他の皆や逸見さんも、後援会の人やファン、OGやその他の人からそういう視線を感じてたのかもね」

小梅「私は、学園艦の中ですら視線に晒されて、外になんて出られなかったからよくわからないけど」

エリカ「……」

小梅「そういうのがあるし、もう黒森峰の看板に傷をつけられないっていうなら、気持ちは分かるし無理強いはしないよ」

小梅「でも――」

小梅「黒森峰とは無関係で、私個人として、相談に乗ることは出来る」

小梅「……一度は逃げ出そうとしてたし、みほさん見てると、新しい地でやり直すのもありかなあ、なんて思うし」

小梅「だから、最悪黒森峰の看板を外して何か助けてほしいなら、言ってくれたら、私はいつでも力を貸せるよ」

小梅「……逸見さんは嫌味だし、みほさんみたいに優しくないし、怖いし、気難しいし……」

エリカ「……うっさいわね」

小梅「隊長に媚びてる感じがあるし、意識高すぎて面倒臭いし、他罰的だし、見下してくるし、気分がすぐ顔に出るし」

エリカ「待って長くない?」

小梅「上から目線の指示が多いし、そのくせ1を聞いて10を知るよう求めてきて10を教えず1しか指示を飛ばさないし、生理のとき超不機嫌そうだし」

エリカ「何かの前フリにしても長すぎない? ねえ?」

小梅「ハンバーグ吐くし、アンモニア臭いし、役立たずと罵られて最低と人に言われて要領良く演技できず愛想笑いも作れないし」

エリカ「赤星!!!!!!!!!!!」
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/21(木) 05:17:39.76 ID:EC1dGWv9o

小梅「……それでも、誰より真面目なのを知ってるよ」

小梅「黒森峰と西住流と、隊長のことが大好きなことも」

小梅「……その“大好き”のためだったら、どんな努力も出来ちゃうことも」

小梅「周りを小馬鹿に出来るくらいの努力を重ねてきたことも」

小梅「だから、逸見さんが本当に困ってたら、力になりたいなって、思うんだ」

エリカ「赤星……」

エリカ(私だって……知ってるわよ)

エリカ(逃げ出したくなるであろう環境でも、アンタはあの子と違って逃げ出さなかったことを)

エリカ(おどおど辛そうにしながらも逃げず、今までしがみつき、レギュラーに返り咲いたことを)

エリカ(……アンタのそういうところは、評価してンのよ……)

エリカ(……)

エリカ(とっくに看板に泥を塗った自分だったら大丈夫? 最悪転校すればいい?)

エリカ(そんなわけないじゃない……)

エリカ(そんな気持ちの人間が、ここに戻ってこれるほど、黒森峰は甘くないわよ……)

エリカ(あんたにだって、迷惑なんか……)
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/21(木) 05:45:50.05 ID:EC1dGWv9o

小梅「……それにさ」

小梅「私は、逸見さんの友達だから」

小梅「……逸見さんは、どう思ってくれてるのかわからないけどさ」

小梅「少なくとも私は友達だと思ってるし、だからこそ、困ってるなら言ってほしいんだよ」

小梅「副隊長から平隊員への命令とかじゃなくて、友達として言ってほしいの」

小梅「……無理だと思ったり迷惑だと思ったら、友達としてはっきり言えるし」

エリカ「……」

エリカ(馬鹿ね……)

エリカ(どうせ……そんなこと言っても、断ったりしないんでしょ……)

エリカ(ほんと、馬鹿だわ……あの子に当てられて……お人好しになりすぎなのよ……)

エリカ「……」

エリカ「……」 ギュウッ

エリカ「……赤星……」

小梅「……うん」

エリカ「……」

エリカ「……ごめん」

小梅「……」

エリカ「……」

エリカ「…………助けて……」

小梅「……うん」
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/21(木) 05:48:20.45 ID:EC1dGWv9o
気付けばこんな時間ですし、一旦中断で
また夜にでもやります
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/21(木) 21:30:59.21 ID:vzkLuo+q0
乙です
更新あって良かった
いつも楽しみにしてる
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/22(金) 01:29:14.80 ID:dV83WEFGo
有難いことです。投下します。
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/22(金) 01:32:46.30 ID:dV83WEFGo

小梅「……それで、一体どうしたの?」

小梅「って聞いてペラペラ喋れるなら苦労してないか」

エリカ「……そうね」

小梅「じゃあ、どうしたらいい?」

小梅「何をしてほしいの?」

エリカ「……」

エリカ(未来のW号と入れ替わってるなんて話をしても、ぽかんとされるだけよね……)

エリカ(……)

エリカ「……大洗を、救いたい」

小梅「ふえ?」

エリカ「あ、いや、その……」

エリカ(くっ、思わず頭に浮かんだ言葉をそのままっ……!)

小梅「……そっか、うん、そうだよね」

小梅「私も何とかしてあげたいなって思ってたし」

小梅「救おうよ、大洗」

小梅「廃校の危機から、私達で!」
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/22(金) 02:06:20.72 ID:dV83WEFGo

エリカ「……でも具体的にどうすればいいのかさっぱりで……」

小梅「あー……」

小梅「逸見さん、盤外戦術苦手だもんねえ……」

エリカ「……西住流にそんな邪道必要ないし……」

小梅(皮肉とか威圧って点は得意っぽいのになあ……)

小梅「……よし、ここは私に任せて」 スチャッ

エリカ「スマホ……?」

小梅「私達じゃどうにもできそうにないから助けを求めようかなって」

エリカ「待て待て待て待て待て」
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/22(金) 02:09:42.38 ID:dV83WEFGo

エリカ「え、あんな大口叩いてもう外部に助け求めるの?」

小梅「みほさんの件なら、時間も限られてるし……」

エリカ「そ、そりゃあ、そうだけど……」

小梅「それに、みほさんを助けたいって気持ちは他の人も同じだろうし」

エリカ「でも黒森峰の看板に――」

小梅「傷をつけたくないんでしょ?」

小梅「だから、黒森峰以外の人に助けを求めるんだよ」 スッ

エリカ「この紅茶のアイコン……」

小梅「そう、ダージリンさん達にね!」
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/22(金) 02:12:14.44 ID:dV83WEFGo

エリカ「…………」

小梅「あれ?! なんか微妙な顔、っていうかむしろ嫌そう!?」

エリカ「アンタ私がその連中見て『おお!』なんて言うと思ったわけ?」

小梅「いやあ……思わないけどさ……」

エリカ「大体、あのいけ好かない連中は、私達のことを下品で野蛮だの散々のたまってるじゃない」

エリカ「手なんて貸してくれるわけ?」

エリカ「そんな善人にはとても見えないわよあの女は」

小梅「そんなことないよ」

小梅「絶対力になってくれるって」

小梅「精々頼った逸見さんに皮肉めいたジョークを言いつつ含み笑いをしたり言葉の端々で小馬鹿にするかも、くらいだよ!」

エリカ「それが嫌なのよ」
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/22(金) 02:50:08.46 ID:dV83WEFGo

小梅「まあ、それなら、ほら、逸見さんの話は出さないでおくしさ」

小梅「ダージリンさん、みほさんのこと気に入ってるみたいだから、みほさんを助けたいって言うだけで手伝ってくれるだろうし」

小梅「逸見さんの名前は伏せてても問題ないんじゃないかな」

エリカ「……そこも気に入らないのよね」

エリカ「黒森峰に居た時は評価してなかったくせに大洗に移籍した途端べた褒めって何よソレ」 ブツブツ

エリカ「そのくせ理解者ヅラってのが納得いかないわ……」 ブツブツ

エリカ「大体やたらと黒森峰に突っかかってくるのはなんなのよほんと」 ブツブツ

エリカ「うちには連戦連敗のくせに、大洗に負けなしだからって自慢げなのもムカつくわ」 ブツブツ

エリカ「エキシビションごときで勝利したからってドヤりにわざわざやってくるし、ほんっと聖グロの連中は……」 ブツブツ

エリカ「W号時代に散々痛い目にあわされたし……」 ブツブツ

小梅(よく聞こえないし聞こえる部分もよく分からないけど、私怨すごいなあ……)
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/22(金) 03:16:05.38 ID:dV83WEFGo

エリカ「大体、あいつら役に立つとは思えないのよね」

エリカ「そりゃ多少は諜報活動に力を入れてるかもしれないけど……」

エリカ「例えば影響力ならウチが頭抜けてるじゃない」

エリカ「太いパイプも持ってるし、OGからいろんな情報が貰える」

エリカ「それに、本気を出せば色んな所に融通をきかせられるくらいの力を持ってるわ」

エリカ「……でも聖グロはそうじゃない」

エリカ「OGはそりゃ多少顔がきくかもしれないけど、あそこはOGが強すぎる」

エリカ「派閥争いでまともに戦車の運用が難しかったり、現役生がOGに屈してるようなとこよ」

エリカ「OGに屈した連中に、OGの持つパイプを利用できるようには思えないんだけど」

小梅「うーん、そうかもしれないけど、でもやっぱり盤外戦術だとかなり頼りになると思うんだけどなあ」

エリカ「はあ?」

小梅「例えばこの状況で誰かに助けを求めるとして――」

小梅「人格には問題なくてたくさん貸しもあるし二つ返事で来てくれそうなアンツィオに、真っ先に相談できる?」

エリカ「ぐっ……それはずるいでしょアンツィオと比べたらどこだって、そりゃ……」
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/22(金) 03:26:37.32 ID:dV83WEFGo

エリカ「……っていうか、アンタいつあの女と繋がったのよ」

エリカ「やけに肩持つし、連絡先知ってるし、何かあったわけ?」

小梅「ああ、うん」

小梅「えっとね、ダージリンさんも逸見の森に」

エリカ「ああ分かったわもう言わなくていい」

小梅「そう言わないでよ」

小梅「前話した通り、逸見の森はもうなくなっちゃったんだしさ」

エリカ「ああ、本当に閉鎖したのね」

小梅「最後だから色んな人に声かけてもらって、皆で焼け落ちる逸見の森から逃げ惑う逸見さんごっこをして遊んでたんだけど」

エリカ「私のメンタルが弱かったらイジメ問題になってるようなことを平然と言ってくるわね」

小梅「指折りでノリノリな悲鳴をあげて書き込んでたのがダージリンさんだったんだ」

エリカ「あのアマ」
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/22(金) 04:16:10.79 ID:dV83WEFGo

小梅「そんなわけでダージリンさんの連絡先も分かるし……」

エリカ「余計なこと聞いて更に好感度下がったから頼みたかないけど……」

エリカ「でも背に腹は代えられないか……」

小梅「うわぁ心底嫌そう」

小梅「でも逸見の森って結構貢献してくれたんだよ、交流に」

小梅「これまで各校の横の繋がりあんまりなかったけど、他校の人の連絡先手に入れたり出来たし……」

エリカ「もっとまともな形で交流しなさいよ……」

小梅「逸見さんだってまともな形で他校と交流してないような」

エリカ「……アンタほんと言うようになったわね……」
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/22(金) 04:25:28.42 ID:dV83WEFGo

小梅「……さて、これでよしっと」

エリカ「……本当にあの格言女に任せて大丈夫なの?」

小梅「大丈夫だよ」

小梅「逸見さんが思ってるより、ずっと有能なんだよ、ダージリンさん」

小梅「それに、言ったでしょ。誰かを信じて頼るのも、必要なことだよ」

エリカ「……そうだけど……」

小梅「どうなるかわからないけど、でも」

小梅「今は私達に出来ることをするしかないと思うから」

小梅「何を言われても大丈夫なように、病み上がりの逸見さんを本調子に戻さないとね!」

小梅「自習って言って、戦車動かす許可、取ってくるね」 パタパタパタ

エリカ「……」

エリカ「ほんっと、言うようになったし、強くなったわね……」 フフ
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/22(金) 04:27:47.81 ID:dV83WEFGo
寝ます。試合はサクサク終わらせたいです。
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/22(金) 09:34:14.57 ID:Gy9XdvGMO
乙。ダー様何やってんのw
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/25(月) 09:25:33.23 ID:MaY3IuzN0

ここにきて「逸見の森」がかなりのキーポイントになってきたw
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 01:43:45.54 ID:VKiwW/K7o
メリークリスマス、少しだけやります
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 01:50:29.35 ID:VKiwW/K7o






エリカ「あの紅茶馬鹿からはまだ連絡がないの……!?」

小梅「うーん、やっぱり早々すぐにはなんともならないのかなあ」

小梅「リハビリ急ピッチで進めてるのに」

エリカ「リハビリって言うかわけの分からない特訓みたいにしか見えなかったんだけど」

小梅「そんなことないよ」

小梅「これは万が一素手でエレファントと戦うことになってもビッグタスクにひるまないために必要な竹槍訓練で」

エリカ「挑まないわよ!!!」

小梅「え? でもなんだかんだで生身の方が戦車に乗るよりも――」

エリカ「んなわけないでしょうが!!」

エリカ「私は戦車乗りよ、戦車に乗るに決まってるでしょ!」

小梅「でもいざってときには……?」

エリカ「しないわよ!!!!!!!」
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 02:02:03.63 ID:VKiwW/K7o

エリカ(大体それでどーにかできるなら苦労は――)

エリカ「……って、何よコレ」

小梅「水だよ」

エリカ「は?」

小梅「お水」

エリカ「それは分かるけど、バケツに水溜めて何しようっていうのよ」

小梅「10リットルあるから、飲んで」

エリカ「は??????????」

小梅「まあ、そのままでは無理だろうから……コイツを混ぜるの」 スッ

エリカ「なによそれ……」

小梅「果糖」

小梅「デンジャラスレオポンじゃないよ」

エリカ「???」
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 02:24:18.14 ID:VKiwW/K7o

小梅「果実を精製した純粋な甘味料で、量は多いが吸収率は無類なんだよ」

エリカ「へえ……」

小梅「つまり太る」

エリカ「ねえそれ今から吸収させようとしてるのよね???」

エリカ「太るとか言いながら吸収させようとしてるわよね!?????」

小梅「約4キロある」

エリカ「まさか全部食べろなんて言わなわよね!?」

小梅「今の逸見さんはまだまだ完全じゃない……」

小梅「本来ならタンパク質やデンプンが望ましいんだけど……」

小梅「今はそうしている時間もないから」

エリカ「確かに時間はないけれど……」

小梅「これをバケツの水に混ぜる」

エリカ「飲まないわよ」

小梅「さ、おあがりよ」

エリカ「飲まないっつってんでしょ!!!!」

小梅「なんで?」

エリカ「むしろなんで飲むと思ったの」
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 03:06:24.36 ID:VKiwW/K7o

小梅「あっ、連絡来た!」

エリカ「うえっぷ……胸焼けで吐きそう……」

小梅「はいもしもし」

小梅「……はい。はい」

小梅「……なるほど……」

小梅「いえ、しましまみたいなあざといやつでなくスポーティーなやつの白色ですね」

小梅「……はい」

小梅「わかりました」

小梅「逸見さん、電話変わってってさ。はい受話器」

エリカ「アンタ今途中で全然関係ない話してなかった?」

小梅「そんなことないよ」

エリカ「気のせいじゃなきゃあの紅茶馬鹿と私の下着の話してなかった?」

小梅「そんなことより早く出てあげてよ」

エリカ「あんた本当に覚えておきなさいよ」
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 03:18:30.79 ID:VKiwW/K7o

エリカ「……もしもし」

ダージリン『思ったより元気そうね』

エリカ「おかげさまで」 ハン

ダージリン『寝たきりになって、帰ってこないんじゃないかと思っていたのよ』

ダージリン『何にせよ、戻ってきたのはいいことだわ』

エリカ「そりゃどうも」

ダージリン『本当によく戻ったわね……ンフッ……おかエリカ』

エリカ「…………あ?」

ダージリン『プフーーーーーッ』

ダージリン『そこは「ただいまほ」と返すのが、ンフッ……い、逸見の森の礼儀作法なのではなくて?』 ククク

エリカ「…………ッ!」

小梅「わーーーーっ、逸見さん待って!! 何言われたのか知らないけど待って!! そのスマホ買ったばっかりだから! お願い振りかぶらないで!!」
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 03:34:16.88 ID:VKiwW/K7o

エリカ「クソみたいな問答しかしないなら切るわよ」

ダージリン『切ったら困るのは貴女の方でしょう?』

オレンジペコ『ダージリン様、さすがに少し可愛そうですよ』 ヒソ

ダージリン『……まあいいわ』

ダージリン『今回は大人である私の方が折れてあげましょう』

エリカ「腹心に苦言呈されたの聞こえてたわよ」

ダージリン『……とにかく、アッサム達に調査させて、いくつかの知られざる事実が分かったわ』

エリカ「!!」

ダージリン『大洗が廃校の危機にあることは知っているわよね?』

エリカ「勿論よ、知ってるわ」

ダージリン『……その大洗なのだけど……』

エリカ「……」 ゴクリ

ダージリン『廃校を賭けて、なんとあの大学選抜チームと試合をするらしいのよ』

エリカ(あ、知ってるやつだ……)

ダージリン『それもなんと、殲滅戦でやるらしいわ』

エリカ(それも知ってる……)
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 03:42:07.80 ID:VKiwW/K7o

エリカ「その、言い難いんだけど、他にもっとないかしら」

ダージリン『……あら、この程度なら貴女達でも調べられたかしら』

ダージリン『ではこんな情報はどう?』

エリカ「……」 ゴクリ

ダージリン『実はテントウムシは幼虫の時に棘が生えている』

エリカ「へぇ……」

ダージリン『また、よく見ると硬い体毛で覆われたテントウムシが居て、名を『テントウムシダマシ』と言うそうよ』

エリカ「知らなかったけど、その情報関係なくない?」

ダージリン『厳しい家庭で育ったせいで西住まほの自慰行為は特殊であり……』

ダージリン『っと、確かに脱線してしまっていたわね』

ダージリン『話を戻しましょうか』

エリカ「ちょっと待ちなさい一回頭を整理するわ」

エリカ(聞きたい〜〜〜〜言いかけたなら最後まで言いなさいよお〜〜〜〜〜〜!!!!!)
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 03:44:06.63 ID:VKiwW/K7o
眠くなってきたので半端なとこですが投下を終了します
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/26(火) 13:33:08.09 ID:AJEQIKX2O
マリキータマンはオメガ・ケンタウルス星団にお帰りください
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/26(火) 19:27:00.99 ID:ddhG/K1+O
お姉ちゃんの特殊訓練詳しく話せよダーさん
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/27(水) 09:31:53.82 ID:idiKtI7So
逸見でも知らない性事情を知るダー様……
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/03(水) 02:26:15.62 ID:G8tufJ4Yo
あけましておめでとうございます、今年こそ完結させないとやばいので少しだけでも投下します
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/03(水) 02:49:01.19 ID:G8tufJ4Yo

エリカ「……」

エリカ(隊長は特殊な性癖……) ムラッ

小梅「逸見さん、何でズボンに手を入れようとしてるの」

エリカ「おっわっふぉあ!?」

エリカ「いかんいかん、疲弊しすぎてて頭が死んでたわ」

エリカ(そうだわ、今別に一人きりじゃないじゃない落ち着け私)

エリカ「えーっと、それで、なんだったかしら」

ダージリン『まったく何をしていたのか……まあいいわ』

ダージリン『ご存知の通り、みほさんは今危機に瀕している』

ダージリン『けれども私達には、体裁もあって手出しが出来ない』

エリカ「……そうよ」

エリカ「とうとうネットニュースにまでなってるこの大問題」

エリカ「隊長格・副隊長格が軽率に首を突っ込もうものなら、それはもう学校単位の意見として取られかねない」

ダージリン『少なくとも、ネットニュースなんかでは、黒森峰や聖グロリアーナが大洗の廃校反対を訴えたとして報道されるでしょうね』

エリカ「……私一人のわがままで、そんなことは出来ないわ」

ダージリン『そうね。ましてやみほさんはこちらに助けを求めてもいない』

エリカ「……ええ……」

ダージリン『……こんな制度を知ってる?』

エリカ「?」

ダージリン『短期転校制度』

ダージリン『交換留学のような形で、他校のことを学び取り入れるための制度よ』

ダージリン『今ではほとんど使われなくなったけどね』

エリカ「それがどうしたっていうのよ」

ダージリン『……分からない?』

ダージリン『聖グロリアーナの隊長や黒森峰の副隊長が大洗の揉め事に自ら首を突っ込むわけにはいかない』

ダージリン『けれども、大洗の生徒が自校の危機に立ち上がったという形ならば?』

エリカ「…………!!」
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/03(水) 03:12:40.39 ID:G8tufJ4Yo

ダージリン『そう』

ダージリン『私達が、短期転校の手続きを取り、大洗の生徒となる』

ダージリン『それで、一応の体裁はとれるはずよ』

エリカ「……そ、そう……なのかしら」

ダージリン『少なくとも、試合に出る事はできるようになるわ』

ダージリン『大洗の生徒ならば、試合に参加出来るはずだもの』

エリカ「……でも、私達が参加できたとして、大洗には戦車が――」

ダージリン『あら、おかしなことを言うのね』

ダージリン『私は枕が変わると眠れないから、大洗に転校する際は枕を持っていこうと思うの』

エリカ「はあ?」

ダージリン『お茶っ葉も変わると落ち着かないから持っていきたいわね』

エリカ「それがなんだっていうのよ」

ダージリン『あと、ペコもお気に入りのぬいぐるみがないと安眠出来ないから、持っていくべきね』

オレンジペコ『ダージリン様!!!!!!』

ダージリン『それと、寝間着も変わると落ち着かないでしょうし、この前着ていたピンクのネグリジェを……』

オレンジペコ『〜〜〜〜〜〜!!』

ドッタンバッタン

エリカ「こっちはアンタらのしょうもない漫談に付き合ってる余裕はないんだけど」

アッサム『こほん。電話代わりました』

アッサム『単刀直入に言うと、こういうことです』

アッサム『枕や茶葉やぬいぐるみという私物を持って転校するように――』

アッサム『我々の戦車も、私物として持って転校すればいい、と』

エリカ「!!!!」
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/03(水) 03:15:47.22 ID:G8tufJ4Yo

ダージリン『私物を持ち込んではいけない、なんてルールはない』

ダージリン『異議申し立てはしようがないのよ』

アッサム『……一応隊長が電話を奪ったので、下がらせてもらいます』

エリカ「ああ待って、回りくどくなくサクサク話を進めてお願い」

ダージリン『まるで私が回りくどいみたいな言い草だけど……まあいいわ』

ダージリン『こんな格言を知ってる?』

エリカ「それをやめろっつってんのよ」
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/03(水) 04:23:42.76 ID:G8tufJ4Yo

小梅「あのー」

ダージリン『何かしら』

小梅「音声漏れてきてたんで大体聞いてたんですけど……」

小梅「短期転校の手続きって、そんなにすぐに承認されましたっけ?」

ダージリン『いいえ、相当ギリギリね』

ダージリン『今日中に書類を纏めて、それでも当日の朝イチで承認されたらいい方よ』

エリカ「はあ〜〜〜〜!?!?」

ダージリン『まあ、間に合わない可能性も高いでしょうね』

エリカ「ちょ、なによそれは!」

エリカ「期待させるようなことを言うんじゃないわよ!!」

ダージリン『そう言うと思って、予め大洗の事務局には話を通しておいたわ。99%書類は当日朝に上がって間に合うわね』

エリカ「〜〜〜〜!!」

小梅「落ち着いて逸見さんキューピー三分間クッキングみたいなものだから!!スマホ叩きつけようとしないで!!」
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/03(水) 05:26:35.76 ID:G8tufJ4Yo

ダージリン『人はこうして事前に聞いた話が狂うとがっくり来るもの』

エリカ「あ?」

小梅「落ち着いて逸見さん、ガックリきてあげようよそこまでキレなくていいと思うから!」

エリカ「単純にコイツ嫌いなのよ」 チッ

ダージリン『聞こえてるわよ』

エリカ「聞こえるように言ってンのよ」

ダージリン『……とにかく、人は話が違うと怒ることもある』

ダージリン『事前に援軍に行けるなんて伝えて、やはりダメでした、なんてのは最悪』

ダージリン『それならばサプライズでいたほうがいいでしょう?』

オレンジペコ『……さすがに、大洗の事務局には一声かけてますけどね』

ダージリン『ただし、みほさん達には何も言っていないわ』

ダージリン『サプライズの方が、喜ばれるでしょう?』

アッサム『そーやってまた見えないからって心底楽しそうな意地の悪い笑みを浮かべる』

オレンジペコ『だから嫌われるんですよ』

小梅「そこはもっといじってあげてください逸見さん素直じゃないから」

エリカ「赤星」

小梅「実際サプライズしたら、みほさん泣いて喜んでくれるかもねっ」 グッ

エリカ「赤星!!」
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/03(水) 05:47:46.07 ID:G8tufJ4Yo

ダージリン『ちなみに試合開始時間も聞いておいたわ』

ダージリン『なので、試合開始直前に乱入しましょう』

エリカ「はあ?」

ダージリン『こんな格言を知ってる?』

ダージリン『ヒーローは遅れてやってくる』

ダージリン『ギリギリの方が格好いいでしょう?』

エリカ「五分前行動って知ってる?」

ダージリン『勿論』

ダージリン『だから、貴女達黒森峰だけ、5分早く行っていいわよ』

エリカ「は?」

ダージリン『一番乗りで駆けつけてあげたいでしょう?』

ダージリン『他の援軍候補にはぴったりに行くように伝えておくわ』

エリカ「な、ちょ、ま」

ダージリン『どうかして?』

エリカ「別に一番乗りしたいなんてことは……」

ダージリン『あら、そんなことはないでしょう?』

ダージリン『今回誰よりみほさんを助けたいと思っているのは貴女』

ダージリン『そうでなければ、私はこうして動いていないわ』

ダージリン『私は、むしろ追い込まれたみほさんがどう動くのか見たい側の人間ですもの』 フフ

エリカ「……」

エリカ「ほんっとアンタ、性格悪いわよね」

ダージリン『貴女には言われたくないわね』 フフ
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/03(水) 06:07:59.88 ID:G8tufJ4Yo

エリカ「一番乗りするのは、まあ、姉である隊長がいるのこそ自然だからいいけど……」

小梅「素直になればいいのに」

エリカ「うるさい赤星」

エリカ「兎に角、一番乗りするにしても、ギリッギリってどういうことよ」

エリカ「アホのアンツィオとかガキのプラウダとか、普通に遅れて来かねないわよ」

ダージリン『それはそうね』

オレンジペコ『否定しないんですね……』

ダージリン『でも、これには理由があるわ』

エリカ「理由?」

ダージリン『当初8輌予定だったチームが突然大増員しました、なんてことがそう簡単に通ると思う?』

エリカ「う、そりゃあ……」

ダージリン『普通に考えれば通らないわね』

ダージリン『何せ、圧倒的な戦力差のある殲滅戦を推し進めてまで大洗を廃校にしようとする存在があるんですもの』

ダージリン『事前に気取られてしまえば、その存在により私達が使う抜け道を防がれてしまう』

ダージリン『……きちんと増援を断るように、大学選抜チームの隊長に言い聞かせるかもしれないわ』

エリカ「……なるほど……」

ダージリン『直前のオーダー変更ならば、そうはならない』

ダージリン『試合開始直前ならば、異議を唱えられるのは隊長のみ』

ダージリン『大洗を廃校にしようとしている黒幕が隊長に何かを言う時間はない』

ダージリン『大洗を廃校にしようとしているのが隊長そのものでもない限り、相手の隊長はこの増援を受け入れるはずよ』

エリカ「何でアンタにそんなことが言えるのよ」

ダージリン『あら、もう少しくらいは察しが良いと思っていたけど、買いかぶりだったかしら』

エリカ(こいつホント一発殴っておきたいわね……)
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/03(水) 06:27:50.91 ID:G8tufJ4Yo

ダージリン『自分の立場になれば分かるわ』

ダージリン『貴女、黒森峰の実力には誇りを持っているでしょう?』

エリカ「当たり前でしょう?」

ダージリン『例えば、相手が中学大会の優勝校だとして……』

ダージリン『どう考えても自分達贔屓のようなルールをしかれたらどう思う?』

エリカ「……ナメられてる、とは思うわね」

小梅「ちょっとつらいかも……」

エリカ「っていうか、何かの罰ゲームかって思うわね」

エリカ「負けたらネットでボロクソ叩かれるだろうし」

ダージリン『そうね』

ダージリン『勝っても当然と思われ、負けたら永遠に叩かれ続ける』

ダージリン『それどころか、勝っても叩かれるでしょうね』

ダージリン『格下相手に圧倒的有利なルールで戦うんだから』

アッサム『一応、試合は大洗の人間と関係者のみの観覧に限っているようなので、メディアには結果のみ淡々と記されるんでしょうけど』

ダージリン『いずれにせよ、相手の選手たちだって、気分がいいものではないわ』

ダージリン『だからこそ――餌を与えてあげるのよ』 フフ
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/03(水) 06:37:48.89 ID:G8tufJ4Yo

ダージリン『こんな話を知っている?』

ダージリン『人は追い込まれたあとで逃げ道を与えられると、そこに安易に飛びついてしまう』

ダージリン『……この場合、追い込まれているのは大洗の面々だけじゃない』

ダージリン『オトナの都合で楽しくもないワンサイドゲームを強いられている大学選抜チームもそう』

ダージリン『そこに、対戦相手の数が揃いそれも高校オールスターという甘い逃げ道を与えてあげるとどうなると思う?』

ダージリン『必ず飛びつく。自分達の力を確信していれば、必ず』

アッサム『それに、仮に万が一を考えられる冷静な隊長であったとしても、問題はないでしょう』

オレンジペコ『どう考えても、実際に戦う面々からは不満が出ているでしょうからね』

オレンジペコ『その不満を少しでも軽減したいと思っているはずです』

アッサム『ましてや大学選抜チームの隊長は新入りにして飛び級の少女』

アッサム『コレ以上チームメイトと溝を作りたくはないはず』

アッサム『一定以上の知能があるなら、この提案を受け入れて、チームメイトの不満を解消しない手はない』

ダージリン『よって、ギリギリに現れしれっと転校手続きをした旨を伝えることこそベスト』

ダージリン『おわかりいただけたかしら?』

エリカ「……そうね」

エリカ「確かに、あからさまに弱い相手がパワーアップしてくれるというなら、私でも受けるわ」

エリカ「黒森峰も西住流も、そのうえで相手を倒せると信じているもの」

ダージリン『だからみほさんに負けたのでしょうけど』 フフ

エリカ「そうやって私達には全敗なのにすぐ対大洗の成績でイキる点が最高に嫌いなのよ」
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/03(水) 09:50:38.97 ID:G8tufJ4Yo
寝落ちていてこんな時間なので寝ます。テレビ放送の時期まで終わらないなんて・・・
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/03(水) 20:15:03.27 ID:gf1Z49n8O
乙 いつも楽しみにしてるから敢えて言うがこの量をどうやって去年中に終わらすつもりだったんだよw
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/03(水) 20:19:15.77 ID:Lddtu1DS0
乙ー
この無駄なやり取りが最高に好きだから戦車戦も端折るなんて言わないでまったりやってほしい
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/05(金) 03:00:28.18 ID:CpDAdZkqO
去年どころか一昨年で終わるみたいなことを言っていたよーな……
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/05(金) 04:56:21.25 ID:wPPj1Asyo
有難いお言葉ありがとうございます、当初はもっとサクサク行くと思ってたので、もう尾田栄一郎先生に何も言えない……

投下します
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/05(金) 05:10:15.61 ID:wPPj1Asyo

ダージリン『まあ、そんなわけだから、きちんとギリギリに現れて、その旨を説明なさい』

エリカ「ちっ……」

エリカ「まあ、その辺は隊長なら上手くやってくれるだろうけど……」

小梅「口下手なのに、こういうのはお上手ですもんね」

エリカ「西住流後継者として色んな政治的なやり取りを経験してるからね」

ダージリン『あらあら、結局愛する隊長さんに甘えるのね』

エリカ「……ほんと癪に障る言い方ね」

ダージリン『まあいいわ』

ダージリン『私は他の隊長達に声をかけるから、貴女は愛する隊長さん(笑)にちゃんと説明しておきなさい』

エリカ「何か今ムカつく言い方しなかった?」

エリカ「っていうか、はあ!?」

エリカ「アンタの提案なんだから、隊長にはアンタから……」

ダージリン『嫌よ』

ダージリン『それでは面白くないでしょう?』

エリカ「おもっ……」

ダージリン『愛する妹さんを助けたいから一緒に転校してくださいと、貴女の口から伝えてちょうだい』

ダージリン『出来れば、うぷぷ……動画もよろしくね』

ダージリン『忠犬からの初めてのお願いにどんな顔をするのかしら』

エリカ「……!」

小梅「やめて逸見さんスマホを事あるごとに投げようとしないで動画とらなきゃいけないんだから」

エリカ「撮るなっつってんのよ」
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/05(金) 05:30:41.13 ID:wPPj1Asyo

エリカ『いや、隊長にそんなこと言うのは恐れ多いというか……』

エリカ『誰よりいろいろな重責を背負ってる方なのに、大洗に転校しろだなんてとても……』

エリカ『ましてや西住流の象徴』

エリカ『黒森峰以外の学校に所属するなんてこと、ありえない……』

ダージリン「あら、それは本人がそう言っていたのかしら?」

エリカ『そ、そういうわけじゃ……』

エリカ『でも、隊長は――』

ダージリン「そう、貴女の中の西住まほ像にすぎないうえに、その体現者であることを求めているのね」

エリカ『なっ、私は別に、自分にとっての隊長像を強要したりなんて……!』

ダージリン「そういう盲信が、西住まほを偶像に縛り付けてしまっているのではなくて?」

ダージリン「あるいは、西住みほという存在にも――」

ブツッ

ダージリン「あらあら、切られてしまったわね」

オレンジペコ「そういうことを言うから敵が増えるんですよ」

ダージリン「思った言葉を飲み込んでぬるま湯のような関係になるよりはマシよ」 フフ

オレンジペコ「そうだとしても、ぬるま湯から地獄の釜茹でじゃ極端すぎるんじゃないかと」

ダージリン「そうでもしないと動かなさそうですもの」

ダージリン「……戦車道も人間関係も、今後続いていくものよ」

ダージリン「どうせなら、みほさんのように、余計なことに縛られず本領を発揮した姿で相対したいじゃない」

オレンジペコ(今後も続くんだから、もうちょっとやり方をどうにかしたほうがいいような……)

オレンジペコ(口にしたら変な格言言われそうだから言わないけど……)
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/05(金) 06:16:44.93 ID:wPPj1Asyo

ダージリン「さて、私達は早速支援要請と書類作成に移りましょうか」

アッサム「詳細を話す前に煽って切られてしまったけど、黒森峰から転校する人間の情報はどうするつもりで?」

ダージリン「ラインで赤星小梅さんにでも聞けばいいでしょう」

ダージリン「それよりも問題は援軍ね」

アッサム「プラウダからはもう返信がありましたね」

アッサム「4輌で向かってくるそうです」

オレンジペコ「サンダースも多分大丈夫だとは思いますけど……」

アッサム「真っ先に私達に廃校の情報を流してきたのはサンダースだものね」

ダージリン「サンダースは戦車を大洗から預かったときからいつでも殴り込みが出来るように準備していたと返信があったわ」

オレンジペコ「寝坊さえしなければアンツィオも来てくれるかと」

ダージリン「問題は継続高校ね」

アッサム「実力的に十分で、援軍に来てくれる可能性もあるとすればここですからね」

アッサム「まあ、色々と気分屋なので、来るかどうかは五分五分ですが……」

オレンジペコ「スマホどころかケータイ電話を持っているかも怪しいですからね……」

ダージリン「ふむ……」

ダージリン「カチューシャに連絡して、プラウダに食料を使ったトラップでも仕掛けさえようかしら……」

アッサム「伝書鳩のサヴェジ・ガーデンならば連絡可能なのでは?」

オレンジペコ(うーん、不安……)

ダージリン「更に言うと、頭数を揃えるなら、残りは知波単学園ということに……」

アッサム「……無理して頭数を揃えない方がマシなのでは?」

ダージリン「…………」

ダージリン「それは、えー……」

ダージリン「あっ、こんな格言を知ってる?」

ダージリン「枯れ木も山の賑わい」

オレンジペコ(ふ、不安だなあ……)
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/05(金) 07:21:10.23 ID:wPPj1Asyo

エリカ「……思わず切っちゃったわ……」

小梅「あーあ……」

小梅「まあラインでやり取り出来るからいいけど……」

エリカ「つっても、ラインってアレでしょ」

エリカ「逸見の森のグループも解散したわけだし、友達登録とかしてないと連絡取るの難しいんでしょ」

小梅「え? グループ自体はまだ残ってるよ」

エリカ「は?」

小梅「森は焼いたけど、ゲストで来てくれた他校の人とやり取りできなくなるの不便だし……」

エリカ「いやまあそりゃそうだけど……」

小梅「でも折角森を焼いたわけだし、そのまましれっと交流するのも憚られたから……」

エリカ「まず森を作る段階で憚れ」

小梅「跡地に逸見さんのテーマパークを作ったの」

エリカ「何言ってんだお前」

小梅「これによって誰しもがキャストとして逸見さんになれるし、素の自分でお客さんにもなれる夢の国が誕生したんだ」

エリカ「何言ってんだお前」

小梅「題して、増長・逸見ーランド」

エリカ「ウォルトに叩き潰されろ」
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/05(金) 07:23:20.40 ID:wPPj1Asyo

小梅「まあそんなわけで一緒にみほさんを助けに行ってくれるメンバーを探さないとだよ」

エリカ「……大洗の生徒になるという大義名分があるとはいえ……」

エリカ「立場とかリスクとか色々あるし、時間制限もきつい」

エリカ「結構厳しいことになりそうね……」

小梅「そう?」

エリカ「私は勿論行くつもりだけど……」 チラッ

小梅「ん〜?」

エリカ「……」

小梅「……」 ニコニコ

エリカ「……」

小梅「……」 ニコニコ

エリカ「……私が何を言いたいかわかってるくせに黙ってるでしょアンタ」

小梅「あ、ばれた?」
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/05(金) 07:27:28.47 ID:wPPj1Asyo

エリカ「いい加減アンタのふざけた部分が分かるようになってきたわ」

小梅「えへへ……何か嬉しいなあ」

エリカ「……で、どうなのよ」

エリカ「アンタは手を貸してくれるわけ?」

小梅「んー」

小梅「私も逸見さんの口から直接どうしてほしいか聞きたいなあ、なんて」

エリカ「…………」 チッ

小梅「ああっ舌打ちッ」

エリカ「あんた最近ほんと面倒臭いわね」

小梅「自分で言うのもなんだけど、大事な試合で水没し生命の危機に瀕したのに大半の仲間から見捨てられて」

小梅「そのうえに周囲から責められ続けたら嫌でも面倒臭い性格になっちゃうよ」

エリカ「重い重い重い重い重い」
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/05(金) 07:29:59.29 ID:wPPj1Asyo

小梅「……私も本当は、軽い感じで付き合っていけたらなあ、なんて思ったりするんだけどね」

エリカ「いや別に勝手にやればいいじゃない、誰も止めないわよ」

小梅「それこそ、その、下の名前で呼んだりあだ名で呼びたいなー、なんて思ったりなんかしちゃったり……」

エリカ「だからたまに唐突にエリカとか呼んできたのね……」

エリカ「くだらないわねえ、呼び名なんて何でもいいじゃない」

小梅「じゃあ今から逸見さんのこと、『西住みほの補欠合格副隊長』って呼ぶね」

エリカ「ぶっ殺すぞ」
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/05(金) 07:43:03.90 ID:wPPj1Asyo

小梅「……でもさあ、なんていうか、呼び名って安定しないことってあるじゃない」

エリカ「まあ、あだ名とかあるヤツはそうなるかもね」

エリカ「あとはTPOでも異なるだろうし」

小梅「隊長のことを戦車道の時間は隊長としか呼ばないけどベッドではまほたんって呼んでる、みたいな?」

エリカ「その例えやめろ」

小梅「……それにさ」

小梅「逸見さん、昔はみほさんのこと、下の名前で呼んでたよね」

小梅「……今も呼べる?」

小梅「あの時と、同じ感情で」

エリカ「…………」

小梅「……難しいよね。呼び方一つで、距離感みたいなものが出ちゃうし」

小梅「嫌われてるかもしれないって思うと、怖くてなかなかね」

エリカ「……不器用で、コミュニケーションが低いヤツに限る話でしょ」

小梅「かもね」

小梅「でもほら、私も逸見さんも。ついでに隊長やみほさんも、そういうスキル、ダメダメだからさ」

エリカ「……ソレは、まあ、確かに」
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/05(金) 07:46:51.62 ID:wPPj1Asyo

エリカ「でも、ま、私相手にはそんなに畏まらなくてもいいわよ」

エリカ「……いや少しは畏まれと思うけども」

小梅「本当?」 パァァァァ

エリカ「エリカでも何なり好きに呼べばいいわ」

小梅「じゃあ、人間タンク逸見で」

エリカ「やめろ」

小梅「それじゃあ私は他の協力者を探すから、人間タンク逸見さんは隊長に話を――」

エリカ「やめろっつってんでしょ!!!!」
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/05(金) 07:51:22.64 ID:wPPj1Asyo

小梅「じゃあ、エリカさん」

エリカ「そうしときなさい」

小梅「えへへ……エリカさんエリカさんエリカさん」

エリカ「何を急に、怖いわね」

小梅「何か、本格的にお友達になったなーって感じが……」

エリカ「意味分からないわね」

小梅「またまたあ〜」

小梅「突然西住隊長が期待のルーキーを『逸見』でなく『エリカ』と呼ぶようになってたじゃないですか」

小梅「隊長の性格的に自ら下の名前で呼びたがったってことはないでしょうし、つまり――」

エリカ「ば、馬鹿な話をしてないで他に援軍を探すわよ一分一秒が惜しいのよ1!!!!!!!」
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