バットマン「グランド……オーダー?」

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569 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/11(木) 22:56:55.51 ID:mdgU/rUSo
うーんカッコ良すぎるブルースだ
ここまで覚悟をもって物事を言い切れるキャラクターには惚れてしまう
570 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/12(金) 07:20:53.57 ID:bz5aAZxC0
待ってた…

ラインバレルの人たちが描いてるアイアンマンっぽいウルトラマンと
FGOの相性ってどうなんだろう
571 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/12(金) 08:51:30.65 ID:GXq+UKQEO
>>570
まずアラヤとガイアは敵対的な宇宙人が嫌いだから全力で排除しにくるって所で詰む
572 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/13(土) 01:01:51.99 ID:RN4DtKDno
何故いきなりウルトラマンの話題が…?
573 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 00:56:50.25 ID:p3VFfcpc0

 世界に取り残されるのは、初めてではなかった。


 何かを守ろうと伸ばした手は、アタシじゃ決して届かない。


 戦争だから、仕方ない事なんだ。手を伸ばせば、届かぬ痛みも必ず返る。覚悟していたハズだ。アタシは自分に何度も言い聞かせた。そうして、自分の世界が蹂躙されたのを許容した。


 たとえ、娘達の悲鳴が聞こえたような気がしても。それはとっくの昔に終わった事だった。


 終わった事、だった。

574 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 00:57:20.02 ID:p3VFfcpc0

…………



ブーディカ「……うーん……」ガチャガチャ


ブーディカ(硬い鎖……これは解けないかな。全く、捕まるなんてね……さしずめここはガリアの砦ってとこかな?)


???『ハローハロー、聞こえるか?』

ブーディカ「! 誰だ!」

???『キミは確か……ブーディカ、だったかな? 声だけで失礼するよ』

ブーディカ「……」

???『おっとすまない、まずは自己紹介だったな。私はリドラー、ここでの役割は優秀な頭脳の戦士と言ったところかな?』

ブーディカ「……あっそ。で、その頭脳の戦士が何の用?」



575 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 00:57:47.64 ID:p3VFfcpc0

リドラー『まあそうカリカリしてないで、遊ぼうじゃないか。なぞなぞだ』

ブーディカ「……なに?」

リドラー『なぞなぞだよ、キミにとってはとても簡単なハズだ』

ブーディカ「……何かは知らないけど、お遊びなら付き合ってらんない……」

リドラー『では一問目! プラスタグス王の死に便乗してブリタニアを蹂躙したのは何処の国だ?』

ブーディカ「……!」

576 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 00:58:14.18 ID:p3VFfcpc0

ブーディカ「何が言いたいのか知らないけど……!」

リドラー『おやぁ、本当かな? 答えは……古代ローマ! 少し簡単すぎたかもしれないが、許してくれ。では次の問題!』

ブーディカ「ふざけんな! 何が言いたいんだ!」

リドラー『その古代ローマを率いていたのはだーれだ?』

ブーディカ「この……」ギリィ


リドラー『……そう、ネロ皇帝だ』



577 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 00:58:47.65 ID:p3VFfcpc0

ブーディカ(……まだ、悲鳴が聞こえる。涙が見える。ローマに蹂躙しつくされる郷土が見える。
違う、幻だ。それはとっくに終わった、過去の幻だ。飲まれては駄目だ。飲まれては……)


リドラー『不思議でならなかったよ、キミがネロの側についたと知った時は……だが合点がいった。どうやらキミも、自分を誤魔化して生きるのが好きなようだ。
何故自分を誤魔化す? 人理を守る為か? 自分の故郷すら守れなかった者が?』

ブーディカ「……うるさい……」

リドラー『キミは誇り高き女王だった。そしてその誇りが、更に故郷を追い詰めた……にも関わらず、何故こんな状況に甘んじている? 仇も討たずに』

ブーディカ「黙れ! やめろ!」

リドラー『キミは気付いているな? その自制心も長くはもたない。キミは永遠に自責の念から逃れられない……ネロを討つ、その時までは』

ブーディカ「そんな事は……」


ブーディカ(……無い、なんて、言えない。言えるわけがない。だって……)



ブーディカ(まだ、終わってないんだもの。アタシの中じゃ、あの戦争はまだ続いてる)



リドラー『……キミに良い事を教えよう。未来から来たあの男はまだ生きている』



578 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 00:59:42.75 ID:p3VFfcpc0

ブーディカ(未来から来た男……マシュのマスター。ああ、生きていたのか……)


リドラー『奴は必ずキミを助けに来るだろう。チャンスをあげよう、ブリタニアの女王よ』

ブーディカ「チャンス……?」

リドラー『なに、簡単な事だ。奴を殺せ。そうすればキミをこちらに迎え入れよう。ネロの処分もぐっと楽になる』

ブーディカ「そんな事……!」

リドラー『できない? 触れる事もできない未来がそんなに大事か? ……ならもう一つ、教えてやろう。人理焼却が完遂した後も、この世界は残る』

ブーディカ「え……?」

579 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:00:26.18 ID:p3VFfcpc0

リドラー『残るのだよ。時が満ちれば、この世界は聖杯の力によって正式な時流の中に食い込み、歴史を阻む異物として永遠に残る。
……さあ、考えてみろ。ブリタニアを救うチャンスだ。キミがただの妻に戻り、娘と夫に出会う事も出来るだろう。全て順調な世界を作れるのに、何故今の世界を救う必要がある? この永遠の中に身を浸そうじゃないか』



ブーディカ「…………あ……」

リドラー『……返答は要らない。時間はやる。バットマンが助けに来るその時まで、じっくりと考えるがいい』プツッ

580 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:01:19.97 ID:p3VFfcpc0


ブーディカ「……」


ブーディカ(……アタシは、王国に永久の繁栄を祈っていただけだった)

ブーディカ(ローマが来て、蹂躙されて。それでも、故郷の永遠は取り返せると思っていた)

ブーディカ(そんな自分の身の程知らずな願いが、故郷を追い詰めて……)

ブーディカ(でも、今、贖罪のチャンスが目の前にある。今度こそ、ブリタニアを救えるかもしれない。
……それどころか、あの頃の幸せが、取り戻せるかもしれない。夫娘二人と暮らしてた、あの頃の……)

ブーディカ(……)


581 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:03:41.68 ID:p3VFfcpc0

ザアザア……ザアザア……

ジャバッ、ジャバ……バシャッ……

エリザベート「もー無理、もー限界。腕動かない」ダラー

キャット「だらしない奴だワン。黒猫を見習え、ずっと漕ぎっぱなしでも文句ひとつ言わないではないカ」

バットマン「……陸までもう少しだ、気張れ」ジャバッジャバッ

エリザベート「だってぇ……大体、キャットの役目だっておかしいでしょー!? 何よ、船尾に座って微動だにしてないじゃないの!」

キャット「風を読むのだって立派な役目だワン。……む、そろそろ帆を張るぞ。手を休めろ、黒猫よ」ゴソゴソ

バットマン「分かった……」

エリザベート「休めるー!!」

キャット「休みっぱなしだったクセに……」


582 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:04:10.94 ID:p3VFfcpc0

帆「」ブワァッ‼

キャット「おおおおお、良い勢いで進むナ……」ユラユラ

エリザベート「はー、チョー快適……」

バットマン「……すぐに陸に着くが、お前達二人はどうする?」

キャット「……んー、気分次第で」

エリザベート「アタシは街でちょっと休むぅー……」

バットマン「分かった。なら、今までの礼を言っておく……手を貸してもらった事、感謝する」

キャット「構わんワン……ん? 構ワン? え?」

エリザベート「お礼はファンクラブの拡張で良いわよ! ええ!」

バットマン「……前向きに検討する」


バットマン(……あのリドラーの事だ。今まで通りにいくとは思えない……何か仕込んでいるハズだ。用心しなければ)

583 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:04:46.45 ID:p3VFfcpc0

ザザーン……ザアザア……

エリザベート「とぉ〜ちゃくっ!!」

バットマン「……よし。私はマッシリアへ」

キャット「アタシもついて行くぞ。街に行かねば猫缶も無い」

エリザベート「あ、アタシもアタシも!」

バットマン「……街に行っても猫缶は保証できないが」


584 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:05:16.29 ID:p3VFfcpc0


………………

ザアザア……ザアザア……

呂布「■■■■……■■■■■■■―!!」

荊軻「……」ハァ……


荊軻(……マッシリアへの駐在、二日目。ガリアの戦線が崩れた事は未だに知らせていないが……勘のいい兵士は気付き始めている、か)

荊軻「……」

荊軻(こんな時、ブーディカが居れば。呂布も上手く扱いつつ、兵士も綺麗に纏め上げただろうに……)

コン、コン

荊軻「どうした?」

兵士A「失礼します! ブルース様がこちらにいらっしゃいました!」

荊軻「!! ブルースが!?」

585 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:05:45.09 ID:p3VFfcpc0

………………

バットマン「……荊軻」

荊軻「ブルース、ようやく会えたな。で……あの話は本当なのか? マシュが囚われ、皇帝とブーディカ、スパルタクスも行方不明と……」

バットマン「……残念だが、本当だ。戦力は半減したと言っても過言ではない」

荊軻「……それでは、我々の勝ち目が……」

586 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:06:25.01 ID:p3VFfcpc0

バットマン「いや、ある。ガリア砦へと少数精鋭で攻め込み、そこに囚われているであろうブーディカとスパルタクスを救出する」

荊軻「救出……と言っても、二人は生きているか死んでいるかも分からないのに」

バットマン「必ず生きている。アイツは……リドラーとはそういう男だ。
自分の知性を証明するために、敵の存在を利用したがる。殺せば、それが不可能になる。歴史に残っているような人物が相手なら、なおさらその性質は強く出るハズだ」

荊軻「……何と言うか」

バットマン「異常だ」

荊軻「……だな。それか、極めて正常か」

バットマン「…………」

587 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:06:57.21 ID:p3VFfcpc0

荊軻「それで、いつ行く?」

バットマン「……早い方が良い。明日か、行けるなら今からでも」

荊軻「随分と急ぐな……何故だ?」

バットマン「通信機の位置を探知されている。私が川から流された時、精確な追撃を寄越して来た。可能性としてはそれしか考えられない」

荊軻「成程な……では、稲妻のように速く攻めるとするか」

バットマン「それが望ましい」

荊軻「好みだ」

バットマン「頼りにしている」

588 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:07:28.78 ID:p3VFfcpc0

荊軻「しかし、問題もある……キミたちが遭遇したというサーヴァント、レオニダスの事だ」

バットマン「……」

バットマン(炎門の守護者、レオニダス。三日に渡り、三百の兵で三千のペルシア軍を堰き止めていた英雄)

バットマン「……そちらについても、対抗策はある」

荊軻「本当か?」

バットマン「……『本来は守りに使う宝具』。奴はそう言った」

荊軻「……?」

バットマン「そのままの意味だ」

589 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:08:03.22 ID:p3VFfcpc0

バットマン「ガリア奪還メンバーは私、呂布、荊軻、それと大隊を一つ。これで行く」

荊軻「随分……少ないな?」

バットマン「あれだけ派手に敗北した以上、もう戦力は過剰には注ぎ込めない。最低限の戦力で、最高の戦果を納めるしかない」

呂布「■■■■■■■……」

荊軻「……ふむ。兵士には伝えておこう」

バットマン「頼んだ。それと、通信機を兵に渡しておいてくれ。連絡は常に取り合いたい」

荊軻「了解した。では」

バットマン「ああ」

バットマン(……雨も止み始めた。太陽も昇り出した。決行のタイミングは今を置いて他にない……さあ、この挑発に食いつくか、リドラー)


590 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:08:29.71 ID:p3VFfcpc0


………………

ネロ「むむ……マッシリアを目掛けて戻って来たつもりが、ここは全く違う都市か……」

ネロ「……しかし、四の五の言ってはおれんな。ここに潜伏し、あわよくば連合ローマ帝国の事も探らねば!」

敵兵A「待て! この先はパレードの最中だ、身分証を!」

ネロ「……ってしまったァー!!」ダダッ

敵兵A「なっ……」


591 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:09:56.77 ID:p3VFfcpc0

ガヤガヤ……ワイワイ……

ネロ「……はあ、はあ。何とか逃げきれたか……」

ネロ「……布で顔を隠しておいた方が良さそうだな。ブルースと微妙にキャラが被るが、致し方なし!」クルクル、キュッ

ネロ「それにしても、なんと活気に満ち溢れた通り! 余の統治していたローマでもここまでは……これほどの大きな都市とは、いったいここは何処だ……?」


果物屋の店主「いらっしゃい、いらっしゃい! とれたての果実が美味いよ!!」

ネロ「む、丁度良い。店主、この都市はいったい何と言う街なのだ?」

果物屋の店主「なんだ、見ねえ顔だな! ここは連合ローマ帝国の首都だよ、こんなでけえ都市なんてそうそうねえだろ!」


ネロ「……え?」


果物屋の店主「今、そこで皇帝様がパレードもやってる! どうせなら見て行ったら……あれ? どこ行った?」


592 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:10:54.15 ID:p3VFfcpc0

ガヤガヤ……ガヤガヤ……

ネロ「……」

ネロ(なんという事だ。敵をまくために都市に逃げ込んだというのに、ここは敵の本陣だったというのか)

ネロ(……いや、そんな事より、この活気。余が統治していたローマの……何倍の活気だ? 
人の表情は生き生きと輝き、通りの犬は元気に吠え、子供達は喜んで聖職者の説教を聞き……熱量が、違い過ぎる。
余の、ローマでは、こんな……)

ネロ「……まるで……」

ネロ(まるで、余は皇帝として……間違っていたかのような)

593 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:11:25.69 ID:p3VFfcpc0

ドドォン‼ ジャァァァァン‼


ネロ「!?」

『これより、ローマ神祖様が凱旋なされる! 花弁の用意をせよ!』

子供「ろむるす様だ!!」
聖職者「おお、偉大なる神祖……」
店主「凱旋だー!! 捧げる料理を用意しろー!!」

ガヤガヤガヤ……ウォォォォォォォォォ‼‼


ネロ「神祖……ロムルス!?」

594 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:12:04.46 ID:p3VFfcpc0

花弁「」ブワァァァァァァァッ‼‼


ウォォォー‼ ロムルスサマ‼ ロムルスサマバンザイ‼


???「民よ!」

ネロ(あの声が……神祖? 人だかりで見えぬ……)

ネロ「すまぬ、どいてくれ……すまぬ」グイグイ……グイグイ


???「全ての民よ! 命ある者達よ! 聞くがよい!」

シーン……

ネロ(ようやく抜けた……)

ネロ「……あれが、」


595 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:12:46.06 ID:p3VFfcpc0

ロムルス「我が名はロムルス! 私こそはローマ!」


ロムルス「民よ! 果てぬ欲望を持つ者よ! 満たされて尚、乾く者よ!」

ロムルス「手を伸ばすが良い! このローマでは、それが許される! たとえ世界が果てようとも、ローマの先に果てはない!」


ロムルス「民よ! 永遠の安寧を望む者よ! 潰えぬ国を望む者よ!」

ロムルス「地を、空を、隣人を見るが良い! それこそがローマ! お前達のひとりひとりが、絶対に失わぬ光!」


ロムルス「民よ! 苦難の時を迎える者よ! 歩みを止め、下を向いた者よ!」

ロムルス「前を向け! 歩き出せ! たとえどんな歩みであろうと、すべての道はローマに通ず! 胸を張れ! 此処こそ、ローマである!!!」


ウォォォォォォォォォ‼‼ ロムルスサマ‼ バンザーイ‼ ローマ、バンザーイ‼


596 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:13:23.79 ID:p3VFfcpc0

ネロ「……あ……」

ネロ(……何処かで、望んでいた。ローマ皇帝を名乗る偽物の軍団が、この件を操っているという筋書きを)

ネロ(だが、同時に分かっても居た。偽物が皇帝を名乗ったとして、民や兵までもが移っていくはずもない。だが……)

ネロ(だが、余は……)


『ロムルス様は暫く休まれる! 供物は兵達に預けるように!』


ネロ「……」

ネロ(……思い出せ、ネロ・クラウディウス。ローマを取り返すのだ。今、ここで神祖を尾行し、暗殺できれば。形勢逆転が可能になる……)


597 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:14:10.32 ID:p3VFfcpc0

………………

ロムルス「……良い凱旋であった」

???「そうかな? アレは派手すぎだと思わないでもないが……まあ良いさ、民衆は馬鹿だ。馬鹿をまとめるのはキミに任せる」

ロムルス「お前は変わらんな、リドラー。民衆こそ至高の宝だ。忘れてはならん」

リドラー「あーあー、聞き飽きた。僕には興味が無い。この世に頭脳以上の宝など存在しえない」

ロムルス「……ゆえに、今回の敵にこだわるか」

リドラー「……それはとても繊細かつ腹立たしい質問だ、回答は控えさせてもらうよ」

ロムルス「ふふ……世界は広いぞ」

リドラー「狭いさ」

598 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:14:37.27 ID:p3VFfcpc0


ウワッ!? ダレダ……ウグッ!?

ドサッ……ドシャッ


ロムルス「……」

リドラー「……来たか。お客様だ、一体どっちの客かな?」

ロムルス「先程私が凱旋していたのだ。私だろう」

リドラー「んー、簡単すぎるなぞなぞだったか」



敵兵A「ろ、ロムルス様! お逃げ下さい、敵襲……っぐ」ドシャッ

ネロ「……」スタスタ

ロムルス「……」

リドラー「おやおや、なんとまあ」

ネロ「……神祖」

ロムルス「ふむ……」

599 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:15:23.65 ID:p3VFfcpc0

ロムルス「来たか、ローマ皇帝よ」

ネロ「……」

ロムルス「……」


ロムルス(……やはり、迷いがあるか。しかし、乗り越えてみせよ)

ネロ(……これは、絶好の、機会! ここで躊躇う事は許されぬ!)


ネロ「ここで首を獲る……! 今は余の時代だ!」チャキッ

リドラー「ふっふふ、言うね。流石暴君様」

ネロ「……何?」

600 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:16:10.23 ID:p3VFfcpc0

ロムルス「リドラー!」

リドラー「何だ、聞かせてやれば良いじゃないか。辛い事は一度に済ませた方が良いだろう?」

ネロ「何の事だ!? 何故余が暴君などと呼ばれねばならぬ!?」

リドラー「おっとっと、怒らないでくれよ。ただ、キミが後世でそう呼ばれてるだけさ……最悪の弾圧、暴政。悪名高きローマ皇帝、ネロ・クラウディウスとね」

ネロ「弾圧……暴政?」


ネロ(馬鹿な……余は、そんな……)


リドラー「ふふふ……キミは今まででも我儘で人を苦しめた事があるはずだ。暴政なんてその延長線上、気にする事は無いだろう?」

ロムルス「リドラー、もうよせ!」

リドラー「ああ、ロムルスが言う『至高の宝』である『民衆』だったかな? そいつらが自分のせいで苦しんで死んでも、気に病む事はない。世界にとっては小さな誤差で、それがキミの正しい姿だ」

ネロ「……余の……」


ネロ(……では、余は……本当に、民衆から必要とされなくなる……?)

ロムルス「……リドラー」

リドラー「……おっと、そろそろ黙るかな。味方に殺されちゃあ不味い」


601 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:17:24.79 ID:p3VFfcpc0

ロムルス「ネロ・クラウディウスよ。たとえ未来でその言葉が本当になったとしても、お前はローマの御子。今はなすべき事をなせ」

ネロ「……ひとつ、聞かせて欲しい」

ロムルス「……」

ネロ「神祖、ロムルス……貴方は、永遠のローマを作る気なのか」

ロムルス「……」


ロムルス「……ああ、そうだ」

602 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:17:52.74 ID:p3VFfcpc0

ロムルス「私とて、その魅力には抗えん。その熱には」

ロムルス「永遠に続くローマ帝国。事実、私はそれを夢見た」

ロムルス「神祖としてのロムルスではなく、一人の男として」

ロムルス「理性の対極にあるそれは、浪漫だ。私の胸で燃え盛る、世界への挑戦だ」

ロムルス「……私も、永遠のローマへ辿り着きたい。祖でありながら、私は未だにその頂点を欲している」


603 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:18:31.96 ID:p3VFfcpc0

ネロ「……」

ロムルス「……だが、世界が燃え尽きれば、ローマが消えるのもまた事実。さあ、ネロ・クラウディウスよ。私を斬るのだ。斬ってこの夢を終わらせてくれ」


敵兵B「……なんだ!? テント前の護衛が倒れているぞ、応援を呼べ! 敵襲、敵襲―!!」

ザワザワ……


ロムルス「急げ。あと30秒もあれば、我が兵達が突入してくるだろう。さあ、やるのだ」

ネロ「……」チャキ


ネロ(……余に、斬れるのか。神祖を)

ネロ(斬って、どうするというのだ。神祖が死に、望まれぬ皇帝としてまた玉座に座るのか)

ネロ(誰が幸せになれる? 誰が望む? このような、半端な皇帝など……)

ネロ(……やはり……)


ネロ「……やはり、余には斬れぬ……」ガチャンッ

ロムルス「……」

604 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:19:29.59 ID:p3VFfcpc0

敵兵達「「「ご無事ですか、ロムルス様!!」」」ゾロゾロ

ロムルス「……ああ、心配は要らぬ。侵入者があった……あちらの皇帝だ。処遇は追って伝える、今は牢に入れておけ」

ネロ「……」


リドラー「くくく……僕の事を悪く言うが、キミもなかなか良い性格をしてるじゃないか。斬れ、だって?」

ロムルス「……」

リドラー「できる訳がない。分かってただろ? 自分で止まるしかないんだ。それをキミは」

ロムルス「……」

リドラー「……こうなったらもう止まれない。まっしぐらに、永遠めがけて落ちて行く」

ロムルス「望む所だ。それならば、浪漫を追求してやろう」

リドラー「……結局、キミには負ける選択肢なしか。羨ましいね」

ロムルス「お前と同じ、負けず嫌いなのだ」

リドラー「ふっ……」


605 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:20:09.29 ID:p3VFfcpc0

………………

ガシャンガシャン、ガシャンガシャン

マシュ「……?」ムクリ

ガゴーン‼

敵兵B「入れ!」ドサッ

ネロ「うぐっ……」

ガシャン‼


マシュ「……ネロ皇帝!?」

ネロ「……ましゅ……ましゅうううううううううう!!!」ダキッ

マシュ「え、えええええ……」


606 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:20:45.52 ID:p3VFfcpc0

………………

ピピピ‼ ピピピ‼

バットマン「……もしもし、マシュか。どうした?」スタスタ

マシュ『あの……ネロさんも捕まってしまいました』

バットマン「何? ネロ……ネロ・クラウディウスがか?」ピタッ

マシュ『はい、その……すごく心を折られてて……泣き喚いています』

ウワァァァァァァァン‼ ヨハイラナイコニナッテシマッター‼

バットマン「……生きている事が確認できて良かった。こちらは今、ガリアへ向けて進行中だ。砦を奪還した後、可能な限り速くそちらへ向かう」

マシュ『は、はい。その、ネロさんはどうしたら?』

バットマン「……好きにさせてやれ」プツッ


607 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:21:27.29 ID:p3VFfcpc0

荊軻「どうかしたか?」

バットマン「ネロの生存が確認できた」

呂布「■■■■■■■―――――!!!!」

荊軻「朗報じゃないか。よし、希望が見えてきたな」

バットマン「……ああ」


バットマン(心を折られた……か。厄介な事をする)

バットマン(誰がやったかは、大方の想像がつく)

バットマン「やってくれたな……」

荊軻「どうした?」

バットマン「……いや。必ずガリア砦を取り戻そう」

荊軻「……ああ、勿論だ」

608 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:21:55.47 ID:p3VFfcpc0

ドクター『その辺り一帯の地雷は一時停止状態とはいえ、気を付けてくれ。派手な衝撃が加われば危険だ』

バットマン「ああ。……ドクター、敵性反応は未だに無いか?」

ドクター『……それもそろそろ、だね。戦闘の準備をしておいてくれ』

バットマン「了解した……」

通信機『』ピーッ‼ ピーッ‼

バットマン「……緊急だ。すまないドクター、少し切る……」ピッピッ

兵士A『もしもし! こちらマッシリア駐留部隊! 大変です、敵の首都より大部隊がこちらへ……!』

バットマン「……」


バットマン(やはり、来たか)


609 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:22:31.10 ID:p3VFfcpc0

荊軻「どうした? 緊急か?」

バットマン「連合首都から、敵の大部隊がマッシリアへ向けて進行中だ」

荊軻「……どうする? 戻るか?」

バットマン「いいや、計算通りだ。もしもし、そちらで出来得る限りの時間稼ぎを。ガリア砦を取り戻し次第、こちらもすぐに加勢する」

兵士A『了解! 武運を!』

バットマン「そちらも」プツッ


荊軻「成程、素早く攻め落とす必要がある訳だ」

バットマン「行くぞ……隠密状態解除! 砦奪取へ動け!」

兵士達「「「おおおおおおーーーー!!!!!」」」

呂布「■■■■■■■―――!!!!」


610 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:23:09.50 ID:p3VFfcpc0

レオニダス「……来ましたな。あの数、あの気迫。速攻戦に違いなし」

レオニダス「ならば、我が三百の宝を見せるまで。たとえ十倍の数が相手であろうとも……」

レオニダス「スパルタとしての意地! 誇り! 今度こそ守り抜いてみせる!!!」


敵兵達「「「おおおおおおおおおおお!!!!」」」

611 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:23:40.21 ID:p3VFfcpc0


バットマン(相手も三百の兵を展開済み! 全速力でこちらへ突っ込んで来る!)

バットマン「良いか、教えた通りの戦法をとれ!」

兵士達「「「うおぉぉぉぉぉーーーー!!!」」」ドドドドドドド

呂布「■■■■■■■――!!!」

バットマン「別れるぞ! 武運を祈る!」

荊軻「キミも! 無事を祈るぞ、ブルース!!!」

612 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:24:13.66 ID:p3VFfcpc0

バットマン「フッ!」ドシュゥゥゥゥゥゥ……

レオニダス「……?」

レオニダス(煙幕? あんな小規模な……)


レオニダス「!!」ガガァン‼


レオニダス(これは……シュリケン?)


レオニダス「ああ、バットラングというヤツですな! 報告はあがってきており……」

荊軻「そらっ!」ヒュンッ

レオニダス「おおう!?」ガァン‼

荊軻「ちっ、一撃で上手く行かないのはもはやお約束か!」

レオニダス「成程、兵に構わず私を潰しに来たか! 賢明ですが、そう上手く行きますかな!?」ブゥン‼

荊軻「舐めるなッ!」ギィン‼


613 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:24:50.15 ID:p3VFfcpc0

兵士B「矢を撃て! 放て! 狙うのは大将だ!」

兵士達「「「おおおおおーーーー!!!」」」ヒュンヒュンヒュンヒュンッ‼


敵兵「ぐっ……」ギギィン‼ ギャァン‼

レオニダス(厄介な……三百の兵の『防衛的性質』を見抜いた者が居たのか。私が狙われれば、この兵達は私を守る……反撃に転ずる事が出来ない!)

レオニダス「……なんの、この程度の逆境で泣きが入ってはスパルタの名も傷付くというもの! ここからですぞおおおおおおお!!!」

荊軻「くっ……」

荊軻(うまくやってくれ、ブルース……!)



614 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:25:24.01 ID:p3VFfcpc0

………………

バットマン「……」タタタタ……


バットマン(砦の内部に潜入したは良いが……見張りが居ない?)

バットマン(嫌な予感がする……)


バットマン「……」スタスタ……

バットマン(この下が地下牢か。ブーディカ達が居るのか、それとも……)


615 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:26:22.70 ID:p3VFfcpc0


バットマン(鍵は……これか。よし、あとは牢を見つけるだけだ)ジャラリ

バットマン(……それにしても、この砦は静かすぎる。……外敵が攻め入ってくる事を想定していないとでも?)

バットマン(いや……成程な。最初から、私達をおびき寄せるためだけの餌だったという事か)



「おーーーい!!! こっち!! 誰か居るんでしょーーー!!!」


バットマン「!!」

バットマン(あの声は……)


616 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:26:53.42 ID:p3VFfcpc0

バットマン「見つけたぞ、ブーディカ」


バットマン(……? 何故だ、違和感が……)


ブーディカ「えへへ、ごめんね。ドジ踏んじゃってさ、捕まっちゃった」

バットマン「……心配いらない。すぐに出してやる」ジャラ……ガチャガチャ

ブーディカ「……本当に、ごめんね……」

バットマン「敵の策を予測できなかった私の責任だ。……開いたぞ、外に出ろ」

ブーディカ「……いいや、謝ったのは、それに対してじゃなくてね」

バットマン「何に対してだ?」


バットマン(……何に対してだ? 何故さっき、私は違和感を抱いた? 何がおかしい?)


617 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:27:31.85 ID:p3VFfcpc0

バットマン(リドラー。心を折る。ブーディカ。ブリタニアの女王)

(((引っ掛け問題の味はどうだ、バットマン?)))

バットマン(引っ掛け問題。……ああ、そうだ、なんて単純な答えなんだ)

バットマン(牢の中に繋がれていたのに、何故武装が解除されていない?)



ブーディカ「ふッ!!!」ブゥンッ‼

バットマン「っぐ!?」ガギィィィィ‼


618 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:28:23.48 ID:p3VFfcpc0

ブーディカ「……やっぱり、一瞬じゃ無理か。キミ、手練れっぽいもんね」ギリッ

バットマン「くっ……」ヨロ


バットマン(何故? ……ああ、考えるまでもない。この裏切りは想定できていた)

バットマン(ブーディカ。ブリタニアの女王。ローマに……ネロ・クラウディウスに蹂躙された地を取り戻そうと戦った、誇りの女王)

バットマン(……なら、こうなる方が自然か)


619 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:29:00.91 ID:p3VFfcpc0

ブーディカ「ごめんね。死んでほしいんだ」

バットマン「……」


バットマン(大方、あちらにつけばブリタニアが取り戻せるとでも言われたのだろう)


ブーディカ「っ!」ヒュッ‼

バットマン「フッ!」ガギィン‼

ブーディカ「やあっ!」ヒュンヒュンヒュンヒュンッ‼

バットマン「……!!」ババッバッバッ‼

ブーディカ「逃がさないよ……! アタシはブリタニアを……!」グォンッ

バットマン「!! しまっ……!」

620 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:29:31.10 ID:p3VFfcpc0


………………

荊軻「そこ!」シュンッ‼

レオニダス「甘いッ!!」ガギィィィ‼


呂布「■■■■■■■―――!!!!」

兵士達「「「うおぉぉおぉぉぉぉぉぉ!!!」」」ヒュンヒュンヒュンヒュン

敵兵達「「「ぐおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」」ガガガガガガガ……


ドガァァァァァァァァン……

荊軻「何!?」

荊軻(砦の壁が……)


バットマン「ぐっ……」ゴロゴロッ

荊軻「ブルース!?」


ブーディカ「……」スタスタ


荊軻「ブーディ……」

荊軻(違うな。アレは私の知っていたブーディカではない)


621 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:30:15.47 ID:p3VFfcpc0


レオニダス「形成逆転のようですな!!」ギャリィィィ‼

荊軻「ちぃっ!?」ガガッ‼


荊軻(こいつを抑えておかなければ……だが、それではブルースが)


ブーディカ「……」ヒュンッ

バットマン「うぐっ……」ギィン‼

ブーディカ「フンッ!」ドゴォッ‼

バットマン「っぐあ!?」ドシャアアッ


呂布「■■■■■■■―――!!!!」ドスドスドスドス

バットマン「!? 駄目だ、来るな! 戦線を維持しなければ……!」

敵兵B「今だ! 攻撃が緩んだぞ、反撃ィ!!!」

敵兵達「「「ウオォォォォォォーーー!!!」」」ドドドドドドド‼


兵士達「「「おおおおおおおおおおおぉぉぉぉ!!!!」」」ドドドドドドドッ‼


呂布「■■■■■■■―――!!!!」ダッ



バットマン(駄目だ、総力戦では絶対に打ち負ける!)


ブーディカ「まだだ……!」ブゥン‼

バットマン「くっ……」ギャァン‼


622 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:30:50.35 ID:p3VFfcpc0

バットマン「ッ……お前はそれで良いのか、ブーディカ……!」

ブーディカ「……良い悪いなんて単純な動機じゃ、人間は片付けらんない時もあるんだ。アタシは絶対に負けられない! 今度は、絶対に!」ヒュンッ

バットマン「……お前は何を誤魔化している。何を恐れている。誰の為に戦っている!?」ガギィ‼

ブーディカ「アタシは! 何も! 誤魔化していない! アタシはブリタニアの為に戦ってんだ!」

バットマン「嘘を吐くな!」

ブーディカ「吐いてない!」

バットマン「目を見れば分かる!」

ブーディカ「うるさいっ!!!」ギャリィン‼


623 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:31:35.34 ID:p3VFfcpc0

ブーディカ「アンタに分かるのか! 愛してた人が、郷土が蹂躙されて、どうにかしようと立ち上がって!! そのせいで、もっとひどい事になったのに!!」

ブーディカ「アタシが黙ってあの世界を許容していれば、娘達は生きていられたのに! ブリタニアはそのままでいられたのに!!」


ブーディカ(まだ、まだ聞こえる。あの泣き声が。耳を塞いでも、謝っても、泣いても、何をしたって消えてくれないあの声が)


ブーディカ「ローマさえ居なければ! ネロさえ居なければ! アタシさえ居なければ!」

ブーディカ「だから……! だから、これはチャンスなんだ! アンタを殺して、ブリタニアを取り戻して、今度こそ……! 今度こそ、アタシは……!」ブォン‼


624 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:32:43.09 ID:p3VFfcpc0

バットマン「っっ……!」ガガッ、ドサッ


バットマン(しまっ……!)


ブーディカ「……!」グワッ


バットマン(ガードが、間に合わない……)


625 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:33:15.22 ID:p3VFfcpc0

(((わ、私、は……)))

(((戦いが、怖い。人が死ぬのを見るのが怖い……)))


ブーディカ「…………」グ……ピタッ

バットマン「……?」

ブーディカ「…………」


626 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:33:47.56 ID:p3VFfcpc0

(((大丈夫。アンタは十分強いし、頑張ってるんだ。盾の後ろが重くなったら、他の奴だって支えてやれるんだから……)))


ブーディカ「……ちくしょう……」ドシャリ

ブーディカ「ちくしょう、ちくしょう、ちくしょうちくしょうちくしょう!!
あああああ!!!!! あああああああああ!!!!」ドスッ、ドスッ……ドッ……

ブーディカ「ああ……あああああ……」ポロポロ


ブーディカ(できる、わけがない。マシュの声だって、聞こえてるのに)


627 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:34:40.55 ID:p3VFfcpc0

バットマン「……」

ブーディカ「……」


レオニダス「……フハハハハハハハハ! 良いでしょう、孤軍奮闘には慣れています! むしろスパルタの本領発揮ィ!」ヒュガガ‼

荊軻「まっっったくこの筋肉だるまはしぶといな……! ブルース! 手伝ってくれ!」ギィン‼

バットマン「……今行く」ムクリ

628 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:35:20.98 ID:p3VFfcpc0

レオニダス「ふっ!」ギャァン‼

荊軻「ブルース!」ギリッ

バットマン「フッ!」シュポッガシッ

レオニダス「ふふ、これがグラップネルガン! 無論、報告を受けております! 驚きもしませんな!」グイッ

バットマン「ぐっ……」グワンッ

レオニダス「そぉらっ!!」ブゥン‼


629 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:35:56.89 ID:p3VFfcpc0

バットマン(ここだ!)プシュー……


レオニダス「むぐ、何を掌から……!」

バットマン「離れろ荊軻」スタッ

荊軻「え?」

ポチッ

レオニダス「どわぁぁぁぁぁぁぁ!?」ドゴォォォォォォン


630 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:36:30.36 ID:p3VFfcpc0

バットマン「……奥の手だ。掌から爆破ジェルが噴出できるのは、報告されていなかっただろう?」

レオニダス「ぐ……ぐむ……まだだ! 私の筋肉は未だに! 潰えていない!!」

バットマン「荊軻!」

荊軻「隙有りッ!」ドシュッ

レオニダス「……ぐっ……」ヨロ……


631 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:36:56.23 ID:p3VFfcpc0

レオニダス「……またしても、敗れるか……」ドシャッ


敵兵達「「「……」」」シュウゥゥゥ……


バットマン「……」

荊軻「……よし! ガリア砦、奪取成功だ!」

バットマン「ああ」

632 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:37:28.15 ID:p3VFfcpc0

ブーディカ「……」


バットマン(……このまま放置すれば、また敵になりかねない。ここで……)

バットマン「……」ス……

パシッ

荊軻「ブルース……頼む。彼女は彼女なりの結論を出すハズだ。今、ここで結論を急がせるのはやめてやってくれ」

バットマン「……それは……」


兵士A「た、頼む! 俺からも! ブーディカさんは悪いヤツじゃねえんだ!」

兵士B「そ、そうだ! 俺達だって何度も助けられた、ここではブーディカさんの方を助けるべきだ!」

兵士C「頼むブルースさん! 俺達、ブーディカさんに世話になったんだ!」


バットマン「……」

ブーディカ「……」


633 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:38:01.08 ID:p3VFfcpc0

バットマン「……分かった……」ス……

荊軻「……!」

バットマン「では急ぐぞ。マッシリアへ」

荊軻「ああ! 行くとしよう!」

634 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:38:31.28 ID:p3VFfcpc0

ブゥゥゥゥン……

リドラー『ハローハロー、見えるかな? ガリア砦の奪取おめでとう。だが見えている結論に飛びつくのは危険だなぁ』

バットマン「リドラー……またホログラムか」

リドラー『そう焦るな、この後生身で登場してやるさ。だが、その前に……軽率な行動を悔いる時間だ。
マッシリアに我々の大部隊が攻撃中……キミ達は占領された街に、一歩遅れて到着するだろう』

バットマン「……なら、リドラー。お前も、見えている結論に飛びつくのは危険だ」

リドラー『……何?』


635 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:39:02.34 ID:p3VFfcpc0

………………

リドラー「どういう意味だ、この僕が何かミスを犯したとでも?」

敵兵「失礼します、リドラー様!」

リドラー「おい、今良い所なんだ! 邪魔をするんじゃない!」

敵兵「し、しかし……マッシリアを攻めている部隊が、サーヴァント二体の妨害にあっていると」

リドラー「……何? サーヴァント、二体? 有り得ないぞ、だって今、人理を守る側のサーヴァントはバットマンの周囲に全て……」

敵兵「分かりません……ただドラゴンのような娘と、猫のような恰好をした女に邪魔されているとしか」

リドラー「なんだその漠然とした情報は……!?」

636 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:41:13.00 ID:p3VFfcpc0
………………

タマモキャット「あの黒猫!! これが分かっていてアタシ達をここに残らせたのカ!!」ゴシャアッ‼

エリザベート「せっかく羽を伸ばせると思ったのにぃ! なんでアタシ達が働かなきゃなんないのよ……ほらもっと、アンタ達もキリキリ働きなさいよ!」

兵士「は、はいっ!!」


敵兵W「ば、化け物共が……!」

637 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:42:12.37 ID:p3VFfcpc0
………………

リドラー「馬鹿な! そんな連中はデータには無い……
なんで急に、イレギュラーが!? 計算が狂うじゃないか!」

バットマン『……リドラー』
638 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:42:49.62 ID:p3VFfcpc0

バットマン『お前がいくら私の仲間の心を折ろうと、構わない。いくら地雷を仕掛けようと、いくらホログラムで挑発しようと、いくら仲間を誘惑しようと構わない』

バットマン『……だが、心しておけ。私は根に持つぞ』

バットマン『今からそちらへ向かう。何処へ逃げ込もうと、どんな対策を施そうと、私は必ずそこへ辿り着く』

バットマン『覚えておけ。私は、絶対に、諦めない』

639 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/20(土) 01:43:29.13 ID:p3VFfcpc0

リドラー「……は、ははははははははははは!! ではせいぜい楽しみにしておくとしよう、バットマン! 途中で死なない事だな!」プツッ

敵兵「あ、あれが……バットマン?」

リドラー「……フー……ふ、くくく……ああ。あれでこそバットマン。我が宿敵……最高のライバルだ」

敵兵「わ、我々は……」

リドラー「……マシュを連れてこい。そろそろ、舞台の準備を整えておかないとな」

敵兵「は、はい! 失礼します!」ダッ


リドラー「……はー……全く……」プルプル……

リドラー「……コウモリめ……!」ギリィ……



640 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2018/01/20(土) 01:43:58.67 ID:p3VFfcpc0
今日の更新はここまでです。お付き合い有難うございました
641 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/20(土) 01:57:42.65 ID:+52n6lCto

ブーディカを殺そうとするのがらしいな
ヴィラン達の溶け込み具合もお見事
642 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/20(土) 11:56:50.22 ID:FDkufA7WO

ヴィラン達がホントにいい感じ
ダークナイトがイメージに近いみたいだけど、ジョーカーはヒース版寄りなのかな?
どっちか楽しみだ
643 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/20(土) 22:31:51.81 ID:v+VVchCDO
アーカムナイトのバッドマンとかだと装備関係凄いことになってんのな
重力を操作できるとかビビるわ
それくらいやんないと弱点つくとはいえスーパーマンには勝てないんだろうけど
644 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/21(日) 00:54:58.88 ID:xShSXUG00
蝙蝠の異名を持ち重力を自在に操る高貴なる闇の騎士

……FF13をやったことがないけど
なんとなくライトニングさんに好感を持っている
645 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/21(日) 11:39:35.18 ID:WN4vJceN0
異名は「闇の騎士」のほうじゃなかろうか
646 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/23(火) 02:33:04.84 ID:biE0lZxz0

ネロ「……」

マシュ「……」


マシュ(あれから、何時間経ったのでしょうか……それとも、数分? 数日? 静かな地下牢だと、全く時間の経過が把握できません……)

ネロ「……マシュ。マシュよ」

マシュ「は、はい?」

647 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/23(火) 02:33:33.76 ID:biE0lZxz0

ネロ「お前は……ローマがいつか滅び、余がいつか、暴君となる事を知っていたのか?」

マシュ「……それ、は……」

ネロ「……」

マシュ「……」

ネロ「……知って、いたのだな」

マシュ「……はい……ですが……」


648 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/23(火) 02:34:00.27 ID:biE0lZxz0

ネロ「……良いのだ。慰めは要らぬ。余は不要とされるようになり、ローマはいつか崩れ去る。それは……理解、できる」

マシュ「……」

ネロ「……だが」

ネロ「……だが、たとえ、理解、できていても……」ジワ

ネロ「やはり、辛いものだな……」ポロポロ……


649 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/23(火) 02:34:33.75 ID:biE0lZxz0


(((別に恥じる事じゃないよ。怖かったら怖いって言っていいんだ)))


マシュ「……」スッ

ネロ「……? ま、まs……」

マシュ「……」ヒシッ

ネロ「!!??」


ネロ(ななな何がどうなっておる!? マシュに頭を抱きかかえらrrrr)


マシュ「……大丈夫です、ネロさん」


650 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/23(火) 02:35:00.68 ID:biE0lZxz0

ネロ「……」

マシュ「貴女は十分に強いし、頑張ってるんです。……それに、一人じゃない」

ネロ「……!!」グムッ

ネロ「う……」ジワッ

ネロ「う“わ”あ“あ”あ“あ”ん“……ま”し“ゅ”、ま“し”ゅ“ぅ”ぅ“ぅ”……」

マシュ「……」ナデナデ


651 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/23(火) 02:35:35.33 ID:biE0lZxz0

………………

ネロ「……有難う、マシュ。もう大丈夫だ」パッ

マシュ「そう、ですか」

ネロ「うむ。余は……少し、弱気になっておったのだ。まるで、世界の全てが敵になったような気になっておった」

マシュ「そ、そこまで……」

652 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/23(火) 02:36:03.82 ID:biE0lZxz0

ネロ「だが、もう迷わん! 余は民が好きなのだ! 民の踊り、歌声、歓声が好きなのだ!」

ネロ「余は、余の好きなローマを守ってみせる! たとえ、何が立ちはだかろうとも……」

ネロ「余は皇帝、なのだからな!」



653 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/23(火) 02:36:29.61 ID:biE0lZxz0

………………

兵士達「「「うおおおおおおおお!!!」」」

敵兵達「「「やってしまええええええ!!!」」」


キャット「シャーッ! キリがないぞ!」シュババッ‼

エリザベート「もーやだ! アタシ帰る!」ギャリィン‼


???「ふむ、あの二人が防御の要。しかし落ちるのも時間の問題と言ったところか。まだ攻撃の手を緩めるな」

敵兵A「はっ!」

???「まったく、私は軍師としての働きの方が向いているというのに。前線に出すというのはそもそも運用を間違っている」


ヒュォォォォォォォォッ……

???「……」ギギィン‼

敵兵B「か、カエサル様!? ご無事ですか!?」

カエサル「騒ぐな、無事だ。……それより、このコウモリの手裏剣。真打ち共が帰って来たぞ、戦況の激化に備えろ」


654 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/23(火) 02:36:55.82 ID:biE0lZxz0

バットマン「待たせたか」

キャット「黒猫! 全く、説明責任を果たすのダ!」

バットマン「すまない、敵の出方は分かっていたが残ってもらった。黙っていた事は謝る」

エリザベート「謝罪で済んだら警察は要らないわよぉ!」

バットマン「埋め合わせは必ずする。もう少し踏ん張ってくれ」ダッ

キャット「く、黒猫!? 何処へ……」

655 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/23(火) 02:37:22.25 ID:biE0lZxz0


『戦闘やめ! 引き揚げろ!!』グォォォォォォォ……


敵兵A「!? あ、あれはカエサル様の声……?」

敵兵B「ど、どういう事です!? このまま続ければ、我々の勝ちは……」

ザワザワ……ザワザワ……

カエサル「……今のは私の声ではない! 戦線維持! 混乱するな!!」

カエサル(……どういう事だ、今のは私の声に似ていたが……)



荊軻「今のは?」

バットマン「ボイスシンセサイザー。人の声を真似る事が出来る機械だ」

荊軻「成程」

バットマン「混乱に乗じて突破するぞ」

呂布「■■■■■■■―――!!!!」

656 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/23(火) 02:37:54.73 ID:biE0lZxz0

カエサル「そう簡単に通すと思うか!」ザザッ

バットマン「!!」ピタッ


バットマン(……ガイウス・ユリウス・カエサル。優れた軍師であり、三頭政治の一角であった男。終身独裁官に任命されたが、その後暗殺……実に23もの刺し傷をその身に負っていたという)


カエサル「ふふ、貴様らの動きは予測済みだ。この戦線に何らかの混乱を発生させ、その間にローマ連合首都に攻め入る腹積もりであったのだろう! 残念だが私には通用せんぞ!」

呂布「■■■■■■■……」

バットマン「……」


バットマン(さて、どう退かせたものか)


荊軻「……」

657 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/23(火) 02:38:24.37 ID:biE0lZxz0

呂布「■■■■」スッ

バットマン「……?」

荊軻「呂布……どうするつもりだ?」

呂布「■■■」クイッ


バットマン「……まさか、一人で相手取るつもりか?」

呂布「……」コクリ

荊軻「……呂布、平気なのか」

呂布「……」ニヤリ

呂布「■■■■■■■―――――!!!!」ゴォッ‼


658 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/23(火) 02:38:53.02 ID:biE0lZxz0

荊軻「……ふ、そうか。任せるぞ、大英雄殿」

呂布「■■■■■■!!!」


カエサル「ふん、嘗められたものだな。ならばその腕が如何程のものか……」

カエサル「っ」ギャギギギィン‼

呂布「■■■■■■■■……!!!」ニィィィィ

カエサル「……ほう、成程。英雄の名は伊達ではないと、そういう事か」ギリギリギリギリ……


バットマン「任せるぞ!」ダッ

荊軻「また、必ず会おう!」

呂布「■■■■■■■……■■■■!!!」


659 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/23(火) 02:39:33.12 ID:biE0lZxz0

荊軻「それで……」シュドッ‼

敵兵C「ぐわっ!?」ドシャッ

荊軻「すまない。それで、これからどうする?」タタタタ……

バットマン「……事前に話した通りに動いてくれ」

荊軻「……うまく行くと思うか?」

バットマン「大丈夫だ。もしうまく行かなかった時は、一人で逃げろ」

荊軻「私だけ逃げる? そんな事はできないぞ、ブルース」

バットマン「…………だが、無駄死にも出来ないだろう」

荊軻「……計算の話をしているんじゃない。私の心の話だ」

バットマン「なら、この計画の間だけは心を殺せ」

荊軻「…………」

バットマン「……」

荊軻「……全く、キミは」

660 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/23(火) 02:40:03.60 ID:biE0lZxz0

………………

ピピピ‼ ピピピ‼


マシュ「もしもし、もしもし。こちらマシュ・キリエライトです」

バットマン『マシュ。脱出は可能か』

マシュ「! マスター! はい、可能です!」

ネロ「む、その声! ブルースか!」

バットマン『立ち直ったか』

ネロ「うむ! マシュのお陰である!」

マシュ「そ、そんな事は……」

661 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/23(火) 02:40:30.57 ID:biE0lZxz0

バットマン『なら……今から五分後に脱出してくれ。内側からも混乱を波及させるんだ。
こちらも、もう少しで連合首都へ到着する。そこで会おう』プツッ

マシュ「はい!」

ネロ「し、しかしだな。余が言わずとも分かっていると思うが、この脚に縛り付けられた鉄球は外せぬのでは?」

マシュ「……大丈夫です!」ガシッ


マシュ(清姫さんが教えてくれた、縄抜けの要領で……!)ギュ……ギュ……


662 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/23(火) 02:40:58.58 ID:biE0lZxz0

マシュ「っ、外せました!!」

ネロ「おおおお!!」

マシュ「では、鉄格子を……」バチィッ‼

マシュ「っ」


マシュ(電流? ……サーヴァント対策……)


マシュ「……こんな事で!!」バチィッ、バチバチバチバチ‼

ネロ「……余も手伝うぞ!」バチバチバチバチバチ……


663 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/23(火) 02:41:27.95 ID:biE0lZxz0

ネロ「ぐぐぐぐぐぐぬぬぬぬぬぬ……」ブルブルブルブル

マシュ「サーヴァント、じゃ、ない人、が、無理したら、駄目です!!」バチバチバチバチバチ

ネロ「もう、やめ、なのだ。いつ、までも、誰かに、守って、もらうのは。余は、皇帝で、ある……!」バチバチバチバチバチ

マシュ「……ああああああああ!!」バチ……ギュギギギギギギギギィィィィィ‼

ネロ「……開いた!」シュウシュウシュウ……


664 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/23(火) 02:41:54.37 ID:biE0lZxz0

マシュ「さあ! 装備を取り返して……」


ガシャ、ガシャ……


敵兵D「あーあ、なんで俺が捕虜の移動なんて……!? な、だ、脱走だ!!」ポチッ

ウー‼ ウー‼

ネロ「な、なんという間の悪さ……このように早く見つかってしまうとは」


マシュ(警報ボタンなんてあったんですか……!)


マシュ「武装を取り返して、脱出を……!」


665 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/23(火) 02:42:34.17 ID:biE0lZxz0


ガパッ、ガパパパパ……


ロボットA『脱走者有り。ただちに対処』

マシュ「な……ロボット!?」

ネロ「むむ、なんだあの人形は!? 鉄で出来ているのか……?」


ワラワラ……


ロボットB『脱走者有り。ただちに対処』

ロボットC『脱走者有り。ただちに対処』

ロボットD『脱走者有り。ただちに対処』


ロボットE〜Z『『『脱走者有り。ただちに対処』』』


マシュ「……ネロさん! ここは私が引き付けます!」

ネロ「何!? し、しかしマシュはどうする!?」

マシュ「……必ず無事で追いつきます! さあ早く! 逃げて!」

ネロ「……必ずだぞ! あとで会おう!」


666 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/23(火) 02:43:08.24 ID:biE0lZxz0


敵兵D「くっ、捕虜の反乱だ! 首都に居る戦力をこの城へかき集めろ!」

敵兵E「ちくしょう、なんでこんな事に!?」


マシュ「やあっ!」シュドッ‼

ロボットA『ガガッ……』ドシャッ

マシュ「はあっ!!」ドゴッ‼

ロボットB『ギ……』ドサッ


ロボットC『抵抗は』

ロボットD『無駄です』

ロボットE『ただちに捕縛』


マシュ(どれだけ時間が稼げるでしょうか……)ジリッ


ドゴォォォォォォン……

マシュ「!?」


巨大ロボットA『脱走者、有り。ただちに対処』

マシュ「なっ……」

巨大ロボットA『対処』ブォンッ

マシュ「ぐっ」ドッガァァァァァァ


667 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/23(火) 02:43:59.91 ID:biE0lZxz0

巨大ロボットA『……?』ウィィィィィィィ……

マシュ「…………」グググググググ

巨大ロボットA『抵抗は無意味』

マシュ「……ぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああっ!!!」グググググググググググィィィィイィィィッ‼

巨大ロボットA『サーヴァント反応増大……対処困難』ドッサァァァァァァァン

マシュ「やあああっ!!!」ドッゴォ‼

巨大ロボットA『対処たいたいたいたいたい……』バチチチッ‼


マシュ「……やりました!」スタッ


668 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/01/23(火) 02:44:45.05 ID:biE0lZxz0

盾「」カラーン


マシュ「!」パシッ、スチャ

マシュ(これで武装も取り返せた……! ネロさんに追いつける!)


ドガァァァァァァァァン

マシュ「……?」


巨大ロボットB『抵抗は』

巨大ロボットC『無意味』


巨大ロボットD~Z『『『ただちに、捕縛』』』


マシュ「……え……」


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