【鬼滅の刃】貴方の刃【あんこ】

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271 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/03(土) 20:50:46.12 ID:rmGNZocDo
272 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/03/04(日) 21:41:54.13 ID:4l8+Es2Wo
>>271


太陽「いや名乗れよ 名乗らずしゃべるとか失礼だと思わないのかよ」真顔

金髪「ははは!ソーリー、確かにその通りデスね」

真顔で突っ込んでしまった。そしてそれを笑って受け止める金髪。何でこんな余裕なんだ?

金髪「改めて、私は【ハインリッヒ】」

新免「……ほう?」

金髪「【望月 ハインリッヒ 夜拌(ヨハン)】。外国人は初めてかい?」


───時は大正、実は外国人を招いていたことは、江戸初期から確認されている。
───高い技術を持つ者達を当時では考えられないほどの高額で招き、
───『お雇い外国人』として欧米の技術や文化を継承させていたようである。

───もちろん。
───任期が終われば帰ったものや、日本をさげすんだ者もいた。
───中には、生涯を日本で終えた者や、日本で妻子を持った者などもいる。

───余談だが、ハインリッヒもヨハンもドイツの名前であり、それがどうして『ドイツ語ではなく英語をしゃべるのか』
───……という疑問を持つ者はこの場にひとりもいなかったと言う。
───賢明な読者の方はお分かりだろう。そう、彼も秘密を抱えているのである。


太陽「……」ほけー

夜拌「そう言う訳さ。厳密には、ンン……ハーフ、というやつだけどネェ」

新免「また面妖な武士もいたものだ」

夜拌「ノンノンノン。私は武士ではなく鬼殺の剣士!」

太陽「……」ほけー

夜拌「Are you allright?太陽」

太陽「へっ!」

夜拌「先ほどからぼーっとしてますよ?」

太陽「あ、ああ……髪の毛綺麗だなぁと思って……」

夜拌「Thank you!! 生まれつきでしてね」

……そんな夜拌の姿を、海怜が訝しんでいた。何かを隠しているんじゃないかとか、明らかに信用していないという風だ。


壱:ヨハン、集合場所に行こう
弐:どうしたの?海怜
参:今日はひとまず休んでいきなよ
肆:そのほか

↓弐
273 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/04(日) 22:21:42.53 ID:rU2gcMn0o
274 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/04(日) 23:31:54.06 ID:3UufHgyb0
275 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/03/05(月) 12:53:02.29 ID:eSORNMy7O
>>274


太陽「せん……?」

夜拌「ありがと、の意味デスよ、太陽」

太陽「というか何でおれの名前知ってるの……」

海怜「それはごめん、多分僕達の会話を聞かれたんだろうね」

夜拌「イエース!」

新免「……」

なんだろうなあ、辛いのかな、新免が「頭痛が痛い」と言うような顔をしているのをおれは見た。頭痛が痛いだと言葉が重複してるけど、まさしくそんな感じだったんだ。
たぶんだけど、新免は夜拌のことあんまり好きじゃないんだろうな。
夜拌はそれ気付いてるのかなあ。もしかして嫌われてないとか思っ………いや、考え過ぎかぁ。

太陽「ええと……ここまでお疲れ夜拌。約束の日にはまだ時間があるし、今日は休んでいきなよ」

夜拌「りありぃー?いいんですか?ありがと、Thank youねー!」

太陽「お、おう」

夜拌は嬉しそうに笑顔を作って玄関から中に入っていく。しかし、何だろう、この妙な違和感は。なにか大切なことを見落としているのだろうか?

新免「……喧しいのは苦手でな」

夜拌が中に入った後、新免がつぶやくように言う。ああ、夜拌は透き通るような声だったから、耳にキーンと来たんだろう。

海怜「太陽、ちょっといいかな」

太陽「? どうしたんだよ海怜」

そして今まで黙っていた海怜が口を開き、おれの方に歩んできて耳元でささやいた。

海怜「多分、これは罠だ」

太陽「」!

海怜「行けば危ないと思う。でも、行かなければもっと危ない」



壱:罠ってどういうこと?
弐:海怜はどっちがいいと思う?
参:……それでも鬼がいるなら行くよ
肆:新免はどうするの?
伍:そのほか

↓弐
276 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/05(月) 13:20:08.18 ID:Rs4JFtbTo
277 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/05(月) 13:36:37.27 ID:cdkZczy3O
278 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/03/06(火) 15:44:46.96 ID:sfEHDEeEO
>>277


太陽「でも、行くよ」

海怜「どうして……」

太陽「そこに鬼がいるなら、おれは行く。鬼を倒さなきゃいけないんだ、おれが倒さなきゃいけないんだ」

太陽「だから、そこに鬼がいるなら行くよ」

その言葉を聞いた海怜は、何とも言えない不思議な顔をした。嬉しそうでもあったし、どこか悲しそうにも見える。
能面のようだ。アレは確か、当てる光や見える角度で感情が全く違うように見える面だったはず。まさに今の海怜の表情みたいだった。
しばらくの沈黙ののち、海怜がようやく口を開く。

海怜「……それなら、引き留めないよ。ただ、帰ってきてくれ。無事で」

太陽「へ?」

驚いてしまったんだ。こいつからそんなことを言われるのが意外すぎて。

海怜「はは、まあいいか。食事の頃合いだろうか、行こう」

なんか、悪いことしたかな。海怜が話を終わらせすたすたと内の方に入っていく。
新免もそれを聞いて頷き立ち上がると、「あの小僧と一緒か……」と苦い顔をしながら歩いていってしまった。


鴉『……』

太陽「あ、おれの鴉」

鴉『……カァー』

太陽「ん?ここにいるのはおれの鴉か。じゃあさっきの鴉は……」


(oh……これはクロウではない……)


太陽「……」


279 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/03/06(火) 15:52:19.41 ID:sfEHDEeEO


その夜。

屋敷の人はやっぱりいい人だ。おれ達に、特に急いでやってきていただろう夜拌に馳走を振る舞ってくれた。

こんなに優しくしてもらってしまって、いいんだろうか?
せめてものお礼として、おれ達が報酬でもらった金銭をいくらか渡したら、一度は断られたが後は勢いで流されて受け取ってくれた。
そこまでしないと受け取ってくれないのもまたなんだか申し訳ない。
だってこの人達はおれ達と関わらずに生きていける道だって絶対にあるのに。なのに、先祖が助けられたからとか、そんな理由で、縁もないおれ達を助けてくれる。
……だからおれは、こういう人達に報いたい。そう感じていた。


新免「……ふむ、話せば分かるものだな」

夜拌「だろう?見た目でよく誤解されるのだけれどネ!」

新免と夜拌は語らっていた。よく見たら酒のようなものがある、気がする。新免はともかく夜拌はまずいんじゃないかな?
海怜はそんなふたりを少し遠巻きに見ながら、鴉の様子を見たり、時折手首を気にしたりしている。

海怜「どうしたの?」

太陽「あっ、みんなが楽しそうだからつい、そちらを見てしまってた」

海怜「ふふ。食事を食べないともったいないよ、暖かい内に食べるのが一番だ」

太陽「ああ!」

夜拌「それにしても……こんなもの、食べたこと無かったデスよー、アメイジング!」

海怜「ははは」

新免「やはり主には馴染みが薄いようだな」


四人での語らい。
一見とても和やかなのにどうしてだろう、すごく独特な雰囲気だった。


新免「時に東雲」

太陽「うん?どうしたんですか?」

新免「山にはいつから向かうのだ?」



壱:明日には
弐:数日中には
参:そのた

↓弐
280 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/06(火) 16:29:01.36 ID:dqTyXAxk0
281 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/06(火) 18:57:04.90 ID:e3rIvwA40
282 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/07(水) 09:04:07.33 ID:7A/MEy2lO
乙です
283 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/07(水) 19:11:26.93 ID:lgOWwjySO
乙です。

>>1さんのSSは今回も面白い、きっと続きも面白いぞ
284 : ◆z.6vDABEMI [sage]:2018/03/09(金) 08:17:45.10 ID:uWPwueqUO
チュン(今日も出来る範囲で!)
285 : ◆z.6vDABEMI [sage]:2018/03/09(金) 08:28:11.15 ID:uWPwueqUO
>>281


太陽「そうだなぁ、数日中には出るつもりだけど……」

約束の刻限に間に合わないことの方が問題なので、急いで外に出る必要はないかに思える。ましてや全員で指し示して行う討伐だ、先走るのは不味いだろう。
勿論、相手も生物なのだし、約束にぎりぎり間に合わせるなんて状態では予測不能の未来に対応出来ない。だから多少二日三日の余裕は持たせつつも、無理のない範囲で徒歩移動、が一番だ。

新免「それがよかろう」

新免がふ、と笑って頷いた。おれの案に賛成なのだろう。聞いていた夜拌は少し不満そうだったのだが、まあそれはそれ。
それに夜拌は、聞けば相当遠くから歩いてきたらしい。呼吸を使えるとは言え、少し休むのが妥当だろう。

夜拌「ノーノーノー、私のことなどノープロブレムなのに……」

太陽「海怜の怪我も治りきってないし、急ぎすぎるのはだめだよ」

夜拌「……」

海怜「はは、いいんだよ太陽。僕の怪我もどうってことはないんだから」

とは言いつつも、海怜の顔は少し険しかった。なぜ今それを?と言うような顔だけど、おれに任せ……任せられても困るのかもしれない、だけどやっぱ任せて。
そんなことを話しつつその日はお開きになり、数日の鍛錬ののち、おれ達は出発することを決めた。


286 : ◆z.6vDABEMI [sage]:2018/03/09(金) 08:40:04.12 ID:uWPwueqUO



そして。

いよいよ明日出発をしよう、と全員で定めてた日のことだ。
「鬼殺の剣士はここにいるか」
とおれ達を呼ぶ声がしたと言う。家主さんが取り次ぎ、おれ達を玄関に向かわせてくれた。
はてさて、そこにいたのは妙に髪がつやつやした隊員だった。


先輩剣士「ああ、いたな。お前達、鴉から手紙は受け取ったか?」

太陽「は、はい。聞けば大人数での【十二鬼月討伐任務】だとか」

先輩剣士「それがな、俺もその手紙をもらったので行ってみたんだけれど、ひとっこ一人集まる気配がなかったんだ」

太陽「え?」

新免「集まるはずの剣士達が刻限より前に集まろうとしなかっただけでは?」

先輩剣士「その可能性はあるが、それなら計画実行の要となる剣士の姿が……周囲の拠点含め影も形もないのはおかしい」

先輩剣士「あまり考えたくはないが、計画が中止になってしまったか、あるいは」

海怜「計画そのものが偽りだと?」

夜拌「ノォーッ!そんな訳ないです!」

先輩剣士「……」

新免「……ふむ」

……あれ。ちょっと待てよ。

太陽「じゃあ、先輩はこの辺りの藤の家紋を手当たり次第回ったんですか!?」

先輩剣士「まあそうなるな」

海怜「そうなってくるといよいよおかしい。鴉の寄越した手紙が偽りだったのか……?」

先輩剣士「はぁ……俺に手紙持ってきてくれた鴉も後輩の剣士もいなくなっちゃうし、ほんとどうしたらいいんだ……」

太陽「……」

罠ってそういうことか。気を逸ってそこに向かったら鬼に殺されていたかもしれない。
……でも、気になるな。本当にただ罠なのだろうか?いや、きっと罠だろうけれど。
それにさっきから先輩が夜拌にキツい目線を送っている。もしかするとはーふ?ってのが初めてなのか……あるいは……

太陽(やっぱり、こいつは)

だけど証拠がない。それにここで戦闘を始めてみろ、家主さん達にひどく迷惑だ。
夜拌もやろうと思えばやれるはずなのに、どうして寝込みを襲ったりしなかったのだろうか。ひょっとして敵じゃないのか?ほんとに味方なのか?



壱 行ってみよう、山に
弐 行ってみよう、山……の振りしてその辺の茂み
参 先輩剣士とこそこそ裏話
肆 そのほか

下弐
287 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/09(金) 12:09:22.38 ID:DhGWGGC7o
288 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/09(金) 12:13:29.60 ID:zz3OykTvo
289 : ◆z.6vDABEMI [sage]:2018/03/10(土) 00:54:49.67 ID:CQIQzvduo
>>288


こそこそ

太陽「先輩、せんぱい」

先輩剣士「なんだ?」

こそこそ


太陽(どう思います?)

先輩剣士「何がだ?」

太陽(いや、今の状態です)

先輩剣士(おおかた……十二鬼月が、俺達を一網打尽にしようとしてるんだろうな)

先輩剣士(俺がもう少し強ければ、あえてその罠に乗って返り討ちにするとこなんだが)

太陽(そんなあ)おろおろ

先輩剣士(恐らく、罠であることを看破してその周辺に剣士がまだいるだろう)

太陽(!)

先輩剣士(さすがにおかしいからな。上層が調べ始めない訳がないし)

太陽(……夜拌についてどう思います?)

先輩剣士(よはん?)

太陽(あの金髪です)

先輩剣士(あいつ、夜拌なんて名前だったか?いや、分からないが……)

先輩剣士(まあいい。あいつもしばらくみていなかったが、随分成長したんだな)

先輩剣士(あんなにたくましくなっちゃって……外人との合いの子らしいが、それってやはり血筋的には得なんだろうか……)

太陽(……)

先輩剣士(ああ、お前は罠に乗っかる予定なのか、もしかして?)

太陽(え?)

先輩剣士(命の危険を感じた瞬間にその場を離脱すれば死ぬことはないだろう、が……)

先輩剣士(タイミングを誤れば死ぬ。それだけは忠告しよう)



壱:山に行こう
弐:先輩に聞きたいことを聞こう
参:そのほか

下弐
290 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/10(土) 02:28:33.90 ID:GzedJMj4O
291 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/10(土) 02:34:58.65 ID:Ha9kdCo6o
292 : ◆z.6vDABEMI [sage]:2018/03/10(土) 08:05:52.51 ID:XV6hS8YkO
※お詫び。※

>>289にて、先輩が『タイミング』と言うカタカナを使っています。

×こっちは間違い
先輩剣士(タイミングを誤れば死ぬ)

○こっちが正しい
先輩剣士(離脱の機会を誤れば死ぬ)


鬼滅世界でカタカナ表記の言葉(外来語含め)を使う人間は限りなく少ないのにも関わらず、
このような凡ミスを犯し、大変申し訳ありません。
今後も何卒よろしくお願いします。
293 : ◆z.6vDABEMI [sage]:2018/03/10(土) 08:17:53.50 ID:mT7FACHiO
>>291


太陽(……やっぱり、山に行ってみましょう)

先輩剣士(本気か?)

太陽(はい。そうすれば何か分かるはずですから)

先輩剣士(分かった……お前が本気なら止めるつもりはない)

すっ

先輩剣士「死ぬなよ」

太陽「はい!」

先輩は最初の困り顔などどこに行ったのだろう、と言う決めた顔をしてこちらをみる。
そして同時に、おれ以外の仲間達にもさっきと同じようなこと……もしかしたら十二鬼月の罠かもしれない、と言うことを話した。

新免「真の剣士ならば、いかような罠もこの剣でねじ伏せるのみ」

太陽「たっ、頼もしい……」

とにかくおれ達は山に向かってみることにした。

で、その山なんだけど、その名も【怨念山】と言う。
……昔は尾根山と呼ばれていたらしいんだけど、あまりにも多発する山での事故、そして夜中に人を呼ぶようなうなり声がする、と言うので今は怨念が住んでいる山と呼ばれている。

海怜「近付くと分かるね、なるほどこれは怨念がいそうだ」

三日かけて山に到着した時には、本当に今からここに入るの?と聞きたくなったほどだった。あまりにも禍々しい雰囲気が肌に刺さる。
しかし実際全員本気だ。ここに鬼がいることは間違いなかった。……死体がその辺に転がっていたのだ。

新免「死後から七日も経っていないだろうな」

太陽「ぐっ……」

もしかしたら。おれが早くここに来ようと言ったら、助かったのかな。



壱:みんなで中に入ろう
弐:手分けしよう
参:一度鴉をとばそう
肆:その他

下弐
294 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/10(土) 12:18:05.96 ID:Ha9kdCo6o
295 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/12(月) 17:28:58.67 ID:a/Lcb81AO
296 : ◆z.6vDABEMI [sage]:2018/03/21(水) 20:42:25.20 ID:Jwe31/NLo
>>295


太陽「手分けして見ましょう」

新免「探すのか?生存者を」

太陽「……はい。きっとまだいるはずです」

海怜「止めないよ、僕は。新免さんは?」

新免「……面白そうな提案ではあるか。乗らない手はない、我も行くとしよう」

太陽「はい!それじゃあ」

新免「我はこちらに。御免」

しゅんっ

太陽「……」ほべ

夜拌「? おう……早いネ……」

言うが早いが、新免はもうどこかに行ってしまっていた。
おれ達も移動しようと思い、ふと海怜を見た。

海怜「……そうだな、僕は夜拌と行くよ」

夜拌「リアリィー!?」

太陽「えっ?でも」

海怜「大丈夫。怪我は治ったから」

その笑みはどこか力なく見えたのだが、おれの気のせいであって欲しい。
海怜が夜拌を手招きしながら、ゆるやかにほほえんで見せた。

海怜「それじゃあ太陽、後で会おう」

太陽「う、うん」

夜拌「何もなければ戻ってキマース!」

がさがさ


太陽「……」

さて、おれはどうしようかな。


297 : ◆z.6vDABEMI [sage]:2018/03/21(水) 20:47:14.27 ID:Jwe31/NLo


がさがさ……


太陽「はぁっ、はぁっ……この人も……」


その山で見つかるのは、無惨な死体ばかりだった。
腕がない人、頭からちぎれた人、腰から下を裂かれている人。いずれも死んでいたし、体の一部を食べられている。
ひどい……むごい、むごすぎる。
こんなことをしていいわけがない!

太陽「……はぁ……」

心が荒んでいくのが分かった。辛さや疲れもあるが、それ以上に鬼に対する怒りがおれの体を動かしている。
絶対に許さない。絶対に許さない!
ここにいると言う十二鬼月を倒し、この周辺に平穏をもたらすのだ。そしていつの日にか、鬼舞辻を倒して───

と。

太陽「……?」


ぐすんぐすん


太陽「……っ!?」


そこに子供がいるのが分かった。
岩肌が剥き出しの山の中だ。その中に、汚れた着物を着た子供がひとり、座って泣いているのだ。
……こんなところで泣いている子供は、本当にただの人間なのか?疑いの心が持ち上がるのをどうしても止められない。
周りに人もいないようだし、いったいどうすれば……。



壱:素直に声をかけよう
弐:試しに石でも投げてみよう
参:もういい。斬る。
肆:その他の行動

下弐
298 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/21(水) 21:52:40.83 ID:41HmHWL/o
おかえり
299 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/21(水) 22:21:02.41 ID:i47B2MLvO
300 : ◆z.6vDABEMI [sage]:2018/03/21(水) 23:21:03.67 ID:Jwe31/NLo
>>299
>>298
ただいま


……いや、いや。
疑ってどうなると言うのだ。ここは素直に、声をかけるのが剣士ではないのか。そうだろう、太陽!おれの脳内にそんな言葉がひりつく。
泣いている子供のすぐそばまで近寄った。


太陽「おうい、おうい」

子供「しくしく……」

太陽「だ、大丈夫?親はどうした?」

子供「うう……」

太陽「……立てるか?」


おれが声をかけると、子供は顔を上げた。
白目の部分が黒く変色し、黒目だったところが銀色になっている。遠目から見たって分かるくらいに八重歯が牙のように尖って、それで、それで……。

これは……鬼だ。


子供「おれ、おれ……みんなと遊びたいだけなんだ」

子供「だけど、おれの手がみんな……ざくざくって……」

見た。その手を。
まるで狼の鉤爪のように尖った五本の爪を両手に備えている。触れば一瞬でずたずただろう。

子供「遊んでくれる?おにいさん」

ゆらっ、とその陰が立ち上がり、おれの前に立ちふさがった。

太陽(子供だ!明らかにアレは子供だ!)

太陽(だけど鬼だ!人に害を成す鬼なんだ!)

太陽(どうする……どうする!おれはこれを斬るのが正解なのか!)

太陽(だけど斬らなければおれが死ぬ!)



壱:戦う
弐:せめて苦痛がないように、新たな型を
参:逃げる
肆:話し合う
伍:そのほか

下弐
301 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/21(水) 23:53:12.32 ID:41HmHWL/o
302 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/21(水) 23:55:51.88 ID:o3NiCSWE0
2
303 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/22(木) 01:42:41.12 ID:foeGZHfSO
>>1が来た! 読みに行くぞォオ!
304 : ◆z.6vDABEMI [sage]:2018/03/22(木) 19:04:33.10 ID:P7NMNvZWo
>>302


太陽(鬼は斬らなければ!けれど……)

子供「ううっ……」

太陽(子供の鬼がいること、想定していなかったわけじゃない)

太陽(それでもどうして、おれの剣はそんな姿に鈍ってしまう)

太陽(決めたのだろう、おれは決めたのだったろう)

太陽(どんな鬼でも斬り伏せて、全てを滅するのだと心に誓ったのだろう)

ビュウゥゥゥゥゥゥゥ

太陽(だと言うのに、どうして今)

その心を惑わせるようなことになってしまうんだろう。

子供「おに……い……」

太陽(全集中───ッ)



氷の呼吸
肆ノ型


一陽来復



ジャァッ



───【一陽来復】
───冬が終わり春が来ること。

───あるいは

───長く続いた悪いことが良い方に好転すること。

───それは、氷の呼吸特有の滑らかな動作から放たれる剣技だった。


ヒュウ

子供「   」ぱくぱく


どちゃっ


太陽「───あ、ハァーッ……ハァーッ……!」


───体を大きく捻り力を蓄えた後、独特の足捌きで距離を縮め敵の頸に向かい横凪ぎの剣を振るう。
───剣の軽さ、本人の筋力、敵との距離、全てが揃わなければ完成しないまさに死の型であり。
───幾万と練習を繰り返し、無駄な所作は刹那とて存在しない、まさに氷像のごとく、完成された作品である。


太陽「……斬った……!」
305 : ◆z.6vDABEMI [sage]:2018/03/22(木) 19:12:02.18 ID:P7NMNvZWo
太陽「鬼は……!」


背後を見る。
恐ろしかったのか?それとも悲しかったのか?
おれはその落ちた顔を見た。

なんて安らかに笑いながら、その子は逝くのだろうか。


子供「おにいさん……ありがとう……」ぽろぽろ

ぽろぽろぽろ……


太陽「子供の……鬼、なんて……そんなの、そんのっ……!」

ありかよ。

怒りがさらに湧き上がった。勿論大人だから良いとかそういうことではない。だけど、あの子はもっと世界を知ることが出来たはずなのに。
鬼がいるから、鬼なんてものがあるから!
怒りは糧だけれど、それだけでは死んでしまうとおれは知っていた。震える両手を押さえつつ、剣を鞘に仕舞い───


ずがあああああんっ


太陽「!?」

突然大音がする。それは戦闘のせいだとすぐに分かった。木々が倒れ、山をそれなりに注ぐ太陽光から防ぐための木陰がいくつか消失しただろう。
鬼にとってはあまり芳しくない結果だろうけれど、だからって鬼が強いか弱いかなんて分からないし、そもそも誰が木を倒したかも分からないし
ええっと、ええっと……

太陽「……しまった」

よくよく見れば、夜が近づいている。木が倒れるくらいどうでもいいのかな?


太陽「……じゃなくて!あの方角は確か、海怜と夜拌が!」



壱:急ごう
弐:新免と合流したい
参:他に鬼がいないか探す
肆:その他

下弐
306 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/22(木) 19:30:58.20 ID:foeGZHfSO
ゴメンネ 加速シテ

安価なら下
307 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/22(木) 20:00:22.56 ID:nrvlPWEWo
308 : ◆z.6vDABEMI [sage]:2018/03/22(木) 23:42:48.64 ID:P7NMNvZWo
>>306
イインダヨ キニシナイデ

>>307


太陽「……急ごう」

嫌な予感がする。そう、すごく、すごく嫌な予感だった。
全身に空気を回す。力を回転させて、全力でその場を駆け上がり、音のした方へと一気に!


すたっ!

太陽「海怜!」

海怜「無事だよ、まだね」

太陽「!」

おれが到着した時、海怜は剣を右手に握り、その場に片膝を付いていた。怪我は……していないようだ。よかった。

太陽「夜拌は!」

すぐさまそう口にしていた。海怜の無事が分かったところで、もうひとりがどうなっているか分からなかったからだ。

海怜「……」

太陽「海怜?」


「私を呼んだカイ」


太陽「! よは……」

声がしたのだ。聞き馴染んだ声が。
けれど振り返った先には、夜拌らしき人間がふたりいた。

ん?『夜拌らしき人間がふたり』?

太陽「……よ、はん……」

まさか、なんて、そんなこと。


夜拌?「まさか、本当にほんとーに、私を信用したくれたのかい?」

その男は手を真っ赤にしながら言った。右手には、同じ顔の男がいる。いや、いや……半分腐って……いったい、いつから……?



壱:切りかかる
弐:話を聞く
参:新免との合流を目指す
肆:その他

下弐
309 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/23(金) 12:21:22.95 ID:G1pwoXxSO
海怜を連れて参っ フガフガ プピー
310 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/23(金) 17:18:18.54 ID:2SZ8o2TgO
311 : ◆z.6vDABEMI [sage]:2018/03/25(日) 18:44:35.06 ID:zZtPG9cro
ちゅん
312 : ◆z.6vDABEMI [sage]:2018/03/25(日) 18:55:32.20 ID:zZtPG9cro
>>310
>>309


太陽「……!!?」

脳が混乱している。事実を受け入れたいけど受け入れられない、むしろ消化できなくて気持ち悪くさえ思えてくる。

太陽「考えても分かんないことはもう今考えない、まずは新免さんと合流しよう!」

海怜「その方がいいだろうね、僕もそう思う」

ヒュウウウウ

二人で息を整えて、その場を一瞬で離脱する。
夜拌?の方はおれ達を追いかけようと思えば出来たはずなのにそこから動かなかった。
理由はどちらだろう。動かなかったのか、動けなかったのか。
とにかく新免さんが行った方向に向かって全力で駆けた。さすがに高低さがあり、足場も不安定で非常に疲れが溜まりやすくなっていたけれど、それでも走った。
じゃなきゃ、たぶんおれ達はここで全滅だ。それだけは避けなければいけない。

ザザザザザ!

不意に木々が揺らめく音がした。
獣が立てるような音ではない、もっと不自然な物音!……きっと新免さん!

ざっ!


新免「む?どうした、主らは別方向に行っていたのでは?」

海怜「ところがそんなこと言ってる場合じゃなくなった」

新免「……?」

海怜「罠だった。夜拌なんてやつ、いなかったんだよ」

新免「ほう?」

太陽「海怜も新免さんも、あいつと話したことあるんじゃなかったのかよ!」

新免「ある。あるが、あの一度きりだ」

ああ、試験が終わったあの後か!

太陽「え?じゃあ………」

海怜「名前も聞かずに離れてしまったからね、あの時は」

(回想のようなコマで、山中で偶然出会う海怜と血矢 アカリの図)

海怜「数名話をせず終わったんだった」

太陽「……そう言えば何人か名前聞いてない!」


※このレスのコンマで鬼の数判定
-30 夜拌+下っ端鬼が4体
-60 夜拌+下っ端鬼が2体
-90 夜拌+夜拌より格下鬼1体
ゾロ目で夜拌のみ
313 : ◆z.6vDABEMI [sage]:2018/03/25(日) 19:10:17.30 ID:zZtPG9cro
(コンマが20だったので、怨念山には夜拌?含め鬼が5体います。ただし1体は先ほど退治しました)



太陽「ええっと、おれの仲間って……」

>>129

太陽「おれ、イツミ、アカリ、海怜、新免」

海怜「夜拌(仮)。多分名前は他にあるんだろうね」

新免「それと別に二名いる。名前は聞いたか?」

太陽「いや、聞いてない」ふるふる

新免「恥ずかしい話だが、我も聞かずに別れたのだ。乙津、お主は?」

海怜「……分からない。僕も聞いた記憶がないんです」

確か、残りは道着のようなものを着た坊主と、水の呼吸を使える子供だったか……。
きっとその内、また会う機会があるだろう、と信じる。信じたいところだ。少なくとも、今の夜拌のようなコトになっていないことを祈ろう。

新免「話を戻すとしよう。夜拌と称していた青年は鬼なのだな?」

海怜「察しがよくて助かります」

新免「つまり、奴が……」

太陽「じ、十二鬼月!?」

海怜「参りましたね、僕たちだけでやれるかな?」

太陽「せめて、アカリと連絡が付けば……」

新免「それか、【御薬袋(みない) イツミ】がいればまた話が違うのであろうな。確か彼女は、薬師の知識を持った継子であるはず」

太陽「イツミ……」

イツミとも最初以外喋っていない。無事でいることを祈っているのだが、果たして……。

新免「あまり時間の余裕もないだろうな。さて、どうする?」



壱:全員で夜拌を囲む
弐:まだ敵がいるかもしれない、山を見回る
参:雑魚を新免に任せ海怜と夜拌退治へ
肆:おれひとりで夜拌を倒す
伍:そのほか

下弐
314 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/25(日) 19:44:32.15 ID:AsvzrfF8o
315 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/25(日) 19:52:19.98 ID:wj0JY60wo


不意打ちされたら不味いし
316 : ◆z.6vDABEMI [sage]:2018/03/26(月) 08:16:11.95 ID:IP1Ci8W+O
>>315



太陽「さっき、子供の姿の鬼?鬼の姿の子供?を見たよ」

海怜「! 予想はしてたけどやはり巣窟か」

新免「奴め、上手くやったつもりなのだろうな」

海怜「それで、その鬼は?」

太陽「……斬った。おれが」

新免「あい分かった。しかし、まだ鬼がいるやもしれんな」

太陽「うん。じゃなきゃこんな回りくどいことする理由が分からないし」

海怜「理由はまず置いておこう。問題は、まだ鬼が山にいるかもしれないってことだよね」

太陽「さっきの子供みたいな鬼がたくさんいるのかもしれない」

新免「どうであろうか?よもや精鋭集団が揃っていると言う可能性もあろう」

太陽「どちらにせよ、今夜拌と戦うのはまずい。挟撃されたら一巻の終わりだ」

太陽「だからまず山に他に鬼がいないか見て回り、その後夜拌退治に行く。どうですか?」

新免「ふむ、そうか。それなら向こう側の探索は請け負った」

そう言いながら新免は、背後の木々や森の類を指さしながら目を光らせる。
明らかに不自然に木々が揺らめいた瞬間を見逃さなかったのだ。

新免「何人いるか分からないが、我一人でどうにでもなろう」

太陽「で、でもそんな」

何か言うより先に、新免は飛び出していた。おれの目にも追いかけられるかどうか微妙なほどの速度だ。はっや!!

太陽「はっや!!」

海怜「だらだらと話している暇がないのも事実だからね」

海怜は新免の肩を持つ。と言うか正論を行ってくる。ぐう、分かってるよ……。
と言うわけで再び新免と逆方向に進むために、おれ達は振り返った。
317 : ◆z.6vDABEMI [sage]:2018/03/26(月) 08:29:21.81 ID:IP1Ci8W+O
がさっ

太陽「!」

海怜「!」


がささささ

明らかに何かが茂みから飛び出してこようとしている。獣か?いや、それにしちゃ体が高いような気がする。
もちろん。ここで大きなイノシシが来たところで、おれ達は戦うだろう。
それを放って置いても問題なのは間違いがないのだから、それなら戦うだろう。
しかしどうだ、茂みから出てきたのは───


女「……」


和装の女だった。着物がずたずたになっていて、足は裸足。しかしその目は真っ赤に染まっており、明らかに常人ではない。
鬼か。
ふたりで構える。

女「あら……あなた達は」

海怜「やるよ」

太陽「う、うん」

生気を失った目がおれ達を見た。

女「ねえ?あなた達」

海怜「……」ちゃきっ

女「あの鬼を、『陽炎』を殺してくれるのでしょう?」

太陽「陽炎?」

女「ええ、ここの頭領ぶってるあの鬼よ」

太陽「……? ??」

ええと、夜拌になりすましてたあいつか?

海怜「それならどうする?」

女「共闘しない?」

海怜「何……?」

女「私にもあいつは目障りでね。今私があなた達と戦っても負けるのは分かり切ってるでしょう?」

女「だから、それならせめて死ぬ前に嫌がらせをしたいのよ」



壱:……信用してみよう
弐:信じられるか!
参:海怜はどう思う?
肆:そのほか

下弐
318 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/26(月) 09:12:55.94 ID:qmMJNQYUo
ええ…怪しすぎるな

加速
319 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/26(月) 13:50:47.31 ID:ZTTuF97SO
加速ばっかするんじゃねぇ!!(頭突き)

肆:太陽が信じたふりをして鬼から夜拌(陽炎)の情報を聞き出しつつ、その隙に海怜が攻撃。
320 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/26(月) 14:57:07.89 ID:4Qi8thFRO
信じた上で嘘なら真っ向から叩き潰したいところだがそこまでの力がないのも事実
321 : ◆z.6vDABEMI [sage]:2018/03/29(木) 22:44:51.08 ID:6T0IdEdao
>>319


信用する価値なんて始めから無い。

のだが。


海怜「……」じゃり

女「悪い話ではないと思わない?」

太陽「……」

目配せする。
女が言っていることが全て正しいとは思えなかった。
まず、ここにいる時点でこいつも戦闘を経験しているはずだ。おれ達よりもずっと強い隊員との戦闘を。
それなら、おれ達に勝てないと言う道理がない。つまり、その時点でおれ達を嵌めようと言う算段なのは丸わかりだ。
そして鬼同士が連携をすることがある、と言うのも前回で学んだことであり、こいつが言っていることを完全に正しいと言い切れない以上、誘いに乗るわけには行かない。

さて……それでどうしたものか。

太陽(海怜、おれは信用してみる。……ように振る舞う)

太陽(海怜が信用ならないと思った段階で斬ってくれ)

海怜(……、……勺だけど仕方がないね。正面突破でかなう相手じゃない)


女「勿論信用できないのはよくよく分かるわ」

太陽「ああ、今のところは信用に値しない」

女「……そうよね」

太陽「だからこそ信用してみることにする」

女「!?」

太陽「話せばすぐに分かるはずだからな、それが事実か否か」

女「ふふ、話が分かる人で助かるよ……」

太陽「時間がない。陽炎について早速教えてくれないか?」

女「勿論よ」
322 : ◆z.6vDABEMI [sage]:2018/03/29(木) 22:51:24.74 ID:6T0IdEdao
そう言いながら女は煙管を懐から取り出した。
すぐさまおれ達は刀に手をかける。これが血鬼術の引き金と言う可能性もあったからだ。
悪びれた様子で煙管を戻した女は口にする。

女「すまないねえ、生前の癖で。さてと何から話したものか」

女「陽炎、この怨念山の主、そして【元 十二鬼月】」

海怜「……元?」

女「はっは、そうだよ。十二鬼月は元々入れ替わりが激しい。そして、そのうちのひとりってことだ、彼は」

太陽「その時点で足下を掬われていたのか……!」

女「能力は【皮被り】。なんて大したこと無い、ちんけな能力だろうねえ?けれどそれが一番恐ろしい」

太陽「ずいぶんベラベラ喋るんだな」

女「言ったでしょう?私がしてるのは嫌がらせよ」

吐き捨てるせりふ。

女「あいつは……陽炎は【皮被り】を使って、私の家族を……ぐうう……!」

太陽「……」

鬼を鬼にすることが出来るのはごく限られた人物だけだ、と聞いていたが。
もしかして十二鬼月にもそれが許されているのか?
あるいは。

女「しかもあいつ、降格の目に遭い、能力を取り下げられたせいで……家族を元に戻すことさえ叶わない!」

女「おぞましい……恐ろしい……忌まわしい……」


海怜「そうか、分かった」

女「え……」


幻の呼吸
壱ノ型 狩初


ザンッ!
323 : ◆z.6vDABEMI [sage]:2018/03/29(木) 22:57:55.36 ID:6T0IdEdao
海怜「……お前の言葉は最初から疑わしかった」

女「……」

海怜「煙管、火を付けていないように見せかけて既に血鬼術の準備が整っているな。その時点で交渉の余地はない」

海怜「そして情報を開示したことで自分を信用させようとしているのだろうが、仲間の能力の名を明かして」

海怜「仔細を明かさぬ魂胆だったこと、すぐに分かった。話を流そうとしていたのも悪印象だったな」

女「く……」

海怜「だが、家族が何らかの血鬼術にかけられているのは事実なようだな」

海怜「安心しろ、俺達が一族皆、空に返してやる」

海怜「天国に行けるかどうかは分からないが」

女「お、まえ……おまえおまえおまええええ!!」

海怜「ふっ!」

太陽「海怜!」

どしゅっ

太陽「───!!」

海怜「ぐ、ああああ!」


首を完全に斬られていなかった鬼。
そして海怜がとどめを刺す直前、鬼の煙管が海怜の肩を貫いた。
左肩からとめどなく溢れる鮮血、それを見つめて鬼はせせら笑いながら砂に還っていった。


太陽「海怜ッ!」

海怜「太陽!君のやるべきことをしろ!」

太陽「でも……」

海怜「今やるべきはなんだ!」

太陽「……」

海怜「この山にいるはずの鬼の殲滅だ!」

海怜「鬼滅の戦士は何があっても立ち止まってはならない、それが喩え仲間の死であっても!」

海怜「俺はまだ死んでいない……ここにいる、だから安心して、鬼を狩れ!」



壱:残った鬼を探す
弐:陽炎討伐へ
参:せめて海怜を山の外に出したい
肆:そのほか

下弐
324 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/29(木) 23:09:59.44 ID:S2Z4gzo8O
325 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/29(木) 23:11:56.29 ID:YR6VXkG6o
326 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/30(金) 08:53:26.61 ID:/XyuxfASO
乙の呼吸
327 : ◆z.6vDABEMI [sage]:2018/04/14(土) 21:30:14.46 ID:85XnfYbio
チュン(週に二〜三回くらい更新を目標にします)
328 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/14(土) 21:32:54.52 ID:FJSP1azpo
うい
329 : ◆z.6vDABEMI [sage]:2018/04/14(土) 21:39:23.28 ID:85XnfYbio
>>325

あと何体いる?
子供を斬った。今の女を斬った。
それから、夜拌だった何か。
あと何体いる?聞いたとして答えやしないだろうが、交渉の余地はあっただろうか。

太陽「いいや、迷ってる場合じゃないか!」

うなずきと同時、全力でそこから駆けだした。音がしたり、気配がする方を探すためだ。
ばきばき、と木々が倒れる音が背後にしたが、新免が鬼を狩っているのだとすぐに分かった。明らかに戦闘音でしかない。
しかしおれが向かった方向には、敵らしき敵の気配がない。
なぜ、どうして?もしかして、もう何らかの術にかけられて……?

??「キキキ……」

太陽「!?」

笑い声のような物を耳にしてばっと振り返る。そこには、なんとも形容しがたい生物が突っ立っていた。

??「哀れだな、若輩者。我々鬼とは生きる時間も、生きる世界も違う」

??「永遠の生、永遠の美、永遠の愛……それらはこの体でしか得られぬと言うのに、どうしてそれを否定するのだ」

鬼、なのか。
すっかり痩せこけ、肋が浮き出ている浮浪者のような男がそこにいる。
既に衣服はぼろぼろで、胸元などはだけているなんてものではなく、はだけきってでろんと不気味な肌を露出している。
しかし、それでもまだ人型を保っていた。
目が、体が、言葉が、全てが狂気を孕んでいたが、それでも人型だったのだ。

この人もかつては人間だったのか。

鬼「書けど書けどもこの世は書き切れぬ、故に命を長らえた」

鬼「キキキ……!」

太陽「あなたは……」

鬼「ああそうだ、私の傑作を読ませてやろうか。確かここに……うん、私は何を書いていたのだ?いや、私は何をしていた……?」

太陽「……?」

鬼「ああ、悲しい!憎い!生きられるのに、なぜ生きたかったか、もう思い出せぬ!」



壱:速やかに斬首
弐:足を斬りつけ鬼の数を聞く
参:危なさそう。無視
肆:そのほか

下弐
330 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/14(土) 21:40:02.64 ID:FJSP1azpo
331 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/14(土) 21:59:24.62 ID:ZKjXJCiSO
>>1が来たのかしら 何だかドキドキしちゃう

安価は壱
332 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/04/14(土) 22:25:21.96 ID:85XnfYbio
>>331


だからどうした。
人間だったとして『今はもう鬼じゃないか』。
思い出せ。おれは何の為にここにいる。おれの思いはどこにある。全ての鬼を滅する、それがおれの願いだっただろう!

太陽「───」ちゃきっ

鬼「アアアア!憎い、辛い、もはやこの世は地獄でしかないのか!」

太陽「……すぐに楽にしてやるよ」


氷の呼吸
壱ノ型 寒声一叫


斬。

氷の呼吸は、初めから鋭すぎる剣術を目指していた。一撃で鬼を薙ぎ払えるように、一撃で地獄に送ってやれるようにだ。
その剣筋を「冷たい」と感じる鬼がいるほどにおれはこの剣技を極めた、とひとりそう思っている。
それだけの覚悟で剣を振っているつもりだ。

だと言うのに。


ごろんっ

鬼「か、カッ……は……あぁ、死にたく、ない……」

太陽「……」ちゃっ

鬼「生きるのは辛い……だが……」ぼろ

鬼「死ぬことも辛い……」ぼろぼろぼろ


この鬼が最期に語るのは、もはや鬼でもなんでもない。生物としての恐怖だった。
ほんの僅かに心を揺り動かされた。
かといって許せる訳がない。おれがこいつを許せるはずがない。それでもこの言葉に嘘偽りはない。鬼もおれと同じように恐怖しているのだ。そして、それから逃げるすべを得ただけ。

太陽「大丈夫だ。消えれば、つらさも無になる」

太陽「おまえが殺した人と同じように、無になる」

鬼「ああ………ぁぁ………あ………」ぼろぼろ……


刀からようやく手を離す。鬼の形が全てぼろほろと崩れて消えてからやっとだ。それまでは気を抜けない。……勿論、まだ敵が居ることに変わりはないので完全に脱力するわけには行かないんだけど。
気付けば後ろの方から聞こえていた戦闘音も無くなっていた。……新免さんは上手くやったのだろうか?不思議と心配はしていなかった。あの人が死ぬ未来が見えなかったからだ。

太陽「あと……何体だ……?」

太陽「まだいるのか……それとも……」



壱:鬼を探してみる
弐:新免を見に行ってみる
参:夜拌もどきのところに行く
肆:そのた

下弐
333 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/14(土) 22:51:50.21 ID:PgzwOcwZo
334 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/14(土) 23:00:33.54 ID:CoqyX8eu0
久々に拝めた。 いい… とてもいい…

安価は弐
335 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/04/14(土) 23:30:44.20 ID:85XnfYbio
>>334


太陽(迷っている暇はない、よな)

足を踏み込む。後何体いるか分からないが、それでもこれ以上単騎で望むのは得策と思えなかった。
だからこそ、不安が胸をよぎったこともあり新免さんとの合流を先にした方がよい、と言う判断を下した。
おれは脱兎の如く、体中がすっかり酸素を無くして疲れ果ててしまうのも忘れるくらいに走った。
一瞬でも、一秒でも早くその無事な顔を見たかったのだ。……海怜のことも心配だが、そちらに戻ったらどれだけ怒鳴られるか分かったものではないので行かなかった。


ざざざざっ!

太陽「新免さん!!」

新免「如何した」ぬっ

太陽「うおおーー!!!」

汗だくのおれが声をかけたと同時、背後から音もなく現れたのが新免さんだった。び、びっくりしたぁ!!
どうやら怪我一つ無いようだ。

太陽「えっと、さっきまで音がしてたから……無事、でしたか?」

新免「ふ、無論。私の剣技にかかってその場で立っている鬼などいない」

太陽「そ、そうすか……」

新免「それより」

きりっとした表情で新免さんがこちらを向く。やはりおじさんだ。しかし額に汗一つなく、むしろ攻撃を受けた様子すらない。
さすがは一流の剣士、と言ったところだろうか?

新免「お主は独りか?もう一人はどうした」

太陽「あ、怪我をしてしまって……それで」

新免「何をしている」

太陽「はっ……」

新免「怪我人を一人置けば、そこに鬼が付け入る。すぐさま戻るべきだ」

……確かにそうだ。言っていることは全くもって真っ正面から受け入れたい言葉だった。
しかし戻ってもいいのか?海怜に言われた言葉を思い出す。

「今やるべきはなんだ」

「鬼の殲滅だ」

その言葉が胸を締め付けて離さない。

新免「どうした?」



壱:海怜と約束したので先に鬼を探します
弐:分かりました、戻ります
参:それにしても強いですね
肆:そのほか

下弐
336 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/14(土) 23:43:57.55 ID:DfY9fYrO0
ksk
337 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/14(土) 23:58:04.33 ID:PgzwOcwZo
338 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/07(月) 13:58:12.64 ID:MymahdGSO
保守するわ保守保守保守保守
ここで>>1が来ても結局保守するわ俺
339 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/05/14(月) 20:39:11.39 ID:qAr9SKJGo
俺は>>1……物語を……更新する男だ!
340 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/05/14(月) 20:46:36.58 ID:qAr9SKJGo
>>337


それにしても───

太陽「それにしても強いですね!」ぱぁっ

新免「お、おお……」

おれは率直にそう述べるしかなかった。
なんせ、この様子だと鬼を一体、何の怪我もなく倒している。
ああ、すごいなぁ。おれには出来ないなぁ。
素直な感想を述べたのだが、なぜかたじろいでいる。

新免「まあ、そうだな。私のように鍛錬を積めばいずれはこうなれるだろう」

太陽「鍛錬を……なるほど!どう言った鍛錬でしょう!?やっぱり両手に剣を握り振るところから!?」

新免「うむ。両手に武器を持つこと。それ自体は、何ら難しいものではない」

新免「が───」

徐々に新免さんの表情は穏やかなものに変わっていた。
まるでこの場が戦地であると忘れてしまっているようにも見える。

新免「そうさな。両手の使い方を学び、呼吸を学ぶ。それが最初の一歩だ」

新免「腕が剣に代わりそうな程何度も振り、鋭く鬼を断つことを……それを想像し、幾重にも鍛練を重ね」

新免「初めて本物の鬼というのは切れる。それだけのものだ」

太陽「ほぁー……」きらきらきら

すごいなぁ、本当にすごいなぁ。

太陽「強いなぁ、新免さん」


だって───


この人、おれ達と一緒に山に来たのに、衣服のひとつも汚していないんだから。


太陽「……」


▼集中。
壱:海怜のところに戻る
弐:ふたりで夜拌を探す
参:もう少し話をしてみる
肆:そのほか

下弐
341 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/14(月) 20:51:22.75 ID:+PBTGGZdO
来たか
342 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/14(月) 21:37:34.76 ID:GhFiBuwSO
面白いよ 面白いんだよ 君の書き物は
全てにおいて最高のようだ

安価は参
343 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/05/14(月) 22:01:57.90 ID:qAr9SKJGo
>>342


新免「……だらだらと話している暇ではない。さっさと」

太陽「待って」

ざくっ。
草木を踏みしめてどこかに行こうとした彼を呼び止める。

太陽「聞きたいんです」

新免「ほう?なにをかね」


太陽「新免さん、服汚れてないんですね」

新免「立ち居振る舞いに気をつければどうとでもなる」

太陽「左の小太刀、最初と全く位置が変わってない。抜いてないんですね」

新免「私にかかれば片手でも簡単なことだった」

太陽「傷一つないし、疲れてすらない」

新免「たゆまぬ努力の為だ」

ォォォォォォ

太陽「ひとつ、いいですか」

新免「何かね」



太陽「いつから自分のこと、『私』って呼ぶようになったんですか───」


次の瞬間。


どんっ!!


太陽「か、はっ……!?」

強い衝撃を受けた。腹に、そして背に。息が一瞬出来なくなって、目の前が真っ白になりかける。
どうやら突き飛ばされたようだ。背中は……いたた、大木にぶつかったらしい。
頭は冷静だが体が追いつかない。理性に反して行動はひどく鈍く、おれはそこでうずくまるしかなかった。

新免「……あ、ああ?私は……いや、私は私だろう、違う、我は……そんなことは、俺、あ、私は……」

太陽「は、はあ、ぁ……しん、めん……」

新免「そう、そうだ。私は新免、新免 玄信!それ以上でも、以下でもない!」

太陽「は、はぁ……っ……!?」

新免「愚かな剣士め。私を疑うか?」

太陽「……勿論……新免さんなら、味方を攻撃なんてしない……」

息も絶え絶えでおれはそう言うしかなかった。
ああ、死ぬのかな。
まあでも、死ぬならそれでもいいのかな───
344 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/05/14(月) 22:10:22.02 ID:qAr9SKJGo
??「よくぞ隙を作った」

太陽「は───」


ザンッ!!


新免「ぎ、あああっ!?あ、畜生てめぇ、やったなァ!この私の私のわわわわた」

??「口を閉じよ愚か者!」

がぎぃんっ!


一体何が……?
意識をなんとかぎりぎりで繋ぐ。ここで倒れたら格好の餌だ。
よろよろと立ち上がったおれの眼前に現れたのは、憤怒の表情を浮かべる修羅だった。


太陽「新免……さん」

??→新免「あいや遅くなった。……済まない」

太陽「……!」

見ればその姿はぼろぼろだった。
衣服はあちこちずたずたに切り裂かれており、無傷とは到底言えない様子だ。
恐らく。恐らくだが───別な鬼と戦っていたのだろう。ひとりで。
情けなくて嬉しくて悲しくて、何とも言えない顔をしてしまうおれに、叱咤の言葉が飛ぶ。

新免「気を抜くなッ!!」

太陽「っ! は、はい!」

新免「ここにいるは最後の鬼、即ちこやつこそ……」



偽新免「……くくっ、」

その姿は突然、ゆらっと揺らめいた。
───そう、まるで現代で言う蜃気楼、あるいは……


陽炎「ハハハハハハハハハハ!!!」


……陽炎の如く。


太陽「……!」

新免「奴が最後だ。夜拌の敵を取る」

太陽「はい……!」



壱:自分がおとりになる
弐:足を止めさせたい。まずは弐ノ型
参:新免で敵を釣る
肆:機を狙い肆ノ型
伍:その他

下弐
345 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/14(月) 22:22:21.75 ID:GhFiBuwSO
俺は安全に加速したいんだよ

安価なら下
346 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/14(月) 22:43:27.12 ID:htZ2w1nMO
弐だ!
347 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/05/14(月) 22:54:39.75 ID:qAr9SKJGo
>>346
弐だ


奴がどういう動きを取るかは分からないが……!

太陽(まずは足を、動きを止めさせる!)

ビュウウウウウ


氷の呼吸
弐ノ型


太陽(細───)

陽炎「くくっ!」ぼわっ

太陽(!?)

目の前で……消え、た!?
思わずおれの足は止まってしまった。と、

新免「! 止まるな!」

太陽「え?」


どっ、があああっ!!

太陽「ぐああ!?」

横から思い切り蹴られた……のだと思う。
肋がみしみしと軋み、変形に耐えかねてばきりと折れる音がする。
思わず痛みに顔をゆがめ、喉の中で空気と血が混じる。……ああ、痛い、痛いなぁ!

新免「ちィ……」

しゅらん、と刀が擦れる音がした。
新免さんが刀を握ったのだとすぐに理解する。研ぎ澄まされ、美しい切っ先がまもなく夜になろうとする空の僅かな明かりで煌めいた。
花火か何かのようにも見える。

きれいだった。

変なことだとは思うけど、痛みを忘れてしまうくらいには本当に綺麗で、そして……!

しゃっ

と、空気を裂くような音がする。
実際には肉を断ち、骨を砕き、鬼を苦しめる一太刀である。それにしてもあまりにも綺麗で、綺麗だった。

それを見送ってやっとおれは立ち上がる。
348 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/05/14(月) 23:01:18.65 ID:qAr9SKJGo
太陽「ぐ……」

痛みはまだあるが、戦えない程ではない。
それに呼吸を繰り返す度、まだまだ戦えるのではないか、そう思えてきた。
浅く繰り返す息。まだおれは折れていないし、剣は無事だ。……よし。まだいける。


陽炎「ぐっ、ぐおお!?」

落ちた右腕を見ながら陽炎は呻いていた。痛みが激しく、またどうして自分が斬られたかよく分からなかったのだ。
……おれもよく分からない。血鬼術であることは間違いなかったのだが、さっきあれはどうなったのだろうか?

新免「心の目で見よ、少年」

太陽「心の目……」

新免「奴はお主の目を欺く。見ているものを裏切ってくる」

新免「だが、お主の心までは欺けん。お主が思うものを斬ると良い」

太陽「……!」


正直、分かったような分かっていないような、半々の気持ちだった。
それでも、なんとなく言いたいことは分かった。つまり……あいつ、姿を眩ませている。
さっき目の前から消えたのはそう言うことだったんだろう。
どんな理屈だ?どうやって……こいつの能力は【姿を変えること】じゃなかったのか?姿を変えるのはともかく、どうやって……?

太陽「陽炎の名に意味があるのか……?」


悩んでも仕方がないかもしれない。
あまり攻撃を受けたくはないが、おれは……!



壱:囮になる
弐:再び弐ノ型を狙う
参:弐ノ型で釣って肆ノ型で迎撃
肆:その他

下弐
349 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/14(月) 23:12:09.81 ID:GhFiBuwSO
集中して弐
350 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/15(火) 15:51:05.64 ID:48Av3/1qO
351 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2018/06/01(金) 01:20:19.38 ID:aoSHC3wSO
アァアアア 月がァ!! 月が変わっている!!
というわけで保守
352 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/06/04(月) 22:02:28.45 ID:gSACu1Y5o
アニメなんですけど!アニメ化なんですけど!!どういうこと、これどういうこと!?名作であれ名作であれ名作であれよ、お願い!戦闘が格好良くあってくれたなら俺頑張るから!禰豆子ちゃんの声が可愛い声優さんだったりしたなら、もうすごい頑張る!畑を耕します!一反でも二反でも耕して見せる!!最高のアニメになってくれぇーーーーーっ!!
353 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/06/04(月) 22:11:51.56 ID:gSACu1Y5o
>>350


再び弐ノ型を構える。
次ははずさない、絶対にだ。

仕留める───!


陽炎「よくも、よくも、よくも!俺の腕を!ああ、あああ!許さぬ、絶対に生きては!返さぬ!」

 ぼしゅっ

太陽「!?」


途端、陽炎は姿を変えた。恐ろしい姿だった。虎に猿と雉を足して、全身に針を生やしたような姿がそこにある。
……そうだ、分かったぞ。

陽炎は変化するだけの能力しかない。
しかし、『変化が異常に早い』のだ。

先程の剣筋をかわされたのも、たった一つの理由だ。おれの剣が届くより早く、変化して切っ先が届かぬ大きさに変わったのだ。
そしてまるで、姿がころころ切り替わるのが幻のように見えるから───陽炎!
それなら新免さんが言う通りだ。目で捉えたところで、遙かに早い速度で変形されては届かない。
ならば、どうする。


太陽「もっと!早くなれ!おれの体!!」


息を全身に回せ。
呼吸を絶やすな、神経を集中しろ。
戦え、戦え。抗え。最後まで、刃を!


陽炎「!」
ゾクウウウッ

ばっ


太陽「逃がすかァッ!!」


殺気を感じとった陽炎は、体を小さくして逃げようとした。無論、逃げを許すおれではない。
集中しろ。集中しろ。目の前に、斬るべき敵に。


全集中
氷の呼吸


太陽「………ッッ!」
354 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/06/04(月) 22:21:09.32 ID:gSACu1Y5o
全身が脈を打つ。
刃まで神経が通ったような錯覚。そして、まるで時が止まったかのようにさえ思える、確かに長くて短い瞬間。
おれは構える。全て終わらせるために。


弐ノ型


ビュウウウウウウ

吹雪の日のような吹き荒ぶ音が森中に鳴り響いた。耳鳴りがしはじめそうだったし、だんだん世界の温度が下がっているようにさえ思える。
それこそが氷の呼吸である所以だが、そんなことはどうでもよかった。


陽炎「───!」


細雪


ぼぼっ


……細雪は、一旦は腕を引いて、その後体の捻りと腕の力で前方に高速の突きを放つ技だ。
一点集中、であるが故回避された時の隙は大きいが、その分当たれば大きく体力を削る技でもある。
回避される未来が見えなかった。だからこそ、ここで今放つべき技だった。


陽炎「か、ギャァッ!?」


ドシャァッ


新免「お見事」

太陽「……新免さんっ!!」

陽炎「ま、だだぁっ!」

ぼしゅっ

新免「む……!」


すんでのところで再び陽炎の姿を見失った。何に化けたのか、もはや見当も付かない。
しかし、体力は限界に近いはずだった。人間を食べなければ、鬼に力は戻らない。力を失った鬼が行き着くのは、地獄だ。


太陽「逃げた!?」

新免「狼狽えるな、側にいるだろう。捉えるぞ」

太陽「……はい」



壱:参ノ型で辺りを一蹴
弐:なにか……何か新技を……
参:手当たり次第壱ノ型
肆:全集中で体をいたわる
伍:そのほか

下弐
355 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/04(月) 22:29:29.87 ID:2HNYgfHSO
ならば俺が派手に加速してやろう
誰よりも派手な加速を見せてやるぜ
もう派手派手だ

安価なら弐
356 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/04(月) 23:54:43.68 ID:4TH9wM4JO
弐!
357 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/06/05(火) 00:31:44.21 ID:6Ctr5Hgeo
>>356

……おれの技を思い浮かべる。

縦の斬撃、壱ノ型【寒声一叫】。
高速突き、弐ノ型【細雪】。
全体攻撃、参ノ型【瓦解氷消】。
横の斬撃、肆ノ型【一陽来復】。

もう一捻りあれば、ここでこいつを仕留められる。考えろ、考えるんだおれ……!

全身の力を溢れ出させる。同時に、剣先にまで己の身がついているような錯覚を現実のものとしようとした。そして思考する。
恐らく、陽炎は小さくなった。小さくなって、おれ達の視界に入らない程度になった上で回復を試みようと言うところなのだろう。
残念ながら夜の森の足下というのは、人間の肉眼ではどうにもこうにも、全て見通すことは不可能に近い。まして手入れされていないせいで新緑が生い茂る。その上に落ち葉まである。
おれ達がやつの気配を察せなければ、正直ここでおしまいだ。逃げられてしまう可能性だって否めない。

この刃が針であったなら。
おれが、奴を見つけられるのなら。
一撃で終わっているかもしれない。
だからこそ。

集中。
腹がまだ痛むが、正直もう考えている場合じゃなかった。やっぱり折れてるよなぁ、これ。鈍く痛みを伝えるそれが恨めしい。
すぅ、と呼吸する。大丈夫だ、おれはまだ戦える。戦えている。


太陽「………」ビュウウウウウウ

新免「どこだ……!」



新技?正否。直下小数点
今日はここまでチュン
358 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/05(火) 00:34:55.04 ID:cvYnG7ESO
俺は鮮やかな必殺技が見れると思ったのに
クソ―――ッ
359 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/06/06(水) 15:32:22.39 ID:ULwUo2JuO
頑張れ頑張れ 出来る 俺なら更新できる
360 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/06(水) 17:14:08.97 ID:mSd5HaaaO
お前は今までよくやってきた!お前はできる奴だ!そして今日もこれからも!これからも!疲れていても!乙が無くなることは絶対にない!
361 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/06(水) 20:13:13.61 ID:BcAj6eCSO
たくさんありがとうと思うよ
たくさん乙と思うよ
忘れることなんてない どんな時も読者は傍にいる だからどうか無理だけはしないでくれ
362 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/06/11(月) 21:12:33.45 ID:LiynBJDSo
遅れてごめんなさい!みんなすぐ更新しますから!
363 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/11(月) 21:15:45.02 ID:pjJLiOfSO
うおおお >>1が来たぞ 凄ェ!!
364 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/06/11(月) 21:16:49.59 ID:LiynBJDSo
>>358
コンマ04
クソーーーッ


刀を振り抜くのではなく、自分がその場を移動する。
そう、氷を滑る時みたいに。
おれの足腰はそれなりに鍛えられていたし、足裁きも体に馴染んできたと思えた。
だから、今なら出来るかもしれない。

足を、動かせ。止まるな、進め、すすめ!


伍ノ型


太陽「ふっ!」


暴れ回雪


シャオオオッ!!


威力ではない。足の速さを活かし、多くの傷を付けるのがこの技の特徴だ。
こと持久戦や、相手に多くの傷跡を負わせるにはとても良い。特に、今回のような『見えない敵』には有効だろう。
……切っ先が地面に触れるか触れないか、やや斜めに構えありったけの速度で走り回り……地面一帯に攻撃を加える!


シャオオオ………ッ!


太陽「アアアッ!」

しゃっ!!

一太刀くらいは……


シュウウッ

太陽「!?」

陽炎「遅いっ!」

どごぉっ

太陽「あ、がっ!?」


後ろから、また脇腹を蹴られて、地面に転がった。
痛みは先程の比ではなかった。それもそうだ、折れているところをさらに蹴られたのだ。内臓に骨が刺さらないことを祈るが、もしかしたらもう刺さっているかもしれない。
げほっ。あ、あぶないな、口から血が出ている。

太陽「ぐ、くそ……!」
365 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/06/11(月) 21:28:04.10 ID:LiynBJDSo
構えるよりも先、背後でさらに動く音がする。まずい、このままじゃあ致命傷を負いかねない。
それは命が奪われるやもしらない、或いは命があったとして剣士はもはや絶望的なものかもしれない。
立て、立てよおれ、何とかかわせ、追撃を逃れろ!


陽炎「かあああっ!」

新免「隙有りと見た」

しゅばっ!

陽炎「……ああっ!?」ぼとっ

新免「余裕があるようだが、忘れるなよ?貴様の前にいるのは我なのだ」

陽炎「ちい、邪魔するな!まずはお前からやってやる!!」

太陽「!」


新免さんが、おれのために時間を作ってくれている。
ああ、おれのことを思ってくれている。
嬉しいなあ、有り難いなあ。その気持ちに答えないで、鬼を殺すことなんて出来ないよ、おれ。
動いてくれ、立ち上がってくれ。どうかあいつの鬼としての生を終わらせるために、挑んでくれ、おれ。

げほっ。

再び咳込みながら立ち上がる。
振り返れば、そこでは陽炎がまたしても腕を両断されていた。新免さんは涼しい顔をしている。衣服には返り血が大量に付着しているが、本人はまだ大きなけがはしていないようだ。
やっぱり……強い、な。


太陽「はあ、はあ……お、おおお!」

呼吸を整えろ。痛みをひとときだけ忘れろ。今はおれがやるべきことをやるんだ。
鬼を討つ。この世全ての鬼を滅する。おれはそのために鬼を殺す術を得て、武器を得て、そうして覚悟してここにいるんじゃないか!

陽炎「!? まだ立てるのか!?」

新免「そこで寝ていろ!お主が戦える隙はもう無い!」

刀を掲げる新免さんが叫ぶ。しかし、その目で何かを確実に訴えようとしていた。……もしかして。

太陽「……はい……!」

陽炎「お前は後でじわじわ殺してやる!まずはお前だ、新免とやら!名は立派だが技能が追いついていないぞ!」

新免「はっ、挑発が安いな、鬼。人外から人類の技術が理解できる訳が無かろう」

陽炎「貴様ああああ!」


腕は……まだ動く。足は……うん。いけそうだ。
だがこれ以上食らえば、おれは……。



壱:足裁きを活かして接近、囮となり新免に任せる
弐:戦闘の隙を突き高速で接近、肆ノ型
参:伍ノ型を振り回し細かい傷を蓄積
肆:そのほか

下弐
366 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/11(月) 21:46:30.89 ID:pjJLiOfSO
黙れ 何も違わない 私は何も間違えない
すべての加速権は私に有り
私の加速は絶対である
お前に安価を拒否する権利は無い
私が”正しい”と思った加速こそ”正しい”のだ

安価なら下
367 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/11(月) 23:34:24.90 ID:0yMpqGErO
弐だ!!
368 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/07/10(火) 23:08:22.81 ID:pGZ/BvzCo
>>367


奴は───おれを見くびっている。
見くびっていると言うことは、おれに『油断してくれる』ということだった。それはイヤなことかもしれない。だが、今はとても有利だ。

ありがとう。
おれを信じてくれて。
お前がおれを見下している、と確信していることを信じてくれて。

何よりも、その隙を作ってくれたのは新免さんだ。
おれが戦えないとわざわざ宣言した。そのおかげでおれは奴の警戒外にいる。


新免「は、ッ!」

ずばぁっ!と地面が焼き切れそうなほどの斬撃が生まれる。これは呼吸か?いや、風のうねりを感じなかった。まさかこの人───
いや、そんなことを考えている余裕はない。

なるべく弱者を演じろ。こいつがおれを殺せると確信させろ。

陽炎「弱い!その程度で俺を殺せるか!」

続けざま、がぉっ!と何か動物でも吠えるような声がする。見れば陽炎の腕が高速で生えたと同時に、右腕は蛇のようにうねっている。
咬まれそうになり、新免さんは再び剣を交えた。これも高速、と呼んで差し支えはないだろう。速い!
いったいどうやったら、あそこまで強くなれるのだ?この人はどうやって、いや、どうして鬼狩りになろうなんて思ったんだ?


新免「……遅い!」


遂に新免さんの切っ先が、陽炎を捉える。が、もちろんそれをやすやすとやらせる彼ではない。瞬時に体を縮めたのか、その場から離脱していた。
そしておれは見た。
こいつは新免さんの背後を取ろうとしている!


……今しかなかった。


残っている力を全てありったけ、全身に託す。肺は破れたかもしれない、骨は折れたかもしれない。それでも、それでもだ。
これは負けではない、まだおれは終わってない。まだ戦える。おれは、今この瞬間命を燃やす。


ヒュオオオオオオッ
369 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/07/10(火) 23:16:47.61 ID:pGZ/BvzCo
ひゅん、と大きな体になった陽炎が勝ち誇った顔をしたのと、おれがその陽炎の背後を取ったのはほぼ同時だった。


陽炎「まずはテメェから!!」

太陽「そうだな、お前からだ」

陽炎「! お前、まだ」

太陽「肆ノ型」


【一陽来復】


ざ、んっ


その刃は普段よりも重く感じた。
ただ頸を斬るだけだ。今までの鬼と何ら変わらないことだ。だが、なんだか重かった。その重みに剣を手放さぬよう、気をつけて、振り切る。



ごとんっ

重いものが落ちる音と、「ぎゃあああああ!!」と言う情けない叫び声が上がったのは、これまたほぼ同時だった。


新免「……よくぞやってくれた」

太陽「はあ、はあ はあ……!」


陽炎「くそう、くそおおおっ!なぜだあああ!俺の、なにが!なにが悪かった!どこから間違えた!」

陽炎「オレだって……こんなノハ想像シ……て……!」


体がもう動かない。ああ、なさけないなあおれ。
そう思いながらその場にへたり込む。陽炎への文句一つもう思いつかないし、体も全く動かない。
遠くからおれを呼ぶ声がした。多分海怜だ。だけど、ごめんな、おれ……今はその問いかけにも答える余裕は、ないんだ。


陽炎「なんだって俺はついてねえ!ああ、やっとここまで……きたのに……!」



壱:太陽君は長男なので気絶しない(強化フラグ)
弐:太陽君だって男の子だから気絶する(強化フラグ)
参:陽炎がなんか恨み節を言ってるのを聞く(強化フラグ)

要は強化フラグ
下弐
370 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/10(火) 23:37:29.94 ID:drv14cCSO
なるほど!! そうかわかった!!
俺が全力で加速する!!
二人で頑張ろう!!
下弐の安価が出ているはずなんだ 加速するから選択肢を選んでくれ!!
(くもりなきまなこ)

安価なら下
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