平沢進「東京のヒラサワです」翠星石「まきますか?まきませんか?」平沢進「違います」

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487 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/03(日) 19:12:56.82 ID:yEb0tPq50
翠星石「ほら、ヒラサワの曲は置いといて…とにかく久しぶりですねぇ蒼星石!元気してたですか?翠星石はあの後心配で夜しかぐっすり眠れなかったんですよ?」

翠星石「今日は…あ!Nのフィールドを通って来たですね。もう、普通に玄関でピンポンを押せばいいのに。入口のアレはドアの形した装飾品とかじゃねーんですから」

蒼星石「…翠星石、話があるんだ」

翠星石「ん?何ですか?…もしかしてあの悩み事についてですか?やっと相談してくれる気になったですか!まったく、待ちくたびれたですよ!ほらほら、んじゃさっそくまるっと話して見せるです!このお姉さんの翠星石が何でもかんでもバシッと解決してやるですからね!」

蒼星石「いや、それはもういいんだ。答えは自分で出したから」

翠星石「え?…そ、そうですか!流石は蒼星石ですぅ!あんなに困ってたことを一人で解決しちまったんですね!いやー翠星石も鼻高々ですぅ。…でもでも、少しくらい翠星石に相談してくれてもよかったと思うんですけど…」
488 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/03(日) 19:14:32.44 ID:yEb0tPq50
蒼星石「うん、ごめん。その代わりと言ったらなんだけど、今日はその答えについて話をしに来たんだ」

翠星石「?…あ、なるほど!悩み事の解決までの一切合切を翠星石に教えてくれるってことですね。しょうがねーですねぇ、くっきりはっきり聞いてやるです。さあ蒼星石、何でもかんでもこの翠星石に話しちまうですよ!」

蒼星石「…うん」

翠星石「ほらほら、遠慮しないで、ここ座って話すです。ヒラサワに内緒でこっそりお菓子でも出してやるですから!」

蒼星石「………僕とアリスゲームをしよう、翠星石」

翠星石「はいはい、アリスゲームですね。最近はみんなアリスゲームアリスゲームって、流行ってるですかその……」

翠星石「………」

翠星石「…………え?」
489 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/03(日) 19:15:17.20 ID:yEb0tPq50
ー薔薇園前ー

お爺さん「こほん!教えるつもりが逆に教わってしまいましたなあ。やられっぱなしで帰すわけには行きません。まだお時間はよろしいですかな?」

平沢進「まあ」

お爺さん「では遠慮なく!花言葉というものはご存知ですな。薔薇は先程申された人工交配によって、現在4万種以上の品種が存在しております」

お爺さん「その一つ一つに言葉をつけていたら薔薇はこの世のあらゆるものを語る植物となれたかもしれませんが、あいにくとそうは行かない。薔薇の花言葉は、その花弁の色によって分けられております」

平沢進「……」

お爺さん「黒薔薇の…まあ、実際には暗い赤色の薔薇は「決して滅びることのない愛」。その真反対の白薔薇は「恋をするには若すぎる」」
490 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/03(日) 19:15:53.73 ID:yEb0tPq50
平沢進「ははあ」

お爺さん「黄薔薇ならば愛情の薄らぎ…赤薔薇は愛情、美、情熱。薄紅薔薇ならばしとやか、上品…と言った具合です」

平沢進「なるほど。血液型占い並に当てになりそうも無い指標で。…特に薄紅がしとやかとはもってのほか」

お爺さん「はは!中々手厳しいですな。…とにかく、色に関わらず薔薇に喩えられるのは、愛や気品。言葉にし難い美しさを物言わぬものに託したわけですな。喋らぬものとは口先から美しさが漏れ出す心配が無いので、綺麗な言葉を背負わすに相応しいのでしょうかな」

平沢進「はあ。人の背負うべきものを花に肩代わりさせるとは。中々人は種族として責任転嫁の能力が高い模様で。あらゆる災害を神に背負わせ運命に罪着せ、人の作り出した罪は科学に背負わせ。それほど原罪を背負って死ぬのが怖いのでありましょうか」
491 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/03(日) 19:16:52.11 ID:yEb0tPq50
お爺さん「ほう……確かに、人の生み出した言葉を花に着せるのは、無責任と言えるかもしれませんな。…ではその中でも特に有名なものについてをば。青い薔薇というものがあります」

平沢進「………」

お爺さん「少し前流行ったのでこれは誰でも知っているでしょう。人工的に生み出された新しい色…これの花言葉には「不可能」「夢が叶う」「神の祝福」など…花にも人にも背負わせるには少々重い言葉が並びます」

平沢進「責任どころか理想までもを転嫁させたと。それは青い薔薇もさぞ息苦しいことでしょう」

お爺さん「……そうかもしれませんな。ただ、こうして花言葉について話したのは、薔薇とはただ美しいものとして存在するわけではないということを伝えたかったからです」

お爺さん「移り変わる色の中に、愛の良い面以外のものも共に載せる。美しさに伴う困難や失望をも身に宿らせるものが薔薇なのですよ。…当の薔薇がそこに気がついているかは分かりませんがね」
492 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/03(日) 19:17:37.67 ID:yEb0tPq50
平沢進「へえ。…薔薇を他の花種に置き換えても成立する公式でもあるような」

お爺さん「う…まあ、確かに。薔薇以外の花にもかなり共通するものだったかも知れません。…元より、ただ美しいだけの花などないのかもしれませんな」

平沢進「そのようにグロテスクな存在は、土も人も生むことは難しいかと。人は理想の中に完璧な美しさを語るものの、それは実在に適応した際ただの騙りと成り下がるもので」

平沢進「理想気体の公式に従い、美しいものを秤にかけ、不純さを洗い流し、雑多さを摘み取り、ようやく疲労困憊の美一滴を絞り出そうと、水滴として足元に落ちた時、既に無色透明でいられぬものかと。それが実在気体に囚われるモノの宿命」
493 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/03(日) 19:18:09.17 ID:yEb0tPq50
お爺さん「……ほお。…それは面白い。完璧な美しさはこの世に理想としてしか存在しない。しかし、人は花あるいは何かに、その理想を見出し現実として生み出そうとする…生み出せる筈もないと頭では分かっているはずなのに」

平沢進「…」

お爺さん「…ボケ防止のタネに考える議題としては、大変意義あるものかもですな」

平沢進「それはどうも。認知機能の出力低下をステルスが食い止めるとは皮肉だが、実益が齎されたのならば結構なこと」
494 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/03(日) 19:19:24.03 ID:yEb0tPq50
ーあろるの館ー

翠星石「…もう!蒼星石ったら!エイプリルフールはとっくに終わってるですよ?」

蒼星石「翠星石。…僕は冗談も嘘も好きじゃない」

翠星石「っ………」

翠星石「…それは知ってるですよ。言ってみただけです。翠星石は、蒼星石のお姉さんなんですから」

蒼星石「……そうだね」

翠星石「じゃあ……その理由を、聞こーじゃねーですか」

蒼星石「僕らはアリスになるべくして生まれたんだ。理由なんて探す必要すらないよ」
495 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/03(日) 19:19:56.06 ID:yEb0tPq50
翠星石「っ…でも!翠星石と蒼星石は双子じゃねーですか!昔からずっと一緒の…」

蒼星石「双子である前に、僕達はローゼンメイデンだよ」

翠星石「そ、そんな鶏が先か卵が先かみたいな事言われても翠星石には分からんですぅ!蒼星石!ローゼンメイデンだから戦うっていうなら何で今まで戦わなかったんですか!?」

蒼星石「……」

翠星石「ホントの理由はなんなんです?翠星石に教えるですよ!まさか、蒼星石のマスターが何か良からぬことを吹き込んで…」

蒼星石「マスターの事を悪く言うのは許さないよ、翠星石。それに僕だって、誰かに簡単にアリスゲームについて言いくるめられるほど子供じゃない」
496 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/03(日) 19:20:35.72 ID:yEb0tPq50
翠星石「っ…じゃあ、何で!?急にアリスゲームをする決心がついたのは一体…」

蒼星石「君にも、多少なり察しがついてるんじゃないのかい?」

翠星石「……………」

翠星石「…蒼星石の悩み事に心当たりなんてねーです。あったら翠星石だって真っ先に話してるですぅ。…だけど」

蒼星石「……」

翠星石「一つだけ、頭に引っかかってることがあったです。それは関係無いことだと思って……思いたかったですけど」

翠星石「ずっとずっと昔に…言ってましたね。翠星石と蒼星石は、二人で一人。それが、本当にいい事なのかって…」
497 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/03(日) 19:21:44.87 ID:yEb0tPq50
蒼星石「…そう。僕らの能力は、二つで一つ。庭師の如雨露は心の樹を育てることが出来るし、庭師の鋏はその成長を邪魔するものを切払うことが出来る。そして互いに、夢の扉を開くことも。でも、本当の能力を使うには、片方だけじゃ足りない」

蒼星石「能力だけじゃない。僕らは、ローゼンメイデンとして目覚める時も眠る時も一緒だし、契約する人も同じだった。…今回までは、だけど」

翠星石「……し、真の能力が凄いのは、二人で協力して出来る能力だからですよ。一人より二人なら、より強くなるのは当然ですぅ。…それに、マスターが同じなのは、翠星石と蒼星石の仲が良くて、離れたくなかったから…」

蒼星石「協力といえば耳触りはいいよ。それが努力によって生まれたものならね。でも、僕らが生まれた時からこの能力はあったし、手放したり拒んだり出来るものじゃなかった。…それに、離れたくなかったというのは、ちょっと違う…」

蒼星石「僕たちは、離れられなかったんだ。能力も、精神も、あまりに互いに依存していたから」
498 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/03(日) 19:23:21.00 ID:yEb0tPq50
翠星石「…………」

蒼星石「ローゼンメイデンは皆不完全だけれど、僕らはその中でも際立ってる。僕らは互いに背中合わせで、一人がいなくなったらたちまち後ろに倒れてしまう。足場が無ければ立つことも出来ない、本当の人形みたいに」

翠星石「…それが何だって言うんですか。だったら、ずっと一緒に支え合えばいいだけですぅ!な、何が不満なんですか蒼星石!翠星石は、そりゃあ出来たお姉さんじゃねーかもしれねーですけど、悪いとこがあるなら口で言ってくれればいいじゃねーですか!そしたら翠星石も頑張って直すですから!」

蒼星石「ずっと支え合う…素敵な言葉だけど、僕はそれでいいと思わない。僕らは共生じゃなくて、共依存の関係なんだ。それは、赤の他人には綺麗なものに見えるかもしれないけど、本当はそんなものじゃない」

翠星石「……」
499 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/03(日) 19:24:29.82 ID:yEb0tPq50
蒼星石「今回僕らは、マスターも、住む場所も、初めて別にしたね。君にとっては些細な気まぐれだったかもしれないけど、僕は、大切なことを確かめるためにこうしたんだよ。…それが何だか分かるかい?」

翠星石「そ、そんなの、分かるわけ………」

?初めて蒼星石抜きで闘った時、分かったのよねぇ?自分は一人じゃマトモに武器も振るえない…ジャンクだってこと?

?…二人はいつも一緒だったのに、何だか不思議な感じね?

翠星石「………」

蒼星石「…僕は一度、君の「水銀燈に襲われている」というウソを聞いて、助ける為にここに来たよね。でも、本来だったらルールに則るアリスゲームに手出しは無用の筈だ。だけど、僕は無視することが出来なかった」
500 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/03(日) 19:26:40.90 ID:yEb0tPq50
2重かっこが環境依存文字ってマジ…?
すみませんちょっと直します
501 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/03(日) 19:28:17.19 ID:yEb0tPq50
蒼星石「今回僕らは、マスターも、住む場所も、初めて別にしたね。君にとっては些細な気まぐれだったかもしれないけど、僕は、大切なことを確かめるためにこうしたんだよ。…それが何か分かるかい?」

翠星石「そ、そんなの、分かるわけ………」

『初めて蒼星石抜きで闘った時、分かったのよねぇ?自分は一人じゃマトモに武器も振るえない…ジャンクだってこと』

『…二人はいつも一緒だったのに、何だか不思議な感じね』

翠星石「………」

蒼星石「…僕は、君の「水銀燈に襲われている」というウソを聞いて、助けに行ったよね。でも、本来だったらルールに則るアリスゲームに手出しは無用の筈だ。だけど、僕は無視することが出来なかった」
502 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/03(日) 19:30:47.63 ID:yEb0tPq50
蒼星石「庭師として剪定をしている時も…ずっと、違和感がつきまとうんだ。それでやっと分かった。僕らは距離は離れることができても、本当に離れることは出来ないんだ。…悪い意味でね」

翠星石「……!」

『蒼星石と翠星石は、近くに居なくたって繋がってるんですから』

翠星石「そ!それは…き、絆で繋がってるから…」

蒼星石「絆と呪縛は僕らにとって同義語だよ」

翠星石「!…」

蒼星石「これは僕の戦いでもあるし、君の戦いでもある。翠星石、僕達はいい加減に、双子人形という鎖から解き放たれるべきだ。例えどちらかが倒れることになったとしても、それがローゼンメイデンとして生まれた僕たちがすべきことだよ」
503 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/03(日) 19:31:49.38 ID:yEb0tPq50
翠星石「そんな…!…す、翠星石は…翠星石は…」

蒼星石「…話はこの辺りで終わりにしよう」

蒼星石「じゃあ、明日の午後三時にNのフィールドで待ってるから。それまでに心の整理をつけてほしい。翠星石…来てくれるね」タッ

翠星石「ま、待つです!蒼星石、もっと話を…!」

蒼星石「…さっき君は言ったね。悪いところがあるなら話して直せばいいって」

翠星石「そ、そうです!話し合いで解決すれば…!」

蒼星石「話す時間なら何世紀もあった。互いにこの問題には気づいてたはずだ。だけど、僕も君も話さなかった」

翠星石「……!」
504 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/03(日) 19:32:40.43 ID:yEb0tPq50
蒼星石「それは…話し合いじゃ解決出来ないって、君にも心の底で分かっていたからじゃないのかい?」

翠星石「あ……」

蒼星石「…じゃあ、またね。翠星石」
505 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/03(日) 19:34:06.43 ID:yEb0tPq50
ー薔薇園前ー

平沢進「あ、そういえば」

平沢進「他人の庭に難癖をつけるのは趣味ではありませんが、一つ、気になることが」

お爺さん「おや。…何かこの庭に欠点が?」

平沢進「はい。この薔薇園、剪定ばかりが『足りすぎている』。まるで、それを専業とする庭師のみ雇っているかのようですね」

お爺さん「………!」

平沢進「いや、剪定のあまり薔薇が痩せているという訳ではなく。ただただ他に比べ際立ち過ぎているということで。手間隙がかかればかかるほど怠っている場所が顕になるものですが、優れたものが目に付くとは珍しい」

お爺さん「………」
506 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/03(日) 19:38:20.94 ID:yEb0tPq50
https://youtu.be/e1WvfA-St7Y
♪課題が見出される庭園 平沢進 2000

平沢進「主人が館に居るのなら、薔薇を称賛する次いでに物陰から硝酸瓶を投げるかのごとくそれについても問い掛けてみたいもの。一体何の要素が剪定にばかり舵を切ったのか と」

お爺さん「…いやはや、中々面白い意見を聞かせて頂きました。儂は長年の散歩道として慣れ親しんだ中で、そんなことにも気付かずお恥ずかしい限りです。なるほど、「足りない」ではなく「足りすぎている」とは…」

平沢進「……」

お爺さん「はて。長話になりましたな。余り長く散歩に時を費やすと、家の者が不安がるのでこのあたりで。散歩の時間がこれほど有意義なものになって、ありがたい限りです。…あと、館の主には薔薇についての問い掛けなどせんほうが良いですよ。最近、やたら気難しくなったとの評判ですからな」

平沢進「それはお気遣いどうも。では、またこんど」

お爺さん「…ええ、また」スタスタ…

平沢進「………」

平沢進「そういえば、緑の薔薇は存在しない。従って花言葉もなく。…通りで言論に従属しない人形な訳で」スタスタ
507 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/03(日) 19:39:49.12 ID:yEb0tPq50
ーあろるの館ー

平沢進「多様性の摂取量凡そ800kcal。まあ、変温動物的に保存すれば多少の月日は耐え凌げよう」

翠星石「ひ、ヒラサワ…おかえりなさい…です」

平沢進「うわ。悄気返った翠の人形がお出迎えとは。明日は磁気嵐が吹き荒れる模様。で、この度は一体何を如雨露より出る退廃の水流により錆びさせたのか」

翠星石「ち、違うですよ…翠星石は今度は何にも失敗してないですぅ…」

平沢進「あ、そう。では突如躁鬱の鬱の方が電子頭脳の前頭前野を塗り潰したとかそういうこと」

翠星石「ん、んなことねーです!翠星石はいつでも元気いっぱいべりーきゅーとです!ハイテンションになったり落ち込んだりを繰り返してるわけじゃねーです!」
508 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/03(日) 19:40:21.37 ID:yEb0tPq50
平沢進「しかし現状躁鬱としか診断できぬ病状だが。悪徳医者ならばSSRIの処方に踏み切るほど」

翠星石「えすえすあーるあい…?す、翠星石は横文字にあんま強くないんですからそういう略称は使わねーでほしいです!」

平沢進「何やら躁のほうが強まり始めた模様。これは重症。しかし人形の頭脳とは獣医学か細工技師かどちらの分野なのだろうか。このままでは救急にて窓口の電話番号を聞くことすら出来ず末期の水を飲ませる羽目に」

翠星石「なんで獣医さんが選択肢に入ってるですか!翠星石は動物じゃねーですぅ!…じゃなくて、ヒラサワ。実は、その…」

平沢進「はあ」

翠星石「さっき、蒼星石が来て…その……」

翠星石「……翠星石とアリスゲームをするって」
509 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/03(日) 19:41:34.65 ID:yEb0tPq50
平沢進「へえ」

翠星石「翠星石がいろいろ話し掛けて止めさせようとしたんですが…もう決心が固まってたみたいで…」

翠星石「翠星石はお姉さん失格ですぅ。甘い気持ちでいて、蒼星石の決心に気付かずいたです…いや、問題には気づいてたはずだったのに、解決しようとしなかったです…」

平沢進「ふーん」

翠星石「…それで蒼星石は、明日の午後三時にNのフィールドで待ってるって…」

翠星石「あの子は真面目さんだから、一度言ったことはよっぽどの事がない限り曲げねーですぅ。だから、時間通りにNのフィールドに行ったら、必ずその場で戦いを始めるはずです」
510 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/03(日) 19:42:07.93 ID:yEb0tPq50
翠星石「翠星石は頑張って話をもう一回しなきゃいけないですが、Nのフィールドじゃ待ち伏せもできねーですし…時間前に入って探してみたところで、蒼星石が現実世界からそこに来てなかったら探しようもねーですし…」

翠星石「蒼星石が誰をマスターにして、どこで何をしてるのかすら、翠星石は知らないんです……いつもはずっと一緒で、聞く必要すら無かったから…」

翠星石「翠星石はどうすればいいんでしょうか…」

平沢進「………」

平沢進「明日は出掛ける予定があるので。NだかSだかのフィールドに外征する時間はない」
511 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/03(日) 19:43:15.58 ID:yEb0tPq50
翠星石「………どこに行くですか?」

平沢進「薔薇園」

翠星石「薔薇…?」

平沢進「そう。剪定が足りすぎ、百足らず様のビジネスプランに目を付けられかけている不良物件」

翠星石「剪定が足りすぎ…?……っ!」

翠星石「そ、蒼星石は「庭師の鋏」を持ってるです…!そういえばさっき、剪定をしてるって…!もしかしてヒラサワ、そこが蒼星石の居る場所だっていうんですか?」

平沢進「さあ。私はただ、百足らず様のお通りになる手筈の道筋を観測者として辿るだけ。そこに偶然蒼い薔薇の花弁が童話の道標のように並び落ちていようと、私の気にするところではない」
512 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/03(日) 19:44:01.26 ID:yEb0tPq50
翠星石「…わ、分かったです!翠星石も着いてくです!」

平沢進「あ、そう」

翠星石「そ、そうと決まったら色々と準備するです!今回ばかりは、翠星石が、自分の力で解決しなきゃ…!」

平沢進「まあ、ご自由に気張ってください。遠足前の幼児のごとく、事前疲労を溜めすぎぬ程度に」
513 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/03(日) 19:45:55.25 ID:yEb0tPq50
ここまでです
矛盾とか多い気がするので良ければご指摘お願いします
あと投稿中にミスった時は無言で修正した方がいいんでしょうか?突然訂正の文が来ると読む気が削がれるとかでしたらこれからそうします。(本当はミスしなきゃいいんですが)
514 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/03(日) 19:53:28.67 ID:kyIG71kgo
乙乙
訂正箇所だけ指摘して訂正文は投稿しなくてもいいんじゃないかと個人的には思ってるけど
515 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/05(火) 12:19:36.26 ID:venLMrnWO
その方がいい感じですね!
次からそういう風にします
516 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/11(月) 22:28:00.57 ID:3wqJMsYi0
面白いぜ!
517 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/15(金) 09:47:20.10 ID:hswrhSZLO
まいて
518 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/18(月) 12:34:25.13 ID:co6+M3z3O
すみませんお待たせしてます…
今週末までには投稿出来ると思います
519 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/24(日) 01:32:50.49 ID:sq5EP1Ov0
続きを待っている人がいるからね
520 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/01(日) 20:11:40.20 ID:t/R3Zs/JO
おうタービンを回すんだよ
あくしろよ
521 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/02(月) 15:51:29.17 ID:G6aaUqbAo
最近金星とBIGBROTHER脳内でヘビロテしすぎてやばい
522 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/12(木) 08:16:05.03 ID:RzT3e6F3O
んー、お疲れかな?
523 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/13(金) 21:31:53.47 ID:diOcokKNo
被災してないといいが
524 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/27(金) 19:42:53.08 ID:F4gUNCNRO
あら、続きはないのかしら。
525 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/18(土) 13:45:50.17 ID:Vn9ehbKNO
のんびり頑張って。こっちものんびり待ってるよ
526 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/17(水) 14:50:45.89 ID:pIbnrYlJO
完全に終わってしまったんかな…
527 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/10/18(木) 00:12:18.76 ID:QWEca5EO0
もう動かないのか?
528 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/10/27(土) 12:42:15.58 ID:mzdoF6ep0
戻ってくることを信じて、待つ
529 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/28(月) 01:57:56.52 ID:Amj8jUvvo
巻いてくれ
530 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/02/18(月) 01:15:35.37 ID:mJdm+o5r0
続きいつまでも待ってます
531 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/04(月) 17:44:48.51 ID:VBT3Jhyh0
首を長くしてお待ちしております。
532 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/07(木) 01:57:03.00 ID:EXeXexnc0
読み返したけどめちゃ面白いなあ
更新してくれい
533 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/20(火) 11:43:17.02 ID:tz2qCxoRo
保守
534 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/11/26(火) 14:09:04.51 ID:Uvmmim6QO
535 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/01/12(日) 20:04:57.14 ID:QU9U9Y9o0
しゅ
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