鞠莉「失ワレタモノガタリ」

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44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/17(火) 13:09:54.63 ID:5sszJm+v0

曜「だーーーなんにも見つからない」ボスン

鞠莉「どうしてなんにもないのよー!」ボスン

ダイヤ「……そもそも,痕跡なんて本当にあるんですの?」

鞠莉「そんな!私たちが間違っているっていうの?」

ダイヤ「いえ,そういうことではありません」

ダイヤ「お二人の言う通り,チカという方は居たのかもしれません」

ダイヤ「ですが,本当にここにいる私たちと一緒に居たのかという話です」

曜「……どういうこと?」
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/17(火) 13:10:33.21 ID:5sszJm+v0

ダイヤ「あまりオカルトっぽい話は好きではないのですが」

ダイヤ「今回の場合,大きく分けて2つの可能性が考えられると思うのです」

ダイヤ「1つは私たちの記憶が書き換えられている場合」

ダイヤ「チカさんは私たちとともに廃校を阻止し,ラブライブも優勝した」

ダイヤ「しかし,チカさんの記憶のみが抜け落ちている」

ダイヤ「この場合なら,痕跡も残っているかもしれません」

ダイヤ「2つ目はパラレルワールドの場合」

ダイヤ「チカさんが私たちとともに存在する世界がどこかにあって」

ダイヤ「私たちは何故かその記憶をうっすら保持している」
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/17(火) 13:11:08.37 ID:5sszJm+v0

鞠莉「そんな……それじゃあ」

ダイヤ「ええ,後者の場合ならたとえ記憶があったとしても……」

ダイヤ「チカさんが存在したという事実はこの世界にはないので,痕跡など存在しようもありません」

曜「で,でも!そんなの……」

ダイヤ「はい,どちらかなど私にはわかりません」

ダイヤ「ただ,その可能性も考慮に入れるべきだと言っているのです」

鞠莉「くっ……」
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/17(火) 13:11:57.86 ID:5sszJm+v0

ルビィ「……ねえ」

花丸「どうしたの?ルビィちゃん」

ルビィ「いや,どうしてなのかなって」

善子「なにがよ」

ルビィ「ほら,ラブライブに優勝したとき鞠莉ちゃんが違和感があるって言ってたでしょ?」

ルビィ「でもそれだけだった」

ルビィ「確証なんて何もなかったし,曜ちゃんなんて何も身に覚えがないみたいだった」

ルビィ「でも今は,2人ともチカさんの存在を認めている」

ルビィ「何かきっかけがあったんじゃないかなって」
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/17(火) 13:12:57.41 ID:5sszJm+v0

果南「……たしかに」

梨子「何かあったの?」

曜「……みかん」

花丸「みかん?」

鞠莉「ええ,曜がみかんを見てチカって名前を口にしたの」

鞠莉「その名前がビビッときたの.きっとこれだってね」

善子「でも,どこにみかんなんてあるのよ」

曜「それはしいたけが……」
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/17(火) 13:13:52.36 ID:5sszJm+v0

鞠莉「そうよ!しいたけよ!」

鞠莉「ああ!なんで思いつかなかったのかしら!」

善子「しいたけ?キノコの?」

ダイヤ「それがチカさんと何の関係があるんですの?」

鞠莉「違うわ!しいたけっていうのは十千万の犬の名前よ!」

花丸「十千万って確か旅館の……」

果南「ああ,そっちのしいたけか」

鞠莉「しいたけが持ってきてくれたみかんで曜が思い出したの!」

鞠莉「きっとしいたけはチカのことを覚えているのよ!」
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/17(火) 13:14:41.12 ID:5sszJm+v0

曜「しいたけが私たちに思い出させようとしたってこと?」

ダイヤ「そんな馬鹿な……」

鞠莉「それだけじゃないわ」

鞠莉「みんなに1つ聞きたいんだけど,今しいたけという名前を初めて聞いた人はいる?」

善子「私は今知ったわ」

花丸「マルもずら」

ルビィ「ルビィもです」

ダイヤ「私も初めて聞きましたわ」

梨子「私は前に曜ちゃんに教えてもらったから……」

ようかな「……」

鞠莉「……ビンゴね」
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/17(火) 13:15:41.71 ID:5sszJm+v0

果南「ちょっと鞠莉,説明してよ」

曜「全然わかんないよ……」

鞠莉「曜と果南はしいたけの名前を知っていたのよね?」

曜「うん」

果南「そうだね」

鞠莉「これはかなり珍しいことだと思うの」

花丸「そうなの?」

鞠莉「いくら家が近いといっても,自分には関係がない旅館よ?」

鞠莉「曜なんて家だって離れている」

鞠莉「そんな旅館の犬の名前を知っているなんておかしいと思わない?」

鞠莉「普通に考えて,他人の家の犬の名前なんて知らないでしょ?」
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/17(火) 13:16:34.78 ID:5sszJm+v0

梨子「それは確かに……」

ダイヤ「ですが,たまたまという可能性も」

鞠莉「……ここからは推測なんだけれど」

鞠莉「チカは十千万の娘なんじゃないかしら」

鞠莉「そして,果南と曜はチカとすっごく仲が良かったの」

鞠莉「だからしいたけの名前を知っているのよ」

鞠莉「一応聞くけど,2人はどこでしいたけの名前を知ったか覚えてる?」

曜「それは……」

果南「……思い出せない」
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/17(火) 13:17:28.40 ID:5sszJm+v0

鞠莉「やっぱりね」

鞠莉「鍵は十千万にあるわ」

鞠莉「ここまでの話に異議を唱える人はいる?」

7人「……」

鞠莉「よし,じゃあ十千万に向かいましょう」

ダイヤ「今からですか?」

ルビィ「流石に迷惑なんじゃ……」

鞠莉「……全員で行くのは流石にちょっとあれかもね」

鞠莉「じゃあ私と果南と曜の3人で行くわ」

鞠莉「曜はもし帰れなくなったらうちに泊まっていくといいわ」
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/17(火) 13:18:08.35 ID:5sszJm+v0

曜「わかった!家に連絡するね!」

果南「おっけー」

鞠莉「申し訳ないけど他の5人は家で待っててもらえるかしら」

鞠莉「何かわかったら連絡するわ」

ダイヤ「わかりました」

花丸「気を付けてね?」

善子「無茶するんじゃないわよ」

ルビィ「え,そんなに危ないことなの……?」

梨子「大丈夫だと思うけど念のためね?」

鞠莉「よし!じゃあ行くわよ!」

―――――――――
――――――
―――
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/17(火) 13:20:26.93 ID:5sszJm+v0

ピンポーン

「はーい」

志満「どちらさまで……あら,果南ちゃん曜ちゃん」

果南「こんばんは!」

曜「ひさしぶり!」

志満「いらっしゃい……そちらの子は確かAqoursの?」

鞠莉「初めまして,急に押しかけて申し訳ありません」

鞠莉「私,Aqoursのメンバーの小原鞠莉と申します」

志満「あらあらご丁寧に」

志満「私,十千万の高海志満と申します」

志満「ラブライブ優勝おめでとう,みんなで応援してたわよ?」

鞠莉「ありがとうございます」
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/17(火) 13:21:22.13 ID:5sszJm+v0

志満「それで,何の御用かしら?」

鞠莉「はい,つかぬことを伺いますが,志満さんはチカという名前に覚えはないですか?」

志満「チカ……?うーん,それは女の子の名前かしら?」

鞠莉「私たちはそうだと考えてます」

志満「……どういうこと?」

―――――――――――
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/17(火) 13:22:12.24 ID:5sszJm+v0

志満「なるほどね……」

志満「チカという子がいたはずなのに,私たちはみんなそのことを忘れている」

志満「そしてその子はうちの家族だと」

鞠莉「はい,その通りです」

果南「志満姉信じるの?」

志満「え?嘘なの?」

果南「いや,そうじゃないけど」

曜「そう簡単に納得できる内容でもないと思うんだけど」

志満「確かに突拍子もないことだけど……」

志満「……なんかすんなり受け入れている自分がいるのよね」

志満「どうしてかしら」
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/17(火) 13:23:19.63 ID:5sszJm+v0

鞠莉「それはきっと,志満さんも心のどこかでチカのことを知ってるからかと」

志満「なるほどねえ……」

鞠莉「それでお願いがあるんですけど」

鞠莉「この家の中を調べさせてはいただけないでしょうか」

鞠莉「チカが本当にこの家の子だったなら,その痕跡がどこかにあるかもしれないんです」

志満「……わかった,いいわよ」

曜「ほんと?!」

志満「ええ,ただしお客さんの迷惑にならないようにね?」

果南「ありがとう!」
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/17(火) 13:25:31.59 ID:5sszJm+v0

鞠莉「それと,もう一つ」

鞠莉「客間ではなく家族用のスペースで,空き部屋や物置になってるような部屋はありませんか?」

曜「どうしてそんなことを聞くの?」

鞠莉「チカがこの家に居たのなら,チカの部屋もあったはずでしょ?」

鞠莉「流石に家の形状まで変わってるとは思えないから,その部屋は他の用途に使われてるんじゃないかと思ったの」

果南「なるほど……」
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/17(火) 13:26:18.67 ID:5sszJm+v0

鞠莉「どうですか?」

志満「……1つだけあるわ」

志満「確かに空き部屋になってる部屋が1つある」

鞠莉「ほんとですか?!」

志満「ええ」

志満「そういえばずっと空き部屋になってることに誰も疑問を持たなかったわね……」

鞠莉「きっとそこです!」

鞠莉「案内をお願いしてもいいですか?」

志満「もちろんよ,ついてきて」

――――――――――――――――
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/17(火) 13:27:09.55 ID:5sszJm+v0

志満「ここよ」

鞠莉「この部屋が……」

志満「言っておくけど,本当に物1つ無いからね?」

鞠莉「わかってます」

志満「好きなだけ調べてくれていいから」

志満「もし何かあったら下にいるから呼んでね〜」テクテク

鞠莉「ありがとうございます」

鞠莉「……」

鞠莉「……2人とも行くわよ」

ようかな「……うん」

ガララッ
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/17(火) 13:27:57.63 ID:5sszJm+v0

曜「こ,これは……」

果南「ほ,本当に……」

ようかな「何もない!」

鞠莉「だから志満さんもそう言ってたじゃない」

曜「いやそうだけど」

果南「本当に何もないとは」

曜「これじゃあ痕跡も何もないんじゃない?」

鞠莉「それでも探すのよ」

鞠莉「ちょっとしたものでも構わないわ」
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/17(火) 13:28:36.74 ID:5sszJm+v0

曜「はーい……あれ?」

果南「どうしたの?」

曜「いや,その窓から見えるの梨子ちゃんの部屋だよ」

鞠莉「そうなの?隣だったのね」

曜「うん,家が隣なのはわかってたけど,まさか部屋も隣とは」

鞠莉「気になるわね……」

鞠莉「とりあえず手分けして探しましょう」

ようかな「うん!」


―――――――――――――
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/17(火) 13:29:47.94 ID:5sszJm+v0

3人「ない!」

曜「なにもないよ!」

果南「そりゃそうだよ!見た瞬間にわかってたよ!」

鞠莉「うーん……もしかしたらと思ったんだけど……」

果南「ちょっと疲れちゃった.少し寝るね」ゴロン

曜「え〜ずるいよ〜」

果南「曜も寝たら?」

曜「寝る〜」ゴロン

鞠莉「ちょっと2人とも」

果南「少しだけだから」

曜「おやすみ〜」
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/17(火) 13:30:43.62 ID:5sszJm+v0

鞠莉「もう……そんなことしてる場合じゃ……」

ようかな「」バッ

鞠莉「きゃっ!」

鞠莉「どうしたのよ2人とも,急に起き上がって」

果南「いや……なんか……」

曜「何かがあったような……」

鞠莉「え?どこに?」

果南「確かこっちの方に……」スタスタ

曜「うん,この辺に……」

鞠莉「なによ……何もないじゃない」

果南「あれー?おかしいなー」
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/17(火) 13:52:08.16 ID:5sszJm+v0

鞠莉「というか2人ともさっき目をつむってたでしょ?」

鞠莉「見つけられるわけないじゃない」

果南「それはそうなんだけどさ」

曜「でも,何かが見えたんだよ」

鞠莉「イミワカンナイ」

鞠莉「目をつむるって,そんなことしても……」スッ

鞠莉「……」

鞠莉「……何かある」
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/17(火) 13:53:00.45 ID:5sszJm+v0

曜「ほら!」

果南「私たちの言った通り!」

鞠莉「あれは何かしら,ぼやけてるけど……光?」テクテク

ゴンッ

鞠莉「いったーーーい!!」

曜「そりゃ目をつむったまま歩いたら危ないよ」

果南「鞠莉のおバカさん」

鞠莉「でも確かに何かあったわ.部屋の角の方ね」

鞠莉「……あれが鍵なのかもしれない」
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/17(火) 13:54:02.94 ID:5sszJm+v0

鞠莉「今度は気を付けて近づきましょう.2人も一緒にね」

曜「うん!」

果南「わかった.くっついて支えあいながら近づこう」

鞠莉「行くわよ」スッ

ようかな「うん」スッ

トコトコ

鞠莉「これは……写真……かしら?」

果南「そうみたいだね.Aqoursが写ってる」

曜「見て……9人いない?」

鞠莉「ほんとね……ぼやけて顔は見えないけど,このオレンジの髪は―――

スーーッ
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/17(火) 13:56:11.33 ID:5sszJm+v0

……

3人「」ハッ

曜「ここ……どこ?」

鞠莉「真っ暗ね……」

鞠莉「ちょっと果南,くっつきすぎよ」

果南「むりむりむり,なんでこんなに真っ暗なの」ハグッ

果南「なのに2人の顔は良く見えるし」ギュー

鞠莉「暗いというより,黒いって感じなのかしら」

曜「真っ黒な空間か,暗いわけじゃないから顔は見えるわけか」

鞠莉「ほら果南,聞いたでしょ?別に怖くないわよ?」

果南「余計に怖いよ!何さ真っ黒な空間って!」ギューーッ

果南「お家帰りたい……」
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/17(火) 13:57:41.41 ID:5sszJm+v0

鞠莉「はあ……じゃあしっかりつかまっててね」

果南「うん……」

曜「ねえ……あそこに誰かいない?」

果南「はぐぅぅぅ!!」

鞠莉「痛い痛い痛い!折れる折れる!!」

曜「あれ……もしかして……」

「……曜ちゃん?」

曜「……千歌ちゃん?」

曜「ぐっがあああああ!!」

曜「頭がっあああ……!」ウズクマリ
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/17(火) 13:58:20.27 ID:5sszJm+v0



曜「……あああ」

曜「思い出した……」

曜「なんで……どうしてこんな大切なことを忘れてたんだろ……」ポロポロ

曜「千歌ちゃん……高海千歌ちゃん……」ポロポロ

曜「私の大切な……大好きな人……!」ボロボロ

「曜ちゃん!」

曜「千歌ちゃん!千歌ちゃん!」ダッ

ダッダッダッ
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/17(火) 13:59:15.07 ID:5sszJm+v0

曜「千歌ちゃん!!」バッ

スカッ

曜「……え?」

曜「どうして……」スカッ

曜「なんで触れないの?!」

「……無理だよ」

曜「なんで……すぐ目の前にいるのに・・・・・・!」

千歌「私は……こっちのものじゃないから」

曜「どういうこと?!わかんないよ!!」

果南「曜!千歌!」タッタッ

千歌「鞠莉ちゃん……果南ちゃん……」
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/17(火) 14:00:08.57 ID:5sszJm+v0

果南「私も思い出したよ」

果南「なんで忘れちゃってたんだろ……千歌のことだけぽっかり」

鞠莉「どうして……なんで私は思い出せないの?」

千歌「……それはね」

「わしが説明しよう」

曜「だれ?!」

鞠莉「どこにいるの?」

「わしはまあ……神のようなものじゃ」

果南「ようなものって……」

「細かいことは気にするな」

「それで,この高海千歌に関する記憶や痕跡のみが存在しない理由じゃったな」

曜「あなたがやったの?!どうしてそんなことを……」
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/17(火) 14:00:52.15 ID:5sszJm+v0

千歌「私が頼んだの」

曜「……どういうこと?」

千歌「……曜ちゃん,スクールアイドル生活はどうだった?」

曜「どうって……」

千歌「曜ちゃんがスクールアイドルを初めて,梨子ちゃんを勧誘して」

千歌「ルビィちゃんと花丸ちゃん,善子ちゃんも加わって」

千歌「3年生も加わって,Aqoursは8人になった」

千歌「みんなの力で統廃合を阻止して,ラブライブにも優勝した」

千歌「……楽しかった?」

曜「楽しかったよ!本当に楽しかった!……でも!」

曜「どうして!千歌ちゃんが近くにいないの?!」
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/17(火) 14:01:47.67 ID:5sszJm+v0

千歌「曜ちゃん果南ちゃん,さっき私のことを思い出したって言ったよね?」

千歌「何を思い出したの?」

曜「それは……」

果南「私と曜と千歌で小さい時から遊んでたこと」

曜「そう!それで中学校までは一緒に居たのに!そこまでは思い出したのに!」

曜「どうして高校からの記憶がないの?!千歌ちゃんがいないことになってるの?!」

千歌「さっき言ったでしょ,私が神様に頼んだの」

曜「どうしてそんなことを……」
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/17(火) 14:02:30.39 ID:5sszJm+v0

千歌「……ほんとはね,Aqoursは9人だったの」

千歌「今の8人に私も入れて,9人でAqoursだった」

曜「……そんな気はしてた」

曜「だって,誰よりも千歌ちゃんがスクールアイドルやりたいって言いそうだもん」

千歌「えへへっバレてたか」

千歌「そう,私が言い出したの」

千歌「私と曜ちゃんからAqoursは始まった」
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/17(火) 14:03:20.78 ID:5sszJm+v0

鞠莉「……そうだったのね」

千歌「基本的にはみんなが知ってる通りだよ?」

千歌「やったライブもイベントも全部同じ」

千歌「でもね,1つだけ違うの……私がいたAqoursはね?」




千歌「統廃合を阻止できなかった」


果南「えっ……」

鞠莉「そんな……」
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/17(火) 14:04:21.56 ID:5sszJm+v0

千歌「私ね?すっごく悔しくて,自分の無力さが憎くて……」

千歌「どうしても諦められなかったの,浦の星が大好きだったから」

千歌「だからね?神様に願ったの」

千歌「統廃合を無くしてください.そのためならなんでもしますって」

「その願いをわしが聞いたのじゃ」

「本当はそんなことできないんじゃが,この者があまりにも真剣だったから見てられなくてな」

「わしは提案した.お前がこの世界に居たという一切の痕跡を消し去ってもいいなら,その願いを叶えようと」
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/17(火) 14:05:12.70 ID:5sszJm+v0

曜「そんな……そんなこと……」

千歌「私は即答した.お願いしますって」

曜「なんで……どうして相談してくれなかったの?!」

曜「そんな大事なこと……」

千歌「ごめんね?でもさ」

千歌「もし相談したら,曜ちゃん絶対止めるでしょ?」

曜「当たり前だよ!!」

千歌「だよね……だから相談できなかった」
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/17(火) 14:06:17.53 ID:5sszJm+v0

千歌「どうしても浦の星を残したかったから」

千歌「みんなには悪いと思ったんだけどね」エヘヘ

「そしてわしは高海千歌の痕跡を消し去り,時を撒き戻したのじゃ」

「スクールアイドルが始まる前までな」

鞠莉「そうか……だから私はチカの記憶が戻らないのね」

鞠莉「この世界はスクールアイドルが始まる前で分岐した世界なのね」

「そういうことじゃ」

「それ以前については痕跡を消しただけだから,何らかのきっかけがあれば記憶は取り戻せる.世界は同じじゃからな」

「だがスクールアイドル開始からは違う」

「そこで世界は分岐した」

「Aqoursは8人となり,統廃合は無くなった」

「そもそも世界が違うのだから,思い出す記憶など存在しないのじゃ」

「なぜか薄っすらと残ってしまった者もおるみたいじゃがの」
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/17(火) 14:07:00.99 ID:5sszJm+v0

曜「そんな……」

千歌「そう,私はこの世界の人間じゃない」

千歌「分岐したといっても元の世界は消去してもらったから,統廃合がある世界も存在しない」

千歌「私の場所はもうないの」

曜「……嫌だ」

千歌「曜ちゃん?」

曜「嫌だ!私はそんなの認めない!」

曜「統廃合なんて知らない!私は……私は……!」

曜「千歌ちゃんより大事なものなんてない!!」

果南「曜……」
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/17(火) 14:07:46.80 ID:5sszJm+v0

曜「神様!お願いします!千歌ちゃんを生き返らせてください!」

曜「私にできることならなんでもします!お願いします!お願いします!」

千歌「無理だよ……そんなことできるわけ……」

「可能じゃよ?」

千歌「えっ?」

曜「本当ですか?!」

「ああ.だが,お前にできることはないがな」

曜「そんな!じゃあどうすれば……」
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/17(火) 14:08:35.01 ID:5sszJm+v0

「簡単なことじゃ.全てを元に戻せばよい」

「いわゆる等価交換じゃからの.高海千歌の一切と引き換えに統廃合の無い世界を作ったのじゃ」

「ならば,この世界と引き換えに元の世界に戻すことはできる」

千歌「そんな!それじゃあ!」

「もちろん統廃合は無くならんの」

千歌「それはダメ!それじゃあ私がやった意味が……」

曜「それでお願いします!元の世界に戻してください!」

千歌「曜ちゃん!ダメだよ!」

曜「お願い千歌ちゃん……他に何もいらないから……」

曜「私の……私のそばに居てよ……」ポロポロ

千歌「曜ちゃん……」
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/17(火) 14:09:15.96 ID:5sszJm+v0

果南「……今回は曜に賛成かな」

千歌「果南ちゃんまで……」

果南「私も千歌に居なくなって欲しくない」

果南「確かに学校がなくなるのは悲しいけど,千歌の方が大切だよ」

鞠莉「……私には記憶がほとんどないのだけど」

鞠莉「それでもわかるわ.あなたが私にとってとても大切な人だったってことが」

鞠莉「きっと他の5人も同じはずよ」

千歌「鞠莉ちゃん……」
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/17(火) 14:10:24.78 ID:5sszJm+v0

「……どうするかの?決めるのはお前じゃ」

千歌「……」

千歌「……私がこんなに想ってもらえてるなんて思わなかった」

千歌「みんなの気持ちを踏みにじるわけにはいかないよね……」

曜「千歌ちゃん……!」

千歌「……本当にいいのかな」

千歌「統廃合を阻止できないんだよ?学校が無くなっちゃうんだよ?」

千歌「私たちの思い出が……無くなっちゃうんだよ?」
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/17(火) 14:11:12.59 ID:5sszJm+v0

曜「無くならないよ」

曜「確かに浦の星で私たちは多くの思い出を作った.あそこがなかったら生れなかったものもたくさんある」

曜「だけど!」

曜「その思い出は私たちの中にずっと残ってる.私たちがいる限り,学校が無くなっても思い出は無くならない」

曜「……千歌ちゃんの中にも思い出は残ってるよ?」

曜「私たちから千歌ちゃんの思い出を奪わないで……」ポロポロ

千歌「……」

千歌「……お願いします」

千歌「元の世界に戻してください」
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/17(火) 14:12:12.57 ID:5sszJm+v0

果南「千歌……!」

千歌「全く,曜ちゃんは私がいないとほんとダメなんだから」

千歌「こんな泣き虫さんを1人にはしておけないよ」

曜「ありがとうっ……!ありがとうっ・・・・・・!」ポロポロ

「本当にいいんじゃな?」

千歌「はい,もう決めました」

千歌「私は統廃合を受け入れ,元の世界に戻ります」

千歌「みんなと一緒に思い出を作り続けます」

「よかろう.この世界と引き換えにおぬしの一切をもとに戻す」

「もちろんこの世界の記憶は無くなるからの」

「ではもう1度スクールアイドル結成前まで時を撒き戻す」

「……強く生きるのじゃぞ――――――


―――――――――
――――――
―――
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/17(火) 14:12:56.39 ID:5sszJm+v0

曜「あと3人!」

ダイヤ「でも,時間はもう……」

千歌「お願い……お願い!」

千歌「98!」

果南「時計は?」

千歌「大丈夫……大丈夫……」

千歌「絶対に届く……大丈夫……」

千歌「届く……届く……届く……」

パッ

千歌「……募集終了」
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/17(火) 14:13:58.60 ID:5sszJm+v0

ダイヤ「時間切れですわ」

千歌「そんな……大丈夫だよ」

千歌「あと1日あれば,ううん半日でいい」

千歌「1時間でもいい!それで……絶対大丈夫って」

ダイヤ「それが約束ですから」

梨子「でもそれだけだったら!」

曜「そうだよ,ずっとじゃなくていいんだよ?」

曜「あと,1日だけ……」

―――――――――
――――――
―――
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/17(火) 14:14:33.71 ID:5sszJm+v0

千歌「私たちの輝きなんてどうでもいい」

千歌「学校を救いたい!」

千歌「みんなと一緒に頑張ってきたここを……」グッ

「じゃあ救ってよ!」

千歌「」ハッ

よしみ「だったら救って!ラブライブに出て」

よいつむ「優勝して!」
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/17(火) 14:15:01.90 ID:5sszJm+v0

曜「みんな……」

千歌「できるならそうしたい!」

千歌「みんなともっともっとあがいて!そして……」

いつき「そして?」

千歌「そして……学校を存続させられたら……」

むつ「それだけが学校を救うってこと?」

むつ「私たちみんなに聞いたよ?」

むつ「千歌たちにどうして欲しいか.どうなったら嬉しいか」

いつき「みんな一緒だった.ラブライブで優勝してほしい!」

いつき「千歌たちのためだけじゃない.私たちのために,学校のために!」

よしみ「この学校の名前を残してきてほしい!」

ダイヤ「学校の……」
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/17(火) 14:15:43.03 ID:5sszJm+v0

むつ「千歌たちしかいないの!千歌たちにしかできないの!」

いつき「浦の星女学院スクールアイドルAqours」

いつき「その名前をラブライブの歴史に,あの舞台に」

いつき「永遠に残してほしい!」

よしみ「Aqoursとともに浦の星女学院の名前を!」

よいつむ「だから……」

生徒たち「輝いて!!」








しいたけ「わん!」


終わり
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/17(火) 14:16:45.63 ID:5sszJm+v0
以上です
読んでくださった方ありがとうございます
もし矛盾とかあったらすみません
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