剣と魔法と運送業

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

487 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:10:27.55 ID:hNFIRtqbO
同僚「おいちょっと耳貸せwww」

修道女「な、何か思い付きましたか!?」ササッ

同僚「はい女ちゃんも集合www」

女「何よ今いいところなのに」ブツブツ

同僚「あのな…www」ゴニョゴニョ

修道女「…そ、それなら何とかなるかもです!」スッ

女「いけそうね…私も手伝うわ!」スッ

パァァァァ…

グワァァァ…

488 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:11:02.64 ID:hNFIRtqbO
同僚「巨石の力をレンタルしーのww」

同僚「ミラクルブースト転移魔法でwww」

女「巨石の間にいる私達を…」ビリビリ

修道女「騎士団の皆さん諸共まとめて転移させます!!」クワッ


パァァァァ…

バシュゥゥ!!!

489 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:15:20.15 ID:hNFIRtqbO
男「(啖呵切ったはいいが…さてどうする…?」チャキッ

カチャ…ポロッ

勇者「ん?なんか落ちたぞ」

魔法石(ナビ)『ホンマや、剣の部品ちゃう?』

男「どれどれ…あ、柄の丸い凹みって穴を塞ぐキャップだったのか」

男「…あ」ピコーン

490 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:16:35.03 ID:hNFIRtqbO
男「親父のくれた剣…キャップを外して出てきた丸い穴」スッ

男「これは多分、こう使うんだ」スポッ

カチャ…

魔法石(ナビ)『あらまぁなんと収まりのえぇ場所』スッポリ

パァァァァ…ブァン!!

オォォォ…

男「ナビと巨石の力を反応させて、強大な魔力を纏う魔法剣…」チャキッ

勇者「な、何だと…!?」

男「勇者さん」

男「これでもう一度勝負だ」チャキッ

491 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:17:16.80 ID:hNFIRtqbO
-王都市街地-


…バシュゥゥ!!!

親父「な!?外に出た…?」ポカーン

先輩「転移魔法で全員外に放り出したのか!」

先輩「助かるぜ!これで思う存分…」チャキッ

騎士団長「っく!…こ、ここは市街地!?王宮から転移してきたのか」

騎士団長「まぁ良い!貴様らを討つ事に変わりはない!!」チャキッ

騎士団長「ゆくぞ!!!」ブゥンッッ

先輩「おらぁぁ!!」ブゥンッッ

ガキィィン!!キィン!キィンキィン!!

492 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:17:49.42 ID:hNFIRtqbO
同僚「かーらーのーwww」スチャッ

親父「ん?まだ何かあんのか?」

同僚「親父さんwこれ持ってって下さいwww」ポイッ パシッ

親父「これは…通信用の魔法石?」

同僚「イッツ☆ショータイムwww」

ピピッ

493 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:18:32.50 ID:hNFIRtqbO
-王宮 国王執務室-


国王「さて、そろそろ頃合いか」

タッタッタッ…バタンッ!

警備兵「陛下!!」

側近「なんだ騒がしい!」

警備兵「報告します!き、巨石の間から…」

警備兵「男を除く全員が消失しました!」

側近「消失?…転移魔法か」ギリッ

国王「何だと!?しかしそんな事が可能なのか?」

側近「恐らく巨石の力を借りた超出力の転移魔法で…」

側近「巨石の間にいた者全員を一気に転移させたものかと…」

494 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:19:02.15 ID:hNFIRtqbO
国王「むぅ…閉鎖された空間で戦う事を避けたか、しかし一体どこへ?」

警備兵「分かりません、しかし…」

警備兵「現在、王都市街地の複数箇所で同時に戦闘が展開されていると報告が!」

国王「な、何だと!?」ダダッ

495 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:19:34.38 ID:hNFIRtqbO
ガララッ!

<キィン…ドカンッ…

国王「おい…これは…」

側近「…むぅ…」

国王「…市民を人質に取ったか…」ゴクリ

側近「あいつら…」ギリリッ

496 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:20:23.42 ID:hNFIRtqbO
-巨石内部-


勇者「そんな…バカな…っく」ボロッ

男「これで分かっただろ、俺はあんたにも負けない力がある」

男「だから…もういいんだよ」

勇者「…っくふふ、ふははは!!」

男「…?」

勇者「あーっははははは!!!!」

勇者「はは…はぁ…うっ…く…」ポロポロ

勇者「あぁ…あぁぁぁ」ポロポロ

男「…。」スッ

ギュッ…

497 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:20:54.51 ID:hNFIRtqbO
男「…勇者様」サスサス

男「長い間、俺達の為に」サスサス

男「…本当にありがとうございました」サスサス ギュッ

勇者「俺は…俺は…!!」ポロポロ

勇者「うぉぉぉぁぁぁぁぁ」ポロポロ

魔法剣(ナビ)『…。』ウルッ

498 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:21:30.41 ID:hNFIRtqbO
勇者「すまなかった、色々と」フカブカー

男「顔を上げて下さい」フルフル

男「あなたは元々、生身の人間ですから」

男「ここから出ようと思えば出られたはずなんです」

勇者「巨石の力に魅了された俺の弱さがそれを許さなかったって事か…」

499 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:24:46.66 ID:hNFIRtqbO
勇者「俺も戦士だ!正々堂々戦って負けたのだから、お前の言葉に従うよ」

男「勇者さん…」

勇者「だが、俺は諦めないぜ!」

勇者「人間として失われた時間は長いが、それでも俺は俺…」

勇者「魔王討伐に向けて!今度は俺自身の力で!」

男「俺にも出来る事があればお手伝いします」

魔法剣(ナビ)『マジか!!』

男「お前も手を貸してくれるか?」

魔法剣(ナビ)『あったりまえやん!なんたってウチら…』

男「最強のコンビだからな」ニコッ

男「ですが、その前に…」

勇者「…だな」ギリッ

500 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:25:24.82 ID:hNFIRtqbO
-王都 市街地-



…ブロロロ…

女「カーゴ…こんな時間に運行なんてあったかしら」

女「っていうかあれ…同僚くんのカーゴ!?」

ブロロロ…キキッ

同僚ナビ『集荷に参りましたわ!』

同僚「よう相棒wwささ乗った乗ったwww」グイグイ

修道女「え?え??」

女「今度は何をしようってのよ?」

バタンッ

同僚「騎士団狩りだよwww」

ブォン!ブロロロ…

501 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:25:55.14 ID:hNFIRtqbO
先輩「ん?無線?同僚か」ピピッ

同僚ナビ『私です!同僚さんは運転中なので私が騎士団の位置と人数をナビゲートします!』

親父「そいつは助かるぜ!なにせこいつら人数が…っとりゃ!」キィン!キィン!

同僚ナビ『王立騎士団は総勢100人の大所帯…ですが』

同僚ナビ『王都の街並みを隅々まで知り尽くした私達ならば』

同僚「どこに隠れてたって逃がさねぇよんwww」

女「更に同僚くんコンビの索敵情報を使って、私と修道女さんの詠唱を組み合わせて…」

修道女「攻撃魔法をピンポイントで転移!」

先輩「よし!これなら行けるぞ!」ブンッッ!

502 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:26:24.22 ID:hNFIRtqbO
同僚ナビ『先輩さん!2ブロック北に3人!』

先輩「了解!」ダダッ

同僚ナビ『剣士様はその先3ブロックに渡って2人ずつ計6人ですわ!』

親父「おうよ!剣士様なんてこっ恥ずかしいぜ!親父で構わねぇよ!」ニカッ

503 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:26:53.13 ID:hNFIRtqbO
同僚ナビ『女さん!南6ブロック先に8人固まっています!』

女「了解!行くわよ修道女さん!」パァァァァ

修道女「了解です!」パァァァァ

同僚「そして俺は、そこら辺にいる騎士団の連中を追い回して一箇所に追い込む係www」

同僚「たかまるぅwwww」ガチャン

504 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:27:25.38 ID:hNFIRtqbO
先輩「親父さん!」ピピッ

親父「おう!どした!」キィン!キィン!

先輩「この戦いが終わったら俺、親父さんに話が…!」ガキィン!

親父「あー聞こえない聞こえない!妙なフラグ立てんじゃねぇよバカ!!」

女「こっちには聞こえてるわよ…ホントにもう」クスッ

ブォン!ブロロロ…

505 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:28:03.76 ID:hNFIRtqbO
-王宮 国王執務室-



勇者「お久しぶりです、陛下」ペコッ

男「…。」ペコッ

国王「勇者!?本当に勇者なのか!??」ガタッ

側近「…。」ギリッ

勇者「賢者も久しぶりだな、今は側近か」

勇者「何とか言ったらどうだ」

側近「…。」フンッ

506 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:28:45.20 ID:hNFIRtqbO
男「陛下。20年前の勇者の落涙での一件」

男「そして、今回の俺とナビに降り掛かった出来事…」

男「全て公表して下さい」

男「勇者の命を犠牲にして、神の雷を作り出した事」

男「そしてその力を保つ為に、今度は俺とナビを…」

男「これは人の道に外れる行為です」

507 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:29:37.12 ID:hNFIRtqbO
勇者「俺が巨石の力に魅力されてしまったのは俺の不徳の致すところだ」

勇者「だが賢者、お前はそれを好機と捉え」

勇者「俺を一人の人間ではなく、兵器として利用してきた」

勇者「…俺はまだいい」

勇者「巨石の中とは言え、魔王を討つという使命の為にやってきた事は同じだからな」

勇者「だが、彼らにしようとした事は違う」

側近「…。」

508 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:30:13.58 ID:hNFIRtqbO
国王「勇者よ、そして男よ」スクッ

国王「そなた達は大義を前に小さき者を蔑ろにするな、と言うが」

国王「それは理想論だ…詭弁とも言える」

国王「誰一人傷付ける事無く、全てを守り抜く…」

国王「それが出来るならば私だってそうしたい」

国王「しかし現実を見よ」

国王「魔王を前に、我々人間の力はあまりにも無力だ」

国王「民を、世界を守る為」

国王「側近…賢者の考えは次善の策であると考え、私は支持したのだ」

509 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:30:41.98 ID:hNFIRtqbO
男「陛下!それは違います!」

国王「違わんな。私は王国の為、世界の為」

国王「私は悪にでもなろうと覚悟を決めたのだ」

国王「そなたにその覚悟はあるか?」ギロリッ

510 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:31:25.60 ID:hNFIRtqbO
ピピッ ピピッ

側近「こんな時に何だ!?」ガチャ

騎士団長『わ、私です…』

側近「おぉ騎士団長!城下の争いはどうなった?奴らを仕留めたのだろうな!??」

騎士団長『そ、それが…あっ』

親父『おいーっす』

側近「なっ!剣士か!」

親父『騎士団だっけか?コイツら全員制圧したぜ』

側近「何だと!??」

国王「か、代われ!」バッ

511 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:31:52.97 ID:hNFIRtqbO
国王「私だ!おぬしら、まさか騎士団を全員…」ワナワナ

親父『国王陛下か!安心しろよ、全員生け捕りだ』

国王「い、生け捕り…」

親父『まさか市街地で人斬りをするわけにゃいかねぇだろ』

親父『それにな、アンタ達と同じ土俵に立つつもりはねぇんだ』

国王「…どういう意味だ」ギリッ

512 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:32:26.80 ID:hNFIRtqbO
親父『っつーわけで、あとは俺の息子に委ねるとするか!』

親父『おい男!こんだけ騒がしきゃーさすがに目ぇ覚めたろ!!』

親父『そいつらにガツンと言ってやんな!!』ガチャ

国王「っく…」イテテ

男「親父ホントに声がデカいな…丸聞こえだぞ」クスッ

勇者「剣士…全然変わらないなあいつは!」ケラケラ

513 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:32:54.89 ID:hNFIRtqbO
男「…外の騒ぎで、王都の人々も目を覚ましたことでしょう」

男「どちらにしろ早晩、みんなに説明しなきゃいけなくなるはずです」

勇者「陛下、俺はこいつらに教えられました」

勇者「力の使い方次第では、誰かを守りながら戦う事も出来ると…」

国王「…むぅ」

514 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:33:21.84 ID:hNFIRtqbO
勇者「陛下!俺にもう一度チャンスを下さい!!」バッ

勇者「今度はこの手で!俺自身の力で!!」

勇者「魔王を討ち、平和を勝ち取ってみせます!!」

勇者「お願いします!!」フカブカー

男「俺からもお願いします!!」

515 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:34:27.88 ID:hNFIRtqbO
-王宮 国王執務室-



国王「…分かった」

側近「へ、陛下!!」

国王「…おぬしらの言うことは所詮理想論」

国王「だが、国を統べるものとして」

国王「初めから完全無欠の答えを諦め、次善の策に甘んじた私は間違っていたようだ」

側近「陛下!それは違います!!」

側近「王国の…世界の将来を憂い、陛下は自ら道を踏み外してでも民を守ろうとした!!」

側近「そんな陛下を誰が非難できるでしょう!??」


516 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:34:55.25 ID:hNFIRtqbO
国王「…側近よ、ありがとう」

国王「だが私は悟ってしまった」

国王「目的の為、自ら悪の道を歩まんとするような考え方は」

国王「魔王と何が違う?」

側近「そ、それは…」

517 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:35:23.28 ID:hNFIRtqbO
勇者「答えが出たようですね」

国王「あぁ…勇者よ」

勇者「はっ!」

国王「私の最後の頼みだ」

国王「魔王を討て」

国王「平和を勝ち取ってくれ」

勇者「承知致しました!!」ビシィッ

国王「男くん、そして魔法石に宿りし心よ」

男「はい!」

魔法剣(ナビ)『はぃな!』

国王「勇者の力になってやってくれ」

男「分かりました!」

魔法剣(ナビ)『やったんで!』

側近「…くっ」ギリギリッ

518 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:35:57.68 ID:hNFIRtqbO
-数日後 王都酒場街-


ワイワイ…ガヤガヤ…


<乾杯!!!カチンッ


同僚「ぷはーうめーwwwww」グビ

修道女「今回はまた大騒ぎでしたねー」ゴクッ

女「この一件で王立騎士団は解体…騎士団長は修行の旅に出るそうよ」

先輩「いい心がけだな、女性に手を上げるなんざ、紳士の風上にもだ」

先輩「あ、ラス1もーらい」パク

女「あ!私狙ってたのに!紳士の風上にも置けないわね!」

先輩「旨いもんは別だ」ニカッ

修道女「それは同感です」ケラケラ

519 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:36:24.89 ID:hNFIRtqbO
親父「勇者!お前全然変わらないなー!!」バシバシ

勇者「剣士もな!見た目は老けたが中身は全然だ!!」バシバシ

親父「それ褒めてねぇだろー!」ワハハ

520 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:37:29.78 ID:hNFIRtqbO
男「昨日、陛下から将来的な王制廃止の通達が出たな」グビ

同僚「陛下の気持ちも分からんではないが…やり方がマズかったな」

男「この国はこれからどうなるんだろうなー」

先輩「議会が中心になって、民主主義の国を作っていくそうだ」

修道女「色んなものが変わっていくんですねぇ…」

同僚「シリアスな顔しちゃってwwどうせ1時間もしたらとっ散らかっちゃうんだろwww」ケラケラ

修道女「また馬鹿にしてー!!」ムキー

521 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:38:24.79 ID:hNFIRtqbO
-王都 酒場街-

ワイワイ…ガヤガヤ…



親父「エールおかわりお待ち!」ドンッ

勇者「お!サンキュー!」

勇者「それじゃ、かつての同士との…」

親父「再会を祝して…」


<乾杯!カチンッ

522 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:38:56.53 ID:hNFIRtqbO
勇者「…しかし剣士が父親とはな!」グビグビ

親父「自分でも不思議だよ」フフッ

勇者「でも、さすが剣士の息子だな!巨石の中で剣を交えたが、強かったぞ!」

勇者「剣の腕はお前と並び立つんじゃないか?」

親父「だろー??ガキの頃から鍛えてっからよ!」ワハハ

親父「血は繋がっていないが、女共々自慢の子供さ」ニコッ

勇者「…すっかり父親の顔だな」フフッ

523 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:39:26.05 ID:hNFIRtqbO
親父「お前、これからどうすんだ?」グイッ

勇者「陛下と約束したんだ、一から修行し直して」

勇者「今度こそ、魔王を討つ!」グッ

勇者「剣士はどうする?一緒に来るか?」

親父「俺は歳食っちまったからな…身体がもたんだろうよ」

親父「鍛治の仕事もあるしな、だからすまん」

524 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:39:55.01 ID:hNFIRtqbO
勇者「いいんだよ、こうしてまた剣士に会えただけでも嬉しいんだ!!」

親父「あの頃は魔王討伐に必死で、酒なんか飲んでる余裕なかったしな」ニカッ

勇者「まったくだ」ケラケラ

親父「あ、だったら代わりにあいつ連れてけよ!」

勇者「男くんか…確かに一緒に来てくれたら心強いな!」

勇者「今は物流協会だっけ?陸軍を再編成して出来たんだよな」

勇者「来てくれないかなー」ギシッ

525 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:40:25.99 ID:hNFIRtqbO
親父「まぁ本人の気持ちもあるだろうしよ、直接聞いてみろや」

勇者「そうするよ!いやぁ…しかし」シミジミ

親父「何だよ」

勇者「普通って、いいもんだな」ジワッ

親父「…勇者、おかえり」ポンポン

勇者「ははっ…ただいま」ニカッ

<おーし今日は飲むぞー!!

<店中の酒樽を空にする!!

ワイワイ…ガヤガヤ…

526 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:41:43.99 ID:hNFIRtqbO
[BAR REQUIEM]


先輩「アードベッグを」

女「マルガリータを」


<お待たせしました

<乾杯…カチンッ


女「…あの時はビックリしたわ」フゥ

先輩「どうしても許せなくてな。君を傷付けようとしたあいつらが」

女「それにしたって…何もおじ様の前で啖呵切らなくても」クスッ

先輩「あれは勇み足だったか…」ハァ

先輩「だが、言った言葉に嘘はない」

先輩「俺は君の事、そういう風に思ってるんだ」グイッ

先輩「…君はどうなんだ?」

女「…。」カラカラッ

527 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:42:14.35 ID:hNFIRtqbO
女「あなたの気持ちは嬉しいし、私の心も同じ方を向いてると思うわ」

女「でもね…自信がないの」ハァ

女「私に人を愛する…愛される資格なんてあるのか、って」

先輩「愛の資格か…」

先輩「そんなモン必要ない!と言っちまう事も出来るが…」

先輩「強いて言うなら、とっくに持ってるんじゃないのか?」

女「私がその資格を?」

528 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:42:50.63 ID:hNFIRtqbO
先輩「君は親父さんの娘として生きてる、男の姉としても」

先輩「生きてるって事は、それ自体誰かに愛されてる証なんだ」

先輩「だから君も誰かを愛する事が出来る、愛される事を知っているからだ」

女「私が…」

先輩「今すぐじゃなくてもいい」

先輩「俺との事、少し考えてみてくれ」

女「…優しいのね」

先輩「強引になれないだけさ」グイッ

先輩「…戦闘みたいにはいかん」クスッ


529 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:45:11.92 ID:hNFIRtqbO
同僚「修道院特製エールでww」

修道女「私も同じので!」


<お待たせしました

<乾杯!カチンッ


同僚「今回も大活躍だったなwww」

修道女「最後まんまと利用されましたけどね…側近様め」グヌヌ

同僚「そういや側近…賢者ってどこ行ったんだww?」グビ

修道女「姿を消したそうですね」

同僚「陛下はともかくあの野郎wwやりたいだけやってトンズラかよwww」

530 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:45:49.26 ID:hNFIRtqbO
修道女「それと、王都襲撃の真相も結局分からずじまいですよね?」

同僚「先輩は女ちゃんを疑ってたみたいだけどなww」

修道女「まぁ勇者様と巨石の力が暴発したという事なんでしょうけど…」ウーム

同僚「あれだろ?ナビちゃん達が聞いたっつー呻き声www」

修道女「はい…一体何だったんでしょうねー」グビ

同僚「勇者にやられた魔族の亡霊とかだったりしてなwww」ケラケラ

531 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:46:31.09 ID:hNFIRtqbO
同僚「しかし、ホント飲んでも散らからなくなったよなwww」

修道女「うぅ…こうして一生いじられるのね…」シクシク

同僚「だって初登場時の衝撃が強過ぎてwwww」ケラケラ

修道女「むぅ…でも散らからなくなったのは同僚さんのお陰でもあるんですよ?」

同僚「だろーwwもっと褒め称えてくれて構わんwww」

修道女「またすぐ茶化すんだから…」クスッ

同僚「シリアスなの苦手なんだもんwww」

532 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:47:22.39 ID:hNFIRtqbO
修道女「いつも…ありがとうです」ニコッ

同僚「なんだよ急にww」

修道女「何でもないでーす」プイッ

同僚「…こちらこそ、だ」グビ

修道女「え?」

同僚「だから!…いつも助けてくれてありがとな」

修道女「…。」ポスッ

同僚「な、なんだよ急にもたれ掛かってきて…眠いのか?」

修道女「そうでーす。眠くて…もう死んでもいい位」フフッ

同僚「わけ分からん…」

533 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:48:43.03 ID:hNFIRtqbO
同僚「なぁ、今度の休み空いてるか?」

修道女「(あ、また草生えてない)」

修道女「空いてますけど、どうしたんですかー?」

同僚「ちょっと行きたい所あるんだわ」

同僚「付き合ってくれや」

修道女「そ、そそそれって!でででデート的な!??」ガバッ

同僚「そういうんじゃねーよバーカww」クスッ

修道女「な、なんだ…」シュン

修道女「じゃあどこへ行くんですか?」

同僚「…ちょっとな」グビ


534 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:49:29.57 ID:hNFIRtqbO
[BAR REQUIEM]



カランッ

男「ブルームーンで」

ナビ『あら珍しいやん』


<お待たせしました

<乾杯!

535 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:50:02.15 ID:hNFIRtqbO
ナビ『男ちゃん具合は平気?』

男「全然平気だよ。っていうか今になってみれば…」

男「意識を失ったのだって騎士団が何かしたんじゃないかっ?て気もするけど」クイッ

ナビ『そこは何とも言われへんけどな、でも…』

男「でも?」

ナビ『さすがに物忘れを無理矢理させるってのは出来ひんちゃう?』

男「そうだよな…やっぱり疲れてたのかなー」

536 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:50:35.62 ID:hNFIRtqbO
ナビ『あ、そういえば男ちゃん』

男「ん?」ゴクッ

ナビ『国王はんの前で啖呵きってもうたけど、ホンマに魔王を倒しに行くん?』

男「そーれーなーーー」ギシッ

ナビ『…悩んでんねや』チョコン

男「あぁ…いくら親父に鍛えられたとは言え、俺はただの一般市民だからな」

ナビ『せやんなー。怖いよな』プラプラ

男「魔界…魔王…」

男「勇者さん達以外、誰も見た事のない世界…」ギシッ

男「…そこへ行って自分が剣を振るうってのが、想像もつかないんだ」

537 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:51:05.03 ID:hNFIRtqbO
ナビ『…ウチは男ちゃんについてくで』

ナビ『今まで通り、一緒にカーゴ乗るんでもえぇ』

ナビ『戦うって言うなら一緒に行く』

ナビ『おとさんのお陰で、魔法剣として一緒に戦う事も出来るようになったしな』ニカッ

男「…それは、相棒としてか?」

ナビ『それもあるけど、ウチは男ちゃんの事好きやから。』

男「…うん」

538 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:51:54.96 ID:hNFIRtqbO
ナビ『…っ。もー煮えきらんなぁ』ムッ

ナビ『何?ほんなら修道女さんみたいに啖呵きったろか??』

ナビ『ウチは!男ちゃんの事が!!』ババーン

男「いいよいいよ!照れ臭い」アセッ

ナビ『なんやつまらんなー』ケラケラ

男「…。」

ナビ『…。』

539 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:52:39.28 ID:hNFIRtqbO
ナビ『男ちゃんは人を赦せる人や。』

男「赦す…?」

ナビ『せやでー。今回も勇者はんの抱えとぉ苦しみとか悲しみとか…』

ナビ『ぜーんぶ受け止めたって、最後は巨石から引っ張り出したワケやん』

ナビ『誰にでも出来る事ちゃうで』ウンウン

男「そうかな?」

ナビ『そーなの!』

540 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:53:19.44 ID:hNFIRtqbO
ナビ『それはね、慈しみやと思うの』

男「慈しみ…」

ナビ『同僚ちゃんとも、他の誰とも違う…』

ナビ『男ちゃんのそういう所が、ウチは大好きなんよ。』ニコッ

男「ナビ…」スッ

ナビ『…だーっ!ちょ!タイム!』ヒラリ

男「あ、避けられた」

541 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:53:52.85 ID:hNFIRtqbO
ナビ『男ちゃんそういうトコあるよな?巨石ん中でもせやったけど!』プンスカ

ナビ『大事な事ちゃんと言わんと、勢いでその、そ、そういう事を…』カァッ

男「あ、あれやっぱりお前だったんだな?」

ナビ『へ?』

542 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:54:22.60 ID:hNFIRtqbO
男「ほら途中からお前の姿に化けた勇者さんが出てきたからさ」

男「俺まさか男同士で…!?って心配してたんだよー!」ハハッ

男「やっぱりお前だったんだな、いやー良かった!安心したよ」ホッ

ナビ『ホッ…ちゃうわぼけ!』シャー

543 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:55:09.21 ID:hNFIRtqbO
ナビ『そうやって大事な言葉をはぐらかすんはズルいよ!』

ナビ『女の子はな!?分かってても言葉で言って欲しいねん!!』プンスカ

男「すまん、じゃあちゃんと言うよ」スチャ

ナビ『…ぁ、眼鏡』ドキッ

男「ナビ…俺はお前の事がsナビ『あーっ!た、タイムタイム!!!』アセッ

男「…今度は何だ?」ハァ

ナビ『やっぱ今日はダメ!男ちゃんお酒入っとぉもん!!』

男「こんなんで酔っ払わないぞ?」カタムケ

ナビ『いーやアカン!酔っ払っとぉ人はみんなそう言うねん!!』

男「それはまぁ確かにありがちだ」スチャ

ナビ『よし眼鏡かけたな!?もう一生かけとけ!!』

男「なんだそりゃ」ケラケラ

ナビ『全く…せやから今度シラフん時にちゃんと言うて??』

ナビ『な?な??』ジーッ

男「…その視線こそズルいよ」ハァ

544 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:55:50.21 ID:hNFIRtqbO
男「分かった。勝負は次回に持ち越しだ」

ナビ『何の勝負やねん…まぁほなそういう事で!』ニシシッ

ナビ『(何でそこで眼鏡取るねん!あの眼はエロい!直視でけへん!)』カァッ

ナビ『(あーモヤモヤするぅ…男ちゃんのあほ!エロメガネ!)』ドキドキ

545 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/01(火) 19:57:34.92 ID:hNFIRtqbO
第二部完となります
ありがとうございました
546 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/02(水) 02:07:12.07 ID:aUzFGSNLO
547 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/02(水) 13:52:50.88 ID:JpYJvHyNO
個別にレス返せてなくて申し訳ないです
色んな言葉を掛けてもらえて嬉しいです
ありがとうございます
書き溜め分終わってしまったので次の投下未定なんですが、連休中に少しずつ形にしたいと思っています
見かけた際にはよろしくお願いします
548 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/03(木) 15:27:37.01 ID:NMv1j7Ouo

3部待ってんで
549 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/03(木) 16:41:19.19 ID:J1Sn5C6+O
一週間かけて全部読んだ。
面白いから三部期待する!同僚いいキャラだな
550 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/03(木) 16:50:13.93 ID:42ylKoI70
551 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/05(土) 20:39:05.95 ID:cA8E9uQa0
第三部始めます
今日は少しだけですが、投下します
552 : ◆DTukN/b1n. [saga]:2018/05/05(土) 20:40:07.05 ID:cA8E9uQa0
-1週間後 水の街 墓地の島-


サァァァァァ…


同僚「…。」

修道女「…。」

553 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/05(土) 20:40:56.49 ID:cA8E9uQa0
同僚「悪いな、辛気臭い用事に付き合わせちまって」テクテク

修道女「辛気臭くなんてないです。死者に祈りを捧げるのも私の大事な務めですから」ニコッ

同僚「しかし、墓地っていうからもっと荒涼とした場所を想像してたけどww」

修道女「あーTV版エヴ◯ンゲ◯オンに出てくるみたいな奴ですか?」

同僚「例えが古いwwまぁそういう事だけどwww」

554 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/05(土) 20:41:27.82 ID:cA8E9uQa0
修道女「ここはお花でいっぱいですねー!死者を想う気持ちが伝わってきます」

同僚「…こうして埋葬してやれただけ、違うだろうな」

修道女「お墓参りが出来るって大切な事です。気持ちに区切りをつける事ができますから」

同僚「前を向いて生きていく為にな」

修道女「そうです。だからこそ、勇者の落涙…そこに居合わせた人達は…」

同僚「…。」ギリッ

555 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/05(土) 20:42:06.63 ID:cA8E9uQa0
-物流協会事務局 局長室-


女「陸軍との合同任務ですか?」

事務局長「そうだ。巨石による防御機構が作動しない今、新たな守りを固める事は急務だ」

事務局高官「というか実は、前々からこういった案は出ていたんだよ」

先輩「あぁ、噂で聞いた事はあるな」

高官「物流協会(うち)の前身だった旧陸軍から組織された騎士団…無くなっちゃいましたけど」

高官「あそこが煩くてねー、"我々を差し置いて云々"って」

女「そうだったんですか…」

高官「ま、正直目の上のタンコブだったってわけ」

先輩「違いないな」クスッ

局長「ごほん!まぁ…否定はしないが」ニヤッ


556 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/05(土) 20:42:38.25 ID:cA8E9uQa0
局長「そういう訳で、陸軍と共同で国内各地、ひいては国外へも派兵を進める」

女「積荷は陸軍、降ろし地は世界各地…」

高官「あ、あと例のマッピングシステムですけど」

高官「あれ、継続案件だからね」ニコッ

女「えっ!アレって神の雷の為だったんじゃ…」

局長「話の出発点はそうなんだろうが、それも使い方次第だ」

局長「今後、いつ巨石の力が使えるようになるとも限らん」

局長「やがて来るその時の為に、備えだけはしておいてくれ」

557 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/05(土) 20:43:14.63 ID:cA8E9uQa0
高官「先輩くんには、物流協会(うち)と陸軍の橋渡し役をお願いしようと思っています」

局長「陸軍出身の君ならまさに適任だ、力を貸してくれ」

先輩「分かりました」

高官「女くんは引き続きマッピングシステムのプロジェクトリーダーと、派兵任務のサポートにもついてもらう」

局長「忙しくなると思うが、よろしく頼むよ」

女「承知しました」

558 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/05(土) 20:44:03.95 ID:cA8E9uQa0
-物流倉庫 事務所-


男「車種上げですか?」

配車係「男さんもだいぶ運転に慣れてきましたからね、ここらで挑戦してみましょう」

魔法石(ナビ)『車種上げって事は、先輩はんの乗っとぉような大型カーゴに乗るって事?』

配車係「そうです。今乗ってる4tカーゴが全長約8.5m…」ペラッ

配車係「大型になると全長約12mになります」

559 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/05(土) 20:45:22.16 ID:cA8E9uQa0
配車係「始めは近場の仕事からお願いしますので、チャレンジしてみてくれますか?」

男「分かりました、やってみます」

魔法石(ナビ)『よぉ言うた!ウチも一緒に頑張るで!』ビシッ

配車係「それじゃ早速練習してみます?ちょうど先輩さんのカーゴが空いてますから」

男「いいですか?じゃ行きます」

魔法石(ナビ)『おらーやったんでー!』オラオラオラ

ガチャ バタン

560 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/05(土) 20:46:16.84 ID:cA8E9uQa0
-西の街 陸軍本部-


大佐「本日付けでこの任務の担当となった、物流協会所属の先輩君だ」

大佐「全員、敬礼!」

ザッ…ビシッ!

先輩「…。」ビシッ

561 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/05(土) 20:46:55.48 ID:cA8E9uQa0
-大佐 執務室-


先輩「お久しぶりです」ビシッ

大佐「おかえり…と言っておこうか」

先輩「…考えないわけではないんですけどね」ハハッ

大佐「君が当時腹に据えかねた陸軍と騎士団の対立…」

大佐「今となっては懐かしい話だな」

先輩「騎士団自体が無くなってしまいましたからね」

大佐「国家…ひいては世界の命運の前に、組織間の諍いなど愚の骨頂だからな」ハハッ

562 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/05(土) 20:49:31.12 ID:cA8E9uQa0
大佐「今回の作戦…基本的には防御を固めることが目的であるが」

大佐「いつまでも防戦一方ではジリ貧だ」

先輩「いずれはこちらから仕掛けるべきだ…という事ですか」

大佐「そうだ。巨石による防御機構が働かなくなった一方、伝説の勇者殿が帰還された」

大佐「これは私の個人的な意見だが…仕掛けるなら今が好機だ」

563 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/05(土) 20:52:15.41 ID:cA8E9uQa0
-物流倉庫 駐車場-


男「近くで見るとやっぱりデカいな」

魔法石(ナビ)『長さもやけど車高も全然ちゃうな』

配車係「とりあえず乗ってみましょうか、僕助手席座るんで」ガチャ バタンッ

キュルキュル…ブォン!

ゴゥンゴゥン…

564 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/05(土) 20:55:46.43 ID:cA8E9uQa0
男「目線の高さが全然違う…」キョロキョロ

ナビ『同僚ちゃんのカーゴを見下ろせるもんな!』

男「でもミラーが湾曲してるから意外と後ろまで見えるもんなんだなー」ノゾキ

配車係「それではちょっとその辺走ってみましょうか」

男「了解です、練習だからマニュアルモードで行きます」ガチャ

ナビ『男ちゃん気ぃつけてな!』

ブォン!ブロロロ…

565 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/05(土) 20:56:48.80 ID:cA8E9uQa0
-王都 街道-


ブロロロ…

男「…。」ドキドキ

ナビ『男ちゃんめっちゃ緊張しとぉな』

配車係「最初はみんなそうですよ」フフッ

男「でも、運転してみると視点が高い分思ってたより快適だ」

配車係「車体が大きくなる分、路面からのショックも分散しますしね」

ナビ『確かに、ジャイロの針があんま振れんなぁ』チラッ

566 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/05(土) 20:57:49.17 ID:cA8E9uQa0
配車係「次の交差点を左折しましょう」

男「了解です」カチッカチッ

配車係「この街道は2車線なので、リアのオーバーハングに注意しつつ…」

ナビ『お、右車線の車途切れたで』

配車係「左後ろの内輪差による巻き込みも気にして下さい」

男「よし…」クルクル

グォォォ…

567 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/05(土) 20:58:28.78 ID:cA8E9uQa0
-物流倉庫 駐車場-


ブロロロ…

男「無事に帰って来れたな」フゥ

配車係「では最後に駐車の練習です」

ナビ『バックモニターおん!』ピッ

ピピーッ ピピーッ

配車係「後輪の通る位置をよく見て感覚を掴んで下さい」

男「了解です…よっ、ほっ」クイッ クイッ

ブロロロ…キキッ

プシューーッ

568 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/05(土) 20:58:56.87 ID:cA8E9uQa0
男「き、緊張した…」グッタリ

ナビ『男ちゃんお疲れさま!』

配車係「問題ないですね」ニコッ

男「ご、合格ですか?」

配車係「はい。今日言った注意点を忘れないようにして下さい」

ナビ『いよっしゃー!男ちゃんやったな!!』ピョンピョンッ

569 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/05(土) 20:59:48.91 ID:cA8E9uQa0
-夜 王都酒場街-


ワイワイ…ガヤガヤ…


<乾杯!カチンッ…


同僚「大型デビューおめっとさんwww」

男「ふふっありがと」ニコッ

同僚「しかしスゲェなwwあんなデカいの運転出来る気がしないwww」グビ

男「乗ってみると意外とって感じだぞ?4tカーゴと車幅は一緒だし」ゴクゴク

同僚「陸軍との共同任務が始まるからな、一回の輸送量を増やしたいんだろうよww」

男「なんだかな…」

570 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/05(土) 21:00:31.28 ID:cA8E9uQa0
同僚「まぁ、分かるよ」

男「こうして一般市民として生きてても、戦争に関わって行かざるを得ないんだな」

同僚「まぁお前の場合は勇者さんと渡り合う剣の腕前だからwww」

同僚「果たして一般市民枠に入れていいものかどうかwww」ケラケラ

男「入れておいてくれよ…渡り合えたのは魔法剣っていう奥の手使ったからだし」ハハッ

同僚「それなwwwご都合主義もいいとこだwww」

571 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/05(土) 21:01:52.18 ID:cA8E9uQa0
同僚「何かさ、こえーよな」

男「あぁ」

同僚「巨石の間での騒動からまだ一週間ちょっとだぞ?」

男「その間で、物流協会(うち)と共同での陸軍派遣が議決されて…」

同僚「王国内じゃもう実際に派兵が始まってるしよ」

男「世の中がどんどん戦争へ向かって行ってるよな」

同僚「どうなっちまうんだろうな」グビ

男「…。」

572 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/05(土) 21:03:29.12 ID:cA8E9uQa0
-鍛治職人の里 広場-


ガヤガヤ…

親父「というわけで勇者だ」

勇者「簡単な紹介だなー!」ワハハ

若者「伝説の勇者に対して何とぞんざいな扱い…さすが親父さん」

親父「まぁ今更説明する必要はないだろう!かつて俺と共に魔王と戦った伝説の漢だ!」

親父「この度20年ぶりに帰還したわけだが、住む所がない!」

親父「とりあえず俺の家で一緒に暮らす事にしたから、みんなよろしくな!」


<よろしくお願いしまーす!

<すげー!本物の勇者様だ!!

573 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/05(土) 21:04:02.29 ID:cA8E9uQa0
-親父の家-


グツグツ…ジュワァァ…

親父「おいそっちの鍋コイツでかき混ぜてくれ」スッ

勇者「おう!」クルクル

勇者「ソテー、そろそろいいか?」

親父「だな、皿出してくれ!戸棚の上から2番目だ」ユサユサ ジュワァァ

勇者「了解!」コトッ

574 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/05(土) 21:04:53.72 ID:cA8E9uQa0
ズラズラッ

勇者「上手いもんだな!野郎の一人暮らしとは思えん!」

親父「今は一人だが子供に食べさせてたんだぞ?栄養バランスとか考えてよー」コトッ

勇者「そうだったな、そりゃ上手になるか!あ、俺注ぐよ」

親父「お、悪ぃな」

トクトク…

575 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/05(土) 21:05:33.78 ID:cA8E9uQa0
勇者「やっぱ白身魚には白ワインだな」

親父「エールでも悪くないが食事と一緒はちと重いよな」

親父「それじゃ引越し祝いっつー事で」スッ

勇者「今日からよろしくな!」スッ


<乾杯!

576 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/05(土) 21:06:55.91 ID:cA8E9uQa0
親父「明日からどうすんだ?」モグモグ

勇者「修行はもちろんだけど、鍛治仕事を手伝わせてもらえたらと思ってる」パクパク

親父「鍛治仕事を?もちろん構わないが、どうしたんだ?」ゴクッ

勇者「男くんに教わったんだ、大義の前で小さきものを蔑ろにしてはいけないって」

勇者「俺が剣を振れるのは、鍛治職人が剣を仕立ててくれてるからだろ?」

勇者「そういう人の仕事をちゃんと知っておきたいんだ!」ニカッ

577 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/05(土) 21:12:10.21 ID:cA8E9uQa0
>>552
酉付け間違えましたが>>1です
578 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/05(土) 21:13:26.31 ID:cA8E9uQa0
短いですが本日ここまでとします
ありがとうございました
579 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/06(日) 05:54:51.09 ID:Dkcu+TPtO
乙!
580 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/06(日) 08:18:16.05 ID:w5fDiYa2O
581 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/06(日) 12:18:02.66 ID:7ExJsgmLO
きてたー乙!
神の雷問題は解決したが賢者の行方に男のモノの度忘れなどまだわかってないこと多いな
582 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/06(日) 19:51:44.32 ID:kK1iURQq0
今日も少しだけですが
投下します
583 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/06(日) 19:52:18.46 ID:kK1iURQq0
-王立図書館 閲覧室-


シィィィン…

修道女「…。」ペラッ

修道女「やはり何処にもありませんね」パタンッ

女「えぇ…」ペラッ

584 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/06(日) 19:53:24.36 ID:kK1iURQq0
-王立図書館 中庭-


女「どれだけ調べても公式な記録には残っていないわね」

女「勇者の落涙も、巨石についても」

修道女「…私ずっと疑問だったんですけど」

女「何かしら?」

修道女「勇者の落涙で消失した空間…まぁ土地ですよね」

修道女「一体どこへ行ったんでしょう?」

585 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/06(日) 19:53:56.54 ID:kK1iURQq0
女「便宜上"消失"という言葉を使っているけれど」

女「実際には物体ってそう簡単に消え失せたりしないの」

女「水は沸騰すると気体になるけれど、消えて無くなったわけじゃないわ」

修道女「なるほどー」

586 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/06(日) 19:54:42.39 ID:kK1iURQq0
-物流協会事務局 女の執務室-


修道女「じゃあ勇者の落涙にあった土地も、何処かへ移動したって事ですか?」

女「私はそう考えているわ」ゴソゴソ

女「これを読んでそう確信したの」スッ

[禁書指定 カバでも出来る位相転移]ドンッ

修道女「こ、これって禁書じゃないですか!」アセッ

女「大昔の魔法文献よ、位相転移魔法で亜空間と行き来をする方法が書かれているの」

修道女「じ、じゃあその位相転移魔法で土地が丸ごと亜空間へ行っちゃったという事ですか??」

女「恐らくね」

472.30 KB Speed:0.3   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 続きを読む
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)