恋と宇宙と運送業

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235 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/08/11(土) 16:36:43.63 ID:UyG8kP8A0
同僚「とは言えw可愛い女の子と楽しげに写ってる写真を見りゃー妬けちまうってのも人情ってもんよwww」ウンウン

男「そう言われてもなぁ」

同僚「助手ちゃんとお前は確かに男女の関係じゃねぇ」

男「勿論だ」コク

同僚「でもそれはお前と助手ちゃんの間の話であって」

同僚「そこんとこ知らない奴が見りゃイチャついてるように見えなくもなかったぞwww」

男「そ、そうなのか!?」



同僚妹「互いを知る為に歩み寄る事は不可欠です」

同僚妹「ですが、いたずらに踏み込んでいけば良いという訳でもありませんわ」

少女「どゆこと?」

同僚妹「誰にでも心の奥に大切にしまっておきたい思い出があるのです」

同僚妹「男さんにとってはそれが助手さん…大切なご家族との思い出なのです」

少女「家族…」

236 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/08/11(土) 16:37:42.27 ID:UyG8kP8A0
同僚「思い出は消えねぇ」

同僚「特にお前の事だ、忘れろって言われたって忘れられやしねぇだろ」

男「あぁ」

同僚「だからこそ、自分の中に大事にしまっておいてもいいんじゃねぇのか?」

同僚「人目に付かない所へさ」

男「それは分かるけど…大体俺と少女は付き合ってるわけでもないんだぞ?」

同僚「それを言うなら付き合ってもいねぇ男女が一つ屋根の下ってどうなのよwww」

同僚「お互い何の気持ちも無かったら絶対続かないと思うぜwww?」

男「うぐっ…そりゃまぁ」



同僚妹「まぁ写真の件に関しては少女さんに同情しますわ」

同僚妹「お互い何の感情もないなら、そもそも共同生活など出来ませんもの」

同僚妹「少女さんの気持ちも慮って頂きたいですわね」

少女「せやねんせやねん!どーちゃん分かっとぉなぁー!!」バシバシ

同僚妹「い、痛いですわ」

237 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/08/11(土) 16:46:55.80 ID:UyG8kP8A0
同僚「まぁー女子の気持ちを100パーセント理解しようなんざ無理な話だwww」

同僚「俺も妹に毎日のように怒られてっからなwww」ワハハ

男「お前の場合は俺でも怒ると思う」

同僚「突然の四面楚歌www」

男「冗談だよ。そういえば俺も助手の奴にしょっちゅう怒られたっけ」

同僚「まー無理やり理解しようとせんでもいいけどw出来る配慮はしてやれってこったwww」

男「そうだな」



同僚妹「しかし男さんも鈍いんですのね、少し意外ですわ」

少女「ホンマやで!あのエロメガネ!」

同僚妹「酷い言われようですわね…ん?」

同僚妹「と言う事は、お二人は既にそういった事を…?」

少女「へ?…いやいやないない!!男ちゃんはそういう人ちゃうから!!」ブンブン

同僚妹「ビックリしましたわ…ここ全年齢板なんですから」

少女「単に見た目の話やで?男ちゃん眼鏡外すと睫毛長くてエロいねん」ムフフ

少女「でなー?あの茶色掛かった深緑色の瞳がまた綺麗でなー♪」ニタニタ

同僚妹「何か始まってしまいましたわ」

238 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/08/11(土) 17:01:20.89 ID:UyG8kP8A0
-深夜 ネオロンドン酒場街-


テクテク

同僚妹「では私はこれで」

少女「どーちゃんありがとぉな!話したらスッキリしたわぁ♪」

同僚妹「何か困ったらいつでも仰って下さいね」

少女「うん!また女子会しよなー!」



男「付き合わせちゃってすまなかったな」

同僚「いやいや俺が拉致ったんだかんねwww?」

男「そうだったな」フフ

同僚「まぁ俺に出来る事なんて話聞く位だからよwwwあとはお前が上手いことやれやwww」

男「ありがとな。今度は巫女さんの話も聞かせてくれ」

同僚「気が向いたらねんwww」

239 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/08/11(土) 17:02:17.25 ID:UyG8kP8A0
少女「どーちゃんと話して心ん中が整理出来た気がするわ」ウンウン

少女「明日の朝一番で男ちゃんにごめんなさいしよ!そーしよ!」

少女「んでもって本腰入れて地球(むこう)でパパとママを探すんや!」フンス

少女「次の地球行きの仕事はいつ回ってくんねやろ?それまでに色々準備しとかなあかんなぁ」



男「配慮か…確かに感じ方は人それぞれだもんな」

男「朝になったら謝らなくちゃな」

男「でも…第一印象で少女の事、助手に似てると思ったけど」

男「知っていくほど全然違う性格なのが分かるなー」

男「どうして似てると思ったんだろう?」

240 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/08/11(土) 17:05:37.39 ID:UyG8kP8A0
ザッ…


男性客「おー!地球のお嬢ちゃんじゃないか!」

少女「あ!この前のおっちゃん!」フリフリ

男性客「その後どうだい?何か手掛かりは見つかったかな?」

少女「なーんもやで」フルフル

少女「でもな?これからは地球に戻って色々調べられそうやねん!」

男性客「地球に?観光船のチケットでも取ったのかい?」

少女「ちょーっちね」フフン

男性客「そうかい」

男性客「まぁそれが何かは良く分からんが…」

男性客「もう必要ないかも知れんぜ?」ニヤッ

241 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/08/11(土) 17:06:54.30 ID:UyG8kP8A0
ザッ…ザザッ…


黒服「…。」

少女「へ?な、何この人達??」キョロキョロ

男性客「手荒な真似はするなと言われてる。言う事に従ってくれりゃあ俺もコイツらも紳士でいられるって訳だ」

少女「おっちゃん…まさか」

男性客「"月をも喰らいて紅く染むる"」

男性客「ダンスタイムはおしまいだぜ?お嬢ちゃん」

少女「紅き月…!!」ゾクッ

男性客「お前さんと一緒にいた坊やには伝えといてやるよ」

男性客「"姫は一足先にご帰還なすった"ってな」

男性客「連れて行け」

黒服「来い」グイッ

少女「うっ…まさか火星まで追ってくるなんて…」

少女「男ちゃん…!」

242 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/08/11(土) 17:07:28.88 ID:UyG8kP8A0
-男の家-


男「あれ、あいつまだ帰ってないのか」ガチャ

男「酒場に繰り出したついでに聞き込みでもしてるのかな」

男「さてシャワーでも浴びるか」テクテク




カタンッ…

243 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/08/11(土) 17:08:09.05 ID:UyG8kP8A0
本日ここまでとします
ありがとうございました
244 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/08/15(水) 11:20:05.96 ID:trdhnT5J0
投下します
245 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/08/15(水) 11:20:41.25 ID:trdhnT5J0
-早朝 物流協会倉庫 事務所-



配車係「少女さんが行方不明?」

男「はい、昨夜出掛けたまま帰って来なくて…」

男「代わりにこんなものが」ペラッ 

配車係「招待状?」

配車係「"ジュリエットは月へ戻った"」

配車係「"貴君を我々の晩餐に招待する"」

配車係「"貴君に剣を取る覚悟があるのならば、だが"」

配車係「…。」

男「…。」

配車係「全体的に何を言ってるのか分かりませんねぇ」

男「俺も最初は悪戯かと思ったんですけど…」クルッ

246 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/08/15(水) 11:21:41.94 ID:trdhnT5J0
配車係「封筒の裏側に刻印…これは!」

男「…。」

配車係「"紅き月"…地球で今急速に勢力を拡大しているマフィアですね」

配車係「ちょうど国連軍からも注意喚起の通達が来ていたのですが…」

配車係「まさかこんな形で実物を目にするとは」

男「やっぱりそうですか」

男「…配車係さん、俺何日か休みを貰いたいんですけど」

配車係「何か良からぬ事を考えてはいませんよね?男さん」ジロ

男「…。」

配車係「マフィアのアジトに一人で突っ込んで行くなんて自殺行為ですよ!?」

配車係「取り敢えず地球(むこう)の当局に連絡をしてですね…えーと紅き月はイタリア南部でしたっけ」ゴソゴソ

男「…!」ダダッ

配車係「あ!ちょっと男さん!」

247 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/08/15(水) 11:23:40.92 ID:trdhnT5J0
-火星上空 男の艇-


ヒュゥゥン…


[SSS機関良好 ジャンプマデ10、9、8…]


男「何ていうタイミングなんだ…」フルフル

男「けど俺にはまだ、お前に言わなきゃいけない事がある」

男「後悔はもう…したくないんだ」


[5、4、3…]


男「マフィアが相手じゃ地元の警察なんか動いちゃくれない…」

男「だったら俺が行くしかないじゃないか!」

男「…今度は俺が助けるからな、少女!」


[SSSジャンプ開始]


ヒュンッ

248 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/08/15(水) 11:25:27.81 ID:trdhnT5J0
-地球 "紅き月"幹部邸宅-


少女「…ん」パチ

少女「こ、ここは!?」キョロキョロ

黒服「目が覚めたか」

少女「ここはどこや!ウチをどうするつもりや!!」

黒服「喚くな。ここは幹部さんの邸宅、その地下室だ」

少女「紅き月の幹部…!?」

黒服「お前の事は丁重に扱うよう言われている。だが無益な押し問答は不粋だからな」

黒服「拘束だけはさせてもらっている、悪く思うなよ」

少女「くっ!手錠が」ジャラッ

ガチャ

幹部「お姫様のお目覚めか」

黒服「…。」ペコッ

少女「あ、アンタが紅き月の…!」ビクッ

幹部「我が家へようこそ」

少女「ウチをどうするつもりや!パパとママを返さんかい!!」ジタバタ

幹部「成る程、やはり姫君は大きな勘違いをしているようだな」スッ

シュボッ…スゥ

少女「か、勘違い?」

幹部「まず最初に、我々はお前に危害を加えるつもりはない」スパ-

幹部「お前が我々の事を嗅ぎ回っていた事など大した問題ではないからな」

少女「それは…」

幹部「象が蚊に刺された位でいちいち目くじらを立てないのと同じ理由だ」

少女「誰が蚊やねん!ウチは人類やで!」プンスカ

幹部「ユーモアの分からん奴だな、まぁいい」

幹部「お前に来てもらったのは別の理由だ」グシグシ

少女「別の理由?」

幹部「招待状を送っておいた。坊やが駆けつけるまではのんびり過ごすといい」

少女「???」

幹部「監視だけは怠るな。何かあればすぐに連絡しろ」クルッ

黒服「はぁっ」


ガチャ バタンッ


少女「一体どういう事やねん…」

249 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/08/15(水) 11:26:17.89 ID:trdhnT5J0
-同刻 同僚の艇-


ヒュゥゥン…

同僚妹「少女さんが!?」

同僚「あぁ。んでもって男の奴が追っかけてったと」ピコピコ

同僚妹「追っかけてって…マフィアの所へ一人で突っ込むつもりなんですの!?」

同僚「だからこうして俺達も行くんじゃねぇか、まぁ」

同僚「実際何が出来るか分からないけどな」フゥ

250 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/08/15(水) 11:27:06.00 ID:trdhnT5J0
-宇宙空間 男の艇-


[SSSジャンプ終了 通常航行速度ヘ移行]

ヒュンッ

男「さて、招待状に書かれた住所は」ペラ

男「こりゃまた風光明媚な場所だな」


[大気圏突入マデ10、9、8…]


男「少女…無事でいてくれ」


[大気圏突入]ピコ-ン


ヒュゥゥン…ボワァッ

251 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/08/15(水) 11:29:01.15 ID:trdhnT5J0
-イタリア南部 "紅き月"幹部邸宅-


ヒュゥゥン…キキッ

男「まさか個人宅に宇宙船の発着デッキがあるとは」

テクテク

男「デカい邸宅だな」キョロキョロ

鉄門「」ドド-ン

男「ここが入り口か、ご立派に警備員までいるのか」

黒服「誰だ?」

男「ご招待どうも」ペラ

黒服「お前か、よし入れ」ポチッ


カチャッ…ゴゴゴ


男「助手…見守っててくれ」


ダダッ

252 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/08/15(水) 11:29:53.79 ID:trdhnT5J0
-同刻 同僚の艇-


ヒュゥゥン…

巫女『少女ちゃん!?今少女ちゃんって言いましたか!??』

同僚妹「あら、お二人って面識ございましたっけ?」

巫女「じ、実は」

同僚「紅き月っつー事はイタリア南部だけど、具体的にどこなんだ?」

同僚妹「レーダーにかけてみましょうか」ピコピコ

[識別番号R-3104 位置情報ヲ確認]ピコ-ン

同僚「どれどれ…アマルフィ?」

巫女『あ、あの!』

同僚妹「どうしました?」

巫女『その男さんという方の艇はアマルフィに停まっているんですか?』

同僚「そうみたいだな、でもこの辺に大型艇を停められる所なんてあんのか?」

同僚妹「そうですわね、カポディキーノ以外近くに空港もありませんし」

巫女『…一箇所心当たりが』

巫女『紅き月の幹部、その邸宅には大型艇が停泊できるデッキがあります』

同僚妹「自宅にデッキですか」

同僚「しかしあのアホ…マジでマフィアの自宅に一人で乗り込んでったのかよ」

253 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/08/15(水) 11:37:23.17 ID:trdhnT5J0
-幹部邸宅 応接室-



黒服「入れ」ガチャ

バタンッ…

男「し、少女!」

少女「男ちゃん!」ジャラッ

幹部「お前が王子様というわけか」

男「少女を返してもらうぞ!」

幹部「そう急くな。お嬢さんにも言ったが、我々は彼女に危害を加えるつもりはない」

男「何だと…?少女、何もされてないか!?」

少女「う、うん今んとこ」

黒服達「…。」

幹部「クライアントからの依頼はお嬢さんの身柄の拘束と」

幹部「小僧。お前の殺害だ」

男「お、俺を!?」

254 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/08/15(水) 11:38:23.54 ID:trdhnT5J0
少女「ますます意味が分からへん…男ちゃんは何も関係あらへんやろ!!」

幹部「依頼の遂行は容易い、が」

幹部「何事にも遊び心というものが必要だ」スッ

男「な!?拳銃…!」

幹部「前時代の遺物に等しいが、リボルバーはやはり美しい」ナデ

幹部「そうは思わんか?」

男「な、何言ってんだ…」

幹部「銃は一丁、弾は一発」ジャラララ…シャコンッ

幹部「この部屋にはお前とお嬢さん、俺と俺の部下が5人」

コトッ

幹部「お前に選択する機会をやろう」

男「選択…?」

幹部「お前がその手で彼女を撃てば、お前をここから無事に帰してやろう」

少女「!!」

男「な…!!」

幹部「銃を取れ。お前の選択を見せろ」

255 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/08/15(水) 11:39:25.97 ID:trdhnT5J0
-同刻 同僚の艇-


ヒュゥゥン…

同僚「シャレになってないぞ」

同僚妹「ですわね、とにかく現地の警察に連絡を」

巫女『警察は…無駄だと思います』

同僚「マフィアってのは官公庁ともズブズブなんだっけか」

巫女『警察や司法とも繋がりがありますから、一個人で相対するなんて無謀という他ありません!』

同僚「打つ手なし、か」

同僚妹「このまま見守るしかないっていうんですの!?」

巫女『…私が行ってみます』

同僚「いやいやいや!今あぶねーって話をしたばかりだろ!」

巫女『先程名前が出た少女ちゃんという方』

巫女『…私の一番古い友人なんです』

同僚妹「どういう事ですの?」

256 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/08/15(水) 11:40:27.92 ID:trdhnT5J0
男「少女を撃つだなんて…そんな事!」

幹部「出来ないか?それなら俺に銃を向けるんだな?」

幹部「お前が俺に向かって引き金を1mmでも動かせば、お前も彼女も蜂の巣だ」

黒服達「…。」スッ チャキッ

少女「お、男ちゃん!!」ビクビク

男「くっ…どうすりゃいい…!?」

幹部「…。」シュボッ! スゥゥ

幹部「さぁどうした?勢い良く乗り込んできた割には情けないじゃないか」スパ-

黒服達「…。」

男「お、俺は…」ブルブル

少女「…撃ってぇな」ボソ

幹部「?」

少女「男ちゃん!ウチを撃ってぇな!!」

男「し、少女!何言ってんだ!!」

少女「男ちゃん…迷惑かけてホンマにごめんな」ウルウル

少女「でもこの話は、そもそもウチとこの人らとの問題や」

少女「男ちゃんにこれ以上迷惑かけられへんよ、だから…」

257 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/08/15(水) 11:41:38.51 ID:trdhnT5J0
男「お前は…お前はいつもそうやって!!」クワッ

少女「男ちゃん…」

男「突然現れたと思えば勝手に俺んちに居着いて!!」

男「散々振り回して心配かけて…最後は殺してくれだと!?自分勝手にも程がある!!」

男「勝手に…俺の心に入って来て…」

男「俺の心の中にはもう、少女の存在がしっかり染み渡ってるんだよ!!」

男「それなのに…今更居なくなるなんて言うなよ!!」

少女「男ちゃ…うぅ」ポロポロ

幹部「美しいじゃないか」

男「(クソっ…考えろ!考えるんだ!!)」

男「(絶対に少女を死なせはしない!二人でここから出るんだ!!)」

男「(…。)」

男「(…そうか)」ハッ


スッ…チャキッ


少女「男ちゃん…?何してん!?」

幹部「…。」

男「これが俺の選択だ」グッ

少女「男ちゃん!!アカン!!」

258 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/08/15(水) 11:43:18.94 ID:trdhnT5J0






ガキンッ






259 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/08/15(水) 11:45:18.99 ID:trdhnT5J0
少女「お、男ちゃ…!!」

男「…。」ガタガタ

幹部「…Bravo!」パチパチパチ

黒服達「…。」パチパチパチ

少女「へ?な、何なん??」

男「は、はは…」ヘナヘナ

幹部「互いを慈しむ心、そして極限状態での冷静な判断」

幹部「楽しいショータイムだったぜ、小僧」ニヤッ

男「…弾なんて最初から入ってなかったのさ」フゥ

少女「な、なんじゃそりゃ!?」

男「この状況で仮に少女を撃った所で、約束が果たされる保証はない」

男「かと言って一発の銃弾でこの人達と戦うなんて不可能だ」

少女「だ、だからって!!自分の頭狙って引き金引くかぁ!?」

男「ここからは推測だけど…いくらマフィアの人達でも、突然素人に弾の入った銃を持たせるだろうか?」

男「俺ならやらない…たとえ一発でも、この距離で撃たれるリスクを考えればな」

幹部「やるじゃないか小僧」

幹部「加えて言うなら、お前が彼女に銃を向けた時点でこのゲームはおしまいだった」

男「んなっ!?」

幹部「小僧、我々が一番大切にしているものは何か分かるか?」

男「大切なもの?」

幹部「カネは確かに大切だ、だがそんなものより」スパ-

幹部「最も大切なのはな、ファミリーだ」

少女「よぉ言うわ!ウチのパパとママどこへやったんや!?」

幹部「…手錠を外してやれ」

黒服「…。」ゴソゴソ カチャリ

少女「お!男ちゃん!!」ダダッ

男「少女!!」ギュッ

幹部「ついて来い」

260 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/08/15(水) 11:46:31.37 ID:trdhnT5J0
-幹部邸宅 地下の小部屋-


少女「パパ!ママ!!」ダダッ

少女父「おぉ…少女!」ヒシッ

少女母「許して…許して頂戴」ギュッ

男「どういう事なんだ…」

幹部「彼等…お嬢さんの養父母を拉致するよう依頼してきたのは教団だ」

男「教団って…まさか!」

幹部「"母なる太陽"さ」

少女「パパ…ママ…良かったぁ」ポロポロ

幹部「教団は規模の拡大に伴い、新たに祈歌の歌い手が必要になった」

幹部「それで一度は手放したお嬢さんに白羽の矢が立ったんだろうよ」

男「どういう事だ?」 

261 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/08/15(水) 11:47:37.48 ID:trdhnT5J0
-同僚の艇-


ヒュゥゥン…

巫女『私と少女ちゃんが育った孤児院…』

巫女『今になって思えば、あそこは祈歌の歌い手を育てる為の施設だったんです』

同僚妹「音楽の養成所みたいな感じですの?」

巫女『選別、と言った方が近いでしょう』

同僚「選別?ルックス審査とかあんのかww?」

同僚妹「…それは遠回しに巫女さんが可愛いと仰りたいのですか?」

同僚「そういう意図はないwwwいや可愛いけどもwww」

巫女『えへへ…照れますよぉ』

同僚妹「おほん!」

巫女『は、話を戻します』

巫女『祈歌は歌唱技術というより、声質が非常に重要なんです』

同僚妹「声質は先天的なものですものね」

巫女『ある特定の周波数帯を発声出来る人が、歌い手として選ばれるんです』

同僚「それが巫女ちゃんの祈歌には有るって事かー、身体に響くあの感じね」

巫女『恐らく少女ちゃんもその資質を備えていたんです、或いは私以上の資質を』

262 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/08/15(水) 11:48:08.96 ID:trdhnT5J0
同僚妹「しかし彼女は養父母に引き取られた…」

巫女『少女ちゃんの養父母は地元の資産家でしたから』

巫女『孤児院の建前上、養子縁組の依頼を断る事が出来なかったんでしょう』

同僚「んーでも何で今更その養父母さん達が狙われるわけ?しかもマフィアに」

巫女『分かりません…金銭を狙ったのか、あるいは』

同僚妹「…日照権ですか」

巫女『可能性はあります』

263 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/08/15(水) 11:51:01.13 ID:trdhnT5J0
-幹部邸宅 応接室-



幹部「失意と絶望だ」

男「失意と絶望?」

幹部「教団は我々に養父母を拉致させ、その失意と絶望によって彼女の心を挫くのが目的だったのさ」

男「何でそんな事を…」

幹部「折れかかった心は何かに縋りたくなるものだ」

幹部「そこへ追い討ちを掛けるようにお前さんが殺される」

幹部「自分達で失意のどん底に叩き込んでおいて、それに乗じて彼女を教団に取り戻そうと考えたんだろうよ」

幹部「宗教屋の考えそうな事だ」

男「そんな…あいつの心を何だと思ってるんだ!!」

幹部「気に入らないな、実に気に入らない」

男「…?」

幹部「所詮我々は日陰者だ」

幹部「暴力を愛し、血と硝煙の匂いに塗れて踊り続けるのみだ」

幹部「だがそんな我々にも流儀というものがある」

男「流儀…?」

幹部「さっきも言ったろう、我々にとって最も大切なものはファミリーだ」

幹部「自らの手を汚す事なく、家族を想う心に付け入り操ろうとするそのやり方」

幹部「実に醜い」ギリッ

男「…。」

264 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/08/15(水) 11:51:53.86 ID:trdhnT5J0
幹部「教団トップの指導者という男」

幹部「清廉潔白な人物として持ち上げられてやがるが」

幹部「奴は"こっち側"の人間だ、匂いで分かる」

男「指導者…?」

幹部「対して小僧、お前は"そっち側"だ」

幹部「心に任せて突っ走るのはいいが、喧嘩するにも相手を選ぶんだな」

男「…っ!」ビクッ

幹部「とは言えお前の真っ直ぐさは美しい」

幹部「美しいものは尊い、美を尊ぶのは我々の…俺の流儀だ」

男「マフィアの流儀…」

幹部「お前の殺害については保留にしておいてやる、ショータイムのチップとして受け取っておけ」

幹部「さて、俺の気分が良いうちに彼女達を連れて出て行くんだな」

265 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/08/15(水) 11:52:26.72 ID:trdhnT5J0
-同刻 幹部邸宅前-


ササッ コソコソ

巫女「こ、ここが紅き月幹部の邸宅…」

巫女「白亜の豪邸って感じですねー」

同僚『おい巫女ちゃん!危ない真似はするなよ!?』

巫女「分かってます、ただ少しでも中の様子が分かれば…」ノゾキ

黒服「」ビシッ

巫女「入り口に人が立ってます、門番なんでしょうか」

黒服「」チラッ

巫女「あ」

同僚妹『ど、どうしたんですの!?』

黒服「」テクテクテク

巫女「みみみ見つかっちゃいました」アワアワ

同僚『言わんこっちゃない!おい相棒、この艇ミサイルとか積んでなかったっけ!?』

同僚妹『あるわけないでしょ!私達運送屋ですのよ!?』

266 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/08/15(水) 11:53:06.26 ID:trdhnT5J0
黒服「」テクテク ピタッ

巫女「あ、あのその」

黒服「」ジ-ッ

巫女「…。」

黒服「あんた、巫女だな」

巫女「ひ、ひゃい!」

黒服「」スッ ゴソゴソ

巫女「(ふ、懐に手を…まさか撃たれる…!?)」ビクビク

黒服「」スッ

巫女「…へ?紙とペン?」

黒服「空港であんたの歌を聴いた」

黒服「素晴らしいの一言だった」

巫女「そ、それはどうも」

267 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/08/15(水) 11:53:38.59 ID:trdhnT5J0
-上空 同僚の艇-


ヒュゥゥン…

同僚「…。」

同僚妹「…。」

『良ければサインをくれ、友人に自慢したい』

『へ?は、はぁ私で良ければ…』

『ありがとう、また空港で歌う機会はあるのか?』

『そ、そうですね…もし良ければ毎週日曜日に教団で定期公演がありますけど』



同僚「…この状況で布教活動を始めたぞあいつww」

同僚妹「信じられませんわ」

268 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/08/15(水) 11:54:37.86 ID:trdhnT5J0
-幹部邸宅 入り口



カチャ ゴゴゴゴ…

男「…。」

少女「…。」

少女父母「…。」

男「は、はは…」ヘナヘナ

タッタッタッ

同僚「男!無事か!」ダダッ

同僚妹「全く無茶をなさるんですから!」

少女「同僚ちゃん!どーちゃんも!」

男「来てくれたのか…」

巫女「し、少女ちゃん!」ダダッ

少女「あ、この前のおねーさん」

269 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/08/15(水) 11:55:21.16 ID:trdhnT5J0
ギュゥゥ

巫女「良かった…良かったです」ポロポロ

少女「はぇ?お、おねーさん?」

巫女「憶えていませんか?太陽孤児院で一緒だった…」

少女「孤児院で…あーっ!!」

男「彼女が巫女さんか、少女と知り合いだったとは」

同僚「色々あったのよwww」

同僚妹「少女さんのご両親ですわね?お怪我などありませんか?」

少女父「あぁ…私達は大丈夫だ」

少女母「それより…この子の為に皆さん駆け付けて下さったんですか!?」

同僚「少女ちゃんと王子様の為になwww」

巫女「無事で良かった…本当に」ポロポロ

少女「おねーさん…ウチの事憶えててくれたんやな」

巫女「忘れた事などありません、あなたは私の一番古い友人ですから」

少女「えへ…なんやこそばいなぁ」


270 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/08/15(水) 11:57:19.24 ID:trdhnT5J0
-火星 ネオロンドン酒場街-

-BAR REQUIEM-


カランッ


<乾杯!カチンッ

同僚「ったく心配させやがってww」グビ

同僚妹「まぁ何事もなく帰って来てくださって良かったですわ」

男「すまん、少女の事を考えたら居ても立っても居られなくて」

巫女「優しいんですね」

同僚「そうなのよwwアホ程優しいのwww」

男「それ褒めてないだろ」

同僚妹「まぁただのアホよりはマシなのでは?」

同僚「それもしかして俺の事ww?」


271 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/08/15(水) 11:57:54.80 ID:trdhnT5J0
巫女「改めまして、巫女です」ペコッ

男「はじめまして、男です」

巫女「今回の事、少女ちゃんの友人としてお礼を言わせて下さい」

男「いやいやそんな…そういえば少女とは古い仲って事だったけど?」

巫女「私と少女ちゃんは同じ孤児院で育ったんです」

同僚妹「祈歌の歌い手を選抜する為の施設…と仰いましたか」

男「歌か…そういえば」

巫女「?」

男「俺の艇のSSSが動かなくなった時、少女の歌声に反応して再起動したんだ」

同僚「マジかよそれwww」

同僚妹「確かにソニック粒子の振動波形は人の声に似ているといいますが…」

巫女「SSS…ソニック粒子」

同僚「まぁ地球で暮らしてるとあんまりピンと来ないわなww」

巫女「いえ…確かお養父様がそんな話をしていたような」

同僚妹「お養父様?」

巫女「お養父様は"母なる太陽"のトップで、指導者と呼ばれています」

男「…!」

同僚「マジかwwガチガチのお嬢様だったのかよwww」

巫女「お嬢様だなんて」フルフル

同僚妹「そしてまたおセンチな気分に浸ってしまうんですねわかります」

巫女「?」

同僚「うるっせぇなぁwww」

男「…。」

同僚妹「…男さん?」


272 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/08/15(水) 11:59:19.92 ID:trdhnT5J0
-深夜 男の家-


男「あいつがいないと静かだな」

男「…。」

男「さて」ピコンッ

男「"母なる太陽 代表"っと」カタカタ

画面「"…2xxx年、指導者は当団体を設立し、その崇高なる理念の元…"」

画面「"…今やその活動は地球全土は元より、遠く火星の地へも賛同の波は広がりつつあるのです…"」

男「火星(こっち)にも信者がいるのか」カタカタ

画面「"指導者来歴"」

画面「"…国連軍火星部隊を退役後、故郷であるイタリアにて母なる太陽を設立…"」

男「国連軍の火星部隊!?」

画面「"…国連軍時代に培った豊富な知識と経験を元に、全ての生きとし生けるものへ太陽光の恵みを還元する為の活動を…"」

男「親父や兵長さんと同じ部隊だったとは」パタンッ

男「"紅き月"幹部は、少女の拉致を画策したのは教団だと言った」

男「マフィアの言うことを鵜呑みにするのは危険だけど、もし彼の言葉が真実だとしたら」

男「教団の本当の目的が少女だったとしたら」

男「…まだ何も解決してないんじゃないのか?」

273 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/08/15(水) 12:00:26.96 ID:trdhnT5J0
-同刻 ネオロンドン-

-HOTEL NOVEMBER 客室-


巫女「少女ちゃんとご両親、無事で本当に良かったです」

巫女「孤児院にいた頃はまだ幼かったですから、私の事もあんまり憶えてないでしょうけど…」

巫女「まぁでもこれからもう一回仲良くなればいいんですから!」

巫女「また一緒に歌いたいなぁ…」フフッ

巫女「それはそうと、結局紅き月の目的は何だったんでしょう?」

巫女「金銭、日照権…いまいちピンと来ないですねぇ」

274 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/08/15(水) 12:00:59.78 ID:trdhnT5J0
-同刻 同僚の家-


同僚「いやーやっと帰って来たwww」

同僚妹「根っこが生えてしまう前に私はシャワーを浴びてきてしまいますわ」

同僚「そうだなwwあ、たまには一緒に入るかwww?」ワキワキ

同僚妹「小さい頃はそうでしたわね…今そんな事されたら捻り切りますけれど」

同僚「何を!?」

275 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/08/15(水) 12:01:38.69 ID:trdhnT5J0
ガチャ パタンッ


シャワァァ…

同僚妹「…指導者、巫女さんのお養父様」ワシャワシャ

同僚妹「その名前を聞いた時の男さんの表情」

同僚妹「何かご存知なんですのね…或いは紅き月幹部に何かを聞かされたか…っぷ」シャワァァ

同僚妹「少女さんの一件、これで解決と見てよろしいのでしょうか…?」キュッキュ

同僚妹「ん?あーまた枝毛が」

276 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/08/15(水) 12:04:41.86 ID:trdhnT5J0
同僚「はーどっこいしょっとwww」スワリ

同僚「…しかし何だったんだ?工事現場での衝突」

同僚「巫女ちゃんの歌を聴かせる事で信者達が落ち着いたのは分かる」

同僚「でも反対派の住民があんなに簡単に退散するなんて…」

同僚「というかホントに住民かアレ?ほとんどマフィアみたいな見た目だったぞwww?」

同僚「…マフィア?」

277 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/08/15(水) 12:06:33.44 ID:trdhnT5J0
-夜 ベネツィア中心部 少女父母の家-


少女「ナポリから引っ越してたんや!」

少女父「ここは非常用の別邸みたいな場所だ」

少女父「もう紅き月に狙われる心配はないだろうが、念の為しばらくはこっちで暮らそうと思う」

少女母「はいはい、ご飯が出来ましたよ」

少女「はーい!パパ、ご飯やて!」

少女父「あぁ」

278 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/08/15(水) 12:07:39.34 ID:trdhnT5J0
<いただきまーす


少女「んー♪やっぱりママの料理は最高やな!」

少女父「全くだ」モグモグ

少女母「ふふ、沢山食べてね」

少女父「…少女、今回は心配を掛けてすまなかったな」

少女「二人が無事に戻ってきたならモーマンタイやで!」

少女母「邸宅まで助けに来てくれた男の子…きちんとお礼をしなくちゃいけないわねぇ」

少女「男ちゃんって言うんやで!火星で会ぅてんけど」モグモグ

少女父「火星で?」

少女「物流協会の艇乗りで、めっちゃ優しいねんでー♪」

少女父「そうか…それじゃお前も火星に?」

少女「うん!地球(こっち)からじゃ見えへんモンいっぱい見てきてん!」フンス

少女母「知らないうちにそんなに遠くまで…危ない事はしないでね?」

少女「ママは心配性やんなぁー」

少女「でも…実際ハラハラした事もあったけどな?」

少女「それでも男ちゃんと一緒やったらなんとかなるって、今回の事で改めて思ってんかぁ」モグモグ

少女父「…。」

279 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/08/15(水) 12:08:07.15 ID:trdhnT5J0
-深夜 少女父母の寝室-



少女父「少女…変わったな」

少女母「あんなに嬉しそうに誰かの事を語るのは初めてかもしれませんね」

少女父「男の子…か」

少女母「ふふ、あなたにすれば気が気じゃないでしょうね」

少女父「も、もちろん普通の父親として思うところもある!…が」

少女母「えぇ…」

280 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/08/15(水) 12:08:50.30 ID:trdhnT5J0
-少女の寝室-


少女「パパとママが無事でホンマに良かったわぁ」

少女「色々あったけど、これで男ちゃんと一緒に住んどぉ理由もなくなってもた…」

少女「…寂しいなぁ」ズキン

少女「あ、でも巫女のおねーさんにはまた会えるかもな!おんなじイタリアやし」

少女「ウチ孤児院におった頃はめっちゃ小さかったからあんまし覚えてへんけど…」

少女「これから仲良ぉなれたらえぇな♪」

少女「ウチの事ずーっと憶えててくれたなんて…」

少女「なんやあったかぃなぁ」ニコ

281 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/08/15(水) 12:09:48.28 ID:trdhnT5J0
-紅き月幹部邸宅-


幹部「教団から抗議の電話?」

幹部「あぁ分かった、繋げろ」

幹部「俺だ」

『両親を解放したとはどういう事だ!?』

幹部「はて?我々が請け負ったのは彼等の拉致のみのはず」

幹部「その後の処遇については何の依頼も受けていないが?」

『…っく!それで、彼等は何処へ!?』

幹部「部下に見張らせているが、ナポリの自宅には戻っていない」

幹部「資産家だからな、何処かに別邸でも持っているんじゃないのか?」

『…分かった、両親の事はもういい』

『すぐに少女を捜すんだ!』

幹部「お前、何か勘違いしちゃいないか?」

『…何だと?』

幹部「我々は我々の流儀に従って仕事をする。美を尊び、ファミリーを尊ぶ」

幹部「美しくないんだよ、お前のやり方は」

282 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/08/15(水) 12:10:26.57 ID:trdhnT5J0
-同刻 母なる太陽総本部 指導者の私室-


指導者「美だと!?大義の前にそんな事を言ってる場合じゃないんだ!」

『大義ねぇ』クスッ

『その大義とやらの為なら、そこらのチンピラを使って住民感情を捏造する事も厭わない…と?』

指導者「…何の話だ」

『まぁいい。依頼という事なら受けてやらんでもない』

『だが勘違いするな、我々はお前の小間使いではない』

『命令は受けない、あくまでビジネスだ』

『今度ナメた口を叩いてみろ、月より先にお前が紅く染まる事になるぞ』ブチンッ

283 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/08/15(水) 12:10:59.51 ID:trdhnT5J0
指導者「っく…」

指導者「外道め…!」ガチャン

指導者「流儀だ何だと言いながら結局はカネの為に動くんじゃないか!」

指導者「まぁいい、少女の捜索は彼らに任せるとして…」

指導者「我々は我々の目的に向かって進まねばならない」

ガララッ

指導者「人々の為、全ての生きとし生けるものの為」

指導者「必ずや取り戻してみせる…!」

284 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/08/15(水) 12:12:30.08 ID:trdhnT5J0
第二部終了となります
書き溜めたいのでまたしばらく間が開くと思います
見掛けた際には覗いてみて下さい
それではありがとうございました
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