拓海「怒忌怒忌」 奏「素敵なデートの思い出を」 歌鈴「ドラマ仕立てで発表しちゃ」

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1 : ◆Ss6FjUFEz6 [sage]:2018/10/18(木) 01:39:27.72 ID:Szkl57mP0

※若干キャラ崩壊あり

よろしくお願いします。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1539794366
2 : ◆Ss6FjUFEz6 [sage]:2018/10/18(木) 01:41:34.72 ID:Szkl57mP0

歌鈴「か、噛んじゃった」

奏「この番組では346プロダクションのアイドルたちが視聴者からいただいた素敵なデートの思い出を、それぞれ彼女役、彼氏役、審査員役に分かれてお芝居に挑戦するわ」

歌鈴「記念すべき第1回のメンバーはわたし、ど、どうみょ、ぶぅじぇ……また噛んじゃった」

奏「落ち着いて、歌鈴。そんなに緊張しなくていいのよ」

歌鈴「ありがとう、奏ちゃん。頑張ります。わたし、道明寺歌鈴と」

奏「速水奏と」

拓海「……向井拓海でお送りします」

奏「拓海、いつまでブスッとしてるの? ほら、たくみんスマ〜イル」

拓海「やらねえよ!」

奏「あら、残念」

3 : ◆Ss6FjUFEz6 [sage]:2018/10/18(木) 01:42:59.44 ID:Szkl57mP0

歌鈴「拓海ちゃん、頑張りましょう」

拓海「もちろん仕事はきっちりやるけどよ。アタシ、今回の件について全く知らされてねえんだよ ただこのスタジオに行けって言われただけで」

奏「台本読んでないの?」

拓海「アドリブでって」

歌鈴「困りましたね。さすがにアドリブであの内容は難しいと思います」

奏「じゃあ今回拓海は審査員役をお願いね。彼氏彼女役は私と歌鈴でやりましょう」

拓海「悪いな」

歌鈴「こ、今回は初回ということで視聴者からのお便りがありません。ですので事務所のアイドルたちから素敵なデート思い出をいただきました」

奏「他人の恋愛を覗き見するみたいで後ろめたい気持ちになるわ。ドキドキしちゃうわね」

拓海「なんか嫌な予感が……」

4 : ◆Ss6FjUFEz6 [sage]:2018/10/18(木) 01:43:52.59 ID:Szkl57mP0

歌鈴「早速最初のデートの思い出を発表しましょう」

奏「まずはハンカチを用意ね」

歌鈴「わあ、可愛いハンカチ」

奏「フレちゃんに教えてもらった雑貨屋さんで買ったのよ。結構気に入ってるの」

歌鈴「そのお店教えてください」

奏「今度一緒に行きましょう」

歌鈴「うんっ」

奏「じゃあ、ハンカチを広げて……歌鈴、そっちの端を摘んでちょうだい」

歌鈴「こんな感じかな」

奏「放しちゃダメよ。これからこのまま殴り合って、ハンカチを放したほうが負け」

歌鈴「はいっ」

5 : ◆Ss6FjUFEz6 [sage]:2018/10/18(木) 01:46:01.55 ID:Szkl57mP0

拓海「ちょっと待てえぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

奏「どうかしたの拓海? まだ始まってないよ」

拓海「始まってたまるか!おかしいだろうがっ!!デートだろこれ!?」

歌鈴「あ、あ、ああああああああっ! そうだよ奏ちゃん!」

拓海「全く……やる前に気づけよな」

歌鈴「どっちが彼氏彼女役やるか決めてなかった!」

奏「あっ!」

拓海「あっ!じゃねえよ! そこじゃねえよ! そんな些細なことじゃねえよ!」

歌鈴「あっ! 韻を踏んでますねっ! DJヴァイク」

拓海「ちょっと黙ってろYO!」

6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/18(木) 01:47:22.97 ID:Szkl57mP0

奏「このハンカチ気に入ってるんだけど……」

拓海「気に入ってるハンカチを血に染めようとするなよ。というかそこでもねえよ」

歌鈴「あっ! 周囲にガラス片を散らすのを忘れてました」

拓海「危険度が上がったじゃねえか。絶対やるなよ。転んだらマジで大怪我だからな」

奏「これは『ルーザールーズ』という伝統的なデート方法よ」

拓海「『決闘』と書いてデートじゃねえか……キャッキャッウフフな会話からなんでこんな血生臭い流れになるんだよ」

歌鈴「最初なのでまずは拓海さんの食いつきのよさそうなものを思って……」

拓海「アタシに気を遣ってくれたんだ! ありがとうな! でもいらんお世話だぞ」

奏「このデートの思い出はシンデレラネーム、『たくみんとこんなデートがしたいぽよ』さんからいただいたわ」

拓海「明日、里奈と遊びに行く約束してんだけど、どうしよう……」

歌鈴「仕事終わったらハンカチ買いに行きましょう」

奏「お互い求め合うからこそぶつかり合う。ハリネズミのジレンマってやつかしら、フフ」

拓海「それっぽく締めようとするなよ」

7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/18(木) 01:48:08.40 ID:Szkl57mP0

歌鈴「じゃあ、続けていきましょう」

拓海「次はまともなやつ頼むぞ」

奏「定番のお散歩デートね」

拓海「よかったぁ」

歌鈴「では、奏ちゃん。この首輪をつけてください」

奏「ええ、わかったわ」

拓海「ちょっと待てえぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

8 : ◆Ss6FjUFEz6 [sage]:2018/10/18(木) 01:49:23.67 ID:Szkl57mP0

奏「どうかしたの拓海? まだ始まってないよ」

拓海「だから始まってたまるか!おかしいだろうがっ!!デートだろこれ!?」

歌鈴「あ、あ、ああああああああっ! そうだよ奏ちゃん!」

拓海「だからやる前に気づけよ」

歌鈴「ちゃんと役作りしなきゃっ! 犬が人間の言葉を喋るな、であります!」スパァン

奏「きゃん!」

拓海「思いっきり尻を叩くな!可哀想だろうがっ!」

歌鈴「躾は大事でありますよ、拓海」

拓海「……『であります』?」

歌鈴「あっ! 奏ちゃん、下着脱ぐのを忘れているであります。ちゃんと教えた通りやるでありますよ!」スパァン

奏「きゃぅん!くぅ〜ん」

拓海「だから危険度を上げるんじゃねえ!絶対やるなよ!転んだらマジで大事故だからな!」

9 : ◆Ss6FjUFEz6 [sage]:2018/10/18(木) 01:50:21.72 ID:Szkl57mP0

歌鈴「従順な犬になるまでの育成方法が事細かに送られて来ているんだけど……読むでありますか?」

拓海「『監禁』、『調教』、『依存』……目が腐るっ! 読みたくないっ!」

歌鈴「あぁ〜これ『拓海用なので本人には絶対見せないで欲しいであります』って書いてある。わたしったら、またドジを……」

拓海「え」

歌鈴「このデートの思い出はシンデレラネーム、『プライベートワンワン』さんからいただきました」

拓海「来週、亜季の家に呼ばれてるんだけど、どうしよう」

歌鈴「おうちのトイレの場所を覚えましょう」

奏「フフ……。たまに本能に赴くままに、素の自分で相手を求めたいって思うじゃない?」

拓海「理性があるからこそ人間って大事なものを守れるんだなって」

10 : ◆Ss6FjUFEz6 [sage]:2018/10/18(木) 01:51:28.38 ID:Szkl57mP0

歌鈴「では次に行ってみましょう」

拓海「もうお腹いっぱいだよ……」

奏「次は拓海が好きそうなデートよ。バイク関係」

拓海「おおっ! 今度こそは……」

歌鈴「あ、あ、ああああああああっ! 奏ちゃん、小道具忘れてきちゃった!」

奏「もう、仕方ないわね。私が持ってくるわ」

歌鈴「ごめんなさい。お願いします」

奏「手錠の鍵を探して〜♪」

拓海「ちょっと待てえぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

11 : ◆Ss6FjUFEz6 [sage]:2018/10/18(木) 01:52:34.16 ID:Szkl57mP0

奏「どうかしたの拓海? まだ始まってないよ」

拓海「始めなくていい!だいたいわかった」

奏「……はぁ。私のことを、わかったつもりにならないでね」

拓海「わかったのはお前のことじゃなくて、この企画の流れだよ。お前のことは何一つわからねえよ! デートに手錠なんていらないからなっ!」

歌鈴「手錠したままツーリングするってデートですけどダメですか?」

拓海「ダメですぅっ!危険運転罪ですぅっ!」

歌鈴「元暴走族なのに」

拓海「暴走してるのこれ送ってきた奴の頭だからなっ!?」

奏「手錠をつけたまま崖に向かってチキンレースをしたいらしいわよ」

拓海「互いに手錠つけていたらチキンレースにならねえだろ」

奏「死が二人を分かつまでって言うけど、一緒に死んだら死さえも二人を分かつことはできないってことになるのかしら」

12 : ◆Ss6FjUFEz6 [sage]:2018/10/18(木) 01:53:40.72 ID:Szkl57mP0

歌鈴「あ、あ、ああああああああっ! そうだよ奏ちゃん! 二人で崖から飛ぶんですよきっと」

拓海「それ無理心中だろ!?」

奏「明日にならない場所まで行こうよ♪」

拓海「お前の曲の解釈それでいいの!?」

歌鈴「このデートの思い出はシンデレラネーム、『LookinEmotion』さんからいただきました。見せてあげるよってなっちゃったんですね」

拓海「見たくなかった『LockinEmotion』。『R』eason(理性)は何処行った?」

歌鈴「本当のアタシごまかしたくなくて、ハウリング止まらなかったんでしょうね」

拓海「来月、夏樹とツーリング行く約束してるんだけど、どうしよう」

歌鈴「手錠の鍵を探しましょう」

奏「『L』の発音が上手い人はキスも上手いらしいわ」

拓海「マジでどうしよう……」

13 : ◆Ss6FjUFEz6 [sage]:2018/10/18(木) 01:54:24.61 ID:Szkl57mP0

奏「少しはドキドキしてきたかしら?」

拓海「してきた……動悸だわコレ」

歌鈴「拓海ちゃん、お疲れ気味ですね」

拓海「というかこの企画おかしくねえか!? 何でさっきからアタシをピンポイントで狙い撃ちしてんだ!? そもそも『思い出』じゃねえよな。ほぼ『願望』だよな?」

奏「そういえば確かにお芝居ロクにしてないわね」

歌鈴「奏ちゃんのお尻を引っぱたいただけですもんね」

拓海「もう突っ込む気にもならない。 そろそろちゃんと『デートの思い出』を『芝居』で発表しようぜ」

奏「そうね。ちょっとおふざけが過ぎたかもしれないわね」

拓海「ふざけてる自覚はあったのな」

14 : ◆Ss6FjUFEz6 [sage]:2018/10/18(木) 01:55:50.87 ID:Szkl57mP0

歌鈴「ではシンデレラネーム『アンデッドダンスロックをよろしく』さんからいただいた遊園地のお化け屋敷デートをやってみましょう」

奏「私が涼……じゃなくてシンデレラネーム『アンデッドダンスロックをよろしく』さんをやるわね」

歌鈴「じゃあわたしが小梅ちゃんですね」

拓海「彼氏彼女は何処行ったとか突っ込みたいけど、この二人なら大丈夫だろ」

奏「何かしら急に寒気が……」

歌鈴「あ、あのね…これから私が…みんなを不思議な物語に案内する、よ。もしはぐれたら、二度と帰れなくなっちゃうから…」

拓海「!?」

奏「!?」

拓海(おいおい、雰囲気変わりすぎじゃねえか?あれは演技というより……)

奏(小梅ちゃんが『降りて』ない? そういえば歌鈴は巫女さんだったけど……あれ、イタコだっけ?)

15 : ◆Ss6FjUFEz6 [sage]:2018/10/18(木) 01:56:47.16 ID:Szkl57mP0

歌鈴「あ、あの涼さん…ちゃんと、お芝居…しなきゃ、ダメ」

奏「あ、ああそうだったな…台本通りに……」

奏(あれ? こんな話台本にあったかしら?)

歌鈴「あ、あのね…『アンデッドダンスロック』っていう、曲名のことなんだけど……」

奏「ああ、アタシと小梅のデュオ曲らしくていい曲名だよな」

歌鈴「もう一つ…意味が、あるんだ…フフフ。」

奏「もう一つの意味?」

歌鈴「『アンデッドダンス』っていう…儀式が、あるの…知ってる?」

奏「い、いや知らない。何なんだそれ?」

歌鈴「『不死者』って…ゾンビだけじゃなくて、永遠を生きる吸血鬼みたいな怪物のことも指すんだけど、私みたいに…そういう存在に、憧れる人、多いんだ」

奏「……」

16 : ◆Ss6FjUFEz6 [sage]:2018/10/18(木) 01:57:31.99 ID:Szkl57mP0

歌鈴「そ、それでね…そういう存在を召喚する儀式が…『アンデッドダンス』」

奏「へ、へえ……『ダンス』っていうくらいだからみんなで踊るのか?」

歌鈴「踊る…そ、そうだね。みんなで踊るの…理性を捨てて、狂乱の中で…踊り回る」

奏「理性を捨てて?」

歌鈴「うん、召喚の…邪魔になるから」

奏「な、なんか怖いな」

歌鈴「そ、そう怖い…そう思う人、多いから……。だ、だから『ロック』、するの。フフフ」


ピシャーンッ!!
落雷の轟音。
そしてスタジオの証明が一斉に落ちた

17 : ◆Ss6FjUFEz6 [sage]:2018/10/18(木) 01:58:29.79 ID:Szkl57mP0

奏「キャッ!」

拓海「大丈夫だ。すぐに非常用がつく」


拓海の言う通り、非常用の電灯がついたがまだ薄暗い。


歌鈴?「『不死者』に、体温はないんだ。体温は、血の通った…生きている人間の特権だから…だから『不死者』は、温もりが欲しくて、人間に這い寄ってくるの…血を求めて」

奏「な、何を言ってるの歌鈴」

小梅「だからね『ロック』は『R』じゃなくて『L』なのっ! 生贄を閉じ込めるためのっ!」

奏「こ、こ、小梅!? どうして? 歌鈴は!?」

歌鈴「か、きゃ、か、かな…」


首筋から致死量とひと目でわかる血しぶきを上げた歌鈴がヨロヨロと近づいてくる。

18 : ◆Ss6FjUFEz6 [sage]:2018/10/18(木) 01:59:19.61 ID:Szkl57mP0

奏「ひぃっ!」

小梅「奏さんも、仲間に……」

奏「は、離して!離して! 足、何で動かないの!?」

小梅「あの子も、一緒に、いたいって……」

奏「た、拓海! 助けてっ!」

夏樹「読んでも無駄だぜ」

亜季「拓海は自分たちとデート中でありますから」

里奈「ニィィ」


左手を手錠、右手をハンカチ、首をリードでそれぞれ引きずられた血まみれの拓海。


奏「あ、あ、あ、ああ……痛ッ!」


首筋に鋭い痛みが走る。

最後に奏が瞳に映したのは自分の体から吹き出す血しぶきとそれを艶かしく舐める白坂小梅の姿だった―


19 : ◆Ss6FjUFEz6 [sage]:2018/10/18(木) 02:00:02.96 ID:Szkl57mP0

―事務所―


涼「アタシにやるつもりだったドッキリを奏にやったって?」

小梅「や、やりすぎちゃった」

涼「もう三日は経つのに、奏のやつ部屋に篭もりっきりだぞ」

小梅「お、落ち着いたら…もう一度、謝りに行く」

涼「そうしな。アタシも一緒に行くからさ」

小梅「ありがと……」

涼「ところで、どうしてリハーサルなんてやろうと思ったんだ?」

小梅「そ、その、人に…勧められて……」

涼「そいつも悪気はなかったんだろうけどなぁ」

小梅「ほ、ホントにそうかな……」

涼「ん?」

小梅「涼さん、私、やっぱり…一番怖いのは生きている人間、だと思う」

20 : ◆Ss6FjUFEz6 [sage]:2018/10/18(木) 02:01:12.09 ID:Szkl57mP0

―奏の部屋―


奏「文香、ギュッして……」

文香「はい……」

奏「文香、どこにも行かないでね」

文香「大丈夫ですよ、奏さん。私はずっとあなたの傍にいますから……」

文香(私だけがあなたの傍に……)



21 : ◆Ss6FjUFEz6 [sage]:2018/10/18(木) 02:03:08.07 ID:Szkl57mP0
以上です。

ありがとうございました。

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