南光太郎vs仮面ライダークウガ

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109 :1 [saga]:2019/06/17(月) 19:45:31.42 ID:eMFfSVab0


〜PM18:00〜


港での戦闘が終わった頃、この海岸ではRXとダグバの激しい戦いが繰り広げられていた。

だが凄まじいプレッシャーに襲われてRXは迂闊に近づくことすら許されない状況だ。

グロンギたちの頂点に立つダグバは圧倒的な潜在能力を秘めている。

それはかつてRXが戦ったどの敵よりも凌ぐほどだ。

ひょっとしたらあのシャドームーンすら上回る力の持ち主だとRXの直感が告げた。


「ほらほら、もっと僕を楽しませてよ。」


さらに厄介なのは突如発生する謎の発火現象だ。

これも恐らくはダグバの能力の一端。

周囲の物質を操作してプラズマ化させ対象を発火させるパイロキネシス。

単純な火炎攻撃ではないので防ぎようもなくさらにとてつもない高温のため

バイオライダーは勿論のこと、

火力に強いロボライダーでも太刀打ち出来ない不利な戦況が続いていた。
110 :1 [saga]:2019/06/17(月) 19:47:31.63 ID:eMFfSVab0


「キサマ…何が目的だ!」


そんな戦いの最中、RXはダグバに対して何故この島を訪れたのか問い質した。

いくらグロンギの掟に背いたからといって一族の長が

下層の者たちを相手に直々に粛清を行うために遥々こんな島まで訪れるだろうか?

ひょっとしたら何か別の目的があるのではないか。


「そうだね、ちょっとだけ話してあげるよ。昔ここには神さまがいたんだ。」


これはダグバもグロンギの長老たちから聞いた言い伝え。

その昔、神は自分と同じ姿を象った人を創った。神は自分の子である人を愛した。

だが…


「神さまは人が力を持つことを恐れた。何で恐れたのかは知らない。」


「けどそのせいなのかな。僕たち一族は神から嫌われた。」


「この地には僕たちを嫌ったその神さまが眠っているんだって。」


「僕がここに来た理由はその神さまを壊すためだよ。」


「何故だって?僕たちを嫌う神さまなんて必要ないからさ。」


ダグバがこの地を訪れた本当の理由だった。この地に神が眠っている?

そんな話など聞いたことがない。だが嘘とは思えなかった。

しかしこれが本当の話だとすればダグバは神殺しを行うつもりだ。
111 :1 [saga]:2019/06/17(月) 19:48:30.85 ID:eMFfSVab0


「ひとつ聞かせろ。もしも神を殺せたとしてその後はどうするつもりだ。」


「その後?決まっているだろ。リントを殺すのさ。」


「そして僕は究極の闇をもたらす…」


ダグバは笑顔でそう答えた。その答えを聞いてRXは思わずゾッとした。

これで理解した。ダグバには善悪といった感情がない。

目的のために何のためらいもなく遂行しているにしか過ぎない。

そう、人を殺すという悦びを得たいがために…


「そうはさせん!ハァッ!」


こうなれば一気に勝負をつける。

覚悟を決めたRX空高くジャンプしてダグバに攻撃を決めようとした。

だがそんな動きなど最初から見破っていたのか

ダグバは自らの手をかざしてこれまでにない爆炎を放った。


「うわぁぁぁぁぁっ!?」


この海岸一帯にとてつもない勢いで炎が燃え広がった。

そして辺り一帯が大爆発。

いくらRXといえどもこれでは爆死は免れない。ダグバは自らの勝利を確信した瞬間だった。

112 :1 [saga]:2019/06/17(月) 19:49:49.41 ID:eMFfSVab0


「トゥァッ!RXキ――――ック!!」


ダグバの目の前にRXが出現して必殺キックを放った。

突然の出来事にさすがのダグバも防御もままならず攻撃をまともに喰らってしまう。

それにしても先ほどの攻撃をどうやって回避したのか。

実はダグバがパイロキネシスを発動させる瞬間のこと。

RXはバイオライダーに瞬間変身して

身体を液状化させて爆破する寸前にその場から脱出することに成功。

そして隙を突いて攻撃を行えた。


「へぇ、やるねえ。」


RXの必殺キックを受けてダグバは思わず吐血した。

並みの怪人ならこれで致命傷に至るはずだが戦闘狂のダグバにとってこれは愉悦だ。

グロンギの王である自分にこうも傷を負わせた男は初めてだ。

これはクウガと戦うよりも面白くなりそうだと悦に浸っていた。

逆にRXはそんなダグバを不気味に感じた。

まさか渾身の一撃を喰らってビクともしないとは…

両者共に目の前にいる敵は相討ち覚悟で仕掛けなければ決して倒せない敵だと確信した。

これよりさらなる死闘が行われる。そう予感させたが…
113 :1 [saga]:2019/06/17(月) 19:50:40.86 ID:eMFfSVab0


「うわっ!?」


だがそこに奇妙な蒼白い光が現れた。

それは先ほど一条が目撃したあかつき号から発せられた光だ。

その光はRXとダグバの戦いをまるで遮るかのように洞窟の中へと入って行った。


「なんか興ざめしちゃった。もういいや。」


そんな光景を目の当たりにするとダグバは変化を解いて人間態へと戻った。

先ほどみたいな強烈なプレッシャーはもう感じられない。

覇気も消え去りまるで植物のような穏やかだ。

これが先程までグロンギの怪人たちを

殺戮していた男とは思えないほどの変貌ぶりに変身を解いた光太郎は驚きを隠せずにいた。


「クウガもこっちに向かっているようだしあとはキミたちに任せるよ。」


そう言い残すとダグバは何処かへといなくなった。

同時に海岸から人影がこっちに近づいてくる。C1号との戦闘を終えた五代だ。
114 :1 [saga]:2019/06/17(月) 19:51:40.64 ID:eMFfSVab0


「五代くん無事だったか。」


「はい、C1号以外の未確認はすべて倒しました。
それでヤツがこっちに逃げてきたので後を追っていたんですけど…
どうやら見失ってしまったようです。」


「ヤツならきっとこの洞窟の奥だ。さあ、行こう。」


光太郎は合流した五代と共に洞窟へと潜入した。

こうしてRXとダグバの戦いは意外な形で幕を閉じた。

この数ヶ月後、ダグバは九郎ヶ岳にてクウガと激しい死闘を演じることになる。

いずれ両者は雌雄を決するのだがそれはまだ先の話だ。

それに戦いはまだ終わっていない。

この奥には今まさに永い時を経て最悪の敵が蘇ろうとしていた。

115 :1 [saga]:2019/06/17(月) 19:56:08.60 ID:eMFfSVab0


〜PM18:30〜


「弦太郎!起きろ!」


「ふえ?巧…ここはどこだ?」


「寝ぼけてんじゃねえ!早く逃げるぞ!」


一方、先に潜入した巧は洞窟奥深くで寝そべっていた弦太郎を発見。

幸いにも弦太郎はかすり傷ひとつなく眠っていただけだった。


「うわっ!どうなってるんだよ!?」


目覚めた弦太郎が辺りを見回すとそこには不気味な光景が広がっていた。

なんとそこには無数の白骨化した死体が散乱していた。

死体はどれも子供のものばかり。中には赤子のものまで混じっている始末。


「馬鹿!見るんじゃねえ!」


「けど巧…どうしてガイコツだらけなんだよ…」


「知らねえよ。趣味の悪いアンティークじゃねえのか。」


巧は適当に答えるがこれが趣味なら最悪だ。

とにかくこんな不気味な場所からは一刻も早く逃げ出そう。

だが弦太郎は恐怖でまともに動くことが出来ない。

そのため巧がおんぶして連れ出そうとした時だ。
116 :1 [saga]:2019/06/17(月) 20:00:15.19 ID:eMFfSVab0


「ラ…デ…」


前方から薄気味悪い声が聞こえてきた。

ライトを点けて見てみるとそこにはクウガとの戦闘でボロボロになったC1号がいた。

辛うじて生きてはいるがそれも時間の問題。

先ほどの戦闘で受けたクウガの封印エネルギーがベルトまで達すれば死んでしまう。

なんとか必死の思いでここまで這い蹲るようにたどり着いたがもう限界だった。


「巧!危ない!」


そこへRXとクウガが二人の元へ駆けつけた。

ライダーたちは巧と弦太郎を保護すると戦闘体勢で瀕死のC1号を警戒した。


「もう諦めろ。これで終わりだ。」


RXはC1号に最後の警告を促した。

C1号はクウガとの戦闘で仲間を失い肉体は限界寸前。

これ以上は無駄な悪あがきはやめて大人しく降参しろとそう告げた。

だがC1号はそんなRXの警告など知ったことかと鼻で嘲笑った。

この圧倒的不利な状況で何故…?
117 :1 [saga]:2019/06/17(月) 20:01:12.23 ID:eMFfSVab0
そんな疑問を抱いているとC1号は洞窟の奥で膝をついた。

そこは先ほどまで弦太郎が眠っていた白骨死体の山になっている場所だ。

C1号は膝をつくとこの場に火を点けると明かりが灯されて辺りを見回した。

よく見ると白骨死体の山に何やら奇妙な異物が備わっていた。


「光太郎さん…あれは何ですか…?」


「俺にもわからない。だがあれは自然の産物というわけではなさそうだ。」


それは明らかに人の手が加えられたモノだが形状からしてかなりの年月が過ぎた代物だ。

これを言い表すとすれば遺跡だ。

太古の昔より創造された遺跡がこの洞窟で長いこと眠り続けていたのだろう。

どうやらC1号はこの遺跡を住処としていたようだ。

そしてC1号はこの遺跡を前にして何かを訴えるかのように叫んでみせた。

118 :1 [saga]:2019/06/17(月) 20:01:55.25 ID:eMFfSVab0


「バリジョ!レザレダラゲ!」


「パセビヂバサゾ!」


「ダグバゾロボゲス!ビュグビョブボヂバサゾガダゲデブセッ!」


グロンギの言葉で何を言っているのかわからないが

それでもC1号がこの遺跡に対して何かを求めているのはわかる。

恐らくC1号はこの遺跡が自分になんらかの力を与えてくれると信じている。

だが瀕死のC1号が何度訴えても遺跡は無反応のままだ。

このままでは命が尽きるのも時間の問題。

ライダーたちもこの場から立ち去ろうとしたその時だった。

119 :1 [saga]:2019/06/17(月) 20:02:44.51 ID:eMFfSVab0


『お前は…何者だ…』


何処からともなく声が聞こえた。

これはグロンギの怪人たちのような獰猛さを感じさせない。

むしろ透き通った声だ。

一体どこからこの声が聞こえてくるのか?


『答えろ。お前は何者だ…』


もう一度声が聞こえてきた。今度はハッキリと聞き取れた。

間違いない。遺跡から声が出ている。


「オ…オォ…バリジョ…ジョグジャブ…」


その声を聞きC1号は思わず涙を流した。

ライダーたちにしてみれば怪人が涙を流すなどありえない光景だ。

だがC1号にとってこれは実に喜ばしいことだった。

何故ならC1号はこの島に流れ着いてから遺跡…いや…祭壇の前で生贄を捧げ続けた。

それは気の遠くなる年月だった。いつの日かきっと神が目覚める。そう信じていたから…

そしてその願いはようやく叶った。

さあ、今こそ願いを叶えて欲しい。さらなる力を得たい。

それこそあのダグバをも超える究極の力を…

そしてこの問いに対してC1号は高らかにこう叫んだ。
120 :1 [saga]:2019/06/17(月) 20:03:37.63 ID:eMFfSVab0


『パセボゴ!グロンギンゴグザッ!』


我こそがグロンギの王だとそう叫んだ。

だがそれだけだ。それ以外は何の反応もない。

暫くの間、沈黙が続くと遺跡からある声が発せられた。


『そうか…お前は…人ではないのだな…』


その瞬間、それまで澄んでいた声に変化が起きた。

先ほどとはちがって声に感情が篭っている。

それも負に満ちた感情。これは怒りや憎しみに満ちたドス黒いモノ…


『…やはりお前は…』


すると遺跡の方に先ほどこの洞窟に放たれた光が現れた。

その光からは一人の青年が姿を現した。クウガはこの青年に見覚えがあった。

それはあかつき号で会った青年。沢木哲也だ。

現れた哲也はライダーたちを前にして武術における残心に似た構えを取った。

同時に彼の腹部から奇妙なベルトが出現。
121 :1 [saga]:2019/06/17(月) 20:04:32.97 ID:eMFfSVab0


「変…身…」


哲也がそう呟くとベルトのバックルに収まっている石が輝きだした。

ベルトの輝きは哲也の身体を包み込むと彼の姿はまるで別の姿へと変化した。


「あれは…クウガ…?」


この変身を目の当たりにしたクウガはそれが自分と瓜二つの姿だと認識した。

金色に輝くボディに頭部に二本の角を生やしたクウガに似た金色の戦士。

だがクウガとはひとつだけ異なる部分があった。

それは目の部分が漆黒に覆われたブラックアイの状態だった。

まるでその魂に邪悪な存在でも宿っているかのような雰囲気を出していた。


「オォ…バリジョ…ヅギビレザレダボザバ…」


金色の戦士の出現にC1号は喜びよろめきながら駆け寄った。

遂に神が復活を遂げた。今こそ我が野望が達成される。そう信じた矢先のことだった…

122 :1 [saga]:2019/06/17(月) 20:08:23.25 ID:eMFfSVab0


「ガハッ…」


突然腹部が強烈な痛みに襲われた。

すぐに見てみると戦士の手刀がC1号の腹部を貫いていた。

腹部からは大量出血により

血が噴水のように吹き出し口からもかなりの吐血を起こしていた。

一体何故…?どうしてこんなことが起きた?

神への忠誠を示すためこれまで生贄を欠かしたことは一度としてなかった。

すべては神の復活のため…すべてを捧げてきたはずなのに…どうして…

C1号は貫かれながら

何故自分が忠誠を誓った神からこのような仕打ちを受けたのか理解できずにいた。

そんなC1号に対して戦士は一言こう言い放った。


『人を殺してはならない。』


その言葉を聞いてC1号はわけがわからなかった。一体何を言っているのかと…?

だがこの言葉こそ彼が崇めていた神とやらの本心だった。
123 :1 [saga]:2019/06/17(月) 20:10:13.68 ID:eMFfSVab0
そう、先ほどダグバが語っていたように神は人を愛していた。

古の時代、神は戦いで力を使い果たしこの地で深い眠りについた。

それからは自らが生み出した人を愛し見守ってきた。そこへC1号が現れた。

C1号は何を勘違いしたのか島に住む人間を生贄として捧げてきた。

これまで何人もの罪なき者の命を屠ってきた。

この行為をC1号は神のためと称していたがそれはまったくの逆だった。

神はこの行為を疎ましく思っていた。何故このような酷い行いをするのか。

C1号が生贄を連れて殺める度に嫌悪感を募らせていた。

どんなに止めたく思っても今の自分は遺跡で眠り続けるだけの存在。

これを止める術はなかった。そんなある日のこと、奇妙な変化が起きた。

それは12年前、仮面ライダーBLACKとの戦闘でC1号が敗北しながら帰ってきたことだ。

この男はどういうわけか瀕死の重傷を負っていた。勿論見捨てることも出来たが…

それでもひとつだけ気になることがあった。C1号は古の時代に存在したグロンギの一族。

並大抵の人間が立ち向かえる相手ではない。

そんなC1号にここまで傷を負わせたということは…

そこで神はある試みを行うべくC1号に力を授けた。

すべてはC1号に恩恵を与えるためではなく自らが愛した人を確かめるために。


『お前は人を殺しすぎた。』


神がその手刀を引っこ抜くと同時にC1号の体をまるでゴミのように投げ飛ばした。

この光景にクウガとRXに緊張感が走った。

あのC1号をこうも容易く瞬殺する金色の戦士が現れた。

だがそんなことなど今はどうだっていい。問題なのはこの戦士が敵なのか味方なのかだ。
124 :1 [saga]:2019/06/17(月) 20:11:26.38 ID:eMFfSVab0


「答えろ。お前は何者だ。」


RXから問われた金色の戦士はこの場を見渡した。

そこには明らかに人を超えた存在が居た。


『やはり…人が人を超えてしまったか…』


金色の戦士はまるで悔やむようにそう呟いた。

人を超えた存在。それは紛れもなくこの場にいるライダーたちのことだ。

暗黒結社ゴルゴムの改造手術を受けて、さらに太陽の力を得たRX。

古代の一族リントの霊石アマダムにより現代に蘇った戦士クウガ。

二人とも人知を超えた力を宿した存在。本来ならこの世界に存在してはならない者たち。

神は人を愛した。だが人が神の力を超えることを恐れていた。


『人は人のままであればいい。』


ライダーたちの問いかけにそう答える金色の戦士。

その言葉には間違いなく敵意が感じられた。
125 :1 [saga]:2019/06/17(月) 20:12:41.62 ID:eMFfSVab0

やはり目の前にいるこの男は敵だ。そう確信した二人は一斉に飛びかかった。

RXとクウガはタイミングを合わせて金色の戦士にダブルパンチを放った。


「何ッ!?」


だがそのダブルパンチを金色の戦士は片手で弾いた。

決して手加減などしていない渾身の一撃だったのにそれをいとも容易く弾かれた。

それどころか逆に衝撃波を放たれて二人の身体は吹っ飛ばされた。

この一撃が効いたのか二人とも変身が解かれその場に倒れ伏した。


「光太郎さん…大丈夫ですか…」


「ああ…だがヤツは何者なんだ…何故こんな力を…」


「わかりません…彼の身に何があったんだ…」


五代は数時間前に哲也と出会ったことを思い出していた。

神戸港で会った哲也は何か悩みを抱えていたがそれ以外はどこにでもいる普通の青年だ。

それがこの数時間で彼は異形の戦士へと変貌を遂げた。

自分と別れてからこの数時間で彼の身に何があったのか五代にはまったくわからなかった。


『人を超えた力を持つことは決して許さない。』


だが考えている時間はなかった。

五代と光太郎にトドメを刺そうと金色の戦士が近づいてきた。

急いで立ち上がり体勢を立て直さなくては…

だがさっきの一撃を受けたせいか身体が思うように動かない。

これまでの連戦による疲労、それに今の攻撃によるダメージ。

二人の身体はまるで鉛でも載せてあるかのように重く感じられた。

このままではやられる。思わずそう覚悟したが…
126 :1 [saga]:2019/06/17(月) 20:14:02.76 ID:eMFfSVab0


「やめろ――――ッ!」


そんな時、幼い弦太郎がこの金色の戦士に唯一人立ちはだかった。

恐怖で身体が震えながらも両手で遮りその行く手を阻んでいた。


「バカッ!離れろ!お前なんかがどうにか出来る相手じゃない!」


「けどダチがやられているのに黙って見てられるかよ!」


そんな弦太郎を巧がこの場から下がらせようとするが弦太郎は頑なに拒んだ。

ダチがピンチな時こそ助ける。それがダチだとそう教えられたから…

だが今はそんなことを言っている場合ではない。

得体の知れない敵が自分たちを襲おうとしている。

それに対して抗う術など持ち合わせてなどいないのだから…


『…』


しかし奇妙なことに金色の戦士は弦太郎を見てその歩みを止めた。

まさかこんな小さな子を…

そう思った光太郎と五代はなんとか立ち上がろうとするが何か様子がおかしい。


『そうか。いずれはお前も…』


「なんだよ!かかってこいよ!」


『お前もいずれ人が触れてはならない力を手に入れる。それは決してあってはならない。』


金色の戦士はまるで弦太郎の未来を暗示するかのような発言を呟いた。

勿論弦太郎自身にはそれがどういう意味なのかはわからない。

そして金色の戦士が自らの手で弦太郎を殺めようとした。

127 :1 [saga]:2019/06/17(月) 20:19:08.22 ID:eMFfSVab0


「弦太郎下がれ!」


間一髪、そんな弦太郎を巧が庇ってみせた。

だがこれで終わったわけではない。まだ金色の戦士は殺意に満ちたままだ。

それに光太郎と五代も満足に動ける状態ではない。

つまりこの状況で立ち向かえるべき戦士はいない…


「巧!戦え!」


この状況で巧に戦えと…光太郎はそう促した。

それでも巧はまだ狼狽えたままだ。

無理もない。相手はライダーたちを圧倒した正体不明の戦士。

普通の人間がまともに戦える相手ではないのだから。
128 :1 [saga]:2019/06/17(月) 20:19:50.74 ID:eMFfSVab0


「巧!戦え!」


この状況で巧に戦えと…光太郎はそう促した。

それでも巧はまだ狼狽えたままだ。

無理もない。相手はライダーたちを圧倒した正体不明の戦士。

普通の人間がまともに戦える相手ではないのだから。


「俺には無理だ…俺はアンタたちみたく戦えない…俺には大切なヤツなんて…」


巧は思った。光太郎たちが戦えるのは大切な人間がいるからだ。

だが自分には大切な人などいない。

これまで誰かを傷つけたくないから孤独に生きてきた。

そんな自分に守るべき人間などいるはずもないと巧は思っていた。


「そうじゃない。巧、お前にだって守るべき大切な人がいる。」


「その手にちゃんと掴んでいるじゃないか。」


「お前にも守るべき大切な人がいるんだ!力はそのためにあるんだ!」


光太郎に言われて気づいたが巧はずっと弦太郎の小さな手を掴んでいた。

守るべき大切な人。それが隣にいる弦太郎なのかはわからない。

だが今は光太郎の言うように戦うしかない。

そう決意した巧は全身に力を込めた。

そして身体が人間から異形の姿へと変貌していく。

全身はまるで死をイメージした灰色で野生の狼を象った姿。

そんな変貌を遂げた巧を見て金色の戦士は一言こう呟いた。
129 :1 [saga]:2019/06/17(月) 20:21:11.69 ID:eMFfSVab0


『オルフェノク…そうか…もう目覚めた者がいるのですね…』


―――オルフェノク。それが巧の真の姿だった。

一度死んだ人間が覚醒し蘇ることで生まれる人の進化した姿。

幼い頃、巧は死の経験をしたことによりオルフェノクとして蘇った。

同時にその時から自らの姿に恐怖してこの力を隠して孤独に生きてきた。

本来なら巧はこの力を使わずに過ごすはずだった。

だが目の前の危機によりこれまで封じていたオルフェノクの力を解き放った。


「ガァァァァッ!」


荒々しい雄叫びを上げながらウルフオルフェノクは金色の戦士に襲いかかった。

その攻撃方法は金色の戦士のような鮮麗された動きとはちがい

拳に付いたメリケンサックのような突起を扱った喧嘩殺法。

狼の形状通り身体の俊敏さを活かして目にも止まらぬ速さで素早い攻撃を行った。


「クソ…当たらねえ…」


だが金色の戦士は巧の攻撃などまるで最初からすべて予測したかのように華麗に弾いた。

どんなに素早くて力強い攻撃でも当たらなければ意味がない。

さらに言うなら巧は今日が初めての戦いだ。

そんな巧では戦闘能力が未知数な金色の戦士を相手するには余りにも荷が重すぎた。
130 :1 [saga]:2019/06/17(月) 20:21:58.67 ID:eMFfSVab0


「このままでは巧が…やられてしまう…やはり俺が…」


そんな巧の加勢に入るべく光太郎はなんとか立ち上がろとした。

だが足に力が入らない。これでは変身など出来やしない。

それでもやらなければ…となんとか拳を握り締めて生身のままでも立ち向かおうとした。


「やめろ…やめるんだ…」


だが光太郎よりも一歩先に五代が動いていた。

五代は防戦一方で圧倒的不利に追い込まれているウルフオルフェノクと

極めて優勢な金色の戦士の間に立ってその戦闘を阻んだ。


「こんなことしちゃダメだ。キミがやりたかったのはこれじゃないだろ。」


五代は目の前にいる金色の戦士に向かって説得を試みた。

いや、金色の戦士ではなくてあのあかつき号で出会った沢木哲也という青年に対してだ。

大切な人を失った彼がどうして異形の戦士と化したのかはわからない。

それでもまだ哲也の心が残っていれば説得の余地がある。


『オォォッ!』


そんな五代を煩わしく思ったのか金色の戦士が拳を振るった。

五代はなんとかその拳を受け止めようとするが…

拳を受け止めると同時に何かが伝わってきた。
131 :1 [saga]:2019/06/17(月) 20:23:16.32 ID:eMFfSVab0


「そうか…キミは…悲しいんだね…」


五代が哲也から感じたのは悲しみだった。

最愛の姉の死…突然の別れ…

もう自分には守るべき大切な人などいない。

その傷ついた心の隙をこの遺跡に封じられた神によって支配された。


「そうだ…キミから頼まれたモノがあるんだ。今ここで読み上げるよ。」


五代は懐からあるモノを取り出した。

それは先ほど東京の城南大学にいる桜子から送られてきたFAXの用紙だ。

数時間前、五代は哲也からあることを頼まれていた。

それは死んだ姉が唯一遺した古代文字が記された手紙。

その解読された文章を五代は読み上げてみせた。
132 :1 [saga]:2019/06/17(月) 20:23:44.78 ID:eMFfSVab0




はじまりは、テオスだった。



テオスは闇から光を、夜から昼を、地球から大地を、

海から陸を分け、世界を創造した。



そして、テオスはエルとマラークを創り、

さらにマラークの姿を象り動物を、自らの姿を象り人を創った。



その頃の世界は楽園であった。



人が繁殖し、再び地球を満たす、ずっと以前の事。



人は言った。我々の姿は、テオスもの。故に我々はマラークやエルよりも上位にある。

我々はマラークに似せて創られた動物達を支配し家畜にしよう。



マラークたちは言った。

見よ、人が動物を支配し、彼らの家畜としている。

ならば、人を我々の家畜とし、支配をさせよ。さもなくば、彼らを滅ぼさん。



こうして、マラークと人の戦争が勃発。共にその数2億。



戦いは40年間に及んだ。

133 :1 [saga]:2019/06/17(月) 20:25:31.96 ID:eMFfSVab0


それが手紙の内容だった。

手紙の内容を知って哲也もそれに光太郎や巧、弦太郎も唖然としていた。

何故なら内容が余りにも理解しがたいものだったからだ。

そんな中でこの手紙の意味を一人だけ理解していた者がいた。

哲也が変身する金色の戦士に宿る神と讃えられる存在だ。

これは古の時代に起きた伝承。遥か昔、神々の戦いがあった。

そこでは二つの神が人の存在を巡って激しく争いを繰り広げていた。

人を支配しようとする闇と人を認めて力を与えようとする光。

戦いは人を支配しようとする闇の存在の勝利に終わった。

だが光の存在は死の間際、人に力を与えた。

すべての人に希望の種を与えてその芽が出るのを待ち続けた。
134 :1 [saga]:2019/06/17(月) 20:26:24.64 ID:eMFfSVab0


「俺にはこの手紙の意味はわからない。」


「けど今キミに起きていることを考えるとたぶんだけど…」


「お姉さんはキミを守ろうとしたんじゃないか!」


それは五代なりの考えて出した結論だ。

実は哲也の姉である沢木雪菜は哲也と同じ力を発現した。

だがそれは雪菜に扱える力ではなかった。

雪菜はいつしか力を抑えきれなくなりそのせいで彼女は自ら命を絶った。

それが真相だった。


「お姉さんは命を懸けてキミを守ろうとした!」


「その行いが正しいなんて言うつもりはない。」


「けど俺たちには力がある。だから!」


「今度はキミが守るんだ!お姉さんが守り抜いたものを!」


「誰かのために!そしてキミ自身のためにも!」


五代は必死にしがみつきながら金色の戦士=哲也にそう訴えた。

その訴えが通じたのだろうか。金色の戦士が静止した。
135 :1 [saga]:2019/06/17(月) 20:27:17.93 ID:eMFfSVab0


『もう…制御できない…これでは…』


身体中が熱く、そして苦しい。

次の瞬間、金色の戦士に憑依した何かが抜け落ちた。

それと同時に戦士の眼に光が宿った。

クウガやRXと同じ正義の意志を宿した赤い眼だ。


『おのれ…アギト…』


アギトと…遺跡に戻った闇の存在が金色の戦士のことをそう呼んだ。

正気を取り戻したアギトは自分を操っていた遺跡に目を向けた。


「ハァァァ…」


頭部にあるグランドホーンが展開された。

それと同時にアギトの足元に何かの紋章が出現し攻撃の態勢に入った。

これを見て光太郎と五代はすぐに察した。

アギトはこの遺跡を破壊しようとしていることを…
136 :1 [saga]:2019/06/17(月) 20:28:08.45 ID:eMFfSVab0


「行くぞ五代くん!チャンスは今しかない!」


「わかってます!これを逃すわけにはいきませんからね!」


二人ともこれが最後のチャンスだとわかっていた。

この得体の知れない存在を倒すにはこの機会を置いて他にはない。

だからこそ二人は最後の力を振り絞り立ち上がった。


『このままでは…こうなれば…仕方ないか…』


苦肉の策だった。本来ならやりたくもないが…

闇の存在は先ほどゴミのように投げ捨てたC1号の遺体に力を与えた。


「ガァァァ…」


するとC1号が蘇り光太郎たちに襲いかかろうとしてきた。


「こいつまだ生きているのか!」


「けどこいつはもう正気じゃありません。理性がもう欠片もない!」


そう、闇の存在はC1号の望み通り力を与えた。

だがその副作用なのか理性をすべて失い獣としての本能で暴れ出した。


「うわぁぁぁぁ!?」


さらには傷ついた巧や幼い弦太郎にまで襲い出す始末。

こうなればもう一切容赦する必要はない。

こちらも最後の力を振り絞って戦うのみだと覚悟を決めた。
137 :1 [saga]:2019/06/17(月) 20:29:32.97 ID:eMFfSVab0


「 「変身ッ!!」 」


「俺は太陽の子!仮面ライダーBLACK!RXッ!!」


変身したRXはすぐに巧たちを襲うC1号から二人を守った。

理性を失ったことで怪人として本能のまま行動するその姿は最早単なる怪物でしかない。

神に利用されたことに関しては

同情の余地があるかもしれないが情けを掛けるつもりはない。

何故ならC1号はこの地で人を殺め続けた。

すべては12年前の光太郎の不手際が原因だった。ならば…!


「リボルケインッ!」


RXはベルトのサンバイザーから光の剣リボルケインを取り出した。

同時に眩く光る剣の矛先をC1号の腹部へと突き刺した。


「グギャァァァァ!?」


RXのリボルクラッシュが決まりC1号は凄まじい悲鳴を上げた。

全身にリボルケインのエネルギーが送り込まれ腹部からは激しい火花が吹き出した。

138 :1 [saga]:2019/06/17(月) 20:30:03.42 ID:eMFfSVab0


「 「変身ッ!!」 」


「俺は太陽の子!仮面ライダーBLACK!RXッ!!」


変身したRXはすぐに巧たちを襲うC1号から二人を守った。

理性を失ったことで怪人として本能のまま行動するその姿は最早単なる怪物でしかない。

神に利用されたことに関しては

同情の余地があるかもしれないが情けを掛けるつもりはない。

何故ならC1号はこの地で人を殺め続けた。

すべては12年前の光太郎の不手際が原因だった。ならば…!


「リボルケインッ!」


RXはベルトのサンバイザーから光の剣リボルケインを取り出した。

同時に眩く光る剣の矛先をC1号の腹部へと突き刺した。


「グギャァァァァ!?」


RXのリボルクラッシュが決まりC1号は凄まじい悲鳴を上げた。

全身にリボルケインのエネルギーが送り込まれ腹部からは激しい火花が吹き出した。

139 :1 [saga]:2019/06/17(月) 20:33:43.39 ID:eMFfSVab0


「超変身ッ!ハァァッ!」


RXに続いて変身したクウガも遺跡に対して攻撃を行おうとした。

超変身してドラゴンフォームになると全身に雷が走った。

これまでの戦いで温存していた金の力。それを発動させた。


「オリャァァッ!」


ライジングドラゴンになったクウガは

ライジングドラゴンロッドを武器にライジングスプラッシュドラゴンを放った。

スピードを活かした斬撃で遺跡にいくつものヒビが入った。
140 :1 [saga]:2019/06/17(月) 20:34:55.65 ID:eMFfSVab0


「ハァッ!」


続いてライジングペガサスによる

ライジングペガサスボウガンを駆使したライジングブラストペガサス。

先ほど攻撃した斬撃に弾を撃ち込み遺跡にさらなる亀裂を負わせた。


「まだだッ!」


金の力の制限時間は30秒。

今の状況でその時間を過ぎればクウガはもう立ち上がることすらできない。

だがここが正念場、弾を打ち込んだ直後にライジングタイタンへとフォームチェンジ。

そして破損した亀裂にライジングタイタンソードを突き刺した。
141 :1 [saga]:2019/06/17(月) 20:36:06.19 ID:eMFfSVab0


「よし!今だッ!」


最後にクウガはライジンゴマイティにフォームチェンジ。

構えを取り右足にある足甲部のマイティアンクレットに渾身の力を込めた。

同時にアギトも右足にすべての力を収束させて両者共にジャンプ!


「 「オォォォォッ!!」 」


クウガ、アギトによるライダーキックが炸裂。

ライジングフォームによる四連攻撃に加えて二人のライダーによるダブルキック。

その凄まじい攻撃力で遺跡は最早原型を留めることも出来ず砕け散ろうとしていた。

142 :1 [saga]:2019/06/17(月) 20:44:21.34 ID:eMFfSVab0


『そんな…人が…私を超えるなんて…これでは未来が…』


ライダーキックを受けて遺跡は崩壊寸前に陥った。

もうこの崩壊は防げない。これでは人は神を超える存在になる。

そうなればこの世界は破滅だ。

人が神を超える力を手にすれば必ずやこの世界は混沌に染まる。

先ほど闇の存在は巧や弦太郎を通して未来を見た。この先の未来にあるのは絶望だ。

力に飲み込まれた人が破壊の限りを尽くす恐怖と破壊だけの世界。

それだけはなんとか阻止しなくてはと抗おうとした。


「そうはさせない!」


「これ以上俺たちの未来をお前に指図されるわけにいかない!」


「人の未来は俺たち自身で決める!!」


そして最後にRXがトドメの一撃かのように

リボルクラッシュで貫いて爆発寸前のC1号の身体を遺跡にぶつけてみせた。

その瞬間、洞窟内は大爆発を起こした。

半径3キロにも渡る爆発により洞窟は埋もれてしまいすべては闇に葬られた。

143 :1 [saga]:2019/06/17(月) 20:45:24.09 ID:eMFfSVab0


〜PM21:00〜


あの洞窟での大爆発が起きた直後、香川県警の応援が到着。

だが既に小豆島に潜んでいた未確認生命体はすべて殲滅した後だった。

その間に氷川はあかつき号の乗組員を単独で救助。

こうして事件は解決した。


「一条刑事、お疲れ様です。」


「氷川くんこそ大活躍だったな。」


「…いえ…自分は…活躍なんて…」


確かにあかつき号の遭難者たちは救助することは成功した。

だが…今回の事件は元を正せば香川県警の杜撰な対応に問題があった。

それに一条や五代の活躍に比べたら自分の行いなど大したものではないと痛感した。
144 :1 [saga]:2019/06/17(月) 20:47:32.98 ID:eMFfSVab0


「今回僕は足でまといでした。
一条さんたちがいなければ市民にも被害が及んでいたかもしれない。
そう思うと僕に称賛なんてされる資格はありません。」


「そう卑下するな。キミはたった一人であかつき号の乗客を救った。立派なことだ。」


「それでも…全員救えたわけじゃありません…」


氷川は悔やむように呟いたが

実は救助されたあかつき号の乗客には一人だけ行方不明者がいた。

沢木哲也。五代があかつき号で知り合ったあの青年だ。

乗客たちの話によると哲也は嵐の中で海に放り出されてしまい行方知れずとのこと。

氷川は乗客たちに事故当時のことを問い質したが

何故か全員青ざめた顔でろくに話をしようともしない。

まるで何か恐ろしいモノでも目撃したかのような様子だった。


「俺たちは人間だ。すべてが万事うまくいくわけじゃない。」


「それでも…自分の力不足を否めません…もっと僕に力があれば…」


「そう思うならもっと精進しろ。
いずれキミも最前線に出て戦う時が来る。その時はみんなを助けられる警官になれ。」


一条からの励ましの言葉を受けて氷川は敬礼した後に本部への報告に戻った。

近いうちに氷川も自分と同じく第一線で活躍する警察官になるだろう。

彼ならきっと素晴らしい警察官になれる。そう期待しながら一条は氷川を見送った。
145 :1 [saga]:2019/06/17(月) 20:48:51.22 ID:eMFfSVab0


「ありがとうロードセクター。」


一方で光太郎は久しぶりに再会を果たしたロードセクターを労っていた。

かつて宿敵ゴルゴムを倒した仲間。

12年前に永遠の別れを告げたはずだったが…

今回のピンチに活躍してくれたことで改めて感謝していた。

それに洞窟での死闘で力尽きた光太郎たちを大爆発の中、救い出してくれた。

かつてロードセクターを返却する際に大門はこう言っていた。


『―――いつの日か必ずあなたの元へ還るはずだ。』


その言葉通りロードセクターは光太郎の元へ還ってきてくれた。

今回の騒動でそれがなによりも嬉しく思えた。

146 :1 [saga]:2019/06/17(月) 20:50:56.47 ID:eMFfSVab0


「光太郎さん、巧くんはどこへ行ったんですか?」


「あいつは…もうここには戻ってこないだろう。」


駆け寄ってきた五代に巧の所在を聞かれた光太郎はそう答えた。

あの戦いの後、巧は忽然と姿を消した。

見たところXRのバイクもないようで恐らくあれに乗って何処かへいなくなったのだろう。


「巧はまだ自分を受け入れることが出来ていないんだ。」


「そうですか。きっと時間が掛かるでしょうね。」


「ああ、いつかあいつにも守るべき大切な人たちが出来るはずだ。」


巧の悩みが解決されるにはまだ時間が必要だ。

それでも二人は願った。いつか巧にも大切は人が現れることを…


「巧ー!俺たちはいつまでもダチだからな!!」


そんな何処かへいなくなった巧を弦太郎が海に向かってそう叫んだ。

いつか友情の印を誓い合って今度こそ本当のダチになる。そう決意して…
147 :1 [saga]:2019/06/17(月) 20:54:30.43 ID:eMFfSVab0


「それで光太郎さん。今回のことについてどう思いますか。」


「恐らく新たな物語が始まっているのかもしれないな。」


「新しい物語…つまり…それって…」


「俺たちの知らないところで次なる敵が動き出しているということだ。」


光太郎に新たな敵の存在を告げられたが五代もなんとなくその気配を感じていた。

あの沢木哲也が変身したアギトという名の戦士。それに遺跡に封じられていた存在。

それは間違いなく未確認生命体とは全く異なる新たなる脅威だ。


「やっぱり…なんですね…未確認を倒しても戦いは終わらないのか…」


五代は自分の手を見つめながらそう呟いた。

この手で今まで何体もの未確認生命体を屠ってきた。

連中を殴る度、この手に嫌な感触が過ぎってばかりいる。

本当は相手を傷つける行為なんてしたくはなかった。

それがグロンギの怪人たちであっても…
148 :1 [saga]:2019/06/17(月) 20:55:21.51 ID:eMFfSVab0


「俺…未確認を倒したら戦いは終わるのかと思ってました…
けどちがう…ヤツらを倒しても戦いは終わらない…いや…
これから始まっていくんですね…」


五代はこれから訪れる未来に不安を感じていた。その予感は正しかった。

何故ならこの後、世界はいくつもの混乱が訪れようとしていた。

今回の戦いはそれを予感させる序章にしか過ぎなかったのかもしれない。


「確かに俺も何度か同じ思いをしたよ。何度悪を倒してもキリがないってな…」


「これからも戦いは続くんですね。長く苦しい戦いが…」


「それでも誰かがやらなきゃならないんだ。」


わかってはいたことだ。それは決して他人には負わせられない自分たちの宿命。

決して避けることなど赦されない運命。

そんな過酷な運命でも一筋の希望はあった。

149 :1 [saga]:2019/06/17(月) 20:56:00.50 ID:eMFfSVab0


「だが俺は今回の戦いを通じて感じた。それは俺たちにも頼れる仲間がいるということだ。」


それは五代も今回の戦いで密かに感じ取っていた。

今回は自分たちライダーの力だけでは決して解決には至らなかった。

そこには頼れる人たちの協力があればこそだ。


「確かに俺たちの戦いは厳しいものだ。それでも信じられる仲間が居る。」


「そうですね。みんながいるから俺たちは戦える。」


「そうだ。希望は確かに存在するんだ。」


こうして南光太郎と五代雄介はこの先の未来に不安を抱きながらも

そこに希望の光もまた存在することを感じていた。

未来においてその希望は確かに存在した。

150 :1 [saga]:2019/06/17(月) 21:00:01.06 ID:eMFfSVab0

氷川誠=彼は今回のあかつき号救助の功績が認められて警視庁G3ユニットへと栄転。

そこで仮面ライダーG3として未知なる敵アンノウンとして戦うことになる。

沢木哲也=この数日後、彼は瀬戸内海沖で救助される。

だが持ち物の封筒に『津上翔一』の名が記されていたことから

彼は本名ではなく津上翔一と名乗ることになった。

そして彼もまた仮面ライダーアギトとしてアンノウンとの戦いに加わることになる。

乾巧=大企業スマートブレインが牛耳る人類の進化形態オルフェノクと戦うため

彼は仮面ライダーファイズとして

自らと同類のオルフェノクたちと戦う過酷な運命に身を投じた。

如月弦太郎=高校生に成長した彼は天ノ川学園高校へと転校。

そこでゾディアーツと呼ばれる謎の怪人たちから学園を守るため

彼は仮面ライダーフォーゼとなって守りぬくことになる。

確かに未来は決して明るいことばかりではない。だが希望は存在した。

いずれ彼らもまた仮面ライダーとして人々を守る存在となるだろう。

南光太郎と五代雄介は

次なる希望がこの世界を守り続けることを信じて改めて戦い続けることを誓った。

〜終〜


151 :1 [saga]:2019/06/17(月) 21:00:52.75 ID:eMFfSVab0


〜エピローグ〜


小豆島での戦いから二年の月日が流れた。

あの後、五代雄介=仮面ライダークウガが

未確認生命体第0号ことン・ダグバ・ゼバとの死闘に勝利したことで

未確認生命体による一連の事件は幕を閉じた。

それでもあのような脅威がまた起きるとも限らない。

そこで警視庁は未確認生命体への対策としてG3ユニットを設立。

あかつき号事件の英雄である氷川誠を装着者としてプロジェクトは動き出した。

そんな束の間の平和が訪れていたある日のことだった。


「ねえ…あれは何…?」


沖縄県の与那国島海岸で住民があるモノを発見した。

それは残骸。あの小豆島でRXとクウガによって破壊されたはずの遺跡の残骸だった。

この報告を受けて国はこの残骸を調べるためオーパーツ研究機関を設立。

本来なら海の藻屑として終わるはずがこうして人の世に現れた。

それは新たな戦いが始まる前触れでもあった。


南光太郎vs仮面ライダークウガ 【完】


152 :1 [saga]:2019/06/17(月) 21:01:52.53 ID:eMFfSVab0
これにて終わりです。お粗末でした。
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/17(月) 22:36:16.38 ID:vuqGzaDf0
乙でした。
最後の下りは何に続く話なんだろう。
154 :1 [saga]:2019/06/17(月) 23:05:13.90 ID:eMFfSVab0
>>153
要するにこのお話は平成ライダーの物語の前日談なんです
本来ならRXとクウガだけで物語を成立させるのが筋なんですけど…
クロスssとなるとどちらかに問題を与えなきゃならないわけで
けど光太郎さんと五代さんは二人とも本編の時点でヒーローとして完成されてるので
どちらかを落とすやり方はいけないなと思いましてそれではどうしたらいいのかと考えた結果
よし、問題のありそうな平成ライダーを二人にぶつけてその悩みを解決してもらおうと思った次第です。
それで挙げられたのがアギトの翔一くんと氷川くん。それに555のたっくんとフォーゼの弦太郎でした。

155 :1 [saga]:2019/06/17(月) 23:10:45.00 ID:eMFfSVab0
それでこのお話なんですけど読んでもらえばわかると思いますが
このお話の舞台裏には実はアギトのあかつき号事件が関わっています。
あかつき号事件が何なのかわからない人はあとでご自分で調べてもらえればわかりますが
劇中だとあの事件が発生したのはクウガがグロンギの怪人と戦っていたのとほぼ同時期なんですよね。
それでこの事件の背景にRX×クウガでクロスssやってみたら面白いんじゃないかと思ったのです。
なので時代設定に合わせて登場キャラもその当時の年齢になっています。

翔一くん⇒20歳 氷川さん⇒22歳 たっくん⇒16歳 弦太郎⇒6歳


156 :1 [saga]:2019/06/17(月) 23:15:41.32 ID:eMFfSVab0

あとたっくんと弦太郎を絡ませた理由は…
まあたっくんはオルフェノクとして孤独な道を歩んでいたのが理由で
弦太郎は特撮お馴染みの騒がせキャラに丁度いいなと思ったので登場させました。
ちなみにこの物語の弦太郎はまだほんのガキンチョなので戦うことはできません。
応援するのが精々だったかな
それで最後にエピローグはこの物語がアギト第一話に続くということになります。
このssに出てきたあのラスボスがアギトの敵アンノウンの黒の青年だということです。
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/18(火) 11:05:02.35 ID:lhohoZmbO
面白かった乙

それにしてもフォーゼがまだ子供……全然想定もしてなかったから変なところで精神的ダメージ受けてしまった
そうか……そんな時間差が……
158 :>>748 [sage]:2024/02/26(月) 17:09:48.91 ID:5Py+HH8u0
>>闇の存在
ねじれこんにゃく!なあねじれこんにゃくだろお前!?カテゴリーエース置いてけ!
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