永吉昴「どうしよう、お家、帰れないじゃん!」ミリP「またもや」【ミリマスSS】

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18 : ◆kBqQfBrAQE [saga]:2020/06/29(月) 00:16:47.08 ID:BKF9g6ND0

P「まるでお嫁さんみたいだな、ってこと」

昴「およめさん……お嫁さん!? オレが!?」

P「ああ。こんなに料理ができる女の子がいたら、世の中の男が放っておかないぞ?」

昴「そっか。……へへっ、良かった♪」テレテレ

カキーン

『これは大きーい! 入った、ホームラン! ムラカミの一発で、スパローズ先制!』

昴「すっげー!! プロデューサー、今の見た!?」

P「いやあ、すごい一発だったな」

昴「あと少しで看板直撃だったよ! 本当、ムラカミのスイングって早いよな! どうしたらあんなスピードで振れるようになるんだろう?」

P「おーい、早く食べないと飯が冷めちまうぞー?」ペチ

昴「わ、分かったって。ごめん、ごめん」エヘヘ

19 : ◆kBqQfBrAQE [saga]:2020/06/29(月) 00:17:16.24 ID:BKF9g6ND0

P「……ご馳走様。……ふう、美味かったあ」

昴「お腹空いてたから、つい食べすぎちゃった」アハハ

ティロリン♪ オフロガワキマシタ

P「おっ。風呂もちょうど沸いたみたいだな。昴、先入るか?」

昴「そうだな。……先に貰ってもいい? 後からだと、もしかしたら野球の中継が終わっちゃうかもしれないし!」

P「はは、昴らしいや。寝巻き代わりにジャージの上下は出しておくから、それ使ってな」

昴「サンキュ、プロデューサー」ニコ

20 : ◆kBqQfBrAQE [saga]:2020/06/29(月) 00:17:55.66 ID:BKF9g6ND0

カポーン

昴「はぁ〜、極楽、極楽♪」

昴「得意料理がプロデューサーに褒められて、良かったぜ♪」

昴「それに、手際がいいとか色々褒められたうえに、お嫁さんみたいだって言われて」

昴「……オレもちょっとは、女の子らしくなれてるのかな?」

チクリ

昴「ん?」

昴「何だ、今の? チクってしたけど、……胸元かお腹でも、引っ掻いたかな?」

昴「って、やべっ! 早く上がんないと試合見る時間が短くなっちゃう!」ザバッ

21 : ◆kBqQfBrAQE [saga]:2020/06/29(月) 00:19:17.60 ID:BKF9g6ND0

P「ふう、皿も洗い終わったし、一段落だな」

P「しかし、これまでにも何人かアイドル泊める羽目になったけど、今日の昴が一番安心できるというか……」

P「変に誘惑してくることもないし、やたら警戒されることもないし……」

P「人懐っこい妹がいたら、あんな感じなのかな。……弟も妹もいないから、分からんけど」

『さあカイアンツの攻撃、ツーアウトランナー無しでバッターはオカモト……』

P「しかし、今日はイシカワのピッチングがいいな」

22 : ◆kBqQfBrAQE [saga]:2020/06/29(月) 00:20:18.77 ID:BKF9g6ND0

ガララッ

昴「プロデューサー! 試合どうなってる!?」

P「」ブフォ

昴「プロデューサー?」

P「す、昴! お前、なんて格好で! 風呂入る前にジャージ渡しただろ!?」

昴「へっ? ああ、お風呂上がりだから暑いし、もうちょっとしたら着ようかなって」

P「だからって、パンツとキャミソール姿で出てくる奴があるか!」

昴「えーっ! 家だといつもこうしてるぜ?」

P「ここは俺ん家! ……頼むから、早く着なさい!」

昴「はーい。……ったく、プロデューサーも母さんじゃないんだから」ブツブツ

P(……安心だって言ったな、あれは前言撤回だ)

P(兄ばかりの中で育ったせいか男に対する免疫が強い分、警戒心がなさすぎる……!)

23 : ◆kBqQfBrAQE [saga]:2020/06/29(月) 00:21:49.47 ID:BKF9g6ND0

ガラッ

昴「……着てきたよ! これでいいだろ?」

P「うん。……あの格好でいるのは頼むからやめてくれよ?」

P(目の保養、じゃなくて、目の毒だから)

昴「でも、やっぱり暑いんだよなー……」パタパタ

P「確かに風呂上がりだもんな。そうだ、エアコン入れておくよ」

昴「あれ? もう7回ウラ?」

P「イシカワが好投してるから、結構展開早いよ。今日はスパローズのペースだな」

昴「そっか。……ま、試合終わる前までには間に合ったから、よしとするか♪」

P「それじゃあ、俺も風呂入ってくるよ」

昴「はーい」フリフリ

P「そうだ、冷蔵庫に麦茶とかジュース入ってるから、飲んでいいよ」

昴「うん、分かった♪」

24 : ◆kBqQfBrAQE [saga]:2020/06/29(月) 00:23:33.12 ID:BKF9g6ND0

『……三振、ゲームセット! スパローズ連勝でこのカード勝ち越しです!』

昴「よっしゃ! 勝ったー!」

昴「9回のヤマダのダメ押しツーランは爽快だったなー。よしよし」

ピンポン

昴「L○NE? ……なんだ、また百合子か」

百合子<昴さん、そちらは大丈夫ですか?>

昴<大丈夫って何が?>

百合子<プロデューサーさんとの間で、何か大事件が起きてるんじゃないかって、心配で心配で!>

昴<大事件って……百合子は大袈裟だよ。別に、いつもと何も変わんないけど?>

25 : ◆kBqQfBrAQE [saga]:2020/06/29(月) 00:25:41.62 ID:BKF9g6ND0

百合子<だって、プロデューサーさんと一つ屋根の下で一晩過ごすんですよ? そんなこと、ちょっと想像しただけでもドキドキするじゃないですか!>

昴<そうか? だって、プロデューサーはプロデューサーだぜ?>

昴<それに、事務所でも二人きりになるときだってあるし、部屋は違うけど地方公演で泊りがけなんてこともあるんだから>

百合子<うう、それはそうなんだけど……>

昴<あ、でも、さっきお風呂上がりの時にちょっと怒られたな>

百合子<怒られた?>

昴<うん。風呂上がりにパンツとキャミソールで出て行ったら、ジャージ着ろって>

Prrrr

昴「うおっ!?」ビクッ

26 : ◆kBqQfBrAQE [saga]:2020/06/29(月) 00:26:31.48 ID:BKF9g6ND0

昴「も、もしもし? 何だよ、また」

百合子『何だよ、じゃないです!』 

百合子『もう、昴さん! そんな下着姿で人前に出たらダメに決まってるじゃないですか!』

昴「そうなのか? さっきもプロデューサーに同じこと言われたけどさ……」

百合子『ダメですっ! プロデューサーさんだって男の人なんですから、襲われるかもしれませんよ!』

昴「襲われる? そんな格闘技みたいなこと急に始まるのか?」

百合子『た、確かに一種の格闘技みたいなものかもしれないけど。……じゃなくて!』

百合子『コホン! いいですか? 昴さんはもう少し自分が無自覚に人をドキドキさせていることに気付くべきです!』

昴「は、はあ……」

27 : ◆kBqQfBrAQE [saga]:2020/06/29(月) 00:26:57.32 ID:BKF9g6ND0

百合子『私だって、昴さんの無自覚の行動に一体どれだけ心を騒がされたことか……!』

昴「わ、分かったよ。もう、みんなすぐにそうやって説教するんだから……」ブー

百合子『ちゃんと気を付けてくださいね!』

昴「分かった、分かった」

昴「あ、ところで百合子」

百合子『何ですか?』

昴「さっきプロデューサーと電話してた時に言ってた『フランスしょいん』って何なんだ?」

百合子『……へっ?』

昴「いや、プロデューサーが『百合子に訊け』って言ってたから」

百合子『…………昴さん、おやすみなさいっ』

ガチャ ツーッツーッ

昴「おい、百合子? おーい?」

28 : ◆kBqQfBrAQE [saga]:2020/06/29(月) 00:27:50.93 ID:BKF9g6ND0

昴「ったく、急に電話してきたかと思ったら急に切るしさ」ハァ

昴「百合子も考えすぎじゃないかなあ。全然知らないオジサンならともかく、プロデューサーなんだしさ」

昴「学校の仲良い友達なら、小学校のときにも泊まりで遊んだこともあるし、そんなもんだと思うけど……」

昴「いや、同級生の友達ともなんか違うな。うーん……」

チクリ

昴「あれ?」

昴(何だろう、さっきから時々胸がチクってするの)

29 : ◆kBqQfBrAQE [saga]:2020/06/29(月) 00:28:43.45 ID:BKF9g6ND0

ガラッ

P「ふーっ、いい湯だった」

昴「おっ、プロデューサー。……そうだ!」

昴「ねえプロデューサー、ちょっとここ座ってよ」ポンポン

P「? ああ」

昴「……」ジーッ

P「?」

昴「……」ジーッ

昴「やっぱり、プロデューサーって、プロデューサーだよな」

P「急に哲学だな。どうしたんだ?」

昴「ううん、何でもない。サンキュ!」エヘヘ

P「??」

30 : ◆kBqQfBrAQE [saga]:2020/06/29(月) 00:29:28.66 ID:BKF9g6ND0

P「ところで、試合はどうなった?」

昴「スパローズが勝ったぜ! ヤマダのダメ押しツーランにイシカワの完封!」

P「今年は結構調子いいなあ」

ピンポン

P「ん? 百合子からL○NEだ」チラッ

百合子<プロデューサーさんのいじわる! もう知りません!>

昴「試合終わった後に百合子からまた電話がかかってきたんだよ」

昴「プロデューサーから何か変なことされてないかとか」

P「……百合子は友達思いだなあ」

昴「でも、百合子に『フランスしょいん』のこと聞いたら、急に電話切られたんだよな」

P「なるほど」

P(明日、顔を真っ赤にした百合子からきっと怒られるだろうな)

31 : ◆kBqQfBrAQE [saga]:2020/06/29(月) 00:30:04.32 ID:BKF9g6ND0

昴「そうだ、チャンネル変えていい? そろそろニュースのスポーツコーナー始まるし」

P「うん。……って、勝ったのにまた見るのか?」

昴「勝ったからこそだよ! どの選手のどこが良かったのか、改めて確認しなきゃ!」

P「もし負けた場合は?」

昴「負けたときも全部のスポーツニュース見る。どこかでは勝ったって報道してるかもしれないから」

P「そんな、博多華○の親父じゃないんだから」

32 : ◆kBqQfBrAQE [saga]:2020/06/29(月) 00:31:22.22 ID:BKF9g6ND0

P「そうだ、忘れてた」スクッ

昴「?」

P「……よいしょっと」ゴトリ

昴「アイロン?」

P「うん、ワイシャツをな。アイロンかけようと思ってたけど、時間なくて、つい何枚も溜めちゃってさ」

昴「そうなんだ。……そうだっ!」ティン

昴「オレがアイロンかけるよ」

P「え? 大丈夫だよ。俺の服なんだし」

昴「良いじゃん。オレだって今日泊めてくれたお礼に何かさせてよ。それに、アイロンもよくかけるからさ」

P「それじゃあ、お言葉に甘えようかな」

昴「OK♪」

33 : ◆kBqQfBrAQE [saga]:2020/06/29(月) 00:31:48.68 ID:BKF9g6ND0

スッ スーッ

昴「よっ……と」

P「慣れてるなあ」

昴「家でもこうやって、スポーツニュースとかテレビ見ながらアイロンがけ手伝ったりするんだよ」

P「ワイシャツって細かいところ多くてシワ残りやすいし、結構難しいだろ?」

昴「まあね。でも、父さんのをよくかけてるうちに、コツ掴んだんだ」

昴「アイロンがけとか色々家事してると、女の子っぽいなーなんて思っちゃうけどな」アハハ

P「家事してるからどうとかはよく分からんけど、……そもそも、昴は女の子だろ?」

昴「えっ!?」ドキン

P「……何驚いてるんだ?」

昴「そ、そうだよな? 何でオレ、ビックリしちゃったんだろ。あはは」

チクリ

昴「あ……、まただ」

P「どうした?」

昴「ううん、何でもないっ」

34 : ◆kBqQfBrAQE [saga]:2020/06/29(月) 00:33:34.27 ID:BKF9g6ND0

昴「よーし、終わりっ!」

P「ありがとう。本当に助かったよ」

昴「そろそろテ○朝のスポーツコーナーも始まる時間帯だよ! ほら、ピッタリ!」

アツモリッ

P「勢いあるだけに、今日のスパローズも凄かったなあ。……うおっ、このヤマダのツーランもえげつないや」

アツモリ!

昴「このダメ押しはかなりデカかったよ」 

P「ルーキーのオクガワも評判通りの活躍だし、今年は優勝もあり得るんじゃないのか?」

昴「へへん、だろだろ? 今年はかなり期待できるな♪」

アーツモリィー!

35 : ◆kBqQfBrAQE [saga]:2020/06/29(月) 00:34:13.90 ID:BKF9g6ND0

P「やっぱり今日、横浜の試合は中止だったか」

昴「この雨だもんな。全然やむ気配ないし」

P「でも、明日は朝から晴れるらしいぞ?」

昴「マジで!? こんなに降ってるのに?」

P「うん。さっき天気予報でそんなこと言ってた」

昴「なんか信じらんないけどなあ」

P「線路も今晩中に修理するって言ってたけど、大変だろうな」

36 : ◆kBqQfBrAQE [saga]:2020/06/29(月) 00:35:23.78 ID:BKF9g6ND0

昴「ふぁあ……」

P「眠いのなら、そろそろ寝るか?」

昴「うん、そうしようかな」

P「今日もスタジオで結構張り切ってたもんな」

P「それじゃあ、予備の布団を引っ張り出してくるから」

昴「うんっ」

P(また誰かが泊まるかもと思って、この前買っててよかった)

P(これさえあれば、アイドルと同じベッドに寝ることはもう避けられる! これはプロデューサーとしての最終防衛線! 絶対国防圏なのだ!)

37 : ◆kBqQfBrAQE [saga]:2020/06/29(月) 00:36:03.84 ID:BKF9g6ND0

P「……よし、と。これで全部下ろしたな」ドサッ

昴「サンキュ、プロデューサー。オレが布団敷くよ」

P「ああ、分かった」

P「ちょっと待ってな。リビングのテーブルとか片付けて、布団敷きやすくしておくから」

昴「えっ、寝室じゃダメなの? プロデューサーのベッドの隣、ちょうど布団敷けるスペースあるよ?」

P「えっと、それは……」

昴「その方がお泊り会っぽいしさ、いいだろ?」

昴「……ダメ、かな?」

P「……分かった」

昴「へへっ、じゃあ早速準備するよ♪」

P(一緒に寝るわけじゃないから、うん。隣だから……!)

38 : ◆kBqQfBrAQE [saga]:2020/06/29(月) 00:37:15.63 ID:BKF9g6ND0

P「……それじゃ、電気切るぞー」

昴「OK」

パチッ

昴「今日はサンキュな、プロデューサー。こうして泊めてくれて」

P「今日は電車も止まって帰れなかったわけだし、いいってことよ」

昴「こうやって暗がりの部屋で喋ってると、昔のことを思い出すなあ」

P「昔のこと?」

昴「うん。昔は兄ちゃんと一緒に寝ることもあったしさ。小学生の頃の話だけど」

39 : ◆kBqQfBrAQE [saga]:2020/06/29(月) 00:38:00.13 ID:BKF9g6ND0

昴「そうだ!」ティン

昴「よいしょ、っと」ギシッ

P「あの……昴さん? 一体どうして俺のベッドにやって来たんですか?」

昴「んー……何となく?」

P「いや、何となくで同じベッドに潜り込まれるのは……」

昴「それに、兄ちゃんたちとこうして同じ布団で寝ることもあったよなーって思って」

P「いやそれは、きょうだいだから良いわけで」

昴「可奈と志保と、あと奈緒はOKだったのに?」

P「」

P「……た、確かに一緒に寝たけどさ」

昴「だろ?」

40 : ◆kBqQfBrAQE [saga]:2020/06/29(月) 00:38:37.89 ID:BKF9g6ND0

P「でも、昴も女の子なんだから、その辺もう少し意識してくれた方がいいかなーって」

昴「女の子、か」

P「俺を信頼してくれてるのは嬉しいけどさ」

昴「……なあ、プロデューサー」

P「どうした?」

昴「オレってやっぱ、女の子っぽい女の子じゃないのかなあ?」

P「えっ?」

昴「さっき百合子と電話した時にふと思ったんだ。百合子って女の子だよなって」

昴「下着姿で風呂から出るなんてとんでもないって考えてるし、そもそもプロデューサーの家に泊まることも、百合子は考えただけでドキドキするって言ってたんだ」

昴「それが女の子らしい女の子の考えることなのかなって」

P「……ふむ」

41 : ◆kBqQfBrAQE [saga]:2020/06/29(月) 00:40:32.62 ID:BKF9g6ND0

昴「それに、アイドルの女の子ってみんなかわいいだろ? それなのに、オレみたいなのがアイドルになって本当によかったのかなって」

昴「自分のことを「オレ」なんて呼ぶのも、オレだけだしさ」

P「昴……」

昴「へへっ、なんだろな。ほら、カイアンツ時代のオオタ・タイシがスラッガーなのに当てに行こうとしすぎて、打撃フォームが段々こじんまりしてくるような……」

P(あれはムラタが悪いというか何と言うか……)

P「自分がよく分からなくなってる、ってことか」

昴「そんな感じ。ちょっと迷走してるなーって、自分でも思うんだよな」

42 : ◆kBqQfBrAQE [saga]:2020/06/29(月) 00:40:59.99 ID:BKF9g6ND0

P「昴は、女の子らしくなるためにアイドルになったんだよな?」

昴「そうだよ」

P「昴の思う、女の子らしいアイドルってどういうのを想像してる?」

昴「それは、かわいいアイドルだよ。そういうかわいいアイドルこそ、女の子らしいアイドルだろ?」

P「昴は、可愛いアイドルになりたいの?」

昴「うーん……。それがちょっと、分かんない」

P「じゃあ質問を変えようか。昴は可愛いアイドルにはなりたくない、というワケではないんだよな?」

昴「そう、かな。……うん、そんな気がする」

P「なら、俺は昴が可愛いアイドルにも、そうじゃないアイドルにも、そのどっちにでもなれるように応援するよ」

43 : ◆kBqQfBrAQE [saga]:2020/06/29(月) 00:43:46.48 ID:BKF9g6ND0

昴「ど、どういうこと? そうじゃないアイドルって?」

P「可愛いだけが女の子らしいアイドルじゃないってことだよ。カッコいいアイドルもいるし、元気ハツラツなアイドルもいるだろ?」

昴「……あっ、本当だ」

P「だから、少しずつ答えを出していけばいいさ。昴が答えを出したアイドル像こそ、昴の魅力が一番詰まった女の子らしいアイドルだよ」

昴「!……へへ、そっか」

P「昴はカッコいいアイドルにも、元気なアイドルにも、可愛いアイドルにもなれる素質があるんだから」

昴「オレがかわいい!?」

P「何言ってんだ。めちゃくちゃ可愛いぞ」

昴「ふぇっ!?」

P「可愛いと思うところ、色々言ってこうか?」

昴「いっ、いい! いいから! 多分そんなこと言われ続けたら、ハズくてムズムズするしっ!」バタバタ

44 : ◆kBqQfBrAQE [saga]:2020/06/29(月) 00:44:17.12 ID:BKF9g6ND0

P「それに女の子っぽくないって気にしてたけど、昴はすごく女の子らしい女の子だぞ?」

昴「……そうなの?」

P「だって、昴が女の子らしくなりたいって考えてる時点で、もう女の子らしいじゃないか」

昴「なんかJ○J○っぽいな……。そういうもの?」

P「そういうもんだよ」

昴「ふうん……。よく分かんないけど、そっか」

P「俺はプロデューサーとして、昴が素敵な女の子になれるよう、全力で応援するよ」

昴「本当に?」

P「ああ、約束する」ワシャワシャ

昴「あ……。へへっ♪」

昴「家族以外に頭を撫でられたことなかったけど、何だか不思議な気分」

P「嫌だった?」

昴「ううん、嫌じゃないよ。むしろ何だろう、ホッとするっていうか……あ」

P「どうした?」

45 : ◆kBqQfBrAQE [saga]:2020/06/29(月) 00:45:10.37 ID:BKF9g6ND0

昴「もしかしたら、プロデューサーだから、かも」

P「どういうこと?」

昴「へへっ、ナイショ♪」

昴(プロデューサーだから、オレもちょっぴり幸せな気持ちになるのかな)

昴(……うん、今日ときどき胸に感じてたチクってするやつの正体、分かったかも)

昴(学校の男友達とか兄ちゃんとは違う男の人なんだよな、プロデューサーって)

昴(だから……)

昴「なあ、プロデューサー。オレがどんなアイドルになっても、一番最初にプロデューサーが見てくれる?」

P「ああ、もちろん。目一杯褒めてやるやら、任せときな」

昴(自分の一番ステキな姿をプロデューサーに見てほしい、って思っちゃうのかも)

昴(一番ステキな自分を見せたくなるような、そんな人)

46 : ◆kBqQfBrAQE [saga]:2020/06/29(月) 00:45:47.22 ID:BKF9g6ND0

昴(こうしてプロデューサーと同じベッドで一緒に寝てるのって、多分めちゃめちゃハズいことなんだろうな)

昴(プロデューサーのこと意識しはじめたら、なおさら)

昴(でも……なんだか不思議と落ち着くかも)

昴「プロデューサー」

P「なに?」

昴(恥ずかしい気持ち以上に、嬉しさとか心地よさとか、幸せな気持ちがいっぱいあるから、なのかな)

昴「おやすみ」ニコ

P「ああ、お休み」

_________
______
___

47 : ◆kBqQfBrAQE [saga]:2020/06/29(月) 00:46:19.63 ID:BKF9g6ND0

明け方

昴「」ムクッ

P「zzz」

ギシッ

昴「トイレ……」

テクテク

ガチャ パタン

48 : ◆kBqQfBrAQE [saga]:2020/06/29(月) 00:46:48.11 ID:BKF9g6ND0

ジャアアァァ

ガチャ パタン

昴「……」

テクテク

昴「ムニャ……ジャージ、あつい……」

ヌギヌギ パサッ

P「zzz」

ギシッ

昴「ムニャ……zzz」

P「zzz」

49 : ◆kBqQfBrAQE [saga]:2020/06/29(月) 00:47:31.08 ID:BKF9g6ND0

___
______
_________

pipipipipiyopiyopipipi

カチッ

P「う〜ん……もう6時半か」ムクッ

P「本当に晴れてるや。すごいな、天気予報って」

P「しかし、体が痛い……」

昴「zzz」

P「昴も同じベッドに寝てたおがげで、寝返りが打てなかったからかな……」

50 : ◆kBqQfBrAQE [saga]:2020/06/29(月) 00:48:29.81 ID:BKF9g6ND0

P「おーい、昴。朝だぞー、おきr」

P「」

昴「zzz」

P(見えてる……。キャミソールの片方の肩ヒモが外れてるせいで……!)

昴山「Good morning!」プルン

P(昴の右のお山が……! 頂が……!)

51 : ◆kBqQfBrAQE [saga]:2020/06/29(月) 00:49:15.99 ID:BKF9g6ND0

P「おおお、おちち、落ち着くんだ。こ、こういう時はなんか数字を唱えて」

P「3.141592653589793238462643383279……」

P「だあぁ! これもパイじゃないか!」

昴π「Buon giorno!」プルルン

P(とりあえず俺の視界から見えないようにしなきゃ。毛布を掛けて……!)

P(っていうか、なんでキャミソール姿なの? 寝る前までジャージ着てただろ?)

P(夜中に起きて、寝ぼけてジャージ脱いだのか……?)

昴「ムニャ……うう〜ん……」パチッ

P「!!」

52 : ◆kBqQfBrAQE [saga]:2020/06/29(月) 00:50:09.24 ID:BKF9g6ND0

昴「ん。……あ、おはよう、プロデューサー」

P「あ、ああ、おはよう。昴」メソラシ

昴「なあ。何でこっち見ないで、壁の方見てんだ?」

P「……昴。とりあえず、ジャージを着るか、キャミソールを正すかした方がいいと思う」

昴「へっ? どういうこと……きゃっ!?」バッ

P「」

昴「……見た?」

P「……ごめん」

53 : ◆kBqQfBrAQE [saga]:2020/06/29(月) 00:51:30.04 ID:BKF9g6ND0

昴「と、とりあえず! 顔洗ってくる!!」

P「あ、ああ」

ダダダ

『だあぁー! 流石にめっちゃハズいよー!!』

P「ベッドから起き上がれない。立てない……」

p『綺麗な桜色でしたね、旦那』ビンビン

P「別のところが起き上がってるおかげで……」

p『でも旦那、さっきの昴の『きゃっ』って叫び声、すごく可愛くなかったですかい?』ビンビン

P「はははこの愚息め、ははは」

_________
______
___

54 : ◆kBqQfBrAQE [saga]:2020/06/29(月) 00:52:41.24 ID:BKF9g6ND0

事務所 午前9時


ガチャ

P昴「「おはようございます!!」」

杏奈「あ……おはよう、ございます」

ロコ「プロデューサー、スバル! グッドモーニングです!」

瑞希「おはようございます、プロデューサー、永吉さん。……一緒に来るなんて、珍しいぞ」

P「おはよう、みんな」

55 : ◆kBqQfBrAQE [saga]:2020/06/29(月) 00:53:38.46 ID:BKF9g6ND0

昴「実はさ……」

百合子「!」シュバババ

百合子「おはようございます昴さん! プロデューサーさんっ!」ニュッ

昴「うおっ!? 百合子か、おはよう。でもびっくりした〜」

百合子「昴さん、昨日はあの後、プロデューサーさんとの間で何事もなかったですか? 気になって気になって、しばらく寝れなかったんですから!」

瑞希「プロデューサーと永吉さん、昨日は何かあったんですか?」

昴「え? ああ。昨日オレ、プロデューサーん家に泊まったんだ」

ロコ「ふむふむ、なるほど。昴はプロデューサーのお家にステイホーム……えええぇっ!?」

56 : ◆kBqQfBrAQE [saga]:2020/06/29(月) 00:54:11.80 ID:BKF9g6ND0

杏奈「プロデューサーさん……どういう、こと?」

P「実は、雨がすごくて……」カクカクシカジカ

瑞希「なるほど。横山さんたちが以前泊まったという、あれですか。……いいな、ちょっとうらやましいぞ」

ロコ「それでユリコは、スバルがプロデューサーに何もされてないか、ウォーリーしてるのですね?」

百合子「そうですっ! 雨の日の夜、一つ屋根の下に一人の少女と、獣と化した男が一人……! 何も起こらないはずがなく……!」

P「おー? 人を獣やオオカミ扱いする悪い子はここかー?」ムニー

百合子「い、いふぁいいふぁい!」

杏奈「百合子さん……えっち」

百合子「わ、私はえっちじゃないってばあ!」///

57 : ◆kBqQfBrAQE [saga]:2020/06/29(月) 00:55:26.57 ID:BKF9g6ND0

瑞希「ところで、お二人は昨晩、どのように過ごされたのですか?」

P「どのようにって、いたって普通だよな、昴?」

昴「うん。野球見ながらご飯食べて、お風呂入って、おしゃべりして寝たくらいだぜ?」

昴「そうそう! オレ、プロデューサーのおかげで女を知ったんだよ!」

百合子ロコ杏奈瑞希「」

P「」

58 : ◆kBqQfBrAQE [saga]:2020/06/29(月) 00:56:03.73 ID:BKF9g6ND0

百合子「お、おお、女を知った!?」

P「ちょっと待て! その言葉は基本的に男が主語だぞ!?」

瑞希「ということは、プロデューサーが昴さんの味を知った、と。……わお」

P「だから違うからな!?」

昴「それに、一緒に寝たときにオレのことかわいいって褒めてくれたり、頭も撫でてくれたりしてくれてさ」テレテレ

P百合子「」

杏奈「……事後、かな」

P「」

ロコ「プロデューサーの、えっと……スケコマシ!」

P「」

59 : ◆kBqQfBrAQE [saga]:2020/06/29(月) 00:56:47.27 ID:BKF9g6ND0

昴「あれ? みんなどうしたんだ?」キョトン

百合子「昴さん! 本当に大丈夫ですよね!? 昨日もお風呂上がりにキャミソールと下着一枚で過ごそうとしてたって言ってましたし!」

昴「へ? うん、大丈夫だって。プロデューサーからも注意されて、あの後ちゃんとジャージ着て過ごしてたから! 明け方ちょっと暑いから脱いじゃったけど、それで……」

昴「あ」ボフン

ロコ「スバル? どうしましたか?」

瑞希「いったい何が……ドキドキ」

昴「ええっと、その……」///

昴「だあぁー! 今朝のヤツは無理ー!!」ダダダ

60 : ◆kBqQfBrAQE [saga]:2020/06/29(月) 00:57:23.16 ID:BKF9g6ND0

ロコ「スバル!? エスケープしないでくださいー!」

百合子「こうなったら、プロデューサーさんを問い詰めて! ……あれ?」

瑞希「プロデューサー、生きてますか? ……おーい」

P「」

杏奈「へんじがない、ただのしかばねのようだ」

P「」

61 : ◆kBqQfBrAQE [saga]:2020/06/29(月) 00:58:55.67 ID:BKF9g6ND0

その後、しばらく昴の態度がちょっとよそよそしくなってその度にプロデューサーが悶えたり、百合子が昴に「フランス書院」のことを再び問われ、プロデューサーを涙目でポコポコ叩いたり、やたらとキャミソールを着るアイドルが増えたり、何かにつけて家に帰れない口実を作って、プロデューサーの家に泊まろうと画策したアイドルがまたまた続出したのは、こりゃまた別の話。


おわり

62 : ◆kBqQfBrAQE [sage]:2020/06/29(月) 01:01:58.14 ID:BKF9g6ND0
すばるんかわいいよすばるん。昴のような妹のいる人生を送りたかったです。

ミリオン女学園の昴は私個人的に好きです。
63 : ◆kBqQfBrAQE [sage]:2020/06/29(月) 01:02:39.27 ID:BKF9g6ND0
ミリシタも3周年ですね。おめでとうございます。
64 : ◆kBqQfBrAQE [sage]:2020/06/29(月) 01:05:00.97 ID:BKF9g6ND0
あと、華〇のお父さんは、贔屓球団が試合に負けてる途中、「他所のチャンネルだと勝ってる試合を流してるかもしれないから」とチャンネルを変えていた、というエピソードでした。間違えて覚えてました、すみません。
65 : ◆NdBxVzEDf6 [sage]:2020/06/29(月) 01:05:17.78 ID:PHYVMz9B0

>>2
永吉昴(15) Da/Fa
http://i.imgur.com/tiCcqz9.jpg
http://i.imgur.com/ulQROvf.png

>>3
音無小鳥(2X) Ex
http://i.imgur.com/3BkZKTj.jpg
http://i.imgur.com/ElSKgHB.jpg

>>8
七尾百合子(15) Vi/Pr
http://i.imgur.com/PEtB5Wh.png
http://i.imgur.com/Jj9SzYq.png

>>54
望月杏奈(14) Vo/An
http://i.imgur.com/uU3MMiF.jpg
http://i.imgur.com/qpyaPQy.png

ロコ(15) Vi/Fa
http://i.imgur.com/4OFwEhI.jpg
http://i.imgur.com/WKRAylQ.png

真壁瑞希(17) Da/Fa
http://i.imgur.com/GVehLRx.png
http://i.imgur.com/Y9y6T06.jpg

ミリ女私も好きだわ
http://i.imgur.com/sQqD22q.jpg
乙です
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/06/29(月) 01:29:26.92 ID:frybGgqMo
お久しぶりやな、おつおつ
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/06/29(月) 02:21:30.65 ID:sWZ0oDxDO


すばるっぱい…………うっ
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