【シャニマス】ティモンディ・高岸「放課後クライマックスガールズ……?」

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15 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/21(月) 22:44:06.90 ID:YEt9xaEJO

〜後日・283プロダクション・事務所〜



高岸「おはようございます!」ガチャリ

天井「遅い」

智代子「──あっ!」

智代子(オレンジの人だ!)

高岸「君は、あのときの!」

智代子「はい! 園田智代子です!」ニコッ

高岸「うん! いい笑顔だ!」

智代子「あの、社長さんに聞いたんですけど、私のプロデューサーさんって……」

高岸「はい! 僕が、君たちの監督です!」

智代子「やっぱりそうなんですね! って、君、たち……?」
16 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/21(月) 22:46:06.18 ID:YEt9xaEJO

高岸「これから選手を集めて、放課後クライマックスガールズ、というチームを、作ります!」

智代子「えぇー! ユニットってことですよね? 私、上手くやっていけるかな……」

高岸「大丈夫! やれば、できる!」ニコッ

智代子「……はいっ! 頑張ります!」



天井「ふっ。やはり、私の目に狂いはなかったな。期待しているぞ、高岸……」ニヤリ


<初のオーディション編・終わり>

17 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/21(月) 22:47:21.04 ID:YEt9xaEJO

一旦切ります!書き溜めたあと、また投稿します
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/21(月) 23:02:40.65 ID:HdwnAr8p0
全文脳内再生不可避
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/22(火) 12:37:23.42 ID:H2stklFso
おつ
きたい
20 : ◆60viGNJ69k [saga]:2020/09/22(火) 20:22:31.77 ID:mstnRffsO
レスありがとうございます!励みになります
第二編あげていきます
21 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/22(火) 20:24:02.34 ID:mstnRffsO

<高岸・初めてのスカウト編>


〜283プロダクション・社長室〜


高岸「おはようございます!」ガチャリ

天井「来たか。とりあえず座れ」

高岸「アイヤァ〜ッ!」ザザッ

天井「床に体育座りをするな」

高岸「すみません! つい条件反射で、やっちゃいました!」

天井「まったく……」
22 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/22(火) 20:26:26.59 ID:mstnRffsO

天井「さて、今日は放課後クライマックスガールズ、愛称・放クラの残りのメンバーを探しに行ってもらう」

高岸「探す……つまり、スカウトですね!」

天井「ふむ……お前とちゃんと意思疎通が取れたのは、これが初めてだな」

高岸「では早速、全国の野球部を回って、練習を見てきます!」ダッ

天井「待て」

天井「私の思い違いだったか」ガックシ

高岸「すみません! ご指導、お願いします!」

天井「街中を歩き、ティンときた女の子達に声をかけるんだ」

天井「最初は慣れないだろうが、回数を重ねるうちに女の子の集まる場所や時間帯を覚えて、中にはスカウトを受けてくれる子も出てくるだろう」

天井「物は試しだ、とりあえず行ってこい」

高岸「さすが、社長! チャレンジこそ、成功への架け橋ですもんね!」

天井「ふん……さっさと行け」フイ

高岸「分かりました!」ダッ
23 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/22(火) 20:30:45.06 ID:mstnRffsO

〜283プロダクション・事務所〜


智代子「……なるほど。スカウトですか」

智代子「良いなぁ〜……! 私も1回はそういうの、経験したかったなぁ〜」

高岸「じゃあ、一緒に行きましょう!」ニコッ

智代子「あ〜……えっと、違うんですっ!」

智代子「する方じゃなくて、される方が良いなぁ、って意味でした。えへへ」

高岸「そうでしたか」

智代子「でも、行ってみようかなぁ。なかなか経験できないことだろうし……」

高岸「確かに、スカウトはちょっと珍しいもの、ですが!」

高岸「そんなに、すごいものでもないですよ!」

高岸「ナックルボーラーの方が、よっぽど珍しいですから!」

智代子「えっ」
24 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/22(火) 20:32:53.59 ID:mstnRffsO

智代子(ナックル……はともかくっ!)

智代子「……プロデューサーさん。もしかして、スカウトされたことあるんですか?!」ズイッ

高岸「はい! 高校のときに!」

智代子「あ、野球のほうですよね……って、アイドルより更にすごいんじゃ……?」

高岸「そんなことはありません! スカウトされることよりも、大事なことはいっぱいあるんです!」

高岸「僕は確かにスカウトされましたが、されたことよりも、それまでの努力を認められたことの方が、何億倍も嬉しかった!」パァァ

智代子(大事なこと……それまでの努力……)

智代子「……」

智代子「すみません、プロデューサーさん」

高岸「はい!」

智代子「私、レッスンしながら待ってることにしますっ!」

智代子「これから来る仲間に、カッコ悪いところは見せたくないですから!」

高岸「その意気です! お互い、ベストを尽くしましょう!」ニコッ
25 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/22(火) 20:34:07.85 ID:mstnRffsO

〜都内・某所〜


樹里「……」

高岸「ハッ……ハッ……!」ダダダッ

26 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/22(火) 20:34:53.06 ID:mstnRffsO

樹里「……」

高岸「……ハッ……ハッ……!」ダダダッ

樹里「……」

27 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/22(火) 20:35:48.20 ID:mstnRffsO

高岸「ハッ……ハッ……!」ダダダッ

樹里「……っ」

樹里「──お、おいっ!」

28 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/22(火) 20:36:44.00 ID:mstnRffsO

高岸「はい! どうかしましたか?」クルッ

樹里「どうかしましたか? じゃねぇよ!」

樹里「同じ奴が自分を3回も追い抜いて行ったら、普通はおかしいと思うだろ……っ!」

29 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/22(火) 20:37:48.66 ID:mstnRffsO

樹里「アンタ、ここで何やってんだよ?」

高岸「トレーニングです! スカウトがてら、ランニングをして鍛えていました!」

樹里「へ、へぇ〜。すげー足はえーんだな、アンタ……」

樹里「──じゃなくてっ!」

樹里「ス、スカウト? アンタが?」

高岸「はい! 名刺を、どうぞ!」スッ

樹里「ど、どうも……」

樹里「高岸宏行……283プロダクション・プロデューサー……」

樹里(どうやら本物みてーだけど……)

30 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/22(火) 20:39:08.26 ID:mstnRffsO

樹里「なんでオレンジのTシャツとハーフパンツなんだ?」

樹里「プロデューサーってこう、スーツでビシッと決めてるもんなんじゃねーの?」

高岸「今すぐ、野球がしたくなったとき、スーツではできません!」

高岸「だから、いつでもどこでも、できるようなスタイルを、心がけています!」

樹里「……」

樹里「……ホントはカッチリした格好が苦手なんだろ?」

高岸「あ! バレちゃいましたか? あははっ!」ニコニコ

樹里(変だけど、悪いヤツじゃなさそーだな)

樹里「……アタシも苦手だからさ、ネクタイとか」

樹里「なんとなく分かるよ」

高岸「気が合いますね!」

31 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/22(火) 20:41:39.90 ID:mstnRffsO

高岸「……そうだ! あなた、うちの選手に……アイドルになってみませんか?」

樹里「ア、アイドル……!?」

高岸「はい!」ニコッ

樹里「……テメー、やっぱりこれ、手の込んだイタズラだったんだな?」

樹里「アタシみたいなのがアイドルに向いてるって、本気で思ってる奴がいるわけねーだろ!」

高岸「ここにいます!」

樹里「ふざけんなっ!」

高岸「ふざけてない! 僕の、目を、見て! ほら!」キラキラ

樹里「うっ……」

樹里(すっげーつぶらな瞳じゃねーか!)

32 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/22(火) 20:44:11.75 ID:mstnRffsO

高岸「あなたのような、金髪でカッコいいアイドルは、新しい!」

樹里「……今までそういう奴がいても、失敗してただけだろ」

高岸「もしそうだとしても、そんなの、関係ありません!」

樹里「……!」

高岸「挑戦しないことこそ、失敗なんです!」

高岸「新しいことをする人は、いつだって偉大な冒険者だ!」

高岸「だから、ワクワクすることがあったら、何も考えず飛び込んで、楽しんでしまえばいいんです!」

樹里「……」

樹里(なんかよく分かんねーヤツ……だけど、説得力がある……)

樹里(新しい……ワクワクすること……か)

樹里「……良いじゃねーか」

33 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/22(火) 20:45:56.27 ID:mstnRffsO

高岸「スカウト、受けてくれるんですか?」

樹里「──その前に、アタシと勝負しろ」

高岸「!」

樹里「あそこの横断歩道の前まで走って、アンタが先に着いたらスカウト受けてやるよ」

樹里「こう見えて、運動には自信があるんだ」

樹里(これはただの強がり……と、アンタの本気を試したいって気持ち……)

樹里(受けてくれるか……?)

高岸「もちろん、受けて立ちましょう!」

樹里「……」

高岸「どうしました?」

樹里「……何でもねーよ! じゃあ行くぜ!」

高岸「はい!」

樹里「よーい……ドン!」ダッ

34 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/22(火) 20:47:49.66 ID:mstnRffsO

樹里「はぁっ、はぁっ……」

樹里「やっぱ、はえーな、アンタ……」

高岸「この時のために、鍛えてきましたから!」ニコニコ

樹里「……約束だ。アイドルになるよ」

高岸「良いんですか? えーと……」

樹里「西城樹里だ。樹里って呼べよ」

高岸「分かりました! 樹里さん!」

樹里「ちゃんとアタシを、アイドルらしくしてみせろよ」

樹里「……プロデューサー」

高岸「はい! 任せてください!」

高岸「やれば、できる!」パァァ

樹里「……へへ、何だよそれ」

35 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/22(火) 20:49:23.49 ID:mstnRffsO

〜283プロダクション・社長室〜


天井「……どうやら、初スカウトは上手くいったようだな」

高岸「はい! とても楽しい体験でした!」

天井「ふん……お前のそういう部分は、強みに違いないな」

天井「さて、放クラは5人ユニットの予定だ」

天井「あと、3人……お前の手で探してきてもらうぞ」

高岸「はい!」

天井「──と、言いたいところだが。実は一人、当てがある」

高岸「さすが、社長! 僕の新人戦のときの、母上のように、用意周到だ!」ニコッ

天井「……それはどういう意味だ?」

36 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/22(火) 20:51:44.36 ID:mstnRffsO

天井「まぁいい。これが彼女の書類だ」スッ

天井「ひとまず、明日は直接レッスンルームに向かえ」

天井「そこで彼女がお前の意に沿う人間か、判断するんだ」

高岸「分かりました!」

天井「ふん……」

天井(高岸……)

天井(明日こそ、お前のプロデューサーとしての資質を見せてもらおう)


<初めてのスカウト編・終わり>

37 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/22(火) 20:52:52.83 ID:mstnRffsO

第三編はまた後日になります!
よろしくお願いします
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/22(火) 21:02:34.11 ID:xD1Ah5k5o
おつ!
本当に楽しい!
39 : ◆60viGNJ69k [saga]:2020/09/24(木) 23:17:48.64 ID:8l3A8h+7O
レスありがとうございます! 嬉しいです!
第三編いきます
40 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/24(木) 23:20:10.25 ID:8l3A8h+7O

<高岸・初めての頂上決戦編>


〜283プロダクション・レッスンルーム前廊下〜


高岸「おはようございます!」パァァ

智代子「あ、プロデューサーさんっ! おはようございます」

樹里「おはよう、プロデューサー」

高岸「おや? どうしてここに?」

樹里「智代子がレッスンするって言うから、ちょっと見てみたくなってさ」

樹里「あ、見るだけな」

智代子「も〜、樹里ちゃんだってもうアイドルなんだから、今日から一緒にやろう! ねっ?」

高岸「お二人とも、仲が良いですね! 仲が良いのは、いいことだ!」
41 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/24(木) 23:21:56.09 ID:8l3A8h+7O

高岸「ちなみにいつの間に、お知り合いになったんですか?」

樹里「それは……」

樹里「昨日、あの後事務所に行っただろ? そん時に初めて会って、色々喋って……」

智代子「樹里ちゃんがスマホ苦手だって言うから、私が色々教えてあげて……」

樹里「っ……それは言わなくて良いんだよ!」

高岸「なるほど! 樹里さんに、そんな個性があったとは!」

樹里「〜〜っ……///」

智代子「ふふふ〜、樹里ちゃんってば照れちゃって〜」

樹里「あー、くそっ! もういい!」フイ

智代子「わーっ、ごめん! ちょっと言いすぎたよね……樹里ちゃん、ごめんね」

樹里「だから、もういいっての……」

樹里「……で、プロデューサー」

高岸「はい!」ニコニコ

樹里「もう部屋に入ってレッスンしてるアイツ……誰なんだ?」

高岸「彼女が、放クラの3人目の、選手ですよ!」

智代子「えぇーっ! なんかすごい場面に立ち会っちゃったのかな、私たち!」ワクワク

樹里「そう、かもな……」ドキドキ

高岸「では、入りましょう!」
42 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/24(木) 23:23:28.26 ID:8l3A8h+7O

夏葉「ワン、ツー、スリー、フォー!」

高岸「失礼します!」ガチャリ

智代子・樹里「失礼します」

智代子(今の……すごいステップだった……)

樹里(ダンスのキレがハンパねー……何者なんだ?)

夏葉「……ふぅ。こんな所かしらね」

高岸「あなたが、有栖川夏葉さんですね!」

高岸「いやー! すごい熱量だ! あなたはまさに、太陽だ!」

夏葉「ありがとう。アナタが私のプロデューサー?」

高岸「はい! 僕は……」

夏葉「──いい? 目指すならトップだけよ!」ビシーッ

高岸「もちろんです! 夢は大きく……」

夏葉「──世界一以外はあり得ないわ!」バンッ

智代子(あのプロデューサーさんが押されてるなんて……!)

樹里(この夏葉ってヤツ、とんでもねーな)
43 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/24(木) 23:24:59.20 ID:8l3A8h+7O

高岸「──いいえ! 夢は、もっと大きく!」ババンッ

夏葉・智代子・樹里「!」

高岸「この銀河系に、放課後クライマックスガールズの名を、轟かせること!」

高岸「それが僕の応援する、放クラの、最終目標です!」ドンッ

智代子(プロデューサーさん……!)

樹里(こっちの方が、もっととんでもねーヤツだったな)

智代子・樹里(このプロデューサー、スケールがデカすぎる……っ!)

44 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/24(木) 23:26:53.30 ID:8l3A8h+7O

夏葉「……」

高岸「どうですか? まだ足りませんか?」

夏葉「……いいえ」

夏葉「私が甘かったわね。確かに、それこそが真のトップといえる目標だわ」

智代子(あ、あれで良かったんだ……?)

高岸「はい!」ニコニコ

夏葉「良いわ。アナタのユニットに入りましょう」

高岸「ありがとうございます! それじゃあ……」

夏葉「──ただし、アナタは何もしなくて良いわ」

高岸「えっ!」

夏葉「アイドルのプロデュースなら、アナタの方が経験があるかもしれないけれど……」

夏葉「有栖川夏葉のプロデュースは、私のほうが経験が長いの。だから全部任せなさい」
45 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/24(木) 23:27:57.71 ID:8l3A8h+7O

高岸「……」

智代子「うわぁ〜……流石のプロデューサーさんも、これじゃ……」ヒソヒソ

樹里「……おい、あんま生意気言うんじゃ……」

高岸「大丈夫です」スッ

樹里「プロデューサー……?」
46 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/24(木) 23:29:27.92 ID:8l3A8h+7O

高岸「──あなたは、素晴らしい!」ニコッ

樹里「……!」

高岸「さっきの足捌き、ゴールデングラブ賞を送りたいくらいの、凄いプレーでした!」

高岸「それほどの努力が、一人でもできる! あなたはとても、忍耐強い人間だ!」

高岸「そんなあなたの活躍を、すぐそばで見られる! 僕はそれだけで十分ですよ!」ニコニコ

夏葉「よく分かってるじゃない」

夏葉「じゃあ、私にしっかりついてくるのよ。プロデューサー!」

高岸「はい!」
47 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/24(木) 23:31:17.12 ID:8l3A8h+7O

高岸「……それじゃあ、智代子さん、樹里さん!」

高岸「お二人は、夏葉さんと一緒に、レッスンを!」グッ

樹里「……あ、ああ」

智代子「プロデューサーさんは……?」

高岸「僕は、あと二人、スカウトに行ってきます!」

高岸「今度は、バッティングセンターで、探してみようかなぁ!」ブォン

樹里「そんなとこにアイドル志望がいるわけねーだろ?」

高岸「あははっ! そうかも、しれません!」
48 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/24(木) 23:32:15.54 ID:8l3A8h+7O

高岸「それでは、また!」ガチャリ

智代子「はーい……」フリフリ

智代子「行っちゃった……」

智代子(今日のプロデューサーさん、いつもと何か違ったような……?)

智代子(気のせい、だよね……)

樹里「智代子、レッスンやるんじゃねーの?」

智代子「う、うん! 夏葉さんに負けないように、私たちも頑張らないとだよね!」

樹里「おう」
49 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/24(木) 23:33:24.03 ID:8l3A8h+7O

〜283プロダクション・社長室〜


高岸「失礼します」ガチャリ

天井「お前か」

天井「……単刀直入に聞こう。有栖川夏葉はどうだ?」

高岸「はい! 太陽のような熱さと、揺るぎない自信!」

高岸「そして、守備の要である、遊撃手のような、素早い身のこなし!」

高岸「彼女がいれば、宇宙で試合をしても、きっと勝てます!」

天井「ふっ。相変わらず意味は分からないが……」

天井「その様子だと、ユニット加入が決まったようだな」

高岸「はい!」
50 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/24(木) 23:34:23.01 ID:8l3A8h+7O

天井(あの有栖川家の令嬢ですら手懐けるとはな……)

天井(高岸……お前はやはり……)

天井「ふん。残り二人のアイドルは、全面的にお前に任せるぞ。いいな?」

高岸「はい! 最高のバッテリーを、見つけ出して見せます!」

高岸「では、失礼しました!」ガチャリ



高岸「……」


<初めての頂上決戦編・終わり>
51 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/24(木) 23:35:31.23 ID:8l3A8h+7O

次編は明日になります!
よろしくお願いします
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/24(木) 23:57:06.18 ID:w/SA1BZPo
おつお
53 : ◆60viGNJ69k [saga]:2020/09/25(金) 21:36:09.74 ID:h6dCP4IfO
おつありです!
今日は二編まとめて投稿します
54 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/25(金) 21:37:54.76 ID:h6dCP4IfO

<高岸・傷心のジャスティス・オレンジ編>


〜都内・某所〜


高岸「……ハァッ、ハァッ……ッ!」タッタッ

高岸(モヤモヤして、事務所から自宅のそばまで走ってしまった……)

子供たち「待てー!かいじん・デビロード!」ワーキャー

高岸(公園で遊ぶ子供たちの声が……)

高岸(……少し、休んでから帰ろう)ベンチニスワリー

男の子「……ふっふっふ。カンネンしたらどうだ、ジャスティス・レッド」

女の子「何をー! あたしはまだまだ、戦える! ……うぐっ」

高岸(なかなかの演技力! 次世代の宝塚歌劇団だ!)

高岸(……)

高岸(……ヒーローごっこ、か)

・・・・・
55 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/25(金) 21:39:09.47 ID:h6dCP4IfO

〜高岸の回想・某大学〜


前田(相方)『高岸、キャッチボールやろうぜ』

高岸『……』

前田『高岸。キャッチボールやろう』

高岸『いや、僕は……』

前田『じゃあ、いつもの公園で』

高岸『……』
56 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/25(金) 21:40:21.55 ID:h6dCP4IfO

〜高岸の回想・某所〜


前田『……来たか』

高岸『前田が呼んだから』

前田『俺は、来ないだろなと思ってた』

高岸『……』

子どもたち『いっけー!ジャスティス・レッドー!』ワーキャー

前田『子どもが遊んでるな。ちょっと離れたとこに行くか』スタスタ

高岸『……』スタスタ…
57 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/25(金) 21:43:12.44 ID:h6dCP4IfO

前田『よし、ここでやろう。最初は15mぐらいで良いよな』

高岸『……前田』

前田『高岸、いくぞー』

高岸『──前田っ!』

前田『……』



高岸『……もういいよ』
58 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/25(金) 21:44:12.95 ID:h6dCP4IfO

高岸『わざわざ、慰めてくれなくていい』

高岸『医師にも、言われたんだ。この肘じゃ、プロはもう、諦めた方がいいって』

前田『……別に慰めるつもりじゃねーよ』

高岸『違うの?』

前田『……』

高岸『もう、どうでもよくなったんだ。ずっとプロを目指して、野球をしてきて、こんな結果……っ』

高岸『……どうせこうなるなら、あのとき、スカウトを受けておけばよかった』

高岸『今の僕は、何の価値もない、ただの人だ』

前田『……』

高岸『前田も、そう思うだろ?』

前田『……』
59 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/25(金) 21:45:01.46 ID:h6dCP4IfO

前田『──元から、ただの人だろ』

高岸『……えっ?』

前田『変わんねーよ。俺もお前も』

前田『最初から、ただひたすら野球が好きで、人よりちょっと野球が上手くて、プロに届かなかっただけの……ただの人だ』

高岸『……』

前田『だから、お前はお前だ。これからも』

高岸『……』
60 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/25(金) 21:45:42.06 ID:h6dCP4IfO

高岸『ごめん、前田』

前田『ん?』

高岸『ちょっとよく分からなかった……』

高岸『お前は前田、ってどういう意味? 僕が、前田……?!』オロオロ

前田『は、はぁ?』ガクッ

前田『お前、俺の一世一代の慰めの言葉を……!』

高岸『やっぱり慰めてくれてたのか?』

前田『……』ブォン

高岸『いってぇ!』ドゴォ
61 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/25(金) 21:47:26.71 ID:h6dCP4IfO

男児『あっ、あそこでいじめてる人がいる!』

女児『ムキムキのくせに、わるいヤツだ!』

前田『えっ? いや、ちがっ……』

女児『ぼうりょく、はんたい!』

男児『がんばれ! ジャスティス・オレンジ!』

高岸『そ、それ、僕?』

前田『……ふっ』

前田『高岸が、オレンジ……確かに! はははっ』

高岸『前田……?』
62 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/25(金) 21:51:22.04 ID:h6dCP4IfO

前田『あはは、ふふっ…………ふぅ……』

前田『──かかって来いよ、ジャスティス・オレンジ』スッ…

高岸(前田が、捕手の構えを……)

子どもたち『いけー! がんばれー!』ワーキャー

前田『……満員だな、観客席』

高岸『……』

高岸『二人とも、応援ありがとう!』

高岸『……よし。見ててね』ザッ…

高岸『前田……』グッ…

高岸『これが、僕だっ!』ビュン

・・・・・
63 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/25(金) 21:52:15.43 ID:h6dCP4IfO

〜現在・都内・某所〜


チャーン…ジョーブ…

高岸「……?」

男の子「オレンジのお兄ちゃん、大丈夫?」

高岸「……えぇっと……?」

高岸(うたた寝してたみたいだ)

男の子「お兄ちゃん、あそこの家の人だよね? いっつもオレンジの洗濯物干してる……」ユビサシ

高岸「よく知ってるね……」
64 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/25(金) 21:53:10.52 ID:h6dCP4IfO

女の子「あの……どこか痛いんですか?」

高岸「えっ?」ツー…

高岸(あっ、涙が……僕は、泣いてたのか)

高岸「大丈夫です。どこも痛くないですよ!」

女の子「本当ですか?」

男の子「カホちゃん、ボク、大人の人呼んでくるよ!」

カホ(女の子)「うん! ありがとう!」

高岸「あ、いや……」
65 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/25(金) 21:55:09.02 ID:h6dCP4IfO

高岸(どうしよう……そうだ!)ピコーン

高岸「僕はジャスティス・オレンジ! 正義の味方だから、だいじょーぶです!」ドンッ

高岸(……!)

高岸(つい勢いでやっちゃった)

子供たち「……」シーン

高岸(まずかったかな……)

カホ「……わぁーっ!」キラキラ

男の子「お兄ちゃん……ホントに大丈夫?」アタマブツケタ?

男の子「カホちゃん。もしかしたらこの人、ヘンシツシャかも」

カホ「えっ!」

高岸「──ち、違いますよ!」アセアセ
66 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/25(金) 21:56:04.72 ID:h6dCP4IfO

高岸「えーと、そうだ! 名刺をどうぞ」スッ

カホ「名刺っ! 初めてもらいましたっ!」

男の子「ボクも……なんかオトナっぽいね!」

カホ「うん! あの、高岸さんは……プロデューサー、なんですか?」

高岸「はい! 僕は、アイドルチームのプロデューサーをやってるんです!」ニコッ

カホ「アイドル?! すごいです!」

高岸「あはは。デビュー戦はもう少し、先ですけどね」
67 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/25(金) 21:56:54.53 ID:h6dCP4IfO

<ユウヤケ コヤケデ ヒガクーレーテー…


男の子「あっ……もう5時なんだ」

カホ「帰らないと……」

高岸「そうですね!」

高岸「僕も帰ります。2人も、気をつけてくださいね!」シュタッ

カホ「──あ、あの!」
68 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/25(金) 21:59:23.77 ID:h6dCP4IfO

高岸「……?」

カホ「プロデューサーのお仕事、がんばってくださいっ!」ニコッ

高岸「!」

・・・・・

子どもたち『がんばれー!』

前田『お前はお前だ。これからも』

・・・・・

智代子『私は……友達の夢を叶えるために、そういう私の夢のために、アイドルをやりたいです!』

樹里『ちゃんとアタシを、アイドルらしくしてみせろよ……プロデューサー』

・・・・・

高岸(僕は……)
69 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/25(金) 22:00:58.36 ID:h6dCP4IfO

高岸「……」

高岸「──はいっ! 頑張ります!」ニコッ

高岸「やれば、できる!」パァァ

カホ「ふふ! 行こっ!」

男の子「じゃあね!」フリフリ

高岸「バイバイ!」フリフリ

高岸「……よし! 家まで全力だ!」ダッ


<傷心のジャスティス・オレンジ編・終わり>
70 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/25(金) 22:05:11.42 ID:h6dCP4IfO

↓第5編です↓
71 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/25(金) 22:06:33.48 ID:h6dCP4IfO

<高岸・絆のリベンジマッチ編>


〜283プロダクション・レッスンルーム〜


高岸「お疲れ様です」ガチャリ

夏葉「ハッ、ハッ、ハッ!」

高岸「夏葉さん、まだ残ってレッスンしていたんですね!」

夏葉「ええ! デビュー前から手を抜いてはいられないわ!」シュタタッ

夏葉「……あの二人が手を抜いている、という意味ではないわよ」タタターン!

高岸「分かっていますよ!」

夏葉「それならいいわ! ふっ!」エクセレント!

高岸「お見事!」

夏葉「ありがとう」
72 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/25(金) 22:08:39.47 ID:h6dCP4IfO

高岸「……あなたはやはり、すごい人だ!」

高岸「タケノコのように毎日ノビて、ヒマワリのように光に向かっていく!」

高岸「そして、つきたてのお餅のように、粘り強い!」ネバーギブアップ!

高岸「……だからこそ! 心配になります!」

夏葉「……」

夏葉「アナタは、何が言いたいのかしら?」

高岸「僕はただ、応援したいだけですよ!」

高岸「でも今は……あなたのプロデューサーでもある!」
73 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/25(金) 22:10:19.35 ID:h6dCP4IfO

高岸「あなたの夢は、僕の夢だ!」

高岸「だから、あなたが夢を見られなくなったら、僕は耐えられない!」

高岸「毎日快眠してもらう責任が、僕にはある!」ドンッ

夏葉「……私が怪我をするとでも言うの?」

夏葉「自分の身体は、自分がよく分かってるわ」

夏葉「言ったでしょう? 私はもう長い間、有栖川夏葉という人間をプロデュースしているの」
74 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/25(金) 22:10:57.34 ID:h6dCP4IfO

高岸「──いいえ! 分かっていません!」

高岸「あなたの腕は、足は、もう悲鳴を上げている!」

高岸「まるで、千本ノックを受けた後に、ホラー映画を見たかのように!」ビシッ

夏葉「……!」ビクッ

夏葉「どうして、分かったの……?」

夏葉「私が、ホラーが苦手なこと……」

高岸「野球好きは、動体視力が良いんです!」パァァ
75 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/25(金) 22:11:39.50 ID:h6dCP4IfO

夏葉「……ふふ。流石ね」

夏葉「それでこそ、私のプロデューサーだわ」

高岸「ありがとうございます!」ニコニコ

夏葉「……今気づいたのだけれど、腕は重いし、足の筋肉は少し張っているわ」

夏葉「ストレッチ、手伝いなさい」

高岸「はい! もちろんです!」
76 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/25(金) 22:13:08.89 ID:h6dCP4IfO

夏葉「まさか、私が自分の体調を見誤るなんて、ね」グッグッ

夏葉「もう少し、強く押してちょうだい」

高岸「はい!」グッグッ

高岸「……きっと、プレッシャーを感じていたのでしょう」

高岸「仲間が増えることは、競争相手ができることでもありますから」

高岸「……僕の現役のときの、レギュラー争いも、かなり大変でした!」
77 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/25(金) 22:14:02.79 ID:h6dCP4IfO

高岸「だからこそ、あなたを応援してくれる人が、そばにいることが、大切だと思うんです」

夏葉「あら。それはアナタのことかしら?」

高岸「いえ! チーム283プロのみんな、ですよ!」ニコニコ

夏葉「……そう」

夏葉(それは、アナタも含まれているんじゃないかしら?)
78 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/25(金) 22:14:58.32 ID:h6dCP4IfO

夏葉「……」グッグッ

夏葉「ねえ、プロデューサー?」

高岸「はい!」

夏葉「私、銀河一のアイドルになるわよ」

高岸「はい! 見届けます!」

夏葉「……ふふ。出来っこない、とは言わないのね」

夏葉「普通なら、荒唐無稽だと笑うところでしょう」

高岸「そんなことありません!」

高岸「僕が言ったことですから!」

夏葉「そういえば、そうだったわね」

高岸「はい! それに……」
79 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/25(金) 22:16:10.44 ID:h6dCP4IfO

高岸「出来ないから荒唐無稽なのではなく、挑戦しない理由づけに、バカバカしいと笑うのです!」パァァ

夏葉「……」

高岸「全力で挑戦し、ベストを尽くして、それでも出来なかったら、その時あなたはきっと……」

高岸「荒唐無稽だったな、と笑えるでしょう」

高岸「真夏の練習のあとに、シャワーで汗を流した時のような、清々しい笑顔でね!」ニコニコ

夏葉「……!」

夏葉(どうしてかしらね……)

夏葉(プロデューサーの言葉を聞くと、私の中の闘志にまた火がついたように感じられる)
80 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/25(金) 22:17:55.90 ID:h6dCP4IfO

高岸「言わずもがな! 僕は本気で、宇宙で試合をしてみたいと、思っていますが!」ニコッ

夏葉「……そうね」

夏葉「私もよ、プロデューサー」

夏葉「宇宙の果てまで、しっかりついて来なさい!」ビシッ

高岸「もちろんです!」

高岸「やれば、できる!」パァァ


<絆のリベンジマッチ編・終わり>
81 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/25(金) 22:20:17.52 ID:h6dCP4IfO

次編はまた後日になります
よろしくお願いします!
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/25(金) 22:27:23.60 ID:le7c1y2Eo
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/25(金) 22:29:05.57 ID:Zodp5AGEo
おつおつ
あと二人はどうスカウトするんかなぁー楽しみ
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/09/26(土) 06:29:36.82 ID:o5XFooIl0
おつ
高岸しか知らないけど面白い
85 : ◆60viGNJ69k [saga]:2020/09/28(月) 20:53:12.59 ID:USaHMgWRO
いつも応援レス、ありがとうございます
励みになってます!
このスレがきっかけになって、高岸も放クラも(あと前田も)知ってもらえたら嬉しいです!

今日は幕間の5.5話と6話になります
86 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/28(月) 20:54:38.31 ID:USaHMgWRO

<幕間・智代子と朝のランニング編>


〜283プロダクション・事務所そば〜


高岸(昨日の晩、智代子さんから「朝のランニングに付き合って欲しい」と、電話がありましたが……)

智代子「……プロデューサーさーん!」タッタッ

高岸「あ、智代子さん! おはようございます」

智代子「おはようございますっ!」

高岸「ジャージ姿も、似合っていますね!」

智代子「あはは、ありがとうございます。これって喜んでも良いのかなぁ……」

智代子「プロデューサーさんはいつもスポーツウェアだから、違和感がありませんね」

高岸「はい! いつでも野球ができる、この格好が、僕のユニフォームです!」オレンジ!

智代子「ふふっ」ニコニコ
87 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/28(月) 20:55:27.72 ID:USaHMgWRO

智代子「それで、ランニングなんですけど……」

高岸「はい! 智代子さんの好きに走ってください! 追いかけますから」

智代子「あ、ありがとうございます。私、たぶんペース遅いので、助かります」

智代子「……」

高岸「どうしましたか?」
88 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/28(月) 20:58:23.06 ID:USaHMgWRO

智代子「……あの、聞きたいことがありましてっ」

高岸「どうぞ!」

智代子「どうして急にランニング……って思いませんでしたか?」

高岸「思いません!」

高岸「誰でも、思い立った瞬間に、スタートを切っていいんですから!」

高岸「それに……なんとなく、智代子さんの気持ちが分かるんです!」

高岸「夏葉さんの姿を見て、自分も頑張りたいと、そう思ったんですよね?」

智代子「……やっぱり、分かっちゃうんですね。すごいなぁ」

高岸「監督ですから! ちゃんと見ているつもりですよ!」

智代子「ふふっ。それはそれで、照れちゃいますね」
89 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/28(月) 20:59:18.65 ID:USaHMgWRO

智代子「……私、この間のレッスンで痛感しました」

智代子「夏葉ちゃんも、樹里ちゃんも、私より体力もセンスもある」

智代子「同じユニットでも、最初から大きな差をつけられちゃってる」

智代子「それで、私も負けたくない! って思ったんです」

高岸「そう思って実行に移せるのは、素晴らしいことだと思います!」

智代子「えへへ。ありがとうございます」

智代子「それで、その……」

智代子「プロデューサーさんは、大丈夫ですか?」

高岸「……?」

智代子「この前夏葉ちゃんを勧誘したとき、なんか変な感じだったなーって……」

智代子「あー、でも! 特に何もなければ良いんですけどっ!」
90 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/28(月) 21:00:08.00 ID:USaHMgWRO

高岸「……智代子さんは、僕のことを、よく見てくれているんですね!」

智代子「いえ、そんなこと……」

高岸「あの時は、自分を見失いそうに、なってしまいましたが……」

高岸「僕はもう、大丈夫です! 応援の大切さ、しっかり思い出せましたから!」パァァ

智代子「ふふ、それなら良かったです」

智代子「えっと……今日は、ホントはこの話をしたかっただけで……」

智代子「ランニングはついでといいますか……」テレテレ

高岸「そうでしたか!」ニコッ
91 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/28(月) 21:02:01.92 ID:USaHMgWRO

高岸「智代子さんの気持ち、しっかり、受け止めましたよ!」

高岸「大丈夫! 僕たちなら、やれば、できる!」パァァ

智代子「ふふっ! それじゃあとことん、やりますよー!」

智代子「プロデューサーさん! 一緒にランニング、お願いしますねっ!」タッタッ

高岸「はいっ!」

高岸「イッチッサッシィーッ!!」タッタッ

智代子「あははっ。もう、何ですかそれー!」


<智代子と朝のランニング編・終わり>
92 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/28(月) 21:02:37.40 ID:USaHMgWRO

↓第6話です!↓
93 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/28(月) 21:03:56.78 ID:USaHMgWRO

<高岸とめぐりあわせの糸・前編>


〜某日・283プロダクション・事務所〜


智代子・樹里・夏葉「買い出しジャンケン」

三人「じゃーん、けーん」

三人「ぽんっ!」チョキ! パー! チョキ!

樹里「だーっ! 負けた!」

夏葉「樹里、アナタ本当にジャンケンが弱いわね……」

智代子「あ、あはは。こっちが申し訳なくなっちゃうよね……」

樹里「くっ……!」

高岸「買い出しなら、僕が行きますよ?」

樹里「──いいんだよ、アタシが負けたんだから」
94 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/28(月) 21:05:36.16 ID:USaHMgWRO

樹里「それに、プロデューサーはもっとやるべきことがあんだろ?」

高岸「……! そうでした!」

高岸「選手がいなければ、試合は出来ない!」

智代子「5人揃わないとデビューできない……私たちは永遠にレッスンし続けることに……」フルフル

樹里「こえー想像をするんじゃねーよ……」

夏葉「ふふ。デビューまで二人を完璧に鍛えてあげるわ!」

智代子「言わなきゃ良かった〜……」

高岸「あはは! 日々の練習も大事ですからね!」
95 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/28(月) 21:06:29.14 ID:USaHMgWRO

高岸「では! 樹里さん、智代子さん、夏葉さん、レッスン頑張ってくださいね!」ニコッ

樹里「おう」

智代子「はいっ!」

夏葉「任せなさい」

高岸「では早速、スカウト行って来ます!」ガチャリ

四人「いってらっしゃーい!」フリフリ

樹里「じゃあ、アタシも」

はづき「領収書、忘れないでくださいねー!」

樹里「はーい」ガチャリ
96 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/28(月) 21:07:16.40 ID:USaHMgWRO

〜都内・某所〜


樹里「んーと……スポーツドリンク、ゼリー……グミ……」

樹里「こんなもんでいっか。あんま余計なモン買うと(智代子が食べまくって)夏葉に怒られそうだし……」

樹里「……これ、お願いします。あと、領収書ももらえますか?」
97 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/28(月) 21:07:57.39 ID:USaHMgWRO

ウィーン


店員「ありがとうございましたー」

樹里「よしっ。さっさと事務所に戻らない……と……」

犬「……」ジーッ

樹里(い、犬っ? さっきは居なかったのに)

樹里「な、なんだよ」

犬「わんっ!」

樹里「わっ! 急に吠えんじゃねー!」

犬「……」オスワリ

犬「ハッハッ……」シッポフリフリ

樹里「……なかなか賢いな、お前……」
98 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/28(月) 21:08:39.71 ID:USaHMgWRO

樹里「よ、よし。そのまま、そのまま……」アトズサリー

犬「……」テクテク

樹里「なっ……! なんでついてくんだよ!」

犬「わんっ!」

樹里「ひゃっ……! ぅわあああぁぁぁぁ!」ダッ
99 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/28(月) 21:10:17.48 ID:USaHMgWRO

・・・・・


凛世「……」テクテク

凛世「赤……赤……あっ……」

凛世「郵便ポストは……ここにございましたか」

凛世「……」トスッ

凛世「山藤は 根元を離れて 頼りなし」

凛世(「根元」は、ルーツ……「頼り」は、便り……)

凛世(……ふふ)クスッ

凛世(我ながら……凡庸な言葉遊び……)




凛世(……姉様)

凛世(凛世は、何故この街に参ったのか……それすら……)

100 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/28(月) 21:11:02.61 ID:USaHMgWRO

<なっ なんでついてくんだよ!


凛世「……?」

犬「わんっ!」

樹里「……こっちにくんなぁーっ!」ダダダッ

犬「わんわんっ!」

樹里「ひっ!」バッ

凛世「……あ、あの……」

凛世「凛世の後ろに隠れられては……その……」オロオロ

樹里「──悪い! 誰か知らないけど、この犬、頼む!」ダッ

凛世「……!」

樹里「ごめんな!」
101 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/28(月) 21:11:33.64 ID:USaHMgWRO

凛世(行ってしまわれました……)

凛世「……」

犬「……」ジーッ

凛世「……」ジーッ

凛世(湧き水のように……澄んだ目……)
102 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/28(月) 21:12:37.31 ID:USaHMgWRO

犬「わんっ」

凛世「きゃっ……」ビクッ

犬「ハッハッ……」シッポフリフリ

凛世「……!」

凛世(撫でて、と……聞こえた気がいたしました……)

凛世「ふふ……」

凛世「初めてなのでございます……犬と触れ合うのは……」

凛世「……」ナデナデ

犬「……」ペロ

凛世「ふふっ」
103 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/28(月) 21:13:33.72 ID:USaHMgWRO

凛世「そういえば……貴方の、お名前は……」

犬「ハッハッ……」キラッ

凛世(あ……首輪に、なにか……)


『マメ丸』


凛世「マメ丸さんというのですね……」

マメ丸「わんっ!」

凛世「互いに、親元を離れ一人旅……」

凛世「これもきっと……縁というもの……」

凛世「貴方の主……探しに参りましょうか」

マメ丸「わんっ!」ダッ

凛世「あっ……! マメ丸さん……!」
104 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/28(月) 21:14:23.37 ID:USaHMgWRO

凛世「お待ちくだ──」


ブチッ


凛世「きゃっ……」バタッ

凛世(下駄の、鼻緒が……)

凛世(マメ丸さん……もう、あれほど遠くに……)

凛世(……また、独り……)ショボン

凛世(凛世は……)

凛世(枯れてしまいそうです……)ウルウル
105 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/28(月) 21:15:46.36 ID:USaHMgWRO

高岸「ハッ、ハッ……」タッタッ

高岸「──おや? 大丈夫ですか?!」

凛世「……?」ビクッ

凛世「凛世の、ことで……ございましょうか……?」

高岸「はい! もしかして……」

高岸「観戦チケットをなくしてしまいましたか?」

高岸「すみません。今日は僕も、チケットは持ち合わせてなくて……」

凛世「いえ……その……」
106 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/28(月) 21:16:46.57 ID:USaHMgWRO

高岸「……!」

高岸「これは、あまり見たことがない靴ですね!」

高岸「裏には、大きなスパイク……どんなスポーツで使うんですか?」

凛世「えっと……日本舞踊……で、ございましょうか?」

高岸「……? 何やらカッコいい響きですね! 魔球の名前みたいだ!」
107 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/28(月) 21:18:23.48 ID:USaHMgWRO

高岸「とりあえず、このままでは歩けませんし……」

高岸「僕にはこの靴は直せませんが、直せるかもしれない人を、知っています!」

高岸「だから、任せてください!」ガバッ

凛世「ひゃっ……!」

高岸「行きますよ! しっかり掴まっていてください!」ダダダッ

凛世(この殿方は……)グッ

凛世(……)

凛世(凛世は、いずこへ……?)


<高岸とめぐりあわせの糸・前編・終わり>
108 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/28(月) 21:19:17.44 ID:USaHMgWRO

次回は明日です!
よろしくお願いします
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/28(月) 21:20:26.16 ID:uoGI6tKlo
おつおつ
本当に喋ってるの再生されるわ上手い
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/29(火) 00:03:01.62 ID:VSVxxYHTo
乙乙
111 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/29(火) 21:26:34.19 ID:hDQB5pcgO

乙ありです!
今日は7話になります
112 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/29(火) 21:31:02.89 ID:hDQB5pcgO

<高岸とめぐりあわせの糸・中編>


〜283プロダクション・事務所〜


樹里「はぁっ……はぁ……」ガチャリ

夏葉「おかえりなさい」

智代子「おかえり〜」

夏葉「って、あら? そんなに息を切らして、どうしたのかしら?」

樹里「ちょっと……走ってきた……」ハァハァ

夏葉「樹里、あなた……」

夏葉「レッスン前からそんなに気合い入ってるなんて、流石だわ!」

樹里「……そんなんじゃねーよ!」

智代子「樹里ちゃん。それで、後ろのお客さんはどうしたの……?」

樹里「後ろ? ……おわっ!」ビクッ

マメ丸「わんっ!」
113 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/29(火) 21:32:10.17 ID:hDQB5pcgO

樹里「なっ、なんでコイツがここにっ?!」バッ

夏葉(私を盾に……?)

智代子「樹里ちゃん、もしかして犬が苦手なの?」

樹里「ちっ、ちげーよ! 急に吠えてくるからビックリしただけだ!」

智代子「そうなんだ〜。ふふふ」クスクス

樹里「智代子っ!」

夏葉「とりあえず、顔見知りではあるみたいね」

樹里「……まぁ、な……」

智代子「階段も頑張って登ってきたんだね〜えらいえらい」ナデナデ

智代子「って、廊下がワンちゃんの足跡だらけだよ! 樹里ちゃん!」

はづき「あ〜……私が掃除しておきますね〜」

樹里「すみません……」

夏葉「脚、拭いてあげるわね」

マメ丸「わんっ」シッポフリフリ
114 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/29(火) 21:33:00.91 ID:hDQB5pcgO

・・・・・


高岸「ただいま戻りました!」ガチャリ

樹里「随分はえーな、って……」

樹里「アンタ、さっきの……」ボソリ

智代子「お、お姫様抱っこ?!」キャー

高岸「すみません、ずっと抱えたままで……よいしょっ、と」

凛世「いえ……」

夏葉「プロデューサー。その人は、どうしたのかしら?」
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