あなた「空の女王」

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1 : ◆3m7fPOKMbo :2020/11/29(日) 17:35:49.92 ID:r/r3W2ps0
*ラブライブ!ss総合スレより移動してきました
*アニメに出てきそうな人もいますがスクスタ時空です。なのでμ’sもAqoursもいる時空です。


あなた「はは………」

あなた「ははっ……はははっ……」

あなた(失われたものが、多すぎる)

あなた「………二か月、何してたんだろ……」

あなた「なんて無駄な時間を……過ごしてしまったんだろ…」

あなた(めちゃくちゃだ)

あなた「愛ちゃん」

あなた(愛をなくした胸は空っぽだ)

あなた「果林さん」

あなた(甘い果実が実り続けた林は切り倒されて荒れ地だけ)

あなた「栞子ちゃん…」

あなた(栞をどこに挟んだのか分からない、子供のように怯えながらページをめくっても悪夢しか書いてない)

あなた「…しずくちゃんまで」

あなた(しずくのように零れ落ちていくのは、涙じゃなくて、心を埋めた世界のカケラが桜より儚く落ちていく)

あなた「……」

あなた「なんで涙が出ないんだろ」

あなた「ああ、そうか」

あなた「取られたんなら」

あなた「取り返せばいい」

あなた「取り返すんだ」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1606638949
2 : ◆3m7fPOKMbo :2020/11/29(日) 17:37:16.22 ID:r/r3W2ps0
あなた「かすみちゃんの為に」

あなた(この世界を覆いつくした悪魔のような霞をすべて切り裂いてきたんだ)

あなた「せつ菜ちゃんの為に」

あなた(永遠より長い時間から切り取られたこの刹那の時間を輝かせてきた)

あなた「エマさんの為に」

あなた(世界を輝きという名の緑色の木々で埋め尽くすために頑張ってきたんだ)

あなた「彼方さんの為に」

あなた(近くから遥か遠く世界の彼方まで、未来の欠片を探し続けてきたんだ)

あなた「璃奈ちゃんの為に」

あなた(この瑠璃色の星で一番輝いた欠片を、天上の王様にだって横取りさせないで、手にしようとして)

あなた「歩夢ちゃんの為に…」

あなた(夢を掲げて歩き続けてきてた…そこから逃げたのはわたしの罪)

あなた(ごきげんよう、空の女王様。よくも私の大切な世界のカケラを滅茶苦茶にしてくれました)

あなた(御礼に)

あなた(あなたの世界の全てごと―――――――――その心を爆殺して差し上げましょう)

あなた(彼女はキラークイーン)

あなた(空の女王様の、心臓を一突きにしてやるさ)
3 : ◆3m7fPOKMbo [sage]:2020/11/29(日) 17:37:46.31 ID:r/r3W2ps0

『人工無能、奇跡を起こす方法は?』
『回答、奇跡と同等かそれ以上の代価を支払う事』
『人工無能、奇跡同然の災厄を起こす方法は?』
『回答……』

『代価なんかなくたって指先一つで出来ますよ』

1/天使のような悪魔


空き教室にて

あなた「……ランジュのライブを見てきた」

エマ「………」

かすみ「そうですか」

あなた「話はあるけど、今じゃない。悪いけど、このロッカーに隠れてて、二人とも」

かすみ「へ?」

エマ「え?」

エマ&かすみロッカーin

あなた「いいって言うまで出てきちゃダメだから」

あなた「……さて、そろそろかな」

かすみ(この中暑い…)

エマ(それにしても何を…)

ガチャっ

せつ菜「……」

彼方「……ふわ」

璃奈「…璃奈ちゃんボード『困惑』」

あなた「ごめんね。かすみちゃんがいないときに話しておきたかったから」

かすみ(…先輩、何を?)

エマ(様子を見よう)

彼方「…うん」
4 : ◆3m7fPOKMbo [sage]:2020/11/29(日) 17:38:37.24 ID:r/r3W2ps0
あなた「正直ね……プロの指導が受けられればレベルアップになる。果林さんがそう思うのはおかしくない」

せつ菜「それは…そうかも知れませんが…」

エマ(…!)

かすみ(どうどう)

あなた「実際、私たちが自主的にやるより上達も速いと思う。しずくちゃんが受けてみたいと思うのだって無理もないし…」

彼方「…やりたいようにやるのがいい、とは思うけど」

あなた「環境とか、指導方法とか、そういう面で見れば…部に行く方がメリットはある。ただ…」

せつ菜「…ただ?」

あなた「監視委員なんかを置いて、他の活動を制限しようとするのは良くない事だと思う。あれ、スクールアイドル同好会だけじゃなくて、いろんな部活にも目を光らせて色々してるみたい」

彼方「ああ、確かに。いろいろな部活でもめてるみたいだね…」

あなた「それで部活を辞めさせられた人、私の周りにもいるからねぇ…」

あなた「それに、バックダンサーはねぇ……確かにレベルアップにつながるだろうとしても、胸を張ってそっちの方がいいって首を縦に振れないんだよねぇ……」

彼方「まあ、どんなペースでやっていきたいかって事だよね」

あなた「うん。果林さんやしずくちゃんはそういった面を天秤にかけたんだと思う。勧誘に来たのだって、良いところもあるって言いたかったんだろうし、しずくちゃんも試してみたいって思ったんだと思う。だから、裏切ったとは思ってないし、裏切り、なんてことはないと思う」

あなた「…つまり、そういう事だよ、かすみちゃん、エマさん」

かすみ「うっ…」ガチャリ

せつ菜「いたの!?」

彼方「…せつ菜ちゃん声でかい…」

あなた「だから、皆も色々考えた方がいいかも…」

かすみ「けど」

あなた「かすみちゃん、もう少し話そうか。みんなも引き留めてごめんね」

あなた「そうだね、辛い…私も」

彼方「…うん、じゃあね」

ガチャリ
5 : ◆3m7fPOKMbo [sage]:2020/11/29(日) 17:39:03.97 ID:r/r3W2ps0

彼方(環境が良い。部長の言うそれも、本音だ。だけど…)

彼方(言葉の奥から、底知れないものを感じてしまった。かすみちゃんだけを残した…)

せつ菜「………私、どうすればいいかわかりません」

璃奈「璃奈ちゃんボード『同感』」

エマ「私たちの元じゃ、ダメなのって思う……」

彼方(そして、何より。なぜ歩夢ちゃんをあの子はこの場に呼んでいない?)

彼方「…枕忘れた…、戻る」

彼方(……かすみちゃんと何を話すの?)

空き教室

あなた「言いたいことは二つ」

あなた「果林さん達は決して裏切ってなんかない。私たちの大切な仲間であって、戦友であってライバル…だから、レベルアップしたい。しずくちゃんはまさしくそんな理由。だから悪く言わないで」

かすみ「そ、それは……」

あなた「そしてもう一つはもう…言葉にしなくてもわかるよね?」

かすみ(あ……)

かすみ(先輩はこれまで、色々な事を乗り越えさせてくれた。そうして乗り越えてきた)

かすみ(それは胸を張って進むから。こうしたいという行動力、それはまさしく、道を切り開き続けた)

かすみ(掴むべき明るい未来へ進むために)

かすみ(だけどその未来を消されてもなお進む、それはどうなる?)

かすみ(答えはたった一つ―――――――でも、だからこそ)

かすみ(この先輩にそんな思いを抱かせた、ランジュを絶対に許さない。きっと先輩は気づいていない、先輩のどす黒い地獄のような気配、天使の顔をした悪魔の笑みに、自分自身で気づかない)

かすみ(地獄の底まで、お供をしよう)

かすみ「かすみん、何をすれば良いですか」

あなた「二つかな」

彼方(ああ、そうか。あの中に眠っている力が。あの羽織ったジャージの向こう側にあるもの、それは)

彼方(全てを厭わず進む足。そのすべてが―――――――災厄と化してしまう、その瞬間だ。私は、それを眺めるしかない。彼女自身が止まるか、或いはすべてを焼き尽くすのか)

彼方(そうだとも、頼りすぎてきたのだ。私たちは)

彼方(せめて最後まで見届けよう、私たちがいた事を残すために)

かすみ「…どこまでやりますか」

あなた「キラークイーンかな」

かすみ(その時に見たこの人の笑みを、心に焼き付けておこうと思った)

かすみ(目には目を、歯には歯を。仇には報復を。そのすべてを示してる)
6 : ◆3m7fPOKMbo [sage]:2020/11/29(日) 17:39:29.88 ID:r/r3W2ps0
翌日 空き教室

あなた「私にいい考えがある」

せつ菜「そのセリフってものすごいフラグにしか聞こえませんが」

璃奈「……璃奈ちゃんボード『同感』」

エマ「考えって…なにがあるの?」

彼方「すやぴ」

歩夢「?」

あなた「ランジュのファンクラブ設立して応援団長してくる」

せつ菜「ええええええええええええええええええええええええええ!!!!」

彼方「せつ菜ちゃんうるさい!」

歩夢「空き教室のガラスにヒビが…」

璃奈「璃奈ちゃんボード『ばたんきゅ〜』」

エマ「ああっ、璃奈ちゃんが!」

あなた「もちろん、理由はある」

あなた「一つは向こうのパフォーマンスとか、演出とかを見て、レベルアップを図るための布石にする。いわば、敵情視察」

せつ菜「なるほど、それなら…」

あなた「とはいっても、皆は皆で頑張ってほしい。だからその仕事は、私がやる。なに、ファンクラブ設立したなら映像データも入手し放題」

歩夢「た、確かに…」

せつ菜「あの……かすみさんは?」

あなた「あー…その、かすみちゃんなんだけどね。この話したら……もう烈火の如く…」

彼方「ああー……(そういう事か、いきなりそんなのしちゃうか…)」

せつ菜「既にフラグ炸裂してたぁー!!!!」

彼方「せつ菜ちゃん、だまれ」璃奈ちゃんボード縦ゴン

せつ菜「璃奈ちゃんボードたてぇっ!?」

彼方(本当に…あのランジュはなんてことをしてくれたんだって百万回言いたい)

彼方(パンドラの箱を開けてしまった)

彼方(彼女の望みは手に入らない。その手で総てを焼き尽くすから)

彼方(総てを犠牲にしてでも、彼女は手に入れたいのだ)
7 : ◆3m7fPOKMbo [sage]:2020/11/29(日) 17:40:40.36 ID:r/r3W2ps0
廊下

しずく(……あれは、かすみさん? 裏切者って言われちゃった…怒ってるよね…)

かすみ「…っ……ぅぅ…」

しずく(泣いてる…?)

かすみ「…なんで、先輩まで……私を……かすみんを裏切らないで……先輩まで、ランジュなんかになびくなんて…私…見捨てられたんだ……先輩に…」フラフラ

しずく「……え」

かすみ「もういいんだ…かすみん、かわいくないんだ……」

かすみ「ステージになんか…もう立たない」

しずく(その言葉は)

しずく(あまりにも深く突き刺さった。なぜなら、かすみさんに負けない為に)

しずく(じゃあ、そのかすみさんが舞台を降りるなんて?)

しずく(私は何のために? 私は何をしたらいい?)

かすみ「…スクールアイドル…辞めよう……」フラフラ

しずく「あ…」

しずく(声をかけなきゃ、やめないでって)

しずく(そうしなきゃ、もう後戻りできなくなる、できなくなる筈なのに)

しずく(足が、縫い留められたように動けない)

かすみ「……」スタスタ

しずく「…ぁ」ぽろぽろ

しずく「……ぅぅっ…ぁぁぁあああああああっん!!!!」ぼろぼろ

かすみ(…ごめんね、しず子)スタスタ

しずく「〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」声にならない咽び泣き
8 : ◆3m7fPOKMbo [sage]:2020/11/29(日) 17:41:07.92 ID:r/r3W2ps0
スクールアイドル部 部室前

ランジュ「…ん?」

あなた「こんにちは。一つお願いがあって…五秒で良いから」

ランジュ「五秒でも惜しいラ」スタスタ

あなた「ファンクラブの設立を認めてほしいんだけど」

ランジュ「!」ピタっ

ランジュ「本当? でもランジュのファンクラブ、スターのファンクラブたるもの」

あなた「あなたにとって私は不要でも、私たちにとってあなたは必要」にこっ

あなた「そのあたりきっちりばっちりやるので、ご心配なく」

ランジュ「!」ドキッ

ランジュ「しょ、しょうがないわね! 認めてあげる。次のライブはこの日ここでやるから、少し外れになるけど席確保しておくから後で人数教えてね、それなら無問題ラ」

あなた「ありがとう!」パアアアッ

ランジュ「フェイスブックか何か作ったらアドレス教えて。これ、連絡先」

あなた「何から何まで…流石ランジュ様」

ランジュ「それはもちろん、私がスターだから。あ、練習しなくちゃいけないから」

あなた「うん、また。ありがとう」

ランジュ「……少しぐらい、中見ても」

あなた「レッスンの邪魔をするのはファンの鑑に反する行為なので」キリッ

ランジュ「ファンの鏡ラ…」パアアアッ

ガチャリ

あなた「ふぅ……」トテトテ

トイレ

ガチャリ

あなた「うぉぇえええええええ!!!」ビチャビチャ

あなた「反吐が出た」

あなた「さて、まずは……名簿探しかな」

あなた「わしわしMAXモードで行くとしよう」

彼方(わたし達のやりたい事の為に、天使のような最強の存在、それが彼女)

彼方(でも、最強は最凶に通ずる。そうだ、そうだとも、わたし達のやりたい事の為に不可能を可能に変え続けてきた)

彼方(そんな彼女のやりたい事をやる悪魔の所業を、誰が止められる?)

彼方(そんな権利、私たちの誰にもない。これは彼女が選んだ、唯一無二にした選択)
9 : ◆3m7fPOKMbo [sage]:2020/11/29(日) 17:42:12.02 ID:r/r3W2ps0
ランジュ「さて、今日も張り切ってレッスンラ!」

栞子「ええ…」

ランジュ「そういえば、同好会の部長。結構見る目ある人だった」

愛「…?」

果林「?」

ランジュ「みんなに会って行けばって行ったけど、レッスンの邪魔しちゃ悪いからって」

ランジュ「ああいう人は大切にしないと。あんな事言ったのは悪かったかな…」

栞子「……」

栞子(なんだろう、この胸騒ぎ…)

ガチャリ

しずく「……遅くなりました」

栞子「顔色、悪いよ…?」

しずく「やれます」

1/了
10 : ◆3m7fPOKMbo [sage]:2020/11/29(日) 17:43:25.32 ID:r/r3W2ps0
『人工無能、案外東京にもなんか埋まってたりして』
『回答、温泉ならば既に沸いております』
『人工無能、歴史を変えるものは埋まってるかな?』
『回答、かつて満州に埋まっておりました』

『…発見された時には既に終わった後でしたが』


2/大天使の矢


ランジュ「ミア、栞子。見てみて、ほらほら、あんな立派なパネル! ふふっ、皆ランジュの魅力にいちころなんだから。三日でご覧のとおりよ!」

ミア「いいの? あんな事させて? ファンクラブって言うけど」

ランジュ「スターに二言はないっていうのかしラ? 無問題ラ。あんなに飾り付けて…ふふっ、素敵。それに、あれはなんて読むのかしら? まだ日本語の漢字読みは難しいわ」

栞子「『空の女王ランジュ様』ですね」

ランジュ「女王ね、いいじゃない。それに、虹が架かるのは空、この学園で一番素敵な私にぴったりな称号だわ! 気に入った!」

ミア「…ランジュがいいって言うなら、構わないけど…あのさ」

ランジュ「なに?」

ミア「眠いから授業休んでいい? 調子悪くて、三十三曲はきついよ…?」

ランジュ「はあ? ミア、あなたね。あと十七曲必要よ、夕方までに」

ミア「三日間で五十曲はいくらボクでもきつい」

ランジュ「授業休んでもいいからさっさと機材のとこいってきなさい」

栞子「ら、ランジュ。ミアはただでさえ授業中に眠る事も多いのですし、あまり」

ランジュ「一流たるもの、一流でなくてはいけないわ。この程度の試練を乗り越えられないでなにが名門タイラー家の次女かしら」スタスタ

ミア「……」カチン

ミア「…わかった。作るよ……驚かせてやるさ」スタスタ

栞子(それにしても、あのファンクラブの人、どこかで見た事があるよな…)スタスタ
11 : ◆3m7fPOKMbo [sage]:2020/11/29(日) 17:44:22.18 ID:r/r3W2ps0
ファンクラブ1「…うちの部員は、スクールアイドル同好会のステージの方が、輝いてるんだよ。誰かのバックダンサーなんかじゃない、一人一人が主演を、してるんだからね。会長、大道具係特製茂みはどうだい?」

あなた「最高です」ガサゴソ

ファンクラブ2「見事に見えなかったよ。完璧だ」

あなた「演出で使うように頼むための予算をどこからかもぎ取らないと」

ファンクラブ1「生徒会長から隠れる事はないと思うけど」

あなた「いやぁ、会話しちゃうと不味いんで…」

ファンクラブ1「だろうね。しかし、ずいぶんパンチの利いたネーミングだ。空の女王――――――天空の女王と思うだろうね、彼女は。その実は」

あなた「空虚な女王。相反する二つの意味」ゲッツポーズ

ファンクラブ1「君が原案やってくれたらうちの脚本担当がすごい戯曲を作りそうだね」ゲッツポーズ

あなた「その公演見れたら最高です」

ファンクラブ2「ところで今なら弁当もついてくるライブなんてどうだろう?」

あなた「生半可な弁当じゃ心は引きませんよ?」

ファンクラブ2「高級品がついてきますよ、ファンクラブ会長」

あなた「高級そうめんとかいうんじゃないだろうね」

ファンクラブ2「鯛素麺弁当ですよ。祝いの席でも出る立派な料理です」

あなた「結局そうめんじゃないか!」ずぞぞっ ←でも食べる

ファンクラブ3「会長、お疲れ様です」

ファンクラブ4「お腹減りましたよぉ〜」

あなた「や、お疲れお疲れ。鯛素麺弁当だそうで」ずずずっ

ファンクラブ1「見た目も華やかで実に美味しそうだ、首尾はどうだい?」ツルツル

ファンクラブ3「実家にいた頃、よく食べたなぁ…本会員、二十人を越えました」

ファンクラブ4「神聖ローマ帝国研究会ですが、本会員が二人。それ以外のメンバーも協力者に」

あなた「部活丸ごと活動停止になったとこのリストアップは終わったから…あとは外された人から探すか…錦糸卵が出汁を吸って美味しいなこれ…」モグモグ
12 : ◆3m7fPOKMbo [sage]:2020/11/29(日) 17:45:38.16 ID:r/r3W2ps0
ファンクラブ3「運動部のスポーツ留学生枠に声かけてる会員がいます」チュルン

あなた「運動部のスポーツ留学生枠に?」ズズズッ

ファンクラブ4「アジアやアフリカの方はそうでもないですけど、欧米諸国から来てる枠は新理事長が嫌いなようで、揉めてるところ多いんですよ」

ファンクラブ1「……我らが会長も、心を痛めてる話だね、それ」つるつる

ファンクラブ3「噂ですけど…外国人留学生のまとめ役が女王様を煙たがってるとか」

あなた「ほうほう」ずずずっ

ファンクラブ1「たしか、BIG4なんて呼ばれてた人かい? 一昨年あたりに劇の脚本の文化考証をしてもらったという話があるけど」

ファンクラブ3「お金持ちで、企業とかの子女らしいですけど、新理事長の事で学内での存在感がさがったとか。本来は生徒会以外で生徒間のもめごとに乗り出すらしいですよ」

ファンクラブ2「虹ヶ咲学園、留学生が多いのはその父兄が多額の寄付金を出してるからってのもあるらしいよ。お陰で普通の生徒もそういった享受を受けてグローバルな視点ってやつだね。目指せ、そうめんの世界進出」

あなた「よし……そっちの続報を待つか。くれぐれも、慎重に頼むね」ガシッバクッ

あなた「鯛、うまっ!?」

ファンクラブ2「鯛は皆のものですから、独り占めしないでください」

あなた「悪かったって。それじゃ、行ってくる。ごちそうさまでしたっと」

ファンクラブ3「はぁ……かすみちゃん早く復帰しないかなぁ。スイーツ研究会はかすみちゃんのライブを要求する、なんてね」ツルツル

ファンクラブ4「小さな厨房ではパティシエがパン作りも担当するからね。そりゃ刺激にもなるさ」すすー


情報処理学科校舎

あなた「ビジュアル部隊の皆さん、映像の様子はどう?」

情報処理学科生徒1「うん、オッケーオッケー。素材をこうこう切り貼りして…うーん、我ながら良い出来」

あなた「おおう……今の合成ってここまでできるんだ」

情報処理学科生徒2「…こいつを使うのはいつ頃?」

あなた「作戦の準備に時間がかかるからね。まあ、発動までももう少し時間がかかるよ。もう片方は?」

情報処理学科生徒1「そっちは素材がまだまだ。がんばってもらわないと」

あなた「こういうのは地道さが大事だからね。ゆっくりやるさ。それにさっき、面白いやり取りを見たしね」

あなた「それに、ミア・テイラーの曲。私、大好きなんだ」

情報処理学科生徒2「才能の塊だけじゃないよね、引き込まれる世界がある」

あなた「うんうん」

情報処理学科生徒3「璃奈ちゃんを悲しませる奴を地獄に落とす為なら、訳ないよ」

情報処理学科生徒2「ところで、この衣装なんだけど、素材これ使わない? なかなか良いのが…」

あなた「おお、いいねこれ」

情報処理学科3「ええー。私はこっちがいいな…」

あなた「ザッツライト。そのカラーを入れておいて」

あなた「本場仕込みのゼログラビティを見せてやろう」ゲッツポーズ

あなた「それに、それに見合う音楽を手に入れるあても出来るかもね」

こんこん

ファンクラブ4「あ、いたいた」

あなた「やあ。続報?」

ファンクラブ4「いえ。けど、占い研究部が説得に応じてくれて、今日認可が下りました」

あなた「お? すると?」

ファンクラブ4「ノーウェア島の大地が誕生しました。ヒーリング研究会です」
13 : ◆3m7fPOKMbo [sage]:2020/11/29(日) 17:46:34.52 ID:r/r3W2ps0
空き教室

あなた「遅れてごめん」ムーンウォーク

せつ菜「そういえば、気になってるのですが」

あなた「ん?」ゲッツポーズ

せつ菜「留学してる間、ホームシックとか大丈夫でした? 時々メールとかは送ってくれてましたけど」

あなた「え? ああ。いい気分転換があってね」

あなた「皆の参考になるかもって思って、ダンス教えてって頼んだ相手がストリートダンスの人でね」

あなた「おかげでブレイクダンスがすごく上達した」

歩夢「まあ、それは良いとして…かすみちゃんも殆ど連絡取れないし」

あなた「……正直、かすみちゃんに関しては落ち着いてくれるまで…待つしかない。私が、悪かった…」

エマ「……ばらばらに、なっちゃうね。余計に」

あなた「軽率に、話題を振った私の責任だよ…」

彼方(他の皆のフォローが大事だね、部長)

璃奈(……でもかすみちやん、今日校舎裏で先輩と話してたような…?)

あなた(かすみちゃんの次の仕事…このペースじゃだいぶ先だ)

すっ

あなた「……エマさん……きっとまた。みんなで笑えあうようになる」

あなた「大丈夫…少しずつね」

エマ「…信じてるよ、部長?」

あなた「私を、信じて」

せつ菜「部長…」

璃奈「……」ギュっ

あなた「………」ギュっ

あなた「エマさんが、甘えてくるのって、珍しいかも」

あなた「でも、今日一日ぐらい……」

あなた(取り戻して見せる、彼女が壊れる前に)

あなた(首を洗って待っていやがれ、女王様)

彼方「…!」ぞわっ

彼方(地獄の道は善意で出来ている、ランジュはまさに地獄の道を善意で敷き詰めるものならば)

彼方(今の彼女はパンを配る慈愛で満ちている―――――――――――それがパンに見える爆弾でなければ)

彼方(善意で出来た地獄への道を焼き払いながら、標的を目指すのだ)
14 : ◆3m7fPOKMbo [sage]:2020/11/29(日) 17:47:52.25 ID:r/r3W2ps0
あなた「……エマさん、寝ちゃったか」

あなた「じゃあ、皆。また明日…。歩夢ちゃん、皆を宜しく」

歩夢「また、居残り…?」

あなた「うん…なに、心配いらないよ。大丈夫さ」

歩夢「だって、隈酷いよ…」

あなた「時差ぼけだよ」

歩夢「でも」

あなた「時差ぼけかな」

あなた「大丈夫だ、問題ない」ゲッツポーズ

歩夢「………」

歩夢「あのジェスチャー…なんでいつも……」

歩夢「心臓をぴたりと指してるの」


部室棟 ミア専用部屋

ミア(……くそ)

ミア(このコチコチ煩いのを全部薙ぎ払いたい…!)

ミア(眠気もひどい、瞼が閉じそうだ、集中が散る)

ミア(あと五曲も何をひねり出せというんだ)

ミア「……………」

ミア「xxxxxxxx!!! xxxxxx! xxxxxxxxxxxxxxxxxx!!!!」聞くに堪えない英語

ミア「xxxxx!!! xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx!」キーボードクラッシャー

ミア「xxxxxxx!!!!!! xxxxxxxx!!!」機材鷲掴みぶん回し中

ミア「xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx!!!!!!!!!」とりあえずドアに投げつける

ドア(解せぬ)

ミア「はぁっ! はぁっ! だいたいあいつらもあいつらだ………」

ミア「聞きなれない曲だとノレないってなんだよ!」

ミア「だいたいこんな田舎の環境で集中できるか畜生! こんなローカルのど真ん中で!」
15 : ◆3m7fPOKMbo [sage]:2020/11/29(日) 17:48:57.43 ID:r/r3W2ps0
「…と、取込み中だったようで失礼しました〜」

ミア「?」

あなた「ど、どうも……」両手にお汁粉缶

ミア「…たしか、例のファンクラブの……」

あなた「あわよくばサインが欲しい。世界の天才、ミア・テイラー」

ミア「……バックダンサーたちが前に歌って踊ってたの、君が作曲したっていうけど」

あなた「うん。楽じゃなかったねぇ。けどね」

あなた「ミア・テイラーのような天才がいるとね、それは凡人たちに何を与えると思う?」

お汁粉缶パス

あなた「いわば天才に触れると、預言者が神の声を聴いたかのような衝撃と興奮、そしてそこから凡人が進化を始める奔りとなる」

ミア「そ、そうかな?」キャッチ

あなた「歳をとって大成した人たちは、天才と呼ばれるものだけではない。最初から天賦の才を得たのではなく、後から得たものもいる。だが、そういった彼らが何十年という時をかけて大成するのに必要なのは」

あなた「雷よりも早い、天性の才を持つものがいるからだよ」

ミア「………」ぷしゅ

ミア「……甘い。うまい」ぷは

ミア「あと五曲作らなきゃいけないから、もう…ごちそうさまって言えばいいか…」

あなた「これは、リンカーンパークのキングダムオブカーボン……ダイヤで出来た王国も所詮は炭素、炭のように脆い…世界とはそんなもの、世界が簡単に壊れる悲しさを歌う。でも、それを支えるメロディライン、確かミア・テイラーの作曲」

ミア「あ、うん」

あなた「ところでさ」スマホ取り出し

あなた「この曲、キングダムオブカーボンに影響されて作ったんだけど」再生

あなた「どう?」

ミア「……!!!!!!!!!!!!」

ミア(疲れていた)

ミア(昔馴染みとはいえ、ランジュの無茶ぶり。既に通過した退屈な授業、それでいて何曲も作れというぷyレッシャー)

ミア(一曲書くのに時間はかからない、だが違うジャンル、違う曲調、異なるフレーズ。そんな風にしなければたやすく飽きられる、聞いてもらえなくなる)

ミア(そんなプレッシャーが、ボクが音楽から捨てられる恐怖が)

ミア(ここにきて、怒りに変わっていたのを見られた。だが)

ミア(この曲がすべてを吹き飛ばした。これはボクを源流にした彼女のものだ。だが、それでも)

ミア(彼女という要素が、それをすべて変えている! なんてすごい曲なんだ! まだまだ粗削り、素人に毛が生えた程度、いやいや、それだけじゃない! 確かに荒い、だがそれをもっと磨き上げよう!)

ミア「もう少し巻き戻して。この曲、もしかして和太鼓を入れてるのかい?」

あなた「うん、今のところそのサンプリング使ってる」

ミア「サンプリングなら和太鼓よりバスドラムの方がいい。本物を録音した方が和太鼓は素晴らしい」

ミア「少しの不協和が人にずれを感じさせるからね。奇をてらうも大事だけど、楽曲はひとつのブリゲードである、突出するより団体としてまとまりをだね…」

ミア「リズム隊のドラム陣も少し弱い。もう少し数を揃えてみようか。ちょっと入れてくれるかな」

ミア「…どう?」

あなた「…くはぁっ! いいっ…いいよっ…! 今のほぼイキかけた!」

ミア「ね、ねぇ。まだ曲にはなってないんだけど、思い浮かんだメロディがあるんだ。そ、それに合わせてどんな風なアレンジをするかな? 聞いてくれない?」
16 : ◆3m7fPOKMbo [sage]:2020/11/29(日) 17:49:50.91 ID:r/r3W2ps0
ア「この曲なんてどうかな?」〜♪

あなた「いいね、いいねぇ〜! 時代の最先端! そのコードをここで入れるなんてミアにしかできないよ!」

ミア「どうだ!」!!!!♪♪!!!

あなた「もっと聞きたいっ、ミアの素敵なメロディをもっと聞かせて!」

ミア「少し軽い気持ちなんだけど…」〜♪〜ッ♪

あなた「この曲は猫のようなステップをダンスに入れよう! 浮かぶよ、実に浮かぶよ、天空のステップだよ!」

ミア「知りたくなったら、それはまさに恋なんだと思うかも?」〜♪

あなた「私の中にある秘密を君はどうする? 何する?」

ミア「今宵ボクと踊ってくれませんか? 紅いバラの姫」〜♪

あなた「この奇跡を恋と名付けたい、白い月のナイト様」

ミア「もしもは欲しくないんだ、もっと好きなんだボクのAngel」〜♪

あなた「翼はただの飾りじゃない、明日じゃなくて今さ!」

ガチャリ

ランジュ「……すごい踊ってるけど、何してるの?」

ミア「あ、ランジュ」

あなた「差し入れを持ってきてまして」

ランジュ「いや、まぁいいんだけど曲作り終わったの?」

ミア「大丈夫だ、問題ない」

あなた「お邪魔しました〜」

ミア「あ……」

ミア(また今度一緒に曲作ってっ言えなかった…ぐすん)

ランジュ「ミア、五曲足りないわよ!!!」

ミア「今からやりまーす(ちっ、うっせーな)」
17 : ◆3m7fPOKMbo [sage]:2020/11/29(日) 17:50:45.87 ID:r/r3W2ps0
あなた「やべぇよ、最高の音源手に入れたよ。さすがは天才、ミア様」

あなた「今夜は部屋で夜明けまでミアのメドレーだ。やったぜ」グッ

あなた「……しかしすごい事言ってたな、私……」

ひょこ

かすみ「先輩、ずいぶんとうきうきですね」

あなた「なに。良いもの手に入れたしね。ノリって意外と大事だ」

かすみ「そうなんですか?」

あなた「留学中にルームメイトに勧められたゴールデンカムイのせいかな」



あなた「…ふわぁ、眠……毎晩色々するせいかな…しょうがない、こういうときは」

コンビニin

ラッシャイマセー

あなた「女の子は強さも美しさも必要だ。万歳、ノンシュガーエナドリ」モンエナ水色ツカミー

あなた「そして明日頑張るぼくらに」糖類ゼロリポビタンツカミー

マイドアリガトーゴザイヤース

コンビニout

あなた「いざ」プシュッ カシュッ

あなた「アイ・アム・チャンポン」グビグビ

あなた「効かぬなら 効くまで飲もう ほととぎす」グビグビ

あなた「この一本の為に生きてる」グビグビゲフー

歩夢「今、帰り?」

あなた「おっと、歩夢ちゃん。まあねー。買い物でも頼まれたの?」

歩夢「うん、シソを切らしちゃってて…」

歩夢「………ちゃんと、寝てる?」

あなた「時差ぼけがひどいけど、毎日ぐっすりさ」

歩夢「……日付が変わっても部屋の電気点いてるし…朝の四時とかでも点いてたり…」

あなた「電気点けたままでないと寝れなくなったんだよ。あっちは幽霊が出る物件は高級物件だからね」ゲッツポーズ

歩夢「……」

あなた「じゃあ、また明日ね。歩夢ちゃん」スタスタ

あなた(時間がかかりそうだ。果林さん達には卒業が迫る…)

あなた(だけど足を止めるな。動け、私)
18 : ◆3m7fPOKMbo [sage]:2020/11/29(日) 17:52:58.62 ID:r/r3W2ps0
ランジュ『栞子、夜にごめんね』

栞子『まぁよいですが、どうしたのです?』

ランジュ『スクールアイドル同好会の部長の事なんだけど』

ランジュ『今日、ミアと意気投合してたわ』

栞子『同好会の作曲をしていた方ですから』

ランジュ『そうなんだ? 少し見直したわ。使えるかどうかは分からないけど、練習用に曲でも出してもらおうかしらね』

栞子『……そうですか』

ランジュ『栞子からも言ってもらえる?』

栞子『わかりません。モチベーションというものは、人それぞれですから』

栞子『そう、人それぞれです。明日早いので、これで』

ランジュ『あ、そうね。おやすみなさい』

ランジュ「……あの子、実はすごいの…?」

2/了
19 : ◆3m7fPOKMbo [sage]:2020/11/29(日) 17:53:42.30 ID:r/r3W2ps0
『人工無能、刹那・F・セイエイと三日月・オーガスを隔てる違いって何なんだい?』
『回答。大きく分けて二つ。一つは嫁さんがいるか否か』
『人工無能、もう一つは?』
『この回答を行う事を推奨しません』
『人工無能、なぜだい?』

『あなたの行き先に相応しくない回答だからです』

3/彼女が開け放ったもの


チュンチュン

あなた「わーお、朝日が眩しいなぁ」

あなた「今日も一日頑張るぞー、コットンキャンディえいえいおー」鞄がさごそ

あなた「アイ・アム・チャンポン」モンエナ水色&糖類ゼロリポビタン掴みー

カシュ グビグビグビグビ

あなた「この一本の為に生きてる」ゲフー

あなた「しかしネットの海のアンダーワールドおそるべし」

あなた「ミアの楽曲でエキサイトしながら読み込むと意外と頭に入るものだ」

あなた「実際に効くのかな……」

あなた「試して、みるしかない…けど、誰に?」

あなた「……一人しかいない」

あなた「……いいのかな…練習とはいえ…」

あなた「無害だなんて証明もない。裏に近いとはいえ、ネットに落ちてたネタだよ」

あなた「『嘘を嘘だと見抜けない人』云々だ…けど、それをしなければ」

あなた「必要な事なんだ」

あなた「取り戻すためにも………うっ」

ガチャリ うげえええええええ ビチャビチャ

あなた(仲間を傷つけてしまうかも知れない、その罪悪感で胃が千切れそうだ)

あなた(だけどもう止められない。既にしずくちゃんにつらい思いをさせている。果林さんたちを放っておけない。エマさんの心が壊れる前に戻さなければ)

あなた「…戻しちゃった」

あなた「もう一本飲んどこ」鞄ガサゴソ
20 : ◆3m7fPOKMbo [sage]:2020/11/29(日) 17:54:46.52 ID:r/r3W2ps0
空き教室

彼方(彼女の隈は最近増えている…歩夢ちゃんが言うには夜更かしが多いらしい)

彼方(彼女が倒れるのが先か…それなら果林ちゃん達も戻ってくるのだろうか)

彼方(そうであれば、一番いいのに。そうならない予感しかしない…この微睡みの海の中に)

彼方(希望もあれば絶望もある…微睡みの海にすべてがあるように…)

彼方「すやぴ」

ガチャリ

あなた「…いた。よく、寝てる」

あなた「…誰もいないね?」

あなた「…」ゴクリ

あなた「…ごめん、彼方さん」

ヘッドホン取り出しー色々取り出し―

あれしてこれしてああしてこうしてこうするのっと

彼方「すやぴ」

あなた「…よし。これでうまくいくかどうか……彼方さん、彼方さん」

彼方「…んん? なに…」

あなた「彼方さん、ダイヤッホー」

彼方「ブッブー! ですわ!」

あなた(本当に成功した!?)

彼方「え…今、何か…」

あなた「変な時間に起こしちゃったかな? もう一度寝たら…皆が来たら起こすから」

彼方「うん…すやぴ」

あなた「えーと、解除方法解除方法…」
21 : ◆3m7fPOKMbo [sage]:2020/11/29(日) 17:55:35.75 ID:r/r3W2ps0
こうしてああしてどうあがいてもぜつぼうせんせいっと

ガチャリ

エマ「あ」

あなた「やあ、エマさん」

エマ「…昼にかすみちゃんに会ったの」

あなた「うん、なんて言ってた?」

エマ「言い過ぎたって。でも、もう少し一人にしてほしいって」

あなた「そっか……ううむ」

彼方「ん…あ、エマちゃん」

あなた「彼方さん、ダイヤッホー」ぼそり

彼方「?」

あなた(よし、無事に解除できてる。一つはこれで出来るな…問題はそこから先だ)

あなた(私が作るのは積み木ではない、螺旋だ。一つ二つ抜けたぐらいじゃ崩れない、多重螺旋、螺旋の迷宮だ)

あなた(キラークイーン、最後の爆弾。問題はまだまだ仕掛ける段階にない事だが)

彼方(…彼女から地獄の気配を感じる。私が寝ている間になにかした?)

彼方(でも、安堵にも見える。やはり、彼女は優しい)

彼方(そのやさしさが自らをも壊しかねない事に、気づいているんだろうか)

あなた「さて、ちょっと出かけてくるよ」

エマ「……気を付けて」

あなた「大丈夫だ、問題ない」ゲッツポーズ

バタン

ガチャリ

歩夢「…あ、部長は、今日は?」

エマ「さっき出かけてくるって……」

歩夢「ああ……」

歩夢「無茶しないと良いんだけど…」

エマ「そうだ、昼間にかすみちゃんに会って…」

彼方「……」
22 : ◆3m7fPOKMbo [sage]:2020/11/29(日) 17:56:15.16 ID:r/r3W2ps0
ファンクラブ1「やあ、会長。様子はどうだい?」

あなた「すこぶる絶好調です」

ファンクラブ1「それは何よりだ。なにせ我らがファンクラブ揃っての、初の応援ライブなんだからね」

ファンクラブ2「準備はできてる」

あなた「よろしい。みんな、ジェット風船は持ったかなー?」

*ライブでジェット風船を飛ばしてはいけません。皆は真似しないでください

ファンクラブ3「ゴミ袋の用意も忘れずにね」

あなた「派手な演出にブレードは邪魔である。場合によってダイヤが乱れますってね」キリキリ

あなた「我らが空の女王様のソロステージ、最高の応援を届けてやろう」キリキリ

ファンクラブ2「そうめん食べる? 少し伸びてるかもだけど」

あなた「いや、大丈夫…」

ファンクラブ4「ちゃんと食べないとだめですよ」

ファンクラブ5「食欲がなければインドカレー研究会として食欲の出るスパイスを使ったタンドリー料理を…」

ファンクラブ6「いや、ここは上品に主張しすぎない欧風カレーだよ。欧風カレー愛好会として見過ごせない」

ファンクラブ7「食べなれた家庭の味でしょ! 日本カレー同好会が良いカレー味のおかずを…」

ファンクラブ1「なるほど、三つ揃って活動停止になるわけだ。一つにまとまりそうでまとまらない」

あなた「別れているからこそ、高まるものもある。けど、その為とはいえバックダンサーという形でひとまrとめにするのはいただけない」

ファンクラブ1「確かに。中須さんは大女優に見えるしね」

あなた「さて、行こうか」


講堂

ランジュ『みんなー! 今日はランジュの魅力を前に、最高のステージにしてあげる! 無問題ラ、五分後には興奮の爆発よ!』

ファンクラブメンバー「「「ランジュ様ー!」」」

愛(なんかすっごい盛り上がってる集団いる)

果林(ファンクラブが出来てるなんて…それが、ランジュなのね)

しずく(なんでここにいるんだろう、ここがどこなのかもわからなくなってきた)

あなた「ジェット風船用意。演出が終わったら放つよ」

ファンクラブ「了解」

*ライブでジェット風船を飛ばしてはいけません。絶対に真似をしないでください(大事な事なので二回言う)
23 : ◆3m7fPOKMbo [sage]:2020/11/29(日) 17:56:57.49 ID:r/r3W2ps0
栞子(ん…?)

栞子(あれは……部長さん? そういえば、ミアさんと話してたってランジュが…)

栞子(ランジュのファンクラブの中心にいる…一番無縁そうなのになんで…)

栞子(え)

栞子(嘘)

栞子(ファンクラブの人たち、皆笑顔。でも……)

栞子(なんで見た事ありそうな人なのかって思ったのは……! あの人も、この人も)

栞子(いや、ほぼ全員私は会っている…生徒会長である私は…あった事がある…!)

栞子(私や、ランジュのせいで、部活を辞めた。部活を活動停止させられた)

栞子(私はなんという甘い考えをしていたんだろう)

栞子(なんていう愚かな甘えを、部長に言ってしまったんだろう)

栞子(これは二度目、二度目だ。部長は仏じゃない)

栞子(怒ってる、確実に怒ってる。許しはしない)

栞子(あの笑顔が全部、悪意を抱えて見える…それは恐怖だ。私を縛り付ける恐怖だ)

栞子(ごめんなさい…許してほしいとは言えません…けど、心の中だけでも、思わせてほしい)

栞子(どうやって償えば良いのかも分からない、何故ならそんな事をいう事すらも)

栞子(ランジュがいるこの場では、まったく言えない)

栞子(私は…私は……)

栞子(私の中の何かが、軋みを挙げ出した)

栞子(必死にそのどす黒いものを抑え込んだ、上からものを乗せて、しまいこんでしまいこんだ)

栞子(だけどその軋みの音が止まらない。ひたすら、ただひたすらに)

栞子(華やかな衣装、煌びやかなステージ、女王と称えられるランジュ)

栞子(だが、そのすべてが空虚だ―――――――空の女王。天空の女王に見える。だけどその実態は)

栞子(空虚な女王。そして私は、その忠臣だと――――――愛情に見せかけられた憎悪が向けられて)

栞子(私を蝕む、軋みは止まらない。それが私の過ちによって始まったと、気づいた時には遅すぎた。同じ過ちを、二度も繰り返した)

栞子(姉さんは、こんな私を軽蔑するだろう)

栞子(そして部長も…みんなも……)

栞子(軋む音と痛みだけがある世界で、私は一人)

栞子(ただ軋みと、痛みだけが、私の中にある)

栞子(全部、それだけに支配された)
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