忍野忍「それでもいい……それでもいいのじゃ」

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5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/18(木) 23:31:40.34 ID:gFdjDzhvO
というわけで、後日談の物語の、汚いオチ。

「正しさなど、裏を返せばこんなものじゃ」
「フハハハハハハハハハハハハッ!!!!」

正しさとはなんだろう。それを理屈で説明することは難しい。神原は忍に対して間違っているとは言わなかった。ただ良くないことだと言った。それを踏まえると、忍が汚いオチをつけたことも、そして今、僕が汚い哄笑をぶち撒けていることも良くないことだろう。

神原は、「それでもいい」と言うだろうか。

「フハハハハハハハハハハハハッ!!!!」
「あの猿女はこの儂に正しさを説きながら悪事を働いておった。じゃが、儂はそれを良くないことだとは思わん。何かに感動して涙を流している最中に今晩の献立を考えることや、何かに腹を立てて憤っている最中に卑猥な妄想をしても何ら間違ってはおらん。それはそれ、これはこれ、じゃからな」
「フハハハハハハハハハハハハッ!!!!」

そう。たとえあの日あの時、忍にアイアンクローをされた神原が漏らしていたとしても、たとえそれが小であれ大であれ、神原の正論は正論として成立し、論破された事実はそのままそっくり残る。正論か正露丸かの違い。

『論理なんて知るか!』

大であれ、小であれ。僕にとっては大きな問題であるが、大なり小なり、人は間違える。
吸血鬼の忍が間違えるのだ。人も間違える。

『人に好かれて良い奴でいる必要はない』

脳裏に過ぎる神原の言葉を、忍が肯定する。

「それでもいい……それでもいいのじゃ」

忍が明日漏らすなら、その日僕も漏らそう。

「忍、僕だって正しくない」
「かかっ。おそろいじゃな」
「僕たちはそれでいいんだ」

沢山間違えるからこそ見える正しさもある。
後になってからこそわかる、後日談の物語。
後から悔やまなければ、後悔ではないから。


【後物語】


FIN
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