安価でSCP収容

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1 : ◆kTml9wRQIIYK [saga]:2023/01/20(金) 22:36:43.73 ID:f8PphhJN0

■ 安価スレです

■ 概要:SCP財団職員として、新たに発見されたオブジェクトを収容してください

■ SCPとは何かを知っている人向けのスレです、詳細な説明は行われません

■ オブジェクトの性質は事前に「AIのべりすと」によってランダム生成されています

■ ある程度安定した収容に成功するか、失敗して惨事が引き起こされると挑戦終了です

■ 挑戦終了後、事前にUPしておいたオブジェクトの性質が公開されます


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1674221803
2 : ◆kTml9wRQIIYK [saga]:2023/01/20(金) 22:38:58.95 ID:f8PphhJN0

財団における「収容スペシャリスト」という役職の損耗率は極めて高い。
というのも当然の話で、何しろ「収容スペシャリスト」……つまり我々は新たに発見された異常物体・存在・現象に対して安全を確保し初期の収容を確立するために異常な活動を確認し、付近の財団の収容施設へ移送することを第一の役割とするためだ。
いつ何を引き金に致命的な事態を発生させるかまるで分からないものに、大概の場合ろくな情報もないまま対峙する事になるのである。
今年の死亡率はDクラス職員とどちらが高いか、などという冗談にもならない冗談はこの職場では定番だった。

「……こちら大塚。対象Aは対象Bへの攻撃を継続中。依然効果無しと見られる。行動変化の兆候は見られない」

が、そういった業務に慣れているからといって緊張や恐怖が薄れる事はない。
少なくとも私にとっては。
今もまた、防護服に身を包んだまま2つのオブジェクトを睨み、声が震えないように注力して仲間に報告を送る。
隣に立つ相方、森住には付き合いの長さからかお見通しのようで、一瞬だけ励ますような視線を送られてしまったが。

「こちら富士野。了解。目撃者の鎮静化と移送は完了した。カバーストーリーの流布と周辺住民の避難もサポートチームにより問題なく進行中。これより合流する」

通信機から返された言葉にもホッとする。
もちろん人数が増えるからと気を抜けるような仕事ではないが、こればかりは仕方のない事だった。
3 : ◆kTml9wRQIIYK [saga]:2023/01/20(金) 22:41:00.29 ID:f8PphhJN0

「さて、それじゃ状況を整理しようじゃないか」

合流後、富士野により状況の確認が行われる。
この業務に携わる者としては珍しく10年以上を務めあげている彼は財団からの信頼も厚く、この場でのリーダーを任されていた。

「三宅、タイムラインに沿って情報をまとめてくれ。ただし簡潔にな。奴さんの気がいつ変わるかは誰にも分からないんだ」

「は、はい」

富士野が、ツーマンセルを組んで行動していた者の名前を呼び、指示する。
三宅という名の新人は緊張した声色でそれに応じた。

「最初の発見は本日の午前5時30分ごろ。宿直の教師が校舎脇駐車場、つまり現在地に男性型の全身石膏像、対象Bを発見し、その不自然さから接近を試みました。この教師は川上明、32歳の男性です。経歴はサポートチームが調査中ですが、現時点で不自然な点は確認されていません」

その声は若い女性のものである。
一旦説明を始めると声の強張りはすぐに消え、三宅はハキハキと続ける。

「この時の接近時には異常は発生せず、川上氏は何かの手違いか何者かの悪戯と判断。その場で携帯電話により責任者である校長、寺田秀一氏、58歳男性に連絡。寺田氏は小学校向かいの職員用住宅に居住していたため、10分ほどで現地に到着し……」

「ああなった、と」

三宅の説明に、森住が口を挟んだ。
森住の視線は説明中もずっと対象Aと対象Bに向けられていた。

つまり……腕の半ばから手の代わりに斧を生やした寺田氏(対象A)と、対象Aが狂乱状態で破壊し続けている石膏像(対象B)にだ。
4 : ◆kTml9wRQIIYK [saga]:2023/01/20(金) 22:42:26.92 ID:f8PphhJN0

怯えを悟られないよう唾を一度飲み込んでから、今度は私が尋ねる。

「対象Aの経歴は?」

「今のところは川上氏同様調査中ですが、やはり不自然な点はありません。また、この付近で過去に計器異常が発生した報告はなく、噂話なども正常な範囲を出ていません」

「となると、やはり異常の原因は対象Bという事になるでしょうか?」

が、森住だけでなく富士野にもお見通しだったようだ。
富士野は私の背をトントンと叩き、落ち着いた声で言う。

「結論を急ぐな。その可能性は高いだろうが、今はまだどっちにも同じだけ警戒は必要だ。どこかにまだ見ぬ3つ目のオブジェクトが潜んでいないとも限らん」

「……その通りです。失礼しました」

「気にするな。情報と意見の交換はこの仕事の背骨だ。何か気付いたら言ってくれた方がありがたい」

なるほど、これがベテランというものかと内心で敬意を抱く。
富士野と組むのは今回が初めてだったが、臆病な私にとってはたのもしい人物だった。
5 : ◆kTml9wRQIIYK [saga]:2023/01/20(金) 22:43:51.50 ID:f8PphhJN0

「続けます。川上氏の証言によると、寺田氏、以下対象Aが対象Bに接近すると瞬間的に腕部の変化が発生。同時に対象Aが狂乱状態に陥り、腕部の斧で対象Bの破壊を開始しました。川上氏はその時点で逃走し、警察に通報。警察内部に潜伏中のエージェントにより初期収容チームの派遣が要請されました。川上氏は極度の混乱状態にあったため鎮静剤を投与し、財団医療施設に移送しています」

さて、ここから先は三宅から引き継ぐべきだろう。
対象Aと対象Bは、周辺の対処に動いた富士野と三宅ではなく、私と森住が監視していたのだ。
私が手を上げて引き継ぎの意思を示すと、三宅は頷いて一歩下がる。

「対象Aの意識は現時点では対象Bにのみ向けられているようです。対象Aの破壊行動中、何度か私や森住を視界に収めるタイミングがありましたが、一切注意を向けている様子はありませんでした」

私の言葉に森住も同意の言葉を短く述べる。
現に今も対象Aは私達4人を見る事の出来る体勢だが、警戒や敵意を向ける気配は全くない。

「腕部が変化した斧は極めて鋭利なようで、少なくとも石膏像を切り裂くに十分なだけの威力はあると思われます」

「石膏像が見た目通りの硬度かは分かりませんがね」

が、続く報告には言葉が差し挟まれた。

「あっ……と、そうだな。すまん」

いいさ、と補足した森住が片手を上げる。
先ほどの先走りといい、今日はいつにも増して気が逸っているのかも知れない。
6 : ◆kTml9wRQIIYK [saga]:2023/01/20(金) 22:45:11.83 ID:f8PphhJN0

「んん、対象Aによる対象Bに対する破壊行動ですが、効果を上げていません。観察の結果、壊れないのではなく、壊れた直後に高速で再生している事が確認できました。再生の所要時間に多少の差異は見られますが、長くとも1秒未満で完了しています。計器類に目立った反応はなく、再生の詳細なプロセスは不明です」

気を引き締め直し、説明を終えて、対象AとBを睨む。

■■県■■町、■■■小学校。
その職員用駐車場の中央にて、対象Aである寺田秀一氏が怒りに満ちた唸り声を上げながら、対象Bである男性型の石膏像に延々と斧を振り下ろし続けている。

攻撃の継続時間はこれまででおよそ30分ほど。
小学校が田舎の山際で目撃者が1人しか存在せず、周辺住民の避難も迅速に済んだ事。
そして目撃者の川上氏が即座に通報を行ってくれた事。
この2点は全く幸運だったと言える。

おかげでここまで全体的に余裕をもって行動出来ている。
実際のところ、オブジェクトを前にこうして意見と情報を交わし合えるような現場はそう多くはないのだ。
7 : ◆kTml9wRQIIYK [saga]:2023/01/20(金) 22:49:50.38 ID:f8PphhJN0

とりあえずの状況確認を終え、チームの4人で意見を交わし合う。

もちろん、対象への注意は怠らない。
全員が視線も、初期収容チーム標準装備の小銃の銃口も、全て向けたまま手短に行動指針を決定する。


さて、現状ではまず何をするべきだろうか。


>>下1 チームの行動
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/01/21(土) 00:00:01.89 ID:J5Q7L8xbO
対象Aの前にただの石膏像を設置させて意識が逸らすか試してみる。
9 : ◆kTml9wRQIIYK [saga]:2023/01/21(土) 00:20:40.36 ID:zkD64a8v0

「対象Aが敵意を向けるものの詳細を調べるべきではないでしょうか」

第一の意見は私の相方、森住から発せられた。
森住は破壊と再生を繰り返している石膏像を見ながら言う。

「対象B以外の石膏像に対しても同様の行動を取るのかどうか、調べておく価値はあると思います」



「なるほど……その辺りは異常性の根っこを推測する材料になりそうだ。」

一理あると、リーダーの富士野は頷いた。

「それに、非異常性の石膏像にも対象Aの敵意が向くなら行動の制御や誘導に役立つかも知れないな。良い案だ」

「富士野さん、校内の探査中に美術室で石膏像を確認しています。サポートチームに運搬を依頼しますね」

そうなれば話は早い。
三宅がすぐに通信機を取り出し、後方の支援チームへと連絡が行われた。



数分後。
到着した石膏像を固定した台車を、私は強く押した。
ガラガラと車輪の回る音を立てて台車は進む。

それは狙い通りに駐車場を進んでいき、対象Aのすぐ近くで止まる。

その結果は……。
10 : ◆kTml9wRQIIYK [saga]:2023/01/21(土) 00:39:56.27 ID:zkD64a8v0

「まるで見向きもしませんね」

「そのようだ」

対象Aは何の反応も見せなかった。
相変わらず対象Bを切り付けては再生される、という繰り返しのままである。



「……うーむ。新しい方の石膏像に損傷を与えたい。接近せずここから銃撃はどうだろう。反対意見は?」

それを確認して富士野が追加の提案を行った。
対象Aを極力刺激しない形での、追加された石膏像の破壊。
これに大きな反対は出ず、すぐに実行に移される。

「よーし大塚、お前の出番だ。射撃成績トップクラスの実力を見せてやれ」

「まぁ、そうなるよな……」

実行者はまたも私である。
囃すような森住の言葉を適当に流し、小銃を持ち上げ、肩に当てて固定し……引き金を引く。
彼我の距離は20m程度。
いかに私が臆病だといって、この距離で狙いを外すような腕はしていない。

街中での使用が想定されている小銃は全くの無音で弾丸を吐き出す。
それは当然狙い過たず、追加された石膏像の右腕を撃ち抜いた。
白色の腕は肘を粉砕されて折れ飛び、アスファルトの地面に落ちて音を立てる。



「……対象A、反応ありません」

「石膏像は正常に壊れたな。再生能力が付与されている様子はない。対象Aが石膏像を対象Bに変化させた、という線は薄そうだな」

これもまたオブジェクトの反応を引き出す事はなかったが、それはそれで情報になる。
この行動の結果をまとめると、こうだ。


■ 対象Aは、対象B以外の石膏像に敵意を向けない

■ 対象Aに、一般的な石膏像を異常物品化する能力は今の所確認できない

■ 対象Bに、一般的な石膏像に対し自身の異常性を伝染させる能力は今の所確認できない

■ 対象Aおよび対象Bは、少なくとも無音かつ対象Aに命中しない攻撃に反応しないか、あるいは感知できない

■ 対象Aおよび対象Bは、至近距離で生じた音に反応しないか、あるいは感知できない
11 : ◆kTml9wRQIIYK [saga]:2023/01/21(土) 00:43:22.72 ID:zkD64a8v0

対象Aも対象Bも、未だ行動に変化は見られない。
どうやらまだ落ち着いて対策を考える時間はあるようだ。


結果を踏まえ、再び意見が交わされる。

さて、次は何をするべきだろうか。


>>下1 チームの行動
12 : ◆kTml9wRQIIYK [saga]:2023/01/21(土) 01:52:23.72 ID:zkD64a8v0

■ 寝ています

■ 誰か踏んでおいてください


>>下1 チームの行動
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/01/21(土) 11:19:05.80 ID:q1hNIOx3o
財団は時々迂闊だから……
Dクラス職員を対象Bに接近させて影響範囲と効果を調べる
14 : ◆kTml9wRQIIYK [saga]:2023/01/21(土) 12:35:31.46 ID:rfjrUrxdO

「やっぱり怪しいのは対象Bでしょう。いっそ効果を確定させちまいませんか?」

「というと?」

「Dクラスの投入です」

第二の案は森住からのものだった。
その意見の過激さに、現場に鋭い緊張感が走る。
特に反応が早かったのは三宅である。
彼女は最初の強張りを再び取り戻し、震える声で反対する。

「そ、それは早計すぎませんか?」

「だが長々と時間をかける余裕が本当にあるかはわからないだろ。対象Bの再生が無限であるとは限らないんだ。もし像の破壊に成功した時、対象Aが次に何をするかの予測はつかない。最悪、これが何らかの儀式だった場合にはその時点で破滅的な事象が発生する可能性もある」

しかし、森住は一息に反論する。
それは過去の初期収容における失敗例を踏まえたもので、研修などで嫌と言うほど読む事になるケースだ。
三宅も同じく覚えがあるらしく、反対の言葉が途切れてしまう。

ただ、私としては賛成もしきれない。
初動の遅れが致命的失敗に繋がった例は確かに多いが、拙速がそれを引き起こさないかというとそれも違うのだ。



「ふむ。賛成1、反対1、消極的反対1、といったところだな」

富士野が私達3人の立ち位置をまとめる。
現在の票は反対に傾いているが、私が積極的反対ではないために、賛成票が1つ入れば形勢は変わる。

どうするのか。
そう問い掛ける3対の視線を受けて、富士野は口を開いた。

「……条件付き賛成といった所だな。やる前に確かめておくべき事がある」
15 : ◆kTml9wRQIIYK [saga]:2023/01/21(土) 12:49:46.39 ID:rfjrUrxdO

「……ありました。右の肩口に内出血が確認できます。左腕も僅かですが動きが不自然ですね。骨か腱を損傷しているようです」

富士野の指摘。
それは、Dクラス投入前に対象Aの脅威度をもう一度確認したいというものだった。
具体的には、鎮圧を試みた場合にどれだけの火力が必要となるか、だ。

「だろうな。腕は斧になってるが、他の部分の頑強性は変わりないらしい。これなら鎮圧は問題ないだろう」

その確認は割合容易に済んだ。
対象Aは憤怒に任せ、全力で対象Bに攻撃を繰り返している。
ここまで少なくとも40分ほどもだ。
まともな体であれば反動が無いわけがなく、実際にスコープ越しに良く良く観察してみれば消耗はそれなりに生じているようだった。
石膏像と違い、再生の兆候も見られない。

「三宅」

「派遣要請は承諾されました。条件もこちらの要望通りに」

となればこれで賛成票は2つになる。
森住の提案は実行される事となった。
16 : ◆kTml9wRQIIYK [saga]:2023/01/21(土) 13:37:16.89 ID:rfjrUrxdO

近隣の支部から派遣されたDクラス職員達が、恐怖を孕んだ足取りでオブジェクト達に近付いていく。
彼らの首には首輪が、腰にはベルトが装着されていた。
指示への反抗や逃走を目論んだ場合に即座に処分するための爆弾だ。
それは本人達も当然知る所であり、躊躇こそ見せるものの大人しく目標に向かって足を進めている。

用意された人員は3名だった。
1人は元教職員の59歳男性。
1人は特定の職についた経験のない57歳の女性。
1人は元教職員の30歳女性。

1人目は対象Bの効果を確定させる事を期待しての選出だ。
これまで対象Bに接近した人物は、32歳教職員の男性川上氏と、対象Aである58歳教職員の男性寺田氏。
しかし前者は異常性に曝露せず、無事に住んでいる。
ならば対象Bの異常性が発揮されるには何らかの条件がある可能性が高く、よって対象Aに近い要素を多く持つ彼が選ばれたわけだ。

残る2人は条件を探る狙いである。
対象Aと近い要素と遠い要素を併せ持った人員だ。
彼女達に対し異常性がどう作用するかを確かめる価値は大きい。

私達が固唾を飲んで見守る中、Dクラス職員とオブジェクトの距離は縮まり続ける。
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