【オリジナル】男「没落貴族ショタ奴隷を買ったwwww」

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1 : ◆OfJ9ogrNko [sage]:2013/12/18(水) 00:30:30.92 ID:+YyZKnXG0
・ 1 8 禁 で す (高校生も駄目だよ★)
・地の文ありです
・固有名詞ありです
・男×ショタです

駄目そうな人は気をつけてください

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1387294230
2 : ◆OfJ9ogrNko [sage]:2013/12/18(水) 00:33:04.99 ID:+YyZKnXG0
 法整備されて間もないスカイカーから、祖父は自慢げに降り立っている。
 タカシもそれに倣う様にして降り立ち、それから軽い眩暈を振り払うかのようにぎゅっと硬く目を瞑った。
「タカシ」
「はい」
 呼ばれて慌てて祖父の後に続けば、そこはもう異次元への入り口とも呼べそうな光景が広がっている。
 と言っても妙にメカメカしいだとか、近未来的であるとか言うわけではない。
 逆だ。妙に古めかしいのだ。小物ひとつをとってもそう。大昔の日本を髣髴とさせるその場所は、
その『大昔』を生きたことがないタカシにとっては異次元と呼んでも差し支えはないだろう。
「なにをしている」
 あんぐりと口を広げていたタカシは、その呼びかけにハッとなって再び祖父に追いつくべく小走りをした。
 異次元への入り口は、朱塗りの鳥居。
 その先に続く大通りに立ち並ぶ飲み屋には、洒落た赤いちょうちんが鈴なりにぶら下がっていた。
 どの店にも入り口の脇には格子が設けられており、その中には見目の麗しい男や女、少年少女が
露出度の高い衣類を身に纏い、通りすがる人々を誘惑している。
 ――お兄さん、お姉さん、旦那さん、そこの御婦人。
 呼びかけは様々ではあったが、女性に対しては妙に気を使った呼びかけで、
それがなんだかおかしなものに聞こえてしまう。
 色町ですることなどひとつだろうに、こんなところでも『御婦人』は高尚でいなくてはならないらしい。
 なんとも不便な話だ。
 気取った身なりと態度で、それでも『知り合いに見つかりはしないだろうか』と
周囲をやや怯えた様子で窺う女性たちをすれ違いざまに見遣りながら、タカシはこっそりと苦笑していた。
3 : ◆OfJ9ogrNko [sage]:2013/12/18(水) 00:36:01.52 ID:+YyZKnXG0
「どうしたんだね」
 タカシの一メートルほど先を歩む祖父に「いいえ」と返事をする。
 御婦人たちを少々馬鹿にしていたタカシだが、実のところ花街を訪れた経験は数えるほどしかなく、
今回の来訪も数年ぶりのこととなる。彼女たちのように緊張こそしてはいなかったが、
なんとなく浮いているような気がして、視線が泳ぐのは止めようがなかったのだ。
 久しぶりに訪れたこの街は、記憶にある場所とは随分と様相が異なっており見るもの全てが新鮮に写る。
 まるで街全体がお祭りだ。性質上、風紀を乱すと批判も多いが、
花街の周辺地域が潤った経済状況であるのも、このテーマパークさながらの場所があってこそのものだろう。
「母さん卒倒するだろうなぁ……」
 本家に住まう鬱陶しいほどに過保護な母を思い浮かべ、タカシは苦笑した。
「黙っていればいいだろう」独り言のつもりの呟きは、きっちりと祖父に拾われたようだった。
 ――タカシは、日本を代表する企業の御曹司だ。様々な事業を手がけていたが、主となるのは
アンドロイドの製造販売だ。おかげさま日本シェア一位の冠はここ何年も譲ってはいない。
 そんな企業の次期CEOとなれば、それはそれは大切に育てられ言う自覚もあり、
今日のように祖父に連れられ花街へと繰り出したと知れれば母がどんな風に怒り狂うかは目に見えていた。
4 : ◆OfJ9ogrNko [sage]:2013/12/18(水) 00:38:47.54 ID:+YyZKnXG0
「気になるか?」
「いいえ、大丈夫です」
「そうか?」
 祖父は怪訝な顔をすぐさま引っ込めて、慣れた様子で大通りを進んで行った。
 カラカラと音が鳴る。祖父の足元の下駄と言う履物が奏でる音だ。
 彼の服装は着物、足元は下駄と言う、近頃流行している和装姿であった。
 大昔の日本でよく身につけられていたらしいそれは、近頃日本ではブームのようで、
 老いも若いもこぞって着物や下駄を好んでいた。タカシはと言えば、一度だけ着てみたものの、
あの動きづらさに辟易し結局シャツにスーツと言う何の変哲もない服装に落ち着いている。
 タカシは依然鳴り続ける小気味のいい音を耳にしながら、
みっともなくはない程度に視線を方々へと移動させ花街の景色を楽しんでいた。
「もう少しで着く。今日の店はそんじょそこらの店とは違うから期待しておけ」
 やけに嬉しそうに言う祖父に、タカシは『この人もまだ現役なのか』と妙な感慨が浮かんだのだった。
 タカシも女を知らぬわけではない。
 星の数ほど抱いた、などと言うだらしがない自慢話をするほどにこなしたわけではないが、
年相応にそれなりの経験をしていたし、女をわざわざ金で買うほどに飢えているわけでもない。
 遊女や、もっと低俗な売女を買うこともあったが、それほど『イイ』と言うわけでもなかった。
 人間の体の構造など大した違いはない。首の上についているものが美しいか否かで
やる気に差異はでるものの、行為の最中の快感については顔立ちに左右されるものではないだろう。
 祖父には気に入りの花魁がおり、週に何度かこの花街を訪れているというが、
そこまで女一人に夢中になれる彼のことをいっそ『可愛らしい』と思えた。
5 : ◆OfJ9ogrNko [sage]:2013/12/18(水) 00:40:15.01 ID:+YyZKnXG0
「ついたぞ、ここだ」
「はぁ……」
 タカシは気のない返事をしながらも、大きな興味を示しながらその店を見上げた。
 ――まるで寺だ。
 第一印象はそれだった。
 と言うよりも、仏堂そのものを模したような建物で、本来ならば、
 寺の内部へと続くのであろう入り口には格子が儲けられ、そこに美しい老若男女が
誘うような眼差しでタカシを見つめつつ座していた。
 数百年前ならば『罰当たりな』と顔を顰める者もいたのだろうが、今は時代も時代、
車が空を飛びアンドロイドが人間と区別がつかぬような顔をしているとなれば、
もとより宗教観の薄かった日本人はますます宗教に関心を寄せることもなくなり、
寺だ神社は単なるパワースポットと化しているのだから、咎める者の方こそ無粋なのであろう。
 タカシは縦にも横にもやたらと大きなその建物を上下左右くまなく見回すと、妙に感心し、
それから噴出した。
「なんだ?」
 突然笑い出した孫に祖父は怪訝な顔をし、それから背を叩き『早く入れ』と促す。
「なんでもありません」
 しかしタカシは笑いを堪えることもできないままに、妖艶な男女が手招きをする店内へと足を踏み入れたのだった。
6 : ◆OfJ9ogrNko [sage]:2013/12/18(水) 00:44:35.11 ID:+YyZKnXG0
「これはこれは」
 支配人の男は、手もみをしながら祖父へと近づくと恭しく頭を垂れた。
 蝶ネクタイが巻かれた首元から、バーコードが認められ、
なるほど、彼はどうやらアンドロイドのようだとタカシ納得をした。
 なんとなく腕の動きが不自然なのはその為だろう。自社製品には遠く及ばないなというのが感想であった。
 祖父はそれを気にした風でもなく「やあ」と言い、それから「いつものを」と短く指示を出す。
「どうぞ、お座りになってお待ち下さい」
 アンドロイドに言われ、タカシはビロード張りのソファへと祖父とともに腰掛けた。
「痛……ッ」
 尻をそこに落ち着けた瞬間だ、前頭部を鈍い痛みが駆け抜けたのは。
「どうした?」
「いえ……」
 こめかみを摩りながら「なんでもない」と返事する。
 近頃は少しばかり仕事が忙しく、持病の偏頭痛が時折ではあるが突如として現れるのだ。
 珍しいことではない。いつものことだ。忙殺されていると、まるで息抜きを請うかのように
体が訴えだすのだ。
「ただ頭痛です」
「大丈夫なのか」
「ええ」
 本当に大したことはない。いつものことだ。
 それでも気遣わしげに見遣る祖父へと「本当に平気です」と言えば、彼はそれ以上問うことは無粋と思ったのか、
大人しく口を閉ざした。
 タカシはたった一人の孫だから、気遣うのも当然と言えば当然かもしれない。
 しかしこうしていい大人である自分へと過保護に接するのは、タカシ自身が恥ずかしくもあるのだ。
 家の人間は過保護で仕方がない。
 タカシはそんなことを考えながら少しだけ目を瞑った。

7 : ◆OfJ9ogrNko [sage]:2013/12/18(水) 00:54:50.37 ID:+YyZKnXG0
「お待たせしました」
 支配人のアンドロイドに引き連れられてきたのは二体のコンパニオン型のアンドロイドで、
彼女たちはやけに上品な仕草で二人を二階へと誘った。
「楽しんでいってくださいましね」
 妖艶に微笑んだところで所詮アンドロイドだ。
 妙に白けた気分になったタカシであったが、大人しく二階へと続く階段を上って行く。 
「薄暗いな」
 階段は木製で、足によく馴染む絨毯が敷かれていた。
 その感触に気づいたのも数段上ったあとのことで、つまりそんなことにも気づけぬほどに
階段は薄暗く、注意の殆どはそちらに持って行かれていたのである。
「なに、そのうち慣れる」
「こちらです」
 コンパニオンが細腕で観音開きの重厚な木製扉を開け放つ。
「あれ……」
 思わず口をついて出た間抜けな言葉は、案内された場所の様相が、自身の想像に大きく反していたからだ。
 てっきり座敷へと案内されるのかと思えば、そこは大広間で、今からなにやら催しものが
開かれるようだった。
 予想と異なる展開に戸惑うタカシをよそに、祖父は指定席でもあるのか、
コンパニオンを差し置きズンズンと会場を闊歩し、そして部屋の奥のステージに最も近いソファへと腰掛けた。
 タカシも祖父に促されるまま四人掛けのソファを二人で陣取り、座り込む。
 ウエイターが持ってきたワインを飲み干しながら、タカシはこれから起こる『なにか』に
期待と困惑を抱いたまま、しかし顔には出さぬように努めながら備えていた。
8 : ◆OfJ9ogrNko [sage]:2013/12/18(水) 01:04:35.00 ID:+YyZKnXG0
 ぞくぞくと人が集まり、しかし互いに声を掛けぬまま各々がソファや椅子へと腰掛け始める。
 所謂一等席は、ソファのようだが、タカシは別に椅子でもよかったのに、と考えた。
 深く沈み込むそれに、完全に体を預けながらしかしタカシは欠伸を噛み[ピーーー]ために唇を噛む。
「……大丈夫か?」
「平気ですよ。少し眠いだけです」
 欠伸ひとつについてあれこれと言われては敵わない――、全く面倒だ、と思いつつ、
キリリと痛む頭をひと撫でして微笑んでやる。
「ならいいが……」
「大丈夫です。それよりお爺様、」
 遅れてやってきた二体のコンパニオンが、どうしたらいいのか、と言う顔でタカシを見ていた。
「ああ、君たちは下がってくれ」
 その失礼極まりない言葉に彼女たちは気分を害することもなく――、害しようがないが、素直に去っていく。
 なんのために用意したコンパニオンかよく判らないが、つまりは『箔をつける』ための行動なのだろう。
「お爺様、」
 何事かを呼びかけようとした瞬間、薄暗い大広間はそのままに、舞台に明かりが点った。
「うわ……」
 眩しさに目を眇めると、その間を縫うようにして舞台は雰囲気をがらりと変えた。
 女、男、女、男、男、女、女……、たくさんの人間だ。
「どうだ、美しいだろう」
「……はい」
 思わず目を奪われるような麗し男女が、まるで商品のように舞台に並んでいた。
 いや、彼らも商品には違いないが、その容貌がみな作り物めいているのだ。
 格子の中に並んでいた彼らも美しかったが、しかし今舞台に並んでいる彼らはそれとは比にならぬほどに
みな美しい。まるで作り物だ。そんな彼らが全裸で、一糸纏わぬ姿で並んでいるのだからたまらない。
 桃源郷か、或いは幻想か。
 そんな馬鹿なことを思いながら、タカシは舞台を凝視した。
9 : ◆OfJ9ogrNko [sage]:2013/12/18(水) 01:08:13.26 ID:+YyZKnXG0
『紳士淑女の皆様、ようこそお越しくださいました』
 袖から出てきたスーツ姿にシルクハットの男は、
慣れた様子でオーバーリアクションを取りながら挨拶をはじめた。
 挨拶は説明に変わり、いわく、ここは競売場であるとのことだった。
 店に出されている男娼や娼婦となにが異なるのかと言えば、『ランク』であるらしい。
 今舞台に並ぶ彼らは『初物』で、なおかつ『出自がよろしい』のが売りのようだった。
 みな没落貴族などから売り払われてきた子女であり、
なるほど、タカシが見たことがある顔がちらほらいるのも納得がいく。
 国が変わり政治が変わり、突然制度が革められ、お家取り潰しとなり突如として貧しくなった元貴族は少なくない。
 国は変わった。輸出入に対する鎖国が解かれ、飛行機の輸入なども盛んになり、富める者はますます富んだが、
 しかし今まで貴族と言う名の頑健な鎧に守られていた能無したちは没落するより他はなかったのだ。
 幸いにもタカシは庶民の、詰まるところの労働階級の頂点に家があったからどこかに売られることも
貧困に喘ぐこともなかったわけだが、もし、万が一自分が貴族であったのなら……、と思うと怖気が走る。
『初物としてお買い上げいただくこともできますが、なにせこの見目、この血統、是非ともペットにどうぞ!』
 司会の男は右から順に商品を紹介していく。
 由緒正しきナントカ家の三女だとか、女にしか見えない長男だとか紹介されているが、どうも彼らは
飼い主が『抱く側である』ことを前提に売られているようだった。
『入札は当然のことながら現金のみでございます!』
 入札は始まっている。まず競り落とされたのは、開国以前に農民を酷く搾取していた名家のご令嬢であった。
 芋虫を髣髴させるでっぷりとした親父に買われ、早々に舞台袖に引っ込んだ。
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) :2013/12/18(水) 01:08:40.74 ID:C8OnaKZL0
みて●るよ
11 : ◆OfJ9ogrNko [sage]:2013/12/18(水) 01:10:51.89 ID:+YyZKnXG0
『お次にご紹介するのは……』
 明るい声音で笑顔のまま言う男に反して、商品たちの顔はみな暗い。
 人生を諦めたような無表情の者、漁港に引き上げられた魚のような目をした者、赤く泣きはらした顔の者――、
誰一人幸せそうな者は居なかった。これから紳士の皮を被ったヒヒジイどもに手篭めにされるのだ、
当然と言えば当然であろう。
 ましてや相手はかつては自分たちが見下してきた庄屋などの労働階級の者たちだ。
 その感情は筆舌に尽くしがたいものに違いない。
 彼らの目には、きっと年若いタカシもその『ヒヒジイ』に映っているのだろう、
時折目が合う彼らのうちの何人かはひどく反抗的な目でタカシをにらみ返していた。
 ――これは思いのほか面白そうだ。
 元々サディスティックな性分を持つ自分自身を自覚していたから、
あの勝気な男娼や娼婦の誰か一人を買い取り思いのまま屈服させたい――、そんな感情が芽生えたのだ。 
 商品の顔を具に見ようと、タカシは一等席でありながら、わきをすり抜けようとしたウェイターに声を掛け
オペラグラスを所望した。三等席の客たちが使うもののようだが、一等席の人間が使ったところで問題はあるまい。
 双眼鏡型のオペラグラスには一本の持ち手がついていて、タカシは早速それを覗き込んだ。
 見れば見るほど、みな美しかった。
 女の見場が整っているのは当然として、男も素っ裸でなければ性別が判らぬようなものだとか、はたまた
男と判っていても妙な気持ちを抱かざるを得ないような艶かしい体躯を持った者もいた。
 これはノーマルでも少しばかり気の迷いを起こしてしまうだろう――、そんなことを考えつつ、
 しかしタカシは成人男性に欲情する趣味はてんでなく、その気になれるのは
精々思春期を迎えるか否かと言う年齢の少年だけである。
 とは言え基本的には所謂ノンケであったから、少女を買うつもりでいるが、
しかしたまの如何物食いもいいかもしれない、とタカシは口角を吊り上げ考えていた。
12 : ◆OfJ9ogrNko [sage]:2013/12/18(水) 01:12:43.34 ID:+YyZKnXG0
「あの首輪の少女が愛らしい」
 祖父の声にオペラグラスを一旦外し、彼の視線の先を再びレンズ越しに見る。
 華やかな顔をしているが、タカシの好みではない。派手すぎるのだ。
「そうですか?」
 祖父の言葉で気づいたが、時折首輪をした者が居る。
 もしかしたら抵抗の激しい人間にはそのような措置をとっているのかもしれない。
 オペラグラスをめぐらせれば、ざっと1/4ほどの商品の首が繋がれている。
 なにも身につけてない者よりも、首輪つきが気になるのは、おそらくタカシの悪い癖だ。
 抵抗しない人形よりも、うるさく喚く警戒心の強い猫の方が断然そそられる。
 そう、今まさに舞台の端で激しく抵抗をしている彼のような――。
 ボールギャグを噛まされている所為で、顔は少しばかり歪んでいた。
 会場のざわめきによって声はかき消されているが、おそらく出せない声で抵抗の言葉を吐いているのだろう。
 彼は首だけではなく手足も拘束をされている。
 身をよじり、会場を睨みつけ、そして暴れるのを背後から黒服に押さえ込まれている。
 落札した主人を殺しかねない眼光がそこにあった。
 あれにしよう。タカシは薄ら笑いを浮かべて考えた。
『お次に紹介するのは――』
 シルクハットの男が手を上げる。
 意気揚々とした紹介を耳にしながら、タカシは彼が紹介されるその時を待っていた。
13 : ◆OfJ9ogrNko [sage]:2013/12/18(水) 01:15:19.21 ID:+YyZKnXG0
 意外にも少年に入札をしたのは四、五名で、彼らはタカシの敵と呼ぶほどの存在ではなかった。
 歪んだ顔の所為か、それとも擦り傷だらけの体の所為か、みな彼のことは差ほど『趣味ではない』ようだった。
「こちらが御落札の御品でござます」
 アンドロイドの手によって、空気穴のある本皮製のトランクはタカシに引き渡された。
 一応服は着ているが、簡素なものであると付け加えられ、『生もの』であるから長時間の放置は――、
つまり未開封のまま部屋の放っておくのは望ましくない、という当然の説明がなされた。
 店の前で祖父に別れを告げ、馬車に乗って家路を急ぐ。
 スカイカーは大層便利であったが、趣がなく、タカシはあまり好きでなかったのだ。
 御者も馬も当然のようにタカシ自身のものであり、長年の付き合いにある彼らはタカシの足として
どこへでもついてきてくれた。勿論、御者がタカシの行動に口出しをするはずもない。
 間もなくして邸宅に到着すれば、手伝おうとする御者を制止して、タカシはトランクを自らの手で運び込む。
 道中も、屋敷にはいる直前も、トランクはくぐもった唸り声を上げていたが、
すれ違う侍女や下男は顔色ひとつ変えなかった。
尤も、顔色など変えようがない。彼らもまたアンドロイドであるからだ。
「さて」
 玄関から遠い、二階の自室に漸く到着すると、ランプに火を灯してタカシはにんまりと微笑んだ。
 自分でも気味の悪い顔をしているに違いないという自覚は大いにある。
 タカシは、興奮しているのだ。
 あの会場の雰囲気に充てられたのだろう、性的なそれではなく、初めて飛行機を見たときのような、
そんな純粋な興奮で胸が高鳴っていたのである。
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