提督「臆病で愚図」

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242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2015/11/16(月) 21:36:21.07 ID:+f4+SMTC0
・本日は ここまで

・今回だけ 心理描写を 少し深めに したつもり

・エディタが 壊れてた orz

・感想 要望 改善等 あれば どうぞ
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/16(月) 22:12:13.86 ID:QTkx50vco

まるで綱渡りやなぁ
244 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/17(火) 21:51:26.43 ID:FjN7ieynO
ドキドキとキリキリが一緒に来るような面白さ
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/11/22(日) 13:20:07.56 ID:OZiTINjo0

榛名を金剛と共に慰めながら、夕立と愛宕に腕を引かれて本館へ戻る。

道中、摩耶から小言が何度も飛ぶが、適当にはぐらかしたりしながら、しばらく歩く。



摩耶「だから、何度も言うけどよ。体を洗うぐらいならそんなに時間は掛からねえだろ」

何度目かわからない摩耶の小言。

大体言っていることは同じで、要約すると「体を洗い忘れたのは提督の怠慢、しっかりしろ」だ。

提督「わかったわかった、今度から体を洗ってから出てくるから、その話はもう良いだろう」

投げやりに返答する。

摩耶「ぜってーわかってねーし」

拗ねた顔をする摩耶が一睨みする。

愛宕「まあまあ、いいじゃない。次は忘れないって約束したわけだし」

私の右腕に抱きついている愛宕が、朗らかな表情で摩耶を宥める。

愛宕「それに私、寝取られって嫌いじゃないわよ?」

先ほど営庭であれだけ殺気を出しておきながらこの発言である。

摩耶「寝取られって……」

摩耶もさすがにあきれた表情をする。

愛宕は私の腕を抱き寄せ、左手の指を私の手に絡ませる。

柔らかな微笑みを湛えながら、含みのある目線を摩耶に向ける。

愛宕「だって奪い返す楽しみがあるでしょ?」

摩耶「それは姉貴だけだ」

やだ、この娘怖い。



そうこうしているうちに本館へ戻ってきた。

玄関をくぐり、まず執務室へ向かう。

補佐は執務室に常在し、事務手続きや資料整理などの業務を遂行することになっている。

そのため、摩耶は執務室に居てもらわなければいけない。

執務室がある階まで上り、廊下を渡っていく。



執務室の前に、人影。

「遅かったわね」

提督「まあな」

そりゃ危うく殺され掛けたからな。

足柄から渡された消臭剤を使っていなければ、どうなっていたことやら。

提督「それよりどうした、加賀」
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/11/22(日) 13:20:37.06 ID:OZiTINjo0

加賀は私に引っ付いている愛宕に一瞥をくれた後、夕立に視線を向ける。

夕立を視界に映すと、路傍の石でも見るかのような目つきになる。

数秒、夕立に視線を向けた後、私に目線を戻す。

加賀「両手に花、と言ったところかしら」

無表情な顔からの抑揚のない声。

不知火と似て、感情が読みにくい。

提督「皮肉か?」

加賀「さあ、どうかしら?」

煙に巻かれる。

金剛「加賀ァ〜、用がないなら自分の仕事に戻るネ」

金剛が加賀の傍まで近づくと、腰を曲げて下から覗き込む。

金剛「I was wondering if you could do your job」

加賀「書類を一枚、お願いしたいのだけれど」

金剛を無視して、加賀は書類が入ったクリアファイルを掲げる。

計画書か?

だとすれば、補佐の承認が取れれば実施可能になる。

提督「わかった。署名は部屋で行おう、今鍵を開ける」

出ていくときに執務室の鍵を閉めていったので、ポケットから鍵を取り出さなければいけない。

加賀「鍵なら開いていたわよ?」

提督「なに?」

執務室の扉を見る。

提督「お前が開けたのか?」

確かに加賀も鍵は持っているが、補佐か代理でないときは、原則、執務室への出入りは禁じている。

書類の紛失など、万一のことも考えてのことだ。

加賀「私ではないわね」

提督「中は?」

加賀「音で三人いることは確認したわ。ただ、ノックしても返答がなかったので、入らなかったけど」

放置せずに対応して欲しかったのだが、それは後で聞こう。

提督「金剛」

加賀の言葉を聞き、金剛に警戒態勢を取らせる。

大仰かもしれないが、相手がわからない以上、これが最善だろう。

金剛は背を壁に付け、扉をノックする。

反応なし。

金剛がドアノブに手を掛け、私に視線を送る。

ゴーサインを送る。
247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/11/22(日) 13:21:16.15 ID:OZiTINjo0


強烈な殴打音とともに、金剛が部屋に突入する。

金剛は即座に艤装を展開、侵入者三名に砲口を向ける。

「きゃっ!」

「えっ!? なに、なんです!?」

「ん〜?」

三名全員の動きが止まったところで、部屋に入る。

提督「……なにやっているんだ、大鯨」

部屋の窓際、私の執務机のあったところに、ビニールシートが敷かれ、その上に脚立が置かれている。

脚立の上では、明石が天井に突き刺さった机の脚を掴んでおり、その脚立を北上が倒れないよう支えている。

そしてその傍に大鯨が見守るように佇んでいた。

三人とも、いや、北上を除いて二人、明石と大鯨が驚愕の表情を顔に浮かべていた。

加賀「随分大げさな入室ね」

加賀が寸劇を批評するかのような台詞を吐く。無論、無表情で。

加賀、お前、わかっていたな。
248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2015/11/22(日) 13:22:14.98 ID:OZiTINjo0
・本日は ここまで

・感想 要望 改善 矛盾点等 あれば どうぞ
249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/22(日) 14:23:44.27 ID:5789N1uvo

蹴り上げた机か
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/01(火) 11:39:30.30 ID:JO7E3ZcH0

提督「加賀、中の様子がわかっていたなら、言ってくれ」

金剛が艤装を収める間、横にいる加賀に顔を向け、苦言を呈する。

加賀「明石さんの声が聞こえたから、あなたが何か指示をしたのかと思ったので」

加賀も、身体を正面に向けたまま、顔を私に向ける。

加賀「それに、私がいたら邪魔になるわ」

確かに、室内に明石がいるとわかれば、何か修理していると考えるだろうし、明石の仕事に加賀が手伝えることはない。

明石が勝手に執務室に入るとは考えづらいから、私が指示したものだと考えるのが普通か。

ノックをしても反応がなかったという事実も、室内が忙しなかったという判断をする材料になってしまったのだろう。

加賀は日頃の態度に反して繊細な部分があるから、今回はそれが裏目に出たということか。

加賀の眼を見ながら、そう勝手に結論付ける。

提督「そうか、すまない。もう少し話を聞くべきだったな」

加賀は私の顔を静かにみつめると、

加賀「いえ」

と染み入るような声音で答え、顔を正面に戻す。

よくよく考えれば、加賀が不審者を放置するわけがないのだ。

加賀から情報を十分に引き出さず、先走った私の落ち度だな。

大鯨「提督、これは一体何事ですか?」

声がした方に振り向くと、怒り顔の大鯨が、腕を組んで構えていた。

提督「すまん、不審者と勘違いした」

大鯨の眉間にさらに皺がよる。

大鯨「そんなことで砲を向けられたら、修復材がいくつあっても足りませんよ」

提督「悪かったよ。だが、なんの断りもなく部屋に入ったお前たちもお前たちだぞ」

大鯨が顔をキョトンとさせる。

大鯨「あれぇ? わたし、妙高さんから『天井を見てほしい』って言われてここに来たんですが、提督が伝言を頼んだんじゃないんですか?」

提督「……そういうことか」

引き継ぎ時に私が言った「明石に頼む」というのを、妙高が代わりに実行したといったところか。

大鯨はマスターキーを持っているから、明石と北上を部屋に入れるには大鯨に鍵を開けてもらわなければいけない。

しかし、変だな。妙高も鍵は持っているから、直接明石に頼めばよかったのに。なぜ大鯨に頼んだんだ?

大鯨「提督、一人で勝手に納得されても困るんですが」

大鯨が、再び眉間に皺を寄せる。

提督「ああ、いや、私と妙高とで思い違いがあったようでな。ところで妙高は? 一緒に立ち会ってないのか?」

部屋を見渡すが、妙高の姿は見えない。

大鯨「妙高さんは本日非番ですから、お休みしていただいていますよ」

それで代わりに大鯨が立ち会った、ということか。

提督「そうか、朝から悪いな」

大鯨「構いませんよ、もう慣れましたから。次から注意してくださいね?」

提督「ああ」

私と大鯨の話に一区切りついたのを見て、北上は視線を天井に戻す。
251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/01(火) 11:40:02.12 ID:JO7E3ZcH0

大鯨「ところで、提督、先ほどのダイナミック入室は提督のヘマということで納得しましたが、もう一つ聞いてもいいですか?」

提督「どうした」

大鯨「これ、何があったんですか?」

大鯨は未だに天井に突き刺さっている机を指差す。どう説明したものか。

愛宕が癇癪を起こして、机を蹴り上げたと正直に言うべきか?

天井に突き刺さった机を見上げる。

机が刺さっている穴の周囲には粘着テープが貼られ、机を抜いたときにほかの天井板が剥がれないように養生されている。

机から少し下に視線を移動する。

明石は先ほどまで掴んでいた机の脚から手を放し、ただ私たちを見ている。

感情なく私たちを見ている。

まるで録画中のビデオカメラのように、微動だにしない。

その明石を北上は不思議そうに見ていた。

提督「私もよくわからん」

明石から視線を逸らし、大鯨に返答する。

大鯨「はぁ」

大鯨は不思議そうな顔で首を傾げる。

大鯨は榛名、金剛、摩耶と視線を移し、愛宕に一瞥をくれた後、私に視線を戻す。

大鯨「じゃあ、これも提督のヘマということで」

提督「そうしてくれ」

腑に落ちないが、そうした方が処理も楽か。

大鯨「それと」

言葉を綴りながら、大鯨は夕立に視線を移す。

大鯨「今日って夕立ちゃん、秘書艦でしたっけ?」

提督「いや、違うが。妙高から聞いてないか?」

大鯨「特に何も」

提督「そうか」

そうなると、この三人は朝の点呼には参加してないから、事情を知らないことになるか

提督「夕立が体調を崩したようなんでな、預かっていたんだ」

明石の視線がきついものになる。

大鯨「体調が、ですか? 熱があるんですか?」

大鯨は夕立の傍まで寄ると、右手を夕立の額に当てようと伸ばす。

夕立「やっ!」

夕立は頭を振って、大鯨の手を拒む。

大鯨が驚いた顔をして、伸ばした手を引っ込める。

提督「夕立」

語気を強めて諌めると、夕立は私の左手を強く掴む。
252 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/01(火) 11:40:36.12 ID:JO7E3ZcH0

大鯨に視線を移すと、困り顔が見えた。

提督「すまん、さっきからこんな調子でな」

大鯨「それはいいですけど、どの辺が悪いとかは……」

提督「熱はない。歩くときにふらつくぐらいだ」

大鯨「重症じゃないですか。なんで明石さんを呼ばなかったんですか」

強い語気で問い詰められる。

提督「医務室に居なかったものでな」

大鯨「それなら、わたしに電話一本くれればよかったのに。そのための寮監室なんですから」

提督「……すまん、そこまで思い至らなかった」

大鯨が溜息をつく。

大鯨「わかりました。取り敢えず仮眠室で休ませましょう」

提督「いや、それなんだが」

明石「北上さん、机をお願いします」

北上「えっ、え〜、できっかなぁ」

明石が脚立から降り、北上が代わりに昇る。

明石「提督、お手数お掛けしました。あとは私にお任せください」

明石は夕立に近づき、右腕を伸ばす。

派手な音を立てて、夕立が明石の腕を払い落とした。

明石「……なんだ、元気そうじゃないですか」

右手を左手でさすりながら、腹まで冷え込みそうな声が部屋に響く。

明石「それだけ元気なら、提督のお世話になる必要はもうありませんよね?」

明石の、夕立を見るその視線は、靴の裏についたガムを見るのと同様の視線だった。

脚立に昇った北上が、机の脚を掴む。

夕立「おさんぽするの」

明石「はぁ?」

夕立の呟きに、明石が唾を吐くような声を上げる。

夕立「提督さんと、おさんぽ、するの」

夕立が私の腕に顔をこすりつける。

明石が、見下すような目つきになる。

明石「提督も大変ですね、こんなものに貴重な時間を割かなければいけないんですから」

夕立が顔をゆっくりと明石に向ける。

明石「お散歩に逝きたいなら、私がいってあげますよ。ついでにその手癖の悪さも修理しておきましょうか」

夕立「油臭い女が何か言っているっぽい」

夕立の視線に湿り気が混じる。

夕立「夕立のお散歩は激しいから、そんなに油臭いと引火しちゃうっぽい?」

明石の眼が見開き、口が嗤うように歪んだ。

北上が「う〜ん」と唸る。

うまく抜けないのだろう、右へ左へ試行錯誤しながら机の脚を引っ張っている。

その度に、嫌な軋み音が鳴って耳の奥を揺さぶる。なるほど、これではノックの音も聞こえないだろう。
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/01(火) 11:41:11.02 ID:JO7E3ZcH0

明石「その減らず口、ネジ留めすれば少しはマシになりますかね?」

夕立「ネジの足りない工作艦なんて、笑い話にもならないっぽい?」

明石「大丈夫ですよ」

明石の艤装が展開される。

明石「足りなければ、補充すればいいんですから」

艤装に設置されたクレーンが駆動音をあげる。

明石「ちょうどいいところに、目の前にいい素材があるじゃないですか、ねえ?」

ワイヤーが伸び、クレーン先端のフックが夕立に狙いを定める。

北上「よっ、と」

北上の掛け声とともに、ガコッと低く乾いた音が響き、ひしゃげた机が姿を現す。

明石と夕立を除き、全員の視線が机に集まる。

姿を現したスチール製の両袖机は、中心部分を境にへの字に曲がっており、天板部分は塗装が剥がれて傷だらけになっている。

もう使い物にはならないだろう。引出しの中身が無事だと良いが。

北上「明石、これよろしく〜」

四本の脚の内、二本の脚を掴んで支えていた北上は、身体を捻り、空いている別の二本の脚を明石に向ける。

100 kg 近くある机を軽々持ち上げているあたり、艦娘の膂力はやはり人とは違うのだろう。

明石は、未だ夕立を睨んでいる。

北上「明石〜」

提督「明石、呼んでるぞ」

明石「……わかってますよ」

明石は踵を返し、北上が降ろした机まで近づく。

そして空いている二本の脚を掴むと、ビニールシートの上に机をゆっくりと置いた。

加賀「買い替え、かしら」

誰に向けるでもなく、加賀が呟いた。

提督「だろうな」

机の買い替え、天井の修理、その他諸々の後始末。

大鯨「提督」

提督「なんだ」

掠れるような声。

大鯨「わたし、なぜか胃が痛くなってきたんですが」

提督「奇遇だな、私もだ」
254 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/01(火) 19:10:49.63 ID:eNiFcbbOO
何、私もさ
255 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/01(火) 20:26:46.70 ID:sieOTtTDo
予算で降りるのだろうか
256 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/01(火) 23:57:12.43 ID:W829nTtj0

北上「ん〜……おおっ……ほぉ……あ〜」

突き刺さった机によってできた穴から頭を突っ込み、天井裏を見ていた北上が感動するような、悩むような、よくわからない声を上げる。

提督「北上、天井の様子はどうだ?」

北上「んぉー?」

北上は穴の縁を掴んで身体を曲げ、頭を出して私の方を向く。

北上「あ、提督、おはよ〜」

まずそこから始まるのか。

提督「ああ、おはよう。それで、様子はどうだ?」

北上「ん〜、そうねぇ、結構やられちゃってるかな?」

提督「どれくらい掛かりそうだ?」

北上「んと、これの予備ってあるんだっけ?」

明石の方を向いて、部材の確認をする。

明石「見せてもらえますか?」

空かなくなった引出しとマイナスドライバーで格闘していた明石は、工具を床に置き、北上と交替して天井裏を確認する。

提督「明石、どうだ?」

天井裏を確認している明石に尋ねる。

明石「これだと部材を取り寄せる必要がありますね」

提督「そうか、部屋は使っていても大丈夫か?」

脚立から降りた明石は、再び天井を見上げる。

明石「すぐに何かあるわけではないのですが、お勧めはしませんね。しばらく部屋を替えていただいたほうがいいかと」

提督「部屋を替えるのはさすがにな……しばらくは大丈夫なのだろう?」

明石「そうですけど、万一崩落が起きたら危険ですし……」

加賀「私も、替えた方がいいと思うわ」

金剛「ワタシも、ここに提督を置くのは Not good だと思うネ」

明石の心配そうな顔に加え、加賀と金剛の援護射撃をくらう。

提督「しかしだな……」

急に部屋を替えたら他の娘が困るだろうし、貴重な資料を部屋の外に持ち出すと紛失の恐れもある。

他にも鎮守府内全施設への電話回線や本土とのホットラインなど、重要な通信回線もここに引いてあるのだ。

部屋を替えるとは簡単に言うが、現実的にはかなり大掛かりな作業になる。

北上「提督、ちょっといいー?」

提督「北上、悪いが後に……」

北上「妖精たちがさ、ここ、一時間あれば元通りにできるって言ってんだけど」

提督「なに?」

部屋にいた全員が一斉に北上の方を見る。
257 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/02(水) 00:01:15.45 ID:84hLyqzJ0

摩耶「一時間? 一週間とか一箇月の間違いじゃなくてか?」

聞き間違えじゃないかどうか、摩耶が北上に確認する。

私も、部材の取り寄せを含めるとそれぐらい時間が掛かると踏んでいたんだが。

北上「そだよ。あ、机も完璧に直すってさ」

摩耶「マジか」

北上「マジマジ」

摩耶に返答しながら、北上は明石の隣まで近づいてくる。

提督「本当か?」

明石が北上の右肩をじっと見つめる。

明石に合わせて北上の肩を目を凝らして見てみると、確かに蜃気楼のような二頭身の人影が見える。

漣の艤装に輸血してから一時期は見えていたのだが、改造を受けて以降はほぼ見えなくなってしまった。

おまけに、漣曰く「ご主人様がいると、なぜかみんな怯えちゃうんですよねー」と言われる始末。

見えていた時期も言葉で話すことはなかったものの、表情や仕草で意思疎通を図ったものだ。

可能であれば、昔のように、金平糖を美味しそうに頬張る彼女たちを見てみたいものだ。

明石「本当みたいですね」

提督「そうか」

明石「ただ、修復材をいくつか使用したいとのことですけど」

修復材か。

提督「摩耶、資材管理表を出してくれるか」

摩耶「えっと」

榛名「左の棚の真ん中の段のところですよ」

摩耶「これか」

摩耶が私の左隣りまで近づいてくる。

摩耶「ほれよ」

摩耶が私に手渡しする。

夕立「……」

愛宕「……」

だが残念だったな、今両腕が塞がっているんだ。いい加減離れてくれないか。

加賀「借りるわね」

加賀が代わりに摩耶から受け取り、私の前に管理表を広げる。

最新の年月日のページを開くと、燃料や弾薬などの備蓄量が数字として羅列している。

提督「加賀、金剛、どれくらい使えそうだ?」

金剛と加賀が前から表を覗く。

加賀「三つぐらいかしら」

金剛「そのぐらいですネー」

顔を上げ、北上に向く。

提督「だそうだが」

北上が右肩に視線を送る。

北上「十分だってさ」

提督「そうか」

スゴいね、妖精。
258 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/02(水) 00:29:35.45 ID:pigK6vBR0
さらっと重要なこと言ってる気が
259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/02(水) 01:32:39.68 ID:84hLyqzJ0

提督「部屋の修理は妖精に任せる。摩耶、立ち会ってやれ」

摩耶「りょーかい」

摩耶は妖精を預かるため、北上、明石と打ち合わせを行う。

提督「大鯨、待たせてすまなかったな。後は摩耶と妖精に任せるから、お前は戻っていいぞ」

大鯨「わかりました」

提督「愛宕、ついでにお前も仕事に行け」

指導は寮監と共に、寮の環境や寮生の健康状態を確認する仕事がある。

寮監の大鯨が来ているので、一緒に寮に向かわせることにする。

愛宕「えー、もうちょっと後でもいいですよね?」

駄目に決まっているだろう。

提督「心配しなくも、約束は守る」

その言葉で、愛宕の視線が一時下がり、少し暗い表情になる。

視線が戻る。

愛宕「わかりました。私が戻ってくるまでに、ちゃんとニオイを取っておいてくださいね?」

提督「ああ、わかっている。一度部屋に戻るから、掃除はそれからにしておいてくれるか?」

愛宕はにこりと微笑む。

愛宕「はい。それじゃ、提督」

提督「ん?」

右頬に柔らかい感触と吸着音。それと加賀と金剛からの鋭い視線。

なんか引き継ぎの時もこんなことがあったな。

愛宕「ふふ♡ じゃ、行ってきます♡」

右腕から手を放した愛宕は、大鯨と共に部屋を出ていった。

加賀「すけこまし」

言うな。

提督「それより、加賀、お前も待たせてしまったな。今摩耶に……」

加賀「それだけど、あなたのサインも必要なものなの」

私の署名が必要なもの?

提督「内容は?」

加賀「計画書よ。ただ、実施日は今日だけど」

……緊急案件は先に言ってくれ。

金剛「Hey、加賀ァ、計画書の申請期限、何日前に出さなきゃいけないか、わかっていますカー?」

金剛が目を細め、唇を歪めて加賀に絡む。

加賀「知っているわ。でも、秘書艦一名と提督の承認があれば当日実施は可能なはずよ」

淡々と言いながら、書類を私に差し出す。

金剛「Humph!!」

その書類を金剛が横から奪い取る。

金剛「まったく、一体どんな Mission の……」

金剛が書類をまじまじと眺める。

最初は眉間に寄っていた皺が、段々と無くなっていく。

金剛「Wow! Congratulations! さすが加賀ネー!」

最後にはなぜか笑顔になった。一体どんな計画書なんだ。
260 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/02(水) 01:33:25.16 ID:84hLyqzJ0

金剛は秘書艦用の机にあるペンを取ると、書類に署名をしてしまった。

一応金剛も秘書艦なので問題はないが、こういった書類は通常補佐が署名するものなのだが。

金剛「Hey! あとはテートクのサインだけネー!」

榛名「提督、こちらを」

榛名がペンと私の印鑑を持ってくる。

机を見ると、引出しの前板が破壊されていた。おそらく、そこから出したのだろう。

提督「ああ、ありがとう、ソファーに置いておいてくれ」

榛名「はい」

金剛から書類を受け取り、応接用のソファーに夕立と共に座る。

加賀「すぐ実施できるようにしてあるから、サインだけでいいわ」

右隣に座った加賀から補足説明を受ける。

提督「そうか」

根回しは既に済んでいるということか。

とはいえ、書類には一応目を通しておかなければ。

まあ、加賀は仕事に私情を挟んだりしないから、実際署名だけで十分だとは思うが。

提督(ふむ)

書類を読む。

『_____内容:解体

_______理由:素行不良、協定違反、上官へのわいせつ行為、存在そのもの、その他雑多な事象の原因

_______以上の理由により、以下の艦艇を解体に処する。

_______対象:白露型 四番艦 駆逐艦 『夕立』

____________』

提督「……」

私情混ぜ混ぜじゃねーか。
261 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2015/12/02(水) 01:35:23.92 ID:84hLyqzJ0
・本日は ここまで

・書類は テキトーです

・ご都合主義ぇ

・感想 要望 改善等 あれば どうぞ
262 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/02(水) 01:39:45.39 ID:kXqtHwP/o

解体ワロタ
263 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/02(水) 03:12:09.48 ID:8HtqIlf1o
乙!
264 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/05(土) 13:16:12.32 ID:4GxMrW4u0

私が書類を睨みつけていると、加賀が声を掛けてきた。

加賀「どうしたの? 書類に不備はないはずだけど」

不備があるのはお前の頭だ。

提督「榛名」

榛名「どうぞ」

榛名が別の印を私に手渡す。まだ用を言ってないんだが。

提督「ありがとう」

榛名から否認用の印鑑を受け取り、書類の中心に押印する。

提督「ほれ」

押印した書類を加賀に手渡す。

加賀が手渡された書類を凝視していると、横から金剛が書類を覗く。

金剛「テートクゥ、Seal が間違っていませんカー?」

提督「くだらんものを出すなということだ。言っておくが、それは否認通知だからな」

感情のこもっていない加賀の瞳が私に向く。

提督「異議申立てがあるなら、もっとましな理由をつけて出すことだ」

加賀は再び書類に目を落とす。

加賀「そう」

まるで、否認されることがわかっていたかのような口ぶりだな。

提督「書類はそれだけか?」

加賀「ええ」

提督「なら、自分の仕事に戻ることだ」

加賀「あなたは?」

顔を上げて、私の予定を聞いてくる。

提督「用が出来たんでな、午前中は執務室には戻らないかもしれん」

夕立を一瞥して、そう答えた。

加賀「そう……わかったわ」

そう言ってソファーから腰を上げた際、ふと加賀へ用があるのを思い出した。

提督「あっ、と、加賀、すまん、少しいいか? 相談があるんだが」

加賀は腰を上げた中途半端な姿勢で立ち止まる。

加賀「何かしら? 仕事に戻りたいのだけど」

提督「あーと、休みについてなんだが……」

加賀「付添いのことかしら?」

提督「ああ」

付添いというのは、非番や休日の護衛のことだ。娘によっては呼び方がまちまちなので、加賀のように別の呼び方をする娘もいる。鈴谷は「でぇと」とか呼ぶし。

加賀は娘たちの勤務予定を管理しているため、予定の調整はまず彼女に聞くのが手っ取り早い。

加賀「誰とかしら?」

加賀が再びソファーに座り、護衛の相手を尋ねてくる。
265 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/06(日) 03:28:55.44 ID:XuFongkr0
もっとクレヨン
266 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/06(日) 11:06:32.86 ID:kj+SMtMW0

提督「ああ、みょ……」

妙高、と言おうとした途端、背筋に悪寒が走った。

左手に触れている夕立の肌がひどく冷たく感じる。

加賀「みょ……?」

提督「いや、なんでもない。それより加賀、今度の補佐はいつだ」

加賀「来週だけれど?」

提督「そうか、相手についてはその時話す。一応、そういう話がある、とだけ知っておいてくれ」

加賀「別に今でもいいはずだけど……あなたがそう言うのなら」

腑に落ちない顔をしながら、加賀はそう答えた。

加賀「それだけかしら? 相談になっていないような気がするけど」

悪寒は、未だ消えない。何か別の話に逸らさないと。

提督「あー、いや、本題はここからでな。数日休みを貰って、本土に」



部屋が軋んだ。



鉄が歪に曲がるような音が聞こえる。

音源は六つ。左腕に一つ、対面のソファーに一つ、眼前から二つ、執務椅子の近くに二つ。

口が、重圧で、動かない。


加賀「本土に、なに?」

眼前にいる、青いたすきをかけた娘が、瞳を灼熱色に輝かせながら、凍えるような声を発した。

加賀「よく、聞こえなかったわ。もう一度、言ってもらえるかしら?」

提督「……」

口をやっとの思いで動かしたが、今度は声が出ない。
267 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/06(日) 11:07:11.28 ID:kj+SMtMW0

榛名「提督」

対面のソファーにいた榛名が、私の後ろに移動し、声を掛ける。

榛名「どうやら、提督はお疲れのようですね。少しお休みになられてはいかがですか?」

榛名が両手で優しく肩を掴む。

掴んだ手が、ひどく冷たい。

榛名「榛名がお世話をいたしますので、どうぞ、仮眠室へ」

提督「がっ……!」

瞬間、肩が潰れそうなほどの力が入り、痛みで呻き声が出る。

金剛「榛名、力を入れすぎネー。提督が痛がっているヨー」

榛名「あっ」

加賀の後ろにいた金剛が榛名に忠告をする。

それに呼応して、肩に掛かっていた力が消え、腰がソファーに沈む。

榛名「て、提督! 申し訳ありません! お怪我は……」

提督「き、ずを……」

やっとのことで言葉を発する。まず、三文字分だけ。

私に視線が集まる。

提督「傷を、なおし、たいん、だ」

加賀「傷? どこの?」

提督「銃創、をだ」

部屋が軋む音が、さらにうるさくなった。

夕立「なんで?」

左腕に指が食い込む。

夕立「なんで、それ、消しちゃうの?」

悲痛な声が耳に響く。

夕立「提督さんが、守ってくれた証なのに、なんで?」





提督「お前たちが……悲しい顔を、するから、だ」





重圧が、消えた。
268 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/06(日) 11:07:38.80 ID:kj+SMtMW0

部屋が、静かだ。

左腕の冷たい感触がなくなっている。

加賀「ここでは、治せないの?」

ひどく落ち着いた声が向けられる。

肺にゆっくりと酸素を取り込み、言葉を発する準備をする。

提督「ここだと、色々足りない」

執務椅子近くにいた明石が、悲しそうな笑顔を浮かべる。

明石はどちらかというと軍医というより看護兵に近い。

施術ができないわけではないが、人間の治療となると本土の専門医には劣る。

加賀は目線を下げて、熟考する。

夕立「やだ」

夕立が腕を離し、体を強く抱きしめてくる。

夕立「提督さん、いっちゃ、やだ」

肩を抱き寄せて、耳の上の髪を梳いてやる。

加賀に目線を戻す。

加賀の黒い瞳には強い光が宿っている。

加賀「悪いけど、駄目よ。あなたをここから出すわけにはいかないわ」

危険なほど、強い光が宿っている。

加賀「『あんなところ』に、あなたをまた行かせるわけにはいかないの」

金剛も。

榛名も。

摩耶も。

明石も。

夕立も。

『知らない』北上を除き、全員が同じ光を宿している。



























提督「……わかったよ」

そう答えるしかなかった。
269 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/06(日) 12:15:44.67 ID:QJKfWSSn0
過去になんかあって今の状況になったんだろうなあ
270 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/06(日) 12:16:10.52 ID:QRCl9H04o
北上は正常枠なのか
271 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/06(日) 12:20:53.70 ID:Dh4QgqHRo
多分北上様は二代目、じゃないかな……
272 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/07(月) 00:41:29.82 ID:tcYGIkZU0

その後、加賀は「くれぐれも余計なことをしないように」と釘を刺して自分の仕事に戻っていった。

摩耶、明石、北上も打ち合わせに戻る。

自業自得とはいえ、猛獣に囲まれるような空気がなくなり、思わず溜息が漏れる。

榛名「提督、お疲れのようでしたら、少し休んでいかれてはいかがですか?」

と思ったら猛獣の一匹、ではなく榛名が私の右隣に座り、身体を摺り寄せてくる。

右腕に絡まり、胸に実るたわわな果実が「収穫期を迎えたぞ、もげよ」と言わんばかりにその存在を主張してくる。

榛名は顔を寄せ、目を瞑り、私の首回りでくんくんと鼻を可愛らしく動かす。

榛名「においも強くなっておりますね、悪い汗が出てしまっているようです」

榛名は私の右手を掴み、左の太ももに手を招く。

太ももからスカートの内部に連れて行かれると、太ももと鼠蹊部の境がしっとりと湿っているのが感じられた。

榛名「この後シャワーを浴びるのでしたら、良い汗を流してからではいかがでしょうか? は、榛名は、すでに準備、が……」

突然言い淀んだ榛名は、右手で真っ赤になった顔を隠し、顔をそむける。

榛名「すいません……ちょっと待っていただけますか」

ここまでやっておいて、恥ずかしさで中断するとか、何がしたいんだこいつは。というか、なぜこの状況で実行した。

金剛がさっきから、ニコニコ笑顔だぞ。何も話さないのが怖いくらいのニコニコ笑顔だぞ。

夕立はどうしたかって? 悪夢を見そうなので振り向けません。左腕痛い。

明石「提督、お待たせいたしました」

右腕を速攻で引っ込める。

どうやら部屋と机の修理について、明石、北上、摩耶の打ち合わせが終わったらしい。

摩耶と明石が一瞬、養豚場の豚を見るような目をしていた気がするが、気のせいだろう……気のせいだろう。

提督「ああ、いつから始められそうだ?」

摩耶「今すぐにでも可能だってよ。修復材は妖精が持ってくるから、特にやることはねえな。立会いもあたしだけでいいみたいだ」

提督「そうか、了解した」
273 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/07(月) 00:41:57.38 ID:tcYGIkZU0

明石と北上に目配せする。

提督「明石、北上、朝から済まなかったな」

北上「ん〜、別に、気にしてないし。それより、提督も大変だねぇ」

あの状況を気にしていない、か。前線を退いたとはいえ、豪胆さは衰えずか。それとも私が小心者なだけか。

前線で思い出したが、今でも転属前の鎮守府や最前線の部隊から、北上の復帰を待ち望む声があるとか聞いたな。

どんな活躍をしたか詳しく知らないで受け入れたから、今度気が向いたら調べてみるか。

明石「お役に立てれば幸いです。それより、提督」

明石の冷ややかな目線が夕立に移動する。

明石「それ、いい加減こちらでお預かりしますよ。ご迷惑でしょう?」

夕立「臭い」

夕立が言葉を吐き捨て、私の服を引っ張る。

夕立「提督さん、ここ、臭いっぽい。早く行こ?」

明石「さっきから臭い臭いって……鼻が壊れてんじゃないですか? なんだったら、役に立たないその鼻を今すぐ切り落としてあげますけど?」

夕立「あ〜臭いっぽい、臭い臭い臭い臭い臭いくさ「 ゆ う だ ち 」

怒気を孕んだ声で夕立を呼ぶと、夕立と明石の身体がビクリと震えた。

夕立「あ」

青ざめた顔をした夕立を再び抱き寄せて、頭を撫でてやる。

提督「明石」

明石「あっ……は、はい」

目が覚めたような顔をする明石に声を掛ける。

提督「心配を掛けてすまないな。私は大丈夫だから、お前はもう下がりなさい」

明石「えっ、でも」

提督「おさんぽのお誘いをしたのは私の方なんだ。誤解をさせていたらすまなかったな。何かあったら呼ぶから、そのときは頼めるか? こういうのはお前だけが頼りだからな」

明石「はっ、はい、お任せください! それでは、失礼します!」

明石は、夕立に一瞬ニヤリと笑いかけた後、部屋から退出した。

北上「んじゃ、またね」

提督「ああ」

北上もあっけからんと退室する。
274 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2015/12/07(月) 00:46:03.69 ID:tcYGIkZU0
・本日は ここまで

・次から こちらからコメントがなければ 終了宣言は 控えます

・過去編がやばい タイトルだけ晒して誤魔化したい……

・感想 要望 改善等 あれば どうぞ
275 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/07(月) 02:13:35.04 ID:0T8IOmEd0
おつです
鈴谷の出番を全裸待機してます
276 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/07(月) 02:43:23.71 ID:g5xqYoeko
おつー
まってる
277 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/07(月) 11:31:12.56 ID:eVk+KktRo
おつでち
278 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/07(月) 20:42:46.78 ID:BK5KXlpU0
乙です

書き手が書く自信が無いのなら過去編は断片的な情報出して誤魔化すのもあり
279 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/10(木) 02:39:47.07 ID:euPIcCgc0
過去編とか無理に書かなくてもええんやで
色んな艦娘同士のギスギス見せてくれ
280 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/12(土) 14:44:41.26 ID:cmqoWvZOO
乙です
夕立をもっとみたいです
281 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/13(日) 02:02:50.44 ID:asaosqxY0

さて、部屋が直るまで、やれることはやっておこうか。

提督「摩耶、私は一旦部屋に戻る。身体を洗ったら一度顔を出すが、それまでここを頼むぞ」

摩耶「んなもん気にせず、あとはあたしに任せてさっさと行って来いよ。もたもたしてっとまた姉貴に蹴っ飛ばされっぞ」

提督「それは困るな」

摩耶は私の言葉に苦笑すると、秘書艦用の机に座り、そのまま書類業務に入った。

提督「行くか」

夕立「提督さん……」

弱々しい声が耳に届く。

声のした方に振り向くと、今にも泣きそうな顔が視界に入る。

提督「どうした、夕立」

夕立は私の顔を見ると唇を震わせる。

夕立「……ご……さ、い」

何か言葉を発しようとしているが、うまく声が出せていないのだろう、虫食いされた文字が口から零れるだけだった。

とはいえ、唇の動きと表情で大体のことは察することはできた。

左手で肩を抱き寄せたまま、右手で夕立の頬に手を添える。冷たい。

提督「大丈夫だ、夕立。怒っていないから」

「怒っていない」という言葉に、夕立が肩を震わせる。

夕立「あ……で、も」

提督「明石は怖かったな」

夕立の言葉を遮り、暖めるように頬を撫でる。

提督「私も驚いてしまったよ。普段はあんな冷たいことを言う奴ではないんだがな」

夕立に体を向け、胸元に顔を抱き寄せる。右手を後頭部に寄せて髪を撫で、左手を背中に回し、赤子をあやすように背中を優しく、ポンッ……ポンッ……、とたたく。

提督「あのまま夕立と明石が話を続けていたら、もっと酷いことになるんじゃないかと怖くてな。つい語気を荒げてしまった。だが、なんだかお前を叱ったようになってしまったな」

夕立は顔を上げると、潤んだ眼を向けてくる。

提督「夕立、怖がらせて、すまなかったな」

私がそう言うと、夕立は目を瞑って、嬉しそうに胸元に抱きついた。

夕立「ううん……よかった、っぽい」

そして、安心したかのように呟いた。
282 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/13(日) 02:03:28.15 ID:asaosqxY0

夕立の気持ちが落ち着くまでしばらく抱き合い、ソファーに腰を預けたまま時間を過ごす。

修復材がまだここに届いていないためか、妖精の作業はまだ始まっておらず、時計の針の音が部屋を支配する。

ついでに、金剛と榛名の不機嫌な視線も。あ、摩耶もだ。

そんな針が刺さるような視線の中、夕立が胸元で「えへへ」と笑みを零す。

提督「しかし、夕立。明石があんなことを言うからって、お前まで汚い言葉を言う必要はなかったんだぞ」

夕立は嬉しそうな表情を変えて顔を上げると、ムッと口を結ぶ。

夕立「明石さんに悪い油がついていたから、いい油を注いであげただけっぽい」

いい油でもっと燃え上がるってか。ハハハ、こやつめ。

金剛「テートクゥ、Shall we?」

提督「ん? ああ、そうだったな。夕立、行けるか?」

夕立「ぽい♪」

行けるな。

榛名「あの、提督、お休みになってからの方が」

夕立「提督さん、早く行くっぽい」

提督「わかっている」

榛名「あの」

夕立「提督さん、早くそのニオイとるっぽい」

提督「わかっているから、急かさないでくれ。榛名、すまないがまた後でな」

私に気を遣う榛名の言葉を遮り、夕立が急かしてくる。

榛名の気遣いは嬉しいが、愛宕のこともあるので急ごう。

榛名「……はい」

提督「摩耶、頼んだ」

私が声を掛けると、摩耶は椅子に座ったまま、犬を追い払うような仕草をして、私たちを急かした。その仕草はさすがにどうなんだ。

私室へ向かうため、執務室を出る。

榛名「……」






























榛名「榛名は大丈夫でス」


283 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/13(日) 17:10:14.25 ID:Oc4z8f5ro
大丈夫とはいったい…
284 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/13(日) 20:13:48.65 ID:+6RLqD8D0

部屋に到着し、まず居間に金剛たちを案内する。

居間のテーブルには、朝食時に食堂から持ってきたお盆とバスケットが残っている。後で間宮さんに返却しなければ。

提督「体を洗ってくる。しばらくここで待っていてくれ」

金剛「テートク、ワタシも一緒に入るネ」

やはり金剛はそう言うか。

確かに護衛は四六時中私の傍にいることになっているが、裸になる場所などは範囲外という解釈だったはずだ。

仮にそういう場所で私と二人きりになるのであれば、福祉係の許可が必要になる。

提督「榛名、私は一人で入るからな」

榛名「……はい、榛名は大丈夫デス」

提督(よし)

金剛が榛名に聞く前に、榛名から言質を引き出しておく。

提督「金剛、そういうわけだからな」

金剛「ムゥ」

金剛は不満駄々漏れだったが、渋々同意した。抜け駆け防止の許可制がここで役に立つとは。

ここで愛宕や金剛が福祉係だと、ほぼ確実に一緒に浴室に入って一発犯ることになるからな。

仮に許可を無視して入って来ようものなら、その時はほかの娘からの『私刑』が待っている。

抜け駆けを許さず、皆で平等に『しあわせ』を享受する。まさしく『福祉』係というわけだ。

……その『しあわせ』が私なのはどうかと思うが、まあその辺は気にしないでおこう、うん。

夕立「提督さん」

提督「夕立も、いい子なら待てるな」

夕立の言葉を遮り、頭を撫でる。

夕立「……早く出てきてね」

提督「できる限り早くするさ」

夕立の頭を一頻り撫でた後、金剛たちを置いて浴室へ向かう。

今度こそ久々に一人で過ごせそうだ。



提督(はて?)

……何か大事なことを見落としている気がする。
285 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/13(日) 20:45:34.49 ID:5UP7+7Cy0
はよはよ
286 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/13(日) 21:18:43.01 ID:X6PIT7Puo
もう何をどうしても修羅場にしかならんなここは
287 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/13(日) 23:33:47.63 ID:aG/lOH/u0

更衣室で服を脱ぎ、浴室の扉を開け、床に足を乗せる。

提督(相変わらず変なもんだ)

現在、この浴室の床には様々な洗剤が置いてある。

シャンプー、リンス、ボディーソープ、トリートメント、コンディショナー、洗顔料、化粧落とし、入浴剤、スポンジ、毛抜き、I字剃刀、T字剃刀などなど。

容器の色も形も様々な洗剤や入浴用品が置いてあり、それらが所狭しと壁際を占領している。

大体は娘たちがここに置いていったもので、秘書艦や休日の護衛に指名された際、これらをここで使用している。

自分の部屋に置いておけよ、と思うのだが、秘書艦に指名される度にこの浴室に持ってくるのが面倒臭いためか、置き傘感覚でここに置かれているのが実情である。

いい加減狭くなってきたし、棚か何かを購入して整理整頓するべきだろう。


提督(温かくなってきたか?)

シャワーの水温を右手で確認する。もう少し熱い方がいいな。


ちなみに、更衣室にもこれ以外の、もうよくわからない物が置いてあり、『女性って大変なんだな〜』ということが一目で理解できるようになっている。

クリームにパウダーに口紅に、えとせとらえとせとら。確かにあれを一々ここに持ってくるのは面倒だろう。

ただ、あれだ、面倒臭いからと言って、タオルや歯ブラシ、着替えなんかを置いていくのはやめて欲しい。

特に下着。いくらなんでもあれをここに置いていくのは本当にやめて欲しい。下り物で黄ばんだパンツなんて誰が喜ぶんだ。

あと歯ブラシ。使う洗剤は娘たちによって千差万別なのに、なぜか皆、歯ブラシは私と同じものを使用しているため、時々間違えて娘たちの物を使ってしまいそうになるのだ。

この前も満潮に「それ私のじゃない!? なにやってんのよ、このバカ!」と怒られたばっかりだし。せめて名前を書くなどの工夫をして欲しいものだ。

それにしても、偶然かもしれないが、娘たちが皆、全く同じ種類の物を購入するとは奇妙なものだ。

購買で買えるものがそれしかなかったのだろうか? 今度確認して、場合によっては別種類の品を取り寄せてみるか。


シャワーの水が適温になったところで一度体を流す。

身体に洗剤を付けるため、シャワーフックにヘッドを掛ける。

洗剤容器のポンプを押し、洗剤を適量取り出す。


「てーとくさん♡」

甘い声が、後ろから響いた。
288 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/14(月) 00:09:58.20 ID:HJvs4YCSo
後ろ回し蹴りを叩き込め!
289 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/14(月) 03:17:38.15 ID:5ZPxKY4P0
回し下痢なんてしたら足をへし折られそうだけどな
290 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/22(火) 13:13:29.91 ID:F2rg+1i60

ポンプに手を乗せたまま振り向くと、そこには産まれたままの肢体を晒す夕立の姿。

夕立は後ろから首元に手を回すと、顎を左肩に乗せ、身体を私の体に密着させた。

必然、背部に夕立の乳房が当たる。硬くなった乳首が背中にあたり、柔らかな乳房が私の背部と夕立の胸部の間に挟まれる。

首元を抱きしめる腕は、牛乳の寒天のような甘い柔らかさを肌に伝えてくる。

提督「夕立、何しに来た」

少しきつめの口調で尋ねる。

夕立「てーとく……さん♡」

私の質問に答えず、身体をこすりつけてくる。

離れてまだ数分しか経っていないのにもかかわらず、腹を空かせた獣のように口から荒い息継ぎが溢れている。

そして荒い息継ぎのまま、後ろから左耳の付け根を舌でなぞり、耳たぶにしゃぶりつく。

温かい軟体生物のような舌が耳たぶに絡み付き、時よりついばむように耳が唇に引っ張られる。

耳を蹂躙し尽くすと、唇を離し、左側頭部で鼻をひくつかせた。

夕立「提督さん、臭い」

においを嗅いだ瞬間、しかめ面になる。今から洗おうとしたんだよ。

提督「夕立、榛名はどうした」

もう一度尋ねる。

しかし夕立は私の言葉に反応せず、洗剤を乗せた左手に視線を注ぐ。

そして身体を移動させ、私の左手首を掴む。手首に力が掛かり、振りほどけない。

そのまま夕立の手に誘われて、私の左手が右の乳房に吸い込まれる。

夕立「あはっ♡」

眼が細くなり、歪んだ唇から嬉々とした声が漏れる。

左手で手首を掴まれ、右手で指を操られ、乳房を揉まされる。

育ち盛りな見た目に反し、厚みのある乳房が指で形を変え、練りこまれる。

手のひらをこする勃起した乳首も、洗剤が潤滑液となって悪戯するようにくすぐってくる。

洗剤を塗りたくったところで、今度は左の乳房に手を招く。

提督「夕立、やめろ」

右手で夕立を押し留める。しかし、私の制止を耳に留めず、夕立は一心不乱に胸を揉ませてくる。

幸せそうな夕立は、結局、洗剤が塗りたくられるまで、私の左手を離さなかった。

頭が痛くなりそうだ。
291 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/22(火) 13:14:01.87 ID:F2rg+1i60

夕立「てーとくさんっ♡」

洗剤まみれになった夕立が正面から抱きついてきた。

ハッハッと息継ぎを荒くし、だらしなく開いた口から熱を帯びた舌が垂れる。

垂れた舌から、糸を引きながら滴が落ち、胸板で私の体に纏う水と混ざっていく。

提督「夕立、いい加減にしろ。違反行為だぞ」

そもそも金剛と榛名はどうした。まさか見逃したのか。

語気を荒げて咎めるが、言葉届かず。

私の肩に乗っている夕立の手に力が入る。上体が上がり、夕立の顔が私に近づく。

夕立の舌が私の左頬に触れ、じっとりと縦になぞっていく。


夕立「夕立は、スポンジっぽい」

提督「はっ?」


正面に顔を移した夕立が、胸と股を擦り付けながら口を開いた。

その内容に、思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。

夕立「夕立は、てーとくさんの体を洗うスポンジなの♡ だから、まったく問題ないっぽい♡」

そんな阿呆な理屈あるか。

提督「いや、お前な……」

夕立「そもそも」

私の言葉を遮り、夕立は言葉を続ける。

夕立「提督さんが戻ってくるのが遅いのがいけないっぽい。だから」

夕立は、腰を振り、身体を上下に動かしながら、私の体を洗う。

夕立「夕立が、のそのそ亀さんてーとくさんのお手伝いをしてあげるっぽい♡」

まさかとは思いますが、その亀はもしや下半身の亀ではございませんか。


夕立「あっ♡」


夕立は声を上げると、腰を上げて、私の下腹部に視線を送る。

夕立「提督さんの亀さんがおっきくなったっぽい♡」

夕立、それ亀やない、亀頭や。
292 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/22(火) 13:14:53.19 ID:F2rg+1i60

夕立は私の陰茎の竿を右手で掴むと、陰唇にあてがおうとする。

提督「待て、それは駄目だ」

右手で夕立の腰を押し、亀頭を陰唇からズラす。

夕立の陰部のすじが陰茎の裏筋に当たる。

夕立「てーとくさん、大丈夫っぽい」

桃尻を揺らし、陰茎の竿を陰裂でこすってくる。

夕立「これは、夕立のおまんこスポンジで、てーとくさんのおちんちんをゴシゴシ洗ってあげるだけっぽい♡」

カウパー液が先端から溢れ、粘着質の液体と混ざって竿に塗りこまれていく。

夕立「全然、エッチなことじゃないっぽい♡」

提督「駄目なものは、駄目だ」

そんな理屈通ってたまるか。

夕立「……」

夕立の陰部が陰茎の竿から離れる。

夕立は自分の陰唇を右手の人差し指と中指で開き、ピンク色の花弁を晒す。

蜜を垂らし、ヒクヒクと揺れるそれは、欲情に貫かれるのを待ち望んでいる。

洗剤の匂いと、蜜の、いや雌の匂いが混ざり合って、脳髄を刺激していく。

頭が、締め付けられるように痛い。

夕立「てーとくさん」

夕立は、自分で胸を揉みしごきながら、恥ずかしそうに頬を赤く染め、熱を帯びた視線を送ってくる。

夕立「ゴシゴシ、しよ?」


頭が、痛い。


夕立は嬉しそうに私の竿を再び掴むと、ゆっくりと腰を降ろしていく。

私の鈴口が夕立の膣口と口づけを交わして━━━━━




































━━━━━カランッ、と何かが後ろで落ちる音がした。
293 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/22(火) 14:02:23.93 ID:+CRmwwzC0
うわあ・・・
294 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/22(火) 22:49:29.08 ID:2rK9+52go
あっ(察し)
295 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/12/23(水) 03:59:17.27 ID:99DcvQdk0
期待
296 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/23(水) 04:16:37.83 ID:6k8Sw0Lb0

怖気が走り、すぐに夕立の肩を引いて、背後にある扉から隠すように抱き寄せる。

幸い、抱き寄せた際に陰茎が外れたため、性行為は回避できた。ただ、外れた際に夕立のお尻の割れ目に陰茎が挟まって、すべすべの肌が竿を撫でることになったが。

音のした方向に視線を送ると、間仕切り錠の取っ手が床に転がっているのが見える。

扉の錠に視線を移す。



角芯を通す穴からこちらを覗く目と視線が交わる。



冷えついた粘着質の視線が、穴から浴室内を覆っていく。

いや、ありえない。小指一本分も通らない大きさの穴だぞ? 浴室内がまともに見えるはずがない。なにより、そこから見えるものがどうして目だとわかった?

いや、だが、この感じは「見られている」としか言いようのない感覚だ。

なにより、あの黄昏時の色をした瞳は……

提督「榛名か……?」

扉の方向に声を掛けると、室内を覆っていた視線が消える。

そのかわり、金属が軋む嫌な音が響く。

鉄でできた蝉が、鳴こうとしては死んでいくような、そんな音が規則的に繰り返される。


突如として、鉄の蝉が捻り潰されて、折られる音が現れた。


それと共に、今度はサムターンが床に転がる。

扉を開けるならば、硬貨を嵌めて開ける非常解錠装置を使えばいいはずだが、何があったというのか。



━━━━━カチャッ、カチャッカチャッ、カッカッカッカッカッカッカッカッ、カチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャ



━━━━━カチッ



扉が少しだけ開く。

榛名「……提督」

更衣室の床で膝をつき、扉の側面を手で掴んだ榛名が、顔を半分だけ出してこちらを覗く。

別れてまだ数分しか経っていないはずなのに、ひどくやつれて目になっていた。どことなく、雰囲気も暗い。

提督「どうした、榛名」

声を掛けながら、榛名の視線から夕立をできる限り遮る。

榛名「夕立が、そこにいますね?」

気づかれているか。しかし、まだ正直に答えるわけにはいかない。まずは状況を把握してからだ。

提督「なにかあったのか?」

夕立の心臓の鼓動がこちらに伝わる。頬ずりすんじゃない。

榛名「夕立を、お渡しください」

私の質問に榛名は答えない。返答しない私も私だが、今の榛名に夕立は渡せない。

違反行為をしたとはいえ、強く拒絶できなかった私にも非はある。何をするのかだけでも情報を引き出さなければ。

提督「榛名、夕立とは何もしていない。私が身体を洗ってあげていただけだ。だから」

榛名「夕立を、渡せ!」

怨嗟の声と共に、掴んでいる部分が指の形に凹んだ。
297 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/23(水) 04:17:04.79 ID:6k8Sw0Lb0

榛名「そいつは! そいつはそいつはそいつは! お姉さまと榛名が目を離した隙に、その隙に! こんな、こんなこんなこんなこんなこんな、こんなことを!」

榛名「今日は榛名が! 今日は今日は今日は、榛名が、ハルナが! 最初に! 提督に! 『使っていただける』日なのに!」

榛名「本当なら、榛名が! ここで、提督と、提督を、お世話するはずなのに!」

榛名「なのに、なのになのになのになのになのになのになのに! なのにっ!」

榛名「どいつもこいつも! 好き勝手しやがって!」

榛名は瞳を青色に輝かせながら、怨声を室内に響かせる。

人格に影響が出ているせいか、口調もおかしくなっている。

榛名「許しません。許しません許しません許しません許しません許しません許しません許しません許しません許しません許しません許しません許しません許しません」



榛名「 ユ ル サ ナ イ 」



榛名「提督、そいつをお渡し下さい」

榛名「そうすれば、きット、ハルナ ハ ダイジョウブ ニ ナリマス」

榛名は燃え盛る猛獣のような息継ぎをすると、口を三日月のように歪める。

そして、見開いた目には涙が灯っていた。

提督(駄目だな)

今の榛名に夕立を渡しても、むしろ悪化するだけだろう。仲間を傷つけて、心に平静を取り戻すような娘ではない。

提督「榛名」

榛名「ハイ」

提督「気が変わった、一緒に風呂に入って、私の世話をしろ」

扉を掴む力が弱くなったようにみえる。

榛名は一瞬口を真一文字に結ぶと、ゆっくりと口を開く。

榛名「夕立ヲ、オ渡シ下さい」

提督「私と入るのは嫌か?」

扉を掴む力が少しだけ強くなったようにみえる。

榛名「夕立ヲ、オ渡シ イタダイタ 後ならば、二人きりで、お付き合いできます。だから」

提督「私より夕立を優先か……悲しいもんだ」

榛名の顔が苦痛にゆがむ。

榛名「違イマス! 榛名は、決して提督を蔑ろにしたわけでは……ただ、夕立が「榛名」

言葉を発しながら、徐々に顔を俯かせる榛名に声を掛ける。

提督「私は『世話をしろ』と命じている。提督としてな。そしてお前は私の部下で、はて? お前の今の仕事はなんだったかな」

わざとらしく、いやらしく、言葉を続ける。

提督「ああ、お前は今日は福祉係だったな。福祉係は確か、そう、いろいろ世話をしてくれるんだったな。なのに、命令を無視して職務を放棄するというのなら、今後一切榛名に世話は頼まないことにしようか」

榛名「そんなの……いや」

榛名は声を震わせる。

提督「そうか、なら、もう一度言うぞ。『身に纏った衣類を全て脱いで、ここで私の世話をしろ』」

私の言葉に榛名が顔を上げる。

夕焼け時の瞳が泥水のように濁っていた。

榛名「榛名、奉仕命令、了解です……」

いや、そこまで言っておらんから。
298 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2015/12/23(水) 04:22:20.40 ID:6k8Sw0Lb0
・本日は ここまで

・なんかいろいろごめんなさい 特に榛名

・おかしい…… ちょっと提督への愛が深い艦娘とのほのぼのイチャネチョハートフルコメディを目指していたはずなのに……

・今更ですが キャラ崩壊 注意です

・感想 要望 改善等 あれば どうぞ
299 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/23(水) 11:38:45.98 ID:4iw+RjTB0
保守
300 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/24(木) 04:19:59.79 ID:5+26JgdFo
きてたのか
おつ
301 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/24(木) 09:41:03.11 ID:KcHsm8Dw0
夕立が優遇されすぎ
302 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/25(金) 09:18:19.87 ID:VFUJpyeIo
>>301
榛名おちつけ
303 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/30(水) 00:59:50.21 ID:Hv0jgYnY0
まだか
304 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/31(木) 20:05:36.58 ID:Bd7QtOG60

榛名は扉から手を離し、扉に細い隙間を残して更衣室へと消え、曇りガラスに人影を写す。

榛名が見えなくなってからすぐに夕立を体から引き剥がそうと、肩を掴んで腕で身体を押す。

しかし、私が引き剥がそうとするのに気付いたのか、夕立は頬を膨らませて不満を表明し、背中に腕を回して離れるのを拒否する。こいつ、さっきの榛名の言葉が聞こえていなかったのか。

何とか夕立を引き剥がそうと悪戦苦闘している内に、扉の隙間越しから衣擦れの音が鼓膜を揺らし、そのたびにガラスの人影が動いて白と赤の色彩が乳白色へと変わっていく。

扉の隙間が大きく開く。

榛名「……失礼致します」

タオルを右手に掛け、夕立と同様に肌を晒した榛名が浴室に入ってきた。

夕立と比べてみると重みのある乳房や少し大きめの乳輪、はっきりとした膨らみを魅せる臀部、色の濃くなった陰部など、成長期と成熟期の違いが見て取れる。

……局部や胸に目が行くのは“さが”というものか。というかタオルがあるのになぜ隠さないのか。

断りの一言を述べた後、鈍色の髪を揺らして浴室の床に足を着け、無言のまま私の後ろについた。

そして腰をゆっくりと曲げ、上から私の前を覗き込む。

浴室内ではあるものの榛名は髪をまとめていないため、覗き込んだ際に髪が垂れて鈍色の帳が表情を隠す。

榛名「へえ……『洗ってあげた』ですか……」

私に抱きついている夕立に顔を向けると、抑揚のない声で呟いた。

榛名「提督はそうやって駆逐艦の娘たち洗ってあげるのですね。榛名、知りませんでした」

左手が私の肩にそっと置かれ、顔が私の方を向く。

榛名「提督、夕立を、どう、洗ってあげたのか教えていただけませんか? ……榛名、気になります」

髪の間から見える橙色の瞳が、炭に燻る炎を連想させた。

夕立「知りたいの?」

夕立が榛名を見上げて、不思議そうな声を掛ける。

榛名「ええ、とっても」

榛名は夕立に答えながら顔を向ける。表情が再び髪で隠れる。

夕立「じゃあ、教えてあげる」

榛名を見上げたまま、私の右肩を掴んで夕立は身体を離す。

夕立「提督さんのおっきな手でね、おっぱいの隅々まで綺麗にしてもらったの。そのあと、こうやって身体をピッタリくっつけて、逞しい胸板で夕立のお腹やおへそやお股を洗ってくれたの」

夕立は説明をしながら、自分の乳房を下から持ち上げ、揉みしごく。その後、再び私に身体をくっ付けてゆっくり上下に動かす。やめろ。

夕立「榛名さんがこなければ、今度は逞しいこれでお腹の中もゴシゴシしてもらうつもりだったの。榛名さんが来なければ」

そういって夕立はお尻に当たっている私の陰茎を、榛名に見せつけるように割れ目で擦る。勃ったままの自分の息子が憎い。

榛名「そう」

そういって髪を掻き上げた瞬間、熱した泥のような瞳が見えた。

榛名「ありがとう。じゃあ、今度は私が夕立の身体を洗ってあげるわ。汚れを全部削り落としてあげる」

榛名はタオルで隠していた右手を出した。

その右手に持っていたのは ━━━━━ 鑢(やすり)。

しかも踵などの角質を落とすものではなく、金属を削るための鉄工ヤスリ。どこから持ってきやがった。
305 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2015/12/31(木) 20:10:59.81 ID:Bd7QtOG60
・今年は ここまで

・感想 要望 改善等 あれば どうぞ
306 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/31(木) 20:25:35.56 ID:sKpkVNtao
こわーい
307 :以下、2016年まであと4397秒。。。 [sage]:2015/12/31(木) 22:46:43.44 ID:JBTLiNRxo
ヒェェ…乙
308 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/01(金) 01:11:09.99 ID:cLryteq00
あけおめ
今年も更新期待しております
309 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/03(日) 22:03:59.72 ID:cnSUPGj6o
遅ればせながらあけおめ
長編物は大変でしょうが頑張ってください
310 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/12(火) 22:40:57.98 ID:5euoTgLP0



夕立「プッ」



榛名がヤスリを見せてすぐ、気が抜けるような音が漏れる。

夕立「プッ、ププッ、そんなので夕立の肌をキレイにできるっぽい?」

歪んだ笑顔で馬鹿にするように笑う。

確かに、ただのヤスリなら艦娘の肌に傷一つ付けることはできないだろう。

榛名「ええ、できるわ」

嘲笑を圧殺するように、静かに断言する。

榛名「妖精さんたちが艤装の錆を落とすために使っている自慢の一品だもの。艦娘の肌でもしっかり削り落とせるわ」

その言葉で、夕立の歪んだ笑顔が一転して険しく引き攣る。本当にどっから持ってきた。

榛名「さあ、キレイにしてあげるわ」

榛名はタオルを離し、腕を上げてヤスリを眼前に構え、夕立を見下ろす。

ヤスリには多数の突起が備えつけられており、まるで鬼の金棒が如く凶暴な雰囲気を醸し出している。

もはや凶器にしか見えないそれを構え、瞳に強烈な輝きを宿して頭上にそびえるその様は、地獄の獄卒鬼に見えた。

提督「待て、榛名」

右手で引き留める。いくらなんでも猟奇沙汰は勘弁願いたい。

榛名は私に振り向いて微笑む。

榛名「大丈夫です、提督。榛名はただ、汚れを、削るだけです。きたないきたないきたない汚れを」

榛名の左手が私の右手を掴んで引っ張り、力ずくで体を振り向かせる。風呂椅子の床をこする音と共に体を半回転させられ、抱きついていた夕立が榛名の正面に姿をさらす。

榛名「ご存知ないかもしれませんが、ヤスリで角質を落とすと肌がつるつるになるんですよ。このヤスリはそのための物です。だから、そう、決して提督が思っているようなものではありません」

嘘つけ榛名。私が足柄に見せてもらったヤスリはまかり間違ってもそんな禍々しいものではなかったぞ。そもそもさっき錆落とし用と言ってなかったか。

榛名「さあ、いつまでも提督にくっついていないでこっちに来なさい薄汚いフケ犬女。その不清潔な肌を削げないでしょう?」

普段の榛名からは考えられないような残虐な感情と醜悪な言葉をむき出しにし、悪鬼羅刹がごとくおどろおどろしい左手が夕立に肉薄する。

夕立は私から降りるとそのまま背面に素早く隠れる。

夕立「やだ……提督さん!」

助けを求めるように私に抱きつく夕立に対し、榛名はヤスリを逆手にもち、私の体を支えに背部を覗き込む。

榛名「……」

ヤスリを振りかざす。

提督(ああ、もう)

正面に垂れるたわわな果実、そこにぶら下がる生ハム色をした滴。

その滴を摘む。



そして一気に引っ張った。



榛名「ぴゃうっ♡!?」

夕立「ぴょいっ!?」

榛名の敏感乳首は私が育てた。
311 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします :2016/01/13(水) 02:53:48.35 ID:qb7CmnZF0
きたか?きたのか?
312 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします :2016/01/13(水) 02:53:48.29 ID:qb7CmnZF0
きたか?きたのか?
313 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします :2016/01/13(水) 02:53:48.41 ID:qb7CmnZF0
きたか?きたのか?
314 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします :2016/01/13(水) 02:54:20.16 ID:qb7CmnZF0
きたか?きたのか?
315 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/13(水) 03:39:14.85 ID:fHknyH0h0
荒ぶり過ぎ
316 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/14(木) 05:33:43.53 ID:JAoqXiEu0
更新きてんじゃーん生ハム喰いたくなった
317 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/14(木) 23:24:06.34 ID:3xX/ky8Ho
堕ち済みでしたか
318 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/16(土) 13:12:55.88 ID:bwAnc/oO0

情けない声が聞こえた瞬間、腰が抜けたのか榛名がのしかかってきた。

すかさず、榛名の尻を指が食い込むほど鷲掴みにし、腰を引きずり落とす。

そして前戯もなにもなしに秘部に肉棒を押し込む。


榛名「ひぅっ!?」

夕立「え?」

滾り付いた陰茎が秘所を守る二つの花弁を押しのけた瞬間、榛名の喉から声が漏れた。


榛名「おっ? お゛ぉお゛おおおっ?! お゛ほおぉっ!」

夕立「ぁっ、あああ……」

にゅプッ、と亀頭が挿入し、ヌプププププゥッ、とひだ肉を押しのけ膣道を陰茎の形に整えながら突き進み、ズンッ、と肉塊を膣奥に叩き付けた。


榛名「あ……? う? あっ……! ああっ! て、提督、挿入って……ますっ……提督のが、挿入って、挿入っちゃってますぅ!」

提督「そうだな……で、なにか問題でもあるのか?」

肉棒が膣内に入ったのに気付いた榛名に対し、膣内をカリでほじり、奥をえぐる。ついでに乳首も弄っておこう。

榛名「んんっ! だ、だって、こんな、いきなりぃ」

抗議の声を上げている割に、榛名の中は溶けそうなほど熱く濡れており、ひだ一枚一枚が肉棒に絡みついてくる。

提督「なんだ、したくないのか?」

榛名「したいですぅ♡♡♡♡♡」

一気に蕩けた顔になった榛名が抱きついてきた。そのまま情欲任せの口づけをされる。ヤスリの刃が背中にちょっと当たって痛い。

舌が絡み合うのと同時に、生殖器も絡み合う。

妙高が羽毛布団のように柔らくてほじくり回したくなる膣内なのに対し、榛名は入口付近が柔らく、中程と奥がキツい。そして一旦陰茎を奥まで挿入れると今度は入口付近もしまりが良くなり、食虫植物が如く獲物を逃さまいと絡みついてくる。

何度か腰を揺すって中を味わっていると、榛名の身体が突如として小刻みに震え、唇が強く押し付けられる。

榛名の手からヤスリが離れ、硬く鈍い音が響く。

震えが止まり、その余韻を十分に堪能した後、唇が名残惜しげに離れる。

唇に糸を残し伏し目がちにほほ笑む様はなんとも淫靡だ。



━━━━━その顔が一転して歪み嗤い、榛名の手が私の背後に伸びる。



夕立「がっ! ぅ……ぁあっ」

榛名「だめよぉ夕立ぃ、今提督が楽しんでるんだからぁ♡」

榛名の手が夕立の頭蓋を掴み、指の力で締め上げる。
319 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/16(土) 13:13:44.35 ID:bwAnc/oO0

夕立の手からヤスリが落ち、再び鈍い音が床に響く。

提督「榛名」

榛名「はいぃ♡ はるなぁ、わかっていますぅ♡」

榛名は夕立から手を放すと、腰を激しく動かし打ち付ける。

榛名「いひひひひひひひひひひひ♡ 夕立よりもお姉様よりも先に、あっ♡ 提督にぃ♡ ひひっ、ひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ♡」

榛名の腰の動きで陰茎がしごかれ、睾丸から精液がポンプのように汲み上げられていく。

榛名「ひんっ♡ くるっ、きちゃうっ♡♡ すごいのくるうぅ♡♡♡」

喘ぎ声と笑い声をあげながら、別の生き物のようにうねる膣がさらに搾り上げてくる。膣内に蛸でも飼ってんのか。

榛名「あっ♡ くるっ♡ 提督の主砲から三式弾がぁきてぇ♡ 榛名ぁ、大破しちゃますぅ♡」

なに言ってんだこいつ。

提督(むっ)

睾丸から精液が精管を伝い、尿道を押し広げながら陰茎を膨らませ、膣道と押し合い擦りあいながら亀頭へとせり上がっていく。

榛名「あっ」

榛名の身体が再び震えると、入口から奥へと順に締りつけていく。

提督(つっ……)

膣壁に押し出されるかたちで鈴口から精液が噴射し、溢れ零れるように膣内へと飛び出す。

榛名「あっ♡」

膣内が精液で段々と満たされていくごとに、榛名の顔がふたたびとろけていく。

榛名「あはぁっ……♡ ちゃくだぁん……♡♡ ちょくげき、ですぅ……♡♡♡」

身体をビクッ……ビクッ……と震わせ、脳髄まで溶けきった榛名が力なくのしかかってくる。

射精の余韻に浸りながら、榛名の濡れた生暖かい肌を抱き、浴室内を見渡す。



夕立が、浴室内からいなくなっていた。



浴室の扉が揺れている。

耳障りな金属音を立てながら。


320 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/16(土) 13:46:03.50 ID:cMsQPuaZo
盛り上がって参りました
321 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/16(土) 14:24:19.42 ID:XNjw6iwJo
こんな食虫植物が家にもほしい
322 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします :2016/01/19(火) 00:47:44.25 ID:1XT2mMEB0
素晴らしい。
323 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/19(火) 11:11:39.47 ID:4N4DM6ma0
>>1の前作とかあるのかしら...
324 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/01/24(日) 13:57:29.77 ID:qWxgowOG0

提督「……榛名、起きろ」

榛名「ぁんっ♡」


一通り浴室内を見回し、夕立がいないのを再確認した後、榛名の下腹部を突き上げて起こす。


提督「出るぞ」

榛名「……あっ、ぃやぁっ、んっ♡」


未だに締め付けてくる膣内からヒダがめくり上がるのもお構いなしに強引に陰茎を引き抜く。

引き抜いた後も塞がりきらないままの膣口から白濁した精液が粘りつきながら垂れていき、浴室の床に白いシミを一つ二つと作っていく。

シャワーで陰茎についた精液と膣液を洗い流し、同時に榛名の膣内の精液を指で掻き出す。


榛名「あっ♡ ひっ♡ そんなっ♡ 乱ぼっ、うぅん♡ お゛あぁっ、ひゅっ♡」


シャワーを掛けながら、卵白を泡立てるように中指と薬指の二本の指で膣内を掻き回す。

精液が出てこれるように膣内をほじくり回し、膣道を広げながら精液の溜まり場へ指を進める。


榛名「あっ♡ おっ♡ んんっ♡ おっ!♡ イクっ!!♡♡ イくぅぅぅぅぅっ!!!♡♡♡」


精液が一通り掻き出され排水溝へ吸い込まれた瞬間、突如腰を浮かせて濁声を上げ、陸に上がった魚のように痙攣した。

榛名は再び放心状態になり、壁にもたれかかる。

私はシャワーを手に取って、口を半開きに明けて虚ろな目をしている榛名の身体を洗い流す。


提督「榛名、ほら」

榛名「提督……んっ」

提督「んっ」


榛名の身体を引き上がらせようとした近寄った途端、寄りかかってきた榛名に唇を奪われた。

舌を絡ませる情熱的なものではなく、柔らかく優しい口付けが唇を覆い、そして離れる。


榛名「提督、榛名、幸せです……」

提督「……行くぞ」

榛名「はい♡」


結局まともに身体は洗えなかったが、まあいい。


提督(夕立はどこへ行った?)


そう思って扉に手を掛けようとした時、更衣室からガラスが割れる音がした。
325 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/01/24(日) 13:58:41.63 ID:qWxgowOG0

すぐさま扉を開けて更衣室に入ると、床に透明な液体とガラス瓶の破片が散らばり、そこから柑橘類の匂いが発せられていた。

あの瓶は確か━━━━━


榛名「あ……?」


何かを奪われたような声を漏らし、床に散らばった破片へと榛名が近寄る。


榛名「あ? なん……で?」

夕立「それ、臭い」


床に膝を着き項垂れる榛名の前に、赤と白の布切れが降り注ぐ。


夕立「それも、臭い」


夕立の持っているヤスリには榛名の装束の切れ端が残っていた。


夕立「おまえも、臭い」


ヤスリを榛名に目掛けて振り下ろす。


提督「夕だ」

金剛「HEEEY!! テイトクーッ!! 着替え持ってきたヨーッ! Let’s change clothes!」

夕立「うるさいっ!」

金剛「ッ!?」


矛先を変えたヤスリが更衣室に入ってきた金剛に狙いを定める。

金剛が持っていた私の着替えが引き裂かれ、ヤスリにかすったのか金剛の指から血が跳ねる。


夕立「臭い、みんな臭い、臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭いっ!!」


噴き出すような声を上げ、振り払うようにヤスリ振り回す。


夕立「こんなに臭いと、提督さんが汚「いい加減にしろ、クソガキ」がっ?!」


夕立の首根っこを掴み、壁に叩き付ける。
326 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/01/24(日) 13:59:10.68 ID:qWxgowOG0

夕立「えっ? 提督さん、なんで……?」

提督「なんでじゃねえよ。こんなことしといてよ。てめえ、脳ミソ腐ってんのか?」


夕立は頭を振って訴える。


夕立「だ、だって、だってっ! あいつの香水をつけたら、提督さん臭くなっちゃうっ! こいつが触れた服なんて着たら、提督さん汚くなっちゃうっ!
提督さんが汚いなんてやだっ! 提督さんが臭いなんてやだっ! 綺麗じゃないとだめっ! 提督さんはキレイじゃないとだめなのっ!」

提督「……」


夕立は涙目で訴える。


夕立「だから、ねっ? 提督さん、この手、放して? お掃除するから、お部屋のゴミ、夕立、お掃除するから、ね?」

提督「……なんのために?」


夕立は不思議そうな顔を浮かべて訴える。


夕立「ここは夕立と提督さんのお部屋だよ? お部屋にゴミと虫がいたらお掃除するでしょ? 提督さんと夕立の二人だけのお部屋を、提督さんが快適に過ごせるように、提督さんのために、キレイにするの」

提督「私のために、ね……」


夕立は笑みを浮かべる。


夕立「うん、大好きな提督さんのために」

提督「『私のことが好き』か」

夕立「うん、好き、大好き」

提督「その好きな人のモノを壊すのが、お前の愛情の示し方か」


夕立の表情が、止まった。

327 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/01/24(日) 13:59:43.91 ID:qWxgowOG0

提督「その服も、その香水も、私のものだ。香水は、気に入っていた。その好きな人の、好きなモノを、それを壊すのが、お前の好きな人への愛情の示し方か」

夕立「あ……あっ、えっ、あ……」


夕立の顔が怖れ色に染まる。


提督「好きな人の前で、約束を破って。好きな人の前で、平気で人を傷つけて。好きな人の前で、仲間をゴミや虫扱いする。それがお前の愛情の示し方なんだな?」

夕立「あっ、や、いやっ、いやっ!」


夕立が、怯える。


提督「そんな愛情、私には必要ない」

夕立「やだっ、やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだっ!」





























提督「お前も、いらない」














夕立「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!!!」


何もかもを振り払うような慟哭が、部屋に響いた。

328 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/24(日) 17:37:36.99 ID:ft1yEzSl0
もうやだこの鎮守府・・・
329 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/24(日) 20:13:28.48 ID:WhbUrLRKo
どうあがいても絶望
330 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/25(月) 00:36:08.84 ID:WglZN5RTo
この提督がなんとか支配できてるのは全員がヤンデレなのだからか……

エロエロ改造の結果もあるだろうけど、こうしないと死ぬんだろうな。
331 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/25(月) 00:37:06.74 ID:sDT+Ah3Lo
実のところ深海の子たちからもエンガチョ扱いされてるだろ、これ
332 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/25(月) 00:41:07.29 ID:WglZN5RTo
鎮守府自体がエロゲの館と化しているな。
333 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/25(月) 14:21:54.93 ID:4FDVpR7po
首輪でもつけて縛り付けておかないと何をしだすかわからんなあ
334 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/25(月) 18:51:20.19 ID:PnQF2Oza0
もはや場当たり的に飴と鞭を振り回して一時しのぎを繰り返すしかない末期感
335 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/25(月) 22:50:52.22 ID:lCwpyEd2o
しかも、あちらを立てればこちらがのエンドレスと言う
336 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/26(火) 09:08:21.02 ID:zzb2xiWh0
あちらを立てずに解体すればエンドレスじゃないよ(錯乱)
337 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/05(金) 00:21:56.75 ID:iXdTJxh10
まだか
冬場に全裸はキツいんだが
338 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/05(金) 02:03:41.74 ID:+AO6oXtYo
せめて靴下くらい履けばいいのに
339 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/05(金) 16:52:40.72 ID:8B+tlXJg0
息子に靴下被せてやれば寒くないよ
340 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/05(金) 16:55:16.59 ID:mlnoyY+7o
まだ被膜がついてるだろ…、お前らの主砲には
341 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/05(金) 21:42:01.97 ID:91aZfYaE0

崩れかけの瓦礫のように震え、両手で耳を塞ぎ、紙屑のように蹲る夕立。

夕立の傍に落ちていたヤスリを拾い、離れた場所へ投げ捨てる。

静けさで凍りついた部屋に、鈍い金属音が響く。


金剛「テートク」

提督「金剛、怪我は?」

金剛「I’m Okay. それより榛名ガ……」

提督「ああ……夕立を見ていてくれ」

金剛「Aye, aye, sir」


金剛に夕立の監視を指示した後、項垂れる榛名の横に座る。


提督「榛名、怪我はないか?」

榛名「……」

提督「榛名?」


榛名は私の言葉に反応せず、項垂れたまま割れたガラス瓶に視線を固定している。

微動だにしない榛名に不安を覚えるが、よくよく顔を見ると口元をもぞもぞと動かしている。

顔を少し近付けて、榛名の口元に耳を寄せる。


榛名「━━━━━なんでなんでなんで? なんでなくなっちゃたの? なんでわれているの? なんでこんなふうになっているの? どうしようどうしようどうしようなにか別のモノをお渡ししないと、でも提督はこれがお気に入りだと仰ってましたもしお気に召さないものをお渡ししたら怒られる軽蔑される嫌わる捨てられる嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ━━━━━」

提督「……」

榛名「━━━━━大丈夫です大丈夫です大丈夫です大丈夫です大丈夫です大丈夫です大丈夫です。これを直してお渡しすれば嫌われない怒られない捨てられないきっと大丈夫です大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫━━━━━」


榛名が割れたガラスの破片に手を伸ばす。

それを掴んで止める。
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