提督「臆病で愚図」

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474 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/10(金) 00:49:23.39 ID:KVI0bgpx0
乙 体調不良には気を付けて お大事に
一番楽しみにしてるので最後まで続けてくれると嬉しいです
提督がいると進まない話があると思うので艦娘側の話もいいと思います
475 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/10(金) 22:37:02.81 ID:iROYTvNVo
乙。
待ってた。
476 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/12(日) 22:47:15.52 ID:UdyZPtnao
しかしこの鎮守府、乱交多人数ブレイok派とヤンデレ派との対立激しいよな。
477 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/06/25(土) 13:42:38.93 ID:a91OjV1Vo
478 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/06/28(火) 02:13:11.87 ID:svtkr9Uj0
打ち切りか悲しいなぁ
479 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/06/30(木) 22:13:06.67 ID:+So8ACQP0

提督「伊良湖」

伊良湖「なんで伊良湖を無視するんですか?」


ぐるんっ、と微笑った口と見開いた目が一気に私に迫る。


提督「無視をしたわけでは」

伊良湖「無視しました。伊良湖より金剛さんを見てました」

提督「今は伊良湖を見ている」


その瞬間、ガシっと私の頭蓋を伊良湖の両手が挟み、私の両目の下瞼にグッと両手の親指が少し押し込まれた。


伊良湖「刳り貫いちゃおうかな……」

提督「欲しいのか」

伊良湖「どうなんでしょう? 提督さんが伊良湖をずっと視てくれるって約束してくれるなら、別に……でも、そうじゃないなら……」


眼球と眼窩の隙間に入った親指に力が入り、眼球が少し上に持ち上げられる。


伊良湖「……いい娘で待っているんじゃなかったんですか、金剛さん?」


伊良湖の指の力が緩まったその刹那、金剛の艤装が私の周囲を囲った。

金剛は私の胸板に指を這わせながら埋めた顔の半分を起こし、据えた片目で伊良湖を睨む。

その瞬間、周囲を囲っていた艤装は盾の先端を伊良湖に向け、鋸歯状の先端で削り潰そうと間を詰める。

鋸歯のその動きは、獅子が獲物に喰らいつく姿によく似ていた。


伊良湖「なんですか、この物騒なものは?」


伊良湖は私の眼球から手を離すと、金剛と同様に私に寄り添い、汚い羽虫を撃ち落とすように左手で盾の先端に牛殺しをかます。

カツンッ、と硬質の音が響く。


伊良湖「食材を提供してくれた、ってわけではないみたいですね。こんなに硬いんじゃ、最中種には使えませんし……あっ」


盾を指で叩きながら遊んでいた伊良湖は、何かを閃いたのかその顔を綻ばせる。

爽やかな笑顔を私に向け直し、朝露輝く若草のような瑞々しい唇を開く。


伊良湖「提督さん、最中になりません?」


私は貝になりたい。


伊良湖「ペースト状にした提督さんを伊良湖が食べるんです。提督さんが餡で伊良湖が皮、これがホントの伊良湖最中、なーんて、ふふ♡」


伊良湖が微笑った瞬間、金剛が私を強く掴み、艤装が駆動音を挙げる。潰す気か。

480 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/06/30(木) 22:16:05.17 ID:+So8ACQP0

提督「金剛」


思いとどまらせなければ。


金剛「……She is wicked and sinner against My Lord exceedingly」

提督「金剛、大丈夫だ」

金剛「I must needs keep My Lord from her」

提督「大丈夫だ」


再び金剛に言い聞かせ、今度は髪とともに首を撫でる。

柔らかい髪を優しく撫でる。金剛は部位によって髪の質が異なるが、今私が触れている部位は随分と柔らかい髪質のようだ。癖になる。

艤装の駆動音が止まる。


伊良湖「提督さん? 言いつけも守れないような護衛をつけても迷惑なだけじゃないですかぁ?」

提督「伊良湖」


コンッコンッコンッコンッコンッコンッコンッと苛立つような音を立てながら煽り立てる伊良湖に対し、睨み、語気を強める。


伊良湖「提督さん……怖い目をしています♡」


睨んだ途端、伊良湖は頬を染め、恥ずかしそうに口元を隠す。

まだ巫山戯るつもりか。


伊良湖「駄目ですよ提督さん、そんな怖い目で睨まれたら、伊良湖、あそこが疼いちゃう♡♡」


そう言って前屈みになった伊良湖は上目遣いに熱の籠もった視線を向け、私の体に塗りたくるように乳房を上下に擦り付けると、左手でスカートの中を弄り始めた。この雑草髪女、蹴り飛ばしてやろうか。

伊良湖は人前でなんの躊躇いもなく痴態を晒し始めると、恍惚とした表情で荒い吐息を積み重ねる。


伊良湖「提督さん、怒っています? 怒っていますよね? 悪い娘の伊良湖に怒っているんですよね?」


焦点の合わない瞳で私を見ながら、自分で自分を泥沼に嵌めていくように一人呟いていく。


伊良湖「伊良湖は提督さんに危害を加えようとする悪い娘ですよね♡ 人前で発情するいけない娘ですよね♡♡」


身体をくの字の曲げ、総髪の先端を揺らしながら尻を振り、前掛けを小刻みに揺らしながら股を擦り合わせ続ける。


伊良湖「こんな許せない娘がいたらちゃんと『教育』しなきゃいけませんよね♡♡♡」


熱い吐息を喉から放ち、開いた瞳孔から油混じりの水たまりのような歪んだ色彩が見えた。

その色彩が大きく揺れて、薄黒い緑の瞳が毒沼のように私を囚える。


伊良湖「だから……」


伊良湖は割烹着の前掛けごとスカートを片手でたくし上げ、ぬらぬらと光るひとすじの割れ目を晒す。

乳白色の割れ目は甘い蜜を垂らし、甘酸っぱい臭いを漂わせながら桃色の肌地へ男を連れ込み、裂け目の中にある蜜壺に誘う。


伊良湖「初めて犯した時みたいに、伊良湖をいっぱい躾けてください♡」


嫌なことを思い出させるな、このド阿呆が。嬉しそうな顔をしやがって。

481 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/06/30(木) 22:18:52.95 ID:+So8ACQP0

だがいいだろう、その誘い、乗ってやる。


提督「……伊良湖」

伊良湖「あっ♡」


伊良湖の割れ目に左手の中指と薬指を突っ込むと、既に濡れきった蜜壺はなんの躊躇いもなく私の二本の指を飲み込んだ。淫売め。

伊良湖の肉壷は指を動かすたびにうねり、指の動きに合わせるように愛液で満たされた肉壁が従順に形を変えていく。

陰茎を突っ込んでやれば大人しくなるのだろうが、金剛の手前でそれをするわけにはいかない。


提督「悪いが今はお前に躾けをする気分じゃないんだ」

伊良湖「あっ♡ 提督さん♡」

提督「動くな」


足を閉じようとする伊良湖に『待て』を命じる。

小刻みに痙攣し始めた柔い膣肉を指の腹で抉り続ける。


提督「なにが『躾けてください』だ。一々一々挑発ばかりして、どうしてもう少し大人しく出来ないんだ」

伊良湖「あっ、だめ♡ 提督さ、あぁん♡ 腰、溶け♡ とけちゃうぅ!?♡」


愚痴を言いながら指を思い切り動かすと、伊良湖の下腹部が大きく膨張と収縮を繰り返す。

伊良湖は懇願しながらも足腰が崩れそうになるのをなんとか耐え、私の命じた通りスカートをたくし上げた姿勢を保って、私の指からの蹂躙を受け入れ続ける。


提督「それとも伊良湖、おまえは元々こういう娘だったのか? だとしたらお前は悪い娘だ。本当に悪い娘だ」

伊良湖「ごめっ♡ ごめんな、さぅっ♡ ごめんなしゃいっ♡」

提督「そもそも」

伊良湖「あっ……? 提督さ、あ゛ぁ゛ンっ♡!♡?♡!♡?♡!♡?♡」


指を一度引き抜いて伊良湖が切ない表情を向けた瞬間、指三本を束ねて一気突っ込み、中を激しく掻き回す。

伊良湖の喉から汚い濁声が漏れるとともに、股間から膣液が溢れ出す。


伊良湖「あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ ひゅっ!♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡」


伊良湖はだらし無く舌を突き出し、快楽に支配された喉から喜悦の声を挙げ続けた。

グチョッ、グチョッ、グチョッ、グチョッ、グチョッとトマトを潰し混ぜるような水っぽい音が食堂内に響き渡る。


提督「躾は……」

伊良湖「あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡」

提督「おねだりするものじゃない……!」

伊良湖「ひっ!? あ? ぁ♡あ♡あ♡あ♡あ♡ぁ♡あ♡ぁ♡あっ〜!!!♡♡♡」


伊良湖は喉から嬌声を漏らすと、ガクガクッと腰を痙攣させ私の体に擦り付きながら床にへたり込む。

紅潮した頬、潤んだ瞳、呆然として少し空いた口、股間からは愛液を雨だれのようにポタポタと垂らし、恍惚とした表情で虚空を見上げる姿は、とても『躾』を施された者がする姿ではなかった。


提督「……これじゃただのご褒美だな」

482 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/01(金) 00:37:56.36 ID:P1a2RM3AO
来てたか
483 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/03(日) 14:57:56.97 ID:ZWgM4L7ho
来てたのか
おつ
484 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/04(月) 00:41:40.88 ID:PRlbuL320

伊良湖「指だけで……イかれさちゃった……♡」

金剛「テートク……ワタシにも……」


伊良湖が床にへたり込み余韻に浸っている間、金剛は艤装を収納し両手で胸板部分の裾をか弱く摘みながら愛撫を懇願してくる。

乳をねだる赤子ような摘み方に対し、蕾のように口を小さく開き、うっすら開いた瞼から潤んだ瞳で上目遣いに私を見つめるさまはどこか妖艶さを感じさせる。

こうなっては仕方ない、金剛も黙らせよう。

金剛の懇願に応えるために、右手で金剛の左の乳房を鷲掴みにする。

手のひらで下乳を軽く持ち上げ、親指と四本の指で乳房を少し押してみる。柔らかい弾力をもった乳房が指を優しく押し返し、胸の豊かさが手のひらにのし掛かる。

服越しではあるものの、こうして触れてみると金剛の双丘の膨らみがよく分かる。愛宕の山のような胸や扶桑や山城の零れそうな乳房ほどではないが、十分に贅沢な膨らみだ。


提督「金剛、お前にも「あら、提督さん」


声がした方向に振り向く。

栗色の髪を赤いリボンでまとめ、芳醇な葡萄酒の如き綺麗な紅を瞳に映し、菩薩の如き慈しみを表情に宿しながら、初めて小動物を見た童のように首を傾げる。


提督「間宮さん、お疲れ様です」

間宮「はい、お疲れ様です」


間宮さんが微笑む。天女様か。

そんな天女の如き間宮さんは床に座り込む伊良湖と私に抱きつき頬を染める金剛に一瞬視線を向ける。


間宮「……お取り込み中でした?」

提督「いえ、そんなこ「テートクゥ♡」


金剛が甘えるような鳴き声で愛撫を催促してくる。

大人しくしてろ金剛、蟷螂みたいな変な髪型しやがって。


間宮「……」


ほら間宮さん黙っちゃったじゃないかもう。


提督「……少し、お時間を頂いても……」

間宮「ええ、してあげてください」


ありがとうございます。すみません。

485 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/04(月) 00:42:22.23 ID:PRlbuL320

提督「金剛」

金剛「てーとく、早く」


乳房から離した右手で、もはや周りが見えていない金剛の顎を少し上に向ける。

私と金剛は互いの頬に互いの手を添える。金剛が目を瞑り、唇を心もち突き出す。

唇を重ねる。

朝露を寒天で固めたような艶のある金剛の唇が私の唇に重なりあり、仄かに熱い体温が唇から私の舌を伝い体内へと呑み込まれていく。

唇を交じり合わせながら、時折顔を少し動かして互いの唇を満遍なく触れ合わせる。

唇を一旦離し━━━━━


提督(!)


唇を離した瞬間、首に回っていた金剛の手で私の後頭部が鷲掴みにされ、力づくで引き寄せられる。

閉じていた金剛の目がうっすらと開く。

━━━━━逃がさない

そう言わんばかりの瞳を私に向け、金剛は唇を押しつける。互いの口の交流は触れ合いを超え、まぐわうように唇が交じり合う。

私の口に入ってきた金剛の舌が体液を吸い尽くさんばかりに口の中で暴れ狂う。

呼吸のために金剛は一旦唇を離すが、繋がりを断ちきるのを拒絶するように私の舌を口から引き摺り出し、離れた唇の間で舌同士が粘膜を擦り合わせる。

私が抵抗しないことに安心したのか三度目の口付けは柔らかくなり、金剛は再び目を瞑る。

しかしまだ物足りないのだろう、今度は唇だけでなく舌同士もまぐわいあう。

金剛が目を瞑っている隙に間宮さんの様子を窺う。


間宮「……」


視線が合った瞬間、憂いを帯びた目を私からそらす。


提督(すみません)


視線を戻す。幸せそうな金剛の表情、混ざり合う舌唇。

金剛が目を開き、唇が今度こそ離れていく。

唾液を啜り終えた金剛は再び私の体に身を預けた。


提督「お待たせいたしました、間宮さん」

間宮「いいえ……仕方のない事ですから」


間宮さんは小さく頭を振った。

486 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/04(月) 01:36:39.30 ID:/B3s06ei0
更新されてて嬉しいすわ
487 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/07/05(火) 04:53:43.58 ID:oOsfRCBC0
最高だぜ
488 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/06(水) 08:13:12.78 ID:vbV1+Nbco
489 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/07(木) 10:20:32.67 ID:nrDn1aqSO
待ってた
待ってる
490 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/10(日) 23:53:11.13 ID:C6RsyKcH0

間宮さんは視線を戻す。優しい目をしていらっしゃる。

目に慈愛を湛え、配膳口を隔てて見える間宮さんのお姿はまさしく厨房の女神だ。


間宮「ところで、提督さんはお食事……っていうわけではないですね。お昼はいつも遅めに摂られていますし」

提督「はい、昼はまた、秘書艦と相談して決めるつもりです。ここに来ることになった場合、いつも通り遅くなるかと」


そう言った後、私は配膳口に置かれているバスケットに手のひらを向ける。


提督「ここに来たのは、間宮さんにこちらをお返しするためです」

間宮「これは、朝食の……」

提督「はい、ご馳走様でした」

間宮「まあ……わざわざありがとうございます。お口に合いました?」

提督「勿論です。サンドウィッチ、とても美味しかったです。特に新鮮な野菜が……娘達も喜んだんじゃないですか?」


間宮さんは一瞬「んっ?」と首を傾げると、すぐに「あっ」と何かに気づく。可愛い。


間宮「サンドウィッチは提督さんたちだけなんですよ、みなさんの食事とは別にしていて……」

提督「? 別……ですか」


てっきり娘達の朝食もサンドウィッチかと思っていたのだが。


間宮「ええ、不知火ちゃんから『司令は仕事で食堂にいらっしゃれない』と聞いていたので……その後、妙高さんたちがいらっしゃったので『それなら仕事の邪魔にならない食事を』と思いまして」

提督「まさか……態々拵えてくださったのですか?」

間宮「はい、急ごしらえだったので味が心配だったのですが……」


そういって間宮さんはバスケットの中を覗くと、顔を綻ばせる。可愛い。

491 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/10(日) 23:55:16.79 ID:C6RsyKcH0

間宮「ふふっ、全部召し上がって頂けたようで良かったです」

提督「はい……しかし申し訳ありません、朝のお忙しい時間帯に……ご迷惑でしたか?」


まさか間宮さんに手間を掛けさせてしまっていたとは……妙高たちも断るなりして私室での食事に切り替えてくれればよかったのだが。

それにあの食材……鮮度の高いものは娘達に優先していたのだが……無駄遣いとまでは言わないが、もったいないことをした気分だ。


間宮「いえいえ、サンドウィッチのほうは妙高さんたちも手伝ってくださいましたから」

伊良湖「提督さん、伊良湖も手伝いましたよ!」


ありがとう、伊良湖よ。しかし太ももに抱きついて尻に頬ずりするのはやめてくれ。頭頂部に発芽してる髪を引っこ抜くぞ。

そんな伊良湖は放っておいて、先ほどの間宮さんの言葉で気になる点が一つ。


提督「妙高たちも手を出したのですか?」

間宮「はい、ですが私の方で監修はしておきましたので」

提督「そうですか、それでしたら大丈夫です。しかし、本当に申し訳ありません。わざわざ監修までしていただいて……本当なら娘達に朝食をお出ししなければならなかったでしょうに」

間宮「もう……そんなに気を使わないでください。それに今日は伊良子ちゃんだけじゃなく、大鯨ちゃんや鳳翔さんもいましたから」

提督(……鳳翔)


そうだ、鳳翔だ。ここでの用事は済んだのだ。長居しても間宮さんの迷惑なるだけ。早く昨晩の事情を把握して対処しなければ。


間宮「……」


間宮さんは昨晩ここで起こったことを知っているか? いや、この様子ならそれはないだろう。できれば知られたくはない。

鳳翔の居酒屋、などと銘打っているが、実際にはこの食堂を間借りして開業した店だ。店の名が異なるだけでここが間宮さんの庭であることには変わりない。

その庭で狼藉を働いたかもしれないのだ。おまけに伊良湖の時と違い、改造の反動で暴走したわけではない。早く事実関係を━━━━━


間宮「提督さん、少しお話していきませんか?」


囁き。

492 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/07/11(月) 01:07:13.11 ID:j269TqL70
間宮さんは常識枠かな?
493 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/11(月) 10:36:22.94 ID:lNQ0+U1io
494 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/12(火) 06:48:33.56 ID:Usmm2yRJo
来てたのか
おつおつ
495 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/13(水) 07:06:39.03 ID:ZtJPPHZl0
間宮さんは常識枠でいて欲しい…
496 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/13(水) 07:45:08.78 ID:W9g/HFaNO
でもあのデカイ尻と胸を揺らしながら喘ぐ姿も見てみたいです。
497 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/13(水) 14:40:39.31 ID:1anBdckR0
間宮も妙高みたいにエロく、そして病んでてほしい(切実)
498 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/17(日) 01:13:46.66 ID:WN9r4THL0

間宮さんのお誘いを二つ返事で応じ、未だ伽藍堂となる食堂の中、壁際の一席をお借りして向かい合う。


間宮「どうぞ」

提督「ありがとうございます」


四人分のお茶を机に並べ、お盆を邪魔にならない場所に避けると、間宮さんはゆったりと椅子に座った。

間宮さんは湯のみを手に取ると、軽く一口つける。

そして湯のみから口を離すと、穏やかに目を細め、濡れた桃色の唇を緩めて「ふぅ……」と生暖かい吐息を漏らした。


提督(湯のみになりたい……)


お茶の湯気とともに色気めいたアトモスフィアを醸し出す間宮さんだけでも目の保養なのだが、机に乗って少し持ち上げられたマシュマロのような胸は実際豊満であり、割烹着の胸元がはち切れんばかりのたゆんたゆんな二つの北半球で私の心の入渠時間が加速する。

これで左右から抱きついている金剛と伊良湖がいなければ最高なのだが。それと二人共、手の甲を抓るのはやめてくれ。痛い。


提督「それで、間宮さん、お話というのは……」

間宮「鳳翔さん」


一瞬身が強張る。


間宮「あたりですか?」

提督「……よく、わかりましたね」

間宮「提督さん、わかりやすいですから。それに鳳翔さんも朝、少し様子が変でしたから、『もしや』と思いまして」


間宮さんの観察眼には敵わないな。


提督「そうでしたか、お気遣い頂きありがとうございます。ですがご心配なく、これは私と鳳翔の問題ですから」


だが間宮さんを巻き込むつもりは毛頭な「提督さん」

母のように、優しく、諭すような、はっきりとした声。


間宮「『わかりやすい』ですよ、提督さん。それとも、私ではお役に立てませんか?」

提督「……」


仮に、ここで私が狼藉を働いたことを間宮さんに伝えても、きっと間宮さんなら受け入れてくれるだろう。

この人に相談をして悪くなったことなど一度もないのだから。

しかし、巻き込んでいいのものなのか。


間宮「……」


間宮さんは……私達の理解者の一人だ。こんなふうになってしまった私たちに対し、憂いを見せることはあっても嫌悪を露わにしたことは唯の一度もない。


金剛「……」


それどころか事情を知らない娘から私達を庇ってくれさえする。


伊良湖「……」


本当に、私がここに初めて着任してから、ずっとずっとこの人にはお世話になりっぱなしだ。


提督「……」


……話そう。
499 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/18(月) 02:52:40.75 ID:4tVBSqOH0
オツカレー艦これ1000円カレー
鈴谷ちゃんの出番はありますか???
500 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/19(火) 08:57:45.15 ID:DnL3Yex20
501 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/24(日) 21:28:09.14 ID:1fZbhYMI0


間宮「穿ち過ぎだと思います」


先ほどの鳳翔の態度、そして昨晩の推測を話した後、間宮さんの口から出た一言目がそれだった。


間宮「そもそも、『知らない』娘がいる前で妙高さんたちが許すとは思いませんけど……」

提督「そうなのですが、実は居酒屋で娘達と別れまして……どうもその時に羽黒と二人きりになったようなのです」

間宮「二人きり、というのは?」

提督「酔った私を羽黒が介抱して部屋まで連れて行ってくれたのです。その時に羽黒と……その……どうも『耽っていた』ようで」

間宮「それは……まずいですね」

提督「……はい」


間宮さんの言う通り居酒屋でないとするならば、次に可能性があるのは羽黒と二人きりになった時だ。

羽黒との行為を視られた程度ならばまだいい……いやよくないが……最悪、そのときに鳳翔に手を出した可能性もある。

まず羽黒に話を聞きたいのはそこだ。酒を飲んでからずっと付きっ切りだったのは羽黒だけだからな。

そう考えながらため息を吐いていると、間宮さんは何かに気づいたのか、私の左隣に声をかける。


間宮「昨晩といえば……伊良湖ちゃん、鳳翔さんのお店、手伝っていたのよね?」

伊良湖「ふぇ?」


「提督さんのお塩……」とか呟きながら子猫のように舌先で私の顎の付け根を舐めていた伊良湖が素っ頓狂な声をあげた。

伊良湖よ、厨房が暑かったのかは知らないが私で塩分補給するのは止めなさい。汚いぞ。

あと『羽黒と二人きり』という単語が出て以降、金剛が光さえ吸い込みそうな濁った瞳で零距離から見つめてくるのだが……無視しよう。私に危害がくる分には問題ないのだから


間宮「何か知らない? 鳳翔さんのことなのだけど」

伊良湖「鳳翔さんですか? ……そういえば提督さん、酔ってひどいことしていましたね」


知っているのか。

酔って記憶がなかったので、昨晩誰が居酒屋にいたのかわからなかったが、伊良湖はいたのか。


提督「私は、何をしていた」


一体何をしていたのか尋ねると、伊良湖は目を細め、口角を上げる。

そして私の左手首を掴むと、その手を自分の乳房に押し付けた。

502 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/24(日) 21:28:42.85 ID:1fZbhYMI0

提督「おい」

伊良湖「酔った提督さんはですね、まずこんな風に突然鳳翔さんの胸を揉んだんです」


乳房を平たく押し潰しながら、私の手を操ってパン生地を練るように乳房を捏ね繰り回す。

間宮さんの前で何をさせるんだお前は。力が強いせいで、振りほどけない。


伊良湖「んっ♡ 『着痩せするんだな、鳳翔』って言って何度も何度も揉み扱くと、困惑する鳳翔さんを尻目に今度はこうやって……」


そういって今度は掴んでいる私の手をお尻に当て、撫でるように触らせる。

押し付けられた指が小ぶりな尻に吸い込まれ、桃汁で作ったグミのような弾力が指を押し返す。


伊良湖「アッ♡ お尻を満遍なく、また何度も何度も撫で回すと、ンッ♡ 『安産型か、こりゃ良い子が産めるな』って」

提督「伊良湖」


伊良湖の力が弱まった。

その隙をついて手を離した瞬間、伊良湖に左肩を掴まれ、上体を引き寄せられる。


伊良湖「鳳翔さんが『やめてください』って言って突き放そうとすると、肩を抱き寄せてこうやって……」


伊良湖の顔が近づく。

うっとりと目を細め、小さく突き出した唇が私の唇に……


金剛「NO WAY」


唇が触れ合おうとした瞬間、私の口が金剛の右手に覆われ、体が金剛の方へ引っ張られる。

牙のような紫黒色の眼光が、抹茶色の瞳に突き刺さる。


伊良湖「ハイハイハイハイ、わかってま〜す……チッ」


伊良湖は舌打ちとともに肩から手を離すと、先ほどと同様に私の左手に抱きつき猫のように頬ずりをし始める。

伊良湖が元の状態に戻ったのを見計らい、金剛も私の肩を枕代わりにもたれかかる。


伊良湖「エヘヘ……」

金剛「……ンッ」


二人の矛が収まり、気が落ち着いたところで先ほどの伊良湖の行動を思い出す。


提督(……ただのセクハラオヤジじゃねえか……)


両腕が拘束されていなければ、頭を抱えているところだ。

そうやって自己嫌悪に打ちのめされていると、前の方からクスクスと、空気が漏れるような笑い声が聞こえてきた。

503 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/24(日) 22:39:00.61 ID:QbWETGPAO
胃が痛くなるよな
504 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/24(日) 23:31:39.01 ID:1fZbhYMI0

提督「間宮さん……?」

間宮「ごめんなさい、そんなつもりはなかったんですが、昔を思い出しちゃって、つい……」

提督「昔……?」

間宮「提督さん、昔から酒癖が悪かったですから、私がお酌をした時も今みたいなことをよくやっていて……ふふっ、変わっていませんね」


間宮さんは嬉しそうに笑っているが、私は背筋が凍る思いだった。


提督「その、まさか、間宮さんにも……?」

間宮「ええ……でももう昔のことですし」


「ふぅ」と間宮さんは一息つく。


間宮「本当に……懐かしいですね」

提督「あの……」

間宮「提督さん」


間宮さんが優しく、強く、眼差しを向ける。


間宮「謝らないでください、謝ったら……怒りますよ? それより今はもっと大事なことがありますよね?」

提督「……はい」


一呼吸をして、昔のことは頭の片隅へ。


間宮「とりあえず、これで鳳翔さんが提督さんを避ける理由がわかったとおもいますけど」

提督「……伊良湖、私は他に変なことはしていなかったな?」

伊良湖「ん? えっと……」


伊良湖は口ごもると金剛と間宮さんに一瞬視線を送る。


伊良湖「はい、さっきのも羽黒さんが未然に止めたので」

提督「そうか」


よくやった、羽黒。


伊良湖「でも提督さん、ひどいですよ。伊良湖がいるのに鳳翔さんに手を出すなんて。スケベティックアドミラルな提督さんなら、伊良湖、いつでもウェルカムスケベなのに……」


何言ってんだこいつ。

というか、ひどいってそっちか。紛らわしい。

505 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/24(日) 23:32:20.17 ID:1fZbhYMI0

しかし、あれだな、鳳翔ならそういったセクハラに対しては毅然とした態度で対応するような気がするのだが。

自分がやっといてこう言うのもどうかと思うが、あそこまで怯えるものなのか。


提督(……いや)


これは私が持つ鳳翔の印象が産んだ勝手な妄想だ。

鳳翔からしてみれば、私は提督であり、上司なのだ。

そして今の鳳翔は軍艦ではなく艦娘、相応の力はあるものの、人、いや部下という立場を持ち、そして女の子の心を持つ。

時雨と綾波から、そのことはよく学んでいたはずだ。


提督(印象か……)


当初、私は鳳翔のことを北上や最上と同年代ぐらいの娘だと思っていたのだ。

なんと言ったらいいか……女学校卒業間近の良いところのお嬢様みたいな、そんな印象だった。

育ちの良さを感じる嫋やかな仕草に、知見の広さと教養の深さを感じさせる落ち着いた雰囲気、小柄な見た目からは想像できない意志の強さ。

大和撫子かくありき。その一言に尽きた。

後々、赤城や加賀より年上、ということを聞いて驚愕したものの、すぐに『そうか』と納得したものだ。

印象というのはそれだけ脆いものだ。参考程度に留め、左右されてはいけない。

とりあえず、原因はわかった。念のため、後ほど羽黒から話を聞くとして、まずは鳳翔に謝罪をしなければ。

まずは何かお詫びの品でも用意して……


提督(……鳳翔の好きな物ってなんだ?)


おかしい、店の一件でそれなりに会話をしていたはずなのに、そういった記憶が全く無い。

もしかして私は、鳳翔と事務的な会話しかしてなかったのだろうか。

ということは、私が思い描いていた私と鳳翔の人間関係は、私自身の思い込みということに……


提督(恥ずかしさで死にそうだ)


いや、落ち着け、負けるな私。このまま何もしなければずっと負の関係だぞ。


提督「あの、間宮さん、ご相談なのですが」

間宮「はい、なんでもどうぞ、提督さん」


やっぱ間宮さんは天女様だな。

506 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/25(月) 01:18:53.10 ID:1Dv2GRgZo
きてたのか
507 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/07/25(月) 03:13:11.42 ID:vvshMD4d0
提督が酒癖悪いだけとは
508 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/25(月) 18:12:38.62 ID:ig+4/wd40
ホントにそれだけだったのかな?
509 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/01(月) 14:04:10.33 ID:aTD56GR40

間宮さんに鳳翔へ謝罪する意向を伝え、謝罪の時機やお詫びの品について尋ねた。

謝罪の時機や注意について一通り話が終わり、粗品についての話になったところで、間宮さんから一言。


間宮「それなら、大鯨ちゃんに聞いてみてはどうですか?」


意外。いや、確かにあいつは寮監だし、厨房の手伝いを鳳翔と一緒にしているから、そういったことを知っていてもおかしくないが。

しかしまあ、あいつが鳳翔とねぇ。

そう私が腑に落ちない顔をしていると、それに気づいたのか間宮さんが続けて話をし始める。


間宮「ほら、以前大鯨ちゃんの改装計画が話になったじゃないですか」

提督「空母でしたっけ?」

間宮「はい、あれ、結局お流れになりましたけど、やっぱり興味があったみたいで、鳳翔さんにいろいろ聞いていたみたいですよ」

提督「空母時代のき……記憶なら、改装せずともあるはずですが……」

間宮「軍艦と艦娘では勝手が違いますから、そのあたりが気になったみたいですよ。発艦の仕方とか艦載機の子たちとか」

提督「なるほど」


そういう話をしていく内に親しくなってお互いを色々と知るようになった、といったあたりか。


提督「それでしたら、大鯨に後で聞いてみます」

間宮「はい。でもごめんなさい、知っていればお伝え出来たのですけど」

提督「いえ、お時間を頂いて相談まで受けていただいたのです。謝るのはむしろこちらの方ですよ。本当に、色々とありがとうございます」


間宮さんが微笑む。後光が見えそうだ。

とりあえず、後々しっかり謝罪しに行かねばならないが、鳳翔に関しては方針が決まったな。


間宮「でも良かったです。今朝も大鯨ちゃんが心配していたんですよ? 『提督は鈍感でグズグズしていて面倒くさがりでそそのっかしい上に心配症で早合点するくせして表面上は平気そうな顔をして飄々としているから、絶対なにかやらかして対応が後手に回って修羅場になっている』って」


間宮さん、それは心配しているとは言いません。ただの愚痴と悪口です。


提督「あー……余計なお世話だ、とでも言っておきますよ。むしろ私はあいつのほうが心配ですけどね。今朝もご迷惑をおかけしませんでしたか?」

間宮「いえいえ、迷惑だなんてそんな。むしろ食堂の手伝いまでしてもらっていますから、こちらが感謝したいぐらいですよ」

提督「まあ、それぐらいしか能がないですからね、あいつは」

間宮「もう、そういう言い方は良くないですよ? 確かにちょっと慌てやすいところはありますけど、サポートはとても上手なんですから」

提督「そうですかねぇ……」

間宮「それに最近は『潜水艦の娘達が一瞬でキラキラできる甘味を作る』って張り切っていたんですから、そのうち看板を盗られちゃうかも?」

提督「まさか、甘味で間宮さんに敵う人などいませんよ……しかしそこまで仰るなら、期待はしてもいいかもしれませんね」

間宮「もう、素直じゃないんですから……」


そう言って、反抗期の息子に苦慮する母親のような表情をする間宮さん。可愛い。

それにしても甘味ね、何を作るんだか。くじらのまんじゅうとかか?

ん? 甘味? あっ……

510 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/01(月) 14:06:15.05 ID:aTD56GR40

提督「あの、間宮さん、ここまで相談してもらって何なのですが、一つお願いが……」

間宮「はい、何でしょう?」

提督「実は、その、新しい甘味を創ってもらいたくてですね」

間宮「? 珍しいですね?」

提督「いや、まあ、その、ちょっと新しい味覚が欲しいかな、と思いまして」

伊良湖「!」

金剛「?」


金剛や伊良湖の前で、不知火のために、と言う訳にもいかないだろう。他の言い訳も思いつかないし。


提督「欲しい食材や必要な経費は工面しますので、お願いできませんか?」

間宮「うーんと……今のところそういったものはあまり考えていなかったので……」


間宮さんが困るのも無理はない。理由が私事だし。下手すりゃ職権濫用だ。


間宮「ちなみに、なにが食べてみたいとかは……?」

提督「あー……」


全然考えてなかった。


伊良湖「あの!」

提督・間宮「ん?」

伊良湖「新しい甘味創り、伊良湖におまかせいただけませんか! ちょうど新作のアイデアがあるので!」


伊良湖が元気いっぱいにおっぱいを押し付けながら、甘味創りを要望してきた。

確かに甘味であるなら、間宮さんに拘る必要はないか。

なんとなく間宮さんに目配せする。


間宮「構いませんよ」

提督「……伊良湖、頼めるか」

伊良湖「はい! 期待していてください!」


腕いっぱいにおっぱいに包まれる。


提督「さて、私はそろそろ戻ります。ちょっと長居し過ぎたようですから」

間宮「いえいえ、またいつでもいらっしゃってください」

伊良湖「……もういっちゃうんですか? イクなら伊良湖のナカに……」


やかましい。

511 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/01(月) 14:07:11.26 ID:aTD56GR40

間宮「ああそうだ、提督さん」

提督「はい?」


椅子から立ち上がり、食堂を出ようとする私と金剛を間宮さんが呼び止める。


間宮「今朝、妙高さんと一緒に、海岸に向かって歩いていましたよね?」

提督「……」

間宮「あまり心配を掛けないであげてくださいね? そのことを陽炎ちゃんに伝えたら、慌てて飛んでいったんですから」

提督「……」

間宮「みんな、本当に提督さんのことを大切にしているんですよ」

提督「……ええ、陽炎も、心配してくれましたよ」


紫水晶ではなく、金色間近の狐色に瞳でしたけどね。

一体どんなふうに陽炎に伝えたのだろうか。

512 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/08/01(月) 14:15:55.86 ID:aTD56GR40
・本日 ここまで

・鈴谷の出番は まだ秘密

・みなさんの考察が 面白い

・やっと 半日 時間が 掛かり過ぎた orz

・感想 要望 改善等 あれば どうぞ
513 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/01(月) 18:13:31.61 ID:SJCcKDYFo
おつ
楽しみにしてるで
514 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/01(月) 19:16:52.92 ID:DlYfQkvUO
515 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/01(月) 20:11:34.27 ID:ccL3K9WAO
これで半日なら出会い編は5スレ目ぐらいになりそうだなww
516 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/02(火) 00:29:52.19 ID:w6W2eE4/o
内容が濃すぎて俺も忘れてたがまだ1日の半分なんだよなぁ…
517 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/02(火) 03:31:57.04 ID:DCqIZ80B0
鈴谷が出るまで全裸で待ってる
518 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/02(火) 22:02:48.86 ID:xSLvaZJS0

金剛「てぇとくぅ」


執務室に戻る途中、資料庫の前を通り過ぎようとしたところで、金剛から甘ったるい声で呼び止められた。


金剛「Let’s take a break、せっかく二人きりデース、だから、ネ?」


そういうと金剛は腕を引っ張り、資料庫に引きこもうとする。


提督「さすがに、この時間ではっ!?」


やんわりと断ろうとした瞬間、肉食昆虫の爪に引っかかったように袖が強く引っ張られる。

顔を向けると、眼孔を見開き、鮫のように口を開いて笑う金剛が見えた。


金剛「こっち視てヨ、テートク。榛名ともLoveしたんだから、いいでショ? それに」


左手で蟲のように爪を立てながら、右手が節足動物のように私の左手へと這っていく。

そして私の左手を捕まえると、口の前に引き寄せ、生暖かく濡れた舌で指を一舐めした。


金剛「汚いこの手、綺麗にしないと駄目デス」


そう言って、先程まで伊良湖が触れていた手に唾液を塗りつけ始めた。


金剛「綺麗にしないと駄目デス、綺麗にしマス、綺麗に……キレイ、に……」


指を舐めたことで何かが切れたのか、瞳から理性が失われていく。


金剛「テートクを、綺麗にする。テートクを、清らかに。テートクを、浄める。ワタシが、テートクを、ワタシの、テートクを、テートク、テートク、テートク、テートク……」

「提督、こちらにいらしたのですね」

519 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/03(水) 00:05:08.45 ID:/LJGRQY50

金剛の意識が一瞬逸れたのを逃さず左手を戻し、背後からの声に振り向く。

振り向いた瞬間、袖を掴む金剛の手の力が強くなった気がした。


提督「神通か」

神通「はい、ただいま帰投いたしました」


紙垂に赤い百合を重ねたようなスカートを揺らしながら、神通は私と金剛に真っ直ぐ歩み寄ってくる。

左手の濡れた部分を隠しながら、近づいてきた神通と正対する。

……遠目からは分からなかったが、よくよく見るとリボンや服に煤汚れがついているのが見える。

他にも、海の、死骸のにおいに混じって汗やアンモニア、油に鉄、焦げたにおい、それにこれは……深海の連中のにおいか?


提督「ご苦労。摩耶に、あー、補佐に報告を終えたところか?」

神通「いえ、報告はまだしておりません。そのために提督を探しておりました」


私を? ……ああ、金剛か。

戦闘に関しては金剛が取りまとめをしているからな。補佐に報告した内容も、最終的には金剛に伝わることになる。

急を要する内容ということか。


提督「金剛、仕事だ、受けてやれ」

神通「いえ、提督に、ご報告に参りました」


金剛に呼びかけて振り向こうとした瞬間、その思惑を神通が改める。


提督「……私に?」

神通「はい」

提督「……」


またかよ。


提督「……神通、以前も言ったとは思うが、もう私への報告義務はないのだぞ」

神通「存じています」


迷いなく応える。嫌味か。


提督「なら、無駄なことをせずに報告を終え、さっさと休息すべきだ。わかっていてなぜそういうことをする?」

神通「提督だからです。提督は全てに優先すべきことです」

提督「私はもう」

神通「提督です」


言葉を切り捨てる。


神通「どのようなカタチであっても、私にとって提督は唯一の提督です。他の誰でもありません、提督だけです」


何一つ濁りのない、いや、濁りすぎたがゆえに何一つ受け入れなくなった漆黒の瞳が、貫くように私を見つめる。

……これさえなければ、隠居して提督を任せてもいいぐらい優秀な娘なのだが。

……金剛が、私を支えるように、背中に寄り添ったのを感じた。


提督「……手短に報告しろ。詳細は報告書で、補佐に提出しておけ」

神通「はい」
520 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/08/03(水) 02:22:37.59 ID:bZl35idf0
素晴らしいぜ
521 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/03(水) 07:33:29.90 ID:wPMDd5EPo
おつ〜
522 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/06(土) 21:09:35.21 ID:W1l5q7Gj0

神通「それではご報告いたします」

提督「神通、近くないか」

神通「近くありません」


簡単に抱きしめられる距離を近くないとは言わない。

しかし、こうしてみると神通の整った顔立ちがよく見えるな。美しいというよりは凛々しいという言葉が似合う顔だ。

煤汚れは目立つものの、服に傷一つ無いところは流石といったところか。

とはいえ、ちょっと臭うな。


金剛「神通、近いデス」

神通「近くありません。これぐらいが適正です」


金剛の横からの口出しに、神通は飽くまで言い張る。

確かに川内や那珂に比べれば少々小声な神通だが、だからといって胸が当たりそうな距離まで近づくのはおかしいと思う。


金剛「Hmm…やっぱり、近いネ」

神通「いいえ、近くありません」

金剛「近いヨ」

神通「近くありません」

金剛「近い」

神通「近くないです」

金剛「離れろ」

神通「嫌です」


金剛は目を細め、牙を見せるように笑い掛け。

神通は仏頂面のまま金剛を歯牙にも掛けない。

空気が振動を止め、音と温度が冷えていく。


提督「喧嘩をするなら他でやれ」


怒りを表現できる言葉遣いで、苛立ちを感じられる言葉を金剛と神通に投げかける。

私の言葉に対し、神通は目線を金剛から私へと移す。

対し金剛は私の右腕に抱きつき、笑顔を一つ咲かせる。


金剛「Nooo、テートク、喧嘩なんかしてまセーン。こんなに近いとぶつかっちゃうかも、って注意しただけネー」

神通「ご安心を、無理が祟るようなことはしませんので」


金剛と神通の目線が再び交錯する。


提督「つべこべ言わずに早く始めてくれ」


その言葉で、金剛は更に私に身体を密着させ、自慢気に抱擁を神通に見せつける。

その姿を一瞥し、神通は目線を私に戻す。


神通「失礼いたしました。それではご報告いたします」

提督「ああ」

523 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/07(日) 00:00:55.30 ID:kyUkCUyO0

神通「物資の輸送は滞り無く完了、前線から得られた資源も保管済みです」

提督「そうか……被害はあったか?」

神通「朧、綾波が中破、神通、曙、漣は被弾なし。被弾した二名は現在入渠中、曙、漣が付き添っています」

提督「二人の様子は?」

神通「からかわれる程度には元気です」

提督「そうか、しかし綾波が被弾か……」

神通「一度目の爆撃で朧が、二度目を綾波が庇いました」


なるほど、綾波らしい。


神通「敵は全て殲滅、海の底に沈めておきました」

提督「素晴らしい、ゴミどもが海に散乱している姿は虫唾が走るからな。ゴミはゴミ溜めに戻しておくのが定石だ。
よくやった神通、お前はやはり素敵な艦だ。誇らしく思うよ」

神通「はい……」


神通が初心な乙女のように、嬉しそうに頬を染める。

それを視てか、金剛の表情が悔しそうに少し歪む。


提督「よろしい、経過や得られた資源など、詳細は報告書に記載して後日提出してくれ。見事な戦果だぞ、神通」

神通「お褒めに預かり、光栄です……」


何が恥ずかしいのか、神通はスカートを隠すように両手を組み、むず痒そうに身体を揺らしながら、頬を染めて俯いてしまった。

どこか傷でも疼いたのだろうか。


金剛「でもテートクぅ、この程度の任務で僚艦を二隻も中破させたのは問題有ると思いマース」


神通の動きが停止する。


提督「その辺りの反省は後日すればいいさ。任務を達成し、敵を殲滅し、僚艦を全て帰還させた。それ以上のことはない」

金剛「ムゥ……」

提督「なにより神通、その辺りについてはある程度考えはあるのだろう?」

神通「はい、しかし金剛さんの言うとおり、至らぬ点が多々有ったのは事実です」

提督「それがわかっていれば十分だ。とはいえ、気になることがあれば今でも構わん。多少は力になれるかもしれんからな」

神通「それでは提督、一つだけ、お聞きしてもよろしいでしょうか?」

提督「構わん」













神通「今朝、陽炎さんを『自分のモノだ』と言ったそうですね?」








神通の瞳が、青く輝いた。
524 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/07(日) 12:11:22.41 ID:BY8M0vme0

提督「誰から聞いた、そんなこと」


陽炎から聞いたのであれば『からかわれただけだ』と言えばいい。

噂で聞いたのであれば『私より噂を信用するのか』と言えばいい。


神通「姉さんからです」


……なるほど、理解したよ神通。


提督(あのバカめ)


空母にでも改装してやろうか。


神通「何故ですか、提督」


神通が一歩前に進み、身体が密着する。

この状態の神通は、まずい。


神通「なぜ陽炎さんを、陽炎なんかを、なぜ私以外の娘を『モノ』などと仰ったのですか」

提督「神通……」

神通「提督」


神通の両手に胸板が掴まれる。


神通「私の行動に何か至らぬ点がありましたか。
先日、敵を全て沈められなかったことですか。
以前の演習で完全勝利を出来なかったことですか。
開発でお望みの装備を造ることが出来なかったことですか。
御側役の時にお出しした食事が合いませんでしたか。
それとも、夜伽にご満足頂けなかったことですか。

私自身をお気に召しませんでしたか。
口調が気に入ら泣けば直します。
髪型が気に入らなければ今すぐ切り落とします。
顔が気に入らなければ今すぐ剥ぎ取ります。
体型が気に入りませんでしたか。
ならば足りないところは付け足します。不要なところは削ります。
提督のお望み通りの『モノ』になります。

お願いです提督。私を、私だけを使ってください。私だけが提督の『モノ』です。
汚れを拭くための雑巾としてお使いください。
食事を食べるための箸としてお使いください。
腰を掛けるための椅子としてお使いください。
怨敵を殺すための兵器としてお使いください。
排泄をするための便器としてお使いください。
鬱憤解消のための玩具としてお使いください。
情欲を放つための奴隷としてお使いください。
どのような『モノ』にでもなります。
だから━━━━━」

神通「私をお使いください。私は提督の『モノ』です。私だけが……」


迫る神通、そこに━━━━━











金剛「じ〜〜〜〜〜んつぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ」



獣が一匹、唸り声を挙げた。
525 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/07(日) 20:08:16.92 ID:xVm55yKr0

金剛「それ以上は許さないヨォ、ジィンツゥゥゥ」


金剛はそう言うと神通の肩を掴み、その動きを止める。


神通「離してください。私は、提督に、お伺いしているのです!」

金剛「No、No、今の神通は普通じゃないネ。これ以上近づくのは危険と判断しマース」


金剛は神通を私から引き剥がそうとする。


金剛「そもそも、ワタシたちはみ〜んなテートクのモノでショ?」


氷に罅が入るように、神通の動きが止まった。


金剛「今更誰がテートクのモノであるかどうかなんて……Nonsenseネ」

神通「ふざけるなぁっ!」

金剛「Oh!」


神通は自分の肩を掴んでいた金剛の腕を掴み返すと、重心を金剛の後ろに移動させ、背後へと投げ飛ばした。


神通「私 は 提 督 の モ ノ で す っ!!」


金剛は空中で身を翻すと、片膝立ちの姿勢で着地。


神通「私が、私だけが、提督のモノなんですっ!! 他の誰でもない私だけがっ!!!」


神通は艤装を展開、右肘の射出機より水上機を発艦。同時に左腕で私を突き放す。

私は情けなく床に尻を着く。

金剛も遅れて艤装を展開、眼前に迫った水上機に対し、盾を構成。神通が逆手で魚雷を引き抜く。

直ぐ様、立ち上がる。

水上機が盾を避け、上昇。同時に金剛がクラウチングスタートの要領で神通に突進。神通は苦無のように魚雷を構える。

神通の後ろへ。

神通を盾で轢き潰そうとする金剛、金剛に魚雷を叩きつけようとする神通。二人が接触するその直前。


提督「神通、そこまでだ」

神通「ぴゃあっ!?」

金剛「What!?」


神通を後ろから目隠しし、耳の後ろに息を吹きかけた。

神通は吃驚して肩が竦み、それを見た金剛は急停止。

しかし無理に急停止をしたせいか、床を抉りながら前のめりに倒れ、車輪のように私と神通の横を転がっていった。大丈夫か。


金剛「Nooo……」

神通「あっ、あれっ」


仰向けに倒れて目を回す金剛に対し、神通はペンギンのようによたよたと手を振る。


神通「あ、あの、提督、あのっ、危ないですっ」


お前のほうが危ない。

526 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/07(日) 23:19:22.06 ID:xVm55yKr0

提督「神通、艤装を解除しろ」

神通「あっ、で、ですが、金剛さんが」


神通の言葉で私が視線を後ろに移すと、ちょうど金剛が艤装を解除して立ち上がるところだった。


提督「金剛はもう艤装を解除している。あとはお前だけだ」

神通「……はい、了解しました」


神通が艤装を解除したのを見計らい、目隠しをしていた両手を外す。

金剛が私と神通を見張るような位置に立ったところで、神通は私の方に振り向く。

胸の前で両手を組み、とても不安そうな顔をしている。

川内が言うには、この少し自信なさげな表情の神通が本来の姿らしい。未だに信じられないが。

神通が力なく呟く。


神通「私は、提督のモノです……」

金剛「ワタシたちは、の間違いでショ」


神通が鋭く金剛を睨む。


金剛「なにヨ」

提督「金剛」

金剛「なんですカ〜、テートク♡」

提督「確かに私はお前たちの命を預かる者だが、そういう言い方は誤解を招くぞ」

金剛「Oh、Sorry、テートクを困らせるつもりはなかったんデスヨー」


そういって金剛は両手を合わせてお詫びの格好をする。わざとらしい。


提督「そういうわけだ、神通。誤解を招いてすまなかったな」

神通「……なぜ陽炎さんに、『私のモノ』と仰ったのでしょうか……」

提督「あ〜、っと」

神通「やはり私が使えないからですか?」


私が言い淀むと、その態度から何を察したのか、再び神通が縋り付いてきた。

背後にいる金剛が警戒態勢になる。


神通「私が使えなくなったから、陽炎さんを新しいモノにしたのですが?
いつ、どうして、私は使えなくなったのですか?
至らぬ点があったのならばすぐに直します。
だから……

私を、提督のモノでいさせてください」

提督「……」


頼むから話を聞いてくれないか。

というか川内、お前何をどう伝えたんだ。

527 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/07(日) 23:20:36.31 ID:xVm55yKr0

神通「あ、提督?」

神通を思い切り抱きしめる。やはりこれしかないな。

しかし……やっぱちょっと臭う。


提督「すまない神通、不安にさせてしまったな」


髪を梳いて、神通を宥める。

背後の空気がピリピリしているけど気にしない。

しばらく撫でた後、一度身体を離す。しかし、両肩に手を置き、いつでも抱きしめられるようにする。


提督「落ち着いたか?」

神通「……はい」

提督「陽炎に言った言葉だが、なんというか、あれはな」

神通「はい……」


神通は、心の準備はできた、と言わんばかりに神妙な面持ちになり、私の言葉を待つ。


提督「プレイの一環だ」

神通「……」

金剛「えっ」


神通は神妙な面持ちのまま、金剛は拍子抜けな表情になる。


神通「プレイ……ですか」

提督「うん」

神通「エッチな、ですか」

提督「うん、まあ」

神通「……」

提督「……」

神通「……なぜそんなことに?」

提督「……さあ」


勢いとしか言いようがない。

528 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/07(日) 23:24:59.49 ID:xVm55yKr0

神通「ちなみに、どんな流れで、何を……」


興味津々だなお前。


提督「詳細は言えんが、いろいろあって陽炎を慰めることになってな。膝オナをさせながら言葉攻めをすることになった」

金剛「I don’t get it」

提督「まあ、その時に『一生私のものにしておかないといけないな』みたいなことを言ってな……」


なんか言っていて恥ずかしくなってきた。なぜこんなことをせねばならんのだ。

神通の目が段々据わり始めているし、早く終わらせよう。


提督「とにかく、勢いで言った言葉で、お前が考えているような意味は決して無い。以上だ」

神通「……私が使えなくなったから、陽炎さんにそのようなことを言ったわけではないのですね?」

提督「もちろんだ」

神通「そうですか……」


神通は思考を整えるように一旦視線をそらす。

暫くの間、沈黙が続く。

神通の視線が戻る。


神通「提督」

提督「ん?」

神通「やはり具体的な状況がわからないので、私を陽炎さんに見立てて再現して頂けませか」


そう言うと神通はゆったりと私を壁際に誘い込む。


神通「膝オナというと、提督の膝に股を擦り付けた、という認識でよろしいでしょうか?」


そう言うと神通は腰をゆっくりと下ろし、私の膝に股間を擦り付ける。


提督「いや、神通、ちょっと待て」

神通「ちなみに陽炎さんの服装はどのようなものでしたか? 必要であれば全て脱ぎますが」

提督「いや、そうじゃなくて」

金剛「神通ゥ、テートクが困惑しているネー」

神通「邪魔しないでください金剛さん。私は今大事なことをしているのです」


大事なところを擦りつけているの間違いじゃないか。


提督「いや、神通、あのな」

神通「なんでしょうか提督。まさか陽炎にできて私に出来ないとでも仰るつもりですか? やはり私は使えない女ですか」

提督「いや、そうじゃなくてな、その」

神通「なんですか、提督、はっきり仰ってください。この神通、覚悟はできています」

提督「神通、お前、ちょっと臭う」

神通「……え」

529 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/07(日) 23:27:32.04 ID:xVm55yKr0

神通「におう、ですか?」


身体と表情の動きを止めた神通は、同じ言葉を言い返す。


提督「ああ、さっきからちょっと言おうと思っていたんだが」


神通は左腕を鼻に近づけて、においを嗅ぐ。


神通「ちなみに、どんなにおいが?」

提督「あ〜、鉄と油と煤と、海と返り血、あとは……汗とアンモニアみたいな」

神通「……」


私の言葉が言い終わると、神通の表情が青褪めた後、すぐに真っ赤に燃え上がる。

そしてゆっくりと私から身体を離すと、踵を返して寮の方向へ。


神通「提督」

提督「おう」

神通「洗ってきます。着替えてきます。それと……」


神通が猛ダッシュで走っていく。


神通「においは忘れてくだしゃい!」


噛んだ。

神通は去っていった。


提督「……なんだったんだ」

金剛「……」

提督「どうした金剛」


金剛が私の首元で鼻をひくつかせる。


金剛「テートク、ちょっと臭うヨ」

提督「……本当だ」


臭いが付いてしまったようだ。


提督「このまま執務室にいくのは……」

金剛「さすがに良くないネ」

提督「……明石のところに行くか」

金剛「Aye, aye, sir」


購買で消臭剤を購入だ。

まったく……

530 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga sage]:2016/08/07(日) 23:32:06.91 ID:xVm55yKr0
・本日 ここまで

・誤字脱字が…… orz

・いいシチュエーションが なかなか 思いつかない

・良いヤンこれss とか 知りませんかね

・感想 要望 改善等 あれば どうぞ
531 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/07(日) 23:54:26.05 ID:WtLW/4Qzo
おつ〜
神通かわいい
532 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/08(月) 13:00:19.38 ID:MkCBpGxv0
乙 更新が早くて嬉しい、この鎮守府にどんな艦娘が所属し鎮守府内の勢力が気になるな
533 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/10(水) 15:23:40.87 ID:HxCyxv4d0
>>523 この提督に「〜ゴミどもが海に散乱している姿は虫唾が走るからな。ゴミはゴミ溜めに戻しておくのが定石だ。〜」
のセリフに違和感を覚える。あと陽炎の話が出てきて嬉しい。
534 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/10(水) 18:10:07.60 ID:laaSQcQ90
現行スレなら
北上「離さない」

扶桑「不等辺三角形」
とかかな
535 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/19(金) 23:22:40.39 ID:SNIi0+Ox0
いつも楽しませていただいてます
ここは比較的積極的なヤンデレが多くてエキサイティングですね

>>扶桑「不等辺三角形」
提督「翔鶴と榛名が能面みたいな顔をする」
提督「提督辞めようとした結果www」
【艦これ】6人全員ヤンデレ鎮守府【安価】
提督「俺の鎮守府が雰囲気悪くて笑える」
提督「無人島、二人きり」
【艦これ】兵器の書いた日記帳
夕立「提督さん、褒めて褒めてぇーっ!」
提督「島風が組み立てたブロックを壊して遊んでいる」
提督「ウチは平和だなぁ」艦娘「表面上は」
提督「駆逐艦怖い」
【艦これ】提督「最近不幸だ……」
【艦これ】提督「最近艦娘達のアプローチが激し過ぎて困っている」
提督「ヤンデレ?」168「……」青葉「……」
提督「え?俺が行方不明になったって噂を流した!?」
提督「憲兵さん! どうして俺のことを見捨てたんですか!?」
鈴谷「おはよう、提督」
吹雪青葉古鷹「「「……邪魔」」」提督「っ!?」
提督「俺の愛する艦娘達」
提督「好感度が見えるメガネ?」
提督「怜悧盲目」
島風「提督ぅー!」
提督「艦娘がみんなヤンデレですが、僕は元気です」
島風「島風からは、逃げられないって!」
 作者様のコテハンをググるとさらに見つかります
536 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/28(日) 02:24:00.24 ID:zuX+vgW30

購買到着。


提督(北上か?)


入り口から見て左奥にある店台、そこに普段着ている白百合色の制服にベージュのエプロンを掛けて、こちらに背を向けて北上が椅子に座っている。

店内に入り近くに寄ると、何かを呟いているのが聞こえる。


提督(何をして……)

北上「北上さーん、見てくださいこの魚雷、固くて、太くて、逞しくて、す・て・き」

北上「お〜、さすが大井っち、いいね〜これは、この黒く輝く弾頭が……わびさびよね〜」

北上「北上さんとこれさえあれば、どんな敵でもギッタギタですよねー」

北上「も〜、大井っちたらー、それはあたしのセリフだよ〜」

北上「あーん、ちょっと拗ねてる北上さんも、可愛い♡」

北上「大井っち〜」

北上「北上さぁーん」

提督「……何をやっているんだ」

北上「おっ、提督じゃん」


店頭の丸椅子に座っていた北上は呟きを止め、くりくりとした丸い瞳をこちらに向けた。

それと同時に背中に隠れていた両手の物が姿を表す。手袋人形だ。

視線に気づいたのか、北上は顔を私に向けると頬に両手の人形を添えた。


北上「どう? よくできてるでしょ〜」


そう言うと、人形たちが嬉しそうにはしゃぎ回る。

それぞれの人形を眺めてみると、自慢するだけあって確かによく出来ている。

右手の人形は、黒いおさげと三つ編みをしており、白百合色の制服を着ている。北上を模したのだろう、よく似ている。

左手の人形は魚雷を模した小物を持ち、赤茶色の長髪に右手の人形と同じ制服を着ている。こっちは妹の方か。


提督「そっくりだな、魚雷は九三式か?」

北上「にひ〜♪ わかる〜? フォルムにこだわったんだよ〜」

提督「そうか」


北上はたんぽぽような笑顔を見せると、歌うように両手の人形の口を動かした。


北上「んふふ〜♪ んっ? そういや提督は何しに来たの?」


両手の人形と一緒に、リスのように三つの首が傾いた。


提督「日用品をちょっとな……明石は医務室か?」

北上「明石ならさっきドックに行ったよ。被弾した娘が出たんだって、朧と綾波だったかな?」

提督「ああ、それか」

北上「知ってるの?」

提督「さっき報告があってな。二人共元気らしいが」

北上「ふ〜ん、なら大丈夫か」


そう言うと、北上は人形を外して置くと、両手で頬杖をつく。

537 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/28(日) 02:24:44.89 ID:zuX+vgW30

北上「それで提督は何をお求めかな〜、北上様が探してしんぜよう」

提督「消臭剤をな。良い物はないか?」

北上「ん〜、靴用のものなら確かあったとおもうけど」


店台から出てくると、ベージュのエプロンを揺らしながら、店内の陳列棚へと向かう。


北上「おっ! あったあった、提督、こっちこっち」


北上の呼びかけに応じて棚へと向かうと、大小様々な商品が目に入る。


提督「結構有るな」

北上「ま〜ね〜、靴用に衣類用、中には手袋用ってのもあるね〜」

提督「そうか」


しばらくそこの商品を眺めてみる。

大方は噴霧するものがほとんどだが、中には塗布するものもあるようだ。


金剛「テートク、これがいいヨ」


隣にいた金剛がその中の商品の一つを指差す。

手にとって成分や大きさ、値段を確認する。悪くないな。


提督「これにするか」

北上「ほいほい、まいど〜」


店台に戻る北上の後を追い、陳列棚の横を過ぎていく。

ふと、あることを思い出す。

陳列棚の一画、衛生用品がある場所で足を止め、そこのある商品を確認する。


金剛「Are you gonna buy that?」

北上「んっ? それも買うの?」

提督「……ここの商品、最近種類が増えたのか?」


衛生用品の一画、歯ブラシがある場所に指をさす。

そこには少なくとも三種類以上の歯ブラシが並べられていた。


北上「前々からそんな感じだよ。新商品が来たら入れ替えたりはするけど」

提督「そうか」

北上「青いやつがよく売れるんだよね〜、たしか提督もこれでしょ?」

提督「ああ」


確かに真ん中の青い歯ブラシは私が使っているものだ。この商品だけ他よりも明らかに減りが早い。

しばらく眺めた後、踵を返して店台に向かう。


提督「少し気になっただけだ、すまないな」

北上「はいはい、それじゃやっちゃいましょうかね」

538 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/28(日) 02:26:34.78 ID:zuX+vgW30

ピッ、という電子音とともに金銭登録機に商品の値段が表示される。


提督「これで頼む」

北上「ちょーどじゃじゃぁーす」

提督「ところで……どうだ? もうここには慣れたか?」


商品を受け取った後、最近の様子を聞いてみる。

北上は店台の奥にある椅子を引き寄せて座ると、金銭登録機の横に置いた人形を指で転がしながら答える。


北上「ま〜ね〜、明石も良くしてくれるし。こうやって裏方に回んないとわかんないこともたくさんあるからさ〜、なかなか新鮮だよ〜」

提督「そうか」

北上「ただ大井っちがいないのがね〜。ねえ提督や、大井っちはまだかい?」


そんな「ごはんはまだかい?」みたいな言い方をされても。

北上は右手で頬杖を突きながら、左手で妹を模した人形の腹を指でなぞり、流し目で訴えるようにこちらを見つめて来る。


提督「こちらとしても軽巡は欲しい……が、黎明期と違って今は邂逅率が低いからな。心当たりのある場所に行くことはあるらしいが……」

北上「ん〜……だったら建造は〜? それでも会え━━━」


━━━━━ギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギ

ナニカが詰まりに詰まった詰め物が曲げて曲がって曲がり角から睨むような音が聞こえた。

音の元は金剛の身体。睨んでいるのは金剛の双眸。

黒い感情で黒く見える黒塗りの表情から、四白眼が白くはっきりと空気に描いた言葉を白紙に戻せと突き刺さる。


北上「━━━るんだよね?」


だが北上は物怖じせずに言い切る。どれだけ肝が座っているんだ。


提督「建造は色々手続きがあるから時間が掛かるぞ。ついでに言うとする気もないしやる気もない。諦めろ」


金剛を一瞥した後、察しろと言わんばかりの視線を北上に向ける。


北上「んぁ〜……まあいっかぁ、大井っちも邂逅すればあたしとお揃いになるわけだし」


意志が伝わったのかどうかわからないが、意外にも北上はすんなりと受け入れた。

音が止む。


提督「やはり妹は気になるのか?」

北上「ま〜ね〜、長い付き合いだし、一緒にいるとなんていうか、こう……いいんだよね……」


そう言うと、懐かしむように目を細めた。

指で遊ばれている人形が、母親に甘える赤子のように両手をバタつかせる。


提督「そうか、まあしばらくは我慢してくれ」


北上は楽しそうに微笑むと、目を細めたまま微睡むように首を傾げる。


北上「我慢てほどじゃないかな〜、最近、最上と話してるときは楽しいし」

提督「ほう……」


確かに最上も北上と似て独特の雰囲気があるからな、意外と気が合うのか?
539 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/28(日) 14:58:56.30 ID:TUB4sfMIO

お揃いってなんか気になる言い回し
540 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/28(日) 19:25:02.50 ID:rneqlocAO
身体のどの部分からギギギって音すんだろ?歯ぎしりかな?
541 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/29(月) 02:48:30.50 ID:RjC7EcEjo
来てたのか
おつ
542 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/13(火) 02:35:31.40 ID:SuSsmKsD0
( 」゚Д゚)」オーイ!
543 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/17(土) 11:25:48.92 ID:OQUiY4jq0

提督「やはり以前の鎮守府のことが多いか?」

北上「う〜ん、どっちかっていうと、本土のことが多いかな〜。温泉とか観光地に興味あるみたいでさ〜」

提督「詳しいのか?」

北上「実をいうとそんなに、って感じかなぁ、確かにいろんなところには行ったけど、転属しては戦って〜っの繰り返しだったし」

提督「……そうか」

北上「鎮守府、っていうならやっぱ北極戦線の話が多いね〜」

提督「北極戦線? あそこにいたのか?」


人形を弄っていた北上の指が急停止した。


北上「……ん? ん〜? あれっ? それ知ってたからあたしを受け入れたんじゃないの?」

提督「……お前の経歴はほとんど聞かずにいたもんでな。そのせいで思い出すのにも時間がかかってしまったわけなんだが……」

北上「んんん〜? もしかしてなんだけどさ……」


恐る恐る言葉を紡ぎだす。


北上「あたしさ、ここに着任した時に『なんか提督ちょっとそっけないな〜』って思ってたんだけどそれって……」

提督「すまん、忘れてた」

北上「うぁあ、だからかぁ」


北上の指が再び人形をいじり始める。

人形は身体を動かすことなく仰向けに倒れ、寝起きの子供に意地悪するようにその頬を指が執拗に突く。


提督「正直、お前が戻ってくるとは思わなかったからな。制服も変わっていたし、別の北上だとばかりな」

北上「やぁまあ、確かにあたしたちって人間から見るとみんな顔が同じらしいし、でもねぇ」

提督「すまない、悪気はなかったんだが……」


北上は指の動きを一旦止めると、言葉を呑み込むように息を吸い、不満とともに肩を下ろした。

指が再び動く、今度はその額を撫でながら。


北上「う〜ん、まっ、実を言うとあたしもさ、最初は提督のこと別人だと思ってたのよね〜、雰囲気とかすっかり変わっちゃってたし」

提督「そうか?」

北上「そうだよ〜。最初会った時はもっと、こう……う〜んとねぇ……」


うまく言葉に出来ないのか、考えあぐねて首を傾げる。


「あれっ? 提督じゃないですか?」

544 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/18(日) 00:07:12.41 ID:wBaLgbTx0

声のした方を見ると、目を丸くした明石が店の入り口に立っていた。


提督「明石か、綾波と朧の様子はどうだった?」

明石「えっ? あっ、はい、二人共元気でしたよ。素体に傷はほとんどなかったですし、ただ艤装が損傷しているので出てくるのに多少時間は必要ですけど」

提督「そうか」


質問に答えながら、下駄で床を不規則に鳴らして明石は私達の方へと歩いてくる。


北上「お疲れ〜」

明石「お疲れ様です。待たせちゃってすみません。遅くなりましたけど、もう休憩に入ってもらって結構ですよ」

北上「んー、そんじゃ、間宮さんとこにでもいきますかね」


北上はぐ〜っと背伸びをすると、ゆっくりと椅子から立ち上がる。


北上「そんじゃね、提督。それと金剛さんも」

提督「ああ、午後も頼むぞ」

金剛「Take a lunch break」


そうして北上は店の奥へと姿を消した。それを見計らってか、明石が私の傍にまで近づいてくる。

傍にまで寄ってきた明石から、船渠からすぐ戻ってきたためか、薬湯に近いあの独特の匂いが鼻を刺激する。


明石「ところで提督は何を━━━」


そう言いかけた言葉を止めると、突如明石は私に鼻を近づけ、首元、左肩、左腕へと順々に鼻頭を揺らす。

そして左手に鼻を近づけた瞬間、その顔が不快さで一気に染まる。


明石「端女が……」


噛み潰した苦虫を吐き出すように言葉を投げ捨てると、その視線が私の右手にあるものに移る。

私の右手にある消臭剤、それに視線が移った瞬間、明石の顔から表情が消えた。

そして何ら躊躇いもなく、私から消臭剤を奪う。


提督「おい、明石」


制止も聞かず、生産工場で流れ作業をする機械のように、包装を破き、蓋を開け、噴射口を私に向ける。

次の瞬間、空気の抜ける音と共に中の液体が霧となって振りかかった。


提督「明石、やめ」


表情、というものが抜け落ちた明石を止めようにも、霧が喉に入り声がうまく出ない。

店中に撒き散らさせる化学物質に咳き込む私を金剛が庇おうとしたその瞬間。


「何をしているのですか、明石さん」


明石の手が掴まれた。

545 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/18(日) 01:08:53.86 ID:Z8iTpfYTo
お、来てたのか
546 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/18(日) 12:24:37.67 ID:IzWjVDaF0

提督(神通……)


金剛が袖で私の周りを扇ぐ中、神通は冷たい眼差しで明石を睨む。


明石「消臭ですよ。どっかの阿呆が提督を汚したようですので……それより手ぇ離してくれません? 痛いんですけど」


明石は自分の右手首を掴んでくる神通を一瞥した後、まるで録音された音声を再生するような声音で答えた。


神通「提督は『やめろ』と仰っていました。その耳は飾りですか?」


それに対して神通は廃棄物でも見るかのように━━━否、これから廃棄物にしてやらんと腕に力を込め、冷酷さすら眼前の鉄屑には不要と言わんばかりの無機質な瞳で明石を囚える。


明石「聞こえてましたよ。提督の言葉を聞き漏らすわけないじゃないですか」

神通「そうですか、では耳ではなくその頭、それかこの腕に異常があったということですね」

明石「だから、痛いですって……さっさと離せよ」


自分の手首を掴んでいる神通の右腕を引き離そうと、もう片方の腕で外そうとするが、出来ない。

対する神通は、空いている左腕を天高々と振りかざす。剣道で言う、大上段の構え。


神通「こういう場合の治療法は、悪い部分を切り離すことです」

明石「離せ」


拒絶の言葉とともに、明石の左拳が神通の顔面に直撃する。

しかし、苦痛で顔を歪ませたのは神通ではなかった。

明石の左拳は、神通の顔、ではなくその少し上の額当てに当たり、受け止められていた。

拳から血は出ていないが、表情からして腕に痺れが来ているだろう。

その一瞬の硬直を神通は見逃さない。


神通「切り落としましょう」


宣言とともに、神通の手刀が明石の上腕に向かって振り下ろされて━━━


提督「金剛、止めろ」


私の呼びかけで、金剛が神通の左腕を掴み、明石の上腕に当たる直前でその動きを止めた。

やっとまともに声が出せた。

547 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/19(月) 22:48:57.37 ID:lVJNqI200

明石が私の消臭剤を掴み、その明石の腕を神通が掴み、その神通の腕を金剛が掴む。

滑稽な光景だが、その空気はとても滑稽とは言い難い。

一触即発。均衡が崩れればこの店はすぐに空き店舗となることだろう。世知辛い世の中である。

……とりあえず、まずは状況把握からだ。

まず明石。神通は自分の手に余ると考えたか、抵抗するのを止め、鬱陶しそうな表情を時折神通に向けながら動向を静観している。その際痛そうな顔をしているので、神通から手首への力は緩んでいないようだ。

次に神通。金剛を通して私が制止したためか、手刀を寸前で止めたまま停止している。しかし視線が明石の腕に固定されているところを見ると、切り落とすのは諦めていないらしい。

金剛は言わずもがな。しかし背後に蜃気楼が時折見えるとこからすると、すぐに艤装を展開できるようにしているらしい。

神通と金剛は私が何か言わない限り勝手なことはしないだろう。となればまずは明石からか。


提督「明石」

明石「提督、臭い取れました?」


私が声をかけた瞬間、不快さと痛みに染まっていた表情が一変。口を歪めて嬉しそうに微笑んだ。

一歩明石に近づき、左手を明石の鼻近くに差し出す。


提督「嗅いでみろ」

明石「……んっ」


指を近づけると、明石は匂いを堪能しようと目を瞑り、顔を突き出して鼻を鳴らす。


明石「提督、もう少し、近づけてもらえますか?」


明石の誘導に従い、鼻腔のすぐ下辺りにまで指を近づける。

その瞬間、紅色の唇を裂いて薄桃色の舌が現れ、纏った液体を塗りつけようと指へと伸びた。

寸前で手を引っ込め、明石の粘液に指が濡れるのを防ぐ。


明石「あっ、ていひょくのゆひっ……」


明石は薄っすら瞼を見開くと、舌を突き出し呂律の回らない言葉を発しながら、逃げる私の手を捕まえようと左腕を伸ばす。

その腕を逆に捕まえる。

548 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/19(月) 22:50:07.33 ID:lVJNqI200

提督「駄目だぞ明石」


至極穏やかに、悪戯を諭す先生のような声音で明石に語りかける。


提督「勝手に人のものを取って、勝手に使ったお前に、そういうことはしてあげられない」


右手で明石の腕を抑えながら、滑りつくような肌の中から突起する喉仏を左手の中指と薬指でなぞり、その上にある下顎を手のひらに乗せて、親指と四本の指で両頬を挟み込む。

吸い付くような頬の弾力は指の腹を優しく押し返し、既に上気し朱に染まっていた肌から生暖かい湿り気が指の先をじっとりと濡らしてくる。

唇から漏れる熱い吐息が空に虚しく放たれると、若草色の瞳が懇願するように潤む。


明石「あっ♡ そんな……」


白い制服を中から押し返して隆起する膨らみが揺れると、膝丈まである地下足袋と短い行灯袴の間にある生色の太ももをこすり、力なくもぞもぞと身体を捩らせた明石は、再び吐息を漏らす。


明石「でも、提督が消臭剤を買ったのは、こびり付いた雌豚の臭いは取るためで、それなら……」

提督「明石」


未だに、明石はなぜこんな状況になっているのか理解できていないらしい。

それならば、と明石の下顎骨を潰すように握り、牙を見せるように歪ませた唇を見せ、喉から、怒りを装った言葉を吐き出す。


提督「私は、苦しかった。“苦 し か っ た”ぞ、明石」

明石「あ」


明石の喉から声が漏れて雷撃にでも打たれたかのように身体が硬直すると、見開いた瞳孔が一瞬で縮み上がり、その眼球が凍えるように痙攣し始める。

触れている肌の温度が一気に下がり、短い呼吸が口から何度も漏れる。


明石「ごっ、ごめっ、ごめん、なさいっ。私、ただ、提督のお役に、立ち、たくて、ヤクッヤクッヤクッヤクニッ、ヤクニタチ、タクテッ、テッテッテッテッテッ」


雨の中捨てられ寒さに打ち震える子犬のように、救いの手を引き寄せ自らの置かれた境遇に抗おうと必死に吠える。

549 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/19(月) 22:50:42.18 ID:lVJNqI200

明石「キッ、キレイにすれば、提督に、喜んでいたッ、いただけると、思って、邪な、気持ちは、なくて」


害意は無かったと必死に釈明する。桃色の柔らかな香りを漂わせる可愛い娘の囀り。

ほんの少し怒りを露わにしただけでこの反応だ。良心が咎める。被害者なのに。


提督「本当に、やましい気持ちは無かったんだな?」

明石「ホントッ、デす……」

提督「ならいい」


そう態度を軟化させると、あからさまに安堵の表情を見せる。ここまで来るともはや哀れだ。同情を禁じ得ない。


提督「……ただ、ああいう勝手なことをされるはさすがになぁ」


そう言って少し釘を差すと、明石は事切れたかのように俯き、口から小さな雑音を漏らす。

そうやってブツブツと蠢いていた唇が一瞬止まると、何かを宣言するように呟いた。


明石「……せん」

提督「なんだ、聞こえないぞ? 明石」

明石「次から勝手なことはしません。ご迷惑をお掛けしません。もっとお役に立てるようになります」


はっきりと宣言する。


提督「本当に?」

明石「はい」

提督「そうか、それは頼もしい。明石にはいつも世話になっているからな、もっと頼りになるというならば心強い」

明石「はい」


少しずつ声音に生気が宿る。


提督「次こそ、役に立ってくれるな、明石?」

明石「はいっ! お任せくださいっ!」


そう言って見せた明石の顔には満杯の笑顔。

ただし、薄っすら開いた瞼から見える瞳に、輝きは一切なかった。

550 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/19(月) 23:12:43.43 ID:0CXS5ckAO
あれ?1日ってこんなに長かったっけ?
濃いな…
551 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/20(火) 00:20:32.21 ID:2/XYe79m0

明石は一先ず叩き直した。次は未だにその明石の腕を握り続ける神通だ。


提督「神通」

神通「はい、提督」

提督「お前、いつまでそうしているつもりだ?」

神通「はい、ご指示があればいつでも「誰がそんなことをやれといった」


神通の言葉に多少の苛立ちを含めて言葉を被せると、突如水を掛けられたかのようにその澄ました顔に一瞬動揺が走る。

もう少し穏便な手を打ってくれれば、ここまで苦労することもなかったんだよ、神通。


神通「あの」

提督「手を離せ……金剛も、もう良いぞ」

金剛「Yes」

神通「……はい」


神通の手から離れた明石の手首を見ると、白磁色にほんのり赤味を与えた健康的な肌に、予想通り痛々しい痣ができてしまっていた。

その痣を見た瞬間、自分の頬の筋肉が一瞬引き攣る。

つい、治るわけでもないのに、その痣に手を当て撫でてしまった。


明石「大丈夫ですよ、提督。この程度の傷、どうとでもなります」

提督「そうか」


ほんのり頬を染め、私の手を受け入れた明石は、不安を取り除くように穏やかな態度を見せる。

明石の痣から手を離し、神通に振り向く。

目が合った瞬間、神通は困惑した表情を見せると、逃れるように視線を下へと逸らした。

自分を抱きしめるように腕を組む神通の眼前に立つ。

何かに耐えるように固く口を結ぶ神通の表情に対し、身体は時折小刻みに震えていた。

身を清めてきたばかりなのだろう、ほんのり濡れた髪やうなじ、肌蹴た肩から見える艶めいた生肌から甘い匂いが鼻を擽る。


提督「自動で動く『モノ』というのは便利ではあるが、所有者の意志に沿わないというのは問題だな」

神通「申し訳ありません。危害を加える者は排除しなければならないと考えて━━━」

提督「たかだか消臭剤一つのどこが危害だ。過剰に反応するのも程々にしろ」


死ぬわけではないのだ。ああいった状況は様子を見て事後対応すればいい。そういう意味では金剛の対応のほうが正しかったといえる。

そう考えながら眼前の娘に目を向けると、神通は金槌にでも打たれたかのように硬直し、目を見開いて固まってしまった。

先ほどの言葉は、遠回しに『使えないモノだ』と言ったようなものなので、やはり衝撃を受けているようだ。

直接言ったわけではないので、なんとか理性は保っているようだが。


提督「まあ、今回は流石に明石のほうに問題があったとは思うから、お前の対応も間違ってはいない」

神通「……はい」


さすがに気落ちしてしまったか。

表面上気丈に保ってはいるが、内罰的な神通をこれ以上責めると自傷行為に走りかねない。

結果論だが、私も消臭剤如きでむせるなど軟弱な対応をしなければ、神通がこういった行動には出なかったとも言える。


提督「とりあえず、私に関してはこれ以上言うことはない。あとはどうするかお前たちが決めろ」

552 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/20(火) 00:39:32.38 ID:2/XYe79m0

私がそう言うと、その意味にまず気づいた神通が明石に対し深々と頭を下げた。


神通「明石さん、先ほどは申し訳ありませんでした。どうお詫びしたらよいか……」


神通の行動に対し、明石は驚いた表情を見せると、胸の前で両手を左右に振り、問題ないことを伝える。


明石「いえいえいえっ! この程度大した傷じゃないですって! それより私の方こそ思いきり殴っちゃいましたけど、大丈夫でした……?」

神通「問題ありません。訓練ではこの程度、傷のうちにも入りませんから」

明石「それはそれで……なんだかなぁ」


明石が苦笑いしながら頬を掻く。

後方支援が主たる任務とはいえ、前線に立つ者としては複雑な気持ちといったところか。

しかしその態度を見た瞬間、神通の目が輝いた。


神通「でしたら今度、明石さん用に訓練メニューを組みましょうか? いざという時のために鍛えて困るということはないですから」

明石「あっ、いえっ、それは、その……ねえ、提督?」


神通の提案に目を泳がせると、視線の合った私に助けを求めてくる。

私に振るな。


提督「明石はやることが多いからな、そこに穴ができると流石に困るな」

明石「まあ、そういうことですんで」

神通「そうですか……」


なぜ落ち込んでいるんだ、神通。

553 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/26(月) 23:09:14.61 ID:F0mvjgrc0
やべー、チョーおもしれー。

殺伐としながらも提督の思考にちょくちょく出てくるユーモアなツッコミでププッ、ってなるw
554 :sage :2016/09/26(月) 23:10:26.81 ID:F0mvjgrc0
しまった!
sage忘れすいません。
555 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/26(月) 23:17:13.42 ID:F0mvjgrc0
なんどもすいません。
名前欄とメール欄まちがえました。
556 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/27(火) 22:02:15.27 ID:BrfxV6oB0

北上「終わった〜?」


声の方を振り向くと、店の奥からエプロンを外した北上が現れた。


提督「すまん、騒がしかったか?」

北上「ん〜別に〜? なんかやってるな〜、と思ってただけだし。あっ、神通おかえり〜」

神通「はい、ただいま戻りました。北上さん」


北上は軽く、神通は折り目正しく、そうやってお互いに挨拶を交わし終えると、北上は右手に持っていた紙袋を私に見せる。

両手が収納できそうな紙袋が姿を表した途端、金剛の静々とした空気に小さな揺らぎが生じるとともに、明石が不味そうな顔をした。


北上「そうそう提督、なんか奥にさ、提督宛の荷物があったんだけど」

提督「ん? ……ああ、届いたのか」


以前明石に頼んで取り寄せて貰った品物が届いたらしい。北上から紙袋を受け取り、宛名を確認すると確かに私宛になっていた。


北上「あっ、そだ提督、それ袋の底ちょっと破けてるから、持つときは」


北上の忠告に気が逸れた瞬間、袋の底から二つの品物が床に落ち、空箱を叩いたような音が足元から這い上がる。


提督「む」

神通「提督、落ちました、よ……?」

提督「待て、お前たち、それは」

北上「ん〜なになに、別にいいじゃん……?」


足元に落ちたそれを神通と北上が腰を下ろしてそれぞれ拾い上げた瞬間、冷水でも掛けられたかのように二人の動きが止まった。

箱の包装が緩かったのか、二人が拾ったそれらから個々に透明な包装をされた円状ゴム製の品がひょっこりと姿を表す。後で製造業者に苦情入れてやる。

薄い膜のように半透明のその品、大きさは親指と人差し指でつくった輪っか程度、その中心部分には小指ほどの小さな突起が見え、その縁はロール状に巻いてあるのがわかる。

その品の突起部分に棒状の何かの先端を被せ、そのままロール状に巻いてある部分を棒状のなにかに沿って転がしていけば、棒状のナニかを膜のようにピッタリ密着した状態で包み込むことができるだろう。

北上が手に取ったものは『0.01 mm お試しセット』

神通が手に取ったものは『お徳用パック 〜愛しいひとときを気兼ねなく〜』

単刀直入に言おう、コンドームだ。

海軍用コンドーム? ねぇよそんなもん。

557 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/28(水) 00:24:01.96 ID:oWurLjlk0

北上「……あーうん、提督も男の子だもんね」


神通が未だ地蔵の如く固まっているのに対し、北上は立ち上がると頭を掻きながらコンドームの箱を私に手渡し、半ば諦めたかのように溜息を吐いた。


提督「北上」

北上「気にしないって、なんとなくそうなんだろうな〜、とは思ってたし、ああいうのもあるしね」


北上が指した方向、そこには店の一画に設けられた雑誌売り場。


提督「ああいうの……?」

北上「手前の雑誌、本土では有名らしいよ?」


北上が指し示した手前三つの雑誌『ゼXY』『たまこ倶楽部』『ひな倶楽部』

それらを見た途端、私の本能が警告を発した。これはまずい、と。


北上「まっ、とりあえずさ、がんばんなよ。あたしは昼食摂らなきゃだし、それじゃね」

提督「待て、北上」


呼び止めも聞かず、北上は私の肩を軽く叩くと鮮やか且つ滑らかな動きで店を抜け、数分とせずに店内から姿を消した。

跡には息苦しいほどの沈黙と未だ固まったままの娘たち。


提督(……逃げやがった)


流石は激戦を潜り抜けてきた猛者だ、回避能力は今もなお第一線級ということか。

しかし何故それを今この瞬間に発揮したのだ……

既に人影のない店外から店内に視線を移すと、北上がいなくなったことでそれぞれの娘達の纏う空気が少しずつ変質していく。


金剛「……」


金剛の沈黙はさらに強烈に、燻る火種の如く。


明石「……」


明石は不味そうな顔つきを乾いた笑顔と笑っていない目で上書きする。

そして。


神通「て い と く」


背景を凍りつかせながら、神通が幽鬼のようにゆらりと立ち上がり、沈黙を破る。

どうするんだこの状況。

558 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/28(水) 01:37:19.01 ID:Kv4QWaCA0
血痕カッコカリ?
559 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/28(水) 02:27:15.21 ID:0Kb+bCw7o
おつ〜
やってしまいましたなぁ
560 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/28(水) 06:51:13.64 ID:q3w5rfpUO
袋の底破れてるとか中身プスプスされたんじゃないのか
561 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/28(水) 18:29:03.12 ID:A5257cS30

神通「これは、なんでしょうか」


神通は右手でボックスティシューサイズの業務用コンドームの箱を持ちながら、左手で四枚綴りになったコンドームを垂らして詰め寄ってくる。

神通の手から垂れたコンドームは薄桃色に着色されており、桜の花びらを包んだかのようでなんとなく可愛らしいと思った。


提督「見ての通り、としか言いようがないな」

金剛「テートクは、ワタシたちともう生でしてくれないですカ?」

提督「生でしたい」

金剛「はうっ♡」


金剛が真顔で迫りながら投げかけた言葉に即答で返すと、心臓を矢で撃ち抜かれたかのように仰け反った。


神通「でしたら、何故こんなものを……」

提督「感染予防のためだ。お前たちは免疫系が私達と異なるからな」


艦娘は確かに強力で頑丈だが、だからといって病気に掛からないわけではない。疲労も溜まるし風邪も引く。

今まで何度も身体を重ねておきながら今更かと思うが、予防するに越したことはない。

熊野や鈴谷のように、病気で辛い目には遭って欲しくないのだから。


神通「提督からの感染症なら、喜んで受け入れますのに……」

金剛「テートクは Girl’s Mind がわかってないネー」

明石「まったくですよ。あれだけ忠告したのに全然話を聞いてくれないんですよ、この朴念仁」


三者三様、落胆と失望と呆れと含んだ言葉を口にする。なんでこんなボロクソ言われてんの私。

こういったエチケットというのはお前たちのほうが気にするもんじゃないのか。


提督「いや、お前らな、病気になったら大変だぞ」

明石「今まであれだけガッツリハメといて今更感染症もナニもないでしょう。そもそも人間からの接触感染で私たちに深刻なダメージを与える病気なんて無いんですから、心配するだけ無駄ですって」

金剛「ただのジョークグッズねー」

明石「中出しセックスじゃないと満足できない身体になっているのに、そんなものを着けられたらみんなキレますよ?」

提督「キレるって……そこまで怒るこ━━━━━」


━━━━━ブチンッ


562 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/28(水) 18:29:57.64 ID:A5257cS30

━━━━━ブチンッ……ブチンッ……ブチンッ……ブチンッ……ブチンッ……ブチンッ……ブチンッ……ブチンッ……ブチンッ……ブチンッ……


提督「神通……何をしているんだ……」


突然鳴り響いた小さな風船が破れるような音に、私達の視線が一斉に集まる。

そこでは神通が、ただ黙々とコンドームを破り千切っていた。


神通「これは、私と提督を隔てるもの……」


掴み、千切り、落ちる、掴み、千切り、落ちる、掴み、千切り、落ちる、掴み、千切り、落ちる、掴み、千切り、落ちる、掴み、千切り、落ちる。

それを繰り返すごとに小さな破裂音が響き、床に透明な包装紙と無残に引き裂かれた薄桃色の破片が積み重なる。


提督「神通、止めないか」


神通の手を掴み、コンドームを破るのを止める。

今はゴムの消費が伸びているから、意外といい値段したんだぞそれ。


神通「いりません」


神通は手を止めて顔を上げると、眉間に皺が寄った鋭い表情を浮かべ、迷いなき真っ直ぐな漆黒の瞳を向ける。


神通「提督にこのようなものは不要です」

提督「いや、私よりもお前たちのために必要なものであってだな……」

神通「こんな『モノ』よりも、私のほうがずっと使えます」

提督「んっ?」


私が一瞬の思考停止に陥ると、神通が手に持ったコンドームに対し、嫉妬の光を帯びた目つきを向けて睨んだ。

そして嫉妬で焼け焦げた瞳で再び私を見上げると、朱色の服を炎のように揺らめかせながら進言する。


神通「性行為感染を防止するなら、この神通をお使いください」

提督「使うって……」


そう私が思わず呟くと、神通は自分の胸をドンと叩く。

鋭く強い瞳、整った顔立ち、凛とした佇まい、そして身に纏う朱色が今、神通の燃えるような気概を示した。


神通「私が、提督のコンドームになります!」


神通、頭でも打ったか?

563 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/28(水) 19:03:12.07 ID:NGjiMlfxO
おつ
564 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/28(水) 20:01:48.88 ID:TdiBVxMEO
ちんこに神通を装着して神通の頭でスカルファックするってこと?
565 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/28(水) 23:28:46.79 ID:mp6M4E9Q0
>>564
まあ、そうなるな
566 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/29(木) 00:20:49.80 ID:Ue9Wa1zdo
おークレイジー
567 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/29(木) 00:39:32.08 ID:3YkkVFqAo
羽黒
榛名
神通

真面目な人ほどプッツンしたらヤバいな!
568 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/29(木) 03:05:52.49 ID:SIBoCv3oo
おつ
艦娘を避妊具にするとな!?
569 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/29(木) 23:10:13.34 ID:TpQu1rd10
神通のあの髪型は亀頭に見えなくもない...?
570 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/30(金) 18:02:54.28 ID:LMBqTvrC0

神通の最後の台詞を見て「何言ってんだこいつ」と素で呟いてしまったww
571 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/02(日) 22:00:46.53 ID:n/XbjHJA0

珍言を吐いた後、神通は唇を真一文字に結び、真っ直ぐこちらを見つめてくる。

その眼差しはまさしく真剣そのもので、先ほどの言葉に嘘偽りが無いことをはっきりと示していた。なんて厄介な。

冗談だったらいくらでもはぐらかせるのに、そんな目をされたら下手のことを言えないではないか。


明石「なるほど、その手がありましたか……」

金剛「I felt like the scales fall from my eyes」


なんか二人ほど感嘆の声を上げている阿呆がいるが、気にしてはいけない。

とりあえず、これ以上状況が悪化する前になんとか神通を宥め、この場を収めなければ。

しかしどう言うべきか……肯定しても否定しても面倒なことにしかならない気がする。


神通「提督は……もしかして私がこれよりも劣っているとお考えなのですか……?」


どうこの場を収めようか迷いあぐねていると、神通が重い口調で唇を開いた。


提督「いや、別にそんなことは」

神通「私はこんなものには負けません!」


神通は一枚のコンドームを包装紙から取り出し、自身と比較するように私に見せつける。


神通「これは使い捨てですが、私でしたら洗えば何度でも使えます! 経済的です!」

金剛「Reasonable ですネー」


りーずなぶる、じゃないよ、むしろ病気になったら負担大だよ。何の解決にもなってないよ。


神通「それに私でしたらこれと違って挿入するだけで装着できます! 常に濡れていますからローションだっていりません! 使いやすさだってずっと上です!」

明石「いつでも即ハメOKってことですね」


神通に挿入した状態で他の娘としろと? 使いにくいどころの話じゃないぞ。あと明石はちょっと黙ろうか。


神通「こんな薄くて軟弱なものよりも私のほうが肉厚で耐久性があります! 多少乱暴に扱ったって簡単には駄目になりません! 避妊性だって抜群です!」


お前がママになったら元も子もないぞ。それとコンドームを破くな。


神通「なによりこんなブヨブヨゆるゆるなものよりも、私のほうがピッタリと提督のものを包み込んであげられます! 咥えこんだら放しません!」

金剛「締め付けならワタシも負けないヨ」


お前は何と戦っているんだ。そして金剛は小声でさらりと何を言っているんだ。


神通「そ、それに万一お相手がいないときに催してしまっても、わ、私を装着していただければ、手慰みも捗るかと……」


それはもうセックスなのでは?

572 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/10/03(月) 03:19:53.08 ID:FM5Q6FW7o
避妊具とは一体…
573 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/10/05(水) 00:46:01.31 ID:RfhE1A7b0
…ギャグパートかな??
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