提督「臆病で愚図」

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49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/06/30(火) 18:46:04.71 ID:ipb5PMEh0

陽炎から冷気を感じる.

冷却された砲塔の牙が向けられている,と錯覚してしまうほどに.

陽炎の表情は私が尋ねた瞬間から変わっていない.何一つ.

そして陽炎はまるで時間を止めたかのように動かない.

なんだ? 私は何かよくないことでも言ったのか.

提督「陽炎?」

私の言葉に反応して,陽炎が動き出す.

陽炎「あっ? ああっ! 不知火のこと!? もう〜司令ったら! 大丈夫よ,司令のお気に入りに手を出したりなんてしないって!」

陽炎は,仕方ないなあといった表情で私の質問に答えた.

・・・お気に入り,ねえ.鈴谷も同じことを言っていたが,どういう意味なんだか.

提督「ならいい.とにかく,今後こういうのは控えることだ.なにかあったら困るのはお前たちだぞ?」

陽炎は左肘を右手で掴むと,顔を私からそむける.

陽炎「だって,司令に喜んでほしかったし・・・」

提督「その気持ちだけで十分だ.余計なことはしなくていい」

すると陽炎は顔をそむけたまま,目線だけ私に向け,睨みつけてきた.

陽炎「なによ司令こそ,感心しないなんて言っておいて,以前私たちにもっといかがわしいことをさせたじゃない」

おい,やめろ馬鹿.私の左腕に触れている妙高の力ががががっ痛い痛い痛い

提督「・・・なんのことだ」

私の言葉を聞いた途端,陽炎は目を釣り上げ,前屈みになり,猫が威嚇するかのように両手を出して,私を正面から睨む.

陽炎「司令ってば! もう! 忘れるなんてひどいじゃない! 私なんて思い出すだけで濡れちゃうのに!」

お前の股の具合など聞いちゃいない.妙高,抓るな.

提督「悪いが,思い出せんな」

陽炎「なんでっ!? このベンチよ! このベンチ! 司令,わかっていてここに来たんじゃないの!?」

こんなところにあるベンチなど,気まぐれでジョギングしたときにしか見ないだろうに.

陽炎「吹雪なんて『素敵なことをした場所だから』って毎日このベンチを掃除しているのに!」

ここの掃除をしてくれていたのは吹雪だったのか.どおりできれいなわけだ.

それにしても,吹雪だと? それに素敵なこと? 一体何の・・・まさか.

提督「お前と・・・吹雪が秘書艦だった時か?」

私が覚えていたことを知って機嫌が直ったのか,陽炎の表情が喜色に染まる.

陽炎「そうそう! 時雨と夕立も一緒だったときよ.なんだぁ,覚えているじゃない」

提督「ああ・・・うん,なんとなく思い出した」

夜だったから景色が違ってわからなかったが,そうか,このベンチだったか.

妙高「提督・・・いったい,いつ,どこで,だれと,なにを,どう,なされたのですか」

今度は妙高から冷気を感じる.生半可な釈明を許さないその威圧感に思わず答えそうになる.

だが言えない,中学生にしか見えない娘たちと青姦放尿露出犬プレイをしましたなんて,口が裂けても言えない.

おまけに,このベンチに手をつかせて,尻を向かせ,娘たちの体内に後ろから種をしこたま仕込んだなんて,なおさら言えない.

言った途端,たぶん首が落ちる.
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/06/30(火) 20:55:24.54 ID:ipb5PMEh0

私が妙高にどう弁解しようか思考していると,陽炎がからかうような表情で妙高に向く.

陽炎「妙高さん.もしかして知りたいんですか?」

妙高「えっ?」

意外なところからの申し出だったのか,妙高は一瞬呆気に取られる.

そんな妙高を尻目に,陽炎は畳みかけるように言葉を続ける.

陽炎「でしたら,ここであの夜のこと,実演してあげますよ」

そういって陽炎は左腕を私の右肩に掛け,右手で胸元のリボンに手を掛ける.

気を取り直した妙高は,陽炎を左手で制止する.

妙高「ま,まってください」

陽炎「なんですか? 私と司令がしたこと,知りたいんですよね?」

陽炎は妙高の揚げ足を取り,さらに責める.

それに対し妙高は,唇を結んで陽炎を睨みながら,私の左腕を引っ張り,陽炎から私を引き離す.

妙高「駄目なものは,駄目です. それは秘書艦の,私の役目です」

私の右肩で身体を支えていた陽炎は,重心を後ろに移動させ,私の肩から手を離す.

身体を直立にした陽炎は右手人差し指を唇に当て,見定めるような視線で妙高を見る.

陽炎「ふーん,でもそれって「陽炎」

これ以上こいつらのイタチごっこには付き合っていられない.いい加減切りをつけよう

提督「みんなで決めたことだろう? それは守ってくれ」

陽炎は一瞬眉間にしわを寄せるが,すぐにやれやれとわざとらしく溜息をついた.

陽炎「・・・司令が,そう言うなら」

妙高が睨む中,陽炎は胸元のリボンを結びなおす.

リボンが結び終わった後,陽炎は私の持っている筺体に指を差す.

陽炎「それじゃ,司令,ちゃんとそれ見といてね♡」

引出しの肥やしにでもしておくよ.

念押しをした陽炎は再び顔を私に近ける.妙高が私の左上腕を強く抱きしめたので,肘を曲げて妙高に触れてやる.

陽炎「今度の秘書艦のときは,それよりもーーーとすごいことして,司令を満足させてあげるから♡ 他じゃ味わえない,ここでしか味わえないことを,毎日,どこでも,好きなだけ経験させてあげるから,だから━━━━━」












陽炎「ドコニモ イッチャ ダメヨ?」













耳元でそう囁いた陽炎の瞳は,暗く,濁っていた.
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/06/30(火) 21:00:20.07 ID:ipb5PMEh0
・本日 ここまで

・句読点の位置が ところどころ おかしいですかね orz

・感想 要望 改善等 あれば どうぞ
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/30(火) 22:30:15.65 ID:rUZo3qIWO
おかしいってかカンマとピリオド使うのはここじゃ珍しいってだけじゃない?
まあ乙です
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/30(火) 23:39:55.59 ID:POKyR2vJO


犬プレイいいね
夕立や時雨に首輪をつけてあんなことやこんなことをさせるだなんて…
ムラムラしてくる
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/07/03(金) 23:32:08.86 ID:9ub/UI0Y0

ジョギングコースに沿って本館に戻る陽炎を見送った後、私はこれからどうするかを考えあぐねていた。

書置きに示した時刻までまだある。もう少し海を眺めていたいが、右手にある筺体を早く何とかしたいという気持ちもあった。

思い切って「バカヤロー!」と叫びながら海に投げ捨ててやろうか。深海の連中に見つかったら、ただでは済まないだろうが。

そんな考えが一時頭を過ったが、馬鹿げていると斬り捨て、筺体を胸ポケットに仕舞う。



かげろう の すけべぇなどうが を てにいれた!! <ゴマダレ〜



・・・夕張や漣の真似をしてみたが、駄目だな。どうやら私に冗句の才能は無いようだ。

そもそもなぜごまだれなのだろうか。・・・いけない、頭が混乱している。

息をゆっくり吐きながら周りを見渡し、頭を冷やす。

穏やかで美しい景色を見ながら、その景色にそぐわないものを見つけた。

提督「どうした妙高、神妙な顔をして」

目線を左下に向けて顎を引き、軽く握った右手の人差し指第二関節を唇下に当て、左手を腿の上に乗せた態勢になっている妙高。

妙高は、大規模作戦決行前夜に内地の家族へ思いを馳せる一兵卒のような表情をしていた。

妙高「提督は、なぜ、ロリコンなのでしょうか・・・」

真面目な顔から出てきた台詞がそれか貴様。しかもその言葉、小児性愛の意味で使っているだろ。

妙高「私は、なぜ、駆逐艦ではないのでしょうか・・・」

妙高は自らの存在を確認するように自分の胸を両手で触りながら、うわごとのように呟いた。

触られた妙高の胸は、つきたてのお餅のように形を変える。電に謝れ。

考え込む妙高を見ながら感じたが、朝からこいつの様子がおかしい。

いつもだったらスキンシップはもっと控え目で、陽炎の挑発にも簡単には応じなかったはずだ。

こういう不安定な状態は今まで経験がない。私が気づいてないだけかもしれないが。

とりあえず、いくつか質問をするか。原因が見つからなくても、その糸口は掴みたい。

そう考え、まず――



「おっ、司令はんに妙高はんやぁ〜」



今度は誰だ。まあ、こんな特徴的な話し方をする娘はすぐわかるが。

それにしてもこのベンチ、厄介事を呼ぶ呪いでも掛かっているのか。

一か月近くこのベンチに座っている気分なんだが・・・
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/07/05(日) 02:35:33.78 ID:wPAdLaRJ0

提督「おはよう、黒潮」

私と妙高が通った砂利道から来た黒潮に挨拶をする。

黒潮「おはようさん、司令はん、それと妙高はんも」

妙高「おはようございます、黒潮さん」

妙高も姿勢を正して黒潮に挨拶する。先ほどの変な雰囲気がなくなっている。

黒潮か、ちょうどいい、一旦元に戻った妙高のことは後にして、昨日の陽炎について聴くか。

「黒潮、見つかりましたか?」

不知火も来ていたのか・・・どうやら陽炎のことも後回しになりそうだ。

不知火「! 司令、妙高さん、おはようございます」

不知火は私たちに気づくとすぐに姿勢を正し、綺麗に敬礼をした。

目線も、肘の角度も、姿勢その他も、素人目にもわかるほど立派な敬礼だ。

私もそんな風に敬礼できたら、霞を落胆させずに済むのだろうか。

提督「ああ、おはよう、不知火」

それはともかく、不知火の調子だが、悪くはなさそうだ。よかった。

あと、妙高はともかく、私相手にそこまで畏まらなくてもいいのだが、まあ不知火らしくていいか。

妙高「・・・おはようございます、不知火さん」

陽炎のときと同じように、含みのある挨拶を不知火に返す妙高。変なことをするなよ。

不知火「妙高さん、陽炎を見ていませんか」

不知火は、敬礼をやめ、しかし気をつけの姿勢のまま、妙高に陽炎の居場所を尋ねる。本当に真面目だな。

妙高「先刻までここで話していました。つい先ほど本館に戻ったようですが」

妙高は陽炎が戻っていった方向を指差す。

黒潮「あちゃー、すれ違いになってもうたか」

黒潮は上を向いて頭を抱え、大袈裟な反応をした。お前が気づかないとは思えないがな。

提督「なにか用があったのかい?」

不知火が私のほうに向き直る。青天を詰め込んだような彼女の瞳を視ると、なぜか後ろめたい気持ちになる。

不知火「はっ、本日陽炎と朝食をとる予定でいたのですが、食堂におりませんでしたので、こちらまで探しに参りました」

あいつ、妹たちを放ってここに来たのか。

妙高「態々探しにいらっしゃらなくても・・・食堂で待つなり、先に食事を済ませるなりしても良かったと思いますが?」

なんだか険のある言い方をするな、妙高。不知火のストレスにならなければいいが。

不知火「間宮さんから、陽炎が急にこちらへ走っていった、とお聞きしましたので」

黒潮「心配になってなぁ〜」

不知火は変わらず真顔で、黒潮は飄々として妙高の言葉に応じる。

提督「なるほど。陽炎についてだが、別に大した用事ではなかったよ、少しからかわれたぐらいだ・・・朝から大変だったろう、陽炎には後で私から言っておくよ」

昨日のことも含め、気になることが一つ増えたしな。誰が陽炎を手引きしたんだか。

不知火「お気遣いありがとうございます。しかし、司令にそこまでしていただくわけには・・・」

黒潮「せや、気にせんといてぇ〜」

黒潮は変わらずだが、不知火の雰囲気が少し変わる。財布を忘れて年下に奢られてしまったお姉さんみたいだ。

提督「そうか? まあ、お前達がそう言うのだったらな。ただ、何かあったら言って欲しい」

私の言葉が終ると、不知火は「はい」といって小さく頷いた。
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/07/05(日) 02:37:35.68 ID:wPAdLaRJ0

陽炎の件は終わりか。そう私が思った直後、黒潮が不知火の肩を指でつついた。

黒潮「不知火」

呼び掛けに応じて、不知火の顔が黒潮のほうを向く。

不知火「どうしました、黒潮?」

黒潮「うち、陽炎追いかけて食堂で引き止めておくから、不知火は司令はんとの用を済ましいな」

黒潮は不知火に近づいて小声で言う。不知火も私に用があるのか。

それを聴いた不知火は一瞬黙るが、すぐに答えた。

不知火「・・・わかりました。ありがとう、黒潮」

その言葉を聴いて黒潮の顔がほころぶ。

黒潮「かまへんかまへん、ほななぁ〜司令はん、妙高はん」

黒潮はほころんだ顔をそのまま私と妙高に向けた。

妙高「はい、また後ほど」

提督「点呼に遅れるなよ」

黒潮「はいなぁ〜」

そうして、後ろを振り向いた黒潮は本館に向かって駆け出す。

しかしすぐ止まって、身体を少し傾け私のほうに振り向いた。

黒潮「あっ、そや司令はん」

面白いことをいま思い出したと言わんばかりの口ぶり。

提督「なんだ」

嫌な感覚。

黒潮「陽炎からもらったもの、ちゃんと見といてなぁ〜」

目も口も薄く笑って、黒潮は楽しそうに私を見た。

・・・やはりすれ違ったのはわざとか、黒潮。

そう思いながら、本館に戻る黒潮を私は見送った。
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2015/07/05(日) 02:42:48.96 ID:wPAdLaRJ0
・深夜は ここまで

・句読点を 点と丸に しました 読みやすく なったかな?

・行数制限を また受けた orz

・感想 要望 改善等 あれば どうぞ
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/05(日) 04:36:32.44 ID:JPSZx6hx0
提督はぬいぬいとえっちぃことはしてないのかな?凄くエロ描写うまいから期待せざるを得ない
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/05(日) 09:02:15.74 ID:F1RaVWfYO
乙です
句読点についてはそんな気にしなくてもいいと思います
情報分野関係の人は句読点代わりに全角カンマ・ピリオドをよく使ってた気がするんで…理由までは知りませんが
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/05(日) 09:21:22.46 ID:r/XocESQ0
皆病んでるのかな?面白い

ところで黒潮と陽炎のレズプレイ見たいです。
オナシャス!
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/07/05(日) 20:04:23.43 ID:fkbJny2q0

提督「不知火、用があるのなら座ったらどうだい? 少し狭いかもしれないけど」

黒潮がいなくなった後、残った不知火に対し、私は手のひらを上に向けて、ベンチの空きに座るよう提案する。

不知火「ありがとうございます。ですがすぐ終わりますので」

丁重に断られてしまった。少し残念だ。

不知火「ところで、司令はなぜここに?」

相変わらずの無表情で私に尋ねる不知火。

提督「朝早くに目が覚めてしまってね、せっかくだから散策に出ていたんだ」

不知火「そうですか・・・」

私の返答を聞くと、不知火は私の隣にいる妙高に不思議そうな視線を送る。

提督「妙高とは途中で会った。一人だけで歩くのもあれだから、せっかくだからと思ってね。そうだったな、妙高?」

不知火に、私と彼女たちの関係は知ってほしくない。疑われている可能性はあるのだろうが、せめて表に出すことはしたくない。

だから敢えて、偶然に見せかける。不知火とは、このままの関係でいたい。

妙高「・・・はい、私も、提督を一人にさせるのは危なっかしいと思っていましたので」

ねめつけるような視線で私を見る妙高。なんだ、嫌味か?

不知火「そうですか・・・ところで、司令」

不知火は、表情を変えぬまま妙高の言葉を聞いた後、改めて私に尋ねる。

提督「どうした?」

不知火「左の首筋が赤くなっておりますが、お怪我を? それに妙高さんも・・・」

冷や汗が、出た。心臓が、飛び出しそうになる。

しまった、さっき妙高につけられた傷をすっかり忘れていた。

提督「へえ、それは気付かなかった。虫に刺されたのか、それとも枝葉にでも掠ったのかもしれないね」

平静を装って、はぐらかす。不知火に訝しまれたくはない。

妙高「・・・」

なにか言えよ妙高。

不知火「虫、ですか・・・しかしその傷は・・・」

駄目だ、完全に怪しまれている。いや待て、まだ疑われている段階だ。だから、ここで言い訳を重ねるのは失策だ。ならば・・・

提督「なんだ、気になるのかい不知火? なんだったらもっと間近で見るなり、触るなりして確かめてみるかい?」

私はそう言ってベンチから立ち上がろうとする。さあ、どう来る?

不知火「えっ!? いっ、いえ、そこまでは」

不知火は目を見開き、顔を朱に染め、両手で私の行動を制する。

提督「ん? そうか? まあ、気にするほどの傷じゃないよ。教えてくれてありがとう、不知火」

なんというか、初々しいな。

だが良い、この男慣れしてない乙女な感じが、良い。

おまけに、いつも表情の変化が少ない不知火だから、新鮮さがあってなお良い。

不知火「は、はい。そ、それより司令、陽炎からなにか貰ったようですが?」

また地雷が来た。おのれ陽炎、黒潮。
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2015/07/05(日) 21:20:34.09 ID:fkbJny2q0
・本日 ここまで

・次が長すぎて 今日中に 書けない すまぬ・・・すまぬ・・・

・感想 要望 改善等 あれば どうぞ
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/06(月) 00:58:47.87 ID:0bEqya2/O
もしかして不知火は病んでない?
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/08(水) 00:59:19.74 ID:+ybdqUq9O
妙高も陽炎も姉妹ごとドロドロしてる鎮守府なのに
不知火は例外的にまともそう
「お気に入り」って、敢えて初心なまま育てるとかそういう意味かな
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/08(水) 01:47:27.72 ID:nzdpS1P8o
壊れてないからお気に入りなんじゃね
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/07/09(木) 18:30:08.01 ID:LPqC/bHd0

提督「ただの甘味の要望だよ。詳細はまだ見てないけどね」

これなら違和感はない、はずだ。いや、甘味の要望を私に出す時点でおかしいが、甘いもの好きの陽炎なら上官相手に直訴しても変ではない、はず。

まあ、食事内容の良し悪しは士気や体調にも直結するので、どんどん出していってもらいたいところではある。新作が出るたび、廊下で競争するのはいただけないが。

不知火「新しい甘味ですか?」

食いついてきた。そういえば不知火も甘いものは好きだったな。

提督「新作が出るかどうかは間宮さん次第だよ、それに取り寄せられる食材にも限りがあるからね」

不知火「そうですか・・・」

目に見えて落ち込んでいる。後で間宮さんに頼みこもう。

それにしても色々話がそれてしまったが、不知火の用とはなんなのだろうか、一向に話が出てこないのだが。

ただ、このまま落ち込んでいる不知火に話を急かすのは冷たい気がする。

提督「それより不知火、最近の調子はどうだい? 昨日はしっかり眠れたかい?」

不知火は再び私を真っ直ぐに見る。

不知火「はい、昨晩は2200に就寝、本日0600に起床しました」

睡眠時間は問題ないか。だとすると起床時が気になるな。

提督「しっかり眠れているようだね。夢は見たかい? それと起きた時、身体がだるいとか、気分が悪いとかは?」

不知火「体調については問題ありません。夢は・・・見ていないかと思います」

提督「そうか、夢は覚えてないことも多いからね、気になるようであれば陽炎か黒潮に後で聞いてみるといい、夢の内容で自分の意識や不安がわかることもある。

不知火「はい」

私もあとで妙高に尋ねてみるか。薬の数も確認しないとな。

提督「訓練のほうはどうだい、那珂はしっかりやっているかい?」

不知火「はっ、那珂教官からは日々渾身のご指導をいただいております。正直なところ、訓練では自分の力不足を痛感するばかりです」

提督「卑下することはないさ。むしろ訓練で力不足を感じられるのなら良いほうだよ。実戦ではそんなことも言っていられないしね。那珂を手本に、よく学ぶといい。訓練に関して、ほかに何かあるかい?」

不知火「他には特に・・・いえ、一つだけ」

提督「構わないよ、言ってくれ」

不知火「その・・・那珂教官のあの、気質というのでしょうか、常時高揚状態というようなあの調子には、時々付いていけなくなります」

提督「・・・・・・・・・ああ、うん、まあ、あれは仕様みたいなものだからね・・・一応私から言ってみるよ。まあ、先に謝っておくけど、期待はしないで欲しい」

不知火「・・・はい」

確かに、那珂の気勢は周りに活気を与えてくれるものだが、不知火のような冷静な気質の娘には合わないかもしれない。

ただ、不知火は感情が表に出にくいので、雰囲気を暗くせず、かつ機微に敏い那珂をつけたつもりだったのだが、失敗だったか。

あとで熊野に様子を聞いてみて、その後那珂に相談だな。

提督「他には?」

不知火「それ以外は特にありません」

提督「そうか、よろしい。生憎、那珂から許しが出てない以上、まだ不知火を任務に付けることはできない。仮にできたとして、まずは警備や哨戒任務がほとんどになるだろう。それについてはどう思っている」

不知火「不満がないといえば、嘘になります」

正直な娘だ。

不知火「ですが、司令の、鎮守府の為であれば、ゴミ処理から便所掃除まで、全力を尽くす次第です」

提督「冥利に尽きる言葉だ、嬉しい限りだよ。よろしい、私からは以上だ・・・そういえば、私に用があるんだったね、時間を取らせてしまってすまなかったね」

不知火「不知火こそ、貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございます」
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2015/07/09(木) 18:32:41.33 ID:LPqC/bHd0
・本日 これだけ

・まだ 次が 書けない orz

・感想 要望 改善等 あれば どうぞ
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/07/11(土) 01:59:38.80 ID:xHk7Nsq/0

不知火は軽く会釈をした後、今までの仏頂面が嘘のように少し顔を赤らめ、顔を少し俯かせて上目遣いになり、胸の前で蕾を作るように両手の指を合わせる。

不知火「それで、その、用事なのですが・・・司令、その、声のほうを・・・」

・・・・・・それだったか・・・・・・

提督「・・・ああ、耳を貸しなさい、不知火」

私が許可を出すと、不知火は耳を向けて私の正面に立ち、目を閉じて、祈るように胸の前で手を握る。

私はベンチから立ち上がり、中腰になって口を不知火の耳に近付ける。

口と不知火の耳の間に、右手の手のひらを垂直に添えて、声を通す片側だけのトンネルを作る。

私の息が不知火の耳に掛かったのか、不知火は手を強く握り、唇を強く結ぶ。



提督『不知火、今日も、頑張ってくれ』



私が囁くと、不知火は寒さに耐えるように身体を震わせ、熱に浮かされたように小さな吐息を口から出す。

私は不知火から顔と手を離し、中腰をやめ、直立姿勢になる。

その間も不知火は、余韻に浸るように、祈りの姿勢を崩さない。

しばし後、不知火は目をゆっくり開けて姿勢を正すと、私から二歩三歩と下がる。

不知火「・・・ありがとうございます」

そういって、不知火は深々と私にお辞儀をした。

提督「・・・ああ」

・・・・・・・・・・・・・・・感謝されるようなことなど、なにもしていない。

むしろ、後遺症のようなものを残してしまったことを、後悔している。

不知火は、私の声を聴くと、とても落ち着くらしい。

長い間聴かないでいると、体調を崩してしまうほどに。

これが、いつから発症しているものか、何をやって残ったものか、おおよそ目星はついている。

だか、不知火のこの後遺症のようなものが、どんなものなのか、どうすれば、治るのか、私には、まったくわからない、わからなかった。

調べても、調べても、調べても、調べても、出てこない。出てくるのは、インチキな催眠術や、架空の魔法や、お伽噺や気色悪く気味悪い妄想ぐらい。

どうすればいいのか、わからない。どうしたらいいのか、わからない。

不知火はいつか、普通の女の子になるのに。戦争が終わったら、普通の、普通の、普通の女の子に、なるのに。

このままでは、いけないのに。



不知火が私を、真っ直ぐに見つめている。

不知火の青天を詰め込んだような瞳を視ると、後ろめたい気持ちになる。なぜか、などと付けて言い訳したくなるほどに。

あの時、どうしたらよかったのだろうか。これから、どうすればいいのだろうか。

ただ、不知火にこれをする度に、いつもこう思う。








素人が、医者の真似ごとなど、するべきではなかった、と。








不知火「━━━━━司令?」
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/11(土) 12:21:42.65 ID:/8BOyxlL0
不知火とお医者さんごっこ?(難聴)
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/07/11(土) 22:59:38.17 ID:/sThkJod0

提督「ん? ああ」

不知火「司令、大丈夫ですか? 何度か呼び掛けたのですが」

不知火が憂いを帯びた表情で私を見ていた。

どうやら、少々もの思いにふけっていたようだ。

提督「・・・そうか、すまない、少し考え事をしていてね。大したことじゃない」

不知火「・・・そうでしたか」

不知火は私の返答に納得しなかった様子だったが、すぐにいつもの表情に戻る。

元の表情に戻った不知火は、一旦何かを言おうと口を少し開いて、しかし、ためらうように口を閉じた。

不知火は一度目を閉じ、そしてすぐに開いて、私を視る。

不知火「あの、司令、少しお伺いしたいことが・・・」

提督「ん、なんだい?」

不知火の用は終わったと思うが、まだ何かあるのだろうか。

不知火「司令は朝食をこれからどちらで?」

提督「まだ決めていないが、どうして?」

朝食のことを聞かれて、拍子抜けしたとともに、安堵した。なにか重要なことでも聞かれるのかと思って、一瞬身構えてしまった。

不知火は私の言葉を聞くと、視線と表情はそのまま、下腹部の前で両手を組み、親指をせわしなく動かす。

不知火「その・・・もしよろしければ、ご一緒にいかがでしょうか」

・・・まさか不知火からお誘いを頂けるとはな。
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/07/11(土) 23:04:33.54 ID:/sThkJod0

提督「それは」

妙高「申し訳ありませんが、提督はやるべき事がありますので、朝食は私室でお召し上がりになります。そうですね、提督?」

妙高が、私と不知火の傍らに立ち、会話に割って入った。

不知火「そうなのですか?」

提督「いや、それは」

妙高「提督」

妙高が私の言葉を妨げる。傍から見れば、仕事をすっぽかそうとする上司を諌めているようにしか見えないだろう。

妙高が何を考えているのかはわからないが、私と不知火の食事を阻止したいようだ。

不知火からのお誘いは、正直、とても嬉しい。

だけど、今は不知火から少しでも離れたい気分でもあった。

それに、部屋には那智たちを待たせているのだ。不知火と食事をしていたら、きっと書置きに示した時間を過ぎてしまうだろう。

そんな私の逡巡をどう感じ取ったのだろうか、妙高が不知火を鋭く睨む。

その眼差しは、子を盗られた鬼子母神のような、忠告では済まない何かを含むものだった。

妙高、なぜそんな目つきを不知火に向ける。不知火がいったい何をしたというのだ。ただ食事のお誘いをしただけではないか。それは仲間に向けていいものではない。

それともお前にとって、不知火は仲間ではないのか。私の娘を、お前は蔑ろにするのか。

不知火はまだ、気づいていない。

不知火の視線はまだ私に向いている。しかし、このままでは気づくのは時間の問題だろう。

提督「すまないね、不知火、妙高の言うとおり、この後も用があるのでね。また機会があったとき、誘ってくれるかい」

不知火の親指が動きを、止める。

私の言葉を聞いた不知火は、顔を伏し目がちにしながら頭を少し下げる。

そしてすぐ、瞼を開きながら再び顔を上げ、姿勢を正し、私を視る。

不知火「はい、不知火こそ、差し出がましい真似をいたしました」

そう言うと、不知火は再び私に敬礼をした。

不知火「それでは、司令、失礼いたします」

提督「ああ、点呼に遅れないようにね」

そう言って、去っていく不知火を私は見送った。
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/07/12(日) 00:14:10.14 ID:nqHtnOmr0

提督「妙高、先ほどの視線はなんだ」

不知火に向けた眼差しについて、妙高に問い詰める。

妙高「? 何のことでしょうか?」

シラを切っているのか、それとも無意識か、妙高は首をかしげる。

女性らしいたおやかな仕草、不知火に向けていたものとはまるで逆の、優しく暖かみすら感じられるような仕草。

だけど今の私には、それが上辺だけの、媚びた態度にしか見えなかった。

そう感じた途端、私の中で、何かが切れた。

妙高の髪の毛を、右手でわし掴む。

妙高「あっ!?」

妙高は痛みで一瞬左目を閉じ、私の右手首を左手で掴む。

提督「いい加減にしろ、ふざけているのか」

妙高「一体なんの」

妙高の右頬を左手で叩く。

妙高「てい、とく・・・?」

妙高は呆然とした表情で私を見て、右頬に庇うように右手を添える。

提督「私がなにも気づいていないと思ったか、お飾りの提督には何もできないと思ったか」

妙高が困惑と怯えを含んだ表情を私に向ける。

提督「私に対してなにをしようが構わない、暴行しようが、強姦しようが好きにすればいい。だが仲間を、私の娘を虐げることは許さん。お前の不知火に対するあの態度はなんだ。殺すと言わんばかりのあの目線はなんだ!」

私の発言は滅茶苦茶だ。根拠なんてない。思い込みだけで妙高を責めている。正気じゃない。

妙高の顔は恐怖に震えていた。顔が青ざめ、唇が震える。

仲間を虐げるなと言っておきながら、私は妙高を傷つけている。

妙高「わ、わた、わた、わた、わた、私、そ、そ、そ、そんな、そ、そんなことは、わ、わたし」

妙高は壊れた録音機のように口ごもる。それがさらに私の神経を逆撫でした。

妙高の頭をベンチの座面に叩きつける。妙高が痛みでうめく。
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/07/12(日) 00:15:14.32 ID:nqHtnOmr0

妙高はベンチにもたれかかる形になり、右頬が座面でへこむ。

提督「・・・妙高」

低く、暗く、重く、名を呼ぶ。

妙高は体罰に怯える赤子のように両手で頭を抱え、顔ごと隠す。

妙高「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

妙高は座面に頭を着けたまま、壊れたスピーカのように謝り続ける。煩い。

私は妙高の頭をベンチの座面にさらに押しつける。

提督「謝るのをやめろ、耳障りだ。私はお前の謝罪を聴きたいのではない。お前がなぜ不知火にあんな視線を向けたのか、その理由を聴きたいんだ。わかるか、妙高」

妙高が嗚咽をあげて、身体を震わせて、泣き始める。

提督「泣く余裕があるのならさっさと話せ、その位も出来んのか、役立たずめ」

妙高は抱えていた右手で顔に触れる。涙で濡れ、怯えた顔が現れる。

妙高「だ、だって、だって・・・ひぐっ・・・て、提督、提督と、ふたり、二人きりになれたのに」

二人きりだと、なにをいっている。これだから狂った女は。こういう壊れた奴は叩いて叩いて叩いて叩いて叩いて直してやらねばならない。

妙高「な、なのに、し、不知火さんたちに、て、ていとく、提督、盗られちゃうって、そんなの、いやで」

涙でかすれた声で、叫ぶ。

妙高「提督と、二人きりでいたいのに!」

提督(・・・)

妙高から、手を、離した。

私は、なにを、しているのか。

彼女たちが不安定になるのは私のせいだ、それなのに私がおかしくなってどうするのか。

妙高だって、大事な私の娘なのに。



妙高はベンチで泣き続けている。
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/12(日) 08:01:07.93 ID:YLT0WKPRO
提督も錯乱してるなあ
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/07/12(日) 10:32:16.18 ID:OYJcgCIw0

二人きり、か。そういえば、妙高と二人きりになる機会は久しくなかった気がする。

非番や休日における護衛の指定も、妙高には最近してなかったし、秘書艦になったときは大体他の娘が傍にいる。

そうやって二人きりになれずに積もったもの・・・独占欲とでもいうのだろうか。ベンチに座った時、誘ってきたのも、陽炎が来たとき、らしくもなく警戒していたのも、それが原因かもしれない。

妙高は、まだ、ベンチで泣き続けている。

なぜ、この娘の気持ちに気づいてやれなかったのか。もう何度も娘たちを泣かせているのに。

私は妙高の背後から手をまわして抱きしめる。

抱きしめるぐらいしか、私にはできない。

妙高の顔を覆っていた両手が下がる。

妙高「・・・てい、とく?」

提督「すまない、妙高。お前がそんなさびしい思いをしているとは気づかなかった。私はお前にひどいことをしてしまった」

妙高が小さく嗚咽を漏らす。彼女の身体は震えて、冷たくなっていた。

妙高「おこって、ないですか?」

提督「怒ってなどいない。むしろ怒られるのは私だ。すまない、妙高」

妙高がほんの少し、顔を私のほうに向ける。

妙高「みょうこうのこと、きらいになって、いませんか?」

提督「嫌いになど、ならない」

妙高が私に振り向き、私に抱きつき、私の唇を奪う。

唇から、妙高の冷たくなった体温を感じる。

しばらく唇を重ねて、息苦しさで一度唇を離す。妙高が私に迫り、息苦しくなるまでまた唇を重ねる。また離して、また触れ合う。

ベンチの前、その地面に座り込んで、抱きしめ合って、唇を重ねて。

そうやって再び唇を離したころには、妙高と私の間に唾液の橋が出来上がっていた。

妙高「私、怖かったです。提督に、また、捨てられてしまうのではないかと、そう思って、ただただ怖かったです」

提督「お前たちを捨てたりなどしない」

妙高「でも、でも、提督、私がお誘いしても全然なびいてくれなくて、私、自分に魅力がなくなってしまったのだと思って、何の価値もなくなったら、きっと、提督に捨てられてしまうって」

提督「馬鹿を言うな」

妙高の右頬に左手で触れる。妙高の涙を左指で拭う。右頬は赤くなっているが、顔に傷が残ることはないだろう。

提督「お前みたいな美人、見れただけでも儲けものだ。魅力がない、などということはない」

妙高「でも・・・提督は」

提督「他に気懸りなことがあっただけさ。さっき部屋でお前を抱いたのを忘れたのか」

妙高「忘れておりません。提督との契りは一時たりとも忘れません」

妙高はより強く私を抱きしめ、私の胸元に顔をうずめる。私は妙高の背中に手をまわし、再び抱きしめる。

どうして私は妙高を傷つけたのか。

提督「妙高、すまなかった。許してほしい」

妙高「許しません」

妙高が胸元から顔を離し、俯いたまま、そう言葉を投げる。

提督「・・・どうしたらいい」

妙高が顔を上げる。涙の跡が残る顔で、意を決したような表情を私に向ける。

妙高「陽炎さんにしたことを、私にもしてください」

黒真珠のような瞳で、私を視る。

妙高「贔屓なんてずるいです。私も、思い出すだけで身体が疼くような、そんな想い出が欲しいです」

私は「わかった」と答えた。
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2015/07/12(日) 10:41:49.79 ID:OYJcgCIw0
・本日 ここまで

・誤字脱字が ひどい orz

・まとめて 投下するほうが いいかな?

・感想 要望 改善等 あれば どうぞ
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/12(日) 11:01:33.46 ID:kIoeYgrfO

スッゲー興奮する
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/12(日) 21:33:05.80 ID:j3VUl/y5O
かつて妙高がこれほど可愛いSSがあっただろうか

どこか共依存っぽい感じがいいね
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/14(火) 23:49:57.22 ID:xvXSyv78O
乙です
1レス1レスが重くて満足できるから
途切れ途切れでも頻繁に投稿してくれた方がいいと思います
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/07/20(月) 21:36:46.56 ID:ImSK+Hmn0

さて、妙高に陽炎と同じことをしてやることになったわけだが、

妙高「あの、提督・・・」

現在、妙高はタイトスカート、ストッキング、そしてパンツを脱ぎ、股を開いて屈んでいる。

提督「どうした、妙高」

下半身に何も着けず屈んでいるためか、妙高の大陰唇が開き、小陰唇が花のように広がっている。

妙高「その、陽炎さん達が具体的に何をしたのか聞いていなかったので・・・それにこの格好は・・・」

ちなみに陰核周りの毛は彼岸花のように生えていて、それ以外のIライン、Oラインとか呼ばれる部分は処理をしてあるようだ。

提督「おしっこだ」

妙高「え?」

提督「おしっこ、排尿だよ。ここでするんだ、妙高」

妙高は口を横に伸ばして開き、目を見開く。

妙高「ほ、本当にそんなことを陽炎さんたちにさせたのですか!?」

提督「そうだ。実際は服など着ていなかったが」

妙高「裸で!?」

妙高が顔を赤らめる。

提督「さあ、妙高、青い空に美しい海、輝く太陽、見渡す限りの地平線、絶好の放尿日和だぞ。さあ」

妙高は口をパクパクと動かし、肩をわなわなと震わせる。

妙高「む、無理です! いくらなんでもこんな場所で! しかも、て、提督の前で・・・」

恥部まで晒しておいて、今更何を言うのか。

提督「無理じゃない、これでも譲歩しているほうだぞ? 陽炎たちは四つん這いになって、それこそ犬がするようにさせたからな」

妙高「でもっ、でもっ!」

提督「でもも、くそもない。吹雪も陽炎も時雨も夕立も、みんな綺麗な黄淡色のおしっこを見せてくれたんだ。重巡のお前ができないことはない。さあ」

妙高はあうあうと呻く。じれったい。

提督「妙高」

出来るだけ冷酷に、重く、妙高の名を呼ぶ。

提督「さっさと出せ」

妙高が私の声で背筋を硬直させる。

妙高「あっ」

蛇口につながったホースの水が地面で跳ねる音、それと同時に透明の尿が妙高の股から現れる。

提督「無色か。昨日は酒でも飲んだか、妙高」

妙高に尿の色を指摘する。

昨日と言えば、私は昨晩の記憶がないが、一体何をしていたのだろう。

妙高「い、いやぁ」

恥ずかしさからか、妙高は両手で顔を隠す。その間も尿はお構いなしに流れ、アンモニア臭が鼻をつく。

提督「酒の飲み過ぎは注意だぞ、妙高」

妙高の顔から鼻水を啜る音が聞こえた、どうやらまた泣いてしまったようだ。意地悪をし過ぎてしまったか。
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/07/21(火) 23:21:32.90 ID:43w/2/LV0

尿の勢いが治まり、妙高に股から小さな滴が垂れるようになった頃、

提督「すまない、妙高。お前が余りにも可愛らしかったもんでな」

そういって私は妙高の頭を優しく撫でる。

妙高は鼻を啜りながら、私を睨む。

妙高「提督の、ばか」

反論できない。

提督「悪かったよ、妙高。でも、陽炎と同じことをしてくれと言ったのはお前だぞ」

妙高「そうですけど・・・」

妙高は決まりの悪そうな顔になり、目を背ける。

提督「それにだ・・・」

妙高の前に移動し、屈んで目線を合わせる。

妙高「提督・・・?」

不思議そうな顔をする妙高の目線が私に移った瞬間、妙高の膣内に右手の中指を入れる。尿道口近くに残っている滴が手に掛かる。

予想通り、膣内は濡れていた。

妙高「! あっ、やっ! 提督、だめ、駄目です!」

右手首を掴む妙高の制止を振り切り、中指の腹を手前の膣壁に当てる。

妙高「んっ・・・提督、だめっ・・・」

手首を妙高の左手に掴まれているため、中指の関節を曲げて膣壁を擦る。

炊きたての米粒を潰さないように優しく、爪で傷つけないようゆっくりと、探るように指先で円を描く。

妙高「あっ、だめっ・・・です、んっ、きたな、んっ・・・きたない、あっ・・・きたない、です、から」

そう言いながら、妙高の左手は私の右手を引っ張り、指先を膣の奥へと誘導する。

妙高は目を瞑り、口を開いて涎を垂らしながら荒い息を吐く。

脚が身体を支えられなくなったのか、私の左肩を右手で掴み、身体を支える。

妙高「ていとく・・・てい、とく・・」

制止する気も失せたのか、今や妙高の左手は、逃さない、と言わんばかりに私の右手を強く掴んでいる。

そんな妙高の気持ちなどお構いなしに、私は右手を引き、妙高の膣内から指を抜く。

妙高「あっ・・・」

切ない顔をする妙高を尻目に立ち上がる。私の左肩に乗っていた妙高の右手が、立ち上がる私の体に引き摺られ、置いて行かれて、肩、左胸、左腹、左腿と未練がましく触れていく。

立ち上がった私は、妙高を見下げる。

妙高「ていと、く・・・?」

提督「さて、陽炎にしたことはまだあるんだぞ、妙高」

妙高の表情は、目は薄く、口を小さく開け、夢の続きを望んでいるかのような、ぼんやりとしたものになっている。

提督「妙高、ベンチに手をつけて、尻をこちらに向けろ」

ご馳走を目にした獣のように、妙高の唇が、涎を垂らしながら、歪んだ。
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/21(火) 23:45:34.92 ID:4NNILBlzO
もう提督に見られてないと排尿できなくなるまで調教してほしい
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/07/22(水) 21:25:07.33 ID:xSUm7zTz0

ベンチの座面に手をついた妙高は、お尻を上げて私のほうに向ける。妙高の膣口から粘液が溢れ、少し黒ずんだ花弁を濡らす。

妙高がこちらに振り向き、口をだらしなく開いて涎を垂らし、蕩けた顔を向ける。妙高は私を見て取ると、おねだりするようにお尻を振り始めた。

私はその左尻を左手で叩く、小気味良い音が鳴る。

妙高「あっ!」

提督「急かすな、妙高」

私はズボンから自分の陰茎を出す。まだ半勃ちではあるが、膣内に挿入するには問題ないだろう。

妙高の視線が私の陰茎に釘付けになる。もう一度、今度は右手で右尻を叩く。

妙高「ひゅいぅっ!」

提督「前を向いてろ、妙高。陽炎たちもそうやって待っていたんだぞ」

妙高「ひゃい、いいこにしますから、はやくぅ」

尻を叩く。

妙高「いひぃっ!♡」

提督「急かすなと私は言ったはずだぞ、妙高。ワンワン吠えやがって・・・お前は犬か何かか?」

妙高「ごめんなひゃいっごめんなひゃいっ、おとなひゅくひみゃふからぁ」

そう言って妙高は前を向く。妙高の膣口から蜜が更に垂れる。なぜだか、先ほどより濡れていた。

陰茎を持ち上げ、妙高の膣口にあてがう。

妙高「あ♡」

亀頭部分を膣口が咥え込み、膣内から溢れる膣液で亀頭が濡らされ、潤滑油となって陰茎を膣内へと呑み込もうとする。

だがそれ以上陰茎を前には進めさせず、上下に動かして小陰唇を亀頭で擦る。

そうして暫く亀頭部分で妙高の恥部の感触を味わっていると、妙高が恐る恐る顔を私のほうに向ける。

妙高「ていひょく、なんで?」

このまま挿入してしまったら、陽炎たちと同じではなくなってしまうからだよ。

提督「そういえば、陽炎たちとこのベンチで何をしたのか教えてなかったな・・・そこで問題だ、妙高。私と陽炎はこの状態から一体何をしたと思う?」

妙高「ひょ、ひょんなの・・・」

妙高は恥ずかしいのか、俯き、私から顔を背ける。恥じらう表情は良い、下半身に血が集まる。

提督「そんなの、なんだ? わかっているのなら早く答えろ。私のが萎えてしまうぞ?」

妙高「・・・しぇ」

提督「ん?」

妙高「しぇっくしゅ、しぇっくしゅです!」

提督「セックスか、セックスとは具体的にどうするんだったかな?」

妙高「わ、わらひのにゃかに、てぃとくのをひれみゃひゅ!」

提督「お前のどこに、私の何を入れるんだ?」

妙高「・・・・・・・・・んこ」

提督「聞こえないぞ、妙高」

妙高「わたしのおみゃんこに、てぃとくのおひんぽをいれるんです!! にゃかにいれて、かきみゃぁして、ひかせてくだひゃい!!」

提督「大正解」

陰茎を膣奥まで一気に挿れる。

妙高「おっ!? お゛お゛っ! ん゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛っ♡」

膣内に挿れた瞬間、妙高はがくがくと震えて仰け反り、白目を剥き、吐く出すように口を窄め、獣のように喘ぎ声を挙げて逝った。

それに伴って妙高の膣が一気に収縮し、鈴口に子宮口が吸いつく。

急激な膣内の締まりによる刺激と、精液を吸いとるような子宮口の予想外の動きに耐え切れず、私は膣奥に射精した。


・・・挿入した瞬間射精するとは・・・我ながら情けない・・・
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/24(金) 07:24:29.18 ID:39A0lMvaO
早い、早すぎる
これも明石か夕張の趣味か何か?
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/07/25(土) 09:55:44.80 ID:icStOzk80

絶頂で気をやったのか、妙高はベンチに虚ろな目で顔を擦りつけてもたれ掛かっていた。

射精による陰茎の脈動に合わせて、時折妙高の身体が小刻みに震える。

情けなく射精し続けながら、精を吐き出したおかげが、少しずつ頭がはっきりとしていく。

それとは対照的に、部屋でした時と違い、陰茎は射精しながら、しかし射精前よりも更に張り詰めていく。

じっとしているのも勿体無いので、妙高の腰を掴み、自分の腰を前後に振って、未だに射精し続ける陰茎を動かし、膣内を掻き回すことにする。

妙高「あっ、あっ、あっ、あっ、あっ」

妙高の意識が飛んでしまっているためか、筋肉が弛緩しており、膣内の締まりはそれ程良くはない。

しかし私の動きに合わせて、妙高が喘ぎ声を奏でる様は中々面白い。暫くこのままでいいだろう。射精はまだ収まらないが。



妙高「あっ、あっ、あっ、あっ、あっ・・・お゛っ!? ・・・あっあっ、あっ、あっあっあっ」



陰茎が前後に出し入れされる度、膣内に出した精液が掻き出され、妙高の陰核へと伝って行く。

それにしても挿入した瞬間の射精か・・・綾波と初めてした時のことを思い出すな。

今は笑い話で済むが、当時は挿入する場所がわからなかったり、挿入する前に萎えてしまったり、「大丈夫です! 綾波も初めてですから!」といって気遣われたり、「7.7mm機銃みたいで可愛いですね!」とか「速射砲ですか?」とか言われたり・・・

前言撤回、やっぱ今でも酷い思い出だ。精神が旋盤加工の如く削れていくのがわかる。



妙高「あっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっ」



改造のおかげで大きさは変わったが、早漏は変わらずだ。元々そういった改造ではないのだが。

むしろなぜ大きさが変わったのだろうか・・・夕張は「素材が原因」と言っていたが。

まあいい、大きさが変わったのは寧ろ嬉しい位だ。それより問題なのは明石の趣味のほうだ。



妙高「あっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっ、お゛お゛っ!? お゛あっ・・・てぃひょく・・・?」

腰を動かしている最中、少し深めに入れた一撃が子宮頸部を揺らしたのか、呻き声を挙げて妙高が意識を取り戻す。

妙高はベンチに頬をつけ、涎を垂らしながら、呂律の回っていない声で私を呼んだ。
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/07/25(土) 09:56:30.75 ID:icStOzk80

提督「おはよう、妙高。気分はどうだ?」

妙高は目を細め、口の端を嬉しそうに吊り上げる。

妙高「・・・きほちひぃ♡」

荒い息を上げながら、赤子のように応える。

提督「そうか、そろそろ出すが、どこがいい?」

妙高「にゃかっ!」

提督「わかった」

もう一度深く突き入れる。

妙高「おほぉっ!♡」

腰を再び前後に振る。先ほどより激しく。

膣液と精液が陰茎で掻き回される音と肌と肌が打ち合う音が混ざる。それが私の耳にまで届く。おそらく妙高の耳にも。

妙高「お゛っ♡ お゛っ♡ お゛っ♡ お゛っ♡ お゛っ♡ お゛っ♡ お゛っ♡ お゛っ♡ お゛っ♡ お゛っ♡ お゛っ♡ お゛っ♡ お゛っ♡ お゛っ♡ お゛っ♡ お゛っ♡ お゛っ♡ お゛っ♡ お゛っ♡」

液体と肌の音に、妙高の気持ち良さそうな汚い喘ぎ声が更に混ざる。

粘膜をこれだけ擦って痛がらないあたり、さすが艦娘といったところか。

妙高「お゛っ♡ お゛っ♡ お゛っ♡ お゛っ♡ お゛っ♡ お゛っ♡ お゛っ♡ お゛っ♡ お゛っ♡ お゛っ♡ お゛っ♡ お゛っ♡ お゛っ♡ お゛っ♡ お゛っ♡ お゛っ♡ イクっ♡ イぎみゃひゃっ!!♡」

提督「わかった。ちょうど私も限界だ」

膣内を抉りながら、限界が来たところで妙高の腰を掴んでいた腕に力を入れ、自分の腰を打ちつけると同時に引く。

提督「出すぞ」

妙高「いくっ、いぐううううううううううううううううっ♡♡♡♡♡」

膣壁がうねりながら陰茎を締め付け、子宮口が再び鈴口から精液を絞りとりに来る。

陰茎が膣内に引っ張られ、妙高の尻が私の腰で平らに凹む。

長い長い射精をさせられる。

本日で三回目の膣内射精であった。
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2015/07/25(土) 10:02:24.39 ID:icStOzk80
・本日 ここまで

・今まで通り 出来上がり次第 投下します

・エロくない orz

・他の R18 ss は すごいなぁ

・感想 要望 改善等 あれば どうぞ
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/25(土) 10:15:38.25 ID:EDTexnRAO
あっあっの連発だとハンタのクチュクチュを思い出してしまう
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/25(土) 14:27:13.33 ID:lA6FN9AJO

あっあっあっの部分もハートマークつけたほうが良かったかも
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/26(日) 05:07:32.49 ID:kmat8YtvO
退行した声を録音して素面の妙高に聴かせてみたい
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/08/01(土) 23:05:07.97 ID:NbTcGx390

提督「ふぅ・・・」

陰嚢の中身を絞り取るような射精が終わり、腰を少し引いて一息つく。

陰茎を少し引いただけにも関わらず、妙高の膣口から、瓶から蜜が零れたかのように精子が溢れてくる。

妙高「・・・」

妙高は再びベンチの座面に顔を着けている。涙と鼻水と涎で汚れた顔は何とも幸せそうだ。というか、また気絶してんのか、こいつ。

萎れるように身体をベンチに預ける妙高とは対照的に、私の陰茎はまだ萎える様子がない。

このままもう一度攻めてもいいが、腰が疲れた。ベンチに座らせてもらおう。

提督「よっ・・・っと」

猫が伏せるような姿勢になっている妙高に覆いかぶさり、その両肘を引っ張り、上半身を起こす。重たい。

妙高「あっ♡」

妙高の身体を引き起こした際、私の陰茎が再び膣奥へと侵入する。

提督「妙高、向きを変えるぞ」

項垂れている妙高から返事はなかったが、お構いなしに実行する。

妙高「あっ♡ ・・・あぁっ♡ ・・・んっ♡ ・・・」

一歩一歩よちよちと向きを変える度に、陰茎が左右の膣壁を少し押し、その度に妙高が小さく喘ぐ。重い。

後ろにベンチが来たところで、妙高を思いっきり引っ張りながら一気に座る。

妙高「ん゛お゛っ♡」

座った勢いで陰茎が子宮を突き上げ、妙高の喉から音が漏れる。

膣が陰茎の上になったことで、膣口から垂れる精液が陰嚢を伝っていく。

妙高「てい、とく・・・?」

妙高が首を後ろに向ける。起きたか。

提督「三度目のおはようだな、妙高」

妙高の両肘から手を離し、お腹部分を優しく抱きしめ、身体を密着させる。

妙高「はい・・・あの、この状態は・・・」

妙高は自分の下腹部を視て、私に尋ねる。膣口が先ほどより締まる。

提督「疲れたから座った」

妙高「・・・そうですか・・・んっ♡」

妙高の身体が小さく跳ねるように震え、表情が少し強張る。

提督「苦しいか?」

妙高「いえ・・・その・・・提督のものが、まだ堅いので・・・ん♡」

妙高の右手が下腹部を撫でて、膣壁から陰茎の裏スジ部分に優しい圧を感じる。

提督「・・・ああ、それな、身体には倦怠感があるんだが、こいつだけは元気でな」

妙高の腰に手を当て、左右に少し動かし、陰茎で膣内を揺らす。

妙高「んんっ!♡ 提督、動かさないで、ください・・・♡」

妙高が左手で私の左手首に触れる。
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/08/01(土) 23:09:35.70 ID:NbTcGx390

提督「悪い悪い、お前の膣内の感触を思い出したら、ついな」

妙高「・・・気持ち良かった、ですか?」

妙高が再び私のほうに振り向く、乱れた髪から汗が流れ、耳の付け根部分から首筋へと滴が伝っていく。

提督「まあな、挿入した途端射精してしまったからな」

妙高が頬を朱に染め、少しはにかむ。

提督「それにしても、今日のお前は凄いな。逝った途端子宮口が精子を絞り取りに来たぞ」

妙高の腰を下に押し、陰茎で子宮口を押す。

妙高「んぅ♡ 奥、グリグリしちゃ、駄目ぇ♡♡」

陰茎からの刺激を受けてか、精を獲ようと膣内が再びうねり始める。

提督「すまんすまん、お前のいやらしいマンコを思い出したらついな・・・そういや、他の妙高もこんな膣内をしてるんかね」

独り言のように、くだらない疑問を投げかける。

妙高「そんなの、知らないですぅ♡」

妙高はM字に脚を開いてベンチに両足を着け、腰を少し上げて私からの刺激から逃れようとする。

私は両手に力を入れ、妙高の腰を更に下へと押し込む。

妙高「んああぁっ♡」

妙高の口から熱い吐息が漏れる。

提督「そうか、ならもし新しい妙高が来たら、試しに比べてみるか」

妙高「駄目です!」

急な大声と共に妙高がベンチに立ち上がり、膣内から陰茎が現れる。

膣から精液を零しながら、妙高は私と対面になる位置に向きを変える。

私を見下げる妙高の目尻に涙が溜まり、表情は怒りと不安に彩られている。

妙高「提督と、提督のこれとしていい妙高は私だけです!」

妙高は私の陰茎を左手で掴むと、そのまま腰を降ろして、膣内に挿入する。

妙高「んんっ!!♡」

目を瞑り、口を噤み、声を漏らし、私を正面から抱きしめる。

胸で体をベンチに押しつけられる。汗とシャンプーの香りがする。

妙高「んっ♡ 絶対・・・渡さない・・・」

そのまま強引に唇を奪われる。口の中に舌が入ってきて、私の舌に甘えてくる。

相変わらず重く、しかし柔らかい。嫌いじゃない。

互いの唾液を十分に交換し合った後、唇を離す。

提督「・・・おいおい、自分に嫉妬しているのか。我儘だな、お前は」

妙高「提督が、あっ♡、節操なしだからいけないのです!」

激しく腰を動かす。

妙高「だから、提督の節操なしおチンポが他の娘に手を出さないように、私のおマンコで精子を全部絞り取ります!♡」

妙高の背中に手を回し、抱き合う。

提督「そうか、期待しているぞ、妙高」

妙高を撫でる。

妙高「・・・はい♡」

再び、唇を重ねた。
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/08/01(土) 23:49:24.45 ID:NbTcGx390

━━━━━数十分後

妙高「〜っ!♡、♡♡♡♡〜♡、♡、♡♡、♡」

現在、妙高は私の右肩に顔を付けており、口から涎を垂れ流している。その涎で私の服に染みができている。汚ねえ。

あれから妙高と対面座位でしていたわけだが、七、八発目辺りで飛んだのか、それから糸が切れた人形のように反応がない。

いや、反応はあるにはあるのだが、声を掛ける度に身体を震わせるのを反応と言っていいのだろうか。

抱きしめる力も殆どなく、妙高の身体全体が私の体にもたれ掛かっている状態だ。

精液も垂れ流し状態で、膣から流れ、ベンチから垂れた精液が私の足元で水溜りを作っている。因みにズボンは途中で脱いだ。

まあ、心臓の鼓動と息遣いは感じられるので、死んではいないだろう。

提督「妙高・・・妙高、聞こえてるか」

妙高「♡」

駄目だこれ。

ただの肉穴に成り下がった妙高で陰茎を扱きながら、時間を確認する。

提督「そろそろ時間か・・・妙高、これで最後にするからな」

妙高「♡♡♡」

妙高の身体が震えるのと同時に膣が締まり、精液が更に溢れる。せめて言葉で返答してくれないか。

提督「・・・ほれ」

妙高「〜〜!!!!♡♡♡♡♡」

何度目かの射精かは忘れたが、とりあえず出す。

・・・疲れた。
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/02(日) 19:10:00.06 ID:PZYiaNqgO
乙です
女を肉穴にするシチュよりも
女が自ら肉穴になるシチュの方が良いですよね
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/08/02(日) 21:29:28.25 ID:S22s/8DA0

精液を妙高の肉穴に吐き出しながら、妙高と共にそのままゆっくり横に倒れ、ベンチに寝そべる。

妙高の頭をベンチに擦らないように後頭部を手で支え、態勢を変えて妙高を仰向けに寝かせる。

寝かせたところで尿道に残った精子が妙高の肉袋に出し終わる。

半勃ち状態まで落ち着いた陰茎を引く抜く際、妙高の顔を覗うことができた。

・・・・・・・・・見なかったことにしよう。

それより後始末のほうが問題だ。兎に角拭く物が欲しい。

膣内から引き抜いた私の陰茎は、鈴口から妙高の膣口と精液の橋を作っており、竿の部分はふやけ、精液と膣液が混ぜ合わさったものでぬらぬらと輝き、汚れている。

陰茎は自分の下着で拭くことにしよう、ズボンを直接履くことになるが、部屋に戻って着替えればいい。

妙高はどうするか。

ベンチの傍らに立ち、妙高の様子を確認する。

逆さになったヒキガエルのような格好の妙高は、布袋からヨーグルトが漏れるかのように膣口から止め処なく精液を垂れ流している。

妙高の下腹部、陰毛より少し上部分に左の手のひらを当て、少し強めに押す。

妙高「んっ!♡」

妙高の足が浅いくの字を描き、膣内から精液が噴出する。

お腹が張っているように見えたので試しに押してみたが、案の定膣内に溜まっていた精液が出た。

出せるだけ出しておこう、そうしたほうが後始末も楽だ。

もう一度押す。

妙高「ああっ♡」

今度は泥汚れを洗い流すように出る。それでも結構な量だ。

妙高「・・・あっ・・・提督の、赤ちゃんが」

妙高が目を覚まし、顔を上げてお腹のほうを薄目で見た。赤ちゃんてなんだ。

提督「妙高、部屋に戻るぞ、準備をしろ」

寂しそうな顔をする妙高のお腹を更にもう一度押す。

妙高「あっ?!♡」

垂らすように精液が出てくるのと同時に、妙高の身体が小刻みに震えた。

瞬間、妙高の膣口より上の部分から、黄色い液体が虹を描くように放出される。

妙高が股を閉じようとしたので、内側から足の付け根部分を押さえて股を開かせておく。手に飛沫が掛かるが、妙高の脚が汚れるよりは良い。

妙高「やだ・・・見ないで」

林檎のように赤くなった顔を妙高は両手で覆い隠す。そう言うなら、股を閉じるのを止めてくれ。



放尿が終わり、妙高の方を向くと、恍惚とした表情が目に入った。

手を顔の横に添え、頬は上気し、端が釣り上がった口は半開きになり、半分開いた瞼には虚ろな瞳が宿っている。

妙高「・・・あはっ♡・・・また、見られちゃった♡・・・」
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2015/08/02(日) 21:31:42.15 ID:S22s/8DA0
・本日 ここまで

・次から エロは 短めにします

・感想 要望 改善等 あれば どうぞ
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/03(月) 08:51:10.05 ID:GECt8Hryo


べネ! ディ・モールト・べネ!!
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/03(月) 23:41:15.11 ID:W9MlTzyLO
直接的なエロよりも修羅場が多い方が依存系ハーレムのssとしては楽しめる、
ので期待してます

……少数派かもしれませんが
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/08/08(土) 22:53:39.50 ID:JgzQm7iA0


その後、恍惚と放心する妙高を何とか起こして身体を拭き、スカートを履かせることができた。

スカートを着用している間、妙高が「責任を・・・」とか「提督のも」とか「大きいほうも・・・」とか言いながら、電波状況の悪い無線機のように時々小さく笑っていたが、聞かなかったことにしよう。

汚れたベンチは、吹雪には悪いが、そのままにしておいた。正直、今の状況ではどうしようもない。

身体を拭くのに使ったそれぞれの下着についてだが、余りにも汚れていてどうしようか困っていたところ、妙高が私のも含めて自分のストッキングに包んでしまった。それでいいのか。

私の下着を掴んだ際、妙高は無表情で暫く下着を見つめていたが、何を考えていたのだろう。それと、ストッキングに包んだ後、ストッキングの上から混ぜ合わせるように私と妙高のものを揉んでいたが、どんな意味があったのだろう。知りたくないが。

妙高「提督、お待たせ致しました」

妙高が執務をこなしている時と同じ表情で私に告げる。

提督「ああ」

再び、砂利道を踏み締め歩いて行く。
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/08/09(日) 19:15:04.26 ID:c0mcYQUT0

提督「妙高、先程は済まなかった」

歩きながら、隣に歩く妙高に謝る。

妙高「? 何のことでしょうか」

妙高が足を止め、不思議そうに首を傾げる。今度は嫌悪感はなかった。

提督「暴力を振るったことだ。本当に済まなかった」

妙高に対し、頭を下げる。

妙高「もう気になさらないでください。それに、償いは既に頂きましたから・・・」

妙高は愛おしそうに下腹部を擦る。まるで胎児を慈しむ母親のような表情だ。

胎児と言っても、解体後ならばともかく、艤装に寄生されている状態で受精は不可能なはずなので、そういう気分に浸っているように見えただけだが。

提督「・・・そうか」

妙高「・・・やはり、不知火さんのことが心配ですか」

どうしてそこで不知火の名前が出る。

妙高「差し出がましいかもしれませんが、不安になることはないと思います」

提督「・・・なぜ、そう思う」

妙高の瞳を視る。

妙高「以前に比べて、頻度は下がっておりますから。それに、不知火さんの様子も落ち着いてきています」

提督「そうなのか・・・?」

余り変わっていないような気がするが。

妙高「はい、提督がここに帰っていらしたころに比べれば、格段に。当時は毎日のように不知火さんに会われておりましたから」

そんなに会っていたのか。思い出してみれば、再任当時は泣いたり暴れたりする娘たちをあやすのに精一杯だったから、日付の感覚なんてほとんどなかったな。

そう考えると、確かに今の不知火が訪ねてくる頻度はその頃に比べれば格段に減っていると言える。

提督「・・・そうか、良くなっていたんだな・・・」

抜本的解決にはなっていないのだろうが、少しだけ体の重みが取れた感じがした。

妙高「はい、ですから、提督、一人で思い悩まないでください、常に私たちが傍におりますから・・・」

そう言うと妙高は私の右手を優しく握り、身体が触れそうな距離まで近づいてくる。

提督「・・・ありがとう、妙高」

妙高「はい、あっ」

妙高は私の手を掴んでいた自分の腕を見て、驚いたように少し目を開く。

妙高「私ったら・・・失礼しました」

手を離そうとする妙高の左手を逃がさないように掴み返す。

妙高「あの、提督?」

妙高が困惑した顔で私の顔を視る。

提督「駄目か?」

妙高が首を振る。

手を繋いだまま、再び歩き始める。
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/08/09(日) 19:22:15.35 ID:c0mcYQUT0

提督「そうだ、妙高」

妙高「・・・はい、何でしょうか?」

頬を桜の花弁で染めていた妙高が、私の方を向く。

提督「少し先の話になるが、どこかの休み、護衛をお前に任せたいと思う」

妙高「提督、それは・・・」

提督「嫌か?」

妙高は首を横に振る。

握っていた手の力が少し強くなる。

妙高「そんなこと、ありません・・・嬉しいです」

妙高の瞳が潤む。泣かないでくれよ。

提督「そうか。それまで、待っていてくれるか?」

妙高「はい・・・一日千秋の思いで、お待ちしております」

それは言い過ぎだよ、妙高。

幸せを含んだ妙高と共に、部屋へと戻っていく。
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/09(日) 20:01:52.56 ID:XeAQhzEXO
待ってた
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/08/10(月) 00:42:22.31 ID:xjN6IWFq0

何とか他の娘たちに会わず、私室の前に辿り着くことができた。

書置きの時間も問題ない。この調子なら朝食も摂ることができるだろう。

早速扉を開けようと右手を伸ばすと、妙高が左手でそれを制した。

提督「ど」

「どうした」と言い終わらない内に、妙高が左人差し指を唇の前に立てたのを見て、口を噤んだ。何だ。

妙高はストッキングを床に置くと、私の代わりに右手で扉を開いた。

内開きの扉が開く。





真左から、拳大の黒い箱。

右上から、開いた銀輪。



妙高は突き出され、振り下ろされるそれらの凶器、スタンガンと手錠を一歩下がって避ける。

そしてスタンガンを突き出した手と、手錠を振り下ろした手をそれぞれ掴み、捻る。

羽黒「っ!」

足柄「いたたたっ」

羽黒と足柄が痛みで顔を引き攣らせる。

それと同時に、痛みによるものか、羽黒の左手からスタンガンが、足柄の右手から手錠が離れ、床へと落ちていく。

床に落ちた二つの物体に妙高の視線が移動する。

瞬間、羽黒が投擲するように右手を振り下ろす。手にはペンが握られており、軌道からして妙高の目を狙っているようだ。姉にすることじゃない。

妙高は掴んでいた羽黒の左手を離すと、腰を捻って軸をずらし、ペン先を避け、そのまま羽黒の右腹に左爪先蹴りを放つ。妹にすることじゃない。

羽黒は後方に飛び、壁に激突し、咳込む。

姿勢を戻した妙高は、足柄の手を掴んだまま、穏やかな表情で羽黒に顔を向ける。

妙高「もう、羽黒ったら、危ないじゃないですか」

足柄「おごごごご」

妙高は足柄の手を更に捻りながら、羽黒を諌める。足柄が捻られた右手を庇いながら更に呻く。

羽黒は背を壁に付け、俯いたまま、上目遣いに妙高を見つめる。

羽黒「ごめんなさい、妙高姉さん・・・姉さんが司令官さんを一人占めしていると思ったら、つい」

つい、でお前は姉を刺すのか羽黒。

妙高「・・・もう、仕方ない娘ですね羽黒は。今回だけですよ?」

そしてお前は許すのか、妙高。そして今回だけってなんだ。次もあるのか。

左頬に手を添え、柔やかな笑顔をしていた妙高は「おおおおぉ」と呻いている足柄の方に顔を向ける。足柄煩い。
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/08/10(月) 00:42:58.61 ID:xjN6IWFq0

妙高「さてと、足柄・・・これは一旦何ですか?」

そう言うと妙高は右手の捻りを直し、右足爪先で手錠をつつく。

痛みから解放された足柄は息を整え、顔を上げて妙高の方に向く。

足柄「えっと、その・・・手錠です」

妙高「そんなものは見ればわかります」

まったくだ。

妙高「私は、何故、こんなものを貴女が使ったのかを聞いているのですよ、足柄」

妙高は目を細め、笑顔のまま、さらに足柄に問い詰める。

足柄は愛想笑いを浮かべながら、妙高から目を逸らす。

足柄「い、いや〜、その、ほら、朝起きたら提督居なかったでしょ?」

妙高「私と一緒に散歩をしていましたからね、それで?」

散歩、という単語を妙高が言った途端、羽黒から歯軋りする音が聞こえた。

足柄「それで、その、提督が傍に居なかったものだから『ああ、やっぱりちゃんと傍に置いておかないといけないのね・・・』って思って」

なんだその理屈。書置きしただろうに。

妙高「それでこんな玩具を取り出した、というわけですか」

足柄は妙高に笑顔を向け、左手を開いて掌を妙高に向ける。

足柄「そ、そうなのよ〜、ほら私と提督は夫婦なわけだし、一緒にいるのは当ぜぇええええ痛い痛いっ姉さん痛いっ! 腕がっ! 勝利を掴む私の腕がぁああああっ!」

妙高は張り付いた笑顔のまま、先ほどより更に強く足柄の右手を捻る。足柄は呻き声を挙げるが、台詞からしてまだまだ余裕だろお前。羽黒もさっきから白い目で見ているし。

妙高は暫く手を捻って足柄の呻き声を聞いていたが、やがて溜飲が下がったのか、足柄から手を離し、溜息をついた。

足柄「折れてないわよねっ?! 折れてないわよねっ、私の腕っ!?」

そう言って足柄は私と羽黒を交互に見る。知るか。

足柄が泣きべそを掻いている間、妙高は足元にあった手錠を拾うと、開口部分の両端を両手でそれぞれ掴む。



妙高「・・・貴方達は・・・」



足柄「えっと・・・妙高姉さん?」

羽黒「・・・」

妙高からの異様な雰囲気を感じてか、足柄と羽黒の視線が妙高に集まる。

次の瞬間、妙高は左足でスタンガンを踏み潰し、両手で手錠をへの字に伸ばす。

スタンガンの破片が床に散らばり、その一部が羽黒の足元まで転がる。

妙高はもう片方の手錠の輪を輪ゴムを捩じるかのように曲げ、銀色のゴミを作る。

妙高「・・・この玩具で、提督に万一・・・万一なにかあったらどうするつもり? ねえ、足柄、羽黒?」

無表情のまま、妙高は足柄と羽黒に語りかける。

足柄は作り笑いを浮かべながら目を逸らし、右手を背に隠し、左人差し指で頬を掻く。

羽黒は口を閉じて、伏し目がちにしたまま、妙高から顔を逸らす。



・・・提督ですが、私室の空気が最悪です。



「なんだ? 騒がしいな?」
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2015/08/10(月) 00:43:41.90 ID:xjN6IWFq0
・本日 ここまで

・感想 要望 改善等 あれば どうぞ
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/11(火) 08:43:03.27 ID:2YdHRpTfO
乙です
足柄はともかく羽黒怖い…
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/14(金) 02:51:50.85 ID:7ZVqzTSvo
乙ー
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/08/17(月) 16:12:55.31 ID:5g6ZNQag0

羽黒の後ろ、寝室と浴室に続く通路の角から、黒刃のような髪を垂らし、切れ長の目をした女性が顔を出す。

誰だ、こいつ……那智か。

毎度思うことだが、側頭上部から帯のように垂れ下がる髪型を解くと何故こいつは別人になるのだろうか。

那智「貴様、戻っていたのか、書置きの時間通りだな」

先程まで浴室に居たのだろう、黒刃のような髪に艶が宿り、妖刀と紛う輝きを放っている。

足柄「書置き? なにそれ、知らないわよ?」

羽黒「司令官さん……?」

二人が不思議そうな顔で私を見る。私だってわからん。

妙高「私たちが出て行く際、枕元にメモ用紙があったはずよ。二人とも見てないの?」

足柄と羽黒は首を横に振る。

那智「見ていないのは当然だ」

那智は角から羽黒の隣に移動する。

……何故裸なんだ。

円錐形の二つ乳房が惜し気もなく披露され、斜め上に勃った乳首が視線を他に奪られまいと自己主張している。

谷間から臍にかけて縦に一本の筋が入り、かつ肩幅が少し広くなっていることから、体幹を含んだ各所の筋肉が鍛えられていることが見て取れる。

それでいて、胴体にはエネルギー貯蔵庫となる脂肪が適度についており、女性らしい、と言うのは失礼に当りそうだが、柔らかな感覚が失われていない。

そして下腹部の陰毛は総て取り除かれ、隠れ蓑の無くなった大陰唇が陰裂を作る様を曝している。

提督「……捨てたのか?」

だとしても、足柄と羽黒に伝えておいて欲しかったのだが。

那智「捨てる訳ないだろう? その書置きは私が食べた」

……何言ってんだ、こいつ。

那智はまるでそれが当然の行為だろうといった表情で淡々と言葉を続ける。

那智「あれは貴様が私に綴ってくれたものだろう? そんな大事なメモを私が捨てると思うか? 貴様の一文字一文字が身体に染み渡るよう、ゆっくり味わわせて貰ったぞ」

お前は山羊か。

那智「貴様が私の一部となっていく……素晴らしいと思わんか」

思いません。

羽黒「姉さん……ずるい」

羽黒が羨ましそうな目で那智を見ている。紙をモシャモシャ食べたことを誇らしげに語る姉のどこに羨望の要素があるんだ。あと全裸だし。

足柄「那智、せめて何が書いてあったのか、私たちに教えてくれたって良かったじゃない」

誇大妄想に浸る那智に慣れているのか、その妄言を無視して、足柄が至極真っ当なことを聞く。そうだ、そこが大事だ。

足柄「妻が夫のことを把握するのは大事なのよ!」

そこは大事じゃない。ついでにお前の夫になったつもりはない。

足柄を除くほか三名は、足柄を白い目で見る。

足柄「な、なによ」

狼狽する足柄が抗議の声を挙げると、しばし微妙な沈黙が流れる。
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/08/17(月) 16:14:05.29 ID:5g6ZNQag0

その沈黙を破るように、妙高が呆れを含んだ溜息をつく。

妙高「……ともかく、状況はわかりました。那智のうっかりで二人は提督が心配になり、これらの玩具で提督を保護しようとした、と」

那智「うっかりとはなんだ」

那智の発言を無視して羽黒が頷いて返すが、足柄は小声で独り言を呟いて聞いていないようだ。あと妙高、保護じゃなくて拘束の間違いだろう。

妙高「貴方達の気持ちは理解できます。ですが、羽黒」

羽黒「……はい」

妙高と羽黒が向き合う。

妙高「これ、対艦娘鎮圧用のスタンガンですね? 扉を開けたのが私だから良かったですが、人間だったら即死ですよ?」

羽黒「姉さんに当てるつもりだったから……それに仮に司令官さんに当たっても、すぐに後を追えばあっちでずっと二人きりになれますから……えへへ」

妙高「もう……本当に仕方のない娘ですね、羽黒は。ですが、残念なことを言いますけど、仮に提督が亡くなっても、私もすぐに後を追いますから、ずっと二人きりは無理だと思いますよ?」

羽黒「あっ……そっか……」

妙高「また別の方法を考えましょうね。私も一緒に考えてあげますから」

羽黒「うん……ありがとう、妙高姉さん」

そう言って妙高と羽黒はお互いに良い笑顔で微笑み合う。なにこれ。

妙高「さて、足柄」

足柄は俯いて独り言を続けている。

妙高「あっ、しっ、がっ、らっ!」

足柄「ひゃい!? にゃんでしょふ!?」

噛んだ。

妙高「あなた、提督をこれで保護した後、どうするつもりだったの?」

足柄「そ、そりゃあ、バカンスとか……」

妙高「どこで?」

足柄「えっ? えっと、さすがに鎮守府は難しいから、どっか遠くの土地とかで……」

妙高「提督を外に連れ出すの?」

足柄「あっ」

妙高「……もう少し計画的にね。私たちも協力するから」

足柄「……はい」

足柄は肩を落とし、俯いてしまった。

……こいつら、私が聞いているのをわかっていて話しているんだよな……?

那智「うむ、一件落着だな」

いつの間にか隣に来ていた那智が、右手を腰に当てて納得したように頷く。

大体お前が原因だがな。あと服着ろよ。
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/17(月) 16:25:30.49 ID:NbX8p3h7o
足柄さんは癒し(白目)
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/17(月) 19:06:49.94 ID:up9Eiqj7o
な、那智もまだセーフかもしれへんやろ…(震え声
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/17(月) 20:57:55.91 ID:hEVr/Nvmo
これもう分かんねえなぁ
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/08/17(月) 21:36:46.04 ID:/vYejgmm0

那智「さて」

提督「ん?」

那智は私に一瞬微笑むと、体を密着させ、私の脇から背中に腕を回す。

見た目以上の強靭さを背面の腕から感じ、見た目以上の豊満さを前面の双丘から感じる。

那智が私を抱き締めたのを見て、羽黒は驚いたように目を開き、足柄は頬を膨らませ、妙高は目を細める。

那智「貴様に聞きたいことがある」

提督「なんだ」

眼前から来る熱い吐息を皮膚で感じ、顔正面からの洗剤の香りが鼻を刺激する。

那智「何故私ではなく、妙高を連れていった?」

万力を締めるように那智の腕に力が入った。

提督「……どういう意味だ」

那智「惚けるな」

那智の指が背中に食い込む。

那智「私は貴様の護衛だぞ。いや、そうでなくても私と貴様は一心同体、互いに血を分け合った一つの存在だ。その半身たる私を置いて他に現を抜かすとはどういう了見だ? 秘書艦でない時は仕方ない、それは皆で決めた取り決めだ。だが私が秘書艦になり、同じ時間を共有するようになったのに、何故私を置いて言った。本来なら髪の毛一本から血の一滴まで、手も足も頭も胴も、目も耳も口も舌も皮膚も、時間も場所も、過去未来現在森羅万象三千世界ありとあらゆるものが一つである私を置いていくなど正気ではない、そうだあんな取り決めなど本当は必要ない。貴様は誑かされているのだ、あの書置きも本当は貴様が書いたものではなく妙高に書かされたものだろう? そうだ、そうだろう、そのはずだ、それしかない、許せない許せない許せない、そうだ今すぐ貴様を惑わすあの鉄屑共を海の底に沈めてやろう。安心しろ、貴様には指一本触れさせん。いや、今回だけではなくこれから先も貴様は誰にも触れさせん、私だけに触れて、私だけを見て、私の言葉だけを聴き、私の作ったものだけを食べ、私の心だけを感じればいい、そうだ、そうしよう、何故私は今までこれを思いつかなかったのか、ああきっと今まで私も毒されていたのだ。だが、もう大丈夫だ、私は正気に戻った。これからは私と二人きりで生きていこう。そうだ、これからは私が、いや私と貴様が料理を作ることになるわけだが、私はそれほど料理が上手いわけではなくてな? 仕方ないだろう、私は元々戦う兵器として産まれたのだ、料理なんてからっきしだ。勿論、これからは貴様の味覚に合うような手料理を作れるよう努力していくつもりだ。そういえば貴様は料理は出来るほうなのか? もし出来るのならば教えて欲しい、仮に出来なくても気にはしないぞ? これからは二人で腕を高め合えばいいのだからな。それにしても、これはなんだか夫婦みたいだな。いや夫婦になることは確定事項なのだが、まだそういう実感が湧かなくてな。別に嫌ではないぞ? 寧ろ貴様とならきっといい夫婦になれると思うんだ私は。そういえば私は貴様の妻になるのだから、何時までも呼び方が『貴様』ではいけないな。やはり貴様のことは『あなた』と呼んだほうがいいのだろうか? いや強制するつもりはない。勿論、今までの呼び方でいいのならそれで良いと私は思っている。まあ、それはまた今後の楽しみとしてとっておこうか。ところで話は変わるのだが子供は何人欲しい? 性急だとはわかっているが、私だって女だ、そういう話題に興味が無い訳でない。私としては男の子二人に女の子一人が良いと思っているんだ。今は戦時中なわけだからなやはり男児は多く必要だと思うんだ。それにこれは私の我儘なのだが、四人姉妹だったから男の兄弟というものに憧れていてな。将来は立派な皇国男児に育て上げるつもりだ。女の子のほうは、ほら、私がこんなんだろう? だから大和撫子とはいかなくてもお淑やかな子に育って欲しいと思うんだ。勿論こういう教育方針というのは夫婦で話し合って決めなければいけないのはわかっている。だけどしっかり意見は伝えておかなければいけないと思ってな。男だから女だからと変な先入観にとらわれて、本来なら永遠に愛し合えるはずの私たちが別れる事になるなんて、そんなことは有ってはならないんだ。だからお互いに意見や考え、不安や悩みがあったら共有し、助け合って生きていかなければいけないと私は思っている。貴様もそう思うだろう?」

……うんっ! そうだなっ!

などと言うと思うか。





……とにかく、那智を説得しなければ。





……腹減ったなぁ。
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/08/17(月) 21:40:24.68 ID:/vYejgmm0
・本日 ここまで

・時間の流れが おかしい orz

・ヤンデレとか メンヘラとか 依存とか 難しい もっと 学ばなければ

・感想 要望 改善等 あれば どうぞ
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/18(火) 02:37:13.88 ID:6KBtPcuio
おつ
重巡でこれなら戦艦や空母がどうなるか楽しみだわ
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/19(水) 01:37:41.35 ID:KTnf3tAFO
乙です
足柄さんだけが癒しだった(絶望)

そういやここってsage進行なんですかね?
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/19(水) 19:29:27.19 ID:76S1zmISo
乙です。

こんな那智初めて見たかも。
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/20(木) 01:06:45.37 ID:zezL2EhkO
この鎮守府の規模はどんなもんなんだろ
ひと月に一度とかそんな頻度でしか秘書艦になれなかったら、暴動が起きそうな病みっぷりだけど
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/08/23(日) 01:13:13.10 ID:72La5Uun0

瞳を青々と輝かせる那智の様子に気づいたのか、妙高が那智の肩に手を掛けようとする。

羽黒は艤装を展開、連装砲を那智の後頭部に向ける。貫通したら私にも当たるぞ。

そんな二人を足柄が食い止める。妙高の伸ばした腕を押さえ、羽黒の連装砲を下げさせる。

足柄が流し目で私に目配せする。助かる。

今妙高に出張られたら、最悪、姉妹で砲口を向け合うことになる。

……もう羽黒は向けているけど。

ともかく、足柄が二人を抑えている間に、なんとか那智を落ち着かせよう。

先ほどの妙高と羽黒のときと違い、今度は冗句で現実逃避する余裕は無い。

那智「どうした? 何故答えてくれない? 鉄屑どもに口封じをされているのか?」

提督「違うよ」

額と額を合わせる。

提督「おまえがとても嬉しいことを言ってくれるから、我を忘れてしまったんだ」

那智の背中に腕を廻し、出来る限り動きを拘束する。触れれば切り落とされそうな濡れ羽色の髪が、絹のように指先を擽る。

那智は童のように瞳を爛々と輝かせ、笑みを零す。

那智「そうか! やはり貴様もそう思ってくれていたか! なら待っていろ、今すぐこの那智の戦を見せてやる!」

提督「まあ待て」

離れようとする那智の身体を抱き留める。

那智の言葉で妙高も艤装を展開、三式弾を装填した砲塔を下段に構える。

足柄だけが、静観をしている。
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/08/23(日) 01:14:08.35 ID:72La5Uun0

提督「私ばかり聞くのも不公平だ。おまえも私の意見を聞いてくれないか。お互い共有するためにも、な?」

はたと気づいた那智は、嬉しそうに目を細める。

那智「あ……ああっ! もちろんだ! 何でも言ってくれ!」

提督「そうだな……まず子供のことなんだが」

那智「何だ!? もしやもっと欲しいのか!? 安心しろ、貴様のためなら何人でも産むぞ!」

提督「落ち着け」

額を強く押し付ける。

提督「急いでは事を仕損じるぞ……最後まで聞いてくれるな?」

上目遣いに、那智は小さく頷く。

提督「私が気に掛けているのは子供の将来、特に社会環境についてだ。おまえは戦時ということを前提にしているが、私は平和な時代に子供を産みたい。そのためにも深海凄艦の殲滅は急務だ」

羽黒が足柄の制止を振り切り、砲口を上げようとする。

足柄は更に腕に力を入れ、羽黒の凶行を押し留める。足柄、耐えてくれ。

提督「少しでも早く平穏な時代が訪れるようにするためには、仲間と協力するのが最も手っ取り早い。数は力、おまえもそれは身に染みてわかっているはずだ。今は猫の手も……いや、働いてくれるのならば、姿形は問わない。それが例え、お前の言う鉄屑でもな」

誇大妄想に囚われ、妄言を吐き、奇行をするようになっても、本気で仲間を傷つけるほど那智は耄碌していない。

でなければ、漣や曙が今でも那智を慕わないはずが無い。

今の那智は私が原因で不安定になり、勢いに任せて言葉を吐いただけだ。

だから、逃げ道を作ってやらなければいけない。

那智「……私一人でも、十分だ」

那智は目線を下げて、私の目を見なかった。

「他の奴等は不要だ」とは言わなかった。

言外に含ませているが、言葉にしなかった、その事実だけで充分だ。

提督「わかっているよ。でも、おまえとの未来が少しでも早く訪れるためには必要なんだ。なにより、おまえ一人に背負わせるなんてこと、私には辛過ぎる」

堪え切れなくなったのか、歯を噛み締め、憤怒を込めた目線の羽黒がとうとう足柄の制止を振り切る。

砲身が上がり、砲口が私たちに照準を向ける。

砲撃音が響くかと思われた瞬間、妙高が羽黒の前に立ち、私たちの壁になる。

提督「子供たちと、穏やかな海で過ごしたいんだ……そんな私の身勝手な夢を叶えてくれないか、那智」

私の言葉が終わって、しばらくの間、那智は下を向いたまま黙っていた。

どんな気持ちが渦巻いているのだろうか。

妙高と同じような気持ちを、那智も抱えているのだろうか。

那智「……わかった」

ほろ苦い顔をしながらも、那智は答えてくれた。
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/23(日) 10:36:10.47 ID:y1ODpzANO
やはり正妻は足柄さんですね…
間違いない(確信)
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/08/23(日) 20:35:19.85 ID:lpv9fZWT0

那智「だがせめて、傍に置いてほしい。それは駄目なのか?」

提督「……一人だけ贔屓は出来ない。皆のためだ」

那智の抱き締める力が再び強くなる。答えるように私も那智を強く抱く。

提督「私としては、理解ある人が傍にいてくれたら嬉しい。おまえは……どうだ?」

那智の刀のような双眸が、じっと私を見つめる。

刀に雨露が滴る。

那智「寂しい思いをさせたら……許さないぞ」

わかっているよ。それで何度も痛い目を見た。

刀に着いた雨露を舌で救い取る。

舌の上で露を転がし、飲み込む。

海の味がした。

提督「その時はどこか遠くの土地へ行こうか、家族計画でも立てながらな……」

その言葉で那智は私の首元に顔を埋めた。



髪を梳きながら、慰める。











……いつか後ろから刺されるんだろうなぁ、私は……
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/08/23(日) 21:30:13.13 ID:lpv9fZWT0

那智の説得が終わり、私は足柄たちのほうに視線を向ける。

足柄と目が合う。


妙高と羽黒が対峙しているためか、足柄はずっと私たちの様子を窺っていたらしい。

妙高は私たちに背を向け、羽黒の表情は妙高の影で見えない。


足柄に目配せをする。

足柄は私の目配せに気付くと、疑うような、心配するような目線を送ってくる。

私は小さく頷く。

足柄は私に頷き返すと、妙高に向けて片目を瞑って微笑み、手のひらを扇のように振る。

妙高はこちらに振り向くことなく艤装を格納し、そのまま横へとずれる。



阿修羅のような羽黒がそこに居た。



羽黒は妙高から私たちに視線を移すと、瞳孔を開いて牙を見せるよう唇を裂かせる。

そして、此れ見よがしにと那智の後頭部に砲口を向ける。


私は、那智の後頭部を庇うように右手を添えた。

羽黒が信じられないといった表情で私に訴えかける。

私はただ、羽黒を睨んだ。



出来得る限りの怒りと殺意を込めて。



羽黒がどうしてそんな凶行に出るかはわからない。睨んでないで羽黒を説得しなければとも思う。妙高と足柄に頼んで力ずくで押さえつける方法もある。

ただ、今は、那智を静かに抱き締めていたかった。

私はただ、羽黒を睨んだ。

羽黒の顔が青褪める。

私はただ、羽黒を睨んだ。

羽黒は首を横に振る。

私はただ、羽黒を睨んだ。

羽黒の瞳が潤んでくる。

私はただ、羽黒を睨んだ。

羽黒の瞳孔が揺れる。

私はただ、羽黒を睨んだ。

羽黒の瞳孔が揺れて、揺れて揺れて揺れて、揺れて揺れて揺れて揺れて揺れて、揺れて揺れて揺れて揺れて揺れて揺れて揺れて━━━━━
















━━━━━羽黒は、砲身を下してくれた。
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2015/08/23(日) 21:38:59.33 ID:lpv9fZWT0
・本日 ここまで

・ギャグパート……

・更新を 分かり易くするため age ております

・コメントなどは sage ております

・感想 要望 改善等 あれば どうぞ
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/24(月) 02:18:22.72 ID:Et+cALLsO
乙です

更新がわかりやすくていいですね
しかし重い、重いな…
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/24(月) 03:23:06.10 ID:0FuM+tHEo
おつ
この重さがたまらんね
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/08/30(日) 10:14:40.81 ID:Wcd1ocLm0

提督「那智、そろそろ服を着たらどうだ。風邪をひくぞ」

那智は顔を離し、首元を薄眼で見つめたまま、ゆっくり口を開く。

那智「……ああ、そうだな」

瞳は黒色に、表情も一本筋が通ったいつもの状態に戻る。

那智は私から身体を離すと、抱き締めていた腕を解き、振り返る。

那智は、振り返った先にいた足柄、妙高に視線を移動させた後、羽黒に目を止める。

羽黒は項垂れたまま床に座り込んでおり、その羽黒の両肩に妙高が手を置いて付き添っている。

那智はそんな妹の様子に何も言わず、寝室に続く通路へ消えていった。恐らく、羽黒の行動を把握していたのだろう。

那智がその場から居なくなり、私と足柄は同時に溜息をついた。

提督「そういえば、お前たちはもう食事を済ませたのか?」

羽黒のことは一旦妙高に任せ、足柄たちに朝食を済ませたかどうか確認する。まあ、那智が裸だったので、まだ食べていないだろうが。

足柄「まだ食べてないわよ。ずっと待っていたもの」

そうだろうな。

足柄「那智の着替えが終わったら、一緒に食堂に行きましょう」

提督「それなんだが……」

足柄が首を傾げて、左人差指で頬を突く。

提督「食事はそっちで済ませたいんだが」

寝室の通路とは反対側、足柄の後ろを指で差す。足柄の後ろの通路の先には居間兼客間と台所があり、私室での食事はそこで普段済ませている。

足柄「えっ?! もしかして」

提督「言っておくが手料理はなしだ。間宮さんの所から食事を取って来てくれ」

足柄が不機嫌な顔になる。

「手料理」の言葉で羽黒が顎を少し上げて反応したが、私の言葉が言い終わるとすぐにまた俯いてしまった。

足柄「む〜、なによそれ〜」

提督「色々とあってな」

妙高たちの様子を一瞬だけ窺う、艤装を格納した羽黒を妙高が胸元に抱き寄せ、乳児を寝かしつけるよう優しく背中を叩いている。

二人の姿を見て、羽黒の治療に付き合った時のことを思い出す。フラッシュバックはほとんどなくなったはずだが、時折妙高があのように介抱をしている。

今でも、羽黒が部屋に来る時は、粉末や錠剤などは目に映らないところに隠している。

羽黒の行動に対してはもっと上手くやるべきだったか……胸が締め付けられる。

足柄「ふ〜ん」

足柄から厭味ったらしい相槌を返される。

那智「それで私たちを小間使いにするとはな」

はえーよ、那智。

島風ならともかく、お前らの制服は着替えるのに時間掛かるよな。

一体どんな速さで着替えたんだ。化粧も完璧に決めてやがるし。

提督「そういうつもりではないんだが」
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2015/08/30(日) 10:20:18.16 ID:Wcd1ocLm0
・本日 ここまで

・朝の点呼のシーンまでが 遠い orz

・このssに 需要は あるの だろうか?

・お知らせですが 9月下旬まで 更新できません 申し訳ございません

・感想 要望 改善等 あれば どうぞ
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/30(日) 10:52:07.93 ID:BpH9/A420
実に好みだよ
次の更新を楽しみに待ってる
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/30(日) 11:13:27.02 ID:wySYNRR5o
楽しみにしてるよ
待ってるわ
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/01(火) 02:30:31.61 ID:lsDeXKg7O
乙です
ヤンデレssは最近増えてきましたが
ここくらい描写がしっかりしてるのは全然ないので楽しみにしてました
再開待ってます
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/22(火) 05:03:14.39 ID:KYuncTEI0

那智「ふっ、わかっているさ」

那智はからかい気味に微笑むと、私の左隣まで近づいてくる。

隣に来たところで腕を組み、肩を寄せ、私に顔を向ける。

那智「足柄たちが戻ってくるまで、外で何をしていたか、じっくり聞かせてもらうぞ」

那智の言葉を聞き、足柄が目をしばたかせる。

足柄「あれ? 那智は行かないの?」

那智は、干からびた花でも見るような目つきで、足柄を見る。

那智「護衛が傍にいなくてどうする」

足柄に返答すると、私の肩に頭を預け、視線を戻す。

那智「なぁ?」

同意を求める呼びかけとともに、那智の左手人差し指が、右の胸板に縦一文字を描く。こそばゆい。

提督(困ったな)

羽黒と話をしたいのだが。

足柄「……」

もう一度、羽黒に視線を向ける。

羽黒は未だ俯いたままで、妙高は困った表情をしている。

今の羽黒を食堂に向かわせるのは、妙高も好くないと思っているようだ。

そう考えた瞬間、胸板に指が喰い込んだ。

視線を那智に戻すと、鋭い目つきで睨みつけられる。

那智「貴様……」

足柄「はいはいはいはい」

那智が何かを言い掛けようとした瞬間、足柄が割って入る。

私と那智が同時に足柄に顔を向ける。

足柄「那智の言うとおり、私たちは朝食を取りに行ってくるから、二人は部屋で待っていて頂戴」

……仕方ないか。羽黒のことについては、後ほど妙高から話を聞こう。

足柄は、那智の訝しげな視線を無視し、私の正面まで近づいてくる。
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/22(火) 05:03:54.76 ID:KYuncTEI0

正面まで来た足柄は、妖しげな笑みを浮かべると、私の下唇に指を当て、左端から右端へとその指を這わせる。

手袋をまだ着けていないため、細くしなやかな指の感触が唇に広がる。

足柄「待っていてね、提督。あなたの御口に入る食事を、私が、持ってきてあげる」

含みのある言い方に、那智の表情が更に険しくなる。

足柄はそんな那智を気にも留めず、今度は右端から左端に指を這わせる。

足柄「ここに戻ってくるまでに、私の愛を、たっぷりと、籠めておくからね♡」

込めるのは別に構わない、髪の毛や唾液ぐらいなら見逃してやる。だが血液は駄目だぞ、手料理禁止はそれが原因なのだから。

那智「……待て、足柄」

那智が、抜き身の刀のような気配を足柄に向ける。

足柄「あら? どうしたの、那智? 私の愛を籠めた料理が提督と一つになることに何かご不満かしら?」

なんだ、そのあからさまな挑発は。

那智「ああ、不満だとも」

その言葉を聞き、足柄は目を細めて微笑み、私の唇から指を離す。

那智は私から腕を放すと、扉の前に立ち、取っ手を左手で掴む。

那智は私と足柄のほうに振り向くと、鋭い表情をしたまま、右手で私の顔に指をさす。

那智「貴様の口に入る食事は、足柄ではなく、私が持ってくる!」

餓鬼かお前は。

足柄「うふふ」

那智「ふんっ」

那智が部屋の外に出ると、足柄は妙高と羽黒のほうに向く。

足柄「姉さん、行きましょう」

妙高「……ええ……でも」

不安を隠さず、妙高は羽黒を見る。

羽黒は、未だ俯いたままだ。

足柄「大丈夫よ、姉さん。ねっ、提督?」

足柄は片目を閉じ、左手人差し指を顔の傍に立てて、私に微笑む。

良い娘だよ、お前は。霞が信頼するだけのことはある。夫だ何だのという妄言が無ければだが。

提督「ああ」

妙高に向き直る。

提督「妙高……」

妙高「……かしこまりました」

妙高は羽黒から優しく手を離す。

それを見た足柄は、那智と同様、部屋の外へ出た。

妙高は扉の前に来ると、不安な顔を私に向ける。

妙高「提督、羽黒のこと、お願いします」

返答代わりに頷く。

妙高が取っ手に手を掛けたところで、ふと気になっていたことを思い出した。
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/22(火) 05:04:37.20 ID:KYuncTEI0

提督「妙高」

妙高「はい、なんでしょう?」

妙高は、取っ手に手を掛けたまま、振り向く。

提督「昨晩のことだが、私は夢を見ていたか? 寝言でも言っていたら、教えて欲しいのだが」

妙高は、目を細めた。

妙高「……よく寝ていらっしゃいましたよ」

提督「……そうか」

まあいいさ。

提督「それとだが」

妙高「はい」

提督「食堂に行く前に、お前は着替えたほうがいいぞ」

妙高が不思議そうに顔を傾げる。

提督「さっきの蹴り……いい尻だったぞ」

妙高は一瞬目を点にすると、すぐに目を見開いて顔を赤らめ、両手で前と後ろのスカートを押さえた。

妙高「あっ、あの」

提督「たぶん……丸見えだ」

現在、妙高と私は下穿きを履いていない。ノーパンである。

妙高「すぐに着替えてきます!!」

提督「おう」

妙高はすぐ様部屋の外に出た。

廊下から声がする。

「妙高、どこへ行くんだ?」

「あなたたちは先に食堂に行っていください! 私も後で行きますから!!」

妙高のものと思われる足音が、駆け足でこの部屋から離れていく。

「……どうしたんだ?」

「……さぁ?」



それからしばらくして、那智と足柄の足音も、無くなった。
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2015/09/22(火) 05:09:01.60 ID:KYuncTEI0
・本日 ここまで

・再開

・艦娘の 勤務表が 難しい

・設定に 無茶が 出てきた orz

・提督の 性格が 滅茶苦茶に なってきた

・感想 要望 改善等 あれば どうぞ
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/22(火) 19:38:07.77 ID:f5nH2RFjo
おつ
提督は改造かなんかで不安定になってるん?
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/25(金) 07:06:47.72 ID:h9t30uLSO
いつの間にか再開してた…
戻ってきてくれて嬉しい
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/27(日) 20:20:43.90 ID:VZtuQHOGO
足柄さんはマジ天使やでぇ……
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/28(月) 23:11:49.38 ID:Q4+M0Cjs0

妙高たちが居なくなったのを確認し、羽黒へ近づく。

妙高たちがこちらに戻ってくるまで、そんなに時間はない。

食堂が混んでいれば別だが、生憎今日は伊良湖も出番だし、大鯨と鳳翔も手伝っているだろう。

提督(食堂が混む、か)

皆が食堂に会するようになったのは、ここが穏やかになったということなのだろうか。


項垂れ、座り込んでいる羽黒の前に片膝を着けて屈む。

提督「羽黒」

羽黒「……あ」

羽黒が顔を上げる。

先ほど砲口を向けてきた時とはまるで別人だ。生気が感じられず、目も焦点が合っていない。

その目が私に焦点を当てる。

顔が青褪め、唇がわななく。

羽黒「あっ、あっあっあっ」

提督「羽黒、落ち着「ごめんなさい!」

羽黒は後頭部を手で隠し、身体を伏せる。

ダンゴムシのように縮こまり、爆撃に怯える子供のように震えている。

羽黒「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

さすが姉妹だ、同じ言葉で謝ってくる。姉同様、耳障りで、五月蠅い。

それにしても、この反応はどっちに関してのものなのだろうか、私が睨んだことに関してか、それともフラッシュバックか。

前者ならば声を掛けてゆっくりと言い聞かせれば良いが、後者だと妙高が居ないと厳しい。また左足を折られるのは勘弁したい。

数秒、様子を見る。


羽黒「……」

羽黒の言葉が止んだ。しかし、身体は震えたままで、歯がぶつかり合う音が響く。

……これ以上様子を見ても無駄だな。折られること覚悟で声を掛けるか。

まあ、折られたら折られたで、また島風と一緒にリハビリに励めばいいだけのことだ。今度は摩耶に杖を壊されることも無いだろうし。
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/29(火) 02:47:06.31 ID:pxCZfeR3o
更新キテター
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/29(火) 07:50:42.81 ID:0CVeQn4/O
昔は食堂がガラガラだったのか…
あっ(察し)
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/29(火) 10:12:55.30 ID:6X77Vbi90

羽黒に声を掛ける前に上着を脱ぎ、それを羽黒に被せる。

羽黒「……」

歯がぶつかり合う音と身体の震えが止まる。

羽黒が顔を上げて、いつもの不安そうな表情を向けてくる。

羽黒「司令官さん……」

羽黒の頭に右手を伸ばし、頭に乗せる。

手を伸ばした瞬間は身体を強張らせたものの、羽黒は私の手を受け入れた。

上手くいってよかった。以前だったら、ここで右腕が明後日の方向を向き、最悪使い物にならなくなっていたところだ。

頭を優しく撫でてやると、羽黒は目を細めて穏やかな表情になる。

しばらく撫でる。


提督「羽黒、落ち着いたか?」

羽黒「……はい」

羽黒は頬を染めながら私の上着で身を隠す。

提督「話がしたい、居間に行こうか」

羽黒「はい」

私と羽黒は立ち上がり、居間へと向かう。


通路を抜け、台所の横を通り過ぎ、居間の壁際に置かれている長いソファーに座る。

通路のほうを向くと、羽黒がソファーの傍で立ち止まっていた。

提督「羽黒」

右隣のソファーを軽くたたき、羽黒の名を呼ぶ。

羽黒は小走りで隣に座ると、私の体にしな垂れかかる。

羽黒「司令官さん」

今にも泣きそうな表情をしながら、上目遣いに見つめられる。

提督「どうした」

羽黒「司令官さんは那智姉さんを選ぶんですか」

提督「? なんのことだ」

羽黒の瞳が潤んでくる。

羽黒「だって、さっき那智姉さんと、一緒に、どこか、と、とお、とおぐで、遠くで……ひくっ……」

泣くなよ、めんどくさい。

提督「羽黒、落ち着け、ゆっくりでいい」

羽黒「……ひぐっ……ぐあず……ぐすっ……どおぐで、ぐらずっで」

そんなことを言った覚えはない。

提督「大丈夫だ、羽黒、お前を置いて行ったりしない」

右手で羽黒の肩を抱き、左手で後頭部を優しく撫でる。

羽黒「でも、どおぐいぐっで、ぞばにいでおしいっで」

鼻水を啜り、胸元で嗚咽を上げる。

『遠くに行く』『傍にいてほしい』確かにそう言ったが、そんな意味で言ったつもりはないのだが。

べそをかく羽黒を慰めながら、那智との会話の流れを思い出す。
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/29(火) 11:19:03.56 ID:6X77Vbi90

『━━━理解ある人が傍にいてくれたら嬉しい』

『━━━寂しい思いをさせたら……許さないぞ』

『━━━どこか遠くの土地へ行こうか』


提督「……」

三流恋愛小説の駆け落ちのワンシーンか何かか? いや、三流のものでも此処までひどくはないな、素人でもこんな台本書かんし。

そもそも「理解ある人が傍にいてほしい」というのは「仕事の邪魔をしないでね」という意味で言ったつもりだったのだが、伝わっているよな?

……ともかく、ともかくだ、私は誰かと添い遂げるつもりはない。今の娘たちの中から誰か一人を選んだりしたら、流血沙汰しか見えないし。

羽黒は恐らく誤解をしている。先ほどの行動もそれが原因か?


羽黒「わだじ、じれいかんさんが、なじねえざんにとられるぐらいだったら、ごのてで!」


それが原因のようです。涙と鼻水で汚れた顔に、再び修羅の如き双眸が宿る。

羽黒の爪が胸板に刺さって痛い。このままでは殺される。


……殺されるのは別にいいか。むしろ、その後の羽黒のことが心配だ。後を追う、みたいなことも言っていたし。

猿もどきが一匹死んだところでどうでもいいことだが、そのせいで娘たちに何かあるのはよろしくない。


羽黒は胸板から右手を離し、中空に手を伸ばすと、艤装を部分的に展開する。妖精の技術は相変わらず恐ろしい。

羽黒「ぎのうは、あんなにあいじでくれだ、んっ!?」

羽黒の唇を強引に奪う。肩に寄せていた右手を後頭部に移動させ、左手を艤装が展開している手に這わせる。

羽黒の左手が私の右肩を押して体を離そうとするが、時計回りに体の軸を少し動かし、そのままソファーに倒れこむ。

手足を動かして抵抗してくるが、いや、唇を奪った時点で、抵抗する力はもうほとんどなかった。

羽黒の右手から艤装が消え、這わした左手に指が絡まっていく。

羽黒の左手は、押す力の替わりに、肩を掴む力が込もっていく。

涙と鼻水が重なる唇の隙間に入り、磯の香りが口に広がる。
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/29(火) 18:01:16.27 ID:6X77Vbi90

唇を離すと、目を細め、口を広げ、もっと欲しいと言わんばかりに舌を伸ばす羽黒の表情が見えた。

提督「羽黒、私の気持ち、理解してもらえたか」

舌を引っ込めた羽黒は、淡い表情で見つめていたが、しばらくして目線を私から外した。

羽黒「それは……」

提督「まだ理解してないようだな」

羽黒が目線を私に戻す。

提督「なら、昨日の夜、私がお前に何をしたか、しっかり思い出してもらおうか」

右手で羽黒の頬を撫でた後、親指を羽黒の口の中に差し出す。

羽黒は赤ん坊のように指に咥え込み、吸着音を奏でながら、舌で指に何度も唾液を塗り付ける。

羽黒の口から指を抜き、唾液の糸を引く手でもう一度、羽黒の頬を撫でる。

提督「さあ、何をしたのかな? 言ってごらん」

羽黒「……はい」

夢現な羽黒はゆっくりと話し始める。

昨日の夜のことは覚えてないので、とても興味がある。

羽黒「昨日は鳳翔さんがお店を開いたので、開店時間になるまで司令官さんの部屋でエ、エッチしていました。司令官さんに目隠しをして、姉さんたちと順番に司令官さんの上に跨って、司令官さんのお、おちんちんをおみゃ、お、おまんこに挿入して、誰が一番気持ち良いのか、どれが誰のおまんこなのか、当てるゲームをしていました」

提督「ちょっと待ってくれるか」

羽黒「えっ?」

やべえ、覚えてねえ。
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2015/09/29(火) 18:07:25.60 ID:6X77Vbi90
・本日 ここまで

・改造については まだ先に なりそうです

・感想 要望 改善等 あれば どうぞ
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/29(火) 21:28:06.62 ID:/yWE99T2O
羨ましいけど羨ましくないな
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/30(水) 01:24:30.77 ID:x7TXKhe80
利き酒ならぬ利き妙高型
風流ですね(白目)
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/10/03(土) 17:46:18.46 ID:WxPQ5SAO0

いや、鳳翔の店のことは覚えている。以前から要望があったので、間宮さんから助言していただけるようにお願いしたのだ。

他にも手続きとか本部への説明とか大変だったな。局も省もたらい回しにされるし。

上の連中も、間宮さんや他所の鳳翔の例があるんだから、それと同様の手続きをすればいいのに。なんであんなに時間が掛かったんだろうな。

まあ、苦労したのは加賀なのだが。

羽黒「司令官さん……?」

提督「……この体勢では話しづらいだろう、ほら」

羽黒「あ」

羽黒から手を離して体勢を整えた後、彼女の上体を起き上がらせる。当初ソファーに座っていた時と同じ状態に戻った。

どうやら羽黒の話を聞く限り、記憶は職務を終えた後から無くなっているようだ。

それだけ長時間、しかも昨日の記憶がないというのはやばい。もう少し詳しく聞かないとわからないが、記憶障害も考慮すべきだろうか?

提督「さあ羽黒、続けて」

羽黒「……はい」

羽黒は顔を少し下げて再び話し始める。左手が私の右手を掴む。

羽黒「ゲームでは外した罰として『お詫びの中出し十連発』とか『膣内を覚えるクンニ教室』とか『カリで調べる女の子のアソコ』とか用意していました。でも、司令官さんは一回も私たちのおまんこを外さなくて、結局ゲームを始めて数十分で終わりました。私の時なんて、挿入れた瞬間に『羽黒』って司令官さんが答えてくれて、足柄姉さんが『せっかく頑張って考えたのに』と言って悔しがっていたんですけど、私は、むしろ、司令官さんに、身体の隅々まで覚えてもらえたんだって、それがなんだか恥ずかしくって、嬉しくって、お腹の奥がとても熱くなったのを覚えています」

羽黒は頬を赤らめ、太股を小刻みに擦り合わせる。

……敢えて考えなかったが、そのふざけたゲームはもしや足柄が考えたのか? 死ぬぞ、私が。

羽黒「その後、一番良かったのは誰か聞こうとしたんですけど、司令官さん、いつの間にか寝てしまって。仕方ないので、クジで順番を決めて、誰が一番早く司令官さんを逝かせられるか決めることにしました。時間を計っている間、姉さんたちのセックスをずっと見せつけられて、早く終わってほしいのに『まだ出さないで欲しい』とも思ってしまって、自分の番が来るまでもどかしくて、悔しくて、堪らなくて、ずっと自分を慰めていました」

羽黒の息遣いが荒くなってくる。

あっ、なんか思い出してきた。

そうだ、部屋に着いたらいきなり目の前が真っ暗になって、後ろ手に何かを嵌められたのだ。金属っぽい輪っかの何かを……

……足柄の手錠だ、あれ。というか妙高よ、お前にとって手錠による拘束は万一に入らないんだな。

羽黒「私の番が来たとき、司令官さんのものは精液と姉さんたちの愛液で汚れていました。だから、一生懸命口で綺麗にしたんです。私と司令官さんの間に余計なものが混じらないように、私の匂いだけするように、何度も舌で綺麗にしました」

羽黒は人差指を舐めながら、私に流し眼を送る。

羽黒「綺麗にしている間、司令官さんのものがそそり立ってきて、今にもはち切れそうで、すぐにおまんこの入口に司令官さんのものを当てたんです。そしたら、火傷しそうなくらい熱くて、ゆっくり腰を降ろして司令官さんを膣内に入れると、お腹の奥から頭に電気みたいなのが来て、声が抑えられなくて、真っ白になっちゃったんです。でも司令官さんが私の中でピクピク動いていて、それで目を覚まして、司令官さんを気持ちよくさせるためになんとか身体を動かして、少ししたらまともに身体を動かせるようになったから、腰を上げて向きを変えようとしたんです」

羽黒が私の腰に手を当ててくる。

羽黒「そしたら司令官さんが私の腰を掴んで、思いっきりおちんちんを打ちつけたんです。波が押し寄せるみたいに身体にゾクゾクしたものが来て、声が漏れて、視界にパチパチ火花が散りました。しばらくして身体からフッと力が抜けると、お腹の奥に熱くてドロドロしたものが溢れ出ていたのに気づきました。司令官さんを気持ちよくさせられたんだってわかって、凄く嬉しくて、身体に力が入るまで、お腹の熱さを感じていました」

羽黒が私の大胸筋に触れてくる。

羽黒「司令官さん、寝ぼけておちんちんを打ちつけてたみたいで、まだ起きていませんでした。だから、こっそりもう一回しようとしたんですけど、那智姉さんにばれて怒られてしまいました。中から司令官さんのものが出ていくと、私の中から精液が溢れて、それを見たら顔が変に歪むのが抑えられなくて……幸せ、でした」

羽黒が私のズボンのファスナーに右手をかける。私はその手を左手で抑える。

羽黒「司令官、さん」

息を荒くしながら、切なそうな目を向けてくる。

提督「まだ話が終わっていないだろう、羽黒。さあ、続けて」
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