アルビノの女「……いくらですか」黒髪の娼婦「お気に召すまま」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/06/28(火) 22:24:41.12 ID:sxcjprsF0
『――――新都市東京の今夜の降水確率は、西地区で80%、東地区で90%、北地区で100%、南地区で75%、中央区で45%』
『うち北地区と東地区では重金属酸性雨、南地区では更に75%を越える放射性ラジウムが降雨に含有されます』



アルビノの女「……ついさっきが、仕事終わりです。それなりの額は、出せますが」

黒髪の娼婦「安すぎなければ、幾らでも。3000円あれば、十分よ」



『――該当地区にお住いの皆様は、午後11時から明朝6時までの外出をお控えなさるか』
『あるいは弊社の対NBCアーマーを着用した場合、30分以内であれば安全な活動が保障されます』



アルビノの女「悪くないですね。義体に男性器をつけてみたんですけど、射精機能のテストが済んでないんですよ」

黒髪の娼婦「……アンドロイドも、レプリカントも、人間も。お金さえ支払ってくれるのなら、歓迎するわ」



『――跳べよ宇宙へ、拓けよ星々を。アーシズ・インダストリアルの提供でお送りしました』
『続いてパブリック・アドバタイザーより、北地区第七ゲートの老朽化と近辺高層ビルの大幅改築に関する――――』



アルビノの女「雨宿りもしなくちゃいけない。……暫く、お世話になりますよ。名前は?」

黒髪の娼婦「ロゼッタよ。貴女は?」



『――――緊急のニュースをお伝えします。本日午後9時30分ほどに、中央区・6番セントラルビルの180階付近にて大規模な爆発が発生』
『原因は現在調査中ですが、この爆発によりアーシズ・インダストリアルの社長であるマコト・シキシマ氏68歳の死亡が確認されました――――――』



アルビノの女「ラティーナ。ラティーナ・C・スコーピオ」

ラティーナ「――――『壊し屋』とでも、呼んでください」
2 : ◆aUbK72/AnA [sage]:2016/06/28(火) 22:42:21.77 ID:sxcjprsF0
黒髪の娼婦「そう。ありがとう、ラティーナ。それじゃあ、ついてきて頂戴」カツ、カツ

アルビノの女「……ここも随分と奥まった所なのに、もっと深くへ行くんですか」

黒髪の娼婦「捕まえてバラそうだなんて、考えてないわ。安心して?」

アルビノの女「……半分ぐらいは生身ですし、第一安モンの義体です。高くは売れませんよ」

黒髪の娼婦「そうかしら? だって――――――」

黒髪の娼婦「随分と重い≠烽フ」「コートの下に、隠しているようだけれど」

アルビノの女「……仕事に使う、工具類ですよ」「切り裂きジャックみたいなことは、考えてませんから。安心してください」


◇ ◆ ◇ ◆ ◇


アルビノの女「……結局、最下層の深部まで来るとは」

黒髪の娼婦「ええ。――ここよ、入って」

アルビノの女「どこの家≠ゥと思えば、安宿ですか」

黒髪の娼婦「帰る家は、私から自由を奪うもの」「娼婦にも、プライベートは必要なのよ?」

アルビノの女「……は。随分と、いいご身分なことで」
3 : ◆aUbK72/AnA [sage]:2016/06/28(火) 22:54:55.28 ID:sxcjprsF0
アルビノの女「シャワー、まだ浴びてないんです」「ベッドにでも座って、暫く待ってて下さい」

黒髪の娼婦「ああ、それなら。私も、まだだから」

アルビノの女「気にしませんよ、私は」    黒髪の娼婦「私は、そうは行かないもの」

アルビノの女「……仕方ありませんね。なら、お任せします」    

黒髪の娼婦「……ありがとう、ラティーナ」スルリ

揺らめくようにして近付いた娼婦の指先が、アルビノの女の付けていた酸素マスクを外す。
恐らくは右目にオンライン脳直システムを内蔵した、赤と金のオッドアイが微かに見開かれて、眼前で穏やかに微笑む娼婦の紅い目を見つめた。

黒髪の娼婦「あら」「マスクを外すと、そんな顔なのね。可愛いわ」

アルビノの女「……安物の、酸素マスクですよ」「人のもの、勝手に取らないで下さい」
4 : ◆aUbK72/AnA [sage]:2016/06/28(火) 23:04:12.04 ID:sxcjprsF0
黒髪の娼婦「ごめんなさい。でも、安物なら少しくらいいいでしょう?」

アルビノの女「そういう問題ではありません」「知られたくないもの、近付いて欲しくないもの。誰しも持っていますから」

アルビノの女「――――だから、貴女もそんな仕事をしているのでは?」

黒髪の娼婦「……さあ、どうでしょう」クス


◇ ◆ ◇ ◆ ◇


アルビノの女「……終わりましたか」

黒髪の娼婦「もう少し待って頂戴。今から、身体を拭かなきゃいけないの――――」

アルビノの女「こんなに客を待たせる娼婦、初めて会いましたよ」

黒髪の娼婦「そんなことはないでしょう。直ぐに済ませるから、もう少し待っていて頂戴」

アルビノの女「拭かなくていいから、とっとと来てください。こちとらベッドの上で薄いバスタオル一枚、冬場だったら風邪引いてますよ」

黒髪の娼婦「……仕方ないわね。あまりここの主人には、迷惑をかけたくないのだけれど」

アルビノの女「あんな『弱い』AIのオートシステムなんて高が知れてますよ。さ、早く」

黒髪の娼婦「はぁい。……せっかちね、貴女」

アルビノの女「ご心配なく。『こっち』は長持ちするよう、取り付けの時にOSごと調整してもらいましたから」
5 : ◆aUbK72/AnA [sage]:2016/06/28(火) 23:27:09.73 ID:sxcjprsF0
◇ ◆ ◇ ◆ ◇

黒髪の娼婦「…………っ、ふぁ、……ん、………」

アルビノの女「……ぁむ、………ん、……ふふ、………ぷぁ」


白い肌を水滴に濡らして、二人の女がベッドの上で絡み合っていた。
黒髪の娼婦は下に組み敷かれ、その細い両腕をアルビノの女に絡めていた。
柔らかい唇を貪られ、伸ばされた舌先に口内を蹂躙され、征服の証として流し込まれた苦い唾液を甘受する。
潤む紅色の瞳へと、愉悦に満ちた色合いで視線を絡めて、アルビノの女はいよいよ娼婦の肌に指を這わせ始めた。


黒髪の娼婦「……ん、ふぁ……随分、情熱的なキスね」

アルビノの女「やる時は思い切りよく。私の主義ですから……ん、ちゅ」

黒髪の娼婦「っ、っ…………ふ、ぁ……は、ぁんっ……、ん、……」

アルビノの女「……ちゅ、あむっ、……くす。……ちゅ、じゅるうぅ……」


引き摺り込まれた舌先を啜り上げられ、その喉奥で娼婦はくぐもった声を漏らす。
同期させるように、ラティーナの指先が娼婦の太股にそっと這わされる。微かに股を震えさせて、娼婦の女はそれひ答えた。
快感に喘ぐ声さえ、ラティーナに賞味されている。おのれの全てを奪い取られ、支配され、舌の上で転がされる感覚。
娼婦としては不釣り合いなほどに震える背筋を、今夜の悪辣な客は目敏く知っていた。
故にまた、その赤と金の瞳が更なる愉悦を覚えるのも道理であった。



アルビノの女「……くす。キスだけで、濡れてきたんですか?」

黒髪の娼婦「……ん、はぁ、んっ……貴女が、早くしたいって言うから。サービス、よ?」
6 : ◆aUbK72/AnA [sage]:2016/06/28(火) 23:49:27.62 ID:sxcjprsF0

アルビノの女「では、お言葉に甘えて。……それでは、改めて」

黒髪の娼婦「……ええ。……ふふ、大きいのね……」

アルビノの女「もう少し大きめにオーダーしたはずなんですがね。……じゃあ、いきますから」


少なくとも、屹立するその男性器は「安物」ではないのだろう。人工粘膜の質感と擬似海綿体は、直接の神経・血管接続を施さなければ再現できない。
にやりと笑んで欲望を隠さないラティーナの顔貌に、荒い息のままロゼッタは微笑して――そして、直ぐにそれは消える。


アルビノの女「……へーぇ。こんな感触なんですか、膣の中って」

アルビノの女「このまま、根元まで入れちゃいますからね。……って、聞こえてますか?」

アルビノの女「まあ、いいや。……精々、たくさんいい顔を見せて下さいね」


半ば目を剥いて、肺の酸素を悉く吐き出そうとするかのようなロゼッタに、容赦なくラティーナは一撃を打ち付けた。
豊満な肢体が痙攣して、殊更その締め付けを強くする。またも唇が塞がれる。嬌声さえ彼女は許さない。
二撃目。三撃目。四撃目。ただただ強く、短く切られた爪を背に立てて、ロゼッタは狂おしいまでの快感を堪えようとしていた。
だが。結局の所、そのような安い努力は五分にも満たない価値しかなかった。


黒髪の娼婦「――――――ん、んん………っ、!!!」


一際大きく、身体を二、三度震えさせて、呆気なく娼婦の女は絶頂に達した。喉奥から思い切り濁った叫びを上げて、自らを蹂躙する雌という名の雄に四肢全てで縋り付いた。
強く引き締まって滑りと熱を増す肉壷の感覚に、ラティーナは酔い痴れる。過熱する娼婦の体温がそれを急かす。更なる打撃を与える。
まだ彼女は射精を済ませていなかった。深い絶頂に至ることを望むのは、むしろ客である彼女のほうであった。
夜は続いた。鉛色の空が酸性雨を絞り終えて、くすんだ朝日が摩天楼の頂点を照らすまで。
7 : ◆aUbK72/AnA [sage]:2016/06/29(水) 00:01:41.42 ID:yeWxX9uDO
◇ ◆ ◇ ◆ ◇

『――パブリック・アドバタイザーが午前6時をお知らせします。昨夜の爆発事故についての新しい情報です――――』



アルビノの女「はい。お代です」

黒髪の娼婦「……桁かお札、間違えていない?」

アルビノの女「いいえ。ほんの気持ち、ちょっとしたチップですよ」



『――――――保安警察はこの事件を、一連の壊し屋♀ヨ連事件と認定。関係各社と協力し、全力を以って捜査に当たると――――』



黒髪の娼婦「……気前のいいお客は、好きだけれど。返してと言っても、返さないわよ?」

アルビノの女「揺するつもりなんざありませんよ。貴女と同じで、私も一匹狼ですしね」

黒髪の娼婦「そう。それならいいわ――――ありがとう、ラティーナ」


『――続いてのニュースです。新興のオリンピア・エンタープライズが、大手軍産企業であるマシマ・コングロマリットに吸収合併されることが――――』


アルビノの女「こちらこそ。また呼びますよ、ロゼッタ」

アルビノの女「貴女の長い黒髪。とても素敵ですよ」

黒髪の娼婦「……いつもマスクを外してたら、貴女はもっと素敵よ」

アルビノの女「生憎と、喘息持ちなものでして」「――――それでは、さようなら」

黒髪の娼婦「ええ。――――元気でね」
8 : ◆aUbK72/AnA [sage]:2016/06/29(水) 00:03:50.78 ID:yeWxX9uDO
サイバーパンクっぽいのが書きたかったんです
頑張って書きました
多分つづきます
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/06/29(水) 00:04:58.35 ID:gF+z0fOX0

個人的に好きな世界観
頑張ってくれ。応援する
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/06/29(水) 03:41:53.83 ID:LQ1kcyi6O

いいねー待ってる
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/06/29(水) 06:04:45.63 ID:lMnerPU8o
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/06/29(水) 14:51:58.14 ID:b4xR+eGeO
なんか不思議やな
乙乙
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/06/29(水) 20:37:13.22 ID:6ZgDcYuto
この頃固有名詞有りのSS増えてる気がする
14 : ◆aUbK72/AnA [sage]:2016/06/29(水) 22:32:37.28 ID:0PPGCbq30
『――――……パブリック・アドバタイザーが、午後7時をお知らせします』


――――……ガタンゴトン、ガタンゴトン、ガタンゴトン………


女「………………………」


≪……お客様にお願いいたしします。優先席付近での通信端末の使用は、内蔵・外付け問わずご遠慮ください≫
≪またお年寄りやお身体の不自由なお客様、妊娠中・乳幼児をお連れのお客様、甲種以下の義体をご使用のお客様がいらっしゃいましたら、席をお譲り下さい≫
≪お客様のご協力をお願いいたします――間も無く、新三河島。新三河島。車体とホームの間が空いているところがございますので、お足元にご注意ください≫


……プシュー ピンポーン ピンポーン……


女「…………降りないと」


ガヤガヤガヤガヤ……コツ、コツ、コツ……ピッ<残金 307円>


女「…………はぁ」

女「……ただの発破工事なんて、私じゃなくてもできたでしょうに」

女「………………」



女「つまらない仕事の日は、精々遊ぶに限ります」
15 : ◆aUbK72/AnA [sage]:2016/06/29(水) 22:54:06.82 ID:0PPGCbq30

三河島は、古くは西暦から続く由緒正しきラーメンの名所だった。中華系統の大衆料理店から、このご時世で天然素材に拘る本格的な日本料理店まで。
しかし薄汚いほど小綺麗な駅を一歩出れば、やはりそこは何処に行っても変わり映えのしない新都市東京の街並み。
安いネオンと饐えたアルコールの匂いが混ざった、人混みの吐息に満たされる猥雑な大路である。
汚れた黒いコートの女は、雑踏の中に溶け込んでいった。その俗悪な空気から逃れるために、彼女は物々しいマスクを通して息をするのかもしれない。


女「………………ええっと」

女「…………『龍味 三河島支店』でしたっけ」

女「……道順、どうだったかな」


女「……使ってみますかね。この間インストールした、30日間の試用ナビゲーターソフト」


金に輝く女の瞳孔に、先ずは視界を埋め尽くすような広告が映し出された。女が疎ましい顔を浮かべれば、煩い色彩はすぐに消える。
そのまま、女は独りで何度か舌打ちをした。出来の悪いUIは、例え内蔵品でなくとも頭痛を生みかねないものだ。


女「……GPS認識までズレてるじゃないですか。ちゃんと辿り着けるといいんですけど」

女「……やっぱり、いつもの『天網』がいいですね、これ」
16 : ◆aUbK72/AnA [sage]:2016/06/29(水) 23:17:43.24 ID:0PPGCbq30
女「……同じところ、三回くらい回る羽目になるとは」

<――中華一 龍味 三河島支店――>

女「……入ってみますか」

イラッシャイマセー

女「餃子四つ。ラーメン一杯。チャーハン一皿と麻婆丼」

フタツデジュウブンデスヨォ?

女「餃子四つ。ラーメン一杯。チャーハン一皿と麻婆丼」

…アイ、マカセテクダサイヨォ

女「…………」

チャーハンコーデルイーガー、ヤナギコーテルニガニガ――――

女「…………あ」

娼婦「……あら」
17 : ◆aUbK72/AnA [sage]:2016/06/29(水) 23:26:57.28 ID:0PPGCbq30
娼婦「……ふふ、こんばんは。何日ぶりくらいになるかしら?」

女「3日くらいじゃないですかね。……オフですか、休憩ですか?」

娼婦「いいえ。お客を探してるの。こういう所だと、結構声をかけてくれる人もいるから」

娼婦「でもそこらの地下通路で、ホームレスみたいにだらしなぁく股を開いてる女とは一緒にされたくないし」

娼婦「そうなったら、値段だって足元見られるもの。3000円なんて、とてもじゃないけど払ってもらえないわ」

女「そりゃあ大変だ。……それにしたって、中華料理は貴女には似合わないと思いますがね」

娼婦「そうかしら?」  女「胸も足も出てるそのドレス、とてもチャイナドレスには見えませんよ」

娼婦「まあ、いいじゃない。どこで誰がどう見られるかなんて、その人が決められることよ」

女「……まぁやたらに爪の短い娼婦に、何言ったって今更かもしれませんね」

娼婦「失礼ねぇ。お客様の綺麗なお肌に傷をつけたら悪いと思ってるだけなのに」

女「貴女と体を重ねるような奴に、綺麗な奴なんていやしてませんて」

女「爪。伸ばした方が、似合いますよ」
18 : ◆aUbK72/AnA [sage]:2016/06/29(水) 23:41:57.17 ID:0PPGCbq30
娼婦「まあ。失礼な人。……ふふ」

女「上客に向かって、その口の利き方はないでしょう。……くふっ」

娼婦「……それじゃあ、そうね――――」

隣席の娼婦はそっと身を乗り出した。伸びかけている右指の爪先を、女の白い首筋に立てた。
品のある甘い芳香が、女の鼻腔をくすぐった。少しだけ食欲が失せて、代わりに腹の底が熱くなるのを、彼女は感じた。
女の首筋を、紅い爪先が掻いた。微かな赤色が色鉛筆のように引かれた。女は引き攣るような声を少しだけ零したが、直ぐにそれは厨房で跳ねる油の中に溶けていった。
やがて染み出す瑞々しい紅を、娼婦の指先が潰すように掬う。紅い唇から伸びる紅い舌先で、娼婦は紅い指先を舐めた。

娼婦「……ふふ、おいしい」

女「吸血鬼じゃないんですから。……食前酒にはなりましたか、カーミラさん」

娼婦「そうね。もう少し、欲しいかな」

言葉通りに、娼婦はまた身を乗り出した。そうして指先をまた伸ばした。
また爪を立てて、しかし先ほど作った傷より少しだけ下に、新たな証を刻んだ。後は、語るべくもない。

女「……ふうん。随分、私は気に入られたようで」

娼婦「だって、上客なんでしょう? 予約くらい、させてもらわないと」

女「それは客のやることです」

娼婦「知いらない。それは、私の決めることよ」
19 : ◆aUbK72/AnA [sage]:2016/06/30(木) 00:08:03.08 ID:ZlPxzfiBO

ギョウザヨッツ、ラーメンドウゾォ

女「……よく客がつきますよね、貴女」

娼婦「流石に、注文をつけるお客は選んでるわよ?」

女「隠せるものと、隠せないものがあるでしょう」

娼婦「さあ、どうでしょう。……案外、それも魅力なのかも?」

女「は。自分で言いますか、それ」

娼婦「自分の価値だって、自分で決められるものよ」

女「怪しいもんですね」

娼婦「そういうものよ」

娼婦「……随分、たくさん食べるのね?」

女「お腹空いてましたし。それに」

女「これからも、一働きするんですから。きちんと精力、つけておかないと。でしょう?」

娼婦「……そうね、ふふ。毎度有難う御座います、お客様」
20 : ◆aUbK72/AnA [sage]:2016/06/30(木) 00:21:49.29 ID:ZlPxzfiBO
黒いマスクを外した女は、企み深い笑みを娼婦へと投げかけた。
カウンターテーブルの割り箸は取り出され、木が裂ける小気味良い音が響く。

◇ ◆ ◇ ◆ ◇

マイドォアリガトウゴザィシタァ

女「…………中々、美味しかった」

娼婦「でしょう。しかも安い」

女「チェーンで食ったら二倍はしますね。……油が少々安っぽくて、お腹壊しそうですが」

娼婦「あら。義体でも胃もたれするの?」

女「私がいじってるのは下半身と脊髄、両腕までですよ。丁度、達磨みたいな感じです」

女「口から胃腸まで改造すると、味覚もなくなりますし。それに、どんなメシでも腹を下す体になる」

娼婦「それは困るわね。お水遊びも碌にできないんじゃなくて?」

女「確かにそれもありますね。電脳空間でやるセックスは、どっかしら無味乾燥なもんでして」

娼婦「でも、絶世の美女を何人でも侍らせられるんでしょう? こぉんな汚れた娼婦じゃなくても」

女「ありきたりなくらいでも意外と満足できるものですよ。都合のいいツクリモノなんて、むしろずっと面白くない」

娼婦「冷たいのねえ。私、少しは変わった女だと思うのだけれど」

女「誰が貴女がありきたりだと言いましたか。言葉尻を論うのはご勘弁願いたい」

娼婦「ふふ。やっぱり上客ね、貴女」
21 : ◆aUbK72/AnA [sage]:2016/06/30(木) 00:36:23.01 ID:ZlPxzfiBO
娼婦「それで。そんな上客様のお仕事って、何なのかしら?」

女「つまらん仕事です」

娼婦「嘘。壊し屋≠セなんて、娼婦よりは面白そうなお仕事じゃない」

女「……覚えてたんですか」

娼婦「お客のことに無関心でいちゃ、客商売なんてやってけないわ」

娼婦「それで? 貴女のお仕事」

女「……今日は、北地区のビルの解体でしたよ」

女「定礎に入ってた解体手順に則って、適当にコンクリにドリルぶっ刺して、代わりに爆薬詰めて」

女「今時の建物って凄いんですよ。建築時に想定されてた発破パターンに従えば、1階をちょっと崩してやるだけで全部自壊するんです」

娼婦「……手抜き工事の安普請、と言うべきじゃないかしら?」「解体時のコストを減らす代わりに、耐久性を軽視してるってことでしょう、それ」

女「そうとも言いますね。大学出たての素人建築士でもやれる仕事でしたよ。やり甲斐もクソもあったもんじゃない」

女「……そういう貴女は?」

娼婦「変なことを訊くのね。今から仕事じゃない」

女「そうじゃなくて。……この3日くらいで、何人くらい相手にしたんですか」

娼婦「……貴女がこの3日くらい、どんな仕事をしていたか」「教えてくれたら、考えてもいいけれど?」

女「…………つくづく、食えねえんだから」

◇ ◆ ◇ ◆ ◇

娼婦「……さ、着いたわよ。今日も、シャワーからかしら?」

女「そうしましょうか。二人で入って、とっとと出てきましょう」
22 : ◆aUbK72/AnA [sage]:2016/06/30(木) 01:08:28.59 ID:ZlPxzfiBO

娼婦「…………ん、ふふ、……ちゅ、じゅるっ…………」

女「ふぁ、はぁ、っ、……ん、はぁ…………は、ぁっ」

娼婦「……くす。責められると弱いのね、貴女」

女「……誰だって、そうでしょう」


数日前と同じ時間。数日前と同じ部屋。数日前と同じベッド。数日前と同じ、瑞々しい二つの裸体。組み敷かれているのは、白い女。
娼婦の豊満な肉体が、空気に溶けそうなほど白い女の肉体を覆い隠す。磨り潰すように押し付けられる娼婦の柔肉に、女は殆ど無抵抗だった。


娼婦「そうでもないわよ。……まあ、いいわ」「沢山可愛がってあげるから。覚悟して頂戴、ラティーナ?」

女「……ひ、ぁぅ……精々、私を満足させて……みせ、てぇっ……」

娼婦「ん、はむ……呂律、回ってないわよ」「耳と、ここと、ここ……一緒に責められるの、堪らないでしょう?」

柔らかい娼婦の唇が、女の白い耳を挟んだ。目を見開いてびくんと震えた女は、半ば反射のようにして娼婦から逃れようとした。
だが既に腕を肩へと回した娼婦は、ら無慈悲にも女を抱き寄せてその耳を味わう。
唇の粘膜で耳朶を包み込み、ねっとりと扱きあげる。肌を舌先でちろちろと掠め、荒い吐息と囁きを存分に味合わせてから、不意に粘つく熱い舌先が捩込まれた。
絡みつくような責めを震えるように堪えていた女は、しかし一際大きく震えた。そして熱り立つ剛直を待っていたように、娼婦の魔手が伸ばされた。
垂れ流される先走りをぐりぐりと指先で亀頭に塗り込むだけでも、容易く女は声を上げる。
敏感な裏筋の脇を親指で擦ったかと思えば、掌を丸く包み込んで亀頭全体を撫で回す。腰の抜けるような快感に打ち震えさせておきながら、滑る鈴口を指先で押し潰して残忍な刺激を与える。
「ふふ、もうそろそろかしら」「我慢できない?」「いつでも出していいのよ」――熱い舌先と共に流し込まれる優しげな言葉は、却って女の屈辱さえそそった。
女の身体を抱き寄せる片腕は、そのまま女の脇腹へと伸ばされ、撫で上げて、直ぐに胸へとたどり着く。
ねっとりと溶かすように、娼婦のそれよりは幾分小ぶりな片側を揉みしだかれる。それでいて人差し指と親指は、淡い乳首をくりくりと摘んで無邪気に嬌声を楽しむ。
いつの間にか、剛直で遊ぶ娼婦の片手は、親指と人差し指を丸めた輪を作っていた。「何回通したら、イッちゃうのかしら?」
くすくすと嘲笑うその声さえ、今の女には届く由もない。ただ結局彼女は、その指の輪が数回上下しただけで――――


女「〜〜〜〜〜っ、………ぁああああ……!!」


――――甲高く切ない雌の声を上げながら、呆気なく精を噴き出した。
絶頂の浜辺に打ち上げられて、ラティーナという深海魚は幾度か跳躍しようとした。それさえも娼婦の、ロゼッタの腕の中での出来事だった。
23 : ◆aUbK72/AnA [sage]:2016/06/30(木) 01:28:15.28 ID:ZlPxzfiBO
娼婦「……ふふ、もうイッちゃったのね。可愛い……ん、じゅる」

女「あ、は、ひっ、ふぁぁ………」

実に楽し気な笑みを満面に浮かべて、直様掌で受け止めた女の精を、娼婦は満足気に啜り上げた。
白い喉が蠢いて、女から吐き出された生命の欠片は、娼婦の腹へと落ちていった。
だがこれこそ食前酒であった。少なくとも、このロゼッタという娼婦にとっては。

娼婦「次は、お口で。……ふふ。まだまだ、寝かせないから」


◇ ◆ ◇ ◆ ◇

『――――パブリック・アドバタイザーが、午前六時をお知らせします』
『本日の新都市東京はおおむね晴れ。鉛色の空に太陽が昇る、爽やかな1日となるでしょう』
『その分光化学スモッグや、昨夜までの降雨によって蓄積した重金属汚染粒子の吹き上がりには、十分ご注意ください――』


女「…………はい、お代です」

娼婦「……そろそろ、不安になってくるわよ」

女「あんなに気持ちよくなったのは初めてでした」「正直、ぶっ壊れてないかメンテに行きたい気分です」

娼婦「あら、それは光栄ね。楽しんでもらえたようで、嬉しいわ。ふふ」

女「……ねえ、ロゼッタ」 娼婦「何かしら? ラティーナ」

女「お金を積めば、貴女は誰にでも買われるのでしょう」 娼婦「まあ、間違ってはいないわね」

女「では、ここで」


女「もし、貴女の人生を――買い取るのでしたら、幾らになりますか?」


娼婦「……おあいにく様。娼婦になっても、誰かの奴隷になるつもりはないの」

女「……もしも、の話ですよ」

娼婦「ええ、知ってるわ。でももし、誰かが私を買い上げる≠フだったら――――」


娼婦「――――魂の一つでも、売り渡して貰わないと」


女「……流石に、吸血鬼が言うと凄みがありますねえ」

娼婦「冗談よ、冗談。――もう、行くの?」

女「今日の仕事は早いんですよ」 娼婦「ふうん。どんなお仕事?」 女「守秘義務違反になるので言えません」

娼婦「あら、残念」 女「腰、抜けてないといいんですがね」


娼婦「抜いてほしいなら、いつでも抜いてあげるわ。――――いってらっしゃい、ラティーナ」

女「洒落になんないんで止めてください。――――また今度、ロゼッタ」



『――――次のニュースです。昨日の北地区第7ゲート付近の発破解体から行方が分からなくなっていた、ヴェンダー社の開発主任である――――』
『――――――保安警察は事件性の有無を調査すると同時に、未だ発見されていない同氏の頭部を――――――』
24 : ◆aUbK72/AnA [sage]:2016/06/30(木) 01:29:24.25 ID:ZlPxzfiBO
意味深そうでその実あんましっかり考えてません
要望とかあったらなるべくお応えします
まだ結構続くと思います
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/06/30(木) 01:34:32.23 ID:J4r3hgZRo
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/06/30(木) 02:15:09.56 ID:S4U3BLxnO
乙乙
今のままでも面白いので続きを楽しみにしとく
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/06/30(木) 07:04:37.63 ID:FuEJ5jiWO

早漏のラティーナちゃん可愛い
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/06/30(木) 10:50:08.53 ID:SMYDuMvAo
29 : ◆aUbK72/AnA [sage]:2016/06/30(木) 20:35:12.04 ID:DXlNlRt50

『――――パブリック・アドバタイザーが、午前3時をお知らせします』
『現在、当地区である旧川崎を含む南地区には、重金属含有の放射性酸性雨が――――』
『――――――の皆様の外出は――――禁止され――――』


新都市東京に、夜は来ない。くすんだ月が高く昇れば、確かに街から人影は失せるかもしれない。
だが人工灯の安い光は、華々しく乱立する摩天楼の足元を、何時までも疎ましく照らし続ける。
そして程なくして、害毒の雨脚は降り注ぐ。街も人も光も、全てが白い水煙に包まれる。


    「…………あ、あ"っ…………お"ぇ"っ、げほっ、げほ……あ"、あ"」

 「ち、畜生!! トモを、放――――」


銃声も、断末魔も、脊髄の折れる音も。ことごとく、酸の雨に包まれる。隠されて、溶けて、消える。


          「……お、おま、え、は、」



白い雨が、赤く染まる。されど流れる紅色でさえ、無慈悲な恵みの雨は薄めてしまう。
畢竟何もかもが流れ着くのは、一月前に取り替えられていながら、今でさえ溶けかけている路地裏の排水溝に過ぎない。
30 : ◆aUbK72/AnA [sage]:2016/06/30(木) 20:45:52.93 ID:DXlNlRt50
『――――川崎区行政より、お知らせです』『つい先程、――――による、――――殺人の――――――』
『――――――は、外出をお控えください――――――』


女「…………………」コツ、コツ、コツ


黒いコートに、黒いフード。同じように黒いマスクの下で、その女は安堵に似た溜息を吐く。
旧川崎区。降り頻る雨の中、狭い路地裏の奥深く。彼女はそこに立って、時代遅れのネオン管が形取る一枚の看板を眺めていた。


     <<ヴァルカンの日曜日>>


女「………………」ガラリ


女「……おやっさん」


女「……起きてますか、おやっさん」


女「………………」


女「………………マスター=v
31 : ◆aUbK72/AnA [sage]:2016/06/30(木) 20:53:14.40 ID:DXlNlRt50

作業着の男「おお! ラティーナじゃねえか、気付かなかったぜ悪い悪い」

女「……わざとですよね」

作業着の男「さあ? 分からんな」

女「おやっさんでいいでしょう。あんたにはそれが丁度いい」

作業着の男「聞こえんなー。俺はまだそんな年じゃねえって。マスターと呼べ、マスターと」

女「場末のバーじゃあるまいし。マスターなんて気取った名前、余計似合いませんよ」

作業着の男「一応、酒場でもあるんだがね。お前がその時間に来ないだけで」

女「だってここの酒、まずいじゃないですか」

作業着の男「ほー、どんな味だい」

女「汗と油と埃の雑味」

作業着の男「言ってくれるじゃねえか、ええ?」

女「事実です。……せめておやっさん≠フ声紋パターンくらい、ミュートリストから外しておいてくださいね」

作業着の男「考えておこう。それで――――」
32 : ◆aUbK72/AnA [sage]:2016/06/30(木) 21:10:43.53 ID:DXlNlRt50
作業着の男「――――ご用件≠ヘ?」

女「いつもの=v

作業着の男「それだけかい」

女「首三つ≠ニ、身元不明=v

作業着の男「……随分と派手にやったな、おい」


コートの裏に差し入れた手を、女はカウンターの向こうへと突き出した。白い掌に握られていたのは、細長い4本のメモリー・デバイス。
その内の3本は酷い安物であった。剥き出しの基盤にハンダと回路がスパゲティされた、秋葉原の露天商が300円で売り捌いているような粗悪品。
対して残りの1本は、見た限りは不気味な黒い六角柱である。恐らくは内部に非接触型通信ポートを備えているであろうそれには、何処かの社名と思しき企業ロゴの刻印が施されていた。


作業着の男「……じゃあ、少し待ってな」「……この3つが、首≠ネんだな?」

女「勿論」

作業着の男「了解。残りはそれが終わってからだ。どうせ、払う金もないんだろう?」

女「勿論」


そう言って、男はカウンターの後ろに据えられた扉に入っていった。
手持ち無沙汰に女は椅子に腰掛け、白い雨音に耳を澄ませることにしたようだった。
33 : ◆aUbK72/AnA [sage]:2016/06/30(木) 21:24:18.40 ID:DXlNlRt50
作業着の男「終わったぜ。確かに全て、依頼主の提示した生体IDと合致した」

作業着の男「ネットへの接続履歴も合致する。死ぬちょっと前まで、18禁の出会い系でサクラやってたらしい」

作業着の男「名前は上からユウヤ・タマイ、アキラ・シンジョウ、トモヤ・マスムラ……合ってるか」

女「ええ。拝借した財布の身分証明書にもそう書いてありました」「明々後日までの宿代にもならなそうですが」

作業着の男「だが、クライアントは相当血が上ってたみたいだぜ」 女「そりゃあ、当たり前でしょう」


女「人様≠ノ、わざわざ復讐≠頼むんです」「金に糸目をつけるわけがありません」


作業着の男「……まあ、そうだな」

作業着の男「兎も角、これにて一件落着だ。報酬は既にお前の口座に振り込まれてる。きっかり日本円で1200万だ」

女「……報酬は現金で、って念押したはずなんですけど」

作業着の男「そういうことを気にする依頼主にも見えなかったからなあ」「ま、金貰えたんだからいいだろう」

女「……これだから、ああいうレトロ世代は……」「振込先間違えてたり、万が一洗浄されてないデータ混じってたら、洒落にならないんですけどね」

作業着の男「お前、そんなに金持ってたか?」

女「仕事用と個人用は、それぞれ別名義なので」
34 : ◆aUbK72/AnA [sage]:2016/06/30(木) 21:53:55.36 ID:DXlNlRt50
作業着の男「じゃあ、残りの二つだ。どっちからにする」

女「――――いつもの≠ゥらで」


言うが早いが、女はコートに背負った骨組み≠ノ手を伸ばした。折り畳まれたそれを女は展開≠オ、その柄を片腕で男に突き出す。
瞬く間に掌の中で組み上がり、掌より遥かに大きく広がったのは、白い大鎌であった。
女の背丈ほどもある長い柄と、何人かの首を纏めて斬り落とせるほどの長い刃を持つ、凡そ人殺しの道具である。
その先端には斧槍の機構と、斬撃に際して鎌自体を加速させると思しきジェットノズルが付随していた。


作業着の男「毎度。そういや、イチモツの調子はどうだい」

女「悪くないですね。ただもう少し、射精量と勃起時のサイズを拡大してもらいたいです」

女「あと、もう少しくらい耐えられるように。或いは、一回や二回出しても問題ないくらいの絶倫にしてください」

作業着の男「……随分と欲張りを言うな。あれでも結構、でかめに寸法取ったんだぜ」
作業着の男「俺より普通にでかいもんだから、ちょっとムカついたくらいなのに」

女「貴方の貧相な包茎の話に、興味はありません」

作業着の男「かーっ冷たいねぇ。……何だ? もしかして早速、女作ったのか?」

女「そう言うと、やや大袈裟です」

作業着の男「セフレってとこか。……ま、せいぜい満足させてやりなよ」「そのくらいなら、リミカソフトのインストールでどうにでもなる。後で渡そう」

女「どうも。……丁度いい暇つぶし、ありませんかね」

作業着の男「ネットで男でも引っ掛けてこいよ。この時間だと、バーチャルでもヤリたい奴は結構いるぜ」

女「仮想空間は嫌いです。酔うんで」

作業着の男「そりゃあお気の毒に。……じゃ、暫く待っててくれや」
35 : ◆aUbK72/AnA [sage]:2016/06/30(木) 22:18:03.04 ID:DXlNlRt50
作業着の男「ああ、そうだな」「――――奥の部屋に、綺麗な姉ちゃんがいるぜ」

女「へえ。貴方の恋人さんですか?」

作業着の男「まさか。娼婦とは言ってたが、客捕まえる前に酔い潰れて寝ちまったよ」
作業着の男「カウンターで寝っぱなしじゃ風邪も引くだろうから、仕方なく部屋に入れた」

女「それじゃあ、暇潰しにはなりませんね」


作業着の男「そう言うなって。顔だけ見てくのも悪かねえだろう」「胸もでかいし、顔も整ってる。泣き黒子も可愛いもんだ」
作業着の男「こんな御時世なのに、ほとんど義体にもしちゃいない。整形手術さえ受けちゃいない。まさしく天然物さ。娼婦にしとくにゃ勿体無いね」


女「……ふうん。じゃあ、顔だけでも」

作業着の男「おう、見てけ見てけ。もしかしたら、起きてくれるかもしれないぜ」

女「……毒林檎の一個で、死ぬような人にも思えませんがね」

作業着の男「どうしてまたそう思う」

女「なんとなく、ですよ。……それじゃ、お邪魔します」

作業着の男「おうとも。俺自慢の畳と卓袱台の和室、古き良き昭和の一部屋だ。寛いできな」ガチャ
36 : ◆aUbK72/AnA [sage]:2016/06/30(木) 22:30:55.25 ID:DXlNlRt50
女「さて、………………」ガチャ


黒髪の娼婦「…………すぅ、…………」


女「………………………」


黒髪の娼婦「………すぅ、…………………」

女「…………………………………………」

女「…………………………………随分、素直な寝顔ですねえ」


黒髪の娼婦「……………………すぅ、……………………………」


女「………………………………………ご丁寧に、蒲団まで敷かれてる」

黒髪の娼婦「…………………………………すぅ、……………………………………」

女「…………………………………………不思議な縁(えにし)も、あったもんです」

女「…………どれ」

女「……散々、耳いじめされた、仕返しでも」

女は黒いコートを脱いだ。その下に着た、草臥れたレディーススーツも脱ぎ捨てた。程なくして、彼女は下着だけになった。
ガタのきた雑居ビルの空調設備など高が知れている。冷えた外気へと存分に白い肌を晒して、女は徐に屈み込んだ。
煎餅布団を首まで被った娼婦の寝顔は、静かに寝息を立ててあどけなかった。平生の艶然とした色合いなど、どこになかった。

女「……………………ふーー……………」
37 : ◆aUbK72/AnA [sage]:2016/06/30(木) 22:49:19.59 ID:DXlNlRt50
娼婦「……んぅ、ふぅ…………」

女「……ふー、ふー」

娼婦「……んー…………?」

女「…………ふ」

娼婦「んー……………すー、……すー…………」

女「…………………」

女は元より仏頂面であった。今の女の表情には、殊更その意思が強かった。
ごそりと衣擦れ。屈み込んでいた女は、遠慮なく娼婦の眠る布団に潜り込む。

娼婦「…………ん、んぅ………?」

女「――起きて、ロゼッタ」

娼婦「――――――ふぁ、ひゃああっ!!」

細い唇で、女は娼婦の耳朶を挟み込んだ。直後にそう囁いて、耳の裏側をひと舐めした。女の目論見通り、娼婦は痙攣したように身体を跳ねさせた。
この程度の前戯、平生の娼婦であれば微笑みの元に受け止められたであろう。
然し彼女は微睡みの中にある女だった。であれば夢という媚薬に犯されない人間など、この世のどこにいるというのか。

女「ん、ちゅっ、れろ、っ……朝ですよ。まだ夜だけど、朝ですよ」

娼婦「な、ふぁあっ、ラティー、ナっ……? はあっ、ちょっ、胸ま、でっ……!」

愉悦に満ちた微笑みをそのまま囁きとして残しながら、女は思い切り舌先を伸ばして、娼婦の耳穴を好き放題に穿り回す。
背後から伸ばした両腕で、娼婦の身体を思い切り抱き竦める。女がそれで飽き足りる筈もない。
娼婦の仕事着であるドレスの上から、九月の西瓜のように熟れた両胸を鷲掴みにして、揉みしだく。
細く白い指先が、黒いドレスの布地に食い込んで、端正なその形を捏ねくり回して好き放題に歪める――――
38 : ◆aUbK72/AnA [sage]:2016/06/30(木) 23:05:16.56 ID:DXlNlRt50
女「そうですよ、ラティーナです。ほら朝ですよ、起きて、起きて、起きて……ん、ふふふ」

娼婦「は、ひぅ、はぅ……っ、ん、あ、い、ぅぅ……!!」

女「お耳とお胸だけで、そんなに感じちゃうんですか。可愛いですね、ロゼッタ……ん、れろぉ」

娼婦「やっ、だめっ、っっ、ひぅ、はぁ……んっ、あ、っっ、ぅぅぅ……!!」

女「もっともーっと、いじめてあげますから」「とっても可愛い寝顔みたいに、素直にさせてあげますから……ふふ、ちゅっ、ふふふ」

娼婦「そんな、のっ……っ、て、ぇ……ぅ、ひゃ、はぅぅ………っ」

女「お胸以外も試してみましょうか。ふふふ」「先ずは、お胸から下って、お腹……ん、じゅるるっ、ちゅうっ……」

娼婦「やっ、んぅ、はぁぅ……くす、ぐったい、からぁ…………」

女「本当にそれだけですか? くす……お腹から、お股、太腿……」「んふ。……びくんってしましたね」

娼婦「は、ひぅ……だめっ、言わないで……」

女「そんなこと言われたら、もっと言いたくなります。れろ、れろ……」「ロゼッタの柔らかーい太腿、とっても敏感なんですね」

娼婦「………っ、うぅぅ………………」コクン

女「ふふ。それじゃあ後で、沢山キスして、沢山舐めて、沢山犯してあげますから」「じゃあ、まずは」

女「――――――――もっと脚、開いてください」


◇ ◆ ◇ ◆ ◇

39 : ◆aUbK72/AnA [sage]:2016/06/30(木) 23:53:59.78 ID:DXlNlRt50
ちょっと今日眠くなってきたので一旦ここまでで
明日続き書きます
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/01(金) 00:20:43.85 ID:RATaDVz9O
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/01(金) 00:54:54.95 ID:Ppey9Gljo
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/01(金) 08:34:45.89 ID:9UavDYGvO
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