男「川で全裸のエルフ拾った

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/04(木) 22:45:25.91 ID:9m2tKT3V0
 男 「上の方から見慣れないモンが流れてきたと思ったら、まさか女の子が流れてくるなんてな……」

エルフ「流されるなんて思わなかったんですよ…… 流れもそんなに速くなかったですし、それにまさかあんなに深いところがあるだなんて……」

 男 「下流ならまだしもあの川は上流の方が深いところが多いからな。見た目じゃ深さも流れの速さもわからんし。しかし、なんでまた川の中に?」

エルフ「蒸し蒸しとした暑さにやられて弱っていたところにちょうど川が見えたので、水浴びしようとしてつい……」

 男 「二度とそんな不注意な行動はしないように。何のかんので毎年川で溺れ死んでる奴は相当いる。今回は運が良かっただけだ」

エルフ「相当、ですか…… そうですね、今後はこのようなことのないように注意します」

 男 「で、どの辺りで流されたんだ?そこらに服とか荷物とか置いてあるんだろうし明日にでも拾いにいかないとな」

エルフ「いえ、そこまでしていただく義理はありませんし、私だけで取りに行ってきます」

 男 「不慣れな土地を一人でか?どうも君はこの辺りの人間じゃなさそうだ」

エルフ「っと、それは、そのぉ…… で、では、よろしくお願いします」

 男 「今夜は俺の着古したそれで我慢してくれ。ちょっとおっさん臭くて申し訳ないが」

エルフ「すみません、お言葉に甘えさせてもらいます…… えと、ありがとうございます」

 男 「レムルストゥニ。確か『どういたしまして』って意味でよかったよな?」

エルフ「!?」
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/04(木) 22:48:55.09 ID:9m2tKT3V0
 男 「ん!?まちがったかな?」

エルフ「いえ、合ってます。ですが、どうして貴方がエルフの言葉を……?」

 男 「ああ、そっちか。なに、昔エルフと仲良くなったことがあってな。その時に簡単な言葉を教えてもらった」

エルフ「……なぜ私がエルフだとわかったんですか?」

 男 「その長い耳を見りゃわかるさ」

エルフ「あっ……」

 男 「今頃隠したって遅いって」

エルフ「……私をどうするつもりですか?」

 男 「そうだな、他の誰かに見つからないうちにどこかにあるっていうエルフの国に帰ってもらうとするよ」

エルフ「…………」

 男 「そう簡単に信じてもらえるはずもないか。……まぁ、それより耳じゃなくて他のところ隠してくれないか?目のやり場に困る」

エルフ「あっ……」

 男 「ん、よし。さっきも言ったけど今夜はゆっくり休んでくれ。結構長い間水に浸かってたんだろうしな」

エルフ「…………」

 男 「……じゃ、俺は下で寝てるから」
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/04(木) 22:52:51.44 ID:9m2tKT3V0
―――――
―――


 男 「……お〜い、起きてるか」

エルフ「…………」

 男 「ま、とりあえず服は扉の前に置いとくからな?着替えたら降りてきてくれ。朝飯にしよう」

エルフ「…………」





 男 「お、来たな」

エルフ「これは……?」

 男 「鹿の肉。あ、お嫌い?」

エルフ「いえ、嫌いとかではなくて、エルフは動物を食べたりなんて……」

 男 「そうだったのか。悪いな、そこまでは知らなかった」

エルフ「普通は知らないはずです」

 男 「ま、好き嫌いとか食文化だなんて言ってられる状況じゃなかったからな」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/04(木) 22:54:36.36 ID:9m2tKT3V0
エルフ「……と、言いますと?」

 男 「くだらない話さ。それよりこれならどうだ?芋を蒸かしただけのやつだが」

エルフ「……いただきます」

 男 「うん、これ食ったら早いとこ荷物を探しに行こう。急がないと獣がアンタの荷物を持って行っちまってるかもしれん」

エルフ「はい……」

 男 「しかし人間の言葉がうまいな」

エルフ「先生に教えていただきました」

 男 「先生……? っと、あんまり詮索しない方がいいか」

エルフ「…………」

 男 「……ん、ごっそさん」

エルフ「……ゴッツォサン?」

 男 「『ごちそうさまでした』だよ。全部言うとめんどいから略してる」

エルフ「ああ、それならわかります」

 男 「じゃあ改めて、ごちそうさまでした」

エルフ「ごちそうさまでした」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/04(木) 22:59:07.60 ID:9m2tKT3V0
―――
――


 男 「――――っと、それじゃ行こうか」

エルフ「……はい」

 男 「とりあえずは川沿いを上流に向かっていくとして……」

エルフ「…………」

 男 「どうした?」

エルフ「……貴方はディアンニフ、悪者、ですか?」

 男 「さぁ、どうだか?」

エルフ「答えてください」

 男 「……少なくとも俺は自分で自分を悪人じゃない、って言う奴は信頼できない。君はどうだ?」

エルフ「そうですね……」

 男 「…………」

エルフ「行きましょう。ご同道をお願いします」

 男 「……あいよ」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/04(木) 23:06:28.64 ID:9m2tKT3V0
―――
――


 男 「――――この辺も見覚えないか?」

エルフ「はい」

 男 「ってことはもっと上か…… そんなとこで君は何してたんだ?」

エルフ「実は私、旅の途中でして…… この頃、西の森の力が弱まってきているようで、その原因を確かめるべく西に向かっていたんです」

 男 「森の力……?」

エルフ「森にもある種の力があって、それが弱まると森と共に生きている私たちエルフはとても困るんです」

 男 「へぇ。で、その森の力とやらが弱まった原因を調べるために旅をしていた、と?」

エルフ「そういうことなんです」

 男 「……ところで」

エルフ「はい?」

 男 「こっちから聞いておいてなんだが今の話って、そんなにペラペラしゃべってもよかったのか?」

エルフ「人間さんはスウィルニフ……えっと、人の言葉で『善人』、『いいひと』みたいですから」

 男 「善人って…… なんでまた?」
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/04(木) 23:11:09.80 ID:9m2tKT3V0
エルフ「気を失っていた私を介抱していただきましたし、こうして一緒に荷物を探していただいてますし」

 男 「いや、でも善人ってほどじゃないだろ。普通だと思うけどな」

エルフ「そうなんですか?私、どんな人間が普通なのかは良く知りませんので」

 男 「まぁ、人間との接触はないだろうしな」

エルフ「聞いてる限りでは人間って基本的にディアンニフだとか」

 男 「違うと思うけどな。まぁ、人の本質は善だとか、人は生まれながらにして悪だとかそういう哲学的な話はよくわからん」

エルフ「あっ…… もしかして私の荷物を手に入れてからどうにかする気だったんですか?」

 男 「いや、そういうわけじゃないが……」

エルフ「……じゃあ、人間さんは悪い人ですか?」

 男 「いやいや、人間ってのはそう極端なもんじゃなくてだな……?」

エルフ「それでもやっぱり私は貴方は善人だと思います」

 男 「あー、うーん…… もうそれでいいや」

エルフ「はい!」

 男 (よくもまぁ、こんな騙されやすそうな子を旅に出させたもんだ……)

エルフ「?」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/04(木) 23:17:18.81 ID:9m2tKT3V0
―――
――


 男 「しかし、エルフのお嬢さんが一人旅というのは危なくないか?」

エルフ「はい?」

 男 「エルフと見りゃどんな手を使ってでも手に入れようとする連中は少なくないはずだ」

エルフ「そうですね」

 男 「そうですねって…… わかってんならどうして」

エルフ「大丈夫ですよ、弓の名手でもある友達が一緒なんです。いざというときは……」

 男 「友達?」

エルフ「はい、それが何か?」

 男 「……その友達は今頃君を探しているんじゃ?」

エルフ「……あ」

 男 「あー……」

エルフ「どっ、どうしましょぅ〜〜〜!!?」

 男 「落ち着け落ち着け」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/04(木) 23:24:52.79 ID:9m2tKT3V0
エルフ「ああ、今ものすごく心配かけちゃってますよね、ねぇ!?」

 男 「落ち着けって、なんかはぐれた時とかのために連絡手段とか用意してないのか?」

エルフ「えーっと、え〜と…… 全部荷物の中ですぅ!!」

 男 「そうか、じゃあ誤解の解ける望みは薄いか……」

エルフ「はいぃ!?ご、誤解、ですか……?」

 男 「さっきから獣にしちゃあ慎重過ぎる何かが俺たちの後をつけている。一体誰だと思っていたが」

エルフ「そ、それじゃあ!!」

 男 「ああ、多分それがアンタのお友達だろう」

エルフ「じゃあ、早速呼んでみますね!

 男 「あ、おい!」

エルフ「スウィーーーダァ!ニャヌルゥーワシシピィ!!」

エルフ「スウィーダ!」



エルフ「……フィナ?」

エルフ「スウィーーーダァ!トルキメニスタファッス!!」
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/04(木) 23:30:06.18 ID:9m2tKT3V0
 男 「……まぁ、すぐには出てきてくれないだろ。なんせ人間と一緒にいるんだから」

エルフ「それもそうですね。じゃあ人間さんはディアンニフじゃないって伝えてみます」

 男 「やるだけやってくれ、多分信頼されないと思うが」

エルフ「イズルミニフスィスィエルミアディアンニフ!ネレイシャスウィルニフ!エレンシェクルミニーヤ!!」



エルフ「……駄目ですかね?」

 男 「だろうな。俺に脅されて言わされていると思ってるのかもな」

エルフ「どうしましょうか……」

 男 「……じゃあ、ちょっと俺から離れてみてくれるか?」

エルフ「え?はい……」

 男 「もっと」

エルフ「はい」

 男 「……もっと」

エルフ「はい」

 男 「……じゃあな!」
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/04(木) 23:34:38.73 ID:9m2tKT3V0
エルフ「えっ……?」

 男 (川に飛び込みゃあ逃げきれるだろ……って)

 男 「おわっ!?」

エルフ「シャンハッ!?」

 男 「…… 逃がす気はねぇってか」

 男 (先を読まれてたか…… 後半歩進んでりゃ矢がブッスリだ)

エルフ「あぁっ!?そ、それ友達の使ってる矢です!!」

 男 「だろうな!」

エルフ「でもどうして…… 私がこの人はスウィルニフだって言ってるのに!」

 男 「アンタが俺に騙されてるか、もしくはそう言うように強制させたって思ってるんだろう!」

エルフ「……だったら!」

 男 「おい、近づいてくるなって!!」

???「……くっ」

エルフ「イズルミニフスィスィエルミアディアンニフ!ネレイシャスウィルニフ!エレンシェクルミニーヤ!!」

???「…………」
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/04(木) 23:37:54.29 ID:9m2tKT3V0
 男 (弓を構えた女……)

???「メイィ……」

 男 「……あれが、お友達?」

エルフ「はい、そうです。弓の名人で」

 男 「だろうな。実体験でよく知ってる」

???「……ヴェルシン、クィナドキア」

 男 (えーと、そこから離れて?)

エルフ「!? メイリィ!イズルミニジトゥアンタフィーフィキャリムリリクゥ!!」

???「ピスカチラッチェルスメラシカ、ペテオ」

エルフ「シュエルスターニャ?シャウアンダシィ!」

 男 (……流石にもう何喋ってるかわかんねぇな)

???「……そこの人間、両手を上げてゆっくりと立ちなさい」

 男 「……あいよ」

???「……貴方、この子に何をしたの?人間の貴方をかばおうとしているのだけど」

 男 「さぁ?少なくとも変なことをした覚えはないな」
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/04(木) 23:44:00.94 ID:9m2tKT3V0
エルフ「……ウィ、ウィアクルル」

弓使い「ヴェルシン!クィナドキア!!」

 男 「離れろって言ってるんだろ?離れてくれないか?」

エルフ「……はい」

 男 「……さて、と」

弓使い「妙な動きはしないで」

 男 「しかし、人間の言葉が通じるようで何よりだ」

弓使い「……動かないで、と言ったはずです」

 男 「話くらいはさせてくれないか?」

弓使い「……いいでしょう。あの子を誑し込んだ手口が分かれば今後の対策に活かせそうですし」

 男 「そりゃいい、特に何かやった覚えはないが役に立ちそうなら是非参考にしてくれ」

弓使い「そうですね、まずはなぜあなたがエルフの言葉を解するのか…… そこを聞かせてもらいましょうか?」

 男 「昔、君たちの同族から少しだけ教えてもらった。だからちょっとは理解できるが、さっきの君たちの会話はほとんどわかってない」

エルフ「メイリィ!メイリィゲリュンカイティヴィジゾース!!」

弓使い「ダウメイリィ?ハッ……」
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/04(木) 23:50:25.15 ID:9m2tKT3V0
弓使い「アズィヴニフトゥリャパーシマスウィルリャンパーパレシカ?」

エルフ「ワンファ!アズィヴニフグンタガーリースピャルフィフィニアンラ」

 男 (やっぱり何言ってるかさっぱりわからん……)

エルフ「エニシュアシュケクルルート!エルマタイスウィルニフシューリンキルメイア!!」

 男 (スウィルニフ、ねぇ……)

弓使い「スウィルニフ?ダン、エルルティマハリュート。ユリティニア」

エルフ「アズィヴニフデンリカスィルジン!マタタラティアフカイ!!」

弓使い「ドゥーネイシタ?エルニリャンリャメン、ワルジカスリーマ」

エルフ「シンバナラウーイ!ドウリャメンクルルフティードジャガンリャスパティア!」

弓使い「ナミエスタカセリョール、キアナナフィフィニアンラトリスパヤ」

エルフ「スィーナ、デンフルニャーマエルマタイスウィルニフシューリンキルメイア」

弓使い「エンツ、フォルアムスティルクニャシワワローンツ?」

エルフ「エニシュア!」

弓使い「クリュウ…… そこの人間、今の話は本当ですか?」

 男 「いや、わからんて」
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