提督「という訳なんだ、うむ」 ビスマルク「……」

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545 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/15(木) 19:34:44.14 ID:uX/mKVfCO
話が七転八倒して物語が破綻しかけてるSSの中の既に改心した浮気女に対して長文でぶっ叩いたり未だにビッチビッチ言ってる人こそ冷静になるべき
546 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/15(木) 19:48:00.80 ID:JxZwoHSAO
はいはいそうだねワロスワロス
547 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/15(木) 20:11:41.12 ID:FmvUYxvdo
俺が言うのもなんだけどお前ら書き込みすぎ……
レスバトル大好きかよ
548 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/15(木) 23:18:49.41 ID:nkGydrX8o
更新かと思ったのに
549 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/16(金) 20:57:55.77 ID:Br78PsKJo
胸糞展開だいすきでふ
550 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/16(金) 21:13:23.85 ID:GUCBmcpf0
更新はよ
551 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/16(金) 21:30:29.27 ID:vk+kscHto
更新楽しみにしてるよ
552 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/16(金) 23:42:33.97 ID:BtV3r95C0


プリンツ【……つまり、その告白ってのが重要で、結婚する前にそういうことするのは寛容なんだ】

青葉【そうですよ。それにしても、欧米は恋愛に日本より積極的なものと思っていましたが……割とお堅いんですね?】

プリンツ【一線を越えるとなるとだけどね。でも本当に人によるよ?特に最近は。……そういえば、女性から男性に積極的にアピールしても問題ないんだよね?】

青葉【そうですね。ただ、さっきも言いましたが限度がありますよ?常識の範囲です。あまりはしたなく迫ったら、大抵の人は引いていきますから】

プリンツ【なるほど……じゃあさ、私が仕事で前日の夜中に六時間かけてバイクで移動していたりしてすごい疲れてるとするよ?】

青葉【はい】

プリンツ【次の日、車でその人を迎えに行く約束してるんだけど、やっぱり途中で疲れちゃっても不自然じゃないよね?】

青葉【……それって明日その人と会うってことですか?】

プリンツ【かもね。それでさ、……ら……ラブホテルの前で、『疲れたからここで休憩したいな』ってのはどう……かな……?】

青葉【!?なっ……それは……】

プリンツ【もちろん。私はラブホテルってこと知らないふりしてるよ?ただ単に休憩したいなって感じで自然に聞くの】

プリンツ【そこでいいよってなったらかなりいいかなって思うんだけど……どうかな?やっぱりはしたないかな?】

青葉【うーん……その人とは悪くない関係なんですよね?なら……けど、そんな事をするなら普通に告白した方がいいんじゃないですかね?】

プリンツ【んー……確かにそうかも。もう一度考えてみるよ。ありがとね、青葉】

青葉【いえいえ、とんでもないですよ!このお返しに期待してますからね!なんて。あはは】

青葉【ただ、あくまで私の思う一般論だったので、そこのところはよろしくお願いしますね】

プリンツ【分かった。じゃあお休み、青葉。じゃあね】

青葉【はい。プリンツさんもお気をつけて。特に事故には、ですよ】

プリンツ『……普通に告白した方がいいんじゃない、か』

プリンツ《でも、アトミラールは今あの女に……すごい誠実で素敵な人だから、私が今、普通にアピールして告白しても断るはず……》

プリンツ《それこそ、ラブホテルに入るなんて!けど、私の疲労を癒すためなら優しいあの人は……チャンスは、ある……》

プリンツ《アトミラールだってきっとあの女に裏切られたことに傷ついている!それを押し殺してビスマルクなんかに……!!》

プリンツ《あの女より私の方がアトミラールにふさわしい!!アトミラールを幸せにできる!!アトミラールのことを愛している!!》

プリンツ《アトミラールもきっとそれに気づいてくれるはず……!!きっと私を選んでくれる……!!》

プリンツ《そのためなら、私は何でもできる。だって、好きな人の為だから》
553 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/16(金) 23:50:19.01 ID:BtV3r95C0


ヴゥゥゥゥン

プリンツ《はぁ……ようやく戻ってこれた。今は……深夜の二時だ。本当に疲れた……さっさとシャワーを浴びて寝よう》

プリンツ《正午にドイツ司令部に……三時間ぐらいかな。やることもあるし、準備ができたらすぐでなくちゃ》

プリンツ『……!』

プリンツ《誰か来る……》

川内『へえ、気がついたんだ。すごいね』

大和『……話してくれますよね?プリンツ・オイゲン』

瑞鶴『どこで何をしていたのか、ね?』

加賀『事と次第によっては……覚悟はできていますね?』

赤城『……とりあえず、中へ入りましょう。ゆっくり話さなくてはならないかもしれません』

プリンツ『……分かりました』



赤城『つまり、ドイツ軍司令部に呼び出されていたと?』

プリンツ『はい。緊急の呼び出しでしたので……連絡する時間もありませんでした。申し訳ありません』

瑞鶴『もしそうだとして、なんで終わった後すぐに連絡しなかったの?』

プリンツ『夜中でしたから……』

瑞鶴『……そう』

大和『内容は話せないんですね?』

プリンツ『緘口令が敷かれていますから……けど、ドイツの問題であってアトミラールに関係することではありません』

大和『……ふぅん、そうですか』

加賀『提督については何も知らないのかしら?……あなたはここ最近、ずっと秘書艦を務めていたでしょう?』

川内『そうだよ。何か手掛かりとか知らないの?いきなりいなくなるなんて、こんなの普通じゃないよ。きっと何かあるはず……!』

プリンツ『……もし知っているのなら、こんなところでじっとしていませんよ。皆さんだってそうでしょう?』

加賀『……そうね』

川内『……』ギュッ

赤城『……さて、ではこれ以上のことは分からなそうですし、今日はもう寝ましょう。提督が戻らない場合は、昼にまた話すこととします』

プリンツ『あ、赤城さん。私、また司令部へ行かなくてはならないので明日も出ますね』

赤城『そうですか、分かりました。なら後で必要書類を提出するようにお願いします』

プリンツ『はい』

赤城『では解散。皆さん、おやすみなさい』
554 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/16(金) 23:58:49.31 ID:BtV3r95C0


プリンツ『ふぅ……』

プリンツ《寝支度がすべて整い、私はベッドに入った。明日のことを考える》

プリンツ『あの女が戻ってくるまで短ければあとひと月、長くともふた月。時間がないんだ……やるしかない』

プリンツ《アトミラールとホテルインする。何もなくても、それだけで関係を深められる。そしてあわよくば、私は……》



提督【プリンツ、ここがどういうとこか知っているか?】

プリンツ【えっ?ホテルじゃないんですか?】

提督【ああ、ホテルだ。だが、ただのホテルじゃない。……恋人同士が愛し合うためのホテルなんだ】

プリンツ【……!!】

提督【プリンツ……俺は、辛かった。あんなことになって……けどビスマルクを取り戻すことができた。それでいいはずだった】

提督【けど、駄目なんだ……まだ辛い。俺は、ビスマルクが好きだった。けど、それは前までだ】

提督【ビスマルクをとり返したのは、ただの復讐の為だけだったんだ……全部終わって気がついた。人として最悪だ】

提督【あいつには悪いことをしたと思ってる。でも、駄目だった……苦しいんだ……プリンツ……】

プリンツ【アトミラール……悪いのはアトミラールじゃありませんよ。あいつらが悪いんです。気にすること必要はありません】

提督【プリンツ……君は、俺が辛い時にずっと近くで支えてくれた。助けてくれた。本当にありがとう】

提督【……気がついたんだ。俺は、君が好きだ。君が欲しい】

プリンツ【……!!アトミラール……!!】ウルッ

提督【どうか、これからも一番近くで俺を支えてくれないか?】

プリンツ【はい……!!もちろんです。私も、ずっと好きでした!本当に……ずっと好きで、辛かったんです】ポロポロポロ

提督【プリンツ、目を閉じて】

プリンツ【!!……】パチリ

提督【……】チュッ

プリンツ【んふぅ……はぁ……んむぅ……】ダキッ

提督【……】ギュッ サワッ

プリンツ【!!】ピクッ

提督【嫌か……?】

プリンツ【……いいえ】ジュン

提督【プリンツ、大好きだ。愛してる】ナデナデ ツプッ クチュクチュ

プリンツ【ぁん……アトミラール……私も大好きです……はぁっ……愛してる……やぁ……!!】ピクンピクン
555 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/17(土) 00:03:39.29 ID:aEXKxsXo0


プリンツ『……』ムラッ

プリンツ『……』スルリ ピトッ モミ



プリンツ【ふあぁ……あとみらーる……切ないです……】キュンキュン

提督【初めてか?】

プリンツ【は、はい……】カァッ

提督【なら、優しく慣らさなくてはな。……俺を信じて、力を抜いてくれ】ピトッ

プリンツ【あとみらーる……こわいです……わたし……】

提督【大丈夫だ。俺がついてる】

プリンツ【ん……手を。手を握ってください……】コクッ

提督【プリンツ、愛してる】グイッ ブツッ

プリンツ【わたしも、っはぁああ!!くぅぅっ……!!】ギュッ

提督【っ……キツイ、な……】ズプププププ

プリンツ【ああっつぅ……!!あとみらーるのが……はいってきてる……!!】

提督【プリンツ、これでお前は俺の女だ。君一人を愛し続けると誓う。だから、俺と結婚してくれ】

プリンツ【はいっ……はい!!私、嬉しいです!!嬉しすぎて、おかしくなちゃうっ……!!】

提督【そうか……!!痛みがなくなるまで、しばらくこうしていよう。んっ】チュッ

プリンツ【んむぅ……んちゅ……はぁん……れろれろれろ……】ダキッ ギュッ
556 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/17(土) 00:05:26.92 ID:aEXKxsXo0


プリンツ『はぁ……はぁ……』クチュクチュ モミモミ クリクリ

プリンツ『んふぅ……』



プリンツ【あん!!はぁん!!あ、あとみ!!あとみらーるっ!!わたしぃっ!!なにか!!なにかきちゃいますぅ!!】ズッチュズッチュズッチュ

提督【俺もだっ……プリンツ……!!中で出してもいいか……!?】パンパンパンパン

プリンツ【っ……!!あ、あかちゃん……できちゃいますよぅ……?】

提督【いいんだ、そうしたい……君さえよければ……君に俺の子供を、産んで欲しい……!!】

プリンツ【アトミラール……!!私……!!産みます!!頑張って元気な赤ちゃん産みます!!】

提督【ああ……!!ああ!!くっ……はぁっ……!!】ビュルルルルルルルル

プリンツ【っはあああああ!!あっ……はぁっ……アトミラールのが……たくさん、中に出て……あつい……】ビクンビクン

提督【プリンツ……もう一回たのむ】チュッ

プリンツ【ああっ中でまた大きく……んふぅ……はむっ……ちゅぅ……】



プリンツ『っ……はぁ……はぁ……』ネトォ

プリンツ『ぅ……ティッシュ……』ガサガサ

プリンツ『寝ないと……あした遅刻しちゃう……』
557 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/17(土) 00:14:01.04 ID:vuML58UyO
ビスマルクなんてどうでもいいからプリンツルートあくしろよ
558 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/17(土) 01:24:23.61 ID:V/OlpOydo
妄想が出てしまった時点で結果は見えている
559 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/17(土) 09:23:56.02 ID:xryxJ5vS0
更新キターーー
560 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/19(月) 00:54:49.78 ID:olty7XRh0


ジリリリリリ

プリンツ『……』ピッ

プリンツ『……眠い。シャワー浴びないと』ノソリ

プリンツ『……あれ、メールだ。メンゲレから?……ふーん』



赤城『皆さん、集合していますね』

長門『ああ。それで、話というのは?』

赤城『提督についてです』

『『『『!!??』』』』ザワザワ

大和『赤城さん!!話してください!!』

瑞鶴『何が分かったの!?』

赤城『今朝、提督から私に連絡がありました。提督はい号作戦に関して緊急の打ち合わせがあり、友少将の元へいらっしゃっていたそうです』

大和『そ、そうなんだ……』

瑞鶴『良かった……見つかって。本当に良かった……』

長門『それで、いつ戻ってくるのだ?』

赤城『今日です。オイゲンさんがドイツ軍司令部へ行く用事があるので、彼女の車で戻ってくるそうです。時間は午後になるとのことでした』

大和『っ!!』ガーン

瑞鶴『っ……』ズキッ

赤城『ですので、お戻りになられるまでは引き続き私が指揮を執ります。以上、解散!各員の務めを果たしなさい』

『『『『了解』』』』

赤城『ではオイゲンさん。頼みましたよ』

プリンツ『はい、任せてください』
561 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/19(月) 00:57:33.25 ID:olty7XRh0


プリンツ『……このあたりかな?』

プリンツ《あの後、すぐに準備を済ませて出発した。時間は早かったけどやることがあった。それは……》

プリンツ『うーん……どこにしようかな?』

プリンツ《アトミラールと入るのにいい感じのラブホテルを探すことだ。恥ずかしいけど仕方がない》

プリンツ《もちろん、目立たないように持ってきていた私服に着替えている。軍人がこんな所をうろうろしていたら、目立つことになるから……》

プリンツ『外観はなかなかよさそうだし……位置的にもここなら自然に入れるかも。ちょっとスマホで調べてみよう……』

プリンツ《変な所は嫌だし、そういうことを考えているなんて知られたら恥ずかしくて死んでしまう。不自然にならないように気を付けなくちゃ》

プリンツ『……うん、よさげかな。ここにしよう。……あっ』

プリンツ《カフェか……ちょっとお腹すいたし、眠気覚ましにカフェインが欲しいかな。時間に余裕があるし、よっていこう》

プリンツ《車を停めて、カフェに入る。サンドイッチとカフェオレを頼んで、席に座った。そこそこイケる。束の間のコーヒーブレイクを楽しむ》

プリンツ『……おいし』

チャラ男『Excuse me?』

プリンツ《……なに、この人。英語?》

プリンツ『……Yes?』

チャラ男『こんなところで何やってんの?もしかして暇してる?』

プリンツ『いえ、そういう訳ではありませんよ』

チャラ男『そうなの?じゃあ君みたいな美人が一体なんでこんなラブホ街にいるわけ?』

プリンツ『ラブホ街?私はただカフェに入っただけですよ』

チャラ男『そうなんだ。ねえ、もしよければこの後俺といいことしない?』

プリンツ《なるほど……そういう輩か。反吐が出る。もっと他に大切なことがあるだろうに》

プリンツ『暇でないといったはずですが?』

チャラ男『少しでいいからさ?そうだ、このあたりにいいケーキ屋あるんだよね。奢ってあげるからさ、一緒に行かない?』

プリンツ『お断りします。では』ツカツカツカ

プリンツ《そう言って残りを一気に飲み干し、サンドイッチを持って店を出ようとする》

チャラ男『ちょっと待ってよ!話はまだ終わってないよ!』グイッ

プリンツ『っ!放してください』
562 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/19(月) 00:59:23.04 ID:olty7XRh0
チャラ男『いいじゃん、旅先での一夜の夢ってやつ?俺って結構うまいんだよ?試してみない?』

プリンツ『結構です!私には心に決めた人が居て、その人以外とどうこうするつもりなんて絶対にありませんから』バッ

チャラ男『っ!だから待ってって言ってるだろ!っ!?』ガシッ

プリンツ《再び肩を掴んできた軽薄そうな男の手を取り、捻りあげる。簡単な護身術だ。するとそいつは日本語で怒声をあげた》

チャラ男『痛い痛い痛い!!止めろ!!』

プリンツ『これに懲りたらさっさと失せなさい』パッ

チャラ男『んだよ日本語喋れんのかよ!!お前ただで済むと思うなよ?』

プリンツ『へえ、どうしようって言うの?』

チャラ男『シメて、俺の腕捻った分謝罪してもらうからな?逃げたって無駄だから。このあたりは俺らのたまり場だし』

プリンツ『はぁ……』

プリンツ《仕方ない。私はこれ以上面倒なことになる前に、さっさと事態を終わらせることにした。身分証をカバンから取り出し、見せる》

プリンツ『さっきも言ったけど私は先を急いでいるの。通しなさい』スッ

チャラ男『んだよ。何だそれ……っ!?ドイツ軍!?』

プリンツ『……通しなさい』

チャラ男『は、はい……』

プリンツ『どうもありがとう』

プリンツ《とても不快な気分で店を出る。私がアトミラール以外の人とそういうことをするわけがない》

プリンツ《すこし早いけど、使うホテルも決まった。もう他に用事はないし、さっさと司令部へ向かうことにしよう》
563 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/19(月) 01:01:18.34 ID:olty7XRh0


プリンツ《何事もなく司令部へ到着し、アトミラールを待つ。その時間が一日千秋のように感じられた》

プリンツ《何かあって、またアトミラールが居なくなってしまっていたりとか……ありえないはずの想像が何故か唐突に脳裏に浮かぶ》

プリンツ『……!!アトミラール!!』ダッ

プリンツ《だから、エントランスから現れたその姿に安心し、こみ上げるものがあった。昨日は、血気に逸っていたこともあって、それどころじゃなかった》

プリンツ《けど本当は、すぐにでもその旨に飛び込みたかった……全身で感じたかった……!強く抱きしめてほしかった……!!》

プリンツ《もう我慢できなかった!!》

提督『プリンツ!!』

プリンツ『アトミラール!!』ダキッ

提督『!!プリンツ……?』

プリンツ『アトミラール!!アトミラール!!アトミラール!!』ギュッ

提督『プリンツ……よしよし』ナデナデ

プリンツ『アトミラールに会うまで、何かあったら……またいなくなっちゃたらどうしようって……!!ずっと怖くて……!!』

提督『……大丈夫だ、俺はここにいる。本当にありがとう。君にはなんて感謝すればいいか』

プリンツ『いえ、いいんです。アトミラールがこうして私の近くにいてくれれば…… っ!!』

プリンツ《視界に入る、不快なもの。じっと窓からこちらを見下ろす、呪われるべき敵、なぜこいつが赦されたのか》

プリンツ《私はありったけの敵意、憎しみを込めてそいつを睨みつける。するとそいつは、傷ついたような表情をする》
564 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/19(月) 01:02:27.49 ID:olty7XRh0
ビスマルク『!』

プリンツ《ふんっまるで被害者のように振舞っているが、お前も大きな十字架を背負っていることを忘れるな!!》

提督『いや、それじゃ俺の気持ちが収まらないよ。俺にできることなら何でもする。だから、何でも言ってくれ』

プリンツ『……はい、分かりました。ありがとうございます。では、行きましょうか。他の皆さんもとても心配していますから』

プリンツ《一刻も早くあの女からアトミラールを連れて去りたかった。ここにいるだけで何か悪いことが起きそうだ》

提督『ああ、そうだな』

プリンツ『っ』ギリッ

プリンツ《笑顔であいつに手を振るアトミラール。私の心に狂おしいまでの狂気が渦巻いた》

プリンツ《車に乗る前に、もう一度あいつを睨みつける。悲しそうな顔をしていることに、むき出しの神経をなでられたような不快感》

プリンツ『では、出発しますね』

提督『ああ、頼む』

プリンツ《必ずお前の元からアトミラールを解放してやる!アトミラールと一緒に幸せになってやる!!》
565 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/19(月) 01:04:44.14 ID:olty7XRh0


プリンツ(そろそろだ、そろそろ仕掛ける時。落ち着いて、Andere Länder, andere Sitten(郷に入っては郷に従え) だ)

プリンツ(セックスは普通なことなんだ。自然に、怪しまれることなく……私ならできる。頑張れ、プリンツ・オイゲン!)

プリンツ「あ、アトミラール?」

提督「!?ど、どうした!?」

プリンツ「えっと……さすがに長い間運転して疲れちゃいました……」

提督「そうか?なら運転を代わろうか」

プリンツ「い、いや、アトミラールは肩を撃たれていますから!だから安静にしていたほうが良いですよ!」

提督「そうだな……確かにそうだ」

プリンツ「そうですよ!本来ならもっと頑張れるんですが、昨日バイクで往復12時間だったので……」

提督「バイクで往復12時間……!?そういえば、プリンツがどうやってあそこへ来たのか考えてなかった……あの天気でか……!!」

提督(プリンツ……お前はそこまでして……俺は……)

プリンツ「ですから、やはり少し休憩すべきかなって思うんですが……どうですか?」

提督「もちろんだ!お前の体が一番だからな」

プリンツ「ありがとうございます。どうしようかな……」

プリンツ(もう少しだ、もう少し……来た!!)
566 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/19(月) 01:06:11.79 ID:olty7XRh0
プリンツ「あ、見てください。なんかあのホテル、休憩なんてあるみたいですよ。ちょっとよってもいいですか?」

提督「!?」

提督(あ、あれは……!!っ…… だが、別に変なことをするわけじゃないし……)

提督「プ、プリンツ……あれはラブホと言ってな?恋人同士がそういうことをするための場所なんだ」

プリンツ「……え、えー!?そうなんですか?じゃあどうしましょうか……」チラッ

提督「……ま、まあ普通に寝ることもできるはずだ。ちゃんとしたベッドもあるしな。だからプリンツさえ良ければ……」ドキッ

プリンツ「じ、じゃあ行きましょうか!はい!居眠り運転とか危ないですしね!」

提督「あ、ああ」

プリンツ(……きた!!勝った!!これってつまり、アトミラールは既に私とこういうところに入ってもいいぐらいには私のことを……!!)

プリンツ(もしかしたら、本当に今日……私はアトミラールと、本当に……!!プリンツ・オイゲン、行きます!!)

提督(落ち着け、落ち着くんだ。プリンツはあくまで休憩したいだけだ。そもそもラブホなんて知らなかったみたいだし)

提督(誘ってるわけじゃない。勘違いするなよ、俺。……いや、それ以前に俺にはビスマルクがいる!!)

ビスマルク『アトミラール!!』ニコッ

提督(そうだ、俺には心に決めた人が居る。……だから駄目だ、そんなことは!!)

プリンツ『アトミラール……!!』ダキッ

提督(……それでも、駄目なんだ。俺は本当にビスマルクが好きなんだ。心から愛している)
567 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/19(月) 01:08:49.69 ID:olty7XRh0


プリンツ「へぇ……なんかすごくお洒落ですね。たしかに、雰囲気あるかも……」

提督「そ、そうだな。じゃあ、プリンツ。お休み。今日中に帰ればいいんだ。18時に起こすからゆっくり休んでくれ」

プリンツ「はい。ありがとうございます。けど、この服で寝るのは……あ、クローゼット。バスローブがありますね。これは……へぇ、下着まで売ってるんですか」

提督「あ、ああ。着替えるか?なら俺はトイレにでも籠るから終わったら言ってくれ」

プリンツ「……アトミラール。私、シャワー浴びてもいいですか?」

提督「しゃ、シャワーか……!?」

提督(クソ!!なんで風呂が透けてるんだ!!これじゃはっきりとは見えないがシルエットが丸見えじゃないか!!)

プリンツ「せっかくなので……駄目ですか?」モジッ

提督「……っ!!」

提督(プリンツは、恥じらうように顔を赤らめ少し俯かせている。そしてちらりと上目遣いでこちらを伺う)

提督(まるで映画やドラマで見るようなシチュエーションだ。ただし、場所が校舎裏やらで、内容が好きですという告白ならだが)

プリンツ「……」

提督「……あ、ああ。分かった。いいぞ。俺はトイレに籠ってr」

プリンツ「そんな!申し訳ないです!アトミラールなら、私は大丈夫ですから。くつろいでいてください。では」

提督「!」

提督(プリンツは俺を遮るようにそう言うと、バスローブを掴んで脱衣所に早歩きで行ってしまった)

プリンツ「……」シュルシュル パサッ

提督「……ごくり」

提督(ぼんやりと見えるシルエット。灰色の軍服が脱げていき、肌色が露わになる。この向こうでは、今、プリンツが……)

提督「……!!」ブンブンブン

提督(駄目だ駄目だ駄目だ!!落ち着け!!どうする?そうだ、歌を歌おう!!朝だ夜明けだ潮の息吹き!!うんと吸い込むあかがね色!!)
568 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/19(月) 01:10:31.16 ID:olty7XRh0


プリンツ「ふぅ……上がりました、アトミラール。失礼しました」

提督(いつもと違って髪を下ろした姿に、またどきりとした。いつものかわいらしい姿からは信じられない大人っぽさだった)

提督「そ、そうか!良かった。じゃあ一息ついて寝るか?」

プリンツ「そうですね。けど、その前に……ちょっと下着を買わないと……」

提督「!?」

提督(ということは……今、プリンツはバスローブ以外何も……!!)

プリンツ「何種類かあるんですね……へぇ……あ、アトミラールはどれが良いと思いますか?」

提督「お、俺に聞くのか!?」

プリンツ「はい。是非選んでほしいなって思いまして」

提督「……っ!!そ、そうだな、その黒いのが良いと思うぞ!?」

プリンツ「これですか?……結構、大胆な奴ですね……?」チラリ

提督(しまった!!ついとっさに好みで選んでしまった!!)

提督「あ、いや……お、思ってたのと違うな?そっちの白い奴の方がいいんじゃないか?」

プリンツ「こっちですか……?ふぅん……」

プリンツ(方や煽情的なレースの黒い下着。方やシンプルな白い下着。アトミラールの反応からして、黒い方が……)

プリンツ(でも、ここで黒いのを買うと不自然だし……そういうことを期待してるってバレるかも。なら)

プリンツ「じゃあ、こっちにしよう……かな……?」

提督「あ、ああ、それがいい!俺が買おう」

プリンツ「え、そんな!悪いですよ」

提督「気にするな。君には感謝してもしきれないほど感謝しているんだ。これぐらい当たり前だ」
569 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/19(月) 01:11:56.13 ID:olty7XRh0
プリンツ「そ、そうですか?なら……」

提督「ああ、そうしてくれ。……ほら、これで」

プリンツ「ありがとうございます。……では、ちょっと身に着けてきますね」

提督「あ、ああ」

提督(この場所の雰囲気のせいか、妙に気分が浮つく。だが、俺にはビスマルクがいるんだ。馬鹿なことはできない)

提督「気を引き締めなくては……」ボソリ

プリンツ「……おまたせしました」

提督「いや、大丈夫だ。……じゃあそろそろ寝るか?」

プリンツ「……アトミラールはどうするんですか?」

提督「俺か?そうだな……とりあえず、俺もそこのソファーで昼寝するよ」

プリンツ「えっ!?ソファーでですか?」

提督「ああ」

プリンツ「そんなの申し訳ないですよ!」

提督「だが同じベッドで寝るわけにはいかないだろう?」

プリンツ「……一人で寝るのが怖いんです」ギュッ

提督「!」

プリンツ「アトミラールが正気を失って以来、ずっと心休まる日がありませんでした……」シュン

プリンツ「本当に……本当に怖かったんです。いつか提督が本当に壊れていなくなってしまうかもしれないと思って」ウルッ

プリンツ「昨日、急にいなくなってしまったときはもうだめかもしれないと思いました。……私も限界だったんです」フルフルフル

提督「すまない……本当にすまない、プリンツ……俺は……」
570 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/19(月) 01:13:25.06 ID:olty7XRh0
プリンツ「いいんです。今、アトミラールは、正気に戻ってここにいる。だからもう大丈夫です。けど……」

プリンツ「だけどもしアトミラールさえよければ……どうか今日だけ、一緒に寝てくれませんか?……アトミラールを感じさせてくれませんか?」チラッ

提督(それは悲痛からか、あるいは別の感情か。プリンツは表情を曇らせ、目に涙を浮かべつつ上目遣いでこちらを伺っていた)

提督(俺のために、我が身も顧みずにひたすら尽くしてくれた。そして今、その緊張の糸が切れて、秘めていた自分をさらけ出している)

提督(そんな健気な少女のために、俺ができることは……)

提督「わかった。是非、添い寝させてくれ」

プリンツ「アトミラール……!!はい、ありがとうございます……!!」パァッ

プリンツ(ようやく話せた自分の気持ちに満足する。何より、アトミラールがこうも優しく受け入れてくれたことが一番うれしい)

プリンツ(アトミラールが上着と靴下を脱ぎ、ズボンと下着姿になった。目覚ましをセットする)

プリンツ(私は促されてベッドに入り、アトミラールがすぐに隣に入る。感じるアトミラールの……男の人の体温に、匂い。胸がドキドキする)

提督「お休み、プリンツ」

プリンツ「はい。……」ニギッ

提督「!……」ギュッ

プリンツ(向かい合って眠る。手を伸ばし、アトミラールの手を握ると、握り返される。本当に幸せだ)

プリンツ(どっと疲れが、精神的なものも身体的なものも全て溢れ出てきた。緊張が解けたのだと思う)

プリンツ(瞼が重くなる。……最初は、もっと肉欲的なものを求めていた。けど、今はこれでいい。そう、今だけは)

プリンツ(本当に純粋な気持ちだった。こんな気持ちになれるだなんて。私は、本当に久しぶりの安らかな眠りに落ちて行った)
571 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/19(月) 01:18:28.82 ID:olty7XRh0


プリンツ「ん……」

提督「起きたか?」

プリンツ「あ。……アトミラール?」

提督「眠ければまだ眠っていていい。時間は延長するよ」

プリンツ「いや、起きますよ。起きますから……もう少しだけ……」ダキッ ギュッ

提督「!」

プリンツ「アトミラール……すぅ……すぅ……」

提督「……」ナデナデ

プリンツ「だい……すき……」

提督「っ……」

提督(もしかしたらと考えたことがない訳ではない。いや、かなり確信していた。どうしてプリンツがこうまで俺を助けてくれたのか)

提督(プリンツの、そのあどけない寝顔を見る。文句なしの可愛い美少女だ。幼さを残しつつも大人へと成長しつつある整った顔立ちは、きっと誰もが振り向くだろう)

提督(外見も良い。だが、プリンツの一番のいいところはその優しい性格だ。彼女が居なければ、俺はきっと倒れていただろう)

提督(そんな子にここまで思われてうれしくないわけがない。もし俺が独り身なら絶対に告白していただろう)

提督(今だってその白い肌と年の割に豊かな体つき、特に腰回りとローブの胸元から覗く豊かな双丘に目が釘つけになりそうだった)

提督(漂ってくる甘い良い匂いに心臓が早鐘を打っている。……だが、俺には愛するビスマルクがいる)

提督(形の良い眉に飾られた凛々しい印象を覚える釣り目は、透き通るような蒼穹のように青く常に自信に満ち溢れていた)

提督(若々しくとも妖艶な大人の色香を纏ったその様は、あの卑しいデブが卑劣にも騙して、洗脳まがいのことをしてまで欲したのも分かる)

提督(いつだって頼りがいがあって、何があっても諦めず、ビスマルクに任せれば何とかなると思わせてくれた)

提督(そして、とても純粋で仲間を信じて戦っていたんだ。だからこそ、あの男につけ入れられてしまったのだが……)

提督(ともかく、俺はビスマルクが誰よりも好きだ。本当に心から愛している。だから、俺は……)
572 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/19(月) 01:20:26.74 ID:olty7XRh0


プリンツ(一度目が覚めた記憶があるが、結果的に二度寝してしまった……目が覚めた時にはもう夜だった)

プリンツ(予定がとても遅れてしまった。謝る私に、しかしアトミラールは優しく謝るような事じゃないと言ってくれた)

プリンツ(……それにしても、とっても気分のいい目覚めだった。幸せだった。アトミラールと一緒になれれば、きっと毎日がこんななのだろう)

プリンツ(支度をして、ホテルを出る。時間が時間だったから、イタリアンの店でディネーをとった。無事に帰還したころには、すでに23時近くだった)

プリンツ(待っていた赤城や大和、瑞鶴たちはまず提督の傷に驚き、心配した。提督は打ち合わせ通りにみんなへ説明して、なんとか納得してもらえたみたいだった)

プリンツ(アトミラールは罪悪感があるようだったけど、仕方ないことだもの。悪いのは全部あいつらだ)

プリンツ(すべてが終わった後、私は部屋に戻ってシャワーを浴び、寝支度を済ませてベッドに入った。あまり眠くないが、寝ないといけない)

プリンツ(……今日、私はアトミラールと一緒になる事の幸せを改めて知った。本当に素晴らしい、至福のひと時だった)

プリンツ(それを知ってしまった今、もう絶対に後戻りできない。必ずアトミラールと添い遂げて見せる)

プリンツ(青葉に話を聞いたことを実践する。それに、そういうサイトや本、映画やドラマでさらにいろいろ調べるんだ)

プリンツ(絶対にアトミラールを振り向かせて見せる。あんなひどい娼婦なんかにアトミラールは相応しくない。絶対に……)
573 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/19(月) 01:30:33.40 ID:olty7XRh0


ピピピピ ピピピピ

提督「っ……今日も暑いな」ピッ

提督(あの日無事に帰還してから今まで、俺はとても忙しかった。い号作戦の為だ)

提督(みんなが俺を支えてくれた。特に、プリンツはずっと付きっきりで秘書艦を務めてくれていた。本当に助かった)

提督(そして現在、俺たちはポートモレスビーに来ている。昨晩到着したばっかりだ。作戦開始まであと一週間もない)

提督(ここはとても暑く、マラリアに気を付けなくてはならない。住むのには向いていないな。しかも、作戦のために急ピッチで築かれた拠点だ。最低限なものしかないが、まあ作戦の為には十分だ)

提督(俺はこの前までおかしくなっていたとはいえ、それはビスマルクのことに関してだけだ。作戦を確認してみたが、おかしなところはない)

提督(まあ、記憶には残っていたし、作戦会議で承認されたのだからあまり心配していなかったが。それでも、良かった)

提督(きっと成功する。そうすれば、南部戦線は消滅するはずだ。勝利への大きな一歩になってくれる)

提督(俺は支度を済ますと、司令部へ向けて出発した。片道10分ほどの道のりだ)

提督「……ん?あれはプリンツか?何をしているんだあんなところで」

提督(司令部まであと半分ほどの所で、プリンツが立っている。ちょうど艦娘の宿舎への道が合流する所だ)

プリンツ「……! アトミラール!おはようございます」

提督「おはよう、プリンツ。どうしたんだ?何か用か?」

プリンツ「いえ、一緒に司令部まで行こうと思いまして」

提督「そのためだけにわざわざこんな暑い中待っていたのか!?」

プリンツ「どうしても一緒に行きたかったんです。……駄目でしたか?」シュン

提督「い、いやまさか!!……じゃあ向かうとするか」

プリンツ「ありがとうございます!!」

提督(隣を歩くプリンツに歩調を合わせる。風向きからか、かすかに漂ってくる甘い香りにプリンツの存在を感じた。思い返してみると、ここ最近いつものことだった)
574 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/12/19(月) 01:34:21.32 ID:olty7XRh0


[参謀本部より第十艦隊へレンラク。敵に大規模攻勢のヨチョウあり。第十艦隊は南部方面からの威力偵察をジッコウせよ]

[本作戦のモクテキは敵の攻勢方面の確認である。北部戦線では第十三艦隊が、太平洋戦線では第十二艦隊が]

[そしてインド洋方面戦線では第十五艦隊がタントウする。以上、ブウンを祈る]

[艦隊司令部よりTF109へレンラク。TF109はR-16より敵領域へ侵入、威力偵察をジッコウせよ]

[本作戦のモクテキは敵戦力及び敵の反応のカクニンである。以上、ブウンを祈る]

「サテ、やるとするゾ。TF109. カクイン、戦闘準備」

「敵はまたコウセイをするつもりなのカ……」

「今度はきっと勝てル。主戦線ヨリ戦力が引き抜かれてくるラシイ」

「南にはもうコナイデ欲しいな。ずっとゲキセン続きだ。モウたくさんダヨ……」

「キタとしてもはじき返してヤルサ。遅れずについてコイヨ?バツビョウ!!」
575 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/19(月) 01:56:31.91 ID:5HI7WQu1O
プリンちゃん幸せになってほしいわ
576 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/19(月) 03:16:45.85 ID:tYiWFyupo
プリンちゃん一途なのはいいけどこのままだと結局[ピザ]とすることが同じになってしまうからなぁ
577 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/19(月) 13:35:03.65 ID:yIQo7V9OO
プリンちゃん寝取られそうだなあ
このssに対してはもはや穿った見方しか出来ない
面白いけども
578 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/19(月) 16:07:12.28 ID:xsvXZOT8o
あのチンピラが伏線にしか見えなくて困る
579 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/19(月) 17:43:49.19 ID:LlM0HNjA0
もうみんなバッドエンドしかない気がする
プリンちゃん寝取られたらホンマ糞やわ
まだ提督守って轟沈の方がまし
580 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/19(月) 17:47:45.63 ID:RVX11pSrO
先にビスマルクが裏切ってんだから別に構わないでしょ
さっさと捨てたれ
581 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/19(月) 17:54:18.83 ID:Vx/ub2oxO
ビスマルク轟沈でプリンツルート希望
582 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/12/20(火) 00:07:42.23 ID:hW9oWmVK0


提督『どうやら敵も我々の動きに気がついたらしい。各戦線にて敵の威力偵察と思われる侵入が始まった』

提督『無論、我々はこれに対抗せざるを得ない。よって迎撃のために艦隊を編成する。第一艦隊は旗艦愛宕、第二艦隊は〜』

プリンツ(というわけで、私は敵艦隊迎撃に出撃することとなった。提督の期待に全力で答えて、できる女アピールだ!)

プリンツ(私がいる限り、ここを抜かせはしない!と、思っていたけれど……)

プリンツ「……」

川内「……」

電「はわわわ!川内さんとオイゲンさんがなぜか険悪な雰囲気です!」ボソリ

雷「どうしたのかしら……?」ボソリ

暁「何よ。任務中に私情を挟まないで欲しいわね」ボソリ

響「困ったね……」ボソリ

プリンツ(川内はどうやら私のことを嫌っているみたい……まあ当然かもね。私の行動は事情を知らない川内達から見れば怪しい事このうえないだろうし)

プリンツ「……!」ハッ

川内「敵艦隊発見、だね」

電「え……あ!見つけました!」

電「重巡洋艦が四隻もいるわ!」

響「それに駆逐艦も二隻確認できるね。かなり強力だよ」

暁「戦力的には不利。どうするんですか、オイゲンさん?」

プリンツ「勿論、ここで迎撃するよ。戦闘準備!」

「「「「了解!」」」」

川内「大丈夫だよ、特III型駆逐艦。あんなの私たちにかかれば魚の餌だから」ニッ
583 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/20(火) 00:16:32.92 ID:hW9oWmVK0
プリンツ「単縦陣!遅れないで!」

プリンツ(敵もこちらに気がついた。この状況じゃ距離を詰めて戦うしかない。なら……)

川内「オイゲンさん、提案があります」

プリンツ「!……突撃?」

川内「距離をとって打ち合ってもジリ貧でしょ?駆逐艦を連れて私が突撃します。だから、援護をお願いします」

プリンツ(! さすが川内というべきかな。とても勇敢だ。Japanの軽巡洋艦には本当に驚かされる)

プリンツ「分かった、気を付けてね」

川内「了解、聞いてたねみんな!!水雷戦隊魂見せてやるよ!!」

「「「「了解!!やってやるわ(よ)(のです)!!」」」」

プリンツ(さて、目的は突撃の援護。沈める必要はない。砲塔は四基あるし、敵も四隻。簡単なことだ)

プリンツ(頭の中で、すべてが分かる。敵の動き、砲弾の軌道、私がどうすればいいのか)

プリンツ(あの日、提督が撃たれそうになった時から私は少し変わったのだと思う。戦いのときに、頭の中が切り替わる感覚)

プリンツ(負けるわけがない。必ず勝てると確信できる。……ゲルマン民族の戦闘本能とかだったら少しカッコいいかもね)

プリンツ「敵が照準してから……撃つとしたら……今」ドゴォン

プリンツ(SKC/34が火を噴き、砲弾が敵へ向かっていく。そして、吸い込まれるように……着弾)

「!?」

「……!!」

「……!?」

プリンツ(発砲前に不意の攻撃を喰らった敵は、攻撃を中止するか、的外れな方向へ誤射した。混乱ぶりが手に取るように分かる)

響「まさか……四隻それぞれに同時攻撃……!?」

雷「すごい!!こんなに練度が高かったの!?」

川内「良し、攻撃開始!!てぇー!!」
584 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/20(火) 00:26:02.41 ID:hW9oWmVK0
プリンツ(川内達が攻撃を開始し、砲弾と魚雷が敵を襲った。混乱している所に肉薄された敵は、しかし驚異的な反応で即座に態勢を立て直して反撃に移る)

プリンツ(駆逐艦二隻が砲撃し、魚雷を発射しながら重巡の前に躍り出た。ちゃんと狙わない攻撃は牽制にしかならない。しかし、自らを犠牲にして重巡洋艦を庇うことに成功する)

プリンツ(そのため、重巡洋艦は一隻が中破したのみで健在だ。反撃の攻撃が始まる。しかし、敵は焦りすぎた)

プリンツ(すこし待てばいいのにすぐさま発砲した。その攻撃は、敵の行く手を横切るようにして離脱していく川内達を捉えることは無かった)

川内「ははっ!チャンスだ!再装填まで時間ができた!反転して再攻撃するよ!」

プリンツ(私も舵を切って全速前進。敵へ突撃した。再装填が終わり、敵のうちの一隻に照準……発砲)

リ級A「あっ!?」ドガァン

リ級B「ヤラレタ……!?嘘だああああああ!!」

リ級C「くそ!!ハサミウチか!?落ち着け!まだ終わったわけじゃない!冷静に対処するんだ!」

リ級D「キカンの出力が上がらない!このままじゃやられる!」

川内「どこ見てんのさ!?こっちだよ!!」ニタァ

プリンツ(私の砲弾は敵の装甲を貫き、爆発、炎上した。敵は憎しみを込めてこちらを睨みつける。そこへすかさず川内達が攻撃を加えた)

暁「沈みなさい!!」

響「До свидания 」

プリンツ(砲弾の嵐と魚雷が残った敵へ襲い掛かる。今度は庇う駆逐艦が居ない。その攻撃で残りの敵がすべて撃破された。あるものは沈みゆき、あるものは炎上しつつ漂っている)

雷「やったわ!」

電「ふぅ……みんな無事でよかったのです」

リ級B「……!!」グググ

プリンツ「!!」

プリンツ(しかし、気がついた。炎上している敵、その一隻はまだぎりぎりで戦える。沈みかけの大破といったところか)

リ級B「みんなの……カタキ!!せめてイッシ報いて!!」

プリンツ(炎上しつつもその紅く発光する目をぎらつかせ、口から吐血しながら砲を構えた。その狙いは一番後ろを航行していた暁だ)

プリンツ(直感的にわかる。これは、あたる。意識する前に体が動いた。舵を切り、全速で暁のもとへと向かう)
585 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/20(火) 00:28:02.21 ID:hW9oWmVK0
川内「!?暁!!」

暁「えっ?っ!!」

プリンツ(横目に見える。後ろを確認した川内が事態に気がついて声をあげた。暁も自分が狙われていることに気がついたが、もう遅い)

リ級B「死ねええええ!!」ドゴォン

プリンツ(敵が発砲し、砲弾が暁へと吸い込まれる。その寸前)

プリンツ「やああああっ!!」ガギィン

プリンツ(すべてがスローモーションに感じる。間に合った私の飛び蹴りが砲弾の側面を捉えた)

プリンツ(砲弾は火花を散らして軌道をかえ、暁を掠めるように飛んで海へ吸い込まれていった)

リ級B「なっ……馬鹿な……」

プリンツ(衝撃に顔を歪めるそいつに向かって、私は着地と同時に滑りながら敵へ向き直り、砲を構えた)

リ級B「……っ!!チ、チクショオオオオオオ!!」

プリンツ「……」ドゴォン

プリンツ(事態を把握したそいつの、怨嗟の絶叫が響き渡る。再装填が完了した私は、悪夢を終わらせてあげた)

プリンツ(爆音が響き、後には静寂が残された。波の音と炎の音が静かに響き、潮の香りと硝煙の匂いが漂う)

プリンツ(周囲を確認した私は、敵が全滅していることを確認する)

プリンツ「……よし、集合!!」
586 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/20(火) 00:29:52.13 ID:hW9oWmVK0
「「「「……っ!!了解」」」」

プリンツ(呆然としていた川内達は、私の号令にハッとして集合する)

プリンツ「被害は?」

川内「あ、ありません」

プリンツ「良かった。……司令部へ連絡。こちら第三艦隊、戦闘終了。我が方に被害なし」ニコッ

提督『……こちら司令部。了解、よくやってくれた!帰投せよ』

プリンツ「了解、アトミラール。帰投します。……貴方のもとに。なんてね」

暁「あ、あの……オイゲンさん。ありがとうございました」

プリンツ「え?」

響「本当にありがとう、オイゲンさん。暁を守ってくれて」

雷「さすがに胆が冷えたわ……ありがとう、オイゲンさん!!」

電「ありがとうございます!!ぐすっ……本当に良かったよぅ……!!」

プリンツ「そんな!当たり前のことをしただけだよ!」

川内「オイゲンさん……ありがとうございました」

プリンツ「川内……」

川内「……ずっとひどい態度をとって、ごめんなさい。私、貴女を信用できないヤな奴だと思ってたけど、間違いでした」

プリンツ「いいよ、気にしないで。私も、あの時は誤解されるようなことをしていたからね」

川内「……ありがとうございます」

プリンツ「そんな顔しないで。アトミラールを心配していたんでしょ?……そうだ、仲直りの握手しようよ!」ニコッ スッ

川内「オイゲンさん……はい」ニコッ ガシッ

プリンツ「ん!じゃあ戻ろうか」

「「「「了解!」」」」
587 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/20(火) 00:36:04.68 ID:hW9oWmVK0


提督「……ん、もうこんな時間か」

瑞鶴「あれ?ホントだ。時間が経つのが早いね……」

提督「少し休憩するとしようか」

瑞鶴「あ!ならお茶入れてくるね!」

提督「そうか?ありがたい。では俺は外の空気でも吸ってくるよ」

瑞鶴「ん、分かった」

提督(そろそろ日も暮れる時間帯だ。夕陽を見に行くのも悪くないなと歩いていた俺は、珍しいものを見た)

提督(駆逐艦娘は、滅多に巡洋艦以上の艦娘とくっついて仲睦まじく何かの雑誌を読んだりはしない)

暁「ねえねえ、プリンツ!これってどう思う?」

響「子供っぽいんじゃないかな?ねえ、プリンツ」

雷「私はこっちの方がいいわ!プリンツもそう思うわうよね?」

雷「全部いいと思うけど……プリンツさんはどれがいいと思いますか?」

プリンツ「うーん……暁のも雷のも悪くないと思うけど……」

雷「あ、司令官!」

プリンツ「えっ?アトミラール?」

提督「ああ、どうしたんだ、皆?」

雷「今、皆で秋のコーデを考えているのよ!」

提督「なるほどな」

暁「それよりも聞いてよ、司令官!今日のプリンツ、とてもすごかったのよ!」

響「うん。プリンツほどすごい艦娘は見たことないね。金剛さんは裏拳でやったことがあるって聞いたこともあるけど」

暁「でも見たのは初めてだわ!しかも飛び蹴りの方がかっこいいわよ!」

プリンツ「二人とも……恥ずかしいよ……」カァッ

雷「恥ずかしがることないわよ!称賛されて当然のことなんだから!」

電「そうですよ!」

提督「何があったんだ?」

暁「今日ね、敵の重巡に私が撃たれそうになったの」

提督「!?」
588 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/20(火) 00:38:24.08 ID:hW9oWmVK0
雷「そしたらね!プリンツが敵の砲弾を蹴り飛ばして暁を守ったのよ!」

提督「蹴り飛ばして……!?」

響「プリンツは暁を守ってくれた恩人だよ。感謝してもしきれない」

電「私もプリンツさんのような艦娘になれるように頑張ります!」

提督「そうか……プリンツ」

プリンツ「は、はい……?」チラッ

提督「暁を守ってくれてありがとう。感謝するよ」

プリンツ「いえ!仲間を守るって当然のことをしたまでですよ」

提督「それでも、だ。そうだ、これで今度みんなで間宮でも行ってくるといい」

暁「間宮券だわ!!」パァッ

提督「これからもよろしく頼むぞ、プリンツ」

プリンツ「アトミラール……ありがとうございます。私も、これからも頑張りますから。よろしくお願いしますね」ニコッ

提督「っ!こちらこそだ。では、俺は行くよ」ドキッ

プリンツ「はい、お疲れ様です!」

「「「「お疲れ様(なの)です!」」」」

提督「……」

提督(外へ出て、少しの間夕陽を眺める。ため息が出る美しさだ。そして執務室に戻ると瑞鶴が日本茶を入れて待っていた)

瑞鶴「あ、提督さん!お帰り!お茶入ってるよ」

提督「ああ、頂くよ」グイッ

瑞鶴「ちょっ!?熱くないの!?」

提督「……少しな。瑞鶴」

瑞鶴「火傷しちゃうよ?もう……何?」

提督「とびっきり苦いコーヒーを入れてきてくれないか?」

瑞鶴「コーヒー?そっちの方が良かった……?」シュン

提督「まさか!瑞鶴のお茶は最高だ!ただ、急に苦いコーヒーが飲みたくなったんだ。入れてきてくれないか?」

瑞鶴「そうかな……?えへへ。分かったよ。じゃあ少し待っててね」

提督「ああ、頼むよ」

提督(プリンツの笑顔に、どきりとした。胸の中でモヤモヤが渦巻いている。これを消すには、おそらくそれが一番のはずだった)
589 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/20(火) 08:39:19.27 ID:R4bwZwKKO
おつ
590 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/20(火) 11:19:40.22 ID:zH7CbqcCO
>>1乙という訳なんだ
591 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/20(火) 11:24:42.84 ID:btnVdb6A0
>>1「……」
592 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/20(火) 18:26:23.99 ID:btnVdb6A0
幼馴染み瑞鶴と後輩川内と妹プリンツでダンケダンケしたい
593 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/22(木) 00:18:52.24 ID:BPm5EXxn0


提督(明後日には作戦発動だ。敵の威力偵察はもう止んだ。果たしてどのように評価したのだろうか)

提督(これは嵐の前の静けさなのだろう。だが、その静けさを利用しない手はない。皆には可能な限り休息をとるように言った)

提督(俺はと言えば、更新された天気予報や敵の戦力評価を踏まえて作戦の最終調整に忙しい)

提督「……もう昼か、食堂へ行くとしようか」



プリンツ「……そろそろかな」

プリンツ(第一の作戦『朝待ち合わせして一緒に行こう作戦』は順調に進んでいた。あの日以来、毎日朝は一緒に行っている)

プリンツ(そして、とうとう第二の作戦『手作り弁当作戦』が発動される。敵のせいで忙しくて発動が遅れたけれど)

プリンツ(この作戦はアトミラールとの関係をさらに深めるとともに、胃袋を掴む!それこそがオトコを堕とすテクニック!……らしい)

プリンツ「……!来た!」

提督「さて、今日の昼飯は何かな?」

加賀「……!提督だわ」

赤城「まあ、本当ですね。お昼休みかしら」

加賀「提t」

プリンツ「アトミラール!」

提督「ん?プリンツか。どうした?」

プリンツ「はい、これをどうぞ!」

提督「何だ、これは?」

プリンツ「お弁当です!」

加賀「!?」
594 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/22(木) 00:20:39.24 ID:BPm5EXxn0
提督「弁当!?いいのか?」

プリンツ「ええ、どうぞ!アトミラールのために作って来ましたから!」

提督「そうか、それはありがたい。どれどれ、何かな?」ニコッ

プリンツ「……♪」ニコニコ

プリンツ(ふふふ……知ってますよ?ちゃんと青葉に聞きましたから。日本じゃお弁当箱はただの箱じゃない!)

プリンツ(そう、それは一つの料理になると!味はもちろんのこと、見た目もまた重要!だから頑張って考えた!)

プリンツ(美味しくて栄養バランスも理想的に!かつ見た目的にも色とりどりで美しいものを!)

プリンツ(その結果、サンドイッチに決定しました!それにうさぎリンゴもつけて、飲み物の準備もバッチリ!完璧なはず……!)

提督「おお、サンドイッチか!しかも食パンじゃない。店で買うものみたいだな!」

プリンツ「日本じゃほとんど食パンですからね。コンビニとか」

提督「ああ、subwayとかに行かないとないな。……おお、それにリンゴまで!飾り切りも上手いものだ。早速いただくとしよう。いただきます!」

プリンツ「えへへ……どうぞ、召し上がれ!」

提督「どれどれ……美味しい!そこらで売ってるのよりはるかに美味いぞ!売れるんじゃないか、これは?」

プリンツ「そんなぁ……褒め過ぎですよぅ……」テレッ テレッ

提督「うむ、美味しい!……ありがとう、プリンツ。わざわざ弁当を作ってくれて」

プリンツ「どういたしまして!実は飲み物もあるんですよ?今日は紅茶です」

提督「はは、至れり尽くせりだな」

加賀「……頭に来ました」ムスッ

赤城「なるほど……弁当ですか。そういえば久しく作っていませんでしたね」
595 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/22(木) 00:24:02.11 ID:BPm5EXxn0


プリンツ(今日もお昼の時間がやってきた。昨日はサンドイッチだったし、今日はおにぎりだ。お米は日本人のソウルフードだからね!)

プリンツ(色彩が単調だけど、おにぎりはこんなものだから仕方ない。お新香があるからなんとかなるはず)

提督「……」スタスタスタ

プリンツ「……あ、アトミr」

加賀「提督、これを。私の自信作です」スッ

提督「おお、今日は加賀か。最近は弁当が流行っているのか?」

プリンツ「!?」

プリンツ(加賀さん……どうしていきなり……!先を越された!もしかして、昨日のを見ていたから!?)

加賀「かもしれませんね。どうぞ召し上がってみてください」

提督「ああ、頂くよ。……釜飯か!暫く食べていなかった!」

加賀「そうですか?ならよかったです。久しぶりの釜飯を堪能してください」

提督「君の料理だ、美味しいだろうな。どれ、いただきます……ああ、美味しい!さすがだな、加賀」

加賀「言ったでしょう?自信作だと。味わって食べてくださいね。丹精込めて作ったのですから」

提督「やはり日本食が一番だな。身に染みるよ」

プリンツ「っ!!」ガーン

プリンツ(日本食が……一番……!!そんな……)

加賀「でしょう?言ってくだされば、いつでもご用意しますからね」チラッ クスッ

プリンツ「!!」ハッ

提督「ありがとう、加賀」

加賀「は、はい……ふふっ」フニャッ

プリンツ「……!!」ダッ ギリッ
596 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/22(木) 00:25:08.22 ID:BPm5EXxn0


鳳翔「ええ!?日本食を教えて欲しいですか?」

プリンツ「はい!お願いします!まずは何かお弁当にできるものを!お弁当を作りたいんです!」

鳳翔「うーん……お弁当ですか……なら、幕の内弁当を目指しますか?」

プリンツ「まくのうちべんとう、ですか?」

鳳翔「そうですよ。日本の弁当と言えばおそらくそれを思い浮かべる人が多いでしょう」

プリンツ「! はい、是非それをお願いします!」

鳳翔「よろしい!では、ちょうど夕食も近いですし一緒に作ってみますか」

プリンツ「よろしくお願いします、先生!」



プリンツ「……」チラッ

加賀「……」メヲトジ

赤城「もぐもぐ」

瑞鶴「……?何かあったの、あの二人」

愛宕「さあぁ?分からないけれど……何か変な緊張感があるわね」

高雄「食べにくいことこの上ないわ……」

翔鶴「うっ……胃が……」

プリンツ「……っ!」ハッ タッタッタッ

加賀「……?」チラッ

高雄「あ、動きがあったわよ」

愛宕「どうでもいいから早く終わってほしいわぁ……」

提督「……へえ、日本食を勉強したのか」

プリンツ「はい!それでマクノウチ弁当を作ってみたので、食べてみてくれませんか?」

提督「分かった。ありがたくいただくよ」

加賀「!?」ガタッ
597 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/22(木) 00:27:37.68 ID:BPm5EXxn0
「「「「!?」」」」

プリンツ「はい、どうぞ!これです!」

提督「どれどれ、いただきます。ふむふむ……ほうほう……なるほどなるほど……美味い!」

プリンツ「ホントですか!」

提督「ああ!焼き鮭の味加減が絶妙だ!煮物も理想的な柔らかさだし、味もよくしみ込んでいる!卵焼きが甘くないのも俺好みだ!」

瑞鶴「!へぇ……提督さん、卵焼き甘くないのが好みなんだ……ふぅん」ニタァ

愛宕「甘党だから甘いのが好きかと思っていたけど……いいこと聞いたわぁ」ニタァ

加賀「……卑怯者。正々堂々勝負することもなく、このようなだまし討ちなんて。腹が立ちました」ギリッ ボソリッ

プリンツ(加賀さんは目を細め、歯を食いしばりながらこちらを睨みつけていた。大方、私がアトミラールを迎えに行ったことが気に食わないのだろう)

プリンツ(加賀さんだって、気がつけばそうできた。やらなかった自分が悪い。それに、恋は戦争。油断した奴から死んでいくんだ)

プリンツ(アトミラールを誰にも渡すつもりはない。悪く思わないでね)クスッ

加賀「……!!」ピキッ

提督「それにしても、料理が上手いものだな。どれも凄くおいしいよ」

プリンツ「あ、そうですか?昨日頑張って練習した甲斐がありました!」

提督「昨日!?一日練習しただけでこんなに美味く作れるのか……」

プリンツ「鳳翔さんのおかげですよ。鳳翔さんに習ったんです」

提督「ああ、通りで!鳳翔の面影があると思った!だが、これは君の味だな。何か工夫したのか?」

プリンツ「そうですか?うーん……もしかしたら調味料の違いかもしれませんね?」

提督「なるほど……これがドイツの味なのかもな」

プリンツ「そうですね。それに、とっておきのスパイスを使いましたから」

提督「とっておき?それは興味深い!何なんだ?」

プリンツ「……気持ちですよ。アトミラールに喜んでほしいって私の願いです」ボソリッ

提督「!?そ、そうか……!!」

プリンツ「ふふっ」ニコッ

提督(耳元でそう囁かれる。一気に味が分からなくなった。プリンツの顔が直視できない。何とか平静を装って完食する)

提督「ごちそうさま。では、仕事に戻るよ」

プリンツ「お粗末さまです。お手伝いしましょうか?」

提督「いや、明日から作戦開始だ。今日はゆっくり休んでくれ」

プリンツ「……そうですね、分かりました。ではお仕事頑張ってください」

提督「ああ、ありがとう。じゃあな」

プリンツ「はい、また後で」

提督(そうだ、明日には作戦が発動される。集中しろ。スイッチを切り替えるんだ。……失敗は許されない。人類の悲願なのだから)
598 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/22(木) 00:45:26.22 ID:BPm5EXxn0
提督「これよりい号作戦を発動する!第一艦隊へ連絡!突入開始!」

長門『了解!ビッグ7の力、存分に知らしめてやろう!』

提督「第二・第三艦隊へ連絡!第一次攻撃隊を発艦させろ!目標は敵艦隊及び空戦力だ!第一艦隊に道を切り開け!」

赤城『第二艦隊、了解いたしました。一航戦が世界最強であることを証明して見せましょう』

翔鶴『第三艦隊、了解です!必ずや勝利の栄光を!五航戦の活躍に期待していてください!』

提督(とうとう始まった。い号作戦が発動された。目標はガダルカナル及びツラギの敵拠点の撃破だ)

提督(少し前から東部戦線で友の指揮の陽動攻撃がAFに対して実行されている。すこしでも戦力がそっちに流れてくれればいいのだが)

提督(敵もガダルカナルとツラギを失ったらまずいことになるとは気がついている。確認された敵戦力は今までで一番強力だった)

提督(だが俺は信じている。我ら帝国海軍の前にはいかなる敵であろうとも立ちはだかることはできないのだと)



赤城『我が航空隊はソロモン海にて敵艦隊に攻撃を敢行!!現在までに判明せる戦果は〜』

翔鶴『我が航空隊はアイアンボトムサウンドにて敵艦隊へ攻撃を敢行しました!!敵の損害は〜』

長門『第一艦隊、突入成功!!これより敵拠点へ攻撃を開始する!!』

提督(作戦は順調だった。第一次攻撃は大変満足できる結果となってくれた。しかし、すべてが計画通りに進行しているわけではない)

提督「それは本当か?」

伊168『うん。少なくとも重巡四隻を含む中規模の敵艦隊が東部戦線からそっちへ向かったよ』

提督「分かった、報告ありがとう。引き続き偵察を頼む」

伊168『了解!任せて!』

提督「さて、どうするか……」
599 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/22(木) 00:47:18.05 ID:BPm5EXxn0


提督「という訳だ。現在、陸奥率いる第四艦隊と大鳳率いる第五艦隊が第二次攻撃を実行しているが、大きな障害たりうる」

長門「そうか、厄介だな……」

提督「だが、位置関係や予想される敵の航路から、今すぐ出撃すれば合流前に会敵することが可能だ」

翔鶴「なら、私が出ましょうか?第三艦隊を率いて撃破して御覧に入れましょう」

提督「いや、第一から第三艦隊までは再補給の後すぐに三次攻撃へ向かってもらう。敵拠点へのダメージはまだ足りない。計画の遅れは致命的になる」

赤城「では、どういたしますか?」

提督「各艦隊から重巡と駆逐艦を引き抜いて、臨時に特務戦隊を編成する。そうだな……編成はこれでいい。これで対処する」

長門「分かった。では各員に通達する」

翔鶴「了解です」

赤城「分かりました」

提督「うむ、頼んだぞ」



加古「ふぁ……」

古鷹「加古!居眠りしないで!」

加古「起きてるよぉ」

プリンツ(敵の増援艦隊の到着を阻止するために私達が派遣されることになった。規模は重巡四隻を含む中規模の艦隊だとか)

プリンツ(それに対してこちらは重巡四隻と駆逐艦二隻。数の差はあるけれども私たちの練度なら十分戦える)

プリンツ「!」ザワッ

プリンツ(この感覚……殺気が凄い。本当に重巡四隻が主幹なの?)

プリンツ「……敵は近いと思います」

愛宕「あらぁ。何で分かるのかしら?」

夕立「私もそう思う。けど、この感じ……」

時雨「どうしたんだい?」

夕立「重巡四隻どころじゃないっぽい……?」
600 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/22(木) 00:50:03.69 ID:BPm5EXxn0
古鷹「……っ!!敵艦隊発見!!」

加古「……私が寝ぼけてるだけかもしれないけどさ、戦艦四隻も見えるのは何かの間違い?」

愛宕「寝ぼけてるだけならよかったわねぇ……生憎、これは現実よ。悪夢みたいだけどね」

古鷹「情報と違う……戦艦が四隻……!?こんなの、どうすればいいの……!?」

時雨「……どうするんですか、古鷹さん」

古鷹「くっ……司令部へ連絡を。ここで食い止めなくては作戦失敗に繋がります。それに第四、第五艦隊が撃破される事態になるかもしれません……!!」

加古「ってことは……戦うの?」

古鷹「せめて戦力を削れるだけ削る!!そうすれば皆ならきっとやってくれる……!!」

夕立「うふふ。重巡四隻と駆逐艦二隻で、戦艦四隻と重巡六隻を含む敵の大艦隊と戦うとか……燃えるっぽい!!」

プリンツ「アトミラールの栄光の為、奴らの血で海を満たしましょう……!!」

愛宕「やるしかないってことかしらねぇ……高雄、私帰れないかも……」

時雨「縁起でもないことは言わないほうが良いですよ、愛宕さん」

古鷹「何も全滅するまで戦うわけじゃありません!回避を最優先にして戦えるだけ戦ったら撤退します」

夕立「えー!?そんなんじゃ勝てないっぽい!!」

古鷹「勝つのは何も敵を倒すことだけじゃないよ!!敵戦力を削ぐだけでも十分貢献になるんだから!!」

古鷹「何より、私たちが沈んだら戦力が大幅にそがれる!!そうなればこの作戦だけじゃなくて戦争全体に響く!!」

プリンツ「なら沈まなければいいだけです。そして敵も壊滅させる。両方こなさなくてはならないのが私たちの辛いところですね」

プリンツ「けど、覚悟はできてます。それに、私にならできる。突撃して皆殺しにしてやりますから、援護を」

夕立「それに賛成っぽい!!私も行くわ!!」

古鷹「ちょっ!?何を言ってるの!?」

プリンツ「最大戦速!!フルタカさん、援護して!!」

夕立「お願いします!!」

古鷹「ま、待って!!あぁ……もう!!援護射撃!!覚悟を決めるよ!!」
601 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/22(木) 00:55:45.62 ID:BPm5EXxn0


タ級A「ヤツら二隻だけでトツゲキしてくるぞ!!」

タ級B「愚か者メ!!他の奴はホウッテおけ!!重巡のシャテイに入ったらシュウチュウホウカで沈めてやる」

「「「「リョウカイ」」」」

タ級B「……ヨシ!Make ready (構え)! Take aim (狙え)!……Shoot (撃て)!!」ドゴォン

ドンドンドゴォンドン



プリンツ(敵が発砲する。けど、私の頭は氷のように冷静だった。敵の砲弾の軌道が見えた。数発が直撃コース)

プリンツ(敵はかなり優秀だ。初撃から当ててくるとは。私は少し進路を変え、体を逸らせて砲弾を避ける)

プリンツ(この前、暁を守った時も感じた自分以外がスローモーションになったような感覚)

タ級A「ハズシタ!?」

タ級B「マサカ。落ち着け。りろーどスルンダ」

プリンツ(敵は冷静に再装填する。早いな。けど全速力で進めば問題ない。装填が終わるまでの間に十分近づける)

古鷹「くっ……!!」

加古「あの二人で狙いにくい!!」

愛宕「もう!!」

古鷹「誤射を避けるように!!牽制できればいい!!……撃て!!」ドゴォン

ザブン ザブン ザブン

ネ級A「残りのテキがハッポウしてきました」

タ級B「カマウナ。重要なのはセッキンチュウのやつらだ」

プリンツ(古鷹たちの援護射撃が始まったけど、距離があるうえに私達が邪魔になっていて、敵に当たることは無かった)
602 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/22(木) 01:02:32.29 ID:BPm5EXxn0
夕立「プリンさんプリンさん」

プリンツ「ぷりん?」

夕立「皆、右利きだよ。私が面舵で回り込むからプリンさんは取り舵ね」

プリンツ「ああ、私のこと?分かった。……大丈夫?」

夕立「大丈夫だ、問題ないっぽい!!」

プリンツ「そう。じゃあよろしくね」

夕立「うん!!」

プリンツ(そうこうしているうちに、敵は再装填を終えた。照準されている。針のような視線がこちらを刺すみたいだ)

プリンツ(狙いを定めて……発砲するなら……今)グイッ

ドゴォン ブンブンブゥン

プリンツ(示し合わさなくても夕立とは分かり合っていた。敵の発砲の瞬間、弾けるように二手に別れる)

プリンツ(私たちは、敵を中心に円周をなぞるように進む。それに数瞬遅れて、鋼鉄の嵐が私と夕立が居た空間をずたずたに引き裂いた)

タ級A「バカな!?」

タ級C「フザケヤガッテ!!りろーど!!」

タ級B「Fire at will (各自で自由に攻撃)!!水雷戦隊はクチクカンを!!打撃部隊はジュンヨウカンを!!」

タ級D「ナンナンダコイツラ!!」

プリンツ(今度こそ驚きの表情を浮かべる敵だが、それでも落ち着いて展開していく。だが、)

夕立「あははっ!!さあ、ステキなパーティーしましょ!!」ドボン ドン

プリンツ「攻撃開始、Feuer!!」ドボン ドボン ドゴォン

プリンツ(魚雷を発射しつつ、牽制の砲撃を加える。相手の行動をコントロールして、魚雷へ追い込む)

リ級A「アブナイ!!」

ネ級A「ナニシテル!?止まるな!!ギョライが来る!!」

リ級A「エッ?」ゴォッシャァン

イ級A「グギャアアアア!!」ゴォッシャァン

リ級B「アッ」ゴォッシャァン

プリンツ(数本が敵に吸い込まれ、大きな水柱をあげる。沈んだのは重巡二隻に……駆逐艦二隻か。好都合)
603 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/22(木) 01:07:17.50 ID:BPm5EXxn0
プリンツ(肉薄したら戦艦より手数の多い巡洋艦や駆逐艦の方が怖い。私は敵の反撃を避けつつ面舵、敵へと突っ込んでいく)

リ級C「なんてヤツだ!!クルゾ!!」

ネ級A「ウテウテウテ!!」

ネ級B「ムリダ!!味方にアタルゾ!?」

リ級D「シャセンに立つな!!イドウしろ!!」

プリンツ(慌てふためく敵、なんとか反撃しようとしている。抵抗なんて、無駄なのに)

プリンツ(敵の真っただ中に飛び込んだ私に対して、敵は誤射を恐れて迂闊に発砲できない)

プリンツ(射線はすべて把握している。私はすぐそばのリ級に肉薄する)

リ級C「ウワアアアアアア!?」

プリンツ(私と目が合った獲物は、恐怖に顔を歪めて砲を構える。本能的に構えた主砲は、その練度の高さをうかがわせる正確さと素早さ)

プリンツ(私は半身になって身を逸らす。続いて砲声、風切り音。分かっていた。敵は焦っている。狙いをつけたらすぐに撃つ)

リ級C「!!??」

プリンツ(さらに接近。手が届きそう。一斉に発砲して、どれが当たればなんてのは必要ない距離)

プリンツ「グラーツ!!」ドン

リ級C「ダレカ!!タスっ」ボシュッ

プリンツ(ぎりぎりまで近づいたところで一番砲塔『グラーツ』を撃つ。リ級の首から上が消し飛び、血が噴き出す)
604 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/22(木) 01:10:26.99 ID:BPm5EXxn0
プリンツ(スプリンクラーのようなそれを浴びながら、崩れ落ちた首なし死体の脇を通り過ぎる。膝を曲げ、姿勢を落としつつ急ターンで振り向き)

プリンツ「ブラウナウ!!」ドン

リ級D「っ……えっ……?」シュボッ

プリンツ(こちらに狙いをつけていた別のリ級へ向けて発砲。この距離なら重巡程度の装甲は意味がない)

プリンツ(放たれた砲弾は相手の胸を貫き、膝を折った敵は不思議そうにかつて自分の胸があった箇所に手を伸ばし、触れようとした)

リ級D「……がふ。……」バシャッ

ネ級B「モラッタアアアアアア!!」ドゴォン

プリンツ(そこで、左にいたネ級が発砲。砲弾はこのままだと直撃コース。が、曲げていた膝を伸ばし、回転ジャンプ)

ネ級B「ナニイイイイイイ!?」

プリンツ(アイススケートで言うところのアクセルジャンプだ。誰かが私たちを見て水上スキーと言ったらしい)

プリンツ(だけど、それは間違っている。これはアイススケートなんだ。私達は大海原という特別な舞台で踊る戦乙女とでも言おうか!)

プリンツ「インスブルック!!」

ネ級B「あぐっ……つぅ……」バシャ バシャン

プリンツ(回転中、敵を捕らえる刹那。しかし私には長い。狙って発砲、そして着弾。腹部を貫かれたネ級は、そのまましりもちをつき後ろへ倒れ込む)

プリンツ(視界がゆっくりと回転する。飛び散る血肉、弾ける水飛沫、たゆたう硝煙。そのすべてがゆっくりな世界)

プリンツ(少し離れた所では夕立が敵の駆逐艦や軽巡相手に暴れている。この分なら問題ないだろう)
605 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/22(木) 01:16:01.15 ID:BPm5EXxn0
ネ級A「!!」ニタァ ドゴォン

プリンツ(そして気がつく。最後の重巡が狂気の笑みを浮かべてこちらを捉えている。着地の瞬間を狙われていた。発砲される)

プリンツ(そのうち一発がどうあがいてもよけられない。相手は勝利を確信していた。このままなすすべもなくやられる?この私が?)

プリンツ(はっ!そんなわけない。私は今、全力で恋愛しているんだ!こんなところで死んでやるものか!)

プリンツ「ウィーン!!」ドンッ

ガキィン

ネ級A「っ」バスッ ドガァン

プリンツ(敵が発砲し、事態を把握した直後、私も発砲した。砲弾と砲弾がゆっくりと近づいていき、そして激突)

プリンツ(どうしても避けられなかった一発は弾道を下にずらして海へ消えた。そして上から撃ちおろした私の砲弾はそのまま弾道を上に、つまり敵の方へずれた)

プリンツ(そして敵の砲を貫く。それが内側から破裂するように膨れ上がり、亀裂から閃光が漏れた)

プリンツ(やがてそれは大きな爆炎となり噴き出し、勝利の笑みを浮かべたままの敵を飲み込んだ)

プリンツ(私は着水し、勢いを受け流すために滑りながら何回か回転して止まる。残された戦艦四隻が呆然と立ちすくんでいた)

プリンツ(私はゆっくりとそちらへ向き直る。敵戦艦はもう少しで再装填が終わる。敵の目は私に釘つけだった)

タ級B「……お前は、ナニモノだ?シニガミなのか?」

プリンツ(震える声、話せない目線、表情は何とか取り繕っているが、恐れを感じているのは確かだ)

プリンツ「……私たちが出港するとき、誰もが私達を一目見ようとする。望遠カメラまで用意して、ご苦労様だよね」

タ級B「……?」

プリンツ「だけど、それはただの移動。観艦式でさえも行進でしかない。この戦い……いや、踊りこそが本番だと思わない?」

タ級B「何をイッテいる!?」

プリンツ「私は死神なんかじゃない、ただの恋する乙女だよ。そう、アトミラールに仕える戦乙女(ヴァルキュリヤ)!!」

タ級B「ヴァルキュリヤ!?意味がワカラナイぞ!!」

プリンツ「北欧神話って知らないか。まあいいや。これは私からアトミラールに捧げる踊りなの!」

プリンツ「だからさ、私と一緒に踊ろうよ!すべてはアトミラールのために!あの女がいなくたって、戦艦四隻ぐらい余裕で撃沈だ!」サッ
606 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/22(木) 01:18:44.59 ID:BPm5EXxn0
タ級B「!?アクマ!!シニガミめ!!」ガチャリ

プリンツ(敵がいよいよ再装填を完了し、撃とうとしたその瞬間、砲弾が奴らに降り注ぐ)

古鷹「オイゲンさん!!無理しないで!!」

プリンツ(古鷹さんたちの援護だ。接近してきていた艦隊の仲間が、斉射をくらわせる。完璧、予想通り)

タ級B「ナニ!?」

タ級A「ヤラレタ!?テナイ!!」

プリンツ(敵は混乱に陥り、視線を艦隊に向ける。その隙を逃さない。姿勢を低くして突撃。まずは一番近いお前だ!)

タ級C「イヤアアアアアア!!」

プリンツ(それに気がついた敵は私に狙われていることに気がつくと絶叫する。さっきと同じだ)

プリンツ(砲撃をジャンプでよけて、やつの真上へ。体をひねり、魚雷発射管を真下の敵へ。魚雷を発射する)

タ級C「ヒイッ!?」

プリンツ(向かってくる魚雷を、しかし敵はかがんで避けようとする。けどまあ、当てようと思っていたわけじゃない)

プリンツ(再装填が済んでいるのはグラーツだけだ。それじゃ足りない火力を補うための魚雷だ)

プリンツ「Bye!」

タ級C「マ、マッテ!!」

プリンツ(グラーツが火を噴き、砲弾が魚雷を貫く。爆発が他の魚雷を誘爆させ、敵戦艦を吹き飛ばした)

プリンツ(爆風で加速しつつ着水、それ以上煽られないように姿勢を低くして旋回。次の生贄はどれにしようかな。……あ)
607 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/22(木) 01:22:04.89 ID:BPm5EXxn0
タ級A「ホントウにバケモノだ!!」

タ級B「オチツケ!!当たればシヌんだ!!あいつさえ何とかすればカテル!!」

タ級D「ホカはザコだ!!キニスルナ!!」

夕立「それは酷いっぽい。夕立とも遊んでよ」

タ級D「ナッ!?」

夕立「うふふっ!」ドン

タ級D「ガッ!!」

プリンツ(真後ろに接近していた夕立に驚愕した敵、それに対して腹部に砲撃を加える夕立。しかし装甲を抜くことはできない)

タ級D「っ……ナメルナ!!っ!?」

夕立「歌って見せてよ……!!」ニタァ ウィィィィン

プリンツ(衝撃に前かがみになり、しかしそう怒声を張り上げて顔をあげた敵の前に突き付けられたのは点火した魚雷のスクリューだった)

タ級D「ギャアアアアアア!!」グチャグチャグチャ

夕立「あはははははは!!」

プリンツ(飛び散る骨肉、響く悲鳴と笑い声。私でも背筋が冷たくなる)

夕立「すごい!お歌が上手ね!けど残念、もう行かなくちゃ」グイッ

タ級D「オオオオオオ!!オオオオオオ!!」

夕立「じゃあね、それはプレゼントっぽい!」バラバラ

プリンツ(魚雷を相手に押し付けた夕立は爆雷を投げつける。もはや言葉を発することさえできなくなったそいつが、爆発に巻き込まれて消え去ったのはその直後だった)
608 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/22(木) 01:27:09.18 ID:BPm5EXxn0


タ級A「チクショウ!!アクマドモメ!!」

タ級B「ハズスナヨ!!ハズシタラオワリダ!!」

タ級B(クソッ!!コンナハズデハ……!!片や氷のヨウナ冷たいビショウの重巡!!片やクルッタようなエミをウカベル駆逐艦!!)

タ級B(キョウツウしているのは、フタリトモ仲間のチニマミレて濃厚なシノ匂いをタダヨワセテいるということだ!)ヒューン

ザブン ザブン

タ級B「っ!?」

タ級A「ぎゃあ!!」ドガン

タ級B(シマッタ!!ほかの奴らをワスレテイタ!!ここまでセッキンサレテいたか!?)

タ級A「イヤダ!!シニタクナイ!!シニタクナイ!!」

タ級B「マテ!!逃げるのかオクビョウモノ!!」

プリンツ「……うふふ」

夕立「あはは!そろそろフィナーレっぽい!」

タ級B「このワタシガ……このワタシガアアアアアア!!」ドガァン

プリンツ「……残念」ヒョイ ザパン

タ級B「……っ!あ……あなた……」

プリンツ「Feuer!!」ドゴォン

夕立「ソロモンの悪夢、見せてあげる!!」ドン
609 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/22(木) 01:29:36.41 ID:BPm5EXxn0


プリンツ「ふぅ……次……っと!?」

夕立「やったー!!プリンさーん!!」ダキッ

プリンツ(最後に何事か呟いた気がするが、気にしても仕方がない。逃げた一隻を追おうとした瞬間、夕立が飛びついてきた)

夕立「すっごく楽しかったよ!!こんなの初めてっぽい!!」

プリンツ「そう?でもあと一隻残ってるよ」

夕立「ああ、あいつはどうでもいいっぽい。もう終わってるから」

古鷹「撃て!!」ドゴォン

プリンツ「!!」

タ級A「っぁ!?」ドガァン

プリンツ(どういうことか真意を問おうとした時、砲声が響いた。古鷹さんたちだ。そして逃げていく敵に着弾し、相手は沈んでいく)

夕立「さすが古鷹さん、命中!」

プリンツ「そうだね、良かった。これでアトミラールも喜んでくれるよ」

古鷹「二人とも!!」

プリンツ「古鷹さん」チマミレ

夕立「何かしら?」チマミレ

古鷹「ひっ!?ぶ、無事で良かった……!!けど勝手に突撃するなんて!!旗艦の命令にちゃんと従って!!」

夕立「ごめんなさぁい……でも、夕立たちのおかげで大勝利っぽい!!だから褒めて欲しいかも。ね、プリンさん?」

プリンツ「けど、確かに待ってって言われたのに突撃しちゃったから……ごめんなさい。軍法会議ですか?」

夕立「えー!?そんなぁ……夕立、頑張ったのに怒られるっぽい……?」
610 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/22(木) 01:33:02.04 ID:BPm5EXxn0
古鷹「い、いや、そこまではしないけど……でもあんな無茶な戦い方!!」

プリンツ「ごめんなさい……」

夕立「うー……ごめんなさい……」グスッ

古鷹「……とりあえず任務も完了したし、帰還しようか。二人ともよく頑張ったけど、無茶はしない事!!」」

プリンツ「はい、ありがとう」ニコッ

夕立「ホント!?やっぱり古鷹さん優しいっぽい!!ありがとうございます!!」

愛宕「で、でも、その前にぃ……その返り血をどうにかした方がいいんじゃないかしらぁ?」

プリンツ「ああ、確かにそうだね」

夕立「うへぇ……早く帰ってお風呂に入りたいっぽい」

プリンツ(とりあえず、海の水で体を洗う。べったりして気持ち悪いけど、敵の血よりは全然いいよね)

プリンツ(私は、帰還したらアトミラールがどんなに喜んで褒めてくれるだろうかと考えながら、舵をポートモレスビーへ切った)



カ級「……!!アノTF21がたった六隻……イヤ、二隻に……!?ホンブへレンラクしなくては……」
611 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/22(木) 03:17:56.53 ID:8rSaDXcFO
前半と後半でスレを分けるべきだったな…
612 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/23(金) 17:43:17.20 ID:focLSLY30
進撃のプリンツ
613 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/23(金) 22:11:29.82 ID:irqhsjEzo
614 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/25(日) 01:42:50.08 ID:2Ww+Sbogo
投げたか
615 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/26(月) 21:06:15.14 ID:hgLaaamD0


提督「そうか……にわかには信じがたいな……」

古鷹「ですが、本当にそうだったんです」

提督「戦艦一隻及び重巡四隻の単独撃沈が確実。戦艦二隻と重巡二隻が共同撃沈。それに軽巡以下の戦果多数、か……」

古鷹「プリンツ・オイゲンは戦闘中にまるで別人のように好戦的になりました。圧倒的な戦力差に物怖じすることなく突撃していきましたから」

古鷹「以前の彼女も優秀でしたがここまででは……正直、なんといえばいいのか……何か映画でも見ている気分でした」

提督「分かった。ともかく、ご苦労だった。君たちのおかげで我々は窮地を脱した」

古鷹「はい、ありがとうございます!」

提督(プリンツが……だが、そういえばあの男を殴り飛ばした時……プリンツの動きは尋常じゃなかった)

提督(艦娘とはいえ、対人戦闘は専門でないはずなのに。組手でもそこまでの成績ではなかった。一体プリンツに何があったのだろうか?)

提督(だが、今はまだ作戦の最中だ。そんなことを考えている暇はない。そろそろ、終わりの時間のはずだった)



タ級『ソロモン海でテキカンタイとコウセンチュウ!!我らユウセイ!!ソロモン海でゲキタイできます!!』

飛行場姫「ソウカ、分かった。引き続きガンバッテくれ!」

タ級『了解!』

飛行場姫「っ……はぁ……はぁ……うふふ……タエタ……タエキッタ!!ジョウホウではこれ以上のコウゲキはない!!」

飛行場姫「ぽーともれすびーの敵艦隊はマンシンソウイ!!ソロモン海のカンタイをヌケハシナイ!!」

飛行場姫「あははははは!!ヤッタワ……!!三日三晩!!キビシイ戦いだった……けど、タエタ!!私達のショウリよ!!」

飛行場姫「皆のギセイは無駄じゃなかった!!ここは南部でのハンコウの要になるわ!!ミテいてね、皆!!」
616 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/26(月) 21:08:54.40 ID:hgLaaamD0
リ級「タイヘンです!!敵の……敵のカンタイがセッキンチュウです!!」

飛行場姫「なぁっ……!?バカナ!!ドコから!?」

リ級「北カラです!!カクニンされたのはコンゴウとハルナが主幹のカンタイ!!共に太平洋戦線にイタはずの奴らです!!」

飛行場姫「バカナ……トチュウデ転進したというの……!!直援カンタイは消耗している……マモリきれそうなの?」

リ級「ザンネンながら厳しいかと……しかも、ソロモン海のカンタイは今からヒキカエシテきてもマニアイません……ドウシマスカ、りこりす様!?」

飛行場姫「ああ、ソコクよ……サイゴまで戦うしかないデショウ……!!ワレワレの誇りをミセツケテやれ!!」

リ級「リョウカイしました……!!」

飛行場姫「ゾウエンカンタイさえ……ゾウエンカンタイさえ到着していれば!!オノレ……ハイイロのアクマめ!!」



金剛「涼しいネー!対電探用の隠蔽シートはToo hot デシタ」

榛名「そうですね。ですが、その甲斐あって発見されなかったようです。敵の直援は見当たりません!有力な敵艦隊は全部ソロモン海のはずです!」

金剛「Enemyはもう勝ったつもりでしょうネ。けど、これでFinish!?な訳無いデショ!!この戦いで決めてやりマス!!提督の期待に応えるためにも、頑張りマスヨー!!」

榛名「はい、お姉さま!!榛名、全力で参ります!!……っ!!敵艦隊が出てきました!!」

金剛「Good!!敵はボロボロデース!!みんなの頑張りを無駄にしないためにも、Do our best!!やっつけますヨ!!突入!!」

榛名「はい!!勝利を、提督に!!」

金剛「Burning love!!」
617 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/26(月) 21:09:04.19 ID:YHZToUPhO
きたか
618 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/26(月) 21:11:08.49 ID:hgLaaamD0


提督(作戦は成功に終わった。正攻法で敵を攻撃し、撃破しきれないと判断した場合は十分な損害を与えた後、わざと敵艦隊を引き付けつつ戦場をソロモン海まで下げる)

提督(その間に東部戦線から高速艦で編成した打撃艦隊を南下させ、敵拠点に止めを刺すという内容だった)

提督(しかし、敵艦隊の戦力が予想以上だった。特務戦隊、特にプリンツの活躍が無くては作戦の成功はなかっただろう)

提督「よって金剛に乙種勲章を授与する。ご苦労だった」

金剛「ありがとうございマース!!もっと頑張るから目を離しちゃNo!なんだからネ!」

提督(そして今、勲章の授与式が行われている。皆、本当に良く頑張ってくれた。何より、戦死者がでなくてよかった)

提督「うむ。……ドイツ海軍、遣日部隊所属、プリンツ・オイゲン」

プリンツ「はい!」

提督(プリンツが大きな声で返事をする。その顔には微笑みが浮かばせ、瞳を期待にキラキラと輝かせている)

提督「君は本作戦において、非常に重要な役割を果たした。特に、特務戦隊として敵の増援部隊を撃破した際の貢献は計り知れない」

提督「よってプリンツ・オイゲンに甲種勲章を授与する。ご苦労だった」

「「「「!!」」」」

プリンツ「アトミラール……Danke schön!!とても嬉しいです!!これからも引き続き頑張ります!!」

提督(初の外国艦娘に対する甲種勲章授与にざわめく。だが、当然のことだ。それほどの活躍をしてくれた)

提督(プリンツはまるで無垢な少女のように愛らしい満面の笑みを浮かべ、そして誇らしげに胸を張って見せる)

プリンツ「……♪」ジッ

提督「っ!」

提督(微笑ましく思っていたところで、唐突にプリンツが少しだけ顎を引き、若干上目遣いの流し目でこちらを見つめる)

提督(誘うような微笑。先ほどまでの可愛らしい少女から一転、まるで妖艶な大人のような色香を漂わせる)

提督(その妖しく輝く緑の瞳に吸い込まれそうになったところで、正気に戻った)

提督「う、うむ。期待しているぞ。以上で授与式を終了する。皆、本当にありがとう。よく頑張ってくれた」

提督「短いが、皆には休暇が待っている。ゆっくりと休んでいくれ。以上、解散」

長門「敬礼!」

提督(危ないところだった。あのままプリンツを見つめていたら、一体どうなっていたのだろうか。いや、考えるな)

提督(さて、執務室へ戻らなくては。作戦の評価を纏めて提出するまでが俺のい号作戦だ)

提督(これからはまた忙しくなる。まあ、艦娘たちの命の危険がないだけで作戦中よりだいぶマシだ)
619 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/26(月) 21:12:51.61 ID:hgLaaamD0


プリンツ(授与式の後、祝宴が開かれた。攻撃艦隊の皆は美味しい料理とお酒を楽しむことができた)

プリンツ(アトミラールは少し食べただけで、すぐにいなくなってしまった。お話ししたかったけど、いろいろあってできなかった)

プリンツ『アトミラー』

金剛『Hey!!提督ぅー!!お久しぶりデース!!貴方の金剛が戻って来ましたヨ!!』

榛名『提督、お久しぶりです。榛名がお酌を務めさせていただきますね』

提督『久しぶりだな、金剛、榛名。二人とも、壮健そうで何よりだ。できればゆっくり話をしたい報告書を書かなくてはならないんだ』

金剛『No!!そんなぁ……』

榛名『そうですか……そうですよね……榛名にお手伝いできることはありますか?』

提督『ありがたいが、君たちはもう十分頑張った。休暇の間はゆっくりしていてくれ。ではな』

プリンツ『あぅ……どうしよう……』

夕立『プリンさーん!』

暁『ちょっと夕立!プリンさんって何よ!ちゃんとプリンツって呼びなさい!』

雷『そうよ!失礼じゃない!』

響『プリンツ、こっちで一緒に食べないかい?皆プリンツの話を聞きたがっているんだ』

電『夕立ちゃんがとってもすごかったって!是非、お話してくれませんか?』

プリンツ『そうだね……分かった。いいよ』ニコッ

プリンツ(それもお開きになって、寝ようと思ってベッドに入った。けど、どうも体が火照っている。疼きが止まりそうもない)

プリンツ「んん……」ジンジン ムラムラ

プリンツ(たぶんこの前の戦闘で、なんというか……本能?のようなものがむき出しになったからだと思う)

プリンツ(今思い返しても、ぞくぞくする。それほどにまで興奮した。生と死の境目に立つ感覚。命を懸けて戦うということに)

プリンツ(だからなのかな。この体の疼きは本能的に異性を、アトミラールを求めていた。けど今はまだ自分で何とかするしかない)

プリンツ「んふっ……アトミラール……」クチッ クチュ クチュ

プリンツ(授与式の時、視線で誘いかけてみたらアトミラールの反応は悪くなかった。アトミラールは私を意識している。上手くいっている)

プリンツ(もうすぐ。順調に関係を深められている。きっともうすぐでアトミラールは私を選んでくれるはず……!!)

プリンツ(ああ、アトミラール……!!待ちきれない……!!……この疼きが治まるまで、まだ時間がかかりそうだった)
620 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/26(月) 21:15:53.66 ID:hgLaaamD0


提督「……」カリカリ

提督(作戦後の報告書の作成や全体の評価。発生した問題点やその改善策の提案など。やることは山ほどあり、時間は全く足りない)

提督「今日も頑張らなくてはな……」

プリンツ「失礼します。アトミラール」

提督「プリンツか。どうした?」

プリンツ「手伝いに来ました」

提督「手伝い?休暇は休めと言ったろう」

プリンツ「気遣ってくれているんですよね?ありがとうございます。でも、私が前に言ったことを覚えていますか?」

提督「前に?……ああ、頼ってくれって言ってくれたことだな。覚えているよ」

プリンツ「はい。見た所、仕事の量はとても多そうですが」

提督「……プリンツ。すまないが、頼まれてくれるか?」

プリンツ「はい、喜んで!」



提督「よし、今日はここまでにしよう。手伝ってくれてありがとう」

プリンツ「いえ、当たり前のことをしただけですよ。それにしても量が多いですね。大丈夫ですか?」

提督「なに、朝から晩まで頑張れば期日までには……明々後日までには終わる。」

プリンツ「そうですか。私も手伝いますよ」

提督「今日やってくれただけでもう大丈夫だ。徹夜する必要がなくなったからな」

プリンツ「でも……」

提督「君は優しいからな。いつも助けられている。休むこともまた重要だ。気持ちだけもらっておこう」

プリンツ「……なら、私がご飯とか作りましょうか?」

提督「!?」

プリンツ「料理とかも結構時間を取りますよね?だから、それを私がやりますよ。そうすればアトミラールも少し楽でしょう?」

提督「だが……」

プリンツ「どうせ自分の分はやっているんですし。それに休暇と言っても明々後日、日本に戻るまでは特にやることがないですよ」

提督「そうか……なら頼もうかな」
621 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/26(月) 21:22:56.64 ID:hgLaaamD0
プリンツ「あ、ただ……もしよろしければアトミラールの家でやってもいいですか?」

提督「俺の家で?」

プリンツ「私の所でやってもいいんですけど……どうせならアトミラールの所のキッチンを使わせてくれると楽なんです」

提督「そうか。もちろんだ。明日、合鍵を持ってくるよ」

プリンツ「いえ、今日取りに行きますよ!朝ごはんとかも作れますし」

提督「朝ごはん!?夜だけじゃないのか?」

プリンツ「夜はもちろん!朝も、昼のお弁当も任せてください!お風呂だって沸かせちゃいますよ!」

提督「し、しかし、そこまでしてもらうのはさすがに悪いだろう……」

プリンツ「いいんです!それぐらいやらせてください!」

提督(家の合鍵を渡して家事をして貰うなんて、まるで恋人みたいだな……いや、ヘンなことを考えるな!)

提督(プリンツは善意で言ってくれているんだ。それに、今は本当に忙しい。確かに助かる。この上ない提案だ!)

提督「分かった。頼むぞ」

プリンツ「はい!」



提督『とりあえず帰る前に食事でもしていくか?と言っても食堂ぐらいしかないのだが……』

プリンツ『いえ、私が作りますよ。食材はあるんですよね?』

提督『そ、そうか。それはありがたい。一応あるが、必要な物があるかは分からんぞ』

プリンツ『あるもので作りますよ。では行きましょうか』

提督『ああ、行こうか』

プリンツ(という訳で、その後アトミラールの家について行き、夜ご飯を作って一緒に食べた)

プリンツ(美味しいと笑って食べてくれた。それだけで幸せだ。そして食後はゆっくり話して過ごす。まるで夫婦のよう)

プリンツ(この幸せ、いつか必ず手に入れて見せる……!!)

提督「おっと、もうこんな時間か。さて、これが合鍵だ。家まで送ろう」

プリンツ「はい、ありがとうございます。……!」ハッ

提督「じゃあ行こうか。車を出すよ」

プリンツ「お願いしますね」ニコッ

プリンツ(そして気がつく可能性。遅くまでいると送ってもらえるが、それは明らかに手間だ)

プリンツ(ならばいっその事、泊めてもらえればいいんじゃない……!?同棲なんて……ステキ!)

プリンツ(そうと決まれば明日は着替えとかを持ってこないと。ああ、なんで持ってこなかったんだろう!)

プリンツ(もし持ってきていれば、今日から泊まり込めたのに!そしたらあんなことやこんなことが……!!えへへっ!!)

提督「……ンツ。……プリンツ?着いたぞ」

プリンツ「!?は、はい!!」

提督「じゃあまた明日。頼むぞ。……けど、朝ごはんはやはりきつくないか?」

プリンツ「大丈夫です!では、また明日お会いしましょう! Gute Nacht!」

提督「ああ、お休み」

プリンツ(……今日もちょっと発散させなくちゃダメかな。いけない、自重しなくちゃ)
622 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/26(月) 21:24:37.78 ID:hgLaaamD0


プリンツ「アトミラール、起きてください。朝ですよ」

提督「……ああ、今起きる。……ってプリンツ!?何しているんだ!!」

プリンツ「何って……朝ごはんを作りに来たんですよ。はら、もうできてますよ」

提督「ああ、そうだったか……そうだった。悪いな。ありがとう、プリンツ」

プリンツ「はい、どういたしまして!」



プリンツ「食器はそのままでいいですよ。洗濯物は出しておいてください。洗濯しておきますから」

提督「洗濯までしてくれるのか!いや、さすがにそれは……」

プリンツ「気にしないでください!このかごですよね?洗濯物入れ。これに入れておいてください」

提督「っ……じ、じゃあお願いしよう」

提督(下着は別にまとめておいて、今度洗濯しよう……)



提督「では行ってくる」

プリンツ「あ、待ってください!お弁当をどうぞ!」

提督「ありがとう」

プリンツ「外まで見送りますよ。今日はいつお帰りになりますか?」

提督「そうだな……十時には戻りたいところだ」

プリンツ「分かりました。では、お仕事頑張ってきてください」

提督「ああ、行ってくるよ」

プリンツ「行ってらっしゃい!」フリフリ

提督「……」

提督(何だこれは!?まるで夫婦じゃないか!!なんというか……幸せだ。だが、いけないぞ俺!)

提督(思い出せ!ビスマルクだって最初の頃はこうして……っ!いや、思い出すな!もう訳が分からん!)

提督(……とりあえずやるべきことに集中しよう。それが一番だ)
623 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/26(月) 21:26:47.48 ID:hgLaaamD0


プリンツ「ふんふんふ〜ん♪」

プリンツ(よし、洗濯物も干したしお掃除も終わった!あとは夕方お買い物に行くまでは暇だな)

プリンツ(何しようかな。……そういえば、誰も居ないんだよね?そしてここはアトミラールの家……)

プリンツ(私の足は勝手に動き始めた。アトミラールの寝室の扉を開け、そこにあるベッドに目が釘つけになる)

プリンツ「……ごくっ」

プリンツ「……」キョロキョロ

プリンツ(遮るものは何もない。目撃者も誰もいない。……)

プリンツ「えい!」ボスッ

プリンツ(気がついたら飛び込んでいた。アトミラールの匂いに包まれる。まるで抱かれているみたい)

プリンツ「んはぁ……んぅ……や、やば……すごいぃ……」ゴロゴロ スリスリ

プリンツ(湧き上がる情動、火照るからだ、鈍る思考。布団に包まりながら手が伸びかける。まずい、それだけは駄目だ!バレちゃう!)

プリンツ「はぁ……はぁ……っ!!」ムラッ ガラッ ビクッ

プリンツ(……見つけてしまった。気を紛らわせるためにたまたま開けたベッドサイドチェストの中)

プリンツ(そこに透明なビニールに入れられて置いてあったのはなんと……アトミラールの下着だ!!)

プリンツ(洗濯物に下着はなかった。まあ、私に配慮して後で洗うつもり、といったところかな)

プリンツ(しかも、化粧水やらに交じってタオルまで……タオル……これを下に敷けばあるいは……)

プリンツ「……Nein. Nein nein nein…… Das ist nicht gut…(駄目だ。駄目だ駄目だ駄目だ……そんなことしちゃいけない……)」

プリンツ(そんなの、変態だ。しちゃいけないことだ。分かっている、そんなことは……)

プリンツ(けど、手が止まらない。震える手でビニールとタオルを取り出す。ビニールは縛られていない)

プリンツ(タオルを腰の下に敷いて、震える手で中からそれを取り出す。もはや止めることはできなかった)

プリンツ(それを鼻にあてる。濃厚な男の人の、アトミラールの匂い。まるで、麻薬のよう)

プリンツ(……私は、スカートをずり下ろし、下着も下げて指をあてがう。指が動くのが止められない)

プリンツ(気がついた時には胸元もはだけさせて、ブラのホックを外してずり上げ、空いている方の手で揉みしだいていた)
624 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/26(月) 21:28:57.52 ID:hgLaaamD0


提督「ただいま」

プリンツ「あ、アトミラール!お帰りなさい」

提督「ああ、良い匂いだ!」

プリンツ「ご飯にしますか?それともお風呂ですか?」

提督「そうだな、まずは食事にしようかな」

プリンツ「分かりました。おカバンをどうぞ!」

提督「ははっ、大丈夫だよ。自分で片付ける」

プリンツ「そうですか?分かりました」

提督(自分の部屋に戻って、カバンを置いて部屋着に着替えよう。と思って歩いていると、プリンツがついてくる)

提督「リビングで待っていてくれていいんだぞ?」

プリンツ「いえ、お構いなく」

提督「?」

提督(……どういうことだ?不思議に思いながらも自室に戻る。すると変化に気がついた)

提督「この香り……」

プリンツ「……!」ドキッ バクッ バクッ

提督「芳香剤か?良い匂いだな」

プリンツ「そうですか……!良かったです!私のお気に入りなんですよ!」

提督「……もしかして、臭ってたか?」

プリンツ「!?まさか!!違いますよ!!ただ、何の香りもないのはちょっと寂しいかなって思って……」

提督「そうか!ならよかった。……さては、これの感想が聞きたくてついてきていたんだな?」

プリンツ「えっ、そ、そうですよ。流石ですね、アトミラール。どうですか?」

提督「甘くて、けど自然な香りだ。良い香りだな、気に入ったよ」

プリンツ「それは良かったです!」

提督「さて、食事にしようか」

プリンツ「そうですね、もうお腹ペコペコです」

提督「待っていたのか?先に食べてくれてよかったのに」

プリンツ「そんな事言わないでください。一緒に食べたかったんです」

提督「悪いな、ありがとう」
625 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/26(月) 21:30:58.80 ID:hgLaaamD0


提督「さて、そろそろ帰るか?送っていこう」

プリンツ「アトミラール、一つ提案があるんですけど」

提督「何だ?」

プリンツ「アトミラールさえ良ければ、私もここに住まわせてくれませんか?」

提督「!?」

プリンツ「その方がいろいろと便利ですし、アトミラールも毎晩送っていくのは手間ですよね?」

提督「い、いや!それはまずい!年頃の女の子がみだりに男の所に泊まるなと言われただろう?それに、俺にはビスマルクが……!」

プリンツ「……それこそ、大丈夫ですよ。アトミラールはそういった間違いをする人ではありませんよね?」

プリンツ「ただ、部下を部屋に泊めるだけです。空き部屋もありましたし、ね?実はもう荷物を持ってきているんです」

提督「なん……だと……」

プリンツ「……たった二日。今日と明日だけですよ?明後日には帰国じゃないですか」

プリンツ「お仕事のために、ですから。ね?……けれど、もしそれでもとおっしゃるのであれば、送っていただかなくても結構です」

プリンツ「それこそ、その分の時間がもったいないですから。私だって、子供ではないので一人で帰れますよ」

提督(っ……ここまでしてくれているプリンツを一人で帰らせるなんてできない。それに、この関係に心地よさを感じてもいた)

提督(別に浮気ではない。ただの上司と献身的な部下だ。親しい友人と言ってもいい。それなら悪くはないだろう)

提督(プリンツだって、きっとそう思っていてくれてるはずだ。俺がビスマルクと結婚していることは知っているのだから)

提督「……分かった。その方が君にとってもいいのならそうしよう。俺は問題ないからな」

プリンツ「ありがとうございます!……では、時間も時間ですしお風呂に入りたいかと思うのですけど……先に入ります、か?」

提督「!!あ、ああ。君が決めてくれ。俺はどっちでもいい」

プリンツ「では、先にいただきますね」

提督「わ、分かった……」

提督(この前のホテルの時を思い出してしまうな……だが、落ち着け。あの時はホテルだったが、ここは普通の家だ)
626 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/26(月) 21:35:59.03 ID:hgLaaamD0


プリンツ「ぶくぶくぶく……」

プリンツ(未だにアトミラールの中では、あの女が大きく居座っている。予想よりも、大きく)

プリンツ(アトミラールは一度、客観的に自分が何をされたのか考えてみたほうが良いと思う)

プリンツ(そして周りを見渡して、本当にふさわしいのが誰か早く気がつくべきじゃないかな)

プリンツ(……けど、家に泊めてくれるぐらいにまで関係は発展しているんだ。すぐに私が目を覚まさせてあげる)

プリンツ「ん、あがろ」ザパッ



提督(プリンツの助けもあって、俺は無事に帰国までに報告書をまとめることができた。それを提出し、帰国の途につく)

提督(そして直接司令部まで赴き、報告を行う。すべては滞りなく行われた。そして勝利の凱旋、観艦式が行われる)

提督(俺も挨拶などで忙しかったが、なんとか無事に終わらせることができた。ようやく休暇に入ることができる)

提督(それはつまり、連絡できていなかったビスマルクに連絡することができるということだ。きっと時間が長くかかる)

提督(俺はすぐに電話をしたい衝動を抑えて自宅に戻り、すぐさまビスマルクへ電話をかけた)

ビスマルク『アトミラール!!』

提督「ビスマルク!!久しぶり……になってしまったな」

ビスマルク『ええ。連絡してもつながらないし、確認したら作戦前で連絡が取れないって……』

提督「ああ、俺もあの時は作戦で連絡できなくなることを忘れていた……連絡できなくてすまなかった……」

ビスマルク『いいの、気にしないで。こうして、終わってすぐに連絡してくれたじゃない』

提督「そう言ってもらえるとありがたい。……声が聞けて良かった。それで、いつ戻ってくるんだ?」

ビスマルク「再来週には戻れるわ!」

提督「そうか!楽しみだ!」

ビスマルク「私もよ!……っ……あの、ね?アトミラール」
627 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/12/26(月) 21:39:09.71 ID:hgLaaamD0
提督(声音の変化に話題が面白いものではないことを察する。一体なんだろうか?)

提督「どうした?」

ビスマルク『あのね……私、……私、ね』

提督「……ああ」

ビスマルク『私……堕ろしたの』

提督「……!!っ……そ、そうか」

ビスマルク『……』

提督「……ビスマルク。俺は、……人として最悪だが、それを聞いて……安心した。……嬉しいよ」

ビスマルク『アトミラール……ごめんなさい……そんな事言わせてしまって……私……』

提督「いいんだ!それよりも、聞いてくれ。もう知っていると思うが、い号作戦は成功した!」

ビスマルク『っ、そ、そうね!知っているわ!おめでとう、アトミラール!!』

提督「言っただろう?成功を確信したと。褒美を期待しているからな」

ビスマルク『ええ、期待していてね!きっと喜んでもらえるはずだから!』

提督(その後、いろいろと雑談をした。電話を切った時には通話時間が二時間に迫っていた。俺は、ラガヴーリンとショットグラスを持って自室へ戻る)

提督(蓋をあけようとしたところで、自分の手が震えていることに気がつく。強引に蓋をあけ、グラスに注いで一気に呷る)

提督「……」

提督(ビスマルクが堕胎を選んだというのは、俺にとって本当に衝撃的だった。まさか、そうするとは思っていなかったからだ)

提督(……俺が思ったことは、先ほどビスマルクに言ったとおりだ。そう思って当然だと思う)

提督(育てるしかないかという気持ちはあった。諸説あるが、かつてあのモンゴル帝国を築いたチンギス・ハン)

提督(その長男とされているジョチは妻が敵にさらわれた時に孕まされた子供であるという)

提督(しかし、チンギス・ハンはその子を実の息子として育て、実子たちがジョチを敵の子と罵っても自らの長男として扱ったという)

提督(俺は、歴史の偉人と比ぶべくもない。しかし、そんな心の広く寛容な男になりたいと思っていた)

提督(だが、やはり嫌なものは嫌だ。俺は、嬉しかった。せいせいしたと言わざるを得ない)

提督(堕胎なんてという人も大勢いるだろう。子供の命を何だと思っているのだと言うのもわかる)

提督(だが、それは当事者の心境を無視しているのではないだろうか?少なくとも、俺はそう思った)

提督(どちらにせよ、このことできっとビスマルクが一番深く傷ついている。そんなあの子を支えるのは俺の役目だ)

提督(震える手でもう一杯注ぎ、呷る。早く酔って、寝てしまいたかった)
628 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/26(月) 23:36:23.59 ID:r5ZtoE550
子供がいたら簡単には別れられないし、別れたら別れたで他人の子供と分かっていても養育費払わにゃならんからな
本当に糞だわ
629 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/27(火) 00:38:07.28 ID:ytpCP8TvO
提督はある程度覚悟決めてたしビス子は結局堕ろしたしで二人とも噛み合わん感じはするけどもうガキのことなんてどうでもいいだろ
一体何にキレてんだよ…
630 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/27(火) 00:45:43.52 ID:AuP4mwTyO
>>629
おっ大丈夫か?
631 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/27(火) 00:58:54.05 ID:ytpCP8TvO
ああごめん
触れたらダメだよな…
632 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/27(火) 01:07:33.97 ID:5UKbLQKz0
女叩きガイジもそれに触れるガイジも黙ってろ
また荒らす気か
633 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/27(火) 03:36:41.23 ID:XLJw0dqZ0


プリンツ(日本での休暇が始まった。それはつまり、いつものように司令部でアトミラールに会えないということだ)

プリンツ(つまり、会うためには自分から会う予定を作らなくてはならない。けど、貴重なこの機会に焦らしもまた必要)

プリンツ(考えた私は、偶然にも一週間後にある好きなドイツのメタルバンドの来日公演にアトミラールを誘うことにした)

プリンツ(知り合いのファンが急用で行けなくなり、ペアチケットで良ければ譲るという連絡があったのだ)

プリンツ(以前にドイツで販売しているグッズを買ってあげただけの、顔も知らない人だったけど。情けは人の為ならずだ)

プリンツ(もちろん譲ってもらった。これはまさに天啓だ!主は仰られている。アトミラールをライブに連れて行けと!)

プリンツ(前に聞かせてあげた時に好きだって言ってたし!怖いのは予定が埋まっていた場合だが、それならそれで他に考えればいい)

プリンツ(一週間会わないという焦らしにもなるしね!攻めばかりが恋愛ではない!という訳で、電話する。もう遅いけど、きっと起きているはずだ)

提督『……プリンツか?どうした』

プリンツ(!……結構、酔っている?お酒を飲んでるんだ……誰と?)

プリンツ「あ、アトミラールですか?すいません、ちょっと聞きたいことがあって連絡したんですけど……酔ってます?」

提督『さあ……酔えているのなら、飲まないほうが良かったな……』

プリンツ「アトミラール……?大丈夫ですか?周りに誰かいますか?もし助けが必要ならすぐに行きますよ?」

提督『いや、大丈夫だ。今、自宅で一人呑みをしていてな。悪く酔ってしまったみたいだ。それで、何の用だ?』

プリンツ「そうですか、分かりました。……アトミラールって今週末何か予定がありますか?」

提督『今週末……いや、何もなかったと思うが。どうした?』

プリンツ「実は、私の好きなメタルバンドの来日公演があるんですよ。ほら、前に聞いた時に好きって言ってましたよね?」

プリンツ「なので、是非一緒に行きませんか?こっちじゃマイナーなんでライブハウスでなんですけど」

提督『そうか……悪いが、今はそんな気分じゃ……いや、やはり行こうかな。リフレッシュするにはちょうどいいかもしれん』

プリンツ「そうですか!Gut!では後で詳細をメールしますね」

提督『ああ、分かった』

プリンツ「私、とても楽しみです!では失礼しますね。おやすみなさい!」

提督『ああ……お休み……』

プリンツ「アトミラール、すごく元気なかったな。どうしたんだろ……でも、行く約束できた!Super!」

プリンツ(楽しみで仕方がない!それに、もしアトミラールに何か嫌なことがあって元気がないのなら、私が癒してあげられる!)

プリンツ(私はその日の予定をワクワクしながら考える。ベッドに入ってもすぐには寝れなかった)
634 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/27(火) 03:47:28.99 ID:XLJw0dqZ0


提督(久しぶりに里帰りして両親と会い、旧友たちと親交を温めていたらあっという間に約束の日だった)

提督(ビスマルクとは毎日電話をしたが、今日ライブに行くことは話さなかった。別にそこまで悪い事ではないはずだが、なんとなく言い出せなかったのだ)

提督(さて、夕方の繁華街で待ち合わせの時間を待つ。遊びに出てきた若者たちやカップルたちの中にいると戦時ということを忘れそうになる)

提督(おそらくここにいる人たちにとって戦争とはテレビの中だけの話になっているのだろうなと思うと、複雑な気分だ)

プリンツ「あ、アトミラール!!」

提督「プリンツか。……っ!?」

提督(声をかけられ、そちらを向く。そこにいたのは確かにプリンツだったが、服装が凄かった)

提督(ブーツを履き、ガーターストッキングにミニの柄入りプリーツスカート。そして、おそらくそのバンドのモノであろうシャツを着ている)

提督(しかも、へそ出しだ。綺麗な白い肌と形の良いへそが惜しげもなく晒されている)

提督(そしてプリンツの左下腹部にはなんとタトゥーが彫ってあった。全部は見えないが、手のひらぐらいの大きさで雪の結晶のような模様だ)

提督(シャツの上には革製のジャケットを羽織り、山岳帽を被っている。色はすべて黒やそれに準ずる色だ)

提督(さらに言うと、腰にはチェーンがついており、首元には鉄十字のアクセサリーをかけている)

提督(たまにこんな感じの服装の人間を見かけるが、大体が服に負けて痛々しいことこの上ないことになっている)

提督(しかし、プリンツはスタイルが良くて美人であるためか見事に着こなしていた。圧倒的な存在感を放っている)

提督(周りは皆プリンツに見惚れており、そしてその待ち合わせ相手である俺にも嫉妬や羨望の視線が集中した)

提督「何というか……すごい格好だな。もしかしてこの格好じゃまずいか?」

プリンツ「いえ、大丈夫ですよ。向こうでシャツを買ってそれに着替えればいいんです。もちろん、私がお金出しますよ」

提督「何言ってるんだ、自分で買うよ。もちろんチケット代も出すからな。……それにしても、本当にすごい格好だ」

プリンツ「えっ、似合ってませんか……?」チラッ

提督「まさか!すごい着こなせてるよ。けど、普段の君からは想像がつかなかった」

プリンツ「そうですか?ならよかったです!今日はライブですから。普段からこんな格好しているわけじゃないですよ?」

提督「そうか。まあ、似合ってるからいいと思うが。……タトゥーしているんだな」

プリンツ「えっ?あ……もしかして、嫌でしたか?」
635 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/27(火) 03:57:11.67 ID:XLJw0dqZ0
提督「まさか。個人的にはあまり下品じゃなければ、むしろ好きな部類かもな。それに、向こうじゃ普通なんだろ?」

プリンツ「はい。なんで日本じゃこんなに嫌われているんですかね?」

提督「分からん。柄の悪い連中がよくしているからかな。……そのタトゥーは雪の結晶なのか?」

プリンツ「これですか?いえ、Galsterですよ。ルーン文字を組み合わせたものです。日本で言うと……魔法陣っていうんですかね?」

プリンツ「願いや想いを込めてルーン文字を記号にしたものです。ヨーロッパではポピュラーですよ。これは、『守る力、挫けぬ意志、栄光ある運命』です」

提督「へぇ……なるほどな。他にもタトゥーはしているのか?」

プリンツ「え?はい、あと右肩のところにもありますよ。見ますか?」

提督「いいのか?」

プリンツ「もちろんです!ん……ほら、これですよ」グイッ

提督(プリンツは上着を脱いで、袖を捲って見せる。そこには見たことのない記号、おそらくルーン文字が彫られていた)

提督「へぇ……これもルーン文字か?」

プリンツ「はい、飾り文字になってますけど。PerthroとEhwazでPEです。Prinz Eugenですよ」

提督「なるほどな……」

提督(まあ、タトゥーも悪くないものだ。大事なのはその人自身だからな。と思っていたところで気がついてしまう)

提督「!!」

提督(捲り上げた袖から覗く脇に、気がついてしまった。俺はそんなフェチやらではないが、だが……確かに彼らの気持ちも分からんでもないな)

プリンツ「あ、あの、アトミラール?そろそろいいですか?」

提督「あ、ああ!もちろんだ!すまなかったな」

プリンツ「いえ、大丈夫です。ただ、ちょっと周りの視線が……」

提督「っ!そうだな、すまない。では行くとしよう。夜は食べてから行くのか?」

プリンツ「ええ、ライブは0時からですからね」

提督「0時!?やけに遅いな……」

プリンツ「はい、それが彼らのこだわりなんですよ。ただ、9時ころからからライブハウスは開いていて、ライブ会場以外のスペースはクラブみたいになってるんです」

プリンツ「なので夜を食べてから少し飲んで、それで9時ころからもう入っちゃおうかと思ってるんですけど、どうですか?」

提督「なるほど、分かった。ではどこで食べようか?」

プリンツ「実は行ってみたかったところがあるんです。ついてきてくれますか?」

提督「もちろんだ」
636 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/27(火) 04:04:53.60 ID:XLJw0dqZ0


提督(プリンツの言ってみたかったところとは、回転寿司だった。と言っても一皿100円の所ではなく、上品な感じの雰囲気の店だったが)

プリンツ『すごい……!本当にお寿司が回ってますよ!私、誇張だろうと思っていました!』

提督『そうか、それは良かったな』

提督(そこで食事を済ませ、手ごろなバーに入った。軽く酒を飲んで時間を潰す。飲みすぎないように注意しなくてはな)

提督(そして、9時を少し過ぎたところでライブハウスへ向かった。広さはそこそこだが、想像よりは狭く、広めの会議室程度しかなかった)

提督(まあその広さの部屋がいくつかある時点で広いか。それぞれの部屋ではDJが音楽を流していてスモークのようなものが焚かれている)

提督(あとは酒を買うためのカウンターがあり、いくつかの机や椅子、座るためのバリカーみたいなものがある)

提督「結構人が居るな」

プリンツ「まあ、今日はライブですからね。これからもっと混んでくるんじゃないですか?」

提督「ふむ……とりあえず何か飲むか?」

プリンツ「はい!」

提督(適当に飲み物を買って、しかし席は開いていない。隅の方で音楽を聴きながら飲む)

プリンツ「アトミラール、これをどうぞ」

提督「……耳栓か?」

プリンツ「ライブの時とDJが本気で音楽を流し始めた時は、そのまま聞くと耳が聞こえなくなっちゃいますから」

提督「なんとまあ……」

プリンツ「つけてても十分聞こえますし、好きな曲の時は取ればいいんですよ」

提督「そういうものか、ありがたく受け取っておこう」

プリンツ「はい。……そろそろ向こうへ行きませんか?踊りたいです」

提督「踊る!?……何を踊ればいいんだ?まさかワルツじゃないよな」

プリンツ「あー……ワルツ踊れるんですか?なら今度一緒に踊りましょう。……まあ、リズムに合わせて体を揺らすだけでいいんですよ」

提督「そうか……」

プリンツ「適当でいいんですよ!みんな適当です!さあ、行きましょう」

提督「分かった」

提督(人だかりの中にはいっていく。混んでいるがまあ何とか進めないほどではない)

提督(いい感じの場所に来たところで、プリンツと談笑しながらリズムに乗っている。しばらくしてから、トイレに行きたくなった)
637 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/27(火) 04:12:32.76 ID:XLJw0dqZ0
提督「すまないがトイレに行ってくる。ちょっと待っていてくれ」

プリンツ「そうですか?分かりました」

提督「すぐ戻る」

提督(トイレらしき方向へ向かっていく。何とか見つけたが、かなり並んでいた。とりあえず他の場所のトイレを確認してみよう)

提督(部屋を移ると、無事に空いているトイレを発見した。が、凄いものを目撃した)

提督「おお……なんて奴らだ……」

提督(それは白人のカップルだった。部屋の真ん中、割とダンスが上手い連中たちが踊っている所にいる)

提督(彼らはまるで立ちバックをしているように踊っていた。女性が男性の前に立ち、臀部を相手の下腹部に擦り付けるような感じだ)

提督(男性は男性で女性の体をなでまわし、手を握り、もはややりたい放題だ。なんて卑猥なのだろうか!)

提督「これがカルチャーギャップか……まあ、どうでもいい。トイレだ、トイレ」

提督(トイレを済ませ、プリンツの元へ戻る。すると、面倒なことになっていた)

男「いいじゃん、向こうで俺と飲まない?」

プリンツ「お断りします」プイッ

提督(プリンツが知らない男に絡まれていた。まあ、こういう場所だ。そう言う人間もいるのだろうな)

提督「プリンツ、待たせたな」

プリンツ「アトミラール!!」バッ

男「男連れかよ……そんなイケてない格好の奴より俺と遊ぼうぜ?」

プリンツ「ちっ……アトミラール、ちょっと失礼しますね」ボソッ ダキッ

提督「こういう輩と真面目に取り合わない方がいいぞ。っ!?」

男「っ!!」

プリンツ「悪いけど、私は貴方みたいな似合わないのに髪を染めてたり、ピアスをつけてたり、服に着られているような奴に興味ないから」ギュッ

プリンツ「この人みたいに、カッコよくて、凛々しくて、真面目な人が好きなの。私はこの人のモノなの」ジッ

プリンツ「分かったらさっさと失せて?邪魔だから。まあ、見ていたいって言うならそこらで覗いていれば?」チラッ

提督(プリンツは、ぼそりと俺に謝ると抱き付いてきた。そして脚を絡ませ、強く抱きしめて体を擦りつける。熱っぽい瞳で見つめられた)

提督(そして、憐れみと蔑みの混じった視線でちらりと絡んできていた男を見下す。俺は、驚きの余り固まってしまっていた)
638 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/27(火) 04:19:16.46 ID:XLJw0dqZ0
男「こ、この……!!」

プリンツ「さあ、踊りましょ?アトミラール!」

男「待tっ!?」

提督「!!」

提督(タイミングよく流れ出す大音量の音楽、そして有名らしいDJの登場に歓声が上がる。他の場所からも人が集まってきたのか、いつの間にか大混雑だ)

プリンツ「……♪」ペロッ

提督(プリンツを見ると、いたずらっぽく微笑みながら舌を出す。そして俺に背を向けると、なんと臀部を俺の下腹部に押し付けてきた)

提督(そして手を恋人つなぎにし、体を妖艶にくねらせ、その年の割に大きな胸を揺らしながら、肩越しにこちらを振り返る)

提督(いつもの、いわば天使のようなプリンツからは想像のできない、まるでサキュバスのような微笑み)

提督(細められた目から覗く緑の瞳はキラリと光り、薄紅色のプリッとした唇は色っぽく開かれ、それを舐める舌が誘うようにチラチラと揺れている)

提督(これはさっき見た……!!いつのまにか、俺とプリンツの周りには人だかりができていた。プリンツに視線が集中する)

提督(絡んできていた男は、屈辱と嫉妬に肩を揺らして人ごみの中に消えていった。さて、俺はどうすればいいのか……)

プリンツ「っはぁ……アトミラール……触ってください……」ギュッ

提督「な、なんだって……!?」

提督(プリンツは手を放すと、両手を上げて肩越しに俺の顔に触れる。頭と全身をすりつけてくる)

提督(俺は、とりあえず片手でプリンツの頭を抱えてもう片方の手で……一番大丈夫そうなプリンツの腹部に触れる)

プリンツ「んっ……はぁ……」スリスリ

提督「……!!」ナデナデ

提督(先ほど見た白人カップルを参考に、無心でプリンツを愛撫する。もちろん、大丈夫な範囲でだ)

提督(まるでAVにでも出ている気分だ。しかし、その卑猥なダンスも曲の終了と共に終わりを告げた)

プリンツ「……の、喉が渇きましたね?ちょっと飲みにもどりませんか?」

提督「あ、ああ、そうだな……」

提督(恥ずかしさの余り部屋も変えるが、男どもがぞろぞろとついてくる。プリンツのあれに期待してだろう)

提督(くそっ……お前ら、もう少しさりげなくできないのか!?バレバレなんだよ!!)

提督(飲み物を購入し、しばし談笑。それからまた前の方に出て二人で向かい合いながら軽くリズムを取る)

提督(周りの奴らはアレを期待しているようだが、頼まれたってやってやるものか!これ以上プリンツをいやらしい目で見させるわけにはいかない)

提督(普通に踊る。周りでやっている人が居たから、何度か手を上にあげてくるりとプリンツを回転させてみた。誰よりも綺麗に回っていた)
639 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/27(火) 04:26:37.70 ID:XLJw0dqZ0
提督(そしてライブの時間が近づき、二人で並んで待機、チケットを渡してシャツを買い、その場で着替える)

プリンツ「はぅ……すごいからだ……」ウットリ

提督「よいしょっと……ふぅ……ん?どうした?」

プリンツ「い、いえ!何でもありませんよ。では行きましょうか!」

提督「ああ」

提督(タイミングが良かったようで、入場開始と共に会場へ着いた。最前列を取ることに成功する)

提督(三十分程話しながら待って、ようやくライブが始まった。プリンツは大興奮だった)

提督(プリンツのお気に入りというジャーマンメタルの演奏を聴く。確かに耳栓があってよかったな)

提督(大きな映画館のシアターほどの広間が、人で埋め尽くされている。席などない。後ろから押される)

提督(俺はプリンツを守るために、前にすっぽりと抱きかかえるようにする)

提督(プリンツは何かを言っていたが音楽と大歓声で聞き取れない。しかし、のばされた手を握った)

提督(すべてが終わった時にはもう明け方だった。電車も動き始めている)

プリンツ「いやぁ〜サイコーでしたね!」

提督「ああ、良いメロディーだった」

プリンツ「好きな曲全部演奏してくれたし、大満足ですよ!」

提督「よかったな。俺も前に聞かせてもらったのが流れて良かったよ。あれが一番良かった」

プリンツ「ああ、あれですか!あれはイントロが良いんですよね!」

提督「そうだな。ところでプリンツ、君はこの後どうするんだ?」

プリンツ「そうですね……もしよければ、これから飲みなおしませんか?目が冴えちゃいました」

提督「なるほどな。まだぎりぎりほろ酔いって感じだし、それもありだ。だが、こんな時間からどこで飲む?」

プリンツ「アトミラールの家とかどうですか?実は私、ウォークマンに曲を入れてきてるんですよ。二人でゆっくりしたところで聞きたいです」

提督「俺の家か……分かった、そうしよう」

プリンツ「っ!!Gut!!じゃあさっそく行きましょう!!」

提督(適当にタクシーを拾って自宅へ向かう。ライブの話をしていたらいつのまにか着いていた)

提督(プリンツを客間に待たせて、とりあえず酒を見繕う。何がいいか……アイリッシュ・クリームにクヘーム・ドゥ・カシス)

提督(あとはハイネケンを数本と何かワインを……ベルンカステラーがあるか。これだ)

提督(待てよ、蒸留酒がないぞ。何か……スブロッカでいいか。それにコップやソーダ、ジンジャーエール、レモン類)

提督(そして牛乳にコップをいくつか。氷、後はつまめるものを。栓抜きとコルク抜きも忘れずに)

提督(これでいいだろう。文句なし、完璧だ。案外量が多くなったが……氷を入れたワインクーラーに酒を突っ込んで、お盆でその他を運ぶ)
640 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/27(火) 05:02:23.01 ID:XLJw0dqZ0
提督「待たせたな、プリンツ」

プリンツ「アトミラール!?……すごくたくさん飲むんです、ね?スナックまで……」チラッ

提督「っ!!」

提督(やってしまった……いや、俺は飲みたいのがないと困るなと思っていろいろ持ってきただけなんだ)

提督(決して酔い潰そうだとかそういうつもりじゃ……ってそう言えばいいじゃないか。いや、その通りじゃないか)

提督「い、いろいろあったほうが楽しめるだろう?全部飲むわけじゃないさ」

プリンツ「そ、そうですよね……あ、ドイッチュヴァイン、ドイツワインですね!」

提督「ああ、たまたまあってな」

プリンツ「へぇ……いろいろありますね!ハイネケン!ベイリーズまで!」

提督「お、知っていたか」

プリンツ「私、カルーアよりも好きですよ!」

提督「俺もだ!」

プリンツ「スブロッカ!これも爽やかでいいですよね!」

提督「ソーダもいいが、これでモスコミュールを作るのが好きなんだ」

プリンツ「へぇー!そうなんですか?」

提督「試してみるか?」

プリンツ「はい!あ、そうだ。はい、アトミラール!右耳にどうぞ!」

提督「イヤホンか。スピーカーがあるぞ?」

プリンツ「セットするのが面倒ですし、これの方がお話しやすいですよ。ほら、どうぞ」

提督「そうか、ありがとう」

提督(プリンツとイヤホンを片方ずつ使いながら音楽を聴き、酒もいろいろと試していく)

提督(好きな音楽、好きな酒、いろいろなことを話す。酔いが回り、途中から何を話しているのか分からなくなっていた)

提督(だが、それでも心休まるひと時を過ごす。これほど美味しい酒を飲んだのは久しぶりだ。幸せな気持ちで意識が溶けていった)
641 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/27(火) 05:14:16.18 ID:XLJw0dqZ0


提督「……朝?……いや、夕方か」

提督(時計を見るともう午後6時だ。寝落ちしたのか?いや、ここはベッドだ)

提督「ん……っ!!??」ドキッ

「すー……すー……」

提督(ゆっくり起き上がろうとして気がつく。誰かに抱き付かれている。頭の中が真っ白になる)

提督「まさか……まさか、まさか……!!」マッサオ

提督(恐る恐る視線を下へ。布団の膨らみ具合は、明らかに誰かいる。……いや、寝息が聞こえる時点で分かっていた。そしてそこにいるのはプリンツしかありえない)

提督(何も考えられない。俺は……俺はなんてことを……ビスマルクとプリンツにどう償えばいいんだ……!!)

提督(震える手でゆっくりと布団を捲る。俺の胸に抱き付くようにして寝ていたのはプリンツだった)

提督(だが、ここで気がつく。服を着ている!!もちろん俺もだ!!おそらく、酔ってそのまま寝たのだろう)

提督(決して酔った勢いで朝チュンなどしてしまったわけではない!!一気に力が抜けた。俺はなるべくプリンツを起こさないように起きようとする)

プリンツ「んー……だめぇ……」ギュッ

提督(色っぽい寝言に赤面しつつ、強引にかつ丁寧に引きはがす。着替えを持って浴室へ。シャワーを浴びて食事を作る。準備ができたところでプリンツを起こした)

提督「プリンツ、もう夜だぞ」

プリンツ「んー……あとみらーるぅ……?」

提督「起きろ」

プリンツ「大好きですぅ……っ!?アトミラール!?あれ、ここ!?」

提督「俺の家だ。落ち着け」
642 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/27(火) 05:26:56.02 ID:XLJw0dqZ0
プリンツ「あ、そっか……飲んだ後、そのまま寝ちゃったんですね」

提督「そうだろうな」

プリンツ「……今、私何か変な事口走りませんでしたか?」

提督「いや、特に言っていなかったが?」

プリンツ「そうですか……」

提督「食事を作ったんだ。腹が減っているだろう?」

プリンツ「あ、ありがとうございます」

提督「シャワーを浴びていくか?」

プリンツ「はい。あ、でも着替えがありません……」

提督「ああ、そうか……買ってくるか?車でひとっ走りしてくる」

プリンツ「!?……お、お願いします」

提督「っ!!すまん!配慮が足りなかったな……その、サイズとかは?」

プリンツ「その……ゴニョゴニョゴニョです……///」

提督「わ、分かった……///じゃあ行ってくる!!先に食べていてくれ!!」

プリンツ「あ、でも……」

提督(なんてことだ、寝ぼけていた!本当に配慮が足りなかった!自分の至らなさが申し訳ない)

提督(俺はプリンツの言葉を聞かずに車へ向かう。赤い顔を見られるのが恥ずかしかった)

提督(車を出してコンビニに向かったが、なんという不幸だろうか!最後の一個を目の前で取られるコーラを買って他の場所へ)

提督(無事手に入れられたが、店員の視線が痛い……気がする。時間がかかってしまった。すぐに戻る)

提督「プリンツ、今戻った」

プリンツ「あ、提督!このシャツ、洗濯物で畳んであったんですけど……勝手に使わせてもらってますね?」

提督「あ、ああ!気にするな!ほら、これが着替えだ!後は男物で悪いが、俺のを適当に見繕ってくれ!何でもいい!」

プリンツ「ありがとうございます」

提督(プリンツは、なんと彼シャツ状態だった。いや、俺がプリンツの彼氏なわけではないが……)

提督(サイズの大きい俺のシャツが何とかプリンツの大事な所を隠していたが、少しめくれるだけで丸見えだろう……)

提督(さらに胸元はやはりきついのかぱっつんぱっつんになっていてボタンとボタンの間から肌色が見えていた。大変よろしくない)

提督「じゃあ俺はリビングで待ってるからな!帰りは送っていく!」

プリンツ「分かりました。ありがとうございます」

提督(リビングに戻ると食事が二つとも残っていた。待っていてくれたのか)

提督(結局、着替え終わったプリンツと共に食事をとって車で送っていく。宿舎の前で別れ、楽しい時間が終わった寂寥感に浸りつつ家に戻った)
643 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/27(火) 10:39:02.97 ID:6+zr0Zo4O
>>632
対立煽りガイジも黙ってような
644 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/27(火) 11:07:49.49 ID:cPOhlH3dO
提督がビスコのこと許してるってことはこれただの浮気だよね
プリンが報われて欲しいのは分かるけどやってることは結局同じなんだよな
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