提督「という訳なんだ、うむ」 ビスマルク「……」

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595 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/22(木) 00:24:02.11 ID:BPm5EXxn0


プリンツ(今日もお昼の時間がやってきた。昨日はサンドイッチだったし、今日はおにぎりだ。お米は日本人のソウルフードだからね!)

プリンツ(色彩が単調だけど、おにぎりはこんなものだから仕方ない。お新香があるからなんとかなるはず)

提督「……」スタスタスタ

プリンツ「……あ、アトミr」

加賀「提督、これを。私の自信作です」スッ

提督「おお、今日は加賀か。最近は弁当が流行っているのか?」

プリンツ「!?」

プリンツ(加賀さん……どうしていきなり……!先を越された!もしかして、昨日のを見ていたから!?)

加賀「かもしれませんね。どうぞ召し上がってみてください」

提督「ああ、頂くよ。……釜飯か!暫く食べていなかった!」

加賀「そうですか?ならよかったです。久しぶりの釜飯を堪能してください」

提督「君の料理だ、美味しいだろうな。どれ、いただきます……ああ、美味しい!さすがだな、加賀」

加賀「言ったでしょう?自信作だと。味わって食べてくださいね。丹精込めて作ったのですから」

提督「やはり日本食が一番だな。身に染みるよ」

プリンツ「っ!!」ガーン

プリンツ(日本食が……一番……!!そんな……)

加賀「でしょう?言ってくだされば、いつでもご用意しますからね」チラッ クスッ

プリンツ「!!」ハッ

提督「ありがとう、加賀」

加賀「は、はい……ふふっ」フニャッ

プリンツ「……!!」ダッ ギリッ
596 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/22(木) 00:25:08.22 ID:BPm5EXxn0


鳳翔「ええ!?日本食を教えて欲しいですか?」

プリンツ「はい!お願いします!まずは何かお弁当にできるものを!お弁当を作りたいんです!」

鳳翔「うーん……お弁当ですか……なら、幕の内弁当を目指しますか?」

プリンツ「まくのうちべんとう、ですか?」

鳳翔「そうですよ。日本の弁当と言えばおそらくそれを思い浮かべる人が多いでしょう」

プリンツ「! はい、是非それをお願いします!」

鳳翔「よろしい!では、ちょうど夕食も近いですし一緒に作ってみますか」

プリンツ「よろしくお願いします、先生!」



プリンツ「……」チラッ

加賀「……」メヲトジ

赤城「もぐもぐ」

瑞鶴「……?何かあったの、あの二人」

愛宕「さあぁ?分からないけれど……何か変な緊張感があるわね」

高雄「食べにくいことこの上ないわ……」

翔鶴「うっ……胃が……」

プリンツ「……っ!」ハッ タッタッタッ

加賀「……?」チラッ

高雄「あ、動きがあったわよ」

愛宕「どうでもいいから早く終わってほしいわぁ……」

提督「……へえ、日本食を勉強したのか」

プリンツ「はい!それでマクノウチ弁当を作ってみたので、食べてみてくれませんか?」

提督「分かった。ありがたくいただくよ」

加賀「!?」ガタッ
597 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/22(木) 00:27:37.68 ID:BPm5EXxn0
「「「「!?」」」」

プリンツ「はい、どうぞ!これです!」

提督「どれどれ、いただきます。ふむふむ……ほうほう……なるほどなるほど……美味い!」

プリンツ「ホントですか!」

提督「ああ!焼き鮭の味加減が絶妙だ!煮物も理想的な柔らかさだし、味もよくしみ込んでいる!卵焼きが甘くないのも俺好みだ!」

瑞鶴「!へぇ……提督さん、卵焼き甘くないのが好みなんだ……ふぅん」ニタァ

愛宕「甘党だから甘いのが好きかと思っていたけど……いいこと聞いたわぁ」ニタァ

加賀「……卑怯者。正々堂々勝負することもなく、このようなだまし討ちなんて。腹が立ちました」ギリッ ボソリッ

プリンツ(加賀さんは目を細め、歯を食いしばりながらこちらを睨みつけていた。大方、私がアトミラールを迎えに行ったことが気に食わないのだろう)

プリンツ(加賀さんだって、気がつけばそうできた。やらなかった自分が悪い。それに、恋は戦争。油断した奴から死んでいくんだ)

プリンツ(アトミラールを誰にも渡すつもりはない。悪く思わないでね)クスッ

加賀「……!!」ピキッ

提督「それにしても、料理が上手いものだな。どれも凄くおいしいよ」

プリンツ「あ、そうですか?昨日頑張って練習した甲斐がありました!」

提督「昨日!?一日練習しただけでこんなに美味く作れるのか……」

プリンツ「鳳翔さんのおかげですよ。鳳翔さんに習ったんです」

提督「ああ、通りで!鳳翔の面影があると思った!だが、これは君の味だな。何か工夫したのか?」

プリンツ「そうですか?うーん……もしかしたら調味料の違いかもしれませんね?」

提督「なるほど……これがドイツの味なのかもな」

プリンツ「そうですね。それに、とっておきのスパイスを使いましたから」

提督「とっておき?それは興味深い!何なんだ?」

プリンツ「……気持ちですよ。アトミラールに喜んでほしいって私の願いです」ボソリッ

提督「!?そ、そうか……!!」

プリンツ「ふふっ」ニコッ

提督(耳元でそう囁かれる。一気に味が分からなくなった。プリンツの顔が直視できない。何とか平静を装って完食する)

提督「ごちそうさま。では、仕事に戻るよ」

プリンツ「お粗末さまです。お手伝いしましょうか?」

提督「いや、明日から作戦開始だ。今日はゆっくり休んでくれ」

プリンツ「……そうですね、分かりました。ではお仕事頑張ってください」

提督「ああ、ありがとう。じゃあな」

プリンツ「はい、また後で」

提督(そうだ、明日には作戦が発動される。集中しろ。スイッチを切り替えるんだ。……失敗は許されない。人類の悲願なのだから)
598 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/22(木) 00:45:26.22 ID:BPm5EXxn0
提督「これよりい号作戦を発動する!第一艦隊へ連絡!突入開始!」

長門『了解!ビッグ7の力、存分に知らしめてやろう!』

提督「第二・第三艦隊へ連絡!第一次攻撃隊を発艦させろ!目標は敵艦隊及び空戦力だ!第一艦隊に道を切り開け!」

赤城『第二艦隊、了解いたしました。一航戦が世界最強であることを証明して見せましょう』

翔鶴『第三艦隊、了解です!必ずや勝利の栄光を!五航戦の活躍に期待していてください!』

提督(とうとう始まった。い号作戦が発動された。目標はガダルカナル及びツラギの敵拠点の撃破だ)

提督(少し前から東部戦線で友の指揮の陽動攻撃がAFに対して実行されている。すこしでも戦力がそっちに流れてくれればいいのだが)

提督(敵もガダルカナルとツラギを失ったらまずいことになるとは気がついている。確認された敵戦力は今までで一番強力だった)

提督(だが俺は信じている。我ら帝国海軍の前にはいかなる敵であろうとも立ちはだかることはできないのだと)



赤城『我が航空隊はソロモン海にて敵艦隊に攻撃を敢行!!現在までに判明せる戦果は〜』

翔鶴『我が航空隊はアイアンボトムサウンドにて敵艦隊へ攻撃を敢行しました!!敵の損害は〜』

長門『第一艦隊、突入成功!!これより敵拠点へ攻撃を開始する!!』

提督(作戦は順調だった。第一次攻撃は大変満足できる結果となってくれた。しかし、すべてが計画通りに進行しているわけではない)

提督「それは本当か?」

伊168『うん。少なくとも重巡四隻を含む中規模の敵艦隊が東部戦線からそっちへ向かったよ』

提督「分かった、報告ありがとう。引き続き偵察を頼む」

伊168『了解!任せて!』

提督「さて、どうするか……」
599 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/22(木) 00:47:18.05 ID:BPm5EXxn0


提督「という訳だ。現在、陸奥率いる第四艦隊と大鳳率いる第五艦隊が第二次攻撃を実行しているが、大きな障害たりうる」

長門「そうか、厄介だな……」

提督「だが、位置関係や予想される敵の航路から、今すぐ出撃すれば合流前に会敵することが可能だ」

翔鶴「なら、私が出ましょうか?第三艦隊を率いて撃破して御覧に入れましょう」

提督「いや、第一から第三艦隊までは再補給の後すぐに三次攻撃へ向かってもらう。敵拠点へのダメージはまだ足りない。計画の遅れは致命的になる」

赤城「では、どういたしますか?」

提督「各艦隊から重巡と駆逐艦を引き抜いて、臨時に特務戦隊を編成する。そうだな……編成はこれでいい。これで対処する」

長門「分かった。では各員に通達する」

翔鶴「了解です」

赤城「分かりました」

提督「うむ、頼んだぞ」



加古「ふぁ……」

古鷹「加古!居眠りしないで!」

加古「起きてるよぉ」

プリンツ(敵の増援艦隊の到着を阻止するために私達が派遣されることになった。規模は重巡四隻を含む中規模の艦隊だとか)

プリンツ(それに対してこちらは重巡四隻と駆逐艦二隻。数の差はあるけれども私たちの練度なら十分戦える)

プリンツ「!」ザワッ

プリンツ(この感覚……殺気が凄い。本当に重巡四隻が主幹なの?)

プリンツ「……敵は近いと思います」

愛宕「あらぁ。何で分かるのかしら?」

夕立「私もそう思う。けど、この感じ……」

時雨「どうしたんだい?」

夕立「重巡四隻どころじゃないっぽい……?」
600 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/22(木) 00:50:03.69 ID:BPm5EXxn0
古鷹「……っ!!敵艦隊発見!!」

加古「……私が寝ぼけてるだけかもしれないけどさ、戦艦四隻も見えるのは何かの間違い?」

愛宕「寝ぼけてるだけならよかったわねぇ……生憎、これは現実よ。悪夢みたいだけどね」

古鷹「情報と違う……戦艦が四隻……!?こんなの、どうすればいいの……!?」

時雨「……どうするんですか、古鷹さん」

古鷹「くっ……司令部へ連絡を。ここで食い止めなくては作戦失敗に繋がります。それに第四、第五艦隊が撃破される事態になるかもしれません……!!」

加古「ってことは……戦うの?」

古鷹「せめて戦力を削れるだけ削る!!そうすれば皆ならきっとやってくれる……!!」

夕立「うふふ。重巡四隻と駆逐艦二隻で、戦艦四隻と重巡六隻を含む敵の大艦隊と戦うとか……燃えるっぽい!!」

プリンツ「アトミラールの栄光の為、奴らの血で海を満たしましょう……!!」

愛宕「やるしかないってことかしらねぇ……高雄、私帰れないかも……」

時雨「縁起でもないことは言わないほうが良いですよ、愛宕さん」

古鷹「何も全滅するまで戦うわけじゃありません!回避を最優先にして戦えるだけ戦ったら撤退します」

夕立「えー!?そんなんじゃ勝てないっぽい!!」

古鷹「勝つのは何も敵を倒すことだけじゃないよ!!敵戦力を削ぐだけでも十分貢献になるんだから!!」

古鷹「何より、私たちが沈んだら戦力が大幅にそがれる!!そうなればこの作戦だけじゃなくて戦争全体に響く!!」

プリンツ「なら沈まなければいいだけです。そして敵も壊滅させる。両方こなさなくてはならないのが私たちの辛いところですね」

プリンツ「けど、覚悟はできてます。それに、私にならできる。突撃して皆殺しにしてやりますから、援護を」

夕立「それに賛成っぽい!!私も行くわ!!」

古鷹「ちょっ!?何を言ってるの!?」

プリンツ「最大戦速!!フルタカさん、援護して!!」

夕立「お願いします!!」

古鷹「ま、待って!!あぁ……もう!!援護射撃!!覚悟を決めるよ!!」
601 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/22(木) 00:55:45.62 ID:BPm5EXxn0


タ級A「ヤツら二隻だけでトツゲキしてくるぞ!!」

タ級B「愚か者メ!!他の奴はホウッテおけ!!重巡のシャテイに入ったらシュウチュウホウカで沈めてやる」

「「「「リョウカイ」」」」

タ級B「……ヨシ!Make ready (構え)! Take aim (狙え)!……Shoot (撃て)!!」ドゴォン

ドンドンドゴォンドン



プリンツ(敵が発砲する。けど、私の頭は氷のように冷静だった。敵の砲弾の軌道が見えた。数発が直撃コース)

プリンツ(敵はかなり優秀だ。初撃から当ててくるとは。私は少し進路を変え、体を逸らせて砲弾を避ける)

プリンツ(この前、暁を守った時も感じた自分以外がスローモーションになったような感覚)

タ級A「ハズシタ!?」

タ級B「マサカ。落ち着け。りろーどスルンダ」

プリンツ(敵は冷静に再装填する。早いな。けど全速力で進めば問題ない。装填が終わるまでの間に十分近づける)

古鷹「くっ……!!」

加古「あの二人で狙いにくい!!」

愛宕「もう!!」

古鷹「誤射を避けるように!!牽制できればいい!!……撃て!!」ドゴォン

ザブン ザブン ザブン

ネ級A「残りのテキがハッポウしてきました」

タ級B「カマウナ。重要なのはセッキンチュウのやつらだ」

プリンツ(古鷹たちの援護射撃が始まったけど、距離があるうえに私達が邪魔になっていて、敵に当たることは無かった)
602 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/22(木) 01:02:32.29 ID:BPm5EXxn0
夕立「プリンさんプリンさん」

プリンツ「ぷりん?」

夕立「皆、右利きだよ。私が面舵で回り込むからプリンさんは取り舵ね」

プリンツ「ああ、私のこと?分かった。……大丈夫?」

夕立「大丈夫だ、問題ないっぽい!!」

プリンツ「そう。じゃあよろしくね」

夕立「うん!!」

プリンツ(そうこうしているうちに、敵は再装填を終えた。照準されている。針のような視線がこちらを刺すみたいだ)

プリンツ(狙いを定めて……発砲するなら……今)グイッ

ドゴォン ブンブンブゥン

プリンツ(示し合わさなくても夕立とは分かり合っていた。敵の発砲の瞬間、弾けるように二手に別れる)

プリンツ(私たちは、敵を中心に円周をなぞるように進む。それに数瞬遅れて、鋼鉄の嵐が私と夕立が居た空間をずたずたに引き裂いた)

タ級A「バカな!?」

タ級C「フザケヤガッテ!!りろーど!!」

タ級B「Fire at will (各自で自由に攻撃)!!水雷戦隊はクチクカンを!!打撃部隊はジュンヨウカンを!!」

タ級D「ナンナンダコイツラ!!」

プリンツ(今度こそ驚きの表情を浮かべる敵だが、それでも落ち着いて展開していく。だが、)

夕立「あははっ!!さあ、ステキなパーティーしましょ!!」ドボン ドン

プリンツ「攻撃開始、Feuer!!」ドボン ドボン ドゴォン

プリンツ(魚雷を発射しつつ、牽制の砲撃を加える。相手の行動をコントロールして、魚雷へ追い込む)

リ級A「アブナイ!!」

ネ級A「ナニシテル!?止まるな!!ギョライが来る!!」

リ級A「エッ?」ゴォッシャァン

イ級A「グギャアアアア!!」ゴォッシャァン

リ級B「アッ」ゴォッシャァン

プリンツ(数本が敵に吸い込まれ、大きな水柱をあげる。沈んだのは重巡二隻に……駆逐艦二隻か。好都合)
603 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/22(木) 01:07:17.50 ID:BPm5EXxn0
プリンツ(肉薄したら戦艦より手数の多い巡洋艦や駆逐艦の方が怖い。私は敵の反撃を避けつつ面舵、敵へと突っ込んでいく)

リ級C「なんてヤツだ!!クルゾ!!」

ネ級A「ウテウテウテ!!」

ネ級B「ムリダ!!味方にアタルゾ!?」

リ級D「シャセンに立つな!!イドウしろ!!」

プリンツ(慌てふためく敵、なんとか反撃しようとしている。抵抗なんて、無駄なのに)

プリンツ(敵の真っただ中に飛び込んだ私に対して、敵は誤射を恐れて迂闊に発砲できない)

プリンツ(射線はすべて把握している。私はすぐそばのリ級に肉薄する)

リ級C「ウワアアアアアア!?」

プリンツ(私と目が合った獲物は、恐怖に顔を歪めて砲を構える。本能的に構えた主砲は、その練度の高さをうかがわせる正確さと素早さ)

プリンツ(私は半身になって身を逸らす。続いて砲声、風切り音。分かっていた。敵は焦っている。狙いをつけたらすぐに撃つ)

リ級C「!!??」

プリンツ(さらに接近。手が届きそう。一斉に発砲して、どれが当たればなんてのは必要ない距離)

プリンツ「グラーツ!!」ドン

リ級C「ダレカ!!タスっ」ボシュッ

プリンツ(ぎりぎりまで近づいたところで一番砲塔『グラーツ』を撃つ。リ級の首から上が消し飛び、血が噴き出す)
604 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/22(木) 01:10:26.99 ID:BPm5EXxn0
プリンツ(スプリンクラーのようなそれを浴びながら、崩れ落ちた首なし死体の脇を通り過ぎる。膝を曲げ、姿勢を落としつつ急ターンで振り向き)

プリンツ「ブラウナウ!!」ドン

リ級D「っ……えっ……?」シュボッ

プリンツ(こちらに狙いをつけていた別のリ級へ向けて発砲。この距離なら重巡程度の装甲は意味がない)

プリンツ(放たれた砲弾は相手の胸を貫き、膝を折った敵は不思議そうにかつて自分の胸があった箇所に手を伸ばし、触れようとした)

リ級D「……がふ。……」バシャッ

ネ級B「モラッタアアアアアア!!」ドゴォン

プリンツ(そこで、左にいたネ級が発砲。砲弾はこのままだと直撃コース。が、曲げていた膝を伸ばし、回転ジャンプ)

ネ級B「ナニイイイイイイ!?」

プリンツ(アイススケートで言うところのアクセルジャンプだ。誰かが私たちを見て水上スキーと言ったらしい)

プリンツ(だけど、それは間違っている。これはアイススケートなんだ。私達は大海原という特別な舞台で踊る戦乙女とでも言おうか!)

プリンツ「インスブルック!!」

ネ級B「あぐっ……つぅ……」バシャ バシャン

プリンツ(回転中、敵を捕らえる刹那。しかし私には長い。狙って発砲、そして着弾。腹部を貫かれたネ級は、そのまましりもちをつき後ろへ倒れ込む)

プリンツ(視界がゆっくりと回転する。飛び散る血肉、弾ける水飛沫、たゆたう硝煙。そのすべてがゆっくりな世界)

プリンツ(少し離れた所では夕立が敵の駆逐艦や軽巡相手に暴れている。この分なら問題ないだろう)
605 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/22(木) 01:16:01.15 ID:BPm5EXxn0
ネ級A「!!」ニタァ ドゴォン

プリンツ(そして気がつく。最後の重巡が狂気の笑みを浮かべてこちらを捉えている。着地の瞬間を狙われていた。発砲される)

プリンツ(そのうち一発がどうあがいてもよけられない。相手は勝利を確信していた。このままなすすべもなくやられる?この私が?)

プリンツ(はっ!そんなわけない。私は今、全力で恋愛しているんだ!こんなところで死んでやるものか!)

プリンツ「ウィーン!!」ドンッ

ガキィン

ネ級A「っ」バスッ ドガァン

プリンツ(敵が発砲し、事態を把握した直後、私も発砲した。砲弾と砲弾がゆっくりと近づいていき、そして激突)

プリンツ(どうしても避けられなかった一発は弾道を下にずらして海へ消えた。そして上から撃ちおろした私の砲弾はそのまま弾道を上に、つまり敵の方へずれた)

プリンツ(そして敵の砲を貫く。それが内側から破裂するように膨れ上がり、亀裂から閃光が漏れた)

プリンツ(やがてそれは大きな爆炎となり噴き出し、勝利の笑みを浮かべたままの敵を飲み込んだ)

プリンツ(私は着水し、勢いを受け流すために滑りながら何回か回転して止まる。残された戦艦四隻が呆然と立ちすくんでいた)

プリンツ(私はゆっくりとそちらへ向き直る。敵戦艦はもう少しで再装填が終わる。敵の目は私に釘つけだった)

タ級B「……お前は、ナニモノだ?シニガミなのか?」

プリンツ(震える声、話せない目線、表情は何とか取り繕っているが、恐れを感じているのは確かだ)

プリンツ「……私たちが出港するとき、誰もが私達を一目見ようとする。望遠カメラまで用意して、ご苦労様だよね」

タ級B「……?」

プリンツ「だけど、それはただの移動。観艦式でさえも行進でしかない。この戦い……いや、踊りこそが本番だと思わない?」

タ級B「何をイッテいる!?」

プリンツ「私は死神なんかじゃない、ただの恋する乙女だよ。そう、アトミラールに仕える戦乙女(ヴァルキュリヤ)!!」

タ級B「ヴァルキュリヤ!?意味がワカラナイぞ!!」

プリンツ「北欧神話って知らないか。まあいいや。これは私からアトミラールに捧げる踊りなの!」

プリンツ「だからさ、私と一緒に踊ろうよ!すべてはアトミラールのために!あの女がいなくたって、戦艦四隻ぐらい余裕で撃沈だ!」サッ
606 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/22(木) 01:18:44.59 ID:BPm5EXxn0
タ級B「!?アクマ!!シニガミめ!!」ガチャリ

プリンツ(敵がいよいよ再装填を完了し、撃とうとしたその瞬間、砲弾が奴らに降り注ぐ)

古鷹「オイゲンさん!!無理しないで!!」

プリンツ(古鷹さんたちの援護だ。接近してきていた艦隊の仲間が、斉射をくらわせる。完璧、予想通り)

タ級B「ナニ!?」

タ級A「ヤラレタ!?テナイ!!」

プリンツ(敵は混乱に陥り、視線を艦隊に向ける。その隙を逃さない。姿勢を低くして突撃。まずは一番近いお前だ!)

タ級C「イヤアアアアアア!!」

プリンツ(それに気がついた敵は私に狙われていることに気がつくと絶叫する。さっきと同じだ)

プリンツ(砲撃をジャンプでよけて、やつの真上へ。体をひねり、魚雷発射管を真下の敵へ。魚雷を発射する)

タ級C「ヒイッ!?」

プリンツ(向かってくる魚雷を、しかし敵はかがんで避けようとする。けどまあ、当てようと思っていたわけじゃない)

プリンツ(再装填が済んでいるのはグラーツだけだ。それじゃ足りない火力を補うための魚雷だ)

プリンツ「Bye!」

タ級C「マ、マッテ!!」

プリンツ(グラーツが火を噴き、砲弾が魚雷を貫く。爆発が他の魚雷を誘爆させ、敵戦艦を吹き飛ばした)

プリンツ(爆風で加速しつつ着水、それ以上煽られないように姿勢を低くして旋回。次の生贄はどれにしようかな。……あ)
607 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/22(木) 01:22:04.89 ID:BPm5EXxn0
タ級A「ホントウにバケモノだ!!」

タ級B「オチツケ!!当たればシヌんだ!!あいつさえ何とかすればカテル!!」

タ級D「ホカはザコだ!!キニスルナ!!」

夕立「それは酷いっぽい。夕立とも遊んでよ」

タ級D「ナッ!?」

夕立「うふふっ!」ドン

タ級D「ガッ!!」

プリンツ(真後ろに接近していた夕立に驚愕した敵、それに対して腹部に砲撃を加える夕立。しかし装甲を抜くことはできない)

タ級D「っ……ナメルナ!!っ!?」

夕立「歌って見せてよ……!!」ニタァ ウィィィィン

プリンツ(衝撃に前かがみになり、しかしそう怒声を張り上げて顔をあげた敵の前に突き付けられたのは点火した魚雷のスクリューだった)

タ級D「ギャアアアアアア!!」グチャグチャグチャ

夕立「あはははははは!!」

プリンツ(飛び散る骨肉、響く悲鳴と笑い声。私でも背筋が冷たくなる)

夕立「すごい!お歌が上手ね!けど残念、もう行かなくちゃ」グイッ

タ級D「オオオオオオ!!オオオオオオ!!」

夕立「じゃあね、それはプレゼントっぽい!」バラバラ

プリンツ(魚雷を相手に押し付けた夕立は爆雷を投げつける。もはや言葉を発することさえできなくなったそいつが、爆発に巻き込まれて消え去ったのはその直後だった)
608 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/22(木) 01:27:09.18 ID:BPm5EXxn0


タ級A「チクショウ!!アクマドモメ!!」

タ級B「ハズスナヨ!!ハズシタラオワリダ!!」

タ級B(クソッ!!コンナハズデハ……!!片や氷のヨウナ冷たいビショウの重巡!!片やクルッタようなエミをウカベル駆逐艦!!)

タ級B(キョウツウしているのは、フタリトモ仲間のチニマミレて濃厚なシノ匂いをタダヨワセテいるということだ!)ヒューン

ザブン ザブン

タ級B「っ!?」

タ級A「ぎゃあ!!」ドガン

タ級B(シマッタ!!ほかの奴らをワスレテイタ!!ここまでセッキンサレテいたか!?)

タ級A「イヤダ!!シニタクナイ!!シニタクナイ!!」

タ級B「マテ!!逃げるのかオクビョウモノ!!」

プリンツ「……うふふ」

夕立「あはは!そろそろフィナーレっぽい!」

タ級B「このワタシガ……このワタシガアアアアアア!!」ドガァン

プリンツ「……残念」ヒョイ ザパン

タ級B「……っ!あ……あなた……」

プリンツ「Feuer!!」ドゴォン

夕立「ソロモンの悪夢、見せてあげる!!」ドン
609 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/22(木) 01:29:36.41 ID:BPm5EXxn0


プリンツ「ふぅ……次……っと!?」

夕立「やったー!!プリンさーん!!」ダキッ

プリンツ(最後に何事か呟いた気がするが、気にしても仕方がない。逃げた一隻を追おうとした瞬間、夕立が飛びついてきた)

夕立「すっごく楽しかったよ!!こんなの初めてっぽい!!」

プリンツ「そう?でもあと一隻残ってるよ」

夕立「ああ、あいつはどうでもいいっぽい。もう終わってるから」

古鷹「撃て!!」ドゴォン

プリンツ「!!」

タ級A「っぁ!?」ドガァン

プリンツ(どういうことか真意を問おうとした時、砲声が響いた。古鷹さんたちだ。そして逃げていく敵に着弾し、相手は沈んでいく)

夕立「さすが古鷹さん、命中!」

プリンツ「そうだね、良かった。これでアトミラールも喜んでくれるよ」

古鷹「二人とも!!」

プリンツ「古鷹さん」チマミレ

夕立「何かしら?」チマミレ

古鷹「ひっ!?ぶ、無事で良かった……!!けど勝手に突撃するなんて!!旗艦の命令にちゃんと従って!!」

夕立「ごめんなさぁい……でも、夕立たちのおかげで大勝利っぽい!!だから褒めて欲しいかも。ね、プリンさん?」

プリンツ「けど、確かに待ってって言われたのに突撃しちゃったから……ごめんなさい。軍法会議ですか?」

夕立「えー!?そんなぁ……夕立、頑張ったのに怒られるっぽい……?」
610 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/22(木) 01:33:02.04 ID:BPm5EXxn0
古鷹「い、いや、そこまではしないけど……でもあんな無茶な戦い方!!」

プリンツ「ごめんなさい……」

夕立「うー……ごめんなさい……」グスッ

古鷹「……とりあえず任務も完了したし、帰還しようか。二人ともよく頑張ったけど、無茶はしない事!!」」

プリンツ「はい、ありがとう」ニコッ

夕立「ホント!?やっぱり古鷹さん優しいっぽい!!ありがとうございます!!」

愛宕「で、でも、その前にぃ……その返り血をどうにかした方がいいんじゃないかしらぁ?」

プリンツ「ああ、確かにそうだね」

夕立「うへぇ……早く帰ってお風呂に入りたいっぽい」

プリンツ(とりあえず、海の水で体を洗う。べったりして気持ち悪いけど、敵の血よりは全然いいよね)

プリンツ(私は、帰還したらアトミラールがどんなに喜んで褒めてくれるだろうかと考えながら、舵をポートモレスビーへ切った)



カ級「……!!アノTF21がたった六隻……イヤ、二隻に……!?ホンブへレンラクしなくては……」
611 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/22(木) 03:17:56.53 ID:8rSaDXcFO
前半と後半でスレを分けるべきだったな…
612 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/23(金) 17:43:17.20 ID:focLSLY30
進撃のプリンツ
613 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/23(金) 22:11:29.82 ID:irqhsjEzo
614 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/25(日) 01:42:50.08 ID:2Ww+Sbogo
投げたか
615 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/26(月) 21:06:15.14 ID:hgLaaamD0


提督「そうか……にわかには信じがたいな……」

古鷹「ですが、本当にそうだったんです」

提督「戦艦一隻及び重巡四隻の単独撃沈が確実。戦艦二隻と重巡二隻が共同撃沈。それに軽巡以下の戦果多数、か……」

古鷹「プリンツ・オイゲンは戦闘中にまるで別人のように好戦的になりました。圧倒的な戦力差に物怖じすることなく突撃していきましたから」

古鷹「以前の彼女も優秀でしたがここまででは……正直、なんといえばいいのか……何か映画でも見ている気分でした」

提督「分かった。ともかく、ご苦労だった。君たちのおかげで我々は窮地を脱した」

古鷹「はい、ありがとうございます!」

提督(プリンツが……だが、そういえばあの男を殴り飛ばした時……プリンツの動きは尋常じゃなかった)

提督(艦娘とはいえ、対人戦闘は専門でないはずなのに。組手でもそこまでの成績ではなかった。一体プリンツに何があったのだろうか?)

提督(だが、今はまだ作戦の最中だ。そんなことを考えている暇はない。そろそろ、終わりの時間のはずだった)



タ級『ソロモン海でテキカンタイとコウセンチュウ!!我らユウセイ!!ソロモン海でゲキタイできます!!』

飛行場姫「ソウカ、分かった。引き続きガンバッテくれ!」

タ級『了解!』

飛行場姫「っ……はぁ……はぁ……うふふ……タエタ……タエキッタ!!ジョウホウではこれ以上のコウゲキはない!!」

飛行場姫「ぽーともれすびーの敵艦隊はマンシンソウイ!!ソロモン海のカンタイをヌケハシナイ!!」

飛行場姫「あははははは!!ヤッタワ……!!三日三晩!!キビシイ戦いだった……けど、タエタ!!私達のショウリよ!!」

飛行場姫「皆のギセイは無駄じゃなかった!!ここは南部でのハンコウの要になるわ!!ミテいてね、皆!!」
616 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/26(月) 21:08:54.40 ID:hgLaaamD0
リ級「タイヘンです!!敵の……敵のカンタイがセッキンチュウです!!」

飛行場姫「なぁっ……!?バカナ!!ドコから!?」

リ級「北カラです!!カクニンされたのはコンゴウとハルナが主幹のカンタイ!!共に太平洋戦線にイタはずの奴らです!!」

飛行場姫「バカナ……トチュウデ転進したというの……!!直援カンタイは消耗している……マモリきれそうなの?」

リ級「ザンネンながら厳しいかと……しかも、ソロモン海のカンタイは今からヒキカエシテきてもマニアイません……ドウシマスカ、りこりす様!?」

飛行場姫「ああ、ソコクよ……サイゴまで戦うしかないデショウ……!!ワレワレの誇りをミセツケテやれ!!」

リ級「リョウカイしました……!!」

飛行場姫「ゾウエンカンタイさえ……ゾウエンカンタイさえ到着していれば!!オノレ……ハイイロのアクマめ!!」



金剛「涼しいネー!対電探用の隠蔽シートはToo hot デシタ」

榛名「そうですね。ですが、その甲斐あって発見されなかったようです。敵の直援は見当たりません!有力な敵艦隊は全部ソロモン海のはずです!」

金剛「Enemyはもう勝ったつもりでしょうネ。けど、これでFinish!?な訳無いデショ!!この戦いで決めてやりマス!!提督の期待に応えるためにも、頑張りマスヨー!!」

榛名「はい、お姉さま!!榛名、全力で参ります!!……っ!!敵艦隊が出てきました!!」

金剛「Good!!敵はボロボロデース!!みんなの頑張りを無駄にしないためにも、Do our best!!やっつけますヨ!!突入!!」

榛名「はい!!勝利を、提督に!!」

金剛「Burning love!!」
617 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/26(月) 21:09:04.19 ID:YHZToUPhO
きたか
618 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/26(月) 21:11:08.49 ID:hgLaaamD0


提督(作戦は成功に終わった。正攻法で敵を攻撃し、撃破しきれないと判断した場合は十分な損害を与えた後、わざと敵艦隊を引き付けつつ戦場をソロモン海まで下げる)

提督(その間に東部戦線から高速艦で編成した打撃艦隊を南下させ、敵拠点に止めを刺すという内容だった)

提督(しかし、敵艦隊の戦力が予想以上だった。特務戦隊、特にプリンツの活躍が無くては作戦の成功はなかっただろう)

提督「よって金剛に乙種勲章を授与する。ご苦労だった」

金剛「ありがとうございマース!!もっと頑張るから目を離しちゃNo!なんだからネ!」

提督(そして今、勲章の授与式が行われている。皆、本当に良く頑張ってくれた。何より、戦死者がでなくてよかった)

提督「うむ。……ドイツ海軍、遣日部隊所属、プリンツ・オイゲン」

プリンツ「はい!」

提督(プリンツが大きな声で返事をする。その顔には微笑みが浮かばせ、瞳を期待にキラキラと輝かせている)

提督「君は本作戦において、非常に重要な役割を果たした。特に、特務戦隊として敵の増援部隊を撃破した際の貢献は計り知れない」

提督「よってプリンツ・オイゲンに甲種勲章を授与する。ご苦労だった」

「「「「!!」」」」

プリンツ「アトミラール……Danke schön!!とても嬉しいです!!これからも引き続き頑張ります!!」

提督(初の外国艦娘に対する甲種勲章授与にざわめく。だが、当然のことだ。それほどの活躍をしてくれた)

提督(プリンツはまるで無垢な少女のように愛らしい満面の笑みを浮かべ、そして誇らしげに胸を張って見せる)

プリンツ「……♪」ジッ

提督「っ!」

提督(微笑ましく思っていたところで、唐突にプリンツが少しだけ顎を引き、若干上目遣いの流し目でこちらを見つめる)

提督(誘うような微笑。先ほどまでの可愛らしい少女から一転、まるで妖艶な大人のような色香を漂わせる)

提督(その妖しく輝く緑の瞳に吸い込まれそうになったところで、正気に戻った)

提督「う、うむ。期待しているぞ。以上で授与式を終了する。皆、本当にありがとう。よく頑張ってくれた」

提督「短いが、皆には休暇が待っている。ゆっくりと休んでいくれ。以上、解散」

長門「敬礼!」

提督(危ないところだった。あのままプリンツを見つめていたら、一体どうなっていたのだろうか。いや、考えるな)

提督(さて、執務室へ戻らなくては。作戦の評価を纏めて提出するまでが俺のい号作戦だ)

提督(これからはまた忙しくなる。まあ、艦娘たちの命の危険がないだけで作戦中よりだいぶマシだ)
619 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/26(月) 21:12:51.61 ID:hgLaaamD0


プリンツ(授与式の後、祝宴が開かれた。攻撃艦隊の皆は美味しい料理とお酒を楽しむことができた)

プリンツ(アトミラールは少し食べただけで、すぐにいなくなってしまった。お話ししたかったけど、いろいろあってできなかった)

プリンツ『アトミラー』

金剛『Hey!!提督ぅー!!お久しぶりデース!!貴方の金剛が戻って来ましたヨ!!』

榛名『提督、お久しぶりです。榛名がお酌を務めさせていただきますね』

提督『久しぶりだな、金剛、榛名。二人とも、壮健そうで何よりだ。できればゆっくり話をしたい報告書を書かなくてはならないんだ』

金剛『No!!そんなぁ……』

榛名『そうですか……そうですよね……榛名にお手伝いできることはありますか?』

提督『ありがたいが、君たちはもう十分頑張った。休暇の間はゆっくりしていてくれ。ではな』

プリンツ『あぅ……どうしよう……』

夕立『プリンさーん!』

暁『ちょっと夕立!プリンさんって何よ!ちゃんとプリンツって呼びなさい!』

雷『そうよ!失礼じゃない!』

響『プリンツ、こっちで一緒に食べないかい?皆プリンツの話を聞きたがっているんだ』

電『夕立ちゃんがとってもすごかったって!是非、お話してくれませんか?』

プリンツ『そうだね……分かった。いいよ』ニコッ

プリンツ(それもお開きになって、寝ようと思ってベッドに入った。けど、どうも体が火照っている。疼きが止まりそうもない)

プリンツ「んん……」ジンジン ムラムラ

プリンツ(たぶんこの前の戦闘で、なんというか……本能?のようなものがむき出しになったからだと思う)

プリンツ(今思い返しても、ぞくぞくする。それほどにまで興奮した。生と死の境目に立つ感覚。命を懸けて戦うということに)

プリンツ(だからなのかな。この体の疼きは本能的に異性を、アトミラールを求めていた。けど今はまだ自分で何とかするしかない)

プリンツ「んふっ……アトミラール……」クチッ クチュ クチュ

プリンツ(授与式の時、視線で誘いかけてみたらアトミラールの反応は悪くなかった。アトミラールは私を意識している。上手くいっている)

プリンツ(もうすぐ。順調に関係を深められている。きっともうすぐでアトミラールは私を選んでくれるはず……!!)

プリンツ(ああ、アトミラール……!!待ちきれない……!!……この疼きが治まるまで、まだ時間がかかりそうだった)
620 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/26(月) 21:15:53.66 ID:hgLaaamD0


提督「……」カリカリ

提督(作戦後の報告書の作成や全体の評価。発生した問題点やその改善策の提案など。やることは山ほどあり、時間は全く足りない)

提督「今日も頑張らなくてはな……」

プリンツ「失礼します。アトミラール」

提督「プリンツか。どうした?」

プリンツ「手伝いに来ました」

提督「手伝い?休暇は休めと言ったろう」

プリンツ「気遣ってくれているんですよね?ありがとうございます。でも、私が前に言ったことを覚えていますか?」

提督「前に?……ああ、頼ってくれって言ってくれたことだな。覚えているよ」

プリンツ「はい。見た所、仕事の量はとても多そうですが」

提督「……プリンツ。すまないが、頼まれてくれるか?」

プリンツ「はい、喜んで!」



提督「よし、今日はここまでにしよう。手伝ってくれてありがとう」

プリンツ「いえ、当たり前のことをしただけですよ。それにしても量が多いですね。大丈夫ですか?」

提督「なに、朝から晩まで頑張れば期日までには……明々後日までには終わる。」

プリンツ「そうですか。私も手伝いますよ」

提督「今日やってくれただけでもう大丈夫だ。徹夜する必要がなくなったからな」

プリンツ「でも……」

提督「君は優しいからな。いつも助けられている。休むこともまた重要だ。気持ちだけもらっておこう」

プリンツ「……なら、私がご飯とか作りましょうか?」

提督「!?」

プリンツ「料理とかも結構時間を取りますよね?だから、それを私がやりますよ。そうすればアトミラールも少し楽でしょう?」

提督「だが……」

プリンツ「どうせ自分の分はやっているんですし。それに休暇と言っても明々後日、日本に戻るまでは特にやることがないですよ」

提督「そうか……なら頼もうかな」
621 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/26(月) 21:22:56.64 ID:hgLaaamD0
プリンツ「あ、ただ……もしよろしければアトミラールの家でやってもいいですか?」

提督「俺の家で?」

プリンツ「私の所でやってもいいんですけど……どうせならアトミラールの所のキッチンを使わせてくれると楽なんです」

提督「そうか。もちろんだ。明日、合鍵を持ってくるよ」

プリンツ「いえ、今日取りに行きますよ!朝ごはんとかも作れますし」

提督「朝ごはん!?夜だけじゃないのか?」

プリンツ「夜はもちろん!朝も、昼のお弁当も任せてください!お風呂だって沸かせちゃいますよ!」

提督「し、しかし、そこまでしてもらうのはさすがに悪いだろう……」

プリンツ「いいんです!それぐらいやらせてください!」

提督(家の合鍵を渡して家事をして貰うなんて、まるで恋人みたいだな……いや、ヘンなことを考えるな!)

提督(プリンツは善意で言ってくれているんだ。それに、今は本当に忙しい。確かに助かる。この上ない提案だ!)

提督「分かった。頼むぞ」

プリンツ「はい!」



提督『とりあえず帰る前に食事でもしていくか?と言っても食堂ぐらいしかないのだが……』

プリンツ『いえ、私が作りますよ。食材はあるんですよね?』

提督『そ、そうか。それはありがたい。一応あるが、必要な物があるかは分からんぞ』

プリンツ『あるもので作りますよ。では行きましょうか』

提督『ああ、行こうか』

プリンツ(という訳で、その後アトミラールの家について行き、夜ご飯を作って一緒に食べた)

プリンツ(美味しいと笑って食べてくれた。それだけで幸せだ。そして食後はゆっくり話して過ごす。まるで夫婦のよう)

プリンツ(この幸せ、いつか必ず手に入れて見せる……!!)

提督「おっと、もうこんな時間か。さて、これが合鍵だ。家まで送ろう」

プリンツ「はい、ありがとうございます。……!」ハッ

提督「じゃあ行こうか。車を出すよ」

プリンツ「お願いしますね」ニコッ

プリンツ(そして気がつく可能性。遅くまでいると送ってもらえるが、それは明らかに手間だ)

プリンツ(ならばいっその事、泊めてもらえればいいんじゃない……!?同棲なんて……ステキ!)

プリンツ(そうと決まれば明日は着替えとかを持ってこないと。ああ、なんで持ってこなかったんだろう!)

プリンツ(もし持ってきていれば、今日から泊まり込めたのに!そしたらあんなことやこんなことが……!!えへへっ!!)

提督「……ンツ。……プリンツ?着いたぞ」

プリンツ「!?は、はい!!」

提督「じゃあまた明日。頼むぞ。……けど、朝ごはんはやはりきつくないか?」

プリンツ「大丈夫です!では、また明日お会いしましょう! Gute Nacht!」

提督「ああ、お休み」

プリンツ(……今日もちょっと発散させなくちゃダメかな。いけない、自重しなくちゃ)
622 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/26(月) 21:24:37.78 ID:hgLaaamD0


プリンツ「アトミラール、起きてください。朝ですよ」

提督「……ああ、今起きる。……ってプリンツ!?何しているんだ!!」

プリンツ「何って……朝ごはんを作りに来たんですよ。はら、もうできてますよ」

提督「ああ、そうだったか……そうだった。悪いな。ありがとう、プリンツ」

プリンツ「はい、どういたしまして!」



プリンツ「食器はそのままでいいですよ。洗濯物は出しておいてください。洗濯しておきますから」

提督「洗濯までしてくれるのか!いや、さすがにそれは……」

プリンツ「気にしないでください!このかごですよね?洗濯物入れ。これに入れておいてください」

提督「っ……じ、じゃあお願いしよう」

提督(下着は別にまとめておいて、今度洗濯しよう……)



提督「では行ってくる」

プリンツ「あ、待ってください!お弁当をどうぞ!」

提督「ありがとう」

プリンツ「外まで見送りますよ。今日はいつお帰りになりますか?」

提督「そうだな……十時には戻りたいところだ」

プリンツ「分かりました。では、お仕事頑張ってきてください」

提督「ああ、行ってくるよ」

プリンツ「行ってらっしゃい!」フリフリ

提督「……」

提督(何だこれは!?まるで夫婦じゃないか!!なんというか……幸せだ。だが、いけないぞ俺!)

提督(思い出せ!ビスマルクだって最初の頃はこうして……っ!いや、思い出すな!もう訳が分からん!)

提督(……とりあえずやるべきことに集中しよう。それが一番だ)
623 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/26(月) 21:26:47.48 ID:hgLaaamD0


プリンツ「ふんふんふ〜ん♪」

プリンツ(よし、洗濯物も干したしお掃除も終わった!あとは夕方お買い物に行くまでは暇だな)

プリンツ(何しようかな。……そういえば、誰も居ないんだよね?そしてここはアトミラールの家……)

プリンツ(私の足は勝手に動き始めた。アトミラールの寝室の扉を開け、そこにあるベッドに目が釘つけになる)

プリンツ「……ごくっ」

プリンツ「……」キョロキョロ

プリンツ(遮るものは何もない。目撃者も誰もいない。……)

プリンツ「えい!」ボスッ

プリンツ(気がついたら飛び込んでいた。アトミラールの匂いに包まれる。まるで抱かれているみたい)

プリンツ「んはぁ……んぅ……や、やば……すごいぃ……」ゴロゴロ スリスリ

プリンツ(湧き上がる情動、火照るからだ、鈍る思考。布団に包まりながら手が伸びかける。まずい、それだけは駄目だ!バレちゃう!)

プリンツ「はぁ……はぁ……っ!!」ムラッ ガラッ ビクッ

プリンツ(……見つけてしまった。気を紛らわせるためにたまたま開けたベッドサイドチェストの中)

プリンツ(そこに透明なビニールに入れられて置いてあったのはなんと……アトミラールの下着だ!!)

プリンツ(洗濯物に下着はなかった。まあ、私に配慮して後で洗うつもり、といったところかな)

プリンツ(しかも、化粧水やらに交じってタオルまで……タオル……これを下に敷けばあるいは……)

プリンツ「……Nein. Nein nein nein…… Das ist nicht gut…(駄目だ。駄目だ駄目だ駄目だ……そんなことしちゃいけない……)」

プリンツ(そんなの、変態だ。しちゃいけないことだ。分かっている、そんなことは……)

プリンツ(けど、手が止まらない。震える手でビニールとタオルを取り出す。ビニールは縛られていない)

プリンツ(タオルを腰の下に敷いて、震える手で中からそれを取り出す。もはや止めることはできなかった)

プリンツ(それを鼻にあてる。濃厚な男の人の、アトミラールの匂い。まるで、麻薬のよう)

プリンツ(……私は、スカートをずり下ろし、下着も下げて指をあてがう。指が動くのが止められない)

プリンツ(気がついた時には胸元もはだけさせて、ブラのホックを外してずり上げ、空いている方の手で揉みしだいていた)
624 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/26(月) 21:28:57.52 ID:hgLaaamD0


提督「ただいま」

プリンツ「あ、アトミラール!お帰りなさい」

提督「ああ、良い匂いだ!」

プリンツ「ご飯にしますか?それともお風呂ですか?」

提督「そうだな、まずは食事にしようかな」

プリンツ「分かりました。おカバンをどうぞ!」

提督「ははっ、大丈夫だよ。自分で片付ける」

プリンツ「そうですか?分かりました」

提督(自分の部屋に戻って、カバンを置いて部屋着に着替えよう。と思って歩いていると、プリンツがついてくる)

提督「リビングで待っていてくれていいんだぞ?」

プリンツ「いえ、お構いなく」

提督「?」

提督(……どういうことだ?不思議に思いながらも自室に戻る。すると変化に気がついた)

提督「この香り……」

プリンツ「……!」ドキッ バクッ バクッ

提督「芳香剤か?良い匂いだな」

プリンツ「そうですか……!良かったです!私のお気に入りなんですよ!」

提督「……もしかして、臭ってたか?」

プリンツ「!?まさか!!違いますよ!!ただ、何の香りもないのはちょっと寂しいかなって思って……」

提督「そうか!ならよかった。……さては、これの感想が聞きたくてついてきていたんだな?」

プリンツ「えっ、そ、そうですよ。流石ですね、アトミラール。どうですか?」

提督「甘くて、けど自然な香りだ。良い香りだな、気に入ったよ」

プリンツ「それは良かったです!」

提督「さて、食事にしようか」

プリンツ「そうですね、もうお腹ペコペコです」

提督「待っていたのか?先に食べてくれてよかったのに」

プリンツ「そんな事言わないでください。一緒に食べたかったんです」

提督「悪いな、ありがとう」
625 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/26(月) 21:30:58.80 ID:hgLaaamD0


提督「さて、そろそろ帰るか?送っていこう」

プリンツ「アトミラール、一つ提案があるんですけど」

提督「何だ?」

プリンツ「アトミラールさえ良ければ、私もここに住まわせてくれませんか?」

提督「!?」

プリンツ「その方がいろいろと便利ですし、アトミラールも毎晩送っていくのは手間ですよね?」

提督「い、いや!それはまずい!年頃の女の子がみだりに男の所に泊まるなと言われただろう?それに、俺にはビスマルクが……!」

プリンツ「……それこそ、大丈夫ですよ。アトミラールはそういった間違いをする人ではありませんよね?」

プリンツ「ただ、部下を部屋に泊めるだけです。空き部屋もありましたし、ね?実はもう荷物を持ってきているんです」

提督「なん……だと……」

プリンツ「……たった二日。今日と明日だけですよ?明後日には帰国じゃないですか」

プリンツ「お仕事のために、ですから。ね?……けれど、もしそれでもとおっしゃるのであれば、送っていただかなくても結構です」

プリンツ「それこそ、その分の時間がもったいないですから。私だって、子供ではないので一人で帰れますよ」

提督(っ……ここまでしてくれているプリンツを一人で帰らせるなんてできない。それに、この関係に心地よさを感じてもいた)

提督(別に浮気ではない。ただの上司と献身的な部下だ。親しい友人と言ってもいい。それなら悪くはないだろう)

提督(プリンツだって、きっとそう思っていてくれてるはずだ。俺がビスマルクと結婚していることは知っているのだから)

提督「……分かった。その方が君にとってもいいのならそうしよう。俺は問題ないからな」

プリンツ「ありがとうございます!……では、時間も時間ですしお風呂に入りたいかと思うのですけど……先に入ります、か?」

提督「!!あ、ああ。君が決めてくれ。俺はどっちでもいい」

プリンツ「では、先にいただきますね」

提督「わ、分かった……」

提督(この前のホテルの時を思い出してしまうな……だが、落ち着け。あの時はホテルだったが、ここは普通の家だ)
626 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/26(月) 21:35:59.03 ID:hgLaaamD0


プリンツ「ぶくぶくぶく……」

プリンツ(未だにアトミラールの中では、あの女が大きく居座っている。予想よりも、大きく)

プリンツ(アトミラールは一度、客観的に自分が何をされたのか考えてみたほうが良いと思う)

プリンツ(そして周りを見渡して、本当にふさわしいのが誰か早く気がつくべきじゃないかな)

プリンツ(……けど、家に泊めてくれるぐらいにまで関係は発展しているんだ。すぐに私が目を覚まさせてあげる)

プリンツ「ん、あがろ」ザパッ



提督(プリンツの助けもあって、俺は無事に帰国までに報告書をまとめることができた。それを提出し、帰国の途につく)

提督(そして直接司令部まで赴き、報告を行う。すべては滞りなく行われた。そして勝利の凱旋、観艦式が行われる)

提督(俺も挨拶などで忙しかったが、なんとか無事に終わらせることができた。ようやく休暇に入ることができる)

提督(それはつまり、連絡できていなかったビスマルクに連絡することができるということだ。きっと時間が長くかかる)

提督(俺はすぐに電話をしたい衝動を抑えて自宅に戻り、すぐさまビスマルクへ電話をかけた)

ビスマルク『アトミラール!!』

提督「ビスマルク!!久しぶり……になってしまったな」

ビスマルク『ええ。連絡してもつながらないし、確認したら作戦前で連絡が取れないって……』

提督「ああ、俺もあの時は作戦で連絡できなくなることを忘れていた……連絡できなくてすまなかった……」

ビスマルク『いいの、気にしないで。こうして、終わってすぐに連絡してくれたじゃない』

提督「そう言ってもらえるとありがたい。……声が聞けて良かった。それで、いつ戻ってくるんだ?」

ビスマルク「再来週には戻れるわ!」

提督「そうか!楽しみだ!」

ビスマルク「私もよ!……っ……あの、ね?アトミラール」
627 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/12/26(月) 21:39:09.71 ID:hgLaaamD0
提督(声音の変化に話題が面白いものではないことを察する。一体なんだろうか?)

提督「どうした?」

ビスマルク『あのね……私、……私、ね』

提督「……ああ」

ビスマルク『私……堕ろしたの』

提督「……!!っ……そ、そうか」

ビスマルク『……』

提督「……ビスマルク。俺は、……人として最悪だが、それを聞いて……安心した。……嬉しいよ」

ビスマルク『アトミラール……ごめんなさい……そんな事言わせてしまって……私……』

提督「いいんだ!それよりも、聞いてくれ。もう知っていると思うが、い号作戦は成功した!」

ビスマルク『っ、そ、そうね!知っているわ!おめでとう、アトミラール!!』

提督「言っただろう?成功を確信したと。褒美を期待しているからな」

ビスマルク『ええ、期待していてね!きっと喜んでもらえるはずだから!』

提督(その後、いろいろと雑談をした。電話を切った時には通話時間が二時間に迫っていた。俺は、ラガヴーリンとショットグラスを持って自室へ戻る)

提督(蓋をあけようとしたところで、自分の手が震えていることに気がつく。強引に蓋をあけ、グラスに注いで一気に呷る)

提督「……」

提督(ビスマルクが堕胎を選んだというのは、俺にとって本当に衝撃的だった。まさか、そうするとは思っていなかったからだ)

提督(……俺が思ったことは、先ほどビスマルクに言ったとおりだ。そう思って当然だと思う)

提督(育てるしかないかという気持ちはあった。諸説あるが、かつてあのモンゴル帝国を築いたチンギス・ハン)

提督(その長男とされているジョチは妻が敵にさらわれた時に孕まされた子供であるという)

提督(しかし、チンギス・ハンはその子を実の息子として育て、実子たちがジョチを敵の子と罵っても自らの長男として扱ったという)

提督(俺は、歴史の偉人と比ぶべくもない。しかし、そんな心の広く寛容な男になりたいと思っていた)

提督(だが、やはり嫌なものは嫌だ。俺は、嬉しかった。せいせいしたと言わざるを得ない)

提督(堕胎なんてという人も大勢いるだろう。子供の命を何だと思っているのだと言うのもわかる)

提督(だが、それは当事者の心境を無視しているのではないだろうか?少なくとも、俺はそう思った)

提督(どちらにせよ、このことできっとビスマルクが一番深く傷ついている。そんなあの子を支えるのは俺の役目だ)

提督(震える手でもう一杯注ぎ、呷る。早く酔って、寝てしまいたかった)
628 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/26(月) 23:36:23.59 ID:r5ZtoE550
子供がいたら簡単には別れられないし、別れたら別れたで他人の子供と分かっていても養育費払わにゃならんからな
本当に糞だわ
629 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/27(火) 00:38:07.28 ID:ytpCP8TvO
提督はある程度覚悟決めてたしビス子は結局堕ろしたしで二人とも噛み合わん感じはするけどもうガキのことなんてどうでもいいだろ
一体何にキレてんだよ…
630 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/27(火) 00:45:43.52 ID:AuP4mwTyO
>>629
おっ大丈夫か?
631 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/27(火) 00:58:54.05 ID:ytpCP8TvO
ああごめん
触れたらダメだよな…
632 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/27(火) 01:07:33.97 ID:5UKbLQKz0
女叩きガイジもそれに触れるガイジも黙ってろ
また荒らす気か
633 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/27(火) 03:36:41.23 ID:XLJw0dqZ0


プリンツ(日本での休暇が始まった。それはつまり、いつものように司令部でアトミラールに会えないということだ)

プリンツ(つまり、会うためには自分から会う予定を作らなくてはならない。けど、貴重なこの機会に焦らしもまた必要)

プリンツ(考えた私は、偶然にも一週間後にある好きなドイツのメタルバンドの来日公演にアトミラールを誘うことにした)

プリンツ(知り合いのファンが急用で行けなくなり、ペアチケットで良ければ譲るという連絡があったのだ)

プリンツ(以前にドイツで販売しているグッズを買ってあげただけの、顔も知らない人だったけど。情けは人の為ならずだ)

プリンツ(もちろん譲ってもらった。これはまさに天啓だ!主は仰られている。アトミラールをライブに連れて行けと!)

プリンツ(前に聞かせてあげた時に好きだって言ってたし!怖いのは予定が埋まっていた場合だが、それならそれで他に考えればいい)

プリンツ(一週間会わないという焦らしにもなるしね!攻めばかりが恋愛ではない!という訳で、電話する。もう遅いけど、きっと起きているはずだ)

提督『……プリンツか?どうした』

プリンツ(!……結構、酔っている?お酒を飲んでるんだ……誰と?)

プリンツ「あ、アトミラールですか?すいません、ちょっと聞きたいことがあって連絡したんですけど……酔ってます?」

提督『さあ……酔えているのなら、飲まないほうが良かったな……』

プリンツ「アトミラール……?大丈夫ですか?周りに誰かいますか?もし助けが必要ならすぐに行きますよ?」

提督『いや、大丈夫だ。今、自宅で一人呑みをしていてな。悪く酔ってしまったみたいだ。それで、何の用だ?』

プリンツ「そうですか、分かりました。……アトミラールって今週末何か予定がありますか?」

提督『今週末……いや、何もなかったと思うが。どうした?』

プリンツ「実は、私の好きなメタルバンドの来日公演があるんですよ。ほら、前に聞いた時に好きって言ってましたよね?」

プリンツ「なので、是非一緒に行きませんか?こっちじゃマイナーなんでライブハウスでなんですけど」

提督『そうか……悪いが、今はそんな気分じゃ……いや、やはり行こうかな。リフレッシュするにはちょうどいいかもしれん』

プリンツ「そうですか!Gut!では後で詳細をメールしますね」

提督『ああ、分かった』

プリンツ「私、とても楽しみです!では失礼しますね。おやすみなさい!」

提督『ああ……お休み……』

プリンツ「アトミラール、すごく元気なかったな。どうしたんだろ……でも、行く約束できた!Super!」

プリンツ(楽しみで仕方がない!それに、もしアトミラールに何か嫌なことがあって元気がないのなら、私が癒してあげられる!)

プリンツ(私はその日の予定をワクワクしながら考える。ベッドに入ってもすぐには寝れなかった)
634 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/27(火) 03:47:28.99 ID:XLJw0dqZ0


提督(久しぶりに里帰りして両親と会い、旧友たちと親交を温めていたらあっという間に約束の日だった)

提督(ビスマルクとは毎日電話をしたが、今日ライブに行くことは話さなかった。別にそこまで悪い事ではないはずだが、なんとなく言い出せなかったのだ)

提督(さて、夕方の繁華街で待ち合わせの時間を待つ。遊びに出てきた若者たちやカップルたちの中にいると戦時ということを忘れそうになる)

提督(おそらくここにいる人たちにとって戦争とはテレビの中だけの話になっているのだろうなと思うと、複雑な気分だ)

プリンツ「あ、アトミラール!!」

提督「プリンツか。……っ!?」

提督(声をかけられ、そちらを向く。そこにいたのは確かにプリンツだったが、服装が凄かった)

提督(ブーツを履き、ガーターストッキングにミニの柄入りプリーツスカート。そして、おそらくそのバンドのモノであろうシャツを着ている)

提督(しかも、へそ出しだ。綺麗な白い肌と形の良いへそが惜しげもなく晒されている)

提督(そしてプリンツの左下腹部にはなんとタトゥーが彫ってあった。全部は見えないが、手のひらぐらいの大きさで雪の結晶のような模様だ)

提督(シャツの上には革製のジャケットを羽織り、山岳帽を被っている。色はすべて黒やそれに準ずる色だ)

提督(さらに言うと、腰にはチェーンがついており、首元には鉄十字のアクセサリーをかけている)

提督(たまにこんな感じの服装の人間を見かけるが、大体が服に負けて痛々しいことこの上ないことになっている)

提督(しかし、プリンツはスタイルが良くて美人であるためか見事に着こなしていた。圧倒的な存在感を放っている)

提督(周りは皆プリンツに見惚れており、そしてその待ち合わせ相手である俺にも嫉妬や羨望の視線が集中した)

提督「何というか……すごい格好だな。もしかしてこの格好じゃまずいか?」

プリンツ「いえ、大丈夫ですよ。向こうでシャツを買ってそれに着替えればいいんです。もちろん、私がお金出しますよ」

提督「何言ってるんだ、自分で買うよ。もちろんチケット代も出すからな。……それにしても、本当にすごい格好だ」

プリンツ「えっ、似合ってませんか……?」チラッ

提督「まさか!すごい着こなせてるよ。けど、普段の君からは想像がつかなかった」

プリンツ「そうですか?ならよかったです!今日はライブですから。普段からこんな格好しているわけじゃないですよ?」

提督「そうか。まあ、似合ってるからいいと思うが。……タトゥーしているんだな」

プリンツ「えっ?あ……もしかして、嫌でしたか?」
635 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/27(火) 03:57:11.67 ID:XLJw0dqZ0
提督「まさか。個人的にはあまり下品じゃなければ、むしろ好きな部類かもな。それに、向こうじゃ普通なんだろ?」

プリンツ「はい。なんで日本じゃこんなに嫌われているんですかね?」

提督「分からん。柄の悪い連中がよくしているからかな。……そのタトゥーは雪の結晶なのか?」

プリンツ「これですか?いえ、Galsterですよ。ルーン文字を組み合わせたものです。日本で言うと……魔法陣っていうんですかね?」

プリンツ「願いや想いを込めてルーン文字を記号にしたものです。ヨーロッパではポピュラーですよ。これは、『守る力、挫けぬ意志、栄光ある運命』です」

提督「へぇ……なるほどな。他にもタトゥーはしているのか?」

プリンツ「え?はい、あと右肩のところにもありますよ。見ますか?」

提督「いいのか?」

プリンツ「もちろんです!ん……ほら、これですよ」グイッ

提督(プリンツは上着を脱いで、袖を捲って見せる。そこには見たことのない記号、おそらくルーン文字が彫られていた)

提督「へぇ……これもルーン文字か?」

プリンツ「はい、飾り文字になってますけど。PerthroとEhwazでPEです。Prinz Eugenですよ」

提督「なるほどな……」

提督(まあ、タトゥーも悪くないものだ。大事なのはその人自身だからな。と思っていたところで気がついてしまう)

提督「!!」

提督(捲り上げた袖から覗く脇に、気がついてしまった。俺はそんなフェチやらではないが、だが……確かに彼らの気持ちも分からんでもないな)

プリンツ「あ、あの、アトミラール?そろそろいいですか?」

提督「あ、ああ!もちろんだ!すまなかったな」

プリンツ「いえ、大丈夫です。ただ、ちょっと周りの視線が……」

提督「っ!そうだな、すまない。では行くとしよう。夜は食べてから行くのか?」

プリンツ「ええ、ライブは0時からですからね」

提督「0時!?やけに遅いな……」

プリンツ「はい、それが彼らのこだわりなんですよ。ただ、9時ころからからライブハウスは開いていて、ライブ会場以外のスペースはクラブみたいになってるんです」

プリンツ「なので夜を食べてから少し飲んで、それで9時ころからもう入っちゃおうかと思ってるんですけど、どうですか?」

提督「なるほど、分かった。ではどこで食べようか?」

プリンツ「実は行ってみたかったところがあるんです。ついてきてくれますか?」

提督「もちろんだ」
636 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/27(火) 04:04:53.60 ID:XLJw0dqZ0


提督(プリンツの言ってみたかったところとは、回転寿司だった。と言っても一皿100円の所ではなく、上品な感じの雰囲気の店だったが)

プリンツ『すごい……!本当にお寿司が回ってますよ!私、誇張だろうと思っていました!』

提督『そうか、それは良かったな』

提督(そこで食事を済ませ、手ごろなバーに入った。軽く酒を飲んで時間を潰す。飲みすぎないように注意しなくてはな)

提督(そして、9時を少し過ぎたところでライブハウスへ向かった。広さはそこそこだが、想像よりは狭く、広めの会議室程度しかなかった)

提督(まあその広さの部屋がいくつかある時点で広いか。それぞれの部屋ではDJが音楽を流していてスモークのようなものが焚かれている)

提督(あとは酒を買うためのカウンターがあり、いくつかの机や椅子、座るためのバリカーみたいなものがある)

提督「結構人が居るな」

プリンツ「まあ、今日はライブですからね。これからもっと混んでくるんじゃないですか?」

提督「ふむ……とりあえず何か飲むか?」

プリンツ「はい!」

提督(適当に飲み物を買って、しかし席は開いていない。隅の方で音楽を聴きながら飲む)

プリンツ「アトミラール、これをどうぞ」

提督「……耳栓か?」

プリンツ「ライブの時とDJが本気で音楽を流し始めた時は、そのまま聞くと耳が聞こえなくなっちゃいますから」

提督「なんとまあ……」

プリンツ「つけてても十分聞こえますし、好きな曲の時は取ればいいんですよ」

提督「そういうものか、ありがたく受け取っておこう」

プリンツ「はい。……そろそろ向こうへ行きませんか?踊りたいです」

提督「踊る!?……何を踊ればいいんだ?まさかワルツじゃないよな」

プリンツ「あー……ワルツ踊れるんですか?なら今度一緒に踊りましょう。……まあ、リズムに合わせて体を揺らすだけでいいんですよ」

提督「そうか……」

プリンツ「適当でいいんですよ!みんな適当です!さあ、行きましょう」

提督「分かった」

提督(人だかりの中にはいっていく。混んでいるがまあ何とか進めないほどではない)

提督(いい感じの場所に来たところで、プリンツと談笑しながらリズムに乗っている。しばらくしてから、トイレに行きたくなった)
637 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/27(火) 04:12:32.76 ID:XLJw0dqZ0
提督「すまないがトイレに行ってくる。ちょっと待っていてくれ」

プリンツ「そうですか?分かりました」

提督「すぐ戻る」

提督(トイレらしき方向へ向かっていく。何とか見つけたが、かなり並んでいた。とりあえず他の場所のトイレを確認してみよう)

提督(部屋を移ると、無事に空いているトイレを発見した。が、凄いものを目撃した)

提督「おお……なんて奴らだ……」

提督(それは白人のカップルだった。部屋の真ん中、割とダンスが上手い連中たちが踊っている所にいる)

提督(彼らはまるで立ちバックをしているように踊っていた。女性が男性の前に立ち、臀部を相手の下腹部に擦り付けるような感じだ)

提督(男性は男性で女性の体をなでまわし、手を握り、もはややりたい放題だ。なんて卑猥なのだろうか!)

提督「これがカルチャーギャップか……まあ、どうでもいい。トイレだ、トイレ」

提督(トイレを済ませ、プリンツの元へ戻る。すると、面倒なことになっていた)

男「いいじゃん、向こうで俺と飲まない?」

プリンツ「お断りします」プイッ

提督(プリンツが知らない男に絡まれていた。まあ、こういう場所だ。そう言う人間もいるのだろうな)

提督「プリンツ、待たせたな」

プリンツ「アトミラール!!」バッ

男「男連れかよ……そんなイケてない格好の奴より俺と遊ぼうぜ?」

プリンツ「ちっ……アトミラール、ちょっと失礼しますね」ボソッ ダキッ

提督「こういう輩と真面目に取り合わない方がいいぞ。っ!?」

男「っ!!」

プリンツ「悪いけど、私は貴方みたいな似合わないのに髪を染めてたり、ピアスをつけてたり、服に着られているような奴に興味ないから」ギュッ

プリンツ「この人みたいに、カッコよくて、凛々しくて、真面目な人が好きなの。私はこの人のモノなの」ジッ

プリンツ「分かったらさっさと失せて?邪魔だから。まあ、見ていたいって言うならそこらで覗いていれば?」チラッ

提督(プリンツは、ぼそりと俺に謝ると抱き付いてきた。そして脚を絡ませ、強く抱きしめて体を擦りつける。熱っぽい瞳で見つめられた)

提督(そして、憐れみと蔑みの混じった視線でちらりと絡んできていた男を見下す。俺は、驚きの余り固まってしまっていた)
638 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/27(火) 04:19:16.46 ID:XLJw0dqZ0
男「こ、この……!!」

プリンツ「さあ、踊りましょ?アトミラール!」

男「待tっ!?」

提督「!!」

提督(タイミングよく流れ出す大音量の音楽、そして有名らしいDJの登場に歓声が上がる。他の場所からも人が集まってきたのか、いつの間にか大混雑だ)

プリンツ「……♪」ペロッ

提督(プリンツを見ると、いたずらっぽく微笑みながら舌を出す。そして俺に背を向けると、なんと臀部を俺の下腹部に押し付けてきた)

提督(そして手を恋人つなぎにし、体を妖艶にくねらせ、その年の割に大きな胸を揺らしながら、肩越しにこちらを振り返る)

提督(いつもの、いわば天使のようなプリンツからは想像のできない、まるでサキュバスのような微笑み)

提督(細められた目から覗く緑の瞳はキラリと光り、薄紅色のプリッとした唇は色っぽく開かれ、それを舐める舌が誘うようにチラチラと揺れている)

提督(これはさっき見た……!!いつのまにか、俺とプリンツの周りには人だかりができていた。プリンツに視線が集中する)

提督(絡んできていた男は、屈辱と嫉妬に肩を揺らして人ごみの中に消えていった。さて、俺はどうすればいいのか……)

プリンツ「っはぁ……アトミラール……触ってください……」ギュッ

提督「な、なんだって……!?」

提督(プリンツは手を放すと、両手を上げて肩越しに俺の顔に触れる。頭と全身をすりつけてくる)

提督(俺は、とりあえず片手でプリンツの頭を抱えてもう片方の手で……一番大丈夫そうなプリンツの腹部に触れる)

プリンツ「んっ……はぁ……」スリスリ

提督「……!!」ナデナデ

提督(先ほど見た白人カップルを参考に、無心でプリンツを愛撫する。もちろん、大丈夫な範囲でだ)

提督(まるでAVにでも出ている気分だ。しかし、その卑猥なダンスも曲の終了と共に終わりを告げた)

プリンツ「……の、喉が渇きましたね?ちょっと飲みにもどりませんか?」

提督「あ、ああ、そうだな……」

提督(恥ずかしさの余り部屋も変えるが、男どもがぞろぞろとついてくる。プリンツのあれに期待してだろう)

提督(くそっ……お前ら、もう少しさりげなくできないのか!?バレバレなんだよ!!)

提督(飲み物を購入し、しばし談笑。それからまた前の方に出て二人で向かい合いながら軽くリズムを取る)

提督(周りの奴らはアレを期待しているようだが、頼まれたってやってやるものか!これ以上プリンツをいやらしい目で見させるわけにはいかない)

提督(普通に踊る。周りでやっている人が居たから、何度か手を上にあげてくるりとプリンツを回転させてみた。誰よりも綺麗に回っていた)
639 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/27(火) 04:26:37.70 ID:XLJw0dqZ0
提督(そしてライブの時間が近づき、二人で並んで待機、チケットを渡してシャツを買い、その場で着替える)

プリンツ「はぅ……すごいからだ……」ウットリ

提督「よいしょっと……ふぅ……ん?どうした?」

プリンツ「い、いえ!何でもありませんよ。では行きましょうか!」

提督「ああ」

提督(タイミングが良かったようで、入場開始と共に会場へ着いた。最前列を取ることに成功する)

提督(三十分程話しながら待って、ようやくライブが始まった。プリンツは大興奮だった)

提督(プリンツのお気に入りというジャーマンメタルの演奏を聴く。確かに耳栓があってよかったな)

提督(大きな映画館のシアターほどの広間が、人で埋め尽くされている。席などない。後ろから押される)

提督(俺はプリンツを守るために、前にすっぽりと抱きかかえるようにする)

提督(プリンツは何かを言っていたが音楽と大歓声で聞き取れない。しかし、のばされた手を握った)

提督(すべてが終わった時にはもう明け方だった。電車も動き始めている)

プリンツ「いやぁ〜サイコーでしたね!」

提督「ああ、良いメロディーだった」

プリンツ「好きな曲全部演奏してくれたし、大満足ですよ!」

提督「よかったな。俺も前に聞かせてもらったのが流れて良かったよ。あれが一番良かった」

プリンツ「ああ、あれですか!あれはイントロが良いんですよね!」

提督「そうだな。ところでプリンツ、君はこの後どうするんだ?」

プリンツ「そうですね……もしよければ、これから飲みなおしませんか?目が冴えちゃいました」

提督「なるほどな。まだぎりぎりほろ酔いって感じだし、それもありだ。だが、こんな時間からどこで飲む?」

プリンツ「アトミラールの家とかどうですか?実は私、ウォークマンに曲を入れてきてるんですよ。二人でゆっくりしたところで聞きたいです」

提督「俺の家か……分かった、そうしよう」

プリンツ「っ!!Gut!!じゃあさっそく行きましょう!!」

提督(適当にタクシーを拾って自宅へ向かう。ライブの話をしていたらいつのまにか着いていた)

提督(プリンツを客間に待たせて、とりあえず酒を見繕う。何がいいか……アイリッシュ・クリームにクヘーム・ドゥ・カシス)

提督(あとはハイネケンを数本と何かワインを……ベルンカステラーがあるか。これだ)

提督(待てよ、蒸留酒がないぞ。何か……スブロッカでいいか。それにコップやソーダ、ジンジャーエール、レモン類)

提督(そして牛乳にコップをいくつか。氷、後はつまめるものを。栓抜きとコルク抜きも忘れずに)

提督(これでいいだろう。文句なし、完璧だ。案外量が多くなったが……氷を入れたワインクーラーに酒を突っ込んで、お盆でその他を運ぶ)
640 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/27(火) 05:02:23.01 ID:XLJw0dqZ0
提督「待たせたな、プリンツ」

プリンツ「アトミラール!?……すごくたくさん飲むんです、ね?スナックまで……」チラッ

提督「っ!!」

提督(やってしまった……いや、俺は飲みたいのがないと困るなと思っていろいろ持ってきただけなんだ)

提督(決して酔い潰そうだとかそういうつもりじゃ……ってそう言えばいいじゃないか。いや、その通りじゃないか)

提督「い、いろいろあったほうが楽しめるだろう?全部飲むわけじゃないさ」

プリンツ「そ、そうですよね……あ、ドイッチュヴァイン、ドイツワインですね!」

提督「ああ、たまたまあってな」

プリンツ「へぇ……いろいろありますね!ハイネケン!ベイリーズまで!」

提督「お、知っていたか」

プリンツ「私、カルーアよりも好きですよ!」

提督「俺もだ!」

プリンツ「スブロッカ!これも爽やかでいいですよね!」

提督「ソーダもいいが、これでモスコミュールを作るのが好きなんだ」

プリンツ「へぇー!そうなんですか?」

提督「試してみるか?」

プリンツ「はい!あ、そうだ。はい、アトミラール!右耳にどうぞ!」

提督「イヤホンか。スピーカーがあるぞ?」

プリンツ「セットするのが面倒ですし、これの方がお話しやすいですよ。ほら、どうぞ」

提督「そうか、ありがとう」

提督(プリンツとイヤホンを片方ずつ使いながら音楽を聴き、酒もいろいろと試していく)

提督(好きな音楽、好きな酒、いろいろなことを話す。酔いが回り、途中から何を話しているのか分からなくなっていた)

提督(だが、それでも心休まるひと時を過ごす。これほど美味しい酒を飲んだのは久しぶりだ。幸せな気持ちで意識が溶けていった)
641 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/27(火) 05:14:16.18 ID:XLJw0dqZ0


提督「……朝?……いや、夕方か」

提督(時計を見るともう午後6時だ。寝落ちしたのか?いや、ここはベッドだ)

提督「ん……っ!!??」ドキッ

「すー……すー……」

提督(ゆっくり起き上がろうとして気がつく。誰かに抱き付かれている。頭の中が真っ白になる)

提督「まさか……まさか、まさか……!!」マッサオ

提督(恐る恐る視線を下へ。布団の膨らみ具合は、明らかに誰かいる。……いや、寝息が聞こえる時点で分かっていた。そしてそこにいるのはプリンツしかありえない)

提督(何も考えられない。俺は……俺はなんてことを……ビスマルクとプリンツにどう償えばいいんだ……!!)

提督(震える手でゆっくりと布団を捲る。俺の胸に抱き付くようにして寝ていたのはプリンツだった)

提督(だが、ここで気がつく。服を着ている!!もちろん俺もだ!!おそらく、酔ってそのまま寝たのだろう)

提督(決して酔った勢いで朝チュンなどしてしまったわけではない!!一気に力が抜けた。俺はなるべくプリンツを起こさないように起きようとする)

プリンツ「んー……だめぇ……」ギュッ

提督(色っぽい寝言に赤面しつつ、強引にかつ丁寧に引きはがす。着替えを持って浴室へ。シャワーを浴びて食事を作る。準備ができたところでプリンツを起こした)

提督「プリンツ、もう夜だぞ」

プリンツ「んー……あとみらーるぅ……?」

提督「起きろ」

プリンツ「大好きですぅ……っ!?アトミラール!?あれ、ここ!?」

提督「俺の家だ。落ち着け」
642 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/27(火) 05:26:56.02 ID:XLJw0dqZ0
プリンツ「あ、そっか……飲んだ後、そのまま寝ちゃったんですね」

提督「そうだろうな」

プリンツ「……今、私何か変な事口走りませんでしたか?」

提督「いや、特に言っていなかったが?」

プリンツ「そうですか……」

提督「食事を作ったんだ。腹が減っているだろう?」

プリンツ「あ、ありがとうございます」

提督「シャワーを浴びていくか?」

プリンツ「はい。あ、でも着替えがありません……」

提督「ああ、そうか……買ってくるか?車でひとっ走りしてくる」

プリンツ「!?……お、お願いします」

提督「っ!!すまん!配慮が足りなかったな……その、サイズとかは?」

プリンツ「その……ゴニョゴニョゴニョです……///」

提督「わ、分かった……///じゃあ行ってくる!!先に食べていてくれ!!」

プリンツ「あ、でも……」

提督(なんてことだ、寝ぼけていた!本当に配慮が足りなかった!自分の至らなさが申し訳ない)

提督(俺はプリンツの言葉を聞かずに車へ向かう。赤い顔を見られるのが恥ずかしかった)

提督(車を出してコンビニに向かったが、なんという不幸だろうか!最後の一個を目の前で取られるコーラを買って他の場所へ)

提督(無事手に入れられたが、店員の視線が痛い……気がする。時間がかかってしまった。すぐに戻る)

提督「プリンツ、今戻った」

プリンツ「あ、提督!このシャツ、洗濯物で畳んであったんですけど……勝手に使わせてもらってますね?」

提督「あ、ああ!気にするな!ほら、これが着替えだ!後は男物で悪いが、俺のを適当に見繕ってくれ!何でもいい!」

プリンツ「ありがとうございます」

提督(プリンツは、なんと彼シャツ状態だった。いや、俺がプリンツの彼氏なわけではないが……)

提督(サイズの大きい俺のシャツが何とかプリンツの大事な所を隠していたが、少しめくれるだけで丸見えだろう……)

提督(さらに胸元はやはりきついのかぱっつんぱっつんになっていてボタンとボタンの間から肌色が見えていた。大変よろしくない)

提督「じゃあ俺はリビングで待ってるからな!帰りは送っていく!」

プリンツ「分かりました。ありがとうございます」

提督(リビングに戻ると食事が二つとも残っていた。待っていてくれたのか)

提督(結局、着替え終わったプリンツと共に食事をとって車で送っていく。宿舎の前で別れ、楽しい時間が終わった寂寥感に浸りつつ家に戻った)
643 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/27(火) 10:39:02.97 ID:6+zr0Zo4O
>>632
対立煽りガイジも黙ってような
644 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/27(火) 11:07:49.49 ID:cPOhlH3dO
提督がビスコのこと許してるってことはこれただの浮気だよね
プリンが報われて欲しいのは分かるけどやってることは結局同じなんだよな
645 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/27(火) 11:10:07.98 ID:oNf1w+sTO
ビスマルクを捨てればおkやぞ
646 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/27(火) 11:11:33.65 ID:1arCC8y7O
プリンツにとってはビス子への意趣返しだな
でもこのままだと提督の立場も良心も酷いことに
647 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/27(火) 11:15:22.25 ID:5TVwUfjxO
ビスコもプリンも両方解体して提督は友と幸せなキスをして終了
648 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/27(火) 11:23:46.69 ID:HXxzEWatO
前半のキチガイじみたNTR妄想やってる時点で提督の良心なんて無いに等しいから…(震え声)
そういや加賀さんの時みたいにNTRの後日談まだ?
アレ結構好きだったからまた見たいわ
649 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/27(火) 12:00:52.86 ID:owX1O1s70
だからなんだよ
ビスマルクが裏切った時点で良心も糞もねーぞ
浮気する女はまた繰り返すからさっさと乗り換えた方がいい
650 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/27(火) 12:15:59.68 ID:cPOhlH3dO
乗り換えるのはいいけどわざわざ取り戻してからだからな
ほっときゃビスコもドイツ軍にやられていただろうに
651 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/27(火) 12:29:45.27 ID:f3Y4bPQWo
マジでこのスレ、前半はなんだったのかって感じだな
提督のキャラ崩壊も著しいしなんで別スレ立ててやらなかったんだろ
652 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/27(火) 13:08:50.82 ID:XO5uvB+ZO
寧ろ後半がおかしいんだよなあ
653 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/27(火) 13:15:31.25 ID:wlv8ktVSO
提督を寝取られ好きの無神経変態野郎にしとけばややこしくならず終われたのに
654 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/27(火) 13:24:29.51 ID:vx7q8R15O
きっとこれも夢オチで終わりだからセーフ
655 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/27(火) 18:09:12.24 ID:tw5trE1lo
お前らSSくらい好きなように書かせてやれよ……読者様こわいわぁ
656 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/27(火) 18:37:13.04 ID:f3Y4bPQWo
SSの感想くらい好きに書かせてくれよ……信者様こわいわぁ
657 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/27(火) 18:37:17.78 ID:gXKB+PvPo
作者以外も書き込みおkの掲示板で書いてるんだからしゃーない
ぶっちゃけ過疎ってて読んだか読んでないかわからんような乙botのレスが毎回1,2レス付くぐらいだったらこんだけSSの内容について雑談されてるだけ作者も幸せだろ
そもそも反応が欲しくてこういう掲示板で書いてるんだからさ
658 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/27(火) 18:40:05.44 ID:i72wDeQvO
>>657
ほんこれ
読者のレスが嫌いなら始めっからこんな所で書かねえよ
作者ならわざと荒れる展開にして読者の反応見て愉悦して楽しんでるから心配すんな
659 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/28(水) 02:06:00.72 ID:5CZ3sfEx0


ビスマルク「えっ……」

ビスマルク(今日は提督の元へ戻る日だった。移動の車の中で、私は暇をつぶすためにI Phoneをいじっていた)

ビスマルク(それを見つけたのは偶然だった。ただ、ニュースをチェックしていて、そして気になる記事を見つけた)

ビスマルク(それはドイツのメタルバンドが初来日してライブを開いたという記事だ。たしか、プリンツのお気に入り。見てみることにした)

ビスマルク(そして、そのライブの写真。最前列にいたのはプリンツと、……プリンツを後ろから抱くように立っているアトミラールだった)

ビスマルク「……う、嘘。嘘よ、アトミラール……」マッサオ

ビスマルク(そんな事、ありえない。だって、アトミラールは私の……)

ビスマルク「……」フルフルフル

提督『すまないが、明日の夜はちょっと用事があってな。電話できないんだ』

ビスマルク『そうなの?またお友達と?』

提督『ああ、そうだ』

ビスマルク(ライブについて詳しく検索する。他に画像があるかもしれない。すると、またある記事を見つけた)

『クソエロイ金髪美女がライブ前に公衆の面前で立ちバックしてやがるwww』

ビスマルク(なんと、ライブ前に立ちバックをしていた奴がいたらしい。手が震える。まさか……)

ビスマルク(そのページを開いてみる。どうやら立ちバックではなくライブ前にセクシーダンスをしていたカップルについての記事だった)

ビスマルク(そしてアップロードされていた画像に映っていたのは、加工されていたけれど間違いない……!!)

ビスマルク「アトミラール……アトミラール……!!」ウルッ

ビスマルク(信じられない……アトミラールがプリンツと……)

ビスマルク「ぐすっ……あとみらーるぅ……」ポロポロポロ

ビスマルク(どうして……アトミラールは私の……信じられない……なんで……きっと何かの間違いよ)

提督『ビスマルク!!』

ビスマルク「っ!!」

ビスマルク(絶望に押しつぶされそうになった時、アトミラールの顔が脳裏に浮かんだ。あの、私を見つめる強い意志を持った瞳を思い出す)

ビスマルク(そうよ……!!きっと何かの間違いだわ!!あのアトミラールがそんな事するわけないもの!!電話だってずっと欠かさなかったわ!!)

ビスマルク(ただ一緒にライブに行っただけで、あのダンスだってきっと成り行きで踊ることになっただけよ!!)

ビスマルク「そうよ……絶対そうなんだから……アトミラールは、私の夫なんだから……!!」ギュッ ブルブルブル

ビスマルク(ひたすらそう信じる。そうでないと狂ってしまいそうだった。恐れていたことが実際に起きたのなら、私は……)

ビスマルク(あと一時間はかかる。それが煩わしかった。今すぐにワープでもできればいいのに)
660 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/28(水) 02:08:56.03 ID:5CZ3sfEx0


プリンツ「……」

プリンツ(今日はあの女が戻ってくる日だ。私は、できることは全てやった。アトミラールとの関係をできうる限り深められたと思う)

プリンツ(今すぐに、となればいいけれど。きっとそうはならない。アトミラールはそういう人だから)

プリンツ(そんな簡単に済むのなら、今日までの間で手を出されていただろう。その機会はたくさんあった)

プリンツ(だからこそ好きなんだけど。けど、何もなかったとしても、もう何度も夜を共に過ごしている)

プリンツ(下地はできあがっているんだ。少しずつ、少しずつ、頑張ってきた。そして今日は前哨戦)

プリンツ(何もしなければ、アトミラールはこのままあのビッチに絆されてしまう。けど、そうはさせない)

プリンツ(ここで橋頭堡を確保する。私という存在をアトミラールに刻み込む。そうすれば私の勝利だ)

プリンツ(私とあいつの決戦になれば、勝ってみせる自信がある。私があんな浮気女に負けるわけない)



提督(今日は、ビスマルクが戻ってくる日だった。俺は、とうとうこの日が、ここでまたビスマルクと会う日が来たかと感慨深かった)

提督(もうすぐここに戻ってくる。そうしたら思いっきり抱きしめてやる。俺がどんなに寂しいと思っていたか)

提督(そしてどんなに俺が幸せかということを、どんな手段を使ってでも教えてやる。ディナーの予約も完璧、準備は万端だ)

プリンツ『アトミラール!!』

プリンツ『だい……すき……』

提督(プリンツのことが脳裏によぎる。彼女のことは好きだし、感謝している。何でもしてあげたいぐらいに)

提督(だけど、それはLikeの意味だ。俺が一番愛しているのはビスマルクなんだ。それは、変わらない)

提督(待ちきれないという気持ちと少しのモヤモヤを断ち切るように時計を確認する。もうそろそろのはずだった)

プリンツ「アトミラール、失礼します」

提督「プリンツ、どうしたんだ?」

プリンツ「……とうとう今日ですね、アトミラール」

提督「!ああ、そうだ。長かった」

プリンツ「……アトミラールは、あの女を許すんですか?」

提督「!!……プリンツ?」

プリンツ「……場所を変えましょう。ここでは誰が来るか分かりませんから」

提督「……分かった」

提督(時間が気になるが、これは避けては通れない話だ。後回しにすることも許されない)

提督(プリンツについて行き、普段は人が来ない空き部屋に入る。倉庫として使っている場所だ)
661 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/28(水) 02:12:21.73 ID:5CZ3sfEx0
プリンツ「アトミラール……ビスマルクが何をしたのかお忘れですか?」

提督「まさか。だが、あれはビスマルクがやりたくてやったことではない」

プリンツ「何故そう言い切れるのですか?」

提督「……あいつは、泣いていたんだ。俺のもとを去る時、セックスの快感で冷静な判断ができる状態になかったにもかかわらずにな」

提督「快楽に蕩けた顔ではない。悲しそうな泣き顔だ。思えば、兆候は……あいつが助けを求めているサインはいくつもあった」

提督「だが俺は気がつけなかった、最後のあの涙の時でさえ。そこからあいつは壊れた。あの男が好きと思い込むしかなかったんだ」

プリンツ「……だとしても、あいつは穢れた存在です。それに、あんなの騙される方が愚かです」

提督「人は、時には思わぬ間違いをすることがある。周りから見ていれば理解不能でも、過ちを犯してしまうことがあるんだ」

プリンツ「それでも過ちは過ちです。あいつのせいでどんなに貴方が傷つき、苦しんだか忘れたわけではないでしょう?」

提督「……だが、それは」

プリンツ「本意でなかった?かもしれませんね。ですが、それでもあなたの傷が癒えるわけではありません」

プリンツ「失望や怒りがありますよね。あんなことをされたのだから当然です。けど、それを無理に押さえつけている」

提督「……それでも、だ。それでも、俺はビスマルクを……」

プリンツ「アトミラール。貴方のビスマルクへの想い……それは本当に愛ですか?」

提督「……何が言いたいんだ?」

プリンツ「本当にビスマルクが好きなのですか?……その気持ちは、憐れみや同情ではありませんか?かつての愛の成れの果てではないんですか?」

提督「ち、違う!!俺は本当に……」

プリンツ「アトミラール」ダキッ

提督「っ!!」

プリンツ「もし、あなたがビスマルクに対して何らかの罪悪感があるなら。……それは間違いです。決してそう思う必要はありません」

プリンツ「アトミラールは、自分の幸せのためにしたいことをしていいんです。それを咎めることなんて、誰にもできない」

提督「プリンツ……」

プリンツ「しがらみなんてすべてなくしてください。周りを見渡してみてください。きっと何か良いアイデアが浮かんでくるはずです」

提督「……」

プリンツ「……ちゅっ」

提督「!!??」

提督(プリンツの言葉に動揺していた俺に、彼女はいきなり口づけする。唇を重ねるだけの、初々しいソフトなキス)

提督(時が止まった。俺は、拒むことも、振り払うこともできなかった。ただ、その暖かさ、プリンツの熱が心地よかった)

提督(しばらくして、我に返る。プリンツは、それを察したのか自ら唇を離した)
662 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/28(水) 02:14:27.07 ID:5CZ3sfEx0
プリンツ「……私の、ファーストキスです」ジッ

提督「な、なんで……」

プリンツ「忘れないでくださいね。私は、いつでも貴方の味方で、貴方を見ていますから」

提督「お、俺は……俺は……」

プリンツ「貴方のためなら、何でもできます。では、失礼しますね」

提督(プリンツが部屋を出ていく。俺は、ただ何もできずにいることしかできなかった)

提督(しばらくして、ようやく気力が回復する。何とかして執務室へ向かう。頭がおかしくなりそうだった)

提督(プリンツがまさかあんな行動に出るとは思わなかった。もう誤魔化せない。自覚せざるを得ない。……俺は、今やプリンツも愛している)

提督(また、彼女が言った通り、俺はビスマルクに対して確かに失望や怒りを覚えているのだ)

提督(もちろん、ビスマルクのことを愛しているのは本当だ。ああして奪い返したことに無上の喜びを感じている)

提督(もう一度、二人でやり直す。それを望んでいる。その為に、俺は自らの不満に蓋をしていた)

提督(それがプリンツの言葉で一気に膨れ上がった。バックドラフトのように大きく燃え盛る)

提督(どうしてあんな馬鹿みたいな手に引っかかったのか。どうして一度は完璧に裏切ったのか)

提督(殺してしまいたい。散々に痛めつけて、身も心もすりつぶして、自殺させてやりたい)

提督(自分が大きな罪を犯した汚い人間だと自覚させて、『ごめんなさい、赦して』と泣きすがるのを冷たく切り捨ててやりたい)

提督(もはや言葉にしきれないこのくらい感情をどうすればいいのか。どうすれば満足なのか自分でもわからなかった)

提督「……っ」

提督(そして、執務室前の廊下に来たところで気がつく。扉の前で膝を抱え、体育すわりの格好でうつむいているのは)

ビスマルク「……」

提督(俺がずっと待ち望んでいたはずの女性だった)
663 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/28(水) 02:20:40.77 ID:5CZ3sfEx0


ビスマルク「……!!」スタスタスタスタ

大和「提督に指揮を任されたわ!!理由が理由だからちょっとアレだけど……っ!?ビスマルク……さん……!!」ビクッ

武蔵「やったじゃないか。やはり提督はお前を評価しているってどうした?っ!!ビスマルク!?久しぶりだな!!その……元気だったか?」

ビスマルク「久しぶり、二人とも。ええ、元気よ。そちらも元気そうで何よりだわ」

ビスマルク(すれ違う皆は、驚きつつもいつも通りの対応。私が何をしてしまったかは知らされていないようだった)

ビスマルク(そうよ。そこまで配慮してくれているアトミラールが、私を……捨てるなんて……ありえない!!)

ビスマルク(急ぎ足で執務室へ向かう。そして、ようやく執務室前の廊下までたどり着いた時に見たのは)

プリンツ「……」スタスタ

提督「……」スタスタ

ビスマルク「……!!」ガーン

ビスマルク(連れたって向こう側へ歩いていくアトミラールとプリンツだった。心が底なしの落とし穴へ落ちていく感じ)

ビスマルク(けど、まだ決まったわけじゃない。ただの話し合いかもしれない。いや、そうに決まってる)

ビスマルク(二人に気がつかれないように後をつける。人気のない方へ行き、確か倉庫のはずの部屋に入っていく)

ビスマルク(この時点で私の心は限界だった。震えが止まらない。耳を当てても、何を話しているのかまで聞き取れない)

ビスマルク(しばらく粘ったが、諦める。気がつかれないことを祈りながら扉を少し開けた)

ビスマルク(隙間からカメラを起動したスマホを差し入れ、中を確認する。画面に映っていたのは)

プリンツ「……」ダキッ チュッ

提督「……」

ビスマルク「…………」サァッ

ビスマルク(プリンツに抱き付かれて、唇を重ねているアトミラールだった。すべてが終わった気がした)

ビスマルク(しばらくの間、固まっていた。二人は未だに口つけを交わしている。これ以上見たくない)

ビスマルク(スマホを抜き出し、気がつかれないようにドアを閉める。ゾンビのように歩いて、いつの間にか執務室前に戻ってきていた)

ビスマルク(立っていられず、座り込む。アトミラールへの怒りが湧き上がってきた)

ビスマルク(よくも……よくもこんなひどいことを……!!殺してやる!!破滅させてやる!!)

ビスマルク(あとで後悔したってもう遅い!!謝られたって赦してやるものか!!だけど、そこで気がつく)

ビスマルク「先にそういうことをしたのは、私の方だ……」ウルッ

ビスマルク(これほどの絶望と憤怒、そして苦痛を受けて、そして私に敵意を向けられ、罵られてもなお)

ビスマルク「アトミラールはあの時、私を……自分が撃たれてまで……」ポロポロポロ

ビスマルク(もう何も考えられなかった。混沌が自分の中で渦巻いていた)
664 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/28(水) 02:22:59.72 ID:5CZ3sfEx0


提督(俺は、ビスマルクへ歩み寄る。しかし、胸の中には複雑な感情がうごめいていた)

提督(もう気がついてもおかしくないが、しかしビスマルクは気がつかない。あるいは、あえて反応していない)

提督(そもそも、なんであんなところでああしているのか?苛立ちが募る。つかつかと歩いていき、目の前に立つ)

提督「……何をしている?」

ビスマルク「っ……」スッ ジッ ツゥ

提督「!」

提督(声をかけ、顔を上げたビスマルクは泣いていた。涙が流れ、目が赤い)

提督「……ど、どうしたんだ?」

ビスマルク「……プリンツと……付き合っているの?」

提督「!?」

ビスマルク「さっき、貴方のところへ挨拶来た時、見たわ。……プリンツが貴方と向こうへ行っているのを」

提督「……」

ビスマルク「嫌な予感がして、後を追ったの。そしたらあなたとプリンツが話しているのが聞こえたわ」

提督「っ……」

ビスマルク「何を話しているかまで聞き取れなかったから、ドアを開けて中を確認したの」

ビスマルク「そしたら、見えたわ。……貴方がプリンツとキスをしているのが」

提督「……」

ビスマルク「……何か言ってよ」

提督「っ……き、君が言うのか?」

ビスマルク「っ!!ぐすっ……言って、くれたじゃない……戻ってきてくれって。貴方には私が必要だって……」

提督「!!」

ビスマルク「あの男の所に乗り込んで、私にそう言ってくれたじゃない……だから私は、もう何もかもめちゃくちゃでも……」

ビスマルク「それでも、貴方を頼ったのよ……あなたが好き。愛してる。それが、私の本当に本当の想いなの……」

提督「どうしてっ……今更……」

ビスマルク「貴方が言ってくれたからよ……!!貴方が目を覚まさせてくれたからよ……!!」

ビスマルク「私は今、とても苦しい……胸が張り裂けそう!!貴方はプリンツを選ぶの!?」

提督「……」

ビスマルク「なら、なんで私を助けたのよ!!現実でこんな思いをするぐらいなら、たとえ歪な幸せでも、ワルイユメでも……」

ビスマルク「っ……さ、覚めないほうが良かった……!!」

提督「っ!!!!……!!」
665 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/28(水) 02:31:30.20 ID:5CZ3sfEx0
提督(あの男を肯定するような発言に、怒りが爆発しかける。しかし、ビスマルクの、なんだかんだあっても好きな子の泣き顔がそれを抑えた)

提督(俺は、ビスマルクを取り返したかった。それは、ビスマルクの為であり、何より俺自身のためだった)

提督(憎い敵に復讐し、好きな女を取り戻すために、その女の歪とはいえ、幸せを破壊しつくしたのだ)

提督(そこで、もし俺がその女を捨てたらどうなる?彼女に残されるのは、絶望だけだろう)

提督(だが、俺の中のこの負の感情ももはや押さえつけることはできない。胃が焼けるように痛い。かすれる声で不満が漏れだす)

提督「……君はなぜ、あんなことをしたんだ?俺は、本当に君が好きで、信じていたのに……」

ビスマルク「っ……」ブルブルブル

提督(俺のその、絞り出すような声に、ビスマルクは可哀そうなほどに震える。恐怖と後悔、痛みのために青い瞳が揺れていた)

提督(口にするだけでもこうなるのか。いや、そうだろうな。ビスマルクは言葉を紡ぐのに苦労して、しかしやっとのことで語り始めた)

ビスマルク「……知ってると思うけれど、私が日本に来た時に初めて整備を担当したのがあの男だったわ」

ビスマルク「日本について何も知らなかった私は、あの男の言う日本式の整備を受けた」

提督「おかしいとは思わなかったのか……!?」

ビスマルク「もちろん、思ったわよ……!!けど、そんなことでいちいち文句を言ったりすると貴方に迷惑が掛かって、嫌われるって……」

ビスマルク「私は貴方が好きだから、万が一嫌われたらって思うと……話せなかった……我慢したわ……」

提督「それで、あの日につながると?」

ビスマルク「整備を拒否した私に、事情を知らないあなたが命令したわ。……だから、受け入れざるを得なかった」

提督「どうしてその時言わなかった!?迷惑をかけるって……整備拒否の時点でかかってると思わなかったのか!?」

ビスマルク「好きな人に、あんな男に穢されてるなんて言えると思う!?私は、……言えなかった」

提督「……」

ビスマルク「……感じたことのない快感、自分の体があの男に変えられていくのが嫌でもわかって、怖かった」

ビスマルク「でも、どうしようもなかったのよ……」

提督「……それが、どうしてあれに繋がる」

ビスマルク「……きっかけは、あなたが寝ているときに前の奥さんの写真を見た時よ」

ビスマルク「この想いはかなうことがないんだと思ったら、どうでもよくなった。全部どうでもいいと思った」

提督「それで股を開くのかお前は……」

ビスマルク「っ……ええ、そうね。結果的に、そうなったわ」

提督「……言い訳があるなら、言ったらどうだ?」

ビスマルク「……今までそういったことをしたことがなかったから、その先を知りたかったってのもあるかも。……後悔しているわ」

提督「なんでそんな馬鹿な真似を……!!」

ビスマルク「自分でも今考えると分からないの……!!けど、あの時はもうどうでも良くて、そうしてもいいって気になっちゃったのよ……!!」

提督「……それで」

ビスマルク「……あの男に抱かれて、はしたなくよがって。……きっとあの時、妊娠した」

ビスマルク「だから貴方を諦めようと思って、遠くから眺めていた時に……告白された」

ビスマルク「泣いたわ。どうしてこんなことになったんだろうって。もう私には提督と一緒になる資格がないんだって」
666 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/28(水) 02:35:22.98 ID:5CZ3sfEx0
提督「……」

ビスマルク「……それでも、貴方が私を選んでくれたことが嬉しくて、本当にうれしくて」

ビスマルク「いけないと思っていても、断れなかった。断りたくなかった」

提督「……もしあの後でああならなかったとして、お前はあれとの子供を俺に育てさせるつもりだったのか?」

ビスマルク「……怖くて、貴方の子じゃないのなんて言えなかった。堕胎しようにも、それこそ言わなくちゃできないから……」

提督「……」

ビスマルク「そうね、たぶん悩んでいる間に取り返しがつかない所までいっちゃって、産んでたと思う……」

提督「……」

ビスマルク「……そうしたら、貴方の子供として育てていたかもしれないわ」

提督「はっ……しれないだけか」

ビスマルク「っ……していたわ、きっと……ごめんなさい……」

提督「……続けてくれ」

ビスマルク「……貴方と結ばれて、けどあの男にいろいろされた私は、……貴方の労わるような優しいセックスじゃ満足できなかった……」

ビスマルク「もっと、快楽を貪るような、獣のようなセックスじゃないとダメだったの……でも、言い出せなくて」

ビスマルク「そこにあの男が来て、私を無理矢理犯して……私も抵抗したけ……いえ、抵抗らしいこともできずにされるがままで……」

ビスマルク「久しぶりの、凄い快感を伴うセックスで、頭がおかしくなっちゃって……私を助けようとしたあなたに、あ、あんなひどいことを言っちゃって」

ビスマルク「気がついた時にはもう取返しがつかないことをしてしまった後で、もう私にはあの男しか頼れる人はいないんだって思った」

ビスマルク「だから、私は、あの男を好きになるように、努力したの……」

提督「……チッ」

ビスマルク「っ……そうね、私は頭空っぽのビッチでしょうね……」

ビスマルク「けど、やっと自分を心から騙せた頃になって貴方が私の所に来てくれて」

ビスマルク「そして、まだ間に合うって……や、やり直そうって、言って、くれたからぁ……だからぁ……!!」ウルッ

ビスマルク「かりそめの気持ちなんて吹き飛んだわ!!どんなに自分を偽ろうとしても、やっぱり無理なの……!!」

ビスマルク「お願い、何でもするわ!!だから私を捨てないで……私といて……!!」ガシッ

提督「ビスマルク……」

ビスマルク「ごめんなさい……!!私はバカでした……もう二度としませんから、赦してください」ボロボロボロ

ビスマルク「あ、貴方がいないと……私はもうダメなの……生きていけないの……!!」
667 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/28(水) 02:39:26.72 ID:5CZ3sfEx0
提督(俺の脚に縋り付き、涙を流すビスマルク。俺は心が痛かった。……俺は、あの時ビスマルクが何を思っていたのかを知った)

提督(本人からその話をちゃんと聞いたことは初めてだった。どうしてあんなことをしたのか。それを知れて、少しスッキリした)

提督(もちろん、理屈的にはそうかもしれないと思っても心では納得できない。けど、そんなもんだろう)

提督(人の心はそういうものだ。言葉ですべてを表すことはできないだろうし、理屈ですべてを説明することはできないんだ)

提督(怒りもすべては消えていない。けど、それでも俺はビスマルクがどうしようもなく好きなんだ)

提督(だからこそ、俺は……俺は、ビスマルクを立たせる)

提督「ビスマルク、立ってくれ」スッ

ビスマルク「……ええ」グッ

提督(そして執務室の中に入れる。扉の鍵を閉めた)

提督「君は、俺を愛しているのか?誰よりも?あの男よりも?」

ビスマルク「もちろん、誰よりもよ。それに、あんな奴……あんな奴!心から愛した事なんてないわ!」

提督「俺は、気がついてしまった。俺は君に対して怒りを感じているし、報いを受けさせたいと思っている」

ビスマルク「っ!!……」ジワァ

提督「でも、それでも君に対する一番の感情は愛だ。君が、本当に、心から好きなんだ」

ビスマルク「アトミラール……!!」ハッ

提督「どうか、もう二度とあんなことをしないでくれ。ずっと俺だけを愛すると誓ってくれ!!」

ビスマルク「ええ……ええ!!もちろんよ!!もう二度としないわ!!」コクコク

提督「何事も君を失うことに比べれば遥かにましだ。恥ずかしがったりすることは無いから、何かあったらすぐに教えてくれ」

提督「たとえ、俺のセックスが下手だとかそういうことでもだ。いいな?」

ビスマルク「分かったわ。もう二度と騙されたり、付け込まれたりしない」

提督「愛している、ビスマルク。俺を支えてくれ」チュッ

ビスマルク「はい、私も愛しています……!!よろしくお願いします!!……んっふぅ」

提督(ビスマルクに口づけする。久しぶりに感じるビスマルクの味、匂い、体温、そして存在感に幸せとほんの少しの苦しみを感じる)

提督(しばらくして唇を離すと、ビスマルクは名残惜しそうに自分の唇に触れた。そして恥じらう乙女のように告げる)

ビスマルク「アトミラール……その、し足りないわ。あと、……もっとディープなのがしてほしい」

提督「……それは、つまり?」

ビスマルク「私は貴方のものだって刻み込むような、そんなキスで上書きしてほしいの……」

ビスマルク「……あれがやっていたような、下品なキスがお望みか?」

ビスマルク「げ、下品……けど、そうかもしれないわね……」

提督(あんな勘違い男がやるような、舐めまわすようなのがビスマルクの好みなのか……いや、好みにさせられたのか……)
668 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/28(水) 02:41:33.81 ID:5CZ3sfEx0
提督「それが、いいのか……」

ビスマルク「……その、無理なら我慢するわ」チラッ

提督「……あの男の影響か?」

ビスマルク「……そう、かも」

提督(ビスマルクがあの男にここまで穢されたのかと思うと吐き気がする。だが、悦ばせるためにはそれが必要か)

提督(……なら、いいだろう。お望みならば、お望みのものをやろうじゃないか)

提督(俺の中の愛憎を全て込めたような、相手のことを考えないようなのをしてやる。まるで強姦のような、そんなやつを)

提督(かつてビスマルクのふりをしてくれていたプリンツが言ったように、そういった性技は勉強した。実験台にしてやる)

提督(だが、そうすんなりとはいかせない。焦らしてからだ)

提督「……悪いが、今はまだ我慢してくれないか。そんな気分じゃないんだ」

ビスマルク「っ……そう、分かったわ」

提督「とりあえず、ひつような手続きなどを済ませてしまおう。来てくれ」

ビスマルク「分かったわ。……」シュン

提督(俺に受け入れられず悲しそうな表情をするビスマルクに、嗜虐心がくすぐられた。もしかしたら、そういう趣味なのかも)

提督(必要な手続きと連絡を済ませる。これでビスマルクは俺の艦隊に艦娘として復帰することになった)

提督「以上で全てだ。何か質問はあるか?」

ビスマルク「ないわ」

提督「よし、では解散。これが家の鍵だ。今日はもう戻っていいぞ」

ビスマルク「Ja wohl. ……」モジモジ

提督「……何だ?」

ビスマルク「あの……今晩、暇かしら?」

提督「……何かあるのか?」

ビスマルク「何かあるのかって……久しぶりの再会じゃない?ディネーとか、付き合ってあげてもいいのよじゃなくて!!」

ビスマルク「ディネーとか、どうかしら?特別な日だし……ね?」

提督「悪いが遠慮させてもらおう。どうやら敵の攻勢が近いらしくてな。忙しんだ」

ビスマルク「あ、そう……なら、何か手伝えることはあるかしら?」

提督「ありがたいが、今はまだないな」

ビスマルク「……分かったわ。夜は帰ってくるでしょ?」

提督「先に食べていてくれ」

ビスマルク「……待つわよ。待ってるから」

提督「そうか、ありがとう」

ビスマルク「ええ……じゃあ、またね」

提督「ああ」

ビスマルク「……」トボトボ
669 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/28(水) 02:44:33.59 ID:5CZ3sfEx0
提督(背を向け、悲しげに扉へ向かうビスマルクに気がつかれないように忍び寄る)

ビスマルク「っ!?痛っ!」ビクッ ドンッ

提督(ドアノブに手が伸びたところで、肩を掴み強引に振り向かせる。驚くビスマルクを扉へ押さえつけ、俗にいう壁ドンに近い体勢になる)

提督(軽く頭をうち、顔をしかめるビスマルクを至近距離から睨みつける)

ビスマルク「っ……んぅ!?」

提督(怯えたような表情を浮かべるビスマルクに、俺は強引に唇を重ねた)

ビスマルク「んぅ……ふぅ……れろれろ」

提督(舌をビスマルクの咥内に侵入させる。抵抗なく開かれた口の中では、熱い舌が待ち受けていた)

提督(こわばっていたビスマルクの体がリラックスしていき、舌が絡みあい、手が首へ回されそうになる)

ビスマルク「んっ!?ふぁ……んぁ……」

提督(しかし、させない。手首を掴み、壁に押し付け、拘束する。ビスマルクはされるがままだ)

提督(色っぽい吐息をつきながら、艶めかしく舌を絡ませてくる)

ビスマルク「んふぅ……にゅる……ん゛ん゛!?っ……いはいいはい!!いはいは!!」

提督(舌を引っ込ませると、逃がさないとでもいうようにビスマルクの舌が追いすがってくる。俺はそれに噛みついた)

提督(もちろん、加減はしているがそれでも痛いはずだ。案の定、ビスマルクはくぐもった悲鳴をあげて、痛みを訴える)

ビスマルク「っ……」ジロッ

提督(ビスマルクの舌を解放すると、ビスマルクは口を離して抗議の視線を向けてくる。俺は無言でもう一度ビスマルクの口を貪った)

ビスマルク「んはぁ……ふぅ……にゅる……れろれろ……」

提督(舌を入れ、お望みどおりに貪るようにビスマルクの咥内を蹂躙する)

提督(片手でビスマルクの頭を強く抱き、もう片方の手でビスマルクの背中をなで、だんだんと臀部の方へ手を伸ばす)

ビスマルク「んはぁ……んふぅ……ぁあ……」

提督(ビスマルクが色っぽく熱い吐息を吐いた。手は首にまわし、脚を絡ませ、体を擦りつけてくる)

提督(服をかきあげ、むき出しになった柔らかい尻を、ショーツの上から揉みしだく)

提督(一通り堪能した後、手を前にまわした。ショーツの上からでもわかる。濡れている)

ビスマルク「んぁっ……だめぇ……そこはぁ……っふむぅ……れろ」

提督(ショーツの中に手を侵入させる。恥丘を覆う陰毛をなでつけ、はしたなく濡らしているそこを責めた)

提督(割れ目に沿って指で撫で、固くなっているそれを摘み、こねくり回す。これだけ濡れていれば問題ないだろう。中に指を入れた)

提督(慣らす必要はなさそうだ。指の腹で手前のGスポットをスクラッチするように刺激する)

ビスマルク「んはぁ……!!んぁぁ……!!はぁむ……!!」

提督(ビスマルクの反応に合わせてスピードを速める。俺は、口を離した。唾液の糸が淫らに垂れる)
670 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/28(水) 02:48:56.15 ID:5CZ3sfEx0
提督「どうだ?」

ビスマルク「き、気持ちいい!おかしくなっちゃう!」

提督「あの男とどっちがいい?」

ビスマルク「それはぁ!はっ……!あ、貴方ですぅ!」

提督「悩んだな?嘘を吐いただろう。あっちの方がいいと思ってる」

ビスマルク「違う!違うぅ!好きな人にされたほうが良いの!」

提督「だが、気持ちよさでは向こうが上だな?正直になれ」

ビスマルク「ぅぅ……はぁ!は、……はい」

提督「どうされるのが好みなんだ?言ってみろ」

ビスマルク「もっとぉ……!強くして!もっと深く!そぅ……はぁあ!ああ!」

提督(もはや痛くするぐらいの力で刺激する。反応が良くなり、しばらく虐めたところでさらに奥まで指を入れる)

提督(ポルチオとGスポットを責めるようにした。一度、ビスマルクをイかせてしまおう)

ビスマルク「ああ!だめ!来ちゃう!!おかしくなっちゃう!!おかしくなっちゃう!!っ……ああああ!!」

提督(ひときわ強く抱きしめられ、中が締まる。しばらくして、波が収まったらしいビスマルクは少し離れた)

提督(そして、涎をたらしながら蕩けた顔でこちらを見つめている。青い目の中にはハートマークが浮かんでいるようだ)

ビスマルク「はぁー……はぁー……」

提督「少しは上手くなったか?」

ビスマルク「はぁー……す、少しどころか……スゴクうまくなってる……どうしたの……?」

提督「そうか」

提督(俺は、質問に答えず手を振りほどく。そしてしゃがんだ。目の前に、手マ○中にショーツがずり落ちて、秘所が露わになっていた)

提督(淫らな匂いが漂っている。俺は、その秘所に吸い付いた。少ししょっぱいが、ビスマルクの秘書を舐めていると思うと興奮する)

ビスマルク「はぁっ!!つぅ……!!あぁん!!」

提督(舌で突起を刺激し、強く吸う。淫らに響く水音に羞恥を覚えるが、我慢する。ビスマルクは腰が引けるが逃がさない)

提督(舌を中にまで入れる。膣壁を舐めるようにして責める。そしてまた突起へ。立っていられないのか、ビスマルクはずるずると座り込んでしまう)

提督(だが容赦はしない。それがお前の望みのはずだ。狂うほどの快楽で俺を刻み込んでやる。ショーツを剥ぎ取り、クン○を続行した)

ビスマルク「あぁ!!あとみっ!!くぅ……!!あとみらーるぅ!!」

提督「……」ジュルジュルジュル

ビスマルク「わ、たしぃ!!はぁん……!!私、見たぁ……」

ビスマルク「貴方が……っ!!ふぅう!!……プリンツとライブに行ったことぉ!!」

提督「!」ジュル

ビスマルク「はぁっ……画像に映ってた……っ……セクシーダンスまでしてた……」

ビスマルク「私には……友達と予定があるって……どうして言ってくれなかったの……?」

ビスマルク「くぅ……プリンツと……セックスしたの……?」
671 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/28(水) 02:52:22.06 ID:5CZ3sfEx0
提督「……」ジュル

ビスマルク「……なにか、言ってよ。ねぇ……」

提督「……」ジュルジュルジュル

ビスマルク「っ!?あっはぁあ!!ダメ!!誤魔化さないでっ!!」

提督「……」ジュルジュルジュル

ビスマルク「っはぁあ!!来ちゃう……来ちゃうううう!!」ビクンビクン

提督「っは……」

ビスマルク「はぁ……はぁ……はぁ……アトミラール……」

提督「……もしそうだとして、お前が俺に何を言うんだ?」

ビスマルク「……知りたいだけなの。何も言うつもりじゃないわ。ただ、気になって仕方がないの」

提督「……俺が妻以外とセックスするとでも思ったか?」

ビスマルク「!」

提督「信じられないか?」

ビスマルク「まさか。信じるわ」

提督「……そこに寝そべろ」

ビスマルク「!お、お布団がおいてなかったかしら。そっちの部屋は仮眠スペースがあったわよね?」

提督「そこに、寝そべろ」

ビスマルク「っ……はい」

提督(ビスマルクが床に寝そべる。俺はいきり立つ自分を解放して、ビスマルクのそこにあてがった)

ビスマルク「あ……」ピトッ

提督「止めたいのなら、最後のチャンスだぞ」

ビスマルク「……きて」

提督「……っ!!」ズプッ

ビスマルク「あぁ!!」ヌププププ

提督(ビスマルクの中は、とても熱くきつかった。俺は思い切り腰を打ち付け、グラインドさせ、スライドさせた)

提督(急所を責める。乱れるビスマルクは、確かに以前は見たことがなかった。初めて、ビスマルクとセックスができた気がした)

ビスマルク「だめぇ!!はっぁああ!!来ちゃうう!!」ギュウッ

提督「っ……いくぞ!!中に出してやる!!」

ビスマルク「ああ!!来て!!綺麗にして!!貴方で上書きしてええええ!!っああああ!!」ビクンビクン

提督「っ!!」ビュルルルルルルルル

ビスマルク「ああ……はぁ……はぁ……」
672 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/28(水) 02:56:12.52 ID:5CZ3sfEx0
提督「くっ……ビスマルク、綺麗にして貰おうか」

ビスマルク「!……はい。ん……あむ。じゅるじゅるじゅる、れろれろれろ」

提督「うっ……ぐっ……」

提督(気だるそうに体を起こし、這いよってきたビスマルクはためらうことなく俺のモノを咥え込んだ)

提督(これもまたあいつに調教されたのだろう。気分が悪くなるが、悲しいかな。男の性は抑えられない)

提督(性感に、再びモノが勃起する。ビスマルクは慣れたように奥まで咥え込み、頭をグラインドさせ、唇や舌で快感を与えてくる)

提督「はぁ……はぁ……くっ……ああ……」ビュルルルルルルルル

ビスマルク「んぶっ!!んぐぅ……ごくん。じゅるじゅるじゅる」

提督(喉に出す。ビスマルクをまた一つ征服したと感じた。ここももうあの男のものではない。

提督「……もういい。止めろ」

ビスマルク「ん、ふぁい……ぷはっ。……どうするのかしら?」

提督「どうしてほしい?」

ビスマルク「……もっとしてほしい」

提督「何をしてほしい?」

ビスマルク「セックスを……上にのせてくれる?」

提督「……大きくしてみろ。手でな。どうせ仕込まれているんだろ?見せてみろ」

ビスマルク「っ……はい」スッ

提督(手でゆっくりと快感を与えてくる。先端や、カリ、そして竿、挙句の果てに玉まで揉まれ、まさかの指を後ろに突っ込まれた)

提督「!?」ビクッ

ビスマルク「あっ!ごめんなさい!ついいつもの癖で……」スッ

提督「いや、いい。続けろ……」

ビスマルク「はい……」シュン

提督(悔しいが、上手い。すぐに臨戦態勢になってしまう。あいつに教え込まれたんだ。それがたまらなく狂おしかった)

提督「止めろ」

ビスマルク「ん、はい」

提督「立ち上がれ」

ビスマルク「はい……終わり、なの?」チラッ

提督「そこの机に手を付け」

ビスマルク「!は、はい……えっと……」ドキドキ

提督「後ろは試したことがあるか?」

ビスマルク「!……ええ。あるわ……」

提督「そうか……初めては、全部あいつなんだな」

ビスマルク「っ!!……結婚式は、貴方が最初だったわ」ギュッ

提督「!」

ビスマルク「っ!ごめん、なさい」ビクッ
673 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/28(水) 02:58:52.66 ID:5CZ3sfEx0
提督「……」ピトッ

ビスマルク「あ、ま、まって!洗ってないからっ、はぁああ……っ!!」ズププププ

提督(唾液や愛液で濡れたものは、ビスマルクの後ろに問題なく入った。きついが、すでに性器として作り替えられている)

提督(俺はこの気持ちをぶつけるように腰を打ち付ける。腹の方へ突き破るようにする)

ビスマルク「うっ……はぁん……つぅ……」ズップズップズップ

提督(ビスマルクは、感じているようだった。それだけ経験したのだ。耐え難い嫉妬をこうして上書きすることで沈める)

提督(後ろから覆いかぶさり、胸や顔を愛撫する。口に手を入れ、舌を弄び、胸の先端にある突起を摘み、いじくりまわす)

提督(大きな胸を揉みしだく。今、ビスマルクは俺のモノだと確認する。淫らに息を吐き、髪を振り乱し、胸を揺らして腰を振るこの女は俺のモノだ)

提督「っ、くぅ……」ビュルルルルルルルル

ビスマルク「っはあああ!!はぁ……!!はぁ……!!」ビクン

提督(限界を迎え、中に出し切る。これですべてを上書きしたはずだ。……中は)

提督「ん……なんだ、綺麗じゃないか」ズルッ

ビスマルク「そ、そう?良かった……ってそういう問題じゃ!!」

提督「ビスマルク、上に乗りたいなら付き合ってやる。どうする?」

ビスマルク「!……いいの?」

提督「君はいつもどれくらいしていたんだ?」

ビスマルク「……毎日、最低一回はしていたわ」

提督「……週平均は?一日当たり何回だ?」

ビスマルク「……一、二回でしょうね。多い週は三回だったかも」

提督「そうか……分かった。俺はどうすればいい?」

ビスマルク「その……ゴム、ある?後ろに入れたから、もしあるのならした方がいいのだけど」

提督「……ない。なら、シャワー浴びるか」

ビスマルク「ありがとう」

提督(執務室の隣にある仮眠室へ移動する。泊まり込むときの為の部屋だ。もちろん、執務室からしか行けない)

提督(鍵を閉めて、風呂へ向かう。シャワーで流し、ボディーソープで軽く洗った)

提督「君も体を洗うか?」

ビスマルク「いいの?じゃあすこし浴びさせてもらうわね」

提督(二人でシャワーを浴びて、タオルで体を拭く。そして布団をだし、その上に寝そべった)

提督(そしてビスマルクのフ○ラで勃起する。今日四度目だが、頑張らなくては)
674 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/28(水) 03:02:31.82 ID:5CZ3sfEx0
ビスマルク「じゃあ、入れるわね」

提督「ああ」

ビスマルク「んっ……ふぁ……」ズププププ

提督(ビスマルクの秘書から先ほどの精液が垂れてくる。その官能的な光景にさらに興奮した)

ビスマルク「っ……はぁ……」グッチュグッチュグッチュ

提督「っ……!!」

提督(ビスマルクのテクはすごかった。俺は、男としての誇りを守るため、ビスマルクが昇りつめるまで必死で耐えた)

ビスマルク「ああ!!いい!!いい!!来ちゃうう!!来ちゃうううう!!」ビクンビクンビクン

提督「っ!!くぁあ!!」ビュルルルル

提督(気絶するかと思った……)

ビスマルク「アトミラール……ごめんね……ごめんね……」ジワッ

提督(ビスマルクが倒れ込んでくる。抱きしめられ、涙声で謝られる。ビスマルクなりに、思うことがあったのだろうか。しばらく、放心する)

提督「ビスマルク……」

ビスマルク「はい……」

提督「良ければ、買い物にでも行かないか?」

ビスマルク「!!行くわ、もちろん!!」ハッ

提督「そうか、行くか。なら、明日にでも行くか」

ビスマルク「ええ……ええ!!」ニコッ

提督(いろいろあった。けど、もう許さなくてはならない。完璧なんてもうありえないのだから)

提督(良い気分ではない。けど、覆水は盆に返らない。あの忌々しい事実は何をしても、もう消えない)

提督(なら、ビスマルクを捨てるか?俺には……プリンツがいてくれる。お前のような売女など知らぬと言って)

提督(先に裏切ったのが悪いと言って、この子を拒絶するか?個人的には、そうしてなじられようとも俺は悪くないと思う)

提督(プリンツと一緒になれば、きっと素晴らしい日々が待っているだろう。とてもよく尽くしてくれて、俺だけを純粋に愛してくれる)

提督(あの笑顔が毎日見られるなら幸せだ。料理だってうまい。美人で、性格だって完璧だ)

提督(それに、あの肉体を味わうことができる。今思い出しても興奮する、あのセクシーダンスの時の感触)

提督(もう十分に女性らしい体つきをしているが、あれでまだ発展途上なのだ。あの瑞々しい肌に指を埋めたい)

提督(男を知らないその秘所に、己を打ち込んで征服してやりたい。誰も味わった事のない極上の女体を独り占めにしたい)

提督(なに、先にやったのはビスマルクだ。身から出た錆だろう。さようならと言われて何を悲しむのか)

提督(罵倒されようともそのままそっくり返してやる。殴り返した方より、先に殴ったほうが悪いのは一目瞭然だ)

提督(……だが、そうしたくない。もはや狂おしいこの感情は愛だとか憎しみだとかそういう次元にない)
675 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/12/28(水) 03:07:19.81 ID:5CZ3sfEx0
提督(殺してしまいたい!!この世に存在するすべての何か悪いモノ、絶望を刻み込んで、すべてを呪わせて地獄へ落としてやりたい!!)

提督(穢れた娼婦、卑劣な裏切り者!!お前のせいで、俺の心に安寧などもはや二度と戻っては来ないのだ)

提督(たとえプリンツのような素晴らしい少女がいくら俺を好きで、一緒になってこの上ない幸せな人生を歩んだとしても)

提督(決してこの傷を癒すことはできない。永遠に俺を蝕むのだ!!)

提督(抱きしめたい!!この世に存在するすべての愛情表現でビスマルクを愛したい!!)

提督(どんなに酷い裏切りをされたとしても、俺は君を忘れられない。もし君が俺の手の届くところにいるなら、抱き締めずにはいられない)

提督(きっといくら言葉を尽くしても、この愛を伝えきるなんて不可能だ!!君の笑顔が見たくてどうしようもない)

提督(君に、俺の隣に居て欲しい。誰かほかの男の隣に居ることなど、見たくない!!耐えられない!!)

提督(……俺は、何が正解なのか分からない。だけど、したいことは分かる。ビスマルクの隣に居たい)

提督(そして俺のこの気持ちを知らせたい。どんなに愛していて、どんなに憎んでいるか)

提督(そして俺に全てを捧げて欲しい。心の底から愛してほしい。……そうだ、だって俺はこの人のことを)

提督(ビスマルクのことを本当に愛しているから。好きで、たまらないから)

提督(俺たちは今、布団で隣り合って寝ていた。緊急の用事はない。大和に後を任せてある)

提督(隣を見る。すると、ビスマルクと目が合った。サファイアのような青い瞳が俺を見つめる)

提督「ビスマルク」

ビスマルク「何かしら?アトミラール」

提督「あした、すごく楽しみだ」

ビスマルク「ええ、私も」

提督(ビスマルクの方に寄って、黙ってその頭を抱く。麦畑のようなサラサラのブロンドヘア)

ビスマルク「ん……」スッ

提督(ビスマルクは、片手を腰にまわしてきて、もう片手で俺の胸に触れる)

提督(密着している。ビスマルクの体温を感じた。……悪くない気分だ)
676 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/28(水) 03:16:55.66 ID:V7Mn0f8pO
可愛さと憎さが余りに余って一万倍か
プリンツは可哀想だけどこればっかりは仕方ないな
677 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/12/28(水) 04:44:24.60 ID:4oFuvP5n0
どっちのルートも書いてくれていいのよ?
678 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/28(水) 05:22:05.81 ID:i4j8XHEGO
プリンツかわいそう
マジで報われないな
こんな結末なら何で原作通りのゲス女にしといてやらなかったんだ
679 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/28(水) 09:13:07.34 ID:KIIGJ2UUO
3Pすれば問題解決やん
680 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/28(水) 11:08:03.35 ID:rx7eq2wcO
さっさとビスマルク轟沈させろよ
681 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/28(水) 14:16:51.07 ID:19BIyi54O
プリンツ云々抜きにして、ビスマルクのどの口でもの言ってんだお前感が凄い
682 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/28(水) 14:39:39.60 ID:iOJnlUQKO
プリンちゃん可哀想
こんな扱いなら最初から登場させなければ良かったのにな
683 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/28(水) 15:09:19.90 ID:MT/WwqwSO
ビスマルクを犠牲にしてまで提督を変態にしたくなかったのか
684 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/28(水) 19:32:37.53 ID:9Hjyi6G9O
ビスマルク以上にプリンツが作者の犠牲になってるけどね
685 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/29(木) 03:43:49.45 ID:rK8GUpmoo
おつ
良いなぁこういう葛藤シチュ
ビス子を選んだルートとオイゲンを選んだルートと両方を選んだ和解3Pルートのどれも見てみたい
686 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/29(木) 08:33:56.14 ID:w/JI14tXO
ビスマルク要らね
687 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/29(木) 08:45:31.85 ID:fXZT1hZKO
ビスマルクいなきゃ話始まんねーよ
688 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/29(木) 08:51:47.23 ID:3+9POO95O
始まんなくて良かっただろ
明らかに後半は蛇足の嵐だし
689 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/29(木) 09:03:24.11 ID:fXZT1hZKO
じゃ読まなきゃよくね?
それかお好みのSSを自分で書けば良い
690 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/29(木) 09:59:47.72 ID:NlMovsfIO
何言ってんだコイツ
691 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/29(木) 10:17:22.10 ID:mTOezgAA0
冬休みだな…
692 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/29(木) 10:48:23.82 ID:zTXnCqTfO
冬休みじゃなくてもこの手のスレは荒れてたやろ
693 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/29(木) 17:58:51.07 ID:V9+VsRrnO
プリンツもレイポーされて それでやっと気づいたけど孕んでて絶望
ワルイユメは覚めなかった
というオチを予想

694 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/29(木) 18:20:39.75 ID:X2mBHTk9O
提督と友のホモエンド希望
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