武蔵「鏡花水月の夜に」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/12/05(月) 15:51:05.68 ID:6EJN5w5J0
艦これです。あと長いです、地の分ありです。書き溜めてはありますが、途中っかけです。
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/12/05(月) 15:52:06.46 ID:6EJN5w5J0
武蔵「ふぅ...一日の終わりはやはり風呂に尽きる...」

湯船に浸かり腕を伸ばすと関節同士が干渉し合い砕けた音がなる。その感覚が心地よく自然と吐息が出てしまう。今この場には私以外誰もいないが、もしこんな姿を見られてしまったら「武蔵」としての格が下がるだろうな。
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/12/05(月) 15:54:42.90 ID:6EJN5w5J0
夕立「あはは!!武蔵さんって意外に年寄りくさいことするんですね!!」

武蔵「....」

声のする方を向くと、1人いた。一体いつから隣にいたんだ。それに年寄りくさいとは何だ!....と言っても「夕立」には通じないだろうな。この「夕立」という艦娘はどの娘も喋りたがりで人の話しを聞かない。聞き分けが無いとはまた訳が違うが。
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/12/05(月) 15:58:05.12 ID:6EJN5w5J0
だが、そこが可愛いところではある。
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/12/05(月) 16:03:28.26 ID:6EJN5w5J0
舐め回すように目を細め、夕立を見つめていると何かを思い出したかの様に、ハッと顔色が青ざめ夕立は申し訳なさそうにこう言った。

夕立「あっ..すいません....武蔵さん。失礼な事言って..」

ふむ、

武蔵「....あぁ。夕立は改ニになったんだな」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/12/05(月) 16:15:36.17 ID:6EJN5w5J0
長年の勘からだ、自信は無いが、唐突に思いついた予感を口走ってしまった。恐らく私の知る目の前の「夕立」は近代化改修を終えて改ニへと変貌しているはずだ。

夕立「へ?なんで武蔵さん知ってるの!?今日なったばっかりだから驚かせようと思ってたのに...」

夕立の驚いた声と落胆する声が混ざりあっているのが聞こえた。会話からも「夕立」の喜怒哀楽の起伏の度合いを感じることができる。これなら例え目が見えなくともこの娘との会話は自然と笑みを育むことができるのだろう。

武蔵「普段夕立は失礼な事なんて自分で気づかないだろう。それで改ニになったと思ったんだ」
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/12/05(月) 16:21:21.64 ID:6EJN5w5J0
夕立「ちょっと!!それ失礼っぽい!!」

武蔵「ははは!!」

性格の事もあるがよく目を凝らすと容姿にも変化がある。風呂に入る時は基本メガネを外しているせいかその変化になかなか気づかなかった。

手っ取り早く分かる変化で言うと緑のビー玉の様にコロコロとした可愛らしく愛らしい瞳が変化していること。その瞳は赤くなっておりビー玉と形容するには優しすぎる色彩となっている。その色は、まるで血だ。
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/12/05(月) 16:27:13.57 ID:6EJN5w5J0
「夕立」という艦娘は改ニになると恐ろしいくらいに性能が飛躍する。その性能は時に戦艦に匹敵する火力と、駆逐艦が誇る燃費の良さ、この2つを持ち合わせることができる。それこそが「夕立」の取り柄である。

だが、私はその力を不幸だと思ってしまう。知っているからだ。「夕立」という艦娘はどのような最後を迎えるのか。その燃費、火力、使い勝手の良さのせいで多くの戦地に赴き多くの敵を殺すことになる。そのせいで少しづつ崩壊していく夕立を。

一つの例を挙げよう。その前に私は弱小鎮守府を回る「指南艦」というものである。その指南艦としていくつか回った一つの鎮守府で起きた「夕立」の話しだ。
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/12/05(月) 16:30:22.79 ID:6EJN5w5J0

そう、忘れもしない、あの娘の姿を。

敵地に赴けば、壊れ。砲撃を受ければ、笑い。敵を撃ち抜けば、止まらない。そして狂ったようにその骸を砲弾で貫く。

何度も、なんども、ナンドモ。

そしてその骸が何だったのかわからないくらいにぐちゃぐちゃになった頃、ピタリとそのルーチンは、止まった。
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/12/05(月) 16:38:02.98 ID:6EJN5w5J0
近寄り私は見た。見てしまった。その表情その行為を。私は、その瞬間こう悟ったのだ。艦娘という新たな人生、幾重にも分岐し折り重ね合う氷柱の先にある、冷たく悲哀な一つの末路 。

いつか巡り会う運命に、私は目を離せなかった。
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