幼女魔王N「小さなお城で甘えたい」 母性巫女「晴れ渡る雨の新世界」

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220 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/15(日) 05:45:42.03 ID:mYSuAd2go
<お詫び>
>>219 にて 誤りがありました。


正)



淫魔幼女の攻略メモ


■異界の仮面

 種族 : 魔法
 落とすもの : 仮面のかけら(1/4)
          ひみつの蜜(1/512)

 通常攻撃と低威力の攻撃魔法を使ってくる。

 能力は低いものの、一緒に現れるボスの回復魔法が厄介なので
 必ず一度の攻撃で倒してしまいたいところ。 
 ボスへの範囲攻撃に巻き込んでしまうのも有効だ。



■百面エルフ(ボス)

 種族 : ??? / エルフ
 半減 : 火・水・土・腐敗・魔法
 無効 : 死・状態異常
 吸収 : 風・闇 
 弱点 : 性・無・武器
 特殊体質 : 血の呪い・魔法の化身・一途
 落とす物 : エルフ草(1/1)
         東王の紋章(1/4)
         葉巻のレシピ(1/8)
         流体の杖(1/32)
         ひみつの肖像画(1/8192)

ターン開始ごとに、「腐敗の風」でこちら側の全ユニットの能力を大幅に低下させてくる。
二回行動と高威力の範囲攻撃魔法を持っているが、味方の強化や回復を優先するため、
こちらに攻撃してくることはほとんど無い。

一緒に現れる骨仮面を先に倒すと防御力が0になるが、「腐敗の風」が自分以外の全ユニットに大ダメージをあたえる
「無情の風」に変化し、攻撃魔法を連発するようになってしまうので注意。

ときどき骨仮面の剣士を攻撃するが、理由は不明。
 


■骨仮面の剣士(ボス)

 種族 : ???/人間? 
 無効 : 死・状態異常 
 特殊体質 : 天恵・殺人狂・ハルピュイアの加護・黒花の騎士
 落とす物 : 黒い羽根(1/1)
         西姫の紋章(1/4)
         黒い首巻き(1/16)       
         勇者ごろしの剣(1/64)
         えびドリアのレシピ(1/512)

属性半減や吸収を持たないが、防御力と回避力が高く、HPは百面エルフの三倍もある。 
百面エルフが優先的に強化する対象となっており、このマップ最大の敵として立ちはだかる。

攻撃のクリティカル率が高く、さらに特殊体質によりこちらの耐性が実質無効化されてしまうため、
思わぬ大ダメージに気をつけよう。厄介なカウンターと三回行動を持っているので、攻撃を受ける回数を減らすため
なるべく離れて戦うと良いだろう。

百面エルフを先に倒すと瞬時にHPが全回復し、クリティカル率と攻撃力が大きく上昇、
行動回数が八回に増え、強力な全範囲攻撃を連発してくる。
 
こちらを先に倒して同じターンに百面エルフへ総攻撃をかけるか、二体とも同時に倒してしまいたい。    


…………          

ラスボスを凌ぐ終盤屈指の強敵が、二体も出現するこのマップ。
出撃可能ユニットは母性巫女のみ。

これまで彼女の出撃する戦闘で苦戦することは無かったはずだが、このマップでは油断するとあっという間に敗北してしまうかもしれない。
強化魔法や、直前に習得した、行動回数をランダムに増やす「多段跳び」を駆使して辛抱強く戦おう。
特殊体質「母乳」をおぼえておくと、回復の手段が増えてぐっと楽になるぞ。

実はこれまでの行動によって、戦闘そのものを回避することができる。
しかしその場合「ひみつの肖像画」は絶対に手に入らなくなるので注意。
221 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/15(日) 05:59:34.57 ID:mYSuAd2go




仮面の群れ 「…………」


フヨ フヨ フヨ


百面エルフ 「…………」


フワン フワン


骨仮面の剣士 「…………」




母性巫女 「…………」

母性巫女 「あの子たちのところへ帰ります」


百面エルフ 「どうぞ、ご勝手に」

百面エルフ 「私を越えて行けるのなら……」


ヒュオオオ


百面エルフの 腐敗の風!
母性巫女は 笑いをこらえた!
母性巫女の全能力が がくっと下がった! 


母性巫女 「………っ」

母性巫女 (身体の力が抜けていく)

母性巫女 (……頑張らなきゃ)


母性巫女は 頑張った!
母性巫女の全能力が ぐーんと上がった!
なんと 母性巫女のバストサイズが 少し上がった!


母性巫女 (……よし)

母性巫女 (何か変なことが起きた気がするけど)

母性巫女 (よし)


222 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/15(日) 06:20:20.09 ID:mYSuAd2go


仮面の群れ 「…………」


ヒュン ヒュン ヒュン


母性巫女 (仮面がすごい勢いでこちらにやってくる)

母性巫女 「えいっ!」


母性巫女の 攻撃!
急所に あたった!
仮面の群れ に 7000の ダメージ!


パリン パリン パリン


母性巫女 (良かった。脆い……)

母性巫女 「!」


骨仮面の剣士 「…………」


母性巫女 (いつの間に……)


骨仮面の剣士 「……!」


ヒュオン


骨仮面の剣士 の 不意打ち攻撃!
冷徹な斬撃が おそいかかる!


母性巫女 「うっ……!」


ピョン


母性巫女の 多段跳び!
そこそこできた!
行動回数が 三回増えた!


母性巫女 (かわせた……危なかっ……)


骨仮面の剣士 「…………」


タンッ ヒュオ


母性巫女 「え……」

母性巫女 (速っ……)


223 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/15(日) 06:28:17.93 ID:mYSuAd2go



骨仮面の剣士 「……!」


ザン


母性巫女 「きゃっ……!」


ヒラリ スパッ

スタ


母性巫女 (……何とかかわせた)

母性巫女 (でも、服が……)


ハラリ


母性巫女 (やだ、下着が見えちゃう。恥ずかしい)

母性巫女 (服の面積が小さくて下着もつけなかったら、こんなに恥ずかしくないのに……)

母性巫女 (あっ……いけない、戦いの途中でこんなこと考えちゃ……!)


骨仮面の剣士 「…………!」


母性巫女 (距離をとったのに、もう目の前に……!)

母性巫女 (こうなったら、ドラゴンの足を全部骨折させちゃうキックを使うしか……)


百面エルフの 魔法攻撃!
謎の一撃が おそいかかる!
骨仮面の剣士に 700の ダメージ!


骨仮面の剣士 「!?」


母性巫女 「!?」


 

224 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/10/15(日) 14:14:54.63 ID:oq9kfJQ00
ひみつの肖像画の確率めっちゃ下がっとるwwww
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/10/15(日) 14:46:57.54 ID:x7XOg8NrO
ひみつの肖像画って王子の爽やか笑顔だろうか、それともお見合い写真の方だろうか
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/10/16(月) 15:01:27.67 ID:u42GSW/hO
ドラゴンの足全部骨折させるキックってなんだよ怖いよ
227 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/19(木) 02:15:24.90 ID:u4SxDi1eo


骨仮面の剣士 「!?」


骨仮面の剣士は 混乱している!


百面エルフ 「…………」


プイ


母性巫女 (何が起きたの)

母性巫女 (同士討ち……?)


骨仮面の剣士 「…………」

骨仮面の剣士 「…………」


バッ


母性巫女 「!!」

母性巫女 (片手を突き出してきた)

母性巫女 (魔法……!?)


骨仮面の剣士 「…………」


母性巫女 「…………?」

母性巫女 (動かない?)


骨仮面の剣士 「…………」


骨仮面の剣士 は 一時停戦を 申し出ている!


母性巫女 (……もしかして、ちょっと待ってってこと?)

母性巫女 「ど、どうぞ?」


骨仮面の剣士 「…………」


ペコリ

スタスタスタ


母性巫女 (仮面の女の子の方へ歩いていく……)



228 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/19(木) 02:22:49.35 ID:u4SxDi1eo


スタスタスタ


骨仮面の剣士 「…………」


百面エルフ 「…………」


プイ


骨仮面の剣士 「…………」


百面エルフ 「…………」


ツーン



母性巫女 (何かもめているみたい)

母性巫女 (今のうちに、服をどうにかしよう)

母性巫女 (まずは下着をとって……)


ガサ ゴソ

ポヨン


母性巫女 は ぺたんこブラを 外した


母性巫女 (胸元の破れた服は……そうだわ、後ろ前にしちゃおう)

母性巫女 (下着はポケットに入れて……)


ガサ ゴ……

キイイイ


母性巫女 「……?」

母性巫女 (熱い? ポケットの中……)


ガサ ゴソ


釜のかけら が 輝いている……


母性巫女 「……これは」


229 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/19(木) 02:46:22.09 ID:u4SxDi1eo


母性巫女 (たしか、いつだったか青白い顔のメイドの人に貰った、釜のかけら)

母性巫女 (すっかり忘れてた……)


釜のかけらは 母性巫女を 持ち主と 認めた!
釜のかけらは 世界を越える力を 帯びた!


キイン キイン キイン


母性巫女 (小さなかけらから、不思議な力を感じる)

母性巫女 (軽いのにとても重たくて、やわらかくて、あたたかい……)

母性巫女 (メイドの人は、世界を越えることが出来ると言っていたっけ)

母性巫女 (どうして今、光りだしたんだろう)

母性巫女 (……服を後ろ前に着たから?)


キイン キイン


釜のかけらが 母性巫女の記憶を 読み取った!
釜のかけらが いくつかの行き場所を 示す……
▼幼女魔王の塔
  幼女魔王の城
  精霊の森
  死神の裏道
  淫獣霊の胎
 

母性巫女 (これで世界を渡る……)

母性巫女 (ここから抜け出せる?)



230 :J分岐点くらい ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/19(木) 02:51:19.48 ID:u4SxDi1eo


>>231


どこへ渡る?

▼幼女魔王の塔
  幼女魔王の城
  精霊の森
  死神の裏道
  淫獣霊の胎



231 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/19(木) 02:56:07.67 ID:u4SxDi1eo


幼女魔王の塔


  


232 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/19(木) 03:07:27.16 ID:u4SxDi1eo



キイン キイン


母性巫女 (釜のかけらを使えば、違う世界へ行けるなら)

母性巫女 (どこへ行こう……)

母性巫女 (お城に戻る?)

母性巫女 (戻る……? 私の戻る場所は……)


キイン キイン


母性巫女 (…………ああ)

母性巫女 (そうだ、あの子たちと約束していたんだった)

母性巫女 (まずは、そこへ行かなくちゃ……)


キイン キイン

パキンッ


母性巫女 「!」

母性巫女 (何か割れる音……)


ピシ ピシ ピシ


母性巫女 (目の前……何も無いところにヒビが走っていく)


バリン


越界の門が 開いた!


母性巫女 「目の前の空気が割れた…………?」

母性巫女 (ここに飛び込めということ?)



233 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/19(木) 03:08:51.98 ID:u4SxDi1eo


ヨン ヨン ヨン ヨン


母性巫女 (毒々しい暗い光が混ざり合っているけど)

母性巫女 (大丈夫かしら。病気になったりしないのかしら……)



百面のエルフ 「行かせない……!」


キイイイ


骨仮面の剣士 「…………!」


タンッ…… 



母性巫女 (仮面の二人に気づかれた!)

母性巫女 (今まで気づかなかったんだ……)

母性巫女 「……ええいっ」


ピョン


母性巫女は 世界を渡った!


ヨン ヨン ヨン ヨン……

234 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/19(木) 03:17:49.81 ID:u4SxDi1eo


ヨン ヨン ヨン ヨン

ポイッ 

ドサ


母性巫女 「ぁんッ……」

母性巫女 「うーん……」

母性巫女 (尻餅ついちゃった)

母性巫女 (飛び込まない方が良かったのかしら)


キイン キイン 

ピシ ピシ ピシ


越界の門は 閉じてしまった…… 



母性巫女 「ここは……」




幼女魔王の塔



母性巫女 「戻れたみたいね……」





235 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/19(木) 05:32:53.53 ID:u4SxDi1eo


母性巫女 (世界を渡るって、変な感じ)

母性巫女 (馬車や船での移動とは全然違う)

母性巫女 (何と言うか、剥がれるような……)


シイン


母性巫女 (……ここは塔のどのあたりなのかしら)

母性巫女 (AとMの近くに出られていたら良いけれど……)


……ザザア ン ザザア ン


母性巫女 「……波の音?」


ザザア

ザザア


母性巫女 (近くに海があるのかしら)

母性巫女 (気持ちの良い音。何だか、眠たくなってくる……)

母性巫女 (…………)


ザザア ン

ザザア ン

…………



236 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/19(木) 05:41:46.37 ID:u4SxDi1eo


…………


チュブ ブジュルル


母性巫女 「…………!」

母性巫女 (……私、眠っていた?)


異形の大男 「フーッ、フーッ……」


チウ チウ


母性巫女 「……ッ、あ、う……」


ビクン


母性巫女 (そうだ、階段で男の人の呼び声に答えて)

母性巫女 (そうしたら身体の力が抜けて、動けなくなって)


異形の大男 「ひひっ……ひひひ……」


ハミュ カジカジカジ


母性巫女 「ひぅっ……ひっ、ぃん……」

母性巫女 (かけ上がってきた、大猿と人間が混ざったようなモンスターに捕まったんだ……)



237 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/19(木) 05:56:05.82 ID:u4SxDi1eo


異形の大男 「カハァ」


ベロン レロレロレロ

モニュ モニュ モニュ


母性巫女 「ひゃっ」

母性巫女 「ゃめ……ぁっ……ぁ、あっ……!」

母性巫女 (私、よだれ垂らしてる。拭かなきゃ……)

母性巫女 (……すごいにおい。嫌なのに、頭がポーッと気持ちよくてくらくらして、どうにかなりそう……)

母性巫女 (ここはどこなの。どこに連れ込まれたの。暗い)

母性巫女 (そういえば捕まる前、女の子の声が聞こえたけど)

母性巫女 (もしかしたら、あのとき返事するのがもう少し遅かったら、今頃……)


グニィイイ


母性巫女 「ぃひいぃ!?」


ビクン ビクン


異形の大男 「フフヒッ……お前、乳牛……」

異形の大男 「毎日、交尾と乳搾り、いっぱいしつけてやる……」


モニュ モニュ モニュ

チウウウウ


母性巫女 「は、ぁは……ぃ、ぃや、あ……」



ザザア ン

ザザア ン


238 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/19(木) 06:09:11.95 ID:u4SxDi1eo


ザザア ン


幼女魔王A 「……まま!」


母性巫女 「………っ」

母性巫女 「え……?」


幼女魔王A 「どうしたの、まま」


母性巫女 「あれ……今、私……」

母性巫女 (Yの誘いを素通りして、しばらく塔の調査を続けたあと、広間に帰って……)


幼女魔王A 「……まま?」


母性巫女 (晩御飯を終えて、Aを寝かしつけるために絵本を読むところ……よね?)

母性巫女 「あ、ごめんなさい」


幼女魔王A 「グール×ハンターは嫌? 別のご本にする?」


母性巫女 「い、いえ。じゃあ読みましょうね」

母性巫女 「コホン……」

母性巫女 「大地を踏みしめて……」


ザザア ン ザザア ン


239 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/19(木) 06:21:06.03 ID:u4SxDi1eo
   

ザザア ン ザザア ン


母性巫女 「…………!」

母性巫女 「あれ? ここは……」



幼女魔王の塔 地下牢



母性巫女 「釜のかけらが光って、客室から脱出して」

母性巫女 「塔の廊下に戻ったはずだけど」

母性巫女 「地下牢……?」


シイン


母性巫女 「地下牢よね。私が最初に来た」

母性巫女 「……何だか、綺麗になっているような」


頑丈な牢屋


母性巫女 「ついさっき完成したみたい。来たときは荒れ放題だったのに」


カツ カツ カツ


母性巫女 「ええと、階段はあっちだったっけ……」


ズズ……


母性巫女 「…………」

母性巫女 (かたいものを引きずる音)

母性巫女 (あの棺かしら……)


240 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/19(木) 07:44:29.33 ID:u4SxDi1eo


ズズ ズズズ


母性巫女 (近づいてくる。逃げなきゃ)


ズズ カツン ズズズ カツン


母性巫女 「……?」

母性巫女 (引きずる音だけじゃない。足音も聞こえる)

母性巫女 (棺じゃない?)

母性巫女 (どうしよう。留まって確かめてみるべきかしら)


ズズ ズズズ


母性巫女 (どこかに隠れる場所……)


グ


鍵が かかっている……


母性巫女 (格子扉はびくともしない)



???の声 「良いのかい?」

???の声 「これで君は、未来の殆どを失うのだよ」


241 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/19(木) 08:02:35.19 ID:u4SxDi1eo


母性巫女 (声が響く)

母性巫女 (子供の声みたい。子供が棺をひいている……?)


ズズ ズズズ


???の声 「考えられないよ」

???の声 「未来とはつまり、この先ずっとだ」

???の声 「こんなことのために、君はこの先ずっと、誰かの思惑通りに動かなくちゃいけないんだ……」


母性巫女 (……声が遠ざかる)


カツン カツン カツン

ズ ズ ズ


母性巫女 (足音は近づいてくる)

母性巫女 (あ、隠れる場所探さなきゃ……)


サアア 


母性巫女 (あら………)

母性巫女 (霧が立ちこめてきた?)


242 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/19(木) 08:08:44.32 ID:u4SxDi1eo


母性巫女 (塔の中なのに、霧)

母性巫女 (毒の霧……ではないみたい)


カツン カツン カツン

ズ ズ ズ


人影1 「…………」


人影2 「…………」


母性巫女 (霧の中に人影)

母性巫女 (片方は子供みたい)


人影2 「かわろうか?」


母性巫女 (男の人の声。階段で聞いた声じゃ無い)


人影1 「……これは、おれの仕事だ」


ズ ズ ズ


母性巫女 (女の子の声。さっき響いた声では無いみたいだけど)

母性巫女 (聞き覚えがある気がする……)


243 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/19(木) 08:26:58.59 ID:u4SxDi1eo


母性巫女 (何とか、見えないかしら……)


人影2 「何でも背負い込みたがるね」

人影2 「そのあたり、君は子供だな」


母性巫女 (帽子を被っているみたい……)


人影1 「うるさい……」


母性巫女 (子供の方は、何だかもっさりしてよく分からない)

母性巫女 (でも、なんとなく見たことある感じ……)


人影1 「嫌味を言うために、わざわざ着いてきたのか」


人影2 「そんなわけないだろう」

人影2 「子供一人をこんな場所に行かせられるか」


人影1 「おれ一人でじゅうぶんだ」


人影2 「そうは思えんね」

人影2 「現にお前は、あそこにいる女性に気がついていない」


244 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/19(木) 08:33:54.65 ID:u4SxDi1eo


母性巫女 「……!」


人影2 「やあ! 黒い髪のお嬢さん。黒い瞳が神秘的だね」

人影2 「こんなところでどうしたのかな」


母性巫女 (見えている?)

母性巫女 「…………」


バフ


母性巫女 「!!」


人影2 「散歩の途中で迷い込んだのかな」

詐欺商人 「黒髪のお嬢さん」


詐欺商人が あらわれた! 



245 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/19(木) 08:42:28.17 ID:u4SxDi1eo


母性巫女 (足音も聞こえなかった……)


詐欺商人 「まあ、迷い込めるような場所じゃない」

詐欺商人 「となると……敵か味方か」

詐欺商人 「敵はいなくなったはずだが、さて?」


母性巫女 「……あの」


人影1 「魔法少女か?」


ズ ズ ズ


母性巫女 「え?」


人影1 「貴様は魔法少女かと聞いている」


母性巫女 (魔法少女……)


246 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/19(木) 09:09:12.26 ID:u4SxDi1eo


詐欺商人 「違うと答えなさい」


母性巫女 「え……はあ」

母性巫女 (本当に違うんだけど……)

母性巫女 「ええと……」

母性巫女 「違いまあす!」


マアス マアス マアス……


母性巫女 「…………」


人影1 「……では何だ」


母性巫女 「何って……」


詐欺商人 「……やめろ、棺持ち!」


ゾゾゾゾゾゾゾ


母性巫女 「!!」


奇襲!
謎の攻撃が襲いかかる!


詐欺商人 「ええい……!」


詐欺商人の ???攻撃……


母性巫女 「っ……」


タン


母性巫女の 多段跳び!
謎の攻撃を かわした!
多段跳びのレベルが 上がった!


詐欺商人 「おおっ」


母性巫女 (何? 不吉な影が床を這ってきた……)

母性巫女 (敵……?)


チラ


詐欺商人 「失礼、手違いだ。あなたのような美女に見つめられるのは嬉しいが、そんな目をしないでいただきたい」

詐欺商人 「……おい、何てことするんだ。このお嬢さんじゃなければ、死んでいたぞ!」


ズ ズ ズ ズ


人影1 「……かまわない」

淫魔幼女 「敵か味方か分からないなら、殺してから確認すれば良い」


247 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/19(木) 10:33:04.15 ID:u4SxDi1eo


淫魔幼女 「敵でも味方でも」

淫魔幼女 「この場所にいる者が、危険でないわけがない」

淫魔幼女 「今生きていられる者が、危険でないわけがない」


母性巫女 (この子、あのとき故郷の森にいた……!)

母性巫女 「!!」





母性巫女 「棺……」

母性巫女 (この子がひいている棺)

母性巫女 (牢屋で暴れていた棺と同じ)

母性巫女 (……ような気がする)

母性巫女 (いいえ、それよりも……)


詐欺商人 「だからと言って、質問ふっかけといていきなり攻撃はないでしょうが」


淫魔幼女 「奴らは問いかけもなく襲ってくる……」

淫魔幼女 「!!」


母性巫女 「…………」


淫魔幼女 「……魔王姫様」


詐欺商人 「どうした、棺持ち?」


母性巫女 「…………」


ツカ ツカ ツカ


淫魔幼女 「なぜ……いや、いても不思議は……」


母性巫女の お母さんチョップ こうげき!


ドゴオォオオオン


淫魔幼女 「なぶぅ!?」


淫魔幼女のHPが 1 になった!


248 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/10/19(木) 19:16:56.14 ID:yItCiX9SO
相変わらずエゲツない強さですね
249 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/19(木) 19:21:39.10 ID:u4SxDi1eo


ォオオオ……


淫魔幼女 「…………」


詐欺商人 「おいおい……」


母性巫女 「……いきなり」

母性巫女 「あんなことしちゃ駄目でしょう!」


淫魔幼女 「…………」


母性巫女 「死んじゃったら、どうするんですか」

母性巫女 「子供だからって、ごめんなさいじゃすまないことなんですからね!」


淫魔幼女 「……敵だ」

淫魔幼女 「こいつは敵だ……!」


詐欺商人 「落ち着け。彼女の言うとおり、非はお前にある」

詐欺商人 「そしてよく見ろ。彼女は魔法少女ギルドの者でもなければ、お姫様でもない」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「貴様は誰だ。なぜここにいる」


母性巫女 (……森で見たときよりも、険しい顔をしている)


250 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/19(木) 19:36:32.40 ID:u4SxDi1eo


母性巫女 「私は母性巫女です」

母性巫女 「ここに来たのは……」

母性巫女 (どう言ったら良いんだろう……)


淫魔幼女 「言えないのか?」


詐欺商人 「待て待て、ちゃんと名乗ってくれた」

詐欺商人 「彼女らとは違うだろう」


淫魔幼女 「偽名ということもある」


詐欺商人 「彼女らは名を偽らないものだろう?」


淫魔幼女 「お前の知っているのとは違うのだ、奴らは」

淫魔幼女 「それよりもここに来た理由だ」


詐欺商人 「たしかに、それは知りたいね」

詐欺商人 「ここは散歩の途中で迷い込むようなところじゃ無い」


母性巫女 「ええと……」


251 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/19(木) 21:31:51.37 ID:u4SxDi1eo


…………



詐欺商人 「……自分の過去と交差しようとして、ね」

詐欺商人 「じゃあ、どうしてここにいるんだ」


母性巫女 「さあ、それが私にもよく分からなくて」


詐欺商人 「失敗ってことか? しかし何者なんだ、君をここへ送りこんだ奴は」

詐欺商人 「時間と空間をどうにかしようなんて」

詐欺商人 「世界を渡るどころの話じゃ無いぞ」


母性巫女 (そうなんだ……)

母性巫女 「ごめんなさい。それも、よく分からなくて……」


淫魔幼女 「隠すとためにならんぞ。その無駄に膨らんだ乳を道具入れにしてやろうか」


母性巫女 「もう、そんな言い方しちゃ駄目ですよ」


詐欺商人 「……まさか」

詐欺商人 「ここが君の過去なんてことは無いよな」


母性巫女 「まさか……」

252 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/19(木) 21:57:29.58 ID:u4SxDi1eo


母性巫女 「あ、でも」

母性巫女 「ここが何なのか分からない以上、関係ないとも言えないのかしら……?」


詐欺商人 「……はっはっは。なんとも、本当に迷子のようなお嬢さんだな」


母性巫女 「あはは、ええ、本当に……」

母性巫女 (この人、どこかで会ったような気がする)


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「黒い髪……黒い瞳……」

淫魔幼女 「魔王姫さまとの関係は」


母性巫女 (魔王姫……サンマ?)

母性巫女 (外套に口を埋めて話しているから、ちょっと聞き取りにくい)

母性巫女 (口元を隠したい事情があるのかしら。それとなく注意してみるべきかしら)


詐欺商人 「たまたまそうと言うだけで、似ても似つかないだろう」

詐欺商人 「おれはあまり会うことは無かったが、すぐに分かるぞ」


淫魔幼女 「ここでは姿など、意味が無い」


詐欺商人 「まあ、たしかに」


母性巫女 「……あの」



253 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/19(木) 22:05:24.42 ID:u4SxDi1eo


母性巫女 「いろいろ事情が分からないんですが」

母性巫女 「あなたたちは……?」


詐欺商人 「ああ、失礼。名前しか名乗っていなかったな」

詐欺商人 「おれたちは……」


淫魔幼女 「…………」


詐欺商人 「言って構わんね?」


淫魔幼女 「…………」


プイ


母性巫女 (可愛い)


詐欺商人 「さて、どう話そうかな」


254 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/19(木) 22:42:47.20 ID:u4SxDi1eo


詐欺商人 「世界を渡ることについては、分かっているんだったな」


母性巫女 「ええ」

母性巫女 「知ったのは、最近で、分からないことも多いんですけど」


詐欺商人 「じゅうぶんだ」

詐欺商人 「では、ここがある人物そのものの別のかたちだということは?」


母性巫女 「別のかたち……」

母性巫女 「ここがN……幼女魔王の塔で」

母性巫女 「彼女という存在そのもの? ということを何となく聞いたような……」


詐欺商人 「!!」


淫魔幼女 「!!」

淫魔幼女 「貴様、その名をどこで知った……!」


ゾゾゾゾゾゾゾゾゾ


淫魔幼女は 力を ためている……


母性巫女 「えっ……」


淫魔幼女 「答えかたによっては命は……」


淫魔幼女のHPが 1 に なった!


淫魔幼女 「無ぶぅ!?」


255 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/10/19(木) 23:06:51.10 ID:tbduW14so
無茶しやがって…
256 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/19(木) 23:12:32.52 ID:u4SxDi1eo


淫魔幼女 「…………」 


母性巫女 「そういうことしちゃ駄目って言ったでしょう」


淫魔幼女 「…………」


母性巫女 「……もう。次やったら、お尻ぺんぺんですからね」


淫魔幼女 「おし……」

淫魔幼女 「…………」


プイ


詐欺商人 「いやー……滅茶苦茶なお嬢さんだ」

詐欺商人 「魔王級の化物と渡り合うこいつを一発で黙らせるとは」

詐欺商人 「まさか、深い方の人なのかな」


母性巫女 「不快砲?」


詐欺商人 「これも知らないか……」

詐欺商人 「で」

詐欺商人 「なぜここの名前を知っているのかな?」


母性巫女 「…………っ」

母性巫女 (この人……)


詐欺商人 「答えかたによっては……」


詐欺商人は 耳かきを 装備した!


詐欺商人 「こいつの威力を味わうことになるぜ?」


母性巫女 「……はい?」


257 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/19(木) 23:25:17.99 ID:u4SxDi1eo


詐欺商人 「その名前は限られた者しか知らないはずだ」

詐欺商人 「君は、あの戦いの中にいたのか? おれの記憶には無いが」


母性巫女 「戦い?」


詐欺商人 「金狐の城にいたのかと聞いているんだ」


母性巫女 「金狐の城……?」

母性巫女 「ごめんなさい、何のことだかさっぱり」


詐欺商人 「では、なぜ知っているのかな」

詐欺商人 「ここの名前を」


母性巫女 「なぜって……」

母性巫女 「N……幼女魔王本人から聞きました」


淫魔幼女 「ばかな……」


詐欺商人 「…………」

詐欺商人 「嘘では無いのだな?」


母性巫女 「ええ」


258 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/20(金) 00:19:51.07 ID:0u8dmEjro


詐欺商人 「……君、故郷の世界はおぼえているのかな」


母性巫女 「いま暮らしている世界なら分かりますけど」

母性巫女 「故郷については、あまり……」

母性巫女 「暮らしていたのは、世界がたくさんあることとか、世界を渡ることとか、知る前だったので」


詐欺商人 「紋章については知っているかな」


母性巫女 「少し……」

母性巫女 「身分証になる……とか」


詐欺商人 「自分の紋章については?」


母性巫女 「いえ……まだ……」


詐欺商人 「ふむ」

詐欺商人 「手のひらを見せていただいても?」


母性巫女 「はあ……」





詐欺商人 「うかつなお嬢さんだ」

詐欺商人 「男に手のひらを見せるとは」


259 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/20(金) 00:33:17.95 ID:0u8dmEjro


ニギ


母性巫女 「……っ」

母性巫女 (手を握られた。反応できなかった……)


詐欺商人 「あれだけの力を持っていたら、そうもなるか」

詐欺商人 「だが男には気をつけるべきだ」

詐欺商人 「失礼、もう良いぞ」


母性巫女 「……はい」


詐欺商人 「ほら、君の紋章だ」


白蝶貝の紋章


ヒイン ヒイイン


母性巫女 (詐欺商人の手の上に、光が浮いている)


詐欺商人 「ちなみに、複製でない紋章を他人の手に握られるのは」

詐欺商人 「命を握られることに等しい」



260 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/20(金) 00:55:19.42 ID:0u8dmEjro


母性巫女 「えっ」


詐欺商人 「一般にギルドなどに提示する紋章は、専用のコインなどに焼き付けた複製のわけだが」

詐欺商人 「これは複製か本物か、どちらだと思う?」


母性巫女 「…………」

母性巫女 (紋章って、複製なんてできるんだ……あんなに簡単に?)


詐欺商人 「これからは気をつけろということだな」

詐欺商人 「下品な者に紋章を握られたらそれこそ悲惨だぞ」

詐欺商人 「……見えない精霊の世界……座標は……」


淫魔幼女 「第三大世界だ。外れあたりか……?」


母性巫女 (この人たちは、色んなことを、私よりずっと深く知っているのね)

母性巫女 (……なんだか、裸を見られているみたいで恥ずかしい)

母性巫女 (紋章を見られるというのは、そういうことなのかしら)


261 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/20(金) 01:17:27.15 ID:0u8dmEjro


淫魔幼女 「その紋章をよこせ」

淫魔幼女 「そいつを使ってそいつを生き餌にして希少人飼い花釣りに使う」


詐欺商人 「はいよ……」

詐欺商人 「ありがとう、返すぞ」


ヒイイ


母性巫女 「ぁ……」


ピクンッ


母性巫女 (紋章が、胸の中に……)


詐欺商人 「答えは本物だ」

詐欺商人 「複製はいただいたけどな」


白蝶貝の紙


母性巫女 「あの……」


詐欺商人 「大丈夫、悪用はしない」

詐欺商人 「こう見えて良心的な商人で通っている」


母性巫女 「商人……ですか」


262 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/20(金) 01:53:19.41 ID:0u8dmEjro


淫魔幼女 「おかげで職業レベルは低いままだがな」


詐欺商人 「はっはっは」


母性巫女 「……あの」


詐欺商人 「本当に、あの戦いとは関係なかったようだが」

詐欺商人 「では、君がここの名前を聞いたのは、どこかな」


母性巫女 「故郷ですけど」


詐欺商人 「そのときの状況を、教えてもらえるかな」


母性巫女 「ええ……」

母性巫女 「森を歩いていたら、あの子が倒れていて……」


詐欺商人 「倒れていた?」


母性巫女 「はい」

母性巫女 「それで、家に連れて帰って」

母性巫女 「……名前を教えてもらったのは、あの子が目を覚ましてからしばらくしてからでした」


淫魔幼女 「ありえない」


母性巫女 「本当のことです」


淫魔幼女 「!」


ササ


淫魔幼女の 守りをかためている!


母性巫女 「……な、何もしませんよ」



263 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/20(金) 02:15:00.87 ID:0u8dmEjro


詐欺商人 「彼女が目を覚ました……?」


母性巫女 「……おかしいことですか?」


詐欺商人 「ああ」

詐欺商人 「起きているわけは無いし、出歩くこともできないはずだ」


母性巫女 「え……」


詐欺商人 「ほかにも、何か彼女について教えてもらえないか」


母性巫女 「ええと……」


詐欺商人 「何でもいい」


母性巫女 「……肉より野菜が好きです。とくに、スープとかグラタンとか」

母性巫女 「お風呂はあんまり好きじゃないみたいでしたけど、自分から入るようになりました」

母性巫女 「眠っているとき、毛布にもぐりこんで指をくわえるくせがあって……」

母性巫女 「あ、あと、魔動画の漫画を見るのが好きみたいです」

母性巫女 「それから……」


詐欺商人 「……あ、ありがとう。いったん、そこまでで大丈夫だ」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「誰の話をしているのだ、貴様は」

淫魔幼女 「胸に脳みそを吸われて馬鹿になったのか」


母性巫女 「もう、またそんな言い方して」


淫魔幼女 「!」


ササ


淫魔幼女の守りが さらにかたまった!


母性巫女 (警戒されている)

母性巫女 「あの、大丈夫ですよ。怖くないですよ」

母性巫女 「さっきは危ないことをしたから怒っただけで……」


264 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/20(金) 02:35:41.22 ID:0u8dmEjro


淫魔幼女 「怖い? ……おれをなめるな」


母性巫女 「は、はあ……」


詐欺商人 「ううむ……」

詐欺商人 「彼女の下位……外見の特徴を教えてもらえないか」


母性巫女 「色白で、髪がピンク色で、背はこのくらい……」

母性巫女 「ツリ目のような少しタレ目で、瞳もピンク色」

母性巫女 「眉はハの字で、優しいような自信ないような、口は小さめ……」


詐欺商人 「……こんな顔かな? 彼女の似顔絵だが」


魔法の似顔絵S


母性巫女 「いえ……まったく」


詐欺商人 「おっと、失礼、間違えた」

詐欺商人 「こっちだ」


魔法の似顔絵N


母性巫女 「あ、そっくり」

母性巫女 「もう少し、髪は伸びていますけど」


詐欺商人 「なるほど……」



265 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/20(金) 03:15:20.57 ID:0u8dmEjro


詐欺商人 「……本当のことを言っている」

詐欺商人 「本当に、姫を知っている……」


淫魔幼女 「そんなはずは無い」


詐欺商人 「そうだとも。だが現に、彼女が語るのは、まさにそのものじゃないか」


淫魔幼女 「どこが」


詐欺商人 「外見の話だ」

詐欺商人 「姫の新しい名前も知っている」


母性巫女 (姫……)


淫魔幼女 「……何が起きている」


詐欺商人 「さて、な」


淫魔幼女 「これも呪いのせいなのか」


詐欺商人 「その可能性はある」

詐欺商人 「……お嬢さん」


母性巫女 「はい」


詐欺商人 「君は、幼女魔王の味方かい?」


母性巫女 「…………」


266 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/20(金) 03:34:21.97 ID:0u8dmEjro


母性巫女 「……あなたたちは、ここで何をしているんですか」


詐欺商人 「それを教えたら、答えてくれるのかな」


母性巫女 「…………」

母性巫女 「味方です」

母性巫女 「味方だと、思っていました」

母性巫女 「けれど、あの子のこと、知らないことばかりで……」


淫魔幼女 「…………」


詐欺商人 「知らない?」

詐欺商人 「君は、おれたちの知らないあの子を知っているようだが」


母性巫女 「知らないんです」

母性巫女 「あの子が来る前のことも、一緒に暮らしていたときも……」


淫魔幼女 「暮らしていた……?」


母性巫女 「それで良いと思っていました」

母性巫女 「でも……」


詐欺商人 「知りたいかい?」

詐欺商人 「知ると、どうにかなるとでも?」


母性巫女 「…………」

母性巫女 (本当。知って、どうするの)

母性巫女 (何のために……)


詐欺商人 「敵になる、とか?」


母性巫女 「…………」


267 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/20(金) 03:50:55.64 ID:0u8dmEjro


母性巫女 「……あなたは、知っているんですか」

母性巫女 「あの子のこと」


詐欺商人 「ああ」

詐欺商人 「と、言いたいところだがね」


母性巫女 「…………」


詐欺商人 「知らんことだらけなのだよ」

詐欺商人 「だからこうしてここを探検し……」

詐欺商人 「何が起きたのか、だいぶ分かってきたつもりになっているわけだが」


母性巫女 (探検……)

母性巫女 「もしかして、地下から?」


詐欺商人 「地下……?」


母性巫女 「ここより下から、来たんですか?」


詐欺商人 「ここより上があるような言い方じゃないか」


母性巫女 「? ええ……」



268 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/20(金) 03:58:03.60 ID:0u8dmEjro


詐欺商人 「本当に言っているのか?」


母性巫女 「はい」


淫魔幼女 「ここより上がある……?」

淫魔幼女 「何を言っている」

淫魔幼女 「何があるというんだ」


母性巫女 「ええと、ここをずっと行ったところに長い階段があって」

母性巫女 「のぼりきると、広間になっていて」

母性巫女 「そこからさらにいくつかののぼり廊下が……」


詐欺商人 「…………」


淫魔幼女 「…………」


母性巫女 (変なものを見るような目……)

母性巫女 「……あの、本当ですよ?」



…………



269 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/20(金) 04:21:07.11 ID:0u8dmEjro


…………


カツン カツン カツン

カツン


母性巫女 (階段のあるところまで、二人を案内することにした)

母性巫女 (けれど……)

母性巫女 「……そんな」





母性巫女 「行き止まり?」


詐欺商人 「……ここに、あったのか」


母性巫女 「はい」

母性巫女 「まだらな色の土の階段が、ずっと伸びて……」


詐欺商人 「そこには……のぼった先の、広間には何があった?」


母性巫女 「あったというか」

母性巫女 「たくさんの、あの子がいました」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「何なんだ、貴様は」


母性巫女 「え……」


淫魔幼女 「とぼけた顔をして」

淫魔幼女 「何をどこまで知っている」


母性巫女 「私は……」


淫魔幼女 「何をしに来ている……!」


ゾ ゾ ゾ ゾ


詐欺商人 「棺持ち」

詐欺商人 「本当に彼女は何も知らないのかもしれない」


淫魔幼女 「ではなぜ、この女は知っている」

淫魔幼女 「おれたちの……」


詐欺商人 「見てきたからだとしたら」



270 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/20(金) 04:28:34.49 ID:0u8dmEjro


母性巫女 「?」

母性巫女 (この人たち、さっきから変に通じ合って、何を話しているかよく分からない)


淫魔幼女 「見てきた?」


詐欺商人 「お嬢さん」


母性巫女 「あ、はい」


詐欺商人 「ここは、地下なんだな」


母性巫女 「はい」


詐欺商人 「ここは塔の最上階だ」


母性巫女 「え……?」


271 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/20(金) 04:48:11.61 ID:0u8dmEjro


詐欺商人 「無いはずなんだ。ここより上なんて」


母性巫女 「でも、本当に……」


詐欺商人 「この塔の階層とは、時間だ」


母性巫女 「時間?」

母性巫女 「この塔は、あの子そのものでは無いんですか」


詐欺商人 「そうだ」

詐欺商人 「幼女魔王という世界そのものだ」


母性巫女 「世界……?」


詐欺商人 「彼女個人をひとつの世界としてとらえた姿のひとつが」

詐欺商人 「この塔だ」


母性巫女 「あの子が、世界……?」


詐欺商人 「大きな世界の中で、小さな世界が行き交う」

詐欺商人 「小さな世界の中で、様々な存在が行き交う」

詐欺商人 「その存在ひとつひとつを、世界に見立てるんだ」

詐欺商人 「想像できるかな?」


母性巫女 (できない)

母性巫女 「な、なんとなく」

母性巫女 「できるかなあ……?」


淫魔幼女 「……国の中にも、たくさんの村がある」

淫魔幼女 「村にはたくさんの村人がいる」

淫魔幼女 「では村人の中にも、たくさんの何かがあっても不思議ではない」

淫魔幼女 「国、村、村人、何か……呼び方の違うそれらを、世界ということにする」



母性巫女 (分かった気がするような気がしないような気がするけど)

母性巫女 (とりあえず……)

母性巫女 「ありがとうございます!」


スッ


淫魔幼女 「……!」


母性巫女の なでなで!
淫魔幼女の 回避!
ああっ 失敗!
淫魔幼女は なでなでされた!


272 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/20(金) 05:13:00.07 ID:0u8dmEjro


詐欺商人 「君のいた世界では、時間の流れを見ることはできるか?」


母性巫女 「…………」

母性巫女 「小じわ?」


淫魔幼女 「なんかこいつ馬鹿だな」


詐欺商人 「この世界では、いろいろと勝手が違う」

詐欺商人 「大世界とか小さな世界とかいったものとは、そもそも違う場所にある」


母性巫女 「……あの子を抱き上げることと、ここにこうしているのは」

母性巫女 「変わらないことなのかもしれない……」


詐欺商人 「ほう?」


母性巫女 「よく分からないけれど、そう聞きました」


詐欺商人 「まあ、そういうことだ」

詐欺商人 「おれたちが当たり前に行うことが」

詐欺商人 「おれたちが知る結果をもたらすとは限らない場所だ」

詐欺商人 「ここでは、時間は階層という形をとる」


母性巫女 「階層……」


詐欺商人 「塔は上へ伸びていく」

詐欺商人 「つまり地下とは過去を意味し」

詐欺商人 「最上階は今を意味する」


母性巫女 「……じゃあ」


詐欺商人 「それより上から来たのだとすれば」

詐欺商人 「君は未来から来たことになる」


273 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/20(金) 05:44:52.42 ID:0u8dmEjro


母性巫女 「未来……!?」


淫魔幼女 「……何が起きるか分からん場所とは言え」

淫魔幼女 「それは……」


詐欺商人 「過去へ歩いて行ける世界だ」

詐欺商人 「ありえないとは言えないのでは?」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「膨大な魔力と知識を贄とする術、それに匹敵する何か……」

淫魔幼女 「もしくは……」


耳かき




淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「に類するアイテムを使わない限り、できることではないぞ」


詐欺商人 「世界は広く深いのだ」

詐欺商人 「おれたちの知らんお手軽な何かがあるかもしれんぞ?」

詐欺商人 「今だって、ある世界では他の世界を認識すらできないのに」

詐欺商人 「別のある世界では、誰もが飛行船で他の世界へ気軽に旅行できている」

詐欺商人 「おれたちが色々なものを犠牲にして得られるものが」

詐欺商人 「ある世界では、誰でも簡単に買える馴染みの菓子のようなものかもしれない」


淫魔幼女 「…………」


チラ


母性巫女 「……?」


ニコリ


淫魔幼女 「……平和ボケのアホ女にしか見えん」


母性巫女 「んまっ……」


274 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/20(金) 06:24:31.74 ID:0u8dmEjro


淫魔幼女 「企む脳みそも無いだろう」

淫魔幼女 「馬鹿力だけだ。陰謀を警戒することもないか……」


母性巫女 (この子ったらどうしてこんなに乱暴な言い方をするのかしら)

母性巫女 (そういうお年頃なのかしら……)

母性巫女 「まったく……」


ダキ


淫魔幼女 「!?」


母性巫女 「どうしてそんなひどい言い方ばっかりするんですか」


淫魔幼女 「貴様……!!」


母性巫女 「それに、ずっとしかめっ面で……」


ナデ ナデ


淫魔幼女 「!!」


母性巫女 「せっかくこんなに可愛いんですから……」

母性巫女 「たまには笑ったほうが良いですよ」


ナデ ナデ


淫魔幼女 「やめろ……」

淫魔幼女 「やめろ貴様……やめろ!」

淫魔幼女 「やめろ!」


母性巫女 「はいはい」

母性巫女 「でもあんまりひどいと、今度は頬っぺたすりすりですからね」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「……フン」


母性巫女 (お尻ぺんぺんよりも、そっちの方が効果あることもあるのよね)


詐欺商人 「はっはっは……」


275 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/20(金) 06:36:10.06 ID:0u8dmEjro


詐欺商人 「よし……」

詐欺商人 「確かめてみるか」


母性巫女 「?」


淫魔幼女 「何をするつもりだ」


詐欺商人 「近々やろうとしていたことだよ」

詐欺商人 「……っと」


詐欺商人の 紋章パンチ!


バコン


母性巫女 (壁を砕いた……!)


ガラガラガラ


詐欺商人 「さて……と」


淫魔幼女 「…………」


母性巫女 (牢屋の壁の向こうに……)


土壁


詐欺商人 「……ふむ、まだら色だな」


276 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/20(金) 06:45:21.26 ID:0u8dmEjro


詐欺商人 「これで、お嬢さんの言っていることの信憑性が上がったな」


淫魔幼女 「…………」


母性巫女 「この土の色……」

母性巫女 「そうだわ、やっぱり、ここに階段が」


詐欺商人 「これから出来るんだ」


母性巫女 「え……」


詐欺商人 「ありがとう。君のおかげで、かなり早く進められそうだ」


母性巫女 「あなたたちは、何を……」



277 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/20(金) 07:04:52.29 ID:0u8dmEjro


母性巫女 「しているんですか?」

母性巫女 「何をしようとしているんですか?」

母性巫女 「……あなたたちは、あの子の味方なんですか?」


詐欺商人 「そういえば」

詐欺商人 「おれがした同じ質問に対する君の、最終的な答えは曖昧なままだったな」


母性巫女 「…………」


詐欺商人 「…………」

詐欺商人 「……味方だ」

詐欺商人 「味方だと、信じたい」


母性巫女 「信じたい?」


詐欺商人 「その人のためだと思ってしたことが、その人を苦しめることだってある」

詐欺商人 「おれたちのやろうとしていることが、彼女にとって良い結果につながるとは限らない」

詐欺商人 「とくに、今いるのはこんな世界だ」


淫魔幼女 「…………」


母性巫女 (その人のためを思ってやったことが、違う結果に……)

母性巫女 (Nが私をしもべにしたことも……)


詐欺商人 「君の知るあの子は、幸せなのか?」


母性巫女 「え……」


詐欺商人 「すまない。忘れてくれ」

詐欺商人 「君の来し方がおれの言ったとおりなら、聞くべきではないのだろう」



278 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/20(金) 07:19:19.63 ID:0u8dmEjro


母性巫女 「…………」



詐欺商人 「……思ったよりやわらかい土だな」


淫魔幼女 「これなら、探索に割く時間も多く取れそうか……」


詐欺商人 「この土はあの子の……耳垢だったりしてな」


淫魔幼女 「姫を侮辱するな」


詐欺商人 「おや、もう違うのだろ?」


淫魔幼女 「まだだ。完全にそうなったわけではない」

淫魔幼女 「だから、おれたちがここにいるのだ」


詐欺商人 「やれやれ、剣で戦うよりもかなり頑張らなくてはな」

詐欺商人 「……彼女に、おれたちのことをもう少し話しても?」


淫魔幼女 「…………」



母性巫女 (私は、あの子の……)

母性巫女 「……あの」


詐欺商人 「うん?」


母性巫女 「私の答え、なんですけど……」



…………

……


279 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/20(金) 07:52:57.98 ID:0u8dmEjro


幼女魔王の塔 最上階?



…………



母性巫女 「……塔を捨てる?」


詐欺商人 「ああ」


母性巫女 「それは、あの子の過去を捨てるということじゃ……」


詐欺商人 「そうなるな」


母性巫女 「そんな、あっさり」


詐欺商人 「まあ待て。まったくその通りというわけでもないんだ」

詐欺商人 「まず、君の知るあの子と、おれの言うあの子は、おそらく違う存在だ」


母性巫女 「………?」

母性巫女 「まあ、こんなときに。ウフフ……」


詐欺商人 「待て待て、小粋なジョークとかそんなんじゃ無い」


淫魔幼女 「やはりこの女」

淫魔幼女 「馬鹿だな」



280 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/20(金) 08:30:58.92 ID:0u8dmEjro


詐欺商人 「というか、意味が分からない話をとりあえず冗談として片付けようとしなかったか?」


母性巫女 「い、いえ、そんな……」

母性巫女 「それで、あの子があの子じゃ無いというのは……?」


詐欺商人 「どう説明したものかな……」

詐欺商人 「この塔は、一度滅んでしまったんだ」


母性巫女 「滅んだ……」

母性巫女 (仮面の人も、そう言っていた)


詐欺商人 「つまりあの子は、一度死んでしまったということだ」


母性巫女 「死……」


詐欺商人 「身体は何とか助かったが、心は駄目だった」

詐欺商人 「念入りに破られた紙のように粉々だ」


母性巫女 「そんな」

母性巫女 「いったいあの子に何が……」


詐欺商人 「それは……」


淫魔幼女 「……呪いだ」


281 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/10/20(金) 16:17:47.83 ID:3cXwNnfQo
更新乙
282 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/21(土) 07:27:43.02 ID:hlkE+rHLo


淫魔幼女 「つま先から頭頂まで細かく刻み込むように、数々のおぞましい呪いを受けた」

淫魔幼女 「心が、それに耐えきれなかったのだろう」


母性巫女 「おぞましい呪い」

母性巫女 (私も、故郷の世界に居た頃、胸から変な音がする呪いをかけられていたっけ)

母性巫女 (あの呪いのせいで、魔王を倒して以降、森で孤独に暮らすことに……)


詐欺商人 「おれたちは何度もこの塔に潜り、あの子の心の欠片を探し集め」

詐欺商人 「修復を試みたが……」

詐欺商人 「どうも元通りにはならんらしい」


母性巫女 (心を、修復?)


淫魔幼女 「同じ材料を使っているのに、同じ物をつくることはできなかった」


詐欺商人 「そうなるとは思っていたがな」

詐欺商人 「精神的な蘇生は、物理的な蘇生よりも難しい」



283 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/21(土) 07:38:29.44 ID:hlkE+rHLo


詐欺商人 「何とか、こんな塔としておれたちの領域に引きずり落としても」

詐欺商人 「もとのあの子とは似ても似つかない形の心しか作れなかった」

詐欺商人 「それに合わせて、姿も多少変わってしまったのは誤算だったが」


母性巫女 「……どうして、あの子がそんな目に」


淫魔幼女 「…………」


詐欺商人 「悪いがそれは、教えることはできないな」


母性巫女 「…………」

母性巫女 「教えることのできない、そんな大きなことなんですか」


詐欺商人 「……君の知るあの子が体験したことじゃなくて」

詐欺商人 「壊れる前のあの子が体験したことだからさ」



284 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/21(土) 07:58:22.95 ID:hlkE+rHLo


淫魔幼女 「まったく別の存在なのだ」

淫魔幼女 「ひとつの塔ではあるが、ここより下と、ここより上は」


母性巫女 「別……」


詐欺商人 「ろうそくに火を灯したとして」

詐欺商人 「火の一瞬一瞬の形は違うだろう」


母性巫女 「え、ええ……はあ」


詐欺商人 「心とは、その人の内側だけで作られるわけではないのだろう」

詐欺商人 「外から様々な影響を受けながら、ゆらめく火のように刻一刻と形をかえていく」

詐欺商人 「……おれたちにできたのは、ただ火を灯すことだけだったのだ」

詐欺商人 「もととまったく同じようにゆらめきかたをする火を作ることはできなかった」

詐欺商人 「あの子の心を元に戻せなかったのはそういうことなのだと、おれは捉えている」


285 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/21(土) 08:07:09.93 ID:hlkE+rHLo

>>284 訂正ごめんなさい




淫魔幼女 「まったく別の存在なのだ」

淫魔幼女 「ひとつの塔ではあるが、ここより下と、ここより上は」


母性巫女 「別……」


詐欺商人 「ろうそくに火を灯したとして」

詐欺商人 「火の一瞬一瞬の形は違うだろう」


母性巫女 「え、ええ……はあ」


詐欺商人 「心とは、その人の内側だけで作られるわけではないのだろう」

詐欺商人 「外から様々な影響を受けながら、ゆらめく火のように刻一刻と形をかえていく」

詐欺商人 「……おれたちは倒れて火の消えたろうそくを立たせ、再び火を灯すことはできたが」

詐欺商人 「それだけだった」

詐欺商人 「以前とまったく同じゆらめきかたをする火を作らなければならなかったのに、できなかった」

詐欺商人 「ろうの雫を同じように垂らすこともできなかった」

詐欺商人 「あの子の心を元に戻せなかったのはそういうことなのだと、おれは捉えている」


286 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/21(土) 08:20:04.41 ID:hlkE+rHLo


母性巫女 「はあ……なるほど」


淫魔幼女 「一度焼き上げたクッキーが粉々に砕けたとして」

淫魔幼女 「それを使って、元と全く同じクッキーを作ろうとしたら難しいだろう」


母性巫女 「なるほど」

母性巫女 「焼きあがったあとだと、ほとんど無理でしょうね」


淫魔幼女 「感謝しろ」

淫魔幼女 「菓子の焼き方しか興味ないようなおめでたい馬鹿女にも分かるように説明してやった……」


母性巫女 「えいっ」


ギュ ムニュ

スリスリ


淫魔幼女 「ぅ、ぐ……がぁああ……」


詐欺商人 「お前も学習しなさいよ」


287 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/10/21(土) 08:37:04.06 ID:hlkE+rHLo


母性巫女 「次はチューしちゃいますからね」


スリ スリ


淫魔幼女 「ぬぐぅ、う……この……おれが……」


詐欺商人 「お嬢さん、そんなにくっつくと危ないぞ」

詐欺商人 「そう見えても、今のところ心は立派な男だ」


母性巫女 「え?」


詐欺商人 「冗談だ」


淫魔幼女 「本当だ」

淫魔幼女 「馴れ馴れしくするな乳の化物」

淫魔幼女 「お前みたいな無知で独善的な馬鹿は一番嫌いな種類の存在だ」


母性巫女 「もう、意地悪な言い方ばっかりして」


ナデ ナデ


淫魔幼女 「やめろぶち殺すぞ貴様やめろ薬漬けで淫獣の胎にぶち込むぞ雌豚牛めがやめろ」


ナデ ナデ


詐欺商人 「まったく、羨ましいことだな相棒」

詐欺商人 「お前の商売については話さないでおいてやるよ」


淫魔幼女 「ふざけるな、何とかしろぽんこつ詐欺師めが」


288 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/10/22(日) 12:13:38.19 ID:KDhyxWWso
おおー、大量に来てる
どこまで話せるのかなぁ
289 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/10/23(月) 03:53:00.29 ID:dRn9zIOy0
待ってた!更新乙
290 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/10/26(木) 08:06:27.29 ID:FkVKXg9do
やはり解答編はいいものだ
291 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/11/17(金) 08:34:53.57 ID:OYWw36Ho0
待ち
292 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/12/08(金) 06:33:17.72 ID:EF/mVNel0
お待つり
293 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/12/22(金) 06:25:21.29 ID:1eOFrzzo0
今年はもうないのかな
294 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/12/31(日) 12:49:05.44 ID:YLzMVWk6o


母性巫女 「髪がぼさぼさになっているじゃないですか。。ちゃんと梳かしていますか」


淫魔幼女 「うるさい。気安く触るな」

淫魔幼女 「おろせ」


ナデ ナデ


詐欺商人 「」








295 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/12/31(日) 12:50:09.16 ID:YLzMVWk6o
>>294
無かったことに
296 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/12/31(日) 13:47:48.82 ID:YLzMVWk6o


母性巫女 「髪がぼさぼさになっていますよ。ちゃんととかさなくちゃ」


淫魔幼女 「うるさい。気安く触るな」

淫魔幼女 「膝からおろせ」


母性巫女 「あっ、ここ、小さな石が絡んでる」

母性巫女 「もう、いったん髪留めとっちゃいましょうか」


淫魔幼女 「ふざけるな、やめろ」


ナデ ナデ クシ クシ


母性巫女 「……ここに階段をつくったら、あの子が私の知るあの子になるのだとしたら」

母性巫女 「じゃあ、私の知らない、過去のあの子は完全に消えてしまうんですか」


詐欺商人 「いくらか、名残のようなものは残るだろう」

詐欺商人 「技能や体質とか、な」


淫魔幼女 「それではいけない」

淫魔幼女 「完全に消してしまうべきだ。何千年かかろうとも」





297 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/12/31(日) 13:56:27.35 ID:YLzMVWk6o


詐欺商人 「そこは納得したはずだろう」

詐欺商人 「完全には無理だ」

詐欺商人 「彼女とならなくとも、もとが彼女である以上、彼女の面影は残ってしまう」


淫魔幼女 「…………」


詐欺商人 「あの子が差し入れてくれる料理が好きだったのだろ」

詐欺商人 「もしかしたら、彼女の料理の記憶が新しい彼女にも残っているかもしれないぞ」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「それ以上に残酷なことは無い」


298 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/01/02(火) 16:53:09.55 ID:5mWsLcSPo


母性巫女 「元に戻すことは、本当にできないんですか?」


詐欺商人 「今のおれたちはその術を知らない」


母性巫女 「そうですか……」

母性巫女 「私の知らないあの子」

母性巫女 「よく知らないけれど、よく知らないまま消えてしまうのは、悲しいです」

母性巫女 「少しでも残るなら、良いんじゃありませんか」


淫魔幼女 「愚かな考えだ」

淫魔幼女 「それは残された者の慰みにすぎない」

淫魔幼女 「身におぼえの無い、そのうえ虫食い穴だらけの過去を押し付けられたら、どうだ」

淫魔幼女 「砂漠でオアシスの蜃気楼を追い続ける並に気が狂いそうな、歯がゆい喪失感を」

淫魔幼女 「ずっと抱えながら生きることになるのだぞ」


母性巫女 (妙な説得力がある)

母性巫女 「ごめんなさい」


ナデ ナデ


淫魔幼女 「やめろなでるな」


詐欺商人 「まあ、新しく生まれる者にとっての足かせにもなりかねん」

詐欺商人 「無理に過去を押し付けることも無いだろう」


母性巫女 「寂しいような気もしますけど……」


詐欺商人 「しかたのないことなのさ」


299 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/01/03(水) 14:06:59.65 ID:MAFUH0o7o


母性巫女 「しかたないですか……」

母性巫女 (……やっぱり気になる)

母性巫女 (いったいあの子に何があったのかしら)

母性巫女 (私も生まれ変わったようなものだけれど、過去に暮らしていた世界のことを思い出すことはできる)

母性巫女 (他の世界のことなんて考えもしなかった私が見てきたもので)

母性巫女 (自信を持っておぼえているとは言えないけれど……思い出が嫌だとは思わない)

母性巫女 (……あの子にとっては違うのかしら)

母性巫女 (あの子にとって思い出は、嫌なものなのかしら)


詐欺商人 「」














300 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/01/03(水) 14:51:17.19 ID:MAFUH0o7o
>>299 なかったことに2
301 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/01/03(水) 18:16:03.63 ID:MAFUH0o7o


母性巫女 「しかたないですか……」

母性巫女 (……気になる。いったいあの子に何があったんだろう)

母性巫女 (私も生まれ変わったようなものだけれど、過去に暮らしていた世界のことを思い出すことはできる)

母性巫女 (他の世界のことなんて考えもしなかった頃の私が見てきたもので)

母性巫女 (自信を持っておぼえているとは言えないけれど……思い出が嫌だとは思わない)

母性巫女 (……あの子にとって思い出は、嫌なものなのかしら)

母性巫女 (もっと、ちゃんとあの子と、そのあたりのことを話しておくべきだったのかしら)


詐欺商人 「納得いかないかな」


母性巫女 「ええ」

母性巫女 「……あ、いえ、その」


詐欺商人 「おれたちも納得しているわけじゃない」

詐欺商人 「傷を癒すのではなく、傷を負ったことを忘れさせるだけ」

詐欺商人 「おれたちのやろうとしていることは、そういうことだ」

詐欺商人 「彼女が彼女自身の傷跡に気づかないことが、彼女の災いとなるかもしれない」


302 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/01/03(水) 18:26:15.36 ID:MAFUH0o7o


淫魔幼女 「それでも、やらねばならない」

淫魔幼女 「姫は死んだのだ」

淫魔幼女 「死者は完全に死者とならなければならない」

淫魔幼女 「姫の全てを棺におさめ、姫の死を完遂するのだ」


母性巫女 (棺……)


詐欺商人 「それがお前の、棺持ちとしての矜持というやつかい」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「分からない」


母性巫女 「…………」


……ナデ


淫魔幼女 「なでるな」

303 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/01/04(木) 22:01:45.14 ID:iXjPRWkIo


詐欺商人 「過去のある者なら、一つや二つ、あるだろう」

詐欺商人 「できれば思い出したくない、思い出すだけで苦しくなる、そんな思い出が」

詐欺商人 「後悔と羞恥が放たれた猟犬のように追いかけてくる、そんな思い出が」


母性巫女 (……森で、毛むくじゃらのモンスターに……)

母性巫女 「あ、あります……ウプ」


フラ


淫魔幼女 「………!」


詐欺商人 「大丈夫か」


母性巫女 「は、はい……」


詐欺商人 「よほど辛いことがあったのかな」


母性巫女 「そうですね……」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「ふん。脳みそ乳化女でも、あるものはあるのか」


母性巫女 「…………」


ダキ


淫魔幼女 「うぐおああああ゛……」

304 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/01/04(木) 22:18:40.50 ID:iXjPRWkIo


詐欺商人 「そういう思い出は悪いものでは無い」

詐欺商人 「後悔は、自分を律するのに役立つ。次の失敗を防ぐ助けになる」

詐欺商人 「予防薬のようなものかな」


母性巫女 「予防薬……」


詐欺商人 「ああ。おっ、予防薬といえば」

詐欺商人 「最近、毒の予防薬と麻痺の予防薬が手に入ったんだ」


母性巫女 「……はい?」


詐欺商人 「おひとつ、どうかな」

詐欺商人 「聖職者や施設の無い地での冒険やダンジョン探索などで役に立つぞ」


母性巫女 「それが、あの子とどう関係……」


淫魔幼女 「……おまえ商売の腕は相変わらず絶望的だな」


詐欺商人 「このタイミングは違ったか……」

詐欺商人 「コホンッ。しかし、少量で薬であっても、多量では毒となることもある」

詐欺商人 「新しく生まれる彼女にとって、古い彼女の思い出は、きっと毒となる」

詐欺商人 「おれたちはそう考えている」


305 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/01/04(木) 22:28:12.00 ID:iXjPRWkIo


母性巫女 (あの子はひどい呪いを受けたという……)

母性巫女 (ひどい呪いを受けるようなことを、あの子はしたということ?)


詐欺商人 「この塔は彼女そのものだ」

詐欺商人 「ここで彼女の過去を語りすぎるのは、彼女の中に過去を残すことにならないとも限らない」

詐欺商人 「というわけで、あまり彼女の過去は語りたくないんだ」


淫魔幼女 「せっかく、ここまで片付けたのだからな」





母性巫女 (棺。私が未来? ……の塔に来たときに襲ってきたものに似ている)


淫魔幼女 「…………」


母性巫女 (淫魔幼女……あの子のことを姫って呼んでいた。姫は死んだ……死者は死者になる……片付けた……)

母性巫女 「その棺……あの子の思い出が入っているんでしょうか」


淫魔幼女 「…………!」

淫魔幼女 「……そうだ」


306 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/01/04(木) 22:38:32.31 ID:iXjPRWkIo


淫魔幼女 「ありし日の姫を完全に消し去ることで」

淫魔幼女 「ようやくこの塔……幼女魔王という存在は始まることが出来る」

淫魔幼女 「ゼロに足りぬものがゼロになる」

淫魔幼女 「姫にまっとうな死を。幼女魔王の中に二度と蘇らぬよう、安らかにお休みになられるよう」

淫魔幼女 「そのためならば何でもしよう。それだけが、おれの……」


母性巫女 「…………」

母性巫女 (声からも表情からも心の中は読めないけれど、とても辛そう)


ナデ ナデ


淫魔幼女 「…………」


詐欺商人 「淫魔幼女」


淫魔幼女 「……? どうした?」


詐欺商人 「……いや」

307 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/01/04(木) 23:01:06.64 ID:iXjPRWkIo


淫魔幼女 「時間がない」

淫魔幼女 「こんな無駄話をしている暇なんて、本当は無い」

淫魔幼女 「さっさと階段を作るぞ。そして新たな塔を始める」

淫魔幼女 「ここを出てからも、やることはたくさんあるんだ」


詐欺商人 「…………」

詐欺商人 「お前はそれで良いんだな」


淫魔幼女 「それが良い」


詐欺商人 「お前と彼女の思い出が、彼女の中から永遠に失われることになるんだぞ」

詐欺商人 「そしてお前の中にだけ残るんだ」


淫魔幼女 「おれと姫の思い出だ。おれと幼女魔王の思い出ではない」

淫魔幼女 「だから、良い」


母性巫女 「……あの子の過去を全部消して、どうするつもりですか」


淫魔幼女 「……その心配は必要ない」

淫魔幼女 「そのときには、おれは幼女魔王の前から消えている」


308 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/01/04(木) 23:40:30.01 ID:iXjPRWkIo


母性巫女 「えっ……」

母性巫女 「あの子のことを放り出すんですか?」


詐欺商人 「いや……」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「巣立ちが出来る程度になるまで多少の世話は焼こう」

淫魔幼女 「だが、いずれ完全に消える」

淫魔幼女 「あの狐耳、くその魔法少女ども、姫に関わるものを、道連れにしてでも……」


母性巫女 (どうして、こんなに頑ななのかしら)


詐欺商人 「そこまでする必要があるかね」

詐欺商人 「彼女とお前との新たな関係を、消えずに築いていけば良いじゃないか」


淫魔幼女 「…………」



309 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/01/04(木) 23:56:19.14 ID:iXjPRWkIo


詐欺商人 「それはお前にとって残酷なことなのかな」


淫魔幼女 「…………」


詐欺商人 「……まあ良いさ」

詐欺商人 「だったらおれは、お前が躓いたときのための杖でも用意しよう」


淫魔幼女 「……何をするつもりだ」


詐欺商人 「ちょっとしたズルの試みさ」

詐欺商人 「ここに、ある紋章がある」


白蝶貝の紋章(複製)


母性巫女 「私の……」


詐欺商人 「ここより先の時間で幼女魔王と関わりがあるらしい、お嬢さんの紋章」

詐欺商人 「読み解けば、かなり役に立つんじゃないか」



310 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/01/05(金) 00:05:03.41 ID:l6+RPMZ8o


淫魔幼女 「そういうのは良くないと言わなかったか」


詐欺商人 「言ったかな」


淫魔幼女 「……少なくとも、ここでやるべきでは無い」



母性巫女 (先の時間……本当に私は、過去に来てしまったのかしら)

母性巫女 (波魔法少女は私の過去と交差させてくれると言ったけれど)

母性巫女 (Nの過去と交差することになるなんて)

母性巫女 (……あれ、私って、ちゃんともとの時間に戻れるのかしら?)

母性巫女 (お城への戻り方は……)


釜のかけら


母性巫女 (これを使えば良いのかしら)

母性巫女 (いえ、お城に戻れたとしても、もとの時間には戻れないんじゃないの……?)

母性巫女 (もとの……)

母性巫女 (……あれ?)

母性巫女 「あ!」


詐欺商人・淫魔幼女 「?」


311 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/01/05(金) 00:53:04.47 ID:l6+RPMZ8o



詐欺商人 「どうした」


母性巫女 「真の、幼女魔王……」


淫魔幼女 「?」


母性巫女 「私がどのくらい先の時間から来たか分からないけれど」

母性巫女 「もしかしたら、塔が滅ぶ前のあの子が、まだちゃんと生きているかも……」


淫魔幼女 「……!!!」


詐欺商人 「どういう……いや、聞かない方が」


淫魔幼女 「どういうことだ……!」


母性巫女 「塔で聞いたんです」

母性巫女 「あるとき、この層よりももっと深いところで、大きなものがいなくなるのを感じたって……」

母性巫女 「新しい塔にいてそれを感じたとしたら、過去……ええと、今この時も……」


詐欺商人 「……探しつくしたはずだが」


淫魔幼女 「……まだ、残っている」


母性巫女 「だから、消してしまうなんて……」


淫魔幼女 「棺におさめるべき、姫の残骸が!」


母性巫女 「え」


淫魔幼女 「言え……! どこだ、どこにいるどこだ」


母性巫女 「い、いえ、だから、消すなんて……」

母性巫女 (……あ)

母性巫女 (幼女魔王Y……仮面の女の子が言っていたじゃない)

母性巫女 (あの子じゃないものが、この塔をどうこうしようとするのはいけないって)

母性巫女 「そうだ、駄目ですよ!」


母性巫女の お母さんチョップ!
淫魔幼女のHPが 1 になった!
詐欺商人は ひらりと かわした!


淫魔幼女 「ぬぐうっ!?」


312 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/01/05(金) 01:09:55.79 ID:l6+RPMZ8o


詐欺商人 「いきなりどうしたってんだ」


母性巫女 「ここはあの子の塔」

母性巫女 「私たちのような外から来た人が勝手にしすぎると、あの子の存在を歪めてしまうかもしれない」

母性巫女 「あの子の塔のことはあの子たち自身に任せて、どんな結果になるとしても見守るべき」

母性巫女 「ということを聞いていて……」


詐欺商人 「……そうか。まあ、そうなんだろうが」


淫魔幼女 「誰だ、そんな余計なことを言った馬鹿は……!」


母性巫女 「N……塔にいる幼女魔王たちはその人のことを、知らない私と呼んでいました」


詐欺商人 「知らない私。知らない自分、か」


313 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/01/05(金) 01:23:25.93 ID:l6+RPMZ8o


ザア……ン


母性巫女 「……?」


キョロ キョロ


詐欺商人 「今度は何だ」


母性巫女 「今、波のような音が……」


詐欺商人 「波?」


母性巫女 「ええ」


ザザア

ザザア ン


母性巫女 「また……」


詐欺商人 「……いや、おれには聞こえない」

詐欺商人 「淫魔幼女」


淫魔幼女 「……幼女魔王が知らない幼女魔王」

淫魔幼女 「そうか、その手が……」


詐欺商人 「それどころじゃ無い、か」



ザア ザアン

ザザア


母性巫女 「……あ」

母性巫女 (眠たくなってきた)


ザザアアア



詐欺商人 「なあ、その波の音はどこから……」


詐欺商人は 話しかけた
しかし そこには 誰も いない……


詐欺商人 「……あれ?」



ザア ン

314 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/01/05(金) 14:20:28.98 ID:l6+RPMZ8o


淫魔幼女 「何をボーッとしている」


詐欺商人 「……いや」

詐欺商人 「ここに、誰かいなかったか」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「かわいそうに。帽子の被りっぱなしで、脳みそがはげたのだな」


詐欺商人 「……ふむ」


淫魔幼女 「早くするぞ。やることはたくさんある」

淫魔幼女 「この塔でも、まだやっておかねばならんことがある気がする」


詐欺商人 「もう姫の欠片はあらかた回収しただろうに。お前も頑なだね……」

詐欺商人 「ん?」


白蝶貝の紋章(複製)


詐欺商人 「はて、これは……?」



……………









315 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/01/05(金) 14:38:24.20 ID:l6+RPMZ8o


ザザア ン



??? 「……ま」

??? 「まま!」


母性巫女 「!」

母性巫女 「…………?」


キョロ キョロ


母性巫女 「えっと」

母性巫女 (Yの部屋に招かれて、そこで釜のかけらを使って世界を渡ったら、過去の塔にいて)

母性巫女 (そこで二人組と会って話をしていたら、波の音が聞こえて……)


幼女魔王M 「びっくりしたよ。あっちの方に行ったと思っていたら、全然逆の方にいるんだもの」


幼女魔王A 「まま、大丈夫、まま」


母性巫女 「A、M……」

母性巫女 「はい、大丈夫ですよ」

母性巫女 (戻ってきた?)

母性巫女 「あの、私がYの部屋に呼ばれて、どのくらい経ったんでしょう」


幼女魔王M 「あんまり経ってないよ」

幼女魔王M 「Aのまだが無いし」


母性巫女 「え?」


幼女魔王M 「Aは黙って待つのが苦手なんだ」

幼女魔王M 「待てなくなったら、まだ、まだ? ってぐずるんだ」


幼女魔王A 「そんなことないもん」

幼女魔王A 「ないからね?」


母性巫女 「はいはい」


ナデ ナデ


316 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/01/05(金) 14:58:15.34 ID:l6+RPMZ8o


幼女魔王M 「どうだった? 何か変なことされなかった?」


母性巫女 「ええ。変なことはありましたけど」

母性巫女 「それに、大事な話を聞きました」


幼女魔王M 「大事な話?」


母性巫女 (話してしまって良いのかしら)

母性巫女 「その……」

母性巫女 「私はやっぱり、Yと同じ知らない私……みたいです」


幼女魔王A 「!」


幼女魔王M 「……そんな気はしてたけど、そうなんだ」


幼女魔王A 「駄目え!!」


ダキ


母性巫女 「わっ……」


幼女魔王A 「一緒だもん! ままは知らない私じゃ無いもん!」


母性巫女 「A……」


ナデ ナデ


幼女魔王M 「A、事実とちゃんと向き合おうとしないと」


幼女魔王A 「嘘だもん! Yが嘘を言ったんだもん、ままが嘘を言ってるんだもん!」

幼女魔王A 「ままはままだもん!知らない私じゃないもん!」

幼女魔王A 「ずっと一緒だもん! 約束したんだもん!」


母性巫女 (したかしら?)


ナデ ナデ

317 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/01/05(金) 15:05:28.32 ID:l6+RPMZ8o


幼女魔王M 「本当なんだね?」


母性巫女 「はい」

母性巫女 「あの……Yは、この塔のことを心配していたと思います」


幼女魔王M 「へえ」


幼女魔王A 「ままぁ……グスンッ……ままぁ……!」


エグ エグ


母性巫女 「あらあら、そんなに泣いて」

母性巫女 「知らない私だって、こうして一緒なんですから、大丈夫ですからね」


ナデ ナデ


幼女魔王M 「さて、どうだろね……」


318 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/05(金) 15:30:00.32 ID:COm72olL0
あけおめ更新乙
319 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/05(金) 19:59:45.03 ID:IAp+cICfo
正直めっちゃ更新待ってた
320 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/01/06(土) 00:47:30.73 ID:sDfxiEaao


……………


幼女魔王の塔 円形広間

いびつな円卓



母性巫女 (塔の探索を終えて、また皆で集まった)

母性巫女 (誰も、Nの部屋は見つけられなかったみたい)


幼女魔王C 「……本当に?」


母性巫女 「私はYと同じ、幼女魔王ではない存在だと」

母性巫女 「そう言われました」

母性巫女 「私も、そう思います。私は幼女魔王ではありません」



幼女魔王たち 「……!」


ザワザワザワ


幼女魔王W 「偽者か……!」


幼女魔王I 「知らない私なんだから、偽者とは違うんじゃない?」


幼女魔王L 「そもそも知らない私って何なの?」


ザワザワ


幼女魔王C 「あの人、もったいぶっていたくせに……」

幼女魔王C 「あなたが知らない私だから教えたのかしら」


母性巫女 「ええ、たぶん……」

母性巫女 「そして、この塔は幼女魔王の塔だから、私があまり出しゃばるべきでないとも言われました」

母性巫女 「幼女魔王という存在を歪めてしまうかもしれないから」


321 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/01/06(土) 01:02:15.51 ID:sDfxiEaao


幼女魔王G 「歪めてしまう、か」


幼女魔王C 「たしかに、私たちの塔のことは私たちでなんとかするべき」

幼女魔王C 「知らない私に頼りすぎるのは良くないと思う」


幼女魔王J 「じゃあどうするの。他の知らない私みたいに、Kには隠れてもらう?」


幼女魔王A 「……うぅぅううーーーー!」


ガシ


母性巫女 「A……っ」


幼女魔王M 「また抱きついた! この甘えんぼう!」

幼女魔王M 「会議のときくらい、甘えるのをやめなさい!」


幼女魔王A 「やだあ!」

幼女魔王A 「やだやだ、やだあ!」

幼女魔王A 「ままだもん! ままは一緒にいるんだもん!」

幼女魔王A 「隠れないもん、どこにもいかないもん!」


母性巫女 「A……」


幼女魔王M 「この、離れなさい!」

幼女魔王M 「いつまでもそんなんだから、この塔も……!」


グイッ グイッ グイッ


幼女魔王A 「!! やだああああ゛あ゛!」

幼女魔王A 「ま゛ま゛っ! ま゛ま゛! ま゛ま゛ぁ!」

幼女魔王A 「うわああーーーん!!」


322 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/01/06(土) 01:24:32.99 ID:sDfxiEaao


幼女魔王C 「A、取り乱しすぎよ」


幼女魔王M 「鼻水まで垂らして! いい加減にしな、A!」


幼女魔王A 「いやああああああ!」

幼女魔王A 「やだやだやだやだあああああ! やあああああ゛あ゛あ゛!」

幼女魔王A 「うええええーーーーん!」


幼女魔王G 「あ、はは……相変わらずすごい泣き声だ……っ」


母性巫女 「A……」


ダキ ギュウ


幼女魔王A 「! ……ヒック……ウグッ、エグッ……」

幼女魔王A 「ううぅううーーーー……」


母性巫女 「大丈夫、大丈夫ですよ……」


ポム ポム……


母性巫女 (小さな背中……)

母性巫女 (Nも、強く抱きしめたら壊れてしまいそうだったっけ)


幼女魔王A 「ウッ、ク……うぅ」

幼女魔王A 「うえええ……、ままぁ……」


母性巫女 「離れませんから。ちゃんと一緒にいますから」

母性巫女 「大丈夫、大丈夫……」


ポム ポム ポム


幼女魔王A 「……ぅ、ぅう……」


ギュウウ


母性巫女 「大丈夫……」

母性巫女 (一緒にいるって、思わず言ってしまった……)


幼女魔王A 「………うぅ、グスッ、ぅぶうぅ」


母性巫女 (ああ、そうか)

母性巫女 (私は、きっと……)


323 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/01/06(土) 01:42:10.89 ID:sDfxiEaao


幼女魔王A 「グスン……グスン……」


母性巫女 (静かになった。私の胸に顔をうずめて……)


ナデ ナデ


幼女魔王M 「ちぇっ、見てるこっちが恥ずかしい」


幼女魔王G 「しかし、K。君は実際どうするんだい」


母性巫女 「え……」


幼女魔王G 「君が知らない私だとして」

幼女魔王G 「それでも私たちと一緒にいてくれるのかい」


母性巫女 (私の過去との交差はまだだし、お城にも戻らなきゃいけないんだけど)


幼女魔王A 「…………」


母性巫女 (こんな状態で、放っておけない)

母性巫女 「そのつもりです」

母性巫女 (本当に良いのかしら。きっと駄目なのよね……)


幼女魔王M 「駄目だよ」


幼女魔王G 「M」


幼女魔王M 「だって、そうしたらAはずっとこんな調子だよ」

幼女魔王M 「甘えっぱなしで、塔のことを何一つやらなくなる」


324 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/14(日) 02:17:10.02 ID:O/p4Ycry0
325 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/08(木) 19:01:51.03 ID:yZMPxG5J0
ほしゅ
326 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/14(水) 12:38:39.16 ID:VrSZfBt1O
はよはよ
327 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/03/02(金) 05:05:59.64 ID:xIY8o5yU0
ままぁ…
328 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/03/06(火) 01:57:22.50 ID:+kMjquZ5o


母性巫女 「やります」


幼女魔王M 「!?」


母性巫女 「Aは頑張ります」

母性巫女 「いっぱい甘えたら、いっぱい頑張ります」

母性巫女 「ね?」


幼女魔王A 「……ぅう……」


コクン


母性巫女 「ほら」


幼女魔王M 「そんなの……そんな」

幼女魔王M 「駄目だ!」

幼女魔王M 「だったら、A、あんたの口で言わなきゃ! 頑張るって」

幼女魔王M 「知らない私にしがみついてないで、ちゃんと立って!」


グイ


幼女魔王A 「うぅ゛〜!」


母性巫女 「ちょっ、ちょっと……乱暴に引き剥がそうとしちゃいけませんよ……!」


グイ グイ タユユン


幼女魔王M 「A! 幼女魔王A! 私! 知らない私じゃなくて、あんたの口で、頑張るって言うんだ!」

幼女魔王M 「じゃないと……そうやって、おばけが怖くて枕に顔を埋める弱虫みたいにしていたら」

幼女魔王M 「きっとすぐにつまずいて、駄目になるんだ!」


幼女魔王C 「M……」


幼女魔王M 「私たちは……私は、私ひとりで立てなきゃいけないんだ!」

幼女魔王M 「だから……!」


329 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/03/06(火) 02:20:27.05 ID:+kMjquZ5o


幼女魔王G 「落ち着くんだ、M」


幼女魔王M 「落ち着くってのは何さ!」

幼女魔王M 「怠けること? 先送りにすること!?」


幼女魔王C 「M」

幼女魔王C 「あなたも私も、じゃあ何をすれば私が、この幼女魔王の塔がきちんとするのか、分かっていないのではないの」


幼女魔王M 「……そうだよ」

幼女魔王M 「でも……!」


幼女魔王C 「M、今日はおかしいわ」

幼女魔王C 「いつにも増して、Aに厳しい」


幼女魔王M 「……いつもこうだよ」

幼女魔王M 「変なのはAさ。Kが……知らない私が来てから……」


幼女魔王E 「ああ。Kにずっとべったりかも」

幼女魔王E 「いつもは、Mに引っ張りまわされない限りボーッとしてるのに」

幼女魔王E 「ね、P」


幼女魔王P 「興味ない」


幼女魔王I 「知らない私の影響ってやつ?」


幼女魔王G 「ふむ…………」


330 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/03/06(火) 02:50:13.70 ID:+kMjquZ5o


幼女魔王C 「Nを見つけたら何か良い方へ向かう手がかりが見つかるかもしれないと思ったけれど」

幼女魔王C 「他にも問題は多いようね」


幼女魔王G 「Tを失ったのは痛手だね」


幼女魔王F 「こうなったら、やっつけるか! 覚悟しろにせもの!」


母性巫女 「え……」


幼女魔王C 「落ち着いて、F。にせものじゃなくて、知らない私よ」

幼女魔王C 「けれど……」


ジーッ


母性巫女 「……?」

母性巫女 (じっと見つめてくる)


幼女魔王C 「母性巫女……いえ。でも……」


ザ ストン


母性巫女 「あら」

母性巫女 (座って、身体をくっつけてきた)


幼女魔王たち 「!」


幼女魔王C 「…………」


母性巫女 (こうして見ると、この子もやっぱり幼女魔王そのもの)

母性巫女 「…………」


ソ


幼女魔王C 「私は大丈夫。あなたはAを抱きしめたままで良いわ」


母性巫女 「あ、はい……」


幼女魔王D 「初めて見た。Cが誰かによりかかるなんて」


幼女魔王L 「これも、知らない私のせい?」


ヒソ ヒソ



幼女魔王C 「…………」

幼女魔王C 「なぜかしら」

幼女魔王C 「新しくて、懐かしい」


331 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/03/06(火) 03:08:34.87 ID:+kMjquZ5o


幼女魔王C 「とても安らかな、この気持ちを知っていた気がする」

幼女魔王C 「塔が崩れるずっと前、私がうまれるもっと前」

幼女魔王C 「……星くずの揺りかご……まだかたちになっていない、命の波だったころから……」


幼女魔王H 「大丈夫? 言葉が例の夜のあの人(笑)みたいになってるけど」


幼女魔王W 「これも知らない私の影響?」


母性巫女 「…………」


幼女魔王C 「Aも、同じ気持ち?」

幼女魔王C 「この気持ちの来るところ、知ってる?」


幼女魔王A 「…………」

幼女魔王A 「……ままが、ままだから」


幼女魔王C 「そう……」

幼女魔王C 「あなたは知っているのね。私よりも」

幼女魔王C 「……ぱぱでも、こんな気持ちになるの?」


幼女魔王A 「………ううん」


幼女魔王C 「………そう」

332 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/03/06(火) 03:39:49.63 ID:+kMjquZ5o


幼女魔王A 「私も、ぱぱ、知らない」

幼女魔王A 「ままのことしか……ううん、本当は、ままのことも」

幼女魔王A 「でも……」


幼女魔王C 「そうなのね」


母性巫女 (ぱぱ、ままって、この子の本当の両親のことかしら)

母性巫女 (……あれ? Nは魔王ってことは、じゃあ……)

母性巫女 (魔物? 見た目は私とほとんど変わらないけれど)

母性巫女 (ああ、私の故郷の世界でも、私たちとほとんど見た目が同じ魔物もいたっけ)

母性巫女 (そういえば魔物と人間の境目って、正直よく分かっていなかったなあ)

母性巫女 (動物と魔物の境目も……)


幼女魔王M 「何してるんだよ、C……あんたまで、Aの甘えんぼがうつったの」


幼女魔王C 「分からない」

幼女魔王C 「けれど、この感じは、とても大事なもののような気がするの」


幼女魔王M 「何が! 知らない私に甘えることが?」


幼女魔王C 「いいえ」

幼女魔王C 「いえ、そうなのかもしれない」

幼女魔王C 「とにかく、この安らぎは大事なものだと思う」


幼女魔王M 「でもそれをくれているのは、知らない私なんだよ! 私じゃない、知らない私の!」

幼女魔王M 「だったら、それを大事にしちゃうってことは……!」


幼女魔王C 「待って。実際に体験しないと、この気持ちは分からないと思う」


幼女魔王G 「…………」


幼女魔王S 「わ、私も、Cみたいにしてみたい……」


幼女魔王P 「……別に、気が向いたら、私もやっても……」


幼女魔王M 「み、みんな」


幼女魔王C 「……K、良いかしら」


母性巫女 「え、ええ、それは、はい」


幼女魔王A 「……っ。ままは、私の……」


幼女魔王C 「A、あなたはそこにいれば良いわ」

幼女魔王C 「じゃあ、みんな、興味のある人は私みたいにしてみて」

333 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/03/06(火) 04:02:59.86 ID:+kMjquZ5o


…………

……


幼女魔王S 「あ、あのあの、ナデナデも……」


母性巫女 「うふふ、はいはい」


ナデナデ


幼女魔王S 「でへへへ……」


幼女魔王A 「むー……」

幼女魔王A 「まま、私も、私も……!」


母性巫女 「はいはい」


ナデ ナデ



幼女魔王W 「ふぇにっくすだ!」


幼女魔王H 「ふぇにっくすだった!」


幼女魔王P 「まあ、悪くは、無いのかなってくらいだけど……もう一回やってみれば、ちゃんと分かるかも……」


幼女魔王L 「何だか、まだフワフワしてる。すごくウキウキして、だけど落ち着く感じ……」


幼女魔王C 「みんなも何か感じているみたいね」

幼女魔王C 「次はG、どう?」


幼女魔王G 「私は、Mのあとで良いよ」


幼女魔王M 「いらない」

幼女魔王M 「私は、しない。興味ないならしなくて良いんでしょ。G、やれば良いよ」


幼女魔王G 「では、私もしない」


幼女魔王C 「G?」


幼女魔王G 「興味が無いわけじゃないさ。君たちの、Kに関する決断を否定することもしない」


幼女魔王C 「そう。強制はしないけれど……」


334 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/03/06(火) 06:37:50.58 ID:+ynXz6iC0
335 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/03/06(火) 16:19:35.46 ID:GSQenKq+O

書き込まなかったけど、結構な頻度で更新きてないか確認しつつ更新待ってたで
336 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/02(月) 09:49:46.13 ID:yeewbPat0
ほしゅーん
337 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/06(金) 22:53:35.74 ID:rGKiOStfO
まだか
338 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/05/06(日) 00:24:31.72 ID:AxUdHX/co


………


幼女魔王の塔 ???の部屋



ギイイ

モワ モワ


母性巫女 「ケホッ……」


幼女魔王G 「ずっと使っていなかったとはいえ……」

幼女魔王G 「ほこりがすごいのはまだしも、ひどく荒れているな」

幼女魔王G 「まあ、部屋自体はしっかり無事だからマシか」


母性巫女 「ええ、お掃除すればきっと大丈夫」


幼女魔王M 「…………」


幼女魔王G 「すまないね。用意できるのがこの部屋くらいで」

幼女魔王G 「ほかの部屋は壊れ放題、私たちの部屋にいてもらうとしても、きっと君の取り合いで喧嘩になるだろう」

幼女魔王G 「それにやはり、一緒にいるとは言っても、君が知らない私である以上……」

幼女魔王G 「君を私たちとして扱うべきではないと思うから」


339 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/05/06(日) 03:47:25.67 ID:AxUdHX/co


母性巫女 (もう何年も使われていないみたい)

母性巫女 (大きなベッドも丸いテーブルも、部屋の中のものはみんな色あせている)

母性巫女 (誰の部屋だったのかしら。何となく、大人っぽい部屋……)


幼女魔王M 「…………」


母性巫女 (MとGが案内してくれたけれど、M、ずっと難しい顔をしている)


幼女魔王G 「何か足りない物があったら遠慮せず言ってくれ」

幼女魔王G 「可能な限り応えられるようにするよ」


母性巫女 「ええ、ありがとうございます」

母性巫女 (Gは落ち着いている……というか、大人びているのね)


幼女魔王M 「私に言って」

幼女魔王M 「他の子には頼まない方が良い。きっと張り切りすぎて無理をするから」


母性巫女 「あら……」

母性巫女 「ありがとうございます、M」


幼女魔王M 「……お礼なんて、いらない」


プイ


母性巫女 (目を合わせてくれない……)


340 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/05/06(日) 04:41:17.81 ID:AxUdHX/co


母性巫女 「あの……」


幼女魔王M 「ごめん、見回りの時間、忘れてた」

幼女魔王M 「先に戻るよ。G、あとはお願い」


スタ スタ スタ


母性巫女 「あっ……」

母性巫女 (……行っちゃった)


幼女魔王G 「やれやれ、真面目だなあ。私らしくもない」

幼女魔王G 「仕方ない。ここからは私だけで案内させてもらうよ」

幼女魔王G 「と言っても、もうとくに必要無いんだけどね」


母性巫女 「あ、はい」

母性巫女 「…………」


幼女魔王G 「Mのことが気になる?」


母性巫女 「何かあの子を遠ざけるようなことをしてしまったとしたら」

母性巫女 「それが分からなくて……」


幼女魔王G 「彼女はあれが普通だよ」

幼女魔王G 「君を避けているとしても、それは君のせいじゃないと思うよ」

幼女魔王G 「うまくは言えないけど、それが彼女なんだ」


341 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/05/06(日) 08:11:32.05 ID:AxUdHX/co


…………


幼女魔王の塔 ???の部屋



パタパタパタ

サ サ サ

キュ キュ キュ


母性巫女 「……よいしょ」

母性巫女 (思ったより早く、部屋を綺麗にできそう)

母性巫女 (家具もそのまま使えそうだけど……)


黒い編みカゴ
桃色の毛糸玉
編みかけの手袋


母性巫女 (テーブルの上にあったカゴ。中には編みかけの手袋が出てきた)

母性巫女 (ここを使っていた人のものかしら)

母性巫女 (……あの子の髪の毛と同じ色の毛糸。これだけ、ほこりひとつ付いていない)


揺りかご
額縁


母性巫女 (他にも、気になるものがちらほら……)

342 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/05/06(日) 08:17:21.78 ID:AxUdHX/co


>>341訂正ごめんなさい



…………


幼女魔王の塔 ???の部屋



パタパタパタ

サ サ サ

キュ キュ キュ


母性巫女 「……よいしょ」

母性巫女 (思ったより早く、部屋を綺麗にできそう)

母性巫女 (家具もそのまま使えそうだけど……)


黒い編みカゴ
桃色の毛糸玉
編みかけの手袋


母性巫女 (テーブルの上にあったカゴ。中には編みかけの手袋が入っていた)

母性巫女 (ここを使っていた人が編んでいたのかしら)

母性巫女 (……Nの髪と同じ色の毛糸。これだけ、ほこりひとつ付いていない。不思議)


揺りかご
額縁
魔王の指輪



母性巫女 (他にも、気になるものがちらほら……)

母性巫女 (この部屋、本当に私が使って良いのかしら)



343 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/06(日) 12:54:03.82 ID:DUoiXX5lo
生きとったんかワレ
344 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/07(月) 06:03:08.74 ID:pYns7rxPo
乙なの
345 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/11(金) 22:44:52.74 ID:ldMs095U0
待ってた
346 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/05/15(火) 07:24:07.73 ID:KzSAp6ZXo


母性巫女 (Gが広場へ戻る前に、聞いておくんだった……)


コツン


母性巫女 「……?」

母性巫女 (物音。入り口の方から)

母性巫女 (Gが戻ってきた……?)


クルリ


??? 「!」

幼女魔王A 「ぇーと……」


ササッ


幼女魔王Aは 扉の裏に 隠れた!


母性巫女 「A……」


347 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/17(木) 23:23:46.37 ID:1IPh4N180
Aかわいいな
348 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/05/18(金) 12:51:22.62 ID:aQ2FNW4Xo


母性巫女 「A」


幼女魔王A 「…………」


ソ


幼女魔王A が 現れた!


幼女魔王A 「……まま」


母性巫女 「どうしたんですか」


幼女魔王A 「あ……う」


モジモジ


母性巫女 「……?」

母性巫女 「とりあえず、入ってきませんか?」


幼女魔王A 「………!」

幼女魔王A 「うん……!」


トコトコトコ


349 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/05/18(金) 12:59:26.19 ID:aQ2FNW4Xo


トコトコトコ


幼女魔王A 「…………」


ダキ


母性巫女 「あららら」


幼女魔王A 「………えへへ」


母性巫女 「ここまで一人で来たんですか?」


ナデ ナデ


幼女魔王A 「うん」


母性巫女 「迷わずによく来れましたね」

母性巫女 「危ないものも出てくるかもしれないのに……」


幼女魔王A 「あう……」


母性巫女 「怒ってるんじゃありませんからね」


ナデ ナデ


幼女魔王A 「……えへへ」


ギュ

350 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/05/18(金) 13:15:26.62 ID:aQ2FNW4Xo


幼女魔王A 「お手伝い、しに来たの」


母性巫女 「あら、ありがとうございます」

母性巫女 (お手伝いしてもらうのは良い……のかしら?)

母性巫女 「みんなには、このこと言ってきたんですか?」


幼女魔王A 「え」


ドキッ


幼女魔王A 「……う、うん」

幼女魔王A 「してきた、よ……」


母性巫女 「あら、ドキッとしましたね」


幼女魔王A 「うん……う、ううん、してないよ」

幼女魔王A 「話したよ」

幼女魔王A 「本当だよ」


母性巫女 「話しておかないと、みんな心配しますよ」


幼女魔王A 「話したもん」


母性巫女 「あらあら」


ナデナデ







351 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/05/18(金) 14:00:33.76 ID:aQ2FNW4Xo


幼女魔王A 「…………」


ギュ タジ タジ


母性巫女 (この様子じゃ、たぶん話してきていないわよね……)

母性巫女 (大事なことだけど、この子に必要なのは嘘が駄目だとかじゃなくて)

母性巫女 (まずは無条件に信じてもらうことのような気がする)

母性巫女 (うーん……)

母性巫女 「……とりあえず、私の方からもみんなに話した方が良いかしら」


幼女魔王A 「い、いいよ、必要ないよ、私がちゃんと話したよ」


母性巫女 「でも、連絡はこまめにしておいた方が良いですし」

母性巫女 「ちゃんとこっちに着きましたよって、しらせないと」


幼女魔王A 「うぅ〜……」


母性巫女 「いやですか?」


幼女魔王A 「……やだ」


母性巫女 「あら」

母性巫女 「どうして」


幼女魔王A 「うぅ〜……」


母性巫女 「あらあら」


ナデナデ


幼女魔王A 「あぅう……むぅ〜」


ギュ


母性巫女 (気長に取り組みましょう)

母性巫女 (……って、そんな時間あるのかしら)



352 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/05/18(金) 16:56:02.13 ID:aQ2FNW4Xo


コツン


母性巫女 「?」

母性巫女 「また、入り口の方から……」


??? 「…………」

幼女魔王S 「はぅあっ」


コソコソ ゴン


幼女魔王S 「ぎゃんっ」


幼女魔王Sは 逃げ出した!
しかし 扉に頭をぶつけてしまった!



353 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/05/18(金) 17:02:29.30 ID:aQ2FNW4Xo


幼女魔王S 「えーん」


母性巫女 「あらあら……」


テクテク


母性巫女 (この子は……S、よね)

母性巫女 「大丈夫ですか」


ソ


幼女魔王S 「ふおあっ」


ビクッ


母性巫女 「……ごめんなさい。痛かったですか」


幼女魔王S 「い、いいえっ!」

幼女魔王S 「い、いいの!?」


母性巫女 「え?」


幼女魔王S 「さわっちゃって、いいの!?」

幼女魔王S 「わ、私、処女ですけど!」


母性巫女 「はあ……」


幼女魔王S 「私、貧乳ですけど……!」


母性巫女 「さっきはくっついてたでしょう。大丈夫、大丈夫ですよ」

母性巫女 (うちどころが悪かったのかしら)


354 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/05/18(金) 17:19:29.34 ID:aQ2FNW4Xo


幼女魔王A 「むぅ〜……」


母性巫女 「Sは、どうしてここに?」


幼女魔王S 「え゛っ、来ない方が良かったかしら!?」


母性巫女 「いえいえ、そんなことありませんよ」

母性巫女 「何か用事があるのかなって」


幼女魔王S 「おて、お手伝いしようかなって」

幼女魔王S 「お部屋、散らかってるかもしれないから……迷惑かもしれないけど……」


母性巫女 「あら。迷惑だなんて、そんなことありませんよ」

母性巫女 「ありがとうございます」


幼女魔王S 「わひっ……!?」

幼女魔王S 「……あ、うん」

幼女魔王S 「い、いえ。ええ、うん、私は魔王だから、そのくらいはしてあげるわ……!」


母性巫女 「あはは……」


ナデナデ


幼女魔王S 「ぉ、おへぇ……」


ジィン


幼女魔王A 「むぅ〜……」


355 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/05/18(金) 17:25:36.51 ID:aQ2FNW4Xo


母性巫女 「Sはみんなに、ここに来ること言ってきましたか?」


幼女魔王S 「えっ!?」

幼女魔王S 「……ご、ごめん、なさい」


母性巫女 「言ってないんですか?」


幼女魔王S 「ひっ」


ビクッ


母性巫女 「あっ、怒っているわけじゃありませんからね……」


ナデナデ


幼女魔王S 「……ふわぁ」


幼女魔王A 「……まま!」


母性巫女 「はい」


幼女魔王A 「お部屋、はやくお掃除しよう!」

幼女魔王A 「私、一番手伝えるよ!」


356 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/05/19(土) 03:28:55.84 ID:g3lG8+51o


母性巫女 「あら、頼もしい」

母性巫女 「でもその前に、やっぱり、二人がここにいることをみんなに言った方が……」


コツン コト


母性巫女 「あら、また……」


??? 「何やってんのよ」

幼女魔王P 「私が先に来たのよ」


??? 「じゃあこんなところでコソコソしてないで」

幼女魔王I 「さっさと入ってよ」


357 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/29(火) 09:25:32.80 ID:TPEQVHAho
さすがの母性
358 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/30(水) 19:34:33.73 ID:Kt4fqvcIo
幼女ホイホイ
359 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/23(土) 06:28:45.27 ID:8fLqMcbv0
360 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/07/20(金) 22:22:34.58 ID:1iXIamQMo


…………


パタパタ ドタバタ


幼女魔王S 「……あんぎゃあ、目が、目があぁあああ!」


母性巫女 「目を触らないで。ちょっと見せてください。埃かしら……」


幼女魔王A 「むう!」

幼女魔王A 「まま! 椅子、こっちに動かしたよ。次はなにするの?」


母性巫女 「ありがとうございます。えっと……」


幼女魔王S 「うぐおぁ……ふぎぁえおぅ……!」


母性巫女 「あっ、ちょっと待ってください」

母性巫女 「はい、痛いでしょうけど、ちょっとまばたきしてみてください……」


母性巫女A 「むうー!!」



幼女魔王I 「ちょっと、ちゃんとそっち側持ってよ」


幼女魔王P 「今、厳選中だから」


ピコピコ


幼女魔王I 「あんた何しに来たのよ……」


361 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/07/20(金) 22:24:05.86 ID:1iXIamQMo

>>360 ミスごめんなさい



…………


パタパタ ドタバタ


幼女魔王S 「……あんぎゃあ、目が、目があぁあああ!」


母性巫女 「目を触らないで。ちょっと見せてください。埃かしら……」


幼女魔王A 「むう!」

幼女魔王A 「まま! 椅子、こっちに動かしたよ。次はなにするの?」


母性巫女 「ありがとうございます。えっと……」


幼女魔王S 「うぐおぁ……ふぎぁえおぅ……!」


母性巫女 「あっ、ちょっと待ってください」

母性巫女 「はい、痛いでしょうけど、ちょっとまばたきしてみてください……」


幼女魔王A 「むうー!!」



幼女魔王I 「ちょっと、ちゃんとそっち側持ってよ」


幼女魔王P 「今、厳選中だから」


ピコピコ


幼女魔王I 「あんた何しに来たのよ……」
362 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/07/20(金) 22:37:51.71 ID:1iXIamQMo


幼女魔王S 「……まだひりひりするけど、取れたかも」


母性巫女 「良かっ……」


グイ


幼女魔王A 「まま! 早く、こっち!」


母性巫女 「はいはい、うふふ……」


幼女魔王I 「ねえ、これ、こっちで良かった?」

幼女魔王I 「違ってたらおしおきしても良いよ」


母性巫女 「はい。ありがとうございます」

母性巫女 「手伝ってもらえて、すごく助かりますよ」


幼女魔王P 「……別に、好きで手伝いに来たわけじゃないけど」


ポッ


幼女魔王I 「だからあんたは何しに来たのよ」


母性巫女 「あはは……」

母性巫女 (結局、部屋の片付けを手伝ってもらった)

母性巫女 (この塔で私がこの子たちに関わるのは良くないことかもしれないけれど……)


幼女魔王S 「ごめんなさい、何度もバケツひっくり返しちゃって」


幼女魔王I 「私も、絨毯燃やしちゃって……」


幼女魔王P 「お皿割っちゃって……」


幼女魔王A 「わ、私は何もしてないよ、本当だよ」


破れたページ


母性巫女 「大丈夫、大丈夫ですよ」

363 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/07/20(金) 22:50:44.24 ID:1iXIamQMo


ピカピカ


母性巫女 「おかげで部屋も綺麗になりました」


幼女魔王I 「こんなに速く掃除が終わるなんて、びっくり」


幼女魔王S 「私も、やればできるもんね……じゃなくて、と、当然のことだけどね」


幼女魔王P 「…………」


ピコピコピコ


幼女魔王S 「ちょっとP、何勝手にソファでくつろいでんのよ」


幼女魔王P 「ここだと集中できそうだから」


幼女魔王I 「まったく、この子はいっつもこうね」


母性巫女 (掃除が終わって、何だかみんな自信がついた……かも?)

母性巫女 (掃除を手伝ってもらったのは良いことだったのかしら)

母性巫女 (……お礼にお菓子と飲み物でも出せたら良いのだけど)


幼女魔王A 「まま、まま、まま」


ギュ


母性巫女 「はいはい」

母性巫女 (この子とは、気がついたら手を繋いでいる気がする)


幼女魔王A 「ごみ、どうするの?」


364 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/07/21(土) 01:15:41.86 ID:XnJ1jXiho
まってた
365 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/07/21(土) 02:28:40.37 ID:wgSLHiPjo


ゴミ袋×3


母性巫女 「けっこう出ましたね」


幼女魔王A 「私が三つとも縛ったんだよ!」


母性巫女 「ありがとうございます」


ナデ ナデ


幼女魔王A 「えへへ……」


母性巫女 「うーん……この塔にあるもの、私が勝手にゴミにしちゃって良いのかしら」


幼女魔王I 「大丈夫だよ」


幼女魔王S 「私たちから見てもただのゴミだよ」

幼女魔王S 「捨てちゃおう」


母性巫女 「そうですか……そうですね!」


幼女魔王I 「私が持つ」


幼女魔王S 「私が」


幼女魔王P 「…………」


ピコピコ


幼女魔王S 「あ、ずるい! ゲームしながらもう一つ持ってる!」


幼女魔王I 「しかも一番軽そう。楽して褒められる気ね!」


幼女魔王A 「だめ、私が三つとも全部持つの! 返して!」


幼女魔王P 「無理、いま手を離せないから。それにあんたが三つとも持つなんて出来るわけないし」


幼女魔王I 「そうよ、A。あんた一番力無いじゃないの」


幼女魔王S 「だいたい、あんたばっかりKと仲良くしてずるいわよ。処女のくせに!」


幼女魔王A 「いいんだもん。ままは私のだもん!」

幼女魔王A 「約束したもん!」


幼女魔王S 「出た、Aの約束したもんが!」


ギャアギャア


母性巫女 「み、みんなで持っていきましょうね」

母性巫女 (この塔にゴミを捨てるとこなんてあるのかしら)


366 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/07/21(土) 04:19:04.80 ID:wgSLHiPjo


…………


幼女魔王の塔 穴だらけの廊下




母性巫女 「これは……」


幼女魔王A 「ゴミは、だいたいここの穴に捨ててる」


幼女魔王S 「ときどき落ちそうになるよね」


母性巫女 「えぇ……」


幼女魔王A 「んしょっ……じゃあ、捨てる、よっ」


ヨロ


母性巫女 (うわあ、危なっかしい!)

母性巫女 「ま、待ってください、A」

母性巫女 「私がやりますから……!」


幼女魔王A 「だ、大丈夫だもん」


母性巫女 「じゃあ、一緒! 一緒に捨てましょう」

母性巫女 「ね?」


幼女魔王A 「一緒……」


母性巫女 「ええ、一緒……」

母性巫女 (あれ、手助けしない方がこの子のためなのかしら)

母性巫女 (でも危ないし……)


幼女魔王A 「でも、一人で捨てた方が……」

幼女魔王A 「いっぱいナデナデしてもらえる」


ヨロ ヨロ


母性巫女 「あああ、一人で捨てなくてもいっぱいナデナデしますから」

母性巫女 「ね、ね?」


幼女魔王A 「……ほんと?」


母性巫女 「本当。だから無理して危ないことしなくても大丈夫ですよ」


幼女魔王A 「……えへへ。じゃあ、一緒に捨てる」


幼女魔王S・I・P 「いいなあ……」


幼女魔王P 「……わ、私は別に興味ないけど」



367 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/07/21(土) 04:33:22.82 ID:wgSLHiPjo


母性巫女 「じゃあ私がゴミ袋を持ちますから……」

母性巫女 「Aは私の服を掴んでいてください」


幼女魔王A 「うん!」


幼女魔王S 「それ何か意味あるの?」


母性巫女 「せーの……」

母性巫女 「あら?」


幼女魔王A 「?」


母性巫女 (穴の向こうに、誰かいる)


??? 「…………」


フラ フラ


母性巫女 「あれは……」



??? 「…………」

幼女魔王R 「…………」


フラ フラ


368 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/07/21(土) 12:37:04.28 ID:wgSLHiPjo


幼女魔王I 「Rだわ」


幼女魔王S 「どうしてあんなところに。穴を飛び越えたの?」


幼女魔王P 「まさか。私たちの誰一人、ここの穴を飛び越えられない」


母性巫女 (R、たしか料理が得意な……)


幼女魔王I 「ふらふらしてる。危ないわ、落ちちゃう」


母性巫女 「こっちに連れてきます」


幼女魔王S 「ええっ、どうやって?」


母性巫女 「.穴を飛び越えて向こうまで行って、あの子を抱えて戻ってきます」


幼女魔王I 「危ないわ。穴だらけだし、どこが崩れるか分からないし、私が縦に十人寝そべっても足りない穴があるし」

幼女魔王I 「落ちてしまうとどうなるか分からな」


母性巫女 「えいっ」


母性巫女のジャンプ!


369 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/07/21(土) 13:49:49.31 ID:wgSLHiPjo


ピョーーーン

スタ


母性巫女 「大丈夫ですか」


幼女魔王R 「あう……」


母性巫女 (朦朧としている。……熱がある)

母性巫女 「いま向こうへ連れていきますからね」

母性巫女 「よいしょ」


ダキ


幼女魔王R 「ふあ……」

幼女魔王R 「おかあさんの、におい……」


母性巫女 「力を抜いて……そう。じっとしていてくださいね」

母性巫女 (この子を抱えて穴を飛び越える。負担がかからないように気をつけて……)


幼女魔王I 「危ないわ! 穴だらけだし、どこが崩れるか分からないし、私が縦に十人寝そべっても足りない穴があるし!」

幼女魔王I 「落ちてしまうとどうなるか分からな」


母性巫女 「やあっ」


母性巫女の小ジャンプ!


370 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/07/21(土) 13:59:07.38 ID:wgSLHiPjo


ピョーー


幼女魔王S 「あ、さっきより小さいジャンプ」

幼女魔王S 「それでも余裕っぽい!」


幼女魔王I 「これが知らない私の力!」


幼女魔王S 「あっ!!」


幼女魔王A 「えーん」


ズルル


幼女魔王S 「ああっ、Aが穴に落ちかけている!」


幼女魔王I 「着地してから助けたら間に合わない感じ!」

幼女魔王I 「大ピンチ!」


母性巫女 「はあっ」


母性巫女の多段飛び


トトト

ダキ

ピョイーン


幼女魔王S 「あっ、空中を歩くように跳んでAを助けて空中でジャンプして戻ってきた」

幼女魔王S 「すげえ!!」



371 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/07/21(土) 19:38:22.11 ID:wgSLHiPjo


母性巫女 「ふう」


幼女魔王A 「グスン、グスン……まま、ままぁ」


母性巫女 「よしよし」


ナデ ナデ


母性巫女 「間に合って良かった」

母性巫女 「いったい何がどうなって、あんなことに……」



幼女魔王S 「R、大丈夫?」


幼女魔王R 「うあ……」


幼女魔王I 「朦朧としてる。こんな状態で、どうしてあんなとこにいたのかしら」


母性巫女 「早くどこかで休ませないと」

母性巫女 「Rの部屋はどこでしょう?」


幼女魔王Iは 上を 指差した!
幼女魔王Sは 左を 指差した!
幼女魔王Pは 右を 指差した!
幼女魔王Aは 泣いている!


母性巫女 「仕方ありません。私が使わせてもらう部屋に運びます!」


372 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/07/22(日) 03:16:13.09 ID:2gTBUdCDo


…………

…………


母性巫女の部屋



母性巫女 「…………」


幼女魔王R 「……ぅう」

幼女魔王R 「? あれ、私……」


母性巫女 「気がつきましたか?」


幼女魔王R 「……あなたは、だあれ?」


母性巫女 「私は、えっと……」

母性巫女 (どう言えば良いのかしら)

母性巫女 「最近この塔に来た、母性巫女です」


幼女魔王R 「……! そう、新しい、私……?」


母性巫女 (あんまり私のことを話しすぎても、今は混乱するだけかもしれない)

母性巫女 「ここは私が使わせてもらっている部屋です」

母性巫女 「あなたが穴だらけの廊下にいたところを見つけて、他のあなたたちと私で、ここに連れてきました」

母性巫女 「おぼえていますか?」


幼女魔王R 「穴だらけの廊下……?」

幼女魔王R 「私、気分が悪くて、部屋で寝ていたのに」

幼女魔王R 「そんなところにいたの?」


373 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/07/22(日) 03:25:40.90 ID:2gTBUdCDo


母性巫女 「やっぱり、意識はなかったんですね」


幼女魔王R 「うん……」


母性巫女 「熱は大丈夫ですか。頭のタオル、かえましょうね」


幼女魔王A 「まま、はい」


濡れタオル


母性巫女 「あら」


幼女魔王A 「私が絞ったんだよ、ぎゅーってね」

幼女魔王A 「水、冷たかったけど、頑張ったの」


母性巫女 「ありがとうございます、A」

母性巫女 「さあ、タオルかえますからね……」


パタ ペタ


幼女魔王R 「……気持ちいい」


母性巫女 「良かった」


ナデ ナデ


幼女魔王R 「ん……んふふ……」


幼女魔王A 「……むぅ」


母性巫女 「Aが絞ってくれたおかげですね」


幼女魔王A 「えっ」

幼女魔王A 「う、うん」


374 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/07/22(日) 03:30:53.30 ID:2gTBUdCDo


母性巫女 「今、IとSがみんなに報せに行っています」

母性巫女 「あなたのこと、会議でも心配していましたよ」


幼女魔王R 「みんなが……」


母性巫女 「はい」


幼女魔王P 「私はどうでも良いけどね」


ピコピコ


母性巫女 「んもう」


幼女魔王P 「でも、良かったんじゃない。穴に落ちなくて」

幼女魔王P 「Rがいないとお菓子が食べられないって、みんな言ってたし」


幼女魔王R 「おかし……」

幼女魔王R 「私、料理が得意な幼女魔王なのよね……」


幼女魔王P 「今さら何言ってんの」



375 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/07/22(日) 03:46:31.32 ID:2gTBUdCDo


母性巫女 「病気と聞いていますけど」

母性巫女 「どうですか、今と前で、変わったところはありませんか?」


幼女魔王R 「……分かんない」

幼女魔王R 「でも、ちょっとずつ、悪くなってる気がする」


母性巫女 「そうですか……」

母性巫女 「熱の他に、何かきついところはありますか?」


幼女魔王R 「……うーん」


母性巫女 「無理に考えなくて良いですからね」

母性巫女 (日に日に悪くなってると聞いたけど、話はできるみたい)

母性巫女 (意識が無くても出歩く体力はあるみたいだし、顔色も悪くはない)

母性巫女 (ちゃんと休めばきっと治せるわ)

376 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/07/22(日) 03:59:37.19 ID:2gTBUdCDo


幼女魔王R 「……あなたは、知らない私?」


母性巫女 「え?」

母性巫女 「はい、たぶん……」


幼女魔王R 「そうだと思った」

幼女魔王R 「髪は黒くてサラサラだし、背も高いもの」


母性巫女 「そうですね……」


幼女魔王R 「私は?」


母性巫女 「え?」


幼女魔王R 「髪はピンク色でピョンピョンしてるし、背も低いし、痩せっぽちだけど」

幼女魔王R 「私は私? それとも、知らない私?」


377 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/07/22(日) 04:08:06.06 ID:2gTBUdCDo


母性巫女 「あなたは、Rじゃないんですか?」


幼女魔王R 「……Rよ」

幼女魔王R 「でも私、本当にそうなのか、分かんない」


母性巫女 「分かんない?」


幼女魔王R 「分かんないの」

幼女魔王R 「分かんなくて、分かんなくて……うーん、うーん」


母性巫女 「料理が得意なRじゃないんですか?」


幼女魔王R 「そうよ。私、料理は得意」

幼女魔王R 「料理が得意な、幼女魔王R」

幼女魔王R 「でも、でも、でも、分かんない」

幼女魔王R 「私は私? 知らない私?」


378 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/07/22(日) 04:18:15.24 ID:2gTBUdCDo


幼女魔王R 「私、私、私……」

幼女魔王R 「ううん、分かんないの、あのね、そうじゃなくてね、あのね……っ」

幼女魔王R 「ううん、うーん、んーん……」


母性巫女 「R」


ギュ


幼女魔王R 「……!」

幼女魔王R 「手……」


母性巫女 「大丈夫」

母性巫女 「大丈夫ですよ」


幼女魔王R 「……でも、私、私……」


母性巫女 「大丈夫、どんなあなたでも、あなたですからね」



379 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/07/22(日) 04:26:29.32 ID:2gTBUdCDo


幼女魔王R 「私、どんな私でも……どんな」


母性巫女 「分からないのも、あなた」

母性巫女 「料理が得意なのも、あなた」


幼女魔王A 「…………」


幼女魔王R 「でも私、料理が得意な私なの」

幼女魔王R 「私は幼女魔王Rで、Rは料理が得意なの」

幼女魔王R 「どうして?」

幼女魔王R? 「どうして私は、料理が得意なの?」


母性巫女 「R……」


ズシン


母性巫女 「?」

母性巫女 (今、揺れ……)


ユッサユッサユッサユッサ


母性巫女 「きゃあ!?」


幼女魔王たち 「ひゃあ!?」



380 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/07/22(日) 04:29:14.11 ID:2gTBUdCDo





隠し実績!
母性巫女の乳揺れ1000回 達成!
天使の触手下着(上)を 手に入れた!


381 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/07/22(日) 06:37:45.79 ID:2gTBUdCDo


母性巫女 (地震!?)

母性巫女 「皆、テーブルの下へ……!」


ガシ


幼女魔王A 「ううぅー! まま、ままぁ!」


ギュウウウ


母性巫女 「……!」

母性巫女 「危ないので口を閉じて、私にしっかりつかまってるんですよ……」


幼女魔王A 「はぶぅ」


母性巫女 (Pは……?)


幼女魔王P 「……! ………!」


母性巫女 (テーブルの下に入っている)

母性巫女 「R……」


幼女魔王R 「私、私……」


母性巫女 「…………」


母性巫女の かばう!
幼女魔王Rは かばわれた!
幼女魔王Aは かばわれた!


ユサユサユサ

ゴゴゴゴゴゴ

…………


382 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/07/22(日) 06:49:37.72 ID:2gTBUdCDo


ゴゴゴゴ

ユッサ ユッサ

…………



母性巫女 「……止まった?」


幼女魔王A 「フーッ、フーッ、フーッ……!」


ギュウウ


母性巫女 (すごい呼吸の乱れ)

母性巫女 「怪我がなくて良かった……」


ナデ ナデ


幼女魔王A 「…………」


ガタ ガタ ブル ブル


母性巫女 (身体が震えてる。怖かったのね)


幼女魔王R 「…………」


母性巫女 (Rも無事)

母性巫女 「P?」


幼女魔王P 「……ああああああああ゛!」


母性巫女 「!?」


幼女魔王P 「せっかく出たのに、やっと出たのに! クソ地震のせいで! クソ甘ゆるゆるボタンのせいで!」

幼女魔王P 「うおぁあぁあ゛ぁあ゛〜〜〜〜ぁ゛!?!?!?」


ピコピコピコピコ


母性巫女 (よく分からないけど大丈夫みたい)


383 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/22(日) 16:12:08.58 ID:gs+fqyEJO
キテタ━━━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━━━ !!!
384 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/08/22(水) 02:55:51.38 ID:HBWvTFRI0
待ち
385 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/08/26(日) 19:48:06.99 ID:oWgC3DER0
待機
386 : ◆9eN28dDkrjul [saga sage]:2018/10/19(金) 18:51:37.31 ID:lA1CgCrd0
復活おめでとるこ
387 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/11/01(木) 02:46:33.55 ID:HkU6/dyd0
待ち
388 : ◆9eN28dDkrjul [saga]:2018/11/09(金) 22:35:34.62 ID:cAiD0rTk0


…………


幼女魔王P 「終わった……何もかも……もう、死なせて……」


母性巫女 「はいはい、ちゃんと手を繋いでいるんですよ」

母性巫女 (さて、どうしよう。外へ避難……って、部屋を出ても塔の中だし……)


幼女魔王R 「…………」


母性巫女 (他の子たちの様子が心配だけど、Rから離れるわけにも……)



??? 「……おお〜い」


389 : ◆9eN28dDkrjul [saga]:2018/11/09(金) 22:43:14.81 ID:cAiD0rTk0


母性巫女 「!!」


幼女魔王A・P 「ひっ……」


母性巫女 (階段で聞いた声……)


??? 「…………おおーい」
??? 「…………おおーい」


母性巫女 (この声に答えては駄目……)


幼女魔王A 「だ、駄目だよ、まま、ぜ、絶対、駄目……!」


幼女魔王P 「答えなかったら、こ、怖くないから……!」


ガタガタガタ


母性巫女 「はい。はい……っ」


ギュウ

390 : ◆9eN28dDkrjul [saga sage]:2018/11/10(土) 22:01:31.63 ID:1Y1a2Flc0


???「……おおーい」


母性巫女 「…………」

母性巫女 (ずっと下の方から聞こえてくる、かすかな声なのに、強い存在感)

母性巫女 (得体の知れない影が、暗いところでおどろおどろしく蠢く様子が、嫌でも頭に浮かんでくる)

母性巫女 (考えたくなくても逃げられない。気持ち悪い……怖い……吐き気が……)


??? 「……おおーい」


幼女魔王P 「…………」


幼女魔王A 「…………まま」


母性巫女 「……っ」

母性巫女 「……大丈夫。大丈夫ですよ……」


ギュ


幼女魔王A 「……うん」


母性巫女 (この子たちを守らなきゃ……)


??? 「…………おおーい」
??? 「…………おおーい……」


391 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/11/13(火) 11:09:38.65 ID:ziidznMPO
更新キテタ―(゚∀゚)―( ゚∀)―( ゚)―(  )―(゚ )―(∀゚ )―(゚∀゚)―!!
392 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/16(日) 06:21:10.68 ID:Y2go56Uy0
待ち
393 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/16(日) 06:23:16.92 ID:Y2go56Uy0
待ち
394 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/28(金) 20:09:21.62 ID:gdnDeQvBO
色々とお話しを投稿するのが大変でしょうがお待ちしてます
395 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2019/01/24(木) 07:49:52.33 ID:riKjPqc80


ガチャ キイイ バタン


母性巫女 「!!」


幼女魔王AP 「ひっ!」


??? 「……よかった」
幼女魔王G 「みんな無事だね」


幼女魔王G が あらわれた


母性巫女 「あ、ええと……」


幼女魔王G 「Gだ。SとIから話は聞いた」
幼女魔王G 「だが、今はこの声だ」


??? 「…………おおーい」


幼女魔王G 「絶対に、答えてはいけないよ」


母性巫女 「は、はい」

396 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2019/01/25(金) 14:51:17.11 ID:zuOYlNJJ0


幼女魔王G 「AとP、Rのことも守ってくれていたんだね、ありがとう」
幼女魔王G 「君もこんなに震えているのに」


母性巫女 「いえ……」
母性巫女 「Gは大丈夫なんですか。こんな恐ろしい声を聞いて」


幼女魔王G 「心配いらない」
幼女魔王G 「私は、この声を聞いても平気でいられる」
幼女魔王G 「他の私たちは、皆そういう風になってしまうが」


幼女魔王AP 「ガタガタガタ……」


397 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/27(日) 07:07:14.76 ID:TH0tSV46o
きた!もっと!!
398 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2019/02/01(金) 08:35:40.43 ID:wklV+agG0



??? 「………おおーい」


母性巫女 (どうして、あんな恐ろしいものがここにいるのかしら)
母性巫女 (ここがNそのものなら、どうして……)


幼女魔王G 「……いつもよりしつこいな。それに近い」


母性巫女 「え」


幼女魔王G 「これまでも、あの声がこうやって流れてくることはあったんだが」
幼女魔王G 「今回はどうも妙だ」


母性巫女 「……さっきの地震と関係があるのかしら」


幼女魔王G 「かもしれない」


399 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2019/02/01(金) 08:43:59.78 ID:wklV+agG0


幼女魔王A 「の……のぼってくるの? あれが」


母性巫女 「え?」


幼女魔王A 「くるんだ……あ、あれが、地震のせいで、私たちの場所を見つけて、のぼって」


幼女魔王P 「や、やめてよ! そんなこと言うの!」


幼女魔王A 「くる……き、来ちゃう、逃げても逃げても、上まで……!」


幼女魔王G 「落ち着くんだ、A。あれは来ないよ」
幼女魔王G 「答えなければ、ぜったいに大丈夫だ」


母性巫女 「A……」


幼女魔王A 「来る、ひっく、来る、く……うああ……うあああああん!」

400 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2019/02/01(金) 09:36:58.45 ID:wklV+agG0


母性巫女 「大丈夫、大丈夫……っ」
母性巫女 (……ああ、手が震えてしまう)


幼女魔王A 「う、うぅうう!まま、まま、まま、やだよ、怖いよ、怖いよ、怖いよう!」


幼女魔王P 「グスッ、う、うぅ……」


母性巫女 (……駄目だわ。私が怖がっていたら、この子たちを安心させられるわけない)
母性巫女 「…………」


ナデ ナデ


幼女魔王A 「う、うぅ、うあああ、うああああん……」


母性巫女 「……大丈夫」


ギュウ


幼女魔王A・P 「うう、ううぅ……」


母性巫女 「怖くても大丈夫。だから、いっぱい泣きなさい」
母性巫女 (……不思議。こんなに小さな子たちを抱きしめているだけで、震えがおさまっていく)


401 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/31(木) 02:31:09.31 ID:Y7CY0dbv0
マダー?
402 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/17(月) 00:59:30.31 ID:exCA78GcO
待ってるんだぞ
403 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga sage]:2022/03/17(木) 18:24:46.40 ID:ZS8ZVGLvo



幼女魔王A 「まま……」


デロー


母性巫女 「心配いりませんからね……あら」
母性巫女 (顔を上げたAの鼻から、鼻水が糸を引いてる)


幼女魔王A 「あう。服、汚してごめんなさい」


母性巫女 「うふふ、大丈夫……ですけど、何か拭くもの拭くもの……」


幼女魔王G 「どうぞ」


金の刺繍のハンカチ


母性巫女 「あら、こんな綺麗なハンカチ……」


幼女魔王G 「構わないさ。私のものを拭くんだから」


母性巫女 「そうですか……?」


幼女魔王A 「ふが……あう゛」


母性巫女 「ありがとうございます、G」
母性巫女 「さあ、A、お鼻かみましょうね」


幼女魔王A 「うじゅうう」


チーン


404 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2023/06/07(水) 08:23:13.34 ID:NPBlHHBUo


母性巫女 「大丈夫、大丈夫」


ナデ ナデ


幼女魔王A 「ううう」


幼女魔王P 「母性巫女……」


母性巫女 「大丈夫ですよ、大丈夫。私が」

母性巫女 「私がちゃんと、ついていますからね」


ギュッ


幼女魔王R 「……あったかい」



幼女魔王G 「…………」


ドダダダダ キイィ バタン


幼女魔王A・P 「ひっ!?」


??? 「フェニックス!!」
幼女魔王WHF 「緊急事態だ!」


幼女魔王G 「どうしたんだい、偽フェニックス隊」


幼女魔王H 「偽者だって!?」


幼女魔王F 「どこだ!?」


幼女魔法W 「違う、緊急事態だ!」


幼女魔王H・F 「そうだ!」


幼女魔王G 「私が広間を離れてから起きた、地震のことかな」


幼女魔王W 「ああ! さっきの地震のせいで」

幼女魔王W 「広間がまるごと消えうせた!!」

405 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2023/06/07(水) 08:36:31.25 ID:NPBlHHBUo


幼女魔王G 「なっ……」


母性巫女 「丸ごと!?」


幼女魔王W 「丸ごと、すっかりだ!」


母性巫女 「みんなはどうなったんですか!?」


ダダダダダダ
ガチャ キイィ バタム


幼女魔王A・P 「ひっ」


??? 「直近の会議に出席した私たちは」
幼女魔王C 「みんな無事……! だけど……」


幼女魔王G 「C……」


ゾロゾロゾロゾロ


幼女魔王S 「死ぬかと思った!」


幼女魔王L 「死ぬところだった!」


幼女魔王たち 「大変だった!」

406 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2023/06/07(水) 08:54:01.15 ID:NPBlHHBUo


幼女魔王C 「Gが広間を出たあと、やっぱりみんなもここに」

幼女魔王C 「母性巫女の部屋に行くことになって……」


幼女魔王G 「それで、広間を消した地震に巻き込まれなかったんだね」


幼女魔王C 「ええ。だけどすぐに……」



??? 「……おおーい」



幼女魔王たち 「ひいっ…!」


ガタガタガタ


幼女魔王C 「うぅ……っ」

幼女魔王C 「あの声が、どんどんのぼってきて、それで……!」


母性巫女 (広間までのぼってこなかった声が)

母性巫女 (広間が消えたから、のぼってきた……?)


幼女魔王G 「……Mの姿が見えない。あの子はどこだい」


幼女魔王C 「行ってしまった……!」


幼女魔王G 「まさか……」


幼女魔王C 「逃げろって言ったのに」

幼女魔王C 「あの私だけが、あの声に向かって行っちゃった!」


407 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga sage]:2023/06/07(水) 09:10:45.55 ID:NPBlHHBUo


母性巫女 「M……!」


幼女魔王C 「ごめんなさい……取り乱したわ」

幼女魔王C 「あの声がのぼってきて、私たちみんな走れなくなってしまったの」

幼女魔王C 「それで、あの声を遠ざける美触手を操れるMが」

幼女魔王C 「私たちが逃げる時間を稼ぐために戦うって……」


母性巫女 「………」


幼女魔王A 「……まま? なんで立つの? 私から離れるの?」


母性巫女 「みんなと一緒に、少しだけ、ここで待っててくださいね、A」


幼女魔王G 「…………」


幼女魔王C 「まさか、K……母性巫女」


母性巫女 「あの子のところに行ってきます」


幼女魔王A 「……や、やだ! ちゃんとついててくれるっていったのに!」


母性巫女 「はい。だから、頑張って戦うあなたに、ちゃんとついててあげなくちゃ」


幼女魔王A 「…………!」



408 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga sage]:2023/06/07(水) 09:20:39.66 ID:NPBlHHBUo


幼女魔王G 「私も行こう」


母性巫女 「G……」


幼女魔王G 「私はあの声が平気だし」

幼女魔王G 「君よりもあの声との付き合いは多少長いからね」


幼女魔王A 「…………うぅう」


母性巫女 「A、お留守番が終わったら、夜はくっついて寝ましょうね」


幼女魔王A 「……おっぱいも」


母性巫女 「うん?」


幼女魔王A 「おっぱいも飲む」


母性巫女 「え゛っ……」


409 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga sage]:2023/06/07(水) 09:42:32.57 ID:NPBlHHBUo


幼女魔王の塔 ぐちゃぐちゃな階段





??? 「……おーい」


幼女魔王M 「……美触手!」


美触手 「クュルルル」


美触手の こうげき!
???の声が のぼってくる……


??? 「おおーい、ふひひ……おおーい……」


幼女魔王M 「……! なんで、いつもは悲鳴をあげて逃げてくのに!」


??? 「ぐひ、ぐひ……おおーい」


幼女魔王M 「のぼって来るな! 帰れ! 帰れ!」


美触手の こうげき!
美触手の こうげき!
美触手の こうげき!


???「うひひひひ、おおーい、ひひひ……」


幼女魔王M 「私が守るんだ」

幼女魔王M 「私が私を守らなきゃ!」


美触手の こうげき!
美触手の こうげき!
美触手の こうげき!
???の声が のぼってくる
あたりに いやなにおいが 漂う……
美触手の こうげき!


??? 「おおーい……」


幼女魔王M 「私が私を守れなきゃ」

幼女魔王M 「私は私になれないんだ!」


美触手の こうげき!
美触手の こうげき!
いやなにおいが 幼女魔王Mをおそう
幼女魔王Mは 発情Lv.1に なった!
美触手の こうげき!
???の声が のぼってくる……


幼女魔王M 「私が、私が……!」


美触手の こうげき!
美触手の こうげき!
幼女魔王M は指示に集中できない!
美触手の こうげき!
いやなにおいが 強くなっていく……
幼女魔王Mは 発情レベルが ぐーんと上がった!
幼女魔王Mは 混乱Lv.1に なった!


幼女魔王M 「わ、私……私……?」


410 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga sage]:2023/06/07(水) 09:54:24.26 ID:NPBlHHBUo


美触手の こうげき!
幼女魔王Mは 指示に集中できない!
???の声が のぼってくる……
幼女魔王Mは 指示に集中できない!
???の声が のぼってくる……
いやなにおいが 強くなっていく……



幼女魔王M 「私……」


??? 「おおーい……」


幼女魔王Mは 指示に集中できない!
???の声が のぼってくる……
???の声が のぼってくる……
美触手の こうげき!
いやなにおいが つよくなっていく……
???の声が のぼってくる……


??? 「おおーい……いひひひ」

??? 「ぐふひひ、おおーい……」


幼女魔王M 「私……美触手で……」


??? 「おおーい」

??? 「おおーい」

??? 「おおーい」


幼女魔王M 「私……私は私、で……」

幼女魔王M 「私、私……」


???の声が のぼってくる……
いやなにおいが 強くなっていく……
幼女魔王Mの 発情レベルが ぐーんと上がった!
幼女魔王Mは 恐怖Lv.3になった!
???の声が のぼってくる……


幼女魔王M 「私……なんで」

幼女魔王M 「美触手を操れるの……?」


???の声が のぼってくる……
???の声が のぼってくる……
幼女魔王Mの おもらし!
いやなにおいが 弱くなっていく……
???の声が のぼってくる……


??? 「おおーい、おおーい、おおーい」
??? 「ぐひひひひ」


いやなにおいが 強くなっていく……
いやなにおいが 強くなっていく……





411 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga sage]:2023/06/07(水) 10:00:49.01 ID:NPBlHHBUo



幼女魔王M 「私……私は、なに……」
幼女魔王M 「私はわたしで、知らない私……私……」


???の声が のぼってくる……
???の声が のぼってくる……


??? 「ぐひひひひひ」

??? 「ぐひゅ、ぐひゅ、フシュー……」

??? 「ぐひひ」

??? 「ぐひひひひひ」

??? 「ぐひひひひひひひひ………」

??? 「おおーい」

??? 「おおーーい」


幼女魔王M 「…………」

幼女魔王M 「…………」

幼女魔王M 「……はぁい」



いやなにおいが 強くなっていく……


412 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga sage]:2023/06/07(水) 10:11:43.33 ID:NPBlHHBUo


???の声が のぼってくる……


??? 「ぐひ、ぐひ、ぐひひひ」


幼女魔王M 「…………わたし」


??? 「ふひ、ひひ、おれの、お嫁さん」


幼女魔王M 「お嫁さん……わたし、お嫁さん」


??? 「奴隷、道具、おもちゃ」


幼女魔王M 「わたし、奴隷……おもちゃ……」


??? 「ひひひひ、ひひひ……」


幼女魔王M 「……わたし」



……ダダダダダ
ダダダダダ
バシュン



??? 「ぎゃっ!?」


母性巫女 「大丈夫ですか、M!」


母性巫女の お母さん炎ビーム!
母性巫女が 現れた!
???の声が 遠ざかる!

413 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga sage]:2023/06/07(水) 10:17:22.83 ID:NPBlHHBUo


タタタタタ


幼女魔王G 「今、なにかすごいものが出なかったかい?」


幼女魔王Gが 現れた!


母性巫女 「M、M、大丈夫ですか!?」


幼女魔王M 「わたし、わたし……M?」


幼女魔王G 「どうやらひどく混乱しているようだ」

幼女魔王G 「自分のことも分からないくらいに」


母性巫女 「M、M……?」


幼女魔王M 「……まま」


母性巫女 「はい、はい、助けにきましたよ」


幼女魔王M 「わたし……わたし……」

幼女魔王M 「ドM?」


母性巫女 「ああ、すごく混乱してる!」

414 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga sage]:2023/06/07(水) 10:24:10.39 ID:NPBlHHBUo


幼女魔王M 「わたし……私は……あへ……」


母性巫女 「ああ、こんなになるまで頑張って……」

母性巫女 「……ぅう!?」


クラッ


母性巫女 (すごいにおい……)


幼女魔王G 「声と同じ、いやな毒だ」

幼女魔王G 「母性巫女、私のハンカチで口を覆って」


母性巫女 「は、はい」


母性巫女は ハンカチを 装備した


母性巫女 「濡れてる……」


幼女魔王G 「Aの鼻水だね」



415 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga sage]:2023/06/07(水) 10:40:25.11 ID:NPBlHHBUo


母性巫女 (布一枚あてただけなのに、においが弱くなった……)


幼女魔王M 「わたし、まま、まま、わたし……」


母性巫女 「大丈夫、大丈夫ですからね、M」

母性巫女 「……早く連れて戻らないと」


幼女魔王G 「頼むよ」


母性巫女 「G……?」



??? 「……おおーい」



母性巫女 「!」

母性巫女 「また、のぼってくる……!」


幼女魔王G 「広間が消えた影響だろうね」

幼女魔王G 「あれはもう、この塔のどこまでも行けるのかもしれない」


母性巫女 「そんな。それじゃあ……」


幼女魔王G 「そうだ」

幼女魔王G 「もはやあれはやってしまうしかない」

幼女魔王G 「この塔のために、殺してしまうしかない」


416 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga sage]:2023/06/07(水) 10:57:11.78 ID:NPBlHHBUo


幼女魔王G 「遅くまで起きていると目玉取りおばけが来る」

幼女魔王G 「お臍を出して寝るとお臍にムカデの卵を産み付けられる」

幼女魔王G 「怖いものというのは、ときに成長のためには必要なものなんだ」

幼女魔王G 「だがもうあれは違う。客としてのルールを破った」

幼女魔王G 「あんなものはここにあってはならない」


母性巫女 「……あなたは」


幼女魔王G 「行きなさい。その子と安全な場所へ」


母性巫女 「駄目ですよ。それならあなたも一緒です」


幼女魔王G 「大丈夫」

幼女魔王G 「ここにいるべきだったのはMじゃなく、私だったんだ」

417 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga sage]:2023/06/07(水) 11:17:16.88 ID:NPBlHHBUo



??? 「おおーい」

??? 「おおーい」

??? 「おおーい!」



幼女魔王G 「あれの声もにおいも、私を屈服させることはできない」

幼女魔王G 「なぜなら私は、そういうものだからだ」


母性巫女 「G……」


幼女魔王G 「幼女魔王G。ゲームが大好きな幼女魔王。けれど私は」

幼女魔王G 「たいしてゲームが好きじゃない」


母性巫女 「え……」


幼女魔王G 「LだとかRだとかボタンの名前をいちいち覚える気になれないし」

幼女魔王G 「とくにあのグリグリ動く棒みたいなやつの存在が許せない」

幼女魔王G 「停止した状態から前に走るように倒しても、ちょっと際どい足場に立った画面内のキャラが」

幼女魔王G 「ちょっと別方向に進んでから指示した方向へ走りだすから、落ちちゃって」

幼女魔王G 「そんなことばっかりで本当に嫌になる」


母性巫女 「ちょっとよく分かりませんけど……」


幼女魔王G 「私は違う幼女魔王Gだ」

幼女魔王G 「幼女魔王を守る幼女魔王」

幼女魔王G 「ガーディアンの幼女魔王なんだ」




418 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga sage]:2023/06/07(水) 11:35:43.65 ID:NPBlHHBUo



母性巫女 「カーディガン……」



???2の声 『キャハハハハハハハハハ』



母性巫女 「!?」

母性巫女 「うっぷ……この、声!」



???2 『キャハハハハハハハハ!』
毛玉触手『キャハハハハハハハハ!』


毛玉触手が 現れた! 



母性巫女 「……!!」

母性巫女 「あ、うあ……!」


母性巫女の 淫らな記憶が 甦る!
母性巫女は すくみあがった!


幼女魔王G 「来たか……!」


??? 「おおおーい」
??? 「おおお゛ーい゛!!!」


???の声が のぼってくる……



幼女魔王G 「黙れ!」


幼女魔王Gの 雄たけび!
???の声を かきけした!


幼女魔王G 「母性巫女、行きなさい!」


母性巫女 「うぐぐ……」


幼女魔王M 「……ごめんなさい、ごめんなさい」

幼女魔王M 「ごめんなさい、……ちゃん、ごめんなさい……」


ガタガタ ブルブル


母性巫女 「M……」

母性巫女 (……頑張らなきゃ!)


母性巫女は 頑張った!
母性巫女は 勇気が湧いた!
母性巫女の 淫らな記憶が 吹き飛んだ!



419 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga sage]:2023/06/07(水) 12:05:40.13 ID:NPBlHHBUo


幼女魔王M 「ごめんなさいごめんなさい……ごめんなさい…」


母性巫女 「M……」

母性巫女 (早く上へ。でも……)


毛玉触手 『キャハハハハハハ!』


ゴオオオ


母性巫女 (! 来る……っ)



毛玉触手の 浮遊たいあたり!


??? 「おおー……ぎいぃ!」


???に 5のダメージ!



母性巫女 「……え?」

母性巫女 (毛玉触手が、声に向かって突っ込んでいった?)

母性巫女 (声がどんどん遠ざかっていく……)


幼女魔王G 「母性巫女、Mとみんなを頼んだよ!」


ダダダダ


母性巫女 「ああっ、G、待って……!」


ゴゴゴゴ


母性巫女 「!?」


ガララララララ


母性巫女 「わわわ……っ」

母性巫女 (Gと私の間の床と天井が、一緒に崩れだした)


ガララララ
ゴゴゴ

モクモクモク



母性巫女 「…………G」

母性巫女 (道が完全に塞がってしまった)


幼女魔王M 「……ぅ、うぅ」


母性巫女 (戻るしかない……)


420 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga sage]:2023/06/07(水) 12:43:26.46 ID:NPBlHHBUo


幼女魔王の塔 母性巫女の部屋



ガチャ
キイイ パタム


幼女魔王A 「まま!」

幼女魔王たち 「母性巫女!」


母性巫女 「ただいま戻りました」


幼女魔王A 「お、おかえりなさい……!」


トテテテテ


幼女魔王A 「……あ」


幼女魔王M 「…………」


母性巫女 「……A、Mを寝かせるの、手伝ってくれますか」


幼女魔王A 「う、うん。Rの隣でいい?」


母性巫女 「お願いします」


幼女魔王C 「Mは、大丈夫なの? 生きているの?」


母性巫女 「C。弱っているけど、はい」


幼女魔王C 「そう……」

幼女魔王C 「良かった……!」


幼女魔王F 「フェニックスだ!」


幼女魔王H 「フェニックス!」


幼女魔王C 「…………」

幼女魔王C 「それで、Gはどこ?」


母性巫女 「それが……」


421 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga sage]:2023/06/07(水) 13:27:59.63 ID:NPBlHHBUo


カチ コチ カチ コチ
ポーン



幼女魔王I 「それでそれで、どうだったの? あの声」

幼女魔王I 「Mの体のすみずみまで、いじめてくれたの?」


幼女魔王J 「貫通された? Mのお尻から口までズリズリされた?」


幼女魔王E 「石鹸は? 石鹸は使われた?」


幼女魔王M 「うっさい……ぶっとばすわよアンタら……」


キャッ キャッ




幼女魔王C 「……そうなのね。Gが、あの声を」


母性巫女 「はい」

母性巫女 「……ごめんなさい」


幼女魔王C 「いいえ。帰ってきてくれてありがとう」

幼女魔王C 「きっとGの言うとおり」

幼女魔王C 「あの声は、あのままだったらきっと、ここまでやって来た」

幼女魔王C 「やっつけなきゃいけなかった」

幼女魔王C 「できれば私たちの、誰かが……」


幼女魔王L 「やっつけられたの?」


幼女魔王S 「声は聞こえなくなったけど」


幼女魔王C 「…………」


母性巫女 (Gのこと、あの毛玉のこと)

母性巫女 (なんて話したら良いのかしら)


422 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga sage]:2023/06/07(水) 13:52:16.42 ID:NPBlHHBUo


幼女魔王S 「ううむ、ただのゲーム大好きな私が」

幼女魔王S 「道連れにしたくらいであの声をやっつけられるものか」


幼女魔王D 「でも、あの私って、あの声を聞いても平気だったよね」


母性巫女 「……あの。Gのことなんですけど」


幼女魔王C 「なあに」


母性巫女 「ゲームが大好きなG……じゃ無かったみたいです」


幼女魔王L 「えっ!?」


幼女魔王H 「フェニックス!?」


幼女魔王F 「偽者か!?」


母性巫女 「あ、いえ。ちゃんと本物? だったみたいですけど」


幼女魔王C 「…………」

幼女魔王C 「あの私は何の私だったか、母性巫女は教えてもらったの?」


母性巫女 「はい」

母性巫女 「幼女魔王を守る幼女魔王」

母性巫女 「…………」




母性巫女 「……カーディガン」

母性巫女 「だそうです……」



幼女魔王たち 「…………」

幼女魔王たち 「カーディガン……」



423 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga sage]:2023/06/07(水) 14:03:09.72 ID:NPBlHHBUo


幼女魔王L 「カーディガン……」


幼女魔王P 「ゲームが好きじゃないのは何となく感じてたけど。どうでもいいから黙ってたけど……」


幼女魔王S 「たしかに、どこかあたたかい感じのする私だったわ」


幼女魔王D 「肌寒い朝夕も、冬の寒さも、さりげなく暖めてくれるような」


幼女魔王W 「そんなフェニックスだったわね……」


母性巫女 「…………」


幼女魔王C 「……ありがとう」

幼女魔王C 「幼女魔王G」




幼女魔王たち 「私たちの、カーディガン……」





424 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga sage]:2023/06/07(水) 14:04:42.97 ID:NPBlHHBUo


ガチャ キイイ
パタム



幼女魔王G 「…………」

幼女魔王G 「ガーディアンだね」



幼女魔王たち・母性巫女 「!?」








425 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga sage]:2023/06/07(水) 15:05:11.21 ID:NPBlHHBUo



幼女魔王C 「G……!」


幼女魔王G 「ただいま、C。Mは……無事なようだね」


幼女魔王M 「無事じゃないわよ……全身重いし」

幼女魔王M 「さっきから私が私の不幸にたかってくるし……」


幼女魔王I 「ペンペン」 


幼女魔王J 「ズリズリ」


幼女魔王E 「ヌルヌル」




幼女魔王G 「Mをありがとう母性巫女」

幼女魔王G 「私はガーディアンだけど」


母性巫女 「ご、ごめんなさい」

母性巫女 「良かった、本当に……無事だったんですね」

母性巫女 「階段が崩れてしまって、もう駄目かと……」


幼女魔王G 「ああ、私も覚悟していたよ」

幼女魔王G 「けれど、幸運ってあるんだね」



426 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga sage]:2023/06/07(水) 15:12:20.69 ID:NPBlHHBUo


幼女魔王C 「いろいろ聞きたいことがあるけど」

幼女魔王C 「どうしよう。何から聞けば良いのかしら」


幼女魔王G 「ああ。私も話さなくてはならないことがあるけれど」

幼女魔王G 「ゆっくり、順をおわずに話すとしよう」

幼女魔王G 「とにかくもう、怖い声が聞こえてくることは、なくなったのだから」


幼女魔王S 「なくなった?」


幼女魔王C 「それって……」


幼女魔王G 「いってしまったよ、あの声は」

幼女魔王G 「私たちの行くところのどことも違う場所に」


幼女魔王たち 「…………!」



427 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga sage]:2023/06/07(水) 15:55:15.52 ID:NPBlHHBUo


幼女魔王A 「……あの怖い声、もう聞こえないの?」


幼女魔王G 「ああ。もっと怖いものが」

幼女魔王G 「ぜんぶ食べてしまったからね」


幼女魔王S 「ももも、もっと怖いもの!?」


幼女魔王G 「ああ……」


キャハハハハハハ


幼女魔王たち 「!?」


母性巫女 「……!」




毛玉触手 『キャハハハハハ』


毛玉触手が 現れた!


幼女魔王P 「ひっ……!!」


幼女魔王W 「おのれ出たな! いくぞフェニックス隊!」


幼女魔王L 「わああ、戦いを挑まないで! じっとしてて!」



幼女魔王A 「ま、まま……!」


ギュウゥ


母性巫女 「大丈夫、大丈夫ですからね……」

母性巫女 (あれ……私、何だか少し、あの毛玉触手の笑い声が平気になってる?)


幼女魔王C 「ええ、こちらから何もしなければ、何もしてこないわ」

幼女魔王C 「ただ怖いだけ」


幼女魔王J 「あいかわらず怖い……けど、あのぶっとい触手……グヘヘ」


毛玉触手 『キャハハハハハ』



幼女魔王A 「あれがもっと怖いもの?」


幼女魔王G 「ううん。あれは、待っているだけだ」



428 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga sage]:2023/06/07(水) 16:10:56.04 ID:NPBlHHBUo


幼女魔王C 「待っている?」


幼女魔王L 「誰を?」


幼女魔王G 「……私たちかな」


幼女魔王S 「?」


幼女魔王C 「……そう」



毛玉触手 『キャハハハハハ……』




幼女魔王A 「……じゃあ、もっと怖いものって……ううぅ」


母性巫女 「よしよし、大丈夫大丈夫」

母性巫女 (広間からずっと下の、あの棺……)


幼女魔王G 「そう、大丈夫だよ、A」

幼女魔王G 「怖くて大丈夫だ」

幼女魔王G 「この塔にある怖いものは、本当は」

幼女魔王G 「私たちのために、怖いのだから」


幼女魔王A 「……?」



429 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga sage]:2023/06/07(水) 17:17:41.24 ID:NPBlHHBUo


……

…………



幼女魔王の塔 厨房


カチャカチャ コトコト
クツクツクツ



母性巫女 (私に分けてくれた部屋のすぐ近くが台所だったなんて)

母性巫女 (広間はなくなってしまったけど、よかった)

母性巫女 (……ここで何かを食べるって、現実にはどういうことなのかしら)


幼女魔王A 「まま…おひげとるの、終わった……」


細長い野菜


母性巫女 「ありがとうございます」

母性巫女 「うん、とっても丁寧」


幼女魔王A 「えへへ……いっぱい、やりなおしたから」

幼女魔王A 「ほかに、何かする?」


母性巫女 「うーん、そうですね」

母性巫女 「どうしましょう、R?」


幼女魔王R 「……もうすぐお鍋持って行かなきゃだから、Aは、食べるところの様子を見てほしい」

幼女魔王R 「食器。持って行ったり、お片づけとか……ちゃんと、できてるか……」

幼女魔王R 「お願い、します……」


母性巫女 (なんだか、ぎこちない……)


幼女魔王A 「う、うん……じゃあ、いってくる」


430 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga sage]:2023/06/07(水) 17:47:59.85 ID:NPBlHHBUo


コトコト 


幼女魔王R 「あとは、これだけ……」


母性巫女 「はい」

母性巫女 「……体の具合、つらいところりませんか?」


幼女魔王R 「うん……大丈夫」


母性巫女 「Rのおかげで、おいしいお鍋になりそうですね」



処女風魚介野菜鍋



幼女魔王R 「……う、うん」

幼女魔王R 「でも、私、やっぱり」

幼女魔王R 「いいのかな……私」


母性巫女 「R?」


幼女魔王R 「だって……ぜったい見たことないお野菜も」

幼女魔王R 「食べたことないお魚も……」

幼女魔王R 「どうやったらおいしくできるか、切り方とか……知ってて」

幼女魔王R 「お鍋料理のしかた、覚えた記憶、ぜんぜん、ないのに」


母性巫女 「はい……」


幼女魔王R 「だから、どうやってお料理おぼえたか、分からないから……」

幼女魔王R 「これから、どうやって新しいお料理おぼえたら良いか、分からないから」

幼女魔王R 「ううん、きっと、私、料理をおぼえたくない。新しいことおぼえるの眩暈がする」

幼女魔王R 「できるから、だからやってるけどっ、でも私っ、今たまたま上手なだけでっ……」

幼女魔王R 「だって、私、こんな、だめな、私……」

431 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga sage]:2023/06/07(水) 18:02:44.08 ID:NPBlHHBUo


母性巫女 「はい…うん……」


幼女魔王R 「私、本当は何もできないの、なまけものなの」

幼女魔王R 「なのに、こんな、知らないお料理なんて知ってて」

幼女魔王R 「何もできないから、がんばらなきゃいけないのに……!」

幼女魔王R 「やだ、やだ、怖くて、何もできない、違う」

幼女魔王R 「分かってるの、何かしなきゃいけないのに」

幼女魔王R 「分かってるのに……! うぅ、うぅ……!」


母性巫女 「R」


ダキ


幼女魔王R 「あううぅ、ううぅう!」


母性巫女 「いいこ、いいこ……」


ナデ ナデ


幼女魔王R 「違うの、私、ちがうの」

幼女魔王R 「悪くて、悪い……」


母性巫女 「はい」

母性巫女 「Rは悪い子」


ナデ ナデ


幼女魔王R 「すごく悪くて、ここにいちゃいけなくて……」

幼女魔王R 「やだ、やだ、やだ……」


母性巫女 「悪い子、とても悪い子」


ナデ ナデ


母性巫女 「悪くて、悪くて」

母性巫女 「だいじな、悪い子……」


ナデ ナデ……



432 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga sage]:2023/06/07(水) 18:20:58.40 ID:NPBlHHBUo


幼女魔王の塔 母性巫女の部屋



ガヤガヤ


幼女魔王W 「ここをフェニックス席とする!」


幼女魔王P 「ちょっともう! そこ座られると邪魔!」

幼女魔王P 「寝そべってプニマンできなくなる!」


幼女魔王L 「久しぶりのRの料理、楽しみ」


幼女魔王S 「調子悪そうだったのに、大丈夫かな」

幼女魔王S 「というか……」


毛玉触手 『キャハハハハ』


幼女魔王S 「……ずっとここにいるのかな」


ワイワイ ガタガタ


幼女魔王C 「……どうして本当の名前、隠していたの」


幼女魔王G 「うーん、うまく言えないけど、私だから分かるんじゃないかな」


幼女魔王M 「……私たちは甘えんぼうで怠けんぼう」

幼女魔王M 「Gがいれば安心だって分かったら」

幼女魔王M 「ぜったい、他の私たちはどんどん駄目になってく」


幼女魔王C 「……きっと、そうだけど」




カチャ キイイ ハタム
トコトコトコ


幼女魔王A 「……あ、あの」

幼女魔王A 「もうすぐ、お鍋、くるよ……」

幼女魔王A 「から、えっと……お部屋の、食べるところの準備、みんなで……」



…………
 


433 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga sage]:2023/06/07(水) 18:34:07.12 ID:NPBlHHBUo


グツグツグツ
ガヤガヤ ワイワイ


幼女魔王C 「どうして広間がなくなってしまったのかしら」


幼女魔王M 「なくなったものは、しょうがないでしょ」

幼女魔王M 「それより、これから幼女魔王会議をする場所をどうするの」


幼女魔王G 「広間ほどでなくても、せめてここくらいの広さがある場所かな」


母性巫女 「ここで良いと思いますよ」

母性巫女 「はい、M。あーん」


幼女魔王M 「……あ、あーん」

幼女魔王M 「ハフッ……うん、おいしい」


幼女魔王R 「……ありがとう」


幼女魔王C 「素直ね、M」


幼女魔王M 「……仕方ないでしょ」


幼女魔王A 「うぅ、ずるい、ずるい」

幼女魔王A 「まま、私も、あーん、私も」


母性巫女 「はい。あーん」


幼女魔王A 「あーん。えへへ」


母性巫女 「うふふふ。自分でもしっかり食べるんですよ」


434 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga sage]:2023/06/07(水) 18:43:39.36 ID:NPBlHHBUo


毛玉触手 『キャハハハハハ』


幼女魔王C 「では、あれは味方のようなものって考えて良いの?」


幼女魔王G 「私たちではなく、のぼってくる声だけに対して攻撃していたからね」

幼女魔王G 「何と言うか、頼もしい怒りのようなものも感じた気がするし」


幼女魔王C 「……とても、信じられない話ね」


毛玉触手 『キャハハハハ』


幼女魔王F 「フェニックスなのか?」


幼女魔王H 「追加フェニックスなのか!?」


435 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga sage]:2023/06/08(木) 06:14:51.86 ID:p/M6VMH+o


母性巫女 「私にも、あれが、のぼってくる声を攻撃しているように見えました」

母性巫女 (少し平気になったけど、あの毛玉のモンスターの笑い声を聞いたらまだ少しお腹の底がキュンとする……)


幼女魔王C 「……ふうむ」


幼女魔王G 「声がいってしまうのを見届けて、私が帰ってくることができたのも」

幼女魔王G 「浮遊移動するあれに、どうにか掴まることができたからだ」


幼女魔王M 「あれを乗り物にしたの? あんまりやりたくない」


幼女魔王G 「意外と良い乗り心地だったよ」

幼女魔王G 「それに発見もあった。あれに掴まって帰る途中で」

幼女魔王G 「広間からのどの廊下とも繋がっていない部屋などを」

幼女魔王G 「いくつも見かけた」


幼女魔王C 「空中を浮かないと行けないような場所があるってこと?」


幼女魔王G 「ああ」


幼女魔王C 「……まだまだ分からないことだらけなのね、この塔も」


436 :sage :2023/07/10(月) 19:48:57.85 ID:gZ2ZhsEo0
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