シンジ「その日、セカイが変わった」

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1 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/06/24(土) 12:53:37.95 ID:zV+SN6BF0
▫️あらすじ
第7使徒イスラフェルへのユニゾン攻撃による撃破から数日後、授業で使用している端末に一通のメールが届いた。開いてみると恵まれない子供達へのボランティアだという。碇シンジは、解答を進めていくのだが……。
アンケートをきっかけにシンジの人生が大きく変わることとなる。
2 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/06/24(土) 13:12:43.79 ID:zV+SN6BF0
【ミサト宅 シンジの部屋】

▫️ご意見をお聞かせください

この度は、恵まれない子供達への募金サイトにアクセスしていただき、誠にありがとうございます。簡単なアンケートにお答えいただきますと、提携先企業様から弊社に代金が支払われ、支援団体に寄付させていただきますので、ご協力をお願い致します。
次へ、をクリックしていただくとアンケートが開始されます。

シンジ「――連絡メールだと思ったけど、違ったみたいだ。えっと、恵まれない、子供達か……よし、少しやってみようかな。どんな内容なんだろう……?」カチカチ

設問にお答えください。該当するお答えのチェックボックスをクリックしていただくと、画面が自動的に切り替わっていきます。進みますか?

シンジ「ここで、クリックしたらいいのかな」

1.あなたの性別をお答えください。

シンジ「お、でたでた。男、と」カチ

2.あなたの年齢をお答えください。

シンジ「10代だね」カチ

3.あなたは今、好きな人はいますか?

シンジ「えっ? うーん、いないから、あれ? YESしかチェックボックスがない……? まぁ、ただの質問だからなんでもいいや」カチ

4.好きな人は同級生ですか?

シンジ「今度はYES/NO両方ある。でも、いないってないから答えようがないんだよなぁ……適当にYESで」

5.好きな人がいる。と答えた方に質問です。どのようなところに惹かれましたか? 該当する項目をお選びください。

シンジ「ひとつしか選択肢なかったじゃないか。それとも僕が見落としたのかな……」

・気立てがよかった。
・落ち着いてる雰囲気がよかった。
・優しいところがよかった。
・見た目がタイプだった。

シンジ「うぅん、どれにしてもいいけど、僕が付き合うとしたら……いや、そんなの考えるだけ無駄だ。僕を好きになってくれる人なんかいるわけないし。見た目にしておこう」カチ

6.あなたは、願いが叶うとしたら、その子と付き合ってみたいですか?

シンジ「……まただ。またYESしか選択肢がない。どうなってるんだこれ? 見落としもあるようなインターフェイスじゃないのに」カチ

以上で質問は終了です。
あなたのご協力に感謝します。碇シンジさん。

シンジ「えっ? なんで、僕の名前」

尚、このコンピューターは20秒後に自動的に爆発します。端末を窓から投げ捨ててください。

シンジ「えぇっ?」

カウントスタートします。20、19、18――。

シンジ「いきなりブルースクリーン⁉︎ ……ウィルスサイトだったの⁉︎」

13、12。

シンジ「ノートパソコンから煙? ……熱っ⁉︎ そんな、まさか……?」

自爆までテンカウント、10、9――。

シンジ「う、うそでしょ⁉︎」

5秒前。レッドアラート。

シンジ「ケースが溶けてきてる……⁉︎ この端末、学校でも使うのにっ!!」ガシッ

――……ドォオンッ!!

シンジ「……っ! ぐっ! ……いっつつ。咄嗟に投げだけど、ほんとに爆発するなんて」

ミサト「シンジくんっ⁉︎ 今の音はなに⁉︎」

シンジ「あ、あの」

ミサト「開けるわよ⁉︎」

シンジ「ど、どうぞ」

ミサト「部屋の中に手榴弾でも投げ込まれたの?」

シンジ「僕にもなんでこうなったのか、さっぱり」

アスカ「うわぁ、なにこれぇ。……ところであんた、変な体勢で転がってなにしてんの?」 ヒョイ
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/06/24(土) 13:16:45.87 ID:TCp1sRHaO
見たことがあるんだけと
4 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/06/24(土) 13:21:25.72 ID:zV+SN6BF0
【リビング】

ミサト「シンジくんがアンケートに答え終わったらポップアップがでたのね?」

シンジ「はい。それからあとは、その通告通り20秒後に爆発しました」

ミサト「おかしいわ。エヴァパイロットを狙うにしてもやり方がまわりくどすぎる」

アスカ「アンケートで端末を爆破とかありえる? シンジが嘘ついてんじゃないの?」

シンジ「そんなわけないだろ。僕が嘘をつく必要なんてないよ」

ミサト「……とにかく、私は確認の為、ネルフ本部へ向かうわ。このマンションには、保安部から警備を数名つけておくから。シンジくんとアスカは何も心配しないで」

アスカ「アホくさ。私はバカシンジみたいに引っかからないわよ」

ミサト「それでも用心するにこしたことはないはずよ。シンジくん、これからは無闇にそういうメールを開かないでくれる?」

シンジ「そんな、僕は、善意で……でも、すみません」

アスカ「またすぐ謝る。そういうとこがさぁ――」

ミサト「やめなさい、2人とも。送付されてきたアドレスはわかるかしら?」

シンジ「いえ、たまたま開いたメールですから覚えてません。遠隔操作で爆破なんて可能なんですか?」

ミサト「普通に考えれば難しいわね。アンケートに答えるように誘導され、答え終わるのが合図となるようにあらかじめ仕組まれていたのかもしれない」

シンジ「あ……」

アスカ「やっぱりあんたがまぬけなだけだったんじゃない」

シンジ「そんな言い方しなくたっていいじゃないか……」

アスカ「ふん。だったら問題を起こさないでよね」

シンジ「僕だって、起こしたいわけじゃないよ!」

アスカ「ほんっとにガキね。結果が全てだっつってんのよ。犯罪をやるつもりがなかったなんて言い訳が通るなら警察なんていらない」

ミサト「はぁ……そこまでにして、今夜はもう寝なさい。シンジくんは私の部屋を使っていいから」

シンジ「すみません」

アスカ「よかったわねぇ〜。女の部屋で寝るからって下着を漁ったりするんじゃないのぉ?」

シンジ「いい加減にしろよ! するわけないだろ!」

ミサト「今のはアスカが悪いわ」

アスカ「ちっ、なによ。シンジばっかり」

ミサト「今夜は帰らないと思うから。それじゃ、もう行くわね」
5 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/06/24(土) 13:22:45.49 ID:zV+SN6BF0
>>3
立て直しです
現在まとめ作業中です
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/06/24(土) 13:28:38.97 ID:u2E3cMOHo
>アンケートに答えるように誘導され、答え終わるのが合図となるようにあらかじめ仕組まれていたのかもしれない

前から思ってたんだけどメール自体に爆破システム仕掛けておいてもパソコン本体には爆弾が仕掛けられてなかったら意味ないよね
つまりシンジ君のパソコン自体に細工したことになるからネルフの人間くらいにしか出来ないって考えに行き当たると思う
7 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/06/24(土) 13:30:02.60 ID:zV+SN6BF0
【一時間後 リビング】

シンジ「はぁ……どうしてこんなことになったんだろう」

ペンペン「クエ〜」

ガラガラ

アスカ「お風呂、あがったわよ」

シンジ「あぁ、うん、わかったよ」

アスカ「あんた、まだ座ってうなだれてたの。いい加減切り替えなさいよ、うっとうしい」

シンジ「色々迷惑をかけたら申し訳ないって思うのは当然じゃないか」

アスカ「あいかわらず内罰的ね。そういう時は、そもそも爆弾を仕組んだやつが悪いって開きなおるのよ」

シンジ「そんなに、簡単じゃないよ」

アスカ「ぐちぐち悩んでるよりずっとマシじゃない。そんなんだからあんたはダメなのよ」

シンジ「そうなの、かな……」

アスカ「呆れて開いた口が塞がらないわ。あたしにここまで言われて悔しいとか思わないわけぇ?」

シンジ「思ったって、アスカには口でかなわないじゃないか」

アスカ「ぷっ、なによ、諦めてんの?」

シンジ「僕だって、ちゃんとしてるつもりなんだ」

アスカ「ひとりよがりで?」

シンジ「うるさいなぁ。もういいだろ。アスカだって、口ではどうでもいいとか言っておきながら僕に文句ばかり言ってくるじゃないか」

アスカ「あんたがあまりにも情けないからよ。見ててイライラすんの!」ビシ

シンジ「それは僕がよくわかってるよ。僕だって、うまくやりたいって思ってるんだ」

アスカ「無理ね」

シンジ「な、なんでアスカにわかるんだよ!」

アスカ「根本的な問題よ。あんたは悪いと思った、で? うまくやろうとしてるってなにを?」

シンジ「それは……もっと、要領よく、前向きになれるように」 もごもご

アスカ「そこがズレてるのよ。いい? 開きなおるにしてもそれだけじゃただのクズ。人間、なにをやるかで価値が決まる」

シンジ「そうだけど」

アスカ「前向きになったら? その先は? とりあえず目先のことしか考えてないあんたはすぐ壁にぶち当たる。そしてまた悩みだすんでしょ」

シンジ「……」

アスカ「またダンマリ。癖ってのは、簡単に治るものだったら苦労しないのよ。あんたはそこを理解してない」

シンジ「そうかもしれないけど」

アスカ「断言してやるわ。あんたはそう。悔しかったら私を見返すぐらいの根性見せるのね」

ペンペン「クエクエッ」 クイクイッ

アスカ「ん? なに? ペンペン」

ペンペン「クエ〜」スッ

アスカ「なにこれ? 牛乳? くれるの?」

ペンペン「クエッ!」コクコク

アスカ「ありがと」ヒョイ

ペンペン「クエ〜」 ペタペタ

アスカ「それじゃ、私は部屋に行くから。あんたはそうやっていつまでも悩んでなさい」 スタスタ

シンジ「(僕は……)」
8 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/06/24(土) 13:37:45.28 ID:zV+SN6BF0
【ネルフ本部 ラボ】

リツコ「まったく、こんな夜中に叩き起こされるなんて思わなかったわよ」

ミサト「ごみ〜ん。今度なにか奢るからさ」

リツコ「あなた、いつもそう言うけど奢ってくれたの大学の学食以来ないのわかってる?」

ミサト「そうだったっけぇ?」

リツコ「はぁ……。それで? これが爆発したというノートパソコンの残骸?」

ミサト「人を使ってできるだけ集めさせたけど、かなり粉々になっちゃってるのよね〜」

リツコ「ミサト? HDDもこの破片の中のどれかなの?」

ミサト「でへへ。たぶん」

リツコ「帰るわよ」 クルッ

ミサト「ちょ、ちょっと待ってよう!」 ガシッ

リツコ「パソコンの仕組みぐらい理解しているものだと思っていたけど。どうやら私の思い違いだったようね。義務教育からやり直したら?」

ミサト「わかってるってぇ! だけど、その、リツコならなんとかならないかなぁ〜って」

リツコ「この有様で復元できるわけないでしょ。爆発物のデータは?」

ミサト「あ、それはこっちです、どーぞ」

リツコ「……」ペラ

ミサト「マイクロチップ型の爆弾だと確認されたわ。シンジくんのパソコンにいつ細工したのかしら」

リツコ「素人には手に入らない代物ね」

ミサト「となると、潜入したスパイ? プロの仕業ってわけか」

リツコ「えぇ。わかるのはそれぐらい。証拠隠滅まで完璧だもの」

ミサト「また、接触あると思う?」

リツコ「なんとも言えないわね。必要な情報が揃ったのならもうないのかもしれないし、そうであってもあるとは断定はできない」

ミサト「うーん、相手が見えないし。なにより、犯人の目的がわからないのよねぇ。ちょっと、不気味、かな」

リツコ「他のチルドレンに対しても警護レベルを引き上げることを提案します」

ミサト「なぜ?」

リツコ「質問の内容がアナグラムではないとしたら、好きな相手を特定する為に接触してくるかもしれない」

ミサト「まっさかぁ? 本気でシンジくんの好きな子の情報を知りたいってわけ?」

リツコ「内容を額面通りに受けとるとそうなるわね」

ミサト「……わかった。そんな理由はないと思うけど、備えは必要か」
9 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/06/24(土) 13:45:41.68 ID:zV+SN6BF0
【ネルフ本部 初号機ケイジ】

冬月「やぁ、三年ぶりだね」

「ご無沙汰しております」

冬月「生活に不自由はないか? 困ったことがあれば、なんでも言うといい」

「お気遣い、ありがとうございます。すみません、夜更けに」

冬月「気にしなくていい。老人の朝は早いのでな、ちょうど起きようと思っていた。ところで、話は変わるが碇には、まだ何も言うつもりはないのか?」

「はい……その方があの人にとっても、私にとってもいいんです」

冬月「――しかし、君たちの息子はもう中学生になる。ユイくん自身が、死んでいると思われて平気なわけないだろう」

ユイ「シンジには……いずれ、対面することになります。あの子が、子供達が幸せに暮らせる世界。それこそが追い求める理想ですもの」

冬月「その為に、己を殺してもか」

ユイ「……この初号機も、そしてゼーレも実験材料でしかありません。先生には、ご迷惑をおかけしますが」

冬月「その顔には、君がまだ学生の頃から敵わんよ。碇には、これまで通り黙っておこう」

ユイ「ありがとうございます」

冬月「ユイくん、ひとつだけ確認してもいいかな?」

ユイ「はい?」

冬月「君の生物学者としての信条は、あの日、初号機に取りこまれてからサルベージされるまでに変化はあったのか?」

ユイ「なにも。昔から、いえ、志した時から変わってはいません」

冬月「そうか……それならばいい」

ユイ「先生もお元気で。シンジを、よろしくお願いします」

冬月「あぁ。君の息子について心配しなくていい。もっとも、EVAの中が一番安全だと知っているだろうがな」

ユイ「ふふっ、そうですね。では、失礼します」コツコツ
10 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/06/24(土) 14:09:40.60 ID:zV+SN6BF0
【翌日 第三新東京都市立第壱中学校 HR前】

ケンスケ「なんてこったぁっ! ネジがバカになってしまってるじゃないかぁ!」カチャカチャ

シンジ「ケンスケ、部品広げてなにやってるの?」

トウジ「見ての通り、いつものカメラいじりや」

シンジ「調子でも悪いんだ?」

トウジ「さぁなぁ。何回も分解したり組み立てたりで何が楽しいん――」

ケンスケ「この楽しさがわからないだってぇ⁉︎」ガバッ

トウジ「お、おう? なんや、聞こえとったんかいな」

ケンスケ「はぁ……まったく、これだから凡人は。いいかい? 物作りっていうのは技術ひとつひとつの集大成でもあるんだ」

シンジ「うん」

ケンスケ「新しいパーツの進歩は凄いんだぞ! そりゃ、まぁ、同じ技術の進化をなぞっているものだけど。その中で取捨選択をして、自分だけの物をプロデュースするおもしろさ。このロマンがわからないかぁ⁉︎」

トウジ「ぜんっぜんわからん。そら組み立てるチョイスはあるやろけど、市販されてる物であるんなら誰かと被ったりするやろ」

ケンスケ「いいや! そんなのが重要じゃないんだ。自分で作り上げるという達成感! なにものにも変えられないね!」

トウジ「はぁ」

ケンスケ「碇だったらわかるよな⁉︎」

シンジ「ん、えーと、なにかにそこまで熱中できるのは凄いと思うよ」

トウジ「オタクなだけちゃうかぁ?」

ケンスケ「妬みだね! 打ちこめるものがない大衆は僕みたいな人を蔑称を使ってバカにするのさ!」

トウジ「こじらせとるのぉ」

シンジ「でも、いいんじゃないかな」

トウジ「ふん、それはそうとシンジ。今日の放課後、時間あるか?」

シンジ「うん。あるよ」

トウジ「それなら、ワシに付き合ってくれ。寄りたいところがあるんや」

シンジ「わかった。あ、そうだ。ケンスケってパソコンにも詳しいの?」

ケンスケ「ん? まぁ、ある程度なら」

シンジ「実は僕、昨日、授業で使うパソコンが壊れちゃって。帰りに買って帰ろうと思うんだけど」

ケンスケ「あぁ、使いやすそうなのを選ぶのは簡単だけど。でも、学校指定の端末になってるから、新しく発注するしかないね」

シンジ「そうなの?」

ケンスケ「授業で使うドライバとかアプリケーションなりがプリインストールされてるものじゃないといけないっていう決まりがあるからな」

トウジ「ワシらにやらせてくれればいいのに、融通がきかんもんなんやのぉ」

ケンスケ「一括で管理する方が簡単じゃないか。個々に任せると方法がわからない連中もでるだろうし」

シンジ「それじゃ、事務で頼まなきゃ駄目なんだ」

ケンスケ「そうゆうこと。……前の端末の時は、手続きどうやったんだ?」

シンジ「うーん、僕が直接やったわけじゃなかったから。リツコさんが全部用意してくれてたし」

レイ「――碇くん」 スッ

シンジ「あ、どうしたの、めずらしいね、僕たちのところに来るなんて」

レイ「赤木博士から、渡すよう頼まれた。これ、新しい端末。ないと授業に困るだろうからって」 ゴトン

トウジ「いたれりつくせりやのぉ」

レイ「それと、伝言。インターネットへの接続はもうできないようになっているそうよ」

シンジ「そっか、うん、わかった」

レイ「席、戻るから」スッ

シンジ「待って! 重かった、よね? その、持ってきてくれて、ありがとう」

レイ「別に、いい」
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