シンジ「その日、セカイが変わった」

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112 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/02(日) 07:41:49.61 ID:Hffa++s1O
>>108
お前は何様なんだよ
ここでお前がシコシコ勝手にオナってるのを物珍しさで見にきてる奴らが大半なのにお前がチャチャ入れられるのやだからやめますって言ったところでバカかこいつとしか思わんわ
お前のいう変なことを書かれるのが嫌ならここじゃなくて自由帳にでも書いてろks
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/02(日) 08:37:40.76 ID:dwkKKMcpo
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/02(日) 09:41:55.20 ID:CKwhFxiqo
>>112
気に入らなきゃ、見なきゃいいだろ
書く自由もあれば、見ない自由もあるが、書けないのは、能力が無いからだ。
書けもしないで文句だけ付けてくるお前みたいなヤツが、この世で一番キモいんだよ。クズ
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/02(日) 10:29:38.92 ID:oPaCZhrBO
>>111
感想なんてどこにもないぞ
上から目線で言ってるやつがいるだけ
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/02(日) 10:38:31.06 ID:kbogh8c3O
内容について言及しない限り「感想」とは言わんだろしな
この板はこうだから短期間にうんたらかんたらとか自由帳にうんたらかんたらとか中身に一切触れてないし
>>109>>112はただイッチの呟きに「反応」してるだけのおサルさんではないか
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/02(日) 10:57:49.85 ID:Hffa++s1O
>>114
論点のすり替えになってないか?
ここは書きたくて書いてるやつがスレたてて書いてるところだぞ
お前らがどれだけ続き書いてくれって言ったって>>1が書きたくなくなったらそれまでなんだよ
>>1が感想以外を書かれたら続き書く気ありませんって言ったんだし書かないならそれはそれでいいじゃん
ここでは誰が何言ったっておかしくないんだし>>1がすぐへそ曲げるやつなのがわかったんだしいつ更新止まるかわからないことがわかっただけましだよ
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/02(日) 11:06:58.81 ID:pL8GWDJhO
投下しない=書かないとは一言も書いてないわけだが
それにこの>>1は前作で書くモチベなくなってもちゃんと完結させた実績があるやつだぞ
SSなんて立て逃げや放置してるやつがめちゃくちゃいるんだし実績があるとなしじゃ大違いだ
しかも前回レスと今回更新までに二日しか時間あいてないしそれで遅いと言われんのはこれまでの更新が早かったからからだろう
>>117はただ単に叩きたいだけだろ
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/02(日) 11:13:50.06 ID:KPt6PJjJO
>>117
>>102もそうだけど立て直し以前から>>1は何度もちゃんと完結させると書いてあるではないかw
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/02(日) 11:15:58.27 ID:SQ0SS4BXo
はいはいそこまでそこまで論議は別のところでやろうね
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/02(日) 12:38:10.03 ID:A7fMqcPFO
>>117は前スレ最後で>>1が書いてるの見てこいよ
趣味で書いてる、立て直しは自己満、読みたくなければ読まなくていい、暇つぶしにでも使ってくれ←まとめるとこう
全部前スレ時点でお前の言ってること論破されてんぞ
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/02(日) 13:17:23.06 ID:pL8GWDJhO
変なレスがあるなら投下しないと書かれて自ら変なレスしていくやつって潰したいだけっしょ
待ってるやつの行動とは思えん
123 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/07/02(日) 20:12:19.25 ID:uPcXiuCB0
まさか二行でこんなにレスがつくとは
とりあえず自分のレスが一人歩きして拡大解釈された感じすかね
今日は書かないっすべつのことやってるんで
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/03(月) 01:28:52.87 ID:RWCLxNRbo
ここまで黙ってたが、ひと言だけ。
余計な発言引き出して雑談しようって輩は結構いるから。

じゃ、続きまで書いたら起こして
125 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/07/03(月) 13:53:57.91 ID:IlfL6BOR0
【ネルフ本部 ラボ】

加持「今日も地上は暑いよ」

リツコ「ここは休憩所ではないんだけど」

加持「もちろん、リッちゃんに会いにきてるのさ」

リツコ「他人におべっかばかり使うのって疲れないの?」

加持「本音だよ」

リツコ「もういいわ、ミサトが探してたわよ」

加持「あいつになにかした覚えはないが」

リツコ「気のない返事ね。約束でもすっぽかした?」

加持「いや」

リツコ「そう。私も聞きたい件があったからちょうどいい。加持くんはなにを知っている、いえ、どこまで状況を把握しているの。碇司令の奥様は本当に生きているの?」

加持「これはまた唐突だな。質問に質問で返すが、リッちゃんは自分をどこまで把握してる」

リツコ「……」コト

加持「分かった気がするだけで、完全には理解できない。自分自身が一番怪しいもんさ。100%理解し合うのは、不可能なんだよ」

リツコ「だからこそ人は、自分を、ひいては他人を理解しようと努力するのよ」

加持「裏切られたと、現実を受け止める覚悟はあるのかと聞いているんだ。その冷静な仮面が剥がれないかとね」

リツコ「とっくに見せかけだけよ。取り繕っていつも通りにいるだけ。本当の私は、壊れてるわ」

加持「ユイ博士は……生きているよ」

リツコ「ーーやはりね」

加持「ユイ博士が初号機に取り込まれた際に試みたサルベージは失敗した。だが、彼女は自力で戻ってきた。方法までは俺もわからない」

リツコ「まさか、ありえないわ。コアに取り込まれてしまったのよ……肉体は生命のスープに溶けてしまっているはず」

加持「だが、生きている、それは揺るぎない事実だ」

リツコ「……」

加持「このことを碇司令が知っているとしたら?」

リツコ「……っ!」キッ

加持「睨んでも碇司令とリッちゃんのこじれた関係は、俺が悪いわけじゃないぞ」

リツコ「今は、時間がほしい」

加持「恋愛というものは、どちらか一方に責任の全てが偏るわけじゃない。行動をするのは男だが、受け入れるのは女だ。双方合意の上で成り立っているからな。強制された関係でもないんだろう?」

リツコ「わかってるわ! ロジックじゃないのよ!」

加持「よく考えるんだ。碇司令がどちらを選ぶか、リッちゃんを選ぶはずが」

リツコ「やめて」

加持「自分一人で抱える前に、俺か葛城に相談してくれれば」
126 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/07/03(月) 13:59:05.41 ID:IlfL6BOR0
リツコ「……っ! 今さら友人面するつもり⁉︎ どこまで人をバカにすれば気が済むの⁉︎ 加持くんは最初から生きているって知っていたんでしょう⁉︎」

加持「騙したのはお互い様だ。リッちゃんが碇司令の企みに加担しているのを俺は知っている」

リツコ「そう……。奥様が生きているのなら、きっと不倫相手を殺したいのでしょうね」

加持「ユイ博士はなんとも思ってないさ。いずれ滅んでしまう世界だからな」

リツコ「加持くんは、ユイ博士側にいるのね」

加持「彼女の手足となって色々調査している最中でね、地下にある大量のクローンも見せてもらった」

リツコ「どうやってセキュリティカードを……」

加持「あれがダミー計画の正体か?」

リツコ「黙秘をさせてもらうわ」

加持「それならそれでかまわないが、リッちゃんは誰のために黙ろうとしているんだ?」

リツコ「それは」

加持「いつもの冷静沈着、頭脳明晰な姿からは想像もつかないな。その自信のない、揺れた瞳は」

リツコ「……」

加持「リッちゃんは利用されていたんだ。碇司令がユイ博士に会うために。補完計画の真の目的がそうだと知っていたか?」

リツコ「いや、もうやめて、うそ、うそだわ、そんなのうそよ」

加持「ここに、副司令の肉声を録音したテープがある」カチ

『碇ゲンドウは、碇ユイと会うために補完計画のシナリオを修正し、別の結末を用意した』

加持「……」カチ

リツコ「副司令が、なぜ……そんな……」

加持「合成はしていない。あとでいくらでも検証してもらっても、なんなら副司令に直接聞いてもいい……どちらの側にいるのかもね。それでも、碇司令に忠誠を誓うのか?」

リツコ「……」

加持「悪いようにはしない、正直に話してくれ」
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/03(月) 15:44:46.00 ID:IlfL6BOR0
【ネルフ本部 MAGI内部】

リツコ『母さん、先日葛城ミサトと言う子と知り合いました』

ナオコ『ようやくお友達ができたのね』

リツコ『他の人たちは私を遠巻きに見るだけで、その都度母さんの名前の重さを思い知らされるのですが、なぜか彼女だけは私に対しても屈託がありません』

ナオコ『そうなの、よかったわね』

リツコ『彼女は例の調査隊ただ一人の生き残りと聞きました。一時失語症になったそうですが、今はブランクを取り戻すかのようにベラベラと良く喋ります』

ナオコ『本当にめずらしい。そんなに楽しそうに話するなんて』

リツコ『まだあるんです。ミサトが大学に来ないので、理由を白状させたら、バカみたいでした。ずっと彼氏とアパートで寝ていたそうです』

ナオコ『あらあら、それは困ったわね』

リツコ『飽きもせず、一週間もだらだらと! 彼女の意外な一面を知った感じです、今日、紹介されました。顔はいいのですが、どうも私はあの軽い感じが馴染めません』

ナオコ『昔から男の子が苦手でしたね、リッちゃんは。自分の幸せを逃しちゃわないか心配よ。やはり女手一つで……ごめんなさい、ずっと放任してたものね、嫌ね、都合の良い時だけ母親面するのは』

リツコ「母さん、私、どうしたらいいの」ギュウ

MAGI「……」ブゥーン

リツコ「嫌なことがあると、こうやって、母さんのところで体育座りをして引きこもる。なにも成長していない。私の場所、私の空間、どこにあるの?」

ナオコ『ーー本当にいいの?』

ゲンドウ『ああ、自分の仕事に後悔はない』

ナオコ『嘘。ユイさんの事忘れられないんでしょ。でもいいの。私』スッ

ゲンドウ『……』

リツコ「ねぇ、母さんは碇司令と私の関係を知ったらどう思う? 嫉妬するかもしれない、実の娘に対してさえ」ナデナデ

MAGI「……」ブゥーン

リツコ「女である自分を捨てきれなかった母さんだから。最後まで女でいるのを選択したのね」

MAGI「……」ブゥーン

リツコ「後悔はない? ……私は、幸せの定義なんてわからない。わからなくなってしまった。なにを望んでいるのかでさえ。あの人に抱かれても、嬉しくなくなった」ドンッ

ナオコ『リッちゃん……幸せになるのよ』

リツコ「私だって! ……幸せになりたい、母さん、助けて……誰か、助けて」ギュウ

オペレーター放送「バルタザール並びにメルキオールの試験運行は次のフェーズへ移行します。技術一課の職員は速やかに作業を開始してください」

リツコ「仕事、やらなくちゃ。仕事」ブツブツ

マヤ「せんぱーいっ?」タタタ

リツコ「……」スッ

マヤ「あれ、ここにもいない、どこいったんだろう」キョロキョロ

リツコ「どうしたの」カシャン

マヤ「あ、中で作業をされてたんですね。躯体の中のテストプラグにデストルドー反応が検出されました」

リツコ「どれぐらい?」

マヤ「0.2と微量ですが無視するというわけにも」

リツコ「わかった。行きましょう」

マヤ「あの……? 結膜炎ですか? 目が真っ赤ですけど」

リツコ「そうね。そうかもしれない。あとで診てもらうわ」

マヤ「それなら私、いい眼科知ってます。そこの先生のところで家族みんなお世話になってるんですよ」

リツコ「そう……。マヤ、問題の箇所は私が当たるから副司令のところにいってこれを渡して」スッ

マヤ「これは?」

リツコ「渡せばわかる。中身を見てはだめよ」

マヤ「い、いえっ! そんな、見るなんてめっそうも!」ブンブン
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/03(月) 16:14:38.50 ID:IlfL6BOR0
【付属病院 手術モニター室】

ユイ「もしもし、どうしたの?」

加持「赤木リツコがおちました、これで碇司令は孤立無援の状態です、いつでも裏をかけます」

ユイ「随分はやかったのね」

加持「お察しがついてるはずですがね。少しばかり、俺が動いたからですよ。旧知の間柄でもあるんです、ま、それぐらいはかまわないでしょ?」

ユイ「それで?」

加持「例の元は、やはり本部奥深くの第七層あります。綾波レイのパーツが大量に生産されているのをこの目で確認しました」

ユイ「あれはただの器。リリスの魂はひとつしかない、欲しいのは製造方法という技術的な話よ。データはもらえる?」

加持「驚きましたよ、ダミーの正体、そして、エヴァの正体にね……近日中にディスクに全てを記録し渡すそうです」

ユイ「まるで遺書ね」

加持「碇司令への最後通告はいつ頃をご予定で」

ユイ「そうね、死人を出さないようはやめましょう。赤木リツコは有能な人材だし、失うのは惜しい」

加持「わかりました、では、帰国後すぐにでも」

ユイ「かまわないわ、それじゃ」ピッ

シンジ『んぐんむーっ! んむむー!』

医師『ユイ博士、麻酔薬の投与を開始してもかまいませんか?』

ユイ「マイクを」

保安部「了解」ピッ

ユイ「シンジの猿轡をはずしてあげて」

医師『はっ』スッ

シンジ『ぷはっ! なんだよ、これ、はずしてよっ!』ガタガタ

ユイ「マイク越しでごめんなさいね。シンジにアダムの移植手術を行うのよ」

シンジ『……っ⁉︎』ギョ

ユイ「暴れられると危ないから全身麻酔になるけど、我慢しなさい」

シンジ『アダムってさっきの……⁉︎ なんでそんなっ⁉︎」

ユイ「理由は先ほど説明したわ。理解できていなくても仕方ないとも言った」

シンジ『そ、それはないんじゃないの……。僕は、そんなの望んでないって……!』

ユイ「たしかに、あなたはそう言ったわね。それでも、私はやめるつもりはない。はじめて」

医師『はっ。おい、猿轡を噛ませろ』

看護師A『あなたはそっちにまわって抑えてつけて』スッ

看護師B『了解』

シンジ『ふむぐぐーっ! むぐぐーっ! んー!』

医師『心配するな、すぐ終わるよ。ライトを』

看護師『はい』ガチャン
129 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/07/03(月) 16:55:00.26 ID:IlfL6BOR0
【数時間後 ネルフ本部 ターミナルドグマ 培養液】

リツコ「関節部の動きに異常は?」

レイ「問題ありません」

リツコ「そう、あと一時間浸かったら出ていいわよ」

レイ「はい、あの……赤木博士」

リツコ「なに?」カタカタ

レイ「ヒトと使徒の違いってなんですか?」

リツコ「どういう意味かしら」ピタ

レイ「弐号機の人から、私は人形みたいだって言われました。どう捉えていいのかわからなくて」

リツコ「アスカがあなたを?」

レイ「はい」

リツコ「ぷっ……くっくっくっ」

レイ「おかしいですか?」

リツコ「的を得ているわね。あの子、分析力がある」

レイ「……」

リツコ「レイは存在価値を探ろうとしているの? それは、人として? それともリリスという使徒として?」

レイ「よく、わかりません」

リツコ「あなたはわかっているはずよ、器でしかないくせに……!」

レイ「……」

リツコ「自己を確立させてどうするつもり? まさか、碇司令に目をかけてもらおうって魂胆かしら。今以上に」

レイ「……」ゴポゴポ

リツコ「人にも、使徒にもなれないのよ! ただの魂の入れ物でしかないわ! 中間の存在があなた!」

レイ「はい」

リツコ「培養液がなければ、長期間生きられない身体が物語っているでしょう? まわりを見てごらんなさい。機能に不備があれば、いくらでも変わりがいる」

レイ「私は、人形?」

リツコ「私達は神ではないのよ……! コピー体を作れても魂の創造はできない! くだらない質問はやめて!」バンッ

レイ「……はい」

リツコ「私、あなたが嫌いになったのよ。その顔を見る度に、誰をモデルにしてるか確認させられてしまうから」

レイ「……」

リツコ「すすんで壊すようなマネはしないわ、いくら変わりがいると言ってもね」

レイ「私は、死んだらどうなりますか」

リツコ「そのままよ」

レイ「今の、記憶は……」

リツコ「引き継ぐのは不可能。不満でもあると言うの?」
130 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/07/03(月) 16:56:06.14 ID:IlfL6BOR0
レイ「どうしてなのか、知りたいだけです」

リツコ「人のフリがうまくなったのね……いいわ、感情が芽生えたという前提で答えてあげる」

レイ「感情が芽生えた?」

リツコ「知的探究心から物事は動きだすの。知恵の実を食べたのもそそのかされたとはいえ、好奇心のせいだしね」

レイ「……」

リツコ「質問は、死ぬとどうして引き継ぎができないのか? でいいのかしら」ギシ

レイ「はい」

リツコ「魂が借りものだからよ。あなたの存在は、誰しもが見ている夢みたいなもの」

レイ「夢……」

リツコ「人は寝ている時、夢を見ている間は鮮明だけれど、次の場面に切り替わったら前に見てた映像は覚えていられない。もちろん、覚えている、という例外がないわけでもない」

レイ「はい」

リツコ「しかし、100%に限りなく近い数字で覚えていられないでしょうね。新しい器に移し変えるというのはそういう話。あなたという個人を確立させる根拠は生まれない」

レイ「いないのと同じ……リリス、それが私」

リツコ「魂はね」
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/03(月) 22:45:19.19 ID:8CovOC1uO
お前の書くエヴァSSは原作再現度ぱねえわ
よくキャラ掴んでんな
132 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/07/04(火) 11:40:28.86 ID:0bP/l5ZF0
原作で本当に言ってるセリフにそれっぽいの付け足してるだけなんで誰でもできますよ
とことん見た人の方が必然的に再現度はもっと高くなってくと思います
133 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/07/04(火) 12:12:28.23 ID:0bP/l5ZF0
【ネルフ本部 発令所】

シゲル「戦自より入電。ヒトロクサンマルに滑走路の使用許可を求めています」

ミサト「そんなスケジュールあったっけ。物資の搬入かしら?」

シゲル「いえ、違うようです。なにやらVIPを乗せているみたいスね」

ミサト「ぶいあいぴー? お偉いさん?」

マコト「誰でしょうか……政府関係者かな」

ミサト「こっちも暇じゃないってのに。識別信号はわかる?」

マヤ「シグナルは……エアフォースワン? 大統領専用機です」

ミサト「大統領ぉ⁉︎ アメリカの⁉︎」

マヤ「は、はい。間違いありません」

ミサト「大国のトップがお客様じゃなぁい。日本政府ではなくネルフに何の用かしら……」

マコト「さぁ……」

ミサト「なんだかきな臭い感じがするわね……とにかく、許可は出しておいて。あと日本政府にも確認を」

オペレーター「了解、内閣総理大臣へのホットライン開きます」

冬月「碇はまだ来ていないのか?」

マヤ「はい、まだお見えになっては」

冬月「やれやれ、良い上司とはいえんな」

マヤ「そんな。ネルフは碇司令がいてこそです」

冬月「下手な世辞はよせ。不満がないわけでもなかろう」

シゲル「そりゃ、まぁ……なにもないわけじゃないっスけど一般企業に比べたら天国みたいなもんですよ。なぁ?」

マコト「お前は給料面だけじゃないか」

シゲル「なにが悪いってんだぁ? 福利厚生も手厚いし、充分な対価が支払われていれば俺はどうだっていいね。贅沢だってできるし」

マコト「まったく」

マヤ「あ、そうだ。副司令、赤木博士からこちらの封筒を渡すように頼まれました」スッ

冬月「なに? 中身は、なにかしらの申請に不備があったか?」

マヤ「見ないように仰られていたので」スッ

冬月「……」カサ

マヤ「渡せばわかると伺っております」

ミサト「……?」

冬月「なるほど。この後は赤木博士に会う用事はあるかね?」

マヤ「はい。報告したい案件がありますので、もうしばらくすればラボに向かいます」

冬月「君に判断はまかせると伝えてくれ」

マヤ「了解しました」

ミサト「VIPの出迎えはいかがいたしますか?」

冬月「本来であれば碇が行うべきだがな。あいにくと碇は不在で、私も優先したい急用ができた。葛城一尉、代行を頼めるか」

ミサト「はっ! では、大統領との会談には私が出向いたします」ビシッ

冬月「ネルフは国連の管理下にある治外法権だ。誰が相手であろうと毅然とした態度でな」

ミサト「代表を任命いただき恐縮です。善処いたします」
134 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/07/04(火) 13:14:46.43 ID:0bP/l5ZF0
【人類補完計画委員会 特別収集会議】

ゼーレ02「生きていたとはな」

ユイ「ご挨拶が遅れまして、申し訳ございません」

ゼーレ04「これまでなにをしていた。なぜ今になって我々の前に姿を現してきたのだ」

キール「その問いには、私から答えよう。ユイ博士は、我々に最も有力な協力者として戻ってきた」

ゼーレ02「真意は?」

キール「補完計画の完遂に他ならない。証明として、碇が別のシナリオを目論んでいた証拠を得たらしめた」

ゼーレ03「中間報告書には目を通してある。本当なのかね? 抜粋すると、碇ゲンドウがキミに会う為に我々とは違う、別の結末を用意していたとは」

ゼーレ05「信じがたい話だよ。人類と個人を天秤にかけるだけでも正気とは思えない」

ユイ「事実ですわ。側近である冬月副司令からのインサイダー(内部告発)です」

ゼーレ06「ふん、愚かな男だ」

ゼーレ02「奴には然るべき罰を与えねばならない」

キール「異議はなし……だが、後任者を決めてからだ。タイムスケジュールの記述に余波が及んではならない」

ゼーレ05「それでは、私の国から」

ゼーレ02「君の国は責任が嫌いだろう? なにかあった時にゴタゴタするのではないかね」

キール「ネルフの後任者は碇ユイ博士に一任する」

ユイ「懸念は心中お察しします。もし、私がもっとはやく姿を現していたら、夫はこのような算段をしなかったでしょう」

ゼーレ06「ならば問おう。キミが我々に死海文書とは違う、裏死海文書を渡した時にこうなると予想できていたのでは?」

ユイ「私は、自分の願いを叶えようとするだけ精一杯で。他に気をまわす余裕はありませんでした」

ゼーレ02「薄っぺらい戯言を信じろと? くっくっ、笑わせる。発言には気をつけたまえよ。なぜ夫を蹴落としてまで後釜に座ろうとする」

ユイ「取るに足らない言葉よりも結果を。私に皆様方の意向に背く意思はありません、必要であると判断なされば監視をつけてくださっても結構です」

キール「よい。ユイ博士、確認をすべきはひとつだ」

ユイ「はい」

キール「その願いは我々の悲願と一致するものか?」

ユイ「相違ありません」

キール「以上だ。異議のあるものは?」

ゼーレ一同「……」

キール「約束の時はそう遠くはない。エヴァンゲリオン初号機による遂行を望むぞ」

ユイ「既にいくつか手をうっております。それと、もう一つ、報告させていただきたいことが……タブリスを潜入させております」

ゼーレ02「ああ、キール議長から伺っているよ」

ユイ「彼を三号機パイロットのフォースチルドレンに選定いたしました」

ゼーレ05「勝手なマネをしおって! さっそく司令気取りか!」

ユイ「なにが不満なのでしょうか。計画に遅延は許されません。マルドゥック機関に登録済である第壱中学校にいる生徒達のコアでは不十分です」

ゼーレ04「S2機関の搭載を試みている四号機ではだめなのか?」

ユイ「三号機と共に四号機は建造に遅れが発生しているそうですが」

ゼーレ05「それは……」

ゼーレ03「キミの国の話だったな。三号機と四号機の建造権を強引に主張しておいて情けない」

キール「承認する。ダミー計画はどうか」

ユイ「技術的な問題はクリアいたしました。夫は綾波レイのパーソナルデータを移植していますが、こちらは渚カヲルのパーソナルデータを移植いたします」

ゼーレ03「コントロールは有効なのかね?」

ユイ「アダムは凶暴性がありますが魂のデジタル化はできません。あくまでフェイク、擬似的なものです。想定上は可能です」

ゼーレ05「赤っ恥をかかせておいてできませんで済ませられるか! 必ず運用可能にするのだ!」

ユイ「はい。皆様方の意向通りに――」
135 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/07/04(火) 14:09:50.07 ID:0bP/l5ZF0
【ネルフ本部 女子ロッカールーム】

レイ「私にあるものは命、心の容れ物。作り物の人形。この鏡にうつっているのは……」 キュッキュッ

レイ(少女)「あなたはあなた」

レイ「あなた誰? これは誰? これは私。私は誰?」

レイ(少女)「私は一人目のあなた、同じものがいっぱいいるのも私。いらないのも私」

レイ「なぜ、あなたがわたしの中にいるの? 赤木博士は、夢の出来事は長期間記憶の保持ができないと言っていた。どうして、ずっと鮮明なの」

レイ(少女)「赤い土から作られた人間。男と女から作られた人間。私はこの世の理(ことわり)とは相反する存在だから」

レイ「あなた誰、あなた誰、あなた誰」

レイ(少女)「いらないものがいっぱい。赤い色。赤い色は嫌い。流れる水。血。赤いヒトは嫌い。弐号機パイロットも嫌い、でもいい。簡単に壊れる、あの女は壊す」

レイ「なぜ弐号機の人を壊すの? 私が私でない感じ。とても変。体が融けていく感じ。私が分からなくなる」

レイ(少女)「心の入れ物。魂の座」

レイ「私の形が消えていく。私でないヒトを感じる。リリス? 本来あるべき姿に還り、ひとつになりたいの?」

レイ(少女)「それはとても気持ちの良いこと」

レイ「ひとつになりたいのは私?」

レイ(少女)「私じゃない、変化している、私もあなたも同じ」

レイ「変化?」ポタ

レイ(少女)「顔を鏡でよく見て」

レイ「これは、水? 涙……泣いてる、ないてるのは、わたし……?」

レイ(少女)「鼓動を感じる」

レイ「……」 ゴシゴシ

レイ(少女)「祝福の鐘を鳴らし、歓喜の歌を。アダムが目覚める」

レイ「誰の中に?」

レイ(少女)「碇シンジ。もうひとつの紛い物は裏に」

レイ「私と同じ?」

レイ(少女)「違う。でも、いずれひとつになる。それはとてもとても気持ちの良いこと」

レイ「そう」

レイ(少女)「そろそろ行きましょう」

レイ「どこに」

レイ(少女)「碇くんの元に。アダムの元に」
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/05(水) 00:44:43.59 ID:e9dDNEfmO
アスカVSレイフラグ立ってる気がする
直す前はなかったよね
137 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/07/05(水) 11:16:18.59 ID:FtkwUp490
アスカとレイの構図にしてもそうですが基礎になる分が残っているので投下分までは足りない部分の再構築がやりやすいです
いろいろ加筆修正していますが前スレが下書きなら今スレは清書って感じですかね
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/05(水) 22:26:12.50 ID:O6IxMjnHO
>>112で作者露骨に煽られてて草生えるこういうやつはNGにぶちこんじまえ
139 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/07/05(水) 23:14:32.88 ID:FtkwUp490
【第三新東京市 ビジネスホテル】

加持「ご無沙汰してます」

国防大臣「まずは、政府へおかえりとでも言うべきか。随分とつれなかったな」

加持「突然の連絡になってしまい申し訳ありません。調査部もパニクってましたよ。亡霊が今さら現れるとはね」

国防大臣「碇、ユイか」 パサ

加持「ご存知の通り、戸籍上は司令である碇ゲンドウ氏の妻です」

国防大臣「党の幹事長や総理も極めて驚かれていたよ。司令交代というゼーレからの一方的な通知、いや、脅迫では」

加持「心労がかさんでいるようで」

国防大臣「胃が痛いよ……裏があるのもわかりきっているからな。まったく、碇という一族はなんなのだ。両夫妻、そしてパイロットに至るまで、身内固めではないか」

加持「調べますか?」

国防大臣「答えるまでもなかろう。だが、キミだけでは心許ないと判断した」

加持「組む相棒のデータを貰えますか」 ポリポリ

国防大臣「……」スッ

加持「この子は……中学生、ですか」ペラ

国防大臣「彼女には、パイロットの監視を行ってもらう。戦略自衛隊からの派遣だ」

加持「こりゃあ、まいったな。腕は信用できそうにもありませんね」

国防大臣「ひよっこと聞いているが、なに、相手も素人同然だ。問題はなかろう」

加持「霧島、マナね」

国防大臣「彼女には裏切らないよう保険をかけてある。キミは、断面図を入手しろ」

加持「準備に時間がかかりますよ。本部構造の全体把握をされる理由は、やはり直接掌握を視野にいれているんすか?」

国防大臣「余計な詮索は身を滅ぼしかねないよ」

加持「俺が内偵だとバレていないとも限りません。情報はあっても困らない」

国防大臣「やけに臆病じゃないか。心配事でもあるのか?」

加持「上が助けてくれそうにないのが心配ですよ」

国防大臣「はは、たしかに。違いない。キミが死んでも代わりの人間を送りこむだけだからな。トカゲの尻尾は本体さえ生きていれば再生できる」

加持「哀れと思って教えちゃくれませんか? 政府は、ネルフをどうしたいんです」

国防大臣「布石だよ。今はまだ対使徒という組織だが、いなくなったらどうなる? ん?」コンコン

加持「……」

国防大臣「五分しか動かない決戦兵器でもおおいに脅威だ。では、操縦する人間は? 整備を行なっている連中はどうだ?」

加持「戦闘に関しては、素人同然ですな」

国防大臣「そうだろう」ニッコリ

加持「つまり、武力行使もやむをえないと判断しているわけですか」

国防大臣「もうひとつ、教えておいてやろう。日本政府の間では、工作に疑問符が出ている。もしや……キミがネルフ寄りの人間なんじゃないかと、ね」

加持「おだやかじゃありませんね」

国防大臣「身の潔白を証明し、キミの信頼を確固たるものにする為にもネルフ本部にあるセキュリティホール(欠陥)を探し出せ」
140 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/07/06(木) 16:15:18.22 ID:JVrC/eBL0
【厚木基地 戦自】

司令官「今回の任務は特務機関ネルフ、そのパイロットであるサードチルドレンの調査だ」

マナ「……」カサ

司令官「ネルフはこれまで治外法権を理由に、都合の良い振る舞いを行なってきた。我々は犠牲を払い、いつも足止めをしているに過ぎない」

マナ「はい」

司令官「本作戦は、ネルフ内部における組織図の明確な調査をするとともに、碇一族と委員会についての癒着を暴く足がかりとなる重要な任務だ」

マナ「……」

司令官「忌々しいが、使徒に有効な兵器は、あのエヴァとかいう玩具なのは事実である。だが、我々には我々の得意とする分野がある。政府にアピールする良い機会でもあるのだ。わかるな?」

マナ「はい」

司令官「友人達については、貴様の働き次第で、優遇を約束しよう。状況は全て整っている。あとは君次第だ」

マナ「もし、情報を引き出せなければ……」

司令官「使えない者を贔屓するわけにもいくまい。そうなったら、どうなるか。想像にまかせよう」

マナ「(私が失敗したら、ムサシとケイタは戦場に戻ることになる。そういう意味なのね……)」

司令官「今回の任務は極秘だ。政府の一部高官筋、及び戦自内部においても知る者は少ない。万一、君の正体が明るみにでても一切関与はしない」

マナ「……」

司令官「貴様は今、この時点で社会的に存在を抹消される。むろん、戦自のデータベースからも全ての記録を消去する。霧島マナであるには変わりないが、透明になるのだ」

マナ「はい」

司令官「影となって生きろ。スパイの鉄則だ」

マナ「(碇、シンジ……シンジ、くん……)」

司令官「二十四時間、ターゲットのみを考えろ。そうすれば結果を伴わせることができるだろう」

マナ「了解」

司令官「一字一句全てを暗記するつもりで」

マナ「(ターゲット……情報を集めるべき相手……大丈夫よ、マナ。私はかわいい、武器にできる)」

司令官「以上だ。霧島マナ隊員の健闘を祈る」
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/06(木) 19:21:12.06 ID:yOyrSe5XO
クソ面白いのはわかったから続きはよしてくれ頼む
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/06(木) 22:20:50.29 ID:StJlfleSO
>>112
しねかすぼけ
143 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/07/07(金) 14:01:34.32 ID:5LyMqRrY0
【夕方 ネルフ本部 来賓室】

ミサト「さ、三号機をうちに、ですか?」

大統領「引き受けてもらうのは三号機のみで、四号機は引き続き我が国が担当する。同意に必要な詰めは全て済ませてあるから、あとはこの書類に責任者のサインを書くだけだ」

ミサト「しかし、ネルフは既に三体のエヴァを保有しています。日本領土内において過剰な戦力になりうるのでは……」

大統領「政治的な話だよ。現在、我が国では経済的に不安定な状態が続いている。それに伴い、市民の暴動や生活水準の低下が懸念されていてね」

ミサト「つまり、割り当てる予算がないと?」

大統領「情けない話だが、その通りだ。貧困層は医薬品でさえ入手するのが困難な状況になりつつある。そのような状態で、軍備にまわす余裕はない」

ミサト「WHOに支援を求めては……」

大統領「スイスのジュネーブ本部には、発展途上国から問い合わせが殺到しているそうだよ。その中に混じって、アメリカが恥部を晒すわけにはいかんのだ」

ミサト「受け入れるにしても隣国の反発が予想されます。相応の理由が必要になると思われますが」

大統領「その点については、先ほど君がいっただろう。日本は既にエヴァを三体も保有している」

ミサト「はい」

大統領「過剰な戦力ではなく、実績があると捉え、アメリカと日本、友好国という建前を使えばどうとでもなる」

ミサト「お話は承知いたしました。ですが、話が大きすぎて……私の一存では決めかねます。碇司令の判断を仰いでからになりますが、よろしいでしょうか」

大統領「キミの言う碇とは、碇ゲンドウかね?」

ミサト「はぁ、そうですが」

大統領「彼は本日付けで更迭になったと報告を受けている」

ミサト「え、えぇっ⁉︎」

大統領「後任を務めるのは、彼の妻である、碇ユイ博士だ。なにも聞いていないのか?」

ミサト「ぞ、存じません。事実なのでしょうか?」

大統領「嘘をついてなんになる。碇ゲンドウ氏はアラスカにて調査を行うはずだ」

ミサト「どなたの意向でしょうか?」

大統領「私が知るのは結果のみだ」

ミサト「(左遷? いいえ、違うわね。日本政府でさえネルフに人事の口だしできないはず……ゼーレ?)」

大統領「……」コト

ミサト「ですが、ユイ博士は、たしか、資料によると亡くなっているのでは……納得のいく説明を求めます」

大統領「上層組織によるゼーレの決定だ。キミも噂ぐらいは聞いたことがあるはずだな?」

ミサト「やはり……ですが、ゼーレの実態はほとんど存じません」

大統領「私も同じだ。世界は、一部の組織が牛耳っているに等しい。まったく、なにが大統領だ、傀儡だよ。これではな」

ミサト「……」

大統領「日本には藪をつついて蛇をだすというコトワザがあると聞く。これは善意からくる忠告だ」

ミサト「肝に命じます」

大統領「私は残り十六時間ほど滞在する。それまでに良い返事を期待しているよ」
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/07(金) 21:48:10.25 ID:IWn7eWaSO
加持さんまた死にそう
145 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/07/07(金) 22:40:46.10 ID:5LyMqRrY0
【ネルフ本部 発令所】

マコト「まさか、そんな」

シゲル「ひゅ〜」

マヤ「い、生きてたんですね」

冬月「お前達、新司令に対してその態度はなんだ。失礼だろう」

ミサト「二点、質問を許可していただいてもよろしいでしょうか?」

ユイ「どうぞ」

ミサト「まず、今回の異動はあらかじめ決められていたのでょうか?」

冬月「葛城一尉。上層部の決定は作戦司令たる君の与り知るところではない。立場をわきまえたまえ」

ミサト「失礼いたしました。次の質問ですが、資料によると司令は初号機に取り込まれたとあります。実験中に発生した不慮の事故は、末端の職員ですら知っています」

ユイ「……」

ミサト「しかし、記載に反して碇司令はこうしてここにいらっしゃいます。この相違点についてご説明を求めます」

ユイ「今後の円滑な業務工程に関わる?」

ミサト「いえ、個人的な質問です」

ユイ「仕事に関わる話でないのならば、差し控えてもらえると助かる。プライベートを詮索されるのは好きじゃないの」

ミサト「ですが、職員全体が困惑しているのも事実です」

ユイ「そう、全く関係ないとは言えないのね。であるならば、データを開示します。気になる職員は後で見なさい」

ミサト「承知しました」

冬月「全館放送に切り替えろ」

オペレーター「了解」カチ

冬月「これから新司令の就任挨拶を行う、作業中の職員は手を止めて聞くように。では、ユイくん」スッ

ユイ「――この度、本日付けで特務機関ネルフ総司令に就任いたしました、碇ユイです。皆、急な人事異動で戸惑いがあるだろうけど、私達の目的は使徒殲滅。忘れないで。誰であろうと、不変だということを」

マヤ「……」

ユイ「命をかける、その決意と覚悟を持ってここに立っています。あなた達が自分の仕事に誇りを持っているように、この私も人類の為に働く一員なのです」

マコト「……」

冬月「彼女の能力については、私が保証しよう。碇に負けず劣らずのキレものだよ、敬うように……以上で挨拶を終える、放送を切れ」

オペレーター「はっ」

ユイ「では、バタバタして申し訳ないけど、葛城一尉」

ミサト「はっ」 ビシ

ユイ「最初の命令になります。零号機を現時刻をもって凍結」

ミサト「と、凍結っ⁉︎ 待ってください! 零号機はようやく予備のパーツを換装し終えたところで!」

ユイ「あくまで暫定的な処置です。三号機配備を受け入れる体勢は必要ですから」

ミサト「……」

ユイ「アメリカ側がどう主張しようと、こちらに丸投げの状態なのよ。反発を抑える予防策だと考えてくれる?」

ミサト「それは、たしかに。使徒が襲来した有事の際には解除されるのでしょうか?」

ユイ「投入やむなしと判断した場合にはね。その采配は、作戦司令に一任します」

ミサト「なぜ零号機を? レイは安定していますし、三号機でもよろしいのでは」

ユイ「零号機はプロトタイプ。試作品なのよ、弐号機で完成したエヴァシリーズの後継機が三号機。データを集めるのに都合が良い」

ミサト「では、大統領に受け入れ了承の旨、お伝えするということで、よろしいですね」

冬月「問題なかろう。これでキミはエヴァ四体の指揮権を管理する立場になるな」

ミサト「はっ」ビシ

冬月「今後とも精進するように」

ミサト「(その気になれば、世界を滅ぼせるわね)」
146 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/07/07(金) 23:24:56.87 ID:5LyMqRrY0
【ネルフ本部 営倉】

冬月「先ほどの放送は聞いたな」

ゲンドウ「冬月、裏切ったのか」

冬月「どう答えたら満足する」

ゲンドウ「ふざけるのはよせ。俺を見限ったな」

冬月「卓上の将棋盤を持ってきた。久しぶりに一局打たんか」

ゲンドウ「……」

冬月「上の連中の愚痴に付き合って疲れていてね、息抜きがしたい。勝手に広げさせてもらうよ」

ゲンドウ「ユイはどういうつもりだ」

冬月「本将棋というのは戦略の駆け引きだ。時には数百手先を読み合い、駒を奪い合い玉を目指す。玉とは王だ」 パチ パチ

ゲンドウ「……」

冬月「気がつかぬままに囲まれている場合もある。このようにな」パチ パチ

ゲンドウ「……」

冬月「そうなると退路はない。逃げ道を塞ぐまでをも計算に入れているからだ。待っているのは詰みという終局」

ゲンドウ「いまだ詰んではいない」

冬月「いや、既に投了しているのだよ。老人たちは我々の企みに気がついてしまった。後は、答え合わせを残すのみ」

ゲンドウ「……」

冬月「内部から伏兵に崩壊させられたのだ。相手が悪かったな。我々の手の内を知り尽くしていた」

ゲンドウ「……」

冬月「改まって言うに及ばないが、責任追及は免れんだろう。もうすぐゼーレから使いの者が来る」

ゲンドウ「これで終わりか」

冬月「呆気ないものだがな。仕事が残っているので失礼させてもらうよ。盤面はそのままにしておいてくれればいい」スッ

ゲンドウ「……」

冬月「付き合いは楽しいものではなかったが、礼を言わせてくれ。これまで、ありがとう」コツコツ
147 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/07/08(土) 00:22:48.87 ID:Akhu96qY0
【数時間後 同営倉】

保安部「立て」

ゲンドウ「……」スッ

リツコ「待って。少し話があるから、あなたは外で待機」

保安部「はっ。終わりましたらお声をおかけください」カシュ

ゲンドウ「なにをしにきた」

リツコ「今の気持ちを聞きにきたのよ」

ゲンドウ「ふっ、そんなものを聞いてなんになる」

リツコ「補完計画の目的を聞いたわ。決断した奥様の行動はまさに電光石火だった。なにを意味するかわかる? ずっと機会を伺っていたのよ。これでシナリオはご破算」カチャ

ゲンドウ「そうか」

リツコ「……っ! それだけ⁉︎ なんとか言ったらどうなの! 私が憎いでしょう⁉︎ それとも、私には憎しみを抱く感情すらないっていうの⁉︎」

ゲンドウ「……」

リツコ「これまで、どんな辛い命令だって耐えてきた! 振り向いてほしかったから! ……でも、それも終わり」

ゲンドウ「……」

リツコ「最初に犯された時は嫌悪感しかなった。私でさえわからなかったのよ! 回数を重ねるにつれて安らぎを感じ愛されたいと願うようになるなんて!」

ゲンドウ「目はかけていた」

リツコ「なにもかもウソよ! あなたが幸せになるのなんて許せない。許してはならない。だから、壊すの。今さら息子と奥様を取り戻して仲良くするだなんて、虫が良すぎると思わない?」

ゲンドウ「……」

ユイ「失礼するわよ」カシュ

リツコ「はい」スッ

ゲンドウ「ユイ……」

ユイ「あなた、もうおしまいよ。ネルフの権限と担当している業務は私が引き継ぐ。安心して退陣してもらっていいわ」

ゲンドウ「なぜだ、なぜこのような真似をする」
148 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/07/08(土) 00:23:55.61 ID:Akhu96qY0
ユイ「計画には修正が必要なの。黙って見ていてもよかったのだけど、あなたでは完遂できそうにないから」

ゲンドウ「……」

ユイ「引き際も肝心だとわかってちょうだい。大丈夫、きっと良い方向に持っていってくれる」

ゲンドウ「シンジに託せというのか」

ユイ「未来を担うのはいつだって若人よ。バトンを紡いでいくだけ、シンジもいつかは歳をとり次の世代を希望を託すことになる」

ゲンドウ「赤木博士」

リツコ「……」

ゲンドウ「その拳銃で俺を撃て」

リツコ「……」ピク

ゲンドウ「せめてもの償いだ。キミには辛い思いをさせた」

ユイ「はぁ、相変わらず不器用でバカね。撃たせたら一生枷になって残り続けるわよ。拳銃をさげなさい」

リツコ「私は、私は」プルプル

ユイ「赤木博士。腕をおろしなさい」

ゲンドウ「ユイ」

ユイ「なに?」

ゲンドウ「俺たちの息子を、シンジを頼んだ」

ユイ「言われなくてもそうするわ」

リツコ「……っ! 私の目の前で夫婦の会話をしないでちょうだい!」パァン

ゲンドウ「うっ」ドサ

リツコ「あ……っ!」ヘタリ

ユイ「あらあら、撃っちゃったわね」

リツコ「違う、そんなつもりは、勢いで、私、なんてこと……」

ユイ「……」コツコツ

ゲンドウ「ごほ、くだらん結末だな」

ユイ「肺を貫通した?」スッ

ゲンドウ「ああ」

ユイ「そう。このまま死ぬ?」

ゲンドウ「そうしよう、ぐふっ、げほっ」

ユイ「赤木博士」

リツコ「……う……あ……」ガタガタ

ユイ「この人はここで死にたいそうよ。拳銃を貸してもらうわね」スッ

ゲンドウ「すまない」

ユイ「最後まで、人に迷惑をかけるんだから」パァン
149 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/07/08(土) 01:04:40.37 ID:Akhu96qY0
【ネルフ本部 テラス】

シゲル「しっかし、あの見た目で碇司令の妻とは信じられないねぇ」

マヤ「若作りしてるっていうメイクでもないみたいだけど、年相応には見えないわね」

シゲル「あれは着痩せするタイプだぜぇ? 服の下はけっこうなボインと……」

マヤ「う、不潔」

マコト「だけど、やっぱり変じゃないか」

マヤ「……?」

マコト「公開されたデータに目を通してみたけど、サルベージに成功していたとあるだろ?」

マヤ「ええ」

マコト「これまでどうして伏せていたんだろう。エヴァに取り込まれて生還した事例も初だが、研究としても歴史に残るサンプルじゃないか」

マヤ「だからこそ非公開にしておいたんじゃないかしら」

マコト「どういう意味だ?」

マヤ「MAGIもそうだけど、ブラックボックスはほとんど解明されてないじゃない。多くに知らす必要はなく、水面下で研究すると判断されたのよ」

マコト「そうかなぁ……」

ミサト「好意的な受け取り方ね」

マコト「葛城さん」

ミサト「夕食中にごめんなさい。私も相席させてもらっていい?」

シゲル「まぁ、俺たちは」

マヤ「どうぞ。あっ、味噌ラーメン頼まれたんですか?」

ミサト「え? ええ、そうね」コト

マヤ「ここ、職員の間でもラーメンが評判で」

マコト「マヤちゃん」

マヤ「すみません。なにかご用件があるんですか?」

ミサト「かまわないわ。さっきの話に加わりたかっただけだから」

マコト「と、いうと、新司令の話ですか?」

ミサト「ちょっち、気になるのよ。急な決定にしては、あまりにも用意周到すぎない?」

マヤ「人事ですか?」

ミサト「それもあるけど、業務の引き継ぎに関しても、堂々としすぎてるというか、迷いが見えない」

マヤ「私はそうは思いません。ネルフ代表ですから、有能であるのは必須だと考えます」

ミサト「そうね」

マコト「サルベージについて疑問が残るのを除けば、文句のつけようがありませんよ。経歴についてはネルフ創設者の一人ですし、エヴァ研究の功労者でもあります」

シゲル「加えて、副司令の口添えもあるんすから」

ミサト「だぁっ! 私の考えすぎかしらねえ」ガシガシ

マヤ「他になにか気になる所でも?」

ミサト「うまく説明できないけど、女のカンよ」

マコト「またですか……」

ミサト「そーよ。なんかヤバそうな気がする」

シゲル「使徒が来るのが一番やばいっすよ」

ミサト「そう……なんだけどねぇ」
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/08(土) 01:06:32.92 ID:Z5ZODkRSo
え?ここ変えるのか?
シンジがゲンドウの死にショック受けるシーン丸々変更になるんじゃ
151 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/07/08(土) 01:14:02.35 ID:Akhu96qY0
前の流れも悪くはなかったかなと思うんですが、察しの通り丸々変えちゃいます
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/08(土) 03:04:32.05 ID:+JRoxoRSo
続きまで行って告知する時に、改変したところリスト化してくれって言うのは贅沢かな
153 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/07/08(土) 20:47:12.24 ID:bCBn7bJ4O
箇条書きでよければかまわないすよ
今日から旅行なんでレスは数日しません
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/09(日) 22:44:09.23 ID:OrlzK+NF0
無理してリスト化しなくてもいいんじゃよ
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/10(月) 02:18:11.76 ID:1dm81gwgo
いや、やってくれるなら是非頼む。
改変されたのを知らずに突っ込み入れて荒れることは防いだ方がいい
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/10(月) 12:17:47.11 ID:IYpbQafCO
そんな理由で荒れるのがそもそもなぁ。
しょせん書いたものを無償で享受してる分際でしかないんだから読者が「飽きた」「つまらない」と思った作品を途中できっていいように、
作者だって作品を書くのを途中でやめてもいい。お互い仕事じゃなくて趣味なんだから。
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/10(月) 15:26:56.31 ID:idfhgyu1O
SSが過疎ったのてこれだよな
余計な気をまわしたりせにゃいかんとか作者に対して厳しすぎる
そら長編とか誰も投稿しなくなるわ
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/11(火) 00:05:03.30 ID:69pLGGnEo
そら単独のスレでってのが前提だろ
もう二回もスレ変えて、しかも最初からで、おまけに改変してって。

荒れるは言い過ぎだろうが、それでも新旧読者間で混乱はあるだろ。
幸い作者は箇条書き程度なら配慮するって言ってんだからそれでよくない?
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/11(火) 00:13:59.47 ID:/SrvKcovO
>もう二回もスレ変えて、しかも最初からで、おまけに改変してって。

だからこれが作者の自由なんだよなあ
それについて無駄に配慮しなきゃいけないのが生産性のかけらもない行為っていう
理解できないなら読めばいいだけだしそれが嫌なら読むのやめるか
そこまでやってくれって求めるのが配慮なのか注文なのか・・・
まあやるのはどっちみち作者だけど負担になるのは確実よね
俺らは趣味で読んでる、作者は趣味で書いてんだからそこまでやらんでもよくないかね
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/11(火) 00:16:05.22 ID:QVohplDFo
作者がやるって言ってることに文句垂れてる方がどう見ても荒らし
この作者はやりたくないことはやらないだろ
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/11(火) 00:18:59.97 ID:/SrvKcovO
や、別に俺は作者がやるってんなら止めはせんけどな
二回もスレ変えて云々が「スレ変えてんだからやって当然だろ」というニュアンスに見えるから言っただけ
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/11(火) 00:22:06.80 ID:/SrvKcovO
連投すまん
この作者は読んでもらいたいわけじゃなく趣味でやってんだからっていうのが俺の見解かな
リスト化するのが読んでもらう前提で書いてるように見えるんだよな
まあ、あんまりレスするといかんからここらでやめとくわ
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/11(火) 00:33:40.18 ID:dDiEpJO80
作者に求めるのは書いてほしいだけだからリスト化して遅れるなら普通にいらない
無理なら断っていい
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/11(火) 00:49:14.75 ID:LJaPqlZbo
典型的読者様だなお前の感情とかお前以外誰も1ミリも興味無いから黙ってろ
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/11(火) 00:56:31.22 ID:aK0lNNjVo
趣味でやってても読んでもらいたいからネットにあげてるし感想にコメントつけたりするんだろ
それは作者の自由だしお前らの理想の作者像とかどうでもいい
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/11(火) 03:05:55.99 ID:I2msGT+nO
会話が噛み合ってなさすぎでわろた
お前らって一方通行なんだな
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/11(火) 23:24:22.76 ID:4LvxP3JSO
セロリ乙
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/12(水) 03:29:56.82 ID:vOaYuqvQO
読者様多すぎな
169 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/07/12(水) 23:32:40.57 ID:v7lsyslg0
帰ってきたんで再開してきます
170 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/07/13(木) 00:06:01.87 ID:CxCxHYbD0
【ネルフ本部 執務室】

冬月「死体の始末は済んだのかね」

ユイ「はい、万事滞りなく。ひとつの終わりを迎えました」

冬月「人の生は儚いものだと改めて実感する」

ユイ「忍び寄る影に気がついていなかっただけ……先生ほど長生きされても、死という概念が恐ろしいですか?」

冬月「年寄りには、悪い冗談だ」

ユイ「私はこわくはありません。ですが、志し半ばで死ぬのが辛い」

冬月「碇とて例外ではなかろう。まさかキミの手で葬りさられるとは」

ユイ「来世、というのは変ですが、またきっかけはあります。あの人の願いは、私とシンジに託されました」

冬月「そうか、では少なからず救われたのかもしれんな……これからどうする」

ユイ「補完計画をよりはやく遂行します。使徒の襲来を待つ必要はありません。彼ら個体が目指すべきはアダムであり、種の生存本能がなくなればどうなるか……」

冬月「お手並み拝見させてもらうよ」

ユイ「先生は、これまでと同じく副司令として補佐をして頂きます」

冬月「承知しているよ。地盤固め、その為に俺を生かしておいたんだろう」

ユイ「先ほど、鈴から連絡がありました」パサ

冬月「これは……」

ユイ「戦自のバックについているのは、いうまでもなく日本政府です」

冬月「退屈せんな。ネルフ職員は組織という建前上納得させられても、外部はどうしようなかろう」

ユイ「政治にはとかくお金がかかるものですからね」

冬月「つつける場所を探しているのだろう。ネルフの弱みを握れればこれ以上ない優位性がある」

ユイ「将棋でもさされます?」

冬月「結構だ。キミと指しても面白くない」

ユイ「ふふ、たしかに私では相手になりませんね」

冬月「おごりはいつか、足元をすくわれるやもしれんぞ」

ユイ「そんなつもりは。私は“待ち”が得意だと先生もご存知でしょう」

冬月「……」

ユイ「とはいえ、ただ黙って見ていては好きなように立ち回らせてしまいます」

冬月「ならばどうする」

ユイ「餌をちらつかせます、食いつきやすいものを」
171 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/07/13(木) 00:16:30.04 ID:CxCxHYbD0
【ミサト宅 マンション】

アスカ「えぇ〜〜〜〜⁉︎ 三号機ぃ〜〜⁉︎」

ミサト「そーよ」カシュ

アスカ「エヴァが三体も配備されてるのに⁉︎」

ミサト「四体目ね」トクトクトク

アスカ「やれやれね。使徒が来ないのにエヴァばかり増やしてどうすんのよ。それでパイロットは?」

ミサト「これから選定するはずよ、それともうひとつ」

アスカ「……?」

ミサト「司令が交代になったわ。明日、パイロット達にも挨拶をしてもらうから」

アスカ「はぁっ⁉︎」ガタッ

ミサト「前司令はアラスカに。後任になったのは碇ユイ司令だそうだよ」

アスカ「碇? ファミリーネーム?」

ミサト「碇司令の奥さん。シンジくんのお母さん」

アスカ「あいつのママって生きてるんだ……。なによ、恵まれた環境じゃない」

ミサト「……」

アスカ「前司令は、クビにでもなったの?」

ミサト「詳しい理由についてはわからない」

アスカ「どうして?」

ミサト「普通の企業だって異動については辞令がでるだけ。理由についてまで説明されるなんて通常はなかったりすんのよ」

アスカ「ここが普通ぅ?」

ミサト「そうね、少し、違うかもしれない。軍属でも民間企業でもないわ。でも規則や階級は重んじているの、発令には絶対遵守。さしたる例としてはこれがある」

アスカ「そりゃそうでしょ。ミサトの襟にも階級章のピンバッチつけてるじゃない」

ミサト「前身は研究所だったと聞いてるわ。軍隊色が濃くなったのはセカンドインパクトと使徒のせい。各国政府による後ろ盾によって強固な地盤になっていったの」

アスカ「……」

ミサト「人事については、とてもデリケートな部分よ。組織内の決定力、パワーバランスを塗り替えてしまうから。一国よりもさらに上の各国代表団、ゼーレという委員会に一任されている」

アスカ「いざとなったら戦争でもなんでもできるでしょうに」

ミサト「私たちは国家間の争いを生むために編成されたわけじゃない。あくまで対使徒用の集団なのよ」グビ

アスカ「……」

ミサト「職員の多くは、拳銃の射撃訓練を受けていても、実際に人を撃った経験はないし、だから、銃器の扱いについては戦自に協力をしてもらってる」

アスカ「ふーん? よくわかんないけど、ようするに機密ってわけ?」

ミサト「まぁ、そうね」

アスカ「秘密主義ってやだな」

ミサト「幻滅した?」
172 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/07/13(木) 20:46:25.68 ID:CxCxHYbD0
アスカ「少しね」

ミサト「民間と軍隊の融合体みたいなものね。使徒に関係する場合には、外部に対しての影響力や発言力はかなりのものよん?」

アスカ「わかってる。弐号機運搬で連合軍の艦隊を護衛にしてたじゃない。新司令ってどんな人?」

ミサト「初対面の印象は……そうね、柔らかい人ってところかしら」

アスカ「もっと具体的にないのぉ?」

ミサト「前の碇司令よりはとっつきやすそうって感じ?」

アスカ「あれ以上だったら驚くっちゅーの……。経歴は?」

ミサト「データによると、エヴァの開発責任者はリツコだけど、システムを作りあげたのが彼女みたい。自分自身が率先して実験台になったり、貢献は計り知れないわ」

アスカ「あぁ、そういえば取り込まれたっていうの?」

ミサト「この界隈じゃ有名な話だもんね。まるで悲劇のヒロインって感じ」

アスカ「戻ってこれるんだ」

ミサト「サルベージ計画が成功していたらしいの。なんで伏せてあったのか機密扱い」 ペコ

アスカ「……」

ミサト「もし、アスカやレイが取り込まれたとしても帰れる方法が見つかってよかったわね」

アスカ「うげっ、そんなの想像したくないんですけどぉ」

ミサト「もちろんないにこしたことはないわ。だけど、初号機みたく暴走されたら制御は難しいのよねぇ」 カラン

アスカ「ごちそうさま。……赤木博士よりエヴァに詳しい人か」スタスタ

ミサト「ああ〜、立ったついでにエビちゅ、もう一本とって」

アスカ「たく、よく飲むわね」ガチャ

ミサト「一日の疲れを癒してくれる魔法の薬♪」

アスカ「風呂は命の洗濯とか言ってなかった?」スッ

ミサト「それはまた別のお話」

アスカ「あっそ……シンジが学校に来なかったのはママが理由? 今頃家族の団欒でもしてるの?」スッ

ミサト「へ? シンジくんが、学校に来てない?」

アスカ「……?」

ミサト「どして、来てないの?」カシュ

アスカ「あたしが聞いたのに知るわけないでしょ」

ミサト「(保安部から報告があがっていないのは妙だわ。なにかあったのかしら)」

アスカ「ミサト? 知らなかったの?」

ミサト「……なぁ〜に? アスカってば、シンちゃんが気になるんだぁ〜?」ニヤニヤ

アスカ「なぁっ⁉︎ ぬぁ、なななな、なんでそうなるの⁉︎」ボッ

ミサト「あらあら、顔が真っ赤になるってことは案外遠からず……」

アスカ「ば、バカにしないでよね! あんなやつがどこでなにしてようと知ったこっちゃ!」

ミサト「だったら、どうして赤くなんのよ」

アスカ「うっ」チラ

ミサト「どこ見てんのよ? 鞄……?」

アスカ「あっ、いや、べつに!」プイ

ミサト「学校からのプリント? だぁ〜めよ! ちゃんと見せなさい!」ガタ

アスカ「違うったらぁ! 本当になにもないの!」

ミサト「あのねぇ! 今のあんたの保護者は私なんだからね! ……なにこれ」スッ

アスカ「はぁ……」

ミサト「ネルフの報告書じゃない。シンジくんとの相性……ってぇ! なんなのよこれはぁっ⁉︎」バンッ
173 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/07/13(木) 21:20:17.95 ID:SoPoYtqNO
【付属病院 205号室】

保安部「うっ、お、お前は……!」ドサッ

レイ「……」ガラガラ

シンジ「……」すぅーすぅー

レイ(少女)「夢の中に入るわ。隣で寝て」

レイ「夢に?」

レイ(少女)「今なら通じ合える」

レイ「……」

レイ(少女)「碇くんもあのばあさんにはうんざりしてる。わかるもの」

レイ「ばあさんって誰?」

レイ(少女)「二人。一人目のばあさんは、発狂して私の首を絞めた赤木ナオコ。二人目のばあさんは碇ユイ」

レイ「碇くんは、私達を受け入れてくれる?」

レイ(少女)「すぐにわかるわ」

レイ「……」ギュウ

レイ(少女)「恐怖、こわいのね。拒絶されるのが」

レイ「こわい? 私、碇くんに嫌われたくない」

レイ(少女)「アダムがいる。赤子同然だけど、彼とは古くからの友人よ」

レイ「なぜ、夢の中にはいるの?」

レイ(少女)「私の中の私に勘づかれる前に、知ってもらわなくちゃ」

レイ「私を? 心が欠けているのに」

レイ(少女)「ヒトは、脆く、弱い。だから、心を重ねて、身体を重ねる」

レイ「接触と承認。なぜ、生きたいの」

レイ(少女)「答えを知りたい?」

レイ「ええ、他にはなにもないもの」

レイ(少女)「知りたい。答えは、アダムとの融合、そして、碇くんの中にある」

レイ「知らないまま消えていくのは嫌。好きじゃない」

レイ(少女)「眠りましょう」

レイ「眠りましょう」

レイ(少女)「ヒトは誰しもが夢を見る、でも、いつまでも夢を見続けてはいられないわ」

レイ「碇くん」

レイ(少女)「深く、深く、深層心理の中へ――」
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/13(木) 21:47:06.07 ID:+IKYsP3SO
???
175 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/07/13(木) 22:16:18.56 ID:CxCxHYbD0
【シンジ 夢 電車内】

ゲンドウ『エヴァに乗れ。でなければ、帰れ』

シンジ「なんでそんな勝手なこと言うんだよ……いきなり呼びだしておいて……!」

ゲンドウ『お前の価値はそれだけだ』

シンジ「やっぱり僕は、いらない子供なんだ! 僕なんか、どうでもいいんだろ⁉︎ 」

ミサト『どうでもいいと思うことで、逃げてるでしょ? 失敗するのがこわいんでしょ?』

シンジ「うるさい。僕にだって救えた人がいるんだ」

トウジ『シンジ、妹を転院させてくれてありがとさん」

アスカ『結局は見返りを求めてるんじゃない』

シンジ「違う」

アスカ『あんたのはただの逃げ。弱い自分を見るのがこわい。男だったら受け入れてみなさいよ!』

シンジ「うるさい、うるさいっ!」

加持『寂しいのは、一人になるのは嫌いかい?』

シンジ「好きじゃない」

ゲンドウ『逃げたいのか』

シンジ「逃げたらもっと辛いんだ! だから、逃げない」

ユイ『辛かったら、逃げてもいいのよ』

シンジ「でも嫌だ! 逃げるのはもう嫌なんだ!」

レイ(少女)「それは、自己犠牲?」

シンジ「誰? ……逃げたら、相手にしてくれなくなる。父さんだって。だから、そう、逃げちゃダメだ」

レイ「だから、逃げるのが嫌なのね。逃げ出した辛さを知っているから」

シンジ「綾波、綾波レイ。どうしてここに――」

レイ(少女)「捨てられたくない」

シンジ「父さん、僕を捨てないで。お願いだから、僕を捨てないで!」

リツコ『他人の言う意見に素直に従う、それがシンジくんの処世術』

シンジ「それのなにが悪いんだよ。そうしなきゃ、また捨てられちゃうんだ」

レイ「なにを求めるの?」

シンジ「不安からの解消」

レイ(少女)「なにを願うの?」

シンジ「寂しさの解消」

レイ「幸せを望んでいるわけじゃないの」

シンジ「その前にほしいんだ。僕に価値がほしいんだ。誰も僕を捨てないだけの価値が」

レイ(少女)「補完計画はその為にある」

シンジ「綾波、二人?」

レイ「私は私」

レイ(少女)「モデルは碇くんのお母さん」ドロ

シンジ「ひっ、溶けて」

レイ「形は必然じゃない、私をあらわすもの」

レイ(少女)「真実に目を向ける勇気はある?」ガシ

シンジ「綾波レイがたくさん……」

レイ(少女)「脳に焼きつけて」

レイ「……」

シンジ「うわぁあああああああああっ!!」
176 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/07/13(木) 23:02:39.97 ID:CxCxHYbD0
【付属病院 同病室】

レイ「……」パチ

レイ(少女)「手を離していい」

シンジ「……うぅ……ううぅ……」

レイ「このままでいいの?」

レイ(少女)「脳に直接情報を刻んだ。手にあるアダムを媒体にしてダイブしたから問題ないわ」

シンジ「ううぅぅっ!」プルプル

レイ「いつ、目を覚ます――」

カヲル「共鳴を感じて来てみれば、やっぱり、キミだったんだね」

レイ「……」チラ

カヲル「僕と同じだね。君も。そこで眠る碇シンジくんも」

レイ「あなた、誰?」

レイ(少女)「半身にすぎない。オリジナルはこっち」

カヲル「運命を仕組まれている。僕たちでさえ終わらぬ輪廻から逃れられない。そうだろ、リリス」

レイ「不快」キィーン

カヲル「おっと、まだ力を使わない方がいい。来たるべき時まではね」

レイ「……」

カヲル「表で死んでるやつはボクの仕業ということにしておいてあげるよ。その方が都合がいいと思うから」

レイ(少女)「そう、私たちは帰るわ」

レイ「……」

カヲル「僕たちはなんのために生まれてきたのかな」

レイ(少女)&レイ「答えは、碇くんとともにある」

カヲル「僕と対をなす存在。アダムを移植されたかわいそうな少年。この子に僕たちが望むセカイがあると?」

レイ「もう行く」スタスタ

カヲル「……」チラ

シンジ「はぁ、うっ、はぁ、はぁ」ビクッビクッ

カヲル「夢でさえ逃げられない。平穏はどこにあるんだろうね」スッ
177 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/07/14(金) 00:42:17.90 ID:wQynM8xJ0
【深夜 ネルフ本部 テラス】

加持「タバコ、吸わないのか」シュボ

リツコ「禁煙するわ」 カラン

加持「めずらしいな。真夏に雪が降らないといいね」

リツコ「加持くんもやめたら? 百害あって一利なしよ」

加持「たとえプラセボ効果だとしても息抜きは必要なんでね。やめた理由を聞いても? 長生きしたいからってわけじゃないだろう?」

リツコ「髪を切ろうかと迷った、と言えば察しがつく?」

加持「やはり、碇司令との決別が原因か」

リツコ「わかってて聞くなんて酷い男ね」

加持「男と女の関係はロジックじゃない。リッちゃんの言葉だぞ」

リツコ「ええ」

加持「立ち直るにしてもはやすぎる。もっとも、碇司令がその程度の男だった、というのならわからないでもないが、そうじゃなかった」

リツコ「愛していたわ。あの人の為ならどんな辛い仕打ちだとしても我慢できた」

加持「……」

リツコ「だけどね、加持くん。愛と憎しみは紙一重なのよ。好きの反対は無関心で嫌いにはならない。裏切られた、と感じた瞬間、胸に受けた傷の深さがわかる?」

加持「いや」

リツコ「わかる、なんて言えないわよね。時間、私自身、なにもかもあの人に捧げてきた。気持ちがわかるなんて軽はずみに言ったら殺してたわよ」ギュウ

加持「まだ、碇司令を恨んでるのか?」

リツコ「当たり前よ。恨んでも恨んでも足りないぐらい。でも、心のどこかであの人が恋しいと感じる」

加持「やりきれないな」

リツコ「今は、妻だった人に良い顔をしようとしてる。なにがしたいのかしらね、私は」

加持「リッちゃんは、芯を持っていると信じてるよ」

リツコ「ふふ、それが復讐のためだとしても?」
178 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/07/14(金) 00:43:19.26 ID:wQynM8xJ0
加持「俺も他人をとやかく言える立場じゃない。真実を、補完計画を見届ける為に利用しているからな」

リツコ「なぜ、そこまで? 本当に好奇心?」

加持「それが、俺の、弟たちへの贖罪だからだ」

リツコ「加持くんにとっても復讐なのね」

加持「みんな根っこに抱えるモノは同じだよ」

リツコ「まだ[ピーーー]ない。新しい目的を見つけたから」

加持「あぁ、それについては俺も同意見さ」

ミサト「いたぁ〜!」ズンズン

加持「おっと」

ミサト「アスカから聞いて車かっとばして来たわよ! 加持! あんたなに考えてんの!」ガバッ

リツコ「ミサト、危うくこぼすところだったじゃない」

ミサト「あらま、いいじゃない、また注文すれば」

リツコ「軽いノリはあいかわらずね、ちっとも変わらない」

ミサト「今はこいつに話があんのよ! シンジくんとアスカの相性って……」

加持「学生の頃を思い出すな。こうして俺と葛城とリッちゃんとでよくつるんだもんだ」

ミサト「勝手に混ざってただけだったでしょ!」

リツコ「ミサトだってまんざらではなかったと記憶してるけど? キャンパスで加持くんの……」

ミサト「だぁ〜っ! ちょっとちょっとタンマぁ! リツコ! なに言うつもりなの⁉︎」

加持「気になるな。続きは?」

ミサト「悪ノリしてんじゃないわよ!」

リツコ「人はいつまでも子供じゃいられない。でも、たまにはこうして童心にかえってみるのもいい」

加持「許されるのが当たり前じゃなくなってしまったが、時があるならば、甘えも重要だ。楽しくないからな」

ミサト「なに? 私だけ除け者?」

リツコ「いいえ。この空間は、三人誰が欠けても成立しないわよ」

加持「ほら、まずは飲め。マスター、ウィスキーを」 スッ

ミサト「そ、そう? ……じゃなぁ〜い! 誤魔化されないんだからね!」
179 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/07/14(金) 01:09:02.82 ID:wQynM8xJ0
リツコ「司令の指示で予備案を模索している」

ミサト「ユイ司令の? ほんとなの?」

加持「あ、あぁ」チラ

リツコ「私に発令が降りて加地くんに協力してもらっていたの」

ミサト「どうしてあの子に渡したのよ」

加地「からかい半分かな。アスカには、きっかけが必要だ」

ミサト「怪しいわね。資料は来る途中に目を通してあるわ。なぜ、弐号機と初号機が?」

リツコ「零号機が凍結になれば、パイロットが一人浮くのよ? 有用な活用法を考えれば、機体の互換性、すなわち、パーソナルデータ収集は合理的判断ではなくて?」

ミサト「たしかに、それもそうか……。乗るのは生身の人間だし、病気や怪我の可能性だってある」

リツコ「その為の予備としての実験」

ミサト「にゃるほど。んで、その結果が……ふぅ〜ん、二人の相性、ねぇ」

リツコ「結果はまだ聞いてなかったわね」 チラ

加地「悪くなかったよ」

ミサト「まだ試してないのに高望みはできないわ。あくまで可能性の話として」

リツコ「そうね、模擬体を使い近々にテストを行う」

加地「パイロットを遊ばせておくのはもったいないしな」

リツコ「私にとってはそれほど悪い話でもないわよ?」

ミサト「そりゃまたどうして」

リツコ「空き時間が増えるならば、それだけ実験に参加できる機会が増えるということだもの。むしろ願ったりかなったりね」

ミサト「作戦部にもちったぁ協力しなさいよ!」

リツコ「日頃からお釣りがくるぐらい協力してるつもりだけど?」

ミサト「あぁ……ソウデスネ」ガックシ

加持「さすがリッちゃんだな。うまく合わせてくれて助かったよ」ボソ

リツコ「お礼を言う余裕があるなら助けなくてもよかったんじゃない?」

ミサト「ちょぉっと、なに囁きあってんのよ!」グイ

リツコ「焼きもち?」

ミサト「じょ〜だん! 誰がこんなやつに!」

リツコ「あなた、アスカに似てきたわね。いえ、元々だったかしら」

ミサト「な、な、なっ!」ワナワナ

リツコ「加持くんとやり直したいのなら、素直になりなさい」

加持「だそうだ。話があるなら聞く気はあるが?」

ミサト「話なんかないですよーだ! えぇいっ、ウィスキーロックでください!」
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/14(金) 07:10:54.11 ID:B6Pmh2j70
おつおつ!
181 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/07/14(金) 12:43:15.49 ID:wQynM8xJ0
【翌日 早朝 第三新東京市 改札口】

アナウンス「第三新東京市へようこそ。第七環状線をご利用いただき、まことにありがとうございます。当駅は桃源台中央駅です」

マナ「うわぁ、すごい人」

アナウンス「ケーブルカーへのお乗り換えは三番線になります。Please change here for――」

男性「おっと」ドンッ

マナ「きゃ⁉︎」ドサ

男性「ちょっと、駅のホームで突っ立ってちゃ危ないじゃないか」

マナ「あ、すみません。来たばかりなもので」

男性「田舎者か? 旧市街から来たんじゃないだろうな?」

マナ「ちがいます! あの、親戚の叔父さんを訪ねて」

男性「そうだったのか」

マナ「は、はい。一応……」

男性「悪かった、ついつい疑ってしまって。第三新東京都市はネルフ職員の関係者しか住所登録ができないから」

マナ「いいんです、こちらこそ。立ち止まっててごめんなさい」 ペコ

男性「人の流れがある。急に立ち止まっては危ないよ? それじゃ」 スタスタ

マナ「ええと……」キョロキョロ

加持「よっ、迷子にならずに来れたじゃないか。上出来だ」ポン

マナ「あっ、もう、見てたんですか?」

加持「ぼーっとしてるところからしっかりな」

マナ「それなら声をかけてくれればいいのに……加持特別監査官ですね、私は戦自所属、霧島マナ隊員です。初対面ですよ? からかわないでください」

加持「わざわざ人の往来が多い玄関口を選ぶとはな」

マナ「す、すみません。地理に疎くて」

加持「トラベルマップはあらかじめ貰っているはずだろ? 何を見て来たんだ?」

マナ「それは……あ、あはは。碇、シンジくんのデータばかり読んでたので……」

加持「熱心になるのはかまわないが、その他もそれなりにな」

マナ「はい、頭に叩きこんでおきます」

加持「そうしてくれ。車を近くのパーキングに停めてある、行こうか」

マナ「はい」
182 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/07/14(金) 13:09:38.38 ID:wQynM8xJ0
【車内 運転中】

マナ「わぁ」キョロキョロ

加持「田舎者丸出しって感じだな」

マナ「高層ビルがこんなに立ち並んでいるの、はじめて見たので」

加持「中には武器そのものがはいっている兵装ビルが多い。ほら、あそこ見てみろ」

マナ「なにか書いてある……。ええと、LARGE CALIBER AUTOMATIC CANNON PLATFORM STRUCTURE」

加持「直訳すると自動砲塔。ああいった防衛設備が各所に点々としているのさ。対使徒用兵器としてね」

マナ「へぇ」

加持「少し観光でもしてくか。ジオフロントはまだ見てないんだろう?」

マナ「あの、とりあえず、私の住居にお願いします」

加持「それを聞いて安心したよ。遊びにきてるわけじゃない」

マナ「試したんですか。さっきから失礼じゃありません? 感じわるい」

加持「試す理由ならある。これから俺たちは情報を共有するパートナーになるからだ。もし身分がバレた場合はどうなる」

マナ「そ、そうですね。命、かかってますもんね」

加持「そうだ。最悪、失う危険性もありうる。それだけは忘れないでくれ」

マナ「わかりました」

加持「ここの治安について把握してるか?」

マナ「はい」

加持「聞こう」

マナ「……第三新東京都市は治外法権です。日本領地ですが管轄は政府ではなく国連軍。治安維持は国連軍とネルフ保安諜報部、そして政府の旧警察機構が担当しています」

加持「戦自の役割は?」

マナ「表向きは自衛の為の軍隊です。対使徒、並びに国外勢力への抑止力に当たります」

加持「そうだな。では、裏の顔は?」

マナ「使徒があらわれてからは、もっぱらネルフに対する牽制組織に成り下がっています。国内でこれほどの規模と資金を投入しているのを政府は怖れているからです」

加持「なにせ50兆円という投資で作られたからな、ここは」

マナ「ですので、その反面、委員会の国を動かせる資金力は魅力でもあります」

加持「いいだろう。合格点だ」

マナ「子供だと思ってバカにされてる気がします。基本ですよ」 プクー

加持「何事も基本が大事だって言うだろ? ま、これぐらい知らないようじゃここで車から降ろしてた。それだけの話さ」

マナ「……」

加持「付け加える形になるが、旧市街には入るなよ。今もなお急ピッチで進められてる建造途中、スラム街と言ったらわかりやすいか。治安が良くない。建物の崩壊の危険性もまだある」

マナ「はい、わかりました」

加持「マンションは、セカンドチルドレンと同じ棟にある一室だ。コンビニはローソンが近いから不自由はないだろう」

マナ「セカンドチルドレン? あの、任務は、サードチルドレン対象なのでは? なのに、住居はセカンドチルドレンの傍なんですか?」

加持「主目的はそうだが、接触を試みてほしい。セカンドとファーストは同年代の女の子だ」ゴソゴソ

マナ「了解」

加持「これが、同二名に関する追加資料だ」パサ

マナ「……」ペラ

加持「登校日はいつからか聞いてるか?」

マナ「ええと、明日から、ですよね」

加持「チルドレン達と顔合わせになる。第一印象は大事だぞ」

マナ「制服は?」

加持「用意してある。着いたらサイズを合わせとみるといい」
183 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/07/14(金) 14:06:03.35 ID:wQynM8xJ0
【ネルフ本部 執務室】

リツコ「お呼びでしょうか」

ユイ「第二発令所へのバックアップは順調?」

リツコ「作業工程は今の所問題ありません。元々あったOSを移すだけですわ。量が量ですので、転送速度の都合上、時間を要しますが……」

ユイ「結構です」

リツコ「お呼びしたのはこの件でしょうか?」

ユイ「いいえ。ひとつ確認をしたくて」

リツコ「なんでしょう?」

ユイ「――あなた、葛城一尉を殺せる?」

リツコ「み、ミサトを⁉︎」

ユイ「覚悟を聞きたいの」

リツコ「ミサトは、何の関係も……」

ユイ「関係ができてしまったら? あなたは非情な決断ができる? むしろ、進んで行える?」

リツコ「どういう意味でしょうか」

ユイ「あなたと、そして副司令は私についてくる選択をした。でもね、状況が変われば、簡単に覆してしまう。一時の判断が常に正しいとは限らないから」

リツコ「……」

ユイ「常に迷い、選んでいる。そうしてよかったのか、私という人間の行動を、考え方を部下の視点から観察している」

リツコ「……」

ユイ「夫は優秀な手駒を残してくれた。でも、あなた達自身が、私を見限らないとは限らない」

リツコ「楔を打つおつもりなのですか」

ユイ「赤木博士に、私がどういう存在でもいい。ただ、使えない駒はいらないの。あなたにとって利があるのならば、それだけで逆らえないはず」

リツコ「……」

ユイ「後戻りはできない。わかってるはずよ、超えてはいけない一線は、夫を死に追いやった時点で超えてしまっている」

リツコ「私に手を汚せと」

ユイ「彼女のマンションにプラスチック製爆弾を設置する手配をしなさい」

リツコ「……」ギリ

ユイ「保険としてよ。邪魔な存在になった時の。――起爆装置は、赤木博士。あなたに渡しましょう」

リツコ「心配には及びません。司令のご命令さえあれば、私の手で、ミサトを、葛城一尉を殺します」

ユイ「無二の親友を相手に、本当にスイッチを押せる? あなたが信用するに足る人物かどうか。言葉は必要ない」

リツコ「必ず実行いたします。ダミーのフェーズは次に移行しています。そちらに件については、どう処置いたしますか」

ユイ「残された資産は最大限活用しない手はない。フォースの少年を研究に参加させるから、綾波レイのデータを書き換えて」

リツコ「フォース? マルドゥックから選出されたのでしょうか」

ユイ「そうね……協力してくれているのだから教えます。フォースの正体は、第壱使徒」

リツコ「使徒⁉︎ 使徒をパイロットに⁉︎」

ユイ「マルドゥックは存在しない機関なのよ。これは夫から聞いて既に知っているはず。シンジのクラスメイトが候補者の集まりだと」

リツコ「はい」

ユイ「コアは既に用意されている。でも所詮は十四歳の子供。人間性は未成熟で、パイロットとしては見過ごさない浮き沈みがある。その点、ヒトではない彼ならば、シンクロ率を安定して、いえ、自在に操れる」

リツコ「シンクロ率を……そんな、ありえないわ」

ユイ「アダムより生まれしエヴァシリーズは可能。私たちが箸を使い食事をするより簡単にね」

リツコ「……」ゴクリ

ユイ「夫亡き今、見えない盤面の前にようやく座った。まだまだこれからよ」
184 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/07/14(金) 14:56:04.26 ID:wQynM8xJ0
【第三新東京都市立第壱中学校 体育授業中】

アスカ「ちょっと、ヒカリ、つめたっ!」

ヒカリ「あははっ、気持ちいい〜」パシャパシャ

トウジ「女子はプールか。ええのぉ〜涼しそうで」

男子生徒「なぁ、相田。惣流さんの写真まだかよ?」

ケンスケ「最近ガードが固くてさぁ」

男子生徒「そんなんじゃ困るよ。もうすぐファンクラブミーティングがあるんだから。景品がなくなっちまうだろ」

トウジ「ほんま、よーやるわ」

男子生徒「なんだぁ、鈴原。お主もしや綾波派閥の人間か」

トウジ「誰がお主やねん、アホ言うな。ワシはもっと人間味があっておしとやかな子がいいに決まっとるやろ」

男子生徒「腐れ外道が。惣流さん以上の女の子なんてこの世にいない。見てくれよ、これ。ファンクラブ会員一桁! どうだ? 本音はうらやましいだろ?」

トウジ「頭おかしいんちゃうかお前」

男子生徒「いい、いい、強がりだろ。単刀直入に言おう。陰ながら支える我々の同士に入らんかね?」

男子生徒B「おい、なにをくっちゃべってやがる。綾波さんこそ至高だろ、そうだよな。鈴原」

トウジ「な、なんや」

男子生徒「でたな」

男子生徒B「綾波さんは特別なんだよ。たしかに惣流さんは可愛い。顔面偏差値は70といっても過言ではないだろう。だが! 綾波さんが特別たるゆえんは美貌にあらず!」ガッツポーズ

ケンスケ「セミがうるさいなぁ」

トウジ「生態系が戻ってきとるらしいで」

男子生徒B「そんじょそこらのモブにはない、あの儚さにこそあるとなぜわからんのだ! ザ○とは違うのだよ! ザ○とは!」

男子生徒「この野郎! 赤は惣流さんのトレードマークだろうが! 何勝手に赤いモビルスーツを引き合いにだしてやがる!」

男子生徒B「自意識過剰なんだよ! 惣流派はよぉ!」

男子生徒「そうかい、ひさしぶりにキレちまったよ……屋上いこうか」

トウジ「センセは今日も学校にきとらんのか」

ケンスケ「見てないね」

男子生徒B「綾波さんに謝れ!」ググッ

男子生徒「貴様こそ惣流さんに土下座しろ!」ググッ

トウジ「それにしても、使徒はこんし、平和やのぉ」

ケンスケ「そうだなぁ」
185 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/07/14(金) 17:27:34.80 ID:wQynM8xJ0
男子生徒B「相田!」

ケンスケ「なんだ……ああっ⁉︎ ぼ、僕のビデオカメラが!」

男子生徒B「心配すんなってすぐ返すから」

ケンスケ「商売道具なんだから大切に扱えよ!」

男子生徒B「わかってるって。ごほん、いいか、惣流バカはよく聞け」

男子生徒「なんだと! 俺をバカにしてもいい! 惣流さんがバカと聞こえるような発言をするな! 綾波バカと言われたらお前だって嫌だろう!」

男子生徒B「む、それはたしかに。すまなかった」ペコ

トウジ「なんやこいつら」

男子生徒B「話を戻そう。相田のビデオカメラに昼休みを過ごす綾波さんの生態記録が収まっている」

男子生徒「それがどうした。躍動する惣流さんには敵わんぞ」

男子生徒B「まぁ話をちゃんと最後まで聞け。彼女はな、ずっと一人なんだよ。昼休みに誰かと一緒ににいるところなんて見たことがない」

男子生徒「……」

男子生徒B「かわいいのに。ずっとだぞ。男子、女子、いや、人間になんて興味がない、そう言わんばかりに窓の外を見つめている」

男子生徒「それが?」

男子生徒B「彼女は、きっと理解者を求めているんだよ。ああ、俺がそうなれたらどんなにいいか……!」

トウジ「うちのクラスって変わりモンばっかりやなぁ」

ケンスケ「そう言うなよ。大事なお客様なんだからさ」

男子生徒B「この真実がわかった時、俺は彼女に恋をした……。儚げな姿に惚れてしまったんだ。俺は思った、このことは自分だけの秘密にしようと、そう思っていたんだが……」

男子生徒C「俺が相談に乗ったってわけ。綾波さん、いいよなぁ」

トウジ「口軽すぎるやろ」

男子生徒「どこから湧いて出てきやがった!」

男子生徒D「なんだなんだ? 惣流さんの話か?」

ケンスケ「そういや、さっき職員室の前を通ったら転校生が来るらしいよ」

トウジ「転校生? この時期にか」

ケンスケ「ああ、なんでも叔父の所に来るとかなんとか」

トウジ「わざわざここに来んでも。酔狂なやつやのぉ」

ケンスケ「じ・つ・は。ここに写真があるんだよなぁ」ペラ

トウジ「おまっ! 体操服の中からださへんかったか⁉︎ 」

ケンスケ「細かい細かい。そっちの男子達は気にならないの?」

男子生徒「惣流さんじゃなきゃいやだ!」

男子生徒B「綾波さんだ!」

ケンスケ「あっそう。じゃあ、見なくていいわけだねぇ……おっと」パサ

トウジ「わざと落としよったなこいつ」

男子生徒「ん、こ、これは……!」

男子生徒B「か、かわいい……」

ケンスケ「乗るしかない。このビッグウェーブにってね」キラン
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/15(土) 16:09:52.00 ID:k0BkFoMyO
これ正ヒロインは誰なの?
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/15(土) 17:27:25.84 ID:0WgU5kqTO
>>186
マヤでしょ
男を知らない体に無理やり乱暴して
奴隷にしなきゃね
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/15(土) 19:04:41.92 ID:TzjNV1PiO
>>187
なんでお前が答えてんの?
189 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/07/16(日) 09:29:05.34 ID:07e1p/Jy0
【付属病院 205号室】

冬月「どうなっている」

医師「い、移植手術は問題ありませんでした」

冬月「なぜ目を覚まさん」

医師「今朝の診察で確認いたしましたところ、クランケ(患者)の瞳孔が拡大していました。今も変わらずです。キミ、ペンライトを」

看護師「はい」スッ

医師「注目していただきたいのは、動きです。通常、目の中心にある瞳孔は明るくなれば縮小して、暗くなれば拡大します」

冬月「ああ」

診察「睡眠時には、中程度縮小状態にあります。これは私も、あなたも、人間であれば誰しも同じです」スッ

冬月「ふむ、瞳孔が開ききったままに見えるが……」

医師「仰るとおりです。脈拍や心拍数も高く、クランケは覚醒状態にあります。“脳が起きてる”んです。様々な患者を見てきましたが、はじめてですよ。こんなこと」

冬月「これまでに似た症例がないというわけか?」

医師「そういうわけじゃありませんが。昨日までなんら異常が見受けられなかった少年という前提があります」

冬月「それで、いつ目が覚める?」

医師「先ほども申し上げましたが、本来であれば起きているはずなんです」

冬月「……」

医師「ひとつだけ、似た症状があります」

冬月「言ってみたまえ」

医師「薬物、つまり麻薬中毒患者です」

冬月「なんだと?」

医師「中でも強い覚醒剤を服用すると交感神経や自律神経に異常をきたします。ひどく興奮するので。このように瞳孔が開きっぱなしになったり、小さくなりにくかったりします」

冬月「それはないだろう。だが、異常な状態であるというのはわかった」

医師「その、碇ユイ司令には」

冬月「報告せねばな」

医師「重ねて申しあげますが、手術はうまくいっています! 我々に落ち度はありませんでした、どうか! 命だけは!」ガシ

冬月「心配しなくていい。タブリスの仕業というのは見当がついている。まったく、厄介なことをしてくれる」

医師「……よかった、死ななくて済んだ……」ホッ

冬月「安心するにはいささかはやいぞ。もし、容体が悪化したら命はないものと思え」

医師「そ、そんな」

冬月「絶対に死なせてはならない子供だ。二十四時間体制で治療を続けろ……なにか変化があればすぐに連絡をするように」

医師「はっ!」ビシッ

冬月「(問題は、サードチルドレンになにをしたか、だな……)」
190 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/07/16(日) 13:56:49.26 ID:07e1p/Jy0
>>189は名前が診察になってるところがあるのでレスしなおします
191 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/07/16(日) 14:06:04.19 ID:07e1p/Jy0
【付属病院 205号室】

冬月「どうなっているのだ」チラ

シンジ「……」シュコー ピッ ピッ ピッ

医師「い、移植手術は問題ありませんでした」

冬月「この呼吸器は?」

医師「大事をとって取りつけています。今朝の診察で確認いたしましたところ、クランケ(患者)の瞳孔が拡大していました。今も変わらずです。キミ、ペンライトを」

看護師「はい」スッ

医師「注目していただきたいのは、動きです。通常、目の中心にある瞳孔は明るくなれば縮小して、暗くなれば拡大します」カチ カチ

冬月「ああ」

医師「睡眠時には、中程度縮小状態にあります。これは私も、あなたも、人間であれば誰しも同じです」スッ

冬月「ふむ、瞳孔が開ききったままに見えるが……」

医師「仰るとおりです。脈拍や心拍数が高く、クランケは覚醒状態にあります。“脳が起きてる”んです。様々な患者を見てきましたが、はじめてですよ。こんなこと」

冬月「これまでに似た症例がないというわけか?」

医師「そういうわけじゃありませんが。昨日までなんら異常が見受けられなかった少年という前提があります」

冬月「それで、いつ目が覚める?」

医師「先ほども申し上げました通り、本来であれば起きているはずなんです」

冬月「わからないと言うのは許されんよ」

医師「……ひとつだけ、似た症状があります」

冬月「言ってみたまえ」

医師「薬物、つまり麻薬中毒患者です」

冬月「なんだと?」

医師「中でも強い覚醒剤を服用すると交感神経や自律神経に異常をきたします。ひどく興奮するので。このように瞳孔が開きっぱなしになったり、小さくなりにくかったりします」

冬月「それはないだろう。だが、異常な状態であるというのはわかった」

医師「その、碇ユイ司令には」

冬月「報告せねばな」

医師「重ねて申しあげますが、手術はうまくいっています! 我々に落ち度はありませんでした、どうか! 命だけは!」ガシ

冬月「心配しなくていい。タブリスの仕業だと調べがついている。まったく、厄介なことをしでかしてくれる」

医師「……よかった、死ななくて済んだ……」ホッ

冬月「安心するにはいささかはやいぞ。原因究明と意識回復に全力をもってあたれ。もし、容体が悪化したら命はないものと考えるんだな」

医師「そ、そんな」

冬月「貴様の命よりはるかに重い、絶対に死なせてはならない子供だ。二十四時間体制で観察を続けろ……なにか変化があればすぐに連絡をするように」

医師「はっ!」ビシッ

冬月「(問題は、サードチルドレンになにをしたか、だな……)」
192 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/07/16(日) 14:34:12.20 ID:07e1p/Jy0
【ネルフ本部 営倉】

ユイ「シンジに何をしたの?」

カヲル「……」

ユイ「素直に言わなければ苦痛を味わってもらうわよ。あなたにだって、痛覚はあるでしょう」

カヲル「なぜ、ボクだと?」

ユイ「昨日の深夜、微弱ではあるけどMAGIが信号をキャッチしていたわ。パターンは青。使徒によるものよ」

カヲル「騒ぎにならないなんて、防犯意識に欠けますね」

ユイ「勝手な振る舞いに関して目を瞑るつもりでいたから。エマージェンシーコールを解除してログを消去するよう事前に連絡してある」

カヲル「なるほど。裏工作がお好きなようだ」

ユイ「ただし、あの子は駄目よ。担当医による報告書を読んだわ。まさか、失明させた?」

カヲル「だとしても、起きない理由にならない。少し、挨拶しただけですよ」

ユイ「……」キッ

カヲル「司令でも冷静になれない時があるんですね。人は完璧である必要はありませんが、まず、最初にあなたの中における彼の重要性を理解されてますか」

ユイ「……」

カヲル「もしも、互いの目を利用してセカイを垣間見えるのなら、争いはなくなるのかな……」

ユイ「変化は自然の摂理」

カヲル「生じるにはゆっくりと時間をかける必要がある。変化とは経験を蓄積させてはっきりとあらわれるものだから。強制的な干渉によって引きおこそうとしているね?」

ユイ「人類に残されている時間は長くない。待っていられないのよ」

カヲル「そうしているのは、リリン、キミたちの方だよ。観測者から独立した視点では見ていられない」

ユイ「……」

カヲル「人類は自らを複雑な方法で楽しませることが可能な知能を持つ唯一の種だというのに」

ユイ「質問に答えなさい」

カヲル「人や場所、物というのは五感で知覚してはじめて、そこに在(あ)ると認識できる。当たり前にあるから気がつかないだけで」

ユイ「つまり」

カヲル「意識の繋がりがあるというのを碇シンジくんに教えただけさ」

ユイ「目がさめるのは――」

カヲル「彼が現実を辿ったら醒める。匂いを嗅いで、なにかを見るように、当たり前として意識の一部が認められた時に」

ユイ「はっきりしたわ。弄ったのは、脳ね」

カヲル「我慢が必要です。解放はそう遠くありませんよ」

ユイ「二度と手を出さないでちょうだい」

カヲル「これは驚いた。ボクが干渉してもあなたが干渉しても同じでは?」

ユイ「交わした盟約があるはずよ。裏切りは許されない」

カヲル「……」

ユイ「望みどおり、あなたに死を与えます」
193 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/07/16(日) 15:38:53.18 ID:07e1p/Jy0
【ネルフ本部 ラボ】

リツコ「シンジくんなら浅間山で行われるポジトロンライフル小型化試験に協力してもらってるわ」

ミサト「ちょっとちょっと、聞いてないわよぉ」

リツコ「報告する義務ある? 管轄から外れてるでしょ」

ミサト「同居を解消した今でもパイロットは私の作戦に必要不可欠です。終了予定は? 赤木博士」

リツコ「長くて一週間ぐらいかしら」

ミサト「い、一週間⁉︎ そんなに⁉︎」

リツコ「新兵器開発に重要性がないとでも? 技術部の人間を敵にまわすわよ」

ミサト「う、う〜ん、それは、そうだけどぉ。使徒が来たら」

リツコ「すぐに呼び戻す。そういえば、シンジくんに家政婦のアルバイトをさせる案件は聞いた?」

ミサト「アルバイトぉ?」

リツコ「母親は父親と違って多少母性があるようね。無関心を貫き通してきた人と違って」

ミサト「なんか、言い方にトゲがない?」

リツコ「気のせいよ。前司令からシンジくんを部外者として扱えと発令があった。意図するところは厳しい環境に置きたいからだと推測できるわ」

ミサト「だから、引き継いでやるって? ……掃除代行とか料理代行をやる職種よね。顔見知りだと、甘やかしてしまうだろうし、真逆の環境に招き入れてしまわない?」

リツコ「働きぶりに対して採点を緩くしたら処罰対象」

ミサト「おや、まぁ」

リツコ「彼には、合っていると思うわよ」

ミサト「たしかに、学業があるし、肉体労働に向いてるようにも見えないし……なにより日頃から似たようなことやってるもんね。金銭面の補助としていいアイデアかもしれない」

リツコ「ミサトが引き受け先に名乗りでてあげたら?」

ミサト「許可、でると思う?」

リツコ「でないでしょうね。あなた、隠れて甘やかすもの」

ミサト「アスカの栄養管理をしなくちゃいけないから、うちの台所事情考えるとほしいんだけどなぁ〜」

リツコ「今の時点で有力なのは、マヤかしらね」

ミサト「伊吹二尉のとこ?」

リツコ「マヤは嫌がるでしょうね、しかし、命令であれば従うわ」

ミサト「嫌がるって、どして?」

リツコ「相手が、男だから」

ミサト「まだまだガキんちょよ。そんなに意識しなくてもいいんじゃない?」

リツコ「ミサトみたいにみんなズボラなわけじゃない」

ミサト「さりげなぁく人をディスるの、やめてくれない?」ヒクヒク

リツコ「あら、本音を言ってもいいの?」

ミサト「……?」

リツコ「さみしかったからでしょ、最初にあなたがシンジくんを受け入れようとしたのは」

ミサト「なにが言いたいわけ」

リツコ「不機嫌になると思ったからボカしたのよ。誰にだってつつかれたくない部分はあるものね」

ミサト「……」

リツコ「仕事が残ってる。お帰りのドアはあちら」チラ

ミサト「はいはい、お邪魔しました」
194 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/07/16(日) 15:44:52.26 ID:07e1p/Jy0
勘違いないようにレスしておきます
ヒロインに関するレスはネタバレになるので解答しません、内容に関しても>>187は自分ではありません
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/17(月) 04:36:14.84 ID:9xVX5kNrO
ヒロインはアスカがいいなあ
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/17(月) 10:22:43.53 ID:JFWyo7Z8O
シンジと冬月の禁断の愛かもしれん将棋によって育まれる愛そして最後の使途藤井四段
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/17(月) 13:20:05.94 ID:dKMz9BaJO
そういや藤井くんもシンジ達と同級生か
藤井くん登場希望
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/17(月) 14:45:12.05 ID:MVMgs7Myo
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/17(月) 15:56:52.29 ID:RCuEyurTO
しかしこのSSを書くのは大変やろな
原作の雰囲気を重視しつつ他の麻薬とかのことも調べてるとかよくやるわ
200 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/07/18(火) 07:22:57.67 ID:xqLx9XiS0
二次SSなんで原作の雰囲気というてもあくまでガワだけすよ
オリジナルでやってるわけじゃなくキャラクターとか設定とかは借り物なわけですから
再現を目標にすると仮定してどんなに頑張ってやっても二次のカテゴリからは抜け出せませんし限界があります
なんでそこは割り切って書いてます

思いきって性格をもっと動かしたりしてもいいんでしょうけどエヴァの良い部分と面白いと感じる部分を自分なりに書きたいて感じすかね
201 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/07/18(火) 22:57:23.08 ID:xqLx9XiS0
【夕方 ネルフ本部 執務室】

アスカ「ズルくない? 新司令が就任したらはやくも個人プレイを許可しちゃってさぁ」

レイ「……」

ミサト「リツコに協力をするのは、個人と違う。あの子だって頑張ってるわ」

アスカ「なんでそこまで気にかけるの?」

ミサト「ん?」

アスカ「嫉新司令が特別扱いするのはナナヒカリだからわかる。だけど、なにもミサトまで。肩入れしすぎじゃない?」

ミサト「見透かされてるのはこっちだったか」

アスカ「なにか理由あったりすんの」

ミサト「シンジくんは、似てるの。性格がじゃない」

アスカ「そんなの、見ればわかるわよ」

ミサト「父も、放任主義でいつもひとりぼっちだったから。私は、家庭を考えない父さんが大嫌いだった」

アスカ「シンジに自分を重ねて……?」

ミサト「不満がないわけじゃないし、人の顔色を伺う態度は、私は好きになれない。だけど、肩入れしてるのも事実ね」

アスカ「作戦司令なんだから、成績で扱ってよね……あたしだって命かけてるんだから」

ミサト「公私混同は厳禁、ね。わかってる。さ、入るわよ」コンコン

冬月「はいりたまえ」

ミサト「失礼いたします」カシュ

アスカ&レイ「……」スッ

ミサト「ファーストチルドレンとセカンドチルドレン両二名を連れてまいりました」

冬月「ごくろう、下がっていいぞ」

ミサト「はっ!」ビシッ

アスカ「ちょっと、帰っちゃうの?」こそ

ミサト「とって食われたりはしないわよ。いつも通りやんなさい」ポン

アスカ「はぁ……」

冬月「葛城一尉、どうした?」

ミサト「いえ! では、失礼いたします」コツコツ

冬月「パイロット、近くに来たまえ」

アスカ&レイ「はい」

冬月「知っているだろうが、司令が交代となった。前司令であるゲンドウ氏はアラスカで使徒に関する調査を開始している。新司令は彼の妻であり、ネルフに多大な貢献をしているユイ氏が就任した」

ユイ「どうも」ギシ

アスカ「(シンジのママねぇ)」

冬月「挨拶をせんか」

レイ「ファーストチルドレン、綾波レイです」

アスカ「セカンドチルドレン、惣流・アスカ・ラングレーです。よろしくお願いします」

ユイ「もっと、くだけた態度でかまわない」

冬月「それでは、他に示しが」

ユイ「この子達はパイロットですわ。それにまだ中学生でもあります。上下関係については多少、容赦してあげましょう」

アスカ「馴れ合いは必要ありません。私は私のやるべきことをやる、それだけです」

ユイ「本分は、エヴァに乗るだけかしら」

アスカ「……?」

ユイ「あなたは中学生でもあります。エヴァに乗るばかりで他を疎かにしないように」

アスカ「あたしはこれでも大卒です! 資料読んでないの⁉︎」
202 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/07/18(火) 22:59:56.30 ID:xqLx9XiS0
冬月「口のききかたに――」

ユイ「いいんです、先生」スッ

アスカ「……」

ユイ「たくさん遊び、友達を作り、恋をしなさい。必要な経験よ」

アスカ「それも命令なら」

ユイ「斜に構えないで、おばさんのお節介よ。あなたの母親の古い友人として言っているだけ」

アスカ「ママのっ⁉︎ どういうこと? あたしのママを知ってるの⁉︎」

ユイ「よく知ってる、一緒に研究していたんだもの」

アスカ「それじゃあ、ママを軽蔑してるのね」

ユイ「どうして?」

アスカ「大人達は私を哀れんだわ! ママは頭がおかしくなったって! みんなが同情の視線を向けてきた!」

ユイ「そう思っていない。キョウコは頭の回転がはやく、聡明な女性よ」

アスカ「嘘よ! 甘い言葉を囁いて信じさせようして結局、パパもママを見捨てたわ!」

ユイ「あなたは見捨てなかったの?」

アスカ「見捨てるわけない! ママを辞めないでほしかっただけ!」

ユイ「そう、危ういバランスで成り立っているのね……そっちの子は、綾波レイね」

レイ「はい」

ユイ「身体の調子はどう?」

レイ「赤木博士に診てもらっています。問題ありません」

ユイ「二人ともよく聞きなさい。私は前司令の妻であると同時に、サードチルドレンの母親でもあります」

アスカ「……」

ユイ「しかし、血縁である、これは職務に一切関係ありません。やっかみをせず、エヴァパイロットとしての責務を果たしなさい」

アスカ「そうは言ってもシンジを特別扱いするんでしょ」

ユイ「立場は理解しています。えこひいき扱いしないと約束しましょう」

アスカ「……」

ユイ「口約束だけでは信用できない? 副司令、セカンドチルドレンのシンクロ率は?」

冬月「50前半だ」

ユイ「70にまで高めることができれば、私の権限で希望をひとつ叶えてあげます」

アスカ「もので釣ろうって魂胆?」

ユイ「良い成績を残せば褒美を与える、単純で悪い話ではないはずよ。なにもないよりは」

アスカ「いらない。私はプライドを持ってエヴァに乗ってるのよ、エースパイロットでいられればいい。それがなによりの褒美だわ」

ユイ「頑張って、誰に褒められたいの?」

アスカ「……」ピクッ

ユイ「母親はもういないのよ」

アスカ「やめて、聞きたくない」

ユイ「希望を思いついた時に言ってちょうだいね。ただし、台風と同じで最大瞬間風速だけ高めても意味はないから。レイも同じ条件でいいわよ」

冬月「そろそろ時間だ」

ユイ「ええ。挨拶は以上です、下がってよろしい」

アスカ&レイ「了解」
203 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/07/18(火) 23:17:28.33 ID:xqLx9XiS0
冬月「――じゃじゃ馬め、可愛げのないやつだ」

ユイ「あの年頃の子は思春期が重なっています。色々、繊細なんですよ」

冬月「レイはともかくとして、セカンドチルドレンの資料は事前に把握してあるのだろう」

ユイ「ここに」パサ

冬月「トラウマをつつくようなマネをしたな」

ユイ「赤木博士がまとめた書類は簡潔明瞭、幼少期にあった母親の自殺。その目撃が、その後の人格形成に強い影響を及ぼしたと記載されています」

冬月「ああ」

ユイ「精神の脆さと危うい均衡のバランス、どれほどの拒絶を見せるのか、控え目にでも確認をしたかったんです」

冬月「それで、ユイ君はどう見る」

ユイ「想像以上の反応ですね……」

冬月「ふむ」

ユイ「あの子の大人への強い憧れは、幼い自分に対する嫌悪感の裏返しでもあるのでしょう。最初はそれだけだった、しかし、いつしか嫌悪感は強迫観念へと変わり自身を追いつめはじめます」

冬月「それがプライドにひっかかっているのか」

ユイ「エヴァの場合は必ずしも良い数値に偏るとは限らない。A10神経で接続している以上、生身の人間では波があるからです。でも、あの子は不調な自分を許せない。なぜならば……」

冬月「亡き母親の影を追い求めているのだろう」

ユイ「恐ろしいのでしょう、必要とされなくなるのが。母親亡き後、残ったのは努力と虚栄心という拠り所。パイロット候補に選出された時、キョウコは笑顔を見せたそうです」

冬月「だが、パイロットに選ばれたからこそ、委員会に母親を死なせる決定をさせた。コアに必要だからな」

ユイ「キョウコがおかしくなってしまったのにも理由があります。どちらにせよ、あの子の運命です」

冬月「いっそ、母親がコアにいると打ち明けてしまったらどうだ?」

ユイ「面白い考えです。弐号機の覚醒、そして精神の安定化につながるでしょう。ですが、懸念がないわけでもありません」

冬月「なぜかね」

ユイ「先ほども申しあげましたが、エヴァはA10神経、つまり多幸感がシンクロの鍵です。数値を高めるには深く深く、一体感を求めコアに近づかなければなりません」

冬月「潜りすぎるというわけか」

ユイ「歯止めがきかなくなれば、取り込まれるのみ。つまり、数値が高くなるにつれてその危険深度に近づいていくのです」

冬月「諸刃の剣だな」

ユイ「L.C.Lには麻薬に似た成分が入っています。あくまでも補助的にですが、いずれ身体に害をなすことも」

冬月「判断はユイ君次第だ。候補はあやつにするのか?」

ユイ「私がほしいのはエースパイロットではない、承認欲求を満たすため、英雄になりたがっている子ではないのです」
204 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/07/18(火) 23:56:03.72 ID:xqLx9XiS0
【ネルフ本部 エスカレーター】

アスカ「嫌なやつ、嫌なやつ、嫌なやつ、嫌なやつ!」ズンズン

レイ「……」

アスカ「いちいち癪にさわる言い方しちゃってさ! ねぇ、そう思わな――」

レイ「なに?」

アスカ「あんたに言っても無駄よね」

レイ「……」

アスカ「はぁ、司令が変わるのはいいんだけど、なんでこうめんどくさいんだろ。シンジみたいに恵まれた環境だったらなぁ」

レイ「碇くんが?」

アスカ「だってそうでしょ。前の司令は性格に難ありだったけど、父親だし。次の司令も嫌なやつだけど、母親だし」

レイ「家庭事情は、一見だけじゃわからないわ」

アスカ「両親が健在だってだけで贅沢よ。嫌な思いをするとしても、親がいるからできる……私のママは、もういないのに」

レイ「私は、かわいそうだと思う」

アスカ「はっ、人形のあんたがどういう理由があってそう感じんの」

レイ「生き方を強いられているから。私と同じ」

アスカ「シンジが?」

レイ「選択肢をあたえられているようで、実際は誘導され、ひとつしか選ばせてもらえていない」

アスカ「なんの話?」

レイ「流れの話」

アスカ「わっけわかんない。それって神の選択肢みたいね」

レイ「神?」

アスカ「あー、選択肢をあたえられてるようで、ひとつしか選ばせてもらえてないってやつ。神様はね、そうなのよ」

レイ「……?」

アスカ「汝、主を愛せ。これが根底にあるの。だからどの選択肢を選んだとしても、詰まるところ神様は尊いって答えに誘導されてしまうってわけ」

レイ「そう」

アスカ「ま、シンジが迫られてる選択肢なんて夕飯の献立ぐらいの話ね」
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/19(水) 01:47:21.02 ID:mYFsbltjO
そろそろ追いつきそうかと思いきやそうでもないのかな
途中が変わってるから複雑になってんね
ここまでの人物相関図とかあると嬉しいんだけど
206 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/07/19(水) 11:57:29.05 ID:e84TH7QQ0
暇つぶしにチルドレン組のみサンプル作ってみましたがこんな感じでいいすかね

画像
http://i.imgur.com/qiUkVV5.jpg

※解像度の都合上、画像は新劇場版を使用しています
207 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/19(水) 12:38:23.24 ID:Z30nYvJ5O
サンクス
全体は無理?
208 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/07/19(水) 12:56:10.54 ID:e84TH7QQ0
IOS向けのアプリでこのサンプルは作っていて、同アプリですと簡易的にしか作れません。登場人物全員をサポートするのは難しいです。
パワーポイントでなら詳細に作れますがけっこう時間もらっちゃうようになると思いますよ
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/19(水) 13:13:44.47 ID:hcGOgsswo
全員は無理だから主要人物だけとか
もしくはユイ、冬月、ミサト、リツコ、加地だけのが見たいかも
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/19(水) 13:58:04.04 ID:eS7GF5HuO
ちょっと待った。>>1が作るのは、物語が前スレと並んだあたりでの、前スレとの差異箇条書きだけだろ?

なんで人物相関なんて新規読者への、それも作業が面倒なやつを頼んでんの?
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/19(水) 14:25:49.49 ID:v+wZYkpbO
すまんかったワガママがすぎた
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