狼娘「ここがボクの縄張りだ、文句があるなら力づくで━━━」男「ほう?」ムキムキィ

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1 : ◆NTLLUQ531s :2017/08/07(月) 19:25:08.67 ID:HguUICIC0
男「お前か、最近うちの私有地の山を荒してるの
は」ムキムキッ

狼娘「な、何だい君は......(な、何だこいつ......デ力でカイ!何て筋量!!お、鬼の類いか!?)」

男「この山の土地の所有者だ。」ムキィ

狼娘「なっ......に、人間!?(う、嘘だ!こんな人間見たことない!!)」

男「さて......たしか力づくで、とかなんとか言ってたよな?」ドドドドド

狼娘「ひ、ひぃっ......」

男「まあまずは......お互い穏便に......」ドドドドド

狼娘「」ガタガタガタガタ

男「話し合おうか......」ドドドドド

<キャアー!!!!!
2 : ◆NTLLUQ531s :2017/08/07(月) 19:28:21.32 ID:HguUICIC0
〜二ヶ月前〜

男「どうしたんだよお爺ちゃん、夜にこんな改まって」


爺「......実はの、孫よ。わしはもう長くない。もう身体は思うように動かせぬし、体力も落ちていく一方じゃし、発作も酷い」

男「そんなこと言わないでくれお爺ちゃん、お爺ちゃんはまだまだ元気で生きて欲しいんだ。」

爺「いや、自分の身体は自分が一番良く分かる......もう茶碗が異様に重たく感じるのじゃ。だから、死ぬ前にお前にお願い事があるのじゃ」

男「何だよ爺ちゃん、俺じゃあ力不足かもしれないが、何だって聞くさ」ムキムキ

爺「......その身体のどこが非力なんじゃ。ともかく、わしは遺産として......お前にこの家と山を、金も土地も全てお前にやろうと思っておる」

男「なっ......!俺に、託すつもりなのかい?しっかりしてくれよ」

爺「いや、お前は父も母もいなくなり、孤独と深い悲しみを経験したのに立派に育ち......育ち過ぎるほどに育ったがの。そして勉学に励みながらわしの農業を手伝ってくれた。この野菜や果物は孫とわしとで作り上げた、わしの誇りじゃ」

男「お爺ちゃん......」

爺「大学も、バイトをしながら頑張っているのじゃろ?休みでも遊ぶことを放り、わしの事を手伝う度に、わしは、とても嬉しかったのじゃよ......ゲホッゲホッ!」

男「爺ちゃん!?だ、大丈夫か!?今救急車を......」

爺「ふっ、無駄じゃよ男よ......わしは、今察した。婆さんの所へ行く時が来たのじゃ。惜しむらくは、後一ヶ月だと言うのに、お前の卒業式に行けなかったことかの......」

男「ば、バカ言うなよ爺ちゃん。しっかりしろって━━━」

爺「男よ、よく聞け!!」ガシッ

男「!?」ビクッ

爺「最近、何かがわしの山が荒らされておるのじゃ......頼む、わしにはもうあの山は守れぬ。だから、お前に託す......!今度は、お前が守ってくれ......!!」

男「あぁ、約束する。だからしっかりしてくれよお爺ちゃん!」

爺「ありがとう、男よ......あぁ、それを聞いて、安、心した......」ガクッ

男「爺ちゃん!?爺ちゃん!!爺ちゃーーーん!!!」



そうして俺は、爺ちゃんの誇りを胸に刻んだ。
爺ちゃんの残した、この山を、守ると。
3 : ◆NTLLUQ531s :2017/08/07(月) 19:30:14.22 ID:HguUICIC0



男「......という事なんだ。怖がらせてすまなかった」

狼「い、いや。ボクも急に悲鳴を上げて悪かったよ......(暗いから怖さが増してつい叫んでしまった......)」

男「そういえば、名前を聞いてなかったな。君、名前は?」

狼娘「ボクは、狼娘......君は?」

男「俺は男、だよ。狼娘、お願いだ......あの山は爺ちゃんの形見なんだ。もう、山の幸を勝手に取ったりしないでくれ」

狼娘「......それは、出来ない。」

男「......なぜか、理由を聞いても?」

狼娘「ボクだって......ボクだって、他に行くところが無いからだ。それに君は勝手だよ。君達人間は僕たちから居場所を奪って、勝手に自分の物にしただけじゃないか。あの山だって、きっと誰かの物じゃ無かった筈だ」

男「......」

狼娘「だったら、ボクだって奪っても良いはずだ。もうこの山はボクの物だ。悪いけど、君を可哀想だ何てボクは思わない、家族が......家族がいないのが、君だけと思うな!!」

男「!!(声を、荒げて......)」

狼娘「ほ、欲しいなら......ち、力づくで来たらどうだい!人間は一人じゃ何も出来ない癖に!!」ガクガク

男「(震えてる......こんなに小さな女の子が、自分の居場所を守るために、自分より大きい者相手に懸命に勇気を振り絞ってる)」

男「(でも、ここで引き下がることは出来ない。俺だって爺さんが託した山を、渡すわけにはいかない)」

男「(でも......こんな娘を、殴る訳にも......)」

狼娘「そっちが来ないなら!」バッ

男「うおっ!?ま、待て!!」サッ

狼娘「わ、わわっ!」ズルッ

男「おい、危ない!」ダキッ

狼娘「なっ......!?は、離せ!!///」ジタバタ

男「離したらまた襲いかかるだろ!(いや、待てよ?)」

男「そうだ、力づくだろ!ならこのまま勝負だ、月が出るまでに振りほどけたらお前の勝ちだ、山をくれてやる!」ギュー

狼娘「なっ、ななな!?それまで離さないつもりかい!?///少なくとも一時間はこうしなきゃならないんだぞ!?///」

男「そ、そうだ!」ギュー

狼娘「じょ、上等だよ......ボクに力で勝負を挑む何て、後悔するがいいさ!!」


4 : ◆NTLLUQ531s :2017/08/07(月) 19:33:15.46 ID:HguUICIC0

〜一時間後〜

狼娘「ふっ、くっ、ぐぬぬぬっ!」

男「」ギュー

狼娘「はぁっ、はぁっ......(お、おかしい!相手は人間なのに!何なのこの人外じみた筋力は!!)」

男「」ギュー

狼娘「(そ、それに......)」チラ

男「?」ギュー

狼娘「(何で、いつもより力が入らないのっ......!///この人の匂いとか、身体の熱さとか、硬さに包まれてると......何故か、力が出ない......!!///)」カァ

狼娘「(人間なんて、大嫌いな筈なのに!!)」

男「......」スル......

狼娘「(あ、あれ?少し、力抜けた?)」

男「その......悪い、痛かったか?急に抵抗が弱くなったから」

狼娘「ぅ......な、何でも無い(な、何で。強く力を入れるべきなのに、何、で......)」

男「......」ギュ

狼娘「(何で、そんなに優しく、.抱くの.....)」ドキ ドキ

〜一時間後〜

男「......」ギュ

狼娘「......何時まで、そうしてるつもりだい?」

男「え?」

狼娘「負けだよ......もうとっくに前から、月は出てる。気がつかなかったのかい?」

男「あ......まぁ、な。悪い」スッ

狼娘「......嘘だね。こんな雲一つ無い空で、こんな暗い山の中で、何よりも気にするはずの月光を浴びてるのに感じない訳がない」

男「あー、その......」ポリポリ

狼娘「何も言わないでくれ......きっとこれじゃあ、まともに戦ったって勝負は見えている。君みたいに甘い人間に負けたのは悔しいけどね」

男「......」

狼娘「約束は約束だ、ボクはどこか違う山に行くよ━━━」

男「......待ってくれ」

狼娘「......何だい?まだ何かあるのかい?」

男「━━━俺の所に、来ないか?」



5 : ◆NTLLUQ531s [saga]:2017/08/07(月) 19:39:34.38 ID:HguUICIC0
狼娘「......」ソワソワ

男「麦茶で、良かったか?」コトッ

狼娘「あ、あぁ......ありがとう。」

男「はぁ、俺も喉が乾いた」ゴクッ ゴクッ ムキッ

狼娘「(ただ麦茶を飲んでるだけなのに、筋肉の主張が凄い......)」

男「すまないな、さっきは......勝負に勝ってから言うのも何だが、君の言ったことは正しいと思う」

狼娘「えっ......(な、何で、こいつは自分の祖父が残した山を勝手な理屈で占領されたというのに、そんな態度を?)

男「すまない......」

狼娘「い、いや、ボクも......家族がいないのは同じはずなのに、酷い事を言ってしまった。申し訳無い」

男「......なぁ、狼娘。」

狼娘「何だい?」ゴクッ

男「お前、俺と一緒に暮らさないか?」

狼娘「ぶふっ!?///」

男「お、おいおい大丈夫か?」フキフキムキムキ

狼娘「き、君が変なことを言う出すからだろ!?///」

男「冗談で言ってる訳じゃない、本気だ」

狼娘「な、なっ......!なん、でボクなんかに構う必要がっ」

男「お前、俺と何か似てるしさだ。放っておけないな」

狼娘「確かに君とボクは境遇は似ているけどもっ!決定的な違いがある!!」

男「 は?何が?」

狼娘「な、君にはこの耳と尻尾が見えてないのかい!?」

男「......え?」

狼娘「......は?」

男「ちょっとお耳を失礼」フニッ

狼娘「ひゃっ!?///っ、い、いきなり触る奴がいるか!!///」

男「うわっ!温かい!?お前、人間じゃないの!?」

狼娘「い、今さらかい!?」

男「いや、だって妖怪とかなら力とか強い筈だろ?てっきり新しいファッションなのかと」

狼娘「君が規格外過ぎるんだよ!で、でもこれで分かっただろう?君とボクは━━━」

男「まあでも、これだけならパーカー着せるか帽子でも被せればいいか」

狼娘「......は?」

男「尻尾とかは......どうやって隠そうか。あっ、尻尾身体に巻き付けて服の下に隠すとかどうだ?」

狼娘「だから、そういう問題じゃあ」グギュウ〜

男「......とりあえず、飯にするか?」

狼娘「むうぅ......///」
6 : ◆NTLLUQ531s [saga]:2017/08/07(月) 19:42:19.90 ID:HguUICIC0
男「出来たぞ、カレーだ」

狼娘「......ボクはいらないよ」

男「嫌いなのか?」

狼娘「君の世話になるつもりが無いだけだ」ツーン

男「ふーん......美味いのに」モグモグ

狼娘「......」

男「なら、これならどうだ?」

狼娘「?」

男「ほいっ」トンカツドーン

狼娘「!!」グギュウ-

男「美味そうだろ?お前の分もあるんだがなー」サクサクウマウマ

狼娘「うっ......そ、そんなことで......」

男「そうか、なら......、これだ」チーズトローリ

狼娘「!!」グギュギュー

男「チーズカレー、最高だぞ?」ガツガツモグモグ

狼娘「だ、だが、ボクは屈しないぞ......!!」プルプル

男「まだダメか、なら......」

狼娘「な、なんだい?もうそれ以上のトッピングは無いだろう?」フフン

男「いや、デザートに冷やした桃があるだけだ」ウマウマ

狼娘「卑怯者!!」グギュギュギュー
7 : ◆NTLLUQ531s [saga]:2017/08/07(月) 19:46:51.52 ID:HguUICIC0
男「よく食ったな、お前。随分腹減ってただろ」

狼娘「(結局、おかわりもして桃も頂いてしまった)」

男「さっ、食器も洗ったし風呂入って寝ようぜ」

狼娘「いや、ボクはまだここに住むと決めた訳じゃ!」

男「行く当てあるのかよ」

狼娘「無い、けど......!ボクが人間社会で生きれる訳が......」

男「俺が守る」

狼娘「えっ......」

男「お前、しばらく一人で生きてたんだろ?」

狼娘「だ、だったらなんだい?」

男「俺はさ、今までお爺ちゃんがいた。危険から直接守ってくれる、みたいのは無かったけど、俺を大事に育ててくれた。そういう意味じゃ、お前とは違うかも知れない。お前から見れば俺は恵まれてるかもな」

狼娘「......」

男「でもだからこそ、俺はお前を放っておけない。」

狼娘「同情とか、やめてくれないか......お前は人間だから分からないんだ、誰かに迫害され続ける苦しみが━━━」

男「俺がまともな人間扱い何て、されてるように見えるか?」ムキムキッ

狼娘「あっ......いや、それは、えっと......」

男「同情とかじゃない。俺はお前の苦しみをそこらの奴等よりかは理解できる。だから、助けたい。損得とか関係無しにお前を」

狼娘「ぅ......」

男「だめか?」

狼娘「わかん、ないんだよっ。こんな、こんな優しくされたことも、助けられたことも、無いから」ポロポロ

男「......狼娘」

狼娘「ボクは、ずっと、一人で」ポロポロ

男「俺が守る、俺のお爺ちゃんがしてきたように。今度は俺の番だ」ギュ

狼娘「うっ、うぅ、うわああぁぁぁん!!!」ギュー

男「......」ナデナデ


8 : ◆NTLLUQ531s [saga]:2017/08/07(月) 19:53:12.73 ID:HguUICIC0
狼娘「......」スヤスヤ

男「泣きつかれて寝ちゃったか」ナデナデ

男「仕方ない、とりあえず俺の布団に移動させて、俺は風呂にでも入るかな」

狼娘「......」スヤスヤギュー

男「......悪いけど、離れてくれ」グイッ

狼娘「ふぇ......」グズッグズッ

男「よ、夜泣きって......わ、悪かったよ」パッ

狼娘「......」ギュ

男「そっか......もしかして久しぶりに、誰かと寝るのかな」

狼娘「......」スヤスヤ

男「もう怖く、ねぇのかな」ナデナデ

狼娘「ん......///」スヤスヤギュー

男「......仕方無い、一緒に布団に入って寝るか」ヒョイ

男「おやすみ、狼娘......」モゾモゾ

狼娘「......」スー、スー
9 : ◆NTLLUQ531s [saga]:2017/08/07(月) 20:04:26.12 ID:HguUICIC0
とりあえず今日はここまで。飽きない限り頑張る
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/08/07(月) 20:33:42.48 ID:0PA7eV1To
オオカミって玉ねぎ平気なのかなあ、カレーに入ってるっしょ
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