イタリア百合提督(その2)「タラントに二輪の百合の花」

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12 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/01/06(土) 00:54:09.74 ID:2zJBT5Wy0
提督「もう…お昼にそう言う話はしたんじゃなかったの?」

クラウディア「もちろんしたけど、もっといっぱい話したいじゃない♪…それに、あなたが眠くなってお部屋に戻ってからは、私もシルヴィアもずっと聞き役に回っていたんですもの♪」

提督「え…」

ライモン「その…すみません、提督……でも、提督が鎮守府でどう過ごしていらっしゃったかと聞かれたら、答えないわけにもいかなくて……」

アッテンドーロ「姉さんってば、そう言う割にはノリノリでいっぱい暴露してたわよ♪」

提督「あー……うん、平気よ。普段の生活は規則正しいイタリア海軍軍人に恥じないものだから、何も心配いらないわ♪」わざとすっとぼけてみせる…

アッテンドーロ「…ぷっ…くくっ♪」

提督「…何かおかしいかしら?」

アッテンドーロ「ええ…ふふっ……だって、おかしくって…くくくっ…お腹がよじれそうよ……あははっ!」

クラウディア「もう、ごまかさなくたっていいのに♪……ライモンちゃんから聞いたわよ、鎮守府ではずいぶんと楽しくやっているみたいじゃない♪」

シルヴィア「いつの間にか、フランチェスカも大人になってたってことね…この間まで小さいちいさいと思ってたのに…」

ライモン「…あ、そうでした。クラウディアさん、シルヴィアさん。よかったら提督が子供だった時のことを聞かせて下さい♪」

クラウディア「あぁ、はいはい…そうでした♪」

シルヴィア「よかったらもう一人の「艦娘」さんも呼んであげたら…コーヒーも淹れたし、ビスコッティもあるわ」

ライモン「そうですね、それじゃあ呼んできます♪」

提督「…お母さま、お願いだからあんまり恥ずかしい話はしないでよ?」

クラウディア「んー、何の事かしら…私にはよく分からないわ♪」

シルヴィア「…大丈夫よ、フランチェスカ。クラウディアに限って、あなたが本気で嫌がるような事を話したりする訳ないわ」

提督「ええ。そう思うけれど一応…ね」

クラウディア「もう、相変わらず心配性なのね…?」

提督「それを言うなら「用心深い」って言って欲しいわ……あ、戻ってきたみたい」

ライモン「チェザーレさんを呼んできました…「少し髪を整えたらすぐ行く」と言ってましたよ」

アッテンドーロ「ふふ…髪にうるさいチェザーレのことだから、きっと洗面台をひっくり返すような騒ぎを起こしてからに決まっているわ」

チェザーレ「……チェザーレの髪について何か言ったか、アッテンドーロよ?」

…階段を下りてきて居間を見渡すようにしながら、堂々たる口調で聞き返した「ジュリオ・チェザーレ」…長身でよく張ったふくよかな乳房、きゅっと引き締まったお腹に長い脚……まるでアスリートのような身体を五分袖のサマードレスに包み、威風堂々とやってきた…

アッテンドーロ「あら、ずいぶんと早かったわ……いえ、まぁ「チェザーレ候は髪に気を配っておられるからお出でになるまで少しかかるのでは」と、言ったまでですよ♪」

チェザーレ「それをナポリ流に砕いて言ったわけであるな…まぁよい。せっかくの機会なのだ、母君には提督が幼いころの話をうんとしてもらおうではないか♪」

クラウディア「はいはい…それと、お昼にもいったけど「クラウディア」って呼んで♪」

チェザーレ「おぉ…申し訳ない、クラウディア」

クラウディア「ふふ、よろしい…それじゃあフランチェスカの子供時代を話してあげましょうね♪」

ライモン「はい、お願いします♪」

アッテンドーロ「待ってたわ♪」

チェザーレ「うむ、「ガリア戦記」と同じくらい興味深いな♪」

提督「……お手柔らかに頼むわ、お母さま」

………

13 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/01/06(土) 11:22:19.42 ID:2zJBT5Wy0
クラウディア「そうね、なら……この子がまだ…いくつの時だったかしら?」

シルヴィア「あの時の話なら確か…五歳とか、そのあたりだったと思うけど?」

クラウディア「うんうん、そうだったわ♪」

アッテンドーロ「提督が五歳のころ……うんと可愛い子供だったろうってこと以外、想像も出来ないわ」

ライモン「そうね、わたしもそう思うわ」

クラウディア「ええ、フランチェスカったらもうとにかく可愛くて♪…それでね……」

………

…提督・五歳の頃…


クラウディア「おはよう、フランチェスカ…ちゅっ♪」可愛らしいぬいぐるみにかこまれて布団に包まれている娘に屈みこみ、頬におはようのキスをするクラウディア…

提督(幼)「んんぅ…おはよう、クラウディアおかあたま……ちゅ♪」くりっとした目に大人しい外見のフランチェスカ(提督)がクラウディアの頬にキスを返す

クラウディア「さ、もう太陽が出ているわよ。朝ご飯を食べにいらっしゃい♪」

提督(幼)「はぁい♪」

提督(幼)「んぁー…がらがらがら……」丸い房飾りのついたパジャマ姿の提督はクラウディアに連れられて洗面台に立ち、顔を洗い、歯みがきとうがいと済ませる…

シルヴィア「おはよう、フランチェスカ…ん♪」食堂でコーヒーをすすりつつ、「コリエーレ・デラ・セラ」紙を読んで朝食を待っているシルヴィア……まだあどけない様子の提督がやってくると、左右の頬にキスをした

提督(幼)「うん、おはよう……シルヴィアおかあたま…ちゅっ♪」身を屈めているシルヴィアに届かせようと背伸びをして、頬にお返しのキスをする提督…

クラウディア「はい、よくできました…それじゃあ、「お母さま」が朝ご飯を持ってきてあげるわね♪」

提督(幼)「うんっ。わたし、おかあたまの作るご飯大好き♪」

クラウディア「あらあら、嬉しい事を言ってくれるわね…♪」…挨拶のキスよりちょっと長めのキスをふにふにと柔らかい桃色の唇にすると、バレエのようにくるりと一回転して台所に入って行った…

シルヴィア「フランカはいい子ね、そうやってお母さまをほめてあげて。えらいわね♪」(※フランカ…「フランチェスカ」の縮めた名前)

提督(幼)「うんっ、だっておかあたまの「ちゅう」は、やわらかくていい匂いがするし…だからいっぱいしてほしいの♪」

シルヴィア「そうね…確かにクラウディアの「ちゅう」は甘くてとろけそうよね……」幼い子供ならではの生真面目な様子で話す提督に微笑を浮かべ、コーヒーカップに手を伸ばした…

提督(幼)「ねぇねぇ、シルヴィアおかーたま…」まだまだ舌っ足らずな口調で「お母たま」の袖をそっと引いた…

シルヴィア「なぁに、フランチェスカ?」

提督(幼)「昨日おかあたまとクラウディアおかあたまがしてた「ちゅう」は、いつもの「ちゅう」とちがってたけど…どうして?」

シルヴィア「……「昨日のキス」って言うと、どこでしていたキスのこと?」(…だからあれほどドアを閉めてからにしようって言ったのに)

提督(幼)「うーんと…わたし、夜にね、お手洗いに行きたくなっちゃったの……それでね、その時におかあたまが「ちゅう」してるのが見えたの」

シルヴィア「うん…それはね、大人同士に使う「ちゅう」なの……だからフランカには使ってあげられないの」

提督(幼)「そうなの…でも、わたしがおっきくなった時にはおかあたまはもっとおっきくなってるよね……?」

シルヴィア「ええ、そうね」

提督(幼)「…それじゃあわたしは、ずーっとおかあたまと「おとなのちゅう」はできないの?」

シルヴィア「大丈夫よ…フランカが大きくなったら私はもっと大きくなっているでしょう、なら「大きい同士」でちゃんとできるわ」

提督(幼)「そっか…よかったぁ♪」

シルヴィア「そうね。…さ、ミルクを飲んでクラウディアお母さまが戻ってくるのを待ちましょうね」

提督(幼)「はぁーい」

………
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/06(土) 12:20:13.76 ID:rNzt0xDuo
提督かわいい

>>1
前スレ1000は1のために取らないんだ。取ってこいよ
15 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/01/07(日) 00:56:05.72 ID:awA39HyH0
>>14 そう言うものなのですね…教えて下さってありがとうございます……無事に取ってまいりました


それでは数日かけてクラウディアとシルヴィア×提督(幼)を投下してまいりますので…
16 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/01/07(日) 01:39:04.16 ID:awA39HyH0


クラウディア「……って言うことがあったの…それを聞いたらもう可愛くって♪」

提督「///」

ライモン「ええ……間違いなく可愛いですね///」

アッテンドーロ「もう…最高じゃない……♪」

チェザーレ「うむ、幼い提督も悪くないな……休暇明けに鎮守府へ戻ったら、アルキメーデ級にでも頼んでみるか…」


(※アルキメーデ級…古代・中世の高名な学者を艦名に取った中型潜。艦娘「アルキメーデ」級はおしゃれなケープや飾りのついた帽子、「月と星の杖」などを身に着けていて、どこぞの「錬金術士」たちをほうふつとさせ、日々実験や発明を続けている……有益な発明もあるにはあるが、提督としては鎮守府を「N/A」で吹き飛ばしたりしないよう祈るばかり…)


クラウディア「それでね、この話にはまだ続きがあって…」


………



クラウディア「はーい、お待ちどうさま。それじゃあ朝食にしましょうね……どうしたの、シルヴィア?」

シルヴィア「クラウディア、フランチェスカは「昨日の」見てたそうよ…だから言ったでしょう」

クラウディア「だって、仕方ないじゃない……それに最初にしてくれたのはシルヴィア、あなたよ♪」

シルヴィア「はぁ…たしかにそうだけど……でも、止めてくれたっていいじゃない」

提督(幼)「おかあたま…ケンカしてるの?」あどけない顔に少しだけ心配そうな表情を浮かべる…

クラウディア「…いいえ、お母さまとシルヴィアは「とっても仲良し」よ♪」

シルヴィア「そうね、それは間違いないわ」

提督(幼)「じゃあ、おかあたまたちで「ちゅう」できる?」

クラウディア「もちろんよね、シルヴィア…んっ♪」

シルヴィア「んっ…これでいい、フランカ?」

提督(幼)「んー……あっ!」

クラウディア「どうしたの、フランチェスカ?」

提督(幼)「さっきシルヴィアおかあたまが、「あれは『おとなどうしに使うおとなのちゅう』だから」って言ってたの……おかあたまは二人ともおとなだから「おとなのちゅう」じゃないとだめじゃないのかな…?」

シルヴィア「あー…」

クラウディア「ええそうね…お母さまたちは大人だから、ちゃんと「大人のちゅう」じゃないといけないわね♪」

シルヴィア「…ちょっと、クラウディア」

クラウディア「ふふ…大丈夫よ、任せておいて♪」ピンクのフリル付きエプロン姿で、こっそりウィンクを投げるクラウディア…

提督(幼)「……おかあたま?」

クラウディア「あのね、フランチェスカ…「大人のちゅう」はいつもする訳じゃないのよ♪」

提督(幼)「…どうして?」

クラウディア「それはね…「大人のちゅう」はとっても時間がかかるから、いつもしていたら一日が終わっちゃうの……だから、「大事なとき」や時間がある時、それも「大好きな人」や「時間をかけてあげたい人」にだけにするの♪」

提督(幼)「じゃあクラウディアおかあたまとシルヴィアおかあたまは「だいすきなひと」なんだ♪」

クラウディア「ええ、そうよ…」

シルヴィア「……ふぅ」

クラウディア「…だからちょっとだけシルヴィアと「大人のちゅう」をするわね♪」

シルヴィア「え…ちょっと」
17 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/01/07(日) 02:39:47.59 ID:awA39HyH0
クラウディア「いいじゃない…ちょっとだけ♪」

シルヴィア「クラウディア…言っておくけど娘の前なのよ?」

クラウディア「…でも、このまま間違って「あいさつの一つ」なんて覚えるよりは、ちゃんと「大人同士のちゅう」を理解させた方がいいと思うの」

シルヴィア「うーん……まぁそれも一理ある…か」

クラウディア「…それと、娘に「大人のキス」を見せつけるのもなかなかいいと思わない?」

シルヴィア「……おおかたそんなところだろうとは思っていたわ…じゃあ本当に少しだけよ?」

クラウディア「ええ♪…それじゃあフランチェスカ」

提督(幼)「うん」

クラウディア「お母さまがシルヴィアとちょっとだけ「大人のちゅう」をするから…朝ご飯は少しだけまっててね♪」

提督(幼)「うんっ…♪」

クラウディア「それじゃあ…まず「大人のちゅう」は挨拶から始めるの……シルヴィア♪」

シルヴィア「何、クラウディア?」

クラウディア「…秋の夜露のようにそっと耳に届く貴女の声……冬の落ち葉のような栗色をした貴女の髪…それに、春を迎えて開いたばかりのカーネーションのような貴女の唇…それを考えただけで私の胸は夏のティレニア海のようにときめくの…♪」……あっという間に目をうるませ、即興で四季をつづった愛の言葉をささやくクラウディア

シルヴィア「クラウディア……私が貴女の心を夏の海のようにときめかせるなら、きっと私は太陽なんだろうね…じゃあ、おいで……優しく暖めてあげるから…」つとクラウディアの腰に手を回し、そっと抱き寄せる…

クラウディア「んっ……ふ…♪」

シルヴィア「んっ…ちゅっ……ん、んっ///」

クラウディア「んふ…んっ、ん、んんっ♪……ん、ちゅぷっ…れろっ…ちゅっ、ぴちゅっ……ちゅぷ…っ♪」

シルヴィア「んっ、んんぅ…んっく…んっんっ、んぅぅ…!?」

提督(幼)「わぁ…///」

クラウディア「ん、ん、んっ、んちゅ…ちゅるっ、ちゅ…っ……んふっ、ちゅ、んくっ…ちゅぽっ……はぁぁ…っ♪」…絡みあわせていた舌先からすーっと垂れた唾液が、朝の明るい光に照らされて金色にきらめいた……

シルヴィア「ぷはぁ…っ……ちょっと、クラウディア…あなた自分で「少しだけ」って言ったでしょう///」

クラウディア「だって……日差しの中で見るシルヴィアが格別きれいに見えたんですもの♪」

シルヴィア「ふぅ…それにしたって甘すぎるわ///」

クラウディア「ふふっ…フランチェスカ、これで「大人のちゅう」は分かったかしら♪」

提督(幼)「う……うん///」

シルヴィア「……ほらごらんなさい、やっぱりこの子には刺激が強すぎたみたいよ」

クラウディア「…さぁ、どうかしら……ねぇフランチェスカ、お母さまたちの「大人のちゅう」はどうだったかしら♪」

提督(幼)「うん……あのね…」

シルヴィア「…正直に言っていいからね?」

提督(幼)「とっても…きれいだった……///」顔をぽーっと赤らめて、椅子からずり落ちそうなほど脱力して座っている…

クラウディア「あら嬉しい♪…綺麗だったのはシルヴィア?」

提督(幼)「ううん…ふたりとも……お日さまが明るくて、おかあたまたちがきらきらしてみえたの…///」

シルヴィア「そう…あれを「きれいだった」なんて……やっぱりクラウディアの娘だけあるのかも知れないわね…」

提督(幼)「ねぇ、おかあたま…」

クラウディア「なぁに、フランチェスカ♪」

提督(幼)「わたし、おおきくなったらおかあたまたちとけっこんする…それでね、おかあたまたちといっぱい「おとなのちゅう」するの///」

クラウディア「まぁ、嬉しい♪…それじゃあ、お母さまはフランチェスカが大きくなるまで待っていてあげるわね♪」

提督(幼)「うんっ♪…シルヴィアおかあたまも、わたしがおおきくなるまでまっててね?」

シルヴィア「ええ、待ってるわ……あー、何て言うのかしら…朝から今世紀最大の「パンドラの箱」を開けた気分ね…」

クラウディア「もう…こんなに可愛いフランチェスカがどうして「パンドラの箱」なの?」

提督(幼)「おかあたま…またケンカなの?」

シルヴィア「あぁ、大丈夫よ…それより、クラウディアが作ってくれたせっかくの朝ご飯が冷めるわ……さ、朝食にしましょうね?」

提督(幼)「うんっ♪」
18 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/01/08(月) 00:25:24.09 ID:lVvBYBT10
………


クラウディア「…って言うことがあったの、まぁ何とも純粋で可愛かったわ♪」

シルヴィア「ちょっと、クラウディア…あの時の愛の言葉、まだ覚えていたわけ?」

ライモン「……それが今の提督を生んだきっかけですね///」

アッテンドーロ「ええ、間違いなくね…」

チェザーレ「うむ……なんと言うか、思っていたより強烈であった…な」

提督「///」

クラウディア「ほら、シルヴィアも何か話してあげたら?」

シルヴィア「そうは言ってもね…たいていはクラウディアと一緒に子育てしていたわけだし……」

提督「…シルヴィアおばさま、お願いだからもう少し大人しい思い出をお願い」

シルヴィア「ええ……そうね、それじゃあ…」

アッテンドーロ「…別の話があるのね♪」

シルヴィア「あるわ…あれはフランチェスカが八歳ごろの事だったわね…」


………

…提督・八歳のころ…

クラウディア「…フランチェスカに射撃を教える?」

シルヴィア「ええ、あの子もいくらか興味を持っているみたいだし……ああいうものは早いうちに覚えた方がいいわ。それに何だって使えて損はしないから」

クラウディア「あなたが教えるの?」

シルヴィア「ええ、そうなるわね…まぁ隣近所がいる訳じゃないし、迷惑はかからないわ」

クラウディア「でも、あの子ったらまだあんなに小さいけど…大丈夫かしら?」

シルヴィア「小さいうちに正しい使い方を覚えた方が事故は少ないわ。馬鹿なことをしでかすのはたいてい付け焼刃の連中って決まっているもの」

クラウディア「うーん…あなたが覚えさせたいなら私は反対しないけど……気を付けてね?」

シルヴィア「もちろん」


…とある日…

シルヴィア「フランカ、ちょっといい?」

提督(幼)「どうしたの?シルヴィアおかあさま」……いくらか大きくなった提督は桃色のフリル付きワンピースを着て本を読んでいたが、子供らしいきょとんとした顔をして首をかしげた

シルヴィア「今日はね、フランチェスカに射撃を教えてあげようと思うの…よかったら私の部屋においで?」

提督(幼)「いいの?……クラウディアおかあさまには聞いた?」

シルヴィア「ちゃんと聞いたわ」

提督(幼)「それで、おかあさまはいいって?」

シルヴィア「ええ…ただし、基本の約束事を守るならね」

提督(幼)「…どんなおやくそく?」

シルヴィア「それは私の部屋で話してあげるわ…汚れてもいいような服に着替えてからおいで?」

提督(幼)「はーい」

………
19 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/01/08(月) 01:22:34.17 ID:lVvBYBT10
…シルヴィアの自室…

提督(幼)「…シルヴィアおかあさま、入ってもいい?」…少しよれてきたクリーム色の丸襟付きのブラウスと、茶色のズボン姿でやってきた

シルヴィア「ええ、どうぞ」

提督(幼)「うわぁぁ…すごい……」


…まだ小さいフランチェスカは、シックで大人びたシルヴィアの部屋に入るとあたりを見回した……射撃と猟が得意なシルヴィアだけあって、部屋には子供がいじるには危険なものが色々と置いてある…そのため普段は鍵をかけてあり、提督にとっては入ったことのない「聖域」のようになっていた……壁には数丁の散弾銃が掛けてあり、小さい棚には口径ごとに並べた銃弾メーカー「フィヨッキ」の箱が置いてある…


シルヴィア「さて…と……まず、ここに入ったから時はフランチェスカも大人だから、必ず「銃を扱う時の約束事」を守ること…いいわね?」

提督(幼)「うん…」普段のシルヴィアとは比較にならないほど厳しい顔をしているので、幼い提督にも約束を守らないと怖いことがあるのは理解できたらしい…緊張した面持ちでうなずいた

シルヴィア「よろしい…じゃあ、ここにおいで?」


…天板を痛めないよう木の板が敷いてある部屋の机には、ライトスタンド、すみっこに取り付けてある万力、それに様々なねじ回しや工具箱…それに一挺のほっそりしたライフルが置いてある……部屋には銃の木部に塗る亜麻仁油とガン・オイル、それに少しの硝煙が混じった、独特のひんやりしたような空気が流れていた…


提督(幼)「うん」そっと歩いて机に近寄るとシルヴィアが提督を持ち上げ、自分の膝の上に乗せた…

シルヴィア「これでよし…と。…それじゃあ約束事を言うからね」

提督(幼)「…うん」

シルヴィア「じゃあ一つ目…絶対に撃つ時以外は引き金に指をかけない……ここよ」細身のスポーツライフルの引き金を指差した

提督(幼)「指をかけない…」

シルヴィア「そうよ…引き金に指をかけたら、その時は相手を殺すつもりだと言うことよ……よく冗談で指をかける馬鹿者がいるけど、そうなったら相手から撃たれても文句は言えないのよ」

提督(幼)「…」

シルヴィア「二つ目…絶対に銃口をのぞかない」

シルヴィア「……私は直接見たわけじゃないけど、前に撃発不良の銃を調べようとして銃口をのぞきこんだ人がいてね…片目をなくしたわ」

提督(幼)「…ひっ」

シルヴィア「どんなことがあっても銃口をのぞいちゃいけないわ…いい?」

提督(幼)「うん…絶対にのぞかない……」机の上に置かれた綺麗なライフルをこわごわと見つめる提督…

シルヴィア「じゃあ三つ目…人に銃口を向けない」

提督(幼)「人にむけない…」

シルヴィア「ええ……これは一つ目と同じ。引き金に指をかけるとか、銃口を向けたら「お前を殺す」って言うのと同じよ。そうなったら何をされても文句は言えないわよ…いいわね?」

提督(幼)「うん…わかった」

シルヴィア「この三つだけでいいわ…守らないと死ぬことになるから、絶対にこの三つは守りなさい……いいわね?」

提督(幼)「うん…ぜったいまもる」

シルヴィア「あと、これは私とあなたの約束事ね…銃におかしなことがあったら必ず私を呼びなさい、怒ったりしないし、絶対にすぐ行ってあげるから」

提督(幼)「わかった…なにかあったらシルヴィアおかあさまをよぶね」

シルヴィア「そう…フランチェスカは立派ね、それじゃあそのライフルを触らせてあげる….22口径のスポーツライフルよ」木部は絹のように滑らかで、銃身や金属部はオイルを引かれ、漆塗りのように艶を持っている……

提督(幼)「わ…重い……」

シルヴィア「最初はそうかもしれないわね…じゃあ、操作してみましょうか」ボルトアクションの槓桿(こうかん)を引いてみせた…

提督(幼)「んんっ……くっ…」

シルヴィア「ちょっとあなたの力だと固いかも知れないけど…慣れればスムーズに動かせるようになるわ」

提督(幼)「んっ!」キシンッ!……ボルトが動いて薬室が開いた

シルヴィア「そうそう…そこに弾薬が入るのよ」
20 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/01/08(月) 02:03:40.56 ID:lVvBYBT10
提督(幼)「どのたまが入るの?」

シルヴィア「.22ならこれね…ちょっといい?」

提督(幼)「?」

シルヴィア「悪く思わないでね…」小さい5.6ミリ×15(.22口径)の弾を箱から取り出し、その先端を強くふとももに押し付ける…

提督(幼)「っ!……いたいよぉ…シルヴィアおかあさま…ぁ」

シルヴィア「ごめんね、フランチェスカ…痛いでしょう?」

提督(幼)「うん…ぐすっ……」

シルヴィア「こんな痛いものを撃ちだすのよ…軽々しく使わないようにね?」

提督(幼)「うん……」

シルヴィア「さ、私が撫でてあげるから……ね、もう痛くないでしょう?」しばらくふとももに手を置いて、そっと撫でてあげるシルヴィア…

提督(幼)「うん…おかあさまのおててはひんやりしてて、いたいのがなくなったみたい……」

シルヴィア「よかった…じゃあ裏の森に行って練習してみましょうか」

提督(幼)「うん…っ!」

………

…数か月後・裏の森の小さな原っぱ…


提督(幼)「シルヴィアおかーさま、みてみて?」ライフルを優しく台に置いて耳当てを外すと、小走りでボール紙の標的用紙を持ってきた

シルヴィア「どれ…あら、ずいぶん上手になったわね……このままじゃあ私の方が教わる側になりそうね」ベネリの散弾銃を置くと、自慢げに的の用紙を見せに来た提督を眺め、「ふふっ」と笑みを浮かべた…

提督(幼)「そんなことないよぉ…シルヴィアおかあさまはどの銃でもとっても上手だもの♪」

シルヴィア「あら、ありがと…それじゃあそろそろお昼に戻りましょう……遅れたらクラウディアに怒られちゃうわよ」

提督(幼)「うーん……ねぇ、おかあさま」

シルヴィア「なぁに、フランチェスカ?」

提督(幼)「……もうちょっとだけ、撃っていかない?」

シルヴィア「お昼には戻るって言ってきちゃったわよ?……そろそろ片付けないと」

提督(幼)「でも…せっかくじょうずになってきたから……」

シルヴィア「ふー…仕方ないわね。じゃあ、あと弾倉一つ分だけよ……そのかわり、後ろで見ていてあげるから」

提督(幼)「おかあさま、見ててくれるの?…うれしいっ♪」…さっそく銃を置いてある台に駆け戻り、息を整えると耳当てをつける……慣れた手つきで小さい弾倉を込め、肩に銃床を当てるとボルトを動かし、引き金を引いた……

シルヴィア「…うん、上手になったわ……今度はもうちょっと大きい口径の銃にしてもいいかもしれないわ」提督が五発入りの弾倉を撃ちきると、感心したように言った…

提督(幼)「ほんと?」

シルヴィア「ほんとよ…さ、戻ったら手を洗って、それからお昼にしましょうね」

提督(幼)「はぁーい♪」

………
21 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/01/08(月) 02:56:11.14 ID:lVvBYBT10
シルヴィア「それ以来ずーっと射撃だけは欠かさずに続けていたわ…森の散策にも必ず持って行ってね」

クラウディア「一度なんか銃にオイルを塗るのに手ごろな布がなかった物だから…食卓用の布巾を持って行っちゃって……」

提督「あー…あの時はさすがに怒られたわね」

クラウディア「それはそうよ、しかもおろして間もなかったから…でも、おかげで射撃と水泳は得意になったわね」

提督「あと料理もね…これはクラウディアお母さまのおかげ♪」

クラウディア「うふふっ…ありがと♪」

提督「…それにしても懐かしいわね、裏の小川とかうちの海岸にある浅瀬でよく泳いだわよね……それで、お母さまの作ったお弁当を持ったシルヴィアおばさまが一緒に来てくれて、泳ぎ方を教えてくれたのよね♪」

シルヴィア「そうだったわね…まぁ、あそこは流れが緩いし、水も温かいから脚もつらないのよ」

提督「…そうだ、よかったらライモンたちも後で泳ぎに行きましょうか♪」

ライモン「それもいいかもしれませんね…あ、でも泳ぐとは思ってなくて…水着を持ってこなかったかも……」

チェザーレ「おやおや。チェザーレは一応持って来たが……貸せるほど似通った体型ではないしな…アッテンドーロ、そなたはどうか?」

アッテンドーロ「私だって持ってこなかったわ…誰も見てないでしょうし、裸で泳げば?」

ライモン「いえ、そんな……いくら泳ぐだけとはいえ、裸で外をうろうろするなんて恥ずかしいです///」

アッテンドーロ「はぁ…相変わらず律儀なことで……じゃあ下着とか?」

ライモン「いえ、それも…///」

クラウディア「んー…ちょっと待っててね♪」ふと立ち上がると、階段をあがって行った…

ライモン「…提督、クラウディアさんはいったい何をしにいったんですか?」

提督「うーんと…多分だけど、どこかに水着の二、三着はしまってあるんじゃないかしら……」

アッテンドーロ「それにしたって…私たちに合うような水着があるかしら……クラウディアのはどう考えたって胸が余るし、シルヴィアは長身すぎるわ」

提督「そうよね…でも、何かしらの物があるから上がって行ったのでしょうし……あ、戻ってきたわ」

クラウディア「お待たせ…っ♪」


…胸を揺らしながら軽やかに階段を降りてきたクラウディアは、何枚かの服をテーブルの空いた場所に置き「じゃーん♪」と両手を広げてみせた…


ライモン「あの…これは?」

クラウディア「水着よ、ちょっと古いけど♪」

提督「ねぇ、これって……」

クラウディア「ええ、あなたの着ていたものよ……ふふふっ、取っておいてよかったわ♪」

ライモン「なるほど……って///」

アッテンドーロ「あら、姉さん…赤くなっちゃってどうしたのよ♪」姉の事となるとなおさら察しのいいムツィオが、妙にニヤニヤしながら聞き出そうとする…

ライモン「もう、分かってるでしょう…提督の水着ってことは……もう、何を言わせるつもり///」

チェザーレ「なるほど、そう言うことか……全く、ライモンドの生真面目なことよ♪」からからと笑って菓子皿のビスコッティをつまんだ

提督「ね?……もっとも、その律儀な所が可愛いのよね♪」

アッテンドーロ「ええ、全く…我が姉ながら時折むしょうに撫でくり回したくなるわ♪」

クラウディア「そうね…ライモンちゃんは純粋で……まるで天使みたい♪」

シルヴィア「こら、娘の連れてきた恋人にちょっかいをかけないの」

クラウディア「……なぁに、妬いてるの?」…小首を傾けていたずらっぽく聞いた

シルヴィア「まさか…クラウディアはどんなに遊んでるふりをしてても、いつも私の所に戻ってくるでしょう……嫉妬する理由がないわ」

クラウディア「まぁ…///」

提督「ふふっ、お母さまたちったら…まだ熱々みたいね♪」ぱちりとウィンクを飛ばした…


………
22 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/01/10(水) 00:55:29.88 ID:ByffOlPl0
…夕方…

クラウディア「あら、もうこんな時間…残念だけど泳ぎに行くのは明日にしましょう?…それじゃあ私は夕ご飯の支度に取りかかるから、みんなはゆっくりしていてね♪」

ライモン「あの…わたしもお皿やグラスを並べたりとか、少しはお手伝いしますよ?」

クラウディア「いいのいいの、ライモンちゃんたちはここを実家だと思ってくつろいで…ねっ♪」

提督「そうね、なんて言ったってお客様なんだから♪…お母さま、私が手伝うわ……」

クラウディア「うふふ、フランチェスカもいいの。普段は忙しいんでしょう?…今日ぐらいゆっくりしなさいな♪」

ライモン「その……わたしも提督とお話しをしていたいです///」

提督「ふふ、分かったわ♪…じゃあお母さま、お言葉に甘えさせてもらうわね」

クラウディア「ええ♪……それじゃあシルヴィア、少し手伝って?」

シルヴィア「ええ、今行くわ。フランチェスカ、ちゃんとライモンドたちのお相手してあげるのよ」

提督「分かってます、シルヴィアおばさま♪」

シルヴィア「そう、ならいいわ」

ライモン「…シルヴィアさん、普通にしていても凛々しい方ですね」

提督「ええ、そうね♪……ところで」

ライモン「?」

提督「その水着、合わせてみたら?」

ライモン「…えっ///」

提督「だって明日「泳ぎに行こう」って言っているのに、その場になって身体に合わなかったら困るわ…夕食までまだ間があるし、しばらくお部屋で合わせてみたらいいと思うの」

アッテンドーロ「まぁ、それもそうよね。じゃあ私は部屋で着てみるわ……チェザーレ、よかったら手伝ってくれません?」

チェザーレ「ふふふ、承知した…それではライモンドよ、そなたは提督に手伝ってもらうといい♪」

ライモン「え?…いえ、だって別に水着を合わせるのにそんな付きっきりになるほどの事はないと……あっ///」

アッテンドーロ「提督にしっかり見立ててもらいなさい、姉さん…チャオ♪」指をひらひらさせて「じゃあね♪」の仕草をすると、ちょっと意地悪な笑みを浮かべ階段を上って行った…

ライモン「あの…チェザーレさん……」

チェザーレ「…ライモンドよ、恐れずにルビコン川を渡るのだ……さ、アヴァンティ(前進)♪」…まごまごしているライモンの背中をとんっ…と一つ突いて、階段の方に押しだした

ライモン「えっ、いえ…それじゃあチェザーレさんを呼んだ意味は何だったんです?」

チェザーレ「なに、この老嬢はゆっくり骨休めするつもりで付いてきただけの事よ……しっかりな♪」

ライモン「///」

提督「…さ、行きましょう♪」

ライモン「は…はい///」


23 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/01/10(水) 02:36:05.89 ID:ByffOlPl0
…カンピオーニ家・台所…

クラウディア「♪〜ふーん…ふふーん……」手早くパセリを刻みつつ、ご機嫌で鼻歌を歌っているクラウディア……薄いセーターの袖をまくりあげ、可愛らしい桃色のエプロンを着ている…指にはめている指環と、手首につけている小さな金時計はちゃんと外して片隅にあるガラス鉢に入れてあり、よく見ると薬指の所に少しだけ白さが目立つ場所がある…

シルヴィア「今日はことさらに機嫌がいいわね。久しぶりにフランカが帰って来たから?」…帆布地のようなしっかりした生地でできた、飾り気のない白いエプロンを首からかけると後ろで紐を結び、それから指環と時計を外して置き場所に乗せた……

クラウディア「ええ、それもあるわ…でもね、それだけじゃないの♪」

シルヴィア「…と、言うと?」

クラウディア「……あの子ったら、あんな素敵な女の子を三人も連れて来て……ふふふっ、なんだか私まで若返った気分♪」

シルヴィア「…それだけ?私はてっきり「あの子ったらすっかり大人らしくなって…これまでは独身宿舎で暮らしているのをいいことに、いろんな女の子たちと遊んでばかりで……」とでも言うのかと思ったわ」

クラウディア「あら、そんなこと言わないわ。優しく手を取ってくれる女性(ひと)がいる限り、私は手を差しだすことに決めてるの♪…だから他の蝶々さんたちに誘惑されないよう、貴女を連れてミラノからここに戻ってきたんじゃない♪」少し身体をくねらせて、下から上目遣いで見上げてくるクラウディア…

シルヴィア「そうだったわね…で、何をすればいい///」

クラウディア「そうねぇ…それじゃあこのカサゴをさばいてもらえるかしら?」

シルヴィア「分かったわ」


…魚のアラ(頭やヒレ)をニンニクの香りをつけたオイルでじゅーっと焼きつけ、そこに白ワインを振り入れる……さらに地元で採れた小さな鯛にカサゴ、イカの胴体や脚、汁気が出るように甘酸っぱいイタリアン・トマトと白インゲン豆など適当な野菜を放り込み、コンソメスープで伸ばしながらぐつぐつ煮こみ、塩や粗挽きの黒胡椒、オレガノなどのスパイスを振り入れる…


クラウディア「さてと…よかったらこれもお願い♪」カウンターの上には伸ばしてあるパスタ生地が置いてある…

シルヴィア「はいはい」棚にしまってある麺棒のような棒を取り出した…よく見るとこの「麺棒」にはギザギザが付いていて、生地を伸ばすように転がすとパスタが切りだせるようになっている……

クラウディア「できた?」

シルヴィア「ええ…入れる?」

クラウディア「ん、お願いね」

シルヴィア「入れたわよ…しばらく手は離せないから、何かお願いされても無理よ」ごぼごぼ言って沸きあがっているパスタ鍋に生パスタを入れる…

クラウディア「ええ、分かってます……よいしょ♪」台所の後ろの方で衣擦れの音をさせながら、何かごそごそやっているクラウディア

シルヴィア「どうしたの、何かちくちくする物でも服に入った?」

クラウディア「いいえ……料理をしているせいか、何だか暑くって♪」

シルヴィア「そう?…別にいつもとさして変わらな……い…」

クラウディア(裸エプロン)「で、パスタはどうかしら♪」…ピンクのエプロン以外の着ている物を全部脱ぎ捨てて、いたずらっぽいチャーミングな笑みを浮かべている

シルヴィア「ちょうど茹で上がったけど…お湯が跳ねたらやけどするわよ///」

クラウディア「茹で上がったならもう大丈夫よ……それに、あなたの愛ほど熱くはないでしょうし♪」

シルヴィア「…そうね、それでお次はどうするの?」

クラウディア「まずはアクアパッツァの味見をしないと…ね♪」大さじで綺麗なオレンジ色のスープをすくい「ふー…♪」と冷ますと軽くすすった…

シルヴィア「どう?」

クラウディア「んふふっ…ちょっと待って、味見させてあげるから♪」もう一度大さじでスープを取って冷ますと、今度は自分の胸に軽く垂らした…

クラウディア「はい、どうぞ♪」

シルヴィア「ふふっ…では試食させてもらうわよ」クラウディアの「たゆん…っ♪」と揺れている柔らかい乳白色の乳房に舌を這わせる…

クラウディア「んっ…お味はいかが?」

シルヴィア「美味しいわよ……そういえば、こっちはどうかしらね」ドルチェ(デザート)に用意してある、とろっと煮こまれた桃のコンポート…砂糖と赤ワインで煮た白桃がボルドー風の紅に染まり、ひんやりと冷やしてある……シルヴィアは深い赤紫色のシロップをすくうと、クラウディアの肩口に垂らした…

クラウディア「んっ、冷たい…っ♪」

シルヴィア「大丈夫、すぐに舐めてあげるから…ん、ちゅ……♪」

クラウディア「…どう?」

シルヴィア「甘くていい香りがするわ…満点ね」

クラウディア「よかった。でも、本当のドルチェは……♪」

シルヴィア「夕食の後…ね。……フランカたちに聞かれても知らないわよ」

クラウディア「ふふっ♪…さっき「熱々みたいね♪」なーんて言われたし、ちゃんと「期待に応えて」聞かせてあげようかなー……って♪」

シルヴィア「全く、親子そろって似たものどうしっていう訳ね…♪」

………
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/10(水) 19:26:09.42 ID:s7tnMKiAo
ママ百合すき
25 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/01/11(木) 00:13:46.22 ID:kvUfhev60
>>24 グラツィエ…大人百合やおねロリはなかなか少ないので多めに入れていこうと思っております



あと、一つ訂正なのですが…アクアパッツァ(イタリア版ブイヤベース)はコンソメで伸ばさないみたいですね…魚介と白ワイン、トマトの汁気だけで作るものだとか…ついうっかり書いてしまいました…

…何はさておき、しばらく夏のイタリアで提督たちが百合百合していきますので…

 
26 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/01/11(木) 01:06:52.84 ID:kvUfhev60
…夕食時・食堂…

クラウディア「あら、みんなちゃんと揃っているわね。えらいえらい♪」何事もなかったかのように微笑んでいるクラウディア…

提督「ふふ、だってお母さまの夕食を食べ損ねたくはないもの…ね、ライモン?」

ライモン「は…はい///」頬を赤くして、内股になっているふとももをもじもじとこすり合せるライモン…

チェザーレ「…で、水着はどうだったのだ?」

提督「それが誂えたようにぴったりなの…胸は少しゆるいけど、問題になるほどじゃないわ」

チェザーレ「そうか、それは何より……ところで、なんともいい香りではないか♪」

クラウディア「うふふっ、せっかくお客様が来てくれたんですもの…うんとごちそうしないと♪」

シルヴィア「そう言うことよ…さ、みんなグラスはある?」

提督「ええ」

ライモン「あります」

アッテンドーロ「こっちもあるわ」

チェザーレ「うむ、ちゃんとあるぞ」

クラウディア「じゃあシルヴィア、みんなに注いであげて?」

シルヴィア「分かってるわ…それじゃあ、まずは乾杯と行きましょう」

クラウディア「それじゃあ、乾杯♪」

提督「乾杯♪」

ライモン「では、いただきます……こくっ、こくんっ」

クラウディア「どう、ライモンちゃん?」

ライモン「美味しいです、何というか…素朴なワインですね」

アッテンドーロ「…そうね、偉そうなワインって言う感じではないけど……食卓に置いておきたいワインね」

チェザーレ「うむ。いいワインであるな」

クラウディア「あら…フランチェスカ、あなたの連れてきたお客様はなかなかの美食家揃いみたいね♪」

提督「あー…鎮守府の食生活を考えるとそうなるわね」

クラウディア「別にいいのよ…うふふっ、むしろその方が張り合いがあっていいわ」


…カンピオーニ家の食堂は明るい白の壁に、いかにもそれらしい唐辛子やニンニクの玉がひもで吊るしてあり、使いこまれたどっしりした木のテーブルと背の高い椅子は何度も拭かれているせいで色がくすみ、少し飴色を帯びている……テーブルの上には前菜として小さくちぎったレタスとカリフラワー、粗めに刻んだベビーコーンを和えたサラダ。それに陶器のつぼに入っている、海産物がどっさり入ったアクアパッツァと、手打ちのリングイネによく絡むローマ風のポモドーロ……濃い色のチーズは太鼓型の塊から切り出したばかりで、しっとりと艶やかな黄色をしている…


提督「ふふ、相変わらず美味しそう…♪」

クラウディア「さぁ、どうぞ♪」…ライモンたちにサラダを取り分け、提督にもたっぷりとよそった

提督「ありがと、お母さま♪」

クラウディア「どういたしまして♪」

アッテンドーロ「んっ…んむ……これ、美味しいわね♪」

チェザーレ「ふむ、なるほど…このさくさくした歯ごたえが心地良いな」

シルヴィア「アクアパッツァもどうぞ…クラウディアの自信作だから」

クラウディア「あんっ、もう……そんなに期待されたら困るわ♪」

アッテンドーロ「ふーん、それじゃあいただくわ…」

クラウディア「どう?」

アッテンドーロ「……美味しいわよ、クラウディア♪」

クラウディア「ほんと?…よかったわ」

提督「お母さまの作る料理にまずい物なんてなかったわ…んっ、パスタもすごく美味しい♪」

27 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/01/11(木) 01:51:21.22 ID:kvUfhev60
シルヴィア「…もう少しワインをどう?」

ライモン「あ、はい…では半分ほど」

クラウディア「…二人ともお皿が空よ、もっと食べる?」

アッテンドーロ「もらうわ……すごく美味しいもの」

チェザーレ「うむ、ちょうだいしよう」

提督「お母さま、チーズを切ってあげましょうか?」

クラウディア「そうね、お願いするわ♪」


…しばらくして…

提督「ふー…美味しかった……やっぱりうちの食事はいいわ」

チェザーレ「うむ…心おきなく食べたな」

ライモン「美味しかったです…でも、少し食べ過ぎちゃいました……」

アッテンドーロ「あー…もう満腹」

クラウディア「あら…せっかくドルチェを冷やしておいたのに……いらない?」

ライモン「…ドルチェですか♪」

アッテンドーロ「そうねぇ…その分くらいはお腹を空けてあるわよ」

チェザーレ「ふむ…チェザーレも甘い物は好物である」

クラウディア「なら決まりね、少し待ってて♪」

提督「…ところでおばさま」

シルヴィア「なに?」

提督「二人でお料理する時は、今でもあの「儀式」をしているの?」

シルヴィア「ええ、してるわ」

ライモン「…儀式?」

アッテンドーロ「…なにそれ?」

提督「ふふ…おばさま♪」

シルヴィア「ええ……実はクラウディアが台所で決めているルールなんだけど「身に着けている装身具は外す」って言うのがあって…」

提督「…うちの鎮守府にも取り入れさせてもらっているわ……いつもつけている指環や時計はどうしても汚れが付いているし、反対にせっかくのアクセサリーに料理の油やごみが付くのも嫌でしょう?」

シルヴィア「クラウディアもそっくり同じことを言っているわ…「料理人がひき肉をこねたりしている時に、指環なんかをしているとあきれる」って……実際にお店でも「指輪がすっぽ抜けて料理に入ってた」なんていうこともあったりするみたいだし」

アッテンドーロ「…じゃあ指環を外すのが「儀式」なの?」

提督「んふふっ、それがそうじゃないの……ね、おばさま♪」

シルヴィア「ええ…それで台所には指環や時計を入れる器があるんだけど……料理を終えたら相手の指に指環をはめてあげて、同時に「誓いのキス」みたいに口づけをするわけ」

提督「それも鎮守府に取り入れようかとは思ったわ♪」

チェザーレ「…別に今からでも遅くはないぞ?」

提督「いいのっ?」

ライモン「…提督」

提督「こほん……でも、「食堂のお手伝いの当番だからキス」というのはなんだかそっけないわね…まぁ止めておきましょう」

ライモン「ええ、それがいいと思います」

アッテンドーロ「そうね…どうせ好きな娘どうしは言わなくたって「キス、キス、キス」でしょっちゅうしてるんだから」

提督「まさに「もう夢chuなの」…っていう訳ね♪」

ライモン「だって、好きな人との口づけは我慢では解決できませんし……」

チェザーレ「なるほど…ライモンドが言うと実感がこもっている分、説得力があるな♪」

ライモン「///」
28 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/01/12(金) 00:44:34.22 ID:JpHXp/qH0
…食後…

ライモン「…クラウディアさん、ドルチェの「白桃のワイン煮」……美味しかったです♪」

クラウディア「そう、よかったわ。それじゃあ私はお皿を洗うから…その間にライモンちゃんはお風呂でも浴びて来たら?」

ライモン「いいんですか?」

クラウディア「ふふ、いいわよ。私がお皿洗うのを待ってたら遅くなっちゃうもの♪」

ライモン「うーん、それもそうですね……じゃあお言葉に甘えて」

クラウディア「ええ、ぜひそうして♪」

提督「それなら私がバスタオルを持ってきてあげるわね…あと、これ♪」何やら和風のイラストが描いてある箱を手渡した

ライモン「何です?」

提督「百合姫提督にもらった入浴剤…鎮守府へのお土産だけど、少しだけくすねて来たの♪」

ライモン「いいんですか?私が使っちゃって」

提督「もちろんいいわ…おばさまも入る時に使って?」

シルヴィア「ありがとう、楽しませてもらうわ」

ライモン「…あの、提督は?」

提督「私は後で…シルヴィアおばさまとつもる話でもしながら待たせてもらうわ♪」

アッテンドーロ「ほら、私も汗を流したいんだから早く行ってきなさいよ」

ライモン「あぁ、ごめんなさい…ではお先に入らせてもらいます」

シルヴィア「ふふ、ゆっくりでいいからね」

…しばらくして…

ライモン「出ましたよ、提督」…顔を火照らせ、パイル地のシンプルなバスローブに身を包んでいるライモン……しっとり濡れた髪がバスタオルにくるまれ、白い肌はほんのりと桜色に染まっている……

提督「はいはい♪…ムツィオも先に入ってきたら?」

ムツィオ「あら、悪いわね…それじゃあお先に♪」

チェザーレ「うむ、存分に旅のほこりを流してくるといい…それでだな、ポンペイの噴火を調査に行って住民を助けようとしたプリニウスだが……」

ライモン「チェザーレさん、一体何の話をしているんです…?」

チェザーレ「あぁ…ちょうどこの記事にポンペイの発掘調査が行われたとあってな」…数日前の「レプブリカ」紙を拡げてみせた

提督「チェザーレの得意分野ですもの、歴史を勉強をさせてもらっている所よ♪」

シルヴィア「さすが「ジュリオ・チェザーレ」ね。古代ローマに詳しいだけあって面白いわ…うちに置いてあるアンフォラの謎も解けたし」

ライモン「アンフォラ…玄関にあったあれですね」

提督「ええ。チェザーレの見立てによると、あれは古代ローマ時代のワイン輸送用だったみたい…もっとも、あちこちにひびが入っているし、そのままだと底がすぼまっていて立たないから、転ばないように鉄の枠をつけたしてあるけど」

チェザーレ「あれは「B型アンフォラ」というやつだな…カサ立てとは恐れ入ったが」

シルヴィア「まぁね…昔クラウディアがのみの市で「安かったし雰囲気があるから」って買ってきちゃってね……そのままじゃどうしようもないし、私が鉄枠を作って傘立てにしたわけ」

ライモン「傘立てなんかにしちゃって大丈夫なんですか?」

シルヴィア「歴史的価値は全然ないから大丈夫…持ち手も片っぽ取れてるし」

ライモン「なるほど……」

アッテンドーロ「みんな、出たわよ♪」

ライモン「ずいぶん早いのね…?」

アッテンドーロ「だって、ねぇ…提督やシルヴィアには悪いけど、お風呂だけは鎮守府の方が格段に上だわ……だから頭と身体だけ洗って、パッと済ませてきちゃった」大きく肩をすくめてみせる

提督「んー…まぁ、そうよね」

シルヴィア「フランチェスカ…鎮守府のお風呂はそんなにいいお風呂なの?」

提督「ええ、何しろ泳げるくらいだもの」

チェザーレ「うむ。しかも大きい浴槽だけではなくて、熱帯植物の生えている小さな中庭であったり、小さいあずまや付きの風呂がしつらえてあったり……まぁ、ローマの「カラカラ浴場」もかくやと思われるほど立派であるな」

シルヴィア「ならうちのお風呂じゃ満足できないわね…まぁ、狭いなりにさっぱりしてもらえればいいんだけど」

アッテンドーロ「あぁ、ごめんなさい…別にけちをつけるつもりじゃないの」
29 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/01/12(金) 01:35:05.19 ID:JpHXp/qH0
シルヴィア「別にいいわよ…ま、チェザーレも入って」

チェザーレ「うむ…それではありがたくいただくとしよう」新聞をたたんでテーブルに置くと、堂々とした歩みで浴室に歩いて行った…

提督「……それにしても、ムツィオ」

アッテンドーロ「なに?」

提督「いえ…ライモンもそうだけど、あなたたちって結構着やせするタイプよね」

アッテンドーロ「ちょっと、何言ってるのよ?」

ライモン「て…提督っ///」

提督「だって…こうやって見ていると意外と大きいし……♪」

ライモン「もう…ここで言うことですか?」

アッテンドーロ「本当よね…全く、少しは場所を考えて欲しいわ」そう言ってあきれたように手のひらを上に向けると、寄せられた胸がぷるんっ♪…と揺れた

提督「ここは私の実家なんだし、少しくらい良いじゃない…♪」いたずらっぽいチャーミングな表情を浮かべ、ウィンクを投げた

ライモン「もう、提督ったら…さっきもそんなことを言って……」

アッテンドーロ「へぇ…やっぱり♪」

ライモン「あっ……き、聞かなかったことにして///」

アッテンドーロ「ふふん…姉さんの頼みでもそれは無理ね」

ライモン「もう…ムツィオのいじわる///」

アッテンドーロ「私って隠し事と嘘が苦手なのよ♪」

提督「あらあら…ばれちゃったわね、ライモン?」

ライモン「うー…提督が胸の話なんてするから……」

提督「ごめんなさい…ほら、私が慰めてあげる♪」たゆんっ♪…手招きしながらたわわな胸を寄せる

ライモン「もう、そういうことじゃありませんっ…///」

シルヴィア「ふふ…仲睦まじいわね」

提督「ええ、シルヴィアおばさまとクラウディアお母さまくらいね♪」

ライモン「あの…そういえば」

シルヴィア「…何かしら?」

ライモン「提督がずっと「シルヴィアおばさま」とおっしゃっておられますが…その、どうも関係がよく分からなくて」

提督「あー…私はすっかり馴染んでいるけれど、言われてみればそうね……」

シルヴィア「そうね、ちゃんと話しておいた方がすっきりするでしょうし……ま、昔話はチェザーレとクラウディアが戻って来てからにしましょう」

クラウディア「呼んだかしら?」

シルヴィア「ええ…ちょっと私たちの馴れ初めの話をする必要がありそうだから」

クラウディア「……そうね、このままだとみんなも戸惑っちゃうものね」

提督「あのね…お母さまもおばさまも、無理に話そうとしなくてもいいのよ?」

クラウディア「ううん、いいのよ…私たちやあなたにとっては大事な話だし……それに、シルヴィアの事でうんと惚気を聞かせてあげられる機会だもの♪」

アッテンドーロ「…参ったわね」

チェザーレ「どうかしたのか、アッテンドーロよ?…おや、クラウディアも」頭を拭きながらバスローブ姿で現れた

クラウディア「うふふ、チェザーレは堂々とした立ち姿で本当に惚れ惚れしちゃうわね…さぁ、座って♪」

チェザーレ「うむ…で、一体どうしたのだ?」

シルヴィア「あー、何ていうのかしら…この際だから私とクラウディアの関係をはっきりさせた方がいいと思って……まぁ、あんまり面白い話ではないけれどね」

チェザーレ「ふむ…深いわけもありそうに見えるゆえ、無理にとは言わぬが?」

クラウディア「ふふ、ありがと♪…でも、気持ちのいい性格をしたあなたたちになら……話してもいいと思ったの♪」

チェザーレ「ふむ、さようであるか…」バスローブの胸元を整え、居住まいを正したチェザーレ…
30 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/01/12(金) 02:15:38.57 ID:JpHXp/qH0
クラウディア「…さてと♪」クラウディアは二階から一冊のアルバムを持って来た…

チェザーレ「これは?」

クラウディア「昔のアルバム。私がミラノでデザイナーをしていて、シルヴィアと出会う前の…ね♪」


………

…提督が生まれる前・ミラノ…


クラウディア「はぁ…」

…一軒のカフェでため息をつき、所在なさげにカプチーノをかき回すクラウディア……華やかなオープンカフェには小粋な格好をしたモデルや奇抜な色合いを着こなしたデザイナー、それに色っぽい女優のタマゴたちや、風変りでエキセントリックな格好をしている美大生などが座っている…時折、向かいあわせに座った二人が指を絡ませて手を握ったり、熱っぽい視線を交わしているあたりが、少しだけ他のカフェとは異なっている…


クラウディア「…」コーヒーをすするでもなく頬杖をつき、ため息ばかりをついている…すると時おり、ひそひそとうわさをやり取りする声が耳に入ってくる……

小生意気なモデル「…信じられないわ、彼女だけはそういうことはしないと思っていたのに……」

つんとしたモデル「…全く……あきれちゃう……」

クラウディア「ふぅ…」

奇抜な格好のデザイナー「…まさか本当に…どうして……」

黒と白の服を着たデザイナー「……どうにかして慰めてあげたいけど…」

クラウディア「はぁ…ぁ……」コーヒーカップの表面にため息を吹きかけながら、ただ座っている…と、一人の女性がふらりと入ってきた…

カフェの店員「…いらっしゃいませ、何になさいましょうか♪」フリル付きスカートをひらめかせ、目のぱっちりした可愛い店員が声をかける

短髪の女性「…カプチーノをお願い。スプーマ(泡)は少な目で甘さは抑えて」…シックなタートルネックセーターに栗色のスラックスを着て、ごくあっさりしたメイクをしている

店員「はい、承知しました…その、相席でも構いませんか?」

女性「ええ」

店員「では……あの、こちらの席でよろしいですか?」

女性「先客の女性がいいなら構わないわ」

店員「はい、うかがってまいります♪……あの」

クラウディア「…あぁ、何かしら?」

店員「相席の方、よろしいでしょうか?」

クラウディア「え…?」視線をあげると、整った凛々しい顔立ちの女性がこちらを見ている…

クラウディア「あっ…ええ、いいですよ///」

店員「では、お客様…こちらへどうぞ♪」

女性「…失礼、座らせていただくわね」

クラウディア「ええ、どうぞ……はぁ…」

店員「お待たせしました…カプチーノ、スプーマは少な目の甘さ控えめです。他に何かありましたら……♪」そう言いつつ小首を傾げ、期待したような表情を浮かべている…

女性「グラツィエ…でも大丈夫よ」

店員「そうですか……なにかありましたらお気軽にどうぞ♪」紺色のスカートをひらひらさせ、足取りも軽く戻って行った…

クラウディア「ふぅ…」

女性「…」静かにカプチーノをすすっている…

クラウディア「…」

女性「…ごめんなさい、少しいいかしら」

31 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/01/13(土) 01:33:08.01 ID:rlXTx3OE0
クラウディア「あぁ…何か……?」

女性「いえ…出しゃばりかもしれないけど……貴女、ずいぶん気分が沈んでいるようだから」

クラウディア「…まぁ、そうですね……はぁ…」

女性「…何か深いわけがあるようね」

クラウディア「ええ、まぁ……その…」

女性「…よかったら私に話してみない?…別に告解を聞く神父さまでもなければ、心理学者っていう訳でもないけど」

クラウディア「…親切にありがとうございます……じゃあ、少しだけ私の話を聞いてくれますか?」

女性「ええ、いいわよ」

クラウディア「実は…恋人に振られちゃって……それだけならまだ平気だったと思うのですけど、それが原因で知り合いとの関係もぎくしゃくしちゃって……」

女性「へぇ…貴女みたいなきれいな女性をね……そのお相手はずいぶん目がないのね」

クラウディア「いえ…」

女性「…じゃあ私は黙っていてあげるから、好きなように話してみたら?……例のミダース王のお話に出てくる床屋が「王様の耳はロバの耳」ってささやいた穴ぼこだと思ってくれていいわ」

クラウディア「…ふふ、それじゃあ風が吹くと歌になって聞こえてしまいますね」


(※ギリシャ神話…「触ったものを金に変えられる能力」を望んだせいで物を食べたり飲んだりできなくなったミダース王が、「金に変える力」を清水で洗い流してから笛の上手い牧神「パーン」を敬うようになり、神々の演奏比べの時に「パーンの勝ちだ」と意地を張った…すると他の神々に「お前の耳はロバの耳らしいから、ふさわしい耳をつけてやる」と魔法をかけられてしまったというもの……ミダース王付きの床屋は髪を切る以上頭を見ないわけにはいかないが「耳の事を口外したら死刑にする」と脅され、言いたくなるのをこらえるために砂の穴を掘ってささやいた……が、そこから生えたアシが風に吹かれると「王様の耳はロバの耳」と鳴り始め、国民たちにばれてしまったと言う話)


女性「…よかった、やっと少し笑ってくれた」

クラウディア「ええ、ありがとう…この数週間は毎日が灰色だったから……やっと話すだけの元気が出た気がするわ」

女性「そう…」後は促すでもなく、黙ってカプチーノをすすっている女性…

クラウディア「その……恋人に振られたのは、私が「自分の子供が欲しい」って言ったからなの」

女性「それで別れたの?…失礼だけど、子供を欲しがっている彼女を振るなんて……その「恋人」はずいぶんと軽薄な関係を望んでいたようね」

クラウディア「いえ…その、わたしも相手の言うことがよく分かるの……だって、向こうにしてみれば自分の子供じゃないわけだし…」

女性「ん?……なに、その恋人とは別な相手の子供なの?」眉をひそめてカプチーノをひとすすりした…

クラウディア「えーと…その……そういう言い方も出来るけど、こればっかりは今の科学ではどうにもできなくて…」

女性「つまり…相手に子供を作る能力がないって言うこと?」

クラウディア「ええ」

女性「なるほどね…でも別れるなんてよっぽどなのね」

クラウディア「ええ…やっぱり子供を欲しがると、それまでのは単なる「ファッション」だったみたいに思われて……」

女性「ん…?」

クラウディア「……別れる時に彼女も「あのね、クラウディア…貴女の他の部分が嫌いになったわけじゃないの。だから、お友達としてなら仲良くするし、もし他の誰かにイヤミでも言われたら私がかばってあげる」って言ってくれたんです…それに知り合いたちもたいていは理解してくれるけれど……やっぱりいろんな人がいるから…」

女性「なるほどね……って、ちょっと待って?」

クラウディア「?」

女性「今…「彼女」って言った?」

クラウディア「ええ」

女性「あー…なるほど」

クラウディア「えーと…何か?」

女性「いえ…何でもないの……なるほどね」

クラウディア「?」
32 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/01/13(土) 02:28:09.73 ID:rlXTx3OE0
女性「えーと、まとめるとこうね……あなたと彼女の意見が食い違って、結局二人は別れた。しかもあなたの考えに理解を示してくれない知り合いも多いせいで、どうにもミラノにいると居心地が悪い…と」

クラウディア「ええ…まぁそういうことね……」

女性「ならいいじゃない…そう言う考えに理解のある人を見つけて恋人にすれば」カプチーノをすっと飲み終え、深い色の瞳でじっとのぞきこんだ…

クラウディア「それもそうだけど……なかなか私の知り合いには…///」

女性「……なら、私でどう?」

クラウディア「えっ…///」

女性「…実を言うと、今の今までそんな関係があるなんて考えたこともなかったわ…でも、話を聞いてから貴女の事を改めて見たらとっても可愛いし……意外に女性同士で、って言うのも悪くないんじゃないか…って」

クラウディア「じゃあ…あの、このカフェに入って来たのも全然そう言うつもりじゃなくて……?」

女性「ええ。ちょっと親密すぎる感じで手を握っていたり、少し変わった感じの人が多いようには感じたけど…ファッションやモードの関係者なんて多かれ少なかれ毛色の違ったところがある、くらいにしか思わなかったわ……むしろそう言うお店なの、ここ?」

クラウディア「ええ…だってほら」…そっと視線を向けた先には、さっきオーダーを取りに来た可愛らしい店員に注文をしながら、すべすべのふとももをそっと撫で上げるデザイナーの姿がある……

女性「ふふ、どうやら貴女の話は本当みたいね…そういえば、自己紹介もまだだったわ」

クラウディア「あ…こちらこそ話を聞いてもらったのに……クラウディアです」

女性「私はシルヴィア…よろしくね……」

クラウディア「シルヴィア…ステキなお名前ね」

シルヴィア「そう?…クラウディアだっていい名前じゃない……それにしても「赤ちゃんを身ごもる」って決めた時は、大変な勇気が必要だったでしょう」

クラウディア「ええ…相手の男性はとっても大人しい控えめな方で「いいよ、僕は君に『選んでもらった』っていう思いだけで生きていける」って言ってくれたけど……」

シルヴィア「…貴女の方が大変よね……病院も探さないといけないし」

クラウディア「ええ…だからそろそろミラノを離れようとは思っていて……」

シルヴィア「…実家に戻るの?」

クラウディア「はい…カンパーニア州に」

シルヴィア「じゃあ、こうしましょう……まずはお互いの事を良く知り合うために、もっと時間をかけてお話をする…その上で、私のアパートがあるローマで病院を探すか、カンパーニア州で探すか決める」

クラウディア「ふふ、そうね…でもまずはコーヒーを飲み終えてからにしましょう……もうすっかり冷たくなってるわ」手のひらを上に向けて軽く肩をすくめた

シルヴィア「…なら私が飲むわ。妊婦さんにカフェインは毒だから」

クラウディア「あ、でも私の飲みかけだから……」

シルヴィア「…唇をつけたのはどっち?」カップに手を伸ばすと聞いた

クラウディア「そっち側よ…あ、そっちが口をつけた方……!」

シルヴィア「…コーヒーと間接キスをごちそうさま」

クラウディア「///」

シルヴィア「じゃあ行きましょうか…車はすぐそこに停めてあるの……一応言っておくけど、つつもたせや誘拐犯の一味じゃないわよ」

クラウディア「ふふ…見れば分かるわ♪」

シルヴィア「そう?…じゃあ行きましょう」

………
33 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/01/13(土) 03:29:31.28 ID:rlXTx3OE0
クラウディア「そうやってお互いに一目ぼれで……今でもそうだけど、シルヴィアったらとにかく凛々しくて素敵だったの♪」

シルヴィア「あー、何ていうのかしら……あの時は「目が覚めた」感じだったわ」

クラウディア「ふふっ…で、生まれたのがフランチェスカっていうわけ……だからシルヴィアはもう一人の母親みたいなものね♪」

ライモン「なるほど…その……なんと言うか…」

アッテンドーロ「…驚いたわ」

チェザーレ「うむ……たまたまカフェで会った相手といきなり結ばれるとは…」

シルヴィア「きっかけはそうだけど、それからお互いに時間をかけて趣味や嗜好を確かめたり……それに家を訪ねてみたりして、一年以上かけて相性がいいか調べたのよ」

クラウディア「そうだったわね…それでお互いに納得して、同棲することにしたの♪」

シルヴィア「あとはもうフランチェスカの知っている通り……クラウディアは優しいし、甘え上手で可愛いわ」

クラウディア「シルヴィアはいつも凛々しくて、いつも私を気遣ってくれるの♪」

シルヴィア「そうね…でも、クラウディアを見ていると「気遣ってあげないといけない」と言うよりも「気遣ってあげたくなる」って言うのが正しいわ」

クラウディア「ふふ…それを言うならシルヴィアも「意識して気遣ってくれる」のではなくて「自然と気遣ってくれている」のよね♪」

提督「…ね、分かったでしょう」

ライモン「その…熱々ですね……///」

提督「私はいつもこういうやりとりを聞かされていたのよ?……もう甘いこと甘いこと」

アッテンドーロ「ご愁傷様…そう考えると、提督は控えめに育ったものね」

提督「ええ、全く…ほら、また始まった……」

クラウディア「…もう、あの時のキスは舌がとろけそうだったわ……///」

シルヴィア「ふふ…それよりもクラウディアが最初に抱きついてきた時「なんて暖かくて柔らかいんだろう」…って思ったわ」

クラウディア「あの時は夢中で触ったりこねくり回したりしてたものね…♪」

シルヴィア「私の乳房は固くて、大きさもあんまりないから……クラウディアのはもっちりして、まるで柔らかいパン生地みたいに指が埋まるようで…おまけにベビーパウダーみたいな甘いいい匂いがするし……」

クラウディア「あらあら♪…でも私はシルヴィアの引き締まった胸……好きよ?」

シルヴィア「ふふ、嬉しい事を言ってくれるわね」

提督「…で、アルバムを見せてあげるつもりじゃなかったの?」

クラウディア「あぁ、そうだったわね……それで、これがその時の写真♪」真っ赤なアルファ・ロメオ「ジュリエッタ」の前でクラウディアの腰を抱き、口元に微笑を浮かべているシルヴィア……

ライモン「これがクラウディアさん…で、こっちがシルヴィアさんですね」

シルヴィア「ええ、そうよ…こうやって見ると、クラウディアはちっとも年齢を重ねていないみたいね」

クラウディア「…シルヴィアこそ♪」ちゅっ♪…と頬にキスをするクラウディア

シルヴィア「ふふ…娘たちが見ているわよ」

クラウディア「…いいじゃない♪」

提督「ふふっ…それじゃあお母さまたちの邪魔にならないよう、私はお風呂に入ってきます♪」

ライモン「そ…そうですね……では、わたしも失礼します…///」

アッテンドーロ「じゃあ私はルチアの様子を見に玄関へ行ってくるわ……鹿肉をもらっていたけど、ちゃんと食べたかしらね?」

チェザーレ「ふむ…しからばチェザーレも髪を整えよう……ライモンド、よかったら手伝ってくれまいか?」

ライモン「あ、はい」

クラウディア「…うふふ、みんな行っちゃったわ……ねぇ、シルヴィア♪」

シルヴィア「もう…せめて寝室に行くまで我慢できないの?」

クラウディア「んー…抱っこして運んでくれるなら我慢するわ♪」

シルヴィア「分かった…それじゃあお姫様抱っこしてあげる……何しろわたしのお姫様だものね」ちゅっ…♪

クラウディア「うふふっ…ありがと♪」

………
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/13(土) 11:22:30.98 ID:hOml3nUDo
ママ百合の濡れ場はありますか?
35 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/01/13(土) 11:45:17.80 ID:rlXTx3OE0
…二人の寝室…

シルヴィア「ふぅ…よいしょ……ほら、着いたわよ」…どうにか片手でドアを開けるとベッドまでクラウディアを運び、そこで降ろした

クラウディア「ふふ、ありがと……でも私、まだお風呂に入ってないのよ?」ベッドの上で両手を頭の上に投げだし、いたずらっぽい笑みを浮かべるクラウディア…

シルヴィア「私だってまだよ……んっ♪」クラウディアの柔らかな唇に薄い唇を重ねる…ついばむような軽いキスをしながら手をつないだ

クラウディア「んっ…ふ……もっとキスしたくなっちゃった?」

シルヴィア「ええ…でも、キスだけじゃ物足りないわ」

クラウディア「あらあら……シルヴィアったら♪」

シルヴィア「ふふっ…ん、ちゅっ……」

クラウディア「んっ…ちょっと待って……きゃあっ♪」

シルヴィア「待てないかもしれないわ……んちゅ…ちゅ……ちゅっ…れろっ…」

クラウディア「んちゅっ…ん、んっ、んっ……れろっ、ぴちゃ…ちゅるっ……んふっ…♪」

シルヴィア「…それじゃあ、脱がしてあげましょうね」

クラウディア「ええ…♪」

シルヴィア「相変わらず絹のような肌ね……同じものを食べているはずなのに、どうしてこうも違うのかしら」…クラウディアの白くて滑らかな身体を見て、少しだけうらやましそうなシルヴィア……

クラウディア「だって私は家の中にいることが多いし……せいぜいお庭で草花の手入れをするくらいだもの」

シルヴィア「それにしたって…相変わらずしっとりして、手に吸いつくみたいね」むにっ…と乳房を揉みながら感心したような口調のシルヴィア

クラウディア「んんっ…あんっ……あふっ♪」

シルヴィア「少しだけフランカがうらやましいわね…」

クラウディア「んっ、んぅ…どうして?」

シルヴィア「…おっぱいの時期はいつもこの乳房を吸っていたわけでしょう?」

クラウディア「うふふっ……なにそれ♪」

シルヴィア「いえ…見ていたらそう思ったの」

クラウディア「ふふっ…もう出ないけど、よかったら吸ってみる?」

シルヴィア「そうね、せっかくだから……ん、ちゅぅ…っ」

クラウディア「んぁぁっ…あんっ、んんっ……もう、甘噛みはだめよ…んんっ♪」

シルヴィア「ん、ちゅぅ…ちゅぅ……れろっ…」

クラウディア「ひゃうっ、くすぐったい……あんっ、ちょっと♪」しっとりした唇を半開きにして、困ったような表情を浮かべるクラウディア…

シルヴィア「…じゃあこっちも」ベッドの上で体勢を立て直すと座ったような形になり、そのままクラウディアのもちもちのふとももを押し広げた…

クラウディア「ひぅっ…ん、んっ……もう、何をするつもり♪」

シルヴィア「ドルチェをまだ頂いてないから…ん、ちゅっ…じゅるっ……」脚の間に顔を埋めて、舌を差しいれるシルヴィア…

クラウディア「はぁぁ…んっ♪」ぞわぞわとしびれるような感覚に身体をくねらせ、甘い吐息をもらす……

シルヴィア「ここはピンクの真珠みたいな色合いなのね…それに、温かくてとっても気持ちいい……」舌を抜くとゆっくりと自分の指を舐めあげ、それから濡れた花芯に滑り込ませた……

クラウディア「全くもう…んんっ♪」

シルヴィア「……どう、にちゃにちゃ言っているのが聞こえる?」

クラウディア「ええ…もう下半身がじんわりして…すっかりとろとろになってるの……でも、もっと♪」

シルヴィア「…じゃあ、お風呂はまだいいわね?」

クラウディア「…ええ♪」

………

36 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/01/13(土) 11:54:09.18 ID:rlXTx3OE0
>>34 行き違いのような形になってしまいましたが、シルヴィア×クラウディアの百合を投下してみました…二人の昔話はちょっと重いような気がしていたので、口直しにどうぞ…


…この後は一応提督×ムツィオ、提督×チェザーレ(チェザーレ×提督)…の予定で、その後は提督があんな目やこんな目にあったりあわなかったり……の予定です
37 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/01/14(日) 03:02:18.52 ID:xLujqCA00
…しばらくして・玄関脇…

アッテンドーロ「よしよし…綺麗に食べたわね」アッテンドーロは玄関から入ってすぐの場所…犬には居心地の良さそうな隅っこにしゃがみこむときれいに舐めつくされている餌の皿を見て、それから満足げに寝転がっているルチアに声をかけた……

ルチア「フゥッ…♪」鎮守府で飼いはじめたばかりの真っ白な雑種犬「ルチア」は、コリー系の犬らしい笑顔「コリースマイル」を見せ、気だるげに尻尾を振っている…

アッテンドーロ「…満足した?」

ルチア「ワフッ…♪」組んだ前脚の上にあごを乗せ、軽く返事をする…

アッテンドーロ「そう、ならいいわ……じゃあついでに撫でてあげるわ♪」玄関脇に置いてあったブラシを取り上げると、長い毛足をくしけずりつつあちこちを撫でる…

ルチア「ワフッ……ハッハッハッ…♪」頭や尻尾の付け根をかいてあげると心地よさそうにごろりと転がり、おなかをさらした…

アッテンドーロ「はいはい、かけばいいのね…?」

ルチア「ワフ…ッ♪」

アッテンドーロ「この辺がいいかしら…どう?」

ルチア「♪」ぱたりぱたりと尻尾を振り、存分にかいてもらう……

アッテンドーロ「うわっ……ちょっと、舐めないでよ」心地良いのが気に入ったのか、ぺろぺろとアッテンドーロの手を舐めるルチア…

ルチア「ワゥン…?」

アッテンドーロ「……もう、仕方ないわね…まぁ、どうせ歯みがきもしなくちゃいけないし…また明日ね♪」お休みを言いつつ頭をひと撫でしてやり、洗面所に向かった…


…一方・浴室…

提督「ふー…浴槽こそ小さいけど、なんだか童心に帰った気分♪」…四つ脚の付いた浴槽に長身をどうにかねじ込み、窮屈な体勢でお風呂に入る提督……ふくらはぎから先は浴槽からはみ出し、両腕を浴槽の枠に乗せてシャワーを流している…

提督「さてと…頭も身体もきれいになった事だし、そろそろ出ましょうか……よいしょ♪」ざぁ…っと湯気を立ててお湯が流れ、その中ですっと立ち上がった…

提督「……えーと、タオルは…相変わらずいつもの場所なのね♪」久しぶりの実家ながら、家具や物の配置はほとんど変わっていない…浴室から出ると棚からふかふかのタオルを取り出し、身体に巻きつけようとした……と、ドアが開いてアッテンドーロが入ってきた…

アッテンドーロ「ふふ、何のかのと言って可愛いワン公よね……って///」

提督「あら、ムツィオ…ルチアの様子を見てきてくれたの?」そう言った瞬間に巻きかけたタオルがはらりと落ち、ずっしりした乳房が「たゆんっ♪」と揺れた…

アッテンドーロ「ちょっと、ルチアの事はいいから早くタオルを巻きなさいよ…目のやり場に困るじゃない」(相変わらず豊満な「ド級戦艦」体型ね…胸は大きいし先端もきれいな桃色…ヒップは色つやもよければ張りがあって……って、姉さんじゃあるまいし///)

提督「はいはい♪…それで、ルチアはどうだった?」タオルを拾い上げて巻きつけると、ドライヤーを取り出した…手を洗いたいアッテンドーロのために身体を片側に寄せると、ドライヤーのスイッチを「冷風」に入れ、髪が傷まないように乾かし始めた…

アッテンドーロ「鹿肉は気に入ったみたいね、お皿はすっかり舐めつくしてあったわ…ついでに少し撫でてきてあげたから、今はお休み中じゃないかしら?」

提督「そう、ならよかったわ♪」

アッテンドーロ「そうね」手をせっけんで洗うと持って来た青い歯ブラシを取り出し、歯磨き粉をつけた…

提督「そうそう、わたしも歯を磨かなくちゃ…ちょっと失礼♪」鏡に向かって歯を磨いているアッテンドーロの前に腕を伸ばすと、コップに入っている歯ブラシを取ろうとした…

アッテンドーロ「んー……んっ!」…両手を洗面台に突いてのけぞるように身体をどけた瞬間、歯ブラシが口から落ちた

提督「あ、ごめんなさい……っ!?」慌ててアッテンドーロの歯ブラシをつかもうとして腕を伸ばした途端、バランスを崩した提督…

アッテンドーロ「うわ…っと、大丈夫?」提督が倒れそうになった途端、両手でしっかりと抱き止めるようにして支えた…見た目こそ大人びた高校生くらいとはいえ「艦娘」なだけあって、提督が倒れかかって来てもしっかり受け止めた…

提督「え、ええ……///」(わ…ライモンもそうだけど、ムツィオの身体も細身なのにメリハリがあって……いい匂いがする///)

アッテンドーロ「……ねぇ、提督」

提督「な、何かしら…?」

アッテンドーロ「いつまで抱きついているわけ?」

提督「あっ…ご、ごめんなさい///」甘い匂いを嗅いでいたうなじから顔を離すと、ぎこちなく謝った

アッテンドーロ「ふぅん……それだけ?」

提督「…え?」

アッテンドーロ「…姉さんだけじゃないのよ?……貴女の事が好きなのはね」…ぐっと身体を伸ばして、洗面所の壁に押し付けるようにしてキスをする

提督「んっ……ん、んぅ…♪」…またしても巻いたタオルがはらりと解け、今度はそのまま床に落ちた……

38 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/01/15(月) 01:05:18.86 ID:fEw3W6jI0
アッテンドーロ「…ん…ちゅるっ………それにしても提督はきれいな瞳をしているわよね…朝日みたいな金色で……吸い込まれるみたい……」ぐっと片膝をあげると、提督の脚の間に割り込ませた…左手は提督のあごに添え、右手の人差し指で鎖骨からつーっ…と身体を撫で下ろしていく……

提督「あっ…あっ……ひうっ///」ぎりぎり触れるか触れないか…と言うような具合で身体をなぞっていく指先に、思わず甘い吐息をもらす提督……

アッテンドーロ「へぇ…提督ったらそんな物欲しげな表情も出来るのね……♪」口の端で「ふふ…」と笑うと、そのまま胸の谷間を滑らせ、S字を描くようにわき腹、へそ…そしてまだ風呂上がりの湯気が残っている秘所へと撫でていった……

提督「あっ…んんぅ……あふっ…くぅ……///」

アッテンドーロ「へぇ…提督ったらもうすっかり濡れそぼっているじゃない……そんなに私としたかった?……それとも…姉さんの事を考えてこんなになったの?」耳元でささやくアッテンドーロ…

提督「んんぅ…もう、そんなこと言わないで……今はそのスマートな姿、ささやく声……それにほっそりした指をした貴女が欲しいの……ライモンと比較するなんてできな…んあぁぁ…っ///」

アッテンドーロ「…そう、ならうんと愉しませてもらうわね♪」くちゅっ…ちゅくっ♪

提督「ひぁぁぁっ!…いいのっ、そこっ……んぁぁ、とろけそう…っ♪」

アッテンドーロ「…ここ?」じゅぶっ、ずちゅ…っ♪

提督「んっ、あぁぁ…っ……ひぐぅぅっ♪」

アッテンドーロ「ここがいいみたいね…それにしても提督の膣内は温かくて…しかも吸い付くようね……♪」

提督「んっ、ふぅ……ムツィオ…///」

アッテンドーロ「そんなに切ないような声を出さなくたって、ちゃんとしてあげるわよ……ほら、脚をあげて?」

提督「ん、んぅ…お願い、じらさないで……ぇ♪」

アッテンドーロ「ふふ、だめよ…美味しい果物はちゃんと皮を剥いて、種を取ったりしないと美味しくないでしょ……ちゃんと下ごしらえをしないと、ね♪」

提督「はぁ、はぁ…はあ…っ♪」

アッテンドーロ「あらまぁ、すっかりトロ顔になっちゃって……仕方ないわね、それじゃあしてあげるわよ♪」…それまで頬や髪をそっと愛撫していた左手と、とろとろに濡れた花芯をまさぐっていた右手を放すと、提督の両脚を小脇に抱え込んで軽く広げた…そしてそのままにじり寄って、ぴったりと濡れた箇所を合わせた……

提督「んっ、んっ、んっ…あっ、ん……あぁっ♪」くちゅっ…にちゅっ……と、貝やカタツムリが張りついたような音を響かせる…

アッテンドーロ「ん、んぅ…提督のここは最高よ……とろとろに濡れて…いやらしい音までさせちゃって♪」

提督「だって……腰がしびれて…とろけそう……はひぃ♪」

アッテンドーロ「そう…じゃあもうちょっとスパイスを……♪」耳元に顔を寄せた…

提督「な…なにをするつもり///」いやらしい責め方を期待して瞳を輝かせ、困ったような照れ笑いを浮かべて顔をそむけている……

アッテンドーロ「愛しているわよ……フランチェスカ♪」そう言った瞬間ほっそりした人差し指をいっぱいに突き入れた

提督「そんなのずる……んはあぁぁっ♪」ぶしゃぁぁ…と粘っこい蜜を噴き出しながら身体をひくつかせ、甘い叫び声をあげた

アッテンドーロ「…ずるいも何もないわ♪……そぉら、もう一回♪」

提督「んひぃぃっ…もっとぉ♪」

アッテンドーロ「んふふっ…道理で姉さんが病み付きになるわけね……ほぉら♪」

提督「ひぐぅぅっ…もう、腰が抜けちゃいそう……んあぁぁっ♪」

アッテンドーロ「なに、これだけしてあげているのに「抜けちゃいそう」なだけ?……何だかくやしいわ…こうなったら必殺の533ミリ魚雷をお見舞いしてあげるわ…ねっ!」ずぶずぶっ…ぐちゅっ♪

提督「はぁぁぁっ♪…ムツィオの指…長いからっ……ひぅぅっ、んあぁぁっ♪」


…しばらくして…

アッテンドーロ「はぁ…はぁ……はぁー…ありがと、提督……姉さんには悪いけど、おかげでうんと愉しませてもらったわ♪」

提督「ひぃ…ふぅ……はひぃ♪…いいの、わたしも身体が溶けちゃいそうなほど気持ちよかったし…それに……ムツィオが求めてくれて嬉しかったわ///」

アッテンドーロ「…そういう歯が浮くようなセリフを吐いていると、二回戦に突入しちゃうわよ?」

提督「二回戦ねぇ……せっかくだからしましょうか♪」

アッテンドーロ「…今日は止めておくわ。姉さんのために体力を取っておきなさい♪」

提督「ふふっ、そうね……それに、歯を磨かないと♪」

アッテンドーロ「ええ、そうね…ほら、提督の歯ブラシ」

提督「…ありがと♪」

………
39 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/01/15(月) 01:19:21.09 ID:fEw3W6jI0
…とりあえず今日はここまでで、ムツィオ×提督をやってみました……ムツィオは姉のライモンに比べてナポリ風な、少し勝気ではきはきした感じにしたかったのですが、どうだったでしょうか……また、もしかしたら数日ほど間が空いてしまうかもしれませんが、気長に待っていて下さればと思います……


…訂正…


>>6 ミッチャー提督のプロフィールで愛車を「71年型シボレー・バラクーダ」としていましたが、正しくは「プリマス・バラクーダ」です、失礼しました…ちなみにイメージとしては「刑事ナッシュ・ブリッジス」でサン・フランシスコの坂道を駆け抜けているアレです…


40 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/01/19(金) 02:29:08.90 ID:WHSWptBS0
…翌朝・提督の部屋…

ライモン「…ど、どうでしょうか///」

…昨夜は提督のシングルベッドに二人で入り、お互いに指を絡めたり、優しく触れるようなキスを交わしながら眠りについた二人…朝食をくつろぎ用のガウン姿のままで済ませると、今は家の脇にから出られる海辺に家族揃って出かけようと着替えている……昨日は軽く身体に当ててみただけだった、十代の頃の提督が着ていた水着を着て、恥ずかしげに立っているライモン

提督「んー…ちょうどいいように見えるわよ。それにとっても可愛いわ♪」

ライモン「可愛い…ですか///」…白いセパレートスタイルですっきりしたデザインの水着に、化粧品や日焼け止めと言ったものが入っている小ぶりなハンドバッグを持ち、麦わら帽子をかぶっている

提督「ええ、とっても…私はその水着が合わなかったからうらやましいわ♪」提督は家に置いてあった黒いシックな水着で、やはり少しきつくなっていたが、ひもを緩めに結んだりしてどうにかこうにか身体を押し込んでいた……足はデッキシューズのような軽い靴で、夏の地中海ならではの眩しい陽光対策にはサングラスを掛けている

ライモン「そうでしょうか…色も涼しげな白で、提督ならとっても似合うように思えますが?」

提督「うーん…デザインは好みだったのだけど……胸回りがすぐきつくなっちゃって…」苦笑いを浮かべライモンをの水着姿を眺める提督…かたわらにはレモネードの瓶や浜辺に敷くシート、大きなバスタオルが詰め込んである柳のバスケットが一つ……

クラウディア「二人とも、準備は出来たかしらー?」

提督「はーい、今行くわ…それじゃあ、行きましょう♪」…階段の下から呼びかけてきたクラウディアに答えると、するりとライモンの指に自分の指を絡ませ
てにっこりした

ライモン「はい♪」


…玄関…


提督「お待たせ…チェザーレ、その水着とっても優雅ね♪」

チェザーレ「うむ、かたじけない」…チェザーレは何ともエレガントなライトグレイのパレオ付きのワンピーススタイルで、頭には豪奢な帽子を傾けてかぶっている

提督「本当の事ですもの♪……ムツィオ、私のお古だけどちゃんと着られた?」

アッテンドーロ「ええ、おかげさまでね…でもちょっと胸がゆるいわ」アッテンドーロの水着は胸元がV字に切れ込んでいる大人びたレオタードスタイルの水着で、左右で白と黒に分かれた生地を中央で重ねたようなデザインが、ヴィヴィッドで高級なイメージを与える…手首には首輪とつながっているリードの輪っかが通してあり、かたわらではルチアが待ちくたびれたように尻尾を振っている

クラウディア「んふふっ、フランカは胸が大きくなるのが早かったから……おかげで私はうんと水着選びを楽しませてもらったわ♪」そう言って目を細めるクラウディアはさっぱりした薄い青のワンピースに大きなバスケットを持ち、嬉しげに頬に手を当てた…

シルヴィア「…確かにクラウディアは毎シーズンごとに、色んな水着を買ってきたりもらったりしてたわね」そう言ってクラウディアを眺めたシルヴィアは巻いたシートとパラソルを小脇に抱え、引き締まったしなやかな身体をホールターネックのブラと綿の半ズボンで包んでいる…

提督「そうそう…で、私も十代の中頃には気が付いて「お母さま、私を着せ替え人形にするのは止めて?」なんて言ったこともあったり……でもまぁ、おかげでライモンたちが水着を着られたわけだし♪」

クラウディア「ね、よかったでしょ?」

提督「んー…まぁ、そういうことにしておくわ♪」

シルヴィア「…昔話はいいけど、早く行かないと熱さが耐え切れなくなるわよ?」

クラウディア「はいはい、相変わらずシルヴィアはせっかちさんね♪」

シルヴィア「そういうクラウディアは相変わらずおっとりしているわね…さ、行きましょう」クラウディアの腕に自分の腕を絡め、ドアを開けた…


…カンピオーニ家の庭はクラウディアの好みに任せ、手前には背の低いクロッカスや小ぶりな花々が華やかに咲き、黄色っぽいレンガで囲われた水道の回りは水っぽい場所を好む水仙がすんなりと伸びている。日当たりのいい場所には淡い桃色や目の覚めるような黄色の花をつけたバラのこんもりした茂みと、涼しい木陰に白い花をつけた背の高い百合、そして古い黄色っぽいレンガ塀にはクレマチスのようなつる性の植物が絡めてある……庭の一部は家庭菜園で、イタリア料理には欠かせないトマトとバジリコが植えてある…

アッテンドーロ「きれいな庭ね…ところで、どう行けばいいのかしら」

シルヴィア「こっちよ。昨日は裏の林の間に流れている小川で泳ごうかと思ったけど、この夏は川の水が少ないから…海岸に行きましょう」…母屋と同じく白い壁と赤茶色の瓦で出来た車庫を脇に見ながら庭を抜けていくと、茂みや岩の間を抜けてくねくねと曲がっている細い道が黄色い小さな砂浜に続いている

アッテンドーロ「ここはシルヴィアたちの海岸なの?」

シルヴィア「ええ。見ての通り陸から続いている道は他にないし、我が家の専用みたいなものね」

提督「そうなの。私も小さい頃からシルヴィアおばさまやお母さまとうんと泳ぎに行って…ふふ、懐かしいわ♪」

41 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/01/22(月) 11:57:33.15 ID:vbYXciqE0
クラウディア「そうだったわねぇ、フランカは泳ぎも上手で……それに透けた水着からほの見える白い肌に、濡れた髪をかきあげる仕草が色っぽくて♪」

提督「自分の娘をそういう目で見ないでちょうだい…まぁ、一応褒め言葉として受け取っておくわ」

クラウディア「うふふ♪」

チェザーレ「…さて、この小道を降りていけばよいのだな」

シルヴィア「そう言うこと」


…海岸…

アッテンドーロ「へぇ…小ぢんまりとしてていい感じじゃない♪」

ライモン「可愛らしい場所ですね」

提督「気に入ってくれてよかったわ…さ、まずはパラソルを拡げてシートを敷きましょう♪」…茂みの間を抜けて浜辺に出た提督たちは、パラソルを黄色い砂浜に突きたて、シートを敷いて重しになる石を乗せた

アッテンドーロ「うーん、波は穏やかで風はなし。最高の海水浴日和ね…さ、泳ぎに行きましょうよ♪」

提督「私はまだ準備が出来てないわ。まずは日焼け止めを塗らないと」

アッテンドーロ「あらそう…姉さん」

ライモン「なぁに、ムツィオ?」

アッテンドーロ「…提督に日焼け止めを塗ってあげなさいよ♪」…にやにやと「分かっているわよ」といった笑みを浮かべ、派手なウィンクをした

ライモン「…えっ!?」

提督「そうね、お願いするわ♪」顔や腕に日焼け止めを塗っていた提督も「後ろは自分で塗れないから」と、日焼け止めクリームの瓶を差しだした

ライモン「ごくっ……じゃあ、塗りますね///」

提督「ええ、お願い♪」

ライモン「…まずは……肩口から」後ろから水着のスリップを解くと、肩ごしにたゆんっ♪…と弾む、ずっしりと柔らかそうな乳房が見える……提督の白くてなだらかな肩にとろりと甘い匂いのするクリームをたらすと、ライモンはそっと塗り広げた……

提督「ふぅ、ライモンったら日焼け止めの塗り方まで優しいのね……マッサージみたいで気持ちいいわ♪」

ライモン「そ、それはよかったです…次は背中に塗っていきますね///」

提督「ええ、それじゃあうつ伏せになるわね……んっ♪」肩甲骨の辺りを優しく揉みほぐすようにライモンの手が動いていき、思わず甘い吐息をもらす…

ライモン「///」

提督「んんぅ…んぁ……気持ちいい…♪」

ライモン「き…気持ちいいですか///」

提督「ええ……んっ、あぁ///」

クラウディア「あらあら、フランカったらあんな可愛い娘に日焼け止めを塗ってもらって…うらやましいわ♪」

シルヴィア「クラウディアには私がいるでしょ……ほら、塗ってあげるからサマードレスを脱いで?」

クラウディア「ええ…♪」するりとサマードレスを脱ぐと、下にはビキニスタイルの水着を着ていた…生地は柔らかな身体つきのクラウディアによく似合う桃色で、フリルとサイドリボンが付いている…

シルヴィア「じゃあ塗ってあげるから…」綿のハーフパンツを脱ぐと、その下にはサイドがきゅっと切り上がった白の水着を着ていた…しなやかな脚と引き締まったヒップが、ぴんと生地を張りつめさせている…そのまま後ろに座ると日焼け止めを手に取った……

クラウディア「んっ…シルヴィアに塗ってもらっていると愛撫されているみたいで好きよ……♪」

シルヴィア「そう…ならうんと気持ち良くなってもらわないと」

クラウディア「はぁぁ…んっ……そこ、気持ちいいの…あふっ♪」

シルヴィア「ふふ、そういうとろけるような甘い声を出すところは母娘とも同じね…前もやってあげましょうか?」

クラウディア「…んふふっ、そんなに私のおっぱいを触りたいの?」

シルヴィア「明るい海岸で眺めたり触ったりするのはまた格別だから…で、どうするの?」

クラウディア「うふふっ…お好きなだけどうぞ♪」

シルヴィア「…じゃあ塗るわね」

ライモン「……あ、あんまりそう言う声をあげないで下さいっ///」

提督「…だって、ライモンの手が……んっ、あふっ…ふぁぁ♪」

アッテンドーロ「…これじゃあ海水浴をしに来たのか、浜辺でいちゃつこうと思って来たのか分からないわね、チェザーレ?」

チェザーレ「はは、チェザーレは大方こうなるだろうとは思っていたぞ…それではアッテンドーロよ、ルチアを交えて遊ぶとしようか」
42 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/01/23(火) 01:06:24.41 ID:aQh8OBzQ0
ライモン「…提督、塗り終わりましたよ///」

提督「それじゃあ海に入りましょうか……ライモン?」…ライモンは自分の手を見つめながら開いたり閉じたりを繰り返している

ライモン「…あ、はい///」(提督、相変わらず手に吸いつくような触り心地だった…///)

提督「泳がないの?」ずっしりと豊かな乳房をきつい水着にどうにか包むと、微笑を浮かべて小首をかしげた…

ライモン「い、いえ…提督も一緒に泳ぎましょう」

提督「ここではフランチェスカでいいって言ったでしょう?…ところで、ライモンは日焼け止めを塗らないの?」

ライモン「えっ…!?」

提督「昔は小麦色に焼けた肌の方がいいって言われてたけど、近頃は過度の日焼けは身体に悪いっていうし…どうする?」片手で日焼け止めクリームの瓶を揺さぶりながらにこにこと微笑んでいる

ライモン「えーと…その……フランチェスカはどう思いますか///」

提督「私はどっちでもいいわ…白いライモンも可愛いし、日焼け跡がくっきり残っているライモンも捨てがたいわね♪」いたずらっぽい視線を向け、頭の中ではこんがりと日に焼けたライモンの水着を脱がしているらしい提督…

ライモン「も、もう…じゃあ露出しているところだけお願いします///」

提督「ふふ、お任せあれ♪」


…しばらくして…

ライモン「はぁ…はぁ……もう、これじゃあ愛撫と変わらないじゃないですか///」

提督「ふふ…さっきは私が気持ち良くしてもらったから♪」

ライモン「…も、もう///」

アッテンドーロ「二人とも、まだいちゃついてるの?早くしないと午前が終わっちゃうわよ?」

提督「ふふっ…それじゃあ行きましょうか」

ライモン「はい……いっぱい楽しみましょうね♪」

提督「ごめんなさい、ムツィオ…遅くなったわ」

アッテンドーロ「ま、私はいいけどね…姉さんも入ってごらんなさいよ、水温もちょうどいいわ」

ライモン「ええ…わぁ、暖かくて気持ちいい♪」波打ち際で脚を水に浸し、両手で海水をしゃくって身体に跳ねかけるライモン

アッテンドーロ「ふふ……そーれっ!」いきなり両手で水をかけるアッテンドーロ

ライモン「わっ…もう、いきなり何をするのっ?」

アッテンドーロ「二人でいちゃついていて遅かった罰よ……ついでに提督も…ねっ!」

提督「あんっ…もう、やってくれたわね♪」バシャバシャと海に駆け込み、アッテンドーロに浴びせ返す提督

アッテンドーロ「普段から運動不足のあなたに負ける訳ないでしょう…が♪」

提督「うっぷ…ライモン、二人で挟撃しましょう♪」

ライモン「了解…それっ♪」

アッテンドーロ「あ、姉さんも提督に味方するわけ?」

ライモン「先に浴びせてきたのはムツィオだもの…えーいっ♪」

アッテンドーロ「この…チェザーレ、支援を要請するわ!」

チェザーレ「ふむ、致し方ないな…ルチア、チェザーレと一緒においで」

ルチア「ワンワンッ♪」チェザーレの脇で水しぶきをあげながら駆けるルチア

チェザーレ「さてと…えいやっ♪」のんきなかけ声とは裏腹に、もの凄い勢いで水を浴びせてくるチェザーレ

提督「うわっ…!?」

チェザーレ「それっ」

ライモン「きゃあっ…!?」

チェザーレ「ふむ…それでは支援は終了だ」

アッテンドーロ「え、いくら何でも支援が短くないかしら?」

チェザーレ「うむ、戦艦は被弾しないのが一番なのでな…あとはムツィオに任せる」

アッテンドーロ「ち、ちょっと…!」
43 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/01/23(火) 02:07:36.04 ID:aQh8OBzQ0
提督「はぁー…疲れた」水のかけっこから早々に退却すると、少しばかり水泳を楽しんだ提督……濡れた身体からしずくを滴らせながら海岸に戻ると熱い砂浜に座り込んで、まだ水かけを続けているライモンとアッテンドーロを微笑ましい様子を眺めている

ライモン「もう、負けませんからねっ♪」

アッテンドーロ「私だって♪」

提督「ふぅ…風は気持ちいいし、ライモンたちは可愛いし……言うことなしね」

ライモン「えいっ♪」

アッテンドーロ「この…っ♪」

提督「ふわぁ…日差しが暖かくて気持ちいいし、何だか眠くなってきちゃったわね……でも昼寝するには早いし、何か眠気覚ましでもないかしら…」

ライモン「ムツィオ、これで決着です…きゃあっ///」両手で水をかけた瞬間、はらりと水着の紐が解けた…慌てて胸元を押さえるライモン

提督「ん、一気に目が覚めたわ……それにしてもライモンったら、お日さまの下で見てもきれいな桜色で…ふふっ♪」

アッテンドーロ「姉さん、そのまま待ってて…今付け直してあげる」

ライモン「う、うんっ…お願い」

アッテンドーロ「全く、姉妹のお遊びだって言うのにムキになるから……あぁ、あった」

チェザーレ「…ライモンド、大丈夫か?」

ライモン「え、ええ…提督が学生時代に着ていた水着だったものですから……ちょっと胸がゆるくて」

チェザーレ「そうか…つまりあの乳房は昔から大きかったのだな……まさに「ローマは一日にしてならず」ということか」

ライモン「チェザーレさん、ことわざはいいですから…///」

チェザーレ「なに、そう動揺することもあるまい…どのみちここには婦人しかおらぬし、そもそも隠し立てすることなどない間柄ではないか」

ライモン「そ、それはそうですが…///」

…一方・パラソルの下…

クラウディア「あらあら…ライモンちゃんの胸もなかなか美味しそうね♪」軽く水に入ってひと泳ぎすると、戻ってきてシートの上に寝転がっているクラウディア…脇には遠泳を済ませてきて、まだ胸を上下させているシルヴィアが座っている…

シルヴィア「ちょっと、娘の恋人までつまみ食いするつもりじゃないでしょうね」

クラウディア「さぁ、どうかしら♪」

シルヴィア「…そんな暇があるなら私の相手をしてほしいわ」クラウディアの上に屈みこむと、塩辛い唇でキスをした…

クラウディア「あ…んっ……んちゅっ、ちゅぱ…ちゅぷっ///」

シルヴィア「ちゅる…っ……ふぅ、貴女の口で塩辛いのが中和されたわ」

クラウディア「でも、今度は私の唇がしょっぱくなっちゃった……それに、塩水のせいかしら…こっちもひりひりするの///」砂の付いたふとももをこすり合せ、熱っぽい瞳で見上げる…

シルヴィア「…フランカたちに見られてもいいの?」

クラウディア「ええ…あの娘たちにシルヴィアがどんなに素敵か見せつけたいから///」

シルヴィア「だからってなにも見せつけなくたって…それにクラウディアのとろけた顔は私だけのものにしておきたいわ」

提督「ほーら、ルチア…おいでー♪」

チェザーレ「よーし、いい子だ……それ、この流木だぞ♪」

ルチア「…ワフッ、ワンワンッ♪」

ライモン「ムツィオ、あそこの沖まで泳ぎに行きましょう?」

アッテンドーロ「いいわね…今度は水着が脱げないように頼むわ」

クラウディア「うふふっ…今なら誰も見ていないわ♪」

シルヴィア「もう…仕方ないわね」…水着のへりをずらして、少し骨ばった指を差しいれた

クラウディア「んっ…あんっ♪」

………
44 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/01/24(水) 01:38:10.78 ID:iW9w/Wnt0
提督「はー…疲れた♪」提督はチェザーレと二人でルチア相手に流木を使って遊んであげていたが、無尽蔵に体力があるらしいルチアに走り回らされ、ヘトヘトになってパラソルの下に戻ってきた……全身に心地よい疲労感を感じて、シートに寝転がる提督…

提督「喉も乾いたし…レモネードがあったわよね」バスケットをごそごそとかき回し、瓶に詰めた冷たいレモネードとグラスを取り出した…

提督「ごくっ…ごくっ……ふぅー…」

チェザーレ「…やれやれ、何とも元気なワン公よ」

ルチア「ワフッ…♪」…びしょびしょに濡れた身体をぶるぶるっと身震いさせつつ、流木をくわえて満足そうなルチア……一方のチェザーレは置いてあった優雅な帽子をかぶり直すと提督の脇に座り、長い脚を投げ出した

提督「お帰りなさい、チェザーレ」

チェザーレ「うむ、今戻ったぞ…おや、何やら涼しげなものを飲んでいるな……チェザーレにも一杯もらえないだろうか?」

提督「ええ、そこのバスケットに入っているから好きなだけどうぞ…グラスはここにあるから……」シートの上に出したグラスを一つ取って、チェザーレに差しだした…

チェザーレ「うむ、かたじけない……おっと!」

提督「きゃっ!……チェザーレ、大丈夫?」提督の身体越しに上体を伸ばしてレモネードの瓶を取ろうとしたチェザーレだったがバランスを崩し、寝転がっていた提督の上にのしかかった…

チェザーレ「うむ、チェザーレは平気だが……提督の双丘はなんとも柔らかいな///」…とっさに両手をついたチェザーレだったが、その右手はむっちりと弾力のある提督の乳房をつかんでいた……しみじみと感想をもらしながら、改めて胸を揉むチェザーレ

提督「もう、チェザーレったら…ほーら、早くどいて♪」空いている右手で、つんっ…とほっぺたをつつく提督

チェザーレ「ほう……本当にどいてしまって良いのか、提督よ?」ゆったりと乳房をこね回しながら、ささやくように問いかける…

提督「……ううん、どかないで///」

チェザーレ「そうであろう、こんなにも太陽が眩しいのだからな……んっ///」そのまま顔を近づけ、そっと唇を重ねる二人……ルチアだけがその様子を見ながら、両前足に挟んだ流木をかじっている…

提督「んっ…んふっ……んんっ///」シートの上に押さえつけられながら、口中に熱い舌をするりと入れられた提督…その瞳はとろりと焦点から外れ、身体の力も抜けている……

チェザーレ「んふっ…じゅぷっ……れろっ…ん♪」

提督「んはぁ……はぁ、はぁ、はぁ……///」砂浜からの照り返しで金色に光る唾液の糸をたらしつつ、色つやのいい唇を半開きにしてチェザーレを見上げた…

チェザーレ「砂浜で愛を交わすと言うのも…一興であるな……♪」提督のきつそうな水着をほどくと、たゆんっ…と丸っこい乳房が揺れ、所々についていた砂粒がぱらぱらとこぼれ落ちた……

提督「そうね、せっかくの夏休みだもの……いっぱい愛して…ね///」

チェザーレ「そう言われると…たまらんな♪」くちゅり♪…水着の中に手を入れ、しっとりと湿った提督の秘所に指を差しいれるチェザーレ……

提督「あぁっ…んんぅ♪」

チェザーレ「ふふ…昨夜もライモンドとお楽しみだったであろうに、まだ足りぬのか」

提督「だって……んんぅ、んぁぁ♪」シートの上で身体をくねらせながら、とろけたような表情で続きをせがむ提督…

チェザーレ「全く、チェザーレもずいぶん好色な提督を持ったものよ♪」ぐちゅぐちゅっ、にちゅっ…♪

提督「ひっ、あぁぁっ…んあぁぁぁっ♪」

チェザーレ「おぉ、チェザーレの指がねっとりと粘っこいぞ……どれ、味見でもしようか」じゅぶっ…と指を引き抜き、しげしげと眺める

提督「だ、だめ…恥ずかしいわ///」そう言いつつ期待した表情を浮かべている提督

チェザーレ「なに、お互いに隠すことなどない仲ではないか…んむ、少ししょっぱいな♪」

提督「も…もう、何も言わなくたって///」

チェザーレ「まぁ、よいではないか……さて、今度はもっと奥まで参るぞ♪」

提督「……ええ、チェザーレにいっぱいかき回して欲しいの///」

チェザーレ「……済まぬ、提督よ…そこまで言われると、このチェザーレもこらえきれぬ」…ぐちゅぐちゅっ、じゅぶっ!

提督「あぁぁっ、ひぐぅぅっ♪…もう、チェザーレったら急に激し……んあ゛ぁ゛ぁぁっ♪」

チェザーレ「提督の喘ぎ声も捨てがたいが、ここは一旦静かにしてもらおう……んちゅっ、ちゅぅぅっ♪」

提督「ん゛ーっ、ん゛っ…んんっ……♪」がくがくと腰をひくつかせていたが水着から蜜をたらし、とろりとふとももを濡らした……
45 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/01/27(土) 01:32:27.74 ID:vGlgU3sI0
チェザーレ「じゅる、じゅるっ…ちゅぽっ……さてと、提督は物わかりがいいからチェザーレがこれ以上言わなくとも静かに出来るな?」

提督「…」かくかくと首を動かしてうなずいた

チェザーレ「うむ、よろしい…おや、ライモンドたちも戻ってきたようだ…」

ライモン「あ、提督はもう戻っちゃったのかしら…?」

アッテンドーロ「かもね。見たところチェザーレとルチアもいないし、クラウディアたちも……///」

ライモン「…せ、せっかくだからもう少しだけ遊んでいきましょうよ…ね、ムツィオ///」

アッテンドーロ「そ、そうね…///」

チェザーレ「ふむ、どうやらここに放り出してある着替えやらバスケットやらで二人からは隠れているらしい……となると、なおさらこんなところを見つかるわけにもいくまいな♪」ずぶっ…ぐちゅっ♪

提督「っ…んっ///」

チェザーレ「おやおや、チェザーレがそう言った矢先にとろりと濡らして…提督はこういうのもお好きか♪」くちゅくちゅっ…ぬちゅっ♪

提督「…っ、んっ……んふぅぅっ♪」唇を噛みしめ、ふとももをびしょびしょに濡らしながら上体を引きつらせて、必死にこらえているように見える…が、その表情はすっかりとろけきっていて、提督自身もすっかりこの状況を愉しんでいる……

チェザーレ「ほほぉ……月並みな表現だが、提督の暖かくてとろりと濡れた花芯がきゅうきゅうとチェザーレの指に吸いついてきているぞ…?」くちゅり…ぐちゅっ♪

提督「…ん……くぅ///」耳元でささやくチェザーレに、提督は脚を閉じてふとももをこすり合せた…

チェザーレ「ふふ…喘ぎ声をこらえる提督の何と愛らしいことよ……しかし、こうしてとろけた表情を見ていると…」

提督「?」

チェザーレ「何というか、こう……むらむらと嗜虐的な欲求が湧きあがって来るな…♪」

提督「…あ」にたりと口角をあげて微笑むチェザーレを見て、ぞくっとするような予感を覚えた

チェザーレ「うむ、決めた。さっきの口づけは大変よかったのでな……提督が秘所を責められつつ、どこまで息を止めていられるか試してみようではないか♪」

提督「……あの、チェザーレ…ちょっと待っ…」

チェザーレ「声を出したら可愛いライモンドやクラウディアたちにばれてしまうぞ?……それでは、始めるとしよう…ん、ちゅぅ…れろっ、んちゅぅぅ♪」同時に人差し指と中指を突き入れ、ぐちゅぐちゅと提督の膣内をかき回すチェザーレ…

提督「んっ、んぐぅ゛ぅっ……ん゛ーっ♪」

………

…しばらくして…

提督「はぁ、はぁ…はあっ……もう、チェザーレったら…危うく窒息するところだったじゃない」

チェザーレ「まぁそう言うな。不意のキスで目を丸くしている提督も可愛くてな…ついやってしまったのだ」

提督「…相変わらず口が上手いんだから」

チェザーレ「弁舌はキケロにも褒められたと言うのが自慢でな……さて、改めてレモネードをちょうだいしよう♪」

提督「はいはい…んっ///」

チェザーレ「ごくっ、ごくっ……どうした、提督よ?まだ身体がうずくのか?」

提督「え…ええ……あれだけされたから、腰がぞわぞわして…んっ///」ふとももをこすり合せるたびに「にちゅっ…」という、まるでタコや貝類を水槽から引きはがしたような音をさせている…

チェザーレ「ふふ…チェザーレは満足したぞ♪」

提督「もう、チェザーレの女たらし…///」

チェザーレ「ふふ、お褒めにあずかり恐縮である…提督、身体が熱いなら海でさっぱりさせたらどうだろうか」

提督「…なら立たせて///」

チェザーレ「承知承知♪それ、肩を貸そう♪」

ライモン「…あれ、提督?それにチェザーレとルチアまで?」

チェザーレ「おぉ、ライモンド…遠泳はどうであった?」

ライモン「気持ち良かったですよ……ところで、今まで何をしていたんです?」

チェザーレ「提督もチェザーレも疲れてしまってな、パラソルの下でぐっすりと寝こけていた所よ……ルチアは退屈だったであろうから、もう少し遊ばせてやってもらえぬか?」

ライモン「あ、はい…ルチア、おいで♪」

ルチア「ワンッ♪」

チェザーレ「…さ、早く海に入ってそのねっとりした愛液を流すことだ♪」

提督「…ええ///」
46 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/01/27(土) 02:20:39.91 ID:vGlgU3sI0
提督「あー…ひんやりして気持ちいいわ」

チェザーレ「うむ、少し焼けた肌に沁みるが……これも夏らしくて良い」

提督「ええ、そうね♪」…と、クラウディアがライモンたちに向かって「しーっ」と唇に人差し指を当てるジェスチャーをしながら、提督の後ろからそっと近づいた……

クラウディア「…フランカっ♪」ぎゅむっ♪…と後ろから飛びつき抱きついたクラウディア

提督「ひゃあっ!?…って、お母さま?」

クラウディア「うふふふっ…久しぶりの海水浴は楽しいでしょうけど、そろそろお昼にしましょう?」

提督「ええ、そうね……って、どうして裸なの///」振り向いて絶句する提督

クラウディア「さて、どうしてかしら…♪」ふざけてファッションモデルのようなポーズを取ってみせるクラウディア…白く輝く肌、大きくて柔らかそうな乳房にもっちりしたふともも…と、ふっくらと甘く柔らかそうな身体を惜しげなく陽光にさらしている

提督「もう、ライモンたちもいるのよ?」

クラウディア「うふふ…目の保養になるでしょ♪」

シルヴィア「目の保養どころか、その美味しそうな裸を見たら心臓麻痺を起こすわ…さ、死人を出す前にこれを着なさい」後からやってきたシルヴィアが、ゆったりしたパイル地のバスローブを渡した…

クラウディア「もう…シルヴィアったら、そんなに私の身体を見せたくないの?」

シルヴィア「ええ。私は欲張りだから、クラウディアは私だけのものにしておきたいわ」そう言ってぎゅっと後ろから抱きしめる…

クラウディア「まぁ…///」

提督「はいはい。お母さまたちの惚気は素敵だけど、聞いているとお昼を食べないうちにお腹が一杯になっちゃうわ…みんな、そうなる前にお昼をいただきましょう?」

ライモン「…そ、そうですね///」

アッテンドーロ「そうね、今のはかなり『ごちそうさま』だったわ」

チェザーレ「ふふ…まさに「この母親にしてこの提督あり」であるな♪」

提督「あー…ルチアもおやつにしましょうね?」

ルチア「ワフッ…♪」濡れた身体をぶるぶるっ…と震わせると、提督の脚元にまとわりついて尻尾を振った…

ライモン「ええ、ルチアにもちゃんとおやつを用意して……」急に振り向くと水平線に目をこらした

提督「…どうしたの?」

ライモン「今、沖合に何かいたような気がして…すみません、気のせいだったようです」

提督「少し疲れたんでしょう……後で一緒にお昼寝しましょうね♪」

ライモン「も、もう///」

………



青白い肌の娘「…見つけた」

全身白っぽい娘「…よろしい、後は接近できる機会を待て」

青白い肌の娘「…了解」

………
47 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/01/28(日) 03:05:56.79 ID:rtGIQUE+0
…数日後・朝…

声「……く、…とく」

提督「んー…むにゃ……」裸身をくるむ肌ざわりのよいタオルケットの感触と身体を揺すぶるやんわりとした揺れに身を任せ、心地よい眠りを堪能している…

声「…いとく……きてください……」

提督「んふふ……すぅ…」

別の声「…のね、フランカを……ときは……ると目を覚ますわ♪」

声「…かりました……ん、ちゅぅ///」

提督「ん……んっ、んんぅ?」柔らかな感触がいきなり唇に押し当てられ、甘い香りが鼻腔をくすぐった……息が苦しくなってぱっちりと目を覚ました提督…

提督「…ふわぁ…ぁ……」

ライモン「…さすがに効果てきめんですね///」

クラウディア「ね?…おはよう、眠り姫さん♪」

提督「おはよう、お母さま……今の「おはようのキス」はライモン?」

クラウディア「うふふっ、そうよ…さぁ、そろそろ朝食を食べにいらっしゃい♪」

提督「ええ……んーっ、今日もいい天気ね。こういう天気だと朝寝坊も気持ちがいいわ♪」

ライモン「もう、いくら何でもお寝坊ですよ…あんまり提督が遅いので、ムツィオと先に朝食を済ませてきちゃいました」

提督「いいんじゃないかしら…さてと、それじゃあ起きるとするわ♪」

…提督はベッドから「よいしょ」と起き上がると、ウォークイン・クローゼットになっているアルコーヴ(入れこみ)から洋服を取り出し、どうにか身体に合いそうなものを着た……その横では提督のお尻が悩ましげに揺れるのを見ながらライモンが頬を赤らめ、困ったような表情を浮かべている…

提督「それじゃあ私は朝食をいただくとしましょう…ライモン、よかったら食後のコーヒーを付き合ってくれる?」

ライモン「ええ、もちろんです///」

…食堂…

提督「ふふっ、どれも美味しそう♪」

シルヴィア「ええ、美味しかったわよ。何しろクラウディアの料理だものね…ん、ちゅ……おはよう、フランカ」

提督「んっ…おはよう、シルヴィアおばさま♪」

シルヴィア「さ、冷めないうちに食べなさい?」ほっぺたにおはようのキスをすると、また「レプブリカ」紙を読む作業に戻ったシルヴィア…傍らにはコーヒーカップが置いてあり、時折すすっては満足げなため息をついた…

提督「それじゃあ…♪」

…目の前のお皿には、もっちりとしたフォカッチャ風の生地とパリパリの皮が絶妙な丸パン、広げた手ほどもありそうな香味野菜入りハムのスライス……パンにじんわりと染み込んでいる黄緑色のオリーヴオイルに、トマトとナスにズッキーニで出来た冷菜、アンチョビを詰めた酢漬けのオリーブ……果物にはみずみずしいスイカとメロンのスライス……と、南イタリア風の献立がにぎにぎしくテーブルに並んでいる…

提督「…んぅ、おいひい♪」

クラウディア「美味しい?…よかった♪」目の前に座っているクラウディアは頬に手を当て、にこにこと笑顔を浮かべている

提督「んむ……このハムが好きなのも覚えていてくれたのね」…ハムは中に小さく角切りにしたチーズやインゲン豆、脂身が散らしてあって、小さい頃から提督の好物だった

クラウディア「ええ。今年の夏は帰って来るって聞いて、お肉屋さんで買って来たの♪」

提督「ありがとう、お母さま……ふぅ、食べたわ♪」…最後にオリーヴをつまんで口に入れると、食後のコーヒーに取りかかる提督……

アッテンドーロ「で、うちの提督は起きてきたの…って、起きてるじゃない」

提督「おはよう、ムツィオ♪」

アッテンドーロ「おはよう、提督。どうせ昨晩は姉さんとお楽しみだったんでしょう…隠しても無駄よ?」

提督「ええ、もちろん…それに隠す気なんてないわ♪」

ライモン「///」

シルヴィア「ふふっ…ところでフランチェスカ」

提督「なぁに、おばさま?」

シルヴィア「後で射撃でもどう?せっかく戻ってきたんだし、久しぶりにあなたの銃を調整したら?」

提督「そうね、最近この辺りにもお肉が付いちゃったし…姿勢が変わったから照準も合わせないと……」困ったように自分の胸を見おろしつつ、両手で下から支えるようにしてぽよぽよと揺らす提督…

シルヴィア「それじゃあ後でね…ライモンドたちもよかったらいらっしゃい」

ライモン「はい、お邪魔させていただきます」

48 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/01/29(月) 02:56:42.30 ID:6B9Fttih0
…シルヴィアの部屋…

シルヴィア「いらっしゃい。さ、入って」

ライモン「お邪魔します…わ、壁に銃が掛けてあるんですね……」

アッテンドーロ「へぇ、シックでいい趣味ね。気に入ったわ♪」

チェザーレ「うむ、丁寧に扱われている道具を見るのは気持ちがよいな」

シルヴィア「ありがとう…どうぞ、そこにかけて?」ライモンたちに椅子をすすめて、自分は作業台の片隅に軽く腰を下ろした

ライモン「…あ、ありがとうございます」…シルヴィアの部屋はシックな濃い茶色の家具と白い壁で統一されていて、ガンオイルと木部に塗る亜麻仁油の匂い、それに少しだけ煙草の香りが漂っている……壁のあちこちには散弾銃やライフルが専用のラックにかけたり、お洒落なヴェルヴェットを敷いたケースに収められて優雅に並んでいる…

提督「この部屋に入るのも久しぶりね…コレクションも相変わらずきれいだし、何だか落ち着くわ」

シルヴィア「褒めてもらって嬉しいわ。あなたの銃は今出してきてあげるからね」

ライモン「提督、提督…」鍵のかかった隣の部屋に入っていくシルヴィアを目で追いながら、ライモンが提督をつついた…

提督「なぁに、ライモン?」

ライモン「いえ…これってかなりすごいコレクションだと思うのですが……」艶やかなクルミ材の銃床も美しい、フランキの垂直二連ショットガンを眺めて言った…

(※フランキ…「ルイージ・フランキ」「ルイギ・フランキ」などとも言われるイタリアの銃器メーカー。散弾銃、狩猟用ライフルが主だが、以前は海軍制式採用の「フランキ・LF-57」短機関銃や「フランキ・SPAS12」散弾銃などの軍用小火器も作っていた)

提督「そうね…この散弾銃も軽く百万は下らないんじゃないかしら」

(※ユーロと復活したリラが並立している設定…リラと円がだいたい同じレートになっている)

ライモン「ひゃ、百万ですか…」

提督「おばさまは華美な飾りを入れないからその値段で済むけれど、もっと高い銃はいくらでもあるのよ?」

アッテンドーロ「…なかなか贅沢な趣味ってわけね。提督、この銃は?」かなり使いこまれているが綺麗に手入れされて、丁寧に壁のフックに載せてある一丁を指差した

提督「あぁ、これ?…ベネリの12ゲージ散弾銃で、おばさまのお気に入りなの……ほら♪」よく見ると引き金の上、機関部の金属に刻印が入っている…

(※ベネリ…イタリアの機械・銃器メーカー。「ベネリ・スーペル90」など軍用散弾銃を多く手掛けている)

アッテンドーロ「えーと、なになに…「シルヴィアへ愛を込めて…クラウディア」って彫ってあるわね」

シルヴィア「そうよ。それは私たちの結婚記念にクラウディアが注文してくれた散弾銃なの、今でも時々使わせてもらっているわ……はい、あなたの銃よ」口の端に笑みを浮かべて嬉しそうに言いながら、ガンケース数個を抱えて戻ってきた

提督「ありがとう、おばさま…さっそく開けさせてね♪」

シルヴィア「あなたのなんだもの、好きになさい…その間に私は隣で他のを手入れするわ」そう言って椅子にかけてあったエプロンをつけた…

チェザーレ「ほう、隣にも銃がしまってあるのか…よかったらチェザーレにも見せてもらえないだろうか」

シルヴィア「…フランカ」

提督「大丈夫よ、口は堅いわ…ね、チェザーレ?」

チェザーレ「うむ、何があってもチェザーレは他言しないと約束しよう」

シルヴィア「そう…ならどうぞ」

提督「せっかくだから私も行くわ…おばさまのコレクションは本当にすごいもの♪」

シルヴィア「ふふ、それじゃあみんなでいらっしゃい」

49 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/01/30(火) 02:48:45.69 ID:Jk7dVIxL0
…隣の部屋…

チェザーレ「おぉぉ…これは素晴らしい……」

ライモン「これだけあったら一個小隊ぐらい楽々とまかなえそうですね…」

アッテンドーロ「あきれた、鎮守府の小火器保管庫よりもたくさんあるんじゃない?…戦争でも始めるつもりなの?」

提督「私も初めて見た時はそう思ったわ……それだけじゃなくて状態もすごくいいの」

シルヴィア「貴重なコレクションだもの…そうね、あなたたちの世代ならこの銃はお馴染みじゃないかしら?」シルヴィアは壁に掛けてある数丁の短機関銃から一丁を選び出し、フックから下ろした…

ライモン「あ、知ってます…ベレッタ短機関銃ですね」そっと受け取って重さを確かめるように抱えた…

シルヴィア「ええ、M1938「モスキト」(蚊)ね…ちなみにどれもちゃんと動作するわ」

ライモン「え…」

提督「そうなの、だからこの部屋にある銃のほとんどは違法よ……民間人のフルオート火器の所有は許可されないし、これだけあるとなおの事…ね」

シルヴィア「まさかこれだけの歴史的遺産をスクラップにしろって言うの?…冗談じゃないわ、余計なお世話よ」…肩をすくめるとラックからカルカノM1891/38歩兵用ライフルを降ろし、きちんと手入れされ暖かみのある木部を撫でた……隣には戦中のドイツ軍が使っていたスコープ付きの「Kar98」狙撃銃がかけてあり、横にはフランキの「LF-57」短機関銃とイスラエル製の傑作短機関銃「UZI」(ウージー)が並んでいる…

アッテンドーロ「確かに綺麗な物ばかりね…」辺りを見回してしきりにうなずいている…

チェザーレ「これに比べたら海軍博物館もかたなしかも知れぬ…うぅむ」


…部屋にある博物館のようなケースにはピストルが並び、ベレッタ・ピストルはシルヴィアが揃えている分を年代順に「M1934・M1935」「M1951」「M84」「M92」と並べている…壁のカルカノ・ライフルは6.5ミリ口径の「M1891」、銃身の長い「M1891/41」など数丁が銃剣と一緒に掛けてあり、狙撃用スコープは棚の引き出しに収まっている……床には古くなった絨毯を敷いてあり、その上には「がらくた」として有名な「ブレダ・M30」軽機関銃が二脚を拡げて据えてあり、その隣にはどうやって入手したのか、大戦中のドイツ軍が頼りにしていた軽機関銃、「1943年製」の刻印もくっきりと入っている、ピカピカの「MG42」汎用機関銃が置いてある……


アッテンドーロ「あー…提督」…しばらく銃を観賞していたアッテンドーロが不意に声をあげた

提督「なぁに、ムツィオ?」

アッテンドーロ「提督が最初にこれを見たのはいつ頃なの?」

提督「あれはたしか……私が高校生ぐらいの頃だったと思うけれど…どうして?」

アッテンドーロ「いえ…初めてライフルを持った頃の話は聞いたけど、十代の頃の提督ってどんなだったのか気になって……」

提督「あー…その頃の私は大人しい「いい子」で勉強もよく出来たし、家庭教師のお姉さんにもうんと褒められていたわね」

アッテンドーロ「大人しいはともかくとして、「いい子」だったって言うのは本当かしら……学校の先生を口説いて色々と「おまけ」してもらっていたんじゃないの?」

チェザーレ「はははっ、提督ならやりかねんな♪」

提督「もう、失礼ね…私がそんなことすると思う?」

ライモン「えーと、申し訳ないですが……こればかりは提督を信じて「その通りです」とは言い切れないですね」

提督「むぅ…シルヴィアおばさま、今の聞いた?」

シルヴィア「聞いているわよ…そうね、フランカの学生時代がそんなに気になるのならクラウディアに聞いてみなさいな。きっと話したくてうずうずしているでしょうし」

提督「そうね、それがいいわ。私とおばさまは銃の手入れにしばらくかかるし、その間お母さまが一人ぼっちではつまらないもの…みんな居間でお茶でも飲みながら聞いてみたら?」

アッテンドーロ「そうね、それはいいかも知れないわ…姉さんはどうする?」

ライモン「うーん…そうね、せっかくだから聞いてみたいわ♪」

アッテンドーロ「じゃあ決まりね…チェザーレはどう?」

チェザーレ「ふむ…この銃器室も名残惜しいが、まだまだ夏休みはある……ご一緒させてもらおう」

提督「ふふ、じゃあ行ってらっしゃい…おばさま、一緒に銃の手入れをしましょう♪」

シルヴィア「ええ」

ライモン「…それでは提督、また後で♪」

提督「はいはい♪」

………
50 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/01/30(火) 04:06:13.67 ID:Jk7dVIxL0
…居間…

クラウディア「…あの子の学生時代?」

アッテンドーロ「ええ、どんな子供だったの?」

クラウディア「そうねぇ……この辺りは小さくて小学校が隣の自治体(コムーネ)にしかなくって…車で送り迎えするにしても小さいフランカには大変だし、授業もそこまで難しくなかったから、必要な分だけ出席したら後は家庭教師のお姉さんを頼んで、あんまり学校には通わせていないの」

ライモン「そうなんですか」

クラウディア「ええ。でもあの子ったらとってもお利口さんで…詩とかオペラの文章、歴史のお話なんて簡単に覚えていたわ♪」

………

…提督・十歳前後の頃…


提督(小)「おかあさま、みてみて♪」…半分にたわめた紙を後ろ手に持ちながらにこにこしている

クラウディア「なあに、フランカ?」新しい服のデザインを考えていたクラウディアは手を止めて小首をかしげた…

提督(小)「あのね、今回の「イタリア全国統一テスト」が返ってきて…結果のところに「歴史と国語がとってもよく出来ています」って書いてあるの♪」レーダーチャートのついた多色刷りの用紙を広げて見せる子供時代の提督…

クラウディア「そう、それじゃあお母さまに見せてね……まぁ、とってもいい成績じゃない♪」よしよしと頭を撫でるクラウディア

提督(小)「えへへぇ…ねぇおかあさま、ごほうびをちょうだい?」きらきらした目で見上げてくる提督

クラウディア「はい、よくできました…ちゅっ♪」

提督(小)「ん、ありがと…それじゃあシルヴィアおばさまにも見せてくる♪」

クラウディア「はいはい…あ、ちゃんとエンリカにも見せるのよ?」

提督(小)「はーい♪」

…しばらくして・提督の部屋…

エンリカ「さてと…統一テストが返って来たのよね?」…フィレンツェの美大を目指して貯金をしている提督の家庭教師「エンリカお姉さん」が椅子に腰かけ、隣にちょこんと座っている提督に尋ねた

提督(小)「うん♪」

エンリカ「その様子だといい結果だったのね?」

提督(小)「あのね「歴史と国語がよく出来ています」…だって♪」

エンリカ「どれどれ…へぇ、確かにほとんど満点ね」

提督(小)「ねぇねぇ、エンリカお姉ちゃん…」チュニックの袖を軽く引っ張る提督…

エンリカ「ん?…なに、どうしたの?」

提督(小)「あのね、クラウディアおかあさまとシルヴィアおばさまにはもらったけど…エンリカお姉ちゃんもごほうびをくれる?」

エンリカ「別にいいけど…「ごほうび」って言ったってお姉さんはお菓子とか持ってきてないし、あげられる物なんて筆記用具くらいしかないわよ?」

提督(小)「ううん…あのね、エンリカお姉ちゃん……」

エンリカ「なに、何が欲しいの?」

提督(小)「わたしね…エンリカお姉ちゃんに「ちゅう」して欲しいの///」

エンリカ「そうね、成績もよかったしそのくらいは……えっ?」

提督(小)「お姉ちゃん……「ちゅう」してくれる?」

エンリカ「えーと…「ちゅう」ってキスのことでいいのね?」

提督(小)「うん、おかあさまとおばさまにはしてもらったけど、エンリカお姉ちゃんにも「よくできました♪」って「ちゅう」して欲しいの……だめ?」

エンリカ「いや…お姉ちゃんがもしフランカちゃんと「ちゅう」したら、クラウディアお母さんやシルヴィアお母さんに怒られちゃう……」

提督(小)「んー…それじゃあお姉ちゃん、この「ちゅう」はお姉ちゃんとわたしで「二人だけのヒミツ」にしよう……ね、それなら大丈夫?」

エンリカ「えーと…あのね……」

提督(小)「おねえちゃん…「ごほうびのちゅう」は算数も出来ないとだめ?」少し悲しげに結果の用紙を眺めている

エンリカ「ううん…これだけできたんだもの、お姉ちゃんがちゃんと「ごほうびのちゅう」してあげる♪」

提督(小)「わぁ、ありがとう……んーっ」顔を上に向けて目をつぶり、唇を軽く突きだす提督…

51 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/01/31(水) 02:00:15.91 ID:Ywmr4LgL0
エンリカ「あ、えーと……それじゃあキスしてあげるからね…ちゅっ♪」額の髪をかきあげてエンリカが軽くキスをすると、提督(小)が目を開けて何やら不満げな顔をしている…

提督(小)「むぅ…」

エンリカ「え、なに…何か間違えた?」

提督(小)「エンリカお姉ちゃん……んっ♪」急に小さいふっくらとした両手でエンリカの頬を押さえ、上体を伸ばして唇を重ねた…ぷにっとした提督の唇の感触がエンリカに伝わってくる……

エンリカ「ぷはっ…ち、ちょっと!?」

提督(小)「あのね…お姉ちゃんとの最初の「ちゅう」は唇にしたかったの……わたしとお姉ちゃんの最初の「ちゅう」だから、だいじにしてね?」瞳をキラキラさせて、いかにも子供らしい生真面目な様子で言った…

エンリカ「…あ、ありがとう……大事にするわ///」

…数年後…

提督(中)「…エンリカ先生、できました♪」…十代も半ばの提督は急に胸もふくらみ、声も小さい頃より甘さが増していた……最初は子供の少ない田舎町で「年齢が近いお姉さん」と言うこともあって家庭教師をお願いしていたエンリカ…彼女も今や高校生になったが、クラウディアたちの好意もあって相変わらず隣で授業を教えている……

エンリカ「どれ、見せて……ふんふん、問題は「この時の主人公の気持ちを書きなさい」…ね」

提督(中)「…これでいいと思いますか?」

エンリカ「ごめん、ちょっと腕をどけて……あっ///」答案をのぞきこもうと身体を伸ばした瞬間に少しバランスを崩し、提督にもたれかかるような体勢になったエンリカ…

提督(中)「きゃっ…!」

エンリカ「ごめんね、大丈夫…?」

提督(中)「…私は大丈夫です。先生は?」

エンリカ「う、うん…私も平気……今どくからちょっと待って」(うわ…今まで数日おきに会っていたから気づかなかったけど、フランカったら凄く柔らかい///)

提督(中)「あの、先生……」

エンリカ「な、何かしら…フランカ///」

提督(中)「…どかなくても、いいです……んっ」

エンリカ「んっ…ん、ん、んちゅ……っ///」

提督(中)「…せんせい……///」

エンリカ「…し、しばらく休憩ね……ん、んちゅ……」

提督(中)「あふっ、んっ……先生」

エンリカ「なに、フランカ?」

提督(中)「私…エンリカ先生の事が好き…もっといっぱいキスしたい……♪」

エンリカ「…これでもし終わらなかったら、次回までの宿題にするからね……ん、ん、ん、んっ……んくっ…ちゅっ……ちゅるっ…んくっ、んぅっ……れろっ、ちゅるっ…///」

提督(中)「あふっ…ん、ん、んくっ…ちゅく、ちゅぽっ…んっ、んんっ……はぁ、はぁ、はぁ……んちゅっ、ちゅるっ…///」

エンリカ「…んちゅっ……はぁはぁ…ふぅ……ほら、休憩はおしまい///」(それにしても何て気持ちいいキス……これじゃあ年下の生徒なのに、丸っきりいいようにされてるじゃない///)

提督(中)「…エンリカ先生、大丈夫?」

エンリカ「大丈夫よ……それにしても、どこでこんなキスを覚えたの?」

提督(中)「えーと…誰にも言わない?」

エンリカ「言わないわ、先生の口が固いのは知っているでしょ?」

提督(中)「じゃあ……実は、お母さまとおばさまに教えてもらったの///」

エンリカ「うぇっ!?……え、映画とかじゃなくて?」

提督(中)「うん…お母さまは私が子供の頃から「いい、フランカ?…良い大人になるには教養が大事よ♪」って言ってて……」

エンリカ「…まぁ、それは大事よね」

提督(中)「それで私が子供の頃は「ピッツァの上手な食べ方」や「フォークとナイフの持ち方」とか…それで、最近は「相手の女の子が悦んでくれるようなキスは「好き」「愛している」って言う気持ちを込めたときにだけできるの♪」って……気持ちはいっぱい込めたけど、先生は……気持ち良くなってくれたかしら?」

エンリカ「えーと…ね、正直に言うと……」

提督(中)「…う、うん」

エンリカ「……とろけるみたいだったわ…ちゅっ、んちゅっ……///」

提督(中)「よかったぁ…ん、んふっ…んちゅっ///」

52 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/01/31(水) 03:37:02.11 ID:Ywmr4LgL0
…さらに一年後…

エンリカ「それにしてもフランカが高校生ねぇ…正直、急にあなたが大きくなったような気がするわ」

提督(高校生の頃)「ふふっ、そんなおばあちゃんみたいなこと言って…せいぜい三つぐらいしか違わないんですよ?……ところで、宿題でもらって来たこの問題が分からなくて…教えてもらえますか?」

エンリカ「ええ、ちょっと待ってね……何これ、最近の子はこんな難しい問題をやってるの?」

提督(高)「いえ、学校の国語(イタリア語)の教科書はちょっと簡単なので……高三クラスの教科書です」

エンリカ「あー、進度によって授業ごとにクラス分けするアレか…ちょっと待ってね……」あごに手を当てて眉をひそめている…

提督(高)「…ねぇ、先生///」そっとふとももに手を置き、耳元でささやいた…

エンリカ「ちょっと…あなたが「宿題が分からないので手伝って下さい」って電話してきたから来てあげたのよ?」

提督(高)「ふふっ…だってエンリカ先生に会いたくって///」

エンリカ「いいけど、宿題が終わらなくて困るのは誰?」

提督(高)「大丈夫です、分からないのはそれだけですから……あ、それともう一問だけ」

エンリカ「ほらやっぱり…なに、どの問題?」

提督(高)「その…先生にキスしてもらうにはどうしたらいいのか分からなくて……模範解答を教えてくれませんか///」

エンリカ「そんなの簡単よ、今みたいにおねだりすればいいわ…ん、んちゅ……ちゅるっ、ちゅぷっ…」

提督(高)「んふっ、んぅ……ちゅるっ…あ、んっんっ…んはぁ……ちゅぅっ…///」

エンリカ「ん…んくっ……んちゅ……んんぅ、舌が…入って……んふっ、んくぅぅ…///」

提督(高)「エンリカ先生……脱がしますね……んちゅ、ぴちゅっ♪」

エンリカ「普段からクラウディアさんみたいなきれいな人を見慣れてるあなたからしたら、私のがりがりの身体は面白くないんじゃ……あっ、んんぅ…ひゃうっ///」

提督(高)「先生の…ちゅっ……身体は、お母さまたちとはまた違うけれど…ちゅぅ…すらっとしてて……綺麗です…んちゅっ…♪」はだけさせたブラウスからのぞくエンリカの肌に顔を近づけ、鎖骨、胸元、脇腹…とキスしていく…

エンリカ「んんぅ…フランカ、あなたこそしっとりして柔らか……ちゅぷっ…んぅっ///」提督のふとももに手を伸ばして下着をずり下げると、絵筆で出来たタコのある指でぎこちなくまさぐった…

提督(高)「んんぅ…エンリカ先生……手もひんやりしてて…んっ、んんっ♪」

エンリカ「…フランカこそ、温かくてとろっとしてる……んあぁぁっ///」

提督(高)「あ……先生はここが弱いんですね…んふふっ、すごい濡れちゃってます…よ♪」

エンリカ「そうなのっ…んぁぁっ、そこっ……んっ、あぁっ///」

提督(高)「それじゃあ…ふとももをのせて……こうして…」

エンリカ「あっあっあっ…それ、いいっ……あぁぁっ!」くちゅくちゅ…と水音を立てて、昼下がりの日差しが照らす床で重なり合う二人……と、急にドアがノックされた…

クラウディアの声「フランチェスカ。エンリカ先生……飲み物を持って来たけど、入っていいかしら?」

エンリカ「…っ!?」

提督(高)「ちょっと待って、お母さま…今問題を解いているところなの♪」…くちゅっ、にちゅっ♪

クラウディア「そう、それならもう少し後にしましょうか?」

提督(高)「ううん、もうすぐ終わるから……そこで待っていてくれる?」

エンリカ「…ちょっとフランカ……んぐぅ!?」何かを言おうと開きかけた口に舌を絡められ、同時に濡れた秘部にほっそりした指を入れられた…

提督(高)「しーっ…ばれないようにがんばろう、先生っ?」

エンリカ「ん、くぅぅ…んんっ……んんぅぅっ///」奥歯を食いしばって身体をひくひくさせるエンリカ…ふとももをつたって蜜がとろりと垂れている……

提督(高)「…んふふっ。もし「お母さまに見られちゃったら」と思ったらすごくどきどきして気持ち良かった……さ、早く服を直さないと♪」

クラウディア「フランカ、そろそろいいかしらぁ…?」

提督(高)「もうちょっと……はい、終わったわ♪」

クラウディア「それじゃあ入るわね…二人ともこんな暑い時間に勉強していたから冷たいものが欲しかったでしょう♪」

提督(高)「ええ。ありがとう、お母さま♪」

エンリカ「ふー、ふーっ…ありがとうございます……」

クラウディア「……フランカ」ふと床に目を留めると、グラスを渡すときにこっそり耳打ちした

提督(高)「…なぁに、お母さま?」

クラウディア「…エンリカ先生の下着、落ちてるわよ♪」すっかりお見通しのクラウディアは、ぱちりと小さなウィンクをしてみせた…
53 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/01(木) 01:42:00.38 ID:II/4TQjd0
…夕食時…

アッテンドーロ「…って言うような話を聞かされたわ」…夕食に並んだピッツァ・マルゲリータを皿に載せ、さらに卵をたっぷり使った鹿肉のピカタを取る…さっぱりした赤ワインでニンニクの風味が効いた鹿肉を流し込む……

提督「あー…まぁそう言う感じではあったわ。ちなみにエンリカ先生は夢がかなってフィレンツェで芸術家になっているそうよ♪」…提督は薄い生地にチーズがとろりと溶けた、火傷しそうなマルゲリータをふーふーさせながらくるりと丸めて口に運んだ……それから夏場の常備菜になっている、バジルがほどよく使われた野菜の煮込みをたっぷりとよそい、唐辛子入りのオリーヴ油を少しかけた…

ライモン「あの、そう言う問題では…」

チェザーレ「はははっ、チェザーレもこれには参った♪」普段は威風堂々とした武人として提督を支えるチェザーレだが、女たらしで有名だったチェザーレらしく、意外に好色な所もある…今も提督の浮いた話を聞いて「分かっている」といった笑みを浮かべてみせた……

クラウディア「…ところでフランカ、あのつんとしたお嬢さんはどうしてるの?」

提督「どのお嬢さん…もしかしてマリーのこと?」

クラウディア「そうそう、前に一度だけ泊まりに来てくれたじゃない…フランス海軍のマリーちゃんよ♪」

提督「あぁ、マリーね…そう言えばまだ見せてなかったかしら」部屋に戻ると、数枚の写真と細長い箱を持って来た提督…

クラウディア「なぁに…それ?」

提督「この間の交流プログラムで「タラント第六」に来た提督たちの写真よ♪」

シルヴィア「へぇ、三人も来たのね…」

提督「ええ、来訪する提督たちは数の都合で前期と後期の二回に分けてあるのだけど……驚いたことに前期の提督は全員知り合いだったの。で、これがその時の写真♪」…写真には提督を始めミッチャー提督、百合姫提督、エクレール提督と鎮守府の艦娘たちがずらりと勢ぞろいしている…

クラウディア「あらまぁ、この黒髪のお嬢さんはとっても可愛らしいわ…あ、この金髪はマリーさんね♪」

シルヴィア「…こっちの褐色の人はアメリカの提督?」

提督「ええ。このグラマーな女性がアメリカのミッチャー准将…私がナポリにいた時から知り合いで「ジェーン」って呼んでいるわ♪」

クラウディア「それで、このお嬢さんは?」

提督「彼女が横須賀の百合姫提督。で、他の荷物にまぎれて忘れていたのだけど…お母さまたちに姫からのお土産♪」何やら金文字で漢字が印刷されている緑色の箱を渡した…

クラウディア「ねぇ、フランチェスカ…これ、なんて読むの?……シルヴィア、貴女ならわかる?」

シルヴィア「えーと、私も漢字はあんまり強くないけど…とりあえず「清酒」って書いてあるのは分かるわ。つまり日本のお酒ね」

提督「ええ、何でも鎮守府でしか買えないらしいの……えーと、もらったメモがどこかに…あぁ、あった」

クラウディア「開けてもいいかしら♪」

提督「お母さまたちへの贈り物なんだから好きにして?…えーと、このお酒は清酒「友鶴」っていうそうよ……口当たりはいいけどかなり度数が高いお酒だから「『友鶴』だけにひっくり返らないよう」注意してほしいって書いてあるわ」

シルヴィア「それじゃあ後でいただくとしましょう……ね、クラウディア?」

クラウディア「ええ、食後にちょっとずつね♪…あ、そう言えば」

提督「なに?」

クラウディア「この間、街の雑貨屋さんに売れ残った手持ち花火をもらったのだけど…よかったら後でしましょうか♪」

ライモン「わぁ、夜に花火なんてきっと綺麗です♪」

アッテンドーロ「へぇ、いいじゃない…ねぇ提督?」

提督「ええ、いいわよ。それじゃあ花火を楽しみながらワインでも傾けましょう」

クラウディア「それならいっそ、この「友鶴」を砂浜に埋めて冷やしましょう…ね、シルヴィア♪」

シルヴィア「クラウディアの好きなようにしていいわよ…それじゃあ後で浜に行きましょう」

提督「夜は意外と冷えるから、みんな羽織るものを忘れずにね?」

ライモン「はい♪」

チェザーレ「承知した」

アッテンドーロ「ええ、分かってるわ」

………
54 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/02(金) 02:16:55.81 ID:sKFudJ4p0
…夜・海岸…

提督「バケツの準備はいい?」

ライモン「はい、ここにあります…♪」残り火で火事になったり火傷をしたりしないよう用意したバケツを置くと、提督と手をつないで少し恥ずかしげな笑みを浮かべるライモン…

アッテンドーロ「さ、早くやりましょうよ」

クラウディア「ちょっと待ってね…チェザーレもどうぞ♪」

チェザーレ「うむ、かたじけない」

クラウディア「フランチェスカ、あなたにも…はい♪」

提督「ありがと、お母さま。…ライモン、一緒に火をつけましょう?」

ライモン「はいっ♪」

チェザーレ「ふふ、仲睦まじい光景であるな……どれどれ、チェザーレも一つやってみるかな」小さい打ちあげ花火と手持ちの花火が数種類入っていて、チェザーレのは火を付けるとシューッ…と紅い火が空に上っていった…

チェザーレ「おぉ、なかなか綺麗ではないか…♪」

ライモン「ふふ、こういう小さな花火もいいものですね…///」提督にくっつくようにして小さな手持ち花火を眺めている

提督「そうね。あら、ライモン…肩が冷えているわ……ほら」ゆるいガウンをふわりと肩にかけてやり、二人でくるむように羽織った

ライモン「…あ///」

アッテンドーロ「ふぅん…姉さんは提督と熱々のようだから、私は一杯いただくことにするわ……クラウディア、よかったら私にもくれないかしら」

クラウディア「はい、どうぞ♪…んー、このお酒、甘みがあって美味しい♪」

シルヴィア「あんまり飲み過ぎちゃだめよ」

クラウディア「ええ。でも…もし酔ったら抱っこして運んでくれる?」

シルヴィア「もちろん…」波が洗う砂浜に埋めておいた「友鶴」をきゅーっとあおり、ピックにさしたチーズや黒オリーヴ、刻んだタコと言ったおつまみをちびちびとつまんだ…


…しばらくして…

クラウディア「ふふふっ、楽しかったわねぇ…♪」

シルヴィア「クラウディアったら、少し酔っているみたいね……さ、約束通り運んであげるわ。フランチェスカ、悪いけれど後はお願い」クラウディアをお姫様抱っこし、慎重に小道を歩いていく…

アッテンドーロ「こうやって静かにやる花火もなかなかいいものだったわね…さてと、後はもう寝るだけ…と……ふぁぁ」花火のごみを持つとあくびをしながらシルヴィアに続いた

チェザーレ「ふむ、チェザーレはこれから入浴させてもらおう…それから髪の手入れを行わねば♪」

アッテンドーロ「うぇぇ…だとしたら数時間は化粧台の灯りが点きっぱなしね……」

チェザーレ「済まぬな、ムツィオ…しかし、最近はどうも髪の質が気になってな」

アッテンドーロ「別にどうもなってないわよ…するっと指が通るじゃない」

チェザーレ「そう言うな、これもチェザーレなりのたしなみなのだ……」

ライモン「…提督、それじゃあわたしたちも行きましょうか……少し名残惜しいですが///」

提督「ふふ、二人きりになれる機会はこれからもいっぱいあるわ…さぁ、行きましょう♪」優しく唇にキスをすると、そっと肩に手を回した…


…部屋に戻った提督はパジャマ姿のライモンを迎え入れ、化粧台の前に座らせたライモンの髪を優しく梳いてやりながら、穏やかな気分でおしゃべりを続けていた……が、急に額に手を当てるとあきれたような声を上げた…


提督「いけない…っ」

ライモン「どうかしましたか?」

提督「ええ、砂浜に置いておいた「友鶴」を忘れてきちゃったわ……ちょっと取りに行ってくるから、ここで待ってて?」

ライモン「でも、提督はもうナイトガウンですし…明日ではいけませんか?」

提督「あそこだと満ち潮になったら流されちゃうかもしれないし…姫が重いのにわざわざ持ってきてくれたお酒だもの、取って来るわ♪」

ライモン「足元に気を付けてくださいね…?」

提督「大丈夫、懐中電灯を持って行くわ♪」


55 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/02(金) 03:11:29.45 ID:sKFudJ4p0
…再び海岸…

提督「えーと、どこに置いたかしら…」懐中電灯を振りながら波打ち際を探す提督…と、黒く湿った砂の穴に半分埋めてある瓶を見つけた

提督「あー、こんなところに…ようやく見つけたわ……♪」ちゃぽちゃぽと瓶を振って量を確かめると、砂を軽く払ってから片手にぶら下げた…波打ち際に背を向け、家の方に戻ろうとする提督……と、音も立てずに二つのシルエットが海から上がってくると、そっと提督の背後に近寄った…

青白い姿「…」指を開いたり閉じたりしてハンドサインを送る青白い肌の娘…

白い姿「…」軽く頷く真っ白い肌の娘…胸元には白化したサンゴのような白っぽい首飾りが下がっている……

提督「さてと、それじゃあ戻るとしましょうか…ライモンも待っているでしょうし……っ!?」不意に腐りかけた海藻と潮の匂いが混じったような臭いが鼻をつき、気になって振り向こうとした提督…

白い肌の娘「…!」その瞬間に提督へとびかかり口元を押さえ、同時に昆布かイカのようにぬるぬるした腕で提督の首を締め上げる…

提督「ん、んっ…んんっ、んーっ!」長身の提督がもがいているにも関わらず、びくともしない白い肌の娘…

青白い肌の娘「…急げ」

白い肌の娘「…」ぎゅうぎゅうと首を締め上げ、じたばたと暴れる提督を押さえこむ…

提督「ん゛ーっ!…んっ、ん………」首にかけられた粘っこい筋肉質の腕を意識しながら必死で懐中電灯を振り回し、後ろの相手を引きはがそうとする提督…が、「きーん…」と甲高い音と同時に息が苦しくなり、とうとう視界が真っ暗になった……

青白い肌「…よし、撤収する」

白い肌「了解…」二人は提督を抱えたまま沖合のシルエットに向かって泳ぎだし、最後に「ちゃぽっ…」と水音を残して海に消えた…

…居間…

ライモン「それにしても、提督はずいぶん遅いですね……」

チェザーレ「ふぅー…入った、洗った、出た!」ほかほかと湯気を立てながらバスローブを羽織り、頭にタオルを巻いているチェザーレ…

ライモン「そんな、チェザーレじゃないんですから」

チェザーレ「いかにもチェザーレはチェザーレだが…それよりライモンドはどうしてここに?」

ライモン「えぇと、そう言う意味ではなく……実は、提督が忘れ物を取りに浜に行ってまだ戻ってこないんです。なので今から探しに行こうかと…」

チェザーレ「ほう?…よかったらチェザーレも同行するか?」

ライモン「いえ、わたしだけで平気だと思いますが……」

アッテンドーロ「二人ともどうしたのよ?」

チェザーレ「おや、ムツィオも来たのか…何でも提督が海岸に忘れ物を取りに行って、まだ戻らぬらしい」

アッテンドーロ「そうなの?じゃあ私が見て来るわ。…もしかしたら足でもくじいたのかも知れないし。姉さん、ルーチェ(灯り)を」

ライモン「持ってるわ…それじゃあチェザーレさん、ちょっと待っていて下さい」

チェザーレ「いや、チェザーレもついて行くとしよう…庭からも照らした方がよく見えるだろうからな」もう一つあった懐中電灯を取り上げ、入るかどうか試す…

ライモン「ありがとうございます」

チェザーレ「なに、構わぬよ…まぁ、提督の事だからな。きっと夜空に見惚れていたと言ったところであろう」

ライモン「ならいいですが…」

………

…海岸…

ライモン「…っ、ムツィオ!」

アッテンドーロ「ここにいるわ…これ、提督が持っていた懐中電灯なんでしょ?」

ライモン「うん、お酒の瓶も落ちてるし……それに何より」

チェザーレ「この生臭いような臭い…間違いあるまいな」

ライモン「あぁ、もう…わたしが一緒に行けば良かった……それにもっと早くにおかしいって気づけば…っ!」

チェザーレ「仕方あるまい…こんなことは前代未聞だからな。とにかく、付近を探すことにいたそう」

アッテンドーロ「探照灯でもあればいいんだけど…ねぇ、装具なしで艦を呼び出せると思う?」

ライモン「やってみなければ分かりません…とにかくあのバチあたりな深海棲艦に砲撃をお見舞いしてやります!」

チェザーレ「待て、ライモンド!提督ごと連中を撃沈する気か?…それより近隣の鎮守府に連絡を入れて、この辺りで不審な艦影を捉えていないか聞くのが先決だろう」

ライモン「ですが、このままでは最悪の事態すら…!」

チェザーレ「それはあるまい…もし提督を葬る気ならわざわざ連れて行ったりはせぬはずだ……とにかくクラウディアたちにも事情を説明して、それから対策を立てるのがよかろう」

ライモン「…了解……提督、無事でいてくださいね…」
56 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/02(金) 03:49:05.87 ID:sKFudJ4p0
シルヴィア「…フランカがさらわれた?」

チェザーレ「うむ…こちらも油断していたとはいえ、まさか海から上がって来るとは……」

クラウディア「それで……あの子は大丈夫なのかしら…」

チェザーレ「それについては何とも言いかねる…が、連中がどこの誰であろうとチェザーレは提督を助けるために全力をもってすることを約束いたそう」

シルヴィア「とりあえずはそれで十分よ…で、何か必要なものは?」

チェザーレ「まずは電話をお借りしたい。近隣の鎮守府に敵影を捉えていないか聞いて回るつもりなので…それに、場合によっては我が鎮守府の面々にも動いてもらうことになるやもしれんからな……」

ライモン「いえ、たとえ戦艦だろうと空母だろうとわたしが切り込んで海の底に送り返してやります!…提督、心配しないで下さいね。貴女のライモンが必ず助けに行きますから……」

アッテンドーロ「姉さん、少しは落ち着きなさいな…提督だって子供じゃないんだから、きっとうまい脱出の手段を考えているわよ」

ライモン「うぅ、それはそうですけど……」

シルヴィア「とにかく電話と…もし銃が必要なら好きなのを持って行きなさい」

チェザーレ「かたじけない…」


…一方・海中…

青白い肌の娘「こちら「トーベイ」…目標を確保、帰投する」…あちこちに白化したサンゴや牡蠣殻がくっついた幽霊船のような艦内で、通信用アンテナを伸ばして電文を発信する、戦時のイギリス潜「T」級第一グループの深海棲艦「トーベイ」……

白い肌の娘「こちら「タリスマン」……対象は気を失うも無傷、現在追撃なし」…同じく「T」級潜の深海棲艦「タリスマン」……胸に下げたタリスマンを片手でもてあそびながら、寝台に横たえた提督を眺めている……

トーベイ「これでキーズ大将もお喜びになることだろう…」感慨深げに腕組みをしつぶやくトーベイ…

タリスマン「ふふ…ロンメルほどの大物ではないにしろ、これならヴィクトリア・クロスも夢ではないな…それにしても、ムッソリーニの提督には女もいるのか……?」いぶかしげに眺めているタリスマン…


…カンピオーニ家・居間…

チェザーレ「あぁ、ドリアか…夏休み中だと言うのに済まぬ、実はな……」クラウディアの仕事部屋にある電話機を持ってきてもらい、事情を説明するチェザーレ…

チェザーレ「そうなのだ、おそらく連中にさらわれたらしい……何、出撃する?…出撃してどうするのだ、連中ごと提督を沈める気か?」

チェザーレ「さよう…もし皆がそれを聞いても動揺しないよう、ドリアには落ち着いてふるまってもらいたい」

チェザーレ「うむ、よろしく頼む」受話器を置くと、すぐ次の電話に取りかかった…

ライモン「チェザーレさん、わたしにも何かお手伝いをさせて下さい…何かしていないとわたし、心配で心配で…不安ばかり大きくなって……」

チェザーレ「承知した…ではライモンド、そなたは提督の携帯電話や手帳を見て、手を貸してくれそうな人を探してもらいたい」

アッテンドーロ「チェザーレ、私は?」

チェザーレ「ムツィオ、そなたはライモンドの見つけた人物のリストを作ってチェザーレに教えてくれ」

アッテンドーロ「了解…それなら姉さんのそばにいてやることも出来るわね」

チェザーレ「うむ…そうしてやってくれ」


………
57 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/03(土) 01:50:07.07 ID:ESolOgJe0
…一応、本編を進める前に解説を入れておきます……かなりのスロウスタートで申し訳ないですが、引き続きがんばりますので…



英潜「T」級…イギリス海軍が1930年代に整備していた「O」「P」「R」級を更新するために計画した複殻式船体を持つ哨戒用潜水艦で、ロンドン条約のあおりを受けてサイズを縮めなければならなくなったが、その分隻数を増やし、無難で堅実な設計が幸いし、イギリス潜水艦隊の中核を担った……大戦中は改良を加え続け、隻数はグループ合わせて53隻にも上る


基準排水量は1090トン、主機はディーゼル2500馬力(水上)・電動機1450馬力(水中)で速度15.75ノット/9ノット。

兵装は21インチ(53.3センチ)魚雷発射管を10門(艦首6門、艦首水上発射口2門、司令塔脇の舷側水上発射口に2門)、司令塔前面張りだしに4インチ(10.2センチ)砲Mk12(Mk]U)1基、他にブリティッシュ.303口径(7.7ミリ)の機銃3基を装備…魚雷16本は二回分の斉射に足りないので継戦能力は低い代わりに、一回に十発を同時斉射できるので大型艦でも撃沈できる


…大戦中はその優れた実用性のおかげか本来の哨戒、攻撃以外にもイギリスらしい様々なコマンド作戦や「奇想天外なびっくり作戦」の母船として駆け回り、ノルウェーに潜んでいた戦艦「ティルピッツ」に対する小型潜水艦による特殊作戦「ソース作戦」では豆潜水艦「X艇」の曳航などに活躍した


…「T」級第一グループの「タリスマン」「トーベイ」も1941年11月17日(ゴムボートでの上陸自体はその数日前)、英軍の攻勢の前に「敵の指揮官を取り除き、ドイツ軍をパニックに陥れる」ためのコマンド作戦、リビアのイタリア植民村だった「ベダ・リットリア」に居を構えたロンメル将軍の司令部を襲撃する作戦で、隊員を輸送する任務を請け負った……が、「砂漠のキツネ」ロンメル将軍は数か月前に前線近くへ移動しており不在、同じくらい重要な補給部の幹部将校もいたがメンバーの早とちりや指揮官の負傷などでこれも襲撃に失敗……この作戦の立案者でもあったイギリス・コマンド作戦の計画責任者キーズ提督の息子も戦死と、作戦は完全な失敗に終わった…

(詳しい資料としては当事者に取材しているパウル・カレルの「砂漠のキツネ」がある)

58 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/03(土) 02:52:55.39 ID:ESolOgJe0
…どこかの洞窟…

提督「むぅ…ん…」ずきずきする頭を抱え、うっすらと目を開けた提督…辺りは磯臭い湿った洞窟で、雫が滴るような岩が天井を形作り、湿っぽい粗末なマットレスを敷いた素っ気ないパイプベッドの上に寝かされていた……

タリスマン「おや、お目覚めか…」

提督「ええ。どうやらお客様としてお招きされたようね……招待状をもらっていたら、ちゃんとドレスを着てきたのだけど…」

タリスマン「冗談が言えるなら大丈夫だろう…私の後についてこい、陛下がPOW(捕虜)の話を聞きたいそうだからな」

提督「分かったわ…その前に化粧直しをさせてもらえる?」

タリスマン「髪をとかしたいならそこに櫛がある……言っておくがその櫛でどうこうできるほどこちらはひ弱ではないから、無駄な抵抗はするな」

提督「分かってるわ…まだ首が痛いもの……」どこかから流れ着きでもしたのか、柄が半分ほど折れているプラスチックの櫛で髪をとかす…鏡はないので仕方なく、岩のくぼみの水たまりで身づくろい出来たかを確かめる……

タリスマン「もういいだろう…」

提督「はいはい…全く、英国人はせっかちなのね……」提督は「深海棲艦由来」のねばねばした粘液が付いたナイトガウンを見おろして肩をすくめた…


…洞窟の廊下は意外と乾いた砂で出来ていて、所々に拾い物らしいランタンやランプが置いてある……時々行きかう深海棲艦はどれもセーラー服や英国風のドレススタイルに見えなくもない格好をしていて、色はいずれもイギリス地中海艦隊の迷彩にそっくりな、白っぽい地色に明るい灰白色と薄いグリーンの迷彩をしている…が、よく見ると地の色はすっかり白化したサンゴや波に洗われてしまった貝殻、灰色の部分は牡蠣殻やフジツボ、グリーンの部分はぬめぬめした藻類が張りついていて、まるで幽霊船に取り込まれ呪われた海賊たちのように見える……しばらくタリスマンに連れられて歩くと、急に天井の高い場所に出た…


タリスマン「陛下、例の捕虜を連れてきました」

女性の声「よろしい…トーベイ、タリスマン……ご苦労であったな」

提督「…」周囲にずらりと並んだ深海棲艦たちに多少緊張感を覚えつつも提督がじっと見つめると、広い空間の一番奥に岩棚が削れてできた玉座のような場所があり、そこに宝冠をかぶった深海棲艦が座っているのが見えた……と、その深海棲艦が座ったままラインダンスのように脚を上げると、ぬめっとした脚から何かを外した……

宝冠の深海棲艦「これをタリスマン、トーベイに与えよ…そなたらの働きに対する感謝の念であると…」お付きらしい深海棲艦にそれを渡し、そのお付きが二人に仰々しく授ける…

タリスマン「…身に余る光栄です、陛下」

トーベイ「これからも陛下と大英帝国のために、身命を尽くしてまいります…」

提督「…いったい何かしら……って、ガーターベルト…?」(もとよりガーター勲章はそう言う経緯で生まれたって言うけれど…ちょっと時代錯誤じゃないかしら)

深海棲艦たち「「ジョージ国王陛下、万歳!大英帝国に栄光あれ!」」

宝冠の深海棲艦「ありがとう、皆……ところで誰か、その捕虜を余の近くに連れてまいれ…話が聞きたい」

深海棲艦「さぁ、陛下の前へ…」大柄な深海棲艦に軽く腕をつかまれ、丁寧ながら否応なしに歩かされる……近くで見ると、岩でできた「玉座」には豪奢なクッションが置かれ、真っ白な深海棲艦の宝冠には綺麗な珊瑚珠(サンゴを磨いたもの…綺麗な紅や欧州で珍重されるピンク色がある)や真珠、小粒ながら見事なダイヤモンドがちりばめてある…

提督「………」冷たい目でじっと見られ、このままマストにでも吊るされるのかと思うとぞっとして、すくみあがりそうになる提督…

宝冠の深海棲艦「さて……」

提督「…ごくっ」

宝冠の深海棲艦「…まずは余の部下が手荒な真似をしたことをお詫びいたしましょう、カンピオーニ少将。…余はクィーン・エリザベスです」

提督「…その、女王陛下……そちらの招待の方法にはいささか驚きましたが…まだ無事でおりますから」

クィーン・エリザベス「…イタリアの提督に指揮能力があるかは存じませんが、少なくともユーモアのセンスがあるようですね」

提督「…お褒めいただき光栄です……それで、私のような一介の少将にどのようなご用でしょうか」

クィーン・エリザベス「あぁ…それはですね……」

………

59 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/03(土) 13:25:48.13 ID:NdIXnyLSo
乙々のんびり読んでる。(スロウスタート面白いよね)
60 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/04(日) 01:23:20.95 ID:jSrQCDao0
>>59 グラツィエ。こちらも南イタリアらしく、ゆったりじっくりのーんびり…で進めていきます。あとは基本的にシリアスや無理やりなえっちはしません…

日々の疲れをほどよく癒してくれますね。えーかむの二人可愛いです……ちなみに「クラウディアお母さま」はえーこちゃんが大人になったようなふんわりした女性を想像してもらえるとだいたいイメージ通りです…


…しばしさらわれた提督の救出作戦が続きますが、特に命の危機にさらされたりはしませんのでご安心を……身体の方はともかくですが…


ちなみに節分なので豆を撒いて邪気を払いロールケーキで糖分を摂取したおかげか、いくつか百合小ネタを思いつきました…今後使う予定でいます
61 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/04(日) 03:19:12.60 ID:jSrQCDao0
…深夜…

ライモン「チェザーレさん、次はこの方です…ナポリ第十二鎮守府……駆潜艇隊ですね」

チェザーレ「うむ、駆潜艇隊か…潜水艦相手ならちょうどいいではないか」

…武人の迫力と雄弁、それに持ち前の女たらしの能力をフルに活用して提督の手帳に載っている提督や司令、それに力を貸してくれそうな軍内の愛人やら恋人たちに片っ端から電話をかけるチェザーレ……交換手がいた頃の壁掛け電話よりずっと近代的なボタン式の電話を慣れない手つきでぎこちなく押しながら、少し息を整える…

チェザーレ「むむむ、まだ出ないか……」

チェザーレ「…もしもし、タラント第六のジュリオ・チェザーレですが…夜分遅くに申し訳ない……いかにも、司令はカンピオーニですが…」

チェザーレ「…いえ、実を言うと司令どのにちょっとした「個人的」頼みごとを…この数日、そちらの担当海域で深海側の潜水艦を捕捉あるいは探知したことは……」

チェザーレ「…確かにこんな時間ではなく昼間に電話を差し上げればよかったのでありましょうが、カンピオーニは年度末の戦果報告書を仕上げている最中で、差し戻しをうけてしまい…当方で損傷を与えた潜水艦がティレニア海方面に離脱したまでは分かっておるのですが、それが確認されないと戦果として公認できないと……ええ、いかにも…」

チェザーレ「…ちなみに、司令どのにカンピオーニから伝言もうけたまわっておりまして「ごめんね…でも、夜の方が貴女と近づけるような気がして♪」と……さようですか、この数日は潜水艦の艦影はなし……承知いたしました、そちらの愛の言葉はカンピオーニにも伝えておきますゆえ…では」

ライモン「どうでした?」

チェザーレ「駄目であった、しかし提督の腕前は大したものよ…いかにも眠そうで不機嫌な声が、「カンピオーニ」の名前を聞いた途端跳ね上がったぞ」

アッテンドーロ「で、あの愛の言葉は即興で?」

チェザーレ「いかにもチェザーレの即興よ…面倒をかける手前、何かくすぐったい言葉の一つもつけてやらんと……で、次は誰にかけるのだ?」

ライモン「あぁ、はい…次は……」

………

…一方・洞窟の大広間…

提督「…話を聞きたい、ですか?」

クィーン・エリザベスの深海棲艦「ええ…先ごろそちらの捕虜になっていたG級駆逐艦が帰投し、なかなか興味深い話を携えて参りましたので……ぜひ他にも色々とお聞きしたいと思いまして。それと、そちらではなかなか厚遇して下さったようで、そのお礼も…彼女をここへ」

G級の深海棲艦「…グッド・イヴニング、アドミラル」


…真っ白な身体に牡蠣殻の付いていない彼女は、以前の作戦で鎮守府の艦隊と交戦・大破しても救助を拒んで抵抗し、とどめを刺されて沈んだと思っていたイギリス・「G」級の深海棲艦……その場では艦と一緒に沈んだと思われた彼女は、ぬらぬらした海藻のような髪をチェザーレのスクリュー軸に巻きつけ鎮守府までこっそりついてくると、出迎えていた艦娘たちや提督に襲い掛かって暴れ回り、最後は歓迎のために鎮守府の重巡「ポーラ」が用意した「五十年もの」のシェリーの瓶で後頭部を一撃されてようやくノックアウトした…提督はその後数日間、G級を鎮守府の空き部屋で寝泊まりさせ、最後は衣服数枚を渡し、鎮守府の中型潜水艦「フィリッポ・コリドーニ」も防水加工した写真などを手土産に持たせ海に帰してあげた…


提督「こんばんは…それで、一体どのようなことをお聞きになりたいのでしょう……」

クィーン・エリザベス「ええ…G級から聞いたところによると今は大戦も終わっているとか……面白いおとぎ話ですから、ぜひ聞かせて欲しいのです」

提督「お、おとぎ話ですか…」

G級「…前に言ったでしょう、心にも厚く貝殻が付いているからまだ大戦が続いているつもりなのよ」

クィーン・エリザベス「ふふ…証拠さえあれば余も信じますよ?」

提督「えーと…少しお耳を拝借」…周囲で瞳をぎらつかせている深海棲艦たちを見て、うかつなことを聞こえるように話す訳にはいかないと顔を近寄せた……

クィーン・エリザベス「…それで、今は何年だとおっしゃったのかしら…燃料の乏しいイタリア王国海軍がまだ活動しているのですから、きっと1941年あたりでしょうね?」

提督「失礼ながら……年です」

クィーン・エリザベス「まぁ、ふふ…面白いことをおっしゃる……ですが証拠がありません」

提督「…私を見てどう思いますか」

クィーン・エリザベス「ふふ…白くて柔らかい女性ね、可愛らしいですよ……それが?」

提督「…大戦中は女性が提督になれましたか?」

クィーン・エリザベス「いいえ…ですが敵国の事は分かりません、そうでしょう?……それにあなたの名前も聞いたことがありますよ、カンピオーニ提督」

提督「あー…私は戦中のカンピオーニ提督とは縁もゆかりもないのです」

クィーン・エリザベス「そう言って取引に使われないようにしているのですね…なかなか殊勝な心がけです」

提督「むぅ…話がまるで通じないわ……」

62 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/05(月) 01:24:32.57 ID:wimMWMBG0
クィーン・エリザベス「…それでは英国の話をなさってみたらいかが?それなら余も知っていることが大いにありましょうから」

提督「では、そうさせていただきます…えーと、英国は無事に戦勝国となりました」

クィーン・エリザベス(以下クィーン)「それは余も予見しております…いつでも英国は統治する(ルール・ブリタニカ)のですから」

提督「いえ…それが……」戦後のイギリスがたどった道をかいつまんで説明する提督…

クィーン「なるほど…」

提督「いかがでしょう、これでお分かりになられたでしょうか…」

クィーン「ふふ、なかなかうがった物の見方と優れた脚本でできた物語ですね…ですがジョージ国王陛下のもとにありながら、この大英帝国がそこまで衰微するはずがないではありませんか」…冷たい瞳をきらりとひらめかせ、口もとに形ばかりの笑みをうかべた

提督「いえ、先ほども申しあげたとおり、今はエリザベス女王の治世なのです……現に「クィーン・エリザベス」級という新型空母も建造されております」

クィーン「ふふ、余の気を引こうとそのような可愛らしい戯れ言を…構いませんよ、気持ちはありがたく受け取っておきます」

提督「むぅ…あ、そう言えば」G級を見て何かを思い出した提督…

G級「…私の顔を見てどうしたの、何かご用?」

提督「ええ。前回さよならしたときにコリドーニが写真を渡していたでしょう…あれを持ってきてもらえる?」

G級「別にいいけど……陛下、よろしいですか?」

クィーン「結構ですよ、今度はどんなお話を聞かせてくれるのか楽しみです」

G級「……持って来たわ…これで陛下の意見が変わるとはとても思えないけど」提督に向けてあざけるような冷笑を浮かべるG級…

提督「さぁ、どうかしら……クィーン、この写真を見てどう思いますか?」

クィーン「どう思うか、ですか……暖かい陽光に照らされて、貴女が笑顔を浮かべている…楽しげな写真ですね」

提督「こんなきれいなカラー写真や、水につけても濡れない写真の加工法が大戦中にありましたか?」

クィーン「そうですね…我が方にはありませんでしたが、もしかしたらあなた方の国にはそうした技法があるのかもしれませんね」

提督「…クィーンはなかなか頑固でいらっしゃいますね」

クィーン「頑固なのではなく、堅実なのです…余は自分で見聞きしたものしか信じないだけですよ」

提督「これでも駄目ですか……って///」

…艦名の由来がムッソリーニとも親交のあった右派のジャーナリスト・作家だけあって、鎮守府の新聞や書き物、紀念写真などを一手に取り仕切っている中型潜「フィリッポ・コリドーニ」…彼女がG級へ手土産として渡した写真にはコリドーニ言うところの「鎮守府の士気を高める商品」こと、提督があられもない姿になっている合成写真も入っていた……写真の提督は鎮守府の執務机の上に制服を脱ぎ散らかし、裸体をさらして気恥ずかしげな笑みを浮かべている…

クィーン「どうなさいました…失礼?」すっと指でつまんで写真を取りあげるクィーン…

提督「あっ…///」

クィーン「まぁ…なかなか刺激的ですね……ご自分で志願されたの?」

提督「いえ…その……///」

クィーン「勝手に作られたのですか…確かにそちらはそう言ったプロパガンダや写真の合成がお得意ですものね」イギリス人らしい皮肉をたっぷりきかせつつ、興味深げに写真を眺めている…

提督「その、クィーン…あまり見ないで下さい……鎮守府の娘がいたずらで作ったものなので///」

クィーン「さようですか……さて、もっとお話したいのはやまやまですが余は執務もありますし、とりあえず今日はここまでにしておきましょう……また明日、今度はお茶でもご一緒しながら楽しい物語を聞かせて下さいね…改バーミンガム、そなたとG級のあなたは彼女をお部屋にお連れしてあげなさい。…丁重に扱うのですよ?」

長身の深海棲艦「はい、陛下…さぁ、こちらへ」

G級「ほら、だから言ったでしょう……まぁいいわ、私も一緒について行ってあげる」

提督「ふぅ…まるで話の通じないおばあちゃんね」

G級「…このブラッディ・フール(大間抜け)!…ここでそういうことを言うなんてどういうつもりよ……私からもお願いするわ、今のは聞かなかったことにしてもらえる?」

軽巡「改バーミンガム」級の深海棲艦「…そうね、聞かなかったことにしてあげます……代わりに…」

G級「…あれを回せばいいんでしょう?」

改バーミンガム級「そう、それでいいわ…」青ざめた色をした「改バーミンガム」級の深海棲艦はやせた身体とアンバランスな長身をゆらゆらさせながら、片手で提督の腰を押して部屋まで案内した…

改バーミンガム級「それでは、何か必要なものがあったら声をかけるよう…それと陛下のお召しがあってもいいよう、なるべく身ぎれいにしておくように……では、グッド・ナイト(お休み)」

提督「…ええ、そうさせてもらうわ」湿っぽい部屋とじっとりと濡れたマットレスを見て、ため息をつく提督…

………
63 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/05(月) 02:34:32.59 ID:wimMWMBG0
…数時間後…

提督「うぅ…ん……」寝心地の悪いベッドからマットレスを外し、直接砂の上に置いて寝ようと試みた提督……が、カビ臭いマットレスに湿っぽい岩屋のせいで、うなされるような夢ばかり見る…

………



アンドレア・ドリア「あんっ…もう、提督ったらくすぐったいです♪」

提督「うふふっ、いいじゃない……あら、おはよう。ライモン♪」鎮守府の提督寝室に据えてある天蓋付きベッドで、むちむちの戦艦「アンドレア・ドリア」といちゃいちゃしながら朝寝をしている…と、ベッドの脇にライモンが立っている……

ライモン?「おはようございます、提督…ドリアさんと朝から添い寝ですか……良かったらわたしも交ぜてくれませんか?」急にずるりとライモンの身体が崩れ、緑色に腐乱した腕が提督の頬を撫でる…

提督「えぇと…いえ、だって……ライモンのその身体も悪くはないと思うけど…抱いたら崩れてしまいそうで……」

アッテンドーロ?「ふふ、遠慮なんてしなくていいわ……ほら、わたしとも仲良くしましょうよ♪」反対側には青ざめてぬるぬるとした深海棲艦のような姿をして、手招きするムツィオ…

提督「え、ちょっと待って…あぁぁっ!」

………



提督「……えぇ…と、みんな揃ってどうしたの?」今度は白いマーメイド・スタイルのウェディングドレスに身を包んで白百合の花束を抱え、どういう訳か鎮守府の食堂に立っている……周囲に立っている艦娘や提督たちも全員ウェディングドレス姿で、それぞれ手を差し伸べている…

カヴール「うふふっ、今日は私と提督の結婚発表会見の日ではありませんか……すでに大統領と首相もいらしておりますよ♪」

ドリア「あら、カヴール…提督は私と結婚するんですよ?……何しろヴァチカンのサン・ピエトロ寺院の真ん中でえっちした仲ですし…///」

ライモン「お二人とも、今日はわたしと提督の結婚式ですよ?…見て下さい、全イタリア海軍の艦艇が白塗りになって……新婚旅行はどこにしましょうか♪」

アヴィエーレ(駆逐艦「ソルダティ」級)「ふふっ…悪いけど提督は「操縦士」の私が連れて行くよ……式は成層圏であげて、イタリア中に結婚報告のビラをばら撒こう」

エクレール提督「あら、フランチェスカはわたくしと結婚するんですのよ……結婚式の引き出物として、フランスからコート・ダジュールとコルシカ島を差し上げますわ♪」

百合姫提督「フランチェスカ、子供の出生届けに書く名前はどうすればいい?…やっぱり「雪風」がいいかしら?」

ミッチャー提督「あははっ、相変わらずモテモテだね…でも大丈夫、うちの大統領からマリーン・ワン(大統領専用ヘリ)とシールズの連中を借りてきたから……ここから「ゲッタウェイ」としゃれこむわよ♪」

提督「え、えぇと……」

足柄「…まさかうちの提督を袖にする気じゃないでしょうね?」

龍田「あらぁ…そんなことをしたら……うふふっ♪」まさに「抜けば玉散る氷の刃」…すらりと白鞘の日本刀を抜き放つ龍田……

………



提督「ひぃっ!……はぁ、はぁ、はぁ…」心臓をどきどきさせ、汗をびっしょりとかいて目を覚ました提督…海の匂いがする湿っぽい空気は相変わらずで、洞窟の中なので時間も分からない……と、やせこけて真っ白な肌をした深海棲艦がのしかかるようにして提督にまたがっている…

提督「ひぅ…っ!?」

深海棲艦「起きなさい、朝食の時間よ……しかも陛下が同席を求めているわ」

提督「あ、あぁ…そうだったのね……すぐ準備するわ」

深海棲艦「ん、それでいい…あまりお待たせしない事ね」

提督「ええ……うわ、なんだか身体がぬるぬるする…」昆布やめかぶのようなぬるぬるが全身にまとわりついていて、さらわれた時に着ていたナイトガウンがぐっちょりと張りついている……

深海棲艦「何をしているの…?」

提督「いえ…少しだけ向こうを向いていてもらえる?…身体を拭きたいから」

深海棲艦「それならシャワーでも浴びたらどう…あんまり時間をかけないなら連れて行くわ」

提督「シャワーがあるの?……それならお願いするわ」

深海棲艦「いいわ…ついていらっしゃい」

64 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/07(水) 01:18:40.47 ID:fQ2G4qtM0
…洞窟の一角…

深海棲艦「さぁ、どうぞ」

提督「えーと…これ?」

深海棲艦「これが何か?…真水よ?」

提督「あー…そうね、海水じゃないだけでも贅沢よね……はぁ…」水が流れている岩の間に木箱が挟んであり、箱にはじょうろのハス口のような細かい穴があけてある…下に立ってかたわらにある紐を引くと、箱から冷たい水が降りかかる仕組みになっている……

提督「その…見ないでいてもらえると助かるのだけど……」

深海棲艦「…脱走しないよう監視せよとの命令を受けている」

提督「…分かったわ……よいしょ……」しゅるっ…

深海棲艦「…」

提督「あの…そんなにじっと眺めることもないでしょう///」

深海棲艦「…その身体は実に興味深いわ」…よく見ると何人かの深海棲艦が食い入るように提督を見つめている……

提督「…わ、冷たっ……」青白かったり蒼白だったりとどれも血色の悪い深海棲艦たちに見られながら冷たい水を浴び、ぶるぶるっと身を震わせる提督…

やせこけた深海棲艦「…先端のサクランボは桃色ね……くふふっ…」

青白い深海棲艦「…ふふ、マカロニの女は柔らかそうね…「アレ」を見た後だとなおの事興味深いわ……」

提督「…もう」身体を舐めまわすような視線を浴びつつそそくさとシャワーを浴びると、用意されていた着替えに袖を通す…

深海棲艦「準備できたわね…ついて来なさい」


…大広間…

クィーン「グ・モーニン……よく眠れました?」豪奢なドレス…あるいはそう見える外装に身を包み、ずらりとそろった深海棲艦たちにかしずかれている…

提督「寝具に着替えと、数々の親切痛み入ります…慣れないベッドでしたがどうにか眠れました……」あてがわれた席に腰かけ、目の前の皿を眺めた……どうやら最近沈没した客船から拾い上げたり、航行中の貨物船から分捕ったりしたものらしく傷んではいない…

クィーン「それは結構…普段はあまり空腹を感じないのですが、今朝は余も朝食の席をお付き合いしましょう」上品にスプーンを取り上げ、料理を口に運んだ…

提督「…あ、ありがとうございます……んむっ…」皿に載せられていた茶色の「何かを煮込んだもの」にスプーンを入れ、おそるおそる口に運ぶ…味は大豆のようだが、もはや形も残らないほどに煮えている……

提督「あー、その…喉ごしのいい食べ物ですね……」皿の上にぐしゃりと盛られている「豆のペースト」を眺め、どうにか失礼でない感想を探す…

クィーン「ふふ、イングリッシュ・ブレックファーストは美味しいでしょう」冗談なのか本気なのかも分からないポーカーフェイスで、口角だけかすかに吊り上げて微笑みらしいものを見せている…

提督「さ、さようですね…」小ぶりなボウルには白いお粥状のものが入っている…そーっとしゃくって慎重に食べる……

クィーン「オートミールはいかがですか?」

提督「え、ええ…」(甘くもしょっぱくもない……おまけに燕麦がごそごそする…)

大柄な深海棲艦「…美味しいでしょう?」

提督「ええ…まぁ……」

大柄な深海棲艦「これこそ我が英国海軍の力の源ですからね…捕虜とはいえ海の者同士で遠慮は無用、うんと食べなさい」ほとんど減っていない朝食のプレートへさらにおたま一杯分の泥土…のようなペーストを盛った…

提督「…」それだけでも十分げんなりしているところへ追い打ちをかけるように、大皿の脇には脂がギトギトで、しかも焦げてチリチリになっているベーコンが数枚と、火をくわえ過ぎてすっかり固くなっている卵二つ分の目玉焼きが載っている……

クィーン「…朝はあまり食が進みませんか?」

提督「……ええ、まぁ」パンも湿っぽい洞窟の中にあったせいか磯臭い臭いがする上にかなり焦げ、そこにこってりとバターが塗りたくってある…

大柄な深海棲艦「さぁさぁ、遠慮はいりませんよ?」

クィーン「…無理強いはいけませんよ、カウンティ級……」

「州」級重巡の深海棲艦「はっ。…申し訳ありません、陛下」

クィーン「分かればよいのです…ですが彼女の言うとおり、捕虜であっても遠慮はいりませんよ」

提督「は、はい…もう充分堪能いたしました」(…全く「イギリス料理らしさ」を充分に味わわせてもらったわ……下手な尋問よりよっぽど効果があるんじゃないかしら…)

クィーン「そうですか、なら食後のお話をしていただきましょう」

………
65 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/02/07(水) 02:23:55.34 ID:fQ2G4qtM0
…昼食時…

提督「これも信じて頂けませんか…」

クィーン「ええ、証拠にはなりませんね」どうやら提督に議論を吹っ掛けるのを楽しんでいるらしいクィーン…と、そこにティーセットが運ばれてきた…

改バーミンガム級「陛下…お茶の時間です」

クィーン「おや、もうそんな時間ですか…よかったらご一緒にいかが?」

提督「はい、ありがとうございます」(イギリスのお茶は美味しいし、きっとこれなら…)

クィーン「さぁ、スコーンをどうぞ?」

提督「いただきます…んむ……んむ…」朝食よりはずっと美味しいスコーンではあったが、どういう訳か入っているドライフルーツにシナモンが効きすぎていて、提督の好みではなかった…痛みかけているらしく多少酸っぱいクローテッド・クリームをつけてどうにか口に入れる提督…

G級「給仕をします……どう、英国の味は?」小声で聞いてくるG級…

提督「世界で一番薄い本の題名が「英国の美味しい料理」なのがよく分かったわ……」

G級「さすが無知なイタ公ね。衛生って言うものを知らないのかしら?…生焼けや生煮えは食中毒の危険があるからよくないのよ?」

提督「…だからって焦げるまで焼く必要はないでしょう?」

G級「ふん、まぁいいわ…しばらくはごちそうを出すんだからクィーンに感謝して欲しいわね」

提督「ごちそうねぇ……何だか不安でしかないわ…」

改バーミンガム級「…ところで、紅茶の味はいかがですか?」

提督「ええ、美味しいです…ダージリンですね?」

改バーミンガム級「いかにも。勝利の味とダージリンの香り……まさに紳士の特権ですからね」真っ白な髪をいじくりつつ、ちょっと高慢な表情を浮かべた…

提督「なるほど…ごちそうにあずかり感謝しています」そう言って湿っぽいきゅうりのサンドウィッチをぱくついた…海水のせいで今一つの食感になっているが、味の方はほどほどに塩気が効いている…

クィーン「ふふ、朝はあまり食べられなかったようですからティータイムがあってよかったでしょう…ですがせっかく来ていただいたのですから、伝統あるイギリスの晩餐に期待していて下さいね?」

提督「ええ、楽しみです……はぁ…」


………

…夕食時…

提督「…見事な装飾ですね」

クィーン「お気に召しました?」


…大広間にはしまってあったらしい銀の燭台や拾い物らしいキャンプ用のランタン、古い木箱を薪に使った暖炉の火が揺らめいて、そこに白や灰色、淡い緑色の地中海仕様の迷彩になった服(甲殻?)をまとった深海棲艦たちがずらりと居並んでいる……クィーンの脇にはもう一人、昼には見かけなかった大柄で高貴そうな深海棲艦が座り、じっと提督を眺めている……岩壁には「ホワイト・エンサイン」(イギリス海軍旗)が掲げられ、きらきらと銀の食器が火に照らされて輝いている…


クィーン「…さぁ、どうぞ」

提督「感謝します……」どこかから手に入れてきたらしい古めかしい白いドレスを着せられ、多少カビ臭い白手袋をつけている提督…食卓につくと目の前に埃をかぶったワインの瓶が置かれ、切子細工のワイングラスに注がれると、年代ものらしい見事な紅色をしたワインが香りを放った…

クィーン「それでは、わが方の勇敢なる「T」級潜水艦、「トーベイ」「タリスマン」がお連れしたイタリア王国海軍のアドミラル…カンピオーニ少将に乾杯いたしましょう……彼女は燃料不足の中、劣勢のイタリア艦隊をもってよく戦いました…今や囚われの身となりましたが、その戦いぶりに惜しみない称賛を与えようではありませんか…それでは、乾杯♪」

深海棲艦たち「「乾杯…!」」

提督「…感謝いたします、クィーン」

クィーン「いいえ。破れた敵とはいえ敬意を表すべきところには称賛を惜しまない…それがロイアル・ネイビー(英国海軍)のやり方ですので……さぁ、うんと召し上がれ」給仕係らしい駆逐艦クラスの深海棲艦が次々と皿の蓋を開ける…

提督「………」深海棲艦の提供するイギリス料理とはいえ、「ごちそう」と聞いて多少は期待していた提督…が、目の前にある料理は見た目からしてかなり衝撃的だった……

提督「これは…その……」

クィーン「イール(ウナギ)のゼリー寄せですね…お取りしましょうか?」灰色のぶるぶるしたゼラチンの塊の中に、ぶつ切りのウナギが散らばっている…

提督「いえ…別のものにさせていただきます……これは…」やはり灰色で、ふくれた風船のようなものを凝視している……

軽巡らしい深海棲艦「こいつはハギスだ…スコッツ(スコットランド人)がよだれをたらす料理さ……食うか?」…牛の胃袋に細切れの臓物やひき肉を詰めて茹でた料理…と聞いていた提督は現物を見てさらに食欲をなくした……隣には固いパンかタルトの底だけを焼いたような「ヨークシャー・プディング」が山ほど置いてある…

クィーン「何か取って差し上げましょうか…?」

提督「え、えぇと……」



66 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/07(水) 03:14:24.69 ID:fQ2G4qtM0
…今日はここまでで、しばらくは提督がイギリスの「ごちそう」に悪戦苦闘する予定です…食べたことがないのにイギリス料理を悪くえがいてしまい申し訳ないですが、深海側の調理が悪かったとか、美食に慣れた提督からの主観が入っていると言うことで……


…あと訂正を一つ…(どうでもいいかもしれませんが)ハギスは牛ではなく羊の胃袋に詰めるものらしいです……どちらにせよ美味しそうには見えないですが…他には「まずい」カレーやローストビーフが提督に出されるイギリス料理の候補になっています、ご期待ください…
67 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/08(木) 01:34:24.99 ID:DJ44GQDx0
軽巡「カヴェンディッシュ」級(改バーミンガム級)「ならローストビーフは…?」

提督「ええ、では数枚下さい…」(ローストビーフなら不味いなんてことはないはず…)

カヴェンディッシュ級「…どうぞ」

提督「センキュー…あむっ……」

カウンティ(州)級重巡「で…どうだ?」

提督「…ごくん……美味しいですよ」(お洒落なソースも飾りもなし、おまけにすっかり脂が抜けきってパサパサだけど…他の物よりはまぁ美味しいわね…)

カウンティ級「そうかそうか…もっと彼女にローストビーフを!」

提督「あ、いえ…」

カウンティ級「なに、遠慮はするな…さようですな、陛下?」

クィーン「いかにも…さ、ワインを注いであげなさい……それともスコッチ・ウィスキーにしますか?」…と、別の席で騒ぎ声が上がる……

見た目の整った深海棲艦「ふざけないでよ、アイルランドの酒がないじゃない!」

同クラスらしい深海棲艦「落ち着きなさい、ベルファスト…ギネスの黒ビールがあるでしょう」

軽巡「ベルファスト」の深海棲艦「ん、ならよし…うぃ……ひっく」適当にハープを奏でつつ詩を口ずさみ、時折周囲の深海棲艦に絡んでいる…

軽巡「エディンバラ」の深海棲艦「やれやれ…」

提督「…」

クィーン「お見苦しい所をご覧に入れてしまいましたね……さ、もう一杯いかがですか」

提督「感謝します…」


…しばらくして…

駆逐艦「チーズをどうぞ…」

提督「ありがとう…ふぅ、何だか暑くなってきたわね……」

…食べ物がどれも絶望的な中でワインとウィスキーだけは上等だったことと、クィーンの杯を断ったらどうなるか分からないこともあって、ついグラスを重ねてしまった提督…晩餐も終わりに近づき、見た目も固さも薬用せっけんそっくりなレッドチェダー・チーズを食べる頃にはかなり量を過ごしていた…

カウンティ級「ふふふっ、貴官はロンドン橋を見たことがあるまい…ビッグ・ベンの鐘の音も!」わめいているのはどうやら重巡「カウンティ」クラスの一グループ「ロンドン」級のネームシップ「ロンドン」のようで、しきりに自慢話を聞かせてくる…

提督「…そうですか。でもロンドンがいかに素晴らしくとも、ローマほど古く美しい都市はありませんよ……何しろイギリスが未開の原野だったころからありますし♪」酔いが回っているせいか、つい切り返してしまう…

ロンドン「…ぐっ」

ベルファスト「ははっ♪…そうだ、いまいましいイングランドの街なんぞアイルランドにはかなうまい……!」

ロンドン「何を…アイリッシュのくせに」

ベルファスト「それのどこがいけないって言うんだい、少なくともここには熱いアイリッシュの魂があるのさ…装甲もペラペラの「重巡」とは訳が違うのよ」

ロンドン級「なにやら…失礼な軽巡ね」

ベルファスト「へぇぇ、ならどうする?」

ロンドン「…余人は手を出すな、さしでケリをつけてやるから……さぁ、どうした?」

G級「あーあ…またイングランドとそれ以外の喧嘩が始まった……酒が入るとすぐこれなのよね…」

提督「ねぇ…そう言えばデザートは何かしら♪」

ベルファスト「え?」

ロンドン「えぇと、そうだな…きっとパウンドケーキだろうが……いったい何が用意されているのか、アドミラルにお答えせよ」

駆逐艦「はっ…パウンドケーキかジャム入りプディングです」

ロンドン「よろしい…ではアドミラル・カンピオーニに持ってくるように」

提督「…良かったら一緒にいかがですか」

ロンドン「あ、あぁ…ではご一緒しようか」

ベルファスト「ふんっ…イングランドのくだらないケーキなんぞ欲しくないわ……アイリッシュ・ウィスキーを持ってきなさい!」

クィーン「…では、余も一切れいただきましょう」

………


68 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/08(木) 02:57:48.74 ID:DJ44GQDx0
…食後・廊下…

クィーン「先ほどは場をしずめて頂いて感謝しております…」

提督「いえ…私も巻き込まれるのは遠慮したいところでしたから」

クィーン「ふふふ…さてと、それでは食後にまたお話を聞かせてもらいましょうか……大広間は彼女たちが飲んでいますから、別の場所で」…そばに控えている軽巡「カヴェンディッシュ」級と一緒に階段を上るクィーンと提督…

提督「はい……っと…」ドレスの裾で足が隠れているせいか目算を誤り、石の段差にけつまずいてクィーンに腕を押さえてもらった提督…ぬるりとした氷のように冷たい手が腕をつかみ、思わず背筋に寒気が走る…

クィーン「…貴女はずいぶんと熱いのですね…まるで焼けてしまいそうなぐらい……」

提督「ええ、イタリアの女は情熱的なのです…」ぞっとするほど感情のないクィーンの目を見て、慌てて冗談めかしたウィンクを投げる提督

クィーン「ふふ…さ、どうぞお入りなさい……下がってよろしい」

カヴェンディッシュ級「…では失礼します、陛下」


…クィーンの部屋…

クィーン「…いかがですか、余の部屋は」

提督「ええ…大変豪華なお部屋でいらっしゃいます」…映画の幽霊船のようにホコリにまみれクモの巣が張っている部屋を想像していた提督だったが、岩をくりぬいたような部屋には立派な執務机、金の六分儀に宝石を散らしたサーベル、それにふっくらと柔らかそうな布団が敷いてある天蓋付きベッドが鎮座していた…

クィーン「さようですか…さてと、それではお話を聞かせてもらいましょう……」灰色のマントを椅子にかけ、白骨のように真っ白な笏と宝石をちりばめたティアラ(宝冠)を所定の場所らしい台の上に置いた…

提督「えぇ…と、どのような話がよろしいですか?」

クィーン「何でも構いませんよ…イタリア王国海軍、地中海の暮らし……貴女のいる司令部の話でも…いずれにせよ、余が信じるにはそれなりの証拠が必要ですが」

提督「ふぅ…ここに連れて来られてからと言うもの、そうしたことは毎日のように説明している気がするのですが……とはいえ私も身体一つで来てしまったので、何か証拠になりそうな物を示すことが出来ないのがもどかしいです…」

クィーン「さようですか…ところで、この写真ですが……」提督があられもない姿になっている合成写真を卓上から取り上げた…

提督「…うわ///」

クィーン「…帰投してきた折にG級から、そなたの艦隊にいる「艦娘」とやらの話を聞きました……どうやら余、あるいは余の部下たちと同じように娘の姿をしていながら、そなたと夜も共にしているとか…どうも聞き違いでもなさそうですが、説明してもらえますか?」

提督「説明…と、言いますと?」

クィーン「つまり…それは指揮官に対する「信頼」と言う意味なのですか?」

提督「ええ、まぁ…それもあります///」

クィーン「それで寝床を共にする…あるいは情を交わす……どうも理解できかねます…」

提督「えぇと…それはつまり……」

…言い回しの難解なイギリス英語と、提督の言うことを信じようとしないクィーンの頑固な態度…まずい食事のせいもあってワインや高級なウィスキー、ブランディと言ったお酒を飲みすぎた提督は、クィーンの取り澄ましている貴族的な様子にいい加減飽き飽きしてカーッとなっていた…

クィーン「…つまり、どういうことですか?」

提督「つまり……こういうことです…っ!」

クィーン「…んむっ!?」

提督「んっ、んんっ…ぷはっ……分かって頂けましたか?」クィーンの青ざめた冷たい唇に自分の唇を重ね、キスを済ませると手の甲で唇を拭った…

クィーン「…なるほど…確かに余の時代にこんなことは滅多にありませんでした……」

提督「…やっと信じてもらえましたか」

クィーン「ええ…それにしてもなかなか大胆ですね……捕虜が敵国のクィーンたる余の唇を奪うとは」かすかに笑みを浮かべて見せるクィーン…

提督「ここまでしないと信じて下さらないのですから…仕方ありません」

クィーン「…とはいえ、貴女は捕虜の身でありながら余の唇を奪ったのです……それ相応の罰を与えねばなりませんね」

提督「あっ…」(罰ね……きっとマストに吊るしたりするつもりなのね…ごめんなさい、ライモン…もう会えないかもしれないわ……)

クィーン「では、刑を申し渡します……もう一度口づけしてみて下さい。どういうものなのか一瞬では理解できかねましたので」

提督「…え?」

クィーン「聞こえませんでしたか?」

提督「いえ、よく聞こえましたが……本気で…?」

クィーン「余に二度も繰り返させるつもりなのですか、アドミラル?…イタリア人は色恋の戦術には優れていると聞きますが、それも敵国向けの宣伝ですか?」

提督「…いいえ、イタリア人は恋も海戦も一流です♪」ちゅっ、ちゅぅっ…♪
69 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/10(土) 02:05:20.17 ID:3w0OVfKG0
…しばらくして…

クィーン「ん…んちゅぅ……ちゅぅぅ…ん///」蒼白な舌から唾液を垂らし、さっきまでの冷たい表情も崩れて目をとろんとさせている…

提督「はぁ、はぁ……どう、なかなか気持ちいいものでしょう…?」(味は…痛みかけた貝類みたい……さっきのイギリス料理といい勝負ね…)

クィーン「いいえ…今が大戦中でない事は信じてもよろしいですが、余が捕虜の小娘ごときにいいようにされるようでは艦隊に示しがつきませんので……そちらこそあきらめて「お得意の」降伏をなさったらいかが?」

提督「あら、そうですか……それなら私も女としての意地をかけて、クィーンがはしたなく喘ぐまでやってあげます…っ♪」

…カビたシルク生地が傷んでいて、あちこちに擦れもある古いドレスの胸元を引っつかむと力いっぱい引き裂く提督…ビリッ…ビビィィ…ッ……と音を立てて生地が破れると、「たゆん…っ♪」と白いもっちりした乳房が弾んだ…

クィーン「…何をなさるつもり……?」

提督「…私の愛がこもった乳房に包まれたら、その皮肉で冷たい態度もどうにかなるかと思いまして…っ!」むにっ…♪

クィーン「んぷっ…んむっ、むぅ……」提督の谷間に顔を埋めさせられ、後頭部を押さえられているクィーン…

提督「はぁぁ…お酒のせいで身体が火照っていたのだけど、冷たい顔が当たって気持ちいいわ……それで、私の谷間はいかが?」

クィーン「…んぅ……むぅ…っ!」頭を押さえつけていた提督の手を振り切り、提督をじっと凝視する…

提督「…で、ご感想は?」

クィーン「……がした」

提督「んっ?」

クィーン「…あ、アップルティーのような甘い香りがしました……余が忘れていた感覚を思い起こさせるような…///」

提督「そう…よかった♪」

クィーン「よくありません…こんな気持ちは国王陛下に仕える者には不要…むしろ判断を鈍らせ、雑念を招きます……こんな感情は一体どうすればよいと言うのです…///」ふいっ…と提督から目をそむけた途端、卓上に置いてあった提督の合成写真が視界に入り、また視線を動かした…

提督「んー…それなら一度、思い切り発散してみたらいかがですか?」

クィーン「そしてそれを「艦隊中に知られてしまえ」と…?」

提督「うふふっ……でしたら私とならいかが?」

クィーン「……物好きにもほどがあるようですが」

提督「いいえ…えっちの事になると急におどおどしているクィーンを見るの……結構愉しいですから♪」

クィーン「…余をおもちゃにしようと言うか……面白い。海戦であろうと夜伽であろうと余は「クィーン・エリザベス」…小娘、そこまで言うならイタリア女らしく余を愉しませてくれるのでしょうね…?」固いコルセットのようになっているドレス、あるいは「殻」を脱ぐと、ぬるりと粘っこい糸を引いた真っ白な身体が出てくる…

提督「…ええ、きっとクィーンがアレクサンドリアでなったように、腰が砕けてベッドに着底することでしょう♪」

クィーン「あとでその言葉を思い出させてあげましょう…!」提督を引きずり、布団に押し倒すクィーン…

………

…数時間後…

クィーン「あふっ、ひぐっ……こんな………はぁぁぁっ…」ギシッ…キシィ……ギィ…

提督「ふふっ……クィーンの指ったら冷たくって、私の花芯もきゅうきゅう疼きました…♪」クィーンの身体をすみずみまでこねくり回し、ぬらぬらした身体をいじくり倒す提督…傷んでいるベッドをきしませながら、甘ったるい笑みを浮かべてクィーンにまたがっている…

クィーン「余は…余はクィーン・エリザベスです……レナウンたちに見つかったら、あなたは八つ裂きにされてもおかしくないのですよ?」

提督「あー…クィーンの隣に座っていた深海棲艦は「レナウン」でしたか…「アーク・ロイヤル」はいました?」

クィーン「余の右側にいた背の高い…んんっ、余の話している時に……」

提督「ふふ…だってクィーンの胸が話すたびにふるふる揺れて……先端は青っぽいのね♪」いたずらっぽい笑みを浮かべ、固い先端を指でピンッ…と弾く提督

クィーン「んんっ…どうして……余がこんな、マカロニの提督ごときに…///」

提督「うふふっ…イギリス海軍はいつも不意打ちには弱いようですから……ね、クィーン♪」にちゅっ…ぐちゅ、ぐちゅ…っ…♪

クィーン「あっ…あ゛あ゛ぁぁっ!」

提督「んふふっ、ほら…腰が砕けてベッドに着底するって言ったでしょう♪」

クィーン「んはぁ、はぁ、はぁ、はぁ…ふぅ、はぁ……」

………
70 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/10(土) 02:55:34.38 ID:3w0OVfKG0
…しばらくして…

クィーン「…余も明日の執務があります。そろそろ部屋に戻りなさい…それと、このことは口外しない事……よろしいですね?」

提督「はい、クィーン…それと、こちらの約束もお忘れなく♪」ぱちりとウィンクをして、びりびりに破いたドレスを取り繕いながら着る提督…

クィーン「余は約束したことは守ります…さぁ、行きなさい」

提督「ええ、それでは…グッドナイト♪」

…廊下…

カヴェンディッシュ級「……部屋に戻るのだな?」

提督「ええ…♪」

カヴェンディッシュ級「…それで」

提督「なぁに?」

カヴェンディッシュ級「……その、陛下があんなになるとは…「情を交わす」とはそんなにいいものなのか…」(陛下があんな獣のような声を…それに何ともみだらな光景だった……)

提督「もう…「下がれ」って言われていたはずでしょう?それなのにのぞいていたの?」

カヴェンディッシュ級「バカを言うな。ただ、陛下のただならぬお声が廊下に聞こえてきて……それで、陛下の身を案じて…」

提督「非力な人間の提督が深海棲艦のあなたたちにかなう訳ないじゃない…それなのにのぞくなんて」

カヴェンディッシュ級「し、仕方あるまい…軽巡は索敵が任務の一つなのだ……」

提督「…キスだけでよかったら」

カヴェンディッシュ級「なに?」

提督「私も疲れたし…キスだけでよかったら、してみる……?」

カヴェンディッシュ級「……では」

提督「了解、それじゃあ…んっ…んっ、んっ……んちゅっ///」

カヴェンディッシュ級「んんっ!?……ん、んんぅ…んはぁ」

提督「どうだった…?」

カヴェンディッシュ級「…お、おかしい……私は地中海艦隊の一隻として、それに「エリザベサン」級ともされるこの級名に恥じぬよう陛下にお仕えし、大英帝国の勝利の日まで任を全うすることこそが本義のはず……なのに…」

提督「愛は任務なんかよりもずっと大事よ?…それじゃあ、着替えて寝るから……ドレスは片づけてもらえる?」

カヴェンディッシュ級「ああ、承知した…」(…今までこの女が着ていたドレスか……)

………

…翌朝?…

提督「うぅ…ん…」妙に肌寒い気がした提督は眠気にあらがって薄眼を開けた…と、なぜか寝巻き代わりに渡されたはずのキャミソールと湿ったブランケットが引きはがされている……その上、数人の深海棲艦が周囲を取り囲むようにして立ち、提督の裸体を食い入るように見つめている…

提督「…え!?」慌てて跳ね起きると毛布で身体を隠した…

駆逐艦クラス「!?」

軽巡クラス「…!」

提督「…ちょっと、どういうつもりなの?」

軽巡「ふん、少しイタ公の身体を眺めてみたくなったのだ…安心しろ、別に取って食ったりはしない……」

提督「ねぇ…もしかしてこの間私の身体がねとねとだったのもそういう訳なの?」立ち上がると腰に手を当てて問い詰めた…

軽巡「…捕虜に答えてやる義務はない」

提督「私とクィーンでお話しする機会はまだまだありそうだけど…今度は何を話題にしようかしら♪」

軽巡「あ、あれは私ではない…駆逐艦の数隻が……だいたい、あの宣伝写真のせいなのだから、そちらにも責任の一端はあるのだ…」

提督「え…あれをみんなで見たの……?」

軽巡「ウェ…ル(えーと…)」

駆逐艦「まぁね…出撃がない時は手持無沙汰だし、ここの酒保には大して買えるものもないから……触ったりした連中はいたってことよ…」

提督「あー、もう…信じられないわ///」
71 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/11(日) 02:30:11.42 ID:5DDzoYWB0
…朝食…

提督「それはそうと…」周囲にそっと視線を走らせる…



…連れてこられた時は敵意を持った視線や「マカロニの捕虜」に対する冷笑をひしひしと感じていた提督…が、この数日は深海棲艦同士で回して見たらしい「例の写真」やクィーンとの「交流」があったせいか、食卓に並んでいる深海棲艦たちの視線が心なしか欲情したような、どこかぎらぎらしたものに変わっている……時折胸やふとももに向けられた視線を感じて、別な意味で危険を感じている提督……


G級「…なにか?」

提督「…いえ」あきらめて食卓に視線を戻す提督…相変わらず縁がチリチリになったハムと、ゴムそこのけに固くなった卵で出来たハムエッグス……そこについている焼きすぎのトーストに煮込みすぎて形もないベイクドビーンズ……おまけに卓上には黒い樹脂のようなものが鎮座している…

ケント級「…あむっ…むしゃむしゃ……」あまり空腹を感じないらしい深海棲艦たちは数日に一度の食事で済むらしく、今朝は三人の重巡「カウンティ」級とC級軽巡グループでも「ケープタウン」級に属する「カイロ」、パース級軽巡「シドニー」、大型の駆逐艦「トライバル」級が数人座っている…

軽巡シドニー「カイロ、それを取ってくんなよ」

C級軽巡「どうぞ」

シドニー「おーし、やっぱり『ベジマイト』がないと始まらないってもんよ…ずずずぅ…」マナーもへったくれもない様子で片脚を上げたまま「ベジマイト」を塗りたくったパンをがつがつと胃に放り込み、イギリス海軍伝統のホットココアで流し込む…

(※ベジマイト…野菜と酵母を発酵させて作るオーストラリア特産のスプレッド。ビタミンが多いらしいが味は「オーストラリア人専用」とのこと……)

提督「………」

G級「…早く食べないと冷めるわよ、アドミラル?」

提督「…ええ」


………

…昼食…

クィーン「今日はインド風昼食ですか、カイロ…見ているだけで「タージ・マハール」が目に浮かぶようです」

カイロ「ありがたきお言葉…どうですか、本場で仕込んでイギリス風にアレンジしたカリーは美味しいでしょう…」

提督「え、ええ……」辛さも今一つで水っぽく、風味もピンとこない不味いカレーを前にげんなりしている提督…仕方なしに濃いストレートティーを飲みながら黙々と食べる…

デリー(D級軽巡)「美味しい、これこそ故郷の味ね…」

クィーン「ふぅ…美味でしたよ、カイロ」

カイロ「恐縮です、陛下…」

………

…夕食…

ロンドン「…さて、我々の捕虜とはいえせっかくの機会ですから…アドミラルには世界の中心地、ロンドンの味を食べてもらわないと」

提督「…」目の前にドシンと置かれた大皿には、種類も選ばずぶつ切りにして焦げそうなほどガリガリに揚げた数種類の魚と、油っぽいポテトフライが載っている…

提督「えーと…これは「フィッシュ・アンド・チップス」でいいのかしら?」

ロンドン「いかにも…高尚な食べ物ではないが、ホワイトホール(イギリス海軍省)に行くまでの小腹ふさぎにと、若手の士官たちもつまんでいたものよ」

提督「…い、いただきます」ひくひくと口もとを引きつらせながら、魚のフライに取りかかる…

ロンドン「どうだ、ロンドンっ子の力の源は?」

提督「…あの、この魚ってウナギ?」ぶつ切りにされたウナギをぬめりも取らずに衣をつけ、すっかり固くなるまで揚げてある……

ロンドン「知らん。とにかく魚を揚げればいいのだからな」

提督「……ちょっといいかしら」

G級「何?」

提督「ここにも厨房とか食料庫はあるのよね?…明日必ずそこに連れて行きなさい。いいわね?」

G級「わ、分かったわよ…ずいぶんな剣幕だこと……」

提督「…ごちそうさまでした、もういいわ……」

ロンドン「そうか、なら私が……んぐ…何だこの魚は、えらくマズイな……」

提督「あー…きっとそう言う魚なんでしょうね…」(…ウナギを「フィッシュ・アンド・チップス」に使うからでしょうが…やっぱりイギリスの深海棲艦はセンスもイギリス流なのね…きっと永遠に分かり合えないわ……)

………
72 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/12(月) 02:29:44.84 ID:K8G9/ZQi0
…翌日…

提督「それじゃあ昨日言った通り、厨房に案内してもらうわね」

G級「全く、捕虜のくせにいちいち面倒な事を……せっかくクィーンが許可してくれたのだから、脱走を試みたりしないことね…」

提督「はいはい…どのみち出口の場所も知らないのに脱走も何もないわ」肩をすくめて案内されるままに廊下を進む提督…

G級「ほら、ここよ…」

提督「えーと…なにこれ……」

G級「厨房よ。私たちはそんなにお腹もへらないし、これだけあれば充分なの…」


…洞窟の一角にある「厨房」の天井には煙突のような空気穴が抜けていて、提督の目の前で数人が何かを作っている……が、置いてある厨房用具は岩の張りだしの上に置いてあるまな板らしい板切れとナイフ数本、明らかに拾い物のアルミ鍋とフライパンがいくつか…水道代わりにちょろちょろと流れている水をためている隅っこのドラム缶、それに海岸から流れてきた…あるいは捨てられたものを拾ったかしたキャンプ用のグリル台と、暖炉のような直火の調理台だけしかない…


提督「…」

G級「で…ご感想は?」

提督「とりあえず使える道具の種類は分かったわ…今度は食料庫に案内して?」

G級「はぁ、面倒ね……出来上がったら私にも分けるのよ?」

提督「ええ、これは相当頑張らないといけないわね…」


…食料庫…

G級「で、こっちはどう?…マカロニの提督ならきっとすごいものが作れるわよね」

提督「ええ、そうね…」相変わらず皮肉な言い方は変わらないG級をよそに、提督は箱や缶詰の間にしゃがみこんで周囲をごそごそとかき回している……まず拾い上げたのは難破した貨物船あたりから回収したのか、外箱がすっかり壊れているスパゲッティの青い袋…

提督「これでとりあえずパスタが作れるわね、後は…んー……あ、トマト缶♪」賞味期限は明らかに数年前ながら「まだどうにかなりそう…」と、拾い上げて小脇に抱える…

G級「持っててあげるわよ…」

提督「ありがと♪……それに…わ、アンチョビがあるわ♪」しゃがみこんでアンチョビの缶を拾い上げる…

G級「ふぅん…艦隊指揮はからっきしなのに、イタリア人って言うのは料理の事になると手際がいいのね」

提督「かも知れないわね…あとは……」G級のイヤミに生返事をしながら缶詰や瓶詰を選び取る…

提督「…うん、これでどうにかなりそうね♪」

G級「あらそう、よかったわね…」

提督「ええ、ようやく人間の食べるものが食べられるわ…♪」途端にきゅぅ…とお腹が鳴る……

提督「もう、私のお腹ったら素直だこと…///」

…厨房…

提督「さてと…♪」与えられたよれよれのキャミソールを着ている提督は手を洗うと、深海棲艦に鍋を借りた……漂着物の拾い物らしい鍋は「取っ手が取れる」が売りのフランス製でもないのに柄が行方不明で、おまけにあちこちへこんでいる…

提督「…まぁいいわ、とにかくお湯を沸かしましょう♪」…久しぶりにまともな料理が食べられそうとあって、うきうきした様子の提督…深鍋にお湯を沸かしつつ、塩を小さじ二つほど入れる…

提督「それから…と♪」

…これもずいぶんゆがんでいるフライパンにオリーヴオイルを注ぎ、赤唐辛子と刻んだニンニクひとかけを入れて温める……赤唐辛子の辛さは油に溶け出すので焦げやすいニンニクよりも先に入れ、じっくりと風味を出していく…しばらくしてニンニクがカリカリといい音を立てはじめたら、食料庫にあったアンチョビの缶詰に黒オリーヴの輪切り、ケイパーの塩漬けを入れて木べらでほぐしていく…

深海棲艦「…ふんふん」冷たい表情は相変わらずながら、興味深そうに香りを嗅ぐ数人…

提督「んー…いい香り♪」

…ほど良くほぐれたアンチョビと黒オリーヴの所にトマト缶を空け、焦がさないよう注意しながら濃い赤が鮮やかな柿色になるまで火にかける……最後に茹で上がったスパゲッティを絡めて黒胡椒を振ると、恍惚の表情を浮かべながら香りを胸いっぱいに吸い込み、さっと大皿に盛りつけた…

G級「へぇ…それで、この料理の名前は?」

提督「スパゲッティ・アッラ・プッタネスカ(娼婦のスパゲッティ)…「水商売のお姉さんが活力を付けるために作った」とか、そう言うお姉さんたちと同じで「たまにならいいけど毎日だと飽きるから」とか言われるナポリの味よ……あぁ、空腹にはたまらない香りね♪」

G級「椅子ならここにあるわよ…」古いオレンジの木箱を持ちだしてきた…

提督「ありがとう。それじゃあさっそくいただくわね……んーっ、美味しい♪」身もだえしながらスパゲッティを口に運ぶ提督…

G級「…ごくっ」

深海棲艦「…」

………
73 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/13(火) 01:59:32.89 ID:FWz1EF2O0
…そのころ・提督の実家…

チェザーレ「うむ、了解…大佐どの、改めてカンピオーニからもお礼を贈らせていただきます……それでは」受話器を置くと肩を回した…

ライモン「…チェザーレさん、まだ提督の行方について手がかりはなしですか?」

チェザーレ「うむ…提督の手帳にあった名前からラ・スペツィア、ナポリ、サルデーニャ島のカリアリ…シチリア島のアウグスタとメッシーナ…イオニア海管区のレッジョ・ディ・カラーブリア、タラント……もしかしたらアドリア海方面に誘拐されたかもしれぬからブリンディシとヴェネツィアにも電話はかけた……後はパレルモ航空隊のアントネッリ中佐は提督の「親しいお友達」なのでな、色々調べてくれたぞ」

ライモン「なのにかいもく見当がつかないなんて…いったいどこにさらわれてしまったのか……うぅ、きっと今頃深海棲艦に取り囲まれてあれこれと厳しい尋問を受けているに違いありません…」

チェザーレ「まぁ落ち着け、ライモンド…提督はなかなか頭の回転が速い。きっと脱走の機会をうかがうか、さもなければここに返してくれるように深海の連中に掛け合っているはずだ……それにあの提督に限って愛しい女性を悲しませるような事をする訳があるまい。違うか?」

ライモン「…そ、それはそうですが///」

チェザーレ「そうであろう?……それにさっきムツィオが手伝っていたからな、そろそろあのナポリ鎮守府のカント水偵が離水できるはずだ…行ってその目で捜索してくるといい」

ライモン「はい。それでは留守をお願いします」

チェザーレ「任せておけ。…必要ならこのチェザーレが賄賂だろうが何だろうが用意してみせるから、後ろにローマ軍団が付いているつもりでいればいい」ポンと肩を叩き、口元に笑みを浮かべて見せた…

クラウディア「…必要なものがあったら何でも言ってね?」

シルヴィア「もし銃がいるようならいくらでも出してあげるから、そう言いなさい…あと、これ」装填済みのベレッタ・M1938短機関銃を渡した…

ライモン「これは?」

シルヴィア「お守り代わりに一応……「ウサギの脚」よりは効果があるでしょうし」

ライモン「ありがとうございます…それでは、しばらく上空から探してみます」

アッテンドーロ「姉さん、水偵の準備が出来たって」

ライモン「分かったわ…それでは、上空から捜索してみます」…ライモンは短機関銃を肩にかけると岸辺に着水している三発エンジンのフロート機、カントZ506「アイローネ」(※Airone…アオサギ)の後部席に乗り込み、しばらくするとカント水偵は浜辺に砂と波を巻き上げて離水していった……

チェザーレ「…提督、もし戻ってこなかったらライモンドに代わってチェザーレが怒るぞ……?」

………

…一方・深海棲艦の洞窟…

G級「…んむ……んむっ…まぁ美味しいんじゃないの?」提督にパスタを分けてもらうと勢いよく食べ、口の端にトマトの汚れまで付けていながら辛口の評価を下す…

ケント級重巡「ふむ、なかなか美味い…」一方の重巡「ケント」級はさすがの貫録で、無表情ながら一応感心したような声を上げた…そのうちにいい匂いに誘われたのか、次々と厨房に姿を見せる大小の深海棲艦たち……

提督「ふぅ…まさかせっかくの夏季休暇を深海棲艦の司厨長として過ごすになるとは思ってもみなかったわ……」次々と顔を出してくる深海棲艦たちに汗だくで「スパゲッティ・アッラ・プッタネスカ」をごちそうする羽目になっている提督…

クィーン「…何事ですか」

C級軽巡「…陛下、このような場所にまでお越しになるとは……お気遣い、痛み入ります」

クィーン「余はあらゆるものに目を通さなければなりませんから。で、何をしているのですか…アドミラル?」

提督「えぇ…と、料理を作っておりました……良かったらいかがですか、クィーン♪」

レナウン(巡洋戦艦)「陛下に対してそのような口を利くなんて失礼よ…?」

クィーン「よいのです、レナウン…イタリア人の捕虜なのですから、礼儀を知らずとも致し方ないでしょう……?」さりげなく失礼なことを言うクィーン…

提督「む……クィーン、これは『娼婦のスパゲッティ』などと申す一品で、はなはだお口汚しかと思いますが…よろしければお召し上がりになられますか?」

クィーン「…そうですね、それでは味見程度に頂戴いたしましょう……」さっと用意された椅子に軽く腰掛け、ほんの少しだけパスタを巻きとって口に運んだ…

提督「…」

クィーン「……なかなか美味しいではありませんか」

提督「感謝します、クィーン」

クィーン「いいえ…ところでアドミラル」

提督「はい」

クィーン「あとで話がありますから、余の部屋へお越しいただければと思います……それでは…」しゃなりしゃなりと優雅な歩みで出ていくクィーン…

提督「…分かりました」(…まさか「『娼婦のスパゲッティ』なんて言うものを食べさせて、無礼だから処刑する」とかじゃないわよね……)

74 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/13(火) 02:45:06.18 ID:FWz1EF2O0
…しばらくして・クィーンの部屋…

G級「連れて参りました、陛下」

クィーン「ご苦労様です…下がってよろしい……」

提督「…それで、私にどのようなご用でしょうか?」

クィーン「ええ…実を言いますと、そろそろアドミラルにはお帰りになって頂きたいと思っているのです……」

提督「そうですか」(ふぅぅ…これでようやくライモンに会えるし、深海棲艦の作るイギリス料理ともおさらば出来るわね♪)

クィーン「はい……この一週間ばかりアドミラルを「捕虜」とはいえ我が方でもてなしておりましたが、あまりアドミラルにいられると余の部下たちに悪影響があると考えているのです…したがって、余はアドミラルを数日中に潜水艦に乗せてお返しするつもりです……」

提督「悪影響ですか…「あまり美味しいイタリア料理を食べさせるな」という訳ですね♪」

クィーン「ふふ……それもありますが、アドミラルもお気づきでしょう…彼女たちの態度を」

提督「…と、言いますと?」

クィーン「アドミラルの写真を回しては色欲を覚えている者たちがいるのですよ…なかなか刺激的な写真ですから……」

提督「あ、あれは…その…///」(もうあちこち触られたりしているけど…)

クィーン「…存じております。とにかく余は地中海での勝利のために戦っているのですから、イタリア料理や数枚の写真のせいで戦意を失ったり、集中を乱されては困ります……それに、なかなかあのG級を手厚くもてなしてくれたそうですから、その礼として解放することに決めました……ついてはこれを」一枚の便せんとペンを差しだした

提督「…これは?」

クィーン「受け渡しに際して余の部下を攻撃しないようアドミラルの艦隊に伝えるのです…さぁ、お書きなさい」

提督「はい……これでよろしいですか?」

クィーン「よろしい…余に嘘をついていればわかりますから。では、どうぞお戻りなさい……」

提督「はい、クィーン」(…あぁ、やっと太陽の下に戻れるのね♪)

クィーン「それと言っておきますが、ここにも日の当たる場所はありますよ…」

提督「…え?」

クィーン「…聞かれませんでしたから余も言いませんでしたが、廊下の石段を登って行けば見張り台があります……」

提督「…では後で日光浴をさせてもらいます」

クィーン「ええ、ご自由に…」

………

…その日の夜・カンピオーニ家の海岸…

ライモン「…ふぅ」青っぽい明るい月を眺めながらため息をついているライモン…横には提督にもらった豪奢なナイトガウンを羽織ったチェザーレが立っている……

チェザーレ「ライモンド、今日はもう疲れたろう…もう休むことだ」

ライモン「ええ……ですが提督もどこかであの月を見ているかもしれないと思うと、なかなか戻れなくて…」

チェザーレ「うむ、気持ちは分かるが……ん?」ふと視線を落とし、波打ち際に揺れている瓶を見つけたチェザーレ

ライモン「どうしました?…あ、瓶ですね……中に何か入っています…」

チェザーレ「うむ、手紙のようだが……ちょっと待て、ライモンド。この字は提督のものではないか?」

ライモン「!?」慌てて瓶の外から見える字を月明かりにかざす…

チェザーレ「どうだ?」

ライモン「…はいっ、間違いありません!……ムツィオ、クラウディアさん、シルヴィアさん!」瓶をしっかり抱えると、家に通じる小道を駆け上がっていく…

チェザーレ「…ふふ。それにしても、さすがチェザーレたちの提督よ…「瓶に入った手紙」とはなかなかロマンティックではないか……ライモンド、そう慌てると転んでしまうぞ?」ライモンの後を追って小道を上るチェザーレ…





75 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/13(火) 11:14:23.51 ID:FWz1EF2O0
…居間…

アッテンドーロ「…それじゃあ姉さん、内容を読んでよ」

ライモン「ええ……「愛しのみんなへ…」もう、こんな時にまでこういうことを言うなんて提督らしいですね///」

シルヴィア「ふふ、それだけ愛されているのよ」

ライモン「///」

アッテンドーロ「で、続きは?」

ライモン「ちょっと待って…「今、深海棲艦たちの巣窟の中でこれを書いています。ずっと太陽の見えない場所にいたので何日経っているのかもわかりませんが、とりあえず身体に問題はありません…どうやら深海側は、以前の作戦で鎮守府が「捕虜」にした「G」級の扱いに感謝し、お礼を言いたかったようです」…と書いてあります」

チェザーレ「全く。深海棲艦の奴ばら、いらぬところで律儀な真似を…心配で夜も眠れなかったというのに……」

ライモン「えーと…「とりあえず数日中に帰してくれるそうなので、私を乗せた深海棲艦を攻撃したりしないよう手はずを整えておいてください。搭乗するのはおそらく深海側の潜水艦「T」級になるはずです…」ですって!」

クラウディア「まぁまぁ…フランカが無事でよかった、うんとごちそうを用意しないと♪」

アッテンドーロ「じゃああのふざけた連中を沈めたりしないように準備しないとね…チェザーレ、また電話することになりそうですね?」

チェザーレ「提督が無事に帰って来るなら電話くらいお安いものだ…他には何か書いてあるか?」

ライモン「はい…「みんなにうんと心配をかけた分、休暇の残りは好きなだけわがままを聞いてあげるつもりでいます…とにかく無事にみんなに会うこと、それと温かいお風呂、美味しい食事が待ち遠しくてなりません」…だそうです」

クラウディア「ふふ、そうだろうと思ったわ♪」

シルヴィア「ふぅ…これでようやく安心して過ごせるわね」提督のいない間寂しげに鳴いていたルチアの頭を優しく撫でる…

ルチア「クゥーン…?」

………

…数日後・深海棲艦の洞窟…

クィーン「…数日前に申し上げた通り、準備していた捕虜返還の手続きが整ったので…本日をもってアドミラル・カンピオーニをイタリア側に返還することとなりました……」

タリスマン「それは残念だ…せっかく捕虜にしたのに」提督の側に座っている「タリスマン」がぼやく…

トーベイ「仕方あるまい……まぁまた捕虜にすれば良いではないか。わが軍はこれまでもイタリアの将官など網ですくえるほど捕えているのだから」

提督「…陸軍はともかく、海軍は別よ?」

クィーン「皆、静かに。それでは乾杯するとしましょう……アドミラル」

提督「あぁ、はい」グラスを持って立ち上がった…

提督「えーと…なにはともあれ、イギリス地中海艦隊のもてなしに感謝しております。少なくとも今回は砲弾ではなくウィスキーでしたから」提督の冗談にそこそこ笑いらしいものが漏れる

提督「それでは、お互いに武運長久を願って…げほっ、ごほっ!?」グラスを持ち上げ透明な液体を一気に流し込んだ提督…と、カッとするような味が喉を焼いた……

ベルファスト「…へへっ、うまくいった」数人が底意地の悪い笑みを浮かべている…

提督「…なに、これ……!?」

クィーン「…三倍量(トレブル)のジンに純アルコールを数滴……そうでしょう?」

ベルファスト「ええ、クィーン…どう、アドミラル。ダイナマイトでしょう…?」小さいハープを片手にイェーツの詩か何かを口ずさんでいる…

提督「うぇぇ…ひどい味……」顔をしかめている間にも意識がぼんやりして、目の前が揺らぎ始める提督

クィーン「…余も出口の場所を見られるのは好ましくありませんので……許しなさい、アドミラル…」今度はいきなり背後から目隠しをされ、ひょいと誰かに持ち上げられた…

提督「えっ、もう出発ですか…?」

クィーン「いかにも…それでは、よい航海を……」

提督「うぅ…ん」…急に持ち上げられたりしたせいでアルコールが回り、ふっ…と意識を失くした提督

クィーン「それでは頼みましたよ…」

トーベイ「了解…トーベイ、出撃します」

………
76 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/15(木) 01:17:59.12 ID:8UcHvThF0
…数日後・深夜…

ライモン「それにしても…深海棲艦たちは本当に約束を守ってくれるでしょうか?」ざぁぁ…っ、と波音だけが響く浜辺に立って合図の懐中電灯を持ち、不安げな表情のライモン……

チェザーレ「…ブリタニアの二枚舌が信用できないか、ライモンド?」

ライモン「ええ…いきなり提督をさらっていくような相手ですし」

アッテンドーロ「まぁね、姉さんの言うことも分かるわ。でもわざわざ瓶入りの手紙まで送りつけておいて「嘘でした」って言うことはないんじゃない?」

ライモン「うん…わたしもそう思うけど……」

アッテンドーロ「じゃあ姉さん、合理的に考えてみましょうよ…私たちに提督を返すふりをすることで、あちらさんが何か得をすることがある?」

ライモン「うーん……わたしたちがショックを受けるとか」

アッテンドーロ「それだけならこんな回りくどいことなんてしないわよ…ね?」

ライモン「そう言われてみればそうかも…でも提督が戻って来るまでは安心できないわ」

アッテンドーロ「まぁね……って姉さん、あれ!」…沖合に浮上した潜水艦のぼんやりしたシルエットが霞んで見え、豆電球のようなぽっちりした明かりが点滅した

チェザーレ「合図で間違いないようだ…ライモンド」

ライモン「は、はいっ…!」懐中電灯を点滅させ、合図を返す…

チェザーレ「…さて、どこから来るのやら」

ライモン「そうですね……あ!」浮上した潜水艦とは別の方向から一隻のゴムボートが近づいてきて、砂浜に乗り上げると誰かが降りてきた…

タリスマン「……捕虜の返還に来た」

ライモン「…提督、提督っ!」

提督「…」くしゃくしゃで染みだらけになったナイトガウンを羽織り、タリスマンに担がれてきた提督…

アッテンドーロ「…提督におかしな真似はしていないでしょうね?」

タリスマン「ああ…少し気を失っているだけだ、すぐ回復する……それと…」

チェザーレ「何だ?」

タリスマン「陛下からのアドミラル宛ての親書がある…後で渡してもらいたい」

チェザーレ「うむ、なら受け取っておく…これでよいな?」

タリスマン「結構だ……では失礼する、次に見るのは照準器越しだろうな…」

アッテンドーロ「それはこっちの台詞よ…もう用はないからとっとと海の底にでも帰りなさい」

タリスマン「言われなくとも……それでは…」ゴムボートを押して浜から出すとひらりと乗り込み、そのまま沖合に消えて行った…

チェザーレ「なかなか素早かったな…ところで提督は?」

ライモン「いま起こしています……提督、提督っ!」

アッテンドーロ「ちょっと、本当に無事なんでしょうね……」

提督「…う、うぅん……」

ライモン「提督…っ!」抱きついて砂浜に押し倒し、あたり構わず身体中にキスを見舞いつつ涙をこぼした…

提督「…ただいま、ライモン……泣かないで、ちゃんと私は戻ってきたわ…ん、ちゅ…っ……」提督は綿のように疲れ切っていたが、それでもライモンにキスを返し、アッテンドーロとチェザーレにもうなずいた…

ライモン「あぁ、よかった……本当に心配で心配で…わたし、どうにかなっちゃいそうでした……」

アッテンドーロ「本当よ、まったく…姉さんったら自分を責めるわ、艦隊のみんなに電話をかけようとしたりで、もう大変だったんだから」

チェザーレ「まぁ、何はともあれ「終わりよければすべてよし」と…しかし、よく返してもらえたものだな?」

提督「あー…うん。それがどうも、私が料理を作ったり現代の事を色々教えたりしたら「戦意高揚の邪魔」になるって思ったみたい」

チェザーレ「なるほど…確かに美味い物を食って、恋だの愛だのを知ったら深海暮らしなどやってられんだろうからな……」

提督「ええ、そう言うことだったみたい……ライモン、んーっ♪」

ライモン「はいっ…ちゅぅぅっ……んっ?」

提督「…どうかしたの?」

ライモン「…何だか今日の提督は変な味がします……もしかして深海棲艦ともしたんですか?」

チェザーレ「あー…ところで提督よ、ひどく磯臭いな……クラウディアが風呂を沸かしているはずだから、汚れを落としてさっぱりしたらどうか?」

77 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/15(木) 01:58:20.73 ID:8UcHvThF0
ライモン「むぅ…チェザーレさん、わざとですか?」

チェザーレ「何がだ、ライモンド?…とにかく提督を家まで運ぶのが先決ではないのか?」

ライモン「あっ、そうでした…提督、わたしにつかまって下さい」

提督「うん、ありがとう……よいしょ…」むにゅ…と提督の柔らかい乳房が背中に当たり、頬を赤らめながら肩を貸すライモン……


…カンピオーニ家・玄関…

ライモン「よいしょ…ここまでくればもう大丈夫ですね?」

提督「ええ、チェザーレも、ムツィオもありがとう…ちゅっ♪」

チェザーレ「…なに、愛しい提督のためならこのくらい構わぬよ♪」

アッテンドーロ「ええ…姉さんにばっかりキスしてるから、私たちの事は忘れているのかと思ったわ」

提督「ふふ、そんな訳ないでしょう…」と、玄関先にシルヴィアとクラウディアが立っていて、足下に寄り添うようにルチアも座っていた……

クラウディア「…フランカ!」

提督「ただいま、お母さ…んむっ!」いきなり抱きつかれ、甘い匂いのする胸元に顔を押し付けられる提督…

クラウディア「もう、無事でよかったわ…怪我はない?…お腹が減ったでしょう。お風呂も準備してあるわ…それより一晩寝たいかしら?」

提督「んー…んーっ……」

シルヴィア「いいけど、とりあえず放してあげたら?…フランカが窒息するわよ」

クラウディア「あら、いけない///」

提督「ぷはぁ……改めて迷惑をかけてごめんなさい、お母さま、シルヴィアおばさま…でもどうにか無事で済んだわ」

シルヴィア「いいのよ、ちょっとぐらい迷惑をかけるぐらい……クラウディア、これでようやく安眠できるわね?」

クラウディア「ええ。ところでシルヴィア…私、安心したら人肌が恋しくなっちゃったわ……///」

シルヴィア「はいはい、まずはフランカの面倒を見てからね」

ルチア「ワンワンワンッ…!」尻尾をちぎれそうな勢いで振り、提督に飛びつくルチア…

提督「あー、よしよし…ごめんね、ずっと心配させて」

ルチア「ワフワフッ…♪」


…しばらくして・浴室…

提督「…あいたた」洞窟の中で過ごしていたせいか、あちこちに擦り傷やちょっとした切り傷を作っていた提督…後ろからライモンに洗ってもらいながら、痛みに顔をしかめている…

ライモン「大丈夫ですか?…深海棲艦たちに拷問とか、ひどい目に合わされたりしませんでしたか?」

提督「拷問はなかったけれど、ひどい目にはたびたびあったわね…」

ライモン「一体どういう目にあったんですか、提督?…今度深海棲艦を捕まえたら同じ目にあってもらいますから」

提督「ありがとう、ライモン…気持ちは嬉しいけど、イギリス料理じゃ深海棲艦には効果ないでしょうね」

ライモン「えっ?…あー、イギリス料理を食べさせられたのですか……」

提督「ええ、出来るものなら二度と経験したくない味だったわ…あっ、そこ気持ちいい……あふっ♪」優しく谷間を撫でるライモンの手に甘い吐息をもらす…

ライモン「も、もう…あんまり甘い声を出さないで下さい……提督?」

提督「すぅ…すぅ……」

ライモン「あ、寝ちゃいましたか……仕方ありませんね…」そっと残りの部分を洗うと優しくタオルで拭き、寝室のベッドまでお姫様抱っこで運ぶ…

提督「…んぅ、ライモン……」

ライモン「はい、わたしはここですよ…///」そっと服を脱ぐとベッドにもぐりこみ、お風呂上がりでまだ暖かい提督の身体にぴったりと寄り添った…

提督「んふふ……すぅ…」

………
78 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/15(木) 03:32:14.30 ID:8UcHvThF0
…思っていたよりずっと時間がかかってしまいましたが、これで「提督が深海棲艦に捕まる」ネタは完了ですね…

…ちなみに深海棲艦たちのモデルになった艦はそれぞれ……


戦艦…クィーン・エリザベス級

第一次大戦時の最新鋭高速戦艦。四隻の計画であったが英領マレーからの献金で建造された「マレーヤ」を含む五隻に。第一次大戦時には史上最大の海戦「ジュットランド海戦」などに参加し奮戦。
第二次大戦に際しては「長門」型のような舷側副砲を廃止して4.5インチ(11.4センチ)連装高角砲の搭載など近接対空火力増強の改修、一本煙突化による甲板の有効利用、ウォーラス水偵の格納庫を増設するなど航空艤装の強化を受け、ノルウェイ、地中海、インド洋と転戦。特に「ウォースパイト」の活躍が有名


巡洋戦艦…リパルス(レパルス)級

第一次大戦時の第一海軍卿(海軍司令長官)フィッシャー海軍卿の肝いりで建造された巡洋戦艦の一つ。

帝政ドイツ海軍の巡洋艦を捕捉・撃破できる火力と29ノットと言う高速を求めた分装甲は薄かった…が、ジュットランド海戦では戦艦隊到着までのつなぎ、あるいは高速戦艦の扱いを受けてドイツ主力艦隊と交戦。数隻が火薬庫の引火で轟沈するなど防御面の不足が目立ち、第二次大戦前に舷側装甲や航空艤装の追加など数々の近代化改修を受けている。

リパルスは極東艦隊の一隻としてマレー沖海戦に参加、「プリンス・オヴ・ウェールズ」と共に一式陸攻や九六陸攻の猛攻を受け戦没したが、その優れた指揮と高速で多くの魚雷をかわしてみせた。一方、二番艦の「リナウン」は本国艦隊や地中海艦隊などを歴任し無事に退役。


重巡…「カウンティ」(州)級

ワシントン条約の範囲内で七隻を建造した「ケント」級、その改良型で四隻建造の「ロンドン」級、最終型として二隻建造された「ノーフォーク」級と、「ロンドン」をのぞいていずれもイギリスの州から名前を取っている8インチ(20.3センチ)砲重巡。

広大な植民地警備のため安くて小型の軽巡を多数整備したイギリスながら、敵の軽巡や仮装巡洋艦を撃破するため8インチ砲を搭載し、長い航続距離を持つ重巡として整備したクラス。
通商ルート保護のための遠距離航海が多くなることを想定していたため居住性や航続距離はよかったが、予算や隻数の都合で「一万トン以内」に押さえようとしたことから防御を削り、重巡でありながら舷側装甲が25ミリという弱体な艦に…第二次大戦前にそれぞれ対空火器や装甲の増設を行っているが、どの艦もバランスが悪かったり、後発組だった日米独伊などの重巡に比べて能力が劣るので評価自体はあまり良くない

スピットヘッド観艦式で日本の「足柄」と比較され、「客船」などと言われたのもこのクラス


軽巡…「C」級

第一次大戦から似たような艦を連続して建造していたイギリス「C」級軽巡のうち、第二次大戦に投入された「カレドン」級四隻に「シアリーズ」級五隻、「ケープタウン」級五隻。

4000トン余りの小ぶりな艦に6インチ(15.2センチ)単装砲をおおよそ5基、21インチ(53.3センチ)連装魚雷発射管4基と言った火器を搭載していた…が、第二次大戦時には旧式化していたため、当時は珍しい防空軽巡として改装、各国海軍の注目を浴びた。特に陸が近く空襲の激しい地中海方面に投入されて多くが戦没している


軽巡…「カヴェンディッシュ」(改バーミンガム)級

第一次大戦にイギリス海軍を振り回した仮装巡洋艦や通商破壊任務を帯びた艦を捕捉・撃破するために整備された巡洋艦。一万トン近い大柄な艦形に敵艦をアウトレンジ出来る7.5インチ(19.1センチ)砲を7基搭載し、速度も30ノットに届こうという強力な「軽巡」……だったが、第一次大戦後の海軍軍縮条約で「6インチ砲以上の艦」と言うことで「重巡」扱いを受けたり、大型の船型から何かと実験に使われ、ネームシップの「カヴェンディッシュ」が一時期空母「ヴィンディクティブ」になったりと忙しかった…第二次大戦では対空火器を増強して船団護衛などで活躍


クラス名もネームシップから「カヴェンディッシュ」級、二番艦から「ホーキンズ」級、軽巡「バーミンガム」級の改型と言うことで「改バーミンガム」級、エリザベス一世時代の提督名から来ていることから「エリザベサン」級などとさまざま…


軽巡…「エディンバラ」級

町の名前を冠した戦前の新型軽巡「タウン」級の最終グループで、「エディンバラ」と「ベルファスト」の二隻。

竣工が1939年と第二次大戦勃発時には最新鋭艦で、三連装6インチ砲を四基搭載した一万トンクラスの堂々とした軽巡。公称32ノットと言う速度に甲板防御、舷側防御を増した船体はマルタ島を救援する輸送船団の護衛役として最適だった。ネームシップ「エディンバラ」は戦没したが、「ベルファスト」は戦後も生き延び、テムズ川で記念艦になっている


ちなみに深海棲艦「ベルファスト」が竪琴を持っているのは1586年に「アイルランドのシンボル」としてエリザベス一世が選んだ「ブライアン・ボル・ハープ」という竪琴から…モデルの竪琴はダブリンの「トリニティ大学博物館」にあるということで、アイルランド生まれのビール「ギネス」にも描かれている…





79 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/15(木) 17:20:11.82 ID:P/qRRQWGo
80 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/16(金) 01:47:49.79 ID:wqApxChN0
…翌朝…

提督「…ん、んんぅ……朝の光が眩しいわね」一週間近くもの間、ずっと洞窟のような場所にいたせいか日差しが目を射る……目を細めてサングラスを探す提督…と、ベッドで寝息を立てている可愛らしいライモンの姿が目に留まった…

提督「…♪」いたずらっぽい笑みを浮かべると化粧台をから何かを取りあげてライモンに近づき、それから下の階に下りて行った……

…食堂…

提督「おはよう。お母さま、おばさま…それにチェザーレ♪」ちゅっ…と頬にキスをすると、食卓についてコーヒーと新聞を取った…

チェザーレ「うむ、おはよう…この何日かはチェザーレはなかなか寝つかれなくてな、昨夜は泥のように眠らせてもらった……アッテンドーロもまだぐっすり眠っているぞ♪」

提督「ごめんね…心配をかけたわ」

クラウディア「いいのよ、フランカが無事に戻って来ただけで充分…はい、朝ご飯よ♪」

提督「ありがと、お母さま♪」

シルヴィア「ま、いい刺激になったわね…」

提督「ふふっ…おばさまったら♪」

ライモン「…ふわぁぁ……提督、こちらでしたか…おはようございます♪」珍しく寝ぼけまなこで下りてきたライモンは、左右の頬にキスをしてから食卓につこうとする…

チェザーレ「ほう…なかなか大胆だな♪」

クラウディア「あらあら…うふふっ♪」

シルヴィア「へぇ…」

提督「…くすっ♪」

ライモン「あの……わたしの顔に何かついてます?」

チェザーレ「ふふふ、鏡を見てみるといい…♪」手鏡を差しだすチェザーレ

ライモン「…鏡ですか…って、あぁっ///」ほっぺたに濃い紅のルージュでキスマークが付けられている…

提督「くっ…ふふっ、あははっ♪」

チェザーレ「ははははっ、傑作だ♪」

ライモン「も、もう…提督がさらわれてからというもの、わたしが寝ずに頑張っていたのにこのいたずらですかっ……///」

チェザーレ「と、口で言う割にはにやけているな…♪」

クラウディア「もう、フランカったら……ほら、ライモンちゃん。メイク落としを貸してあげるから…」

ライモン「…そ、そうですね……でも少しもったいないような///」

シルヴィア「ふぅ…朝から甘いわね……」


…食後…

提督「はぁぁ…美味しかったぁ……幸せ…♪」

クラウディア「うふふ、お昼にはフランカの好きなものをいっぱい作ってあげるから…ね♪」

チェザーレ「うむ、無事に戻ってきたお祝いという訳だな…ところで……」名前が並んでいる紙を渡される…

提督「なぁに、これ…みんな私の知り合いばっかりだけど?」

チェザーレ「いかにも…このリストに書いてあるのは提督が連れ去られてから情報を聞き出したり、「損傷を与えた敵潜の撃沈確認」と言う名目で手を借りた軍のお知り合い方だ」

提督「こんなに聞いて回ってくれたの……本当にありがとう…///」

チェザーレ「うむ…が、間違っても公にすることも出来ぬ事ゆえこの方々には本当の事情は伏せておき、その上で「提督からの個人的な頼み」と言うことにして聞き出したのだ……つまり、「見返り」が必要という訳だな」

提督「…え、ちょっと待って」

チェザーレ「…夏季休暇の残り数日はプレゼントの購入とお礼の電話にかかりきりになってもらうのでな、よろしく頼むぞ…♪」

提督「…うぇぇ」
81 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/18(日) 01:46:25.00 ID:JBRTlGme0
…夏季休暇最終日…

提督「はぁ…ふぅ……ひぃ…」暑い夏の最中にランチアと自宅を往復する提督…隣にはシルヴィアのオープンクーペ、綺麗なイタリアンレッドの「アルファロメオ・ジュリエッタ」が停まっていて、クラウディアもリボンやおしゃれな包み紙に包まれた贈り物をトランクから降ろしている……

チェザーレ「やれやれ…これでようやく全部用意できたな」

アッテンドーロ「私たちに心配をかけたんだから、そのくらいはしてもらわないとね」

提督「それにしたって…お礼の電話と礼状、それにプレゼントのお買いもの…まったく、これじゃあちっとも夏季休暇にならないわ……」

ライモン「まぁまぁ、またお世話になることもあるかも知れませんし…ね?」

提督「ええ、そうね…はぁぁ……」

クラウディア「うふふっ、お疲れさま…それじゃあこれは宅配便にお願いしておくから、宛て名とあなたの任地だけ書いておいてね♪」

提督「はぁーい……お母さま、おばさま…買い物につき合ってくれてありがとう」

クラウディア「いいのよ、お買いものするの楽しかったもの♪」

シルヴィア「それにしても時間がかかったけれどね…ま、たまには「ジュリエッタ」も走らせてあげないといけないし」

提督「車を出してくれて本当に助かったわ、シルヴィアおばさま」

シルヴィア「別にいいわよ…さ、お昼にしましょう?」

提督「はぁい♪」


…翌朝…


提督「それじゃあ忘れ物はなーい?」抜けるような快晴の空の下、すっきりしたサマーワンピースとサングラス姿の提督

ライモン「はい、大丈夫です」

アッテンドーロ「同じく、ばっちり準備したわ」

ルチア「ワフッ…♪」後部座席の床に寝そべり、ムツィオに頭をかいてもらっている…

チェザーレ「うむ…それに忘れていることに気づいたら忘れ物ではあるまい」

提督「そういうことを言わないの…それじゃあ、お母さま、おばさま……また冬の休暇の時にでも戻ってくるわ。あと、秋の初めに基地祭があるから、よかったら来てね♪」

シルヴィア「そうね、その時にはお邪魔するわ…」

クラウディア「ええ…あ、そう言えば♪」

提督「なぁに、お母さま?」

クラウディア「よかったらこれを持って行って?」口にテープを貼って閉じてある大きな紙袋を渡した…

提督「これ、なあに?」

クラウディア「ふふっ、それ?お母さまから可愛いフランカへ悪ふざ……フランカが艦娘の女の子たちと親睦を深めるのに使えるように用意したの♪」

提督「今、「悪ふざけ」って聞こえた気がしたのだけど…」

クラウディア「ふふっ、そんな訳ないじゃない♪…それじゃあ、タラントについたら電話をちょうだいね?」…ちゅっ♪

提督「ええ、そうするわ…それじゃあ、行ってくるわね」

シルヴィア「行ってらっしゃい…♪」

提督「ええ、行ってきます♪」運転席から手を出してクラウディアとシルヴィアに手を振ると席に座り、滑らかにアクセルを踏み込んだ…

ライモン「おかげで忙しい夏休みでしたが、なかなか刺激的でしたね…?」

提督「ええ、それにしても刺激的すぎたけど……さ、タラントまで飛ばして行きましょう♪」
82 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/18(日) 02:23:29.99 ID:JBRTlGme0
…鎮守府…

提督「はぁぁ…着いたわね」電動ゲートに暗証番号を入れて門を開けると、ランチアを鎮守府の道に乗り入れる…

ライモン「ふふ、なんだか懐かしいですね♪」

アッテンドーロ「あーあ、これで夏休みも終わりなのね…改めて実感しているわ……」

チェザーレ「そう言うな、ここでもたいていはゆっくり出来るではないか♪」

アッテンドーロ「まぁね…それより、施設の掃除とか電源の立ち上げとかしないといけないんでしょ……提督、私も手伝いましょうか?」

提督「お願いできる?」

アッテンドーロ「いいわよ…それに電気と水道なしじゃ困るのはこっちだもの」

提督「ありがと♪」

…そう言っている間にも提督のランチアは入り口側に建っている「事務棟」こと、無機質なコンクリート二階建ての建物を回り込み、一変して花の咲いている前庭と建物の明るい黄色が陽光に映える、両翼の広い別荘風の「本館」前に車を停めた……提督は三人と一匹に降りてもらうと横手の車庫にランチアを入れ、入り口の石段に荷物を降ろすと、大きな観音開きの玄関を開けた……途端にむっとした空気が押し寄せてくる…

ライモン「うわ…!」

チェザーレ「むむむ……」

アッテンドーロ「ちょっと、ひどく空気が蒸れているわね…」

提督「本当ね…それじゃあ手分けして全部の窓を開けましょう、ルチアはゆっくりしてて良いわよ♪」

ルチア「ワンッ♪」提督の足下にまとわりついて尻尾を振る…

提督「あらそぉ?それなら一緒に行きましょうねぇ♪」

チェザーレ「相変わらずルチアと一緒になると甘ったるい話し方になるのだな…」

ライモン「…全くです」

…しばらくして…

ライモン「ふぅぅ…全部の窓を開けてきました……やっぱり海風が入ってくると涼しいですね♪」

提督「そうね。それじゃあ次は蛇口を開けて水を流して、あと建物のブレーカーを入れないと」

アッテンドーロ「電源ってレーダーは別なのよね?」

提督「ええ、あれは別に電源があるし、通信室と冷蔵・冷凍室はいつも稼働状態だから…あくまでもみんなの部屋の分ね」

アッテンドーロ「だったらなおの事ね…とっとと入れて来るわ」

提督「あ、電源は私がやるから水道をお願い♪」

アッテンドーロ「了解…はぁ、みんなにも早く戻ってきてほしいわね」

提督「あら、誰に会いたいの?」

アッテンドーロ「そういうのじゃなくて、色々やることが多いからよ…とりあえず、水道の栓を開きっぱなしにすればいいのね?」

提督「ええ。…それと、手伝ってくれたムツィオたちには私の特製パスタをごちそうしてあげる♪」

アッテンドーロ「ならいいけど……格別美味しいのを頼むわよ?」

提督「はいはい♪」


83 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/19(月) 01:37:05.14 ID:jYbvcxdU0
…お昼時…

提督「それにしても三人ともごめんなさいね、私と一緒だと一日は休暇が短くなっちゃうのをすっかり失念していたわ…」

チェザーレ「なに、構わぬよ。提督と一緒だとなかなか愉快であるからな」

ライモン「ええ…それに、提督と一緒にいられるならどこだって嬉しいです///」

提督「まぁ…ライモンったら///」

アッテンドーロ「へぇ、姉さんもやっと愛の言葉を言えるようになってきたわね♪」

ライモン「もう、からかわないで///」

提督「うふふ…それじゃあ愛情たっぷりのお昼にしましょうね♪」

チェザーレ「うむ、チェザーレも手伝おう」


…厨房…

提督「さーてと…何があるかしらー……と」ごそごそと冷蔵庫と奥の食料庫を探し回る提督…

提督「…あ、パルメジャーノ・レッジァーノがあるわ♪」奥の冷蔵室に入っていたパルメジャーノ・レッジァーノ(パルメザン)チーズの塊を見つけ、ニンニク一個と唐辛子数本を一緒にカゴに入れ、意気揚々と厨房に戻ってくる…

ライモン「何かありました?」

提督「ええ、チーズにニンニク、唐辛子、冷凍の海老とイカが少し……菜園のトマトとバジルはまだ残っているかしら?」

ライモン「わたしが見てきます…ムツィオ、一緒に行きましょう?」

ムツィオ「ええ、姉さん♪」

提督「お願いね、その間に準備しておくから♪」


…冷凍になっていたシーフードをビニール袋ごと水につけて解凍しながら、手際よくニンニクを刻み、唐辛子を輪切りにする……すでに大きなパスタ鍋にはお湯がかけてあり、フライパンも準備してある……と、厨房の片隅でカサコソ言う音が聞こえる…

提督「…?」材料を刻むと音のする方に視線を向け、途端に固まった提督……

提督「チェザーレ…来て!」

チェザーレ「提督、どうしたのだ?」

提督「えーと…厨房の床に……私、あれだけはどうも苦手で…」イタリアやスペインで言うところの「ラ・クカラーチャ」を見て引け腰の提督…

チェザーレ「どれ…あー、確かにいるな……少し待っておれ」食堂の片隅に置いてあったローマ風の長剣を持ってくると鞘ばしる音もさせずに抜き放ち、猛烈な突きを放った…

チェザーレ「…えいっ!」

提督「…ど、どう?」

チェザーレ「うむ、仕留めた…ほれ」

提督「あー、わざわざ見せなくていいから捨ててきて……後で殺虫剤でも撒かないと」

チェザーレ「…提督、捨ててきたぞ。それにしてもあれが苦手とはな、よく森の中にもいるではないか」

提督「森の中なら別にいいの…でも屋内にいるのは勘弁してほしいわ」

チェザーレ「細かいのだな…ところでな、パスタの湯が噴きこぼれそうだぞ?」

提督「わ…いけない!」

ライモン「提督、トマトをもいできましたよ。…どうしたんです、チェザーレさん?抜き身の剣なんか持って?」

アッテンドーロ「ネズミでもいたの?」

チェザーレ「あぁ、近いな…実はさっきそこに……」

提督「…ライモン、そのトマトをちょうだい」

ライモン「あっ、はい」

84 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/19(月) 02:23:28.25 ID:jYbvcxdU0
提督「それで…と」


…解凍された海老とイカは鎮守府の厨房を取り仕切る「ディアナ」が下ごしらえをした上で冷凍しておいてくれたものだったので、海老の背わたも取ってあった……それをさっとレモンと胡椒で揉んで、生臭さを取る……ニンニクと唐辛子の香りが空腹を誘うフライパンにイカと海老を入れて白ワインを注ぎ、軽く火を通すと一旦どけて、今度はもいできたばかりのトマトを刻んで入れ、形が無くなるまで煮詰めるようにしていく……ほとんどトマトの形が無くなったところにイカと海老を戻し、塩と粗挽き胡椒、オレガノで軽く風味をつける…


提督「はい、フェデリーニのペスカトーレ完成♪」くるりと巻くように大皿に盛りつけ、可愛らしくバジリコの葉っぱを上に載せる…

ライモン「わぁ、美味しそうですね♪」

アッテンドーロ「いい匂いね…たまらないわ」

提督「ふふっ…待っててね、もう一品作るから♪」


…今度はトマトのヘタを落とし串を刺すと、お尻の部分から皮に軽く十字の切り込みを入れ、湯剥きにする……極細のカッペリーニを茹でて軽く冷水で締めると、同時に作っていたトマトとニンニクだけのあっさりしたソースに軽く絡める。できたパスタをガラスの大皿に盛ったところへ氷水で冷やした湯剥きトマトを載せ、上からチーズおろしでパルメジャーノをかけると、すっきりした「トマトの冷製パスタ」が出来上がった…


チェザーレ「おぉ、なかなか洒落た一品ではないか」

アッテンドーロ「さすが、「パスタ大好き提督さん」ね…それじゃ、頂くとしますか♪」

提督「ふふっ…遠慮せずにどうぞ、ルチアには茹でたパスタに白茹でのお肉を乗せたのがあるからね♪」

ルチア「ワフッ…フガフガ……」

チェザーレ「ん、美味いな…カッペリーニはあっさりしていて、トマトの酸味がよく効いているな」

アッテンドーロ「こっちのペスカトーレも…んむ、美味しいわ」

ライモン「うーんっ…おいしいです♪」

提督「そう、よかった♪」

アッテンドーロ「それにしてもこれだけ広い場所に四人と一匹って言うのは少し静かすぎるわね…みんな戻ってこないかしら」

チェザーレ「うむ、ローマ観光に行ったガリバルディたちの土産話も聞きたいものだな」

ライモン「そうですね、みんなが帰ってきたら色々お土産も渡してあげないと」

提督「ふふ、そうね…♪」

ルチア「ワフッ」

………

…その頃・どこかの薄暗い部屋…

渋い男「…これが今回の目標だ」きっちりした姿の中年男が一冊のファイルを渡し、低い声で言った

女「なるほど……しかし、それほどの人物には見えませんが」女の方はきっちりとまとめた髪に眼鏡姿で、服にはチリ一つ付いていない…ファイルに記載された顔写真や経歴を読み進め、時々手元の手帳に何やら書き留める……最後にファイルを閉じて男に返すと切り捨てるように言った…

男「見た目から判断するな。一見穏やかそうだが、これまでに担当した三人が使い物にならなくなっている」

女「それで…開始はいつですか?」

男「ああ、今度の週明けからだ…うまくやれ」

女「了解」

………
85 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/02/20(火) 14:08:48.83 ID:uAodHy1O0
…翌日…

ライモン「あ、ナポリからのバスが来ました…みんな元気そうですね」門の前で海軍の借りたバスから降りると、両手いっぱいに荷物を持って入ってくる艦娘たち…中の数人は出迎えの提督たちに向けて大きく手を振っている

提督「休暇中何もなかったようでよかったわ…おかえりー♪」提督が手を振りかえすと、スーツケースを後ろに引き、手にも紙袋や箱を抱えているリットリオが真っ先に近寄ってくる

リットリオ「ただいまです、提督っ!……んちゅ、んふ…ちゅっ……じゅるっ…♪」荷物を地面に置くと提督に抱きつき、うなじに両手を回して押さえつけると、熱い口づけを交わす…

提督「んぅ、んちゅ…んふぅ……もう、リットリオったら…こんな熱いキスは…お昼にするものじゃないわ……♪」

リットリオ「だって、提督とキスしたかったんです……ふふ、あまーい味がしますね♪」

提督「ええ、ドルチェにカスタードのロールケーキを食べたから…お帰りなさい、リットリオ」

リットリオ「はいっ…♪」

エマニュエレ・フィリベルト・デュカ・ダオスタ(アオスタ)「提督。軽巡アオスタ、ただいま戻りました」

提督「お帰りなさい、アオスタ…ナポリはどうだった、楽しかった?」ちゅっ…と左右の頬にキスをして、いたずらっぽくウィンクをする

アオスタ「ええ。途中でコレオーニがはぐれそうになったり、お店で勘定を間違えられそうになったりしましたが…こうしてちゃんと戻ってきました」

提督「ふふ、何はともあれ楽しそうでよかったわ♪」

アオスタ「それはもう…予算もオーバーしませんでしたし、提督へのお土産もちゃんと買えましたから」…戦後賠償艦としてソ連に引き渡されたせいもあってか理詰めの委員長気質で、何にせよきっちりした性格のアオスタ

提督「ありがと…あ、ローマからのバスも戻ってきたわ♪」楽しげに談笑しながらバスから降りてくる数人…と、カヴールが同行していた軽巡ガリバルディに荷物を預けてやってきた…

カヴール「…提督っ!…深海棲艦に誘拐されたと聞きましたが大丈夫でした?…身体に不調はありませんか?」

提督「心配させてごめんなさいね…大丈夫よ……ちゅっ♪」提督より大柄なカヴールの頭をつま先立ちして撫でると、キスを交わす…

カヴール「よかった…チェザーレから電話で聞いた時は心臓が止まるかと思いました……私を心配させるいけない提督にはお仕置きです♪」…さわっ♪

提督「きゃあっ♪…もう、いきなりどこを撫でているのっ……///」そう言いつつもちっとも嫌がっている様子はない提督…

カヴール「うふふっ♪…それはもう、提督のむっちりしたヒップを……また一段とむちむちになりましたね♪」

提督「もう…カヴールのえっち♪」

ガリバルディ「ねぇカヴール、よかったら私にも触らせてくれる?」

カヴール「あぁ、はいはい……ふふっ、独り占めはいけませんものね♪」

ガリバルディ「そう言うこと…提督は相変わらずいい手触りね♪」むにっ…♪

提督「あんっ、もう…♪」

ロモロ「…ねぇ提督、私たちのことを忘れてない?」

レモ「ほんとだよ、レモだってローマのお土産を買ってきてあげたんだからねー?」狼の乳で育ちローマを建国したと言う伝説上の双子を名前に取った「R」級大型輸送潜水艦、「ロモロ」と「レモ」が潜水艦とは思えない巨乳を提督に押し付ける…

提督「大丈夫、忘れてないわ…お帰り、ローマは相変わらずだったでしょう?」

ロモロ「そうね、むしろずいぶん立派になってて驚いたかも……うん、久しぶりの提督はいいねぇ…♪」ふとももを撫で回すロモロ…

レモ「でも車が多くてほこりっぽかったなぁ……物の値段も高くて、レモびっくり」

提督「うんうん…さ、荷物を置いて着替えていらっしゃい♪」

ロモロ「了解♪」

レモ「はぁーい♪」
86 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/21(水) 01:41:48.91 ID:+xaI95PI0
ライモン「提督、ヴェネツィア組も帰ってきましたよ」

提督「そうみたいね…ずいぶんと肌が艶めいているようだけど……」

アミラーリオ・ディ・サイント・ボン「提督、サイント・ボン帰投いたしました」水中で2000トンを超える大型潜水艦、「カーニ」級大型潜の「サイント・ボン」がピシッと敬礼をする…と、「R」級と同じように潜水艦とは思えないわがままボディが「たゆん…っ♪」と揺れる…

提督「お帰りなさい、ヴェネツィア海軍博物館は面白かったかしら?」

サイント・ボン「ええ…色々と勉強になりましたし、案内の士官さんも丁寧でした」オーストリアに惨敗した「リッサ海戦」以降のイタリア王国海軍を復活・躍進させた偉大な海相の名前を取っただけあり、立っているだけで立派な存在感があるサイント・ボン…

提督「それはよかったわ…お帰りなさい、マルチェロ級のみんな。…その様子だとたっぷり休養できたみたいね♪」

ロレンツォ・マルチェロ「いかにも。なかなか刺激的でいい休暇になった…おっと、マルチェロ級大型潜マルチェロ、ただいま帰投!」

アゴスティーノ・バルバリゴ「同じくバルバリゴ、ただいま帰投…提督にも後で聞かせてあげよう♪」

アンジェロ・エモ「同じくエモ、帰投しました!……まったく、お姉ちゃんたちったらあんな騒ぎを起こして…」

エンリコ・ダンドロ「同じくダンドロ、帰投!相変わらず提督はしゃぶりつきたくなるような美人だな♪」

提督「うふふっ…もう♪」ヴェネツィア出身の中世の提督たちを艦名に取った「マルチェロ」級大型潜水艦たちが形のいい敬礼をする…提督はきりりと表情を引き締めて答礼すると、急に表情を崩して抱き寄せた……

フランチェスコ・モロシーニ「おい、抜け駆けとはずるいぞっ…!」

ラッツァロ・モチェニーゴ「待て待て、本官にも抱かせろ♪」

提督「大丈夫よ、逃げたりしないから…それより手を洗って来たらお茶にしましょうね♪」九人のマルチェロ級をやってくる順に次々と抱きしめる…と、今度は可愛らしい二人が荷物を抱えてやってきた…

クィンティノ・セラ(セラ級駆逐艦)「…ならヴェネツィア土産のお菓子がありますから、一緒に食べましょう…ね、提督♪」

フランチェスコ・クリスピ「そうね」

提督「あ、セラにクリスピ…ちゃんとMTMは見学できた?」

…排水量955トンの小さな駆逐艦「セラ」級はセラとクリスピの二隻で、41年にはクレタ島に隠密接近し、乗員が体当たり直前に脱出する危険な爆装モーターボート「MTM」(爆装艇)6隻を発進させると、イギリス重巡「ヨーク」とタンカー、貨物船を大破・撃沈させている……いつもは人の少ない時間に大浴場で「MTM」のラジコンを走らせているが、今度もお土産に買ったらしい「MTM」艇のプラモデルが入っている箱を抱えている…


提督「あら、イタレリの爆装艇?」(※イタレリ…イタリアのプラモデルメーカー。日本のタミヤとも協力関係にある)

セラ「そうなんです、おおきいスケールで見つけたので買っちゃいました…作るのはアヴィエーレに教えてもらおうと思って///」少し気恥ずかしそうにもじもじしている…

提督「いいじゃない、とりあえずそれは部屋に置いていらっしゃいね」

セラ「はい♪」

提督「ふふ、可愛いわね…お帰りなさい、ドリア、デュイリオ♪」

ドリア「戦艦ドリア、戻りました……んっ、ちゅぱ……ちゅぅ♪……もう、心配したんですからね?」

提督「んぅ、ぷはっ…ごめんなさい、心配をかけて♪」

デュイリオ「んふふっ♪…いいんですよ、提督……ちゅっ、じゅる…っ、んちゅ、れろっ…♪」


…1915年生まれの「おばあちゃん」ながら戦前の大改装で艦の6割を改造、新戦艦なみのぴちぴちな姿に一新されたお洒落なド級艦「カイオ・デュイリオ」と、やはり大改装を受けたむちむちの美魔女、1916年生まれの戦艦「アンドレア・ドリア」…どちらも提督には甘々で、その豊満な身体と燃料不足の影響で力を持て余していた戦前の記憶からか、むらむらと湧きあがる色欲を思う存分ぶつけてくる…


提督「んちゅぅ…もう、こんなところでは駄目よ……まずは荷物を置いて、着替えてからにしましょう?」

デュイリオ「はい…それでは、午後のお昼寝の時間にお邪魔します♪」

ドリア「…あら、私もお邪魔しようと思っていたのに」

デュイリオ「それなら二人一緒にお邪魔したらどうかしら…ね、ドリア♪」

ドリア「まぁまぁ、それも楽しそうね…ふふっ♪」

提督「…さっそく身体中の関節がきしむことになりそうね」

ライモン「そう言いながら顔がにやけていますよ、提督」
87 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/21(水) 03:12:42.84 ID:+xaI95PI0
…しばらくして・食堂…

ガリバルディ「スペイン広場は大変な人混みで…ジェラートの屋台も辺りを散らかすからって移動させられていたけど、私たちはカフェで食べてきたの」

提督「あら、そうだったの♪」美味しいコーヒーとお菓子を前に談笑する艦娘たちは、それぞれお土産や贈り物をあげたりもらったりしてはきゃあきゃあ言ってはしゃいでいる…と、チェザーレがいくつもラッピングされた包みを持って明るい大食堂を歩き回っている……

チェザーレ「おぉ、アヴィエーレ…ちょうどいい」

アヴィエーレ(ソルダティ級駆逐艦)「どうしたんだい、チェザーレ…私に用事かな?」艦名が「航空兵」だけにローマの航空ショーとガルダ湖畔の博物館で戦闘機尽くしの時間を過ごしてきたアヴィエーレ…相変わらずサングラスとオールバックの髪に、革のブーツで格好よく決めている…

チェザーレ「うむ…実は、アヴィエーレにこれを渡したくてな…よかったら受け取ってもらえるか?」手に乗る程度の大きさをした、細長い包みを渡す…

アヴィエーレ「もちろんさ、どうもありがとう…開けていいかい?」

チェザーレ「うむ、チェザーレなりに吟味したつもりなのでな…喜んでもらえると嬉しい」

アヴィエーレ「どれどれ…って、これは」包み紙を剥がすと、銀色の精密そうなピンセットのセットが入っていた…

チェザーレ「うむ、模型用のピンセットなのだが…アヴィエーレはよく飛行機模型を作っているだろう?チェザーレの気持ちがこもったこれを手許に置いてもらえたら…そう思ってな」

アヴィエーレ「このピンセット、前から欲しいと思っていたんだ…嬉しいよ、チェザーレ///」

チェザーレ「うむ、愛用してもらえると嬉しいぞ…」

提督「……チェザーレ、最後の数日間ですごい額の買い物をしていたけど…まさかね」

チェザーレ「ディアナ、そなたに贈り物があるのだが…」

ディアナ「あら、ありがとうございます…何でしょうか?」優美なデザインで最大32ノットを出していた高速スループ「ディアナ」は重要物資の輸送任務が多かったが、鎮守府では食堂をきりもりしている…艦娘「ディアナ」はボリュームのある淡い金髪で「ディアナ様」だけに水色の瞳に水色の口紅を引いている…

チェザーレ「うむ…これなのだが」

ディアナ「まぁ、ミラノ製の調理道具セット…わざわざ買ってきてくれたのですか」

チェザーレ「いや、他に思いつく物がなくてな……これでディアナが楽に調理できるようになれば嬉しいぞ」

ディアナ「ええ、大事に使わせてもらいます♪」

提督「…」

チェザーレ「…ポーラ、構わぬか?」

ポーラ(ザラ級重巡)「はぁ〜い、何でしょ〜♪」

…重防御と攻撃力、ほどほどの速力をバランスよくを兼ね備えた重巡ながら、淡いグレイの髪にえんじ色のフレアースカート、淡い灰色のブラウスとふんわりとした印象のポーラ……ワインや洋酒に関してはかなりの目利きで、食卓にのぼるワインやリキュールの発注や時々ある押収品の競売では競り落とし役なども任されている…また、姉妹のザラ、フィウメ、ゴリツィアたちとは「あの時」の悲惨な結末の反動もあって一緒に過ごせることが嬉しくてたまらず、昼夜問わずにかなりの姉妹愛を育んでいる。最近はザラ級の改修型で一人っ子の「ボルツァーノ」もその渦に巻き込まれつつある…

チェザーレ「いや…ちょっとした贈り物なのだが……」

ポーラ「贈り物ですかぁ〜、嬉しいです〜♪」

チェザーレ「ふっ、中身を見たらもっと喜んでもらえるはずだ…さ、開けてみてくれ」

ポーラ「はぁ〜い……わぁぁ、五つ入りのグラスセットですねぇ♪」

チェザーレ「うむ…銀製でフィレンツェのアンティークなのだ。これなら落としても割れぬから、姉妹の愛と友情をずっと祝い続けてくれるだろう…それと五つ目は仲良くしてくれているボルツァーノのために、そう思ってな」

ポーラ「ポーラ、嬉しいですっ…♪」

チェザーレ「…なに、たまたまチェザーレの目に留まってな……姉妹でワインを傾けるときにでも使ってくれ」

ポーラ「ありがとうございます、チェザーレ♪」

提督「…道理でお財布がすっからかんな訳ね……」

チェザーレ「…トリチェリ、素敵な錬金術士に似合いそうなケープを欲しがっていたであろう……チェザーレの見立てなのだが、着てみてくれぬか?」

トリチェリ(ブリン級大型潜)「そんな、こんな高そうな……ふんわりと軽くて、とっても馴染みますね……ガリレイ先生、チェザーレさんからこんな立派なケープを頂いてしまいました♪」

…フランコのナショナリスタ側スペインに引き渡された先代に続く二代目の「トリチェリ」は浮上砲戦に追い込まれ駆逐艦三隻、スループ艦一隻と交戦しながらも乗員の脱出・自沈までに英駆逐艦一隻を撃沈、一隻を損傷させるなど勇敢な艦で、名前をガリレオの弟子で物理学者の「エヴァンジェリスタ・トリチェリ」から取ったことから鎮守府の「錬金術士」組として淡い桃色と水色のケープや、クリーム色とセージグリーンのマントなど、お洒落な格好をしていることがある…

ガリレオ・ガリレイ「あら、よく似合ってる…チェザーレ、トリチェリに素敵なケープをありがとう♪」

チェザーレ「ふふ…ガリレイにはこれを使ってもらおうと思ってな」

ガリレイ「あ、素敵な帽子♪」

チェザーレ「…羽飾りがいかにも「錬金術士」らしいと思ってな。ぜひ使ってくれ♪」

ガリレイ「まぁ、嬉しい。しかも大きさもぴったり……今度、ぜひ「ガリレイのアトリエ」まで来て?…色々おもてなししてあげるから♪」

チェザーレ「そうか、では今度お邪魔させてもらおう…♪」

提督「…古代ローマのチェザーレは女たらしで有名だったって言うけれど……うちのチェザーレもいい勝負ね…」
88 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/22(木) 01:44:41.58 ID:aU/uTKjy0
マルチェロ「あれは天才のなせる技よな…ところで提督、隣に座ってもよいか?」

提督「ええ、どうぞ♪」

ライモン「コーヒーもどうぞ、マルチェロ」

マルチェロ「かたじけない……いや、せっかく行って来たのでヴェネツィアの話をしようと思ってな…このように写真もあるぞ♪」

提督「どれどれ…あら、上手♪」

バルバリゴ「全く、ずいぶんと羽目を外させてもらったよ…あれは楽しかったな♪」

提督「そんなに楽しかったの…よかったわね♪」

プロヴァーナ「何しろヴェネツィアで味わえる歓楽は全て堪能したのでな…痴態の限りを尽くしたと言ってもいいかも知れん♪」

提督「まぁ、そんなに遊んだの?」(ふふ、マルチェロたちは大げさなんだから…♪)

エモ「それにしたって…さすがに警察沙汰になったのはまずかったですよ……」

提督「…え?」

モロシーニ「こらこら、話の一番いい所をばらしてどうするのだ……マルチェロ、先任として提督に話してあげてくれ♪」

マルチェロ「分かってる、実はヴェネツィアでな……」

提督「…なんだか聞かないでおいた方がいいような……」

………

…夏季休暇数日目・ヴェネツィア…

マルチェロ「…これで海軍博物館も観たし、美術館も巡り、買い物もしたな♪」明るい午後のヴェネツィアを堂々と闊歩するマルチェロたち…

ダンドロ「いかにも…ヴェネツィア人の教養はだいたい済ませたな……もう言うことなしだ♪」

エモ「本当ですね、カナル・グランデ(大運河)も相変わらずですし…もっとも、こんなに外国の観光客が多いとは思いませんでした♪」

マルチェロ「おいおい、何を寝ぼけたことを言っているのだ……諸君、まだ少し足りんものがあるだろう…違うか?」

ヴェニエーロ「ほう…何です、マルチェロ提督?」

マルチェロ「それはもちろん、ヴェネツィア美人を抱くことに決まっている…気に入らなければ王侯貴族でも相手をしないと言う『クルティザン』のお姉さま方を口説かなければいかんだろう♪」

(※クルティザン…ルネサンス期ヴェネツィアにいた超高級娼婦のお姉さま方。大変教養がありながら橋の上で堂々と胸を露出したり、乳房を大きく見せるファッションで美しい身体であることを誇っていた。王侯貴族の愛妾になった女性も多い)

エモ「えっ…いいんですか?」

マルチェロ「何がいけないのだ、ヴェネツィアと言えば…クルティザンだろう。提督もいいがたまには違う味も楽しまんと……な♪」そう言って歓楽街に足を向ける…

ヴェニエーロ「ははは、昼からとはマルチェロ提督は大変な助平でいらっしゃるな♪」

マルチェロ「何をいうか…ヴェネツィア美人の柔らかな身体を触らずに鎮守府に戻るなど……っと!」

若いあんちゃん「…あ、ぶつかっちってすんません!」慌てているようで足早に立ち去ろうとする…

マルチェロ「構わんよ……が、この手は何だ?」

あんちゃん「…」

マルチェロ「この生粋のヴェネツィア人から財布をすろうとはなかなか向こう見ずだな…?」

あんちゃん「ちっ…おい、あんまりでかい口叩くなよ……お嬢ちゃんよぉ!」

ちんぴら「おうおう、やろうって言うのかよ!」

ちんぴらB「いい度胸だぜ!」…それぞれ折り畳みナイフを抜いて構えた

マルチェロ「…おや、仲間連れか……スリの腕も二流なら追いはぎに早変わりと言う態度も気に入らん…諸君!」腰に差していた金の鞘をしたサーベルに手をかける…

エモ「マルチェロ、一般人相手の抜刀は禁止ですよ…っ!」

マルチェロ「そう固い事をいうな、アンジェロ…先に抜いたのはあっちだぞ?」

スリ男「…がたがたうるせぇんだよ、畳んじまえ!」

89 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/22(木) 02:31:26.32 ID:aU/uTKjy0
チェザーレ「ほう、面白くなってきたな…それで、その不届き者はどうなったのだ?」

マルチェロ「まぁまぁ、物語は順を追っていかないと…♪」

アオスタ「一般人相手に喧嘩なんて…私たちは本気になったら力が違うんですから、そういうことはしてはいけないって言われているでしょう……」

ジャコモ・ナーニ「まぁまぁ、今はマルチェロの活躍を聞いてあげて下さい…♪」

………

スリ男「おらっ…!」

マルチェロ「ふんっ…本気でヴェネツィアの海軍提督にかなうと思っているのか……?」手刀で手首を一撃してナイフを弾き飛ばすと、みぞおちに見事な蹴りを叩きこむ…

スリ男「ぐえっ…!!」

ちんぴら「てめぇら…!」オープンカフェの看板をひっくり倒しつつ、少し気弱そうなエモに向かってナイフを突き上げる…

エモ「…いやっ!」身をかわしつつ、とっさに急所を蹴り上げるエモ

ちんぴら「う゛ぉ…っ!」

ちんぴらB「くそぉ、小娘だからってもう容赦しねぇぞ!」

ダンドロ「よーし…来いっ♪」サーベルを鞘ごと持ってナイフを受け止めると、腕をねじってから鞘で喉元を締め上げる…

ちんぴらB「ぐぇ…っ……」

ダンドロ「…片付いたな、マルチェロ」

マルチェロ「全く、何とたわいのない……襲う相手を間違えたな」…辺りからは「生粋のヴェネツィア人」への喝采と同時に「警察を呼んだから引き渡しておくよ」という親切な声も聞こえる

マルチェロ「…親父さん、看板は済まなかったな。取っておいてくれ」ひっくり返ったテーブルや看板を見て、数枚のリラ札を取り出すマルチェロ

カフェのオヤジ「あぁ、悪いね…それにしても「艦娘」って言うのはすごいもんだ、身体はそんなに大きい訳でもないのに……あっという間にちんぴら三人を片づけちゃったよ」

マルチェロ「はは、少しばかり鍛え方が違うんでね…それに生粋のヴェネツィア人って言うのは「弱きを助け、強きをくじく」じゃないと」

オヤジ「ああ、全くだね…もっとも、あんなおっかない連中を張り倒すなんて俺にはできないが……」

マルチェロ「なに…必要ならいつでもやってあげますよ……そうだ♪」運河を行き来する、艶のある木の外板も美しいモーターボートの水上タクシーに目を付けた…

エモ「どうしたんです、マルチェロ?」

マルチェロ「せっかくのヴェネツィアだから、水上タクシーで運河めぐりをしよう♪」

モチェニーゴ「そりゃまた急に…クルティザンのお姉さんと遊ぶんじゃなかったのか?」

マルチェロ「いや、そこに伸びているやつを少し綺麗にしてやろうと思ってね…♪」

ナーニ「あっははは、それはいい…おーい、そこのボート♪」

…数分後・運河…

水上タクシーの艇長「あの、お客さん…」

マルチェロ「どうかしたか、艇長?」ヴェネツィア民謡「ヴェネツィアの舟歌」を口ずさみながらご機嫌のマルチェロ…

艇長「いえ…ね、そろそろやめてあげたらどうですか?」

スリ男「がぼがぼ…ぶはぁ!……うえっ…がぼがぼ…ごぼ…」スリ男はボートの舷側から運河に頭を突っこまれ、時々髪をつかまれては息継ぎに頭をあげさせられている…

マルチェロ「そうか?…中世の艦隊では盗みは鞭打ち…追いはぎは吊るし首だったのだから、ずいぶん優しいと思うがな?」

艇長「いえ、そりゃそうかもしれませんがね…」

マルチェロ「まぁよい、ちょうど一周したからな…次で降りる♪」

艇長「毎度あり…今度はこういうのは無しで頼みますよ」

マルチェロ「了解だ、艇長…いい舵さばきだったぞ♪」

ダンドロ「ははは、これでこやつも海軍提督を襲うとどうなるか身に染みたろう♪」

モチェニーゴ「身体もきれいになっただろうしな♪」

マルチェロ「…それでは、お待ちかねのヴェネツィア美人としゃれこもう♪」

エモ「お、おー…」

ヴェニエロ「よしきた♪」

90 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/22(木) 03:21:01.12 ID:aU/uTKjy0
…ヴェネツィア・歓楽街の橋…

マルチェロ「おーおー…いるいる♪」

モチェニーゴ「美人が多いのは相変わらずだ…もっとも、百合専門のお姉さまたちがいるとは……いい時代だな♪」

ナーニ「ふふ、それではここからは単独行動だな…お互いに大漁を♪」

エモ「…う、うん……ほんとにいいのかな…」

娼婦のお姉さん「…あら、可愛い水兵さんね……でもね、こんなところをうろついてちゃ駄目よ」…お姉さんは金のバックルが付いたラメ入りの黒いベルト付きミニワンピースと紅いエナメルハイヒールを着こなし、肩からグッチのバッグをかけている…冷たいつんとした顔だが、少しだけ驚いたような表情とからかうような声が混じっている…

マルチェロ「はは、ヴェネツィアのヴィーナスはなかなかきついことを言う。ま、せっかくこうして声をかけてもらえたのだ……海軍さんでよければ、少しおしゃべりをさせてもらおうか」橋の欄干に背中を預け、行きかうゴンドラや水上タクシーを眺めている…

お姉さん「別にいいけど……会話もできないような野暮な人は嫌よ?」

マルチェロ「そう言われると自信がないな…そのお洒落な服はヴェルサーチかな」

お姉さん「惜しいわね、フェンディよ」

マルチェロ「おやおや…黒のドレスだからそう言ったのだが……」

お姉さん「ふふ、でもなかなかやるじゃない…遅いお昼くらいなら付き合ってあげてもいいけど?」

マルチェロ「それは光栄だ、では「ボッタルガのスパゲッティ」でもいただこう♪」(※ボッタルガ…カラスミ。ヴェネツィア周辺の名物)

お姉さん「あら、分かってるわね…アメリカナイズされた「ピザ」とか言ったら帰るところだったわ……フローラよ」

マルチェロ「フローラ…確か、片方の乳房を出してこちらを見ているパルマ・イル・ヴェッキオの描いた美人絵にもそんな名前の女性がいたな……しかしだ、私はどこか媚びるような「彼女」の絵より、凛とした君の方が好きだぞ?」

フローラ「へぇ、海軍さんはお上手なのね…いいわ、お昼は私がおごってあげる」

…一方…

エモ「…あの、私でいいんですか?」

お姉さん「ええ、いいわよ…お名前は?」

エモ「アンジェロ・エモです…えーと、お姉さんは……」

お姉さん「『ルクレツィア』よ♪」艶やかな笑みと明るい色気を振りまきつつ、エモの腕に自分の腕を絡める…薄いドレス越しに小ぶりな胸の感触が伝わってくる…

エモ「…ルクレツィア……ボルジア家にもそう言う名前の方がいましたね」

ルクレツィア「そう、正解よ…エモは歴史にも詳しいのね♪」

エモ「いえ……あれ、でもルクレツィア・ボルジアって…///」

ルクレツィア「そう。夜毎に相手を取りかえると言われて、みだらな女で有名だったのよ…利用されていただけとも言うけれど、真相は分からないわね……」

エモ「詳しいんですね、ルクレツィアは…///」

ルクレツィア「ええ。私、普段は中世史の研究をしているの……よかったら、しばらく歴史散歩でもしましょうか♪」

エモ「は、はい…///」


………
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/24(土) 22:56:19.53 ID:5bKaDpmHo
92 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/27(火) 10:31:24.30 ID:EyPC3YVZ0
しばらく投下できずにいてごめんなさい、インフルエンザって怖い……身体に相談しつつちまちま投下していくので、よかったらお付き合い下さい…


…ちなみにもう少しでイギリスのグレイ少将とドイツのヴァイス中佐が登場してきます
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/27(火) 16:23:40.60 ID:OEqJEJFto
いっち、ちゃんと食べろよー
94 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/01(木) 00:12:41.12 ID:bBCc8HBA0
>>93 グラツィエ…土曜日辺りは暖かい紅茶に砂糖とレモン、ラム少々を垂らしたものやショウガ入りスープで過ごしていましたが、おかげさまでこの数日は口も開くようになり、ちゃんと食べてます……とりあえず、せっかくなので少し投下していきます…
95 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/01(木) 01:29:34.29 ID:bBCc8HBA0
提督「じゃあマルチェロたちはクルティザンのお姉さんたちと刺激的なひとときを過ごしたわけね♪」苦笑しながら両手を上げ、肩をすくめた提督

マルチェロ「いや、それで済めば良かったのだがな……本官がフローラ嬢のお店にお邪魔していた時に…」

提督「…え、まだ何かあるの?」

………

…ヴェネツィア・高級娼館「白百合館」…

マルチェロ「…ふぅぅ……何とも刺激的であったな……さすがに…息が…切れた……」ベッドにあお向けにひっくり返り、美しい天使と女神たちがみだらな行為にふけっているルネサンス風の天井画を眺めている…

フローラ「そう、ならよかったわ。こっちも愉しませてもらったし…」黒いガーターベルトだけの姿で吸い口をはめた細いシガレットに火を付け、しばらく紫煙をくゆらせると、脱ぎ散らかしたマルチェロの服や綺麗に畳んであるフローラ自身の服、ベッドに放り出してあるべとべとになった玩具や道具を片づける…

マルチェロ「…そうか、それはよかった……ところで、これだけの美女と愉しませてもらったのだ…それ相応の物が必要だろうな……?」たっぷりとリラ札を詰めてきた財布をちらりと眺めた

フローラ「…あぁ、いいのよ。さっきの分で充分だわ」

マルチェロ「そうか?…ところで皆はどうしているかな」

フローラ「ふふ、それぞれうんとお楽しみなんじゃないかしら……特にルクレツィアにつかまってたあの娘…きっと腰が抜けてるわ」

マルチェロ「はははっ…あの可愛いエモがか……見られなくて残念だな♪」…と、せわしないノックと同時に「開けて下さい!」と命令口調の声がする

フローラ「…はぁ……こんな時に風紀課の手入れかしら」

マルチェロ「…よかったら本官が時間を稼ぐが?」

フローラ「大丈夫よ、どうせこの辺りの婦警はみんな骨抜きにしているんだから……どなた?」

…ドアを開けると白の制服をかっちり着こなした女性二人が立っていて、一人がドアの外に立つと、もう一人がずかずかと入ってくる…マルチェロは入ってきた女性の格好からすぐに憲兵隊だと察しを付けた…

フローラ「…なに、警察じゃないの?」

憲兵「海軍憲兵です…貴女ではなくそちらの艦娘に用があります……とりあえず何か身に付けてください」マルチェロにむかって言った…

マルチェロ「そうか、お役目ご苦労…本官に何か用か?」全裸でベッドの上に起き上がると、中世の提督らしい三角帽子だけをかぶって敬礼した…

憲兵「はい。一時間ほど前に市警察から連絡がありましたが……運河沿いで一般人ともめ事を起こしたそうですね?」

マルチェロ「一般人…あぁ、スリに財布を盗られそうになって取り押さえようとしたら、けちなナイフを抜かれてな……正当防衛だと思ったが」

憲兵「武器を取り上げるだけなら正当防衛ですが…その後何かしませんでしたか?」

マルチェロ「さて…どうだったかな……美女ならともかく、あいにくちんぴらに割ける時間はなかったのでな。そこらのカフェの店主たちに預けておいた」

憲兵「…そう言う時は警察か憲兵隊、カラビニエーリに通報するのが義務です。それに水上タクシーに乗り、くだんの人物を水に突っこんでいたという証言もありますが?」

マルチェロ「ふむぅ……何かの勘違いではないか?本官は橋の上でこちらの春のように可憐な女神と談笑していたのだ…そんなむさくるしい連中と一瞬でも長く付き合おうとは思わんが」

憲兵「…まぁ良いでしょう。幸い市警察からも「街の風紀を乱す連中を懲らしめてくれた」と言うことで、大目に見ると言ってきていますから……ただし、規則ですから所属の管区には報告を送ります。身分証はありますか」

マルチェロ「あぁ、ここにあるぞ…それ」

憲兵「なるほど…イオニア海管区の「タラント第六」ですね……話は以上ですが、今後はそう言ったことはしない事です。それでは」

マルチェロ「承知した……たわけめ、情事の余韻にしかめ面で入って来おってからに…」憲兵が帰るとしきりに文句をいうマルチェロ…

フローラ「ふふっ…それじゃあ、もう一回してあげましょうか……お代はその「面白そうな話」を聞かせてくれるって言うことで…どう?」

マルチェロ「うむ…それでは気分直しにもう一戦と行こう♪」フローラにまたがってもらうと、陶器のような肌に手を這わせた…

………
96 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/01(木) 02:14:36.47 ID:bBCc8HBA0
マルチェロ「…という訳で、素敵な時間の最中だと言うのに無粋な憲兵に踏み込まれた……という訳なのだ」

提督「…」

リットリオ「ふふっ、それもいい思い出ですよ♪」

ガリバルディ「そうよ…それにそのちんぴらを運河で「洗ってやった」話、痛快でいいわ♪」

トレント(トレント級重巡)「そうですね…少しはらはらしましたけど、なかなか面白いお話でした」

スクアロ(スクアロ級中型潜)「…私ならもっとシンプルにかたをつけていただろうがね……たとえばそのスリが逃走中に「不慮の事故」で橋から転落するとか……いずれにせよお楽しみの最中に憲兵とは…興ざめだったろう」


…艦名がサメ(海のギャング)にちなんでいるからか、びしっと決めたスーツ姿だったり「ゴッドファーザー」に出てくるアル・パチーノの物真似が得意なスクアロは、物騒な事をさらりと言ってのける…


コルサーロ(ソルダティ級駆逐艦)「あぁ、そいつはまったく災難だぜ…だいたいあたしに言わせれば、憲兵だの警察だのって言うのはガミガミ言ってばかりでロクな事をしやがらねえ」兵種を艦名にしているソルダティ級の中では珍しい名前の「コルサーロ」(アラビア海賊)が息巻いた…

エモ「…でも、お姉さんたちはすごかったから///」

ダンドロ「いかにも…相変わらずヴェネツィアのクルティザンたちは素晴らしかった♪」

モチェニーゴ「ああ、あれだけの女性たちを抱けるなら……提督、どうかしたか?」

提督「はー……あなたたち、憲兵隊と揉めてくれたわけね…」

マルチェロ「…まずかったか?」

提督「まずいとは言わないけど…憲兵隊の事だから、きっと査察か特別監査か……参ったわ」

マルチェロ「あー…本官が至らないばかりに迷惑をかけてしまった……申し訳ない」

提督「あぁ、いいのよ…むしろ聞いていて面白かったわ」

マルチェロ「そうか?」

提督「ええ…ただし、今度はスリを捕まえても「水浴び」をさせたりはしないようにね?」

マルチェロ「了解した♪」

………

…数日後・執務室…

カヴール「提督、年度替わり最初の書類が届きました」

提督「はぁぁ…相変わらずどっさりね……」

カヴール「まぁまぁ、私も手伝いますから…ね?」

提督「ありがとう……実際、一人で片づけられる量じゃないわよね」

カヴール「そうですね…よかったらライモンドとドリアも呼びましょうか?」

提督「そうねぇ、しばらくだけ手を借りましょうか……はぁい?」軽いノックの音に返事をする

リットリオ「提督、いいですかぁ?」

提督「あら、リットリオ…そうね、お話くらいならいいけれど、この書類が片付くまでそれ以上の事は出来ないわよ?」

リットリオ「それならリットリオも手伝いますよ?」

提督「あら、本当?…ありがとう、助かるわ♪」

リットリオ「…ふふっ、提督にキスしてもらっちゃいました♪」

カヴール「おかしいですね……私はさっきからお手伝いしているのに」

提督「貴女は秘書艦でしょう?…でもいいわ♪」…ちゅっ♪

カヴール「うふふっ、これでまた頑張れます♪」

提督「そうね、協力して片づけましょう」
97 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/01(木) 22:34:04.02 ID:bBCc8HBA0
…しばらくして…

カヴール「はい、この書類は処理できました」

提督「ありがとう、カヴール」

リットリオ「…ふーん、ふふーん♪」てきぱきと書類を片づけるカヴールと、少し飽きっぽい代わりに速度の速いリットリオ…

提督「ふぅ、そろそろ五分の一は終わりそうね……って、やっぱり…」

カヴール「どうなさいました?」

提督「あー…これを見て」ひらひらと振ってみせた大仰な海軍の紋章入り書類には「特別監察の実施について」とある

カヴール「あらあら、憲兵隊の……ふふっ、悪いことはできませんね?」にこにこしながら冗談めかすカヴール

提督「笑えないわ…きっと何につけてもねちねちと文句を言ってくるつもりでしょうし……まぁいいわ、今日はこれでおしまい♪」残りの書類を「未決」の箱に乗せると、椅子の上でひっくり返った…

カヴール「お疲れさまでした、提督♪」

提督「いいえ。二人のおかげでずいぶん助かったわ…さぁリットリオ、ご用はなぁに♪」執務机に腕をおいて頬杖をつくと、小首を傾げてリットリオの方を向いた…

リットリオ「はいっ、実は……妹が欲しいんですっ♪」

提督「そうねぇ…妹、いいじゃない……って、ちょっと待って」

リットリオ「はいっ。私の妹たちを鎮守府に迎えてくれませんか?」

カヴール「リットリオ級と言うことは…」

提督「未成艦の「インペロ」をのぞいた二隻ね…一応建造枠は余してあるけれど、出るかどうかは確約できないわ……」

リットリオ「ですから、試してもらえませんか?やっぱり一人ぼっちだと部屋が広すぎますし、姉妹で楽しく過ごしたいです」

提督「まぁ、それもそうね…いいわ、今度の建造の時に試してみましょう」

リットリオ「わぁぁ…やっぱり提督は優しいですねっ♪」…ぎゅっ♪

提督「ふふっ、いえいえ…♪」さわっ…♪

リットリオ「あんっ、提督ったらどこを触ってるんですかっ♪」

提督「それはもうリットリオのすべすべな船底のバルジを…」そう言いながらスカートの中に手を差しいれ、すべすべのヒップの感触を楽しむ提督…

カヴール「…そうですよね、やっぱり新型戦艦の方が旧式の改装戦艦よりもいいでしょうね」

提督「もう…カヴールは堂々たるド級艦でしょう?そう簡単にすねないの♪」

カヴール「でしたら私の機嫌がよくなるような一言を下さいな、提督?」

提督「んー、そうねぇ……大人の女性って素敵よ、カヴール♪」…ちゅっ、と頬にキスをしながら耳元にささやいた

カヴール「うふふっ…いいでしょう。ただし、後でお昼寝もご一緒させてもらいます♪」

提督「ふふっ、了解…♪」

98 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/03/01(木) 23:36:13.60 ID:bBCc8HBA0
…夕食時…

ムレーナ(フルット級中型潜)「それにしても査察か…なんなら私が片を付けようか」


…滑らかに波打つ金褐色の髪がウツボの尾びれのように背中に流れているフルット級中型潜の「ムレーナ」(ウツボ)……級名が「波」の優雅な言い方から来ている「フルット」級だけあってどの娘も端正な身体付きで、顔もミュシャの絵のように美しく、実際の性能もイタリア中型潜の中でも最も優れていたとされる……スクアロ級の「スクアロ」がしていたアル・パチーノの物真似は「本家」ムレーナの物真似で、こちらの物真似は絵のように美しい顔立ちもあいまってすごみもある…


提督「駄目よ、憲兵相手にもめ事をおこしちゃ」

ムレーナ「そうか…必要ならボート遊びに連れ出して、沖でこうしてもいいのだが……」しゅっ…と喉を切り裂く仕草をしてみせる

スクアロ「あぁ、そうね…内勤ばかりの憲兵に喰らいついて……柔肉を食いちぎる…ふふっ♪」

デルフィーノ(スクアロ級中型潜)「だからなんでそんな怖い話をするんですかぁ…もう、提督ぅ!」

提督「はいはい、こっちにいらっしゃい♪」

デルフィーノ「もう、スクアロったらひどいんですよぅ…帰ってきて早々にホラー映画を見せて来るし!」…頭がよく愛嬌のあるデルフィーノ(イルカ)はいたずらでよく姉のスクアロに怖い目に合わされている……が、イルカだけに自慰にふけってしまう性質であったりもする…

提督「もう、スクアロもいい加減止めてあげなさい?」

スクアロ「ふふっ…デルフィーノの怖がる姿を見るとむらむらして…♪」

提督「デルフィーノは可愛いものねぇ…一人で喘いでいるのを聞くと私だってぞくぞくしてくるもの…♪」ひざの上に大き目な中学生くらいの「デルフィーノ」を乗せ、綺麗な淡灰色の髪を撫でている…

デルフィーノ「…だ、だって///」

ポーラ「いいじゃないですかぁ〜…ね、デルフィーノ♪…一人でするのも刺激的ですよねぇ?」

デルフィーノ「は、はい…///」

ザラ「それにしたってポーラ、あなたは少し頻度を考えなさい?」

ポーラ「……そう言っておきながら、いつも一番乗り気なのはザラ姉さまじゃないですかぁ〜♪」

ザラ「う…だってポーラたちが可愛くって仕方ないんだもの……姉妹えっちだって気持ちいいし///」

ポーラ「あー、ザラ姉さまったら赤くなってますねぇ〜…か〜わいいっ♪」…ちゅっ♪

フィウメ「ザラ姉……私もザラ姉のこと、好きですよ♪」

ゴリツィア「私もです…姉様たちの事……離したくないくらい///」

デュイリオ「あらあらぁ、見せつけてくれますね……ドリア、お部屋で私と一杯いかが?」

ドリア「ふふっ、そうですね…今日はデュイリオだけに熱々のドリアを振る舞ってあげましょうか……♪」

デュイリオ「まぁ、それは美味しそうね……きっと中はとろっととろけて…♪」

ドリア「ねっとりと絡みつくような…さ、行きましょう♪」二人は指を絡めて手を握ると、意味ありげな笑みを交わしながら出て行った…

提督「…さーて、私もお風呂にしましょう……エリトレア、今日の夕食も素敵だったわ♪」

エリトレア「はいっ、満足してもらえて嬉しいですっ♪」

…植民地用スループと言うことで航続距離はあったが低速の「エリトレア」はそこそこの性能の割にはかなりの幸運艦で、エリトレア・マッサワ港から東南アジアへの脱出を阻止しようとする英海軍や、反対にイタリア敗戦後には東南アジアのサバンからインドの英海軍に投降しようとして日本の軽巡「球磨」に追われ、それも振り切るなどなかなかの幸運の持ち主でもあった……今はディアナと交代で厨房を担当していて、戦時に駆け回っていたせいか東アフリカ風料理や、エスニックな東南アジア風料理が得意だったりする…

提督「それじゃあ、バーカウンターの店じまいはいつも通り0100時までにね♪」…食堂の隅っこに作られているバーカウンターでシェーカーを振っているフルット級「ヴォルティーチェ」(渦・渦動)に声をかけると、ライモンを連れて大浴場に向かった

99 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/02(金) 00:30:07.95 ID:wfZkV8FD0
…ある日…

提督「はぁ…海外の提督さんたちが来る前に特別監察なんて……まったく、憲兵隊には私の事を恨んでいる誰かがいるに違いないわ」優雅な姿勢でコーヒーにグラッパ(※ぶどうの絞りかすブランディ…イタリア特産)を垂らすと、香りを楽しんでからすすった

チェザーレ「提督ほどの女たらしならそれは恨まれるだろうな…んっ!」

提督「だとしてもそれを特別監査でぶつけてくるなんて…まったく、底意地が悪いわ」

チェザーレ「かもしれぬな…ぐぅっ!」

提督「…チェザーレ、さっきから剣の鞘を背中に回して何をしているの?」

チェザーレ「いや…どうにも肩甲骨の下あたりがかゆくてな……手も届かぬし、長剣の鞘ならと思ったのだが…」

提督「ふふ、そんなことなら私が…」

ダ・ヴィンチ(マルコーニ級大型潜)「…ちょっと待った!この不世出の天才「レオナルド・ダ・ヴィンチ」が新しい発明を持ってきましたから、ぜひ試してみて下さい♪」

チェザーレ「…ダ・ヴィンチか、今度はどんな発明品なのだ?」

ダ・ヴィンチ「ふふ…気になりますよね?……はい、どうぞ使ってみて下さい♪」木でできた板状のものを渡した

チェザーレ「あー…チェザーレの目には薄い木のヘラにしか見えぬが」

ダ・ヴィンチ「んー、惜しい…よく見て♪」

チェザーレ「…よく見ると片方に曲線が付いているな、そしてそこに刻み目が入れてある……これで背中をかけばよいのか?」

ダ・ヴィンチ「はい、そうですよ…さぁさぁ、遠慮せず♪」

チェザーレ「ふむ…なるほど……おぉぉ…まさに「かゆいところに手が届く」な♪」

ダ・ヴィンチ「そうでしょう、まさに大発明です♪」

ジュセッペ・フィンチ(カルヴィ級大型潜)「待て、ダ・ヴィンチ…たしかジァポーネにはそう言う道具があるぞ」


…声をかけたのはカルヴィ級大型潜の「ジュセッペ・フィンチ」(フィンツィ)…フランス・ボルドーの前線基地から日本まで物資輸送任務に就く予定で改造されたがその前にイタリアの休戦を迎え、ドイツ潜「UIT.21」として戦没した経歴がある……そのせいかドイツ風の革長靴とかっちりした物腰、それに妙に間違った日本の知識をため込んでいる自称「日本通」で、鎮守府には実際に神戸まで到着した「ルイージ・トレーリ」などがいるにも関わらず、相変わらず的外れなことばかり言っている…


ダ・ヴィンチ「そうなんですか…ジァポーネに先を越されましたか」

フィンチ「いかにも!それはジァポーネで言うところの「猫の手」というもので、ことわざにも「猫の手でも借りたい」と言う風に名前が出てくるのだ」

ダ・ヴィンチ「なるほど…」

ルイージ・トレーリ(マルコーニ級大型潜)「…あの、フィンチ」

フィンチ「何だ、トレーリ。ジァポーネにこういう道具はあっただろう?」

トレーリ「ええ、ありましたが…これの名前は「孫の手」で、猫の手じゃありませんよ……」トレーリは1000トン越えの大型潜らしい高校生くらいに見える姿と豊満な胸、きゅっと引き締まった腰、それに可愛らしい顔立ちながら、イタリア・ドイツ・日本の軍籍に属しただけあって三カ国語もぺらぺらで物腰も礼儀正しい…と、非の打ちどころがなく、滑らかな髪には日本らしいヒスイと銀の髪飾りをつけている…

フィンチ「そうか…間違えてしまったな……とにかく、こういった道具はジァポーネに古くからあるのだ」

ダ・ヴィンチ「それは残念…新発明だと思ったのに」

チェザーレ「ふむ…最初の発明者ではないにせよ、背中はかけるし良い道具だと思うぞ。ダ・ヴィンチ」

ダ・ヴィンチ「チェザーレ、ありがとう♪…それではもっとたくさん発明しますから、ぜひ実験につき合ってくださいね♪」

チェザーレ「う、うむ……参ったな」弾むようにアトリエに戻っていくダ・ヴィンチを見てげんなりしている

提督「チェザーレも大変ね?」

チェザーレ「うむ…」



100 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/02(金) 23:44:04.48 ID:wfZkV8FD0
バンデ・ネーレ「どうかしたの?」…相変わらず「黒備えのジョバンニ」だけあって黒一色の格好をしているジュッサーノ級軽巡「ジョバンニ・デレ・バンデ・ネーレ」……中性的な顔立ちで背が高く、かなり華奢な身体付きをしている…

提督「いえ、ダ・ヴィンチの発明品の話…そういえば、ミラノはどうだった?」

バンデ・ネーレ「うん、楽しかった。いっぱい買い物もできたし、黒い服もうんとあって…そうだ、ちょっと着替えて来る♪」…部屋に駆けていくと、しばらくして戻ってきたバンデ・ネーレ

バンデ・ネーレ「どうかな…ボクに似合うって店員さんは言ってくれたけど」黒のしっとりしたスカートに袖なしのハイネックセーター、それにオニキスをあしらった銀のアクセサリー…

提督「…とっても綺麗よ、バンデ・ネーレ……同じ黒でも、すーっと吸い込まれそうな艶のある黒ね」

バンデ・ネーレ「…て、照れるな///」

提督「ううん、お世辞じゃなくてよく似合うわ…♪」

チェザーレ「うむ…ぐっと大人びた魅力が出ているぞ」

バンデ・ネーレ「ありがとう、でももういいよ…これ以上言われたら顔が火照ってきちゃうから///」

提督「…あらあら、行っちゃったわ♪」

チェザーレ「ふふ、可愛いものだな」

リベッチオ(マエストラーレ級駆逐艦)「どうしたの?」

…今度は褐色の駆逐艦「リベッチオ」が提督の横からひょいと顔をのぞかせた…北アフリカ向け船団護衛任務に就いた艦が多い中でどうして「マエストラーレ」級だけが褐色なのは謎ではあったが、少し船型を拡大した以外はほぼ同じ姿をしている「オリアーニ」級の艦娘たちと見分けがつきやすいので、提督としては便利ではあった…

提督「あら、リベッチオ…日光浴はもういいの?」

リベッチオ「うんっ、いっぱい太陽を浴びてきたから♪」

提督「そう、よかったわね♪…相変わらず裸で日光浴をしているの?」いたずらっぽい笑みを浮かべて聞いた

リベッチオ「そうだよっ、だってその方が気持ちいいもの…相変わらずマエストラーレお姉ちゃんは水着を着ているけど♪」

提督「ふふっ、もったいないわよね♪」

リベッチオ「そうだよね♪それじゃあ、また後で♪」

提督「ええ♪」

ライモン「…にやけていますよ、提督」

提督「だってねぇ…あのぷりっとした玉のような肌をしたリベッチオたちが全裸で日光浴をしていたら表情も緩むわ♪」

エウジェニオ「そうね、まるでレスボス島で愉しんできた私みたいにね。そうでしょう…て・い・と・く?」…後ろから背中にくっつくと、耳元に息を吹きかける軽巡「エウジェニオ・ディ・サヴォイア」…

…エウジェニオは「R・モンテクッコリ」級に始まるイタリア軽巡の華とも言うべき新型軽巡の一隻で、艦娘としても整ったしなやかな肢体に白い肌、長いまつげに玉を転がすような涼しげな声が特に優美で美しい…が、戦後をギリシャで過ごしたせいかすっかりビアン気質が染みつき、鎮守府の艦娘という艦娘を誘惑している…

提督「あら、エウジェニオ…ギリシャはどうだった?」

エウジェニオ「一言で言えば最高だったわ…綺麗な女性から可愛い女子学生まで食べ放題で……ふふっ、久しぶりに別名で遊んできたわ♪」

提督「…別名って?」

エウジェニオ「あぁ、私の別名は「エリ」っていうの。戦後賠償でギリシャに行ってからつけられた名前だけど、今回はうんと活用させてもらったわ…♪」

提督「あら、本名を隠してだなんて…いけない娘ね♪」

エウジェニオ「いいじゃない、おかげで欲求不満そうなフランスの小娘からギリシャの花売り娘まで巻き込んでうんと遊ばせてもらったわ♪」

提督「まぁまぁ…憲兵隊の査察の時は黙っていた方がいいわね♪」

エウジェニオ「あら、憲兵なんて私にかかればすぐベッドの上で撃沈させてあげるわ。それじゃあ、アオスタ姉さんを待たせているから…チャオ♪」軽く提督の耳たぶを甘噛みすると、足取りも優雅に出て行った…

提督「もう、エウジェニオったら相変わらずなんだから…♪」

ライモン「提督。コーヒーの時間もいいですが、そろそろ書類の整理に取りかからないと査察の時に困りますよ?」

提督「分かったわ…はぁ……それじゃあね、チェザーレ」

チェザーレ「うむ、チェザーレも時間が出来たら応援に参るぞ」

提督「ありがとう。…それじゃあライモン、行きましょうか」

ライモン「はい」
101 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/03(土) 00:24:48.17 ID:Rd+pmMDk0
…数日後・食堂…

提督「……いよいよ特別監査の日ね。ライモン、準備はいいわよね?」

ライモン「はい、万全の態勢を整えてあります」

提督「助かるわ…みんな、今日は海軍憲兵隊の査察があるから、くれぐれも粗相をしたり裸でうろついたりしない事……廊下でキスしたりもダメよ」

エウジェニオ「あら、あいさつもいけないの?」

提督「あんまり唇に近いのはね。とにかく、真面目に振る舞っておくこと…いいわね?」

一同「「了解」」

提督「よろしい…そろそろ到着時間だと思うけど……」

ドリア「提督、門に憲兵隊の車が来ました」

提督「了解、すぐ行くわ」

…鎮守府・門…

提督「よくいらっしゃいました…さぁ、どうぞ?」…海軍カラーに塗られた「フィアット・パンダ」を迎え入れる提督

憲兵「ええ、少将」女性の憲兵隊士官はかっちりまとめた髪、シワ一つない制服と眼鏡姿で、採点するように提督を眺めた…

提督「…」(うわ…この人今までに笑った事ってあるのかしら……)

憲兵「ここが鎮守府の本棟ですね?」

提督「え、ええ…そうですよ。それで少佐のお名前は…?」

憲兵「私の名前が必要ですか、少将?」

提督「ええ、まぁ…いつまでも「少佐」では肩が凝りますし」

憲兵「そうですか?……まぁ良いでしょう。憲兵隊少佐、アンジェリカ・カルディナーレです」

提督「フランチェスカ・カンピオーニです…よろしくお願いします、カルディナーレ少佐♪」

カルディナーレ「ええ、よろしくお願いします」

提督「…長旅でお疲れでしょうし、まずはコーヒーでも……」

カルディナーレ「いえ、結構です。各鎮守府での「もてなし」は受けるなとの指示がありますので」

提督「あら、そうですか…」

カルディナーレ「それより、司令官の執務室に案内していただきたいのですが」

提督「…どうぞこちらへ」


…執務室…

提督「どうぞ、おかけになって下さい」小さいテーブルを挟んで椅子を二脚並べてあり、カルディナーレ少佐の方には鎮守府の中で一番座り心地の悪い椅子を用意しておいた提督…

カルディナーレ「失礼します」椅子に座ると早速ファイルとペン、ノートパソコンを取り出した…

ライモン「…良かったらどうぞ」コーヒーとお茶菓子を置く

カルディナーレ「いえ…そう言ったもてなしは結構ですから」

提督「…そう言わずに。せっかく淹れたコーヒーを無駄にしたくないですから」

カルディナーレ「いえ、ですが指示がありますので…」

提督「その指示は鎮守府で酒食をごちそうになり、査察の基準が鈍るといけないという判断からでしょう?……私はカルディナーレ少佐を「コーヒー一杯で手心を加えてくれるような不真面目な方」だとは思っていませんよ?」(…普段生真面目な女性は真面目さや律儀な所を素直にほめてもらうと喜ぶのよね♪)

カルディナーレ「それはもちろんです」

提督「でしたら冷めてしまわないうちにどうぞ」

カルディナーレ「…いただきます……いいコーヒーですね」

提督「ええ、いつも艦娘たちは激しい任務に就いていますので…せめてコーヒーぐらいは美味しいものを飲ませてあげたいですから」

カルディナーレ「…なるほど」

102 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/04(日) 23:24:53.64 ID:kgnaoGaY0
カルディナーレ「それでは早速ですが…カンピオーニ少将」パラパラとファイルをめくる…

提督「何でしょう?」

カルディナーレ「これからいくつか質問をさせていただきます…別に公式な査問という訳ではありませんが、正直にお答えください」

提督「ええ、どうぞ」

カルディナーレ「…まず、あなたの経歴ですが……士官学校を優秀な成績で卒業。運動は全般的に不得意ながら水泳と射撃は成績上位で、座学では特に海軍史、文学で優秀な成績。卒業後はフリゲート「インパヴィド」級での海上勤務を始め、ナポリ、ミラノ、ジェノヴァ、ヴェネツィア、ローマなど主だった司令部や基地で勤務していますね」

提督「ええ」

カルディナーレ「さらに士官学校卒業からここに着任するまでに「卓越した指揮および勇敢な行動」により勲章および感状数回…特進も二回ありますね」

提督「ええ、そうですね」

ライモン「…♪」(やっぱり、提督ってすごい人なんだ…♪)

カルディナーレ「ですが同時に…」

提督「……ほーら来た」

カルディナーレ「何か言いましたか?」

提督「いえ、別に」

カルディナーレ「そうですか…とにかく、士官学校在籍時に「候補生同士で不適切な関係を結んだ」という嫌疑が数回」

提督「はい」(本当は教官も含めて「数回」どころじゃなかったけど…ふふっ♪)

カルディナーレ「少尉の時に女性士官宿舎で「みだらな行為をしているようだ」と憲兵隊への通報数回…中尉、大尉時にも同様の通報ありとなっていますが」

提督「あー…それにはいずれも「誤報」とあるはずです。…事実、私の部屋で持ち寄りパーティを開いていたり、ワインを飲みすぎた同僚が少し騒いだだけなんです♪」(…あの時は憲兵さんがそういうことにしてくれたのよね♪)

カルディナーレ「…しかしこれだけ回数が重なると、間違いにしても疑わしく思えてきますが」

提督「疑わしいだけで取り調べを受けるのですか?」にっこり微笑んで切り返す…

カルディナーレ「いえ…さっきも申しあげた通り査問ではありませんから。単にお尋ねしているだけです」

提督「そうですか…ではもうよろしいですか?」

カルディナーレ「そうですね……あぁ、あともう一つだけ」

提督「何でしょう?」

カルディナーレ「カンピオーニ少将…着任以来、鎮守府の「艦娘」たちと不適切な関係は結んでいませんね?」

ライモン「…っ///」

提督「ええ、もちろん節度をわきまえております♪」(執務中はえっちしないもの…♪)

カルディナーレ「そうですか…質問は以上です」パタンとファイルを閉じた

提督「そうですか…それで、この後は?」

カルディナーレ「鎮守府の査察を行いますから、案内をお願いします」

提督「分かりました…それじゃあライモン、一緒に行きましょうか」

ライモン「はい」

カルディナーレ「ライモン?…個人的なあだ名をつけるとは、少将と「ライモンド・モンテクッコリ」はずいぶんと親密なようですね?」

提督「そうですか…通信でも聞きとりやすいですし、便利だと思って呼んでいるのですが?」そっとライモンにウィンクをする提督

ライモン「///」

カルディナーレ「ふぅむ…まぁ良いでしょう……」
103 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/05(月) 00:02:20.68 ID:YO26LppB0
…鎮守府・廊下…

カルディナーレ「それにしても立派な施設ですね、手入れもよく行き届いているようです」

提督「ええ、毎日過ごす施設ですから…まずはどこを見たいですか?」

カルディナーレ「そうですね、まずは通信室を」

提督「分かりました…あら、ルチア♪」

ルチア「…ワフッ♪」

カルディナーレ「…い、犬ですか」そっとルチアから距離を取り、意識せず提督に近寄る形になったカルディナーレ…

提督「犬は苦手ですか?」

カルディナーレ「いえ…ですがこんなに大きい犬は初めてで……」

提督「大人しい子ですから大丈夫ですよ…ね、ルチア♪」(…あら、カルディナーレ少佐ったらなかなかいい匂い♪)

ルチア「♪」ぱたりと尻尾を振りながらカルディナーレの匂いを嗅ごうと鼻を寄せた…

カルディナーレ「…ひゃっ!」タイトスカートの中へ鼻を突っこもうとするルチアにすっとんきょうな声を上げる

提督「あぁ、こらっ…大丈夫ですよ、カルディナーレ少佐」

カルディナーレ「あぁ、どうもありがとうございます…」


…しばらくして…

提督「通信室、建造施設を見ましたが…次はどうしますか?」さりげなく後ろの方にディアナが付き従っている…

カルディナーレ「そうですね……使用頻度が高い食堂や体育館を見るつもりですが、その途中で艦娘たちの部屋を見させてもらいます」

提督「分かりました。それでは、どの娘の部屋にしましょうか?」

カルディナーレ「では、まずは一番近い部屋を」

提督「それでしたら駆逐艦「ソルダティ」級の部屋ですね…駆逐艦では最も姉妹艦の多いクラスですよ」

ディアナ「…」すっと離れて角を曲がった…

…ソルダティ級の部屋・共有スペース…

ランチエーレ「あー…庭で駆け回れないのは退屈ね」

コルサーロ「全くだぜ、あたしも…アヴィエーレ、何を読んでるんだ?」

アヴィエーレ「んー…漫画さ」

コルサーロ「漫画なのは分かってるって…何の漫画だって聞いているんだよ」

アヴィエーレ「架空戦記ものだよ…「エリア八八艦隊」ってやつ」

コルサーロ「面白いのか?」

アヴィエーレ「死ぬほど面白いよ……「坂井」とか「ヒゲだるま」とかいろんなあだ名のエースが出て来てね」

コルサーロ「へぇ…よかったらあたしにも……」と、ジリリリン…ッと電話が鳴った

ランチエーレ「わっ…はい、ランチエーレ……はい、了解」

アヴィエーレ「どうした?」操縦士だけに電話の音を聞くと身構えてしまう…

ランチエーレ「憲兵の査察よ、漫画を片づけて!」

カラビニエーレ「任せて、私からすれば同業者みたいなものだから…よし、これでいいわ」艦名が「カラビニエーリ隊員」だけにきっちりした性格のカラビニエーレがあちこち手直しする…

…廊下…

提督「ここがソルダティ級の部屋です…ちょっといいかしら?」ノックをする提督

カラビニエーレ「どうぞ!」

提督「それじゃあ、ご覧になって下さい♪」

カルディナーレ「…失礼します……なかなか片付いているようですね」

アヴィエーレ「〜♪」

提督「ええ。艦娘たちはみんな真面目ですし、私も「イタリア海軍の名に恥じぬよう行動せよ」と常々訓示しておりますから…♪」カルディナーレに見えないよういたずらっぽく笑ってウィンクした

ランチエーレ「ぷっ…♪」
104 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/05(月) 00:33:57.69 ID:YO26LppB0
提督「次はどうしますか?」

カルディナーレ「そうですね…重巡ザラ級の部屋はどうなっていますか?」

提督「ザラ級ですね、ではこちらへ…♪」

ガリバルディ「…」ガリバルディがすっと手近な部屋に入って行った…

…ザラ級の部屋…

ザラ「あぁぁ…んっ♪……んぁ、あぁぁぁっ♪」

ポーラ「ザラ姉さま…ぁ、明るい所だとザラ姉さまの綺麗なあそこがよく見えますよぉ〜♪」くちゅっ、じゅぶっ♪…蜜をとろとろとしたたらせているザラのふとももに頬ずりしながら、すんなりした白い指で秘所をまさぐるポーラ…

ザラ「あっ、ひぅっ♪…いいっ、そこっ……いいのぉ♪…ポーラ、ポーラもっと…ぉ♪」立って壁に背中を預けながら両手でスカートをたくし上げ、腰を突きだして愛蜜を垂らすザラ…

フィウメ「…もう、ザラ姉の妹はポーラだけじゃないんですよ……それっ♪」じゅぶっ…♪

ザラ「あぁぁっ、いぃっ…ひぐぅぅっ♪」ぽたぽたっ…とろっ……♪

ゴリツィア「私も…お姉さまたちの事……大好きです…///」ぬちゅっ…くちゅっ、ずりゅっ……♪

ザラ「あぁっ、んぅ…ゴリツィア……そこ、気持ひいぃ……♪」

ポーラ「えへへぇ…ザラ姉さまぁ〜♪」…んちゅっ、ちゅっ♪

ザラ「ん、ふ…待って、ポーラ…電話が……」

ポーラ「もぉ〜、興ざめもいい所ですねぇ〜……もしも〜し、はい…分かりましたぁ〜♪」ガチャリと受話器を置いた

ザラ「…はぁ………ふぅ…で、何だったの?」

ポーラ「憲兵さんの視察だそうですよぉ〜…さぁ、片づけましょ〜♪」

ザラ「嘘でしょ…早く着替えないと……んっ、く!」ぐちゃぐちゃに濡れて肌に張りつく下着をどうにか引きおろし、代えの下着に脚を通すザラ…

提督「…ザラ、お邪魔してもいいかしら?」

フィウメ「わっ、提督!?…ちょっと待ってくださいね!」

…廊下…

提督「ふふ…きっと何かおもてなしの準備でもしているのでしょう♪」

カルディナーレ「そう言ったものは不要と先ほどから…」

提督「あ、準備が整ったようですよ♪……もういいかしら?」

ザラ「は、はい…どうぞ……」

カルディナーレ「失礼…なんだか甘酸っぱいような刺激的なにおいがしますね」眉をひそめる

フィウメ「えーと…それはきっと……」

提督「家具の一部は仕立てなおしたものなので、どうしても接着剤の臭いがしたりするんです…それをどうにかしようと思って香水を撒いてみたりするんですが、どうにも……ね?」

ポーラ「そうなんですよぉ〜…もっといい家具をそろえて欲しいですねぇ〜♪」

カルディナーレ「それは私ではなく主計官の方にお願いして下さい…なるほど、小ざっぱりしていて掃除は行き届いていますね」

ザラ「…ふぅ」

提督「それではここはもういいですね?」

カルディナーレ「ええ…次は食堂に案内してください」

提督「ええ…お邪魔したわね、ザラ♪」

ザラ「…は、はい///」

ライモン「///」

………


105 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/06(火) 01:50:23.23 ID:Mzi6XeuM0
…食堂…

提督「ここが食堂です…食事の邪魔になるのでテレビは置いてありませんが、レコードとCDのプレーヤーは置いてあります」…さりげなく隅のバーカウンターには布をかけて、見えないようにしてある

カルディナーレ「そうですか…そう言えばちょうどお昼時ですね」

提督「…よかったらお昼を食べていきませんか?」

カルディナーレ「いえ、結構です……昼食は査察を終えてから、来る途中にあった町で食べますので」

提督「そうですか?…まぁ、断食をなさりたいならそれでもいいと思いますが……」

カルディナーレ「…は?」

提督「いえ…いくらタラントの近くとはいえ、ここは南イタリアの田舎ですよ?昼の時間を過ぎて料理屋が開いている訳ないじゃありませんか♪…シエスタ(お昼寝)の時間ですからお店は軒並み閉まっていますよ」

カルディナーレ「え…ですがちょっとしたレストランやピザ店ぐらいなら探せば……」

提督「そんなローマやナポリみたいな観光客向けのお店なんかありませんよ?人のいいおじさんがやっている料理屋とカフェが数軒があるだけです」

カルディナーレ「…そ、そうですか」

提督「ですからどうぞここで食べていって下さい…なんならかかった材料の分の請求書だって書きますよ?」

カルディナーレ「いえ、そこまでは不要で……///」きゅう…とお腹が鳴り、耳を赤くするカルディナーレ

提督「ふふっ…さぁ、ここにおかけになって?」カルディナーレの肩を押さえて椅子に腰かけさせると、厨房に入って行った…

カルディナーレ「ところで…さっきの話は本当ですか?」

ライモン「お店の話ですか?まぁ本当ですね」(…多分、おじさんを起こして頼み込めば何か作ってはもらえるでしょうけど)

カルディナーレ「はぁ…つくづく南イタリアと言うのはのんきなものですね」

提督「…お待たせしました。さぁ、召し上がれ♪」コトリと置かれたのは大皿に入ったパスタで、細めのフェデリーニに緑も鮮やかなキャベツと紅い唐辛子、それにカラリと揚がっているニンニクの薄切りが散らしてある…

カルディナーレ「キャベツ入りペペロンチーニですか。いただきます……」くるりと巻いて口に運び、途端に不思議そうな表情を浮かべる

提督「いかがですか?」

カルディナーレ「…美味しいです。ただのペペロンチーニではないようですね?」

提督「ええ、オイルサーディンの缶詰が残っていたので…ニンニクの香りが効いたオリーヴオイルの中でほぐして、茹で上がったパスタに絡めただけですよ♪」

カルディナーレ「いえ…本当に美味しいです、仕上げの粗挽き胡椒も風味が効いていますし……んっ!」

提督「あ、喉に詰まって……さ、飲み物をどうぞ」グラスを差し出す

カルディナーレ「んくっ、んっ……はぁ、失礼しました」

提督「いいえ。パスタの一口目って時々のどに詰まりそうになりますものね♪」

カルディナーレ「ええ…って、ワインですか」

提督「すみません、どうしてもこの辺りは水道水があまり良くないので……つい」(本当はミネラルウォーターもあるけれど…♪)

カルディナーレ「…なるほど、それでは仕方ありませんね……でも少しにしておいてください、帰りも車なので」

提督「ええ、それでもパスタを流し込むだけに飲んだこの一杯だけと言うことはないでしょう…どうか二杯目はちゃんと味わって下さいね?」

カルディナーレ「ええ、それはそうかもしれませんが…ではその一杯だけで……///」空腹だった上に普段飲みつけない高級なワインがしっとりと喉を流れ落ち、ぽーっと頬が紅くなる…

提督「パスタのおかわりが欲しくなったらそう言って下さいね♪」

カルディナーレ「いえ…もう結構れす……失礼///」少し舌が回らなくなり、慌てて謝る…

提督「いいえ♪…良かったら酔いが覚めるまで空き部屋でお休みしたらいかがですか。その状態で運転はまずいでしょう?」

カルディナーレ「…ええ、それもそうですね……ですがまずは査察を終わらせましょう」

提督「ええ、そうですね…♪」

106 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/06(火) 02:33:06.57 ID:Mzi6XeuM0
…鎮守府・廊下…

提督「ではこれから体育館の方へ…」

カルディナーレ「ええ…///」頬が桜色に染まり、しきりに眼鏡をずり上げては目をぱちくりさせている…

提督「どうかしましたか?」

カルディナーレ「いえ…どうも先ほどのワインが思っていたよりも効いてしまったようで……」

提督「あらあら…気分が悪くなったりしたらすぐ言って下さいね、どこかで休憩を挟みますから」

カルディナーレ「大丈夫です」

提督「そうですか、なら心配いりませんね…♪」そっと手を重ねる提督…

カルディナーレ「…どうして手を?」

提督「いえ…腰や身体ですとなれなれしいかと」(…こういう場合「真面目な女性は無理に親しさを装って触ったりし過ぎてはダメ」なのよね、おばさま♪)

カルディナーレ「…ええ、そうですね」と、ルチアがいつも一緒に歩くときのように提督の脇へとすり寄ってきた…

ルチア「ワフワフッ…♪」

提督「あら、ルチア…遊んでほしいの?今は駄目よ」

ルチア「ワンワンッ!」構ってもらいたいルチアが提督とカルディナーレの足元にまとわりついてウロウロする…

カルディナーレ「本当に大きい犬ですね……っ、きゃあっ!?」ルチアが踏み出した脚の間へ入り込むような形になってたたらを踏む…

提督「…っ、アンジェリカ!」…ぽすっ

カルディナーレ「……あ、ありがとうございます///」見事に提督の腕の中に収まったカルディナーレ…オーバルレンズの眼鏡が胸の谷間で斜めにずれて、鼻にかかっている……

提督「いえ…もう、ルチアったら!」

ルチア「クゥーン…」

提督「仕方ない子ね…ライモン、悪いけれどルチアを散歩にでも連れて行って?」

ライモン「はい。…もう、提督の邪魔をしたら駄目ですよ。さぁ、散歩にでも行きましょう?」

ルチア「ワフッ…♪」

提督「ふぅ…うちのルチアは可愛いですしたいていはお利口なんですが、時々ああいう子供みたいなところがあるんです」

カルディナーレ「…それより、少将///」(…今、私の事を「アンジェリカ」って///)

提督「はい、何か?」

カルディナーレ「…そろそろこの体勢を止めませんか……どうにも恥ずかしいので///」

提督「…そうですか?」カルディナーレの両手に自分の手を重ねると指を絡ませ「恋人つなぎ」にする提督…

カルディナーレ「あの…っ///」

提督「…アンジェリカ、私……貴女の事が好きみたいです///」

カルディナーレ「…じ、冗談は止して下さい。まだ数時間しか会ってもいない相手に……」

提督「いいえ…だってアンジェリカは……」

カルディナーレ「…なんですか?」(…どうせ「私の前に舞い降りた天使(アンジェ)のような女性だから♪」とでも言うのでしょう?…はぁ、そう言うのは聞き飽きてます)

提督「…とっても律儀な人だから」

カルディナーレ「…えっ!?」

提督「キンキン声で話す子供みたいな女性や、頭の悪い可愛いコぶっている女の子なんかと違って…真面目で、真剣で……///」

カルディナーレ「あ、あの…っ///」

提督「よかったら…貴女の手にキスさせて下さい……」

カルディナーレ「…いえ、こんな所で……誰かに見られたら…っ///」

提督「でしたら…こちらへ……///」目を伏せてそっとカルディナーレを見上げ、まつ毛をぱちぱちさせつつ角を曲がる…左右に人気がないのを確認してからそっとカルディナーレの薄い唇に自分の唇を重ね合わせた…

カルディナーレ「んっ…ふ……ん、ちゅっ…///」

提督「ちゅっ……素敵でしたよ、アンジェリカ…♪」

カルディナーレ「…ふぁぁ///」

………
107 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/07(水) 01:31:28.57 ID:Pw0TOCG/0
…しばらくして・執務室…

カルディナーレ「…それにしても、カンピオーニ少将」床にひざをつき、提督の膝の上にあごを乗せていたカルディナーレがおもむろに口を開いた…

提督「んー?」椅子に座ってカルディナーレの頬を優しく撫でながら小首をかしげる…

カルディナーレ「さっきの言葉ですが…正直私にそこまでの魅力があるようには思えません」

提督「そんなことないわ♪」

カルディナーレ「では到着してからのほんの数時間で、どんなところに魅力を感じたというのです?」

提督「そうねぇ…最初に質問をしてきたときかしら。指がとっても綺麗だし、手もすべすべで……愛撫されたいと思ったわ///」

カルディナーレ「///」

…一方・ドアの外…

ドリア「まぁ…提督ったら相変わらずお上手♪」

エウジェニオ「…ふふっ、いい口説き文句ね。今度私も使わせてもらおうかしら」

カルロ・ミラベロ(ミラベロ級駆逐艦)「そうね、あんなことを言われたら身体がうずいちゃう…♪」…駆逐艦の中でも特に小さい1000トン未満の船型から小学生にすら間違われそうな身体ながら、1916〜17年に就役した第一次大戦型の駆逐艦だけあってめっぽう耳年増なミラベロ級……ドリアたちと一緒にドアの隙間から漏れてくるやり取りに耳を傾けながらぞくぞくしたような表情を浮かべ、ふとももをこすり合せている…



提督「アンジェリカ…もう帰るの?」

カルディナーレ「ええ、査察は済みましたし…そろそろ戻らないとローマへの飛行機に乗り遅れてしまいますから」

提督「そう…残念ね……せめてお別れにキスだけさせてもらえないかしら」

カルディナーレ「…いえ、ですが///」

提督「一回でいいわ…貴女と出会えた思い出に、私の唇を捧げたいの///」

カルディナーレ「で、では…一回だけ……」顔を上に向けると、提督の方に近寄せる…

提督「ん…ちゅっ……ちゅ、ちゅぷっ…♪」

カルディナーレ「んふっ…あむっ……ちゅる…っ……んちゅ…っ♪」

提督「んんっ…んぅ……あふっ…んあぁ……ちゅ…ちゅぽっ…れろっ……ちゅぅ♪」



ドリア「まぁまぁ…提督ったらあの堅そうな憲兵さんをすっかりその気にさせてしまいましたね♪」

エウジェニオ「ふふ、百合の香りからは逃れられないのよ…♪」

ミラベロ「もう…あんなキスされたら腰が砕けちゃうわ……きっと♪」



提督「ぷは…ぁ……ふぅ、はぁ…とっても熱いキスだったわ、アンジェリカ♪」

カルディナーレ「あっ…いえ、つい夢中になって……はしたない真似を///」

提督「いいえ、いいのよ?…恋は理性でどうこうできるものでもないし、それに……禁断の愛であるほど甘い味がするものよ♪」ぱちりとウィンクを決めると、手を取って立ち上がらせた

カルディナーレ「///」

提督「…それでは、本日は監査のためにおいでいただき、まことにご苦労さまでした」

カルディナーレ「あぁ、はい……こちらの鎮守府には何も問題ありませんでした。上官にはそう報告する予定です」

提督「それはよかった…では、気を付けて帰ってくださいね♪」



ミラベロ「いけないっ、憲兵が出てくるわ…」

ドリア「ふふふ…っ♪」

エウジェニオ「…素敵なひと幕に感謝するわ、提督♪」そっとドアの前から立ち去る三人……

………
108 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/07(水) 01:47:59.27 ID:Pw0TOCG/0
なかなか進まないのですが、今日はこの辺で投下を止めます……時間がかかりましたが、いよいよイギリス海軍のグレイ少将にドイツ連邦海軍のヴァイス中佐が出てきます

…ちなみに前スレでグレイ提督の愛車を何にするか迷っていたところ、「アストンマーチン・DB4」辺りがいいのではというリクエストがありましたので、それを採用するつもりでおります。またヴァイス中佐は紺の無難な「BMW・320i」です


あと、銃は多分グレイ提督が(いつもは)制式のSIG・P226辺りの軍用オートマティックで、趣味として.38ブリティッシュ口径のウェブリー&スコット・リボルバー…ヴァイス中佐はやっぱり軍用のSIG・P226かワルサー・P1(名銃ワルサー・P38の戦後型)辺りだと思っています…

109 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/03/08(木) 00:48:44.12 ID:1/t9zx700
…数日後・執務室…

提督「メイク…完了。制服……よし。軍帽…よし」髪はアップに結い上げ、頬には軽くファンデーションをのせ、唇には自然な感じに見えるピンクのルージュを引く…そして豪奢な白い礼装に身を包むと、鏡の前で糸くずが付いていたり、金モールのよじれがないか確かめる…

カヴール「背中は大丈夫ですよ…よく似合っていらっしゃいます♪」

提督「ありがとう、カヴール…でも少しふとももがきついかも……」お洒落にうるさいイタリア軍だけあって、軍服のシルエットはどれも細めに出来ている…が、鎮守府着任以来の食生活がたたって白のスラックスがぱつぱつに思える提督…

カヴール「でしたらタイトスカートになさったら?」

提督「そ…そうね、そうしましょう」

ライモン「提督、お客様の到着予定時刻まであと数十分ですよ」

提督「ええ、ありがと。…時間が少ないしちょっと急がないと…カヴールは大丈夫?」

カヴール「ええ、もちろんです……年を取るとせっかちになりますからね♪」…ころころと甘い声で笑うカヴールはボリュームたっぷりの長身をイタリア海軍らしい、白に近い淡いグレイの上衣と膝丈のプリーツスカートでまとめている

提督「ごめんなさいね。まさかここまでバタバタするとは思わなかったわ…」

カヴール「いいえ…それに前回は提督のお知り合いでしたから、あまり肩が凝るような準備は必要なかったではありませんか♪」

提督「ええ、そうね…それに引き替え今度はイギリス海軍の少将にお堅いドイツ海軍の司令だもの……あー、今から胃が痛むわ」

カヴール「ふふっ、話してみたら存外いい人かもしれませんよ?…はい、大丈夫です」

提督「ありがとう、助かったわ…さぁ、行きましょう♪」

…しばらくして・庭…

カヴール「全体、アテンツィオーネ!(気を付け!)」ずらりと並んだ艦娘たちと提督が敬礼する中、軍が用意した二台のマセラッティからイギリス海軍のグレイ提督とドイツ連邦海軍のヴァイス提督(正しくは司令)、それにそれぞれの随伴として艦娘二人づつが降りてくる…


…鎮守府本棟の前に立っている国旗掲揚のポールにするすると「ユニオン・ジャック」(イギリス国旗)と、「シュヴァルツ・ロート・ゴルト」(黒・赤・金…ドイツ国旗)がタイミングよく昇って行く……提督の敬礼に二人の提督が答礼すると、レコードプレーヤーから「ハート・オヴ・オーク」(樫の心…英海軍唱歌)、続いてドイツ連邦国家が流れた…


提督「…この度はわが鎮守府までお越しいただき、大変光栄に思っております。栄光ある大英帝国海軍の皆様、それに質実剛健なドイツ連邦海軍の皆様…本官を始め、タラント第六鎮守府は皆様を心より歓迎いたします」

グレイ提督「…感謝いたします、カンピオーニ提督。わたくし、イタリア海軍の独創性には常々学ぶところも多いと思っておりました…この機会を大いに有効活用させていただきたいと存じます」

ヴァイス提督「少将閣下を始め、貴鎮守府の心よりの歓迎、感謝いたします…本官も多くを学ぶべく尽力いたしますので、なにとぞご教授下さい」

提督「こちらこそ、ロイヤル・ネイビー(英海軍)とブンデスマリーネ(連邦海軍)の皆様を迎えられて嬉しく思います…」

ティルピッツ「…う、うぇっ……」

ビスマルク「…おい」青ざめた顔で直立不動の姿勢を取っている艦娘「ティルピッツ」と、それを横目でちらりとにらんでから厳格な表情に戻る姉の「ビスマルク」…

提督「……以上で、歓迎式典を終わります」

カヴール「気を付け!」

提督「…ではグレイ提督、ヴァイス提督……紅茶が用意してありますから、こちらへどうぞ♪」

グレイ提督「ふふ、ありがとう…♪」

ヴァイス提督「はっ」

………









110 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/08(木) 01:43:08.20 ID:1/t9zx700
…午後…

提督「…ヴァイス提督」式典を終えると礼服を脱ぎ、ブラウスにスカートの軽い制服に着替えてきた提督は、食堂前の廊下でヴァイス提督を見つけて話しかけた…

ヴァイス提督「はい、カンピオーニ提督」

提督「あー…私の事は気軽にフランチェスカと呼んで下さって構いませんよ」

ヴァイス提督「いえ、たかが中佐が少将に向けて呼び捨てなどしたら規律が乱れてしまいますから。…それで、何かご用でしょうか?」

提督「ええ、ティルピッツの事で…多少顔色が悪そうでしたから、何でしたらお薬でも……?」

ヴァイス提督「…大丈夫です、お気になさらず。今正装を脱いでいる所ですから」

提督「そうですか?」

ヴァイス提督「ええ…彼女は北海での作戦行動が多かったので顔色が白く見えますが、いたって健康ですので」

提督「ならいいのですが…もし具合が悪いようでしたら遠慮せずに言ってくださいね?」

ヴァイス提督「はっ、感謝します」

提督「私は無帽なのですから敬礼は不要ですよ…ヴァイス提督♪」

ヴァイス提督「…失礼しました///」

…一方・ドイツ艦の客室…

ティルピッツ「…だいたい、イタ公の運転手は飛ばし過ぎだ……マセラッティだか何だか知らないがラリーみたいに…うぇぇ…」洗面台に屈みこみ、蒼白になっているティルピッツ…

ビスマルク「全く、車酔いとは情けない……それでもドイツ海軍の戦艦か?」コップに水を満たし洗面台に置くと、酔い止め薬を差しだすビスマルク…反対の手で背中をさすってやりながら、あきれたように首を振った…

ティルピッツ「仕方ないだろう…姉上もよくご存じのはずだ、私は身体が弱いんだ……うぇ…っ」

ビスマルク「だらしないな、ティルピッツ提督が泣くぞ?…ほら、飲め」

ティルピッツ「ごくっ…ごくっ……ダンケ(ありがと)、姉上」

ビスマルク「ビッテシェーン(どういたしまして)…さぁ、食堂のティータイムに顔を出さんと英国海軍の奴に気どられるぞ」

ティルピッツ「うん……ふぅ、少し元気になった」

ビスマルク「全く…世話の焼ける妹だ」

…同じ頃・食堂…

提督「グレイ提督は紅茶とコーヒー、どちらになさいますか?」

グレイ提督「わたくしは紅茶を…♪」かっちりした正装でなくても常に姿勢が正しく、生まれながらにして優雅なグレイ提督…隣には無言の威圧感がある戦艦「クィーン・エリザベス」と、端正でエルフのように美しい軽巡「エメラルド」が控えている…

提督「お二人は?」

クィーン・エリザベス「わたくしも紅茶をお願いいたします…♪」

エメラルド「私も同じく…」

提督「それじゃあ、ディアナ…お願いするわ♪」

ディアナ「承知いたしました…♪」しばらくしてティーセットがテーブルに並ぶ…提督はよくティータイムに見られる「銀の鳥かごのようなアレ」がティーセットを広げられない貧乏貴族の家で使われるものと知っていたので、わざとテーブルいっぱいにお菓子ときゅうりのサンドウィッチを並べさせた…

グレイ提督「まぁ…イタリアのお菓子は色鮮やかで綺麗ですこと。よかったら紅茶を頂いてもよろしいでしょうか?」

提督「ええ、ダージリンですが…お好きですか?」

グレイ提督「あら、わたくしの好みです……この香りはトワイニングですね?」

提督「ええ…フォートナム&メイソンは手に入らなかったので、我慢して頂けますか?」(※フォートナム&メイソン…高級紅茶ブランド)

グレイ提督「いえいえ、トワイニングは肩の凝らないお茶の時によく飲むので好きですよ♪」

提督「ならよかったです」提督はポットで淹れた紅茶を漉してティーサーバーに移すと改めてグレイ提督のカップに注ぎ、ほどのいい所でグレイ提督はミルクポットから常温のミルクを入れる…

クィーン・エリザベス「わたくしも紅茶は大好きです…それに何と可愛らしいお菓子たち……このエリザベス、視線が迷ってしまいます♪」

エメラルド「そうですね…でもやっぱりスコーンを……♪」









111 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/08(木) 02:28:34.60 ID:1/t9zx700
提督「それにしてもいい天気でよかったですね♪」

グレイ提督「ええ…出撃にうってつけの好天ですね」(※好天艦隊…大戦中の英首相チャーチルがイタリア艦隊を指して言った皮肉)

提督「…そうですね♪」

ライモン「…」

カヴール「…さぁ、お菓子はいかがですか?」

クィーン・エリザベス(エリザベス)「ええ、美味しゅうございますね…♪」

カヴール「あまり食べ過ぎて速度が落ちないようになさってくださいね♪」

(※クィーン・エリザベス級…25ノット。コンテ・ディ・カヴール級…公試速力27ノット)

提督「…こらこら、カヴール♪」

ライモン「…ふふっ♪」

ヴァイス提督「あー……カンピオーニ提督、このお菓子は何と言うお菓子ですか」

提督「それはカンノーロ(カンノーリ)です。筒状の生地を揚げて中にクリームを詰めたものですよ」

ヴァイス提督「なるほど…ところで、イタリア戦艦の測距儀についてですが……」

提督「ふふ、お茶の時間にですか…♪」

ヴァイス提督「あ…いえ、すみません///」

提督「いいんですよ、ヴァイス提督…階級はあんまり気になさらないでくつろいで下さい♪」

ヴァイス提督「はっ。お気遣い痛み入ります、そろそろビスマルクたちも来るころかと…」

ビスマルク「エントシュルディゲン(失礼)…着替えに少々手間取りまして」あまり軍服と変わらないようなダークグレイのブレザーとスラックス、ホワイトのシャツ、それにグレイグリーンのネクタイを締めている…

ティルピッツ「…申し訳ない」こちらはジャーマングレイのスラックスに淡い灰色のブレザー、白のシャツとペールブルーのネクタイで、まるで北海用の迷彩を選んだように見える…

グレイ提督「…なかなか渋いお召し物ね」

エリザベス「…」かすかに眉をひそめるグレイ提督と随伴の艦娘たち…

提督「えーと…二人は紅茶とコーヒー、どっちがいいかしら?」

ビスマルク「司令と同じものを」

ティルピッツ「姉上と同じものを」

提督「ふふっ…なら紅茶ね?」

………

…しばらくして・執務室…

提督「あー…肩が凝ったわ」肩を回し、げんなりしている…

ライモン「…わたしも疲れました、緊張した雰囲気でしたから……」

カヴール「ええ、それにイギリスの提督はなかなか皮肉がお上手で…♪」

提督「まぁまぁ、カヴールも一本取ったんだから…それにしても参ったわねぇ」

カヴール「絵に描いたような貴族のグレイ提督と「典型的ドイツ人」のヴァイス提督…ですか?」

提督「うーん…グレイ提督はさすがに「ホンモノ」の貴族だけあって上手く空気を和ませてくれるけど…クィーン・エリザベスがね……」

ライモン「もの凄い威圧感でしたね」

カヴール「それにドイツ艦の二人も…まるで棒を飲みこんだようでしたね」

ライモン「…あれでくつろげるものなんでしょうか?」

提督「ヴァイス提督もお話しのタネに困っているようだけど…まさかお茶の時間に『ガリレオ社製トリプル・ファインダー測距儀』の講義をさせられそうになるとは思っていなかったわ」

カヴール「夕食でワインが入って、少しは変わるといいのですが…」

提督「そうね…今夜はディアナに言ってうんと美味しいものを作ってもらうわ」

………
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