イタリア百合提督(その2)「タラントに二輪の百合の花」

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407 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/11/20(火) 02:35:45.88 ID:dXRKlaZv0
ドリア「提督、ヴェネツィア第三のシモネッタ提督がいらっしゃいました」…受け持ちの時間を終えてカヴールと代わったドリアが優しく教えてくれる…

提督「ありがとう、ドリア…それじゃあ波止場へ迎えに行くわ」

ドリア「それでは私も一緒に行きましょう♪」

提督「ええ、お願いね」

…波止場…

シモネッタ提督「ヴェネツィア第三鎮守府司令官、エレオノーラ・シモネッタ大佐…海上自衛隊「横須賀第二鎮守府」司令官、百合野准将を護衛し到着いたしました!」

…鎮守府のモーターランチからもやい綱が投げられて波止場に係止されると、まずシモネッタ提督の随伴艦「マエストラーレ級」の四人と百合姫提督の随伴艦である重巡「足柄」と軽巡「龍田」、それからふわりと優雅な動きでシモネッタ提督が波止場に飛び移り、最後に優しく差し出したシモネッタ提督の手に片手を乗せ、百合姫提督がランチから降りた…白い制服姿のシモネッタ提督は相変わらず礼儀正しく、重度のロリコンとは思えないほど優雅で立派な士官に見える……そして横にはさりげなく百合姫提督が立ち、敬礼を済ませると提督へ小さく手を振った…

提督「ご苦労様……久しぶりね、エレオノーラ」敬礼を済ませるとシモネッタの柔らかい左右の頬に軽く口づけをし、それからぎゅっと抱き合った…

シモネッタ提督「ふふっ、ほんとにねぇ…士官学校の卒業以来?」

提督「ええ……それに姫、来てくれて嬉しいわ♪」

百合姫提督「ふふ、せっかくだからついてきちゃったの…ご迷惑じゃなかったかしら?」

提督「とんでもない、この上ないほどの嬉しい驚きよ♪」

百合姫提督「まぁ、お上手…♪」

シモネッタ提督「フランカってば本当にそういうのが上手だから、みんなコロリとだまされちゃうの……ね、フランカ?」

提督「そんなの、エレオノーラが言える事じゃないでしょうが…」

シモネッタ提督「だって私は上官を口説いたりしなかったわよ?」

提督「…子供にいたずらしたいなんてもっとタチが悪いじゃない……」

シモネッタ提督「あら、フランカったら言ってくれるわね。それにしても……まぁ、ここはなんていい所なのかしら♪」ととと…っ、と提督に駆け寄ってくるミラベロ級の二人を目ざとく見つけると「にへら…♪」とだらしない笑みをこぼした……

リボティ「提督、昨日は一緒に過ごせなかった分……あ、お客様のお出迎え中だったんだね…失礼 ……ところで、そちらの美しい士官さんはどなたかな?」

ミラベロ「…ふふ、色白でとっても綺麗……制服の下を想像したくなっちゃうわ♪」白いブラウスに黒のスカートと、シンプルで(外見の)年相応な格好も愛らしい二人…

シモネッタ提督「あらあらあら…フランカの所にもちゃんと可愛らしい娘がいるじゃない♪」

提督「もう…仮にも上官の所に来て、いきなりそれって……一体なにを考えているのよ?」

シモネッタ提督「えー、それはもう……可愛らしい無垢な女の子にいろんなあれやこれを、愛情たっぷりに手ほどきしてあげたいな…って♪」

提督「はぁ、それ以上言わなくていいわ……ミラベロ、リボティ、このお姉さんはとんでもない変態で手におえないから、優しい見た目にだまされちゃダメよ?」

リボティ「ふぅん…そうは見えないけれど……」

ミラベロ「ね、むしろたおやかな感じがして素敵よ…♪」

シモネッタ提督「まぁまぁ、フランカに比べてこの娘たちったら嬉しい事を言ってくれるわ……よかったらお名前を教えてもらえる?」

ミラベロ「ええ。ミラベロ級駆逐艦、カルロ・ミラベロよ」ちゅっ♪

リボティ「同じくミラベロ級、アウグスト・リボティ…よろしく、お姉さん♪」んちゅっ♪

シモネッタ提督「んふふっ…よろしくね、ミラベロ、リボティ……ヴェネツィア第三の司令官、エレオノーラ・シモネッタ大佐よ…くふふっ♪ …エレオノーラでいいわ…んふっ、ふふふっ♪」軽く腰をかがめて左右の頬に二人からあいさつのキスを受けると、気持ち悪い笑い声を漏らした…

提督「…」

ドリア「あら、シモネッタ提督はなかなか年下好きのようですね……提督、憲兵隊が近づかないようにした方がいいですか?」

提督「あー、本当にその方がいいかもしれないわ……って、ちょっと!?」

ミラベロ「…ねぇねぇ、シモネッタ提督……よかったら私たちと一緒に回りましょうよ♪」

リボティ「…ふふ、私たちと「タラントの思い出」を作らない?」

シモネッタ提督「ええ、いっぱいイイコトしましょうね♪」両の袖を引かれてにこにこと幸福そうな笑みを浮かべ、どこかに行こうとしているシモネッタ提督…

提督「エレオノーラ…!」

シモネッタ提督「なぁに? …一応言っておくけれど、フランカは私の対象外よ?」

提督「はぁ……いいわ、ミラベロ、リボティ。私と一緒に回りましょう♪」

ミラベロ「ほんとに?」

リボティ「ふふ、嬉しいよ…♪」

提督「…そうすればエレオノーラにうちの娘たちをいたずらされないで済むものね……もちろん、姫も一緒にね♪」

百合姫提督「ありがとう、それじゃあ…手、つなぎましょう///」
408 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/11/22(木) 02:40:16.19 ID:xs1iM1AF0
…またしばらくして…

ザラ「提督、間もなくカサルディ提督が到着するとのことです」

提督「はいはい、それじゃあみんなで迎えに行きましょうか」

ポーラ「はぁ〜い」

提督「ふふ、よろしい♪」

シモネッタ提督「…ルクレツィアに会うのも久しぶりね…フランカは?」

提督「私も練習航海以来よ…あー、あれね……」

…提督たちが波止場に立ってカサルディ提督の到着を待っていると、きれいに錨泊している鎮守府の艦艇をかすめるように白波を切り、かなりの高速で淡灰色をした二隻の魚雷艇が波止場に接近してきた…紺と白の生地に金モールも鮮やかな制服が波しぶきを浴びないよう提督たちが波止場から下がった瞬間、魚雷艇がエンジンを後進に入れて勢いを殺し、しぶきも上げずにぴたりと波止場に艇をよせた…

百合姫提督「すごい…さすがイタリアの魚雷艇隊……♪」

提督「ふふっ、さすがにあんな曲芸はイタリアでもそうそう見られないわ…何しろルクレツィアはエーゲ海管区でも指折りの腕前だから」

シモネッタ提督「ああいう所は相変わらずみたいで安心したわ…後は肝心の本人だけど……」

カサルディ提督「お久しぶりです、カンピオーニ少将……って、エレオノーラも来てたの?」…茶色の髪を後ろでお団子にしているカサルディ提督…琥珀色の瞳は明るく元気いっぱいの様子だが、提督の前に立つとその小柄な身体が際立っていて、その左右には黒のニーソックスと淡い灰色のワンピース姿をした、小学生くらいの小さな女の子が立っている…

シモネッタ提督「あー、相変わらず可愛いわね…♪」

提督「もう、エレオノーラったら挨拶もしないうちに……久しぶりね、ルクレツィア♪」

カサルディ提督「フランチェスカ…! 相変わらず大きいね♪」もにゅ♪…と、提督の乳房を下から持ち上げるように触った

提督「あんっ、もう…元気だった?」

カサルディ提督「ええ、招待状をありがとう。おかげで久しぶりにエーゲ海から離れられたわ……」

提督「ならよかったわ…立ち話もなんだから、食堂でお茶でもいかが?」

カサルディ提督「ありがと、フランチェスカ……海水のせいで喉がガサガサにかれちゃって…」

提督「無理もないわ。さぁ、行きましょう?」

…ふたたび食堂…

カサルディ提督「…ふー、美味しい……それに贅沢な施設でうらやましい…」アイスティーをあおりながら、明るく広々とした食堂を感心したように眺めている…

シモネッタ提督「ね、それは私も思っていたわ…フランカったら一人だけズルい♪」

提督「むぅ…そう言われてもね」

カサルディ提督「ふふふっ、冗談冗談…さてと、改めてこの娘たちを紹介しないとね……私の所のトップエース…」

小学生くらいの艦娘「モート・シルランテ「MS16」と…」

艦娘「同じく「MS22」です…よろしくね、提督のお姉ちゃんたち♪」

シモネッタ提督「まぁまぁ…くふっ♪」

提督「…MS16と22……なるほどね」

(※MS16、22…イタリアがそれまでのMAS艇よりも大型で性能の優れた艇として、41年ユーゴスラビアで鹵獲した元ドイツの「Sボート」を参考に十八隻を建造した魚雷艇「MS.T」型の二隻。「Moto Siluranti」(魚雷艇)の頭文字を取って「MS」と言われる。重量62トンで34ノット。武装は再装填機能付き533ミリ魚雷発射管二基と魚雷四本、20ミリ機銃など…MS16と22はイギリス軍のマルタ島救援物資輸送作戦「ペデスタル作戦」の際に共同して船団を迎撃、グロスター級の軽巡「マンチェスター」を撃沈、輸送船四隻を撃沈・大破させるなど大活躍した)

カサルディ提督「ええ、見た目は可愛いけどうかつに触ると火傷するわよ……エレオノーラ、あなたに言ってるんだけど?」

シモネッタ提督「んふっ、大丈夫…♪」優雅な手つきで向かいに座っている「MS16」の小さい手に自分の手を重ねようとする…

グレイ提督「…MS16と22……なるほど、マンチェスターに一撃を加えたのはこの二人でしたか……」見おろすように二人を眺めているグレイ提督…

MS16「くふふっ…大きいお姉ちゃんって大好き、特に不意打ちでイかせるのがたまらないの……ね♪」

MS22「うんっ……みんな私たちよりうんと大きいのに、すぐイっちゃって可愛いの♪」

シモネッタ提督「んふっ、くふふっ……はぁ、はぁ…二人ともおませさんで可愛いわ…ぁ♪」

提督「…」

ザラ「…」

ポーラ「…えぇ〜…と」

グレイ提督「どうやら遅かれ早かれ…どちらかと言えば早かれの方でしょうが…憲兵隊が必要になりそうですわね?」

エクレール提督「まぁ、イタリア人に風紀を期待する方が無駄ですわ…!」

提督「はぁ…この状況じゃあ言い返せないわね……」

………
409 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/11/27(火) 09:29:25.28 ID:QT7frY/Bo
ろりこんこわい
410 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/11/28(水) 00:46:06.65 ID:DKnEkfMy0
>>409 まずは遅くなってすみませんでした、この数日ばかりちょっと用事が立て込んでいたもので…「ろりこんこわい」って回文みたいですね(笑)


…とりあえず、この後もしばらくのどかな基地祭の光景でお楽しみ下さい…
411 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/11/28(水) 01:02:31.80 ID:DKnEkfMy0
提督「さてと…せっかくだから屋台でも回りましょうか?」

シモネッタ提督「いいわねぇ」

カサルディ提督「賛成。ブリンディシを出た時に食べただけだからこの娘たちもお腹が空いているところだと思うの…そうでしょ?」

MS16「うんっ、もうお腹すいちゃった」

MS22「ね、早くおいしい物が食べたいなぁ…♪」

提督「それじゃあ決まりね……姫、グレイ提督、ヴァイス提督も一緒にいかがですか?」

百合姫提督「ええ、美味しいイタリアの屋台料理を味わいたいわ」

グレイ提督「そうですね、せっかくですから…それにエリザベスたちの出番も終わったでしょうから、合流するとしましょう」

ヴァイス提督「ヤー、昼食には少し早いですが」

提督「分かりました…それじゃあまずはステージの所に行きましょうか♪」

エクレール提督「…ちょっと、どうしてわたくしを無視するんですのっ!?」

提督「あら、マリーはダイエット中だって言うから…てっきりいらないものかと♪」

エクレール提督「たとえそうだとしても、わたくしに声をかけないと言うのは失礼ではありませんこと?」

提督(フランス語)「はぁ、プロヴァンスの田舎娘にしてはあれこれと注文の多い事で……ご一緒しませんか、お嬢様?」…普段からパリジェンヌのふりをしていて、「プロヴァンスの田舎娘」であることを知られるのを嫌がっているエクレール提督のために、フランス語に切り替える提督…

エクレール提督「もうっ…///」

カサルディ提督「そう言えばフランチェスカってフランス語も出来たんだっけ…すごいね」

提督「必要に迫られたからなのだけれど…ね」

カサルディ提督「パリ大使館付海軍武官への連絡将校だったっけ?」

提督「ええ、そんなところよ」

シモネッタ提督「すごいわよね…」

提督「いえ、まぁそれほどでも…///」(実際は「お姉さま」の一人に無理やり推薦されただけなのだけれど…ね)

…鎮守府・特設ステージ前…

コルサーロ「…イタリアを馬鹿にするようなやつらの施しなんて…いらねぇやいっ!」施しとしてもらった金を叩きつける、出稼ぎ少年役のコルサーロ…

禿げ頭のおじさん「そうだそうだ、言ってやれ!」

白髪のじいさん「いいぞっ!」

アオスタ「……これにて一幕芝居「クオレ…パドヴァの愛国少年」を終わります。皆さま、出演の艦娘たちに改めて盛大な拍手をお願いします!」

おじさん「ブラヴォー!」

丸っこいおばさん「良かったわよ、お嬢ちゃんたち!」

明るいおばさん「いやぁ、演技とは言えイギリス人役の二人は本当に高慢ちきで…近くにいたら張り倒しているところだったねぇ!」

クィーン・エリザベス「お褒めに預かり恐縮でございます…では、失礼」

提督「みんな、お疲れ様」

コルサーロ「おっ、提督…あたしの芝居はどうだった?」

提督「ふふっ、威勢のいい啖呵の切り方が格好良かったわ♪」

コルサーロ「ははっ、そいつはあたしのような海賊にゃあ嬉しい意見だね……で、提督方はお揃いでどちらに?」

提督「ええ、実はこれから食べ歩きでもと思って…コルサーロもどうかしら?」

コルサーロ「これはこれは…それじゃああたしもご一緒させていただくよ♪」

提督「そう、良かったわ……最初はピッツァにしようかしら?」

百合姫提督「いいわね、ピッツァは好きよ♪」

提督「それじゃあローマの茸とチーズのラツィオ風ピッツァか、ムツィオのナポリ風マルゲリータがあるけれど…どっちにする?」

シモネッタ提督「私はナポリ風で」

百合姫提督「マルゲリータも捨てがたいけれど、濃厚なローマ風も美味しそう……足柄と龍田はどっちがいい?」
412 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/11/28(水) 01:21:46.83 ID:DKnEkfMy0
龍田「うーん、どっちも捨てがたいから両方がいいわぁ…♪」

足柄「そうよね。旅費は出るって言っても、どのみち鎮守府へのお土産だなんだで貯めておいた予算は使いきっちゃったし……どうせ戻ったら「MY作戦」なんだから、うんと美味しい物を食べておきたいわよね」

提督「姫「MY作戦」って、確かミッドウェイ方面の……こんな時期に作戦が控えているの?」

百合姫提督「あー…いえ、「MY」って言うのは別に頭文字をとっただけで「MI作戦」とは関係ないの///」

提督「頭文字?」

百合姫提督「ええ…実は「MY」っていうのは「もやし」の頭文字で……///」

足柄「鎮守府の食費が厳しい時の倹約献立集なのよ…はぁ、帰ったら三食とも豆もやしの朝鮮風(ナムル)かしらね?」

龍田「あれはあれで美味しいけれど…さすがに毎日だとねぇ…」

足柄「本当よ… ♪〜イヤじゃあ〜りませんかぐ〜んた〜いはぁぁ〜、かね(金属)のうつわに竹のはしぃぃ〜…」

龍田「♪ほぉ〜と〜けさまでもあるまいにぃ〜、いちぜぇ〜ん飯とはなさけなやぁ〜… まったくよねぇ…」(※海軍小唄)

提督「あらあら……それじゃあその分もここで食べて行って? ルクレツィアは?」

カサルディ提督「うーん…私はどっちも食べたいけど、他にも美味しそうなのがあるし…」

提督「じゃあ私が違うのを買うから、一口味見させてあげましょうか?」

カサルディ提督「あ、いい?」

提督「ええ♪ …あ、ちょっと待ってね」

カサルディ提督「どうしたの?」

提督「いえ、警備担当の指揮官が…大尉、見回りご苦労様です」憲兵隊の女性士官に近寄っていって挨拶をする提督…身なりにもうるさい憲兵隊だけあって、折り目もピシッと入った白と紺の制服に型崩れもしていない制帽…ピストルベルトに吊るしたベレッタM92ピストルにはきっちりランヤードが通してある…

(※ランヤード…ピストルの銃把についているリングと、ベルトやホルスターをつなぐひも。紛失・落下防止のもの)

海軍憲兵士官「あぁ、司令官…いえ、これも憲兵隊の職務ですか…ら……」

提督「どうかしました?」

憲兵士官「あ、いえ…数人の提督が来訪されるとはうかがっておりましたが、こんなにたくさんの将官がいらっしゃるとは……」

提督「そう言うことですか。ふふ、緊張しなくても大丈夫ですよ…大変なご苦労でしょうが見回りの方、引き続きよろしくお願いします♪」

憲兵士官「は、お任せください」

提督「はい、それでは」

シモネッタ提督「……確かに中佐や大佐、少将がきら星のごとくだもの、固くもなるわよ…そうでしょ、フランカ?」

提督「ええ、大尉もやりづらいわよね」

カサルディ提督「ねぇ、おしゃべりもいいけどそろそろ買いましょうよ?」

提督「ふふっ、それもそうね…ローマ、その美味しいピッツァを一つもらえる?」



海軍憲兵下士官「……大尉、額なんて押さえてどうしたんです? 今の所たいした問題もないじゃありませんか」

憲兵士官「あなたは何をのんきなことを言っているの…あの三人が揃うなんて悪夢だわ……」

憲兵下士「あの三人って…確かにここの司令は「女たらし」のカンピオーニ少将ですけれど……」

憲兵士官「問題はその横にいた二人よ…長髪の優雅な方は「幼女集め」で有名なヴェネツィア第三のシモネッタ大佐だし、小柄で髪をお団子にしていた方は「スケコマシ」のカサルディ中佐でしょうが……」

憲兵下士「うえっ…あれがですか!?」

憲兵士官「ええ…参ったわ、イタリア海軍で一番問題のある女の上位三人がそろい踏みとはね……」

憲兵下士「どうします?」

憲兵士官「どうもこうも…よく見張って騒動が起きないようにしなさい。ここからは軽食を食べ歩くような暇はないわよ?」

憲兵下士「…了解」
413 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/11/29(木) 01:52:13.48 ID:pFjHdzhp0
シモネッタ提督「ところで、フランチェスカ」

提督「なぁに?」

シモネッタ提督「…なんだかすごい事になってないかしら?」

提督「あー、そうね…あんまり見ないようにしていたけれど……」

ビスマルク「はぐっ…むしゃ、むしゃ……」屋台の椅子にどっかりと腰掛け、次々と皿を空にしているビスマルク…

ヴァイス提督「全く…お恥ずかしい限りです///」

提督「いえ、別に構いませんが…大食い競争に出たら大会を総なめにできそうね……」

コルサーロ「そう言えば、ちょうどあんなのをアニメで見たことあるぞ……ほら、「千と千歳の船隠し」で両親がブタになる場面さ…くくくっ♪」

提督「あー…言われてみれば」

フィウメ「それでもあの体型なのはさすがですねぇ」

提督「確かに…いくら食べても太らないなんてうらやましいわ」そう言って遠巻きにしていると、アッテンドーロがビスマルクを挑発し始めた…

アッテンドーロ「……へぇ、まだ食べられるの? 本当かしら?」

ビスマルク「ほう…よかろう、「鉄血宰相」は胃袋も鋼鉄だと言うことを見せてやる。もう一枚だ!」

ティルピッツ「姉上、姉上…っ!」

ビスマルク「何だ、金ならちゃんと払っているだろうが…釣りはいらないからその分焼いて持ってくるがいい!」

アッテンドーロ「毎度あり♪」…イタリアのことわざにも「美女よりもカネになるブタを選ぶのはミラノ人だけ」と言われるほど、物質万能主義で商売上手なミラノ人…アッテンドーロも艦名はミラノ人だけあって、口車にのせるのも上手い…

提督「…」

シモネッタ提督「……とりあえず私たちもどこかで座って食べましょうか」

カサルディ提督「ええ、お腹ぺこぺこ♪」

MS16「んー…ねぇねぇ、シモネッタ提督さん」

シモネッタ提督「うん、どうしたの?」

MS16「わたし、あのお肉が食べたいな…ぁ♪」くりっとした目で斜め下から上目をつかう…

シモネッタ提督「ふふっ、それじゃあお姉ちゃんが買ってあげるわね♪」

MS16「…ほんと?」

シモネッタ提督「ええ、もちろん♪」

カサルディ提督「ちょっと、エレオノーラ!」

シモネッタ提督「あら……あなたは大佐の判断に異を唱えるの?」

カサルディ提督「いや、それよりも何で勝手にうちの娘たちにあれこれ買ってるのよ…だいたいエレオノーラは管区が違うんだから、直属の上官じゃないでしょ!」

シモネッタ提督「別にいいでしょうが…はい、不公平にならないようにあなたにも買ってあげるからね♪」MS22にもアラビア風の串焼き肉を差しだした

MS22「ありがとぉ、エレオノーラお姉ちゃん……んっ♪」しゃがんだシモネッタ提督のほっぺたにキスをするMS22…

シモネッタ提督「んふっ、んふふっ…いいのよ♪」

カサルディ提督「ねぇフランカ、どうにかしてよ!?」

提督「…エレオノーラ」

シモネッタ提督「もう、分かったわよ…もてなす側に叱られたら仕方ないわ」

414 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/11/29(木) 02:08:26.16 ID:pFjHdzhp0
カサルディ提督「はぁ…もう、二人ともお姉さんたちを困らせないのっ!」

MS16「そんな事言ったって……大きいお姉ちゃんたちはたらしやすいんだもの♪」

MS22「ねっ…んー、美味しっ♪」

カサルディ提督「こぉら、ちゃんと司令の話を聞きなさいよ」

MS16「うんっ、聞いてるよ」

MS22「そうそう…あ、ねぇカンピオーニ提督さんっ」

提督「なぁに?」

MS22「あの白と紅のケーキも美味しそう…一つ買ってくれる?」

提督「ふふ、それじゃあルクレツィアに聞いてあげるわね」

MS22「わぁ、ありがと…カンピオーニお姉ちゃんは優しいねっ♪」

提督「いいのよ…で、どうかしら?」

カサルディ提督「はぁ…あなたもなの、フランチェスカ?」

提督「まぁまぁ…そんなに大きいわけじゃないし、一つならいいんじゃないかしら?」

カサルディ提督「分かったわよ、それじゃあお金は私が出してあげるから…まったく、これじゃ普段何も食べさせてないみたいじゃない……ほら、買っていらっしゃい」

MS22「ありがと……うんっ、美味しい♪」

提督「そう、良かった…うちの娘たちが頑張って作ったお菓子だから、よく味わってね♪」

カサルディ提督「はぁ…とはいえこの娘たちがはしゃぐのも無理ないわ。何しろうちの施設は貧弱で…たびたび管区司令部をせっついてはいるんだけど……」

MS16「ふふっ…司令のせいじゃないから、気にしてないよ」

MS22「いつも司令が頑張ってるのは知ってるもん♪」

カサルディ提督「そう…ありがと、二人とも」

シモネッタ提督「あぁぁっ…うらやましいっ、私だって配属希望をエーゲ海管区って出したのに……」

提督「まぁ、エレオノーラの希望がいれられなかった理由は……ね」

カサルディ提督「それはもう「お察しください」…ってところよね」

シモネッタ提督「むぅ…二人は自分の好みの娘を抱えておきながら、私にはそう言うことを言うのね?」

提督「さすがに貴女の趣味まではかばえないわ」

シモネッタ提督「そうやってすぐ人を差別して…ねぇ、マエストラーレ?」

マエストラーレ(ヴェネツィア第三)「くすくすっ…さすがにこればっかりは司令をかばえないですよぉ♪」

シモネッタ提督「あー、マエストラーレまで私をいじめるの?」

カサルディ提督「ほらね?」

リベッチオ(ヴェネツィア第三)「えへへっ、それでも司令はいい人だよ…♪」

シモネッタ提督「ほぉら見なさい、純粋な心を持った幼女にはちゃんと分かるのよ……それじゃあ、いい子のリベッチオには何でも買ってあげる♪」

グレカーレ(ヴェネツィア第三)「あきれた…すぐこれだもん」

提督「ふふ、変わってないわね…ザラ、隣に座る?」

ザラ「ありがとうございます、提督…ねぇライモンド、私の隣にはポーラたちが座るし、あなたは提督の左隣に座ったらいいんじゃない?」

ライモン「そうですね、ありがとうございます……それじゃあわたしは提督のお隣に…///」

提督「ええ、いらっしゃい♪」
415 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/12/02(日) 02:20:58.48 ID:WKpfxO2k0
提督「あむっ、んむぅ…んぅ♪」チーズたっぷりのピッツァにかぶりつき、頬を押さえて幸せそうな提督…と、そこにアッチアイーオ級の中型潜「アッチアイーオ」と「アラバストロ」が走ってきた…

アッチアイーオ「あ、いたいた…提督ぅ♪」

提督「あら、アッチアイーオ…何かご用かしら?」

アッチアイーオ「ううん、でも提督と一緒にいたくって……///」寒くなると途端につんけんするアッチアイーオだが、日差しが暖かいのですっかりデレデレの「甘えモード」に入っている…

提督「まぁ、嬉しいわ…アラバストロもどうぞ♪」

アラバストロ「はい、どうもありがとうございます…♪」アッチアイーオとは対照的に白っぽい瞳と淡色の髪、白いフリル付きワンピース…と、白一色のアラバストロ(雪花石膏・白大理石)…

デシエ(中型潜アデュア級)「あー、もうあんなに集まってるわ…」エチオピア風なのか肌がいくらか褐色がかっていて、瞳も茶色っぽいアデュア級の名コンビ「デシエ」と「アクスム」

アクスム「ちょっと出遅れちゃったかもね……どうする?」

デシエ「それはもう…二人で斬り込みましょう♪」

アクスム「ふふ、そう言うと思った…それじゃあ、行こうか」

提督「あらあら…みんなあちこち見て回らなくていいの?」次第に集まってくる艦娘たちに、にっこりと笑いかける提督

アッチアイーオ「提督と一緒に回りたいの…ね、お願い♪」

デシエ「ねぇ提督…」

アクスム「私たちと一緒に…」

デシエとアクスム「「基地祭を回ってくれる?」」

提督「ふふっ、二人とも息ぴったりね♪」

アクスム「ええ…だってデシエは最高の戦友だもの、ね♪」

デシエ「ふふ、むしろそれ以上の関係…かな♪」

アクスム「言われてみればそうかもね…んむっ、ちゅ♪」

提督「あら…二人の間には私なんていらないんじゃないかしら?」

デシエ「そうつれない事を言わないで…ね?」

アクスム「私たちと一緒に回りましょ?」

提督「もう、私の身体は一つだけなのよ…?」

ザラ「……あの、提督」

アッチアイーオ「だーめ、私が提督と一緒に回るのっ♪ …ね、アラバストロ?」

アラバストロ「そうですね、アッチアイーオは提督の事が大好きですから……よかったら譲ってもらえませんか?」

デシエ「え、なに? ワタシ「デシエ」イタリア語ヨクワカラナイ…提督ヤサシイ。ワタシ、誘ッテモラウ…ワタシ、ウレシイ!」

アッチアイーオ「もうっ、そうやって都合のいい時だけエチオピア訛りにして…アクスム、そのとぼけた相方に言ってやって!?」

アクスム「ハウ、ワタシ「アクスム」…コ・ン・ゴ・ト・モ・ヨ・ロ・シ・ク」

アッチアイーオ「あ、このっ…もういいわ! 提督、一緒に行きましょう?」

提督「ふふ、それじゃあ順番で……」

ザラ「提督、提督…っ!」

提督「なぁに、ザラも一緒に回りたいの?」

ザラ「そうじゃなくて……あの、提督の「許嫁」さんが…」

提督「い゛っ…!?」

アンナ「…さーて、フランカ。電話にも出ず、あまつさえ車をとばしてやって来た許嫁の目の前でいちゃついてくれるなんてね……被告人、何か弁解は?」

提督「いえ、あのっ…さっき出し物の邪魔をしないように携帯電話をマナーモードにしたっきりで……」

アンナ「へぇ…それじゃあどうやって埋め合わせるのか聞かせてもらうわ。それが私の気に入ったなら執行猶予にしてあげる♪」

提督「わ、分かったわ…ごめんなさいね、みんな」

ドリア「まぁ怖い…まるで「プラダを着た悪魔」ですね♪」

提督「いえ、アンナはプラダを着てなくても悪魔だから……」

アンナ「何か言った?」黒いプラダのドレスの腰に手を当てて、提督を「きっ」とにらみつけた…

提督「い、いえ…」
416 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/12/04(火) 11:06:30.17 ID:6XBsA2Zw0
グレイ提督「あらまぁ…もてなし役が退場してしまいましたし、ここからはそれぞれ自由行動ですわね?」

エクレール提督「本当にイタリア人は自分勝手で困りますわ……せっかくリシュリューとジャンヌが気を使って留守をしてくれていると言うのに、フランチェスカときたら…///」ため息をついて肩をすくめた…

カサルディ提督「…さぁ、これでエレオノーラを抑えられる人間がいなくなっちゃった……二人とも私のそばにいなさいよ?」

MS16「了解♪」

MS22「大丈夫…司令とはいつも一緒よ♪」

チコーニャ(ガッビアーノ級コルヴェット「コウノトリ」)「…ほらお姉ちゃん「あーん」して?」

ガッビアーノ(ガッビアーノ級「カモメ」)「あーん……うん、美味しいよ…♪」折りたたみテーブルに両肘をついて黄色い目で水平線を眺めながら、チコーニャに「あーん」してもらっている…

シモネッタ提督「…フランチェスカったらあんな可愛い娘を隠しているなんて…くふふっ、隅に置けないわね……♪」

カサルディ提督「ほら、ちょっと目を放すとすぐこれだもん…参ったわね……」

…一方…

百合姫提督「ふふ…うちもそうだけれど、ここの娘たちも仲睦まじくて微笑ましいわね……」

足柄「はぁ…この「ただ事じゃない仲の良さ」をそれで済ましちゃう辺りが、ね」

スーツ姿の男性「……さて、なにを食うか…晴れやかなイタリアの空にふさわしい腹具合だ…」

龍田「いかにもうちの提督らしいわねぇ…きゃっ!?」足早に歩く地味なスーツ姿の男性と軽くぶつかった…

男性「あ、すみません……お怪我はありませんか?」

龍田「え、ええ…」

百合姫提督「大丈夫、龍田?」

龍田「私は平気よぉ…それより、そちらもお怪我は……」

男性「あぁ、はい…って、もしかして日本の提督と艦娘さんですか?」

百合姫提督「ええ、そうですが……もしかしてそちらも日本の方ですか?」

男性「ええ、そうなんです…あ、実はわたくし、こういう者でして……」慣れた手つきで名刺を差し出す男性…

百合姫提督「まぁ、すみません…えぇと、「井之頭」さん?」

男性「はい、井之頭と申します……」

百合姫提督「まぁまぁ、イタリアまでわざわざ…商用でいらしたのですか?」

井之頭「ええ、その通りです…あ、今はちょっと急ぎの用事が……失礼します」

百合姫提督「はい…お仕事、うまく行くといいですね」

井之頭「どうも」

足柄「…何だかせかせかした感じの人だったわね」

百合姫提督「南イタリアののどかな鎮守府であんなに急ぐ用事があるとも思えないけれど…まぁ、きっと何かあったのでしょうね」

足柄「そうね…って……」

井之頭「……うーむ、困った…イタリア料理、パスタにするかピッツァにするか、ドリアにするか……いや、せっかくならいきなり肉にかぶりつくと言うのも悪くない……」

足柄「…あの人「急ぎの用事で」って言う割には、屋台の前で悩んでいるだけに見えるんだけど……」

龍田「そうねぇ、私にもそう見えるわぁ」

百合姫提督「うーん……だとしたら午後に商談か何かが控えていて、お昼を急がなくてはいけないのかもしれないわ。 …せっかくだから私たちも何か食べましょう♪」

足柄「そうね…龍田、何か注文したいなら私がしてあげるからね?」

龍田「ふふ、助かるわぁ…♪」

足柄「いいのよ、イタリア語ならそこそこ出来るし…代わりに一口ちょうだいよ?」

龍田「ええ、もちろん」
417 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/12/06(木) 01:36:14.06 ID:x1vr9PdN0
…しばらくして・昼下がりの提督寝室…

提督「ふー…これで少しは満足した?」

アンナ「ええ、被告人への告訴は取り下げにしてあげるわ…♪」

提督「そう、良かった……あら?」ベッドサイドの小机に置いてあった携帯電話がぶるぶると震え、「ピリリリ…ッ!」と着信音が響いた

アンナ「……あなたの着信じゃない?」

提督「みたいね。もしもし…あ、お母さま♪ ええ、うん…そうね、一応駐車スペースは確保してあるから平気よ……うん、うん…分かった、待っているわね。チャオ♪」

アンナ「今の電話…お母さんから?」

提督「ええ、そろそろここに着くって電話…シルヴィアおばさまも一緒よ」

アンナ「そう…なら私も、お義母さまにあいさつしなくちゃね♪」

提督「…え」

アンナ「何よ?」

提督「いえ、構わないけれど…」

アンナ「決まりね……それじゃまだ時間はあるし、もうちょっとこのベッドを堪能させてもらうわよ♪」提督の枕に顔をうずめて息を吸い込む…

提督「もう、仕方ないわね……それじゃあ私は先に着替えるから」

…同じ頃・上空六千フィート…

P-3Cの副操縦士「よーし、目標が見えた…機長「タラント第六」上空まで五分です」

アントネッリ「よろしい。アンジェ(天使)1からアンジェ2、アンジェ3…これから隊形を組んで鎮守府上空を通過、一周してからチャフ・フレアの発射訓練を行うぞ」

…基地祭を迎えた提督へのちょっとしたプレゼントとして、チャフ・フレアを放つ「回避機動訓練」を鎮守府上空の空域にセットしたアントネッリ中佐……僚機二機が後ろに従い、低周波を奏でるエンジン音を響かせながら飛行を続けている…

僚機「アンジェ2了解」

アントネッリ「…いいか、私のカウントにちゃんと合わせろよ?」

僚機「分かっていますよ、隊長!」

アントネッリ「結構……それじゃあ私をトップに、くさび形陣形を組め!」

僚機「了解…2、3ともに位置につきました」

アントネッリ「よろしい、では三千フィートまで降下するぞ…!」

…一方・鎮守府…

アンナ「今日は飛行機がずいぶんうるさいのね……昨日はここまでじゃなかったのに」

提督「…そろそろ時間ね……アンナ、着替えてテラスに出ましょう♪」

アンナ「えぇ? …何だかニヤニヤしてるけど、アクロバット飛行でも始まるっていうの?」

提督「まぁそんなところね…さ、早く♪」

アンナ「もう、分かったわよ…」脱ぎ捨てられていた服を着直すと、提督に手を引かれながらテラスに向かった…

…鎮守府上空…

アントネッリ「いいか、アンジェ1よりアンジェ2、3…フレア射出まで五秒前…トーレ、ドゥーエ、ウノ……フレア、フレア、フレア!」…C130輸送機の「天使の翼」ほど派手ではないにしろ、三機のP-3Cがタイミングを合わせてフレアを打ちだすと、上空に鮮やかな白い煙と明るい光が漂った…

…鎮守府・二階のテラス…

提督「…さすがね、タイミングもぴったり」

アンナ「まぁ、すごい花火……あれって照明弾か何か?」

提督「ええ、ミサイル妨害のフレアね……ジュリア、上手だったわよぉー♪」上空を飛び去るオライオンに手を振る提督…すると提督が見えているわけではないだろうがP-3も軽く翼を振り、エンジン排気の薄い雲を残して飛んでいった…

………


418 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/06(木) 10:46:56.20 ID:bRXIe96lo
乙。読んでるよ
419 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/12/07(金) 02:23:56.40 ID:BXut0DCi0
>>418 どうもありがとうございます…書くのが遅いものでなかなか進みませんが、そろそろ提督とアンナの馴れ初めの話を投下するつもりです


…ちなみに提督(小)×アンナ(小)の百合っぽいのも書くつもりですので、どうかお待ちください…
420 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/12/07(金) 03:07:22.68 ID:BXut0DCi0
…しばらくして…

提督「あ、来たわ…♪」

…海軍憲兵に誘導されて駐車スペースに鮮やかなイタリアン・レッドの「アルファロメオ・ジュリエッタ」(初代)が停まると、クラウディアとシルヴィアが降りてきた…シルヴィアは綿のスラックスに白い開襟シャツ、淡い茶色のブレザー…クラウディアは秋らしく、カシミアらしいふわっとした白いセーターに明るい朽葉色のスカートと黒いタイツでまとめ、肩ひも付きのハンドバッグを持っている…

シルヴィア「…フランカ、来たわよ」

クラウディア「ここはのどかでいい所ね♪」

提督「お母さま、おばさま、来てくれて嬉しいわ…ようこそ鎮守府へ♪」ちゅっ…と左右の頬にキスを交わす提督たち……

ライモン「お久しぶりです、夏休みの時は色々とありがとうございました」

クラウディア「いいのよ…って、あら」

アンナ「お久しぶりですね」

クラウディア「まぁまぁ…アンナ、貴女も来ていたのね♪」

アンナ「ええ、だって許嫁の基地祭ですから…クラウディアお義母さまも、シルヴィアおばさまも元気そうで何よりです♪」

クラウディア「ふふ、ありがとう」

シルヴィア「おかげさまでね…そちらのご家族は?」

アンナ「ええ、おかげで上手くやっています……今はフランカと話したいことがたくさんあるでしょうし、その話は後にしましょう?」

クラウディア「そうね、アンナには悪いけれど…ごめんなさいね?」

アンナ「いえ、いいんですよ……それじゃあフランカ、また後でね♪」

提督「ええ、チャオ……ふー、来てくれて助かったわ…」

シルヴィア「アンナも相変わらずのようね」

クラウディア「ええ、それにしても綺麗な大人の女性になって…どこかのモデルかと思ったわ♪」

シルヴィア「そうね」

提督「お母さま、おばさま、ここで立ち話もなんだから…食堂に行きましょう?」

クラウディア「あら、ありがとう」

シルヴィア「フランカ、ここは軍の施設でしょう…大丈夫なの?」

提督「ええ、通信室や武器庫でもない限りは大丈夫…それじゃあ案内するわ♪」

…食堂…

シルヴィア「…それにしてもなかなか立派な施設ね……感心したわ」

クラウディア「うふふっ、フランカにはそれくらいの価値があるわ♪」

シルヴィア「クラウディアは相変わらずフランカに甘いんだから…ここで食事をしているのね」床に古代ローマ風のモザイク画が施してあったりと、広くて明るい上に装飾も優れている食堂に感心した様子で、ぐるりと辺りを見回した…

提督「ええ、うちの娘たちと一緒にね……ちょうどいい機会だし、紹介するわね。この優しげな貴婦人が、私の副官を務めてくれている戦艦「コンテ・ディ・カヴール」…それから高速スループの「ディアナ」…料理上手だから、厨房を取り仕切っているわ。それからこちらは大型潜「エットーレ・フィエラモスカ」…姉妹艦がない代わりに、潜水艦隊の訓練役をしているわ」

クラウディア「よろしくね、カヴール……フランカから聞いていた以上の美人さんね♪」

カヴール「まぁ、お上手ですね♪ こちらこそ提督のおかげで、鎮守府での生活を何不自由なく過ごすことが出来ております…それに、提督はお母さまと瓜二つでいらっしゃいますね♪」にっこりと笑みを浮かべてクラウディアとあいさつの接吻を交わす…

クラウディア「ふふ、ありがとう…それから、あなたがディアナね?」

ディアナ「さようでございます…提督から、クラウディア様は大変な料理上手と伺っておりますし、ぜひご教示願いたいものです」

クラウディア「もう、フランカったら……それじゃあ時間があったら何か作ってみるわ。ディアナの参考になればいいけれど…」

ディアナ「嬉しゅうございます」

シルヴィア「それからあなたが大型潜の「フィエラモスカ」ね…いつもうちの娘を支えてくれてありがとう」

フィエラモスカ「いえ、こちらこそ…提督から紹介して頂きました、エットーレ・フィエラモスカです」

提督「さてと、そのうちにみんなも入れ替わりで戻ってくるでしょうし…ところでお母さまたちはお昼を済ませたの?」

クラウディア「いいえ、せっかくだからここで何か買ってあげようと思って…ね、シルヴィア♪」

シルヴィア「ええ。だから案内してちょうだい…私もクラウディアも、お腹を空かせたら何をしでかすか分からないわよ?」口の端に笑みを浮かべて冗談めかした…

提督「ふふっ、了解しました♪」
421 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/12/10(月) 02:39:38.01 ID:blGHsMb30
…午後…

カヴール「それで…実際の所、提督とアンナさんとはどんな関係なのですか?」

アッテンドーロ「あー、それは私も気になっていたわ……何でも「許嫁」って話だったけれど…」

クラウディア「まぁ…アンナったらあの時の話をちゃんと覚えていたのね。フランカ、どうしてみんなに話してあげないの?」

提督「いえ、だって…話そうとは思っていたけれど、みんな基地祭で忙しいし……」

シルヴィア「ずいぶん前の事なのにね…それじゃあ、フランカが話をして、クラウディアが足りない部分を付け加えればいいわ」

クラウディア「そうね、そうしましょう…いい、フランカ?」

提督「ええ……アンナは自分の事を「許嫁」なんて言っているけれど、少なくとも幼馴染ではあるわ」

アッテンドーロ「ふーん」

提督「知り合ったのは小学校も低学年の頃ね…どっちかというと内気で本ばっかり読んでいた私と活発なアンナだから、最初は特に付き合いもなかったわ」

ドリア「それがどうしてそんな深い中になったのでしょう?」

提督「ええ、それがね……」

…提督・小学校時代…

提督(小)「あ、お母さま、おばさま…今日は保護者会なの?」

クラウディア「ええ、そうよ……その間は本でも読んで待っていてくれる?」

提督(小)「うん」

…翌日…

同級生の男子(金色がかった髪)「そういえば、カンピオーニの家ってお父さんっていないの?」…保護者会にやってきたクラウディアとシルヴィアを見かけたらしい男子が聞いてきた…

提督(小)「いないよ?」

男子「じゃあどこかで出稼ぎとか?」

提督(小)「ううん、最初からいないけど…?」

男子「へん、そんなのおかしいや!」

提督(小)「別に…おかしくないよ」

男子「おかしいや、だってそれじゃあ父無し子じゃんか…そうだろ、ロッシ!」

男子(やせっぽち)「あぁ、おかしいや…へんなの!」

提督(小)「変じゃないもん……おばさまがいればお父さんなんていらないし」

男子「それが変なんだよ、カンピオーニって変なやつ!」

…集団でいる子供ならではの、ちょっと毛色の違う相手への「思いやりがなく意地悪な」からかいが提督に向けられた…大人しい提督は困ってしまって、本を開いたまま少し泣きそうな顔をしている…

アンナ(小)「ねぇ、ちょっと!」

男子「…ん、なんだよ?」

アンナ(小)「あんたたち、フランチェスカをいじめてどうしようっていうの?」両の腰に手をあてたアンナは、まだあどけない子供にもかかわらずプラダのプリーツスカートと、襟元をリボンで留めた白のブラウスを着て、長い黒髪をツインテールにしている…

男子「別にいじめてなんかないや…変だって言ってるだけだろ?」

アンナ(小)「それをいじめてるって言うんでしょうが。だいたい、私に言わせればあんたたちの方がよっぽど変よ。エミリオなんて真っ黄色な髪で、まるでポレンタじゃない…あんたってピノッキオのじいさん友達みたいに「ポレンディーナ」なんじゃないの?」

(※ポレンディーナ…トウモロコシ粉を練った料理「ポレンタ」から。ピノッキオのもとになった木材をくれたジェペット爺さんの友達で、カツラが金髪…当時はカツラのレベルが低かったのですっかり皆に知られていたがからかわれると怒る。当然ピノッキオはそれを(材木のままではあったが)からかい、ジェペットが言ったものと思った二人はケンカになる)

男子「そ、そんなことねーし!」

アンナ(小)「へぇ、まぁカツラの人はたいていそう言うわよね…中身が足りなくて、おまけに髪もポレンディーナじゃ仕方ないもんね」

男子「このぉ…!」

アンナ(小)「それにロッシ…あんたなんて勉強はできないし、顔もろくに洗わないし……まるで野良犬…それとも山ザルかしら?」

男子(やせ)「このやろ…!」こぶしを握る男子…

アンナ(小)「おまけに言い返せなくなるとすぐ手を出そうっていうんだもん…ホントにキャンキャン吠えてる野良犬そこのけよね…あんたのお母さんって、昨日そこを歩いていたぶち犬?」

男子(やせ)「なにを…っ!」
422 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/12/10(月) 02:56:11.24 ID:blGHsMb30
アンナ(小)「ほら、何か言い返せるなら言い返してみなさいよ…フランカが大人しいからってつけあがっちゃって!」

同級生の女子「そうよ…アンナはちょっと言い過ぎだけど、さっきからどうしてフランカにちょっかいを出すの?」

女子(おさげ)「本当よ、フランチェスカが何をしたって言うの?」

アンナ(小)「ほら見なさい、とっととその薄汚い顔を引っ込めるのね!」

男子「…ふんだ、お前たちなんてうちの兄ちゃんがコテンパンにしてやるからな!」

アンナ(小)「あっそう、じゃあうちはパパに言いつけてあげるから…!」

提督(小)「……助けてくれてありがとう、アンナ」

アンナ(小)「いいのよ、あんなエテ公なんかに言わせておくことなんてないわ…今日は逃げられちゃったけど、今度会ったらきっちりあいつらに謝らせるからね」

提督(小)「ううん、本当にありがとう…」

アンナ(小)「いいのよ♪」

…数日後の放課後・図書室…

アンナ(小)「ねぇフランカ、ちょっと来てちょうだい?」

提督(小)「なぁに、アンナ?」

アンナ(小)「いいから来て?」

提督(小)「?」

…教室…

提督(小)「!?」

アンナ(小)「ほら、約束したでしょ?」

男子「う゛え゛えぇ゛ぇん゛…っ、げほっ、ごほっ……!」

男子(やせ)「う゛わ゛ぁ゛ぁぁ…ん゛っ!」

提督(小)「ど、どうしたの…?」

…教室の中心で鼻を垂らしながらわんわん泣きわめいているのは例の男子二人……そしてアンナが呼び集めたのか、その時の事を見ていた何人かが恐るおそると言った様子で周囲に立っている…

アンナ(小)「どうしたもなにも…この前の事でちゃんと謝らせるって言ったでしょ? ほら、二人ともとっととフランチェスカに謝りなさいよ!」

男子「ごう゛ぇん゛な゛さぁ゛ぁい…っ!」

男子(やせ)「ひぐっ、う゛え゛っ……」

アンナ(小)「ほら、あんたも謝るのっ!」

男子(やせ)「えぐっ、ぐずっ…ごめ゛んな゛…ひぐっ、ひっ……さ゛い゛…」

アンナ(小)「よろしい…みんなもこれでいいわよね?」

女子「う、うん…」

女子(おさげ)「い…いいよ?」

アンナ(小)「それじゃあ二度とフランカに余計なおせっかいはしないこと…はい、おしまい!」両手をぱんぱんっ…と叩いて解散をうながした…
423 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/12/10(月) 03:26:43.71 ID:blGHsMb30
…少しして・再び図書室…

提督「……どうもありがとう、アンナ」…何が何だかよく分からないが、とりあえず男子には謝ってもらい、これでシルヴィアおばさまの迎えが来るまで心おきなく本が読めると図書室に戻った提督(小)…が、当然のようにアンナ(小)もついてきて隣の椅子に座ったので、一旦本を閉じて再度お礼を言った…

アンナ(小)「いいのよ。…でも私が助けてあげたんだから、何かしらの「お礼」が必要だと思わない?」

提督(小)「うん…でもお金はないし、あげられるような物も持ってないから……」学校への送り迎えはシルヴィアの車で、お昼は持参のお弁当…なので特にお金も持っていない提督(小)…

アンナ(小)「別に物じゃなくたっていいわよ……それならどう?」

提督(小)「うーん……あ、ならこれでどうか…な?」…ちゅっ♪

アンナ(小)「!?」

…提督(小)の柔らかい唇がアンナ(小)のきゅっと引き絞られた唇に重なった…放課後の明るい図書室には人気もなく、暖かい午後の日差しを浴びて古い紙の香りが漂い、静かな部屋に二人の吐息の音だけが聞こえる…

提督(小)「……どう、だったかな?」

アンナ(小)「な…今のって……///」唇を指でなぞる…

提督(小)「ありがとうっていう気持ちはいっぱいこめたけど……ダメだった、かな…?」

アンナ(小)「いえ、気持ちは伝わったわ…でもまだ足りないわ、もう一回ね///」

提督(小)「うん、それじゃあ……んっ///」ちゅっ…んちゅっ、ちゅ…っ♪

アンナ(小)「ん…んっ///」

提督「…どう、今度は伝わった……?」

アンナ(小)「そ、そうね…これで十分よ/// ……今度うちに遊びにきなさいよ、招待してあげるから」

提督(小)「うん。それじゃあね、アンナ」

アンナ(小)「ええ」

…その日の午後…

クラウディア「そう、友達の家に招待されたの」

提督(小)「うん…行ってもいいかな?」

クラウディア「別に構わないけれど…迷惑をかけないようにしなさいね?」

シルヴィア「何か手土産でも持って行った方がいいかもしれないわ……何か用意しておいてあげる」

提督(小)「ありがとう、おばさま♪」

…数日後…

シルヴィア「それで、その子の方から迎えに来るって?」

提督(小)「うん…アンナが家の人から「迎えに行くから、一度学校から帰ってからにしなさい」って言われたらしいの」

クラウディア「そう……わざわざうちの方まで迎えに来てもらって悪いわね」

シルヴィア「帰りはこっちで車を出すとか…でも、それも相手を信頼できないみたいで失礼ね……」

クラウディア「まぁ、その人が来たらきちんとお礼を言えばいいわね……って、来たんじゃないかしら?」

シルヴィア「あの車…まさかね?」

…玄関の呼び鈴がリンと鳴り、シルヴィアが出迎えるとスーツ姿の男が立っていた…丘の上にあるカンピオーニ家の前に停まっているのは角を曲がるのも難しそうな黒塗りのメルツェデス・ベンツSクラスのリムジーネ…それも50年代のいかめしいモデルで、かっちりしたフロントグリルのデザインに、四灯のヘッドライトが付いている…

若い男「ボンジョルノ、カンピオーニさんのお宅で間違いないですか?…フランチェスカさんをお連れするよう言いつかっているのですが……」

シルヴィア「申し訳ないけれど……一応名前を確かめさせてもらえる?」

男「ええ…シニョリーナ・アンナ・マリア・ベアトリーチェ・カスティリオーニのお友達、シニョリーナ・フランチェスカ・カンピオーニをお迎えに上がりました。自分は運転手のジャンニです」

シルヴィア「分かったわ……フランカ」

提督(小)「はい、おばさま」

シルヴィア「来たわよ、粗相のないようにね」

提督(小)「はい。それじゃあ行ってきます」

シルヴィア「ええ…」
424 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/12/11(火) 02:46:35.22 ID:0vMzAc370
…数十分後・カスティリオーニ家の玄関…

男「さぁ、つきましたよ…どうぞ」

…メルツェデスの重いドアを開けてもらって降りると、目の前には広い立派な庭と大きな館が建っていた…黄色っぽい石を積んだ外の壁に這わせたバラに、水がめを抱えた女神の噴水…館自体は明るい白壁と黄色がかった屋根瓦で、庭にもよく馴染んでいる……どういうわけかこわもての男が何人かいるが、小さい提督はそこまで気が付かなかった…

提督(小)「ありがとうございます」

男「いえ、お嬢のお友達なら大歓迎ですよ…さ、こっちで……」

アンナ(小)「フランカ、待ってたわよ!」

提督(小)「アンナ…そんなに抱きつかれたら苦しいよ…///」

アンナ(小)「ん、それもそうね…とにかく、よく来てくれたわ。とにかくまずはフランカをパパとママに紹介しなくっちゃ♪ ご苦労様、ジャンニ」

男「へい、シニョリーナ」

…邸内…

提督(小)「…すごいお家ね……」素朴な南イタリア風ではあるがとても広いお屋敷と、あたりに飾ってある大きくて高そうな花瓶や飾り皿に、子供ながらに感心している…

アンナ(小)「そう? まぁいいから居間に来てちょうだい♪」提督(小)の手をつかみ、引っ張っていくアンナ(小)…

提督(小)「う、うん…」

アンナ(小)「パパ、ママ…フランカが来たわ!」

…広々とした居間には第二次大戦前に撮られたらしい色あせた昔の写真が数枚かけてあり、真ん中にはがっちりした木の椅子とテーブルが置いてある…テーブルの中央には素朴な田舎屋敷には場違いな銀の花瓶が置いてあり、椅子にはアンナの「パパとママ」が座っている…

アンナの父「そうか……初めまして、フランチェスカちゃんだね?」

提督(小)「はじめまして…え、えーと…お母さまとおばさまからおみやげを……」大事に抱えてきたお菓子の箱を差しだした…

アンナ父「これは親切にありがとう。私はフランチェスコ・サルヴァトーレ…アンナの父親だよ。それでこちらが母親のマリア」


…アンナの父親は顔に深いしわが刻まれた一癖ありそうな顔をしていて、髪の毛をポマードでぺったりと後ろに撫でつけている…声もいくらかしゃがれた癖のある声をしているが、可愛らしいを無邪気な二人を見てにこにこしている……一方、横にいるアンナの母親はまだ可愛らしいが、そろそろドレスよりエプロンが似合いそうな、ぽっちゃりとしたイタリアの「肝っ玉母さん」らしい貫禄が出始めている…


アンナ母「初めまして、よく来てくれたわね♪」

提督(小)「その…はじめまして」

アンナ父「はは、緊張することはないよ…フランチェスカちゃんはおじさんの「フランチェスコ」と同じ名前だし、アンナとも仲良くしてくれているそうだから家族同然だよ……そうだろ、アンナ?」

アンナ(小)「ええ、パパ…それで、もういいかしら?」

アンナ父「ああ、いいとも。好きに遊んでいなさい…パパは書斎でイナッツィオさんとお仕事の話をしてくるからね」

アンナ(小)「分かったわ、邪魔はするなってことね?」

アンナ父「邪魔なんてことはないさ…ただ、あまりうるさくしちゃだめだよ?」

アンナ(小)「ええ」


425 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/12/12(水) 01:43:35.64 ID:HdJniM6n0
…アンナの部屋…

アンナ(小)「さ、どうぞ」

提督(小)「うん…わぁ、すごい……!」

…アンナ(小)の部屋には子供にしてはずいぶん立派な机と椅子、それに本棚いっぱいに詰め込まれた(その割には読まれていない様子の)豪華な装丁の物語集……それにどこかのプリンセスめいたお洒落なベッドが置かれていて、その上にはクマのぬいぐるみがずらりと並んでいる…

アンナ(小)「そう? 別にそこまですごいところはないと思うけど?」

提督(小)「ううん。とってもすてきなお部屋だし、すごいと思うな…ぬいぐるみもいっぱい」

アンナ(小)「別に欲しいわけじゃないのに、パパとお仕事をする人たちが「アンナちゃんに」って持ってくるのよ……ああいうオジサンたちは煙草臭いから好きじゃないわ」

提督(小)「アンナのお父さんは、いろんな人とお仕事してるの?」

アンナ(小)「ええ、「カスティリオーネ・ファミリア」って言って、オリーヴオイルとかを世界中に売ってる会社の社長なのよ……首相よりもえらいんだから♪」

提督(小)「へぇ…」

アンナ(小)「まぁいいわ…さ、座って? そろそろ誰かがお菓子を持ってきてくれるから」

提督(小)「うん、分かった……それじゃあここでいいかな…?」

アンナ(小)「そんなのどこだっていいわ、お好きなところにどうぞ…ほら、来たわ」

男「…シニョリーナ・カスティリオーネ、お菓子を持ってきましたよ」少しけばけばしいオレンジと茶色のネクタイを締めた男が、お菓子の盆を持って入って来た…

アンナ(小)「グラツィエ。ありがとね、トーニ」

男「いいんですよ、他に何か必要だったら言ってください」

アンナ(小)「ええ、それとこの間はあのエテ公を締め上げてくれてありがとね…パパには内緒よ?」

男「おやおや…シニョリーナ、「エテ公」だなんて、どこでそんな乱暴な口の利き方を覚えたんです?」

アンナ(小)「この間……いえ、言わないでおくわ。誰かに迷惑がかかるといけないものね♪」

男「はは、さすがはシニョリーナだ…とにかく、ドン・カスティリオーネには秘密にしておきますよ」

アンナ(小)「ならいいわ……ところでトーニ、それとそのネクタイの柄はなに?まるでピエロよ」

男「あれ、こりゃ手厳しいや。シニョリーナの前じゃ着る物にも気を付けなくっちゃあ」

アンナ(小)「当然でしょ、パパも「トーニがうちのファミリアをきちんと締めてくれているんだ」って言ってたもの…それがそのネクタイじゃ笑い者になっちゃうわ」

男「参ったな……今度から気を付けます」

アンナ(小)「よろしい…それとお菓子をありがとね♪」

男「なぁに、シニョリーナのためなら何でもありませんや…何か用があったら構わずに呼んでくださいよ」

アンナ(小)「ありがと……さ、食べて?」

提督(小)「うん……とってもおいしい…♪」出されたカンノーロとクッキーを一つ二つ食べると、丁寧に手を拭った…

アンナ(小)「よかったわ…さ、何して遊ぶ?」

提督(小)「んー…」

アンナ(小)「ま、フランカってばいつも本ばっかりだもんね……ところで…」

提督(小)「?」

アンナ(小)「この間のやつ…もう一回やってみてくれない……?」

提督(小)「この間の……キスのこと?」

アンナ(小)「ええ、それよ…あれ、とっても気持ちよかったから…///」

提督(小)「うん、お母さまには「大事な人とだけするように」って言われてるけど……アンナは大事な人だもんね……んっ♪」

アンナ(小)「ん、ふっ…///」…ぞくっ♪

提督(小)「んむっ…んっ……♪」ちゅっ…はむっ、ちゅぅぅ…っ♪

アンナ(小)「んんぅ…はーっ、はーっ……んっ♪」ぞくっ…ぞくぞくっ……♪

提督(小)「んちゅっ、ちゅぅ…ちゅっ……ぷは♪」薄いが意外と柔らかく、カンノーロのクリームに入っていたリコッタチーズとアンズの甘い味がするアンナの唇に、提督(小)は見よう見まねで覚えた、優しいついばむようなキスをしばらく続けた…

アンナ(小)「はーっ、はーっ、はぁぁ…っ♪」

提督(小)「…きもちよかったね……「ちゅう」するの///」

アンナ(小)「そ、そうね…///」
426 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/12/13(木) 02:41:42.59 ID:68DxiTCT0
………

提督「…って言うようなことがあって、それ以来時々遊びに行っては子供らしい口づけをよく交わしていたわね……当時はまだ小さくて世間知らずだったから、キスをするのは「仲良しのしるし」みたいなものだと思っていて…アンナの家に遊びに行ったりとか、学校で二人きりになるたびにキスしてたわ///」

アッテンドーロ「うわ…ぁ…」

アメティスタ「まぁ、戻ってきたら何やら興味深いお話の最中のようで……失礼します」

ペルラ「屋台に出さなかった分の「宝石のタルト」が少しありますから、よかったら一緒に召し上がりませんか?」

ディアナ「あら、でしたらわたくしがお皿を持ってきて差し上げます……皆さまは、どうぞおかけになって待っていらしてくださいな」

アッテンドーロ「ありがと、ディアナ…ちなみに今はみんなで提督のスケコマシぶりにあきれ返っていたところよ。こんな色魔に引っかかっちゃった姉さんが気の毒だわ…」

提督「色魔って…ずいぶんな言われようね……」

カヴール「…あの、それはさておき……アンナさんのお父上の「カスティリオーネ・ファミリア」って…その…」

提督「あー…まぁ、その…つまり……貿易会社よ」

コルサーロ「やれやれ、何を「取引」するんだかわからねえなぁ……」

シルヴィア「あー…当時フランカの事が心配になったから調べたけれど、ギリギリで違法なことはしていないわ……いささか怪しい書類で建築許可を得たりとか、入管手続きで目をつぶってもらったりとか…だいたいはそんな感じね」

クラウディア「それにアンナちゃんがフランカと仲がいいのを邪魔することもないし…そうでしょ、シルヴィア?」

シルヴィア「まぁそういう事ね。それに向こうの方も、フランカの事を可愛がってくれたから…問題が起きない限りは、わざわざ引き離すこともないと思って……」

提督「…でもそのおかげで、すっかりアンナとはおかしな関係になっちゃって……」

………



…それから数か月後…

提督(小)「ボンジョルノ、シニョーレ・カスティリオーネとシニョーラ・カスティリオーネ……アンナと遊ぶ約束をしたので、おじゃましにきました♪」

アンナ父「よくきたね、フランチェスカ…アンナが来るのを心待ちにしていたよ♪」

アンナ母「そうね、後でおばさんがおいしいお菓子を持って行くから……二人で遊んでいてちょうだいね♪」

提督(小)「はい♪」

…アンナの部屋…

提督(小)「うん…やっぱりこのお話は面白いなぁ……」

アンナ(小)「ふぅ、相変わらずフランカは本が好きねぇ……パパに「読書をするといい大人になれるから、アンナもフランカみたいにいっぱい本を読みなさい」って言われちゃったわ」…やれやれね」

提督(小)「ごめんね、アンナ」…すっかりアンナの部屋に慣れた提督(小)はアンナのふかふかのベッドにうつ伏せになって、脚をゆっくりとばたばたさせながら、どっしりした装丁の本をめくっている…その脇ではアンナ(小)が少し退屈そうにしながら提督(小)の髪を梳いてみたり、もてあそんだりしている…

アンナ(小)「いいのよ…おかげでフランカがうちに遊びに来てくれるわけだし、わたしもお友だちができてうれしいわ♪」

提督(小)「うん、わたしもアンナとお友だちになれてうれしい……それにアンナのお家の人も優しいし」

アンナ(小)「…そうね、パパやママだけじゃなくて「ファミリア」のメンバーたちも、みんなフランカの事が好きみたいよ…ところでフランカ、そろそろ…///」

提督(小)「また「ちゅう」…する?」

アンナ(小)「ええ…フランカのキス、とってもきもちいいし…///」カンピオーニ家の「教育」のおかげでキスが上手で、ぷるっと柔らかな唇と甘い匂いのする提督(小)に、すっかり病み付きになっているアンナ(小)…何かと理由を作っては家に呼び、そのたびに提督(小)とのキスをせがんでいる…

提督(小)「よかった…だっていっぱい「好き」って気持ちをこめているもの……ん、ちゅっ♪」

アンナ(小)「んふっ、んんぅ……ぷはぁ♪ …ねぇフランカ」

提督(小)「なーに?」

アンナ(小)「フランカは私のこと…好き?」

提督(小)「うん、アンナはやさしいから好き…いじわるな男の子からかばってくれたし、本もいっぱいかしてくれるもの♪」

アンナ(小)「……じゃあ私たちって「好きどうし」だし…大きくなったら、私とけっこんしてくれる?」

提督(小)「…うーん、シルヴィアおばさまはクラウディアお母さまとけっこんしちゃったから……うん、アンナとならけっこんしたいな♪」

アンナ(小)「ホントに? うれしい…っ♪ …それじゃあわたしたちは今日から「いいなずけ」ね…やくそくしたわよ、フランカ?」

提督(小)「うん…っ♪」

アンナ(小)「それじゃあもう一回「ちゅっ」てして…///」

提督(小)「わかった……んちゅっ、ちゅっ…ちゅぅっ♪」…提督(小)はアンナ(小)とベッドの上で向かい合い、両方の頬を小さな手で押さえると、柔らかいキスを交わした…

………
427 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/12/14(金) 01:38:19.87 ID:C5IentQe0
提督「…というわけで、アンナはそのことを持ちだしては私の「許嫁」だ……って言い張っているわけ」

アッテンドーロ「まぁ、子供の口約束だし何とも言えないわね…それにしても、彼女もよくそんな子供の頃の事を覚えていたわね?」

提督「そうね。まぁアンナは昔から物覚えが良かったから……勉強しているところなんて見たこともなかったけれど、いつも成績は上の方だったもの…」

クラウディア「…何はともあれ、私はアンナがお嫁さんでいいと思うのだけど…こればっかりはフランカの気持ちが固まらないことには決められないわ♪」

シルヴィア「まぁどっちにしろ、結婚するならオランダかイギリスにでも行かないことにはね……」

提督「だから、アンナが言っているだけで私にその気はないの…だいたい「カスティリオーネ・ファミリア」の女統領(ドンナ)の奥さんなんて私には務まりっこないもの……」

シルヴィア「そこはアンナに任せておけばいいんじゃないかしらね…それに、もしかしたらファミリアを継がないつもりかも知れないわよ?」

提督「そんなはずはないわ…あれだけお父さんのことを思っているアンナだもの……」

………



…提督・高校生のころ…

アンナ(高)「んあぁ…あむっ、ちゅぅぅ……はひっ、あふぅ…っん///」ビクッ、ビクン…ッ♪

提督(高)「んむっ、ちゅぅぅ…んっ、んちゅっ♪」

アンナ(高)「あっ…あ゛っあ゛っ……んあ゛ぁぁっ♪」

提督(高)「アンナの唇…柔らかいし、髪もいい匂い……ねぇ…もっと…して……いい?」椅子に座ったアンナの上にまたがり、両手の指を絡めてねちっこいキスを交わす二人……物覚えがよく要領のいいアンナもこればかりは提督のされるがままで、脚を開いてぐっちょりとめしべを濡らしている…

アンナ(高)「ええ、もっと…もっとしてちょうだい…っ♪」がくがくっ……とろっ…にちゅっ♪


…成績はお互いに悪くなかったが、地元カンパーニア州にあるごく普通の「身の丈にあった」公立高校に進んだ提督(高)と、ローマにあるただれた噂の絶えない、お金持ちだらけの私立高級女子校に進んだアンナ(高)…お互いに離れ離れになって会う機会が減った分、たまに提督が実家に戻ってきたアンナの家に遊びに行くと、挨拶もそこそこに舌を絡めるようなキスを交わす…


提督(高)「それにしてもアンナったら……久しぶりに遊びに来たのに、挨拶も抜きにいきなりこんな……ちゅっ、んちゅ…っ♪」

アンナ(高)「いいじゃない、高校が別々になっちゃってなかなか会えないんだもの…それより、もっとキスしてよ?」

提督(高)「はいはい…それじゃあ会えなかった分♪」むちゅ、ちゅぅっ…れろっ、ちゅぽ…っ♪

アンナ(高)「はひっ、んむっ…んちゅっ、れろっ……ぬちゅっ……ん、ふぅ…♪」

提督(高)「ぷはぁ…どう、満足してくれた?」

アンナ(高)「ええ、よかったわ……ん、もう下着がぐちょぐちょ…フランカは?」高校生とはいえかなり大人っぽいランジェリーを脱ぎ捨て、髪を留めていた金の髪飾りを外した…

提督(高)「…ええ、私も……このままスカートの中が濡れたまま帰ることになりそう///」

アンナ(高)「ふふ、じゃあ私のを貸してあげる…もっとも、フランカが履いたら食いこんじゃいそうだけど……またおっぱい大きくなったんじゃない?」

提督(高)「ええ、もう走るたびにたゆんたゆん揺れるから運動が大変……それに足をついた時じゃなくて、それより一呼吸遅れて揺れるから…」

アンナ(高)「あっそう。私はそんな巨乳じゃなくてよかったわ」

提督(高)「もう、聞いたのはアンナじゃない…」

アンナ(高)「まぁね…ところで、フランカは進路って決めた?」

提督(高)「うーん……私は大学で歴史を勉強しようかなって」

アンナ(高)「なるほどね。フランカは昔のものとか好きだし、いいんじゃないかしら?」

提督(高)「ありがと……それよりアンナは何でも得意だけれど、数学が一番得意だし…やっぱり数学者とか?」

アンナ(高)「ううん、私はもう決めてあるの…ボローニャ大の法学部よ」

(※ボローニャ大…十一世紀に開校された欧州最古の名門大学。当時隆盛を極めていたボローニャ商人たちが出資したこともあって、商法・民法などを学ぶための法学部や神学部、文学部、医学部が有名だった。また、実利を重んじる商人らしく、当時から宗教にとらわれない自由な発想で女性の参加にも抵抗がなく「学生がボーっとならないよう」カーテン越しに講義をしたと言う絶世の美人、ノヴェルラ・ダンドレア教授など有名な女性教師もいた)

提督(高)「えっ、法学部…?」

アンナ(高)「ええ…弁護士になって検察からパパを守って、いつかは「ファミリア」の相談役になるつもりなの……ま、とりあえずの夢は「街の国際弁護士」ってところね♪」

提督(高)「…もうやることが決まっているなんて、アンナはすごいわね……応援してるわ」

アンナ(高)「ありがと…じゃあ、あの時の約束通り結婚してよ♪」

提督(高)「そ、それとこれとは話が別でしょう…///」

………
428 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/14(金) 22:41:43.33 ID:MAuX2c67o
幼馴染いいね
429 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/12/16(日) 01:40:13.12 ID:7ZCbULIp0
>>428 幼馴染み百合は成長と共にどんどん関係が深まっていく良さがありますね…続きはまた数日後に投下します

…ちなみにもうお分かりかとは思いますが、アンナの実家はイタリアならではの実業家……つまりそういうことです(アンナの父親である「フランチェスコ・カスティリオーネ」と言う名前もアメリカで勢力を振るったフランク・コステロの本名をもじって付けています)
430 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/16(日) 08:03:08.05 ID:Fjk0BY840
提督、これは責任取らないと。
431 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/12/17(月) 01:19:03.47 ID:210TqTTO0
>>430 そうなると提督は重婚待ったなしですし、エクレール提督のことを考えると国際問題まで引き起こしかねないですね…はたしてどうなるやら(笑)
432 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/12/18(火) 11:57:55.46 ID:+H5aGqpq0
カヴール「…なるほど、そう言うことだったんですね……いっその事結婚してしまったらいかがです?」

コルサーロ「違いねぇ…あのお嬢さんは上玉だし、案外悪くないかもしれないぜ?」

ライモン「…わ、わたしは提督のお気持ちが動かない限りはダメだと思いますが……///」

アッテンドーロ「姉さんの言う通りね…その場の流れだとか、政略結婚なんて絶対にうまく行かないわ」

ペルラ「ふふ、それに提督が結婚するなんて言ったら…ウェディングドレス姿で押しかけてくる人たちが数十人ではきかないでしょうね♪」

提督「…修羅場待ったなしね…考えただけで頭が痛いわ……」

チェザーレ「やれやれ、さすがのチェザーレもそんな目には遭わなかったぞ」

ディアナ「そうですね……こういう場合「その道の達人」に聞けばよろしいのでは?」

提督「達人?」

ディアナ「ええ…女性のあしらいが上手なエウジェニオやバニョリーニ、アレッサンドロ……いかがです?」

提督「なるほど、経験豊かな「お姉さま方」に聞くわけね…いいかもしれないわ」

アッテンドーロ「ところでそのエウジェニオは…?」

提督「言われてみれば……それにエレオノーラやルクレツィアもそろそろ見つけに行かないと…お母さまとおばさまは?」

クラウディア「ふふ、私はディアナとお料理をするわ…ね、ディアナ?」

ディアナ「なにとぞ、よろしくお願いいたします」

シルヴィア「だったら私もいるわ…別に今日だけじゃないんだから、気にしないで行ってらっしゃい」

提督「それじゃあ、ちょっとエレオノーラたちを探してきます……行きましょう、ライモン?」

ライモン「はい…そういえばムツィオ、ピッツァの屋台はいいの?」

アッテンドーロ「あぁ…それがビスマルクが座り込んでずーっとむしゃむしゃやってたものだから、生地も具材もすっからかん…っていうわけで今日はもう店じまいよ……おかげで軽く十万リラは稼がせてもらったわ♪」扇のようにしてひらひらとリラ札を振ってみせる…

ライモン「そうなの、それじゃあ一緒に行けるわね?」

アッテンドーロ「ええ。おかげで財布の中も暖かいし…何か欲しいなら買ってあげるわよ、姉さん?」

ライモン「もう…ムツィオったら」

提督「…まぁ予算の分さえ回収できたら、あとの利益は好きにしていいって事になっているものね……」

アッテンドーロ「おかげ様でね。ま、そんなことよりエウジェニオを見つけに行きましょ……きっと会場で一番美女が集まっている所ね♪」

…鎮守府・庭…

エウジェニオ「ふぅ、にぎやかなのはいいけれど…ここまで来るとちょっと閉口しちゃうわね……れろっ…」

…棒のついた丸い真っ赤なアメ玉をしゃぶりつつ、庭の片隅の芝生にひざを立てて腰を下ろしているエウジェニオ…ギリシャ彫刻のような端正な顔立ちで海を眺めていると、それだけで絵になる……会場の中心ではにぎやかな売り声や来場者の歓声が聞こえてくるが、エウジェニオのいる場所からだと砂浜に打ち寄せる波音や風の音に混じって、途切れ途切れのざわめきのようにしか聞こえてこない…

エウジェニオ「いい風……これで隣にいい匂いのする美女でもいれば完璧なんだけど…ま、たまには一人も悪くないわ……ちゅぱ…」

母親「……人混みで疲れちゃったのね…ここならいいでしょう?」

女の子「うん…つかれちゃったし、すわりたいよ……ねえ、ここにすわっていい?」

母親「しかたないわね…着るものを汚さないようにしなさい……あ」茂みの陰で見えなかったエウジェニオを見つけた母娘連れ…

エウジェニオ「ボンジョルノ。お嬢さんも人混みで疲れちゃったんでしょう……チャオ♪」女の子に片手を振ってみせる

母親「ええ、娘がぐずってしまって…ここ、座ってもいいですか?」

エウジェニオ「別に私だけの芝生じゃないし、特に花が植わっているわけでもないわ……遠慮しないで座って?」

母親「グラツィエ…ほら、お姉さんが座っていいって言っているわよ」

女の子「ありがと、お姉ちゃん……」そう言って座ると、じーっとエウジェニオの端正な口元を眺めている…

エウジェニオ「ノン・ファ・ニエンテ(何でもないわ)…ちゅぱ……」

女の子「…マンマ、あれがほしい……おねえちゃん…」

母親「…え?」

女の子「おねえちゃんのもってるアメ…ほしいよぉ……」

母親「そんなこと言ったって、お姉さんが食べてるでしょう?」

女の子「でもぉ…」

433 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/12/20(木) 02:31:10.87 ID:/cTZThh20
エウジェニオ「シニョーラ(奥さん)、私は虫歯も病気もないけれど……良かったらこのアメ、お嬢さんにあげてもいいかしら?」

母親「えーと…その……」

エウジェニオ「エウジェニオ・ディ・サヴォイア…ここの艦娘よ」

女の子「ねぇ、マンマ……」

母親「…え、ええと…では、ありがとうございます」

エウジェニオ「いいのよ、遠慮することはないわ。さぁ、可愛らしいお嬢さま…どうぞ召し上がれ♪」ボールペンを回すように指先でくるりとアメ玉の柄を半回転させると、一輪のバラを渡すようにして女の子にアメ玉を差しだした…

女の子「わぁぁ…♪ グラツィエ、おねえちゃん……ん、ちゅぱ♪」

母親「///」

エウジェニオ「いいのよ…小さな貴婦人さん♪」女の子のぷにぷにした頬に軽くキスをし、母親に軽くウィンクをするエウジェニオ……立ち上がると芝生に下ろしていたヒップの砂を軽く払い、鎮守府の方に歩きかけた…

提督「…あ、いたいた♪」

エウジェニオ「あら、提督。そんな巡礼みたいにみんなをぞろぞろ引きつれて…どうしたの?」

提督「いえ、実を言うとね…あら」

母親「……ボンジョルノ、士官さん///」エウジェニオのウィンクに頬を赤くしている母親…

提督「ボンジョルノ、シニョーラ。 あら可愛らしいお嬢さん…アメは美味しい?」

女の子「うん……おねえちゃんがぺろぺろしてたのをくれたの♪」

提督「…え」

アッテンドーロ「エウジェニオ……前から見境なしだとは思っていたけれど、さすがにそれは…」

カヴール「まぁまぁ…まさか母娘をいっぺんに味見するなんて、エウジェニオったら……ふふっ♪」

エウジェニオ「ちょっと、あなたたちね…人の事を何だと思っているの?」

コルサーロ「ま、そりゃふだんの色事師っぷりを見ていればな…」

エウジェニオ「まったく失礼ね…それじゃあね」

女の子「うん…ちゅぱ、ちゅむ……♪」



提督「さてと、それじゃあ今度はエレオノーラたちを見つけないといけないわね」

エウジェニオ「ま、提督はそれよりも「許嫁」との関係をどうにかしないと…でしょう♪」

提督「むぅ…それはそうとエレオノーラたちはどこに行ったのかしら?」

ライモン「あ。提督、向こうに…」

提督「あー、見えたわ…みんな、お待たせ♪」

シモネッタ提督「あら、別に待ってないわ……それじゃあ大きなお口で「あーん」してね♪」

ミラベロ「あーん♪」

シモネッタ提督「はい♪ あら、ごめんなさい…私としたことがクリームを口の端に付けちゃったわ、取ってあげるわね……んちゅっ、れろっ♪」

ミラベロ「んふふっ。もう、くすぐったいわ……お返ししてあげる♪」…ちゅっ♪

シモネッタ提督「んふふふっ、むふ…っ♪」

カサルディ提督「ねぇフランカ、早く助けてよ! ここままじゃ、いつうちの娘たちが物陰に連れ込まれるか分かったものじゃないわ…!」

シモネッタ提督「…ルクレツィアったら失礼ね……可愛い天使たちと仲良くするんだもの、ちゃんとベッドのあるところまでエスコートするに決まっているでしょう♪」

カサルディ提督「あぁ、もう!」

エクレール提督「まったく信じられませんわ…シモネッタ提督ときたら、さっきからずっとこんなですのよ!? は、早くどうにかなさいっ///」

提督「あー…なんと言うか、エレオノーラは期待を裏切らないわね……」

エクレール提督「感心している場合ではありませんわ…!」

提督「まぁまぁマリー、落ち着いて……一緒にいられなかった分、後で「パルフェ」でも食べましょうね…もちろん、姫も♪」(※パルフェ…フランス語。「パフェ」の原型になった冷菓子のこと)

足柄「……うちの提督は「メロンパン」なんかが好きだけど…イタリアじゃ難しそうね」

百合姫提督「ええ、特に「チョコチップメロンパン」が好きなの…でもフランカが用意してくれるなら、何だっていいわ♪」

提督「ありがと…それに、パルフェだって甘くて美味しいもの♪」
434 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/12/22(土) 12:13:04.25 ID:1zU7qVhY0
…食堂…

カサルディ提督「あー…怒鳴り過ぎて喉が痛い……」

シモネッタ提督「もう、あんまり大声を出しちゃダメよ?」

カサルディ提督「一体誰のせいだと…! …う゛ー…ごほんっ…」

提督「まぁまぁ、いま飲み物を用意するから…カフェラテでいいかしら?」

カサルディ提督「ありがと、カフェラテでいいわ…あー…うー…おほんっ……」

エクレール提督「…まったく、イタリア勢の提督は揃いも揃ってどうしようもありませんわね……」

提督「ねぇマリー…「犬のしつけ」って愉しいわよね♪」

エクレール提督「…っ///」

ヴァイス提督「?」

グレイ提督「……ふむ、エクレール大佐はカンピオーニ少将に何か…なるほど、興味深いですね…」

エリトレア「提督方、お待たせしました♪ コーヒーにぴったりなおいしいお菓子ですよっ♪」

グレイ提督「ふふ、なるほど美味しそうですわね…ありがとう、エリトレア」

エリトレア「いえいえ、どうぞお好きなだけ取って下さいねっ♪」

カサルディ提督「グラツィエ…二人ともお菓子は? …あ、でもさっきあれだけ食べたからお腹いっぱいか……」

MS16「ご心配なく、司令…どれも美味しそう♪」

MS22「まだまだいくらでも入るけど、まずは一個ずつ取ってくれる?」

カサルディ提督「まったく…そんな小さい身体のどこに収まるんだか……お腹を壊さないようにね?」

MS16・22「「はい、司令♪」」

シモネッタ提督「あー、私もああいうちっちゃな女の子に囲まれて執務がしたいわ…♪」

マエストラーレ(ヴェネツィア)「もう、司令ったら浮気しないっ!」

グレカーレ(ヴェネツィア)「ふふ、おねえちゃんったら心配性なんだから…うちの司令に限っては大丈夫、だってちゃんと戻ってくるもの……そうでしょ?」

シモネッタ提督「ええ、だって普段あれだけ「仲良し」してるもの…ね♪」

カサルディ提督「…」

提督「…はい、お待たせ……どうしたの、ルクレツィア? そんな生ゴミを見るような目でエレオノーラを見て」

カサルディ提督「…生ゴミなら幼女にいたずらはしないし、その方がマシよ」

シモネッタ提督「んー、このエクレアおいし…♪」

エリトレア「それは「エクレア・ルージュ」です…貴女の心に響く味がする、イチゴとクランベリーの甘酸っぱいエクレアですよ♪」

シモネッタ提督「なるほど、とっても美味しいわ…ほら、リベッチオはこっち側から食べて?」

リベッチオ(ヴェネツィア)「うんっ……あむっ、はむっ♪」

シモネッタ提督「はむっ、んむ……ちゅぅ…っ♪」

リベッチオ「ぷは……勢い込んで食べてたら、司令の唇まで食べちゃった…甘酸っぱくて美味しいね♪」

シモネッタ提督「ふふ……それじゃあもう一個食べる?」

提督「あー…カヴール、お菓子はどれにする?」

カヴール「あ、あぁ…そうですね、でしたらこのショコラを……」

ヴァイス提督「な、何て破廉恥な……落ち着け、計算でもして冷静になれ…距離一万メートルからの20.3センチ砲弾が角度四十五度で着弾するとき、その貫徹力は……///」

エリザベス「おやまあ…イタリアの提督方は皆さん艦娘たちとずいぶん親密な関係でいらっしゃること…」

エメラルド「///」

グレイ提督「……エメラルド、庭が綺麗ですよ…ほら、ごらんなさい?」

435 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/12/25(火) 10:03:45.85 ID:ZfZm7ekI0
この数日投下出来ていませんでしたが、何はともあれ「クリスマスおめでとう」というわけでまた今夜にでも投下していきます…そして数時間かけて準備した割には、意外と少ない料理の数……なぜなのか…?
436 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/12/27(木) 01:43:05.67 ID:nbUmKwZF0
提督「ところで、マリー」

エクレール提督「なんですの?」

提督「トゥーロンからはどうやって来たの?」

エクレール提督「あぁ、そのことですか…まずは車で最寄りの空軍基地へ参りまして」

提督「あのムール貝みたいなDS19?」

エクレール提督「いえ、今回は公用車の「ルノー・ルーテシア」ですわ……もっとも、フランチェスカはルーテシアと言うのがいかにフランスらしい由緒ある名前で、どういう来歴があるかなんてご存じないでしょうけれど?」

提督「ルーテシア…ルテチア…ってパリの古い名前でしょう…そうよね、チェザーレ?」

チェザーレ「いかにも……当時ガリアの一部族が住んでいた街の名であるな」

エクレール提督「…むっ」

チェザーレ「ちなみに、パリと言う名前は後にルテチアに入植したパリサイ(パリシー)人から来ているのだ…まぁ何にせよ、ローマとは比べ物にならぬ小さな集落と言うことだな」

エクレール提督「むぅ…っ」

提督「ふふ…あなどってもらっては困るわね。それから?」

エクレール提督「ええ…それから空軍基地に駐機している鎮守府製の「コードロン・シムーン」で、グロッタリーエまで飛んで参りましたの」

(※コードロン・シムーン…1930年代に開発された単発四人乗りの小型郵便・連絡機。性能が良く素直な操縦性が評価され、フランスの航空会社や、「星の王子様」の作者で知られるサン・テグジュベリなど多くの冒険飛行家に愛用された。一部は連絡機として戦前・戦中のフランス空軍にも配備された。220馬力のルノー製エンジンを搭載し、最高速度300キロ前後…C500に始まり多くのサブタイプがあり、名前の「シムーン」は砂漠の風のこと)

提督「シムーンねぇ…乗る前にちゃんとキスはした?」

エクレール提督「…どういう意味ですの?」

提督「あー…いえ、分からないならいいわ」

百合姫提督「……もしかして上手く編隊を組んだら、リ・マージョンできるかも知れないわね?」

提督「そういうこと♪」

エクレール提督「ですから、さっきから何が言いたいんですの?」

提督「気にしないで、私と姫の間で通じる暗号みたいなものだから」

百合姫提督「ええ…♪」

エクレール提督「どうも引っかかりますわね…まぁいいですわ」

グレイ提督「それはそうと、カンピオーニ提督」

提督「はい、何でしょう?」コーヒーを優雅にすすりつつ、にこやかに返事をした

グレイ提督「あの「許嫁」の方がいらっしゃいましたわ」

提督「けほっ、こほっ…!」

アンナ「フランカ、そろそろ話は済んだでしょう? あ、それと貴女「ディアナ」だったわよね……私にもカフェラテをお願い♪」別のテーブルから椅子を持ってきて、ちゃっかり隣に腰かけるアンナ…

ディアナ「…はい」

提督「あの…アンナ、今はちょっと……」

アンナ「コーヒーとお菓子を並べて優雅にお茶してるところなのに、私がいちゃいけないの? …皆さんはどう?」

シモネッタ提督「私は構いませんよ、フランカのお友だちなら歓迎です♪」

カサルディ提督「うん、私も構わないわ…それより、フランカったらこんなきれいな女の人と付き合ってたの?」

提督「あー、いえ…アンナとは……」

アンナ「フランカとは幼いころからの許嫁なんです…アンナです、よろしく♪」

シモネッタ提督「そうでしたか…フランカとアンナさんはお似合いですし、いい婦妻になりそうですね♪」

カサルディ提督「フランカ、おめでと……う?」

提督「はぁ…ぁ」

カサルディ提督「……ねぇフランカ、もしかしてめでたくない?」

提督「ええ、全然めでたくないわ…まるでジョロウグモの糸に絡められた蝶の気分よ……」

カサルディ提督「…あらまぁ……」

437 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/12/27(木) 11:49:23.96 ID:nbUmKwZF0
アンナ「ほら「あーん」しなさいよ、食べさせてあげるから♪」

提督「あー…気持ちは嬉しいけれど、自分で食べられるから大丈夫よ」

アンナ「いいから。それとも私のフォークで刺したケーキは嫌だって言うの?」

提督「いえ、あの…別にそう言うつもりではないわ……あーん…」

アンナ「あーん。もう、フランカったら他の提督さんたちがいるからって照れちゃって…許嫁なんだから気にすることなんてないじゃない?」

提督「だからその話は保留にする…って///」

グレイ提督「ふふ…いつも鷹揚な態度でいらっしゃるカンピオーニ提督がこれだけ動揺しているさまを見るのは大変に愉快……いえ、興味深いですわね」…お菓子を優雅に楽しみながら、くすくす笑いをしている

クラウディア「まぁまぁ、フランカったら「あーん」なんてしてもらっちゃって…私もシルヴィアにしてもらおうかしら♪」

提督「あ、お母さま……ディアナとのお料理はどうだった?」

クラウディア「ええ、いくつか我が家のレシピを書いてきたけれど…ディアナったらてきぱきしているしお料理そのものも上手で、むしろ私の方が勉強になったわ♪」

ディアナ「お褒めにあずかり恐縮でございます」

提督「ディアナは本当に料理が上手だものね…お母さまとシルヴィアおばさまはタラントのホテルで泊まるの?」

シルヴィア「いいえ」

クラウディア「…ここの近くに小さな町があるでしょう、そこのホテルを予約したの」

提督「なるほどね」

カサルディ提督「それにしてもフランカのご両親は綺麗な人ね……うらやましい♪」

提督「もう…ルクレツィアったら人の親に色目を使わないでよ」

カサルディ提督「いや、事実だから仕方ないでしょ?」

シモネッタ提督「あら、またルクレツィアの口説きが始まったみたいね…そうでしょう、二人とも?」

MS16「くすくすっ…だってうちの司令は口説き上手だもの♪」

MS22「ねっ♪」

カサルディ提督「……クラウディアさんは可愛らしいし、フランカに似て美人ですね……私はクラウディアみたいな優しい感じの女性、結構好きですよ♪」

クラウディア「まぁまぁ…カサルディさんったらお上手ね。シルヴィアがいなかったら、ころりと参ってしまいそう♪」

カサルディ提督「どうかルクレツィアと呼んで下さい」

クラウディア「そう、それじゃあ…ルクレツィア」

カサルディ提督「はい、何ですか?」

クラウディア「ふふ、呼んでみただけよ♪」

カサルディ提督「はは、一本取られちゃった…クラウディアってばお茶目なんですね♪」

提督「ちょっと、ルクレツィア…!」

カサルディ提督「どうしたの、フランカ?」

提督「もう「どうしたの?」じゃなくて…普通、人の母親を本人の目の前で誘惑する?」

カサルディ提督「別に誘惑しているつもりじゃないけど…でも、自然と仲良くなっちゃうのは仕方ないでしょ♪」

提督「…これだからルクレツィアは……」

シモネッタ提督「さすが「スケコマシ」の名をほしいままにしただけあるわね…ふふふ♪」

ヴァイス提督「うぅ、こんな会話には参加できそうにない……どうしてコーヒーを楽しみながら、和気あいあいと女性を口説いているのだ…!?」

提督「…ところで、ヴァイス提督はどうですか?」

ヴァイス提督「え? …あー、その…それは良いと思いますが……?」

提督「そう、よかった……ほらね、ヴァイス提督もお姉さまが良いそうよ♪」

シモネッタ提督「あら、残念ね♪」

ヴァイス提督「!?」

提督「ふふ…適当に返事をしちゃダメよ、シャルロッテ♪」

ヴァイス提督「は、これからは気を付けます……///」

438 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/12/28(金) 01:52:25.40 ID:t93puI9t0
…夕方…

ガラテア(中型潜シレーナ級)「さて、それでは哨戒任務に行ってきませんと。せっかくのお祭の日に順番が回って来てしまうなんて、少し残念ですね」

…美女揃いの鎮守府の中でも特に美しく目も覚めるような「ガラテア」は、白大理石のような純白の肌を、淡い灰色と灰緑色の斑点迷彩を施した「艤装」で包んでいる……ぴっちりと肌に吸いついたウェットスーツのような艤装のおかげで、くっきりと乳首やあそこの割れ目が際立っている……

ネレイーデ(シレーナ級)「そう?私は哨戒も好きよ? 沖に出て感じる海のざわざわした感じや、泡立つ波のしぶきとか♪」海の精だけあって、たとえ理由が哨戒でも海に出るのが好きなネレイーデ…

アンフィトリテ(シレーナ級)「私も嫌いではないわ…シレーナはどう?」こちらも海神ポセイドンの妻だけあり、ほとんど海と一心同体のアンフィトリテ…自分の艤装には飾りのフリルを付けているが、それも白く砕ける波頭に見える…

シレーナ「そうね、海は好きよ…ラララ、ララ…ラ〜…♪」一人でワルツを踊る真似をしながら、聞くだけで心もとろかすようなメロディを聞かせるシレーナ(セイレーン)…

提督「んっ…シレーナ、ちょっと歌うのは止めてもらっていいかしら……///」

ライモン「そ、そうですね…///」恥ずかしげに頬を赤らめ、もじもじとふとももを擦りあわせるライモン…

シレーナ「あら残念、気に入ってもらえると思ったのに」

提督「いえ、歌は上手だけれど…その……」

アッテンドーロ「その甘い声が良くないのよ」

シレーナ「そうですか…それじゃあ洋上でうんと歌ってくることにしましょう♪」

提督「そうしてもらえると助かるわ…」

シモネッタ提督「んぅぅ、私も今の声で濡れちゃったわ……ねぇリベッチオ♪」

リベッチオ(ヴェネツィア)「んー?」

シモネッタ提督「…ちょっと化粧室に行きたくなぁい?」

リベッチオ(ヴェネツィア)「うん、提督が行きたいなら一緒に行ってあげる♪」

シモネッタ提督「んふっ、リベッチオはいい娘ね♪」

リベッチオ「えへへっ♪ …提督、リベッチオのこと……いっぱい気持ち良くしてね♪」

シモネッタ提督「ええ、それはもう…んふふっ♪」

提督「えーと……あ、そうそう、日が沈んだら庭に行きましょう。二日目の催し物として準備しているものがあるの」

グレイ提督「それは楽しみですわね…エメラルド、わたくしたちは外で待つことといたしましょう?」

エメラルド「は、はい…んぅ……///」歌声を聞いて身体を火照らせ、悩ましげな表情を浮かべたエメラルド…それをさりげなく連れ出すグレイ提督と、さすがに顔色一つ変わらないクィーン・エリザベス…

…日没・庭先…

シルヴィア「…それで、何を用意してあるの?」

提督「まぁまぁ、それは見てのお楽しみ。期待していてね、シルヴィアおばさま♪」

クラウディア「ふふ、楽しみね……んっ」意外と冷たい夜風に軽く身震いしたクラウディア…と、シルヴィアが肩に手を回して軽く抱きしめた…

シルヴィア「ほら、こうしていれば少しは暖かいでしょう?」

クラウディア「ええ、ありがとう///」

提督「…ライモン、あなたは平気?」

ライモン「ええ、大丈夫です…でも、隣にいさせて下さいね……提督///」

提督「ふふっ、もちろんいいわ…さ、そろそろね♪」

リットリオ「えー、こちらリットリオ…提督、始めてもいいですか?」

提督「こちら提督…ええ、どうぞ♪」

リットリオ「リットリオ了解。それでは行きますよ? ……トーレ、ドゥーエ、ウーノ…フオーコ(撃て)♪」…と、リットリオ級の甲板上にある星弾(照明弾)用の単装砲が目一杯仰角を取ると発射され、シュルシュルと尾を引いて照明弾が打ち上げられたかと思うと、上空で紅と緑の花火が開いた……

シルヴィア「へぇ、綺麗ね…」

提督「ふふ…照明弾にちょっと細工をしてもらって花火にしたの」アナウンスを受けて艦隊の方を見ていたお客さんたちからも歓声が上がる…

グレイ提督「まぁまぁ、なかなかお洒落ですわね…♪」

アンナ「許嫁と花火なんて言うのも悪くないわね…フランカ、合格点をあげるわ♪」

提督「そう、よかった……それじゃあお母さま、おばさま、それにアンナ…この花火が終わったらお客さんは退場の時間だから、気を付けて帰ってね?」

クラウディア「ええ、とっても楽しかったわ…また明日も遊びに来るわね」

提督「ええ、待ってるから……ちゅっ♪」

デュイリオ「それではそろそろ夕食にいたしましょう…わたくし、お腹が空いてしまいました♪」
439 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/28(金) 22:49:55.09 ID:Dlwrpz5zo
乙。ライモンは癒し
440 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/12/29(土) 01:04:16.53 ID:G0SCtc800
>>439 まずはコメントありがとうございます。優しい世界観を目指してガンバっております…書いている方としてもライモンは(艦としてもキャラとしても)メインヒロインになっている感じがします


……ここ数日で急に寒くなりましたから、見ている皆さまはどうか暖かくして、風邪など引かないようにして下さいね…ちなみにこの後は基地祭二日目〜三日目を投下していく予定ですので、どうぞ見ていって下さい
441 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/12/29(土) 01:59:36.67 ID:G0SCtc800
…夕食後…

提督「ふー…ディアナの料理が美味しいのはいつもだけれど、それよりも今日は懐かしい味だったわ。なんだかうちで夕食を食べたみたい♪」

ディアナ「それは良かったです……クラウディア様にカンピオーニ家の味を教わったかいがありました」

提督「ええ…あんまり美味しいから、ちょっと食べ過ぎちゃったわ……」苦笑いしながらお腹をさする提督…

ライモン「もう、また提督は…基地祭の間は運動する時間が取れないんですから、少しは食べる方を抑えないとだめですよ?」

提督「大丈夫、その分お風呂に長く入って汗を流して……それから、ベッドでも「運動」することにするから…ね♪」意味ありげにウィンクをし、カクテルグラスを持ち上げて乾杯した…

ライモン「も、もうっ…///」

デュイリオ「あらあら、うふふ…でしたらわたくしも一緒に「運動」したいです♪」つつー…っ、と提督のふとももに指を走らせる…

提督「んっ///」

ドリア「もう、デュイリオったら邪魔してはいけませんよ。ライモンドは提督と二人きりで過ごしたいのですから、ね♪」

デュイリオ「ふふ、分かってます……でもうらやましいじゃありませんか、ライモンドったら提督のみずみずしい身体を独り占めなんて」

ライモン「///」

提督「まぁまぁ…デュイリオのために明日の夜は開けておくから、それで許してくれる?」

デュイリオ「仕方ありませんね……それで勘弁してあげます♪」

ザラ「提督も大変ね」

提督「ザラもね…お姉ちゃんっ子の妹が多いと大変でしょう?」

ザラ「ええ…きつい姿勢が多いから、腰とふとももに来るわ……ポーラ、あなたに言っているのよ?」

ポーラ「え〜? ポーラはぁ、よく分かりませぇ〜ん……んくっ、こくんっ♪」

ザラ「…これだもの……ま、それだけ愛されているのかしら?」

フィウメ「そうですよ、ザラ姉…私たちはザラ姉の事が大好きなんですから///」

ゴリツィア「はい、その通りです…たとえ姉さまが嫌がっても、もう一生離れませんからね?」

ザラ「はいはい……はぁ、酔っぱらいたくなってきたわ…」

ボルツァーノ「あの、ザラ…私もその中に加えていただいても……いいでしょうか…?」

ザラ「ふふ、当然でしょ……貴女は私たちザラ級の準同型なんですもの、もう姉妹みたいなものよ?」

ボルツァーノ「ザラ…///」

ザラ「さぁポーラ、ボルツァーノも加えた私たち「姉妹」に、何か素敵なカクテルをちょうだい?」

ポーラ「はぁ〜い♪」

ザラ「…ん、美味しいわね……キール?」

ポーラ「はい、キールですよぉ♪」(※キール…戦後すぐのフランスで生まれたカクテル。戦争で荒廃したせいで売れずにいた地元のワインやリキュールを売り込むために作られた。白ワインとクレーム・ド・カシスで作る鮮やかな紅紫色のさっぱりとしたカクテルで、名前は竜骨(キール)ではなく村の名前から)

エクレール提督「…でしたら、わたくしにも何かフランスらしいものをお願いいたしますわ」

ポーラ「そうですねぇ…アブサンなんてどうでしょ〜?」

(※アブサン…フランスやスイスで作られる、透明な黄緑色をしたニガヨモギのリキュールで「ペルノー」が有名。プロヴァンス地方などの特産だが、一時期ニガヨモギの成分ツヨン(ツジョン)が覚醒剤と類似の効果があると販売禁止になったことも……もちろん含有量はとても少ないのでそんなことはなく、おまけにへそ曲がりが自慢のフランス人の事なので「知った事か」と自家醸造は続けていたが、その間市販品として風味を似せた「パスティス」が販売されていた……味はミントガムと砂糖とパクチーを混ぜたようなもので、しばらくは味覚が麻痺すること請け合い)

エクレール提督「ええ、それで構いませんわ」

ポーラ「はぁ〜い、お待ちどうさま〜♪」

エクレール提督「メルスィ……ん」アルコール度数が高いので小さなグラスに入ったアブサンをちびりちびりと舐めるエクレール提督…

ジェンマ「それにしても何だな……」

提督「んー?」

ジェンマ「我らがイタリア海軍の重巡って言うのは全部で七隻なわけだが…」

提督「それがどうかしたの?」

ジェンマ「いや…それなら「荒野の七人」ができるな……」ちょっとだけ嬉しそうにバーボンを喉に流し込んでいるジェンマは相変わらず「西部のガンファイター」といった格好で決めていて、ガンベルトを腰に巻き、シングルアクション・アーミーを二丁拳銃にして突っこんでいる…

提督「ふふっ、言われてみれば…♪」

ジェンマ「♪〜フーフーン、フーフー、フーフーン……」機嫌よく「荒野の七人」のテーマを鼻歌で奏でている…
442 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/12/29(土) 02:42:45.52 ID:G0SCtc800
…大浴場…

提督「…ふぅぅ、気持ちいい……」ほろ酔いと言うには少し酔いが回っている状態のぼんやりした気分で、暖かいお湯にとっぷりと浸かっている提督…浴槽の縁石に腕を乗せ、ぼーっと天井のモザイク画を眺めている…

ナザリオ・サウロ(駆逐艦サウロ級)「大丈夫、提督?」…見た目は中学生になるかならないかと言った様子のサウロたちがぞろぞろとお風呂にやって来て、くたっとなっている提督の左右に「ちゃぽん…」と入って来た…

提督「ええ……すっかりふにゃふにゃだけれど…あー……身体がとろけるみたい……ふわぁ…ぁ」

ダニエレ・マニン(サウロ級)「もう…提督ったらだらしないんだから♪」

提督「だって……ふわ…ぁ……」

フランチェスコ・ヌロ(サウロ級)「…提督、身体は洗わないの?」

提督「洗いたいのはやまやまなんだけれど…お風呂から出るのも面倒で……あー…」

チェザーレ・バティスティ(サウロ級)「もう、提督ったらダメね……私たちで洗ってあげましょうか?」

提督「グラツィエ…お願いするわ……」

サウロ「それじゃあせめて浴槽から出てくれないと…」

提督「はーい…」

ヌロ「……提督?」

提督「…動きたくないわ……」

サウロ「あぁもう…!」

バティスティ「提督ったらこれだもん…さ、立って?」

提督「ええ…ふわ……ぁ」両腕を小さな手につかまれて、カランの方に連れて行かれる提督…

サウロ「はい、そこに座って」

提督「…りょうかーい……」

ヌロ「ふふ、提督ったらまるで子供みたい……私たちでお世話してあげる♪」

提督「ありがと……んぁ///」サウロたちがスポンジに石けんを泡立てて優しく背中をこすり始めると、くすぐったさに変な声が出た提督…

バティスティ「何、今の声?」

提督「いえ、ちょっとくすぐったくて……んっ///」

マニン「提督ってば、あんまり甘い声をあげないでよ…こっちまで変な気分になっちゃう///」

提督「そんなこと言ったって…サウロたちの小さい手があちこち撫でるから……んぅぅ♪」

サウロ「…ねぇ、バティスティ」

バティスティ「なに?」

サウロ「……前もちゃんと洗った方がいいわよね?」

バティスティ「…そうだね♪」

提督「あー、気持ちは嬉しいけれどそれぐらいは自分でやれるか……んあぁっ♪」

サウロ「ダメよ、綺麗にしないと…特に提督はおっぱいが大きいし、ふとももだってむっちりしてるから汗が溜まりやすいでしょ?」

マニン「そうそう、割れ目だって綺麗にしておかないと…ライモンドに嫌われちゃうよ?」くちゅ…つぷっ♪

提督「あ、はぁ…ん……はぁ、はぁ、はぁ…っ…♪」

ヌロ「提督、ここも洗った方がいいですよね?」ぬりゅっ、するっ…♪

提督「はぁぁ…んっ……きもひいぃ…っ♪」胸の谷間、秘所とヒップの割れ目…そして脇腹を愛撫するようにサウロたちの柔らかな手やスポンジが撫でまわしていき、提督は惚けたようにとろりと愛液をしたたらせ、口を開いて甘い声で喘いでいる……

サウロ「…それじゃあ、そろそろ流すわね?」

提督「ううん…もっと洗って? ……だって割れ目には汗が溜まりやすいもの…ね♪」

バティスティ「くすくすっ…提督ってばいけないんだ♪」ぐちゅ、ぬちゅっ…♪

提督「ふふっ、そうね……あんっ♪」

………

443 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/12/31(月) 02:10:18.07 ID:uJxFt4PG0
提督「…んっ///」

…全身をくまなく洗ってお風呂からは出たものの、サウロたちが中途半端に責めたせいで身体が火照っている提督……バスローブにスリッパ姿で寝室に向かいながらも、ふとももがこすれるたびに「にちゅ…っ」と粘っこい水音が聞こえ、生暖かい蜜が垂れるのが分かる…

提督「はぁ……んぅ♪」ワインのせいもあってか、恥も外聞もなくバスローブの合わせ目から片手を差し入れて秘所に指を這わせ、階段の手すりにつかまりながら歩く…

提督「んぅ、気持ちいぃ……こんなところをメアリに…いえ、誰に見られても困るわね……でも…ん、くぅっ♪」くちゅくちゅ…っ♪

提督「…はぁ…はぁぁ……んっ♪」

…提督寝室…

ライモン「…あ、提督。お待ちしていまし……た?」読みかけの本をテーブルに置いて顔を上げるライモン…

提督「まぁ、ライモンったら♪ 待っていてくれるなんて優しい…ん、ちゅっ♪」

ライモン「提督、一体どうなさったので……きゃあっ!?」

提督「ふふっ…ライモンの事、押し倒しちゃっ…た♪」

…提督のベッドは規律正しい(?)海軍士官にふさわしくいつもきちんと整えられていて、そこへライモンを抱えるようにしながらダイブする…昼間は高めに結っているライモンのポニーテールはすでにほどかれていたので、まるでパスタ鍋にスパゲッティを入れた時のように、布団の上に落ち着いた色合いの金髪がふわりと広がった…

ライモン「て、提督……最初は、キスからして欲しいです///」

提督「ええ、あなたのお願いは断れないわ……ん、んちゅっ…ちゅっ♪」

ライモン「ん、はぁ…ぷは……んんぅ、あむっ…ちゅぅ……♪」

提督「ライモン…甘くて美味しい……♪」

ライモン「もう…提督ったら///」ちゅっ…と首筋にキスし返すライモン

提督「ん、もっと…♪」

ライモン「……今までも何回かこういうことはしていますけど…それでも恥ずかしいですね……んっ、ちゅぅぅ…っ///」

提督「ふあぁぁ…あっ、ん……♪」柔らかな二の腕に吸いつくようなキスをされ、甘い吐息を漏らす…

ライモン「そ、そんな声を出さないで下さい……わたし、我慢できなくなっちゃいます…///」

提督「ふふっ、どうして我慢するの……?」

ライモン「だ、だって…」

提督「……ここの壁は厚くて聞こえないから大丈夫よ♪」甘ったるくいやらしい笑みを浮かべると、ライモンの両脚を押し広げて顔をうずめた…

ライモン「て、提督……って、んぁぁっ♪ 何をするんですかっ///」

提督「んむっ…ちゅうぅ……ライモンの…れろっ、くちゅぅっ……味見をしようと…じゅるっ……思って…ぷはぁ♪」

ライモン「も、もうっ…ひゃあぁぁっ///」

提督「ん、じゅるっ…ぢゅくっ、じゅぶぅ…っ♪」

ライモン「はぁぁ…んっ、んくぅ…はひぃっ、はー、はーっ……ひぅぅんっ♪」

提督「ん、じゅぶっ…ぴちゃ……じゅるっ…♪」産毛一つ生えていない滑らかでしなやかなライモンのふとももに挟まれ、とろりと濡れそぼった花芯に舌を這わす…

ライモン「て、提督ったら情緒も何もなくいきなり……そう言うことなら♪」…もとより人とは力の違う「艦娘」だけあってあっさりと提督をひっくり返すと顔の上にまたがり、互い違いのような形になった…

提督「んむぅ、むぅ…じゅぶっ、くちゅっ……♪」濡れてぺったりと張りついた柔らかな金色の産毛と、とろとろと蜜をしたたらせる花芯に舌を差しこみ「くちゅくちゅ…っ♪」と音を立ててライモンをよがらせる……

ライモン「はひっ、ひゃあぁっ♪ …でも、わたしだっていつまでもやられっぱなしではないんですよ……んむっ、ちゅぅぅっ、じゅるっ…ちゅぷ……っ♪」

提督「んぁぁぁっ…はぁ…っ、んんぅ♪」ぞくぞくっ…と下腹部から甘い衝撃が走り、ひくひくと身体をよじらせた提督……と同時に、思っているよりも奥まで舌をねじ込んでしまう…

ライモン「はひっ、あひぃっ……あっ、んはぁぁ…っ♪」とぷっ…ぶしゃあぁ…っ♪

提督「いいっ、はひっ…はぁぁ…んっ♪」とぽっ…とろとろ……っ♪

ライモン「……はー、はー…はぁぁ……っ///」

提督「…はぁ、ふぅ…はぁぁ……まるで…下半身が全部とろけちゃったみたい……んっ♪」

………

444 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/12/31(月) 21:29:11.72 ID:uJxFt4PG0
何だかんだと言って今日は大みそかですが……今年はアニメや漫画の百合作品が豊富ないい年でしたね(笑)

…まずは遅々として進まない更新にもかかわらず見て下さった皆さま、ありがとうございます。また年が明けた三が日にでも更新していきますので、どうぞよろしくお願いします


……そして来年が皆さまにとって平和で実り多い(そして百合作品でいっぱいの)一年になりますように…それではよいお年を♪
445 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/01/02(水) 01:19:22.94 ID:IwLI7TQG0
少し遅くなりましたが、新年明けましておめでとうございます

また投下していきますので、なにとぞお付き合い下さいませ……今年も皆さまの「初春」が「松」「竹」「梅」と縁起よく揃ったよいお年になりますように…
446 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/02(水) 16:30:08.07 ID:pLrC5iYWo
ライモンかわいい。乙々
447 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/01/03(木) 00:12:02.26 ID:me2Fml5l0
>>446 コメントありがとうございます、引き続きライモンやカヴールを正妻にした鎮守府生活をお送りしていきます
448 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/01/03(木) 01:31:03.81 ID:me2Fml5l0
…基地祭三日目・朝…

カヴール「昨夜はお楽しみでいらっしゃったようですが…ちゃんとお休みになりました?」

提督「ええ、おかげさまで。ライモンはその辺も律儀だから……ふわぁ…ぁ」

カヴール「あらあら? 提督ったらたった今「ライモンドはちゃんとわきまえている」というお話をなさっていましたけれど?」目を細めていたずらっぽくにっこりした…

提督「いえ、実はライモンが寝ちゃった後も火照りが抜けなくて……その、一人で…///」

カヴール「ふふ、提督ったら♪」

提督「だって……って、そんなことは別にいいでしょう///」

カヴール「まぁまぁ、提督ったら顔を紅くなさって…ふふふっ♪ ……今夜は私が添い寝してあげますから、ね♪」

提督「…待っているわね///」

カヴール「はい♪」

提督「って、そんなことより……こほん!」演説台の前に立つと、マイクを取り上げた……食堂には一同が揃って、気楽におしゃべりをしながら提督のあいさつを待っている…

提督「あー……それでは今日が基地祭最終日ですので、最後まで事故のないように頑張りましょう。私も基地祭のお客さんはもちろんのこと、みんなも楽しめるように尽力します。以上!」

カヴール「…提督はお優しいですからそう言って下さいますが…司令官として職務が多くて大変なので、皆さんもよく協力して下さいね?」

一同「「了解」」

提督「みんな、ありがとう…それじゃあ朝食を続けて?」

…提督の一言で、また和やかに食事が再開された食堂……テーブルにはもちもちと食べごたえのあるフォカッチャと厚切りのハム、温かいトマトスープ…そしてイタリアで生まれ、ヘーゼルナッツチョコレートのような味が人気のチョコレートスプレッド「ヌテラ」の瓶がテーブルに鎮座している……

マエストラーレ「それにしても…せっかくの最終日に哨戒だなんてツイてないわ……」

シロッコ「仕方ないさ……歴史の立ちあい人になれないのは残念だけれどね…」

リベッチオ「ま、敵が出てこないことを願うばかりだよね…そうだジュリアーニ、深海棲艦が出てこないようなお祈りをしておいてよ♪」従軍司祭の名前を取ったと言う大型潜のジュリアーニに無茶なリクエストをするリベッチオ

レジナルド・ジュリアーニ(大型潜リウッツィ級)「深海棲艦除けのお祈りですか……そのような物はありませんが、まずは哨戒が無事に終わるようにお祈りしておきましょう」相変わらず黒の僧服でまとめていて、胸に金の十字架を提げているジュリアーニ…

グレカーレ「ありがとう、ジュリアーニ…♪」

ジュリアーニ「いいえ、構いませんよ」

ヴァイス提督「……カンピオーニ少将。私も出来るだけ協力しますので、何かあったらおっしゃって下さい」

提督「ダンケシェーン♪」

ヴァイス提督「はっ…それとビスマルク」

ビスマルク「むしゃむしゃ、んぐっ……何か?」

ヴァイス提督「…貴様というやつはまったく…一体どういうつもりだ、あれだけ言い聞かせたのにまだそんな風にがっついて……いい加減テーブルマナーくらい覚えたらどうなのだ…!?」こめかみに青筋を立てて、小声でビスマルクを叱りつけているヴァイス提督…

ビスマルク「むしゃむしゃ…ずずーっ……ふむ、こういうことを言うのもなんだが…別に構うまい、食い方で戦果が上がるならばフォークとナイフで馬鹿丁寧にやるだろうが…」片手でハムとモッツァレラチーズのスライスを挟んだフォカッチャをつかみ、もう片方の手でスープ用のお椀をつかんですすっている…

ヴァイス提督「またそういう言いわけを…ティルピッツも自分の姉だろうが! どうして止めさせない…!?」

ティルピッツ「それは…何度も注意したのですが……」

ヴァイス提督「シャイス、これでは恥をかきに来たようなものではないか……もういい、せめて出撃に随行するようなことがあったら、食った分だけいい所を見せるように…フェルシュテーエン(分かったか)!?」

ビスマルク「ヤー、アトミラル……ずず…っ…」

ヴァイス提督「全く……朝から小言を言わせるな…」

ティルピッツ「司令、どうか落ち着いて……それに姉上も姉上です、そんな原始人みたいな食べ方をして…」

ビスマルク「そう言うな、ティルピッツ…食い方がどうのこうのよりも、私には考えねばならんことがうんとあるのだ」

ティルピッツ「そうかもしれませんが……あっ。…姉上、ちょっと顔をこちらに」

ビスマルク「ん? こうか?」顔を近寄せるビスマルク…

ティルピッツ「ヤー…口の端にスープの「ひげ」が……取れましたよ」ナプキンで拭ってあげるティルピッツ…

ビスマルク「ダンケ。すまんな、ティルピッツ」

ティルピッツ「ビッテ……だって、たった一人の姉上ですから///」

ビスマルク「ふむ…私にとっても貴様が唯一の妹だぞ」

ティルピッツ「///」
449 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/01/05(土) 01:46:03.35 ID:Rf6Bg2dt0
…朝食後…

ガラテア「おはようございます、提督…中型潜シレーナ級「ガラテア」以下四隻、ただいま哨戒から戻りました」汗と塩水の染みた「艤装」を着たまま、直立不動で敬礼するガラテアたち……波しぶきに叩かれた髪はドックの隅っこに用意してあるバスタオルで拭ったらしく、くしゃくしゃに乱れている…

提督「お疲れさま、夜を徹しての哨戒は大変だったでしょう……今日はゆっくり休んでね?」塩水のせいでしょっぱいガラテアたちの唇に、優しさを込めて順番に口づけする提督…

ガラテア「はい、それではお言葉に甘えさせていただきます」疲れていても大理石像のような美しさは健在のガラテア…

アンフィトリテ「ふぅ、さすがに疲れたわ……おはよう、トリトーネ」

トリトーネ(中型潜フルット級)「……あ、お帰りお母さ…アンフィトリテ///」

アンフィトリテ「ふふ…「お母さま」で構いませんよ?」

トリトーネ「……き、聞かなかったことにして///」右手には三又矛、腰にはほら貝を提げ、美しさの中に嵐の前の静けさをたたえた威厳のあるトリトーネ…が、「母親」であるアンフィトリテの前では恥ずかしがりつつも甘えてしまう…

アンフィトリテ「そう恥ずかしがらずに……ほら、髪を梳いてあげますからおいでなさい?」

トリトーネ「う、うん…」

ネレイーデ「ふー、疲れたけれど気持ち良かったわ……あの明け方の海の綺麗なこと♪」

シレーナ「そうね、毎日でも飽きないわ…ララ♪ …でもさすがに歌い疲れちゃった……」

提督「ふふっ、さすがのシレーナも一晩中は歌えないみたいね?」

シレーナ「ええ、さすがにね……こほんっ…ララ…ラ……♪」

提督「んっ、く……まだまだ歌えそうだけれど…喉を休めた方がいいんじゃないかしら///」

シレーナ「ええ。ありがとう、提督…そうするわ♪」

バリラ(大型潜バリラ級)「それじゃあお母さんが燃料を補給してあげますから……ほぉら、いらっしゃぁ…い♪」

…1928〜29年の就役直後は1427(水上)/1874(水中)トンという大柄な船体を活かしさまざまな航海記録を塗り替えていたものの、戦時にはすっかり旧型になっていて、状態のよかった「アントニオ・シエスタ」以外は燃料タンクとして係留されていたバリラ級……そのことがあるのか「たぷんっ…♪」と揺れるたわわな胸と、母性愛たっぷりのおっとりした性格をしている…

シレーナ「ふわぁ…///」

エンリコ・トーティ(バリラ級)「さぁネレイーデ、お母さんが枕になってあげますからねぇ……おっぱいに包まれて、ゆーっくりお休みなさい♪」

ネレイーデ「はぁぁ…おっぱいに挟まれてダメになる……ぅ♪」

トーティ「いいのよぉ♪ ところでネレイーデ……ついでにお母さんのおっぱいを吸ってみる?」

ネレイーデ「!?」

トーティ「ふふっ、別にお乳は出ないけど…どうかしらぁ?」服の襟ぐりを手で広げ、ゆさゆさと揺れる乳房を出そうとする…

ネレイーデ「そ、それは止めておくわ…何だか戻れなくなりそうだし、まだお風呂にも入ってないから……///」

トーティ「そーお?」

ネレイーデ「え、ええ…また後でね……」

トーティ「それじゃあ、チャオ♪」

提督「…」

ライモン「…何というか、圧倒的でしたね……」

提督「…ええ」

足柄「うちの間宮でもああは行かないわ……なんて言うのかしら、見ているだけで幼児退行しそうだったわね…」

百合姫提督「…そうね……」

提督「はっ……いけないいけない、ぼんやりしている場合じゃなかったわ…カヴール、そろそろ準備に取りかからないと」

カヴール「そうですね、それでは参りましょう♪」

450 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/01/08(火) 02:14:09.09 ID:nDgpYwF40
…午前九時・正門…

憲兵大尉「司令官、時間ですが…よろしいですか?」

提督「ええ、お願いします」

憲兵大尉「分かりました……伍長、入場を始めさせてちょうだい」

憲兵伍長「は…それでは入場を開始します! 簡単な手荷物検査がありますので、列に並んで下さい!」

憲兵大尉「それでは司令官、後はこちらでやりますので」

提督「分かりました、それではお任せしま……」

アンナ「…もう、なんで手荷物まで見せなきゃいけないのよ?」アンナの不満そうな声が響いた

提督「…」

憲兵伍長「規則ですから」…女性下士は手荷物を見せようとしないアンナを相手に一歩も譲らず、他の入場客(…と言っても鎮守府のあたりはのんきなもので、早起きして朝から基地祭に来るような地元の人はあまりいない)を他の列にさばきながら、頑として入れないでいる…

アンナ「その規則には「司令官の許嫁の荷物も見ろ」って書いてあるわけ?」一方のアンナはナポリ辺りで覚えたのか、両手で扇ぐような大げさな身振りを付けて文句を言っている…

憲兵伍長「司令官の許嫁の方かどうかは存じませんが、手荷物を確認しなければ入ることはできません」

アンナ「全くもうっ…分かったわよ、見せればいいんでしょ!?」

憲兵伍長「……はい、結構です」

アンナ「はぁ、もう……って、フランカ! んー、ちゅっ♪」

提督「んっ…おはよう、アンナ。 …ずいぶんと憲兵隊の人を困らせてくれたわね?」

アンナ「向こうが分からず屋なのがいけないのよ……だいたい、どうして自分の婚約者のいる施設に入るのに許可を得なきゃいけないわけ?」

提督「アンナもよく知っているでしょう、それが…」

アンナ「はいはい「海軍だから」って言うんでしょ……よーく分かったわよ」

提督「分かってくれて嬉しいわ。しばらくは忙しいけれど、昼下がりになったら少し休憩するつもりだから…一緒にお昼でも食べる?」

アンナ「ふふ、嬉しいことを言ってくれるじゃない……でも無理して削り出した時間だから、午後には帰らないといけないのよね」

提督「ふぅ…助かったわ……」

アンナ「何か言った?」

提督「いえ、何も……本当にアンナったら、一度言い出したら聞かないんだから」苦笑いをしながら肩をすくめた

アンナ「そうやって押しまくればどこかで相手が折れるもの…ちょうど今みたいにね♪」

提督「負けたわ……それじゃあ今日は施設の中を巡りましょうか」

アンナ「そのあたりは任せるわ…私のこと、ちゃんとエスコートしてよね?」

提督「ええ」

カヴール「それでは私は見回りをしながら、屋台料理でもいただくことにしますから…提督はアンナさんとご一緒に回られてはいかがでしょう?」

提督「え、ええ……今日は最終日だし、カヴールも楽しんでいらっしゃい…」

カヴール「はい、楽しませていただきます…それでは提督、どうぞアンナさんとごゆっくり♪」提督をからかっている時によく浮かべる無邪気な感じのほほ笑みを見せると、小さく手を振ってにこやかに歩いて行った…

提督「そ、そうさせてもらうわ……今日ばかりはカヴールの気の利かせ方がうらめしいわ…」カヴールの後ろ姿を見送りながら、小さくため息をついた…

アンナ「フランカ、何をボーっとしてるのよ? 私は午前中しかいないのよ?」

提督「あぁ、はいはい……それじゃあ行きましょう」

アンナ「ええ♪」
451 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/01/10(木) 01:52:59.86 ID:gOa6u5zQ0
…鎮守府・管理棟…

提督「それじゃあ最初はここからにしましょう?」正門のそばに立てられている鉄骨コンクリート造りの現代的な建物ながら、普段は使っていない「管理棟」にアンナを案内する提督…

アンナ「いいわよ」

提督「最初は水族館ね…と言っても、みんなが哨戒の時に見つけたクラゲなんかを、たも網ですくって捕まえただけだけれど……」

アンナ「それはまたお金のかからない水族館ね…ま、いいわ」

提督「何しろ予算がないものだから……ここよ♪」


…打ち合わせや映像資料の上映は、普段提督と艦娘たちが暮らしている「本棟」で済ませてしまうため、ほとんど使われていない大部屋の「会議室」…そこへ学校の理科室か何かのように、あちこちから手に入れてきたガラスの水槽やら海水を入れた大きな空きびんやらを並べ、クラゲや魚を種類別にして展示している「水族館」……提督とアンナが開け放してある人気のない入り口をくぐろうとすると、何やら甘い喘ぎ声が聞こえ、絡みあっている脚が見えた…


フィザリア(中型潜アルゴナウタ級「カツオノエボシ」)「んむっ、あふっ…はぁ、はぁぁ……♪」

ジャンティーナ(アルゴナウタ級「アサガオガイ」)「ぷは…ぁ…どう、フィザリア…気持ちいい……?」

フィザリア「あふっ…はぅ……んんぅ…気持ち良すぎて……身体が…んくっ…ひくひくする……ぅ♪」

アンナ「ふぅん…これを見物すればいいわけね?」

提督「いえ、そうじゃなくて……こほんっ///」

フィザリア「!」

ジャンティーナ「あ…提督……来てくれたんですね…ぇ…♪」

…ジャンティーナはアサガオガイ(クラゲの一種。綺麗な紫色の巻き貝をフロートにして海面を浮遊し、クラゲを食べる)の「殻」をモチーフにした紫の巻き貝を頭の飾りにあしらい、半透明でひらひらした薄紫色のフレアワンピースをまとっている。ジャンティーナは海面をゆったりとたゆたうクラゲの仲間らしくふわふわと漂うような話し方をしているが、椅子に腰かけたフィザリアと向かい合わせになるようにまたがり、片脚もしっかり脚の間に割り込ませている…さらに、今になって離したお互いの口もとからはとろりと銀色の糸が垂れている…

提督「あー…ジャンティーナ、一応聞くけれど……何をしていたの?」

ジャンティーナ「はい、それはもちろん…水族館の「受付」ですよ……でも、あんまり人が来なくて…眠気覚ましに、フィザリアを味見していました…♪」

提督「そう。それで、美味しかった?……じゃなくて、基地祭の間は人が来るところではそういう事をしないように」

ジャンティーナ「でも…誰も来ていませんでしたよ……?」

提督「あー…でもこうやって見つかることもあるから、以後気を付けてね?」

ジャンティーナ「はぁ…い、りょーかーい…♪」

提督「よろしい……で、フィザリアは大丈夫なの?」

フィザリア「…んぅぅ、大丈夫……んっ…///」こちらも「カツオノエボシ」らしく、シースルーのような青紫色のひらひらした薄物をまとっていて、受付用のパイプ椅子にへたり込むように座っている…普段はふわふわと眠たげながらも意外と責めてくるが、天敵のジャンティーナに「捕食」されてすっかり骨抜き(そもそも骨のないクラゲではあるが…)にされている…

提督「それで、えーと…アンナ、これが「水族館」よ」

アンナ「みたいね」

提督「ジャンティーナ、案内をお願いしていいかしら?」

ジャンティーナ「もちろんです…どうぞ……♪」長い青みがかった髪をゆらゆらさせながら、クラゲやヒトデ、イソギンチャクやカシパン(ウニの仲間)の入った水槽を案内する…

提督「で、これが「フィザリア」ね…」一見すると綺麗な紫と紅をした浮き袋もって漂っているが、その下に長く伸びた猛毒の触手を伸ばしているカツオノエボシ…水槽にはフタもしてあり、クラゲなのでとびかかってくるわけでもないが、遠巻きにしながら観察する…

アンナ「ふぅん……お目にかかるのは初めてだわ」

ジャンティーナ「私の名前にもなっていますが…アサガオガイは結構これを食べるんです………確かに、ぷるぷるしていて美味しそうですよね…ぇ…♪」

提督「うーん…さすがに毒のあるクラゲはちょっと……」

ジャンティーナ「そうですかぁ…」





452 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/01/10(木) 03:02:13.03 ID:gOa6u5zQ0
提督「で、次が…」

アンナ「さっきがキスだったから、今度はストリップでも見せてくれるつもり?」

提督「あ、あれは姉妹愛が行き過ぎているだけよ…ほらね、ここはなんていうことないでしょう?」

…やはり空き部屋になっている別の部屋は駆逐艦「フレッチア」級の四人がダーツの的当てをやっている……的に向かっているのは可愛らしい女の子から、一見すると中学生くらいに見えるフレッチアたちを相手に自信ありげなお姉さんやあんちゃん、果ては子供につき合っているおばさんまでいる…

フレッチア(フレッチア級「矢・フレシェット」)「提督、来てくれたのね…うれしいわ♪」軽く背伸びをして頬にキスをするフレッチア…

提督「ええ、フレッチア。それとみんなに会いたくて♪」ぱちりとウィンクする提督…

ダルド(フレッチア級「矢・ダーツ」)「ふふっ、提督ってばお上手なんだから♪」

サエッタ(フレッチア級「閃光・雷」)「ところで提督、それにアンナさんも……どう、一つやっていかない?」

ストラーレ(フレッチア級「雷光・雷電」)「私たちに勝ったらいいことあるかもね♪」

アンナ「そうね、なら勝負させてもらうわ……もちろんフランカもやるのよ?」

提督「分かった、分かったから…それじゃあダルド、矢を貸して?」

ダルド「はい、どうぞ…十本だから慎重にね♪」

提督「ありがと、頑張るわ」

アンナ「さて…と。それで、誰が私と勝負する?」

提督「ずいぶんやる気ね、アンナ?」

アンナ「こういう勝負って結構好きなのよ…負けるのは嫌いだけど」賭け事や勝負にはめっぽう強いアンナだけあって、すっかりやる気になっている

フレッチア「…それじゃあ私がお相手しますね」

ストラーレ「頑張ってよ、お姉ちゃん?」

フレッチア「もちろん、妹たちの前で恥はかけないわ……とにかくルールは簡単。より得点の多い方が勝ち」…的には「深海棲艦」として遭遇する大戦時のイギリス艦がシルエットとして描いてあり、それぞれのクリティカル・パートには高得点が書かれている…

アンナ「シンプルでいいわ…それじゃあ、まずはそっちからどうぞ?」

フレッチア「了解……それ!」ヒュッ…トスッ!

アンナ「へぇ…上手ね。それじゃあ今度は私が…♪」ヒュ……バスッ!

フレッチア「ん、お上手!」

提督「えい…っ!」ヒュン…パスッ!

ダルド「ふふ、結構上手ね……でも、ごめんなさい♪」ヒュゥッ…トスッ!

提督「むぅ……でも私だって…!」

ダルド「さすが提督…それじゃあこれはどう?」

提督「っ!?」

ダルド「ふふ、このくらいは出来ないと…名前負けしちゃうから♪」…ダルドの投げたダーツは提督の投げたダーツと同じ場所に刺さって、双子のように震えている…

提督「ふぅ……ダルドったら本当に上手ね、結局負けちゃったわ」

ダルド「無理もないわ、私たちは初日から相当やってるもの」

提督「それにしてもね…ところでフレッチアとアンナの勝負は……」

ストラーレ「それが互角なの…すごい勝負になってきたわ♪」

フレッチア「…これで最後の一本ね」お互いの投げたダーツが「10点」の部分に林立していて、「ハント」級駆逐艦を描いた的はハリネズミになっている…

アンナ「さ、投げてちょうだい」

フレッチア「……やっ!」ヒュンッ…プツッ!

アンナ「なるほど、なかなか上手よ……でもね!」ヒュッ…バシッ!

フレッチア「あっ!」…アンナの投げたダーツが突き刺さっていたはずのフレッチアのダーツをはじき落とし、的の中心に突き立っている…

アンナ「…ふふん♪」

提督「さすがアンナね……おめでとう」

フレッチア「こんないい勝負できるとは思ってなかったわ。それでは賞品をどうぞ…はい♪」…屋台のケーキ引き換え券を渡す

アンナ「どうもね。さぁフランカ、次に行きましょう?」

提督「はいはい…もう、アンナったら本当にせっかちなんだから♪」
453 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/01/12(土) 11:25:23.69 ID:2wtc+z6S0
提督「どう? ケーキは美味しい?」

アンナ「そうね、ここの「艦娘」たちが作ったって言ってたけど…だとしたら大したものね。美味しいわよ」…引き換え券でもらった、マスカルポーネチーズとレモンのムースをつつきながら感心している

提督「そう、よかった♪」

アンナ「ええ…ところでフランカ」

提督「なぁに?」

アンナ「目をつぶって口を大きく開けなさい」

提督「…こう?」

アンナ「それでいいわ……ほら」使い捨てフォークでケーキを切って提督の口に押し込むと、ムースが口の端についた

提督「んっ…んむんむ……」

アンナ「どう? …私一人で食べるのも悪いから、味見させてあげる」

提督「ごくん……ありがとうアンナ、美味しかったわ」

アンナ「そう、よかったわ。 …ちょっと待って」

提督「んー?」

アンナ「口にムースがついてる」

提督「どのあたり?」

アンナ「ああ、そっちじゃない……いいからじっとしてなさい、私が取ってあげるわよ」…甘い香水と、吐息に混じるレモンムースの爽やかな匂い……ぱっちりと長いまつげと濃い色の瞳、綺麗な紅色のルージュを引いた唇がじりじりと近寄ってくる…

提督「ん///」思わず目を閉じて、唇が触れるのを待つ提督…

アンナ「……はい、取れたわよ」

提督「…?」薄目を開けてみると、アンナはハンカチを取り出して指を拭っている…

アンナ「なに、どうしたのよ?」

提督「あ…いえ、その……///」(まさか唇でクリームを取るものと思っていた…なんて言えないわね……)

アンナ「ふぅ……んちゅっ♪」

提督「んぅっ!?」

アンナ「…こういう風にされると思ったんでしょ?」

提督「え、ええ…///」

アンナ「まったく、考えていることが分かりやすいんだから…さ、次行くわよ♪」

提督「…そ、そうね」





454 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/01/12(土) 13:13:11.82 ID:2wtc+z6S0
提督「少し歩き疲れたでしょう…休憩する?」

アンナ「そうね、どこかで一休みさせてもらいたいわ……意外と広いもの、ここ」

提督「ええ……それじゃあついてきて♪」

…管理棟・三階…

提督「どう、アンナ?」

アンナ「…いい眺めじゃない」

…正門に近い側に建っている管理棟の東の窓からは、鎮守府の様子が一望できる…手前に波止場と黄色いレンガ造りの船渠が見え、その奥には貴族のお屋敷のような鎮守府の本棟と広い庭、ゆるい三日月型に伸びる砂浜……そしてずっと奥に続いている白っぽい地面と松林が、てっぺんにフェイズドアレイ・レーダーのサイトを設けている小さな岬で区切られている…

提督「ね?」

アンナ「ええ…風も気持ちいいし、休憩にはうってつけの場所ね」

ニコ(ナヴィガトリ級駆逐艦「ニコロソ・ダ・レッコ」)「本当に気持ちがいいよね……ねぇ提督」

提督「なぁに?」

ニコ「…良かったら少し聞いていってよ?」椅子に腰かけているニコはマンドリンを抱えている…この鎮守府は比較的落ち着いた管区にあるので普段はのんびりしていて、たいていの艦娘たちは退屈しのぎに楽器の一つふたつを練習しているか、さもなければそこそこ歌が歌える…

提督「ええ、それじゃあお願いするわ」

アンナ「じゃあフランカはそこに座ったら?」

提督「ええ、そうさせてもらうわ…あら、特等席ね。ニコの顔が良く見えるわ♪」

ニコ「て、提督ってばまたそういうことを…///」

アンナ「まったく、フランカときたら息をするようにそういうことを言って……子供の頃のおとなしかったフランカはどこに行っちゃったの?」

提督「ふふっ…私だって成長したのよ♪」

アンナ「やれやれ……ま、いいわ。一つ聞かせてちょうだい?」

ニコ「そうだね…じゃあ一つやってみようか」

ニコ「♪」…軽くマンドリンを爪弾くと、滑らかに「サンタ・ルチア」を弾きはじめた

アンナ「あら上手♪」

提督「…しーっ」


…提督とアンナがマンドリンの音に耳を傾けていると、暇な艦娘たちが音色を聞きつけたのかやってきた……それぞれ手には楽器を持っていて、いつの間にか小さな演奏会になっている…


ミトラリエーレ(ソルダティ級駆逐艦「機関銃手」)「ふふ、上手いうまい…♪」イタリア音楽には欠かせない、素朴な木のカスタネットを叩いてリズムを作る…

レオーネ(レオーネ級駆逐艦「雄ライオン」)「♪」レオーネは鎮守府に寄付されたオカリナを吹きながら身体を揺すっている…

ゼフィーロ(トゥルビーネ級駆逐艦「春の西風・ゼファー」)「♪〜サンタ・ルーチーアーぁぁ…サンタ・ルチぃーアぁぁ…♪」独特の響きを持ったチターを弾きながら口ずさむ…


提督「ふふ…っ♪」

アンナ「フランカ、あなたの気持ちが少し分かったわよ…こんな無邪気で可愛い娘たちがいたんじゃ、そう簡単に辞めるわけにはいかないわね?」

提督「…そういうことよ♪」

アンナ「……でも私はあきらめないから。とっととあなたのお母さんにウェディングドレスのデザインと採寸をしてもらうことね」

提督「…もう///」

アンナ「それじゃあそろそろ行かないと……楽しかったわよ♪」

提督「じゃあ門まで送るわ」

アンナ「ええ、ありがと」

455 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/01/16(水) 03:06:18.26 ID:6msX+G6t0
…しばらくして・通信室…

提督「当直お疲れさま、マルコーニ、ビアンキ。カフェラテを持って来たから交代でどうぞ? …コーヒーは少し濃い目の砂糖二杯、ミルクは多めで少しぬるくしてあるわ」

…自分の分と合わせて三つカップを持っている提督……目が疲れないようにと照明の明るさを少し落してある通信室で、無線機の前に詰めているのは「マルコーニ」級大型潜の「グリエルモ・マルコーニ」と「ミケーレ・ビアンキ」…二人は「当直」と言うことでヘッドフォンをかけて座っているが、マルコーニは世界初の無線電信の発明者なのでまさにぴったりの役どころ…

ビアンキ「お先にどうぞ、グリエルモ」

マルコーニ「グラツィエ……コンソールデッキにこぼすといけないので、こっちに座らせてもらいますね」

提督「ええ。それで、変わった様子はない?」

マルコーニ「はい、今のところは」

提督「そう、ならよかったわ…うちの水偵からも?」

マルコーニ「はい、なにもありません」

提督「そう、ならそろそろ交代だから……」そう言って提督が温かいコーヒーを飲もうとした瞬間、無線機がざわめきだした…

マルコーニ「…何とも間が悪いですね!」マグカップを置くと慌てて席についてヘッドフォンをあてた

提督「…深海棲艦の艦隊とかじゃないといいのだけれど……」


…数分前・鎮守府沖数十浬…

マエストラーレ「ふー…いい天気で気持ちいいわねぇ」

シロッコ「本当にね……出撃なんておっくうだと思っていたけれど、出てみると案外いいものね」

リベッチオ「そうだね、風が爽やかで気持ちいい…♪」

グレカーレ「もう、みんなたるんでない?」

リベッチオ「だってぇ…」

マエストラーレ「……確かにグレカーレの言う通りね。みんな気を引き締めて見張るように!」

リベッチオ「そんなこと言ったって、深海棲艦がこんなところまで出てくるわけないと思うけどね?」

シロッコ「それはたし……ん?」何かと勘のいいシロッコが、不意に水平線と雲の間に目をこらした…

マエストラーレ「…どうしたの?」

シロッコ「敵機視認! …もう、基地祭の日なのに!」

マエストラーレ「そんなことを言ったって仕方ないでしょうが…対空陣形!」メインマストに軍艦旗を掲げつつ、鎮守府に打電するマエストラーレ…

………



マルコーニ「…敵機視認。機種、ウォーラス……ただちに対空戦に入る」

提督「ウォーラスに見つかったら、お次はボーファイターかアンソンか……とにかく哨戒中の水偵を向かわせて、その間にマッキを発進させましょう」

マルコーニ「了解」リズムよく「トトン・ツー…」とモールス電信を叩きはじめるマルコーニと、電話にかじりついてグロッタリーエ空軍基地に駐機している「鎮守府所属」の戦闘機隊へ発進要請をかけるビアンキ……

提督「…」戦闘機隊が発進してマエストラーレたちの所にたどり着くまでの時間を計算している…



マエストラーレ「無電を発信されたら敵機がわらわら来るに違いないわ…対空戦闘! 急いで落として!」120ミリ主砲と40ミリ機銃、それに戦時に増設された20ミリ・ブレダ機銃も吼えたてる…

グレカーレ「主砲、てっ!」

シロッコ「…落ちろ、蚊トンボ!」

リベッチオ「撃てぇ!……あ、命中…命中っ!」航続距離はあっても速度や敏捷さには欠けるウォーラス水偵の周囲に次々と対空砲弾が炸裂していたが、ついに一発がウォーラスを捉え、二つに折れた残骸がゆっくりと落ちていった…

シロッコ「無電の発信は…なかったみたい」

マエストラーレ「……ふぅ。なら鎮守府に連絡して一件落着ね」

シロッコ「良かった…まだ基地祭の屋台巡りも終わってないし、ね♪」


………
456 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/01/20(日) 02:24:05.46 ID:casHf3ZW0
提督「ふぅぅ…敵の増援が来なくてよかったわ……」

マルコーニ「ですね」

提督「それじゃあC202の小隊はグロッタリーエに戻りつつ哨戒を…Ro43水偵はマエストラーレたちの外側五十キロを目安に哨戒ラインを作って、彼女たちが帰投するのに合わせて戻しましょう」

マルコーニ「了解、そのように打電します」トン・トト・トン・ツー…

提督「それじゃあ私はまた見回りに行ってくるけれど、何かあったら呼んでね?」

マルコーニ「はい」

提督「ふー…」軍帽を脱いで額を拭うと、紅くなっている帽子の跡と、ぱらりと目にかかってくる前髪を気にしつつ通信室を出た…

………

…鎮守府・庭…

ライモン「そうですか…よかったです……」同じ1964年に退役した「グレカーレ」と仲が良く、そもそも仲間思いの優しい性格だけにほっとしたようなライモン…

提督「ええ…これで私も心おきなく可愛い女の子を物色出来るわ」

ライモン「提督」

提督「冗談よ、だって一番可愛い女の子はここにいるものね♪」胸元に抱え込むようにしてライモンをぎゅっと抱きしめると、さらさらの髪を撫でる提督…

ライモン「んむぅ、むぐ……ぷはぁ!」

提督「あら、ごめんなさい…♪」

ライモン「もう…///」

リットリオ「…相変わらずお熱いですねぇ」無邪気な笑顔を浮かべて「とととっ…♪」と軽やかなステップで駆け寄ってくるリットリオ……着ている白いブラウスからのぞく胸元は赤みを帯びていて、髪が少し乱れている……

提督「ええ、おかげ様で♪ …でも、リットリオだって他人のことは言えないでしょう?」

リットリオ「ふふっ、そうですね♪」

提督「ところで、ヴェネトとローマは…?」

リットリオ「はい、「さっきまでは」裏のあずまやで一緒でした♪」

提督「あー…」

ライモン「な、何も今日しなくたって…///」

リットリオ「……だって、したくなっちゃって♪」

提督「まぁほどほどにね…この後は?」

リットリオ「そうですね、特に予定はないですよ?」

提督「そう……だったらヴェネトとローマの様子も見てきてあげてね?」

リットリオ「了解です、提督っ……でもその前に、ちょっと甘いものを補給してきます♪」

ライモン「何というか…自由奔放ですね」

提督「そこが魅力と言うべきかしらね。それじゃあ私たちは見回りを続けましょうか」

ライモン「はい」

提督「…それとも、デートって言いかえた方がいいかしら?」

ライモン「も、もうっ///」

提督「ふふふっ♪」つんっ、とライモンのほっぺたをつついて目を細める…

457 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/01/20(日) 03:32:54.37 ID:casHf3ZW0
…鎮守府・空き部屋…

アヴィエーレ「…そうか、それは良かったね」

提督「ええ、おかげさまで♪」


…イタリア海軍旗が部屋の隅のに飾ってある「仮設展示室」には、鎮守府所属のマッキやフィアット、レジアーネやメリジオナーリの戦闘機や雷撃機、水偵のプラモデルがアクリルケースに収まってずらりと並び、アヴィエーレは椅子に座ってお客さんの質問に備えている……が、たいていは庭で行っている舞台の出し物や屋台に集まっているので、全部の催し物を一通り巡ろうとする真面目な人が時々のぞきに来る以外は、かなり空いている…


アヴィエーレ「まぁ、Ro43水偵ならウォーラスより機動性が上だからね…心配することはないかな」

提督「そうね」

(※メリジオナーリRo43水偵…単発複座・複葉の水上偵察機。武装は前部固定1挺と後部旋回1挺の7.7ミリ機銃、最高速力300キロ弱とごくごく平凡な弾着観測用の「水偵らしい水偵」。実戦で使われることは少なかったものの戦時イタリア艦の標準的な搭載機で、複葉機ならではの旋回性の良さから限定的ながら空戦能力も有する。性格としては帝国海軍の「九五式水偵」に近く、前部機銃を2挺に増やし後席を無くした「水上戦闘機」型のRo44も作られている)

アヴィエーレ「それじゃあじっくり見ていってよ」

提督「ええ、ありがと」つい海軍士官の癖で、手を後ろに組んで歩き始める提督…

ライモン「…」

提督「あ、いけないいけない……はい♪」

ライモン「…はい///」

アヴィエーレ「ふふ…「恋人つなぎ」とはなかなかやるじゃないか、提督♪」オールバックにした髪を櫛で撫でつけながら、ニヤニヤしている…

提督「…アヴィエーレも「恋人つなぎ」したい?」

アヴィエーレ「はは、提督とライモンドの間を邪魔するほど無粋じゃないつもりさ。それにそろそろ水偵が戻ってくる頃だろうし、ちょっと風の具合を確かめて来るから……終わったら呼んでくれないかな?」

提督「ええ」

アヴィエーレ「それじゃ…♪」

ライモン「……行っちゃいましたね、アヴィエーレ」

提督「そうね」

ライモン「別にそんなに気を使わなくたっていいのに…そうですよね、提督?」

提督「いいえ、私は嬉しいわ……だってライモンと二人きりになれたもの♪」

ライモン「て、提督はまたそうやって///」

提督「嘘じゃないわ……ライモン」

ライモン「て、提督…///」

提督「……いい?」

ライモン「///」そっと目を閉じて提督に顔を向けるライモン…

提督「…ライモン……可愛い…♪」ライモンの腰に手を回してぐっと身体を引き寄せ、顔を上向かせた……と、首から提げていた携帯電話が「ピリリリッ…!」と鳴りはじめた…

ライモン「…っ!?」

提督「あぁもう……はい、もしもし?」

ライモン「…っ///」(わ、わたし…わたしったら、この部屋にお客さんが入ってくるかもしれないのにっ///)

提督「ふぅぅ…ルクレツィアからだったわ。またエレオノーラが手に負えなくなっているから助けて欲しいそうよ」

ライモン「そ、そうですか」

提督「ええ……でも感謝しないとね」

ライモン「…と、言いますと?」

提督「だって…おあずけにされた分だけ、次のキスが待ち遠しくなるものね♪」

ライモン「……いいえ、提督」

提督「?」

ライモン「その……いつだって、提督とのキスは待ち遠しいです…///」

提督「…まぁ♪」

ライモン「……さぁ、早く行きましょう///」

提督「ふふ、そうね♪」
458 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/20(日) 12:44:28.15 ID:NM5RRqBio
いいね
459 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/01/22(火) 01:11:01.11 ID:q30RPO+t0
>>458 ありがとうございます。なかなか進みませんが頑張ります…
460 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/01/22(火) 02:45:47.63 ID:q30RPO+t0
…食堂…

カサルディ提督「あぁ、やっと来た。フランカ、早くエレオノーラのことをどうにかしてよ…!?」

提督「少し落ち着いて、ルクレツィア……一体どうしたの?」

カサルディ提督「…あれよ」

…指差した先にはシモネッタ提督が椅子に腰かけ、年の割には幼い見た目のせいで耳年増に見える駆逐艦の「カルロ・ミラベロ」「アウグスト・リボティ」と過剰なふれ合いに興じている姿が見える……そしてシモネッタ提督をからかっているミラベロとリボティは白いフリルブラウスと、コルセットを兼ねたような黒のフレアースカートとつま先の丸いエナメルの靴…と、いかにも「お嬢さま」スタイルの格好をしている…

シモネッタ提督「はぁぁぁっ、まさに「私に天使が舞い降りた!」わ…♪」

提督「あー…」

ライモン「…」

ミラベロ「ふふ、シモネッタ提督……ううん「エレオノーラお姉ちゃん」…♪」ミラベロは髪型もいかにもお嬢さんらしいツーサイドアップ(両側頭からのツインテール)で、髪の根元を可愛らしいデザインの黒リボンで留めている…

シモネッタ提督「んふっ…どうしたの、ミラベロ?」

ミラベロ「くすくすっ……呼んでみただけ♪」小首を傾げてぱちぱちとまばたきすると、ふわりとなびいた髪の束がシモネッタ提督の鼻先をくすぐった…

シモネッタ提督「ふわぁぁぁぁ…可愛い、しかもいい匂い…ぃ♪」

ミラベロ「ふふ、ありがと♪ …でも、エレオノーラお姉ちゃんがもっと褒めてくれたら……私もその分頑張ってあげちゃうけれど…ね?」

シモネッタ提督「まぁまぁ、可愛いミラベロは何を頑張ってくれるのかしらぁ♪ お姉ちゃんに教えてぇ?」

ミラベロ「ふふ、なにかしら?」

シモネッタ提督「えーとねぇ…むふふっ、んふっ♪」

ミラベロ「残念、時間切れ……♪」

シモネッタ提督「えー?」

ミラベロ「正解は……んしょ♪」ぽすっ…と膝の上に座り、顔を上向かせてシモネッタ提督を眺める…

シモネッタ提督「あっ、あっ、あっ……んふゅっ、むふっ♪」

ミラベロ「ふふっ…さ、なでなでして?」

シモネッタ提督「ええ、お姉ちゃんがいっぱいなでなでしてあげるわねぇ…むふふっ♪」

提督「…」

ライモン「…シモネッタ提督、ここに来てから一番の笑顔ですね……」

提督「そうね…」

シモネッタ提督「んふ…ミラベロのすべすべふとももをなでなでしたり、一緒にお風呂に入ったり……ほのかなふくらみを触ったりしたいわぁ♪」さわ…っ♪

ミラベロ「あんっ、お姉ちゃんってばぁ……えっち♪」そう言いつつも小さな手をシモネッタ提督の手に重ね、わざとふとももを撫でさせる…

シモネッタ提督「くふふっ…♪」

リボティ「……ねぇエレオノーラお姉ちゃん、私も相手してくれないとつまらないな」こちらはカチューシャを付けたセミロングの髪を肩に垂らしている…

シモネッタ提督「あぁん、ごめんなさいねぇ……じゃあリボティには、照れ隠しにお姉ちゃんを叱ってくれるかしら♪」

ジュセッペ・フィンチ(大型潜カルヴィ級)「おぉ…それはジァポーネで言うところの「ツンデレ」というやつだな……私も見るのは初めてだ!」遠巻きにして面白半分に観察していたが、「ガタッ…!」と椅子から身を乗り出した…

リボティ「それじゃあ……いい?」

シモネッタ提督「ええ、お願いするわね♪」

リボティ「こほん……い、いつもスパゲッティを食べてるからって、別にペンネが嫌いなわけじゃないんだからね…っ///」

シモネッタ提督「ふわぁぁぁ…可愛いっ、可愛いわぁぁぁ…もう今夜にでも……いえ、むしろ今すぐ頂きたいわねぇ…♪」

提督「ふー……ちょっとエレオノーラ、うちの娘に変なことを吹きこんだりしないでくれる?」(それにリボティのセリフ…それっぽくはあったけれど、ツンデレとはちょっと違うような……)

シモネッタ提督「あ、フランカ……もう、本当にフランカってば人が悪いんだから…♪」

提督「…どういうこと?」

シモネッタ提督「んふっ、とぼけちゃって……こーんな可愛い娘をいっぱい抱えて、大人な知識まで吹きこんでいるなんて…イケナイ提督さんだこと♪」

提督「あー、いえ…それは別に私が教えたわけでも何でも……」

シモネッタ提督「んふふっ、隠さなくたっていいのよ……さぁミラベロ、リボティ、お姉ちゃんが一万リラあげるから、好きな物を買ってね♪」

提督「…」

461 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/01/25(金) 02:47:44.30 ID:R5DGKo880
カサルディ提督「フランカ、ごめん…エレオノーラが壊れてる時は手におえないって忘れてた……」

提督「いいえ、構わないけれど……問題が起きる前にお茶にでもして、二人をエレオノーラから引き離しましょう?」

カサルディ提督「そうね。どのみちここに来ている提督はみんな集まってるし…」

提督「そうね、言われてみれば…それじゃあ早くお菓子を用意しないと♪」

百合姫提督「ふふ、今回はどんなお菓子かしら……こっちに来てから美味しいものが多くって、食事のたびに目移りしちゃうの…♪」

エクレール提督「まぁ…でしたらぜひフランスにおいで下さいな。量ばかりのイタリア料理と違って、洗練された美食が味わえますわ」

提督「姫、マリーの言うことを聞いちゃダメよ…フランス料理なんて田舎は「ブイヤベース」とか「ラタトゥイユ」みたいなごった煮ばかりだし、かといってパリのビストロなんて入ったら目が回るような勘定書きが届くわよ?」

エクレール提督「また貴女はそうやって…!」

グレイ提督「ふふ、仲がよろしいようで結構ですわね…百合野提督、もし機会があったらイギリスの「ミートミンスパイ」か「ヨークシャープディング」……さもなければ朝食だけでもご賞味下さいね?」

ヴァイス提督「…それなら、ドイツを訪問されるようなことがあったらぜひ本場のソーセージを召し上がってください……!」

百合姫提督「はい、機会があったらみんな味わってみたいです……って、あら?」震えだした携帯電話をちらりと見て番号を確認すると、提督たちに謝って電話を受けた…

提督「鎮守府から?」

百合姫提督「ええ……はい、もしもし…」席を外して廊下に出て行く百合姫提督…



百合姫提督「…仁淀、どうかしたの?」

仁淀「はい、提督…実は前回提出の書類で一枚だけ差し戻しが……訂正はすぐ出来たのですが、提督のハンコを代わりに押してしまっても…?」

百合姫提督「ええ、仁淀が大丈夫だっていうなら大丈夫…ハンコは机の上にあるから、代わりに押していいわ」

仁淀「了解、それでは…」

百合姫提督「あぁ、待って仁淀」

仁淀「はい、何でしょうか?」

百合姫提督「こっちの時間から考えると横須賀は1900時くらいよね…?」

仁淀「ええ、まぁだいたいそのくらいです」

百合姫提督「みんなご飯はちゃんと食べている? もっとも、厨房は間宮だから心配ないとは思うけれど……」

仁淀「ええ、大丈夫ですよ…ちょうどいま済ませて、それでお電話したところです」

百合姫提督「それで、今日は何を食べたの?」

仁淀「えーとですね…主食は「昆布わかめ」の混ぜご飯で、おかずは「べにしゃけ」と冷蔵庫に残っていた「タチ」(太刀魚)の塩焼き……具だくさんのけんちん汁に納豆…あ、あと食後に「森永みるく」と「もちオーレ」をいただきました」

百合姫提督「そう、ならよかったわ…♪」

仁淀「おかげ様で大満足です…実は「メロンメロン」のチョコチップメロンパンもあったのですが、さすがに満腹で……」

百合姫提督「まぁ、ふふ…あのお店のメロンパンは私も好きだから、帰ったらまた買いに行きましょう♪ …ちなみに明日の献立は決まっているの?」

仁淀「あ、はい…明日はハンバーグステーキを喫食する予定なのですが、間宮も伊良湖も意気込んでいて……もうデミグラスソースの仕込みに取り掛かっています」

百合姫提督「なるほどね……じゃあ明日は「デミライフ!」ってところね?」

仁淀「はい…正直ちょっと楽しみです♪」

百合姫提督「分かったわ……それじゃあまた寝る前にかけるから…皆にもよろしく伝えておいてね?」

仁淀「はい。では失礼します」

百合姫提督「ええ」



462 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/25(金) 11:11:56.98 ID:JnkLhmH5o
乙。
463 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/01/26(土) 01:06:19.86 ID:bJAj1Ff+0
グラツィエ…引き続き投下していきます
464 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/01/26(土) 01:41:09.89 ID:bJAj1Ff+0
提督「姫、横須賀は大丈夫だった?」

百合姫提督「ええ、おかげさまで」

提督「それは良かったわね…ところで、よかったらみんなでテラスに出ない?」意味ありげな含み笑いを浮かべている…

シモネッタ提督「…何かあるのね?」

提督「ええ…実はグロッタリーエ所属の空軍機が訓練を兼ねて、ちょっとしたアクロバットをしてくれることになっているの」

カサルディ提督「へぇ、フランカってば空軍に顔が利くんだ?」

提督「ううん、これは向こうの好意みたいなものよ……何しろ空軍は目立ちたがりだもの♪」

カサルディ提督「ぷっ…確かに♪」

シモネッタ提督「それで、どこならよく見られるかしら」

提督「そうねぇ…飛行ルートは沖合だから、二階のベランダかそこのテラスね」

カサルディ提督「じゃあそこでいいんじゃない?」

提督「そう? ならそこにしましょう…さ、姫は特等席にどうぞ♪」

百合姫提督「あ、そんな…私が一番いい席に座るなんておこがましいと思うの……むしろグレイ提督に座ってもらった方が…///」

グレイ提督「構いませんよ…わたくしは立っている方が好きですから」

ヴァイス提督「私の方が階級が下ですから、どうぞ先に座って下さい。そうでないと私も席を決められませんので」

百合姫提督「えーと…ならエクレール提督……」

エクレール提督「わたくしはこの席で構いませんわ…どうぞ遠慮なさらずにお座りなさいな?」

提督「別にマリーの椅子じゃないのだけれど…でもまぁ、そう言うことね」

百合姫提督「じ、じゃあ失礼して……」

提督「素直でよろしい…♪」

カサルディ提督「……あ、来たんじゃない?」

…空に溶け込むような灰色の迷彩を施した「パナヴィア・トーネード」が二機編隊でやって来て、湾に列を作って停泊している艦隊の上でロールを打ち、それから垂直上昇で高度を取ると、今度は機体を背面に入れてスプリットSをかけた…

シモネッタ提督「へぇ、空軍もなかなかどうしてやるじゃない…」

提督「そうね…あ、もう行っちゃった……」トーネードは翼を軽く振ると、独り占めにしたお客さんの歓声を後に残し、さっさと飛んで行ってしまった…

カサルディ提督「きっと燃料がないんでしょ?」

提督「…かもしれないわね」

…ジェットの響きが遠ざかると、またざわめきを取り戻し始めた会場……とはいえナポリやジェノヴァ、ヴェネツィア…あるいは市街地に近い「タラント第一」と違って、田舎にあるのどかな鎮守府なのでお客さんが詰めかけることもなく、海軍憲兵隊が上手くさばいてくれているのでたいした問題もない……そこで提督たちは会場を眺めながら、安心してお茶を楽しんでいる……

?「…気を付け!」

提督「!」ビクンッ…!

シモネッタ提督「!!」

カサルディ提督「っ!?」…不意に大声で号令をかけられ、反射的に直立不動の姿勢を取った提督たち…

?「よろしい、休め…!」

提督「もう、一体誰……教官!?」声の方を向くと、軍のデジタル迷彩服に身を包んだ短髪の女性が立っていた…ブーツはよく手入れされているが迷彩服のボタンは二つ目まで外していて、両手の邪魔にならないよう、ベレー帽は肩章を縫いつけるボタン留めの「輪っか」の所に突っこんでいる…

短髪の女性「久しぶりだな、『カンピオーニ候補生』……短い間にずいぶんと昇進したな?」敬礼を交わすと左右の頬に接吻をし、それから提督の手を力強く握った…

提督「ええ、おかげさまで…///」

女性「いや、お前の実力だよ……それはいいが、また肉が付いているな。私にがみがみ言われないからって運動してないだろう…って、なんだ、お前たちも一緒か?」

カサルディ提督「お久しぶりです、教官」

シモネッタ提督「お会いできて嬉しいです♪」

女性「なんだ、あの時の問題児どもが一堂に揃ってるじゃないか……それにどいつもこいつも金モールと勲章をベタベタつけて…昇進おめでとう」そう言うとニヤリと笑ってみせた…
465 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/01/26(土) 02:44:31.09 ID:bJAj1Ff+0
…食堂…

提督「紹介するわね…私たちの指導教官だったエウリディーチェ・メッセ曹長」

ライモン「初めまして」

メッセ曹長「ああ、よろしく…きっとカンピオーニの事だから、うんと君らを甘やかしていることだろうな」口調は少しぞんざいだが、どことなく親切な感じがするメッセ…

カヴール「ええ、まぁ…」

メッセ曹長「はははっ、おおかたそんな事だろうと思ってたよ♪」

ディアナ「…どうぞ、カフェラテです」

メッセ曹長「お、悪いな…君は?」

ディアナ「高速スループ「ディアナ」でございます」

メッセ曹長「それじゃあごちそうになろう……うーん、こいつはいい」

ディアナ「お褒めに預かり恐縮でございます…♪」

提督「……それにしても、どうして教官が?」

メッセ曹長「どうしても何も…タラントに用事があったから、ついでに教え子の様子を見に来ただけだが……さては私が見ていないからって、たるんだ生活をしているんだろう」いかにも怒ったふりをして腕組みをする…

提督「いえ、そんなことはまったくありません……ちゃんと規則正しい生活を送っています」

メッセ曹長「ほー、そうか…じゃあ昨日はどんなトレーニングをこなした?」

提督「えーと……腹筋を…」

メッセ曹長「何回だ?」

提督「……回です」

メッセ曹長「なに? もう少しはっきり言わないか」

提督「十回です…///」

メッセ曹長「ふー…十回か……ということは他のメニューが重かったんだな?」

提督「えーと…」

メッセ曹長「腕立てか?懸垂か?…それとも敷地内でランニングか?」

提督「いえ……その…」

メッセ曹長「ふむぅ…どうやらみっちり絞られたいらしいな」

提督「…っ!」

メッセ曹長「まぁいい、今日は「昇進おめでとう」を言いにきたんだ。あまりガミガミ言わないでやる……感謝しろよ?」

シモネッタ提督「ふふっ…♪」

メッセ曹長「何がおかしいんだ、シモネッタ?」

シモネッタ提督「…いえ、何でもありません」

メッセ曹長「そうか…カンピオーニの事を笑えるなら、さぞかしトレーニングをしているんだろうな?」

シモネッタ提督「…」

メッセ曹長「どうなんだ?」

シモネッタ提督「いえ、まさか訪問先の運動施設を借りるのもどうかと思いまして……」

メッセ曹長「別に腕立てや腹筋なら道具もいらないだろう……ちゃんとやってるか?」

シモネッタ提督「…い、いいえ」

メッセ曹長「全くカンピオーニといいシモネッタといい……カサルディ、お前は大丈夫だろうな?」

カサルディ提督「はい…客室で腕立てと腹筋を四十づつ」

メッセ曹長「よろしい……この二人の身体がボローニャソーセージみたいになったら、その時はうんと笑ってやれ」

カサルディ提督「はっ…!」


466 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/01/27(日) 01:16:21.91 ID:4MZDbiY50
投下前に訂正を一つ……海軍なので「曹長」ではなく「兵曹長」でしたね。うっかりしておりました…

…では、気を取り直して提督たちが士官候補生だった時のエピソードを投下していきます……
467 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/01/27(日) 02:05:06.49 ID:4MZDbiY50
メッセ兵曹長「…それにしても、揃いもそろって「士官学校の女たらし」が三人とも揃うとはな……世も末だな」

カサルディ提督「言いますね、教官」

メッセ兵曹長「おい、私はもうお前たちの教官じゃないぞ…もっとも、また士官学校に入るって言うなら鍛えなおしてやるが?」

カサルディ提督「…遠慮しておきます」

メッセ兵曹長「そうだろうな」

ライモン「…あの、提督…少し気になっていることが……」

提督「なぁに?」

ライモン「いえ…いくら卒業したとはいえ、提督方は元教官ともずいぶん親しげでおられますから……」

提督「あー、その事?」

シモネッタ提督「ふふっ…話しても構わないわよ、フランカ?」

カサルディ提督「別にそこいら中に触れ回るわけじゃなし…私も構わないけど」

提督「…教官?」

メッセ兵曹長「もうお前たちは卒業してるんだ、私はどうのこうの言う立場じゃないな」

提督「なら…ちょっとした昔話でもしましょうか♪」


…士官候補生時代・リヴォルノ…

メッセ教官「…訓練生の諸君。私は体育教官と君たちの担当教官を兼ねる、エウリディーチェ・メッセ一等兵曹長だ。 諸君はここに入るまでは高校生だったり大学生だったり、場合によっては大学院にいたかも知れない……が、今日からはたるんだ女子学生気分ではなく、士官学校の規則にのっとった規律正しい生活をしてもらう!」


…入学式を終えたばかりの礼服姿でいる候補生たちの前に立って、何一つ見逃さない目をしているメッセ兵曹長……白い礼服には四列も五列も勲章の略綬が付いていて、茶色がかった髪の毛はバッサリと短く切ってある…


候補生一同「「はい」」

メッセ教官「声が小さいぞ、もっと大きな声で!」

一同「「はいっ!」」

メッセ教官「そうだ。ところで、軍隊モノの映画や何かでこういう場面が良く出てくるだろう……何故だかわかるか、アマルフィ?」

士官候補生「わ、分かりません…」

メッセ教官「分からないことは恥ずべき事じゃないんだ、もっとはっきりと答えろ。…ではカンピオーニ、お前はどうだ?」

カンピオーニ候補生(提督)「えぇと…海の上でも聞こえるようにです」

メッセ教官「正解だ、カンピオーニ……だから海軍士官は声が大きいのだ。諸君の可愛らしい声では嵐の音にかき消されて命令が届かないぞ。もっとオペラみたいに腹から声を出せ…分かったな?」

一同「「はい!」」

メッセ教官「結構。部屋割りはさっき言った通りだ…明日からは講義が始まるから、きっちり準備をしておけよ。以上!」

468 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/01/28(月) 01:53:11.85 ID:+Vu0kPQa0
…候補生寝室…

短髪の候補生「えーと…あ、私が上か……」礼服をクローゼットのハンガーにかけると、割り当ての書かれた紙とベッドの番号を見比べた…

提督「ええ、そうみたいね」

…入学前に肩甲骨辺りまで伸びていたしなやかなロングヘアーを短くして、ついでに切った髪を病気の人のカツラのために寄付(ヘア・ドネーション)してきた提督だったが、それよりもさらに短い髪をしている候補生……わりと小柄でほどよく日に焼け、気持ちのいい爽やかな笑顔を浮かべている…

候補生「それじゃありがたく……あ、名前を聞いてなかったね」

提督「カンピオーニよ…フランチェスカ・カンピオーニ」左右の頬に軽く口づけをする提督…

候補生(カサルディ提督)「初めまして、フランチェスカ……私はルクレツィア・カサルディ。よろしく」

提督「ええ、こちらこそ」

カサルディ提督「出身は?」

提督「カンパーニア州、ガエタの近くよ…あなたは?」

カサルディ提督「ルクレツィアでいいわ……私は生まれも育ちもリーパリ諸島。もっとも、高校の時はシチリアの学校に入ったけど」

提督「へぇ…リーパリはきれいなところだって聞くし、一度行ってみたいわ」

カサルディ提督「この「深海お化け」の騒ぎが収まったらね……それじゃ改めてよろしく。フランチェスカ」

提督「よろしくね、ルクレツィア♪」

…翌日・運動場…

メッセ教官「…よーし、準備運動は終わったな。それでは最初に諸君がどれだけ運動が出来るのか、ちょっとした体力トレーニングを行う……隣同士で組んで、左側の者から腹筋二十回!」

カサルディ提督「ほら、脚を押さえておいてあげるから…さ、始めて?」青色のトレーニングウェアに身を包んだカサルディ候補生は、色白で柔らかそうな提督に比べて、ガゼルのように無駄のない身体をしている……膝を立てて寝ころんだ提督の、しっとりとした長い脚を抱え込む……

提督「ええ……んっ、ふ!」

カサルディ提督「…いーち」(…うわ、フランチェスカの身体ってば柔らかい……///)

提督「ふぬぬ……っ!」

カサルディ提督「にーい…」

提督「んぐぅ…!」

カサルディ提督「さーん……ほら、頑張って!」

提督「そんなこと…言われて…も……んっ!」

カサルディ提督「よーん…」

メッセ教官「……まだ終わらない組はあるか? …ベルディーニ候補生、カンピオーニ候補生、ヴェルディ候補生、もっと早くするんだ!」

提督「はぁ、はぁ…ふん……っ!」

メッセ教官「…カンピオーニ訓練生、しっかりしろ。もっと速く上体を起こすんだ!」

提督「今……やっていま…す!」

メッセ教官「ふぅ、分かった……訓練生諸君、注目! 今から私が腹筋のコツを教えてやるから、よく覚えておけ!」迷彩服に身を包んでいるメッセ教官がみんなの前で寝転がると、後頭部に手を当てて勢いよく腹筋をやり始めた…

候補生「…うわ、速い……!」

メッセ教官「どうだ…とにかく腹筋の時は一気に上体を起こすことだ。なぜなら、腹筋が一番苦しいのは上体が斜めになった時だからだ……腹筋が苦手な者は、たいてい「上体を起こす勢い」が足りないから途中で起き上がれなくなり、それでなくても苦しいものが余計に苦しくなってしまう…分かったか?」

一同「「はい、教官!」」

メッセ教官「よろしい……さぁカンピオーニ候補生、今私が教えたようにしてやってみろ」

提督「はい、教官……んっ!」

カサルディ提督「…ごーお……うん、いい調子♪」

提督「ふぅ…っ!」

メッセ教官「そうだ、その調子だ! …身体は資本だからな、鍛えておいて損はないぞ!」

提督「ひぃ…ふぅ……!」

カサルディ提督「ほら、あと五回…!」

………
469 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/02/01(金) 02:09:30.46 ID:Ymw4hwsM0
カサルディ提督「そうそう、フランチェスカときたら士官候補生なのに腹筋もまともに出来てなくてね」

提督「仕方ないじゃない…私は子供の時から走ったり跳んだりって苦手だったし」

カサルディ提督「ねぇ、それって……やっぱりそれのせい?」自分の胸元に視線を落としてから、提督のたわわな胸を眺めた…

提督「それもあるし、幼い頃に同じくらいの子供が少なかったから外遊びをあんまりしなくて……あとは単純に、本を読んだりする方が好きだったせいもあるわ」

カサルディ提督「なるほどね」

提督「だから体育教練の時間は苦痛だったわ…途中からどうにかビリにはならないで済むようになったけれどね……」

メッセ兵曹長「ああ、そうだったな。…もっとも、カンピオーニは脚が長いし、運動のコツさえつかめばある程度伸びるとは思っていたが……そう言う面でカサルディ、お前の名前がカンピオーニの一個前で良かったと思うぞ」

カサルディ提督「まったく苦労しましたよ…フランチェスカがビリになるたびに腹筋や腕立てを追加されるんですからね」

メッセ曹長「はは、おかげで鍛えられただろう」

提督「もう、あの時は笑いごとじゃなかったんですから……あら、何か欲しいの?」足もとにすり寄ってきたルチアを撫でた…

ルチア「…ワフッ♪」

メッセ兵曹長「おっ、犬か…ここで飼ってるのか?」

提督「ええ、引き取った保護犬です……「ルチア」って言って、お利口な犬ですよ。よかったらおやつでもあげてみます?」

メッセ兵曹長「はは、そうだな…ほらワン公、こっちに来い」提督から古くなったパンの耳を受け取り、振ってみせた

ルチア「♪」

メッセ兵曹長「おいおい、ずいぶんと人懐っこい犬だな…こんなので番犬になるのか?」

提督「ええ、今はみんなが安心しているって分かるんです」

メッセ兵曹長「なるほど、四つ足とはいえ利口な……おいこら、どこに鼻っ面を突っこんでる」

ルチア「フゥ…ン、フン…フン……」鼻先をメッセ兵曹長の脚の間に突っこみ、フガフガと鼻を鳴らしている…

メッセ兵曹長「何だ…このワン公、女好きなところまでお前に似ているな」

提督「いえ、別にそう言う訳では……初対面の相手だから匂いを嗅いでいるんですよ」

メッセ兵曹長「まぁいい。犬と一緒ならお前もちゃんと走るようになるだろうしな」

提督「ええ…相変わらず走るのは嫌いですが、少なくとも教官の言ったことはまだ覚えています」

メッセ兵曹長「ほう?」

………

…とある日…

候補生たち「「…ぜぇ、ぜぇ…はぁ…ふぅ……」」

…やたら広い運動場を散々走らされ、三々五々にへたばったり、肩で息をしている候補生たち……が、最後の一人(幸いなことに提督ではなかった)に付き添い、悪態をついたり励ましたりしながら走ってきたメッセ教官は、大して息も上がっていない…

メッセ教官「よーし、これで全員走り終えたようだな……さて、候補生の諸君。どうして私が諸君をこんな目に合わせるのか分かるか? 言っておくが、私は別に諸君をいじめてうさばらしをしようとか、古代スパルタの真似をしようと思ってこんなことをしている訳じゃないぞ」

候補生「じゃあ…ふぅ、はぁ……どうしてなんですか…?」

メッセ教官「それは簡単さ……諸君がここを卒業して海軍少尉の階級章を付けたら、これぐらいの事はできなければならないし、また「そうある事を要求される」からだ」

メッセ教官「ほぼ間違いなく、諸君は今まで宿題や家の手伝いのような「やりたくないこと」を回避したり…あるいはやらなかったことを叱られはしても、そうたいした問題にはならなかったという経験があるはずだ。しかし海軍において「できない」とか「やりたくない」ということは認められない……とはいえ私は諸君にできもしないことは言わないし、やらせたりもしないがな」

メッセ教官「しかし任官したらそうはいかん。士官なら腕利きの下士官たちを上手く御することができなければならんし、艦に関わる様々な問題に立ち向かわなきゃならないからな…そうなった時にあたふたしないよう、今のうちにうんと失敗したり苦労したりしておけ。ついでに私が「教訓」を忘れないように腕立ても付けておいてやる」

メッセ教官「……それともう一つ。いくらあれこれ言ってみても、男どもの中に女性士官をからかいのタネにしたり、軽く扱ってくる奴らがいるのは事実だ。特に昨今の「深海棲艦」どもと「艦娘」たちに関わる女性士官が増えたことで、そう言う連中と諸君が出くわす可能性は高くなった……だからと言ってその度に憲兵隊だの法務官だのに泣きついている暇はない。したがって、自分でどうにかできるようになっておかないといけないのだ…どうだ、納得したか?」

候補生たち「「…はい、よく分かりました!」」

メッセ教官「結構…なら明日からはつべこべ言わずに頑張ってもらうぞ」

………
470 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/02/03(日) 03:00:21.20 ID:Ry1EXfmW0


ライモン「ところで…提督とシモネッタ提督はどうしてお知り合いに?」提督たちのおしゃべりを邪魔しないようにと、グレイ提督たちは気を利かせて庭に行っているので、椅子を近寄せて隣に座った…

カサルディ提督「確かに気になるわよね……フランチェスカとエレオノーラの好みときたら、まるで反対だもの」

提督「まぁそうね…」

シモネッタ提督「ふふ、私はフランカみたいに年増を食べる趣味はないの…♪」優雅に紅茶をすすりつつ、隣に座っているマエストラーレのお尻に手を伸ばした……

マエストラーレ(ヴェネツィア)「もうっ…///」ぺちっ!…と手の甲を軽く叩いた

シモネッタ提督「もう、マエストラーレのいじわる…♪」

提督「またそうやって……エレオノーラみたいな趣味を持っていたら、いつか逮捕されるわよ?」

シモネッタ提督「心配しないで…私は普段からお行儀よく過ごしているもの」

カサルディ提督「ま、エレオノーラのお行儀がいいかどうかはさておき…」

………

…士官学校・教室…

教官「さて…諸君はここで海軍史について勉強することになる。過去の戦争で各国の指揮官たちが犯した失策を学ぶことで、同じ過ちを繰り返さないで済むわけだ」教室に座っている士官候補生たちを前に、中年の教官が講義を始めた…

カサルディ提督「はぁ、参ったな…私、歴史とかって苦手……」小声で提督にぼやくカサルディ提督…

提督「そう? 昔の話って面白いと思うけれど?」

カサルディ提督「…フランチェスカは歴史得意だもんね……」

教官「さて、今日は初回だからな。簡単なイタリア近・現代史の振り返りと行こう……さて、イタリア王国海軍の基礎はガリバルディのイタリア統一運動と、両シチリア王国がそれに帰順したことにより出来上がり……」

提督「…」ノートをつけながら、熱心に聞いている提督…

教官「ではこの問題を…シモネッタ」

シモネッタ候補生(シモネッタ提督)「はい」

教官「第二次大戦への旧イタリア王国の参戦はいつだったか?」

シモネッタ提督「1940年6月10日です」

教官「結構。座りたまえ…では旧イタリア王国が英仏に宣戦布告したのはなぜか? …カンピオーニ」

提督「はい。当時のドイツが我が国の仮想敵であったフランスを撃破しつつあったことで、当時の政府が「このままでは戦後得られるかもしれない賠償を手にできない」と考えたからです」

教官「よろしい…平たく言えばイル・ドゥーチェ(ムッソリーニ)の思い立った火事場泥棒ということだな。そのせいでイタリアは大やけどをしたわけだ……ところで、そこの四人は大したものだな?」

提督「…と、言いますと?」

教官「諸君の名前だ。ベルガミーニ、ビアンケッリ、カサルディ…それにカンピオーニ。いずれも大戦中の提督と同じ苗字じゃないか…末は海軍提督に違いない!」

一同「「くすくすっ…♪」」

提督「あー……そうなれるよう努力します」

教官「結構だ…では座ってくれ、提督」

提督「///」

教官「さて、講義を続けようか…」



471 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/02/07(木) 02:28:18.36 ID:ZhqUC3//0
…数週間後・候補生寝室…

カサルディ提督「いやぁ…フランチェスカもたいしたものだと思ってたけど、上には上がいるんだね?」…カサルディ提督は二段ベッドの上から顔をのぞかせ、からかい半分に話しかけてきた…

提督「…成績の事?」士官学校に入る前にかなり短くしたとはいえ、十五分の入浴時間では乾かせっこない豊かな髪を拭きながら答えた…

カサルディ提督「そう、それよ♪」

…士官学校に入って二か月経ったこの日、最初の試験結果が発表されて張り出され、候補生たちは寄ると触るとその話題で持ちきりだった…

カサルディ提督「そう。だってフランチェスカは『海軍史』と『図上演習』で一位だったでしょ?」

提督「うーん、でも私は計算とか体育が苦手だから……その二つは下から数えた方が早いもの」

カサルディ提督「それにしたって、首席じゃないなんて驚きよ…フランチェスカじゃないなら誰なの? って感じだもの」…からっとした気持ちのいい笑顔を浮かべ、特に意識もせずに人を喜ばせるような事をいう「天然タラシ」のカサルディ提督……そのせいか、すでに何人かの候補生は骨抜きになっている…

提督「えーと、首席は確かシモネッタ候補生っていう…ほら、あのヴェネツィア出身の優しそうな……」

カサルディ提督「あぁ、あの感じのいい人? なるほどねぇ…人当たりはいいし成績も優秀、おまけにフェンシングも強ければバレーボールだって上手いんだ…眉目秀麗、文武両道……まさに『海軍の求める人材』ってところよね」

提督「そうねぇ。私は走るの嫌いだし、フェンシングは弱いし……バレーも得意じゃないから…」

カサルディ提督「…でもあれだけ完璧だと、逆にとんでもない欠点を抱えてたりするんじゃない?」

提督「ふふっ、なにそれ…♪」

カサルディ提督「いや…そんな風に折り目正しく生活していたら、どこかで破綻すると思うんだよね」

提督「うーん……でもおかしな雰囲気は感じないけれど?」

カサルディ提督「そう?」

提督「ええ。むしろ、何と言えばいいのかしら……誰にでも丁寧だけれど、ほどよく距離を開けている感じね」

カサルディ提督「あー、北部人ってそういう所あるわよね」

提督「うーん、むしろあれはヴェネツィア出身だからって言うよりも……」

先輩候補生「…気を付け! これより整理整頓のチェックを行う!」きりりとした先輩候補生が突然ドアを開け、鋭い声を出した…

提督「!」

カサルディ提督「おっと…!」

先輩候補生「今週の室長は誰か?」

カサルディ提督「はっ、カサルディ候補生です!」

先輩候補生「そうか…ではこれから確認を行うぞ?」短髪の候補生はベッドシーツや掛け布団がきちんとなっているか、ロッカーや部屋が散らかっていないかを確認して、クリップボードに書き込んでいく…

先輩候補生「…カサルディ候補生!」

カサルディ提督「は!」

先輩候補生「この取り散らかった服は誰のものか?」

ベルガミーニ候補生「あっ……わ、私のです!」人はいいが肝心な時に失敗したりと、どうにも運の悪いベルガミーニ候補生……

先輩候補生「ふぅ…ベルガミーニ候補生、お前は床に物を散らかしておくよう習ったのか?」

ベルガミーニ候補生「いいえ!」

先輩候補生「なら、どうして床にタオルだの何だのを散らかしておくのだ?」

ベルガミーニ候補生「その…それは、入浴の後だったので……///」

先輩候補生「ベルガミーニ候補生、私は理由を聞いているわけではない…これが実際のフリゲート艦で、非常事態になった時、床に物が散らかっていたらどうなる?」

ベルガミーニ候補生「…」

先輩候補生「私は決して意地悪なおばさんではない……が、取り散らかった室内では迅速な行動が妨げられ、もしかしたら命に関わる事態を巻き起こすかも知れない。このことをよく理解するために、君たちに腕立て二十回を行ってもらう…いいか?」

一同「「はい!」」

先輩候補生「それと、カサルディ候補生は室長として整理整頓を率先しなければならない立場にあったはずだ…腕立て三十回だ」

カサルディ提督「はっ!」…ネイビーブルーの半袖Tシャツとショートパンツ姿で腕立てをする提督たち……先輩候補生はカウントを終えるとクリップボードを小脇に抱え、提督に顔を近づけた……

先輩候補生「……カンピオーニ候補生、お前は数学が苦手だそうだな?」

提督「はい」

先輩候補生「…その……よかったら後で私が教えてやろうか…///」少しだけ恥ずかしそうに、小声でつぶやいた…

提督「…はい♪」
472 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/02/08(金) 02:11:47.82 ID:75oVL98B0
…別の日…

提督「…今日は体育が連続なのね……はぁ…」

カサルディ提督「まぁまぁ、そうへこたれない…前よりずっと出来るようになって来たんだし、この調子で頑張ればもっと身体が動くようになってくるって」

提督「そうは言ってもね…今日は何をやるのかしら?」

カサルディ提督「さぁ…多分フェンシングとレスリングが一時限ずつじゃない?」

提督「あーあ…レスリングなんて全然勝てないし苦手だわ。だいたい海軍なのにどうしてレスリングがいるの?」

カサルディ提督「そんな事私に言ったって…」


…しばらくして・体育館…

メッセ教官「…よーし、では次は相手を変える……シモネッタ候補生、お前が一番フェンシングが上手いようだから、カンピオーニ候補生を見てやれ」

シモネッタ提督「はい、教官」

提督「…迷惑をかけてしまってごめんなさい、シモネッタさん」

シモネッタ提督「エレオノーラでいいわ…私のことは気にしないでいいから、一緒に頑張りましょう?」白い柔らかな手で、提督の手を包むように握手した…

提督「ありがとう…それじゃあ私のこともフランチェスカって呼んで?」

シモネッタ提督「ええ…♪」

…どちらかと言えばガサツな「体育会系」タイプが多い中、シモネッタ候補生は常に優雅に振る舞っていて、短い自由時間ではとてもセットできそうにないほどきちんと整えられている髪をふわりと揺らし、提督に優しく微笑みかけた……顔こそ多少汗ばんでいるが、その様子からはとてもフェンシングの練習を数セットこなしたようには見えない…

メッセ教官「防具付けろ……それでは、始め!」

シモネッタ提督「それじゃあ、フランチェスカは私の胴体を狙って突いてみて?」

提督「ええ…それじゃあ、行くわね?」

シモネッタ提督「どうぞ♪」

提督「はっ…!」

シモネッタ提督「うん、上手よ…ただ、もっと踏み込まないといけないわ」

提督「それって……こうかしら…っ!」

シモネッタ提督「そうそう、上手ね…その勢いでもう一回♪」

提督「やぁっ…!」

シモネッタ提督「あら、いい突きが出たじゃない♪ そう、そういう風にすればいいの」

提督「ええ、でもこれ…ふとももの内側に来るわね……」少し顔をしかめる提督…

シモネッタ提督「ふふ、段々と慣らしていきましょうね…それじゃあ今度は私もカウンターをかけに行くから、遠慮しないで打ってきて?」

提督「分かったわ…はぁっ!」カシッ…!

シモネッタ提督「ふふ……えいっ!」キシン…ッ!

提督「ふっ…!」(…見れば見るほど綺麗ね…しかも甘い香りまで……///)

シモネッタ提督「…考え事なんてしていてはダメよ、フランチェスカ?」スキを突かれてパシッ…とエペを弾かれ、防具越しに胸の谷間へ一突き浴びる提督……

提督「…っ!?」

メッセ教官「……よーし、そこまで! 次は位置を交代してもう一回行う! ベルガミーニ候補生、足もとはしっかりさせるんだ…本物の果し合いだったらやられてしまうぞ?」

ベルガミーニ候補生「は、はいっ…!」

シモネッタ提督「……ふふ、集中してね?」

提督「え、ええ…///」

シモネッタ提督「それじゃあ場所を代わって…準備ができたら打ってきて?」

提督「分かったわ……やぁっ!」

………
473 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/02/09(土) 10:52:02.22 ID:OCqDYl4t0
…何だか各地で寒波と雪がすごいことになっていますね。ここを見て下さっている皆さまも、もし出かけるなら気を付けて下さいね……小足で歩くようにして、雪を溶かそうとしてお湯を流したりはしないようにしましょう…
474 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/02/09(土) 12:01:24.81 ID:OCqDYl4t0


シモネッタ提督「ふふふ、そう言えばそうだったわ。フランカったらいかにもふんわりと柔らかそうで、まるで士官学校向きには見えなかったわ♪」

提督「…それをあなたが言う?」

カサルディ提督「確かに……エレオノーラなんて色は白いし香水の香りまでさせちゃってさ。ちっとも士官候補生らしくなかったって」

シモネッタ提督「あら、香水は女性のたしなみじゃない……♪」にっこりと柔和な笑みを浮かべ、優雅な手つきでティーカップを持ち上げた…

メッセ兵曹長「ふぅむ、それじゃあ私は女じゃないって言うんだな? …シモネッタ、候補生の時じゃなくてよかったな」

シモネッタ提督「くすっ…でも兵曹長でしたら、並みの男性よりずっとタフガイじゃありませんか。…きっとそのあたりの男性が十人ばかりかかって来ても、たちまち返り討ちにしてしまうでしょう?」

メッセ兵曹長「それは買いかぶり過ぎだ、シモネッタ……同時にだったらせいぜい五人までだ」

提督「ふふ…♪」

カサルディ提督「あははっ♪」

メッセ兵曹長「ふ……それにしてもカンピオーニ、お前は人がいいようだったから、せいぜい「マスコットとして好かれている」くらいにしか思っていなかったが…ふたを開けてみたらとんでもない問題児だったな。私もいろんな候補生を見てきたが、あの時ばかりはすっかりだまされたよ」

提督「…そうですか?」

メッセ兵曹長「ああ……ちなみに「どうもそうなんじゃないか」と思い始めたのが、ちょうどあのレスリング授業の時だ」

………

…フェンシング授業の後・更衣室…

提督「ふぅー…疲れた…ぁ……」更衣室でフェンシングの防具を外してラックにかけると、くたっ…と身体をゆるませた……

カサルディ提督「お疲れ。でも打ちこみが上手になってたじゃない」

提督「ありがとう…でも、おかげで太ももの内側にかなり来ているわ……」

カサルディ提督「あー、内転筋ね……まぁ、後でマッサージでもしてあげるから。さ、次もあるし早く行かないと」

提督「うぇぇ…もう一時間あるなんて……」

候補生「まぁまぁ…早く行かないとメッセ教官に怒鳴られるよ?」

提督「ええ。それにしても早く終わってくれないかしら……体育じゃなくていいなら、国際法とか弾道計算だっていいわ…」

候補生「あはは、フランチェスカらしいね…ほら、早くしないと♪」

…体育館…

メッセ教官「さて候補生諸君、今度はレスリングだ。いくらライフルやピストルが上手くたって、弾は切れるし故障もする…あるいは銃そのものがどこかに行ってしまうことだってあり得る。そうなった時に役立つのは筋肉だ……もしかしたら艦(ふね)から逃げ出すような時に、障害物をどかす必要に迫られるかもしれないしな!」

メッセ教官「…それじゃあ最初は名簿順で練習をして、それから順番を入れ替えて行くぞ……始め!」

提督「よろしくね、ルクレツィア?」

カサルディ提督「はいはい。まぁ軽くやってあげる……それじゃ、行くよ!」両手を前に突きだし、中腰になってタックルをかけるカサルディ提督…

提督「わっ…!?」

カサルディ提督「ほら、肩をマットにつけられないように抵抗しないと…負けになっちゃうよ?」(…うわ…やっぱり胸とか柔らかい……///)

提督「わ、分かっているけれど……んぅっ、ふぅ…んっ!」…小柄ながら引き締まったカサルディ提督に組み敷かれ、じたばたともがく提督…頬を紅くして、聞きようによってはなまめかしく聞こえる声で喘いでいる……

カサルディ提督「…ふっ、ん!」(…やば……何か変な気分になってきた…///)

提督「…はぁっ、ふぅ…んくぅ///」

カサルディ提督「ほら、どうにか振りほどかないと……///」

提督「ん…っぁ…///」

475 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/02/12(火) 11:26:09.97 ID:eJpFSNv00
カサルディ提督「ほぉら、しっかりしないと……っ///」もにゅ…♪

提督「んぁ…はぁっ、あふっ……///」

カサルディ提督「…」本人は必死に抵抗しているらしい提督の甘い声を聞いて、妙な気分になってきたカサルディ提督……上からのしかかってがっちりとホールドすると、柔らかい胸やふとももがぐいぐいと当たってくる…

提督「んっ、んんっ……///」

カサルディ提督「…あのさ、フランチェスカ」

提督「…んぅ、振りほどけない…っ……なに、ルクレツィア…っ?」

カサルディ提督「……あとで頼みがあるんだけど///」

提督「わ、分かったから……んぐぐ…ぅ…!」

メッセ教官「よーし、そろそろ次だ……カサルディ候補生、もうその辺でいいぞ」

カサルディ提督「はい、教官! …ほら、立てる?」

提督「はーっ、はーっ……もう…全然振りほどけない……」

メッセ教官「よーし、一つずつ場所をずらしてもう一回だ…始めっ!」

提督「はぁ、ふぅ……よろしくね?」

候補生(金髪ショート・百合)「こちらこそ♪」やたら優しい手つきで、提督の手を包み込むように握手する…

提督「それじゃあ……」

候補生(金髪)「やっ!」

提督「ぐっ……でも私だって、そうそう負けてばっかりって言うわけにはいかないもの…っ!」

候補生(金髪)「へぇぇ、言うじゃない……でもスキだらけよ!」長身で腰高な提督は下半身へのタックルを防ごうと中腰で前かがみになる…が、無理な姿勢になって身体のバランスが崩れ、組みつかれるとあっさりひっくり返った…

提督「!?」

候補生(金髪)「…さぁ、どうする?」

提督「まだまだ…っ!」

候補生(金髪)「ふぅん、そう…♪」提督をしっかり押さえ込みながら、首筋をぺろりと舐めた…

提督「ひうっ!?」

候補生(金髪)「ほぉら、早く振りほどかないと♪」提督の耳元に顔を寄せ、深呼吸するように髪の匂いを吸い込んだ…

提督「あっ…ん……もうっ///」

候補生(金髪)「…教官に気づかれちゃうから声は出さないでよ?」

提督「ええ……あふっ///」

候補生(金髪)「…もう、言ってるそばから……でもいい声で鳴くじゃない、フランチェスカ…♪」

提督「そんな…んんぅ……こと…はぁ……言われても…声が…んぅ…出ちゃうものは……仕方ないでしょう…んぁっ……///」

候補生(金髪)「……くすくすっ…フランチェスカってば誘い受けが上手なんだから♪ …うんと可愛がってあげる♪」

提督「……ふぅん、そう…」

候補生(金髪)「っ!?」

提督「……ねぇ、誘い受けはどっちだったかしら♪」長身のむっちりした身体を活かしてのしかかると、耳元にささやき返した…

候補生(金髪)「うっ、あんっ…♪」

提督「…私だって負けっぱなしは嫌だもの……ふふ、このままだと私のフォール勝ちね♪」

候補生(金髪)「…あふぅ、はぅ…ん///」

メッセ教官「お…いいぞ、カンピオーニ候補生。そのまま押さえこめ!」

提督「はい、教官…っ!」

候補生(金髪)「んぐぐぅ…♪」

メッセ教官「そこまで! カンピオーニ候補生、お前は長身なんだからそうやって押さえこめば相手は動けないぞ。その調子だ…それよりお前はどうしたんだ。いつもより力を抜いてなかったか?」

候補生(金髪)「いいえ、そんなことありません!」

メッセ教官「ふざけているとケガするぞ…諸君、遊び感覚でやるなよ」
476 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/02/18(月) 22:40:34.67 ID:cVER7DxN0
ずいぶんと投下できずにいてすみませんでした。この一週間近く、この頃はやりのインフルエンザというやつに(ちゃんとワクチン打ったのに…)かかっておりまして…まだトップヘビーの軍艦そこのけにフラフラするので続きは数日後からにしますが……皆さまもよくよく気を付けて下さいね


いやぁ、インフルエンザって、本当にツライものです…食事も喉も通らないので、ヨーグルト、すりリンゴ、ゆで卵……とかそんなのばっかりでした…
477 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/19(火) 14:12:02.77 ID:A6SsrBTBo
お、乙。
478 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/02/21(木) 00:53:15.88 ID:THTswjTm0
>>477 どうぞそちらも気を付けてくださいね

…それではまたちょっとずつ投下していきます……百合百合しているのあんまり書いていませんが、まぁまたそのうちにやりますので…
479 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/02/22(金) 02:28:41.13 ID:Bu7WLzZG0
…運動後・更衣室…

候補生(金髪)「そう言えばさ、エレオノーラって変わってるよね?」

…トレーンニングウェアを脱いで、濃緑色の軍用スポーツブラとショーツ姿で提督に話しかけてきた金髪ショートの候補生……周囲では数人ずつ「助け合いグループ」だったり「優等生トリオ」、「落ちこぼれ班」や「おしゃべりの噂好き」など、気の合う候補生同士で助け合ったり課題を教え合ったりするグループのような物が出来上がっていて、提督は仲のいいカサルディ提督とは別に「百合・ビアン」グループとも時々おしゃべりする……

提督「…そう?」

候補生(金髪)「うん、だってどんな女性(ひと)が好みか、とか…聞いたことないでしょ?」

提督「ええ」

候補生(レズ・黒髪ポニーテール)「言われてみれば……フランチェスカはエレオノーラから恋人の話とか、何か聞いたことある?」

提督「んー…特にないけれど、少なくともどっちかと言われたら「そう」だと思うわ」

候補生(黒髪)「あー、やっぱりそう思う…?」

提督「ええ…エレオノーラって親切だけれど異性にモテようとしてベタベタ媚びている感じはないし、メイクも上手いけれどけばけばしくはないし……」

候補生(黒髪)「うぅん…でもそれとなく誘ってみたんだけど、あんまり食いついてこないのよねぇ……」

候補生(金髪)「誘い方が露骨すぎて呆れられちゃったんじゃない?」

候補生(黒髪)「もう、失礼な事言うわね…フィレンツェ人の私がそんな野暮なわけないでしょ?」

提督「まぁまぁ、二人とも……ひゃぁっ///」ぎゅむっ…♪

カサルディ提督「お疲れ、フランチェスカ。さっきは頑張ってたじゃない…それにしてもすっごいね///」背中に身体をくっつけ、柔らかい乳房の下に手を回し、ぽよぽよと軽く跳ね上げる…

提督「もう、ルクレツィアってば…このところちょっと触り方が過剰じゃない?」

カサルディ提督「あー、うん……いや、その…さっきも言いかけたけど……///」

提督「?」

カサルディ提督「えーと、だからさ……あぁもう! …つまりね、おっぱい触らせて欲しかったの///」

提督「…別に構わないけれど?」

カサルディ提督「いや、ちょっとおかしなことを頼んでるのは分かっ……え!?」

提督「触ってみたいのなら構わないわ……あんまり強く握りしめたりしないなら、どうぞ?」

カサルディ提督「いや、そんなあっさり…いいの?」

提督「ええ」

カサルディ提督「そ、そっか……それじゃあ、後で…///」

提督「ん?別にここでいいじゃない。ここにいる二人は大丈夫だから…ね、そうでしょう?」

候補生(金髪)「ええ…それにしてもルクレツィアは意外だったかな♪」

候補生(黒髪)「ふふ、私は最初からそうだと思っていたわ…ルクレツィアはボーイッシュだし、女の子にモテそうだもの♪」

カサルディ提督「…いや、えーと……何の話よ?」

提督「ふふ、気にしないで…さ、どうぞ♪」ぱちりとウィンクをしてカサルディ提督の手に自分の手を重ねると、ずっしりとした自分の乳房に誘導して、優しく揉ませる提督…

カサルディ提督「うわ、うわうわうわ……なにこれ、柔らか…っ!」

提督「ふふ、気に入った…?」

カサルディ提督「うん……すっごいね、女性の身体ってこんな具合なんだ…///」

候補生(金髪)「ルクレツィアだって女でしょ…♪」

カサルディ提督「いや…だって私ときたら日に焼けてるから色は浅黒いし、おまけに手は骨ばってるし、おっぱいは堅いしでさ…女の人ってこういう感じなんだね……///」

候補生(黒髪)「ふふ。就寝前の自由時間に私たちの部屋に来てくれたら、他にも「色々」教えてあげるけど?」

カサルディ提督「…いや、それはいいかな。フランチェスカのおっぱいだけでいいし……///」

候補生(金髪)「ぷくくっ……さすが『フィレンツェ人は野暮じゃない』ね、見事な口説き方だことで♪」

候補生(黒髪)「もう、余計なお世話よ…!」

480 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/22(金) 15:13:47.98 ID:QeVqwEAco
(レズ)、草
481 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/02/23(土) 02:00:03.05 ID:34ENsGg20
…日曜日…

提督「…ふーん、ふーふーん♪ …やっとお出かけ出来るわね、ルクレツィア?」

カサルディ提督「ようやくの週末だもんね……それにしてもそっちはツイてなかったね」

ベルガミーニ候補生「ええ、まさか「道具の手入れの仕方が悪い」って外出許可が取り消されるなんて…運がないわ…」

カサルディ提督「ま、何かお土産でも買ってきてあげるからさ」

提督「お菓子とか甘いものが食べたいでしょう? 買ってきてあげるから…今度は先輩候補生に見つからないように上手く隠してね♪」

ベルガミーニ候補生「二人ともありがと……泣けてきそうよ…」

提督「そこまでありがたがらなくたっていいのに…それじゃあ、行ってくるわ♪」運のないベルガミーニ候補生の頬に軽くキスをすると、足取りも軽く部屋を出た…

………

…リヴォルノ市街…

提督「それじゃあね?」

カサルディ提督「うん、また宿舎で」

提督「ええ。 んー、久しぶりの私服にチャイムに追われない自由なひととき…やっぱり外出っていいものね♪」


…日頃から規律や身だしなみについてやかましく言われている分、自由に過ごせる週末が何より嬉しい候補生たち……街角のカフェや商店は一週間分の購買欲とお金を貯め込んだ候補生たちを相手に商売に励み、通りのあちこちには立ち居振る舞いを見ただけでそれと分かる士官候補生たちがうろうろしている…


提督「それじゃあ最初はお買いものでもして…それからカルラのために何かお菓子でも見つくろってあげるとしましょう……その前に、まずはゆっくりコーヒーでも飲みたいわね…」提督はちょうど目についた小さなオープンカフェへ立ち寄ることにした…

…カフェ…

カフェのオヤジ「いらっしゃい、候補生さん! …何にします?」

提督「えーと…ここのおすすめは?」

オヤジ「ならエスプレッソとティラミスだね。すぐ用意するから待ってな」

提督「グラツィエ……って、あら♪」

シモネッタ提督「…シニョーレ、エスプレッソをもう一杯」ペールグレイのスラックスに白い上品なカットソーを組み合わせ、革カバーの文庫本片手に優雅な仕草でカップのコーヒーをすすっているシモネッタ提督…ゆるくロールさせた髪もおしとやかで、休日を精一杯楽しもうとあくせくしている候補生たちとは違って品がいい…

オヤジ「はいはい、少し待っててね…ジュリア、お客さんにおかわりを持って行って!」

カフェの娘「はーい…お待たせしました、お姉さん!」

シモネッタ提督「グラツィエ、シニョリーナ(お嬢さん)…♪」見たところ十代の前半と言った、可愛らしいお嬢さんがお盆に載せたエスプレッソを持ってくると、にこやかに娘の頬を撫でた…

提督「……まさかね」

娘「いいえ、いつもありがとうございます。お姉さんってば綺麗で優しいし…あこがれちゃいます///」

シモネッタ提督「まぁまぁ…そんな風に言ってもらえるとお姉さんも嬉しいわ……ねぇ、よかったらこの後一緒にお出かけでもしましょうか…♪」優雅な雰囲気ではあるが、妙に息づかいを荒くさせている…

娘「ごめんなさい、まだうちの手伝いをしなくちゃいけなくて…でもありがとね、お姉さん♪」

シモネッタ提督「いいのよ……良かったら何かお話でもしましょうか、ね?」

娘「うーん……ちょっとお父さんに聞いてくるね?」

シモネッタ提督「ええ、そうね…」

娘「……お父さん、しばらくならお話してていいって…それじゃあお姉さん、何のお話をしようか?」

シモネッタ提督「ふふ、何だってかまわないわよ…さ、ここに座って……お姉さんの食べかけで良ければ、タルトもどうぞ♪」シモネッタ提督はカフェの娘を向かいに座らせると、いつものしとやかな微笑みはどこへやら、デレデレとにやけた笑みを浮かべて、女の子が脚をぶらぶらさせながらタルトを食べる様子を見ている…

提督「…なるほど、道理で色恋の噂がたたないわけね……それにしても…」

シモネッタ提督「どう、美味しい?」

娘「うん、美味しい…ほら、お姉さんも♪」

シモネッタ提督「まぁ、ありがとう……むふふっ、女の子が使ったフォーク……んふっ♪」

提督「…頭脳明晰で運動もそつなくこなし、その上おしとやかなあの「シモネッタ候補生」がきわめつきのロリコンとは……世の中分からないものね…」

シモネッタ提督「んー、幸せな時間だったわ……また週末になったら来るわね♪」

娘「待ってるね♪」

シモネッタ提督「ええ、チャオ…♪」
482 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/02/26(火) 11:03:13.90 ID:Il5ow7rZ0
提督「…」(見なかったことにしましょう…)

シモネッタ提督「あら、フランチェスカ…あなたもカフェで休憩?」

提督「!?」

シモネッタ提督「ここのエスプレッソは格別よね。マスターの腕がいいし、豆も上等だもの」

提督「え、ええ…初めて入ったけれど、いいお店ね」

シモネッタ提督「あら、初めてだったの? だとしたらいいお店を見つけたわね♪」

提督「そ、そうね…」

シモネッタ提督「この後、何か予定はあるの?」

提督「え、えーと……カルラのために何かお菓子でも買ってきてあげようかと…酒保のお菓子は美味しくないし食べ飽きちゃっているだろうから……」

シモネッタ提督「カルラ? …ベルガミーニ候補生のこと?」

提督「ええ。同室なのだけれど用具の手入れが悪かったから、今日の外出が取り消しになっちゃって…」

シモネッタ提督「あらあら、ツイてないのね」

提督「そうなの、カルラったらことごとくそうで…教官が見ている時に限って失敗したり、たまーにロッカーの整理整頓をサボった時に限って先輩たちの点検を受けたり……」

シモネッタ提督「そう言う人っているわよね…ところで、良かったら私もフランチェスカのお買い物にご一緒してよろしいかしら?」

提督「それはいいけれど……」

シモネッタ提督「…エレオノーラでいいわ、フランチェスカ♪」

提督「そう…エレオノーラは自分の用事は済ませたの?」

シモネッタ提督「ええ、私は天使と甘い時間を過ごしたから今日の用事はもう済んだわ……と言っても、貴女には何のことか分からないかしら♪」

提督「えー、まぁ…そうね」(…どう考えてもさっきの「アレ」よね)

シモネッタ提督「…それにね、フランチェスカ…私、貴女に少し興味があるの♪」頬に手を当ててにっこりとほほ笑むシモネッタ提督…

提督「え…私!?」

シモネッタ提督「ふふ、勘違いしないで? フランチェスカはいい人だし綺麗だとは思うけれど、私は貴女と「そういうこと」をしたいとは思わないわ♪」

提督「そ、そうよね…」(うーん…美人のロリコンお姉さんに面と向かって「興味ない」と言われて、嬉しいような悲しいような……)

シモネッタ提督「実はね、貴女と一つ「協定」を結べないかと思って…ちょうどいい機会だし、話を聞いてもらえるかしら?」

提督「協定?」

シモネッタ提督「ええ…実はね、同期や先輩方の中には私に思慕の情を寄せてくれる女性(ひと)がいるのだけれど、私の好みから言うと……正直あまりタイプじゃないの」

提督「……でしょうね」

シモネッタ提督「だけど、フランチェスカは優しくて穏やかな性格だし、顔だって綺麗だから……よかったらそう言う「お姉さま方」と仲良くなってはもらえないかしら?」

提督「それって、つまり…」

シモネッタ提督「そういうこと…私の好みのタイプがどんなか、フランチェスカも薄々気づいているでしょう?」

提督「まぁ、ある程度は……」

シモネッタ提督「ならお互いにタイプじゃない女性の思いをそれぞれ私…あるいはフランチェスカ、貴女に向けるようにしたら好都合じゃないかしら……どう?」

提督「うーん…でも人の恋心をそういうモノみたいにやり取りするのはちょっと……」

シモネッタ提督「でも、その娘たちはかなわぬ思いに身を焦がさずに済むし、私たちはお互いに好みの娘を集められるじゃない?」

提督「まぁ、それはそうかも知れないけれど…」

シモネッタ提督「…別に無理にとは言わないけれど……フランチェスカの好きそうなお姉さま方を何人か知っているわよ?」指の爪を眺めながら、さりげなくつぶやいた

提督「……ほんと?」

シモネッタ提督「ええ♪」

提督「エレオノーラ…」

シモネッタ提督「なーに、フランチェスカ?」

提督「協定…締結するわ///」

シモネッタ提督「そう言ってくれると思っていたわ…よろしくね、フランカ♪」
483 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/26(火) 23:26:23.64 ID:5KVeZHSno
来てた。乙々
484 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/03/02(土) 02:25:49.50 ID:Wn+65SVt0
>>483 どうもお待たせしています…インフルは治りましたが今度は家族がかかったりとてんやわんやで……自分でも何を書いていたか忘れてしまいそうです…

…投下はまた数日後になってしまいますが、これから提督たち「士官学校の女たらし」三人組が士官学校の先輩・同期・後輩たちを食べ散らかして大暴れする予定です…(笑)
485 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/02(土) 12:12:54.89 ID:Qiaoz6hSo
期待
486 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/03/04(月) 01:03:24.34 ID:CXzZgPpA0
>>485 書き溜めもなければ(資料はあり)投下も遅いのに、そう言っていただけると嬉しいです…頑張ります


そう言えばひな祭りだったので、はまぐりの潮汁とちらし寿司を楽しみました…もっとも、近場のスーパーにははまぐりがなかったのでデパ地下の鮮魚店で奮発することになりましたが……

そう言えば「貝合わせ」ってはまぐりの殻でやるものなんですよね……あ、「貝合わせ」(意味深)とかそういう意味ではないです(笑)
487 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/03/04(月) 02:30:27.94 ID:CXzZgPpA0
…一か月後…

シモネッタ提督「国際法の講義お疲れさま……ねぇフランカ、今夜の自由時間って空いているかしら?」

提督「ええ、別に教本を読むか部屋のみんなでおしゃべりするぐらいだけれど…どうしたの、エレオノーラ?」

シモネッタ提督「それがね…また「協定」を実行する必要が出てきたの」

提督「あら、また? 本当にエレオノーラったら先輩方に受けがいいわね♪」

シモネッタ提督「好みでもない先輩諸氏に好かれたって困るわ……とにかく、今夜の自由時間に「海軍史を教えてあげるから部屋に来ない?」って誘われているから、いつも通り先輩が貴女に夢中になるよう上手くたらしこんで?」

提督「もう、私だって年上なら誰だっていいわけじゃないのよ? …でもまぁエレオノーラのためだものね。仕方ないわ」

シモネッタ提督「ありがとう、助かるわ…ところで、私好みの可愛らしい娘は?」

提督「うーん……エレオノーラのおめがねに叶いそうな「できるだけ小柄で可愛いらしい、初心な候補生」って言われてもね…注文が厳しいわ」

シモネッタ提督「そう…でもこれだとフランカ、貴女が一人で得をしているわよね」わざとむくれたように唇を尖らせるシモネッタ提督…

提督「そんなこと言われても……この間だってマリアを紹介してあげたじゃない。それでもだめなら、今度の日曜日にご飯でもおごりましょうか?」

シモネッタ提督「ふふっ、冗談よ……私と貴女の仲だもの、ね♪」

提督「はいはい…ところでルクレツィアの事なんだけれど」

シモネッタ提督「この間話していたカサルディ候補生のこと?」

提督「ええ…どう思う?」

シモネッタ提督「いいんじゃないかしら…私たちと違ってボーイッシュでさっぱりした感じのタイプだし」

提督「ええ。あ、言っているそばから当の本人が……ルクレツィア、ちょっといいかしら?」

カサルディ提督「あ、フランチェスカにエレオノーラ…お疲れ。もう、身動き一つしないで講義を聞いているのはつらかったわ…カッター漕艇とか海に出られる実習がやりたいよね」

提督「うぇぇ、お願いだから勘弁して…前回のカッター実習の後、身体中きしんで寝られなかったのよ……」

カサルディ提督「私みたいながさつな漁師の娘と違って、フランカは箱入り娘だもんね…で、何のご用?」

提督「ええ、実はルクレツィアにも相談しようかと思って…」

カサルディ提督「何を?」

提督「…私とエレオノーラが女性のことが好きなのは、ルクレツィアもよく知っているわよね?」

カサルディ提督「まぁね……実際、私だって何だかんだで女の子は嫌いじゃないわけだし…///」快活で開けっぴろげなカサルディ提督にしては珍しく、小声でぼそぼそとつぶやいた…

提督「そこでなんだけれど、私とエレオノーラは色んな候補生たちと「仲良くなろうと」思ってに色々手回ししているのだけれど……ルクレツィアも一緒にどうかしら?」

カサルディ提督「うぇ…っ!?」

提督「ふふ、別に無理に力でねじ伏せるような事をしているわけじゃないのよ? …そもそもルクレツィアだってよく知っているように、私の腕力は大したことないもの…ね、エレオノーラ?」

シモネッタ提督「ええ……ただ私たちは、同性の「親しいお友だち」が集まりやすいようにお膳立てをしているだけなの♪」

カサルディ提督「…えーと、フランチェスカ……」

提督「なぁに?」

カサルディ提督「その…そういう女の子の中には……さ」

提督「ええ」

カサルディ提督「……フランチェスカみたいに…おっぱいが大きい娘もいるんだよね///」

提督「ええ♪」

シモネッタ提督「ふふ、もちろん…色んなタイプの人がいるわ♪」

カサルディ提督「…よし……それじゃあ私も乗った!」

提督「ふふっ、よろしくね♪」

シモネッタ提督「貴女が協力してくれるって言ってくれて嬉しいわ♪」

カサルディ提督「いや…だって二人と違って、私はつい最近まで自分がこんなおっぱい好きだなんて思ってなかったし……しかもこういう悩みって打ち明けにくいしさ、同じような仲間がいて良かったよ///」

提督「ふふ、ルクレツィアが目覚めたのはあのレスリング授業の時だものね…♪」

カサルディ提督「つまりフランチェスカのせいってこと……だからさ、おっぱいの大きな女の子がいたら紹介してよ。私も二人が気に入りそうな娘とかいたら教えてあげるから…さ///」

提督「ええ♪」
488 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/03/07(木) 03:20:22.29 ID:OZH//s+E0
…就寝前の自由時間・先輩候補生の部屋…

先輩候補生(ブロンド・短髪)「いらっしゃい。よく来てくれたわ、シモネッタ候補生……と、そちらは?」

シモネッタ提督「シモネッタ候補生と同期のカンピオーニ候補生です。 …その、エレオノーラと一緒に海軍史の補習を受けたくて……あの、ご迷惑だったでしょうか?」

先輩「あぁ、いえ! どうせ勉強するならお友だちと一緒の方がいいものね…それに勉強熱心なのはいい事よ、カンピオーニ候補生」

提督「はい、その…候補生どのもご自分の勉強があるのに、わざわざお時間を割いて下さって……ありがとうございます///」

先輩「ふふ、そんな堅苦しくしなくても「先輩」でいいわよ。それにルームメイトにはこの時間を他の部屋で過ごしてくれるよう頼んでおいたから、貸し切りみたいなものだし…教本は持って来た?」

シモネッタ提督「はい」

先輩「結構! ならさっそく勉強しましょうか…ちなみに次の試験範囲はどこなの?」

シモネッタ提督「え、えーと…フランチェスカ、貴女は覚えている?」

提督「……確か「第一次大戦における列強海軍の主だった海戦」についてだった気がするわ…」

先輩「なるほどね……カンピオーニ候補生は海軍史が得意?」

提督「えーと…苦手ではないですけれど、せっかくならより詳しい先輩に教えていただきたいなと思って、ついてきてしまいました…その、ごめんなさい…」

先輩「いいのいいの、候補生として後輩たちを指導するのは先輩の務めよ♪」

(…ふぅん…エレオノーラと二人きりになりたかったのに、勝手についてくるなんてとんだ邪魔が入ったと思ったけれど……こっちの娘も意外とネコっぽくていいじゃない…♪)

提督「それでは、よろしくお願いします」

(…むぅ、この先輩は百合とかそんなに詳しくない感じね……なんだかファッションでやっているというか「先輩、先輩っ♪」って後輩たちにきゃあきゃあ言われたがっているだけみたい……そう言うのはあんまり好きじゃないわね…)

先輩「それじゃあ机はそこのを使っていいから…かけて?」

シモネッタ提督「はい」

提督「ありがとうございます…先輩///」

…しばらくの間、二段ベッドの脇にある先輩たちのスチールデスクに向かい、分厚い海軍史のテキストをめくる提督たち……先輩候補生は親切なお姉さんぶりながら二人のノートをのぞきこんだり、椅子を持ってきて二人の間に座ると、さも意識していないように提督たちの腕や背中に胸が当たるようにしてみたり、馴れ馴れしく手を重ねたりしていた…

シモネッタ提督「あ…ごめんなさい、ちょっと化粧室に……」

先輩「ええ、行ってらっしゃい…フランチェスカ、あなたは?」

提督「はい、大丈夫です」

先輩「なら続けましょうか……エレオノーラ、あなたが戻ってきたらさっきのページの答えを添削してあげるわね」

シモネッタ提督「はい、お願いします」(…それじゃあ頼んだわね♪)

提督「行ってらっしゃい」(ええ…♪)

先輩「じゃあ続きをしましょう…何かお菓子でもあればよかったわね♪」

(…確か「フランチェスカ」って言ったわよね…ふふっ、見れば見るほど可愛いじゃない……何だったらエレオノーラの代わりにこの娘を私の「特別な後輩たち」に加えてもいいわ…♪)

提督「いえ、そんな…先輩の時間を使わせてしまっているのは私ですから……それと、先輩」

先輩「はい、なぁに?」

提督「テキストの「ユトランド沖海戦」に関するこの問題が分からなくて…「帝政ドイツ艦隊と英艦隊との交戦においてドイツ戦艦の被害はイギリス側より少なかったが、その理由を『水平防御』の語を用いて記述せよ」とあるのですが…」

先輩「あぁ、それはね……」むにゅ…♪

提督「……あ、あの…」

先輩「どうしたの?」

提督「…その、胸が……///」

先輩「あら、ごめんなさい…でも女同士なんだし、気にすることはないじゃない♪」

(さぁ、フランチェスカはどうかしら…でもこの感じ、手ごたえがあるわ……♪)

提督「いえ…それは……そうですけれど…///」

(いよいよ仕掛けてきたわね……んー、でも顔は綺麗だし、誘い受けって考えたらこういう露骨な誘惑も可愛く見えないこともないし……ふふっ、そう考えたらこの先輩も…うん、いいわね♪)


489 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/03/09(土) 02:14:05.57 ID:bMcJPLgn0
…すみません、訂正が一つ…

488の二行目「シモネッタ提督」は「提督」です。途中で書きかえたりするからこういうことが起きるんですよね…反省しております…


490 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/03/09(土) 03:26:48.08 ID:bMcJPLgn0
先輩「ふふ…さっきから顔が赤いわよ、フランチェスカ?」

提督「いえ、だって…先輩の顔が近い…から…///」

先輩「ふーん…なら、あなたのここはどきどきしているのかしら?」そっと提督の胸元に手を当て、鼓動を確かめるそぶりをする先輩…

提督「あ、あっ…///」

先輩「ふふふ、私の手にあなたの心臓の音が伝わってくる……大丈夫よ、すぐやみつきになっちゃうから…ね♪」あごに手を当てて、軽く顔を上げさせた…

提督「せ、せんぱい…///」

先輩「いいのよ、私に身を任せて。何も心配いらないわ……んっ♪」

提督「んぅ…っ♪」

先輩「ん…ちゅっ……ぷは♪」

提督「…」(え…これだけ?)

先輩「…ね、気持ちいいでしょう?」(ふふ、これでもうすっかり私にメロメロね…♪)

提督「えーと…その……」

先輩「どうしたの? そんなによかった?」

提督「ふぅ……あむっ♪」

先輩「んっ♪」(ふふ、この娘ったら積極的…きっと私のキスに参っちゃったのね♪)

提督「…んちゅっ…ちゅぅぅっ、ちゅるぅぅっ…ちゅくっ、んちゅぅっ♪」(…さてと…それじゃあ独りよがりの先輩に、本当の甘いキスがどんなものか教育してあげないとね♪)

先輩「ん……んぅっ!?」

提督「あむっ、ちゅぅぅ♪ …ちゅる…ちゅぅぅっ、んちゅぅ、ぢゅっ…♪」

先輩「んんぅぅ…ん゛ぅ゛ぅぅっ!」

提督「んむっ、ちゅぅぅぅ…ちゅくっ、ちゅぽっ……んはぁ…ちゅぅ、ちゅぷっ……んちゅるぅっ♪」

先輩「ぷはぁっ! ちょ、ちょっと待っ…んぐぅ///」(こ、この娘…上手過ぎ…っ! …すごい舌が絡まって来て……キスだけなのに…イきそうっ///)

提督「んちゅぅぅ…れろっ、ちゅぱ……んふっ、ちゅぅぅぅ…っ♪」

先輩「ぷはぁっ…! お願いだから息をさせ…んむっ!」

提督「んむっ、ちゅうぅぅっ……ぷはぁ♪」

先輩「はひっ…はふぅぅ……///」椅子からずり落ちて、脚を広げてぺたんと床にへたり込む先輩…口を半開きにして瞳をとろんとさせ、力なく崩れている…

提督「ふふっ…本当のキスはどうでしたか、先輩?」

先輩「はひぃ…あふぅ……も、もう…腰が……抜けて…///」部屋着として決められている灰色のスウェットにじんわりと染みが出来ている…

提督「…ふふっ、でも気持ちいいのはここからですよ……先輩♪」

先輩「え…///」

提督「まだ時間はありますし……ね♪」スイッチの入った提督の瞳が爛々と光り、さっきまでの柔らかい微笑みがいやらしい笑みに変わった…そのまま先輩候補生の上にまたがり、床にゆっくりと押し倒す…

先輩「いえ、今日はこれでいいから…ね、また今度……」

提督「ふふっ…だめですよ、先輩。あなたが百合に免疫のない候補生を誘惑しては、自分の取り巻きにしていたのは知っているんですから……せめてお互いに気持ち良くなれるやり方は覚えましょうよ…ね♪」

先輩「いえっ、その…っ///」

提督「ふふっ、大丈夫ですよ…優しく手ほどきしますから♪」するりとスウェットの裾から手を入れて、海軍制式のスポーツブラ越しにゆっくりと乳房をこね回した…

先輩「はひっ、あぁ…っ♪ んぁ…っ♪」

提督「ん…ちゅっ♪」左手で固くなった乳首をつまみながら唇を重ねて舌を絡め、右手の長い人差し指をねっとりと濡れた花芯にそろそろと入れていく…

先輩「ふぁぁっ…はひゅ……あ、あっ……んぁぁ///」

提督「先輩、せっかくのキスをあんな雑にしてはダメですよ。あれではエトナ山みたいに熱い恋だって冷めちゃいますよ…分かりましたか?」くちゅっ、にちゅっ…♪

先輩「は、はひっ…///」

提督「ふふっ、さすがは先輩……それでは…と♪」くちゅり…っ♪

先輩「あっ、あぁぁぁ…っ♪」ぷしゃぁ…っ♪

提督「ふふ…また「海軍史」を教えて下さいね、先輩♪」

先輩「…ひ、ひゃい///」
491 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/03/12(火) 01:56:04.16 ID:KEVfMip00
…数日後…

シモネッタ提督「あら、フランカ…ちょうどよかった」

提督「んー?」

シモネッタ提督「いえ、例の「先輩」のことでお礼を言いたくて…おかげで助かったわ♪」

提督「どういたしまして……それに、案外あの先輩も悪い人じゃなかったわよ?」

シモネッタ提督「それは良かったわ。 まぁでも、年上はフランカにお任せしておくわね…♪」

提督「はいはい…そう言えばルクレツィア、あなたはどうだった?」

カサルディ提督「うん、おかげさまで可愛い娘たちとお付き合いできて大満足ってとこ。いやぁ、女の子ってもちもちふわふわで甘い匂いがして……いいもんだね」

シモネッタ提督「まぁ、おかしい…ふふっ♪」

カサルディ提督「……っ、笑うことはないでしょ…///」

提督「そうよね…エレオノーラったら、そのくすくす笑いを止めてちゃんと聞いてあげたらどうなの?」

シモネッタ提督「ふふ、ごめんなさい…でもあんまりにも正直な感想だったものだから♪」

カサルディ提督「いや、まぁいいけどさ…何しろ私は小さい島の漁師町で育ったから、よく近所のおっちゃんとか肝っ玉母ちゃんみたいな人から「いつ結婚するんだい?」みたいに言われててね…」

シモネッタ提督「まぁまぁ…それは大変だったでしょうね?」

カサルディ提督「いや、ちょっとした冗談みたいなもんだからそれ自体はいいんだけど……でも、漁師のあんちゃんたちとは男女って言うより兄弟みたいな感じだったから「付き合う」だとか、ましてや「結婚」って言うのはどうも違うように感じてたんだけど……ようやくモヤモヤしてたのが晴れた気分。ありがとね、二人とも」

シモネッタ提督「どういたしまして♪」

提督「ルクレツィアが納得できる恋が出来るようになって嬉しいわ♪」

カサルディ提督「うん。もうなんか世界が違って見えるね…♪」

シモネッタ提督「ふふ、そのようね……聞いたわよ、先週だけでミーナとジュリアをすっかり夢中にさせちゃったそうね?」

カサルディ提督「いや…別にそんなつもりはなかったんだけど……///」

提督「ふふ、でもあんな風に格好いいことを言われたら…たいていの娘は参っちゃうわ♪」

シモネッタ提督「あら、フランカは聞いていたの?」

提督「…ちょっとだけね♪」

…その前日・更衣室…

候補生(栗色・結い上げ髪)「はぁぁ、疲れた…メッセ教官ってば厳しすぎ。 …ルクレツィアもそう思うでしょ?」

カサルディ提督「うーん、別に私はそこまでじゃないと思うけどね?」

候補生(栗色)「ルクレツィアは鍛えられてるもんね……私なんて最初の体力テストからぎりぎりだったし……」

カサルディ提督「……でもさ、それで言ったらミーナは私よりもずっと立派だと思うんだよね…だって体力のある人が普通にやるより、体力がない人が全力出してる方が偉いでしょ?」肩に手を置いて顔を近づけると、真面目な表情を浮かべてそう言った…

候補生(栗色)「も、もう……ルクレツィアって真顔でそういうこと言うんだから///」きゅん…っ♪

カサルディ提督「だって本当のことだし…違う?」

候補生(栗色)「……あ、あの…ルクレツィア///」

カサルディ提督「どうかした?」

候補生(栗色)「か、顔が近いんだけど…///」

カサルディ提督「あっ…ごめんね。 …いや、ミーナってまつ毛が長いし、唇も私と違って綺麗で柔らかそうだし……いいなぁ、って///」

候補生(栗色)「ね…ねぇ、ルクレツィア……///」背中をロッカーの扉に預けて、目をつぶった…

カサルディ提督「ミーナ、それってさ…」

候補生(栗色)「…そうよ。分かるでしょ///」カサルディ提督の腰に手を回してぐっと身体を引き寄せる候補生…

カサルディ提督「そっか……嬉しいよ♪」…ちゅぅっ♪

候補生(栗色)「あむっ、あふっ……ふぁぁぁ…っ♪」

………

カサルディ提督「うわっ、あれ聞いてたの…!?」

提督「盗み聞きは無粋だから、最初の方だけね……もうルクレツィアの口説き文句ったら、聞いている私の方まで胸がキュンとしそうだったわ♪」

カサルディ提督「べ、別に「口説く」とかそういうつもりで言ったわけじゃなかったんだけど……///」
492 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/03/15(金) 01:34:44.32 ID:uTi1xhWB0
………

カヴール「まぁまぁ…提督ったら候補生の頃から年上をたぶらかすなんて……ふふ、いけませんね♪」

ライモン「本当にもう…っ///」

メッセ兵曹長「まったく、聞けば聞くほどこの三人は……」あきれたように首をふって、コーヒーをがぶっと飲んだ…

ガリレオ「やれやれ、提督たちはとんでもない候補生だったようで…ところで提督?」

提督「なぁに?」

ガリレオ「いえ、今の話を聞いていると……提督は「年上のお姉さまが好き」で合ってるわよね?」

提督「ええ、基本的に好意を寄せてくれる女性(ひと)なら誰でも愛せるけれど…ね♪」

ガリレオ「ふむふむ……で、シモネッタ提督は幼女がお好き…と」

シモネッタ提督「ええ、小さくて純粋無垢な女の子……天使っていうのはそういう娘のためにある言葉だもの♪」

ガリレオ「なるほど……で、カサルディ提督は…」

カサルディ提督「うーん、別に私は年にはこだわらないけど…しいて言えば話題の多い同年代……まぁ、できればおっぱいが大きい娘がいいかなって言う程度で…」

ガリレオ「ふむ…つまりこういう図式が出来上がるわ……」

提督「図式?」

ガリレオ「ええ…紙に描くとこんな感じよ、提督」ガリレオはさっと円を二つ書き上げた…二つの円は一部が重なっていて、片方の円に「年増」、もう片方には「幼女」と書いてあって、二つが重なるところに「同い年」と書いてある…

提督「あー…こういうの、数学で見たことあるわね」

シモネッタ提督「集合論でしょう、フランカ…もう貴女ってば、本当に数学が苦手なんだから♪」

提督「別に砲術科じゃないんだからいいわ。それに基本の航海術くらい出来るし……」

カサルディ提督「ま、怪しいところだけどね」

提督「もう、失礼ね……」

リベッチオ(ヴェネツィア)「ねぇねぇ……カンピオーニ提督、カサルディ提督」

提督「んー?」

カサルディ提督「どうかした?」

リベッチオ(ヴェネツィア)「うん♪ ……あのね、リベッチオは私たちの司令がどんなだったのか知りたいなぁ…って♪」

提督「あー…エレオノーラねぇ……」

カサルディ提督「うーん……まぁ、その…アレだ……」

シモネッタ提督「…ねぇ、どうして二人とも口ごもるの?」

提督「それは……だって、ねぇ…」

カサルディ提督「…まぁ、問題が多いというか……うちの娘たちに変な事は聞かせたくないしね…」

シモネッタ提督「どのみち貴女たち二人だって同じようなものでしょう?」

提督・カサルディ提督「「それはないわ」」

メッセ兵曹長「わっはははっ、これこそまさに「意見の一致」というやつだな♪」

MS16「ねぇ司令…司令の言う「変な事」ってなに?」

MS22「そうそう、気になる…それに見た目こそ小さいけど、私たちだってオトナなんだから……あんまり子供扱いしないでよね?」

カサルディ提督「あぁもう、これだから話したくないんだ……全くもう!」

ライモン「あの、提督……シモネッタ提督の話ですが、わたしが聞いても大丈夫でしょうか…?」

提督「あー…その、まぁ……別にライモンも子供じゃないわけだし、犯罪とかそういう話ではないから……」

カサルディ提督「怪しいところだけどね…この話をちょっとでも聞かれたら、間違いなく「査問会案件」で憲兵か法務官が駆け込んでくるとは思うわ……」
493 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/15(金) 17:27:56.18 ID:PwvuK7Vco
494 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/03/18(月) 01:52:53.11 ID:LWgXHgoU0
>>493 ここまででもずいぶん長くなってしまいましたし、投下も遅いのでお待たせしております…

…まだしばらくは提督たちのおしゃべりが続きますが、時間的にはまだお昼にもなっていませんので、久しぶりに何か料理の描写も入れていきたいです…ご期待ください(笑)
495 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/03/18(月) 02:53:52.94 ID:LWgXHgoU0
提督「とはいっても…どのみちここまで話したなら同じじゃないかしら?」

カサルディ提督「あれか「毒食わば皿まで」…ってやつ?」

提督「ええ、まぁ」

カサルディ提督「あー、それもそうか…それにエレオノーラの事を話せば、私たちの罪状が軽く見えるようになるもんね♪」

シモネッタ提督「もう…失礼なことを言うわね?」

カサルディ提督「まぎれもない事実でしょうが……この変態のロリコン…」

提督「まぁまぁ……それじゃあ話すとしましょう。エレオノーラも付け加えがあったら言ってね?」

シモネッタ提督「ええ、そうさせてもらうわ♪」

カサルディ提督「私たちが知っている分だけで充分なのに、それに付け加えるのがあったら……うへぇ…」

提督「まぁ、そう言わずに……えーと、あれは私が例の先輩候補生と「仲良く」なった後のことで…」

………

…シャワー室…

提督「ふー…いい気持ち♪ ……本当はたっぷりのお湯につかってゆっくりしたいところだけれど、士官学校でそれは無理よね…」

カサルディ提督「そうだね…まぁ身体をきれいにするのに湯船はいらないし、フリゲートとかで暮らすなら節水にも慣れないといけないからね。…ま、これも訓練だと思って諦めなよ」

提督「ええ……あー、時間を気にしないですむ家のお風呂とご飯が懐かしいわ」

カサルディ提督「フランチェスカのお母さんって料理上手だしね。この間、実家から送ってもらったお母さんの手づくりお菓子を分けてくれたでしょ…あれすっごく美味しかったもん……よかったらまた分けてよ?」

提督「ふふ、今度の手紙にそう書いておくわ…そうしたらきっとお母さまのことだから、喜んでルクレツィアの分も送ってくれるわ♪」

カサルディ提督「それじゃあフランチェスカには早く手紙を書いてもらわないとね…♪」

提督「もう、せかさないで…身体中ベタベタするから、出来るだけ長く浴びていたいの」

カサルディ提督「はははっ、わかるわかる。私も運動は得意な方だけど、汗ばむのだけはいただけないもんね…背中、流そうか?」

提督「…仕切りで区切られているのに?」

カサルディ提督「フランチェスカの長話につき合ってたら全身洗い終わっちゃったから……それにフランチェスカは髪の毛が長いしさ、時間かかるでしょ?」

提督「ええ、まぁ…」

カサルディ提督「それじゃお邪魔しまーす、と。……相変わらず最高のおっぱいだね♪」もにゅ…♪

提督「あんっ…もう、最初からそれがしたかっただけでしょう///」

カサルディ提督「まぁね……って、ねぇ…あれ」

提督「?」

カサルディ提督「あっち…エレオノーラとマリアじゃない?」

…カサルディ提督があごをしゃくった先には、やはり一つのシャワーブースに入って洗いっこをしているシモネッタ提督と、もう一人同期の候補生がいる…

提督「あー…そうね」

カサルディ提督「相変わらず仲がいいんだね…まぁ当然ちゃあ当然か」

提督「ええ…幼女好きで優雅なエレオノーラと、甘えたがりで童顔のマリア……」

カサルディ提督「…肉とワイン、パスタにオリーヴオイルって所だよね」

提督「エレオノーラに紹介したのは私だけれど、あんなに上手く行くとは思ってなかったわ……喜ぶべきなのか、それとも後悔すればいいのやら…」

カサルディ提督「ま、そこまで気に病むことはないんじゃない? …フランチェスカが紹介しなくたって、エレオノーラが目をつけたと思うし」

提督「…確かに」

カサルディ提督「でしょ? …あ、あの二人はシャワー終わったみたいだね……私たちもそろそろあがらないと」

提督「ええ、そうしましょう」

カサルディ提督「それじゃ、おっぱいは私が流してあげるからね」鏡越しに提督へ向かって気持ちのいい笑みを浮かべながら、張りのある乳房を「ぽよん…っ♪」と下から弾ませた…

提督「もうっ…ルクレツィアってば♪」

カサルディ提督「あはは、ごめんごめん…あんまりにも大きくてたゆんたゆん揺れてるからさ♪」
496 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/03/21(木) 02:33:23.86 ID:MEisRB7n0
…廊下…

カサルディ提督「ねぇ、フランチェスカ」

提督「んー?」

カサルディ提督「…今夜の自由時間に…したいな」

提督「ふふっ、了解……って…」

カサルディ提督「うん? どうしたの?」

提督「いえ…そこの倉庫……」


…提督の視線の先には、ドアの鍵が外れた小ぶりの倉庫がある……廊下の一隅にある倉庫は旧式の教材が収めてあるだけで大して使われていない上、宿舎へ向かう廊下を左折した先にあるので、普段はわざわざ角を曲がって立ち寄る人もいない……もっとも提督たちはスキモノの「お姉さま」方から、その倉庫の「使い方」と、一番安全な時間帯、それに壊れかけた鍵を開けるドアノブの回し方を伝授されていた…


カサルディ提督「……倉庫がどうかした?」

提督「ええ……何か声がしたような気がしたの」

カサルディ提督「あー、言われてみれば…それに、そこの倉庫ってさ……」

提督「ええ…そうよ」

カサルディ提督「…それじゃあさ、ちょっとのぞいてみる?」

提督「えぇ? ……まぁ、ルクレツィアがそういうなら…」

カサルディ提督「じゃあ「隠密接近」ってやつで行かないと…♪」

…倉庫…

提督「…相変わらず埃っぽいわね……」

カサルディ提督「…しーっ、やっぱり誰かいる」

提督「…そうみたいね……あれってエレオノーラとマリアじゃないかしら…?」


…幼女好きのシモネッタ提督を満足させるような「無垢で愛らしい娘」を士官学校で見つけるのは草食のライオンや羽音を立てるフクロウを見つけるよりも難しいが、提督は(…どういうわけかクラスに一人くらいはいる)同期とは思えない童顔の小柄な候補生をシモネッタ提督に紹介し、甘えん坊の候補生も(変態ながら)優しい「お姉ちゃん」のシモネッタ提督について回って、暇さえあればいちゃいちゃしていた……提督たち二人がふちの錆びたロッカーの陰からのぞくと、シモネッタ提督が候補生の前にひざまづいて、脚を舐めまわしている…


候補生(童顔ショートヘア・ネコ)「…んはぁ、はぁ…んっ♪」

シモネッタ提督「あぁぁぁんっ、もう…マリアったらそんな風に顔を赤らめちゃって可愛いっ♪」

候補生「らってぇ……エレオノーラおねえひゃんが…ふわぁぁぁっ///」

シモネッタ提督「あらあら…マリアったらまた靴擦れを起こしちゃって、可哀そうに……お姉ちゃんがその小さな足を舐めてあげるわね…ぇ♪」れろっ、んちゅ…♪

候補生「はひゅっ、ひくぅ…っ♪」あどけない顔をトロけさせ、がくがくと膝を震わせている……

シモネッタ提督「いいのよぉ、お姉ちゃんがいっぱい気持ち良くしてあげるからねぇ♪」ちゅっ、ぢゅぅっ…♪

候補生「ふぁぁぁ…っ、おねえひゃ……っぁ、きもひいぃよぉぉ♪」くちゅり、ぬちゅ…っ♪

シモネッタ提督「んふふふっ…つつましいお胸に小さな身体、それにつるんとしたあそこ……はぁぁぁぁ、たまらないわ…ぁ♪」両手で小さな足を包み込むと、指の間まで丁寧に舐めあげていく…

候補生「あっあっあっ……それっ、きもひいぃれひゅ…っ///」

シモネッタ提督「ふふ、それじゃあもーっと気持ちいいことしましょうねぇ♪」

候補生「ふぇ…っ?」

シモネッタ提督「ふふ、そーれ…っ♪」濃緑色の指定ショーツをずり下ろすと片脚立ちをさせて、下から顔を寄せるとつるんとした割れ目に舌を這わせた…

候補生「ひぅっ、エレオノーラおねえひゃん……は、恥ずかしいよぉ…♪」

シモネッタ提督「まぁまぁまぁ…恥ずかしがちゃって、可愛いっ♪」むちゅ、じゅるっ…れろぉ…♪

候補生「はひぃ、はあぁぁ…んっ……きもひよくってぇぇ…腰が抜けちゃいそうれす……///」

シモネッタ提督「んふふふっ、そうなったらお姉ちゃんがお部屋まで連れて行ってあげますからねぇ……むちゅっ、じゅるぅぅ…ぬちゅっ♪」

候補生「ふわぁぁぁ…おねえひゃん、しゅきぃぃ♪」

シモネッタ提督「んふっ…嬉しいっ。そんな良い子にはもーっと気持ちいいことしてあげましょうねぇ♪」

候補生「おねえひゃぁん…マリアに、いいこと……してぇぇ♪」

提督「…」

カサルディ提督「……見なきゃよかった…」
497 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/03/23(土) 03:04:25.01 ID:cgVRenAH0
………



提督「…と言うようなことがあったの」

カサルディ提督「あー、そう言えばそんなこともあったね……」

シモネッタ提督「ふふっ…それにしても、あれを見られていたとは思わなかったわ♪」胸元に垂れている髪の房をいじりながら、柔らかい笑みを浮かべている…

メッセ兵曹長「…何だ、お前たちもあの「コマシ倉庫」を使ってたのか? まったく、悪い事だけはちゃんと受け継ぐ奴らだ」

カサルディ提督「先輩諸公の教育のたまものですよ♪」

メッセ兵曹長「やれやれ、まったく度し難い女たらしどもだな……頼むから海軍参謀総長だとか大臣の娘にだけは手を出すなよ?」

提督「あー…」

カサルディ提督「…」

メッセ兵曹長「…おい、まさかとは思うが……シモネッタ、まさか「あの噂」だけは冗談だろうな?」

シモネッタ提督「…すみません、メッセ教官♪」

メッセ兵曹長「はぁ…あきれたな。風の噂で「北ティレニア海管区司令官の孫娘をたらしこんだ大バカが海軍にいる」とは耳にしていたが……あれは貴様か」

シモネッタ提督「はい♪」

メッセ兵曹長「まったく…もしも地獄の入り口を知ってたら尻を蹴飛ばして放り込んでやるところだ……」

シモネッタ提督「ふふ…お手数をおかけします♪」

リベッチオ(ヴェネツィア)「…それにしても、ほんとに司令ってば可愛い娘を見るとすぐ手を出して……そうやって色目ばっかり使ってると「めっ!」なんだからね♪」身体を寄せてシモネッタ提督の肩に頭を預けると、見上げるようにしながら手の甲をつねった…

シモネッタ提督「ごめんね、リベッチオ…でも士官学校の時は他に小さくて可愛い娘がいなかったし……ね、おわびにリベちゃんの言うこと聞いてあげるから♪」

リベッチオ(ヴェネツィア)「…それじゃあ「ちゅー」したら許してあげる♪」

シモネッタ提督「はい、喜んで♪」ちゅぅ…っ♪

リベッチオ(ヴェネツィア)「えへへっ…♪」

提督「…」

ライモン「…」

カサルディ提督「二人とも、あんなのを見ると悪影響があるからね…目をつぶってなさい」

MS16・22「「これでいい?」」

カサルディ提督「ええ、それでよし……それにしてもまったく、真っ昼間から雌犬そこのけに盛ってくれちゃって……」

提督「ルクレツィア、全国の雌犬に失礼よ…うちのルチアにもね」

ルチア「ワンッ!」

カサルディ提督「あー、ごめんごめん…お前のことじゃないからね」足下にいるルチアを撫で、それから呆れたように両手を上に向けて広げた…

カヴール「……それはそうと」

マエストラーレ(ヴェネツィア)「…むぅ……リベッチオだけじゃなくて、私たちも怒ってるんですよっ?」

グレカーレ(ヴェネツィア)「そうだよぉ、司令ってばいっつも小さい女の子にばっかり優しくして…っ」

シロッコ(ヴェネツィア)「エレオノーラおねえちゃんは私たちよりも、MAS(魚雷艇)やVAS(駆潜艇)のみんなみたいな娘の方がいいんでしょ」

シモネッタ提督「もう、そんなことはないわ……私はマエストラーレ級のみんなも大好きよ♪」左右に座っているマエストラーレとリベッチオを抱き寄せてそれぞれのふとももに手を置き、膝にシロッコを乗せてぎゅっと身体をくっつけながらグレカーレの頬にくちづけした…

カヴール「…こと女性にかけては提督もなかなかでいらっしゃいますが、これほどではありませんね♪」

提督「さすがにエレオノーラと一緒にされるのは心外よ、カヴール……それにしてもお昼前だっていうのに痴話喧嘩に惚気だなんて、これだけでお腹がいっぱいになりそう……」

カヴール「ふふ、いい食事制限になりますね♪」

提督「…むしろお昼でも食べないとやってられないわ」

ディアナ「昼食の時間まではあと二時間ほどですから…どうか辛抱なさってくださいまし」

提督「……耐えられるか不安になってきたわ」


498 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/03/28(木) 12:32:26.00 ID:J5sgj4K90
シモネッタ提督「あら、フランカったら自分だけは関係ないみたいな顔をして……あなただってなかなかだったでしょう♪」

カサルディ提督「確かに…年上が一番の好みってだけで、あとは選り好みしなかったよね」

ライモン「へぇぇ…そうなんですか、提督?」

提督「…だって///」

カサルディ提督「そうそう…フランチェスカときたら先輩はたらしこむわ同級生を誘惑するわ、果ては後輩は手ほどきするわで、どれだけの候補生を食べ散らかしたか分かった物じゃないんだから♪」

提督「そ、それは言い過ぎよ……ただ、先輩のお姉さま方は大人っぽくていい匂いがするし、同期の何人かとは話しているうちに自然と仲良くなっちゃって…それに後輩たちに「先輩、先輩♪」って慕われるのも嬉しくて…それで、つい///」

カサルディ提督「…聞いてあきれるわ」

シモネッタ提督「ふふ、そうね…確か、あれは半年くらいたってからだったわね?」

提督「あっ…///」

カサルディ提督「あー、そうだった。あの辺からタガが外れたようになったもんね……ま、どうせだから話しちゃおうか」

カヴール「ふふ、何やら楽しみですね♪」

提督「///」

フィリッポ・コリドーニ「おや、何やら特ダネの匂いが…ぜひお聞かせ願います!」

カサルディ提督「もちろん。これはね、誰とは言わないけど…そこで乙女みたいなふりをして頬を赤らめているどこかの誰かさんのお話でね♪」

………



…士官学校・入学からおよそ半年…

ビアンケッリ候補生「それじゃあ私は図書室で勉強してくるから…後でね」

カサルディ提督「ああ、また後で」

提督「行ってらっしゃい♪」

先輩候補生(結い上げ髪・ネコ)「……カンピオーニ候補生、いる?」

提督「はい、ここにおります」

先輩(ネコ)「ああ、ちょうどよかった……その、今夜の2200時ごろに…いいかしら///」

提督「ふふっ、もちろんいいですよ……先輩♪」

先輩(ネコ)「…ええ、待ってるわね///」

提督「はい♪」

後輩候補生(金髪お団子)「…失礼します! カンピオーニ候補生はいらっしゃいますか?」

提督「あら、いらっしゃい…どうしたの、講義で分からないところでもあった?」

後輩(お団子)「あ、いえ……その、お姉さまがよろしければ…今夜……///」

提督「あぁ、ごめんなさい…今夜はちょっと忙しくて……もしよかったら、明日の晩はどうかしら♪」

後輩(お団子)「はいっ…///」

カサルディ提督「フランチェスカってば相変わらずモテるねぇ…それに運動がダメなのにレズセックスは大丈夫って……」

提督「だってえっちするときは走ったり跳んだりしないもの…♪」

ベルガミーニ候補生「……そ、そう言えばフランカ///」

提督「どうしたの、カルラ…また何か無くなったの?」

ベルガミーニ候補生「ううん、そうじゃなくて……その///」

提督「ふふっ、分かったわ…♪」ちゅっ、ちゅむ…っ♪

カサルディ提督「まったく、同室のルームメイトまで骨抜きにするなんてどうかしてるんじゃない?」

提督「お褒めにあずかり恐縮です…あむっ、ちゅ…♪」

カサルディ提督「はぁー…仕方ない、ちょっとトレーニングルームにでも行って汗を流してくるから……」

提督「ごめんなさいね、ルクレツィア……はぁ、んむ…っ♪」
499 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/04/01(月) 03:28:41.75 ID:IZ6zbuaA0
…また別の日・屋外射撃場…

メッセ教官「さて、候補生諸君もライフルや短機関銃の射撃に慣れてきたことだろうが…いま一度おさらいといこう!」


…濃緑色の野戦服に身を包んで地面に座っている候補生たちを前に、迷彩服姿で解説するメッセ教官と小火器担当のアシスタント教官数人……脇にはイタリア軍に制式採用されている数種類の自動小銃と短機関銃が並べておいてある……提督は「シルヴィアおばさま」のおかげで小さい頃からたしなんでいたので(…大きい音は苦手ながら)射撃はなかなか得意で、長距離走や障害物走などと違って射撃訓練はわりと好きな時間だった…


メッセ教官「まず、これが「ベレッタ・BM59」自動小銃。口径は7.62×51ミリで装弾数は二十発…陸軍や第一線級の部隊ではすでに「ベレッタ・AR70/90」に置き換わっているが、海軍ではまだまだ更新されていないから見る機会もあるだろう……とにかく重くてかさばるが威力は抜群だ。コンクリートブロックを撃ちぬくことも出来るし、当たれば身体のその部分とは一生お別れすることになる」


メッセ教官「……しかし、海軍士官候補生の諸君はこっちの方が手にする機会が多いはずだ。この短機関銃はルイージ・フランキの「LF57」で、口径は9×19ミリ。シンプルな形で構造も簡単。取り回しのいい短機関銃だ…今は同じ9ミリでより扱いやすい「ベレッタ・M12S」と交代しているが、一部の施設にはまだ残っているからよく練習しておく必要がある」

メッセ教官「さて…とにかくまずは事故を起こさないことだ。私も口が酸っぱくなるほど言って来たし、諸君も耳にタコができるほどだろうが、どじな小娘のせいで軍法会議にかけられたりするのはゴメンだ!」

候補生たち「「くすくすっ…♪」」

メッセ教官「笑いごとじゃなく、本当に火器の扱いには気を付けろよ…弾は薬室に送り込まず、引き金には指をかけるな! それだけで事故率はうんと減る」

メッセ教官「……さて、班ごとに分かれているから順繰りに回していこう。それぞれ一挺づつ渡すから、全員が一弾倉分を撃ち終えたら報告しろ!」

候補生たち「「了解!」」

カサルディ提督「…それじゃあ早くしよう? 最初は私がやるよ」全員耳当てをし、奥に的と土盛りがある射撃レンジに集まった…

提督「ええ」

補助教官「よし、それじゃあ始めろ…使い方は覚えているな?」

カサルディ提督「はい。カサルディ、射撃を始めます!」伏せ撃ちのセミオート射撃でBM59を撃つと引き金を引くたびに轟音が響き、奥で土煙が上がる…

補助教官「…よろしい、次!」

提督「カンピオーニ、射撃を始めます!」撃つたびにドスッ!…と肩に蹴りを浴びたような重い衝撃が走るが、何とかこらえて二十発を撃ちきった

メッセ教官「…カンピオーニ候補生、お前は射撃が上手いな。この射撃の腕に走りや反応の機敏さが加われば、射撃記章や海軍射撃チーム入りも夢じゃないぞ?」

提督「ありがとうございます、教官」

メッセ教官「いや、それもお前の才能だよ…もっと運動させてやるから、射撃と一緒に伸ばしていけ!」

提督「か、感謝します……うぇぇ……」

メッセ教官「なんだ。せっかく教えてやろうと言うんだからもっと喜べ、全く……ビアンケッリ、もっと落ち着いて撃て!」

提督「…努力します」

メッセ教官「それでいい。お前はせっかく脚が長いんだから、走り方を覚えればもっと速く長く走れるようになるはずだが……どうもその胸のせいか、呼吸と走り方がずれるんだな。また今度フォームを確認してやろう」

カサルディ提督「……だって♪」

提督「…」たゆんっ…♪

500 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/04/05(金) 03:12:30.64 ID:5irHmmL60
…また別の日・海岸の演習場…

メッセ教官「よーし、訓練生諸君! 今日はここで訓練をしてもらう!」迷彩服をまとい、もとより大きい声をさらに張り上げるメッセ教官…


…遠浅の干潟が広がる演習場は、明るい陽光に照らされて潮の匂いがする蒸れた空気がたちこめ、滑らかな灰色の泥地が沖合まで広がっている……二班ごとに並んだ提督たち士官候補生は濃緑色の迷彩服の上に漁師が着るような「胴長」を着こみ、それぞれ弾の入っていないフランキ短機関銃を持ち、置いてあるゴムボートのまわりに座っている…


カサルディ提督「うわ…これはきついかも……」

提督「…ええ……もう、サン・マルコ海兵連隊でもないのにどうして私たちが上陸訓練なの……」(※サン・マルコ海兵連隊…イタリア海軍最強の海兵連隊。コマンド作戦や破壊工作で第二次大戦中から有名)

メッセ教官「さて、この訓練の目的だが……諸君はもしかしたら乗艦を捨てることになり、どうにか陸地にたどり着かないといけなくなるかもしれない。そんな時のためにゴムボートの漕艇と、上陸した場所が軟弱地だったことを想定し、歩き方を体験しておくことにある!」

メッセ教官「……それに諸君ら候補生の中にはダイエットに熱心な者もいるようだからな。たっぷり運動して脂肪を落せるようにという、私からのささやかなプレゼントだ♪」

提督「…誰よ、もう…ダイエットなんて余計な事をしているのは……」

カサルディ提督「ま、少なくともフランチェスカじゃないよね…♪」

メッセ教官「さて…各班はまず突堤からゴムボートに乗り、沖合のブイまで向かう! ブイまでたどり着いたらUターンして戻り、旗の立ててある辺りに上陸し、ボートを引いて陸まで戻ってくること…一応「お助け」として岸からロープを数本伸ばしてあるから、どうしても進めなくなった班はそれにすがって戻ってこい!」

提督「…すごく頑張らないといけなくなりそうね……」

ビアンケッリ候補生「……確かに」

ベルガミーニ候補生「ねえ……もし足を引っぱっちゃったらごめん…」

カサルディ提督「大丈夫だって…さ、行こうよ」

………

…数十分後…

提督「ぜぇ…はぁ……ふぅ…」ぐぽっ…ずぶっ……

ベルガミーニ候補生「はぁ…ひぃ……」ずぼっ…ぐじゅっ……

カサルディ提督「ほら、頑張ろう……あと少しだから…ふぅ、はぁ……」ぐじゅっ…ぬとっ……


…全身すっかりどろんこになって汗を滝のように流し、じりじりと日光に背中をあぶられながらゴムボートを引っ張る提督たち……ゴムボートを漕いで凪ぎの海に出て、ブイの所にたどり着くまでは涼しい風もあってまだ良かったが、干潟に上陸してゴムボートを引っ張り出してからは地獄そこのけだった……最初こそ文句を言う元気もあったが、数十メートルも行かないうちに声を出す元気もなくなり、一歩進むたびにまとわりついてひざまで埋まる泥にどんどん体力を消耗した…


提督「…はぁ、はぁ……ひぃ…ふぅ……」ずぶっ…ぐぱ…っ……

カサルディ提督「ほら、もう一歩…おいちに、さんし……」

ベルガミーニ提督「ん、んんっ…きゃあっ!」脚を抜こうとして「べしゃっ…」と泥の中に倒れ込む…

提督「カルラ…ほら、つかまって……」

ベルガミーニ提督「ありがと……はぁ、うぷっ…」顔についた泥を拭ってゴムボートのロープをつかみ直す…

候補生(黒髪ショート)「今日ほど教官が憎らしい日はないわ……」

メッセ教官「…ほら、頑張れ! あと数十メートルだぞ!」

候補生(ショート)「!」

メッセ教官「…教官だからと言ってふんぞり返って、お前たちだけにやらせるのは不公平だからな……歩く時は一度脚を垂直に上げてから前に出すようにしろ、一気に前に進めようとしても泥をかきわける分だけ疲れるぞ!」いつの間にか胴長に着替え、隣の班に加わっているメッセ教官…

カサルディ提督「はい、教官…!」

メッセ教官「ああ、それじゃあ頑張れよ!」

シモネッタ提督「……フランカ、もう少しだから頑張ってね…♪」横を追い越しながら小声ではげましていった…汗だくではあるが、顔に泥はね一つ付けず綺麗なままでいる…

提督「…ええ、ありがとう……はぁ、ふぅ……」息も絶え絶えで脚を上げる提督…身体がふらつき、一歩ごとに提督たちを引き戻そうとするゴムボートが心底にくらしい……

カサルディ提督「ほら、もうちょっとだから…!」小柄な身体で二人分は頑張っているカサルディ提督…足をとられている別な候補生を助け起こしながらロープを引っ張っている……

提督「…ええ……ひぃ、ふぅ…!」

501 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/04/06(土) 02:47:41.30 ID:ZesxxEy30
…しばらくして…

提督「……ルクレツィア、スポンジを取ってくれる?」

カサルディ提督「はい…フランチェスカってば、もう「動くのも嫌だ」って顔だね」

提督「ええ、ごめんなさい…でも、もうふらふらで……」

ベルガミーニ候補生「ごめんね、私のせいで…」よくよくツイてないベルガミーニ候補生は途中で数回転び、一回はゴムボートに載せておいた短機関銃を泥の中に落として、数分かけて干潟を這いずりまわりながら探すはめになっていた…

提督「別にカルラのせいじゃないわ……そもそもはこのゴムボートのせいだもの…」ホースから水を浴びせかけ、ゴムボートの底面から内側まで丁寧に洗う…

メッセ教官「……きれいに洗えよ、候補生諸君…泥汚れが残っていたらやり直しだからな!」

提督「…それにしても、教官のあの体力はどこから来るのかしらね?」

ビアンケッリ候補生「鍛え方が違うんでしょうね……私には無理…」

カサルディ提督「だね……よし。ボートは綺麗になったし、戻ったら顔とか野戦服を洗って…それから甘いものでも食べて休憩しよう♪」

ベルガミーニ提督「同感…この後の講義がなくて良かったわ……」


…数分後…


カサルディ提督「ふぅ、さすがに今日は身体にこたえたね……」

提督「…ええ……もう歩くことすらしたくないわ…」


…ワイン樽を運ばされるロバか石材運びの奴隷のような気分でゴムボートを岸まで引っ張りあげると、そのままゴムボートや胴長の洗浄と「ルイージ・フランキ・LF57」短機関銃のメンテナンスをやらされ、すっかりヘトヘトの提督…髪にまで付いていた泥はねをゴムボート洗いのついでにある程度流し、房になっている濡れた髪を手で軽く整えた…


メッセ教官「…カンピオーニ候補生!」

提督「はい、教官…!」

メッセ教官「ちょっと用がある…教官室まで来てくれ」

提督「はっ!」

カサルディ提督「……フランチェスカってば、何かやらかしたんじゃない?」

提督「…どうかしら…これと言った覚えはないけれど……」

カサルディ提督「ふふ、あれだけ「つまみ食い」しておきながらよく言うね……じゃあ荷物は私が持って行ってあげるから」

提督「ええ、ありがとう…」

カサルディ提督「それじゃ…カミナリを落されないように祈っておくよ♪」白い歯を見せて爽やかな笑みを浮かべると、提督の背中を「ぽんっ」と叩いた…

………

…体育教官室…

提督「…カンピオーニ候補生、入ります!」

メッセ教官「よく来たな……さ、入れ」ビニール製シートの回転椅子を一脚引っぱってきてデスクのそばに寄せると迷彩服の上着を自分の椅子の背にひっかけ、それからポットのコーヒーをマグカップに注いだ…

提督「失礼します!」…まだ着替えを済ませていない提督は汗と潮水で濡れた野戦服で椅子が汚れるのをはばかって、座らずにいる…

メッセ教官「椅子は構わないから座れ…長身のお前に立っていられたんじゃ首がこって仕方がない」

提督「は、ありがとうございます…」

メッセ教官「コーヒーはどうだ?」自分にはブラックコーヒーを淹れ、振り向くとたずねた…

提督「はい、いただきます…」どうやら叱られるために呼び出されたわけではないらしいと、少しリラックスして肩の力を抜いた提督…

メッセ教官「クリームと砂糖は?」

提督「えーと…少しづつお願いします」

メッセ教官「ふははっ、そう硬くなるな…別に叱り飛ばすために呼んだわけじゃない。叱り飛ばす時は「教訓」が行き渡るように、訓練生全員の前でやるからな」

提督「…は、はい」

メッセ教官「ああ…さてと……」どっかりと椅子に腰を下ろし、腕組みをした…汗で色が濃くなっている濃緑色のタンクトップを、きゅっと引き締まった乳房が押し上げている…

502 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/04/06(土) 11:43:49.58 ID:ZesxxEy30
提督「…」

メッセ教官「カンピオーニ、さっきのお前には感心したぞ……あの干潟ゴムボート引きでは例の「お助けロープ」にすがったり、音を上げる候補生も多いんだが…よく最後まで頑張ったな」

提督「…あ、ありがとうございます///」

メッセ教官「なに、礼などいらないさ。お前自身の努力だ…自分でも最初に比べて体力が付いたのが分かるだろう?」

提督「そうかもしれません…あまり実感はありませんが……」

メッセ教官「はははっ。周りも同じように伸びているから気付かないかも知れんが、着実に良くなっているぞ……しかもさっきはベルガミーニ候補生を手助けしていたな。大したもんだ」

提督「///」

メッセ教官「そう恥ずかしがるな…海軍士官は「同じ艦(ふね)の仲間」として生きるも死ぬも一緒。そうしたときにお互いを助けあうのは大事なことだ……またそうなるように我々教官は憎まれ役を買って出ているんだからな」

提督「はい」

メッセ教官「お前は座学がよく出来るそうだし、もっと体力をつければいい士官になれるだろう…希望は決めてあるのか?」

提督「えぇと…「指揮官・参謀コース」を……」

メッセ教官「なるほど、お前は歴史や図上演習が得意だからな…だがあれの選抜にも体力テストはあるぞ。よっぽどいい成績を付けるか、運動を頑張るかしないとな」

提督「はい、努力します」

メッセ教官「ああ、頑張れよ……と、ここまではいい話だ…」

提督「…」

メッセ教官「…カンピオーニ、お前らの女遊びの話はここまで聞こえてきているぞ」

提督「っ///」

メッセ教官「別に「するな」とは言わん…だがお前やカサルディのはやりすぎだ」

提督「…」

メッセ教官「……どこの誰が士官学校の候補生をたらしこんでハーレムを作れと言った…しかもご丁寧に卒業間近の連中から入りたての娘っ子まで構わず食い散らかしやがって、このどあほうが…!」

提督「……申し訳ありません、教官…!」

メッセ教官「いまさら謝って済むことか…まったく。お前とその仲間どもときたら、どいつもこいつも大人しいフリをしてとんでもないアバズレだ」

提督「…」

メッセ教官「…だがな」

提督「?」

メッセ教官「そのくらい元気があるっていうのはいいことだ……若いうちは身体を持て余すこともあるだろうしな♪」ニヤッと笑ってあきれたように首を振った…

提督「えぇと…その……」

メッセ教官「それにだ、確かにお前は女受けのいい顔をしてる…さぞモテるだろうな?」ぐっと顔を近寄せて、じっくりと提督を観察するメッセ教官…

提督「あー…それは、まぁ…///」

メッセ教官「今さら恥ずかしがるな、このスケベ女が……んっ♪」

提督「んっ!?」メッセ教官の荒い唇が触れると、コーヒーと煙草の煙るような味と潮の匂いがまとわりつく…

メッセ教官「んむっ、ん…ちゅっ、ちゅぅぅ…っ!」

提督「んむ、あふっ…はむっ……んちゅぅ、ちゅぅぅ///」

メッセ教官「ぷはっ……なるほど、これじゃあ骨抜きにされる娘っ子が出るのも無理はない」手の甲で唇を拭うと、感心したようにうなずいた…

提督「き、教官…///」

メッセ教官「なんだ、おかしいか? 私だってな、もっと向こう見ずな頃には色々と悪さをしたもんだ……本当は教官になるつもりはなかったんだが…」

提督「その……では、どうして教官になったのですか///」

メッセ教官「そのことか…まぁ時間もあるしな、話してやろう」

503 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/04/09(火) 02:34:08.30 ID:M9rLO2DT0
メッセ教官「ふー……私の家族は頭が固くてね、物心ついた頃から何かといえば「お前は女の子なんだから、将来いいお嫁さんになれるよう女の子らしくしなさい」ばっかり言われてたもんだ」

メッセ教官「…特に母親はそうでな。何かといえば「そんな女の子らしくない事は止めなさい!」とくる」

提督「……それは…息がつまりそうですね…」

メッセ教官「ああ…着ているものと言えばいつも丸襟のブラウスとスカートで、エナメルの丸っこい靴を履かされてお行儀よく……いいところのお嬢さんみたいにな」

提督「…正直、想像もできません」

メッセ教官「無理もない……それに私はガキの頃から駆けずり回るのが好きだったものだから、そんなのはまったく好みに合わなかった」

提督「…ええ」

メッセ教官「隙を見つけちゃ家を抜け出して日が暮れるまで暴れ回り、自分よりひと回りは大きい近所の坊主どもを蹴散らしてたもんだ」

メッセ教官「…だがな、それをやって家に帰ると「お前は女の子なのに、どうしておしとやかにしないの!」なんて言われては、夕飯を抜きにされたり頬を引っぱたかれたり……二日に一回はそんな具合だったな」

提督「…」

メッセ教官「…で、家にいる時は毎日お裁縫だのお菓子作りだの…つまり母親が言うところの「女の子らしい」事ばっかりやらされた……とにかく嫌でたまらなかったから、学校に入ってからはうんと勉強するようにしてやった……どうしてか分かるか?」

提督「…勉強にぶつけたのですか?」

メッセ教官「まぁそれもあるが……少なくともノートを開いて勉強の真似事をしている間は、そういう「がらくた」につき合わされないで済むからだ」

提督「なるほど…」

メッセ教官「…で、中学生になったらなったで今度は「将来、素敵な男性に見初めてもらえるよう」に化粧だとか服だとか…もちろん、母親からは子供の時よりもっと金切り声でやられる始末だ…まったく「繊細で情緒的」だった私にしてみれば悪夢だったよ」

提督「ええ…想像するだけで胃がきりきりします……」

メッセ教官「そうだろうな……とにかく、母親の考えでは「女に花嫁修業以外の教育はいらない」って事だったらしくてな。高校を卒業するかしないかのうちにいい人を見つけて、後はそいつにコバンザメよろしくひっ付いて食べ物のおこぼれをあずかり、パーティの時は見てくれのいいお飾りになっていればいい…ってつもりだったらしい」

提督「…」

メッセ教官「もちろん、高校生の私にだってそのくらいの考えは読めた……で、どうやって家出をするか考えていて、ふと街に貼ってあるポスターに気づいたわけだ……」

提督「あの……それって、もしかして…」

メッセ教官「ああ、そうだ…海軍の「新兵募集」のポスターさ。で、私は高校卒業と同時に自分の貯金をかき集めて家を飛び出し、海軍に転がり込んだ…ってわけだ」

提督「…教官は大変だったのですね……」

メッセ教官「そうかもな……まぁ海軍の初等訓練が楽だったとは言わないが、何かと金切り声でわめく母親はいないから気苦労がないし、好きなだけ身体を動かして怒られるどころか褒められるんだからな…私にしてみればいい所だった」

メッセ教官「…それでだ、私は訓練課程の修了までにうんと鍛えて、並みの男の三人分くらい戦えるようになったから「サン・マルコ」海兵連隊に志願したんだが……」

提督「…が?」

メッセ教官「担当士官に「君は優秀だとは思うが女性のための設備がないし、海兵連隊の伝統もあって女は入れられない」……と門前払いを食った」

提督「…」

メッセ教官「もうくやしかったどころじゃない……あれだけ「女らしく」って言われるのが嫌だったのに、制度にまでそう言われるとは思ってもなかったからな……海兵の荒くれを一人か二人ぶちのめして見せて、そいつの代わりに入れてもらおうかと思ったくらいさ」

メッセ教官「…まぁ腹わたが煮えくり返ったのは一週間くらいで、そのうちにこう思った……「私自身は入れなくても、私が強い女性兵士や士官をたくさん育てれば、いつか海軍だって認めざるを得なくなるだろう」ってな…それに体力と脳みそはあって困ることはない。違うか?」

提督「いいえ、その通りだと思います」

メッセ教官「そうだろう……それにここでなら私の性癖も満たせるからな♪」

提督「えっ…?」

メッセ教官「私が子供時代に抑えつけられたせいもあるだろうが……私は女が泥んこになってるのが好きなんだ。軍では好きなだけ泥だらけになれるし、教官ならある程度訓練項目を選ぶことも出来るからなおのことだ…ま、干潟訓練はいい体力トレーニングにもなるし「一石二鳥」ってわけだな」

提督「…教官、それでは……その///」

メッセ教官「……さっきはベルガミーニが身体中泥まみれになってべちゃべちゃやってるのを見て興奮した…カンピオーニ、お前もなかなかだったぞ♪」

提督「あ、あー…えーと、ありがとうございま…す……///」

メッセ教官「…適当なロングブーツを買ってきてぬかるみに突っこむのも好きだが……お前はいらないブーツとかあるか?」

提督「……さ、探しておきます」

メッセ教官「おう…さ、もう私の昔話はいいだろう。行ってよし!」

提督「はっ、失礼します……コーヒーをごちそうさまでした、教官♪」

メッセ教官「ああ…しっかりやれよ」
504 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/04/09(火) 10:20:41.04 ID:M9rLO2DT0
………



シモネッタ提督「…それは初耳ね」

カサルディ提督「あれ、言ってなかったかな……とにかくそれ以降は教官も黙認みたいなものだったから、フランチェスカときたらもうやりたい放題で…」

メッセ兵曹長「全くだ…カンピオーニときたら、私が少し甘い顔をしてやったら勘違いしてな」

提督「むぅ…それを言ったらルクレツィアだって更衣室のロッカーに同期の娘を押し付けて、耳元でずーっと甘酸っぱいような台詞をささやいていたじゃない」

カサルディ提督「あー…それは、まぁ…そうかもしれないけどさ……」

提督「…忘れたなんて言わせないわよ?」

コリドーニ「おぉぉ…次から次へと記事になりそうな話が……!」

デュイリオ「うふふっ、そういうのもあるのですね……今度機会を見つけて、私も提督に試すといたしましょう…♪」

ガリバルディ「さっきから聞いていたけれど…へぇ、なるほどね♪」

エウジェニオ「色々と役に立ちそうな話ね……ふふ♪」

提督「あら、三人ともお帰りなさい…外の様子は?」

デュイリオ「風もなく心地よいお日柄です……催し物は上天気が一番ですもの♪」

ガリバルディ「そうね。おかげで盛況よ、提督…混乱も特になし」

エウジェニオ「憲兵隊が上手くさばいてくれているから、提督はゆっくりしていて……ね♪」ちゅっ♪

提督「ふふ、了解♪」

ライモン「もう、提督ってばエウジェニオには甘いんですから……」

ガリバルディ「提督、ライモンドが妬いているわよ…ほら、怒られる前にご機嫌を取ってあげないと♪」

提督「ふふっ……怒らないでね、ライモン?」…ちゅっ♪

ライモン「…っ///」

シモネッタ提督「本当にフランカときたらお熱いこと…♪」わざとらしく手で扇いでみせるシモネッタ提督…気づけばいつの間にか提督の所の小さな駆逐艦「クィンティノ・セラ」をテディベアのように抱きかかえ、カサルディ提督の「MS16」と「MS22」をはべらせている…

提督「ちょっと…エレオノーラ!?」

シモネッタ提督「なに?」

提督「…い、いつの間に……?」

シモネッタ提督「ふふ、貴女が昔話に花を咲かせている間によ……それにしてもセラは可愛いわね♪」セラのさらさらの髪を手ですくい上げると顔に近づけ「すぅ…」と深呼吸する…

セラ「えぇと……あの…///」シモネッタ提督のひざの上で、恥ずかしげに顔を紅くしているセラ…

提督「あー……そろそろお昼だし、姫たちにも戻って来てもらいましょうか…ね、ライモン?」意味ありげにウィンクをしてみせる…

ライモン「…あ……あ、あぁ…そうですね! わたしもお腹が空きました♪」

提督「そうよね♪ それじゃあお昼の用意をしないと…セラ、お皿を運ぶから手伝ってくれる?」

セラ「は、はい///」

シモネッタ提督「もう…せっかく至福の時間を過ごしていたのに……」

提督「はいはい…兵曹長もご一緒にいかがですか?」

メッセ兵曹長「すまんな…それじゃあせっかくだしごちそうになろうか」

提督「ええ、ぜひ…ライモン、悪いけれど姫たちに「お昼にしますので」って伝えてきてもらえる?」

ライモン「はい」

提督「ディアナ、厨房に行きましょうか」

ディアナ「ええ、よしなに…♪」

505 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/04/11(木) 02:07:30.25 ID:DXgjiEIo0
…厨房…

提督「…さてと、お昼の献立は何にする?」金モールの付いた上着と軍帽を厨房の隅っこに置いてある椅子にたたんで乗せるとエプロンをかけ、手を洗った…

ディアナ「そうですね…とりあえずカリフラワーがたくさんありますから、それを使って一品作りましょう。後は砂を吐かせたアサリが冷蔵庫に入っております」

提督「んー…だったら「カリフラワーのアンチョビ風味」と「ボンゴレ・ビアンコ」でどうかしら? 後は屋台料理のお余りや冷蔵庫の残り物とかをかき集めたら、そこそこどうにかなるんじゃないかしら?」

ディアナ「ああ、それはよろしいですね…♪」

提督「それじゃあ私はカリフラワーに取りかかるから、ディアナはボンゴレをお願い」

ディアナ「はい、よしなに」

提督「それじゃあまずはカリフラワーを洗って……」


…提督はクリーム色をしたカリフラワーをとなりの食料庫からいくつか取り出してきてざっと洗い、それから包丁で房を一口大に切り出していく……残った太い茎は食べられないこともないが、わざわざ使うこともないのでルチアの餌に混ぜることにして分けておく…


提督「…お湯も沸いたみたいね」ごぼごぼと泡を立てている鍋にカリフラワーを放り込み、タイマーを四分にセットする…

提督「ではその間に…と♪」唐辛子とニンニク、アンチョビの缶詰をまな板の脇に並べた……ニンニクは薄切りにし、乾燥唐辛子は辛みが出るようハサミで適当な大きさの輪切りにする…綺麗な赤色の唐辛子はパリパリに乾いているのでハサミを入れるそばから割れてしまうが、風味付けなので気にせずに切った…


提督「♪〜ふーん、ふふーん……」アルミの大ぶりなフライパンにオリーヴオイルを流し込んで火にかけると唐辛子を入れ、(焦げやすいので)少し間を開けてからニンニクを入れる…

提督「そろそろ茹ったかしら…うん、いいわね♪」

…カリフラワーがちゃんと茹ったかどうか串を刺し、それから網しゃくしでカリフラワーをしゃくい上げた…手際を考えるならカリフラワーをすくうよりは、むしろ流し台のザルに空けてお湯を流してしまう方が早いが、そこは節水を叩きこまれた海軍士官だけに、つい「何かに使える」とお湯を残す…

提督「……それでは、と」アンチョビの缶を開けるとフライパンに空け、アンチョビがすっかり溶けてしまうまで弱火にかけた…

提督「後はカリフラワーを……そーれ♪」火を止めたフライパンに水気を切った茹でカリフラワーを投入して、さっと和える……少し馴染ませると陶器の大きなサラダボウルに移し、それから油汚れが取れるように、カリフラワーの茹で汁をフライパンにそそぎこんだ…

提督「私の方はできたわ…ディアナ、何か手伝いましょうか?」

ディアナ「いえ、こちらも出来上がりますので…」


…大戦時は32ノットを誇った「高速スループ」だけあって、とにかく手際のいい「ディアナ」…提督がカリフラワーを料理している間にアサリの「ボンゴレ・ビアンコ」を仕上げている……まずはみじん切りのニンニクとオリーヴオイルを弱火にかけて、刻んだ玉ねぎを少々加える…玉ねぎがすっかり透明になったところで、殻を擦りあわせて良く洗った殻つきアサリをガラガラと放り込み、火勢を強めて白ワインをそそぐと蓋をして、一気に蒸らす…ほんの二分ばかりでアサリがぱっくりと口を開け、そこに薄めのコンソメスープを注いで軽くひと煮立ちさせる……アサリの塩気が出るので塩はほとんど入れず、少し固めにゆで上げたパスタに出来上がった「ボンゴレ・ビアンコ」をたっぷりと注ぐ…


提督「すぅー……いい匂い。美味しそうね♪」

ディアナ「ふふ、さようでございますね…さ、提督も上着をお召しになって食卓に参りましょう?」

提督「ええ♪」パスタが冷めないうちにと、急いで上着を羽織る…

…食堂…

提督「お待たせしました…さぁ、召し上がれ♪」提督が制服を整えて食堂の席に着くころには百合姫提督たちも戻って来ていて、長テーブルに揃った白と紺、そして金モールの制服がまぶしい…

カサルディ提督「うわぁ、いい匂い…♪ 料理の腕は相変わらずみたいだね、フランチェスカ?」

提督「ええ…だけどここに着任してからはディアナに頭が上がらないわ♪」そう言ってディアナにウィンクを投げる

ディアナ「お褒めいただきありがたく存じます…///」

シモネッタ提督「あら、美味しい…毎日こんなにいいものを食べているなんて、やっぱりフランカはずるいわ♪」

提督「ふふっ、少将にもなると色んな特権があるのよ…♪」冗談めかしてそう言うと、白ワインのグラスを軽くかかげた…

百合姫提督「ほんと…美味しいわ……♪」

グレイ提督「確かに…上品な味付けでよろしいですわね」

ヴァイス提督「アサリだけでこんなに美味しい料理が作れるのですね」

エクレール提督「まぁ、フランスでしたらこのくらいは……」

提督「…んー?」意味ありげに眉を上げ、微笑んでみせる提督…

エクレール提督「い、いえ…なかなかの味だと思いますわ///」

提督「そう、よかったわ♪」

ルチア「ワフッ…ハフハフッ……フガ…♪」長テーブルの脇で冷ましておいた鶏レバーとカリフラワーの茎を混ぜたものをもらってご満悦のルチア…
506 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/04/13(土) 15:34:15.43 ID:iJO4E7Fn0
提督「ふー…美味しかったわ♪」

カサルディ提督「本当に美味しかったよ…おかげで食べ過ぎちゃった……」

提督「ふふ、いいじゃない…日差しが気持ちいいし、お昼寝でもして来たら?」

カサルディ提督「いやいや…そんなことしたら夜まで寝ちゃいそうだし、起きてることにするわ」

提督「そう、ならコーヒーでも淹れましょうか…みんなは?」

シモネッタ提督「ええ、ありがとう」

メッセ兵曹長「もらおう」

提督「はいはい…ライモン、手伝って?」

ライモン「はい、提督」

カサルディ提督「……うーん、美味しい」甘いカフェ・ラテをすすって満足そうにため息をついた…

提督「ふふっ…カフェ・ラテ一杯でそんなに感心しなくたって♪」

カサルディ提督「いや、それがさ…うちは規模が小さいから予算もあんまりつかないし、艦娘も少ないから当然出し合う食費の方も集まらなくて……たいていはインスタントコーヒーなんだよね」

提督「あらまぁ…エーゲ海管区と言えば激戦区なのに、それはずいぶんね?」

カサルディ提督「うん…まぁもっとも、うちはレロス島鎮守府って言っても「第十二」なんていうほとんど末席の小さい所だからね……ところでエレオノーラ、ここは貴族の別荘みたいだけどさ「ヴェネツィア第三」はどんな感じ?」

シモネッタ提督「そうね……まぁ、ここほど贅沢ではないけれど一応みんなに個室があるし、艦娘の子も結構いるから「まぁまぁ」って所ね」

カサルディ提督「そっか…そう言えばさ、エレオノーラがロリコ……いや、幼女が好きになったのってどうして?」

シモネッタ提督「…あら、それなら士官学校の時に話したことがなかったかしら?」

カサルディ提督「そうだっけ?」

提督「…確かあの時は私だけで、ルクレツィアはいなかったんじゃなかったかしら?」

シモネッタ提督「あぁ、そう言えばそうだったわ……そう、あれはまだ私が小さい頃だったけれど、近所に従姉妹がいて……」

カサルディ提督「へぇ、エレオノーラに従姉妹ねぇ……よそ様の話とはいえ、その従姉妹の貞操が心配になるわ…」

シモネッタ提督「失礼ね、その頃はまだ「愛の手ほどき」なんてしていなかったわ♪」

カサルディ提督「…」

シモネッタ提督「まぁとにかくその娘が可愛くて可愛くて…くりっとした瞳にぷるぷるの唇…小さくて柔らかな手足に、笑みを浮かべると出来るえくぼ……もう天使がいるようにしか思えなかったわ…♪」

カサルディ提督「あー…幼い頃からそんなだったわけね……」

提督「そのようね……前に聞いた時も同じ話をしてくれたもの」

シモネッタ提督「ええ…で、幼心にこう思ったの「将来は可愛い幼女に色々手ほどきできるような立派な女性になりたい」って…♪」

カサルディ提督「それって立派な犯……いや、まぁ…夢を持つのはいいことだと思うけどさ……」

提督「……しかもちゃんと実現できているものね…」

シモネッタ提督「ふふ…たまたま行ったイベントで艦娘の子に出会わなかったら、今ごろは保育士か幼稚園の先生になっていたでしょうね♪」

カサルディ提督「…さもなきゃ刑務所か……」

提督「ええ、それが一番ありそうね…」

シモネッタ提督「そう言えば…私は艦娘たちといちゃいちゃしたかったからで、フランカは歴史とか軍艦のことが得意だったから、って言うのは知っているけれど……ルクレツィアはどういう経緯で海軍に入ったの?」

カサルディ提督「あー、私はねぇ…実家はリーパリ諸島からシチリア沖に船を出して魚を取る漁師で……私は船を継ぐ気だったんだけど、シチリア辺りじゃ女が漁師になるっていうのはなかなか受け入れてもらえなくてさ…しかも「深海棲艦」騒ぎが起こって危険だからって、もう漁どころじゃなくなっちゃって……」

シモネッタ提督「…それで?」

カサルディ提督「まぁそういう訳で小舟の扱いは上手かったから、モーターボートの選手になろうと思ってヴェネツィアに行ったんだけど……海軍の制服ってスマートで格好いいし、お給料もきちんとくれるし…それに意外と小型艇も多いから、けっこう向いてるんじゃないか……って思ってね」

シモネッタ提督「なるほど…」

提督「…少なくともエレオノーラの理由よりは健全よね」

カサルディ提督「…確かに」

シモネッタ提督「もう、失礼ね…これでもちゃんと指揮は取れるのよ?」苦笑いするカサルディ提督とむくれてみせるシモネッタ提督…
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