イタリア百合提督(その2)「タラントに二輪の百合の花」

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494 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/03/18(月) 01:52:53.11 ID:LWgXHgoU0
>>493 ここまででもずいぶん長くなってしまいましたし、投下も遅いのでお待たせしております…

…まだしばらくは提督たちのおしゃべりが続きますが、時間的にはまだお昼にもなっていませんので、久しぶりに何か料理の描写も入れていきたいです…ご期待ください(笑)
495 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/03/18(月) 02:53:52.94 ID:LWgXHgoU0
提督「とはいっても…どのみちここまで話したなら同じじゃないかしら?」

カサルディ提督「あれか「毒食わば皿まで」…ってやつ?」

提督「ええ、まぁ」

カサルディ提督「あー、それもそうか…それにエレオノーラの事を話せば、私たちの罪状が軽く見えるようになるもんね♪」

シモネッタ提督「もう…失礼なことを言うわね?」

カサルディ提督「まぎれもない事実でしょうが……この変態のロリコン…」

提督「まぁまぁ……それじゃあ話すとしましょう。エレオノーラも付け加えがあったら言ってね?」

シモネッタ提督「ええ、そうさせてもらうわ♪」

カサルディ提督「私たちが知っている分だけで充分なのに、それに付け加えるのがあったら……うへぇ…」

提督「まぁ、そう言わずに……えーと、あれは私が例の先輩候補生と「仲良く」なった後のことで…」

………

…シャワー室…

提督「ふー…いい気持ち♪ ……本当はたっぷりのお湯につかってゆっくりしたいところだけれど、士官学校でそれは無理よね…」

カサルディ提督「そうだね…まぁ身体をきれいにするのに湯船はいらないし、フリゲートとかで暮らすなら節水にも慣れないといけないからね。…ま、これも訓練だと思って諦めなよ」

提督「ええ……あー、時間を気にしないですむ家のお風呂とご飯が懐かしいわ」

カサルディ提督「フランチェスカのお母さんって料理上手だしね。この間、実家から送ってもらったお母さんの手づくりお菓子を分けてくれたでしょ…あれすっごく美味しかったもん……よかったらまた分けてよ?」

提督「ふふ、今度の手紙にそう書いておくわ…そうしたらきっとお母さまのことだから、喜んでルクレツィアの分も送ってくれるわ♪」

カサルディ提督「それじゃあフランチェスカには早く手紙を書いてもらわないとね…♪」

提督「もう、せかさないで…身体中ベタベタするから、出来るだけ長く浴びていたいの」

カサルディ提督「はははっ、わかるわかる。私も運動は得意な方だけど、汗ばむのだけはいただけないもんね…背中、流そうか?」

提督「…仕切りで区切られているのに?」

カサルディ提督「フランチェスカの長話につき合ってたら全身洗い終わっちゃったから……それにフランチェスカは髪の毛が長いしさ、時間かかるでしょ?」

提督「ええ、まぁ…」

カサルディ提督「それじゃお邪魔しまーす、と。……相変わらず最高のおっぱいだね♪」もにゅ…♪

提督「あんっ…もう、最初からそれがしたかっただけでしょう///」

カサルディ提督「まぁね……って、ねぇ…あれ」

提督「?」

カサルディ提督「あっち…エレオノーラとマリアじゃない?」

…カサルディ提督があごをしゃくった先には、やはり一つのシャワーブースに入って洗いっこをしているシモネッタ提督と、もう一人同期の候補生がいる…

提督「あー…そうね」

カサルディ提督「相変わらず仲がいいんだね…まぁ当然ちゃあ当然か」

提督「ええ…幼女好きで優雅なエレオノーラと、甘えたがりで童顔のマリア……」

カサルディ提督「…肉とワイン、パスタにオリーヴオイルって所だよね」

提督「エレオノーラに紹介したのは私だけれど、あんなに上手く行くとは思ってなかったわ……喜ぶべきなのか、それとも後悔すればいいのやら…」

カサルディ提督「ま、そこまで気に病むことはないんじゃない? …フランチェスカが紹介しなくたって、エレオノーラが目をつけたと思うし」

提督「…確かに」

カサルディ提督「でしょ? …あ、あの二人はシャワー終わったみたいだね……私たちもそろそろあがらないと」

提督「ええ、そうしましょう」

カサルディ提督「それじゃ、おっぱいは私が流してあげるからね」鏡越しに提督へ向かって気持ちのいい笑みを浮かべながら、張りのある乳房を「ぽよん…っ♪」と下から弾ませた…

提督「もうっ…ルクレツィアってば♪」

カサルディ提督「あはは、ごめんごめん…あんまりにも大きくてたゆんたゆん揺れてるからさ♪」
496 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/03/21(木) 02:33:23.86 ID:MEisRB7n0
…廊下…

カサルディ提督「ねぇ、フランチェスカ」

提督「んー?」

カサルディ提督「…今夜の自由時間に…したいな」

提督「ふふっ、了解……って…」

カサルディ提督「うん? どうしたの?」

提督「いえ…そこの倉庫……」


…提督の視線の先には、ドアの鍵が外れた小ぶりの倉庫がある……廊下の一隅にある倉庫は旧式の教材が収めてあるだけで大して使われていない上、宿舎へ向かう廊下を左折した先にあるので、普段はわざわざ角を曲がって立ち寄る人もいない……もっとも提督たちはスキモノの「お姉さま」方から、その倉庫の「使い方」と、一番安全な時間帯、それに壊れかけた鍵を開けるドアノブの回し方を伝授されていた…


カサルディ提督「……倉庫がどうかした?」

提督「ええ……何か声がしたような気がしたの」

カサルディ提督「あー、言われてみれば…それに、そこの倉庫ってさ……」

提督「ええ…そうよ」

カサルディ提督「…それじゃあさ、ちょっとのぞいてみる?」

提督「えぇ? ……まぁ、ルクレツィアがそういうなら…」

カサルディ提督「じゃあ「隠密接近」ってやつで行かないと…♪」

…倉庫…

提督「…相変わらず埃っぽいわね……」

カサルディ提督「…しーっ、やっぱり誰かいる」

提督「…そうみたいね……あれってエレオノーラとマリアじゃないかしら…?」


…幼女好きのシモネッタ提督を満足させるような「無垢で愛らしい娘」を士官学校で見つけるのは草食のライオンや羽音を立てるフクロウを見つけるよりも難しいが、提督は(…どういうわけかクラスに一人くらいはいる)同期とは思えない童顔の小柄な候補生をシモネッタ提督に紹介し、甘えん坊の候補生も(変態ながら)優しい「お姉ちゃん」のシモネッタ提督について回って、暇さえあればいちゃいちゃしていた……提督たち二人がふちの錆びたロッカーの陰からのぞくと、シモネッタ提督が候補生の前にひざまづいて、脚を舐めまわしている…


候補生(童顔ショートヘア・ネコ)「…んはぁ、はぁ…んっ♪」

シモネッタ提督「あぁぁぁんっ、もう…マリアったらそんな風に顔を赤らめちゃって可愛いっ♪」

候補生「らってぇ……エレオノーラおねえひゃんが…ふわぁぁぁっ///」

シモネッタ提督「あらあら…マリアったらまた靴擦れを起こしちゃって、可哀そうに……お姉ちゃんがその小さな足を舐めてあげるわね…ぇ♪」れろっ、んちゅ…♪

候補生「はひゅっ、ひくぅ…っ♪」あどけない顔をトロけさせ、がくがくと膝を震わせている……

シモネッタ提督「いいのよぉ、お姉ちゃんがいっぱい気持ち良くしてあげるからねぇ♪」ちゅっ、ぢゅぅっ…♪

候補生「ふぁぁぁ…っ、おねえひゃ……っぁ、きもひいぃよぉぉ♪」くちゅり、ぬちゅ…っ♪

シモネッタ提督「んふふふっ…つつましいお胸に小さな身体、それにつるんとしたあそこ……はぁぁぁぁ、たまらないわ…ぁ♪」両手で小さな足を包み込むと、指の間まで丁寧に舐めあげていく…

候補生「あっあっあっ……それっ、きもひいぃれひゅ…っ///」

シモネッタ提督「ふふ、それじゃあもーっと気持ちいいことしましょうねぇ♪」

候補生「ふぇ…っ?」

シモネッタ提督「ふふ、そーれ…っ♪」濃緑色の指定ショーツをずり下ろすと片脚立ちをさせて、下から顔を寄せるとつるんとした割れ目に舌を這わせた…

候補生「ひぅっ、エレオノーラおねえひゃん……は、恥ずかしいよぉ…♪」

シモネッタ提督「まぁまぁまぁ…恥ずかしがちゃって、可愛いっ♪」むちゅ、じゅるっ…れろぉ…♪

候補生「はひぃ、はあぁぁ…んっ……きもひよくってぇぇ…腰が抜けちゃいそうれす……///」

シモネッタ提督「んふふふっ、そうなったらお姉ちゃんがお部屋まで連れて行ってあげますからねぇ……むちゅっ、じゅるぅぅ…ぬちゅっ♪」

候補生「ふわぁぁぁ…おねえひゃん、しゅきぃぃ♪」

シモネッタ提督「んふっ…嬉しいっ。そんな良い子にはもーっと気持ちいいことしてあげましょうねぇ♪」

候補生「おねえひゃぁん…マリアに、いいこと……してぇぇ♪」

提督「…」

カサルディ提督「……見なきゃよかった…」
497 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/03/23(土) 03:04:25.01 ID:cgVRenAH0
………



提督「…と言うようなことがあったの」

カサルディ提督「あー、そう言えばそんなこともあったね……」

シモネッタ提督「ふふっ…それにしても、あれを見られていたとは思わなかったわ♪」胸元に垂れている髪の房をいじりながら、柔らかい笑みを浮かべている…

メッセ兵曹長「…何だ、お前たちもあの「コマシ倉庫」を使ってたのか? まったく、悪い事だけはちゃんと受け継ぐ奴らだ」

カサルディ提督「先輩諸公の教育のたまものですよ♪」

メッセ兵曹長「やれやれ、まったく度し難い女たらしどもだな……頼むから海軍参謀総長だとか大臣の娘にだけは手を出すなよ?」

提督「あー…」

カサルディ提督「…」

メッセ兵曹長「…おい、まさかとは思うが……シモネッタ、まさか「あの噂」だけは冗談だろうな?」

シモネッタ提督「…すみません、メッセ教官♪」

メッセ兵曹長「はぁ…あきれたな。風の噂で「北ティレニア海管区司令官の孫娘をたらしこんだ大バカが海軍にいる」とは耳にしていたが……あれは貴様か」

シモネッタ提督「はい♪」

メッセ兵曹長「まったく…もしも地獄の入り口を知ってたら尻を蹴飛ばして放り込んでやるところだ……」

シモネッタ提督「ふふ…お手数をおかけします♪」

リベッチオ(ヴェネツィア)「…それにしても、ほんとに司令ってば可愛い娘を見るとすぐ手を出して……そうやって色目ばっかり使ってると「めっ!」なんだからね♪」身体を寄せてシモネッタ提督の肩に頭を預けると、見上げるようにしながら手の甲をつねった…

シモネッタ提督「ごめんね、リベッチオ…でも士官学校の時は他に小さくて可愛い娘がいなかったし……ね、おわびにリベちゃんの言うこと聞いてあげるから♪」

リベッチオ(ヴェネツィア)「…それじゃあ「ちゅー」したら許してあげる♪」

シモネッタ提督「はい、喜んで♪」ちゅぅ…っ♪

リベッチオ(ヴェネツィア)「えへへっ…♪」

提督「…」

ライモン「…」

カサルディ提督「二人とも、あんなのを見ると悪影響があるからね…目をつぶってなさい」

MS16・22「「これでいい?」」

カサルディ提督「ええ、それでよし……それにしてもまったく、真っ昼間から雌犬そこのけに盛ってくれちゃって……」

提督「ルクレツィア、全国の雌犬に失礼よ…うちのルチアにもね」

ルチア「ワンッ!」

カサルディ提督「あー、ごめんごめん…お前のことじゃないからね」足下にいるルチアを撫で、それから呆れたように両手を上に向けて広げた…

カヴール「……それはそうと」

マエストラーレ(ヴェネツィア)「…むぅ……リベッチオだけじゃなくて、私たちも怒ってるんですよっ?」

グレカーレ(ヴェネツィア)「そうだよぉ、司令ってばいっつも小さい女の子にばっかり優しくして…っ」

シロッコ(ヴェネツィア)「エレオノーラおねえちゃんは私たちよりも、MAS(魚雷艇)やVAS(駆潜艇)のみんなみたいな娘の方がいいんでしょ」

シモネッタ提督「もう、そんなことはないわ……私はマエストラーレ級のみんなも大好きよ♪」左右に座っているマエストラーレとリベッチオを抱き寄せてそれぞれのふとももに手を置き、膝にシロッコを乗せてぎゅっと身体をくっつけながらグレカーレの頬にくちづけした…

カヴール「…こと女性にかけては提督もなかなかでいらっしゃいますが、これほどではありませんね♪」

提督「さすがにエレオノーラと一緒にされるのは心外よ、カヴール……それにしてもお昼前だっていうのに痴話喧嘩に惚気だなんて、これだけでお腹がいっぱいになりそう……」

カヴール「ふふ、いい食事制限になりますね♪」

提督「…むしろお昼でも食べないとやってられないわ」

ディアナ「昼食の時間まではあと二時間ほどですから…どうか辛抱なさってくださいまし」

提督「……耐えられるか不安になってきたわ」


498 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/03/28(木) 12:32:26.00 ID:J5sgj4K90
シモネッタ提督「あら、フランカったら自分だけは関係ないみたいな顔をして……あなただってなかなかだったでしょう♪」

カサルディ提督「確かに…年上が一番の好みってだけで、あとは選り好みしなかったよね」

ライモン「へぇぇ…そうなんですか、提督?」

提督「…だって///」

カサルディ提督「そうそう…フランチェスカときたら先輩はたらしこむわ同級生を誘惑するわ、果ては後輩は手ほどきするわで、どれだけの候補生を食べ散らかしたか分かった物じゃないんだから♪」

提督「そ、それは言い過ぎよ……ただ、先輩のお姉さま方は大人っぽくていい匂いがするし、同期の何人かとは話しているうちに自然と仲良くなっちゃって…それに後輩たちに「先輩、先輩♪」って慕われるのも嬉しくて…それで、つい///」

カサルディ提督「…聞いてあきれるわ」

シモネッタ提督「ふふ、そうね…確か、あれは半年くらいたってからだったわね?」

提督「あっ…///」

カサルディ提督「あー、そうだった。あの辺からタガが外れたようになったもんね……ま、どうせだから話しちゃおうか」

カヴール「ふふ、何やら楽しみですね♪」

提督「///」

フィリッポ・コリドーニ「おや、何やら特ダネの匂いが…ぜひお聞かせ願います!」

カサルディ提督「もちろん。これはね、誰とは言わないけど…そこで乙女みたいなふりをして頬を赤らめているどこかの誰かさんのお話でね♪」

………



…士官学校・入学からおよそ半年…

ビアンケッリ候補生「それじゃあ私は図書室で勉強してくるから…後でね」

カサルディ提督「ああ、また後で」

提督「行ってらっしゃい♪」

先輩候補生(結い上げ髪・ネコ)「……カンピオーニ候補生、いる?」

提督「はい、ここにおります」

先輩(ネコ)「ああ、ちょうどよかった……その、今夜の2200時ごろに…いいかしら///」

提督「ふふっ、もちろんいいですよ……先輩♪」

先輩(ネコ)「…ええ、待ってるわね///」

提督「はい♪」

後輩候補生(金髪お団子)「…失礼します! カンピオーニ候補生はいらっしゃいますか?」

提督「あら、いらっしゃい…どうしたの、講義で分からないところでもあった?」

後輩(お団子)「あ、いえ……その、お姉さまがよろしければ…今夜……///」

提督「あぁ、ごめんなさい…今夜はちょっと忙しくて……もしよかったら、明日の晩はどうかしら♪」

後輩(お団子)「はいっ…///」

カサルディ提督「フランチェスカってば相変わらずモテるねぇ…それに運動がダメなのにレズセックスは大丈夫って……」

提督「だってえっちするときは走ったり跳んだりしないもの…♪」

ベルガミーニ候補生「……そ、そう言えばフランカ///」

提督「どうしたの、カルラ…また何か無くなったの?」

ベルガミーニ候補生「ううん、そうじゃなくて……その///」

提督「ふふっ、分かったわ…♪」ちゅっ、ちゅむ…っ♪

カサルディ提督「まったく、同室のルームメイトまで骨抜きにするなんてどうかしてるんじゃない?」

提督「お褒めにあずかり恐縮です…あむっ、ちゅ…♪」

カサルディ提督「はぁー…仕方ない、ちょっとトレーニングルームにでも行って汗を流してくるから……」

提督「ごめんなさいね、ルクレツィア……はぁ、んむ…っ♪」
499 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/04/01(月) 03:28:41.75 ID:IZ6zbuaA0
…また別の日・屋外射撃場…

メッセ教官「さて、候補生諸君もライフルや短機関銃の射撃に慣れてきたことだろうが…いま一度おさらいといこう!」


…濃緑色の野戦服に身を包んで地面に座っている候補生たちを前に、迷彩服姿で解説するメッセ教官と小火器担当のアシスタント教官数人……脇にはイタリア軍に制式採用されている数種類の自動小銃と短機関銃が並べておいてある……提督は「シルヴィアおばさま」のおかげで小さい頃からたしなんでいたので(…大きい音は苦手ながら)射撃はなかなか得意で、長距離走や障害物走などと違って射撃訓練はわりと好きな時間だった…


メッセ教官「まず、これが「ベレッタ・BM59」自動小銃。口径は7.62×51ミリで装弾数は二十発…陸軍や第一線級の部隊ではすでに「ベレッタ・AR70/90」に置き換わっているが、海軍ではまだまだ更新されていないから見る機会もあるだろう……とにかく重くてかさばるが威力は抜群だ。コンクリートブロックを撃ちぬくことも出来るし、当たれば身体のその部分とは一生お別れすることになる」


メッセ教官「……しかし、海軍士官候補生の諸君はこっちの方が手にする機会が多いはずだ。この短機関銃はルイージ・フランキの「LF57」で、口径は9×19ミリ。シンプルな形で構造も簡単。取り回しのいい短機関銃だ…今は同じ9ミリでより扱いやすい「ベレッタ・M12S」と交代しているが、一部の施設にはまだ残っているからよく練習しておく必要がある」

メッセ教官「さて…とにかくまずは事故を起こさないことだ。私も口が酸っぱくなるほど言って来たし、諸君も耳にタコができるほどだろうが、どじな小娘のせいで軍法会議にかけられたりするのはゴメンだ!」

候補生たち「「くすくすっ…♪」」

メッセ教官「笑いごとじゃなく、本当に火器の扱いには気を付けろよ…弾は薬室に送り込まず、引き金には指をかけるな! それだけで事故率はうんと減る」

メッセ教官「……さて、班ごとに分かれているから順繰りに回していこう。それぞれ一挺づつ渡すから、全員が一弾倉分を撃ち終えたら報告しろ!」

候補生たち「「了解!」」

カサルディ提督「…それじゃあ早くしよう? 最初は私がやるよ」全員耳当てをし、奥に的と土盛りがある射撃レンジに集まった…

提督「ええ」

補助教官「よし、それじゃあ始めろ…使い方は覚えているな?」

カサルディ提督「はい。カサルディ、射撃を始めます!」伏せ撃ちのセミオート射撃でBM59を撃つと引き金を引くたびに轟音が響き、奥で土煙が上がる…

補助教官「…よろしい、次!」

提督「カンピオーニ、射撃を始めます!」撃つたびにドスッ!…と肩に蹴りを浴びたような重い衝撃が走るが、何とかこらえて二十発を撃ちきった

メッセ教官「…カンピオーニ候補生、お前は射撃が上手いな。この射撃の腕に走りや反応の機敏さが加われば、射撃記章や海軍射撃チーム入りも夢じゃないぞ?」

提督「ありがとうございます、教官」

メッセ教官「いや、それもお前の才能だよ…もっと運動させてやるから、射撃と一緒に伸ばしていけ!」

提督「か、感謝します……うぇぇ……」

メッセ教官「なんだ。せっかく教えてやろうと言うんだからもっと喜べ、全く……ビアンケッリ、もっと落ち着いて撃て!」

提督「…努力します」

メッセ教官「それでいい。お前はせっかく脚が長いんだから、走り方を覚えればもっと速く長く走れるようになるはずだが……どうもその胸のせいか、呼吸と走り方がずれるんだな。また今度フォームを確認してやろう」

カサルディ提督「……だって♪」

提督「…」たゆんっ…♪

500 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/04/05(金) 03:12:30.64 ID:5irHmmL60
…また別の日・海岸の演習場…

メッセ教官「よーし、訓練生諸君! 今日はここで訓練をしてもらう!」迷彩服をまとい、もとより大きい声をさらに張り上げるメッセ教官…


…遠浅の干潟が広がる演習場は、明るい陽光に照らされて潮の匂いがする蒸れた空気がたちこめ、滑らかな灰色の泥地が沖合まで広がっている……二班ごとに並んだ提督たち士官候補生は濃緑色の迷彩服の上に漁師が着るような「胴長」を着こみ、それぞれ弾の入っていないフランキ短機関銃を持ち、置いてあるゴムボートのまわりに座っている…


カサルディ提督「うわ…これはきついかも……」

提督「…ええ……もう、サン・マルコ海兵連隊でもないのにどうして私たちが上陸訓練なの……」(※サン・マルコ海兵連隊…イタリア海軍最強の海兵連隊。コマンド作戦や破壊工作で第二次大戦中から有名)

メッセ教官「さて、この訓練の目的だが……諸君はもしかしたら乗艦を捨てることになり、どうにか陸地にたどり着かないといけなくなるかもしれない。そんな時のためにゴムボートの漕艇と、上陸した場所が軟弱地だったことを想定し、歩き方を体験しておくことにある!」

メッセ教官「……それに諸君ら候補生の中にはダイエットに熱心な者もいるようだからな。たっぷり運動して脂肪を落せるようにという、私からのささやかなプレゼントだ♪」

提督「…誰よ、もう…ダイエットなんて余計な事をしているのは……」

カサルディ提督「ま、少なくともフランチェスカじゃないよね…♪」

メッセ教官「さて…各班はまず突堤からゴムボートに乗り、沖合のブイまで向かう! ブイまでたどり着いたらUターンして戻り、旗の立ててある辺りに上陸し、ボートを引いて陸まで戻ってくること…一応「お助け」として岸からロープを数本伸ばしてあるから、どうしても進めなくなった班はそれにすがって戻ってこい!」

提督「…すごく頑張らないといけなくなりそうね……」

ビアンケッリ候補生「……確かに」

ベルガミーニ候補生「ねえ……もし足を引っぱっちゃったらごめん…」

カサルディ提督「大丈夫だって…さ、行こうよ」

………

…数十分後…

提督「ぜぇ…はぁ……ふぅ…」ぐぽっ…ずぶっ……

ベルガミーニ候補生「はぁ…ひぃ……」ずぼっ…ぐじゅっ……

カサルディ提督「ほら、頑張ろう……あと少しだから…ふぅ、はぁ……」ぐじゅっ…ぬとっ……


…全身すっかりどろんこになって汗を滝のように流し、じりじりと日光に背中をあぶられながらゴムボートを引っ張る提督たち……ゴムボートを漕いで凪ぎの海に出て、ブイの所にたどり着くまでは涼しい風もあってまだ良かったが、干潟に上陸してゴムボートを引っ張り出してからは地獄そこのけだった……最初こそ文句を言う元気もあったが、数十メートルも行かないうちに声を出す元気もなくなり、一歩進むたびにまとわりついてひざまで埋まる泥にどんどん体力を消耗した…


提督「…はぁ、はぁ……ひぃ…ふぅ……」ずぶっ…ぐぱ…っ……

カサルディ提督「ほら、もう一歩…おいちに、さんし……」

ベルガミーニ提督「ん、んんっ…きゃあっ!」脚を抜こうとして「べしゃっ…」と泥の中に倒れ込む…

提督「カルラ…ほら、つかまって……」

ベルガミーニ提督「ありがと……はぁ、うぷっ…」顔についた泥を拭ってゴムボートのロープをつかみ直す…

候補生(黒髪ショート)「今日ほど教官が憎らしい日はないわ……」

メッセ教官「…ほら、頑張れ! あと数十メートルだぞ!」

候補生(ショート)「!」

メッセ教官「…教官だからと言ってふんぞり返って、お前たちだけにやらせるのは不公平だからな……歩く時は一度脚を垂直に上げてから前に出すようにしろ、一気に前に進めようとしても泥をかきわける分だけ疲れるぞ!」いつの間にか胴長に着替え、隣の班に加わっているメッセ教官…

カサルディ提督「はい、教官…!」

メッセ教官「ああ、それじゃあ頑張れよ!」

シモネッタ提督「……フランカ、もう少しだから頑張ってね…♪」横を追い越しながら小声ではげましていった…汗だくではあるが、顔に泥はね一つ付けず綺麗なままでいる…

提督「…ええ、ありがとう……はぁ、ふぅ……」息も絶え絶えで脚を上げる提督…身体がふらつき、一歩ごとに提督たちを引き戻そうとするゴムボートが心底にくらしい……

カサルディ提督「ほら、もうちょっとだから…!」小柄な身体で二人分は頑張っているカサルディ提督…足をとられている別な候補生を助け起こしながらロープを引っ張っている……

提督「…ええ……ひぃ、ふぅ…!」

501 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/04/06(土) 02:47:41.30 ID:ZesxxEy30
…しばらくして…

提督「……ルクレツィア、スポンジを取ってくれる?」

カサルディ提督「はい…フランチェスカってば、もう「動くのも嫌だ」って顔だね」

提督「ええ、ごめんなさい…でも、もうふらふらで……」

ベルガミーニ候補生「ごめんね、私のせいで…」よくよくツイてないベルガミーニ候補生は途中で数回転び、一回はゴムボートに載せておいた短機関銃を泥の中に落として、数分かけて干潟を這いずりまわりながら探すはめになっていた…

提督「別にカルラのせいじゃないわ……そもそもはこのゴムボートのせいだもの…」ホースから水を浴びせかけ、ゴムボートの底面から内側まで丁寧に洗う…

メッセ教官「……きれいに洗えよ、候補生諸君…泥汚れが残っていたらやり直しだからな!」

提督「…それにしても、教官のあの体力はどこから来るのかしらね?」

ビアンケッリ候補生「鍛え方が違うんでしょうね……私には無理…」

カサルディ提督「だね……よし。ボートは綺麗になったし、戻ったら顔とか野戦服を洗って…それから甘いものでも食べて休憩しよう♪」

ベルガミーニ提督「同感…この後の講義がなくて良かったわ……」


…数分後…


カサルディ提督「ふぅ、さすがに今日は身体にこたえたね……」

提督「…ええ……もう歩くことすらしたくないわ…」


…ワイン樽を運ばされるロバか石材運びの奴隷のような気分でゴムボートを岸まで引っ張りあげると、そのままゴムボートや胴長の洗浄と「ルイージ・フランキ・LF57」短機関銃のメンテナンスをやらされ、すっかりヘトヘトの提督…髪にまで付いていた泥はねをゴムボート洗いのついでにある程度流し、房になっている濡れた髪を手で軽く整えた…


メッセ教官「…カンピオーニ候補生!」

提督「はい、教官…!」

メッセ教官「ちょっと用がある…教官室まで来てくれ」

提督「はっ!」

カサルディ提督「……フランチェスカってば、何かやらかしたんじゃない?」

提督「…どうかしら…これと言った覚えはないけれど……」

カサルディ提督「ふふ、あれだけ「つまみ食い」しておきながらよく言うね……じゃあ荷物は私が持って行ってあげるから」

提督「ええ、ありがとう…」

カサルディ提督「それじゃ…カミナリを落されないように祈っておくよ♪」白い歯を見せて爽やかな笑みを浮かべると、提督の背中を「ぽんっ」と叩いた…

………

…体育教官室…

提督「…カンピオーニ候補生、入ります!」

メッセ教官「よく来たな……さ、入れ」ビニール製シートの回転椅子を一脚引っぱってきてデスクのそばに寄せると迷彩服の上着を自分の椅子の背にひっかけ、それからポットのコーヒーをマグカップに注いだ…

提督「失礼します!」…まだ着替えを済ませていない提督は汗と潮水で濡れた野戦服で椅子が汚れるのをはばかって、座らずにいる…

メッセ教官「椅子は構わないから座れ…長身のお前に立っていられたんじゃ首がこって仕方がない」

提督「は、ありがとうございます…」

メッセ教官「コーヒーはどうだ?」自分にはブラックコーヒーを淹れ、振り向くとたずねた…

提督「はい、いただきます…」どうやら叱られるために呼び出されたわけではないらしいと、少しリラックスして肩の力を抜いた提督…

メッセ教官「クリームと砂糖は?」

提督「えーと…少しづつお願いします」

メッセ教官「ふははっ、そう硬くなるな…別に叱り飛ばすために呼んだわけじゃない。叱り飛ばす時は「教訓」が行き渡るように、訓練生全員の前でやるからな」

提督「…は、はい」

メッセ教官「ああ…さてと……」どっかりと椅子に腰を下ろし、腕組みをした…汗で色が濃くなっている濃緑色のタンクトップを、きゅっと引き締まった乳房が押し上げている…

502 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/04/06(土) 11:43:49.58 ID:ZesxxEy30
提督「…」

メッセ教官「カンピオーニ、さっきのお前には感心したぞ……あの干潟ゴムボート引きでは例の「お助けロープ」にすがったり、音を上げる候補生も多いんだが…よく最後まで頑張ったな」

提督「…あ、ありがとうございます///」

メッセ教官「なに、礼などいらないさ。お前自身の努力だ…自分でも最初に比べて体力が付いたのが分かるだろう?」

提督「そうかもしれません…あまり実感はありませんが……」

メッセ教官「はははっ。周りも同じように伸びているから気付かないかも知れんが、着実に良くなっているぞ……しかもさっきはベルガミーニ候補生を手助けしていたな。大したもんだ」

提督「///」

メッセ教官「そう恥ずかしがるな…海軍士官は「同じ艦(ふね)の仲間」として生きるも死ぬも一緒。そうしたときにお互いを助けあうのは大事なことだ……またそうなるように我々教官は憎まれ役を買って出ているんだからな」

提督「はい」

メッセ教官「お前は座学がよく出来るそうだし、もっと体力をつければいい士官になれるだろう…希望は決めてあるのか?」

提督「えぇと…「指揮官・参謀コース」を……」

メッセ教官「なるほど、お前は歴史や図上演習が得意だからな…だがあれの選抜にも体力テストはあるぞ。よっぽどいい成績を付けるか、運動を頑張るかしないとな」

提督「はい、努力します」

メッセ教官「ああ、頑張れよ……と、ここまではいい話だ…」

提督「…」

メッセ教官「…カンピオーニ、お前らの女遊びの話はここまで聞こえてきているぞ」

提督「っ///」

メッセ教官「別に「するな」とは言わん…だがお前やカサルディのはやりすぎだ」

提督「…」

メッセ教官「……どこの誰が士官学校の候補生をたらしこんでハーレムを作れと言った…しかもご丁寧に卒業間近の連中から入りたての娘っ子まで構わず食い散らかしやがって、このどあほうが…!」

提督「……申し訳ありません、教官…!」

メッセ教官「いまさら謝って済むことか…まったく。お前とその仲間どもときたら、どいつもこいつも大人しいフリをしてとんでもないアバズレだ」

提督「…」

メッセ教官「…だがな」

提督「?」

メッセ教官「そのくらい元気があるっていうのはいいことだ……若いうちは身体を持て余すこともあるだろうしな♪」ニヤッと笑ってあきれたように首を振った…

提督「えぇと…その……」

メッセ教官「それにだ、確かにお前は女受けのいい顔をしてる…さぞモテるだろうな?」ぐっと顔を近寄せて、じっくりと提督を観察するメッセ教官…

提督「あー…それは、まぁ…///」

メッセ教官「今さら恥ずかしがるな、このスケベ女が……んっ♪」

提督「んっ!?」メッセ教官の荒い唇が触れると、コーヒーと煙草の煙るような味と潮の匂いがまとわりつく…

メッセ教官「んむっ、ん…ちゅっ、ちゅぅぅ…っ!」

提督「んむ、あふっ…はむっ……んちゅぅ、ちゅぅぅ///」

メッセ教官「ぷはっ……なるほど、これじゃあ骨抜きにされる娘っ子が出るのも無理はない」手の甲で唇を拭うと、感心したようにうなずいた…

提督「き、教官…///」

メッセ教官「なんだ、おかしいか? 私だってな、もっと向こう見ずな頃には色々と悪さをしたもんだ……本当は教官になるつもりはなかったんだが…」

提督「その……では、どうして教官になったのですか///」

メッセ教官「そのことか…まぁ時間もあるしな、話してやろう」

503 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/04/09(火) 02:34:08.30 ID:M9rLO2DT0
メッセ教官「ふー……私の家族は頭が固くてね、物心ついた頃から何かといえば「お前は女の子なんだから、将来いいお嫁さんになれるよう女の子らしくしなさい」ばっかり言われてたもんだ」

メッセ教官「…特に母親はそうでな。何かといえば「そんな女の子らしくない事は止めなさい!」とくる」

提督「……それは…息がつまりそうですね…」

メッセ教官「ああ…着ているものと言えばいつも丸襟のブラウスとスカートで、エナメルの丸っこい靴を履かされてお行儀よく……いいところのお嬢さんみたいにな」

提督「…正直、想像もできません」

メッセ教官「無理もない……それに私はガキの頃から駆けずり回るのが好きだったものだから、そんなのはまったく好みに合わなかった」

提督「…ええ」

メッセ教官「隙を見つけちゃ家を抜け出して日が暮れるまで暴れ回り、自分よりひと回りは大きい近所の坊主どもを蹴散らしてたもんだ」

メッセ教官「…だがな、それをやって家に帰ると「お前は女の子なのに、どうしておしとやかにしないの!」なんて言われては、夕飯を抜きにされたり頬を引っぱたかれたり……二日に一回はそんな具合だったな」

提督「…」

メッセ教官「…で、家にいる時は毎日お裁縫だのお菓子作りだの…つまり母親が言うところの「女の子らしい」事ばっかりやらされた……とにかく嫌でたまらなかったから、学校に入ってからはうんと勉強するようにしてやった……どうしてか分かるか?」

提督「…勉強にぶつけたのですか?」

メッセ教官「まぁそれもあるが……少なくともノートを開いて勉強の真似事をしている間は、そういう「がらくた」につき合わされないで済むからだ」

提督「なるほど…」

メッセ教官「…で、中学生になったらなったで今度は「将来、素敵な男性に見初めてもらえるよう」に化粧だとか服だとか…もちろん、母親からは子供の時よりもっと金切り声でやられる始末だ…まったく「繊細で情緒的」だった私にしてみれば悪夢だったよ」

提督「ええ…想像するだけで胃がきりきりします……」

メッセ教官「そうだろうな……とにかく、母親の考えでは「女に花嫁修業以外の教育はいらない」って事だったらしくてな。高校を卒業するかしないかのうちにいい人を見つけて、後はそいつにコバンザメよろしくひっ付いて食べ物のおこぼれをあずかり、パーティの時は見てくれのいいお飾りになっていればいい…ってつもりだったらしい」

提督「…」

メッセ教官「もちろん、高校生の私にだってそのくらいの考えは読めた……で、どうやって家出をするか考えていて、ふと街に貼ってあるポスターに気づいたわけだ……」

提督「あの……それって、もしかして…」

メッセ教官「ああ、そうだ…海軍の「新兵募集」のポスターさ。で、私は高校卒業と同時に自分の貯金をかき集めて家を飛び出し、海軍に転がり込んだ…ってわけだ」

提督「…教官は大変だったのですね……」

メッセ教官「そうかもな……まぁ海軍の初等訓練が楽だったとは言わないが、何かと金切り声でわめく母親はいないから気苦労がないし、好きなだけ身体を動かして怒られるどころか褒められるんだからな…私にしてみればいい所だった」

メッセ教官「…それでだ、私は訓練課程の修了までにうんと鍛えて、並みの男の三人分くらい戦えるようになったから「サン・マルコ」海兵連隊に志願したんだが……」

提督「…が?」

メッセ教官「担当士官に「君は優秀だとは思うが女性のための設備がないし、海兵連隊の伝統もあって女は入れられない」……と門前払いを食った」

提督「…」

メッセ教官「もうくやしかったどころじゃない……あれだけ「女らしく」って言われるのが嫌だったのに、制度にまでそう言われるとは思ってもなかったからな……海兵の荒くれを一人か二人ぶちのめして見せて、そいつの代わりに入れてもらおうかと思ったくらいさ」

メッセ教官「…まぁ腹わたが煮えくり返ったのは一週間くらいで、そのうちにこう思った……「私自身は入れなくても、私が強い女性兵士や士官をたくさん育てれば、いつか海軍だって認めざるを得なくなるだろう」ってな…それに体力と脳みそはあって困ることはない。違うか?」

提督「いいえ、その通りだと思います」

メッセ教官「そうだろう……それにここでなら私の性癖も満たせるからな♪」

提督「えっ…?」

メッセ教官「私が子供時代に抑えつけられたせいもあるだろうが……私は女が泥んこになってるのが好きなんだ。軍では好きなだけ泥だらけになれるし、教官ならある程度訓練項目を選ぶことも出来るからなおのことだ…ま、干潟訓練はいい体力トレーニングにもなるし「一石二鳥」ってわけだな」

提督「…教官、それでは……その///」

メッセ教官「……さっきはベルガミーニが身体中泥まみれになってべちゃべちゃやってるのを見て興奮した…カンピオーニ、お前もなかなかだったぞ♪」

提督「あ、あー…えーと、ありがとうございま…す……///」

メッセ教官「…適当なロングブーツを買ってきてぬかるみに突っこむのも好きだが……お前はいらないブーツとかあるか?」

提督「……さ、探しておきます」

メッセ教官「おう…さ、もう私の昔話はいいだろう。行ってよし!」

提督「はっ、失礼します……コーヒーをごちそうさまでした、教官♪」

メッセ教官「ああ…しっかりやれよ」
504 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/04/09(火) 10:20:41.04 ID:M9rLO2DT0
………



シモネッタ提督「…それは初耳ね」

カサルディ提督「あれ、言ってなかったかな……とにかくそれ以降は教官も黙認みたいなものだったから、フランチェスカときたらもうやりたい放題で…」

メッセ兵曹長「全くだ…カンピオーニときたら、私が少し甘い顔をしてやったら勘違いしてな」

提督「むぅ…それを言ったらルクレツィアだって更衣室のロッカーに同期の娘を押し付けて、耳元でずーっと甘酸っぱいような台詞をささやいていたじゃない」

カサルディ提督「あー…それは、まぁ…そうかもしれないけどさ……」

提督「…忘れたなんて言わせないわよ?」

コリドーニ「おぉぉ…次から次へと記事になりそうな話が……!」

デュイリオ「うふふっ、そういうのもあるのですね……今度機会を見つけて、私も提督に試すといたしましょう…♪」

ガリバルディ「さっきから聞いていたけれど…へぇ、なるほどね♪」

エウジェニオ「色々と役に立ちそうな話ね……ふふ♪」

提督「あら、三人ともお帰りなさい…外の様子は?」

デュイリオ「風もなく心地よいお日柄です……催し物は上天気が一番ですもの♪」

ガリバルディ「そうね。おかげで盛況よ、提督…混乱も特になし」

エウジェニオ「憲兵隊が上手くさばいてくれているから、提督はゆっくりしていて……ね♪」ちゅっ♪

提督「ふふ、了解♪」

ライモン「もう、提督ってばエウジェニオには甘いんですから……」

ガリバルディ「提督、ライモンドが妬いているわよ…ほら、怒られる前にご機嫌を取ってあげないと♪」

提督「ふふっ……怒らないでね、ライモン?」…ちゅっ♪

ライモン「…っ///」

シモネッタ提督「本当にフランカときたらお熱いこと…♪」わざとらしく手で扇いでみせるシモネッタ提督…気づけばいつの間にか提督の所の小さな駆逐艦「クィンティノ・セラ」をテディベアのように抱きかかえ、カサルディ提督の「MS16」と「MS22」をはべらせている…

提督「ちょっと…エレオノーラ!?」

シモネッタ提督「なに?」

提督「…い、いつの間に……?」

シモネッタ提督「ふふ、貴女が昔話に花を咲かせている間によ……それにしてもセラは可愛いわね♪」セラのさらさらの髪を手ですくい上げると顔に近づけ「すぅ…」と深呼吸する…

セラ「えぇと……あの…///」シモネッタ提督のひざの上で、恥ずかしげに顔を紅くしているセラ…

提督「あー……そろそろお昼だし、姫たちにも戻って来てもらいましょうか…ね、ライモン?」意味ありげにウィンクをしてみせる…

ライモン「…あ……あ、あぁ…そうですね! わたしもお腹が空きました♪」

提督「そうよね♪ それじゃあお昼の用意をしないと…セラ、お皿を運ぶから手伝ってくれる?」

セラ「は、はい///」

シモネッタ提督「もう…せっかく至福の時間を過ごしていたのに……」

提督「はいはい…兵曹長もご一緒にいかがですか?」

メッセ兵曹長「すまんな…それじゃあせっかくだしごちそうになろうか」

提督「ええ、ぜひ…ライモン、悪いけれど姫たちに「お昼にしますので」って伝えてきてもらえる?」

ライモン「はい」

提督「ディアナ、厨房に行きましょうか」

ディアナ「ええ、よしなに…♪」

505 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/04/11(木) 02:07:30.25 ID:DXgjiEIo0
…厨房…

提督「…さてと、お昼の献立は何にする?」金モールの付いた上着と軍帽を厨房の隅っこに置いてある椅子にたたんで乗せるとエプロンをかけ、手を洗った…

ディアナ「そうですね…とりあえずカリフラワーがたくさんありますから、それを使って一品作りましょう。後は砂を吐かせたアサリが冷蔵庫に入っております」

提督「んー…だったら「カリフラワーのアンチョビ風味」と「ボンゴレ・ビアンコ」でどうかしら? 後は屋台料理のお余りや冷蔵庫の残り物とかをかき集めたら、そこそこどうにかなるんじゃないかしら?」

ディアナ「ああ、それはよろしいですね…♪」

提督「それじゃあ私はカリフラワーに取りかかるから、ディアナはボンゴレをお願い」

ディアナ「はい、よしなに」

提督「それじゃあまずはカリフラワーを洗って……」


…提督はクリーム色をしたカリフラワーをとなりの食料庫からいくつか取り出してきてざっと洗い、それから包丁で房を一口大に切り出していく……残った太い茎は食べられないこともないが、わざわざ使うこともないのでルチアの餌に混ぜることにして分けておく…


提督「…お湯も沸いたみたいね」ごぼごぼと泡を立てている鍋にカリフラワーを放り込み、タイマーを四分にセットする…

提督「ではその間に…と♪」唐辛子とニンニク、アンチョビの缶詰をまな板の脇に並べた……ニンニクは薄切りにし、乾燥唐辛子は辛みが出るようハサミで適当な大きさの輪切りにする…綺麗な赤色の唐辛子はパリパリに乾いているのでハサミを入れるそばから割れてしまうが、風味付けなので気にせずに切った…


提督「♪〜ふーん、ふふーん……」アルミの大ぶりなフライパンにオリーヴオイルを流し込んで火にかけると唐辛子を入れ、(焦げやすいので)少し間を開けてからニンニクを入れる…

提督「そろそろ茹ったかしら…うん、いいわね♪」

…カリフラワーがちゃんと茹ったかどうか串を刺し、それから網しゃくしでカリフラワーをしゃくい上げた…手際を考えるならカリフラワーをすくうよりは、むしろ流し台のザルに空けてお湯を流してしまう方が早いが、そこは節水を叩きこまれた海軍士官だけに、つい「何かに使える」とお湯を残す…

提督「……それでは、と」アンチョビの缶を開けるとフライパンに空け、アンチョビがすっかり溶けてしまうまで弱火にかけた…

提督「後はカリフラワーを……そーれ♪」火を止めたフライパンに水気を切った茹でカリフラワーを投入して、さっと和える……少し馴染ませると陶器の大きなサラダボウルに移し、それから油汚れが取れるように、カリフラワーの茹で汁をフライパンにそそぎこんだ…

提督「私の方はできたわ…ディアナ、何か手伝いましょうか?」

ディアナ「いえ、こちらも出来上がりますので…」


…大戦時は32ノットを誇った「高速スループ」だけあって、とにかく手際のいい「ディアナ」…提督がカリフラワーを料理している間にアサリの「ボンゴレ・ビアンコ」を仕上げている……まずはみじん切りのニンニクとオリーヴオイルを弱火にかけて、刻んだ玉ねぎを少々加える…玉ねぎがすっかり透明になったところで、殻を擦りあわせて良く洗った殻つきアサリをガラガラと放り込み、火勢を強めて白ワインをそそぐと蓋をして、一気に蒸らす…ほんの二分ばかりでアサリがぱっくりと口を開け、そこに薄めのコンソメスープを注いで軽くひと煮立ちさせる……アサリの塩気が出るので塩はほとんど入れず、少し固めにゆで上げたパスタに出来上がった「ボンゴレ・ビアンコ」をたっぷりと注ぐ…


提督「すぅー……いい匂い。美味しそうね♪」

ディアナ「ふふ、さようでございますね…さ、提督も上着をお召しになって食卓に参りましょう?」

提督「ええ♪」パスタが冷めないうちにと、急いで上着を羽織る…

…食堂…

提督「お待たせしました…さぁ、召し上がれ♪」提督が制服を整えて食堂の席に着くころには百合姫提督たちも戻って来ていて、長テーブルに揃った白と紺、そして金モールの制服がまぶしい…

カサルディ提督「うわぁ、いい匂い…♪ 料理の腕は相変わらずみたいだね、フランチェスカ?」

提督「ええ…だけどここに着任してからはディアナに頭が上がらないわ♪」そう言ってディアナにウィンクを投げる

ディアナ「お褒めいただきありがたく存じます…///」

シモネッタ提督「あら、美味しい…毎日こんなにいいものを食べているなんて、やっぱりフランカはずるいわ♪」

提督「ふふっ、少将にもなると色んな特権があるのよ…♪」冗談めかしてそう言うと、白ワインのグラスを軽くかかげた…

百合姫提督「ほんと…美味しいわ……♪」

グレイ提督「確かに…上品な味付けでよろしいですわね」

ヴァイス提督「アサリだけでこんなに美味しい料理が作れるのですね」

エクレール提督「まぁ、フランスでしたらこのくらいは……」

提督「…んー?」意味ありげに眉を上げ、微笑んでみせる提督…

エクレール提督「い、いえ…なかなかの味だと思いますわ///」

提督「そう、よかったわ♪」

ルチア「ワフッ…ハフハフッ……フガ…♪」長テーブルの脇で冷ましておいた鶏レバーとカリフラワーの茎を混ぜたものをもらってご満悦のルチア…
506 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/04/13(土) 15:34:15.43 ID:iJO4E7Fn0
提督「ふー…美味しかったわ♪」

カサルディ提督「本当に美味しかったよ…おかげで食べ過ぎちゃった……」

提督「ふふ、いいじゃない…日差しが気持ちいいし、お昼寝でもして来たら?」

カサルディ提督「いやいや…そんなことしたら夜まで寝ちゃいそうだし、起きてることにするわ」

提督「そう、ならコーヒーでも淹れましょうか…みんなは?」

シモネッタ提督「ええ、ありがとう」

メッセ兵曹長「もらおう」

提督「はいはい…ライモン、手伝って?」

ライモン「はい、提督」

カサルディ提督「……うーん、美味しい」甘いカフェ・ラテをすすって満足そうにため息をついた…

提督「ふふっ…カフェ・ラテ一杯でそんなに感心しなくたって♪」

カサルディ提督「いや、それがさ…うちは規模が小さいから予算もあんまりつかないし、艦娘も少ないから当然出し合う食費の方も集まらなくて……たいていはインスタントコーヒーなんだよね」

提督「あらまぁ…エーゲ海管区と言えば激戦区なのに、それはずいぶんね?」

カサルディ提督「うん…まぁもっとも、うちはレロス島鎮守府って言っても「第十二」なんていうほとんど末席の小さい所だからね……ところでエレオノーラ、ここは貴族の別荘みたいだけどさ「ヴェネツィア第三」はどんな感じ?」

シモネッタ提督「そうね……まぁ、ここほど贅沢ではないけれど一応みんなに個室があるし、艦娘の子も結構いるから「まぁまぁ」って所ね」

カサルディ提督「そっか…そう言えばさ、エレオノーラがロリコ……いや、幼女が好きになったのってどうして?」

シモネッタ提督「…あら、それなら士官学校の時に話したことがなかったかしら?」

カサルディ提督「そうだっけ?」

提督「…確かあの時は私だけで、ルクレツィアはいなかったんじゃなかったかしら?」

シモネッタ提督「あぁ、そう言えばそうだったわ……そう、あれはまだ私が小さい頃だったけれど、近所に従姉妹がいて……」

カサルディ提督「へぇ、エレオノーラに従姉妹ねぇ……よそ様の話とはいえ、その従姉妹の貞操が心配になるわ…」

シモネッタ提督「失礼ね、その頃はまだ「愛の手ほどき」なんてしていなかったわ♪」

カサルディ提督「…」

シモネッタ提督「まぁとにかくその娘が可愛くて可愛くて…くりっとした瞳にぷるぷるの唇…小さくて柔らかな手足に、笑みを浮かべると出来るえくぼ……もう天使がいるようにしか思えなかったわ…♪」

カサルディ提督「あー…幼い頃からそんなだったわけね……」

提督「そのようね……前に聞いた時も同じ話をしてくれたもの」

シモネッタ提督「ええ…で、幼心にこう思ったの「将来は可愛い幼女に色々手ほどきできるような立派な女性になりたい」って…♪」

カサルディ提督「それって立派な犯……いや、まぁ…夢を持つのはいいことだと思うけどさ……」

提督「……しかもちゃんと実現できているものね…」

シモネッタ提督「ふふ…たまたま行ったイベントで艦娘の子に出会わなかったら、今ごろは保育士か幼稚園の先生になっていたでしょうね♪」

カサルディ提督「…さもなきゃ刑務所か……」

提督「ええ、それが一番ありそうね…」

シモネッタ提督「そう言えば…私は艦娘たちといちゃいちゃしたかったからで、フランカは歴史とか軍艦のことが得意だったから、って言うのは知っているけれど……ルクレツィアはどういう経緯で海軍に入ったの?」

カサルディ提督「あー、私はねぇ…実家はリーパリ諸島からシチリア沖に船を出して魚を取る漁師で……私は船を継ぐ気だったんだけど、シチリア辺りじゃ女が漁師になるっていうのはなかなか受け入れてもらえなくてさ…しかも「深海棲艦」騒ぎが起こって危険だからって、もう漁どころじゃなくなっちゃって……」

シモネッタ提督「…それで?」

カサルディ提督「まぁそういう訳で小舟の扱いは上手かったから、モーターボートの選手になろうと思ってヴェネツィアに行ったんだけど……海軍の制服ってスマートで格好いいし、お給料もきちんとくれるし…それに意外と小型艇も多いから、けっこう向いてるんじゃないか……って思ってね」

シモネッタ提督「なるほど…」

提督「…少なくともエレオノーラの理由よりは健全よね」

カサルディ提督「…確かに」

シモネッタ提督「もう、失礼ね…これでもちゃんと指揮は取れるのよ?」苦笑いするカサルディ提督とむくれてみせるシモネッタ提督…
507 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/04/13(土) 17:38:20.18 ID:iJO4E7Fn0
…まずはこれで「提督たちの士官学校時代」はおしまいにして、あとは基地祭の最終日の模様を続けていこうかと思います……あと、せっかくなので「カリフラワーのアンチョビソース」のレシピを書いておきます…


………

カリフラワーのアンチョビソース(だいたい三人前くらい)

カリフラワー…一株
アンチョビ缶…四切れ程度
乾燥唐辛子…半分〜一本分(輪切り)
ニンニク…ひとかけ(薄切り)
オリーヴオイル…適量(アンチョビ缶の油を使う場合はその分減らしておく)


カリフラワーは「幹」の部分から各「枝」ごとに切り出し、三分から四分くらい茹でておく(ゆでてすぐ和えると水っぽくなるので少し冷ました方がいいかも…)

フライパンにオリーヴオイルを(使う場合はアンチョビ缶のオイルも一緒に)たらして、唐辛子を(辛み成分が油溶性だそうなので、時間をかけた方が辛みが出ます)弱火でゆっくり温め、しばらくしたら薄く切ったニンニクを投入して、軽くカリカリになるまで火を加える

ニンニク・唐辛子オイルにアンチョビを投入して、木べらでほぐすようにしていく…完全に形がほぐれたら火を止めて、ゆでておいたカリフラワーを投入して和える……もし味が薄かったら塩を軽く振る


……こんな感じでわりと簡単です。温かい内はもちろん、冷めても前菜やワインのお供にぴったりで、しかも数日は置いておけるので常備菜にでも…

508 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/04/16(火) 01:33:08.82 ID:Hi11guKo0
…昼下がり…

シロッコ「うーん……屋台の当番も終わったし、お昼も美味しかったわ…ふわぁ…あ…///」大きく伸びをしながらあくびをするシロッコ…

シロッコ「……この後は少し昼寝をして、それから今度はお客さんになって屋台でも巡ろうかな……って、お姉…」廊下の先を歩いている、見覚えのある淡い褐色のシルエット……シロッコは声をかけようとして口を開けたが、直前でやめた…

マエストラーレ?「…」

シロッコ「……くすくすっ♪」(ふふ、いいこと思いついちゃった……後ろからいきなり抱きついておっぱい触ったりしたら、堅物なお姉ちゃんのことだから「きゃあ!」とか可愛い反応をしちゃうよね……♪)

マエストラーレ?「…」

シロッコ「…そーっと、そーっと……」(お姉ちゃんにしては何だか少し背が低いような気がするけど…気づかないうちに私も背が伸びたのかしら……?)

マエストラーレ?「…」

シロッコ「……えい♪」ふにっ…♪

マエストラーレ?「ひゃあっ!?」

シロッコ「ん? …お姉ちゃんにしては胸がずいぶん慎ましいような…声も甲高いし……」

マエストラーレ(ヴェネツィア)「も、もうっ…いきなり何するのっ///」

シロッコ「えっ…あれっ!?」

マエストラーレ(ヴェネツィア)「…後ろからいきなり胸をわしづかみにするなんて……どういうつもり…っ///」

シロッコ「うわわ…っ、ごめんなさい! お姉ちゃんのつもりでびっくりさせようとしたんだけど……まさかヴェネツィアのマエストラーレだったなんて…」

マエストラーレ(ヴェネツィア)「……シロッコは自分のお姉ちゃんと私を間違えたの?」

シロッコ「そ、そういうこと……ごめんなさい…」

マエストラーレ(ヴェネツィア)「そういうこと…ならいいわ。間違えたのなら許してあげる♪」鎮守府のマエストラーレたちより少し小柄なヴェネツィアの「マエストラーレ」が少しつま先立ちをして、シロッコの頭をぽんぽんと撫でる…

シロッコ「あぁ、驚いた。 だってこっちに来た時はお団子二つだったのに、いつのまにか髪型がお姉ちゃんと同じになってるんだもの…」

マエストラーレ(ヴェネツィア)「ああ、これ? これはね、さっき食堂でここのマエストラーレと一緒になって……」

…数分前・食堂…

マエストラーレ(ヴェネツィア)「美味しいわねぇ、リベッチオ?」

リベッチオ(ヴェネツィア)「うんっ、おいひい…♪」

シロッコ(ヴェネツィア)「もう、口もとにべたべたつけちゃって…ほぉら、拭いてあげるから顔を寄せて?」

リベッチオ(ヴェネツィア)「んー…♪」

グレカーレ(ヴェネツィア)「あはは、本当にリベッチオってば子供なんだから……♪」

リベッチオ(ヴェネツィア)「えへへ…っ♪」

マエストラーレ「……ねぇ、マエストラーレ?」ヴェネツィアのシロッコたちが食堂から出ていくと、残っていたマエストラーレに声をかけた…

マエストラーレ(ヴェネツィア)「なぁに、マエストラーレ…って、これだと自分で自分を呼んでいるみたいでおかしな感じ♪」

マエストラーレ「そうね……って、そうじゃなくて」

マエストラーレ(ヴェネツィア)「…?」

マエストラーレ「いえ…他の鎮守府所属の「自分」と出会うのって初めてだけど、変な気分で……マエストラーレはどう?」

マエストラーレ(ヴェネツィア)「うーん…確かにちょっとおかしな気分ではあるけれど、瓜二つってほどじゃないから……従姉妹みたいな感じかな♪」

マエストラーレ「…なるほど、従姉妹ね……言われてみればそうかもしれないわ♪」

マエストラーレ(ヴェネツィア)「でしょ♪ ……あ、そうだ。せっかくだから髪をとかしてくれない?」

マエストラーレ「髪を?」

マエストラーレ(ヴェネツィア)「うん…せっかく自分の「分身」に会えたわけだし、同じ髪型にしてほしいの」

マエストラーレ「なるほどね……分かった、それじゃあ櫛を持ってくるわね」


509 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/04/16(火) 02:36:46.66 ID:Hi11guKo0
………



マエストラーレ「……どう?」

マエストラーレ(ヴェネツィア)「うん…気持ちいい……」マエストラーレが二つのお団子を解いて櫛を走らせると、椅子に大人しく座っている「マエストラーレ」(ヴェネツィア)は心地よさそうに目をつぶり、頭皮をくすぐる櫛の感触を楽しんでいる……

マエストラーレ「きれいな髪…シモネッタ司令はいい女性(ひと)みたいね」

マエストラーレ(ヴェネツィア)「そうね、とってもいい女性よ…ちょっと幼女好みなのが欠点だけど……」

マエストラーレ「まぁ、それで言ったらうちの提督も女たらしの年上好きだから……」

マエストラーレ(ヴェネツィア)「…何でも完璧な人はいないって事ね」

マエストラーレ「そうかもね……あ…」梳いている髪からふわりと甘いいい香りが漂った…

マエストラーレ(ヴェネツィア)「どうしたの?」

マエストラーレ「あー、えーと……いま、マエストラーレの髪からいい匂いがして…///」

マエストラーレ(ヴェネツィア)「シャンプーかな……うちはみんなで集める分に提督がお金を足してくれるから、いいのを使えるの」

マエストラーレ「あ、ヴェネツィアもそういう風になっているのね。 …それにしてもいい香りで、まるで花園みたい♪」

マエストラーレ(ヴェネツィア)「そうかもね…これはうちの提督がアロマのお店に頼んで作ってもらってるオーダーメイドだから」

マエストラーレ「…それでこんなにいい匂いがするのね……すうぅ…はぁ……」髪をひと房持ち上げて深呼吸する…

マエストラーレ(ヴェネツィア)「んっ…///」

マエストラーレ「あ…ごめんなさい」

マエストラーレ(ヴェネツィア)「大丈夫、ちょっとくすぐったかっただけ……///」

マエストラーレ「そう……続けるわね?」

…マエストラーレは優しく櫛を走らせ、髪をとかしていく……そのたびにヴェネツィアの「マエストラーレ」からふわりと立ち上る甘い香りと、ちらちらのぞく淡褐色の艶やかなうなじ…小さな肩と華奢な身体は、とても北アドリア海を守る「艦娘」の一人とは思えない……

マエストラーレ「…ねぇ、マエストラーレ……///」

マエストラーレ(ヴェネツィア)「…なに?」

マエストラーレ「その、続きは……部屋で…しない…?」

マエストラーレ(ヴェネツィア)「……うん///」

…しばらくして・マエストラーレ級の部屋…

マエストラーレ「……それじゃあ、するわね…///」

マエストラーレ(ヴェネツィア)「…うん……来て///」

マエストラーレ「ん…ちゅ……ちゅっ///」

マエストラーレ(ヴェネツィア)「あむっ……んちゅっ、ちゅ…///」

マエストラーレ「あっ、あっ…んぁっ♪」

マエストラーレ(ヴェネツィア)「あふっ、んっ…あ♪」

マエストラーレ「んくっ、ちゅるっ……れろっ///」

マエストラーレ(ヴェネツィア)「ふぁっ、あぁ……んふ、ちゅる……ぅ///」

マエストラーレ「はぁ、はぁ……んはぁ…脱がすわ……ね///」しゅるり…とお互いの服をたくし上げると、そのまま滑らかに脱がしていった……ヴェネツィアの「マエストラーレ」はあどけない感じのする褐色の身体に、レースをあしらった揃いの白いブラとショーツがよく似合っていて、大人びたランジェリーも清楚な下着のどちらも中途半端で決まらない感じがするマエストラーレとしては少しうらやましい…

マエストラーレ(ヴェネツィア)「ん……」くちゅ…♪

マエストラーレ「んんぅ、マエストラーレ…ぇ♪」じゅるっ、ぢゅぷ…っ、んちゅるっ…♪

マエストラーレ(ヴェネツィア)「うん……あっあっ、そこ…ゆび…気持ちいいのっ……ふぁぁ…ぁっ///」くちゅくちゅっ…にちゅっ、じゅぷっ…♪

マエストラーレ「はぁぁ……あぁ…んぅ///」くちゅっ、じゅぶ…っ♪

マエストラーレ(ヴェネツィア)「あぁぁ、はぁ…も、もう…イキそう……///」

マエストラーレ「…んんぅ、はぁ…っ…私も……///」

マエストラーレ「あっ、あっ、あっ……んあぁぁぁっ///」くちゅっ、くちゅ…ぷしゃぁぁ……っ♪

マエストラーレ(ヴェネツィア)「はぁぁ、あぁ…んっ、くぅぅっ…///」とぷっ、ぷしゃぁ…♪

………
510 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/04/17(水) 11:45:30.14 ID:R4D884Do0
マエストラーレ(ヴェネツィア)「…って言うようなことがあったから……それに終わってから時計を見たら、実際は数分どころじゃなくて……///」

シロッコ「へぇ…普段はあんなにガミガミいう割には、お姉ちゃんも意外とスケベなのね……それにしてもほんの数分でそんなになるなんて、マエストラーレも意外とスキモノなのね♪」

マエストラーレ(ヴェネツィア)「い、言わないで……だって…髪をくしけずってもらうと身体がじんじんして……///」

シロッコ「へぇ…髪だけで?」

マエストラーレ(ヴェネツィア)「え、ええ…///」

シロッコ「ふぅん……ねぇマエストラーレ、何か隠してない?」

マエストラーレ(ヴェネツィア)「…っ!」

シロッコ「隠しても無駄よ…なんとなーく分かるもの」

マエストラーレ(ヴェネツィア)「…そ、それじゃあ教えるけど……他のみんなには…言わないでくれる?」

シロッコ「もちろん」

マエストラーレ(ヴェネツィア)「それじゃあ……その…私が提督とするときは…たいてい……髪をすいてもらうところから始めるから……///」

シロッコ「……なるほど。条件反射って言うやつ?」

マエストラーレ(ヴェネツィア)「そ、そう……だから、もう…髪の毛を撫でられると濡れてきちゃって……///」

シロッコ「ふふっ、そうなのね…♪」

マエストラーレ(ヴェネツィア)「ええ……と、とにかく他のみんなには秘密にしてちょうだい///」

シロッコ「もちろん…この「歴史の立会人」を信用して?」

マエストラーレ(ヴァネツィア)「…歴史の立会人って言うのは分からないけれど……ええ」

シロッコ「うん…それじゃあまた♪」

マエストラーレ(ヴェネツィア)「またね…ちょっと休憩してくるわ……」

シロッコ「チャオ……ふふーん、いいこと聞いちゃった♪」

…またしばらくして・食堂…

提督「……ふふっ、エレオノーラったら相変わらずね♪」

シモネッタ提督「ええ、それはもう…♪」

グレイ提督「ふふふっ、イタリアの提督は愉快な方々ばかりですわね……イギリスでしたらテレビ番組に出られますわ♪」

ヴァイス提督「いや、それはその……くすっ///」

提督「あ、やっと笑ってくれたわね……いつものきりりとしたシャルロッテも凛々しくて素敵だけれど、笑った顔も可愛らしくていいわ」

ヴァイス提督「あ、いえ…笑うつもりなどなかったのですが……///」

提督「いいんですよ…面白おかしい話をしているのですから、笑ってくれないとかえって心配になってしまいます♪」

グレイ提督「ええ、ドイツ人の事ですから笑うことは禁止されているとか…さもなければ脳のユーモア神経でも切除されてしまったのかと心配になりますわ」

ヴァイス提督「いえ、決してそんなことは……」

エクレール提督「まぁ、ドイツ人に笑いを理解させるのはイギリス人に美食を作らせるくらいの難事業ですから…致し方ありませんわ」

提督「そうね。でもフランス人にまともなデザインをさせるよりは簡単でしょうけれど♪」

グレイ提督「まぁまぁ、カンピオーニ提督……わたくしはフランス艦の特異なデザインは「見ている分には」面白いと思いますわ」

提督「考えオチですけれど…ね♪」

エクレール提督「ぐっ…また貴女はそうやって……!」

提督「そう言えば、マリーはバターが好きよね……食後のおやつにでも持ってきてもらいましょうか?」(…いつかの時は四つん這いになって、夢中で舐めまわしていたものね♪)

エクレール提督「…っ///」

提督「…ねぇディアナ、マリーにバターを……って、あら?」

ライモン「提督、ディアナさんでしたら出し物に出演しに行きましたよ」

提督「あ、そういえばそんなことを言っていたわね……でも練習しているところは見せてくれたことがないし、何をするのか気になっていたのよね」

デュイリオ「でしたら見に行きましょう…ね、提督♪」ぎゅっと身体を寄せて甘えるようにしながら、提督の腕を胸の谷間に挟み込みつつ抱き寄せた…

ライモン「わ、わたしもご一緒したいです……!」反対側の手を「恋人つなぎ」にして肩を寄せた…

提督「ええ…♪」
511 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/04/20(土) 02:15:25.28 ID:RfCf9GX70
…数分後・特設ステージ前…

提督「それで、ディアナはどんな出し物をやるのかしら?」

ライモン「どうなんでしょう、ほとんどのみんなは知らないようですし…なんでもオリアーニから服を借りていたみたいですが……」

提督「ふーん、オリアーニからねぇ……別にディアナは服を持っていないわけでもないし、ますます分からないわ」

デュイリオ「まぁまぁ、何はともあれ見れば分かりますから…ね♪」

提督「それもそうね……さぁ、姫は特等席にどうぞ♪」並べてある折りたたみ椅子に百合姫提督を座らせる…

百合姫提督「あ、ありがとう……///」

提督「他の提督方は席を確保できましたか?」

グレイ提督「ええ、ご心配なく」

ヴァイス提督「ヤー、大丈夫です」

エクレール提督「……わたくしは「学芸会」などに興味はありませんが…立っているのもおかしいですから、とりあえず座らせていただきますわ」

コリドーニ「……さて書き出しは、と…「いよいよ世紀の大スペクタクルが始まろうと言うところ…我が艦隊の高速スループ、月の化身にして狩人の女神「ディアナ」の見せるものは一体何か…会場を埋め尽くす観客は今や遅しと彼女の登場を待ち望み、高まる期待に舞台の周囲はジュリオ・チェザーレの凱旋を待ちわびるローマ市内のような熱気に包まれております!」…と」鉛筆を舐めながら取材ノートに文字を書き殴っているコリドーニ…

提督「よいしょ、と…コリドーニの書き方は少し大げさだけれど……まぁ、あながち嘘でもないわね」

アオスタ「それでは、お次は高速スループ「ディアナ」です…盛大にお迎えください!」

提督「さぁ、やっとディアナの……って…」

ライモン「…えっ///」

デュイリオ「まぁ…♪」

百合姫提督「……わぁぁ…っ///」

グレイ提督「あら、なかなか大胆ですわね…?」

ディアナ(セーラー服)「……それでは、参ります…メイク・アップ…!」


…いつもはとある「月の女王」らしく、プラチナブロンドの髪を銀色のリングで特徴的にまとめ、水色のルージュを唇に引いているディアナ……が、ステージの上にいるディアナはオリアーニから借りたらしい、スカートの丈がふとももの半分もないようなミニスカートのセーラー服をまとい、紅い口紅と金の額当てを付け、髪を二つのお団子にまとめて魔法のステッキのような物を手に持っている…ステッキを天に掲げて合図をすると、両側に置いてあるスピーカーから、鎮守府でも見ている艦娘のいる日本の人気アニメ作品の主題歌が流れてきた…


提督「…ねぇライモン、あれって…確か」

ライモン「ええ、そうだと思います…おそらくセーラー(水兵)で海軍つながり、それにディアナはまぎれもなくムーン(月)の女神ですから……」

提督「…まさにぴったりね」

ライモン「ええ」

百合姫提督「ねぇフランカ……あの有名な「美少女戦士」のアニメってこっちでも放送しているの?」

提督「ええ。こっちではちょうど放送されているところで、テレビにかぶりつきで見ている娘もいるくらいよ……でもディアナがあれをやるとは思わなかったわ…」

ディアナ「♪〜……つーきーの光にみーちびかーれー、なーんーどーも、めぐーりあうー…♪」ひらひらとプリーツスカートが揺れるたびに、真っ白なふとももがちらりとのぞく…

デュイリオ「あらまぁ…これはずいぶんと結構な目の保養だと思いませんか、提督?」

提督「えぇ、まぁ…その……かなりそそるわね♪」下には白い競泳水着を着ているらしいが、それでもしなやかなディアナの太ももがのぞくとなかなか際どい…拍手しながらも、思わず顔がにやける提督……

ライモン「ち…直視するのはちょっと恥ずかしいですね……///」ちらちらと視線を向けてはまた恥ずかしげに顔を伏せるライモン…

百合姫提督「えーと、その…イタリア艦の娘がやるとちょっと刺激的な感じになっちゃうのは分かったわ……///」

ディアナ「♪〜…星座のまたーたき数え、占う恋のゆくーえ…同じくーにに生まれたーの、ミラクル・ロマンス…♪」

三つ編みの女の子「わぁぁ…あのおねえちゃん、とってもきれい///」

小学生くらいの女の子「すごぉ…い///」観客の小さな女の子たちは美しい顔とスマートな身体つきのディアナに見とれている……

コリドーニ「おぉ、なるほどこれは色っぽい…とはいえ艦齢(とし)を考えると少し無理しすぎといえなくもな……」

ディアナ「…」ビシュッ…!

コリドーニ「うわっ…と!」足もと数センチの所に矢が突き立って震えている……

提督「ほら、そうやって人の揚足を取るから……ディアナ、とっても素敵よ♪」軽く手を振ってウィンクを投げた…

ディアナ「///」恥ずかしげに小さく手を振りかえすディアナ…

512 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/04/24(水) 01:41:46.87 ID:umgGV5X10
………



提督「お疲れさま、ディアナ」

ディアナ「ありがとうございます……あの格好で舞台に上るのはかなり恥ずかしかったですが…///」

提督「よく頑張ったわね…とってもセクシーで、そのままいただきたいくらいだったわ♪」わざと色っぽいウィンクを投げる…

ディアナ「…提督ったら……そのようなおたわむれを……///」

デュイリオ「ふふっ……ところでディアナ、この後は忙しいですか?」

ディアナ「そうですね…今夜の夕食はエリトレアが当番ですので、特にこれと言った用事は……わたくしにご用でしょうか?」

デュイリオ「ええ、せっかくですからディアナとも回りたいと思いまして…ライモンド、貴女も一緒にどう?」

ライモン「わたしもご一緒していいですか?」

デュイリオ「ええ、もちろんですとも…♪ ディアナ、いかが?」

ディアナ「そうですね……お二人がそうおっしゃって下さるのなら、わたくしもご一緒させていただきます」

デュイリオ「なら決まりですね…と、言うことで失礼いたします♪」

提督「あら、だったら……姫、私と一緒に回る?」

百合姫提督「え、ええ……気持ちは嬉しいけれど…その……お邪魔じゃないかしら…?」

提督「ふふっ、別に逢引をするわけじゃないのよ♪」

百合姫提督「そう、なら……///」

足柄「…じゃあ私たちはここの娘たちと一緒に見て回るとして……提督、上手くいくように祈ってるわ…♪」耳元にささやいた…

百合姫提督「べ…別にそういうことじゃないのよ、足柄……///」

足柄「いいのいいの、分かってるから……そのかわり、戻ったら私が満足するまでとことん付き合ってもらうわよ…?」

百合姫提督「///」

足柄「ふふ……ほら龍田、ボーっとしてないで行きましょうよ!」

龍田「そうね…それでは提督、また後でね…♪」

百合姫提督「え、ええ///」

提督「……ふふっ、姫の所もなかなか積極的な娘がお揃いのようで…♪」

百合姫提督「えぇ、まぁ……///」

グレイ提督「……お二人とも、よろしければわたくしと回りましょうか?」

ヴァイス提督「はっ、ご一緒させていただきます…!」

エクレール提督「ええ、そうですわね……」

グレイ提督「ではそういう事で…失礼いたしますわ♪」そう言いつつ提督にだけ見えるよう、さりげなく眉を動かしてみせた…

提督「♪」こっそりウィンクを投げ返す提督…

シモネッタ提督「そう、なら……私たちも別行動しましょうか?」長い髪をふわりと揺らし、ちょっと意味ありげに微笑を浮かべてみせた…

カサルディ提督「賛成。私も肩章に星が付いてる相手と一緒にいると疲れて仕方ないし……と言うわけで、また後でね♪」小さく親指を立てると軽くうなずいた…

提督「ええ、また後で……今日は基地祭の最終日だから、夕食は2000時以降にずれ込むと思うの…その時に食堂でね」

カサルディ提督「了解…って、こら! ちょっと目を離すとうちの娘に手を出して……そっちにも駆逐艦の娘がいるでしょうが?」

シモネッタ提督「ふふ、だってとっても可愛らしくって……ね♪」

MS16「ふふっ……おねえちゃぁ…ん♪」

MS22「……エレオノーラおねえちゃん♪」

シモネッタ提督「んふ…むふふ…っ♪」

カサルディ提督「あー、もう…あんたらもいい加減にしなさいっ……」わざとガミガミ言いながら歩いて行った…

提督「それじゃあ行きましょうか」

百合姫提督「え、ええ…///」
513 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/04/27(土) 02:40:22.34 ID:QzidebK60
………



百合姫提督「……でね、そういうことがあったの…♪」

提督「まぁ、ふふっ♪」

百合姫提督「あ…ごめんなさい、私ばっかり……フランカと一緒だと、ついいっぱいしゃべっちゃう……///」

提督「いいのいいの、私だっておしゃべりは好きだもの…せっかくだからどこかで座りましょうか?」

百合姫提督「えーと……そうね、それがいいと思うわ」

提督「…だったら裏手の丘にしましょうか。基地祭のお客さんはあそこには入れないことになっているから静かだし、眺めも素晴らしいわ……どうかしら?」

百合姫提督「…ええ、そうしましょう……///」

提督「決まりね♪」

…裏手の丘…

提督「ふぅ…やっぱり思った通りだったわ、風が気持ちいい……」軍帽を脱ぐとあずまやのテーブルの上に置き、長い髪を手でくしけずるようにして後ろになびかせながら軽く目を閉じた…

百合姫提督「ええ……さわやかで心地いいわ…///」丘を上る時に提督の差しだした左手を受け取るとさりげなく指を絡められ、少し気恥ずかしげに顔を伏せていた百合姫提督……そーっと手を離すと白い石のベンチに腰掛け、膝の上で上品に軽く組んだ…

提督「それじゃあ、おしゃべりの続きでもしましょうか♪」百合姫提督に微笑みかけると隣に座り、艦娘たちから買った軽食やお菓子を開けた…

百合姫提督「そうね……えーと、どこまで話したかしら…」

提督「ちょうど姫の鎮守府にいる艦娘たちの話をしていたところ……姫の所にはなかなか「癖のある」艦娘が多いみたいね?」

百合姫提督「ええ…うちの娘たちはよその鎮守府でちょっと色々あって転属して来たり、持て余した提督たちから受け入れた娘が多いから……」

提督「そういう娘たちの指揮を取れるなんて、さすが姫ね…♪」

百合姫提督「ううん、そうじゃないの……必要最低限の規則以外を守ってもらう以外は、あの娘たちに任せているだけだから…艦娘を「指揮している」なんておこがましいくらい……///」

提督「ふふ、姫ったら謙遜しちゃって…ちなみによその司令官が「持て余した」っていう艦娘って、どんな娘たちなの?」

百合姫提督「えぇと、そうね…例えば……」

………

…十年ほど前・佐世保…

仁淀「提督、またご一緒できましたね……改めてよろしくお願いします」

百合姫提督(少佐)「ええ。私も仁淀が一緒で嬉しい…///」

仁淀「もう、提督…///」

百合姫提督「……ご、ごめんなさい…つい……///」

仁淀「いえ…その、嬉しいです……とはいうものの、ほとんどの娘が提督と一緒に転属したようなものですが……」

百合姫提督「そうね…それと、またここに入ってくる娘がいるのよね?」

仁淀「そうですね……今回は呉第三から給糧艦「間宮」と工作艦「明石」、新発田第一から給油艦「速吸」です…これで後方支援が整いましたから、やっと近海護衛以外の作戦が立てられます」

百合姫提督「そうね…特に「間宮」は艦隊のお腹を満たす大事な艦(フネ)だし……みんなにより美味しいものを食べさせてあげられるわね」

仁淀「そうですね」

百合姫提督「ところで呉鎮の提督は、どうしてそんな大事な艦を手放す気になったのかしら…?」

仁淀「えーと、ですね…あー……」送られてきた資料を見て口ごもった…

百合姫提督「なんて書いてあるの?」

仁淀「これは提督がご自分でお読みになった方がよろしいかと……」
514 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/04/27(土) 03:58:19.62 ID:QzidebK60
百合姫提督「…そんなに問題のある娘なのかしら……?」

仁淀「…問題というか……その…司令官に傷はつくかもしれません」

百合姫提督「そう…ちょっと読んでみるわ。 …給糧艦「間宮」、呉第三鎮守府より転入……特記事項…経費の横領および物資流用にて、けん責処分あり……詳細は「添付資料」に記載…」

仁淀「…食費の水増しや物資のちょろまかし……給糧艦や補給係の得意技ですね」

百合姫提督「……それから…工作艦「明石」、呉第三鎮守府より転入……特記事項「おおむね職務には忠実ながら、いささか鎮守府の風紀に馴染まぬ点あり。善導を要す」とあるわ…」

仁淀「……これだけだとはっきりしませんが、おそらく「問題になるほどだらしがない」とか…そういう事だと思います」

百合姫提督「それくらいだったらちゃんと言えば分かってもらえるし、どうにかなるわ……後は…と」

仁淀「給油艦の「速吸」です」

百合姫提督「そうだったわね…まぁ理由は何であれ、うちに「速吸」が来てくれて助かるわ……とにかく駆逐艦の娘たちは燃料の搭載量も少ないし…戦闘をしたらすぐ戻りが厳しくなるもの……」

仁淀「ええ、そうですね」

百合姫提督「それで…給油艦「速吸」、新発田第一鎮守府より転入…もしかしたら、日本海側だと長距離の護衛任務がないから大して必要なかったのかもしれないわね……えーと、特記事項は……「総じて優秀かつ、職務に対し熱心であるが…」優秀だけど何かあるのかしら……?」

仁淀「はい、続きに書いてありました…」

百合姫提督「ええ「…素行に多少の問題あり……特に風紀に関しては意識が緩く、ことさらに指導を要す」……ですって」資料のページをめくりつつ、少し眉をひそめた…

仁淀「風紀に関してですから…どうなんでしょうね?」

百合姫提督「うーん…どのみち会ってみればどんな娘なのか分かると思うから……着任の挨拶に来たら、横にいて?」

仁淀「はい」

………

提督「あらまぁ…姫ったら、あちこちから厄介払いされた艦娘を押し付けられているみたいね?」

百合姫提督「うーん…でも実際に会ってみるとたいていはいい娘ばかりだし……細かい規則にとらわれて鎮守府が息苦しくなるよりは、みんなにのびのびと生活してもらった方がいいと思うから…」

提督「そこは私も同じね…もっとも、ここはのびのびしすぎかもしれないけれど♪」

百合姫提督「私はいいと思うわ……せめて鎮守府では気楽にさせてあげないと…」

提督「その兼ね合いが難しい所よね? あんまり自由にさせると、今度は司令官としての命令に重さがなくなっちゃうし……」

百合姫提督「そうね、私もいまだに悩んでいるの……」

提督「同期に相談できる悩みでもないものね…それで、その娘たちはどうだったの?」

百合姫提督「ええ…それでね……」

………



百合姫提督「……ところで、間宮」

間宮「はい、何でしょうか?」

百合姫提督「えーと…その、少し言いにくい事かもしれないけれど……」

間宮「…はい」

百合姫提督「その…あなたの「けん責」処分について読んだけれど…」

間宮「あ、はい…えーと……添付資料があると思いますが、それに書いてある通りです……」

百合姫提督「そう…それで「資材を流用した」って言うのは……」

間宮「はい…実は未使用のきれいなドラム缶が鎮守府にあったので……それを縦割りにして焼き鳥用の焼き台に…」

百合姫提督「…じゃあ「経費の横領」っていうのは……」

間宮「お恥ずかしい話ですが…任務で疲れる艦隊のみんなに少しでも多く甘いものを食べて欲しくて、申請の時に食材を水増し請求してしまって…」

百合姫提督「……浮かせた代金でお菓子の材料を?」

間宮「はい、つい出来心で……反省しています…」

百合姫提督「……間宮」

間宮「はい」

百合姫提督「…お菓子で艦隊のみんなが頑張れるようなら、私が予算申請でねばってあげるから……みんなにたくさん作ってあげて?」

間宮「……はいっ♪」
515 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/04/27(土) 13:52:35.47 ID:QzidebK60
提督「あら…てっきり「経費の横領」って言うから賭け事にでもつぎ込んだのかと思ったら…「みんなに甘いものを食べさせてあげたい」なんて、心の優しい娘じゃない♪」

百合姫提督「ええ、まぁ……そうね…」

提督「…それで、他の娘はどうだったの?」

百合姫提督「…えーと、ね……///」

………



百合姫提督「あなたが工作艦の「明石」ね…よく来てくれました」

明石「いえ、こちらこそ呉鎮から「間宮」ともども拾ってくれてありがとうございます…今後は提督のために力を尽くしたいと思います」

百合姫提督「ありがとう。とはいっても、ここはまだ小さい鎮守府だから……あんまり出番はないかもしれないわ…」

明石「そうですか」

百合姫提督「とりあえず工作室があるから、そこの運営をお願いするわ」

明石「はい♪」

…数週間後…

仁淀「……もう、困ったものですね」鎮守府の中で使っている自転車のタイヤがパンクして、直してもらおうとママチャリを押して工作室に運ぶ仁淀と百合姫提督…

百合姫提督「私も…急にパンクしてびっくりしたわ。明石、入るわね…?」普段はあまり使っていない、工作室に外から入る「勝手口」を開けた…

松「…っあ、はぁ…っ……あぁぁんっ!」くちゅくちゅっ…♪

竹「……はっ、はっ、はっ……あふ……っ、はひぃ…♪」ちゅくっ、にちゅっ…♪

梅「あひっ、んひぃぃっ、おっ、おぉ…っ……んあぁぁ…っ!」ぐちゅっ、じゅぶ…っ♪

明石「……んー、やっぱりいっぺんに三人くらい相手にしないと満足できませんね♪ …ここは居心地もいいし、欲を言えば呉みたいに女の子がいっぱいいればいいんですけ……ど…」工作室の隅にある三畳ほどの休憩室…そこに布団を敷き、それぞれの手で「松」と「竹」の割れ目をいじりつつ、同時に「梅」にまたがっている…

百合姫提督「…」

仁淀「…」

明石「あー……その、何かご用ですか…」

百合姫提督「……えーと、その…自転車がパンクしちゃって…///」

明石「あぁ、分かりました……それじゃあすぐやっておきますから…」

百合姫提督「…明石」

明石「はい」

百合姫提督「後で執務室まで来て?」

明石「…了解」

…しばらくして・執務室…

百合姫提督「……それで呉から転属させられたの?」

明石「ええ、そうなんですよ♪」

仁淀「…」(情事の最中を見つかってから、まるで隠す気がなくなったわね……)

明石「いや、勝手口を閉めるのを忘れるなんて…とんだ失敗でした♪」

百合姫提督「…」
516 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/04/28(日) 00:55:35.30 ID:n6kkJxuc0
明石「まぁ実を言うと呉鎮から放り出されたのも、倉庫で艦隊の娘とよろしくやってたのを見つかったせいでして…」

百合姫提督「…えーと、つまり「鎮守府の風紀がうんぬん…」っていうのはそのことだったのね……」

明石「ええ、そうなんですよ」

仁淀「また悪びれもせずに……まったくもう…」

明石「いやぁ、面目ない…♪」

………



提督「…それで姫の所に転出させられたわけね?」

百合姫提督「ええ…明石ときたら「同時に三人は横抱きにできます」って暇さえあれば艦隊の娘たちを布団に引っ張り込むし、何かにつけてタコみたいに腕や脚を絡めてくるし……///」

提督「それはまたずいぶんと…」

百合姫提督「……でも明石の能力は艦隊に不可欠で、佐世保の時は建造枠も足りなかったから…そのまま……」

提督「なるほど。イオニア海中心のここと違って、姫の場合は行動範囲が太平洋だもの…出先で修理できるのは大きいわよね」

百合姫提督「ええ…」

提督「なるほど……それと、もう一人いるって言ってなかった?」

百合姫提督「ええ、それが給油艦の「速吸」で……」

………

速吸「給油艦「速吸」、着任いたしました…!」

百合姫提督「ようこそ……えーと、ここの前は「新発田第一」ね?」

速吸「そうです」

百合姫提督「そう……ここの規則はお互いが過ごしやすくできるよう作られているから、それさえきちんと守れば何も問題はないわ…どうぞよろしくね、速吸」

速吸「はい、よろしくお願いします……ところで…」

百合姫提督「ええ」

速吸「……提督「ネコ」はお好きですか?」

百合姫提督「猫?」

速吸「はい。提督はそういう感じがしたのですが……」

百合姫提督「そうね…猫には好かれる方よ♪」

速吸「そうですか……ネコに好かれる…タチですか」

百合姫提督「うーん…「猫に好かれる性質(たち)」……まぁどちらかと言えばそうかもしれないわ」

速吸「……ちなみにどんなふうにお好きですか?」

百合姫提督「そうね…撫でたり膝の上であやしたり……あとはあごを持ち上げて軽くかいてあげたり……」

速吸「ほほう……♪」

百合姫提督「…速吸は猫が好きなの?」

速吸「ええ、ネコは好きです」

百合姫提督「そう、ならここにもいるから仲良くなれるといいわね…♪」

速吸「そうですね……唐突に変な質問をしてすみませんでした」

百合姫提督「いいえ…それじゃあまた後でね」

速吸「はい」


517 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/04/28(日) 01:45:05.03 ID:n6kkJxuc0
…半月ほど後・燃料倉庫…

百合姫提督「それで、ここで私に用事って何かしら…燃料の品質にでも問題があったの?」紺色の作業着姿でやって来た百合姫提督…

速吸「いえ、そういうわけでは……」そう言いながら「カチン…」と倉庫の鍵をかけた…

百合姫提督「そうなの……それじゃあ何か相談事?」

速吸「……そうですね、それに近いです…」

百合姫提督「…もしかして、誰かと仲が悪かったりするの……?」

速吸「いえ、みんな良くしてくれます」

百合姫提督「そう……じゃあ聞いてあげるから…なんでも好きなように話してみて?」横になっているからっぽのドラム缶の上に腰を乗せると、立っている速吸を下から見上げた…

速吸「そうですか……では遠慮なく…♪」ちゅっ、ちゅくっ…♪

百合姫提督「んふ、んぅっ…!?」

速吸「んちゅっ、じゅるるっ…んぐっ、じゅぷ……んちゅっ♪」

百合姫提督「ぷは…は、速吸……っぷ!?」

速吸「んちゅるっ、ちゅくぅ……んぐっ、ちゅるぅぅっ…♪」

百合姫提督「ふぅ、んぅぅ……っぁ///」息が苦しくなってきた百合姫提督は涙目で、速吸の姿もぼーっと霞んでくる…

速吸「……ぷはぁっ♪」

百合姫提督「ふぁ……あ///」

速吸「ふぅぅ…提督と会ってからと言うもの、ずっとこうしたかったです……さぁ、口を開けて…」

百合姫提督「あ、あ…ぁん…///」

速吸「ほら、飲んでください…」百合姫提督に覆いかぶさるようにして、とろっ…と舌先から唾液を垂らしていく……

百合姫提督「んくっ……んっ……こくんっ…///」

速吸「ふふ、提督に補給完了です……いかがでしたか、私からの洋上給油は…♪」

百合姫提督「ふわ…ぁ……とっても…気持ち良かったわ……///」身体中の力が抜け、とろんとしている…

速吸「…ふふ、まだこれからですよ……♪」百合姫提督の着ている作業着のズボンに手を差し入れると、下着の中に指を滑り込ませた……

百合姫提督「ふぁぁ…っ、あっ……んっ…♪」



百合姫提督「……それじゃあ速吸が新発田から転属になったのは…」

速吸「ええ……司令が親切なものですから、すっかり気があるものとやり過ぎてしまって…」

百合姫提督「あー…それでお互いに気まずく……」

速吸「はい…具体的にはですね、司令にしゃがんでもらって下の給油口から……」

百合姫提督「あぁ、いえ…聞かないでおくわ……///」

速吸「そうですか…」

百合姫提督「ええ……と、とにかくあまり任務に差し支えない範囲で…ね///」

速吸「はい、お任せください」


………

518 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/04/30(火) 03:38:05.27 ID:s2x1A2Qf0
…続きを投下する前に、まずは改元おめでとうございます……これを読んでいる皆さまが毎日を平穏無事に過ごせますよう…

……それと故ポール・アレン氏の財団が撃沈された軽巡「神通」の残骸をコロバンガラ沖で発見したそうですね…老朽5500トン型軽巡ながら「華の二水戦」旗艦として奮戦したことは有名ですし、見つかって良かったと思います……史実ではともかく、せめてこのssの中では楽しく過ごさせてあげたいですし、どこかで機会を設けて登場させたいですね……


………

…とりあえず百合姫提督のところの問題児たちを紹介していきます…

給糧艦…間宮。1924(大正13年)年生まれ。単艦

艦隊に生鮮食料を補給するべく、大正12年に計画された給糧艦。約10000トン。

見たところは三島式の船体を持つ一本煙突の船…と、当時の貨物船そのままのデザインではあるが、石炭炊きの煙突から煤が飛んで食品に混入しないよう煙突を高くしたり、冷凍、冷蔵設備を持つなど当時としては充分に気を配って建造された本格的な給糧艦であった。

大戦時は既に老朽艦だったが、当時の貧しい日本の予算と乏しい資源、それに「艦隊決戦」のための主力艦優先の状況で特務艦艇に回せるような力がなかったので、限定的ながら病院・工作・長距離通信機能に、水偵や射撃用の標的まで搭載するなどあれもこれもと詰め込まれた「万能支援艦」のようなフネに…

…有名なところとしては和菓子店や豆腐屋など、あちこちの名店から職人を引き抜き、軍属扱いで乗船させていたことから艦上で作られる「ようかん」や「もなか」など菓子が絶品で、「間宮見ユ」で艦隊が大騒ぎになったとか、もとより鈍足の「間宮」が荒天時に難航していたところ、護衛駆逐艦に「貴艦前進中なりや、それとも後進中なりや?」と皮肉な文句を信号された…など、エピソードに事欠かない…

最後は米潜に雷撃されて沈んだが、それでも数発を耐えて乗員の退艦する余裕を与えた名艦…



百合姫提督の艦娘「間宮」はおっとりとした性格の艦娘想いで、母性愛にあふれている…もとは「呉第三鎮守府」にいたが「艦娘たちの喜ぶ顔が見たい」と、つい出来心で予算をごまかし、それが「呉第三」の提督にばれて訓告の上、厄介払いで百合姫提督のところに転属となった……鎮守府では食事の準備に加えて、ちょっとした病気や怪我の面倒も見たりちょっとした修繕もこなすなど、多彩な才能の持ち主で面倒見もよく優しい…が、無線探知機能が高いことから噂話に詳しい「金棒引きで」お菓子の大きさをちょっとづつ削っては他の艦娘や訪問者に「ワイロ」として振る舞ったり、勝手に資材を流用してしまうなど、優しい顔をしてなかなか悪いところのある艦娘……実は一緒に転属してきた「明石」と横流し仲間だったりなかったり…

………


工作艦…明石。1939(昭和14)年生まれ。単艦

連合艦隊唯一かつ最も優れた工作艦。旧式戦艦「朝日」の改造でお茶を濁していた海軍が、本格的な工作艦として計画した。約9000トン

設計は戦前のアメリカ海軍工作艦「メデューサ」をよく研究しただけあって船体は(甲板上でも作業がしやすいよう)平甲板の二本煙突で、艦内の工作スペースを大きくするべく乾舷も高い…と、かなり独特の日本艦らしくないデザインをしている。

その性能は極めて優秀で、主機として採用された「マン式」ディーゼルも性能が良く、工作艦にして約19ノットの軽快さを誇る。
修理能力もけた違いで、連合艦隊が必要とする年間修理数の4割をこなせる、まさに「動く海軍工廠」と言うべき艦で、戦時中はほとんどトラック諸島で修理に明け暮れ、米海軍からは「最優先目標」とされるなど、その重要さは敵味方を問わず知れ渡っていた。

自衛火器には前後の12.7センチ八九式連装高角砲2基と、艦橋脇に25ミリ連装機銃が2基。同型艦二隻の追加計画もあったが、予算が艦隊決戦用の主力艦に振り向けられてしまい見送られてしまった…



百合姫提督の艦娘「明石」は、トラック諸島で同時に三隻を修理して(抱いて)いたということから、とにかく女好きで暇さえあれば艦娘とレズセすることしか考えていない…呉第三鎮守府で他の艦娘たちと「よろしくやっていた」ところを見つかり、それ以上の問題を起こされる前に…と、工作艦のいなかった百合姫提督の所に転出させられた……海流が強く肉質の引き締まったタコが取れる「明石」だけに、腕や脚を絡めてくるとなかなか引きはがせない…

………


給油艦…速吸(はやすい)。1944(昭和19)年生まれ。単艦

本来は「風早(かざはや)型」給油艦の三番艦だったが、各艦が様々な目的のために改造されたことから共通点が薄く、単艦扱いになっている。約18000トン。

そもそもの風早型は「剣埼(つるぎざき)」型高速給油艦「剣埼」「高崎(たかさき)」が潜水艦母艦(後にさらに改造して空母「祥鳳」と「瑞鳳」)に流用されてしまったことから昭和16年(1942年)に代艦として計画されたもの。16.5ノットと給油艦としては高速で、連合艦隊への補給任務に役立てられる…予定だった。

しかしながらミッドウェー海戦以降の空母の不足から「補助的に艦載機の発進能力を持たせよう」という計画変更が行われ、船体中央にカタパルトが設置された…当初は対潜用の水偵ということだったが、そのうちに艦攻を搭載するなど話がふくれあがって意味不明な状態になったが、実際に補助空母的な用法で用いられたことはなく、まったく意味のない改造だった…高速給油艦として重油の輸送に用いられたが、おおよそ四カ月で撃沈されてしまうなど、優秀な性能を活かせなかった

…自衛火器は12.7センチ八九式連装高角砲2基、25ミリ九六式三連装機銃2基と連装1基、カタパルト1基に水偵(あるいは水攻)7機(うち予備1機)



百合姫提督の艦娘「速吸」は新発田第一鎮守府から転属にしてきた…表向きはごくごく真面目な艦娘でやることもてきぱきしているが、実はかなりのタチ……「新発田第一」の提督が親切なことからやり過ぎてしまい、気まずくなってしまった新発田の提督が転属させた…得意なのは「洋上給油」と称するねっとりとしたキスと唾液を飲ませること……場合によっては違う方の「給油口」から「洋上補給」をすることもある、かなりの変態…



………


519 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/05/03(金) 02:58:05.63 ID:8x3RGZl00
提督「……なかなかおてんばな娘たちみたいね♪」

百合姫提督「え、ええ…///」

提督「それにしても「大和撫子」を絵にかいたような姫が提督を志すなんて…いまだに信じられないわ」

百合姫提督「…もう、そのことは言いっこなしよ……///」

提督「そういわれてもね……姫は小さい頃「カブキ」の俳優さんになりたかったんでしょう?」

百合姫提督「そうなの…だから子供の時におねだりして三味線とか日舞を習わせてもらったんだけど……」

提督「…確か「カブキ」は女人禁制なのよね?」

百合姫提督「ええ、だから中学や高校の時は何になろうか決められなくて迷っていたのだけど……たまたまパンフレットがあって…」

提督「それで士官学校に入ったのよね?」

百合姫提督「そう。とにかく艦娘を担当できる女性自衛官が足りないみたいだったから、防大に…」

提督「なるほど。確かに鎮守府司令官は女性士官を充てることが多いけれど……まぁ「女の子」だらけのところに男性士官が一人だと、何かと居心地が悪いでしょうし…ね?」

百合姫提督「そうね、それに逆のこともあるみたい」

提督「あー…こっちでも時々聞くわ。艦娘たちに愛され過ぎて色恋沙汰になったり、憲兵の査察が入ることになったりで「消耗」しちゃった話……」

百合姫提督「ええ……私の一つ下にもいたわ。まるで旧海軍の「理想の青年士官」みたいな好青年で、期待もされていたそうだけど…」

提督「…鎮守府の娘と抜き差しならない仲にでもなったの?」

百合姫提督「ううん…半年で「耐え切れない」って退官願いを出したらしいわ……」

提督「あらあら……ところで、姫のところの猫ちゃんは二匹とも元気?」

百合姫提督「ええ、昨日は「大淀」からメールがあったわ」

提督「あら、いつもは「仁淀」じゃなかった?」

百合姫提督「そうだけど、時々交代するの…そもそも仁淀は「あの時」未成に終わったから、本来なら「大淀」型は一隻なのだけど……どうしたことか、他の鎮守府で「建造」できちゃって、こっちではそういうのを「幽霊」って呼んで事故扱いするから…」

提督「……姫のところならちょうどいい…って、押し付けられたわけね?」

百合姫提督「ええ、まぁ…でもとってもいい娘よ?」

提督「ならよかったわ」

百合姫提督「昨日も「ミケ」と「モカ」がじゃれついてくるところを送ってくれたわ…見る?」

提督「ええ♪」…百合姫提督がスマートフォンの動画を出してくれ、それをのぞき込む提督……

………



ミケ(三毛猫)「ミャア…♪」

モカ(薄茶色の猫)「ナァ…ン♪」

大淀「あぁ、はいはい……いまあげますからね」尻尾を立ててすり寄ってくる二匹の猫をあやしつつ、おやつの煮干しと鰹節をがさごそやっている…

ミケ「ミァァ…ン♪」

モカ「……ニャア…ァン♪」

大淀「…はい、待たせましたね…召し上がれ?」

ミケ「フニャア…♪」

モカ「……ンニャア♪」



提督「…相変わらず可愛いわね。こういう時だけは「猫にすればよかったかしら…」って思うわ♪」

百合姫提督「ふふ、ルチアだって可愛いじゃない…♪」

提督「まぁね…それにどうせ飼うなら、猫よりも「ネコ」を飼いたいもの♪」冗談交じりに軽く舌なめずりをしながら、いやらしいウィンクをしてみせた…

百合姫提督「…もう、フランカったら♪」

提督「ふふ……って、もうこんな時間」

百合姫提督「あら、本当ね…そろそろ戻りましょうか」

提督「二人きりでもっと話していたいけれど…ね♪」
520 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/05/05(日) 01:15:29.22 ID:GOvrkT9g0
百合姫提督「……それで、執務室の扉を開けたら途端にごつん…って」

提督「そういうのってあるわよね」

百合姫提督「ええ、特に私と「電」は注意していないときに限ってよくぶつかるの…って、もう着いちゃった…」少し残念そうな表情の百合姫提督

提督「まぁまぁ、この後だっておしゃべりする時間くらいあるわ……紅茶でも淹れるから、ゆっくりして?」

百合姫提督「ええ、ありがとう…」

提督「どういたしまして♪」

…食堂…

提督「みんな、お疲れさま……売れ行きはどう?」交代で休憩に入っている艦娘たちに声をかける…

アッテンドーロ「おかげ様で上々よ…♪」

ムレーナ(中型潜フルット級「ウツボ」)「ああ……いいシノギになった…」マフィアのドゥーチェ(首領)のようにどっしりと構え、ルチアの首を撫でてやっている……

スクアロ(中型潜スクアロ級「サメ」)「……くくっ、儲かって笑いが止まらないってわけでね…♪」ちんぴらギャングのように硬貨を手の上ではじき上げている…

提督「もう…お行儀が悪いから硬貨をはじくのは止めなさい?」

スクアロ「…了解だよ、提督……」ピンッ…とひときわ高く硬貨を投げ上げると、落ちてきたのを「パシッ!」と手で受け止めた…

提督「まったく……コーヒーでも飲むことにするわ」

カサルディ提督「あ、お帰り…そう言えばフランチェスカ」

提督「んー?」

カサルディ提督「なんか客室に変な落書きがあるんだけど」

提督「えぇ?」

カサルディ提督「別に目立つようなところじゃないんだけど……もしかして知らなかった?」

提督「ええ…どこにあるのか教えて? 見に行くから」

カサルディ提督「分かった。それじゃあ案内するわ」

…カサルディ提督の客室…

提督「…それで、どこにその落書きがあるの?」室内をざっと見わたしてから、両の手のひらを上に向けた…

カサルディ提督「それがね、えーと…あー、ここここ。さっきハンドクリームの入れ物を落としちゃって、それで見つけたのよ」ベッドの前で四つん這いになり、底板を見上げている…

提督「どれどれ…?」ホコリがつかないように制服の上着を脱いでベッドの上に置くと、カサルディ提督の隣で同じように這いつくばった…

カサルディ提督「ほら、そこ…見えるでしょ?」

提督「…本当ね、確かに何か描いて……あーっ!」

カサルディ提督「何、どうしたの?」

提督「やられたわ…きっとフレッチャーね……」

…ベッドの下に潜り込んで底板を見上げると、丸い頭を壁からのぞかせて大きな鼻をだらんとさせ、両手を壁にかけている変な漫画と一緒に「キルロイ参上」(Kilroy was here)と書いてある…

カサルディ提督「誰が描いたか知ってるの?」

提督「ええ…交流プロジェクトでこっちに来た米海軍の……まったくもう、こんなところに描いてあっでも気付く訳ないわ」あきれたように肩をすくめた…

カサルディ提督「なんなの、あれ?」

提督「戦時中にアメリカで流行ったイタズラ書きよ…もう、あとでノーフォークのジェーンに電話しないと……」

カサルディ提督「……いいけど、この調子だと他にも描いてありそうじゃない?」

提督「ええ…明日は基地祭の片づけがあるから、ついでに探すわ」

カサルディ提督「この調子じゃとんでもない所にも描いてありそうだね?」

提督「そうね……まぁ、みんなを総動員して探すことにするわ…」

カサルディ提督「ま、頑張って……いやぁ、うちは小さい鎮守府でよかった♪」

提督「ふぅん…そういうことを言うと、今夜の夕食は携行糧食になるわよ?」

カサルディ提督「うわ、それだけは勘弁してよ…なんてね、あははっ♪」

提督「ふふふっ…♪」
521 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/05/05(日) 02:41:01.65 ID:GOvrkT9g0
グレイ提督「……まぁまぁ、キルロイとはまた懐かしいものを」

提督「ええ…もしかしたらメアリの客室のどこかにも描いてあるかもしれません」

グレイ提督「わかりました。見つけたらお教えいたしますわね」

シモネッタ提督「じゃあ私も探してみるわ。可愛い娘と一緒に過ごさせてもらったから、そのお礼に…ね♪」

ヴァイス提督「私も発見に協力します…ビスマルクとティルピッツにも、客室内を調べさせます」

提督「グラツィエ」

グレイ提督「…わたくしもエリザベスとエメラルドにそう言っておきましょう……ところで」

提督「はい、何でしょうか?」

グレイ提督「……わたくしはどこにいたずら書きをしたらよろしいですか?」

提督「あー、できれば落書きを増やすのはなしで済ませていただけると助かるのですが…」

グレイ提督「あら…アメリカ海軍は良くて英国海軍はいけないのですか?」

提督「いえ、どこの海軍でもいたずら書きはちょっと…いえ、だいぶ困りますから」

グレイ提督「あら、残念ですわ……アメリカに「キルロイ」があるなら、我が英国にも「チャド」(Chad)がありますのに…」

提督「チャド…ですか?」

グレイ提督「ええ……そうでしょう、エリザベス?」

エリザベス「さようでございます…チャドは「なんでまた〜がないの?」で有名な、戦時下における英国の落書きでございます」

提督「なるほど……と、とにかく落書きを増やすのはやめていただけると助かります…」

グレイ提督「ふふ、分かっております…冗談ですわ♪」

提督「…」

………



…日没時…

提督「それでは教官、また機会があったらいらして下さい」メッセ兵曹長の見送りに、門まで来た提督たち…

メッセ兵曹長「そうだな。もっとも、お前たちがちゃんと「提督してる」のを見て安心したからな……しばらくは来ないさ」

カサルディ提督「そうですか、うちにも来てくれるかと思ったんですが…少しさみしいですね」

メッセ兵曹長「なぁに、万年下士官の私が鎮守府の司令官に向かってガミガミやることもないだろう……しかしな、お前たちは制服の金モールと略綬を増やすのもいいが、ちゃんと運動しろよ…あまりたるんでるようだと本当にちょくちょく押しかけて、特別メニューを組んでやるからな!」

提督「…気を付けます」

シモネッタ提督「ええ、ちゃんとします…」

メッセ兵曹長「ははっ、冗談だよ……それじゃあな」敬礼を交わすと順番に提督たち三人を抱きしめて背中を叩き、海軍の「フィアット・パンダ」に乗って走り去った…

提督「ふぅ……相変わらずだったわね?」

カサルディ提督「まぁね。それにその方がいいよ」

シモネッタ提督「そうね…何だか士官学校に戻った気がしたわ……♪」

提督「あら、エレオノーラったらもう思い出にひたる年頃になったの?」

カサルディ提督「そりゃそうでしょ……エレオノーラの基準って、小学生以上はみんなおばあちゃん扱いなんでしょ?」

シモネッタ提督「まぁ、失礼ね」

カサルディ提督「違うの?」

シモネッタ提督「……いいえ♪」

カサルディ提督「これだもん…全くもう!」

提督「ふふふっ♪」

………
522 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/05/10(金) 01:12:24.43 ID:1dJHc4Ok0
提督「…そろそろ基地祭も終了の時間ね」

ライモン「そうですね……こうしてみると、ずいぶん早かった気がします」

提督「そうね。色々とお疲れさま」

ライモン「はい…でも、頑張ったのはわたしだけではありませんから……みんなに言ってあげてください」

提督「もちろんみんなにも伝えるわ……でも、まずはライモンに♪」

ライモン「…っ、そういうえこひいきはダメですよ……///」

提督「いいの、ライモンは特別…ちょっとした司令官特権ね♪」そう言ってぱちりとウィンクを決めた…

ライモン「///」

提督「……それにしても、お客さんが帰らないうちに憲兵隊や広報の人にあいさつするわけにもいかないし…夕食が待ち遠しいわ」

ライモン「もう…提督ってば」

提督「だってお昼にパスタを食べて、その後はコーヒーとお菓子を少し…それで午後はあちこち歩き回っていたんだもの……いっそ歩数計でもつけておけばよかったわ。きっとメッセ教官だって納得するくらい歩いたもの」

ライモン「でも、いつものように夕食を召しあがったらおつりがきちゃいますね」

提督「さて…何の事かしら?」

ライモン「ふふ、提督は相変わらずですね…♪」

提督「ええ……それじゃあ行きましょうか」

ライモン「はい」



アナウンス「えー、間もなく基地祭終了の時間となりますが…本日は最終日ですので、特別な催しがございます。ご来場の皆さま、どうか海側をご覧ください」

提督「よかった、ちょうど真正面ね……さぁ、姫もここに来て?」

百合姫提督「なぁに?」

提督「いいからいいから…グレイ提督、ヴァイス提督もどうぞ?」

グレイ提督「…あら、まだ何かございますの?」

ヴァイス提督「ヤー……?」

エクレール提督「…ちょっと、どうしてわたくしには声をかけないんですのっ?」

提督「あら…てっきりマリーはそういうのに興味がないかと思って♪」

エクレール提督「何が始まるかも知らないのに、興味がないかどうかなど分からないでしょうが…!?」

提督「まぁまぁ、冗談よ……ほら、ちゃーんと席も用意してあるわ♪」

エクレール提督「……なら構いませんわ」

提督「ふふっ…マリーってばあまのじゃくだから、こんな具合に最初は声をかけない方がいいの♪」

カヴール「ええ、たいていのフランス人はそうですものね…♪」

エクレール提督「ちょっと、何かおっしゃいまして?」

提督「いいえ…それより「リットリオ」級の辺りに注目よ……リットリオ、お願い♪」携帯無線機でひとこと伝えた…

…鎮守府所属艦艇の中央に停泊しているリットリオ級戦艦…その中央両舷にならぶ、スマートなデザインの砲塔に収まっている90ミリ高角砲……の三番、四番砲のさらに外側にそれぞれ二基づつ装備されている星弾(照明弾)用の旧式砲「120ミリ40口径・アームストロング・モデル1892」がきりきりと仰角を取り、鈍い音と一緒に砲弾を撃ち上げた……数秒ほどシュルシュルと尾を引く音がすると、空中でパッと花火が広がった…リットリオ、ヴェネト、ローマの三隻でそれぞれ「緑・白・赤」とイタリア国旗(トリコローリ)の色をした花火を打ち上げると、観客から歓声と拍手が上がる…

グレイ提督「…まぁ♪」

提督「ふふっ…どう、姫?」

百合姫提督「……ええ、とってもきれい♪」

エクレール提督「むぅ…イタリア海軍にしてはなかなか洒落ておりますわね……」

提督「ふふ、上手くいったわね…リットリオ?」

リットリオの声「はい、大成功ですね♪」

ヴェネトの声「良かったです…ちょっぴり心配でしたから」

ローマの声「陸からはどうですか……綺麗に見えていますか?」

提督「ええ、それはもう…打ち上げが終わったら戻っていらっしゃい。とっておきのワインを開けるわ♪」
523 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/05/10(金) 02:02:23.11 ID:1dJHc4Ok0
…食堂…

提督「えー……まずは三日間の基地祭お疲れさまでした…おかげで大変な盛況ぶりだったし、事故や騒ぎもなく過ごせたわ……みんな、協力ありがとう♪」

カヴール「いえいえ…♪」

アオスタ「提督こそ大変だったと思います」

フルット「ええ、私たちこそお礼を言うべきかと…♪」

提督「いえ、私はもうあたふたしているばっかりだったもの…みんなの協力があってこそよ」

チェザーレ「なに、提督は充分立派にこなしていたとも……もっと自信を持つがいい」

提督「ありがとう、チェザーレ///」

トレント「…チェザーレの言う通りです…私たちが楽しく出来たのも提督のおかげですから……///」

ザラ「ええ、とっても立派な指揮だったと思うわ」

ガリバルディ「いい基地祭だったわね…もっと続けたいくらい♪」

提督「そ、そんなに褒められると照れるわ……とにかく、みんなのおかげよ///」

ガッビアーノ「……ところで…お互いに褒め合うのもいいけど、私としては早く食べたいんだけどな」

チコーニャ「…もう、ガッビアーノお姉ちゃんってば……///」

提督「ふふっ……ガッビアーノもああ言っているし、私もお腹が空いたから…とにかく挨拶だけ済ませましょう♪」

提督「それでは、基地祭が無事終了したことを祝って……乾杯♪」

一同「「乾杯♪」」

提督「んくっ…んっ……♪」さーっと泡立ち、すがすがしい味わいで喉を流れ落ちるスプマンテ(イタリア・シャンパン)のグラスを空け、それから席についた…

ライモン「お疲れさまでした、提督」

カヴール「…いい基地祭でした。とても楽しかったですよ♪」

デュイリオ「そうね…おかげで私のようなおばあちゃんもつい張り切ってしまって、しばらくは興奮が収まりそうにないわ……うふふっ♪」熱っぽい視線で提督をじっと眺め、それから小さく舌なめずりをした…

提督「…っ///」

…軽巡のテーブル…

ガリバルディ「あーあ、基地祭も終わっちゃったわね……ところでエウジェニオ、戦績は?」

エウジェニオ「ふふふ…十五戦全勝よ♪」

ガリバルディ「へぇ、さすが…」

エウジェニオ「おかげ様で連絡先を書いたメモがいっぱい……で、そちらは?」

ガリバルディ「……二十戦十五勝、五引き分け」

エウジェニオ「ふふ、さすがは「熱き革命の闘士」ガリバルディ…恋もお熱いのね♪」

ガリバルディ「まぁね……それじゃあお互いに「大漁」を祝して♪」グラスを掲げてエウジェニオのグラスに「こつん…♪」と触れ合わせた…

ジュッサーノ「……あぁ、もう。この二人ときたらずっとこんな話ばっかり///」

カドルナ「やれやれですね…」

アッテンドーロ「本当にこの二人ときたら女癖の悪い……それでいてこの見かけだもの、そりゃあ手もなく参っちゃうわよね…」

アブルッツィ「姉としてはまったく困りものよ…アオスタ、どうにかならないの?」

アオスタ「ええ…それはもう三日にあげず、口を酸っぱくするほど言い聞かせているのだけど……」

エウジェニオ「まるでソ連のプロパガンダ放送なみにね♪」

アオスタ「……見ての通りこの調子で…」

アブルッツィ「…じゃあ乾杯しましょう?」

アオスタ「ええ、お互い苦労人の姉同士…ね」

524 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/05/16(木) 02:39:15.02 ID:oM6lc5Ub0
…しばらくして・駆逐艦とコルヴェットのテーブル…

ナザリオ・サウロ「…ふぅ。美味しいけど…もうお腹がはちきれそう……」フォークを動かすのもおっくうな様子で、一口づつごちそうを口に運んでいる…

ダニエレ・マニン(サウロ級)「ほんとにね……この鶏のトマト煮込みだって最高だと思うの…」

クィンティノ・セラ「わかります。私ももっと食べたいですけれど、お腹の方が「もういい」って言ってます…こういう時はいっぱい食べるレオーネたちがうらやましいですね」

フランチェスコ・クリスピ(セラ級)「…まぁ、身体に見合った量があるっていうことだから……欲を言えばもう一回おかわりしたいけれど…」名残惜しそうに大皿のスパゲッティ・ボロネーゼを眺めている…

レオーネ(レオーネ級「雄ライオン」)「はぐっ、んぐ……セラたちはもう食べないのか?」…相変わらずちっともまとまらない金茶色の髪が「獅子」の名前にふさわしいたてがみのようになっている…

セラ「はい、私は身体が小さいので…もうお腹一杯です」

レオーネ「それは残念だな…じゃあ、せめてワインでも?」そう言ってガラスのデカンターを差し出した…

セラ「ええ、そうします」

ティグレ(レオーネ級「虎」)「あー、だめだめ…もっと食べて強く大きくならないと!」なかば無理やりに豚のあばら肉のローストを盛りつけようとする…

パンテーラ(レオーネ級「ヒョウ」)「まぁまぁ、無理に食べさせちゃだめよ…?」

ティグレ「そうはいっても、セラとかサウロとかは小さくて色が白いから病弱に見えるんだ……もっと肉を食べて元気を出さないと!」

セラ「気持ちは嬉しいです、ティグレ…でも私たちは充分元気ですから、大丈夫」

ティグレ「ならいいけど……ところでパンテーラ、もう一切れ取って?」

パンテーラ「ええ」

アルフレド・オリアーニ「…向こうは相変わらず元気いっぱいね……って、カルドゥッチ?」

ジョスエ・カルドゥッチ(オリアーニ級)「…その瞳は情熱を宿し……その髪はオルフェウスの竪琴の弦よりも美しく鳴り……はぁぁ♪」…ガリバルディに傾倒して「イタリア統一運動」に加わり、イタリア初のノーベル文学賞も授かった詩人「ジョスエ・カルドゥッチ」の名前を持つカルドゥッチ…普段から熱烈に崇拝しているガリバルディがなごやかに談笑している様子を、夢見るような表情で眺めている……

ヴィンチェンツォ・ジオベルティ(オリアーニ級)「…相変わらずガリバルディのことになるとこの調子ね」

ヴィットリオ・アルフィエリ(オリアーニ級)「ガリバルディもまんざらでもないみたいだし……いい関係なんじゃない?」

カラビニエーレ(ソルダティ級「カラビニエーリ隊員」)「…それはいいけど、カルドゥッチったらフォークとナイフをあべこべにして…ちょっと、危ないわよ!?」

ガリバルディ「♪」熱っぽい視線に答えるように、カルドゥッチに向けて軽くウィンクを送った…

カルドゥッチ「…ぁ、ガリバルディが私にウィンクを……ふへぇ♪」

カラビニエーレ「…早くよそわないと肉汁がこぼれるから……あぁ、もうっ…何でこの席順になっちゃったのかしら……!」

オリアーニ「おかげで楽できていいわ♪」

アスカーリ(ソルダティ級「植民地兵」)「…んだ。それにカラビニエーレは面倒見がええだでな……ちょうどいいべ♪」

コルサーロ(ソルダティ級「アラビア海賊」)「ああ、しかもこっちに「ガミガミ」の火の粉が降りかからないで済む…まったく結構だ」…ターバンに三日月刀と「アラビアン・ナイト」のような格好で、肉を指でつまみあげたりとお行儀が悪い……

ヴェリーテ(ソルダティ級「軽歩兵」)「うんうん……ちょっと杓子定規なところが傷だものね」

コルサーロ「そういう事さ……なぁヴェリーテ、その肉をもう一枚切ってくんな」

ヴェリーテ「…分かったわ、姉さん」戦時中に損傷し、未成艦の「カリスタ」(戦車兵)を接合して修復したヴェリーテは顔の左右で瞳の色や雰囲気が違い、話し方も時々変わる…

コルサーロ「おう、頼むぜ……っと、向こうは向こうで忙しい連中だぜ…♪」

エウロ(トゥルビーネ級「南東風」)「…ふー……あつっ!」

トゥルビーネ(トゥルビーネ級「旋風」)「もう、気を付けなさいよ…平気?」

エウロ「ん…ちょっと熱くて」

トゥルビーネ「もう……ちゃんと冷まさないから」

エウロ「ううん、ちゃんと冷ましたんだけど…私は暖かい風だから、ね?」

トゥルビーネ「こら、そういう言い訳をしない。ボレア、代わりに冷ましてあげて?」

ボレア(トゥルビーネ級「北風」)「えぇ? いい加減「ふーふー」してあげる年でもないでしょうよ…」

トゥルビーネ「そう言わずに頼むわ」

ボレア「やれやれ……ふー…ふーっ……」

オストロ(トゥルビーネ級「南風」)「くすくすっ…仲うるわしいことで♪」

ボレア「うるさいわね…だったら代わりにやってよ?」

オストロ「私は「南風」だから冷ますのには向いてないわ…と♪」くすくす笑いをしながらオリーヴをつまんだ…

525 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/05/20(月) 01:23:07.42 ID:DeTLpYG70
…食後…

フルット(フルット級「波」)「ふぅ…ドルチェがシャーベットだと、口の中がさっぱりしてよろしいですね♪」

ゴルゴ(フルット級「渦」)「はい、姉上」

ロモロ(R級「ロムルス」)「…そう?」

レモ(R級「レムス」)「うーん、レモはお肉の味が残ってる方がいいけどなぁ…牛肉は脂がのってて、とっても美味しかったし♪」

フィザリア(アルゴナウタ級「カツオノエボシ」)「お肉もよかったですが、とにかくカサゴが美味しかったですねぇ……お魚さんは大好きですから…ぁ♪」相変わらずクラゲらしいふわふわ、ゆらゆらした様子だがどこか意味深な口ぶりでつぶやいた…

スパリーデ(フルット級「鯛」)「///」

ムレーナ(フルット級「ウツボ」)「…っ!」

…バーカウンター…

ポーラ「提督、基地祭お疲れさまでしたぁ〜…これで安心してお酒が飲めますねぇ♪」

提督「ええ、おかげさまで……何か美味しいのがいいわね」

ポーラ「でしたらぁ…綺麗な「アプリコット・サンライズ」なんてどうですかぁ?」

提督「アプリコット・サンライズっていうと…アンズのリキュールとオレンジジュースと……」

ポーラ「グレナデン・シロップですねぇ…最後にそっと注ぐと、紅いシロップとステアしたオレンジ色のお酒の部分がくっきり分かれて綺麗ですよぉ♪」

提督「飲み口も甘くて美味しいものね……じゃあそれでお願い」

ポーラ「はぁい♪」

ザラ「…それじゃあ私にも何か作ってくれる?」

ポーラ「分かりましたぁ…姉様のは「ブザム・カレッサー」(ひそかな抱擁)にしましょう♪」

(※ブザム・カレッサー…ブランデーが3/2、オレンジキュラソー(オレンジのリキュール)が1/3、グレナデン・シロップ1tsp(ティースプーン)と卵黄が一個)

提督「ブザム・カレッサーねぇ……ふふっ♪」

ザラ「///」

ゴリツィア「あ、ザラ姉たちはここでしたか……ポーラ姉、お任せしますから私にも一杯下さい♪」

ポーラ「はぁ〜い、それじゃあ……ゴリツィアには「ビトウィーン・ザ・シーツ」(シーツの間)がいいですねぇ♪」

(※ビトウィーン・ザ・シーツ…意味深な名前でちょっと大人な言葉遊びをしているカクテル。ブランデーかラムが1/3、オレンジキュラソーの「コアントロー」が1/3、ホワイト・ラムが1/3、レモンジュースが1tsp……飲み口はさわやかだが、意外と度数は高い)

ゴリツィア「もう…ポーラ姉///」

提督「…まぁまぁ♪」

ドリア「うふふっ、ザラたちは本当に仲がいいですね…そう思いませんか、提督?」

提督「ええ」

ザラ「まぁ…ね♪」

ポーラ「えへへぇ…♪」

ゴリツィア「///」

カヴール「そして相変わらずフィウメは一番後ですか…変わりませんね♪」

フィウメ「ふー、美味しかったですが食べるのに時間がかかりました……ポーラ姉様、何かおすすめを作ってくれませんか?」

提督「……さて、今度は何かしらね♪」

ポーラ「んー…それじゃあ「セックス・オン・ザ・ビーチ」(浜辺での交わり)にしましょう♪」

(※セックス・オン・ザ・ビーチ…これも「大人の言葉遊び」な名前が付いたカクテル。ウォッカ、メロン(あるいはピーチ)リキュール、クレームド・フランボワーズ(あるいはグレナデン・シロップ)とパイナップル・ジュースがそれぞれ15、20、10、80ミリリットルで作る、甘酸っぱいフルーティなカクテル)

ライモン「けほっ…!」

フィウメ「もう、お姉さまってば///」

提督「ふふふっ♪」


526 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/05/25(土) 01:14:07.08 ID:/l0NND9G0
…数時間後…

提督「…それじゃあ黎明哨戒のみんなは早起きしないといけないから、そろそろバーも「かんばん」にしてもらわないと……いい、ポーラ?」

ポーラ「りょ〜かいです…えへへぇ、姉様ぁ♪」

ザラ「もう……ポーラってば、どこを触ってるのよ…♪」

ポーラ「だって…ぇ♪」

ザラ「あぁ、はいはい……フィウメ、ゴリツィア、そろそろ引き上げましょう?」

ゴリツィア「了解…ほら、早くしないと置いて行かれるわよ?」

フィウメ「あ、待ってください…まだ中身が残っていて……」

ザラ「大丈夫、待っててあげるから…ねぇ、ボルツァーノも一緒に私たちの部屋で……どう?」

ボルツァーノ「あ…はい///」

ザラ「それじゃあ決まりね…それじゃあ提督、お休みなさい♪」

提督「ええ、お休み」

ヴァイス提督「では私もそろそろ……」

提督「ええ、お休みなさい…シャルロッテ♪」

ヴァイス提督「…ヤー///」

提督「それじゃあ私もお風呂で汗を流して、さっぱりしたらベッドでぐっすりと……姫、もうお風呂は済ませた?」

百合姫提督「あ、いえ…まだだけど、その……一緒に?」

提督「もちろん♪」

百合姫提督「そ、それじゃあ…///」

提督「ええ……ところで、二人はもう入った?」

カサルディ提督「まだだけど……でもさ、私が一緒に行ったら邪魔じゃない?」

提督「もう、そういうつもりじゃないってば♪」

カサルディ提督「そう? なら一緒に行くわ」

シモネッタ提督「…それじゃあ私もご一緒させていただくわ」

提督「決まりね…ライモンとカヴールは?」

ライモン「わたしはもうお風呂は済ませたので、提督の寝室を整えておきます」

提督「ありがとう…でもベッドの準備は済ませてあるから、そんなに気を使わなくても大丈夫よ?」

ライモン「そうだとは思いますが……提督のお休みの準備をしてあげたいので///」

提督「ふふ…ライモンが手ずから寝支度を整えてくれるなんて嬉しいわ♪」ちゅっ…♪

ライモン「…と、とにかく準備を済ませて来ます///」

提督「グラツィエ……うふふっ、本当にライモンったら可愛いわ♪」

カヴール「ええ、まったくですね…で、私はライモンドと比べていかがでしょう?」

提督「ライモンはライモン、カヴールはカヴールよ……比較なんてできないわ」

カヴール「まぁ、提督ったらお上手ですこと…♪」

提督「かもね…それじゃあまた明日♪」…柔らかい唇にくちづけをすると、軽く微笑んで出て行った……

カヴール「……もう///」

527 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/05/25(土) 02:32:48.48 ID:/l0NND9G0
…湯上り・提督寝室…

提督「はー、さっぱりした……おかげで一日の疲れが取れたわ♪」


…提督の寝室にある椅子やベッドに腰掛けて、寝る前のおしゃべりを楽しむ提督たち…提督とカサルディ提督はバスローブ姿で、シモネッタ提督はおしゃれで透けるような薄手のキャミソール、百合姫提督はすっきりした浴衣を折り目正しく着ている…


カサルディ提督「ほんとにね…それにしてもここの大浴場がうらやましいよ。うちの鎮守府にあるシャワーときたら水の出も悪いしさ……」

シモネッタ提督「そうねぇ……ヴェネツィアも他はいいけれど、お風呂と食事に関してはここの方が上ね」

カサルディ提督「それに水着を着ないで入るっていうのも…ローマ風とか何とかいう話だったけど、慣れると気持ちがいいよね?」

シモネッタ提督「ええ……最初は少し気恥ずかしかったけれど、開放的でいいわ」

カサルディ提督「ね? …それにしても温泉かぁ……行ったことはないけれど、ジァポーネにはたくさんあるらしいですね?」

百合姫提督「ええ…草津、別府、登別……鬼怒川、湯沢、湯布院…全国にたくさんあります」

カサルディ提督「それはうらやましい…うちも鎮守府に温泉があればよかったな」

百合姫提督「いえ、その…私のところも別に温泉は出なくて、ただのお湯ですから……」

カサルディ提督「あー、そうなんですか……じゃあフランチェスカってばものすごく恵まれてるじゃない」

提督「ええ、そうね♪」

カサルディ提督「はぁ、あっきれた。すました顔で「ええ、そうね」だって…ワイン飲んでごちそう食べて、温泉に入って……それで鎮守府の司令官なわけ?」

提督「おかげさまで…きっと日頃の行いが良かったのね♪」冗談めかしてウィンクを投げた…

カサルディ提督「は、言うに事欠いて…今の聞いた?」

シモネッタ提督「ええ」

カサルディ提督「まったくもう…」

提督「ふふ…♪」

百合姫提督「……くすっ♪」

提督「あら、姫にまで笑われちゃったわ♪」

百合姫提督「あ、いえ……///」

提督「ふふ、別にいいのよ…そうでしょう?」

カサルディ提督「…だね」

シモネッタ提督「ええ」

百合姫提督「あ、その……ありがとうござ…ふわ…ぁ…///」慌てて口元を押さえてあくびをかみ殺した…

提督「まぁ、ふふっ♪」

百合姫提督「ご、ごめんなさい…っ///」

提督「ううん、いいのよ…」

シモネッタ提督「今日はだいぶ遅くなってしまったものね……それじゃあ私はこれで」

カサルディ提督「…私もそうする。また明日ね?」

提督「ええ、お休みなさい……」二人を見送って寝室に戻った提督……と、百合姫提督はすでにこっくりこっくりと舟をこぎ始めている…

提督「……ふふ、姫ったら小さな女の子みたい♪」

百合姫提督「…すぅ……すぅ……」

提督「でもこのままって言うわけにもいかないから……よいしょ…」大和撫子の百合姫提督はほっそりとして軽いとはいえ、人を抱き上げるのはなかなか重労働で、どうにか百合姫提督を「お姫様抱っこ」にして抱え上げた…

提督「……いい夢をね、姫♪」すやすやと小さな寝息を立てている百合姫提督の額にそっとキスをした……

528 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/05/28(火) 02:29:42.60 ID:U+WJNlOr0
百合姫提督「……んぅぅ……ん…?」

提督「あら、起こしちゃったかしら」

百合姫提督「あっ/// …ご、ごめんなさい…私ったらすっかり……///」

提督「いいのよ、まるで羽根みたいに軽かったわ♪」

百合姫提督「///」

提督「ふふっ…って、夜空が綺麗ね。少し見ていきましょうか?」建物の二階中央部、階段ホールの大きな窓から秋の夜空が見える…

百合姫提督「…ええ///」

…二階・中央テラス…

提督「……ふぅ、空気が涼やかで気持ちがいいわ…それに見て、さそり座があんなに綺麗…♪」雲一つない夜空には、さそり座の主星「アンタレス」が紅い光を放っている…

百合姫提督「…そうね、とっても……くしゅっ!」

提督「あ、ごめんなさい…確かにこの時期に浴衣一枚だと、ちょっと寒いかもしれないわ……」

百合姫提督「へ、平気だから心配しな……あっ///」

提督「…これで少しは暖かい?」百合姫提督を後ろから包むように抱きしめる…

百合姫提督「……ええ…とっても暖かいわ……///」

提督「良かった…姫に風邪を引かれたら困るもの……」ちゅっ♪

百合姫提督「…ん、んっ……///」

提督「それにしても…これだけの星空でさえ、姫の前では霞んでしまうわね……ちゅぅ♪」はらりと黒髪のかかったしっとりした首筋から柔らかな口もとへと、キスをしながら移動していく…

百合姫提督「もう、そういうのは恥ずかしいからやめてってば……んむっ…ちゅ///」

提督「いいじゃない……イタリアに来た思い出に…んちゅっ、ちゅ♪」

百合姫提督「……だ、だめ…///」

提督「…どうして?」

百合姫提督「だって……明日にはヴェネツィアに戻るし、そもそも交流プログラムもあと少しで終わっちゃうから……そうしたら次はいつ会えるか分からないもの…」

提督「ふふ、だったらなおのこと思い出に残るようにしないと……それにね」

百合姫提督「?」

提督「…離れていても、海は繋がっているもの……いつも一緒よ♪」体勢を変えて百合姫提督と向かい合い、ほっそりした腰に手を回した……

百合姫提督「あ、あっ…んむっ、ちゅぅ///」

提督「んちゅっ、ちゅ……ちゅぅぅっ♪」

百合姫提督「んあぁ、ふぁ…あっ、あぁ……///」

提督「姫…♪」

百合姫提督「……フランチェスカ///」

提督「ええ…♪」浴衣の胸元に顔を寄せて、小ぶりな乳房に何度もキスをくり返す……と同時に、内またになって力が抜けている百合姫提督を支えながら浴衣の前あわせから手を差し入れ、しっとりとした秘所に優しく指を沈める…

百合姫提督「ふぁぁ…あぁ……あっ、あぁ…んっ…///」

提督「んっ、んぅぅ……んむっ、ちゅるっ…ちゅぅぅっ♪」

百合姫提督「はぁぁ…っ、あっ、あぁ……ん///」提督の手にとろりと粘っこい蜜が滴り、百合姫提督の瞳が焦点を失った…

提督「……さぁ、あんまりここにいると凍えちゃうわ……ね?」

百合姫提督「…え、ええ……///」じんわりと身体の芯に残る余韻のおかげで力が抜け、提督にすがりつく百合姫提督……

提督「ふふっ、それじゃあ…もう一度お姫様抱っこをしてあげるわね♪」

百合姫提督「///」

………

529 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/05/31(金) 02:05:01.38 ID:KjXPAmph0
提督「……それにしても相変わらず姫はおしとやかで…マリーにも少しは見習ってほしいものね…」

提督「…今夜はちょっと冷えるわね。さすがにこの時期にバスローブ一枚って言うのは考えものかしら……そろそろ暖かいナイトガウンでも出しておくとしましょう…」ひとり言をつぶやきながらバスローブを脱いで椅子に掛け、布団をめくってベッドにもぐりこもうとすると、控えめなノックの音が聞こえてきた…

提督「……どうぞ?」

ライモン「夜分遅くにすみません、提督…もうお休みになられたところですか?」

提督「あら、ライモン。 …いえ、ちょうどベッドに入ろうとしたところだけれど……どうかした?」いそいそとバスローブを羽織り直し、寝室のドアを開けた…

ライモン「はい、今夜は少し冷えるので…就寝前に温かいミルクでも……と思いまして」…そういうライモンはゆったりしたナイトガウン姿でお盆を持ち、その上にはミルクのマグカップがほのかに湯気を立てている…

提督「まぁ、ありがとう……そんなに気を使ってくれなくてもいいのに♪」

ライモン「いえ、わたしもベッドに入ったら夜風を冷たく感じたのでムツィオと一緒に飲んだのですが、せっかくなら提督の分も……と思いまして」

提督「ふふっ…嬉しいわ♪」

ライモン「…どうぞ冷めないうちに召し上がってください///」

提督「ええ、それじゃあいただくわ」…温めたミルクには数滴のブランデーが垂らしてあり、いい香りがする…ベッドに腰掛けマグを両手で包むようにして持つと、軽く一口すすった……温度はちょうどいい頃合いでぬるくはなく、かといって熱くて舌先がやけどするほどでもない…

ライモン「いかがですか?」

提督「うーん…少し温かいものが欲しかったところだったし、量もちょうどいいわ」

ライモン「ああ、よかったです…では、飲み終わったら片づけておきますので……///」妙に歯切れの悪い調子でそう言いながら、少し上目づかいで視線を向けてくる…

提督「…ねぇ、ライモン」

ライモン「…はい、何でしょう……」

提督「ベッドのシーツが冷たいの…よかったら一緒に入ってくれる?」

ライモン「……はい///」

提督「ふふっ、それじゃあすぐ残りも飲むから…どうぞ?」

ライモン「…それでは、お邪魔します///」

提督「ふぅ、美味しかったわ……さてと…」底に残ったミルクが固まらないように水差しの水をカップに注ぎこんで小さいテーブルの上に置くと、改めてバスローブを脱いでベッドに入った……布団をかぶるとライモンがぎゅっと腕を回し、くっ付いてくる…

ライモン「……提督、基地祭お疲れさまでした」

提督「ありがとう……ライモンもね♪」

ライモン「いえ、わたしはそんなに……」

提督「んちゅっ♪」

ライモン「んっ…///」

提督「…ライモンはあれこれ手伝ってくれたし、とっても助かったわ……だからそう謙遜しないの♪」ライモンの頭を撫でながら顔を寄せてにっこりした…

ライモン「……はい///」

提督「ふふっ…よろしい♪」ちゅ…ちゅっ♪

ライモン「ん、んむっ……ちゅぅ…♪」

提督「んぅ、んちゅっ…ライモンったら、なんだかいい匂いがするわ…♪」

ライモン「そ、そうでしょうか……確かに少しだけ香水はつけましたが…///」

提督「ええ…でも香水だけじゃなくて…ベビーパウダーみたいな甘い匂いが……ん、れろっ…♪」首筋を舐めあげ、それから吸いつくようなキスをした…

ライモン「あんっ…も、もう提督ってば……///」

提督「ん…♪」

ライモン「ん、ちゅっ……ちゅむっ…♪」

提督「ちゅ…ちゅっ、れろっ、ん……ちゅるっ…♪」

ライモン「あ、んぅぅ……あっ…ん…///」横向きで互いに抱き合い、どちらからでもなく舌を絡める深い口づけを始めた……ライモンの頬が紅く染まり、恥ずかしげなため息のような喘ぎ声が漏れる…
530 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/06/01(土) 11:50:12.63 ID:SirOcMp40
提督「…ん、ちゅ……んむ…っ♪」

ライモン「あ、あっ……はー、はぁぁ……っ///」


…提督のもっちりした肌とライモンのきめ細やかな白い肌が重なり合い、次第に汗ばんでてらてらと艶めいてくる……いったいどのくらい続けたかも分からないが、少なくとも十数分はキスを続けた提督……そのうちに目が暗闇に慣れてくると、すっかりとろけきったライモンの表情が見えてきた…


提督「ちゅむ……ふふ、ライモンったらすっかりトロけちゃって♪」

ライモン「…ふわぁ……らって…提督のキスが気持ち良くて…ぇ…///」

提督「…そう、よかったわ…ライモンが気持ち良くなってくれて私も嬉しい…わ♪」ちゅぷ…っ♪

ライモン「あ、あっ…///」

提督「ふふ、それじゃあここはどうかしら?」にちゅっ、くちゅ…っ♪

ライモン「あ、あぁぁっ……ふあぁぁ…んっ♪」

提督「あら…こっちはすっかり濡れそぼって……すんなり入るわね♪」

ライモン「い、言わないで下さい…恥ずかしいですから……ぁ///」

提督「んふふっ……ライモンのそういうところ、好きよ…♪」ライモンの(本人はそう思っていない)誘い受けにすっかり乗せられ、みだらな甘ったるい表情を浮かべる提督…金色の瞳が妖しい光を帯び、身体の芯がじんわりと熱っぽくなる…

ライモン「あっ、ひゃあっ……んあぁっ、あっ…ん、くぅ……♪」くちゅくちゅっ、にちゅっ…♪

提督「ん…♪」

ライモン「んぅぅ…ちゅっ、ちゅぅぅ…///」提督のしなやかな指で濡れた秘所をゆっくりとかき回されながら反対の手で頬を支えられ、長い口づけを交わす……

提督「……ん…ちゅっ♪」唇を離すと一筋の細い銀糸がとろりと垂れ、肌の上にこぼれた……

ライモン「んぅぅ、提督…ぅ///」

提督「…もっとする?」

ライモン「……はい///」

提督「ふふ、了解…んじゅっ、ぢゅるぅ……っ♪」布団の中に潜りこむとしなやかなライモンの脚を押し開いて顔をうずめ、花芯に舌を差し入れた…

ライモン「あっ、ひゃあぁぁっ…!?」

提督「んちゅっ、じゅぅっ……ちゅる…んちゅぅっ♪」

ライモン「あっあっあっ…だめです、そんなところを舐めちゃ……ぁっ///」いくら全身をくまなく洗って来たとはいえ「綺麗じゃないですから…」と抵抗するライモン……が、提督の舌先が秘部をまさぐるたびにじんわりとした感覚が上って来て、身体の力が入らない…

提督「…ぷはぁ……大丈夫、ライモンの身体ならどこだって舐められるわ…んじゅっ、ちゅぅぅ…っ♪」かけ布団の奥からこもったような声が聞こえてくる…

ライモン「そ、そういう事ではなくてわたしが恥ずかしいからだめなんで……あぁぁんっ♪」布団のふちをつかんで身体をのけ反らせるライモン…

提督「ん、ちゅるぅっ…じゅぷ、じゅるぅぅっ……♪」

ライモン「あっ、ひぁぁっ……はひっ、んあぁぁ…っ♪」

提督「ぷはぁ…! ふぅ、さすがに空気がこもって息が苦しいわ……///」ライモンの胸元から妙に嬉しそうな火照った顔をのぞかせると、そのまま布団をはねのけた…

ライモン「あっ…///」

提督「ふぅ、涼しい……これで続きが出来るわね♪」そう言って身体をずり下ろすようにして、またライモンの秘所に顔をうずめた……

ライモン「あぁ、んくぅ…ひうぅぅっ♪」身体が引くつくのと恥ずかしさでふとももが内またになり、提督の顔を挟み込む形になるライモン

提督「んふぅ……ちゅるぅぅっ、ちゅう……んちゅっ、ちゅぷぅ…♪」

ライモン「あぁぁっ、あっ、あ……ふわあぁぁぁっ♪」とぽっ、ぷしゃぁぁ…っ♪

提督「ぷは……ふふふ、ライモンの蜜…甘酸っぱくて温かい♪」顔中をべたべたにしたライモンの愛液を舐め、みだらな笑みを浮かべた……

ライモン「…もう、提督ってば……ぁ///」

………

531 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/06/04(火) 10:28:21.05 ID:N0nwFw2V0
…翌朝…

ライモン「うぅ…ん……」明け方のひんやりした風で目が覚めたライモン……情事の最中に提督が布団をはねのけ、二人とも疲れて寝入ってしまうまでいちゃつき続けたので身体はすっかり冷え込んでいた……ライモンはぶるぶるっ…と軽く震えて、それから冷えた身体を伸ばしながら起き上った…

ライモン「…もう夜明け……うっ、寒い……!」あわててナイトガウンを羽織り、それから解いていた髪の毛をまとめて、いつもの高いポニーテールにまとめた…

提督「…すぅ……すぅ……」

ライモン「…ふふ、提督ったら可愛いです……ちゅっ///」穏やかな寝顔を浮かべている提督の頬に軽くキスをすると、提督が蹴飛ばしたクッションを拾い上げて「ぽんぽん…っ」と形を整え、それからふわっとしたタオルケットと夏がけの羽毛布団を提督の身体に優しくかけた…

ライモン「…えーと、あとは……」辺りを軽く見回すとコーヒーメーカーのスイッチを入れ、小さい丸テーブルに提督のマグや砂糖つぼ、クリームの水差しを置く…

ライモン「うん…もう大丈夫ですね」…最後にさっと室内を見回すと小さくうなずいて、昨夜持って行ったホットミルクのマグを持って部屋を出た……

提督「……ふふ、グラツィエ…♪」…頬にあたる柔らかい唇の感触で目が覚めたが、起きあがるとライモンが恥ずかしがるだろう…と、かけてもらった布団にくるまり、寝たふりをしながら見送った……

…廊下…

ライモン「…う……なんだか身体中がべたべたする…」そっとドアを閉めてからつぶやく…

アッテンドーロ「……おはよう、姉さん」…左手側の壁に背中をあずけて立っていたアッテンドーロがいきなり声をかけた

ライモン「ひゃあっ!?」

アッテンドーロ「しーっ…そんなすっとんきょうな声を上げたら愛しの提督さんが起きちゃうわよ?」

ライモン「だって、いきなり……どうしたの、ムツィオ?」

アッテンドーロ「そりゃあもう、初心で可愛い姉さんを迎えに来たに決まってるでしょうが…何しろ昨晩は行ったきり戻ってこないから、これはてっきり提督に捕まったな……って思ってね」

ライモン「え、じゃあずーっとここで待ってたの?」

アッテンドーロ「まさか…ついさっきここに来て、そろそろ起きる頃だろうと思って待ってたのよ」

ライモン「そうなの……ありがと…う///」

アッテンドーロ「よしてよ、姉妹の間でお礼なんていらないわ……ま、それは私が片づけてあげるから、シャワーでも浴びて来たら?」そう言ってマグを取り上げ、代わりにバスタオルを押し付けた…

ライモン「え、でも……」

アッテンドーロ「……いいからとっとと行ってきなさいよ。提督の朝食も準備してあげたいんでしょ?」

ライモン「ええ…あ、ありがとう///」

アッテンドーロ「いいのよ…あとでお代は請求するわ♪」

ライモン「ふふっ、なにそれ…♪」

アッテンドーロ「…ちなみに領収書は書いてあげるけど、支払いは現金一括払いじゃないとダメだからね?」そう言ってパチンとウィンクを決めた

ライモン「ん…それじゃあお言葉に甘えて♪」軽く頬にくちづけをすると、大浴場に向かって歩いて行った…

アッテンドーロ「はいはい……で、提督はいつまでそこで盗み聞きしてるわけ?」

提督「あら、ばれちゃったわ…♪」

アッテンドーロ「当たり前でしょうが、風が揺らぐ気配がしたもの……それにしても昨夜はせっかく姉さんと一戦交えようと思って準備しておいたのに、提督ときたら泥棒猫みたいな真似をして…」

提督「ふふ、ごめんなさい♪」

アッテンドーロ「ふっ、別にいいわよ……それに姉さんも提督と寝たくてうずうずしてたもの♪」

提督「ええ…ずーっとそわそわしていたものね♪」

アッテンドーロ「……まったく、いい加減「新婚初夜」ってわけでもないのに…姉さんときたら」

提督「ふふっ…ライモンはそこが可愛いのよ♪」

アッテンドーロ「知ってるわ。私もそう思うもの」

提督「あら…ふふっ♪」

アッテンドーロ「ふっ……まぁ提督も身支度をして、姉さんの手料理を食べる準備でもしておきなさいな」

提督「は、つつしんでそうさせていただきます…♪」冗談めかして敬礼すると、パチッとウィンクをした…

アッテンドーロ「ええ、頼んだわよ♪」

532 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/06/06(木) 00:35:58.49 ID:2fjQzvp40
…えー、相変わらず書きためも展開もなくだらだらと続けておりますが、そろそろ提督×潜水艦の娘で一つ書こうかな…と思っています

……そういえば今日(六日)はノルマンディ上陸作戦の日…いわゆる「ザ・ロンゲスト・デイ」ですね……特にパウル・カレルの「彼らは来た」は幾度も読んでいるのですが、ボリュームがあり、戦史あるいは将兵たちのエピソード集としても大変よくまとめられていて面白いですね…

533 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/06/07(金) 01:35:36.73 ID:MvZtsBuq0
…朝食後…

シモネッタ提督「ふぅ、朝から美味しいご飯だったわ…グラツィエ、フランカ♪」上品に口もとを拭い、食後のコーヒーを優雅に楽しんでいる…

カサルディ提督「同感。それにこっちは鎮守府に戻ったらまた「パンとチーズだけ」の食生活に戻るだろうから、なおのことね……」

提督「ノン・ファ・ニエンテ(いいのよ)…それにお礼ならエリトレアに言ってあげて?」提督自身はライモンの心づくしの手料理を堪能し、満足げに頬をゆるめている…

カサルディ提督「そうだね…美味しかったよ、エリトレア♪」

シモネッタ提督「ええ、特に「蟹のクリームパスタ」はヴェネツィアでもなかなか味わえないくらい絶品だったわ……あんまり美味しいものだから、ヴェネツィアに帰りたくないほどよ♪」

エリトレア「わぁ、ありがとうございますっ。それならずっといてくださいっ♪」

シモネッタ提督「…あら、ほんと?」

提督「却下…駆逐艦の娘のそばにエレオノーラを置いておくなんて、鶏小屋にキツネを放すとか、肉屋に犬を連れて行くようなものよ……いつ手籠めにされるか分かったものじゃないわ…」

シモネッタ提督「あら、フランカも言ってくれるわね……大丈夫よ、ちゃんと合意は得るから♪」

提督「これだもの…見た目がいいだけに余計タチが悪いわ」

カサルディ提督「あはははっ、二人のやり取りも相変わらずだね…♪」

提督「もう、おかしくなんてないわよ……それにルクレツィアだって、エレオノーラがそばにいたらMS艇の娘たちが危ないわよ?」

カサルディ提督「ああ、そのことなら大丈夫…うちの娘たちは見た目は小さいけどすごいんだから……♪」

シモネッタ提督「あら、それってベッドの上で…ってこと?」

カサルディ提督「まさか、エレオノーラじゃあるまいし……何しろ、あの娘たちときたらエーゲの深海棲艦を相手に暴れ回って、戻ってきたときには煙の煤で顔を真っ黒にしていたくらいだもの…エレオノーラの一人や二人、かかって行ったところで部屋から放り出されるのがオチだと思うわ」

提督「それはそうかもしれないわね……ルクレツィアの報告書は海軍公報で読んだわ」

カサルディ提督「ま、うちの娘たちはやることが派手だから……さてと、そろそろ出発の時間かな」ステンレスの腕時計に視線を走らせると、一気にコーヒーを流し込んだ…

提督「あら、もうそんな時間? …もっとゆっくりできたらいいのにね?」

カサルディ提督「ほんと、私だって出来たらそうしたいわ。でもレロス島に戻る時間を考えるとね」

提督「まぁ、それもそうね……それじゃあせめて鎮守府総出でお見送りしてあげる♪」

カサルディ提督「やめてよ、べつに参謀総長だとか海軍大臣じゃないんだから…///」

提督「ふふっ、いいじゃない…上官の好意はもらっておくものよ?」

カサルディ提督「あーあ…あの大人しかったフランカも、金モールをつけるようになったらすっかり押し付けがましくなっちゃって……♪」ため息をつくふりをしながら冗談めかした…

提督「ふふっ…とにかく、波止場までは見送るわ♪」

カサルディ提督「グラツィエ…ちゅっ♪」少し荒れてカサついた唇が押し付けられた…

提督「ん…♪」

…少しして・波止場…

カサルディ提督「やーれやれ…まさか本当にやるとはねぇ」駆逐隊が複縦陣で「道」を作っているのを見て、あきれ返ったように両手を上に向けた…

提督「まぁまぁ…♪」

カサルディ提督「それにしてもあの娘たちは何をやってるのやら…もう出発の時間だっていうのに……」

MS16・22「「遅くなりました、司令…!」」

カサルディ提督「まったく、どこで油を売っていたのよ……って、その大荷物は一体なに?」小さい二人の背丈と大差ないくらいの、重そうな袋を背負っている…

提督「…うちの艦娘たちからの餞別よ……チーズとかワインとか、他にも色々入ってるわ…宅配便で送ると記録が残っちゃうものね♪」

カサルディ提督「……今回は格段のご配慮をありがとうございます、司令官閣下…ありがとう、フランチェスカ。…エーゲに来るときはぜひうちの鎮守府に寄ってよ♪」

提督「ええ…カサルディ中佐におかれても、ますますの戦果と航海の無事を……ルクレツィアも、タラントに来たくなったらいつでもいらっしゃいね♪」

カサルディ提督「ありがとね…それじゃあ、チャオ!」揺れているMS艇にひらりと乗り込むと手を振り、もやいを解いて艇の「イソッタ・フラスキーニ」ガソリンエンジンを噴かすと、綺麗な航跡を残して出港していった…

シモネッタ提督「行っちゃったわね……あーあ、あのMS艇の娘たちともっとお知り合いになりたかったわ♪」

提督「そうならないように慌てて出て行ったんじゃないかしら?」

シモネッタ提督「ふふっ…とにかくルクレツィアが元気そうで良かったわ♪」

提督「ええ、そうね…♪」次第に小さくなっていく淡灰色のMS艇に向けて、しばらく手を振った提督たち…

534 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/06/09(日) 01:20:16.49 ID:ldrR4qTp0
…食堂…

提督「さてと、ルクレツィアのお見送りも済んだし……マリーの出発は1000時頃だったわね」

エクレール提督「ええ、そうですわ」

提督「それじゃあ出発までゆっくりするといいわ…ちゃんと荷物は詰めた?忘れ物はない?」

エクレール提督「…わたくしを子供扱いしないでいただきたいですわ!」

提督「あら、違ったの?」

エクレール提督「この…っ!」

グレイ提督「ふふ……そうしてすぐムキになるところを見ていると、まるで姉にからかわれている妹のようですわね♪」

エクレール提督「な、何をおっしゃって……///」

提督「ふふ、マリーも「ホンモノ」のお嬢さま相手だとかたなしね…♪」

エクレール提督「…っ///」

カヴール「まぁまぁ提督、そうエクレール提督をからかわないであげてくださいな」

提督「あら、カヴールはマリーの味方?」

カヴール「ふふっ…私はフランスの事が結構好きですから♪」

提督「あー……カヴール伯だものね」

カヴール「はい♪」

ガリバルディ「……フランスかぶれと合理主義が、カヴールの数少ない欠点よ」

提督「あら、ガリバルディ」

ガリバルディ「チャオ、提督…隣に座ってもいいわよね?」

提督「ええ、どうぞ♪」

ガリバルディ「ありがと…カヴールも他はいいんだから、あとはそこだけどうにかなればね」

カヴール「あらあら、なかなか手厳しいですね……でも、ガリバルディは行動する前にもう少し考えた方がいいと思いますよ?」

ガリバルディ「例えば?」

カヴール「数週間前でしたか…新しい紅の下着を買っていましたが、その直前にも同じような下着を買っていたでしょう?」

ガリバルディ「別に私のお給料なんだからいいでしょ?」

カヴール「ええ、まぁ……でも似たような色の服も多いですし、着回せばいいじゃありませんか。お金がもったいないですよ?」

ガリバルディ「はぁ…貴女のそういうところが好きじゃないのよ、カヴール……似たような色だからってまるっきり同じって言うわけじゃないし、ちょっとのデザインや色味で雰囲気はぐっと変わるものなのよ」

カヴール「そうでしょうか…ガリバルディはたいてい赤や紅の服で、あまり変わらない気がしますが……」

ガリバルディ「これだもの……そんなんじゃあ女にモテないわよ?」

カヴール「私には提督がおりますから、ご心配なく♪」

提督「…カヴールとガリバルディって、意外と仲が悪いわよね……やっぱり「本人」の性格を継いでいるのかしら?」

カヴール「あら、私はそう思ってはいませんよ? むしろガリバルディとはお互いに欠点を指摘できるほどの仲だと思っております…♪」

ガリバルディ「さすが政治家、物の言い方が上手いわね……ま、とりあえずは「どうにかやってる」ってところよ♪」

提督「なるほどね」

ガリバルディ「ええ…とにかく必要な時はちゃんと返事してるわ」

カヴール「ふふっ、そうですね♪」

ライモン「ガリバルディお得意の「オッベディスコ」ですね♪」(※Obbedisco…「従う」の意。イタリア統一戦争のさなか、望まない撤兵を命じられたガリバルディが送った返答)

提督「あー…時々言っているわよね」

カヴール「たいてい何かやりたくない事を頼まれたときに使っていますね♪」

ガリバルディ「…でもちゃんとやるんだからいいでしょ?」

カヴール「ええ、そこは否定していませんよ♪」

提督「うーん……カヴールとガリバルディを一緒に行動させるのは考えものね…」
535 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/06/10(月) 01:55:57.61 ID:9kghND0z0
…しばらくして…

チコーニャ(ガッビアーノ級コルヴェット「コウノトリ」)「提督、お菓子をどうぞ♪」柳のバスケットを腕にかけ、提督へビスコッティを差し出した…

提督「あら、ありがとう。ちょうど欲しかった所よ」小柄なチコーニャの頭を軽く撫でる…

チコーニャ「えへへ…っ、喜んでもらえて良かったです♪」

提督「ふふ、チコーニャが気配りの出来るいい娘だからよ……みんなも好きなのを取って?」

シモネッタ提督「あら、いいの?」

提督「ええ…チコーニャは優しいから、そのために来てくれたのよね?」

チコーニャ「はいっ///」

提督「ね? …さ、遠慮せずに召し上がれ♪」

グレイ提督「ふふ、ではこちらのお菓子をいただきますわ…♪」

エクレール提督「…せっかく持って来たのに、受け取らないのも失礼ですわね」

ヴァイス提督「ダンケ」

百合姫提督「…え、えぇと……ごめんなさい、たくさんあるので目移りしちゃって…これにしますね///」

チコーニャ「シモネッタ提督もどうぞ♪」

シモネッタ提督「あら、ありがとう……んふふっ、つかまえたぁ♪」お菓子を受け取るかと思うと、いきなり腰を抱きかかえて膝の上に乗せた…

チコーニャ「わわっ、いきなり抱き上げちゃだめですってば…///」

シモネッタ提督「まぁまぁ、そう言わないで……あんっ、もちもちのぷにぷにで柔らかぁ…い♪」恥ずかしげにもがいているチコーニャに頬ずりをしたり、むちっとしたふとももに手を這わせたりと本領を発揮しているシモネッタ提督…

提督「…ところでエレオノーラ、そろそろ時間じゃないかしら?」

シモネッタ提督「ほーら、お姉ちゃんがぎゅってして……えぇ?」あわてて腕の時計に視線を走らせた…

チコーニャ「えい…っ!」

シモネッタ提督「あっ…!」

チコーニャ「ふぅ…提督、ありがとうございます♪」

提督「いいのよ…まったくもう、エレオノーラにはほとほと参るわ……」

シモネッタ提督「もう、だからって人をだますのは良くないんじゃないかしら?」

提督「チコーニャをエレオノーラの魔の手から救い出すなら合法よ♪」そう言ってウィンクするとコーヒーをすすった…

シモネッタ提督「…むぅ」

提督「それに時間が近いのも本当だし」

シモネッタ提督「みたいね……百合野提督、準備はお済みですか?」

百合姫提督「はい」

提督「…エレオノーラはともかく、姫が帰っちゃうのは残念ね」

百合姫提督「も、もう…またそんな……///」

シモネッタ提督「あら、私が帰るのは残念じゃないっていうのね?」

提督「いいえ、残念よ…だけどエレオノーラが起こす問題のあれこれを考えると、帰ってくれた方がほっとするわ♪」

シモネッタ提督「フランカもなかなか言ってくれるわね……ところで」

提督「なぁに?」

シモネッタ提督「もてなしてくれたお礼よ…受け取って?」ヴェネツィアらしい、おしゃれな包装紙の包みを手渡した…

提督「えっ…わざわざありがとう///」

シモネッタ提督「いいのよ……ちなみに一人の時に開けてね♪」

提督「ええ、わかったわ」

シモネッタ提督「ふふ…それじゃあ名残惜しいけれど、そろそろおいとまさせていただくわ。鎮守府では可愛い娘たちが私の帰りを待っているもの♪」

提督「……憲兵隊が来ないよう心から祈るわ」

シモネッタ提督「グラツィエ♪」
536 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/06/15(土) 02:09:09.81 ID:b+JJMuNB0
…波止場…

百合姫提督「それでは改めて……色々お世話になりました」敬礼を交わすと深々と一礼した…

提督「いえいえ、こちらこそ…♪」百合姫提督を真似て頭を下げる…

マエストラーレ(ヴェネツィア)「…それじゃあまたね……んちゅ♪」

マエストラーレ「う、うんっ…///」

シモネッタ提督「んふふっ……貴女たちもよかったらヴェネツィアに遊びにいらっしゃい、うんとイイコトしてあげるわ…ねっ♪」

ミラベロ「ふぅん…でも「イイコト」って何のことなのかしら…♪」

リボティ「ね、私には何の事だかよく分からないな…♪」

シモネッタ提督「まぁ…ふふふっ♪」

提督「…」

シモネッタ提督「こほんっ……とにかく、もてなしてくれてありがとう…冗談は抜きにしても、ヴェネツィアに来るような事があったら歓迎するわ♪」

提督「グラツィエ……それじゃあね」

シモネッタ提督「ええ…またね♪」優美な身のこなしでモーターランチに乗り込むと、沖合に錨泊しているマエストラーレに向かっていった……

カヴール「…行ってしまいましたね」

提督「そうね……でも今の世の中ならいつだって会えるもの、ね?」

カヴール「ふふっ…そうですね♪」

提督「ええ……さてと、今日は昼食が済んだらエレオノーラがくれたプレゼントでも開けてみるとするわ」

カヴール「分かりました…では私はチェザーレと過ごすことにします」

提督「ええ♪」

…提督寝室…

提督「さてと…一体何をくれたのかしら?」外袋を開けると、中からはヴェネツィアらしいしゃれた紙袋が出てきた…入っているロゴは有名な女性下着ブランドのもので、提督もいく度か買おうかと思ったが値段を聞いて手を出さずにいたものだった…

提督「この包みからすると、中身は下着かしら……まぁエレオノーラが選んでくれたのなら大丈夫ね。 …何しろあの幼女趣味をのぞけばセンスは抜群にいいし……///」そうつぶやきながら包装を解いて、途端に顔を紅くする提督…

提督「うわ…///」…包みに入っていた下着は確かにおしゃれな黒レースのランジェリーで、ふちにトーンの違う黒で花模様があしらわれている……が、その薄さはけた違いで、生地を透かしてベッドシーツの模様がはっきり見える…

提督「すごい……生地を透かして外が見えるわ…///」持ち上げてみて午後の陽光に透かして見ると、ますます薄さが際立って見える…

提督「…それにしても、こんなのどこで着ればいいのかしら……」


…そう言いながら服を脱ぐとさっそく試してみる提督…ブラはカップもぴったり合っていて、ショーツの方もだいたいちょうどいい……それに着心地や使い勝手の部分にも細かく配慮が行き届いていて、直接肌に触れないようタグは裏地に挟まれるようにつけられていたり、股やふともものよく擦れる部分は少し厚手で長く使えるようになっていたりする……それに布地そのものも柔らかで、滑らかでひんやりした感じが心地よい…


提督「……まぁなんにせよ、これは「ここ一番」っていう時に身につけたいわね♪」納得して下着をクローゼットにしまった…

………

…夕食後…

提督「…ふぅ、美味しかった……あ、そういえば」太い筒型のパスタ「リガトーニ」に絡めた、玉ねぎと荒みじんのひき肉を赤ワインとトマトで仕上げたポモドーロ…それを心ゆくまで味わってすっかり満腹すると、入浴も済ませてバスローブ姿でいる……提督は満足げなため息をついてベッドに腰掛けると、ふと思い出して携帯電話を取り上げた…

シモネッタ提督「もしもし、シモネッタです…」

提督「エレオノーラ、私よ♪」

シモネッタ提督「あら、フランカ……贈り物はいかがだったかしら?」

提督「ええ、ありがとう…ちょっと際どいけれど、とっても素敵♪」

シモネッタ提督「気に入ってくれたようで良かったわ……ここぞって言う場面で使ってね?」

提督「ええ」

シモネッタ提督「ついでに良かったらおしゃべりでもしましょうか」

提督「そうね♪」

………

537 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/06/16(日) 01:51:38.36 ID:zJnCKMSOO
ついに艦これにもガリバルディが出ましたな。みなさんはゲットされましたかな?あ、ちなみに私はラスダン12回目で資材が尽きかけております。(丁提督)
538 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/06/17(月) 00:46:01.15 ID:9Q4PCWky0
>>537 まずは「G・ガリバルディ」の実装…そして入手おめでとうございます! 

ガリバルディと言えばイタリア軽巡の粋であり最精鋭…そして戦後も改装の上、ポラリスSLBM搭載艦(!)として長く在籍した名艦ですから……それだけで「艦これ」を始めたくなりました(笑)


…そして艦名がやたら長い姉の「ルイージ・ディ・サヴォイア・デュカ・デリ・アブルッツィ(サヴォイア王家アブルッツィ侯のルイージ)」もいますね……ちなみに本によっては「L・d・S・D・d・アブルッツィ」と略されていて、当時のイタリア王国海軍では単に「アブルッツィ」と呼ばれていたようです


……えー、ちなみになかなか進まない本編ですが、そろそろ提督と中型潜たちのやらしいのを書いていく予定ですので…どうぞお待ちください
539 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/06/17(月) 01:50:03.71 ID:9Q4PCWky0
…しばらくして…

提督「それじゃあね。チャオ♪」

シモネッタ提督「ええ、またね…♪」

提督「さてと…電話ついでに今度はノーフォークへ、と……」ミッチャー提督の番号を回し、呼び出し音が鳴るのを聞いている…

ミッチャー提督「ハロー……もしもし、どちら様?」

提督「ハーイ、ジェーン。私よ……もしもし?」どうやら映画かテレビ番組の最中だったらしく、騒がしい音が響いている…それに交じってノーフォークの艦娘たちがあげる爆笑が聞こえるところを見ると、流しているのはコメディか何からしい……

ミッチャー提督「もしもし、誰だって? ……ソーリィ、ちょっと後ろの音がうるさくって…!」

提督「私よ、ジェーン。タラントのフランチェスカよ……お話しても大丈夫?」

ミッチャー提督「…あぁ、フランカね……オーケー、どうしたの?」廊下にでも出たのか、急にはっきり聞き取れるようになった…

提督「ええ、ちょっとジェーンに言っておかないといけないことがあって…それよりさっきのは何の音だったの? 映画?」

ミッチャー提督「イェス…幸い今日はヒマでね。うちのガールズたちに映画を流してたとこ」

提督「ジェーンは映画好きだものね……ちなみにずいぶん愉快そうだったけれど、何を流していたの?」

ミッチャー提督「ああ、今日はガールズのリクエストに応えて「トムとジェリー」をね」

提督「なるほど、それで…♪」

ミッチャー提督「そうなの…ほら、ちょうど「トムとジェリー」も戦時中にできた作品だから、あの娘たちからするとセンスやジョークもドンピシャだし、まだ見たことのない回もうんとあるわけよ。 …だからまぁウケることウケること……あんまり笑い過ぎてポップコーンをこぼしちゃうんだから♪」

提督「なるほどね」

ミッチャー提督「…で、その「話したいこと」っていうのは?」

提督「あー、そうそう……実はね…」ベッドの裏にフレッチャーが描いていった「キルロイ参上」の落書きについて、かいつまんで説明した…

ミッチャー提督「……シッ! まったくあの小娘ときたら……まったくもう♪」電話越しに苦笑しているミッチャー提督…

提督「まぁ私はそこまで気にしていないのだけれど、他でそういうのがあったら文句を言われるかと思って…」

ミッチャー提督「そうね……わざわざありがと、うちのガールズにはきつく言っておくわ」

提督「その辺はジェーンに任せるわ……でも、ほどほどにね?」

ミッチャー提督「ま、その辺は大丈夫よ…サンクス♪」

提督「ええ。それじゃあまたね♪」

ミッチャー提督「そっちはもう夜だもんね…グッドナイト(お休み)、いい夢を」

提督「ありがとう♪」

提督「……ふー、これで用件は済んだし…あとは寝るだけね♪」ベッドに身体を横たえると布団をかぶろうとした……と、そこにノックの音がした

提督「…このノックのしかた……アッチアイーオかしら? …どうぞ?」

アッチアイーオ(中型潜アッチアイーオ級「鋼鉄」)「……提督、もう寝るところだったかしら?」お風呂上がりなのかほこほこと湯気を残し、パイル地のバスローブを羽織っている…

提督「ええ、そろそろ寝ようかなとは思ってはいたけれど……どうしたの?」

アッチアイーオ(温)「いえ…その……今夜は提督と一緒のベッドで寝たいと思って…///」身体が温まっているからか、少し照れたようにうつむいている…

提督「…まぁ……ふふっ♪」

アッチアイーオ「あっ…嫌だったら別にいいのよ? それにもしライモンドやカヴールが来るって言うなら邪魔はしないから……///」

提督「うふふっ、そんなに気を回さなくてもいいのよ…それに今夜は「予定」がなくて、一人で寝るところだったの♪」とろりと甘い誘うような表情で小首をかしげ、小さくウィンクをした…

アッチアイーオ「そ、そう…なら…お邪魔しても……いいかしら///」

提督「…ええ、どうぞ♪」かけ布団とタオルケットをまくってぽんぽんっ…とベッドを叩いた…

アッチアイーオ「じ、じゃあ……入るわね///」

提督「ええ…いらっしゃい♪」布団をかけてあげて、アッチアイーオの艶やかな黒髪を優しく撫でる…

アッチアイーオ「…ん///」提督と向かいあうように横向きになると、目を閉じて唇を近づけた…

提督「……ちゅっ♪」

アッチアイーオ「……んっ、ふ…///」
540 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/06/19(水) 01:57:15.00 ID:ynqAWnBW0
…続きを投下しようと思っていたのですが、越後の方は大変なことになっているみたいですね…ここに書き込むのもなんですが、とにかく地元の方は身の安全を第一に行動して下さいね……

……続きは明日にでも投下するつもりですが、ちょっと不謹慎なのではないかと思ってしまって落ち着かないですね…
541 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/06/20(木) 00:29:52.39 ID:z+BAor+Z0
…越後の地震ですが、怪我人だけだったのが不幸中の幸いでしたね……続きを投下しようかなと思います


……ちなみに今後はアッチアイーオ(温)などのように気分を表す予定です…だいたいの目安としてベタベタ状態からすっかりしょげている状態までを「熱・温・常・冷・寒」みたいに表現しようかな…と
542 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/06/20(木) 01:26:08.10 ID:z+BAor+Z0
…十数分後…

提督「あむっ……ん…ちゅっ、ちゅぅ…っ♪」

アッチアイーオ(温)「んんぅ…はぁ……んふっ、んちゅぅ……///」

提督「んっ…ぷは♪」

アッチアイーオ「ふぁ……もうおしまい…?」

提督「いいえ……これからよ♪」ちゅっ、ちゅぅ…っ♪

アッチアイーオ「あんっ…あ、あっ…んぅぅっ♪」

提督「んっ、ふ……舌が…暖かくて……ぬるっとしていて…んぅ、ちゅぅ…♪」

アッチアイーオ「そ、そういうことは言わなくてもいいから…ぁ///」

提督「ふふ、だって……れろっ、んっ…♪」

アッチアイーオ「はぁ、はぁ、はぁっ……んむっ///」

提督「ん…ちゅぅっ、ちゅるっ……はむっ、んちゅ……っ♪」アッチアイーオをぎゅっと抱きしめて舌を絡ませ、ゆっくりと口内をむさぼるような口づけを続ける…

アッチアイーオ「んんっ、あっ…ふわぁ……あぁ…///」鋼鉄のような青味を帯びた黒い瞳が焦点を失い、一瞬うつろになった…

提督「……ほら、来て?」

アッチアイーオ「…ん、んっ///」抱きしめられたまま提督の白くて柔らかい胸元に顔をうずめ、熱っぽくしっとりと汗ばんだ乳房を舐めあげる…

提督「ん、ふふっ…くすぐったいわ♪」

アッチアイーオ「……ね、お願い…///」

提督「ええ…♪」提督のほっそりした…しかし骨ばってはいない柔らかな指がアッチアイーオの身体をなぞり、柔らかい花芯にゆっくり差し込まれた…

アッチアイーオ「あぁ、んぅ……気持ち…いぃ……///」提督にしがみついてしなやかな脚を絡みつかせた……

提督「ふふ、よかった……それにとっても温かくて、とろっとしている…わ♪」ちゅぷっ、くちゅ…♪

アッチアイーオ「そ、そんなの言わなくってもいいから…///」

提督「ふふ、ちゃんと伝えたかったの……とっても「気持ちいい」って…」柔らかい笑みを浮かべて愛おしむように指を滑らせる提督…

アッチアイーオ「もう…///」

提督「…ふふ♪」

アッチアイーオ「……それじゃあ、提督にも…してあげるわね…///」提督のむっちりとしたふとももに手を這わせると、膣内に指を滑り込ませた…

提督「…ぁっ♪」

アッチアイーオ「………あんまり上手じゃないかもしれないけど…どうかしら…?」くちゅ、くちゅっ…♪

提督「いいえ……その気持ちだけで…充分……んんぅ…感じるから♪」

アッチアイーオ「…提督ってばずるい…そういう事を平気で言うんだもの……///」

提督「本当の事だから……んあぁっ♪」トロけた表情で甘ったるい嬌声を上げる提督…

アッチアイーオ「…んはぁ、はぁ、はぁ…っ……だめ、もう我慢できない…っ///」次第に熱を帯び、頬を紅潮させ始めたアッチアイーオ……向かい合って抱き合っていた提督をあお向けになるように転がすと、提督の上にまたがった…

提督「…あんっ♪」

アッチアイーオ(熱)「…はぁっ、はぁっ、はぁ……提督っ、好き、好きぃ…っ!」ちゅぅぅっ…ちゅむっ、ちゅぷ、じゅるぅ…っ♪

提督「んんっ、あっ、あっ…あぁんっ♪」花芯をまさぐっていた指を力一杯動かされ、とろりと蜜を垂らしながら腰をひくつかせる提督…

アッチアイーオ「もう……今夜は放さないんだから…っ♪」ぐちゅぐちゅっ、じゅぶっ…!

提督「ええ……私も…んぁぁっ、あふっ、んぅぅ…っ♪」くちゅっ、にちゅ……♪

アッチアイーオ「はぁ、はぁ、はぁ…提督の膣内……柔らかくて…指が吸い付かれるみたいで……すっごく気持ちいいっ♪」ぐちゅっ、じゅぶ…ぬちゅっ…♪

提督「…アッチアイーオこそ……熱くて柔らかくて…出来たてのカスタードクリームみたい……♪」くちゅ、くちゅぅ…っ、ぬちゅ…♪

アッチアイーオ「提督…んふっ、れろぉ……好き…んむぅ、ちゅぅぅっ♪」

提督「あ…んっ、んむっ……私も……ん、ちゅぅ…っ♪」きゅっと引き締まった乳房やお腹に吸いつくようなキスをする……

543 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/06/23(日) 03:35:18.80 ID:uBOwlgYt0
アッチアイーオ「はぁ…はぁ……っ、あぁ、あぁぁっ!」

提督「あっ、あっ……あふっ、んぅぅ…んんぅっ♪」アッチアイーオを抱き寄せるとじっとりと汗ばんでいる身体を押し付け、パルメジャーノ・レッジァーノをチーズをおろし器にかけるようにずり動かした…

アッチアイーオ「…あぁ、それ……いい、いいっ! あっ、あ……あふ…っ、はひっ…♪」

提督「んぅ、んくっ…ちゅるっ、むちゅ……♪」とろとろに濡れたアッチアイーオの秘部を往復させたので提督のふとももはすっかりべとべとになり、左右の脚が触れ合ったりするたびに「にちゅ…♪」と水っぽい音をたてる……

アッチアイーオ「はぁぁ、んあぁ…ぁ……ん、ちゅっ♪」

提督「…ふふ……ねぇ、アッチアイーオ?」

アッチアイーオ「…んむっ、ちゅぅっ……なに?」

提督「もっと……気持ちいいこと…しましょうか♪」いつもの穏やかな笑みと違って、どことなく情欲をたたえた色っぽい表情を浮かべつつ、瞳を爛々と輝かせている…

アッチアイーオ「……うん…提督に、もっと……いっぱい愛して欲しいっ!」ぎゅっと抱き着き、ところ構わずキスの雨をあびせてくる…

提督「…了解、それじゃあ……そーれっ♪」

アッチアイーオ「あんっ…♪」提督に「お姫様抱っこ」で抱きかかえられ、室内に置いてある円形の小テーブルに載せられた…

提督「んふふっ……アッチアイーオのとろとろのあそこが良く見えるわ…ん、じゅるぅ……っ♪」

アッチアイーオ「あぁ…んっ、んぅぅ……っ♪」とぽ…っ、とろとろっ…♪

提督「ん…じゅる、じゅるぅ……舐めても……じゅぷ、れろっ…いっぱいあふれてくるわ……ね♪」

アッチアイーオ「らってぇ…気持ちいいんだもの……ぉ♪」

提督「……んじゅっ、ぴちゃ…ぢゅるぅっ…気持ひいぃ……?」ふとももに挟まれながら上目づかいでアッチアイーオを見上げている提督…秘所に顔をうずめているからか、声がくぐもって聞こえる…

アッチアイーオ「ん、気持ちいいから……もっといっぱいして…っ♪」テーブルの上で上体を起こすと、提督の頭を両手で押さえて花芯に押し付けた…

提督「んふっ…んんぅ、んむぅ……♪」

アッチアイーオ「ふふっ、提督はどれだけ息継ぎしないで潜れるのか試してあげ……んはぁ、はぁぁんっ♪」

提督「…んふふっ♪」ちゅるっ、くちゅり……れろっ♪

アッチアイーオ「いい、そりぇ……ひゅごくいぃ…っ!」

提督「…れろぉ、ぢゅぽ……んちゅるっ……♪」

アッチアイーオ「はひぃ、はぁぁんっ…あひっ、はひぃ…っ♪」天井を向いた顔はすっかりとろけきっていて、半開きの口からだらしなくよだれを垂らしている…

提督「んちゅる……ぢゅぷ…れろっ♪」

アッチアイーオ「いい゛っ、いいのっ……もっと、もっとして♪」テーブルがぐらつきそうなほどがくがくと身体をひくつかせている…が、それでも提督の頭を秘部に押し付けて離さない…

提督「ぷは……んじゅるっ♪」頭を揺すってアッチアイーオの手を振り払うと息継ぎをして、また顔をうずめた…

アッチアイーオ「あんっ、もう一回ね♪」

提督「ぴちゃ…れろっ、にちゅっ……ちゅぷ、じゅるっ……くちゅっ♪」しばらくジェラートでも舐めるようにアッチアイーオの花芯をなめていたが、不意にしなやかな舌を奥に差し入れた…

アッチアイーオ「あっ、あぁぁぁんっ…♪」とぽっ、ぷしゃぁぁ…っ♪

提督「んふ、んぅぅ…♪」床にひざまづいたまま熱いアッチアイーオの蜜を顔に浴びると、いたずらっぽくぱちりとウィンクをしてみせた…

アッチアイーオ「はぁ…はぁぁ……すっごい、気持ちいぃ…♪」

提督「ふふっ……でも朝まではまだ時間があるわ♪」床に脚を投げ出して息を切らし、全身はあびせられた愛液や汗ですっかりべとべとになっている…が、アッチアイーオの足先に顔を寄せるとくるぶしからふとももまでねっとりと舐めあげた…

アッチアイーオ「うんっ、じゃあもっとしたい…っ♪」

提督「はい、了解しました♪」

アッチアイーオ「ん…いっぱい愛してね♪」

提督「ええ……だって私はアッチアイーオの事…好きだもの♪」耳元まで顔を寄せると、耳たぶを甘噛みしながらささやいた…

アッチアイーオ「…嬉しいっ!」テーブルからすべり降りるようにして提督に飛びついた

提督「きゃあっ……あんっ♪」そのまま甘い言葉を交わしながら、床で絡みあい始めた……

………

544 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/06/27(木) 00:58:56.51 ID:ZTtOiJCr0
…翌朝…

提督「うぅ…ん……」いくら絨毯が敷いてあるとはいえ、冷たく堅い床のせいで目が覚めた提督……まだ夜が明けたばかりで、すっきりと爽やかな空気が窓から流れ込んできている…

アッチアイーオ「…むにゃ……」

提督「…ふふ、可愛い寝顔……♪」頬にそっとキスをすると、枕にされていた腕をそろりそろりと引き抜こうとした…

アッチアイーオ(常温)「…んぅ……」

提督「あら、起きちゃった♪」

アッチアイーオ「…ん、おはよ……う…?」ぱちくりと数回まばたきをすると、二人ともすっかり裸でいるのを確認した…

アッチアイーオ「え…うぇっ!?」

提督「ふふ、アッチアイーオにおはようのキスをしないと…ね♪」すっと唇を近づけつつ、左手をアッチアイーオの腰に回して抱き寄せる…

アッチアイーオ「ちょ、ちょっと! …わ、私がいくら提督のことが好きだからってそんなこと……だいたいどうして床の上で絡みあったまま寝てるのよ!?」

提督「んー…でも昨夜はあんなに激しくしてくれたじゃない♪ …もう忘れちゃった?」

アッチアイーオ「…昨夜、昨夜は……っ///」

提督「ふふっ、その様子だと思い出してくれたみたいね……もうアッチアイーオったら熱すぎて、滑油を垂らさないと焼け付きを起こしそうだったわよね♪」

アッチアイーオ「もうっ、思い出させないでよ…っ///」

提督「…でもせっかく一晩を共にしてくれたのだもの、忘れられちゃうのは悲しいわ」

アッチアイーオ「べ、別に「忘れろ」なんて言ってないわよ。口に出してくれるなって言っているだけで…こんなところを誰かに見聞きされたら恥ずかしいし……///」

カヴール「…あらあら、それでしたらわたくしも口をつぐんでいないといけませんね♪」

アッチアイーオ「ひゃう!?」

カヴール「おはようございます、提督。それとアッチアイーオも…絨毯の上でお休みになられたようですが、よく眠れました?」にこにこしながら、しばらくはからかう気満々のカヴール…

提督「おはよう、カヴール。そうね…おかげさまで身体がこわばっていて、背中も痛いけれど……でも昨夜のアッチアイーオはとっても可愛かったから、文句はないわ♪」

カヴール「ふふ、抱き枕は上等だったわけですね…それではどうぞシャワーを浴びて、お着替えになって下さいな♪」そう言ってバスタオルとガウンを差しだしてくれる…

提督「グラツィエ…アッチアイーオにも出してあげて?」

カヴール「はい♪」

アッチアイーオ「わ、私はいいわよ…大浴場に行ってくるから///」

提督「…そんな気がねしなくてもいいのに」

アッチアイーオ「べ、別にそういう意味じゃなくて……提督の部屋からシャワーの湯気を立てている私が出ていったら、どういう意味か誰だって気づくでしょうが…!」

提督「あら、そう……私は別に知られても構わないのに…♪」

アッチアイーオ「提督が気にしなくたって私が気にするのっ…と、とにかく部屋に戻るわ」

提督「分かったわ、アッチアイーオがそういうなら……それじゃあ、またいつでもいらっしゃいね♪」ちゅ…っ♪

アッチアイーオ「…え、ええ///」

カヴール「……まぁまぁ、提督ったらいけませんね。あんな思わせぶりな言い方をしたら誘っているようにしか聞こえませんよ?」

提督「…いけないかしら?」

カヴール「いいえ。でもまずはさっぱりなさってください…その間にコーヒーを用意しておきますから♪」

提督「ええ♪」

………

545 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/06/28(金) 02:06:04.29 ID:fiQqtKl60
…とある日…

ディアナ「…提督、少しお願いがあるのですが」

提督「あら、ディアナが頼みごとなんて珍しいわね…なぁに?」

ディアナ「ええ……実は「近くの町」まで買い物に行きたいので、提督に車を出していただきたいと思いまして…」

提督「もちろんいいけれど…厨房で何か足りないものでもあったかしら?」

ディアナ「いえ、食料品や調味料は揃っております……ですが十五日のことがありますので」

提督「…十五日?」


…グレイ提督たちとコーヒーをすすっていた提督だが、ディアナにそう言われて手帳を取り出した……が、基地祭が済んで数日後の「十月十五日」は普段通りの哨戒や日常的な業務はあっても、特段これと言った予定は入っていない…しかし手帳の日付のところにはろうそくの印と「G・チェザーレ」と書きいれてある…


ディアナ「お分かりになりましたでしょうか?」

提督「…もしかして、チェザーレの誕生日(進水日)ね?」

ディアナ「いかにも」

提督「言われてみれば「カイオ・ジュリオ・チェザーレ」が進水したのは十五日だったわね……」

ディアナ「さようでございます…ですから、誕生日パーティを開きたいと思いまして」

提督「いいじゃない。規模の大小はさておき、みんな機会があったらお祝いしているんだものね…分かったわ」

ディアナ「…それではよろしいですか?」

提督「もちろん。断る理由が見つからないわ……チェザーレのためにも、うんとごちそうを用意してあげましょう♪」

ディアナ「はい」

…しばらくして…

提督「それじゃあ行ってくるから、留守はお願いね♪」

カヴール「はい。お任せください」

提督「…カヴールも妹の誕生日だから楽しみでしょう♪」

カヴール「ふふっ、そうですね……せっかくですから、うんと美味しいものを買ってきてくださいね♪」

提督「ええ、任せておいて…♪」ぱちりとウィンクを投げると、ランチアを出した…

…海沿いの道路…

提督「うーん、やっぱり渋滞のない道路は気分よく走れるわ♪」…海沿いの地方道路だけあって行きかう車も少なく、提督の「ランチア・フラミニア」は快調に飛ばしていた……メーターはだいたい90キロを指していて、海を望むゆるいカーブの続く道路をしなやかにクリアしていく…

ディアナ「さようでございますね」…白いゆったりしたチュニックのような格好でつばの大きな帽子を膝に乗せ、楽しげに目を輝かせている……

提督「…ディアナとエリトレアには厨房を任せきりで、普段はお出かけもままならないものね……今後は買い物でも何でも、出かける機会があったら誘うようにするわ」

ディアナ「ふふ、お気を使っていただいて…♪」

提督「いいのよ。そもそも鎮守府にあるのがヴェスパ(ベスパ)一台きりって言うのがね……あれじゃあまともに買い物にさえ行けないわよね」

ディアナ「そうかもしれません」

提督「この前リットリオが「チンクエチェント」を買ったけれど、あれだって私物だし…」(※フィアット500…いわゆる二代目のフィアット「NUOVA500」)

ディアナ「はい。もちろんリットリオに頼めば快く乗せてくれますが、そう毎回お願いするのも心苦しいですから」

提督「そうよね…」

ディアナ「ええ……それにしても速度のある乗り物と言うのは愉快ですね」…戦中は32ノットの快速を誇った高速スループだけあって、落ち着いた様子ながらどこかスピードを楽しんでいる……

提督「あら、だったらディアナも車を考えてみたら? 私に限って言えば車を出すのは構わないけれど、ディアナからしたら頼みにくいかもしれないものね…その点、自分の車なら好きな時に買い物に行けるわよ」

ディアナ「なるほど…そうですね……」

提督「免許はタラントに行けば取れるし、それまでの練習は鎮守府の敷地ですればいいわ…お給料だって私よりあるでしょうし♪」最後は半分冗談めかして微笑んだ…

ディアナ「ふむ……少し考えてみましょう」

提督「ええ♪」

546 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/07/03(水) 02:13:05.45 ID:GrXUFHlw0
ここ数日投下できずにいましたが、明日にでも続きを投下する予定です。お待ちください…九州の皆さんは大雨に気を付けて、家の敷地の近くに裏山などがある方は二階で寝る…などの対策をして下さいね


…それと重巡「摩耶」が発見されたそうですね。個人的に「高雄」型は設計者が用兵側の言う通りにしすぎてしまい、その結果あの詰め込みすぎな艦橋になってしまった感じがありますので微妙ですが……帝国海軍の重巡ではバランスのいい「妙高」型が好きです
547 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/07/04(木) 02:03:32.04 ID:wneiBd9V0
…近くの町…

提督「…それで、今日はどこへ寄ればいいのかしら?」

ディアナ「まずは鮮魚店ですね…チェザーレは肉も魚も同じように好きですから」

提督「了解♪」

…鮮魚店…

魚屋のおっちゃん「いらっしゃい…おっ、海軍さんとこのお嬢さんじゃねえか。今日は提督さんも一緒かい?」威勢のいい店主のおっちゃんはウロコだらけのエプロンで軽く手を拭くと店先に出てきた…店先には使いこまれた「天秤ばかり」や氷の入った箱がならべてあり、赤や銀の魚が置かれている…

ディアナ「ええ。ところで今日のおすすめはなんでしょう?」

おっちゃん「そうさな……とりあえずカサゴとスズキ、あとは鯛のいいやつが数尾揚がってるぜ?」えらに指をかけるとひょいと持ち上げてみせた…

ディアナ「なるほど…でしたらそれを三尾づつ頂戴しましょう」

おっちゃん「毎度あり! 海軍さんは魚にうるさいから、いつもヒヤヒヤしてるがね……合わせて千リラ、端数はおまけしとくよ!」おっちゃんは「わはは!」と笑いながら魚をはかりに載せ、値段をはじいた…

ディアナ「よしなに……それと、うろこだけ処理して頂けますか?」

おっちゃん「お、任しとけ…カサゴのトゲも落としとくぜ?」

ディアナ「お気遣い感謝いたします」

おっちゃん「なぁに、いいってことよ。海軍さんにはいつもうんと買ってもらってるからな!」たちまちガリガリとうろこを落とすと、油紙の袋に魚を詰めた…

ディアナ「グラツィエ…♪」トートバッグ型の保冷袋に氷と一緒に詰めてもらい、優雅に会釈した

おっちゃん「あいよ、また来てくれよな!」

提督「……ディアナったら、魚屋さんとも顔見知りなのね?」

ディアナ「はい。そもそも海軍の補給トラックはあらかじめリストを送っておかないといけませんし、お魚は急に必要になったりしますので…」

提督「なるほどね……次は?」

ディアナ「菓子屋でケーキを受け取りに…それが終わったらもう用事はおしまいです」

提督「あら、そうなの?」

ディアナ「ええ。生ものやケーキを持ってあちこち歩き回りたくはないですから」

提督「確かに…それじゃあ今度は何もない時にお出かけしましょう。そうすればあちこちお店をひやかしたり、二人でお昼を食べたりできるものね♪」

ディアナ「…よしなに♪」

提督「ええ」

…菓子屋…

菓子屋の主人「おや、いらっしゃい…予約のケーキだね?」

ディアナ「はい」

主人「ちゃんと出来ているよ……奥の冷蔵庫から出してくるから、座って待っていてくれるかな」

ディアナ「ええ」

おばさん「さ、その間にこれでもどうぞ…ちょっと欠けちゃってるけど、味はおんなじよ♪」

…落ち着いた細身の主人と丸っこくて愛想のいいおばさんが切り盛りしている菓子屋…提督とディアナが椅子に腰かけると、さっそくおばさんが割れたクッキーだの、飾りの砂糖漬けチェリーが外れてしまった焼き菓子だのを出してくれる…

提督「いつもごちそうさまです♪」

おばさん「ノン・ファ・ニエンテ(いいのよ)、海軍さんはいつもうんと買ってくれるもの。 特にあなたが来てからは…ね♪」

提督「いえ、それは…彼女たちを見ていると、つい甘くなってしましまして……///」

おばさん「まぁまぁ。お嬢さんたちは頑張っているんだもの…お菓子の一つや二つくらいはいいじゃないの♪」

提督「ふふ、そうですね…♪」

主人「……はい、おまちどうさま…気を付けて運んでくださいね…」両手で抱え込むくらいの大きな箱をそっと手渡した…

提督「それじゃあ代金は私が……」両手がいっぱいのディアナに代わって財布を取り出し、払いを済ませると魚の入っている保冷袋を手に提げた…

ディアナ「…それでは、また近いうちにお邪魔いたします」

主人「ええ。待ってますよ…」

………

548 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/07/06(土) 02:21:22.77 ID:/nxHqxZx0
…十月十五日…

ディアナ「ふぅ……さすがに疲れました…」

エリトレア「私もですよぅ…もう食べる元気もないくらいです……」

提督「ええ、これだけのご馳走をつくるとさすがに重労働だったわね……でもチェザーレの誕生日だもの、目一杯お祝いしてあげないと♪」

ドリア「ふふ、そうですね…♪」

提督「……ところでカヴール、チェザーレはまだ?」

カヴール「ええ。チェザーレったら「髪が整わんうちに出るわけにもいくまい」と、一時間も前から鏡に向かってあれこれしておりましたよ…♪」上品に口もとを手で押さえ、ころころと柔らかい声で笑うカヴール…

提督「…チェザーレの事だから、そうなると長いわね」

カヴール「そうですね」

ロモロ「提督、さすがにお腹が減ったわ……少しくらい良いかしら?」

提督「だーめ♪」

レモ「えぇー? ねぇ提督、まだダメなのー?」

提督「主賓のチェザーレが来るまでは我慢してね♪」

ポーラ「まったくもう…スプマンテがぬるくなっちゃいます……」そう言ってスプマンテ(イタリア・シャンパン)の瓶が突っこんであるアイスバケットの氷水を取り替える…

提督「まぁまぁ」

リットリオ「…提督、チェザーレが来ましたよっ♪」チェザーレの先触れを請け負ってくれたリットリオ…

レモ「ふぃー、待ちくたびれたよぉ…」

提督「ふふっ…それじゃあレコードを……♪」古代ローマ帝国の堂々としたファンファーレをかけると、入り口に近い艦娘が扉を開けた……

エリザベス「なかなか時間がかかりましたわ……ね…」

ビスマルク「……どうやら「時間厳守」と言うのはイタリア語の辞書に…おぉ」

提督「…まぁ♪」

チェザーレ「……待たせたな、諸君!」

…堂々と食堂に入ってきたチェザーレは白いトーガに紅のマントをまとって、腰には古代ローマ風の幅広で短めな長剣を吊るし、頭に月桂樹の冠をかぶっている……丁寧に時間をかけただけあって、ローマの屋根瓦のような明るい赤茶色の髪はつやつやと輝き、威風堂々とした迫力と美しさを際立たせている…

レモ「うわぁぁ…♪」

ロモロ「とっても綺麗…♪」

ローマ「…素敵///」

チェザーレ「お待たせしたな、提督……さっそく乾杯の音頭を頼む♪」きりりとした表情に深みのある声のおかげで、堂々とした身体がさらに立派に見える…

提督「え、ええ…こほん……」ポーラにスプマンテを注いでもらうと、グラスを持ち上げた…

提督「……それでは、これより「カイオ・ジュリオ・チェザーレ」の進水記念を祝って乾杯したいと思います…チェザーレ「お誕生日」おめでとう♪」

一同「「おめでとう!」」

提督「……んくっ、こくっ…」

チェザーレ「うむ…このチェザーレ、諸君に祝ってもらって光栄に思うぞ!」

カヴール「……おめでとう、チェザーレ♪」

チェザーレ「ありがとう、姉上…さ、座ってご馳走をいただこう♪」カヴールの肩に手を回し、そっと椅子に座らせた…

549 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/07/13(土) 12:08:40.54 ID:fxanT8bT0
チェザーレ「…さてと、アンティパスト(前菜)は……ほう、カプレーゼか」

提督「ええ。もうトマトの時期も終わりだから」

チェザーレ「いよいよ秋が深まってきたということか…だが、まだ味は濃いな」

提督「おいしい?」

チェザーレ「無論だ。提督が作ってくれたのだろう?」

提督「あら、どうして分かったの?」

チェザーレ「なに、提督の愛情が味に伝わってくるのでな…」

提督「…まぁ///」

チェザーレ「…と言いたいところではあるが、本当はオリーヴオイルの量や盛り付けかたが違うから分かったのだ」

提督「もうっ……そう言われて少し胸が「きゅん」としたじゃない…///」

チェザーレ「……少しだけか、提督?」顔を近づけてささやいた…

提督「…っ、回答は控えさせていただくわ///」

チェザーレ「はははっ…どうやらチェザーレもまだまだ捨てたものではないらしい♪」

ガリバルディ「そりゃあもう、女たらしで有名なチェザーレだものね」

カヴール「ええ、まったく。姉としては頭の痛い限りです…♪」苦笑いしながらナスやズッキーニの煮込みを取り分けるカヴール…

エウジェニオ「しかも人妻ばっかり狙って…ね♪」いたずらっぽく指先で投げキッスを投げた…

チェザーレ「こらこら。人聞きの悪いことを言うものでないぞ、エウジェニオ」

エウジェニオ「あら、違ったかしら?」

チェザーレ「うむ、大違いだ……たまたま好みの女性に人妻が多いというだけのことだ♪」

エウジェニオ「あら、それは失礼♪」

レモ「くすくすっ…「ハゲの女たらしが来たぞ、女を隠せ!」だねっ♪」(※「ハゲの女たらし…」 古代ローマでは将軍が市内を凱旋する時に軍団兵がはやし立てるしきたりがあり、その時チェザーレが言われたとされる)

チェザーレ「こら、髪の事は言うな…まったく口の悪いやつだ」

レモ「じゃあレモに何かよそってくれる? そうしたらしゃべらないで済むもの♪」

チェザーレ「やれやれ……ではパスタも来たことだから、うんと頬張るがいい」リガトーニ(太い筒状のパスタ)によく絡むボロネーゼをたっぷりとよそった…

ローマ「それは私の自信作ですよ、ジュリオ…どうぞ味わってみてください」

チェザーレ「ほう、ローマの手づくりとは嬉しいものだな。どれどれ…」


…普通の「サルサ・ポモドーロ」(トマトのソース)と違って、炒めた肉と玉ねぎをたっぷりの赤ワインで伸ばす「ボロネーゼ」…見た目は赤みの強いポモドーロより濃く、まさにワイン色をしていて、味も深い渋みがあって「大人の味」と言った風格がある…


チェザーレ「…ふむ。うむ……」

ローマ「…どうですか?」

チェザーレ「うむ、うまいぞ…チェザーレはあまり食い物の評価が出来ぬのだが、これは本当に美味い」

ローマ「それはよかったです……量もたっぷりありますからね?」

チェザーレ「それは何よりだ」

ディアナ「ですがあまり食べ過ぎないようになさって下さいませ、これから主菜が来ますから」

チェザーレ「なに、まだ腹の方は大丈夫だと言っているよ…♪」
550 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/07/18(木) 01:38:53.86 ID:dg9AnL430
ディアナ「では、そろそろ肉と魚の料理をお出ししましょう」

チェザーレ「頼んだ」

ディアナ「はい……さぁ、どうぞ」

…深い鉢に盛られてきたのはシンプルな魚の煮付けのような料理で、どうやら塩とオリーヴオイルだけで調理されているように見える…

リットリオ「……あの、これは?」

ヴェネト「ずいぶんそっけない料理に見えるわね…」

ローマ「いえ、これは…!」

ロモロ「うん、間違いないわ……!」

レモ「うわぁ…すごーい!」

チェザーレ「うむむ……ディアナよ、チェザーレのためにそこまでしてくれたか!」

ディアナ「はい。それと提督にもお礼を…車を出してくれたのは提督ですから」

チェザーレ「そうか……提督よ、感謝するぞ!」ん、ちゅぅ…っ♪

提督「も、もう…大げさなんだから///」そう言いつつまんざらでもなさそうな提督…

オリアーニ「えーと…それで、この料理は一体なんなの……?」

チェザーレ「あぁ、そうであったな…ディアナ、作った本人が説明するのが一番よかろう」

ディアナ「よしなに…これは古代ローマ流に調理した鯛とカサゴです。当時はトマトがありませんので、たっぷりのオリーヴオイルと塩だけで温めたと聞き及んでおります……味が物足りなく感じたり、お肉が食べたかったりする方には、ちゃんとヒレ肉のあぶりも用意してありますから…ご安心下さいませ」

提督「話には聞いたことがあるけれど、見るのは初めてね…なんて言えばいいのかしら。ただの煮つけではないし、かといって「揚げ煮」とも違うし……」

ディアナ「一番近いのは「バーニャ・カウダ」でしょうか」

(※バーニャ・カウダ…ニンニクなどで風味づけしたオリーヴオイルを温め、野菜などの食材を浸けて食べる料理。日本ではあちこちで食べられるが、本来はピエモンテ周辺の郷土料理だそうで、来日したイタリア人は「なんでこんなマイナーな料理があちこちにあるんだ…?」と驚くらしい)

提督「あー…それが一番近いかもしれないわね」

チェザーレ「それにしてもよく調べたものだ……」

ディアナ「ふふ。実はこの前ドキュメンタリー番組で「古代ローマの料理」を放送していたものですから、せっかくならローマに縁のあるチェザーレの誕生日に……と、思いまして」

チェザーレ「なるほど。しかし何とも嬉しい心意気ではないか…ま、とにかくいただこう♪」フォークとナイフで鯛をほぐし、取り分けた……別の深皿には同じ料理が入っているが、こちらにはぷっくりと肉厚で美味しそうな、小ぶりなむき身のカキが並んでいる…

提督「それじゃあ私も……はむっ」…たっぷりとオリーヴオイルをまとった鯛の身にはほんのり塩味が付いていて、口に入れると素朴な風味と一緒にほろほろと身が崩れた…

提督「……うーん、昔の人はこういう物を食べていたのね…」じっくり味わってから感慨深げに白ワインを含む……

ローマ「これはなかなか……シンプルなだけに素材の良さが引き立ちますね」

チェザーレ「うむ。料理一つにも深いローマの伝統を感じるな」

ビスマルク「……やれやれ。イタリア人というやつは、ただの料理一つにまで古代ローマを持ちださないと済まないらしい…」ワインをぐいぐいあおりつつ、あきれたようにつぶやいた…

ティルピッツ「…姉上!」小声でたしなめるティルピッツ…

チェザーレ「おや、どこかにゲルマンの原始人がいるようだ……征伐の必要があるやもしれぬな♪」

ビスマルク「……むっ!」

チェザーレ「ふむ…」

ヴァイス提督「…こら、やめんか……!」

提督「……チェザーレ、相手にしちゃだめよ?」

チェザーレ「うむ、提督の言う通りだ……ローマの将たるチェザーレが小娘相手に大人げないというものだな」

ローマ「その通りです…かのロモロとレモがテヴェレ川の岸辺にローマの礎をおいた時、あそこはまだ原始の森だったのですからね」

レモ「うん、レモたちがローマを築いたんだもん……ね、お姉ちゃん♪」

ロモロ「ええ」

チェザーレ「ははは、そうであったな♪」

ビスマルク「……むむむ」

ヴァイス提督「だから言わんことじゃない…イタリア人相手に言い合いなど仕掛けるからこうなるのだ、まったく。静かに料理を食べていろ…!」

エリザベス「ふふ…何とも愉快な食卓でございますね♪」

グレイ提督「エリザベス…たとえ「昔の因縁」があるとしても、他人のいさかいを笑ってはいけませんよ……ふふふ」
551 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/07/19(金) 11:53:00.61 ID:rrBUh6Eg0
…食事が終わり…

提督「…さてと、それじゃあケーキを出してきましょうか」

ディアナ「よしなに」

チェザーレ「おお、ケーキか」

レモ「レモ、ケーキ大好きっ♪」

カヴール「ふふ、ケーキが嫌いな人はそういないでしょう…私も手伝いますよ、提督?」

提督「ううん、カヴールはチェザーレのお姉さんなんだから座っていていいのよ♪」

カヴール「あら、そうですか…でしたら、おとなしくケーキを待つことにしましょう」

チェザーレ「まったく至れりつくせりであるな、姉上」

カヴール「そうね……あ、来たわ」

提督「…さぁ、お待ちどうさま♪」

チェザーレ「おお…!」


…提督とディアナが車輪付きの手押し台に載せてきたケーキはたっぷり大きな画用紙くらいの面積とちょっとした辞書くらいの厚みがあり、ホイップクリームと旬の葡萄、それにくし形に切った洋梨で華麗にデコレーションされている……中央には「お誕生日おめでとう、カイオ・ジュリオ・チェザーレ」と筆記体のチョコレート文字が麗々しく躍っている…


提督「さ、それじゃあろうそくを…」

チェザーレ「……まさか年齢通りの本数ではあるまいな」

レモ「くすくすっ…そんなことしたらケーキがハリネズミになっちゃうよね♪」

チェザーレ「…」

ディアナ「ふふ、杞憂には及びません。ろうそくは十本程度にしておいてもらいましたから」

チェザーレ「やれやれ、まずは一安心と言ったところか…では、参るぞ!」

提督「ええ♪」

チェザーレ「ふう…っ!」

一同「「チェザーレ、お誕生日おめでとう♪」」

チェザーレ「うむ、かたじけない。 さ、それでは切り分けていただこうではないか♪」

提督「そうね…あ、せっかくだからチェザーレが切ったらどうかしら?」一旦切り分けようとしたが、思い直してナイフを下げた…

チェザーレ「ふむ、それも悪くないな……そうだ、提督も一緒に握ってくれるか?」

提督「あら、いいの?」

チェザーレ「無論だ…さぁ♪」

提督「そう、なら一緒に…♪」身体を寄せると、一緒に柄を握って刃を入れた…

チェザーレ「うむ……えい!」

一同「「わー♪」」喝采と同時にせっかちな艦娘たちからの「早く切り分けてよ♪」といった軽口も聞こえる

ローマ「おめでとうございます、チェザーレ」

チェザーレ「うむ…♪」

カヴール「……ふふ、チェザーレったら…二人でケーキを切るなんて、まるで結婚式みたいですね♪」

提督「えっ、あ…///」

チェザーレ「あー、チェザーレもそこまで考えていたわけでは……いや、別に提督となら構わぬが…」

ロモロ「提督は白の礼装だし、チェザーレもローマ風の白いトーガでお似合いです♪」

提督「まぁまぁ、そんな「お似合い」だなんて……照れるわ♪」

ライモン「…」

提督「……あー、いえ…その……そうそう、ライモンには「あーん」してあげる♪」

ライモン「はい♪」

提督「…ふぅ」
552 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/07/25(木) 01:49:00.95 ID:WKftfRly0
…しばらくして…

提督「…それじゃあそろそろ「進水式」をやりましょうか?」

チェザーレ「うむ、頃合いであろうな」

カヴール「それでは皆さん、表に行きましょう♪」

…波止場…

提督「…さて、と」スプマンテの瓶を手に波止場に立った提督……ポーラが用意してくれたボトルだが、相変わらずラベルを見て相場を考えると、艦首に叩きつけるのがためらわれるような気がする…

チェザーレ「準備は整っているぞ、提督!」沖に錨泊させた「ジュリオ・チェザーレ」の艦首に立って紅いマントをはためかせ、腕を組んで堂々としている…

提督「ええ、いま行くわ♪」


…本当なら波止場に立ってへさきに瓶を叩きつけ、みんなでリボンや紙テープを投げてにぎにぎしく…としたいところではあるが、鎮守府のつつましい港に入れるのは実寸で言うと小型の駆逐艦一隻か二隻が精一杯…リットリオ級や他国の超ド級艦に比べれば控えめな中型サイズとはいえ、戦艦である「ジュリオ・チェザーレ」が収まるような大きさなどまったくないので、チェザーレは自分の艦を「具現化」させて沖合で待っている……結局近づくのは提督とチェザーレや古代ローマに関係のある数人……それからお客様であるグレイ提督とヴァイス提督と決まり、モーターランチで近寄って、そこから瓶をぶつけることにした…


グレイ提督「…では、参りましょうか?」

提督「ええ」

ヴァイス提督「むむ……こうして見るとなかなか巧みな設計だ…」真面目な性格のヴァイス提督らしく、次第に近くなってくるチェザーレの船体を熱心に観察している…

提督「塗色の淡い灰色と相まって、艦首の線が綺麗に見えますよね♪」

ヴァイス提督「は、確かに……改装時に大きく作り変えたと言うが、なるほど…」あごに手を当ててじっくりと考え込んでいる…

提督「ふふっ…さ、着きましたよ♪」

ヴァイス提督「あ…これは失礼しました」

提督「研究熱心ですね♪」

ヴァイス提督「は、申し訳ありません……どうも性格のようで…///」

提督「構いませんよ、じっくり観察してもらって……でもまずは式をすませてしまいましょう♪」

ヴァイス提督「ヤヴォール」

提督「……それじゃあローマ、カヴール。 準備はいいかしら?」

ローマ「はい」

カヴール「ええ♪」

提督「それでは…汝(なんじ)、戦艦「カイオ・ジュリオ・チェザーレ」の進水を祝して!」二人と一緒に瓶の首を持って、艦首にぶつけた…

一同「「わーっ!」」岸辺や波止場から動きを見ていた艦娘たちから、一瞬遅れて歓声が上がった…

チェザーレ「祝ってくれて感謝するぞ、諸君…♪」

提督「いいのよ…さ、戻って残りのケーキでも食べましょうか♪」

チェザーレ「ああ、そうしよう」

…食堂…

カヴール「…いいお祝いになったわね、チェザーレ?」

チェザーレ「うむ…提督や皆の気持ちも嬉しいが、やはりチェザーレとしては姉上に祝してもらえたのを一番に思っているぞ」

カヴール「あら、嬉しいわ♪」

提督「良かったわね、カヴール…」そう言いながら、横目でちらりとビスマルクの方を見た…

ビスマルク「うむ、これも美味い……はぐっ、むしゃ…」街の菓子屋さんに頼んだケーキも決して小さくはなかったが、鎮守府の人数で切り分けてしまえば大した量にはならないので、追加としてエリトレアたちがいくつも焼き上げた様々なケーキやデザート……それを皿に盛りあわせにしてがつがつとむさぼっている…

ティルピッツ「……姉上、姉上…!」

ヴァイス提督「…シャイス……あの意地汚い大食らいめ、少しは控えめにするということを知らないのか…!」小声でたしなめているティルピッツと、席が離れているので叱り飛ばすことも出来ず、小声で悪態をついているヴァイス提督…

ビスマルク「あぁ、これも美味いな……むぐ、んむ…」

チェザーレ「……あのままだと、しまいには両手にフォークを持って食べ始めるであろうな」

ビスマルク「…うむ、このビスケットもいい」

エリトレア「それは酵母を入れたビスコッティ(ビスケット)ですから、栄養もありますよっ♪」

ビスマルク「ふむ……味も良ければ栄養もある…まさに「おいしくて強くなる」というやつだな!」

提督「……なんだか聞いたことのあるフレーズね…♪」苦笑いしながらもう一切れチョコレートケーキを取った…
553 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/07/28(日) 03:33:07.51 ID:ID6tZvoJ0
…午後・提督寝室…

提督「…ふわぁ、飲み過ぎたわね…眠くなってきちゃったわ……」

…乾杯で飲み干した上等なスプマンテと、食事の間に紅白のワインをそれぞれ一杯か二杯…食後には二杯ばかりの甘いカクテル……普段はそこまで量を過ごさないでいるが、明るいお祝いムードに乗せられてつい色々と飲んでしまった提督…

提督「…メアリもシャルロッテもレポートを書くのに忙しそうだし、カヴールはチェザーレと一緒に仲良くお部屋に行っちゃったものね……」白い詰襟の制服を脱いで椅子の上にたたんで乗せ、ベッドに「ぼふっ…」と倒れ込んだ…

提督「ふわぁぁ……少しだけお昼寝するとしましょう…」

………



…しばらくして…

提督「うぅ…ん……」目を覚ますと窓の外はすっかり夕暮れ空で、もう日没が迫っている……口の中はお酒のせいかにちゃにちゃしていて、頭も多少ぼんやりしている…

提督「…少しお昼寝を取るつもりだったのに…寝過ごしたわね……」そうつぶやいて髪をかきあげると身体を起こし、それから眉をひそめた…

提督「……で、いつの間にこうなったのかしら?」

ロモロ「…すぅ…すぅ……」

レモ「うーん…むにゃ…」提督のベッドに上がりこみ、一糸まとわぬ裸体をさらして寝ているロモロとレモ…

提督「私は別にいいけれど、貴女たちにだって自分の部屋があるでしょうに…」そうつぶやいて肩をすくめたが、視線はロモロたちの身体から離れない…

提督「…それはそうとずいぶん大きいわね…ちょっとだけ触ってみようかしら……いえ、でも寝ているのに勝手に触ったりするのはよくないわよね…」建造当時は世界最大級だった2000トン超の「R級」大型輸送潜らしく、もはや「爆乳」と言ってもいいような豊満な乳房やむっちりとしたヒップを見て、おかしな気分になって来た提督…

提督「あー…でもよく考えたら、そもそも私のベッドで勝手に寝ているのがいけないのよね……どれどれ…?」もにゅ…♪

提督「……うわ、すごい弾力…出来立てのリコッタ(チーズ)みたい…」もみっ…むにゅっ♪

提督「これは……何とも言えないわね♪」

提督「さて…ロモロの次はレモの方も……分けへだてはよくないもの♪」むにっ…♪

提督「……うーん、この手触り…弾力もすごいし、この大きさで垂れたりしていないっていうのもすごいわね……」妙に感心しながら、両腕を投げ出してすやすや寝ているレモの胸を下から支えるように揉みしだいた……

提督「それにしても…」

レモ「ん…むにゃ……すぅ…」

提督「何て言うのかしら…この身体でこんなに無防備だと、ちょっとえっちな事もしたくなっちゃうわよね♪」

ロモロ「…」

レモ「……すぅ、すぅ…」妙にせわしない寝息を立てている二人…

提督「…おかしいわね……ねぇ二人とも、もしかして起きているんじゃない?」

ロモロ「……すぅ、すぅ…」

レモ「すー…すー…」

提督「…まぁいいわ、それじゃあそろそろ着替え……」

レモ「そうはいかないよ、提督っ♪」いきなりはね起きると提督に飛びついて押し倒した…

提督「あんっ♪」

ロモロ「もう、提督ったら寝たふりしていたのにおっぱい触ったりするんだもの…変な声が出そうになったじゃない♪」

提督「全くもう…で、どうして裸で私のベッドに入りこんだりしたの?」

レモ「うーん、面白そうだったから…かな♪」

提督「ふふっ、なにそれ…♪」

ロモロ「ふふふ…本当はね、私たちがもぐりこんだら提督も目が覚めるかと思って入ってみたんだけど、案外起きなくて…」

レモ「それでいつの間にかに寝ちゃったの♪」

554 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/07/29(月) 01:28:41.01 ID:+K7SJccH0
提督「……まったくもう、二人とも「狼に育てられた子」だっていうのに、そんな風に誘惑して…私の方がルッピ(雌狼)になっちゃうわ♪」

レモ「えへへぇ…♪」提督の腰にしがみついてふとももに頬ずりをしている…

ロモロ「ふふふ…それにしても、提督ってば良い匂い……♪」

提督「そう? ちょっと汗くさいんじゃないかと思うのだけれど……」寝起きで何となく肌がベタベタしている気がしている…

ロモロ「……むしろそこがいいんだってば…れろっ♪」汗ばんだ胸元に舌を這わせた

提督「んっ…もうっ、やめなさいってば///」

ロモロ「どうして? 甘酸っぱいような良い匂いだと思うけど?」

提督「んー、そういわれてもね…」

ロモロ「…もしも嫌だったら、遠慮なくどかしてくれていいからね?」

提督「ふふっ……せっかく来てくれたのに、嫌なわけがないじゃない♪」ちゅっ…♪

ロモロ「やっぱり提督は優しいね…ん、ちゅ♪」

レモ「あー、お姉ちゃんばっかりずるーい!」んちゅぅ…っ♪

提督「んむっ、ちゅぅっ……ぷはぁ♪」

レモ「んふふっ、提督…甘くて美味しい♪」

提督「もう……まだうがいもしていないのに///」

レモ「大丈夫、変な味なんてしなかったから♪」

提督「ならいいけれど…」

レモ「それにしても、提督のおっぱいも大きいねぇ…♪」へその辺りにあごをのせ、腕を伸ばしてゆさゆさと揺さぶっている…

ロモロ「ね、私たちのを揉まなくたって良さそうなくらい」

提督「うーん、それとこれとは別問題だから……自分のだったら別に毎日でも揉めるし、私は相手の可愛い顔を見ながら揉みたいの♪」

ロモロ「なるほどねぇ…で、どうだった?」

レモ「そうそう。レモとお姉ちゃんのおっぱい、触ってみてどうだった?」

提督「そうねぇ……同じ「大きい」でもむっちりしたカヴールとかデュイリオとはまた違った感じで…もっと張っている感じだったわ」

ロモロ「そっか… さてと、それじゃあ今度は私たちの番ね……あむっ♪」

提督「あんっ♪」

ロモロ「ちゅぱ、ちゅぅっ……♪」

提督「ち、ちょっと…そんなに吸ったって母乳なんて出ないわよ///」

レモ「気にしない気にしない、時々したくなるだけなの……はむっ♪」

ロモロ「ちゅぅっ…あむっ♪」こりっ…と先端を甘噛みしたり、手でこね回したりしながら提督の乳房に吸い付く二人…

提督「んっ、あ…はぁ……ん♪」ただただ胸に吸い付かれているうちに、甘い声が漏れてきてしまう提督…二人を見ていると母性愛のような気持ちと色欲が混ざって、下腹部がじーんとうずいてくる……

レモ「ぷは……ふふ、提督からお乳が出ないのが残念かな♪」

ロモロ「そうね…ちゅぅっ♪」

提督「はぁぁ、んあぁ……もう、二人がそんなことをするなら…私だって♪」くちゅっ、ちゅぷ…♪

レモ「ひゃぁぁんっ♪」

ロモロ「はひっ♪ あっ、あひぃ…っ♪」

…一時間後…

レモ「あへぇ…気持ひよかったよぉ…♪」

ロモロ「うん……はぁぁ…♪」

提督「はぁ、はぁ…ふー、お昼寝する前よりも疲れた……もう、夕方の執務なんてできそうにないわ…♪」汗だくで仰向けに寝転がり、額に片手をのせている…

レモ「平気平気…ライモンドやカヴールがやってくれるもん♪」

提督「全くもう…」苦笑いしながら、ほっぺたにキスをしてあげた…

レモ「えへへぇ…♪」
555 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/08/02(金) 13:35:33.17 ID:8apX09vq0
…夕方…

提督「それにしても…確かにそれも考えないといけない時期ね……」

カヴール「…と、言いますと?」

提督「いえ、そろそろ秘書艦の交代をしないと…って」

カヴール「あら、提督は私だと不満でいらっしゃいますか?」

提督「いいえ…でも、そのうち大作戦が回って来るようなことがあったら全部の戦艦を投入する必要が出てくるかもしれないでしょうし、今回は夏の作戦が難しかった分、秋の作戦は簡単なものになるはずだから、今なら新しい娘に交代しても任務に差しさわりはないはず……そう思ったの。別にカヴールが不満だからとか、そういうことではないわ」

カヴール「そういう事でしたか…てっきり私のようなおばあちゃんはお嫌なのかと」

提督「まさか……何を任せても優秀だし、それでいてちっとも威張ることもなくて優しいし…こんなにいい秘書がいる司令官なんて、スーペルマリーナ(海軍最高司令部)にだってそうそういないわ♪」

カヴール「まぁまぁ、そんなに言われると照れてしまいますね…♪」

…数日後…

提督「……えー、というわけで秘書艦の交代を行いたいと思います…いつも通りくじ引きをするから、食堂の入口にある箱から一枚づつ引いてね?」

ライモン「…次の秘書艦の方は誰になるんでしょうね?」

エウジェニオ「さぁ。いずれにせよ、私たちは与えられた任務を尽くすだけ…でしょ?」

ライモン「そうですね」

フレッチア(フレッチア級)「秘書艦ね…ぜひ当たって欲しいわ」

ニコ(ナヴィガトリ級)「へぇ? ここはのんびりした鎮守府だし、提督もあれこれ押し付けたりはしないけど…それでも何だかんだで結構忙しくて面倒だと思うよ……それなのにやりたいの?」…相変わらず三角帽子に燕尾の付いた上着姿の「ニコロソ・ダ・レッコ」…鎮守府では通称「ニコ」が肩をすくめた

フレッチア「ええ、だって私は「新世代」駆逐艦で一番の年上だもの。艦隊型駆逐艦の代表として、妹や従姉妹たちにいい所を見せないと」

ニコ「ふぅん…そんな風に頑張ってたら気が休まらないだろうにね?」

フレッチア「そのくらいの矜持がなければ戦艦の護衛なんてできないわ」

ニコ「やれやれ……私は長女じゃなくて良かったよ」

リベッチオ(マエストラーレ級)「…ところで、誰が当たると思う?」…そう言って話に交じって来た

ニコ「うーん……提督は年上好きだし引きもいいから、今度はデュイリオとかリットリオ…あるいは重巡の誰かにでもなるんじゃない?」

リベッチオ「なるほどね…」

フレッチア「……でも、確率から言えば駆逐艦か潜水艦が一番高いはずよ……人数が多いんだから」

リベッチオ「確かに…ねぇ、それじゃあ賭けてみない? 負けたらきょう一日は勝った人の世話をするって事で…どう?」

ニコ「よし、乗った……秘書艦は戦艦か重巡になる方に賭ける」

フレッチア「じゃあ私は駆逐艦から出る方に賭けるわ!」

シロッコ(マエストラーレ級)「む…じゃあ私は潜水艦がなることに賭ける♪」

提督「……まったくもう、みんな何でもかんでもすぐああやってトトカルチョにするんだから…」(※トトカルチョ…サッカーくじのこと。転じて賭け事や賭博の意味も)

カヴール「まぁまぁ、あれも娯楽の一種ですから…お金を賭けているわけでもないですし」

提督「んー、まぁね……それじゃあ始めましょうか」

………

556 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/08/02(金) 13:45:00.50 ID:8apX09vq0
…このところちっとも投下できずにいましたが、もしまだ見てくれているような律儀な方がいたら本当にごめんなさい…このところなかなか書けなかったので……この数日で急に暑くなりましたし、熱中症には気を付けて下さいね…


……そして心機一転、そろそろ秘書艦を交代させようと思います……候補としては隻数も多い中型潜の誰かにする予定です…
557 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/08/03(土) 01:39:29.18 ID:fVfaoK+X0
カヴール「全員引き終わりましたよ、提督」

提督「了解。それじゃあ私も…」数字の書かれた紙が一杯に入っている箱に手を突っ込むと、ごそごそとかき回した……

ヴィットリオ・ヴェネト「…いよいよですね」

チェザーレ「うむ…いよいよ「ルビコン川を渡る」わけだ」

リットリオ「そうですね……妹だからひいき目で見ているかもしれませんが、私はヴェネトかローマだったらいいと思います♪」

ザラ「…ライモンドは軽巡、カヴールは戦艦だから……今度は重巡の誰かになって欲しいわね」

ポーラ「それはいいですねぇ〜♪」

アブルッツィ「……やっぱり提督を支えるには実力がないと…そうでしょ、ガリバルディ?」

ガリバルディ「ええ…それに提督は可愛いから、秘書艦になったらお楽しみが増えるわ♪」そう言って小さく舌舐めずりをした…

マエストラーレ「…みんな勝手なことを言っているわね。ふたを開けてみるまで分からないっていうのに」

フレッチア「……ごくっ…」

エットーレ・フィエラモスカ「私としては、潜水艦隊の誰かがなってくれたら嬉しいのですが…」

ルイージ・トレーリ「はい……もし私が提督の秘書艦になったら、精一杯がんばりますね」

フィエラモスカ「ふふ、トレーリはいい子ですし優秀ですから大丈夫…♪」

グレイ提督「なるほど…くじ引きとは面白い考えですわね……」

ヴァイス提督「…司令官の副官役をくじ引きで選ぶとは…それでうまく行くものなのか?」

提督「えー……それでは「当たり」の番号を発表します。 …それと前にも言ったけれど、秘書艦に当たったのが駆逐艦や中型潜、補助艦艇の娘だった場合、体格が小さくて大変だと思うから、追加でもう一人選ぶわ…だから自分の番号札は持っておいてね?」

提督「……では、発表します…72番!」

デルフィーノ「わ、当たりです♪」

スクアーロ「おや、良かったね……今夜はお祝いに映画でも見ようか♪」

デルフィーノ「うう、お姉ちゃんは怖い映画ばっかり見せるから嫌ですよぅ…」

スクアーロ「ふふ、ばれてたか…♪」

提督「はいはい、みんな静かに…それじゃあデルフィーノは中型潜だから、もう一人ね……よいしょ」

デルフィーノ「……せっかくならお姉ちゃんたちがいいですけれど…」

提督「はい、引けたわ……26番!」

アッチアイーオ(温)「26番は私よ……提督のそばにいられるなんて…嬉しい……///」

提督「二人目はアッチアイーオね……それじゃあ、前に来て挨拶してくれる?」

デルフィーノ「はい♪」

アッチアイーオ「分かったわ」

提督「それじゃあ「コンテ・ディ・カヴール」と交代で秘書艦になった、スクアーロ級中型潜の「デルフィーノ」と、アッチアイーオ級中型潜の「アッチアイーオ」から挨拶をしてもらいます…さ、どうぞ♪」

アッチアイーオ「今日から秘書艦になった、中型潜のアッチアイーオよ……鎮守府の役に立つ事や必要な事ならなんでもするし、どんな小さい事でも言ってちょうだい…それと、よろしくね……提督///」

提督「ええ…さ、デルフィーノもごあいさつをしてくれる?」

デルフィーノ「は、はい……えーと、スクアーロ級の「デルフィーノ」です…これから秘書艦としてがんばります…ぅ///」鎮守府の艦娘たち全員の視線を浴びると恥ずかしげに頬を赤らめて下を向き、内股になってもじもじしている…

提督「はい、結構…それじゃあ改めてカヴールには感謝の拍手を♪」

一同「「わー♪」」

提督「と、言うわけで秘書艦は交代したけれど……しばらくはお手伝いをお願いするから、これからもよろしく頼むわね♪」

カヴール「…はい♪」

………

558 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/08/10(土) 02:34:48.22 ID:3JtSWBxd0
…執務室…

カヴール「では、これで説明は終わりです…といっても、しばらくは私も手伝いますから、分からない事があったら何でも聞いて下さいね?」

アッチアイーオ「ありがとう、カヴール」

デルフィーノ「本当に助かりました…♪」

カヴール「いいえ、お気になさらず……私のようなおばあちゃんになると、何かと心配になるものですから」

デルフィーノ「おばあちゃんだなんて、そんなことないです…カヴールはお肌もきれいで張りもあるし、十分若いですよぅ」

カヴール「あらあら、褒めても何もありませんよ?」

デルフィーノ「お世辞じゃなくってホントの事ですもん…」

カヴール「ふふっ、デルフィーノったら優しいですね……ちゅっ♪」

デルフィーノ「あっ、ふぁぁ…///」

提督「ふふふ、仲睦まじいようでなによりね……それとカヴールの言う通り、しばらくは引き継ぎを兼ねてこまごましたものから手伝ってもらう事にするから、安心して?」

アッチアイーオ「ええ、了解……でも、私は早く提督に頼られるようになりたいわ…///」

デルフィーノ「私もです」

提督「ありがとう、二人とも……でも、まずは「アンダンテ」(歩くように)で行きましょう…ね♪」

デルフィーノ「はい♪」

提督「んー、新しくなにか入り用な物があるかと思ったけれど…とりあえず「秘書艦用」の執務机は交代で使えばいいし、筆記用具も揃っているし……となると、特に倉庫から探し出してくる必要もないかしら…?」

カヴール「そうですね。それにもし足りないものが出て来たら、改めて持って来ればいいですから」

提督「それもそうね……それじゃあ今はこれくらいにして、お茶でも淹れましょうか♪」

デルフィーノ「あ、それじゃあ私がやります♪」

アッチアイーオ「ううん、私がやるわ」

提督「ふふっ…このお茶はあなたたちをもてなすために淹れるのだから、ゆっくり座っていていいのよ♪」

アッチアイーオ「そ、そう…ならお言葉に甘えて///」

提督「よろしい♪」

………



…別の日…

アッチアイーオ「提督、文書便が届いたわ」

提督「ええ、ありがとう……それじゃあまずは公務のものと私用の手紙を分けて、それから宛名を確認してね」

アッチアイーオ「ええ…それから?」

提督「宛名を確認してそれぞれまとめたら、その娘の部屋に届けてあげて?」

アッチアイーオ「了解……あ、ちょうどリットリオ宛てに来ているわね…後は軽巡のエウジェニオとガリバルディ、アレッサンドロ(マルコーニ級大型潜)とバニョリーニ(リウッツィ級大型潜)にそれぞれ、ひい、ふう、みい……ずいぶんあるわね…」

提督「あー…エウジェニオたちのは、だいたい恋文(ラブレター)みたいね♪」

アッチアイーオ「確かにやたらモテるものね…休暇だの長距離哨戒だのであちこち行くたびに、手紙だの贈り物だのをもらって来るんだから」

提督「ね…さてと、それじゃあこれでより分けるのは終わったから……」

デルフィーノ「あ、それじゃあ私が届けてきます」

提督「あら、やってくれる?」

デルフィーノ「はい、もちろんですよぅ♪」

アッチアイーオ「…勝手に中身を読んで、一人で盛ったりしないでよね?」

デルフィーノ「も、もうっ…そんな事しないってばぁ///」

提督「こらこら、アッチアイーオ…デルフィーノはいい娘だもの、そんな事しないわよ♪」

アッチアイーオ「どうだか…」

559 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/08/14(水) 02:14:49.55 ID:uSV+FqvE0
…廊下…

デルフィーノ「もう…アッチアイーオってば、いくらなんでも言い過ぎですよぉ…」手紙をそれぞれの部屋に届けて回りながらつぶやいた…

デルフィーノ「……まぁ、一人でするのは好きですし……ちょっと回数は多いかもしれませんけど…だからって……///」

エウジェニオ「…ふふ、可愛いイルカさんは何が好きなのかしら?」そっと後ろに忍び寄っていたエウジェニオが胸元に腕を回し、色っぽい声でささやいた…

デルフィーノ「ひゃんっ…!?」

エウジェニオ「ふふふっ、チャオ♪」

デルフィーノ「もう、エウジェニオさんってばぁ……お、驚かさないでくださいよぅ…」

エウジェニオ「ふふ、ごめんなさい…つい、ね♪」

デルフィーノ「エウジェニオさんのいじわる…ぅ///」

エウジェニオ「だって可愛かったんだもの…♪」

デルフィーノ「うぅ…もう、本当にびっくりしたんですからぁ……」

エウジェニオ「まぁまぁ……ところで、デルフィーノは何の回数が多いの?」

デルフィーノ「ひゃうっ!?」

エウジェニオ「……いえ、だって「ちょっと回数は多いかもしれませんが…」ってひとりごとを言っていたから、つい気になって♪」

デルフィーノ「えぇ…と、それは……あの…///」

エウジェニオ「なぁに?」

デルフィーノ「その、ですから……ぁ///」

エウジェニオ「……くすくすっ♪」

デルフィーノ「…わ、笑わないで下さいよぅ……///」

エウジェニオ「ふふふっ、ごめんなさい……あなたの「趣味」はもうすっかり公開されているようなものなのに、それを言葉で言うのさえ恥ずかしがっているのがおかしくて…♪」

デルフィーノ「だって…ぇ///」

エウジェニオ「まぁ、いいんじゃないかしら……人それぞれだもの♪」

デルフィーノ「エウジェニオさん…」

エウジェニオ「ふふふっ……ところで、手紙を届けに来てくれたのよね?」

デルフィーノ「あ、そうでした…これです」

エウジェニオ「ふふ、ありがと」

デルフィーノ「どういたしまして。それでは失礼しま…」

エウジェニオ「……あら、お礼がまだよ?」

デルフィーノ「いえ…これも秘書艦の務めですし、お礼なんていいですよぅ」

エウジェニオ「そう言うわけにもいかないでしょう……せっかく届けに来てくれたんだもの、なにもお礼をしないなんて悪いわ♪」

デルフィーノ「でも…ぉ」

エウジェニオ「どのみち私の所が最後だったんでしょう? …だったらもう用は済んでいるわけだし、少しくらい良いじゃない」

デルフィーノ「それは、まぁ……確かに…」

エウジェニオ「でしょ…それじゃあ目をつぶって?」

デルフィーノ「…えぇと、こうですか?」

エウジェニオ「ええ、それでいいわ……んちゅっ、ちゅぅぅっ♪」腰を抱き寄せてあごを上向かせると、舌を滑り込ませて巧みなキスを浴びせた…

デルフィーノ「んんっ!? くぅぅっ、んむぅ…///」

エウジェニオ「ちゅるっ……ちゅぷ…ぷは♪」

デルフィーノ「ぷはぁ……ふわぁぁ…っ///」

エウジェニオ「ふふふ、またいつでもいらっしゃい…ね♪」

デルフィーノ「はひ…っ///」

560 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/14(水) 14:36:59.31 ID:QPfZHQnv0
呉の豪雨災害から1年が過ぎてiseadや遠航での寄港地で読むこのssはかなり心の支えになってます。これからも応援してます。
561 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/08/15(木) 01:36:26.67 ID:TiyjaU500
>>560 遅筆でなかなか投下できずにいる中、気長に見て下さっていて嬉しく思います……気候の違いなどで体調を崩しやすいかと思いますので、どうぞご自愛くださいませ…なかなか話が進みませんが、頑張って投下していきます…


…そしてやっぱりこの時期になると(キザな言い草かもしれませんが…)ぬるま湯につかっているようなものをだらだらと書いていられる「平和のありがたみ」を感じますね……


……また明日以降にでも投下する予定でいますので、思い出したころにまた見に来ていただければと思います…
562 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/08/17(土) 02:03:25.92 ID:tbG0NctI0
…その晩・スクアーロ級の部屋…

スクアーロ「ぐー……すぅ…」

ナルヴァーロ(イッカク)「すー…すー……」

トリケーコ(セイウチ)「すぅぅ……むにゃ…」

デルフィーノ「うぅ……ん///」小さいながらもちゃんと仕切られているそれぞれの寝室から姉妹たちの寝息がかすかに聞こえてくるなか、デルフィーノはふとももをこすり合わせ、まんじりともせずにいた…

デルフィーノ「…もう、エウジェニオさんがあんなことをするから……ぁ///」

…そう小声でつぶやきながら濡れた秘部に人差し指を滑り込ませると、瞳がうつろになり「くちゅ…っ♪」と粘っこい水音がブランケット越しにくぐもって聞こえた…

デルフィーノ「はひっ、んぅぅ……んっ、んく…ぅっ///」くちゅくちゅ…っ、ぬちゅ♪

デルフィーノ「はぁ、はぁ…んっ、くぅぅ…っ♪」

デルフィーノ「…はひぃ、ふぅ…はぁ……はふぅ……」しばらくじんわりと広がった余韻に身体をひくつかせていたが、やがてごそごそと起き上がった…

デルフィーノ「……うぅぅ…恥ずかしいですけれど……でも、もっと…したいです…///」ベッド脇にあるナイトテーブルの引き出しを開け、やがてちょっとしたポーチを取り出した……白い顔を赤く染め、恥ずかしげな困り顔で袋の中をかき回す…

デルフィーノ「…うぅ…ん、どれにするか迷ってしまいます……ね///」…中に入っている「玩具」を取り上げてみては袋に戻し、また別な物を選んでは思案した……そしてやっと二つ三つばかり選び終えた…

デルフィーノ「……今日はこれと…これにしま……んくぅ…っ♪」すっかりとろとろの花芯に玩具を滑り込ませるとスイッチを入れ、甘い声をもらした…

デルフィーノ「…ふわぁ……あふっ、んぁぁ……あぅ…んっ♪」

デルフィーノ「ふぁ…ぁ、はひっ…ひぅぅ……っ♪」ベッドの上で横向きに寝て、膝を抱え込むような胎児の体勢で身体をひくつかせている…

デルフィーノ「ふぁぁぁ…っ、きもひ……いぃ…っ///」

…しばらくして…

デルフィーノ「…はー、はぁぁ……っ」

デルフィーノ「……んっ、まだ…身体がじんじんします…///」瞳の焦点も合わないままよろよろと立ち上がると、壁に手をついて歩き出した…

デルフィーノ「も、もう…こんな……んくぅっ///」力の入らない足腰で廊下を歩きながら、それでも玩具のスイッチを切らずにいる……ちょうど携帯電話の振動に似た震えが秘所に響いて、そのままとろけてへたり込みそうになる…

デルフィーノ「はひぃ…ふぅ……こんなの、どうかしています……でも…んんっ♪」階段ホールの手すりに秘部を擦り付け、玩具を押しこむ…

デルフィーノ「ふぁぁ…んっ♪」

………

…執務室…

提督「……うーん」ナイトガウン一枚の提督は左腕で頬杖をつき、ノートパソコンの画面に向かっている…左手の側には空っぽのマグカップ、右手の側には未決書類が広げてある…

提督「…年間経費が……万リラで、今月の経費が…見積もり書や納品書は納入業者の人が作って持ってきてくれるから、それはいいとして…」

提督「……ふぅ、そろそろやめにしましょう…明日でも出来るんだもの、今日やることでもないわ…」のんびりした空気の鎮守府にいるせいか、せわしないローマのスーペルマリーナ(海軍最高司令部)にいた時に比べて、ついなまけてしまう提督……細かい数字を目で追うのもおっくうになったので書類を「未決」の箱に戻し、ノートパソコンの電源を切った…

提督「ふわぁ…そろそろ寝るとしましょうか……」歯磨きも済ませてあり「あとは寝るだけ」と、寝室のドアノブに手をかけた…

提督「…だあれ?」控えめなノックの音に首をかしげた…

デルフィーノ「あのぅ…夜分遅くにごめんなさい……入ってもいいですか……?」

提督「あら、デルフィーノ……どうぞ?」

デルフィーノ「…すみません……こんな時間に…///」

提督「いいえ、構わないわ……何かご用?」

デルフィーノ「えぇ…と、はい……その…///」

提督「ふふっ、どうかしたの…?」焦点の合わない瞳に火照った頬、半開きの口もと…それに内股で力の入っていないような脚と、携帯電話のような振動音……それに気づいていながら、提督はわざととぼけた様子でたずねた…デルフィーノのそばに歩み寄ると後ろに立って、軽く肩に手を回した…

デルフィーノ「あのぅ、つまり……はぁんっ♪」…提督の左手が軽くふとももを撫で上げ、びくんっ…とデルフィーノが跳ねた…

提督「……一緒に寝ましょうか♪」

デルフィーノ「…はい///」

………
563 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/08/19(月) 02:38:43.34 ID:gBneL6ou0
…寝室…

提督「さぁ、どうぞ…♪」

デルフィーノ「はい……んんっ///」ベッドに上がろうとした瞬間、提督が軽く背中を撫で上げた…

提督「…あら、どうしたの?」

デルフィーノ「て、提督ってば…ぁ……///」

提督「ふふっ、それじゃあ改めて…♪」

デルフィーノ「ふわぁ…っ///」マットレスの上に乗った瞬間、玩具が奥に押し付けられて甘い声が漏れた…

提督「……まったくもう、私が手伝わなくても大丈夫に見えるけれど?」

デルフィーノ「いえ……なんだか今日は一人だと物足りなくて…提督に手伝って欲しいんです……ぅ///」

提督「ふふ、了解♪」

デルフィーノ「きゃっ、ひゃぁ……んっ///」

提督「…ちゅぅ…ちゅるっ、ちゅむ……ちゅぱ…ちゅぷっ、んちゅ……っ♪」

デルフィーノ「んむっ、ちゅるぅ…っ、んちゅっ……ちゅぷ…ん、ちゅるっ……///」

提督「うふふっ、デルフィーノったらそんなに勢い込んで…して欲しいならいくらでもしてあげるのに♪」

デルフィーノ「だって……提督のキス…とっても気持ちよくて……ぇ///」

提督「まぁまぁ、それじゃあもっとしてあげるわ…ね♪」

デルフィーノ「はい……デルフィーノに色々教えて下さぁ…い♪」普段のくりっとして可愛らしく、それでいて賢そうな瞳はとろんととろけていて、すっかり発情したような具合になっている…

提督「ええ……って、私が何もしなくたってもうすっかりとろとろじゃない♪」

デルフィーノ「あっ、あ……ひゃぁん…っ///」くちゅっ、ちゅくっ…♪

提督「しかも相変わらず前と後ろに入れて……それはそうと、この状態でここまで来たの?」

デルフィーノ「はい…///」

提督「もう、あきれた♪」そう言いながらも金色の瞳はらんらんと輝き、甘ったるい笑みを浮かべて小さく舌舐めずりをした……それからモーターのうなっている玩具に手をかけ、一気に引きぬいた…

デルフィーノ「ひゃあぁ…っ♪」とろとろっ…とぽっ♪

提督「んふふっ、まったくこのイルカさんときたら…本当にいやらしいことが好きなんだから♪」くちゅくちゅっ…じゅぷっ♪

デルフィーノ「はひぃぃ…んっ、あ……ふわぁぁ…ぁ、気持ひいぃれす…ぅ♪」提督に後ろから抱きかかえられたまま白いふとももを押し広げられると、とろとろに濡れた秘所に提督の指が入って来た……

提督「ふふ、まだまだ…♪」ぐちゅぐちゅっ、にちゅっ…じゅぶっ、ぐちゅ…っ♪

デルフィーノ「ふぁぁっ、提督…もっとしてくらひゃ……いぃっ♪」ぐちゅり…ぷしゃぁぁ…っ♪

提督「んー、なぁに?」ぐちゅぐちゅ、じゅぷ…ぬちゅっ♪

デルフィーノ「ふわぁぁ…それぇ……もっと、もっと…ぉ///」ちょうど提督をリクライニングの椅子にするようなかたちで身体をあずけ、提督の指だけでは物足りないかのように自分の人差し指も滑り込ませてかき回している…

提督「…ところで、デルフィーノ」

デルフィーノ「ふぁ…い?」頭をのけぞらせて提督の顔を見た…

提督「……好きよ♪」ちゅうぅ…っ♪

デルフィーノ「んんっ/// んむっ、んくぅぅ……っ♪」とろっ、とぽっ…ぷしゃあぁ……っ♪

提督「ふふ……デルフィーノ(イルカ)はクジラの仲間だけに「潮を吹く」のが得意なのね♪」ベタな冗談を言いながら、くたっと提督にもたれかかっているデルフィーノにウィンクした……二人のふとももはデルフィーノの蜜でねとねとで、身動きするたびに「にちゅ…っ♪」と粘っこい水音が響く…

デルフィーノ「はい、とっても得意ですよ…ぅ///」くちゅくちゅっ…ぐちゅっ、にちゅっ♪

提督「…もう、まだしたいの?」

デルフィーノ「だって…くちゅくちゅするの、気持ちよくって…ぇ♪」

提督「ふー…仕方ないわね、満足するまで付き合ってあげるわ♪」

デルフィーノ「はい…っ♪」

提督「……どうやら明日は寝不足になりそうね…♪」

………

564 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/08/24(土) 01:56:32.70 ID:DEWUMp1j0
…翌朝…

アッチアイーオ(常)「おはよう、提督」

提督「ええ、おはよう♪」ちゅっ♪

アッチアイーオ「…んっ、もうっ……いきなりしないでよ///」

提督「ふふふっ、ごめんなさい…アッチアイーオがあまりにも可愛いものだから、つい♪」

アッチアイーオ「て、提督ってばいつもそうやって…///」

提督「まぁまぁ、そう怒らないで♪」

アッチアイーオ(温)「お、怒ってなんかいないわ……むしろ嬉しい…くらい……だ……もの…///」

提督「そう、よかったわ♪」

アッチアイーオ「……いっ、今のが聞こえたの?」

提督「ええ……だって愛しい女(ひと)の言うことは、一言だって聞き逃したくないもの…ね♪」

アッチアイーオ「…っ///」顔を伏せて耳まで赤くしている…

提督「ふふっ」

アッチアイーオ「…と、とにかく朝刊と気象通報を持ってきたわ///」

提督「ええ、ありがとう」

アッチアイーオ「……それにしてもデルフィーノったら、一体どこをほっつき歩いているのかしら? …まったく、秘書艦になって最初の朝だっていうのに…」

デルフィーノ「ふわぁぁ…おはよ、提督……♪」乱れた淡灰色の髪をかき上げ、眠そうな様子で目をこすりながらデルフィーノが寝室から出てきた……前がはだけたナイトガウンに満足げな艶を帯びた声…そして「ただ添い寝しただけ」といった言い訳は通じそうにない、乾いた愛蜜のこびりついたふとももと、とろんとした表情を浮かべている…

アッチアイーオ「…」

提督「…あー……」

デルフィーノ「…わわっ、アッチアイーオ!?」

アッチアイーオ「おはよう、デルフィーノ……なるほどねぇ…私が朝から駆けずり回って新聞を取って来たり気象通報を印刷したりしている間、あなたは提督といちゃいちゃしてたってわけね?」

デルフィーノ「え、えぇと……その…///」

提督「あのね、アッチアイーオ…私もよせばよかったのにデルフィーノを見ていたら、つい……だから、その…あんまりデルフィーノだけを責めないであげてほしいの……」

アッチアイーオ「……はぁ、もういいわ。どのみちデルフィーノが万年発情期でいっつも「ナニする」ことしか頭にないのはよく知ってるし…」

デルフィーノ「…う」

アッチアイーオ「提督が「来るものは拒まず」式で、女にだらしがないのもよく知ってるわ」

提督「……ええ、ごめんなさい」

アッチアイーオ「ただ、こういう場合には何か必要だと思うのよね……」

デルフィーノ「え、えぇと…今日は一日私が秘書艦のお仕事を頑張りますから……ね?」

アッチアイーオ「なるほど…で、提督は?」

提督「そ、そうね……よかったら今日のお茶の時間にとっておきのお菓子を…」

アッチアイーオ「…そういうことじゃないわよね」

提督「あー……デルフィーノ、ちょっと外してくれる?」

デルフィーノ「はい…っ」アッチアイーオの剣幕から逃げ出せるとあって、急いで執務室から出て行った…

アッチアイーオ「…それじゃあ、もう一度聞くわね……提督は埋め合わせに何をしてくれるの?」

提督「そうね…アッチアイーオが溶けちゃいそうなくらい甘い一日と熱い一晩を……これでどうかしら♪」アッチアイーオの耳に口元を近づけてささやいた…

アッチアイーオ「……それならいいわ///」

提督「よかった…ふふ、それじゃあ精一杯素敵なもてなしをしないとね♪」

アッチアイーオ「期待してるわ……さ、朝食にしましょ?」

提督「ええ…それじゃあ一緒に行きましょうか♪」そう言ってさりげなく指を絡めた…

アッチアイーオ「///」

………

565 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/08/29(木) 01:51:02.61 ID:qbbhf9nl0
…朝食時…

提督「はい、あーん♪」

アッチアイーオ「…そ、そんなのやらないわよ///」

提督「まぁまぁ、そう言わずに……それとも命令しないとダメかしら?」スプーンでミネストローネをすくうと「ふぅー」とひと吹きして冷まし、アッチアイーオの口元に近づけた…が、アッチアイーオに断られると残念そうに肩をすくめた…

アッチアイーオ「何もそこまで言うことはないじゃない…分かったわよ///」困り顔でスプーンを差し出している提督に根負けして「あーん」したアッチアイーオ…

提督「ふふっ……そうやって照れるところも可愛いわ♪」

アッチアイーオ「て、照れてないわよ!」

…別の席…

ライモン「……あの、デルフィーノ」

デルフィーノ「なぁに、ライモンド?」

ライモン「いえ、さっきから提督が妙にアッチアイーオを構っているようですが…一体どうしたんです?」

デルフィーノ「あー…えーと、ね……実はかくかくしかじかで…」

ライモン「……はぁ、提督は相変わらずですね…」あきれたように天を仰ぎ見た…

デルフィーノ「ごめんなさい、ライモンド」

ライモン「いえ、別にデルフィーノが悪いわけじゃありませんから……でも一日中これを見せられるかと思うと…」

カヴール「…食事をしないうちからお腹いっぱいになりそうね♪」

ライモン「えぇ、まぁ…」



…午前・会議室…

提督「…以上のように、この間リットリオたちが実施した射撃訓練での命中弾は…発で、リットリオ級の主砲の門数は九門……単純計算すると、この鎮守府のリットリオたちの命中率平均はおよそ六パーセントということになりますね……風や火薬の燃焼ムラ、線条(ライフリング)の摩耗…その他もろもろの変数を考えると、相手が移動しないはしけ(バージ)とはいえ、かなりの命中率だと思います」

グレイ提督「確かによい数字ですわね…ところでカンピオーニ提督?」

提督「はい、何でしょう?」

グレイ提督「こちらの「秋季作戦」はいつごろ実施されるのでしょう?」

提督「秋季作戦…ですか」

グレイ提督「ええ。なにせわたくしたちの交換プログラムもそろそろ終了するわけですが、せっかくの機会ですから一回くらいカンピオーニ提督指揮下の艦隊行動を実戦で拝見できる機会があれば…と思っておりまして。 …ヴァイス中佐もご同様かと思いますが、いかがでしょう?」

ヴァイス提督「はっ…それはそうですね。無論これまでもさまざまな事柄についてご教示をいただき、大変有意義ではありましたが……」

グレイ提督「何事も「百聞は一見にしかず」ですものね?」

ヴァイス提督「は、その通りです」

提督「うーん…それに関してはイオニア海管区からの命令書が来るまでは何とも言いがたいですし、うち(タラント第六)は夏季休暇の前に大掛かりで難しい作戦を二つ同時に実施したので……おそらく、今回の作戦はごく簡単なものになると思っています」

グレイ提督「そうですか」

提督「ええ……司令部としてはどの鎮守府にもまんべんなく作戦を実行できる実力を持たせたいですし、一つの鎮守府に頼りきり…というのは艦娘の疲労や、ある特定の鎮守府司令官の発言力が強まる事を考えても避けたいでしょうから」

ヴァイス提督「確かに…」

提督「…それにお忘れかもしれませんが、私は「鳴かず飛ばず」で過ごすよう、わざわざのんびりした鎮守府に「栄転」させられてきた司令官ですから♪」

グレイ提督「ふふ、ご謙遜を…♪」

アッチアイーオ「…そうよ、提督は立派にやっているわ!」

提督「あら、ありがとう…アッチアイーオにそう言ってもらえて嬉しいわ♪」

アッチアイーオ「///」

グレイ提督「あら、でしたらわたくしの言葉は嬉しくないのかしら…?」ちょっと意地悪くたずねた…

提督「ええ…だってメアリの褒め言葉は「嬉しく思う」ではなくて「光栄に思う」ものですから♪」

グレイ提督「まぁ、お上手ですこと」

………

566 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/08/29(木) 11:01:05.02 ID:qbbhf9nl0
…これでやっと秋季作戦への布石を書くことができました…


…それはそうと、九州の方は大雨ですが大丈夫でしょうか…あの雨が全部アマゾンの森林火災に行ってくれればいいのに、と思います……災害はどんな災害でもそれぞれ大変ですが、豪雨災害で何より困るのは泥水ばかりで飲食や洗浄に使えるきれいな水がなく「辺りは水浸しなのに水不足」ということでしょうね……暑さの残る時期でもありますし、どうか暑気あたりなどには気を付けて下さいね
567 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/09/01(日) 02:12:10.68 ID:wAC8zwTs0
…昼下がり・執務室…

提督「ふわぁ…あ……お昼を食べたら眠くなってきちゃったわ…」

アッチアイーオ「そんなのいつもの事じゃない…まったく」

提督「だって、食事をすると「消化のために血の巡りが胃の方に行って、それで脳の活動が低下するから眠くなる」って、この間読んだ新聞記事に書いてあったわ」

アッチアイーオ「だからって鎮守府の司令官が昼寝っていうのはどうなのよ…?」

提督「まぁまぁ…アッチアイーオもお昼寝しましょう♪」

アッチアイーオ「わ、私はいいわよ……それに昼寝するなら自分の部屋です……ふぁ…ぁ///」

提督「ふふっ…そう言わずに♪」

アッチアイーオ(温)「わ、分かったわよ…私も、その……提督となら一緒のベッドに入りたいし///」

提督「それじゃあ決まりね♪」しゅるっ…♪

アッチアイーオ「え、ちょっと…///」

提督「……アッチアイーオは脱がないの?」

アッチアイーオ「ぬ、脱ぐけど…提督ってば、何も私の目の前で脱ぐことはないでしょ///」

提督「どうして?」

アッチアイーオ「ど、どうしても何も……///」

提督「ふふっ、私とアッチアイーオの間じゃない…ね♪」椅子の上に制服を畳んで載せると、黒いストッキングと桃色のレースが付いた下着をその上に重ねて置いた……

アッチアイーオ「///」(改めて見ると提督ってばきれいな身体よね…胸とヒップは大きいけど張りがあって、ふとももだってむっちりしていて……///)

提督「♪」(…こうしてみるとアッチアイーオは胸もあるし、お腹は引き締まっていて……それに綺麗な黒い瞳と、磨き上げたピストルみたいに青みがかった黒髪…中型潜の娘だからちょっとだけ背は低いけれど…それもまた魅力的ね♪)

アッチアイーオ「…は、恥ずかしいから早くベッドに行きましょうよ///」黒のショーツとブラで、照れ隠しにそっぽを向いている…

提督「ええ♪」

…提督寝室・ベッド…

提督「さぁ、いらっしゃい♪」タオルケットをめくりあげ、ふわりと柔らかい敷き布団を「ぽんぽんっ…」と軽く叩いた…

アッチアイーオ「そ、それじゃあお邪魔するわ…///」顔を真っ赤にしてもぞもぞと入ってきたアッチアイーオ…心なしか瞳が熱っぽく、わずかに開いた唇からは甘い息遣いが漏れる……甘い匂いのするもっちりと柔らかい…それでいてまだまだ張りのある提督の身体に手を回し、抱き枕を抱くような格好で落ち着いた…

提督「ふふっ、アッチアイーオったら結構身体が火照っているのね……そんなにしがみつかれたら火傷しちゃいそう♪」片手では長い黒髪を撫でながら、背骨に沿って手を滑らせていく…

アッチアイーオ(熱)「だって…提督と一緒にいると……身体が火照って…熱くて……我慢できない…の///」

提督「……それじゃあ…」目を閉じて唇を近寄せた…

アッチアイーオ「…ええ///」ん、ちゅくっ…ちゅっ♪

提督「ん、ふ……んむっ、ちゅっ…♪」

アッチアイーオ「ん…ちゅぅっ、ちゅむっ、ちゅるぅ…っ……ちゅぷっ、んちゅっ…ちゅっ、ちゅっ、ちゅぅぅ…っ♪」

提督「んうぅ…んくっ、んむぅ……はむっ、あむっ…んんぅ、ちゅぅぅ…んっ、んむっ、んちゅぅぅっ…///」

アッチアイーオ「んむぅぅっ、ちゅぅっ、ちゅっ……ちゅくっ、ちゅるぅ…っ♪」提督の頬に両手を添えると、まるでタガが外れたかのように唇を重ね、むさぼるような勢いで舌を絡める……

提督「んっ、んんぅ……んむぅぅ…ふぅ…っ、んっ…♪」焼けるようなキスに口を塞がれて息を切らしながらも、アッチアイーオ(鋼鉄)にしては滑らかで柔らかいお尻の曲線に手を這わせ、そこからまた肩甲骨へと指先を撫で上げていく…

アッチアイーオ「んんぅ、んむっ…ちゅぽ…んっ///」

提督「ぷはぁ……アッチアイーオのキス…とっても熱くて、とろけるようだったわ…///」とろりと焦点の外れた瞳でアッチアイーオを見つめながら、甘い声でつぶやいた…

アッチアイーオ「ええ…私も……でも、提督にはもっと気持ちよくなってほしいわ♪」つぷっ…くちゅっ♪

提督「あっ、あぁぁ…んぅ♪」

アッチアイーオ「…どう、提督……気持ちいい?」…くちゅくちゅっ、にちゅっ♪

提督「ええ…気持ちい……んぁぁ、あふっ…あんっ♪」

568 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/09/03(火) 11:51:52.85 ID:faT4mKMC0
アッチアイーオ「はぁ…はぁ、はぁ……っ♪」

提督「あんっ♪」…荒い息遣いのアッチアイーオに転がされて仰向けにされる提督……腕を投げだした無防備な格好で目を細め、とろけたような表情をしている…

アッチアイーオ「はーっ、はーっ……とく…提督っ♪」…じゅぶじゅぶっ、くちゅっ♪

提督「…あっ、んっ……あぁ…んっ♪」

アッチアイーオ「はぁ…んぅっ♪」

提督「あっ、あ…んぁぁ、あん……っ♪」

アッチアイーオ「あぁ、提督……愛してるわ、本当に大好き…っ!」提督にまたがって秘所を重ねながら、うわごとのように繰り返す……照れ隠しのようないつもの素っ気なさやけんつくはすっかり鳴りをひそめ、焼けるような熱っぽさで提督を責めたてる…額からは汗の玉がはじけ、火照った身体は油でも塗ったようにてらてらと艶を帯びている…

提督「…ええ、私も……だからいっぱい好きなようにしていいわ…ね♪」

アッチアイーオ「提督…っ!」…ぐちゅぐちゅっ、にちゅっ♪

提督「はぁ…あぁん……んぅ♪」

アッチアイーオ「提督っ、私の大好きな……あぁぁっ、はぁぁんっ♪」

提督「あっ、あぁぁっ…んぅっ、あぁん……っ♪」

アッチアイーオ「もう…焼けつくまで……止めないから!」ぐちゅっ、じゅぶ…じゅぶっ♪

提督「ええ……んぅっ、はぁぁんっ…あぁっ♪」

アッチアイーオ「…あぁぁっ……提督…っ♪」

提督「あぁっ、んっ……はひぃ、んっ!」アッチアイーオの左手がいささか手荒に乳房をこねくり回し、右手の人差し指と中指がとろりと濡れた花芯にねじ込まれる…細っぽいけれども長くて意外に力強い指がぬるりと膣内をかき回し、そのたびに提督の身体が跳ねた……

アッチアイーオ「あぁ…っ、温かくて……とろとろで…指が……とろけそう…っ♪」

提督「んんぅ…私も……あぁぁっ、んっ…気持ちよくて…っ……んくぅ…ふあぁぁぁっ♪」

アッチアイーオ「はぁ、はぁ……でも、まだ……もっと…提督の…こと……全部、知りたい……の♪」黒い瞳が重油のようにどろりと欲情を帯び、胸を揉んでいた左手を離すと指先を「れろ…っ」と舐めあげ、それから提督のヒップに滑らせていった…

提督「あ、そこはダメ……んんっ♪」

アッチアイーオ「どうしてだめなのよ…私は、提督としたいの……っ!」ぬちゅ…っ♪

提督「あぁ゛ぁ゛ぁんっ…///」

アッチアイーオ「ほぉら、気持ちいいんじゃない…もっと…してあげるわ……ね♪」くちゅ、ぬちゅっ…♪

提督「あ゛ぁぁんっ、はひぃっ、いぃ゛ぃ…っ♪」蜜を垂らしがくがくと身体をひくつかせ、甘い声をあげながら口から涎を垂らしている…

アッチアイーオ「ふふ、これだけじゃあまだ物足りないわよね……ぢゅぅぅっ♪」提督に身体を重ねると、ずっしりした乳房に吸い付いて先端を甘噛みした…

提督「あっ、あぁぁんっ…もうっ♪」

アッチアイーオ「ちゅっ…じゅぅっ、れろっ……♪」

提督「あっ、あぁ゛っ…んぅっ、それ……気持ちいい…っ♪」

アッチアイーオ「ふぉれは……んぢゅぅっ…よふぁっらわ……♪」

提督「もう…「それはよかったわ」じゃな…あ゛っ、あぁぁんっ♪」

アッチアイーオ「んちゅ…れろ、ちゅぱ……ぢゅぅぅっ…こり…っ♪」

提督「ふあぁぁぁ…っ♪」

アッチアイーオ「ぷは……提督のイってる顔も……とっても好き…ずっと見ていたい……くらい…♪」ぐちゅり…と花芯から指を抜くと、愛液でべとべとの手で提督の頬を撫でた…

提督「ふー、ふーっ…ふぅ……はぁぁぁ…♪」額にかかった乱れ髪をのろのろと払いのけ、走った後のように胸を大きく上下させている…

アッチアイーオ「…ふふ、可愛かったわよ……提督♪」

提督「ん……でも…」

アッチアイーオ「なに?」

提督「もっと…しましょうか♪」小さくウィンクすると、くすっと笑った…

アッチアイーオ「……執務に差し支えても知らないわよ?」

提督「執務なら明日だってできるけれど…今日この瞬間のアッチアイーオは今だけしかいないわ♪」

アッチアイーオ「もう…どうなっても知らないんだから///」ちゅむっ…ちゅぅぅっ♪

提督「あん…っ♪」

………
569 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/09/07(土) 02:27:09.78 ID:eDD2hd0I0
…翌日…

アッチアイーオ(温)「…提督、この書類は私がやっておくわね」

提督「ええ…それじゃあ私はその間に主計部宛てに文房具代の申請書でも……」

アッチアイーオ「それも私がやっておくわ」

提督「いえ、手伝ってくれるのは嬉しいけれど…私も提督として秘書艦に頼りきりじゃあいけないし……」

アッチアイーオ「いいのいいの。 私が全部やってあげるから、提督は座ってて♪」

デルフィーノ「…提督、提督」小さく袖を引っ張り、耳元にささやきかけた…

提督「なぁに?」

デルフィーノ「いえ……結局、昨日はアッチアイーオと何があったんですか?」

提督「あー…まぁ、その……色々と、ね」

デルフィーノ「なるほど、色々ですか…ぁ///」

アッチアイーオ「提督、この書類が片付いたらコーヒーを淹れましょうか?」

提督「あ、それは私がやるわ……がんばっている二人に、せめてものお礼ね♪」

アッチアイーオ「…もう、提督ってば///」

提督「ふふっ……さ、その前に今日の文書便を片付けてしまいましょう」


…執務机の前にある応接セットのテーブルに文書便の袋を空けると、手紙や文書をより分けはじめる提督たち……それぞれの艦娘宛てに届いた手紙は級ごとにより分けて届けるか受け取りに来てもらい、宛名が「艦娘の皆様へ」や「鎮守府様」となっている広告や無料カタログは(そこそこ暇つぶしになるので)「待機室」や「談話室」のテーブルに置いておく……そしてもっとも量がある各種の業務伝達や命令書、公文書の写しは執務机の「未決」の箱に積まれていき、提督が中身を確認して、後はぶつぶつ言いながら処理することになる…


提督「ふぅ、またこんなに書類が……嫌になるわね」

アッチアイーオ「そう言わないで…私が手伝ってあげるから」

デルフィーノ「私も手伝いますよぅ」

提督「ふふ、頼もしいわ…それじゃあ私はこっちの整理にとりかかるから、お手紙やパンフレットをお願い」

アッチアイーオ「ええ、終わったら手伝うわね」

提督「ありがとう…えーと、まずは「十二日付で送付された公文書の誤字訂正について」…これは時間がある時でいいわね……」

アッチアイーオ「…デルフィーノ、それは全部エウジェニオのだから分けておいて?」

デルフィーノ「ふわぁ…相変わらずすごい量ですね……」

提督「んー、それからこれが「月別報告書・管区司令部送付用封筒」と…いい加減電子メールで送ればいいのに……」

アッチアイーオ「提督、終わったわ」

提督「あぁ、ありがと…それじゃあ悪いけれど、こっちの中身の確認を手伝ってくれる?」

アッチアイーオ「ええ♪」

提督「助かるわ。それにしてもスーペルマリーナと来たら……まったく、書類の海に軍艦を浮かべるつもりなのかしら?」

アッチアイーオ「くすくすっ…もう、提督ってば♪」

提督「ふふっ……って、これは…」

…提督が手に取った封筒には赤い縁取りがしてあり、宛名の上には「重要」と書かれたスタンプが押してある…

アッチアイーオ「ねぇ、それって…」

提督「ええ、やっと来たわね……秋季作戦の命令書よ」

デルフィーノ「どんな作戦なんでしょう……緊張します…」
570 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/09/07(土) 10:35:15.88 ID:eDD2hd0I0
提督「まぁ大丈夫でしょう…夏の作戦が大変だった分、今度の作戦はちょっとした哨戒や護衛任務に……」微笑を浮かべつつペーパーナイフで封筒を開けると、中身を読み始めた提督…が、次第に眉間にしわを寄せ、唇をきゅっと引き結んだ……

提督「……まったく、信じられないわ」温厚な提督には珍しく、吐き捨てるような口調で命令書を机の上に放り出すと腕を組んだ……

デルフィーノ「どうしたんですか、提督?」

提督「読んでみれば分かるわ…管区司令部ときたら、一体どういうつもりなの?」

デルフィーノ「?」

アッチアイーオ「じゃあ読むわね…えーと「発・イオニア海管区司令部…宛・タラント第六司令部(鎮守府)……秋季作戦実施について…」ですって」

提督「問題は中身よ…続きを読めば分かるわ」

アッチアイーオ「…えーと「タラント第六司令部には『リビア方面海上輸送作戦』の実施を命じる」…って、また輸送作戦?」

提督「ええ……そもそもうちは「リビア輸送作戦」を夏にやったし、あんなのはそう何度もやるものじゃないわ」

アッチアイーオ「じゃあなんでここに回ってきたのかしら?」

提督「きっとどこかの鎮守府が失敗したせいでしょうね…そうでなければ今さらになって命令が来るはずもないし……あー、もう」

デルフィーノ「でも「海上輸送作戦」って限定しているのはどうしてでしょう?」

提督「……それも書いてあるわ…管区司令部の参謀が免罪符のつもりで書き添えたのね」

デルフィーノ「じゃあ読んでみますね…「また、大型輸送潜を用いた輸送作戦は当該海域でのいちじるしい対潜哨戒強化が認められるため極めて困難であると予想される…したがって、水上艦艇による高速輸送が望ましい」だそうです」

提督「…要は「どこかの鎮守府が中途半端に潜水艦で輸送作戦をやって失敗したから警戒が強くなった、したがって輸送潜を使った水中輸送作戦は出来ない…よって軽巡や駆逐艦にドラム缶を載せてリビアまで突っ走れ」ってこと……戦中にそれをやったフネがどうなったか聞いたことがないのかしら?」

デルフィーノ「大変なことになっちゃいましたね……」

提督「まったくよ…このことはみんなを集めて伝えるから、それまでは言わないでおいてね?」

二人「「了解」」

…夕食前…

フレッチア「……提督が集合をかけるなんて珍しいわね、お説教かしら?」

マエストラーレ「普段の生活態度やゴミの出し方が悪い…とか?」

提督「みんな、しばらく静かにしてもらえる? …ちょっと大事な話があるの」

提督「はい、ありがとう…えー、実は先ほど「秋季作戦」の命令がうちに届きました……」

チェザーレ「おお…」

アブルッツィ「なるほど…その話だったわけね」

レモ「…でも夏があんな大変だったんだから、今回は楽な作戦でしょ」

提督「…そして、その内容ですが……」

バルトロメオ・コレオーニ「…うん」

提督「……リビア輸送作戦です」

一同「「えぇ!?」」途端に動揺のざわめきが起こり、片手を上げて静かにさせる提督……

提督「…さらにもう一つ……今回はこれから説明する事情のせいで輸送潜での作戦が不可能です。したがって水上艦艇での高速輸送ということになります」

アルベルト・ディ・ジュッサーノ「…」

アルベリコ・ダ・バルビアーノ「……嘘でしょ?」軽巡ジュッサーノとバルビアーノを始め「リビア輸送作戦」と聞くと、かつての事を思い出す艦娘も多い…

ロモロ「……ふぅ」一方の潜水艦勢は安堵のため息をついた…

提督「幸い、うちはみんながちゃんと訓練に励んでいるから練度は十分…あとは航行ルートや編成を詰めるだけでいいから、私が頭をひねればいいわ……もし何かいい案や思いついた事があったら、どんなに小さいことでも構わないから教えてね?」

一同「「了解」」

提督「はい、それじゃあ解散…さ、夕食にしましょう」

………

571 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/09/12(木) 16:49:02.35 ID:tXDhR8q50
…この数日というもの台風の後始末や何かで忙しく、なかなか投下できず済みませんでした…


…それにしても千葉県の方はまだ停電や断水が続いているようですが、大丈夫でしょうか……部屋も冷やせず水も飲めないという中では難しいことでしょうが、とにかく熱中症にならないように気をつけて欲しいものです…また、送電やインフラが復旧してもしばらくは後片付けやなにかでくたびれることも多いでしょうから、そんな時に休憩がてらこのssを読んでもらい、少しでも楽しんでいただければ嬉しく思います


572 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/12(木) 17:19:12.48 ID:qE0xIS9/0
キター
573 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/09/14(土) 02:09:48.01 ID:UwmlGNwV0
………

…夕食時…

ジュッサーノ「…」

バルビアーノ「…」

ボレア「ねぇエスペロ、サラダを取ってあげましょうか…」

エスペロ「…はぁ」

ボレア「…」

グラナティエーレ「…」

アルティリエーレ「…」

アスカーリ「そげなへこたれた顔しててもしがだねぇって…ほれ、うんと食って元気さだすべ」

カラビニエーレ「アスカーリの言う通りよ…ほら、出された料理はきっちり食べなさい」


…いつもわりと切り替えの上手な艦娘の面々…とはいえ、かつてリビア向け船団護衛や補給任務に駆り出された艦娘たち(特に軽巡や駆逐艦勢)はどうしても元気がない…


チェザーレ「…やはり皆も作戦の事が気にかかるようだな」相変わらず(鎮守府の食事が美味しいこともあり)文句ひとつ言わず、出された分の料理はきっちり食べるチェザーレ…

提督「ええ、特にリビア向け輸送任務となると…ね」

ライモン「そうですね……しかしこればかりはどうしようもありませんし…」

ビスマルク「…はぐっ、むしゃ…んぐ……今日はいつもと違って妙に静まり返っているな…あぐっ……お代わりをよそうか?」

ドリア「いえ…お気遣いありがとうございます」

ビスマルク「ほう、食事が進まないとは……ドリアにしては珍しいな」

ドリア「えぇ、まあ……」普段は美食家で鳴らしているドリアも色々考え込んでいるようで、あまりフォークが進まない…

ヴァイス提督「…貴様がブタみたいにがっついているだけだ、あの間抜けめ……とはいえ今夜はあまり活気がありませんね、カンピオーニ提督」

提督「ええ。ですがそのことは食後にしましょう…」

ヴァイス提督「ヤヴォール」

グレイ提督「…」

エリザベス「どうやら皆さま、料理に夢中で声も出ないようでいらっしゃいます」…何も言わないがよく分かっているらしいグレイ提督と、艦齢を重ねているだけあって事情を察し、普段ほど皮肉やブラックユーモアに棘のないエリザベス……

アッチアイーオ「…ねぇ、提督」

提督「なぁに?」

アッチアイーオ「……こういう時はどうすればいいの?」

提督「そうねぇ……とりあえず気分転換になるような面白い話をするとか、気分を落ち着かせるような環境を整えるとか…かしらね」

デルフィーノ「そういえば食卓の蝋燭もそうなんですよね、提督?」

提督「ええ、揺らめく蝋燭には気分を和ませる効果があるらしいから…」

デュイリオ「ふふ、あとは提督がベッドで「気分転換」でもしてあげればよろしいかと♪」

提督「…それであの娘たちの気がまぎれるのなら構わないわ」

デュイリオ「まぁ、でしたら私もぜひお邪魔させていただいて…ふふっ♪」

提督「デュイリオは大丈夫そうだから、また今度ね?」

デュイリオ「あら、つれないお返事ですこと」わざとらしく頬をふくらませてみせる…

提督「ふふ…っ♪」

デュイリオ「ああ、やっと提督に笑顔が戻ってきてくれました…まるで雲間からのぞく太陽のようですね」

提督「……グラツィエ、デュイリオ」

デュイリオ「ノン・ファ・ニエンテ(お気になさらず)…わたくしのようなおばあさんになると、こうした事が上手になるものなのですよ♪」

提督「そうだとしても嬉しいわ……それにデュイリオはおばあさんじゃないわ、とっても綺麗だし」

デュイリオ「あらあら…♪」
574 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/09/17(火) 02:39:34.96 ID:s+ttCOJi0
…食後・バーカウンター…

グレイ提督「…なるほど、なかなか大変な任務を与えられましたわね」

提督「ええ……まったく、管区司令部ときたら…」


…いつもは甘く飲み口がいいか、さもなければすっきりと爽やかなカクテルを選ぶ提督が、珍しくドライなマティーニを傾けながらグレイ提督たちを相手にボヤいている……提督たちのそばではジュッサーノ級軽巡の「アルベルト・ディ・ジュッサーノ」と「アルベリコ・ダ・バルビアーノ」(※二隻でドラム缶運びのリビア輸送作戦を遂行中にボン岬沖で英駆逐艦の奇襲を受け、姉妹揃って41年12月3日に戦没)それにカドルナ級軽巡の「アルマンド・ディアス」(※41年2月25日、リビア船団の護衛中に英潜の雷撃をうけ戦没)が座り、複雑な表情でカクテルをすすっている…


ヴァイス提督「確かに難しい任務ですね……しかし裏返してみれば、これだけリスクの高い作戦でもカンピオーニ提督なら遂行できる…と、司令部から信任されていると考えることも出来るのではありませんか?」

提督「…シャルロッテは嬉しいことを言ってくれますね……ですが、そうではないと思います」肩をすくめてみせた…

ヴァイス提督「そうですか…」

提督「ええ……でも、ありがとう♪」

ヴァイス提督「…いえ、そんな///」

グレイ提督「カンピオーニ提督……わたくしに出来る範囲のことでよろしければ、お手伝いいたしますわね」

提督「メアリ…」

グレイ提督「ふふ…そう感謝せずともよろしいですわ」

ヴァイス提督「ヤー、何しろこれだけお世話になっているのですから…もし必要な事があれば、何なりとおっしゃって下さい」

提督「二人とも、ありがとうございます…///」少し酔いが回っているせいか目をうるませて、やたらと感動的になっている提督……

グレイ提督「ふふ、それ以上はおっしゃらないで…♪」

ヴァイス提督「そうです……それと明日以降は忙しくなるでしょうから、今夜はゆっくり休まれた方がよろしいかと」

提督「それもそうですね…では、申し訳ありませんが先に休ませてもらいます」

グレイ提督「…グッドナイト(お休みなさい)」

………



…提督寝室…

提督「うーん……」


…寝る前にお風呂に入り、湯上りに冷たい水をあおったおかげでだいぶ酔いがさめた提督…しかし今度は作戦が気がかりになってしまい、なかなか寝付けないでいる……いつもは心地よく眠りにいざなってくれる枕や肌触りのいいタオルケット、ふんわりした布団も今は妙に重苦しく、ごろごろと寝返りを打っては、やたら浮かんでくるまとまりのない考えに頭を悩ませている…


提督「……むぅ…」

提督「…うぅ…ん……」と、軽いノックの音が響いてきた…が、ライモンやカヴール、ドリアといった、よく夜を共に過ごす艦娘たちとはノックの仕方が違う……

提督「……どうぞ?」

フィザリア(中型潜アルゴナウタ級「カツオノエボシ」)「提督…お邪魔してもいいかしら?」

提督「あら、フィザリア……ええ、ちょうど寝つけなかったから…」

フィザリア「それなら、よかったわ……」

…艦名の「フィザリア」(カツオノエボシ)をほうふつとさせる、どこか海面をたゆたうようなゆったりしたしゃべり方と腰まで届くスミレ色の長い髪…お気に入りらしいひらひらとした薄青色のベビードールはとても薄いシースルーの生地で出来ていて、身体がほとんど透けて見える…

提督「…それで、どうしたの?」

フィザリア「その、私も…寝付けなくて……」

提督「そう…じゃあ一緒に寝ましょうか?」

フィザリア「…いいかしら?」

提督「ええ、どうぞ♪」

フィザリア「ありがとう、提督…♪」するりと提督の横にもぐり込んで、ふわりと背中に手を回した…

提督「いいのよ……それじゃあ、眠くなるまでおしゃべりでもしま…」そう言ってナイトスタンドの灯りを切ろうとする提督……

フィザリア「……ん、ちゅぅ…♪」

提督「んっ、んむぅ…っ!?」いきなり唇を重ねられ、吸い付くようなキスをされる…
575 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/09/19(木) 01:30:08.46 ID:fAUgggXz0
フィザリア「…ちゅぅぅぅ…っ、ちゅぷっ……♪」

提督「ん、んんぅぅぅ…っ///」

フィザリア「……そうやって油断しているからですよ…提督♪」ちゅぅっ、ちゅむ…っ♪

提督「あ、あぁ…ん……んっ、んぅぅ…♪」

フィザリア「…ちゅぅ、ちゅる……っ♪」

提督「あっ、ん……はぁぁ…んっ♪」

フィザリア「ちゅるっ、ちゅむっ……ちゅぽ…っ♪」

提督「んぅっ、むぅぅっ、んくぅ……ぷはぁ♪」…提督の息が続かなくなった頃になってようやく長い口づけが終わり、それまで口中を舐め回していたフィザリアの舌がぬるりと引き抜かれた……絡み合っていた舌先からはとろっと銀色の糸が垂れ、二人の間をかけ橋のようにつないだ…

フィザリア「ふふっ……提督…♪」

提督「あんっ♪」

フィザリア「…提督はいつも優しくて、皆を大事にしてくれて……でも…あんまりうかつに優しくすると…こうして、捕食されてしまうわ……よ♪」

提督「あっ、あっ、あぁ゛ぁ゛っ♪」


…固めのゼリーのようにぷるっとした肌のフィザリアが提督に絡みつく……提督の右ふとももを両脚ではさみこんで身体をすりつけ、小ぶりながらつんと張りのある乳房を提督の胸に押し付ける…そしてカツオノエボシの触手をほうふつとさせるような細くて長い指が提督の首に巻きつけられ「きゅぅ…っ」と喉首を締め上げる…


提督「あ…あっ、あっ、あぁ゛っ……んぐっ、ん゛ぅ゛ぅぅっ♪」

フィザリア「……ふふ、気持ちいい?」ぬちゅっ、ぐちゅ…っ♪

提督「あっ、あぁ゛ん゛っ……いい、とってもいぃ゛…っ♪」空いている方の手が提督の秘所にゆっくり入ってきて、細い指がねっとりと膣内をかき回す……せいぜい中学生にしか見えないような中型潜のフィザリアにいいようにもてあそばれて、焦点の合わない瞳で天井を見上げつつ、半開きの口からだらしなく涎を垂らしている…

フィザリア「……くすくすっ…提督のここ…もうすっかりとろとろ…♪」

提督「だって……フィザリアの指、すごい気持ちいいから…あぁっ♪」まるで本当にカツオノエボシの毒が回っているかのように、指でかき回されたところがビリビリと痺れている…

フィザリア「ふふ…提督ってば膣内をかき回すたびに、びくん…って跳ねて……新鮮なお魚みたいで…美味しそう♪」

提督「はひっ…はぁ、はぁ、はぁっ…それじゃあ、痛まないうちに……どうぞ、召し上が…れ♪」提督はすっかり甘くとろけきった顔で、誘うように両腕を広げた…

フィザリア「…ふふ、提督ってば……どうなっても知らないから…♪」じゅぷっ、ぐちゅぐちゅ……にちゅっ♪

提督「…い゛っ…あっ、あっ、あっ…あ゛ぁ゛ぁぁ…っ♪」とろっ…とぽっ、ぷしゃぁぁ…っ♪

フィザリア「提督……どう、気持ちいいでしょう…?」

提督「ええ…とっれも…ぉ…気持ひい…ぃ……♪」

フィザリア「ふふ、可愛い……ちゅうっ♪」

提督「んっ…ね、もっと……キス…しましょう?」

フィザリア「…んちゅっ、ちゅぅ……♪」

提督「んちゅるっ、ちゅむ…っ…♪」

フィザリア「んむ……ちゅぅぅっ、ちゅむ…れろっ…♪」

提督「んんぅ、ちゅっ…ちゅるっ、ぬるっ……ん、ふぅ…ん♪」

フィザリア「ちゅぅ、ちゅぷ…っ♪」

提督「ふあぁぁ、んぅ……んちゅっ、ちゅぅっ♪」

………

576 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/09/21(土) 02:38:42.79 ID:rLdPud870
フィザリア「提督、提督ぅ…っ♪」ぐちゅっ、じゅぷっ…♪

提督「フィザリア…あぁ、んぅぅっ♪」じゅぶ、にちゅっ……ぐちゅ…っ♪

フィザリア「……提督に…跡をつけてあげる…私の、愛の…しるし……♪」んちゅぅ…っ♪

提督「んっ、んんぅ……っ♪」

フィザリア「…提督の二の腕……お肉が付いていて柔らかいわ…まるでおっぱいみたい……ちゅぅっ♪」

提督「もう、言わないで…これでも気にしているんだか…ら……あぁ、んぅっ///」

フィザリア「……ふふ、きっと明日になったらくっきり残るわ…ね?」

提督「そうね…せっかくフィザリアがつけてくれた「愛のしるし」が、砂浜に描いた絵みたいに消えてしまうのは残念だけれど…♪」

フィザリア「心配しないで……またいつでもつけ直してあげる♪」

提督「まぁ、嬉しい…それじゃあお礼に私……も♪」…ちゅぅぅっ♪

フィザリア「あっ、あぁっ……だからって…そ、そんなところに跡をつけちゃダメ…っ……あっ、ふあぁぁ…んっ///」

提督「ふふ……フィザリアに負けないくらい、私も「愛のしるし」をつけてあげるわ…ね♪」胸元や首筋…そして愛液でねっとりと濡れたふとももの内側といった場所に、跡が残るようなキスをしていく……

フィザリア「…嬉しいけど、そんなところには……ふわぁぁ…っ///」

提督「ん、ちゅぅ……ちゅむ…♪」

フィザリア「あむっ、んむっ……ちゅるっ、れろっ…♪」

提督「んぅぅ、ちゅぅぅ……ん、ふぅ……んっ♪」

フィザリア「んっ、んっ、んぅっ……はぁ、はぁっ…んぅっ///」

提督「ん、ふ…ちゅむ、ちゅる……っ♪」

…数時間後…

フィザリア「はぁ、はぁ、はぁ……提督…まだ……続けるの…ぉっ?」

提督「あら、誘ったのはフィザリアでしょう? …あむぅ、ちゅるぅ……♪」

フィザリア「あっ、あっ…あぁ゛ぁ…っ♪」

提督「ふふふっ、こんなに蜜を垂らしちゃって……ん、ちゅるっ♪」

フィザリア「んぅっ、んん゛ぅっ…///」

提督「れろっ…ちゅるっ……♪」

フィザリア「あっ、あぁぁ……ん、くぅっ…///」

提督「ちゅぅ…ん♪」

フィザリア「はひぃ、んはぁ……ん、くぅ…っ///」

提督「……フィザリア♪」正対したままぎゅっと抱きしめ、とろとろになった秘所に指を差し入れた……

フィザリア「あ、あっ……あぁぁっ♪」

提督「ふふっ……フィザリアがそうして甘い声を出してくれると嬉しくなるわ♪」ぐちゅぐちゅ、にちゅっ…♪

フィザリア「はー…はー…はーっ……提督…っ、もっと……ぉ♪」

提督「…ええ♪」ぬちゅ、ぬるっ……ぐちゅり♪

フィザリア「ふああ゛ぁ゛ぁっ、あっあ゛ぁ゛ぁ…っ!」ぎゅっとしがみついたまま、提督の背中に爪を立ててかきむしるフィザリア…

提督「あっ、あぁぁん…っ♪」

………



フィザリア「…すぅぅ……すぅ……」

提督「ふぅ…ふぅ……うふふっ♪」

…ほとんど失神するような具合で眠りについたフィザリアの頭を愛蜜でべとつく手で撫でながら、肩で息をしている提督…ぐったりとはしているが甘い笑みを浮かべて、くっきりと口づけの跡をつけられた身体のあちこちを眺めている…

提督「ふふっ、明日ライモンやカヴールにこれを見られたら、どんなお仕置きをされちゃうのかしら……んふふっ♪」

フィザリア「すぅ…すぅ……」

提督「……それに、しばらくなりとも作戦の事を忘れられたわ…ありがとう、フィザリア…♪」ちゅっ…♪
577 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/09/23(月) 01:31:55.44 ID:upIrgpLO0
………

…翌朝・執務室…

カヴール「おはようございます、提督…よくお休みになれました?」

提督「おはよう、カヴール……秘書艦じゃないのに、わざわざ起こしに来てくれたの?」

カヴール「いえ、まぁ…そこは色々ありまして♪」

提督「?」

カヴール「まぁまぁ、細かい事はよろしいですから……コーヒーを淹れておきますので、その間にシャワーでも浴びてきてはいかがです?」

提督「それもそうね……あ、痛っ…」昨夜の情事の時にフィザリアに引っかかれた部分がヒリヒリする……

カヴール「……どうなさいました?」

提督「いえ、その…///」

カヴール「見せてくださいな…あら、背中にみみずばれが出来ていますね……まるでクラゲにでもまとわりつかれたようですよ?」

提督「…クラゲ、ね……」

カヴール「……いったい誰に引っかかれたんですか、提督?」にこにこと微笑を浮かべているカヴール…

提督「ねぇ、カヴール…あなた、分かってて言っているでしょう?」

カヴール「うふふっ……ばれちゃいましたね♪」

提督「…もう、いったいどういうつもり?」

カヴール「いえ…昨日の提督は秋季作戦の事で随分と頭を抱えておられるようでしたし、その調子ではゆっくりお休みになれないだろうと…ですが、艦娘の誰かと一晩たっぷりと愛し合えば、きっと寝つきが良くなるかと思いまして……また、ちょうどフィザリアも身体の火照りを抑えきれないでいたようでしたので♪」

提督「……フィザリアを焚きつけたの?」

カヴール「まぁ、人聞きが悪いですね…わたくしはただ「今夜はアッチアイーオが哨戒任務で、デルフィーノもお部屋に戻ってしまいましたね…」といっただけですよ♪」

提督「あのねぇ、私は「小ナポレオン」じゃないのよ…?」


(※「ナポレオン三世」あるいはルイ・ナポレオン…カヴールは親仏派の宰相ではあったが、イタリア統一の障害になりうるフランスの外交方針の情報を入手するべく貴婦人「カスティリオーネ伯爵夫人」であり、同時にクルティザン(超高級娼婦)でもあったヴィルジニア・オルドイーニを送り込み、ナポレオン三世はそうとは知らず自分の考えなどをしゃべっていた……ちなみにオルドイーニはナポレオン三世の没後、混乱に乗じてパリ占領を目論んだビスマルクを「説得」してあきらめさせたと言われ、イタリア諜報史上一番の大金星を挙げた人物だとされている)


カヴール「ふふ、分かっております♪」

提督「むぅ…」

カヴール「それで、昨夜は悩み事を忘れてお休みになることができましたか?」

提督「……おかげさまで///」

カヴール「うふふっ、それはよかったです…♪」

提督「ふぅ、カヴールにはかなわないわ…シャワーを浴びてきます」

カヴール「ええ、ごゆっくり♪」

提督「はいはい……まったくもう♪」

カヴール「…うふふっ♪」

578 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/09/25(水) 02:59:38.86 ID:AunuPXcJ0
…朝食後・作戦室…

提督「…さてと、それじゃあ取りかかるとしましょう……みんな、色々と手伝ってちょうだいね?」

デルフィーノ「はい、提督っ」

アッチアイーオ「当然じゃない…他でもない提督のためだも…の…///」

カヴール「私も手伝いますから大丈夫ですよ」

デュイリオ「海戦の事でしたらわたくしにお任せください…それと、これが終わったら提督にはあまーいご褒美を差し上げますから……うふふっ♪」肩に止まらせたカラスを指先で軽く撫でながら、甘い笑みを浮かべるデュイリオ…

ザラ「何でも言って下さいね、提督」

ポーラ「遠慮はいりませんからねぇ〜?」

ライモン「わたしにできる事があったらなんなりとおっしゃって下さい」

ガリバルディ「ま、私もいるんだから…後ろに「千人隊」が控えている気持ちでいてちょうだい♪」

マエストラーレ「私たちも駆逐艦の代表として頑張らせてもらうわ…そうよね?」

ジョスエ・カルドゥッチ(駆逐艦オリアーニ級)「もちろん。…それにしてもこのそうそうたる顔ぶれ……私の敬愛する偉人たちがこんなにいて、興奮が収まりそうにないです///」

レオナルド・ダ・ヴィンチ(大型潜マルコーニ級)「確かに…ぞくぞくしてくるわ♪」

アミラーリオ・ディ・サイント・ボン(大型潜カーニ級)「同感ですな。この面子となると、本官もいささか気おくれしてしまいますよ」

ガッビアーノ(ガッビアーノ級コルヴェット「カモメ」)「…そうかもね……チコーニャ、何か食べる物もってない?」

チコーニャ(ガッビアーノ級「コウノトリ」)「もう、お姉ちゃんってば……これから作業するんですよ? …ビスコッティでいいですか?」

ガッビアーノ「ん…あむ……」

提督「ふふ…ガッビアーノは相変わらずね♪」普段通り食い意地が張っているガッビアーノを見て思わず笑い出し、あれこれと思い悩んでいた気分が少し晴れた…

提督「…えー、では気を取り直して……これから作戦計画の立案を行います。どんな細かい事でも気が付いたら遠慮なく言ってね?」

一同「「了解」」

………



提督「…んー……まずはデータベースで調べてみないと……えーと、年度を選んで…「イオニア海管区」の「輸送作戦」…海域は「リビア方面」…と……」


…とりあえずイタリア海軍のデータベースで、命令書の「別紙」に添付されていた別の鎮守府の(失敗した)作戦を詳しく調べることにした提督……添付資料には在タラントのどこの鎮守府が実施して成否はどうだったか、そしてどんな艦が参加したのか……と、大まかな経緯だけしか書いていないが、データベースにはこれまで実施された各鎮守府の作戦の詳細と海図、そして参加艦艇や航空機の一覧がぎっしり記載されていて、年度や海域、管区、おおよその作戦目標などを入力するだけで検索できるようになっている…


提督「えーと…あぁ、あったわ……って、えぇ?」

ライモン「どうしました?」

提督「いえ…こんな行き当たりばったりの作戦で上手く行くようだったら、世の中の提督たちは頭を痛くしないで済むでしょうよ……」

ライモン「……あの、わたしが見ても大丈夫ですか?」

提督「もちろん。貴女たち「艦娘」はいわば当事者だもの」

ライモン「では、横から失礼しますね……あぁ、なるほど…」

デュイリオ「…まぁ、あきれてしまいますね」

提督「ね?」

デュイリオ「ええ…提督の作戦が上手くいったのは、主力艦隊を陽動で出撃させて水上艦艇を引きつけたり、綿密な航空支援の計画を立てたからですのに……援護も何もなしにただ輸送潜を送り込むのでは、哨戒中のコルヴェットやフリゲートに捕捉されてしまうに決まっています」

提督「実際その通りになっているわ……ほら「…護衛駆逐艦およびコルヴェット数隻からなる対潜グループより爆雷攻撃を六時間にわたって受け、ディーゼル主機に損傷…作戦を中止し、電動機にて帰投す」ってなっているわね」

カヴール「…提督が作戦を成功させたので、簡単な任務だとあなどったのでしょうね」

提督「うーん…むしろ先任として「新参者」の私より少ない消費で作戦を成功させようとしたんじゃないかしら……」

アッチアイーオ「どっちみち、付き合わされる方としてはいい迷惑だわ」

提督「まったくね……よその鎮守府だけれど、出撃した娘が撃沈されなくてよかったわ…」

ザラ「私たちはそうならないように、しっかり作戦を練らないといけませんね?」

提督「ええ。今日は一日中ここで缶詰めになるくらいの気持ちで…ね♪」

ザラ「はい」
579 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/09/26(木) 02:40:45.95 ID:+a4vyBsG0
…午前中…

提督「…デルフィーノ、資料棚から『リビア・ボン岬方面・その2』って書いてあるファイルを取って来てもらえる?」

デルフィーノ「了解です」


…ローマにいた時から暇な時間を見つけると、データベースにアクセスしては各鎮守府の様々な作戦計画を眺めていた提督……鎮守府に着任してからは役に立ちそうな過去の作戦や気になる情報を見つけては印刷して、資料棚のファイルに収めていた……それを次々と持ち出しては、参考になりそうな航路や護衛計画を探した…


ザラ「提督、海図を持ってきました」

提督「ああ、ありがとう……ライモン、気象課から来週と再来週の気象通報が届いていたわよね。持ってきてもらえる?」

ライモン「ここにありますよ」

提督「さすがライモン、気が利くわね……それじゃあ後は透明シートを…カルドゥッチ、そっちのすみっこに重石を載せてくれる?」

カルドゥッチ「了解」

提督「あ、もうちょっとそっち側を引っ張って……そう、それでいいわ」…テーブルいっぱいに広げられたイオニア海の海図に書き込み用の透明シートをかぶせ、赤や青の油性ペンを取り出した……

提督「うーん……まずは輸送する物資の重さと体積を考えて輸送する艦を決めないと……」

ライモン「そうですね」

提督「と言っても、これだけの物資を高速で運ぶとなると…軽巡には少し厳しいわね」

ガリバルディ「そうね。あの時のジュッサーノたちみたいに、艦橋にまでドラム缶やらなんやらを載せて…っていうのは願い下げにしたいわ」

提督「…となると、やっぱり……」

………



ディアナ「…お呼びでしょうか、提督?」

提督「ええ、実はね……今度の作戦、ディアナに物資の輸送をお願いしたいと思っているの」

ディアナ「はい。わたくしも内心そうではないかと思っておりました」

提督「…普段は厨房で料理を任せているばかりなのに、急に作戦に参加してほしいなんて言われて戸惑うかもしれないけれど……え?」

ディアナ「ふふ、ですから存じておりますよ…当時から「高速輸送任務」と言えばわたくしがよく担当しておりましたから」

提督「あー、まぁ…それはそうだけれど、今まで練度維持の基礎訓練以外で出撃する機会はなかったし……大丈夫?」

ディアナ「はい」

提督「…もし難しいと思ったら、いつでもそう言ってくれてかまわないわよ?」

ディアナ「お気づかい嬉しく思います……ですが、わたくしとて海軍に籍を置く「艦娘」の一人ですので」

提督「そう…では、お願いするわ」

ディアナ「よしなに…♪」

提督「…ありがとう、助かるわ」

ディアナ「お気になさらず……ですが、困りましたね…」

提督「…何か問題があるの?」

ディアナ「ええ、少々気にかかる事が…」

カヴール「それは穏やかではありませんね……どこか具合でも悪いのですか?」

ディアナ「そうではありませんが…わたくしが出撃している間、ここの食事は誰がまかなえばよろしいのでしょう?」

ガリバルディ「ぷっ……くくくっ♪」

マエストラーレ「…提督が頭を抱えるような厳しい作戦を前にして、それが気になるの?」

ディアナ「ええ……日々の活力として、三度の食事は大切ですし…」

アッチアイーオ「大丈夫よ、うちにはエリトレアだっているじゃない」

ディアナ「それもそうですが、彼女一人では荷が重いでしょうから……作り置きでもしておきましょうか」

提督「ふふっ、それに関しては任せるわ…♪」

デルフィーノ「ふぅ…作戦に関わることじゃなくて良かったですよぅ……」
580 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/09/30(月) 01:49:14.97 ID:mX6Y8wpl0
…昼時…

提督「…ふぅぅ……」

グレイ提督「…お疲れのようですわね、カンピオーニ提督?」

提督「ええ、まぁ…こんなに頭を使ったのは久しぶりですから……」

グレイ提督「分かりますわ。それと……もし、何らかの助言が必要であったり、気にかかるような事がおありでしたら……わたくしでよろしければお答えいたしますけれど…?」

提督「ありがとうございます、メアリ」

グレイ提督「いいえ…こういう時は「お互い様」でしょう?」

ヴァイス提督「私も同様です、カンピオーニ提督……もっとも、たかだか中佐の私がカンピオーニ提督に「教える」などということはあり得ませんが…」

提督「まぁまぁ、そう謙遜なさらずに…」

ビスマルク「その通り……司令はモルトケやグーデリアンとまでは言わんが、優れた叡智と能力の持ち主なのだからな」

ヴァイス提督「よせ、私ごときでは足元にも及ばない名将たちだぞ…まったく、何てことを言うのだ///」

ビスマルク「なに、そう恥ずかしがることはあるまい…確かに司令にロンメルのような縦横無尽の機略はあまりない……が、しかしだ…」

ヴァイス提督「やめないか!」

ビスマルク「…冷静にして手堅く、与えられた任務は確実にこなす……実に大したものだ」

ヴァイス提督「この…っ///」

ティルピッツ「…姉上…っ!」

ビスマルク「何だ、別に嘘を言っている訳ではあるまい?」

グレイ提督「まぁまぁ…信頼が厚いようで微笑ましいですわ♪」

ヴァイス提督「///」

エリザベス「…それにしても、モルトケにグーデリアン、ロンメル……あら、どれも陸軍の方ばかりでいらっしゃいますね?」

ビスマルク「ぐっ……まぁわが国には陸軍だけでも名将がきら星のごとくいるのだ…あのモントゴメリーを「名将」にカウントするような、どこかの島国とは違ってな」

エリザベス「…」

提督「あー…とにかく、午後になったら作戦室におりますから……よかったらおいで下さい」

グレイ提督「お伺いいたしますわ」

ヴァイス提督「ヤー…私もお邪魔させていただきます……」

エリザベス「ふふ「名将」がいらっしゃるようですから安心ですわね…」

ビスマルク「…っ」

グレイ提督「エリザベス」

エリザベス「ふふ、軽い冗談ですわ♪」

………

581 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/10/02(水) 01:27:44.45 ID:mwjTT0PS0
…午後・作戦室…

提督「…うーん……」

デュイリオ「どうかなさいましたか?」

提督「いえ…まずはしっかりした護送計画を立てないといけないから、ルートを決めないといけないのだけれど……沿岸に沿って航行して、メッシーナ海峡の沖で南南西に転針…後はシチリア島、マルタ島を横に見ながらリビアに接近するのが一番かしら……15ノットだと…時間で……18ノットだと……あー、燃料が厳しくなるわね…」ディバイダーと定規を手に眉をひそめ、ぶつぶつとつぶやきながら海図にかぶせた透明シートへ線を描き入れる…

ライモン「…航路としてはそれが一番かと思います」

提督「そうね…これなら航路の大半が制空権を持っている範囲になるし、そうなれば上空援護ももらいやすいから……制空権内なら低速のカント水偵でも問題なく飛べるでしょうし…もっとも、マルタ島沖からトリポリまでは航空優勢が確立されていないから、高速で航行してもらう事になるけれど…」

ガリバルディ「ま、こちらとしては誤爆さえなければ十分よ」

提督「そうね、そこは十分注意するようにしましょう…それから護衛艦艇だけれど、直接援護と間接援護の部隊をつける必要があるわね」

ライモン「はい」

提督「……となると、直衛の艦艇は駆逐隊が四隻くらい…間接援護は……」

ガリバルディ「とりあえず私がつくわ…どうかしら?」

提督「そうねぇ…となると、ガリバルディを旗艦に軽巡が二、三隻と駆逐艦が一隊……」

マエストラーレ「船団そのものはそれでいいんじゃないかしら?」

提督「うん、そうね…後は天気と潮の具合だけれど……うーん、なかなか都合のいい日がないわね……」カレンダーに天気予報、月齢図、潮汐表を並べて考え込んでいる…

ライモン「あー、言われてみればそうですね……」

提督「ええ……この前失敗した鎮守府ときたら大潮の夜…しかも干潮時に潜水艦の娘をリビア沿岸に接近させているんだもの……そんなことをしたら行動余地海面が狭くなるに決まっているでしょうに…」

ライモン「満ち潮に合わせて入港させたかったんでしょうか?」

提督「そうでしょうね、そうすれば主機の出力にプラスして一ノットは稼げるから…それにしたって、深海棲艦がうろうろしている沿岸で潮待ちさせるなんてどうかしているわ」大きく両手を上に向けて、あきれたように肩をすくめた…

………



…数十分後…

提督「…さてと、次は護衛の艦に誰を選ぶかだけれど……カルドゥッチ、鎮守府の装備リストを持ってきて?」

カルドゥッチ「了解」

提督「うーん…やっぱり駆逐艦は同クラスで揃えたいところよね」

ガリバルディ「そうね、その方が何かと都合がいいし」

提督「……そうなるとやっぱりソルダティ級…でもあの娘たちには夏の作戦で頑張ってもらったから、あんまり毎回っていうのも……ここはオリアーニ級かマエストラーレ級かしらね…」

マエストラーレ「だったら直接護衛は任せて、提督……オリアーニたちは間接護衛の隊に入れてあげて?」

提督「そう言ってもらって助かるわ…そうなると後部の魚雷発射管と測距儀は降ろして、その分37ミリ機銃を増備……と」

カルドゥッチ「そうでしょうね」

提督「ええ…幸いなことに、うちには37ミリ機銃のストックが結構あるから四隻分くらいは捻出できるし……」

カヴール「だいぶ計画が固まってきましたね…♪」

提督「ええ、おかげさまで…あとは航路前方の哨戒を兼ねて中型潜を数隻展開させて、それから通信の中継役に大型潜を二、三隻……うちの戦闘機隊はグロッタリーエからトラーパニ(シチリア島)に進出させておいて…水偵はここから直接発進させるのと、ブリンディシに置いている機体でまかなって……シチリアで一旦降ろして再補給させればマルタ沖までは十分援護できるし…」

ガリバルディ「ま、その辺りはアヴィエーレが詳しそうよね」

………


582 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/10/06(日) 03:09:57.14 ID:7ge6ZCtf0
…しばらくして…

提督「…ふぅ…ようやく形になったわね……」軽く一つため息をついて、肩を回した…

カヴール「お疲れ様です」

グレイ提督「…その様子ですと、作戦計画が決まったようですわね?」まるで銃弾のようにイタリア語が飛び交っている中、海図を眺めながら優雅に立っていたグレイ提督と、読み取れる限りの記号や符号を読み取って、少しでも護衛計画の詳細を理解しようと悪戦苦闘していたヴァイス提督…

提督「ええ…とはいえ私も海上護衛任務は初めてですから、その道の玄人(プロ)に意見を仰ぎたいところなのですが……グレイ提督」

グレイ提督「なんでしょう?」

提督「…護送計画を立ててみたので、見てもらえますか?」

グレイ提督「ええ、もちろんですわ…玄人などというほどではありませんが、これでも船団護衛の経験は多少ありますから」

ヴァイス提督「あの…私も見せてもらってよろしいですか? …なにせ私は海上護衛任務の経験がないものですから、よい勉強になるかと」

提督「ええ、いいですよ……それでは護送計画ですが、物資の輸送を担当する「ディアナ」には直接護衛と間接護衛の部隊をつけます…直接護衛の駆逐艦はディアナを中心に「ひし形」を構成し、前方と左右の艦はそれぞれの警戒にあたり、後ろの艦は遊弋(ゆうよく)しながら、必要次第で対潜攻撃を実施します……」

…数分後…

提督「……といった具合ですが、どうでしょうか?」

グレイ提督「…なるほど、初めての護送計画とは思えないほどよく練られておりますね……基本はこれで良いと思いますわ」

提督「そう言ってもらえて安心しました」

グレイ提督「ふふ、わたくしとていつでも「イヤミな伯母さん」の役どころというわけではありませんから…ただ少々気になったのが、直接護衛グループの後衛に駆逐艦が一隻しかいないことですわね」

提督「ディアナ一隻に四隻の護衛では足りないでしょうか…?」

グレイ提督「いいえ。確かに一隻の輸送船に四隻の駆逐艦が付くというのは、わたくしの経験で言えば「ぜいたく」と言っていいほどの十分な護衛です…」北大西洋や地中海での厳しい海上護衛任務をこなしてきたグレイ提督だけに、いつもより雰囲気が険しい…

グレイ提督「……とはいえ、お国の駆逐艦には水中聴音機こそありますけれど「アスディック」はありませんし…」


(※アスディック(ASDIC)…英国の「対潜兵器研究委員会」の頭文字から取ったアクティブ方式の音響探知機で、それまでの(ただ水中の音を聞き取るだけの)水中聴音機と違って、自艦から音響パルスを発してそのエコー(反響)を捉えるので、静かな相手や多少の海の音響の乱れにも影響されず敵潜の探知が可能だった。名前としては後にアメリカで付けられた「ソーナー」の方が広く知られている……ちなみに水中の方が音が遠くまで届くことを発見し、それを聞き取る装置は(やっぱり)レオナルド・ダ・ヴィンチが発明したとされている)


グレイ提督「…それに「ヘッジホッグ」や「スキッド」のような前方投射系の対潜兵器もありませんから、どうしても対潜戦ではハンデになりますわね……これが後衛として駆逐艦二隻がいれば交互に攻撃を行って、捕捉した潜水艦に「頭を上げさせないで」おくことができますから、その間に敵潜を振り切る事ができますわ」


(※ヘッジホッグ/スキッド…どちらも大戦中に英国が開発した対潜迫撃砲で、小型の「ヘッジホッグ」(ハリネズミ)とそれを強化・大型化した改良タイプの「スキッド」(ヤリイカ)があり、「ヘッジホッグ」「スキッド」ともに多連装の発射機から特定の散布パターンで発射される。特徴として前方投射できるので、アスディック(ソーナー)で捕捉さえすれば、今までのように敵潜の上を通過しながら投射する「ドラム缶」型の爆雷と違い、爆発時の水中衝撃や水柱による自艦への影響を気にせず撃ちだすことが可能、水中衝撃の範囲内から慌てて離れる必要もないので敵潜を失探する可能性が低い、一発ごとの弾体は小さいことから海中の音響をあまり乱さず、投射後の探知に影響が少なく攻撃を継続しやすく、かつ小型艦艇にも多数搭載できる……と、多くの面で優れていたことから対潜戦で大いに威力を発揮し、連合軍側の護衛艦艇から大変重宝された)


提督「なるほど…」

グレイ提督「ですからわたくしは「ディアナ」を中心にひし形…ではなく「五角形」に護衛艦艇を配置すればよろしいと思います」

提督「よく分かりました…とても参考になります」

グレイ提督「いえ、お気になさらず……あとはご友人の百合野准将にお聞きすれば、また違った意見も聞くことが出来るかと存じますわ」

提督「そうですね」

………



583 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/10/11(金) 03:13:07.95 ID:ajEFFSy80
提督「…さてと、それじゃあヴェネツィアに電話をするとしましょうか……」

ライモン「それでは、その間にお茶とお菓子を用意しておきますね」

アッチアイーオ「あ、ちょっと…!」

ライモン「どうかしました、アッチアイーオ?」

アッチアイーオ「それは秘書艦の役目なんだから、ライモンドがやることはないでしょ…私がやるわ」

ライモン「確かにそうかもしれませんね。 でも、わたしは自分の手で提督にお茶を淹れてあげたいので…」

アッチアイーオ「いいから、私がやるってば……私だって提督のためにお茶の準備がしたいし…///」

ライモン「なんです?」

アッチアイーオ「なんでもないわよ…っ///」

提督「……二人の気持ちはとても嬉しいから、仲良く交代で淹れてくれるかしら?」

ライモン「はい、分かりました」

アッチアイーオ「…提督がそう言うなら」

提督「結構♪ それじゃあ姫に電話をかけてくるわ」

…ヴェネツィア第三鎮守府・客室…

龍田「んー…髪が上手くまとまらないわ……」地元との交流レセプションで「日本文化に触れてもらう」と言うことから、着物姿で出席する予定の百合姫提督たち……が、龍田は結い上げた髪が上手く決まらずに、しきりに鏡に向かって顔を動かしている…

足柄「どれ、ちょっと貸してごらんなさいな…」

龍田「ありがとう、助かるわぁ…」

足柄「お礼なんていいわよ……こっちは空気が乾いているし水も硬水だから、髪質に影響が出るのよね…」龍田の後ろに立つと髪留めピン数本を口にくわえ、手際よく髪をまとめ始めた…

龍田「…相変わらず上手ねぇ♪」

足柄「おだてても何も出ないわよ……っと、こんな時に電話?」

龍田「しかも外線ね…しかも提督が席を外している時に……」

足柄「私が取るわよ……もしもし?」

提督「…もしもし、足柄?」

足柄「そうよ……うちの提督に用事かしら?」

提督「ええ。 …貴女の声も素敵だけれど、ちょっと姫に代わってもらえるかしら?」

足柄「…もちろん、と言いたいところなんだけど……間の悪いことに、ちょうど席を外しているところなのよね…」

提督「あら、そう…ちょっと姫に教えてもらいたい事があったのだけれど……」

足柄「うちの提督に聞きたい事、ね……もし答えられるようならことなら代わりに教えてあげるけど、どうする?」

提督「そうねぇ…聞きたい事っていうのは海上護衛戦とか、護送船団についての事なのだけれど……」

足柄「あー、そう言うことについてならうちの提督に聞くのが一番いいわ…何しろ船団護衛では右に出る提督がいないってくらいだもの。当時の海上護衛総隊にいれば「ヒ船団」や「マタ船団」だってああはならなかったでしょうよ……」

百合姫提督「…ただいま……あら、電話中?」

足柄「あ、ちょうどいい所に戻って来てくれたわね…タラントのカンピオーニ提督から、船団の護衛について聞きたい事があるんですって」

百合姫提督「分かった、代わるわね……もしもし?」

提督「あぁ、姫…ちょうど良かったわ♪」

百合姫提督「うん、どうしたの?」

提督「実はかくかくしかじかで……」


584 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/10/13(日) 02:09:51.86 ID:jbSkiOQ70
…こちらは無事でしたので明日あたりまた投下する予定ですが、読んで下さっている皆様におかれましては、台風の被害は大丈夫だったでしょうか……台風が行き過ぎてもしばらくは増水などが残りますから、くれぐれも安全には気をつけて下さいね……
585 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/10/14(月) 03:11:53.28 ID:+2otqmWc0
提督「…と言うわけで、今の所はこんな感じなのだけれど……姫はどう思う?」

百合姫提督「そうねぇ…グレイ提督の助言も正しいと思うし、これと言って問題はなさそうね……」

提督「本当に? 姫にそう言ってもらえると心強いわ」

百合姫提督「私なんかの意見で「心強い」と思ってもらえるなんて、ちょっとくすぐったいけれど……とにかくフランカの所の「ディアナ」は高速のフネだから、護衛艦艇は必ずしも敵潜を撃沈しなくても、相手を潜航させて船団に追い付けない程度の時間稼ぎさえできれば構わないし…これが低速の船団だと、食い下がってくる敵潜から逃げ切るだけの間合いをかせぐまでに時間がかかるし大変だけれどね……」

提督「なるほど…やっぱり経験者の意見には重みがあるわね」

百合姫提督「ええ…私が提督になってこのかた、船団護衛の任務が一番神経を使ったから……少しでも参考になれば嬉しいわ」

提督「そうみたいね…口にこそ出さなかったけれど、メアリも同じように感じていたみたい」

百合姫提督「そうだと思うわ…」

提督「あとは……そうそう、姫から「こうした方がいい」っていう助言はある?」

百合姫提督「うーん、助言って言っても技術的な面はだいたい大丈夫そうだし……心構えみたいなものならそれなりにあるけれど、聞く?」

提督「ええ、ぜひお願いするわ」

百合姫提督「分かったわ…とにかく海上護衛戦のつらいところは基本的に受け身でいなければいけなくて、いつ相手の攻撃を受けるか分からない所にあると思うの……つまり攻撃をしかけてくる側が有利な状態にあるということね」

提督「…確かに」

百合姫提督「…それと対潜戦は他のどんな戦闘とも違って基本的に相手が見えないし、時間がかかるから……しつこいくらいに粘り強く、忍耐強く行わないといけない所も大変だと思うわ」

提督「ええ」

百合姫提督「…例えばこれが対空戦なら一瞬の迅速な判断と決断が必要だけれど、対潜戦となるとそれに加えて腰を据えての駆け引きみたいなところも出てくるし……」

提督「ええ」

百合姫提督「護衛艦艇だって一隻で挑めば返り討ちに遭うことだってあるから、敵潜を探知したからと言って気安く向かわせることも出来ない…それに攻撃のために艦艇を差し向けたら、そこにできた「穴」を埋めるためにそのつど護衛艦艇の配置を変更しないといけなかったり…そう言った具合に、一手も二手も先の事を考えないといけないのも大変だし……と、こんなところかしら?」

提督「なるほど…とてもためになるわ」

百合姫提督「本当に? …よかった」

提督「ええ、そういう「心構え」みたいなところは教本で勉強できるものではないから……ありがとう」

百合姫提督「いいえ…お役にたててうれしいわ」

提督「ええ、とても助かったわ……そういう優しい所も好きよ、姫♪」受話器越しに投げキッスの音を送る提督…

百合姫提督「も、もう…///」

………

ライモン「…いかがでした、提督?」

提督「ええ、いろいろと有益な話が聞けたわ…あら、コーヒーをありがとう」

ライモン「はい♪」

アッチアイーオ「夜は私が淹れてあげるわね」

提督「ええ、お願いするわ…さて、これでおおよその計画は固まったし、後は参加する娘たちによく練習しておいてもらわないと……それと私もね」

デルフィーノ「え……提督も出撃するんですか?」

提督「ええ、夏の作戦の時はここに居座っていたけれど…今度は一緒に出るつもりよ」

ライモン「あの、それは……その…」

提督「大丈夫、みんなならきっと無事にやりとげてくれると信じているわ……それに自分がやりたくないような作戦に、貴女たちだけを送り込んでのほほんとしていられるわけがないでしょう?」

ライモン「…て、提督///」

提督「ふふ、私だって肩に「二つ星」をつけているんだもの…たまにはそれらしく振る舞わないと、ね♪」軽く微笑んでウィンクを投げた…

………

586 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/10/18(金) 00:49:05.89 ID:NaM/LutR0
…化粧室…

提督「…と、格好を付けてみたはいいものの……」


…洗面台の鏡に向かいつつとっくりと考えると、少しづつ不安になってきた提督…もちろん艦娘たちへの愛情や想いに嘘はないが、自分や艦娘たちの生命もかかるとなると穏やかな気持ちではいられない……


提督「うぅん…でも皆が出撃しているっていうのに、私だけ鎮守府に残っているなんていうのもいたたまれないし……」

シロッコ「…提督、また悩み事?」

提督「あぁ、シロッコ……えぇ、まぁ…」

シロッコ「ふふ……その様子だと「私の作戦で怪我をする娘が出るんじゃないか」とか「もっといい作戦があるんじゃないか」とか、そんな取り越し苦労をしている…ってところかしら……」

提督「…よく分かったわね?」

シロッコ「ふふふ、提督ってば夏季作戦の時もそうだったもの…」

………

…さかのぼって・夏季作戦の直前…

提督「うーん……うぅん…」

シロッコ「…提督、どうしたの?」

提督「いえ…今回が私にとって初の大型作戦なのだけれど、「提督」の経験がない私が立てた作戦で大丈夫か心配で……」

シロッコ「提督」

提督「なぁに、シロッコ?」

シロッコ「…私はね、新しい世代の海軍は女が率いると思っているんだ」

提督「ずいぶんといきなりね……でも、海軍はそこまで変われるかしら?」

シロッコ「変えるのよ……もしかしたら、提督…それをやるのは貴女かもしれない」

提督「……シロッコ…」

シロッコ「…私は提督の可能性を信じているわ」

………



提督「…あの時はシロッコの一言のおかげで随分と自信が持てたわ」

シロッコ「ふふ……なにせ「歴史の立会人」たる私だもの…今度の作戦も上手く行くわ」

提督「ありがとう」

シロッコ「どういたしまして……あと、「ディアナ」の護衛は任せておいてちょうだい」

提督「……まだ誰もしゃべっていないのに、どうして分かったの?」

シロッコ「さぁ、どうしてかしらね…♪」

提督「…」

587 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/10/18(金) 02:38:41.80 ID:NaM/LutR0
…食堂…

提督「……では、作戦に参加する艦娘と作戦計画を伝達します」

デルフィーノ「はい」

提督「まずは輸送艦として通報艦(高速スループ)の「ディアナ」…それを護衛する直接援護の駆逐隊にはマエストラーレ級の四隻「マエストラーレ」「リベッチオ」「グレカーレ」「シロッコ」と、さらに「ソルダティ」級から「コラッツィエーレ」と「レジオナーリオ」を参加させます」

ディアナ「…よしなに」

マエストラーレ「ディアナ、貴女には深海棲艦の指一本だって触れさせはしないわ♪」

提督「それから、深海側の駆逐隊などが出撃してきた場合に備えて、軽巡「ジュゼッペ・ガリバルディ」「ライモンド・モンテクッコリ」「ジョバンニ・デッレ・バンデ・ネーレ」およびオリアーニ級駆逐艦の四隻「アルフレド・オリアーニ」「ヴィットリオ・アルフィエリ」「ジョスエ・カルドゥッチ」「ヴィンチェンツォ・ジオベルティ」からなる間接護衛グループを編成します……旗艦はガリバルディ、お願いね」

ガリバルディ「ええ…提督の言うことなら「オッベディスコ(従う)」だから安心して♪」

提督「グラツィエ……また、重巡以上の強力な敵水上艦艇が迎撃してくる場合に備えて戦艦を中心とした支隊を「影の護衛部隊」とし、船団から距離を空けて随伴させます…」

チェザーレ「…なるほど」

提督「……この支隊は旗艦「リットリオ」を中心に重巡「トレント」「トリエステ」およびフォルゴーレ級駆逐艦の「フォルゴーレ」「フルミーネ」「バレーノ」「ランポ」の四隻で構成し、タラント・マルタ・ベンガジ(リビア)沖を結んだ三角形の哨戒ルートを航行…必要に応じて船団の援護に駆けつけます」

リットリオ「はい♪」

スクアーロ「…提督、私たち潜水艦隊は?」

提督「安心して、今からその話をするわ……潜水艦隊は側面警戒と無線通信の中継を兼ねてタラント湾、メッシーナ海峡、マルタ島、シルテ湾(リビア)の沖に展開します。特にシルテ湾沖は深海棲艦の出現が見込まれるので、担当の娘は十分警戒するように」

ルビノ(中型潜シレーナ級「ルビー」)「それで「シルテ湾」担当は誰になるの?」

提督「ええ、ちょっと待ってね……まず「タラント湾沖」は少し哨戒ルートに手をくわえますが、基本は普段通りに作戦日の当直艦が哨戒につきます」

ヴォルフラミオ(中型潜アッチアイーオ級「タングステン」)「…なるほど」

提督「それからメッシーナ海峡は「アントニオ・シエスタ」…友軍の制空権下にあるから危険度は少ないけれど、長時間にわたって哨戒してもらう事になるから、航続距離の長い貴女にお願いするわ」

アントニオ・シエスタ(大型潜バリラ級)「はい、了解しました…ぁ」

提督「…哨戒中に寝こけたりしないようにね?」どっと笑いが起きる…

シエスタ「もう、そんな事ありませんってば…ぁ///」

提督「よろしい……それからマルタ沖は船団と鎮守府、あるいは戦艦隊などとの通信を中継する役目だから…グリエルモ・マルコーニ。貴女が一番の適役ね」(※マルコーニ…無線電信の発明者)

マルコーニ(大型潜マルコーニ級)「ん、通信なら任せて」

提督「ええ……そしてシルテ湾沖は「デジエ」「アクスム」の二人にお願いするわ…もし深海側の水上艦艇を発見したら船団への脅威にならないよう、積極的に攻撃すること」

デジエ(中型潜アデュア級)「任せておいて、提督。だってアクスムと一緒だもの…ね♪」

アクスム(アデュア級)「ええ…デジエ♪」お互いに指を絡めて身体を寄せ合っている……

アラジ(アデュア級)「まったく、お熱いんだから…」

提督「こほん……話を続けてもいいかしら?」

デジエ「はい」

アクスム「どうぞ♪」

提督「あー……上空の援護に関してはうちから発進させる「メリジオナーリRo43」水偵と「カント・Z506」水偵、それにグロッタリーエの空軍基地に置いてあるうちの「フィアット・CR42」戦闘機が…マルタ島より先の制空権がない空域に関してはシチリアのトラーパニにうちの「マッキ・C202」戦闘機と「サヴォイア・マルケッティSM79」雷撃機を作戦に先だって展開させ、援護出来る態勢をとります…」

アヴィエーレ「…提督、一ついいかな?」

提督「どうぞ?」

アヴィエーレ「夜間の上空援護が必要なら「CR42・CN」が三機だけあるけど……使わないのかい?」

提督「ええ…それも考えたけれど、フィアット夜戦と言っても夜間に長距離進出できる特別な航法装置があるわけでもないし、それはあちらの軽爆や雷撃機も同様で夜は大人しくしているから……夜間に戦闘機を飛ばすことはしないわ」

アヴィエーレ「了解だ」

提督「……他に質問は?」

提督「よろしい。それでは作戦に参加する全員は無事に帰って来られるよう、当日までよく練習に励むこと……以上!」

588 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/10/21(月) 02:22:53.80 ID:SzJ6ROYr0
…お話の続きを投下する前に、名前を登場させた機体の紹介を一つ……長いので読み飛ばしてくれても大丈夫です


フィアットCR42「ファルコ」(鷹)戦闘機

合計で1000機以上生産された、イタリア王国空軍の(数の上では)主力となった複葉戦闘機。
愛称は「ファルコ」(鷹)で、正式名称についているアルファベットの意味はメーカーごとに異なるが、フィアットの場合は主任設計士(この場合チェレスティーノ・ロザテッリ)の頭文字をとっている。


武装は「12.7ミリ・ブレダ・サファト(SAFAT)」機銃が二挺と、イタリアの戦闘機としてはごく普通。

CR42戦闘機の前作である「CR32」複葉戦闘機が、スペイン内乱で交戦した共和派の「ポリカルポフI-15」「I-16」などに対してほどほどに戦うことができたことと、単葉戦闘機の性能がまだそこまでではなかったことから「複葉機でも十分に戦える」という勘違い、イタリア空軍の操縦士たちが(今でもイタリア空軍が得意な)アクロバットや旋回戦ばかり練習していて、技術面で保守的だったことから「戦闘機は開放風防で」(もっとも当時は無線機がなかったり性能が悪かったりしたことから機上のやり取りは手信号だったことと、風防ガラスが綺麗に作れずゆがんで見えたりくすんだりと見づらかった事もあるが…)「水平格闘戦で勝てることが一番だ」という意見が強く、世界の流れに乗らず複葉固定脚という形で設計された。


…とはいえそれでは性能が心もとないと、当時の戦闘機としては強力な「フィアット・A74RC38」(空冷840馬力)という高出力のエンジンを選択し、最高速度は約430キロを出した…その複葉機にしては高い性能から「最後の複葉戦闘機」や「世界最速の複葉戦闘機」などと言われた…開戦当初は英軍が配備していた「グロスター・グラディエーター」複葉戦闘機などを相手に互角に戦えたが、ハリケーンやスピットファイアが出現し始めると一気に劣勢に……おまけになまじ速度があったため複葉機が得意な低速域での旋回戦に持ち込むことも出来ず、被害ばかりが増えて行った……それでもアシ(航続距離)の長さと頑丈な機体構造、整備性の良さ、また複葉機らしい軽快な動きから戦闘爆撃機として戦い抜いた



…また実戦テストを兼ねて様々な機体を使っていた「独立第377飛行隊」や、ローマやナポリの防空を請け負った「第300飛行隊」など一部の部隊では、夜間防空のために機体を黒一色で塗り、胴体下部にまで伸びる消炎排気管と主翼下にサーチライトを吊るしたCR42「CN」(カッチア・ノトゥルナ…夜間戦闘)仕様として夜間迎撃に用いた。

特に独立377飛行隊は「赤い逆三角形の中に三日月が浮かび、そこにフクロウが止まっている」部隊マークが、狙ったわけではないのに夜間戦闘機らしい……古めかしい機体ながら377飛行隊のエース(撃墜5機)、ルイージ・トルキオ中尉が見事に夜間爆撃の英空軍「ウェリントン」爆撃機を撃墜している


………

カント(CANT)・Z506「アイローネ」(アオサギ)水上偵察機

もとは郵便機や旅客機として開発された民間用の水上機に目をつけて、軍用とした単葉、「アルファロメオ126RC34」(750馬力)の三発エンジン、木製胴体に双フロート(フロートだけは波に耐えるため金属製)の大型水偵。


形式名称の「Z」は後にブレダに引き抜かれた設計者「フィリッポ・ザパタ」の名字から。
愛称は「アイローネ」で、同じくカント製で木製胴体の優秀な三発爆撃機、Z1007「アルシオーネ」(カワセミ)と響きが似ていてまぎらわしい…(機体も一部の設計を流用しているため、わざと似た響きの名前にしたのかもしれない)


Z506は、戦前にありとあらゆる水上機の記録を塗り替えた優秀な機体で、単発エンジンで機体構造も複雑だったZ501「ガッビアーノ」(カモメ)より全ての面で優れていた。
特に外部搭載量が1200キロと多く、航続距離も約2750キロと長いことから長距離哨戒や、制空権のない海域を航行する船団を攻撃することも意識して生産された。武装は前方固定、上部旋回銃座、下部張り出しの旋回銃座に装備された12.7ミリと7.7ミリのブレダ・サファト機銃。

もちろん「下駄ばき」(フロート機)なので速度は360キロ程度とさして出ないが、大戦序盤は機体の頑丈さや航続距離の長さを買われて地中海上空の哨戒などにあたった……が、英地中海艦隊に空母が加わったり、北アフリカの英軍機が洋上にまで出てくるようになったりすると損害が急増し、それ以後は救難機として洋上で脱出したパイロットたちの救出にあたって過ごした

589 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/10/21(月) 02:27:43.65 ID:SzJ6ROYr0
………

サヴォイア・マルケッティSM79「スパルヴィエロ」(ハイタカ)

言わずと知れたイタリア王国空軍で一番有名な三発の爆・雷撃機。形式番号のアルファベットは「サヴォイア・マルケッティ」の略で、資料によっては「S.79」としている物も。


元は旅客機レース用の高速旅客機と言うことで開発されたがレースそのものには間に合わず、1934年に初飛行…軍用型は「アルファロメオ126・RC34」(750馬力)エンジンを搭載し速度は430キロ前後、航続距離は1900キロで爆弾などの搭載量は1250キロと、戦前の設計にしてはなかなか。


1935年頃、ドゥーエ将軍の唱えていた「空中艦隊構想」(「近未来小説」の形で発表された論文で、いわゆる戦略爆撃を唱え、世界の空軍関係者やムッソリーニにまで感銘を与えたが、ムッソリーニは『戦闘機よりも爆撃機が重要』と戦闘機の開発や調達を二の次とし、兵力のアンバランスや戦闘機の近代化に遅れをとってしまった……また「空中艦隊」は工業生産力に乏しいイタリアには実現できず、反対に米英に実現されてしまった…)にふさわしい近代的な高速爆撃機が見つからないでいた空軍から打診されて、爆撃機として改造。

12.7ミリのブレダ・SAFAT機銃をコクピット上部のふくらみに(前方固定と後部手動旋回)各一挺、左右胴体に7.7ミリブレダ機銃を各一挺、後部胴体下面の爆撃手用ゴンドラに12.7ミリブレダ旋回機銃を一挺装備しているが、専任の銃手はおらず、操縦士を除く全員が銃手を兼任しなければならない(米軍を除くたいていの国も同じ…)ので「一度に全ての機銃が火を噴く」と言うわけにはいかなかった。


実戦デビューのスペイン内乱では共和国側のポリカルポフ戦闘機を全て振り切り「戦闘機による被撃墜ゼロ」と、頑丈で運動性がよく高速なSM79の高性能ぶりを内外にアピールしたが、第二次大戦ではハリケーンやスピットファイアなどが相手で分が悪く、輸送船団相手の対艦攻撃にシフト。腹部のゴンドラを取り払って魚雷二本を胴体に吊るした雷撃仕様の「SM79bis」となって多くの船団に猛攻を加え、かなりの損害を与えている。


機体をすっきりとリファインさせ、エンジンを1000馬力級の「ピアッジォP10・RC40」に換装した後継機「SM84」も1940年から少しづつ生産されたが、思っていたほど性能が伸びず、むしろ運動性が悪くなり、大戦中盤からはより高性能なカントZ1007「アルシオーネ」の方が多用された……それでもSM84は英戦艦「ネルソン」に雷撃を敢行するなど奮闘、一部の生き残った機体は戦後も輸送機などとして活躍した。
590 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/10/26(土) 03:15:37.68 ID:fSWdaZ0o0
…翌日…

マエストラーレ「それじゃあ速度二十ノットの時に、主軸の回転数がどのくらいになるか計測すること!」それぞれの艦ごとに微妙に速度差があるが、それでも艦隊運動の時に速度がぴったりと合わせられるよう、一定ごとの速度とその時の軸(スクリューシャフト)の回転数を測る……

ディアナ「…よしなに」

リベッチオ「よし…うん、ちょうど二十ノット♪」

グレカーレ「計測完了です」

マエストラーレ「いいわ……それじゃあ沖合十キロまで出て護衛隊形の訓練と、潜水艦たちを相手に回避行動の訓練をするわよ」

シロッコ「了解」


…鎮守府沖の海中・深度十数メートル…

スクアーロ「ふふふ…見えてきたみえてきた……白くて柔らかいお腹をさらした美味しそうなお魚さんが…♪」


…白い八重歯を光らせ、にたりと笑みを浮かべている「スクアーロ」(サメ)は、姉妹艦の「デルフィーノ」(イルカ)「ナルヴァーロ」(イッカク)「トリケーコ」(セイウチ)たちと模擬魚雷で「雷撃」を仕掛けることになっている…当然ディアナたちには攻撃のタイミングや方向を教えない実戦形式になっている…


デルフィーノ「…対象の速度二十五ノット、偏差調整を……雷速三十ノット、深度三メートル……前部の四本を扇状発射で行きますよ…ぅ」頭がよく計算も早いデルフィーノは手早く偏差を調整し、片目を細めて潜望鏡に取りついた…

スクアーロ「……発射管に注水…前扉開け!」潜望鏡に淡灰色と濃い灰色、そして艦首に白で偽の艦首波を描いた迷彩姿のディアナたちが入ってくる……

デルフィーノ「…トーレ、ドゥーエ、ウーノ…魚雷発射!」弾頭なしの模擬魚雷が鈍い音を立てて射出されると、魚雷が「シュル…ッ」と白い泡を引きながら航走を始めた…

…海上…

マエストラーレ「……左舷九○度に雷跡! …とぉぉーりかぁーじ、いっぱぁーい!」

リベッチオ「とぉーりかぁーじ、いっぱーい!」


…鎮守府の潜水艦たちを仮想敵にして、魚雷の回避と一斉回頭の訓練にいそしむディアナたち……マエストラーレたちは取り舵と面舵に特定の信号旗を決め、旗艦のメインマストに信号旗が揚がると同時に各艦もすぐ同じ旗を揚げ、信号旗が降りた瞬間に舵輪を回す……信号旗に合わせて一糸乱れぬ動きが出来るよう、今はそれぞれが直接護衛グループの旗艦「マエストラーレ」に目をこらしている…


マエストラーレ「…グレカーレ、回頭の入りが遅いっ!」

グレカーレ「うぅ、ごめんなさい……ここからだと信号旗が見づらくて…」マエストラーレの真後ろに配置されているグレカーレからは、はためく信号旗が何色なのかも見分けにくい…

マエストラーレ「だったら他艦と見比べる! …海の600メートルなんてすぐ距離が詰まっちゃうのは分かっているでしょうが!」

グレカーレ「…っ、了解!」

トリケーコ「……ふふ、上手上手…でも、ね♪」ドシュッ…!

シロッコ「…右舷に雷跡!」

マエストラーレ「……っ、両舷全速! 面舵一杯!」最初の雷撃をかわして船団が真横を向いた所に、第二撃の魚雷が航走してくる…

ディアナ「おもーかぁぁーじ、いっぱぁーい!」32ノットと駆逐艦並みの高速を誇るディアナだけあって、優雅に波を切りながら二本の雷跡の間をすり抜けた…

トリケーコ「…むぅぅ、なかなかお上手だこと……」

ナルヴァーロ「……トリケーコも外したようだし、今度は私が…前部一番から四番、撃て!」

マエストラーレ「左舷に雷跡、取り舵一杯!」

グレカーレ「とぉーりかぁぁーじ、いっぱぁーい!」

リベッチオ「……っ、間に合わない!」ぎりぎりの所で避けきれず、白い雷跡が艦尾に届くと「ゴン…」と鈍い音がした…

マエストラーレ「あぁ、もう…もうちょっとだったのに……!」

リベッチオ「……ごめんね、お姉ちゃん…」

マエストラーレ「謝らなくていいわ……もっとも、その分練習するように!」

リベッチオ「はぁ…い」

シロッコ「…まったく、スクアーロたちもやってくれるね」

ディアナ「ふぅ、最後の斉射はわたくしもひやりといたしました……」

マエストラーレ「そうね……でも深海の連中はもっといろんな手を使ってくるはずだし、このくらいは回避できないと困るわよ…」

591 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/10/28(月) 02:59:44.56 ID:Vzx2CwQ/0
…一方…

ガリバルディ「まったく…旗艦だから提督を乗せているけれど、ライモンドに嫉妬されそうで怖いわね♪」

提督「大丈夫よ、ライモンはいい娘だもの。任務に必要なことで怒ったりすねたりはしないわ」

ガリバルディ「まったく、惚気てくれちゃって……」と、ふいに目を細めると水平線に目をこらした……

提督「…」提督も慌てて首にかけている双眼鏡を引っつかみ、水平線近くを探る…ぽつりぽつりと黒い点が視界に入り、倍率を上げると水面ぎりぎりを飛ぶ独特なシルエットが見えた…

ガリバルディ「……敵機! 赤(左舷)二十度! 機関全速!」

提督「対空戦、用意! 射程に入り次第自由に撃て!」


…提督が座乗する予定の軽巡「ジュゼッペ・ガリバルディ」を始めとする間接護衛グループは、鎮守府所属の「サヴォイア・マルケッティSM79」を使っての対空戦と、腕の立つ「フルット」級や「アデュア」級中型潜を相手にした対潜戦の訓練に余念がない…提督は耳に防音のイアピース(耳当て)をつけていて、おまけに訓練では空砲を使っている……が、それでも耳が聞こえなくなりそうな砲声と硝煙の臭いが立ちこめ、指示を飛ばすために大声を張り上げているので喉がひりひりする…


ガリバルディ「左舷ブレダ機銃、撃ち方始め!」…37ミリや20ミリのブレダ機銃が低空で突っ込んでくるサヴォイアに振り向けられると「バン、バン、バンッ!」と吼えたてる……甲板上ではうっすらした幻影のような水兵たちが次々と保弾板を入れ替え、照準をつけているのが見える…

ライモン「距離2000! 機種、サヴォイア雷撃機! 高角砲、撃てっ!」

バンデ・ネーレ「左舷ブレダ、先頭の敵機を狙え…撃て!」

オリアーニ「…左舷四十五度に敵機三機!」

カルドゥッチ「ブレダ機銃、てーっ!」中央部の三連装魚雷発射管を下ろして37ミリ連装機銃を増備した「護衛駆逐艦」仕様のオリアーニたちが、アイススケートのような航跡を描きながら機銃を振り向ける…

アルフィエリ「機関全速! 取り舵いっぱぁーい!」

ジオベルティ「左舷に雷跡! 取り舵二十!」

ガリバルディ「…敵機、左舷から来るわ!」

提督「…っ!」エンジンの爆音に思わず頭を引っ込めそうになるくらいの低空…艦橋すれすれの高度でサヴォイア雷撃機がすり抜けて行った……

ガリバルディ「……撃ち方止め! どうやらこれでおしまいみたいね」

提督「え? あぁ、そうね……っと…」疲労のせいで少し足元がふらついて、慌てて海図台につかまる提督…

ガリバルディ「……提督はまだこういうのに慣れていないし、疲れたでしょう?」ガリバルディが後ろから腕を回して提督の肩を抱えた…びっしょりと汗ばんだ略装越しに、ガリバルディの張りのある胸の感触と身体の火照りが伝わり、首筋に熱い息がかかる……

提督「ええ、まぁ…でも大丈夫///」

ガリバルディ「ふふ、頼もしいわ……まぁ操艦は私がやるわけだから、提督は全体の指揮を頑張ってちょうだいね」

提督「ええ」

ガリバルディ「よろしい……さーて、今日のお昼当番は誰だったかしら? うんと動いたし、何かしっかりしたものが食べたいわね」

提督「えーと…今日はドリアとザラが担当だったはずよ」

ガリバルディ「あら、いいじゃない。特にドリアは美食家だから期待できるわ」

提督「そうね。それじゃあ早く帰りましょう」

ガリバルディ「了解、それじゃあ最大戦速で行きましょうか♪」横から提督の顔をのぞくと冗談めかして派手なウィンクを投げた…

提督「もう…鎮守府に戻るまでは訓練のうちなんだから、真面目にやりなさい?」

ガリバルディ「了解。従うわ」

提督「結構♪」

………

592 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/10/31(木) 02:49:19.27 ID:iOMn/hET0
…しばらくして・執務室…

提督「ふー…さっぱりしたし、後は遅めのお昼でも……」硝煙と汗の染みた服は洗濯機に放り込み、シャワーも済ませた提督……軽くお化粧を直し、クリーム色をした薄手のセーターに袖を通す……と、急に内線電話が鳴り出した…

提督「はい、こちら執務室…」

カラビニエーレ「提督、食堂でトラブルです! 至急来てください!」

提督「トラブルね……了解、すぐ行くわ」

カラビニエーレ「お願いします!」

…食堂…

ガッビアーノ「……確かにそれは悪かったかもしれないけれどね…」

フレッチア「悪かったと思ってるなら謝ればいいでしょうが、カモメだからって意地汚いにもほどがあるわ!」

アレッサンドロ・マラスピーナ「まぁまぁ……フレッチアもそこまで言うことはないじゃないか…だろう?」

フレッチア「そりゃあ言いたくもなるでしょうよ! それにアレッサンドロ、あんただって同罪みたいなものなんだからね!?」

マラスピーナ「……何も私にまで雷を落とさなくたっていいだろう」

フレッチア「落とすわよ! だいたいあんたはいっつも適当で、暇さえあれば女の子とベタベタして…作戦も近いってのに、ちゃんと真剣にやってるわけ!?」

…両手を腰にあて、小柄ながら迫力充分のフレッチア……普段から稲妻のようにはねている髪は腹立ちのためか、まるで帯電でもしているかのように逆立っている…

マラスピーナ「……これでも実力は伴っているんだ…君が可愛いおつむを悩ませて、他人のことまで心配する必要はないよ!」

フレッチア「この…っ!」いきり立って飛びかかると、マラスピーナの顔に爪をたてて引っかこうとするフレッチア…

提督「…やめ!!」

…普段は柔和で大声一つ出さない提督が声を張り上げると、途端に全員が「気をつけ」の姿勢を取り、食堂がピタリと静まり返った…

提督「アレッサンドロ、ガッビアーノ、フレッチア……それぞれ離れなさい」

ガッビアーノ「…了解」

マラスピーナ「…ああ、了解」

フレッチア「ええ……」

提督「ふぅ……それで、一体どうしたって言うの?」

エリトレア「えぇ…と、その……実は…」

…十数分前…

ガッビアーノ「エリトレア、このお皿のお菓子だけど…食べてもいいかな?」

エリトレア「え? お菓子ですか?」

ガッビアーノ「うん、ここに置いてあるんだけどね…」

エリトレア「そうですねぇ……特に誰もいないようですし、私も早くお皿洗いを済ませたいですから……食べちゃっていいですよ♪」

ガッビアーノ「分かった。それじゃあいただこう…」

マラスピーナ「…おや、白い翼のガッビアーノ(カモメ)さん……いったい何をしているのかな?」

ガッビアーノ「ん、机にお菓子があったからね…アレッサンドロも一つ食べるか……な?」

マラスピーナ「おや、嬉しいね…ではありがたく♪」にこやかに笑って隣に座ると、ガッビアーノにジャム付きのクッキーを差し出した…

………



提督「…それで?」

エリトレア「はい…そのお菓子はフレッチアが哨戒の前に、帰投したら食べるつもりで置いておいたそうなんです……」

提督「なるほどね……」

カルドゥッチ「…まさに「人間は自分の父親が死んだことよりも、物を取られたことの方がよく覚えている」っていうものだね」(※マキャヴェリ)

フレッチア「……哨戒が終わったら食べようと思って取っておいたのに、この泥棒カモメが盗み食いするんだもの…それだけならまだしも、謝りもしないでいけしゃあしゃあと「皿に名前でも書いてあれば食べなかったさ…」なんて言うのよ!?」
593 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/11/01(金) 01:31:14.24 ID:KkJEtLI60
提督「フレッチア!」

フレッチア「…ごめんなさい、いくらなんでも言い過ぎたわ」

提督「分かればよろしい……では、三人に処分を言い渡します」

フレッチア「…はい」

ガッビアーノ「…」

マラスピーナ「…」

提督「まず……ガッビアーノは知らなかったとはいえフレッチアが取っておいたお菓子を食べちゃったのだから、ちゃんと謝ること」

ガッビアーノ「了解…」

提督「次、フレッチアはガッビアーノとアレッサンドロの二人に対して言った悪態を取り消すこと」

フレッチア「……分かったわ」

提督「アレッサンドロもフレッチアに向けて謝ること」

マラスピーナ「了解したよ、提督……」

提督「それから三人には罰直として、今日から三日間お風呂とトイレの掃除を命じます…以上、分かったわね?」

三人「「了解」」

提督「よろしい……それじゃあお互いに仲直りのキスをして?」急に甘い口調になると、満面の笑みを浮かべた…

フレッチア「…は!?」

提督「頬で構わないわ…もし唇にしたければ別だけれど♪」

フレッチア「だ、誰がよ…///」

アレッサンドロ「ふふ、了解……そういうのは得意な方でね♪」

フレッチア「ち、ちょっと!」

アレッサンドロ「…フレッチア、さっきは悪かったよ……つい頭に血が上ってね…愚かな私を許してくれるかい……?」ひざまづいてフレッチアの手を包むように握ると、上体を伸ばして頬にキスをした…

フレッチア「ゆ、許してあげるわよ……じゃあ、今度は私が…///」ちゅっ♪

ガッビアーノ「……フレッチア、済まなかったよ…今後は気を付ける……」ちゅぅ…っ♪

フレッチア「わ、私も言い過ぎたわ……ごめんなさい///」…ちゅっ♪

提督「はい、よろしい♪」

カラビニエーレ「ふぅ……やっぱりこういう時は提督じゃないとおさまりがつかないわ。私が上手く抑えられれば良かったのだけど……」

提督「ふふ、いいのよ…そのために私がいるんだもの。 …カラビニエーレはよくやったわ♪」

カラビニエーレ「グラツィエ、提督…///」

提督「それにしても今後は同じような事がないように、お皿に何か「目印」でも置いておくことにしましょうか…」

エリトレア「そうですね、それなら私もうっかり片付けないで済みます♪」

………

…夜・執務室…

提督「……はぁぁ」執務室の椅子に座ると身体をぐったりさせて、大きなため息をついた…

カヴール「あら、そんな大きなため息をついて…どうなさいました?」

提督「いえ、ね……作戦が近いせいか、みんな神経がささくれ立っているというか…どうも鎮守府の雰囲気がピリピリしていて……夏の作戦の時はそうでもなかったのに……」

カヴール「そうですねぇ……まぁ、夏の時は提督が着任したばかりでの大作戦でしたから、どのような指揮を執られるかも分からなかったですし…それに提督が作戦の前に風邪をお召しになったりしたものですから……みんな気がかりな事柄が多くて、それどころではなかったのだと思いますよ♪」

提督「もう、そんなところで慣れてもらっても困るわね……」

カヴール「ふふふ…っ♪」

提督「……それにしても作戦が決まってからは体力トレーニングに、ガリバルディたちに座乗させてもらって対空戦・対潜戦の訓練…それから必要書類の整理と、作戦に関連するあちこちとの調整……やることが多くて、なんだか身体の芯に疲れが溜まっている感じがするわ…」

カヴール「あら、それはいけませんね…」

提督「ええ……だからと言ってどれも手抜きは出来ないし…」

カヴール「なるほど…そういうことでしたら、ダ・ヴィンチの所に行ってみるとよろしいかと♪」

提督「……ダ・ヴィンチ?」
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