【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十四輪目】

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

1 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/02(金) 22:15:50.19 ID:dyw7JPvuo
このスレは安価で

乃木若葉の章
鷲尾須美の章
結城友奈の章
―勇者の章―

を遊ぶゲーム形式なスレです


目的

東郷家、犬吠埼家への挨拶
伊集院家の説得
勇者部による演劇(文化祭)
元気な子供
ハロウィン
進路決定



安価

・コンマと選択肢を組み合わせた選択肢制
・選択肢に関しては、単発・連取(選択肢安価を2連続)は禁止
・投下開始から30分ほどは単発云々は気にせず進行
・判定に関しては、常に単発云々は気にしない
・イベント判定の場合は、当たったキャラからの交流
・交流キャラを選択した場合は、自分からの交流となります


日数
一ヶ月=2週間で進めていきます
【平日5日、休日2日の週7日】×2
基本的には9月14日目が最終


戦闘の計算
格闘ダメージ:格闘技量+技威力+コンマ-相手の防御力
射撃ダメージ:射撃技量+技威力+コンマ-相手の防御力
回避率:自分の回避-相手の命中。相手の命中率を回避が超えていれば回避率75%
命中率:自分の命中-相手の回避。相手の回避率を命中が超えていれば命中率100%
※ストーリーによってはHP0で死にます


wiki→【http://www46.atwiki.jp/anka_yuyuyu/】  不定期更新 ※前周はこちらに

前スレ
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【一輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1464699221/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【二輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1468417496/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【三輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1472477551/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【四輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1477053722/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【五輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1481292024/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【六輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1484833454/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【七輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1488104860/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【八輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1491918867/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【九輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1495544664/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1499086961/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十一輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1503148550/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十二輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1507900727/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十三輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1512897754/
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/02(金) 22:20:25.49 ID:26f6emZ3O
立て乙
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/02/02(金) 22:29:28.22 ID:dyw7JPvuo


風「メイド喫茶?」

天乃「うん。お化け屋敷行く途中にそのチラシ持ってる子がいてね」

風「そういうのってアタシ達の場合は執事喫茶に行くべきじゃないの?」

天乃「そう言うものなの?」

天乃は目上の人間、格上の人間といった

対等ではない扱われ方をした経験があるが

執事やメイドと言った存在がいたことはなく

そもそもそれにおける性別以外の違いも天乃は知らない

だからこそ、好奇心も芽吹く

風「天乃がただ女の子好きなだけとか?」

天乃「…………」

風「天乃?」

天乃「……でも、定石をあえて外すって言うのも面白そうじゃない?」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/02(金) 22:32:52.77 ID:+sCqi/Oy0
新スレ乙です!
5 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/02(金) 22:35:40.33 ID:dyw7JPvuo

風「何? 今の間は何!?」

あら何の話? と露骨に恍けて笑って見せる天乃に、

風は本当にそうなの? と少し悩まし気に唸りながら

階段を上って2年生の階にあるメイド喫茶へと向かう

風「まぁ、執事喫茶は天乃が行くと少し面倒になるわよねぇ……」

天乃「そんなことないでしょ。有名人じゃあるまいし」

風「その有名人なんですがね」

芸能人だとかテレビに出ている有名人というわけではないが

一部では学級崩壊を起こさせた人だとかいう噂もあるし

友奈たちから伝わったり、会いに行く際に目撃されていたり

男子にとっては嬉しいその容姿と図ったような無自覚さもあって後輩からはやはり人気が高い

元々同年代よりは年上に魅力を感じるといったタイプだった風としては

先輩に憧れる男子中学生の気持ちも分かるからだろう

まぁ仕方がない。と苦笑を溢す
6 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/02(金) 22:42:13.56 ID:dyw7JPvuo

「いらっしゃいませっ」

メイド喫茶を行うクラスの手前

受付らしき女子生徒に声をかけられて足を止める

「ご利用されますか?」

天乃「ええ、私と従者一名」

風「その他大勢みたいに言うな!」

天乃「じゃぁ……嫁さんで」

風「嫁って……」

気迫削がれて照れくさそうに笑う風

冗談めかした笑みを浮かべる天乃

2人の前にいる女子生徒は思わず笑い声を零してしまうと

すぐに「すみません」と頭を下げて色のついたバッジのようなものを差し出す
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/02(金) 22:49:20.48 ID:PaQ2t1dYo
たて乙
8 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/02(金) 22:54:12.21 ID:dyw7JPvuo

風「なにこれ」

「メイドになんて呼ばれるかの選択……みたいなものです」

天乃「へぇ……面白いじゃない」

みたいなもの。というよりはそのままだ

どうせやるなら、

呼称も自由に選べるようにしても面白いのではないか。という意見が上がったらしい

女性に関しては

普通のお嬢様から、名前を付けたお嬢様

奥様、お姉様、姉様、お嬢、姐御……と

もはやメイドが関係なさそうなものまで紛れているのは

きっと、クラスメイトによる冗談の影響だろう

天乃「風は旦那様とかどう?」

風「嫁なのか旦那なのかはっきりしなさいよ」

天乃「うどんのように臨機応変に対応するのよ、あなた」

風「ったくもう……」

確かに天乃の相手をするには柔軟でいる必要があるわねぇ。と

風が少し呆れたように漏らす一方、

2人のやり取りはとても楽しんでいるのが分かりやすくて

女子生徒はにこやかな笑みを浮かべながらその姿を見守る
9 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/02(金) 23:19:10.52 ID:dyw7JPvuo

大赦や勇者部には一切関係のない女子生徒ではあるが

その二人の雰囲気は見ていてとても、心地よくて

「一応、旦那様とお呼びすることもできますよ?」

風「いやいやいや、普通にお嬢様で」

天乃「お姉さまじゃなくて良いの?」

風「それはあたしには似合わなそうだし」

むしろ天乃の方がそれは似合うんじゃないの? と

風はにやにやと笑いながら切り返して

風「タイが曲がっているわ。とか、無防備に距離つめて来そう」

車椅子を押し終えて離れようとすると

ちょっと待って。と呼び止められ足を止める

屈むように言われて屈んだ瞬間

数歩分の距離は一瞬で詰められて……

今も感じる良い匂いを感じている間に、首元の緩んだタイがキュッと締められる

そして、「これでいいわ」と、綺麗な笑みを浮かべるのだ

「……いいですね」

天乃「え?」

「あっ、いえ。すみません」

目の前の車椅子に座っている先輩で想像してしまった後輩は

恥ずかしそうに眼を逸らす

「そ、それで……どうしますか?」


1、お嬢様
2、天乃お嬢様
3、久遠様
4、天乃様
5、お嬢
6、姉様
7、お姉様
8、姐御
9、奥様
0、旦那様


↓2
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/02(金) 23:20:09.17 ID:jouo6w0IO
9
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/02(金) 23:21:43.62 ID:26f6emZ3O
2
12 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/02(金) 23:31:10.08 ID:dyw7JPvuo

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


天乃「じゃぁ……そうね。良く分からないからこの名前+お嬢様で」

「かしこまりました……あ、あま……天乃お嬢様」

(久遠先輩の名前を呼べる……っ)

(他の人には悪いけど、今だけは私だけの天乃お嬢様)

「えへへ」

風「うわ凄い嬉しそう……」ハァ
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/02(金) 23:32:26.00 ID:jouo6w0IO

その手があったか
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/02(金) 23:32:59.24 ID:GqS3JZNz0
おっつー!
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/02(金) 23:38:45.33 ID:26f6emZ3O

モブのメイドさんの心までも奪っていく妊婦さん恐るべし…
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/02(金) 23:47:19.55 ID:+sCqi/Oy0
乙!
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/03(土) 08:46:54.49 ID:x1w9JZeOO
久遠さん元々男女人気あったからな
その先輩を名前呼び出来るとか特別感有りすぎる
18 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/03(土) 21:54:20.82 ID:vIYuobI+o

では少しだけ
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/03(土) 22:02:32.48 ID:B+2kKiKVO
おk
20 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/03(土) 22:04:31.66 ID:vIYuobI+o

天乃「そうねぇ……じゃぁこれで」

特に悩むようではない事なのかもしれないから。と、思いつつ

簡素なお嬢様呼びよりは面白そうだと

名前にお嬢様を付ける呼び方を選ぶ

天乃「よろしくね?」

「は、はい。承りました……天乃お嬢様」

風「それならあたしも風お嬢様で」

天乃「あら、どうしたの?」

風「なんだか姉妹っぽいでしょ? そうすると」

名前を呼ばれるのと呼ばれない方

それが並ぶと微妙に違和感があるというのもあるが、

一番は、その姉妹のような関係が想像しやすいというのが嬉しかった

もっとも、姉妹を越えて交際しているし

将来的には名を共にしてしまう予定なのだが。

天乃「じゃぁ、私は風お姉さまと呼べばいいかしらね」

風「天乃って本当、こういうのに乗るの好きよね」

楽しそうな天乃の笑みに

風もまんざらでもなさそうに苦笑しながら車いすを押す

2日間限定の喫茶店として作られた店内は

中学生らしい手作りの作り

1人席が3つ、2人席が5つ 4人席が1つとなっており

テーブルはすべて学習机に簡単なテーブルクロスを引いたもの

椅子も同じく普段使いされているもので

一応、様々な柄の座布団や背もたれが付けられた特別仕様だ
21 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/03(土) 22:13:45.95 ID:vIYuobI+o

「お帰りなさいませ、風お嬢様、天乃お嬢様!」

天乃「ふふっ、ただいま」

風「た、ただいま?」

「天乃お嬢様、今お座席をご用意いたしますので少々お待ち下さい」

天乃「……帰る前に準備しておきなさいっていつも言っているでしょう? これだから若い子は嫌なのよ」

「ぇっ、え、あ、は、はいっ!」

悪戯な睨みをきかせた天乃の呆れたような文句

当然、そんなことが始まるなどと思っていなかった担当の女子生徒は戸惑って

天乃「良いから早く準備し――」

風「やめんか!」

ぺしっと頭を叩かれ天乃は言葉を飲み込むと

どうすればいいのかと慌てる女子生徒に笑みを浮かべて

ごめんね、冗談よ。と声をかける

天乃「車椅子のせいだものね。用意して貰っていいかしら」

「すみません、今ご用意します」

慌てて席をずらして片方の席を端に動かしていくメイドに扮した女子生徒を眺めながら

風は少し疲れた息をつく

風「まったく、油断も隙もあったもんじゃないわねぇ」
22 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/03(土) 22:23:44.86 ID:vIYuobI+o

天乃「なんのこと?」

風「あんなアドリブについていけるわけないじゃない。訓練された勇者部じゃあるまいし」

天乃「訓練されたって……なによ」

友奈や樹はまだまだ対応しきれないかもしれないが

東郷はもちろん

夏凜なんかはその道にプロフェッショナルだろうと風は雄弁に語ってみせる

けれど、天乃としては別に訓練したわけではないと

ちょっぴり不服そうで

天乃「私の経験値を返してっ」

風「ゲームかっ!」

天乃「そんな怒ったように言わなくてもいいじゃない」

風「いや、怒っては――」

天乃「あとでボケ役やらせてあげるから」

風「そう来るかっ!」

ちょっとしたお遊びの会話をしている間に、

席の準備が整ってもう一度メイドの女の子に招かれ

天乃達は改めて、喫茶店の席に着いた
23 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/03(土) 22:34:20.79 ID:vIYuobI+o

「お決まりになりましたらお呼び下さい、天乃お嬢様。風お嬢様」

そう頭を下げて別のところに向かうメイド見送った風は、

テーブルに置かれたメニュー表に乗っている参考写真―各生徒の自作―と料理名を眺め

なるほど。と、少し嬉しそうに零す

風「見てみて天乃、こんなキャラ風オムライスもあるらしいわよ!」

天乃「へぇ……面白いわね。風も作ったりする?」

風「いや、アタシは……あんまりね」

やったことはないが、やろうと覚えば出来るだろうと風は思う

けれど、樹がまだ小学生とかしたの方の年頃ならともかく

中学生も半ばに差し掛かるところでのキャラ風料理というのは

聊か受けが悪いのではないだろうかと思ってしまう

それがお弁当なら、尚更

それに……と、風は苦笑いを浮かべながら

手首から先だけがピクリとも動かない右腕を上げてみせる

風「今のところさ、ほら。これだから」

天乃「……ごめんね」

風「んん。天乃は謝る必要なんかないわよ。誰にだってね」

天乃「…………」

風「アタシも、夏凜も。友奈達だって。みんな自分の意思でそうすると決めたことなんだから」
24 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/03(土) 22:45:52.50 ID:vIYuobI+o

こうなると知らないで使っていたらきっと

とても後悔をしていたかもしれない

どこに向かうかもわからない憎しみと怒りを抱いていたかもしれない

だが、風達は天乃の苦渋の決断によって隠蔽されてきた天乃自身の秘密

根強い罪悪感に触れることによって、その存在を知った

そして、それでなお、抱く想いに従って行動したのだから

その代償に謝罪を貰うつもりは毛頭なかった

風「あーほら、天乃!」

天乃「なに?」

風「折角の文化祭で辛気臭い話してたってしょうがないでしょ。頼みましょ、料理」

天乃「…………」

風の快活な声が漂っていた暗雲を吹き飛ばしていく

そのちょっぴり強引な犬吠埼風という人柄に

天乃は苦笑を浮かべながら「そうね」と、答えて

天乃「メニュー名は普通だから……風、貴女の愛してやまないうどんもあるみたいよ?」

風「うーん……そこはぜひにも肉うどんを頼むべきか」

天乃「私はどうしようかしら……」

風「やっぱり辛いものでしょ? 一応、麻婆うどんがあるけど」

説明文には激辛お試し品。と注意書きが施されており

実物と比べてやはり差異は存在するのだろうが

載っている写真も真っ赤で色鮮やかというよりは毒々しささえ感じる

天乃「私に対して辛さのみならずあろうことか麻婆に関して喧嘩を売ってくるなんて面白いメイドさんね」

風「メイドは悪くない、悪くないから」
25 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/03(土) 22:56:34.47 ID:vIYuobI+o

結局風はメイド喫茶などという場所の付加価値を一切排除した定石通りの肉うどんを注文し、

天乃もまた、麻婆うどんを注文する

聞いた話、メニューはすべて各生徒の実家の味らしく

天乃はにこやかにその時を待つ

風「ねぇ、聞いて良い?」

「はい風お嬢様」

風「天乃が頼んだ麻婆うどんあるじゃない? これの『甘〜くする魔法』って言うのは一体何なの?」

「これはですね……え、えっと」

頼まれると思っていなかった動揺か

それともその謎の魔法の効力なのか、メイドの女子生徒は気恥ずかしそうに目を背けると

緊張を解す為だろう、深呼吸をしてから天乃達に向き合う

「あ、甘〜くな〜れ。甘〜くな〜れ……と、ちょっとした呪文的な何かを唱えながら例えば調整用スープとかで味を調えるんです」

天乃「本当の魔法ではないのね」

「す、すみません」

天乃「別に謝らなくて良いのよ。なんかこう、見栄えする特殊な技法でもあるのかなって」

中学生に何を求めているのかと天乃は自分でも思うが

お化け屋敷のクオリティがクオリティだった為に、

もしかしたら別の場所でも似たような特別感があるのではとなんとなく思ったのだ
26 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/03(土) 23:04:01.85 ID:vIYuobI+o

天乃「むしろ辛くする呪い的なのは……」

「な、無いです」

風「メイドに嫌われてる身勝手な姫様的なシチュエーション?」

天乃「ううん。自分の物にならないなら殺して死のう的なやつ」

風「余計あるか!」

いきり立って突っ込みを入れた瞬間、

喫茶店内の喧騒は止んで

「お、お嬢様……っ、風お嬢様お静かに」

勢いの有り余った声に天乃ではなくメイドがあわてて注意を促す

楽しげに苦笑する天乃にむくれながら、風がもう関るのやめた。とぼやくと

何事も無かったかのように周りの中断された会話が再開する

天乃「風のリアクションが大きいのよ。やっぱり、疲れてるんじゃない?」

仮眠をとったりしたとはいえ、

殆ど徹夜に近い状態で、あのお化け屋敷での大絶叫

疲れていないというのはハイテンションゆえのものではという天乃に

風はそうかもしれない。と、同意して

「お待たせいたしました、風お嬢様。肉うどんです」

丁度、料理が運ばれてきた
27 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/03(土) 23:16:08.45 ID:vIYuobI+o

風「ん……家庭的というか……ちょい薄味の匂い」

醤油や昆布などの良くある甘みを感じるにおいに混じって

いりこをふんだんに使ったであろう魚介の匂いを感じる

ダシは前がけではなく、後がけなのだろう

煮込まれ熟成し色づいた肉はダシと差し込む光によって受けて瑞々しく着飾る

風「十分美味しそうね」

見た目と香り

それだけで満足げに頷く風の手前

天乃のところにもあわせて、料理が運ばれてきた

「天乃お嬢様、こちらが麻婆うどんになります。調整がご入用でしたらお申し付け下さい」

辛味の濃度を示すが如く鮮やかに彩られた赤色

それを僅かに中和しようと無意味な努力ゆえに散った肉汁が点々と浮かぶスープ

通常よりもとろみを足されたスープに絡みつかれて赤茶色く染め上げられ

地獄へと沈められるさなかに伸びる救いを求める手のように顔を覗かせるうどん

嗅覚を刺激するのはもはや痛覚に近く

辛味と甘味の交わった豆板醤を押しのけて山椒の渋さのある辛味が

鼻を抜けて喉を通る

通常ならそれだけで敬遠されるようなにおいと見た目

だが、その毒々しさを前に、天乃は期待に胸を膨らませた子供のような笑みでスプーンを手に取った
28 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/03(土) 23:23:09.39 ID:vIYuobI+o

ではここまでとさせていただきます
明日は出来れば22時頃から
メイド喫茶パートは恐らく安価無し進行になるかもしれません



夏凜「…………」

夏凜「そもそもメイド喫茶でうどんってなんなのよ」

東郷「至高よ」

夏凜「嗜好の間違いでしょ」

東郷「沢山の嫁がいても結局夏凜ちゃんに行く久遠先輩のような話ともいうわ」

夏凜「私よりエロイことしてる東郷に嫉妬する権利無くない?」

東郷「つまり嫉妬してるのね!」

夏凜「面倒くさいのに触れちゃったわ」
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/03(土) 23:30:57.83 ID:dUZM6Ul7O

久遠さんの嫁の数考えると日替わり定食組めるぞ
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/03(土) 23:34:05.12 ID:B+2kKiKVO

お嬢様気分の久遠さんが本当に楽しそうで可愛いなぁ
あと久遠さんの辛いもの好き設定久々に見た
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/04(日) 12:49:14.28 ID:IE/rYkqkO
お茶目な久遠さんほんと好き
そして地味に真面目なうどん描写笑う
32 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/04(日) 21:54:57.22 ID:Xb7mJhuTo

では少しだけ
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/04(日) 22:01:25.89 ID:dLRK1VMoO
よしきた
34 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/04(日) 22:14:12.66 ID:Xb7mJhuTo

風「ちょ、それ飲むの?」

天乃「もちろん」

あまりのにおいとからそうな見た目に

風は心配そうに言うが、天乃は平然と口に運んでゆっくりと飲み下す

温かくとろりとした麻婆のスープ

くにゅりと挟むだけで崩れていくひき肉の食感

潰れて液体に溶けていく辛味を纏っただけの豆腐

刻まれた唐辛子の微かな粒感

天乃「んー……」

そうして

香辛料や豆板醤の辛味に隠された旨みが本来は流れ込んでくるはずだが、

味覚の無い天乃にはそんな感覚などちっとも感じられないまま、

ピリピリ、ひりひりとした焼くような痛みが口腔を冒して、喉にまで伝うと

流れ込んだ胃から温かさが全身に広がって抜けていく

その抜けていく清々しい感覚に天乃は浸るように目を閉じて、笑みを浮かべる

天乃「好きよ」

「っえっ」

天乃「うどんに合わせた分、とろみは増しているけれど……だからこそ最後の最後まで余さずに感じられる」

「ぁ、り、料理……」

天乃「体から抜けていく辛味も、残るひりひりとした感覚も決して行き過ぎてないし」

天乃はそういうと、

まだ口にしていないうどんを箸でつまんで、一口分食べ進める

口の中に残った痛覚……辛さは

もっちりとした弾力感じるうどんが連れて行ってくれるのだ

天乃「いいわね、これ」
35 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/04(日) 22:23:56.35 ID:Xb7mJhuTo

満足げな笑みを浮かべる天乃といかにも辛そうな麻婆うどんを見比べた風は

怪訝そうに眉をひそめながら自分のうどんを一口啜って口を開く

風「その痛そうなアレは天乃だから平気なんじゃないの?」

天乃「そんなこと無いわよ。ね?」

「どうでしょうか……男子は結構辛いって言ってましたが」

風「男子は基準にならないのよねぇ」

天乃「本当にそんなに辛くは無いと思うんだけど……」

味覚を超えて痛覚に達する辛味

それが濃すぎない事から天乃はそう推測するが

味覚がないせいなのかもしれないと

少しだけ考えてスプーンで一口分すくうと、風へと差し向ける

天乃「風お姉様。お口をあけてくださいな」

風「はっ!?」

天乃「何を驚いていますの? はしたないわ」

悪戯混じりの笑みと声……そして言葉

差し出される真っ赤なスープを掬い取ったスプーン

風はどうするべきかと天乃とメイドそれぞれに目を向けたが

天乃は当然、まんざらでもなさそうで

メイドはといえばなぜか少し羨ましそうで。

天乃「風お姉さま、零れてしまいそうです」

風「っ……」

口調を正すつもりはないだろう天乃の困った表情に

風は「あーもう!」と、少し控えめな声を上げてスプーンを躊躇なく咥え込む
36 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/04(日) 22:32:19.70 ID:Xb7mJhuTo

風「っ……辛っ!? 痛っ……!」

舌を焼き、頬の裏を刺し貫いて、喉をただれさせていく

それほどの痛みを感じるような強い辛味が一瞬にして流れ込んできた風は、

周りの目を気にすることなく声を上げて席を立つ

テーブルを強く揺らす

「ふ、風お嬢様っ、今お水をお持ちいたします!」

足早にメイドが去っていく中、風はテーブルに手をついたまま俯いて

痛そうに舌を伸ばしては引っ込めてまた伸ばしてを繰り返す

風「ど、どこが辛くないって……っ!?」

天乃「そんなに辛いかしら……やっぱり味覚の問題?」

風が喘ぎ、出された水を一瞬で飲み下す前で、

天乃は顔色一つ変えることなくスープだけを何度も口に運んでは飲み下して

天乃「辛い物の経験の差かしら?」

風「はぁ……はぁっ……ん、そ、そう、なんじゃない?」

天乃「大丈夫?」

風「なんとか、落ち着いてきたから」

確かに感じる旨味はあったのだが

辛さゆえの痛みが先攻してしまっていた風は少し疲れたように自分の肉うどんを啜る

風「あー……体に沁みるぅ」

天乃「ふふっ、風にはやっぱりそう言う方が似合うわね」

麻婆うどんよりも甘味があって警戒せずに豪快に食べられる肉うどん

美味しそうに満足げに食べ進めていく風の姿を天乃はしばらく眺めてから

微笑ましそうに笑みを浮かべて、自分の分のうどんを少し抓んで……風へとまた目を向ける
37 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/04(日) 22:43:40.56 ID:Xb7mJhuTo

天乃「ねぇ、風」

風「ん?」

天乃「私にもくれないの? あーんって」

風「っぶっ」

口に含んだうどんを吐き出しかけたが、寸前で堪えて飲み込むと

ふぅっと大きく息を吐いてからなぜか天乃からは眼を逸らしてしまう

風「急に何を言い出すかと思えば」

天乃「いいじゃない、せっかくなんだし」

風「何がせっかくなの?」

はっきり言わないと駄目なの? と

天乃はちょっぴり不服そうにむっとして言う

天乃「こうやって二人きりになる機会なんて滅多にないでしょう?」

風「そ、それは確かにそうだけど……何もこんな場所で」

友奈と同じ二学年のメイドたち

一般人から他クラスあるいは他学年の利用者達

周囲の目がある中での行為というのが風は少しばかり恥ずかしく思う

もっとも、それ以外の理由もあるのだが。

友人同士で大した意識もなく自然と行うのならば

そんな羞恥心に触れるようなこともないのかもしれないが、

恋人という関係が友人同士の自然な空気感というものを忘れさせてしまったのだろう
38 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/04(日) 22:54:14.28 ID:Xb7mJhuTo

だが、天乃は違う

キスなどの恋人関係や特別な関係でないと行わないようなことに関してならば

外でするのにも少しの注意を払ったりするものの、食べ物のシェアや手を繋ぐこと、抱き着くこと

そう言った行為を行う際に周囲の目があるから恥ずかしいとは思わない

天乃「あなたは意識しすぎなのよ」

風「ぅ」

天乃「……えっち」

風「ふぐっ!」

風の羞恥心に秘められた考えを見透かしたように

天乃はちょっとばかり悪戯っぽく蔑んだ目を風に向けながら一言呟いて

わざとらしくキスをするように唇をすぼめながら一本のうどんをゆっくり、ちゅるりと……啜る

風「そ、そういう考え持たせるようにしたのは……そっちじゃない……っ」

そんな天乃の唇に事実目を奪われながら

風は異議ありと唸って抗議するが、天乃は小さく笑みを浮かべるばかりで

天乃「そうだったかしら」

風「そうよっ! 今回脚本を買って出たのだって天乃があんまりにも、その……ほら、なんというか、こう……」

天乃「なに?」

風「じ、焦らしてきた……から……なんというか、そ、想像力というか、妄想力というか……鍛えられたからだし」
39 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/04(日) 23:11:18.44 ID:Xb7mJhuTo

風らしくないぼそりぼそりと聞き取りにくい小さな声

しかし、天乃は片方の耳しか聞こえないからこそ鋭敏に聞き取って、

そう言うことね。とほほ笑む

風「分かった? 天乃のせいだって」

天乃「うん……良く分かったわ。風がえっちな子だって」

風「専用トイレに連れ込んでやろうかしら」

天乃「やだ怖い」

人のことを茶化して満足そうに笑う

戦い抜き、今もなお苦しみの中にいる天乃の笑顔

文化祭だからこそ、悩みを一時的に頭の片隅へとしまい込んでくれていると分かってしまうから

決して、それを幸せそうだと、心の奥底から楽しんでくれているとは言えないけれど

風もまた「はいはい、どうせ思春期ですよー」と

冗談に乗っかりながら笑みを浮かべて、肉とうどんを箸でつまんでくるくると。

パスタのように絡みとって天乃へと差し向ける

風「あーん」

天乃「ありがと」

箸をぱくりと咥えて風の肉うどんを味わった天乃は、

ゴクリと飲み込んで

天乃「……これが初恋の味なのね」

風「な、なに言ってんのよ……まったく」

天乃は嬉しそうに感想を述べたが、風はといえばそれには触れることなく眼を逸らし、

気恥ずかしさを押し隠すようにうどんを食べ進めようとして……箸が止まる

ついさっき、天乃が口にした箸だ。

風「…………」

天乃「関節キスね」

風「止めてっ、今考えるの止めようとしたんだからっ!」

風が食べ終えるのには、少しばかり時間がかかってしまった
40 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/04(日) 23:13:04.30 ID:Xb7mJhuTo

√10月06日目 夕(学校) ※土曜日

01〜10 
11〜20 体調 
21〜30 
31〜40
41〜50 
51〜60 
61〜70 
71〜80 体調 
81〜90 
91〜00 

↓1のコンマ 


※問題なければ勇者部合流
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/04(日) 23:13:17.52 ID:dLRK1VMoO
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/04(日) 23:13:46.75 ID:Y+OHNw/DO
43 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/04(日) 23:15:42.87 ID:Xb7mJhuTo

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


2割を引き当てる久遠さんの強運
開始地点は保健室
44 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/04(日) 23:16:37.75 ID:Xb7mJhuTo
いえ、違いますね
失礼しました

通常通り開始地点は勇者部部室です
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/04(日) 23:20:12.03 ID:4GENSd0xO

あっぶね
明日の劇に向けて汚れ発散しなきゃ
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/04(日) 23:32:18.46 ID:dLRK1VMoO

普段の久遠さんも発情時とは違う無意識な色っぽさがあるな
さて風先輩はどんな脚本書いてくれたんだろうか
47 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/05(月) 22:59:58.19 ID:ubE4HlPTo
では少しだけ
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/05(月) 23:02:17.74 ID:Nz38+AZjO
あいよ
49 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/05(月) 23:20:59.99 ID:ubE4HlPTo

√10月06日目 夕(学校) ※土曜日


風「お待たせー」

夕方、一日目の文化祭が終了して

学校中の生徒や教職員が一時的な後片付けに追われる中

天乃達は勇者部の部室へと集まった

明日の劇で使う大道具の一部はすでに体育館へと移送されており、

車椅子でも問題なく入ることが出来るようになっていて

風は天乃を机の傍に連れていくと

ふと疲れた息を吐いて、適当な椅子に座る

東郷「風先輩、息抜きは出来ましたか?」

風「出来たというか、逆に疲れたというべきか……」

夏凜「天乃にしても風にしても、保健室に行かなかったんだから大丈夫だったってことでしょ」

樹「お姉ちゃん大丈夫? 本当に?」

いつも通りというべきか

やや素っ気なく言う夏凜の一方で

樹や友奈は心配そうに風を見る

天乃ではなく自分を心配そうに見るのが気になったのだろう

風は訝し気に眉を顰めて――

樹「じ、実はね、お姉ちゃんがお化け屋敷で絶叫してたって話が回ってて」

風「えっ?」

天乃「凄い騒ぎだったものね」

風「えっ、いや……えっ。そんなの……出回るほどの事じゃなくない?」
50 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/05(月) 23:40:25.45 ID:ubE4HlPTo

夏凜「普通なら出回らないけど、幽霊役に肘打ちして逃げたってオプションがつけばそりゃ広まるわよ」

風「うぐっ」

あのお化け屋敷関係者が広めたのか、

謝っているところを目撃されたせいで広められてしまったのか

ただ確実なのは

風の致命的な弱点は恥ずかしい絶叫と行いと共に学年を越えて周知の事実になったということだ

沙織「教室の外にも別の階にも響いてた悲鳴だからね、仕方がないよ」

風「なぐさめになってなぁぃ!」

よしよしと頭を撫でる沙織に向かって

風はやや自棄になったように声を上げて蹲るが

沙織は「仕方がないって」と慰めようとする

天乃「友奈達はどこにいたの?」

友奈「私と千景さんと東郷さんは古典部で遊んでたんです。樹ちゃんと球子さんは漫研だったかな」

樹「球子さんが以前本をよく読むお友達がいたそうで……あとは外に」

沙織「あたしは占いの館とか……古典部で結城さん達と会ったね」

それぞれとても楽しめたのだろう

幸せそうな笑みで何をしていたのか、どこにいたのかを語る友奈達

その傍ら、夏凜は軽く体を伸ばすと天乃へと近づく

夏凜「あんたは楽しめたの?」

天乃「ええ、十分に楽しめたわ」
51 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/05(月) 23:54:17.72 ID:ubE4HlPTo

お化け屋敷で風の大絶叫、大騒ぎ

可愛らしい姿をたくさん見て、聞いて

メイド喫茶でもたくさん楽しんで

天乃「至福の時間だったわ」

夏凜「そ……なら良かった。あんたはそうしてれば、下手に体調を崩さずに済むってことなのかしらね」

天乃「どうかしら……もしかしたらそうかもしれないけど」

別に学校が嫌いなわけではない天乃は

学校の授業も楽しんで受けている

それでも体調を崩してしまうのだから

夏凜「……とにかく、せっかく学校を休んでまで整えたんだから楽しめたようでなにより」

天乃「そう言う夏凜は? 私が居なくて平気だった?」

夏凜「何言ってんのよ……私は別に、常にあんたが居なきゃ駄目ってわけではないわよ」

冗談だと一周するように苦笑しながら答えた夏凜は

天乃の頬にそうっと手を宛がう

天乃「夏凜……?」

どうかしたのかと戸惑う天乃の視線が宛がわれた手に動く

そして……唇と唇が触れる

天乃「っ」

東郷「夏凜ちゃんが抜け駆けを……っ」

夏凜「抜け駆けとかどうとか無いでしょ」

ほんの数秒程度で離れた夏凜は

東郷や友奈達には目もくれず

あっけらかんとした表情で苦笑して

夏凜「これでチャラにしておいてあげるわよ」

天乃「チャラって……え? 私は何も……」

そもそもキスをしても天乃に対する嫌がらせにはならない

ただのサプライズでしかない

いや……気分を高ぶらせるという意味では

非常に有効かもしれないが。
52 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/06(火) 00:14:26.39 ID:41QWubt7o

天乃「えっと……?」

樹「あ、あの……とりあえず明日のことで話さないんですか?」

東郷「それは夜でも出来るわ樹ちゃん、でも、夕方のキスは今しかできないのよ」

友奈「東郷さんは少し落ち着いた方が良いと思うなぁ」

風「はいはい」

ぱんぱんっと手を叩いた風は、

半ば呆れたように各自の注目を集めて「明日のことね」と切り出す

明日は文化祭2日目

その体育館を使う最後の時間に天乃達は劇を行う

セリフを覚えたくらいで

全く合わせることの出来なかった劇

練習などちっとも行えていない現状

そこに、風達は危機感を覚えていた

多少間違えたりしたとしても

お金を取って行うものではないし

素人による演劇なのだから許されるだろう

けれども、それでは成功とは言えないのだ
53 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/06(火) 00:24:26.94 ID:41QWubt7o

風「本当なら徹夜ででも練習したいところだけど、まずそれは無理よね」

天乃「……そう、ね」

天乃の体のこともそうだが

風達自身も徹夜明けでさらに徹夜をするような元気はないし

それをして結局翌日潰れたりなんだりしてしまっては意味がない

東郷「こほん……そこで、明日は多少なりとも練習をしようと思います」

せっかくの文化祭最終日

だが、そこを練習に費やそうというのだ

風「天乃はそれでいい? 文化祭を楽しむよりも練習するってことで」

天乃「友奈達は、賛成してるのね?」

友奈「はい……私達はまた来年もあるので……でも」

天乃「私達3年生にはないから……と」

とはいえ、風はもう賛成しているだろうし

沙織は天乃が決めた方にするだろう

なら、天乃がどうしたいか

それによって大きく変わってくるが……


1、練習する
2、練習しない

↓2
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/06(火) 00:27:20.31 ID:pdnfKUyuo
始まってたか
1
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/06(火) 00:34:27.90 ID:EcQaX+jA0
1
56 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/06(火) 00:45:58.09 ID:41QWubt7o

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


風「物語はまず、姫である天乃が魔王に攫われて嫁にさせられるところから始まるわ」

風「勇者は一人一人魔王の僕を倒していくけど」

風「なんと、それは姫が産まされた魔王との子供だったのよ……!」

風「幾多の戦いを乗り越えて魔王を倒し、姫を救い出したものの」

風「姫の体は魔王に犯されてすでに第二の魔王となりかけていると知った勇者は」

風「苦渋の決意を胸に、姫を討つ……!」

東郷「まるで官能物語ね!」

夏凜「ただの黒歴史の間違いでしょそれ」
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/06(火) 01:00:15.39 ID:Akri4S360
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/06(火) 01:43:51.17 ID:pdnfKUyuo

いろんな意味ですごい話だな…
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/06(火) 08:07:34.17 ID:RVqkcyJpO

そのうち夏凜ちゃんとの時間も作っておきたいな
60 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/06(火) 21:49:05.06 ID:41QWubt7o

では少しだけ
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/06(火) 21:53:20.40 ID:lvdIvvO1O
かもーん
62 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/06(火) 22:12:12.29 ID:41QWubt7o

天乃「妥当な判断ね、練習しましょう」

勇者部で行う演劇

それを成功させる事こそ、この文化祭を一番楽しむ方法なのだ

天乃「文化祭は高校生でも出来るけれど……このメンバーで出来るのはこれが最初で最後だもの」

去年できたとしても樹や夏凜がいなかった

若葉達がいなかった

その前はさらに風や沙織以外のみんながいなかった

だから、これが最初で最後

天乃「みんなで劇を成功させて、最高の文化祭にしましょう」

沙織「そうだね。久遠さんが言うようにあたし達が讃州中学で集まれるのはこれが最後だからね」

学校がどうにかならない限り

天乃達が留年でもしない限り

皆での文化祭はこれが最後

笑っても泣いても終わりが来るのならば

最高の笑顔になれる終わりにしたいのだ

東郷「では決まりですね。本当ならここに宿泊したいところですが、文化祭開催中ですから、帰りましょう」

天乃「あら、今日はみんな帰ってくるのね」
63 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/06(火) 22:31:30.33 ID:41QWubt7o

夏凜「嬉しそうな顔しちゃって」

天乃「べっ、別に……」

夏凜「寂しかったんでしょ」

天乃「園子と歌野がいたから」

夏凜「はいはい」

天乃「もうっ、馬鹿にしてっ」

天乃が少しむっとした顔をしても

夏凜は気にせずに笑い声を溢しながら天乃の頭を頭を撫でる

寂しい思いをさせてしまったと夏凜は思う

だが、本当は夏凜自身も……だから、

夏凜もまたからかいながらも嬉しそうに笑みを浮かべる

友奈「夏凜ちゃんも寂しかったんだよね」

夏凜「あんたもでしょ、しょっちゅう天乃の名前出して」

樹「誰がとかじゃないですよ、みんなです」

樹は隙ありと言わんばかりに、

天乃の後ろから車椅子ごとぎゅっと抱きしめて

車椅子を動かす役目を担う
64 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/06(火) 22:46:25.62 ID:41QWubt7o

風「相変わらずね、まっ、半日貰ったあたしは気にしないけど」

東郷「私も車椅子が連結さえできればっ」

友奈「そのためにきかいこーがくっていう勉強してるの……?」

沙織「さぁさぁかえろーっ!」

丁度、送迎係である瞳から到着の連絡が来たのを確認してから

沙織が先導するように扉を開けて廊下へと出ていく

みんなが後を追って部室を出ていく中

天乃は風が戸締りをする寸前、夕日の差し込むどこか神秘的な部室へと振り返って、息をつく

天乃「……みんなでいられるのも」

若葉達とだけではない

友奈達とも、この学校に通うことが出来るのもあと少しだけ

そして天乃はその大半を

病院で過ごしてしまうことになる

夕暮れの部室を見てしまうと

それがより鮮明に明確に

確かな感覚となってしまうような気がして

天乃は眼を逸らして、息をついた

身体の調子は問題ない

明日も問題がなければいいけれど、と

窓から見える近くも遠い海を眺めた
65 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/06(火) 22:56:39.08 ID:41QWubt7o

√10月06日目 夜(病院) ※土曜日


01〜10 
11〜20 夏凜
21〜30  樹
31〜40 風
41〜50 
51〜60  東郷
61〜70  若葉
71〜80 友奈
81〜90 
91〜00  千景

↓1のコンマ 
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/06(火) 22:56:49.18 ID:lvdIvvO1O
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/06(火) 22:57:07.03 ID:40Wp/tusO
68 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/06(火) 23:09:14.94 ID:41QWubt7o

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


東郷「夜、病院のベッド」

東郷「そして散々放置され要求不満になった少女」

東郷「何もしないわけがなく……」チラッ

夏凜「…………」

東郷「否定しない!?」

夏凜「そういうときもあるわ」
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/06(火) 23:10:09.57 ID:40Wp/tusO

汚れのこともあるししょうがない
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/06(火) 23:20:23.66 ID:lvdIvvO1O

夏凜ちゃんはこのまま本番前に久遠さんと本番してしまうのだろうか
あと東郷さんや、発言がアレ過ぎて友奈ちゃんにちょいちょい引かれとるぞ
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/06(火) 23:22:15.56 ID:NBzrNbe20

オマケの東郷さんとかいうコミックリリーフ
正直すき
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/07(水) 14:15:18.27 ID:kE3OZNEAo
夏凜ってコンマ運凄いよね…ここぞって時に来る
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/07(水) 21:14:24.96 ID:dMiA5ENZO
1周目2周目はコンマ振るわなくてヒロイン逃したから揺り戻しが来てるんだよ
74 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/07(水) 22:20:49.57 ID:HNXu9aG3o

では少しだけ
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/07(水) 22:25:11.44 ID:8O3LhTV/O
おk
76 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/07(水) 22:30:21.78 ID:HNXu9aG3o

√10月06日目 夜(病院) ※土曜日


世界が寝静まろうとし始める時間

ベッドが微かに軋み、歪んだのを体に感じて天乃は目を開く

天乃「……誰?」

夏凜「起こすつもりはなかったんだけど……」

天乃「起きなかったら何するつもりだったの?」

夜目に慣れていない天乃は

ぼんやりとした視界の中、目の前にいる夏凜に訝し気な目を向けながら

ほんの少しだけ体をずらしてスペースを作る

天乃「お腹が大きいからあれだけど、一緒に寝るならこっち来て」

夏凜「あんた、寝ぼけてたりすると慌てたりしないわよね……ほんと」

天乃「何の話……?」

朝や昼間などに不意を突くように迫ると慌てた反応をするのに

覚醒していない状態だと、天乃にはどこか手慣れている感があって

夏凜は思わず呆れたような苦笑を溢してそっと身を寄せる

気付かれたからと、自分のベッドに戻るつもりはないらしい

夏凜「あんた、今日はずっと調子良かったわよね」

天乃「ええ」

夏凜「昨日、園子と歌野しかいなかったのに」
77 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/07(水) 22:42:33.76 ID:HNXu9aG3o

表情は確認しにくいが、

夏凜の声はそれを強く意識しているのだと分かりやすいもので

天乃は段々と覚醒しつつある頭を休めようと一旦目を閉じて

天乃「それがどうかしたの?」

夏凜「どうかって、あんた。穢れと子供の件で多少やる必要があるってやつ……」

天乃「……………」

夏凜「もしかして、やらなくても平気になってきたんじゃないのかと、思って」

天乃「やっぱり、心配してたのね」

特に連絡もなく、あまり心配していないように思えてくるような素っ気なさ

皆がいるから誰がが何とかしているだろう

そう考えつつ、裏ではしっかりと気にしてくれていたこと

それが夏凜自身によってはっきりして、天乃は嬉しそうに笑みを浮かべて夏凜の頬に手を伸ばす

天乃「それに関しては相変わらず必要なままよ」

夏凜「それにしては、今日はやけに調子が良かったんじゃない?」

いつもだってしていないわけではない

だけれど、それでも天乃は昼時になると体調を崩してしまっていたのだ

それが、今日に限っては丸一日平気なままだった

だからこそ、夏凜は気になってしまう
78 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/07(水) 22:55:45.15 ID:HNXu9aG3o


天乃「それは……」

夏凜「園子に夜這いでもかけた?」

天乃「私のこの体で出来るはずないでしょ」

夏凜「なら、歌野……」

夏凜はそう言いかけたが、

あの歌野に出来るとは思えないんだけど……と

歌野が聞けば一言は反論を返しそうなことを呟いて、首を振る

天乃の体調が崩れなかった。ならそれでいいと夏凜が終わらせられないのは

別に、天乃が誰かと性的な行為を行った可能性があるからではない

その誰かに嫉妬も妬みも僻みも恨みもない

ただ、天乃が一日を無事に送ることのできる方法があるのならば

それがもしも、誰しもが行える何かであるのならば。

それをしっかりと把握して、役立てるようになりたいというだけで。

天乃「そのことなんだけど……」

とはいえ、天乃としては

九尾にされつくした淫らな行為は少々……口にしたくない思い出なのだが。


1、九尾とエッチなことしただけよ
2、大したことでは……無いのよ。別にね。いつも通りと変わらないわ

↓2
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/07(水) 22:57:06.99 ID:/qp58k3hO
1
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/07(水) 22:57:12.88 ID:8O3LhTV/O
1
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/07(水) 22:57:23.59 ID:WqgmHya5O
1
82 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/07(水) 23:11:55.08 ID:HNXu9aG3o

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


樹「ちょっと嫉妬してます……? 夏凜さん」

夏凜「多少はね」

東郷「夜這い……しても良いのよ? 夏凜ちゃん」

風「それは東郷の出していい許可じゃ――」

東郷「貞操帯の鍵はここにありますが」

友奈「それ東郷さんが使ってるものだよね」
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/07(水) 23:13:02.27 ID:/qp58k3hO

そもそもなんで久遠さん貞操帯してるんですかね
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/07(水) 23:22:20.76 ID:8O3LhTV/O

九尾のプレイはレベル高そうだしな…夏凜ちゃん再現するのかな
あととーごーせんせーは夏凜ちゃんの下心のなさを見習いなさい
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/07(水) 23:31:54.92 ID:eZFLLDJi0

ここの東郷さんは何だろう、生徒会役員とか向いてると思う
86 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/08(木) 22:00:17.37 ID:VItnr/mvo

では少しだけ
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/08(木) 22:02:24.61 ID:63RXkWFRO
よっしゃ
88 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/08(木) 22:13:59.78 ID:VItnr/mvo

天乃「それなんだけどね……? 実は、九尾にして貰ったの」

夏凜「して貰ったって、アレ?」

天乃「そう、えっちなこと」

どうしても体と心が我慢できなかったし

そのせいで体調を崩しかけていたこともあって

どうしようもない措置だったと言えるだろう

天乃「ただね、九尾の行為がちょっと……激しかったのよ」

夏凜「激しいだけで良いなら、沙織か東郷にでも一任したらいいだけなんだけど」

天乃「私の体がもたないからそれはちょっと」

夏凜「でもそうじゃないと体調崩すんでしょ?」

天乃「それは……でも、東郷たちとするだけじゃまた体調崩す可能性があると思うの」

あれは九尾がしてくれたからこそで

きっとただ激しく淫らな行為をすればいいだけではないと天乃は思う

体から力が抜けていくような感覚は誰としても感じるが

その感覚が一際大きく

それがより心地よさを増していたのを覚えている

天乃「思い出したくないくらいに乱れちゃってたわ」

夏凜「それを園子と歌野は見せられてたわけね」
89 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/08(木) 22:32:31.15 ID:VItnr/mvo

夜の暗さに慣れてきた瞳に映る夏凜は、

少し眉を顰めながら園子がいるであろう方向のカーテンを眺めたが

ふと息をつくと天乃へと視線を戻して、「園子も治ればね」と呟く

天乃「一応カーテンは閉めてたわよ。見られたくなかったし……声は……我慢したかった」

夏凜「出来なかったのね」

天乃「…………」

頬を染めた夏凜はふいっと顔を逸らして、誤魔化す

出来なかったものは、仕方がない

手で押さえたり、布団に噛みついたりとしてはみたが

九尾のすることはまるで直接穢れに触れているかのように力強くて

抜き出されていく心地よさには逆らえなかったのだ

夏凜「そこは流石九尾……ってところよね」

そもそも、

天乃の体が穢れによって淫らなことを求め、

淫らな事によって体の不調が和らぐ

そう言ったことを教えてくれたのが九尾だ

昔から存在しているという九尾という精霊は

やはり、そう言った点においては群を抜いているということだろう

夏凜「さすがに、私が手を出せる領域じゃぁないわね」

九尾と変わらない恩恵を天乃に与えることは出来そうもないと

夏凜はちょっぴり残念そうに本音を漏らした
90 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/08(木) 22:42:55.91 ID:VItnr/mvo

天乃「聞きたい? 九尾がどんなやり方してきたのか」

夏凜「んな悪趣味なことは聞かないっての……大体……」

天乃「?」

夏凜「いや」

夏凜は一度口を閉ざして首を横に振ると一言呟いて

夏凜「明日も早いんだから、余計な話をしたりしない方が良いんじゃないの?」

天乃「起こした人が何を言うんだか」

明らかに言おうとしたのとは違うことを言った夏凜

そう分かってはいても

簡単な追及には本音を明かすことはないだろうと天乃は微笑んで見せて、

もう少しだけ、ベッドの隙間を広げていく

天乃「えっちなことは出来ないけど、一緒に寝るくらいなら出来るわよ?」

風はともかく、夏凜は意外と寝相が悪くない

それは友奈や東郷も同じで、樹は残念ながら風と同じ

風や樹は犬吠埼家として逃れられないものなのかもしれないと

天乃は小さく笑みを浮かべて夏凜へと目を向ける

天乃「どうする? 一緒に寝る?」

夏凜「なによ、えらく強気じゃない」

天乃「そんなことないわよ」

むっとした表情こそ見せないが、

語気の強まった夏凜を横目に、天乃空けた空間をそのままにして身体を横へと向ける
91 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/08(木) 22:52:51.13 ID:VItnr/mvo

天乃「別にエッチなことしようって誘ってるわけじゃないのよ?」

天乃が自分からそんな誘いをしてきたとしたら、

それこそなにを強気になっているのかと聞きたくなることだが、

そうではなく、ただ一緒に寝るのかどうかをたずねているだけなのだ

そこに強気も弱気も無い……無防備ではあるのだが。

夏凜「そんなこと分かってるわよ、私はただ――」

天乃「なんだって余裕が無いときにとか言われても困るわ」

夏凜「…………」

天乃「みんなが忙しいときに力担当みたいな夏凜貸して欲しいとかなかなか言い出せないに決まってるでしょ」

自虐的な意味合いを含めてため息をついた天乃は

ましてこの私なんだからそのくらいわかって欲しいわ。と

自分の事でありながらどこか自信に満ちた声色でつぶやいて、苦笑いを浮かべて見せる

天乃「歌野たちが着てくれたんだから、夏凜だって行く意思さえあれば来ることが出来たはずじゃない」

夏凜「それは……」

風たちならほぼ確実に……というよりも確実に

嫌味な笑みを浮かべながらも「どうぞどうぞごゆるりと」とでも茶化しながら送り出してくれた事だろう

天乃「でも、夏凜はしてくれなかったんでしょ?」

夏凜「してくれなかったんでしょ? って……それは反論できないけど」
92 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/08(木) 23:04:25.15 ID:VItnr/mvo

夏凜「だったらあんただって指名したらよかったでしょ。今日だってわざわざ休んでる風なんか連れ出して」

天乃「そこは別に挑発するような意味は無かったわよ。ただ純粋にねぎらうべきだと思って」

夏凜「それでお化け屋敷つれていったんなら相当鬼だわ」

天乃「それで勘違いして嫉妬してみんなの前でキスするくらいならもっと早く発散しに着たらよかったじゃない」

天乃はそういうと夏凜のことをにらむように見つめて、

半人分くらいのスペースはあるベッドの空白をたたいて夏凜にぐっと近づく

天乃「夏凜はいつもそうなんだから。みんなが。みんながって。なんなのよ、わがままになれとか人にあれだけ迫っておいてどうなのよ」

夏凜「自分の事棚に上げて言うか」

天乃「今はわがまま言ってるもん」

ふんっ。と全く持って気迫の感じない唸り声を漏らして

天乃「今棚に上げてるのはどこの誰なんだか」

夏凜「私だけどなによ、文句あんの。散々迫ってきてたこっちの気持ち少しでも理解できたんじゃないの?」

天乃「なんでそんな勝ち誇った言い方――」

風「あの、お二人さん、痴話喧嘩ならよそでやってくれませんかね」

カーテンの隙間から顔を差し込んだ風は、

呆れ果てた声で割って入ると、天乃と夏凜を交互に見渡して

深々とため息をつく
93 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/08(木) 23:14:08.81 ID:VItnr/mvo

風「別に好きなだけ痴話喧嘩はしていいのよ。あんた達そういうこと滅多にしないし」

もちろん、仲がいいというか

ほぼ完全に分かり合っているような関係性だから良いのかもしれないが

少しはしてくれるといいと風は言う

風「ただ、時と場合を考えて。お願い。明日文化祭、朝早い、寝たい、疲れてる。OK?」

天乃「……ごめんなさい」

夏凜「痴話喧嘩ではないけど、悪かったわ。静かにする」

分かってくれたなら良し。と

満足げに言った風が引いて行ったのを見送って。

天乃「…………」

夏凜「…………」

乱された空気感に耐え切れず黙り込んで見つめ合った二人

天乃がとりあえず。とベッドの空いた空間を叩いて布団をめくると

夏凜が少し遠慮がちにその空間を埋める

夏凜「痴話喧嘩は、してないわよ」

天乃「してないわよ、忠告しただけ。夏凜が意地っ張りだから」

夏凜「はぁ……そう言うことにしておいてあげる」

天乃「なにその仕方がないけど。みたいな……たまには東郷たちみたいにぐいぐい来て欲しいって私は」

夏凜「私まで迫ったらあんたが休めなくなるでしょうが」

天乃「……べつに、モヤモヤするくらいなら休めない方が良いし」

夏凜「…………」

いじらしく俯きがちに答えた天乃を見つめていた夏凜は

何かを言おうと口を開いたが、悩ましそうに首を振って

夏凜「そうならそうと……せめて袖の端でも引っ張ってくれれば夜這いでも何でもするわよ」

天乃「…………」

夏凜「だからって今引くな。明日もあるんだから今日は寝るわよ……一緒に」

二つの熱は一つの温もりとなって、ゆっくりと夜は更けていく
94 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/08(木) 23:14:55.59 ID:VItnr/mvo

1日のまとめ

・   乃木園子:交流有(賑やかな病室)
・   犬吠埼風:交流有(お化け屋敷、メイド喫茶)
・   犬吠埼樹:交流有(文化祭)
・   結城友奈:交流有(文化祭)
・   東郷美森:交流有(文化祭)
・   三好夏凜:交流有(ただの痴話喧嘩)
・   乃木若葉:交流有(文化祭)
・   土居球子:交流有(文化祭)
・   白鳥歌野:交流有(文化祭)
・   藤森水都:交流有(文化祭)
・    郡千景:交流有(文化祭)
・  伊集院沙織:交流有(文化祭)
・     九尾:交流無()
・     神樹:交流無()


10月06日目 終了時点

乃木園子との絆  67(高い)
犬吠埼風との絆  96(かなり高い)
犬吠埼樹との絆  82(とても高い)
結城友奈との絆  102(かなり高い)
東郷美森との絆  112(かなり高い)
三好夏凜との絆  132(最高値)
乃木若葉との絆  93(かなり高い)
土居球子との絆  40(中々良い)
白鳥歌野との絆  42(中々良い)
藤森水都との絆  34(中々良い)
 郡千景との絆  40(中々良い)
  沙織との絆  114(かなり高い)
  九尾との絆  62(高い)
  神樹との絆   9(低い)
95 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/08(木) 23:17:16.78 ID:VItnr/mvo

√10月07日目 朝(病院) ※日曜日

01〜10 体調
11〜20 友奈
21〜30 
31〜40 若葉
41〜50 夏凜
51〜60 
61〜70 沙織
71〜80 
81〜90 
91〜00 体調

↓1のコンマ 
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/08(木) 23:17:39.97 ID:E+fizGc/O
97 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/08(木) 23:25:27.88 ID:VItnr/mvo

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
これは何もしなかった三好さんのせい


沙織「平和だねぇ」

園子「可愛いよねぇ」

東郷「夫婦喧嘩は犬も食わないと言いますが」

東郷「今回ばかりは流石に犬も喰らいましたね」

風「なに東郷、もしかして喧嘩売ってる?」
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/08(木) 23:27:29.97 ID:E+fizGc/O

夏凜が意地張るから……
にしても久遠さんも責められたい願望あるのね
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/08(木) 23:31:53.12 ID:63RXkWFRO

あまにぼの痴話喧嘩が可愛過ぎるw
でも中々エロシーンに発展しないこの健全さが逆に仇になったか…?
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/08(木) 23:32:53.89 ID:lG8E7E0Ro

夏凜ちゃんほんとコンマに恵まれねえよな……
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/08(木) 23:37:51.39 ID:OuIO0MxMO

やはり発散は必要だったのか
っていうかプチ欲求不満久遠さんが可愛すぎて砂糖吐いた
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/09(金) 06:53:27.00 ID:r4vU8OBgO
一見言い争いに見えるけどどう考えても悪化する気がしない喧嘩とかそら犬も食いませんわ

そしてここでか…2割やぞ
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/09(金) 14:55:59.36 ID:i7EpyKKqo
久遠さんマジ悲劇のヒロイン(ガチ)
劇はどうするんだろう…中止するのかな
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/09(金) 20:44:15.56 ID:3/NHcgSaO
朝のうちになんとかして昼前から学校行くしか……
105 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/09(金) 22:12:23.53 ID:Q8hlvhBho

では少しだけ
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/09(金) 22:13:21.80 ID:KAejfB4dO
あいよー
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/09(金) 22:13:29.25 ID:jyViC7SW0
やった!
108 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/09(金) 22:18:44.75 ID:Q8hlvhBho

√10月07日目 朝(病院) ※日曜日


夏凜「状態は……?」

「良くあるつわりの症状です……が、それでも比較的重度の兆候が見られます」

朝早い時間から吐き気を訴え、

検査が始まっても、検査中でも何度も嘔吐してしまっており

落ち着いたかと思えばむせて、口から溢れるように吐き出す

それが朝からずっとだ

夏凜「劇は……」

風「そんなこと今の天乃が出来るわけないでしょ」

夏凜「演劇とか、出来るようにはできないの?」

風「夏凜!」

「今の状況ですと運よく改善されても数時間での快復は……それにたとえ改善されても言葉を発することすら難しいでしょう」

厳しいことを言うことにはなりますが。と

夏凜達の表情を見てか、医師自身も辛そうに言葉を絞り出す

「はっきりと、言ってしまうのなら……彼女が言うように不可能ですね」

夏凜「おかしいでしょ……おかしいでしょ、そんなの……!」

東郷「夏凜ちゃん……」

夏凜「天乃は、楽しみにしてて、絶対成功させるんだって、みんなで最後だろうからって、本当に……っ」
109 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/09(金) 22:31:09.55 ID:Q8hlvhBho

昨日の夜だって何も問題がなさそうに見えた

昨日の丸一日をとても楽しそうに過ごして、

つわりの症状など、身体の辛さなど全く感じさせないような様子だった

それが、一番大切な日に……何も出来なくなるような重い症状があらわれて

夏凜「あんた医者なんでしょ……なんとか、なんとか出来る方法探――」

沙織「三好さん!」

手加減のない力強い平手が夏凜の頬を打ち、

平手の主である沙織は悲し気な怒りを携えながら声を張り上げて

夏凜を打って震える手を自分で握る

沙織「この人を責めたってどうにもならないよ……三好さんが怒ったって何にもならないよ」

夏凜「そんなこと分かってるわよ。でも……天乃は泣くことも、何にもできないのよ!」

夏凜だけが、見てしまった

夏凜だけが、聞いてしまった

体調を崩して、苦しそうだと、辛そうだと

そんなことを言うことすら烏滸がましいような酷い状態になってしまった天乃が

検査と治療のために運ばれていく中で

たった一言「ごめんね」と、笑みを浮かべたのを。

だからどうしても、我慢ならなかった
110 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/09(金) 22:49:07.09 ID:Q8hlvhBho

東郷「みんなで何か出来る事、戦いなんかじゃなくて、こういう平和な行事で出来る事。久遠先輩がどれだけ、切望していたか」

そこに自分を含めずに考えている時期も確かにあった

だが、やがてその考えを改めて、天乃は自分も含めたみんなでのそう言った世界を望むようになった

そのためにどれだけの苦しみを味わい、悲しみに包まれてきたか。

決して想像に易いものなどではないと東郷は首を振る

東郷「それが、ここにきて……その悲しさは例えであろうと代弁したくはないわ」

若葉「……どうする? 風」

風「どうするって……」

樹「久遠先輩がいないまま、やる?」

風「……っ」

どうするべきか否か

演劇をやるならば変更点も大きく出てくる

しかし、やらないのであれば楽しみにしてくれているみんなに、

会場である体育館その設備の準備係

沢山の人を困らせ失望させることだろう

けれど、果たしてこんな状況で成功させられるのだろうか

勇者部部長というもの以上の責任を感じる風は

硬く、唇を噛み締めて――

友奈「……やりましょう、風先輩」

黙り込んでいた友奈が、口を開いた
111 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/09(金) 22:57:53.04 ID:Q8hlvhBho

夏凜「友奈、何言ってるか分かってんの?」

友奈「分かってるよ……分かってる」

夏凜「分かってるならなんで……」

友奈「久遠先輩が楽しみにしてたからだよ!」

夏凜「!」

友奈は悲しみを抱えたまま声高に叫ぶように夏凜へと言い放つ

力のこもった体は今にも襲い掛かりそうなほどで

想いの込められた言葉が、夏凜にぶつかっていく

友奈「成功させたいってそう言ってたから……」

だから。と

友奈は泣き出してしまいそうに震えた声で、続ける

友奈「私達は止めるべきじゃない……例え久遠先輩が出られなくても……みんなで、笑顔で、劇は大成功でしたって……久遠先輩に報告するべきなんだって私は思います」

歌野「結城さんの言う通りね。やりませんでした。なんてリポート。それこそ久遠さんは傷つくと思うし、レッツプレイあるのみ」

夏凜「…………」

樹「やりましょう、夏凜さん」

夏凜のつよく握りしめられた手を握りながら持ち上げて

夏凜が自分へと目を向けてくれたのを感じると、樹はまっすぐ見返す

樹「夏凜さんが一番良く分かってるはずです。ここで私達が引いた時、久遠先輩がどんな気持ちになるのか」

天乃はここでやらなかったら、きっと自分のせいだと強い自責の念に駆られることだろう

どれだけこっちが決めたことだからといっても

そうしなければいけなかったのは、自分の不調のせいだから。と

夏凜「……どうせ、成功させたってあいつは迷惑かけてごめんねって、言うわよ」
112 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/09(金) 23:10:28.32 ID:Q8hlvhBho

激昂していた夏凜はその荒々しい雰囲気を段々と落ち着けて行き

震えるほど強く握られていた手は収まって力が抜ける

夏凜「そっちの方が、100倍マシか……」

沙織「怒っていたってどうにもならない。あたし達が出来ることをやらなきゃ」

若葉「夏凜はここに残した方が良い……と、思ったが」

千景「それは逆効果よ。乃木さん」

若葉「分かっているさ」

誰か一人

心配だからと残しても天乃は気負ってしまう

はっきりいって自己犠牲精神の塊過ぎるところがあるのだ

球子「これで本当に失敗出来なくなったな」

夏凜「別にいいでしょ。元々失敗するつもりなんかなかったんだから」

風「中止にするべきとか喚いてたくせに〜」

夏凜「うっさい! あいつがいないならやる意味ないって思っただけよ」

そう怒鳴った夏凜に、

風は茶化すように笑いながらそうっと身をよせて、

触れるか触れないかの距離を保って苦笑する

風「でも、それだけ天乃のことを想ってるってことでしょ……だったら、昨日の夜みたいなことしないでちゃんと我儘言いなさい」

夏凜「っ」

夏凜が反応するよりも早く言い逃げしようと風は足早に去って行って

残された病室、おとなしくしていた園子へと夏凜が目を向けると

園子はゆったりとした笑みを浮かべて

園子「天さんの傍には私がいるから」

夏凜「……行ってくるわ」

園子「頑張ってね」

穏やかに、見送った
113 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/09(金) 23:22:55.51 ID:Q8hlvhBho


01〜10 
11〜20 九尾
21〜30 
31〜40 
41〜50 九尾
51〜60 
61〜70 
71〜80 体調
81〜90 
91〜00 

↓1のコンマ 

※空白 通常
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/09(金) 23:23:19.34 ID:3/NHcgSaO
はい
115 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/09(金) 23:31:31.93 ID:Q8hlvhBho

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


東郷「………」カチャカチャ

風「……東郷何してんの?」

東郷「久遠先輩の不調が穢れのせいなら」

東郷「神である神樹様の枝の一本でも煎じて飲めばよくなるかと思いまして」

東郷「とりあえず壁に穴でもあけようかと」

夏凜「私が提案したのよ」

風「ツッコミの夏凜ちゃんがボケた!?」
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/09(金) 23:38:39.00 ID:/idmwuFfO

久遠さん復活の目はないのか…
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/09(金) 23:39:59.17 ID:KAejfB4dO

どこまでも運には見放されてる久遠さん…
友奈ちゃんのおかげで劇の主役不在でも暗くならずドラマチックな展開になってくれたのが救いか
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/09(金) 23:50:42.46 ID:3/NHcgSaO

久遠さんも楽しみにしてたのにかわいそうだな
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/10(土) 14:16:46.51 ID:3+OZdR7Xo
神様(コンマ)がえげつねぇ…
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/10(土) 21:11:35.43 ID:SovuvVmaO
何も劇の日じゃなくてもいいのに
121 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/10(土) 22:33:58.39 ID:O3lCbAUjo
では少しだけ
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/10(土) 22:36:52.45 ID:R58RllfLO
よしきた
123 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/10(土) 23:00:16.78 ID:O3lCbAUjo

√10月07日目 朝(病院) ※日曜日


天乃「ぅ……っ!?」

耐え切れずに何度も何度も吐き続けて

喉が焼けるような痛みにもがき苦しんで

ようやく嘔吐が収まって息を吸えば

取り込んだ酸素を押し返すように強い吐き気が再び訪れる

天乃「げほっ、けほっ……ぅぇっぁあ゛っ」

むせたり咳込んだりしたが最後

喉の強い痛みと止まらない吐き気、嘔吐に呼吸が乱さされたままの苦しい時間が延々と続くのだ

それが収まっても、油断をしたり急いだり

咳込めばまだぶり返す恐怖と緊張感に気が休まることはない

朝から疲弊しきって、でも、眠れない

内容物を出し切って胃液まで使い切った体の内側はボロボロで

空気が入り込むだけで喉はピリピリとした痛みを発する

声は当然出すことはままならないし

視界はぼやけ、涙に歪み全く見えない

今日は文化祭最終日

一番快調で一番参加しなければいけなかった日

それなのに

自分はここで何をしているのだろうかと、怒りさえこみあげて来てしまう
124 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/10(土) 23:18:19.83 ID:O3lCbAUjo

天乃「っ……ぁ」

体を起こそうとして伸ばした手は近くに立っていた点滴用のスタンドに触れてなぎ倒し、

タオルを用意しに行っていた看護師は、響いた騒音に驚き慌てて病室へと駆け込む

出かけるなんて不可能だ

文化祭で劇を行うなんて不可能だ

それ以前に声が出せない

それよりももっと、根本的に呼吸さえ今は上手く出来ないのだから

「駄目ですよ……安静にしててください!」

天乃「ぃ……」

「駄目です、無理です……っ、声すら出せていないんですよ!」

抑えても体を起こそうとする天乃を必死に抑えながら、

看護師の女性は影響がないように気を配りながら抑える手に力を込めていく

無理矢理押し倒せば体が変に圧迫されてより体調を崩してしまいそうだからだ

「ここで無理をしたらお腹の中の子供にまで悪影響が出てしまいますよ」

天乃「っ……ぅ」

そんなことまで言われて無理をするわけにはいかなくて

天乃は看護師の力に抗うのを止めて、ベッドへと横になる
125 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/10(土) 23:29:11.02 ID:O3lCbAUjo

「皆さまは学校に向かわれました。劇に関しては久遠さん抜きに行うと伺っています」

勇者部から聞かされたことを伝えながら、

新しく用意したタオル等で天乃の汚れた口元を拭うと

吐き溜められた袋を一瞥して心配そうに顔を顰める

「血が混じってますね……出来る限り吐かないよう絶対安静にしていてください」

袋の口をしっかりと閉じて二重三重に包み、

改めて袋に入れ終えてから新しい袋を用意する

血まで出てきているということは

喉まで完全にやられてしまったということだ

それでもなお吐き気に耐え切れず何度も嘔吐してしまった場合

更に症状が悪化してしまう可能性があるからだ

天乃「ぁ……たし……」

「無理です。文化祭への気持ちは分かりますが――」

天乃「何がわかっ……っ! ぅ゛……ぅっ……うぅ」

「……簡単に言ってごめんね? でもどうか安静にしていて」

さかのぼる吐き気に顔をゆがめた天乃を優しく介抱しながら

看護師は悲し気に息をつく
126 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/10(土) 23:50:14.99 ID:O3lCbAUjo

通常の妊娠とは全く違う特殊な状態の妊婦で

体調も胎児の成長も不安定

検査の回数は普通ではありえないほどに何度も行い

対応も厳戒態勢といった特殊すぎる状況だが、

当の本人たちはそれを除けばいたって普通の学生だった

文化祭を楽しみにしていて、頑張っていて

体調不良が続いているからと警戒してわざわざ文化祭までに学校を休んだりして。

明日は自分たちの出し物があるからと張り切っていた……それで、こんなことになって。

分かるだなんて発言は軽率だったと看護師は後悔する

常套句だったとはいえ、場面的に使うべきではなかったと。

天乃は3年生だ。

あの中学生の面々との文化祭はどうあがこうともこれが最後

だからこそ絶対に参加したかっただろうし、

出し物を成功させたかったはずなのだ

「神樹様……どうか、お恵みを……」

絶え間なく押し寄せてくる吐き気にもがき、

冬の近い寒々しい季節でありながら汗を流し続ける天乃の体や額を拭いながら

看護師の女性は何度もつぶやく

沢山の後輩や同級生に慕われている姿を知っているから

だから、思う

こんなに苦しまなければいけないような子ではないはずだから。と

大切な場面で足を挫かれてしまうような子ではないはずだから。と

みんなでの最後の文化祭

そんな些細で普遍的な当たり前の楽しみを奪われていいはずがないのだから。と

「……救ってあげてください、神樹様」

しかし。

そのような祈りなど、弱ってしまっている神樹様の加護など

今の天乃を癒せる力は全くといっていいほどに……無かった
127 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/10(土) 23:51:51.95 ID:O3lCbAUjo

√10月07日目 昼(病院) ※日曜日

01〜10 
11〜20 九尾
21〜30 
31〜40 
41〜50 若葉
51〜60 
61〜70 
71〜80 九尾
81〜90 
91〜00 九尾

↓1のコンマ 


128 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/10(土) 23:52:09.75 ID:7ikXyIgSO
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/10(土) 23:52:28.46 ID:R58RllfLO
130 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/11(日) 00:07:05.66 ID:Dch8/a0zo

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば昼頃から


九尾交流
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/11(日) 00:20:28.61 ID:hDcpRL9LO

九尾が落ち込んでる久遠さんの心のケアしてくれるかな?
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/11(日) 00:21:09.41 ID:TVXyOGWeO

思ってたよりも重症とか…何で久遠さんはいつもこれからって時に不幸な目に会うんだ
今回ばかりは九尾に賭けるしかないか
133 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/11(日) 16:24:27.66 ID:Dch8/a0zo

では少しずつ
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/11(日) 16:26:20.91 ID:vfnOq5snO
やったぜ
135 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/11(日) 16:53:00.95 ID:Dch8/a0zo

√10月07日目 昼(病院) ※日曜日


昼になっても押し寄せる吐き気は収まることを知らず、

気を抜けばすぐにでも嘔吐に繋がる不安は残り

吐き続けて疲弊し、瞼が重くなりつつあってなお

天乃は一瞬さえも眠ることは出来ずにいた

天乃「……………」

それでいて、何も出来ない

体を動かす事はもちろん、

話すことや本を読むこと、テレビを見ること……何一つ

本来文化祭に参加している時間を空っぽにした吐き気による永遠にも思えそうな拘束感に

抗うことも振り切ることも出来なかった自分に

なぜだかとても苛立ってしまう

だが、その怒りさえも

発散させようとひとたび体を動かせば長時間にも及ぶ嘔吐をつづけることになる

九尾「安静にしておけ。今の主様には何も出来ぬ」

天乃「…………」

不快感と嫌悪感のみが溢れかえる中

ふいに姿を見せた九尾は女性の姿ではあるが

臀部から生やした九尾の尾の一つで天乃を優しく包み、汗に濡れた頬を細い手で拭う
136 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/11(日) 17:25:01.59 ID:Dch8/a0zo

天乃「ぅ……」

頬に触れる手を握る天乃の手の力はとても弱弱しいものだった

衰弱してしまっているのもそうだが

余計な所に力を入れた瞬間にまた体調を大きく崩してしまいそうな不安があるからだろう

呼吸することだけに意識を集中しながら

救いを求める視線を向けてくる天乃を見つめて

九尾は冷静さを感じる表情をわずかに曇らせた

九尾「妾にどうにかできる状況ではない」

天乃「…………」

九尾「理由かや……? 至極単純な答えじゃが」

九尾は握るというよりは触れて来るだけの天乃の手を優しく握って

聞くまでもないことだと前置きをしながら、天乃のことを一目見て息を吐く

普段の発作とは全く違い、

今までに経験したことが無いほどに辛く苦しいつわりの症状だが

九尾からしてみれば、それはいつ来てもおかしくないものだったし

不思議なことではなかった

九尾「主様は双子を身籠っておるがゆえに、そもそもの負担は一般のそれとは違う」

それに加えてこれが初めての妊娠であり、まだ15歳の体なのだ

成長期を迎えて体が作り替えられているとはいっても

当然のことながら適応しきれているわけがない
137 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/11(日) 17:41:45.37 ID:Dch8/a0zo

にも拘らず、穢れと神聖な力を受け継ぐことによって

妊娠における周期は滅茶苦茶になってしまった

不安定な状況に陥った体は何とか適応するために

天乃を発情させることで穢れの発散を促したりとしていたが

それでも間に合わずに体調不良を起こしてしまっていたのがここ数日の事

九尾「要約するとな。主様の体は受け入れることを選んだのじゃ」

妊娠による症状は少しずつ流出させても次から次へと蓄積されていく

それならば一度溜まった症状を放出してから

体が回復していくのに合わせて適応力を底上げする方が

苦しみは長引かないし体への影響も少ないと勝手に決めつけてその処理を行った

いや、今現在行っている最中なのだ

九尾「そこで妾の力が割り込んでしまうと、さらに乱れることになる……下手は打てぬのじゃ」

天乃「…………」

体の中のものすべてを使い果たし、適応させていく

母乳の件で胸が大きくなってしまうのもその一端だ

もっとも、天乃の場合は延々と流れる力がかかわってくるため

元のサイズに戻るのかどうかは怪しいところだが。
138 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/11(日) 18:59:37.12 ID:Dch8/a0zo

天乃「…………」

九尾「今日は、諦めるんじゃな」

ずっと見てきた九尾としては

天乃を文化祭に参加させてあげたいと思わないことはないが

こればかりはどうしようもないことなのだ

不運だった。という他ない

九尾「これを乗り越えれば、安定期に入るじゃろう……」

声をかけながら天乃の目元をそうっと拭う

皆に心配をかけて、迷惑をかけて

何かしたくても何もできない

けれど眠ることは出来なくて、憔悴しきった体の重みをただただ感じるだけ

そんな天乃の傍に寄り添って、九尾は静かに目を瞑る

九尾「しばしの辛抱じゃ」

天乃「ゅ……」

九尾「無理に話さなくてよい。吐かぬことだけを考えておれ」

139 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/11(日) 19:41:48.92 ID:Dch8/a0zo

√10月07日目 昼(病院) ※日曜日


01〜10 若葉
11〜20 
21〜30 
31〜40 九尾
41〜50 
51〜60  ……
61〜70  大赦
71〜80 
81〜90  晴海
91〜00 

↓1のコンマ 



140 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/11(日) 19:43:08.04 ID:XLE7QkS+O
141 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/11(日) 20:21:58.83 ID:Dch8/a0zo

若葉「……そうか」

九尾「お主達も主様抜きでやると決めたのじゃろう? 予定は変わらぬ」

若葉「それはそうだが……」

昼頃になってどこからともなく姿を現した若葉は、

九尾から天乃の状況を聞くと

悲し気にまゆをひそめて、天乃へと目を向ける

予定は変わらないとは言うが

もしかしたら。という希望は持っていたからだ

若葉「数時間たってなお、話すのも無理か」

天乃「……ぇ……ね……」

若葉「いや、気にするな。ゆっくり休んでくれ」

罪悪感に満ちた天乃の表情

自分の言葉が失言だったと悔いながら

天乃へと声をかけ、そっと天乃の頬に触れる

汗ばんでいて火照った体は

熱を出しているようだと、若葉は思う

若葉「本当に大丈夫なのか?」

九尾「問題ないと言っておろう……それより、おぬしたちの劇は問題ないのかや?」
142 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/11(日) 20:52:44.66 ID:Dch8/a0zo

若葉「ああ、何とか問題は無くなった」

天乃が出てくる場面の全てを削り取り、

つぎはぎにしてもストーリーは滅茶苦茶になってしまう

それゆえに、天乃に関係なく場面を削減し

脈絡ない展開にならないように再構築したのだ

最初に予定していた劇と比べればやや面白みに欠けるかもしれないと風は言っていたが

そのおかげで大雑把な練習とはいえ

だいぶ出来ているのだから、ある意味では良かったのかもしれない

そもそも、それ以外に方法はなかったのだから仕方がないだろう

若葉「天乃の子供が無事に生まれてくるためのものだと知れば、夏凜も安心する」

天乃「……ぅ?」

若葉「声は聞こえなかったか? 朝は一番慌てていてな……中々見れない姿だったぞ」

大変な事だったとしても

過ぎたことだからと若葉は冗談めかした笑みを浮かべながら

学校でも意気込みすぎていて不安だったからな。と

天乃に寄り添いながら学校での様子を語る

若葉「まぁ、それも夏凜に限った話ではないのだがな」
143 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/11(日) 21:25:18.45 ID:Dch8/a0zo

若葉「友奈達も成功させようと張り切っていて……いや」

張り切り過ぎていてむしろ心配にさえなったな。と

若葉は苦笑して天乃へと目を向けたが

天乃の目が「気遣わないで」と言っているようなきがして思わず眼を逸らす

精霊だから自由に行き来することが出来る

だからこそ任命されたこの場

不安にさせないように

罪の意識を感じさせないように

そう気負ってなかったと言えば、嘘になる

だが……

若葉「すまない……天乃がこんな状況に陥っていてあれだが、私も安心したんだ」

天乃の体調不良は何か大きな問題があるものではなく

子供を無事に産むための仕方ないことで

ここからなにか悪いことが起きるのではないと九尾から聞かされて

安心してしまったから、少しでも楽しむ余裕が出て来てしまったのだろう

若葉「……少しだけ、日常というものを味わえて嬉しいと思った」

友人の為に全力でなにかを成功させようとする

命がけではなく、そう言ったことをするのは

とても学生らしいと、日常らしいと若葉は思ったのだ

若葉「だから、すまないな」

そう言った若葉は、笑みを浮かべていた


1、手を握る
2、首を振ろうとする
3、笑みを浮かべる
4、睨む

↓2

144 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/11(日) 21:28:30.47 ID:uhqk0NBfO
4
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/11(日) 21:29:08.42 ID:6dBEDQxw0
4
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/11(日) 21:29:34.83 ID:vfnOq5snO
2
147 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/11(日) 22:19:24.30 ID:Dch8/a0zo

天乃「…………」

若葉「そう睨まなくてもいいだろう……?」

天乃の睨むような視線に、

若葉は困ったように呟いて顔を逸らす

しかし肌に触れる手は天乃から離れずに

九尾がしていたように天乃の手を握っていて

若葉「気が抜けたんだ」

今日に限って体調を崩すことになって始末たのは不運だとは思うし

若葉自身、出来るならそれは翌日以降になって欲しかったとも思う

若葉「私だって、天乃と一緒にやりたかった。だが、子供の為なら仕方ないだろう?」

天乃「っ……」

若葉「だから体調が戻ったら、みんなでなにかしよう。今月は……確かハロウィンがあったな」

かつて聞いたことを想い出して

若葉は何をしようかと考えて苦笑する

若葉「そのためにも、今日は……ゆっくり休んでくれ。劇は必ず成功させるからな」

安心してくれ

そう言った若葉は天乃の頬に優しく触れると、そっと離れていった
148 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/11(日) 22:27:53.21 ID:Dch8/a0zo

√10月07日目 夕(病院) ※日曜日


01〜10 
11〜20  晴海
21〜30 
31〜40 
41〜50 
51〜60  大赦
61〜70 
71〜80 
81〜90 
91〜00  ……

↓1のコンマ 

※何もない場合は勇者部
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/11(日) 22:29:37.92 ID:vfnOq5snO
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/11(日) 22:31:50.99 ID:XLE7QkS+O
何事だ
151 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/11(日) 22:37:19.71 ID:Dch8/a0zo

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


東郷「母乳は乳頭から出ます」

東郷「久遠先輩は妊娠したことで力が胸に流れている」

東郷「そして母乳にも力が宿るということになります」

東郷「……もしかして、力がある限り半永久的に母乳が出る体になるのでは?」

九尾「それはそうじゃが……自力でその答えに至るとは思わなかったぞ」



152 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/11(日) 22:38:36.01 ID:XLE7QkS+O

久遠さんのミルク(100%)
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/11(日) 22:58:52.31 ID:vfnOq5snO

久遠さんの乳なら実際にそうなりそうだからなぁ…
あとコンマに晴海さんがいるってことは遂に久遠家も関わってくるのかな
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/11(日) 23:33:05.15 ID:YuG+Xa5BO

マジかよエロい…母乳飲まれながらイかされる久遠さんヤバいって
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/12(月) 12:57:41.27 ID:/ysvMmzXo
乙乙
イベントを的確に引くコンマ好き
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/12(月) 14:07:25.87 ID:I7ToRBjPO
本編中ではもう仕方ないけど久遠さんが参加できた場合の劇ってどうなってたのか気になるなあ
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/12(月) 15:51:20.92 ID:YcHaRdmo0
3連休ヒマだったので面白いスレ見つけたと思って最初からぶっ続けで読んでようやく追いついた。
wikiのオマケも全部読んだと思うんだけど二週目のBADENDの続きって未完なの?

すんごい続きが気になるところで終わってるのに見当たらないから困惑してる。
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/12(月) 16:47:43.51 ID:llvtKSnFO
たしか内容的にキツ過ぎてあの後はあらすじのみ載せてギブアップしてた気がする
流石にあれ以上はしんどそうだったし仕方ない

159 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/12(月) 17:08:34.85 ID:qUs8s/nsO
あれってスレとはだいぶ毛色違うけどあらすじ読んでも結構面白そうな内容だから>>1の負担にならないなら>>1の文章で読んでみたかったから気持ちはわかるわ
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/12(月) 18:38:09.12 ID:YcHaRdmo0
そうか、続き無いのね続きが気になってたから残念。

でも今の話も面白いし安価の参加は難しいかもしれないけど楽しむよ、教えてくれてありがとう。
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/12(月) 20:30:25.54 ID:0SiMfvvJO
気合い入ったエロと戦闘みるにモチベーションさえあれば文章力としては商業紙に匹敵するくらいになるからなぁ…期待したい気持ちは解る
162 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/12(月) 22:38:12.45 ID:RjDi/+Aeo

では少しだけ
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/12(月) 22:39:09.99 ID:1j7QR2V9O
かもん
164 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/12(月) 22:44:36.08 ID:RjDi/+Aeo

「まだ、しておるか」

「これが最期の私の役目なのよ」

「無茶をする……ただでさえ短い命がさらに短くなるぞ」

「良いわよ別に。それで未来が守られるのなら」

2人の女性の内、背の低いまだ若い少女は苦笑しながら抱く我が子を撫でて

奉納された刀へと目を向ける

満足げな表情、満たされた表情を見せられては女性も何も言えなかったのだろう

少し開いていた口を閉ざして呆れたように首を振る

「いつか、人は外の世界に出なければいけない時が来るわ。そのために必要な事よ」

「別に、ここでしなければいけない事ではないと思うが」

「私以外の誰かに出来ると思う?」

自慢げに

しかし、どこか自嘲の混じったはかなげな笑みを浮かべる少女に、

女性は不快感を露にしたにらみを利かせて、ため息をつく

「犠牲を増やせば出来る事は出来るじゃろうな……もっとも、それでは主様の考えている結果には至らぬやもしれぬが」

「今の神樹の力を使い尽くせば出来ないこともないと思うけどね……それでは結局再侵攻されて終わるわ」

しかし、神樹が自らを犠牲にして力を使い尽くすような行為はしないだろうし、

何かきっかけが必要なのだと、少女は零す
165 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/12(月) 23:00:13.26 ID:RjDi/+Aeo

バーテックス、天の神

それに対してもそうだが、人類を守護しているという神の集合体である神樹に対しても

人類はなにかを示さなければいけないはずだ。と

「それにはきっと長い時間がかかると思うのよ……だからその時には神樹の力は衰えていて解放しきる力が足りない可能性もあるから」

「だから主様が命を賭す。と? 浪費されていく結界ではなく、愚かな人類、愛すべき我が子に託すと?」

笑みを浮かべながら語る少女に対し、

女性はその選択を受け入れがたいと言いたそうに顔を顰めながら問いかけるが

少女は表情を変えることなく頷く

「私は結局、うわべだけの付き合いで終わってしまった。千景にも、杏にも、友奈にも、球子にも、若葉にも、ひなたに対しても」

そして、その結果が救いようのない結果だったのだと零す。

大崩壊が起きて以降、裏切られ続けた人生だった

憎まれ、恨まれ、呪われ続けた人生だった

人を信じるなど、愛するなど、心の底から出来るような状態ではなかった

だから仕方がなかったのかもしれない

しかし、少女は「でもね」と呟く

「誰か一人でも信じてあげられたら、愛してあげられたら、きっと結果は違っていたんだと思うの」

「想い一つで変わることなどあるとは思えぬが」

「あるわ。きっとある。だって……失ってしまってからこんなにも強い後悔をしてしまうんだもの」
166 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/12(月) 23:26:14.41 ID:RjDi/+Aeo

失いたくないという想いは、誰かに対して抱く信頼は

何よりも強い力になるはずなのよ。と、少女は笑みを浮かべる

「誰かを想う気持ちこそ、この世界を救う一つのカギになってくれるはずだから」

「くだらない妄想じゃな。根拠がまるでない」

「でも、貴女は人間の愛を利用する妖狐だったはずでしょう?」

挑発するように問いかけた少女は、

不機嫌に眉を顰めた女性を真っ直ぐ見つめながらクスリと笑う

完全な、嘲笑。

「それとも、貴女の立派な伝承は人間の心を知らない哀れな妖怪の物語だったのかしら」

「言うではないか……小娘」

女性は瞬く間もなく姿を大きな九本の尾を持つ妖狐へと姿を変化させたが、

少女は全く驚いた様子も見せずに呆れたため息をつくだけで。

牙をむいて唸る妖狐など全く恐れてはいなかった

「貴女はこれからも私の血と共にいてくれるのでしょう?」

「……そう言う契約じゃからな」

「なら、私の血を引く私の子供を愛してみて頂戴」

「主様の子をか……? 意味があるのかや?」

「子供たちはきっと苦しむ。そして、苦しみながら私の呪いによってその命は儚く散っていくでしょうね……」
167 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/12(月) 23:42:50.15 ID:RjDi/+Aeo

「それを知りながら愛せと?」

妖狐の怪訝な表情に対し、少女はにこやかな笑みを浮かべながら頷く

それは悪戯を考え付いた子供のような純粋さがある

けれど、子供にはない根付いた闇を感じるものだった

「貴女は愛したものが散っていく虚しさを知ることになるでしょうね……けれどきっと、貴女はその愛によって小さな灯が見せる輝きに心を奪われる」

「……くだらぬな。他を愛することを捨てたお主がそれを口にするか」

「愛した時期、愛を捨てた時期。どちらにも踏み込んだ愚か者だからこその言葉よ」

少女はそう言うと、切なげな笑みを浮かべて妖狐を見つめる

「とにかく、見守ってあげて欲しいの……そして、私が遺した力の使い方を教えてあげて」

「その程度ならばよいが、愛するか否かは約束せぬぞ」

「貴女はそう言って、結局対応してくれるから助かるわ」

少女は妖狐のことなど分かり切っているとでも言いたげに

自信に満ちた笑みを浮かべる

それは今は天乃の精霊である九尾と、先祖である陽乃の話

いや、天乃にも与えた久遠陽乃と九尾の記憶の一つ。
168 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/12(月) 23:53:44.37 ID:RjDi/+Aeo

天乃「ぅ……」

九尾「…………」

そんな遥か昔のことを想い出しながら、

魘されたように呻く天乃の口元からこぼれ出る濁った液体を拭い

九尾は不安げに眉を顰めて天乃へと覆いかぶさっていく

九尾「主様の体はいつになく脆い……触れれば砕けてしまいそうなほどに」

人間の一生は儚く脆く小さなものであると

九尾は長年の記憶から分かり切っている

その一つ一つに愛情を注ぐなど、心を痛めるなど無意味であるとも分かっている

だが、それでも。

産まれ落ちたときから寄り添い、互いを認識しあってきた相手というものは

どうしても、気にかけてしまうものなのだと……九尾は諦めたように笑って。

九尾「悪質な契約を交わすとは……妾も愚かじゃのう……」

この場にいることになった最も大きな原因

その契約者である久遠陽乃へと、恨み言のように呟いた
169 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/13(火) 00:00:12.54 ID:14SvooMCo

√10月07日目 夕(病院) ※日曜日


01〜10 
11〜20  少し回復
21〜30 
31〜40 
41〜50 
51〜60  晴海
61〜70 
71〜80 
81〜90  大赦
91〜00 

↓1のコンマ 

※何もない場合は勇者部
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/13(火) 00:00:49.05 ID:XSWKVxU+O
171 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/13(火) 00:07:14.46 ID:14SvooMCo

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


通常通り勇者部帰宅
久遠さんは身動きできず
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/13(火) 00:08:42.37 ID:XSWKVxU+O

嫁たちに癒してもらおう
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/13(火) 00:14:12.66 ID:a7V81XKMO

凄い久々に西暦時代の回想がきたけど相変わらず陽乃さんは救いがないなぁ…
もしもくあゆ版のゆゆゆいとかあったらみんなで助けてあげたい
174 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/13(火) 22:06:12.79 ID:14SvooMCo

では少しだけ
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/13(火) 22:09:28.83 ID:AYaVFHPoO
おk
176 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/13(火) 22:31:43.75 ID:14SvooMCo

√10月07日目 夕(病院) ※日曜日


夏凜「文化祭、終わったわよ」

天乃「ぅ……」

夏凜「一応、無事に終わったし……劇もちゃんと成功させたから安心して休んでなさい」

天乃の体調不良が子供を無事に産むためのものであると納得したからか

朝のような感情的な部分は嘘のように穏やかに話す

天乃が横になっているベッドに寄り添うように座り

優しく握れば握り返してくる弱弱しい力に笑みを浮かべる

夏凜「明日には体調戻るの?」

風「んー聞いた話ここまでの重さだと何日かはかかるんじゃないかって」

友奈「その間ずっと気持ち悪いままなのかな……」

東郷「お医者様は多少話せるようにはなるはずだと思いますとは言ってたけれど」

天乃ほどの重症さは前例がないわけではない

だが、天乃の身体的状況でのこの症例は前例がない

だから、医者もはっきりとしたことは何も言えないのだ

樹「でも、子供の為になっていることなら大丈夫なんじゃないかな……」

長引いてしまうことにはなるかもしれないが

きっと治ると信じて樹は言う

沙織「ということで、久遠さんはまたまた絶対安静ということだね」
177 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/13(火) 23:00:52.91 ID:14SvooMCo

もはやそれが一つの楽しみであるかのように明るく言う沙織に

風達は少し困ったような反応を見せるが

沙織は関係なさそうに笑みを浮かべながら天乃へと近づく

夏凜「沙織はどうせ、また二人きりになれるとか思ってんでしょ」

沙織「よくご存じで」

風「学校でもクラス一緒なのに」

沙織「これはこれ、それはそれ。同じベッドでも家と保健室じゃ違うよね」

夏凜「沙織と東郷にだけは任せたくないんだけど」

こんな弱っているのに何をするつもりなのか。と

夏凜は呆れた表情で沙織を一瞥する

流石に弱った状態の天乃に手を出すことはないだろうが

影響のない範囲で何かをしそうだからだ

東郷「とにかく、久遠先輩がこのような状態である以上、あまり騒がしくしたら駄目ね」

友奈「そうだね、久遠先輩がちゃんと休めるようにしないと」

文化祭の打ち上げや、若葉が天乃に言っていたハロウィンの計画

色々と話したいことはあるが、

友奈達はベッドで横になったまま殆ど身動きしない天乃へと目を向ける

178 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/13(火) 23:16:59.41 ID:14SvooMCo

風「それで、どうする?」

夏凜「どうするって言われても、こんな状況じゃ天乃にはどうにもできないでしょ」

樹「そうですよね……出来る限り久遠先輩のしたいようにしたいんですけど」

以前にも行ったことだが、

今回は寂しい寂しくない以前に手を貸すことのできる誰かが天乃の傍にいるべきなのだ

今は吐き気のみで嘔吐することは無くなっているが

そういった状況に陥ったときに誰も居ませんでした。は非常にまずい

友奈「みんなで一緒にいるのは……」

沙織「久遠さんはそう言うのほんと喜ばないからなぁ」

皆で心配して傍にいると

そんなことをさせてしまったと抱えこんでしまう

だからといって一人にしておくと寂しがる

少し難しいよね。と冗談ぽく言って笑う沙織に

夏凜は小さくため息をついて……

夏凜「一人くらい残すのは許しなさいよ……? 天乃」


1、手を握り返す
2、何とか声を出そうとしてみる
3、頷く
4、何もしない


↓2
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/13(火) 23:17:49.47 ID:OyKn62lCO
2
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/13(火) 23:18:36.80 ID:AYaVFHPoO
2
181 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/13(火) 23:38:53.56 ID:14SvooMCo

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


友奈「そう言えば、久遠先輩の身長が伸びないのってなんでなんだろう?」

風「確かに……3年間1oも変わってないって言ってたし何か理由があるのかもね」

東郷「神樹様に逆らうと永久的に小さい子供になるって言う噂がありますが」

夏凜「罰辺りにもほどがあるでしょその噂」

沙織「久遠さんはあれ、膨大な力を留めるためにあえて小さく固まった結果なんだよね」



182 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/13(火) 23:40:01.12 ID:OyKn62lCO

久遠っぱいにもいっぱい詰まってるからな
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/13(火) 23:49:39.98 ID:AYaVFHPoO

そんな小柄な体で戦闘で傷つき、穢れで死にそうになり、双子を身籠るという…すさまじい苛酷さだよなぁ
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/14(水) 09:49:25.44 ID:W0OhLVEXO
>>1はサディスティックなところがあるからな…そこにコンマが重なって倍増
ほんと鬼畜である
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/14(水) 16:13:58.72 ID:qd28PCb2o
15歳148cm経産婦…
186 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/14(水) 22:11:41.46 ID:WcfFiCpfo

では少しだけ
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/14(水) 22:15:56.25 ID:gUV5JRJ1O
あいよー
188 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/14(水) 22:22:14.40 ID:WcfFiCpfo

天乃「ぁ、ぅ……」

何とか声を出そうとする

しかし、かすれて潰れた声はただの呻き声にしかならず

飲み込めず吐き出せない唾液が溜まっていたのだろう

コポコポと危うげな音が漏れ出して頭の下に引かれたタオルを濡らしていく

天乃「ぁー」

夏凜「ちょっ……あんた大丈夫なのっ?」

天乃「ぅ」

夏凜「無理して喋らなくて良いから!」

天乃が口を微かに動かそうとするたびにあふれ出してくる唾液

そのまま窒息してしまいそうな不安を感じて

夏凜は思わず声を上げて天乃の頭を持ち上げて口元を拭う

天乃「ぁ……ぃ……ぃ」

夏凜「んな状態で……あーもう……」

別に答えて貰おうとしたわけじゃなかったのに。と

夏凜は自分の問いかけた言葉のせいだろうと察して悲しげな表情を浮かべる

夏凜「無理して話したら吐くんでしょ……? 止めてお願いだから」

風「朝のあの姿を見て相当トラウマになってるわね」

友奈「離れてた私でも凄く怖かったので……隣にいた夏凜ちゃんはもっとずっと怖かったと思います」
189 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/14(水) 22:30:13.26 ID:WcfFiCpfo

バーテックスとの戦いやそれによって負う怪我などに関しては

全くと言っていいほどに動じることなく一心不乱に突き進むことが出来る

けれど、天乃がほんの些細なことで死にかけて憔悴しきっている姿は

とてもではないが、耐えられなかったのだ

東郷「夏凜ちゃん、一緒にいること出来る?」

樹「一目も離さずに見ていてくれそうですけど……夏凜さんが心配です」

夏凜「…………」

夏凜は不安そうに天乃を見つめると

東郷や樹へと目を向けて「平気」と答える

恐怖心がないと言えば嘘になってしまうが、

その臆病な部分があるからこそ、ほんの些細な切っ掛けも見逃さずにいられると思うからだ

夏凜「こんな天乃、放っておくわけにはいかないでしょ」

沙織「三好さんは正妻だからね。側室なんかには負けないよね」

友奈「側室ってなんですか?」

東郷「一番の妻以外の女の人の事よ。友奈ちゃん。でもけして悪い意味ではないから安心して」

樹「東郷先輩はあまり答えない方が良いんじゃ」

友奈「知らなかったら恍けてるって解るくらいに遅いかなぁ……」

苦笑いを浮かべる友奈に、東郷はなんでそんなことを言うのかと悲し気で

そんな東郷を樹は呆れ交じりに見つめて

風「待って樹もしかして――」

樹「勉強したから……あ、ちなみに愛人とはまるで違うので一緒にしたら駄目ですよ友奈さん」

友奈「そうなんだ……」

風「ひぃぃぃっ、樹がイケナイ知識を付けてるぅ〜っ!」
190 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/14(水) 22:59:36.98 ID:WcfFiCpfo

東郷「愛人は見つかったら断罪されるようなことだった……らしいし」

沙織「一方で側室はほんと大昔にあった上の身分の人達が多く子供を残すために関係を持った周りに許された関係だからね」

友奈「知らなかった」

風「いや、普通は知らないからっ」

夏凜「あんたらうっさい」

どうでも良い他愛ない話

それを繰り広げていく風達に対して

落ち着いた様子の天乃を抱き抱える夏凜は怒ったように

しかし天乃を刺激しすぎないようにと気遣った声で注意を促す

夏凜「正妻だの側室だの愛人だのどうだっていいっての……天乃の療養の邪魔するなら帰れ」

風「……すみません」

樹の知識と怒られたショックでしょんぼりと答えた風は

みんなと一緒にそれぞれの場所へと戻っていく

夏凜「ったく……んなこと、天乃自身無自覚だろうに」

正妻側室、なんたらかんたら。

むしろ天乃にそんな知識がないだろうと夏凜は思う

天乃「…………」

夏凜「あんたは気にしなくて良いからゆっくり休みなさいよ?」
191 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/14(水) 23:12:07.49 ID:WcfFiCpfo

優しく、額に張り付いた前髪を撫でるように払って

夏凜は天乃の額に額をくっつける

熱を持った体は熱く、平熱ではない熱さが額から伝わってくる

命に別状はないと分かってはいても

不安になるし、怖さが当然あって

それによって苦しんでいる姿は「なぜ今日だったのか」といまだに言いたくなってしまう

夏凜「……傍にいるから」

風邪のように周りに移せば治るかもしれないなんて馬鹿げた噂はない

だが、せめてこの体の熱さだけでも

その苦しみ、その辛さ、そのほんの一部分でも自分に移ってはくれないだろうか。と

夏凜「早く元気になりなさいよ……」

今日のような、苦しに苛まれた姿

数か月前のような、ふさぎ込んでいる姿

そんな姿が見たくて傍にいるわけではない

そんな天乃に対して少しでも力になりたいと思った

昨日のような、幸せそうな天乃の姿を見たいと思った

だから、そばにいるのだ

夏凜「何もできないときほど、もどかしいことはないわ……ほんと」

それにも関わらず無力な今の自分に

夏凜は少し苛立ちを募らせながら、天乃の肌に現れる汗を拭っては

優しく風を送り、少しでも和らげようと努めた
192 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/14(水) 23:23:22.90 ID:WcfFiCpfo

√10月07日目 夜(病院) ※日曜日

01〜10 
11〜20 夏凜
21〜30 友奈
31〜40 
41〜50 沙織
51〜60 
61〜70 
71〜80 千景
81〜90 
91〜00 夏凜と若葉

↓1のコンマ 
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/14(水) 23:23:42.06 ID:1lZelsXUO
194 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/14(水) 23:31:01.70 ID:WcfFiCpfo

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


夏凜「…………」

風「まだ起きてるの? いい加減寝ないと――」

夏凜「平気」

風「平気って夏凜、明日も学校あるのよ?」

夏凜「……眠くない。寝れないのよ」

夏凜「朝起きてまた天乃が苦しんでたらって思うと……寝ようとも思えないのよ」
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/14(水) 23:33:08.55 ID:1lZelsXUO

夏凜が公式で正室に
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/14(水) 23:42:45.31 ID:gUV5JRJ1O

何だかんだ言ってみんな夏凜ちゃんのこと応援してる節があったからねぇ
これで久遠さんとここまであまりえっちな関係になってないのがある意味凄いけど
197 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/15(木) 23:03:07.65 ID:p+elefopo

本日はお休みとさせていただきます
明日は出来れば少し早い時間から
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/15(木) 23:04:20.91 ID:M+V04ULlO
乙ですー
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/15(木) 23:21:57.39 ID:x5O559HOO

無理はしないで
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/16(金) 10:39:34.83 ID:rzlWmMJ4O
このスレが休みのときって年中無休の店が臨時休業するレベルの違和感ある
201 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/16(金) 22:29:14.57 ID:ITnOfnTBo

では少しだけ
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/16(金) 22:30:03.65 ID:lRHlimUtO
よっしゃ
203 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/16(金) 22:39:27.10 ID:ITnOfnTBo

√10月07日目 夜(病院) ※日曜日


夏凜「……寝てくれてよかった」

九尾「昼間は眠る事さえままならなかったからのう……一安心じゃろう」

体調の影響からか、

時々魘されたように声を漏らしてはいるが

眠れないほどの辛さはなくなってきたようで

聞こえる寝息、閉じた瞼に夏凜は穏やかな表情を向けて

そうっと前髪を払い除ける

夏凜「でも、明日もまだ動くことはできないのよね?」

九尾「じゃろうな……下手に動けばまた逆戻りするじゃろう」

夏凜「…………」

今朝のことを、思い出す

嘔吐すると本人さえ思ったいなかったかのように

ゴポリ……と、口から溢れ出させて

それからはもう絶え間なく吐き続けていた天乃の姿

ほんの一瞬、頑張りに頑張って吐き気を抑え

たった一言「ごめんね」と言って見せた苦笑い

あんなのは……二度と見たくない

夏凜「今後無茶させるわけにはいかないわね」
204 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/16(金) 23:02:27.27 ID:ITnOfnTBo

とはいえ、元々無茶していたわけではない

昨日だってそうだ

夜になってみだらな行為を誘うようなそぶりを見せてはいたが

そこには乗らずに今日の為に無理に体を動かすことは控えた

その結果が、これなのだ

夏凜「妊娠って難しいのね」

九尾「主様が特殊なだけじゃぞ。前触れなく急激なつわりに襲われるなどそうそうあることではない」

夏凜「私達に関係あんのはその天乃でしょ」

九尾「そう焦るものではないぞ、三好夏凜」

夏凜「……解ってるけど」

分かってはいるけれど、しかし、だ

散々な目に遭い続けた天乃のことを心配するなと言うのも

その姿を見て不安になるなと言うのも

一つ一つの不幸な出来事に焦るなと言うのも到底無理な話

それくらいには、天乃の体は限界なのだ

夏凜「あんたはどうなのよ。天乃を見てて不安にならないわけ?」

九尾「不安にはなるじゃろう。むしろ、主様の傍にいてならない人間がいるのだとしたら、そ奴はただの人形じゃろうて」

夏凜「本当に何ともないのよね? 天乃……ちゃんと回復するんでしょ?」

九尾「妊娠による症状なのは間違いないからのう、それは約束できるが……」
205 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/16(金) 23:16:28.29 ID:ITnOfnTBo

言葉を濁すように途絶えさせた九尾は、

ちらりと目を向けた夏凜の怪訝そうな表情からは逃れられないと感じたのか

騙したところで意味がないと判断したのか

あからさまなため息をついて、夏凜だけを真っ直ぐ見る

赤い瞳は揺らいで、どこか危険な気配さえ漂わせて

九尾「あとは主様の体次第じゃな……内面は穢れによって非常に脆くなっておる。子を産めたとして、生き残れるか確実とは言えぬ」

夏凜「……は?」

九尾「子を産む消耗によって母体が憔悴しきって命を落とす可能性があるということじゃ」

通常の人間にも起こりうることじゃろう? と

九尾は冗談めかした声色で語るが、

しかし、その表情はいたって真面目なものだった

夏凜「でも、天乃は勇者なんだから……」

九尾「自然な流れによる死は避けることは出来ぬ……そもそも、主様には穢れが影響しておるがゆえ、神樹の力もあてには出来ぬ」

だからこそ、天乃はみんなに協力して貰うような形で性行為を行い穢れの放出を行う

子供への悪影響は母体への悪影響にもなるから。

夏凜「……出来る事ないの?」

九尾「今まで通り関係を続けておればよい……特にお主、性行為は非協力的じゃろう」
206 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/16(金) 23:30:43.67 ID:ITnOfnTBo

夏凜「必要に応じて相手にはなってるわよ。ただ……天乃が疲れてるように見えるから」

九尾「確かに、主様はその行為によって力の喪失を起こしておる」

例えばじゃ。と

九尾は換え用のタオルを夏凜が持ち込んでいたペットボトルに巻き付けて置く

九尾「このように主様は力を芯に動いておるからのう。当然、芯が抜ければ崩れ落ちる」

言うのと同時にペットボトルが引き抜かれ

芯を失ったタオルは柔らかく崩れてしまう

ごく自然の、当たり前の結果だ

九尾「しかし、主様はその芯があろうがなかろうが次から次へと中心に流れ込む」

夏凜「つまりどういうことよ」

九尾「こう言うことじゃ」

もう一度巻いたタオルの中心に自分の手を差し込み、

九尾は言うや否や、腕を命一杯に左右へと引きはがしてタオルの拘束を弾き飛ばす

九尾「主様の体はもちろん、力を受ける胎児はその力の供給量に耐え切れず死ぬじゃろうな」

夏凜「っ」

九尾「ゆえに、むしろ主様は疲れ果てている方が救われているということになる」

とうぜん、翌日には元気になるからな。と

九尾はここぞとばかりに笑いながら言う
207 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/16(金) 23:56:17.71 ID:ITnOfnTBo

九尾「じゃから相手してやれ」

夏凜「……疲れ切って問題はないの?」

九尾「有り余っている以上の問題はない」

夏凜「そう……そういうことなら、分かったわ」

もやもやするくらいなら……そう言っていた昨日の天乃を思い出して

もしかしたらそういう状態だと分かっていたからこそのものかもしれない。と

夏凜は考えて首を振る

夏凜「けど……穢れの発散が性行為ってのはちょっと良く分かんないんだけど」

九尾「放出するにはそれが手っ取り早く確実というだけじゃ」

元来不浄な行いとされている性行為は

溜まってしまった不浄……穢れを放出する行為として実に適切なのだ

もちろん、異性を受け入れる場合は逆に流れ込むため、

今の天乃のように内側で絡み合って留まることになるわけだが。

そうでなければ放出される一方で済む

夏凜「あんま納得いかないけど……とりあえずすればいいんでしょ?」

九尾「うむ。主様の為じゃ」

夏凜「解ったわよ」

そう言って頷いた夏凜は、

ちょっぴり照れくさそうに頬を染めて、首を振る

いまさら初心であると自分を偽るつもりは無いが。

ある意味医療行為だとでも割り切らないと、意識してしまうために中々気恥ずかしさは抜けそうに無かった
208 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/17(土) 00:04:56.17 ID:jkQRDUggo

九尾「言うておくが……今日はなしじゃぞ?」

夏凜「わっ、分かってるわよ……っ!」

そんな見境なしに襲うほど性に飢えていないと

夏凜は起こったように言い放って九尾を追い払う

夏凜「……今日はただ心配だから一緒にいるだけだっての」

チラリと天乃へと目をむける

呼吸に合わせて動く膨らんでは沈む布団

嘔吐によるカサつきを抑えるためにリップクリームを塗られて潤んだ唇

唇にキスをしたら、布団をめくったら

もしも昨日、していたら

そう考える頭を振り、夏凜は優しい視線を天乃へと向けながら

そうっと頬に触れる

柔らかな頬は心地よくて、もっと念入りに堪能したいという気持ちが湧く

けれど夏凜は「そういうのは元気になってから」と、

自分自身へと強く言い聞かせて

眠る天乃を穏やかに見守って……夜が更けていく
209 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/17(土) 00:12:41.83 ID:jkQRDUggo

√10月08日目 朝(病院) ※月曜日

01〜10 友奈
11〜20 体調
21〜30 樹
31〜40 
41〜50 
51〜60 夏凜
61〜70 
71〜80 
81〜90 体調
91〜00 

↓1のコンマ 
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/17(土) 00:13:57.88 ID:8SN6JvqFO
211 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/17(土) 00:17:27.09 ID:jkQRDUggo

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば早めの時間から

明日、再開時にいちにちまとめ
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/17(土) 00:20:56.04 ID:PjyxN0yyO

久遠さんの地獄を終わらせないコンマェ…
体調もだけど夏凜ちゃんのメンタルも心配になってきた
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/17(土) 00:26:56.70 ID:8SN6JvqFO

コンマが…
劇の前日相手しなかったこと夏凜が凹みそう…
214 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/17(土) 17:21:30.35 ID:Oq3Tj69S0
ここまで体調不良がつづくなんて、倒れてから飲み食いしてないだろうし久遠さんの体がすごく心配だ。
215 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/17(土) 21:40:18.96 ID:jkQRDUggo

では少しだけ
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/17(土) 21:44:23.05 ID:k3I4G6XyO
いえす
217 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/17(土) 21:52:11.80 ID:jkQRDUggo

1日のまとめ

・   乃木園子:交流有(体調不良)
・   犬吠埼風:交流有(体調不良)
・   犬吠埼樹:交流有(体調不良)
・   結城友奈:交流有(体調不良)
・   東郷美森:交流有(体調不良)
・   三好夏凜:交流有(一緒に、体調不良)
・   乃木若葉:交流有(10月のイベント)
・   土居球子:交流有(体調不良)
・   白鳥歌野:交流有(体調不良)
・   藤森水都:交流有(体調不良)
・    郡千景:交流有(体調不良)
・  伊集院沙織:交流有(体調不良)
・     九尾:交流有(体調不良、穢れ)
・     神樹:交流無()


10月07日目 終了時点

乃木園子との絆  67(高い)
犬吠埼風との絆  96(かなり高い)
犬吠埼樹との絆  82(とても高い)
結城友奈との絆  102(かなり高い)
東郷美森との絆  112(かなり高い)
三好夏凜との絆  133(最高値)
乃木若葉との絆  94(かなり高い)
土居球子との絆  40(中々良い)
白鳥歌野との絆  42(中々良い)
藤森水都との絆  34(中々良い)
 郡千景との絆  40(中々良い)
  沙織との絆  114(かなり高い)
  九尾との絆  62(高い)
  神樹との絆   9(低い)
218 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/17(土) 22:02:51.48 ID:jkQRDUggo

√10月08日目 朝(病院) ※月曜日


風「こーら、屋上はともかくここは立ち入り禁止よ〜?」

病院の屋上、そこに出るための部屋のさらに上に顔をのぞかせた風は、

目的の相手を見つけて、呆れたように呟くが

自分も備え付けのはしごを使ってよじ登り、隣に座る

風「別に夏凜が原因ってわけじゃないでしょ?」

夏凜「どうだか……案外、私が関係してるかもしれない」

回復するだろうと思われた天乃は

今朝になってまた体調を崩してしまって

結局、話せるようになるかもしれないだとか

普通にしていられるとか

そんなほんのささやかな希望でさえ打ち砕かれてしまった

しかも最初に体調を崩したのも、今回も

自分がそばにいたとなればそう考えてしまうのも仕方がないだろう

夏凜「天乃は?」

風「昨日の今日だから……」

期間中のつわり症状が一括にまとまってきたような状態など

普通ならばあり得ないようなことだが、

一般の人間がそんな症状になった場合、

衰弱死してしまう可能性は非常に高い。と風は聞いたことをそのままに言う
219 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/17(土) 22:20:06.50 ID:jkQRDUggo

風「嘔吐というよりもはや吐血……看護師の人ですら見てられないって」

夏凜「っ……」

風「点滴を打とうにも苦しすぎて動いちゃうから、もう少し落ち着かないと無理みたい」

夏凜「後回しにして間に合うの?」

風「しなきゃ点滴の針とかで危ないし……拘束しなくちゃいけないのよ」

天乃の意思に関係なく、

体の内側から湧き上がる苦しさと辛さ

そして底知れない痛みに体はどうしても動いてしまう

それが点滴台を弾き倒したり、

針が変に抜けたり刺さったりしてしまうなど

非常に危険なのだ

夏凜「九尾は治るだろうっていったはずなんだけど」

風「それだけ天乃の力が強かったか、複雑になっちゃってるかよねぇ」

天乃の体調に関して九尾が嘘をつくことはないだろう

であれば、誕生んに九尾の想定すら上回った形で

天乃の体が蝕まれているということになる

風「もしかしたら、神樹様が関係あるのかも」

夏凜「切り倒せとでもいうわけ?」

風「そうじゃなくて、その力の干渉に天乃の力が押しつ押されつして悪化してるんじゃないかってこと」
220 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/17(土) 22:39:16.17 ID:jkQRDUggo

そう言った風を一瞥した夏凜は

霞がかって見えるか見えないか微妙な神樹様による壁を見つめて、息をつく

夏凜「それ結局神樹様のせいだから切り倒した方が良いやつでしょ」

風「神樹様だって悪気があってしてるわけじゃない……はずだし」

あやふやな言い方をした風は困ったように夏凜を見つめ、

切り倒しに行かないのを確認してから小さく笑う

風「学校行く?」

夏凜「行くわよ。私は天乃の傍にいない方がよさそうだし」

風「でも、天乃は夏凜に一緒にいて欲しいんじゃない?」

天乃がそんなことを考えている余裕があるのか

そもそも今日傍に夏凜がいたのだと分かっているのかすら不確かではあるが

もし分かっていたのだとしたらきっと

夏凜のせいではないから。と、言いたいだろうと風は言う

夏凜「だからって体調不良になられたら怖いのよ……解る? 呻き声で目を覚まして、枕が血に染まって、震えてんのよ」

風「……それは」

真横にいたからこその経験

それをしていない風にはとても、夏凜のトラウマを分かるとか、それでも。とか

簡単には言えそうになくて

夏凜「まず茫然……何かしないとって思うのに何が出来るか何にも分からない、考えられない……馬鹿みたいに天乃を見てるだけ」

それから悲鳴にも似た声を上げて大慌ててナースコール

半狂乱にどうしたら、どうしたらというだけで

夏凜「最悪だった」
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/17(土) 23:03:49.07 ID:IQVCoOrF0
ヒエッ
そらパニクりますわ
222 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/17(土) 23:04:23.79 ID:jkQRDUggo

自嘲するように話す夏凜は精神的にひどく疲れているようで

目を離してしまうのは不安しかない風は一息ついてから立ち上がってスカートを払う

風「夏凜も今日は学校休みなさい。あたしも休むし……多分友奈達も」

夏凜「はぁ?」

風「流石に学校行くような精神状態じゃないでしょ……友奈達だって」

屋上に来る前に話した友奈ですら

不安と恐怖に酷く怯えていたのだから

樹や東郷が「学校行きましょう」なんて言い出せるわけがなかったし

そもそも、離れることで身が入らず不安にしかならない学校になど

逆に行かない方が良いのではないかと言うのか

風と沙織、三年生組の見解だった

天乃は嫌がるかもしれないが、こればかりはどうしようもない

夏凜「なら私だけでも――」

風「良いから休む! 自分の顔見た? 酷い顔してんのよ夏凜は」

夏凜「…………」

風の半ば強制的な欠席命令

従う義務はないが

自分がまったく平常心を保てていないことは分かっていて。

軽く頷いて「解ったわよ」と呟く

夏凜「でも、天乃に近づくつもりはないから」

あの光景を思い出してしまいそうで

どうしても、今は近づきたくなかった
223 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/17(土) 23:07:42.72 ID:jkQRDUggo

√10月08日目 昼(病院) ※月曜日

01〜10 
11〜20 沙織
21〜30 
31〜40 風
41〜50 若葉
51〜60 友奈
61〜70 
71〜80 千景
81〜90 
91〜00 九尾

↓1のコンマ 
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/17(土) 23:08:23.09 ID:m6ZG5sY5O
225 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/17(土) 23:22:33.54 ID:jkQRDUggo

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


東郷「友奈ちゃん、大丈夫?」

友奈「うん……平気だよ。東郷さんは……」

東郷「平気とは言えないかな……友奈ちゃんと一緒」

友奈「……あははっ、そう、だよね」

友奈「ごめんね、ちょっと顔洗ってくる」

沙織「待つしかない事が辛いなんて、久しく忘れてたよ……」
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/17(土) 23:23:54.43 ID:m6ZG5sY5O

久遠さん復活してくれ
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/17(土) 23:28:25.61 ID:k3I4G6XyO

体調悪化で夏凜ちゃんは勿論、みんなの心へのダメージが…
今回は本当に誰も悪くない不幸だから余計な辛いな
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/17(土) 23:42:37.56 ID:fIW5Q+P6O

死ぬ方がましな苦しみだろうなこれ…夏凜はもうトラウマだしアカンぞ
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/18(日) 13:39:42.65 ID:kFcGL+3Do
どんだけ非情なのよこの世界は
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/18(日) 18:48:13.22 ID:Pxprq5nGO
今日は夜から?
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/18(日) 19:36:44.77 ID:/LQbhNSgO
出来ればお昼頃からじゃないから多分そう
232 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/18(日) 22:11:58.94 ID:kcmnsckOo

では少しだけ
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/18(日) 22:13:48.93 ID:sKdbUr+5O
よっしゃー
234 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/18(日) 22:18:54.46 ID:kcmnsckOo

√10月08日目 昼(病院) ※月曜日


天乃「かっ……けはっ……ぁ……ぁー……」

ぼたぼたと枕元に赤く染まった唾液が滴り落ちる

もはや体の中に残っているのは、自分の血だけ

それさえも吐き出させようとしているかのように、不快感、吐き気は絶え間なく襲う

天乃「いぁ……っぁっぇ゛」

吐き気に耐え切れずに吐く動作へと移ると、

呼吸が出来なくなってしまうし

傷ついた喉が刺激されて強い痛みまでもが全身を駆け巡っていく

考える間でもなく、死を直感する状態だった

いっそ死んでしまいたいとさえ思いたくなってくる苦しさだった

痛くて、苦しくて、辛い

それが延々と続く中、傍には誰もいない

吐き出せるのは赤い血

零れ落ちるのは透明の涙

助けを求めるための声など出せるはずもない

天乃「は……ぁ゛っぁ……ぅ゛ぅぅぅ……」

痛みを堪え、吐き気を飲み込んで強引に呼吸をする

そして飲み込んだ吐き気は次の吐き気と重なって長引き、

苦しみ喘ぎ続ける中、息が出来ない苦しみに悶えてまた、無理をする

ずっと、その繰り返しだった
235 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/18(日) 22:35:51.14 ID:kcmnsckOo

友奈「…………」

面会謝絶

その注意書きが扉にかけられた病室の扉の前で、

友奈は唇を強く噛み締めながら、佇んでいた

東郷や樹には大丈夫だと言った

途中で出会ってしまった風にも平気だと答えた

けれど、前向きな事は何も言えなかったのだ

いや、それどころか考える事すらできなかったと友奈は否定する

友奈「……何にもできない」

扉の前にいると、天乃の苦しみ喘ぐ声がする

けれど、それに対して自分は何もできない

それを言葉にすると離れればいいのにと言われるかもしれないが

離れるのは嫌だった。その声すら聞こえなくなってしまうのは不安だったから

何もできない無力感、途切れることなく聞こえる悶絶の悲鳴

それは強く心を傷つけてしまうのに離れられなかった

友奈「夏凜ちゃん……風先輩見つけられたかな……」

あたしが行くから任せて。と、言われたが、

友奈は自分も行くべきだったのではないかと思う

かけられる言葉はないかもしれないが、

きっと、少しは前向きな考えを強引にでも引き出せたはずだから
236 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/18(日) 22:44:42.24 ID:kcmnsckOo

友奈「夏凜ちゃん、泣いていた……」

赤く汚れた寝間着と手、周りの視線

何一つ気に掛ける余裕さえないとわかるくらいに泣いていて

看護師に抱きしめられながら病室から連れ出されているそんな夏凜の姿を見ただけの友奈も

全く動けなかった

今よりも強く聞こえた天乃の苦しみにあえぐ声

複数の看護師と医師の鬼気迫った声

何が起きているのかは明白で、どうなってしまっているのかが分かってしまって。

朝になったらまたいつもの天乃に会えると思っていた心は瞬く間もなく叩き潰されてしまったのだ

そのまま呆然としているうちにみんなが来て、

風は夏凜と話をする為に探しに行って、東郷はこの場にいられそうもない樹の為に、

病室に連れて行ってと一緒に居なくなって

友奈だけが、何かあったときのためにとこの場に残った

友奈「久遠先輩……」

この場における自分の存在の無意味さ

それを痛感させられていく悔しさ、その痛み

けれども決して天乃の苦しみには釣り合わないだろうと

友奈は自分の痛む胸元を抑え込みながら、思う

そして不意に体が傾き、柔らかさと甘い匂いに包まれて

沙織「あたし達もいるから、病室に戻っても良いんだよ?」

沙織の声が聞こえた
237 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/18(日) 22:56:40.56 ID:kcmnsckOo

沙織「何もできない自分って言うのは、想像以上に辛いものなんだよ」

無力なもどかしさもあるが

相手を想う気持ちが強ければ強いほど

自分の不甲斐なさに失望し、自信が持てなくなっていく

その経験を経てきた沙織としては

刻一刻と精神を抉られていくだけの友奈を見ているだけなのは我慢できなかった

沙織「無理にでも寝た方が良い」

友奈「でも、学校が」

沙織「今日はみんなお休み。空気感の違う学校になんて言ったら余計に疲れちゃうからね」

友奈「…………」

文化祭明けの学校

そこはきっと、普段ならとても居心地のいい世界だろう

楽しかった時間の後に訪れる授業という日常的な苦。

それにたいしてふざけ半分で向き合い、休みたかった、楽しかった。そう言い合うクラスの空気は、

天乃が体調を崩してしまっている今、

不安と恐怖に苛まれている勇者部面々には絶対に合わずなにか良くないことが怒る可能性さえあるからだ

沙織「子供を産んで死んじゃうお母さんもいる」

友奈「っ!」

沙織「久遠さんはもしかしたら、そうなっちゃうかもしれないって九尾さんは言ってた」

友奈「どっ、どうしてですか……?」

沙織「単純に久遠さんの力が強いのと、弱っていること、そこに神樹様の力も関わってきているから不安定なんだって」
238 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/18(日) 23:11:05.62 ID:kcmnsckOo

九尾の想定以上の体調の悪さ

それゆえに九尾はその可能性もあることを告げたのだろう

双子に分けなければいけないほどの力の強さとはそれほどのリスクも兼ねているということだ

九尾と死神

二つの力を同時に使用することで最恐にして最高峰の力を発揮する代償として酷く体が蝕まれていったように

友奈「そんな……」

沙織「あたしも当然、久遠さんが居なくなるなんて考えてないし考えたくもない。でも、これはそう簡単じゃないみたいだから」

友奈「考えなくちゃいけないんですか……っ?」

沙織「……そう、なる可能性はあるかもしれない」

例え現状から回復していったとしても

いざ出産した際に体が耐えきれるという保証はない

それが不安になってしまくらいに、今の天乃の状態は良くないのだ

友奈「久遠先輩……」

振り向いて見える扉

ずっと聞こえる憔悴しきった声

頑張って、頑張って

結局死に向かっていくというある意味都合のいい悲劇の流れ

仕組まれたバッドエンド

そんな気さえして、友奈は顔を伏せる

友奈「それでも、私は久遠先輩の強さを信じます……辛い思いをしながら苦しみ続けた久遠先輩に救いを与えてくれると、神様を信じたいです」

沙織「結城さんは強いね……」

けれどそれは人のために強くあれる久遠さんと同じ強さだよ。と

心の中に思って、握りつぶす

そんなことを言っても何にもならない

沙織「……でも、確かにそうだね。報われるべきだよ。幸せになるべきだよ。だって、ずっとずっと傷つき続けてきたんだから」
239 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/18(日) 23:14:40.06 ID:kcmnsckOo


√10月08日目 昼(病院) ※月曜日


01〜10
11〜20 東郷
21〜30
31〜40 樹
41〜50
51〜60 若葉
61〜70
71〜80 風
81〜90
91〜00 千景

↓1
240 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/18(日) 23:14:59.12 ID:2/HuxBbRO
241 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/18(日) 23:23:21.73 ID:kcmnsckOo

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
しばらくは日曜日も通常時間(22時〜)の場合があります



東郷「………」カチャッ

風「ちょっ、東郷なんで武装してんの!?」

東郷「軽く壁に穴開けようかと思いまして」

風「ま、待った待った!」

友奈「……正義が正しいとは限らないんです風先輩!」グッ

風「おちつけぇ!」
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/18(日) 23:27:38.15 ID:2/HuxBbRO

苦労人の風先輩
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/18(日) 23:45:09.09 ID:sKdbUr+5O

久遠さんのことだからマジで子供を産んで命を落とすとかなりかねないのが困るな…
バッドエンドの前例があるだけにね
244 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/19(月) 07:01:40.30 ID:ocSL3YETO
仕組まれたバッドエンドとか自白してるって思ったけどコンマのお導きだから>>1ではなく神様が仕組んで…やっぱり神樹様に穴あけるしかない…?
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/19(月) 12:23:53.09 ID:8yR0Y4rMO
仮に乗り越えたとしても久遠さんの代償は神樹様には治せないことを園子以外は知らないんだよな…
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/19(月) 12:58:34.60 ID:iUq0zjEGO

ここはもう三つ子にしてさらに力分けたりしないと...
247 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/19(月) 14:10:17.66 ID:/zZ/f3Y5o
>>1は推しキャラを幸せにしようとは思わないのか…?
248 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/19(月) 20:52:36.50 ID:bhRUb0Fh0
こればかりはどうしようもない。
久遠さんやその恋人たちが頑張って踏みとどまれるように応援しよう。
249 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/19(月) 22:17:48.96 ID:a8BG1ayqo

では少しだけ
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/19(月) 22:19:24.01 ID:gzy0CYICO
よしきた
251 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/19(月) 22:23:17.46 ID:a8BG1ayqo

√10月08日目 昼(病院) ※月曜日


東郷「友奈ちゃんもさすがに、こればかりは元気でいられなかった」

昨日もそうだが、普段の友奈はとても明るい

何か困ったことがあったりしたとしても

なせばたいてい何とかなる。と、張り切って、前向きに全力で向かっていく

そんな元気の代名詞ともいえる友奈がふさぎ込んだ表情をしていたのを

東郷はしっかりと見ていて

しかし、そんな表情をしていてはだめだとは言えなかった

何をもって元気の糧にしたらいいのか

それを東郷にも見いだせていなかったからだ

そして、天乃が子供を産むことで死んでしまう可能性があるとより明確になった今、

ただでさえ暗がりに引き込まれつつあった未来は、

欠片ほどの光も失せてしまっていた

もちろん、確定した未来ではない

もしかしたらという程度の話であり、

天乃は無事に生き抜いてくれている可能性も当然あるのだ

東郷「だけど、久遠先輩の今の状態ではそれこそ可能性のない未来になってしまっている……」

樹たちも、友奈も

それだからこそ明るさを取り戻せずにいる

天乃に一番近しい九尾が明日には回復するだろうといったにもかかわらず、

悪化してしまったというのが、それにさらに絡みついて

東郷「生きるために子供を作ったのに、それが原因で死ぬなんて……そんな悲劇はあり得ないわ」
252 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/19(月) 22:35:38.88 ID:a8BG1ayqo

二年前、大切な友人を失った

自由に動かせた足が動かせなくなり、

心の拠り所になれるはずだった家族の記憶を失い

孤独に生きることになった

一年前、記憶を失ったかつての友人と一から始めて、

二年前に失った味覚を隠し通し、様々なことに付き合ってくれた

味がしなければ苦痛でしかないであろう食べ物も喜んで口にしてくれていた

東郷「……私が、苦しめてしまった」

戦いが始まり、隠しきれなくなって

東郷の体の秘密、天乃の体の秘密、壁の外

抱え込んでいたたくさんの秘密を打ち明けてくれた

一人が背負うには大きすぎることを、ずっと抱えていてくれた

それなのに、誰も苦しむことがないようにと

ただでさえボロボロな体で頑張ってくれた

東郷「私達のようにならないようにと、ずっとかばってくれた」

血を吐くような苦しみを味わうと分かっていながら、

意識を失うほどの痛みに襲われると知りながら、守ってくれていた

みんなに傷ついてほしくない

その思い、抱く優しさがきつく首を絞めることになるのに、

みんなの願いだからと第一線から退いてくれた

東郷「きっと、心は酷く傷ついた……それでも、約束だからと戦わずにいてくれた」

生きるために、たった15歳の小さな体で子供を身ごもった

簡単に羅列するだけでも壮絶すぎる人生だったと言わざるを得ないほど、

久遠天乃という少女の人生は凄惨なものなのに。

神はそこに苦痛のままに死を与えようとしている

東郷「……許せない」
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/19(月) 22:38:00.58 ID:gzy0CYICO
あっ…
254 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/19(月) 22:44:18.15 ID:a8BG1ayqo

この世界に神様がいるのだとしたら、

天乃の人生を報われないままに終わらせるはずがない

もしもそれで終わらせる神がいるのだとしたら

それは神様ではなく悪魔だと、東郷は思う

東郷「久遠先輩は幸せになるべきだわ……子供を産んだとしても死ぬことなく、みんなで……」

子供を産むうえで体がひどく衰弱してしまうというのは

普通の人間であっても起きてしまう場合はあるという

だが、それであっても天乃は無事に終えられるべきだ

神による抽選が行われているのならば

優先的に選択されるべき存在なのだ

誰かが否定するのだとしても

東郷はそれ以外にあり得ないと否定を否定する

東郷「居なくなってしまうなんて……考えられない」

東郷美森、鷲尾須美

二つの記憶を持つ東郷は長い付き合いがある

それでなくても、

東郷にとって勇者部にとって天乃の存在は必要不可欠だった

誰に対してでも優しい気持ちを持ち、

誰に対してでも厳しくあれる強さを持ち、

相手が求めることに関して一生懸命に答えてくれる人

たくさんの人を魅了し、たくさんのひとに羨望の眼差しを向けさせた人

その優しさがあったからこそ、その厳しさがあったからこそ

勇者部は各々が成長することが出来て

その成長があったからこそ苦難に立ち向かうことが出来て、今がある
255 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/19(月) 22:55:37.67 ID:a8BG1ayqo

東郷「久遠先輩を失ってしまったら……」

勇者部は元気を取り戻すことができるだろうか

誰かを助けるボランティアなどということを行えるだろうか

自分たちが一番大切にしたい人

一番尽くしたい人を失ってしまったのに

そう考えて、東郷は首を振る

それはきっと無理な話だ。と

東郷「……そうなるくらいなら、私は私の命だって懸けられる」

もしもまた戦いがあって

それが天乃に何らかの悪影響を与える一因なのだとすれば

満開、あるいはそれに準じた力を行使してでも戦う

もしも戦い以外での何らかの問題があったとしても

何か役立てることがあるのならば

全力を持って尽くそう……と、東郷は強く心を決める

たとえそれが、神樹様に牙をむくようなことであったとしても。

東郷「……久遠先輩は嫌がるかもしれないけど」

たとえ嫌われることになったとしても

生きていてくれるのなら。と、東郷は寂しく……笑みを浮かべた
256 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/19(月) 23:04:12.82 ID:a8BG1ayqo

√10月08日目 夕(病院) ※月曜日


01〜10 天乃
11〜20 
21〜30 九尾
31〜40 
41〜50 若葉
51〜60 
61〜70 千景
71〜80 
81〜90 樹
91〜00 

↓1
257 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/19(月) 23:04:49.62 ID:i+4gewflO
258 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/19(月) 23:05:15.15 ID:gzy0CYICO
259 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/02/19(月) 23:12:00.61 ID:a8BG1ayqo

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


友奈「だっ、駄目だよ東郷さん!」

東郷「久遠先輩を苦しめるだけの神様なんていらないわ」

東郷「それとも、友奈ちゃんは久遠先輩が死ぬのは運命だから仕方がないって言うの!?」

友奈「……言わない、言えないよ!」

友奈「ただ、ただね……私、思うんだ」

友奈「――赤信号だって、みんなで渡れば怖くないって!」

風「結局そっち側かいっ!」バンッ

風(あーもう夏凜が戻ってこないとアタシの胃が……ッ)
260 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/19(月) 23:13:42.33 ID:i+4gewflO

風先輩過労死しちゃう
261 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/19(月) 23:16:33.13 ID:gzy0CYICO

終始ちゃんとシリアスしてる東郷さん見たのいつ以来だろうか
しかし早く何とかしないと原作の悪夢が再来しそう…
134.38 KB Speed:14.6   VIP Service SS速報R 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 新着レスを表示
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)