【ゼルダの伝説】リンクルが時の勇者になるようです

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233 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/13(火) 21:40:40.26 ID:OKJs+xXvo
おつ
ファイとナビィが一緒の地点で予想してたけど
ファイの活躍所が難しそう

片手にボウガン、もう片方にマスターソード、さらに盾に持ち替え出来て最終的に二丁ボウガンも予定してるってリンクに劣らずウェポンマスターだな
手がいくつもあるように見えそう
234 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/13(火) 22:15:25.35 ID:OERFNoK80
>>232
モーファのこと特に特に考えてはなかったんだけど、ダンペイのおっさんのとこ以外にもフックショットはあったよなってスルーしちゃった
ありがとう

>>233
実はファイは活躍させる為に登場させたわけじゃなくて、ただ単純に好きなのとボケ役が一人欲しかっただけだったりする。リンクルとナビィの二人での掛け合いよりもう一人居た方が楽しいっていうかやりやすいってくらいなので、殆どどうでもいいことを言ってばっかりの可愛い精霊枠の予定
沢山の武器を瞬時に持ち替えて使いこなせなければ勇者は務まらない(?)
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/14(水) 01:07:41.78 ID:SbGa24pKo
ゼルダの伝説好きだからこういうSS嬉しい
話も面白いし応援してます
久々に時オカやろうかな
236 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/15(木) 20:39:18.09 ID:sP8aVzAM0
雷倒した
金属製の盾がまずいってそりゃそーだわ少し考えりゃ分かったろうになんで丸二日間も頑なに金属製の盾で挑んで感電死してたんだ

あと親に「前の会社(二週間くらい休みなし連勤とか日に10時間以上の労働とかあったとこ)辞めたのは気合いが足りなかったからだ」「働かないのは許さん」みたいなこと言われたので、心は全く完治してないけど来週くらいから学生の頃数年間バイトしてたとこでまた働き始めるので更新ペース落ちるかもしれないです


>>235
嬉しい ありがとう

更新始まるよ
237 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/15(木) 20:41:09.52 ID:sP8aVzAM0
 ep.13 凍てつく洞窟と水底の神殿


――ハイリア湖畔

リンクル「広き湖、って言うからここだと思って来てみたけど……」
リンクル「なーんだこりゃ」

ナビィ「殆ど干上がっちゃってるネ……」

リンクル「んー……あ、そういえばあそこゾーラの里に通じる水路だったよね」
リンクル「確かこの門のところ……なんだこれ」

ナビィ「氷……みたいね。変だよ、凍るような季節じゃないし、この気温じゃ普通は溶けちゃう」

リンクル「うーん……そうだ」
リンクル「取り敢えず、みずうみ研究所に行って話を聞いてみよっか。博士なら何か知ってるだろうし」
238 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/15(木) 20:41:47.29 ID:sP8aVzAM0
――ハイリア湖畔 みずうみ研究所

リンクル「こんにちはー」

みずうみ博士「おや? その緑装束に妖精とクロスボウ……」
みずうみ博士「もしやいつぞやのお嬢ちゃんか?」

リンクル「はい、お久しぶりです! 覚えててくれたんですね!」

みずうみ博士「覚えておるとも。大きくなったのぅ」

リンクル「えーと、それで……」

みずうみ博士「ああ、言われんでも分かるぞ」
みずうみ博士「このハイリア湖が一体何故こんなことになっとるのか、じゃろう?」

リンクル「はい! なんでこんなに水が減って……?」

みずうみ博士「詳しいことはワシにもよく分からんがな……」
みずうみ博士「このハイリア湖の水源はゾーラの里……もっと言えばその奥の泉じゃ」

みずうみ博士「水路の方はもう見たかの? 凍っておったじゃろう?」
みずうみ博士「ゾーラの里に何かあったのかもしれん」

リンクル「ゾーラの里……」
リンクル「分かりました。行ってきます!」

みずうみ博士「気をつけてな」
239 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/15(木) 20:42:22.33 ID:sP8aVzAM0
――ゾーラ川

リンクル「お疲れ、エポナ」
リンクル「暫くここで待っててね」ナデナデ

エポナ「ヒヒィン」

リンクル「さて、と……」
リンクル「……川の様子はあんまり変わりないけど……」

リンクル「……んん?」
リンクル「ナビィ、なんか肌寒くない?」

ナビィ「言われてみれば……気温が低いみたい?」

リンクル「季節じゃないよね?」
リンクル「やっぱり何かあったのかな……」
240 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/15(木) 20:43:24.67 ID:sP8aVzAM0
――ゾーラの里

リンクル「な、何これ……!?」

ナビィ「ゾーラの里が……氷に覆われてる……!?」

リンクル「どうしてこんなことに……」
リンクル「……! ナビィ! 下!」

ナビィ「氷の中にゾーラ族が……お、大勢居るヨ!?」
ナビィ「で、でも生命力は全然……」

「誰か居るのか!?」

リンクル「!」シャキンッ

ゾーラ「一体何者だ……って、君は」
ゾーラ「ハイリア人かい? よく来てくれた!」

リンクル「良かった……誰も居ないかと思ったよ」

ゾーラ「あー……いや、間違ってはないよ」
ゾーラ「生き残ったのは僕含め陸の上に居た数人だけだ……」

リンクル「……何があったの?」

ゾーラ「分からない……僕は観光客向けの店をやってて、陸の上で仕事をしてるんだ」
ゾーラ「だからあんまり詳しくは知らないんだけど、数日前急に里の水が凍り出したらしくてね」

ゾーラ「兵士達が何やら泉の方へ集められてたらしいけど、その間にもどんどん凍っていって……」
ゾーラ「多くの仲間が陸に避難できないまま、この有様さ」

ゾーラ「少しずつ頑張って融かしてるんだけどね、凍るスピードの方が早くて……」
ゾーラ「ルト姫も行方不明だし、一体どうしたらいいんだ……」

リンクル「そんな、ルトまで……」
リンクル「あっ、キングゾーラは?」

ゾーラ「キングゾーラ様は……」
ゾーラ「……玉座に行ってみるといい。説明が難しい」

リンクル「分かった。ありがとね」
241 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/15(木) 20:44:06.91 ID:sP8aVzAM0
――ゾーラの里 玉座

リンクル「なっ……キングゾーラまで!?」

ナビィ「この氷……変だよ」
ナビィ「すごく、嫌な魔力を感じる……」

リンクル「不思議な……赤い氷……」

ゾーラ「む……ハイリア人か」

リンクル「ゾーラの兵隊さん」

ゾーラ「ご覧の通り、我らがゾーラの里は氷漬けだ」

リンクル「原因は分からないの?」

ゾーラ「分からない……少し前にジャブジャブ様が急に居なくなって……」
ゾーラ「それから猛烈な冷気が里を襲った。恐らく根源は氷の洞窟だろうが……」

リンクル「氷の洞窟?」

ゾーラ「泉の隅にある洞窟だ。ハイリア人が何度か調査に行ったが、変わった魔力が漂う場所らしい」
ゾーラ「私も一度だけ入ったことがあるが、今の里のような、凍てつくような寒さだった」

リンクル「……分かった。ちょっと行ってみるよ」

ゾーラ「ああ……だが、気をつけろ」
ゾーラ「我々もこの異変が起きてから、十数人の兵を送り込んだが、未だ誰一人として帰ってきていない」

リンクル「……」ゴクリ
リンクル「……その前に、何か暖かい服欲しいな。なんかお腹痛いし」
242 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/15(木) 20:44:42.76 ID:sP8aVzAM0
――翌日 氷の洞窟

リンクル「よーし、これなら寒くない!」

ナビィ「お腹は大丈夫?」

リンクル「昨日ほど酷くないよ」
リンクル「ファイ、ありがとね、色々教えてくれて」

ファイ「いいえ、当然のことです」
ファイ「またお困りのことがあればいつでもお呼びください」

リンクル「うん」

ナビィ「どうでもいいけどあの玉座に居たゾーラの兵士さん女の人だったんだネ……」

リンクル「あの人お腹痛いって話したら妙に優しくなったよね……」
リンクル「しかしここは一段と寒いなぁ……」

ナビィ「ほんとにネ……」
243 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/15(木) 20:45:37.96 ID:sP8aVzAM0
リンクル「うわぁ、氷の塊がいっぱい……」
リンクル「色んな形のがあるのね」

ナビィ「……リンクル! 気をつけて! それは魔物だヨ!」

リンクル「えっ!?」

フリザド「コオオオォォォ」

リンクル「うっ!?」パキパキパキ

ナビィ「リンクル!」

ファイ「警告、マスターの体温の急速な低下を確認」

リンクル「く……!」ググッ
リンクル「はあっ!!」バキンッ

ナビィ「すごい! 自力で割っちゃった!」

リンクル「よくもやってくれたわね!」バシュッ

フリザド「ジュッ」

ナビィ「ボルトが燃えてたヨ? どうやったの?」

リンクル「ディンの炎と組み合わせただけ。実際はただの木のボルトよ」

ナビィ「よくそんなの瞬時に思いつくネ……」

リンクル「誰でも思いつくと思うけど……」
リンクル「あー、冷えちゃったからちょっと休憩して行こ……」ボッ

ナビィ「便利ね、ディンの炎……」
244 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/15(木) 20:46:11.43 ID:sP8aVzAM0
リンクル「結構奥まで来たけど……」
リンクル「ゾーラの兵隊さん達は結構な人数送り込まれたらしいのに、影も形も見当たらないね」

ナビィ「途中に魔物がいっぱい居たのに、無視してきたとは考えにくいけど……」

ホワイトウルフォス「アオオーン!」

リンクル「おおっと!」チャキッ
リンクル「ウルフォス……にしちゃちょっと大きいし白いけど、久々ね!」

ホワイトウルフォス「グルルル……」
ホワイトウルフォス「ガウッ!」ダンッ

リンクル「はいっと」ゲシ

ホワイトウルフォス「キャインッ」ドシャッ
ホワイトウルフォス「ガオゥッ!」ザザッ

リンクル「大きくなっても白くなってもウルフォスと大した違いはないのね」バシュッ

ホワイトウルフォス「キャインッ!」

ファイ(剣を抜くまでもないですかそうですか)
245 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/15(木) 20:46:51.11 ID:sP8aVzAM0
リンクル「ここが一番奥かなぁ」

ザッ

リンクル「?」

「また会ったな、リンクル……」

ナビィ「シーク」

シーク「ゾーラ族に会いに来たのなら、無駄足だったな……見ての通りだ」
シーク「彼らの殆どは厚い氷の下……あの中で一体何人が生き残っているやら……」

リンクル「ルトは?」

シーク「ゾーラの姫だけは、僕がなんとか助け出した」
シーク「しかし、その姫も“水の神殿へ行く”と言い残して行ってしまった……」

リンクル「水の神殿……分かった。ありがとう」

シーク「この氷は邪悪な呪いによるもの……根源である水の神殿の魔物を倒さねば、氷は融けぬ……」
シーク「……時は移り、人も移る……それは水の流れにも似て、決して留まることはない……」

シーク「幼き心は、気高き大志に……」
シーク「幼き恋は、深き慈愛へ……」

シーク「澄んだ水面は成長を映す鏡……」
シーク「己の姿を見たいのならば、水の神殿へ行くといいハイリア湖の底だ」

シーク「それと……赤い氷は青い炎で融かせる」
シーク「融かしても融かさなくても君の姿は映らないかもしれないが、探してみるといい」
246 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/15(木) 20:47:27.24 ID:sP8aVzAM0
リンクル「シークが言ってたのって、これかな?」

ナビィ「青い炎……魔力が噴出してるのがそう見えるみたい」

リンクル「へぇ……不思議ね、熱くない」

ナビィ「……あ、そうだ」
ナビィ「そこに赤い氷あるじゃない?」

リンクル「ああ、キングゾーラを凍らせてたのと同じようなのがあるね」

ナビィ「その炎で融かせないか試してみない?」

リンクル「どうやって?」

ナビィ「その空き瓶」

リンクル「炎なんか掬えるのかな……」
247 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/15(木) 20:48:10.83 ID:sP8aVzAM0
――ゾーラの里 玉座

キングゾーラ「あー、余は生き返ったゾラ……」ジュウウゥ……

リンクル「まさかほんとに空き瓶に掬えて、赤い氷融かせるとはねぇ」

キングゾーラ「余を助けてくれたのはその方ゾラ? うむ、苦しゅうない!」

リンクル「いえいえどういたしましてー」
リンクル「さ、水の神殿に行かなきゃ」

キングゾーラ「待たれよ……水の神殿とな?」
キングゾーラ「しかしその方、見たところ水中では苦しそうじゃ」

キングゾーラ「おい、あの服をこの者に与えてやれ」
キングゾーラ「その方には余を助けた褒美としてゾーラの服を授けよう。それがあれば水の中でも苦しゅうない!」

ゾーラ「こちらです」スッ

リンクル「態度変わったね」ボソッ

ゾーラ「うるさい」ボソッ

リンクル「ありがとうございます、キングゾーラ」

キングゾーラ「うむ!」
248 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/15(木) 20:48:47.94 ID:sP8aVzAM0
――水の神殿

リンクル「ふうっ」ザバッ
リンクル「ハイリア湖の底にこんな空間があったなんてねぇ……」

ナビィ「うーん……なんだかややこしそうだネ」
ナビィ「いつもと違って三次元的にかなり動き回ることになりそう」

リンクル「でも早いとこ片付けちゃわないと、氷の下のゾーラ族が凍死しちゃうよ」

ナビィ(もう手遅れだと思うんだけどなぁ)

リンクル「それにしてもこの服すごいや。水中でも普通に息が出来る」

ナビィ「魔法の服ってすごいのネ」

「……リンクル? もしやリンクルではないか?」

リンクル「うん?」クルッ
249 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/15(木) 20:50:59.53 ID:sP8aVzAM0
取り敢えずここまで

質問等あればどうぞ
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/15(木) 23:30:47.82 ID:s0JMcS5bo
おつー
251 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/16(金) 10:07:26.67 ID:ZpCPziCZo

無理せんでも待ってるからな
252 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/16(金) 22:11:30.52 ID:vwlUIgfD0
ありがとうな……

ここのリンクルにとってルトは一緒にジャブジャブ様を冒険したし、性格的にも結構馬が合ってる感じなので親友みたいな認識
一方ルトにとってリンクルは……


更新します
253 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/16(金) 22:12:22.09 ID:vwlUIgfD0
 ep.14 水の賢者


「おお、やはりリンクルか!」

リンクル「あなたは……」
リンクル「もしかして、ルト!?」

ルト「うむ! ゾーラのプリンセスにしてそなたのフィアンセ、ルト姫じゃ!」

ナビィ「フィアンセ!?」
ファイ「!?」

リンクル「ふぃあんせ?」
リンクル「まぁいいや。久しぶりだね! なんだか印象変わった?」

ルト「ああ、久しぶりじゃな」
ルト「まぁ7年も経てば印象の一つや二つ変わるものじゃ。そなたは相変わらずじゃな?」

リンクル「まぁね」

ルト「それにしても、7年もほったらかしとは酷い子ゾラ……」

リンクル「あー、うん、ごめんね……」

ルト「埋め合わせはきっちりしてもらうぞ!」
ルト「じゃが、今はそんなことをしておる時ではない」

ルト「そなたも見たであろう? 凍てついたゾーラの里を……」
ルト「わらわはシークという若者になんとか助けてもらったが……」

ルト「多くの民が、父上が、まだ凍ったままじゃ」
ルト「わらわはみんなを助けたい! ゾーラの里を救いたいゾラ!」

ルト「そなた、協力してたもれ」
ルト「そなたの妻となり夫となるわらわの頼みじゃ!」

ナビィ(お前は何を言っているんだ)

リンクル「勿論! あたしだって、ゾーラ族のみんなは助けたいんだから!」

ルト「……ありがとう、リンクル」

リンクル「お礼は全部終わってからにしよ?」

ルト「……うむ!」
254 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/16(金) 22:13:05.75 ID:vwlUIgfD0
ナビィ「……あのさ、リンクル?」

リンクル「何?」

ナビィ「あのー……妻とか、夫とか、意味分かってる?」

リンクル「分かんない」

ナビィ「……」ガクッ

ルト「……」ニコニコ

リンクル「でも、すっごく仲良しってことでしょ? 違う?」

ルト「今はそれで良い」

ファイ「よろしくありません」

ナビィ「……あのね、リンクル」
ナビィ「妻とか夫とかっていうのはね、結婚する相手のことなの」

リンクル「うんうん?」

ナビィ「ハイリア人は愛し合ってる二人が結婚して子供を作る、って以前教えたわよね?」

リンクル「うん、教えてもらったよ」
リンクル「じゃあ問題ないんじゃない? あたしはルトのこと大好きだよ?」

ルト「ブフッ」

リンクル「えっ、どうしたのルト!?」

ナビィ「……あのね、よく聞いて?」
ナビィ「結婚っていうのはね、男の人と女の人がするものなの。女の子同士っていうのはいだだだだだだだ」

ルト「余計なことを言うでない、お喋り妖精!」ギリギリギリ
ルト「そなたとわらわは確かに女同士で、しかも種族も違う」

ルト「しかし、愛の前にそんなものは問題ではない!」
ルト「さぁ、ちゃっちゃと魔物をやっつけて里に帰るゾラ!」

リンクル「おーっ!」

ナビィ(いいのかなぁ、これで……)
255 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/16(金) 22:14:06.88 ID:vwlUIgfD0
シェルブレード「ゴパッゴパッ」

リンクル「うわ、でっかい貝」

ルト「気をつけろ、そやつの挟む力は人間やゾーラをあっさり千切って殺す程じゃぞ」

リンクル「でも殻が硬くて普通の攻撃じゃ通らないよ」ガンガン

シェルブレード「イタイイタイ」

ルト「弱点は殻を開いた時の貝柱じゃが……」
ルト「外からあんまり叩くもんだから警戒して開かんな」

リンクル「むぅ」

ナビィ「爆弾ボルトは? ゴロンシティで新しくもらった爆弾あったでしょ?」

リンクル「ん、じゃあやってみよっか」バシュッ

チュドーン

シェルブレード「!?」

ルト「おおっ」

リンクル「なんか前より威力上がったのかな。7年の間に新型に大分置き換えられたって言ってたけど」

シェルブレード「イタカッタヨイタカッタヨ」

ナビィ「……あれ? 吹き飛んだだけでダメージは殆どないみたい」

リンクル「ええー……」
リンクル「一応退いてはもらえたし、無視して行こっか」

ルト「そうじゃな……」
256 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/16(金) 22:14:40.35 ID:vwlUIgfD0
ボトッ

リンクル「?」

ライクライク「ウジュジュジュ……」ウネウネ

ルト「きゃっ!? な、なんじゃこいつは!?」

リンクル「ル、ルト! 早く逃げ……」シャキンッ

ライクライク「グジュルッ」
ルト「ひゃああああっ!?」

リンクル「あー、遅かった!」

ナビィ「ル、ルト姫を飲み込んじゃった!」

ライクライク「ジュルルルルッ」グネグネ

ルト「は、はよ助けてたもれっ!」
ルト「ひゃうっ!? ど、どこ触って……ああっ! そ、そこはぁ……!」ビクンッ

ナビィ「な、何してるのこの魔物!?」

リンクル「助けるったって……剣やクロスボウで下手に攻撃したらルトが……」
リンクル「そ、そうだ! ディンの炎!」ドヒュンッ

ライクライク「ジュアアアッ」ペッ

ルト「あ〜れ〜っ!?」ドタッ

ライクライク「グジュルルルッ!」
リンクル「うわあっしまった!?」

ナビィ「リンクル!」
257 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/16(金) 22:15:22.50 ID:vwlUIgfD0
ライクライク「ジュルルルッ」グネグネ

リンクル「や、やだっ、服が……っ!」
リンクル「ひやぁっ!? なになになにっ、ちょっと、そんな、吸いつかないでぇーっ!」ビクビクッ

ルト「わ、わらわのリンクルにまで……! 許さぬっ!」つ壺
ルト「リンクルを離せっ!」ガチャーン

ライクライク「ジュルアッ」ペッ

リンクル「あうっ」ドタッ
リンクル「こ、このっ!」ザシュッ

ライクライク「ギャァァッ」シュウゥ……

リンクル「はぁ……はぁ……!」

ナビィ「とんだ女の敵だったネ……」
ナビィ「……って、リンクル! 服と盾!」

リンクル「あ、そういえば脱がされたんだった……」
リンクル「うわぁ……このまま着たくはないなぁ……」ネトォ

ルト「……」
ルト「……あっ、そ、そうじゃ! そこらで洗ってから行こう! 水ならいくらでもあるしな!」


ルト(ぐぬぬ、あんなことされた挙句、リンクルの痴態まで見て、気分が昂ってしまう……)
ルト(手を出した方が良かったかもしれん……勿体ないことした気がするゾラ)ソワソワ

リンクル(ルトのあれってああいうヒレとかじゃなくて、服だったんだ……)
リンクル(それにしてもなんだか変な感じだよぅ……)ソワソワ

ナビィ(お互い色々遠慮してるっぽいけど、大丈夫かなぁ……)
258 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/16(金) 22:16:07.39 ID:vwlUIgfD0
リンクル「この部屋は……何だろ? 妙に広いけど……」キョロキョロ

ガコーン

リンクル「あっ、扉が……あれ?」

ナビィ「あ……ルト姫が通る前に扉が閉まっちゃったんだ」

リンクル「ルトー? ルトー!」ドンドン

「扉が開かんゾラー!」

リンクル「そりゃそうだよね、こっち鉄格子までかかってるもん」
リンクル「ルトー! 少し待っててー! なんとかしてみるからー!」

「ああ、待っておるからなー!」

リンクル「さて……」
リンクル「それにしても変だね、この部屋……部屋?」

ナビィ「霧が深くて、空間がずっと続いてるみたい……」
ナビィ「どこかに壁はあるのかな? なんだかここだけ外みたいネ」

リンクル「湖の底にこんな空間があるとは思えないんだけどねぇ……」チャプチャプ
リンクル「……?」

ナビィ「どうしたの?」

リンクル「いや……この水面に映ったあたし……変だなって」

ナビィ「変?」

リンクル「気のせいかな……」
259 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/16(金) 22:16:39.99 ID:vwlUIgfD0
リンクル「うーん、反対側の扉も駄目かぁ」
リンクル「部屋中にある大きな木箱に何かあるのかな」

ナビィ「変な置き方だったよね。積み重ねもせず、きっちり並べてあるわけでもなく……」

リンクル「なんか隠れてたりしてね」
リンクル「ま、仕方ない。一度引き返してルトに……うん?」

ナビィ「あの木の下……誰か居るネ」

リンクル「あれは……」
リンクル「……真っ黒な、あたし?」

ダークリンクル「フフフ、よく分かったね」
ダークリンクル「あたしはダークリンクル。あんたの影」

リンクル「あたしの……影?」

ナビィ「リ、リンクル! 水面に映ってたリンクルが……!」

リンクル「……成程ね、変な感じだと思った」

ダークリンクル「流石あたしのオリジンね。いや、これからあたしがオリジンになるのかな?」
ダークリンクル「この部屋から出たければ自分自身を倒すことね」チャキッ

リンクル「……!」チャキッ
260 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/16(金) 22:17:31.48 ID:vwlUIgfD0
ダークリンクル「はっ! ふっ! それっ!」バシュッ バシュッ バシュッ

リンクル「っ……!」タタタタッ バッ
リンクル「くっ……木箱はこの為のものか!」ゴロッ

ダークリンクル「ええ、その通りよ! あたしもあんたも、武器はおんなじ二挺クロスボウとマスターソード!」
ダークリンクル「当然よね! あたしはあんたで、あんたはあたしなんだから!」ダッ

リンクル「あたしと殆ど同じ動き……同じ癖っ!」バシュッ

ダークリンクル「おっと!」バッ
ダークリンクル「当然発想も同じよねっ!」バシュッ

リンクル「っく、かからないか……!」バッ

ナビィ「す、すごい……二人とも横に走り回って遮蔽物も上手く利用して、撃ち合ってる……!」

ダークリンクル「フフフ、やっぱりコピーだけあって、互角ねぇ」
ダークリンクル「やっぱりあんた、才能があるよ」

リンクル「……っ!」

ダークリンクル「自分でも気付いてるでしょ?」
ダークリンクル「自分にはどうしようもないくらい戦の術の才能があるって」

リンクル「そんなことっ……!」

ダークリンクル「ああ、否定しても無駄無駄。言ったじゃない」
ダークリンクル「あたしはあんたの影。あんたの心の暗い部分はぜーんぶ知ってるの」
261 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/16(金) 22:18:10.00 ID:vwlUIgfD0
ダークリンクル「勿論記憶もあるのよ?」
ダークリンクル「森でのこと、山でのこと、そして、ここに辿り着くまでのこと」

ダークリンクル「つらかったよねぇ、ほんとにさ」
ダークリンクル「突然森から出ろなんて言われてさ、ずーっと続くと思ってた生活がいきなり終わっちゃって」

ダークリンクル「お城に行ったら今度は国の為に手を汚せだって。兵隊さんみたい」
ダークリンクル「そういえば、デスマウンテンで爆弾を見た時、瞬時に思いついたよね?」

ダークリンクル「これを遠距離攻撃武器として使えれば、効率的に敵を倒せるって」
ダークリンクル「もっといえばいつでも使えるようにした方がいい。爆弾花じゃちょっと不安定だって」

ダークリンクル「なんでもすぐに武器に転用出来ないか考えちゃう。まるで軍人さんみたいにね」
ダークリンクル「今でこそ魔物退治に便利に使ってる爆弾ボルト……戦に使われたらどうなるんだろうね?」

リンクル「……」

ナビィ「リ、リンクル! 惑わされちゃ駄目! そんなことないヨ!」

ダークリンクル「うるさい妖精ねぇ。大体あんただってほんとは分かってるんでしょ?」
ダークリンクル「分かってて言わなかったんだよね? リンクルには戦の術の才能があるって」

ナビィ「そ、そんな……!」

ダークリンクル「話を元に戻そっか」
ダークリンクル「どこまで言ったっけ……ああ、そうそう、お城でのこと!」

ダークリンクル「城下町でゲルド族の人を斬った時! 今でも夢に出そう!」
ダークリンクル「あんな怖い顔出来るんだってくらいの形相で睨みつけられたよね! すぐ死んじゃったけど!」

ダークリンクル「でもその時、どうしたらいいか分からないような気がしたっけ」
ダークリンクル「兵隊さんの治療、その前にゲルドの……敵兵にとどめを刺さなきゃ。迷ったよね」

ダークリンクル「人を斬ったことも、虫の息の敵兵に睨みつけられたことも、大した問題じゃなかったよね!」
ダークリンクル「分かるよ、分かる! 戦場だもん! 戦の最中にそんなこと気にする暇はないもん!」

ダークリンクル「でも人を殺しちゃったら、普通はパニックになるよね。訓練受けた兵隊じゃないんだから」
ダークリンクル「なってないとおかしいよね。子供心にそう思ったよね。パニックにならなきゃ。演じなきゃ」

リンクル「……」

ナビィ「……!」

ダークリンクル「そんなこんなでマスターソード抜いたらさ」
ダークリンクル「今度は実はコキリ族じゃなくてハイリア人でしたー、なんて」

ダークリンクル「しかもハイリア人はハイリア人でも普通のハイリア人ではなかったのでしたー、とか」
ダークリンクル「まったくふざけてるよね」
262 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/16(金) 22:18:37.83 ID:vwlUIgfD0
ダークリンクル「いきなり選ばれし者なんて言われて、お前は時の勇者だと言われて」
ダークリンクル「お前はハイラルを救うんだなんて言われてさ、たった一人?」

ダークリンクル「仲間と言えばその妖精と、あとは馬くらい? どう大きく言ったって一人と一匹と一頭ね?」
ダークリンクル「大魔王を倒して国を救え、ってこんな小娘に託しちゃうわけ? 大切な7年を奪い取っておいて?」

ダークリンクル「危険な仕事はいつだってあんた任せ。見返りもなし、だーれも一緒に旅してはくれない」
ダークリンクル「一緒に戦ってくれたのって、精々ダルニアくらいかな? ヴァルバジアは一緒に倒したよね」

ダークリンクル「まあ、仲間のゴロン達が捕まってたんだもんね。その為だったもんね」
ダークリンクル「……じゃあ、ハイリア人は? あんたと同じハイリア人は?」

ダークリンクル「ガノンドロフとその軍勢はハイリア人を大勢殺してるし、捕まえてる筈よね?」
ダークリンクル「きっと今もガノンドロフの支配によって苦しんでるハイリア人は大勢居る筈よね?」

ダークリンクル「ハイリア人を救いたいから時の勇者と一緒に旅をして国を救おうなんてハイリア人は居ないの?」
ダークリンクル「本当に大魔王をやっつけたいならさ、あんた一人に押し付けるなんて変じゃない?」

ダークリンクル「あんたが命の危険を冒してまで助ける価値……」
ダークリンクル「それだけの価値が、本当にこの国にあるの?」

リンクル「……」
263 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/16(金) 22:19:31.03 ID:vwlUIgfD0
ダークリンクル「さあ……リンクル……いや、あたし」
ダークリンクル「こっちにおいで。全てを投げ出して、心の闇に身を任せれば、楽になれるよ」

リンクル「……」ザッ

ナビィ「リ、リンクル! 行っちゃ駄目! あいつは魔物だヨ!」
ナビィ「あんな言葉に耳を貸しちゃ……」

リンクル「黙ってて」

ナビィ「え、リンクル……」

リンクル「あいつが……あたしの影が言ったのは全部ほんとのことだよ」
リンクル「ずっと思ってた。表に出さないようにしてた。言っちゃいけない気がしてた」

ダークリンクル「フフフ……影は全てを受け入れるわ」
ダークリンクル「これからは時の勇者の重責も、ハイラルを救う為のこっ酷い運命も全部忘れて、楽になれるの」

リンクル「そうね、悪くない」
リンクル「でもね……いや、だからこそかな」グルンッ

ダークリンクル「っ!?」

リンクル「あんたは殺す」ザンッ

ナビィ(居合切り! そっか、あれの為にわざとあんな態度を……)
ナビィ(……あれ?)
264 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/16(金) 22:20:05.11 ID:vwlUIgfD0
ダークリンクル「かっ……あ、くは……」
ダークリンクル「ど、どうして……! どうして、そんな心の闇を抱えたままで……!」

リンクル「あんたは所詮、あたしの影を使って生まれた魔物よ」
リンクル「姿形も、動きの癖も、あたしの記憶も、何もかも持ってても、本質は結局魔物よ」

リンクル「だからね、あんたはあたしじゃないし、あたしはあんたじゃない」
リンクル「それに、仮に本当にあたしだったとしても……」

リンクル「あたしが心に抱えたものは、全部あたしのものよ」
リンクル「あたしだけのものだ。絶対に、誰にも渡さない。持ち出すなんて許さない」

ダークリンクル「ひっ……!」ゾクッ

ナビィ「え……」
ナビィ(魔物の方が……怯えてる? リンクルを恐れてる……?)

リンクル「時の勇者の重責も、ハイラルを救う為のこっ酷い運命も、全部、全部」
リンクル「あたしだけが託された、あたしだけのものなんだ」

ダークリンクル「あ、あんたは……お前は……っ!」
ダークリンクル「来るな! 来るなぁーっ!!」

リンクル「返してね、あたしのもの全部」ザシュッ

ダークリンクル「あ……ぐ……こ、の……」
ダークリンクル「……ば……化物……ぉ……」

リンクル「……」

ダークリンクル「」

シュウウゥゥ……

ナビィ「消えてくヨ……けど」
ナビィ「その、リンクル……さっきの」

リンクル「……」

ナビィ「……ごめん」
265 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/16(金) 22:20:51.53 ID:vwlUIgfD0
ルト「おお、開いたゾラ」

リンクル「ごめんごめん、お待たせ」

ルト「……何かあったか?」

リンクル「まぁ……ちょっとね」
リンクル「それより、見て見てこれ!」

ルト「うむ……? これは何じゃ?」

ファイ「フックショット、またはクローショットと呼ばれる、神が遺した魔法の道具です」
ファイ「鎖の付いた先端のアンカーを魔法によって射出し、鎖を巻き取ることで対象物を手繰り寄せられます」

ファイ「また、当たった対象物によってはマスターの方が引き寄せられ、これによって高所等への移動も可能です」
ファイ「本来は二つセットで使うものですが、もう一つは亡失してしまったようです」

リンクル「……だって」

ルト「さっきの声は誰じゃ?」

リンクル「ファイだよ。マスターソードの精霊だってさ」

ルト「変わった連れが居るな……」

ナビィ「あたしもつくづくそう思う……」

ルト(妖精も十分変わった連れだと思うのは黙っておこう)

リンクル「……あ、そうだ。これがあればあの部屋行けるじゃない」

ルト「あの部屋?」

リンクル「真ん中の塔の場所ね、あの周りに一か所高くて行けないドアがあったの」

ルト「……ああ、あそこか」
ルト「ふむ、行ってみよう」
266 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/16(金) 22:21:21.22 ID:vwlUIgfD0
リンクル「んー、この部屋はなんだろう?」
リンクル「真ん中のプール……これプール? この柱、何の意味があるんだろう」スタッ

ルト「うーむ……」

ガコーン

リンクル「えっ!? と、閉じ込められた!?」

ルト「し、しまった、罠だったのか!?」
ルト「……!?」

ルト「リンクル! 気をつけるゾラ!」
ルト「そこの水はただの水ではない!」

リンクル「ただの水じゃないって……」

ゴポゴポゴポゴポ……

リンクル「ここから見る限り何も……」

ナビィ「リンクル! 後ろだヨ!」

リンクル「へっ!?」

ゴポゴポゴポゴポ
267 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/16(金) 22:21:55.22 ID:vwlUIgfD0
水棲核細胞 モーファ

モーファ「ゴポゴポゴポ……」

リンクル「み、水が、動いてる……!?」
リンクル「水を操る魔物!?」

ルト「水全体が奴の身体じゃ! その柱の上は危険じゃ!」

リンクル「う、うんっ!」ダッ

モーファ「ゴポポポポッ」ババッ

リンクル「ひゃっ!?」
リンクル「は、離してっ!」

モーファ「ゴポゴポゴポ」グルングルン

リンクル「あわわわわわわわっ」

モーファ「ゴボボボボ……」

リンクル「や、やだっ、引きずり込まれる!」

ルト「リンクル!」ガシッ

リンクル「だ、駄目っ、ルトまで引きずり込まれちゃう!」

ルト「ぐぬぬぬぬっ……! い、今引っ張り出して……っ!」ズルズル

リンクル「手を離して! あたしはいいから!」

ルト「嫌じゃ! 離さん! 持ってはいかせんゾラー!」ズルズル

モーファ「ゴボボボボ……!」ズルズル

ナビィ「……?」
ナビィ「あ、そっか! リンクル! クロスボウをルト姫に!」

リンクル「……! ルト! 受け取って!」ブンッ

ルト「ひゃっ!?」キャッチ
ルト「あ、しまっ……!」

リンクル「ひゃあああああっ!!」ズルズルズル

ルト「リンクルー!!」

モーファ「ゴポゴポゴポゴポ……」
268 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/16(金) 22:22:31.60 ID:vwlUIgfD0
リンクル「(うううぐっ! ぜ、全身舐め回されてるみたい……っ!)」
リンクル「(手足が……動かない……!)」

リンクル「(……盾が、クロスボウが、ボルトが……はぎ取られていく……)」
リンクル「(次は……服!? ゾーラの服をはぎ取られたら死んじゃうよ……!)」

ファイ「マイマスターリンクルに報告。魔物はマスターソードに触れることが出来ない模様」

リンクル「(だからどうしたっていうのよ……! 水中で剣振ったって、こいつ相手じゃ……!)」
リンクル「(ひっ……やだっ、服の中手が動き回ってるみたいで気持ち悪いぃ……!)」


ルト「ど、どうすればいい……どうすればいいゾラ! リンクル!」

ナビィ「ルト姫! そのクロスボウで敵の核を狙うの!」

ルト「何……?」

ナビィ「さっき、あいつはリンクルを捕まえて引きずり込もうとしたのに、ルトは捕まえなかった」
ナビィ「水の触手をもう一本出して、さっさとルトを捕まえれば良かったのに、そうしなかった理由は?」

ルト「……一本しか、触手は出せない?」

ナビィ「そう」
ナビィ「あの触手の中では常に核が動き回ってたから、多分あの核の周りでしか触手は出せないのよ」

ルト「じ、じゃああの触手が出るのを誘って、核をこれで撃ち抜けば……!」

ナビィ「そうよ! さぁ、立って!」

ルト「う、うむ! ルト、参るゾラ!」チャキッ
269 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/16(金) 22:23:05.63 ID:vwlUIgfD0
ナビィ「使えるボルトは今装填されてるその3本だけ!」
ナビィ「そんな武器初めて触るだろうけど、頑張って!」

ルト「……!」

ナビィ「もっと水に近寄って、触手を誘って! 出てきそうになったらナビィが合図するネ!」

ルト「あ、ああ!」

モーファ「ゴポゴポゴポゴポ……」ズズズズ……

ナビィ「今よ! 一旦逃げて!」

ルト「っ!」ダッ

モーファ「ゴポポポポポ」ババッ

ナビィ「あれが核よ! よく狙って……!」

ルト「リ、リンクルを帰せゾラ!」バシュッ

ジャプンッ

モーファ「ゴボボボ……」

ナビィ「外れた! 次発を!」
ナビィ「弦を引いて!」

ルト「こ、こうか!?」ガチッ

ナビィ「そう! さぁ、次のボルト! 逃げちゃうヨ!」

ルト「く、喰らえっ!」バシュッ

モーファ「!」バッ

ナビィ「しまった、読まれて……!」

ルト「もう一発ゾラ!」バシュッ

モーファ「ゴプッ」ザスッ

ルト「当たったぞ!」

ナビィ「当たった! けど……効いてない……!?」

ルト「ど、どういうことじゃ!?」

ナビィ「……あっ! しまった……」
ナビィ「あのボルト! 森のボルトと同じような木のボルトだったんだ! 殺傷力が低過ぎて通らないヨ!」

ルト「なっ……そ、そんな……! リンクル……」
ルト「リンクルー!!」
270 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/16(金) 22:23:37.12 ID:vwlUIgfD0
バスッ ギャリギャリギャリ

モーファ「!?」

ナビィ「……!?」
ナビィ「核が……水中に引き込まれた? あの鎖は……?」

ゴボボボッ ザシュッ

ルト「み、水の中で何が起きておるのじゃ……?」

ゴボゴボゴボゴボ

ザッバァー

ナビィ「水が……引いていく……」

ルト「いや……部屋の真ん中から天井に集まって、消えて行っておるようじゃが……」

ピチョン

「あー、死ぬかと思った!」

ナビィ「リンクル!」
ルト「リンクル!」
271 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/16(金) 22:24:23.31 ID:vwlUIgfD0
リンクル「二人ともありがとう、助かったよ」

ナビィ「助かった、って……」

ルト「わらわ達は攻撃に失敗して途方に暮れておっただけじゃ……」

リンクル「いやいや、あいつの気を引いてくれたでしょ?」
リンクル「お陰であたしも反撃出来たってわけ」

ルト「一体どうやったのじゃ?」

リンクル「あんた達に気を取られてるあいつ、こっちからは隙だらけでさ」
リンクル「フックショットで引き寄せて、マスターソード突き刺してやった」


リンクル『(……核がどっか行った?)』
リンクル『(体も動く……けど、服をはぎ取られて、あまり長くは息が続かない……!)』

ファイ『マスターに報告。陸上に残った二人が何らかの手段で気を引いているものと推測』

リンクル『(成程……)』
リンクル『(動きが止まるタイミングで、なんとか攻撃を仕掛けられれば……)』

リンクル『(クロスボウは取られたし、ディンの炎も使えない)』
リンクル『(となると……フックショットか)』

ファイ『マスターに報告。核の動きが止まりました。ボルトを当てられて怯んだ模様』

リンクル『(よしきた!)』バスッ

ギャリギャリギャリ

モーファ『!?』

リンクル『(つ、か、ま、え、たっ!)』ザシュッ

モーファ『ギャアアアアアアアッ!?』


リンクル「と、こんな感じに」

ルト「そ、そうか……」

リンクル「ところでさ、武器とか服とかはぎ取られちゃって、周りに散らばってるから拾うの手伝って?」

ルト「……そういえば、さっきから下着しか身につけておらんだったな、そなた」
272 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/16(金) 22:24:51.95 ID:vwlUIgfD0
リンクル「これで全部だね……ありがと」
リンクル「ちょっと待っててね、すぐ着ちゃうから」

ルト「……着ながらでいいから聞いてくれ」

リンクル「うん」

ルト「リンクル……流石、フィアンセとしてわらわが選んだだけのことはある」
ルト「ゾーラの里も、ゾーラ達も、元通りになるであろう」

リンクル「だといいけど……復興大変そうだよね」

ルト「まぁ、それも一興じゃ」
ルト「それでな、そなたには褒美を与えたいと思う」

リンクル「褒美?」

ルト「そなたへの褒美……それは、わらわの永遠の愛じゃ!」
ルト「……と、言いたいところであったが」

ルト「どうやら、それは叶わぬ願いのようじゃ」
ルト「夫婦の契りだけでも結んでおこうかと思ったがな……」

ルト「わらわは、水の賢者として水の神殿を守り、時の勇者を手助けせねばならぬ……」
ルト「そなたの更なる活躍を信じておるゾラ」

リンクル「……うん」
273 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/16(金) 22:25:24.06 ID:vwlUIgfD0
ルト「……リンクル、近う寄れ」

リンクル「……」スッ

ルト「ん……」チュッ

リンクル「んむ」

ルト「ぁ……ちゅる……じゅるるるっ」ギュッ

リンクル「んんっ!?」

ナビィ「!?」
ファイ「!?」

ルト「ちゅぷ……」
ルト「……ふむ。でぃーぷきす、というのも心地が良いものじゃな」ペロ

リンクル「そ、そう……」

ルト「最後にそなたとの接吻を味わうことが出来て良かったゾラ、フフフッ」
ルト「そうそう……もしシークという若者に会ったら、わらわが礼を言っていたと伝えてくれ。良いな」ポゥ……

リンクル「うん……伝えるよ」
274 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/16(金) 22:30:29.00 ID:vwlUIgfD0
取り敢えずここまで

もっと百合百合レズレズさせるべきだったかもしれない(?)

質問等あれば受け付けます
275 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/16(金) 23:12:23.63 ID:/CmW75tso
乙乙最高かよ
ダークに篭絡されちゃったルートとかモーファの苗床にされちゃったルートとか
ルト姫と一夜の思い出を作るルートとか
完結後にifルートやってほしいな
276 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/17(土) 00:12:11.98 ID:ZMA/vPz9o
乙シェルブレードが可愛かった
277 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/17(土) 11:06:57.57 ID:+/LCL54Eo
おつ
ルト姫が可愛すぎ
流石の正ヒロインですわ
278 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/19(月) 22:09:20.37 ID:l4B3+uTj0
シェルブレードが可愛いは流石に草
ルト姫は何故かそういうつもりで書いてなくてもヒロインになってくからつよい

>>275
そういう感じのは考えてなかったけど、if自体は完結したら色々やるつもり


更新いくべ
279 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/19(月) 22:09:57.30 ID:l4B3+uTj0
 ep.15 闇の賢者


――ハイリア湖畔

リンクル「ぷはっ」ザバッ
リンクル「水が元に戻ってる……」ザブザブ

「……」スッ

リンクル「……シーク」ガシッ

シーク「見たまえ、リンクル」グイッ
シーク「君とルト姫が魔物を倒し、この湖は再び清らかな水で満たされた」

リンクル「ありがと」
リンクル「そのルトがシークにお礼言ってたよ」

シーク「ルト姫が、僕に……?」
シーク「……そうか。彼女の為にも、一刻も早く平和なハイラルを取り戻さねばならない」

リンクル「うん」
280 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/19(月) 22:10:28.89 ID:l4B3+uTj0
――カカリコ村

リンクル「ふう……お疲れ、エポナ」ナデナデ

エポナ「ブルルルッ」

リンクル「……あれ?」

ナビィ「変ね……人が居ないヨ?」

リンクル「うん……何かあったのかな」
リンクル「……あ、井戸のとこ、誰か居る!」

ナビィ「あれは……インパじゃない?」

リンクル「インパさーん!」タタタタッ

インパ「……リンクル」
インパ「下がっていろ!」

リンクル「えっ?」

ドコンッ

リンクル「!?」
リンクル「井戸の釣瓶が……!」

インパ「来るぞっ!」

リンクル「!」シャキンッ

ドオッ
281 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/19(月) 22:10:55.72 ID:l4B3+uTj0
インパ「くっ……ぐああっ!」ドサッ

リンクル「な、何!? インパさんが勝手に吹っ飛んだ!?」

ナビィ「見えない敵だヨ! 何か変な力は感じるのに、姿が見えない!」

リンクル「い、一体どうすれば……!」

ザザザザザッ

リンクル「……! 来るっ!」ブンッ

ナビィ「あ、当たった……?」

リンクル「駄目、手応えが……うっ!?」ガシッ
リンクル「きゃああああああああっ!」
282 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/19(月) 22:12:06.31 ID:l4B3+uTj0
リンクル「……う……」
リンクル「い、いたたた……!」

シーク「気がついたようだな」

リンクル「シーク……」

シーク「リンクル……大変なことになった」
シーク「……闇の魔物が復活したんだ」

リンクル「闇の魔物……?」

シーク「君とインパがやられたあれだ。姿の見えない魔物……」
シーク「元々はこの村の長インパの力によって井戸の底に封じ込まれていた」

シーク「だが、魔物の力が強まった為、井戸の封印が破れ、地上へ現れたんだ」
シーク「インパは再び奴を封印する為に闇の神殿へ向かった筈だが……このままでは彼女が危険だ」

シーク「僕は奴の姿を見透かす為の道具を用意してきたんだが間に合わなかった……」
シーク「君にこれを託しておく」

リンクル「これは?」

シーク「まことの眼鏡、というマジックアイテムだ。真実を見透かすことが出来る」

リンクル「ふーん……」
リンクル「これ通して見ればいいの?」

シーク「いいや、懐に入れたままでいい」
シーク「魔力を込めて、念じるんだ」

リンクル「うん……」

シーク「本来何十年も修行して漸く出来ることをすぐに出来るようにする道具だ」
シーク「すぐに、といっても多少コツが要るから少し練習しておくといい」

リンクル「……」ジーッ

シーク「……リンクル?」

リンクル「……あっ、いや、うん。ありがとう」
リンクル「それで、どこに行けばいいの?」

シーク「闇の神殿は墓地の奥の高台から入れる」
シーク「頼んだぞ、彼女を……闇の神殿の賢者インパを助けてくれ」

リンクル「……」
リンクル「……じゃあ、行ってくるね」
283 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/19(月) 22:12:49.82 ID:l4B3+uTj0
――闇の神殿

リンクル「……」

ナビィ「真実は見えるようになった?」

リンクル「え……」
リンクル「あ、うん、見えるようになった、かも」

ナビィ「そこ、壁だヨ?」

リンクル「そう見えるだけ」スッ
リンクル「ほら」

ナビィ「わっ……ほんとは壁なんかないんだ」
ナビィ「……そういうの出来るようになるのも早いんだネ」

リンクル「まぁね」

「闇の神殿……それはハイラルの血塗られた闇の歴史……」
「欲望と怨念の集まりしところ……」

リンクル「……? ナビィ、何か聞こえなかった?」

ナビィ「聞こえたヨ……」
ナビィ「ここ、単なる邪悪な魔力だけじゃなくて、色んな怨念や悪意が渦巻いてるみたい」
284 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/19(月) 22:13:29.98 ID:l4B3+uTj0
リンクル「……ハイラルの血塗られた闇の歴史、ね……」
リンクル「さっきから気になってたんだけどさ、この壁に埋めてあるの何だろうね」

ナビィ「それは……」

ファイ「人の頭蓋骨である確率90%。種族までは分かりませんが、ハイリア人またはシーカー族と思われます」
ファイ「この通路は集団墓所であると推測されます」

リンクル「ふーん……」

ナビィ「……ファイってさ、こういう時に配慮がないよね」

ファイ「必要であると判断されない限り、不必要な配慮は良い結果を齎しません」

ナビィ「……何それ」

リンクル「まぁまぁ」
リンクル「あたしは気になるけどね、ここのこと」

ナビィ「……」

ファイ「マスターに報告。向かって右手三番目の塚は偽物と推測されます」

リンクル「……ほんとだ」
リンクル「扉が見える」
285 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/19(月) 22:14:01.49 ID:l4B3+uTj0
リンクル「何この部屋……」
リンクル「床から何か生えてる……手? 気持ち悪ぅ……」

ナビィ「迂闊に近寄らない方がいいかもネ……」

リンクル「……うん?」

ナビィ「どうしたの?」

リンクル「……この部屋、あの手以外にも何か居るよ」
リンクル「ほら、そこ……結構大きな何かが……見えない?」

ナビィ「見えないけど……言われてみれば何か変な力みたいなものは感じるね」

ファイ「視認出来ない闇の魔物の確率80%。マスターソードによる攻撃を推奨」

リンクル「通るのかなぁ……」シャキンッ
リンクル「ていっ!」ザシュッ

デドハンド「グオオオオッ」ボゥ……

ナビィ「うわっ……」

リンクル「うわぁ……改めて目で見ると気持ち悪……」

デドハンド「ウオオォォォン……」ズーン

ナビィ「あ、凹んだ」

ズズズズッ ガシッ

リンクル「……きゃっ!?」
リンクル「て、手が床から生えて……!」

デドハンド「グゥゥゥ」ノソノソ

ナビィ「あ、あいつの奴の手だったんだ! リンクル、早く抜け出して!」

リンクル「くっ、このっ、離れろっ!」ザンッ
リンクル「あんたもこっち来ないでよ!」ダンッ ザシュッ

デドハンド「グアアアアッ」ドサッ
286 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/19(月) 22:14:51.30 ID:l4B3+uTj0
リンクル「なんだか気味悪い仕掛けの多い神殿だなぁ」
リンクル「あれ何だろう? クロスした木の棒なんて、森の遊具思い出しちゃうけど」

ファイ「上側に枷付きの鎖があることから、人を磔にする器具と思われます」
ファイ「手を上にした場合、周囲の人々から見て位置が高過ぎると思われ、足を上にして磔にしたと推測」

ファイ「また、周囲の道具を見る限り、磔にしたまま何らかの拷問を行っていた確率が70%」
ファイ「場合によっては処刑も行っていたものと推測されます」

ナビィ「……」

リンクル「ふーん……因みにファイは誰が誰をそんなことしてたと思うの?」

ファイ「推測の域を出ませんが、ハイリア人乃至はシーカー族が反抗的な者を拷問、処刑していたと思われます」

リンクル「……そう」

ナビィ「……リンクル」
ナビィ「早く行きましょ、ここの空気嫌いだヨ……」

リンクル「ああ、ごめんね」
287 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/19(月) 22:16:28.74 ID:l4B3+uTj0
リンクル「船?」

ナビィ「船だネ……」

リンクル「これ乗るしかないのかなぁ……」スタッ

リリン リリン

リンクル「鈴の音……?」
リンクル「うわっと、動き出した!」

ナビィ「ど、どこに向かうんだろ?」

リンクル「ついてからとしか……」

「生きてたか小娘! 敬意に値する図太さだ!」シュタッ

リンクル「うわぁ、スタルフォスが降ってきた!」

スタルフォス「我が名はマスター・スタルフォード! 栄えあるガノンドロフ軍東部分遣団行動隊長である!」
スタルフォス「ここで会ったが100年目! 魔王軍の殉死者達に、貴様の血を以て贖ってくれる!」

スタルフォス「ふんっ!」シャキンッ
スタルフォス「見よ! 吾輩が誇るこの剣を!」

リンクル「……」

スタルフォス「名付けてマスタースタル・エッジ!」

ナビィ「……」ドンビキ
288 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/19(月) 22:17:17.61 ID:l4B3+uTj0
リンクル「……」ボルトヌキ

スタルフォス「異国の片刃の剣をベースに、この国で製造可能なものにアレンジ!」

リンクル「……」ボルトソウテン

スタルフォス「グリップの部分には指を守るガードを装備!」
スタルフォス「片刃の刀身は人を斬るにはあまりに絶大な斬れ味!」

リンクル「……」ゲンヲヒイテ

スタルフォス「この全く新しい種類の剣を持てるのは世界広しと言えどもこの吾輩一人だけよ!」
スタルフォス「怖いか? そうだろう! 怖くない筈がないっ!」

スタルフォス「光栄に思え! 貴様がこの剣最初の犠牲者となるのだ!」
スタルフォス「この切れ味をしかと目に焼き付けつつ死ねっ!」

リンクル「うるさい」バシュッ

チュドーン

スタルフォス「ぬおおおっ!!」
スタルフォス「おっ、おわあああぁぁぁぁ……」ズルッ ヒュルルルル……

ナビィ「落ちてった……」

リンクル「聞いてもいないこといつまで喋ってんのよ、まったく」

ナビィ「……あれっ」
ナビィ「リ、リンクル! この船落ちちゃうヨ!」

リンクル「わわっ!」タタッ
リンクル「目的地についた途端に落っこちちゃうなんて……」

ナビィ「死んじゃうとこだったね……冥土の渡し船だけに」
289 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/19(月) 22:17:50.50 ID:l4B3+uTj0
リンクル「この部屋は何だろう?」

ナビィ「両側に棘のついた壁があるけど……」
ナビィ「わっ、迫ってくるヨ! 早く逃げないと……!」

リンクル「……いや、あの壁木で出来てる!」バシュッ

チュドーン

ナビィ「こ、壊れた……!」

リンクル「壁の向こうに何かあるね」

リーデッド「オォォン……」

リンクル「邪魔」バシュッ

リーデッド「ウォォォ……」バタリ

リンクル「これは……鍵?」

ナビィ「大きな鍵ネ……何か重要な部屋の鍵なのかな?」

リンクル「んー……じゃ、あの大きな門かな」

ナビィ「……ああ、チラッとだけ見たあそこ」
290 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/19(月) 22:19:03.42 ID:l4B3+uTj0
ガチャ

リンクル「開いたー!」

ナビィ「空中歩くのはひやひやするヨ……」

リンクル「ごめんごめん、まことの目使ってると床が見えるんだけどね」
リンクル「……で、これは何だろう? 穴?」

ナビィ「穴みたい」

ファイ「……穴の下に、巨大な気配を検知」

リンクル「じゃあ下りてみるしかないね」ピョンッ

ナビィ「ちょ、待っ……! 待ってー!」
291 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/19(月) 22:19:30.69 ID:l4B3+uTj0
リンクル「……っと!」スタッ
リンクル「何ここ……?」

ナビィ「ほんと躊躇なく飛び降りるよネ……」

リンクル「まぁね」

ドン

リンクル「おっ?」

ドン ドン ドン ドン

リンクル「大きな手……?」

ナビィ「なんだかここ自体おっきな太鼓の上みたいネ」

ドンドン ドンドン

ナビィ「……!」
ナビィ「見て! 上!」
292 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/19(月) 22:20:00.19 ID:l4B3+uTj0
「オオォォン……」

暗黒幻影獣 ボンゴボンゴ

リンクル「こいつが……!」

ナビィ「井戸の底から復活した闇の魔物!?」

リンクル「でっかぁーい……」
リンクル(けど……なんだろう? なんだか悲しそう?)

リンクル(なんか逆さ吊りの人間みたいな姿だし……)
リンクル「……頭はどこ行っちゃったんだろ」ボソッ

ナビィ「?」

リンクル「いや、何でもない」
リンクル「始めるよっ」チャキン

ボンゴボンゴ「オォォン……」スウッ

ナビィ「消えた!?」

リンクル「ううん、居るよ。姿を見えなくしただけ」
293 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/19(月) 22:20:28.54 ID:l4B3+uTj0
ドンドン ドンドン

リンクル「っと、っと、っと」

ナビィ「まずはあの手を何とかしましょ!」

リンクル「そうは言っても、こうも揺らされると、クロスボウの照準が……!」バシュッ

ボンゴボンゴ「オオオォ……」

ナビィ「片方怯んだ! もう片方!」

ボンゴボンゴ「オオォォン……」ブオンッ

リンクル「うわっ!」バッ

ドコーン

リンクル「危なく叩き潰されるところね……!」バシュッ

ボンゴボンゴ「オァァ……」ズズ
ボンゴボンゴ「オオォォォォ……!」ドオッ

リンクル「うひゃあっ!」バッ
リンクル「と、突進してきたよ!」

ナビィ「両手が使えなくなったら突進してくるみたい!」

リンクル「成程ね……よーし」
294 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/19(月) 22:21:33.05 ID:l4B3+uTj0
リンクル「まずは右手!」バシュッ

ボンゴボンゴ「オオオオ……」ブオンッ

リンクル「っと!」バッ
リンクル「今度は外まで弾き飛ばされるとこだったわ」バシュッ

ボンゴボンゴ「ウオォ……」
ボンゴボンゴ「オオオオォォォォ……!」ドオッ

リンクル「来たっ!」チャキーン
リンクル「喰らえっ!」バシュッ

チュドーン

ボンゴボンゴ「ウオオオオオッ……!」グラグラ

ナビィ「す、姿を現したヨ!」

リンクル「……!」
リンクル「……そう、だね」シャキンッ
295 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/19(月) 22:22:07.01 ID:l4B3+uTj0
ボンゴボンゴ「オォォン……オォォン……」クラクラ

リンクル「……あんたが――いや、あんた達が以前どこの何者だったのかは知らない」
リンクル「あんた達はきっと何ら間違ったことをしたつもりはなかっただろうし、してなかったとも思う」

ファイ(マスターの魔力が入ってきます……充填率70%……80%……)ヴゥン

リンクル「ただ、あんた達は――あんたはこの時代に復活すべきじゃなかった」ヴゥン
リンクル「この闇の神殿の存在と一緒に、消えてもらうわね」ザシュッ ズオッ

ボンゴボンゴ「グオオオオオッ!」
ボンゴボンゴ「オオオオオオオッ!」ジタバタ

ボンゴボンゴ「オオオオッ……!」ドシーン
ボンゴボンゴ「ォ……ォォ……!」ズズズズズ……

リンクル「……」

ボンゴボンゴ「」シュウゥゥ……
296 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/19(月) 22:22:36.12 ID:l4B3+uTj0
ナビィ「リンクル……その、さっきのは……」

リンクル「……まことの眼鏡ね、色んなものが見えちゃう」
リンクル「さっきの奴、最初は一体の魔物に見えたけど、爆弾ボルト当てた時に本当の姿が見えちゃったんだ」

リンクル「あれは最初から魔物だったわけじゃない」
リンクル「ここで理不尽に殺された人々の、怨念の集合体だった」

ナビィ「……」

リンクル「ハイラルの血塗られた歴史、ね……」
リンクル「あいつが居たところ、橋が見える。上に通じてるみたい」
297 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/19(月) 22:23:17.57 ID:l4B3+uTj0
リンクル「……ああ、この部屋に出るんだ」

ナビィ「結構長い階段だったネ……」

「ゼルダ様のオカリナを持つ少女……やはり、来てくれたか」

リンクル「……インパさん」

インパ「私より先に、奴を見つけ出して倒してしまったようだな。一本取られたよ」
インパ「だが……その様子だと、色々見たんだろう」

リンクル「……」

インパ「咎めはしない……」
インパ「……我々シーカー族は、代々ハイラル王家の下僕として仕えてきた」

インパ「しかし、ハイラル統一戦争の終結後、歴史の様々な闇を知る我々は王家に疎まれた」
インパ「元々この闇の神殿は我々が王家に反抗する者を始末する場所だったのだ」

インパ「統一戦争の前から、統一戦争が終わるまで、様々な者がここで拷問され処刑された」
インパ「有名どころだと先代のゲルド王もだな……王家に反発的であればハイリア人でも、だ」

インパ「そのことを知っているのは王家含む一部のハイリア人と我々シーカー族のみ……」
インパ「明るみに出てはならない歴史として、シーカー族はその殆どがこの闇の神殿の存在と共に葬られた」

インパ「神殿に塚の並んだ通路があっただろう?」
インパ「あれが、私の同胞達の墓だ。私の見知った者も何人か、あの中に居る」
298 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/19(月) 22:23:52.13 ID:l4B3+uTj0
リンクル「……なんだ、あたしの思った通りだったのね」
リンクル「そんなことあたしに教えて良かったの?」

インパ「7年前のあの日、王家はゼルダ様以外の全員が命を落とした」
インパ「最早この歴史の闇を知っている者など私とお前くらいのものだろう」

インパ「それも今更お前が何か言い出したところで、何も問題にはなるまい」
インパ「私も闇の賢者として、現世とは離れるわけだしな……」

リンクル「……ゼルダ姫はまだ生きてるのね」

インパ「私の役目はゼルダ様をガノンドロフの手の届かぬ場所へお連れすることだった」
インパ「近い内に、ゼルダ様はお前の前に現れ、全てを語られるだろう」

インパ「その時はお前が私に代わってゼルダ様を護ってくれ」
インパ「だが……それまでに、お前にはもう一つやってもらうことがある」

リンクル「次の神殿でしょ? “砂の女神”っていうのはちょっと分かんないけど……」

インパ「違う」

リンクル「?」

インパ「お前の眼だ」
299 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/19(月) 22:24:48.06 ID:l4B3+uTj0
インパ「この神殿に来るまでに何があったのか知らないが……」
インパ「今、お前の瞳は淀み切っている」

リンクル「……」

インパ「この神殿の為だけではないように思う」
インパ「ここに来るまでに様々なことが積み重なっているんだろう」

インパ「今のお前は危険だ。何か無茶をして命を落としかねん」
インパ「そうなる前に、次の冒険に出かける前に、だ」

インパ「どこかで羽を伸ばして来い」
インパ「親しい者と過ごすだけでもいいし、どこかで思う存分遊んでもいい」

インパ「お前が今二日や三日遊んで過ごしたところで、明日ガノンドロフが何か出来るわけでもない」
インパ「だから今の内に、気持ちの整理をつけておけ。分かったな」ポゥ……

リンクル「……うん、ありがとう、インパさん」
300 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/19(月) 22:25:51.67 ID:l4B3+uTj0
取り敢えずここまで


次回は休日回みたいなもんになると思う
301 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/20(火) 02:27:33.63 ID:1Eheu3bno
おつおつ
釣りかな?マラソンかな?(きっとちがう)
302 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/20(火) 11:52:16.59 ID:S0l2pf5SO
お面屋だな
303 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/20(火) 12:45:49.55 ID:6i+KAUCGo
ダンペイさんが寂しそうにこっちを見ている!

おつてす
304 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/20(火) 17:55:30.87 ID:z6SR5Igv0
305 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/27(火) 21:55:12.73 ID:JlbP4/MV0
3DS版時のオカリナ始めたけど、時のオカリナこんな簡単だったっけってなってる

更新するよ
306 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/27(火) 21:56:39.56 ID:a1g1iNW7o
成長したんだなぁ
307 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/27(火) 21:58:12.79 ID:JlbP4/MV0
 ep.16 勇者の休日


――カカリコ村

コッコ姉さん「あ、リンクルちゃん」

リンクル「お姉さん! 無事だったんだね……!」

コッコ姉さん「うん、村のみんなも無事だよ」
コッコ姉さん「急に避難しろって言われた時はびっくりしちゃったけどね」

リンクル「良かったぁ」

手乗りコッコ「コッコッコッコッコ……」

リンクル「わっ、可愛い! ちっちゃなコッコ!」

コッコ姉さん「手乗りコッコっていうの。この子ならあたしも鳥肌立たないのよ」

リンクル「へぇー……あ、こっちの青い子も可愛いー!」

コッコ姉さん「あっ、その子は……」

「コッコッコッコ」

リンクル「こっこっこっこー」

コッコ姉さん「え……あのコジローが……懐いてる!?」

リンクル「えっ、な、何?」

コッコ姉さん「その子、コジローっていってね、うちの兄貴にしか懐かなかったの」
コッコ姉さん「うちの兄貴、根っこは良い人なんだけど、意地っ張りでさ……」

コッコ姉さん「その子置いて、どっかに行っちゃったんだ……」
コッコ姉さん「もし、旅先で会うことがあったら、早く戻ってこいって……」

コッコ姉さん「……お婆ちゃんも、もう気にしてないから……」
コッコ姉さん「薬の材料なんか、もういいから早く戻ってこいって、言ってやってよ」

リンクル「……うん。覚えとくね」
308 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/27(火) 21:59:18.91 ID:JlbP4/MV0
――的あて屋

リンクル「これで最後っと」バシュッ

ナビィ「すごーい! 全部当てちゃったネ!」

的あて屋「おおー、ワンダホー! パーフェクト!」
的あて屋「ほら賞金だ」っ50ルピー

リンクル「ありがと」

的あて屋「もう一回やる?」

リンクル「うんっ、はい20ルピー!」チャリン


リンクル「よーし、全部当たった!」

ナビィ「すごいすごい! もう10回連続だヨ!」

的あて屋「お、おおー! すごいね、お嬢ちゃん」
的あて屋「まだやるかい?」っ50ルピー

リンクル「うん! 20ルピーだよね!」チャリン


的あて屋「……パーフェクトーワンダホー」

リンクル「やったー!」

ナビィ「流石に20回も連続でやってると疲れてこない……?」

リンクル「そう?」

的あて屋「はい、賞金……」っ50ルピー
的あて屋(どういう集中力してんだこの娘……)

ナビィ(うわぁ……おじさんの顔引き攣ってる……)

リンクル「もっかいやらせて!」チャリン

的あて屋「ああ、うん……」


的あて屋「……」

リンクル「パーフェクトっ♪」クルクル

ナビィ「もう30回だヨ……そろそろ別のとこ行こうヨ……」
ナビィ(何度も20ルピーもらって何度も50ルピー払う羽目になってるおじさんもいい加減可哀想だし……)

リンクル「ところでナビィ、“パーフェクト”ってどういう意味なの?」

ナビィ「知らなかったんだ……」ガクッ
ナビィ「“完璧”って意味ヨ……」

リンクル「そうなんだ! 良い言葉だね、パーフェクト!」

ナビィ(少なくともこの店のおじさんにとっては一生聞きたくない言葉になったと思うなぁ)
ナビィ「ねぇ、さっきも言ったけど、ナビィちょっと飽きてきちゃった。他のとこ行かない?」

リンクル「んー……じゃあこれで終わりにしよっか」
リンクル「次で最後にするね」チャリン

的あて屋「ハイヨロコンデー」
309 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/27(火) 21:59:46.10 ID:JlbP4/MV0
――なンでも屋

リンクル「ボルトある?」

なンでも屋「ボルト? って、クロスボウの矢のことですか?」

リンクル「うん」

なンでも屋「こちらでよろしいでしょうか」っ鉄のボルト

リンクル「……他にある?」

なンでも屋「いえ、うちで扱ってるのはこれだけです」

リンクル「じゃあそれでいいや。そのセット頂戴」

なンでも屋「30本の束で60ルピーになります」

リンクル「はい、ありがと」チャリン

ナビィ(見た目すごくゴツイのに接客はすごく丁寧ネ……)
310 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/27(火) 22:00:30.47 ID:JlbP4/MV0
――インゴー牧場改めロンロン牧場

エポナ「ヒヒーン」

リンクル「エポナの気の向くままに走らせてみたけど、まぁ、やっぱりここに辿り着くよね……」
リンクル「フフ、やっぱりお家がいいよね」ナデナデ

エポナ「ブルルルッ」

リンクル「よっ、と……」スタッ

コッコ「コッコッコッコ」

リンクル「こっこっこー」
リンクル「なんだか前と雰囲気変わったね」

ナビィ「あっ、見て見て、リンクル!」
ナビィ「インゴー牧場じゃなくて、ロンロン牧場になってるヨ!」

リンクル「ほんとだ……おじさん戻ってきたのかな」

ナビィ「心入れ替えてちゃんと仕事してたりしてネ!」
ナビィ「あれ? あそこに立ってるのは……」
311 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/27(火) 22:01:01.11 ID:JlbP4/MV0
リンクル「インゴーさん!」

インゴー「おう」
インゴー「……なんだよ」

リンクル「んー……前より楽しそうだなって」

インゴー「俺が?」

リンクル「うん。ね、エポナ」

エポナ「ブルルルッ」

インゴー「……そうかい」
インゴー「お前、本当にどうやってそいつを手懐けたんだ?」

リンクル「なーんにも。いつの間にか仲良くなっちゃったのよ」ナデナデ

エポナ「ブルルッ」

インゴー「……元気そうだな」
インゴー「放牧場にお嬢さんが居る。会ってみな」

リンクル「ん、ありがと」
312 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/27(火) 22:01:30.26 ID:JlbP4/MV0
――ロンロン牧場 放牧場

リンクル「マロンー!」

マロン「ん、妖精ちゃん!」
マロン「エポナ元気にしてる?」

リンクル「ご覧の通り!」

エポナ「ヒヒーン!」

マロン「フフッ、やっぱり妖精ちゃんによく懐いてる」
マロン「ねぇ、エポナと一緒に障害物レースに挑戦してみない?」

リンクル「障害物レース?」

マロン「外周に柵があるでしょ?」
マロン「あれを飛び越えて行くの。二周のタイムを計ってあげる」

リンクル「何それ面白そう! やってみる!」

エポナ「ヒヒィーン!」
313 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/27(火) 22:02:00.63 ID:JlbP4/MV0
パカラッ パカラッ

リンクル「はいやっ!」

エポナ「ヒヒィーン!」ダンッ

パカラッ パカラッ

マロン「あと一周!」
マロン「すごーい、やっぱり息ぴったりね」

ナビィ「ほんとにネ」
ナビィ(あれもリンクルの才能の一つなのかな)

パカラッ パカラッ

リンクル「あっはは、行くよ、エポナ! はいっ!」

エポナ「ヒヒィーン!」ダンッ

ナビィ(でも、久々にあんな楽しそうなリンクル見たかも)
314 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/27(火) 22:02:56.02 ID:JlbP4/MV0
マロン「すごい! あたしより良い記録じゃない!」

リンクル「そう? やったね、エポナ!」ナデナデ

エポナ「ブルルルッ!」

タロン「あの時の妖精のお嬢ちゃんか? 久しぶりだーよ」

リンクル「うん、久しぶり」

ナビィ「実はカカリコ村で一回会ってるんだけどネ……」

タロン「城だけじゃなく、牧場の問題まで解決してもらって、迷惑かけてばっかりで申し訳ないだ」

リンクル「いいのよ、ここの牛乳美味しいし、エポナが居てくれるお陰で旅も大分楽だしね」
リンクル「おじさんは仕事ちゃんとやってる?」

タロン「勿論だーよ」
タロン「今回の件で懲りただーよ……」

リンクル「そう?」チラッ

インゴー「……」
インゴー「んんっ、ごほん」

インゴー「タロンの旦那は戻ってきてから本当によく仕事してくれるようになったぜ」
インゴー「ま、俺は本来馬以外は専門外だからな。牛とコッコに関しちゃ旦那が居なくて困ってた」

リンクル「……」クスッ
リンクル「良かった、元通りになって」
315 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/27(火) 22:03:41.38 ID:JlbP4/MV0
リンクル「痛っ……こんなとこ火傷してたんだ……」ゴシゴシ

マロン「妖精ちゃん、入るよー?」ガチャッ

リンクル「えっ?」

マロン「洗いっこしましょ!」

リンクル「え、えー……も、もうそんな年でもないかなー、って……」

マロン「年なんか関係ないでしょー?」
マロン「もう、また怪我してる! 女の子なんだからお肌気をつけないと!」

リンクル「冒険中にそんなこと気にしてられないよ」

マロン「そんなこと言ってー……」
マロン「むっ、妖精ちゃん、やっぱりおっぱいおっきくなったね」ムニュムニュ

リンクル「ひゃああっ!? ち、ちょっと!?」

マロン「やーらかーい」ムニムニ

リンクル「マ、マロンだって……っていうかあたしより大きいでしょ、マロン!」

マロン「フフフッ、まぁねー!」ドタプーン

リンクル「このーっ! こーしてやるこーしてやる!」ムニュムニュ

マロン「ひゃんっ! やったなー!」
316 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/27(火) 22:04:09.25 ID:JlbP4/MV0
マロン「はぁー……はしゃいじゃったね」チャプン

リンクル「ほんと……」チャプン
リンクル(久しぶりに……ちょっと楽しかったかも)

マロン「……ねぇ、リンクル」

リンクル「うん?」

マロン「リンクルがどうして旅をしてるのか、詳しいことは知らないけど……」
マロン「もし、旅が終わったら、次はどこに行くかって決まってるの?」

リンクル「旅が終わったら? うーん……」
リンクル「何も決まってないかなぁ。終わったら終わったときだよ」

マロン「そっか……」
マロン「じゃあ、さ、その……」

マロン「もし旅が終わった時、何も決まってなかったらで、いいからさ……」
マロン「うちにおいでよ」

リンクル「ロンロン牧場に?」

マロン「うん。一緒に暮らそう?」

リンクル「……」
リンクル「……ありがとう。考えとくね」

マロン「約束、だよ……?」

リンクル「……うん」
317 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/27(火) 22:04:43.99 ID:JlbP4/MV0
エポナ「(おひさー)」

馬A「(おっ、エポナ先輩! おひさっす!)」

馬B「(おひさっすー! めっちゃ速かったっすね!)」

エポナ「(リンクルは乗り方が優しくて走りやすいからねー。楽しいよー)」

馬A「(かーっ、やっぱめちゃくそ速ぇエポナ先輩は人間にも恵まれるんすね!)」
馬A「(俺もリンクルさんみたいな人間に乗られてぇっす!)」

エポナ「(あんたはインゴーさんに選ばれて最初ちょこっと乗られてたじゃん)」

馬A「(あ、見てたんすね! いや、あれマジで初めてかよこの人ってくらい上手かったっすよ!)」

馬B「(まーじで? くそー、あん時インゴーさんの近くに寄ってりゃ選ばれてたかもしれねぇのに)」

馬A「(へっへっへ、運が悪かったなぁ)」
馬A「(あ、そうだ! エポナ先輩、旅のお話聞かせてくださいよ! マジ気になるっす!)」

エポナ「(いいよー。っていってもあたしもあんまり詳しくは知らないんだけどねー)」
318 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/27(火) 22:05:09.17 ID:JlbP4/MV0
――翌朝

リンクル「おはよ、ナビィ……」ノソノソ

ナビィ「おはよう、お寝坊さん」
ナビィ「マロンは?」

リンクル「……まだ寝てると思う」

ナビィ「ああ……それでインゴーさんが文句言いながら朝ご飯作ってるんだ」

リンクル「昨夜大分遅くまで起きてたからね……」

ナビィ「それで、今日はどうするの?」
ナビィ「また障害物レース?」

リンクル「あ、そうね……」
リンクル「もう一度、森の方に行こうと思うんだ」

ナビィ「森に? どうして?」

リンクル「ボルトを作ろうと思ってね」

ナビィ「いっつもその辺の木で作ってるけど、森の木と何か違うの?」

リンクル「森の木で作ったボルトの方がよく飛ぶの」
319 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/27(火) 22:05:47.46 ID:JlbP4/MV0
――迷いの森

リンクル「昨夜はこの辺り雨だったみたいね」

ナビィ「靴が泥だらけじゃない。またマロンに怒られちゃうヨ?」

リンクル「あはは……」
リンクル「……?」

ナビィ「どうしたの?」

リンクル「誰か居る……コキリ族じゃないみたい」

ナビィ「ほんとだ……大人だ」
ナビィ「こんなとこで項垂れて……魔物になっちゃうヨ」

リンクル「早く出て行くように言わなきゃ」
リンクル「あのー……」

大工の息子「……」

リンクル「何をしにこの森に来たのか知らないけど、早く出て行った方が身の為だよ?」
リンクル「森の外の人がここに長く居ると魔物になっちゃうから……」

大工の息子「……お前は?」

リンクル「あたしは居てもいいんだってさ。ほら、妖精」

ナビィ「ハロー、ハイリア人のお兄さん」

大工の息子「そうか……この森に居られるってことは、お前、多分良い奴なんだろうな……」
大工の息子「頼みがあるんだ……これを……これをカカリコ村のクスリ屋のババアに届けてくれ」スッ

リンクル「……何これ? キノコ?」

大工の息子「時間が経つと消えちまう……頼む……!」

リンクル「……分かった。やってみるよ」
リンクル「あなたも、早めに森を出てね」
320 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/27(火) 22:06:14.03 ID:JlbP4/MV0
――カカリコ村

リンクル「エポナ、ありがとね」ナデナデ

エポナ「ブルルルッ」

ナビィ「キノコは?」

リンクル「まだ大丈夫」
リンクル「クスリ屋って、登山道の前にあるあのお店だよね?」

ナビィ「うん」

リンクル「でも、あのお店にお婆さんなんて居たかしら……」タタタタッ
321 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/27(火) 22:06:46.62 ID:JlbP4/MV0
――カカリコ村 クスリ屋

リンクル「こんにちはー」

クスリ屋の店主「いらっしゃい。何をお探しかな?」

リンクル「えーと、クスリ屋のお婆さんに、って言われたんですけど……」

クスリ屋の店主「ああ、あの人なら裏手の方のクスリ屋だよ」
クスリ屋の店主「そこの勝手口から繋がってるから、行ってごらん」

リンクル「ありがとうございます」
リンクル「……あ、それとその赤い薬一つください」

クスリ屋の店主「はい、毎度あり!」
322 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/27(火) 22:07:25.78 ID:JlbP4/MV0
――カカリコ村 裏手のクスリ屋

リンクル「こんにちはー」ガチャ

クスリ屋の婆さん「……いらっしゃい」
クスリ屋の婆さん「クン……クン……」

クスリ屋の婆さん「この怪しげなニオイは……」
クスリ屋の婆さん「あんた……何か持ってるね?」

リンクル「え、分かるんですか?」

クスリ屋の婆さん「伊達に何十年もクスリ屋やってないよ」

リンクル「これ、森でもらったんですけど……」
リンクル「カカリコ村のクスリ屋のお婆さんに、って」っあやしいキノコ

クスリ屋の婆さん「……あのバカ、森に入ったのかい……そうかい」
クスリ屋の婆さん「そいつをよこしな」

リンクル「は、はい……」

クスリ屋の婆さん「そこで待ってな」


クスリ屋の婆さん「……ほら、これを持って行きな」
クスリ屋の婆さん「あのバカに会ったら渡しとくれ。約束の万能薬だ」っあやしいクスリ

リンクル「あ、ありがとう……」

クスリ屋の婆さん「尤も……これが効くのは人間だけだがね……」

リンクル「……!」ダッ

バタン

クスリ屋の婆さん「……バカにつけるクスリはない、っていうけどねぇ……」
323 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/27(火) 22:07:52.32 ID:JlbP4/MV0
――ハイラル平原 森の入口

リンクル「……出てきた形跡はないね」

ナビィ「どうして分かるの?」

リンクル「足跡。あたしとエポナの分しかない」

ナビィ「ほんとだ……じゃあ、まだ森の中に居るのかな?」

リンクル「多分ね……」
324 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/27(火) 22:08:26.90 ID:JlbP4/MV0
――迷いの森

リンクル「この辺り……あ、そうだわ。あの切り株の下」

ナビィ「居なくなってる……?」

リンクル「……」

「あの人、もう居ないヨ」

リンクル「!」ゾクッ
リンクル「……ファド」クルッ

ファド「私の名前知ってるの?」

リンクル「……いや、気のせいよ」
リンクル「それで、あの人は? 薬を渡さなきゃいけないの」

ファド「……ふぅーん」
ファド「森に入った人はみぃ〜んな居なくなる」

ファド「みぃ〜んなスタルフォス。だから居ないの、あの人」
ファド「残ったのはノコギリだけ。フフッ!」

リンクル「……」

ファド「それ……森から作ったでしょ?」
ファド「……返して!」ズイッ

リンクル「っ……!」ジリッ
リンクル「わ、分かったわよ。はい」っあやしいクスリ

ファド「フフ、じゃあこれあげる」っ密猟者のノコギリ

リンクル「……ありがとう」

ファド「お姉さん、不思議な人ネ」スッ
ファド「森の人じゃないのに、森の匂いがするヨ?」ペタペタ

リンクル「……あたしは、違うのよ」

ファド「そう? フフフッ」
ファド「あなたも……なっちゃう?」

リンクル「……」ザッ
325 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/27(火) 22:09:19.95 ID:JlbP4/MV0
――ハイラル平原

リンクル「なんだか釈然としないなぁ」

ナビィ「お兄さんのこと?」

リンクル「うん」
リンクル「なんで、どういう理由があってあたしのお父さんは森に許されてたんだろ?」

ナビィ「さぁ……」
ナビィ「でも、もしかしたら森を大切にする人だったのかもしれないヨ」

リンクル「そんなもんなのかなぁ」
リンクル「ファイはどう思う?」

ファイ「明確に関係があるとは言い切れませんが、マスターの血筋については一つ気になる点があります」

リンクル「血筋?」

ファイ「イエス、マスター。これはハイラル王国の建国に関わることですが」
ファイ「あなたはファイの以前のマスター……“女神の騎士”と呼ばれた剣士の直系と思われます」
326 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/27(火) 22:11:24.01 ID:JlbP4/MV0
リンクル「女神の騎士って?」

ファイ「ご存知ないのも仕方ありません。女神ハイリアに関する神話は王家にのみ伝えられているようです」
ファイ「女神ハイリアの名は知られていますが、その神話の多くは王家以外の者は殆ど知らないものと思われます」

リンクル「んー、確かに、デクの樹様から名前だけは聞いたけど、詳しくは聞いてないかも」
リンクル「どんな神話?」

ファイ「今から数百年前、ハイリア人の始祖となる人々が大地から切り離され空に浮かぶ地に暮らしていた時代」
ファイ「大地に封印されていた邪悪なる者が復活し、女神の転生した少女を襲いました」

ファイ「その少女を救うべく大地に降り立ち、邪悪なる者を再び封印したのが“女神の騎士”です」
ファイ「女神が転生した少女は大地でハイリア人の王国を築きました」

リンクル「それが今のハイラル王国ってわけね」
リンクル「空に浮かぶ土地、っていうのは初めて聞いたなぁ」

ナビィ「あたしも初めて聞いたわ……」
ナビィ「その土地は今も空の上にあるの?」

ファイ「把握しておりません」

リンクル「なーんだ」
リンクル「でも、まぁ、面白い話ありがとね」

ファイ「いいえ、マスター。お礼には及びません」
327 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/27(火) 22:11:52.53 ID:JlbP4/MV0
――翌日 ハイリア湖畔 釣り堀

リンクル「なんとなーくハイリア湖来て釣り始めちゃったけど……」
リンクル「もう三日も遊んでるね。こんなことしてていいのかなぁ」

ナビィ「大丈夫だヨ。勇者も偶にはゆっくり休まなきゃ」
ナビィ「次は“砂の女神”に行くんでしょ?」

リンクル「うん」
リンクル「けど、結局それが何なのか全く分かんないんだよね」

ナビィ「そだネ……」

リンクル「みずうみ博士なら分かるかなー」

ナビィ「……リンクル、その竿動いてない?」

リンクル「えっ?」
リンクル「うわっ、引いてる!」カリカリカリ

ナビィ「頑張って!」
328 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/27(火) 22:12:57.23 ID:JlbP4/MV0
――ハイリア湖畔 みずうみ研究所

みずうみ博士「おや、君は……この前の妖精のお嬢ちゃんか」
みずうみ博士「ハイリア湖はすっかり元通りじゃ」

リンクル「はい、知ってます」
リンクル「今日は別の用事で」

みずうみ博士「ふむ?」

リンクル「“砂の女神”……って言われて、何だか分かりますか?」

みずうみ博士「砂の女神、とな?」
みずうみ博士「うーむ……分かるようで分からんな……」

リンクル「……そう、ですか」

みずうみ博士「いや……もしかしたらアレのことかもしれん」

リンクル「アレ?」

みずうみ博士「ここから西に行くとゲルドの谷がある」
みずうみ博士「谷を抜けた先……道行く人を惑わせるという幻影の砂漠の、その奥にあるのが邪神の巨像じゃ」

リンクル「邪神の巨像……」

みずうみ博士「かなり昔に遠征に参加したという兵士に聞いた話でな、ワシも詳しいことは知らんが……」
みずうみ博士「確か邪なる女神の像だと言っておった。邪神は邪神でも女神じゃからな」

リンクル「うーん……」
リンクル「ありがとうございます、行ってみます」

みずうみ博士「西方はゲルド族の土地じゃ」
みずうみ博士「当然ながらハイリア人に良い印象は持っておらん筈だから、気をつけてな」
329 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/27(火) 22:13:26.03 ID:JlbP4/MV0
――ロンロン牧場

マロン「本当に西の方へ行っちゃうの?」

リンクル「うん。危険だとは聞いたけど、行かなきゃならない場所が西にあるからね」
リンクル「また来るよ」

マロン「うん……待ってる」
マロン「食糧はそれで足りる?」

リンクル「三日分もあれば平気だって、おじさんが」
リンクル「西の関所跡までは馬車で二日ってとこらしいから、エポナならもっと早いよ」

マロン「そう……気をつけてね」

リンクル「うんっ!」
リンクル「あ、それと牛乳までつけてくれてありがとね! ここの牛乳元気が出るから大好き!」

マロン「あ、いや、今日のは商品用のロンロン牛乳じゃないんだ……ごめんね」

リンクル「そうなの? まぁいいよ、この牧場のならみんな美味しそうだから」

マロン「あ、ありがとう……///」

ナビィ「?」
330 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/27(火) 22:15:06.44 ID:JlbP4/MV0
とりあえずここまで

ゼルダはミニゲームがいっぱいあって楽しいよね


時のオカリナ3Dは時のオカリナが簡単というよりは多分BotWが難し過ぎるんだと思う(?)
331 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/27(火) 22:22:59.65 ID:zrUd8XTL0
332 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/27(火) 22:33:31.65 ID:2qUfUY9Ro

よかった
おっちゃんの頭の上の物は池の中で無くされなかったんだね・・・
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