【ゼルダの伝説】リンクルが時の勇者になるようです

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485 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2018/04/21(土) 14:37:01.39 ID:S5xNSYMFO
何? ゴロン族が男しかいなくてこまる?
かまわん、やれ
486 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/26(木) 17:57:32.63 ID:MjT3UpK/0
どうでもいいんだけど、64辺りのゼルダの登場人物って容姿は兎も角、言葉遣いが妙に独特なのが多い気がする
いや、〜ゴロとか〜ゾラとかじゃなくて

更新します
487 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/26(木) 18:10:20.49 ID:MjT3UpK/0
 ep.25 繰り返される三日間


――クロックタウン 南

デクリンクル「……あれ?」

チャット「今のは一体なんだったの……?」
チャット「あれ……ここは……」

デクリンクル「時計塔の前ね……んん?」

チャット「……戻ってる」
チャット「月も……戻ってる」

チャット「あんた一体何者なの? 時間が戻ったわよ……?」
チャット「あの楽器といい、あの曲といい……」

デクリンクル「うん……前より、ずっと時のオカリナの力が強いような……」
デクリンクル「……もしかして、今もう一度時の歌吹いたらまた時間を戻せるのかな」

チャット「どうかしら……多分、そうだと思うわ」
チャット「どこまで戻れるのかは分かんないけど……」

デクリンクル「……」キョロキョロ

大工「あー、違う違う! もう少し右!」

大工「これほんとに完成すんのかなぁ」

デクリンクル「……」クルッ

妖精「ワタシハドコニ……」フヨフヨ

デクリンクル「……」

チャット「さっきから何キョロキョロしてんのよ?」
チャット「……って、あっ」

デクリンクル「……」スッ

♪♪♪♪♪♪〜

カッ
488 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/26(木) 18:11:08.38 ID:MjT3UpK/0
最初の朝
残り72時間

――クロックタウン 南

チャット「……」

デクリンクル「……」

チャット「……いきなりあれやるのやめて」

デクリンクル「……チャット?」

チャット「何よ?」

デクリンクル「そっか、チャットか……」

チャット「はあ? 何なのよ?」

デクリンクル「なんでもない」キョロキョロ

大工「あー、違う違う! もう少し右!」

大工「これほんとに完成すんのかなぁ」

デクリンクル「……」クルッ

妖精「ワタシハドコニ……」フヨフヨ

デクリンクル「……さっきと同じね」

チャット「何が?」

デクリンクル「時間は確かに戻せるけど、戻せるのはこの三日間……」
デクリンクル「お面屋さんと会って、この時計塔から出てきた直後までみたい」

チャット「……ああ、成程ね」
チャット「巻き戻しが出来るのはあの月が落ちる三日前の朝までってことね」

デクリンクル「別に半年前に戻れるわけじゃないんだ……」ボソッ

チャット「?」
489 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/26(木) 18:11:51.61 ID:MjT3UpK/0
チャット「それより、あんた忘れてない?」

デクリンクル「何が?」

チャット「ほら、例のお面屋との約束よ」

デクリンクル「……そうだわ! オカリナ取り返したら、あのお面屋さんが元の姿に戻してくれるんだった!」

チャット「思い出したわね」
チャット「多分今はお面屋と話して時計塔出た直後よ。びっくりされるかもね」

デクリンクル「お面屋さんにとってはついさっき出てったばっかりだもんね」
デクリンクル「こんなにあっさり時のオカリナ取り返したのかって勘違いされそう」
490 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/26(木) 18:12:50.47 ID:MjT3UpK/0
――時計塔

デクリンクル「お面屋さん!」

しあわせのお面屋「おや、あの子鬼からあなたの大切なものは取り返せましたか?」

デクリンクル「うん! オカリナでしょ!」

しあわせのお面屋「おおっ、取り戻せてるじゃないですか!」
しあわせのお面屋「ではどうぞ、ワタクシの奏でる曲を吹いて、覚えてください」

チャット「そのオルガンどっから出てきた」

しあわせのお面屋「私の後に続いて、どうぞ」

♪♪♪ ♪♪♪ ♪♪♪♪♪〜

デクリンクル「これは……」
デクリンクル「……!」ドクンッ


デクナッツ「……」ザッザッザッザ

リンクル「あの時のデクナッツ……」
リンクル「……」フリフリ

デクナッツ「……」ニコッ

リンクル「……うん、またね」


カランッ カランカランッ
491 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/26(木) 18:13:35.80 ID:MjT3UpK/0
チャット「あ、あんた……」

リンクル「……元に、戻ってる」

しあわせのお面屋「この歌は邪悪な魔力や浮かばれぬ魂を癒し、仮面に変える曲」
しあわせのお面屋「この先きっと、お役に立つと思います」

リンクル「あ、ありがとう……」
リンクル「デクナッツの仮面……何か浮かばれないデクナッツだったのかしら」

しあわせのお面屋「どうでしょうね……記念にこの仮面はあなたに差し上げましょう」
しあわせのお面屋「安心してください、魔力は仮面に封じ込められています」

チャット「被っても何にもならない、ただの仮面ってこと?」

しあわせのお面屋「いいえ、まさか。被ればまたあの姿になります」
しあわせのお面屋「しかし、外せば元の姿に戻れますよ」

リンクル「いつでも自由にデクナッツになれるってことね」
リンクル「ありがとう」

しあわせのお面屋「いえいえ、これで約束は果たしました」
しあわせのお面屋「さ、約束のものをこちらへ……」

リンクル「……あっ」

しあわせのお面屋「……」

リンクル「……」

チャット「……」
492 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/26(木) 18:14:26.30 ID:MjT3UpK/0
しあわせのお面屋「まさか」
しあわせのお面屋「あなた」

しあわせのお面屋「ワタクシの仮面を……」
しあわせのお面屋「取り返して、いないとか……?」

リンクル「……ご、ごめんなさい」

しあわせのお面屋「何てことをしてくれたんだ!」クワッ

リンクル「ひっ!?」
チャット「ぴぃっ!?」

しあわせのお面屋「このままあの仮面を野放しにしていたら大変なことになる!」ガシッ

リンクル「ごご、ごごごめんなさい!」
リンクル「そそそそんな大変なものなの!?」

しあわせのお面屋「それは……!」
493 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/26(木) 18:15:06.25 ID:MjT3UpK/0
 実はワタクシの盗まれたあの仮面……ムジュラの仮面といって
 太古のとある民族が呪いの儀式で使っていたとされる伝説の呪物なのです

 その仮面を被った者には邪悪で凄まじい力が宿ると言い伝えられています

 伝説では……
 ムジュラの仮面が齎す災いのあまりの大きさに
 それを恐れた先人達が仮面を悪用されないよう、永遠の闇に封じ込めたといいます

 その力がどんな力なのか……
 伝説に記されたその民族が滅びた今では分かりません
494 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/26(木) 18:15:46.41 ID:MjT3UpK/0
チャット「そんな大変なものだったんだ……」

しあわせのお面屋「……しかし、ワタクシは感じます」
しあわせのお面屋「苦労して手に入れた伝説の仮面……あれを手にした時感じた身の毛も弥立つ禍々しい力」

しあわせのお面屋「あれが今……あの子鬼の手にある……」
しあわせのお面屋「お願いです! 早くあの仮面を取り返せないと、とんでもないことが起きます!」フルフル

しあわせのお面屋「お願いです! お願いです! あなたなら!」ペコペコ
しあわせのお面屋「あなたなら出来る!」ペコペコ

リンクル「わ、分かった、分かりましたっ」

しあわせのお面屋「そうですか、やっていただけますか」ケロッ
しあわせのお面屋「そう言っていただけると確信しておりました」

リンクル「ふぇっ?」

しあわせのお面屋「大丈夫! あなたならきっと出来ます」
しあわせのお面屋「自分の力を、信じなさい……信じなさい……」

リンクル「……」ギィ
495 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/26(木) 18:17:05.09 ID:MjT3UpK/0
――クロックタウン 南

リンクル「……」

チャット「まったく、情緒不安定っていうか、なんていうか……」
チャット「……どうしたの、らしくない神妙な顔して」

リンクル「いや……あんな大変なもの、なんであの人が持ってるのかなって」
リンクル「あたしに頼むのも妙だし……」

チャット「言われてみればそうね……?」

リンクル「……まぁ、いいや。取り敢えず元の姿に戻れたし、町の外にも出られるかな」
リンクル「あっ!」タタッ

チャット「あ、ちょっと!」

リンクル「お姉さん!」

アンジュ「え?」

リンクル「あたし、リンクルだよ! 覚えてない?」

アンジュ「うーん……ごめんなさい、ちょっと覚えがないわ」

リンクル「そっか……」
リンクル「じゃあさ、こんなフード被ったデクナッツの子供見なかった?」

アンジュ「えーと……うーん……」
アンジュ「ごめんなさい、それもちょっと……」

リンクル「そうなんだ……」
リンクル「ごめんね、急に変なこと言って。またね!」タタッ

アンジュ「え、ええ、またね……?」
アンジュ「なんだったのかしら……」クビカシゲ
496 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/26(木) 18:18:01.50 ID:MjT3UpK/0
チャット「やっぱり三日前に戻るとなかったことになるみたいね」
チャット「あの人、あんたのこと全然覚えてなかったじゃない」

リンクル「だろうと思ってたけど、確かめたくてね」
リンクル「それにしても……」

リンクル「大工のみんなや親方はあたしの知ってる大工さん達とその親方にそっくりだし」
リンクル「宿屋のお姉さんとお婆さんはあたしの知ってるコッコのお姉さんとクスリ屋のお婆さんにそっくりだし」

リンクル「キングゾーラっぽいけど違う人、インゴーさんっぽいけど違う人……」
リンクル「みんなあたしの知ってる人とそっくりなのにみんな別人なんて、なんだか変な感じね」

チャット「……あんたがこれまでどんな人に出会ってきたのか知らないけど、そんなに多いの?」

リンクル「うん。顔どころか服装までそっくり」
リンクル「まるでハイラルの記憶を持ってないハイラルの人達がそのままここにいるみたい」

チャット「気持ち悪いこと言わないでよ」

リンクル「……あ、逆に全然見たことない人も居るよ?」
リンクル「例えば……」キョロキョロ

リンクル「あの子供達とか」
リンクル「そうだ、天文観測所もう一回行ってみない?」

チャット「なんで急にそんなこと?」

リンクル「ほら、ここからじゃ時計塔のてっぺんは見えないじゃない」

チャット「……本当に全部が巻き戻ったのか気になる、ってこと?」

リンクル「っそ。もしスタルキッドが三日前と違うことをしてたら……」

チャット「何らかの形でスタルキッドは時間にも干渉することが出来るかも……」
チャット「とか?」

リンクル「そんなとこ」
497 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/26(木) 18:18:34.98 ID:MjT3UpK/0
――クロックタウン 東

リンクル「ねぇねぇ、そこ通してくれない?」

子供「ここを通りたければ暗号を言うでしゅ」

リンクル「……あっ、そっか。暗号か……」

チャット「時間が巻き戻ってるなら、案外変わってなかったりするんじゃない?」

リンクル「だといいけど……」
リンクル「15234。いい?」

子供「えぇと……暗号を知ってるってことは仲間でしゅね?」
子供「通っていいでしゅ」

リンクル「ありがとー」
リンクル「……ほんとに通れちゃった」

チャット「良かったじゃない」
498 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/26(木) 18:19:16.16 ID:MjT3UpK/0
――天文観測所

「おやおや……今日は変わった子供のお出ましじゃな……」
「ボンバーズの新しい仲間かの? 女の子は初めてじゃが」

リンクル「一応……そうなのかな?」

「ふむ……この前の仲間よりは躾が良さそうじゃのう……」
「この間の悪ガキときたら、部屋の道具は壊すわ、月の涙は盗むわ……」

「ほとほと手に負えん奴じゃった」
「今も……ほれ、時計塔の辺りで悪戯をしておるだろう。望遠鏡を覗いてみなさい」

リンクル「はい」
リンクル「……えーと、時計塔は……あれかな」

チャット「どう? 居る?」

リンクル「うん、見える見える……」
リンクル「ほんとにあの時と同じことしてる」

チャット「流石に時間までは干渉できないみたいね」

リンクル「そうみたい」
リンクル「ありがとう、お爺さん。また来るね」

「うむ」
499 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/26(木) 18:20:15.19 ID:MjT3UpK/0
――クロックタウン 東

「おーい、そこの姉ちゃん!」

リンクル「あたし?」

ジム「そう、お前!」
ジム「お前、俺達のテストに合格してないのに俺達の暗号知ってたらしいな?」

リンクル「……あっ」

チャット「そりゃそうよね……」

ジム「ボンバーズのメンバー以外誰も知らない筈なのに、どうやって知ったんだ?」

リンクル「あ、いや、えーと……」

ジム「お前、実はすごい奴なんだな!」

リンクル「へっ?」

ジム「俺達だけが知ってる暗号を知ることが出来たなんて凄ぇよ!」
ジム「気に入った! お前なんて名前なんだ?」

リンクル「リ、リンクル……」

ジム「そうか、リンクル!」
ジム「……ほんとはメンバー全員の承認が必要なんだけど……」

ジム「最近スタルキッドの奴が掟破って勝手なことしてるから、代わりにお前をボンバーズに入れてやる!」
ジム「ほら、団員手帳!」っボンバーズ団員手帳

リンクル「あ、ありがと」

ジム「ボンバーズよ、永遠に! だぜ!」
ジム「じゃな!」タタタタッ

リンクル「……」ポカーン

チャット「……」ポカーン
チャット「……ま、まぁ、良かったじゃない! それで三日間きっちりスケジュール管理が出来るわね!」
500 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/26(木) 18:21:47.41 ID:MjT3UpK/0
リンクル「取り敢えず、三日が巻き戻されて、全部元の通りってのは分かったわ」
リンクル「それで、えーと……あんたの弟」

チャット「トレイル?」

リンクル「そ、トレイル」
リンクル「あの子が言ってた、四人の人達を探しに行きましょ」

チャット「沼、山、海、谷、だったっけ?」

リンクル「確かね」
リンクル「チャットはこの近辺詳しい?」

チャット「少なくともあんたよりは」

リンクル「じゃあそれらの場所に心当たりは?」

チャット「ないこともないけど……」
チャット「例えば山って言ったらスノーヘッドかしらね。町の北よ」

チャット「海は西のグレートベイかしら。そうすると沼は……南のウッドフォールかな」
チャット「沼っていうか森っていうか密林だけど。東のイカーナは沼っていうより谷だしね」

リンクル「兎も角、丁度町の四方なのね?」

チャット「そうね」

リンクル「じゃ、取り敢えず南に行ってみましょ」

チャット「……なんで南?」

リンクル「なんとなくよ、なんとなく」
リンクル(森、だしね)

リンクル「そこの門から出てみよっか」
リンクル「……と、その前に装具てんけーん」

チャット「何それ」

リンクル「兵隊さんの真似」
501 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/26(木) 18:22:19.34 ID:MjT3UpK/0
リンクル「兵隊さーん、ここ通っていい?」

兵士「待ちたまえ、外は物騒だから君のような子供を一人で外に出すわけには……」
兵士「……剣? 盾に、クロスボウ?」

兵士「他にも剣鉈に皮袋に、フードの付いたローブ……」
兵士「ブーツも随分履き潰してるみたいだけど、もしかして君、旅をしてるのかい?」

リンクル「うん、そんなとこ」

兵士「そうか……あいや、失礼、子供扱いして悪かったね」
兵士「この先は沼のあるウッドフォールだ。気をつけてね」

リンクル「うん、ありがとう」
502 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/26(木) 18:22:47.48 ID:MjT3UpK/0
――タルミナ平原

リンクル「ここが……」

チャット「タルミナ平原よ」

リンクル「森を抜けた先にあんな町があって、こんな平原があって……」
リンクル「……やっぱり変なの」

チャット「何ごちゃごちゃ言ってんのよ」
チャット「ほら、さっさと足を動かす!」

リンクル「はいはい」
リンクル「じゃ、沼地に行ってみますか!」ザッ
503 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/26(木) 18:29:35.55 ID:MjT3UpK/0
取り敢えずここまで

時のオカリナは妙にシリアスだった気がするので、ムジュラはギャグ強めにしていきたい(出来るとは言ってない)
504 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/27(金) 07:41:43.69 ID:6K7kQMfSO
平原に出たらまずバック走行だな(TAS脳)
505 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/05/09(水) 20:53:09.22 ID:LHEyenNa0
接客業はGWみたいな大型連休の方が忙しいってそれ一番(ry

仕事辞めて一日中ゲームしたりSS書いたり絵描いたりするだけの生活送りたい

更新します
506 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/05/09(水) 20:55:02.32 ID:LHEyenNa0
 ep.26 ウッドフォールの姫君


緑チュチュ「グジュルルルッ」

チャット「緑チュチュよ! 大した奴じゃないから、さっさとやっつけちゃいなさい!」

リンクル「よっ」ザンッ

緑チュチュ「ジェアアアッ」グチャッ

チャット「ま、このくらい余裕よね」
チャット「……あら」

リンクル「?」

チャット「ああ、これこれ、懐かしいなぁ」

リンクル「何その……落描き?」
リンクル「……スタルキッド?」

チャット「そうよ。あいつが描いたの」

リンクル「へぇ……結構上手ね」

チャット「ね……」
チャット「ここに初めてトレイルと来た時、あいつは友達と喧嘩して一人ぼっちだったって言ってた……」

リンクル「……」

チャット「そりゃあ、確かに悪戯ばかりして、みんなから相手にされないけど……」
チャット「だからと言って、あんな恐ろしいことするなんて……」

リンクル「……お面屋さんからムジュラの仮面を盗んだこと?」

チャット「……」
チャット「迂闊に、力を持ったばっかりに……」

リンクル「……」
507 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/05/09(水) 20:56:02.96 ID:LHEyenNa0
――沼地

リンクル「沼の観光ガイド……」

チャット「そうだわ、あんたお金ある?」

リンクル「んー、そこそこ。40ルピーくらい」

チャット「マップ買って行きましょ」

リンクル「地図は重要だもんね」
リンクル「……ていうか、さっきからすっごい嫌な臭いがするんだけど、ここっていつもこうなの?」

チャット「いや……そういえば変ね……」
チャット「普段はこんなことないんだけど……」

リンクル「何かあったのかな……」ギィ
508 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/05/09(水) 20:57:10.01 ID:LHEyenNa0
――沼の観光ガイド

リンクル「こんにちはー」

「ん、お客さんかい? いらっしゃい」

リンクル「マップが欲しいんだけど」

「マップかい? その辺でうちの倅が売ってるよ。見かけなかったかい?」

チャット「町からここまで、人間に会ったのはあんたが初めてよ」

「え?」

リンクル「そうね……確かに人は見かけなかったかも」

「ああー……ったく、あのドラ息子、またどこかでサボってやがるな!」
「いいトシこいて、妖精ごっこもないもんだ……!」

チャット「……あれ? もしかして、あんたのとこの息子って……」
チャット「あの、町で噂になってる、全身緑の中年男じゃ……」

「……」

チャット「……ごめん」
チャット「マップは諦めましょ……またの機会に」

「いや……こちらこそ悪いね……俺の教育が悪かったんかな……」

チャット「ボートクルーズは今日やってる?」

「悪いけどそっちも今休業中なんだ」
「コウメ婆さんが出勤してなくてさ。どうしちまったんだろうな」

チャット「じゃあ、探しに行ってみるわ」
チャット「行きましょ」

リンクル「あ、うん」
509 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/05/09(水) 20:58:07.71 ID:LHEyenNa0
――魔法オババの薬屋

リンクル「こんにちはー」ギィ

コタケ「……zzz……」ウツラウツラ

リンクル「……あれ?」
リンクル「な、な、ツインローバ!? なんでこんなところに!?」

チャット「何言ってんの、あんた」
チャット「またハイラルに居た人にそっくりなんて言うんじゃないでしょうね」

リンクル「居た人っていうか、殺されかけたっていうか……!」

チャット「どんな壮絶な関係だったのよ……」
チャット「兎に角、この人は平気よ。ただの薬屋の魔法使いのお婆さんだから」

リンクル「……」ジトー

チャット「……もうっ」
チャット「っていうか、あんたはいつまで寝てんのよ!」リリリリン

コタケ「うんっ!?」パチリ
コタケ「おお、いらっしゃい……」

チャット「ったく……」
510 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/05/09(水) 20:59:01.94 ID:LHEyenNa0
コタケ「お使いかい? 今時珍しいねぇ」
コタケ「あたしの薬はよーく効くよ。何が欲しいんだい?」

リンクル「ボートクルーズに乗りたいんだけど……」

コタケ「ありゃ、そっちかい」
コタケ「生憎、コウメさんなら裏の森へキノコを採りに行っとるよ……」

コタケ「……そういや、ちょっと帰ってくるのが遅すぎるねぇ!」
コタケ「あんた、序でに見に行ってくれないかい?」

リンクル「あたしが?」

コタケ「ボートクルーズ乗りたいんだろ? そんならそのくらいはしとくれよ」
コタケ「そうそう、森は迷いやすいからその辺に居る猿にでも聞きな!」

チャット「んな強引な……」

リンクル「……念のため聞いとくけど、どんな見た目の人なの?」

コタケ「あたしにそっくりだよ」

リンクル「……ありがと。それだけ分かればすぐだよ」
511 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/05/09(水) 21:00:25.94 ID:LHEyenNa0
――不思議の森

チャット「猿に聞けったって……」
チャット「……居るし」

猿「えっと……ついてきて!」タタッ

リンクル「あ、うんっ」タタッ

チャット「ちょっと、置いてかないでよー!」シュ

スナッパー「ギャートルズ」グルグルグル

リンクル「邪魔っ」バシュッ

スナッパー「ゲロゲロー」ガキンッ

リンクル「効かない!?」

チャット「スナッパーの甲羅は生半可な攻撃じゃ通らないわ!」
チャット「別に相手する必要ないんだから、さっさと行きましょ!」

猿「早く早く!」
512 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/05/09(水) 21:04:49.01 ID:vJUp1Gbe0
猿「ここだよ!」ガサッ

「あいたたたた……!」

リンクル「あれがコウメ……さんだね」
リンクル「大丈夫?」

コウメ「キノコ探しに気を取られてたらいきなりポカッとやられてこの様さ」
コウメ「忌々しいスタルキッドめ、顔を隠せばこのあたしが分からないとでも思ったのかい!」

リンクル「スタルキッド、こんなとこにも……」

コウメ「あいたたた、あんなに力があったなんて……!」
コウメ「お陰で腰が動かなくなっちまったよ!」

チャット「お年寄りにあの力は乱暴ね……」
チャット「あんた、何か持ってないの?」

リンクル「うーん……赤い薬ならあるけど」っ赤い薬

コウメ「あっ、その色、その香り……」
コウメ「……コタケ婆さんの薬に似てるけど、ちと配合率が違うね」

コウメ「まぁいいや、よこしな!」パシッ
コウメ「んくんく、んく……」ゴクゴク

コウメ「……おおっ!」
コウメ「この漲るパワー! コウメふっかぁーつ!」

リンクル「リンクル感激ぃ……」

チャット「何それ」

リンクル「“この漲るパワー”に続く言葉といえば……って」

コウメ「何だいそりゃ」
513 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/05/09(水) 21:16:01.66 ID:vJUp1Gbe0
コウメ「兎も角、助かったよ!」
コウメ「あたしはこの沼地でボートクルーズをしてるんだけど」

コウメ「あんたが乗りたいならいつでもおいで、サービスするよ」
コウメ「ふんっ!」ボンッ

チャット「と、飛んだ!?」

コウメ「ヒッヒッヒ、魔法使いを舐めるんじゃないよ!」
コウメ「そいや!」ビューンッ

リンクル「あ、あっという間に見えなくなっちゃった……」
514 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/05/09(水) 21:17:29.78 ID:vJUp1Gbe0
――沼地

コウメ『皆様、船長の“魔法使い”コウメです』
コウメ『当クルーズ船は全席禁煙の船です』

コウメ『本日の航行に参加の方にはマイレージを進呈』
コウメ『気分が悪くなった方は目の前の袋にどうぞ』

チャット「この船空飛びやしないでしょうね」

リンクル「何の話?」

ゴゴン……

リンクル「あ、動き出した」
515 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/09(水) 21:17:35.27 ID:VwfcKTzmo
時オカはやったことあるけどムジュラはやったことないなあ
コタケとコウメ出てくるんだね、懐かしい名前だ
516 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/05/09(水) 21:35:20.24 ID:vJUp1Gbe0
ゴォォォォォ

リンクル「えっ、ちょっ、ちょっ、ちょっ、速くない!?」

チャット「今日はコウメさんの機嫌が良いんでしょ」

リンクル「そんなもんなの!?」

コウメ『おおおおおおおおしっかりつかまってなあああああああああああ!!』
コウメ『右を! 右をご覧ください!!』

リンクル「み、右?」

コウメ『猿です!!』

猿「ウッキー」

リンクル「猿だね!」
リンクル「落ちる落ちる落ちる!」ガシッ

コウメ『左をご覧ください!!』

リンクル「?」

コウメ『猿です!!』

猿「キャッキャ」

リンクル「猿だね!!」

コウメ『トンネルに突入するよおおおおおおおお!!』

リンクル「何なのよこのテンション!」
リンクル「ていうかチャット冷静だね!?」

チャット「いつものことだし」

リンクル「ていうか、前! トンネルに何か居る!」

ダイオクタ「フアーキョウモイイテンキダァー」

ドコッ

ダイオクタ「アバーッ!?」
517 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/05/09(水) 21:35:53.72 ID:vJUp1Gbe0
コウメ『デクナッツの城前ー、デクナッツの城前でございます』
コウメ『下船されるお客様はお忘れ物のないよう、また、足元の毒沼に気をつけてお降りください』

リンクル「なんか……疲れた……」

チャット「まぁ慣れないとねぇ……」
チャット「しっかし、ここら辺は更に臭いわね……」

リンクル「原因になってるとこが近いのかな」

「なぁなぁ!」

リンクル「うん?」
リンクル「あら、さっきのお猿さん」

猿「お前、変わった力持ってるだろ?」
猿「オイラ達、ずっと見てた!」

猿「この沼地、最近毒が広がって住めなくなってきた」
猿「滝の上の神殿、怪しい。オイラの兄弟、神殿に行った」

猿「だけど、神殿入口分からない。神殿、デクナッツのもの」
猿「兄弟、デクナッツ達に捕まって城の中。助けて!」

リンクル「助けて、ったって……」

チャット「デクナッツの城はすぐそこよ」

リンクル「……取り敢えず、入ってみよっか」
518 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/05/09(水) 21:38:06.18 ID:vJUp1Gbe0
――デクナッツの城

門番デクナッツ「ここはデクナッツ王国のお城だっピ!」
門番デクナッツ「用のない奴は通さないっピ!」

リンクル「駄目?」

門番デクナッツ「用のないどころか他所者なんか以ての外だっピ! 帰れっピ!」

リンクル「駄目かぁ」

チャット「駄目ねぇ……」
チャット「やっぱりデクナッツの城だし、人間は……って」

リンクル「……そうだ、あたしデクナッツになれるじゃない!」


イヤーッ
519 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/05/09(水) 21:39:07.48 ID:vJUp1Gbe0
デクリンクル「ここ通して」

門番デクナッツ「ピピッ!? ひ、姫様!?」

デクリンクル「姫様?」

門番デクナッツ「ご、ご無事でしたかっピ! いい、今すぐ国王の間にお戻りください!」
門番デクナッツ「姫様を誘拐したとされる猿がおしおきを……ん?」

デクリンクル「……」

門番デクナッツ「……姫様?」

デクリンクル「いや、人違い……デクナッツ違いです……」
デクリンクル「あたしはただの旅人……いや、旅デクナッツで……」

門番デクナッツ「……」

デクリンクル「……」

チャット「……」

門番デクナッツ「……なぁーんだ、驚かすんじゃねぇっピ!」
門番デクナッツ「姫様に似てるもんだから畏まっちまったっピ!」

デクリンクル「で、ここ通っていい?」

門番デクナッツ「ここはデクナッツ王国のお城、用のない奴は通さないっピ!」
門番デクナッツ「……でも今は特別に国王の怒りを買ったバカな猿を晒し者にしてるから見て行ってもいいっピ」

門番デクナッツ「ここを真っ直ぐ行くと国王の間だっピ。それ以外の場所には入るなっピ!」
門番デクナッツ「……まぁ、お嬢ちゃん可愛いからちょっとだけなら見てってもいいかもっピ」

デクリンクル「そう……ありがとね」

チャット「通れちゃった」
520 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/05/09(水) 21:39:40.14 ID:vJUp1Gbe0
――デク王の間

デクリンクル「ここ、だよね」

猿「だからー! オイラの話を聞いてくれってばー!」ジタバタ

チャット「猿が縛られてるわね」

デクリンクル「あれが捕まった猿ね」

デク王「ひ、姫!?」

猿「えっ、姫さん抜け出せたのか!?」

デクリンクル「違いますっ!」

デク王「いやいや、お前は間違いなく……んん?」
デク王「……」ジーッ

デクリンクル「……」フンッ

デク王「……言われてみれば、確かに違うな。この辺では見かけない顔じゃ。旅の者か?」
デク王「本来なら、お前のような者が国王の間に入ることは許されんのじゃが、今日は特別じゃ!」

デク王「これから、我がデク国の姫を誘拐したバカザルをおしおきするところじゃ!」
デク王「王室の者にふざけたことをした奴がどうなるか……目に物見せてやる!」

猿「早くしないと姫さんはバケモノに食われちまうよー!」

デク王「まだそんな戯言を抜かすか! 聞く耳持たんわ!」
デク王「大釜を準備せい! このバカザルは釜茹での刑じゃ!」

デクリンクル「でも、あの猿何か言って……」

デク執事「ちょっとこちらへ」グイッ

デクリンクル「わっ」
521 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/05/09(水) 21:40:36.09 ID:vJUp1Gbe0
デク執事「国王様は今、冷静さを欠いておられます……」
デク執事「愛娘のデク姫様のこととなるといつもああで……」

チャット「苦労してるわね……」

デク執事「えぇ、まぁ……」
デク執事「冷静に考えて、恐らくあの猿の言う通り、神殿で何らかのトラブルに巻き込まれたのでしょう」

デク執事「しかし、国王様があのご様子では、捜索に兵を出すことも出来ず……」
デク執事「そこで、あなたを見込んでお願いがあります」

デクリンクル「神殿に行ってお姫様探して来いって?」

デク執事「お察しの通りです」

デクリンクル「まぁね……ただ、神殿の入口はデクナッツ達が知ってるって」

デク執事「えぇ、姫様がご存知なのですが……」

チャット「……」
チャット「……もしかして、あんたも入口は知らない?」

デク執事「お恥ずかしながら……」
デク執事「ウッドフォールの祭壇で、あるメロディを奏でれば入れるのですが、そのメロディが……」

デクリンクル「ええー……困ったなぁ……」
デクリンクル「……そうだ、あのお猿さんに聞けない?」

デク執事「あの猿にですか?」
デク執事「ふむ……確かに、姫様が目の前で神殿の入口を開けたのですから、知っているかもしれませんね」

デク執事「……分かりました」
デク執事「少しだけですが、お話をする時間を設けましょう」
522 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/05/09(水) 21:41:28.33 ID:vJUp1Gbe0
猿「全然信じてくんないんだな! もういいよ、お前らに言うことなんかないからな!」
猿「さっさとおしおきでも何でもしてくれよー!」

チャット「ん? 今、何でもって」

猿「!?」

デクリンクル「やぁ」

猿「さっきの姫さんによく似た旅デクナッツか……」

デクリンクル「流石に逃がすことは出来ないけど、お話聞かせて」
デクリンクル「あたしがお姫様探しに行くからさ、神殿の入り方教えてよ」

猿「ほんとか?」
猿「……でも、それには周りに響くような大きな楽器が要るんだ」

デクリンクル「これでいい?」ボンッ

デク執事「なっ……そ、そのラッパは……!」

猿「おおっ! それそれ、姫とおんなじデクラッパ!」
猿「それならきっと上手くいく!」
523 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/05/09(水) 21:41:57.69 ID:vJUp1Gbe0
猿「よく聞いて、覚えてくれよ!」

♪♪♪♪ ♪〜♪〜 ♪〜
♪♪♪♪ ♪〜♪〜 ♪〜

デク執事「これは……まさしく、目覚めのソナタ!」
デク執事「王家に伝わる目覚めの歌……!」

猿「上手い! それをウッドフォールの祭壇の上で演奏するんだ!」
猿「そうすれば神殿の入口が開いて、中に入れる筈だよ!」

猿「早く神殿に行って姫さんを助け出して!」
猿「じゃないとバケモノどもの餌食になっちまうよ!」

デクリンクル「うんっ! 任せてっ!」
デクリンクル「ありがとね、執事さん」

デク執事「……いいえ」
デク執事「どうか、お気をつけて」
524 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/05/09(水) 21:42:28.50 ID:vJUp1Gbe0
――ウッドフォール

デクリンクル「祭壇ってこれのことかな?」

チャット「沼のど真ん中にあるあれ神殿っぽいし、そうなんじゃない?」

デクリンクル「じゃあここでラッパ構えて……と」ボンッ

♪♪♪♪ ♪〜♪〜 ♪〜

ゴゴン……

デクリンクル「お?」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
ザバァー

デクリンクル「おお……なんだろ、神殿が少し上がったのかな」

チャット「あそこに入口が見えるわね。行きましょ」

デクリンクル「うん」
525 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/05/09(水) 21:44:09.80 ID:vJUp1Gbe0
取り敢えずここまで

分かる人にしか分からないネタはちょくちょく挟んでいきたいと思う

次回、対決! 密林仮面戦士オドルワ!
526 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/31(木) 04:42:30.11 ID:BTu7pOb1o
あいつなれるまで面倒だけど爆弾2〜3発あてればぶちころがせるという
やっぱ火に弱いのかしら
527 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/07/01(日) 19:29:14.65 ID:dIW6YBUh0
ここ最近クソ暑いな
みんな熱中症には注意してな

大分間が空いちゃってすいません
本日22時頃更新の予定です
528 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/01(日) 19:44:03.65 ID:hRKjokDho
お、待ってました!
529 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/07/02(月) 00:49:00.87 ID:kQX3CcNZ0
大幅に遅れてすみません

これより更新します
530 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/07/02(月) 00:49:49.12 ID:kQX3CcNZ0
 ep.27 対決! 密林仮面戦士オドルワ


――ウッドフォールの神殿

チャット「ううっ……くさーい……」

デクリンクル「やっぱりここから毒が溢れ出してるのね……」

チャット「原因はあの水かしら……」
チャット「泳いだりしたら死んじゃうわよ、あんた」

デクリンクル「でもそこの水通らないと向こう岸に行けないし……」
デクリンクル「あたしもチャットみたいに飛べたらなぁ」

チャット「飛べばいいじゃない」

デクリンクル「デク花があればね」

チャット「あ、そっか。うーん……」
チャット「そうだ、あんたデクナッツなんだし、水面跳ねられるんじゃない?」

デクリンクル「そうなの?」

チャット「デクナッツの連中はよくやってるみたいよ? そう何回も出来るわけじゃないらしいけど」
チャット「人間に比べて身体が軽いし、デク花で飛べるのと大して変わんないってさ」

デクリンクル「ふーん……」
デクリンクル「じゃあ、よっ!」タンッ

デクリンクル「ほっ!? おっ!? とっ、たっ、はっ!」ピョンッ ピョンッ ピョンッ ポーンッ
デクリンクル「つ、ついた……!」タンッ

チャット「ほら、出来るじゃない」
531 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/07/02(月) 00:50:38.91 ID:kQX3CcNZ0
チャット「んー、ここの部屋が一番奥かしら」

リンクル「結構入り組んでるみたいだけど、振り返ってみれば一本道ね」
リンクル「でも魔物だらけだなぁ、やっぱり」

チャット「クロボーの大群が暗闇に潜んでた部屋なんかぞっとしたわ……」

リンクル「そう?」

チャット「あんたは平然とし過ぎなのよ!」

リンクル「そうかなぁ……」
リンクル「……ん? 何この虫……?」

チャット「蛾……?」

リンクル「……! 上っ!」

ヒュルルルッ ドシンッ

オドルワ「サアーコイッ! サァーコイッ!」ビュンッ ビュンッ

密林仮面戦士 オドルワ

リンクル「体格のいい剣士……!」シャキンッ
532 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/07/02(月) 00:51:21.78 ID:kQX3CcNZ0
チャット「気をつけて! 図体がデカイ分、力も強い筈よ!」

オドルワ「サァーコイッ!」ビュンッ

リンクル「分かってる!」バッ
リンクル(まずは様子見から……!)ジリッ

オドルワ「サァーコイ! サァーコイ!」ブンブンッ

リンクル「……!」ジリジリ

オドルワ「サァーコイッ!」ビュンッ

リンクル「!」バッ
リンクル「……」ジリッ

チャット「な、何よ、あんた……熟練の剣士みたいな……」

リンクル「何の話?」

オドルワ「サァーコイッ!」ダンッ

リンクル「おっと!」バッ
533 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/07/02(月) 00:52:13.71 ID:kQX3CcNZ0
リンクル(動き自体は人間の剣士と同じ……)
リンクル(……いや、ハイラル城の兵隊さんの方がもっと良い動きするかも)ジリジリ

オドルワ「モットコーイ! モットコーイッ!」ピョンピョン

リンクル「?」

ヒュルルー ヒュルルー

スカラベ「ギキキキキッ」カサカサカサカサ

リンクル「なっ……虫を呼んでるの!?」

チャット「気をつけて! 捕まったらタダじゃ済まないわよ!」

リンクル「見れば分かるわよ!」タタッ

スカラベ「ギキキキ」カサカサ

オドルワ「シューゴウ! シューゴウ!」ゲラゲラ

リンクル「残り少ないからあんまり使いたくなかったけど……!」バシュッ

チュドーン

スカラベ「ギッ」ジュッ

オドルワ「!」
534 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/07/02(月) 00:52:46.49 ID:kQX3CcNZ0
チャット「な、何今の!? クロスボウの矢が爆発したわよ!?」

リンクル「爆弾ボルトよ。爆薬あんまり持ってないからあんまり使いたくなかったんだけど……」

オドルワ「サアーコイッ!」ダンッ

リンクル「はっ!」バッ
リンクル「あたしはもうあんたを知ってる!」ダッ

オドルワ「モットコーイ!」ガード

リンクル「それがどうした!」タンッ タンッ

チャット「敵が構えた盾を踏み台に……!」

リンクル「てやぁーっ!」バキンッ

オドルワ「ギャアアアーッ!」
オドルワ「」バタリ

チャット「……す、すごい……」

リンクル「動きが単調なのよ、他愛ない!」
リンクル「図体ばっかりの見かけ倒しじゃない!」

チャット「ええー……」
535 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/07/02(月) 00:53:36.87 ID:kQX3CcNZ0
カラン カランカラン

リンクル「……何これ?」
リンクル「仮面? さっきの剣士が被ってたのかな」ヒョイッ

ポウッ

リンクル「きゃっ!?」
チャット「な、何っ!?」

キュイイィー
536 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/07/02(月) 00:54:05.37 ID:kQX3CcNZ0
リンクル「こ、ここは……?」キョロキョロ

チャット「……何、アレ?」
チャット「正面! ちょっとぼやけて見えないけど……」

リンクル「……大きな……人?」

オオー オーオー オーオーオー……

チャット「……!」
チャット「ちょっと、何か言ってるみたいよ!」

オオー オーオー オーオーオー……

リンクル「……繰り返してるね」

チャット「もしかして、あの鳴き声何かの曲じゃないの?」
チャット「ほら、あの楽器出しなさいよ!」

リンクル「あ、うん」スッ

オオー オーオー オーオーオー……

♪♪〜♪〜♪〜 ♪〜♪〜♪〜

リンクル「こう……かな?」

チャット「うんうん、そんな感じね!」

オオオーオオー オオオー

リンクル「うん?」

オオオーオオー オオオー

チャット「……よ・ん・で、だって」

リンクル「呼んで……?」

キュイイィー
537 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/07/02(月) 00:54:58.13 ID:kQX3CcNZ0
リンクル「……あれ?」

チャット「戻ってきたみたいね……」
チャット「トレイルの言ってた4人の人達って、もしかしたら……」

リンクル「さっきの仮面に封じ込められていた、あの巨人のこと?」

チャット「多分……ね」スーッ
チャット「それよりあんた、結構やるわね! なんか慣れてない?」ズイッ

リンクル「ひゃっ」
リンクル「あー……まぁ、ね」

チャット「この調子で残り3人も助けてあげなさいよ!」スーッ
チャット「ねえ! その……」ズイッ

リンクル「わっ」
リンクル「な、何?」

チャット「あんたに今までしたことと、馬のことは……謝るわ」スーッ
チャット「ごめん!」

リンクル「……うん」

チャット「ちゃんと謝ったからね! 根に持たないでよ!」ズイッ

リンクル「ん」チュッ

チャット「!?」ビクゥッ
チャット「なななななな何をっ!? ななななになになになにっ!!?」シュンシュンッ

リンクル「いや、仲直りってことで……」

チャット「ばばばばあばばばバカじゃないの!?」ブンブンブンッ
チャット「しし信じらんない! わ、わ、私初めてだったのにっ!!」クルクルクル

リンクル「そんなに気にすることかなぁ……」

チャット「初めては金髪碧眼で可愛さと凛々しさの同居した顔立ちの男の子って心に決めてたのに!」バッ バッ

リンクル「えらくピンポイントだね」
538 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/07/02(月) 00:55:29.68 ID:kQX3CcNZ0
チャット「まったく……さっさと行きましょ! 次は山に行くわよ!」

リンクル「その心は?」

チャット「なんとなく!」

リンクル「あ、そ……」

ガサッ

リンクル「?」
リンクル「何これ……蔦が絡み付いてるけど」

チャット「蔦の向こうに空間があるみたいよ」

リンクル「切っちゃえ」ザンッ
リンクル「……お?」

「あなたは……誰なの?」

リンクル「リンクルだよ」

デク姫「リンクル様、ですか……?」
デク姫「初めまして、私はデク国の姫です」ツイッ

リンクル「ああ、これは失礼しました、お姫様」ペコリ

デク姫「あら、まるで騎士様のような振舞いも出来るのですね」クスッ

リンクル「えぇ、まぁ」ニコッ
539 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/07/02(月) 00:56:00.97 ID:kQX3CcNZ0
リンクル「それにしても……本当に神殿の魔物に捕まってたんだね、お姫様」

チャット「どうやらあの猿が正しかったようね」

デク姫「あなた……もしかして、あのお猿さんに頼まれて私を助けに来てくれたのですか?」

リンクル「うん、そんなとこ」

デク姫「そうでしたか……あのお猿さん、無事だったのですね。良かった……」
デク姫「私の帰りが遅いので、心配性のお父様がお猿さんを誘拐犯と間違え、」

デク姫「まさか、おしおきでもしてるんじゃないかと心配してたのですよ、フフフ」クスクス
デク姫「……? どうしたのですか、そんな顔して……」

リンクル「……だって、ねぇ?」

チャット「おしおきどころか、処刑の準備始めちゃってたわよね」

デク姫「……」
デク姫「……マジ?」

リンクル「マジ」

デク姫「本当に、お父様がそんなことを!」
デク姫「お父様ったらまた早合点して!」

デク姫「と、兎に角時間がありません!」
デク姫「リンクル様、急いで私をデクナッツの城まで連れて行ってもらえないでしょうか?」

リンクル「勿論! 行くよ!」ダキッ

デク姫「ひゃっ!?」
540 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/07/02(月) 00:56:31.94 ID:kQX3CcNZ0
――デク王の間

デクナッツ門番「王様ー! 大変だっピ!」ヒュルルルッ

デク王「どうした!」

デクナッツ門番「オイラ蹴られてここまで吹っ飛ばされましたっピ! いてぇっ!!」ドシャアーッ

デク王「何っ!?」

ダダダダダッ

リンクル「ついたっ!」ザザーッ
リンクル「デク王! お姫様を連れてきたわよ!」

デク姫「お父様っ!」

デク王「お、おお! 姫! 姫ではないか! 無事だったのか、心配したぞ!」

デク姫「わ、私のことより、お猿さんは……!」

デク王「お前を誘拐していたアホザルか? それなら今そこの大釜に……」

猿「姫さん! 無事だったんだね! 本当に助けてくれたんだ!」ブラーン

デク姫「この通りですわ! さぁ、お猿さんを降ろしてあげなさい!」

デクナッツ「了解ですっピ!」グイッ

ボチャン

猿「ばっ」

デク姫「」

リンクル「あ」

チャット「え」

デクナッツ「っピ?」
541 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/07/02(月) 00:57:10.64 ID:kQX3CcNZ0
猿「あっちゃあっちあっばあぶぶぶぶぶばばばばばばっ」

デク姫「お猿さぁぁぁぁぁんっ!!?」

デクナッツ「え、下ろせって……」

チャット「そっちの意味じゃないわよ、このアホナッツ!」

デク姫「早く引き上げなさい! 早く!!」

デクナッツ「は、はいっピ!」

デク王「ひ、姫よ、何故あの猿の肩を持つのだ?」

デク姫「お父様のバカ!」ドカッ

デク王「ピピィッ!」

デク姫「また早とちりして!」ドカッ ドカッ
デク姫「国を担う王たる者、物事は慎重に考えてくださいって日頃から言っているではないですか!」ドカッ ドカッ

デク王「っピ! っピ!」ガクガク
542 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/07/02(月) 00:57:38.41 ID:kQX3CcNZ0
猿「あー死ぬかと思った……」

デク姫「本当にごめんなさい、お父様が私を心配するあまり、このようなことに……」

猿「分かっているよ、姫さん」
猿「そんなことより、神殿は元通りになったのかい?」

デク姫「ええ、ここにいらっしゃるリンクル様のお陰で」
デク姫「本当にありがとうございました」

猿「そうか、お前がやってくれたのか……」
猿「ところでお前、緑のフード被ったデクナッツ見かけなかったか? 姫さんにそっくりな……」

リンクル「その子に頼んだんでしょ?」
リンクル「知ってるよ」

猿「じゃあ、あいつがお前に頼んだんだな?」
猿「兎も角、恩に着るよ。ありがとう」

リンクル「うん、どういたしまして」
543 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/07/02(月) 01:00:59.75 ID:kQX3CcNZ0
取り敢えずここまで

チャットかわいいよね
544 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/02(月) 22:43:04.56 ID:ot+68gMUo
おつおつ
545 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/08/06(月) 00:06:57.15 ID:7DCJrVtgo
まつよ
546 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/08/13(月) 00:46:43.27 ID:+NA6iMOTo
ゼルダ無双いまだにやってるけど全然終わらない
続き待ってる
547 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/08/27(月) 00:11:55.02 ID:Lz8/l/+ZO
まつ
548 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/19(金) 22:48:29.68 ID:QbIn1QqZo
まつまつ
549 :1 ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/10/26(金) 12:49:07.62 ID:+uHmM6Dt0
おおおお繋がった!
表示できなくなった時はどうしたもんかと思ったけど!

遅くなって申し訳ない!
来週の金曜までに一度更新します!

……ところでトリップこれで合ってたっけ
550 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/26(金) 22:33:41.65 ID:ks/1nI6H0
おおっ!!お待ちしておりましたぁぁ!!
551 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/27(土) 04:21:24.71 ID:nl3kAe7Fo
待ってた
552 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/11/09(金) 06:56:42.71 ID:ekjw/kUP0
 ep.28 ロマニー牧場の決斗


――ミルクロード

チャット「そろそろ日が暮れちゃうわね」

リンクル「うん。夜の平原ってあんまり歩きたくないんだけどなぁ……」

作業員「俺ェが死んだァら、三途ゥのォ川ァで♪」カーン カーン
作業員「鬼を集めてネ、相撲取る、ダンチョネ〜♪」カーン カーン

リンクル「……何してるの?」

作業員「おや、お嬢ちゃん、こんなとこ来ちゃ危ないよ」

リンクル「ここって道じゃないの?」

作業員「ああ、道だよ。ミルクロードっていってね」
作業員「この先にはロマニー牧場があって、あそこのミルクは最高に美味いらしいんだ」

作業員「クロックタウンのラッテって店で飲めるよ。オラは会員じゃないから飲んだことないけどね」
作業員「まぁ、その道にこーんなでっかい岩があるもんだから、仕入れが出来ない状態なんだ」

チャット「それで、あんたはこれを退かしてくれって言われたわけね」

作業員「そういうこと。明日には通れるようにしてくれって言われてるけど……」
作業員「何分こっちも人手不足でさぁ、オラ一人しか来れなかったんだよね」

作業員「オラ一人がツルハシ振ったって明日通れるようにするのは無理だろ、どう考えても」
作業員「やっぱ爆薬か何かで吹っ飛ばした方が良い気がするよ」

チャット「大変ね……」

リンクル「爆薬……」
リンクル「おじさん、離れてて!」チャキッ

作業員「は?」
553 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/11/09(金) 06:57:19.53 ID:ekjw/kUP0
チュドーン チュドーン チュドーン
ガラガラガラ……

作業員「お、おお……!」

リンクル「よーしっ! これで通れるでしょ!」

作業員「す、すげぇなぁ……なんだい、その矢?」

リンクル「爆弾ボルト!」
リンクル「この先って牧場だったよね?」

作業員「あ、あぁ」

リンクル「ありがと! じゃあね、おじさん!」タタッ

作業員「……」
作業員「……給料出んのかな、これ」
554 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/11/09(金) 06:58:12.38 ID:ekjw/kUP0
――ロマニー牧場

リンクル「……ん?」
リンクル「ねぇ、あれ!」

チャット「え?」

エポナ「ヒヒーン!」

リンクル「エポナ! こんなとこに居たんだ!」タタタタッ

チャット「あっ、ちょっと待ちなさいよ!」

エポナ「ヒヒィーン!」

リンクル「エポナ! 大丈夫? 元気だった!?」ナデナデ

「誰か居るの?」キィ

リンクル「?」クルッ

「……君、誰?」

リンクル「え……」
リンクル「マ……マロン……?」

ロマニー「マロン?」
ロマニー「私はロマニーよ。この牧場とおんなじ名前なの」

リンクル「……あ、そっか……みんな違うんだった……」

ロマニー「君は何て名前なの?」

リンクル「リンクルだよ」

ロマニー「リンクル? ふーん……」
ロマニー「良い名前だけど……なんだか言いづらいね」

リンクル「ええ……」

ロマニー「バッタちゃんって呼ばせてもらうね」

チャット「バッタって……」
555 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/11/09(金) 06:59:00.33 ID:ekjw/kUP0
ロマニー「そういえばバッタちゃん、外から来たんだよね?」
ロマニー「ミルクロード通れるようになったの?」

リンクル「あ、岩は退かしたよ」

ロマニー「そうなの? お姉様に伝えなきゃ!」タタッ

リンクル「あ、ちょっと!」

バタン

リンクル「……ま、いいや。待っとこ」ナデナデ

エポナ「ブルルルッ」

「ミルクロード通れるようになったってほんと!?」バンッ

リンクル「ひっ」ビクッ
リンクル「ほ、ほんとだよ!」

クリミア「良かったぁー、これでミルクが卸せるわ!」
クリミア「ん、君がバッタちゃんね! あたしクリミアよ!」

リンクル「あ、はい、よろしくお願いします」

クリミア「ちょっと今から忙しくなるから、用事はロマニーに言い付けて! ごめんね!」タタッ

リンクル「は、はあ」
リンクル「……」

チャット「あれがお姉さんかしら……結構年が離れてる感じなのにそっくりね……」

リンクル「……大人になったマロンにそっくり」ボソッ

チャット「何か言った?」

リンクル「ううん、なんでもない」
556 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/11/09(金) 06:59:52.19 ID:ekjw/kUP0
ロマニー「バッタちゃん」

リンクル「ん、ロマニー」

ロマニー「バッタちゃん、クロスボウ使えるの?」

リンクル「あ……うん、まぁね」

ロマニー「ロマニーも弓の練習してたんだ」
ロマニー「今夜ね……今夜、あいつらが来るの……」

リンクル「あいつら?」

ロマニー「うん……あいつらはね、カーニバルが近くなった夜になると現れるんだ」
ロマニー「ぼうっと光る玉に乗ってきて、沢山降りてくるの……」

ロマニー「そして牛小屋に来て……牛を攫って行くの」
ロマニー「お姉様は信じてくれないから……ロマニーが牛達を守らなきゃ」

ロマニー「ねぇ、バッタちゃん。只今助っ人募集中なの」
ロマニー「もし良ければ、バッタちゃんやってみない?」

リンクル「……うん、いいよ。やったげる」

ロマニー「やった! 流石バッタちゃん!」

チャット(流石?)

ロマニー「あいつらは牧場のあちこちに現れるの」
ロマニー「それであの牛小屋にゆっくり近づいてくるから、入られないように撃つのよ!」

リンクル「シンプルだね」

ロマニー「シンプルな方がいいでしょ?」
ロマニー「……あ、でもその前にバッタちゃんがどのくらい出来るのか見せてもらっていい?」

リンクル「腕試しね。いいよ」
リンクル「何撃てばいい?」

ロマニー「練習用に放牧場のあちこちにオバケの風船を浮かべてあるの」
ロマニー「……バッタちゃん?」クルッ

チャット「あー、屋根の上よ」
チャット(壁に飛びついて上ってくなんて、どんな運動能力してんのよあいつ)
557 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/11/09(金) 07:00:26.65 ID:ekjw/kUP0
リンクル「えーと……」キョロキョロ

ロマニー「バッタちゃーん! いつの間にそんなとこ上ったのー!?」

リンクル「高いとこからのが見やすいでしょー!」
リンクル「風船の数はー!?」

ロマニー「10個ー!」

リンクル「……2、3、4……」
リンクル「分かったー! 見ててねー!」

ロマニー「……あんなとこから当たるのかな……」

チャット「ちょっと、あんた」シュ
チャット「こんなとこから撃って当たるの?」

リンクル「当てるのよ」チャキッ

バシュッ

パァーン

ロマニー「へっ?」

チャット「ふぇ?」

リンクル「次いくよー!」バシュッ バシュッ

パァーン パァーン

ロマニー「え、ええー……!?」
ロマニー「あんなとこから、どうして当たるの……?」
558 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/11/09(金) 07:01:16.97 ID:ekjw/kUP0
リンクル「見えるのはもう全部撃っちゃったけど、まだあるー?」

ロマニー「も、もうないよー!」

リンクル「りょーかーい!」タンッ

チャット「ちょっ」
ロマニー「ふぇっ」

リンクル「よっと」シュタッ
リンクル「どう? 合格?」

ロマニー「」ポカン

リンクル「……ロマニー?」

ロマニー「……あっ、う、うん! 合格!」
ロマニー「あんな遠くにある風船撃って、どうやったら当たるの!?」

リンクル「どうって……」
リンクル「クロスボウをきちんと両手で構えて、距離と重力を考えてよく狙うだけ」

リンクル「あと風向きと強さかな。今日は天気がいいからあんまり気にしてないけど、雨とか降ってたらそれも」
リンクル「特に風は遠いとこのもの撃つ時はかなり気を使うからね。場合によってはかなりずれるし」

チャット「……ロマニー、さっきの説明で分かった?」

ロマニー「分か……るけど、出来る気は全然……」

チャット「でしょうね……」
559 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/11/09(金) 07:01:50.59 ID:ekjw/kUP0
最初の夜
残り60時間

ロマニー「バッタちゃん、どう? 美味しい?」

リンクル「うん! 晩御飯ご馳走してもらっちゃって、悪いわね」モグモグ

クリミア「いいのよ」
クリミア「そういえば明日の朝、一番で町に行くんだけど」

クリミア「どう? 一緒に行く?」
クリミア「あの……エポナって子、君の馬だったんでしょ?」

リンクル「あ、はい! お願いします!」
リンクル「エポナも見つけてくれて、本当にありがとうございました」

クリミア「いいのいいの、うちにも偶々迷い込んでただけだし」
クリミア「それじゃ、明日の朝、よろしくね」

リンクル「はいっ」
リンクル(ま、その前にやることがあるんだけどね)チラッ

ロマニー「?」
ロマニー「……!」ウィンク
560 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/11/09(金) 07:02:30.08 ID:ekjw/kUP0
チャット「ねぇ、ねぇ!」リリリリン

リンクル「ん……」モゾ

チャット「そろそろ良い時間じゃない?」

リンクル「……そうね」ムクリ
リンクル「ロマニー、起きて」ツンツン

ロマニー「んん……」
ロマニー「ふぁ……もう朝……?」

リンクル「違うわよ。ほら、もう大分夜更けよ」

ロマニー「……あっ」
ロマニー「そうだ、そうだわ! ありがと、バッタちゃん」

リンクル「行きましょ」
561 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/11/09(金) 07:03:04.69 ID:ekjw/kUP0
リンクル「んしょ、と……」

チャット「やっぱりここに上るのね」

リンクル「ここが一番視界が広いからね」キョロキョロ
リンクル「……んん?」

ヒュワンヒュワンヒュワンヒュワン……

ロマニー「来た……!」
ロマニー「バッタちゃん! 私は母屋側から見えないとこを護るから、バッタちゃんはそこから狙撃お願い!」

リンクル「おっけー……じゃ、始めようか!」チャキ

ロマニー「あいつらは夜明けになると帰るから、それまで頑張ろ!」
562 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/11/09(金) 07:03:36.39 ID:ekjw/kUP0
フラット星人A「コウカカンリョウ! モクヒョウハアノコヤダ! イケイケイケ!」

ヒュンッ

フラット星人B「」バタッ

フラット星人A「!?」
フラット星人A「ナンダッ!? ソゲキカッ!?」

フラット星人C「ワカリマセン! コノホシデソンナブキガアルトハトウテイ……ギャアッ!」サクッ
フラット星人C「コ、コレハ……」バタリ

フラット星人A「……ヤカ!? マサカユミヤデ、コノキョリヲ!?」

フラット星人D「ウワアアッ、マタヤラレタ!」

フラット星人A「ク、クソッ! タダノチョウサノハズダッテノニ、ハナシガチガウジャネェカ!」
563 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/11/09(金) 07:04:34.23 ID:ekjw/kUP0
リンクル「当たってる、当たってる」バシュッ

チャット「この暗い中、よく当てられるっていうか、よく見えるわね……」

リンクル「目が慣れれば簡単よ。あいつらうっすら光ってるから目立つし」バシュッ
リンクル「しっかし、数が多いなぁ。反対側からも来てるし」バシュッ バシュッ

チャット「爆弾ボルトは?」

リンクル「ミルクロードで使ったのが最後」
リンクル「ほんとはクロックタウンで爆薬買う予定だったんだけど……」バシュッ

リンクル「……段々近くなってきたね」バシュッ バシュッ
リンクル「下りよっかな」
564 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/11/09(金) 07:05:05.97 ID:ekjw/kUP0
フラット星人A「ジワジワトダガ、ココマデチカヅイタゾ! モクヒョウマデモウスコシダ!」

フラット星人D「チリョウヲウケタハンガモドッテキマシタ!」

フラット星人A「ヨーシッ! ミタトコロテキノソゲキシュハヒトリ! コノママカズデオシツブスゾ!」

フラット星人B「ワレワレハカイシュウサエサレレバイクラデモフッカツデキルカラナ」

フラット星人C「……? タイチョウ! ソゲキガキマセン!」

フラット星人A「イヨイヨタマギレカ? フン、チョウドイイ!」
フラット星人A「ゼンソクゼンシンダッ!」
565 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/11/09(金) 07:05:42.58 ID:ekjw/kUP0
リンクル「よっと」タンッ

ロマニー「あ、バッタちゃん! 下りてきたんだ」

リンクル「うん、上からだけじゃ厳しくてね」
リンクル「エポナ!」

エポナ「ヒヒーン!」

リンクル「行くよっ! はいやっ!」

チャット「ちょっと、待ってよー!」

パカラッ パカラッ ……

<ナ、ナンダアレハッ

<コッチニクルゾッ

<ハ、ハヤッ……

バシュッ バシュッ バシュッ バシュッ

<ギャアーッ

ロマニー「……かっこいい」
566 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/11/09(金) 07:06:21.57 ID:ekjw/kUP0
フラット星人A「クソッ、イッペンニヤラレタ!」
フラット星人A「マタモクヒョウガトオノイタゾ!」

フラット星人B「カクタイサイドゼンシン! ヒルムナ!」

リンクル「……そろそろ夜が明ける」

チャット「夜が明けるとどうなるの?」

リンクル「知らないの?」
リンクル「日が昇る」

パアッ

フラット星人A「!?」
フラット星人A「シマッタ! モウソンナジカンカ!」

フラット星人B「テッタイ! テッターイ!」

リンクル「ロマニーが言ってた通り、夜明けになると帰るのね」

チャット「空から降りてくる癖に太陽が苦手なのね」

ロマニー「やったぁー! ありがとね、バッタちゃん!」
567 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/11/09(金) 07:06:58.40 ID:ekjw/kUP0
クリミア「ふあーあ……」
クリミア「……ん、おはよ」

リンクル「おはよ、クリミアさん」

クリミア「早いわね……ロマニーはまだ寝てるし」

チャット「あー、昨夜遅くまで話し込んじゃったからね」

クリミア「そうなの……まぁ、年の近い子と話す機会なんて滅多にないからかしらねぇ……」
クリミア「朝ご飯食べたらすぐ出発よ、いい?」

リンクル「はいっ」
568 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/11/09(金) 07:08:08.65 ID:ekjw/kUP0
取り敢えずここまで

クリミアさんにぎゅっとされたい……されたくない?
569 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/11/10(土) 10:59:24.77 ID:BXBRRZOh0
来てたのか乙!
されたいです
570 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/11/12(月) 07:43:38.59 ID:rMavAjg4o
リンクルなら大歓迎
おつ
571 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/12/24(月) 19:22:04.34 ID:wmBdI+MGo
まだかしら
572 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/28(土) 09:28:56.33 ID:i84RFqVR0
そして時は過ぎた…
573 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [age]:2020/08/18(火) 00:55:21.75 ID:vMp8XP8FO
松本匡生(布団ちゃん)の
『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』
その12


https://www.openrec.tv/live/em8xk051jz2
574 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [age]:2020/08/18(火) 22:53:58.71 ID:/5AvT9LuO
布団ちゃん(松本匡生)の
「ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド その13」
(21:59〜放送開始)

https://www.openrec.tv/live/1o8q4neoyzk
575 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2020/08/29(土) 01:42:35.73 ID:LlzFru1b0
エタは残念だな
576 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/29(土) 09:11:56.83 ID:YaagmQ8zo
時オカまでは完結したからよかった
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