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【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十五輪目】

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738 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/23(土) 11:55:44.11 ID:iguhXTn3O
今回の件は我が儘が裏目に出てしまったか…?
久遠さんに知られたくない相談って余程のこと考えてそうだし
739 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/06/23(土) 23:21:51.58 ID:LdDhgZ1Zo

では少しだけ
740 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/23(土) 23:29:19.02 ID:EpQt+p5QO
よっしゃ
741 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/06/23(土) 23:48:44.86 ID:LdDhgZ1Zo

天乃「なら、それこそ話してくれても良いと思うのよ。憶測だけじゃなくてね」

沙織「聞かれれば、きっとみんなは答えてくれるんじゃないかな」

もちろん、嘘をつかずにだよ。と沙織は優し気に答える

勇者部との関わりはまだ長いとは言えないが、短いとも言えない

そして、勇者部の考えを知り、思いを知っているから沙織は確信する

沙織「皆は久遠さんから言われることで、本当の意味で罪を背負えるんじゃないかな」

天乃「……それは、甘い話だわ」

沙織「…………」

天乃「私に言われなければどうするの? 私が気づかなければどうするの? なんの罪悪感も抱くことはないの?」

沙織「そんなわけないって解ってるくせに」

例え天乃からなにも言われなくとも、

勇者部が罪悪感を抱かないなんて言うことはない

自分の行いの一つ一つの責任から目を逸らすはずがない

沙織「言わないことが、一番苦しいことだと思うよ」

天乃が何も言わない、何も聞かない

そのままに行動を起こした結果、救うことができたとしても

天乃の姿を見るたびに、犠牲にしたものと隠し事をしてしまったことに戒められる

あれだけ、自分たちがいるのだと散々言いながら

大事なことを打ち明けなかったのだから

天乃「そう……でしょうね。やっぱり」
742 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/06/24(日) 00:00:02.80 ID:rXj+7r0ko

天乃「出来る限り巻き込みたくはない。でも、全く伝えないでいるなんて言うことも出来ない」

沙織「……だとしたら?」

天乃「考えが、甘いわね」

天乃は不服に感じる悲し気な表情を浮かべながら、呟く

完全に隠しきる事は出来ない

だけど、すべてを話すことが出来るわけでもない

本当に甘い、本当に浅い

まだ、覚悟が浮ついているという証拠だと天乃は思う

沙織はその考えが分かっていたのだろう

驚いた様子もなく、ただ笑みのままに「厳しいね」と零す

天乃「中途半端でいることが一番駄目なのよ」

沙織「どうして?」

天乃「あの時こうしておけばよかったって後悔が強くなるから」

確実に一つの道を選択したとしても

その先に失敗があった場合、人は過去を振り返り悔いることもあるだろう

けれど、しっかりとした芯のある答えの先にある失敗であるのならば

それを受け止めるくらいの強さがその人にはあるはずなのだ

あやふやだから、確かなものがそこにないから後悔によって挫折する

心が折れて歩みを止めてしまうことになる

自分は間違っていたのかもしれない、だけど、今はこうすべきだと次のことに目を向けることが出来なくなる

天乃「それは他人に委ねるべきことではないわ。自分たちで決めるべきことなのよ」

沙織「そうだね。そして、久遠さんにもそれはあるわけだね」
743 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/06/24(日) 00:19:23.19 ID:rXj+7r0ko

沙織「東郷さんたちに託される形で」

天乃「ええ、そのとおりよ」

気付いてしまったことを、友奈達に問うか否か

迷っていても答えは決まらない

もちろん、今目の前にいる沙織にどうするのが良いのかを聞き

そのうえで自分の行動を決めるというのは間違いではないが

考えたままあやふやになって聞くべきタイミングを見逃してしまっては、

今さっき自分で批判したことをそのまま行ってしまうことになる

沙織「今回はかなり難しい問題だもんね、口を挟むのも中々に出来る事じゃないよね」

天乃「そうなのよね。そんな問題と言うか、我儘を投げ渡した私が言うのも憚られるけれど」

今回の達成するべきことは、非常に難しい問題であり

沙織が何度か言ったように、犠牲を出さないことはまず不可能だと言っても良い

そして、天乃の深刻な問題を解決するのにはそこらの安っぽいものではまず不可能だ

天乃「……沙織」

沙織「うん? 内容は教えないよ?」


1、タイムリミットは?
2、貴女なら、どうする?
3、みんなを集めて貰えない?
4、貴女は私の為なら世界を捨てることはできる?
5、……そうね。こればかりは私は口を挟むのをやめるわ


↓2
744 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/24(日) 00:21:04.80 ID:QrKNKMmB0
1
745 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/24(日) 00:21:21.02 ID:XIxvjhwHO
3
746 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/24(日) 00:21:37.82 ID:lug84IYBO
2
747 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/06/24(日) 00:26:42.57 ID:rXj+7r0ko

ではここまでとさせていただきます
明日は出来ればお昼ごろから


皆を集めますが、みんなのリハビリの関係上夕方交流を消化します
748 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/24(日) 00:30:37.21 ID:XIxvjhwHO

久遠さんも交えての相談、腹を割って話したいところだが…
749 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/24(日) 07:47:28.92 ID:d+6ZUHpDO

ここまで来て犠牲なんか出したら本末転倒だよなぁ…
750 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/06/24(日) 19:33:38.35 ID:rXj+7r0ko

では少しずつ
751 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/06/24(日) 19:53:39.03 ID:rXj+7r0ko

天乃「ええ、内容は教えて貰わなくて良いわ……ただ、みんなを集めて貰えるかしら」

沙織「……なるほど、分かった」

至って穏やかな表情のまま頼み事をする天乃を一瞥した沙織は、

心の内を理解したように頷く

沙織「夕方で良いよね? ここに集まるように話しておくよ」

天乃「自分で動けたらその必要もないのだけど……悪いわね」

沙織「みんなのところに連れて行ってっていわない辺り、久遠さんは少し変わったなぁって、感じるよ」

沙織は嬉しそうに言うと、席を立つ

沙織「動けないのもあるかもしれないけど、みんながちゃんと集まってくれるって信じてるからかな?」

天乃「今も昔も信頼してるわよ。ただ、視野が広がっただけ」

沙織「それは……うん、良かったね」

天乃の表情は変わらない

沙織の表情も変わらない

視線を交わすことなく答え、満足したように沙織は踵を返す

目先の答えに飛びつき、ただただ自分がこうすべきという答えに駆け抜けていた天乃

その目に見えていた道が増えて悩むことも増え、重くもなった

けれど、だからこそ立ち止まることもできるようになったのだと、沙織は思う

沙織「今の久遠さんなら、もう無茶はしないって信じる気になれる気がするよ」
752 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/24(日) 19:58:37.64 ID:G/Xm89lOO
来てたか
753 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/06/24(日) 20:02:12.71 ID:rXj+7r0ko

天乃「今までは信じられなかったのね」

沙織「信じられるわけがないよ。どこまでも、久遠さんは久遠さんだからね」

茶化すように呟き、笑う

沙織はそのまま歩き出して、病室の外へと向かう

本当に、信じられなかった

心から信じ、愛し、思いを寄せていたのだとしても

その一点だけは絶対に信じることは出来なかった

信じてるよ。と、嘘をついて

目の届かないどこかに消えてしまった後に、何度こぶしを握ったのか

沙織「…………」

今は精霊としての力も持ったことで、

そんな思いもあまりしなくなってきていたが、

この力を手放せばきっとまた、有事の際にその心は不安に満たされるだろう

沙織「……だとしても」

どれだけ不安になるのだとしても、

どれだけ恐怖に身を焦がしてしまうのだとしても

それが、可能性の一つになるのならば。

沙織「……ごめんね。はっきりとは言わなかったけど、あたしは賛成してるんだよね」

扉を背に、沙織は何げなく呟くと

数秒間身じろぎも瞬きもせずにとどまって……唐突に、また歩みを進めた
754 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/06/24(日) 20:32:12.79 ID:rXj+7r0ko

√ 11月06日目 夕(病院) ※土曜日


そして夕方、本来なら鍛錬だったりリハビリだったりを継続して行ったりもする時間だが

天乃からの呼び出しということもあり、みんなが病室に残っていた

朝、天乃から悪戯された友奈も

この時ばかりは恥じらいを感じさせる様子はなく、真剣だった

風「天乃、全員集まったわよ」

天乃「うん、ありがとう」

東郷「…………」

見渡せば見える勇者部の顔

周囲に集まった風達の表情には何処か不安を感じるものの

しっかりとした意志のようなものも感じられて

天乃は小さく、息をつく

天乃「集まってもらった理由は……解ってるのかしら?」

夏凜「……まぁ、友奈と東郷が会いに行ったって時点で察しはついてるわよ」

友奈「ごめんね」

夏凜「良いわよ別に。話されて困る事でもないし」

友奈の申し訳なさそうな言葉も気にせず、

夏凜は腕を組んだままちらりと天乃を見る

夏凜「私達が……というより、私が何を提案したのか。知りたいんでしょ?」
755 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/06/24(日) 21:34:37.46 ID:rXj+7r0ko

樹「話すんですか?」

夏凜「話す必要がありそうな感じでしょ、これは」

樹「でも……」

不安そうな表情を見せる樹に、風が首を横に振る

勇者部の中でも、

必ずしも話すべきである。。という意見ではないらしい

最も、天乃が来るか来ないか、声をかけるか否かに委ねられたのだと感づいた時点で

天乃としてはそのあたりも織り込み済みではあったが。

園子「いっつんの気持ちも分かるけど、こうなった以上は話す。そういう話だから」

天乃「せめて、私に委ねないでもらいたかったけれど」

東郷「……すみません。どうしても決められなかったので」

風、友奈、夏凜、東郷、樹、園子

沙織や精霊たちが内容を話すことについて賛否を拒否したのであれば、

以前、精霊達を返すか否かで話し合った時と同様に意見が分かれ決着がつかなくなってしまうのも想像に易い

東郷と友奈ですら、それぞれ分かれることもあり得なくない

天乃「…………」

少なくとも、その程度には悩むべき手段ということだ


1、さて、教えてもらうわよ。夏凜
2、勘違いしているようだから言うけれど、私は何も聞かない。そう伝えたかっただけよ
3、難しいお願いをしたのは自覚しているわ。だから、私は全部任せるわ


↓2
756 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/24(日) 21:39:07.83 ID:QrKNKMmB0
1
757 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/24(日) 21:40:08.15 ID:G/Xm89lOO
1
758 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/06/24(日) 21:58:15.87 ID:rXj+7r0ko

天乃「さて、夏凜……話してもらうわよ?」

夏凜「…………」

周囲にいる大切な者達

その中でただ一人、夏凜へと目を向けた天乃は口を開く

天乃「何をしようとしてるのか」

夏凜「……ま、あんたは知らぬが仏とはいかないわよね」

むしろ、それこそ罪だとでも言うでしょうし。と

夏凜は呆れた物言いながら、

まったく雰囲気を変えずに閉じていた瞳を開くと

天乃を見つめ、静かに答える

夏凜「芽吹達から神樹様の種を奪うのよ」

天乃「……それがどういうことか分かってて言ってるの?」

夏凜「最悪、世界が滅ぶ可能性もある。分かってるわよそんなことは」

天乃の雰囲気が少しだけ揺れ動き

友奈達が畏怖を感じるようなものになったとしても、夏凜は動じない

真っ直ぐに天乃と向かい合う

夏凜「でもね。それは可能性があるだけでしかない。あんたは違う。死ぬ可能性があるんじゃない、死ぬのよ」

天乃「……つまり私を救う代償に、貴女達はこの世界を選んだって言うことなのね」

園子「それは少し違うよ天さん。世界を救う可能性の一つを借りるだけ。犠牲になるって決まったわけじゃない」
759 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/24(日) 22:02:45.87 ID:G/Xm89lOO
ソレハアカン…
760 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/06/24(日) 22:11:18.21 ID:rXj+7r0ko

風「神樹様にも寿命があって、もうすぐ尽きるかもしれないってことも分かってる。だけど……」

夏凜「神樹の種なら、天乃の体を十分に癒すことができる可能性があるのよ」

天乃「私の体は穢れに冒されているのよ? 拒絶反応を起こすかもしれないわ」

夏凜「今の弱った状態ならそれを塗り潰すことだってできるかもしれない。本当の意味で、久遠家の呪縛からあんたを解放できるかもしれない」

代々呪われてきた久遠家の血

それが極限まで弱ってきている今こそ、

神樹様の力を蓄えた種を用いることでそれを完全に拭い去ることができるかもしれない

それは可能性だ

実験が出来なければ立証されているわけはなく、確証もない

成功の可能性があるように失敗の可能性もある

しかし、神樹様の寿命が尽きかけているからこそ

行わなければ次のチャンスというものは訪れない

夏凜「あんたはこの世界を守ってきた。そのために命を削ってきた……なら、少しくらいこの世界にも命を懸ける義務があるはずだわ」

天乃「関係ない一般の人たちの命まで懸けさせるの?」

夏凜「必要なら」

天乃「私がそんなことは望まないって解っていても?」

夏凜「……それでも」

夏凜の視線はぶれてはくれない

それは、確かな芯のある答えであるという証明

何があろうと譲る気はないという夏凜の意志

夏凜「私達はあんたのいる世界を守るために、あんたのいなくなる可能性がある世界を犠牲にするわ」

例え、その果てに滅びがあるのだとしても

大切な人たちさえいてくれるのであれば、その滅びにでさえも、抗うことは出来るから

覆すことのできる可能性が、生まれるから

夏凜「あんたが拒否しようと私はやるわ。それであんたに嫌われるのだとしてもね」
761 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/06/24(日) 22:22:56.38 ID:rXj+7r0ko

天乃「……楠さんたちは譲ってくれるの?」

夏凜「そんなわけがない」

天乃「…………」

友奈の話はつまり、そう言うことだったのだ

話して譲ってもらうのかどうか

本当に答えて欲しかったのは譲ってもらえなかった場合の話

奪うか否か、そのレベルの話なのだ

天乃「夏凜……」

夏凜「このまま野放しにして種を外で使わせたらあんたがまた引っ張り出される可能性だってあるんでしょ?」

天乃「なるほど……それもあって、あなたたちはそれに賛成してるってわけなのね……」

夏凜以外の勇者部部員

風達をめぐるように天乃が見渡すと、それぞれが思い思いの感情を滲ませた目を向ける

だが、誰も弱くはない

皆強い瞳をしている

それが世界にとっての悪であり、すべきことではない行いであると理解してなお

そんな瞳を見せている

東郷「世界の可能性を借りて久遠先輩の可能性とし、それをもって新たに世界の可能性を生み出すんです」

天乃「上手くいくと?」

樹「確証はないです……でも、踏み出さなければ運命を変えることは出来ないと思います」
762 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/06/24(日) 22:39:02.66 ID:rXj+7r0ko

天乃「それは確かにそうだけれど……」

死に至る運命に絡まれた久遠の人生

それを解消できる可能性があるのならば、

確かに、手を伸ばしたいという気持ちはある

しかし、夏凜達が行おうとしていることは極めてリスクが高い

神樹様や大赦等の関係者のみならず、

この世界に住まう一般の人たちを見危険に晒す行為

なおかつ、この世界を敵に回してしまうことに他ならない

夏凜達だけでなく、その両親、その関係者

どこまで敵であると判断されるのか分かったものではない

はっきり言ってしまえば

それはあまりにも【幼稚の考え】だと、天乃は思う

もちろん、みんな子供だ

自分たちで手一杯、自分が守りたいものを守るので限界

それが当然であり、むしろそれを子供の考えであると否定する天乃が異常なのだ

可能性を信じ、僅かな光を求めて奔走する少女たちは

ある意味では間違っているとは言い切ることはできない



1、それは駄目よ。許されないわ
2、考えが幼稚すぎるわ。貴方達だけの問題ではなくなるのよ?
3、そんなことをさせるくらいなら、私は精霊のみんなに頭を下げて力を返してもらうわ
4、楠さん達を説得して、なおかつ世界を確実に救うことができる? 誰一人欠けることなく、犠牲にせずに


↓2
763 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/24(日) 22:42:07.70 ID:G/Xm89lOO
4
764 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/24(日) 22:46:50.34 ID:QrKNKMmB0
2
765 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/06/24(日) 22:59:04.83 ID:rXj+7r0ko

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


若葉「ここで幼稚だと批判されたら球子ならどうする?」

球子「だったらタマ達の命を代わりに賭けるっていうかもなぁ」

千景「私なら、幼稚で何が悪いって怒るかもしれないわ。全てを救いたい。その目標こそが最も子供らしい願いだから」

水都「三好さんは、なんていうんだろうね」
766 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/24(日) 23:11:46.57 ID:G/Xm89lOO

今の久遠さんだったら大人び過ぎて夏凜ちゃん達みたいな発想は出来なかっただろうなぁ…
それにしてもくめゆの設定を物語に有効活用していくとは流石だ
767 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/25(月) 00:17:57.06 ID:alhgrjmUO

思ったより悪くない案だな
賭けてみる価値はありそう
768 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/25(月) 07:14:54.53 ID:IekVxIByO
確かに幼稚な考えだけどだからこそ希望に満ちてる
それを幼稚と言えてしまう久遠さんはもう子供とはいえないのかもしれない
769 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/25(月) 09:28:50.47 ID:7fmEyu7ZO
世界を救うための手段が最終的に久遠さんに集約されることを考えると、幼稚なそれを久遠さんが本当に信じられるかが鍵な気がする
770 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/25(月) 23:37:45.33 ID:0kWC8XNLO
多忙なのか最近遅いね
771 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/25(月) 23:40:53.10 ID:yykbYolOO
そもそも毎日やってること自体がヤバイから
772 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/06/26(火) 23:01:04.73 ID:8grp38Emo

では、少しだけ
773 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/06/26(火) 23:24:29.05 ID:8grp38Emo

天乃「……はぁ」

緊張感をさらに増してしまうと分かっていながら深くため息をついて

天乃は夏凜へと目を向ける

見極めようとしている厳しい視線にも

夏凜は動じることはなかった――が

天乃「考えが幼稚すぎるわ」

夏凜「!」

その一言には、強く反応を見せた

天乃「貴方達だけの問題ではなくなるのよ? それを分かってるの?」

園子「幼稚って……天さ――」

夏凜「良いわよ。別に」

否定しようとした園子を制した夏凜は

ついさっき揺らいだ雰囲気をすでに持ち直していて

夏凜「確かに幼稚かもね。希望的観測に縋って、自分たち以外の誰かのことなんか後回し」

樹「夏凜さんっ」

夏凜は薄く笑う

その空気に何かを感じたのか樹は声を上げたが

夏凜は我関せずと、表情は変わらない

夏凜「親とか、クラスメイトとか、部活で関わった人とか全員を危険に晒すことも厭わない。自分勝手で我儘な作戦」

天乃「なら――」

夏凜「それのどこがいけないのよ。私達は大人じゃない、万能でも天才でも神様でも何でもない、ただ勇者になれるだけの子供」

友奈「…………」

夏凜「それでも、全部を救いたいってお願い一つの為に危険で残酷で、余裕のない綱渡りでも渡ってやろうって覚悟決めてんのよ」

それは。

その願いは、周囲の損害を考えずに望みへと直進する危険な考えよりもずっと

はるかな高望みをしてしまった子供の我儘

天乃「っ」

風「子供だからこそ自分たちで手一杯、それが終わってからじゃなきゃ周りのことなんか考えてられないのよ。天乃……悪いけど、アタシ達は天乃のように大人じゃない」
774 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/06/26(火) 23:56:32.24 ID:8grp38Emo

東郷「久遠先輩が言いたいことが間違っているなんて思いません」

むしろ、大小問わず言うのであれば正しいことなのかもしれません。と

東郷は切なげに答えて、首を振る

正しいと理解できるのと、この話は別なのだ

東郷「ですが、道をそれなければ得られないこともあるんです」

友奈「私は、やっぱり……芽吹ちゃん達と争うのは良くないと思うし、世界が大変ことになるのもできれば避けたいです」

樹「ですが、そこに手を伸ばさなければ二度と救うことは出来なくなってしまうかもしれないんです」

天乃の体を蝕んでいるのは、

形こそ穢れとなっているが、神聖なちからであることには変わりない

それゆえに、癒せるのはやはり同等の神聖な力のみ

神樹様の寿命が近づいており、攻勢に出るための力を削ぐのはご法度だとみんな理解していることだ

しかし、限界であるからこそ、

次のチャンスというものは望めないし、それを失すれば樹が言うように絶望的なのだ

友奈「やらないで後悔するより、やって挽回する方法を考えるべきだと思うんです」

天乃「…………」

風「だからアタシ達は夏凜の提案に賛成したのよ。あの時手に入れておけばよかった。そんなことにはなりたくないから」
775 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/06/27(水) 00:19:48.67 ID:LgJnLqnso

夏凜「幼稚だって思われたって良い、嫌われようが、世界を敵に回そうが関係ない……まずは、一番救いたいものを救うために死力を尽くす」

天乃「園子、貴女もそういう考えなのね?」

夏凜から流れるように自分へと視線を向けられたのを感じた園子は、

しかし、いつものような緩い笑みを浮かべることなく、真剣な面持ちで頷く

園子「これ以上、失うのは嫌なんよ」

他にも方法があるのではないか。

そう思わないというわけではないけれど

しかし、悠長に考えていられるほど余裕のある話でもない

やはり、神樹様がネックなのだ

園子「それに、あれだけ尽くした久遠さんのことだよ? 神樹様だってきっと許してくれるんよ」

天乃「そう、上手くいくとは思えないわ」

夏凜「だからって諦めんの?」

天乃「そういうわけじゃないけれど……」

そう零した天乃を一瞥した沙織は、

小さくため息をついて、天乃を見つめる

夏凜はすでに言ったが、聞こえていなかったのか

それ以外の言葉に押し流されてしまったのか

一番受け取るべき大切な言葉を、沙織は紡ぐ

沙織「久遠さんがいてこそ、あたし達の日常、あたし達の世界だって言うことを忘れないで。他所の世界の為に自分たちの世界を犠牲になんてできないよ」

天乃「沙織……」



1、分かったわ……でも、世界を救えませんでしたじゃ許されないわよ
2、……それでも、やっぱり駄目だと思うわ


↓2
776 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/27(水) 00:28:36.82 ID:zoJhglKDO
1
777 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/27(水) 00:31:29.40 ID:VTY0/qZSO
1
778 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/06/27(水) 00:36:17.28 ID:LgJnLqnso

ではここまでとさせていただきます
あすもできれば通常時間から
所用でお休みはありますが、可能な限りは通常通り行っていく予定です


勇者部の大反逆ルート
779 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/27(水) 00:45:22.86 ID:zoJhglKDO

よし行け勇者部
780 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/27(水) 08:00:14.36 ID:Km0/A/B7O

久遠さんを、そして巡りめぐって世界を守るための反逆か…
大赦も黙ってないと思うけど…さてどうなる
781 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/06/27(水) 22:45:26.68 ID:LgJnLqnso

では少しだけ
782 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/27(水) 22:51:11.80 ID:9FouPGE3O
よしきた
783 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/06/27(水) 22:59:06.27 ID:LgJnLqnso

天乃「…………」

それぞれ、僅かに違う考えを抱いてはいるのかもしれないが、

それを実行しようという意思に変わりはないのだろう

誰に目を向けても、この提案を取りやめようという姿勢を見せる者は一人もいない

そんな視線に囲まれる天乃は目線を手元へと移し替えて、目を瞑る

先ほども言ったように、天乃からしてみればこれは幼稚な作戦だ

自分の目的以外のものを排してしまう子供の考え

だが、その元凶たる天乃の我儘こそ、最も子供っぽい願いであることも事実

天乃「……ふぅ」

ため息をつき、ほんの少し強くこぶしを握り締めて

天乃「分かったわ」

夏凜の提案に頷く

天乃「でも、世界を救えませんでしたじゃ許されないわよ。それは肝に銘じておいて頂戴」

東郷「善処します」

園子「今までほとんど何もできなかったからね〜、頑張るよ〜」

天乃の許可を得ても大きく喜ぶような素振りを見せることはなく、

最低限度の嬉しさを感じさせる笑みをみんなは浮かべる

許可がなくてもやるつもりだった。けれど、貰えるのともらえないのとではわけが違う

それは当然、軽くなるわけではない

天乃に大罪を意識させた分だけ、重みが増すのだ
784 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/06/27(水) 23:16:07.86 ID:LgJnLqnso

夏凜「それじゃ、予定通り行動は月曜日。異論は?」

樹「ありません」

風「オッケー……というか、その日に向こうさんが動くんだから異論も何もないわよー」

月曜日、つまり明後日が行動ということだろう

考えている時間などなかった

悠長に構えている暇などなかった

場合によっては、これは考えを誤った早とちりにもなる可能性があったのだが

それだけ期限が迫っていたのならば、ある意味では英断と言えるかもしれない。と

天乃はこっそり安堵の息をつく

友奈や東郷が話を聞いたそのすぐ後に接触を試みてきた時点で想定できたことかもしれないが。

夏凜「友奈、穏便に済ませられるかどうかはあんたにかかってるんだから、しっかりしなさいよ?」

友奈「うん……頑張る」

天乃「説得は友奈がするの?」

樹「一応……私達もいるんですが、夏凜さん的には、その……絶対に無理だからって」

夏凜「天乃と世界。芽吹が天秤にかけて選ぶのは世界の方に決まってるわよ。そこまでして救うほどの感情はないと思うし」

園子「そもそも、防人という役割についたのだってぶっきーなりの理由があってだもんね〜……簡単に歪められることじゃないと思う」
785 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/06/27(水) 23:40:57.80 ID:LgJnLqnso

それは例え短くとも付き合いがあったのだとしても

あの時、友人と呼ぶことのできる立場になっていたとしても

やはり、そう簡単に譲渡できる事柄ではない

だからこそ、互いの力をぶつけ合う必要があるのだと夏凜は思うのだ

夏凜「説得が出来なければ予定通り実力行使になるだけよ」

天乃「けど、今貴女達端末はないはずよね? どうするの?」

流石に大赦に問い合わせても渡して貰える可能性は極めて低い

そもそも、メンテナンスが終了しているかどうかでさえ、怪しいのだが

夏凜は余裕綽々といった様子で笑みを浮かべた

夏凜「その点に関してはもう手は打ってあるわ」

天乃「瞳に頼んだの?」

友奈「流石に瞳さんでもそこまでは出来なかったので……別の人に頼みました」

樹「それに瞳さん、仕事が首になっちゃいますのであんまり協力して貰うわけにもいきませんでしたし」

風「まぁ、そのあたりも問題なく整ってるから大丈夫よ」

樹と友奈を一瞥した風は遮るように入れ替わって答え、苦笑いを浮かべる

なにか良からぬ手を使ったのか

協力者が名前を出されることを嫌がったのか

すでに相当な案件を語り合っているために隠す必要はないと言ってもいいので、前者はない

では、後者ならばだれが協力者なのか……だが。

天乃「……まぁいいわ深くは聞かない。とにかく、くれぐれも忘れないでね」

夏凜「解ってるわよ。助けた後、結局世界が滅びました――なんて、そんなくだらない結末があっていいわけないっての」

夏凜の皮肉めいた物言いに、風達は苦笑いを浮かべて「それはそうだ」と、頷いた
786 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/06/27(水) 23:43:07.89 ID:LgJnLqnso

√ 11月06日目 夜(病院) ※土曜日

01〜10 九尾
11〜20 若葉
21〜30 
31〜40 夏凜
41〜50 
51〜60 樹
61〜70
71〜80 風
81〜90
91〜00 千景

↓1のコンマ 
787 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/27(水) 23:43:19.52 ID:zoJhglKDO
788 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/06/27(水) 23:59:01.29 ID:LgJnLqnso

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から



瞳「私、名前だけですか?」

安芸「名前すら暫く出ていない人もいますし……仕方がないのでは?」

瞳「これが、モブの宿命……!」

安芸「実は、奉火祭によって消えてしまった。という流れでここはひとつ」

瞳「死んでるじゃないですか!」
789 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/28(木) 00:00:26.79 ID:0WAZ86mDO

月曜か楽しみだな
790 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/28(木) 00:05:40.81 ID:wSzzD1C+O

今回の戦いは意外と早めに決着をつけるつもりなんだな
端末の手配は果たして誰なんだろうか
791 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/06/28(木) 23:29:56.42 ID:ubf4JdiDo

では少しだけ
792 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/28(木) 23:31:35.48 ID:7MLeAMTmO
あいよー
793 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/06/28(木) 23:46:55.04 ID:ubf4JdiDo

√ 11月06日目 夜(病院) ※土曜日


樹「あの、少し良いですか?」

天乃「あら……貴女も来たのね」

昨夜の友奈と似たような時間に尋ねてきた樹に目を向けた天乃は、

ベッドの右脇が少しだけ空くように体をずらして、手招きする

一緒に寝るかどうかはともかく、

椅子を出すよりはベッドに座らせてしまった方が色々な意味で楽なのだ

天乃「協力者のことでも話す気になったの?」

樹「それは……その、教えないことが条件というか、似たようなことがあるので駄目なんです」

天乃「私に知られたら困る人なのね……九尾かしら」

勝手に潜入して強奪。という話にせよ、なんにせよ

多方面に力を扱える九尾が一番有力だった

自分のことを離さないという条件に関しても

あんな話をしてしまった手前、協力しているということが知られるのは気まずいという可能性も無きにしも非ず。

樹「それより、身体の方は大丈夫そうですか? なにか変化とか、良いとか悪いとか」

天乃「以前に比べたらだいぶ調子良いわよ。時々、なんだか動いているような感じもするくらい」

樹「普通の妊娠に比べて、成長が早いんですよね……」

天乃の腹部をちらりと見た樹は以前の樹とは変わった少し大人びた笑みを浮かべて、

そうっと手を伸ばす

樹「触って良いですか?」

天乃「優しくね」

樹「はい」
794 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/06/29(金) 00:02:57.60 ID:veIRwww0o

樹「…………」

破裂寸前の水風船に触れるような感覚で、

樹は慎重に手を触れさせる

ほんのわずかにでも圧迫しないように天乃の呼吸による動きを見極めて、

まずは重ねて、横に流すように触れる

人によっては禁止されることもあるのだが、

天乃の場合は禁止こそされなかったものの、

双子がいるということもあり、

押し出すような上下の撫で方や、左右から狭めるような撫で方はしないように言われているのだ

樹「……静かだと、少しだけいるように感じますね」

見えないけれど、重ねた手には天乃とは別の命を感じるのだと、

樹は幸せそうに笑みを浮かべる

そんな樹を見つめる天乃は過去の姿を思い浮かべて

天乃「変わったわね、樹」

樹「色々、大変だったからかもしれないですね」

そんなことないですよ〜。と、

以前の樹なら恥ずかしそうにしながら否定していたかもしれない

けれど、少し前に自分の非力さを嘆いていた時に告げたように

樹はもう充分なほどに力を蓄えているのだ

勇者としても、そうではない部分であっても

だからこそ、自分自身のことも少しは認められるようになったのだろう
795 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/06/29(金) 00:26:02.20 ID:veIRwww0o

樹「それに、久遠先輩の子供ということは私達の子供、つまり私の子供みたいなところもあるので、しっかりしなきゃなって」

天乃「なるほどね……子供が産まれたら樹も最年少じゃなくなるものね」

樹「そうなんですよ。なので勉強も次のテストではせめてクラスの中では上の方の成績になれたらなぁって思ってます」

それは難しいかもしれないですけど。と

ようやく普段の照れ笑いを見せた樹は、静かに笑い声を抑え込んで息を吐く

樹「……あの、久遠先輩」

天乃「うん? どうかしたの?」

樹「久遠先輩は子供が産まれた後も勇者になれるのなら、勇者になりますか?」

天乃「あまり、聞かれたくない質問だわ」

そう零した天乃は「答えにくいわけじゃなくてね」と、

自責してしまいそうな樹にフォローを入れて、唇を固く結ぶ

単なる質問でしかないのかもしれないが

その時になってもまだ、すべてが終わっていない可能性を彷彿とさせるので、

天乃としては、あまり関わりたくない話題だった

もっとも、神樹様の寿命が尽きかけている状況下で

そこからの逆転劇に出ようとしているその道の路上の石ころになろうとしてるのだ

終わっていると考える方が難しいだろう


1、必要ならね。当然よ
2、リハビリもあるし控えると思うわ。出来る限りはね
3、そもそも使えるようになるのか微妙なところだもの。心配しても仕方がないわ


↓2
796 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/29(金) 00:27:14.71 ID:dfkyt4WnO
3
797 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/29(金) 00:28:00.48 ID:7L1c7BqWO
1
798 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/06/29(金) 00:40:10.10 ID:veIRwww0o

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


風「時期部長は悩みどころよねぇ……園子と東郷はあり得ないとして夏凜は悪くない」

東郷「風先輩?」

風「ん〜……」

東郷「あの」

風「仕方がない。この戦いが終わったら、時期部長を決めるわ」

東郷「それは止めてください、死んでしまいます!」
799 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/29(金) 00:44:15.56 ID:dfkyt4WnO

妹という手もあるぞ
800 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/29(金) 00:47:26.94 ID:VtOHvtcCO

久遠さん前々からまた戦う気マンマンだったからなぁ
もっとも復帰しても今なら無茶せずみんなと足並み揃えてくれると信じたいが
801 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/06/29(金) 22:48:28.98 ID:veIRwww0o

では少しだけ
802 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/29(金) 22:53:36.22 ID:v+7Sa5heO
かもーん
803 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/06/29(金) 23:14:59.25 ID:veIRwww0o

天乃「必要ならね。当然、なれるのなら勇者になるつもりよ」

樹「悩まないんですね」

天乃「悩む必要はないと思うの」

樹「それはそうかもしれないですけど……」

そう言われるのは分かっていた樹だったが、

全く悩むことなく言われたのは、少しばかり気になってしまう

今後もまだバーテックスの脅威に晒されることになるため、

必然的に勇者の力が必要となってくるのは分かるが、

天乃はもう、子持ちなのだ

樹「子供の為にもう戦わないという選択はないんですか?」

天乃「それを言われると弱いけれど……でも、必要になった場合は仕方がないわ」

天乃の力がどうしても必要

そんな状況ならば、子供やみんなの為に勇者の力を使う

それなら当たり前のことじゃない? と、天乃は笑みを浮かべる

樹「……それなら、私達で十分な場合は勇者の力を使わないってことですよね?」

天乃「そう……ね。そもそも産んだからってすぐに退院できるわけでもないから頼る方が多いと思うわ」
804 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/06/29(金) 23:42:24.30 ID:veIRwww0o

樹「なら、もっと強くならないとだめですね」

樹は一瞬、とても嬉しそうな表情を見せたが、

すぐに取り乱しかけた雰囲気を整えて、小さく収まった考えを述べる

樹「バーテックスを一人で……なんて、出来たらいいんですが」

天乃「千景に手を借りれば何とかなるかもしれないわよ」

樹「千景さんがハードワークになりますよ、それだと」

完成されたバーテックスは各々が自然に治癒する能力を保有しており

そのため、倒すために破壊しなければならない御霊への到達が非常に困難なうえに

満開で強引に打ち破るという手もあるが、それでは体がもたない

かといって、基礎能力を上げたとしても限界がある

樹「せめて、二人一組で迎撃できるようになれるといいかもしれないですね」

天乃「ねぇ樹」

樹「はい?」

天乃「……私を戦わせないために無茶をする。というのだけは止めて頂戴ね?」

何度も話していること。

だから、本当に言いたかったのはそれではない

樹海で何かあったのではないか、実はもう、すでに樹海化したことがあるのではないか

だから、そんなことを言い出したのではないか

そんな不安があって、聞きたいと思った

けれど、ここまできてそのたぐいのことを言わないということは、きっとただ気になっただけ。なのだろう

天乃「皆が傷ついていくのを見るのは、嫌だわ」
805 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/06/29(金) 23:58:38.09 ID:veIRwww0o

樹「もちろん、傷つかないためにも強くなるつもりですよ」

強ければ、天乃を戦いに出さなくてよくなる

強ければ、傷つくようなこともなくなる

強ければ、天乃を心配させるようなこともなくなる

樹「それに、強ければ久遠先輩も安心できると思うので」

樹海化していなくなってしまったり、

戦いに出て行くことになったとしても、

必ず帰ってきてくれる。という余裕くらいは心に与えられるだろうと樹は思う

樹「それと、強ければ無茶も減るので一石二鳥です」

天乃「けれど、強いからって慢心したら駄目なのよ? ろくなことにならないわ」

強くなったから

対抗できるようになってきたから

その余裕、油断が致命的な失敗につながることもある

それだけは、避けなければならない

樹「…………」

不安そうな表情

何を考えているのか、悲し気な雰囲気

握り合う天乃の両手

目を向けた樹は口を開くも声はなく、ゆっくりと閉じて首を振る

樹「大丈夫です。私達は勝つことを目的にしてるわけじゃないですから」
806 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/06/30(土) 00:30:26.52 ID:HDqSW13ho

樹「久遠先輩のところに戻るために戦うんです。だから、それまでは道路の水たまり一つにも気を抜きません」

樹は本気でそう考えているのだと感じる笑みを浮かべる

些細な怪我の可能性一つにも細心の注意を払う

完全に倒しきるまで、

樹海化が解除されるまで

それまでは例え親玉を討伐したとしても、気を抜くことはない

死角からの一撃

それで昏睡状態にでもなろうものなら、最悪だからだ

樹「……久遠先輩」

小さく息を吐き、樹は口を開く

樹「きっと、私達が種を奪うことで勇者はまた戦うことになると思います」

もしかしたら今まで以上に辛い条件だったり、過酷な状況になるかもしれない

それでも、何かが失われることがないようにしたいと、樹は思う

今日、この時間に態々こんなことを聞きに来たのも、

問題の引き金となる日がもう目前まで差し迫っているからだ

分かり切った天乃の答え

だとしても、自分達の大小関わらないミスが、行いが

自分たちにとってどれだけの被害をもたらすのかを確認するために

樹「久遠先輩の傍からは誰一人として奪わせたりしません。たとえ、何かがあったとしても、私の力で繋ぎとめてみせます」

剣でも拳でも銃でも槍でも鎌でもなければ、歌野のような鞭とも少し違う光

それはきっと、繋ぎとめるためのもの。だから、樹は誓う

樹「だから、久遠先輩は心配せずに待っていてください」

天乃「そこまで仰々しく言われると、逆に不安になっちゃうんだけどね」

苦笑いを浮かべながらそう言った天乃は、それでも「解ってるわ」と、優しく答えた
807 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/06/30(土) 00:31:43.04 ID:HDqSW13ho

√ 11月07日目 朝(病院) ※日曜日

01〜10 夏凜
11〜20 
21〜30 風
31〜40 
41〜50 千景
51〜60 
61〜70 若葉
71〜80 
81〜90 園子
91〜00 九尾

↓1のコンマ 
808 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/30(土) 00:32:47.58 ID:LWJQGJ1QO
809 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/06/30(土) 00:40:10.86 ID:HDqSW13ho

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から

一日のまとめは再開時に



奉火祭「奪わせたりしないって言われると奪いたくなる」
810 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/30(土) 00:48:52.79 ID:7Xo1fnv5O

安定のどう足掻いても久遠さんに地獄を見せつけていくスタイル
811 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/30(土) 00:52:40.18 ID:LWJQGJ1QO

やめて…やめて
812 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/30(土) 11:08:21.55 ID:zogBkXyeO
樹ちゃんの安心感と久遠さんの未亡人感と物語の不穏感
813 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/06/30(土) 23:29:47.36 ID:HDqSW13ho

では少しだけ
814 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/06/30(土) 23:32:23.89 ID:HDqSW13ho

1日のまとめ

・   乃木園子:交流有(夏凜の提案、失敗は許されない)
・   犬吠埼風:交流有(夏凜の提案、失敗は許されない)
・   犬吠埼樹:交流有(夏凜の提案、失敗は許されない、戦えるのなら)
・   結城友奈:交流有(悪戯、夏凜の提案、失敗は許されない)
・   東郷美森:交流有(夏凜の提案、失敗は許されない)
・   三好夏凜:交流有(夏凜の提案、失敗は許されない)
・   乃木若葉:交流無()
・   土居球子:交流無()
・   白鳥歌野:交流無()
・   藤森水都:交流無()
・     郡千景:交流無()
・ 伊集院沙織:交流有(勇者部の考え、夏凜の提案、失敗は許されない)
・      九尾:交流無()
・      神樹:交流無()


11月06日目 終了時点

乃木園子との絆  74(高い)
犬吠埼風との絆  100(かなり高い)
犬吠埼樹との絆  91(とても高い)
結城友奈との絆  110(かなり高い)
東郷美森との絆  120(かなり高い)
三好夏凜との絆  144(最高値)
乃木若葉との絆  96(かなり高い)
土居球子との絆  42(中々良い)
白鳥歌野との絆  42(中々良い)
藤森水都との絆  35(中々良い)
  郡千景との絆  42(中々良い)
   沙織との絆  120(かなり高い)
   九尾との絆  63(高い)
    神樹との絆   9(低い)
815 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/30(土) 23:36:51.26 ID:7Xo1fnv5O
きてたー
816 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/06/30(土) 23:44:45.18 ID:HDqSW13ho

√ 11月07日目 朝(病院) ※日曜日


夏凜達との話し合いから一夜明けた、日曜日

周りから感じる空気は大切な事を話し合ったに関わらず、

何一つ変わったような感じは見受けられない

元から賛否問わず実行予定だったからなのかもしれないが

沙織が言っていたように、

話し合うことも視野に入れていたというのが大きいのだろう

天乃「……みんなは」

自力では開きにくいカーテンの向こう側の世界

皆の動きを天乃は耳で感じ取る

他愛もない話、今日の予定

そんな日常的な会話を繰り広げて、時間を消費していく

明日、世界を敵に回すことが嘘のような緩ささえ感じ、

あれが実はドッキリだったのではないかとさえ、思いそうなほどに。

天乃「あくまで、自分たちにとっての日常って言うことなのかしらね」
817 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/01(日) 00:22:10.61 ID:3s7bS1Weo

天乃の移動や、食事などの日常生活に加えて、

勇者として守り戦うこと

それがもしかしたら、勇者部にとっての日常になっているのかもしれない

だから、いつだって変わらない

もっとも、

あんな話をした後で弱っているような空気を感じさせたら

それこそ天乃を不安にさせてしまうだろうし

そんなところは見せられないというものもあるだろうが。

天乃「……本気だって言うのは、良く分かったわ」

昨日で十分に思ったことではあるものの

改めて、天乃はそう思ったのだ

そこまで想われているのは嬉しい反面、

少しだけ申し訳なくも思う

もちろん、そんな考えに苛まれるつもりはないが

天乃「明日、なのよね……」

心配には、なってしまう



1、勇者組
2、精霊組
3、イベント判定

↓2
818 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/01(日) 00:25:56.70 ID:dRSkMEpd0
3
819 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/01(日) 00:26:11.15 ID:fADDCJIyO
1
820 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/01(日) 00:31:12.70 ID:3s7bS1Weo

1、風
2、友奈
3、樹
4、夏凜
5、東郷
6、園子


↓2
821 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/01(日) 00:33:15.05 ID:0uDD27yvO
6
822 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/01(日) 00:33:47.73 ID:dRSkMEpd0
6
823 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/01(日) 00:40:45.33 ID:3s7bS1Weo

では、ここまでとさせていただきます
明日は出来れば昼頃から

園子と交流


園子(天さんから呼び出し……)

園子(きっと決戦前の願掛け的な事されちゃうんよ〜)

園子(そして、最後の最後で天さんから受け取った何かで力を得て私は立ち上がるのさ)

園子(むふふ〜自由になってきたこの体で、堪能させてもらうぜ〜、天さん)
824 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/01(日) 00:44:10.34 ID:0uDD27yvO

そのっちもいよいよキス以外の行為も解禁されるのだろうか
825 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/01(日) 07:55:13.71 ID:2+BTcCBbO

願掛けされる(意味深)
826 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/01(日) 13:43:21.85 ID:90foaI//O

なんか肩透かしくらいそうなフラグで笑う
827 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/01(日) 23:55:32.57 ID:3s7bS1Weo

すみませんが、本日は所用でお休みとなります
可能であれば、明日19時頃から今日の分含めて再開できればと思います
828 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/02(月) 00:01:52.60 ID:lt3VeN1cO
あら、お休みだったのね
乙です
829 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/02(月) 00:41:19.40 ID:V2Jqg+2RO
了解!
楽しみに待ってます
830 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/02(月) 20:42:21.96 ID:2zwps5aWo

では、少し遅くなりましたが少しだけ
831 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/02(月) 21:03:25.01 ID:94kA1fGvO
来てたか
832 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/02(月) 21:05:01.74 ID:2zwps5aWo

天乃「園子」

園子「ん〜? おぉっ」

目の前のベッドにいる園子に向けて手招きをすると

最初こそぼんやりとした反応を見せていた園子は嬉しそうに呼んでいた本を閉じて

素早くベッドから降りる

リハビリを頑張ったのか、神樹様の力ゆえか

少し前まで全身が動かせなかったなんて言うことが嘘のような滑らかな動きで

足取りも非常に軽やかだった

躓くことも、躊躇うこともなく、真っ直ぐ天乃の方へと近づいて、

園子「えっへへ〜、ちゃんと歩けるんよ〜」

天乃「立場が入れ替わっちゃったわね」

園子「私が自由で天さんが不自由……でも、前も天さんはそこまで自由じゃなかったから、一緒にはならないんよ」

自分の自由を喜ばしく思う反面、

不自由さの苦しさを痛いほどわかっている園子は悲し気に言うと、

でも。と呟いて

園子「子供の為だから、悪いことじゃないのは救いだよね」

天乃「……そうね」

園子「どっちも女の子だったっけ〜?」

天乃「双子だからね。確か、二卵性とかなら話は別らしいけれど……まぁ、私に限っては女の子よ」
833 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/02(月) 21:14:16.74 ID:2zwps5aWo

園子「天さんの力を引き継いだ男の子とか、どこの小説だよ! って感じだからねぇ」

天乃「安倍晴明?」

園子「いやいや、ヤングだよ。ヤングカルチャー」

それじゃオールドだよ。化石だよ。と

困ったように言う園子は「カルチャーショックだ」と独り言ちる

天乃がそう言った本にあまり興味を示さないこと

そんな流行りなどに心から触れる時間などなかったこと

園子はそれを余計に感じて、おもむろに手を叩く

園子「そうなると、天さんの息子はハーレムを築くのさ。前作主人公のゆーゆ達ともくんずほぐれつの――」

天乃「親の妻を横取りする主人公が今の流行りなの……?」

園子「あくまで一例というか、ラッキーな展開があるっていうだけで、実際は同年代の女の子とするんよ」

天乃「そこはかとなく、嫌な感じのする物語ね。それ」

男の子が女の子。というだけであって、

それとあんまり変わらないところに到達しようとしている天乃の言えたことではないのだが、

園子は軽く笑うだけで話を流す

言えたことじゃないよね。とか言っても丁寧な説明をしないと気づいては貰えないからだ
834 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/02(月) 22:08:03.82 ID:2zwps5aWo

余計な話で気を紛らわせて、一息

ふんわりとした空気を取り払った園子は夏凜達の方を一瞥する

園子「……楠さんたちが気になる?」

短いとはいえ、関係のある芽吹達との取り合い

互いにとって譲れないものの取り合いである以上、

戦いの火蓋が切って落とされる可能性は極めて高い

その心配があって天乃は呼んだのかと園子は言いたいのだ

天乃「友奈が説得してくれるんでしょう?」

園子「うん」

天乃「……園子はどう思う? 上手くいかないと思う?」

園子「向こうも譲れないものだとおもんよ」

天乃「そうよね……」

夏凜と同様、園子も説得は失敗に終わること

その結果戦うことになるという方向になるとみているのだろう

少し、申し訳なさそうに眉をひそめた



1、出来る限り、優しくしてあげてね
2、でも、上手くやってくれるって信じてるからそれはいいの。それよりも、来週の銀の誕生日なんだけど……
3、ねぇ、園子はどう思うの? 種を奪ったあとの大赦の動きとか
4、端末の手配が出来るなら、種も持ってきてもらえばいいのに
5、この際だから無茶するなとは言わないけれど、無理はしないでね?


↓2
835 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/02(月) 22:11:44.87 ID:V2Jqg+2RO
5
836 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/02(月) 22:12:50.18 ID:94kA1fGvO
3
837 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/02(月) 22:31:27.05 ID:2zwps5aWo

天乃「でも、楠さんたちに対しては、みんなも上手くやってくれるだろうから……」

戦うことになったとしても。

完全な手抜きこそ出来ないかもしれないが、

命を奪ってしまうようなことや、

体が不自由になってしまうようなことにまではしないだろうと天乃は思う

いくら何でも、そこまで出来る子達ではないはずなのだ

天乃「それよりも、園子は大赦や神樹様がどう動くと思う?」

園子「樹海に入ってからの作戦になるから、防人の報告次第になると思うんよ」

天乃「なんかしらの方法で見られている可能性は?」

園子「それもあるね〜」

二年前も、銀が撮影した写真は撮れていなかったにもかかわらず

大赦は戦闘時の映像などを記録することが出来ていたのだ

何かしらのそういった監視するような設備が整えられている可能性はなくはない

だとすれば。

園子「間違いなく、天さんに接触してくると思う」

天乃「検査っていう名目で連れ出されて尋問。とかね」

園子「あながち間違いじゃないと思う。天さんの場合、検査だったりなんだりで連れ出せるし、ここで話すのは難しいから」

天乃「そのあたりも考えておかないと、後々面倒なことになりそうなのよね」
838 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/02(月) 22:40:02.02 ID:2zwps5aWo

一番簡単なのは、自分には関係のないことだと言い

むしろ、その報告に驚いて見せて、作戦とは関わっていない素振りを見せたうえで、

自分の寿命が近いことを話したせいかもしれない。と嘯くことだ

以前、天乃が学校に長く通うことが出来なくなった際に、

勇者どころかクラスメイトが反旗を翻したのだ

その説得力はけして小さなものではないだろう

園子「最悪、逆に天さんを奪われる可能性もあり得るかな……」

天乃「みんなに対する人質……有効かしら」

園子「良し悪し問わなければ」

天乃「間違いなく、暴動を起こすわよねぇ」

自分が引き金になっていることではあるのだが、

天乃はたまらずため息をついて苦笑いを浮かべると、

頭を抱えるようなしぐさを見せる

実際問題、大赦にとっても重要なものを奪うのだから、変換要求は来るだろう

それが替えの効かないものであるならば、

形振りかまっていられず天乃を人質にする可能性は大いにあるのだ

そして、そんなことをしたが最後、勇者部は荒れるだろう

天乃「そうなった場合、種を返してあげてって言ったら返してくれる?」

園子「唯一の希望だから、難しいと思う」
839 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/02(月) 23:14:55.95 ID:2zwps5aWo

園子としてはそんな事態になってしまった場合は返還し、

まずは天乃の身の安全を確保するべきだと思うのだが

かといって、貴重なアイテムを手放してしまったらもう二度と救う手立ては見つからなくなってしまうかもしれない

何もかも可能性

それも、嫌な方向ばかりの可能性に満ち溢れた作戦

本来なら、こんな手を選ぶべきではないとも思う

しかし……現状で打てる手はそれ以外には見つからなかった

園子「出来れば、天さんは関わってないことにした方がいいと思う。じゃないと、天さんに危害が加えられる可能性もあるんよ」

天乃「まぁ、さすがの大赦も無関係ではない無関係な妊婦に危害を加えようとは考えないものね」

ただし、時と場合によっては。だ

それがそうせざるを得ない状況出れば話は別

そして、今回の話はそうせざるを得ない状況の可能性もある

天乃「最悪、今後私は監視され続けることになるのよね……」

園子「私の時と似たような状況になるのは子供に悪いけど」

天乃「……私も私で、説得を試みるべきかもしれないわね」

園子「天さんの寿命の件、信じて貰えるかどうか……かな」

天乃「それを信じて貰えればまだ……ううん、だとしても、世界と人ひとりの命……上手くはいかないでしょうね」
840 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/02(月) 23:17:33.00 ID:2zwps5aWo

では、途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


園子「最悪大赦を破壊するんよ」

風「破壊工作員1番!」

東郷「破壊工作員2番!」

友奈「止め――……ないよ?」

夏凜「止めろぉッ!」
841 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/02(月) 23:25:32.78 ID:V2Jqg+2RO

1人護衛残せばいいんじゃない?
842 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/02(月) 23:28:09.66 ID:94kA1fGvO

久遠さんに危害なんか加えたら誰よりも先に九尾が大暴れしそうだが…
843 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/04(水) 22:46:08.38 ID:xXq0rsh4o

では少しだけ
844 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/04(水) 22:48:12.58 ID:glpMjhUyO
やっとキター
845 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/04(水) 22:56:09.94 ID:xXq0rsh4o

天乃「まぁ、なるようになるというか、出来るようにやるしかないってところよね」

流れに身を任せていたら、

天乃の寿命の一件のように最終的には絶望的な状況に陥ってしまっている。という可能性がある

ならば、問題が提起される前に出来る限り考え、行動しておくべきだろう

天乃「高校の受験と同じような感じね」

園子「天さん、進路決めてなかったような〜」

天乃「それはそれ。これはこれ。まず目先の問題から片付けないと勉強なんてしてられないわ」

もちろん、ほぼ一日中暇を持て余している状態の天乃は、

みんなとかかわっていなかったり、空いた時間には一応勉強をしてもいるのだが。

受験するかどうかということに関してはまだ明確に決めていないというのが正直な話である

先月期限の進路希望調査を今月末まで延長してくれた先生には悪いと天乃も思うものの

寿命だったり勇者だったり子供だったり。

天乃もただの学生と比べてはるかに余裕がないのだ

天乃「とにかく、大赦の動向に関しては気を付けて欲しいわ」

園子「うん、目をぴかーんってさせておくんよ〜」

天乃「バレるからやめなさい」

園子「ふっふっふ……ダンボールさえ被れば余裕だぜ」

天乃「監視とか盗聴とか、そう言うことにまで手を出してたら取り返しがつかないわ。必要以上にやらなくて良いのよ」

冗談だろうけどね。と天乃は苦笑して、園子の顔を見上げるように見つめた
846 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/04(水) 23:18:41.63 ID:xXq0rsh4o

天乃「皆のことをよろしくね」

園子「……今回限りなんよ」

天乃「前にも、お願いしたことはあったけれど」

園子の容態が悪化する原因ともなったあの戦いだ

その時に比べて、勇者部のみんなも精神的・戦力的に飛躍的に強くなっているだろう

精霊がかなりの数いた園子は、

その分、そして、二年前からの経験というのもあって比較的能力は上だが

しかし、それでも勇者部全員の頂点に立てるのかと言えば、それは微妙なところだと園子は思う

それぞれに強みがある

園子は万能だが、一転特化させた部分を超えられるとは思わない

真面目に考えて、そう思う

園子「それはそれ。これはこれ」

にやりと言った園子は、小さな笑みを零して息をつく

園子「天さんのことは精霊のみんなが見てるから、誰もいないからって無理は禁物だからね?」

天乃「解ってる。そもそも、こんな体じゃ出歩こうにも出歩けないわ」

せめて足が動けば話は別なのだが、無いものねだりをしても意味はない

天乃「だから、無事に帰って来て頂戴。お腹の子供に悪いから」

園子「うん、約束〜」

天乃のお腹を優しく撫でて、園子はにこやかに答えた
847 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/04(水) 23:32:34.79 ID:xXq0rsh4o

√ 11月07日目 昼(病院) ※日曜日

01〜10 風
11〜20 
21〜30 球子
31〜40 
41〜50 千景
51〜60 
61〜70 夏凜
71〜80 
81〜90 若葉
91〜00 九尾

↓1のコンマ 
848 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/04(水) 23:33:42.47 ID:UnFWpdusO
849 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/05(木) 00:03:35.64 ID:nSlCozoXo

√ 11月07日目 昼(病院) ※日曜日


千景「難しいことを言ったわね」

天乃「千景……」

千景「確かに、上手くいけば得られるものは多いけれど……だからこそリスクもあるのに」

園子たちが、明日の為の最後のリハビリへと向かったのを見計らってか姿を現した千景は

少し厳しく言いつつも、強く言うつもりはないのだろう

語尾にため息一つ付け加える

千景「でも、よくそんなことを考えたとは、思うわ」

天乃「貴女達は誰も考えなかったの?」

千景「久遠さんの体に神樹様の力を加えるのはリスクが高いわ。分かるでしょ?」

天乃「…………」

千景「寿命が近いというのもあって私達の誰もまずリスクを背負わせるという考えは持たなかった」

ある意味では先入観にも似たようなものだ

それをしてしまったら天乃は助からないと、勝手に考えて怯えて竦んでしまう

千景「なんのリスクもない休載。そんなことがあり得るはずもないのに」

天乃「……みんなを残したいって願ったことに言いたいことがあるの?」

千景「任せると言ったのは私よ。貴女がどんな決定を下そうとそれを否定する気はない」

どんな答えであろうと受け入れる。それが委ねた者が背負う義務。と、

千景は答えて、窓際に腰かける

千景「ただ欲を言えば、自分の命がかかってるならそれこそささっと斬り捨てる思い切りの良さも欲しかったわ」
850 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/05(木) 00:20:05.96 ID:nSlCozoXo

そうできない優しさも貴女の良さではあるけれど。

そう続けた千景は思い浮かんだ何かを払うように眼を閉じくすりと笑う

千景「乃木さん……園子が言っていたけれど、私達はここに残るから安心して良いわ」

天乃「大赦からの干渉に警戒するためよね。でも、みんなは樹海に出るんでしょう? 大丈夫なの?」

勇者部の力を信用していないわけではないが、

それ以上に心配にはなってしまうし、

バーテックスだって神の産物のようなものなのだ

今までの比にならないようなことをしてきてもおかしくはない

千景「戦力的には問題ないと思うわ。それに、万が一何かあっても防人と敵対行動を続けるような愚かな人はいないわ。私と違ってね」

天乃「自虐に使わないの」

千景「普通に思い出してもあれには苛立ちを禁じ得ないのよ。だから、笑い話にしておきたいわ」

笑顔を見せつつも真剣な語り口調を使う千景は、

それは別にいいから。と、自分のことをどこかへと放り投げる

千景「残る一番の理由は九尾よ」

天乃「なにかあったの?」

千景「何もない。けど、何かするかもしれない」

天乃を危険に晒すことになる種の強奪あるいは説得を行う勇者部に対してか、

または、それによって天乃の周囲に誰も居なくなったとことで接触を図ろうとする何かに対してか。

今回の一件に同行することはないらしい九尾が何をするか分からないというのも、

ここに精霊組が残る理由の一つでもあるのだ
851 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/05(木) 00:23:20.56 ID:nSlCozoXo

では、途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から



「そしてもう一つは、貴女も精霊組で美味しくいただくためよ」

千景「変なこと言わないで、乃木さん」

園子「違うの〜? きもちいいよ〜?」

千景「…………」

千景「……あぁ、園子だったわ」

若葉「聞き捨てならないんだが?」
852 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/05(木) 00:30:19.89 ID:gx0ab4YYO

ここで前作の九尾みたいな神隠しをしでかしたら洒落にならないからなぁ…
あと作戦当日は勇者部視点になるのだろうか
853 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/05(木) 00:30:31.38 ID:FYjUGg4DO

若葉はなんだかんだ言って嫁だからしゃーない
残ることになったし若葉も結婚式参加すんのかな
854 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/05(木) 23:25:10.24 ID:nSlCozoXo

では少しだけ
855 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/06(金) 00:00:54.23 ID:h5R10QM8o

天乃「体を気遣っている分、九尾も手段は選ばないのかしらね」

千景の言うことをうのみにするわけではないし、

九尾のことを完全に疑うわけでもないが、

九尾は妖怪の一種であり、温厚である面があれば冷酷な面がある

初めて出会ったときからその両面を併せ持っていた九尾

大切に思うであろう天乃の体の事ともなれば、

手段も結果も何も考えずただ障害を排除し続けることもあるだろう

天乃「あまり、危ないことはしてほしくないんだけど……」

千景「人に対して? それとも、九尾自身?」

天乃「両方よ。片方が無事なら良いってわけではないわ」

千景「そう言うと思ってたわ」

だからこそ、精霊組全員で残るのだ

九尾を止めるためというのもあるし、大赦を止めるためでもある

本来ならば、天乃側の人間として、

大赦側の人間のみを排除するだけでいいのだが。

千景「……私も甘くなったわね」

天乃「貴女は元々、けして悪い子ではないでしょう?」

天乃の考えをすんなりと受け入れている自分に対して、

思わずつぶやいたことに返された千景は、

少し驚いた反応を見せて、首を振る

千景「そうでもないわ。甘ければもう少し、頑張れたはずよ」
856 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/06(金) 00:20:48.45 ID:h5R10QM8o

今更後悔する気はないし、

ぐちぐちと考えても仕方がないことだ

自分の過ちを笑い話として作り替えてしまうほどには、

もう離れていると千景自身も思う

だが、忘れるつもりも千景はない

その過ちがあるからこそ、自分がいるのだから

千景「…………」

小さく、息を吐く

背中の触れた窓が僅かに軋む

千景「……少しだけ、私は期待していたのかもしれないわ」

天乃「なにに?」

千景「貴女が、それでも精霊の存続を選ぶこと」

何も言わない、任せる

そうは言ったものの、やはり千景は口にする

千景「高嶋さん達が守った世界……あやふやなままでいなくなるのが気が引けるから」

バーテックスを完全に倒しきれていない以上、不安は残る

それは天乃がいても居なくても変わらないことだ



1、本当は勇者部に毒されたんでしょう……嬉しそうだもの
2、そうね……絶対に去らなくちゃいけないとしても、せめて救うまでは残りたいわよね
3、なら、全部終わった後に高嶋さんの守った世界をもっと見て回りましょうか
4、ほんとう……良い顔をするようになったわね



↓2
857 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/06(金) 00:21:52.84 ID:SoydrYdXO
4
858 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/06(金) 00:28:25.38 ID:SoydrYdXO
4
859 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/06(金) 00:53:30.97 ID:h5R10QM8o

では短いですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
860 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/06(金) 05:51:24.59 ID:QwnV0OftO

西暦勇者の中では千景が一番成長してるよな
861 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/06(金) 08:11:56.56 ID:uKoRyG6KO

もしも西暦勇者たちを還してたらどうなってたんだろう
862 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/06(金) 10:08:49.82 ID:vlC6qFWtO

精霊組って今何人いるっけ?
863 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/06(金) 13:54:08.71 ID:UoKpqRMXO
>>862
完全精霊状態のやつは出てこないから記憶から消えかけてるけどたしか沙織含めて7人+火明命(名前のみ登場)の8だったような気がする
864 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/06(金) 23:42:34.29 ID:3YYEI6YCO
休載?
865 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 01:51:47.28 ID:DEW86EjrO
最近忙しそうだししゃーない
866 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/07(土) 22:59:15.30 ID:ZxKSSi7oo

では、遅くなりましたが、少しだけ
867 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 23:01:06.86 ID:KrCRZjtFO
やったぜ
868 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/07(土) 23:29:24.11 ID:ZxKSSi7oo

天乃「……本当、良い顔をするようになったわね」

千景「…………」

満足げに、

そして感慨深く言う天乃へと目を向けた千景は、

ゆっくりと瞬きすると、笑みを浮かべる

天乃に対して……というよりは、

その言葉に対しての答えのような無声の表情

千景「そうさせたのは、貴女達だわ」

否定しない、意味はない

自分があの頃と比べて大幅に変わったのは事実

今もできるものがあればゲームに触れることもあるが、

他人との関わりを絶とうという考えはないし、周りを見ることも多くなった

それは間違いなく勇者部と天乃のせいであり、おかげだ

千景「嫌でも一人にはならない。必ず誰かがいる……そうなると、心にも余裕があるから」

天乃「……そうね」

千景「それでも、余裕が無くなる人もいるのだけど」
869 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/07(土) 23:39:35.53 ID:ZxKSSi7oo

皮肉を呟く千景は天乃を横目に一瞥する

なにかあったの。という問いには答えず苦笑して

千景「最近は良く打ち明けるようになってくれたからよかったわ」

天乃「私?」

千景「さぁ、どうかしら」

茶化して、笑う

明日に迫っていること、

この世界に迫っていること

けして、余裕があるわけではないのだが、

それでも笑うくらいのことは出来る今の自分を確認して、

千景は首だけを動かして、窓に映る自分を見る

笑っている。本当に良い笑顔を見せている

あの頃、周りが見せてくれていた中に溶け込んでも違和感のない姿

千景「……前に」

天乃「うん?」

千景「一昨日くらいに寂しさもあると答えたけれど」

でも。

千景「それは西暦時代のことを考えればの話。この時代に関しては、十分満足しているわ」
870 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/08(日) 00:12:51.09 ID:14gnzFEto

別に聞かれなかったから言わなかったことだけど。

そう後付けするように続けた千景は窓縁に預けていた体をぐっと起こしてスカートを叩く

あんまり長居していると、必要のないことまで言ってしまいそうで。

それは友奈達のような恋愛的なものではないけれど、

友人的な関係にしては、少しばかり親密が過ぎているような気がして。

千景「……だから、久遠さん」

それでもこれだけはと、千景は口を開く

千景「貴女には、貴女達には感謝しているわ……ありがとう」

天乃「私も感謝しているわ。ありがとね、千景」

千景「っ……」

お礼を言われ慣れていないのか

言うこと自体が恥ずかしかったのか、

千景は顔を仄かに赤く染め上げていくと、

首を横に振って天乃に背を向け――そのまま姿を消す

天乃「……照れるようなことじゃ、ないんだけどね」

その微笑ましさに笑みを浮かべた天乃は、

天乃「明日も、晴れればいいんだけど」

千景がいた窓際へと目を向けて息を吐いた
871 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/08(日) 00:31:03.90 ID:14gnzFEto

√ 11月07日目 夕(病院) ※日曜日

01〜10 九尾
11〜20 
21〜30 風
31〜40 
41〜50 若葉
51〜60 
61〜70 球子
71〜80 
81〜90 夏凜
91〜00

↓1のコンマ 
872 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/08(日) 00:34:44.24 ID:L7Bblc5UO
873 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/08(日) 00:50:35.98 ID:14gnzFEto

ではここまでとさせて頂きます
明日は出来れば17時までには


風「……アタシか」

夏凜「…………」

夏凜「……風」

風「ん? どしたー?」

夏凜「いや……なんでもないわ。忘れて」

風「変な夏凜。じゃ、ちょっくらフラグ立ててくるかね!」グッ

千景「犬吠埼さん。今は貴女が戻らないフラグが立ってるわよ」

風「!?」
874 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/08(日) 00:54:54.84 ID:kHPCMysqO

進行によっては千景も恋に落ちそう
875 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/08(日) 01:00:16.84 ID:L7Bblc5UO

一応キスしてなかったっけ?千景
876 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/08(日) 20:01:12.93 ID:14gnzFEto

遅くなりましたが、少しだけ
877 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/08(日) 20:04:28.62 ID:jpNl/r3BO
よしきた
878 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/08(日) 20:32:12.97 ID:14gnzFEto

√ 11月07日目 夕(病院) ※日曜日


夕方……と、言っても

もうすでにだいぶ日が落ちてしまっている時間

読みかけの本を閉じた天乃は、ふと息を吐いて来訪者の名前を呼ぶ

天乃「……どうかしたの? 風」

風「足音? 気配?」

天乃「匂い」

風「なんですと!?」

襟首を軽く引っ張って確かめつつ、

風は一歩後退りして左手で軽く自分を仰ぐ

鍛錬をしてきたわけではないし、夏場でもない

それでも防ぎきれないものもあるのかと、少し不安になって。

天乃の小さな笑い声が聞こえた

天乃「ふふふっ、ごめんね。冗談、冗談よ」

風「そーいう冗談はキツイからやめてよね。来年から高校生だから色々変わるだろうし」

天乃「別に悪い方の匂いとは言ってないのに。ただ、窓に映ったのが見えただけよ」

風「なら良いけど……」

冗談と言われてももう一度確かめて、一息つく

風「気配で感じ取るのは、やっぱり難しいのね」
879 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/08(日) 20:58:27.84 ID:14gnzFEto

風「これを機に普通の母親になっちゃえば?」

天乃「樹ね?」

風「直接的に聞いたわけじゃないわよ? ただ、そう言う世界になったらいいねって言うもんだから」

ちょっぴり呆れたように

それでも嬉しそうに

風は苦笑いを浮かべながら軽く腕を組む

風「何か言われたってことくらいは分かるもんよ。これでも姉ですから」

天乃「私だって、似たような考えているわけだけどね……貴女達も普通の額k制に戻れないのかなって」

風「全部終わるか、光景が見つかるまでは無理だと思うわよ」

まぁ……と、

少し考えながら呟いた風は思いついたように笑みを浮かべる

風「テレビアニメの魔法少女的な感じで中学生まで。とか限定でもされてくれれば解放されるかもしれないけど」

天乃「あるいは母親になれば、ね」

風達とは状況が違うため一概には言えないが

天乃は母親になったことで力が使えなくなっていっている

ゆえにその可能性もないとは言い切れなかった

天乃「貴女も母親になってみる?」

風「天乃の子供なら産んであげても良いわよ〜?」
880 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/08(日) 21:40:48.72 ID:14gnzFEto

天乃「何言ってるのよ」

風「それは天乃でしょ。生えてるわけでもあるまいし」

天乃「生えてるって……」

風「じゃなきゃ天乃以外の誰かとやらなきゃいけないでしょ? それは中々ねぇ」

天乃がそれを……もちろん

天乃自身が望んで行ったことであり、

それを酷く言うつもりこそないが

しかし、出来得る限り避ける事であると風は思う

風「東郷が同性で云々とか凄いこと考えてはいるけど、そんなの今すぐ出来るわけじゃない」

だったら、今は全員が生き延びることを第一に

戦っていくべきだろう

風「なら、バーテックスとの戦いをどうやったら終わらせられるのかを考えるべきでしょ」

天乃「でしょうね。私は意外に強欲だから……ほかの人に貴女達をとられたら暴走しちゃうかもしれないし」

以前の天乃ならば、

それが風達の考え導き出した答えなら受け入れるという答えになるのだが……

その違いもまた、子供が出来たことに関係しているのかもしれない


1、楠さん達のこともちゃんと守ってあげてね?
2、もしも私が男の子だったら私と付き合ってた?
3、風は上手くいくと思ってる? 今回の作戦
4、それじゃ、風はどうすればバーテックスとの戦いが終わると思う?


↓2
881 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/08(日) 21:43:46.00 ID:dfM7RH1m0
1
882 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/08(日) 21:44:33.41 ID:jpNl/r3BO
4
883 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/08(日) 22:34:45.20 ID:14gnzFEto

天乃「さて、ここから真面目な話ね」

風「ん?」

天乃「貴女はどうしたらバーテックスとの戦いが終わると思う?」

風「また難しい話を持ってくるわねぇ……」

切り替わっていく空気に合わせるように息ついた風は、

天乃に背を向ける形でベッドに軽く腰かける

バーテックスとの戦いを終わらせる方法

そんな大赦が、自分たちが。

願って止まないそれを簡単に導き出せるのかどうか

風はそれを考え、首を振る

風「向かってくるバーテックスを打ち払うくらいしか考えつかないわ」

天乃「降りかかる火の粉を払うだけでは火が消えることはない……雨乞いをするのなら話は別だけれど」

風「雨乞い……雨乞いねぇ……」

バーテックスを生み出す親玉とされている天の神

それを淘汰することなど到底不可能な話だ

ましてや、何かしらの軌跡が起こる事だけを祈るなど無意味に等しい

行動しなければ何一つ変わることはない

風「今考えられてる対策は大赦のあれでしょ? 奇跡を起こすに足り得ると天乃は思う?」

天乃「それを判断できるのは、種を正しく扱えてからになるわね。それに対し相手がどう出てくるのか」

無視をするのなら脅威ではないだろうし、そこから不意を突くことができるようになる可能性も出てくる

それを無視することなく追い詰めてこようとするのであれば、

向こうにとって、目に余るなにかだということになる

それが打開策につながると言い切れるわけではないが……

天乃「それも今回の私達の行動で水の泡になるから、一応それ以外のお方法を考えなければいけないわ」
884 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/08(日) 23:00:54.90 ID:14gnzFEto

風「……撃退し続ける以外なら、攻勢に出る以外ないわ」

撃退し続けるということは、神樹様の結界の中に引きこもって

向かってくる敵だけを相手にしていくということであり、

神樹様の寿命もつきかけている今、それは得策ではない

むしろ愚策と言えるだろう

ならば、反対に戦いに出ていくしかないだろう

かといって、無策で戦いに行くのも愚の骨頂というものだ

風「天乃はその辺り、何かいい作戦でもないの?」

天乃「人間様の魂ってやつを見せつけてやるとか?」

風「なにそれ」

天乃「例え天の神であろうと、ただでは済まないぞってことを見せつけてあげる的な?」

もちろん本気で言っているわけではないけれど

一つの策としては完全に捨てきれることではない

神とて、下手に火傷しようという考えは持たないはずだ

しかし、それも簡単なことではない

天乃「正直に言うとね、神を退ける一手なんて、どう打てばいいのかさっぱり分からないのよ」

風「人間の魂って言うけど、それだって全力で戦えばいいってだけなら先代が成し遂げてくれてるからね」

天乃「……ええ」

風「どう転んでも一筋縄ではいかないか」

天乃「転んだら絡まっちゃうから」

風「そう言う話じゃない」
885 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/08(日) 23:04:35.35 ID:14gnzFEto

では、途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
諸事情で遅れたり休載もありますが、出来る限り三日に一回のお休みに抑えていく予定です



風「打開策……あっ」

天乃「なにかいい方法でもあった?」

風「ふふっ、聞いて驚かないでよ?」

風「天乃のハーレムの一員に加えちゃえばいいのよ! その神様ってやつを!」

天乃「うん、それは無理ね。却下で」

風「……ですよねー」
886 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/08(日) 23:28:57.63 ID:jpNl/r3BO

やっぱりここ最近は忙しいようで…無理はなさらずに
あと本編は現状だと久遠さんの復活が大前提になりそうだな
887 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/09(月) 00:44:10.62 ID:CTQgViM7O

ハーレムっていうか久遠さんが神樹様に嫁入りするみたいなバッドエンドのショートショートは読んでみたい
888 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/09(月) 23:45:50.59 ID:kHWAmZNbo

遅くなりましたが、少しだけ
889 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/09(月) 23:50:52.07 ID:kaAW5AlFO
あいよ
890 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/10(火) 00:16:50.49 ID:qExl7XY0o

風「……なんにせよ。アタシ達の作戦行動は外に出てからになる。そこでバーテックスがどう出てくるかによるわね」

壁の外の状況は刻一刻と変化しており、

あまり良くはない状況であるという話は聞いている

大赦による作戦行動の影響と、風達の作戦行動による影響

それらが神々にとって、【人間の業】となるのであれば

事態は確実に推移することだろう

それが悪いことなのか、良いことなのか

それは起こってからでなければ分からない

天乃「推測は出来ても断定はできない、ましてや人とは違う思考をするのなら――」

風「推測は下手な考えに陥るだけって可能性も出てきちゃうか」

天乃「そもそも、中学生程度の頭で考えたところでどうなのという話でもあるけどね」

つんつんと自分の指で頭を突いた天乃は苦笑いを浮かべると、

ため息混じりに口を開く

天乃「大赦だってある程度のことは考えているはずだわ」

風「…………」

天乃「それも結局、あるいは所詮人の導き出したものであるけれど、私達よりは多くを考えていると思う。というより、そう信じたい」

大人である以上、ある程度の思考的な縛りがあるのは仕方がないことだけれど

個人個人のことを考慮しつつも、小を持って大を生かそうというある意味では合理的な考え方をしてくれている

それは、犠牲になる存在を除けば非常に有効的な生きるための戦略と言えるだろう

いつかは滅びることにつながるのかもしれない、破綻するのかもしれない

だが現状を維持すること、生き長らえることにおいては効力があるともいえる

天乃「私達はその大人たちの考えを、阻むのよ」
891 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/10(火) 00:27:56.75 ID:qExl7XY0o

勇者部の皆が軽視しているとは言わないし

もちろん、そのことに関してもしっかり考えたうえでの行いであることも天乃は信じている

それrでも天乃は改めて、今回の作戦の重大さを告げる

それは、天乃の命がかかっているかどうかという小規模の話ではなく、

世界の存亡と、大人の考えた現実的な生存戦略を挫くという大規模な話なのだと。

天乃「私は別に自分の命を軽く見るつもりはないわ。だけどね、それでも天秤は傾くわ」

風「個人的な考えを置いておけば、ね」

天乃「ええ。私達は私達の身勝手な我儘で大人の希望を絶ち、世界の生命線を断つ」

風「……十分、理解してることよ」

天乃が続けて口を開くよりも先に答えた風は、

皆がいるであろう方向へと目を向けて、また天乃に戻す

風「今度は、自分たちからその責任を背負う」

天乃「…………」

まだあいまいだった、なし崩し的なものだった

はっきりとそうだと認識してのものではなかった

だが、これからはもうそんな軽んじた姿勢ではいられない

風「アタシ達が、この世界を救うんだってしっかりね」
892 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/10(火) 00:52:44.52 ID:qExl7XY0o

天乃「……解ってるとは思うけど」

風「ん。死ぬほど無茶はしないわよ」

死ぬ気で無茶はするかもしれないが。

当たり前の話ではあるけれど、死ぬ気は毛頭ない

風「はぁ……なんかこう、肩こるわねぇ」

天乃「老けたわね」

風「真面目な話続きだから」

語気を強めて訂正を促した風は、

同年代の癖に。と、少し呆れたようにぼやいて、

伏し目がちに天乃を一瞥する

母親になった天乃と、なってはいない自分

同年代ではあるものの、年期は違って見えた

風「母親、ねぇ」

天乃「うん?」

風「……いや、せめて結婚式に招待されるべきだろうなぁってね」

成人した後、いつになるかは分からないが

天乃の子供にもそう言う時がきっと訪れる事だろう

その時に、母親の席が空席であるべきではない

風「世界を守るつもりではあるけど、大前提は天乃の生存だから。そのあたりは譲れないわよ」

早くに両親を失ってしまったからこそ、

親を失ってしまった子供の悲しさを、苦しさを、辛さを

風は痛いほどに理解しているから

風「天乃は生きるのよ。絶対にね」

改めて、そう言った
893 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/10(火) 00:53:50.07 ID:qExl7XY0o

√ 11月07日目 夜(病院) ※日曜日

01〜10 九尾
11〜20 
21〜30 樹
31〜40 
41〜50 球子
51〜60  沙織
61〜70 夏凜
71〜80 
81〜90 若葉
91〜00

↓1のコンマ 
894 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/10(火) 00:55:07.14 ID:GYIdlD/NO
895 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/10(火) 01:11:54.60 ID:qExl7XY0o

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


風「そう、何があってもあんたは生きないとダメ」

風「子供を残して母親が死ぬなんてのはアタシが絶対に許さない」

風「それは」

風「それだけは、何が何でも阻止して見せる」
896 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/10(火) 01:17:54.03 ID:GYIdlD/NO

風の決意かっこいいな
897 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/10(火) 06:21:28.69 ID:0XNpB2OsO

風先輩だからこそのこの凄い説得力よ
お互いに無事生き延びてほしいな
898 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/10(火) 23:55:34.65 ID:qExl7XY0o
遅くなりましたが、少しだけ
899 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/11(水) 00:01:28.00 ID:pTeio+goo

√ 11月07日目 夜(病院) ※日曜日


天乃「……はぁ」

友奈が来たときもそうだったが、

寝苦しさゆえに目を閉じても一向に眠ることが出来そうにない天乃は、

下半身が動かないもどかしさにやや苛立ちを覚えながら、

傾く程度の寝返りを打って、背中の方に新鮮な空気を送る

少しばかりひんやりとした空気

カーテンを突き抜けて感じる仄かな月明かり

何となく耳を澄ましてみても

周りから話し声が聞こえたりする様子はない

明日に備えて早く寝よう。

夕食を終えた後に風がそう言ったとき

誰も反対しなかったし、頷いていたのだ

もう、眠ってしまったのかもしれない

天乃「…………」

自分勝手に眠らないわけではないが

けれど、みんなを起こすのはと躊躇う
900 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/11(水) 00:13:27.19 ID:pTeio+goo

天乃「…………」

妊娠してるとは言っても、

下半身が自由に動かすことができるのであれば、

ほんの少し風にあたってくるだとか、水を飲むだとか

そう言ったことが普通に出来るのだが……

それも出来ないからこそ、苛立ってしまう

迷惑を極力かけたくないと思っても、迷惑をかけることになってしまう

天乃「っ……」

明日、みんなは大事なことがあるのだ

それも、天乃の為に世界に喧嘩を売るような大きなこと

なのに、

寝付けないというだけで眠りを妨げていいのだろうか

精霊のみんなならば答えてくれるだろうけれど、

それが結局、だれかを起こしてしまうのではないかと不安になる

天乃「……なんか、駄目ね」

悪い考え、嫌な方向での考えになってしまうのは、

一人きりの思考だからというだけではないだろう
901 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/11(水) 00:26:58.92 ID:pTeio+goo

天乃「……寝ないと体にも悪いのだけど」

ごろん。っと

寝返りの一つでも打てれば少しは楽になれるのかもしれないけれど

そうするわけにもいかなくて。

天乃は一息つくと、

天井へと手を伸ばして、見つめる

少しやつれたようにも見えてしまう細くて小さな手

元々大きくはなかったが、鍛錬が出来なくなったこと

車椅子での移動も殆どできなくなってしまったこと

力が抜けてしまっていることなどによって

すっかり子供になってしまったのだ

握力を付けるための道具ですら、ろくに握れないのだからより酷いのかも知っれない

天乃「…………」

樹には戦うと言ったものの、

実際に戦場に出て戦えるのかどうかは、非常に怪しかった



1、精霊組
2、夏凜に声をかけてみる  ※隣限定
3、イベント判定
4、ハンドグリップでも使う


↓2
902 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/11(水) 00:28:26.33 ID:CIi3RdXO0
1
903 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/11(水) 00:28:51.98 ID:w+wavUPpO
1
904 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/11(水) 00:38:22.58 ID:pTeio+goo

1、沙織
2、九尾
3、千景
4、若葉
5、球子
6、歌野
7、水都

↓2
905 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/11(水) 00:40:55.92 ID:m1x+w/1aO
2
906 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/11(水) 00:41:35.25 ID:CIi3RdXO0
5
907 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/11(水) 00:48:37.21 ID:pTeio+goo

では、ここまでとさせて頂きます
明日もできるかぎり、通常時間から

あまりにも遅くなりそうな場合は、休載となります
908 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/11(水) 00:54:01.78 ID:ic6jLtpoO

もし戦うにしても子供を産んだ後のリハビリ間に合うかな…
909 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/11(水) 08:02:14.41 ID:dUkHE96bO

そういえばみんなの端末の仕様はアニメ一期の時のまま?
910 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/11(水) 14:20:41.27 ID:v5zyy8zUO

まあ休み休みやってください
911 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/12(木) 23:03:36.59 ID:lqXdNtjTo

では、少しだけ
912 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/12(木) 23:06:15.21 ID:f35ZOW8RO
よしきた
913 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/12(木) 23:11:37.34 ID:lqXdNtjTo

天乃「…………」

呼ぶかどうか迷った天乃はふと息を吐いて、目を瞑る

あんな話をして、結局その願いを聞き入れることはなかった

恨むだろうか、怒っているだろうか

それとも、もっと別の感情があるのだろうか。

そんなことを考えながら、目を開く

天乃「……球子」

静かに名前を呼んで、数舜

天乃「まだ起きているなら、出てきてもらえないかしら」

自分の我儘だから気にするな。

球子はそう言ってくれていたが、

それでも、思うところはあったはずで

呼ばれたからと出ていくか。そんな反応さえ身構える天乃の前に、彼女は姿を見せた

球子「…………」

天乃「…………」

球子「…………」

気まずそうに、口をつぐんで

ちらりと互いに目を向けてはいても中々前には進めなくて

暫くして、球子が口を開いた
914 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/12(木) 23:52:20.55 ID:lqXdNtjTo

球子「あー……その、なんだ。タマは別に気にしてないぞ」

天乃「…………」

球子「言ったろ、我儘だって」

困った様子で

何もないと微笑みながら、球子は言う

本心と嘘の入り乱れた表情は

全く気にせずにいられているわけではないのだと、

そう、言っているのが分かるもので

天乃は少し口を開き、逡巡して、閉じる

球子も気遣って言ってくれているのだ

それを下手に崩していいのかどうか、躊躇うのだ

天乃「……ええ、貴女は我儘だって言ってくれたわね」

球子「そうだ。だから」

天乃「球子……」

自分一人の感情のこもった願い

それに強く左右されやすい性格であると知っているから

もちろん、それ以外にも理由はあるのかもしれないが、

殆どは、それがあるからこその、付け足したような一言だったはずで。
915 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/13(金) 00:21:27.63 ID:PGzX7y0bo

天乃「今回は、私の我儘だわ」

球子「だから、なんでも言っていいって言うのか?」

天乃「言いたいことがあるなら」

球子「…………」

止める理由はないし、

むしろ聞く責任が自分にはあると天乃は思う

あれだけの想いを語られてなお、自分の我儘を貫いたのだから

球子がそう言う性格ではないことは承知の上だが

たとえ罵倒されるのだとしても、聞かなければならないのだと。

球子「それなら、朝に呼んで欲しかったぞ。こんな時間じゃ大声も出せない」

天乃「それは……そう、ね……ごめんなさい、気が回らなかったわ」

球子「って言っても、明日のこともあってか天乃も忙しかったからな。仕方ないけどな」

天乃自身がどうこうすることはなくても

周りから近づいてくることはあったのだから、仕方がない

そういう球子は笑顔だった

球子「なぁ、天乃は悪いと思ってるのか? 我儘を突き通して」


1、悪いとは思ってないわ。でも、選んだ責任があるから貴女の気持ちを聞いておきたいの
2、ええ。貴方の願いを聞かなかったんだもの。悪いと思っているわ


↓2
916 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/13(金) 00:23:03.23 ID:bL7K1mTp0
1
917 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/13(金) 00:24:03.54 ID:yCHxskHmO
2
918 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/13(金) 00:26:03.99 ID:S1IBhSO4O
1
919 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/13(金) 00:35:26.65 ID:PGzX7y0bo

では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


自分の判断に対して罪悪感を抱いているのか、いないのか
それにたいしての球子の反応。
920 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/13(金) 00:43:49.61 ID:S1IBhSO4O

久遠さん責任感強いからなあ
921 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/13(金) 00:44:15.94 ID:ui1pUD1mO

ただでさえ久遠さんは我が儘を言いたがらないからなぁ
922 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/13(金) 22:49:03.62 ID:PGzX7y0bo

では少しだけ
923 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/13(金) 22:52:26.21 ID:e5dOloXSO
かもーん
924 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/13(金) 23:06:25.92 ID:PGzX7y0bo

天乃は球子と視線を交わらせると、軽く頷く。

肯定だ

天乃「ええ、貴女の願いを聞かなかったんだもの。悪いと思っているわ」

むしろ、天乃からしてみれば悪いと思わない方がおかしかった

願いを聞いておきながら、踏みにじった

たとえ自分の我儘だから気にするなと言われていても

自分の好きなように決めていいのだと言われていても

それでも、無慈悲に押しのけたようなものなのだから。

球子「……タマは、あんまり難しい話は得意じゃないって、知ってるよな」

天乃「それは……頷いても良いことなの?」

球子「んー、まぁ、自覚はしてるからな」

聞き返されると思っていなかったのだろう

球子は真面目な面持ちを崩して苦笑いを見せると、

頭を軽くかいて、息を吐く

球子「だから、タマなりに考えてのことだから。天乃の答えも欲しい。いいか?」

天乃「ええ」

なら、聞くぞ。

あえてそう前置きをした球子の瞳は天乃を見る。

真っ直ぐ、自分なりに真偽を確かめようとしているような

見定める視線だった

球子「タマに悪いって思ってるってことは、その、なんだ……後悔、してるのか?」
925 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/13(金) 23:15:52.22 ID:PGzX7y0bo

天乃「え?」

球子「だってそうだろ? やったことを悪いって思うのは後悔してるってことじゃないのか?」

天乃「それは……」

難しく考えるのは苦手、だからこそ単純な考え方をする

それはある意味では、難しく考える人よりも最も答えに近いことだって導き出せるということでもある

急がば回れとは言うが、常に迂回しろというわけではないのだから。

球子「だったら、タマ達は嫌だぞ」

天乃「…………」

球子「確かに、言いたいこと言いもしたけど、でも、みんな、天乃にどうするか決めて欲しいって丸投げしたんだ」

ここに来てからのことや、以前の自分たちのこと

その環境における違いと、それに対する自分たちの思い

それらを語ることで、多少なりと天乃の選択に影響を与えはしたかもしれないが

最終的な決定権は天乃に委ねた

つまり、その選択の責任のすべてを押し付けたようなものなのだ

球子「それは……いや、その、聞かれたからって正直に全部打ち明けたことが関係してるんだろうなーって言うのは分かるぞ」

でも。と、一瞬大きくなりかけた声に気づいた球子は踏みとどまって体をのけぞらせると、

首を横に振って、改めて口を開く

球子「それは、天乃に後悔してほしくなかったからだ」
926 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/13(金) 23:25:33.77 ID:PGzX7y0bo

球子「タマ達の考えを知らないまま決めてたらきっと後悔する。そう思った。そう言われた」

俯きがちに零した球子は、

天乃を見ていることに耐え切れなかったのか、

窓の方へと顔を逸らす

まだ泣いてはいない、けれど、悲しさを含んだ表情だと

天乃は感じた

球子「考えも、思いも、悩みと変わらない。口にしなければただのブラックボックスでしかないんだからって」

天乃「……千景?」

球子「さぁなー」

飄々と嘯いた返事を返した球子の口元は柔らかく綻ぶ。

きっと、天乃の言った通りなのだろう

球子「天乃がそう言う責任とか人一倍大事にする奴だってのは分かるけど、でも、大事なことを決めたんなら、胸張ってこうしましたが何か? って感じの方がいい」

天乃「…………」

球子「天乃が楽しく、幸せに。そのためにタマ達は任せたんだからな。そうじゃなきゃタマ達も後悔するし、嫌だ」

天乃「なるほど……そういうことね」

難しいことはあんまり考えたくないし、良く分からない

だから、自分の言ってることはh間違っているかもしれないと思いながらも、言う

それは、自分の我儘を叶えて貰えなかった球子の、我儘だ

そう感じて、天乃は見えないほどのささやかな笑みを浮かべる
927 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/14(土) 00:07:05.98 ID:CNWdcmQQo

球子「責任だのなんだの、前にも似たようなこと言ってるやつがいたなー」

思い出したように笑い声をこぼした球子は、

不意に警戒するそぶりを見せ、声を潜める

誰のことを言ってるのかは、非常にわかりやすかった

球子「まぁ、無理にとは言わないぞ。その責任感の強さだって天乃のいいところだと思うし」

天乃「強すぎるのも考えもの……ね」

球子「…………」

天乃「…………」

千景「だけど、最終的にはそうしてよかったって、言ってもらえると助かるわね」

黙り込んでしまった二人、

その中間のような位置に姿を見せた千景は、

半ば呆れたような笑みを浮かべながら、言う

千景「いつまでも悔やまれていたんじゃ、明日叩きのめされる土居さんがいたたまれないわ」

球子「なっ、聞いてたのか!?」

千景「声が大きい」

球子「ぐぬぬぅ……」

千景に掴みかかろうとしたものの、

撥ね退けられた球子は悔しがって、姿を消す

千景「貴女が人一倍の責任を抱えてくれるから、周りが抱え込まずに済む。分担する大切さを教えてくれる。いい反面教師ね。久遠さん」
928 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/14(土) 00:21:33.65 ID:CNWdcmQQo

皮肉を言ったのだと。

そう告げるような笑みを浮かべた千景は軽く手を振って

千景「もう休みなさい。体に障るわ」

そう言って、球子を追うように姿をかき消す

皆の想いを委ねられ、

大切な選択権を委ねられ

そして、天乃はその意にそぐわないであろう選択をした

けれど。

それは、天乃がそう思っていただけなのかもしれない

確かに、最良の選択ではなく

本当に願っていたことではないのかもしれない

しかし、それもまた球子達にとっては悪いことではなくて

良かったと、言えることなのかもしれない

天乃「……私が、後悔をしなければ」

こうしておけばよかったと。

そんな後悔をしていては球子が言ったように、

委ねた球子たち自身まで後悔をすることになるのだから

天乃「…………」

ゆっくりと、目を瞑ると

漂うような微睡の中、身を委ねて落ちていく
929 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/14(土) 00:24:14.12 ID:CNWdcmQQo

では、ここまでとさせていただきます
明日も出来れば通常時間から

一日のまとめは再開時


若葉「解ってるな?」

球子「な、何のことでしょうか」

若葉「たーまーこーッ!」

球子「ひぃっ! 和ませるための軽口じゃんかーっ! うわーんっ、歌野〜っ!」

歌野「ソーリー、今手が離せないわ」フイッ

球子「裏切り者〜ッ!」
930 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/14(土) 00:29:16.66 ID:DYCmv+6mO

いよいよ決行日か
931 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/14(土) 03:49:39.59 ID:nfgVIKxGO

球子たち本当に優しいなぁ…
久遠さんはもちろん残す以上西暦勇者たちもちゃんと幸せにしないとな
932 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/15(日) 22:50:08.02 ID:Bzadrys6o

では少しだけ
933 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/15(日) 23:00:51.05 ID:Bzadrys6o


1日のまとめ

・   乃木園子:交流有(大赦について)
・   犬吠埼風:交流有(バーテックスとの戦い)
・   犬吠埼樹:交流無()
・   結城友奈:交流無()
・   東郷美森:交流無()
・   三好夏凜:交流無()
・   乃木若葉:交流無()
・   土居球子:交流有(罪悪感)
・   白鳥歌野:交流無()
・   藤森水都:交流無()
・     郡千景:交流有(良い顔をするようになったわね)
・ 伊集院沙織:交流無()
・      九尾:交流無()
・      神樹:交流無()


11月07日目 終了時点

乃木園子との絆  75(高い)
犬吠埼風との絆  101(かなり高い)
犬吠埼樹との絆  91(とても高い)
結城友奈との絆  110(かなり高い)
東郷美森との絆  120(かなり高い)
三好夏凜との絆  144(最高値)
乃木若葉との絆  96(かなり高い)
土居球子との絆  43(中々良い)
白鳥歌野との絆  42(中々良い)
藤森水都との絆  35(中々良い)
  郡千景との絆  44(中々良い)
   沙織との絆  120(かなり高い)
   九尾との絆  63(高い)
    神樹との絆   9(低い)
934 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/15(日) 23:22:58.83 ID:Bzadrys6o

√ 11月08日目 朝(病院) ※月曜日


夏凜「……………」

朝、天乃がベッドから起き上がるよりも早く夏凜達は準備を終えていた

大赦が行おうとしている作戦の内容の大体は把握しているが、

どの位置から、どの時間帯に行うかというのは、当日になるまで曖昧なのだ

それも、ただ考えが甘いわけではなく

外の世界が慌ただしくなってきているがゆえの影響

活性化した外の世界で場0-テックスが誕生しないとは言い切れず、

誕生し、対峙したならば少なからずの人的被害を覚悟しなければならないからだ

そこに慎重になるのは、

むざむざと死に追いやったことが天乃の耳に触れることを恐れている。というのも、

無い話ではないかもしれない

もちろん、そんなことなど関係なく慎重であるべきだとは思うが。

風「……準備は良い?」

夏凜「問題なし」

樹「うん」

東郷「問題ありません」

友奈「問題ない……ですけど、夏凜ちゃんは、良いの?」
935 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/15(日) 23:56:59.43 ID:Bzadrys6o

夏凜「何が?」

友奈「夏凜ちゃんだけ、あんまり久遠先輩とお話してないから」

東郷「そう言えば、今回の件に入ってから夏凜ちゃんはあまり久遠先輩と二人きりになってないわね」

夏凜「最初に話したのは私だし、全員で話し合ったんだからその必要もないでしょ」

友奈「それはそうかもしれないけど……」

夏凜のすぐ横、

天乃の姿を覆い隠しているカーテンの方へとちらりと目を向けた友奈は、

夏凜のことを見つめなおす

だが、夏凜の表情は変わらなかった

話すことはないし、必要もない

そう思っていると言い現わす様子だった

夏凜「これでも緊張感は持ってるし、集中してんのよ。気を削がれたくないわ」

風「まぁ、下手なこと話してフラグ立てるのも問題よねぇ」

夏凜「フラグとかそう言うのは別にどうだっていいわよ」

そんなものは思い込みみたいなものだし、

その余計なことを考える気の緩みが隙を作ってるだけなんだから。と

夏凜は自論を述べて

夏凜「寝てるなら邪魔したくないし、起きてるなら起きてるで、行ってらっしゃい。とか見送ってくれるんだろうけど、あんま良い顔しそうないから」
936 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/16(月) 00:31:32.66 ID:c8AVQsW6o

薄く、切なげな笑みを浮かべて天乃の方を一瞥すると

夏凜は「さて」と、極力抑えた声をあげベッドから降りる

夏凜「もう一度確認しておくけど、最悪防人との戦闘もあるわ。行ける?」

樹「拘束は任せてください」

東郷「撃つのは得意だから」

風「血の気が多いわねアンタたち……」

ちょっぴり呆れたように言いながら、頷く

普段からそれならば問題はあるが、

こういう必要な時に割り切って行動してくれるのは

普通の女の子から離れてしまっているのかもしれないけれど、

頼りになると、風は思う

それも、天乃とかかわったからか勇者になったからか、両方か

風「……起きてるんだか、寝てるんだか」

カーテンの奥にいる天乃へと、

返事を求めてないない声をかけてみる


1、答える
2、答えない


↓2
937 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/16(月) 00:33:36.54 ID:yBlMzgBnO
1
938 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/16(月) 00:39:18.85 ID:OpGgH+EnO
1
939 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/16(月) 00:51:08.44 ID:c8AVQsW6o

では、ここまでとさせていただきます
明日はおそらく確実にお休みになって、明後日の再開になるかと思います
出来れば、来月からは通常運行の予定



夏凜(ま、どうせ起きてるんだろうけど)

夏凜(今のあんたを見ると、きっと早く帰らないとって焦りそうになる)

夏凜(遅くなればなるほど不安にさせるだろうから、早めに蹴りつける事には変わりないけど)

夏凜(友奈の説得で上手く終わってくれればいいんだけど……ま、無理な話か)
940 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/16(月) 01:00:09.58 ID:hw1VarX5O

ついにメブたちの一行と激突か…
ここは勇者部視点に切り替わるのかな
941 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/16(月) 01:07:28.77 ID:yBlMzgBnO

まあ気持ちよく送り出してくれればそれが一番だよな
942 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/17(火) 23:26:33.27 ID:PIfJPbiro

では、遅くなりましたが少しだけ
943 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/17(火) 23:28:48.13 ID:31V1QfmCO
あいよー
944 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/18(水) 00:03:13.84 ID:HkugcHdpo

天乃「…………」

夏凜達が準備をしている段階ですでに目を覚ましていた天乃は、

ゆっくりと瞬きをする

風の声はもちろん聞こえた

だが、夏凜のあの言葉を聞いた今、

確かにと頷ける部分もあって、迷う

そして――

天乃「起きてるわ」

しっかりと呼吸を整えてから、声を返す

手元のリモコンでベッドを動かして体を起こしたのと同時に、

風がカーテンを開く

風「やっぱり起きてたわね」

天乃「おばあちゃんの朝は早いのよ」

風「何言ってるんだか」

適当な冗談を呟き、笑う

普段明るい友奈も、そしておふざけに加担する東郷も、

間を取り持つことが増えてきたような樹も

皆が、真剣な面持ちで。

夏凜だけは、そっぽを向いたように目を向けなかった
945 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/18(水) 00:11:30.41 ID:HkugcHdpo

夏凜「なにもすることがないんだから寝てなさいよ」

天乃「することがなかったら、返事はしなかったかな」

夏凜「…………」

天乃「…………」

目を合わせようとしなかった夏凜は、

嫌味のような答えのあとに訪れた沈黙に流されるように、天乃へと目を向ける

何を言ってんのよ。と、言いたげな視線だと天乃は思って、にっこりとほほ笑むす

夏凜「何笑ってんのよ」

天乃「んー、嫌そうな顔してるなって」

夏凜「……起きてたなら、私が言ってたこと聞いてたはずなんだけど」

寝ているなら、寝させてあげたい

起きていたとしても、見送られても

その時の天乃はあまりいい表情していなさそうだから

その夏凜の言葉を思い返して、天乃は眉を顰める

天乃「ごめんね、聞いてなかった」

夏凜「聞いてたくせに」
946 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/18(水) 00:30:09.80 ID:HkugcHdpo

小言の言い合い、喧嘩しそうな雰囲気

だけれど、周りの誰も止めに入るような素振りを見せず

それどころか、肌に感じる【日常】を貴く感じているように瞼を下ろし、息を顰める

喧嘩しそうでも、空気はピリピリとしていない

緊張感なんてどこにもない、どこかに走り抜けていく風のように柔軟だった

守るべきもの、見守るべきもの

これからもずっと、日々の中で感じていたいこと

友奈達はそれを改めて感じ、

これから自分たちが行おうとしていることの重要さを心の内に宿し、

それでも、微笑む

夏凜「あんたほんと自分勝手だわ」

天乃「我儘を言ってほしいってお願いされたもの」

夏凜「それは頼る頼らないの話でしょ。あんたはもともと自分勝手って言う意味では我儘だったでしょうが」

天乃「えっ……う、うん」

夏凜「そのわざとらしい驚いた顔やめろ」




1、だって、今は夏凜がそんな感じだったんだもの
2、いいじゃない別にお見送りしたって。世間一般では行ってきますのキスだってする時代なのよ?
3、どうしたの夏凜ちゃん、そんな不機嫌そうな顔して。えっちする?
4、まぁ、ね。冗談はともかく、肩の力を抜いて行ってきなさい。初めから臨戦態勢なんて高校の面接でだって落とされるわよ
5、無理はしないでね。体じゃなく、心でも


↓2
947 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/18(水) 00:32:32.13 ID:vHkTxYoN0
5
948 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/18(水) 00:32:57.80 ID:Y4t8SxfBO
2
949 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/18(水) 00:33:21.54 ID:yBSRYkVgO
5
950 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/18(水) 00:42:06.41 ID:HkugcHdpo

では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から

真面目なことを言うか、悪ふざけで通すか


天乃「世間一般では行ってきますのキスだってする時代なのよ?」

風「……」チラッ

東郷「…………」ウズウズ

東郷「それは下の――」

友奈「ゆうしゃぁぁぁぁぁぁパーンチ!」トウゴンッ

東郷「そんな……っ、壁は壊してないのにっ!」

樹「東郷先輩の常識の壁に穴が開いてるんです」
951 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/18(水) 00:47:37.85 ID:yBSRYkVgO

もはや夏凜ちゃんはほぼ久遠さんの旦那扱いだな
そして久々のオマケの東郷さんの残念っぷりよ…w
952 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/18(水) 00:51:48.50 ID:Y4t8SxfBO

発想が斜め上すぎて笑う
953 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/18(水) 09:46:40.40 ID:t7l1g8ICO

行ってきますじゃなくてイってきますってことか
もしかして東郷さんは天才なのでは
954 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/18(水) 23:38:26.66 ID:HkugcHdpo

では、遅くなりましたが少しだけ
955 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/18(水) 23:39:11.48 ID:Gkq/uhC3O
よしきた
956 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/18(水) 23:56:14.98 ID:HkugcHdpo

天乃は少し考える素振りを見せると、夏凜に向けて小さな笑みを浮かべる

からかおうとしているのだと、夏凜はすぐにわかった

天乃「いいじゃない別にお見送りしたって。世間一般では行ってきますのキスだってする時代なのよ?」

夏凜「どこの一般常識だっての、東郷か」

東郷「 まさか私が破廉恥なのは遺伝だったの?」

風「あ、自覚はしてるんだ」

夏凜「はぁ……」

あきれ果てたため息を吐く夏凜の一方、

友奈と樹は顔を見合わせて、同情するように苦笑いを浮かべた

夏凜「それとこれとは話が別だし関係ないわよ。あんただって本気で全員にして見送ろうってわけでもないんでしょ?」

天乃「それでみんなの運気が上がるなら、やぶさかでもないわ」

お守りだとか、おまじないだとか

そこまで効能のあるものだとは思えないが

しかし、気分的には高揚感も得られることだろう

そうすれば、何かがあった時の一瞬の判断を的確に行えるかもしれない

東郷「ちなみに、その接吻はどこからどこまでなら見送りの範疇に収まりますか?」

天乃「えっ?」
957 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/19(木) 00:10:22.15 ID:FaeHOsjYo

東郷「特別気にするようなことではないかもしれませんが、しかし念のために線引きするべきだと思うんです」

数人いるということもあるが時間と密度、深さ……など

それは朝の挨拶ではなく、夜の方だろう。という異論も少なからず出てくる可能性はある

東郷「ほんの些細なことで夜の方だなんていう人もいるかと思いますから」

風「んー?」

東郷「少し舌を絡めるのも許されないなんて、中学生にお子様定食与えてどうするのかと――」

友奈「……東郷さんが本調子に戻っちゃった」

樹「喜ぶべきか悲しむべきか複雑ですね」

ぐっと握りこぶしを作り熱く語る東郷を横目に、園子は楽し気に笑う

内容に目を瞑りさえすれば、

その一瞬一瞬に心から触れ、楽しんでいるだけなのだ

それが出来なかった

それが許されないと思っていた側としては、喜ばしさが勝る

夏凜「深いも浅いも長いも短いもなしに決まってんでしょうが。これから何するか分かってんの?」

風「まぁ、夏凜の言い分も間違いじゃないし東郷は極端すぎるけど、肩の力は抜くべきだって思うわ。ちょっちピリピリしすぎてんじゃない?」

夏凜「…………」

東郷「抜くのはせ――」

樹「違うのでご静粛にお願いします」
958 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/19(木) 00:21:12.16 ID:FaeHOsjYo

天乃「柔軟な発想力も大切だと思わない?」

夏凜「一理はあるわ。けど、だからって」

天乃「別に必ずキスしなくちゃいけないなんてわけでもないのよ」

それは一つの参考的なものでしかない

気を張りすぎず、かといって抜きすぎず

仲間であるみんなの事をちゃんと認識するためのことでしかない

良くある行動を例に挙げれば、別に円陣を組むだけでも良いのだ

天乃「目的とかける思いを再確認して、頼れる仲間を感じることができるなら、それで」

友奈「キスだと、帰るべき場所……ですね」

何が何でも目的を成し遂げようという意志を再燃させるが、

同時に、何が何でも戻らなければならないという思いも抱く

そして、そのためにどうすることが良いのかと考えれば、

自然と仲間のことも頭の中に戻ってくる

風「防人を相手にするのはあんただけじゃないのよ。夏凜」

夏凜「っ」

風「その覚悟は、もう出来てる」

夏凜を軽く小突いた風は優しくほほ笑む

立案者だからと言って、自分だけで責任を取るべきではないと
959 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/19(木) 00:32:52.25 ID:FaeHOsjYo

夏凜「……そ」

そっけなくも感じるような短い一言を呟いた夏凜はぎゅっと唇を巻き込んで食いしばり、顔を伏せる

周りにいる風達には見えないが、天乃にはその表情が見えた

天乃「誰もが通る道だもの。恥じるようなことではないわ」

その責任を担うべきは自分であるとすること

深くかかわっているからと大部分を担おうとすること

それが正しい場面もあり、決して間違いではないのだから。

今回ばかりはそれではいけなかったのだと諭されたからと言って、

恥じる必要はないのだ

天乃「自分がその立場になると、案外。分からなくなっちゃうものだもの」

夏凜「あんたにだけは、言われたくなかった」

天乃「一番言われた私だからこそ、言えることもあるのよ」

皮肉っぽく自慢げな表情を見せることもできたが、

天乃は穏やかに笑みを浮かべるだけに留め、その目を向けられた夏凜はちらりと見返して

天乃「んっ……!」

手早く、天乃の頬に手をあてがって整えキスをする

ほんの一瞬、触れ合ったという程度の軽いキス。

驚きに目を見開く天乃の一方で、夏凜は自分の唇に指をあてて、笑う

夏凜「行ってくる」
960 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/19(木) 00:43:36.59 ID:FaeHOsjYo

天乃「あ……うん。うん、行ってら――」

東郷「何言ってるんですか、まだ5回残ってますよ」

天乃「えっ」

園子「にぼっしーだけ特別扱いは許されることと許されないことがあるんよ〜」

にっこりと。

明らかに普通の笑顔とは違う何かを含んだ満面の笑みを浮かべる東郷達から

夏凜へと天乃は目を向けたが

夏凜は「よろしく」というように手を振って歩き出す

夏凜がいた場所にはすぐさま東郷が入り込み、園子、風、樹と続く

天乃「…………」

風「口は災いの元……ってね」

東郷「風先輩はしないそうなので二人分でお願いします」

風「ちょっとぉっ!? 東郷美森さん!?」

東郷「口が災いなら接吻はしない方がいいのでは?」

風「それはそれ、これはこれ!」

友奈「……先にしちゃうね?」

隣で勝手に勃発した取り合いの傍ら、

友奈達はそれぞれ、おまじないを求めて天乃に触れる

とても大事なことを行うからこその、願掛け

神に願うわけではないけれど、だからこそのご利益があるような気がした
961 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/19(木) 00:50:55.87 ID:FaeHOsjYo

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から



園子「キスは?」

東郷「挨拶」

園子「ディープキスは?」

東郷「お子様定食」

園子「貝合わせは?」

東郷「酔い覚まし」

風「え?」

東郷「え? 蜆汁が出――」

風「アウトォ!」
962 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/19(木) 00:52:01.51 ID:9imxVsnyO

しじみで笑ったから寝る
963 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/19(木) 01:08:41.05 ID:LsHnkfa7O

酔い醒ましで止まってたらシジミ汁とか分からなかったわ…例えのセンスがもうプロじゃん
964 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/19(木) 08:02:18.14 ID:BzbtyRF0O

東郷さん前作では勘違いで大恥かいて精神崩壊しかかったのに…
どうしてこうなった
965 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/19(木) 22:28:20.91 ID:FaeHOsjYo

では、少しだけ
966 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/19(木) 22:38:05.02 ID:FaeHOsjYo

分岐


1、久遠さんサイド
2、勇者部サイド


↓2
967 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/19(木) 22:39:33.19 ID:AHLWn3qmO
2
968 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/19(木) 22:39:56.29 ID:EJatpLKL0
2
969 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/19(木) 22:41:44.70 ID:B5purqUAO
分岐来たか
970 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/19(木) 23:01:10.49 ID:FaeHOsjYo

√ 11月08日目 昼() ※月曜日


夏凜「……そろそろね」

大赦から支給されている普通の端末で時間を確かめた夏凜は辺りを見渡してポケットにしまうと、息をつく

勇者になることが出来るのであればすぐにたどり着くことが出来るが、

そうではない現状、壁までの道のりは遠い

それを埋めるために頼んであるのが、瞳の車だった

巻き込むことは少しためらったけれど、

時間も限られている今、背に腹は代えられなかった

風「来た」

いつもの天乃送迎用の車ではなく、普通のワゴン車

ガラスを通して見える運転席の瞳を確認した風が声をかけ、全員の目が向けられる

もともとそんなことをするつもりはないが、

これでもう、後戻りすることは出来なくなった

瞳「お待たせしました、勇者ご一行様」

夏凜「アレは?」

瞳「預かって来てる。中身も確認してあるから大丈夫」

ぐっと親指を立てて見せる瞳に頷き、

夏凜を含め、全員が後部座席の方へと乗り込んでいく
971 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/19(木) 23:10:34.80 ID:FaeHOsjYo

後部座席に一つに置かれたアタッシュケース

その中に、みんなの端末が入っていた

瞳「動かしますよ」

友奈「お願いします」

瞳「はいはーい」

僅かに車が揺れてゆっくりと曲がっていき、

病院の指示に沿った流れで車道へと向かっていく

東郷「……また、手にすることになるなんて」

園子「でも、また必要になるとは思ってたんよ」

東郷「…………」

友奈「久遠先輩のことがなかったとしても、私達は多分、また勇者になってたと思う」

端末を手に複雑な表情で呟かれた東郷の言葉に、

園子たちも対する考えを述べる

天乃のことがなかったとしても、

バーテックスとの決着が完全についたわけではないのだから

結局似たようなことにはなっていただろうと思う

それはみんなが感じていたことであり、思っていたことだ

樹「早くなっちゃったか、遅くなっちゃったか。協力か反乱かみたいな違いはありますけど」

風「状況的には早まった感あるわよね。本来の流れが反乱かどうかは考えても仕方がないし」
972 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/19(木) 23:28:34.65 ID:FaeHOsjYo

夏凜「天乃がいなくたって、誰かの犠牲は必要だったんじゃない?」

生贄として

あるいは、かつての勇者のような戦闘による死者として。

神という超常的な相手である以上、

何の被害もなくという結果はまず難しいだろう

夏凜達が今行おうとしていることだって、

何の被害もなく終えようとしているわけではない

その被害、その負担を全員で分け合って軽減しようというものでしかない

友奈「それでも、私達はこうしてたと思う」

園子「ふーみん先輩やにぼっしー、ゆーゆやいっつんにわっしー……誰がその役割になっても、きっと」

天乃がいない分、みんなの関係は今と少し違うかもしれないけれど、

それでも、この繋がりは損なわれることはなかったはずだ

東郷「そうね……でも、私達には久遠先輩がいるわ」

夏凜「確かに意味ないこと言ったわね、ごめん」

素直に謝罪を口にした夏凜にみんなが頷く

それはやっぱり、天乃がいたからこその変化であることは間違いなかった

後ろからの声が途切れたのを感じた瞳は、

小さく笑みを浮かべると、ミラー越しに夏凜達を確認する

瞳「みんなに注意があるからよく聞いてね」
973 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/19(木) 23:45:57.43 ID:FaeHOsjYo

瞳「今回の勇者システムは新しく調整されたものだから以前のものとは少し勝手が変わってるんです」

ある意味では劣化であり、

ある意味では進化ともいえるの。と、前置きした瞳は、

信号が赤なのを確認してから説明を続ける

瞳「以前、満開を使うためにはそれなりに手順が必要だったのは覚えてます?」

夏凜「大赦は経験値って言ってたけど」

瞳「うん、今回はそれが必要なくなって初めから使うこともできるようになってるの」

風「それは……って、喜べるようなことじゃなさそうね」

初めから切り札を使うことができる

戦ううえでこれ以上にないほど安心できるものだが、

ポジティブに考える友奈ですら、嬉しそうな声を上げることはなかった

友奈「なにがあったんですか?」

瞳「詳しくは私にも分からないんですよ。すみません」

そう言った瞳は申し訳なさそうに苦笑いを浮かべると、

聞いた話ですが、と、車を動かしながら説明を続けた

瞳「以前はその都度神樹様から力をお借りするという形でしたが、今回は初めから一定量の力を借りた状態という形になるそうです」

東郷「つまり、分割払いから一括払いに切り替わったということですか?」

瞳「そうなります……ね。その結果、限度額を超えた利用ができなくなりました」

要するに、借金が百万円で満開が百万円必要だったとしたら、所持金は0円となって満開は出来なくなります。と続けた瞳は

さらに、と強調する

瞳「身を守るバリアも同じく力を消費するため、一回十万円のバリアだとしたら十回しか防げず、生身に傷を負うことになります」
974 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/19(木) 23:57:00.99 ID:FaeHOsjYo

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
設定は独自の解釈と久遠さん世界ということで変わっている場合もあります



瞳「ちなみに、満開費用は百万円ではなく、所持金全額です」

夏凜「……つまり、満開を正しく使うほどの力は貸せなかったってことじゃないのそれ」

園子「言い換えれば、神樹様のヘソクリだね〜」

風「バリアは有限で満開は最初から使えるけど、使えばバリアが張れなくなる……か」

友奈「でも、前も久遠先輩の為に怪我を避けようって頑張ってたから」

友奈「満開が出来るようになっただけで、変わらないって考え方もできるんじゃないかな」
975 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/20(金) 00:00:25.23 ID:u2i2ofWqO

開発費用高ぇ
976 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/20(金) 00:02:28.67 ID:HFuVrbGRO

やはりここからは勇者の章仕様の端末だったか…
ゲームでの戦闘ルールにも反映されるなら久遠さんいても難易度跳ね上がりそうだな
977 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/20(金) 22:50:58.27 ID:bRIP9OVfo

すみませんが、本日はお休みとさせていただきます
出来れば明日、少し早い時間からの再開を予定しています
978 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/20(金) 22:51:53.12 ID:zM9NIgudO
乙ですー
979 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/21(土) 23:42:38.31 ID:xZQ2WOoHo

遅くなりましたが、少しだけ
980 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/21(土) 23:49:44.68 ID:2kzcQMm2O
来てたか
981 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/22(日) 00:29:56.08 ID:DednJTVDo

園子「つまり、二年前の機能に回数限定の守護機能が付いた感じだよね〜」

瞳「そうですね、園子様、久遠様、東郷様から見ればそのような形になります」

園子「……過去と現在のいい塩梅?」

友奈達の世代からしたら劣化しているように感じるが

園子たちの世代からしてみれば、十分に進化していると言える形だ

夏凜「で、満開を使った時の代償はあるの?」

瞳「生傷を負うことになりますが、前回のように体の一部を供物としてささげると言ったことは起こらないと聞いています」

詳しいことが判明しているわけではないが

全身が生粋の人間であったのに対し、

今は幸か不幸か体の一部が神樹様によって賄われている状態なのだ

おかげで、神樹様の力を用いることによるペナルティがない。らしい

樹「………」

東郷「あまり生傷を負うのも良くはないのよね……久遠先輩に見られたら心配させてしまうわ」

友奈「今までと同じでも、新しくなっても、簡単に使えないことには変わりないってことだね」

風「それどころか、アタシ達からしてみれば簡単に攻撃を受けることも許されなくなったってわけだ」
982 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/22(日) 00:39:30.54 ID:DednJTVDo

園子たちの世代に比べれば生易しい話になってしまうかもしれないが、

正直に言えば、精霊に守られていたからこそ、命が助かったという場面は多々あった

それでなくとも生身の状態でバーテックス

それ以前に星屑の攻撃を受け得ようものなら、身体の一部を失ったり、

使い物にならなくなってしまう覚悟も必要だろう

芽吹との争いが起きても流石にそこまで凄惨な被害は出ないかもしれないが

万が一、バーテックスが襲ってきた場合には、それを踏まえたうえでの戦闘が必要になってくる

だが……

樹「でも、受けたら負け。だったよね」

夏凜「……ま、確かにね」

それを認めれば、今までの自分たちの戦いは敗北しかないことを認めることになるが、

試合に負けても勝負に勝つ。という言葉があるように

負けたわけではないのだから、問題はなかったと言えるかもしれない

東郷「でも、これからは被弾さえ許されないというのが辛いところだわ。もちろん、学んだことを活かせば良いだけですが」

そうはいっても一筋縄ではいかないだろうし、

今までと同様では、勝負に勝つことも出来なくなってしまう

ダメージを積み重ねればバリアは消滅し、

そして、本当に大事な場面でその効力がないばかりに命を落とす可能性もある
983 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/22(日) 00:48:31.00 ID:DednJTVDo

皆が緊張に息を呑む

もっと酷い時代を経験している園子はともかく、

夏凜達は厳しい状況は覚悟の上だったが、それでも、想像以上に厳しい状況だった

瞳「こんなことを言うのもあれかもしれませんが、出来る限り戦わずに逃げて頂きたいと思います」

夏凜「バーテックスから逃げろって、そんなの……」

風「ただ壁の外に出たあとに襲撃されるって言うならまだ退くのも分からなくはないけど」

樹海化した状態で逃げ帰ったりなどしたら、

本末転倒という言葉ですら引き合わない残念な状況に陥ってしまう

樹「出来れば、逃げたくはないです」

友奈「壁の外でも、見逃したらそのバーテックスが襲ってきちゃうかもしれないから」

かもしれない。ではなく、確実だろう

バーテックスに士気というものが存在するのかは分からないが、

あるのだとしたら士気は上がるだろうし、その分勢いも増してくることだろう

夏凜「…………」


1、為せば成る。それも、みんなでなら、たいてい何とかなるんじゃないの?
2、怖いなら、退いても良いわよ。誰も責めたりしないでしょ
3、上等よ。そもそも、裏切る相手の力を借りるってんだから、守られるだけ儲けもんだわ


↓2
984 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/22(日) 00:51:57.61 ID:5y9F+suRO
1
985 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/22(日) 00:55:18.88 ID:F/LNvHT6O
986 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/22(日) 00:56:22.03 ID:igCjUihbO
3
987 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/22(日) 01:04:01.87 ID:DednJTVDo

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
場合によっては行えない可能性もあるのでその場合は少し早めに一報入れる予定になります


瞳(そうですよね)

瞳(逃げるわけがない……ですよね)

瞳(……勇敢と無謀は違う。けれど、みんなにとってこれは無謀ではない)

瞳(夏凜ちゃん……みんな……)
988 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/22(日) 01:12:35.36 ID:igCjUihbO

久遠さんが今回の満開システムのこと聞いたら今まで以上に無理してでも止めにいきそう
989 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/22(日) 01:17:22.83 ID:5y9F+suRO

頑張れ勇者部!
990 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/23(月) 21:58:09.63 ID:eHh5cKvro

昨日は失礼しました
本日は進めていきます
991 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/23(月) 22:07:29.66 ID:f/zE4YVAO
久々に早いぜ!
992 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/23(月) 22:27:45.37 ID:eHh5cKvro

夏凜「満開は一回限り? 守って貰えるのも回数制限? 上等じゃない」

皮肉を言うかのような笑みを浮かべながら零した夏凜へと、みんなが目を向ける

その視線を感じながら夏凜は委縮することなく、

はっきりと口を開いて考えを述べる

夏凜「そもそも裏切る相手の力を借りるってんだから、守られるだけ儲けもんだわ。違う?」

風「ん――」

友奈「夏凜ちゃんの言うとおりだと思う」

夏凜に目を向けられた風が答えるよりも早く、

近くにいた友奈が力強く答えて、ぐっと体に力を込めた

友奈「少ししか守って貰えないんじゃなくて、神樹様に悪いことするのに守って貰えるんだ……」

だからもしかしたら。と友奈は続けて

友奈「神樹様は久遠先輩と私達、それとこの世界……ううん、大赦と防人の人達を試してるのかもしれない」

樹「試してる……ですか?」

友奈「うんっ!」

東郷「人間同士互いに必要なものがあったとき、どのような行動をするのか。ね」

園子「話し合いで解決するのか、戦い奪い合うのか」

風「だとしたら、なおさら説得を上手くいかせる必要が出てくるわね」
993 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/23(月) 22:36:47.94 ID:eHh5cKvro

風「ただ、楠さんの性格的に、はいどうぞってなる気がしないのよねぇ」

夏凜「まず間違いなく断るし、武器を向けてくるでしょ」

芽吹はそういうやつだから。と

夏凜は芽吹のことを良く知っているような口ぶりで答えながら、

そのことを悪く思っていないと感じる笑みを浮かべて見せた

園子「にぼっしーはなにか考えがあるの〜?」

夏凜「向かってくるなら叩きのめす。そんな考えしかないわよ」

けど。と、首を振る

夏凜「冷静に考えてみれば、ぶつかることが必要なこともあるのかもしれない」

樹「夏凜さんも、一番初めはそうだったんですよね」

東郷「友奈ちゃんを襲って、久遠先輩を怒らせて……」

風「マジギレした天乃に体育館で徹底的に叩きのめされて」

友奈「でも、今はこうやって……久遠先輩のためにってみんなで協力してる」

園子「互いの思いをぶつけあってこそ、より濃厚なものが出来上がるんだよね〜」

懐かしい思い出を語り合い、

楽し気な笑みを浮かべる者もいれば、苦笑いする者もいて

その傍らにいる園子だけは、また違った怪しい笑顔で呟いた
994 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/23(月) 22:58:13.49 ID:eHh5cKvro

互いに嫌がらせをするつもりはない

ただ、互いの意思、守るべきものの為に力を尽くすだけだ

神様がそれを見て、何を思うのか感じるのか

それは分からないけれど

夏凜「芽吹は世界の為に、私達は私達の世界の為に為すべきことを為すだけよ」

恰好をつけたわけではないが

自分の考えを述べた夏凜をじっと見つめていた園子は不意に茶化すような笑い声をこぼす

園子「むふふ〜」

夏凜「な、なによ。変な笑い方――」

園子「天さんっぽいな〜って、思っただけだよ〜」

夏凜「は?」

園子「天さんなら、きっとそう言うと思うんよ。ぶっきーと戦うことになったとき、天さんはきっとそう言って笑うと思うんだ〜」

風「で、勝った後にこういうのよね。大丈夫よ楠さん、世界は私が守って見せる。それが、打ち勝った者の責任だもの。とか言って手を差し伸べる」

東郷「想像に易くて困りますね……」

樹「楠先輩まで嫁にする勢いなのに、久遠先輩には全くそんな考えないんですよね」

夏凜「芽吹がいなくなる時にもっと親密になりたかった的なこという奴だし、今更でしょ」
995 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/23(月) 23:16:15.13 ID:eHh5cKvro

夏凜達は天乃がいないのをいいことに、呆れたように語る

もっとも、天乃がいても居なくても

似たようなことを話したりはするのだろうが。

風「アレには困ったもんよ。嫁代表三好さんはどう思います?」

夏凜「なによ代表って……言って治るようなもんじゃないでしょアレは」

そもそも悪いことをしているわけではないし、

樹が言ったように本人は口説いたりなんだりしているという自覚はなく、

ただ、負うべき責任、かけるべき言葉などを考えての言動でしかない

注意する様な部分が口説くような言動は控えろ。という

もはやヤキモチのような理由になってしまうので、言えるわけもない

東郷「久遠先輩は自由にしている時が一番輝いていると思うわ」

友奈「うんっ、だから好きなこと一杯させてあげたいなっ」

樹「そのために、これから頑張るんです」

風「ある意味不純かもしれないけど……アタシたちにとっては、これ以上ないほどに純粋な戦う理由よねぇ……」

園子「神樹様や天の神がそれをどう思うかなんて関係ない」

普段ののんびりとした口調を抑えた園子は、みんなの手が届く位置に手を伸ばして

園子「成し遂げるんよ、ここにいるみんなで」

それぞれの手が重なっていく

その力強さ、心強さを感じ、園子は自分のいなかった二年間の厚みをより重く感じた
996 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/07/23(月) 23:22:26.80 ID:eHh5cKvro

次スレ

【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十六輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1532355674/


コンマ判定のみになりますが、続きは次スレで行います
997 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/23(月) 23:26:04.49 ID:f/zE4YVAO
了解
998 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/24(火) 00:15:05.94 ID:jw/NoKlYO
埋めるでー
999 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/24(火) 00:15:40.36 ID:jw/NoKlYO
埋め
1000 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/24(火) 00:16:11.84 ID:jw/NoKlYO
では乙
1001 :1001 :Over 1000 Thread
                     ___, - 、
                    /_____)
.                    | | /   ヽ || 父さんな、会社辞めて小説で食っていこうと思うんだ
                    |_|  ┃ ┃  ||  
                   (/   ⊂⊃  ヽ)        /  ̄ ̄ ̄ \
  \僕はSS!/           \_/  !        ( ( (ヽ     ヽ
                   ,\ _____ /、       | −、ヽ\     !  <私は二次創作
   ゝ/  ̄ ̄ ̄ \     /. \/ ̄\/   .\     | ・ |─ |__   /
   / _____ヽ    |  |  _┌l⊂⊃l  |  |    ┌ - ′  )   /
   | | /  ─ 、−、!    |  |  / ∋ |__|  |  |    ヽ  /   ヽ <
   |__|─ |   ・| ・ |    |  /`, ──── 、 |  |     ` ─┐  ?h ̄
   (   ` ─ o−i    ヽ /         \ .ノ_      .j ̄ ̄ |
    ヽ、  ┬─┬ノ / ̄ ./            ヽ- 、\    /   ̄ ヽ\
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  | |  | ̄| / /| / ( (... .ヽ              / |____|∈  __./ .|   | |
  |_|/ヽ、_/  ./   ` ─ /\           /ヽ      ̄ \-──| \|_|
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