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【安価・コンマ】女神「もう一度、青春を味わってみない?」 無職「んえ?」

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87 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/05(木) 21:25:48.02 ID:zvwA8uhR0
>>86まで待つんだった…
88 :ドーモ=デス ◆GgZ.pGaTW2 [saga]:2018/07/05(木) 21:44:56.25 ID:LWXZ3yk+0


兵士長「…………それは、どういう意味でござるか?」

無職「エルフは、森の中で暴漢に襲われててな」

無職「彼女自身、俺を庇うように叫んでくれたんだわ。とてもやさしい子だとは思う」

無職「だけど……俺なんかが分かったような口を利くのもあれだが、救いを渇望、してたような……」

無職「…………何かあったのかはわからないが、俺はそう思えたんだ」

無職(我ながらふわっとしているな……)

無職(だが、俺が彼女のボディーガードだとエルフの記憶を書き換えた時、彼女のその感情は消えたように思えた)

無職(もしかして、だが……聞く限りじゃ、エルフはものすごい才能の持ち主だったと)

無職「エルフって……学園じゃ、孤立してたりするのか?」

兵士長「ん、そう、でござるよ……才能の差から生まれた僻みで、彼女の周りに人は来ないでござる」

兵士長「しかしどうしてまた……そんなことを?」

無職「孤独っていうのは、辛いもんだろ? 支えがないっていうのは、寂しいんだわ」

無職(彼女がなぜ森に入ったのかはわからない)

無職(それでも俺は、彼女の瞳に昔の自分を覚えたんだ)

無職「どん底にいるときは無双するもんだろうがよ。這い上がれるための救いをさ」

無職(……一人ぼっちで、知っている人も、知らない人も、全部『人だ』としか認識できないような)

無職(考えすぎか? ……つっても、そう思えたってだけだしな)

兵士長「ク、ククク…………」

無職「んお?」

兵士長「いや、失礼。実に面白いものだと思えてしまって」

無職「…………??」

兵士長「彼女が森に潜った理由、聞きたければ彼女に聞くといいでござる」

エルフ「!」ビクッ

無職「でぇっ!? ―――起きてたのかよっ!?」

兵士長「さて、ここは自由に使っていいでござるから」

無職「ど、どこに行くつもりなんだ?」

兵士長「まだ残業が残っているでござるからね……散歩、でござるよ」

兵士長「では、おやすみでござる」


兵士長「エルフの『ボディーガード』殿? ククク…………」キー、パタン


無職「」

無職(あの、女神さん?)

女神(んみゃ!? な、なにかしら?)

無職(寝てんじゃねーよ。……俺の能力ってさ、エルフだけに効く、とかじゃなかったの!?)

女神(……言ったじゃないの。いい? 貴方が天動説を唱えたらね、人々の思想が変わるんじゃないの)

女神(世界の法則が、根っから書き換えられるの)

無職(つ、つまり……?)

女神(貴方は、過去に生きていた……ボディーガードとしての貴方が、世界のすべてに適用されたことになるわ)

女神(エルフの関係者なら、貴方を知っている、ということになるんじゃないかしら?)


無職「」



89 :ドーモ=デス ◆GgZ.pGaTW2 [saga]:2018/07/05(木) 21:48:34.83 ID:LWXZ3yk+0


無職「さて、と……盗み聞きしてくれたエルフ」

無職「どうしてくれようか…………」


(エルフはまだ寝たふりを続けている)


>>安価↓
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/05(木) 21:52:32.12 ID:zvwA8uhR0
起きているんだろー?とかいって何も反応しないなら「起きないならキスするぞー」と言って反応を見る
それでも起きないなら放置するふりをしてその場を離れる
91 :ドーモ=デス ◆GgZ.pGaTW2 [saga]:2018/07/05(木) 22:06:34.18 ID:LWXZ3yk+0


無職「起きてんだろ」

エルフ「…………」ピク

無職「…………起きなきゃキスすんぞ」

エルフ「……!」ピクピク

女神(ふふふ)ピキピキ

無職(おさえてや)

無職(……こんな顔を赤くして、寝てるって言うほうが無理があるぞ……)

無職(……まぁいい。起きてくるまではどこかで時間をつぶして…………うぉ!?)グイ

エルフ「…………」

無職「…………」

無職(な、なんだ……急に袖を引かれたから、エルフを押し倒しているみたいになってしまった)

無職(興奮する…………じゃなくて! どうしたんだ、ホント)

エルフ「眠ってたら、キスしてくれたの?」

無職「!?」

無職(ななななな、何を言っているんだこのエロフは! ちょっとドキッとしてしまったじゃないか!)

無職「ハ、ハハ……な、なんの―――」

エルフ「して、くれた?」

無職(そんな、真っ赤な顔で見つめられたらこっちが持たねぇって!)

女神(瞳がうるんでる……乙女なのねぇこの子も)

無職(うっせぇ年増みたいなこと言いやがって)

女神(は?)

無職(あ?)

行商人「…………」キャー

無職(……なんだその隠せてるようで隠せてない顔の覆い方は。隙間から見えてるやろがい!)

無職(…………存在を忘れてたとは言えない)

無職(どうしようこの空気)

エルフ「あ……ぇ……うそ、なんで、ひと……」パクパク

無職(こっちもこっちで気づいてなかったのな)

女神(わー! 耳まで真っ赤っか!)

無職(…………俺では、ないはずだ)


無職(…………)
92 :ドーモ=デス ◆GgZ.pGaTW2 [saga]:2018/07/05(木) 22:22:07.14 ID:LWXZ3yk+0


中途半端かもしれませんが、ここでいったん区切らさせていただきます
ここからは、『猛る稲妻』こと兵士長のお散歩風景を描いていきます(短いよ!)



暴漢「ハァッ、ハァッ……な、なんなんだよあいつはァ!?」

兵士長「ククク……八つ裂きにされるでござるよ」

暴漢「な、なんで馬上槍で人が木っ端みじんになるんだよ!」

兵士長「我々は正義に生きる人間でござる」

暴漢「グッ……燃え尽きろッ!!!」

兵士長「…………悪のすべてが、無意味なのでござる」

暴漢「…………は?」

兵士長「……しかしなぜはびこるのでござろうか」

暴漢「あ、あ、ああああっぁあああああああああ!!! 俺の腕があぁあああああ!!!!!!」

兵士長「血潮を煙とし、叫びを戒めとし」

暴漢「あ、あああああああ…………ひぃいいいいいいい…………」

兵士長「死を持って償いたまえ」


暴漢「ッハァ゛ッ! ……ァ…………」

兵士長「また、この槍で悪を貫くのか」

兵士長「どれほどまでに、屍を築き上げてきたのでござろうな」

兵士長「これからも、どれだけを殺していくのでござろうな?」

兵士長「ククク、どうか、其方が決して悪道に堕ちないことを」


兵士長「ククク、ククククク……フハハハハハハハハハ!!!!」


兵士長「神よ、貴様は堕ち逝くか?」





次回はエルフの会話からスタートする予定です
『あれ、青春全く関係なくね?』とか思ったそこのあなた、ごめんなさい!

も、もうちょっとだけ続くんじゃ……けっしてスレタイ詐欺ではないのじゃ………




ということで、おやすみなさい
改善点等あったのなら、遠慮せず書いてください
安価もあれで多いのか少ないのか微妙なとこなので、アドバイスお願いいたします

では!!!!!!!!!!
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/05(木) 22:30:32.46 ID:OMstkacD0
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/05(木) 22:40:09.36 ID:Npw4n0d3O
乙なのです

安価はちょうどいいかなと思います
これと言って不満はないけど、キャラ安価が詳細の記述を推奨してるのに、下1と早い者勝ちになってるのがアンバランスかも
けど表の性格と裏の性格と分けてるのは面白いと思いました。おかげでエルフとかおいしいキャラしてる
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/05(木) 22:43:05.11 ID:ypnJ79G90
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/05(木) 22:43:46.50 ID:tdVarxFA0
まるで行商人が魅力無いキャラみたいなw
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/05(木) 22:49:19.00 ID:aeCHoC2UO
>>96
まだ戦闘狂の部分が出てないから言及してないだけで他意はないねん……(けど投稿者さんすみません)
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/05(木) 22:53:24.15 ID:wghoI7P+0
まだ出会ったばかりでどうなるか分からないけど、行商人にはすぐにお別れとならずに無職たちと行動を共にして欲しいな。
99 :ドーモ=デス ◆GgZ.pGaTW2 [saga]:2018/07/06(金) 15:47:44.43 ID:Lzs0qv3p0
もうそろ百行きそうですね、再開します

…………の、前に兵士長のステータスのようなものを


性別 男
身長 178cm
体重 89kg
肉体的特徴 帯電している
オモテのカオ 考えは読めないが、何となく良い奴そう
ウラのカオ 悪を滅ぼす系男子
能力 霹靂の鎧



無職(謎の多い人物だが、敵に回さなければ心強い味方になりそうだ)


無職(というわけで、エルフの会話から再開しましょ)

無職(では!!!!!!!!!!)
100 :ドーモ=デス ◆GgZ.pGaTW2 [saga]:2018/07/06(金) 15:58:25.58 ID:Lzs0qv3p0


エルフ「…………」

行商人「ア、アハハ……お気になさらず……」

エルフ「う……お見苦しいところを…………」

無職(両者ともに見合って、頭を下げ合ってるわけだが、つまりどういうことだってばよ)

無職(お見苦しいところは行商人も見せてたけどな)

行商人「……でも、珍しいっすね……人と亜人が一緒に行動してるなんて」

無職「ん? いや俺たちは出会ったばか―――」

無職「―――ンン゛ッ! ま、まぁな? 人のボディーガードがついてる亜人なんて、そりゃ珍しいだろうさ」

無職(世界を書き換えていたんだったな…………危ない危ない)

エルフ「ええ……まぁ」

無職(こっちはこっちでさっきのショックが抜けてないみたいだ)

無職(……俺も俺でかなり動揺しちまったが……とりあえず話を進めるか)

無職「で、あー……なんだったっけ、行商人」

行商人「……もう忘れたっすか? 確か、エルフっ子が森の中にいた理由……とかだった気がするっす」

無職(……変にボロを出して矛盾を産むのはまずい)

無職(もしも俺と彼女が知るようなことだったのなら……追及は免れないだろう。慎重にいかねば)

エルフ「…………その子は、信用できるの?」

無職「安心しろ。弱みを握ってるから大丈夫だ!」

行商人「……なぁにが『大丈夫だ!』っすか。弱みなんてウチにはないっす」

無職「春画」

行商人「へいどこまでもついていきまっすぁ!!!!!!」

エルフ「……続けるわよ」

101 :ドーモ=デス ◆GgZ.pGaTW2 [saga]:2018/07/06(金) 16:19:52.18 ID:Lzs0qv3p0

エルフ「私が大陸のほうから逃げてきたのは……聞いてるわよね」

女神(帝国から逃げてきたんだよね)

エルフ「それでまぁ、ここまで流れ着くことができたのだけど……」

エルフ「身寄りもなければ、行く宛てもなかったの」

エルフ「だから、一時期は孤児みたいなものだった……でも、ある日、とある人に拾われてね」

無職「とある人?」

エルフ「ええ。森の奥で孤児院を開いている人だったわ」

行商人「……んー? ここらで孤児院の話は聞かないっすけど」

エルフ「亜人だけの孤児院で、しかも秘匿されている施設だったからね」

無職(ふむ……それが理由なのだろうか?)

無職「それで、そこの子供たちに会ってきたってことか」

エルフ「…………」

無職「?」

無職(あれ、もしかして違ったのか?)

エルフ「理由が、孤児院にあるのは違いないわ」

エルフ「でも……そうね、今度連れて行ってあげる」

行商人「う、ウチも行きたいっす!」

エルフ「……もの好きなのね。いいわよ、別に人間を拒んでいるわけでもないしね」

無職「あ、ああ……連れて行ってくれるなら構わないが」

エルフ「もう夜遅いし、寝ましょう? 私は山道を走ってたから疲れてて……」

行商人「えっと、ここは自由に使っていいって言われたっすけど、寝ちゃっていいんですかね」

無職「自由にっていうのは本当に何してもいいってことだろ」

無職(あのいかにもな兵士長が言ったことだしな)

行商人「う……ウチも遠くから歩いてきたもんっすから、実は眠たかったんすよ……」

無職(俺も、今日はいろいろありすぎた……)

無職「いろいろなことは明日やるとしよう!」

無職(明日のことは明日の俺に、だ)



無職(…………うーんこの革張りの椅子の具合がとても良い…………むにゃむにゃ)



サブイベント―――『静謐なる邂逅』(エルフ)が追加されました
翌日の『自由行動ターン』にて選択してください


※自由行動ターンとは?
■■■■■■■■■□ ……といった表記の体力の数だけ一日に自由に行動ができます
初期の体力は10。無職の行動によって限度は上下します
基本的には一ずつ減っていきますが、場合によっては値が変動します

体力がゼロになった場合、強制的に近くの施設で一日を過ごすことになります
その時は体力の上限が半減し、また色々な方からの叱責ももらえます
効率よく、そしてたくさんのイベントをこなしたい場合、体力管理が重要になってくるでしょう
半減した体力は、さらに一日経過で回復します

選択肢のほうはこちら側で決めてしまいますが、『その他(書き込み)』でまた違ったイベントも見れるかも……?

サブイベントは残り体力に関係なく進行し、一日(変動あり)を経過させます
体力消費はゼロですので、残り体力がわずかの時に選択するのがいいかもしれません

あとはおいおい説明していきます
説明不足だな? と思った時には質問してください
答えられれば答えます

(創作童貞なんです!!!! ゆるして!!!!!!)
102 :ドーモ=デス ◆GgZ.pGaTW2 [saga]:2018/07/06(金) 16:31:20.09 ID:Lzs0qv3p0
〜自由のターンだオラァッ!!!!!!〜



無職「んー…………ん?」

無職(外が明るい……そうか、もう朝になったのか)

無職「……誰もいなくね」

手紙「オレヲミヤガレッテンダ」

無職「…………書置き?」


『町の中を回ってきます! 夕方までにはここに帰ってきますのでご安心を!』

『追記 昨日のお詫びと、ほんの感謝の気持ちっす』


無職「……ん、これは……金貨か。それも大量の」

無職(あいつって、意外と金持ちだったんだな)

無職(どうするかな。言葉は通じるみたいだし、あの大通りにでもいってみるか?)




>>安価↓

1 執務室で時間をつぶす (体力消費なし)

2 外の訓練場に行ってみる。どうやら兵士長がいるようだ

3 郊外を歩いてみよう

4 大通りを歩いてみよう

5 町の中をぶらりと散歩してみよう

6 海のほうにでも行ってみようか(体力2消費)

7 そういえば、ここは美食の町だったんだっけ? 食べ歩きもいいかもしれないな

8 金貨を使って買い物でもしてみるか


サブイベント『静謐なる邂逅』―――❕ 強制的に一日が経過します!


103 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/06(金) 16:32:28.44 ID:7bwhHZzG0
7
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/06(金) 16:32:34.91 ID:QhLTNIV/O
7
105 :ドーモ=デス ◆GgZ.pGaTW2 [saga]:2018/07/06(金) 16:42:10.22 ID:Lzs0qv3p0

体力記入忘れ ■■■■■■■■■■ MAX!


→■■■■■■■■■□ 残り体力9  ―――まだ夕方までかなり時間がある




無職「……昨日は夜だったが……やはり日中だと格が違うな!」

無職(大通りのほうへ来てみたが、人の通りが多い多い)

無職(市を開く者たちが客を呼び込んで、良い感じの喧騒に包まれてるって感じだ)

無職(かなり横幅の広い道だった記憶があるが、活気と人であふれかえってやがる)

無職(……くっ、朝飯食ってないから、このかぐわしい香りは腹に効く!)

屋台のおっちゃんA「さぁさぁ安いよぉ! モンドリ鳥の焼き串だ!」

屋台のおっちゃんB「近海で取れたイカめしの甘辛ダレ焼き! どうだい! そこのお人!」

屋台のおっちゃんC「首都のほうでとれた野菜をたれでつけて焼いてみたぜ! 格別のうまさだぞ!」

無職(……どれも魅力的だな……)

無職(…………どうするか!)ジュルリ



>>安価↓

1 漢は黙って肉だ!!!!!!!

2 海に幸あれ我に幸あれぃ!!! 魚だろうがよぉ!!!!!

3 野菜がいいと思います。うん


無職(くっ! 脳内会議が白熱してやがる!)
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/06(金) 16:45:40.50 ID:mf9AAyaK0
2
107 :ドーモ=デス ◆GgZ.pGaTW2 [saga]:2018/07/06(金) 17:18:07.92 ID:Lzs0qv3p0


無職(……この世界の魚、味が気になるな……)

無職(どうでもいいけど、イカって魚なの?)

屋台のおっちゃんB「お、どうした嬢ちゃん! イカめし、買っていくかい?」

無職(誰かいるのか…………?)

無職「ちょ、すいません通してくださーい」

???「えっと……イカめし、二つもらえますかー?」

屋台のおっちゃんB「ハッハッハ! 嬢ちゃん気前がいいねぇ! 待ってな、今一番焼き上がりのいいものあげてやっからよ!」

???「ほ、本当!? わーいおっちゃんサイコー!」

無職「…………」


そこにいたのは?>>安価↓ (既存の女性キャラのみ)

108 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/06(金) 17:19:02.12 ID:gXWcER4DO
行商人
109 :ドーモ=デス ◆GgZ.pGaTW2 [saga]:2018/07/06(金) 17:32:42.55 ID:Lzs0qv3p0


行商人「…………あ」

無職「よう。元気そうだな……っていうのもおかしいが」

無職「俺も腹が減ってたんだわ。おっちゃん! 俺にも一本くれや!」

屋台のおっちゃんB「なんだい嬢ちゃん、もしかして、彼かぁ!? 最高の逸品を作ってやんなきゃなぁ!!」

無職「あそうですこの子の彼です」テレッ

行商人「ちちち、違うっすよ! ……も、もう! 勝手なこと言わないでほしいっす!」

無職「いたたたた! 踏むな踏むな、奢ってやっから!」

行商人「……それ元はウチのものだった気がするっすけど」

無職「心の温かさはプライスレス」ネイティブゥ

無職「それに、あんま感謝されるようなこともしてないっての」

無職「俺に使わせてくれよ! いいだろ?」

行商人「う……べ、別にいいっすけど? そこまで言うなら、止めはしないっす」

屋台のおっちゃんB「くぅ〜! 見せつけてくれるね! あいよ、イカめし三本! 銀貨二枚だ!」

無職(銀貨……? ああ、この銀色のやつか。よく見ると銅色の硬貨もある)

無職「ありがとうおっちゃん! また来るぜ!」

屋台のおっちゃんB「おうよ! 彼女さん大事にしろよ!」

行商人「だから違うっす―――!!!!」


無職「ハハハハハ! 悪い悪い! とにかく、どこか食べられるとこ行こうぜ!」

行商人「……食べ歩き、しないっすか?」

無職「ん……俺も考えたが、人が多すぎやしないか?」

行商人「大通りだけじゃないんすよ、ここ」クイッ

無職「お……こんな細道があるのか」

無職(茶店や、小さな商店が並んでる人通りの少ない細い道)

無職(白色の建物ばかりで目が疲れそうだったが、こういう日陰のある道は居心地が良い)

行商人「行きましょう……っす」

無職「……あいよ」
110 :ドーモ=デス ◆GgZ.pGaTW2 [saga]:2018/07/06(金) 17:38:15.93 ID:Lzs0qv3p0


行商人「んふー! うまいっすー!!」

無職(まさかのイカめし二刀流。二本とも食べるとは思わなかったな)

無職(しかし確かに、このイカめしはうまい)

無職(米があったことにも驚きだが、この料理の発想まであるとは)

無職「たれの具合が素晴らしいな」

行商人「っすね〜……あ、そうだ。無職さんはこれから何か用事があるっすか?」

無職「用事? …………>>安価↓」(あるかないか)
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/06(金) 17:39:11.71 ID:ZKE2Gitm0
特に無い
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/06(金) 17:39:24.74 ID:B1rudZ890
ない
113 :ドーモ=デス ◆GgZ.pGaTW2 [saga]:2018/07/06(金) 17:48:56.65 ID:Lzs0qv3p0


無職「特にはないが……なぜだ?」

行商人「! な、ないっすか!」パァー

無職「あ、ああ……適当に時間をつぶそうと思っていたからな」

行商人「へへへー! じゃ、じゃあ一緒に回らないっすか!?」

無職「町をか?」

行商人「ハイっす! って言っても、行くとこは決まってないっすけど!」

無職「……構わないぞ、一緒にぶらりと適当にほっつき歩くか」

無職(……とは言ったものの、俺もこれといっていきたい場所はないんだよな)


無職(あ! そういえばあそこが気になったな……)




■■■■■■■■■□ 残り体力9  ―――まだ夕方までかなり時間がある


1 執務室で時間をつぶす (体力消費なし)

2 兵舎の近くの訓練場に行ってみよう (体力2消費)

3 郊外を歩いてみよう

4 大通りを歩いてみよう

5 町の中をぶらりと散歩してみよう

6 海のほうにでも行ってみようか (体力2消費)

7 金貨を使って買い物でもしてみるか


サブイベント『静謐なる邂逅』―――❕ 強制的に一日が経過します ❕

114 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/06(金) 17:52:09.22 ID:B1rudZ890
安価↓1ということ?書いてないけれど…
安価下
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/06(金) 17:54:29.40 ID:gXWcER4DO
6
116 :ドーモ=デス ◆GgZ.pGaTW2 [saga]:2018/07/06(金) 18:11:05.61 ID:Lzs0qv3p0
>>114 申し訳ないです。書き忘れていました



■■■■■■■■■□ → ■■■■■■■□□□ 残り体力7




船の乗組員「よーし! そのまま荷を下ろしてくれ!」

船の乗組員「…………よし! これで最後だ! みんな、ご苦労だった!」

無職「へー、ここは港だったんだな。町のほうは活気がすごかったが、こっちは熱気がすごいな」

行商人「海の漢! って感じの方々っすから。コルミスの海漢の話は結構有名っすよ?」

無職「どんなのなんだ?」

行商人「荒波も彼らの一言で収まり、曇天も彼らの雄たけびに掻き消える」

行商人「……ただただ海の漢たちの熱さを書いた物語っすけどね」

無職「ハハハ……情熱的なんだな」

無職(なんというか、楽しそうな連中だ)

乗組員s「疲れたなぁー! お前らぁ! もちろんこの後一杯やるよなぁ!?」

―――ウォォオオオオオオオオオオオ!!!

行商人「ね? 雨もすぐやみそうな人たちでしょう」

無職(疲れたら寝ないの? 俺がおかしいの? あれぇ?)

船の乗組員「ハッ! てめぇら忘れてねぇだろうなぁ! 俺が単騎でクラーケンをぶっ殺したら奢るって約束をよ!」

乗組員s「チッ、うるせぇなぁ! お前はいつも俺たちに奢らせてただろうがぁ!」ソーダソーダ!

船の乗組員「んだとぉ!? ……って、ん? お! 行商人の嬢ちゃんじゃねぇか! 久しぶりだなぁ!」

無職「え」

行商人「だから嫌なんすよ、この『種族』は…………!」

船の乗組員「んだよぉー連れねぇなぁ! ほら、俺の胸へ飛び込んでおいで!!!!!」



行商人「…………>>安価↓」

 
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/06(金) 18:20:38.16 ID:3EqPZU8NO
ダメっす、もう私が飛び込む胸はこの人の胸だけっすから(と言って嫌々抱きついてくる)
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/06(金) 18:29:32.94 ID:5pkqPtGa0
行商人の設定は>>69の設定が採用されている?
(この『種族』はと言ってるし、天使と人間のクォーター?)
119 :ドーモ=デス ◆GgZ.pGaTW2 [saga]:2018/07/06(金) 18:30:18.56 ID:Lzs0qv3p0


行商人「―――だから、しっしっ、っす」ギュー

無職「ちょっ!? なんで抱き着いて…………っ!?」

行商人(我慢するっす。あの人があきらめるまで我慢っすよ)

無職(我慢って言ったって、するのはお前のほうじゃないのか……? 正直ちょっと興奮するんですけど)

船の乗組員「…………」ニコニコスマイリィ

乗組員s「あーあ、ついにフラれたのか」

乗組員s「まー妥当なんじゃね? 団長ったらめちゃくちゃしつこかったじゃん」

乗組員s「しっかしやるなーあの長身の漢。団長が狙ってた子を我が物にするなんてな」

船の乗組員改め団長「君は、行商人とは、どんな関係なんだい?」ピキピキ

無職(やべぇピキってる)

無職「や、どんな関係とかそんな―――」スパァァァアアアアアアアン

無職(いっ!? 抱擁を心待ちにして広げていた腕をそのまま振り下ろしてきやがった!)

無職(肩が外れる……いだだだだ)ギリギリ

団長「答えてくれないかね?」グググ


乗組員s「あーあ、ご愁傷様。みんなー先に酒飲んでよーぜー!」

無職(ちょおっ!? ここで酒盛りすんなってか助けて!!!)

行商人「か、関係なんて……>>安価↓ってだけっす!」

120 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/06(金) 18:31:33.41 ID:DB8yl0laO
生き別れた腹違いの兄妹なだけっす
121 :ドーモ=デス ◆GgZ.pGaTW2 [saga]:2018/07/06(金) 18:45:07.97 ID:Lzs0qv3p0


団長「フ、フフフ、フハハハハハハハハハ!!! なんだ、そういうことだったのか!」バンッバンッ

無職(ちょちょちょ痛い痛い)

無職(あと設定盛り込むのやめてもらっていいですかね)

行商人(こんぐらいしないと諦めてくれないっす)

団長「兄弟だったとは、早く言ってくれればよかったのに。なぁ義弟よ!」

無職「いや勝手に弟にすんじゃねぇ!」

無職(諦める様子はなさそうだが……?)

乗組員s「え、あの子にあんな兄弟居たか?」

乗組員s「さあ? ともかく、団長が復活したみたいだぞ」


団長「兄弟ならば、兄弟なのならば! ああ、行商人! 俺が入る余地もあるというこ―――」


行商人「夫です」ギュ


無職(…………)

団長「…………」

乗組員s「…………」カランカラン


無職(―――はぁぁあああああああああああ!!!!???)

団長「フ、フハハ冗談きついぞ行商に―――」

行商人「夫っす」ギューーー

乗組員s「ブフォ」

団長「」

乗組員s「死……死んでる…………」

無職()
122 :ドーモ=デス ◆GgZ.pGaTW2 [saga]:2018/07/06(金) 18:53:15.90 ID:Lzs0qv3p0
>>118 説明不足でした。すみません
この種族(海に出る暑苦しい漢ども)は嫌い! って意味で解釈してくだされ
行商人の設定については>>67を採用しています



乗組員s「あんちゃん、やり手だな」

乗組員s「まさか、あげてから落とす手法を使うとはな……」

乗組員s「命知らずな蛮勇さ、嫌いじゃないぜ!!」

無職「いやそのちょっとあの? あのちょっといいですかね!?」

無職「俺と! 行商人は! 別に―――」

団長「アハハハハハハハハ!!!!」

無職「ひえ」

行商人(申し訳ないっす。こうするしかなかったんすよ)

無職(一応聞くが……この男とお前の関係は?)

行商人(…………>>安価↓っす)
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/06(金) 18:54:24.18 ID:CGaAiS+/0
幼馴染
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/06(金) 18:57:31.57 ID:B1rudZ890
今更だけど>>86の安価を取られていたらどうなったかが気になる
大筋は変わらない?
125 :ドーモ=デス ◆GgZ.pGaTW2 [saga]:2018/07/06(金) 19:02:53.27 ID:Lzs0qv3p0


行商人(昔の……幼馴染っす。離れてからしばらく会ってなかったんすけど、最近再会して……)

行商人(そしたらこんな獣みたいな人間になってて、ちょっと無理っす)

無職(幼馴染ィ!? そ、そんなもんエロゲのテンプレ的設定だろ……)

無職(それにこいつはかなり美少女だ。そんな子と離れて、再会して……?)

無職(で、気づいたら俺がいた……? しかも夫?)

無職(それ、到底許されるやつじゃないんじゃね?)

乗組員s「あー、逃げたほうがいいぞ」

乗組員s「そいつ、嫉妬深いうえに…………」

団長「―――」

乗組員s「……海じゃ敵なしの漢だからな」


行商人(まったく、馬鹿らしいっす―――キャッ!?)

行商人(な、なんでお姫様抱っこなんかして…………)

無職(あいつの顔見てみろよ)

団長「クカカカカカカカカカ―――!!!!」

行商人(わーお)

無職「に…………」

団長「まてぇぇえええええええええええ!!!!!!!」

無職「にぃいげるんだよぉおおおおおおおおお!!!!!!」


…………。
……………………。
126 :ドーモ=デス ◆GgZ.pGaTW2 [saga]:2018/07/06(金) 19:14:39.83 ID:Lzs0qv3p0
>>124 実はもう一つの安価と混ぜて書き込んでたりなかったり
どうなるかはわかりませんが、おそらくは大筋で一緒だったと思います(エルフの反応が変わったりしたのかも)



無職「ヅァ……ハァ……ハァ…………! ま、撒いたか―――むぐ!」

行商人(し! 静かに、っす)


団長「どこだぁあああああああああ!!!! うぉああああああああああああ!!」

団長「あああああああああぁあぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁ……ぁ…………」

無職「…………」

行商人「…………」



無職「―――ハァッ!!! …………や、やっと……いなくなったか……」

行商人「……お、重かったっすか? 申し訳ないっす……」

無職「いやいや、全然軽いっての。だけどあいつの足がはえ―ことはえーこと!」

無職「……で、なんとか路地裏に逃げ込んだが……狭いな、さすがに」

行商人「……ふふ、無職さんの鼓動が聞こえるっす」

無職「…………こっちはいいにおいがする」

無職(ってか本当に狭いな。密着するようになっちまったが……)

行商人「…………」ジー

無職「ん、なんだ?」

行商人「いえ…………」



行商人「『夫』、っすね!」


無職「……勘弁してくれ…………」

127 :ドーモ=デス ◆GgZ.pGaTW2 [saga]:2018/07/06(金) 19:19:59.86 ID:Lzs0qv3p0
少し時間が空きます

少々お待ちを!!!!!!!!!

(オムニバス(?)方式の安価をやってみましたけど、どうでしょうか?)
(ということで、では!!!!!!!!!)
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/06(金) 19:21:15.43 ID:hq4LQIsFo
ええやん
たんおつ
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/06(金) 19:22:59.26 ID:LOQn4tziO
個人的には、エルフの好感度もあげたい
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/06(金) 19:26:20.28 ID:gXWcER4DO
一旦乙です
良い感じです
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/06(金) 19:27:16.79 ID:HnnVet1t0
行商人ちゃん可愛い
132 :ドーモ=デス ◆GgZ.pGaTW2 [saga]:2018/07/06(金) 20:07:35.70 ID:Lzs0qv3p0

再会します(みなさんありがとうございます!!!!!!!)



無職(ぐ……町中を駆けまわったから疲れた……。俺は無職のもやしっ子なんだけどなぁ)

■■■■■■■□□□ → ■■■■■□□□□□ 残り体力5


無職「さて、どうするかな」



―――日がもう登り切っている。 昼飯時、というやつだろうか?



1 執務室で時間をつぶす (体力消費なし)

2 兵舎の近くの訓練場に行ってみよう (体力2消費)

3 郊外を歩いてみよう

4 大通りを歩いてみよう

5 町の中をぶらりと散歩してみよう

6 金貨を使って買い物でもしてみるか


サブイベント『静謐なる邂逅』―――❕ 強制的に一日が経過します ❕

>>安価↓
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/06(金) 20:10:51.53 ID:HnnVet1t0
5
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/06(金) 20:11:18.47 ID:gXWcER4DO
135 :ドーモ=デス ◆GgZ.pGaTW2 [saga]:2018/07/06(金) 20:21:40.66 ID:Lzs0qv3p0


無職(そういや、女神もいないし、羽を伸ばしてみるのもありかもしれないな)

無職「なぁ、行商人。この町の地理には詳しそうだったが、どうだ?」

行商人「何度か来た事があるっすから、詳しいとまではいかなくとも、多少は」

無職「…………あーっと、そうだ! どこか案内してくれないか?」

行商人「案内、っすか?」

無職「ああ。大通りのほうは、なんていうか人に酔いそうでさ」

無職「穴場、みたいな……静かなところに行ってみたいな、って思って」

行商人「…………まるでデートっすね」ボソ

無職「ん?」

行商人「んーん、なんでもないっす! そうっすね……色々、まわってみるのもありじゃないっすか?」

行商人「この町は魅力にあふれてるっす」

行商人「大通りや港以外でも、良いところはいっぱいあるっすよ!」

無職「じゃ、ぶらりと歩くか」

行商人「はいっす!」

136 :ドーモ=デス ◆GgZ.pGaTW2 [saga]:2018/07/06(金) 20:39:59.00 ID:Lzs0qv3p0


無職「…………ここは?」

行商人「茶店みたいなもんっす。帝都とかの甘味を、魔の国の茶と一緒に飲める場所っすよ」

無職「……もう昼時だったな。寄っていくか?」

行商人「最初っからそのつもりっす!」グイグイ

無職「引っ張るなっての」


無職(この辺は森に近いからか、木々の木の葉がちょうどよく日陰を作ってくれていて、涼しい)

無職(少し開けた場所にある茶店は、どこか日本の風情を感じさせる造りだ)

無職(地面なんか、砂利が敷き詰められていて、不規則な飛び石が茶店のほうに続いている)

無職「大通りばかりに目がいきそうになるが、こういうものもあるんだな」

行商人「ふふふ! ウチのお気に入りの茶店っす!」

行商人「ここに来るまでが入り組んでるっすからあまり人が来ないんすけど、そのおかげで静か、というか」

行商人「無職さんが、初めてっす! ここに招待するの!」

無職(やだこの子ちょうかわいい)トゥクン

女将「んー? 懐かしい声がするねー?」

無職(あとずっと思ってたけどすごい、和!!!!! 女将さんも和!!!!! 割烹着!!!!)

行商人「お久しぶりっす!」

女将「あー! いつかのちっこい行商人の子じゃないかい!」

女将「どうだったんだ、あの商人に発行されるって『券』は、手に入ったのかい?」

無職(…………なに?)

行商人「……え、っと。それは―――」

女将「ってぇ!! まぁ! 券じゃなくてアンタ、男手に入れちまったのかい!?」

女将「…………人は見かけによらないのねぇ……」

行商人「い、いや! ち、違……くも、ないような……?」

無職「違う違うちゃんと否定してホラ」

行商人「ウチらは客としてきたっす。女将さんのお茶と甘味が恋しくなったっすよ」

女将「……そうかい。じゃ、そこに腰かけてておくれ。久しぶりの客だからね、腕によりをかけて作るよ!」

137 :ドーモ=デス ◆GgZ.pGaTW2 [saga]:2018/07/06(金) 21:05:55.84 ID:Lzs0qv3p0


行商人「…………静か、っすね」

無職「だな」

無職(木々が揺れて、葉がこすれる音が山から聞こえてくる)

無職(大通りにいた時の喧騒は、嘘みたいに聞こえなくなっていた)

行商人「聞かない、っすか?」コテン

無職「どうした、無防備に俺に体重をかけてきて」

無職「さっきの……券のことなら聞かないぞ」

行商人「ウチは、行商人を騙って入国しようとしてたんすよ?」

行商人「それなのに、ふたを開けてみれば行商人を志願してて……許可されなかったんすから」

行商人「一言二言、疑問がないと、なんかもやもやするっす」

無職「疑問、ねぇ…………」

無職「……なぁ、なにか後ろめたいことでもあんのか?」

行商人「!」ピク

行商人「な、なぜっすか……?」

無職「正直俺は、お前の行為は悪いとは思えない」

無職(ってか、一人の少女に求愛して挙句ものすごい形相で追いかけてくるやつよりは平和的で、ほほえましいものだろう)

無職「だが、周りが許せることでも、自分がそれを許せないっていうのはな……」

無職「簡単には言えないが、俺たちとは違う『何か』があるんだろう」

行商人「…………」

行商人「…………悔しいっす。昨日出会った人に見透かされるなんて」

無職「ふ、惚れるだろ?」

行商人「…………考えておくっす」

無職(さらに寄りかかってくる……彼女には何か、わだかまりがあるんだろうな)

無職(……青春、ねぇ。彼女たちの寄り添える人になりたいなぁとは思うが)

無職(まだ、遠い未来の話かもな)


女将「…………お待たせ。魔の国の茶と、帝国製の団子だよ―――」




…………。
……………………。
138 :ドーモ=デス ◆GgZ.pGaTW2 [saga]:2018/07/06(金) 21:11:49.45 ID:Lzs0qv3p0

無職(その後、俺は行商人に振り回されるかのように町を歩き回った)





■■■■■□□□□□ → ■■■■□□□□□□ 残り体力4


無職「……さて、と。どうするかな」



―――日が傾いている。 もう少しで夕方か? ……そういえば、みんな夕方で帰ってくるんだったか。

(この安価で自由行動ターンは終了。その後サブイベント『静謐なる邂逅』が開始されます)

(※非推奨:訓練場 ―――体力を多く持っていかれそうな気がする……)




1 執務室で時間をつぶす (体力消費なし)

2 ※兵舎の近くの訓練場に行ってみよう (体力2消費)

3 郊外を歩いてみよう

4 大通りを歩いてみよう

6 金貨を使って買い物でもしてみるか


サブイベント『静謐なる邂逅』―――❕ 強制的に一日が経過します ❕

>>安価↓
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/06(金) 21:12:38.93 ID:31T50vGgO
2
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/06(金) 21:12:46.12 ID:B1rudZ890
6
武器とか買えたらな
141 :ドーモ=デス ◆GgZ.pGaTW2 [saga]:2018/07/06(金) 21:35:30.66 ID:Lzs0qv3p0

兵士長「武器の構えが甘いでござる! 剣ごと切り落とされたいのでござるか!」

兵士長「相手を見るでござる! 相手の武器は見るな! 予備動作を見切らねば間に合わないでござる!」

兵士長「……そうでござる。筋はいいのでござるから、それを伸ばして……おや、これは」

無職「ん、悪い。邪魔したか?」

兵士長「まさか。ギャラリーもいたほうが鍛錬にも熱が入るでござる」

行商人「み、みんなの剣が残像を作ってるっす……!」

無職(素人目に見ても、この兵隊の練度は恐ろしく高い)

無職(どうやら今は騎士剣での模擬戦闘中のようだ)

兵士長「まだまだ甘いでござるよ……。そこ! 足にまで気を張れ! この戦闘で足がもつれるようなら、足を払われて切り殺されるでござる!」

無職(しっかし、怖いな、この顔で叫ばれると)

無職(どれが悪いとか、どれがいいのかとか、まったくわからないんだが……)

無職「そこまで厳しくする必要あるのか?」

無職(もう完璧みたいなものだと思うんだけどな)

兵士長「―――ここら辺は恐ろしいほどに平和でござる」

無職「…………平和……?」

兵士長「あの暴漢のことでさえ、帝国等と比べると些事に過ぎないのでござる」

兵士長「某は人であるからそこまで目の敵にされることはなかったでござるが」

兵士長「帝国というのは……毎日人が死に、絶望し、恨み……。すべての人間が武器を握っているような世界だってでござるからな」

行商人「…………帝国に、従事してたっすか」

兵士長「そうでござるよ。昔はまだ、若かったでござる」

兵士長「亜人は悪だと習い、それを馬鹿みたいに信じ込んで亜人を切り殺す毎日でござった」

兵士長「確かに、彼らはお世辞にも善人とは言えなかったでござるが……」

兵士長「某の無知により殺してしまったのも、また事実なのでござるよ」

無職「お前…………」

兵士長「……せめてもの罪滅ぼしのために、この国を作り上げることに賛成したでござる」

兵士長「魔の国と、人の国の和睦に心血を注ぎ……」

兵士長「……やっとの思いでここに立っているでござる」

無職「……なるほど。その目線から見れば、平和も諸手を挙げて喜べるわけではないということか」

兵士長「本来であれば喜ぶべきなのでござろうがね」

兵士長「だが、『来るべき時』はいつか来るでござる」

兵士長「鍛錬を怠ることも、手を抜くことも許されないでござる」

無職「…………そうか。大変なんだな」

無職「先に戻っているよ、じゃ―――」

兵士長「と、いうことで」

無職「」

兵士長「鍛錬を使用でござる、無職殿」

無職「ヒッ―――」

無職(兵士長の口が三日月に避けたような気がした)


行商人「なんか存在忘れられてるっぽいっすから、ここで待つことにするっす」

無職(たすけてー…………)ズルズルズル


…………。
……………………。
142 :ドーモ=デス ◆GgZ.pGaTW2 [saga]:2018/07/06(金) 21:38:31.04 ID:Lzs0qv3p0
誤字パラダイス。ごめんなさい

『鍛錬を使用』 → 『鍛錬をしよう』

『三日月に避けた』 → 『三日月に裂けた』


見返してみると結構誤字があって恥ずかしいっす
143 :ドーモ=デス ◆GgZ.pGaTW2 [saga]:2018/07/06(金) 21:45:02.28 ID:Lzs0qv3p0


(鍛錬を終えた。限界まで付き合わされたが、得るものも多かった)


■■■■□□□□□□ → ■□□□□□□□□□ 残り体力1


❕ ―――無職のパラメータ『筋力』、『敏捷』が強化されました

❕ ―――今回の自由行動で『コミュ力』、『カリスマ』が強化されました

能力 ―――『急所突き』、『回避特化』を取得



急所突き―――相手の急所を狙い撃ち。普通の攻撃のコンマ判定が緩くなり、また強化される。『常時発動型パッシブ』

回避特化―――そのターンのみ、攻撃を高確率で回避する。一戦闘一回限り 『一時発動型パッシブ』





❕ ―――サブイベント『静謐なる邂逅』を開始します
144 :ドーモ=デス ◆GgZ.pGaTW2 [saga]:2018/07/06(金) 21:53:36.61 ID:Lzs0qv3p0



いつもよりも早めですが、ここで区切らさせていただきます
(いつも50レスぐらいを目安に切り上げています)

明日はもっと多く書き込むよ! 休日だしね!

―――で、今回いろいろと追加しまくりましたが、わかりにくかったら言ってください
自分自身、理解しきれてないところもあるかもしれないので、そういった言葉は本当にタメになります!

温かい言葉をかけてくれる人がたくさんいますので、応えていけるように頑張っていきたい(切実)

次回はエルフのイベント『静謐なる邂逅』から開始させていただきます
彼女が森に潜った理由、それを話したときに影を落とした彼女の表情のワケ―――。
…………行商人とエルフ、言い知れぬ関係があり…………!?

ということで、ありがとうございました!!!!!!!
では、おやすみなさい
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/06(金) 21:54:29.22 ID:B1rudZ890

早く始めるだろうけど、明日仕事なのが悔しい。
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/06(金) 21:56:26.74 ID:9b8mB5TM0
乙です
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/06(金) 22:45:58.72 ID:hq4LQIsFo
おつー
148 :ドーモ=デス ◆GgZ.pGaTW2 [saga]:2018/07/07(土) 10:37:14.65 ID:HN0TeBbV0


思ったんですけど、一スレ一スレの長さってもう少し短いほうがいいんですかね?


あ、再開します!
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 10:50:05.87 ID:q3jn7Va/0
別にこのままで良いと思います

安価なら下
150 :ドーモ=デス ◆GgZ.pGaTW2 [saga]:2018/07/07(土) 10:50:31.73 ID:HN0TeBbV0
あと少し説明をば
女神(妖精)は無職のローブの中、フードの中で隠れてるみたいに解釈してほしいです



エルフ「…………ずいぶんとお楽しみだったのね」

無職「まぁ……な。ってかいい加減離れろ」グイグイ

行商人「いや〜ん夫に引きはがされちゃう〜」ギュー

エルフ「……夫?」

無職「んんん何でもない! ……って、わけでもないんだが、成り行きでな」

エルフ「……昔から、厄介ごとにはよく巻き込まれる体質だったものね」

無職(そうなのか昔の俺)

エルフ「―――でも、離れてくれるかしら、行商人さん?」

行商人「ぴえ!」シュバッ

女神(表情はそのままなのに、よく見ると青筋が浮かんでるわね)

無職(温厚そうな笑みが妙に凄みを感じさせる……行商人が蛇ににらまれた蛙みたいになってるぜ)

無職「もう夕方だが、この時間帯に森のほうに行くのか?」

無職(熊とかそういう獣が出ないって保証があるわけでもないし)

エルフ「それが……孤児院の、私を拾ってくれた人なんだけど、ものすごく堅物で」

エルフ「私が夕方に通うことを習慣にするようになってから、『秘匿』を夕方以外の時間帯に解いてくれなくてね」

行商人「秘匿って、もしかして魔法っすか?」

エルフ「ええ。それも古式の」

無職(古式って?)

女神(神代に生まれて、人が誕生する前に消えたといわれているものよ)

無職(…………それってもしかしなくとも、すごいやつなんじゃないか?)

女神(……そうね。並大抵の人が操れるものではないわ)

行商人「な、何者っすか、その人、人? 人なんすか?」

エルフ「人よ。…………たぶん」

無職(うーん行きたくなくなってきたぞ!)

151 :ドーモ=デス ◆GgZ.pGaTW2 [saga]:2018/07/07(土) 11:01:54.23 ID:HN0TeBbV0
>>149 ではこのまま続けさせていただきます! ありがとう!!!


無職(で、兵士長に部屋を任して外に出てきたわけだが)


通りすがり「お、おい見ろよあれ……」

通りすがり「ぐ、あの男、両手に花かよ!」

通りすがり「片方には年端も行かぬような幼女、もう片方には締まった体と豊満な胸のチャンネー……」

通りすがり「「「クソォ!!! 羨ましい!!!」」」

無職(うるさ)

無職「あのなぁ、変に誤解を生むから抱き着いてくんのはやめろって」

無職(いつあの団長に見つかるか分かったもんじゃないからな!!!)

エルフ「ですって、行商人さん。離れたらどうかしら?」

行商人「今のはエルフっ子に放った言葉っすよ。それにウチは、無職さんとは『夫婦』って関係っすから」

無職(これどう見ても親子じゃね。行商人お前は娘じゃね)

無職(……この両腕の感触は悪いもんじゃないんだが…………)

無職(なんか、幸せが逆に怖い!!!!)

女神(……典型的なダメ人間ね。今は幸せをかみしめてたらいいじゃない、誰も嫌がってないんだから)

無職(…………えー)

女神(それに、両手に花、だけじゃなくて私もいるんだもの!)

無職(え????????)

女神(潰すぞ)

無職(ウィッス)

エルフ「むー…………」ギューーー

行商人「がるるるるる…………」ギューーーー

無職(ハァ……)


無職「…………>>安価↓」
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 11:07:47.46 ID:q3jn7Va/0
エルフ、もう体調は大丈夫なのか?
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 11:08:32.65 ID:eGgOKOcDO
二人とも俺のことを本当に思っているなら、一旦離れてくれないかな……
154 :ドーモ=デス ◆GgZ.pGaTW2 [saga]:2018/07/07(土) 11:18:37.84 ID:HN0TeBbV0


エルフ「! ……朝起きた時にはもう全快だったわ」

無職「そうか。見つけた時はだいぶ弱っていたからな、安心したよ」

無職(治れって念じて『言葉』を使ってみたが、どうやら成功してたみたいだな)

無職(……心から念じて言葉を使わないと、効果は表れないのだろうか)

エルフ「……ありがとう」ギュ

無職「……どういたしまして」


行商人「……なんか、仲間外れって感じっす」

無職「ハハハ、そんなことはないぞ、たぶん」

行商人「た、たぶんってなんすかー!」ギャーテー

無職「ちょお!? さらに抱き着いてくんなや!」

エルフ「む、私だって……!」ギューーーー

無職「ぅおおお前もかよ!!!」



無職(……たとえ、エルフに刻まれた記憶が偽りのものだったとしても)

無職(俺には、応えていくべき、義務も責任もある)

無職「…………ハァ、日が暮れる前に着くといいんだが」

無職(……悪くないんだよな、ホント)



女神(…………)
155 :ドーモ=デス ◆GgZ.pGaTW2 [saga]:2018/07/07(土) 11:26:26.39 ID:HN0TeBbV0


…………。
……………………。



無職(森の中に入って随分と経つが、これ本当に目的地に近づいてんのか?)

無職(土地勘とか皆無だから、同じところをぐるぐる回ってるようにしか思えないんだが)

エルフ「こっちよ」ガサガサ

行商人「ほえー……」

行商人「こ、こんなとこまで来たことなかったっすから、ワクワクするっす! ねぇ無職さん!」

無職「お、おう。それな」

無職(さすがにこいつらは分かるのか。……もしも迷ったら危険だな、うん)

無職「足取りに迷いがないな。何度も来たことがあるのか」

エルフ「ええ、この大陸に来てからは、ほぼ毎日」

無職「……それでも、学園の生徒だったんだろ? 時間とかは取れるのか?」

エルフ「そこまで厳しいわけではないもの。それに今は長期休暇中だから」

無職(地球の学校で言う、夏休みってとこか?)

156 :ドーモ=デス ◆GgZ.pGaTW2 [saga]:2018/07/07(土) 11:28:11.25 ID:HN0TeBbV0


エルフ「…………ここよ、ここが孤児院」

行商人「んな……!」


無職(やっと木々がなくなったと思ったら、なんだここ……)


無職(まるで……>>安価↓だ)
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 11:29:33.99 ID:9ecGEGRu0
軍事要塞
158 :ドーモ=デス ◆GgZ.pGaTW2 [saga]:2018/07/07(土) 11:43:18.05 ID:HN0TeBbV0

キャラ安価なし。固定キャラです



行商人「まさか……帝国の、建築技法……!?」

無職(地球じゃあ、ネットとかで結構目にすることが多かったが……)

無職(規模は小さく、廃れている。それなのに、気圧されるような、威圧感)

エルフ「……お久しぶりです。と言っても、一日ぶりですが」

無職(…………? 誰か、いるのか―――ッ!?)

???「―――客人は、呼んでいないはずだけどねぇ…………?」ヌゥ

無職(後ろ……ッ!? いつのまに!?)

エルフ「お戯れはよしてください。私のボディーガードと……その小間使いみたいなものです」

行商人「こまっ……そ、それってウチのことっすか!?」

???「フン、アンタが人を連れてくるとはね、天変地異の予兆か……?」

???「―――お初にお目にかかる、黒装束の人間よ。話には聞いている、中に入るといい」

無職(要塞らしき建物の中に入っていってしまった……)

無職(若くはないが、妖艶な身持ち、そして……隙の無い、剣のような雰囲気)

無職(シスター服に、黒色の鎧を付けた歪な装備に身にまとうあの人は、一体……?)


エルフ「……悪気はないのよ、ただ……あの人、人付き合いが苦手で―――」

???「何か言ったかい?」

無職(こわっ! 闇に溶けて顔だけ出さないでくれますかね!?)

エルフ「……行きましょ、待たせるとうるさいの」

行商人「わわっ、待ってくださいっす!」

エルフ「…………?」

行商人「な、なんかすごい怖い人っすけど、あの人とはどんな関係っすか?」

エルフ「んー、ただ拾った拾われたの関係なのだけど……まぁ、そうね。>>安価↓っていうのが近いかしら」
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 11:45:53.50 ID:4dHZgH6LO
姉みたいな師匠
160 :ドーモ=デス ◆GgZ.pGaTW2 [saga]:2018/07/07(土) 12:00:26.29 ID:HN0TeBbV0


師匠「中は広くもないし、茶すら出せないからね」

師匠「まあ、文句を言うようなら、二度と口をきけないような茶を用意してやるさ」

エルフ「ごめんなさい、ここは金欠気味だから……」

師匠「……余計なことは言うな、愚か者」

無職(顔も雰囲気も怖めだが、悪い人ではないのかも?)

行商人「えっと、ウチら、エルフっ子がこの森に潜る理由について教えてくれるって聞いて……」


師匠「なに……?」

行商人「……っ!」

無職(―――? 目の色が、雰囲気が、より剣呑になった?)

師匠「…………まさか、あれを、教える気か?」

エルフ「……はい。無職たちは信用できます、だから―――」

師匠「そうではない」

エルフ「ッ!」ピク

師匠「お前自身が、大丈夫ではないのだろう」

師匠「今回も、なにが背を押したのかは甚だ疑問だが……」

師匠「投げやりになっているようにしか見えん。やめろ、自分を傷つけるだけだぞ」

エルフ「そ、そんなつもりじゃ……!」

師匠「知ってもらえれば気も楽になる…………」

師匠「……『逃避』というのだよ。あいつらは、お前には、荷が重かったのか?」

エルフ「…………そん、な……わけじゃ……」

師匠「お前たちも、首を突っ込むのはやめておけ」

師匠「知られざる禁忌…………『秘匿』とは、そのためだけにあるのだからな」

エルフ「…………」

行商人「エルフっ子……」

無職(…………)


無職「>>安価↓」
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 12:03:55.84 ID:ynUQ8uemO
一体何があったのか教えてもらうことは?
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 12:05:02.94 ID:dbuJ9Llf0
知らない方が良い事、知れば後戻りできない事はある。言わない方が良いならそれでいい…………でも何も知らないままじゃ助ける事もできない
163 :ドーモ=デス ◆GgZ.pGaTW2 [saga]:2018/07/07(土) 12:27:37.19 ID:HN0TeBbV0


無職「一体何があるっていうんだ? 秘匿とは……禁忌とは、なんだ」

師匠「…………」

無職(ここまで出し渋る理由は、きっとなにか―――ガァッ!?)ガクッ


師匠「……禁忌は密に黙されるべし。内を知ろうものは、それ相応の終幕が訪れる」

無職(グゥ……ァ!? な、なんだ……これ……重圧? クソ、立てない……!!)グググ

師匠「愚か者、そんな薄い決意で首を突っ込もうっていうのかい?」

エルフ「し、師匠! 無職は……!」

行商人「む、無職さん! ……や、やめてくださいっす!」

師匠「戯言をほざくな来訪人よ。好奇心だけでどうにかなる問題でもない」

師匠「稚児にも似たその思想で、ここに踏み入ったのか?」

師匠「それが、彼女に近かったボディーガードとしての、断固たる意思なのか?」

無職(踏み込むことを恐れ、結果として相手にはこうやって見下される)

無職「ヅ……ハッ、いや、悪かった……悪い癖が出ちまったようだ」

無職(人付き合いがなかったから……とかは、決して言い訳にはならない)

師匠「む…………」

無職(この人が、エルフのことを想い、彼女のことを守ろうというのなら……!)

エルフ「無職……?」

行商人「無職さん……?」

無職(俺も! こいつを想って! 対峙しなきゃいけないはずだろうがぁ!!!!)ガバッ!

師匠「ほう……この圧を受けても立てるとはな?」

無職「フ、ハハハ! こんなもの、どうってことない!」プルプル

師匠「……続けろ。私は気が短いのでな、手短に、伝えろ」
164 :ドーモ=デス ◆GgZ.pGaTW2 [saga]:2018/07/07(土) 12:38:34.98 ID:HN0TeBbV0

無職「俺は、彼女の心の拠り所になりたいんだ……!」

無職「エルフには、こいつや!」ワシッ

行商人「わっ!」

無職「俺が付いている! ……だがな!」

無職「共有できぬ秘密など、そんなもの、孤独に他ならない!」

無職「わだかまりがあってみろ! 彼女たちは年相応に笑えないぞ!」

行商人「…………」

エルフ「…………」

師匠「エルフは、すでに来るとこまで来てしまった。背負い続けなければいけない業を、彼女は自ら進んで枷としたのだ」

師匠「彼女自身の選択を、否定するのかい」

無職「違う! ならばこそ、俺たちとともに歩んでいけばいいだけのこと!」

無職「確かに、知らないほうがよかった、なんてことはあるだろう……」

無職「だがな! 知ってて損したなんてことはないはずだ!」

無職「エルフが笑えるようになれば! 幸せなんだからな! それに勝る不幸がどこにある!」

無職「知らなければ、手を差し伸べられない……!」

行商人「う……ウチも! 出会って間もないっすけど! エルフっ子とは仲良くしたいっす!」

行商人「悪いことをしているわけでもないのに、笑えないっていうのはおかしいっす!!」

エルフ「……貴方たち…………」

師匠「ハン、聞くに堪えないような感情論だが…………」


師匠「だからこそ、相応しいのかもしれないなぁ…………?」スッ

無職「……! 重圧が、解けた?」

師匠「来なよ。見せてやるともさ、彼女の業を」



師匠「―――我々の歩んできた、血塗られた道を」

165 :ドーモ=デス ◆GgZ.pGaTW2 [saga]:2018/07/07(土) 12:49:47.41 ID:HN0TeBbV0
(青春どこ??????????)



無職「…………墓?」

行商人「それも、大量の……あの建物の裏に、こんな海を一望できる墓地があったなんて」

無職(無数に設置された墓は、異様な雰囲気を醸し出しているが、規則正しく並び、人の手入れが入念にこなされているのか)

無職(土汚れ一つない、きれいな墓石のままだ)

無職「これが……」

エルフ「私が、この森に潜る理由」

師匠「そして……途方もないような、業さね」


無職「…………なにが、あったんだ……?」

師匠「まぁまて、それは後からだ」

無職「…………? ―――! そうか、墓が理由ってことは」

行商人「墓参り……っすか」

エルフ「…………」

師匠「ああ。ずっと、ずっと……この大陸からきて、ずっとさ」

師匠「この夕日が望める場所で、神に祈るかのように、ね」

無職「誰の……墓なんだ」


師匠「…………本来、ここに来るはずだった、ガキどもさ」

無職「……なに…………!?」

師匠「志半ばで殺された、今はもう亡き、エルフの同郷だよ」
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 12:52:32.25 ID:TdBa6KaBO
わあ重い(青春どこ…ここ…?)
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 12:55:44.41 ID:q3jn7Va/0
青春(ダークファンタジー)
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 13:04:43.22 ID:dbuJ9Llf0
熱血も青春だから……(震え声)
169 :ドーモ=デス ◆GgZ.pGaTW2 [saga]:2018/07/07(土) 13:08:53.18 ID:HN0TeBbV0
ダークな世界観にしたのは間違いだったかな(楽しい!!!!!!!!!!!)




師匠「どうせ、聞いてるんだろ? あのサル顔の兵士から」

師匠「エルフが、帝国から逃げてきたこと」

無職(サル顔……って兵士長のことか。知り合いなのか?)

無職「ああ、詳しくは聞かされなかったが、そのことだけは」

無職「彼女のあの旅装束が、どういうものかも」

師匠「まぁ、長いこと旅をしてきたからね」

無職「…………なに?」

師匠「ん、聞いてなかったのか? ……私が、エルフたちを帝国から逃がしたこと」

無職「…………な!?」

師匠「エルフは帝国にいた奴隷同士の子でね。奴隷に不相応な文字の知識と、高貴であることを教育されていたのだけ覚えている」

師匠「両親はエルフでな、隣国エリケッシュ……あそこで奴隷として捕まり、売られたらしいんだが」

師匠「それでも、我が子だけには惨めな思いをしてほしくなかったらしい」

行商人「そ、それで……ご両親は?」

師匠「…………見えるだろう、せり立った崖の、一番奥」

師匠「どれよりも手入れがされて、どれよりも美しい花の添えられた、二つの墓を」

行商人「…………ッ!」

師匠「殺されたのさ」

無職「……そんな、過去が……」

師匠「その両親を殺したのは、他でもない、―――あのサル顔の兵士だったんだけどね」

無職「―――!? な、なに!?」

師匠「ただ、私の采配ミスさ。一番警備の手薄な場所を狙って、一人だけだったあいつを殺そうとしたんだが」

師匠「その過程で、エルフの母親が死んだ」

師匠「エルフのほかに、多くの亜人奴隷のガキを連れていたからね」

師匠「さすがに厳しいだろうってことで……父親が、身を挺して時間稼ぎをしたよ」

無職「そこで…………亡くなったのか」

師匠「……生きているわけがないさ。第一、兵士のほうが生きているんだからな」


兵士長『某の無知によって、殺してしまった』

兵士長『せめてもの罪滅ぼしのために、この国を―――』


無職(…………あいつの言っていたことは、こういうことだったのか)
170 :ドーモ=デス ◆GgZ.pGaTW2 [saga]:2018/07/07(土) 13:33:14.85 ID:HN0TeBbV0


師匠「それで、長いこと私たちは逃亡生活をしていた」

師匠「だがな……あいつが、『あいつ』が私たちの前に現れて、すべてが終わったのさ」

行商人「……ッ! あ、あいつって、だれのことっすか……?」

師匠「……黒いローブを身に着けて、二本の斬馬刀を持っていたことだけは覚えてる」

師匠「雨の降りしきる日だったかな。森の中を歩いていたら、目の前のガキどもの首が飛んだんだ」

師匠「それで、無意識のうちに後ろのガキどもを庇おうとしたらね」

師匠「右腕を切り飛ばされたのさ」

行商人「…………ぁ」

無職「み、右腕っておま……あるじゃないか」

師匠「ハッ、これはドワーフに作らせた贋作の腕さね」

師匠「血も通ってなければ、感触もない。成長も、なにも、楽しむことのできない腕になったのさ」

無職(ということは、本当に切り落とされたのか)

無職「そ、それで……その後は」

師匠「目で追うまでもなく、全員殺されていったよ」

師匠「その時は気を失って……気づけば、全員首か、胴から上が消え失せていた」

師匠「木に臓物をぶちまけた少女も、脳みそで地面を濡らした少年も……」

師匠「雨に流されていく血で、なにもかもが真っ赤だったよ」

師匠「必死に泣きじゃくって、止血しようとするエルフの姿が記憶に残ってる」

無職「エルフは、なぜ無事だったんだ?」

師匠「……食糧難の時、彼女が『採ってくる』と言い出して聞かなくてね」

師匠「どうやら、道すがら木の実に目を付けてたらしいんだ」

師匠「あの子はとても目がいいからね。だが、時期が悪かった」

師匠「あの時期は雨が降りやすく、落雷の危険性も大いにあった」

師匠「それでも飛び出して行って……帰ってこなかったエルフを探しに、全員で外に出たのさ」

無職「…………」

師匠「それで……終わりさ」

師匠「それがいつしか、この大陸に行きつき、いつかの仇と国を作ったのは、ほんの、罪滅ぼしに過ぎなかったのかもしれないな」

無職(自分の善意がきっかけで、全員死んだ……彼女が『業』というのも、わかる気がする)

無職(そしてそれをエルフは俺たちに教えてくれようとした。尋常ではない決意のはずだ)

171 :ドーモ=デス ◆GgZ.pGaTW2 [saga]:2018/07/07(土) 13:38:10.78 ID:HN0TeBbV0

エルフ「…………終わり、ました」

師匠「……そうか、では戻るとしよう。今日はここで泊まっていくといい」

無職「そうさせてもらうよ。いいだろ、行商に―――」


行商人「ちが…………ちがう…………ぁ…………ぁぁ…………」

無職「お、おい? 行商人?」

エルフ「あの、師匠…………」

師匠「なんだ?」

エルフ「……決心しました。これを……持って行っても、良いでしょうか」

師匠「フン、小生意気に……。やっと背負っていく決意をしたわけだ、良いだろう、許可する」

無職(……? あれは……翡翠色の鉱石が使われた巨大なブローチのような……)


行商人「―――ひぁ……ぁぁぁ…………」グラ

無職「お、おい! 行商人! しっかりしろ!」

エルフ「行商人さん!? し、師匠!」


師匠「……刺激が強すぎたのかもねぇ? ついでに部屋を案内するよ」

師匠「付いてきな、黒装束」


無職「あ、ああ! よ、っと……」

行商人「は……ぁ……ぁぁ…………!」

無職(うなされている? どうしたんっていうんだ、急に!)

エルフ「は、早く連れていかなきゃ! 無職!」

無職「わかってる!」


無職(…………とにかく、こいつの安全が第一だ!)

172 :ドーモ=デス ◆GgZ.pGaTW2 [saga]:2018/07/07(土) 13:52:04.73 ID:HN0TeBbV0



???『空しいねぇ? 報われないねぇ?』

???『結局、あなたの『罪滅ぼし』も意味がなかったんだよ!』

???『人殺しを楽しんで』

???『罪もなき人を八つ裂きにして』

???『聞いた? ―――人が臓物をぶちまけたんだよ!』

???『血潮の河川まで作り上げちゃったんだよ!』

???『絶望して、絶望させて、それでも武器を手放せない凶器の沙汰……ってね』

???『見えるでしょ、見えるでしょ?』

???『分かるでしょ、わかるでしょ?』

???『感触が、悲鳴が、掻き消える希望の音が』

「やめるっす……うるさいっす……!」

???『私はあなた、あなたは私』

???『私はあなたを守ってあげるの』

???『気弱で、内気で、虫も殺せないようなあなたを……』

???『私は修羅にしてあげた』

???『これはあなたの願い』

「ちがう……」

???『目を背けるな、罪に背くな』

???『まさか……殺し損ねた奴と出会うとはね!』

???『あの翡翠色の宝石……あなたが殺した子供が持っていたわよね!』

???『残酷だね』

???『無情だね』

???『ああ、でも…………』



???『『『―――これも運命だよね!』』』





―――サブイベント『キル・ミー』が開始されます
過去を背負うもの同士、食らうか食われるかの関係
皮肉なものです。仲良くなりたいと叫んだ相手が、自らを恨んでいるであろう存在などと

……そう、『わだかまり』があれば、誰も笑うことなどできないのです
あなたは、彼女を笑わせることができますか―――?



サブイベント『静謐なる邂逅』―――クリア条件『静謐』
173 :ドーモ=デス ◆GgZ.pGaTW2 [saga]:2018/07/07(土) 14:14:26.46 ID:HN0TeBbV0


無職(今はとりあえず、部屋のベッドで寝かしているが……顔色は優れない)

無職「なにか、病を患っていたりするのか?」

師匠「いや、体はいたって健康だ。だが……これは、『心』のほうが問題だね」

エルフ「心って……それって、大丈夫なんですか?」

師匠「さぁね。これはこの子の問題さ」

師匠「心の闇に飲まれないように気を張らなきゃ……廃人になることもありうる」

エルフ「……は、廃人」

師匠「だからそうならないよう、極力サポートしてやるのさ」

師匠「エルフ、消化しやすいものを作ってきな。粥でも何でもいい」

エルフ「……は、はい! すぐ作ってきます!」タッタッタッ…


師匠「あの子は料理がうまいからね。この子のことを考えて作れば、彼女の心を癒すこともできるかもしれない」

行商人「う……ぅぅぅ……!」

無職「…………急に、どうしてこんなことに」

師匠「……簡単さ」

師匠「……この子が、森の中で私らを襲ったやつだからさ」

無職「…………!?」

師匠「こんな低い身長、一度見たらすぐ覚える」

無職「まさか!? そ、そんなことができるやつじゃ……」

師匠「―――ああ、この子はできない。でもこの子はやれる」

無職「……?」

師匠「……解離性同一性障害」

無職「! 多重人格とでもいうのか!」

師匠「希望的観測をするならね。楽しんで人を殺すような子には見えなかったんだろ?」

無職「…………ああ」

無職(町で一緒に行動したときは、かわいらしい少女のそれだった)

師匠「私だってそうさ。最初目を疑ったが……そう考えるといろいろ都合がいい」

無職「じゃ、じゃあどうすれば…………」

師匠「知るか。……一緒にいてやればいいんじゃないか」


師匠「ではな、弟子の様子を見てくる」キー、パタン

無職「…………」

行商人「……ぅ……ぁ……だれ、か……」



無職(…………どうするのが。なにをしてやるのが正解なんだ)


>>安価↓
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 14:17:39.94 ID:9ecGEGRu0
優しく手を握る
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 14:18:55.05 ID:eGgOKOcDO
下手に動かずに傍にいて様子を見る
176 :ドーモ=デス ◆GgZ.pGaTW2 [saga]:2018/07/07(土) 14:34:40.77 ID:HN0TeBbV0


行商人「……あ…………ぅ…………」

無職(……苦しそうな表情が収まった。それでも目は覚まさない)

無職「……お前は…………」

無職(…………言葉を、使うのか?)

無職(彼女自身の問題を、俺が無理やり『なかったこと』にするのか?)

無職(乗り越えることが大事なのだと、よくわかってる)

無職「目を、覚ましてくれよな…………」

無職(俺は、祈ることしかできない)

無職「また、町のほうに出かけて……」

無職「今日はほら、団長に追いかけられたりであまり回れなかっただろう?」

無職「今度はさ、エルフとかを連れて…………な?」

無職「だから……頑張ってくれ」ギュ

無職「形だけの『夫』だが、俺に支えさせてくれ」

無職「お前は…………大丈夫だ」

行商人「…………」

無職「安心して―――」



コンマ判定 >>安価↓


99〜65 彼女は目を覚ました

64〜30 彼女は混乱しつつも目を覚ました

29〜1 彼女は、目を覚まさなかったが、彼女は起き上がった

00 しかしなにもおこらなかった

177 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 14:35:30.83 ID:q3jn7Va/0
えい
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 14:35:37.31 ID:eGgOKOcDO
179 :ドーモ=デス ◆GgZ.pGaTW2 [saga]:2018/07/07(土) 14:42:44.70 ID:HN0TeBbV0


行商人「…………無職、さん?」

無職「! あ、ああ……か、体は大丈夫なのか? 変だと思うところとかは?」

行商人「ぷっ、ふふふ……大丈夫っすよ、ありがとうっす」

行商人「…………もう少し、手を握っててもらってもいいっすか」

無職「もちろん……何かしてほしいこととかは? 何かあったら言ってくれよ?」

行商人「心配しすぎっすよ。……悪い気はしないっすけどね」

行商人「ただ……話を、聞いてはくれないっすか?」

無職(大丈夫だとは言っているが、声に気力がない)

無職(休ませるべきなんだろうが、彼女のためにも聞くしかない……か?)

無職「無理しないように、話してくれ」

行商人「……はいっす」
180 :ドーモ=デス ◆GgZ.pGaTW2 [saga]:2018/07/07(土) 14:59:29.63 ID:HN0TeBbV0


行商人「ウチは、夢を見ることがあるっす」

行商人「その夢は決まって記憶にはない夢っす」

行商人「でも生々しくて、感触があって……まるで、本当にそこにいるかのような錯覚に陥るっす」

無職「…………ゆっくり、話してくれ」

行商人「はいっす……。そこは、言ったことのない草原だったり、国だったりするっすけど」

行商人「…………森の中の夢をこの前みたっす」

行商人「おっきい刀を持って、小さな子供たちを虐殺する夢……」

行商人「聞こえてくるっす。『たすけて』、『いやだ』、『なんで』―――決まって最後は、『おまえのせいだ』って……」

行商人「怖いっす。記憶にはないのに、罪の意識で押しつぶされそうっす」

無職「…………」

行商人「ウチ、なんすかね…………あの夢は、夢じゃ、ないんすかね…………?」

無職「行商人……お前は……」


無職(行商人に本当のことを…………>>安価↓)
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 15:06:58.39 ID:eZrobiz20
話す
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 15:07:25.00 ID:eGgOKOcDO
今はまだ話さない
もっと関係が深まってから改めて話す
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 15:08:59.04 ID:eGgOKOcDO
また間に合わなかった……
これはどうなるのかな
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 15:17:10.89 ID:dbuJ9Llf0
それぞれに抱える問題を主人公の協力で解決してイク、まさに青春だね(白目)
185 :ドーモ=デス ◆GgZ.pGaTW2 [saga]:2018/07/07(土) 15:25:25.21 ID:HN0TeBbV0


無職「それは……夢じゃ、ないんだ……」

無職「あの人が言っていたよ。森の中の惨劇は……本当にあったことなんだ、行商人」

行商人「……やっぱり、そうっすか」

行商人「うすうす気づいてはいたっす。夢、で片づけるには……あまりにも、大きすぎるっすもんね……」

無職「…………」

行商人「人殺し……ふ、ふふふ……無職さん、ウチは…………人殺しっす」

無職「ああ」

行商人「…………っ! ごめんなさい、っす……こんな、汚れた手で……触れる、なんて…………」

行商人「ごめんなさ……ごめんなさい……―――ぁ」

無職「……自己完結するなよ、誰も、お前のことを咎めてはいない」ギュ

行商人「…………え?」

行商人「嘘っす……! み、見たっすよね! あの墓!」

行商人「何人もの小さい子が……ウチによって、殺されたんっすよ!」

行商人「絶対に、絶対に……許されないよ…………っ!」

無職「…………今、エルフがお前のために粥を作ってる」

行商人「うそ…………」

無職「それに、エルフの師匠は気づいている様子だった」

無職「今頃、エルフに全部伝えているかもしれないな」

行商人「あ……いや……やだ……嫌われたく、ないっす……あ、ぁぁ…………」ボロボロ

行商人「ウチは……ウチは…………」

無職「自己完結するな、って言っただろうがよ?」ポン

行商人「あぇ……? ど、どうして頭をなでてるっすか?」ワシワシ

無職「…………もちろん、許しているはずだぜ」

行商人「そんなはず…………」


無職「じゃなきゃ、律義に粥なんか持ってこねぇよ」


エルフ「…………行商人、さん」キィ…

行商人「ぁ…………!」
186 :ドーモ=デス ◆GgZ.pGaTW2 [saga]:2018/07/07(土) 15:46:09.93 ID:HN0TeBbV0



エルフ「…………行商人さ―――」

行商人「ひ……っぁ……ごめ、ごめんなさいごめんなさい―――」

エルフ「行商人さん!!」コトッ

行商人「―――ッ!!!!」ビクッ

行商人「…………ふぇ…………」

行商人「なん、で…………なんでぇ……こんなウチを…………だきしめて……」ボロボロ

エルフ「私は、あの時のことを、何度も『怖い』と思ったわ」

エルフ「でも……恨んでるわけではなかったの」

エルフ「そもそも、私たちは、逃亡していた身だから…………」

行商人「でも、でも! 殺してしまったんすよ! だいじな、大事な人たちを…………」グスッ

エルフ「それがあなたと聞いて、―――恨みなんて、あるわけないじゃない」

エルフ「私と、仲良くしたいと言ってくれた。悪いことはしてないのに、笑えないのはおかしいって、言ってくれた!」

行商人「…………それじゃあ、ウチは笑えな―――むぐっ!?」

エルフ「顔を下げないで……私を、見て」

行商人「う……ぅ…………」

エルフ「あなたは、悪くない。あなたの『もう一人』がそうさせるのよね?」

行商人「それは……ウチの弱さが招いた結果っす。ウチが殺したも同然っす!」

無職「行商人。人なんて、弱さだらけのどうしようもない奴だろ?」

行商人「…………無職さん……」

無職「兵士長を見てみろ。彼だって、乗り越えていた」

無職「見ていただろう? あいつは部下たちに慕われてる」

無職「違えてしまっても、生きることができてるんだ」


行商人「ウチは…………ウチは…………」


師匠「…………お前、行商人を目指しているのか?」

エルフ「……師匠」

行商人「な、なぜそれを…………?」

師匠「あの巨大な鞄を見れば嫌でもわかる。……目指しているのか、どうなのか」


行商人「…………目指してる、っす……」
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