田中摩美々「プロデューサー、これ、誰ですかぁ?」

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16 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2019/02/11(月) 08:00:19.39 ID:325jLixL0



「Pさん!」




摩美々「!」

P「あれ、千雪さん」

千雪「あれ、じゃないですよ。驚きました。休憩時間だったんですけど、Pさんが来たって先輩が教えてくれて――」


摩美々「…………」


千雪「!」

17 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2019/02/11(月) 08:01:54.95 ID:325jLixL0


摩美々「…………」

千雪「…………」

P「あ、そうだったんですね。はは、すっかり顔覚えられちゃったみたいで恥ずかしいです」

千雪「……そう、ですね。Pさんは『ずっと』このお店に来てもらっていますから」

摩美々「……」

P「あっ。紹介します。といっても知ってるかな。俺の担当している――」

千雪「田中摩美々ちゃん、ですよね」

P「えっ、ええ。摩美々、こちらが――」

摩美々「桑山千雪さん、ですよねー」

P「おっ、おう」

千雪「…………」

摩美々「…………」
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2019/02/11(月) 08:02:42.50 ID:325jLixL0



千雪「いつも、テレビで見ています。よろしくね、摩美々ちゃん」

摩美々「私も、『最近』話を聞いてますよー。よろしくお願いしますー」

P「お、おお?」
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2019/02/11(月) 08:03:23.33 ID:325jLixL0



摩美々「……プロデューサー、帰りましょー」

P「え、なんで?」

摩美々「なんでって、挨拶できたじゃないですかー?」

P「え、だってお前雑貨に」

摩美々「いいですから。それじゃ、千雪さん、さよならですー」グイッ

P「お、おい手ぇ引っ張んなって! あっ、千雪さん、またあとで!」


カランカラン



千雪「……………………」
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2019/02/11(月) 08:04:13.61 ID:325jLixL0

――――――――


摩美々(おかしい……)

摩美々(そんなつもりじゃなかった。あんな……険悪な感じじゃなくて、普通に一目見てみたかっただけなのに)

摩美々(……あれ。なんで、見てみたかったんだろ。プロデューサーの恋人って、私からしたら他人なのに)

摩美々(プロデューサーの……恋人……)

摩美々(…………)
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2019/02/11(月) 08:05:35.07 ID:325jLixL0

――――――――

P(ここ一か月くらい、摩美々の様子がどこかおかしい)

P(ボーっとしているのをよく見るようになった。イタズラも、心なしかキレがない気がする)

P(何かあったのか聞いても「なんでもないですよー」の一点張りだ。何もないわけがないのは、短くない付き合いだからわかる)

P(千雪……の様子も、ちょっとおかしい気がする)

P(名前で呼ぶよう、以前よりも増して強く言ってくるようになった。おまけに、敬語も取り払うようにと言われている。それは、恋人としては喜ばしいことかもしれないけど)

P(何か、焦っているような……。こっちは気がするだけだから、何があったかは聞けてないけど)


P「……ま、そっちは明日聞けばいっか」
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2019/02/11(月) 08:06:13.53 ID:325jLixL0


摩美々「……」ジー



P「……摩美々、俺の顔になんかついてる?」

摩美々「……別にぃ、ついてませんけどー」

P「そ、そっか……」

摩美々「……なんだか、楽しそうですねー?」

P「え? そんなことないと思うけど」

摩美々「そんなことありますよー。……もしかして、千雪さんですかー?」

P「え゛っ」

摩美々「……」ジー

P「……いやまあ、実はそうなんだよね」

摩美々「へー……」

P「最近さ、俺も色々やってて忙しかったろ? 明日やっと休みになったからさ、久しぶりにデート行く約束してて」

摩美々「……」
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2019/02/11(月) 08:06:48.71 ID:325jLixL0

P「な、なんだよその目は」

摩美々「まみみ、明日はレッスンが入ってるんですケド」

P「あー……その点に関しては、本当に申し訳ない! で、でもさ! 摩美々は摩美々で別の日にオフ入ってるだろ?」

摩美々「それは、そうなんですけどぉ……」

P「だ、だから勘弁してくれ! な! お土産も買ってくるからさ」

摩美々「……別に、いりませんよー」

P「拗ねないでくれよー」

摩美々「拗ねてるわけじゃ、ないですけど……」

P「……じゃあ、一体――」

摩美々「大丈夫ですよー。まみみは、一人でもちゃーんとレッスンできますからー」

P「……?」
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2019/02/11(月) 08:07:20.05 ID:325jLixL0

――――――――


キュッ キュッ

摩美々「…………」

はづき「はい、そこでターンしてくださいね」

摩美々「はぁい」
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2019/02/11(月) 08:08:15.69 ID:325jLixL0


キュッ キュッ

摩美々「…………」



『明日やっと休みになったからさ、久しぶりにデート行く約束してて』


キュッ キュッ

摩美々「…………」



『久しぶりにデート行く約束してて』


キュッ キュッ

摩美々「…………」



『デート行く約束してて』


キュッ キュッ

摩美々「…………」



『デート』



キュッ キュッ

摩美々「…………」

摩美々(……デート)





キュッ ガッ

摩美々「……あっ────」
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2019/02/11(月) 08:09:12.05 ID:325jLixL0

はづき「――――はい、これで応急処置は完了です」

摩美々「……ありがとうございます」

はづき「いえいえ。ただのねん挫みたいでよかったです。でも、念のためちゃんと病院に行くようにしてくださいね。……あ、ご両親には?」

摩美々「……まだ、連絡はしていません」

はづき「そうですか。私は用事があって少しだけ席を外しますけど、もしその間にご両親が来れないみたいだったら、私が病院に送りますから」

摩美々「はい。……あの」

はづき「どうしました?」

摩美々「その……すみません。ちょっと、集中してなかったかも……」

はづき「いえ。ダンスレッスンにケガはつきものですし、あまり気を病まないようにしてくださいね。それでは、すぐに戻ってきますから」
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2019/02/11(月) 08:10:03.23 ID:325jLixL0


摩美々「…………はぁ」


摩美々(何してるんだろう……)


摩美々「……電話は、仕事中だから出ないよねー」


摩美々(……プロデューサーは、今頃……)


摩美々「……」




摩美々(…………やっとわかった。嫌なんだ、私……)


摩美々(プロデューサーが、遠くに行っちゃうのが。ほかの女の人に、目を向けてるのが)


摩美々「……プロデューサー」ジワッ


摩美々(私、プロデューサーのことが……)
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2019/02/11(月) 08:11:07.13 ID:325jLixL0


ガチャッ バンッ!


P「摩美々!」

摩美々「…………え?」

P「大丈夫か! って、おいおい、涙まで流して……」

摩美々「プロ、デューサー……?」

P「ごめんな、遅くなっちゃって。立てるか? 車で来たから、そのまま病院に行こう」

摩美々「なんで……」

P「はづきさんから連絡もらったんだ。まだ出発前で助かったよ」

摩美々「……デートは」

P「気にすんな、デートはいつだってできる。ちゃんと千雪にも連絡入れた」
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2019/02/11(月) 08:12:04.84 ID:325jLixL0

摩美々「……あ」

P「どうしよ……肩貸すけど、おんぶの方がいいか?」

摩美々「……ああ」



摩美々(わかった…………私、好きなんだ)



P「お、おい? 摩美々?」

摩美々「……ふふー」




摩美々(プロデューサーのことが、好きなんだ)



30 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2019/02/11(月) 08:12:58.99 ID:325jLixL0

P「泣きながら笑うなよ……もしかして、頭も打ったのか?」

摩美々「いえ、打ってませんよー。……おんぶで、お願いしますー」

P「なら、いいけど……ほら、つかまれ。よっ……と」

摩美々「……」ギュッ

P「お前、軽いなあ。ちゃんと食べてるのか?」

摩美々「最近、ダイエットしてましたから。ふふー、でも、これから戻ると思いますー」

P「ならいいけどさ。でも、食べすぎるなよ?」

摩美々「どうでしょうねー。まみみ、悪い子ですからー」

P「それだけ軽口叩けるなら、本当に頭は打ってないみたいだな」

摩美々「……ねえ、プロデューサー。愛してますよー」

P「なんじゃそら。はいはい、俺も愛してるぞ〜」

摩美々「……ふふー」

摩美々(暖かい)

摩美々(……これからも、摩美々がアイドルでいる限り、ずっと――――)
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2019/02/11(月) 08:13:38.00 ID:325jLixL0










千雪「………………………………………………………………」








32 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2019/02/11(月) 08:14:47.42 ID:325jLixL0

――――――――

摩美々「……え」

P「……」

摩美々「それ、本当ですかぁ?」

P「嘘ついても仕方ないだろ」

摩美々「……でも、振られたって」

P「仕方なかったのかもな。俺も千雪も忙しくって中々会えなかったし。まあ、仕事楽しくてずっと仕事してる俺が悪かったんだよ、きっと」

摩美々「……あの。もしかして、摩美々が」

P「ああいや、摩美々がケガしたのは関係ないさ。そのあと、仕事終わってからだけど何回か会ったし」
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2019/02/11(月) 08:16:26.98 ID:325jLixL0

摩美々「そう、ですか……」

P「……ああもう、暗い顔するんじゃない! 社会人の男女が付き合えばいずれにせよ別れるか結婚するかするんだから! それより! お前、俺の鞄に下着入れただろ!」

摩美々「……ふふー、そうですよねー。それより、なんでそれが摩美々のだってわかるんですかー?」

P「切り替えが早すぎるだろ……ちょっとは気にしろよ」

摩美々「まーまー、いいじゃないですかー」

P「ったく……俺の鞄に下着入れる奴なんてお前くらいしか思いつかないよ」

摩美々「そうですよねー。私くらいしか、いませんよねー」

P「……最近、摩美々のイタズラが過激になってる気がするよ」

摩美々「そうですかー? ……おらーっ」

P「おい、抱きつくなって! 暑いから」

摩美々「ふふー……まみみがー、慰めてあげますからねー」

P「お、おい離れろって! こんなところ、誰かに見られたら――――」
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2019/02/11(月) 08:17:12.23 ID:325jLixL0





千雪「ふふ。楽しそうですね、Pさん……」





摩美々「……えっ」バッ

P「……ち、ゆき……なんで……」

千雪「お久しぶりです。『プロデューサーさん』」

P「どうして……ここに……?」

千雪「どうしてって……決まってるじゃないですか」
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2019/02/11(月) 08:17:56.22 ID:325jLixL0



千雪「私も、アイドルになることを決めたんですよ」





P「ちょっ、こっちに来てください!」グイッ

千雪「……」チラッ




摩美々「……」
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2019/02/11(月) 08:19:15.63 ID:325jLixL0

P「どうしたんだ、いきなり」

千雪「どうもこうもありません。私、アイドルになります」

P「だ、だって。雑貨屋の仕事は……」




千雪「辞めました」

P「え?」

千雪「辞めちゃいました。雑貨屋さん」

P「う、嘘だろ……? か、考え直せよ」

千雪「あら、『プロデューサーさん』が、私がアイドルになれるって言ってくれたんですよ」

P「それは、確かに言ったし……誓って、嘘じゃないよ。でも、あんなに仕事を気に入ってたのに……」

37 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2019/02/11(月) 08:20:44.48 ID:325jLixL0

千雪「アイドルの方が、楽しそう……というと語弊がありますね。魅力を感じましたから」

P「なんで……。土下座、すればいいのか?」

千雪「どうして、プロデューサーさんが土下座する必要があるんですか?」

P「だって……おかしいじゃないか。振った相手の職場に来るなんて」

千雪「……」

P「なあ、千雪。俺が……俺が悪かったよ。あれだけ、しつこいくらいアプローチしたりしてさ、いざ交際してもらえたら仕事仕事で……俺に呆れて怒るのもわかるよ」

P「でも……そのために、俺みたいなダメな男のために千雪の人生が大きく変わっちゃうのはまずいよ。良くないよ……それは……」

千雪「……」

P「千雪……さん……」
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2019/02/11(月) 08:22:16.32 ID:325jLixL0

千雪「……Pさんは、やっぱり、優しいんですね」

P「……」

千雪「でも、いくつか勘違いしてますよ。まず、私は貴方に怒ってなんていません」

P「え……?」

千雪「アイドルになるのを決めたのは、さっきも言いましたが、アイドルに魅力を感じたからです。雑貨屋をやめたことも後悔していませんし、それに、もうはづきさんと天井社長には話を通してあります」

P「……それは」

千雪「Pさん、言ってたじゃないですか。『アイドル募集中だ』って。だから、仕事を辞める前に二人と話をつけておいたんです」

P「なんでそんな、回りくどいことを」

千雪「だって……こうして、私のことを心配して。Pさんは、止めてくれるじゃないですか」

P「それは……」

千雪「それと……もうひとつ。私は」スッ
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2019/02/11(月) 08:24:28.12 ID:325jLixL0

チュッ

P「!」

千雪「……今でも、貴方のことを、愛しています」

千雪「Pさん、言っていましたよね? アイドルなら、スキャンダルなんてない方がいいって」

P「言いました、けど……。なら、なおさらなんでアイドルを……」

千雪「私、気づいちゃったんです」

千雪「あなたが、どんなに私のことを大切に思ってくれていたとしても……『プロデューサーさん』は、摩美々ちゃんが……アイドルが、何よりも大切だったんだってことが」

P「そんな、こと……」

千雪「言い切れましたか。交際しているとき、もし私が風邪をひいたり、ケガをしたとしたら。摩美々ちゃんと一緒の仕事を休んで、私のところに来てくれたって。……言い切れましたか」

P「……」

千雪「……だから、私もアイドルになったんです。アイドルである内は、私も我慢します。プロデューサーとアイドルとして。……ねえ、今でも私のこと……好きでいてくれますか?」

P「……千雪、さん……」







摩美々「……そっか」

40 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2019/02/11(月) 08:25:43.16 ID:325jLixL0



P「……あたらめて、紹介するよ。摩美々」



千雪「アイドルとして活動することになりました。桑山千雪です」

摩美々「……田中摩美々、ですよー」







摩美々「……私、アイドルとしてなら、誰にも負けませんからー」

千雪「……ふふ。お手柔らかに、ね」


終わり
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2019/02/11(月) 08:27:28.44 ID:325jLixL0
終わりです。読んでいただいてありがとうございました。
摩美々ちゃんの口調難しいです……。
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/11(月) 09:01:38.28 ID:mskPQZeUo

まみみかわいいよまみみ
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/11(月) 09:30:47.29 ID:S45SDLKBO
乙乙
これは面白い新解釈だが卑しい女扱い待ったなし
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/11(月) 11:48:17.05 ID:Aq9iFagDO
RだからまみみんによるNTR始まる?

と思ったんだけどなぁ……

とりま乙
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/02/11(月) 15:18:18.91 ID:P9MObHQJ0
ホモウンコGG
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/11(月) 22:52:01.75 ID:Wx1rIWqp0
乙です
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/15(金) 09:32:31.78 ID:8ddxKMpU0
ああもう2人とも好き 乙です
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/17(日) 10:56:13.66 ID:xZR4QbHqo
渋でヤンデレタグが付いてたし摩美々がおかしくなっていく話かと思ってたからやられたぜ
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