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狸吉「華城先輩が人質に」アンナ「正義に仇なす巨悪が…?」【下セカ】
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12 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/08/21(金) 10:01:27.10 ID:Vqcr7VCy0
メールで華城先輩に確認したらその通りだったようで、何だろう、《SOX》から自分ハブられているんだろうか。メンバーからのアタリやたらと強いんですけど。
しかしいきなりデートと言われても思い浮かばない。この前はアンナ先輩が行きたい場所を指定したけど、今回はお任せになったからな。メールでいつもの喫茶店のマスターにテーブルの下に鉄の処女膜を用意してもらっておくけど、それ以外のところも行かないといけないよなあ。一応は。
映画館? 水族館? ショッピング? 全然思い浮かばなかった。
「あ、あの、とりあえず午前中は街をぶらぶら歩きませんか?」
計画も何もなかったが、アンナ先輩は僕といるだけで嬉しいのか、
「奥間君となら、どこへでも」
若干俯きながら恥じらうアンナ先輩の顔は、性獣状態とは比べ物にならない、僕が憧れていた時の綺麗で健全で清楚そのものの笑顔だった。
ただ正直、その笑顔を見ると自分が悩んでいたことを思い出した。アンナ先輩はまだ、性知識を知らない。僕の意思を無視したのもそうだし、僕自身もも貞操を散らせてしまった責任が、やっぱりあると思ってる。あの状況でどう抵抗すればいいのかわからなかったけど、あれ以上の言葉が他にあったんじゃないかと思っている。後悔は残ったままだ。
それに華城先輩は気にしてないようだったけど、アンナ先輩は無邪気に華城先輩の怪我を心配していた。自分自身が大怪我を負わせたにも拘らず。
それは知らないから、それで許される罪じゃないと思う。ゆとりが言っていたように。
ただ知らせることも出来ないし、僕も責任を清算しないといけないとは思ってるんだけど、華城先輩のことは伝えられないし僕もあれ以上のことを伝えることがどう言えばいいのかわからなかった。エロ本見せるわけにもいかないしな。
「奥間君?」
「え、あ……」
アンナ先輩もシャワーを浴びて、起きた時とは違う服を着ていた。
お出かけ用なのだと一目で分かった。白にパステルピンクカラーの小さい花柄のチュニック。網掛けタイプのカーディガンを羽織り、ロングのふわっとしたスカートは薄いグレーだった。マフラーの色が臙脂色でそこだけが色を主張していて、それがアンナ先輩の銀の髪と肌の白さを際立たせていた。
「あ、その……変ですか?」
「い、いえ! やっぱり制服姿が一番印象に残ってて、アンナ先輩の家ではもっとラフな服だから、お出かけの服を見るとまた別の感想が生まれるというかなんというか、見惚れてしまって」
「……もう。奥間君は、そういう言い方されると……狡いですの」
ちょっと口をとがらせて、でも嬉しそうに笑う。獣欲のない、ただ嬉しいだけの笑顔。
変化はあっても、こういう部分が消えなかったのは、ホント良かったと思う。いっつもビーストモードじゃ持たないし。
「い、行きましょうか」
とりあえず目的も何もなく、街をぶらぶらすることにした。
本当にこれでいいのかなあと、心にしこりを残しつつ。しこしこで解消できたらいいけどそれするとアンナ先輩ビーストモードに入るから絶対やらないんだからねっ。
「奥間君と歩くと、また街も違って見えますわね」
第一清麗指定都市の地理はアンナ先輩の方が詳しいはずだけど、目的もなくぶらぶらしながら歩くというのは、もっと言えば学校の帰りにちょっと寄り道なんて経験すらもあまりないのかもしれない。
ちなみに聞いて驚け、今僕とアンナ先輩は手すら繋いでいない。アンナ先輩は僕の袖をちょこんと摘まんで後ろをついてきている。昼は貞淑、夜は妖艶を通り越した性獣、何だろうこのギャップ。ずっとこのままがよかった。
と、アンナ先輩に摘ままれた裾が僅かに引っ張られる。
「どうしましたか?」
「あ、奥間君、その……あれは……」
「う」
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