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【安価】続・ハーレムシミュレーター 第二部【R-18】

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743 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/07(日) 21:38:39.67 ID:pG2MoViEO
詩作やり直し
744 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/07(日) 21:55:07.16 ID:+f8DlsHC0
>>742
745 : ◆WEXKq961xY [saga]:2021/02/07(日) 21:58:24.69 ID:9npilHNr0


「アスラよ、まだ寝んのか」

「もう少し…」

 筆を執り、半紙に向かう。時間を置けば、あるいは…



安価下コンマ+30 出来栄え
746 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/07(日) 22:02:36.43 ID:gqeppuWYO
ゾロ目はボーナス?
747 : ◆WEXKq961xY [saga]:2021/02/07(日) 22:05:37.43 ID:9npilHNr0


「…」

 筆を置く。日中に比べれば随分マシになった。だが、凡庸だ。
 布団に潜ると、目を閉じた。寝たら、頭もすっきりするだろうか…



 朝。またランファンが起こしに来た。

「間もなく大陸が近付いて参ります。心のご準備を」

「ああ」

 欠伸をすると、寝台を降りた。



安価下1〜3でコンマ最大 どうする?(4/5日目 日中)
@作法の勉強

A詩作

Bその他要記述
748 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/07(日) 22:08:04.60 ID:BlFGI4nQ0
1
749 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/07(日) 22:09:10.21 ID:ry+rk66Mo
1
750 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/07(日) 22:09:30.91 ID:KhCRQndy0
1
751 : ◆WEXKq961xY [saga]:2021/02/07(日) 22:20:15.94 ID:9npilHNr0
今日はここまで

ゾロ目ボーナスは本番だけかな
752 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/07(日) 22:26:48.74 ID:ry+rk66Mo
おつつ
753 : ◆WEXKq961xY [saga]:2021/02/08(月) 20:10:16.47 ID:BHueXym60
『Harem Simulator』





「アスラ様は、私たちの夫であらせられます。それはつまり、アスラ様もまた天子さまの子の一人というわけです」

 壁に掛けられた掛け軸には、年老いた男の絵が描かれている。

「何も特別なことはございません。父にし申し上げるように、すれば良いのです」

「おれの父は…」

「…と、とにかく。今からして見せますので、同じように。こちらは、天子さまのご尊影です。まずは、謁見の前に外で武器を預けて…」



「…おれ、父さんの前でこんなことした記憶無いんだけど」

 跪き、何度も頭を下げ、立ち上がり、また跪き…一セット終わったところで、思わず零した。

「天子さまは、遥か天上を統べる神々の長より、あまねく地上を治める使命を授かっておられるのです。これが私たちの払うべき敬意にございます」

「へえ。クリストラの国王陛下より偉いのか」

「勿論。王とは、皇帝に授けられる称号。ユィーキも、貴方様を『王』とお呼びするでしょう? 自分の父に代わって、称号を授けているのです」

「王と、皇帝は違うのか…」

 ぼんやり考えながらも、ランファンの作法講座は続いた。



安価下1〜3でコンマ最大 どうする?(4/5日目 夜)
754 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/08(月) 20:22:28.28 ID:lJPT8edO0
ランメイにも習う
755 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/08(月) 20:28:44.80 ID:BVPDGUECO
フォンリンにソンクーと話した事を話してティエンファンに謝らせてもらう
756 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/08(月) 20:39:56.84 ID:eLX431VtO
詩作
757 : ◆WEXKq961xY [saga]:2021/02/08(月) 20:48:08.73 ID:BHueXym60


 その夜、寝静まったユィーキを尻目に、アスラは詩作に励んでいた。
 いよいよ到着が近い。いい加減、モノにしないと…



安価下コンマ+30 出来栄え
758 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/08(月) 20:48:28.54 ID:77Jezbz/0
759 : ◆WEXKq961xY [saga]:2021/02/08(月) 20:53:35.24 ID:BHueXym60
「…まあまあかな」

 アスラは筆を置くと、布団に潜った。

「もう気は済んだか」

「! 起きてたのか」

 ユィーキは、か細い声で言った。

「…このようなことに巻き込んでしまって、済まん」

「良いんだよ。オリエズマの詩も、考えるのは楽しいし」

「そうか。…」

 そっと、アスラの首に手を伸ばす。そのまま抱き寄せると、ユィーキは何も言わず、彼の胸に顔を埋めた。
 船が揺れている。少しずつ仙術を緩め、速度を落としているようであった。



 朝。目覚めると、ユィーキがいない。部屋を見回すと扉が開いて、ランファンが顔を出した。

「おはようございます」

「あ、ああ。…ユィーキは?」

「ユィーキ? 見ておりませんが」

「そうか…」

 寝台を降りる。ランファンが言った。

「明日には到着です。心の準備はよろしいでしょうか?」



安価下1〜3でコンマ最大 どうする?(5/5日目 日中)
760 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/08(月) 20:56:03.45 ID:YgSk8ryPo
>>755
761 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/08(月) 21:06:07.15 ID:lJPT8edO0
>>755
762 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/08(月) 21:08:03.79 ID:77Jezbz/0
>>755
763 : ◆WEXKq961xY [saga]:2021/02/08(月) 21:25:01.05 ID:BHueXym60


 ユィーキを探して船内を歩き回っていると、廊下の一角でフォンリンと話しているのを見つけた。

「どうしても、ティエンファンは会いたくないと申すか」

「ああ。特にぬし一人では、会わせるわけにはいかん」

「ではアスラを連れてくれば良いのか」

「…あやつの言い分は、二人一緒に聞かねば意味がない」



「なら、丁度いい」

「! 来たか、アスラよ」

 アスラはフォンリンの前に膝を突くと、じっと目を見て言った。

「…ソンクーと話した」

「あのエテ公か。して、何を得た」

「やっぱり、おれは間違ってた。最初から、心の中では分かってたんだ。父娘は、あんなことをする関係じゃないって…」

「…よかろう。入れ」

 フォンリンは部屋の扉を開け放つと、2人を招き入れた。
 寝台の上では、ティエンファンがうつ伏せのまま、枕に顔を埋めていた。

「ティエンファンや」

 ユィーキが、柔らかい声で言った。

「こっちを向いて、父と母に顔を見せてはくれぬか」

「や」

 すげなく拒絶するティエンファン。ユィーキが食い下がる。

「何故だ。母たちを嫌いになったか」

「…」

 黙り込むティエンファン。フォンリンが声をかけた。

「ティエンファン、ぬしの言いたいことを言ってやれ。特に母上に、どうして欲しいのか」

「…」

 すると、ティエンファンが枕の中で、ぼそっと何かを呟いた。

「何だ?」

 ユィーキが歩み寄る。

「…ばっかり。ちちうえばっかり」

「父上が、どうした」

「ははうえは、ちちうえのことばっかり! ちちうえが来たら、ティエンファンは放ったらかし!」

「!」

 はっと、目を見開くユィーキ。

「ちちうえも、ははうえばっかり! 一緒にいても、ははうえばっかり! ティエンファンは、一人ぼっち…」

 そう言うとティエンファンは、しくしくと泣き始めた。

「ティエンファンも、一緒がいいよぉ…おちんちん、してもいいからぁ…ティエンファンも、一緒ぉ…」

「…悪かった。母上を、お前から横取りしてたんだな」

 アスラは、横たわるティエンファンの肩を抱いた。ユィーキも、手を重ねる。

「母を許しておくれ。ティエンファンや…これからは、共に過ごそうぞ」

「ほんと…?」

「勿論だ。…それに、おちんちんはしなくていい。そんなことしなくても、お前はおれたちの子だからな」

 寝台の上で語り合う親子を遠目に眺めていたフォンリンは、ふと洟を啜ると、どこへともなく去っていった。
764 : ◆WEXKq961xY [saga]:2021/02/08(月) 21:25:30.36 ID:BHueXym60
安価下1〜3でコンマ最大 どうする?(5/5日目 夜)
765 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/08(月) 21:40:58.65 ID:Fx20q46MO
今夜は川の字で寝る
766 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/08(月) 21:47:06.11 ID:lJPT8edO0
>>765
767 : ◆WEXKq961xY [saga]:2021/02/08(月) 22:04:17.39 ID:BHueXym60
ねる

安価下
768 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/08(月) 22:06:51.19 ID:77Jezbz/0
>>765
769 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/08(月) 22:09:44.08 ID:YgSk8ryPo
おつ
770 : ◆WEXKq961xY [saga]:2021/02/10(水) 20:06:25.88 ID:mebAlEGU0


 寝台に3人、手を繋いで寝息を立てる。アスラとユィーキ、間にティエンファン。
 船の揺れが、少しずつ弱まってくる。日が沈み、夜が更け、そして日が昇る頃…船の舳先には、広い大地が浮かび上がっていた。

771 : ◆WEXKq961xY [saga]:2021/02/10(水) 20:23:11.20 ID:mebAlEGU0
『Harem Simulator』



 噂話が聞こえない。
772 : ◆WEXKq961xY [saga]:2021/02/10(水) 21:19:42.69 ID:mebAlEGU0


 ジオの背に乗り、広い街道を歩く。前にティエンファン、後ろにユィーキを乗せても、ジオの脚は揺るがない。それでも歩き出すまでに時間がかかったのは、流石に慣れない船での長旅が祟ったのだろう。
 ジオの後ろには、5台の荷馬車。更に10台近くの馬車。後宮から帰ってきた人々を乗せているのだ。
 そして、それらを囲むのは、大きな旗を持った騎馬隊だった。港で待っていた彼らは、アスラを中心に陣形を組み、馬車を護衛している。鮮やかな赤の旗には『西方天守阿須羅』『玉公主』『蘭公主』『守護皇家朋友』と書かれている。

「夜には、華禁へ着きましょう」

 隊を先導する騎兵が、振り返って言った。

「かなり道がぬかるんでるな」

 蹄が沈むほど濡れた地面を眺めて、アスラは呟いた。すると、後ろからユィーキが答えた。

「ほんの数十年前まで、ここは雨の降り止まぬ地域であったと言う。これでも、持ち直したほうと聞いたぞ」

「…! そうか、雨の帳か」

 バルバス領の教会で、アルに聞いたことを思い出す。と同時に、失われてしまったバルバス領のことを思い出し、言葉を詰まらせた。



 広い牧草地帯に差し掛かると、牛飼いの娘が隊を抜けた。更に農耕地帯へ入ると、農民の娘が離脱した。シェンウェンや彼女の仲間とは、港で別れた。
 隊は、少しずつ小さくなっていった。



 日が傾く頃、周りに家が増えてきた。農耕地帯から話が伝わっているのか、沿道には大勢の人々が集まって、アスラやその周りの人に向けて手を振っていた。

「歓迎されておるぞ、我が王」

「それは良かった」

 ティエンファンも、にこにこしながら手を振っている。宿を借りて一休みしたおかげで、だいぶ元気を取り戻したようだ。
 建物が密集し、道路が硬く舗装されたものに変わっていく。夕日が山の向こうに沈み、辺りが赤い提灯の灯りだけになった頃、目の前に巨大な朱塗りの城が現れた。

「華禁に到着しました」

 先導の騎兵が言う。
 門の中から、2人の女が出てきた。それぞれ赤と青のチャイナドレスを着た女達は、深々と頭を下げると言った。

「勇者アスラよ。遥かクリストラより、ようこそお越しくださいました」

「ああ。…随分遅くなってしまったな」

「ええ。お部屋をご用意致しておりますので、今夜はそちらでお休みください。明朝、皇帝陛下に謁見し奉ります」



 華禁と呼ばれる城に併設された、これまた広い屋敷の一室に通された。

「凄いな、西禁とは比べ物にならない」

「当然よ。ここは、王朝そのもの。あれは、この城を模して造ったものだ」

 ユィーキが得意げに言う。ティエンファンは疲れ果てて、寝台の上でぐっすり眠っている。

「…そして、ここは華禁の後宮である」

「ここも、後宮? じゃあ、皇帝の」

「いかにも。妾もランファンも、ここで生まれた」

 そこまで言うと、ユィーキも寝台に上がった。

「…さて、もう寝よう。明日は早いぞ。何しろ、父上に拝謁し申し上げるのだからな」



安価下1〜3でコンマ最大 どうする?(夜)
773 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/10(水) 21:35:20.82 ID:5iTYcfm2o
ゆっくり寝て明日に備える
774 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/10(水) 22:11:42.61 ID:Ul4cMvb60
>>773
775 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/10(水) 23:59:34.25 ID:m2Tdnn6DO
>>773
776 : ◆WEXKq961xY [saga]:2021/02/11(木) 16:19:55.40 ID:MCJg4HP/0
「ああ、そうだな」

 アスラも、蝋燭を吹き消して布団に入った。目を閉じると、移動の疲れがどっと遅い、あっという間に意識は眠りの彼方へ落ちていった。



「悪鬼羅刹を下し、天下に平和をもたらした英雄の長子。剣を修め、年若くして数多の武勇伝を持つ、勇士たちの長にして、あらゆる人の文化を学び、何より詩を能くする、文人たちの柱」



 分厚い扉の向こうから、ランファンの声が聞こえる。白い正装を纏うアスラは、謁見の間の扉の前で、彼女の紹介が終わるのを待っていた。



「西方世界の守り手。広大なる領地の王。そして、天子さまの治められるオリエズマ王朝の盟友にして、この私を始め数多の姫君の、頼もしき夫にございます。さあ」



「!」

 アスラは唾を呑んだ。目の前で、扉がゆっくりと開くと、アスラはユィーキ、ティエンファンを後ろに連れ、広い謁見の間へと足を踏み入れた。
 中央に敷かれた赤い絨毯に沿って進むと、一番向こうは数段高くなっており、簾が降りている。それを囲むように、初老の男や女、少し置いて若い少女らが控えていた。

「…!」

 その中に、見知った顔を見つけた。フェイグゥだ。彼女は、幼い男児を腕に抱いている。アスラとの間に生まれた子だ。フェイグゥはアスラと目が合うと、小さく頷いた。
 一行は、広間の真ん中で立ち止まった。
 隣に来たランファンが「ここです」と囁くと、アスラは船の中で教わったように、その場に跪き、頭を下げた。

「クリストラより、シーヴァの子、アスラです」

 それからランファンが小声で指示する通りに、ぎこちない動作で礼を行った。
 一連の動作を終えて立ち上がると、彼は密かに息を吐き、額を拭った。

「…ほう」

 簾の側で控えていた一人の男が、感心したように声を上げた。

「見事な三跪九叩頭の礼であるな。蘭花から教わったか」

「恐れながら」

 頭を下げるランファン。その顔に、にわかに緊張が走った。
 簾が半分ほど上がり、玉座に座る足が露わになったのだ。



「朕が、オリエズマ王朝皇帝、条(ティア)である」



「! アスラ様」

 ランファンが慌てて跪く。彼女にズボンの裾を引っ張られ、アスラもその場に膝を突いた。



「ようやくこの場で見えることができて、嬉しく思う。朝貢も確かに受け取った」



「ど、どうも」

 朝貢というのは、ランファンが予めクリストラで買い集めていた陶器や、クリストラ風のドレスなどである。具体的な内容をアスラが知ったのは、船に乗る直前であった。



「朕の娘たちは、汝の気に召したかな」



「! はい。素晴らしき姫たちです。特に、ユィーキ」



「玉妃か。何が起こるか分からぬものよ。まさか、あの我儘娘が、これほど成長するとは。…張涯」

「は」

 一人の従者が、何かの額を持って来る。よく見るとそれは、かつてアスラがユィーキに宛てた手紙であった。
777 : ◆WEXKq961xY [saga]:2021/02/11(木) 16:30:02.70 ID:MCJg4HP/0
「覚えておるか。汝が、出産を控えた玉妃に宛てたものである。これほどの手を持つクリストラ人を、朕は知らぬ。この後、汝と語らえることを、楽しみにしておるぞ」

 簾が下りていく。どうやら、謁見はここで一区切り…

「恐れながら、父上」

 不意に、先程の男が口を開いた。

「いかがです。今この場で、かの勇者の詩を、聞いてみたくはありませんか」



「あ、兄上!?」

「父上!」

 同時に声を上げたのは、ランファンとフェイグゥだった。つまりこの男は、フェイグゥの父親、すなわちこの国の皇太子ということだ。

「アスラ様は、慣れぬ異国の地にて、初めてお会いし奉る天子さまへの礼で頭が一杯でございます」

「そうです。詠める詩も詠めませぬ。…お祖父様」

 ところが、下りかけた簾は途中で止まった。
 左右から、筆と硯、それに紙を持った従者が、アスラのもとへ歩いてきた。そのまま、絨毯の上にせっせと並べられていく。



「…何度も詠ませることになろう。そのために呼んだのだからな。なに、そう硬くなるな。今の心を、素直に詠むが良い」



「…はい」

 アスラは、深呼吸した。早ければこのタイミング、とは最初から覚悟していた。
 筆を執り、墨に浸すと、目を閉じて魂より湧きいでる何かに、意識を向けた。



安価下コンマ+50 出来栄え ゾロ目は99扱い
778 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/11(木) 16:35:51.96 ID:b15g7rEx0
779 : ◆WEXKq961xY [saga]:2021/02/11(木) 17:04:47.18 ID:MCJg4HP/0
「海原を駆け…遥か東の国へ…」

 後ろから覗いていたユィーキが、ゆっくりと声に出す。

「太陽の源へ…愛し姫の郷へ…」



「…!」

 簾の向こうで、影が動く。



「父を偲ぶのは、この場に立ち会えばこそ」



 言い出したはずの皇太子の顔が、少しずつ青褪めてくる。



「…この尊き国を永らえさせた、我が父よ」



 水を打ったように、静まり返る謁見の間。
 やがて、簾の向こうから手を叩く音が聞こえてきた。それから堰を切ったように、その場にいた全員が拍手した。

「汝をここへ招いて、本当に良かった…!」

 皇帝が何か囁くと、何と簾が上まで開き、中から金の衣装に身を包んだ、年老いた男が姿を現した。

「!! アスラ様!」

 ランファンに促され、跪いたまま深く頭を下げると、皇帝は自ら段を下り、アスラのもとへ歩み寄ってきた。
 アスラの肩に手を置き、言う。

「異国の者でありながら、礼を尽くし忠に篤く…詩は、歴史に残るほどの腕前。何より、父への孝もわきまえている。…面を上げよ」

「…」

 顔を上げると、細く白髭を伸ばした男の顔は、思いの外痩せこけて、震えていた。しかし、その目だけは爛々と輝いて、アスラを見ていた。
 気が付くと、その場にいた人々は…ランファンやユィーキ、フェイグゥ、それに皇太子までもが、その場に平伏していた。

「この条の、残り僅かな終生の友となってはくれぬか。勇者の子よ」

「あ…ありがたき、幸せに…」

 ランファンから教わった一節を、たどたどしく絞り出すと、彼は満足げに頷いて玉座へ戻っていった。
 従者が、詩の書かれた半紙を、慎重に持ち上げて回収していった。
780 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/11(木) 17:20:59.95 ID:YM3UpWxNo
やっば、持ってるねアスラ
781 : ◆WEXKq961xY [saga]:2021/02/11(木) 17:32:18.35 ID:MCJg4HP/0


「大成功! 素晴らしい、大成功ですよアスラ様!」

「ああ…と、とりあえず、良かった」

 寝泊まりした部屋に戻ると、緊張の糸が切れて寝台に倒れ込んだ。ランファンが飛びついて、大喜びで腕を握ってくる。ユィーキも、へなへなと椅子に座った。

「一先ず、アスラの一番の目的は果たしたな。…おうおう、疲れたな、ティエンファンや。しかし、これから母たちは、また父上のところへ行かねばならん…」

「まだ何かあるのか?」

「ええ」

 ランファンが、笑顔で頷く。

「客人としてのご挨拶は、ここまで。次は皇女として、天子さまに帰国のご報告を申し上げに参ります」

「ああ、そういう…」

 ぼろぼろのあばら家で、父と最初で最後に会ったことを思い出す。

「ゆっくり会ってくると良い。おれは、ティエンファンとここで休んでるから…」

「申し訳ありませんが、アスラ様」

「ん?」

 ランファンは、ずいと顔を近づけた。

「まだ、アスラ様にはお会いいただかなければならない相手が…」



 赤と青のチャイナドレスの従者に連れられてやって来たのは、城の中庭にある広い広場であった。
 そこには、10歳にも満たない子供たちがぎゅうぎゅうに集まっていた。

「静かに!」

 赤い服の従者…フォンが声を張り上げると、騒いでいた子供たちがしんと静まり返った。
 フォンが、更に続ける。

「お父様に、礼!」

 すると一斉に、子供たちが頭を下げた。



 10歳からの8年間で、実に166人。その全てが生き長らえたわけではないが、ここにいるのは全て、オリエズマ大陸の女たちとの間に生まれた、アスラの子供たちであった。



「…そうか。父親に…おれに会うのは、みんな初めてなんだったな」

 たった数分の、父との語らいを思い出す。この子達には、そんな思いはさせたくない。
 アスラは両手を広げて言った。

「…そうだ、父さんだぞ! ほら、おいで!」

 100人ちかくの子供たちが、歓声を上げて一斉に駆け寄ってきた。
782 : ◆WEXKq961xY [saga]:2021/02/11(木) 17:44:08.70 ID:MCJg4HP/0


「…」

「ちちうえ、おかえりー」

 ティエンファンにひらひら手を振ると、寝台に崩れ落ちた。
 あれからしばらく、子供たちと遊んだり、剣術を教えたり、詩を教えたりして大変だった。日が沈むと今度は皇帝たちと共に宴会だという。

「眠い…腹減った…」

 日没までは、もう少し時間がある。それまでどうしようか。



安価下1〜3でコンマ最大 どうする?(午後)
@寝る

A街を散歩

Bその他要記述
783 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/11(木) 17:45:03.47 ID:YM3UpWxNo
ティエンファンか体擦り寄せてくるので一緒にお昼寝
784 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/11(木) 17:50:41.88 ID:xEXuT5xXO
2
785 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/11(木) 17:57:41.42 ID:AoLBj95J0
ランファンに作法を教わる
786 : ◆WEXKq961xY [saga]:2021/02/11(木) 18:25:18.62 ID:MCJg4HP/0
じゃあ大陸の住民とか華禁の役人とかの案を
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1601639825/
に投げてちょ。セックスの可能性は殆どないし男でもいいよ

今日はここまで
787 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/11(木) 18:45:50.79 ID:YM3UpWxNo
あいあいおつー
788 : ◆WEXKq961xY [saga]:2021/02/12(金) 16:35:21.69 ID:PTHQZ5wr0


「すごーい、ひろーい!」

 少し休んでから、ティエンファンを一緒に街へ出てきた。護衛の兵士に囲まれて歩いていると、市街の人々は何事かと道を開け、そしてアスラの存在に気付くと興味津々で沿道に集まってきた。
 見回すと、女も男も同じくらい、寧ろ男のほうが多い。後宮とは大違いだ。自分以外の男がこんなにいるのが、アスラには新鮮であった。



安価下コンマ
01〜30 店で軽食
31〜50 屋台で誰か呑んだくれている
51〜70 屋台で数人が談合している
71〜90 大きな荷馬車だ
91〜98 …何でここに?
ゾロ目 宣教師
789 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/12(金) 16:41:06.00 ID:RFD977ADO
はい
790 : ◆WEXKq961xY [saga]:2021/02/12(金) 16:46:13.45 ID:PTHQZ5wr0


「…!」

 不意にアスラは足を止めた。

「ちちうえ、どうしたの…?」

「…」

 黙って見つめる先、広い通りの片隅に小さな台を設けて、一人の男が何やら声を張り上げていた。



「いずれ来る審判の日、赦されるには、神に全てを委ねること…」



 見覚えのある黒い服を着て、見覚えのある金の首飾りを下げているその男は、どこかで聞いたようなフレーズを数人の聴衆や素通りする人々に向けて延々と繰り返していた。



「良いですか、この世を創りたもうた神は、ただ一人。神を信じなさい。そうすれば、あなた方は救われます。全てが上手くいきます。神を…」



「…」



安価下1〜3でコンマ最大 どうする?
@無視する

A声をかける

Bその他要記述
791 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/12(金) 17:20:52.72 ID:wRaDlAU30
2
792 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/12(金) 17:33:21.30 ID:snD4IlPUo
2
793 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/12(金) 17:34:43.41 ID:RFD977ADO
2
794 : ◆WEXKq961xY [saga]:2021/02/12(金) 17:48:02.55 ID:PTHQZ5wr0
「おい」

「…信じれば、神は必ずやそれに…何、もう少しで…って、ええっ!?」

 つかつかと歩み寄ってきたアスラに、男は驚いて台から降りてきた。

「これはこれは。こんな所で同郷の方にお会いできるとは思っておりませんでした。貴方も、信教を広めに?」

 アスラの手を握ると、ぞろぞろと集まってきた聴衆に向けて声を上げる。

「ほら、ご覧なさい! 私と同じく神を信じる、クリストラのお方です。ここでお会いしたのも、神の思し召し…」

「あんたは、ここで何をしている?」

「…はぁ?」

 男は眉をひそめる。

「見ての通り、布教活動ですよ。未開の民に、神の恵みを広めんと」

「未開だと? オリエズマの民が、未開だと!?」

 語気を強めるアスラに、男はたじろいだ。

「ひっ!? し、失礼ながら、貴方様は一体…」



安価下1〜3でコンマ最大 話題、行動
795 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/12(金) 19:00:22.05 ID:wRaDlAU30
誰に言われてここに来た?
796 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/12(金) 19:10:23.87 ID:oPcn240Ao
>>795
797 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/12(金) 19:30:23.60 ID:t+nq/6Gr0
建国派か、と問い詰める
798 : ◆WEXKq961xY [saga]:2021/02/12(金) 20:22:37.96 ID:PTHQZ5wr0
 それには答えず、アスラは逆に問うた。

「誰に言われて、ここに来た?」

「はあ?」

 また、眉をひそめる男。

「誰、と言いますと」

「誰の命令で、ここに布教に来たんだ」

 すると男は、ふんと鼻を鳴らして言った。

「誰の命令でもありませんとも。宣教師として、正しき神の教えを広めることは、当然の責務。強いて言うなら、カイム枢機卿…いえ、ユーダ1世教皇猊下のご就任に勇気づけられてはおりますが」

「…」

「よもや、クリストラ人でありながら、神の教えを否定なさると? まさか、そんな」

 そこまで言うと、男は台を拾い上げ、アスラに背を向けた。

「では。私は場所を変えます。貴方にも、神の御加護がありますように」

 そう言って、彼は去っていった。
799 : ◆WEXKq961xY [saga]:2021/02/12(金) 21:06:35.28 ID:PTHQZ5wr0


 広間一面に、巨大なテーブルが並んでいる。大勢の給仕がワゴンを押して入ってくると、料理の山盛りになった大きな皿を、次々とテーブルの上に並べていく。
 アスラは他の皇族たちと共に、丸いテーブルを囲んでいた。隣には、ユィーキやティエンファン、ランファンにフェイグゥ。反対側に座るのは、他ならぬ皇帝、ティアである。

「万年の栄華を誇る、我が国の馳走である」

 皇帝が、厳かな声で言った。

「ゆるりと、楽しんでくれ。友よ」

 銅鑼の音が響く。たちまち給仕たちが忙しく動き回り、アスラや皇族たちに、料理を取り分け始めた。



安価下1〜3でコンマ最大 話題、行動
800 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/12(金) 21:27:39.20 ID:t+nq/6Gr0
雰囲気が良さそうなら皇帝に話しかける
801 : ◆WEXKq961xY [saga]:2021/02/12(金) 22:23:35.78 ID:PTHQZ5wr0
ねる
次の更新まで特になければ>>800
802 : ◆WEXKq961xY [saga]:2021/02/13(土) 21:02:57.48 ID:DI5vCE9G0


 山盛りの料理に舌鼓を打つ。量もだが、見た目も派手で、初めてオリエズマ北岸を訪れたときのような、鳥の丸焼きや豚の丸焼きのようなものが、あの時とすら比べ物にならないほどに並んでいた。味付けも、あっさりしたものからツクヨミの好む辛いものまで揃っている。
 食べながらアスラは、隣に座る皇帝のことを気にしていた。彼は、じっと料理の山を眺めたり、時折参加者たちを見回している。しかし、彼の前の料理が減っていない。

「食べられないのですか?」

「…何?」

 数拍置いて、くるりとアスラを見る皇帝。慌ててユィーキが口を挟んだ。

「体調が優れませんか、父上?」

「うん? …あ、ああ」

 彼は目を細め、口をもごもごさせながら言った。

「…考え事をしておった。客人を前に、無礼であったか」

「あっ、いえ、その…美味しい料理なので、つい」

 取り繕うようにアスラが言い訳すると、皇帝はしわしわの口元をにっと張った。

「それは何より」



 数時間後、ランファンが立ち上がり手を叩いた。

「皆様、お楽しみと思います。ここで、本日の客人、勇者アスラの武勇伝を劇にしてお届けしたいと思います」

 宴会場の一面に、建物を模った張りぼてが運ばれてくる。やがて綺羅びやかな衣装に身を包んだ役者たちが入ってきて、演劇が始まった。
 内容は、かつて後宮の劇場で見た、魔王とアスラの戦いであった。



安価下1〜3でコンマ最大 話題、行動
803 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/13(土) 21:06:46.32 ID:feTmcv3RO
皇帝だけ「自分はこの様な勇者ではない」と静かに伝える
804 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/13(土) 21:10:27.18 ID:3oWqEsC2o
>>803
805 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/13(土) 21:11:38.39 ID:Fj50olkh0
>>803
806 : ◆WEXKq961xY [saga]:2021/02/13(土) 22:03:59.39 ID:DI5vCE9G0
 目の前で繰り広げられるのは、若き勇者と恐るべき魔王の、手に汗握る剣戟。
 アスラは、思わず呟いた。

「…おれは、こんな勇者じゃない」

「今、何と?」

 皇帝が、横目で彼を見た。アスラは、静かに続けた。

「おれは…あんなに、戦えなかった。おれの剣は、父を救うことができなかった」

「剣折れた後も、鞘で魔王に挑んだのは真実でございます」

 ランファンが駆け寄ってきて、口を挟む。

「他にも、育ての親の敵を取るべく、邪教の信徒たちをたった一人で斬り伏せたのも」

「だが、遅かった。マリアを、救えなかった…!」

「…」

「…ふん」

 ここぞとばかりに鼻を鳴らす皇太子。皇帝は、目を伏せてしばらく考え込み…やがて、口を開いた。



「天網は疎く数多を漏らす。数多を掬えばこそ、数多を漏らす」



「…!」

 ランファンが、劇団に向けて手を上げる。すると、まさに盛り上がっていたシーンがぴたりと止まった。
 皇帝は朗々と続ける。



「北真君は己の輝きを知らず。誰より眩しく、輝きは皆人の知るところなり」



 その場にいる人々が、一斉に拍手をする。流石に勉強しただけあって、アスラには彼の言わんとすることが分かった。
 アスラは皇帝に向けて、深く頭を下げた。
 劇が、再開された。



 更に数時間後、一度席を外した数人の女たちが、着替えて戻ってきた。

「いかがでしょうか! アスラ様よりの贈り物でございます」

 フェイグゥや、他の皇女たちが着ているのは、クリストラのドレスだ。

「む、なんとも面妖な衣装かな」

 ぼそっと呟いたのは、一人の青年。

「しかし、悪くない。どれ、男物は無いのか…」

「食器もございます。後で見繕ってみましょう」

 ランファンが、抜け目なく言った。



安価下コンマ
01〜20 皇太子が絡んできた
21〜40 先程の男が話しかけてきた
41〜60 フェイグゥが息子を連れてきた
61〜80 皇帝と話した
81〜98 皇帝が誰か呼んだ
ゾロ目 皇帝が密かに囁いてきた
807 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/13(土) 22:05:59.01 ID:3oWqEsC2o
808 : ◆WEXKq961xY [saga]:2021/02/13(土) 22:12:48.69 ID:DI5vCE9G0


「おう、ようやっと話しかけられた」

 不意に後ろから声をかけられ、アスラは振り向いた。
 見ると、そこには皇太子が盃を片手に、にやにやしながら立っていた。既に出来上がっているようで、その顔は赤い。ふてぶてしく笑んでいるように見えるが、その目は落ち着かない様子で、皇帝の方をちらちらと気にしていた。
 皇帝は、あからさまに顔をしかめた。

「…何じゃ、パオか」

「つ、つれないことを仰る。…フェイグウの夫であれば、余の息子も同然。これ、父の盃の相手をせぬか」

「はいはい、兄上。私がやりますので…」

 ランファンが近寄ってきて、パオと呼ばれた皇太子の盃に酒を満たす。
 彼は、アスラの肩を掴んで立たせると、乱暴に盃を打ち合わせた。それからにわかに耳元に顔を近付けると、小声で囁いた。

「…貴様、分かっておろうな」

「はぁ?」

「いくら、父上の寵愛があろうと、貴様はクリストラ人。余所者よ。過ぎた真似をするなよ」

「…」



安価下1〜3でコンマ最大 話題、行動
809 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/13(土) 22:18:00.90 ID:feTmcv3RO
なぜわざわざ言う?
810 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/13(土) 22:28:07.75 ID:3oWqEsC2o
弁えております、『兄上』
811 : ◆WEXKq961xY [saga]:2021/02/13(土) 22:29:01.88 ID:DI5vCE9G0
ねる

安価下
812 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/13(土) 22:34:48.02 ID:Fj50olkh0
…?言われずとも余所者のつもりだが
813 : ◆WEXKq961xY [saga]:2021/02/14(日) 09:47:04.31 ID:/vUNN2h90
「何故、わざわざおれに言う?」

 アスラは首を傾げた。皇太子は一瞬口ごもったが、やがて絞り出すように問うた。

「…父上の跡を継ぐのは、誰だ? 言ってみろ」

「皇太子殿下でしょう?」

「…分かっておるなら良い」

 それだけ言うと、彼は自分の席に戻っていった。
 椅子に座り直すと、皇帝は沈んだ声で言った。

「あれを許せよ。とかく小心者でかなわん」

「ああ、いえ…何事かと身構えましたが、気分を損ねたようでなくて何よりです」

「アスラ様、いかがですか。お似合いでしょう?」

 真っ赤なドレスを纏ったフェイグゥがやって来た。大きく開いた胸元が、大胆だ。

「ああ。…久しぶりだ。大きくなったな」

「貴方様も、一層逞しく、麗しくなられましたわ」

 肩に手を置き、囁く。

「いかがですか、今夜、久しぶりに」

「アスラよ、これも美味いぞ」

 ユィーキが皿を指し、わざとらしく声を張り上げた。フェイグゥは一瞬、この叔母をぎろりと睨んだが、すぐに笑みを取り戻して戻っていった。
 皇帝が、思い出したように言う。

「そうだ。汝の馬のことを、ランファンから聞いておった」

「ジオのことですね」

「然り。明日にでも、一目見てみたいものだ」

「勿論です」

 アスラは頷いた。
 それからは、特に問題なく宴は終わった。会場を出て、ふと窓から差し込む光に気付く。外は、もう夜明けであった。



安価下1〜3でコンマ最大 どうする?
814 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/14(日) 10:20:56.01 ID:tk2T2bmf0
政治の見学をさせてもらう
815 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/14(日) 10:26:16.07 ID:zd+uFfFHO
知り合いを探す
816 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/14(日) 10:33:08.75 ID:NzFVIFpRO
町を歩く
817 : ◆WEXKq961xY [saga]:2021/02/14(日) 14:54:51.72 ID:/vUNN2h90


 今から眠る気にもなれず、アスラは再び街に出ていた。護衛はついているが、今度は一人だ。
 殆ど徹夜で、頭がふわふわする。おまけに腹は膨れているし、酒も入っている。散歩くらいしかできないだろう…



安価下コンマ
01〜30 華禁から使者が飛んできた
31〜50 大荷物の馬車だ
51〜70 いつぞやの宣教師
71〜90 老人と女
91〜98 北の主従
ゾロ目 影の姉妹
818 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/14(日) 15:05:13.06 ID:XmaCc/XDO
はい
819 : ◆WEXKq961xY [saga]:2021/02/14(日) 16:11:40.87 ID:/vUNN2h90


「…あっ、いたいた!」

 不意に後ろから声がして振り返ると、一人の少年が息を切らして走ってきていた。

「おっ、お散歩中、失礼します…はぁっ」

 彼は息を整えると、両手を合わせて一礼し、それから言った。

「華禁より参りました。アスラ様に」

「どうした?」

「貴方様のお馬…天子様へお目通りする前に身繕いをばと思いましたが」

「…あ」

「はい、その。…厩舎から、動こうとせず。主人である貴方様の言うことしか聞かないと、蘭花公主のお言葉で」

「分かった、すぐ戻ろう」

 アスラは頷いた。
 少年に続いて歩きながら、彼は思わず大きな欠伸をした。



「ひええ、いくらでも喰うぞ、こいつ…」

「夕べの残りが、無くなっちまいそうだ」

「ジオはここか」

 厩舎に入って声をかけると、中にいた2人の馬丁が弾かれたようにこちらを向いた。

「! わざわざご足労いただき、誠にありがとうごぜえます」

「お馬様は、こちらに」

 見ると、囲いを3つ占領して、ジオが一心不乱に山盛りの餌を貪っていた。餌と言っても、昨日の宴で大量に出た残飯で、皇族と同じ贅沢な食事であった。
 ジオはアスラに気付くと、ちらりと顔を上げた。それから盛大に鼻を鳴らすと、再び食事に戻った。

「しばらく構ってなかったから、拗ねてるんだ。少し時間があれば、いけると思う」

「それなら、大丈夫でさ。…にしても、凄い馬で」

「農耕馬だって、こんなのはそうそう見ませんぜ」

「まあね。偶然、草原に迷い込んでいたのを手懐けたんだ。その時は、大変だった…」



 軒先に座る皇帝の前に、アスラがジオを曳いて来た。長いたてがみを綺麗に整えて、黒い体毛にもしっかりとブラシを通されている。

「ジオです」

「ほう、これは玉龍の生まれ変わりか」

「いえ、バルバスにも見せましたが、そのようなことは聞いておりません」

「しかし、見事な巨馬よ…」

「父上、乗ってみられては」

 側から、皇太子が口を挟む。皇帝は首を横に振った。

「ならん、ならん。朕の股が保たぬ」

「はあ、左様で。…おい、勇者の子よ。その馬は、どこの生まれか。50頭もおれば、最強の騎馬隊が作れそうだぞ」

「タルス…いえ、クリストラの草原に、偶然迷い込んだのを手懐けました。生まれがどこかは、分かりません」

「何だ、使えん」

 舌打ちする皇太子。そこで声をかけたのは、宴の最中にクリストラの衣装に興味を示した青年だった。

「この馬が50頭もおれば、五行山とて一夜で禿山になりましょうぞ。何より、いっぱいおってはムードがない」

「ムード…?」

 不意に飛び出したクリストラの言葉に、目を丸くするアスラ。青年は可笑しそうにくっくっと笑うと、「もうよい」と手を振った。
 ファンが手元の紙を広げ、言った。

「明日は陛下、アスラ様を交えて市街を行幸いたします。その後最後の会談を行い、アスラ様ご帰国となります。本日は、ごゆっくりお休みください」
820 : ◆WEXKq961xY [saga]:2021/02/14(日) 16:17:53.83 ID:/vUNN2h90


 ユィーキ、ティエンファンと一緒に部屋に戻ってきた。寝台が目に入ると、それだけでどっと疲れが押し寄せてきた。

「丸2日寝てないよ」

「妾もよ」

 ユィーキは喉を鳴らした。

「ティエンファンめは、たっぷり昼寝しおった。父上も、死んだように眠っておったそうだ」

「皇帝が…」

 アスラは、思わず呟いた。

「…体調が悪いのかな」

「年よ」

 ユィーキは、溜め息を吐いた。

「もう80になろうと言うに…よく、また娘を産ませたものだ」

「えっ、子供が生まれたのか?」

「いかにも。妾も昨日聞いて驚いたわ。妾やランファンの時でさえ高齢だったというに…」

 そこまで言ってから、彼女は思い出したようにアスラを見た。

「…どうする、このまま寝るか」



安価下1〜3でコンマ最大 どうする?(夜)
@寝る

Aその他要記述(コンマ70未満で寝落ち)
821 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/14(日) 16:22:00.67 ID:tk2T2bmf0
1
822 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/14(日) 16:29:59.02 ID:42GXgcrVO
1
823 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/14(日) 16:30:48.84 ID:4anjhb4fo
1
824 : ◆WEXKq961xY [saga]:2021/02/14(日) 16:58:06.38 ID:/vUNN2h90
「ああ、そうする」

 アスラは頷くと、布団に潜った。ユィーキも、隣に入ってくる。
 目を閉じると、あっという間に意識が沈んでいった…



安価下コンマ
01〜80 特に何も起こらない
81〜98 ???
ゾロ目 ???
825 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/14(日) 17:02:30.92 ID:03zAh8anO
ゾロ目
826 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/14(日) 17:14:19.90 ID:4anjhb4fo
おおっと
827 : ◆WEXKq961xY [saga]:2021/02/14(日) 17:27:55.01 ID:/vUNN2h90


「…っ」

 身体が重い。妙な音がする…
 薄く目を開けて…

「…!!?」



「んっ♡ あんっ♡ んんっ…」



「だっ、誰だ!?」

「! 起こしてしまいました…ぁんっ♡」

「ぅあっ…な、何を」

 暗闇に目が慣れると、自分の上に一人の女が跨っているのが見えた。それと同時に、股間を包む熱く濡れた感触に気付く。
 隣に目を遣ると、ユィーキとティエンファンはぐっすりと眠っている。

「シーシーと申します。勇者の御種を、わたくしにも分けていただけないかと…んっ♡」

 艶かしく喘ぐと、ペニスを包む熱いものがきゅっと縮こまった。



安価下 どうする?
828 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/14(日) 17:48:14.58 ID:tk2T2bmf0
身をゆだねる
829 : ◆WEXKq961xY [saga]:2021/02/14(日) 19:05:49.74 ID:/vUNN2h90
「…じゃあ、好きにしろ」

「はいっ♥ では、失礼…んっ♥」

 アスラの上で、腰を小刻みに動かすシーシー。動きながら、おもむろに自らの服に手をかけると、胸の留め具を外し、丸く美しい乳房を露わにした。アスラの手を取り、自らの乳房を掴ませる。

「お手が寂しいでしょう。わたくしのお乳を、お楽しみください…んぁっ♥」

 ふわふわと柔らかいおっぱいを両手で揉むと、シーシーは悩ましい声を漏らした。
 自らの乳を揉ませながら、腰をとんとんと揺すり、膣穴をうねらせる。

「あぁ、んっ♥ 何も、おっしゃらないで…いつでも、出して、あっ♥」

 小さな乳首を指先で突くと、つんと尖った。それをきゅっとつまむと、膣穴が竦んだ。

「ぁんっ♥ これでは、わたくしばかり、気持ちよく…あ、んっ♥」

 腰が、速くなってくる。

「あっ、あっ、あ、あっ…出して、出してっ♥ 出してっ♥」

「…!」

 アスラは、おっぱいから手を離すと、彼女の腰を両手で掴んでぐいと押し付けた。

「っっっ〜〜♥♥♥」

 ぎゅっと縮んだ膣穴に、数日ぶりの精液を勢いよく放った。

「あっ♥ あああっ♥♥ お、お美事にございますっ♥ こんなに、沢山…♥♥」

 肉棒を絞るように膣をくねらせながら、シーシーは囁いた。




安価下コンマ ゾロ目で妊娠
830 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/14(日) 19:06:51.93 ID:fv0NMhDpo
ありがとうございました
831 : ◆WEXKq961xY [saga]:2021/02/14(日) 19:32:57.50 ID:/vUNN2h90


 初日も通った広い街道を、綺羅びやか装飾の馬車が6台、護衛の騎馬に守られてゆっくりと進む。先頭には皇太子を始め男の皇族。次にランファンはじめ後宮にいたことのある皇女たち。次にアスラとユィーキ母娘。次にその他の、女の皇族。最後に、一番大きな馬車に皇帝。他の馬車に壁がなく、皇族たちの姿が見えるのに反して、皇帝の馬車だけは四方を黄色い壁に囲まれていて、窓も硬く閉ざされている。
 皇族たちの行列を、人々は沿道に集まって見ている。手を振ったり、手を合わせたりしているが、やはり一番の興味の対象はアスラのようで、一人だけ金髪のクリストラ人の姿を認めると、ひそひそ話し合ったり、女たちは黄色い歓声を上げたりしていた。

「これから、丘の上の陵墓へ行く」

 隣に座るユィーキが、説明した。

「歴代の皇帝を祀っている。そこへ、挨拶に行くのだ」



 古めかしい霊廟の前には、酒や饅頭、それに花などがずらりと供えられている。その前に並んで、皇族たちが祈りを捧げている。アスラも、見様見真似で祈りを捧げる。
 一人の従者が、大きな額を持ってきた。それを、供え物の真ん中に置く。よく見るとそれは、皇帝と謁見した時、アスラが詠んだ詩であった。

「この善き日に感謝を。オリエズマ王朝と勇者の、末永き友好を願います」

 ランファンが締めくくると、一同は華禁への帰路についた。
832 : ◆WEXKq961xY [saga]:2021/02/14(日) 19:56:24.03 ID:/vUNN2h90


「有意義な日々であった」

 謁見の間にて。跪くアスラの向こうには、玉座に座る皇帝。簾はもう、上まで上がっている。

「こちらも、素晴らしい訪問でした」

「汝を友とすることができたのを、嬉しく思う。汝を模範として、我が王朝の守りと繁栄はより堅くなるであろう」

 脇の皇太子が、青い顔で額を拭う。それから、ほっと息を吐いた。
 皇帝が、右手を上げる。すると、従者が厚い布に覆われた何かを持ってきた。

「汝へ、贈り物を用意した」

「ありがとうございます。…」

 アスラの前で、従者が包を解く。中から出てきたのは…



安価下コンマ
01〜10 三柱無双
11〜30 客卿
31〜60 西方侯
61〜98 克里斯托王
ゾロ目 玉璽
833 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/14(日) 19:57:35.15 ID:fv0NMhDpo
ほい
834 : ◆WEXKq961xY [saga]:2021/02/14(日) 20:10:24.85 ID:/vUNN2h90
 中から出てきたのは、黒い漆塗りの印であった。裏返してみると、『親華封西客卿』と刻まれている。

「これにより、汝の領は朕の認めるところとなる」

「外国の者としては、最高の爵位であるぞ。感謝せよ」

 皇太子が口を挟む。どことなく、顔つきが柔らかい。何か緊張が解けたかのようだ。

「これがあれば、朕の民は汝を拒まぬ。いつでも遊びに来るが良い。歓迎しよう」

「有難き幸せ…」

 頭を下げるアスラに、皇帝が更に問いかけた。

「ときに、このまま帰るかな」

「と、言いますと」

「もうしばらく、この国を楽しんでも良いぞ。客人の身分は解かれるゆえ、後宮に置いておくことは叶わぬが、どこか宿を取らそう」

「それなら…」



安価下1〜3でコンマ最大 どうする?
@しばらく残る

Aクリストラに帰る

Bその他要記述
835 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/14(日) 20:11:38.10 ID:tk2T2bmf0
帰ってタルスム領へ行く
836 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/14(日) 20:11:49.80 ID:YkOgqb2Q0
2
837 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/14(日) 20:12:10.06 ID:XmaCc/XDO
1
838 : ◆WEXKq961xY [saga]:2021/02/14(日) 20:29:21.83 ID:/vUNN2h90
「…いえ、おれはこれにて帰ります。故郷に残してきた人々がおります」

「わたくしは、娘と共に我が夫に付いて行きます」

 ユィーキも同調する。皇帝は、頷いた。

「そうか。残念だが、仕方あるまい。…ケドゥ、勇者を港まで送って参れ」

「は」

 例の青年が頷く。アスラは立ち上がると、ユィーキたちと共に謁見の間を辞した。



 船に、また多くの荷物が積み込まれていく。これからまた、これに乗って1週間の長旅だ。
 行きは余裕がなかったが、こうして見ると港町も多くの人や店で賑わっている。出港まで時間があるから、見回ってみるのも良いかも知れない。



安価下1〜3でコンマ最大 どうする?
@土産物を見て回る

A屋台で軽食

B大道芸を見物

Cその他要記述
839 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/14(日) 20:31:09.97 ID:42GXgcrVO
ケドゥと会話
840 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/14(日) 20:31:23.97 ID:XmaCc/XDO
1
841 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/14(日) 20:33:09.72 ID:YnnEamjRO
3
842 : ◆WEXKq961xY [saga]:2021/02/14(日) 20:34:12.76 ID:/vUNN2h90
同値勝負だった

安価下 1 or ケドゥと会話
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